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小説掲載プログ
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翡翠に溶ける そして隊長に

死神になって、何十年と経過した。

お互い、副隊長になっていた。

隊長を補佐しながら、仕事をする。

浮竹も京楽も、精一杯努力した。

浮竹と京楽ができていることは、瀞霊廷の死神に知らない者はいないという勢いだった。

それから更に時は100年ばかり経過する。

お互い、若くして夢であった隊長の座まで登りつめた。

始めは京楽が8番隊隊長として。その8年後には、浮竹が13番隊隊長として。

山本総隊長に呼び出された。

「あの小童どもが、よくぞここまで辿りついた。尸魂界を守る者として、命を賭けるがよい。まぁ、ここまできて死ぬようなことはないと思うが・・・」

二人の関係は、院生時代から変わっていなかった。

「十四郎には、執務室と隊首室と療養所を兼ねた、雨乾堂を建ててやろうと思っている」

「そんな、いいんですか、先生」

「隊長ではあるが、十四郎は相変わらず病弱だ。そんな体で隊長が務まるのかという意見もあったが、儂は務まると思ってお主を推薦した」

「先生・・・」

ジーンとしている浮竹とは反対に、京楽は言う。

「僕には?」

「お主には、その仕事のさぼり癖を直すようなきつい副官を用意してやった」

「えーそれはないよ山じい」

「では、仕事をさぼるな!」

「それはできない約束だねぇ。ああ、酒が切れてる。ちょっと買いにいってくる」

「待たぬか、春水!」

流刃若火から火が、京楽の尻についた。

「あちゃちゃちゃ!」

それでも、京楽は逃げていった。

「十四郎。今、幸せか?春水と結ばれたまま、隊長を続けられるか?」

「幸せです、先生。京楽とは、ほどほどに付き合っていきます」

「そうか・・・幸せなら、よいのじゃ」


時は弓矢の如く過ぎ去る。

浮竹には、雨乾堂という立派な建物が用意されて、その檜の香を胸いっぱいに浮竹は取り入れた。

「うわぁ、浮竹だけいいねぇ、こんな場所をもらえるなんて」

「お前と会うのにも、使えそうだ」

「いいのかい?僕との密会にこんな神聖な場所を使っても」

「もう、俺の住まいだ。隊首室も、館も荷物を移動させた。ここが今日から俺の家だ」

「僕も館を引き払って、隊首室に荷物を移動させたよ。どうせ湯浴みして寝るだけの館だったし・・・・」

雨乾堂には、少し広い湯殿がついていた。

「わぁ、風呂までついてるのはいいね。僕は今は隊舎の風呂を空き時間に使ってるけど、自分専用っていう風呂場があるのはいいね」

「今日は泊まっていくか?」

「え、いいの?」

「ああ。布団も2組用意してある。夕食を頼んで、二人分もってきてもらおう」

その日から、京楽はよく雨乾堂に泊まりにきた。

何度も、雨乾堂で体を重ねた。

「ああっ!」

何度目になるか分からない熱を、浮竹は放っていた。

「ああ、いいね、この雨乾堂。最高だよ」

「ん!」

ずちゅずちゅと中をかき回される。

「んあああああ!」

「君を堂々と抱ける・・・・・・」

「ばか、本当なら、今は仕事の時間・・・ああああ!」

前立腺を突き上げられて、浮竹はまた精液を放っていた。

「もうやあああ!やあ、犯さないで」

「嘘ばっかり。君のここは、こんなに喜んでる」

前をぐちゃぐちゃといじってやると、また白濁した液体を出していた。

「やあ、もうでない・・・・」

白濁した液体は、途中からとろとろ透明な蜜になっていた。

「ああああ!」

ぐちゅりと、奥を犯してやる。

「ひあ!」

びくんと、浮竹の体が痙攣して、オーガズムでいったのだと分かった。

くちゅくちゅと前立腺のあるところばかり犯してやると、浮竹はあまりの快感に涙を零した。

「やあああ・・・あああぁぁぁあ・・・・」

「ん・・・僕も、そろそろ限界みたいだ」

浮竹の腹の奥に、こちらも何度目になるかも分からない欲望を吐きだしていた。

お互いまだ若いため、週に2回は交わっていた。

その話を副官にすると、「多すぎです腹上死するつもりですか」と真剣に心配された。

もっとも、お互い仕事があるので睦みあえない時は、1か月以上は睦みあえない。

覚悟は決めていた。

隊長なのだ。今まのでように、休暇をもらって遊びにいくとかはできないが、仕事の合間合間に、体は重ねなくとも会うことはした。

「ああ・・・・今すぐ、君を抱きたい。もう1か月以上、君を抱いていない」

「来週には、お互いの仕事が一段落する。それまで、お預けだ」

舌と舌が絡まるキスをした。

「ん・・・・」

「君を攫っていきたいなぁ」

「お互い、隊長だ。頑張ろう」

「そうだね」

次の週は、久し振りに体を重ねあって、激しかった。

「もう無理・・・・・」

意識を飛ばした浮竹を起こして、何度も犯した。

浮竹の白い髪は、3席の頃から腰の位置にまで伸ばさていて、時折京楽が送った髪飾りや簪をしていた。


「やあ、今日も美人だね、浮竹」

京楽はいつの頃からか、髪を伸ばして簪をさしていた。

それなりの値のはる女のものの打掛を隊長羽織の上から羽織り、笠を被っていた。

浮竹は、死覇装以外真っ白だった。翡翠の瞳だけが違った。

その日は、京楽の隊長就任10周年の祝いの席だった。

白銀5席は、3席になっていた。

「あの浮竹が隊長か・・・・時が経つのは早いものだな」

「白銀。今後も、俺を支えてくれ」

「もちろんだ、隊長」

京楽がやってきて、二人に酒を勧めた。

浮竹は、甘い果実酒を好んでいて、京楽は浮竹のために数種類の果実酒を買っていた。

「ごちそうになる」

京楽から杯を受け取って、並々と注がれた果実酒をあおった、

甘い味がした。




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翡翠に溶ける 遠征の帰還

死神になって3年目。

京楽は、虚退治の遠征に出発した。

「早くても会えるのは2か月後だと思う」

「寂しくなるな・・・・」

「白銀君と、浮気しちゃだめだよ」

「白銀には誘われたことはあるが、お前がいるからときっぱり断った。白銀はいい友人だ。誰かと違って盛って襲ってこない」

「酷いね。誰のことかなぁ」

「さぁ、誰だろうなぁ」

クスクスと笑い合って、別れた。

その姿が見えなくなるまで、手を振っていた。



2カ月が経ち、京楽は帰ってきた。

でも、大きな怪我を負っていた。

右腕が千切れかけていた。

すぐに4番隊につれていかれて、3時間に及ぶ手術の末に、右腕は元に戻りそうとのことだった。

「お前がここまでやられるなんて・・・・何があったんだ」

他の一般隊士は、半数以上が死亡していた。

意識を取り戻した京楽に、病室で浮竹に事情を話しだす。

食った相手の姿形と能力をコピーするという、厄介な虚に襲われて7席が食われた。

7席のもつ斬魄刀までコピーした虚に、平隊士が次々にやられていき、京楽は4席を庇って深手を負いながら、倒したこと。

食われたはずの7席が生き返り、回道を施してくれたお陰で、右腕は千切れかけていたが、失血死は免れたこと。

京楽が一番上の席官であったため、倒れるわけにもいかずに、千切れかけた腕を包帯でぐるぐる巻きにして、接続手術でどうにかしようと思っていたこと。

京楽は、接続手術で元に戻った右手をみる。

握力がまだ完全に治っていなかった。

一度千切れかけたのだ。接続手術では、切断された手足をもとに戻したり、移植手術も行っていたが、神経が元通り繋がっただけですごいと浮竹は思った。

すぐに回道をかけられて、切断面を時間が止まった状態にしておいたのが功を奏した。

千切れかけた腕にも回道をかけて、新鮮なままにして腐らせないでおいた。

普通なら、腐り落ちていて、細胞から作りだした新しい腕を移植することになるのだが、元の腕が使い物になりそうだったので、培養した腕は作られなかった。

培養した腕でも、接続が成功すれば日常生活も、剣を振るうことにも支障はない。

でも、違和感は否めない。

「とにかく、腕が元通りになってよかった・・・・・」

「僕も、まだまだだって痛感したよ。もっと強くならなくちゃ」

「ああ、お互い、いつか隊長になるんだ」

京楽は、腕のリハビリも兼ねて、2週間ほど入院した。

仕事が終わると、浮竹は毎日のように見舞いにきてくれた。

「君がいてくれて助かるよ。入院生活は暇で暇で・・・なまじ、腕のリハビリだけだから、一人囲碁とかしてた。4番隊の女の子や入院患者に声かけて、話をするけど、死神じゃない子も多いから、話が通じなかったりして・・・・」

