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稀人と皇太子8

苺花が10歳になった。

一護は29歳に、ルキアは28歳になっていた。

だが、ルキアの見た目は未だに16歳くらいの少女だった。

有翼人の寿命は200年と人より長く、また若い時間が多い。一護が確実に年齢をとっていくのを、ルキアはどこか悲しみの心で見ていた。

「そんな顔すんなよ。今日は、苺花の誕生日パーティーだろ?」

国をあげての祝い事になっていた。

時期女帝である苺花は、幼い頃から帝王学を学ばされており、剣術や魔法も教えられていた。

ルキアは、歌声を媒介に魔法のようなものを使う。

一護は、回復魔法が得意だ。

苺花は、その二人のどれとも似ていない、水の魔法が得意であった。

ちなみに、剣術は京楽に、魔法は浮竹から学んでいた。

浮竹と京楽は、ルキアと共に、このソウル帝国の行く末を見守るであろう。

「父上、母上、ご機嫌麗しゅう」

レディーとしてのマナーがついた優雅なお辞儀をされて、一護もルキアも親ばか全開で、にまにまする。

「苺花、プレゼントだ」

一護が、大きな布で隠されていたものの布を取り去る。

「わぁ、小鳥さんだ。綺麗」

赤、青、黄、緑の虹色の羽根をもつ、小鳥だった。

希少種で、手に入れるのに苦労した。

「大切にするね、父上」

「苺花、私からはこれだ」

ルキアが渡したのは、お揃いのマフラー、手袋、上着、耳当てというもうすぐくる冬のための装いだった。

「母上、ありがとう!今年の冬は寒くなりそうだから、大切に使うね?」

ソウル帝国の冬はけっこう厳しい。マイナス10度まで下がる。

ストーブは欠かせなくて、魔道ストーブが人気だった。魔導士たちがこめた魔力で動く、自動式のストーブだった。

魔道ストーブが流通しはじめて、火事がぐんと減った。

暖炉もまだ生活に欠かせなかったが、魔法でない火を使ったストーブのせいで火事が昔はよく起こった。


「ルキア、愛している」

「一護、私もだ」

ルキアと一護は、今日も幸せだった。

一護は、皇帝という立場上、他に4人の夫人がいたが、一護に愛されなくても平気で、子を成してそれぞれ故郷に報告などに戻っている。

皇宮で、一護とルキアが二人きりになるのは久しぶりであった。

「抱いていいか?」

「いちいち聞くな」

ルキアと一護は、キスをして互いの服を脱がせあい、一護はルキアの秘所に舌をはわす。

「んあ!」

くちゅくちゅと音がして、一護はルキアの陰核をきゅっとつまみあげると、ルキアはびくんとオーガズムでいく。

「んああ、そこはだめぇ」

「ルキア、挿入れるぞ」

「あああん!」

久し振りにルキアの中を堪能する。

もちろん避妊用にコンドームをつけている。

「ひあああ!」

ルキアのGスポットをごりごりと抉って、一護はコンドームの中に精液を出す。

「あ、もっとお」

ルキアの求めに、一護も応じる。

「ルキア、愛してる」

「あああ、一護、ひああ!」

秘所はびしょびしょに濡れて、一護のものを締め付ける。

「く、またいく‥‥‥‥」

一護は、コンドームの中に2回目の精子を出していた。

本当なら、生で交わりたいが、もしもルキアが子を妊娠したら、ルキアは出産の時命を落とす。なので、堕胎するしかない。

堕胎自体も危険なので、一護は終わった後に念のためアフターピルをルキアに飲ませた。

「ふふ、一護は私のことが相変わらず好きだな?」

「ああ、そうだよ。俺はいつでもルキアが一番だ。他の夫人を愛してないわけじゃないが、一番はルキアだ」

ルキアは安堵したかのように、眠りにつく。

一護には、今子供が5人いる。

苺花の他の4人は、4人の夫人との間にできた子だった。4夫人は、それぞれの国で我が子を皇帝にしろと言われているだろうが、ルキアと一護の絆のように、一護との間に見えぬ絆ができていて、自分の子を次期皇帝にしろという夫人はいなかった。

ルキアは、元々前の第2夫人、第3夫人がいたので、今の4夫人がいる暮らしに慣れていた。

何より、今の4夫人はルキアと苺花に危害を加えない。

4人の夫人とルキアも仲良くやっていた。

ルキアの金色の羽根を身に着けると、金運があがるとかいうデマが一時期流れ、ルキアは羽根を欲しいといってくる人間が多すぎて、一時隔離されていた。

匿われたのは元後宮で、4夫人たちが世話をしてくれた。

そんなこともあって、ルキアと4夫人たちは仲がいい。

一護は、そんな正妃であるルキアと4夫人と5人の子に囲まれて、幸せだった。

5人の子のうち3人が女児で、苺花は婿を迎えるとして、他の二人の女児の嫁入り先を今から考える羽目になる。すでに10件ほどの縁談の申しこみがあった。

一護はうなりながら、とりあえず婚約者を決めるのだが、婚姻は我が子の自由を尊重する。

一護は帝国でも、代々の皇帝でも一番平民の家臣を有し、小学校中学校高校までの学校を建てた。希望する者には、大学までの道を用意した。

奴隷制度を撤廃して、北に大きな金の鉱山を発見し、西にはサファイアとダイヤモンドの鉱山も発見して、ソウル帝国は富に満ち溢れ、黄金期を迎えるのであった。




                 fin



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稀人と皇太子7

苺花が3歳の誕生日を迎えた。

一護は、国を戦争に巻き込まないために、ルキア以外にもまた妻を娶っていた。

4人の妻を新たに娶り、エイリッヒ帝国第3皇女エルレイン、ユバッハ王国第1王女メルリーナ、アステア王国第2王女ヒス、リアト公国第2公女ユーリ。

一護は、従順な姫だけを娶った。

かつての第2夫人と第3夫人は、ルキアを殺そうとしていた。

そんなことが起きないように、ルキアが正妃であり、その身に何かが起こった時、もう正妃はいらないと決意した。4人の新しい妻たちは、一護と関係をもち、子が産まれも従順で、自分の子たちが皇帝の座につけないことを少し嘆いたが、苺花を害するような様子を見せず、苺花には3人の妹と弟ができた。

「ルキア様、おはようございます」

「ああ、おはようエルレイン」

第2夫人のエルレインは、ルキアのことを姉のように慕っていた。

「浮竹様と京楽様は?」

エルレインは、一護の妻であるが、浮竹と京楽のことが大好きで、よく一日中一緒にいた。

第3夫人のメルリーナは読書が大好きで、時間があれば図書館に入り浸っている。

第4夫人のヒスは、剣が得意でルキアの身の回りを守り、騎士団の正式な騎士団長になっていた。

第5夫人のユーリは、料理が得意でよく厨房を乗っ取って、故郷の料理を一護やルキア、他の夫人たちにふるまった。

第1夫人であり、正妃であるルキアとは皆仲がよく、苺花も実の娘のようにかわいがってくれて、ルキアも一護も安心だった。

ルキアは、その年21歳になろうとしていた。一護は22歳だ。

まだまだ若く、子を望む民の声も大きいが、有翼人の稀人であるルキアにとって出産は命を削る行為であり、次に子を産めば確実に命を落とす。

なので、一護はルキアを抱く時必ず避妊して、念のためにアフターピルを飲ませた。

その年、ルキアは有翼人の里に一時戻ることが決まっていた。一護もついていく。

ルキアの義兄である白哉に会いにいくためだった。

白哉から動くには、騎士団を派遣して身を守りながら来てもらう必要がある。有翼人は美しいので奴隷商人が奴隷にとやってくるので、有翼人たちは人では登れぬ崖の上に家を作り住んでいた。

ルキアは、奴隷にされてこの国では亜人の奴隷売買は禁止されているため、困った奴隷商人がまだ皇太子であった一護に献上した奴隷の一人であった。他にも、浮竹と京楽もルキアと一緒に保護された。

「さて、行くか」

「久しぶりに兄様に会える。苺花を連れていけないのは残念だが」

ルキアと一護は、厳重は警備の元馬車を走らせて、1週間ばかりで有翼人の里についた。

「兄様!!!」

ルキアが馬車を飛び降りて、崖の上にある義兄の白哉の住む大きな館に翼で飛んでいく。

「ルキア?そなた、どうしたのだ」

「一護も一緒です。一時ですが、里帰りが許されたのです。兄様に報告があるのです」

「なんだ、ルキア」

白哉は、ソウル帝国に来た時から外見が変わっていなかった。それはルキアも同じで、有翼人の寿命は大体200年。

若い姿の時間が長く、いずれ一護と死別するとは分かっていても、ルキアは一護との間に愛の結晶を残したし、一護の傍で生きていこうと思っていた。

「一護との間に子が生まれました。苺花といって‥‥‥」

「ルキア、稀人のそなたは出産は命を落とすに等しい行為なのだぞ」

「分かっています。それでも、一護の子を生みたかったのです」

「そうか」

「よお、白哉」

一護が、他の有翼人に崖下から引き上げてもらい、義兄となった白哉に挨拶する。

「兄は、ルキアを幸せにしていてくれているようだ。私からも、礼を言う」

「あー、そういう堅苦しいことは抜きで。1週間くらい世話になるけど、いいか?」

「兄の衣食住は保証しよう。兄の護衛は里に入れることはできぬが、食料と水は渡そう」

「あ、まじ?助かる。キャンプとかちゃんと予定たててたし、食料ももってきてたけど、保存食だから味気ないからな」

里に入れぬ近衛騎士たちは一護とルキアの身を案じていたが、有翼人が思っていたよりも親密に接してくれるので、二人とも大丈夫だろうと、キャンプ地を決めて、肉や野菜など新鮮な食料をもらって喜んでいた。

