残り火
「んっ」
褥の上で、白哉が乱れる。
「隊長」
「んあああっ」
恋次に後ろから突き上げられて、白哉は少し長い黒髪を揺らす。
「あ、恋次、顔がみたい」
「隊長、好きです」
一度抜いて、正面から突き上げた。
「ふ、んんん」
舌が絡み合うキスを繰り返して、白哉がびくんと背をしならせる。
白哉は恋次の肩に噛みついた。
「隊長、すっげぇいい」
淫靡な白哉は美しく、白哉は恋次の背に手をまわしてその背中をひっかいた。
「ああああ」
白濁した液体を出しながら、恋次の精液を胎の奥で受け止める。
「んあああっ」
恋次のものはすぐにまた硬くなって、白哉を攻め立てる。
「んあっ、あ、あ」
恋次の体液を再度胎の奥に受け止めて、白哉は意識を失った。
「ん‥‥‥」
白哉が気づくと、後処理はちゃんとすませられていて、新しい着物を着ていた。
「恋次」
「はい、隊長」
隣でうとうと眠っていた恋次が、目を覚ます。
「足りないのだ」
「へ?」
「まだ、足りない。私をもう一度抱け」
「え、でも俺のほうがもう無理っす‥‥‥‥」
体を燻る残り火に、白哉は悩む。
「風呂に入ってくる」
「あ、俺も一緒に入ります」
結局、風呂場で恋次にぬいてもらった。
白哉の中にある残り火。
まだ、完全に消えない。どうすればこの火が消えるのか、白哉には分からない。
恋次の傍にいると、いつもいつの間にか残り火が灯る。
「恋次、愛している」
愛を囁けば、恋次は見えない犬の尻尾を振って白哉を抱きしめる。
恋次の匂いが好きだった。
恋次の鍛え上げられた体が好きだった。
恋次の入れられたタトゥーが好きだった。
「隊長、俺も愛しています」
「ふあっ」
何度も舌を絡み合わせて口づけをされると、白哉の中の残り火が大きくなる。
いつからだろうか。
こんな浅ましい欲を抱くようになったのは。
その夜はもう寝て、次の日執務室で恋次と会った。
「おはようございます隊長」
「おはよう」
白哉は、瞳を潤ませながら恋次を見た。
「残り火が」
「へ?」
「残り火が、兄といると灯るのだ。体の奥が疼き出す」
「隊長、誘ってるんすか?」
「そんなつもりはない。ただ、心の中にも体にも残り火が灯っていて苦しい」
「俺のことを、愛しているからですよ」
「そうなのか?」
恋次でもはっきりとは言えなかったが、肉欲をいつも抱くような白哉ではない。
欲がない時でも残り火があるというのは、そんな感情が白哉の中に灯っている証だろう。
「隊長は俺と違って欲をあんま出さないじゃないっすか。でも、残り火があるってことは俺のことを愛していて、欲がなくて俺の傍にいると残り火が消えないのは、そんな愛とかいう感情があるからじゃないっすか?」
「そうなのか。そう言われると、そんな気がしてきた」
「隊長、今も残り火は灯ってますか?」
「ずっと。兄がいない時は残り火はない」
「やっぱり、その残り火ってきっと愛なんすよ」
「そうか。そうなのか」
白哉の中で消えない残り火は、恋次がいる時だけ灯る。
「ならば、無理に消そうとしなくてもよいか」
「隊長、かわいいなぁ」
「恋次、苦しい」
大柄な体の恋次に強く抱きしめられて、白哉は呼吸をするのを忘れる。
「恋次」
「はい」
白哉は、ぎゅうぎゅうと抱きしてめてくる恋次に、深呼吸してから頭を拳で殴った。
「今は仕事中だ」
「あ、はい。すんません」
しゅんと項垂れる恋次は、まるで大きな犬だ。
白哉の中にある残り火が、少し大きくなる。
「ふ‥‥‥‥」
こんな感情を抱き続けるのもよいかもしれぬと、白哉は思うのだった。
残り火は、恋次がいる時だけ灯って、大きくなりすぎると欲となる。
それでもいいかと、思うのだった。
褥の上で、白哉が乱れる。
「隊長」
「んあああっ」
恋次に後ろから突き上げられて、白哉は少し長い黒髪を揺らす。
「あ、恋次、顔がみたい」
「隊長、好きです」
一度抜いて、正面から突き上げた。
「ふ、んんん」
舌が絡み合うキスを繰り返して、白哉がびくんと背をしならせる。
白哉は恋次の肩に噛みついた。
「隊長、すっげぇいい」
淫靡な白哉は美しく、白哉は恋次の背に手をまわしてその背中をひっかいた。
「ああああ」
白濁した液体を出しながら、恋次の精液を胎の奥で受け止める。
「んあああっ」
恋次のものはすぐにまた硬くなって、白哉を攻め立てる。
「んあっ、あ、あ」
恋次の体液を再度胎の奥に受け止めて、白哉は意識を失った。
「ん‥‥‥」
白哉が気づくと、後処理はちゃんとすませられていて、新しい着物を着ていた。
「恋次」
「はい、隊長」
隣でうとうと眠っていた恋次が、目を覚ます。
「足りないのだ」
「へ?」
「まだ、足りない。私をもう一度抱け」
「え、でも俺のほうがもう無理っす‥‥‥‥」
体を燻る残り火に、白哉は悩む。
「風呂に入ってくる」
「あ、俺も一緒に入ります」
結局、風呂場で恋次にぬいてもらった。
白哉の中にある残り火。
まだ、完全に消えない。どうすればこの火が消えるのか、白哉には分からない。
恋次の傍にいると、いつもいつの間にか残り火が灯る。
「恋次、愛している」
愛を囁けば、恋次は見えない犬の尻尾を振って白哉を抱きしめる。
恋次の匂いが好きだった。
恋次の鍛え上げられた体が好きだった。
恋次の入れられたタトゥーが好きだった。
「隊長、俺も愛しています」
「ふあっ」
何度も舌を絡み合わせて口づけをされると、白哉の中の残り火が大きくなる。
いつからだろうか。
こんな浅ましい欲を抱くようになったのは。
その夜はもう寝て、次の日執務室で恋次と会った。
「おはようございます隊長」
「おはよう」
白哉は、瞳を潤ませながら恋次を見た。
「残り火が」
「へ?」
「残り火が、兄といると灯るのだ。体の奥が疼き出す」
「隊長、誘ってるんすか?」
「そんなつもりはない。ただ、心の中にも体にも残り火が灯っていて苦しい」
「俺のことを、愛しているからですよ」
「そうなのか?」
恋次でもはっきりとは言えなかったが、肉欲をいつも抱くような白哉ではない。
欲がない時でも残り火があるというのは、そんな感情が白哉の中に灯っている証だろう。
「隊長は俺と違って欲をあんま出さないじゃないっすか。でも、残り火があるってことは俺のことを愛していて、欲がなくて俺の傍にいると残り火が消えないのは、そんな愛とかいう感情があるからじゃないっすか?」
「そうなのか。そう言われると、そんな気がしてきた」
「隊長、今も残り火は灯ってますか?」
「ずっと。兄がいない時は残り火はない」
「やっぱり、その残り火ってきっと愛なんすよ」
「そうか。そうなのか」
白哉の中で消えない残り火は、恋次がいる時だけ灯る。
「ならば、無理に消そうとしなくてもよいか」
「隊長、かわいいなぁ」
「恋次、苦しい」
大柄な体の恋次に強く抱きしめられて、白哉は呼吸をするのを忘れる。
「恋次」
「はい」
白哉は、ぎゅうぎゅうと抱きしてめてくる恋次に、深呼吸してから頭を拳で殴った。
「今は仕事中だ」
「あ、はい。すんません」
しゅんと項垂れる恋次は、まるで大きな犬だ。
白哉の中にある残り火が、少し大きくなる。
「ふ‥‥‥‥」
こんな感情を抱き続けるのもよいかもしれぬと、白哉は思うのだった。
残り火は、恋次がいる時だけ灯って、大きくなりすぎると欲となる。
それでもいいかと、思うのだった。
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ブレスレット
9年前、恋次は白哉になけなしの金で買ったプラチナのブレスレットをあげた。
お揃いだった。
公式の場ではつけてくれないが、二人きりの時とかたまにつけてくれて、恋次はそれだけで嬉しかった。
白哉と恋仲になってもう10年にはなるだろうか。
尸魂界も、復興してから大分変わり、家電製品が当たり前にあるようになっていた。
一護はルキアと結婚して、死神となって朽木家に婿入りしていた。
ある日、白哉が悲しそうな顔で執務室にやってきた。
「どうしたんすか、隊長」
「なくしてしまったのだ。兄からもらったブレスレットを」
「え」
「大切なものだったのは分かっている。私の落ち度だ」
「いえいえ、また新しい同じもの贈るんで」
「あのブレスレットでなければ、意味がないのだ」
白哉は、顔色も悪い。ずっと探して、ろくに眠っていないのだろう。
「隊長」
「なんだ」
「俺は、別にブレスレットにこだわったりしません」
「だが、あれは兄からの初めてのプレゼントで‥‥‥‥大切に、していたのだ」
本当に大切にしてくれていたのだろう。
そうでなければ、贈ってから9年も経つのに身に着けてくれたりしない。
「俺も一緒に探しますから」
「本当か?怒ってはいまいか?」
恋次は苦笑する。
「俺は、いつでも隊長にメロメロなんすよ。贈り物をなくされたくらいで、怒ったりしません」
「だが‥‥‥」
「だから、一緒に探しましょう?それでも見つからなければ、同じもの2つ買うんで、また隊長がもらってください」
「分かった」
白哉と恋次は、朽木家を探してみたが、結局見つからなかった。
1週間ほど経ったある日、落とし物として届け出を出してみたのだが、偶然にも拾われて届けられていた。
「夜の散歩道の時に着けていたのだ。夜桜が綺麗なのでしばしの間、その下で桜を見ていた。その時、切れて落としてしまったのであろう」
川辺の桜の木の下で見つかったらしい。
「ああ、修理すぐに頼みますんで。俺の手から、再び受け取ってください」
「分かった」
3日ほどして、恋次は白哉を夜桜の下に呼び出した。
ブレスレットが見つかった場所だった。
「これ、隊長に再び贈ります。ずっと、俺と歩んでください」
「分かった」
白哉は直ったブレスレットを右手首にはめて、恋次を抱き寄せて、自分からキスをした。
「隊長‥‥‥」
「んっ」
深く口づけると、白哉は目を閉じる。
「んあっ」
何度も口づけしあっていると、白哉はやや甘い声をあげる。
「やっべ‥‥‥‥したくなってきた」
「宿を、とろう。近くに、宿がある」
白哉から望んでくることは稀で、恋次はその誘いに乗った。
「目覚めたか?」
「あ、はい。すんません、昨日俺ばっかりいってしまって‥‥‥」
「よい。私から誘ったのだ」
「隊長、ブレスレット、もうなくさないでくださいね」
「ああ」
白哉は柔らかく笑った。
白哉が恋次の前で素直に表情を出し始めたのは、付き合いはじめて3、4年経った頃だ。
今は、もう周囲に付き合っていることを知られても、動揺はしない。一応関係は隠していたが、よく恋次から白哉と同じ匂いがしたり、反対に白哉が恋次と同じ匂いをさせていたりで、隠しても無駄な場面が多かった。
「隊長、好きです」
「私もだ、恋次」
唇を重ねると、昨日のことを思い出して、乱れた白哉があまりにも淫靡で、恋次は赤くなる。
「どうしたのだ」
「いや、昨日の隊長エッチだったなぁと思って」
「く、くだらぬことを言うでない。昨日のことなど知らぬ」
白哉まで赤くなって、そっぽを向く。
「仕事しに行きましょうか。あ、朝食どっかで食っていきません?」
「まだ時間に余裕があるな。一度、朽木家に戻る。恋次の分まで朝食は用意させる」
「はい。じゃあ、隊長の家に向かいますか」
宿を出ると、まだ朝早いので誰も通っていなかった。
「あの、ちょっとだけ手を繋いでみていいっすか」
「仕方のない」
昔なら、決して許してくれなかっただろが、10年も恋仲でいると、甘えても叶えてもらえることができてくる。
白哉は右手で恋次の左手をとる。
「俺の手、ごつごつしてるっしょ。隊長は刀を握るのにすべすべだ」
「ふ‥‥‥‥」
桜が散っていく並木の下、二人並んで手を繋ぎながら歩く。
恋次が手に少しだけ力をこめると、白哉も手を握りなおしてくれた。
ああ、俺、幸せすぎる。
今、死んでもいいかも。
「何をにやにやしておるのだ」
「いえ、なんでもないっす」
「手を繋ぐのはここまでだ。屋敷が近くなってきた」
「はい」
恋次は、結局白哉の家で朝食を食べて、朝風呂をもらって白哉と一緒に執務室のある6番隊舎までいくのであった。
お揃いだった。
公式の場ではつけてくれないが、二人きりの時とかたまにつけてくれて、恋次はそれだけで嬉しかった。
白哉と恋仲になってもう10年にはなるだろうか。
尸魂界も、復興してから大分変わり、家電製品が当たり前にあるようになっていた。
一護はルキアと結婚して、死神となって朽木家に婿入りしていた。
ある日、白哉が悲しそうな顔で執務室にやってきた。
「どうしたんすか、隊長」
「なくしてしまったのだ。兄からもらったブレスレットを」
「え」
「大切なものだったのは分かっている。私の落ち度だ」
「いえいえ、また新しい同じもの贈るんで」
「あのブレスレットでなければ、意味がないのだ」
白哉は、顔色も悪い。ずっと探して、ろくに眠っていないのだろう。
「隊長」
「なんだ」
「俺は、別にブレスレットにこだわったりしません」
「だが、あれは兄からの初めてのプレゼントで‥‥‥‥大切に、していたのだ」
本当に大切にしてくれていたのだろう。
そうでなければ、贈ってから9年も経つのに身に着けてくれたりしない。
「俺も一緒に探しますから」
「本当か?怒ってはいまいか?」
恋次は苦笑する。
「俺は、いつでも隊長にメロメロなんすよ。贈り物をなくされたくらいで、怒ったりしません」
「だが‥‥‥」
「だから、一緒に探しましょう?それでも見つからなければ、同じもの2つ買うんで、また隊長がもらってください」
「分かった」
白哉と恋次は、朽木家を探してみたが、結局見つからなかった。
1週間ほど経ったある日、落とし物として届け出を出してみたのだが、偶然にも拾われて届けられていた。
「夜の散歩道の時に着けていたのだ。夜桜が綺麗なのでしばしの間、その下で桜を見ていた。その時、切れて落としてしまったのであろう」
川辺の桜の木の下で見つかったらしい。
「ああ、修理すぐに頼みますんで。俺の手から、再び受け取ってください」
「分かった」
3日ほどして、恋次は白哉を夜桜の下に呼び出した。
ブレスレットが見つかった場所だった。
「これ、隊長に再び贈ります。ずっと、俺と歩んでください」
「分かった」
白哉は直ったブレスレットを右手首にはめて、恋次を抱き寄せて、自分からキスをした。
「隊長‥‥‥」
「んっ」
深く口づけると、白哉は目を閉じる。
「んあっ」
何度も口づけしあっていると、白哉はやや甘い声をあげる。
「やっべ‥‥‥‥したくなってきた」
「宿を、とろう。近くに、宿がある」
白哉から望んでくることは稀で、恋次はその誘いに乗った。
「目覚めたか?」
「あ、はい。すんません、昨日俺ばっかりいってしまって‥‥‥」
「よい。私から誘ったのだ」
「隊長、ブレスレット、もうなくさないでくださいね」
「ああ」
白哉は柔らかく笑った。
白哉が恋次の前で素直に表情を出し始めたのは、付き合いはじめて3、4年経った頃だ。
今は、もう周囲に付き合っていることを知られても、動揺はしない。一応関係は隠していたが、よく恋次から白哉と同じ匂いがしたり、反対に白哉が恋次と同じ匂いをさせていたりで、隠しても無駄な場面が多かった。
「隊長、好きです」
「私もだ、恋次」
唇を重ねると、昨日のことを思い出して、乱れた白哉があまりにも淫靡で、恋次は赤くなる。
「どうしたのだ」
「いや、昨日の隊長エッチだったなぁと思って」
「く、くだらぬことを言うでない。昨日のことなど知らぬ」
白哉まで赤くなって、そっぽを向く。
「仕事しに行きましょうか。あ、朝食どっかで食っていきません?」
「まだ時間に余裕があるな。一度、朽木家に戻る。恋次の分まで朝食は用意させる」
「はい。じゃあ、隊長の家に向かいますか」
宿を出ると、まだ朝早いので誰も通っていなかった。
「あの、ちょっとだけ手を繋いでみていいっすか」
「仕方のない」
昔なら、決して許してくれなかっただろが、10年も恋仲でいると、甘えても叶えてもらえることができてくる。
白哉は右手で恋次の左手をとる。
「俺の手、ごつごつしてるっしょ。隊長は刀を握るのにすべすべだ」
「ふ‥‥‥‥」
桜が散っていく並木の下、二人並んで手を繋ぎながら歩く。
恋次が手に少しだけ力をこめると、白哉も手を握りなおしてくれた。
ああ、俺、幸せすぎる。
今、死んでもいいかも。
「何をにやにやしておるのだ」
「いえ、なんでもないっす」
「手を繋ぐのはここまでだ。屋敷が近くなってきた」
「はい」
恋次は、結局白哉の家で朝食を食べて、朝風呂をもらって白哉と一緒に執務室のある6番隊舎までいくのであった。
ドラゴン族の子とミミック3
クロイツェル王国の王都アルカンシェルで、浮竹と京楽は魔法大学のアカデミーで、モンスター生物学のミミックについてを教えることになってしまった。
給金がよかったので京楽が引き受けたのだが、ミミックの解剖も入っていて、浮竹は拒否した。
交渉の末、ミミックの解剖はなしになり、代わりにレッドスライムの解剖になった。
レッドスライムはいいのか、浮竹もそれならとOKした。
「であるからして、ミミックはモンスターだが植物なんだ。しかし、オスメスがいて、交尾後メスが体内で卵から孵化させて赤ちゃんミミックを産む」
浮竹は、大勢の前でてきぱきとミミックについて教えていく。
「ダンジョンという過酷な環境で、宝を守りながら生きていくのは難しく、平均寿命は5年と短い。そして、最近までミミックを殺してはいけないというルールがなかったため、冒険者はミミックを見ると宝目当てで乱獲するので、ダンジョン内におけるミミックの生息数は非常に少なくなり、今はミミックは見つけて宝をドロップさせてもいいが、殺してはいけないルールになっている。殺すと自動的にダンジョンマスターからギルド支部まで連絡が入るようになっていて、殺した冒険者は罰金を払わないといけない」
「へぇ~」
京楽は、浮竹の傍にいたけれど、ミミックを殺してはいけないことは知っていたが、殺した場合ダンジョンマスターから冒険者ギルドまで連絡がいくなど知らなかった。
「ミミックはLVが低いモンスターだが、個体差があり、Bランク以上のダンジョンのミミックはそれなりにLVが高い。中には人食いミミックという種類もあり、このミミックは非常に狂暴で肉食性で、火が弱点だが酸性の体液を持っているので、もしも遭遇しても逃げることをおすすする。人食いミミックは宝をドロップしない」
「へぇ~」
京楽も勉強になっていた。
「さて、ミミックについて質問のある方は?」
「はい」
一人の男子学生が、手を挙げる。
「では、そこの君」
「ミミック牧場で、生息数が増えているらしいんですけど、生息数がオーバーになっても殺してはいけないんでしょうか」
「ミミックの数が生息数オーバーになることはありえない。ミミックは自然下では繁殖力が弱く、そのせいでなかなか生息数が回復しない。ミミックは個体の上限数で子を生む数が減るモンスターなので、生息数がオーバーしそうになると子を生まない」
「そうなんですね」
学生は納得したようだった。
「他にミミックについて質問がある方はいないか?」
「先生」
「はい」
浮竹が女子学生に声をかけられて、そちらを向く。
「連絡先教えてください!美人でめっちゃタイプです!」
「あー、プライバシーに関係することはなしで。俺とどうしてもコンタクトがとりたい場合は、王都の冒険者ギルドに問い合わせてくれ」
「じゃあ、今からレッドスライムの解剖をするね~」
京楽の出番だった。
「スライム系は核を壊さないと死なない。毒はききにくく、倒すなら火属性の魔法がおすすめだよ。今から、レッドスライムの核を破壊するね?」
京楽は、短剣でレッドスライムの核を切り裂く。
「このように、死ぬとゲル状から液体になる。素材にはならないので、魔石だけ回収する。冒険者になりたての者はスライムなんてと思うが、核を正確に壊すのはけっこう難しいよ。スライムは大量にわくし、もしも口と鼻を塞がれたら窒息死してしまうから、たかがスライムとあなどるのは禁物だよ」
京楽は、レッドスライムの魔石をとって、液体状になったレッドスライムの死体を学生に見せる。
「先生たちは現役の冒険者なんですよね?Aランクの」
「それがどうしたんだ?」
浮竹が首を傾げる。
「ドラゴン倒したことありますか!」
その質問に、浮竹と京楽も顔をしかめるが、冷静を装う。
「ドラゴンはSランク以上の冒険者じゃないと倒せない。あと。普通のドラゴンと竜人族のドラゴンは違う。竜人族のドラゴンは人になれる。というか、人の姿をした者がドラゴン化するので、正確には純粋なドラゴンではない」
他にも質問をしていた者がいたが、浮竹と京楽はそのあたりで切り上げて、授業は終わりになった。
「竜人族のボクらにドラゴン倒したことあるかって言われてもね。ドラゴンは親戚みたいなもんだから、倒せないけどね」
「まぁ、人の言葉を理解できないドラゴンなら倒す可能性もあるがな。どのみち、Sランクになってからの話だ。俺たちはAランク。まだまだ先は長いな」
浮竹と京楽は給料を受け取って、帰宅した。
「んー、タマ、もうすぐ子が生まれそうだな」
「きしきしぃ」
「ポチとの子だろう?」
「きしきし」
「なんで分かるの、浮竹」
「え、だってポチとタマはいつも一緒にいるじゃないか」
「え。タマの横にいたの、タロウじゃないの?」
京楽は、未だに家で飼っている三ミックの見分けがつかない。
仕方ないので、浮竹はポチ、タマ、タロウ、ジロウにそれぞれ色のついたリボンを結んだ。
「ああ、これならわかりやすい」
タマはピンクのリボン、ポチは水色、タロウは青でジロウは紫だった。
それから一週間くらいが経過して、朝起きると三ミックの数が増えていた。
8匹も。
「え、タマだけじゃなくってジロウもメスだったって?それで一緒に妊娠していて一緒の時刻に産んだって?」
「きしきしきし」
「きしきしきしぃ」
赤ちゃんミミックが8匹、二人で暮らすには広い一軒家を飛び跳ね廻る。
「ピィピィ」
「はぁ‥‥‥‥やっと全部捕まえた」
「ピィピィ」
「はいはい。お腹減ってるんだね」
京楽は、暖炉の奥に隠れようとする赤ちゃんミミックを捕まえる。
「京楽、ホットミルクを8つのカップに入れてもってきてくれ」
「分かったよ」
赤ちゃんミミックたちは、それぞれのカップのホットミルクをおいしそうに飲む。
「ん-、やっぱ三ミックでも赤ちゃんはかわいいなぁ」
「そうだろう。それにしても、ジロウがメスだったなんて。口のとこピンクじゃなかったし、赤みががってなかった」
「ミミックにも個体差があるように、稀な子もいるんじゃないかな。タロウが、金蔵の武具を体内に入れれば新品同様にしてくれるように」
この前、浮竹が銀貨2枚で買った魔剣は、タロウのおかげで新品同然になり、浮竹の腰に帯剣させられていた。
「まだ赤ちゃんだから、まだいいが、大きくなったら流石に飼えないから牧場に移すか」