「ああ、分かる。俺も肺の発作で入院したとき、もう治っているのに念のためと入院させられて、暇で暇で寝てばかりだった」

「僕も、寝てばかりだよ。寝すぎて夜がなかな眠れない」

「ああ、それ分かる・・・・・」

二人は、入院の暇さを呪うように話していると、4番隊の隊長である卯ノ花が、にっこりとした顔で話に割って入ってきた。

「そんなに暇なのでしたら、リハビリを今の3倍にしましょうか。後、体の精密検査などを・・・・・・」

「僕が悪かった卯ノ花隊長!入院生活、仕事をしなくていいから楽です!」

「俺も、仕事をしなくていいから、入院は素晴らしい!」

「浮竹3席・・・・元気そうですね。元気なうちに、献血をしておきましょう」

「ぎゃああああああああ」

卯ノ花に引きずらていく浮竹に、京楽は合掌した。

20分後くらいになって、げっそりした顔で戻ってくるかと思ったが、浮竹は割とぴんぴんしていた。

「発作で吐血してはいけないと、少量だった。あと、献血に協力したからって、飴玉をたくさんもらった・・・・くうか?」

「うん」

舐めると、桃の味がした。

そのまま、浮竹とキスをした。桃の味がした。


やがてリハビリも終えて、普通に動くようなった右手から完全の包帯が取り去られる。

「世話になったね、卯ノ花隊長」

「いえ。また怪我をしたら、おいでなさい。ああ、献血にきてくださってもいいのですよ」

「いや、遠慮しとく・・・・過去に1回献血させられたけど、めっちゃいっぱい血をとられて、しおしおになったからね」

「あら、健康に害がある以上はとりませんよ」

「しおしおになった気分なの」

卯ノ花と別れて、京楽の館につくと、玄関で押し倒された。

「んっ、京楽!」

「2カ月だよ。2か月も君に触れていなかった・・・」

病院では、ナースの目があるので触れるだけのキスくらいしかできなかった。

「玄関でなんて・・・あああ!」

玄関で死覇装を脱がされた。

そのまま部屋に連れ込まれて、布団がしかれる。その上に押し倒された。

「潤滑油潤滑油・・・・どこにおいたっけ・・・・あった・・・・」

体中にキスマークを残された。

「あ!」

胸の先端をカリカリ引っかかれて、舌で転がされた。

潤滑油にぬれた指を受け入れるは本当に久しぶりで、体がずりあがる。

「んあああ!!」

「十四郎、愛してるよ。逃げないで」

「あ、春水・・・・・・」

ばらばらに体内で動かされて、前立腺をこりこりと刺激されて、ゆるりと浮竹の花茎がたち、先走りの蜜を零す。

「もう濡れてる・・・・・・・・」

「やっ」

指でぐちゃぐちゃと音がなるまで解されてから、京楽のものが入ってきた。

「いあああああぁぁぁぁ!」

前立腺をすりあげて挿入されて、浮竹は一度目の熱を放ってしまった。

「君の中、すごいね・・・・うねってる」

「やあ・・・や・・・あ・・・・・・」

くちゅくちゅと前立腺ばかりをこすりあげられて、すぐに二度目の熱を放っていた。

浮竹も適度に抜いていたのだが、京楽が帰還してからはいじってなかった。2週間以上は何もしていなかった。溜まっていた。

「京楽・・・・もういけ・・・」

ぐっと下肢に力をこめると、その締め付けに京楽も一度目の熱を浮竹の内部に放っていた。

「あああ!」

京楽は止まらない。2カ月ぶりなのだ。

浮竹の体を堪能するように、時間をかけて犯した。

「ひう!」

浮竹は、もう出すものもなくなって、たらたらと透明な蜜を零して、オーガズムで何度もいった。

「ひあああああ!!!」

京楽に突き上げられて、浮竹は啼いた。

「んああああ!!」

もう、何度目かも分からない京楽のものが、腹の奥で弾けた。

じんわりとした熱を感じながら、浮竹は意識を失っていた。

京楽がやっと満足して、浮竹の中から抜き放つ。

こぽりと、シーツの上に京楽がだしたものが逆流してきて溢れた。

「タオルタオル!」

あわててタオルを水で濡らして、拭い去る。」

中に出したものをかき出すと、かなりの量になり、2枚目のタオルも必要だった。

濡れたタオルで浮竹の体の下肢を念入りにふいて、死覇装を着せて、シーツをかえた布団で眠った。

「ん・・・俺は?」

「ああ、気づいた?」

「意識を飛ばしていたのか・・・今何時だ?」

「深夜の2時だよ」

「こんな時間だが、夕飯を食べ損ねたので腹が減った・・・」

「ああ、夜を作るのめんどくさいから弁当買ってあったんだ。僕はもう食べちゃったけど、食べるかい?」

「ああ」

夜食として弁当を食べた。

食べ終わると、また眠たくなってきた。

「ん・・・もう一度眠る。京楽は?」

「僕は、夕方から寝てたからね。眠くなったら、寝るよ」

結局、京楽が寝たのは朝方で、3時間ばかりしか眠れなかった。

夕方から深夜まで寝ていたので、辛くはなかった。

「いってくるよ、浮竹」

「ああ。俺もいってくる」

互いに別れを告げて、8番隊と13番隊・・・・反対方向になる隊舎に向かっていく。

京楽も浮竹も、久し振りに体を重ねてすっきりした気分であった。

浮竹が隊舎につくと、白銀5席が、見えそうで見えない位置の首筋に、いっぱいキスマークがあると告げてきた。

鏡で確認して、真っ赤になって死覇装の襟を直して、キスマークが見えないようにする浮竹であった。


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酔うとこうなる

「ああ、いい加減に起きてください」

「もう少し・・・」

「さっきそう言って、15分経ちましたよ。真冬じゃあるまいし、春くらいしゃんとできないんですか」

海燕に布団をとられ、ゴロゴロと畳の上を転がる浮竹。でも、寝ていた。

「ああ、全くこの上司は!」

ふと、浮竹が起き出す。

「そうだ、海燕、花見に行こう」

「唐突ですね」

「海燕とは何十年と一緒にいるけれど、一緒に花見したことないからな」

「どうせ、京楽隊長も誘うんでしょう」

「う、どうして分かった」

浮竹がうわずった声をあげた。

「あんたの思考回路は単純だから」

「でも、京楽がいないと美味い飯と酒にありつけない!」

「こればかりは、京楽隊長に同情します」

でも、13番隊の食事に金を出してくれているこには感謝していた。

お陰で浮竹に、美味しい物を食べさせることができる。

「いつ花見にいくんですか」

「思い立ったらすぐ行動だ。今日行くぞ」

「ええ、今日の仕事は!」

「そんなもの、明日に回せばいい」

「そんな無茶苦茶な」

浮竹は、伝令神機をとりだして、浮竹に花見に行くと告げ、弁当と酒の用意を頼んだ。

「よし、近場で白哉の家で花見にしよう」

「ええ!朽木隊長のお屋敷で、花見するんですか」

「遠出するのがめんどくさい」

「あんたは・・・本当に怠惰だな」

「褒めても何も出ないぞ」

「呆れてるんです!」

こうして、浮竹と京楽とう海燕は、朽木邸で白哉の許しを得て花見をしだした。

「白哉の屋敷の桜は凄いだろう!」

「何、隊長が自慢してるんですか!」

「俺と白哉の仲だからな」

酒を飲んでいた、京楽がぴくりと動く。

「浮気は、だめだよ?」

「白哉とはそんなんじゃないと何度言ったら分かるんだ」

「だって、仲が良すぎなんだもん」

「まあ、酒でも飲め」

京楽を黙らせるために、京楽の杯に酒を満たした。

「おっとっと・・・零れる」

「さぁ、ぐいっと」

京楽は、勧められるままに酒を飲んだ。

海燕と浮竹も、酒を飲んでいくが、お互い果実酒だった。

「海燕君、こっちも飲んでみなよ」

京楽の酒が杯に注がれる。

それを飲み干して、海燕は驚いた顔をした。

「なんだこの酒・・・・・強いけど、めちゃめちゃ美味い!」

「そりゃ、高級酒だからね。樽1つ分で100万」

「たけぇ・・・俺の給料がとんじまいそうだ」

「気にいったのなら、もっと飲むといいよ」

京楽に酒を注がれて、次々と飲んでいく。

酔うことはないのかと思っていたら、ぱたりと飲むのをやめた。

「浮竹隊長好きですーー!」

「ええええ!」

海燕が、浮竹に抱き着いていた。

そして、あろうことか、京楽の目の前でキスをしたのだ。

「おい、海燕酔っているのか」