「俺は、ルキアを愛している。だけど、俺は人間だ。ルキアとずっと一緒にはいられねぇ。俺の死後は、白哉、お前に任せていいか?」

「よかろう」

ルキア、一護と白哉のために猟に出かけていた。

「ルキアとの間にできた子の名前は苺花」

「ルキアから聞いた」

「ああ。でも、有翼人の翼はなくって、人間らしい」

「有翼人は、他の亜人や人間との間に子を作れるが、生まれてくる子は相手の種族の子になる」

「そうなのか。ルキアには辛いかもしれないけど、自然に任せれば苺花のほうが先に死ぬってことか」

「そうなるな」

白哉は静かに言う。

「そうなった時、ルキアは里に戻そうと思う。苺花はソウル帝国の女帝になるから、里には行けないし人間だ」

「うむ」

「兄様、一護、ただいま。立派ないのししをとってきたぞ?」

「今日は、ルキアの里帰りでもあるし、宴にしよう」

「兄様」

その日、有翼人たちは里から出て、一護の近衛騎士たちとも交流して食べて酒を飲んだ。

酒を飲みすぎて、一護は記憶が吹っ飛んでいた。

起きると、ルキアと裸で寝ていた。

「うわ‥‥‥やべぇ、避妊してねぇ!ルキア、ルキア!」

「ん?」

「俺たちやっちまったのか?」

「そうみたいだな」

「やっべぇ、避妊してない。もし子ができたら、辛いだろうがおろす」

「そう簡単に子はほいほいできぬ。有翼人と他種族との間には、子ができにくい」

「え、そうなのか。でも、苺花生まれたじゃないか」

ルキアは頬を染める。

「その間に、何度貴様に抱かれたと思っているのだ」

「ああ、それもそうか」

一護も冷静になって、衣服を着てルキアにも衣服を着せる。

結局、その一夜限りでは子はできず、一護は安心した。

子を生めば必ずしも幸せになるとは限らない女性を、一護はルキアから学んだ。

やがて里帰りが終わり、ルキアは白哉と涙を流しながら別れを告げて、一護とルキアはソウル帝国に帰還するのであった。


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稀人と皇太子6

ルキアが、一護の正妃になって半年が経とうとしていた。

付き人は相変わらず浮竹と京楽だった。

「ルキアちゃん、最近あんまり食べてないね?気分悪いんじゃないの」

「そうなのだ、京楽殿。何かの病気であろうか」

「朽木は、前回の妊娠の時にはつわりなかったからな。子ができたんじゃないか?」

「それは真か、浮竹殿!」

ルキアは目を輝かせる。

「多分おめでただ」

「一護のところに行ってくる!」

ルキアは、与えられた正妃の寝室を飛び出して、一護の元に駆け付けた。

一護は忙しかった。

前に抱かれたのは3カ月前だ。

父の皇帝である一心が、病気のため退位することが決まり、一護が皇帝になったのだ。

それまで政治を父に任せていたが、いざ統治する側になるといろいろと大変だということを、骨身に染みて感じた。

父は、妹たちに甘くアホだったが、よい皇帝であった。

一護もそれを見習い、大臣や家臣たちと会議を開いていた。

「一護」

「どうしたんだ、ルキア。今は会議中で手が離せねぇ。なんか緊急の要件でもあるのか?」

「その‥‥また、子を懐妊したのかもしれぬのだ」

ざわり。大臣や家臣たちの顔に喜びの感情が浮かぶ。

「皇帝陛下、今日はもうお休みを。ルキア様を一刻も早く、医師に診せるべきです」

「え、ああ、わりぃな。後のことはお前たちに任せる。大事な決定事項は俺に知らせてくれ」

一護はルキアをお姫様抱っこすると、医師の元に連れていった。

「おめでとうございます。ご懐妊です。3カ月ですね」

「3カ月前、最後に抱いたのがその時か‥‥‥」

一護は、ルキアの頭を撫でまくって髪をくしゃくしゃにする。

「でかしたぞ、ルキア!未来の皇帝だ!今度こそ、無事に生まれるように祈ろう」

「ああ、一護。もう、暗殺者や毒はごめんだ」

一護は、妻として娶れといってくる他の国との縁談を断って、ルキアだけを愛していた。

ルキアも、そんな一護を愛していた。

二人の絆は強固なものになっており、そこに有翼人の稀人である亜人との差などないようであった。

ルキアのお腹は、時間と共にゆっくりであるが膨らんでいった。

心なしか、あまりない胸も大きくなっていた。

やがて、9カ月が経った頃、ルキアは陣痛を訴えた。

生まれるには10月10日かかる。

またもや未熟児でのお産となるが、最新の医療を取り揃えて、一護はルキアの出産に立ち会った。

「うーーん」

「ルキア、俺の手を握ってろ。爪立てていいから、あと呼吸を忘れずに」

女医の手で、出産が促される。

逆子で、出産には6時間かかった。

初め、へその尾が首に巻きついていたため、また死産かと思われた。

担当の女医が、何度も人工呼吸と心臓マッサージを繰り返して、赤子はこの世に誕生した。

「おぎゃあ、おぎゃああ」

元気に泣く赤子を見届けて、ルキアは意識を失った。

意識を取り戻したルキアは、赤子にお乳を与えた。

「名前は女の子なので、苺花にしようと思う。一護、貴様の名の響きを入れてみた」

「苺花か。かわいいなぁ」

一護は、苺花を見て抱き上げる。

「そっとだぞ?持ち方はもっとこうだ」

「こうか?」

「そうそう、その調子だ」

ルキアは、正妃として母として、子に愛情を注ぐ。

それから、ルキアは体調を崩しがちになり、赤子の世話は乳母に任された。

粉ミルクで育っており、熟練していた乳母だったので安心して任せられた。

「ルキア、今日は何か食えそうか?」

一護は、毎日どんなに忙しい時でも必ずルキアの元を訪れる。

「ああ、一護。今日は気分がいいんだ。散歩をしたい」

長いこと臥せっていたので、足の筋力がおぼつかないので、一護はルキアを車椅子に乗せて、中庭の薔薇園までやってくる。

「やあ、一護君にルキアちゃんじゃない」

「お、二人で散歩のデートか?」

京楽と浮竹が、暇だというので庭師の仕事を任されていた。

「そうそう、最近やっと青い薔薇が咲いたんだ。朽木にあげよう」

浮竹が、青薔薇の一本をはさみで切って、ルキアの髪に飾る。

「ありがとうございます、浮竹殿。京楽殿も元気そうで何よりです」

「ルキアちゃんも、早く元気になりなよ?」

「はい」

一護は、ルキアを中庭のテーブルのある場所の椅子に座らせて、午後の茶の時間をもうけた。

「菓子はいろいろあるから、好きなのえらべ」

「すまん、一護。有翼人の稀人にとって、出産はとても危ういものなのだ。こうして今回は助かったが、次回はもう産めぬ」

「まじか。でも問題ねーよ。今の俺たちの子の苺花は無事に育ってくれている。ルキア、今後もお前と抱くけど、ちゃんと避妊する」

「すまぬ」

「お前の命が第一だ。失いたくない」

「一護、苺花は女児だ。この帝国では、女児は女帝になれない」

「そんな心配する必要ねぇよ。俺はこの国の皇帝だぜ?法律なんて変えちまえばいいんだよ」

一護の言葉に、ルキアは安心する。

苺花は、将来女帝として生きていくことになるのだった。

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稀人と皇太子5

シリア第3夫人が懐妊した。

国中が、祝いのムードだった。

一護は激怒したかった。シリア第3夫人を何度か抱いたことはあるが、ちゃんと避妊していた。

つまりは、シリア第3夫人は不義を働いたのだ。

一護は、それをシリア第3夫人がに伝えると、シリア第3夫人は一護の避妊が完璧ではなかったと言い出し、その背後にある大国のパール王国を武器に、子は一護との間の子だと言い張った。

現在、一番正妃に近いのはシリア第3夫人となった。

そんな中、ルキアは気にもせず一護の寵愛を一身に受けていた。

ルキアを守るため、毒見役を置いた。暗殺されないように、近衛騎士に守らせた。

それでもルキアに毒を盛る者はいて、暗殺者を仕向けてくる者がいた。

シリア第3夫人と、リアネット第2夫人が犯人だと分かっているが、証拠がないので断罪することはできなかった。

ある日、ルキアが気持ち悪いと言い出して、一護が心配のあまり医者に診せると、ルキアの懐妊が分かった。

一護は、喜びまくった。

ますます一護はルキアを寵愛し、リアネット第2夫人とシリア第3夫人は歯ぎしりをして、ルキアを流産させようとあの手この手を使ったが、一護も愛しい妻を守ることのできない皇太子ではない。