「そうだね」
といえあえず、浮竹と京楽は赤ちゃんミミックに囲まれてほっこりする。
「ピィピィ」
「かわいいなぁ」
「あんまりかわいがると、牧場に移せなくなるからほどほどにね」
京楽が、赤ちゃんミミックを溺愛する浮竹に注意を促す。
「う‥‥‥やっぱ、家で飼うのは4匹くらいが限界か」
「そうだよ。ミミックだけど、飼ってる子たちはボクらと同じような食事をとるんだよ?食費もかさむし」
「はぁ。もっと金持ちになりたい」
「じゃあ、早くSランク冒険者にならないとね」
「いっそ、血を流して宝石を作って売るか?」
「その方法はダメだよ!王都に着いた時、約束したじゃない。お互い、自分を傷つけて血の宝石で稼ぐのはなしにしようって」
「ああ‥‥…そうだったな」
浮竹の瞳が暗くなる。
里を追われる前、ドラゴン化できないので親に捨てられて、己を傷つけて宝石を作り出して、それを近くの村に売ってなんとか食いつないでいたのを思い出す。
京楽はダークドラゴンになれたが、狂暴で己をコントロールできなくて、浮竹よりも遅くだが、親に捨てられた。
二人は、里の中で二人きりで住んでいた。
邪魔者としてついに里を追い出されて、二人は冒険者として人の世界で生きていく道を選んだ。
三ミックと出会ったのは、Dランク冒険者になった、まだかけだし冒険者だった頃だ。
ポチと出会った。
Dランク冒険者の稼ぎなんてたかがしれていて、自分の食べる分を我慢してパンを分けてあげたことを思い出す。
「ポチとは、長い付き合いだよなぁ、そういえば」
浮竹は、お腹いっぱいになって眠ってしまった赤ちゃんミミックたちに囲まれながら、ポチを呼んでその頭を撫でた。
「きしきし」
ポチは、嬉しそうに浮竹に体をこすりつける。
「明日、またダンジョンに行こう。Sランク冒険者になって、もっと牧場を広げたい」
「そうだね。ボクたちの夢は、Sランク冒険者になって、名前を世界中に轟かせて、里のやつらを見返してやることだからね」
「ああ」
果てしない未来へと、夢を抱く。
消えてしまうような儚い夢ではなく、時間はかかるかもしれないが、人の10倍以上を生きる二人には、いつかきっとかなえられる夢であった。
給金がよかったので京楽が引き受けたのだが、ミミックの解剖も入っていて、浮竹は拒否した。
交渉の末、ミミックの解剖はなしになり、代わりにレッドスライムの解剖になった。
レッドスライムはいいのか、浮竹もそれならとOKした。
「であるからして、ミミックはモンスターだが植物なんだ。しかし、オスメスがいて、交尾後メスが体内で卵から孵化させて赤ちゃんミミックを産む」
浮竹は、大勢の前でてきぱきとミミックについて教えていく。
「ダンジョンという過酷な環境で、宝を守りながら生きていくのは難しく、平均寿命は5年と短い。そして、最近までミミックを殺してはいけないというルールがなかったため、冒険者はミミックを見ると宝目当てで乱獲するので、ダンジョン内におけるミミックの生息数は非常に少なくなり、今はミミックは見つけて宝をドロップさせてもいいが、殺してはいけないルールになっている。殺すと自動的にダンジョンマスターからギルド支部まで連絡が入るようになっていて、殺した冒険者は罰金を払わないといけない」
「へぇ~」
京楽は、浮竹の傍にいたけれど、ミミックを殺してはいけないことは知っていたが、殺した場合ダンジョンマスターから冒険者ギルドまで連絡がいくなど知らなかった。
「ミミックはLVが低いモンスターだが、個体差があり、Bランク以上のダンジョンのミミックはそれなりにLVが高い。中には人食いミミックという種類もあり、このミミックは非常に狂暴で肉食性で、火が弱点だが酸性の体液を持っているので、もしも遭遇しても逃げることをおすすする。人食いミミックは宝をドロップしない」
「へぇ~」
京楽も勉強になっていた。
「さて、ミミックについて質問のある方は?」
「はい」
一人の男子学生が、手を挙げる。
「では、そこの君」
「ミミック牧場で、生息数が増えているらしいんですけど、生息数がオーバーになっても殺してはいけないんでしょうか」
「ミミックの数が生息数オーバーになることはありえない。ミミックは自然下では繁殖力が弱く、そのせいでなかなか生息数が回復しない。ミミックは個体の上限数で子を生む数が減るモンスターなので、生息数がオーバーしそうになると子を生まない」
「そうなんですね」
学生は納得したようだった。
「他にミミックについて質問がある方はいないか?」
「先生」
「はい」
浮竹が女子学生に声をかけられて、そちらを向く。
「連絡先教えてください!美人でめっちゃタイプです!」
「あー、プライバシーに関係することはなしで。俺とどうしてもコンタクトがとりたい場合は、王都の冒険者ギルドに問い合わせてくれ」
「じゃあ、今からレッドスライムの解剖をするね~」
京楽の出番だった。
「スライム系は核を壊さないと死なない。毒はききにくく、倒すなら火属性の魔法がおすすめだよ。今から、レッドスライムの核を破壊するね?」
京楽は、短剣でレッドスライムの核を切り裂く。
「このように、死ぬとゲル状から液体になる。素材にはならないので、魔石だけ回収する。冒険者になりたての者はスライムなんてと思うが、核を正確に壊すのはけっこう難しいよ。スライムは大量にわくし、もしも口と鼻を塞がれたら窒息死してしまうから、たかがスライムとあなどるのは禁物だよ」
京楽は、レッドスライムの魔石をとって、液体状になったレッドスライムの死体を学生に見せる。
「先生たちは現役の冒険者なんですよね?Aランクの」
「それがどうしたんだ?」
浮竹が首を傾げる。
「ドラゴン倒したことありますか!」
その質問に、浮竹と京楽も顔をしかめるが、冷静を装う。
「ドラゴンはSランク以上の冒険者じゃないと倒せない。あと。普通のドラゴンと竜人族のドラゴンは違う。竜人族のドラゴンは人になれる。というか、人の姿をした者がドラゴン化するので、正確には純粋なドラゴンではない」
他にも質問をしていた者がいたが、浮竹と京楽はそのあたりで切り上げて、授業は終わりになった。
「竜人族のボクらにドラゴン倒したことあるかって言われてもね。ドラゴンは親戚みたいなもんだから、倒せないけどね」
「まぁ、人の言葉を理解できないドラゴンなら倒す可能性もあるがな。どのみち、Sランクになってからの話だ。俺たちはAランク。まだまだ先は長いな」
浮竹と京楽は給料を受け取って、帰宅した。
「んー、タマ、もうすぐ子が生まれそうだな」
「きしきしぃ」
「ポチとの子だろう?」
「きしきし」
「なんで分かるの、浮竹」
「え、だってポチとタマはいつも一緒にいるじゃないか」
「え。タマの横にいたの、タロウじゃないの?」
京楽は、未だに家で飼っている三ミックの見分けがつかない。
仕方ないので、浮竹はポチ、タマ、タロウ、ジロウにそれぞれ色のついたリボンを結んだ。
「ああ、これならわかりやすい」
タマはピンクのリボン、ポチは水色、タロウは青でジロウは紫だった。
それから一週間くらいが経過して、朝起きると三ミックの数が増えていた。
8匹も。
「え、タマだけじゃなくってジロウもメスだったって?それで一緒に妊娠していて一緒の時刻に産んだって?」
「きしきしきし」
「きしきしきしぃ」
赤ちゃんミミックが8匹、二人で暮らすには広い一軒家を飛び跳ね廻る。
「ピィピィ」
「はぁ‥‥‥‥やっと全部捕まえた」
「ピィピィ」
「はいはい。お腹減ってるんだね」
京楽は、暖炉の奥に隠れようとする赤ちゃんミミックを捕まえる。
「京楽、ホットミルクを8つのカップに入れてもってきてくれ」
「分かったよ」
赤ちゃんミミックたちは、それぞれのカップのホットミルクをおいしそうに飲む。
「ん-、やっぱ三ミックでも赤ちゃんはかわいいなぁ」
「そうだろう。それにしても、ジロウがメスだったなんて。口のとこピンクじゃなかったし、赤みががってなかった」
「ミミックにも個体差があるように、稀な子もいるんじゃないかな。タロウが、金蔵の武具を体内に入れれば新品同様にしてくれるように」
この前、浮竹が銀貨2枚で買った魔剣は、タロウのおかげで新品同然になり、浮竹の腰に帯剣させられていた。
「まだ赤ちゃんだから、まだいいが、大きくなったら流石に飼えないから牧場に移すか」
「そうだね」
といえあえず、浮竹と京楽は赤ちゃんミミックに囲まれてほっこりする。
「ピィピィ」
「かわいいなぁ」
「あんまりかわいがると、牧場に移せなくなるからほどほどにね」
京楽が、赤ちゃんミミックを溺愛する浮竹に注意を促す。
「う‥‥‥やっぱ、家で飼うのは4匹くらいが限界か」
「そうだよ。ミミックだけど、飼ってる子たちはボクらと同じような食事をとるんだよ?食費もかさむし」
「はぁ。もっと金持ちになりたい」
「じゃあ、早くSランク冒険者にならないとね」
「いっそ、血を流して宝石を作って売るか?」
「その方法はダメだよ!王都に着いた時、約束したじゃない。お互い、自分を傷つけて血の宝石で稼ぐのはなしにしようって」
「ああ‥‥…そうだったな」
浮竹の瞳が暗くなる。
里を追われる前、ドラゴン化できないので親に捨てられて、己を傷つけて宝石を作り出して、それを近くの村に売ってなんとか食いつないでいたのを思い出す。
京楽はダークドラゴンになれたが、狂暴で己をコントロールできなくて、浮竹よりも遅くだが、親に捨てられた。
二人は、里の中で二人きりで住んでいた。
邪魔者としてついに里を追い出されて、二人は冒険者として人の世界で生きていく道を選んだ。
三ミックと出会ったのは、Dランク冒険者になった、まだかけだし冒険者だった頃だ。
ポチと出会った。
Dランク冒険者の稼ぎなんてたかがしれていて、自分の食べる分を我慢してパンを分けてあげたことを思い出す。
「ポチとは、長い付き合いだよなぁ、そういえば」
浮竹は、お腹いっぱいになって眠ってしまった赤ちゃんミミックたちに囲まれながら、ポチを呼んでその頭を撫でた。
「きしきし」
ポチは、嬉しそうに浮竹に体をこすりつける。
「明日、またダンジョンに行こう。Sランク冒険者になって、もっと牧場を広げたい」
「そうだね。ボクたちの夢は、Sランク冒険者になって、名前を世界中に轟かせて、里のやつらを見返してやることだからね」
「ああ」
果てしない未来へと、夢を抱く。
消えてしまうような儚い夢ではなく、時間はかかるかもしれないが、人の10倍以上を生きる二人には、いつかきっとかなえられる夢であった。
ドラゴン族の子とミミック2
「みんなー、餌と新鮮な水だぞー」
浮竹は、ミミック牧場でミミックたちに餌をあげていた。
空気を凝縮したという緑の玉が、ミミックたちの餌だった。ミミックは、この世界では生きた植物の一種である。
金属でできている部分もあるが、木製の部分も多い。
「きしきしきし」
ミミックたちが、嬉しそうに餌を食べて新鮮な水を飲む。
「きしきしきし」
浮竹に甘噛みでかじりついて、ミミックたちも浮竹も幸せそうだった。
「はぁ‥‥今日も浮竹はミミックに夢中か」
京楽は、そんな浮竹の姿を見てミミックたちに嫉妬する。
「あ、京楽!見てくれ、新しいミミックが生まれたんだ!まだ子供だから小さくてかわいいだろう?」
近寄ってくる浮竹の腕の中には、ミミックの赤ちゃんの手のひらサイズのミミックが5匹いた。
「へぇ、かわいいね」
「ぴいぴいぴい」
京楽が触ろうとすると、赤ちゃんミミックはその指に遠慮なくかじりついた。
「あいたーーー!」
赤ちゃんミミックを投げ捨てて、京楽は指にケガがないかを確認する。
投げ捨てられた赤ちゃんミミックは、怒って京楽の頭にかじりついた。
「ぴい!」
「あいたたたたた、ちょっと、浮竹笑ってないでなんとかしてよ!」
「あはははは、京楽はミミックによく好かれてるなぁ」
「いや、どう見てもボクはかじられてるからね!?本気でかじられてるんだよ?君みたいに甘噛みじゃないんだよ?」
「あははははは」
浮竹は、いつまでも笑っていた。
家には、今4匹のミミックを飼っている。
そっちのミミックは躾がなっているので、京楽に本気で噛みついてくることはないし、甘えて甘噛みしてくるのでかわいい。
ただ、牧場のミミックたちは京楽を本気で噛んでくる。なので、牧場の経営の手伝いをする京楽とミミックは、あまり仲がよろしくない。
よくかじられた。
「今度、ダンジョンに放つミミックは10匹だったよね。こいつとかどうだい?」
京楽は、よく噛みついてくるミミック65号を捕まえて、噛みつかれながら浮竹に打診する。
「ああ、65号か。そろそろ成人の年だしな。よし、65号と70号と、あとは生まれてきた順に決めようか」
「ボクは、デートがしたいんだけどね」
「へぇ。ミミックとデートか。ロマンチックだな!」
「いや、君とだよ!」
「ミミックがいれば幸せじゃないか!」
「それは君だけだよ!」
京楽はがっくりと項垂れる。
「はぁ。恋人同士なのに、浮竹はいつもミミックのことばかり」
「聞こえてるぞ、京楽。俺はちゃんと、お前が」
京楽は、きらきらした目で浮竹を見る。
「俺はちゃんとお前が愛せるミミックも育てるからな!」
ずこーーー。
京楽はこけた。
お前が好きだと言われると思っていたのだ。
「いいよいいよ。どうせボクはミミックの次なんだから」
「あ、いや、ちゃんと京楽も大切だぞ?」
頬を赤くしながら、浮竹はつぶやく。
「浮竹、大好きだよ!」
ハグとキスをしていたら、牧場のミミックたちの嫉妬をかって、京楽はミミックにかじられる。
「きしきしきし」
「きいきいきい」
「ぎゃあああ、ミミックに殺されるううううう」
「大げさだなぁ、京楽。俺の牧場のミミックたちは全部人食いミミックじゃないぞ。人食いミミックは危険だから、俺もかじられないように気をつけてる。ああ、でもいつか人食いミミックも飼ってみたいなぁ」
「危険だからだめ!」
「ふふ、京楽心配してくれてありがとうな?」
「う、うん」
牧場の仕事を終えて、午後になって冒険者ギルドを訪れて、ミミックを放つというクエストを受けて、10匹の牧場のミミックを連れてB級ダンジョンにもぐった。
「きしきしきし」
「お前たち、もう俺と会えないかもしれないが、立派にやっていくんだぞ。独り立ちの時だ」
「きしきしきし~~~~」
泣き出すミミックたちを撫でて、浮竹も泣いてミミックたちをダンジョンに解き放つ。
ミミックたちは、階層をばらばらに散っていき、ミミックを放つことは無事成功した。
ミミックはまずいので、天敵はいない。
冒険者も、ミミックにかじられても殺してはいけない決まりになっているので、ミミックを殺さない。それでも、ミミックたちの寿命は短く、5年生きればいいほうだった。
ダンジョンという過酷な状況で、宝物を体内に隠してただじっとしているだけ。時折水を飲みに動くが、飲んだ後は元の場所に戻る。
ミミックの出現位置は、ダンジョンマスターに管理されていた。
1つのダンジョンにミミックは約30匹はいる。
一時はミミックが減りすぎたので、浮竹が牧場を営んで増やしているのであった。浮竹は牧場のミミックも家で飼ってるミミックも、同じくらい愛情を注いでいた。
家で飼っているミミックには名前はある。
ポチ、タマ、タロウ、ジロウだ。
うち、タマだけがメスだった。
この前攻略したAランクダンジョンの報酬がまだ残っているので、浮竹と京楽は低レベルの時のように毎日命をかけてダンジョンに挑まなくても生きていける。
だが、体をなまらせないように、放ったミミックの様子を見るためにも、Bランクの40階層あるダンジョンに挑んだ。
20Fのボスを倒すと、2匹のミミックが出てきた。
「きしきしきし」
「きぃぃ」
「お、元気でやってるか?」
「きしきし」
ミミックたちは嬉しそうに浮竹に近づいて、宝物をあげようとする。
「お、くれるのか?」
「きしきし」
「くれるならもらっていいんじゃない?20Fのボスを倒した報酬でしょ」
京楽の言葉に、浮竹は2匹のミミックを撫でて、金のインゴットとまだ覚えていない神聖魔法の魔法書をもらった。
「きしきしきし」
「きぃぃきい」
2匹のミミックは、役目が終わったとばかりにダンジョンマスターのところに新しい宝物をもらいに去ってしまった。
そのまま浮竹と京楽は放ったミミックをいろんな階層で見ながら、30Fまでたどり着く。
「前の住人のミミックたちとも共存しているようでよかったよ」
「そうだな。ミミックは仲間と仲間と認めた者には寛大だからな。敵とみなすと本気で噛みついてくる」
「それって、ボクは牧場のミミックたちから敵視されてるの?」
「いや、大丈夫だろう。敵視しているなら無視する」
京楽は、牧場のミミックからけっこう無視されていた。
「はぁ。まぁいいや。君とこうして一緒に冒険できるんだから」
京楽は、浮竹を抱き寄せる。
「あ、ミミック!先住ミミックだな」
京楽は、浮竹にスルーされて、やっぱりミミックは曲者だと思うのであった。
40階層までたどり着くと、ラスボスが出てきた。
黄色のワイバーンだった。
浮竹が魔法を詠唱する。
「エアジャベリン!」
京楽は、翼を剣で切り裂く。
浮竹の魔法がワイバーンの喉を貫き、ラスボスはあっけなく倒された。
魔石と素材になるであろうワイバーンの遺体ごとアイテムポケットにしまい込む。
「うん。ミミックたちもちゃんと仕事してるようだし、帰るか」
「そうだね。ねぇ、帰ったらデートしない?」
「しない。ミミックたちが待ってる」
がっくりと京楽は項垂れる。
冒険者として二人でいる時は、二人きりとはいえデートではない。
たまには、町でデートでもしたいと京楽は思った。
「ポチとタマを一緒に連れて行っていいなら、デートしてもいい」
「ほんと!?」
京楽は、ポチとタマにリードをつけて、浮竹と町の中をデートする。
「きしきしきし」
「ん、ポチ、あのクレープが食べたいのか?」
「きしきし」
浮竹は飼っているミミックと意思疎通ができる。
「仕方ないなぁ。買ってきてやる。京楽、ポチとタマを頼む」
浮竹はクレープの屋台で4人分買って、京楽、ポチ、タマ、それに自分用に買った。
ミミックは人のものを食うこともできた。
普段水と酸素で暮らしているが。
「今日はいい天気だな。タマ、元気なミミックたちを生むんだぞ」
「え、タマ妊娠してるの?」
「見れば分かるだろう」
「分かりません‥‥‥」
浮竹には前のタマとの違いが分かっているようであったが、京楽にはさっぱり分からなかった。
「ほら、タマはメスだから口の端が少しピンク色だろう?それが赤くなり気味だからそれが妊娠してる証だ」
「へぇ」
「宝を入れるスペースに子供を宿すから、見た目では色でしか判断できない。ちなみに卵じゃなくって赤ちゃんの状態で通常3~5匹産む」
「ふ~ん」
「きしきしきし」
京楽が浮竹のミミック講座を聞いている間に、タマは京楽がまだ食べ残していたクレープを食べてしまった。
「あ、やったな、タマ!こら!」
「母体だから、栄養価の高いものを食いたがるんだ。野生のミミックも、妊娠中のメスはけっこうなんでも食うぞ」
「え。じゃ、じゃあ人間も?」
「ああ、そうだだな。妊娠中のメスは人間も食う」
「ぎゃあああああああ。タマに食われるうううううう」
「躾してあるし、人と同じ食事を与えているから大丈夫だ。野良の妊娠中のミミックは人食いミミックと大差ないから注意が必要だが。ちなみに、牧場の妊娠したメスには主に果物と肉をあげている」
「ミミック博士だね、浮竹は」
「ミミックに詳しくないと、牧場で増やせたりできないからな。まだまだダンジョンのミミックは不足している。まだまだ増やすぞー」
京楽は愛しい目で浮竹を見ながら、ポチとタマのリードの先をもって歩き出す。
ミミック色だが、それなりに楽しく幸せな時間を過ごす。
「あ、あそこの鍛冶屋新しい剣が売ってる。今使ってる剣、刃こぼれしてるし使いにくいから、買い替えたかったんだよな。寄って行っていいか?」
「いいよ」
「ポチ、タマ、どっちがいいと思う?」
浮竹は、表面にミスリルを使っている片手剣と、表面にミスリル銀を使っている片手剣を手に取って比べていると、ポチもタマも、どちらでもなく銀貨2枚セールのだめな剣が入った樽の一本を器用に口でくわえて、浮竹にすすめた。
「お、こいつ魔剣か。かなりさびついてるが‥‥研げば、立派になりそうだな。店の親父、この剣を銀貨2枚でもらうがいいか?」
「いいぞ。そんなボロボロな魔剣、研ごうにもそんな職人はいないと思うがな」
「やった、いい買い物をした」
「浮竹、そんなにぼろいの、研いでも無駄だと思うけど」
「なぁに、タロウは特殊なミミックでな。金属の武具を新品同様にできる能力をもっているんだ。だから、タロウの体の中にこの魔剣を入れて、新品にしてもらう」
「た、タロウにそんな力が」
タロウは、浮竹と京楽の家で飼っているミミックの中の1匹だ。
「まさか銀貨2枚とは。新しかったら、白金貨20枚はするぞ」
「まさに掘り出しものだね」
「ポチとタマに感謝だな。今日はブラックワイバーンのステーキを食わせてやろう」
「きしきしきし」
「きしきしぃ」
ポチとタマは、嬉しそうに飛び跳ねた。
「帰ろうか」
「うん」
浮竹と京楽は、手を繋ぎ合う。ポチとタマのリードの先を浮竹が右手でもって、みんなで帰宅するのであった。
浮竹は、ミミック牧場でミミックたちに餌をあげていた。
空気を凝縮したという緑の玉が、ミミックたちの餌だった。ミミックは、この世界では生きた植物の一種である。
金属でできている部分もあるが、木製の部分も多い。
「きしきしきし」
ミミックたちが、嬉しそうに餌を食べて新鮮な水を飲む。
「きしきしきし」
浮竹に甘噛みでかじりついて、ミミックたちも浮竹も幸せそうだった。
「はぁ‥‥今日も浮竹はミミックに夢中か」
京楽は、そんな浮竹の姿を見てミミックたちに嫉妬する。
「あ、京楽!見てくれ、新しいミミックが生まれたんだ!まだ子供だから小さくてかわいいだろう?」
近寄ってくる浮竹の腕の中には、ミミックの赤ちゃんの手のひらサイズのミミックが5匹いた。
「へぇ、かわいいね」
「ぴいぴいぴい」
京楽が触ろうとすると、赤ちゃんミミックはその指に遠慮なくかじりついた。
「あいたーーー!」
赤ちゃんミミックを投げ捨てて、京楽は指にケガがないかを確認する。
投げ捨てられた赤ちゃんミミックは、怒って京楽の頭にかじりついた。
「ぴい!」
「あいたたたたた、ちょっと、浮竹笑ってないでなんとかしてよ!」
「あはははは、京楽はミミックによく好かれてるなぁ」
「いや、どう見てもボクはかじられてるからね!?本気でかじられてるんだよ?君みたいに甘噛みじゃないんだよ?」
「あははははは」
浮竹は、いつまでも笑っていた。
家には、今4匹のミミックを飼っている。
そっちのミミックは躾がなっているので、京楽に本気で噛みついてくることはないし、甘えて甘噛みしてくるのでかわいい。