「京楽隊長も好きです!」

固まっていた京楽に抱き着いて、キスをする。

「えええ!海燕、しっかりしろ」

海燕は、酔うと誰にでもキスをするのだと、初めて知った。

京楽は、酒を飲んで、海燕とのキスをなかったことにした。

「君のところの副官、今後酒を飲まさないほうがいいね」

「いや、一緒に飲んだことは何度かあるが・・・・・酔っぱらった姿を見るのは初めでだ。そうか。キス魔になって、誰にでも愛を告げるのか・・・」

海燕はしまいには寝てしまった。

「どうしよう、これ」

「まぁ、まだ僕たち花見をし始めたところなんだから、しばらく放置しておこう」

京楽の言葉で、海燕は放置された。

「やっぱり、高級酒といっても、京楽の酒を飲むものじゃないな。強すぎてすぐに酔ってしまう」

浮竹は、果実酒だけを飲んでいた。

ちらりちらりと桜の雨がふり、杯の中に落ちた。

「風流だねぇ。綺麗だ」

「ああ、綺麗だな」

「僕は、景色もだけど、桜の雨の下にいる君も綺麗だと思う」

「また恥ずかしいことを・・・」

その後料理を口にした。

京楽家お抱えの料理人の作った重箱入りの弁当で、美味かった。

「海燕にも食べさせてやりたかったな」

「また、花見に誘えばいいさ」

「そうだな」

浮竹と京楽は撤収した。

朽木家の庭には、酔っぱらった海燕が放置されていた。

「はっくしょん・・・あれ?隊長?」

一人放置されたのだと気づいて、なんて上官だと思いながら、雨乾堂に帰ると、酔ってキス魔になり、浮竹と京楽に好きだと抱き着いてキスをしたことを教えられて、顔を蒼くするのであった。


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卯ノ花の想い

「斬りあいを続けましょう、更木隊長」

「へっ、そうこなくっちゃな!」

「卍解・・・・・皆尽」

卯ノ花の霊圧が一気にあがった。

それをさも楽しそうに、更木が受け止める。

「これは私の罪--------------」

「何言ってやがんだ!もっと斬りこんでこい!」

皆尽によって、卯ノ花は全身に負ってい傷を回復させた。

「へっ、上等じゃなねぇかよ」

一方の更木は、血にまみれで傷だらけた。

卯ノ花は、皆尽の能力で、更木の怪我を癒した。

「てめぇ、なんのつもりだ」

「あなたと、少しでも長く戦っていたい。血が騒ぐのです。初代剣八としての血が」

「ぬかしてろ!」

「あなたとの戦いは、甘い痺れのようだ」

「随分と、官能的な言葉を吐きやがるな」

キンキンカキン。

斬魄刀と斬魄刀をぶつけ合った。

「きっと、私は心の何処かで、あなたを愛してたんでしょうね」

更木が、悲しそうな顔をした。

「そんな府抜けた感情で、俺に勝つつもりか!」

「いいえ----------------勝つのは、あなただ」

何度も斬り結び合った。

卯ノ花が癒してくれた傷以上の傷を負っていた。出血のしすぎで、体がふらつく。

ザシュリと、卯ノ花の胸を貫いた更木の斬魄刀。

「おい・・・・・・・・」

「もう、私もおしまいのようですね。もっとあなたと戦っていたかった。でも、あなたは私を倒した。私の屍をこえていきなさい」

「卯ノ花!」

「愛しています、更木剣八。あの世で、待ってますよ。いつか、迎えにいきますから」

「卯ノ花ーーーーー!!!」

鮮血を散らして、卯ノ花はこと切れた。

「馬鹿野郎・・・・・・俺も、てめぇを好きだったんだよ」

物言わぬ屍となった、卯ノ花に口づける。

血の味はとても甘美だった。


「この霊圧は・・・・・・!」

浮竹が、無暗から出てきた血だらけで満身創痍の更木を見た。腕の中には、血まみれの卯ノ花がういた。

「どけよ」

「卯ノ花隊長をどうするつもりだ!」

「どうもしねぇよ。4番隊に届けるだけだ」

「更木隊長、それはあまりにも--------------」

「うるせぇ。どうしようと俺の勝手だ。俺は、卯ノ花が好きだったんだ。殺して、気づいた」

「更木隊長・・・・・・・・」

「いかせてやりなよ、浮竹」

「でも、今卯ノ花隊長の死を知られると、指揮が・・・・」

「もう、そんなこと言ってられないくらいにがたがたなんだ。これ以上、最悪の事態にはならないさ」

更木は、卯ノ花の遺体と共に消えた。

「俺に耐えれない。好きな相手を殺すなんて」

「そりゃ、浮竹は優しいからね」

「優しいとか優しくないとかの問題じゃない!更木隊長は正気なのか?愛する女性を手にかけて----------」

「そうするしか、更木隊長は答えられなかったんだよ。卯ノ花隊長も、斬りあいでしか感情をぶつけれなかった。凄く不器用なんだよ」

「なんて悲しい愛し合い方なんだ・・・・・」

「誰もが、僕や浮竹のようになるとは限らないからね」

「でも、悲しすぎる!」

ぽたりと、卯ノ花を思って、涙が零れた。

「君が泣くことはないよ。これは卯ノ花隊長が選んだ道。泣くことは、卯ノ花隊長を侮辱する事になる」

「でも・・・」

震えている浮竹を抱き締めて、とんとんと背中を叩いてやった。

まるで、赤子をあやすかのように。

「俺は卯ノ花隊長が好きだった。恋愛感情ではないけれど、とても好きだった」

「うん。辛いね」

「卯ノ花隊長は、安からかにいけただろうか」

「さっき顔を見たでしょ。凄く満足そうな顔をしていた」

「京楽、もし俺が-------------」

言葉は、そこで止まった。

もし俺が、あんな風に死んだら、泣いてくれるか?

そう言おうとして、縁起でもないと、考え直す。

護廷13隊の死神は、 尸魂界のために死なば本望。

卯ノ花は、更木を目覚めさせることが、尸魂界の今後の戦いに必要となると知って、命を散らせた。

「卯ノ花隊長、どうか安らかに。先生のもとで、待っていてください」

いずれ、俺も尸魂界のために命を散らすだろう。

その時は、京楽と笑って別れよう。

そう思う浮竹であった。

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やり過ぎの受難

「日谷隊長、いるかい?」

「浮竹か。どうしたんだ、その恰好は!」

10番隊の執務室にやってきた浮竹は、大きくはだけられた死覇装をまとっていた。

首筋から胸元にかけて、いっぱいキスマークが残っていた。

「京楽が盛った。その気がないので逃げてきた」

「目の毒だ。ちゃんと服を着ろ」

「あ、ああ・・・すまない」

「浮竹~~~~~」

京楽の声をが聞こえてきた、

「ぎゃあああああああ、きたあああああああああ」

「浮竹、今なら4回で済ませてあげるから、出ておいで」

「4回って・・・・・・何回する気なんだ、あのおっさん」

「浮竹、日番谷隊長のところにいるのは分かってるんだよ。5回にされたくなかったら、大人しく出ておいで」

「浮竹はいない」

日番谷が浮竹を庇ってそういうと、京楽はにたりと笑んだ。

「おかしいなぁ。浮竹の霊圧を感じるんだけど」

「浮竹、俺には無理だ。大人しく、餌になれ」

「日番谷隊長のばかーーー!」

浮竹は逃げ出ようとした。

でも、呆気なく、京楽に捕まってしまう。

「浮竹、5回ね」

「無理だ!俺の体がもたない!」

「この前4回したじゃない」

「この年で4回だとか5回だとか、精強剤飲んでるだろ!」

浮竹の言葉に、京楽が舌を出した。

「あら、ばれた?」

「いつも通りの3回なら許す」

「そんなこと言わずに・・・・あ、日番谷隊長も使ってみる?精強剤・・・・・・ぷぷぷ、相手がいないか」

「京楽、お前・・・・・・蒼天に座せ、氷輪丸!」

「うわああああああああああ「

京楽は、天高く消えていった。

「助かった、日番谷隊長」

「う~き~た~け~~」

「ぎゃあああああ、また来たあああああああ!」

「蒼天に座せ、氷輪丸!」

斬魄刀を始解して、京楽を吹っ飛ばす。

「う~き~た~け~~」
「ぎゃあああああ、また来たあああああああ!」
「蒼天に座せ、氷輪丸!」
「うーきたけーーー」

「浮竹、諦めて京楽に食われろ」

「日番谷隊長のばか!」

京楽に抱き上げられながら、浮竹は京楽を呪った。

「3回以上したら、半月は抱かせてやらない」:

「そんなぁ・・・・・」

精強剤の意味もなくなる。

「それに、3日前にしたばかりだろう!」

「浮竹、詳しいことはいいから」

日番谷が、聞きたくないとばかりの顔をする。

「中だし3回の、外だし2回・・・・次の日は、腰が痛くて立てなかった」

「おい、浮竹、聞いているのか」

「中だしするなら、コンドームつけろ!」

「ああもう、お前らは!蒼天に座せ、氷輪丸!」

ひゅるるるるどっかーーーん。

でも、空中で京楽は浮竹を抱き上げると、瞬歩で雨乾堂まできて、きっちりと3回分を堪能するのであった。

浮竹は、結局美味しくいただかれてしまうのであった。



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一護がルキアを好きな理由13

「来たか・・・・・・」

朽木邸では、白哉や恋次の他に、主だった隊長副隊長が集まっていた、

「どうしたんだ。みんな集まって」

「君が死神になるのを、見届けにきたんだよ」

総隊長である京楽が、一歩前に出る。

「さぁ、この薬を」

丸い玉だった。

義魂丸に、少し似ていた。

がりがりと、かみ砕くと、とろりとした甘い蜜が出た。

それを飲み込むと、一護はばたりと倒れた。

「一護!」

「案ずるな。人間としての生が終わっただけだ」

ゆっくりと、一護が立ち上がる。

「あれ?俺、これで本当に、死神化したのか?」

「そうだ。内なる魂に聞いてみよ」

「本当・・・みてぇだな。そうか。けっこう呆気ないものなんだな」

「その薬は、死神代行を死神化するために作られものだ。ただの人間が飲んでも、何も起こらぬ」

「俺、泊まるとことかないから・・・しばらく世話になるぜ、白哉。あ、これ温泉いってきた土産」

草津の湯の元を、白哉と恋次に渡した。

「おう、ありがとな」

恋次は、笑っていた。

「ルキア、幸せになれよ」

「ああ。恋次も、最近6番隊の5席と付き合っているのであろう?」

「う、情報拾うの早いな」

「兄様から教わった」

「隊長、何ルキアにちくってるんですか!」

「知らぬ」

白哉そっぽを向いた。そこで、一先ず解散となった。

残された一護は、白哉にルキアと籍を入れる許可と、結婚式の日取りを教えた。

「え、もう結婚!?」

「兄が心変わりしないうちに、朽木家に沈めておく」

「いや、俺ルキア以外を愛する自信ないんだけど・・・・・・」

籍を入れるは明日で、式は来月だった。

「なぁ、白哉のやつ、ちょっと気が早すぎないか?俺たち、付き合ってまだ半年も経ってないぞ?」

「心配なのであろう。兄様は、緋真姉様を亡くされてから、私の幸せばかりを願っておらられる」

「でも、一度ルキアのことを見殺しにしようとした」

「兄様はあの時のことをとても後悔なさっている。何度も謝られた」

「へぇ、あの白哉が」

「これを見てくれ」

「綺麗な櫛だな」

「緋真姉様のものだ。私が好きな相手といられるようにと、兄様に託しておられたのだ」

「かしてみろよ」

「うむ」

その櫛で、ルキアの髪をすいた。

「きもちいいな・・・・・」

ルキアに櫛を返した。

「俺たち、絶対に幸せになろう」

「そうだな!」


次の日には、籍をいれに貴族街までやってきた。

いろいろな障害があったが、全部白哉は取り除いてくれて、籍はあっけなく入れられた。

「これから、貴様は朽木一護だ」

「ええ、俺婿入りなのか?」

「説明しておらなんだか?」

「聞いてねぇよ」

ぶつぶつ文句を言っても、ルキアと結婚できて一護は嬉しそうだった。


それから1か月後、盛大な式を挙げた。

尸魂界の恩人の式だけあって、貴族の他にも護廷13隊の隊長や副隊長の姿が目立った。

「ルキア・・・・・うおおおおおおおおお」

恋次は、酒を飲みながら、白無垢姿のルキアに涙を零していた。

現世からは、元死神である一心が呼ばれていた。結婚式を様子を娘たちに見せるために、動画を撮っていた。

白哉に連れてこられた白無垢姿のルキアの手をとり、指輪の交換をして、誓いの言葉を口にして、口づけた。

そして、酒を飲み交わしあう。

「ここに、朽木一護と朽木ルキアを夫婦として認めるものとする!」

白哉の宣言と一緒に、歓声に包まれた。

後は無礼講で、それが嫌な貴族連中はさっさと去ってしまった。

「一護が、ルキアと結婚とはのう・・・・・」

「夜一さんも来てくれてたのか!」

「4大貴族代表でな」

美味い酒と美味い御馳走を食べにきたのだとは言えくて、そう言っていた。

「今日はとことん飲むぞ!」

「俺もだ。ルキアも飲めよ」

勧められるままに飲んで、ルキアも一護も酔っぱらった。

「白哉坊の結婚式を思いだすのう」

「夜一・・・・わざと、二人に飲ませな」

「たまにはええじゃろ。二人そろって、酔っぱらって・・・・・」

白哉は眉を顰めつつも、ルキアと一護を介抱した。

二人は、悪酔いすることなく、大人しく眠ってしまっていた。

人を呼んで、正装から楽な着物に着替えさせて、与える予定だった朽木家の寝室に寝かせた。

「幸せになれ、ルキア。私は緋真を失った。でも、そなたには一護がいる・・・・」

ルキアも一護も、幸せそうな顔で眠っていた。

二人とも、見た目はまさ少年少女だ。

これからの、未来を担う人材だ。


翌日。

一護とルキアは、1週間現世の北海道に新婚旅行に行った。

尸魂界戻り、白哉に新巻鮭とカニを渡した。

「楽しんできたか?」

「ああ。お陰様で羽を伸ばせた」

「兄様、北海道という場所は広くて・・・・」

ルキアの話を、白哉は幸せそうに聞いた。

「今度、現世に旅行に行くときは、白哉、あんたも一緒だ」

「私は・・・・・」

「家族、だろ?」

にやりと笑う一護に、薄い笑みを返した。

一護は、1か月をかけて貴族としての所作やらに至るまでを叩きこまれたそうだが、あまり見た目も行動も変わっていなかった。

ただ、貴族間での出来事に顔を出す時は、きちんとしていた。


やがてルキアは13番隊隊長となり、一護は13番副隊長となった。

二人は3人の子に恵まれて、末永く幸せに暮らした。

その隣には、同じく幸せそうな白哉と、新婚の恋次の姿もあった。


穏やかで、静かで、幸せな時間を生きた。

ルキアと一護は、いつまでも仲睦まじかった。


一護がルキアを好きな理由。

ルキア、だから。
              



              一護がルキアを好きな理由
                   fin

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一護がルキアを好きな理由12

朝目覚めると、もう昼だった。

「寝過ごした!遅刻だ!!」

そう言うルキアに、一護が苦笑する。

「もう学校はねーよ。おとつい、卒業しただろう?」

「そうであった・・・・・」

ルキアは恥ずかしそうにしていた。

「この宿、朝飯と昼飯ないから、外に食べに行こう」

「ああ、もう11時か・・・お腹が減ったな」

一護もルキアも、浴衣姿のまま外出した。

手打ちそばの店に入って、少し早めの昼食をとった。

それから、白哉や恋次用のお土産を探して散策した。

「やっぱ、草津の温泉の元が妥当か」

「ああ、兄様も恋次もきっと喜ぶ」

二人分を、2週間分購入した。

けっこうな出費になったが、こつこつと貯めてきたのでなんとかなった。

「宿に戻るか」

「ああ。また温泉にでも入るか」

二人は、混浴風呂を利用してみた。平日なので、貸し切り状態だった。

ルキアは胸までバスタオルを巻いて、一護は腰にバスタオルを巻いて、一緒の湯に浸かった。