アサシンを雇い、ルキアを暗殺しようとするアサシンを捕らえ、拷問の後シリア第3夫人の命令であると白状させてから、処刑した。

シリア第3夫人は、言い逃れができると思っていた。

今までもアサシンをさしむけても、何も言われなかった。怒られもしなかった。

それがシリア第3夫人を増長させて、シリア第3夫人は一護に言った。

「正妃にふさわしいのはわたくしです。あのような汚い亜人の娘など、正妃になれません。何度暗殺者をさしむけても死なないけれど、あの娘はこの国では不要です」

しっかりと、シリア第3夫人の言葉を魔法で記録して、シリア第3夫人は、ルキア暗殺未遂容疑で後宮の隣にある塔に幽閉された。

リアネット第2夫人は、ライバルが減ったと喜んでいた。

リアネット第2夫人は、ルキアと仲良くしていた。けれど、影で彼女の飲む紅茶などに毒を入れていた。

致死量ではなく、蓄積していくと死に至る毒であった。

毒のせいで、ルキアは体を壊しがちになり、リアネット第2夫人は高笑いを自分の部屋でしていた。

きっと、もう助からない。それだけの毒を飲ませた。腹の子もおしまいだ。

だが、ルキアは有翼人の稀人で毒に耐性があり、一命をとりとめてお腹の子も無事であった。

リアネット第2夫人は焦った。

そして、ルキアが回復した次の日、リアネット第2夫人の部屋から毒が発見され、それはルキアが摂取していた毒と同じことが判明し、リアネット第2夫人も塔に幽閉された。

「ルキア、よく頑張ったな。もう、お前を狙うやつはいなくなったからな」

「一護‥‥‥‥お腹の子は、無事であろうか」

やや膨らみ始めたお腹をさすりながら、ルキアは一護に抱きつく。

「ああ、医者に診てもらったけど、お腹の子は元気だそうだ。男児だってさ。無事、産んでくれよ?もう、正妃になれるのはお前しかいないんだから」

その頃、幽閉された塔でシリア第3夫人が一護の子という男児を産んだ。

家臣たちは、シリア第3夫人の幽閉を解けとうるさかった。大国のパール王国が王女であったシリア第3夫人の幽閉に激怒して、大軍をさしむけてきたのだ。

一護は、仕方なくシリア第3夫人を自由にした。

シリア第3夫人は、男児を抱いて、一護にあなたの子だと詰め寄った。

シリア第3夫人は知らなかった。ソウル帝国の医療は最先端をいっており、一護の子であるかどうかをDNA鑑定で調べた。

結果、一護の子ではないことが分かり、シリア第3夫人は、婚姻を破棄されてパール王国に帰された。

パール王国も、王女がまさか不義密通をしたなど思わなかった。本来なら極刑ものであるが、パール王国の王女だということで国に帰されるだけで済んだ。

「いろいろごたごたあったけど、ルキア、元気な子を産んでくれよ?」

悲劇は、その数日後に起こった。

国に帰されたシリア王女が、アサシンを雇って近衛騎士に守られていたのに、ルキアの腹を刺したのだ。

捕まったアサシンは、シリア王女の差し金であることを白状してから、極刑となった。

ルキアは1週間死の淵を彷徨う。

「ルキア、しっかりしてくれ。生きろ!生き延びてくれ!」

一護は、ルキアにつきっきりで看病した。

回復魔法をできるだけかけたが、傷が深すぎで縫うことになり、早すぎる陣痛がルキアを襲う。

生まれた男児は、死産であった。

未熟児すぎて、助けられなかった。

一護は涙を流して、本来愛に包まれて生まれてくるべきだった赤子の遺体を抱いて、火葬した。

「一護‥‥‥」

「ルキア!やった、峠をこえた!ルキア、生き残れ!愛している」

「一護、腹の子は‥‥」

「残念ながら、死産だった。未熟児すぎたんだ」

「そうか」

ルキアは、涙を流した。一護も泣いた。

やがてルキアの傷が回復の兆しに向かっている頃、一護はルキアを車椅子に乗せて城下町まで連れてきた。

「皇太子殿下、妃殿下、バンザイ!」

「妃殿下、今回の子は残念でしたが、次こそこのソウル帝国の未来の皇帝を産んでください!」

民たちの、亜人であるルキアを受け入れる声に、ルキアが驚いていた。

「時間をかけていけば、亜人でも正妃になれそうだろ?」

「一護‥‥‥貴様は、民に私を妃のすることに理解を促してくれていたのだな」

「簡単なことだ。ルキアの名前で、福祉活動をして民に金を配ったんだ」

ルキアは少し複雑だったが、一護の夫人はもうルキアしかいない。

この後に何人夫人を娶っても、一護はルキアだけを愛してくれるだろうと思った。

ソウル帝国ちょうど300年の夏。

朽木ルキアは、黒崎一護の正妃となった。






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稀人と皇太子4

一護とルキアの婚姻が半年後に決まった。

問題は、正妃となれるかであった。亜人である有翼人のルキアは、正妃でなくともいいと言うので、ひとまず第一夫人として一護と婚姻することになった。

ルキアは幸せを手に掴んでいた。

一護に毎日愛されていた。

浮竹や京楽もお祝いしてくれた。

ある日、一番の障害となる一護の正式な婚約者、パール王国の第一王女リアネットが訪問してきた。

「一護様」

「リアネット姫」

一護は、リアネットと1週間親密に過ごした。

ルキアは距離を置いて会いに行きたくないと我儘をいうが、一護がルキアをリアネットと会わせた。

「朽木ルキア。俺の第一夫人で、正妃になる予定だ」

「あら、亜人の正妃なんておかしなこと。一護様の正妃になるのは、私と決まっているはず」

「お前を正妃にはしない」

「一護様?」

リアネットは、怒り出す。

「国同士のために、婚姻はするが第2夫人だ。正妃はルキアだ」

「正妃は私のためにあるようなものでしてよ?」

リアネットの性格を、一護は嫌っていた。

本当なら婚姻もしたくない。

「第2夫人でも不満があるというのなら、婚約を破棄する。たとえ戦争になっても」

「仕方ありませんわ。第2夫人になりましょう」

その日から、ルキアの食べ物に毒が盛られたり、暗殺者に襲われそうになるという事件が頻発した。

リアネットの故郷であるパール王国は暗殺者、アサシンのギルドがある。

リアネットの仕業であるだろうが、証拠がないので一護はいったんルキアを閉ざした後宮に入れて匿う。

ルキアの姿がなくなり、リアネットは一護の正妃のようにふるまった。

まだ、婚姻もしていないのに。

やがて半年が経ち、一護は後宮に隠していたルキアと正式に婚姻した。

亜人の第1夫人など聞いたことがないと、最初は民たちも訝しんだが、ルキアが癒しの唄を歌うと皆魅了されて、ルキアのことを悪く言う者も少なくなった。

リーンゴーンと鐘が鳴る中、純白のウェディングドレスを着たルキアは美しかった。

背中の金色の翼は美しく、ルキアは羽ばたいて一護の元に向かう。

ルキアの付き人には浮竹と京楽がいた。

「今この時をもって、朽木ルキアを俺の第1夫人とする」

一護は声高々に宣言して、リアネットはやられたと歯ぎしりをした。

ルキアを捨てたと、リアネットは思っていたのだ。

まさか、閉ざされた後宮に匿われていたなんて。

そういえば、一護はたまにどこかに消えていた。ルキアと会っていたのだろう。

「一護様、私とも結婚してくださいましね?」

その1か月後、一護はリアネットを第2夫人として娶った。

まだ正妃は決まっていなかった。

一護は、ルキアだけを愛したかったが、隣国のシドニア帝国は軍事力が強大で、一護のいるソウル帝国と和平条約を交わす代わりに、第2王女のシリアを娶れといってきた。

一護は、国のために仕方なくシリア王女を第3夫人として娶る。

正妃争いは、誰が次の一護の子を産むかで決着がつきそうだった。

一護は、リアネットもシリアも抱いたが、避妊しているなど彼女らは気づいていなかった。

一護は、ルキアを抱きたいと言った。

「わ、私を?」

「そうだ。子を産んで、国母になり正妃となるんだ。今日、お前を抱くぞ」

ルキアは、リアネットとシリアを抱いた一護を、それでも愛しているのでただ黙認していた。

やがて自分の番がくると、パニック状態になる。

「わわわ、私が一護に抱かれる!?子は亜人だぞ!」

「ルキアちゃん、落ち着いて」

「朽木、落ち着け」

京楽と浮竹に宥められて、ルキアは少し落ち着く。

その日の夜、ルキアは一護に抱かれた。

「んっ」

優しい口づけはいつものこと。

深い口づけも、今まで何度ももしてきた。

でも、抱きつかれることはあったが、それ以上のことはされていないので緊張でがちがちだった。

「ルキア、体の力抜け」

「そ、そうは言われても」

ほとんどんない胸をもまれる。

「んあっ」

「いい表情。すげーそそる。リアネットとシリアを抱いた時、お前を想像して抱いてた」

一護は、ルキアの秘所に指を入れる。

「ひあう!」

天上のGスポットをぐりぐり刺激されて、ルキアはいっていた。

「あああ、頭が真っ白になった。なにこれ」

「女はオーガズムでいくからな。絶頂だ」

「絶頂?」

一護は、ルキアを優しく抱いた。

とろとろになるまで愛撫して、いよいよルキアの中に挿入る。

「んあ、いたっ」

「ごめん、ちょっとだけ辛抱してくれ」

男のものを受け入れたことのないルキアの秘所は狭く、ルキアは小柄で華奢な体をしているため、一護のものを受け入れるのは大変だった。

ぶちっと音がして、ルキアの秘所から血があふれ出す。

「一護、血が!」

「処女膜が破れたんだ。大丈夫、優しくするから」

一護は、ルキアの快感ばかりを探ってセックスする。

「ああああ!!!」

ルキアは何度も絶頂を経験して、しまいには潮を吹いていた。

「ん、俺もルキアの中に出すぞ」

「あ、一護、愛してる」

「俺も愛してる、ルキア」

一護の子種を直に幼い子宮に注ぎ込まれて、ルキアは満足そうに眠りに入っていく。

「ルキア、国母になれ。子ができるまで、何度でも抱いてやる。子ができた後も抱くけどな」

一護は、ルキアの頬を撫でて、その黒い髪をいつまでも撫で続けていた。


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稀人と皇太子3

ルキアは、後宮の寵姫たちから嫌がらせを受けていた。

後宮から皇宮への出入りを許されているのは、大国の姫など、10人に及ぶ。

一護からもらった、ドレスが破かれていたり、クッションや枕、布団がめちゃくちゃにされている時もあった。

一護が初めて買ってくれたアメジストの髪飾りを壊された時、かなり頭にきたがそれでも我慢した。

我慢の糸が切れたのは、一護が寂しくないようにと、ルキアのためにくれたオッドアイの白猫の子猫が虐待されて、両目が開かず、瀕死になって見つかった時だった。

「貴様がやったのかあ!」

「きゃああああああ。ルキアが乱心したわ!」

にやにやしていた大国の姫君は、髪を掴まれてぶん投げられて、髪が引きちぎられてとんでもない有様になっていた。

「一護、この寵姫が琥珀を!」

琥珀とは、ルキアが子猫に名付けた名前だった。

「急いで獣医のとこで診てもらおう。ルキア、癒しの唄を歌ってやれ」

ルキアは、一心を癒した歌声で歌を歌う。身動きしなかった子猫が、少し元気を取り戻した。

「回復魔法もかけとくか。ああ、そこの‥‥‥ええと」

「アトランジュよ!一護様、このルキアという娘、私の髪を!」

「アトランジュ、てめぇはもういらねぇ。故郷に戻れ。追放だ」

「な!私の国が、黙っていないわよ!」

「それでもいらねぇ。てめぇみたいな性格の女は嫌いだ」

一護は、子猫に回復魔法をかけながら、獣医の到着を待つ。

幸いなことに、琥珀は眼球は無事で、癒しの唄と治癒魔法が効いていたので、1週間ほど安静に温かいところで過ごさせて、栄養をたくさんとらせたら、元の元気な姿に戻るだろうとのことだった。

「一護、本当によかったのか?大国の姫なのだろう?」

「まぁ、本来ならルキアを処罰しなきゃいけないけどな。俺にそれができると思うか?」

「無理だな」

ルキアは自信たっぷりだった。

「にゃあああん」

完全に回復した琥珀を抱いて、ルキアは一護と口づける。

「んっ」

「ああ、お前の全部が欲しい」

「わ、私は」

「まだ、心の準備できてねぇよな。待つから」

「う、うむ‥‥‥‥」

ルキアは、毎夜毎夜一護に唄を歌った。

ルキアと一護が出会って1年が経つ頃、ソウル帝国は大国の姫を追放した報復として、領地の一部がとられた。

一護の父である皇帝の一心は、特に文句は言ってこなかった。

「いっそ、後宮なくすか」

一心の言葉に、家臣たちが動揺する。

「しかし、一護様との婚姻は、我が国にとっての安全」

「でも、その一護の一番の寵姫を傷つけようとする寵姫のいる後宮なんていらんだろ」

こうして、一護のための後宮は閉ざされ、後宮にいた40名にものぼる姫や貴族の令嬢、奴隷などが生まれ故郷に戻され、帰る場所のない者には一生食べていけるだけの金と一軒家を与えられて、後宮は閉ざされた。

「あー、すっきりしたぁ」

後宮が閉ざされて、後宮にちょくちょく顔を出さなければいけなかった一護は、その責務から解放されて自由を味わった。

後宮の寵姫たちは、あの手この手で一護に抱かれようとする。

一護が眠剤を盛られるのも一度や二度ではなかった。

一護は眠剤には耐性がついているので、途中で起きて子を身籠らせる前になんとか衣服をきて逃げ出す。

そんな日々を送るものだから、後宮はうっとうしい場所にしか見れなかった。

「ルキア、お前は後宮に入れないで正解だったな。寵姫同士で毒を盛りあったりして、平気で人を殺すような女の巣だった。お前が後宮に入れられていたら、多分命はなかっただろう」

「怖いな」

「女ってこええぇな」

「私もその女なのだが?」

「お前はなんていうのか、女ってかんじがしねぇからすげえ好き。がさつで口も悪いけど、そこも好き」

一護の好きという言葉一つ一つに、ルキアが赤くなる。

「ああ、そうだ。1週間後、お前の兄様とやらがやってくる」

「兄様が!?」

「何度か打診したんだけど、亜人の奴隷狩りがやばいから、かなり延期になったけど。お前との約束、これで果たせるな?」

「ああ、兄様」

ルキアはうっとりとなる。

やがて一週間後、ルキアの義兄の白哉が皇宮に招かれ、ルキアとの対面を果たした。

「ルキア、心配していたのだ。奴隷商人に売られ、最低の暮らしをさせられているのではないかと」

「兄様、一護はそんな人間ではありません。私を奴隷から解放し、愛してくれました。私も、一護を愛しています。一護との婚姻を認めてください」

「ルキア、そなた変わったな。黒崎一護とやらに感化されたか。ルキアが望むのであれば、誰とでの婚姻も許可しよう」

「ありがとうございます、兄様!」

ルキアは、美しい白哉に抱きついて、しばらくの間そうしていた。

「ルキアは、俺のな」

それを一護がべりっと引きはがして、ルキアを抱き寄せる。

「貴様、兄様に嫉妬しているのか?」

「そうだ。悪いか?」

「いや、貴様にもそんなかわいい一面があるとはな」

一護はむすっとなる。

ルキアの頭をわしゃわしゃして、髪をわざと乱す。

「わ、一護!」

「ルキアは俺のもんだ」

一護は、ルキアと手を繋ぐ。

「白哉!」

「白哉君!」

同じ有翼族の稀人である浮竹と京楽も、白哉との再会を果たす。

「兄たちは、里に帰るか?」

「いや、ここの国は意外と居心地がよくて、掟でがんじがらめの里よりここにいたい」

「ボクもだね。浮竹と一緒に居れるし」

「そうか。では、兄らもルキアと同じく、ソウル帝国に残るのだな。私は帰るが、家族に何か渡すものや伝える言葉はあるか?」

「幸せにやってるって言っておいてくれ」

「ボクは、この古いフルートを兄に渡してほしい」

「心得た」

白哉は、数日滞在した後、有翼族の里まで戻っていった。奴隷狩りに合わぬように、護衛の騎士を何人もつけたが、何度か奴隷狩りにあいそうになったそうだ。

白哉は美しい。白い翼の稀人ではない有翼人だが、美しいため奴隷にしようとする輩が後を絶たないのが現状であった。

「兄様が、無事、里についたそうだ」

文での知らせを受けて、帰還してきた騎士たちからも報告を受けて、ルキアは安堵する。

亜人の中でも、有翼族は見た目がいいので奴隷として需要がある。

その間、一護はルキアとの婚姻を目標に動いていた。

ソウル帝国で初めて、亜人の正妃が誕生しそうなのであった。

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稀人と皇太子2

ルキアが一護の元にきて、3カ月が経とうとしていた。

ルキアはすっかり、貴族の令嬢のようなマナーを獲得して、綺麗な所作で振る舞う。

有翼人の里に居た時は、自由でマナー講座もあったが人の皇族や貴族のようなマナーではなかった。

翼の手入れとか、歌声の出し方とかそんなものばかり学んだ。

「ルキア、今日も城下町に行こうと思う。一緒にくるか?」

「行く」

ルキアは、すぐに返事をした。

目立つ金銀細工の装飾品を外して、なるべく質素な衣服に身を包み、背中の翼は折りたたんでマントに隠す。

「今日は、年に一度の収穫祭だ」

「わぁ」

ルキアが感嘆の声をあげるほど、城下町は賑わっていた。

「そこの綺麗なお嬢さん」

「ん、私か?」

「そうそう、そこのお嬢さん、この髪留めと同じ瞳の色をしているね。どうだい、買っていかないかい?」

「見せてみろ」

一護が、商人が勧める髪飾りを見る。

ルキアだけだと、とんだ粗悪品をつかませられる可能性がある。

「アメジストか。割と上質だな。俺が買おう」

「お、お嬢さんのいい人ですかい?」

「ああ、まぁそんなとこだ」

「い、一護!」

ルキアは顔を真っ赤にする。

一護は、商人に金貨数枚を払って、ルキアの髪にアメジストの髪飾りをつけた。

「貴様から買ってもらうのは、これが初めてだな。大切にする」

一護はルキアに多くの装飾品を与えるが、ルキアはつけろと言われればつけるが、自分からはつけない。

ルキアには、女官の代わりに浮竹と京楽が付き人として世話係ということになっていた。

女性相手に、男性はどうなのかと問う声は大きかったが、ルキアは不貞をするような娘でないと言い聞かせて、家臣たちを納得させた。

ルキアは、皇宮で自由を許されていた。

浮竹と京楽もだ。

ただ、後宮の寵姫の身分の高い者も皇宮への出入りを認められているので、ルキアの安全を確保するためにも、一護はルキアの地位を確固たるものにすべく、模索していた。

婚姻を、家臣たちは大反対していた。

稀人の金の翼の有翼人とはいえ、しょせん亜人。

亜人を寵姫にすることは許されるが、娶ることはまだ一護の身分ではどうしようもできない。

一護はまだ17歳だ。

ルキアは16歳。

相手としてはちょうどいい年齢だが、やはり亜人という壁が重くのしかかる。

「私が、稀人の有翼人でなければ」

「でも、それだったら、俺と巡り合えなかった」

二人は、城下町を進んでいく。

たくさんの店が並んでいて、ルキアは昼時なので腹を鳴らせた。

「はは、体は正直だな?」

「う、うるさい!」

店の一つで、ミートパイを買って、一護はルキアに食べさせる。

「おいしい」

「だろう?このソウル帝国は豊かだからな。飢える者は少ない。父の皇帝の一心は、よりよい国にしたくて家臣や大臣を貴族から選ぶのではなく、平民からも選べるるように学校も作ったし、奴隷制度の廃止を訴えている。亜人の奴隷売買を禁止したのも父だ」

