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え、生きてる?4

「霊王様。今日も食事を召し上がらないのですか。いくら霊王様となられたとはいえ、今も生身の肉体。食事をしなければ、体に差支えがあります」

「いい。食事はいらない。放っておいてくれ」

「霊王様・・・・・そんなに、京楽春水が恋しいですか?」

「お前、京楽と俺のこと・・・・・」

長い黒髪の美しい娘は、零番隊のリーダーであり、浮竹の身の回りの世話を率先して行っていた。

「存じております。霊王様の恋人であった方でしょう。でも、それも過去の話。霊王様はもう、下界へは戻らない」

「俺は、諦めていない。霊王になっても、京楽に会う」

「特別召還をなさいますか?」

黒髪の娘は、淡く微笑んだ。

「なんだ、それは」

「お気に入りの者を、傍に置くことです。人形のようになりますが、特別に意思を与えて動くようにすれば、霊王様も満足でしょう?」

「いや・・・・・それは、しない」

京楽が傍にいてくれるなら心強いが、京楽は総隊長だ。おまけに、人形のようになるのに、特別に意思を与えるとか、まるで生きた人形を侍らすようで、気が引ける。

それに、京楽がいなくなれば、瀞霊廷は混乱に陥る。

「では、一度きりの特別召還ができる術を授けましょう」

浮竹は、目を輝かせた。

「その術、もらい受ける」

術を自分のものにするのに、半月かかった。半月も、京楽と別れて過ごした。



京楽は、霊王宮にあがるための方法を探し続けていた。

そして、特別召還を知る。

伝令神器は奪われたので、特別な地獄蝶を飛ばして、浮竹のところまでメッセージを送った。

「ボクを、特別召還してほしい。君を奪う」

「京楽・・・・」

浮竹は、そのメッセージを受けて、涙を零した。

そして、誰もが寝静まった深夜に、特別召還を行った。

「浮竹!!!」

「京楽、会いたかった!」

「ボクもだよ!」

お互いを抱擁しあい、京楽は眉をしかめた。

「痩せた?」

「ああ。ほとんど食事をとっていないから。それでも、霊王は死なないそうだ」

京楽は、浮竹を胸にかき抱いた。

「逃げるよ」

「どこへ?」

「虚圏へ」

京楽は、浮竹を連れて虚圏へと渡った。

「しばらくの間は、ここに身を隠して。君は自害したと思わせるために、開発局で君の霊子からうみだしたクローンを、自害させる」

「でも、俺は霊王だ。霊王がいなくなると、世界は・・・・」

浮竹は、言いづらそうにしていた。

「それについては、詳しく調べたんだよ。今だに、ユーハバッハの亡骸は霊王として存在している。正当なる霊王が欲しくて、零番隊は霊王になった君を迎えにいったんだ。君は、霊王であるけれど、死神のままだ」

「俺は・・・霊王じゃなくても、いいのか?」

「そうだよ。君が霊王として存在しなくても、霊王はユーハバッハの亡骸でなんとかなってるんだよ」

「騙されたのか」

「そうなるね」

京楽は、虚圏のラスノーチェスに、浮竹を匿った。

瀞霊廷は、零番隊が霊王が自害したと騒いでいた。

「作戦は、うまくいったみたいだね」

結局、零番隊は浮竹十四郎を諦めて、次の霊王となる子を選び、霊王とした。

そうなるまで、半年ほどかかった。

浮竹は、京楽がちょくちょく様子を見にきてくれるので、寂しくはなかった。

アランカルと出会うこともあったが、比較的交友関係を築けた。

新たなる霊王の即位祭が開かれた時、京楽は浮竹を尸魂界へと戻した。

「れ、霊王様!?」

「ばかな、霊王様は自害なされたはず!」

「俺は霊王じゃない。霊王には、新しい子を選んだのだろう。俺の中には、もうミミハギ様も霊王としての霊圧も存在しない。ただの、浮竹十四郎だ」

「おのれ、京楽春水・・・・謀ったな」

零番隊に囲まれる京楽。

「京楽に傷をつければ、俺は次の霊王を殺す」

「霊王・・・・浮竹様!」

「浮竹様、今ならまだ霊王として復活できます。お考えなおしを」

「俺は、霊王になんてなりたくない。自由がほしい。京楽の傍で、一人の死神として生きて、死んでいきたい」

浮竹は、翡翠の瞳で零番隊を威圧した。

次の霊王に選ばれた子はまだ子供で、一護なみの霊力をもっているが、何せまだ子供なので力の使い方を知らない。浮竹でも、殺害できた。

「皆、今の霊王様を守れ。先代の霊王様は、自害なされた」

その言葉に、浮竹はほっとする。

京楽を囲んでいた零番隊も退いていった。

「京楽!」

「浮竹!」

二人は、再び一緒にいられるようになった。

浮竹の中にはまだ霊王の残滓が残っているが、もう霊王として世界に必要されることはなかった。

京楽と浮竹は、手を繋いで寄り添いあいながら、京楽の屋敷に帰る。

そこが、浮竹の居場所だった。

京楽の隣が、浮竹の居場所だった。

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え、生きてる?3

ドクンドクンと、鼓動がする。

それは、心臓ではない。

肺から聞こえた。

いなくなってしまったミミハギ様の鼓動だった。

「浮竹十四郎。次の霊王よ」

「え?」

夢の中で、浮竹はミミハギ様に語りかけられていた。

「霊王がユーハバッハの亡骸のままでは困るのだ。次の霊王に相応しいのは、汝だ。私を宿した。霊王の右腕を宿した汝の肉体は、霊王となるに相応しい蘇りを果たした。次の霊王は、汝だ」

「そんなばかなことがあるか!!」

ばっと飛び起きると、ベッドの上だった。

「どうしたの?」

横で眠っていた京楽が、浮竹の様子を伺う。

「いやな夢を見たんだ。俺が霊王だと・・・・ミミハギ様が・・・・・」

「変な夢を見たんだね。まだ夜明けまで時間があるから、もう一度寝なよ」

「ああ、そうする」

次に起きると、朝だった。

浮竹は気づく。

失ってしまったミミハギ様が、再び自分の中に宿っていることに。

それは、霊王の右腕。

霊王になれる身代わりの証。

「浮竹?朝ごはん食べるでしょ?」

「ん、ああ」

浮竹は、何故失ったはずのミミハギ様が戻ってきたのか分からなかった。

夢の中の言う通りに、次の霊王になるためか。

「はい、お味噌汁」

「あ、ああ、すまない」

ぼーっとしながら朝ごはんを食べていると、京楽の出勤時間になった。

一番隊隊長補佐についているので、京楽と並んで浮竹も一番隊隊舎に向かう。

ユーハバッハの手による滅却師の侵略の爪痕は深く、瀞霊廷はまだまだ復興途中だった。

「京楽、もしも俺が霊王になって、霊王宮にしかいられなくなったら、どうする?」

「え?そんなの決まってるでしょ。拉致る」

「まじか」

「まじだよ。誰も分からない場所に隠す」

浮竹の運命は、変わろうとしていた。

ただ、地獄が溢れそうだからと蘇ったわけではなかったのだ。

ユーハバッハの亡骸を、いつまでも霊王として留めておけないので、天が下した答えだった。

ミミハギ様を・・・・霊王の右腕を、霊王を宿したことのある者を霊王とせよ。

死しているならば、今一度命を授け、霊王とせよ。

「浮竹?なんか怖い顔してる」

「京楽・・・・・俺は、霊王になりたくない!」

浮竹は、京楽に縋りついた。

「何言ってるの。霊王は、ユーハバッハの亡骸でなんとかなっているよ。君が霊王になる必要なんて・・・・・」

気づけば、囲まれていた。

「浮竹十四郎様。迎えに参りました。次代の、霊王様」

「なんだい、君たちは!」

京楽は斬魄刀を抜いた。

「我らは新たなる零番隊。浮竹十四郎様は、霊王となられるお方です。霊王宮にお連れします。邪魔をするなら、総隊長であるあなたとて、容赦はしません」

「待ってくれ!俺は霊王になんて、なりたくない!」

「これは天の定め。霊王になるのためだけに、あなたは蘇った。浮竹様・・・・・いいえ、霊王様」

京楽は、斬魄刀で新しい零番隊と切り結びあう。

零番隊は8人いて、いくら京楽が総隊長とはいえ、戦況は厳しかった。

「致し方ありません。総隊長は、代わりはいくらでもききます。やっておしまいなさい」

「はっ」

「待ってくれ!!」

隊長羽織を朱に染め上げる京楽を見かねて、浮竹は自分の斬魄刀を捨てて、零番隊に言った。

「俺は霊王になる。霊王宮に連れていけ。ただし、今後一切京楽に手出しするな」

「浮竹!!!」

「大丈夫だ、京楽。きっと、戻ってこれる・・・・戻ってこれなかったら、拉致ってくれ」

「霊王様がお通りになる。道を開けよ!」

浮竹は、零番隊が見守る中、霊王宮に続くゲートをくぐらされて、霊王宮に消えてしまった。

「浮竹ええええええ!!!」

京楽は叫ぶ。

愛しい者をとりあげられた。

ただ、大人しくいつもの日常に、浮竹が生き返ったということなど忘れて、生きろとでも?

京楽の左目には、狂気が宿っていた。

「待っててね、浮竹。必ず、拉致るから」



「霊王様。ユーハバッハの亡骸から、霊王様への力の譲渡が終わりました。これで、浮竹十四郎は死にました。新たなる霊王様です」

「俺は・・・・霊王、か」

「そうです。あなたが霊王様です。この世界を守る贄であり、絶対存在であり、ただ在るだけの存在」

「俺は、霊王になるために生き返ったんじゃない」

「いいえ、世界が霊王となるためにあなたを求めて、あなたを生き返らせた。ミミハギ様を宿していたあなたこそ、霊王に相応しいのです」



「京楽・・・・・・俺を、攫いにきてくれ」

霊王宮は、豪華な場所だった。

新たに建築されて、生きている霊王の浮竹を迎えるために人が住める空間になっていた。

「暇でしたら、下界を見てはいかがですか?」

意識すると、下界が見えた。

浮竹は、京楽を探した。

京楽は、斬魄刀を手に、伊勢と何か言い合いをしていた。

「京楽・・・・助けて、くれ。俺を、ここから連れ出してくれ・・・・・・」

浮竹は、京楽・・・・と呟く。

「京楽春水のことはお忘れください。あなたは霊王様なのです。ただ、ここに在ればよいのです。誰かへの想いなど、いらないはず」

零番隊のリーダーである黒髪の女性が、浮竹に膝ますづいた。

「霊王様、夕餉の支度が整いました。どうぞ、こちらへ」

ついていくと、豪華な食事が並んでいた。

けれど、浮竹は一口も食べずに、水だけを飲んだ。

「霊王様は生きていらっしゃる。食物を摂取しないと、霊王様のためになりません。今はまだ無理強いしはしませんが、どうしても食べないのであれば、点滴を受けてもらいます」