「なんだか、ドキドキするな」

「今日の予行練習だと思えばいい」

はらりと、ルキアがバスタオルを脱いだ。

「ほら、貴様も・・・・・」

一護も、一糸まとわぬ姿になる。

お互い、真っ赤だった。

でも、互いの髪を洗いあって、背中を流した。

風呂からあがり、することもないのでテレビを見ていた。

「あ、茶虎だ」

「本当だ」

茶虎は、ボクシングを始めていた。期待の新人として、スポーツ番組で紹介されていた。

やがて夕方になり、夕飯がやってくる。

今日は、てっちり鍋だった。

「これは食べたことがないが・・・うむ、美味い」

「フグには、猛毒があるからな。料理免許のある料理人でしか、扱えねぇ」

「毒があるのか。兄様には、食べさせられないな」

「まぁ、いつか白哉を連れて、温泉宿で泊まろうぜ」

「そうだな」

やがて、夜になった。

一護とルキアは、正座しあい、向き合っていた。

「俺は始めてだ。優しくするつもりだけど、乱暴になったらすまない」

「私も初めてだ。全てを、貴様に委ねる」

「いただきます」

「どうぞ、召し上がれ」

ルキアを抱き寄せて、浴衣を脱がしていく。かわいい下着をつけていた。

「ルキア、かわいい」

「あ、いちご・・・・・」

ブラを外し、僅かな膨らみを手でもんで、先端をつねると、ビクンとルキアの体が反応した。

キスマークを、体中につけた。

パンツをぬがせる。

もう、濡れていた。

手でくちゅくちゅと刺激してやると、ルキアはあっという間に達してしまった。

「ああああああ!」

「大丈夫か?」

「ああ、続けてくれ」

ルキアの秘所に、舌を這わす。

「あ、そのような・・ああああぁぁぁあ!」

愛液が溢れてきて、それを飲んだ。

秘所の天井付近を指でこすってやる。ルキアはまたいった。

「あああ!」

何度かそんなことを繰り返し、灼熱がルキアの秘所に宛がわれた。

「いくぞ」

「んっ!」

ずっと、音を立てて入り込んでくる。

動きは緩慢で、ルキアのいいとこばかりを突いてきた。

「あああ!」

「ルキア・・・かわいい。綺麗だ」

「あ、いちご、もっと・・・・」

くちゅくちゅと、秘所の天井をすりあげてやれば、ルキアは高い喘ぎ声をもらす。

「ううん・・・・・」

口づけをした。舌が絡まる。

「あ・・・・」

ずっと、奥に穿ってきた。

「あ、そこやだ・・・・・」

「いいってことだな?」

「や!」

何度か突き上げて、一護はルキアの中に欲望を吐きだしていた。

「もう1回したいけど、いけるか?」

「ん・・・大丈夫・・・・・・・」

「ごめん、少し乱暴になるかも」

「構わぬ」

一護は、最初はルキアの快感だけを追って抱いていたが、今度は欲望のままにルキアの体を開かせていった。

「ひあああああ!」

ぐちゅぐちゅと、熱が出入りする。

「ルキア、愛してる」

「あ、一護、私も愛している」

出入りする熱に合わせて、ルキアは嬌声をあげた。

「ぁぁぁぁあああ!」

ずちゅんと奥を貫かれて、ルキアの体が痙攣する。

一護も、ルキアの子宮の中で欲望を放った。


はぁはぁと、お互い荒い息をついていた。

そして、大の字で寝転がった。

「風呂、入れそう?」

「無理だ・・・・」

「じゃあ、濡らしたタオルでいいか」

用意してあったタオルで、互いの体をぬぐい、情事の後を消し去る。

「あ、血が・・・・」

ルキアの秘所から、処女膜が破れたことによる、僅かばかりの血が流れた。

「ルキア、初めてをありがとう」

「どういたしまして」

初めての夜は、思っていたほど乱暴なものではなく、優しい痺れを残す甘いものだった。

「これなら、何度抱かれてもよい」

「そんああおるよなうなこと言うなよ」

「ふふふ・・・・これでもう、貴様は完全に私のものだ」

「お前も俺のものだ」

甘い夜は、そうして過ぎていった。

次の日の朝も少しだけ睦みあった。

温泉に入り、身を清めて宿を出た。

「一生の思い出だ」

「俺もだ」

黒崎家に戻り、荷造りをした。

書き置きを残す。

穿界門が開かれた。

ルキアに誘われるままに、中へと入っていく。

黒崎一護、18歳。人間としての死が、待っていた。

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一護がルキアを好きな理由11

いよいよ、卒業式の日を迎えた。

父親の一心もきてくれた。

妹たちんは伝えていないが、一護は父親にはちゃんと死神になってルキアと共に尸魂界で暮らすことを伝えた。

ただ「そうか。ルキアちゃんを幸せにしろよ」とだけ言われた。

石田が卒業生代表としてスピーチをする。

女子生徒の何人かはすにで泣き出していた。

校長と、在学生代表のスピーチが行われ、校歌が流れた。

そして、一人一人名前を呼ばれて、卒業証書を受け取る。

「黒崎一護」

「はい」

「朽木ルキア」

「はい」

卒業証書を手に、二人は並んで写真をとった。

石田、井上、茶虎やたたつき、啓吾、水色たちと写真をとりあう。

井上はあれから落ち着きを取り戻し、今は石田と付き合っていた。

「黒崎君、石田君、茶虎君、朽木さん・・・離れ離れになるの、悲しいよう」

井上が大泣きしだした。

つられて、ルキアもわんわん泣きだした。

「なんだよ、石田、涙ぐんでるのかよ」

「違う!ほこりが目に入っただけだ」

「茶虎を見ろよ・・・・ってめっちゃ泣いてる!?」

茶虎は、井上とルキアと混じって、盛大に泣いていた。

「黒崎君、第二ぼたん、頂戴って子がきてる・・・・・」

「ああ、今行く」

一護はかっこいいから、下級生からももてた。

第二ボタンだけでなく、全てのボタンを奪われた。

石田もだ。

茶虎は、下級生と交際していた。その子に、第二ボタンをあげた。

「卒業おめでとう、みんな。そえぞれ歩む道は違うが、時折集まって騒ごうぜ」

「一護、それは・・・・・」

「大丈夫、白哉も鬼じゃない。それくらい、許してくえるはずさ」

「黒崎君?どうしたの、変なの」

井上の言葉に、苦笑する。

結局言えなかった。ルキアを追って、死神になって現世を捨てると。

「行こう、ルキア」

「真実を、伝えなくてよかったのか?」

「ああ、いいんだ。いつか、伝えるさ」

黒崎家に戻り、草津の湯ので予約してある温泉宿に行く用意をした。

「ああ、明日が楽しみだなぁ」

「そうだな」

その日は、早めに就寝した。


次の朝になって、草津の湯にいくために、バスで揺られること数時間。

やっと温泉宿についた。

「ようこそいらっしゃいました」

荷物を預けて、先に部屋に入った。すぐに荷物は届いた。

「いい部屋だな。眺めも良い。梅の花が見ごろだな」

「そういう部屋とったからな」

この日のために、バイトで金を貯めていた。

「早速温泉に入るぞ!」

「おう!」

それぞれ、男湯女湯に別れて、温泉に入った。

「ああ、いいお湯だった・・・・・」

2泊3日なので、のんびりできる。

「夕飯、少し早いけどとろうか」

「どんなものが出てくるのであろう。楽しみだな」

夕食は、カニ鍋だった。

「カニか・・・食べるのは、2カ月ぶりくらいか」

黒崎家でカニ鍋を何度かした。

「おお・・・味が全然違う。流石いい宿だけあって、飯も美味いな」

カニ鍋の他にも、カニの蒸し焼き、カニの刺身、カニの天ぷらがついてきた。

「カニづ尽くしだな・・・・・・」

「カニ、嫌いか?」

「いや、好物だ。だが、朽木家では鍋を誰かとつつくということがなかったので、ほぐされた身がいつも出てきた。こうやって、自分で身をとって食べると知ったのは、現世にきてからだ」