「一護の父上は、立派な方なのだな」

「妹たちに激甘のアホ皇帝だけどな」

「私にも、家族がいる。朽木白哉といって、私の義兄だ。有翼族で、人間社会におけるところの大貴族だ」

「会いたいか?」

「兄様には、会いたい。でも、今の全てを捨ててまで会いたいと聞かれると、答えに詰まる」

一護は、ルキアの頭をわしゃわしゃと撫でた。

「わ、何をする!」

「もっと貪欲になれよ。お前は、このソウル帝国の皇太子黒崎一護の一番の寵姫だ。兄である白哉を呼ぶことだってできる」

「本当か?」

ルキアの目が輝く。

「近いうちに、会わせてやるよ」

「約束だぞ?」

「ああ」

一護とルキアは、そのまま城下町をぐるりと巡り、いろいろ屋台で食事を買って食べて、浮竹と京楽におみやげを買ったりして皇宮に帰った。

「一護様!皇帝が!」

一護とルキアが戻ってくると、一護の父である一心が倒れたと知らせが入り、一護は急いで一心の寝室に駆け付ける。

ルキアとも一緒だった。

「親父!」

「よう、バカ息子!」

「なんだよ、倒れたと聞いてびっくりしちまったじゃねぇか。意外と元気そうだな」

「このバカ息子、父を敬え」

「やだね」

「あの、皇帝陛下」

ルキアが、おずおずと一心に声をかける。

「お、確かルキアちゃんだっけ。くそバカ息子の一番の寵姫の」

「病を癒すという効果のある歌を歌っていいですか?」

「お、そんなのあるのか?」

一護が身を乗り出す。

「このアホ皇帝に聞かせるのはもったいないけど、歌ってくれ」

「それでは‥‥‥‥」

ルキアは歌った。

その声は魔力を帯びており、一心が倒れた原因である心臓の病を、完治とまではいかないが、癒してくれた。

「すごいぞ、一護。この子は‥‥‥」

一心が、声を失う。

「この能力、戦争の火種になるな。ルキアも、ここにいた者たち全員に、箝口令をしく。このことは一切他言無用で」

「はい」

「分かりました」

「承知いたしました」

その場にいた、近衛騎士や医者が頷く。

ルキアも、声もなくコクンと頷いた。

「ルキア。くそ親父のために、週に一度、癒しの唄を歌ってくれないか」

「一護が望むであれば」

ルキアは、皇帝である一心にも信用されて、もはや一護のただの一番の寵姫という座をこえていた。

「ルキア、国母になれ」

「一護?」

「俺は、お前を娶る。正式に」

「一護‥‥‥」

ルキアと一護が出会って、半年が経とうとしていた。

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稀人と皇太子

「名前、なんていうんだ?」

「朽木ルキア」

黒崎一護は、ソウル帝国の皇太子である。

朽木ルキアと呼ばれた少女は、世にも珍しい金色の翼をもつ有翼人だった。他に若い白ではない銀の翼の、こちらもまた珍しい有翼人の青年を二人、ルキアとまとめて三人で商人はソウル帝国の時期皇帝である一護に献上した。

「おいおっさん」

一護が、商人に声をかける。

「な、なんでございましょう」

「こいつらに虐待してたな?」

「と、とんでもございません!献上品を傷つけるわけなどありません!」

ルキアと、二人の銀色の有翼人の青年は、商人を怖がっている様子だった。

「この右肩‥‥‥奴隷の証である、焼き鏝を押したのか!」

「ひいいい。すみません、すみません。国内で売りさばくつもりだったのですが、この国では亜人の奴隷売買は禁止されていて‥‥‥他国に売ろうにも、抵抗が激しく」

「もういい。お前の面みたくねぇ。金貨5千枚やるから、それでどこにでもいけ」

「あ、ありがとうございます!」

商人は、金貨がたくさん入った袋に舌なめずりをして、それを手に去っていった。

「お前はルキア。こっちの二人は?」

「俺は浮竹十四郎」

「ボクは京楽春水だよ」

若い二人の銀色の翼をもつ有翼人は、王太子である一護を怖がることもなく、平然と受け入れる。それはルキアもだった。

「で、私は何をすればいいのだ?体を開いて、春を売ればよいのか?」

奴隷の身分に落とされたことを理解しているルキアは、せめて暴力を振るわれないようにと、主となった一護に聞く。

「奴隷の証の焼き鏝の痕は、癒しの魔法で消し去る。ルキア、お前は歌が歌えるそうだな」

「だからなんだ」

「んで、浮竹さんに京楽さんだっけ。ハープとフルートが得意だとか」

「その通りだ」

「音楽を奏でるのは、ボクら有翼人には当たり前のことだからね」

「三人合わせて、俺専属の楽団になれ」

一護が要求してきたのは、音楽の才能であった。

ルキアはてっきり、後宮にいられるものと思っていたのだが、奴隷の証を魔法で消されて、浮竹と京楽も同じ扱いを受けて、皇宮の二部屋を与えられた。

ルキアの部屋と、京楽と浮竹の部屋であった。

次の日から、一護がたまに顔を出して、浮竹と京楽にハープとフルートを奏でさせて、歌姫であるルキアの歌う美しい声に聞きほれる。

「いい歌声だ。俺だけが独占するのはもったいないな。帝国のコンサート会場がある。そこで歌って奏でてこい」

「いいのか?逃げるかもしれないぞ」

ルキアが問うと、一護は笑う。

「もう、この国の俺のものだっておふれを出しておいた。逃げ出すにも資金が必要だぞ?」

「まぁ、今の境遇に不満はないので逃げぬが」

浮竹と京楽も同じようであった。

「では、コンサート会場に行ってくる。得た賃金は‥‥‥‥」

「お前たちのものだ」

その言葉に、ルキアの目が大きく見開かれる。お金を稼げば、逃げるという選択肢も出てくるのだ。

だが、ルキアたちは逃げなかった。

コンサート会場で歌を披露し、浮竹と京楽はハープとフルートを奏でると、人々は目に涙をためて聞いてくれる。

悲恋の唄など、特に涙を誘った。

一日の興行収入は、金貨百枚に及んだ。

「浮竹殿、京楽殿。金がたまれば、あなたたちだけでも故郷へ」

「朽木、それはできない。お前をおいてはいけない」

「ルキアちゃんだけを皇太子の傍に置いておくなんてできないよ」

ルキアは、それからたまに閨に呼ばれるようになった。

ルキアは覚悟していたが、寝るまでの間歌を歌うことを求められた。性的な接触は一切なかった。

一護にはまだ正妃がおらず、後宮には近隣諸国の王族貴族の姫君から奴隷の娘まで、とにかく綺麗な美女美少女が集められていたが、一護と閨を共にした者など、一人もいなかった。

