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小説掲載プログ
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6回生の君へ

さわさわと、風で緑が揺れる。

長くなった白い髪が、風で乱れる。

気づけば、院生の6回生になっていた。

京楽と共に、己を磨いて、時には笑いあい、病で臥せる時もあったが、勉学に励み、鬼道を究め、剣の腕を磨いた。

どれも、隣に京楽がいたからだ。

きっと、彼がいなければ自分は病で、成長が止まっていたかもしれない。

「京楽、今までありがとう。これからもよろくな」

そう言って手を伸ばすと、「こちらこそ」と言われて手をとってきた。

ふいにバランスを崩した。

「危ない!」

抱き締められて、トクンと胸が高鳴った。

「どうしたの?」

「な、なんでもない」

この想いを、知られてはいけない。きっと、京楽の傍にいられなくなる。

「どうして、そんな泣きそうな顔をしているの?」

「本当に、なんでもないんだ」

そう言って、浮竹は走って去ってしまった。

「おかしな浮竹・・・」

次の日、熱を出して倒れた。

いつものように、京楽が部屋まで連れて帰ってくれて、世話を焼いてくれた。

「すまない。俺は、お前に何をしてやれるだろう」

「何を今さらいいだすんだい?こんなの、しょっちゅうじゃないか」

額のタオルをとりかえてくれる京楽の優しさに、眩暈がしそうだった。

8月の夏だった。

蝉の声がうるさかった。

浮竹のために無理していた京楽が、眠ってしまった。

自分が寝ていた隣の空きベッドに寝かせて、ずっとその寝顔を見ていた。

「京楽・・・・俺は」

触れるだけの口づけをしていた。

こんな想い、持つだけ無駄なのに。

京楽は、もうすぐ見合いをして結婚相手が決まるらしい。だからだろうか。秘めていた想いが、ぶわりとあふれ出した。

「京楽・・・・見合いをするなと、結婚をするなといったら、笑うだろうか」

「笑わないよ」

いつの間にか、京楽が起きていた。

かっと頬に朱がさして、逃げるように部屋を出て行こうとすると、手首をつかまれた。

「どこにいくのさ。また、熱がでたらどうするの」

「俺のことは放っておいてくれ!」

「そんなわけにはいかないよ」

京楽に抱きしめられていた。

「京楽?」

「いつ、気づいたの。僕が、君に密やかなる想いを抱いていることを」

「え」

浮竹にしてみれば、まさに青天の霹靂であった。

「京楽が、俺のことを?」

「そうだよ。知ってるから、君も僕のことを見てくれてるんだろう?」

「いや、知らなかった」

「あちゃあ、一人相撲かな。僕は君だけを見ていた。これからも、君だけを見ていたい。見合いの件はすでに断って破談にした。相手がしつこかったから、男にしか興味がないんだといったら、頬をはたかれたよ」

「京楽・・・京楽は、男でもいいのか?」

「ん。いいもなにも、浮竹は男でしょ。その浮竹に懸想しているんだから、男もいけるんじゃないの」

「俺に懸想・・・・・・」

「あ、気持ち悪かった?無理はしなくていいんだよ。ただ、僕が君のことを好きで大切にしていたいことを、知ってほしかっただけだから」

「俺は・・・・・!」

浮竹は、熱がぶりかえしそうなのも気にせずに、想いのたけを京楽にぶつけていた。

「ずっとずっと、お前が好きだった。お前の笑う顔を見るのが好きだった。他の女と遊び歩いている姿を見るのは辛かった。出会った頃から、少しずつ惹かれていって・・・今は、お前のことが大好きなんだ。好きすぎて死にそうなんだ」