「俺は・・・・霊王になんて、なりたくなかった。ただ、京楽の傍にいれれば、それでよかったんだ」

「霊王様は、もう霊王様です。浮竹十四郎は死んだのです」

「俺は、ここにいて生きている」

「霊王様ですから。今ここにいるあなたは霊王様です。京楽春水は、もうあなたには不要の存在。お忘れなさい」

浮竹は、零番隊のリーダーである女性にむかって水をかけた。

「お怒りを、お沈めください。霊王様の怒りは、大地の怒りとなります」

「京楽・・・・・・」

浮竹は、ただ京楽を求めた。

院生時代から、ずっと一緒にいた。

恋人同士だった。

先に浮竹が神掛をして死んでしまっても、京楽は浮竹を愛し続けていた。

数日が経ち、浮竹はまた下界を見ていた。

京楽は、浮竹と呟いて、仕事も手につかないようだった。

「京楽・・・・俺はここにいる。連れ去ってくれ・・・・・」

霊王になんて、なりたくない。

でも、もう霊王だ。

それでも、京楽と一緒にいたい。

浮竹は、京楽と一緒に生きる道を模索しようとしていた。




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え、生きてる?2

浮竹が生き返って一カ月が過ぎた。

京楽は、浮竹が一人で出歩くのを禁止していたのだが、浮竹が隙を見て逃げ出すので、専用の伝令神機を与えて、一人の行動を許すことにした。

ただし、ちょくちょく連絡をいれなければならない。

「京楽のやつ、過保護になったなぁ」

「兄は、その京楽を追いて私に会いにきていいのか?」

「ああ、白哉。お前は一番隊隊舎にあまりこないから、顔が見たくてな」

「兄が連絡をよこせば、顔くらいは出す」

「いやあ、京楽がいるとあいつ嫉妬するから、親密に語り合えないだろう」

浮竹は、自分がいない間の京楽がどうだったのかとか、今の京楽をどう思うだとか質問してきた。

「全ては、兄次第だ。京楽が兄に執着しているのは知っている。兄がいるから、今は生きているといったかんじだな。兄がいなかった頃は、いつも哀しく孤独な目をしていた」

「そうか。白哉、貴重な時間をすまないな」

「いや・・・・おみやげに、わかめ大使を持っていけ」

大量に渡されたわかめ大使を食べながら、浮竹は次に冬獅郎のところにきた。

「日番谷隊長」

「なんだ、浮竹か。京楽はどうした。いつも一緒だろう」

「いや、一人で行動したくてな。一人の外出禁止令出されてたから、隙をついて逃げ出したら、溜息をつかれて、専用の伝令神機を与えてちょくちょく電話するかわりに、一人の行動を許された」

「京楽のやつ、少し病んでないか?仲はいいが、一人の行動を禁止するなんて、きっと浮竹、お前を失うことを恐れているんだろう」

「そうだろうな。まぁ日番谷隊長は年月が経っても変わらないので安心した」

「おい、身長のこと言ってるんじゃねぇだろうな?」

「え、いや、さぁ?」

「蒼天に座せ、氷輪丸!!!

「のあああああああ」

浮竹は吹っ飛んでいった。



「やれやれ・・・・今度日番谷隊長に会ったら、謝るか」

伝令神機で、京楽に電話を入れる。

「今、自分の墓の前だ。老舗で買ったおはぎを食べてる」

「そうかい。そのまま、そこにいてよ」

「ん、ああ」

数分して、京楽が姿を現した。

「京楽、仕事は?」

「そんなの、君より大事なものなんて他にはない。さぁ、今日はもう帰ろう」

「ん・・・・ああ、そうだな」

京楽に、これ以上余計な気を遣ってほしくなかった。

「どうして、浮竹の中には霊王の残滓があるんだろうね?」

「さぁ、分からない」

そんな会話をしながら、一番隊隊舎に戻る。仕事を終えて、二人で京楽の屋敷に戻り、夜になった。

「ん・・・・・・」

浮竹は、京楽に口づけられていた。

「白哉君と冬獅郎君のところに行ってたでしょ」

「だめか?」

「だめじゃないけど、僕が嫉妬するの、覚えててね?」

「んっ・・ああああ!!」

京楽は、浮竹のものに手をはわせて、そして口に含んで舐めた。

「やああああ」

生き返ってから抱かれたのは数回。

どれも、お互いを気遣いあうセックスで、無理なことはしてこなかった。

「やああ、いかせてええ」

「だめ。ボクから逃げ出した罰だよ」

根本と紐で戒めて、京楽はローションをとりだすと、浮竹の蕾にぬりこみ、指を入れる。

「やあああ、いきたい、いきたい」

「いく時は、一緒にね?」

「ひああああ」

指をずるりと引き抜かれて、比べ物にならない質量の熱に犯される。

最奥をごりごりとけずられて、ビクンと浮竹の体がはねた。

「ふふ、中いきしちゃった?まだいれただけだよ」

「やああ、いやあああ」

「浮竹、愛してるよ。乱れた浮竹を見れるのは、ボクだけだ」

京楽は、昔から浮竹を愛していたが、独占欲の塊のようではなかった。今は、独占欲の塊だ。

「ああああ!!」

ごりっと奥に侵入され、抉られて、浮竹はまたしても中いきしていた。京楽も、熱を浮竹の胎の奥に放つ。

「一緒に、ね?」

「ひああああああ!!」

根元を戒められていた紐を解かれて、ビュルビュルと大量の精液を浮竹は巻き散らかした。

「あーあ、こんなに濡らして。いけない子だ」

「あ、春水・・・もっとちょうだい」

浮竹は、自分の唇をペロリと舐めた。

浮竹が欲情している時よくする仕草だった。

「十四郎、愛してるよ」

「春水、俺も愛してる」

浮竹は、自分から足を開いて京楽を受け入れる。

京楽は、萎えることの知らない己で浮竹を穿ち、挿入して突き上げた。

「あ、ああ、あ!」

「気持ちいい?」

「ああ、気持ちいい・・・・・」

「じゃあこれはどう?」

奥をぐりぐりすると、びくんと浮竹の背が弓なりになる。

「あああ、やあああ」

「また、中いきしちゃったね。ボクもそろそろ限界だよ。全部君の中で出すよ。孕むほど受け止めてね」

「あ、春水、春水」

「愛してるよ、十四郎」

口づけをしあいながら、お互いに精液を吐き出していた。



「ごめん、ちょっと激しかったね」

足腰が立たなくなった浮竹を湯殿に連れて行き、中に出したものをかき出して、体と髪を洗ってやった。

「昔は、いつもこんなかんじだっただろう」

「そうだね。でも、君が幻のように消えてしまう気がして、今までのセックスは薄いのしかしてこなかったから、驚いたでしょ」

「まぁな。いつも一度きりで終わるし、俺を気遣うし・・・・まるで、京楽の偽物みたいな抱き方だった。むしろ、今日みたいな抱かれかたの方が安心する」

「髪かわかして、寝ようか。一緒の布団で」

「お前はでかいから、布団からはみ出すぞ?」

「特注の作らせたから」

「ふふ、そうか」

浮竹と京楽は、一緒に抱きしめ合って眠った。

まだ、浮竹の中にある霊王の残滓は、鼓動を初めていた。













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え、生きてる?

「京楽、よくがんばったな」

「浮竹?」

「俺は神掛をしてよかった。この世界が守られたんだから」

浮竹は、長い白髪を風に揺らしながら、京楽に微笑んだ。

「浮竹!」

抱きしめると、そこで目覚めた。

「あ・・・夢・・・・・・」

ぽたぽたと、自分が涙を零しているのに京楽は気づく。



1番隊隊舎につくと、伊勢が大慌てで知らせてきた。

「そ、その、浮竹隊長の幽霊が!」

「は?浮竹の幽霊?」

「その、墓の前で浮竹隊長を見たという者がいまして。幽霊ではないかと、憶測が飛び交っていて、死神たちの間に動揺が広がっています」

「浮竹は死んだよ。ちゃんとこの腕の中で冷たくなっていくのを見届けた」

伊勢は、言いにくそうに京楽を見る。

「とにかく、浮竹隊長の墓の前に行ってください!」

「幽霊でも、浮竹に会えるなら喜んでいくけどね」

雨乾堂のあった場所に、立派な墓石をたてて浮竹の墓を作った。

1週間に一度は、そこに言って報告をして、酒を墓石に注ぐのが日課だった。

「よお、京楽」

「はぁ?」

京楽は目が飛び出そうになった。

浮竹が、幽霊でもなんでもなく、その墓石の前にいたのだ。

「ちょ、どうなってるの!」

「俺にも分からん。地獄に落ちて、もう一度やり直してこいと追い出された」

「う・・・浮竹ええええええ」

京楽は、浮竹をかき抱くと、わんわん泣いた。

京楽の頭を優しく撫でて、浮竹は京楽が落ち着くのを待った。

「君は、幽霊?」

「それも分からん。一応肉体はあるし、腹が減っている」

「とりあえず、僕の屋敷にいって何か食べようか」

「すまんな。助かる」

浮竹は、自分が一度死んでいることを覚えてるようだった。

最初涅がつくったクローンか何かかとも思ったが、まとう霊圧も浮竹のものそのものだった。

この浮竹は、確かに京楽の腕の中で死んでいった浮竹だった。



「お、これうまいな」

「どんどん食べて。甘味ものも用意してあるから」

「おはぎはあるか?」

「あるよ。ふふ、浮竹ほっぺにご飯つぶついてる」

それをとって食べると、浮竹は真っ赤になった。

「俺が生き返ると、やはりいろいろ都合が悪いよな」

「そんなことないよ!確かに13番隊隊長はルキアちゃんになったけど、君は僕の傍にいればいい。僕の傍で、僕を支えて」

「ああ、いいぞ。それにしても朽木が13番隊隊長か。思っていた通りになって、嬉しいな」

浮竹は、自分のことのように喜んだ。

「僕は、今君が生きて僕の目の前にいることがとても嬉しい」

「霊王の残滓が、俺に残っているんだそうだ。だから、地獄を追い出された」

「地獄って、卯ノ花隊長や山じいもいるの?」

「ああ、いたぞ。みんな元気にしている」

浮竹は朗らかに笑った。

「うーん、なんか死後の世界もあるようで、死が全てを無に返すわけじゃないんだね」

「そうだな。それに、俺は一度地獄に落ちた。だが、地獄には先生と卯ノ花隊長がいて、地獄のバランスがとれないし、俺には霊王の残滓が残っていて完全に死んでいないから、尸魂界に戻れと、地獄の管理人がな」

「浮竹、抱いてもいい?」

「う・・・・・いいぞ」

ご飯を食べて、風呂に入り、数年ぶりに睦みあった。

体温を共有しあいながら、まどろむ。

起きてしまうと、全て夢だったのではないかと思いたくなくて、京楽は浮竹を抱きしめて眠った。



「ふあ~、いい朝だ」

「浮竹、おはよう」

「ああ、おはよう。俺の存在なんだが、皆に話してくれ。俺はお前の傍で、仕事の補佐をしようと思う」

「うん。太陽が昇り切ったら、伝令神機で死神全員に伝えるよ」

何故、浮竹が生きているのかはまだ謎が多かったが、浮竹が生き返ったことは本当で、死神としての霊圧ももっていて、けれど肺の病は癒えているらしく、でも病弱なことには変わりないそうだった。

