祓い屋京浮シリーズ
「おい、起きろ京楽」
「うーん・・・げへへへへ、浮竹、愛してるよ」
「なんの夢を見てるんだ!いい加減起きろ!」
浮竹は、京楽の頭をハリセンでスパーンと殴った。
「はっ!僕の愛しいエロい浮竹が消えた!」
がばっと起き上がった京楽の目に映ったのは、正装している浮竹の姿だった。
「浮竹、どうしたのそのかっこ」
「依頼主に会うためだ。とある大会社の社長らしい。普段着ではまずいから、スーツを着た」
「スーツ姿の浮竹って新鮮だなぁ。脱がしたい」
「あほか!」
ハリセンで殴られそうになって、京楽は桜文鳥の姿になると、浮竹の頭の上に乗った。
「ずるいぞ。文鳥になるなんて」
「だって、浮竹のハリセン、容赦ないんだもの」
「そりゃ京楽相手だからな」
「酷い!」
はたから見れば、桜文鳥が浮竹の頭の上でちゅんちゅんと愛らしく鳴いているようで、実際は違った。
「とにかくお前も・・・・・ああ、めんどくさいから桜文鳥のままでいい。式だと説明すればいけるだろう」
そうして、用意した車を浮竹は運転して、とある大会社の社長に、応接室に通してもらった。
--------------------------------------------
「どうか、座敷童様をお守りください。とある退治屋が、代々我が家系の繁栄を約束してくれた大切な座敷童様を殺そうとしているのです」
「その座敷童はどこに?」
「私の邸宅の地下に」
「まさか、座敷牢などに監禁してないないだろうな?」
「チュンチュン!」
「まさか!座敷童様のために特別にあつらえた部屋で、静かにお過ごしになられております。飽きないように、術者を雇って、式で遊び相手をしてもらったりしていますし、座敷童様がその部屋を出たいと言ったことはありません。決して監禁などしておらず、地下室にいるのは座敷童様の意思です」
「ふむ・・・・その座敷童を殺そうとしている相手に覚えは?」
「商売敵のB社の手の者かと。退治屋を最近雇ったと聞きます」
「ふむ・・・・今回の敵は、同業者というわけだ」
「同業者同士の争いは、なるべくしたくないんだけどねぇ」
ちゅんちゅん鳴いていた桜文鳥が、いきなり人の姿をとったので、その社長はびっくりして腰を抜かした。
「ああ、俺の式の京楽春水。桜文鳥の姿をとるが、一応人型で俺が持っている中でも最強の式だ」
「さようで・・・・その、依頼のほうは受けていただけるので?」
「ああ、引き受けよう」
「そうだね。何もしてない座敷童ちゃんを殺すなんてひどいしね」
京楽は、浮竹用に出された茶菓子とお茶を飲みながら、一息つく。
「座敷童ちゃんは僕が守るよ。浮竹は術者を見つけて話をつけて。もしくは、不利になったら僕を呼んで。座敷童ちゃんを数時間は守れる結界をはるから」
「分かった」
こうして、浮竹と京楽は社長の邸宅の地下室にいる座敷童のところにいき、一度守ることを伝えると、座敷童はあどけなく笑った。
「お兄ちゃんたち、あたいを守ってくれるの。ねぇ、お手玉しよ?」
「はいはい、それはこっちの京楽がしてくれる」
「あ、ちょっと浮竹!?」
「式の気配がする。行ってくる」
「気をつけてね!これ、僕のお守り!攻撃を一度はじき返すように作ったやつ」
人型の紙人形を受け取って、京楽を座敷童の守り手にして、浮竹は気配のあった式がいるであろう場所へ向かった。
「隠れていないで出てこい。座敷童に手を出すことは許さない」
猫耳のついた巨乳美女の式がいた。
その式は、浮竹を見ると、微笑んだ。
「ギン、出番よ」
「乱菊、早いがな。争いもしないうちに、僕を呼ぶんかいな」
乱菊と呼ばれた式は、欠伸を噛み殺しながら、ギンと呼ばれた青年の中に消えていった。
「なんや、同業者かいな。こっちはその座敷童を処分せぇって依頼受けてるねんけどな」
「お前は・・・・市丸ギン!」
現れたのは、祓い屋や退治屋の中でもだんとつに力の強い、有名な退治屋だった。
「浮竹十四郎。人型の式神を4体。あとは猫と鴉の式神」
「どこでそれを・・・・・・」
「さぁ、何処でやろなぁ」
「座敷童には、手を出させないぞ!」
市丸ギンは、にっと笑った。
「依頼の価格安いしなぁ。まぁ、今回は退いたるわ。僕も罪のない座敷童なんて殺したくないしな」
「退いてくれるのか」
「ほな、またな」
市丸は神出鬼没で、ドロンと音を立てて、消えてしまった。
あとには、紙人形が残された。
紙人形を使って、本体でなく分身体で相手をしていたようであった。
「助かった・・・・・・・」
「おのれ、市丸ギンめ!お館様の命令を無視しおって!ええい、わしが相手じゃ!」
今度は、70台くらいのじじいの式が現れた。
術者はすぐ近く。
じじいの式は、浮竹に焼けこげるような炎を浴びせた。
ぼっと燃えたのは、京楽が念のためにと渡してくれた紙人形だった。
「京楽、来い!」
「チュン!」
「なんじゃあ、文鳥の式だと?わしをなめているのか!」
「あいにく、ただの文鳥じゃないんだよねぇ」
京楽は、人型に戻ると、水の玉を召還し、それでじじいの式を閉じこめた。
「がぼがぼ」
「そのまま溺れ死んでしまえば?僕の浮竹に手を出した罰だよ。それから、逃げようとしているそこの君、切り刻まれたくなかったら、ちゃんと顔を出して名乗りなよ」
「・・・・・日番谷冬獅郎。座敷童退治を受けたが、同業者と争えとは言われていない。こい、氷輪丸!」
氷の式を呼びだして、名乗った日番谷冬獅郎という年若い少年の退治屋は、京楽と浮竹から距離をとった。
「俺も、市丸のように退かせてもらう。お前は浮竹十四郎だろう。祓い屋の中で有名な相手とことをかまえるほど、バカじゃない」
「あれぇ、みんな退くの?バトルはなし?」
「京楽、争わないでいいならそれにこしたことはない」
「つまんないじゃない」
「京楽!」
浮竹は、京楽の頭を殴った。
「じゃあな。俺は退く」
冬獅郎は、じじいの式を回収して、去ってしまった。
「殴ることないじゃない」
「同業者で争うのは御法度だ。それくらい、知っているだろう」
「あれぇ、そうだっけ?」
「はぁ・・・・・・。依頼主のところに戻るぞ」
浮竹は、結界で守られているとはいえ、座敷童のことが心配だった。
市丸ギンや日番谷冬獅郎ほどの術者ならば、京楽の結界を破壊して、座敷藁を殺すこともできるだろう。
座敷童と依頼主のところに戻ってくると、2人とも無事だった。
だが、様子が変だった。
「あたいは、もう役目をまっとうした。汝らの一族に莫大な富を与えた。もう、自由になりたい」
「座敷童様、そんな我儘を言わずに!」
「いやじゃ。自由になりたいのじゃ」
「依頼主さん、座敷童を自由にさせてあげてくれ。あんたは十分に富を築いただろう」
浮竹の言葉に、依頼主は血走った目で頼みこんでった。
「どうか、座敷童様をこの地に呪縛してください!」
「そんなのいやじゃ!」
座敷童は、京楽の後ろに走ると、その陰に隠れた。
「さぁ、早く座敷童様に呪縛を・・・・・・」
「断る」
「同じく」
「なんだと!依頼料をとっておきながら、依頼主に逆らのか!」
「依頼を受けるも止めるも、術者の自由だ。何百年もこの座敷童の世話になってきたんだろう。もういい加減、解放してやれ」
「いやだ、私は、座敷童様の力でもっともっと、もっといっぱい金を稼ぐのだ・・・・」
「あーあ。低級霊が憑いてるね」
「そうみたいだな。祓うぞ」
「分かったよ」
浮竹は京楽に命じて、清浄なる結界を依頼主周囲に張り巡らせる。そして、穢れなき神の水を満たして、依頼主に憑いていた低級霊を祓った。
「あれ、私は?」
「君、霊に憑りつかれていたんだよ。金に目をくらませすぎてね」
「座敷童様・・・・・」
依頼主は泣き出した。
「ああ、もう、手のかかる主じゃのう。仕方ない、そなたがあの世にいくまでは、まだこの土地で、そなたの一族の繁栄を手助けしよう」
「座敷童様!!」
依頼主はわんわん泣いて、座敷童を困らせた。
------------------------------------------------------
「じゃあ、この結界から、むやみに外に出ちゃだめだ。この結界は君を守るためのもので、特殊な術だ。祓い屋や退治屋から、姿も見えないし認識もできない。ここから俺が離れれば、俺も認識できなくなるから」
「すまんのう」
「浮竹って優しいでしょ」
「そうだのう」
「僕のお嫁さんなんだ。ふがっ!」
「誰が誰の嫁だ!」
浮竹は、京楽の股間を蹴り上げた。
「ぬおおおおおおおお」
じたばたする京楽を置いて、浮竹は歩き出す。依頼料はちゃんともらったし、同業者に根回しして、座敷童は去ったと認識させた。
「ちゅんちゅん!!!」
ばたばたともがきながら、桜文鳥になった京楽が、浮竹の肩に止まった。
「全く、お前は・・・・・・」
「ちゅん!」
「しゃべれるだろうが!」
「痛ひ・・・・・・」
「だろうな。そうなるように蹴ったからな」
「酷い」
「知るか」
「クスン。浮竹、好きだよ」
はためからは、文鳥がチュンチュン啼いて、飼い主がそれに答えているように見えた。
「帰るぞ」
「うん。帰ろう」
ルキアや海燕の待つ、マイホームに帰ることになった。
数日の出張になったが、2人ならうまく家を守ってくれているだろう。
「ねぇ、あの市丸ギンと日番谷冬獅郎って子、同じ系列の退治屋かな?」
「市丸ギンは単独だ。日番谷冬獅郎のほうは、術者日番谷家の一門だろう」
「何はともあれ、同業者と争いにならなくてよかったよ」
「そうだな」
自宅について、家の中に入る。
「おかえりなさいませ」
「おかえりなさい」
ルキアと海燕が、出迎えてくれた。
「ああ。ただいま」
「ただいまー」
浮竹と京楽は、着の身着のままで、そのままベッドに横になってすぐに眠ってしまった。
特殊な、座敷童を守る結界をはるのに丸一日を要したのだ。
くたくたで、眠気がすごくて、我が家に帰ってきてすぐに寝た。
「主、食事は・・・・・」
答えはなかった。
ルキアは、作った食事を冷蔵庫にいれた。
海燕は、たまった洗濯物を洗いにいった。
「ご主人様から、違う式の匂いがする。同業者と、いさかいでもあったのだろうか」
「それは俺たちには関係のないことだろう。どうせ、京楽が戦闘に出るだろし」
「むう、海燕殿は冷たい!」
「主のことは守るけど、あくまで俺たちは式だ」
「それは分かっているが・・・・」
「あああ、いいよ、いいよ浮竹すごい。すごいぬおおお、そんなこともしてくれるの!?」
眠っていた浮竹は、隣でうるさくわめきながら寝ている京楽を、ベッドから落とした。
「ああああ!あれ!?」
「文鳥になってろ!この盛りのついたばかが!」
「ちゅん!ちゅんちゅん!!」
浮竹の呪文で強制的に桜文鳥の姿にされて、鳥かごにぶちこまれて、京楽は浮竹が目覚める5時間後まで、鳥かごの中でちゅんちゅんと鳴き続けるのだった。
「うーん・・・げへへへへ、浮竹、愛してるよ」
「なんの夢を見てるんだ!いい加減起きろ!」
浮竹は、京楽の頭をハリセンでスパーンと殴った。
「はっ!僕の愛しいエロい浮竹が消えた!」
がばっと起き上がった京楽の目に映ったのは、正装している浮竹の姿だった。
「浮竹、どうしたのそのかっこ」
「依頼主に会うためだ。とある大会社の社長らしい。普段着ではまずいから、スーツを着た」
「スーツ姿の浮竹って新鮮だなぁ。脱がしたい」
「あほか!」
ハリセンで殴られそうになって、京楽は桜文鳥の姿になると、浮竹の頭の上に乗った。
「ずるいぞ。文鳥になるなんて」
「だって、浮竹のハリセン、容赦ないんだもの」
「そりゃ京楽相手だからな」
「酷い!」
はたから見れば、桜文鳥が浮竹の頭の上でちゅんちゅんと愛らしく鳴いているようで、実際は違った。
「とにかくお前も・・・・・ああ、めんどくさいから桜文鳥のままでいい。式だと説明すればいけるだろう」
そうして、用意した車を浮竹は運転して、とある大会社の社長に、応接室に通してもらった。
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「どうか、座敷童様をお守りください。とある退治屋が、代々我が家系の繁栄を約束してくれた大切な座敷童様を殺そうとしているのです」
「その座敷童はどこに?」
「私の邸宅の地下に」
「まさか、座敷牢などに監禁してないないだろうな?」
「チュンチュン!」
「まさか!座敷童様のために特別にあつらえた部屋で、静かにお過ごしになられております。飽きないように、術者を雇って、式で遊び相手をしてもらったりしていますし、座敷童様がその部屋を出たいと言ったことはありません。決して監禁などしておらず、地下室にいるのは座敷童様の意思です」
「ふむ・・・・その座敷童を殺そうとしている相手に覚えは?」
「商売敵のB社の手の者かと。退治屋を最近雇ったと聞きます」
「ふむ・・・・今回の敵は、同業者というわけだ」
「同業者同士の争いは、なるべくしたくないんだけどねぇ」
ちゅんちゅん鳴いていた桜文鳥が、いきなり人の姿をとったので、その社長はびっくりして腰を抜かした。
「ああ、俺の式の京楽春水。桜文鳥の姿をとるが、一応人型で俺が持っている中でも最強の式だ」
「さようで・・・・その、依頼のほうは受けていただけるので?」
「ああ、引き受けよう」
「そうだね。何もしてない座敷童ちゃんを殺すなんてひどいしね」
京楽は、浮竹用に出された茶菓子とお茶を飲みながら、一息つく。
「座敷童ちゃんは僕が守るよ。浮竹は術者を見つけて話をつけて。もしくは、不利になったら僕を呼んで。座敷童ちゃんを数時間は守れる結界をはるから」
「分かった」
こうして、浮竹と京楽は社長の邸宅の地下室にいる座敷童のところにいき、一度守ることを伝えると、座敷童はあどけなく笑った。
「お兄ちゃんたち、あたいを守ってくれるの。ねぇ、お手玉しよ?」
「はいはい、それはこっちの京楽がしてくれる」
「あ、ちょっと浮竹!?」
「式の気配がする。行ってくる」
「気をつけてね!これ、僕のお守り!攻撃を一度はじき返すように作ったやつ」
人型の紙人形を受け取って、京楽を座敷童の守り手にして、浮竹は気配のあった式がいるであろう場所へ向かった。
「隠れていないで出てこい。座敷童に手を出すことは許さない」
猫耳のついた巨乳美女の式がいた。
その式は、浮竹を見ると、微笑んだ。
「ギン、出番よ」
「乱菊、早いがな。争いもしないうちに、僕を呼ぶんかいな」
乱菊と呼ばれた式は、欠伸を噛み殺しながら、ギンと呼ばれた青年の中に消えていった。
「なんや、同業者かいな。こっちはその座敷童を処分せぇって依頼受けてるねんけどな」
「お前は・・・・市丸ギン!」
現れたのは、祓い屋や退治屋の中でもだんとつに力の強い、有名な退治屋だった。
「浮竹十四郎。人型の式神を4体。あとは猫と鴉の式神」
「どこでそれを・・・・・・」
「さぁ、何処でやろなぁ」
「座敷童には、手を出させないぞ!」
市丸ギンは、にっと笑った。
「依頼の価格安いしなぁ。まぁ、今回は退いたるわ。僕も罪のない座敷童なんて殺したくないしな」
「退いてくれるのか」
「ほな、またな」
市丸は神出鬼没で、ドロンと音を立てて、消えてしまった。
あとには、紙人形が残された。
紙人形を使って、本体でなく分身体で相手をしていたようであった。
「助かった・・・・・・・」
「おのれ、市丸ギンめ!お館様の命令を無視しおって!ええい、わしが相手じゃ!」
今度は、70台くらいのじじいの式が現れた。
術者はすぐ近く。
じじいの式は、浮竹に焼けこげるような炎を浴びせた。
ぼっと燃えたのは、京楽が念のためにと渡してくれた紙人形だった。
「京楽、来い!」
「チュン!」
「なんじゃあ、文鳥の式だと?わしをなめているのか!」
「あいにく、ただの文鳥じゃないんだよねぇ」
京楽は、人型に戻ると、水の玉を召還し、それでじじいの式を閉じこめた。
「がぼがぼ」
「そのまま溺れ死んでしまえば?僕の浮竹に手を出した罰だよ。それから、逃げようとしているそこの君、切り刻まれたくなかったら、ちゃんと顔を出して名乗りなよ」
「・・・・・日番谷冬獅郎。座敷童退治を受けたが、同業者と争えとは言われていない。こい、氷輪丸!」
氷の式を呼びだして、名乗った日番谷冬獅郎という年若い少年の退治屋は、京楽と浮竹から距離をとった。
「俺も、市丸のように退かせてもらう。お前は浮竹十四郎だろう。祓い屋の中で有名な相手とことをかまえるほど、バカじゃない」
「あれぇ、みんな退くの?バトルはなし?」
「京楽、争わないでいいならそれにこしたことはない」
「つまんないじゃない」
「京楽!」
浮竹は、京楽の頭を殴った。
「じゃあな。俺は退く」
冬獅郎は、じじいの式を回収して、去ってしまった。
「殴ることないじゃない」
「同業者で争うのは御法度だ。それくらい、知っているだろう」
「あれぇ、そうだっけ?」
「はぁ・・・・・・。依頼主のところに戻るぞ」
浮竹は、結界で守られているとはいえ、座敷童のことが心配だった。
市丸ギンや日番谷冬獅郎ほどの術者ならば、京楽の結界を破壊して、座敷藁を殺すこともできるだろう。
座敷童と依頼主のところに戻ってくると、2人とも無事だった。
だが、様子が変だった。
「あたいは、もう役目をまっとうした。汝らの一族に莫大な富を与えた。もう、自由になりたい」
「座敷童様、そんな我儘を言わずに!」
「いやじゃ。自由になりたいのじゃ」
「依頼主さん、座敷童を自由にさせてあげてくれ。あんたは十分に富を築いただろう」
浮竹の言葉に、依頼主は血走った目で頼みこんでった。
「どうか、座敷童様をこの地に呪縛してください!」
「そんなのいやじゃ!」
座敷童は、京楽の後ろに走ると、その陰に隠れた。
「さぁ、早く座敷童様に呪縛を・・・・・・」
「断る」
「同じく」
「なんだと!依頼料をとっておきながら、依頼主に逆らのか!」
「依頼を受けるも止めるも、術者の自由だ。何百年もこの座敷童の世話になってきたんだろう。もういい加減、解放してやれ」
「いやだ、私は、座敷童様の力でもっともっと、もっといっぱい金を稼ぐのだ・・・・」
「あーあ。低級霊が憑いてるね」
「そうみたいだな。祓うぞ」
「分かったよ」
浮竹は京楽に命じて、清浄なる結界を依頼主周囲に張り巡らせる。そして、穢れなき神の水を満たして、依頼主に憑いていた低級霊を祓った。
「あれ、私は?」
「君、霊に憑りつかれていたんだよ。金に目をくらませすぎてね」
「座敷童様・・・・・」
依頼主は泣き出した。
「ああ、もう、手のかかる主じゃのう。仕方ない、そなたがあの世にいくまでは、まだこの土地で、そなたの一族の繁栄を手助けしよう」
「座敷童様!!」
依頼主はわんわん泣いて、座敷童を困らせた。
------------------------------------------------------
「じゃあ、この結界から、むやみに外に出ちゃだめだ。この結界は君を守るためのもので、特殊な術だ。祓い屋や退治屋から、姿も見えないし認識もできない。ここから俺が離れれば、俺も認識できなくなるから」
「すまんのう」
「浮竹って優しいでしょ」
「そうだのう」
「僕のお嫁さんなんだ。ふがっ!」
「誰が誰の嫁だ!」
浮竹は、京楽の股間を蹴り上げた。
「ぬおおおおおおおお」
じたばたする京楽を置いて、浮竹は歩き出す。依頼料はちゃんともらったし、同業者に根回しして、座敷童は去ったと認識させた。
「ちゅんちゅん!!!」
ばたばたともがきながら、桜文鳥になった京楽が、浮竹の肩に止まった。
「全く、お前は・・・・・・」
「ちゅん!」
「しゃべれるだろうが!」
「痛ひ・・・・・・」
「だろうな。そうなるように蹴ったからな」
「酷い」
「知るか」
「クスン。浮竹、好きだよ」
はためからは、文鳥がチュンチュン啼いて、飼い主がそれに答えているように見えた。
「帰るぞ」
「うん。帰ろう」
ルキアや海燕の待つ、マイホームに帰ることになった。
数日の出張になったが、2人ならうまく家を守ってくれているだろう。
「ねぇ、あの市丸ギンと日番谷冬獅郎って子、同じ系列の退治屋かな?」
「市丸ギンは単独だ。日番谷冬獅郎のほうは、術者日番谷家の一門だろう」
「何はともあれ、同業者と争いにならなくてよかったよ」
「そうだな」
自宅について、家の中に入る。
「おかえりなさいませ」
「おかえりなさい」
ルキアと海燕が、出迎えてくれた。
「ああ。ただいま」
「ただいまー」
浮竹と京楽は、着の身着のままで、そのままベッドに横になってすぐに眠ってしまった。
特殊な、座敷童を守る結界をはるのに丸一日を要したのだ。
くたくたで、眠気がすごくて、我が家に帰ってきてすぐに寝た。
「主、食事は・・・・・」
答えはなかった。
ルキアは、作った食事を冷蔵庫にいれた。
海燕は、たまった洗濯物を洗いにいった。
「ご主人様から、違う式の匂いがする。同業者と、いさかいでもあったのだろうか」
「それは俺たちには関係のないことだろう。どうせ、京楽が戦闘に出るだろし」
「むう、海燕殿は冷たい!」
「主のことは守るけど、あくまで俺たちは式だ」
「それは分かっているが・・・・」
「あああ、いいよ、いいよ浮竹すごい。すごいぬおおお、そんなこともしてくれるの!?」
眠っていた浮竹は、隣でうるさくわめきながら寝ている京楽を、ベッドから落とした。
「ああああ!あれ!?」
「文鳥になってろ!この盛りのついたばかが!」
「ちゅん!ちゅんちゅん!!」
浮竹の呪文で強制的に桜文鳥の姿にされて、鳥かごにぶちこまれて、京楽は浮竹が目覚める5時間後まで、鳥かごの中でちゅんちゅんと鳴き続けるのだった。
PR
無題
「今日も平和だなぁ」
「そうだねぇ」
魔王浮竹と勇者京楽は、中庭でまったりと午後の紅茶を楽しみながら、新勇者がモヒカンを三つ編みにしている光景を見ていた。
「るるるる~~髪の手入れは丁寧に~~」
新勇者は、何故か魔王城にやってきて、風呂をかりてアデランスで植毛した長いモヒカンの髪を丁寧に洗い、ふっさふさになると中庭で三つ編みにしだした。
「あれ、切ったら泣くかな?」
「泣くでしょ、そりゃ」
「そこの侍女、紅茶のおかわり~」
少年魔法使いが、侍女を呼び止めた。
少年魔法使いや女僧侶、獣人盗賊に青年戦士といった新勇者のパーティーもきていて、浮竹と京楽と同じようにテーブルについて、午後の紅茶を楽しんでいた。
「あー、ここのお菓子おいしいわぁ」
女僧侶は、タッパーを取り出してお菓子をつめこんでいく。
「あ、持ち帰りは禁止だ」
「えー。ちょっとくらいいいじゃない」
「だめなものはだめだ」
浮竹が言うと、女僧侶は仕方ないとタッパーをしまい込む。
「ああ、平和だ」
浮竹は、ぼけーっと空を見上げた。
京楽もついでに空を見上げた。
新勇者のパーティーも空を見上げた。
鷹が一羽、空を飛んでいた。
「るるる~~~~~ぎゃあああああああ」
ぺとっ。
鷹のふんが、新勇者の大切な大切なモヒカンを直撃した。
「う、ウォーターリフレッシュ!!」
水の浄化魔法でモヒカンを綺麗にしながら、新勇者は鷹に向かって人工聖剣エクスカリバーを投げたが、届かずに戻ってきて、新勇者の足に刺さった。
「ぎゃああああああ!!!」
新勇者は、貧乏のスキルを覚えていた。
(貧乏のスキル、とばっちりを覚えました。LVがあがりました。貧乏のスキルがカンストしました。ド貧乏のスキルを習得しました)
ピロリロリン。
そう音がして、新勇者が魔王城の風呂を借りる前に、アデランスのモヒカン三つ編みにする時に借金を背負いこんで、破産して風呂に入ることもできない暮らしになっていたので、あまりのくささに、浮竹は風呂を貸してやった。
1カ月は風呂に入っていなかったらしく、ただモヒカンの三つ編みだけはいつも手入れしていたらしい。
「平和だな」
浮竹は、新勇者の存在などないように、カップの紅茶を飲み干した。
「うおおおおおい、これのどこが平和だ!魔王め、俺のモヒカン三つ編みの輝きに嫉妬して、平和だと現実逃避しているな!?」
「カラミティファイア」
「ぎゃああああああ!!!」
京楽が、新勇者の足元を燃やした。
「モヒカン失うと、君、帰ってこなさそうだから、足にしておいたよ」
「そうか、それはありがとう勇者京楽・・・・じゃねえええ!!!何しれっと俺を攻撃してるんだ!」