ただ、牧場のミミックたちは京楽を本気で噛んでくる。なので、牧場の経営の手伝いをする京楽とミミックは、あまり仲がよろしくない。
よくかじられた。
「今度、ダンジョンに放つミミックは10匹だったよね。こいつとかどうだい?」
京楽は、よく噛みついてくるミミック65号を捕まえて、噛みつかれながら浮竹に打診する。
「ああ、65号か。そろそろ成人の年だしな。よし、65号と70号と、あとは生まれてきた順に決めようか」
「ボクは、デートがしたいんだけどね」
「へぇ。ミミックとデートか。ロマンチックだな!」
「いや、君とだよ!」
「ミミックがいれば幸せじゃないか!」
「それは君だけだよ!」
京楽はがっくりと項垂れる。
「はぁ。恋人同士なのに、浮竹はいつもミミックのことばかり」
「聞こえてるぞ、京楽。俺はちゃんと、お前が」
京楽は、きらきらした目で浮竹を見る。
「俺はちゃんとお前が愛せるミミックも育てるからな!」
ずこーーー。
京楽はこけた。
お前が好きだと言われると思っていたのだ。
「いいよいいよ。どうせボクはミミックの次なんだから」
「あ、いや、ちゃんと京楽も大切だぞ?」
頬を赤くしながら、浮竹はつぶやく。
「浮竹、大好きだよ!」
ハグとキスをしていたら、牧場のミミックたちの嫉妬をかって、京楽はミミックにかじられる。
「きしきしきし」
「きいきいきい」
「ぎゃあああ、ミミックに殺されるううううう」
「大げさだなぁ、京楽。俺の牧場のミミックたちは全部人食いミミックじゃないぞ。人食いミミックは危険だから、俺もかじられないように気をつけてる。ああ、でもいつか人食いミミックも飼ってみたいなぁ」
「危険だからだめ!」
「ふふ、京楽心配してくれてありがとうな?」
「う、うん」
牧場の仕事を終えて、午後になって冒険者ギルドを訪れて、ミミックを放つというクエストを受けて、10匹の牧場のミミックを連れてB級ダンジョンにもぐった。
「きしきしきし」
「お前たち、もう俺と会えないかもしれないが、立派にやっていくんだぞ。独り立ちの時だ」
「きしきしきし~~~~」
泣き出すミミックたちを撫でて、浮竹も泣いてミミックたちをダンジョンに解き放つ。
ミミックたちは、階層をばらばらに散っていき、ミミックを放つことは無事成功した。
ミミックはまずいので、天敵はいない。
冒険者も、ミミックにかじられても殺してはいけない決まりになっているので、ミミックを殺さない。それでも、ミミックたちの寿命は短く、5年生きればいいほうだった。
ダンジョンという過酷な状況で、宝物を体内に隠してただじっとしているだけ。時折水を飲みに動くが、飲んだ後は元の場所に戻る。
ミミックの出現位置は、ダンジョンマスターに管理されていた。
1つのダンジョンにミミックは約30匹はいる。
一時はミミックが減りすぎたので、浮竹が牧場を営んで増やしているのであった。浮竹は牧場のミミックも家で飼ってるミミックも、同じくらい愛情を注いでいた。
家で飼っているミミックには名前はある。
ポチ、タマ、タロウ、ジロウだ。
うち、タマだけがメスだった。
この前攻略したAランクダンジョンの報酬がまだ残っているので、浮竹と京楽は低レベルの時のように毎日命をかけてダンジョンに挑まなくても生きていける。
だが、体をなまらせないように、放ったミミックの様子を見るためにも、Bランクの40階層あるダンジョンに挑んだ。
20Fのボスを倒すと、2匹のミミックが出てきた。
「きしきしきし」
「きぃぃ」
「お、元気でやってるか?」
「きしきし」
ミミックたちは嬉しそうに浮竹に近づいて、宝物をあげようとする。
「お、くれるのか?」
「きしきし」
「くれるならもらっていいんじゃない?20Fのボスを倒した報酬でしょ」
京楽の言葉に、浮竹は2匹のミミックを撫でて、金のインゴットとまだ覚えていない神聖魔法の魔法書をもらった。
「きしきしきし」
「きぃぃきい」
2匹のミミックは、役目が終わったとばかりにダンジョンマスターのところに新しい宝物をもらいに去ってしまった。
そのまま浮竹と京楽は放ったミミックをいろんな階層で見ながら、30Fまでたどり着く。
「前の住人のミミックたちとも共存しているようでよかったよ」
「そうだな。ミミックは仲間と仲間と認めた者には寛大だからな。敵とみなすと本気で噛みついてくる」
「それって、ボクは牧場のミミックたちから敵視されてるの?」
「いや、大丈夫だろう。敵視しているなら無視する」
京楽は、牧場のミミックからけっこう無視されていた。
「はぁ。まぁいいや。君とこうして一緒に冒険できるんだから」
京楽は、浮竹を抱き寄せる。
「あ、ミミック!先住ミミックだな」
京楽は、浮竹にスルーされて、やっぱりミミックは曲者だと思うのであった。
40階層までたどり着くと、ラスボスが出てきた。
黄色のワイバーンだった。
浮竹が魔法を詠唱する。
「エアジャベリン!」
京楽は、翼を剣で切り裂く。
浮竹の魔法がワイバーンの喉を貫き、ラスボスはあっけなく倒された。
魔石と素材になるであろうワイバーンの遺体ごとアイテムポケットにしまい込む。
「うん。ミミックたちもちゃんと仕事してるようだし、帰るか」
「そうだね。ねぇ、帰ったらデートしない?」
「しない。ミミックたちが待ってる」
がっくりと京楽は項垂れる。
冒険者として二人でいる時は、二人きりとはいえデートではない。
たまには、町でデートでもしたいと京楽は思った。
「ポチとタマを一緒に連れて行っていいなら、デートしてもいい」
「ほんと!?」
京楽は、ポチとタマにリードをつけて、浮竹と町の中をデートする。
「きしきしきし」
「ん、ポチ、あのクレープが食べたいのか?」
「きしきし」
浮竹は飼っているミミックと意思疎通ができる。
「仕方ないなぁ。買ってきてやる。京楽、ポチとタマを頼む」
浮竹はクレープの屋台で4人分買って、京楽、ポチ、タマ、それに自分用に買った。
ミミックは人のものを食うこともできた。
普段水と酸素で暮らしているが。
「今日はいい天気だな。タマ、元気なミミックたちを生むんだぞ」
「え、タマ妊娠してるの?」
「見れば分かるだろう」
「分かりません‥‥‥」
浮竹には前のタマとの違いが分かっているようであったが、京楽にはさっぱり分からなかった。
「ほら、タマはメスだから口の端が少しピンク色だろう?それが赤くなり気味だからそれが妊娠してる証だ」
「へぇ」
「宝を入れるスペースに子供を宿すから、見た目では色でしか判断できない。ちなみに卵じゃなくって赤ちゃんの状態で通常3~5匹産む」
「ふ~ん」
「きしきしきし」
京楽が浮竹のミミック講座を聞いている間に、タマは京楽がまだ食べ残していたクレープを食べてしまった。
「あ、やったな、タマ!こら!」
「母体だから、栄養価の高いものを食いたがるんだ。野生のミミックも、妊娠中のメスはけっこうなんでも食うぞ」
「え。じゃ、じゃあ人間も?」
「ああ、そうだだな。妊娠中のメスは人間も食う」
「ぎゃあああああああ。タマに食われるうううううう」
「躾してあるし、人と同じ食事を与えているから大丈夫だ。野良の妊娠中のミミックは人食いミミックと大差ないから注意が必要だが。ちなみに、牧場の妊娠したメスには主に果物と肉をあげている」
「ミミック博士だね、浮竹は」
「ミミックに詳しくないと、牧場で増やせたりできないからな。まだまだダンジョンのミミックは不足している。まだまだ増やすぞー」
京楽は愛しい目で浮竹を見ながら、ポチとタマのリードの先をもって歩き出す。
ミミック色だが、それなりに楽しく幸せな時間を過ごす。
「あ、あそこの鍛冶屋新しい剣が売ってる。今使ってる剣、刃こぼれしてるし使いにくいから、買い替えたかったんだよな。寄って行っていいか?」
「いいよ」
「ポチ、タマ、どっちがいいと思う?」
浮竹は、表面にミスリルを使っている片手剣と、表面にミスリル銀を使っている片手剣を手に取って比べていると、ポチもタマも、どちらでもなく銀貨2枚セールのだめな剣が入った樽の一本を器用に口でくわえて、浮竹にすすめた。
「お、こいつ魔剣か。かなりさびついてるが‥‥研げば、立派になりそうだな。店の親父、この剣を銀貨2枚でもらうがいいか?」
「いいぞ。そんなボロボロな魔剣、研ごうにもそんな職人はいないと思うがな」
「やった、いい買い物をした」
「浮竹、そんなにぼろいの、研いでも無駄だと思うけど」
「なぁに、タロウは特殊なミミックでな。金属の武具を新品同様にできる能力をもっているんだ。だから、タロウの体の中にこの魔剣を入れて、新品にしてもらう」
「た、タロウにそんな力が」
タロウは、浮竹と京楽の家で飼っているミミックの中の1匹だ。
「まさか銀貨2枚とは。新しかったら、白金貨20枚はするぞ」
「まさに掘り出しものだね」
「ポチとタマに感謝だな。今日はブラックワイバーンのステーキを食わせてやろう」
「きしきしきし」
「きしきしぃ」
ポチとタマは、嬉しそうに飛び跳ねた。
「帰ろうか」
「うん」
浮竹と京楽は、手を繋ぎ合う。ポチとタマのリードの先を浮竹が右手でもって、みんなで帰宅するのであった。
ドラゴン族の子とミミック
浮竹と京楽は、ドラゴン族、つまりは竜人族の子だった。
竜人族は、人の姿からドラゴンになれる。そんな一族だった。だが、浮竹は世界でも珍しいホーリードラゴン、聖属性のドラゴンになれるはずだったのだが、大人になってもドラゴン化できなかった。
結果、いらない存在としてドラゴン族の里を追われた。
京楽は、ダークドラゴン、闇属性のドラゴンになれたが、ドラゴン化すると理性を失い、味方まで巻き込んで暴れるので、浮竹と同じくいらない子として里を追われることとなった。
二人は、身を寄せ合って野宿して人里に向かった。
一番近い村に着いた時、竜人族の血からできる貴重な宝石を少しだけ自分を傷つけて作り出し、現金を得ると、冒険者として必要なものを買いそろえて、二人は王都を目指した。
王都アルカンシェルで、二人はEランクの冒険者から始めた。
「京楽、お前までつきあうことなかったのに」
「何言ってるの。里を追われたのは一緒でしょ。一緒に仲良くやっていこうよ」
浮竹と京楽は、親友以上だった。子供の頃からいつも一緒にいた。
「でも、人間の社会で冒険者としてやっていくのは辛いぞ?」
「なぁに、すぐにAランクの冒険者になれるさ」
浮竹と京楽は、400年以上生きていたが、竜人族の中ではまだまだ若い。
3年をかけてAランク冒険者までのし上がり、浮竹と京楽は人の社会で生きていけた。
「さぁて、今回のお宝は?」
Aランクのダンジョンにもぐった二人の前に、宝箱が現れた。
「浮竹、これミミックだよ」
「ミミック!」
浮竹は目を輝かせて、ミミックにわざとかじられた。
ミミックを牧場で大量に養殖して、浮竹はダンジョンに放つという謎のバイトをしている経験もあり、ミミックに好かれた。
「きしきしきし」
ミミックは不思議な笑い声をあげて、浮竹を甘噛みする。
「ああ、麗しいミミック。この噛み心地、色のつや‥‥‥俺の育てたミミックだな」
「きしきし」
ミミックは、宝物をドロップして去っていく。
「魔法書か。古代文字の‥‥‥ファイアランスの魔法。もう習得してるから、魔法ショップに売るか」
浮竹は、古代の魔法書をアイテムポケットに入れる。
「さて、30階層だよ。ラスボスかな」
出てきたのは、ヘルケルベロスだった。
普通のケルベロスよりも2倍は大きく、強いモンスターだった。
「ボクが先にいくよ!フリーズショット!」
「がるるるるるう」
「アイシクルエッジ」
浮竹と京楽は、魔法剣士だ。魔法も剣も使える。
ケルベロスの弱点である氷の魔法を使って、ヘルケルベロスにダメージを蓄積していく。
京楽は、もっていた片手剣に氷のエンチャトして、ヘルケルベロスの3つある頭のうちの1つを切り落とす。
「ぐるるるる!」
ヘルケルベロスは、地獄の業火を吐いた。
「マジックシールド!」
それを浮竹が魔法の盾を作って防ぐ。
「おしまいだよ!エターナルアイシルクワールド!」
「エターナルアイシクルワールド!」
二人同時に氷の上位魔法を使い、ヘルケルベロスを完全に凍り付かせると、氷像を叩き壊すと魔石だけが残された。
ラスボスを倒したことで、財宝の間が開く。
「宝箱だ!」
「浮竹、待って。罠があるかもしれない」
「いや、この色ツヤはミミックだ!」
「きしきしきし」
ほんとにミミックだった。
浮竹はかじられて幸せそうな顔をしている。
「はぁ。浮竹、君のミミック好きには呆れるよ」
「この子も、ミミック牧場で育てた子だ」
「きしきしきし」
ミミックは頷いて、宝物をドロップする。ミスリル製のシールドだった。
「ミスリル製だ。売ればそこそこになるな」
「こっち、金貨と宝石がけっこうあるよ」
「これだけあれば、当分は暮らせるな。それにしてもミミックはかわいいなぁ」
「きしきしきし」
ミミックは、変ななき声を出して、ペロリと浮竹のほっぺを舐める。
「未だに、ボクはミミック牧場を作り出して、ミミックに愛情を注げる君の感情が理解できないよ」
「おいおい、ミミックはこんなにかわいいんだぞ?」
「そう?」
「ほら、京楽も触ってみろ」
「ぺっ」
ミミックは、舌打ちして京楽の手を思い切り噛んだ。
「いたたたた!」
「こら、だめだぞ、あんな手をかんだら。歯が欠けたらどうするんだ」
「心配するのそっち!?」
京楽は、にっくきミミックを剣の鞘で殴った。
「浮竹、撤収するよ。財宝はアイテムポケットに入れたから」
「じゃあ、このミミックは回収して家まで‥‥‥」
「だーめ。すでに野良ミミックを3匹も保護して家で飼ってるじゃない。これ以上増やせないよ」
「うー、残念だ。じゃあ、またな、ミミック45号」
「きしきしきし」
ミミックは不思議な鳴き声をあげて、財宝の間に戻っていく。
ダンジョンが踏破されると、ダンジョンマスターが一度ダンジョン内をリセットして、ボスや宝箱、ざこモンスターの配置を変えたりする。
「さて、このミミルのダンジョンを踏破するのは二度目だね。この後どうする?」
「違うダンジョンにいって、かわいいミミックがいないか探す」
京楽はがっくりとなる。
一応、恋人同士なのだが、浮竹は京楽とミミックと言われるとミミックをとる。
「はいはい。じゃあ、いいミミック見つけに、違うダンジョンに行きますか」
「ああ。野良ミミックがいたら保護してあげないとな」
「ミミック牧場に入れるなら、反対はしないけど」
「さぁ、野良ミミックを探しにいくか」
すでに、冒険の趣旨が変わっていた。
浮竹と京楽は、自分たちが竜人族であるということを隠していない。
その貴重な宝石となる血を目当てにする人間に襲われることもあるが、いつも撃退してきた。
王都の住民やギルド内の人間とは、うまくいっていた。
もう、竜人族の里を追い出されて、悲しんでいた浮竹と京楽はいない。
今はただ、がむしゃらに前を向いて生きていた。
王都から少し離れた町で、ミミック牧場を作って、そこで浮竹と京楽は暮らしていた。ミミックのえさは空気を凝縮したよくわからん緑色の玉だった。
ミミックは植物の一種という説があり、空気の緑の玉と水で生きていた。
ダンジョン内では、空気と水だけて生きている。
「ああ、この子は家で飼おう」
「だめだよ!牧場にしなさい!」
「飼ってくれと瞳が訴えかけている!」
「きしきしきし」
ミミックは、いつも通り不思議な笑い声をあげて、浮竹をかじる。
いつも甘噛みで、噛んだ後宝をドロップする。
「あ、これはまだ覚えていない魔法の魔法書だ!やっぱり、この子家で飼おう」
「だから、だめだってば!牧場にもいっぱいミミックいるし、家にもミミック3匹いるでしょ?」
「もう1匹くらい増やしてもいいだろう?今夜、俺を好きにしていいから」
「う‥‥‥」
色仕掛けでこられて、京楽は長らく浮竹を抱いていないので、結局4匹目のミミックを飼うことを了承してしまった。
浮竹と京楽の冒険は、まだはじまったばかりであった。ミミック色だけど。
竜人族は、人の姿からドラゴンになれる。そんな一族だった。だが、浮竹は世界でも珍しいホーリードラゴン、聖属性のドラゴンになれるはずだったのだが、大人になってもドラゴン化できなかった。
結果、いらない存在としてドラゴン族の里を追われた。
京楽は、ダークドラゴン、闇属性のドラゴンになれたが、ドラゴン化すると理性を失い、味方まで巻き込んで暴れるので、浮竹と同じくいらない子として里を追われることとなった。
二人は、身を寄せ合って野宿して人里に向かった。
一番近い村に着いた時、竜人族の血からできる貴重な宝石を少しだけ自分を傷つけて作り出し、現金を得ると、冒険者として必要なものを買いそろえて、二人は王都を目指した。
王都アルカンシェルで、二人はEランクの冒険者から始めた。
「京楽、お前までつきあうことなかったのに」
「何言ってるの。里を追われたのは一緒でしょ。一緒に仲良くやっていこうよ」
浮竹と京楽は、親友以上だった。子供の頃からいつも一緒にいた。
「でも、人間の社会で冒険者としてやっていくのは辛いぞ?」
「なぁに、すぐにAランクの冒険者になれるさ」
浮竹と京楽は、400年以上生きていたが、竜人族の中ではまだまだ若い。
3年をかけてAランク冒険者までのし上がり、浮竹と京楽は人の社会で生きていけた。
「さぁて、今回のお宝は?」
Aランクのダンジョンにもぐった二人の前に、宝箱が現れた。
「浮竹、これミミックだよ」
「ミミック!」
浮竹は目を輝かせて、ミミックにわざとかじられた。
ミミックを牧場で大量に養殖して、浮竹はダンジョンに放つという謎のバイトをしている経験もあり、ミミックに好かれた。
「きしきしきし」
ミミックは不思議な笑い声をあげて、浮竹を甘噛みする。
「ああ、麗しいミミック。この噛み心地、色のつや‥‥‥俺の育てたミミックだな」
「きしきし」
ミミックは、宝物をドロップして去っていく。
「魔法書か。古代文字の‥‥‥ファイアランスの魔法。もう習得してるから、魔法ショップに売るか」
浮竹は、古代の魔法書をアイテムポケットに入れる。
「さて、30階層だよ。ラスボスかな」
出てきたのは、ヘルケルベロスだった。
普通のケルベロスよりも2倍は大きく、強いモンスターだった。
「ボクが先にいくよ!フリーズショット!」
「がるるるるるう」
「アイシクルエッジ」
浮竹と京楽は、魔法剣士だ。魔法も剣も使える。
ケルベロスの弱点である氷の魔法を使って、ヘルケルベロスにダメージを蓄積していく。
京楽は、もっていた片手剣に氷のエンチャトして、ヘルケルベロスの3つある頭のうちの1つを切り落とす。
「ぐるるるる!」
ヘルケルベロスは、地獄の業火を吐いた。
「マジックシールド!」
それを浮竹が魔法の盾を作って防ぐ。
「おしまいだよ!エターナルアイシルクワールド!」
「エターナルアイシクルワールド!」
二人同時に氷の上位魔法を使い、ヘルケルベロスを完全に凍り付かせると、氷像を叩き壊すと魔石だけが残された。
ラスボスを倒したことで、財宝の間が開く。
「宝箱だ!」
「浮竹、待って。罠があるかもしれない」
「いや、この色ツヤはミミックだ!」
「きしきしきし」
ほんとにミミックだった。
浮竹はかじられて幸せそうな顔をしている。
「はぁ。浮竹、君のミミック好きには呆れるよ」
「この子も、ミミック牧場で育てた子だ」
「きしきしきし」
ミミックは頷いて、宝物をドロップする。ミスリル製のシールドだった。
「ミスリル製だ。売ればそこそこになるな」
「こっち、金貨と宝石がけっこうあるよ」
「これだけあれば、当分は暮らせるな。それにしてもミミックはかわいいなぁ」
「きしきしきし」
ミミックは、変ななき声を出して、ペロリと浮竹のほっぺを舐める。
「未だに、ボクはミミック牧場を作り出して、ミミックに愛情を注げる君の感情が理解できないよ」
「おいおい、ミミックはこんなにかわいいんだぞ?」
「そう?」
「ほら、京楽も触ってみろ」
「ぺっ」
ミミックは、舌打ちして京楽の手を思い切り噛んだ。
「いたたたた!」
「こら、だめだぞ、あんな手をかんだら。歯が欠けたらどうするんだ」
「心配するのそっち!?」
京楽は、にっくきミミックを剣の鞘で殴った。
「浮竹、撤収するよ。財宝はアイテムポケットに入れたから」
「じゃあ、このミミックは回収して家まで‥‥‥」
「だーめ。すでに野良ミミックを3匹も保護して家で飼ってるじゃない。これ以上増やせないよ」
「うー、残念だ。じゃあ、またな、ミミック45号」
「きしきしきし」
ミミックは不思議な鳴き声をあげて、財宝の間に戻っていく。
ダンジョンが踏破されると、ダンジョンマスターが一度ダンジョン内をリセットして、ボスや宝箱、ざこモンスターの配置を変えたりする。
「さて、このミミルのダンジョンを踏破するのは二度目だね。この後どうする?」
「違うダンジョンにいって、かわいいミミックがいないか探す」
京楽はがっくりとなる。
一応、恋人同士なのだが、浮竹は京楽とミミックと言われるとミミックをとる。
「はいはい。じゃあ、いいミミック見つけに、違うダンジョンに行きますか」
「ああ。野良ミミックがいたら保護してあげないとな」
「ミミック牧場に入れるなら、反対はしないけど」
「さぁ、野良ミミックを探しにいくか」
すでに、冒険の趣旨が変わっていた。
浮竹と京楽は、自分たちが竜人族であるということを隠していない。
その貴重な宝石となる血を目当てにする人間に襲われることもあるが、いつも撃退してきた。
王都の住民やギルド内の人間とは、うまくいっていた。
もう、竜人族の里を追い出されて、悲しんでいた浮竹と京楽はいない。
今はただ、がむしゃらに前を向いて生きていた。
王都から少し離れた町で、ミミック牧場を作って、そこで浮竹と京楽は暮らしていた。ミミックのえさは空気を凝縮したよくわからん緑色の玉だった。
ミミックは植物の一種という説があり、空気の緑の玉と水で生きていた。
ダンジョン内では、空気と水だけて生きている。
「ああ、この子は家で飼おう」
「だめだよ!牧場にしなさい!」
「飼ってくれと瞳が訴えかけている!」
「きしきしきし」
ミミックは、いつも通り不思議な笑い声をあげて、浮竹をかじる。
いつも甘噛みで、噛んだ後宝をドロップする。
「あ、これはまだ覚えていない魔法の魔法書だ!やっぱり、この子家で飼おう」
「だから、だめだってば!牧場にもいっぱいミミックいるし、家にもミミック3匹いるでしょ?」
「もう1匹くらい増やしてもいいだろう?今夜、俺を好きにしていいから」
「う‥‥‥」
色仕掛けでこられて、京楽は長らく浮竹を抱いていないので、結局4匹目のミミックを飼うことを了承してしまった。
浮竹と京楽の冒険は、まだはじまったばかりであった。ミミック色だけど。
竜人族