「そうか。一つ、勉強になったな」

「ああ」

その日の夜、ルキアはドキドキしていた。

「どうした、寝れないのか?」

「約束をしていたであろう。卒業旅行の温泉宿で体を重ねると」

「明日だ」

「そうか、明日か・・・・・・」

「もう寝ろ」

「うむ」

明日を考えると、ドキドキして胸が高鳴って、なかなか寝れなかった。

「一護、起きておるか」

「ああ、どうした」

「そちらの布団の入ってもよいか」

「甘えん坊だな。いいぞ」

もぞもぞと、ルキアは移動した。

「貴様の体温が心地よい・・・・・・・」

そのまま、うとうととルキアが眠り出す。一護も、いつの間にか眠っていた。




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一護がルキアを好きな理由10

一護が好きだった。

その太陽のような髪の色も、屈託なく笑う笑顔も、好きだと囁いてくる甘い声も、少年にしては鍛えあげられた体も。

一護を好きな理由はいっぱいある。

優しいところとか、強くて守ってくれることとか。

抱かれるなら、絶対に一護がいいと思った。

150年以上生きてきたが、誰かに抱かれたいと思ったのは初めてだった。

一護と付き合う前に、何度かお見合いをさせられたが、いまいちピンとこなかった。

心の中には一護が住んでいた。

空白の1年7カ月は厳しかった。寂しくて、何度か一護の姿だけを見ていたが、よくその隣には井上がいて、醜い嫉妬という心を始めて知った。

一護に霊圧が戻り、再会を果たすが、好きだという前に大戦が始まった。

終わった今でも、大戦の爪痕は大きい。上司であった浮竹十四郎も死んだ。本来ならば、高校へなど通わせてもらえる身の上ではなかった。

13番隊副隊長であり、隊長代理であった。

一護の我儘で、4か月だけ現世にいられることになった。

お互いを好きだと確認して、付き合いだして、恋人同士になった。体の関係はまだなかったが、卒業旅行で、処女を失うことになる。

怖くはなかった。

だって、相手は愛する一護だ。きっと、とろけるほどに優しくしてくれる。

興味を起こして、エロ本なるものを購入し、読んでいると一護に取り上げられた。

「こんなくだらないもので、間違った知識をつけるなよ?」

そう言って、返してくれた。

こんなことをするのかと、赤くなった。

知識では知っていたが、いざ自分の身になると、硬くなった。

こんなことこで、一護を喜ばせられるのかと思った。

一護が好きそうな下着をわざと選び、着ていたが、一護に自然体のままでいいと止められた。

「ルキア・・・愛してる」

一護にそう言われると、胸が高鳴って、心臓がドキドキした。

自分だけなのかと思ったが、一護もの心臓もドキドキしていた。

「一護・・・好き」

そう言うと、一護は頭を撫でて、優しいキスヲしてくれた。


尸魂界に、一度里替えを兼ねて戻った。

一護とは、1日だけの別れであったが、辛かった。

「黒崎一護は、13番隊の3席についてもらう」

白哉の声を、ぼんやりと聞いていた。

「はい、兄様・・・・・・・」

段取りは着々と進んでいて、一護は卒業旅行が終わると同時に現世を去り、死神となることが決まっていた。

「兄様、いつか一護と籍を入れてもいいですか?」

「考えておく」

きっと、白哉のことだ。

許してくれるだろう。

「一護・・・・貴様のいない世界は、こんなにも色がない」

朽木邸では、早めの梅の花と寒椿が同時に咲いていた。

「ルキア、これを・・・・・・・」

白哉に、櫛を渡された。

「兄様、これは?」

「緋真が愛用していた櫛だ」

「そんな大切なもの、頂けません!」

「ルキア、そなたに使って欲しいのだ。これは緋真の遺言でもある、ルキアによい人ができたら、この櫛で髪をとかして愛されて欲しいと・・・・・」

「姉様の・・・・・・」

ジワリと浮かんだ涙は、大粒の涙になった。

「兄様、兄様!」

白哉に縋りつき、泣くと、白哉はとんとんとその背を叩き、あやしてくてた。

「私は、4大貴族でありながら、人間を愛してしまいました。死神になるとしても、身分も何もありません」

「そのよなこと、よいのだ。貴族の掟をまげて緋真を娶り、そなたを義妹として養子に迎え・・・・もう、朽木家は貴族の掟に縛られない」

「兄様、私は緋真姉様のように、兄様を置いていきません。兄様の傍で、一護と暮らします」

「そうか・・・・よいのか?貴族としての柵(しがらみ)がついて回るぞ」

「私も、覚悟を決めました。一護の元に嫁ぐ代わりに、一護を婿養子とします」

一護なら、きっとその選択を受け入れてくれる。

ああ、一護。

今すぐに会いたい。

抱き締めて、貴様の太陽の匂いを感じたい。

「籍を、いれるのを許そう。結婚式も盛大に行おう」

「兄様?」

「愛する義妹が選んだ男なのだ。貴族としての全てを叩きこんでやろう」

すまぬ、一護。

兄様に、火をつけてしまったようだ。

「朽木一護として生きる覚悟があるのか、その性根に叩きこんでやろうぞ」

白哉は薄く微笑んだ。

兄様は美しい。

男とは思えぬ美貌に、細い体をしている。

朽木家に跡取りをと、何度も後妻をとれと言われても、白哉は決して首を縦にはふらない。

緋真だけを愛していた。

「梅の花の季節がやってきたな・・・・・・・」

「庭には、見事な紅梅があります」

「緋真は梅が好きだった。緋真のために、この朽木家の梅は植えられた」

「そうだったのですか・・・・」

「そのヘアピンは、黒崎一護が買い与えたのか?」

「そうです、兄様」

「よく似合っている。そなたの瞳はまさにアメジスト」

「兄様・・・・・」

その日、本当に久しぶりに白哉と一緒に、梅を見ながら酒を口にした。

現世では未成年扱いで、酒は飲めなかった。

明日の現世いきに差し障りがあるといけないので、量は少なめに飲んだが、白哉は思ったより深酒をして酔ってしまった。

「ルキアにも、愛しい相手ができるのか・・・・時間が経つのは、早いものだ。そなたを養子に迎えたのが、昨日のことのように感じる」

「兄様、愛しています」

「私もルキア、そなたを愛している」

二人の義兄妹は、寄り添い合いながら、夜を過ごした。


「では、兄様、行ってまいります!」

「くれぐれも、風邪など引かぬように」

「はい!」

穿界門が開かれる。

断界を通りぬけえると、目と鼻の先に、黒崎家があった。

窓から一護の部屋に入る。

「ああ・・・一護の匂いがする・・・・」

ルキアは、2日高校を欠席した。病欠ということになってた。実際は、里帰りだったのだが。

誰もいない黒崎家で、一人ルキアは一護の部屋で、一護のパジャマを胸に抱きながら眠った。

「あれ、ルキア帰ってきてたのかよ・・・・・眠ってるのか?」

スースーと、静かな寝息が聞こえた、

「ルキア、かわいいな・・・・」

恋人の部屋で、恋人のパジャマを胸に抱きながら眠るルキアは、行動もだが見た目が凄くかわいかった。


一護がルキアを好きな理由。

とにかく、かわいい。


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一護がルキアを好きな理由9

井上の存在を無視しながら、授業を受ける。

浦原が、これ以上騒ぎを起こす前にと、井上に記憶置換を使い、井上から一護を好きな記憶を全て奪ったのだ。

自業自得とはいえ、哀れだった。

「黒崎くーん、朽木さーん、屋上でお昼ご飯たべよ」

無害になった井上は、前までのような明るさと優しさを取り戻した。

これでよかったのだと、二人とも納得した。

クラスメイト達には記憶置換を使い、何事もなかったことにしていた。

烈火の如く怒っていたたつきも、平常運転だ。

屋上で昼食をとりにいこうとすると、水色と啓吾もついてきた。水色と啓吾も、記憶置換をで元に戻されていた。

「朽木さんに井上さんと一緒にとは・・・・両手に花とはけしからん!」

「うっせーな、啓吾。蹴るぞ」

すでに蹴っていた。

「うるとら酷い!」

「あー、あと卒業まで半月かー。高校3年、長いようで短かったなぁ」

水色の声に、一護も思いを馳せる。

ルキアと出会ったことで、人生の全てが変わった。