「そういう君は、何しれっと敵の魔王城の風呂かりて、さっぱりして、あげくに午後の紅茶に参加しているんだい?」
「魔王は俺が倒す。この城はいわば、未来では俺のもの。だからだ!」
「カラミティウィンドエッジ」
ぱさり。
一房、新勇者のモヒカンが風の魔法で切りとられて、地面におちた。
「うわあああああ!!!俺のモヒカンがああああ!!!鬼、悪魔、魔王!」
「俺は魔王だがな」
風の魔法を放った浮竹が、そう答える。
「本当なら、ラーメンマンみたいになってほしいから、モヒカンの一部を残して魔法で切ってしまおう」
「いやああああああああ!!!」
浮竹と京楽は、にこにこしながら、魔法で鋏を操り、新勇者のモヒカンを辮髪(べんぱつ)にした。
新勇者は、泣きながらそれを三つ編みにした。
「俺の髪があああああ・・・・・でも、まだある。あるだけまだましだ・・・・」
(ド貧乏のスキルがLVマックスになりました。スキル、髪の毛ラーメンマンを獲得しました。ド貧乏のスキルが貧乏神になりました。アルティメットスキル、貧乏の運命を覚えました)
「さっきから、貧乏やらのスキルを覚えているようだが、負のスキルはマイナスにしかならないぞ」
「ええ!貧乏になったら幸福になるって、あの錬金術師言ってたのに!金貨10枚も払ったのに!」
「ねえ、この新勇者って、やっぱりおつむが・・・・・・」
「言ってやるな」
「おつむはくりっくりです!」
新勇者は、覚えたスキルを捨てようとして、捨てれないことに気付いて、浮竹を見た。
「魔王倒せば、リセットできるはずなんだ・・・・・」
人工聖剣エクスカリバーを引き抜き、浮竹に剣を向ける。
「本気か、新勇者」
「ああ、本気だとも!てやぁ!」
浮竹に切りかかる時に、足でバナナの皮を踏んづけて転び、新勇者は転んだ。
その喉元に、京楽が本物の聖剣エクスカリバーを突きつける。
「浮竹に何かしたら、その首が胴から離れるからね」
「ううう・・・うわああああああん」
新勇者は、京楽を押しのけて、パーティーのところにいくと、泣いて援護を頼んだ。
「私たち、今日は非番だから。新勇者一人で対処してね」
「僕らを巻き込まないでくれるか。一応魔王とは、ある程度の友好関係を築けているから、新勇者にはきてほしくないね」
「うわあああん!仲間が俺をいらないって言ったあああ!!!」
「そこまでは言ってないだろ」
浮竹がそう言うと、獣人盗賊がポーションを取り出して、新勇者に飲ませた。
「変なスキルカードを買って、覚えるからにゃん」
獣人盗賊は、猫系だった。
「仕方ないから、ツケで元に戻してあげたにゃん。このポーション高いから、馬車馬のように働けにゃん」
ぐすんぐすんと泣く新勇者を、優しく撫でるように見せかけて、足で頭をぐりぐりした。
「おら、これからお前はあたしの奴隷にゃん。モンスター狩りまくって、借金返済するにゃん」
「うわあああん、奴隷やだーーーー」
新勇者は逃げ出して、浮竹の背後に隠れた。
「やる」
浮竹はそれをつまみ出して、獣人盗賊に引き渡した。
「鬼、悪魔、魔王!」
「だから、俺は魔王だ」
「うわああああああああん」
「うるさいにゃあ。股間のものもぎとると静かになるにゃん?」
ぴたっと、新勇者の泣き声が止まる。
「そ、それだけは勘弁してください」
一度されかけたことがあるのか、冷や汗をいっぱいかきながら、恐怖の表情で獣人盗賊に縋りつく。
「さぁ、今日から2週間は休みなしでモンスター退治して、素材売って金にして、借金返済してもらうにゃん!」
「魔王、後生だ、助けてくれ!」
「やだ」
「そうか、やだか・・・えええええ!!なんで!」
「なんでって、俺は魔王でお前は新勇者。敵同士だからだ」
「俺、実は魔王様を崇拝しているんです」
「カラミティファイア!」
「もぎゃああああああ!!!!」
業火に飲まれて、嘘つきの新勇者は、服まで黒焦げになるのだが、ラーメンマンの髪だけは無事で、フルチンで魔王城を走りまくるという奇行に走り出して、浮竹に迷惑をかけまくるのであった。
「ちょっと、新勇者、せめて股間に葉っぱだけでもつけなさい!」
京楽が、フルチンで走り回る新勇者を捕獲して、股間に葉っぱをつけた。
その姿のまま町を徘徊して、新勇者は露出狂だという噂がたつのであった。
「そうだねぇ」
魔王浮竹と勇者京楽は、中庭でまったりと午後の紅茶を楽しみながら、新勇者がモヒカンを三つ編みにしている光景を見ていた。
「るるるる~~髪の手入れは丁寧に~~」
新勇者は、何故か魔王城にやってきて、風呂をかりてアデランスで植毛した長いモヒカンの髪を丁寧に洗い、ふっさふさになると中庭で三つ編みにしだした。
「あれ、切ったら泣くかな?」
「泣くでしょ、そりゃ」
「そこの侍女、紅茶のおかわり~」
少年魔法使いが、侍女を呼び止めた。
少年魔法使いや女僧侶、獣人盗賊に青年戦士といった新勇者のパーティーもきていて、浮竹と京楽と同じようにテーブルについて、午後の紅茶を楽しんでいた。
「あー、ここのお菓子おいしいわぁ」
女僧侶は、タッパーを取り出してお菓子をつめこんでいく。
「あ、持ち帰りは禁止だ」
「えー。ちょっとくらいいいじゃない」
「だめなものはだめだ」
浮竹が言うと、女僧侶は仕方ないとタッパーをしまい込む。
「ああ、平和だ」
浮竹は、ぼけーっと空を見上げた。
京楽もついでに空を見上げた。
新勇者のパーティーも空を見上げた。
鷹が一羽、空を飛んでいた。
「るるる~~~~~ぎゃあああああああ」
ぺとっ。
鷹のふんが、新勇者の大切な大切なモヒカンを直撃した。
「う、ウォーターリフレッシュ!!」
水の浄化魔法でモヒカンを綺麗にしながら、新勇者は鷹に向かって人工聖剣エクスカリバーを投げたが、届かずに戻ってきて、新勇者の足に刺さった。
「ぎゃああああああ!!!」
新勇者は、貧乏のスキルを覚えていた。
(貧乏のスキル、とばっちりを覚えました。LVがあがりました。貧乏のスキルがカンストしました。ド貧乏のスキルを習得しました)
ピロリロリン。
そう音がして、新勇者が魔王城の風呂を借りる前に、アデランスのモヒカン三つ編みにする時に借金を背負いこんで、破産して風呂に入ることもできない暮らしになっていたので、あまりのくささに、浮竹は風呂を貸してやった。
1カ月は風呂に入っていなかったらしく、ただモヒカンの三つ編みだけはいつも手入れしていたらしい。
「平和だな」
浮竹は、新勇者の存在などないように、カップの紅茶を飲み干した。
「うおおおおおい、これのどこが平和だ!魔王め、俺のモヒカン三つ編みの輝きに嫉妬して、平和だと現実逃避しているな!?」
「カラミティファイア」
「ぎゃああああああ!!!」
京楽が、新勇者の足元を燃やした。
「モヒカン失うと、君、帰ってこなさそうだから、足にしておいたよ」
「そうか、それはありがとう勇者京楽・・・・じゃねえええ!!!何しれっと俺を攻撃してるんだ!」
「そういう君は、何しれっと敵の魔王城の風呂かりて、さっぱりして、あげくに午後の紅茶に参加しているんだい?」
「魔王は俺が倒す。この城はいわば、未来では俺のもの。だからだ!」
「カラミティウィンドエッジ」
ぱさり。
一房、新勇者のモヒカンが風の魔法で切りとられて、地面におちた。
「うわあああああ!!!俺のモヒカンがああああ!!!鬼、悪魔、魔王!」
「俺は魔王だがな」
風の魔法を放った浮竹が、そう答える。
「本当なら、ラーメンマンみたいになってほしいから、モヒカンの一部を残して魔法で切ってしまおう」
「いやああああああああ!!!」
浮竹と京楽は、にこにこしながら、魔法で鋏を操り、新勇者のモヒカンを辮髪(べんぱつ)にした。
新勇者は、泣きながらそれを三つ編みにした。
「俺の髪があああああ・・・・・でも、まだある。あるだけまだましだ・・・・」
(ド貧乏のスキルがLVマックスになりました。スキル、髪の毛ラーメンマンを獲得しました。ド貧乏のスキルが貧乏神になりました。アルティメットスキル、貧乏の運命を覚えました)
「さっきから、貧乏やらのスキルを覚えているようだが、負のスキルはマイナスにしかならないぞ」
「ええ!貧乏になったら幸福になるって、あの錬金術師言ってたのに!金貨10枚も払ったのに!」
「ねえ、この新勇者って、やっぱりおつむが・・・・・・」
「言ってやるな」
「おつむはくりっくりです!」
新勇者は、覚えたスキルを捨てようとして、捨てれないことに気付いて、浮竹を見た。
「魔王倒せば、リセットできるはずなんだ・・・・・」
人工聖剣エクスカリバーを引き抜き、浮竹に剣を向ける。
「本気か、新勇者」
「ああ、本気だとも!てやぁ!」
浮竹に切りかかる時に、足でバナナの皮を踏んづけて転び、新勇者は転んだ。
その喉元に、京楽が本物の聖剣エクスカリバーを突きつける。
「浮竹に何かしたら、その首が胴から離れるからね」
「ううう・・・うわああああああん」
新勇者は、京楽を押しのけて、パーティーのところにいくと、泣いて援護を頼んだ。
「私たち、今日は非番だから。新勇者一人で対処してね」
「僕らを巻き込まないでくれるか。一応魔王とは、ある程度の友好関係を築けているから、新勇者にはきてほしくないね」
「うわあああん!仲間が俺をいらないって言ったあああ!!!」
「そこまでは言ってないだろ」
浮竹がそう言うと、獣人盗賊がポーションを取り出して、新勇者に飲ませた。
「変なスキルカードを買って、覚えるからにゃん」
獣人盗賊は、猫系だった。
「仕方ないから、ツケで元に戻してあげたにゃん。このポーション高いから、馬車馬のように働けにゃん」
ぐすんぐすんと泣く新勇者を、優しく撫でるように見せかけて、足で頭をぐりぐりした。
「おら、これからお前はあたしの奴隷にゃん。モンスター狩りまくって、借金返済するにゃん」
「うわあああん、奴隷やだーーーー」
新勇者は逃げ出して、浮竹の背後に隠れた。
「やる」
浮竹はそれをつまみ出して、獣人盗賊に引き渡した。
「鬼、悪魔、魔王!」
「だから、俺は魔王だ」
「うわああああああああん」
「うるさいにゃあ。股間のものもぎとると静かになるにゃん?」
ぴたっと、新勇者の泣き声が止まる。
「そ、それだけは勘弁してください」
一度されかけたことがあるのか、冷や汗をいっぱいかきながら、恐怖の表情で獣人盗賊に縋りつく。
「さぁ、今日から2週間は休みなしでモンスター退治して、素材売って金にして、借金返済してもらうにゃん!」
「魔王、後生だ、助けてくれ!」
「やだ」
「そうか、やだか・・・えええええ!!なんで!」
「なんでって、俺は魔王でお前は新勇者。敵同士だからだ」
「俺、実は魔王様を崇拝しているんです」
「カラミティファイア!」
「もぎゃああああああ!!!!」
業火に飲まれて、嘘つきの新勇者は、服まで黒焦げになるのだが、ラーメンマンの髪だけは無事で、フルチンで魔王城を走りまくるという奇行に走り出して、浮竹に迷惑をかけまくるのであった。
「ちょっと、新勇者、せめて股間に葉っぱだけでもつけなさい!」
京楽が、フルチンで走り回る新勇者を捕獲して、股間に葉っぱをつけた。
その姿のまま町を徘徊して、新勇者は露出狂だという噂がたつのであった。
堕天使と天使外伝
小さくなった。
いや、冗談ではなしに。
フェンリルの浮竹と天使の浮竹は、堕天使の京楽が闇のオークションで競り落としたという特殊な呪詛の魔石を与えられて、小さい10歳くらいの子供になってしまった。
「ああ、フェンリルの君まで小さくなる予定じゃなかったんだけど」
『なんだこれは!』
フェンリルの浮竹は、服も一緒に小さくなっていたので、尻尾をぴーんと立ててから、天使の浮竹の影に隠れた。
『怖い』
「フェンリルの俺?どうした」
『子供の頃の記憶が・・・・怖い、怖い』
「おい、京楽!このバカ、なんでフェンリルの俺も巻き込んだ!」
「いや、そんな予定じゃなかった・・・・君だけを小さくしようとしたら、フェンリルの君も魔石に触れたものだから」
『とりあえず、説明してね?』
にこにこと微笑んではいるが、すごい圧力のヴァンパイアの京楽に怒られてお説教されて、堕天使の京楽はこってりとしぼられて小さくなった二人の前に再び姿を現した。
「調子に乗ってました、すみません」
「いつ元に戻るんだ、これは」
「あああああ、小さい浮竹かわいい!(*´Д`)ハァハァ」
「ええい、苦しいから思い切り抱きしめるな!」
天使の浮竹は、堕天使の京楽に思い切り抱きしめられて、嫌そうにしていた。
一方、フェンリルの浮竹は、ヴァンパイアの京楽の抱き上げられて、その首筋に腕を巻き付けて、ぎゅっと抱き着いていた。
『解呪できる魔石を買ってくるから、浮竹をお願い』
「ああ、俺が守ろう。京楽は変態なだけであてにならないからな」
『くっさい洗ってないパンツの京楽だけはいやだ!』
子供の頃の記憶に翻弄されて、最初は怯えていたフェンリルの浮竹だったが、大分慣れてきたのかいつものツンデレが復活していた。
「だから、僕はくっさい洗ってないパンツじゃないよ!その匂いがするんでしょ!匂いを省略しないでよ!」
『お前なんて100年洗ってない黒ずんだパンツだ。このパンツ星人!ラフレシアパンツ星人!』
「言いたい放題・・・・しかし、今回は僕に非があるからねぇ。ぐぬぬぬぬ」
「フェンリルの俺、せっかく子供の姿になったんだ。子供料金でいける、子供だけしか入れないアトラクションに行こう!」
『なんだそれは!面白そうだな、行く!』
天使の浮竹は、フェンリルの浮竹を心配して誘ったのだが、フェンリルの浮竹は最初の怯えようとは打って変わって、好奇心むき出しの子供のようになっていた。
いや、姿も子供なのだが。
子供になったフェンリルの浮竹は、ばっさばっさを尻尾を横に振って、堕天使の京楽をいやいや保護者として付き合ってもらい、天使の浮竹と手を繋いで、ゆっくり歩きながら、アトラクションに入って1時間ほどの子供心をくすぐるいろんなアトラクションを天使の浮竹と2人きりで過ごした。
『クレープが食べたい』
フェンリルの浮竹が、アトラクションを終えてぽつりとつぶやいた。
「はいはい。買ってくるよ。大人しく、ここにいてね」
『天使の俺、遊んでくれてありがとう!お陰で、嫌な記憶も吹き飛んだ!』
「ならよかったよ」
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹と手を握りあって、ぶんぶんと尻尾を振りながら、堕天使の京楽がクレープを買って帰ってくるのを待った。
『バナナ味がよかったのに』
いちご味を渡されて、耳をぺたんとするフェンリルの浮竹に、天使の浮竹が自分の分のバナナチョコ味のクレープを渡した。
「交換しよう。チョコ味も入っているが、バナナ味も入ってる」
『天使の俺、大好きだ!』
ほっぺにちゅっとキスをされて、天使の浮竹は目をぱちくりさせた。
「やー、何あの子かわいい。耳と尻尾がついてるわ」
「双子かしら」
何やら視線を集め出して、堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹と天使の浮竹を両腕でそれぞれ抱えて、移動した。
「一人で歩けるのに」
『洗ってないパンツのくせに』
「ついには『京楽』も消えたまま!?」
ばっさばっさと尻尾をふって、耳をピコピコさせて、フェンリルの浮竹はバナナチョコ味のクレープを食べて、天使の浮竹からいちご味のクレープも少しもらって、何気にご機嫌だった。
洗ってないパンツにされた堕天使の京楽は、天使の浮竹も楽しんでいるので、今回ばかりはあまり嫉妬せずに、保護者役を完遂した。
『おかえり。その顔だと、どこかへ遊びに行って楽しんできたみたいだね』
洋館に戻ると、ヴァンパイアの京楽が元に戻る魔石を準備していた。
『京楽、あと1日子供のままでいる!』
『ええ!?』
『天使の俺もいいよな?もっと遊びたい!』
「お前がそう言うなら、俺は構わないが」
『そういうことで、百万年洗ってないパンツも、いいな?』
「もう、呼び方が無茶苦茶だ・・・・いいけどね、別に。でも、夜は・・・・・・」
『夜はもちろん、天使の浮竹と同じベッドで寝るぞ!』
「きいいいいい」
我慢していたが、嫉妬が復活しだした堕天使の京楽を置いて、天使の浮竹とフェンリルの浮竹は、もう1日子供の姿を楽しんだ。
食べるのも隣で、一緒に風呂に入り、寝る時も一緒だった。
大人の姿では、あまりできないことなので、フェンリルの浮竹は喜んでスキンシップを楽しんで、堕天使の京楽に嫉妬されまくった。
ヴァンパイアの京楽は、あくまで見守る形で、愛おしそうに浮竹たちを見ていた。
「君は平気なのかい。自分の伴侶がとられて」
『浮竹は、最後はちゃんとボクの隣にいてくれるからね。分かっているから、嫉妬はしないよ』
「僕は嫉妬しまくりだよ。ああ、でも楽しそうだなぁ」
『天使の俺、秘密基地を作ろう!薔薇園に行くぞ!』
「ああ、待ってくれ」
子供姿のまま、精神も子供になっている二人は、そのまま結局自然に解呪されるまで、1週間は子供姿でいたそうな。
いや、冗談ではなしに。
フェンリルの浮竹と天使の浮竹は、堕天使の京楽が闇のオークションで競り落としたという特殊な呪詛の魔石を与えられて、小さい10歳くらいの子供になってしまった。
「ああ、フェンリルの君まで小さくなる予定じゃなかったんだけど」
『なんだこれは!』
フェンリルの浮竹は、服も一緒に小さくなっていたので、尻尾をぴーんと立ててから、天使の浮竹の影に隠れた。
『怖い』
「フェンリルの俺?どうした」
『子供の頃の記憶が・・・・怖い、怖い』
「おい、京楽!このバカ、なんでフェンリルの俺も巻き込んだ!」
「いや、そんな予定じゃなかった・・・・君だけを小さくしようとしたら、フェンリルの君も魔石に触れたものだから」
『とりあえず、説明してね?』
にこにこと微笑んではいるが、すごい圧力のヴァンパイアの京楽に怒られてお説教されて、堕天使の京楽はこってりとしぼられて小さくなった二人の前に再び姿を現した。
「調子に乗ってました、すみません」
「いつ元に戻るんだ、これは」
「あああああ、小さい浮竹かわいい!(*´Д`)ハァハァ」
「ええい、苦しいから思い切り抱きしめるな!」
天使の浮竹は、堕天使の京楽に思い切り抱きしめられて、嫌そうにしていた。
一方、フェンリルの浮竹は、ヴァンパイアの京楽の抱き上げられて、その首筋に腕を巻き付けて、ぎゅっと抱き着いていた。
『解呪できる魔石を買ってくるから、浮竹をお願い』
「ああ、俺が守ろう。京楽は変態なだけであてにならないからな」
『くっさい洗ってないパンツの京楽だけはいやだ!』
子供の頃の記憶に翻弄されて、最初は怯えていたフェンリルの浮竹だったが、大分慣れてきたのかいつものツンデレが復活していた。
「だから、僕はくっさい洗ってないパンツじゃないよ!その匂いがするんでしょ!匂いを省略しないでよ!」
『お前なんて100年洗ってない黒ずんだパンツだ。このパンツ星人!ラフレシアパンツ星人!』
「言いたい放題・・・・しかし、今回は僕に非があるからねぇ。ぐぬぬぬぬ」
「フェンリルの俺、せっかく子供の姿になったんだ。子供料金でいける、子供だけしか入れないアトラクションに行こう!」
『なんだそれは!面白そうだな、行く!』
天使の浮竹は、フェンリルの浮竹を心配して誘ったのだが、フェンリルの浮竹は最初の怯えようとは打って変わって、好奇心むき出しの子供のようになっていた。
いや、姿も子供なのだが。
子供になったフェンリルの浮竹は、ばっさばっさを尻尾を横に振って、堕天使の京楽をいやいや保護者として付き合ってもらい、天使の浮竹と手を繋いで、ゆっくり歩きながら、アトラクションに入って1時間ほどの子供心をくすぐるいろんなアトラクションを天使の浮竹と2人きりで過ごした。
『クレープが食べたい』
フェンリルの浮竹が、アトラクションを終えてぽつりとつぶやいた。
「はいはい。買ってくるよ。大人しく、ここにいてね」
『天使の俺、遊んでくれてありがとう!お陰で、嫌な記憶も吹き飛んだ!』
「ならよかったよ」
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹と手を握りあって、ぶんぶんと尻尾を振りながら、堕天使の京楽がクレープを買って帰ってくるのを待った。
『バナナ味がよかったのに』
いちご味を渡されて、耳をぺたんとするフェンリルの浮竹に、天使の浮竹が自分の分のバナナチョコ味のクレープを渡した。
「交換しよう。チョコ味も入っているが、バナナ味も入ってる」
『天使の俺、大好きだ!』
ほっぺにちゅっとキスをされて、天使の浮竹は目をぱちくりさせた。
「やー、何あの子かわいい。耳と尻尾がついてるわ」
「双子かしら」
何やら視線を集め出して、堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹と天使の浮竹を両腕でそれぞれ抱えて、移動した。
「一人で歩けるのに」
『洗ってないパンツのくせに』
「ついには『京楽』も消えたまま!?」
ばっさばっさと尻尾をふって、耳をピコピコさせて、フェンリルの浮竹はバナナチョコ味のクレープを食べて、天使の浮竹からいちご味のクレープも少しもらって、何気にご機嫌だった。
洗ってないパンツにされた堕天使の京楽は、天使の浮竹も楽しんでいるので、今回ばかりはあまり嫉妬せずに、保護者役を完遂した。
『おかえり。その顔だと、どこかへ遊びに行って楽しんできたみたいだね』
洋館に戻ると、ヴァンパイアの京楽が元に戻る魔石を準備していた。
『京楽、あと1日子供のままでいる!』
『ええ!?』
『天使の俺もいいよな?もっと遊びたい!』
「お前がそう言うなら、俺は構わないが」
『そういうことで、百万年洗ってないパンツも、いいな?』
「もう、呼び方が無茶苦茶だ・・・・いいけどね、別に。でも、夜は・・・・・・」
『夜はもちろん、天使の浮竹と同じベッドで寝るぞ!』
「きいいいいい」
我慢していたが、嫉妬が復活しだした堕天使の京楽を置いて、天使の浮竹とフェンリルの浮竹は、もう1日子供の姿を楽しんだ。
食べるのも隣で、一緒に風呂に入り、寝る時も一緒だった。
大人の姿では、あまりできないことなので、フェンリルの浮竹は喜んでスキンシップを楽しんで、堕天使の京楽に嫉妬されまくった。
ヴァンパイアの京楽は、あくまで見守る形で、愛おしそうに浮竹たちを見ていた。
「君は平気なのかい。自分の伴侶がとられて」
『浮竹は、最後はちゃんとボクの隣にいてくれるからね。分かっているから、嫉妬はしないよ』
「僕は嫉妬しまくりだよ。ああ、でも楽しそうだなぁ」
『天使の俺、秘密基地を作ろう!薔薇園に行くぞ!』
「ああ、待ってくれ」
子供姿のまま、精神も子供になっている二人は、そのまま結局自然に解呪されるまで、1週間は子供姿でいたそうな。
堕天使と天使外伝
「金貨5枚」
『買った』
堕天使の京楽は、ヴァンパイアの京楽にフェンリルの浮竹と天使の浮竹が二人でデートした時に、隠しカメラで撮った写真を売りつけていた。
「こら、京楽!何を売ってるんだ!」
「浮竹がフェンリルの浮竹とデートという浮気をした証拠写真」
『浮気じゃないぞ!本気だ!』
フェンリルの浮竹の言葉に、堕天使の京楽は飛び上がった。
「本気だって!許せない!浮竹は僕のものだよ!」
『天使の浮竹はお前のものじゃない。誰のものでもない』
「いいえ、僕のものですぅ。浮竹はあげないからね!」
堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹に舌を出して、天使の浮竹を抱きしめた。
『ぐぬぬぬぬ』
「おいこら、2人とも俺は俺のものだ」
『だ、そうだよ』
ヴァンパイアの京楽が、溜息まじりに威嚇しあう堕天使の京楽とフェンリルの浮竹の仲裁に入った。
『天使の俺、デートしよう!今回は山にピクニックに行こう』
「え、あ、まぁ構わないが」
「無論僕もついていくからね!」
『ボクもついていくけどねぇ』
『デートだから、距離はとってくれよ』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹の了解をもらい、嬉し気に準備をしだした。
