祓い屋京浮シリーズ29
鎌鼬(かまいたち)
つむじ風にのって、切りつけらると刃物で切ったような傷ができて、しかし痛みも血も出ないという、不思議な傷をつくる妖怪である。
その鎌鼬が、人を斬り殺す事件が起きていた。
依頼人は、かろうじで生き延びた村人。
数匹の鎌鼬が群れを作って、ある村を襲撃した。
その村は数十人の死傷者を出して、壊滅的になった。始めは、依頼人も鎌鼬と気づかずに、誰かに刃物ので切り刻まれたと思っていた。
鎌鼬の姿を、偶然見かけて、これはと思い浮竹のところに飛び込んできた。
「どうか、村を襲った鎌鼬の群れを駆除してください。まだ生きている者もいるかもしれません。でも、鎌鼬が居続ける限り、救出もできません」
「鎌鼬が群れを作って、村人を多数死傷させた?本当だとしたら、大事だな」
「本当なんです!この傷を見てください!」
依頼者は、鎌鼬に切られた傷を見せた。
傷は深いが、血を出さずに痛みさえ感じないようで、ますます鎌鼬が群れを作って村を襲撃したという事件が、明るみになる。
「緊急だな。すぐに退治にあたる」
浮竹は、ちゅんちゅんと桜文鳥姿で遊びにでかけていた京楽を至急召還した。
「どうしたの、浮竹」
「緊急依頼だ。村が一つ、鎌鼬の群れに壊滅的打撃を受けた」
「鎌鼬が群れ?鎌鼬って、普通一匹でいて群れないでしょ?」
「それが、依頼人が言うには群れで襲ってきたそうだ」
「それは、村がやばいね。生き残りはいるのかい?」
京楽は、依頼者の村人を見る。
【何十人か、生き残っているはずなんです。死者は20人ほど出ていますが、軽傷の者もけっこういて・・・・でも、鎌鼬のせいで救出できないんです」
「鎌鼬は、それから襲ってこないのか?」
「はい。不思議なことに、襲撃は一度きりでした。傷を負った者を救出しようとすると邪魔をしてきて、とにかく一刻も早く退治を!」
「分かった」
浮竹は、破壊の力をこめた式札を何枚か懐に入れた。
「京楽、今回は最初から飛ばしていけ」
「水龍神になっていいってことだね?」
「ああ。鎌鼬たちを水で包みこんで、そのまま駆除しよう」」
浮竹と京楽は、駆除方法をあらかじめ決めてから、その村に向かった。
海燕がドライバーをする車は、制限速度を無視して、村へと向かう。
「いるね。鎌鼬だ」
村につくと、一匹の鎌鼬が死んでいるであろう村人の体を切り刻んでいた。
「縛!」
浮竹は、式札を飛ばして、その鎌鼬の動きを止める。
そこに、水龍神姿になった京楽が水で鎌鼬を包み込み、そのまま水を圧縮させて、鎌鼬を殺した。
「京楽、複数でもいけるか?」
「これでも神様だよ。鎌鼬くらいなら、群れできてもなんとかなるよ」
「じゃあ、俺が囮になるから、頼んだぞ」
「あ、ちょっと、京楽!」
京楽が止める暇を与えずに、浮竹は鎌鼬の群れにつっこんで、自分を囮にした。
「縛!」
しかし、ただでは囮にならない。
鎌鼬の群れの動きを封じて、その隙に京楽が水で鎌鼬を包み込み、水圧で圧縮させて殺していく。
「見ろ、鎌鼬のボスだ」
群れを失うと、一匹の巨大な鎌鼬が現れた。
「誰ぞ。我が子らを屠るのは、誰ぞ」
「お前の子供たちは、人間を殺した。よって、排除する!」
浮竹が完結に言うと、その巨大な鎌鼬はつむじ風を起こした。
浮竹と京楽の体に、いくつかの切り傷ができる。
傷が深いわりには痛みもなく、血もでない。
しかし、ダメージは確かに受けていて、浮竹は癒しの式札を出す。
「快!」
浮竹と京楽の負った傷が、見る見る癒えていく。
水龍神は、元々浄化と癒しの神だ。
傷を再生させることなど、容易だ。
「愚かなり、人の子。我らはこの村人たちに利用され、宝石泥棒の手助けを強制させられた。嫌だという我が子らを、殺して・・・・・」
「おい、依頼者、それは本当か!」
「ち、ち、違います!鎌鼬が嘘を言っているのです。あやかしを犯罪に使う者なんていないでしょう?」
「いや、実際にいるから、確認を・・・・・」
依頼人は、浮竹にサバイバルナイフを出すと、切りかかった。
「な!」
浮竹が顔色を変える。
あやかしや霊に憑かれたわけではないようであった。
「く、鎌鼬の言っていることのほうが本当のようだ」
嘘を識別できる式を出した。
「京楽、行くぞ」
「うん!」
「縛!」
「眠!」
村人を束縛して動きを封じて、眠りに強制的に陥らせる。
「悪いが、たとえ悪用された仕返しとはいえ、人を殺したあやかしは退治する」