「浮竹。愛してるよ」

「ん・・・・」

深い口づけを交わし合い、浮竹は京楽の背中に手を回す。

「俺も愛している、京楽」

たとえ神様の悪戯でもいい。

地獄を追い出されたというのなら、大歓迎だ。

霊王の残滓というのが気になったが、京楽は浮竹を抱きしめた。

「死が二人を分かつときまで・・・・傍に、いてね?」

「なんか結婚式の言葉みたいだな。いいぞ。再び俺の命が尽きるまで、お前の傍にいる」

浮竹は、1番隊隊長補佐になった。

皆、喜んで酒宴を開いたりした。

「先生、卯ノ花隊長、今度そっちにいくのは随分先になりそうだ」

「浮竹、死んじゃだめだよ」

「分かっている。もう、神掛は終わったし、俺の中に霊王の残滓が残っているせいで、生きなければならない」

今の世界の霊王の代わりは、ユーハバッハである。

ユーハバッハの亡骸を、霊王の代わりにしていた。

「霊王の残滓って、なんだろうな?」

「さぁ。ミミハギ様じゃないの?」

「いや、ミミハギ様は俺の中から完全に出ていった」

「霊王の残滓があるから、生き返ったんだよね。じゃあ、そのままでいていいんじゃない?」

「まぁ、悩んだところで始まらないからな。第2の人生でも、謳歌するか」

二人は、深夜まで酒を飲み合った。

ふと気づくと、浮竹の姿がなくて京楽は慌てた。

「浮竹、浮竹!!」

「なんだ?ただ、月を見ていただけだぞ」

「僕の傍から、勝手にいなくならないで。心配しちゃうじゃない。全て夢だったって」

「これは現実だ。夢なんかじゃない」

「うん、そうだね」

お互いを抱きしめあい、体温を共有する。

ああ。

神様、ありがとう。

ボクに、もう一度浮竹と会わせてくれて。

いもしない神に、京楽は感謝をした。

「もう遅い。明日の仕事に支障が出る。寝るぞ」

「あ、うん」

浮竹は、1番隊隊長補佐として、主に書類任務をこなしていた。

ルキアや白哉、冬獅郎などがよく浮竹の元を訪れた。

浮竹は、京楽が過保護なまでに心配するので、一人で出歩くことを禁じられた。

「京楽・・・・甘味屋にいきたい」

「ちょっと待ってね。この仕事だけ終わらすから」

浮竹の我儘を、京楽は聞いてくれる。

今幸せかと聞かれると、幸せと答えるしかない。

一度終わった命なのだ。

続くのなら、足掻いて引退まで生きてやろうと思うのだった。




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31話補完小説

「滑稽だな。霊圧で一気に押し潰せば済むものを」

「バカな・・・貴様は藍染」

ルキアは、信じられないものを見る表情で藍染を見つめた。

「久しぶりた朽木ルキア。ひとまず副隊長昇格おめでとう。我々との戦いで功績が認められて何よりだ」

「貴様・・・無間に捕らわれたはずの貴様が何故ここにいる!」

ルキアはかみつくように声を出した。

「戒めを解かれたからさ」

「バカな、一体誰に」

「ボクさ」

「京楽隊長!!」

皆、信じられない様子で京楽を見る。

「何故だと聞くだろうから、先に言うけど、彼の力が必要だと判断したからだ」

「な、しかし!」

「何言ってるんですか、京楽隊長!」

ルキアと恋次が吼える。

「それでいいんですか!」

檜佐木も吠えた。

「こんな野郎の力を借りるなんて納得いかねぇ」

一角は吐き捨てた。

「同意見です。彼のしたことを思えば、到底承服できない」

弓親は、一角に同意した。

「君らがしているのは面子の話かい。それじゃあ護廷の話をしよう。面子じゃ世界を守れない。
悪を倒すのに悪を利用する。ボクは悪だと思わないね」

「議論は終わったようだな。それでは、両手の戒めをはずして、私を椅子から解放してくれるかい」

藍染の要求を、京楽は断る。

「言っただろう。君に使うことを許された鍵は3本。口、左目、右足。それ以外の封印を解くことは許されていない」

「買い被りすぎだな。今の私にそんな力はない」

「君が座ったまま、むざむざとこの目玉の化け物どもに自分の殻を齧られるのを黙って見ているとは思えないって話さ」

「全く・・・やりにくい男だ」

「光栄だね」

京楽は、すぐに危険を察知した。藍染の霊圧がたかくなっていく。

「逃げろ!研究室にさがれ!」

「破道の90、黒棺」

無詠唱の黒棺は、すさまじい威力を発揮した。

「わかっているのか京楽。藍染を解き放った兄の行いは、我々への侮辱だ」

白哉が冷たく言う。

「分かってるさ。あとでいくらでもぶん殴ってくれ。瀞霊廷を護れたらさ」



「霊王宮に用があるなら、私が撃ち落としてやろう」

「霊王宮を打ち落とす!?」

「まさか、そんなことが本当に!」

「無理だよ。自分出言ってただろう。その拘束具は霊圧を消すんじゃなくて、近くにトドメておくしかできない」

藍染の放った一撃は、霊王宮には届かなかった。

「ただその戒めておく力は、とてつもなく強い」

そこに涅が登場し、いかに拘束具が優れているかを話した。




「黒崎君、大丈夫!?」

一護が気づくと、井上が顔を寄せてきた。

「こんちゃんがクッションになってくれて、一命をとりとめたの」

「石田・・・・・」

「ねぇ、ほんとに石田くんだったの?」

「間違いねぇ。あれは石田だ」

石田にやられた傷は、井上が治してくれた。チャド、がんじゅ、夜一の傷も治し、井上がふらつく。

「大丈夫かよ!」

「うん、平気」

「では、反撃というこうかの」

夜一の言葉に、皆頷く。

「石田・・・・絶対、元に引きずり戻してやる」

「少し急ぐぞ」

「急ぐたってあれだろ。まずはあそこにもう1回どうやってのぼるかだろ」

霊王宮ははるか高みにあった。

「俺にもっと力があれば・・・・・」

ユーハバッハを屠ることができるくらいの力があれば。

「こっちからもかなり距離があるぜ」

「その点は心配ない」

夜一がそう言うと、世界が軋む音をたてた。

「この空間の開き方は・・・・」

虚圏と尸魂界が繋がる空間ができる。

そこから出てきたのは、グリムジョーだった。

「お前、グリムジョー!」

突然のグリムジョーとの邂逅は、一護を混乱させるのであった。

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無題

「守ろうこの世界を。護廷13隊の名にかけて」

浮竹が、守ろうとしているこの世界を。

浮竹。

命が尽きようとしている君を、放置するボクを許してほしい。

霊王宮への扉を。

その先にいるユーハバッハを倒すために。


「浮竹・・・・・」

開発局にいる、黒ずんだ浮竹の体を思い出す。

「ごめんね」

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全てが終わり、浮竹の冷たい体に温もりを与えるように、抱き込んだ。

「浮竹、がんばったね」

ああ、そうだとも。

そう聞こえた気がした。

衣服が、浮竹が吐いた血に染まっていくのを、京楽は懐かしい気持ちで見ていた。

院生時代、初めて血を吐いて倒れた君を運んだ時も、衣服に君の血が滲んだ。


浮竹。

愛していたよ。

誰よりも、誰よりも。

浮竹。

今、ボクは忙しい。

今すぐ君の元に行きたいけど、それは無理なようだ。

「地獄で、待っててね。きっと、いつか会いにいくから」

浮竹・・・・・。

浮竹十四郎。

13番隊隊長。

長い白髪に、翡翠の瞳をもつ、柔らかな印象の愛しい人。


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あれから、千数百年が経過した。

ボクの中では、浮竹の顔も仕草も昨日のことのように思い出せた。

(迎えに来た)

「ああ・・・・やっと、君に会えるんだね」

(行こう。一緒に)

「うん。行こう」

(もう、離さない。離れない)

「そうだね」

魂は輪廻する。

霊圧となって、循環する輪の中に還っていく。

「行こうか。もう、瀞霊廷は大丈夫。あれからいろんな謀反やなんだかんだあったけど、瀞霊廷も現世も虚圏も健在だよ」

(そうか。それならよかった。俺が神掛をした意味は、あったんだな)

「うん。君の犠牲のお陰で、尸魂界は、いや、世界の全ては救われた」

(もう、未練はないんだろう?)

「そうだね。あるとしたら、君との思い出も無になってしまうということくらいかな」

(そんなもの、生まれ変わってまた作ればいい)

「ふふ、そう簡単にいくかなぁ?」

(一緒に行くんだろ?その先も、きっと一緒だ)

「そうだといいね」


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「君、名前は?」

「十四郎。苗字はない」

長い白髪に、翡翠の瞳をもつ少年は、うねる黒髪に鳶色の瞳をもつ少年に話しかけられた。

「お前の名は?」

「春水。同じく、苗字はない」

「俺たち、どこかで出会ったことが?」

「さぁ、どうだろう」

いつかまた、巡り合うから。

たとえ、記憶が失われようとも。




だから、さよならは言わない。

またいつかと。

そう言って、泣きながら浮竹の冷たい体を抱きしめて、微笑んだ。



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奴隷竜とSランク冒険者29

浮竹と京楽は、ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽と一緒にSランクダンジョンに行くことになったのだが、ハイエルフの浮竹に朽木ルキアが会いたがっていて、一緒にSランクダンジョンに行くことになった。

何故か、ルキアの他にルキアの夫である恋次、一護、義兄である白哉までついてきた。

『こんなに人間がくるなんて聞いてない・・・』

ダークネスドラゴンの京楽は、嫌そうにハイエルフの浮竹の背に隠れて、殺気を漏らしていた。

「人が嫌いだからと、誰かれ構わず殺気を垂れ流すなど、兄はまだまだだな」

「ちょ、白哉君その辺にしといて!」

白哉の言葉に、けれどダークネスドラゴンの京楽は揺り動かない。ただ、顔をしかめてうるさいハエがいるような、そんな表情をしていた。

『おい、京楽、こんなダンジョンで殺気を振りまくな』

『だって・・・・一人の人間と会うというから我慢してついてきたのに、他に3人もいるなんて聞いてないよ』

「俺はルキアの夫だ。ルキアに何かあったらいけないから、守るためにいるぜ」

「俺もルキアの夫だぞ。ルキアに何かしたら、承知しねーからな」

一護と恋次は、空気を読まない。

ダークネスドラゴンの京楽は、虚無をまとって殺気を隠した。

「まぁ、ダンジョン攻略もたまには人数が多くてもいいだろう」

浮竹の思考は明るい。

「そ、その、ハイエルフの浮竹殿は、魔法書を書いた初めての方とお聞きしました」

『うん、そうだよ』

ルキアはかわいい。

ハイエルフの浮竹も、ルキアをかわいいと思って、話をする。

「禁忌の魔法も、ハイエルフの浮竹殿が編み出したのですか?」

『そう。俺が全ての魔法を編み出した・・・と言いたいけど、人は進化する。自分たちで魔法を作り出すこともする。まぁ、世界に広まっている魔法の80%は俺が編み出したものだな』

「80%も!すごいです!」

「兄は、このダークネスドラゴンはどうにかならぬのか。虚無を纏っているが、殺気が漏れて、モンスターが近寄ってこない」

ダークネスドラゴンの京楽は、虚無を纏っているが、漏れ出る殺気で、ダンジョンの入ったばかりのところなので、比較的雑魚しかいないので、モンスターは怖がって出てこなかった。