「え、今から行くのか」
『今からだ!』
「分かった、軽装に着替えてくる」
『あ、俺の服を貸してやる』
「あ、ああ」
「きいいいいい」
嫉妬で燃える堕天使の京楽に、フェンリルの浮竹は。
『バーカ、バーカ』
とバカにして、尻尾をぶんぶん振っていた。
堕天使の京楽をこけにできるのが、よほど嬉しいのか、はたまた悪戯心がくすぐられるのか。
こうして、4人は浮竹のデートという名のピクニックに出かけた。
「ぐぬぬぬ、手を握り合ってる」
『それくらい、いいじゃない。かわいいもんだよ。かわいい子二人ではしゃいじゃって、見ているこっちは・・・・キミは悔しいんだろうけど、ボクは微笑ましいけどね』
「きいいいいいいい」
堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹の行動に嫉妬心をあおられまくっていた。
『京楽、昼ごはんにしよう。堕天使の京楽の飯はちなみにない。めざしならあるから、それでもかじってろ』
フェンリルの浮竹は、ヴァンパイアの京楽が作ってくれたお弁当をシートの上に広げた。
フェンリルの浮竹と、天使の浮竹、ヴァンパイアの京楽でご飯を食べる。
ちなみに、堕天使の京楽は隣のシートで、弁当を用意していなかったので、めざしをかじっていた。
「めざし、案外うまい」
『バーカバーカ。3回周ってワンをしたら、お前の分の弁当を出してやる』
「きいいいいい!僕はめざしが好物なんですぅ!」
「フェンリルの俺。あんまり、京楽をいじめないでやってくれ」
『ん、ああ、そうだな。仕方ない、弁当をやる』
フェンリルの浮竹は、何気に用意してあった堕天使の京楽用のお弁当を渡した。
「なんだかんだいって、お前たち二人、そこそこ仲はいいよな」
「そんなことないよ!こんなツンデレ!」
『そうだ、こんなずっと洗ってないパンツの京楽なんて!』
フェンリルの浮竹の言葉に、堕天使の京楽が反論する。
「ちょっと、洗ってないパンツの匂いでしょ!まるで僕が洗ってないパンツそのものか、それをはいているような言い方はよしてよ!」
『ふん、似たようなものだろう。臭いお前が悪いんだ』
「かわいくない!」
堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹の尻尾がぶんぶん振られていることに気付いていなかった。
フェンリルの浮竹は、堕天使の京楽とのやりとりを心の底では楽しんでいた。
「ツンデレめ!」
『ツーン』
そんな二人のやりとりを見て、ヴァンパイアの京楽は笑っていた。
『おもしろい二人だね』
「フェンリルの俺、尻尾ぶんぶん振ってる」
『指摘しないであげてね。きっと恥ずかしがるから』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹と手を繋いで、歩き出す。
『俺たち、前世は双子だったのかもな』
「ああ、そうかもな」
天使の浮竹は尻尾をぶんぶん振り続けているフェンリルの浮竹がかわいくて、握っていた手を握り直す。
「あああ、また距離が近い!」
堕天使の京楽は、また嫉妬でもやもやしていた。
それを、ヴァンパイアの京楽は和やかな視線で、全体を見つめる。
『まぁ、いいじゃない。浮竹二人は楽しそうだし』
確かに、フェンリルの浮竹も天使の浮竹も楽しそうにしていた。
嫉妬でパンクしそうな堕天使の京楽は、我慢しまくった。
結局、ピクニックは4時間ほどで終わり、帰路につく。
『いたたたた』
『どうしたの、浮竹』
『足をくじいた』
フェンリルの浮竹がうずくまる。
「シャインヒーリング」
堕天使の京楽が、自然と回復魔法をかけてくれた。
『こ、こんなことしても、点数稼ぎにはならないからな!でも、ありがとう』
「どういたしまして・・・・・普通に接してたら、かわいいのに」
堕天使の浮竹の「かわいいのに」という言葉に、フェンリルの浮竹は真っ赤になった。
『ばか、あほ、まぬけ!』
尻尾をピーンと立てながら、まくしたてる。
「はいはい。どうせ僕は洗ってないパンツの匂いの京楽ですよ」
『あり、が、とう』
ぶんぶん尻尾をふって、フェンリルの浮竹は、つたない言葉で再度ありがとうと言った。
その光景を、天使の浮竹とヴァンパイアの京楽が和やかな笑みを浮かべながら見ているのであった。
『買った』
堕天使の京楽は、ヴァンパイアの京楽にフェンリルの浮竹と天使の浮竹が二人でデートした時に、隠しカメラで撮った写真を売りつけていた。
「こら、京楽!何を売ってるんだ!」
「浮竹がフェンリルの浮竹とデートという浮気をした証拠写真」
『浮気じゃないぞ!本気だ!』
フェンリルの浮竹の言葉に、堕天使の京楽は飛び上がった。
「本気だって!許せない!浮竹は僕のものだよ!」
『天使の浮竹はお前のものじゃない。誰のものでもない』
「いいえ、僕のものですぅ。浮竹はあげないからね!」
堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹に舌を出して、天使の浮竹を抱きしめた。
『ぐぬぬぬぬ』
「おいこら、2人とも俺は俺のものだ」
『だ、そうだよ』
ヴァンパイアの京楽が、溜息まじりに威嚇しあう堕天使の京楽とフェンリルの浮竹の仲裁に入った。
『天使の俺、デートしよう!今回は山にピクニックに行こう』
「え、あ、まぁ構わないが」
「無論僕もついていくからね!」
『ボクもついていくけどねぇ』
『デートだから、距離はとってくれよ』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹の了解をもらい、嬉し気に準備をしだした。
「え、今から行くのか」
『今からだ!』
「分かった、軽装に着替えてくる」
『あ、俺の服を貸してやる』
「あ、ああ」
「きいいいいい」
嫉妬で燃える堕天使の京楽に、フェンリルの浮竹は。
『バーカ、バーカ』
とバカにして、尻尾をぶんぶん振っていた。
堕天使の京楽をこけにできるのが、よほど嬉しいのか、はたまた悪戯心がくすぐられるのか。
こうして、4人は浮竹のデートという名のピクニックに出かけた。
「ぐぬぬぬ、手を握り合ってる」
『それくらい、いいじゃない。かわいいもんだよ。かわいい子二人ではしゃいじゃって、見ているこっちは・・・・キミは悔しいんだろうけど、ボクは微笑ましいけどね』
「きいいいいいいい」
堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹の行動に嫉妬心をあおられまくっていた。
『京楽、昼ごはんにしよう。堕天使の京楽の飯はちなみにない。めざしならあるから、それでもかじってろ』
フェンリルの浮竹は、ヴァンパイアの京楽が作ってくれたお弁当をシートの上に広げた。
フェンリルの浮竹と、天使の浮竹、ヴァンパイアの京楽でご飯を食べる。
ちなみに、堕天使の京楽は隣のシートで、弁当を用意していなかったので、めざしをかじっていた。
「めざし、案外うまい」
『バーカバーカ。3回周ってワンをしたら、お前の分の弁当を出してやる』
「きいいいいい!僕はめざしが好物なんですぅ!」
「フェンリルの俺。あんまり、京楽をいじめないでやってくれ」
『ん、ああ、そうだな。仕方ない、弁当をやる』
フェンリルの浮竹は、何気に用意してあった堕天使の京楽用のお弁当を渡した。
「なんだかんだいって、お前たち二人、そこそこ仲はいいよな」
「そんなことないよ!こんなツンデレ!」
『そうだ、こんなずっと洗ってないパンツの京楽なんて!』
フェンリルの浮竹の言葉に、堕天使の京楽が反論する。
「ちょっと、洗ってないパンツの匂いでしょ!まるで僕が洗ってないパンツそのものか、それをはいているような言い方はよしてよ!」
『ふん、似たようなものだろう。臭いお前が悪いんだ』
「かわいくない!」
堕天使の京楽は、フェンリルの浮竹の尻尾がぶんぶん振られていることに気付いていなかった。
フェンリルの浮竹は、堕天使の京楽とのやりとりを心の底では楽しんでいた。
「ツンデレめ!」
『ツーン』
そんな二人のやりとりを見て、ヴァンパイアの京楽は笑っていた。
『おもしろい二人だね』
「フェンリルの俺、尻尾ぶんぶん振ってる」
『指摘しないであげてね。きっと恥ずかしがるから』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹と手を繋いで、歩き出す。
『俺たち、前世は双子だったのかもな』
「ああ、そうかもな」
天使の浮竹は尻尾をぶんぶん振り続けているフェンリルの浮竹がかわいくて、握っていた手を握り直す。
「あああ、また距離が近い!」
堕天使の京楽は、また嫉妬でもやもやしていた。
それを、ヴァンパイアの京楽は和やかな視線で、全体を見つめる。
『まぁ、いいじゃない。浮竹二人は楽しそうだし』
確かに、フェンリルの浮竹も天使の浮竹も楽しそうにしていた。
嫉妬でパンクしそうな堕天使の京楽は、我慢しまくった。
結局、ピクニックは4時間ほどで終わり、帰路につく。
『いたたたた』
『どうしたの、浮竹』
『足をくじいた』
フェンリルの浮竹がうずくまる。
「シャインヒーリング」
堕天使の京楽が、自然と回復魔法をかけてくれた。
『こ、こんなことしても、点数稼ぎにはならないからな!でも、ありがとう』
「どういたしまして・・・・・普通に接してたら、かわいいのに」
堕天使の浮竹の「かわいいのに」という言葉に、フェンリルの浮竹は真っ赤になった。
『ばか、あほ、まぬけ!』
尻尾をピーンと立てながら、まくしたてる。
「はいはい。どうせ僕は洗ってないパンツの匂いの京楽ですよ」
『あり、が、とう』
ぶんぶん尻尾をふって、フェンリルの浮竹は、つたない言葉で再度ありがとうと言った。
その光景を、天使の浮竹とヴァンパイアの京楽が和やかな笑みを浮かべながら見ているのであった。
堕天使と天使22
「人を襲う人狼が出るんだ。しかも、ミスリルゴーレムの護衛つきの」
冒険者ギルドのギルドマスターである男の娘は、浮竹と京楽に依頼を出した。
ミスリルゴーレムは、ミスリルでできており、硬くて普通の刃物や魔法は通じない。
人狼が出る場所は人里離れた村で、夜の月のない晩に決まって出没して、人をすでに10人は殺害しているらしい。
「場所も遠いし、君たちに行ってもらいたい」
「ああ、分かった」
「頼んだよ」
「人狼かぁ。普通は人は襲わないんだけどね。しかもミスリルゴーレムの護衛つきとか・・・・どんな人狼なんだろうねぇ」
「少女だそうだ」
ギルドマスターは、そう言って言葉を紡ぐのをやめた。
「少女か。いかに幼くても、人に害を成すのであれば駆除するしかないな」
浮竹はあまり気乗りしなかったが、依頼はこなすようだった。
「じゃあ、月のない晩は3日後だよ。移動に丸1日かかるから、もう今からでも出発して、襲撃に備えよう」
藍染は、いつ目覚めるかも分からぬ眠りについており、市丸ギンもこのところ出没していない。
力を奪われた、浮竹の父である大天使長ミカエルは力を取り戻し、今のところ問題はいつ藍染と市丸が襲撃してくるかの問題で、それ以外はなかった。
「じゃあ、もう今日の夜に出発しよう。移動に1日かかるらしいから、休憩を挟んで1日と少しだな」
「僕がずっと車を運転するよ。一週間くらい眠らなくても平気だからね」
「それはだめだ。俺が許さない。京楽には万全の体制でいてほしい」
「分かったよ。じゃあ、間を挟みながら、休憩しつつ移動で」
浮竹と京楽は、車ではなくアイテムポケットに、食料と水、毛布などを入れた。
何かあるか分からないので、回復用のポーションも準備していた。
「じゃあ、移動しよう」
「ああ」
眠くなるだろうに、ヒーリング系の音楽を鳴らしながら、京楽の運転する車は猛スピードで走り出す。
浮竹は、アイテムポケットから取り出した小説を読みながら、京楽の運転に身を任せていた。
休憩を挟んで仮眠して、1日と少しばかり。
人狼の出るという村についた。
「ああ、あなたが退治人の・・・・・・」
「はい、依頼を受けてきました」
「お願いします!もう10人も殺されているんです!お金はなんとかかき集めました!」
それでも、金貨40枚くらいだった。
貧しい村のようで、普通に冒険者ギルドに依頼するには倍以上の金貨500枚はいる。
そんな内容の、依頼だった。
冒険者ギルドのギルドマスターは、謝礼額が低い仕事で、人が死んだりするような案件を回してくる。
まぁ、浮竹と京楽は祓い屋というか退治屋として動いており、依頼の報酬金額が少ない依頼でも受けた。
「明日、月のない晩になります。村のどこかにいれば、襲われるんです。とにかく血の匂いに敏感で、この前の駆除に失敗した冒険者さんは、豚の血をまいておびき寄せていました」
「じゃあ、俺たちにも豚の血を工面してくれないか。おびき出して確実に、息の根を止める」
「はい、用意しますので、今日は村長の家で休んでください。明日の晩に備えて」
「分かったよ。村長の家はどっちかな?」
「あの丘の上にあります」
村人は、村長の家を指さした。
浮竹と京楽は、村長の家で1日厄介になった。
「さて、夜になったよ、浮竹。豚の血を、村の外れにまこうか」
「ああ、そうだな。念のため村人には村の外に避難してもらったし」
2人は、豚の血を村の外れにまいて、時を待った。
深夜の3時頃になり、かさかさと草むらが動いた。
人外の気配を察知して、浮竹が動く。
「カラミティファイア!」
「きゃあ!」
それは、本当に少女というにも幼い襲撃者だった。
8歳くらいの、女の子んお人狼だった。
「おのれ、冒険者か!この前みたいに、血祭にあげてやる!コウ、おいで!」
クルルルルーーーー。
機械音を出して、ミスリル製のゴーレムが現れた。コウという名前らしく、まずは京楽に襲いかかってきた。
「シャイニング!」
「きゃあ!」
人狼の少女の目を潰して、ミスリル製のゴーレムを、京楽は地獄の炎で溶かす。
「ヘルファイア!」
ドロドロと溶けていくコウを察知して、人狼の少女は叫んだ。
「おのれ、母様を辱めて殺し、父様を拷問して殺し・・・・この村の連中を庇うか!一緒に殺してくれる!」
「ちょっと待って!その、母様と父様というのは・・・・・・」
「死ね!」
人狼の少女は、浮竹の首をへし折った。
へし折ったように見えた。
実物を伴う幻影だった。
浮竹は、蔦の魔法で人狼の少女をぐるぐる巻きにして捕らえた。
「おのれ。こうなれば、共に死ね!ダークネスサンクチュアリ!」
「危ない、浮竹!」
京楽は、浮竹を庇って右手をなくした。
「京楽!」
「大丈夫、後で再生するから」
人狼の少女は、自分もダメージを被り、息も絶え絶えだった。
「君、名前は?」
「アスラン」
「この村の人に恨みがあるのか?」
「この村の若い連中が、母様を慰み者にして殺し、愉悦のために父様を拷問して、人狼の肉は不老だという伝説を信じて食べた。復讐をして、何が悪い!」
「そんな・・・・・・・」
浮竹は、京楽のなくなった右腕をとりあえず止血して、人狼の少女に回復の魔法をかけるが、効かなかった。
「これは闇の禁忌。そう簡単には治せない。私はもうすぐ死ぬ。でも、その前にお願いだ、母様と父様を殺した連中の罪を、贖うようにして」
「分かった。それが真実なら、罪を贖わせよう」
「ありがとう。これで、安心して私も母様と父様の元にいける」
「アスラン!」
知り合ったばかりのアスランは、安らかな顔で死んでいった。
「夜が明けたら、村の連中を魔法で尋問しよう。アスランが言っていたことが本当だったら、警察に引き渡そう」
「うん、そうだね」
浮竹は、京楽のなくなった右腕の傷にキスをして、命の炎を燃やして再生させた。
「ゴッドヒール」
「自分で再生できるのに」
「いや、酷い呪詛がかかっていた。命の火を燃やさなければ再生できないだろう」
「浮竹、僕のために寿命が短くなったの?」
「天使も堕天使も長い時を生きる。少しくらい短くなっても平気だろう」
「そんなのやだよ!」
京楽は叫んだ。
そして、浮竹を抱きしめた。
「君は僕のものだ。君の命の火も、僕のものだ・・・・・・」
「んっ」
貪るような激しいキスを受けて、浮竹は京楽の背に手を回した。
「こういうのは、全て終わってからにしてくれ」
「うん、分かった」
結局、村の若い連中を、嘘を見破る魔法で尋問すると、アスランの母親と父親を殺したのは事実であると分かり、警察を呼んで捕縛してもらい、殺しに関わった村人の大半が豚箱いきとなった。
報酬の金は払ってもらえなかったが、浮竹も京楽も、仕方ないとして受け入れた。
「アスラン、かわいそうだったね」
「でも、復讐でも人殺しはだめだ」
「そうだね」
報酬金の代わりに、村長のお宝の魔石を、京楽はしっかりともってきていた。
冒険者ギルドに売ると、金貨200枚になった。
「村長だけ贅沢してたっぽいからねぇ」
「まぁ、村長も事件に関わって豚箱いきだしな」
浮竹は、京楽のしでかしたことに目をつぶった。
「ねぇ、全部終わったよ。続き、してもいい?」
「あ、寝室で・・・・・」
「もう待てないよ」
京楽に押し倒されて、浮竹は目を閉じるのであった。
冒険者ギルドのギルドマスターである男の娘は、浮竹と京楽に依頼を出した。
ミスリルゴーレムは、ミスリルでできており、硬くて普通の刃物や魔法は通じない。
人狼が出る場所は人里離れた村で、夜の月のない晩に決まって出没して、人をすでに10人は殺害しているらしい。
「場所も遠いし、君たちに行ってもらいたい」
「ああ、分かった」
「頼んだよ」
「人狼かぁ。普通は人は襲わないんだけどね。しかもミスリルゴーレムの護衛つきとか・・・・どんな人狼なんだろうねぇ」
「少女だそうだ」
ギルドマスターは、そう言って言葉を紡ぐのをやめた。
「少女か。いかに幼くても、人に害を成すのであれば駆除するしかないな」
浮竹はあまり気乗りしなかったが、依頼はこなすようだった。
「じゃあ、月のない晩は3日後だよ。移動に丸1日かかるから、もう今からでも出発して、襲撃に備えよう」
藍染は、いつ目覚めるかも分からぬ眠りについており、市丸ギンもこのところ出没していない。
力を奪われた、浮竹の父である大天使長ミカエルは力を取り戻し、今のところ問題はいつ藍染と市丸が襲撃してくるかの問題で、それ以外はなかった。
「じゃあ、もう今日の夜に出発しよう。移動に1日かかるらしいから、休憩を挟んで1日と少しだな」
「僕がずっと車を運転するよ。一週間くらい眠らなくても平気だからね」
「それはだめだ。俺が許さない。京楽には万全の体制でいてほしい」
「分かったよ。じゃあ、間を挟みながら、休憩しつつ移動で」
浮竹と京楽は、車ではなくアイテムポケットに、食料と水、毛布などを入れた。
何かあるか分からないので、回復用のポーションも準備していた。
「じゃあ、移動しよう」
「ああ」
眠くなるだろうに、ヒーリング系の音楽を鳴らしながら、京楽の運転する車は猛スピードで走り出す。
浮竹は、アイテムポケットから取り出した小説を読みながら、京楽の運転に身を任せていた。
休憩を挟んで仮眠して、1日と少しばかり。
人狼の出るという村についた。
「ああ、あなたが退治人の・・・・・・」
「はい、依頼を受けてきました」
「お願いします!もう10人も殺されているんです!お金はなんとかかき集めました!」
それでも、金貨40枚くらいだった。
貧しい村のようで、普通に冒険者ギルドに依頼するには倍以上の金貨500枚はいる。
そんな内容の、依頼だった。
冒険者ギルドのギルドマスターは、謝礼額が低い仕事で、人が死んだりするような案件を回してくる。
まぁ、浮竹と京楽は祓い屋というか退治屋として動いており、依頼の報酬金額が少ない依頼でも受けた。
「明日、月のない晩になります。村のどこかにいれば、襲われるんです。とにかく血の匂いに敏感で、この前の駆除に失敗した冒険者さんは、豚の血をまいておびき寄せていました」
「じゃあ、俺たちにも豚の血を工面してくれないか。おびき出して確実に、息の根を止める」
「はい、用意しますので、今日は村長の家で休んでください。明日の晩に備えて」
「分かったよ。村長の家はどっちかな?」
「あの丘の上にあります」
村人は、村長の家を指さした。
浮竹と京楽は、村長の家で1日厄介になった。
「さて、夜になったよ、浮竹。豚の血を、村の外れにまこうか」
「ああ、そうだな。念のため村人には村の外に避難してもらったし」
2人は、豚の血を村の外れにまいて、時を待った。
深夜の3時頃になり、かさかさと草むらが動いた。
人外の気配を察知して、浮竹が動く。
「カラミティファイア!」
「きゃあ!」
それは、本当に少女というにも幼い襲撃者だった。
8歳くらいの、女の子んお人狼だった。
「おのれ、冒険者か!この前みたいに、血祭にあげてやる!コウ、おいで!」
クルルルルーーーー。
機械音を出して、ミスリル製のゴーレムが現れた。コウという名前らしく、まずは京楽に襲いかかってきた。
「シャイニング!」
「きゃあ!」
人狼の少女の目を潰して、ミスリル製のゴーレムを、京楽は地獄の炎で溶かす。
「ヘルファイア!」
ドロドロと溶けていくコウを察知して、人狼の少女は叫んだ。
「おのれ、母様を辱めて殺し、父様を拷問して殺し・・・・この村の連中を庇うか!一緒に殺してくれる!」
「ちょっと待って!その、母様と父様というのは・・・・・・」
「死ね!」
人狼の少女は、浮竹の首をへし折った。
へし折ったように見えた。
実物を伴う幻影だった。
浮竹は、蔦の魔法で人狼の少女をぐるぐる巻きにして捕らえた。
「おのれ。こうなれば、共に死ね!ダークネスサンクチュアリ!」
「危ない、浮竹!」
京楽は、浮竹を庇って右手をなくした。
「京楽!」
「大丈夫、後で再生するから」
人狼の少女は、自分もダメージを被り、息も絶え絶えだった。
「君、名前は?」
「アスラン」
「この村の人に恨みがあるのか?」
「この村の若い連中が、母様を慰み者にして殺し、愉悦のために父様を拷問して、人狼の肉は不老だという伝説を信じて食べた。復讐をして、何が悪い!」
「そんな・・・・・・・」
浮竹は、京楽のなくなった右腕をとりあえず止血して、人狼の少女に回復の魔法をかけるが、効かなかった。
「これは闇の禁忌。そう簡単には治せない。私はもうすぐ死ぬ。でも、その前にお願いだ、母様と父様を殺した連中の罪を、贖うようにして」
「分かった。それが真実なら、罪を贖わせよう」
「ありがとう。これで、安心して私も母様と父様の元にいける」
「アスラン!」
知り合ったばかりのアスランは、安らかな顔で死んでいった。
「夜が明けたら、村の連中を魔法で尋問しよう。アスランが言っていたことが本当だったら、警察に引き渡そう」
「うん、そうだね」
浮竹は、京楽のなくなった右腕の傷にキスをして、命の炎を燃やして再生させた。
「ゴッドヒール」
「自分で再生できるのに」
「いや、酷い呪詛がかかっていた。命の火を燃やさなければ再生できないだろう」
「浮竹、僕のために寿命が短くなったの?」
「天使も堕天使も長い時を生きる。少しくらい短くなっても平気だろう」
「そんなのやだよ!」
京楽は叫んだ。
そして、浮竹を抱きしめた。
「君は僕のものだ。君の命の火も、僕のものだ・・・・・・」
「んっ」
貪るような激しいキスを受けて、浮竹は京楽の背に手を回した。
「こういうのは、全て終わってからにしてくれ」
「うん、分かった」
結局、村の若い連中を、嘘を見破る魔法で尋問すると、アスランの母親と父親を殺したのは事実であると分かり、警察を呼んで捕縛してもらい、殺しに関わった村人の大半が豚箱いきとなった。
報酬の金は払ってもらえなかったが、浮竹も京楽も、仕方ないとして受け入れた。
「アスラン、かわいそうだったね」
「でも、復讐でも人殺しはだめだ」
「そうだね」
報酬金の代わりに、村長のお宝の魔石を、京楽はしっかりともってきていた。
冒険者ギルドに売ると、金貨200枚になった。
「村長だけ贅沢してたっぽいからねぇ」
「まぁ、村長も事件に関わって豚箱いきだしな」
浮竹は、京楽のしでかしたことに目をつぶった。
「ねぇ、全部終わったよ。続き、してもいい?」
「あ、寝室で・・・・・」
「もう待てないよ」
