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小説掲載プログ
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年末年始

「今年も、もうすぐ終わりだなぁ」

年末年始の休みに入っていた。

虚が出て始末する以外、通常は休みだが、海燕は関係なく働いていた。

といっても、仕事ではなく浮竹の世話のためなのだが。

「海燕、お前も今年こそ休みをとったらどうなんだ」

浮竹がそう言うが、海燕は首を横に振る。

「隊長を放っておくと、昼過ぎまで寝て飯もあまり食べないで寝てばっかりいるからだめです」

「ちっ」

「おい、今舌打ちしたな!?」

「気のせいだ・・・・・」

ああ、だらだらとした年末年始の夢が、今年も叶えられそうにない。

1日でいいから20時間くらい寝たいなぁ。

まぁ、臥せってる時はいつもそれくらい寝てるけど。

浮竹はそう思いながら、畳の上でごろりと横になった。

「ほらそこ、寝転がらない!」

「いいじゃないか。年末年始くらい」

「あんたの場合、年末年始関係なしにごろごろするでしょう!」

「ちっ」

「また舌打ちしましたね!?」

「気のせいだ」

海燕は、よく面倒を見てくれる。まるで母親のようだ。ありがたいが、たまにありがたすぎてうざくなる。

「ああ、やめだやめだ!」

浮竹は布団をしきだした。

「何してるんですか!」

「だらだらするんだ。年末年始くらいだらだらさせろ!俺は昼寝する!」

「許しません!」

「俺の勝手だろう!お前、都はどうした。せっかくの年末年始なのに放置か?」

「あ、忘れてた・・・・・・」

もう、独身ではないのだ。

愛しい妻を放りだして、自堕落な隊長に時間を潰されるよりは、妻を選ぶ。

「俺、帰ります」

「おう、帰れ帰れ」

「隊長は!くれぐれも寝すぎて昼夜逆転にならないように!」

毎年、年末年始はごろごろしすぎて、夕方に起きてくることがある

まぁ、2~3日時間をかければ昼夜逆転も直る。

「は~。極楽・・・・・・」

そのまあ、浮竹は昼餉もとらずに眠ってしまった。

起きると、夕方の7時だった。

少し眠りすぎたかと、副官の名を呼ぶ。

「海燕ーお腹すいたー」

しーんとしていた。

「ああいかん、海燕は帰ったんだった」

13番隊の食堂に行き、年末年始も出勤になり、代わりに年あけにまとまった休暇をもらう死神以外の者はいなかった。

全体的にがらんとしていた。

わざわざ雨乾堂まで夕餉をもっていくのがめんどうだったので、食堂で食べた。

「隊長、珍しいですね」

「仙太郎か・・・・・・」

3席である仙太郎は、年末年始も出勤のようだった。

「海燕が家に帰ったからな。いちいち夕餉をとりにいったり下げにいったりするのがめんどうだったから、食堂でいいと思って」

「隊長、それよりそんな薄着で大丈夫ですか?」

薄着というか、いつもと同じ死覇装に隊長羽織なのだが、いつも雨乾堂では毛布を羽織っているか、上着を着ていたので、そういえば寒いなと思った。

「上着置いてきてしまった・・・・・」

「とってきましょうか」

「いやいい。夕餉をとる間の時間だけだ」

夕餉をとり、雨乾堂まで戻る。身を切るよな寒さだった。

「はっくっしょん・・・ああやばい、熱だすかもな・・・・」

そう思いながら雨乾堂まで戻ると、京楽が来ていた。

「海燕君帰ちゃったんだね」

「ああ、俺が帰した」

「そんな恰好で。こっちおいで。ぬくめてあげる」

京楽は毛布を被り、火鉢に当たってその腕の中に来いといってくる。

浮竹は、なんの逡巡もなしのその腕の中に収まった。

「ああ、あったかい・・・・」

京楽は、人間ほっかいろだ。

京楽の腕の中でぬくぬくしていると、まだ眠気がやってきた。

いい加減寝すぎかもしれないと思いつつも、瞼を閉じた。

次に起きると、京楽と布団の中だった。

毛布を浮竹に数枚かけられていた。

「う・・・眠くない・・・・」

それから何度か寝ようと目を閉じたが、12時過ぎまで寝た挙句、昼寝をして今まで眠っていたのだ。寝れるわけがなかった。

「2時か・・・・・」

時計は、深夜の2時を指していた。

仕方ないので布団から這い出すと、毛布を被って火鉢にあたりながら、最近読んでいた小説の続きを読みだす。

「浮竹?」

「あ、京楽、構わずに寝てくれていいぞ」

「本当は、いけないんだけどね」

京楽は、何かを口にすると、水と一緒に浮竹に飲ませた。

「んっ・・・・何?」

「眠剤。寝れるように。僕、たまに不眠の時に使ってるんだ」:

「京楽が不眠?」

「本当に時折だけどね。いろいろあって、朝方まで眠れないから、寝れないと思った時には服用してる」

数分がたつと、ろとんと瞼が重くなってきた。

解熱剤に含まれるわずかな睡眠薬成分でも寝てしまうのだ。

眠剤など、免疫がなくて眠気はすぐにやってきた。

すーすーと眠りについた浮竹を抱き上げて、京楽は布団の中に入ると浮竹に毛布を数枚かけた。

「明日の朝には、すっきりしてると思うよ」

もう意識のない浮竹に語りかける。

京楽も、眠剤を口にして、眠った。

「あああ!寝すぎた!」

起きると、1時を回っていた。

「京楽、昨日の薬効きすぎだ!」

「ああ、安心してたら僕まで寝過ごしちゃった」

本来なら、京楽は8時には起きる。

でも、久しぶりに眠剤を口にしたこともあり、寝過ごしてしまった。

いつもは起こしにきてくれる海燕は今日は休みでいない。

「ああ、海燕がいないならいないで好きなだけ寝れて嬉しいけど、寝ていたくない時まで寝過ごしてしまう!」

「浮竹は、ほんと海燕君がいないとだめだね」

「仕方ないだろう!海燕がいつも起こしてくれるんだから!」

二人して、13番隊の食堂にいき、遅めの昼餉をとった。

「今日は何をしよう?」

「休みだし・・・年末年始で店も休みだろうから、だらだらしよう」

一人でだらだらするのはつまらないが、京楽と一緒なのだ。京楽と自堕落な時間を過ごすのもいいだろうと思う浮竹であった。

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