「ああ、殺気に怯えているなら、炙りだせばいいんだ。ヘルファイア」

浮竹が炎の魔法を放つ。

「ぎゃあああああ」

「きしゃああああああ」

比較的雑魚なモンスターが、火で炙られて姿を現す。

「けっ、こんなもん、デス!」

恋次は、広範囲の即死魔法で、炙りだされてでてきたモンスターを全て殺してしまった。

「恋次君、いきなりデスの魔法はないだろう。雑魚でも、戦えば経験の糧になる」

「あ、浮竹さんすんません」

恋次は、浮竹と京楽と白哉には素直に謝る。

一護とは喧嘩みたいなことしか言わず、ルキアは守り通す覚悟で言動をとる。

「恋次のデスの魔法は、凄いのです。魔力少ないから数回しか唱えれませんが、自分より弱い相手なら即死です」

『うん、そうだね。僕ももってるけどね、デスの魔法。君たちにかけたら、どうなるんだろうね?』

『おい、京楽!!!』

『冗談だよ。嫌いな人間とはいえ、いくならんでもパーティーメンバーを殺したり、危害を加えたりしないよ』

その言葉を聞いて、ずっと緊張しっぱなしだった一護と恋次は、肩の力を抜いた。

「兄は、人間が憎いのだな」

『そうだよ。人間は大嫌いだよ』

「では、精霊族もか?」

『うーん、精霊族は嫌いじゃないかな。位置的には、ドラゴンに近い存在だし』

「ここにいる一護は、精霊族ということになっている。だが、その実態はサンシャインレイドラゴンだ」

『『ええええええええ!!』』

「「まじで!?」」

ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽と、浮竹と京楽は驚いた。

「あ、すんません。俺、サンシャインレイドラゴンなんすけど、精霊族のふりして、冒険者稼業してます。前のマスターがドラゴン使いが荒くて、ルキアが今のマスターっす」

「一護は、ドラゴンでいるのがいやらしく、秘術で精霊族に化けています。サンシャインレイドラゴンと知れたら、その体の欠片でも手に入れようとする厄介な輩がいますから」

「サンシャインレイドラゴンは、ムーンホワイトドラゴンの浮竹以上に珍しいからね。なるほど、確かにそのオレンジの髪は、太陽の色だね」

「すんません、京楽さん、浮竹さん。今まで騙してて」

「いや、いい。一護君がサンシャインレイドラゴンだと分かって、俺は嬉しいぞ。自分と同じくらい希少なドラゴンと会えて」

『君の秘術凄いね。全然、ドラゴンって分からなかった』

「俺がサンシャインレイドラゴンっていうの、内密にしてください。正体がばれたら、俺をのマスターであるルキアを殺して、俺を手に入れようとするやつがでてくるから」

「俺は秘密を守る」

浮竹は、一護を安心させる。

「僕も秘密は守るよ。ということは、ルキアちゃんの他に恋次君、白哉君も一護君がサンシャインレイドラゴンであるってことを、知っていたんだね」

「すんません・・・・・」

一護は謝った。

「こやつは悪くないのです!こやつを使役していた前のマスターが、あまりにも一護を大切にせず、血ばかり抜いて売って、金のこやしにしていたから、私が奪ったのです」

「愛されてるねぇ、一護君」

京楽の言葉に、一護は赤くなる。

「ル、ルキアは俺の嫁だから」

『サンシャインレイドラゴンか。一度じっくり話しあいたいけど、君は頭を使うようなことは苦手そうだね』

ダークネスドラゴンの京楽が、一護を見る。

「でも、凄いな。ここに、サンシャインレイドラゴン、ムーンホワイトドラゴン、ダークネスドラゴンと、世界でも3つの指に入る希少種のドラゴンが集まったことになる」

浮竹が、なんだかわくわくしていそうだった。

「あ、ダンジョン攻略も精霊族として攻略していくんで。ブレスとか吐けないし、ドラゴン化もできないっす」

「それでも、サンシャインレイドラゴンであるってだけで凄い」

「そういう浮竹さんこそ、ムーンホワイトドラゴンじゃないっすか」

「はは、お互い希少種同士だし、仲良くしよう」

『それなら、僕も入ろうかな。僕もダークネスドラゴンだし』

ドラゴンの3人は、最初は仲があまりよろしくないように見えたが、ドラゴン語を使って何かを話しあっていた。

一護が、ルキアがかわいいとかルキア最高だとか、そんなことばかり言っているのを、リカイルスモノを生まれながらにもっているルキアは、真っ赤になって聞いていた。

ちなみに、京楽の金で得たリカイスルモノのユニークスキルは、ハイエルフの京楽の手で剥奪済みで、京楽には3人が何を言っているのかさっぱり分からなかった。

一護は、自分の今までについて説明する。

『ふーん。じゃあ、君は違うドラゴンの中で育ったの。だから、人間と適応能力が高いんだね。人型になれるドラゴンのほとんどは、人と交じりあって暮らすから』

「でも、前のマスターは最悪だった。俺のこと、金としてしか見てなくて、契約を無理に強いてきて、錬金術の素材で高値で売れる希少種のドラゴンの血を俺から抜いて、高値で売りつけてた」

「俺も、奴隷時代はよく血を抜かれて売られた」

『僕は・・・役立たずって思われてたからね。ブラックドラゴンと思われてたみたいで、血はぬかれなかったなぁ』


「兄ら、先に進むぞ」

「あ、白哉にルキアに恋次、待ってくれ」

「京楽、置いていくぞ」

「待ってよ浮竹!」

『お前もおいていくぞ、京楽』

『ちょっと、それは酷いんじゃない?』


結局、80階層まであるSランクダンジョンは、3人の希少種のドラゴンの力と、Sランク冒険者たちの手で、1日でクリアされるのであった。

ちなみに、前までAランクだったルキアと一護は、Sランクになっていた。

一護のドラゴン化した姿を、皆みたいとひっそりと思うのだった。

サンシャインレイドラゴン。別名太陽竜。

きっと、太陽のように眩しいのだろう。

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奴隷竜とSランク冒険者28

「ぴーぴー」

「浮竹、いい加減に人型に戻ってよ」

「ぴ?」

新月の夜は、人型をとれる真竜のドラゴン族は、元のドラゴンの姿に戻る。

今までの新月の夜は、浮竹は一人になりたいと言って、京楽をあまり近づけさせなかった。

森の中で、一人巨大なムーンホワイトドラゴンの姿になり、朝が来るのを待った。

そんな浮竹も、一緒にいたいという京楽の願いを聞き入れて、森の中で一緒に過ごす新月の夜も多くなった。

だが、浮竹は見た目は成人しているが、ドラゴンの年齢で考えるとまだ子供だった。

ある日の新月の夜、浮竹はいつもの大きな白い羽毛に覆われた、儚くも美しい珍しいドラゴン姿から、もこもこした毛玉のような子ドラゴンになった。

京楽はそんなことは初めてなので、慌ててハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの自分のところに行ったが、問題はないとのことだった。

「ねぇ、浮竹」

「ぴーー?」

「もう、夜明けだよ。新月の夜は終わった。なのに、なんで子ドラゴンの姿のままなの。早く、人型に戻ってよ」

「ぴー」

浮竹は、宿のベッドの上ではねて、スプリングがきいて自分がぽよんぽよんする遊びを、楽しんでいた。

完全に一夜が明けても、元に戻らないので京楽は、ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽に助けを求めた。

曰く、時間が解決してくれるらしい。

「ぴーーーー?」

「浮竹・・・・元に戻って・・」

「ぴぴ」

「十四郎、たとえ君がそのままの姿でも、僕は君を愛しているよ」

「ぴーーーー!!」

京楽はちびドラゴンの浮竹を思い切り抱きしめて、キスをした。

ぼふん。

音をたてて、浮竹が人型に戻る。

「え、キスで変化するってまるでおとぎ話みたい」

「ち、違うぞ。決して、元に戻れるのに子供姿の自分が面白くて、慌てる京楽が面白くて、ちびのままでいたんじゃないぞ」

「へー、そうなの。お仕置き、必要だね」

「ぎゃあああああああああ」

浮竹はその場で押し倒されて、ハリセンで京楽の頭を殴りまくり、なんとか京楽をなだめた。

「子ドラゴンの時はドラゴン語しか言えないんだ。ぴーぴーと言っているが、ちゃんと言葉になっている。まぁ、京楽はドラゴン語は身に付けられないだろうが」

「なんで?ハイエルフの浮竹には分かるんでしょ?僕も勉強すれば・・・・」

「ハイエルフの俺は、知識量が半端じゃない。言語理解のユニークスキルをもっているはずだ。京楽のユニークスキルはフタツナルモノ・・・・・魔法と剣に大幅に上昇効果が得られるスキルだ。ユニークスキル、リカイスルモノがなければ、ドラゴン語は分からない」

「じゃあ、僕はそのリカイスルモノもらってくる」

「へ?」

浮竹は間抜けな声を出していた。

「魔法屋に、金をつめばユニークスキルを覚えさせてくれる店がある。そこには、確かリカイスルモノも扱っていたはずだよ」

「ユニークスキルが、売買の対象に?人間って、恐ろしい・・・・」

浮竹は、まだ人間社会については詳しくなかった。

生まれ持って覚えていたユニークスキル以外のユニークスキルを、なんらかのことがあって手に入れるなら分かるが、売買できるなんて、初めて知った。

浮竹は、京楽の後を追って、その魔法屋にやってきた。

「はいはい、リカイスルモノですね。白金貨150万枚になります」

「もうちょっとまけてよ」

「うーん、魔法屋の常連さんの京楽さんですから、白金貨120万枚で」

「もう一声」

「うー、渡り上手な人だ。いつもエリクサーやエリクシールを買っていただいているので、白金貨100万枚です。これ以上は、いくら京楽さんでも無理です」

「よし、買った」

アイテムポケットから、白金貨100万枚の入った袋をとりだして、店の主人に渡す。

すると、店の主人はポーションをさしだしてきた。

「ポーション?」

「そうだよ、浮竹。飲んで、覚えるの」

「飲んで、覚える・・・・ユニークスキルを飲む・・・・・」

京楽は、青く輝くポーションを飲んだ。

ぴろりろりーん。

京楽は、ユニークスキル、リカイスルモノを手に入れた。

そんな音と声がして、京楽は本当にリカイスルモノを手に入れてしまった。

「戦闘系に関わるユニークスキルの売買は国が禁止しているから、リカイスルモノなら戦闘系じゃないから買えたよ」

「子ドラゴンになってみて」

「ぴーーー」

「京楽のあほばかうんこたれ。この絶倫のすけべ・・・・う、浮竹?」

「ぴーーーーー」

「やっべ、ほんとのこと言っちゃった・・・・うきたけぇぇぇ?」

ぽん。

人型に戻り、浮竹は京楽を引きずって店を出る。

「いいか、ユニークスキルを売買できるのはこのメリアナ王国くらいだ。あっちのハイエルフの俺とダークネスドラゴンの京楽には言うなよ」

「え、あ、うん」

「俺もユニークスキルが売買できるなんて初めて知って、すごく驚いているんだからな」

「でも、ドラゴン姿になったもう一人の僕の言葉に反応するだろうから、ユニークスキルをどうやって手に入れたって聞かれて、答えるしかなくなると、ばれるよ」

「ああああ!京楽、ダークネスドラゴンの京楽や俺がドラゴン語でしゃべっていても、反応するな」

「無理だよ。せっかく覚えたんだから」

「はぁ・・・・ハイエルフの俺、怒るかな」

「なんで?」

「ユニークスキルは生まれ持っているか、相当の苦労をして手に入れるものだからな。お金で簡単に売買できるなんて知ったら、店をつぶしそうだ」

「そえりゃ困る。分かったよ、ドラゴン語は理解できないふりするね」

「そうしてくれ」

結局ハイエルフの浮竹に全部ばれて、売られていたユニークスキルは全て破棄させられて、その魔法屋は潰れるのであった。

そして、次の新月の夜にまた浮竹はちびドラゴンになるのだが、今度は人型に戻れなくて、京楽が「助けて」とハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽のところに行くのは、また違うお話であった。