京楽に押し倒されて、浮竹は目を閉じるのであった。
堕天使と天使外伝
『貸し切りのプール?』
「そうだ。京楽がどこかのマダムから奪い取ってきた金で、レンジャー施設のプールを貸し切りにしたらしい」
フェンリルの浮竹は、尻尾をばっさばっさと振って、天使の浮竹は、堕天使の京楽に金を貢がされたマダムがかわいそうだと思っていた。
「奪い取ったなんて人聞きの悪い。ちゃんと依頼を達成してもらった報酬金だよ」
「額が多すぎる」
「それは依頼人が決めることで、浮竹たちは心配しなくていいよ。ということで、プールに行こう!いいよね、ヴァンパイアの僕!」
『構わないけど、フェンリルの浮竹には耳と尻尾があるから、尻尾の穴のあいた水着を作らないと』
「そんなこともあろうかと、ちゃんと準備しておきました!」
堕天使の京楽は、浮竹サイズの水着に尻尾用の穴があいたものを取り出した。
『なんでそんなの用意周到なのさ』
「だって、ないと行かないっていいだしそうだから」
「まぁ、せっかく貸し切りにしてもらったんだ。遊びにいこう、フェンリルの俺にヴァンパイアの京楽」
天使の浮竹は、フェンリルの浮竹の尻尾の振り具合に苦笑していた。
『施設のプールって、ウォータースライダーなるものがついているんだろう!?』
「ああ、ついてるぞ」
フェンリルの浮竹は、施設のプールのパンフレットに目を通していた。
『行こう!滑ってみたいし、泳ぎたい!』
「貸し切りだから、フェンリル姿で泳いでも大丈夫だぞ」
『それは助かる!』
黒猫になった堕天使の京楽と違って、フェンリルの浮竹はフェンリルの狼姿になって人型に戻っても、ちゃんと衣服は着ていた。
こうして、4人は施設のプールに出かけるのであった。
『ひゃっほおおおお』
もう何度目かになるか分からない、ウォータースライダーを滑り落りて、フェンリルの浮竹は次には狼姿になって犬かきで泳いでいた。
『僕は、泳ぐのはあまり得意じゃないから、ここでまったりしてるよ』
施設は外にあるので、さんさんと降り注ぐ太陽の光にやられそうで、ヴァンパイアの京楽はビーチパラソルの下で、冷たいオレンジジュースに氷をいっぱいいれて、魔法で自分のいる空間だけを冷やして涼んでいた。
『京楽も滑ればいいのに』
『僕はああいうの苦手』
『じゃあ、一緒に滑ろう、天使の俺!』
「ああ、いいぞ」
浮竹たちは、手を繋いで歩き出す。
それに、堕天使の京楽が何か言いたそうにしていたが、我慢していたが、何度も一緒に滑り落ちる姿に言葉を出す。
「ちょっと仲良すぎじゃない?もうちょっと離れてくれないかなぁ」
『なんだ、堕天使のラフレシアの臭い京楽。洗ってないパンツの分際で、文句があるのか!』
「洗ってないパンツの分際ってなにそれ!ちゃんとパンツは毎日洗濯してますぅ!僕の浮竹を取り上げないでよ」
『別に取り上げてなんか・・・・天使の俺、俺と一緒に居るのは嫌か?』
「全然そんなことないぞ。楽しい。京楽はほっといて、かき氷を作ろう!」
『あ、俺メロンシロップがいい!あといちごも!』
「楽しそうだねぇ」
ヴァンパイアの京楽が、かき氷を作り始めた天使の浮竹からかき氷を受け取って、悩んだ末にブルーハワイのシロップをかけた。
『この、なんとも健康に悪そうな色がいいね』
『あ、京楽、半分くれ。俺のも半分やるから』
『はいはい。じゃあ、半分こずつ食べようか』
そんな仲睦まじげな様子を見て、堕天使の京楽も自分が食べていた練乳のかき氷を見て、天使の浮竹のいちごのかき氷を見た。
「やらんぞ。半分個しなくても、また作ればいいだけだ」
「くすん」
いちゃつきたかっただけなので、京楽は練乳のかき氷を一気に食べてしまった。
堕天使の京楽は、何度もかき氷を食べた。
そして、案の定腹痛に襲われた。
「あんなにかき氷を食うからだ」
『ラフレシアの京楽は、腹を壊したのか。かき氷の食いすぎだ」
堕天使の京楽が苦しんでいる姿に、ふりふり振っていた尻尾はぺたんとなっていた。
ツンデレな言葉とは裏腹に、尻尾は正直で、心配しているようだった。
『腹をくだすラフレシアの京楽は、飯を作れないだろう。天使の俺、今日は俺と京楽の館に泊まらないか?』
「いいが、いいのか?」
『浮竹がそう言ってるんだよ。問題ないなら、泊まっていってよ』
「ぬおおおおおおおお、トイレえええぇぇぇぇ」
「アホは放置するか」
「アホじゃないトイレ・・・ぬおおお、掃除中!こうなったら、黒猫姿でしてやる!」
堕天使の京楽は黒猫姿になると、茂みの中に消えてしまった。
『黒猫姿だからいいけど、人型だったらノグソだね』
『うわ、エンガチョ』
「じゃあ、京楽はほうっておいて、館にいこうか」
『うん、おいで』
『歓迎するぞ!』
その日、天使の浮竹はヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹が作ったサンドイッチとカルボナーラを食べた。
夜は、浮竹たちは二人で同じベッドで眠った。
『うーんラフレシア・・・・洗ってないパンツ・・・・・』
「どんな夢を見ているんだか」
天使の浮竹は苦笑して、同じように夢の中に滑り落ちていった。
「にゃあああああああ!!」
朝起きると、黒猫の京楽がかりかりとベッドをひっかいていた。
フェンリルの浮竹に抱き着かれて、天使の浮竹は起きるとフェンリルの浮竹を起こした。
「朝だぞ」
「にゃああああ!浮気にゃあああ!!!」
「どこぞのマダムに、手でも出したんだろう?」
「偽りの言葉だけだよ!」
フェンリルの浮竹は起きると、黒猫の京楽を見て、尻尾をばっさばっさと振った。
『追いかけっこするか!』
「しない!ただ浮竹を迎えにきただけだよ!」
『鬼は俺だ!天使の浮竹も、一緒に追いかけっこしよう』
「朝からハイテンションだな」
『昨日いっぱい遊んだけど、今日も遊びたい!』
フェンリルの浮竹はばっさばっさと尻尾をふって、寝ぼけ眼で黒猫の京楽をおいかけてくわえて戻ってきた。
『くさい。洗ってないパンツの味がする』
「じゃあくわえなきゃいいじゃない!」
『くわえないと、お前逃げそうだったから』
「ああもう、僕は逃げるよ!帰るよ、浮竹!」
「あ、ああ。フェンリルの俺、それにヴァンパイアの京楽、またな」
京楽は、浮竹をおいて先に逃げるように自分の世界に戻っていった。
『まぁ、うちの浮竹はこんなんだけど、そっちのボクのこと、それなりに気に入っているようだから』
「ああ、分かっている」
『またなぁ、天使の俺!また近いうちに遊ぼう!』
「ああ、またな」
フェンリルの浮竹は、尻尾をばっさばっさと振っていた。
尻尾の振り過ぎじゃないかってくらい振ってるので、天使の浮竹は苦笑しながら帰るのであった。
「そうだ。京楽がどこかのマダムから奪い取ってきた金で、レンジャー施設のプールを貸し切りにしたらしい」
フェンリルの浮竹は、尻尾をばっさばっさと振って、天使の浮竹は、堕天使の京楽に金を貢がされたマダムがかわいそうだと思っていた。
「奪い取ったなんて人聞きの悪い。ちゃんと依頼を達成してもらった報酬金だよ」
「額が多すぎる」
「それは依頼人が決めることで、浮竹たちは心配しなくていいよ。ということで、プールに行こう!いいよね、ヴァンパイアの僕!」
『構わないけど、フェンリルの浮竹には耳と尻尾があるから、尻尾の穴のあいた水着を作らないと』
「そんなこともあろうかと、ちゃんと準備しておきました!」
堕天使の京楽は、浮竹サイズの水着に尻尾用の穴があいたものを取り出した。
『なんでそんなの用意周到なのさ』
「だって、ないと行かないっていいだしそうだから」
「まぁ、せっかく貸し切りにしてもらったんだ。遊びにいこう、フェンリルの俺にヴァンパイアの京楽」
天使の浮竹は、フェンリルの浮竹の尻尾の振り具合に苦笑していた。
『施設のプールって、ウォータースライダーなるものがついているんだろう!?』
「ああ、ついてるぞ」
フェンリルの浮竹は、施設のプールのパンフレットに目を通していた。
『行こう!滑ってみたいし、泳ぎたい!』
「貸し切りだから、フェンリル姿で泳いでも大丈夫だぞ」
『それは助かる!』
黒猫になった堕天使の京楽と違って、フェンリルの浮竹はフェンリルの狼姿になって人型に戻っても、ちゃんと衣服は着ていた。
こうして、4人は施設のプールに出かけるのであった。
『ひゃっほおおおお』
もう何度目かになるか分からない、ウォータースライダーを滑り落りて、フェンリルの浮竹は次には狼姿になって犬かきで泳いでいた。
『僕は、泳ぐのはあまり得意じゃないから、ここでまったりしてるよ』
施設は外にあるので、さんさんと降り注ぐ太陽の光にやられそうで、ヴァンパイアの京楽はビーチパラソルの下で、冷たいオレンジジュースに氷をいっぱいいれて、魔法で自分のいる空間だけを冷やして涼んでいた。
『京楽も滑ればいいのに』
『僕はああいうの苦手』
『じゃあ、一緒に滑ろう、天使の俺!』
「ああ、いいぞ」
浮竹たちは、手を繋いで歩き出す。
それに、堕天使の京楽が何か言いたそうにしていたが、我慢していたが、何度も一緒に滑り落ちる姿に言葉を出す。
「ちょっと仲良すぎじゃない?もうちょっと離れてくれないかなぁ」
『なんだ、堕天使のラフレシアの臭い京楽。洗ってないパンツの分際で、文句があるのか!』
「洗ってないパンツの分際ってなにそれ!ちゃんとパンツは毎日洗濯してますぅ!僕の浮竹を取り上げないでよ」
『別に取り上げてなんか・・・・天使の俺、俺と一緒に居るのは嫌か?』
「全然そんなことないぞ。楽しい。京楽はほっといて、かき氷を作ろう!」
『あ、俺メロンシロップがいい!あといちごも!』
「楽しそうだねぇ」
ヴァンパイアの京楽が、かき氷を作り始めた天使の浮竹からかき氷を受け取って、悩んだ末にブルーハワイのシロップをかけた。
『この、なんとも健康に悪そうな色がいいね』
『あ、京楽、半分くれ。俺のも半分やるから』
『はいはい。じゃあ、半分こずつ食べようか』
そんな仲睦まじげな様子を見て、堕天使の京楽も自分が食べていた練乳のかき氷を見て、天使の浮竹のいちごのかき氷を見た。
「やらんぞ。半分個しなくても、また作ればいいだけだ」
「くすん」
いちゃつきたかっただけなので、京楽は練乳のかき氷を一気に食べてしまった。
堕天使の京楽は、何度もかき氷を食べた。
そして、案の定腹痛に襲われた。
「あんなにかき氷を食うからだ」
『ラフレシアの京楽は、腹を壊したのか。かき氷の食いすぎだ」
堕天使の京楽が苦しんでいる姿に、ふりふり振っていた尻尾はぺたんとなっていた。
ツンデレな言葉とは裏腹に、尻尾は正直で、心配しているようだった。
『腹をくだすラフレシアの京楽は、飯を作れないだろう。天使の俺、今日は俺と京楽の館に泊まらないか?』
「いいが、いいのか?」
『浮竹がそう言ってるんだよ。問題ないなら、泊まっていってよ』
「ぬおおおおおおおお、トイレえええぇぇぇぇ」
「アホは放置するか」
「アホじゃないトイレ・・・ぬおおお、掃除中!こうなったら、黒猫姿でしてやる!」
堕天使の京楽は黒猫姿になると、茂みの中に消えてしまった。
『黒猫姿だからいいけど、人型だったらノグソだね』
『うわ、エンガチョ』
「じゃあ、京楽はほうっておいて、館にいこうか」
『うん、おいで』
『歓迎するぞ!』
その日、天使の浮竹はヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹が作ったサンドイッチとカルボナーラを食べた。
夜は、浮竹たちは二人で同じベッドで眠った。
『うーんラフレシア・・・・洗ってないパンツ・・・・・』
「どんな夢を見ているんだか」
天使の浮竹は苦笑して、同じように夢の中に滑り落ちていった。
「にゃあああああああ!!」
朝起きると、黒猫の京楽がかりかりとベッドをひっかいていた。
フェンリルの浮竹に抱き着かれて、天使の浮竹は起きるとフェンリルの浮竹を起こした。
「朝だぞ」
「にゃああああ!浮気にゃあああ!!!」
「どこぞのマダムに、手でも出したんだろう?」
「偽りの言葉だけだよ!」
フェンリルの浮竹は起きると、黒猫の京楽を見て、尻尾をばっさばっさと振った。
『追いかけっこするか!』
「しない!ただ浮竹を迎えにきただけだよ!」
『鬼は俺だ!天使の浮竹も、一緒に追いかけっこしよう』
「朝からハイテンションだな」
『昨日いっぱい遊んだけど、今日も遊びたい!』
フェンリルの浮竹はばっさばっさと尻尾をふって、寝ぼけ眼で黒猫の京楽をおいかけてくわえて戻ってきた。
『くさい。洗ってないパンツの味がする』
「じゃあくわえなきゃいいじゃない!」
『くわえないと、お前逃げそうだったから』
「ああもう、僕は逃げるよ!帰るよ、浮竹!」
「あ、ああ。フェンリルの俺、それにヴァンパイアの京楽、またな」
京楽は、浮竹をおいて先に逃げるように自分の世界に戻っていった。
『まぁ、うちの浮竹はこんなんだけど、そっちのボクのこと、それなりに気に入っているようだから』
「ああ、分かっている」
『またなぁ、天使の俺!また近いうちに遊ぼう!』
「ああ、またな」
フェンリルの浮竹は、尻尾をばっさばっさと振っていた。
尻尾の振り過ぎじゃないかってくらい振ってるので、天使の浮竹は苦笑しながら帰るのであった。
堕天使と天使21
天使の浮竹は、フェンリルの浮竹と一緒に行動していた。
フェンリルの浮竹は狼の耳をぴこぴこさせて、尻尾をぶんぶん振っていて、喜んでいた。
2人は、いわゆるデートなるものをしていた。
ただし、すぐ近くに堕天使の京楽とヴァンパイアの京楽という保護者つきだが。
『次、あれを食おう。あれ、甘くて俺は好きだ』
天使の浮竹のいる世界でデートしているため、クレープ屋さんがあった。
「そんなに急がなくてもいいぞ。違う味を2つ買って、お互い半分に分け合おう」
『お、それはいいな。よし、俺はバナナ味で!』
「じゃあ、俺はチョコ味で頼もう」
仲睦まじく、デート(?)を楽しむ二人を、ヴァンパイアの京楽は二人ともかわいいなぁと思いながら、一方で堕天使の京楽はムキーーーと苛立っていた。
「ちょっと、ヴァンパイアの僕!あの二人、間接キスになるようなことしてるよ!」
『実際にキスしたことあるんだから、その程度で目くじらはたてないよ』
「ムキーーーー!!!ちょっと、僕、行ってくる!」
『だーめ。ボクの浮竹が心から楽しんでるんだから、邪魔はさせないよ』
「君はどっちの味方なんだい!」
『もちろん、ボクの浮竹の味方さ』
2人の浮竹は、ウィンドウショッピングを楽しみ、ゲームセンターで1時間ほどゲームをしてクレーンゲームからでかいぬいぐるみをゲットしていた。
最後に、夕飯にファミリーレストランに入り、夕食を食べていろんな話に花を咲かせていた。
「じゃあ、今日はここで。楽しかったぞ」
『お、俺も楽しかった!また、で、デートしてくれ!』
「デートっていうか、ただ遊んでるだけな気がするが・・・・まぁ、いいぞ」
『やったぁ!あ、京楽!』
同じファミリーレストランで夕食をとっていた京楽たちに気づいて、フェンリルの浮竹はヴァンパイアの京楽に、でかい熊のぬいぐるみを押し付けた。
『ゲームセンターなる場所のクレーンゲームでとれたんだ。やる』
『かわいいね。洋館の寝室にでも飾ろうか。今日は楽しかったかい?』
『うん、すごい楽しかった。臭い堕天使の京楽のパンツを洗っていない匂いがたまにしてたのだけが嫌だったけど、楽しめた』
2人の京楽が、こっそり後をつけていたことには2人の浮竹も気づいていた。
「ちょっと待ってよ。僕が臭いってなってしまうの分かるとして、なんでパンツを洗ってない匂い!?そんなのかいだことあるの!?」
『ない』
「じゃあ、そんなこと言わないでよ!」
『お前は絶対洗ってないパンツの匂いだ!ラフレシアでも可』
「まぁ、京楽、ついてくるなと言ってったのについてきていたお前も悪いんだぞ」
天使の浮竹が、堕天使の京楽に助け舟を出すどころか、一緒に非難した。
「酷い!僕はフローラルないい匂いしかしないよ!」
「まぁ、フェンリルの俺もヴァンアイアの京楽も、今日はこれでお開きにしよう。楽しかった。また、機会があれば遊ぼう」
『ああ、またデートしてくれ!』
『浮竹がすごく楽しそうだから、ボクからも頼むよ』
「僕の浮竹は僕のものですぅ。デートなんてもうさせない!」
『カラミティファイア』
怒ったフェンリルの浮竹に尻を燃やされて、堕天使の京楽は飛び上がった。
「あちちちちちち!」
急いで魔法で水を出すと、火を消したがけつの部分の服がこげて、尻が丸見えになっていた。
『う、汚いものを見てしまった・・・・・・』
『何かで隠しなよ。同じ顔してるだけあって、地味に恥ずかしい』
堕天使の京楽は、アイテムポケットからバスタオルをとりだして、それを腰にまいて一時的なしのぎとすることにした。
「まったく、狂暴なんだから・・・・・」
『何か言ったか?』
「なんでもありません」
フェンリルの浮竹とヴァンパイアの京楽は、自分の世界にクマのでかいぬいぐるみと一緒に帰ってしまった。
「悠長に遊んどる暇あるんかいな。自分が狙われてるって自覚、もったほうがええで」
現れたのは、市丸ギンだった。
ざっと臨戦態勢になる浮竹と京楽だったが、ギンは楽しそうに笑った。
「そないに構えなくても、今日はなんもせぇへん。藍染は大天使長ミカエルの力を取り込んだ反動か、眠りについているし、しばらくの間は平和や。でも警戒を怠るのは感心せんな」
「藍染が眠り・・・・・父様は無事だったが、大天使長の力を奪うからそうなるんだ」
「藍染・・・・昔から、力を求めてたからねぇ」
藍染もギンも、そして京楽も世界で始めの天使といわれる、神の12使徒であった。
長くを生き、堕天したのは京楽だけではない。
ギンと藍染も堕天使に堕ちていた。
「藍染は、しばらくしたら動きだすで。そん時は、ボクも敵にまわるさかい、気ぃつけや」
「市丸!なぜ君ほどの人物が藍染なんかに従う!」
「さぁ、なんでやろな。ボクにもよう分からんわ。ただ、守りたいものがあって、それを守ってくれた。その恩返しかもなぁ」
市丸ギンには、松本乱菊という守りたい存在の女性がいた。
同じ堕天使で、悪魔に堕ちそうになったところを、藍染が助けてくれた過去があった。
悪魔は、完全に天使や神の敵だ。
容赦なく殺される。
その分堕天使はあいまいで、天使も神も扱いに困っていた。
「守りたい者がいるなら、守り通しや。ボクから言えるのはそれだけや」
「市丸!」
京楽が名を呼ぶが、市丸ギンは空気に溶けるようにいなくなってしまった。
「神の12使徒・・・・なぜ、同胞だった者たちで争わないとけないんだろう」
「京楽・・・」
浮竹が、京楽の背をなでた。
京楽は、浮竹を抱きしめる。
「浮竹、僕は君を守る。守り通してみせる」
「俺は、守られてばかりいるほどやわじゃないぞ」
「知ってる。でも、藍染は神の12使徒の中でも一番の強者だった。神に堕天使にされたことに怒り狂い、神を殺そうとして逆に殺された。なのに、転生を繰り返して悪魔やら堕天使として生まれてくる。もしも戦うことになったら、もう転生しないように呪いをかけるしかないね」
「呪いか・・・・」
天使である浮竹には呪詛は専門外だったが、堕天使である京楽には使えるようだった。
「藍染・・・・居場所が分かれば、眠りについている間に叩きたいところだけど、市丸がついてるし、居場所も分からないから、とりあえず次の襲撃に備えよう」
「ああ、そうだな」
いつ、どこで襲ってくるかも分からない。
そんな存在は、今は眠りについている。
その眠りが長いのか短いのかは、誰にも分らなかった。
フェンリルの浮竹は狼の耳をぴこぴこさせて、尻尾をぶんぶん振っていて、喜んでいた。
2人は、いわゆるデートなるものをしていた。
ただし、すぐ近くに堕天使の京楽とヴァンパイアの京楽という保護者つきだが。
『次、あれを食おう。あれ、甘くて俺は好きだ』
天使の浮竹のいる世界でデートしているため、クレープ屋さんがあった。
「そんなに急がなくてもいいぞ。違う味を2つ買って、お互い半分に分け合おう」
『お、それはいいな。よし、俺はバナナ味で!』
「じゃあ、俺はチョコ味で頼もう」
仲睦まじく、デート(?)を楽しむ二人を、ヴァンパイアの京楽は二人ともかわいいなぁと思いながら、一方で堕天使の京楽はムキーーーと苛立っていた。
「ちょっと、ヴァンパイアの僕!あの二人、間接キスになるようなことしてるよ!」
『実際にキスしたことあるんだから、その程度で目くじらはたてないよ』
「ムキーーーー!!!ちょっと、僕、行ってくる!」
『だーめ。ボクの浮竹が心から楽しんでるんだから、邪魔はさせないよ』
「君はどっちの味方なんだい!」
『もちろん、ボクの浮竹の味方さ』
2人の浮竹は、ウィンドウショッピングを楽しみ、ゲームセンターで1時間ほどゲームをしてクレーンゲームからでかいぬいぐるみをゲットしていた。
最後に、夕飯にファミリーレストランに入り、夕食を食べていろんな話に花を咲かせていた。
「じゃあ、今日はここで。楽しかったぞ」
『お、俺も楽しかった!また、で、デートしてくれ!』
「デートっていうか、ただ遊んでるだけな気がするが・・・・まぁ、いいぞ」
『やったぁ!あ、京楽!』
同じファミリーレストランで夕食をとっていた京楽たちに気づいて、フェンリルの浮竹はヴァンパイアの京楽に、でかい熊のぬいぐるみを押し付けた。
『ゲームセンターなる場所のクレーンゲームでとれたんだ。やる』
『かわいいね。洋館の寝室にでも飾ろうか。今日は楽しかったかい?』
『うん、すごい楽しかった。臭い堕天使の京楽のパンツを洗っていない匂いがたまにしてたのだけが嫌だったけど、楽しめた』
2人の京楽が、こっそり後をつけていたことには2人の浮竹も気づいていた。
「ちょっと待ってよ。僕が臭いってなってしまうの分かるとして、なんでパンツを洗ってない匂い!?そんなのかいだことあるの!?」
『ない』
「じゃあ、そんなこと言わないでよ!」
『お前は絶対洗ってないパンツの匂いだ!ラフレシアでも可』
「まぁ、京楽、ついてくるなと言ってったのについてきていたお前も悪いんだぞ」
天使の浮竹が、堕天使の京楽に助け舟を出すどころか、一緒に非難した。
「酷い!僕はフローラルないい匂いしかしないよ!」
「まぁ、フェンリルの俺もヴァンアイアの京楽も、今日はこれでお開きにしよう。楽しかった。また、機会があれば遊ぼう」
『ああ、またデートしてくれ!』
『浮竹がすごく楽しそうだから、ボクからも頼むよ』
「僕の浮竹は僕のものですぅ。デートなんてもうさせない!」
『カラミティファイア』
怒ったフェンリルの浮竹に尻を燃やされて、堕天使の京楽は飛び上がった。
「あちちちちちち!」
急いで魔法で水を出すと、火を消したがけつの部分の服がこげて、尻が丸見えになっていた。
『う、汚いものを見てしまった・・・・・・』
『何かで隠しなよ。同じ顔してるだけあって、地味に恥ずかしい』
堕天使の京楽は、アイテムポケットからバスタオルをとりだして、それを腰にまいて一時的なしのぎとすることにした。
「まったく、狂暴なんだから・・・・・」
『何か言ったか?』
「なんでもありません」
フェンリルの浮竹とヴァンパイアの京楽は、自分の世界にクマのでかいぬいぐるみと一緒に帰ってしまった。
「悠長に遊んどる暇あるんかいな。自分が狙われてるって自覚、もったほうがええで」
現れたのは、市丸ギンだった。
ざっと臨戦態勢になる浮竹と京楽だったが、ギンは楽しそうに笑った。
「そないに構えなくても、今日はなんもせぇへん。藍染は大天使長ミカエルの力を取り込んだ反動か、眠りについているし、しばらくの間は平和や。でも警戒を怠るのは感心せんな」
「藍染が眠り・・・・・父様は無事だったが、大天使長の力を奪うからそうなるんだ」
「藍染・・・・昔から、力を求めてたからねぇ」
藍染もギンも、そして京楽も世界で始めの天使といわれる、神の12使徒であった。
長くを生き、堕天したのは京楽だけではない。
ギンと藍染も堕天使に堕ちていた。
「藍染は、しばらくしたら動きだすで。そん時は、ボクも敵にまわるさかい、気ぃつけや」
「市丸!なぜ君ほどの人物が藍染なんかに従う!」