浮竹と京楽は竜人族であった。
浮竹は白いドラゴンになれて、京楽は黒いドラゴンになれた。
人のいない森で、ひっそり二人きりで住んでいた。
元々人里に住んでいたのだが、ドラゴンになった姿を目撃されて、白いドラゴンは縁起がよいので剥製にすると人に襲われかけて、二人は逃げた。
住む場所を転々としているうちに、この森を住処とした。
「浮竹、早いね」
「京楽こそ、どうしたんだ、こんな朝早くに」
「干し肉が切れちゃってね。もうすぐ冬になるし、保存食もっと作っておこうと思って」
人の姿で食事をしていれば、食事の量も足りて森の資源を無駄に浪費することはなかった。
「そうか。昨日、鹿を沢辺でみたんだ。今日もいるだろう。ドラゴンになって、追い立てるから、京楽が人の姿で弓で仕留めてくれ」
「うん、分かったよ」
そんな予定をたてていたのだが、白いドラゴンになった姿を、たまたま森に入ってきた侵入者の人間に見られてしまった。
「白いドラゴンだ!吉兆だ!これは村の人に伝えなくては!」
「あ、待て!」
京楽が追いかけようとするが、男は帰還のスクロールを使って森から村に帰ってしまった。
「ねぇ、浮竹。この森ももう無理かもしれない」
「大丈夫だ。人がきても幼い頃とは違う。追い払おう」
「大丈夫?浮竹、人を傷つけれないでしょ」
「大丈夫だ。自分の身くらい自分で守れる」
それが、浮竹と京楽が会話した最後の日だった。
浮竹は、白いドラゴンになったまま人に捕らえられて、生きたまま連れていかれた。モンスターテイマーがいて、浮竹はテイムされて人のいいなりとなってしまった。
京楽が人の姿で助けにいこうとしたが、すでに浮竹の姿はなく、かといって自分もドラゴンの姿になると人に捕まる可能性があるので、京楽は浮竹を探しながらさ迷う。
白いドラゴンがいるという噂を聞いては出向いて、10年ほど経った頃、その白いドラゴンと京楽は出会った。
「浮竹‥‥‥」
「誰?」
浮竹は、京楽のことも自分のことも、全て忘れていた。
大きな檻にいれられた白いドラゴンは、確かに浮竹だった。
「ボクだよ!同じ竜人族の京楽!」
「俺はただのドラゴンだ。竜人族なんて幻の種族じゃない。人にはなれない」
「そこにいるのは誰だ!」
町の住人が、白いドラゴンの浮竹に話しかける京楽を見つけて、捕まえようとする。
「確か、お前には黒いドラゴンの連れがいるんだったな」
「やめてくれ。その子はただの人間だ!」
「浮竹!」
「逃げろ、人の子!」
結局、京楽は逃げ出した。
浮竹が自分のことを忘れていることにショックを受けて、浮竹のことを諦めてしまい、長い長い休眠をとることにした。
真っ白なドラゴンは、世界に一匹しかいない。
京楽が目覚めた時、眠ってから100年以上は経過していた。
「浮竹‥‥‥まだ、人に捕まっているのかな?今度こそ、助けにいこう。ボクのこと、忘れていてもいいから」
浮竹の白いドラゴンの噂は、すぐに聞けた。
ある王国で、守護竜として存在しているらしい。
もう、捕まっているわけではなかったが、京楽は浮竹を助け出すために黒いドラゴンになった。100年も眠っている間に体だけは大きくなっていて、巨大なドラゴンになれた。
浮竹のいる王国までいくと、黒いドラゴンが出たと、討伐隊が組まれた。
「浮竹‥‥‥‥助けにいくよ」
ドラゴン討伐隊をなんとか倒して、傷ついた体で浮竹の元に向かう。
「浮竹‥‥‥」
「京楽?」
「浮竹、記憶戻っていたの?」
真っ白な美しい青年がいた。
京楽も、人の姿になる。
「京楽‥‥‥俺を助けにきてくれたのか?」
「そうだよ。さぁ、帰ろう、ボクらの故郷に」
「俺は‥‥‥‥この国の王に汚された。お前とは一緒に行けない」
「浮竹」
「俺はもう清らかじゃない。毎晩客をとらされるんだ。もう、お前の知っている浮竹はいない」
「こんな国‥‥‥滅ぼしてやる」
「京楽?」
浮竹は、不思議そうな瞳で京楽を見ていた。
「こんな汚れた俺のために、怒ってくれるのか?」
「決めた。この国を亡ぼす。君を汚した王から殺してやる!」
京楽は、黒いドラゴンとなってその国を滅ぼした。
「京楽」
焼け野原となった大地に、浮竹だけが無傷でいた。
「帰ろう?」
「でも俺は」
京楽は、浮竹に魔法を使い、この王国にいた時の記憶を奪った。
「帰ろう、浮竹」
「ああ、帰ろう、京楽」
浮竹は、微笑みながら、血を吐いた。
「浮竹!?」
「俺はこの国の守護竜だから‥‥‥‥この国がなくなったら、生きていけないんだ」
「そんな、浮竹!」
「最後にお前と出会えてよかった‥‥」
「浮竹ぇぇぇぇ!」
浮竹は、大量の吐血を繰り返して、弱弱しい手で京楽の手を握り返す。
「また、生まれてくるから‥‥‥俺を、探して?」
「浮竹!」
浮竹は、京楽の腕の中でひっそりと息絶えた。
京楽は浮竹の亡骸を手に、住んでいた森に戻った。
浮竹の遺体を埋葬した数日あと、浮竹の墓に竜人賊の卵があった。
京楽はその卵を住処の巨大な洞窟に持って帰り、生まれるのを待った。
「ぴい?」
「おはよう。君の名前は、浮竹十四郎だよ」
真っ白なドラゴンの幼生体を見て、京楽は優しく微笑む。
「京楽、待って」
「浮竹、人里には近づいちゃだめだよ」
「分かってる。京楽、俺はお前だけがいてくれたらそれでいい」
真っ白なドラゴンになれる少年の竜人族と、巨大な黒いドラゴンになれる若い竜人族は、もうドラゴンの姿になることなく、人のこない深い森の中でひっそりと暮らすのであった。
浮竹は白いドラゴンになれて、京楽は黒いドラゴンになれた。
人のいない森で、ひっそり二人きりで住んでいた。
元々人里に住んでいたのだが、ドラゴンになった姿を目撃されて、白いドラゴンは縁起がよいので剥製にすると人に襲われかけて、二人は逃げた。
住む場所を転々としているうちに、この森を住処とした。
「浮竹、早いね」
「京楽こそ、どうしたんだ、こんな朝早くに」
「干し肉が切れちゃってね。もうすぐ冬になるし、保存食もっと作っておこうと思って」
人の姿で食事をしていれば、食事の量も足りて森の資源を無駄に浪費することはなかった。
「そうか。昨日、鹿を沢辺でみたんだ。今日もいるだろう。ドラゴンになって、追い立てるから、京楽が人の姿で弓で仕留めてくれ」
「うん、分かったよ」
そんな予定をたてていたのだが、白いドラゴンになった姿を、たまたま森に入ってきた侵入者の人間に見られてしまった。
「白いドラゴンだ!吉兆だ!これは村の人に伝えなくては!」
「あ、待て!」
京楽が追いかけようとするが、男は帰還のスクロールを使って森から村に帰ってしまった。
「ねぇ、浮竹。この森ももう無理かもしれない」
「大丈夫だ。人がきても幼い頃とは違う。追い払おう」
「大丈夫?浮竹、人を傷つけれないでしょ」
「大丈夫だ。自分の身くらい自分で守れる」
それが、浮竹と京楽が会話した最後の日だった。
浮竹は、白いドラゴンになったまま人に捕らえられて、生きたまま連れていかれた。モンスターテイマーがいて、浮竹はテイムされて人のいいなりとなってしまった。
京楽が人の姿で助けにいこうとしたが、すでに浮竹の姿はなく、かといって自分もドラゴンの姿になると人に捕まる可能性があるので、京楽は浮竹を探しながらさ迷う。
白いドラゴンがいるという噂を聞いては出向いて、10年ほど経った頃、その白いドラゴンと京楽は出会った。
「浮竹‥‥‥」
「誰?」
浮竹は、京楽のことも自分のことも、全て忘れていた。
大きな檻にいれられた白いドラゴンは、確かに浮竹だった。
「ボクだよ!同じ竜人族の京楽!」
「俺はただのドラゴンだ。竜人族なんて幻の種族じゃない。人にはなれない」
「そこにいるのは誰だ!」
町の住人が、白いドラゴンの浮竹に話しかける京楽を見つけて、捕まえようとする。
「確か、お前には黒いドラゴンの連れがいるんだったな」
「やめてくれ。その子はただの人間だ!」
「浮竹!」
「逃げろ、人の子!」
結局、京楽は逃げ出した。
浮竹が自分のことを忘れていることにショックを受けて、浮竹のことを諦めてしまい、長い長い休眠をとることにした。
真っ白なドラゴンは、世界に一匹しかいない。
京楽が目覚めた時、眠ってから100年以上は経過していた。
「浮竹‥‥‥まだ、人に捕まっているのかな?今度こそ、助けにいこう。ボクのこと、忘れていてもいいから」
浮竹の白いドラゴンの噂は、すぐに聞けた。
ある王国で、守護竜として存在しているらしい。
もう、捕まっているわけではなかったが、京楽は浮竹を助け出すために黒いドラゴンになった。100年も眠っている間に体だけは大きくなっていて、巨大なドラゴンになれた。
浮竹のいる王国までいくと、黒いドラゴンが出たと、討伐隊が組まれた。
「浮竹‥‥‥‥助けにいくよ」
ドラゴン討伐隊をなんとか倒して、傷ついた体で浮竹の元に向かう。
「浮竹‥‥‥」
「京楽?」
「浮竹、記憶戻っていたの?」
真っ白な美しい青年がいた。
京楽も、人の姿になる。
「京楽‥‥‥俺を助けにきてくれたのか?」
「そうだよ。さぁ、帰ろう、ボクらの故郷に」
「俺は‥‥‥‥この国の王に汚された。お前とは一緒に行けない」
「浮竹」
「俺はもう清らかじゃない。毎晩客をとらされるんだ。もう、お前の知っている浮竹はいない」
「こんな国‥‥‥滅ぼしてやる」
「京楽?」
浮竹は、不思議そうな瞳で京楽を見ていた。
「こんな汚れた俺のために、怒ってくれるのか?」
「決めた。この国を亡ぼす。君を汚した王から殺してやる!」
京楽は、黒いドラゴンとなってその国を滅ぼした。
「京楽」
焼け野原となった大地に、浮竹だけが無傷でいた。
「帰ろう?」
「でも俺は」
京楽は、浮竹に魔法を使い、この王国にいた時の記憶を奪った。
「帰ろう、浮竹」
「ああ、帰ろう、京楽」
浮竹は、微笑みながら、血を吐いた。
「浮竹!?」
「俺はこの国の守護竜だから‥‥‥‥この国がなくなったら、生きていけないんだ」
「そんな、浮竹!」
「最後にお前と出会えてよかった‥‥」
「浮竹ぇぇぇぇ!」
浮竹は、大量の吐血を繰り返して、弱弱しい手で京楽の手を握り返す。
「また、生まれてくるから‥‥‥俺を、探して?」
「浮竹!」
浮竹は、京楽の腕の中でひっそりと息絶えた。
京楽は浮竹の亡骸を手に、住んでいた森に戻った。
浮竹の遺体を埋葬した数日あと、浮竹の墓に竜人賊の卵があった。
京楽はその卵を住処の巨大な洞窟に持って帰り、生まれるのを待った。
「ぴい?」
「おはよう。君の名前は、浮竹十四郎だよ」
真っ白なドラゴンの幼生体を見て、京楽は優しく微笑む。
「京楽、待って」
「浮竹、人里には近づいちゃだめだよ」
「分かってる。京楽、俺はお前だけがいてくれたらそれでいい」
真っ白なドラゴンになれる少年の竜人族と、巨大な黒いドラゴンになれる若い竜人族は、もうドラゴンの姿になることなく、人のこない深い森の中でひっそりと暮らすのであった。
オメガバース京浮読み切り短編13
浮竹は、奴隷の歌姫だった。
性別は中性であいまいであったが、オメガだったので少女として扱われた。
誰かに買われるよりも、奴隷のまま歌姫として活躍させたほうが金になるので、浮竹を買う買わないの話はなかった。
「カナリア。もっといい声で歌っておくれ?」
「はい‥‥‥」
浮竹は、籠の中のカナリア。
珍しい有翼族で、背中には金色の翼をもっていた。
浮竹は、浮竹十四郎という名があったが、カナリアと呼ばれていた。とても綺麗な声で歌うから。
今回は、王宮に招かれて、その国の王や王族たちの前で歌った。
カナリアと呼ばれて、浮竹はなんの感情も見せず、ただ綺麗すぎる声で歌った。
「カナリア。君が気に入った。ボクのものにする」
「王太子殿下、困ります!カナリアは我が楽団のもの。お金うんぬんの話では!」
「星金貨2万枚を出そう」
「な、国家予算!?」
「それに、新しい歌姫も手配しよう。それでも文句ある?」
「いえ‥‥‥‥カナリア、お別れだ。王太子に尽くすように」
王太子の名は京楽春水。
アルファで、浮竹はオメガであるが中性なので、ヒートなどは今のところなかった。
浮竹は、ただ主が変わっただけなので、何もかんじていなかった。
「なんと呼べば?」
「ボクは京楽春水。春水って呼んで?」
「春水。俺はカナリア」
「本名、別にあるんでしょう?」
「浮竹十四郎」
「そう。ボクはアルファだけど、君はオメガだよね。でも、ボクは純粋に君の歌声が気に入ったから君を買った。それに婚約者がいるし」
「ああ。俺はオメガだができそこないなんだ。フェロモンも出ないし、ヒートもない。子もきっと産めない」
「それで構わないよ。君の歌声が気に入ったんだから。まぁ、とっても綺麗な外見をしているけどね」
浮竹は、中性的な衣服を着させられて、その日から何故か王太子の後宮に住まうこととなった。有翼族であり、金色の翼をもつ浮竹は目立った。
「俺がなんで後宮に」
「いやね、王宮に泊まるようにするつもりだったんだけど、元奴隷でオメガってことだから後宮にいれろって父の王に言われてね」
浮竹の部屋を、夜に京楽が訪問してきた。
「春水。俺は、歌は歌うが体は売らない。それだけは理解してくれ」
「うん。君はオメガだけどフェロモンでないしね。アルファのボクでも安心して傍にいられる」
浮竹と京楽は、その日京楽が浮竹の部屋に泊まったということで、浮竹は歌姫の寵姫ということにされた。
「京楽様、何か欲しいものはございませんか?」
「ああ、十四郎の‥‥‥カナリアの歌声が聞きたい」
「はい。では命じてきますね」
「あ、一応ボクの寵姫でしょ?ボクが行くよ」
「しかし‥‥‥‥」
「ボクの我儘だよ。いいでしょ」
「仕方ありませんね」
その女官は、京楽と一度だけ肉体関係をもってしまい、京楽の周囲の世話を任されていた。
オメガの女官で、位は低いが貴族であった。
子を成せば、夫人になれるので、女官の父親は京楽が手を出してしまったことを喜んだ。
このままいけば、夫人になる可能性は高い。
後宮には、数人の寵姫がいて、婚約者は別にいた。
京楽の婚約者は隣国の姫君だった。
だが、王族は複数の妻をもてた。正妃が婚約者だとしても、10人くらいは夫人を作れる。
「十四郎、迎えにきたよ。ボクの部屋で歌って?」
「春水」
浮竹は、後宮という狭い空間の暮らしには、奴隷だったせいで慣れているので、金色の翼を羽ばたかせて、京楽の近くに舞い降りた。
「空、飛べるんだ」
「有翼族だからな。希少だから、奴隷狩りにあって、俺は奴隷におちた。でも、お前が買ってくれて奴隷から解放された。ありがとう、春水」
京楽は、浮竹の笑顔に心がぽかぽかする感情を抱いた。
「さぁ、王宮に行こう。ボクの傍で歌ってね?」
「ああ」
浮竹は、京楽の求められるままに綺麗な歌声で歌う。
そんな日々が数週間続いて、京楽は浮竹に骨抜きにされているという噂までたってしまった。
「後宮の暮らしには、慣れたかい?」
「それが‥‥ここ数日お前に求められていると、嫌がらせを受けている」
「何番目の寵姫か分かる?」
「3番目」
「あの子か。顔は綺麗だけど、嫉妬しやすいんだよね。分かったよ、後宮から追放する」
「え」
浮竹が、顔をあげる。
「追放は、やりすぎじゃないか」
「ボクの十四郎に嫌がらせするなら、追放しても当たり前でしょ」
「そ、そうか‥‥‥」
浮竹は、赤くなっていた。
京楽の優しさに触れて、歌い続けている間に、淡い恋心を抱いてしまっていた。
「お、俺は!」
「ん?」
「お前のことが、好きだ」
「ボクも君が好きだよ」
「多分、好きの意味がちが‥‥‥」
京楽に口づけられて、浮竹は京楽を突き飛ばしていた。
「あ、これは」
「ふふ、歌姫の寵姫。ボクの夫人になる気はある?」
「な、俺は女じゃないんだぞ!」
「でも、中性でオメガでしょ?夫人にはなれる」
「そ、それにお前には正妃となるべき女性が」
浮竹は、涙を滲ませながら、京楽に抱きしめられていた。
「婚約は破棄した」
「え」
「ボクは、君を正妃にしたい」
「お、おやすみ!」
浮竹は、逃げるように後宮の自分の部屋に戻った。
どくんどくんと、心臓が高鳴って、浮竹は豪華なベッドの上で枕を抱え込んでごろごろしていた。顔が真っ赤だった。
「明日から、どんな顔してあいつと会おう‥‥‥」
浮竹は、一人で歌を歌いながら、いつの間にか眠りについていた。
「十四郎、起きて?」
「んー、もう少し‥‥‥‥」
「十四郎?襲っちゃうよ?」
「へあ!?」
浮竹が起きると、王太子である京楽が浮竹を起こしにきていた。
「女官は!」
「君の寝顔を見たくて、ボクが起こしにきた」
「はう」
浮竹は赤くなる。
「朝食一緒にとろう?」
「あ、ああ‥‥‥」
浮竹と京楽は、一緒に王宮で朝食をとり、帝王学を学ぶ京楽の近くにいて、休憩時間に歌を歌って癒してあげた。
「十四郎の声はいつ聞いても綺麗だね。今日は一緒に寝よう」
「へあ!?」
「ふふ、何もしないよ?ただ、一緒に寝るだけ」
「う、うん‥‥‥‥‥」
その日、本当に浮竹は京楽と一緒のベッドで眠りについた。
何かされるかもと覚悟していた浮竹だったが、京楽が何もしてこないので安心して眠りについた。
「起きて、十四郎」
「ん‥‥‥春水?」
「君、オメガとして覚醒したみたいだ。フェロモンがすごい。抑制剤飲んで」
「え、あ、オメガとして覚醒!?なんで‥‥‥」
浮竹は、体が熱くなるのを感じていた。
「抑制剤と、念のために首輪つけるね?誰かに番にされると困るから」
「あ、ああ‥‥‥」
浮竹がオメガとして覚醒し、フェロモンを抑制剤でなんとかさせても、京楽は浮竹を手放さなかった。
京楽の傍で歌い続ける歌姫だった。
ある日、ヒートを起こした浮竹に、京楽は。
「一緒に寝よう?君を抱きたい」
「俺はオメガとして覚醒してしまった。ヒートもきてる」
「じゃあ、ボクが番にしていい?」
「俺でいいのか?」
「君をオメガとして覚醒させてしまったのは、多分アルファのボクが君の傍にずっといたからだ。君のこと、本気で好きだし大事にするから、ボクの番になって?」
「ああ」
浮竹は、京楽に全てを委ねた。
「怖い?」
「うん」
「なるべく優しくするからね?」
浮竹は中性だ。男でも女でもない。
そういう場所に使うべきではない、蕾だけがあった。
「ここ、使うよ?」
「んっ」
蕾を撫でられて、浮竹の体が強張る。
「濡れてるね」
「ひあ!」
指をいれられて、浮竹はいい場所をかすめられて、声をあげていた。
「後ろで感じられるんだね。じゃあ、問題ないかな」
「あ、俺は」
「ん?」
「その、誰かに抱かれたことないから」
「うん」
「その、変なになったらすまん」
「ふふ。乱れていいんだよ?ボクしか見てないから。番になろう」
「分かった‥‥‥」
蕾を丹念に解されて、浮竹は涙を快感で滲ませていた。
「十四郎、かわいい。いくよ?」
「ん‥‥‥‥‥ひああああ!」
大きなものに引き裂かれて、浮竹は背をしならせる。
男ではないので、射精できないが、女でもないのにオーガズムでいっていた。
「あう」
「ここ、いいの?この奥」
「あ、やっ」
「いいんだね?」
京楽は、浮竹の奥を抉るように突き上げて、揺さぶった。
「んああああ!」
「子種、いっぱいあげるね?子供ができたら、跡継ぎだ」
「ああああ!」
京楽は、浮竹の未熟な子宮に子種をたっぷり注ぎこんだ。
「ああ‥‥‥‥」
浮竹は、大きくオーガズムでいっていた。
「番にするね?噛むよ?」
「んあっ」
交わりながらうなじに噛みつかれて、浮竹は京楽と番になった。
「ん‥‥‥」
「もっと欲しい?」
「あ、もっと‥‥‥‥‥」
「十四郎は、本当にかわいいね」
「春水、好きだ」
「ボクも好きだよ。ボクだけの歌姫」
一夜を過ごしたが、浮竹はヒート期間がきているので、京楽は浮竹と一週間一緒に過ごした。
「もぉ、やぁ」
「まだ、ヒート期間でしょ?」
「やっ」
京楽は性欲がおおせいだ。
浮竹は、ヒート期間とはいえ元はストイックなので、乱れはするが羞恥心があった。
「ボクの子種、たっぷり受け取ってね」
「ひあああああ!」
一週間交わり、眠り、ヒート期間が過ぎる。
「むう」
「ごめん、機嫌直してよ」
「お前は、やりすぎだ」
「うん。反省してる」
「本当か?」
幸せそうな京楽を見て、浮竹もまぁいいかという気持ちになった。
ヒート期間、快楽の沼に沈んでいた。ヒート期間が過ぎてまともな思考ができるようになったら、交わりすぎだと思ったが、普通のオメガとアルファはそれ以上らしいと言われて、浮竹は納得してしまった。
「君を、正妃にする」
「え」
「ボクはもう決めたよ。父上から王位を来月受け継ぐ。その隣に並ぶ正妃は、十四郎、君だ」
「でも、俺は子が」
「子ができなければ、王族の中から養子をとる。だから、ボクと結婚してください」
プロポーズされて、浮竹は涙を流しながら、それを受け入れた。
「こんな俺で、よければ」
浮竹は、京楽との婚姻から半年後には妊娠し、10カ月後には帝王切開で姫をうんだ。
浮竹は、今でも歌姫として王宮から出てステージで歌ったりしている。
身辺警護は十分にしてあるので、浮竹が攫われるようなことはなかった。
浮竹は、オメガでも国母になれると、オメガの人たちの希望の星になっていた。
「カナリア、万歳!」
「カナリア!!!」
ステージで歌う時、浮竹はカナリアと名乗る。
浮竹がステージで歌うのを、一番いいVIPルームで京楽が聞くのが恒例となっていた。
「じゃあ、歌ってくる、春水」
「うん。新しい曲、楽しみにしているよ」
元奴隷のオメガの歌姫は、今は王妃でありながらアルファの王に歌姫を支えられながら、歌姫を続けるのであった。
性別は中性であいまいであったが、オメガだったので少女として扱われた。
誰かに買われるよりも、奴隷のまま歌姫として活躍させたほうが金になるので、浮竹を買う買わないの話はなかった。
「カナリア。もっといい声で歌っておくれ?」
「はい‥‥‥」
浮竹は、籠の中のカナリア。
珍しい有翼族で、背中には金色の翼をもっていた。
浮竹は、浮竹十四郎という名があったが、カナリアと呼ばれていた。とても綺麗な声で歌うから。
今回は、王宮に招かれて、その国の王や王族たちの前で歌った。
カナリアと呼ばれて、浮竹はなんの感情も見せず、ただ綺麗すぎる声で歌った。
「カナリア。君が気に入った。ボクのものにする」
「王太子殿下、困ります!カナリアは我が楽団のもの。お金うんぬんの話では!」
「星金貨2万枚を出そう」
「な、国家予算!?」
「それに、新しい歌姫も手配しよう。それでも文句ある?」
「いえ‥‥‥‥カナリア、お別れだ。王太子に尽くすように」
王太子の名は京楽春水。
アルファで、浮竹はオメガであるが中性なので、ヒートなどは今のところなかった。
浮竹は、ただ主が変わっただけなので、何もかんじていなかった。
「なんと呼べば?」
「ボクは京楽春水。春水って呼んで?」
「春水。俺はカナリア」
「本名、別にあるんでしょう?」
「浮竹十四郎」