突然現れた歌姫が、一護の心を独占していると、後宮にいる寵姫たちは気が気でなかった。

ある日、ルキアは一護に呼び出された。けれど、一護はおらず、そこには後宮の寵姫たちがいた。

「お前、一護様の寵愛をもらっているなんて生意気なのよ!亜人の分際で!」

「そうだわ。その金色の翼をもいでしまいましょう」

「やめろ、よせ」

ルキアは抗うが、寵姫たちは剣を持ち出して、本当にルキアの翼を切ろうとするので、悲鳴をあげた。

「あああああああ!!!」

すると、寵姫たちはバタバタと倒れていく。

「ああ、またやってしまった」

ルキアの声には、普通の歌声と相手を数日間昏倒させる呪いの歌声との2種類の歌声をもっていた。

「ルキア、無事か!?」

騒ぎを聞きつけて、駆け付けた一護が見たものは、目を深紅に輝かせて金の翼で自分を包み込む、怯えたかんじのルキアと、剣を手に倒れている寵姫たち5名。

「呪いの歌声を悲鳴で出してしまった。この寵姫たちは、数日間目を覚まさない」

「そうか。無事ならそれでいい」

「一護、貴様は怖くないのか。呪いの歌声を私はもつのだぞ?」

「でも、俺に向けてはこないだろう?この寵姫たちは、生まれ故郷に返す。追放だ」

「一護‥‥‥」

「ルキア、俺はお前を守りたい。後宮には入れない。あそこは、毒蛇の住処だ」

他の寵姫たちを、毒蛇呼ばわりする一護に、ルキアはきょとんとなった。

「かわいいな、お前」

「な、何がだ!」

「今日もまた、歌ってくれ。俺のために」

浮竹と京楽も呼んで、ハープとフルートを奏でてもらい、ルキアは歌う。

あえて、悲恋の唄を歌った。

「やべ、泣けそう」

ルキアの歌声は、心を揺り動かす。この歌声のせいで、人攫いに捕まった。有翼人の中で、白と黒以外に翼の者は、稀人(まれびと)と呼ばれて大切にされる。

ルキアも、浮竹も京楽も、稀人として里で大切にされていた。

そんな里を襲い、ルキアと浮竹と京楽を奴隷にした奴隷商人は、ルキアが呪いの唄を歌わないように魔封じの首枷をさせていた。

一護は、ルキアの安全を確保した時、真っ先にルキアの魔封じの首枷を取った。

魔法で逃げられるとか、そんなこと一切考えていないようだった。

「ルキア、今日も歌ってくれ」

「浮竹殿と京楽殿は?」

「もう寝てるらしい。今日は、お前と二人きりでいたい」

ソウル帝国の、皇太子である一護には、婚約者がいた。

いずれお役御免になるかもしれないと知りつつも、ルキアは今日も一護のためだけに歌う。

ルキアが一護の元にきて1か月が過ぎようとしていた。

ルキアは、一護に淡い恋心を抱いてた。一護もまんざらではなさそうで、ルキアだけを呼んではお忍びで城下街に出たり、馬で遠乗りをしたりした。

「ルキア、好きだ。俺のいずれ正妃になってほしい」

「しかし、貴様には婚約者が」

「立場上娶らないわけにはいかない。でも、第2夫人にする」

「一護‥‥‥‥」

「ルキア、好きだ」

一護とルキアは、出会って初めてキスをした。

「んっ」

舌と舌を絡み合わせて、深い口づけを繰り返す。

「んあっ」

「ルキア、俺だけのものになってくれ」

「一護が、そう望むのであれば」

次の日から、ルキアは歌姫として必要されるだけでなく、皇族として生きるためのマナーレッスンを受けさせられることになった。

一護は、いずれルキアを娶るつもりであった。父の皇帝に許されればであるが。

それを、浮竹も京楽も喜んでくれた。

「一護と、幸せになりたい」

「朽木ならできる」

「ルキアちゃんなら、やっていけるよ」

二人は、ルキアを応援してくれた。

ルキアがマナーレッスンでコンサートに行けない時は、ハープを奏でながら浮竹が歌う。浮竹の唄も綺麗で澄んでいて、ルキアがいなくてもコンサートには出続けられた。

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黒猫と白猫の亜人64

人の社会は娯楽が多い。

猫の人生は緩やかで、人に愛されて飯をくって遊んでもらって食事をもらって寝るだけ。

でも、猫の亜人である浮竹と京楽は、猫な人生も送りながら、人としての暮らしも楽しむ。

いつもは白哉と一緒に食事をする。人の姿でだ。

そして、浮竹は長~い長編漫画を読んでいた。

ワ〇ピースだった。

「俺は海賊王になる!」

目をきらきらさせて、少年のように‥‥‥‥‥見た目はまだ17歳くらいだが、浮竹はせっせと自分で筏(いかだ)を完成させて、海のある場所に行きたいと言い出す。

それを、京楽と白哉が止める。

「この時代、海賊などおらぬぞ。どの国でも海賊が現れれば国軍を出すゆえ、海賊などとうの昔に絶滅してしまった」

「じゃあ、俺が海賊になって海賊を復活させる!」

「浮竹、バカな夢は捨てなさい。君はたとえ海賊になれたとしても、人の命を奪ったり、金品を強奪したりできないでしょ。それに食べ物と水はどうするの」

「食べ物と水はアイテムポケットに入れておく」

「む、その手があったか‥‥‥」

京楽は、一本とられたという顔をするが、浮竹の説得を続ける。

「海賊王になったって、ワ〇ピースなんて宝などないよ?海賊として他人を傷つけて金品を奪うこと、君にはできる?」

「できない」

「でしょ」

浮竹は、少し残念がる。

「でも、俺は海賊王になってこの世界の海を制覇する!」

「じゃあ、今度白哉君の持ってるフェリーで、世界一周旅行でもする?」

「う‥‥‥海賊王でなくても、世界の海は制覇できる時代なのか」

「そうだよ。諦めなさい」

「海賊王になりたい!」

浮竹は、かなり漫画のワン〇ースに毒されているようで、京楽と白哉はサッカー漫画のブルー〇ックの漫画を浮竹に与えた。

「俺は世界一のエースストライカーになる!」

「ねぇ、白哉君、浮竹って」

「ああ。物語の主人公になりたがるタイプだな」

「まずは、同じエースストライカーの仲間を集めないと」

本気でそんなことを思案している浮竹に、京楽と白哉は、古いがヴェル〇イユの薔薇の漫画を与えた。

「うおおお、オスカー!」

今度は違った反応で、男なので男装した騎士にはなれなくて、浮竹はとりあえず髪を縦ロールにしてしまった。

「民を助けないと!革命だ!!!」

また物騒なことを起こしそうだったので、京楽と白哉はドクタース〇ンプ、アラレちゃんの漫画を浮竹に与えた。

「キーーーーン」

人の姿でダッシュで両手を広げて、今にも飛んでいきそうな浮竹。

とりあえず、今までのうち一番安全そうである。

しかし、問題が起きた。

散歩するといって消えて、犬のうんこを木の棒でさして持って帰ってきたのだ。

アラレちゃんもよくうんこを木の棒でさして走って遊んでいる。

浮竹的には、猫のうんこではだめならしい。

猫は猫砂に隠してしまうため、犬のうんこが最適らしい。

「浮竹、そんな汚いもの振り回すのやめて、ぺっしなさい」

「キーーーン」

京楽に向かって猛ダッシュする。

京楽とぶつかって、浮竹は気にせず走っていく。

「ぎゃあああああ、犬のうんこが降ってきたあああ」

犬の野ぐそをつけられて、他の猫たちにもばっちい目でみられて、京楽はしぶしぶ衣服を脱ぎ捨てて風呂に入ることにした。

浮竹は、ロボビタミンが欲しいと白哉を困らせる。

白哉は、浮竹が寝る前にアニマルレスキューに救われた保護ペットの話を聞かせて、浮竹はその話に涙した。

「不幸なペットは、俺が救う!」

浮竹は、アニマルレスキューになった気分で、虐待されているらしい犬を保護してきた。

白哉と京楽は、庭にスペースを作り、温度を一定に保って、そこで保護された犬を入れる。

浮竹が活動しだすと、城下町の野良犬なども保護された。

どれも、白哉の手厚い保護の元、狂犬病などの注射もし、ワクチンも受けて慣れていなかった犬は人に慣らせてから、里子にへと出していった。

浮竹は、その後も道端で転がっていた鳥のヒナを見つけたりして保護した。

ちなみに、猫の保護は10件。野良猫だった。

去勢と不妊手術を施して、白哉の猫になった。

野良猫たちは、白哉の存在を知っているので、城下町に出没する野良猫は半野良の、白哉の猫である。

白哉の猫の保護活動はよく知られており、猫に虐待をすると重い罰がくだされる。それが白哉の猫ならなおさらであった。

「不幸なペットは俺が救う!」

白哉は、動物愛護条令を出すなどして、浮竹を安心させた。

浮竹は、街の人たちに、不幸なペットはいれば俺のところにもってこいとかいうものだから、けっこうな数の不幸なペットが集まったが、どれも動物の医療の最新技術でケアして、必要であればワクチンなどを接種して、人に慣らしてから新しい里親の元に旅立っていく。

今はアニマルレスキューも落ち着き、たまに怪我した野生動物がやってくるくらいだ。

ハムスターが保護された時は、大騒ぎになった。

浮竹も京楽も猫の血が騒ぎ、狩りたくなってしまうので、白哉に任せた。

「浮竹、もうアニマルレスキューはほどほどにね」

「ハムスターかわいかったなぁ。でも、本能が刺激されて狩りたくなる」

「どうどう」

京楽が落ち着かせる。

結局、ハムスターは白哉の使用人が里親になって、自分の家で世話しているらしい。

「不幸なペットがいたら、俺はまた助けにいきたい」

「うん。ボクも、手伝うよ」

浮竹と京楽は、野生動物の保護を中心に、ペットの保護を今後も続けていくのであった。




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黒猫と白猫の亜人63

猫の発情期の季節がやってきた。

白哉の猫のほとんどが去勢または避妊手術をしているので、普通は盛ることがない。

子猫の時に保護された若い雄が、まだ去勢されてなかった。

同じく避妊されていない、サタンの5夫人の猫のうちのバリーちゃんにしっぽりしそうになって、サタンが激怒してその雄猫を、猫パンチをかましまくって、追い出す。

猫の広間で盛っていた雄猫は、あろうことか猫の姿で遊んでいた浮竹にしっぽりしようとする。

「ああああ、ボクの浮竹が汚される!」

「いや、猫の雄同士ではしっぽりできないだろ。安心しろ」

そう言う浮竹の背後で、茶トラの雄猫は腰をふっていた。

「この、色欲魔め!離れなさい!」

茶トラの雄を、京楽が猫パンチ体当たりでどかす。

色欲魔は京楽お前の方じゃないかと、浮竹は思ったが口には出さない。

「白哉君!」

「なんだ、京楽?」

「この雄猫去勢してない。サタン君の夫人に手を出そうとしたし、今のうちに去勢してくれないかな。外に出て、白哉君の猫じゃない野良の子との間に子供ができたら大変だ」

「ああ、まだ子猫だったので去勢していなかったのだな。分かった、今から去勢手術を獣医から受けさせることにしよう」

京楽の目がぴかーんと光った。

「ふっふっふ。ボクの浮竹にちょっかいかけるような雄猫は去勢だよ」

「それなら、京楽も去勢だな」

「えええええ、それはないよ浮竹ぇ」

「まぁ、お前が去勢されると人の姿をとった時にしっぽりできなくて困るが」

浮竹の言葉に、京楽の目が輝く。

「そうでしょ?」

「発情期にならなくても、疼く体が恨めしい」

「今日しっぽりする?」

「しない」

浮竹は、一度自分たちの一軒家に戻ると猫の姿でYES NO枕をNOにして丸くなって眠る。

京楽は人の姿に戻り、そんな浮竹を撫でていた。

「あ、お腹減ってきた‥‥‥昼食食べに行こう、浮竹?」

浮竹を揺り動かして、猫から人の姿にさせると、白哉もいる食堂で豪華な昼食をとる。

そして、二人はまた猫の姿になって、サタン一家を訪れる。

サタンは5夫人たちとしっぽり中で、まだ譲渡されていない子猫の相手を浮竹と京楽は、一緒に猫の玩具で遊んでやった。

「にゃあん」

「この白猫はオッドアイの美人さんだな。雌のようだが」

「浮気はだめだよ、浮竹」

「それはお前のほうだろう!俺のダッチワイフで最近辛抱しているようだが、またしっぽりして浮気しようとか思ってるんじゃないだろうな」

「ぎくっ」

「今度浮気したら、1カ月は禁欲だからな」

浮竹は強く言って、京楽を困らせる。

「にゃんん(しっぽりってなぁに?)」

まだ子猫のオッドアイの子は、しっぽりの意味を理解できていなかった。名前はリリアナちゃんだそうだ。

すでに、貴族の令嬢への譲渡が決まっており、混合ワクチンを接種して、もうあと1カ月ほど親の夫人猫とサタンの愛情を注がれてから、里子に出される。

サタンは、本気を言えば子供たちとずっと生活したいのだが、夫人が発情期になるとしっぽりして子猫が生まれるので、放置しておくと子猫同士がくっついてまた子猫を生み、多頭崩壊になるので、子猫は里子に出すという白哉の言いつけを守っていた。

サタン自身は、自分の子供たちでサタン猫帝国を作りたいのだが、人間の手がないと作れないので今のところ作る予定はない。

「わはははは、我はサタンなり!我としっぽりしたいかわいこちゃんはどんどん来るがよい!」

サタンは今日も猫生を謳歌している。

「にゃ~ん(しっぽりしたいけど、私避妊手術受けているのよね)」

「うむ、避妊手術をしていても、我とはしっぽりできるぞ。我のテクニックで皆悶絶なのである!!」

「にゃあ(あら、本当?)」

サタンは避妊手術をした雌猫ともしっぽりして、大人気だった。

「にゃあん(久しぶりに気持ちよかったわ。またお願いね)」

「わはははは!我はサタン!」

しっぽり中でも、笑っているサタンははっきり言ってムードがないが、テクニックが凄いため、5夫人の猫たちはもう何度もしっぽりさせられてぐったりだ。

また、2カ月の妊娠期間を経たら、きっと子猫を産むだろう。

サタンの子猫は譲渡の予約が埋まっている状態なので、白哉も5夫人を避妊手術させる気はなかったし、子が増えて大変な場合はサタンに猫用コンドームを使うように指導していた。