「さぁ、なんでやろな。ボクにもよう分からんわ。ただ、守りたいものがあって、それを守ってくれた。その恩返しかもなぁ」
市丸ギンには、松本乱菊という守りたい存在の女性がいた。
同じ堕天使で、悪魔に堕ちそうになったところを、藍染が助けてくれた過去があった。
悪魔は、完全に天使や神の敵だ。
容赦なく殺される。
その分堕天使はあいまいで、天使も神も扱いに困っていた。
「守りたい者がいるなら、守り通しや。ボクから言えるのはそれだけや」
「市丸!」
京楽が名を呼ぶが、市丸ギンは空気に溶けるようにいなくなってしまった。
「神の12使徒・・・・なぜ、同胞だった者たちで争わないとけないんだろう」
「京楽・・・」
浮竹が、京楽の背をなでた。
京楽は、浮竹を抱きしめる。
「浮竹、僕は君を守る。守り通してみせる」
「俺は、守られてばかりいるほどやわじゃないぞ」
「知ってる。でも、藍染は神の12使徒の中でも一番の強者だった。神に堕天使にされたことに怒り狂い、神を殺そうとして逆に殺された。なのに、転生を繰り返して悪魔やら堕天使として生まれてくる。もしも戦うことになったら、もう転生しないように呪いをかけるしかないね」
「呪いか・・・・」
天使である浮竹には呪詛は専門外だったが、堕天使である京楽には使えるようだった。
「藍染・・・・居場所が分かれば、眠りについている間に叩きたいところだけど、市丸がついてるし、居場所も分からないから、とりあえず次の襲撃に備えよう」
「ああ、そうだな」
いつ、どこで襲ってくるかも分からない。
そんな存在は、今は眠りについている。
その眠りが長いのか短いのかは、誰にも分らなかった。
堕天使と天使20
その日は、京楽の誕生日だった。
浮竹はヴァンパイアの京楽のところに行ってこいと、京楽を追いだして、キッチンで豪華な料理をつくり、ケーキを作った。
「味は大丈夫だと思うんだがな。なにせ相手は三ツ星レストランでコックもしていた経験のある京楽だ。さて、京楽を呼び戻すか」
スマホで、京楽に連絡を入れる。
電話ではなくて、メールにした。
「早く帰ってこいよ・・・・・・」
追い出しておいて、用意ができると帰ってこいというのは、ちょっとどうかと思ったがまぁいいかと思った。
帰ってきた京楽は、テーブルの上に並べられた京楽の好きなメニューのご馳走と誕生日ケーキに目を輝かせた。
「これ全部、浮竹が一人で作ったの?」
「ああ、そうだ。味はお前の作ったものには劣るかもしれないが・・・・・」
「そんなことないよ!愛情のこもった料理は何より美味しいんだから!」
京楽は、浮竹と一緒にご馳走を食べて、京楽のバースデーケーキを食べた。
「あと、これは誕生日プレゼントだ」
そう言って、浮竹が渡してきたのは、サファイアでできたカフスボタンだった。
「ありがとう!大事にしまっておくよ!」
「いや、ちゃんと使ってくれ。サファイアといってもそんなに高くない石を選んだから、日常的に使っても大丈夫だ」
京楽は、浮竹に抱き着いた。
「うわ!いきなりなんだ!」
「僕って、愛されてるなぁと思って」
「そりゃ、愛してるぞ。俺の伴侶なのだから」
「このまま、浮竹もいただいていい?」
「む・・・今日だけだぞ」
2人は、寝室に向かっていった。
----------------------------------------------------------
「加減を覚えろ」
情事の後、へろへろになった浮竹に、怒られてぶたれまくったので黒猫姿になって、にゃあにゃあいってそれ以上ぶたれないようにした。
「む、卑怯だぞ。黒猫になるなんて」
「むふふふふ。今日はいい日だなぁ。かわいかったなぁ、抱かれてる浮竹」
「それ以上言ったら殺すぞ」
浮竹は、拳を振り上げた。
「にゃあああ。簡便してよ」
「くそ、黒猫は京楽だってわかっているのに殴れない・・・・・・」
「ふふふ、僕のこの愛らしい姿の前には浮竹もメロメロだね」
「言ってろ」
「・・・・・・・だよ」
「?何か言ったか?」
「ううん。なんにも」
「ここだよ・・・・・・」
その声は次第に大きくなり、浮竹にだけ聞こえた。
「声がする。懐かしい・・・・・」
「浮竹?」
「ここだよ。私の復讐のためのかわいい天使」
浮竹は、声が聞こえるほうに歩き出す。
「どこへ行くの浮竹!」
「声がする・・・・俺を呼ぶ声が・・・・・」
「行っちゃだめだ、浮竹!くそ、なんで体が動かないんだ!」
京楽は、金縛りにあったように体が動かなかった。
浮竹は、窓を開けて6枚の翼を出すと、宙に羽ばたいた。
「ここだよ、私の復讐のためのかわいい浮竹」
宙に浮いていたのは、黒い6枚の翼をもつ堕天使だった。
手配書に描かれていた顔そっくりで、すぐに藍染だと分かった。
「藍染、僕の浮竹に何をするつもりだ!」
「なぁに、ちょっと借りるだけだよ。殺しはしないから安心したまえ」
「藍染・・・・・?ミカエル父様ではないのか?」
「ミカエルの血を少しいただいただけだ。ミカエルと同じ気配になるためにね」
浮竹には、藍染が実の父のミカエルに見えていた。
「父様・・・・・・」
「さぁ、行こうか浮竹。君のセラフの力を、貸してもらうよ」
「行かせるか!」
京楽はなんとか金縛りから脱出して、藍染と同じ6枚の黒い翼を出して人型の堕天使に戻ると、藍染に禁忌の魔法を放った。
「ファイナルフレア!」
「おや、動けるのか・・・・」
夢遊病のようにふらふらと、羽ばたいて藍染のところに行こうとしていた浮竹が正気に戻った。
「京楽!?俺は何を・・・・・」
「ちっ。まぁいい、今夜は挨拶代わりだ。またくるよ、浮竹。その時は、君は私の道具として働いてもらうよ」
「藍染!?ミカエル父様の匂いがする!父様に何をした!」
「少し血をもらっただけさ。生きてはいる。まぁ、一度力を一緒にとりこませてもらったから、ミカエルは用済みだ。もう手は出さないから、安心したまえ」
「藍染、浮竹に手を出すなんて許さないよ!エターナルアイシクルフィールド!」
「カウンターマジック」
京楽の出した氷の禁忌魔法は、藍染の手で跳ね返されて、京楽はそれをバリアで防いだ。
「く・・・・魔法が効きにくいのか」
「ふふふ。思い出すね、同じ12使徒だった時代を。私はギンにも手を貸してもらっている。ギンも、同じ12使徒だったね」
「市丸ギンか!」
同じ神の12使徒であり、京楽や藍染のように堕天使に堕ちた者、それが市丸ギンだった。
「なんや、争いごとは嫌いやで」
市丸ギンも、その場に何気なく存在していた。
「藍染、今回は失敗かいな。今度は成功するようにしいや」
「行くよ、ギン。じゃあ、また会おう、浮竹、それに12使徒であった京楽」
「二度と来るな!浮竹に手を出したら、生きていることを後悔させてやるからね!」
「だそうだよ、ギン」
「おおこわ。京楽も性格変わったなぁ。昔は色欲魔の無節操だったのに、この浮竹って子のことになると、そんなに怒るんかいな」
「ギン、藍染なんかに力を貸すな!」
ギンは、笑った。
「そんなこと言われても、命の鍵である核を握られとるからなぁ。まぁ、ほどほどに付き合って核解放してもろて、自由になるわ」
「ではね」
藍染とギンは、空気に溶けるようにいなくなってしまった。
京楽は、震える浮竹を黒い翼で包み込む。
「安心して。僕が、君の傍にいる。君に手を出させたりしないよ」
「京楽・・・・・・」
夜の風を受けながら、2人は藍染とギンが溶けていった空間をただ黙して見ているのだった。
浮竹はヴァンパイアの京楽のところに行ってこいと、京楽を追いだして、キッチンで豪華な料理をつくり、ケーキを作った。
「味は大丈夫だと思うんだがな。なにせ相手は三ツ星レストランでコックもしていた経験のある京楽だ。さて、京楽を呼び戻すか」
スマホで、京楽に連絡を入れる。
電話ではなくて、メールにした。
「早く帰ってこいよ・・・・・・」
追い出しておいて、用意ができると帰ってこいというのは、ちょっとどうかと思ったがまぁいいかと思った。
帰ってきた京楽は、テーブルの上に並べられた京楽の好きなメニューのご馳走と誕生日ケーキに目を輝かせた。
「これ全部、浮竹が一人で作ったの?」
「ああ、そうだ。味はお前の作ったものには劣るかもしれないが・・・・・」
「そんなことないよ!愛情のこもった料理は何より美味しいんだから!」
京楽は、浮竹と一緒にご馳走を食べて、京楽のバースデーケーキを食べた。
「あと、これは誕生日プレゼントだ」
そう言って、浮竹が渡してきたのは、サファイアでできたカフスボタンだった。
「ありがとう!大事にしまっておくよ!」
「いや、ちゃんと使ってくれ。サファイアといってもそんなに高くない石を選んだから、日常的に使っても大丈夫だ」
京楽は、浮竹に抱き着いた。
「うわ!いきなりなんだ!」
「僕って、愛されてるなぁと思って」
「そりゃ、愛してるぞ。俺の伴侶なのだから」
「このまま、浮竹もいただいていい?」
「む・・・今日だけだぞ」
2人は、寝室に向かっていった。
----------------------------------------------------------
「加減を覚えろ」
情事の後、へろへろになった浮竹に、怒られてぶたれまくったので黒猫姿になって、にゃあにゃあいってそれ以上ぶたれないようにした。
「む、卑怯だぞ。黒猫になるなんて」
「むふふふふ。今日はいい日だなぁ。かわいかったなぁ、抱かれてる浮竹」
「それ以上言ったら殺すぞ」
浮竹は、拳を振り上げた。
「にゃあああ。簡便してよ」
「くそ、黒猫は京楽だってわかっているのに殴れない・・・・・・」
「ふふふ、僕のこの愛らしい姿の前には浮竹もメロメロだね」
「言ってろ」
「・・・・・・・だよ」
「?何か言ったか?」
「ううん。なんにも」
「ここだよ・・・・・・」
その声は次第に大きくなり、浮竹にだけ聞こえた。
「声がする。懐かしい・・・・・」
「浮竹?」
「ここだよ。私の復讐のためのかわいい天使」
浮竹は、声が聞こえるほうに歩き出す。
「どこへ行くの浮竹!」
「声がする・・・・俺を呼ぶ声が・・・・・」
「行っちゃだめだ、浮竹!くそ、なんで体が動かないんだ!」
京楽は、金縛りにあったように体が動かなかった。
浮竹は、窓を開けて6枚の翼を出すと、宙に羽ばたいた。
「ここだよ、私の復讐のためのかわいい浮竹」
宙に浮いていたのは、黒い6枚の翼をもつ堕天使だった。
手配書に描かれていた顔そっくりで、すぐに藍染だと分かった。
「藍染、僕の浮竹に何をするつもりだ!」
「なぁに、ちょっと借りるだけだよ。殺しはしないから安心したまえ」
「藍染・・・・・?ミカエル父様ではないのか?」
「ミカエルの血を少しいただいただけだ。ミカエルと同じ気配になるためにね」
浮竹には、藍染が実の父のミカエルに見えていた。
「父様・・・・・・」
「さぁ、行こうか浮竹。君のセラフの力を、貸してもらうよ」
「行かせるか!」
京楽はなんとか金縛りから脱出して、藍染と同じ6枚の黒い翼を出して人型の堕天使に戻ると、藍染に禁忌の魔法を放った。
「ファイナルフレア!」
「おや、動けるのか・・・・」
夢遊病のようにふらふらと、羽ばたいて藍染のところに行こうとしていた浮竹が正気に戻った。
「京楽!?俺は何を・・・・・」
「ちっ。まぁいい、今夜は挨拶代わりだ。またくるよ、浮竹。その時は、君は私の道具として働いてもらうよ」
「藍染!?ミカエル父様の匂いがする!父様に何をした!」
「少し血をもらっただけさ。生きてはいる。まぁ、一度力を一緒にとりこませてもらったから、ミカエルは用済みだ。もう手は出さないから、安心したまえ」
「藍染、浮竹に手を出すなんて許さないよ!エターナルアイシクルフィールド!」
「カウンターマジック」
京楽の出した氷の禁忌魔法は、藍染の手で跳ね返されて、京楽はそれをバリアで防いだ。
「く・・・・魔法が効きにくいのか」
「ふふふ。思い出すね、同じ12使徒だった時代を。私はギンにも手を貸してもらっている。ギンも、同じ12使徒だったね」
「市丸ギンか!」
同じ神の12使徒であり、京楽や藍染のように堕天使に堕ちた者、それが市丸ギンだった。
「なんや、争いごとは嫌いやで」
市丸ギンも、その場に何気なく存在していた。
「藍染、今回は失敗かいな。今度は成功するようにしいや」
「行くよ、ギン。じゃあ、また会おう、浮竹、それに12使徒であった京楽」
「二度と来るな!浮竹に手を出したら、生きていることを後悔させてやるからね!」
「だそうだよ、ギン」
「おおこわ。京楽も性格変わったなぁ。昔は色欲魔の無節操だったのに、この浮竹って子のことになると、そんなに怒るんかいな」
「ギン、藍染なんかに力を貸すな!」
ギンは、笑った。
「そんなこと言われても、命の鍵である核を握られとるからなぁ。まぁ、ほどほどに付き合って核解放してもろて、自由になるわ」
「ではね」
藍染とギンは、空気に溶けるようにいなくなってしまった。
京楽は、震える浮竹を黒い翼で包み込む。
「安心して。僕が、君の傍にいる。君に手を出させたりしないよ」
「京楽・・・・・・」
夜の風を受けながら、2人は藍染とギンが溶けていった空間をただ黙して見ているのだった。
堕天使と天使外伝
天使の浮竹と堕天使の京楽は、ヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹と一緒に海に行った。
泳いで遊ぶ中、ヴァンパイアの京楽は暑さに弱いらしく、ビーチパラソルの下で、暑い日光を遮って、飲み物を飲んでなんとか涼もうとしていた。
『みんなで競争だ!お城を作ろう!』
『ボクはパス。この暑さの下だと倒れそう』
「じゃあ、僕もパース」
堕天使の京楽がそういうと、フェンリルの浮竹が唸り声をあげた。
『参加しないと尻を噛むぞ』
「なんで僕だけそんな扱い!?」
「まぁまぁ、俺も参加するから」
天使の浮竹が、場を和ませようとする。
『じゃあ、競争だ。誰が一番立派な城を作るか!勝った者は、一番下だった者の言うことを1つ聞くこと!』
「なんだって!それは勝たないと!君の僕への態度を改めてもらうよ!」
『そう簡単にいくと思うなよ』
3人は、それぞれ制限時間を2時間として砂の城を作り始めた。
フェンリルの浮竹は、何処で覚えてきたのか、西洋の本当にありそうな立派な砂の城を作った。
天使の浮竹もそこそこ城に見れる形にものを作った。
しかし、堕天使の京楽が作った城は、城というよりただの砂の山だった。
『審査するのはヴァンパイアの京楽だ!』
『はい。何も言わなくても優勝はフェンリルの浮竹だね』
「それ、私情入ってない?」
『はいってないよ。見事なものでしょ、このお城。精緻過ぎて真似できる人いなさそう』
「確かに、すごいな。俺もそれなりのものを作ったつもりだが、なんだか恥ずかしい」
「ふん、僕の城はダイナミックだよ!」
みんな、ただの砂の山を城という堕天使の京楽をアホだと思った。
『じゃあ、ドベは堕天使の京楽だな。黒猫の姿で水かきして泳げ!』
「何その命令!なんで黒猫姿になって泳がないといけないの!海にさらわれちゃう!」
『なんなら、そのまま溺れ死んでもいいんだぞ』
堕天使の京楽は、溜息をついて黒猫姿になった。
海水パンツが地面に落ちる。
「僕の猫かきを甘く見ないでもらおうか!」
マッハで海に向かって駆け出す。
そして、波に乗って泳ぎ始めた。
「ふふん、人魚の子とデートした頃を思い出すなぁ」
『天使の俺を傷つける言葉だ!サンダーボルト!』
「ぎにゃあああああああああ!!でも僕はこれくらいで、猫かきをやめて溺れるわけにはいかない!」
半ば意味不明の使命感に燃えて、堕天使の京楽は波の間をひたすら猫かきして泳いだ。
「ああ、いい運動になった」
黒猫姿の京楽は、浜辺に戻るとぷるぷると体を震わせて水分を飛ばして、大好きな天使の浮竹の腕の中。
『いいなぁ。なぁ、京楽、お前もあれ俺にやってくれ』
『ええ!キミの場合、サイズがでかいから無理だよ。逆ならできるかもしれないけど』
『ん、逆ってことは、フェンリル姿の俺がお前を抱き上げるのか?』
『抱き上げることはできないだろうから、乗せてもらうかくわえられるかだね』
『むー』
「フェンリルの俺、そんな残念がるな。京楽は黒猫姿だから抱き上げられるだけで、まぁ見かけは綺麗な黒猫だけど中身は色魔の堕天使だからな」
『臭いしな』
フェンリルの浮竹の言葉に、天使の浮竹が黒猫姿の京楽を落っことす。
「臭くない!余計なこと言わないでよ!」
「ああ、言われたらなんか潮の香りが・・・帰ったら、猫用シャンプーで洗ってやるか」
『ずるいぞ、堕天使の京楽!天使の俺に洗ってもらうなんて!俺も洗ってほしい!』
「それは、まぁまた今度な」
天使の浮竹は笑って、フェンリルの浮竹の頭を撫でた。
フェンリルの浮竹は、尻尾をばっさばっさと振って、喜んでいた。
『んー、かわいいねぇ』
ヴァンパイアの京楽が、悦に浸る中、同じように黒猫の京楽も。
「かわいいなぁ。フェンリルの浮竹も黙っていればかわいい」
『あげないよ』
「いらない!絶対ほしくない!」
『だそうだよ、浮竹』
『俺もお前なんていらない!そこらの石より価値がない!』
「酷い!僕は天使の浮竹さえいればいいから、君なんていらない!」
フェンリルの浮竹は、狼の耳をぺたんとさせた。
『浮竹を傷つけないでね。サンダーボルト』
「ぎにゃああああああああああ」
ヴァンパイアの京楽は、堕天使の京楽に大分威力を落としたサンダーボルトの魔法をかけた。
「仕方ないやつだなぁ。ヒーリング」
天使の浮竹が、まだ黒猫姿の京楽(服がないので)に、回復魔法をかけてやった。
「浮竹は優しいねぇ。ああ、やっぱり僕には天使の君が一番大好きだよ」
黒猫姿で、ぴょんと天使の浮竹の肩に乗り、顔をこすりつける。
『ラブシーンなのかな、これ』
『さぁ。まぁどうでもいいから、帰ろうか』
『天使の俺、帰るぞ!そんなドブネズミみたいな黒猫は捨てていけ!』
「いや、これでも一応、伴侶だしな。一緒に帰るさ」
海での一日は、それなりに楽しい日であった。
泳いで遊ぶ中、ヴァンパイアの京楽は暑さに弱いらしく、ビーチパラソルの下で、暑い日光を遮って、飲み物を飲んでなんとか涼もうとしていた。
『みんなで競争だ!お城を作ろう!』
『ボクはパス。この暑さの下だと倒れそう』
「じゃあ、僕もパース」
堕天使の京楽がそういうと、フェンリルの浮竹が唸り声をあげた。
『参加しないと尻を噛むぞ』
「なんで僕だけそんな扱い!?」
「まぁまぁ、俺も参加するから」
天使の浮竹が、場を和ませようとする。
『じゃあ、競争だ。誰が一番立派な城を作るか!勝った者は、一番下だった者の言うことを1つ聞くこと!』
「なんだって!それは勝たないと!君の僕への態度を改めてもらうよ!」
『そう簡単にいくと思うなよ』
3人は、それぞれ制限時間を2時間として砂の城を作り始めた。
フェンリルの浮竹は、何処で覚えてきたのか、西洋の本当にありそうな立派な砂の城を作った。
天使の浮竹もそこそこ城に見れる形にものを作った。
しかし、堕天使の京楽が作った城は、城というよりただの砂の山だった。
『審査するのはヴァンパイアの京楽だ!』
『はい。何も言わなくても優勝はフェンリルの浮竹だね』
「それ、私情入ってない?」
『はいってないよ。見事なものでしょ、このお城。精緻過ぎて真似できる人いなさそう』
「確かに、すごいな。俺もそれなりのものを作ったつもりだが、なんだか恥ずかしい」
「ふん、僕の城はダイナミックだよ!」
みんな、ただの砂の山を城という堕天使の京楽をアホだと思った。
『じゃあ、ドベは堕天使の京楽だな。黒猫の姿で水かきして泳げ!』
「何その命令!なんで黒猫姿になって泳がないといけないの!海にさらわれちゃう!」
『なんなら、そのまま溺れ死んでもいいんだぞ』
堕天使の京楽は、溜息をついて黒猫姿になった。
海水パンツが地面に落ちる。
「僕の猫かきを甘く見ないでもらおうか!」
マッハで海に向かって駆け出す。
そして、波に乗って泳ぎ始めた。
「ふふん、人魚の子とデートした頃を思い出すなぁ」
『天使の俺を傷つける言葉だ!サンダーボルト!』
「ぎにゃあああああああああ!!でも僕はこれくらいで、猫かきをやめて溺れるわけにはいかない!」
半ば意味不明の使命感に燃えて、堕天使の京楽は波の間をひたすら猫かきして泳いだ。
「ああ、いい運動になった」
黒猫姿の京楽は、浜辺に戻るとぷるぷると体を震わせて水分を飛ばして、大好きな天使の浮竹の腕の中。
『いいなぁ。なぁ、京楽、お前もあれ俺にやってくれ』
『ええ!キミの場合、サイズがでかいから無理だよ。逆ならできるかもしれないけど』
『ん、逆ってことは、フェンリル姿の俺がお前を抱き上げるのか?』
『抱き上げることはできないだろうから、乗せてもらうかくわえられるかだね』
『むー』
「フェンリルの俺、そんな残念がるな。京楽は黒猫姿だから抱き上げられるだけで、まぁ見かけは綺麗な黒猫だけど中身は色魔の堕天使だからな」
『臭いしな』
フェンリルの浮竹の言葉に、天使の浮竹が黒猫姿の京楽を落っことす。
「臭くない!余計なこと言わないでよ!」
「ああ、言われたらなんか潮の香りが・・・帰ったら、猫用シャンプーで洗ってやるか」
『ずるいぞ、堕天使の京楽!天使の俺に洗ってもらうなんて!俺も洗ってほしい!』
「それは、まぁまた今度な」
天使の浮竹は笑って、フェンリルの浮竹の頭を撫でた。
フェンリルの浮竹は、尻尾をばっさばっさと振って、喜んでいた。
『んー、かわいいねぇ』
ヴァンパイアの京楽が、悦に浸る中、同じように黒猫の京楽も。
「かわいいなぁ。フェンリルの浮竹も黙っていればかわいい」
『あげないよ』
「いらない!絶対ほしくない!」
『だそうだよ、浮竹』
『俺もお前なんていらない!そこらの石より価値がない!』
「酷い!僕は天使の浮竹さえいればいいから、君なんていらない!」
フェンリルの浮竹は、狼の耳をぺたんとさせた。
『浮竹を傷つけないでね。サンダーボルト』
「ぎにゃああああああああああ」
ヴァンパイアの京楽は、堕天使の京楽に大分威力を落としたサンダーボルトの魔法をかけた。
「仕方ないやつだなぁ。ヒーリング」
天使の浮竹が、まだ黒猫姿の京楽(服がないので)に、回復魔法をかけてやった。
「浮竹は優しいねぇ。ああ、やっぱり僕には天使の君が一番大好きだよ」
黒猫姿で、ぴょんと天使の浮竹の肩に乗り、顔をこすりつける。
『ラブシーンなのかな、これ』
『さぁ。まぁどうでもいいから、帰ろうか』
『天使の俺、帰るぞ!そんなドブネズミみたいな黒猫は捨てていけ!』
「いや、これでも一応、伴侶だしな。一緒に帰るさ」
海での一日は、それなりに楽しい日であった。
堕天使と天使19
フェンリルの浮竹に連れてこられて、服屋で天使の浮竹は背中があいている服を買われた。
その服にはマントがついていて、背中が隠れるようになっているので、外で着ても大丈夫だった。
『うん、やっぱりそれ似合ってるな』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹の買ってあげた服を着てくれてきたことに嬉しがっていた。
「はじめは背中がスースーして落ち着かなかったが、マントをすれば大丈夫だから、着ていても大丈夫になった」
『翼を出す時、服は破れないのか?』
フェンリルの浮竹の素朴な疑問に、天使の浮竹が答える。
「ああ。翼はアストラル体でできていて、霊的物質なんだ。衣服を着ていても、翼は透けて外に出る」
『じゃあ、その服じゃなくても良かったんだな』
がっかりするフェンリルの浮竹に、ヴァンパイアの京楽が助け舟を出す。
『彼に似合っているから、買ってあげたんでしょ。ほら、浮竹そんなしょげないの』
『むー。でも、似合ってるぞその服、天使の俺!』
「うん、ありがとう」
天使の浮竹は、真っ赤になった。
「ああ、僕の浮竹は何を着ても似合うからいいね」
『お前はボロ布でも着てろ』
「酷い!」
『べーっだっ』
フェンリルの浮竹は、堕天使の京楽に少々心を許していたが、元に戻っていた。
「フェンリルの俺、京楽とは仲良くしてやってくれ」
『お前がそう言うなら、少しだけ仲良くしてもいい。1ミリくらい』
「何それ!1ミリって仲の良い単位なの!?」
堕天使の京楽がわめく。