「そう。ボクはアルファだけど、君はオメガだよね。でも、ボクは純粋に君の歌声が気に入ったから君を買った。それに婚約者がいるし」
「ああ。俺はオメガだができそこないなんだ。フェロモンも出ないし、ヒートもない。子もきっと産めない」
「それで構わないよ。君の歌声が気に入ったんだから。まぁ、とっても綺麗な外見をしているけどね」
浮竹は、中性的な衣服を着させられて、その日から何故か王太子の後宮に住まうこととなった。有翼族であり、金色の翼をもつ浮竹は目立った。
「俺がなんで後宮に」
「いやね、王宮に泊まるようにするつもりだったんだけど、元奴隷でオメガってことだから後宮にいれろって父の王に言われてね」
浮竹の部屋を、夜に京楽が訪問してきた。
「春水。俺は、歌は歌うが体は売らない。それだけは理解してくれ」
「うん。君はオメガだけどフェロモンでないしね。アルファのボクでも安心して傍にいられる」
浮竹と京楽は、その日京楽が浮竹の部屋に泊まったということで、浮竹は歌姫の寵姫ということにされた。
「京楽様、何か欲しいものはございませんか?」
「ああ、十四郎の‥‥‥カナリアの歌声が聞きたい」
「はい。では命じてきますね」
「あ、一応ボクの寵姫でしょ?ボクが行くよ」
「しかし‥‥‥‥」
「ボクの我儘だよ。いいでしょ」
「仕方ありませんね」
その女官は、京楽と一度だけ肉体関係をもってしまい、京楽の周囲の世話を任されていた。
オメガの女官で、位は低いが貴族であった。
子を成せば、夫人になれるので、女官の父親は京楽が手を出してしまったことを喜んだ。
このままいけば、夫人になる可能性は高い。
後宮には、数人の寵姫がいて、婚約者は別にいた。
京楽の婚約者は隣国の姫君だった。
だが、王族は複数の妻をもてた。正妃が婚約者だとしても、10人くらいは夫人を作れる。
「十四郎、迎えにきたよ。ボクの部屋で歌って?」
「春水」
浮竹は、後宮という狭い空間の暮らしには、奴隷だったせいで慣れているので、金色の翼を羽ばたかせて、京楽の近くに舞い降りた。
「空、飛べるんだ」
「有翼族だからな。希少だから、奴隷狩りにあって、俺は奴隷におちた。でも、お前が買ってくれて奴隷から解放された。ありがとう、春水」
京楽は、浮竹の笑顔に心がぽかぽかする感情を抱いた。
「さぁ、王宮に行こう。ボクの傍で歌ってね?」
「ああ」
浮竹は、京楽の求められるままに綺麗な歌声で歌う。
そんな日々が数週間続いて、京楽は浮竹に骨抜きにされているという噂までたってしまった。
「後宮の暮らしには、慣れたかい?」
「それが‥‥ここ数日お前に求められていると、嫌がらせを受けている」
「何番目の寵姫か分かる?」
「3番目」
「あの子か。顔は綺麗だけど、嫉妬しやすいんだよね。分かったよ、後宮から追放する」
「え」
浮竹が、顔をあげる。
「追放は、やりすぎじゃないか」
「ボクの十四郎に嫌がらせするなら、追放しても当たり前でしょ」
「そ、そうか‥‥‥」
浮竹は、赤くなっていた。
京楽の優しさに触れて、歌い続けている間に、淡い恋心を抱いてしまっていた。
「お、俺は!」
「ん?」
「お前のことが、好きだ」
「ボクも君が好きだよ」
「多分、好きの意味がちが‥‥‥」
京楽に口づけられて、浮竹は京楽を突き飛ばしていた。
「あ、これは」
「ふふ、歌姫の寵姫。ボクの夫人になる気はある?」
「な、俺は女じゃないんだぞ!」
「でも、中性でオメガでしょ?夫人にはなれる」
「そ、それにお前には正妃となるべき女性が」
浮竹は、涙を滲ませながら、京楽に抱きしめられていた。
「婚約は破棄した」
「え」
「ボクは、君を正妃にしたい」
「お、おやすみ!」
浮竹は、逃げるように後宮の自分の部屋に戻った。
どくんどくんと、心臓が高鳴って、浮竹は豪華なベッドの上で枕を抱え込んでごろごろしていた。顔が真っ赤だった。
「明日から、どんな顔してあいつと会おう‥‥‥」
浮竹は、一人で歌を歌いながら、いつの間にか眠りについていた。
「十四郎、起きて?」
「んー、もう少し‥‥‥‥」
「十四郎?襲っちゃうよ?」
「へあ!?」
浮竹が起きると、王太子である京楽が浮竹を起こしにきていた。
「女官は!」
「君の寝顔を見たくて、ボクが起こしにきた」
「はう」
浮竹は赤くなる。
「朝食一緒にとろう?」
「あ、ああ‥‥‥」
浮竹と京楽は、一緒に王宮で朝食をとり、帝王学を学ぶ京楽の近くにいて、休憩時間に歌を歌って癒してあげた。
「十四郎の声はいつ聞いても綺麗だね。今日は一緒に寝よう」
「へあ!?」
「ふふ、何もしないよ?ただ、一緒に寝るだけ」
「う、うん‥‥‥‥‥」
その日、本当に浮竹は京楽と一緒のベッドで眠りについた。
何かされるかもと覚悟していた浮竹だったが、京楽が何もしてこないので安心して眠りについた。
「起きて、十四郎」
「ん‥‥‥春水?」
「君、オメガとして覚醒したみたいだ。フェロモンがすごい。抑制剤飲んで」
「え、あ、オメガとして覚醒!?なんで‥‥‥」
浮竹は、体が熱くなるのを感じていた。
「抑制剤と、念のために首輪つけるね?誰かに番にされると困るから」
「あ、ああ‥‥‥」
浮竹がオメガとして覚醒し、フェロモンを抑制剤でなんとかさせても、京楽は浮竹を手放さなかった。
京楽の傍で歌い続ける歌姫だった。
ある日、ヒートを起こした浮竹に、京楽は。
「一緒に寝よう?君を抱きたい」
「俺はオメガとして覚醒してしまった。ヒートもきてる」
「じゃあ、ボクが番にしていい?」
「俺でいいのか?」
「君をオメガとして覚醒させてしまったのは、多分アルファのボクが君の傍にずっといたからだ。君のこと、本気で好きだし大事にするから、ボクの番になって?」
「ああ」
浮竹は、京楽に全てを委ねた。
「怖い?」
「うん」
「なるべく優しくするからね?」
浮竹は中性だ。男でも女でもない。
そういう場所に使うべきではない、蕾だけがあった。
「ここ、使うよ?」
「んっ」
蕾を撫でられて、浮竹の体が強張る。
「濡れてるね」
「ひあ!」
指をいれられて、浮竹はいい場所をかすめられて、声をあげていた。
「後ろで感じられるんだね。じゃあ、問題ないかな」
「あ、俺は」
「ん?」
「その、誰かに抱かれたことないから」
「うん」
「その、変なになったらすまん」
「ふふ。乱れていいんだよ?ボクしか見てないから。番になろう」
「分かった‥‥‥」
蕾を丹念に解されて、浮竹は涙を快感で滲ませていた。
「十四郎、かわいい。いくよ?」
「ん‥‥‥‥‥ひああああ!」
大きなものに引き裂かれて、浮竹は背をしならせる。
男ではないので、射精できないが、女でもないのにオーガズムでいっていた。
「あう」
「ここ、いいの?この奥」
「あ、やっ」
「いいんだね?」
京楽は、浮竹の奥を抉るように突き上げて、揺さぶった。
「んああああ!」
「子種、いっぱいあげるね?子供ができたら、跡継ぎだ」
「ああああ!」
京楽は、浮竹の未熟な子宮に子種をたっぷり注ぎこんだ。
「ああ‥‥‥‥」
浮竹は、大きくオーガズムでいっていた。
「番にするね?噛むよ?」
「んあっ」
交わりながらうなじに噛みつかれて、浮竹は京楽と番になった。
「ん‥‥‥」
「もっと欲しい?」
「あ、もっと‥‥‥‥‥」
「十四郎は、本当にかわいいね」
「春水、好きだ」
「ボクも好きだよ。ボクだけの歌姫」
一夜を過ごしたが、浮竹はヒート期間がきているので、京楽は浮竹と一週間一緒に過ごした。
「もぉ、やぁ」
「まだ、ヒート期間でしょ?」
「やっ」
京楽は性欲がおおせいだ。
浮竹は、ヒート期間とはいえ元はストイックなので、乱れはするが羞恥心があった。
「ボクの子種、たっぷり受け取ってね」
「ひあああああ!」
一週間交わり、眠り、ヒート期間が過ぎる。
「むう」
「ごめん、機嫌直してよ」
「お前は、やりすぎだ」
「うん。反省してる」
「本当か?」
幸せそうな京楽を見て、浮竹もまぁいいかという気持ちになった。
ヒート期間、快楽の沼に沈んでいた。ヒート期間が過ぎてまともな思考ができるようになったら、交わりすぎだと思ったが、普通のオメガとアルファはそれ以上らしいと言われて、浮竹は納得してしまった。
「君を、正妃にする」
「え」
「ボクはもう決めたよ。父上から王位を来月受け継ぐ。その隣に並ぶ正妃は、十四郎、君だ」
「でも、俺は子が」
「子ができなければ、王族の中から養子をとる。だから、ボクと結婚してください」
プロポーズされて、浮竹は涙を流しながら、それを受け入れた。
「こんな俺で、よければ」
浮竹は、京楽との婚姻から半年後には妊娠し、10カ月後には帝王切開で姫をうんだ。
浮竹は、今でも歌姫として王宮から出てステージで歌ったりしている。
身辺警護は十分にしてあるので、浮竹が攫われるようなことはなかった。
浮竹は、オメガでも国母になれると、オメガの人たちの希望の星になっていた。
「カナリア、万歳!」
「カナリア!!!」
ステージで歌う時、浮竹はカナリアと名乗る。
浮竹がステージで歌うのを、一番いいVIPルームで京楽が聞くのが恒例となっていた。
「じゃあ、歌ってくる、春水」
「うん。新しい曲、楽しみにしているよ」
元奴隷のオメガの歌姫は、今は王妃でありながらアルファの王に歌姫を支えられながら、歌姫を続けるのであった。
実は虫に弱い
朝起きると、フルチンで体操をしている京楽がいた。
最近はパンツをはいていたので、久しぶりにいやなものを見て浮竹は見なかったことにして二度寝しようとした。
「ああ、浮竹ぇ!ボクとマッパで体操して、そのままベッドでも‥‥‥おぶ」
浮竹は、京楽の顔に枕を投げた。
「ああん、愛を感じるよ!」
もそもそと、浮竹のベッドに入ってきたので、浮竹は京楽の股間を思い切り蹴った。
「んがああああああ」
「せめてパンツをはけ!」
「パンツ、全部洗濯しちゃったんだよね」
「じゃあ服だけでも着ろ!」
「パンツないと服きたくないんだよね」
浮竹は大きなため息をついて、まだ使っていない新しいパンツを出すと、京楽の顔に拳と共にめりこませた。
「(*´Д`)ハァハァ。浮竹のパンツ」
「言っとくが、新品だぞ」
「ボク、中古がいいなぁ。浮竹が今はいてるパンツでいいよ?」
「誰がそんな変態行為をするかああああ!」
京楽の頭をグーで殴り、なんとかパンツをはかせた。
京楽は、浮竹のコレクションのパンツを取り出して、スーハースーハーを匂いをかいでから頭にかぶった。
「ああ‥‥やっぱ、こいつもうだめだ」
「今日は休みだね!一緒に朝からにゃんにゃんしよう」
「一人でしとけ。俺は、病のせいでしばらく休んでいたから、補習がある」
「浮竹が出るならボクも行く」
「お前が受けても意味がないだろう」
「いや、浮竹がいないからさぼってたらボクも補習受けろって」
「何をしているんだお前は!」
浮竹が呆れた声を出す。
「だって浮竹がいないんだよ?授業に出てもつまらないじゃない」
「だからって、さぼるな。ちゃんと授業に出ろ」
「浮竹が一緒ならね」
「はぁ‥‥‥‥」
浮竹派大きなため息をついて、京楽に院生服を着させる。頭にかぶっていた浮竹のパンツは没収してゴミ箱いきにした。
「ああ、ボクの神器が!」
「なんで俺のパンツが神器なんだ。ほら、遅れるなよ。一緒に登校するぞ」
「うん♡」
京楽は、浮竹の手を繋いだ。
浮竹は何も言わず、京楽と手を繋いだまま登校する。
「(*´Д`)ハァハァ‥‥‥浮竹とずっと手をはなしたくない」
「いい加減はなせ。お前の手が汗ばんでていやだ」
「京楽汁だよ!さぁ、なめていいよ?」
「なめるかあああ!」
鞄で京楽の頭を殴って手をはなして、浮竹は目を回して倒れた京楽の首根っこを引きずって、教室に向かう。
「ああん、浮竹激しい。夜は寝かせないよ」
「起きてるなら自分で歩け!」
「いやん」
「はぁ‥‥‥」
まだ、残暑も厳しい。
夏は暦の上では終わりだが、30度をこえる日が続いていた。
「暑いな」
「ボクのハートも熱いよ!」
「ああそうか、よかったな。あ、蝉が飛んできた」
ジジジジと鳴く蝉が、開け放った窓から入ってきて、浮竹の肩にとまった。
「ぎやああああああああああああああああああああ」
京楽が、青い顔をして後ずさる。
「ひいいいい、くるなあああ」
「京楽‥‥‥‥お前、虫だめなのか?」
「う、浮竹、はやく窓の外に捨てて!」
「へぇ。虫だめなのか。くくくく‥‥‥」
浮竹は悪役の顔になって、蝉を手に取ると京楽の顔面前までもってくる。
「もぎゃあああああああああ」
結果、京楽は失神した。
「ふむ。京楽が虫が弱いとは‥‥使えるな、これは」
京楽が気づいた時には蝉はもういなくて、補習がはじまっていた。
浮竹と京楽の他にも、授業をばっくれていた生徒も数人混じっていた。
補習が終わって、帰り道になり京楽がべたべたひっつこうとしてくると、浮竹は。
「夏も終わりだが、鈴虫でも飼おうか。いい音色で鳴いてくれる」
「ぎゅああああああ!だめ、絶対だめ!!!」
鈴虫を想像するだけで、京楽はもだえるのであった。
最近はパンツをはいていたので、久しぶりにいやなものを見て浮竹は見なかったことにして二度寝しようとした。
「ああ、浮竹ぇ!ボクとマッパで体操して、そのままベッドでも‥‥‥おぶ」
浮竹は、京楽の顔に枕を投げた。
「ああん、愛を感じるよ!」
もそもそと、浮竹のベッドに入ってきたので、浮竹は京楽の股間を思い切り蹴った。
「んがああああああ」
「せめてパンツをはけ!」
「パンツ、全部洗濯しちゃったんだよね」
「じゃあ服だけでも着ろ!」
「パンツないと服きたくないんだよね」
浮竹は大きなため息をついて、まだ使っていない新しいパンツを出すと、京楽の顔に拳と共にめりこませた。
「(*´Д`)ハァハァ。浮竹のパンツ」
「言っとくが、新品だぞ」
「ボク、中古がいいなぁ。浮竹が今はいてるパンツでいいよ?」
「誰がそんな変態行為をするかああああ!」
京楽の頭をグーで殴り、なんとかパンツをはかせた。
京楽は、浮竹のコレクションのパンツを取り出して、スーハースーハーを匂いをかいでから頭にかぶった。
「ああ‥‥やっぱ、こいつもうだめだ」
「今日は休みだね!一緒に朝からにゃんにゃんしよう」
「一人でしとけ。俺は、病のせいでしばらく休んでいたから、補習がある」
「浮竹が出るならボクも行く」
「お前が受けても意味がないだろう」
「いや、浮竹がいないからさぼってたらボクも補習受けろって」
「何をしているんだお前は!」
浮竹が呆れた声を出す。
「だって浮竹がいないんだよ?授業に出てもつまらないじゃない」
「だからって、さぼるな。ちゃんと授業に出ろ」
「浮竹が一緒ならね」
「はぁ‥‥‥‥」
浮竹派大きなため息をついて、京楽に院生服を着させる。頭にかぶっていた浮竹のパンツは没収してゴミ箱いきにした。
「ああ、ボクの神器が!」
「なんで俺のパンツが神器なんだ。ほら、遅れるなよ。一緒に登校するぞ」
「うん♡」
京楽は、浮竹の手を繋いだ。
浮竹は何も言わず、京楽と手を繋いだまま登校する。
「(*´Д`)ハァハァ‥‥‥浮竹とずっと手をはなしたくない」
「いい加減はなせ。お前の手が汗ばんでていやだ」
「京楽汁だよ!さぁ、なめていいよ?」
「なめるかあああ!」
鞄で京楽の頭を殴って手をはなして、浮竹は目を回して倒れた京楽の首根っこを引きずって、教室に向かう。
「ああん、浮竹激しい。夜は寝かせないよ」
「起きてるなら自分で歩け!」
「いやん」
「はぁ‥‥‥」
まだ、残暑も厳しい。
夏は暦の上では終わりだが、30度をこえる日が続いていた。
「暑いな」
「ボクのハートも熱いよ!」
「ああそうか、よかったな。あ、蝉が飛んできた」
ジジジジと鳴く蝉が、開け放った窓から入ってきて、浮竹の肩にとまった。
「ぎやああああああああああああああああああああ」
京楽が、青い顔をして後ずさる。
「ひいいいい、くるなあああ」
「京楽‥‥‥‥お前、虫だめなのか?」
「う、浮竹、はやく窓の外に捨てて!」
「へぇ。虫だめなのか。くくくく‥‥‥」
浮竹は悪役の顔になって、蝉を手に取ると京楽の顔面前までもってくる。
「もぎゃあああああああああ」
結果、京楽は失神した。
「ふむ。京楽が虫が弱いとは‥‥使えるな、これは」
京楽が気づいた時には蝉はもういなくて、補習がはじまっていた。
浮竹と京楽の他にも、授業をばっくれていた生徒も数人混じっていた。
補習が終わって、帰り道になり京楽がべたべたひっつこうとしてくると、浮竹は。
「夏も終わりだが、鈴虫でも飼おうか。いい音色で鳴いてくれる」
「ぎゅああああああ!だめ、絶対だめ!!!」
鈴虫を想像するだけで、京楽はもだえるのであった。
あるモンスターテイマー
一護はモンスターテイマーだった。
ある日、強いモンスターのテイムを求めて魔物の森という場所に入ったのだが、迷子になった。
「まいったな。どっちからきたんだっけ」
そんな一護を守るのは、小さなフェンリルの子供だった。まだ小さいが、フェンリルとしては覚醒していて、氷のブレスは吐けるし、中級魔法までなら使えた。
「おい、そこの貴様」
「ん、空耳か?」
「そこの貴様だ!」
一護が声のする方を見ると、小さないのししの子供がいた。
「なんだ、罠にはまったのか」
小さないのししの足には、罠の歯がくいこんでいた。
「私は高貴なる存在だぞ。さぁ、遠慮なく私をこの罠から解放するがよい」
「生意気ないのししだな。まぁ、ガキだし食べられても食いでなさそうだしな。助けてやるか」
一護は、いのししの子供を助けた。
「よく助けてくれた。私はこの森の女王の朽木ルキアという。礼に、お前にテイムされてやろう」
「は?いのししの子供だろ。どう見ても弱そうだし虚言癖ありそうだから却下」
「はぁ!?この高貴なる私の言葉を疑うのか!」
「どこが高貴なんだよ!ただの汚いいのししの子供だろ!言葉はしゃべれるから、モンスターみたいだけど」
「汚いとはなんだ!」
「まぁいいか。テイムしてやるよ」
「テイムされてやろう。喜べ」
「ルキアつったっけ。メスか?」
ルキアは、人型になった。
十代半ばくらいの少女の姿になっていた。わりと気品がありそうな顔立ちに、衣服も高価そうなものを着ていた。
「人化できるのか」
「森の女王である私がお前にテイムされてやったのだ。喜べ。今日から貴様は私の下僕だ」
「いや、普通反対じゃないか?」
「うるさい!森の女王の力を見よ!」
ルキアは呪文を唱えると、緑を出した。
ちょっとだけ、雑草が生えた。
「つかえねぇ」
「しゅ、修行中なのだ!」
「ざこモンスターだな。一応テイムしちまったから、衣食住の面倒は見てやらないといけないか」
「だ、誰がざこモンスターだ!私は森の女王だぞ!」
「はいはい。じゃあその衣服だと目立つからこの服着ろ」
一護は、ルキアに自分のかえの衣服を渡す。ルキアの着ている衣服は高価そうで、目立った。
「名前、一応教えとく。俺は黒崎一護。Aランクのモンスターテイマーだ」
「私は朽木ルキア。森の女王だ。き、着替えるからあっちむいてろ」
「いや、まぁ少々かわいいけど、そんな貧相な体見ても俺は嬉しくないし」
「貧相とはなんだ!これから育つのだ!」
一護は、後ろを向いた。その間にルキアは一護の服に着替える。
だぼだぼだった。
それを、一護はかわいいと思ってしまった。
「お前‥‥‥まぁまぁかわいいな」
「美しいと言え!」
「はいはい。んで、雑草を生やす以外に何ができるんだ?」
「ふ。緑を支配できる‥‥‥‥といいなぁ。兄様が権限をもっていらっしゃるから、今は雑草を生やすので精一杯だ」
一護は深くため息をついた。
「つかえねぇ」
「う、うるさい!あと、癒しの魔法が使える。ほら、自分の足の怪我も自分で治したのだ」
「お、まじか!ヒール系ができるモンスターほしかったんだ」
「ふふふふ。役に立ちそうであろう?」
「まぁ、言葉使いが気になるけど、まぁいいか。ルキア、今日からよろしくな」
「うむ。もっと感謝しろ」
こうして、モンスターテイマーの一護はルキアという自称森の女王のモンスターをテイムするのであった。
「よく食うな」
「う、うるさい。ここ数日あの罠でほとんど何も食せていなかったのだ」
一護は、ルキアに食事を提供した。
ここは、魔物の森から一番近い町だった。
宿屋で飯を頼み、ルキアと一護は人間の食事、いつも連れ歩いているフェンリルの子供には肉を食べさせていた。
「女将、おかわり」
「おいおい、まだ食うのかよ。簡便してくれよ」
「まだまだ食えるぞ」
「1回の食事は銀貨1枚まで。今日は特別だぞ。もう銀貨3枚分食ってる」
「なんだ、貴様は貧乏なのか?」
「いや、フェンリルにも装備買ってやりたいし、今のとこクエストはこなしてるけど貯金中だからな。強いモンスターはオークションで売ってるときもあるから」
「ふむ。まぁ、私の衣服を売る許可をやろう。あの服は金貨20枚になる」
「まじかよ!早速売ってくる」
「あ、一護!」
ルキアが止める暇もなく、一護はルキアが着ていた服を手に道具屋までいって売っぱらい、金貨20枚もらってきた。
「いや、助かる。もっと食っていいぞ」
「むう。本当に売ってしまうとは。兄様からもらった服なのに」
「お前の兄ってことは、森の王の朽木白哉か?」
「ああ、そうだ。何故、兄様の名を?」
「お前、まじで森の王の朽木白哉の妹なんだな。白哉は森の王として有名だ。テイムできるような存在じゃない。高次元生命だ。森の王といったら朽木白哉だ。精霊王の一種だろ」
「そうだ。兄様は偉大な存在なのだ」
「その妹がこれか。緑の雑草生やすだけが精一杯なのに、自称森の女王」
ルキアは、顔を真っ赤にして怒る。
「わ、私はまだ修行中なのだ!それに森の管理は兄様がしている」
「ふーん。あ、宿は一緒の部屋だからな」
「き、貴様、最初から私の体が目当てで!」
「はいはい。もっと成長して大人になってから言ってくれ」
「一護、貴様!」
「まぁ、それなりにかわいいけどな」
くしゃりと頭を撫でられて、ルキアは顔を赤くする。結局、宿はルキアと一護は一緒の部屋でベッドも2つあった。ソファーにはフェンリルの子供が寝ることになった。
「兄様。私は、しばしの間この一護という男と旅をしてみようと思います」
ルキアは、真夜中に窓辺のプランターの緑にそう話しかけると、眠った。
黒崎一護というモンスターテイマーと、朽木ルキアという森の女王との旅は、ここから始まるのであった。
ある日、強いモンスターのテイムを求めて魔物の森という場所に入ったのだが、迷子になった。
「まいったな。どっちからきたんだっけ」
そんな一護を守るのは、小さなフェンリルの子供だった。まだ小さいが、フェンリルとしては覚醒していて、氷のブレスは吐けるし、中級魔法までなら使えた。
「おい、そこの貴様」
「ん、空耳か?」
「そこの貴様だ!」
一護が声のする方を見ると、小さないのししの子供がいた。
「なんだ、罠にはまったのか」
小さないのししの足には、罠の歯がくいこんでいた。