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奴隷竜とSランク冒険者28

月が弓張り付きになった。

浮竹は、朝からベッドの上でごそごそして、一向に起きてこない。

今日は冒険者稼業はついこの間、氷のSランクダンジョンを踏破したので、2週間ほど休養日をとることにした。

「おーい、浮竹、いい加減起きてきなよ。もうお昼の1時だよ?」

「京楽・・・・飯をもってきてくれ。俺は、今は動けない」

「ああ・・・・弓張り月の日は発情期か。苦しい?」

「う、うるさい。あっちに行け」

浮竹は、ベッドの中でごそごそと動いた。

布団を、京楽がひっぺがす。

「な、何をする!」

「発情期で辛いんでしょ?僕が愛してあげる」

「は、発情期はいつものことだ!薬をのんで寝ていればそのうち治まる」

「そんなもったいないこと、できないよ。発情期の浮竹ってエロいから」

「え、エロくなんかな・・・・んう」

唇を奪われて、浮竹は翡翠の目を見開いた。

すぐにトロンとした輝きになり、京楽の背中に手を回す。

「春水・・・・・抱いて、くれ」

「素直な十四郎はかわいいね」

「あ!」

ベッドに押し倒されて、いきなり服を脱がされて、浮竹のものに京楽は舌を這わす。

発情期のせいかすでに勃起していたものは、すぐに透明な先走りの蜜を零した後、白い液体を京楽の口の中に吐き出した。

それを、京楽は当たり前のように飲みこむ。

「な、飲むな・・・・あああ」

「知ってた?発情期の君の精液って、甘いんだよ。いつものも甘いけど、いつもの数倍甘い」

口づけを受けて、自分の精液を少しだけ流し込まれる。

確かに、花の蜜のようで甘かった。

「あ、春水・・・・俺を、めちゃくちゃにしてくれ」

「ふふふ、十四郎がいつもこうだったら、いいのにね?」

「春水・・・好きだ」

「僕も大好きだよ、十四郎」

お互い裸になって、肌を重ね合う。

ローションをとりだして、京楽は浮竹の蕾に指を三本入れた。

「あああ!」

「まだ、指だよ?」

「やあああ、そこだめええ」

「ここかい?ふふ、こここりこりってされるの好きだよね」

指で前立腺を刺激されながら、もう片方の手で浮竹のものをしごいて、中いきと同時に射精させた。

「んあああああああ!!」

「いい声で、啼くね?」

浮竹は、ペロリと自分の唇を舐めた。

「こい、春水」

「うわ、えっろ・・・・いれるよ?」

「ひあああああ!!」

指とは比べ物にならない質量の熱い熱に引き裂かれる。

「あああ、あ、あ」

一気に貫かれたが、その後は緩慢な動きだった。

「や、もっと激しく・・・・俺をめちゃくちゃにするくらいに、抱いてくれ」

また、ぺろりと唇をなめる。

浮竹は気づいていないのだろう。

その行動が、どれだけ京楽をあおっているのか。

「望み通り、めちゃくちゃにしてあげる」

一度引き抜いて、ぱちゅんと音がたつほどに挿入する。

「あ、あ!」

ぱちゅん、ぱちゅんと、挿入を繰り返されて、浮竹の太ももは京楽の精液で白いものが伝いおちていた。

すでに、いれた時に締め付けがすごくて、一度中に出していた。

「あ、ああ、お前の子種が欲しい。胎の奥にぶちまけろ」

「アフターピル飲まなきゃいけないから、嫌なんじゃないの?」

「奥にきて。ごりごりってして」

浮竹は、翡翠の瞳を情欲に輝かせていた。

「お望み通り、奥まで貫いてあげる」

ごりごりと、最奥まで侵入してきた京楽の熱は、何度も浮竹の胎の奥をごりごりと抉ってから、白い精液をぶちまけた。

ドクンドクンと自分の中に注がれる愛しい男の熱に、浮竹はうっとりとする。

「もっとくれ・・・もっと、お前がほしい」

「たくさんあげるから、孕んでも知らないよ?」

「あ、あ、孕んでもいいから、お前の子種ちょうだい」

京楽は、一度抜くと浮竹をベッドの上に立たせた。浮竹は壁に背中を預けて、前から立ったまた京楽に貫かれた。

「あああ!深い、やああああ」

「深く抉られるの、好きでしょ?」

「やあああ、おかしくなるうう」

「セックスでおかしくなったこと、ないでしょ?」

「やあああん」

「あおってるの?」

「あ、春水、春水」

浮竹は、京楽の背中に手をまわして爪を立てた。

ぴりっとした痛みを感じつつも、それさえ気持ちよく感じて、京楽は浮竹を穿ち、奥をごりごりと抉って、また精液を吐き出した。

「んああああ!!やあああ、もれる、もれる!」

「潮でしょ?」

ぷしゅわああと、透明な潮を浮竹は出していた。

「やあああ、いやあああ」

あまりの恥ずかしさに、浮竹は京楽の肩に噛みついた。

「春水・・・・・俺の、ものだ」

「そうだよ。僕は君のもの。そして、君は僕のものだ」

ベッドに四つん這いにさせて、背後から貫くと、浮竹は背をしならせた。

「ああああ!!」

もう出すものがないでの、中いき、オーガズムでいくばかりであった。

「十四郎、女の子みたい。かわいいね」

「やあ、春水のばかぁ」

体位を変えて、さらに何度か精液を胎の奥に注ぎ込まれて、浮竹は満足した。

京楽のほうが、こってりしぼられたかんじで、しおしおだった。

「もう、出すものがないよ」

「お陰ですっきりした。アフターピル飲んでくる」

浮竹は、タオルで太ももを伝い落ちる京楽の精液をふきながら、アフターピルを口にして飲む。

「なんだ、これくらいでしおしおなのか。いつものお前はどうした。俺を抱きつぶすようなお前が」

「いや、発情期の浮竹ってすごいから。もう、こっちは5回は出したんだよ?流石に疲れるよ」

「ふふふふ」

浮竹は、ペロリと唇をなめて、浮竹の首筋に吸い付いた。

「何してるの?」

「マーキング。お前がいつも俺にするのの、仕返しだ」

「わお、熱烈だね」

「お前のお陰で、発情期は乗り越えれる。感謝している」

「僕もいい思いさせてもらってるから、あおいこさ」

また、来月も発情期は訪れる。

発情期とか関係なしに混じりあっている二人には、発情期は浮竹が積極的になってエロくなりまくるだけの、少し特別な日であった。



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奴隷竜とSランク冒険者27

浮竹は、ダークネスドラゴンの京楽とお留守番をして、ドラゴンについていろいろ教えてもらった。

その後、「慰めてあげなよ」と言われて、なぜか京楽にメリアナ王国にもどって、宿に帰ってからベッドに押し倒された。

「なに、するんだ!」

「なにって、むふふふなこと」

「な・・・・やん」

服の上から弱いところを刺激されて、浮竹は甘い声を出す。

「君の声は、いつ聞いてもそそるね」

「やっ、京楽・・・・・・」

結局、浮竹はそのまま京楽に抱かれた。



「やあああ、孕むから、やあああ」

「ふふ、卵産んでもいいんだよ?」

激しく突き上げられて、浮竹な涙を零した。

「やん、そこだめめええええ」

「ここ、いいんでしょ?ごりごりってされるの大好きだよね?中で子種注いだら、いつも中いきしてるもんね」

「やああ、や、やああ」

京楽にごりごりと奥を突きあげられて、結腸にまで侵入してきた熱は、濃い子種をビュルビュルと浮竹の胎の奥に注いだ。

浮竹は、中いきをしながら、精液をはきだしていた。

ビクンビクンと体がはねる。

「やああ、いっちゃう、いっちゃううう」

「いくらでもいっていいよ?」

「春水のばかああ」

「十四郎、愛してるよ」

奥で射精しながら、京楽は浮竹に深く口づけた。



「むう」

湯浴みをして、念のために回復魔法もかけたが、浮竹の機嫌は悪い。

いきなり押し倒されて、行為に至ったので、京楽はとりあず往復ビンタを10回はくらったのだが、機嫌がよかった。

「いきなりするなんて、「慰めてあげなよ」ってこういう意味だったのか。ダークネスドラゴンの京楽のやつ、今度会ったらチョップしてやる」

「えへへへ、僕は幸せだなあ」

「殴るぞ」

「言う前に殴ってる・・・・・・」

拳を鳩尾にめりこんで、浮竹はダークネスドラゴンの京楽からもらった、ドラゴン大百科事典を広げた。

「何、おみやげにもらったの?」

「ああ。どこにどのドラゴンが住んでいるのかとかも書いてるんだ」

「マザードラゴンも?」

「マザードラゴンは世界樹のある場所に住んでいる、そうだ。実際に姿を見た者はほとんどいない。存在しているんだろうが、神なので違う空間に住んでいるのかもしれない」

「ふーん。月竜は、太陽竜と並んで美しい存在である・・・・当たり前だね。浮竹は月竜じゃなくても綺麗だよ?」

「ばか」

浮竹は赤くなって、京楽の頭をはたいた。

「ふふふ、続きする?」

「まだしたりないのか!3回も出しただろう俺の中に!」

「うん。まだいけるよ」

「簡便してくれ。アフターピルまた飲むのは嫌だ」

浮竹という月竜は、オスでも妊娠できる。

異種族間でも可能で、浮竹は京楽とのセックスが終わると必ずアフターピルを飲んだ。

意識を飛ばした後でも、よくきくアフターピルを飲んでいるので、妊娠したことはなかった。

「最近部屋の中にばかりいて、体が鈍ってきたな。久しぶりに、Sランクダンジョンにでも挑むか」

「そうだね。それもいいね」




京楽が選んだSランクダンジョンは、氷のダンジョンだった。

「なんで、俺の属性にあうところを選んだ。アイシクルブレスが通用しないじゃないか」

「でも、氷の属性だから全体的に魔力も体力もUPしてるでしょ?」

「まぁ、それはそうだが」

でてきたアイスタイタンゴーレムを、浮竹が魔法で屠る。

「グラビティゼロ」

ハイエルフの浮竹の管理する、中央大図書館で覚えた、覚えたての魔法だった。

「浮竹、魔力が過剰だよ。魔石まで砕けちゃってる」

「うーむ、扱いがまだちょっと難しいな。禁忌系は、使うには慣れないと、いざという時に使えない」

今度は、アイスガーゴイルがでてきた。

「グラビティゼロ」

「きゅおーーん」

次はうまくいった。魔石は残り、アイスガーゴイルの冷たい石の体を砕くだけで終わった。

「この魔法は、素材系になるモンスターには向かないな」

「デス」

京楽は、即死魔法で周囲を取り囲んでいたモンスターを一掃し、浮竹を見る。

「この魔法、便利でしょ。消費魔力が多いのが欠点だけど、素材回収にはもってこいだと思わない?」

「この階層で素材になるモンスターはほとんどいない。いざというときにとっておけ」

「うん、そうだね」

5日かけて、深層の60Fまでたどり着き、氷のヒュドラがボスだった。

「Sランクダンジョンのボスって、ヒュドラが多いね」

「くるぞ!」

「エターナルアイシクルフィールド!」

ヒュドラが、氷の魔法を放ってくる。

浮竹はそれを吸収して、炎は無理なので雷の魔法を唱えた。

「ヘルボルテックス!」

「があああああああああ」

「さぁ、ドラゴンスレイヤー、ドラゴンじゃないけどそれに近いヒュドラだよ。その血をすすり、糧とせよ!」

京楽が魔剣を解放して、雷で感電して動けないでいる氷のヒュドラを、真っ二つに切った。

「きしゃあああああああ」