『まぁまぁ、ボクの浮竹はシャイだから』
「全然シャイどころかいじめてくるんですけど!」
フェンリルの浮竹は、狼の姿になって、黒猫姿になって逃げる京楽を追い駆けだした。
「浮竹~助けて~~~」
「京楽、ほどほどに遊んでもらえ」
「浮竹の白状者おおおお」
堕天使の京楽は、フェンリルの姿の浮竹に転がされて遊ばれるのであった。
-----------------------------------------------------
「でも、ほんとにその服似合ってるね」
京楽の言葉に、浮竹は赤くなった。
「マントなんてつけなくてもいいよ。君の綺麗な背中が見えていいね」
「翼で隠してやる」
浮竹は、セラフの光り輝く6枚の翼を出した。
「あ、反則!」
京楽も、漆黒の6枚の翼を出した。
「翼出してないと、自分が堕天使だってこと忘れそうだよ」
「お前の脳みそは軽いからな」
「酷い!ちょっと、フェンリルの君みたいなこと言わないでよ」
「いや、そんなつもりじゃなかったんだ。すまない」
しょげる浮竹の頭を、京楽が撫でた。
「依頼がきているな・・・・アークデーモン退治。悪魔か」
「ああ、思い出すなぁ。アークデーモンの女の子とちょめちょめした・・・」
「カラミティファイア」
「のぎゃあああああ」
自業自得な京楽を焦がして引きずって、依頼された場所まで車で移動した。
「いるいる・・・・アークデーモンが5体か」
「2体引き受けるから、残りの3体はお願いね」
「ああ、分かった」
大きな音を炸裂させて、建物の外に出てきたアークデーモンを、まずサンシャインの光で目を焼いて視界が効かないようにして、魔法で片付けていく。
「カラミティサンダー!」
「ファイナルフレア!」
京楽も浮竹も容赦はしなかった。
依頼だと、小さな子供を生贄として捧げており、まだ生きている子供がいるなら保護してほしいとのことだった。
魔法で灰をなり、魔石だけを残して消えていったアークデーモンのいた建物の中に入る。
5歳くらいの男の子と、3歳くらいの女の子がいた。
他にもいたが、皆生贄として捧げられて、息をしていなかった。
「もう大丈夫だ。俺たちが君らを責任もって保護するから」
「母さんに会えるの?」
「もう、痛いことしない?」
子供たちは、浮竹に縋りついた。
京楽は、そのうちの3歳くらいの女の子を抱き上げて、背中をさすった。
「うわああああああん」
「ああああん」
3歳の女の子が泣きだしたのをきっかけに、5歳の男の子も泣き出した。
「もう、怖いことも痛いこともないからな。安心してくれ」
「「うん」」
浮竹が5歳の男の子を抱き上げて、車に乗せて京楽も3歳の女の子を車に乗せて、冒険者ギルドまでいくと、魔石を提出し、依頼料をもらった。
子供を二人保護したことで、追加の謝礼金ももらった。
「それにしても、なぜアークデーモンが子供を生贄になんて・・・・」
「なんでだろうねぇ」
「悪魔がいってたの。藍染様のためだって」
保護された5歳の男の子が、保護者がくるまでの間、京楽と浮竹の傍にいた。
「藍染・・・・・その名前がここで出てくるのか」
藍染は、今回の事件の全ての黒幕であるようだった。
「藍染に懸賞金をかけました。見つけ次第、殺してほしい」
男の娘のギルドマスターは、他の冒険者にも藍染のことについて教えていた。
「藍染か・・・・なんでも、堕天使らしいな。京楽、お前は会ったことはあるのか?」
「うん・・・・あるよ。彼は、僕と同じ神の12使徒の一人だったから」
「じゃあ、2千年以上も生きているのか」
「さぁ・・・・転生を繰り返しているようだし。今は堕天使で、この前は悪魔だった気がする」
京楽は、藍染の顔をおぼろげながらにしか覚えていなかった。
常に認識阻害の魔法を使っていた藍染は、素顔が分からない。
「いつか、衝突する日がきそうだな」
「そうだね。きっと、神に復讐したがっているから、セラフを使って神を呼び出すだろう。浮竹、くれぐれも気をつけてね。君は大天使長ミカエルの子供だし、セラフとしての力は地上にいる天使の中で一番だよ」
「気をつける・・・・」
結局、何故藍染が子供を生贄にしていたかは分からずじまいなのであった。
----------------------------------------------------
「ククク・・・・純粋な子供の魂は価値が高い。これで、大悪魔を召還できる」
藍染は、集まった子供たちの魂を封じ込めたガラス瓶を机の上に置くと、ゆっくりと目を閉じて、自分と同じ12使徒だったかつての仲間たちの顔を思い出す。
今活動しているのは、京楽とあと二人だ。
藍染は笑う。
「さて、この計画に賛同してくれる者は・・・・・・」
12使徒から、堕天したのは何も京楽や藍染だけではない。
藍染は、協力してくれそうな人物を思い出して、くつくつと笑うのであった。
その服にはマントがついていて、背中が隠れるようになっているので、外で着ても大丈夫だった。
『うん、やっぱりそれ似合ってるな』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹の買ってあげた服を着てくれてきたことに嬉しがっていた。
「はじめは背中がスースーして落ち着かなかったが、マントをすれば大丈夫だから、着ていても大丈夫になった」
『翼を出す時、服は破れないのか?』
フェンリルの浮竹の素朴な疑問に、天使の浮竹が答える。
「ああ。翼はアストラル体でできていて、霊的物質なんだ。衣服を着ていても、翼は透けて外に出る」
『じゃあ、その服じゃなくても良かったんだな』
がっかりするフェンリルの浮竹に、ヴァンパイアの京楽が助け舟を出す。
『彼に似合っているから、買ってあげたんでしょ。ほら、浮竹そんなしょげないの』
『むー。でも、似合ってるぞその服、天使の俺!』
「うん、ありがとう」
天使の浮竹は、真っ赤になった。
「ああ、僕の浮竹は何を着ても似合うからいいね」
『お前はボロ布でも着てろ』
「酷い!」
『べーっだっ』
フェンリルの浮竹は、堕天使の京楽に少々心を許していたが、元に戻っていた。
「フェンリルの俺、京楽とは仲良くしてやってくれ」
『お前がそう言うなら、少しだけ仲良くしてもいい。1ミリくらい』
「何それ!1ミリって仲の良い単位なの!?」
堕天使の京楽がわめく。
『まぁまぁ、ボクの浮竹はシャイだから』
「全然シャイどころかいじめてくるんですけど!」
フェンリルの浮竹は、狼の姿になって、黒猫姿になって逃げる京楽を追い駆けだした。
「浮竹~助けて~~~」
「京楽、ほどほどに遊んでもらえ」
「浮竹の白状者おおおお」
堕天使の京楽は、フェンリルの姿の浮竹に転がされて遊ばれるのであった。
-----------------------------------------------------
「でも、ほんとにその服似合ってるね」
京楽の言葉に、浮竹は赤くなった。
「マントなんてつけなくてもいいよ。君の綺麗な背中が見えていいね」
「翼で隠してやる」
浮竹は、セラフの光り輝く6枚の翼を出した。
「あ、反則!」
京楽も、漆黒の6枚の翼を出した。
「翼出してないと、自分が堕天使だってこと忘れそうだよ」
「お前の脳みそは軽いからな」
「酷い!ちょっと、フェンリルの君みたいなこと言わないでよ」
「いや、そんなつもりじゃなかったんだ。すまない」
しょげる浮竹の頭を、京楽が撫でた。
「依頼がきているな・・・・アークデーモン退治。悪魔か」
「ああ、思い出すなぁ。アークデーモンの女の子とちょめちょめした・・・」
「カラミティファイア」
「のぎゃあああああ」
自業自得な京楽を焦がして引きずって、依頼された場所まで車で移動した。
「いるいる・・・・アークデーモンが5体か」
「2体引き受けるから、残りの3体はお願いね」
「ああ、分かった」
大きな音を炸裂させて、建物の外に出てきたアークデーモンを、まずサンシャインの光で目を焼いて視界が効かないようにして、魔法で片付けていく。
「カラミティサンダー!」
「ファイナルフレア!」
京楽も浮竹も容赦はしなかった。
依頼だと、小さな子供を生贄として捧げており、まだ生きている子供がいるなら保護してほしいとのことだった。
魔法で灰をなり、魔石だけを残して消えていったアークデーモンのいた建物の中に入る。
5歳くらいの男の子と、3歳くらいの女の子がいた。
他にもいたが、皆生贄として捧げられて、息をしていなかった。
「もう大丈夫だ。俺たちが君らを責任もって保護するから」
「母さんに会えるの?」
「もう、痛いことしない?」
子供たちは、浮竹に縋りついた。
京楽は、そのうちの3歳くらいの女の子を抱き上げて、背中をさすった。
「うわああああああん」
「ああああん」
3歳の女の子が泣きだしたのをきっかけに、5歳の男の子も泣き出した。
「もう、怖いことも痛いこともないからな。安心してくれ」
「「うん」」
浮竹が5歳の男の子を抱き上げて、車に乗せて京楽も3歳の女の子を車に乗せて、冒険者ギルドまでいくと、魔石を提出し、依頼料をもらった。
子供を二人保護したことで、追加の謝礼金ももらった。
「それにしても、なぜアークデーモンが子供を生贄になんて・・・・」
「なんでだろうねぇ」
「悪魔がいってたの。藍染様のためだって」
保護された5歳の男の子が、保護者がくるまでの間、京楽と浮竹の傍にいた。
「藍染・・・・・その名前がここで出てくるのか」
藍染は、今回の事件の全ての黒幕であるようだった。
「藍染に懸賞金をかけました。見つけ次第、殺してほしい」
男の娘のギルドマスターは、他の冒険者にも藍染のことについて教えていた。
「藍染か・・・・なんでも、堕天使らしいな。京楽、お前は会ったことはあるのか?」
「うん・・・・あるよ。彼は、僕と同じ神の12使徒の一人だったから」
「じゃあ、2千年以上も生きているのか」
「さぁ・・・・転生を繰り返しているようだし。今は堕天使で、この前は悪魔だった気がする」
京楽は、藍染の顔をおぼろげながらにしか覚えていなかった。
常に認識阻害の魔法を使っていた藍染は、素顔が分からない。
「いつか、衝突する日がきそうだな」
「そうだね。きっと、神に復讐したがっているから、セラフを使って神を呼び出すだろう。浮竹、くれぐれも気をつけてね。君は大天使長ミカエルの子供だし、セラフとしての力は地上にいる天使の中で一番だよ」
「気をつける・・・・」
結局、何故藍染が子供を生贄にしていたかは分からずじまいなのであった。
----------------------------------------------------
「ククク・・・・純粋な子供の魂は価値が高い。これで、大悪魔を召還できる」
藍染は、集まった子供たちの魂を封じ込めたガラス瓶を机の上に置くと、ゆっくりと目を閉じて、自分と同じ12使徒だったかつての仲間たちの顔を思い出す。
今活動しているのは、京楽とあと二人だ。
藍染は笑う。
「さて、この計画に賛同してくれる者は・・・・・・」
12使徒から、堕天したのは何も京楽や藍染だけではない。
藍染は、協力してくれそうな人物を思い出して、くつくつと笑うのであった。
堕天使と天使18
『少しは、お前のこと認めてやる』
「ああ、明日は槍が降る」
フェンリルの浮竹の言葉に、堕天使の京楽は空を見上げた。
堕天使の京楽、天使の浮竹、ヴァンパイアの京楽、フェンリルの浮竹の4人で、ヴァンパイアの京楽の屋敷の庭の手入れをしていた。
季節は春をゆうに過ぎ去り、夏がこようとしていた。
綺麗に咲き乱れる朝鮮朝顔の鮮やかな紫と、薔薇園に咲いた白い薔薇が今日は見頃だった。
『すまないねぇ。何分広いものだから、2人だけで維持していくのは無理で、作り出した人形に管理を任せていたんだけど、薔薇を枯らしてしまってね』
ヴァンパイアの京楽は、天使の浮竹がもつ剪定鋏で、枯れた薔薇を切ってもらっていた。
『せっかくの薔薇園が、お前の臭さで汚くなるけど、許してやろう』
「何それ!僕は臭くなんでないですぅ!許すも許さないも、何もしてないじゃない!」
『存在が罪だ』
「はぁ!?君、僕を少しだけ見直してくれたんじゃなかったの!」
『見直したぞ。戦闘面では。プライベートでは、まだまだ』
「戦闘面でだけって、全然僕を見直してくれてないじゃない!」
『そんなことはないぞ。お前の存在を認めている。少しはな』
そう言って、フェンリルの浮竹は尻尾をばっさばっさと振った。
「京楽、フェンリルの俺と少し仲良くなったんだな」
「ええ、これが仲いいように見えるの!?」
「だって、お前をみて尻尾振ってるぞ、フェンリルの俺」
自分の尻尾がばっさばっさと振られているのに気づき、フェンリルの浮竹は真っ赤になって天使の浮竹の背後に隠れた。
『これは違う。その・・・お前が臭いからだ!』
「はぁ、ツンデレだね。まぁいいけど」
「薔薇園の手入れを終えてしまおう。茶菓子とかもってきているし」
4人で薔薇園の手入れをして、新しい苗を植えたり、肥料をやって水をやった。
「しかし、見事な薔薇園だなぁ」
『そうでしょ。僕の自慢の庭だよ』
『俺が育てた薔薇がこれだ!』
フェンリルの浮竹は、水色の薔薇をみんなに見せた。
薔薇が青い色素をもつことは今のところ、天使の浮竹のいる世界にはない。
水色の薔薇はすごく価値のあるものだった。
「水色の薔薇か。いいな」
『あ、天使の俺欲しいか?苗ならまだ余ってるぞ』
「もらえるのか?」
『もちろん、喜んで』
尻尾をばっさばっさと振って、フェンリルの浮竹は天使の浮竹の水色の薔薇の苗をくれた。
それを大事にアイテムポケットに入れて、4人は庭作業を切り上げて、お茶にすることにした。
『最近、こっちでも魔物の活動が活発化していてね。原始の聖女の件もあったりで、ちょっときな臭いことになってるよ』
「こっちの世界でも、魔物は活発化しているんだな。俺のいる世界でも、魔物の活動が活発化している。こちらと俺たちのいる世界は、合わせ鏡のようなものなのだろうか」
「そうだねぇ。なんか、暗躍する影があるとかないとか」
『こっちの世界でも、何か裏でありそうなんだよね』
『このパンケーキ、もっと食っていいか?』
フェンリルの浮竹は、目の前の美味しいパンケーキに夢中で、魔物のことなどどうでもよさそうであった。
「まぁ、俺たちの世界ではまだそっちの、原始の聖女がキメラになったような出来事はおきていないだけ、安心だけどな」
天使の浮竹は、苦笑いしながら、ヴァンパイアの京楽の分を食い尽し、さらに欲しそうにしているフェンリルの浮竹に自分の分のパンケーキをあげた。
『いいのか、天使の俺』
「家に帰れば、いつでも食えるからな」
ばっさばっさ。
フェンリルの浮竹の尻尾は揺れまくりだ。
「この食いしん坊狼め」
『うるさい。噛むぞ』
「噛んでから言わないでよ!痛い痛い!」
堕天使の京楽は、フェンリル姿になった浮竹に足を噛まれていた。
フェンリルの浮竹は、すぐに人型に戻る。
『パンケーキ・・・・これ、くせになりそうな美味しさだ』
「京楽が作ったんだぞ?」
『このパンケーキを、この臭い堕天使の京楽が?』
「そうだ」
『料理の面では一人前と認めてやろう』
「別に認めてくれなくていいですぅ」
「すねてる」
天使の浮竹は、堕天使の京楽の子供じみた仕草に、溜息を零した。
お茶会をして、それぞれの世界のことを話し合い、今後の方針を決める。
ヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹は、引き続き世界の異変に敏感にいることに。
堕天使の京楽と天使の浮竹は、依頼を通して、世界の変化を見ることに。
そうして、4人はそれぞれ二人ずつ別れた。
元の世界に戻ると、堕天使の京楽と天使の浮竹のところに、依頼がきていた。
巨大なトロールが複数現れて、町を占拠しているとのことだった。
「出るぞ」
「うん」
車で町の近くまでいき、巨大なトロールの群れを発見して、殲滅に移る。
「アースクェイク!」
「フレアワールド!」
2人で、魔法を使って巨大トロールを退治していった。
「それにしてもでかいな。普通のトロールじゃない。何か、人為的なものを感じる」
「そうだね。普通は町まで来るようなモンスターじゃないし」
20体は倒して、魔石を入手した。
冒険者ギルドにもっていくと、報酬金金貨200枚と、魔石は粗悪品ということで全部で金貨3枚だった。
そして、男の娘のギルドマスターに呼ばれた。
「最近、モンスターを使って暗躍している者の名が分かった。名前は藍染惣右介。堕天使だ。天使から落とされたことに憤怒しているようで、世界を滅茶苦茶にして神を殺したいらしい」
「神を殺す?そんなこと、できるのか?」
「セラフの力があれば、神に会うことができる。その力を利用して、神を害することも完全に不可能とはいいきれない」
ギルドマスターの言葉に、京楽が心配げに浮竹を見た。
「俺は大丈夫だ」
浮竹は天使であるが、セラフだ。
セラフである浮竹を利用されることを、京楽は恐れていた。
「僕が、何があっても君を守るから」
「ああ、信じている」
「ごほん」
「「あ」」
ギルドマスターの前でいちゃついていた二人は、通常運転に戻って、家に帰宅した。
「でも、本当に気を付けてね、浮竹。怪しい人物に近付いちゃだめだよ」
「お前も随分怪しいがな」
「あはははは」
--------------------------------------------------------------
「大天使長、ミカエルには、手が出ない・・・・手ごろなセラフは、やはり浮竹か」
藍染は、ワイングラスをあおりながら、いつか神に復讐するその時を夢見ていた。
「ただ、堕天使が邪魔だな・・・・・」
堕天使の京楽を、先に始末するべきか。
藍染は、迷うのだった。
「ああ、明日は槍が降る」
フェンリルの浮竹の言葉に、堕天使の京楽は空を見上げた。
堕天使の京楽、天使の浮竹、ヴァンパイアの京楽、フェンリルの浮竹の4人で、ヴァンパイアの京楽の屋敷の庭の手入れをしていた。
季節は春をゆうに過ぎ去り、夏がこようとしていた。
綺麗に咲き乱れる朝鮮朝顔の鮮やかな紫と、薔薇園に咲いた白い薔薇が今日は見頃だった。
『すまないねぇ。何分広いものだから、2人だけで維持していくのは無理で、作り出した人形に管理を任せていたんだけど、薔薇を枯らしてしまってね』
ヴァンパイアの京楽は、天使の浮竹がもつ剪定鋏で、枯れた薔薇を切ってもらっていた。
『せっかくの薔薇園が、お前の臭さで汚くなるけど、許してやろう』
「何それ!僕は臭くなんでないですぅ!許すも許さないも、何もしてないじゃない!」
『存在が罪だ』
「はぁ!?君、僕を少しだけ見直してくれたんじゃなかったの!」
『見直したぞ。戦闘面では。プライベートでは、まだまだ』
「戦闘面でだけって、全然僕を見直してくれてないじゃない!」
『そんなことはないぞ。お前の存在を認めている。少しはな』
そう言って、フェンリルの浮竹は尻尾をばっさばっさと振った。
「京楽、フェンリルの俺と少し仲良くなったんだな」
「ええ、これが仲いいように見えるの!?」
「だって、お前をみて尻尾振ってるぞ、フェンリルの俺」
自分の尻尾がばっさばっさと振られているのに気づき、フェンリルの浮竹は真っ赤になって天使の浮竹の背後に隠れた。
『これは違う。その・・・お前が臭いからだ!』
「はぁ、ツンデレだね。まぁいいけど」
「薔薇園の手入れを終えてしまおう。茶菓子とかもってきているし」
4人で薔薇園の手入れをして、新しい苗を植えたり、肥料をやって水をやった。
「しかし、見事な薔薇園だなぁ」
『そうでしょ。僕の自慢の庭だよ』
『俺が育てた薔薇がこれだ!』
フェンリルの浮竹は、水色の薔薇をみんなに見せた。
薔薇が青い色素をもつことは今のところ、天使の浮竹のいる世界にはない。
水色の薔薇はすごく価値のあるものだった。
「水色の薔薇か。いいな」
『あ、天使の俺欲しいか?苗ならまだ余ってるぞ』
「もらえるのか?」
『もちろん、喜んで』
尻尾をばっさばっさと振って、フェンリルの浮竹は天使の浮竹の水色の薔薇の苗をくれた。
それを大事にアイテムポケットに入れて、4人は庭作業を切り上げて、お茶にすることにした。
『最近、こっちでも魔物の活動が活発化していてね。原始の聖女の件もあったりで、ちょっときな臭いことになってるよ』
「こっちの世界でも、魔物は活発化しているんだな。俺のいる世界でも、魔物の活動が活発化している。こちらと俺たちのいる世界は、合わせ鏡のようなものなのだろうか」
「そうだねぇ。なんか、暗躍する影があるとかないとか」
『こっちの世界でも、何か裏でありそうなんだよね』
『このパンケーキ、もっと食っていいか?』
フェンリルの浮竹は、目の前の美味しいパンケーキに夢中で、魔物のことなどどうでもよさそうであった。
「まぁ、俺たちの世界ではまだそっちの、原始の聖女がキメラになったような出来事はおきていないだけ、安心だけどな」
天使の浮竹は、苦笑いしながら、ヴァンパイアの京楽の分を食い尽し、さらに欲しそうにしているフェンリルの浮竹に自分の分のパンケーキをあげた。
『いいのか、天使の俺』
「家に帰れば、いつでも食えるからな」
ばっさばっさ。
フェンリルの浮竹の尻尾は揺れまくりだ。
「この食いしん坊狼め」
『うるさい。噛むぞ』
「噛んでから言わないでよ!痛い痛い!」
堕天使の京楽は、フェンリル姿になった浮竹に足を噛まれていた。
フェンリルの浮竹は、すぐに人型に戻る。
『パンケーキ・・・・これ、くせになりそうな美味しさだ』
「京楽が作ったんだぞ?」
『このパンケーキを、この臭い堕天使の京楽が?』
「そうだ」
『料理の面では一人前と認めてやろう』
「別に認めてくれなくていいですぅ」
「すねてる」
天使の浮竹は、堕天使の京楽の子供じみた仕草に、溜息を零した。
お茶会をして、それぞれの世界のことを話し合い、今後の方針を決める。
ヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹は、引き続き世界の異変に敏感にいることに。
堕天使の京楽と天使の浮竹は、依頼を通して、世界の変化を見ることに。
そうして、4人はそれぞれ二人ずつ別れた。
元の世界に戻ると、堕天使の京楽と天使の浮竹のところに、依頼がきていた。
巨大なトロールが複数現れて、町を占拠しているとのことだった。
「出るぞ」
「うん」
車で町の近くまでいき、巨大なトロールの群れを発見して、殲滅に移る。
「アースクェイク!」
「フレアワールド!」
2人で、魔法を使って巨大トロールを退治していった。
「それにしてもでかいな。普通のトロールじゃない。何か、人為的なものを感じる」
「そうだね。普通は町まで来るようなモンスターじゃないし」
20体は倒して、魔石を入手した。
冒険者ギルドにもっていくと、報酬金金貨200枚と、魔石は粗悪品ということで全部で金貨3枚だった。
そして、男の娘のギルドマスターに呼ばれた。
「最近、モンスターを使って暗躍している者の名が分かった。名前は藍染惣右介。堕天使だ。天使から落とされたことに憤怒しているようで、世界を滅茶苦茶にして神を殺したいらしい」
「神を殺す?そんなこと、できるのか?」
「セラフの力があれば、神に会うことができる。その力を利用して、神を害することも完全に不可能とはいいきれない」
ギルドマスターの言葉に、京楽が心配げに浮竹を見た。
「俺は大丈夫だ」
浮竹は天使であるが、セラフだ。
セラフである浮竹を利用されることを、京楽は恐れていた。
「僕が、何があっても君を守るから」
「ああ、信じている」
「ごほん」
「「あ」」
ギルドマスターの前でいちゃついていた二人は、通常運転に戻って、家に帰宅した。
「でも、本当に気を付けてね、浮竹。怪しい人物に近付いちゃだめだよ」
「お前も随分怪しいがな」
「あはははは」
--------------------------------------------------------------
「大天使長、ミカエルには、手が出ない・・・・手ごろなセラフは、やはり浮竹か」
藍染は、ワイングラスをあおりながら、いつか神に復讐するその時を夢見ていた。