「我らが間違っていた。人の子など、信用するべきではなかった」
鎌鼬のボスは、涙をぽろぽろ流した。
「砕!」
浮竹が、戸惑いを見せつつも鎌鼬のボスを破壊する。
「京楽、村人の救出と癒しを。生きている村人を集めて、事情を聞く」
京楽は、倒れているが生きている村人たちの傷を癒して一か所に集めると、浮竹を待った。
「お前たち、鎌鼬を利用して宝石泥棒をしていたそうだが、偽りはないな?」
「ふん、鎌鼬を利用することのどこが悪いんだ!」
「そうだそうだ!おまけに仕返しで仲間を殺しやがった!」
浮竹は、溜息をついた。
「お前たちは、一度灸をすえる必要があるな。マオ」
「にゃあああ」
「この村人たちに、悪夢を見せてやれ。とっておきの、グロいやつを」
猫の式神、マオは夢を操ることができた。
マオに術をかけられた村人達は、眠りながら悲鳴をあげる。
「警察に通報だ」
「うん。これ以上、僕らで村人を傷つけるわけにはいかないからね」
生き残った村人たちは、宝石泥棒を集団でおこなった罪で捕まっていった。
「後味が悪いな」
「仕方ないよ。人は良くもあれば悪しきもある」
死んでしまった村人たちを、怨霊にならないように浄化して、埋葬した。
「マオ、よくやったな。この人数に悪夢を見せるの、疲れただろう」
「にゃあああああ」
「帰ったら、思う存分チュールやるからな」
「なあああ♪」
マオを抱き上げて、浮竹は京楽と共に村を後にする。
鎌鼬の群れは、駆除した。
だが、鎌鼬も利用されて殺されたのだ。
村人と鎌鼬。
どちらも悪いので、喧嘩両成敗のような形になった。
「にゃおおおおお」
「ちょっと、マオ、人の姿なのに僕を食べたそうに見ないで!」
「にゃああん」
「文鳥姿になれ、だとさ」
「食い殺されるうううう!!!」
悲鳴をあげながら、京楽はマオがいる限り文鳥姿にはならないようにしようとすると、浮竹に文鳥姿にされた。
「ちゅんちゅんんん!!!」
「にゃおおおおおんん!!」
「ちゅーーーーん!!!」
マオに追っかけられて、文鳥姿にさせられた京楽は、ばっさばっさ羽ばたいて、浮竹の頭の上に乗って、避難するのであった。
つむじ風にのって、切りつけらると刃物で切ったような傷ができて、しかし痛みも血も出ないという、不思議な傷をつくる妖怪である。
その鎌鼬が、人を斬り殺す事件が起きていた。
依頼人は、かろうじで生き延びた村人。
数匹の鎌鼬が群れを作って、ある村を襲撃した。
その村は数十人の死傷者を出して、壊滅的になった。始めは、依頼人も鎌鼬と気づかずに、誰かに刃物ので切り刻まれたと思っていた。
鎌鼬の姿を、偶然見かけて、これはと思い浮竹のところに飛び込んできた。
「どうか、村を襲った鎌鼬の群れを駆除してください。まだ生きている者もいるかもしれません。でも、鎌鼬が居続ける限り、救出もできません」
「鎌鼬が群れを作って、村人を多数死傷させた?本当だとしたら、大事だな」
「本当なんです!この傷を見てください!」
依頼者は、鎌鼬に切られた傷を見せた。
傷は深いが、血を出さずに痛みさえ感じないようで、ますます鎌鼬が群れを作って村を襲撃したという事件が、明るみになる。
「緊急だな。すぐに退治にあたる」
浮竹は、ちゅんちゅんと桜文鳥姿で遊びにでかけていた京楽を至急召還した。
「どうしたの、浮竹」
「緊急依頼だ。村が一つ、鎌鼬の群れに壊滅的打撃を受けた」
「鎌鼬が群れ?鎌鼬って、普通一匹でいて群れないでしょ?」
「それが、依頼人が言うには群れで襲ってきたそうだ」
「それは、村がやばいね。生き残りはいるのかい?」
京楽は、依頼者の村人を見る。
【何十人か、生き残っているはずなんです。死者は20人ほど出ていますが、軽傷の者もけっこういて・・・・でも、鎌鼬のせいで救出できないんです」
「鎌鼬は、それから襲ってこないのか?」
「はい。不思議なことに、襲撃は一度きりでした。傷を負った者を救出しようとすると邪魔をしてきて、とにかく一刻も早く退治を!」
「分かった」
浮竹は、破壊の力をこめた式札を何枚か懐に入れた。
「京楽、今回は最初から飛ばしていけ」
「水龍神になっていいってことだね?」
「ああ。鎌鼬たちを水で包みこんで、そのまま駆除しよう」」
浮竹と京楽は、駆除方法をあらかじめ決めてから、その村に向かった。
海燕がドライバーをする車は、制限速度を無視して、村へと向かう。
「いるね。鎌鼬だ」