「私は高貴なる存在だぞ。さぁ、遠慮なく私をこの罠から解放するがよい」
「生意気ないのししだな。まぁ、ガキだし食べられても食いでなさそうだしな。助けてやるか」
一護は、いのししの子供を助けた。
「よく助けてくれた。私はこの森の女王の朽木ルキアという。礼に、お前にテイムされてやろう」
「は?いのししの子供だろ。どう見ても弱そうだし虚言癖ありそうだから却下」
「はぁ!?この高貴なる私の言葉を疑うのか!」
「どこが高貴なんだよ!ただの汚いいのししの子供だろ!言葉はしゃべれるから、モンスターみたいだけど」
「汚いとはなんだ!」
「まぁいいか。テイムしてやるよ」
「テイムされてやろう。喜べ」
「ルキアつったっけ。メスか?」
ルキアは、人型になった。
十代半ばくらいの少女の姿になっていた。わりと気品がありそうな顔立ちに、衣服も高価そうなものを着ていた。
「人化できるのか」
「森の女王である私がお前にテイムされてやったのだ。喜べ。今日から貴様は私の下僕だ」
「いや、普通反対じゃないか?」
「うるさい!森の女王の力を見よ!」
ルキアは呪文を唱えると、緑を出した。
ちょっとだけ、雑草が生えた。
「つかえねぇ」
「しゅ、修行中なのだ!」
「ざこモンスターだな。一応テイムしちまったから、衣食住の面倒は見てやらないといけないか」
「だ、誰がざこモンスターだ!私は森の女王だぞ!」
「はいはい。じゃあその衣服だと目立つからこの服着ろ」
一護は、ルキアに自分のかえの衣服を渡す。ルキアの着ている衣服は高価そうで、目立った。
「名前、一応教えとく。俺は黒崎一護。Aランクのモンスターテイマーだ」
「私は朽木ルキア。森の女王だ。き、着替えるからあっちむいてろ」
「いや、まぁ少々かわいいけど、そんな貧相な体見ても俺は嬉しくないし」
「貧相とはなんだ!これから育つのだ!」
一護は、後ろを向いた。その間にルキアは一護の服に着替える。
だぼだぼだった。
それを、一護はかわいいと思ってしまった。
「お前‥‥‥まぁまぁかわいいな」
「美しいと言え!」
「はいはい。んで、雑草を生やす以外に何ができるんだ?」
「ふ。緑を支配できる‥‥‥‥といいなぁ。兄様が権限をもっていらっしゃるから、今は雑草を生やすので精一杯だ」
一護は深くため息をついた。
「つかえねぇ」
「う、うるさい!あと、癒しの魔法が使える。ほら、自分の足の怪我も自分で治したのだ」
「お、まじか!ヒール系ができるモンスターほしかったんだ」
「ふふふふ。役に立ちそうであろう?」
「まぁ、言葉使いが気になるけど、まぁいいか。ルキア、今日からよろしくな」
「うむ。もっと感謝しろ」
こうして、モンスターテイマーの一護はルキアという自称森の女王のモンスターをテイムするのであった。
「よく食うな」
「う、うるさい。ここ数日あの罠でほとんど何も食せていなかったのだ」
一護は、ルキアに食事を提供した。
ここは、魔物の森から一番近い町だった。
宿屋で飯を頼み、ルキアと一護は人間の食事、いつも連れ歩いているフェンリルの子供には肉を食べさせていた。
「女将、おかわり」
「おいおい、まだ食うのかよ。簡便してくれよ」
「まだまだ食えるぞ」
「1回の食事は銀貨1枚まで。今日は特別だぞ。もう銀貨3枚分食ってる」
「なんだ、貴様は貧乏なのか?」
「いや、フェンリルにも装備買ってやりたいし、今のとこクエストはこなしてるけど貯金中だからな。強いモンスターはオークションで売ってるときもあるから」
「ふむ。まぁ、私の衣服を売る許可をやろう。あの服は金貨20枚になる」
「まじかよ!早速売ってくる」
「あ、一護!」
ルキアが止める暇もなく、一護はルキアが着ていた服を手に道具屋までいって売っぱらい、金貨20枚もらってきた。
「いや、助かる。もっと食っていいぞ」
「むう。本当に売ってしまうとは。兄様からもらった服なのに」
「お前の兄ってことは、森の王の朽木白哉か?」
「ああ、そうだ。何故、兄様の名を?」
「お前、まじで森の王の朽木白哉の妹なんだな。白哉は森の王として有名だ。テイムできるような存在じゃない。高次元生命だ。森の王といったら朽木白哉だ。精霊王の一種だろ」
「そうだ。兄様は偉大な存在なのだ」
「その妹がこれか。緑の雑草生やすだけが精一杯なのに、自称森の女王」
ルキアは、顔を真っ赤にして怒る。
「わ、私はまだ修行中なのだ!それに森の管理は兄様がしている」
「ふーん。あ、宿は一緒の部屋だからな」
「き、貴様、最初から私の体が目当てで!」
「はいはい。もっと成長して大人になってから言ってくれ」
「一護、貴様!」
「まぁ、それなりにかわいいけどな」
くしゃりと頭を撫でられて、ルキアは顔を赤くする。結局、宿はルキアと一護は一緒の部屋でベッドも2つあった。ソファーにはフェンリルの子供が寝ることになった。
「兄様。私は、しばしの間この一護という男と旅をしてみようと思います」
ルキアは、真夜中に窓辺のプランターの緑にそう話しかけると、眠った。
黒崎一護というモンスターテイマーと、朽木ルキアという森の女王との旅は、ここから始まるのであった。
ある花屋と組長
京楽は、やくざの組長だった。
最近勢力をましてきた違う組の者に命を狙われて、腕を拳銃で撃たれて、その傷を庇いながら裏道を歩くが、途中で力尽きた。
それを拾ったのが、浮竹という名の青年だった。
浮竹は花屋の店員で、帰り道に京楽を見つけて、銃で撃たれているのを見つけて、救急車や警察は呼ばず、自分で傷の手当てをして京楽を自分のマンションのベッドに寝かせていた。
浮竹は裏家業でもぐりの医者をしているので、京楽の怪我を手当することは簡単だった。弾は貫通していて、出血を止血して針と糸で傷口を塗って、ガーゼをあてて包帯を巻いた。
「ここは‥‥‥地獄にしては温かい部屋だねぇ。花が綺麗だ。ここは天国かい?」
「あ、気づいたか?」
浮竹は、京楽の顔を知っていた。
京楽も浮竹の顔を知っていた。
京楽がヤクザの組長であることは知らなかったが、何度か京楽は浮竹が開いている花屋に花を買いにきたことがあった。
「君が、手当してくれたのかい。君、確かあの小さな花屋の店員の‥‥」
「浮竹だ。浮竹十四郎。お前は、腕を撃たれて裏路地で気絶していたんだ。警察や救急車を呼んだらだめだろうから、俺が手当した。痛くないか?一応痛み止めを打とうか?」
「君、ボクの命の恩人だね。ボクは京楽春水。京楽組の組長をしている」
「やっぱり、やくざか」
浮竹は、白いカップにコーヒーを入れてもってきた。
「怖くないの?」
「別に。ここらをしきっているやくざの組長はお人よしで有名だ。どうせなにかのいざこざに巻き込まれてけがをしたんだろう?」
「そうだけど‥‥普通、やくざの組長って聞いたら、怖がって部屋からたたき出すのに」
「ああ‥‥‥‥その心配はない。花屋をしているが、裏家業で闇世界相手の医者をしている。たまに、拳銃で撃たれた者が運び込まれてくる」
「へぇ、じゃあボクの組の者がお世話になってる花屋の医者って君だったんだね」
京楽はベッドから半身を起き上がらせて、浮竹からコーヒーを受け取った。
「本業は花屋だ。医者はまぁ、道楽でやってる」
「それはまぁ‥‥‥‥なんというか、ありがとう」
「変な奴」
「それは君のほうでしょ。やくざの組長を相手に怖がらないなんて」
浮竹は、苦笑する。
「命の恩人をあだなすような男じゃないだろう?」
「うん、まぁそうなんだけど」
京楽は、財布ももっていないことに気づいた。
「治療費っている?」
「いや、俺が勝手に助けただけだからいらない」
「ねぇ、ボクをしばらくかくまってくれない?命を狙われているんだよ」
「こんな狭いマンションでよければいいが。だが、俺にも仕事がある。朝~昼は花屋で、3時から8時まで闇医者だ」
「うん。お礼に、花屋の仕事手伝うよ」
「ケガが治ったらな」
それから、2週間ばかり、京楽は浮竹のマンションで過ごして、怪我の具合が大分よくなってから、本当に浮竹の働く花屋で臨時のバイトとして花屋の仕事をしていた。
「この薔薇はどうすればいいの」
「こっちの花と一緒に花束にしてくれ」
花に囲まれる浮竹は、美しかった。
「ねぇ」
闇医者の時間も終わって、マンションに戻った二人は、食事をとりながら会話をしていた。
「君、ボクの愛人にならない?」
「は?」
浮竹は、マヌケな顔をして口をぽかんとあけていた。
「君を気に入ったんだよ。ボクは欲しいものはたいていなんでも手に入れてきた。君が欲しい」
「な、俺は男だぞ!?」
「関係ないね」
京楽は、食事をし終えてから浮竹を押し倒していた。
浮竹が嫌がらないのをいいことに、最後までやってしまった。
「お前、本気か?」
「君、嫌がらなかったじゃない。けっこうよさそうに、うぐ」
頭をグーで殴られた。
浮竹は顔を赤くして、京楽を睨む。
「せ、責任はとれよ!」
「うん。愛人になるけど。ああ、ちなみにボクは今のとこ他に愛人はいないから」
「京楽‥‥‥‥」
「春水って呼んで?ボクも十四郎って呼ぶから」
「春水」
「うん。十四郎、いいかい?ボクは組に復帰するけど、君は今まで通りの仕事を続けていればいいから。ボクがこのマンションに通うから」
京楽は、その日から本当に浮竹のマンションに出入りするようになった。
組には復帰して、ヤクザとして闇世界で蠢く。
だが、非道なことはなるべくせず、銃をもっている以外は法に触れることはあまりなかった。
「十四郎」
「ああ、春水か。今、仕事が終わる。一緒に帰ろう」
京楽の家は、浮竹のマンションになっていた。
浮竹を愛人としたが、囲うことはせず、自由にさせていた。
それがいけなかった。
抗争中の他の組の者に、浮竹は攫われた。
「十四郎!」
「春水‥‥‥」
長い白い髪を切られ、殴られたのか口を切って血を流している浮竹を見て、京楽は手下の者たちと一緒に暴れて浮竹を救い出す。
「ごめんね、十四郎。もう、こんなことが起きないようにするから」
「別れるって選択肢はないんだな」
「十四郎と別れるなんて無理。十四郎だって、ボクがいなくちゃ体が疼くでしょ?」
「春水!」
真っ赤になって、それでも京楽から手当てを受けた。
「あとは自分でできる。そこまで酷く殴られたわけじゃないから」
「うん。ああ、でも君の綺麗な髪が‥‥切り揃えないとね?」
京楽は、浮竹が自分の手当てを終わらすと、はさみをもってきた。
「ボク、昔は美容師めざしていたんだよ。腕はなまってないと思うから、ボクに揃えさせて?」
浮竹は、京楽に髪を切られていく。
肩より少し長いところで綺麗にそろえられた。
浮竹は、攫われた時少し怖い思いをしたが、闇医者をしていたので闇世界に参ることはなかった。
「今日、抗争相手と決着つけてきたから。ボクの組に吸収合併って形になった」
「そうか」
花屋で、京楽は浮竹が働いているのもかまわずに抱きしめるものだから、浮竹に殴られていた。
「ふふ、ボクを殴れるのはキミくらいだよ」
「もっと殴られたいか?」
「遠慮しとく。医者の仕事終わったら、迎えにいくから」
「分かった」
浮竹は花屋の仕事をしながら、京楽の言葉を聞く。
「あ、待って。この薔薇買うよ」
「誰かに贈るのか?」
「うん。君へ。メッセージカードもつける。愛してるって書いてね」
「は、恥ずかしいやつ!」
高い人工的に作られた青い薔薇を花束にして、京楽は愛しているというメッセージカードをつけて、浮竹に贈った。
「はぁ‥‥‥‥」
受け取った浮竹は、赤い顔をして花束を持つ。
「とっても似合ってるよ。今すぐ抱きたい」
「盛るな!」
浮竹は、京楽の頭をぐーで殴る。
「あはははは」
「笑いごとじゃない‥‥‥なんで、俺、お前の愛人なんてしてるんだろう」
「好きだからでしょ?」
「まぁ‥‥‥‥好きだが‥‥はぁ。今日は疲れた。闇医者稼業は休みにする」
「じゃあ、時間あくね。いい店知ってるんだ。夕飯食べにいかない?」
「ああ、もうお前の好きにしてくれ」
浮竹は長いため息をついて、青い薔薇の花束を大切そうに持つのだった。
最近勢力をましてきた違う組の者に命を狙われて、腕を拳銃で撃たれて、その傷を庇いながら裏道を歩くが、途中で力尽きた。
それを拾ったのが、浮竹という名の青年だった。
浮竹は花屋の店員で、帰り道に京楽を見つけて、銃で撃たれているのを見つけて、救急車や警察は呼ばず、自分で傷の手当てをして京楽を自分のマンションのベッドに寝かせていた。
浮竹は裏家業でもぐりの医者をしているので、京楽の怪我を手当することは簡単だった。弾は貫通していて、出血を止血して針と糸で傷口を塗って、ガーゼをあてて包帯を巻いた。
「ここは‥‥‥地獄にしては温かい部屋だねぇ。花が綺麗だ。ここは天国かい?」
「あ、気づいたか?」
浮竹は、京楽の顔を知っていた。
京楽も浮竹の顔を知っていた。
京楽がヤクザの組長であることは知らなかったが、何度か京楽は浮竹が開いている花屋に花を買いにきたことがあった。
「君が、手当してくれたのかい。君、確かあの小さな花屋の店員の‥‥」
「浮竹だ。浮竹十四郎。お前は、腕を撃たれて裏路地で気絶していたんだ。警察や救急車を呼んだらだめだろうから、俺が手当した。痛くないか?一応痛み止めを打とうか?」
「君、ボクの命の恩人だね。ボクは京楽春水。京楽組の組長をしている」
「やっぱり、やくざか」
浮竹は、白いカップにコーヒーを入れてもってきた。
「怖くないの?」
「別に。ここらをしきっているやくざの組長はお人よしで有名だ。どうせなにかのいざこざに巻き込まれてけがをしたんだろう?」
「そうだけど‥‥普通、やくざの組長って聞いたら、怖がって部屋からたたき出すのに」
「ああ‥‥‥‥その心配はない。花屋をしているが、裏家業で闇世界相手の医者をしている。たまに、拳銃で撃たれた者が運び込まれてくる」
「へぇ、じゃあボクの組の者がお世話になってる花屋の医者って君だったんだね」
京楽はベッドから半身を起き上がらせて、浮竹からコーヒーを受け取った。
「本業は花屋だ。医者はまぁ、道楽でやってる」
「それはまぁ‥‥‥‥なんというか、ありがとう」
「変な奴」
「それは君のほうでしょ。やくざの組長を相手に怖がらないなんて」
浮竹は、苦笑する。
「命の恩人をあだなすような男じゃないだろう?」
「うん、まぁそうなんだけど」
京楽は、財布ももっていないことに気づいた。
「治療費っている?」
「いや、俺が勝手に助けただけだからいらない」
「ねぇ、ボクをしばらくかくまってくれない?命を狙われているんだよ」
「こんな狭いマンションでよければいいが。だが、俺にも仕事がある。朝~昼は花屋で、3時から8時まで闇医者だ」
「うん。お礼に、花屋の仕事手伝うよ」
「ケガが治ったらな」
それから、2週間ばかり、京楽は浮竹のマンションで過ごして、怪我の具合が大分よくなってから、本当に浮竹の働く花屋で臨時のバイトとして花屋の仕事をしていた。
「この薔薇はどうすればいいの」
「こっちの花と一緒に花束にしてくれ」
花に囲まれる浮竹は、美しかった。
「ねぇ」
闇医者の時間も終わって、マンションに戻った二人は、食事をとりながら会話をしていた。
「君、ボクの愛人にならない?」
「は?」
浮竹は、マヌケな顔をして口をぽかんとあけていた。
「君を気に入ったんだよ。ボクは欲しいものはたいていなんでも手に入れてきた。君が欲しい」
「な、俺は男だぞ!?」
「関係ないね」
京楽は、食事をし終えてから浮竹を押し倒していた。
浮竹が嫌がらないのをいいことに、最後までやってしまった。
「お前、本気か?」
「君、嫌がらなかったじゃない。けっこうよさそうに、うぐ」
頭をグーで殴られた。
浮竹は顔を赤くして、京楽を睨む。
「せ、責任はとれよ!」
「うん。愛人になるけど。ああ、ちなみにボクは今のとこ他に愛人はいないから」
「京楽‥‥‥‥」
「春水って呼んで?ボクも十四郎って呼ぶから」
「春水」
「うん。十四郎、いいかい?ボクは組に復帰するけど、君は今まで通りの仕事を続けていればいいから。ボクがこのマンションに通うから」
京楽は、その日から本当に浮竹のマンションに出入りするようになった。
組には復帰して、ヤクザとして闇世界で蠢く。
だが、非道なことはなるべくせず、銃をもっている以外は法に触れることはあまりなかった。
「十四郎」
「ああ、春水か。今、仕事が終わる。一緒に帰ろう」
京楽の家は、浮竹のマンションになっていた。
浮竹を愛人としたが、囲うことはせず、自由にさせていた。
それがいけなかった。
抗争中の他の組の者に、浮竹は攫われた。
「十四郎!」
「春水‥‥‥」
長い白い髪を切られ、殴られたのか口を切って血を流している浮竹を見て、京楽は手下の者たちと一緒に暴れて浮竹を救い出す。
「ごめんね、十四郎。もう、こんなことが起きないようにするから」
「別れるって選択肢はないんだな」
「十四郎と別れるなんて無理。十四郎だって、ボクがいなくちゃ体が疼くでしょ?」
「春水!」
真っ赤になって、それでも京楽から手当てを受けた。
「あとは自分でできる。そこまで酷く殴られたわけじゃないから」
「うん。ああ、でも君の綺麗な髪が‥‥切り揃えないとね?」
京楽は、浮竹が自分の手当てを終わらすと、はさみをもってきた。
「ボク、昔は美容師めざしていたんだよ。腕はなまってないと思うから、ボクに揃えさせて?」
浮竹は、京楽に髪を切られていく。
肩より少し長いところで綺麗にそろえられた。
浮竹は、攫われた時少し怖い思いをしたが、闇医者をしていたので闇世界に参ることはなかった。
「今日、抗争相手と決着つけてきたから。ボクの組に吸収合併って形になった」
「そうか」
花屋で、京楽は浮竹が働いているのもかまわずに抱きしめるものだから、浮竹に殴られていた。
「ふふ、ボクを殴れるのはキミくらいだよ」
「もっと殴られたいか?」
「遠慮しとく。医者の仕事終わったら、迎えにいくから」
「分かった」
浮竹は花屋の仕事をしながら、京楽の言葉を聞く。
「あ、待って。この薔薇買うよ」
「誰かに贈るのか?」
「うん。君へ。メッセージカードもつける。愛してるって書いてね」
「は、恥ずかしいやつ!」
高い人工的に作られた青い薔薇を花束にして、京楽は愛しているというメッセージカードをつけて、浮竹に贈った。
「はぁ‥‥‥‥」
受け取った浮竹は、赤い顔をして花束を持つ。
「とっても似合ってるよ。今すぐ抱きたい」
「盛るな!」
浮竹は、京楽の頭をぐーで殴る。
「あはははは」
「笑いごとじゃない‥‥‥なんで、俺、お前の愛人なんてしてるんだろう」
「好きだからでしょ?」
「まぁ‥‥‥‥好きだが‥‥はぁ。今日は疲れた。闇医者稼業は休みにする」
「じゃあ、時間あくね。いい店知ってるんだ。夕飯食べにいかない?」
「ああ、もうお前の好きにしてくれ」
浮竹は長いため息をついて、青い薔薇の花束を大切そうに持つのだった。
オメガバース恋白13
「恋次」
「どうしたんすか隊長」
「呼んでみただけだ」
白哉は、恋次の腕の中にいた。
ヒート期間中で、交わり続けていた。
「あっ」
「まだいけますよね?」
「んっ」
何度か恋次は白哉の中に精液を注ぎ込んでいるし、オメガである白哉は秘所が自然と濡れる。
「もっかいしていいっすか?]
「好きにするといい」
「じゃあ‥‥‥‥」
「あう」
恋次は白哉の蕾に己をあてがい、貫く。
「ああああ!」
もう、今日は3度目か4度目の行為だった。
何度抱かれても、白哉は初心な反応をする。
「ああ、隊長の中最高っす」
「恋次‥‥‥もっと、奥まで」
「はい」
「ひあう」
白哉が求めると、恋次はそれにこたえる。
「あ、あ、あ」
とんとんとリズムをつけて突き上げると、白哉は背をしらなせてオーガズムで中いきをしていた。
「んあああ」
「隊長‥‥‥好きです」
「あ、恋次、私もだ」
ヒート期間中は交わり続けて、あとは食事をして風呂に入り眠るだけだ。
眠る時間は多いけれど、起きている時間はたいてい交わっていた。
「中にぶちまけますよ」
「うあっ」
どくどくと精液を恋次は白哉の子宮に注ぎ込む。
「こんなに出されたら、孕んでしまう」
「子供できたらちゃんと産んでくださいね」
「恋次‥‥‥‥」
恋次は知っていた。白哉が行為の後必ずアフターピルを飲むことを。
恋次の子ができるのがいやなわけではない。
ただ、子を生む勇気と恋次をとりあえげられるのが怖いのだ。
子が生まれれば、恋次は白哉だけのものではなくなる。
「子は、まだ産まぬ」
「はい。それでもいいっす」
「恋次、もっと‥‥‥」
「隊長、今日はこのへんにしときましょう。まだヒート期間きて2日目ですよ。ずっと交わってたら、体力がもたない」
「それでもよい。もう一度、抱け」
「隊長‥‥‥本当にあんたって人は」
恋次は、また白哉を貫く。
「今日はこれで最後ですからね。俺のほうがもたない」
「ひああああ!」
白哉は奥を突きあげられ、抉られて潮をふく。
「淫らになっちゃって」
「あ、恋次、兄のせいだ」
「はい、そうですね」
恋次は角度を変えて白哉を貫き、揺さぶった。
「あああ」
「隊長」
「あ、恋次」
お互いを抱きしめあいながら、高みへとのぼる。
「んっ」
「あ、隊長‥‥‥すげぇいい」
行為が終わると、白哉は湯あみをするといって風呂に消えてしまった。
ちゃんと、アフターピルを飲んで。
「隊長‥‥‥‥俺との間に子供できるのいやなのかな」
「いやというわけではないが、子供を産むと育てなければならないであろう。まだその覚悟ができておらぬ」
「ぬお、隊長いつの間に風呂からあがってきたんすか」
「さっきだ」
「まだ15分しかたってないっすよ」
「恋次ともう一度入ろうと思ってな」
「あの、俺もう無理っすよ。やりすぎて抱けません」
白哉は、くすりと笑う。
「私とて、今日はもう十分だ。恋次、共に風呂に入ろう」
「はい。隊長の望むままに」
恋次は、白哉に甘い。
そもそも、白哉が我儘を言い出すことがほとんどないのだ。
一緒に風呂に入り、同じ布団で眠る。
ヒート期間なので、白哉は眠っていることがおおい。恋次はそんな時書物なんかを読んで時間をつぶす。
「ん‥‥‥朝か」
「あ、朝食用言されてますよ」
「うむ。行こう」
「はい」
ヒート期間中は別邸で過ごすのだが、食事を恋次が作る時もあるが、たいてい料理人を雇って食事を用意してもらい、なるべく二人きりで過ごした。
朝からやや豪勢な食事をして、白哉はまた眠ってしまった。
昼に起きる頃には、恋次に抱いてくれと言い出していた。
恋次も、番になった白哉を満足させるために、薬を飲んだりするのだった。
「どうしたんすか隊長」
「呼んでみただけだ」
白哉は、恋次の腕の中にいた。
ヒート期間中で、交わり続けていた。
「あっ」
「まだいけますよね?」
「んっ」
何度か恋次は白哉の中に精液を注ぎ込んでいるし、オメガである白哉は秘所が自然と濡れる。
「もっかいしていいっすか?]