どおおおんと音をたてて、ヒュドラが倒れる。

「素材回収っと」

流れ出た血を集めて、小瓶にいれていく。

ヒュドラはドラゴンに近いので、肉や血も素材となった。

後は、爪、牙、鱗の皮、目、角など。

あますとことなく、素材となる。

アイテムポケットにヒュドラの体をしまいこんで、浮竹と京楽は帰還の転移スクロールを使って、外に戻った。

「邪神ザナドゥの呪いあれ」

「え?」

「へ?」

二人は、黒いフードをかぶった妖しい男に、術をかけられた。

寿命をけずっていく呪いだったが、浮竹のオボエルモノのユニークスキルで覚えたアンチカースの魔法で、解呪できるレベルだった。

「アンチカース」

「ありがと」

京楽は、呪いを解除してもらうと、自分にもアンチカースの魔法をかける浮竹を見ていた。

「邪神ザナドゥ。今勇者が攻略中だっていう、あの邪神か」

「そうみたいだね。それの配下の者かな。腕の高いSランク冒険者が呪われて、大地母神神殿で解呪を行ってもらっているという噂を聞いたよ。犯人はさっきのやつだろうね」

「魔力探知できるか?」

「当たり前だよ」

浮竹と京楽は、魔力探知で去って行った妖しい男の居場所をつきとめた。

なんと、大地母神の神殿の中だった。

「大神官・・・・・君、邪神ザナドゥの信者だね?」

「な、何を証拠にいきなり・・・・」

「メモリー」

浮竹が、大神官の記憶をのぞく魔法を使うと、大地母神の大神官でありながら、邪神ザナドゥの信徒であり、呪いをふりまいていた元凶と分かり、身柄を確保されて、王国騎士団に引き渡した。

「呪いを解く大神官が呪いをかけていたなんて。荒れるね」

「そうだな」

魔王藍染と同じほどに厄介な、邪神ザナドゥは、密やかに信者を増やし、メリアナ王国の中心部まで食い込んでいくのだった。

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奴隷竜とSランク冒険者26

藍染は元勇者であり、現在は魔王である。

「うーんうーん」

その藍染は、傍若無人ぶりから前の魔王の側近に去られてしまい、藍染には配下の者がいなかった。

それを侍女にやつ当たりするものだから、侍女は魔王の財宝をくすねて、1個白金貨3枚もするモレ草という強力な下剤を、藍染に盛った。

10枚分。

普通は死ぬ。

「うーんうーん」

藍染はうなっていた。

でも藍染は死ななかった。ただ、金のおまるに1週間すわり、トイレにこもろうにも漏らすので、べッドの傍に金のおまるを置いて、緊急時に備えた。



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「っていう、現在の魔王の状態なんだそうだが、どう思う?」

「うーん、ガセじゃないの?あの藍染だよ。この前、中央大図書館に侵入して、いくつかの禁忌の魔法書を盗んでいたっていうよ。そんな者が、モレ草もられて激ピーピーになる?」

「それもそうだな。とりあえず、お前は中央大図書館に今すぐ行きたそうな顔してるし、盗まれた魔法書を確認しに、ユハール大陸の俺たちのところにいこうか」

浮竹と京楽は、ゲートを使い今いる大陸からワープして、ユハール陸に到着する。

空間転移魔法は、古代魔法都市文明の遺産で、今は残っているゲートを修復して使っている状態だった。

ハイエルフの浮竹にならば、ゲートを作って違う場所に飛べそうだが、空を飛べたりするし、そうそう遠くには行かないので、今のところは新しいゲートは必要なかった。

「おーい、いるかー?」

中央大図書館に続く遺跡を進み、ドアをノックすると、ハイエルフの浮竹が出てきた。

『あれ、どうしたの』

「いや、藍染の襲撃を受けたと聞いてな。何か役に立つことはないだろうかと、やってきただけだ」

『ありがたい。魔法書が乱雑にされて、整理に困っていたんだ』

『何、ムーンホワイトドラゴンの浮竹と、冒険者のボク?』

ダークネスドラゴンの京楽は、浮竹を見るときは柔らかな表情になるが、京楽を見る時はどこか威嚇したような目で見た。

「僕、何もしてないんだけど」

『ここの魔法書が本当は目当てなんでしょ。バレバレだよ』

「そんな言い方って・・・」

「京楽、おちつけ。ダークネスドラゴンの京楽も、煽るようなことはするな」

『魔法書は、浮竹に聞いてよ。浮竹なら、君たちに甘いから、いくつか魔法書くれるだろうさ』

ダークネスドラゴンの京楽は、そう言って藍染の手で砕かれてしまった本棚を新しいものと交換していた。

「ハイエルフの俺何をすればいい?」

『んー、何だ?』

「藍染に襲撃されたそうだな。手伝えることはあるか?」

『あ、助かる。魔法書がばさばさになって、あるべき場所に戻すのに苦労してるんだ。人手は多いほうがいいけど、この中央大図書館に通せる相手はそうそういないからな』

「ハイエルフの浮竹、新しい魔法覚えたいんだけど、何かいいのない?」

『んーそうだなぁ。このヘルジャッジメントとエクスカリバーの魔法なんてどうだ?』

「おお、いいね!」

効果を聞いて、京楽は早速魔法書に目を通して、覚えてしまった。

「浮竹も覚えたら?中央大図書館にある魔法を覚えれるなんて、そうそうないから」

「ああ」

浮竹は、魔法書に一瞬目を通した。

「覚えたぞ」

「ええ。一瞬見ただけじゃない!」

「俺は魔法を覚えるのは得意だからな。一瞬目を通すだけで覚えれる。「魔法を行使する者」というユニークスキルを持っている」

「ええ、まじで。はじめて聞いた・・・・・」

京楽は、浮竹のことで知らないことがあったのが哀しいようで、違う魔法書はないかとハイエルフの浮竹に聞く。

『サンシャインレイはどうだ?サンシャインレイドラゴンしか、普通は覚えられない魔法だ』

「お、いいね!」

『浮竹、そっちの京楽に魔法を覚えさすの、ほどほどにね。世に出回ることになるから』

「いや、浮竹と二人きりでダンジョンもぐった時にしか使わないよ」

京楽は、そう言う。

『どうだか』

「俺が保証する」

『君が言うなら、うん、まぁ・・・・・』

ダークネスドラゴンの京楽は、浮竹の言葉を信用することにした。

「なんでも僕はだめで、浮竹ならいいの」

『信頼度の差だね。君はボクの大嫌いな人間だけど、ムーンホワイトドラゴンの浮竹は数少ない同族だから』

結局、京楽と浮竹は、サンシャインレイの魔法の他に数種類の魔法を覚えた。

ハイエルフの浮竹が、ほいほいと教えるものだから、ダークネスドラゴンの京楽にそこまでとストップがかかる。

『これ以上覚えさせたら、世界を破壊できる者になるよ』

『大丈夫だ。この二人なら、その心配はない。だが、さすがに禁忌ばかり教えすぎたな。このエターナルフレイムエンドの魔法で、終わろうか』

「うわー、凄い魔法だね。一夜で幻の古代都市を滅ぼした魔法か」

「なるべく使わないようにしよう。使ったとしても、魔力で制限をつけるべきだ」

「うん、そうだね」

浮竹と京楽は、魔法書を丁寧に片づけていくご褒美とばかりに、魔法書の魔法をいろいろ見せてもらった。

『ふう、大分片付いたな。後は俺と京楽で十分だ』

「そうか。じゃあ、俺たちは覚えた魔法をぶっぱしに、Sランクダンジョンにでもいく」

「浮竹、ぶっぱって、魔力制御するんでしょ?」

「当たり前だろう。禁忌を魔力の全てで放つと、Sランクダンジョンそのものが崩壊する」

「うわー、怖い」

「お前は、そんな魔法を覚えたがったんだろうが」

「覚えるだけでよかったんだけどね。別に使わなくてもいいよ」

「使わずも覚えてるだけを宝の持ち腐れというんだ」

浮竹は他にもくどくどと京楽に説教した。

「ねぇ、それより今度の満月の夜に・・・・・」

「んっ」

ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽の目の前で、ディープキスをする。

『う、浮竹は見ちゃダメ!』

『えー』

「ちょ、お前、こんな場所で・・・・んんんっ、んあっ」

「ということで、僕らは帰るねー。僕の浮竹から僕の匂いがするのはこういうことなんで」

京楽は、ダークネスドラゴンの京楽にバイバイと手を振った。

『人間ってやっぱり・・・でも、ボクも相手が浮竹なら・・・・』

『ちょ、京楽、どこ触ってるんだ!』

京楽に触発されて、ダークネスドラゴンの京楽も浮竹にいらぬちょっかいをかけはじめるのであった。



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奴隷竜とSランク冒険者25

『キュウ』

「これは・・・・どうしたことなんだ?」

浮竹が、ちびドラゴンになってしまったダークネスドラゴンの京楽の様子を、監察する。

『キュウキュウ』

「遊んで?いつものダークネスドラゴンの京楽らしくないな」

『キュウウウウ』

「腹減った?って、いたたたた、俺は食べ物じゃないぞ」

『キュウウ』

『ちょっとしたことがあってな。京楽はちびドラゴンになってしまった。噛むのは愛情の証だ』

ハイエルフの浮竹が、ちびになったダークネスドラゴンの京楽を抱き抱える。

「いいなー。じーーーーーーーーー」

熱い京楽の視線を感じて、浮竹は溜息を零した。

「今回だけだぞ。俺もちびドラゴンになろう」

浮竹は、ポンっと音をたてて、肩に乗れるくらいの猫の大きさのドラゴン姿になった。

羽毛で覆われていて、もふもふだった。

「わーい、浮竹のちびさんだーーー」

「ちょ、京楽、抱きしめる力が強い!俺は体は子供の姿になっているんだ」

「あ、ごめん。いつもの調子で抱き着いちゃった。このまま人間化すると、やっぱり小さいの?」

「いや、普通に元の人型に戻る。だから言っただろう。今回だけだと」

「浮竹かわいい。まじ天使。浮竹かわいい」

「それしかいえんのか」

浮竹は京楽の顔面に猫パンチならぬドラパンチをすると、ダークネスドラゴンの京楽に話しかける。

「さぁ、俺もちびになったぞ。おかげで遊びたい。一緒に遊ぼう」

『キュウ!』

いいよと言ってくれて、浮竹はダークネスドラゴンの京楽とじゃれあっていた。

「いいなぁ。僕もまじりたい」

『俺もまじりたい』

「でも、せっかくチビドラゴンになれた同士で遊ばせてあげたいしね」

『そうだな』

京楽とハイエルフの浮竹は、パタパタと空を飛んで追いかけっこする2匹の子ドラゴンをかわいいなぁと、眺めていた。

『きゅう、きゅう』

「おい、ハイエルフの俺。ダークネスドラゴンの京楽が腹が減ったそうだ」

『俺はドラゴン語は分かるぞ』

「そうか」

『ご飯にしよう。・・・・・・でも、俺は料理できない』

ハイエルフの浮竹は、いつもダークネスドラゴンの京楽がおいしいものを作ってくれるので、料理の腕など磨いたことがなかった。

「僕がつくるよ。材料は・・・うーん、海鮮パスタでいいかな」

『あ、そっちの京楽は料理できるのか?すごく助かる』

「こっちの浮竹も料理の腕はいまいちでね。僕が基本ダンジョンとかでは作るようにしてるよ。高級宿にいる時は、料理は作ってもらったの食べてるけど、料理はできるよ。浮竹に会う前は、ソロ冒険者してたからね」