「浮竹、ボクたちもしっぽりしない?」

「いいぞ」

「そう、やっぱだめ‥‥‥え?」

京楽は聞き返す。

「二度目は言わない」

「じゃあ、早速自宅に戻ろう!」



二人は、一軒家まで戻ると、ベッドにもつれあって倒れこむ。

「んっ」

京楽の性急なキスに答えながら、お互いの服を脱がしていく。

「あっ」

胸の先端をきゅっとつままれて、浮竹が甘い声を漏らす。

「んんっ」

下肢を裸にされて弄られて、生理現象で浮竹のものが硬くなっていく。

京楽のものはもうギンギンに勃っていた。

くちゅくちゅと、お互いの性器を重ね合わせながら、指でしごいていく。

「ん、あああ!」

「気持ちいい」

「んあっ、やぁ、いく」

「いっていいよ、浮竹」

浮竹と京楽は、性器をこすりあって、ほぼ同時に射精していた。

それから、京楽は潤滑油を取り出して、浮竹の蕾にいつものように指を入れて慣らしていく。

「んあっ」

指がいいところを刺激して、そこを指の先でぐっと押すと、浮竹はドライのオーガズムでいってしまった。

「ああああ!」

びくんと体が反応する。

「浮竹、大好き」

「あ、京楽、大好きだ」

京楽はがちがちに硬くなった熱いもので、浮竹を引き裂く。

「あーーー、あ、あ」

もう大分慣れてきたが、やはり挿入には少し痛みが伴う。

しばらく動かずに大きさに慣らしてから、京楽は動き出す。

「ああ、あ」

パンパンと肉と肉をぶつけあう音がするくらい激しく交わりだすと、浮竹の反応もよくなる。

「ひああああん、だめぇえええ」

「奥がいいんでしょ?」

「あ、奥は、だめぇえええ」

京楽は、浮竹が嫌だという奥に侵入する。

「ひあん!」

「ふふ、熱く締め付けてくるね?胎の奥に子種出すよ?」

「ああ、子種出ちゃううぅ。奥にびゅるびゅる出されてるうう」

京楽は、その通り浮竹の胎の奥に子種を弾けさせる。

「まだまだだからね?」

「んあ、加減、しろよ?」

「さぁ?」



「ひゃああん、らめぇえええ」

すでに5回目になる欲を受け止めて、浮竹はぼやけた意識で京楽の刺激に反応する。

「んあああ、いくうう。もういきたくないにいくううう」

浮竹は何十回と絶頂を繰り返し、体力も底をつきかけている。

「これで最後だからね?」

「やらぁぁ。もう犯さないでぇ」

「ふふ、君の浅い部分で出してあげる」

わざと浅い部分をくちゅくちゅと犯し、前立腺を刺激すると、もう出ないと思われていた浮竹が精液を出した。

その後は、潮を盛大に吹き出す。

「ああ、やばそう。ちょっとお風呂場に行こうか」

「んあ」

浮竹から抜いて抱き上げて風呂場にいくと、ずちゅと音をさせながら京楽は浮竹を犯す。

「やらぁぁ、また、くるうううう」

潮を吹いたあと、そのままちょろちょろと黄金水を出してしまう浮竹。

「やあああ、漏らしちゃったあああ、だめええええ」

「風呂場だから、全部出しちゃっていいよ?」

「いやああああぁぁぁ」

じょろじょろと勢いよく尿は出て、京楽はシャワーで軽く洗い流す。

「んあ‥‥もう、だめ」

浮竹はオーガズムでもいきながら、気を失った。

「ふふ、ボクも満足だよ」

京楽は、浮竹の中に出したものをシャワーも使ってかき出して、軽く体を洗い流してバスタオルでふいてやる。

浮竹は体力は尽きたのか、衣服を着せられると猫の姿になってしまった。

「あら、猫になっちゃった」

京楽は人の姿で浮竹の世話をしてから、自分も猫の姿になってベッドで二人は丸くなって眠る。

しっぽりしすぎた後は、眠るのが一番だ。お腹がすいたら起きて、キャットフードで適当に腹を満たしてからまた寝る。

朝になり、浮竹が起き出す。

「んー、やり過ぎて腰が痛い‥‥」

「ごめんね?」

京楽が回復魔法を使う。

「大分楽になった。朝食を食べに食堂に行くか」

食事の時間は人でとることも多いが、猫の時もある。

白哉は、浮竹と京楽が食堂にくるかどうか気紛れで分からないが、いつも3人分用意してくれていた。

浮竹と京楽がこない時の二人の分の食べ物は、使用人が食べることになっている。

なので、浮竹と京楽がくると使用人はがっかりする。

それがなぜなのか分からなくて、浮竹も京楽も頭に?マークを浮かべながら食事するのだった。





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黒猫と白猫の亜人62

「にゃおおおおおおん」

サタンが悲痛な鳴き方をする。

なんだと、気になって浮竹と京楽が見ているところで、猫専用の獣医の手でワクチンを打たれていた。

「なんだ、ワクチンか」

「サタン君、まだワクチン接種してなかったんだね」

サタンは悪魔王猫であり、今までワクチン接種を何度も逃げてきたが、ついに最後の時。

エサに眠り薬を混ぜられて、意識が朦朧とする中、ワクチンを打たれて、怒ってサタンは獣医の腕を噛んだ。

「我はサタン。悪魔王猫ぞ!注射なぞいらぬ!」

「そうはいっても、最近の兄は外に出ているであろう。病気をもらってから治療では遅くなることもある。混合ワクチンだ。あとは年に1回ずつのワクチンで済む」

「ぬおおおおお、年に1回のワクチン接種だと!けしからん!我には無用だ」

「去勢を‥‥‥‥‥」

「うぬん、悪くない。ワクチンでもなんでもするがよい」

白哉が去勢を仄めかしたとたん、態度を裏返すサタンに、浮竹も京楽も笑う。

「サタン君、よっぽど去勢がいやなんだね」

「まぁ、年中発情期だしな。去勢されると夫人としっぽりできないし」

「京楽、兄を去勢しろと前に怒った浮竹が言っていたぞ」

白哉の言葉に、京楽が驚く。

「ええええ!酷い、浮竹!」

「雌猫としっぽりしまくっていた時の話だ」

「じゃあ。もう去勢はいいんだね?」

「お前としっぽりできなくなるのは‥‥」

猫の姿だからわかりにくかったが、浮竹は赤くなっていた。

「なんでもない!白哉、チュールくれ」

浮竹は、白哉の手からチュールをもらう。京楽ももらい、眠り薬がすっかり抜けてワクチン接種も終わらせたサタンも一緒に食べた。

浮竹と京楽は、日常の半分以上を猫の姿で過ごしている。

食事の時とお風呂は人の姿でいることが多い。

睦みあうときも人の姿だが、情事のない日には猫の姿で寝ている時もけっこうあった。

猫の睡眠時間は、長い時だと17時間に及ぶ。

猫の亜人であるが、浮竹も京楽もよく寝た。

平均して1日15時間は寝ている。夜に寝るが、昼寝も多かった。

「んー、眠くなってきた。白哉の膝の上で寝たい」

「かまわぬぞ。1時間ほど休憩をとろうとしていたところだ」

「じゃあボクも」

「仕方ない、我も」

白哉はいつも、もてもてだ。

白哉がソファーに座ると、まず浮竹がその膝の上に乗ってきて、隣に京楽がやってきて、一緒に丸くなって眠り出す。あいている僅かなスペースにサタンがやってきて、大いびきをかいて寝だした。

「私は、猫ハウスではないのだがな」

白哉は苦笑しながら、浮竹と京楽とサタンの頭と体をそっと撫でる。

浮竹は気持ちいいのか、ぐるぐると寝ながら喉を鳴らしていた。

『白猫の俺と黒猫の京楽、遊びにきたぞ!』

魔王の浮竹と、幽鬼の京楽がやってくる。

「今、眠っている」

白哉の膝の上で丸くなって眠る姿に心を射抜かれて、魔王の浮竹は白哉の隣に座って、猫の浮竹の体をそっと移動させて自分の膝の上に乗せてみる。

「うにゅう、もう食べれない」

浮竹は寝言を言う。

『ああああ、うちの子に‥‥‥』

「浮竹と京楽もサタンも、私の家族だ。手放すつもりはない」

『ふふ、浮竹、ふられたね?』

幽鬼の京楽が、ぼーっとしてたかと思うと、魔王の浮竹の頭を撫でる。

『うぬう、まだ諦めないぞ』

魔王の浮竹は、浮竹と京楽の体を抱いて、サタンだけソファーに投げ捨てて、白哉に言う。

『魔王城に連れて帰る。お前の元に帰りたいというまで、帰さない」

『ちょっと、浮竹』

幽鬼の京楽が、やり過ぎじゃないのかという声を出す。

白哉は、自信あり気に笑った。

「浮竹と京楽は、私を選ぶ。家族だからな」

『ぐぬう』

魔王の浮竹は、半ば拉致するかのように魔王城に浮竹と京楽を連れて行く。

「あれ、魔王の俺?白哉は?」

「ん、白哉君は?」

『俺たちの家の子にならないか』

『ちょっと、浮竹』

『どうだ。我儘はできるだけ聞き入れる。だから、うちの子に』

浮竹は、伸びをすると魔王の浮竹の腕に飛び込む。

「俺と京楽は白哉の猫だ。魔王の俺には悪いが、家族を裏切れない」

『やっぱだめか‥‥』

『ほら、言ったのに』

「白哉に会ってからここに来たってことは、白哉は魔王城にいることを知っているんだな?」

『ああ』

「じゃあ、今日も泊まる」

はっきり言って、何度も泊まるので主は白哉だが、魔王城の住人と化しつつあった。

『じゃあ、飯ができるまで俺を遊ぶか』

「あ、じゃあ俺が昼食を」

いつもダークマターを食わせられるので、京楽が慌てた。

「ここのシェフの作った料理が食べたいなぁ」

「うーん、それもそうだな。ここのご飯はおいしいから」

浮竹が昼食を作らいとなって、京楽は胸を撫でおろす。

「じゃあ、おやつを俺が」

「今日はボクが作るからね!」

「じゃあ、その手伝いを」

「幽鬼のボク、手伝いお願いできるかな」

幽鬼の京楽は、クスリと笑って、OKを出す。

『仕方ないねぇ。ダークマター、おもしろい味してると思うけどね?』

「ダークマターは凶器だ!」

そんなやりとりをする京楽を不思議そうに見ながら、浮竹は魔王の自分の膝の上でまたお昼寝を始める。

「ああ。ボクもまだ眠い。昨日10時間しか寝てないから。ボクらは15時間は寝ないと活動に支障がでるから」

京楽も、魔王の浮竹の膝の上でうとうとと眠り始める。

『もう、これって俺んちの子になったようなもんだよな』

『まぁ、似たようなものかな』

幽鬼の京楽は、穏やかな午後の日差しを見ながら、魔王の浮竹の髪を手ですく。

『なんだ?』

『ん?好きだなぁと思って』

『な、そんなこと言っても何もでないからな』

『ふふ、浮竹はかわいいね?』

魔王の浮竹は、耳を赤くしつつ、浮竹と京楽が起きるのを根気強く待つのであった。


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俺はお前のラブドール7

浮竹は、新しく作ってもらった雨乾堂の窓から、外を見ていた。

今年の冬は大寒波で、鯉たちが泳ぐ池も凍ってしまった。

しんしんと降る雪に、はぁと息を白くさせながら外に出ると、やってきた京楽に中に戻れと拉致される。

「雪を見ていただけじゃないか」

「君は、体がまだ弱いんだから。風邪でもひいたら大変だ」

「風邪なんて多分ひかない」

「ううん、絶対風邪ひくね」

京楽の言う通り、次の日には浮竹は風邪をひいて高熱を出していた。

「何か、食べたいものはあるかい?」

「桃が、食べたい」

「この時期に桃かい。ちょっと無理かもしれないけど、現世にも行って探してみるよ」

京楽は、総隊長である自分自らが現世にいくのはまずいので、5番の席官に桃を探しにいってもらい、外国産の桃をなんとか買ってきてもらった。

「桃、買ってきてもらったよ?浮竹?」

京楽が、雨乾堂に浮竹の姿がないものだから、必死で探す。

こほこほと咳の音が聞こえて、外に出ると凍った池の上に浮竹が座っていた。

「何してるの!ああ、もうこんなに体冷やして!ほら、早く中に入って」

「なぁ、京楽」

京楽は、冷え切った浮竹の体を温めるために、電気毛布を出して、ストーブをつける。

電気毛布にくるまれながら、浮竹は続ける。

「俺は、いつかこの雪のように溶けてなくなってしまうんだろうか」

「そんなこと、ボクがさせない」

「うん‥‥‥‥」

風邪がうつるかもしれないのに、京楽は浮竹に口づける。

「うつるぞ」

「構わないよ」

また、口づける。

浮竹の熱があがってきたので、氷枕を作って、寝かせた。

「ほら、桃だよ。食べれる?」

浮竹は、雛鳥のように口を開けて桃を食べる。

「おいしい」

「まだあるからね?」

「京楽」

「なんだい?」

「俺が溶けてなくなっても、悲しまないでくれ」

「浮竹‥‥‥」

京楽は、浮竹を電気毛布ごと抱きしめる。

「君は溶けていなくなったりしない。そんなの、ボクが許さない」

「京楽の手、あったかい」

「ボクの手より、君の体温のほうが高すぎる。桃も食べたし、解熱剤飲んで寝ようか」

「ああ」

浮竹は京楽から、昔よく飲んでいた解熱剤をもらい、白湯で飲んだ。

「きっと、明日にはよくなってるから」

「うん。傍にいるからね?」

京楽は、仕事を全て新しい雨乾堂にもちこみ、浮竹の傍で仕事をした。

「京楽?」

気が付いた浮竹が、京楽がまだ傍にいることに驚いて、声を出す。

「仕事は?」

「ここにもってきたよ。言ったでしょ。傍にいるって」

浮竹は、ふにゃりと笑って、京楽に甘える。

「膝枕、してほしい」

「いいよ。おいで」

浮竹は電気毛布を手に、京楽の膝に頭を乗せて寝転がる。

「ああ、昔母上が俺の熱があるたびにこうしてくれたことを思い出す」

「浮竹の母さんは、今も元気だよ?3年くらい前に君の実家を久し振りに訪れたけど、みんな君のことを想いながら生きていたよ。息子は、立派だったでしょうか?と聞かれて、ボクは回答に迷ったね」