「好きにするといい」
「じゃあ‥‥‥‥」
「あう」
恋次は白哉の蕾に己をあてがい、貫く。
「ああああ!」
もう、今日は3度目か4度目の行為だった。
何度抱かれても、白哉は初心な反応をする。
「ああ、隊長の中最高っす」
「恋次‥‥‥もっと、奥まで」
「はい」
「ひあう」
白哉が求めると、恋次はそれにこたえる。
「あ、あ、あ」
とんとんとリズムをつけて突き上げると、白哉は背をしらなせてオーガズムで中いきをしていた。
「んあああ」
「隊長‥‥‥好きです」
「あ、恋次、私もだ」
ヒート期間中は交わり続けて、あとは食事をして風呂に入り眠るだけだ。
眠る時間は多いけれど、起きている時間はたいてい交わっていた。
「中にぶちまけますよ」
「うあっ」
どくどくと精液を恋次は白哉の子宮に注ぎ込む。
「こんなに出されたら、孕んでしまう」
「子供できたらちゃんと産んでくださいね」
「恋次‥‥‥‥」
恋次は知っていた。白哉が行為の後必ずアフターピルを飲むことを。
恋次の子ができるのがいやなわけではない。
ただ、子を生む勇気と恋次をとりあえげられるのが怖いのだ。
子が生まれれば、恋次は白哉だけのものではなくなる。
「子は、まだ産まぬ」
「はい。それでもいいっす」
「恋次、もっと‥‥‥」
「隊長、今日はこのへんにしときましょう。まだヒート期間きて2日目ですよ。ずっと交わってたら、体力がもたない」
「それでもよい。もう一度、抱け」
「隊長‥‥‥本当にあんたって人は」
恋次は、また白哉を貫く。
「今日はこれで最後ですからね。俺のほうがもたない」
「ひああああ!」
白哉は奥を突きあげられ、抉られて潮をふく。
「淫らになっちゃって」
「あ、恋次、兄のせいだ」
「はい、そうですね」
恋次は角度を変えて白哉を貫き、揺さぶった。
「あああ」
「隊長」
「あ、恋次」
お互いを抱きしめあいながら、高みへとのぼる。
「んっ」
「あ、隊長‥‥‥すげぇいい」
行為が終わると、白哉は湯あみをするといって風呂に消えてしまった。
ちゃんと、アフターピルを飲んで。
「隊長‥‥‥‥俺との間に子供できるのいやなのかな」
「いやというわけではないが、子供を産むと育てなければならないであろう。まだその覚悟ができておらぬ」
「ぬお、隊長いつの間に風呂からあがってきたんすか」
「さっきだ」
「まだ15分しかたってないっすよ」
「恋次ともう一度入ろうと思ってな」
「あの、俺もう無理っすよ。やりすぎて抱けません」
白哉は、くすりと笑う。
「私とて、今日はもう十分だ。恋次、共に風呂に入ろう」
「はい。隊長の望むままに」
恋次は、白哉に甘い。
そもそも、白哉が我儘を言い出すことがほとんどないのだ。
一緒に風呂に入り、同じ布団で眠る。
ヒート期間なので、白哉は眠っていることがおおい。恋次はそんな時書物なんかを読んで時間をつぶす。
「ん‥‥‥朝か」
「あ、朝食用言されてますよ」
「うむ。行こう」
「はい」
ヒート期間中は別邸で過ごすのだが、食事を恋次が作る時もあるが、たいてい料理人を雇って食事を用意してもらい、なるべく二人きりで過ごした。
朝からやや豪勢な食事をして、白哉はまた眠ってしまった。
昼に起きる頃には、恋次に抱いてくれと言い出していた。
恋次も、番になった白哉を満足させるために、薬を飲んだりするのだった。
ある冒険者たち
京楽と浮竹は、同じ里に生まれた。
同い年だった。
ある日、里が襲撃を受けてまだ幼かった京楽と浮竹は奴隷として売られていってしまった。二人は互いに互いを必要として、なかなか離れなかったので、買い取るのも一緒ということにされた。
一度離れ離れにした時、浮竹は体が弱いのを悪化させて血を吐いた。
京楽を傍に置くと、血は吐かなくなった。
何かの魔法のような効果を京楽はもっているらしい。
「ねぇ、自由になったら何がしたい?」
「うーん、いろんな場所にいってみたい。旅人に、いや冒険者になるのが夢だ」
「じゃあ、一緒にいつか冒険者になろう」
「ああ」
二人は、買い手がつかないまま数年が過ぎた。
浮竹は美しい少年になっていた。京楽はかっこよい少年になっていた。
「喜べ、お前たちの買い手がついた。二人そろってだ。今まで世話してきた額も出してもらえた。ご主人様に尽くすんだぞ」
奴隷商人の言葉に、浮竹が涙を滲ませる。
「一緒に買われるのは嬉しいけど、自由がほしい」
「浮竹、それは言っちゃいけないよ」
奴隷商人は、浮竹の背中にむちを打つ。
「ほら、さっさと歩け!」
「いた‥‥‥」
そこへ、浮竹と京楽を買った富豪の男がやってくる。
「ふむ。身なりは汚いが磨けば綺麗になるだろう。浮竹だったか。お前は性奴隷だ。京楽は戦闘奴隷だ。コロシアムに出てもらう」
浮竹は、主人となった男の言葉に目を見開く。
「いやだ!俺も戦闘奴隷にしてくれ!」
「お前は体が弱いそうじゃないか。何より見た目がいい。性奴隷はお前一人じゃないし、従順になるように仕込まないとな」
「浮竹!!!」
主人となった男に連れ去られていく浮竹に、京楽が手を伸ばすが鎖でつながれているために止められない。
次に主人がやってきた時、京楽は浮竹と会うことを要求したが、却下されて食事を与えられて、身なりをそれなりにこぎれいにされて風呂にいれられ、戦闘奴隷としてコロシアムでデビューした。戦闘には全て勝った。
次の日には、浮竹と出会えた。
「浮竹!」
浮竹の瞳に光はなく、暗い目をしていた。
主である男に手籠めにされて、浮竹は京楽の胸の中で静かに泣いた。
「京楽‥‥‥俺は汚された。いっそ、死んでしまいたい」
「だめだよ浮竹!いつか、ボクらは自由になるんだ!」
京楽は、主を浮竹を汚したことで殴りかかったが、他の奴隷たちに取り押さえられて、3日間飯ぬきの刑にされた。
その間も、浮竹は性奴隷として主から寵愛を受けていた。
浮竹は長い白髪に白い肌、翡翠の瞳をもつ美少女と見間違う見た目をしていた。
京楽も浮竹も、14になったばかりだった。
まだやや幼い。
男性としての成長が遅れている浮竹は、中性的で、装い一つで美少女になれた。
京楽も見惚れたほどに、浮竹は美しかった。
だが、浮竹の顔からは笑顔が消えて、翡翠色の瞳が綺麗に輝くことはなかった。
京楽は、コロシアムで勝ちまくって、大金を得た。ほとんどを没収されたが、自分で自分を買うことができて、解放奴隷となった。
そのままコロシアムで金をためて、浮竹を買い取った。
主である男はなかなか浮竹を手放したくないらしくて、大金をふっかけてきたのが、コロシアムで大金を稼いでいるので、京楽は浮竹を買い戻せた。
「浮竹、これからはボクが一緒にずっといるから」
「本当に?もう、体を売らなくていい?」
「そんなことする必要はないよ」
「じゃあ、京楽が俺を抱いてくれ」
「浮竹?」
京楽は困った顔をした。
「お前に抱かれたい。あの男に汚されたままでいるのはいやだ」
「うん、分かった」
その日の夜、京楽は浮竹を抱いた。
浮竹が意識を飛ばしている間に、町に買い物に出かけて、冒険者になる用意をしておいた。
「ん‥‥‥‥‥京楽?」
「おはよう。傍にちゃんといるよ。今日はゆっくりしよう。お金ならあるから。明日、冒険者ギルドに登録しにいこう」
「うん‥‥‥‥」
浮竹は、やや赤くなって、頷いた。
浮竹は京楽のことが好きだった。主であった男に手籠めにされた時も、普通に抱かれる時も相手は京楽だと思い込むことで、自害を防いでいた。
「京楽‥‥‥俺、お前のことが好きだ」
「ボクも君のことが好きだよ。幼いころからずっと。好きじゃなきゃ、君を抱いたりしない」
「うん」
浮竹は、ぽろぽろと大粒の涙を零して、京楽に抱きしめられていた。
8歳の頃奴隷にされ、14で買いとられるまで奴隷としてこき使われて、17で自由になった。
浮竹の心の傷は大きいが、京楽は浮竹が壊れてしまうぎりぎりのところで、自分の手元に戻せた。
17歳の冬に、二人は冒険者ギルドに登録して、夢だった冒険者になった。
二人はペアを組んだ。
戦闘は京楽が担当で、浮竹は治癒魔法の素質があったので、治癒術師になっていた。
「いつもすまない。俺が戦えなくて‥‥‥‥」
「いいんだよ。守りたいし。それに、傷を癒してもらえるお陰で、ちょっとした無茶もできるしね」
「京楽、その‥‥‥」
「どうしたの?」
「今日、俺を抱いてくれないか。性奴隷だったせいで、誰かに抱かれないとうずうずするんだ」
「うん、分かったよ」
京楽は、その日の夜も浮竹を抱いた。
浮竹はまるで高級男娼のようだった。
「京楽、お前がいやなら、俺は」
「ううん。君が大切だし、君をもう他の男に抱かせたくない」
「京楽、ありがとう」
浮竹の翡翠の瞳に光が戻っていた。
二人は、世界中を旅してまわった。
20の時、Aランク冒険者になり、それなりに名が売れ始めると、元奴隷であったことがばらされて、ひそひそと噂されるようになった。
浮竹がAランク冒険者になったのは、試験官に抱かれたせいだとか、心にもない噂が出回って、浮竹はそれに酷く傷ついた。
京楽は、そんな噂をする相手を殴った。
21の頃、同性でも結婚できる国を知り、そこで二人は静かに式を挙げた。
また、世界中を旅した。
空島という、ほとんど誰も到達できなかった場所までたどりついた。
22の頃、Sランク冒険者になっていた。
京楽も浮竹も、自分のことをただの人間だと思っていたが、見た目が少年の頃からあまり変わらないので、調べてもらうとエルフの血を引いていることが分かった。
浮竹と京楽は、エルフの里に行ってみた。
エルフの里は静かなところだった。
探してみると、浮竹の曾祖父になるエルフが生きていて、二人は出会い、幾日かそのエルフの家に泊まった。
京楽の祖先はすでに死んでいて、見つけれたのは浮竹の曾祖父だけだった。
二人は、また旅に出た。
金をためて、昔の自分たちのように苦しんでいる奴隷を買いとって解放奴隷にして、独り立ちできるまで面倒をみたりしていた。
気づくと、27歳になっていた。
エルフの血のせいで、見た目は少年であったが、熟練の冒険者になっていた。
二人は違う異世界に行く方法を見つけて、世界から旅立った。
異世界でも、二人はいつも一緒に旅をしていた。
「なぁ、今幸せか?俺は幸せだ。お前の傍にいれて、毎日が旅で新鮮で。京楽がいるから、俺は俺でいられた」
「ボクも幸せだよ。君の傍にいれるから」
二人は笑い合って、旅を続けた。
やがて、世界の果てを見つけて、そこで二人はひっそりと自給自足の生活をはじめる。
京楽は伝説の剣士になっていて、浮竹はその名を知らぬ者がいない賢者になっていた。
世界の果てで暮らし、たまに元の世界に戻って冒険者として活動してみたり。自由きままに生きた。
100を過ぎる頃には、普通の人間なら死んでいるのだが、覚醒遺伝らしく、エルフの血が濃い二人は若い姿のまま、世界を冒険しつくて、隠居生活をしていた。
「京楽、いい魚が手に入ったぞ」
「お。ちょうど蒸し焼きにいい野菜が収穫時期なんだよ」
「じゃあ、今日は昼から畑の仕事をしようか」
「浮竹、書きかけの本はいいの?」
「ああ。時間はいくらでもあるからな」
200になる頃、若い姿のまま、浮竹が病を悪化させて死の床についた。
京楽はずっとそばにいて、浮竹が息を引き取るのを見守った。
「京楽‥‥‥‥幸せ、だった。俺を愛してくれて、ありが、とう」
「浮竹、ボクも幸せだったよ。先に逝ってね。ボクも近いうちにそっちにいくから」
京楽は、浮竹が死んだ3年後に、あとを追うように静かに死んだ。
異世界の住人に墓を建ててもらい、二人は一緒に埋葬されて、眠るのだった。
同い年だった。
ある日、里が襲撃を受けてまだ幼かった京楽と浮竹は奴隷として売られていってしまった。二人は互いに互いを必要として、なかなか離れなかったので、買い取るのも一緒ということにされた。
一度離れ離れにした時、浮竹は体が弱いのを悪化させて血を吐いた。
京楽を傍に置くと、血は吐かなくなった。
何かの魔法のような効果を京楽はもっているらしい。
「ねぇ、自由になったら何がしたい?」
「うーん、いろんな場所にいってみたい。旅人に、いや冒険者になるのが夢だ」
「じゃあ、一緒にいつか冒険者になろう」
「ああ」
二人は、買い手がつかないまま数年が過ぎた。
浮竹は美しい少年になっていた。京楽はかっこよい少年になっていた。
「喜べ、お前たちの買い手がついた。二人そろってだ。今まで世話してきた額も出してもらえた。ご主人様に尽くすんだぞ」
奴隷商人の言葉に、浮竹が涙を滲ませる。
「一緒に買われるのは嬉しいけど、自由がほしい」
「浮竹、それは言っちゃいけないよ」
奴隷商人は、浮竹の背中にむちを打つ。
「ほら、さっさと歩け!」
「いた‥‥‥」
そこへ、浮竹と京楽を買った富豪の男がやってくる。
「ふむ。身なりは汚いが磨けば綺麗になるだろう。浮竹だったか。お前は性奴隷だ。京楽は戦闘奴隷だ。コロシアムに出てもらう」
浮竹は、主人となった男の言葉に目を見開く。
「いやだ!俺も戦闘奴隷にしてくれ!」
「お前は体が弱いそうじゃないか。何より見た目がいい。性奴隷はお前一人じゃないし、従順になるように仕込まないとな」
「浮竹!!!」
主人となった男に連れ去られていく浮竹に、京楽が手を伸ばすが鎖でつながれているために止められない。
次に主人がやってきた時、京楽は浮竹と会うことを要求したが、却下されて食事を与えられて、身なりをそれなりにこぎれいにされて風呂にいれられ、戦闘奴隷としてコロシアムでデビューした。戦闘には全て勝った。
次の日には、浮竹と出会えた。
「浮竹!」
浮竹の瞳に光はなく、暗い目をしていた。
主である男に手籠めにされて、浮竹は京楽の胸の中で静かに泣いた。
「京楽‥‥‥俺は汚された。いっそ、死んでしまいたい」
「だめだよ浮竹!いつか、ボクらは自由になるんだ!」
京楽は、主を浮竹を汚したことで殴りかかったが、他の奴隷たちに取り押さえられて、3日間飯ぬきの刑にされた。
その間も、浮竹は性奴隷として主から寵愛を受けていた。
浮竹は長い白髪に白い肌、翡翠の瞳をもつ美少女と見間違う見た目をしていた。
京楽も浮竹も、14になったばかりだった。
まだやや幼い。
男性としての成長が遅れている浮竹は、中性的で、装い一つで美少女になれた。
京楽も見惚れたほどに、浮竹は美しかった。
だが、浮竹の顔からは笑顔が消えて、翡翠色の瞳が綺麗に輝くことはなかった。
京楽は、コロシアムで勝ちまくって、大金を得た。ほとんどを没収されたが、自分で自分を買うことができて、解放奴隷となった。
そのままコロシアムで金をためて、浮竹を買い取った。
主である男はなかなか浮竹を手放したくないらしくて、大金をふっかけてきたのが、コロシアムで大金を稼いでいるので、京楽は浮竹を買い戻せた。
「浮竹、これからはボクが一緒にずっといるから」
「本当に?もう、体を売らなくていい?」
「そんなことする必要はないよ」
「じゃあ、京楽が俺を抱いてくれ」
「浮竹?」
京楽は困った顔をした。
「お前に抱かれたい。あの男に汚されたままでいるのはいやだ」
「うん、分かった」
その日の夜、京楽は浮竹を抱いた。
浮竹が意識を飛ばしている間に、町に買い物に出かけて、冒険者になる用意をしておいた。
「ん‥‥‥‥‥京楽?」
「おはよう。傍にちゃんといるよ。今日はゆっくりしよう。お金ならあるから。明日、冒険者ギルドに登録しにいこう」
「うん‥‥‥‥」
浮竹は、やや赤くなって、頷いた。
浮竹は京楽のことが好きだった。主であった男に手籠めにされた時も、普通に抱かれる時も相手は京楽だと思い込むことで、自害を防いでいた。
「京楽‥‥‥俺、お前のことが好きだ」
「ボクも君のことが好きだよ。幼いころからずっと。好きじゃなきゃ、君を抱いたりしない」
「うん」
浮竹は、ぽろぽろと大粒の涙を零して、京楽に抱きしめられていた。
8歳の頃奴隷にされ、14で買いとられるまで奴隷としてこき使われて、17で自由になった。
浮竹の心の傷は大きいが、京楽は浮竹が壊れてしまうぎりぎりのところで、自分の手元に戻せた。
17歳の冬に、二人は冒険者ギルドに登録して、夢だった冒険者になった。
二人はペアを組んだ。
戦闘は京楽が担当で、浮竹は治癒魔法の素質があったので、治癒術師になっていた。
「いつもすまない。俺が戦えなくて‥‥‥‥」
「いいんだよ。守りたいし。それに、傷を癒してもらえるお陰で、ちょっとした無茶もできるしね」
「京楽、その‥‥‥」
「どうしたの?」
「今日、俺を抱いてくれないか。性奴隷だったせいで、誰かに抱かれないとうずうずするんだ」
「うん、分かったよ」
京楽は、その日の夜も浮竹を抱いた。
浮竹はまるで高級男娼のようだった。
「京楽、お前がいやなら、俺は」
「ううん。君が大切だし、君をもう他の男に抱かせたくない」
「京楽、ありがとう」
浮竹の翡翠の瞳に光が戻っていた。
二人は、世界中を旅してまわった。
20の時、Aランク冒険者になり、それなりに名が売れ始めると、元奴隷であったことがばらされて、ひそひそと噂されるようになった。
浮竹がAランク冒険者になったのは、試験官に抱かれたせいだとか、心にもない噂が出回って、浮竹はそれに酷く傷ついた。
京楽は、そんな噂をする相手を殴った。
21の頃、同性でも結婚できる国を知り、そこで二人は静かに式を挙げた。
また、世界中を旅した。
空島という、ほとんど誰も到達できなかった場所までたどりついた。
22の頃、Sランク冒険者になっていた。
京楽も浮竹も、自分のことをただの人間だと思っていたが、見た目が少年の頃からあまり変わらないので、調べてもらうとエルフの血を引いていることが分かった。
浮竹と京楽は、エルフの里に行ってみた。
エルフの里は静かなところだった。
探してみると、浮竹の曾祖父になるエルフが生きていて、二人は出会い、幾日かそのエルフの家に泊まった。
京楽の祖先はすでに死んでいて、見つけれたのは浮竹の曾祖父だけだった。
二人は、また旅に出た。
金をためて、昔の自分たちのように苦しんでいる奴隷を買いとって解放奴隷にして、独り立ちできるまで面倒をみたりしていた。
気づくと、27歳になっていた。
エルフの血のせいで、見た目は少年であったが、熟練の冒険者になっていた。
二人は違う異世界に行く方法を見つけて、世界から旅立った。
異世界でも、二人はいつも一緒に旅をしていた。
「なぁ、今幸せか?俺は幸せだ。お前の傍にいれて、毎日が旅で新鮮で。京楽がいるから、俺は俺でいられた」
「ボクも幸せだよ。君の傍にいれるから」
二人は笑い合って、旅を続けた。
やがて、世界の果てを見つけて、そこで二人はひっそりと自給自足の生活をはじめる。
京楽は伝説の剣士になっていて、浮竹はその名を知らぬ者がいない賢者になっていた。
世界の果てで暮らし、たまに元の世界に戻って冒険者として活動してみたり。自由きままに生きた。
100を過ぎる頃には、普通の人間なら死んでいるのだが、覚醒遺伝らしく、エルフの血が濃い二人は若い姿のまま、世界を冒険しつくて、隠居生活をしていた。
「京楽、いい魚が手に入ったぞ」
「お。ちょうど蒸し焼きにいい野菜が収穫時期なんだよ」
「じゃあ、今日は昼から畑の仕事をしようか」
「浮竹、書きかけの本はいいの?」
「ああ。時間はいくらでもあるからな」
200になる頃、若い姿のまま、浮竹が病を悪化させて死の床についた。
京楽はずっとそばにいて、浮竹が息を引き取るのを見守った。
「京楽‥‥‥‥幸せ、だった。俺を愛してくれて、ありが、とう」
「浮竹、ボクも幸せだったよ。先に逝ってね。ボクも近いうちにそっちにいくから」
京楽は、浮竹が死んだ3年後に、あとを追うように静かに死んだ。
異世界の住人に墓を建ててもらい、二人は一緒に埋葬されて、眠るのだった。
犬か猫か
「恋次、兄は大型犬のようだな」
「え、そうっすか?俺全然犬っぽくないっすよ?」
「いや、犬すぎる」
白哉は思う。
お手とお座りはできる。
ただし、けっこう待てができない。
白哉が煽情的な姿をしていたり、そんな言動をすると、白哉は「待て」を発動させるのだが、恋次は見えない大きな犬の尻尾を振って、白哉を押し倒す。
もう、犬すぎる。
「6番隊でとってみたアンケートだ」
紙には、恋次は大型犬か小型犬か野良猫か家猫かという4種がかかれていて、全部の紙に大型犬に〇がついていた。
「ええっ、俺どっちかっていうと家猫っすよ!」
「どこがだ」
「いや、だって‥‥‥」
「よいか、兄は大型犬だ。お手とお座りはできる。だが、待てができない」
「できますよ?」
白哉は、おもむろに隊長羽織を脱いで、死覇装を着くずす。
「た、隊長‥‥‥鎖骨とか見えてます」
「待て」
「隊長、抱かせてください」
「やはり、待てができぬな」
「待てできないでいいっす。隊長が誘って‥‥‥‥」
白哉は、抱きついてきた恋次を抱きしめ返して、ふっと笑う。
やっぱり、恋次は大型犬だ。
ある程度しつけはなっているが「待て」ができない。
そう結論づけるのであった。
キスをしてくる恋次から離れると、恋次は怒られた大型犬のようにしゅんとなる。
「隊長‥‥」
「待てだ、恋次」
「できないっす」
「兄は駄犬か」
「駄犬でもいいっす」
「ま、待てだ。その気はない」
白哉は、完全に恋次のペースに流されている。
「待てはできないでいいっす。隊長、好きです」
「あっ」
恋次が鎖骨に噛みついてきてから、深いキスをしてくる。
白哉の体も熱をもちはじめる。
自分からしかけたこととはいえ、こうまでなるとは思っていなかったので、目を閉じる。
「隊長‥‥‥‥‥」
恋次の鼓動の音が聞こえる。
それが、白哉を安心させた。
「兄は、本当に仕方のないやつだ」
「隊長が誘ってきたんですからね?」
「分かっている」
白哉は、恋次の肩に噛みつく。
「ちなみに、私の場合は高級な家猫というアンケート結果だった」
「隊長は確かに犬より猫っぽいですね」
「まぁ、どうでもよい。続きをするのか?しないのか?」
白哉は、恋次の頬を白い出て撫でる。
「続き、します。褥いきましょう」
「ふ‥‥‥」
夜は、まだはじまったばかりであった。
「え、そうっすか?俺全然犬っぽくないっすよ?」
「いや、犬すぎる」
白哉は思う。
お手とお座りはできる。
ただし、けっこう待てができない。
白哉が煽情的な姿をしていたり、そんな言動をすると、白哉は「待て」を発動させるのだが、恋次は見えない大きな犬の尻尾を振って、白哉を押し倒す。
もう、犬すぎる。
「6番隊でとってみたアンケートだ」
紙には、恋次は大型犬か小型犬か野良猫か家猫かという4種がかかれていて、全部の紙に大型犬に〇がついていた。
「ええっ、俺どっちかっていうと家猫っすよ!」
「どこがだ」
「いや、だって‥‥‥」
「よいか、兄は大型犬だ。お手とお座りはできる。だが、待てができない」
「できますよ?」
白哉は、おもむろに隊長羽織を脱いで、死覇装を着くずす。
「た、隊長‥‥‥鎖骨とか見えてます」
「待て」
「隊長、抱かせてください」
「やはり、待てができぬな」
「待てできないでいいっす。隊長が誘って‥‥‥‥」
白哉は、抱きついてきた恋次を抱きしめ返して、ふっと笑う。
やっぱり、恋次は大型犬だ。
ある程度しつけはなっているが「待て」ができない。
そう結論づけるのであった。
キスをしてくる恋次から離れると、恋次は怒られた大型犬のようにしゅんとなる。
「隊長‥‥」
「待てだ、恋次」
「できないっす」
「兄は駄犬か」
「駄犬でもいいっす」
「ま、待てだ。その気はない」
白哉は、完全に恋次のペースに流されている。
「待てはできないでいいっす。隊長、好きです」
「あっ」
恋次が鎖骨に噛みついてきてから、深いキスをしてくる。
白哉の体も熱をもちはじめる。
自分からしかけたこととはいえ、こうまでなるとは思っていなかったので、目を閉じる。
「隊長‥‥‥‥‥」
恋次の鼓動の音が聞こえる。
それが、白哉を安心させた。
「兄は、本当に仕方のないやつだ」
「隊長が誘ってきたんですからね?」
「分かっている」
白哉は、恋次の肩に噛みつく。
「ちなみに、私の場合は高級な家猫というアンケート結果だった」
「隊長は確かに犬より猫っぽいですね」
「まぁ、どうでもよい。続きをするのか?しないのか?」
白哉は、恋次の頬を白い出て撫でる。
「続き、します。褥いきましょう」
「ふ‥‥‥」
夜は、まだはじまったばかりであった。
白哉がニャン
夜一と会った。
それは別にどうでもよかった。
たまには一緒に飲まないかと誘われて、白哉はそれを了承した。夜一は酒豪で、いつも一緒に飲む恋次のように酔いつぶれることなく、長い間一緒に飲めた。
夜一が、最近お気に入りだという酒を勧められて、それを飲んだのが間違いだった。
「ふふふ、飲んだな?」
「なんだというのだ]
「その酒には涅マユリが作った薬が混ざっている」
「夜一、兄は何を‥‥‥」
白哉は、ドクンと心臓が鼓動をうつのを感じていた。
「何、少しの間猫になる薬だ。共に夜の散歩でもしようではないか」
「何をばかな‥‥」
夜一は、黒猫の姿になる。