「京楽の料理はうまいぞ」

『きゅう、きゅう』

「早く作れだとさ」

「僕にはドラゴン語はさっぱりだからねぇ。翻訳してくれて助かるよ」

京楽は、手慣れた手つきで海鮮パスタを作り、サラダとデザートにパイナップルに蜂蜜をかけたものを出してきた。

『お、美味いな』

ハイエルフの浮竹は、美味しそうに食べる。

浮竹はというと、ちびドラゴン姿のまま食べていた。

「人間に戻らないの?」

「一度ちび化すると、1日はこのままだ」

『きゅう、きゅうう』

ダークネスドラゴンの京楽は、海鮮パスタにもサラダにもデザートにも顔を突っ込んで食べるものだから、顔が最後は蜂蜜まみれになっていた。

『こら、京楽行儀が悪いぞ』

ハイエルフの浮竹が、濡れたタオルでダークネスドラゴンの京楽の、ちびドラゴンの小さな顔をふいてやる。

『きゅう、きゅう』

「お腹いっぱいになったから、寝たいだそうだ。俺も一緒に寝ないかと誘っている」

「だめ!いくらちびになったとしても、浮竹は僕のものだよ!ぜーーーーったいにだめ!」

「京楽・・・・お前、心がせまいな。今のこの子ドラゴンに、欲があると思うか?」

「それでもだめ。寝るっていうんなら、僕も混ざるよ」

『京楽、寝ていいが一人で寝ろ。ちゃんと傍にいるから』

『キュウウ!!』

「はい、ご主人様だって。そっちの俺は、そっちの京楽にご主人様と思われてるのか」

『あ、ああ。思考まで幼児化していて、いろいろ大変だ』

「京楽、保存できるような食事をたくさん作ってやれ。ハイエルフの俺は料理が苦手のようだし、このちびどらごん姿では、ダークネスドラゴンの京楽は飯を作れないだろうし、しばらく元に戻りそうにない」

「仕方ないねぇ。浮竹の頼みとあらば、冷凍して温めたら食べれる料理、1週間分くらい用意するよ。まずは買い出しに行かないとね」

「ああ、俺はこの姿だからお留守番だ。ハイエルフの浮竹と買い出しに行ってくれ。ダークネスドラゴンの京楽のことは、俺が見ておく」

ベッドに丸くなって眠っているダークネスドラゴンの京楽を、ちびドラゴンになった浮竹が優しく撫でた。

『急いで戻ってくるから!それまで、頼むよ。さぁ、人間の京楽、買い出しにいくぞ』

「え、ああ、うん」

ハイエルフの浮竹と京楽は、風の魔法を使って空を飛んで、マッハで買い物をしてアイテムポケットに買ったものをつっこんで帰ってきた。

「は、はやいな。まだ20分しか経ってないぞ」

『京楽が目を覚ました時、俺がいないと泣くからな』

「そうか。俺もこっちの京楽のことは一応主だとは思っているが、対等の関係でいたいのでそういう契約を交わしている」

『俺もだ』

「しかし、いつそっちの京楽は元に戻るんだ?」

『さぁ、俺にも分からない」

「そうか。愛する者を愛せば、意外と早く戻るかもな?」

『どういう意味だ?』

「それは、お前で考えろ」

『むう』


「さぁできた!1週間分の冷凍食品作ったから、帰るよ、浮竹」

「ん、ああ。そうだな」

浮竹は、京楽のアイテムポケットの中に入って、姿を見られないようにして自分の住む大陸の王国に、京楽と一緒に戻っていく。

「じゃあ、またな。ハイエルフの俺に、ダークネスドラゴンの京楽」

「またね~」


『はぁ・・・・京楽、いつになったら元に戻ってくれるんだ?』

『キュウ?』

目覚めたダークネスドラゴンの京楽は、重い溜息をつく浮竹にすり寄るのだった。

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奴隷竜とSランク冒険者24

ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽のいる大陸で、迷いの森があるSランクダンジョンを踏破した。

4人での攻略が楽しくて、浮竹はダークネスドラゴンの京楽に、下手な字で手紙を書いた。

いわく、こっちの大陸でSランクダンジョンにいかないかというものだった。

『はぁ・・・・断るのもなんだしねぇ』

『転送陣があるからな、向こうの大陸まではすぐにつける』

ハイエルフの浮竹は、荷物をアイテムポケットに収納して、行く気満々であった。

『ボクは、人間のボクに会いたくないんだよね。ムーンホワイトドラゴンの浮竹には興味あるけど、彼ってば人間の匂いが染みついてて、それが嫌なんだよね』

『そういうえば、京楽は人間の自分が嫌いなんだな』

『人間はみんな嫌いだよ』

そう言いながらも、ダークネスドラゴンの京楽は、ダンジョンに挑む準備をしっかりとしていた。



「やあ、ダークネスドラゴンの京楽と、ハイエルフの俺。この前ぶりだな」

『やあ』

ハイエルフの浮竹は気軽に返事をするが、ダークネスドラゴンの京楽は、浮竹の隣にいる人間の京楽に眉をしかめた。

「僕、何かした?」

『人間くさい。ボクは人間が嫌いなんだ。できるだけ放っておいて』

「そ、そうか」

『ごめんね、冒険者の京楽。うちの京楽はああなんだ。まぁ、そのうち慣れるかもしれないから、それまで我慢してくれないか』

「いや、別に好かれたいわけじゃないから。僕は、僕の浮竹がいればそれでいいし」

『こっちの京楽も、言ってることお前と同じだな』

ハイエルフの浮竹は、クスクスと笑った。

『な、全然違う』

『はいはい。そう言うことにしておく』



「ダークネスドラゴンの京楽、今日行くダンジョンは火属性のモンスターが多いから、俺が前衛になる」

「僕も前衛するよ?」

「京楽は、アイシクルブレス吐けないだろう。ブレスは魔力を使わないから、使い勝手がいいんだ。だから、俺が前衛になる」

「じゃあ、僕は君を守るよ」

「守ると言われても、俺は強いぞ。俺に背を預けて、いつものように一緒に戦ってくれ」

「分かったよ」

『さすがSランク冒険者をずっとしているだけあるね。息がぴったりだ』

炎のSランクダンジョンの到着しての、二人の活躍ぶりは目を見張るものがあった。

ファイアマンティコアを、浮竹がアイシクルブレスで纏っている炎を消して体を氷つかせ、そこを京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣できっていく。

氷漬けで切られた魔物の素材は新鮮で、京楽はアイテムポケットに収納していく。

『京楽、こっちにも来るぞ!』

『ダークブレス!』

ハイエルフの浮竹に襲い掛かってきたファイアイーグルは、ダークネスドラゴンの京楽の闇のブレスにやられて地におちて、ばたついていることろをハイエルフの浮竹の魔法がとどめをさす。

『アイスジャベリン!』

「やるな、ハイエルフの俺!」

「ただのアイスジャベリンなのに、大地まで凍りついてるね」

「ハイエルフの俺の魔力はかなり高いからな。俺もそっちの京楽も、神竜クラスの力をもっているが、それに近い」

「神竜か・・・・・本当に、実在するの?」

「実在する神竜は今のところマザードラゴンだけだな。全てのドラゴンの母であり、守護者でもある」

『ボクたちは希少種の上に力があるからね。そのせいで、人に狙われる』

「まぁ、それもそうだが、俺は人間は好きだ。自由を与えてくれたのは京楽という人間だ」

ムーンホワイトドラゴンの浮竹と、ダークネスドラゴンの京楽は、ダンジョン攻略期間中に満月の日が訪れるのを失念していた。

ダンジョンにもぐって3日目、満月の日になった。

「どうしよう、京楽。半竜人化してしまった」

「いつものように振舞えばいいよ。あっちの僕も半竜人化してるみたいだし」

見ると、白い天使のような翼をもった浮竹とは正反対の、悪魔のような皮膜翼をもつダークネスドラゴンの京楽がいた。

『君は、半竜人化すると天使の翼になるんだね。綺麗でいいね』

「そ、そうか?でも、お前もかっこいいぞ」

『京楽が、半竜人化した姿を見せるってことは、少しは心を開いた証かな』

ハイエルフの浮竹は、そう言って夕飯のシチューを作っていた。

「あ、僕も手伝うよ」

ハイエルフの浮竹の料理の腕はからっきしで、危ない手つきでじゃがいもの皮をむいているのを放置できず、京楽が手伝うといってほぼ全て、一人で作ってしまった。

『ご飯はおいしいんだけどね・・・人間が作ったって思うと、ちょっとね』

「食べながら文句を言うんじゃない。おい、ダークネスドラゴンの京楽、せめて俺の京楽の前では人間嫌いをあまり見せないでくれ。俺が哀しくなる」

『ごめん』

『すまんな、ムーンホワイトドラゴンの俺。京楽は極度に人間が嫌いだから』

「ハイエルフの俺も、人間嫌いを治すようにしないのか」

『こればかりは、本人の意思だしな』

「はいはい。僕が人間で悪かったね。でも、ダークネスドラゴンの半竜人化した姿ははじめて見るけど、ドラゴンっぽい感じがしていいね。浮竹はなんか尻尾と角の生えた天使に見えるから。まぁ、中身も天使なんだけど」

「こら、何を言ってるんだ京楽!」

浮竹は真っ赤になった。

『ムーンホワイトドラゴンは羽毛が鱗のかわりに生えてるから、天使の翼になるんだな。でも、京楽みたいに皮膚が鱗にならないのはいいな。皮膚が羽毛になってたら、ちょっとヤダ』