「ふふ、俺は一度全てを捨てて、神掛をしたからな」

「もう、あんな思いはごめんだよ」

「ああ」

浮竹は、そのまますうすうと眠ってしまう。

浮竹の熱はなかなか下がらず、お風呂に入りたいというものだから、しっかりお湯に浸かるならと許可して入らせて、髪をドライヤーで乾かしたけど、熱はまだあった。

浮竹が熱を出して1週間目、浮竹の呼吸が止まった。

京楽はそれに気づいて、パニックになりつつも人工呼吸と心臓マッサージを続けると、浮竹の頬に赤みがさして、呼吸が元に戻り、心臓も動き出す。

ただのラブドールに戻ろうとしていたのだ。

それを、京楽が阻止した。

阻止できた、というべきか。

浮竹の死は、つまりはただのラブドールに戻るということだ。

京楽はますます浮竹から離れられなくて、悪いとは思ったが、総隊長の座を一時白哉に預けて、浮竹の傍にずっとついていてやった。

「京楽、桃が食べたい」

「ふふ、またかい?」

浮竹が意識を取り戻し、我儘を言うのを、京楽は愛しく思う。

また、今度は席官でないが、現世に慣れている隊士に外国産の桃を買ってきてもらおうとしたのだけど売ってなくて、仕方なく桃の缶詰を買ってきてもらった。

「ごめんね、桃、缶詰のしか売ってなかったんだ」

「それでもいい」

浮竹は、京楽の手から缶詰の桃を食べる。自然の桃と味が違って、ちょっと驚きつつも、浮竹は缶詰の桃を完食してしまった。

最近あんまり食欲がなく、点滴を食事代わりに済ませていたことを思うと、大きな進歩だった。

本来なら、入院であるのだが、京楽の傍と雨乾堂に居たいという浮竹の我儘で、浮竹は雨乾堂で闘病生活をすることとなった。

ただの風邪をこじらせて、肺炎になっていた。

ぜぇぜぇと、苦し気に呼吸を繰り返す浮竹には、肺は片方しかない。右の肺は、ミミハギ様を解放させるのと一緒に、臓器ごとなくなってしまっていた。

まるで、昔に戻ったような錯覚を味わう京楽。

違うのは、自分が総隊長であること。そして、浮竹は失われたはずの命だということ。

「缶詰の桃、まだあるからね?欲しかったら、言ってね?」

「苺が食べたい」

「うん、苺だね?この季節でも、現世なら温室栽培で苺あるだろうから、買ってきてもらうね?」

「うん。傍にいてくれ、京楽」

京楽は、桃の缶詰を買ってきてくれた隊士を呼び、苺を2パック買ってきてもらった。

「ほら、苺だよ?」

「甘くておいしい」

「たくさんあるからね?足りないなら、追加で買ってくるから」

「ありがとう、京楽。愛してる」

「うん、ボクも愛してるよ」

浮竹は、一度また呼吸を止めて心臓の鼓動も止めたが、奇跡的に助かり、その次の日から回復方向に向かっていった。

「ああ、浮竹が生きてる。ありがとう、神様」

神など信じていないが、京楽は祈ることしかできなかったのだ。

浮竹は、自分の足で立ち上がり、歩けるまで回復していた。

「京楽、お前が欲しい」

3週間にも及ぶ闘病生活だったため、浮竹は疼いて仕方ないようだったが、京楽もそれと同じであったが、念のために日を置いた。

1カ月が過ぎる頃には、浮竹は完全に元気になり、京楽は白哉から総隊長の身分を返上してもらい、平和な日常が戻ってくる。

「今日、君を抱いてもいいかい?」

「ああ。ずっと疼いているんだ。抱いてくれ」

その日の夜、浮竹と京楽は、実に1カ月ぶりに睦みあった。



「んああああ!」

浮竹のものを口にふくんで舐め転がして、じゅぷじゅぷと音を立てて口淫して、手でもこすってやると、浮竹は1カ月ぶりに精液を出す。

濃かった。

「君の、濃いね。まるでヨーグルトみたい」

「やあああ」

いって敏感になっているのに、京楽は続けて吐き出させるように、浮竹のものに奉仕を続ける。

「うあ、いく♡」

「いっていいよ?何度でも」

浮竹は京楽の手の中に2回目になる射精をした。

「次はボクの番だね」

「あ、俺も口で‥‥‥」

「君の中でいきたい」

「分かった」

浮竹は、潤滑油を手にとって、自分で自分の後ろを慣らしていく。

「ん、指じゃ届かない」

「もう、大分解れたね。挿入れるよ?」

「ひあああ!!!」

指とは比べ物にならない質量に引き裂かれて、浮竹は一瞬呼吸を忘れる。

それに気づいた京楽が、浮竹に口移しで酸素を送る。

「あ、あ、あ‥‥‥」

「ゆっくり呼吸して。そうそう。ああ、かわいいね、十四郎」

「やあん、春水の大きい♡」

大きく太いもので奥を刺激されて、浮竹は射精しながらオーガズムでいく。

「あああ、いくううう♡」

「ふふ、たくさん子種あげるからね?なにせ1か月ぶりだから、濃いよ?」

「やあん、孕んじゃう♡」

「うん、孕んでね?」

京楽は浮竹の奥を押すように動く。

「んあああ、いくううう♡」

「ボクもいく‥‥‥」

びゅるびゅると、1カ月ぶりの精液が浮竹の中に注がれる。それに、浮竹は恍惚とした表情になる。

「あ、もっとお♡」

「ふふ、欲張りさんだね、十四郎は」

「あ、春水、もっと俺の胎がたぷたぷになるくらい注いでくれ♡」

京楽は、浮竹の弱い部分をすりあげて、奥を抉る。

「ひああああ、いい、だめええぇぇ♡」

京楽は、浮竹の中にまた精液を吐き出す。

「いいのにだめなの?」

「んあ、いいのお♡」

京楽の出す精液を下の口で受け止めて、浮竹は京楽と口づける。

「春水、もっとお♡」

京楽は、浮竹が満足するまで抱いてやる。

「やああ、らめえええ、おかしくな”る”う”う”♡」

もう4回以上精液を注ぎこまれた浮竹の胎はたぷたぷだった。

「んあ、い”ぐうううう♡あ、あ”ーーーーーーーー♡」

潮をびゅーびゅーと盛大に吹いて、浮竹は京楽の最後の一滴まで受け取って、意識を失う。

「十四郎、お疲れ様」

中から抜くと、大量の精液が浮竹の太ももを伝って出てくる。

「後始末しなきゃね」

京楽は、天国を見てから、その後につけまわる後始末を済ませて、浮竹を新しい布団で寝かせて、京楽も横になって眠る。

「んあ‥‥‥まだ足りない」

「ええ!?ボク、もう出ないよ?」

次の日の朝になり、そう言う浮竹に京楽は降参のポーズをとる。

「むう。我慢する」

「ごめんね?」

「いや、俺が長いことしてなかったから、体が疼くだけだ」

「手で、してあげようか?」

「春水のものじゃないと届かない」

京楽は、降参のポーズをとる。

「今日の夜、ね?」

浮竹の耳を甘噛みしながら囁くと、浮竹は頷くのだった。




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黒猫と白猫の亜人外伝3 サタンの子

ジョセフィーヌちゃんが産んだ子猫のうち、2匹が急死した。

にゃんにゃんと泣くジョセフィーヌちゃんとサタン。

特にサタンの落ち込みようったら半端なく、うおんうおんいって、泣いていた。

「ああ、まだ生後2か月なのに。かわいそうに我が子よ。せめて、父の胸でもう一度抱かせておくれ」

サタンは、死んだアリーちゃん、トムくんを胸に抱いて、お別れをする。

浮竹と京楽も、猫の姿で死んでしまったアリーちゃんとトムくんの体に体をこすりつけて、冷たくなっていく体に悲しんで、涙を零す。

白哉の飼っている猫の中には野良猫だった者もまじっていて、普通は去勢されるのだが、主にオスが去勢されるので、メスも外に出る子は去勢される。

ジョセフィーヌちゃんを含む、サタンの5匹の夫人は、まだ去勢されていない若い雌猫だった。

まさかサタンが白哉の元にくるなど思ってなかったので、夫人を迎えるとも思ってなかったので、子猫が生まれるなど思わなかったのだ。

生まれた子猫は、離乳して子猫時代を思いっきり甘やかされて育ってから、貴族の令嬢たちにもらわれていく。

中には、大商人の平民にもらわれていく子もいた。

白哉は、サタンの子猫を譲渡するにあたり、平民でもいいのだが、裕福な家を選んでいた。

決して飢えたり虐待されたりしないように、時折もらわれていった猫の様子を使者を派遣して見てもらっていた。

その条件で、譲渡をしている。

「サタン、今回は残念だったな。手厚く弔うゆえ、子猫たちをこちらへ」

「待て。我が血を与えれば、復活するかもしれぬ」

「だめだよ、サタン君。聖なる力以外で復活させると、アンデット系になる。悪魔のアンデットの子猫とか、誰も世話できないし、もらってもくれないし、サタン君でも世話できないよ?」

京楽の言葉に、サタンは嘆き悲しんだ。

「アリーちゃん、トム君‥‥‥‥うおおおおおおおん」

「うう、アリーちゃんトム君」

浮竹も、釣られてにゃあにゃあ泣き出した。

サタンの子猫と、たまに一緒に遊ぶ浮竹と京楽にとっても、悲しいできごとだったのだ。

「残された子たちを大切に育てないと」

「分かっておる。うおおん、どうか皆、アリーちゃんとトム君の分まで成長して、大きくなるのだぞ」

白哉は、アリーちゃんとトム君の体を譲り受けて、火葬して遺骨を小さな骨壺に納めて、猫たちの墓に埋葬する。

「うおーーーーん」

サタンは一日中泣いて、もう涙も枯れ果てるくらい泣いた。

昔なら、平気で人間を殺すようなサタンがだ。

猫になって猫人生を楽しむせいで、完全に猫になっていた。

しかも父性あふれる猫になっていた。

普通猫は、母猫が子猫の世話をして、雄猫は放置だ。

そんな中、サタンはよく子猫たちの面倒を見た。ぺろぺろと毛づくろいをしてやり、離乳時期がくるまで体温で温めたり、目があいてある程度成長して活発になってきた子猫たちの遊び相手をしてやった。

それは浮竹も京楽も同じで、ある程度成長したサタンの子猫たちを猫のおもちゃで遊んだりした。

「他の子猫たちも、念のため獣医に診せる。血液検査とワクチンを接種させるゆえ、残りの3匹の子猫を預かるぞ」

「うむ、苦しゅうないぞ白哉。我が子たちがうつる病気で命を落としたのなら、大問題だ。他の子たちを専門の獣医に診せてくれ」

白哉の家には、猫専門と猫と猫の亜人も診れる、二人の獣医を抱えていた。

「頼む」

「はい、白哉様」

猫専用の獣医は、白哉の手の中でにゃあにゃあ鳴く子猫を3匹受け取って、血液検査をした後、ワクチンを接種させる。

「血液検査では猫エイズも白血病にもかかっておらず、その他の病気もなく健康であることが分かった。たっぷり栄養を与えて、甘やかして育ててやれ」

サタンは、白哉から子猫を3匹返してもらって、その子猫たちの首をくわえて、母乳を出すジョセフィーヌちゃんの元に連れていく。

まだ完全に離乳時期ではなく、柔らかくした離乳食とミルクで育っていた。

ジョセフィーヌちゃんは、子猫たちに栄養価の高いミルクをあげるために、たくさん食べてたくさん飲む。

「にゃあにゃあ(アリーちゃんとトム君の分まで、精一杯お世話するわ)」

「うむ、うむ、その通りだジョセフィーヌちゃん。今回は残念であった」

白哉は、子猫でも育児放棄された子猫なども保護したこともある。時折仕事の合間をぬって、そんな子猫にミルクをあげたりもするが、通常は二人くらいの使用人に任されていた。

育児放棄された生後数日の赤ちゃん猫は、1~2時間おきに授乳が必要だ。それを乗り切っても、3時間おきくらいに授乳が必要だ。

子猫は免疫が高くなく、特に野良の産んだ子猫は栄養状態が芳しくない。

母猫の初期の授乳さえ許されなかった赤ちゃん猫を保護して、授乳をさせるが、か弱く命を落としていく子猫を、白哉はたくさん見てきた。

母猫がいるから、家猫であるからといって、安心はできない。

子猫はかわいいが、反面弱く、へたをすればすぐに命を落としてしまう。

なので、白哉は子猫の譲渡は離乳を終えて完全にキャットフードを食べて、ワクチンを接種して去勢済みの子を譲渡していた。

譲渡しても、5匹も夫人のいるサタンの子猫は、発情期になるとまた産まれてくる。

まぁ、譲渡の予約は多頭で飼いたいという申し込みも多いので、多頭飼育崩壊を起こしていないかを複数で欲しがる場合は確認してから譲渡する。

白哉の手から譲渡されていった子猫たちは、皆元気に幸せな家猫になっていた。

「あら、こちらの白猫が綺麗ね。この子が欲しいわ」

ある貴族の令嬢が、譲渡会にきて、浮竹の見た目が小さく子猫に見えたので、白哉にそう言うと京楽が貴族の令嬢に「この子はボクのだよ」と人の言葉でしゃべり、びっくりさせることも何度かあった。