村につくと、一匹の鎌鼬が死んでいるであろう村人の体を切り刻んでいた。
「縛!」
浮竹は、式札を飛ばして、その鎌鼬の動きを止める。
そこに、水龍神姿になった京楽が水で鎌鼬を包み込み、そのまま水を圧縮させて、鎌鼬を殺した。
「京楽、複数でもいけるか?」
「これでも神様だよ。鎌鼬くらいなら、群れできてもなんとかなるよ」
「じゃあ、俺が囮になるから、頼んだぞ」
「あ、ちょっと、京楽!」
京楽が止める暇を与えずに、浮竹は鎌鼬の群れにつっこんで、自分を囮にした。
「縛!」
しかし、ただでは囮にならない。
鎌鼬の群れの動きを封じて、その隙に京楽が水で鎌鼬を包み込み、水圧で圧縮させて殺していく。
「見ろ、鎌鼬のボスだ」
群れを失うと、一匹の巨大な鎌鼬が現れた。
「誰ぞ。我が子らを屠るのは、誰ぞ」
「お前の子供たちは、人間を殺した。よって、排除する!」
浮竹が完結に言うと、その巨大な鎌鼬はつむじ風を起こした。
浮竹と京楽の体に、いくつかの切り傷ができる。
傷が深いわりには痛みもなく、血もでない。
しかし、ダメージは確かに受けていて、浮竹は癒しの式札を出す。
「快!」
浮竹と京楽の負った傷が、見る見る癒えていく。
水龍神は、元々浄化と癒しの神だ。
傷を再生させることなど、容易だ。
「愚かなり、人の子。我らはこの村人たちに利用され、宝石泥棒の手助けを強制させられた。嫌だという我が子らを、殺して・・・・・」
「おい、依頼者、それは本当か!」
「ち、ち、違います!鎌鼬が嘘を言っているのです。あやかしを犯罪に使う者なんていないでしょう?」
「いや、実際にいるから、確認を・・・・・」
依頼人は、浮竹にサバイバルナイフを出すと、切りかかった。
「な!」
浮竹が顔色を変える。
あやかしや霊に憑かれたわけではないようであった。
「く、鎌鼬の言っていることのほうが本当のようだ」
嘘を識別できる式を出した。
「京楽、行くぞ」
「うん!」
「縛!」
「眠!」
村人を束縛して動きを封じて、眠りに強制的に陥らせる。
「悪いが、たとえ悪用された仕返しとはいえ、人を殺したあやかしは退治する」
「我らが間違っていた。人の子など、信用するべきではなかった」
鎌鼬のボスは、涙をぽろぽろ流した。
「砕!」
浮竹が、戸惑いを見せつつも鎌鼬のボスを破壊する。
「京楽、村人の救出と癒しを。生きている村人を集めて、事情を聞く」
京楽は、倒れているが生きている村人たちの傷を癒して一か所に集めると、浮竹を待った。
「お前たち、鎌鼬を利用して宝石泥棒をしていたそうだが、偽りはないな?」
「ふん、鎌鼬を利用することのどこが悪いんだ!」
「そうだそうだ!おまけに仕返しで仲間を殺しやがった!」
浮竹は、溜息をついた。
「お前たちは、一度灸をすえる必要があるな。マオ」
「にゃあああ」
「この村人たちに、悪夢を見せてやれ。とっておきの、グロいやつを」
猫の式神、マオは夢を操ることができた。
マオに術をかけられた村人達は、眠りながら悲鳴をあげる。
「警察に通報だ」
「うん。これ以上、僕らで村人を傷つけるわけにはいかないからね」
生き残った村人たちは、宝石泥棒を集団でおこなった罪で捕まっていった。
「後味が悪いな」
「仕方ないよ。人は良くもあれば悪しきもある」
死んでしまった村人たちを、怨霊にならないように浄化して、埋葬した。
「マオ、よくやったな。この人数に悪夢を見せるの、疲れただろう」
「にゃあああああ」
「帰ったら、思う存分チュールやるからな」
「なあああ♪」
マオを抱き上げて、浮竹は京楽と共に村を後にする。
鎌鼬の群れは、駆除した。
だが、鎌鼬も利用されて殺されたのだ。
村人と鎌鼬。
どちらも悪いので、喧嘩両成敗のような形になった。
「にゃおおおおお」
「ちょっと、マオ、人の姿なのに僕を食べたそうに見ないで!」
「にゃああん」
「文鳥姿になれ、だとさ」
「食い殺されるうううう!!!」
悲鳴をあげながら、京楽はマオがいる限り文鳥姿にはならないようにしようとすると、浮竹に文鳥姿にされた。
「ちゅんちゅんんん!!!」
「にゃおおおおおんん!!」
「ちゅーーーーん!!!」
マオに追っかけられて、文鳥姿にさせられた京楽は、ばっさばっさ羽ばたいて、浮竹の頭の上に乗って、避難するのであった。
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