ルキアと付き合いだしていろいろあったが、好きだと打ち明けて、恋人同士になれてよかったと思っている。

きっと、一護が好きだと言わなかったら、ルキアは恋次と交際を始めていただろう。恋次がルキアのことを好きなのは知っていた。

でも、これだけは譲れない。

ルキアは俺のものだ。

その日の昼食は、購買で買った焼きそばパンとカレーパンだった。

「一護のお弁当の方がおいしい・・・・」

「え、何、一護のやつ、朽木さんの分の弁当も作ってくるの?」

「そうだぞ。一護の手料理は美味いのだ」

「まぁ、一緒に住んでるからな」

それを二人は知っていたが、ここまでできているとは思っていなかった。

「ああ、二人は親公認の同棲・・・・もう、結ばれたのだろうか」

啓吾の言葉に、ルキアが首を横に振る。

「私と一護は、高校卒業までは清い関係なのだ!卒業旅行で、処女を失うことになっている」

ルキアの爆弾発言に、井上も啓吾も水色も固まって赤くなった。

「あーあーあーあーあーなんでもねぇよ!行くぞ、ルキア!」

「あ、まだカレーパンが・・・・」

ルキアをずるずると引きずって、人気のない教室に入る。

その間にルキアは、残っていたカレーパンを全部食べてしまっていた。

「ルキア、卒業旅行のこと、あんまり公にするな」

「何故だ?」

「その、恥ずかしいだろう!」

「私は恥ずかしくないが」

「俺が恥ずかしいんだよ、バカ!」

ルキアを抱き寄せて、キスをする。

カレーパンの味がした。

「いいか、卒業旅行のことは、親父にも妹たちにも、友人たちや知人にも内緒だぞ!」

「もう、兄様に連絡済みだ」

一護は、天を仰いだ。

でも、白哉は特に何も言ってこなかった。

「白哉は、卒業旅行について、何か言ってなかったのか?」

「一護が、私を捨てて他の女に乗り換えるようなら、千本桜の錆にすると仰っていた」

「おお、こええ・・・・・」

まぁ、一護がルキア以外の女と付き合うはずがない。

井上に記憶をいじられても、結局は元の鞘に収まったのだ。

「卒業旅行は、私と貴様だけの秘密なのだな?」

「もう大分秘密じゃなくなってるけど、一応秘密な」

「恋次に、一護に初めてをあげるのだと言ったら、悔しがっておった」

「おいおいおいおい、ルキア。何恋次にまで爆弾発言してるんだよ!」

「だって、恋次は家族だ」

「恋次は、お前のこと好きなんだぞ」

「そうなのか」

別段、驚きはしなかった。

「言っとくけど、俺みたいにルキアのことが好きなんだぞ」

ぶーーーー。

飲んでいた、紙パックのオレンジジュースの中身を、ルキアは吹き出していた。

「れ、恋次が?」

「そうだ」

「そうで、あったのか。道理で、よく「好きだ」とか言ってきただな」

「もう、昔みたいに恋次にもあんまり気を許すんじゃねーぞ。恋次は襲ったり、井上みたいに記憶をいじってきたりはしねーだろけど、念のためだ」

「分かった・・・・恋次と二人きりになるのは、なるべく避けるようにする」

昔は、よく恋次と一緒に同じベッドで眠っていたと言ったら、一護は怒るだろう。

そうかと、思い出す。

恋次との時間は、甘い恋人同士のようなものだったのだ。

だが、一切手を出してこなかった。

抱き締められることや頭を撫でられることがあったが、キスもしなかった。

「兄様に、恋次が元気か聞いてみよう」

白哉専門伝令神機で、白哉に電話をして恋次のことを話すと、ちょうど隣にいたので、恋次が出た。

「恋次、元気にしておるか」

「おう、なんか用でもあったのか?」

「いや特には・・・・」

「一護の奴は、優しいか?」

「ああ、とても優しい」

「ないとは思うけど、振られたらいつでも尸魂界に帰ってこいよ!俺が待ってるから!」

ルキアから伝令神機を取り上げて、恋次に噛みつく。

「恋次にルキアを渡すような真似はしねーよ」

「うお、一護いたのか。びっくりするじゃねーか」

「ルキアは俺のものだ!」

「そんなこと、わーってるよ。井上に記憶いじられて、少しルキアを泣かせたそうだな」

「う・・・・・」

「ルキアを泣かせるなよ!あんまり酷いと、俺がさらっていっちまうからな」

「そんなこと、させるかよ!」

「たわけ、一護、貸せ」

ルキアが、伝令神機を奪い返す。

「一護とは、結ばれる。それが私の望みだ、恋次」

「そうか。振られた俺は、大人しくやけ酒でも飲んで、彼女候補でも探すか・・・5席に綺麗な子が入ってきたんだよな・・・・・ねらい目か?」

「そうだぞ、恋次!貴様は副隊長だし、見た目も悪くない!ガンガン攻めて落としてしまえ」

「おう!じゃあな、ルキア」

恋次が、白哉と変わる。

「そこにいるか、黒崎一護・・・・・・」

「なんだよ、白哉」

「ルキアのために、全てを捨てる覚悟はあるか?家族も友さえも」

「ある」

「では、卒業旅行が終わったら尸魂界に来い。身辺整理をして」

「どういうことだよ、白哉」

「兄には、本物の死神になってもらう。私やルキアと同じ時間を生きるのだ」

「え・・・・・」

一護が、言葉に詰まる。

「嫌ならば、ルキアは渡さぬ」

「わーったよ。突然すぎてびっくりしただけだ。ルキアのためになら、死神にでも悪魔にでもなってやらぁ!」

「一護・・・・・」

ルキアが、泣いていた。

「じゃあまたな、白哉」

急いで伝令神機を切って、ルキアと目線を合わす。

「どうしたんだ、ルキア」

「家族よりも私をとってくれるのか・・・・・愛している、一護」

「死神になっても、家族と絶対に会えないわけじゃねぇだろ?それに、ルキアとずっと一緒にいたい。死神なれと言われるなら、なるさ」

一護の決意は固い。

ルキアとの別れと家族との別れ、どちらを選ぶと言われた、家族との別れを選ぶ。

「貴様と、永遠の愛を・・・・・」

ルキアの、一護があげたアメジストをあしらったヘアピンが、窓の外から入ってきた太陽の光を受けて、キラリと輝いた。

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一護がルキアを好きな理由8

「ルキア、パンツ見えてる」

「知っておる」

階段を昇っていた。

「今日は白の苺模様か・・・・・・」

「このムッツリスケベが!」

「あいて!」

ルキアに尻を廊下で蹴られたが、一護はニンマリとていた。

「いいな、今日のパンツ。俺のもろ好みだ」

「では、このパンツを卒業旅行にはいていこうか?」

「うーん、それは任せる」

教室に入ると、ずかずかとたつきがやってきて、いきなり殴られた。

「何するんだよ!」

「あんた、織姫に手を出したのに、何責任とってないんだ!」

ざわざわと、教室中でざわめきが大きくなる。

「はぁ?俺が井上に手をだし・・・・・たのか?」

甘い匂いが満ちていた。

「これは・・・・!」

ルキアが、息を止める。

浦原のところで扱っている、記憶を改竄させるお香であった。

「井上、またか!」

「ふふ・・・・・今度こそ、黒崎君は私のもの・・・・・・」

ルキアも、そのお香を吸って、倒れてしまった。

気づくと、みんな不思議な表情を浮かべていた。

「俺たち、どうしたんだ?」

「さぁ?」


「私は何を・・・一護?」

一護は、井上の隣にいた。

「嬉しい、黒崎君。私と、付き合ってくれるのね?」

「お前を傷物にしちまった。責任をとるよ」

「一護!」

ルキアには耐性があったため、お香はきいていなかった。一度、朽木家の財産を狙う上流貴族に同じお香をかがされて、付き合っていると思い込まされたことがあった。

寸でのところで白哉が助けてくれて、お香をうちけす液体を飲まされて、我に返った。

「あの液体を・・・・」

ルキアは屋上までくると、白哉に事情を説明して現世にまで赴いてもらった。

「これが、お香の効果を消す液体だ。スプレー状に噴射することでも効く。黒崎一護には原液を、それ以外にはスプレー状でふきかけるがよかろう」

「ありがとうございます、兄様」

「手伝わなくて、良いのか?」

「これは私と一護の問題です。もしもだめだったら、改めて兄様にお願いします」

「分かった」

白哉は、念のために学校の屋上で待機していた。

「黒崎君、帰ろ♪」

「まだ授業あるじゃねぇか」

「それより、いいことしましょ。まさか、嫌なんて言わないよね?私を傷物にしておきながら・・・・・・」