そんなしゃべる猫を欲しがる者は多く、猫の亜人だと知っても、欲しがる。

中には拉致してまで欲しがる輩がいるので、譲渡会には騎士が何人かいた。

さて、今回の譲渡会では、16匹のサタンの子猫と、4匹の野良猫だった猫が産んだ子猫がもらわれていった。

サタンは、去っていく子猫たち一匹一匹を舐めて毛づくろいをして、お別れをしてから白哉に渡す。

サタンは、浮竹も舐めて毛づくろいをした。

「ひゃは、くすぐったい」

「ふははは、サタン様が毛づくろいをしてやっているのだ。金貨100枚の価値があるぞ」

高いだろう、多分。浮竹は思ったが、口には出さない。

「ボクも毛づくろいする」

「え、やだ」

「なんで!」

「京楽の、なんか変態っぽいから」

「ガーン」

そんな会話をする浮竹と京楽を見て、白哉は心を和ませる。

「では、我が毛づくろいしてやろう。金貨100枚の価値のあるテクニックを堪能せよ」

「うん、サタン君にお願いする」

「ガーン」

京楽はその日、ショックであまりキャットフードを食べなかったが、白哉の手からもらうチュールを食べまくるのだった。




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黒猫と白猫の亜人61

「んあっ」

ずちゅりと中を犯す京楽のものは、まだ熱くて硬い。

「ん、いい」

「ここかい?」

「ひあ!」

ぐりっと奥を押されて、抉られて、浮竹はオーガズムでいく。

「あ、もっとおお」

「君は、いつもは清楚で明るくて元気なのに、抱かれると妖艶で妖しくなるんだから」

「あ、もっと奥にくれ。奥に、お前の子種をいっぱい」

京楽は、言われた通り奥を貫いて、その締め付けに耐え切れず、子種を吐き出す。

「あ、ああ、あ。いっぱい出てるぅ。京楽のザーメン、いっぱい出てる♡」

「もっと?」

「あ、もっとお♡」

浮竹は身をくねらせてから、足を自分から開いて、結合部をくぱぁと指で広げて、誘ってくる。

「ああ、サキュバスみたい。淫乱だねぇ」

「あ、すごい硬くなったあぁ♡太くて熱いの♡」

浮竹は、足を使って京楽の腰を絡めとる。

「もっと奥に出してぇ♡」

「仕方ないねぇ」

京楽は、浮竹の最奥を穿ち、浮竹のものを手でしごいて、強制的に射精させると、びくんと浮竹が背をしならせる。

「あ、あーーーー♡」

びゅるびゅると、中に精液を注ぎ込まれるのを感じながら、浮竹は気を失った。

「ふう、ボクまだまだいけるんだけど。でも、これ以上は無理だね」

京楽は猫の姿になり、この前もらった浮竹を象った猫のダッチワイフと何度かしっぽりして、満足した。

最近の京楽は、雌猫としっぽりしなくなった。

代わりに、浮竹とする回数が増えた。

すでにいっぱいっぱいなのに、性欲の強い黒猫の性欲に付き合わされると、気絶することがしばしば。

今回も浮竹を気絶させるまで抱いてしまい、それでも尽きない欲求の解消をダッチワイフと済ませて、それを知った浮竹も浮気するくらいならと、喜んでくれた。

「なぁ、京楽」

「なんだい?」

目覚めた浮竹が、ふいに問う。

「俺がいなくなったら、お前はどうするんだ?」

「君の傍にずっといるよ。君がいなくなる時は、ボクも死ぬ時かな」

「そうか」

浮竹は、また眠ってしまった。

京楽の瞳が金色になる。

「サタナシア・オルタナティブ。出てくるな。おとなしくしておいで」

金色の瞳の原因である、自分の中にある異物を手なづけて、ゆっくりと奥に落としていく。

「そろそろ、幽鬼のボクに診てもらう時期かなぁ」

京楽は、サタンになったことが一度ある。暴走してしまい、もう少しで浮竹を殺すところだった。幽鬼の京楽のお陰で封印されて、もう半年ばかりになるだろうか。

たまに幽鬼の京楽に少し診てもらっていた。

そろそろ、幽鬼の京楽に本格的に診てもらい、封印の上書きをしてもらうほうがいいと思った。



京楽は、浮竹が寝てる間に、魔王城に行き、まだ早朝だが幽鬼の京楽を起こす。

『ん、何?こんな早朝から』

「ボクの中のサタナシア・オルタナティブがまた活性化してるんだ。サタンの封印が緩んでいないか、診てくれないかな」

『んー。大丈夫、封印はされてる。でも、ちょっと緩くなってるね。上から封印を施すね?』

「ごめんね。君の魔力がまたなくなってしまう」

『いいよ。どうせ、休眠するまで魔力を消費するわけでもないし』

幽鬼の京楽は、精神を集中させて京楽に封印を上書きする。

『はい、おしまい』

「ありがとう。これ、白哉君から。お風呂セット。魔王の浮竹と一緒に使って?」

白哉が、自分の子たちが毎度お世話になっている魔王の浮竹と幽鬼の京楽に、入浴剤やら石鹸やらがつまった、高級お風呂セットをくれた。

『ありがとう。いい匂いがするね?早速、今日のお風呂にでも使ってみるよ』

「じゃあ、ボクは戻るね」

『ボクはもう一度寝るよ。おやすみ』

京楽が白哉の家でもある自分の家に戻ると、浮竹が起きていた。

ダッチワイフを綺麗に洗っていてくれた。

「お前、使うのはいいが、ちゃんと手入れしろよ?」

ダッチワイフの股間部分に、カピカピにこびりついたいた精液を綺麗に洗って、浮竹は京楽を見る。

「魔王城に行っていたのか?」

「え、なんで分かるの?」

「幽鬼のお前の匂いがする」

「嗅覚すごいね?」

黒猫の亜人は視覚に優れているが、白猫の亜人は嗅覚に優れてるようであった。

「まぁ、猫の亜人はそれぞれ色で優れている部分が違うからな。ちなみに恋次君は味覚がすごいららしい」

「へぇ」

始めて聞いた話に、少しだけ興味をもつが、恋次のことなどはっきりいって京楽にとってどうでもいいので、それ以上は聞かなかった。

「朝食食べに行こう?」

「ああ」

浮竹と京楽は、猫になって白哉の元にいく。

恋次が赤猫の姿で食堂にいた。恋次に抱かれたのか、ぞくりとするほど妖艶な白哉が、浮竹と京楽の分のキャットフードとチュールをくれる。

「白哉さん、俺にも!」

「兄は、猫まんまでも食っていろ」

「酷い!」

「それはこちらの台詞だ。いきなり盛ってきて」

「白哉君、しっぽりしたの?」

「京楽、兄は思っていることを口に出し過ぎだ」

「しっぽりは悪いことじゃないぞ?京楽なんて、俺を抱きつぶしてダッチワイフとしっぽりしてたからな?」

それに、恋次と白哉が吹き出す。

「ダッチワイフ。いつの間に」

「あ、俺も白哉さんのダッチワイフ欲しい」

恋次がそう言って、白哉にゴンと頭を殴られていた。

「動物虐待反対!」

「チュールはいらんのだな?」

「いります!にゃーーん」

恋次は、猫らしいかわいさを見せようとするが、がっしりした体躯の猫なので、あまりかわいくない。

浮竹は少し子猫サイズで、京楽は普通サイズだ。

白哉は仕方なく恋次にもチュールをあげる。

それから、ついに200匹をこしてしまった自分の猫たちにも食事をあげにいく。猫の広間にはたくさんの猫がいた。

「わはははは!今日も白哉自ら我にエサを与えるとは感心である。我は偉大なる悪魔王猫サタンなり!!!」

サタンが、5匹の夫人の猫とその間にできた子猫たちを連れて、エサをもらいにくる。

白哉は、サタンにはなるべく自分の手でエサを与えるようにしていた。

「わははは」

サタンは、今日もかしましいのであった。

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黒猫と白猫の亜人60

京楽は、色欲魔人である。

体の中にサタナシア・オルタナティブという異なる存在をもっている。

寝る、食べる、以外だとやることしか考えていないかんじがする。

と、魔王の浮竹に言われて、京楽はズーンと沈みこんだ。

なにせ、浮竹がいるのに、見てない場所で他の雌猫としっぽりして浮気する。することしか能がないような感じに受け取られても仕方ない。

『お前って、やっぱ色欲魔人だよな。浮気するし』

『まぁ、色欲魔人でもいいんじゃない?白猫の浮竹が幸せなら』

「でもこいつ、浮気するぞ?この前も、俺が白哉と出かけている間に、他の雌猫としっぽりしていた」

京楽がばれていたと、顔を蒼くする。

「あ、あれはね?ただの、マッサージで」

「マッサージで合体するのか?相手の雌猫にゃんにゃん気持ちいいって言ってたぞ?」

「う」

魔王の浮竹は呆れ、幽鬼の京楽は笑っている。

「しまいには、サタンの妻のジョセフィーヌちゃんともしっぽりしてたしな?」

「な、ばれて!?」

「ジョセフィーヌちゃんがいってた。お前の一物は立派だし気持ちいいけど、心が足りないって。やることしか頭にないって」

「ああああ、ジョセフィーヌちゃあああん」

京楽がもうこれ以上聞きたくないとばかりに蹲る。

「お前に愛想をつかさない俺は心が広いな、我ながら。あんまり、浮気するなよ。捨てるぞ」

「ボクは浮竹が一番だから!浮竹しかいないから!」

「そう言いながら、雌猫としっぽりするんだよな?」

「う、もうしないから」

『信用できないな』

『信用できないね』

魔王の浮竹と幽鬼の京楽に言われて、色欲魔人こと京楽はさらにズーンと沈み込む。

『あんまり浮気してると、俺が白猫の俺をもらうからな?』

「な、それだけはだめだよ!?浮竹同士だなんて‥‥‥鼻血垂れてきた」

浮竹は猫の姿で京楽に、手加減なしの猫パンチをお見舞いする。

「卑猥なことしか考えないのかお前は。魔王の浮竹がもらうというのは、ただ一緒にずっといるって意味だ」

『そうなると、ボクが嫉妬しちゃうなぁ』

幽鬼の京楽が、紅茶を飲みながら困るなぁと笑う。

「む、まぁそうだな。俺と魔王の俺は今の距離がちょうどいい」

『うちの子になっていいんだぞ?』

「それでも、俺は京楽が好きだから。愛してるから」

「浮竹えええええぇぇぇぇ」

猫の姿で抱きついてこようとしる京楽を、浮竹は猫パンチをお見舞いする。

「しばらくさせてやらない。反省するんだな」

「そんなああああ」

「あ、雌猫としっぽりしたら、さらにやらせてあげないからな」

色欲魔人の京楽は困った。

おおせいな性欲を解消するには、浮竹に相手をしてもらうのが一番なのに、その浮竹が抱かせてくれないと言うし、浮竹がいない時に欲を解消するために雌猫としっぽりするのだが、それも禁止されて、京楽はうーんうーんとうなりだす。

「これやる。魔王の俺に作ってもらった」

『こんなので、欲の解消になるのか?』

「分からん」

それは、浮竹の猫の姿をしたダッチワイフだった。

猫のダッチワイフなど見たことも聞いたこともない。

魔王の浮竹に適当に作ってもらった。

よくでてきていて、本物の浮竹そっくりの毛並みの質感と、瞳の色まで瞬きをしそうなほどにそっくりだった。

「あ、ボクこれならいけるかも」

浮竹の匂いもして、京楽は早速ダッチワイフを抱いてみる。

「あ、いいね。質感まで浮竹そっくり」

「じゃあ、雌猫としっぽりはやめろよ?」

「う、うん」

色欲魔人の京楽は、色欲魔人であるがために即答できない。

「今度雌猫としっぽりしてるの目撃したら、ほんとに1か月は抱かせてやらないからな」

「はーい」

『じゃあ、問題は解決したということで、お茶にでもする?』

幽鬼の京楽が、得意の紅茶クッキーをもってきてくれた。

浮竹と京楽は人の姿になって、中庭に移動して、テーブルのある場所の席につく。

「幽鬼の京楽がいれてくれる紅茶が一番おいしい」

「そうだね。ボクもそう思うよ」

『ありがとう。昔はもっと下手だったよ?浮竹とお茶するために、何度も練習したんだよ』

幽鬼の京楽は、紅茶クッキー以外に、チョコと苺のタルトを作ってもってきてくれた。

「チョコ!苺もある!」

そのお菓子に、浮竹が目を輝かせる。

浮竹はチョコレートが大好きだ。それを知っていたので、幽鬼の京楽はあえてタルトをチョコ味にしてみた。

「うん、おいしい!」

浮竹は、チョコタルトをおいしそうに食べる。

『俺の分もやる。食え』

「え、いいのか?」

『俺はいつでも京楽のお菓子を食えるしな』

「じゃあもらう!」

魔王の浮竹が自分の分を浮竹に譲るものだから、最初に譲って喜んでもらおうと思っていた京楽は、ちょっと残念に思いながらも、自分の分も浮竹にあげる。

「ボクの分もあげるよ」

「ありがとう!」

浮竹は、犬のようにしっぽをぶんぶんして喜んだ。

『ふふ、ボクの分もあげるね?はい、あーん』

「あーん」

「あ、ずるい!」

京楽が叫ぶ。

『ふふ、ほんとに白猫の浮竹はかわいいね?猫の姿でも人の姿でも』

『俺は?』

『君は別格』

魔王の浮竹の額にちゅっとキスをする。された魔王の浮竹は顔を真っ赤にさせる。

「お、ラブラブだな」

「ラブラブだね」

浮竹と京楽は、甘い空気に慣れているため、魔王の浮竹が恥ずかしがっても気にしない。

「魔王の俺、もっと幽鬼の京楽と甘えてもいいんだぞ?俺たちなど気にせず」

『いや、気になるだろう、普通』

『ふふ、ボクの浮竹は照れ屋さんだから』

幽鬼の京楽は、魔王の浮竹の頭を撫でて、チョコタルトのおかわりをもってきて、浮竹以外のメンバーもきちんと食べれるようにするのであった。







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