「ただ、堕天使が邪魔だな・・・・・」
堕天使の京楽を、先に始末するべきか。
藍染は、迷うのだった。
堕天使と天使17
今回の依頼。
フェンリルの上位種である浮竹を、一日だけ預かってくれ。
依頼者、ヴァンパイアの京楽。
「キーーー!彼は何を考えているんだ!よりにもよって、フェンリルの浮竹なんて!」
『それはこっちの台詞だ!ワフ!』
堕天使の京楽が、依頼を受けた天使の浮竹をなじろうとして、フェンリルの姿になった浮竹にけつを噛まれた。
「いたたたた!」
『臭い!』
「失礼だね!人型の時は毎日お風呂入ってるよ!」
京楽は、天使の浮竹の背後に隠れた。
「まぁ、2人とも落ち着け。お互いが好きじゃないのは分かるが、今日はフェンリルの俺は、俺の家に泊まるんだから」
「納得いかない!あの洋館で、一人でいればいいでしょ!」
「それが不安だから、ヴァンパイアの京楽はわざわざ依頼という形で、俺たちに頼んできたんだろう?報酬も前払いで金貨50枚ももらってしまったから、今さら拒否することもできない。京楽、1日の辛抱だ。フェンリルの俺も、1日だけだ。いいな?」
『天使の俺がいうなら、我慢してやらんこともない』
「何その上から目線!」
『ふん。お前が作った飯を、我慢して食べてやろう』
「キーーー!君なんてドッグフードで十分だ!」
『俺は犬じゃない!フェンリルの上位種だ!』
わふわふと吠えるフェンリルの浮竹は、存在が進化して前のフェンリル種からさらに上位の個体神をも喰らう大狼となり、ヴァンパイアの京楽と同じ原初の王になっていた。
血族にされ、更に共に長き時を生きるようにされて、上位種に進化した。
フェンリルの狼の姿に戻ると、今までの大型犬の大きさではなく、座った状態で京楽や浮竹の背丈を優に追い越してしまう。
「今日は、夕飯は俺が作るから、京楽は黒猫姿で、フェンリルの浮竹と遊んでやれ」
「ええ、やだよ!」
「命令。聞かなかったら、禁欲1カ月」
「ひどいーーー」
堕天使の京楽は、黒い6枚の翼を出して、しくしくと泣きだした。
『俺が遊んでやろう。黒猫になれ。人型でいられるより、匂いがましだ』
「もう、どうなっても知らないからね!」
京楽はやけくそになって、黒猫姿になると、大きなフェンリルの狼姿の浮竹の足を引っかいた。
『痛い!』
「みたか、秘技猫爪とぎとぎ」
『お返しだ!』
フェンリル姿の浮竹に、京楽は黒猫の姿のままごろりと転がされた。
「ぎゃあああああ」
『あ、けっこう面白い。ごろごろしてやる』
「あばばばばば、逃げるしかない!」
京楽はキッチンにいった天使の浮竹の場所に避難しようとすると、入り口のドアをその大きな体でふさがれた。
『ふっふっふ、逃がさないぞ』
「僕ってピンチ!?」
『お前でとことん遊んでやる』
「いーやーーー助けて浮竹ええええ」
黒猫の京楽は、フェンリルの浮竹にごろごろ転がされて、狭い室内で追いかけっこをしあっていた。
いや、黒猫の京楽は本気で逃げているのだが、フェンリルの浮竹はそれを面白がって追っかけていた。
「夕飯、できたぞ。何してるんだ、2人とも」
天使の浮竹がやってくると、真っ白な毛皮のフェンリルの浮竹の下で、伸びている黒猫姿の京楽がいた。
「仲良いんだな」
『俺が倒した!俺の勝ちだ!』
「そうか。フェンリルの俺は強いな。今日は肉多めにしておいたからな」
『わふ!』
黒猫姿の京楽は、すねて人型に戻らなかった。
なので、浮竹の手料理を食べれる日は珍しいので、いつもなら喜んで食べるのに、キャットフードを食っていた。
「ふんだ。どうせ僕なんて、おもちゃだよ」
「京楽、ちゃんと相手してやってたんだな。偉いぞ」
天使の浮竹に抱き上げられて、黒猫姿で京楽はゴロゴロと喉を鳴らした。
「もっと褒めて、褒めて」
「今日は最高級の猫缶をあけてやろう」
「おおおお」
黒猫の姿でいる時も長かったので、京楽はキャットフードは大好きだった。
『おいしそう。俺もちょっとだけ、食ってもいいか?』
「いいぞ」
「ああ、僕の最高級クラスの猫缶が!」
『猫の食事ってけっこうおいしいんだな』
少しだけ最高級の猫缶を口にして、後は天使の浮竹が作った肉団子や唐揚げを食べていた。
「唐揚げ、京楽も食え」
「うん、食べる」
意地でも人型に戻らないつもりなのか、鶏肉の唐揚げを天使の浮竹の手から受け取って食べていた。
『いいなぁ。ヴァンパイアの京楽、明日には帰ってくるかな?』
人型になったフェンリルの浮竹は、天使の浮竹の顔を見た。
「ああ、明日には戻ってくる。1日だけだから、今日はゲストルームで寝てくれ」
『天使の浮竹と、一緒に寝る』
「そうそう、大人しく天使の浮竹と寝て・・・・って、なんですと!?天使の浮竹は僕のものだよ!」
『一人でお泊りは初めてだし、天使の俺と寝てみたい!』
「いいぞ」
「ちょっと、浮竹そんなあっさりと!」
「京楽なら、毎日のように一緒に寝ているだろう」
「それとこれとは話が違うよ!」
京楽が黒猫姿で、天使の浮竹の肩に乗った。
「この子は僕の!僕のだからあげない!」
『一日くらいいいだろう!』
「そうだ、一日くらいいいだろ、別に」
「ひどいいいいい。白猫と浮気してやるううう」
「浮気、猫の姿でもしたら、もう一生お前とは口を聞かないからな」
天使の浮竹は、鋭い眼差しで肩に乗った京楽を睨んだ。
「あばばばばばば」
京楽はぴょーんと地面に降り立って、走って行ってベッドの下にもぐって出てこなくなった。
「僕も一緒に寝る。ベッドの下でだけど」
「好きなようにしろ。フェンリルの俺、先に風呂に入ってこい。着替えは置いてあるから」
『ああ、先に使わせてもらう』
次の日の朝、ヴァンパイアの京楽がフェンリルの浮竹を迎えにくると、少しやってしまったという顔の浮竹がいた。
一方、堕天使の京楽は機嫌がどん底に悪く、天使の浮竹は微妙な顔をしていた。
『一体、どうしたのさ』
「フェンリルの浮竹が、僕をいじめるんだよ!」
『ただ、天使の俺を、寝ぼけて京楽と間違えて、抱き着いてキスしちゃただけじゃないか』
フェンリルの浮竹が言うには、そうらしい。
「もう最悪だよ!浮気だ、浮気!」
『違う、浮気じゃない!ただ間違えただけだ』
『浮竹、自分にキスしたようなものだし、寝ぼけてたんでしょ。浮気には入れないから、大丈夫』
「ヴァンパイアの俺、甘い!」
『そうは言っても、一緒に寝てたってことだよね?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、天使の浮竹が頷いた。
「一緒に寝たいと甘えられたんでな。まぁ、ただの事故だ」
『京楽、怒ってないよな?』
『うん、怒ってないよ。ただ、堕天使のボクにはちゃんと謝ろうね?』
『う・・・・・京楽がそういうなら。堕天使の大アホ、天使の俺にキスしてごめん』
「謝罪が謝罪になってないいいいいいい」
堕天使の京楽は、そう叫びながら、フェンリルの浮竹をヴァンパイアの自分ともども追い出して、自分の伴侶である浮竹に抱き着いた。
「どうした?」
「君は僕のものだよ。他の者が、触れるなんて嫌だ」
「まぁ、フェンリルの俺は悪気があったわけじゃないから。許してやれ」
「浮竹がそう言うなら、許すよ」
なんだかんだで、一日のお泊り会は、終わるのだった。
フェンリルの上位種である浮竹を、一日だけ預かってくれ。
依頼者、ヴァンパイアの京楽。
「キーーー!彼は何を考えているんだ!よりにもよって、フェンリルの浮竹なんて!」
『それはこっちの台詞だ!ワフ!』
堕天使の京楽が、依頼を受けた天使の浮竹をなじろうとして、フェンリルの姿になった浮竹にけつを噛まれた。
「いたたたた!」
『臭い!』
「失礼だね!人型の時は毎日お風呂入ってるよ!」
京楽は、天使の浮竹の背後に隠れた。
「まぁ、2人とも落ち着け。お互いが好きじゃないのは分かるが、今日はフェンリルの俺は、俺の家に泊まるんだから」
「納得いかない!あの洋館で、一人でいればいいでしょ!」
「それが不安だから、ヴァンパイアの京楽はわざわざ依頼という形で、俺たちに頼んできたんだろう?報酬も前払いで金貨50枚ももらってしまったから、今さら拒否することもできない。京楽、1日の辛抱だ。フェンリルの俺も、1日だけだ。いいな?」
『天使の俺がいうなら、我慢してやらんこともない』
「何その上から目線!」
『ふん。お前が作った飯を、我慢して食べてやろう』
「キーーー!君なんてドッグフードで十分だ!」
『俺は犬じゃない!フェンリルの上位種だ!』
わふわふと吠えるフェンリルの浮竹は、存在が進化して前のフェンリル種からさらに上位の個体神をも喰らう大狼となり、ヴァンパイアの京楽と同じ原初の王になっていた。
血族にされ、更に共に長き時を生きるようにされて、上位種に進化した。
フェンリルの狼の姿に戻ると、今までの大型犬の大きさではなく、座った状態で京楽や浮竹の背丈を優に追い越してしまう。
「今日は、夕飯は俺が作るから、京楽は黒猫姿で、フェンリルの浮竹と遊んでやれ」
「ええ、やだよ!」
「命令。聞かなかったら、禁欲1カ月」
「ひどいーーー」
堕天使の京楽は、黒い6枚の翼を出して、しくしくと泣きだした。
『俺が遊んでやろう。黒猫になれ。人型でいられるより、匂いがましだ』
「もう、どうなっても知らないからね!」
京楽はやけくそになって、黒猫姿になると、大きなフェンリルの狼姿の浮竹の足を引っかいた。
『痛い!』
「みたか、秘技猫爪とぎとぎ」
『お返しだ!』
フェンリル姿の浮竹に、京楽は黒猫の姿のままごろりと転がされた。
「ぎゃあああああ」
『あ、けっこう面白い。ごろごろしてやる』
「あばばばばば、逃げるしかない!」
京楽はキッチンにいった天使の浮竹の場所に避難しようとすると、入り口のドアをその大きな体でふさがれた。
『ふっふっふ、逃がさないぞ』
「僕ってピンチ!?」
『お前でとことん遊んでやる』
「いーやーーー助けて浮竹ええええ」
黒猫の京楽は、フェンリルの浮竹にごろごろ転がされて、狭い室内で追いかけっこをしあっていた。
いや、黒猫の京楽は本気で逃げているのだが、フェンリルの浮竹はそれを面白がって追っかけていた。
「夕飯、できたぞ。何してるんだ、2人とも」
天使の浮竹がやってくると、真っ白な毛皮のフェンリルの浮竹の下で、伸びている黒猫姿の京楽がいた。
「仲良いんだな」
『俺が倒した!俺の勝ちだ!』
「そうか。フェンリルの俺は強いな。今日は肉多めにしておいたからな」
『わふ!』
黒猫姿の京楽は、すねて人型に戻らなかった。
なので、浮竹の手料理を食べれる日は珍しいので、いつもなら喜んで食べるのに、キャットフードを食っていた。
「ふんだ。どうせ僕なんて、おもちゃだよ」
「京楽、ちゃんと相手してやってたんだな。偉いぞ」
天使の浮竹に抱き上げられて、黒猫姿で京楽はゴロゴロと喉を鳴らした。
「もっと褒めて、褒めて」
「今日は最高級の猫缶をあけてやろう」
「おおおお」
黒猫の姿でいる時も長かったので、京楽はキャットフードは大好きだった。
『おいしそう。俺もちょっとだけ、食ってもいいか?』
「いいぞ」
「ああ、僕の最高級クラスの猫缶が!」
『猫の食事ってけっこうおいしいんだな』
少しだけ最高級の猫缶を口にして、後は天使の浮竹が作った肉団子や唐揚げを食べていた。
「唐揚げ、京楽も食え」
「うん、食べる」
意地でも人型に戻らないつもりなのか、鶏肉の唐揚げを天使の浮竹の手から受け取って食べていた。
『いいなぁ。ヴァンパイアの京楽、明日には帰ってくるかな?』
人型になったフェンリルの浮竹は、天使の浮竹の顔を見た。
「ああ、明日には戻ってくる。1日だけだから、今日はゲストルームで寝てくれ」
『天使の浮竹と、一緒に寝る』
「そうそう、大人しく天使の浮竹と寝て・・・・って、なんですと!?天使の浮竹は僕のものだよ!」
『一人でお泊りは初めてだし、天使の俺と寝てみたい!』
「いいぞ」
「ちょっと、浮竹そんなあっさりと!」
「京楽なら、毎日のように一緒に寝ているだろう」
「それとこれとは話が違うよ!」
京楽が黒猫姿で、天使の浮竹の肩に乗った。
「この子は僕の!僕のだからあげない!」
『一日くらいいいだろう!』
「そうだ、一日くらいいいだろ、別に」
「ひどいいいいい。白猫と浮気してやるううう」
「浮気、猫の姿でもしたら、もう一生お前とは口を聞かないからな」
天使の浮竹は、鋭い眼差しで肩に乗った京楽を睨んだ。
「あばばばばばば」
京楽はぴょーんと地面に降り立って、走って行ってベッドの下にもぐって出てこなくなった。
「僕も一緒に寝る。ベッドの下でだけど」
「好きなようにしろ。フェンリルの俺、先に風呂に入ってこい。着替えは置いてあるから」
『ああ、先に使わせてもらう』
次の日の朝、ヴァンパイアの京楽がフェンリルの浮竹を迎えにくると、少しやってしまったという顔の浮竹がいた。
一方、堕天使の京楽は機嫌がどん底に悪く、天使の浮竹は微妙な顔をしていた。
『一体、どうしたのさ』
「フェンリルの浮竹が、僕をいじめるんだよ!」
『ただ、天使の俺を、寝ぼけて京楽と間違えて、抱き着いてキスしちゃただけじゃないか』
フェンリルの浮竹が言うには、そうらしい。
「もう最悪だよ!浮気だ、浮気!」
『違う、浮気じゃない!ただ間違えただけだ』
『浮竹、自分にキスしたようなものだし、寝ぼけてたんでしょ。浮気には入れないから、大丈夫』
「ヴァンパイアの俺、甘い!」
『そうは言っても、一緒に寝てたってことだよね?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、天使の浮竹が頷いた。
「一緒に寝たいと甘えられたんでな。まぁ、ただの事故だ」
『京楽、怒ってないよな?』
『うん、怒ってないよ。ただ、堕天使のボクにはちゃんと謝ろうね?』
『う・・・・・京楽がそういうなら。堕天使の大アホ、天使の俺にキスしてごめん』
「謝罪が謝罪になってないいいいいいい」
堕天使の京楽は、そう叫びながら、フェンリルの浮竹をヴァンパイアの自分ともども追い出して、自分の伴侶である浮竹に抱き着いた。
「どうした?」
「君は僕のものだよ。他の者が、触れるなんて嫌だ」
「まぁ、フェンリルの俺は悪気があったわけじゃないから。許してやれ」
「浮竹がそう言うなら、許すよ」
なんだかんだで、一日のお泊り会は、終わるのだった。
堕天使と天使外伝3
『お前、やっぱり臭いな』
「キーーー。黒猫の姿で風呂に入れてもらって、まだ1週間しか経ってないよ!」
フェンリルの浮竹は、ヴァンパイアの京楽の住む館で堕天使の京楽の黒猫姿の匂いをかいでいた。
『やっぱり臭い。しみついてるんじゃないか』
「ちょっとどう思う、ヴァンパイアの僕。僕って匂う?」
『いや・・・フローラルな花の香りがするけどね』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、堕天使の京楽はそれみたことかと、フェンリルの浮竹を睨んだ。
天使の浮竹は、我感ぜずといった雰囲気で、ドーナツをかじりながらバナナ・オレを飲んでいた。
「このバナナ・オレうまいな。ドーナツもうまい」
『だろう!京楽が作ってくれたんだ!バナナ・オレは作るの俺も手伝った!』
「そうか。えらいな」
『えへへへ~~~』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹の頭を撫でられて、狼の耳をピコピコ動かして、尻尾をばっさばっさと振っていた。
喜んでいる証だった。
『臭い、近寄るな』
黒猫姿の京楽は、嫌がらせにフェンリルの浮竹の肩に飛び乗った。
『うわぁ、何をする!』
「ふふん、匂いをこすりつけてあげよう」
『やめろ、この変態!』
「まぁ、否定しない。京楽は黒猫からに人型に戻る時裸だからな」
天使の浮竹がそう言うと、フェンリルの浮竹は信じられないものを見るように、追い払った黒猫の京楽を見た。
『俺でも、フェンリル姿になって元に戻る時は服を着ているのに・・・・・・この変態!』
「いや、普通獣の姿になったら、裸でしょ」
『こっちくるな!ばっちいのがうつる!』
「ほお。そこまでいう。ばっちいの、うつしてやる。うれうれうれ」
『ぎゃあああああああああああ』
フェンリルの浮竹に、黒猫の京楽はすり寄って体を何度もこすりつけた。
『ちょっと、マーキングはやめてよ。浮竹はボクの血族なんだから。あげないよ』
「こんな性根のひん曲がった浮竹なんてやだ!僕には天使の浮竹がいるもんね!」
『誰の性根がひん曲がってるって?』
フェンリルの浮竹は、フェンリルの姿になり、うなり声をあげた。
『がるるるるる。お前なんて、噛んで・・・噛んだら、ばっちいのがうつるからだめか』
『浮竹、おいで。消毒してあげる』
ヴァンパイアの京楽に抱きしめられて、フェンリルの浮竹は嬉しそうにしていた。
仕方なく、天使の浮竹も黒猫の京楽を抱き上げた。
「僕、フローラルな香りだよね?臭くないよね?」
「フェンリルの俺は上位種だから、お前の精神に染みついている過去の情人とかの匂いが分かるんだろう」
「何それ。やばすぎ。臭いだろうなぁ・・・・何せ、5千人はこえてるからなぁ」
『うわ、そんなに関係をもっているのか。道理で臭いわけだ』
「あくまで、精神の匂いの話でしょ!まるで僕自身が臭いみたいに言わないでよ」
『お前の精神は、根強いラフレシアみたいな匂い。臭い』
「ラフレシア・・・・・・」
『もしくは、1カ月洗わずにはき続けたパンツの匂い』
フェンリルの浮竹の例えに、天使の浮竹が笑った。
「なんだ、その例えは。かいだこと、実際にあるのか?」
『ないけど、そんな匂いな気がする』
「精神にしみついた匂いばかりは、どうにもできないねぇ。浮竹を抱いてるから、それで匂いが変わっていくのを待つしかないね」
『わ!二人とも、やることやってるんだ!』
真っ赤になったフェンリルの浮竹に、釣られて天使の浮竹も赤くなって、どこからか取り出したハリセンで黒猫姿の京楽の頭をはたいた。
「痛い!動物虐待反対!」
「お前がデリカシーのないことを言うからだ!」
『天使の俺、この臭い堕天使の京楽の匂いが染みつかないようにしろよ』
「ああ、分かっている」
『さて、ボクは夕飯を作りにいくけど、君たちはどうする?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、黒猫の京楽がこう言う。
「どこかで人型に戻って服を着て、手伝うよ。これでも料理の腕には自信があるよ」
『知ってるよ。浮竹と天使の浮竹はどうするの?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、フェンリル姿の浮竹が人型に戻って、天使の浮竹の手をとった。
『薔薇園にいって、お土産の薔薇をとってくる!な、いいだろ、天使の俺。薔薇園に行こう』
「ああ、いいぞ」
『決まったね。夕飯ができる頃には、帰ってきなよ』
『分かってる!堕天使の京楽が一緒に作るとまずくなりそうだけど、我慢する!』
「失礼だね!僕は三ツ星レストランのシェフをしていたくらいに、腕は確かなんだよ!」
「フェンリルの俺、薔薇園に行こう。久しぶりにあの見事な薔薇を見たくなった」
『うん!行こう!』
2人の浮竹は、仲良さそうに手を握りあって、薔薇園に行ってしまった。
『ああは言ってるけど、キミのこと嫌いってわけじゃないからね、浮竹は』
「分かってる。でも、ケンカになるか漫才みたいなことになるんだよね」
『まぁ、おいしい夕飯を作って、見返してあげなよ』
「そうする」
その日の晩は、堕天使の京楽の作った豪華なメニューが並ぶのであった。
「キーーー。黒猫の姿で風呂に入れてもらって、まだ1週間しか経ってないよ!」
フェンリルの浮竹は、ヴァンパイアの京楽の住む館で堕天使の京楽の黒猫姿の匂いをかいでいた。
『やっぱり臭い。しみついてるんじゃないか』
「ちょっとどう思う、ヴァンパイアの僕。僕って匂う?」
『いや・・・フローラルな花の香りがするけどね』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、堕天使の京楽はそれみたことかと、フェンリルの浮竹を睨んだ。
天使の浮竹は、我感ぜずといった雰囲気で、ドーナツをかじりながらバナナ・オレを飲んでいた。
「このバナナ・オレうまいな。ドーナツもうまい」
『だろう!京楽が作ってくれたんだ!バナナ・オレは作るの俺も手伝った!』
「そうか。えらいな」
『えへへへ~~~』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹の頭を撫でられて、狼の耳をピコピコ動かして、尻尾をばっさばっさと振っていた。
喜んでいる証だった。
『臭い、近寄るな』
黒猫姿の京楽は、嫌がらせにフェンリルの浮竹の肩に飛び乗った。
『うわぁ、何をする!』
「ふふん、匂いをこすりつけてあげよう」
『やめろ、この変態!』
「まぁ、否定しない。京楽は黒猫からに人型に戻る時裸だからな」
天使の浮竹がそう言うと、フェンリルの浮竹は信じられないものを見るように、追い払った黒猫の京楽を見た。
『俺でも、フェンリル姿になって元に戻る時は服を着ているのに・・・・・・この変態!』
「いや、普通獣の姿になったら、裸でしょ」
『こっちくるな!ばっちいのがうつる!』
「ほお。そこまでいう。ばっちいの、うつしてやる。うれうれうれ」
『ぎゃあああああああああああ』
フェンリルの浮竹に、黒猫の京楽はすり寄って体を何度もこすりつけた。
『ちょっと、マーキングはやめてよ。浮竹はボクの血族なんだから。あげないよ』
「こんな性根のひん曲がった浮竹なんてやだ!僕には天使の浮竹がいるもんね!」
『誰の性根がひん曲がってるって?』
フェンリルの浮竹は、フェンリルの姿になり、うなり声をあげた。
『がるるるるる。お前なんて、噛んで・・・噛んだら、ばっちいのがうつるからだめか』
『浮竹、おいで。消毒してあげる』
ヴァンパイアの京楽に抱きしめられて、フェンリルの浮竹は嬉しそうにしていた。
仕方なく、天使の浮竹も黒猫の京楽を抱き上げた。
「僕、フローラルな香りだよね?臭くないよね?」
「フェンリルの俺は上位種だから、お前の精神に染みついている過去の情人とかの匂いが分かるんだろう」
「何それ。やばすぎ。臭いだろうなぁ・・・・何せ、5千人はこえてるからなぁ」
『うわ、そんなに関係をもっているのか。道理で臭いわけだ』
「あくまで、精神の匂いの話でしょ!まるで僕自身が臭いみたいに言わないでよ」
『お前の精神は、根強いラフレシアみたいな匂い。臭い』
「ラフレシア・・・・・・」
『もしくは、1カ月洗わずにはき続けたパンツの匂い』
フェンリルの浮竹の例えに、天使の浮竹が笑った。
「なんだ、その例えは。かいだこと、実際にあるのか?」
『ないけど、そんな匂いな気がする』
「精神にしみついた匂いばかりは、どうにもできないねぇ。浮竹を抱いてるから、それで匂いが変わっていくのを待つしかないね」
『わ!二人とも、やることやってるんだ!』
真っ赤になったフェンリルの浮竹に、釣られて天使の浮竹も赤くなって、どこからか取り出したハリセンで黒猫姿の京楽の頭をはたいた。
「痛い!動物虐待反対!」
「お前がデリカシーのないことを言うからだ!」
『天使の俺、この臭い堕天使の京楽の匂いが染みつかないようにしろよ』
「ああ、分かっている」
『さて、ボクは夕飯を作りにいくけど、君たちはどうする?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、黒猫の京楽がこう言う。
「どこかで人型に戻って服を着て、手伝うよ。これでも料理の腕には自信があるよ」
『知ってるよ。浮竹と天使の浮竹はどうするの?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、フェンリル姿の浮竹が人型に戻って、天使の浮竹の手をとった。
『薔薇園にいって、お土産の薔薇をとってくる!な、いいだろ、天使の俺。薔薇園に行こう』
「ああ、いいぞ」
『決まったね。夕飯ができる頃には、帰ってきなよ』
『分かってる!堕天使の京楽が一緒に作るとまずくなりそうだけど、我慢する!』
