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結婚

浮竹と京楽は運命の番になり、4年が経過した。

今日は卒業式の日。

山じいが、涙ぐみながら、二人の卒業をお祝いしてくれた。

「春水も十四郎もよく6年間がんばったのう。これで休暇があけてから、晴れて死神の席官入りじゃ」

京楽と浮竹は、卒業とほぼ同時に結婚した。

資金は後払いということになった。

京楽の両親は渋い顔をしていたが、すでに浮竹のお腹には京楽の子が宿っている。

反対しようにも、京楽は浮竹と結婚すると頑として聞かなくて、結局京楽の両親が折れる形になった。

浮竹の両親と兄弟たちも来ていた。

「兄様、綺麗」

白い新郎の袴と衣をまとった浮竹は、かっこよくてかわいくて美人だった。

黒い袴と衣をまとった京楽は、浮竹の晴れ姿に惚れ惚れとしていた。

「おい、京楽。しっかりしないか」

「あ、ごめん。君があんまり美人だから、見とれてた」

「ばか」

浮竹が赤くなる。

京楽は8番隊の3席、浮竹は13番隊の3席になることが確定していた。

結婚式は滞りなく行われて、酒を飲みかわしあって、お互いを大切にすると誓いあった。

同じ死神になる元クラスメイトの友人が何人か祝いにきてくれたが、基本身内だけでの結婚式だった。

浮竹の髪は腰の位置まで伸びており、ゆるく編みこまれて、いつの日か京楽が結婚式の時につけてねと言っていた、翡翠の髪飾りをしていた。

式が終わり、静かになると、二人は寄り添いあって、酒を飲んだ。

「これを君に」

翡翠をあしらった、ペアリングだった。

「結婚指輪のつもりだったんだけど、なんか恥ずかしいからペアリングにしたよ」

「はめてくれるか?」

「うん」

京楽が浮竹の左手の薬指にはめると、サイズはちょうどだった。

浮竹が、同じデザインの指輪を京楽の左手の薬指にはめる。

日に透かして見れば、綺麗な緑色に輝いた。

「君の瞳の色だから、翡翠にしたんだよ。エメラルドでもいいかなって思ったけど、君の瞳の色はもっと濃い翡翠の色だから。ねぇ、君は今、幸せかい?」

「ああ、幸せだぞ。京楽、お前と結ばれて結婚までできた。いつか、子供も生まれる」

Ωの男性の出産は自力ではできないので、帝王切開が基本である。

「君のお腹が大きくなっていくのか。ちょっと不思議なかんじだね」

「子供は二人がいい」

男の子なら白、女の子なら春と、名前も決めていた。

浮竹は、流産する可能性があるので、戦闘には出産まで参加しないことになっていた。

やがて月日は巡り、浮竹が陣痛を訴えた。

浮竹のお腹は大きくなっていた。

子宮は直腸から分離して繋がっているが、女性と違い、男性のΩは普通に出産することができない。

なので、帝王切開だった。

「がんばって、浮竹」

「ああ。無事に生まれてくるように、祈っていてくれ」

京楽は、浮竹が手術室に運ばれていくまで傍にいた。

1時間ほどして、おぎゃあおぎゃあという赤子のなき声が聞こえて、京楽は安堵する。

しかし何故だろう。赤子が二人いるような?


「おめでとうございます。女の子と男の子の双子ですよ」

「ええっ、双子!?」

京楽は驚いた。

産婦人科では、性別の検査などは一切行っていなかったし、浮竹だけしか双子であることを知らなかった。

京楽は、泣きながら笑った。

「双子か・・・・・・」

浮竹は、帝王切開の傷が癒えるまで入院となり、保育室で無事うまれてきた双子-----------名前は、白と春と、初体面した。

双子はミルクを飲んで、健やかに日々を過ごしていく。

帝王切開の傷がまだ塞がっていない浮竹のところへ、京楽が双子を見せに連れていった。

「ああ、二人とも元気そうだ。双子だけど、別によかっただろう?」

「僕としては、事前に教えておいてほしかったけどね」

一人だけ除け者にされた気分を味わった京楽は、頬を膨らませていた。

「あいたたた、ひげ、ひげひっぱんないで」

白は好奇心が旺盛そうだ。

春はシャイでちょっと内気な子っぽい。

まだ赤子だから詳しくは分からないが。

1週間が経ち、浮竹は退院した。

双子の育児には、人を雇った。京楽の古くからの付き人で、信用がおける人物だった。

浮竹は京楽と同じように死神としての仕事をこなす。

帰宅すると、夜になるので育児は夜の間しかできない。

朝~夕方は、付き人に見てもらっていた。

粉ミルクで育っていく双子。

浮竹は母乳がでなかった。男性であっても、妊娠した場合母乳が出る場合があるが、必しもそうとは限らない。

粉ミルクは高いが、京楽が買ってくれて、育児に必要なものや絵本、おもちゃなんかも購入していた。

まだ赤子なのに。

気が早いと、浮竹は笑った。

京楽は、浮竹と始めの子になる双子にべた惚れで、休みの日は時折4人ででかけた。

「あーん」

泣きだした春を、浮竹があやす。

「おなかすいてるのかな」

今日は京楽に誘われて、花見にきていた。

赤子を連れての花見なので、酒はあまり飲まなかった。

水筒に入れていた粉ミルクを溶かしたものを哺乳瓶にいれかえて、春に飲ませる。

白も欲しがって、そっちは京楽が哺乳瓶で飲ませた。

「いやぁ、花見する暇もないかんじだけど、まぁたまにはこういうのもいいかな」

「赤子を連れて花見がそもそも無理がある」

浮竹は、ミルクを飲み終わった春にげっぷをさせるために背中をとんとんと叩いていた。

育児にもすっかり慣れてきた。

双子には霊圧があった。

いつか、この双子も学院に通うのだろう。

京楽と二人で見守っていこうと思った。

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