白哉は、体が熱くなるのを感じていた。きづくと、高貴そうなオッドアイの白猫になっていた。
「ふむ、白哉は白猫か」
「にゃあああ」
「ああ、言葉までは話せぬか。まぁ、2~3時間もすれば人の姿に戻れる。それまで散歩でもしようではないか」
「にゃあ!(無責任なことを)」
「まぁよいではないか。そうだ、恋次を呼んでおいた。お主が猫になったと知ったら、どんな顔をするだろうな?」
「にゃああ(恋次を呼んだだと?)」
白哉がにゃあにゃあ言ってる間に、恋次がやってきた。
「あれ?夜一さんと隊長がいない?」
「にゃあああ(恋次、私だ)」
「お、この黒猫は夜一さんっすかね。こっちの白猫は?」
「にゃああ(恋次)」
「恋次、私は散歩に行くゆえその白猫を頼むぞ」
「あ、はい、夜一さん」
黒猫の姿の夜一は、着ていた着物を口でくわてえ去ってしまった。
「この白猫‥‥‥まさか、隊長だなんてことないですよね?」
「にゃあにゃああああ(そうだ、その通りだ)」
「確か昨日夜一さんから渡された猫じゃらしが‥‥お、あったあった」
恋次は、白猫が白哉であることなど気づきもせずに、荷物から猫じゃらしをだして白哉の前で振る。
「うにゃああ!!!(か、体が勝手に)」
「あははは、かわいいなぁ。野良じゃないな。隊長が新しく飼った猫かな?」
「にゃあああ(恋次、私は白哉だ)」
白哉はにゃあにゃあ訴えるが、恋次には届かない。
「それにしても隊長どこいったんだろ」
恋次は、白猫になってしまった白哉を抱っこして、喉元をくすぐる。
「にゃん(うぬ、気持ちいい‥‥)」
恋次は、白哉を撫でまくったり、猫用のおもちゃを出して遊んでいた。
やがて、2~3時間が経過して白哉は元に戻った。完全にではないが。
「はええええ、隊長!?」
「愚か者にゃん。夜一に薬を飲まされて猫になっていたのだにゃん」
幸いなことに、来ている服ごと猫化したので、変身が解いても裸という醜態晒すことはなかったが、語尾にニャンがつき、さらに頭には猫耳に尻尾もあった。
「く、夜一めにゃん。後でおぼえていろにゃん」
「隊長‥‥‥かわいいーーー」
「ぎにゃああああああああ」
恋次に思い切り抱き着かれて、白哉は叫んでいた。
猫の尻尾をピーンと立てて、恋次と距離をとる。
「な、恋次、おちつけにゃん」
「語尾ににゃんがつく隊長‥‥」
「抱きつくなにゃん!」
「隊長が白猫だって分かってたらもっとスキンシップとったのに」
恋次は、十分白猫になっていた白哉と遊んだが、白猫が白哉だったと知って、ちょっともっと触っておけばよかったと後悔する。
「隊長、夜は長いですよ?」
「な、何をする気だにゃん」
「猫耳と尻尾あるんすね」
「な、なんだにゃん」
「かわいいいいいいいい」
「ぎにゃああああああああああああああ」
恋次に思い切り頬ずりされて、白哉は尻尾も耳も立てて、恋次を怒る。
「恋次!何をするのだにゃん」
「いや、向こうに褥まで用意されてるし‥‥‥」
「あれは夜一が寝たいと言っていたから用意させただけだにゃん」
恋次は、白哉を姫抱きにすると褥に押し倒した。
「隊長‥‥‥俺、我慢できません」
「や、やめろにゃん」
「食べちゃっていいっすよね?」
「だめだにゃん」
「隊長、好きです」
「あっ」
結局、白哉は恋次に抱かれた。
「んっ」
恋次に着物を脱がされて、布団の上に縫い付けるように拘束される。
「んあっ」
小さい喘ぎ声では語尾ににゃんはつかないらしい。
胸の先端を舐め転がされて、恋次は白哉のものに手をははせてしごきあげると、白哉は最近恋次としていなかったので、少し濃いめの精子を吐き出していた。
「隊長、自分で処理とかしなかったんすね。濃い」
「う、うるさいにゃん」
「きもちいい?」
「にゃああああ」
ゆるゆると白哉は己のものを扱われて、熱に濡れた目で恋次を見る。
「ああ、俺がもう限界っす」
潤滑油を何故携帯しているのだと問いたいが、恋次は潤滑油に濡れた指を白哉の蕾にいれてばらばらに動かす」
「ん」
「挿入れますよ?」
「にゃあああああ」
ズンと抉られて、白哉はドライのオーガズムでいっていた。
「やああああ」
奥を抉られて、胎の奥が疼いた。
「あ、もっとにゃん」
「隊長、かわいい」
「にゃあっ」
恋次は、白哉のよいところを突き上げる。
「にゃっ」
白哉は猫のように鳴く。
「もっと?」
恋次にそう聞かれて、白哉はこくこくと頷く。
「隊長‥‥‥一緒にいきましょう」
「ああああ‥‥にゃああああ」
恋次に攻められて、白哉は意識を混濁させていく。
夜があけた頃には語尾のにゃんも猫耳も尻尾も綺麗に消えていた。
「ああ、もったいない」
「恋次。兄は‥‥‥‥」
「すんません、隊長。かわいすぎて自制がききませんでしたーーー!!」
がばりと土下座する恋次を見て、白哉はため息を零す。
「猫化して隙を見せたのは私だ。だが、もうこのような真似はするなよ」
「んー、それはわかんないっす」
「恋次!」
「はい、すみません!」
「全く、兄という男は‥‥‥‥」
白哉はまたため息を零すのであった。
それは別にどうでもよかった。
たまには一緒に飲まないかと誘われて、白哉はそれを了承した。夜一は酒豪で、いつも一緒に飲む恋次のように酔いつぶれることなく、長い間一緒に飲めた。
夜一が、最近お気に入りだという酒を勧められて、それを飲んだのが間違いだった。
「ふふふ、飲んだな?」
「なんだというのだ]
「その酒には涅マユリが作った薬が混ざっている」
「夜一、兄は何を‥‥‥」
白哉は、ドクンと心臓が鼓動をうつのを感じていた。
「何、少しの間猫になる薬だ。共に夜の散歩でもしようではないか」
「何をばかな‥‥」
夜一は、黒猫の姿になる。
白哉は、体が熱くなるのを感じていた。きづくと、高貴そうなオッドアイの白猫になっていた。
「ふむ、白哉は白猫か」
「にゃあああ」
「ああ、言葉までは話せぬか。まぁ、2~3時間もすれば人の姿に戻れる。それまで散歩でもしようではないか」
「にゃあ!(無責任なことを)」
「まぁよいではないか。そうだ、恋次を呼んでおいた。お主が猫になったと知ったら、どんな顔をするだろうな?」
「にゃああ(恋次を呼んだだと?)」
白哉がにゃあにゃあ言ってる間に、恋次がやってきた。
「あれ?夜一さんと隊長がいない?」
「にゃあああ(恋次、私だ)」
「お、この黒猫は夜一さんっすかね。こっちの白猫は?」
「にゃああ(恋次)」
「恋次、私は散歩に行くゆえその白猫を頼むぞ」
「あ、はい、夜一さん」
黒猫の姿の夜一は、着ていた着物を口でくわてえ去ってしまった。
「この白猫‥‥‥まさか、隊長だなんてことないですよね?」
「にゃあにゃああああ(そうだ、その通りだ)」
「確か昨日夜一さんから渡された猫じゃらしが‥‥お、あったあった」
恋次は、白猫が白哉であることなど気づきもせずに、荷物から猫じゃらしをだして白哉の前で振る。
「うにゃああ!!!(か、体が勝手に)」
「あははは、かわいいなぁ。野良じゃないな。隊長が新しく飼った猫かな?」
「にゃあああ(恋次、私は白哉だ)」
白哉はにゃあにゃあ訴えるが、恋次には届かない。
「それにしても隊長どこいったんだろ」
恋次は、白猫になってしまった白哉を抱っこして、喉元をくすぐる。
「にゃん(うぬ、気持ちいい‥‥)」
恋次は、白哉を撫でまくったり、猫用のおもちゃを出して遊んでいた。
やがて、2~3時間が経過して白哉は元に戻った。完全にではないが。
「はええええ、隊長!?」
「愚か者にゃん。夜一に薬を飲まされて猫になっていたのだにゃん」
幸いなことに、来ている服ごと猫化したので、変身が解いても裸という醜態晒すことはなかったが、語尾にニャンがつき、さらに頭には猫耳に尻尾もあった。
「く、夜一めにゃん。後でおぼえていろにゃん」
「隊長‥‥‥かわいいーーー」
「ぎにゃああああああああ」
恋次に思い切り抱き着かれて、白哉は叫んでいた。
猫の尻尾をピーンと立てて、恋次と距離をとる。
「な、恋次、おちつけにゃん」
「語尾ににゃんがつく隊長‥‥」
「抱きつくなにゃん!」
「隊長が白猫だって分かってたらもっとスキンシップとったのに」
恋次は、十分白猫になっていた白哉と遊んだが、白猫が白哉だったと知って、ちょっともっと触っておけばよかったと後悔する。
「隊長、夜は長いですよ?」
「な、何をする気だにゃん」
「猫耳と尻尾あるんすね」
「な、なんだにゃん」
「かわいいいいいいいい」
「ぎにゃああああああああああああああ」
恋次に思い切り頬ずりされて、白哉は尻尾も耳も立てて、恋次を怒る。
「恋次!何をするのだにゃん」
「いや、向こうに褥まで用意されてるし‥‥‥」
「あれは夜一が寝たいと言っていたから用意させただけだにゃん」
恋次は、白哉を姫抱きにすると褥に押し倒した。
「隊長‥‥‥俺、我慢できません」
「や、やめろにゃん」
「食べちゃっていいっすよね?」
「だめだにゃん」
「隊長、好きです」
「あっ」
結局、白哉は恋次に抱かれた。
「んっ」
恋次に着物を脱がされて、布団の上に縫い付けるように拘束される。
「んあっ」
小さい喘ぎ声では語尾ににゃんはつかないらしい。
胸の先端を舐め転がされて、恋次は白哉のものに手をははせてしごきあげると、白哉は最近恋次としていなかったので、少し濃いめの精子を吐き出していた。
「隊長、自分で処理とかしなかったんすね。濃い」
「う、うるさいにゃん」
「きもちいい?」
「にゃああああ」
ゆるゆると白哉は己のものを扱われて、熱に濡れた目で恋次を見る。
「ああ、俺がもう限界っす」
潤滑油を何故携帯しているのだと問いたいが、恋次は潤滑油に濡れた指を白哉の蕾にいれてばらばらに動かす」
「ん」
「挿入れますよ?」
「にゃあああああ」
ズンと抉られて、白哉はドライのオーガズムでいっていた。
「やああああ」
奥を抉られて、胎の奥が疼いた。
「あ、もっとにゃん」
「隊長、かわいい」
「にゃあっ」
恋次は、白哉のよいところを突き上げる。
「にゃっ」
白哉は猫のように鳴く。
「もっと?」
恋次にそう聞かれて、白哉はこくこくと頷く。
「隊長‥‥‥一緒にいきましょう」
「ああああ‥‥にゃああああ」
恋次に攻められて、白哉は意識を混濁させていく。
夜があけた頃には語尾のにゃんも猫耳も尻尾も綺麗に消えていた。
「ああ、もったいない」
「恋次。兄は‥‥‥‥」
「すんません、隊長。かわいすぎて自制がききませんでしたーーー!!」
がばりと土下座する恋次を見て、白哉はため息を零す。
「猫化して隙を見せたのは私だ。だが、もうこのような真似はするなよ」
「んー、それはわかんないっす」
「恋次!」
「はい、すみません!」
「全く、兄という男は‥‥‥‥」
白哉はまたため息を零すのであった。
偽りの姫君と海賊
浮竹十四郎。
彼は、ソウルソサエティ王国の王子として生まれてきた。
しかし、ソウルソサエティ王国には魔女の呪いがかけられていて、男児が生まれると成人する前に命を落とす。
国王と王妃は、生まれてきた浮竹を、姫として育てることにした。
浮竹には姉と妹がいたが、浮竹が男であるということは知らなかった。浮竹が本当は王子であるということは、両親と一部の者を除いて知らなかった。
そんなソウルソサエティ王国に、近隣の海を荒らしまわっている海賊の京楽春水が、王女の身代金目的で王女を攫いにやってきた。
浮竹は姉と妹を隠して庇い、自分が拉致られた。
姫を凌辱しようとしていた京楽は、浮竹を汚そうとした。
身代金を払っても返す気はなく、奴隷として売ろうと思っていた。京楽は非情な海賊であった。
「残念だったな。俺は姫として育てられてきたが、実は王子だ。お前のものにはならない」
京楽は、浮竹の美貌に虜になっていた。
「それだけ綺麗なら、男でも構わないよ」
「え?」
浮竹は、京楽に汚された。
けれど、行為はすごく優しくて、きもちのいいものだった。
「京楽、俺を汚したのならもう気はすんだだろう。俺を解放してくれ。身代金はもう払われたはずだ」
「普通は、君を人買いに売るんだけどね。君を気に入ったよ。ボクのものにする」
京楽は、浮竹を口説きはじめた。
すでに肉体関係をもってしまっているので、順序が逆なのだが、京楽は気にすることなく浮竹を口説いた。
「君が好きになった。ボクだけのものになってよ」
「もう、お前は俺を汚して一度自分のものにしただろう。それでは満足できないのか?」
「ボクは海賊の京楽だよ。望んだものは全て手に入れる」
大量の身代金を払ったのに、帰ってこない浮竹に、国王と王妃は国をあげて救出作戦を展開し、京楽のいる海賊船は狙われることとなった。
京楽はすぐに海賊船を動かして、浮竹の両親の手が届かない遠い海域に行ってしまった。
「君の帰る場所はもうないよ。諦めてボクのものになりなよ」
「断る。悪逆非道な海賊のものになる気はない」
「じゃあ、ボクは善人になる」
その日から、悪逆非道と恐れられた京楽春水は消えた。
海賊稼業はすれど、人質の命は守り、金品だけを奪っていく。
人々を奴隷として売ることもなくなり、貧しい地域に金をばらまいた。
「ねぇ、ボクいい子になったよ。ボクのものになってよ」
「お前はすでに俺を汚しているだろう」
「あれはなかったことにする。もう一度、君を手に入れる」
浮竹は、再び京楽に抱かれた。
姫のドレス姿で。
「ああ!」
自分のものをくわえられて、浮竹は我慢できずに射精してしまう。
「ふふ、姫と思っていたら男だった。でも、ボクにはそんなことどっちでもいいよ。ボクは浮竹、君に惚れたんだよ」
「いやああああ」
浮竹は、京楽に貫かれて涙を零した。
汚されるのは二度目。
「やああ」
「でも、体は喜んでるよ?」
「やっ」
最奥を抉られて、浮竹は身をよじる。
「さぁ、ボクのものを注ぎ込んであげるから、ボクの子を孕んでね?姫として育てられたんだからさぉ」
「やああああ」
浮竹は、京楽に蹂躙されるが、不思議と死にたいとかそういうことは思わなかった。
「あ!」
どくんと大量の精液を胎の奥に注がれて、浮竹は意識を失った。
浮竹が気づいた時には、浮竹は違うドレスを着せられてベッドで横になっていた。
「俺は、性奴隷になったのか」
「違うよ。ボクの恋人だよ?」
ベッドの傍にいた京楽が、浮竹の頬を撫でる。
「京楽春水。どんなに望んでも、俺の心はあげない」
「ふふ、それはいつまでもつかな?」
誰も知り合いのいない海賊の船で、しゃべれるのは京楽とだけであった。
京楽は何度も浮竹を抱いた。
そのたびに身がとろけそうな快感を与えられた。
もう、京楽なしでは生きていけないような体になっていた。
「あ、京楽、早くう」
「ふふ、淫乱になったね?ボクだけのお姫様は」
「んあああああ!!!」
胎に精液を出されて、浮竹は女のようにいっていた。
もう、ソウルソサエティ王国には戻れない。
こんな汚れた体と心では。
浮竹は、半年以上も時間をかけられて、京楽の手の中に落ちていった。
「あ、孕んじゃううう」
「ふふ、僕だけのお姫様は孕めないくせに孕むっていうんだね。でも、君が男でよかった。女だと、ボクの手下たちにも汚されていた」
「それはいやあああ」
「浮竹なら男でも構わないって、君を汚そうとしていた部下は多かったよ。力でねじ伏せたけど」
「んあああ。京楽、京楽」
「浮竹‥‥‥‥好きだよ」
好きと言われるのも何度目だろうか。
もう、浮竹には何がなんだか分からなくなっていた。
そんな関係が一年続いた頃、京楽は海賊を辞めた。奪ってきた金銀財宝ではるか東国に屋敷を建て、海賊を解散させて浮竹と二人ですむようになった。
「浮竹、ボクのことは好きかい?」
「あ、好き」
もう、すりこまされた。
「侍女を雇うけど、いいよね?」
「京楽の好きなようにしてくれ。俺は、京楽が傍にいてくれるなら、それでいい」
「ふふふ‥‥‥‥君を手に入れるのに一年かかった。もう、逃がさない」
二人で静かに生活しだして三年が経つ頃、ソウルソサエティ王国の兵士が浮竹の居場所を掴んで救出にやってきた。
浮竹は、首を横に振って、一緒に帰るという選択をしなかった。
「もう、俺は京楽のものだ。京楽のものでいたい」
「しかし、姫殿下」
「俺は姫じゃない。もう、ソウルソサエティ王国に帰る気もない。ソウルソサエティ王国に帰るには身も心も汚い」
「姫殿下が王子というのは分かっています。とにかく、一度お戻りに」
「ボクの浮竹を連れ出そうっていうの?殺すよ?」
「京楽、殺さないでくれ!」
浮竹が懇願すると、京楽は兵士たちを叩きの占めたが命まではとらなかった。
「こんな辺境の地にいるのに、情報がもれたんだね。浮竹、引っ越しするよ。もっと遠くに逃げよう」
「分かった、京楽」
浮竹は、京楽に必要とされているので生きていた。
ソウルソサエティ王国にいた時代、誰にも必要とされず、はれもののように扱われていたが、両親は確かに浮竹を愛してくれていた。
でも、もっと誰かに必要とされたかった。
京楽に攫われて汚されて、出会いは最悪だったけれど、浮竹は京楽に抱かれるたびに愛を囁かれて、京楽のものになり、京楽の言葉を聞くようになっていた。
「荷物をまとめる」
「うん。浮竹はいい子だね」
「お前だけだ。俺を必要と言ってくれるのは」
「そうだよ。ボクだけだから。さぁ、ソウルソサエティ王国の手が伸びない遠国までにげるよ」
「分かった」
金目になるものを手に、二人は海に出た。
もう、京楽は海賊ではなくなっていた。
浮竹と暮らすようになって、海賊をやめて自分たちの農園で野菜を育てて、自給自足穏やかな生活を送っていた。
浮竹も、満足していた。
「さぁ、また一からやり直しだよ。ついてこれる、浮竹?」
「お前が行く場所なら、どこまでも」
浮竹は、はじめは洗脳されたようなかんじだったが、今は心から京楽を愛していた。
「さぁ、愛の逃避行といこうじゃないの」
「ああ」
二人は東の果ての果ての島国に居を構え、静かに暮らしていくのであった。
彼は、ソウルソサエティ王国の王子として生まれてきた。
しかし、ソウルソサエティ王国には魔女の呪いがかけられていて、男児が生まれると成人する前に命を落とす。
国王と王妃は、生まれてきた浮竹を、姫として育てることにした。
浮竹には姉と妹がいたが、浮竹が男であるということは知らなかった。浮竹が本当は王子であるということは、両親と一部の者を除いて知らなかった。
そんなソウルソサエティ王国に、近隣の海を荒らしまわっている海賊の京楽春水が、王女の身代金目的で王女を攫いにやってきた。
浮竹は姉と妹を隠して庇い、自分が拉致られた。
姫を凌辱しようとしていた京楽は、浮竹を汚そうとした。
身代金を払っても返す気はなく、奴隷として売ろうと思っていた。京楽は非情な海賊であった。
「残念だったな。俺は姫として育てられてきたが、実は王子だ。お前のものにはならない」
京楽は、浮竹の美貌に虜になっていた。
「それだけ綺麗なら、男でも構わないよ」
「え?」
浮竹は、京楽に汚された。
けれど、行為はすごく優しくて、きもちのいいものだった。
「京楽、俺を汚したのならもう気はすんだだろう。俺を解放してくれ。身代金はもう払われたはずだ」
「普通は、君を人買いに売るんだけどね。君を気に入ったよ。ボクのものにする」
京楽は、浮竹を口説きはじめた。
すでに肉体関係をもってしまっているので、順序が逆なのだが、京楽は気にすることなく浮竹を口説いた。
「君が好きになった。ボクだけのものになってよ」
「もう、お前は俺を汚して一度自分のものにしただろう。それでは満足できないのか?」
「ボクは海賊の京楽だよ。望んだものは全て手に入れる」
大量の身代金を払ったのに、帰ってこない浮竹に、国王と王妃は国をあげて救出作戦を展開し、京楽のいる海賊船は狙われることとなった。
京楽はすぐに海賊船を動かして、浮竹の両親の手が届かない遠い海域に行ってしまった。
「君の帰る場所はもうないよ。諦めてボクのものになりなよ」
「断る。悪逆非道な海賊のものになる気はない」
「じゃあ、ボクは善人になる」
その日から、悪逆非道と恐れられた京楽春水は消えた。
海賊稼業はすれど、人質の命は守り、金品だけを奪っていく。
人々を奴隷として売ることもなくなり、貧しい地域に金をばらまいた。
「ねぇ、ボクいい子になったよ。ボクのものになってよ」
「お前はすでに俺を汚しているだろう」
「あれはなかったことにする。もう一度、君を手に入れる」
浮竹は、再び京楽に抱かれた。
姫のドレス姿で。
「ああ!」
自分のものをくわえられて、浮竹は我慢できずに射精してしまう。
「ふふ、姫と思っていたら男だった。でも、ボクにはそんなことどっちでもいいよ。ボクは浮竹、君に惚れたんだよ」
「いやああああ」
浮竹は、京楽に貫かれて涙を零した。
汚されるのは二度目。
「やああ」
「でも、体は喜んでるよ?」
「やっ」
最奥を抉られて、浮竹は身をよじる。
「さぁ、ボクのものを注ぎ込んであげるから、ボクの子を孕んでね?姫として育てられたんだからさぉ」
「やああああ」
浮竹は、京楽に蹂躙されるが、不思議と死にたいとかそういうことは思わなかった。
「あ!」
どくんと大量の精液を胎の奥に注がれて、浮竹は意識を失った。
浮竹が気づいた時には、浮竹は違うドレスを着せられてベッドで横になっていた。
「俺は、性奴隷になったのか」
「違うよ。ボクの恋人だよ?」
ベッドの傍にいた京楽が、浮竹の頬を撫でる。
「京楽春水。どんなに望んでも、俺の心はあげない」
「ふふ、それはいつまでもつかな?」
誰も知り合いのいない海賊の船で、しゃべれるのは京楽とだけであった。
京楽は何度も浮竹を抱いた。
そのたびに身がとろけそうな快感を与えられた。
もう、京楽なしでは生きていけないような体になっていた。
「あ、京楽、早くう」
「ふふ、淫乱になったね?ボクだけのお姫様は」
「んあああああ!!!」
胎に精液を出されて、浮竹は女のようにいっていた。
もう、ソウルソサエティ王国には戻れない。
こんな汚れた体と心では。
浮竹は、半年以上も時間をかけられて、京楽の手の中に落ちていった。
「あ、孕んじゃううう」
「ふふ、僕だけのお姫様は孕めないくせに孕むっていうんだね。でも、君が男でよかった。女だと、ボクの手下たちにも汚されていた」
「それはいやあああ」
「浮竹なら男でも構わないって、君を汚そうとしていた部下は多かったよ。力でねじ伏せたけど」
「んあああ。京楽、京楽」
「浮竹‥‥‥‥好きだよ」
好きと言われるのも何度目だろうか。
もう、浮竹には何がなんだか分からなくなっていた。
そんな関係が一年続いた頃、京楽は海賊を辞めた。奪ってきた金銀財宝ではるか東国に屋敷を建て、海賊を解散させて浮竹と二人ですむようになった。
「浮竹、ボクのことは好きかい?」
「あ、好き」
もう、すりこまされた。
「侍女を雇うけど、いいよね?」
「京楽の好きなようにしてくれ。俺は、京楽が傍にいてくれるなら、それでいい」
「ふふふ‥‥‥‥君を手に入れるのに一年かかった。もう、逃がさない」
二人で静かに生活しだして三年が経つ頃、ソウルソサエティ王国の兵士が浮竹の居場所を掴んで救出にやってきた。
浮竹は、首を横に振って、一緒に帰るという選択をしなかった。
「もう、俺は京楽のものだ。京楽のものでいたい」
「しかし、姫殿下」
「俺は姫じゃない。もう、ソウルソサエティ王国に帰る気もない。ソウルソサエティ王国に帰るには身も心も汚い」
「姫殿下が王子というのは分かっています。とにかく、一度お戻りに」
「ボクの浮竹を連れ出そうっていうの?殺すよ?」
「京楽、殺さないでくれ!」
浮竹が懇願すると、京楽は兵士たちを叩きの占めたが命まではとらなかった。
「こんな辺境の地にいるのに、情報がもれたんだね。浮竹、引っ越しするよ。もっと遠くに逃げよう」
「分かった、京楽」
浮竹は、京楽に必要とされているので生きていた。
ソウルソサエティ王国にいた時代、誰にも必要とされず、はれもののように扱われていたが、両親は確かに浮竹を愛してくれていた。
でも、もっと誰かに必要とされたかった。
京楽に攫われて汚されて、出会いは最悪だったけれど、浮竹は京楽に抱かれるたびに愛を囁かれて、京楽のものになり、京楽の言葉を聞くようになっていた。
「荷物をまとめる」
「うん。浮竹はいい子だね」
「お前だけだ。俺を必要と言ってくれるのは」
「そうだよ。ボクだけだから。さぁ、ソウルソサエティ王国の手が伸びない遠国までにげるよ」
「分かった」
金目になるものを手に、二人は海に出た。
もう、京楽は海賊ではなくなっていた。
浮竹と暮らすようになって、海賊をやめて自分たちの農園で野菜を育てて、自給自足穏やかな生活を送っていた。
浮竹も、満足していた。
「さぁ、また一からやり直しだよ。ついてこれる、浮竹?」
「お前が行く場所なら、どこまでも」
浮竹は、はじめは洗脳されたようなかんじだったが、今は心から京楽を愛していた。
「さぁ、愛の逃避行といこうじゃないの」
「ああ」
二人は東の果ての果ての島国に居を構え、静かに暮らしていくのであった。
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