「失礼だね!僕は三ツ星レストランのシェフをしていたくらいに、腕は確かなんだよ!」
「フェンリルの俺、薔薇園に行こう。久しぶりにあの見事な薔薇を見たくなった」
『うん!行こう!』
2人の浮竹は、仲良さそうに手を握りあって、薔薇園に行ってしまった。
『ああは言ってるけど、キミのこと嫌いってわけじゃないからね、浮竹は』
「分かってる。でも、ケンカになるか漫才みたいなことになるんだよね」
『まぁ、おいしい夕飯を作って、見返してあげなよ』
「そうする」
その日の晩は、堕天使の京楽の作った豪華なメニューが並ぶのであった。
天使と堕天使外伝2
「フェンリルの俺が言っていた。黒猫姿のお前は臭いって」
「ええ、それ、狼っていうか、犬の嗅覚での話じゃないの」
「実際、黒猫姿になったお前の匂いをかいでみた。少し臭かった」
「ガーン」
京楽は、黒猫姿になった。
「洗って」
「洗う。わしゃわしゃ洗うぞ。ちゃんと猫用シャンプーを使うし、ブラッシングもするから安心しろ。毛皮はドライヤーでかわかしてやる」
まだ、寒い時期なので、濡れたままの姿でいるのはきついだろうという、浮竹の判断だった。
黒猫姿になった京楽を抱き上げて、浮竹は衣服の袖をまくり、猫用シャンプーでわしゃわしゃと洗った。
3回洗った。
それからシャワーで泡を流して、ブラッシングもして、ドライヤーで乾かした。
ちょっとべたついていた毛皮が、ふわふわのもこもこになっていた。
「うん、フローラルないい匂いだ」
「そう?自分じゃわからないんだけど」
黒猫姿で、京楽はスンスンと自分の毛皮をかいでみる。
『遊びにきたぞー!』
ちょうど、フェンリルの浮竹とヴァンパイアの京楽が遊びにきた。
『あれ、お前黒猫姿なのにあんまり臭くない。どうしてだ?いい匂いがする』
「ふふん、浮竹に洗ってもらったからだよ。3回も洗ってくれた。愛だよ、愛」
『臭いから、3回洗われたんだろう?』
「ムキー、僕はもうそんなに臭くない!」
『彼、黒猫の姿のままだけどいいの?』
ヴァンパイアの京楽が天使の浮竹に話しかけると、天使の浮竹は堕天使の京楽の作ったマーブルクッキーを用意して、アッサムの紅茶を入れていた。
「今日はせっかくだから、1日あのままの姿でいるんだそうだ」
「そうだよ。僕はフローラルな黒猫。気高き黒猫」
『野良のアホ猫の間違いじゃないのか?』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹と同じ顔で堕天使の京楽をからかった。
『こらこら、浮竹。あんまり彼で遊ばないの』
『このマーブルクッキー美味しいな』
「僕が作ったんだよ」
自慢する堕天使の京楽に、フェンリルの浮竹は狼の耳をへなっと下げて、尻尾をたらした。
『まずい気がしてきた』
「キー!失礼な子だね!ちょっと、ヴァンパイアの僕、このフェンリルの浮竹のしつけ、なってないよ!」
『俺はペットじゃない!しつけなんてされてない!』
「京楽も、フェンリルの俺も、ほどほどにな」
『うん、ほどほどにね』
ヴァンパイアの京楽は、天使の浮竹とマーブルクッキーを食べて、アッサムの紅茶を飲んで、和んでいた。
『天使の俺の入れた紅茶はうまいな』
「何、その対応の違い!」
『近くに来るな。下品な匂いが移る!』
「フローラルな香りだよ!」
『お前の精神が臭い』
「精神が臭いって何それ!」
まるで漫才のようで、それを楽しそうにヴァンパイアの京楽と天使の浮竹が見守っていた。
「いいもんいいもん。僕は今日は猫缶の高級なの食べてやる」
『高級だと!お前にはメザシがお似合いだ!』
「何それ!どこの貧乏猫の話さ!」
『お前だ』
「僕はこれでも金はあるほうなんだからね!」
『嘘くさい』
「ムキーーー!!!」
フェンリルの浮竹は、大型犬くらいのフェンリルの姿になって、黒猫の京楽を追いかけだした。
「ここまでおいでー。ばーかばーか!」
『むう。高い狭いとこに昇るなんて、反則だぞ』
「あっかんべー」
『体当たりしてやる』
どしんとたんすが揺れて、黒猫の京楽がおっこちてきた。
「フェンリルの俺、家の中であんまり暴れないでくれ。一戸建てとはいえ、家が壊れる」
『むう、すまない』
「怒られてる。バーカバーカ」
『ばかはお前だ。バーカバーカ』
ヴァンパイアの京楽と、天使の浮竹は笑っていた。
「2人とも、ほどほどにな」
『うん、ほどほどにね』
『みろ、お前のせいで怒られた』
「僕だけのせいじゃないと思うんだけど!」
その日一日、京楽は黒猫姿のままで、フェンリルの浮竹もつられてかフェンリル姿のまま、黒猫の京楽を追いかけているのであった。
「ええ、それ、狼っていうか、犬の嗅覚での話じゃないの」
「実際、黒猫姿になったお前の匂いをかいでみた。少し臭かった」
「ガーン」
京楽は、黒猫姿になった。
「洗って」
「洗う。わしゃわしゃ洗うぞ。ちゃんと猫用シャンプーを使うし、ブラッシングもするから安心しろ。毛皮はドライヤーでかわかしてやる」
まだ、寒い時期なので、濡れたままの姿でいるのはきついだろうという、浮竹の判断だった。
黒猫姿になった京楽を抱き上げて、浮竹は衣服の袖をまくり、猫用シャンプーでわしゃわしゃと洗った。
3回洗った。
それからシャワーで泡を流して、ブラッシングもして、ドライヤーで乾かした。
ちょっとべたついていた毛皮が、ふわふわのもこもこになっていた。
「うん、フローラルないい匂いだ」
「そう?自分じゃわからないんだけど」
黒猫姿で、京楽はスンスンと自分の毛皮をかいでみる。
『遊びにきたぞー!』
ちょうど、フェンリルの浮竹とヴァンパイアの京楽が遊びにきた。
『あれ、お前黒猫姿なのにあんまり臭くない。どうしてだ?いい匂いがする』
「ふふん、浮竹に洗ってもらったからだよ。3回も洗ってくれた。愛だよ、愛」
『臭いから、3回洗われたんだろう?』
「ムキー、僕はもうそんなに臭くない!」
『彼、黒猫の姿のままだけどいいの?』
ヴァンパイアの京楽が天使の浮竹に話しかけると、天使の浮竹は堕天使の京楽の作ったマーブルクッキーを用意して、アッサムの紅茶を入れていた。
「今日はせっかくだから、1日あのままの姿でいるんだそうだ」
「そうだよ。僕はフローラルな黒猫。気高き黒猫」
『野良のアホ猫の間違いじゃないのか?』
フェンリルの浮竹は、天使の浮竹と同じ顔で堕天使の京楽をからかった。
『こらこら、浮竹。あんまり彼で遊ばないの』
『このマーブルクッキー美味しいな』
「僕が作ったんだよ」
自慢する堕天使の京楽に、フェンリルの浮竹は狼の耳をへなっと下げて、尻尾をたらした。
『まずい気がしてきた』
「キー!失礼な子だね!ちょっと、ヴァンパイアの僕、このフェンリルの浮竹のしつけ、なってないよ!」
『俺はペットじゃない!しつけなんてされてない!』
「京楽も、フェンリルの俺も、ほどほどにな」
『うん、ほどほどにね』
ヴァンパイアの京楽は、天使の浮竹とマーブルクッキーを食べて、アッサムの紅茶を飲んで、和んでいた。
『天使の俺の入れた紅茶はうまいな』
「何、その対応の違い!」
『近くに来るな。下品な匂いが移る!』
「フローラルな香りだよ!」
『お前の精神が臭い』
「精神が臭いって何それ!」
まるで漫才のようで、それを楽しそうにヴァンパイアの京楽と天使の浮竹が見守っていた。
「いいもんいいもん。僕は今日は猫缶の高級なの食べてやる」
『高級だと!お前にはメザシがお似合いだ!』
「何それ!どこの貧乏猫の話さ!」
『お前だ』
「僕はこれでも金はあるほうなんだからね!」
『嘘くさい』
「ムキーーー!!!」
フェンリルの浮竹は、大型犬くらいのフェンリルの姿になって、黒猫の京楽を追いかけだした。
「ここまでおいでー。ばーかばーか!」
『むう。高い狭いとこに昇るなんて、反則だぞ』
「あっかんべー」
『体当たりしてやる』
どしんとたんすが揺れて、黒猫の京楽がおっこちてきた。
「フェンリルの俺、家の中であんまり暴れないでくれ。一戸建てとはいえ、家が壊れる」
『むう、すまない』
「怒られてる。バーカバーカ」
『ばかはお前だ。バーカバーカ』
ヴァンパイアの京楽と、天使の浮竹は笑っていた。
「2人とも、ほどほどにな」
『うん、ほどほどにね』
『みろ、お前のせいで怒られた』
「僕だけのせいじゃないと思うんだけど!」
その日一日、京楽は黒猫姿のままで、フェンリルの浮竹もつられてかフェンリル姿のまま、黒猫の京楽を追いかけているのであった。
堕天使と天使16
「なんでも、その鏡は呪いの鏡といって、化け物が気に入った者を吸いこんで、化け物が吸い込んだ者の偽物をになるというの。偽物は、愛しい者を取り込んでしまうの。とても恐ろしいことなのよ。まぁ、おとぎ話だけれどね。愛しい者が偽物を見破って、鏡の中に入り込み、本物にキスをすれば呪いは解けるのよ」
子供の頃、天使の浮竹の4大天使であり、母親代わりであったガブリエルから聞いた、おとぎ話の鏡の話をふと思い出した。
「この鏡・・・・・・」
それは、古い古い骨董品で、とあるコレクターのいる場所まで古い鏡を運んでくれという依頼だった。
「まさか、呪いの鏡だったりして」
「はははは、そんなばかな」
「そうだな。呪いの鏡なんてあるわけがない」
京楽は、笑って骨董日の鏡を包んでいる布をとってみた。
浮竹は、その鏡に触れてみた。
すると、京楽には見えないようで、化け物が出てきて、浮竹の手を鏡の中から掴んできた。
「京楽!」
叫んでも、京楽には見えていないようだった。
「天使の魂・・・・ふふふ、すごいわ。セラフじゃないの。私はセラフになって、あなたの愛しい者と永遠に幸せになるのよ」
浮竹は、鏡の中に吸い込まれた。
化け物はかろうじで女の姿をしていたが、浮竹が吸い込まれると、浮竹の姿になって、京楽に笑顔を見せた。
「助けてくれ、京楽!」
ドンドンと、鏡を叩く。
鏡の中に吸い込まれた浮竹は、鏡の中から偽物の自分が、愛しい京楽に愛を囁くのを見ていた。
「どうしたの、浮竹。今日は積極的だね」
「俺はお前を愛している。お前も俺を愛している。そうだな?」
偽物は、そう言って京楽を誘惑した。
「京楽!そいつは偽物だ!」
「浮竹・・・・愛してるよ」
「京楽!サンダーボルト!」
鏡の中で、魔法を使ってみたが、ばちっと音がして弾かれた。
叩いても蹴っても魔法を使っても、鏡の外には出れなかった。
鏡の中で、浮竹はふと、鏡の奥に小さい頃の子供の自分がいるのに気づいた。
「どうして、泣いている?お前は誰だ?」
子供の浮竹は、泣きながら座っていた。
「俺はお前だ。お前が愛しい者を疑うから、哀しいんだ」
「俺は・・・・京楽を・・・疑って・・・・・」
「ほら、疑っている。いつか昔の恋人にとられるんじゃないかと、心の何処かで恐怖してる」
「うるさい!ファイアフェニックス!」
浮竹は炎の禁忌を放つが、子供の浮竹は平然としていた。
「その疑いが、鏡の悪魔を呼んだ。さぁ、ここで大人しく鏡の悪魔に愛しい者にとられるのを見ているのか?」
「京楽!それは俺じゃない!」
鏡の向こう側では、鏡の悪魔の浮竹が、京楽にキスをしていた。
「京楽!」
鏡の外で、京楽は顔を顰めた。
「君・・・本物の浮竹じゃないね」
「違う。俺が本物の浮竹だ」
「じゃあ、セラフの証である翼を出してみて」
「それは・・・・・」
「できないんでしょ。偽物は、偽物。本物は・・・鏡の中か。厄介だね。君を殺すと、鏡の中の浮竹は二度と戻ってこない」
「俺と幸せになろう。俺でもいいだろう?」
「無理だね。僕は本物の浮竹だけを今は愛している」
鏡の中で、浮竹は涙を零した。
「京楽、疑ってすまない。俺も、お前だけを愛している」
「そう。それでいいんだ。それでいい」
子供の姿の浮竹は、すーっと本物の浮竹の中に溶け込んでいった。
鏡の中の子供の浮竹は、本物の浮竹の負の感情が表に現れたものだった。
「京楽!」
浮竹が鏡の向こう側に手を伸ばすと、京楽はその手を掴んで、鏡の中に入ってきた。
「ばかな!鏡の中にはいれるというの!」
鏡の悪魔は元の姿に戻って、醜い女の姿で京楽を取り戻そうと、鏡の中に入り込む京楽を引っ張る。
「わ、浮竹、そっちからひっぱって。外にひきずりだされる!」
「京楽は、俺のものだ!」
聖なる力を京楽ごしに叩き込むと、鏡の悪魔は悲鳴をあげた。
「うぎゃあああ!!」
鏡の中に京楽が入ってくる。
「一緒に、外に出よう」
「外に出る方法は・・・・」
「知ってる。僕も、呪いの鏡の話聞いたことあるから」
京楽は、浮竹にキスをした。
「ん・・・・・・んう」
偽物とキスをしたことを帳消しにするような、深い口づけに、浮竹は震えた。
「さぁ、出よう。呪いは解けたはずだ」
「うん・・・・・・」
真っ赤になって、浮竹は京楽に手を引かれて鏡の外に出た。
鏡の外には、もう鏡の悪魔はいなかった。
「くちおしや。セラフの魂なんて貴重なのに」
鏡の中に戻った、鏡の悪魔を浮竹と京楽は封印を施して、二度と外に出られないようにした。
「こんな曰くつきの鏡欲しがるなんて・・・・コレクターの人、呪いの鏡って知ってのことだろうかなぁ」
「いや、ただの古い骨董品と思っているだろう。金持ちの老人が取引相手だ。それにしても、よくあれが偽物の俺だと分かったな」
「んー。キスの味が違うし、昨日僕が君の首筋につけたキスマークがなかった」
「なっ」
浮竹は真っ赤になった。
キスマークが見える位置にある状態で、仕事を引き受けて古い鏡を受け取っていた。
「京楽のバカ!」
「キスマークくらいいいじゃない」
「よくない!」
ぎゃあぎゃあ言い合う。
「僕は君だけを愛しているから。これは、本当だよ」
「ああ。俺もお前だけを愛している。少しでも、お前を疑って悪かった」
「やっぱり、少し疑ってたんだ?」
「仕方ないだろう。お前の過去が過去だ。過去の恋人がでてきて、そっちになびくかもしれないって、少し不安になってたのは本当だ」
「まぁ、僕の過去はどうしようもないけど、未来は変えていける。現在から未来を。君だけを愛すると誓うよ」
京楽は、どこからか緑色の石をはめこんだ指輪を、浮竹の右手の薬指にはめた。
「これは・・・・・」
「いつか渡そうと思っていたものだよ。僕の分もあるんだ」
「京楽・・・・」
浮竹は、自分から京楽に口づけた。
それから、浮竹が京楽の指に対になっている指輪をはめた。
何度かキスを交わして、鏡を慎重に箱にしまいこんで、依頼人のところに車で到着すると、金もちのおじいさんが対応した。
「ありがとうございます。この鏡、昔祖父が買ったもので、なんでも鏡の悪魔が宿ってるとかいってたんですが、大丈夫でしたか?ただの祖父の作り話だとは思うのですが」
「ああ、大丈夫だった」
依頼人に心配をかけまいと、浮竹は鏡の入った箱を老人に手渡した。
封印を施したので、もう無害なただの古い鏡だ。
「では、報酬の金貨30枚を」
「うん、ありがとね」
京楽は、報酬金を受け取ると、車に乗り込んで浮竹を乗せて、猛スピードで家に帰宅した。
「京楽?」
「君を抱きたい。むらむらしてた。抱いてもいい?」
「あ、ああ・・・・・・」
京楽に抱き上げられて、キングサイズのベッドに運ばれた。
衣服を脱がされて、愛撫されて、浮竹は啼いた。
「ああああ!!!」
京楽に一気に貫かれて、浮竹はその快楽に酔いしれる。
「十四郎、愛してるよ」
「ひあああ!」
京楽は、浮竹の最奥を抉ると、浮竹の中に子種を注ぎ込む。
「んあ・・・・・」
最奥を抉られる行為に、浮竹は涙をにじませた。
「気持ちいい?」
「ん・・気持ちいい・・・・」
京楽は、浮竹を突き上げた。
何度か突き上げると、浮竹はシーツに精液を放った。
「んあああ」
「もっと、僕を求めて?」
「あ、春水、春水、もっと・・・・・ああああ」
京楽は、求められるままに浮竹を貪った。
「あ、いっちゃう、やだああああ」
女のように、オーガズムでいくこを覚えた体は、京楽の行為に快感を感じていってしまっていた。
「やああ、あ、あ、やっ」
「愛してるよ、十四郎」
「あ、春水、春水」
深い口づけを交わし合う。
京楽は、浮竹を抱きしめた。
浮竹も、京楽を抱きしめた。
「愛してる、春水。あああ!」
「愛の証を注ぎ込んであげる」
最奥を抉られ、貫かれて、もう何度目になるかも分からない熱を注ぎ込まれる。
「あ・・・・」
じんわりと胎の奥に広がっていく熱を感じながら、浮竹は目を閉じた。
「一緒に、お風呂入ろ」
「ああ」
少しして、体力が戻ったところで二人で湯浴みをした。
風呂でも京楽が盛って、浮竹に蹴られたのは言うまでもない。
子供の頃、天使の浮竹の4大天使であり、母親代わりであったガブリエルから聞いた、おとぎ話の鏡の話をふと思い出した。
「この鏡・・・・・・」
それは、古い古い骨董品で、とあるコレクターのいる場所まで古い鏡を運んでくれという依頼だった。
「まさか、呪いの鏡だったりして」
「はははは、そんなばかな」
「そうだな。呪いの鏡なんてあるわけがない」
京楽は、笑って骨董日の鏡を包んでいる布をとってみた。
浮竹は、その鏡に触れてみた。
すると、京楽には見えないようで、化け物が出てきて、浮竹の手を鏡の中から掴んできた。
「京楽!」
叫んでも、京楽には見えていないようだった。
「天使の魂・・・・ふふふ、すごいわ。セラフじゃないの。私はセラフになって、あなたの愛しい者と永遠に幸せになるのよ」
浮竹は、鏡の中に吸い込まれた。
化け物はかろうじで女の姿をしていたが、浮竹が吸い込まれると、浮竹の姿になって、京楽に笑顔を見せた。
「助けてくれ、京楽!」
ドンドンと、鏡を叩く。
鏡の中に吸い込まれた浮竹は、鏡の中から偽物の自分が、愛しい京楽に愛を囁くのを見ていた。
「どうしたの、浮竹。今日は積極的だね」
「俺はお前を愛している。お前も俺を愛している。そうだな?」
偽物は、そう言って京楽を誘惑した。
「京楽!そいつは偽物だ!」
「浮竹・・・・愛してるよ」
「京楽!サンダーボルト!」
鏡の中で、魔法を使ってみたが、ばちっと音がして弾かれた。
叩いても蹴っても魔法を使っても、鏡の外には出れなかった。
鏡の中で、浮竹はふと、鏡の奥に小さい頃の子供の自分がいるのに気づいた。
「どうして、泣いている?お前は誰だ?」
子供の浮竹は、泣きながら座っていた。
「俺はお前だ。お前が愛しい者を疑うから、哀しいんだ」
「俺は・・・・京楽を・・・疑って・・・・・」
「ほら、疑っている。いつか昔の恋人にとられるんじゃないかと、心の何処かで恐怖してる」
「うるさい!ファイアフェニックス!」
浮竹は炎の禁忌を放つが、子供の浮竹は平然としていた。
「その疑いが、鏡の悪魔を呼んだ。さぁ、ここで大人しく鏡の悪魔に愛しい者にとられるのを見ているのか?」
「京楽!それは俺じゃない!」
鏡の向こう側では、鏡の悪魔の浮竹が、京楽にキスをしていた。
「京楽!」
鏡の外で、京楽は顔を顰めた。
「君・・・本物の浮竹じゃないね」
「違う。俺が本物の浮竹だ」
「じゃあ、セラフの証である翼を出してみて」
「それは・・・・・」
「できないんでしょ。偽物は、偽物。本物は・・・鏡の中か。厄介だね。君を殺すと、鏡の中の浮竹は二度と戻ってこない」
「俺と幸せになろう。俺でもいいだろう?」
「無理だね。僕は本物の浮竹だけを今は愛している」
鏡の中で、浮竹は涙を零した。
「京楽、疑ってすまない。俺も、お前だけを愛している」
「そう。それでいいんだ。それでいい」
子供の姿の浮竹は、すーっと本物の浮竹の中に溶け込んでいった。
鏡の中の子供の浮竹は、本物の浮竹の負の感情が表に現れたものだった。
「京楽!」
浮竹が鏡の向こう側に手を伸ばすと、京楽はその手を掴んで、鏡の中に入ってきた。
「ばかな!鏡の中にはいれるというの!」
鏡の悪魔は元の姿に戻って、醜い女の姿で京楽を取り戻そうと、鏡の中に入り込む京楽を引っ張る。
「わ、浮竹、そっちからひっぱって。外にひきずりだされる!」
「京楽は、俺のものだ!」
聖なる力を京楽ごしに叩き込むと、鏡の悪魔は悲鳴をあげた。
「うぎゃあああ!!」
鏡の中に京楽が入ってくる。
「一緒に、外に出よう」
「外に出る方法は・・・・」
「知ってる。僕も、呪いの鏡の話聞いたことあるから」
京楽は、浮竹にキスをした。
「ん・・・・・・んう」
偽物とキスをしたことを帳消しにするような、深い口づけに、浮竹は震えた。
「さぁ、出よう。呪いは解けたはずだ」
「うん・・・・・・」
真っ赤になって、浮竹は京楽に手を引かれて鏡の外に出た。
鏡の外には、もう鏡の悪魔はいなかった。
「くちおしや。セラフの魂なんて貴重なのに」
鏡の中に戻った、鏡の悪魔を浮竹と京楽は封印を施して、二度と外に出られないようにした。
「こんな曰くつきの鏡欲しがるなんて・・・・コレクターの人、呪いの鏡って知ってのことだろうかなぁ」
「いや、ただの古い骨董品と思っているだろう。金持ちの老人が取引相手だ。それにしても、よくあれが偽物の俺だと分かったな」
「んー。キスの味が違うし、昨日僕が君の首筋につけたキスマークがなかった」
「なっ」
浮竹は真っ赤になった。
キスマークが見える位置にある状態で、仕事を引き受けて古い鏡を受け取っていた。
「京楽のバカ!」
「キスマークくらいいいじゃない」
「よくない!」
ぎゃあぎゃあ言い合う。
「僕は君だけを愛しているから。これは、本当だよ」
「ああ。俺もお前だけを愛している。少しでも、お前を疑って悪かった」
「やっぱり、少し疑ってたんだ?」
「仕方ないだろう。お前の過去が過去だ。過去の恋人がでてきて、そっちになびくかもしれないって、少し不安になってたのは本当だ」
「まぁ、僕の過去はどうしようもないけど、未来は変えていける。現在から未来を。君だけを愛すると誓うよ」
京楽は、どこからか緑色の石をはめこんだ指輪を、浮竹の右手の薬指にはめた。
「これは・・・・・」
「いつか渡そうと思っていたものだよ。僕の分もあるんだ」
「京楽・・・・」
浮竹は、自分から京楽に口づけた。
それから、浮竹が京楽の指に対になっている指輪をはめた。
何度かキスを交わして、鏡を慎重に箱にしまいこんで、依頼人のところに車で到着すると、金もちのおじいさんが対応した。
「ありがとうございます。この鏡、昔祖父が買ったもので、なんでも鏡の悪魔が宿ってるとかいってたんですが、大丈夫でしたか?ただの祖父の作り話だとは思うのですが」
「ああ、大丈夫だった」
依頼人に心配をかけまいと、浮竹は鏡の入った箱を老人に手渡した。
封印を施したので、もう無害なただの古い鏡だ。
「では、報酬の金貨30枚を」
「うん、ありがとね」
京楽は、報酬金を受け取ると、車に乗り込んで浮竹を乗せて、猛スピードで家に帰宅した。
「京楽?」
「君を抱きたい。むらむらしてた。抱いてもいい?」
「あ、ああ・・・・・・」
京楽に抱き上げられて、キングサイズのベッドに運ばれた。
衣服を脱がされて、愛撫されて、浮竹は啼いた。
「ああああ!!!」
京楽に一気に貫かれて、浮竹はその快楽に酔いしれる。
「十四郎、愛してるよ」
「ひあああ!」
京楽は、浮竹の最奥を抉ると、浮竹の中に子種を注ぎ込む。
「んあ・・・・・」
最奥を抉られる行為に、浮竹は涙をにじませた。
「気持ちいい?」
「ん・・気持ちいい・・・・」
京楽は、浮竹を突き上げた。
何度か突き上げると、浮竹はシーツに精液を放った。
「んあああ」
「もっと、僕を求めて?」
「あ、春水、春水、もっと・・・・・ああああ」
京楽は、求められるままに浮竹を貪った。
「あ、いっちゃう、やだああああ」
女のように、オーガズムでいくこを覚えた体は、京楽の行為に快感を感じていってしまっていた。
「やああ、あ、あ、やっ」
「愛してるよ、十四郎」
「あ、春水、春水」
深い口づけを交わし合う。
京楽は、浮竹を抱きしめた。
浮竹も、京楽を抱きしめた。
「愛してる、春水。あああ!」
「愛の証を注ぎ込んであげる」
最奥を抉られ、貫かれて、もう何度目になるかも分からない熱を注ぎ込まれる。
「あ・・・・」
じんわりと胎の奥に広がっていく熱を感じながら、浮竹は目を閉じた。
「一緒に、お風呂入ろ」
「ああ」
少しして、体力が戻ったところで二人で湯浴みをした。
風呂でも京楽が盛って、浮竹に蹴られたのは言うまでもない。