「ふふ、お前たちだけだぞ?半竜人化した姿を見せるのは」

『それは僕もだよ』

ドラゴンの二人は、尻尾を揺らした。

「ちなみに、浮竹は尻尾が弱いよ」

『俺の京楽は角だな』

「おい、何を言い合っているんだ!」

『浮竹、秘密にしておいてよ!』

「へー。角に弱いの~」

京楽は、意地の悪い笑みを見せた。

『ほう、尻尾に弱いのか』

ハイエルフの浮竹も、意地の悪い笑みを見せる。

二人そろって、ドラゴンの二人の弱点を攻めると、ドラゴンの二人は呼吸を荒くして、赤くなった。

「京楽・・・・・体が熱い。抱きしめてくれ。すぐに治まるから」

『浮竹、抱きしめさせて。この火照り、すぐに静まらないけど、なんとかするから』

それぞれお互いのパートナーを抱きしめて、夜は更けていく。



炎のSランクダンジョンのボスは、炎のヒュドラだった。

「アイシクルブレス」

「エターナルアイシクルワールド!」

『アイスジャベリン』

『アイシクルエッジ』

4人で氷の魔法を叩きこみ、袋叩きにすると、炎のヒュドラは炎を凍り付かされて、最後のおたけびをあげる。

「「「「エターナルアイシクルワールド!!!!」」」」

4人分の氷の禁忌に近い魔法を受けて、炎のヒュドラはは氷像と化して息絶えた。

財宝の間が開く。

中に会った魔法書に、ハイエルフの浮竹がため息をつく。

『俺が書いた魔法書だ』

「お、新しい魔法か。何々・・・・・グラビディゼロ。重力の魔法か。なかなかに使い勝手がよさそうだ。京楽」

「なんだい?」

「グラビディゼロ」

「ぬおおおおおおおおおお」

京楽にすごい重力がかかり、京楽の体は地面にめりこんだ。

「ふむ、すごいな」

「ちょっと浮竹、僕を実験台にしないでよ!」

「お前は魔法抵抗力がずば抜けて高いから、モンスターよりお前を実験台にしたほうが早い」

「だからって・・・・うがががが・・・ええい、マジックキャンセル!」

京楽は、浮竹の魔法を無理やり消滅させた。

「つまらん」

「僕を使っていじめてない!?」

「たまにはいいだろう。夜は散々俺を弄ぶくせに」

『『やっぱり』』

ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽は、浮竹に京楽の匂いが染みついている理由が分かった気がした。

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30話補完小説

「よくやった、雨竜」

ユーハバッハは、静かにそう言った。

一護は、石田雨竜を睨んでいた。

「陛下の邪魔をするな、黒崎」

「なんの真似だってきいてるんだよ、石田!!!」

喉が張り裂けそうな声を出す。

なぜ、なぜ、なぜ。

仲間だったはすだ。友人だったはすだ。

「石田・・・・・・」

「動くなよ、全員だ。全員その場から少しでも動いたら、撃つ」

一護は真っ先に動いた。

「撃つと言った」

「ふざけてんじゃねぇぞ!俺らがなんのためにここへ来たのか分かってんのかよ!」

「聞いていた。陛下を止めるためだろう。それをさせないと言っているんだ」

一護は、唇を噛み切った。

「知らねぇのか!そいつを止めねぇと、尸魂界も現世も虚圏もみんな消えてなくなっちまうんだぞ!」

「それを知らずに、ここにいると思っているのか?」

石田はたんたんとしていた。

「・・・・・・知ってんのかよ」

一護は、斬魄刀を強く握る。

「俺たちが来た理由も知って、戦う理由も知ってて、それでなんで・・・・・!!!」

石田。

なんでだ、石田。

俺たちは仲間で、友達で・・・・。

「なんでお前はまだそこにいるんだよ!!」

「僕が滅却師だからだ」

その一言が全てだった。

「石田ああああ!!!」

「僕の覚悟だ。さぁ、黒崎、どうする?」

石田は、力を解放した。

「月牙十字衝!」

一護は、クロスさせた月牙天衝を放つ。

それを、石田の弓の矢が迎え撃つ。

「石田ああああ!!!」

「甘いな、黒崎。僕を殺そうとしないその甘さが、命取りだ」

放たれた月牙十字衝は、石田の体をかすめて遠くへと飛んでいく。

「俺は滅却師。お前は死神。元々、敵対関係だ。死神など、この世界にいらない」

「石田・・・・・」

ぼろぼろになった一護が、空から、霊王宮から落ちていく。

落ちていく。

落ちて。



霊王の右腕であるミミハギ様を神掛した浮竹は限界を迎えようとしていた。

びくびくと、黒ずんだ体がはねる。

「危険です、もう無理です、これ以上は!」

虎徹勇音副隊長が止めようとするのを、虎徹清音3席が止める。

「浮竹隊長・・・・・」

ルキアは、浮竹を見ていられないとばかりに、顔を伏せた。



「石田・・・・・・」

空から落ちながら、一護は思う。

石田とは、相容れられなかったのだろうか。

和解する術はなかったのだろうか。

「滅却師がんだ、死神がなんだっつうんだ!」

石田、石田、石田。

お前は、滅却師で、俺の仲間で、俺の友達だ。

絶対に、諦めない。

お前の目を、覚まさせてやる。


一人の滅却師と死神は、争い合い、答えは闇の中であった。

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奴隷竜とSランク冒険者24

その日は、満月だった。

ムーンホワイトドラゴンの浮竹は、半竜人化して、ゆらゆらと尻尾を揺らしていた。

「今日は、月がよく見えるね。ねぇ、お月見しない?」

「いや、俺は・・・・」

「いいじゃない。誰もいないし、ほら、おいで?」

京楽に手を引っ張られて、浮竹は月の光を浴びた。

すると、浮竹の肌が淡く光り、全体が月の雫を浴びたように銀色に輝やいた。

「浮竹・・・・すごい美人。いつも綺麗だけど、いつもの倍くらい綺麗・・・・」

「だから、嫌なんだ、満月の月の光を浴びるのは。体が変に光るし、周囲にチャーム(魅了)の魔法を無条件で発動する」

「ん、僕は平静だよ」

「え。俺のチャーム、効かないのか?」

「うん。でも、ほんとにいつもより綺麗だよ、浮竹」

抱きしめられて、平静でいる京楽が嬉しくて、浮竹はドラゴンの尻尾をゆらゆらと揺らした。

「ねぇ、したい」

「ん・・・少しだけ、なら」

尻尾を握られて、その気になってしまった浮竹は、京楽に口づけた。

そのままベッドまで連れていかれる。

窓からも月の光が入っていて、浮竹の肌は淡く銀色に輝き、白い髪も銀色になっていた。

緑の瞳にも銀色の光がまじって、不思議な色をしていてとても綺麗だった。

「ん・・・・・」

京楽の舌が、縮こまっている浮竹の舌を絡めとる。

「んあっ」

服の上から敏感な場所を触られて、びくっと反応する。

「綺麗だよ、浮竹」

「んう・・・・・」

衣服を脱がされて、浮竹も京楽の衣服を脱がしていく。

「ああっ」

舌で胸の先端を舐め転がされて、甘いしびれが体中をかけめぐる。

「ちょっと、寒い」

「そうだね。最近冷えてきたものね・・・・・プチファイア」

体を温める魔法をお互いにかけて、抱きしめ合う。

「あったかい・・・」

「うん、あったかいね。君の鼓動の音が聞こえる」

「京楽は心拍数が高いな」

浮竹は、尻尾を揺らした。

「いつもより魅力的な君に、見惚れてしまいそうだよ」

京楽は、ベッドサイドからローションを取り出した。

それを手の温度で温めて、浮竹の蕾の中に塗り込んでいく。

「ああ!」

びくんと、浮竹の体がはねる。

「ふふ、いつもより敏感だね。満月の半竜人化してるせいかな?」

「ああ、や、尻尾はだめ・・・・・」

浮竹のものをしごきながら、京楽は片方の手で尻尾をにぎにぎした。

尻尾は性感帯らしく、尻尾を強くこすると、浮竹は自分のものをかたくして、精液を放っていた。

「あああああ!!」

「え。尻尾いじってるだけで、いちゃったの?」

「だ、だから半竜人化して抱かれるのは嫌なんだ」

半竜人化して抱かれるのは初めてだった。

「かわいい。尻尾、弱いんだ?」

「ん・・・・」

尻尾を揺らして、浮竹は京楽を誘う。

「こい」

「うん。いれるよ?」

すでに指で蕾を解していたので、京楽の怒張したものはローションのぬめりをかりて、すんなりと浮竹の体内に入る。

「あああ!」

「ん、君の中、いつもより熱い」

「あ、半竜人化すると、体温が高くなるんだ」

「きもちいい・・・・」

「ああ!」

京楽は、浮竹の中を味わうように緩慢な動作で動いた。

「あ、もっと、もっと強く!」

「ふふ、もっと刺激ほしい?」

「奥までごりごりってして!」

「分かったよ」

最奥まで入り、ごりごりと中をすりあげてやると、浮竹は淡く光る肌を明滅させて、オーガズムでいっていた。

「ひああああ!!!」

「中に出すよ。僕の子種、ちゃんと受け止めてね」

「ひあ、だめ、今日はいつものアフターピル切れてるから、中に出しちゃだめぇ。卵うんじゃう!」

希少種のムーンホワイトドラゴンは、オスでも身籠れる。

異種族との間にも、子ができる。

京楽は、それでも中に注いだ。

「君が卵うんだら、責任もつから」

「あ、だめえええ、孕んでしまう!」

「確率は低いんでしょ?」

「でも、でも。生はだめ・・・・・」

「生だから、いいんだよ。もう一回出すよ」

「ああああ!!!」

ずりずりと、音をたてて京楽が侵入してくる。

「あ、くる、いっちゃう、いっちゃう!」

最奥をごりごりと突き上げて、京楽は浮竹の胎の奥に子種を放った。

浮竹がもしも卵を産んだら、たとえすぐに巣立つとしても大切にしようと思った。

「んあ・・・あ、あ、そうだ、クローゼットの奥に、予備のアフターピルあった・・・とってきて、春水」

「仕方ないねぇ」

京楽は、浮竹からずるりと自分を引き抜くと、灯りをつけてクローゼットの奥を探すと、アフターピルを見つけた。

「あったよ、十四郎」

「飲ませて」

「仕方ないねぇ」

京楽は、口にアフターピルを含むと、浮竹に口移しで飲ませた。

「あ!」

また、京楽が浮竹に覆いかぶさり、貫いた。

「やああああ、いやああ」

「いやじゃないでしょ?ここをこんなに濡らして」

「ああ、やあああ」

前立腺を刺激してやりながら、浮竹のものをしごくと、浮竹は尻尾をぴんとたてて、いってしまった。

「んああああ・・・・・・」

「きもちい?」

「あ、気持ちいい・・・・中に、生でたくさんだして」

「うん。言われなくても、そうするよ」

浮竹の胎の奥にたくさんの子種を注いで、京楽は満足した。

「お風呂、入ろうか」

「変なことはしない?」

「しないしない。もう十分に君を味わったし。尻尾、洗ってあげる」

「や、尻尾はダメ。自分で洗う」

一緒に風呂に入り、結局尻尾を京楽に洗われて、浮竹は軽くいってしまった。

「半竜人化してのセックスは、もうしない」

「なんで~」

「尻尾嫌だって言ってるのに、さわってくるからだ」

浮竹の肌は、まだ満月なので淡く輝いていた。

髪は銀髪になり、尻尾も角も、体も淡く輝いていて、浮竹は神秘艇だった。

特に瞳が緑色の中に銀色を宿し、闇の中の獣のように輝いていた。

「君のその不思議な瞳の色、また見たいな」

「変なことしないなら、また半竜人化した満月の夜に、月の光を浴びてやる」

「うん。約束だよ」

指切りをした。

次の満月の夜。

半竜人化した浮竹は、また月の光を浴びた。

尻尾をいじくられて、その気になってしまった浮竹を、京楽が抱いたのはいうまでもない。


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