「浮竹」

どちらともなしにキスをしていた。

「それは、僕が君を好きで、君も僕がすきだって、とっていいんだね?」

「ああ」

夏の、暑い日だった。

ミーンミンと、蝉の声がうるさかった。その日は、特に暑かった。

とさりと、ベッドに押し倒された。

「あ・・・・・」

窓から、少しだけ涼しい風が入ってきた。

お互い、汗まみれになりながら、服を脱がしていく。

「あ・・・・・・・」

「まさか、買っておいたこれを使う日がくるなんて」

京楽は、浮竹の流す汗をなめとりながら、全身にキスの雨を降らした。

脇腹をなであげられ、首もとを撫であげられ、薄い筋肉しかついていない胸を触られた。

先端をつままれると、ぴりっとした刺激が体中に走った。

「あ!」

「感度、いいんだね」

「京楽」

お互い裸になって、指を潤滑油のかわりのジェルまみれにして、浮竹の体内に埋め込む。

「ん・・・・きょうら・・・・ああっ・・・・ん・・・・」

ばらばらに動かされ、前立腺を刺激されると、コリコリとその場所をひっかかれた。

「うあ!」

熱が一点に集中して、どうしようもなくなる。

「先にいっとく?」

何をと言おうとして、その意味が分かった。

浮竹の花茎に手をかけて、しごく京楽の手が、すごい快感を与える。

「あ、いきたい」

鈴口に爪をたてられて、浮竹は吐精していた。

「ああっ!」

指が引き抜かれて行く。

かわりに、熱い灼熱が宛がわれて、そのまま引き裂かれた。

「あああ!」

痛みに、涙が出る。

「ごめん、痛いよね・・・・・でも暑くて、早く終わらせて水浴びでもしよう」

何度も浮竹に挿入し、引き抜いてはまた穿つ。

「あ、あ、あ・・・・・」

ぐちゃぐちゃと音をたてる結合部は、淫らだった。

浮竹も、京楽も、汗まみれになっていた。

こんな暑い日の、真昼間からすることではないのだが。

お互い、暑さを忘れて貪りあった。

「んう」

中を抉られて、まだ花茎に熱が集まりだす。

「ひあっ・・・・・ああ、あ」

最奥を突き上げて、締め付けてくる浮竹に満足して、京楽も浮竹の中に熱を放った。



「ごめん、いきなりやりすぎたね。初めてなのに」

「別に、いい。ただこの暑さ・・・・風呂場で水を浴びよう」

二人で、風呂場で浴槽に水をはって、水をかけあった。

あまり体を冷やしてはまた熱が出るからと、浮竹は早めにあがった。京楽は、しばらく水の中に浸かっていた。

ミーンミンミン。

蝉の声がうるさかった。

暑い夏の日の出来事。



灼熱の太陽を仰ぎ見ながら、二人でゆっくりと歩く。直射日光にやられがちの浮竹のために、傘を用意した。

ペットボトルから水分補給を大目にとりながら、歩いていく。

6回生の夏も終わり、学院を卒業して、死神になり、席官になり、副隊長になり、隊長になった。

それでも、二人は歩んでいく。

互いに隣に在りながら。

夏の暑さにやられないようにと気をつけながら、母校を訪れる。

講堂で、講義を開いた。学院からの初めての隊長二人の講義は人気で、人が多く入りきらなかった。

氷雪系の斬魄刀をもつ死神が、風を送ってくれているお陰で、講堂はすずしく、浮竹は倒れずにすんだ。

「僕も、氷雪系の斬魄刀ほしいな」

「便利なのは、夏場だけだろう」

「でも、一番厄介なのは夏じゃないかな。冬は着物を重ね着したりしたらなんとかなるけど」

ミーンミンミンと、あの時のあの日と同じように、蝉が鳴く。

「夏は暑くて当たり前。それでいいじゃないか」

「でも、浮竹は夏によく倒れるし」

「まぁ、否定はしない」

クスリと、笑みあって、母校を後にしながら、キスをする。

傘がつくる小さな日陰を追って、歩いていく。

尸魂界の夏は、現世に比べればましだが、それでも暑かった。










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