「んなわけねーだろ、井上。井上が好きだ」

「一護」

「なんだ、ルキアか。お前とは、もう終わったんだ」

お香のせいとはいえ、じわりと瞳に涙が溜まった。

「朽木さん、黒崎君はもらっていくから」

「井上を傷物にした責任はとらねーとな。どけよ、ルキア。邪魔だ」

ルキアは、まずクラス中のメンバーにスプレーを吹きかけた。

「え、何!?」

「織姫・・・・・あんた、傷物だって・・・・・嘘?」

たつきが、泣きながら笑っていた。

「嘘じゃない!黒崎君んが無理やり私を!」

しゅっと、スプレーを井上にもかけた。お香は、自己暗示能力もあった。

「あ・・・私、何を・・・・・・?」

「おい、ルキア、さっきから何してるんだ!俺の井上に何しやがった!」

「嬉しい、黒崎君。私のこと、ちゃんと思ってくれてるんだね」

ルキアは、スプレーの原液を口にすると、井上の前で一護に口移しで飲ませた。

「あれ・・・?俺・・・井上を傷物に・・・・・?」

「しっかりしろ、一護!記憶をいじられておるのだ!自分を強く保て!」

「いやあああ、この関係を壊さないで、朽木さん!」

泣き出す井上を、ルキアは見ようともしない。

「偽りの関係などすぐに破綻する」

「ルキア・・・思い出した。俺、変なお香かがされて、井上を傷物にしたと思い込んで・・・お前を振ろうとした」

「よいのだ、一護。元に戻ってよかった・・・・」

「井上。もう、これ以上俺たちに関わるな。2回も俺の記憶いじってまで、彼女になりたいのかよ」

「黒崎君は人間なんだから、死神の朽木さんとずっと一緒にはいられない。私なら、黒崎君の隣うにずっといれる。だから・・・・・」:

「だから、他人の記憶勝手にいじっていいってのかよ!」

あの一護が、井上の頬をぶった。

「くろさ、き、くん・・・・・・」

「いい加減にしやがれ!お前のことなんて知るかよ!俺はルキアを選んだんだ。例えそれで不幸になるとしても、ルキアを選ぶ」

「いやあああああ!行かないで!!!!」

「織姫、いい加減にしな!」

たつきにまでぶたれて、井上はその場でへなへなと座り込んだ。

「うわああああああんん」

誰も、井上に同情する者はいなかった。

井上を放り出して、屋上にきていた。

「浦原に、もう2度と井上に記憶をいじるものを売らせないと誓わせば」

「それはもう、私がしておいた」

「兄様!」

「白哉!」

「あの井上という女・・・ルキアを悲しませた。許せぬ」

「兄様、くれぐれも手出しは無用でお願いします」

「もうした。次に同じ行為をすると、斬り捨てると脅した」

「兄様、迷惑をかけてしまって申し訳ありません」

「不測の事態だ。仕方あるまい。黒崎一護」

「なんだよ、白哉」

「ルキアを、頼む・・・・・・」

「ああ、任せてくれ」

白哉は、そのまま瞬歩で去ってしまった。

「今日はもう帰ろう。教室、きっと騒ぎで授業どころじゃない。それに、井上の近くにいたくない」

「そうだな。今日はもう帰ろう」

まさか、あの優しかった井上が2回もと思いながらも、ルキアは一護を手放さない。

どんな条件をつまれても。

それだけ、一護を愛しているのだ。

「愛している、一護」

「俺もだ、ルキア」

昼までに帰ったことにより、誰もいない黒崎家のリビングルームで抱き締めあった。

「そうだ。貴様の作ってくれたお弁当を食べそこねていた。ここで食べるか」

「あんなことがあったのに、飯かよ。ある意味凄いな」

「尸魂界ではもっと酷い記憶の汚染を見たことがある。それに比べれば、あの程度、どうということはない」

「でも、涙浮かべてたぞ?」

「うるさい!」

ルキアは照れて、苦ションを一護に投げた。

「まぁ、俺も柄減ったし、昼飯にすっか」

二人で、一護特製のお弁当を食べた。とても美味しかった。

「明日から、どんな顔して井上に会えばいいんだか」

「堂々としておればよい。悪いのは井上だ。今回のことでたつきなんかも巻き込んでおる。井上は当分学校にこれぬであろう」

しかし、次の日井上はいた。

根性が座っていると、二人とも思った。

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一護がルキアを好きな理由7

土曜になり、ハイキングに行くことになった。

「ふんふーーん」

ルキアは、機嫌よさそうに荷物をリュックに詰め込んでいく。

「ルキア、置いていくぞー」

「あ、待て!」

一護が作った特製弁当を大切にしまいこんで、リュックを背負う。

動きやすいいつものワンピースに、山を登るので、上着を着た。一護とお揃いで、色違いのパーカーだった。

いうもの靴とは違う、運動靴をはいた。

バスで山の麓まで昇り、後は自分たちの足が頼りだった。

標高600メートルくらいで、そんなに急な坂道があるわけでもなかったが、長い時間坂道を歩いていると、足が痛くなった。

「一護、足が痛い。少し休憩しよう」

「がんばれ、もう少しで休憩所だ」

「分かった」

痛む足を叱咤しながら、坂道を登っていくと、休憩所についた。

トイレがあって、自販機があった。

水筒はもってきていたが、中身は残り少なかった。

「ほら」

自販機で買ったスポーツドリンクを渡されて、ごくごくと飲んだ。

喉が渇いていた。

1時間ほど休憩して、また坂道を登る。

やっとのことで、山頂に辿り着いた。

「ふー。空気が綺麗だな」

山頂から見える景色はよかった。

「お腹すいた・・・・昼飯にするか、一護」

「ああ」

草っぱらにシートをしいて、寝転がって少し休憩した後に、ぐーっとお腹がなって、一護特製のお弁当場箱をあける。

ごはんの上に、一護の顔があった。

「かわいくて、もったいなくて食べられぬ・・・」

「そんなもの、いつでもまた作ってやるから、普通に食べろ」

「本当だな!?来週の学校にもってくるお弁当も作ってくれ」

「分かったよ」

いつもは購買部でパンを買うか、食堂で済ますのだが、ルキアたっての願いであれば、一護も弁当を作るための少しの早起きくらい、苦ではない。

ふと、ルキアが伝令神機で白哉と連絡をとっていた。

「一護特製のお弁当なのです、兄様」

「黒崎一護の料理の腕はいいのか?」

「はい、兄様。兄様も、機会がれば一度食べてもらいたいです。それと、ミアは元気にしていなすか?」

ミアとは、ルキアがこの前買った子猫の名前だった。

「子犬のような性格の子猫だ。とてもやんちゃで、ルキア、そなたを見ているようだ」

「ミアの品種は、子犬のような性格らしいのです。兄様、しばらくそちらに帰れぬ私の代わりに、遊んでやってください」

「にゃああああ」

「ミア?」

「にゃおおお」

白哉が交代する。

「元気そうであろう?」

「はい。安心しました」

「また、何かあればかけてこい。何かなくてもいいが」

「はい、兄様!」

ルキアは、白哉専用の伝令神機を持っていた。

重度のブラコンで、週に2~3回は会話をしているし、メールでのやりとりもある。

「さて、いただきます」

一護の顔を食べていく。髪は薄く焼いた卵焼きだった。

「んーおいしい」

エビチリが入っていた。

ルキアはエビチリが大好きだ。

他にもエビマヨ、カレーコロッケ、焼きそば、鮭の塩焼きが入っていた。

「どれも美味しい・・・・」

ルキアは時間をかけて味わって食べた。余分に買っておいたスポーツドリンクを飲んで、シートの上に寝転がる。

「ああ、いい天気だし、このまま寝てしまいたい」

「2時間したら、下山するから。寝るなよ」

「分かっておる!」

突風がふいて、ルキアのワンピースが捲れた。

「ピンクか・・・・・・」

パンツ星人の一護は、ルキアのパンツの色を確かめて嬉しそうだった。

「貴様、むっつりすけべであろう?」

「健全な男子だ。好きな恋人のパンツは見たくなる」

「兄様に聞いてみよう」

「うわ、それはやめろ!」

「どうしてだ?」

「お前のパンツを毎度見ていると知られたら、斬られそうだ」

「兄様はそこまで・・・でも、兄様のことだ。斬りそうだな。仕方ない、やめておこう」

ほっとする一護。

2時間たち、下山の時間になった。

頂上からの風景を、伝令神機で写真に収め、白哉にメールで送るルキア。

本当に、ブラコンだ。白哉も白哉でシスコンだし。

まぁ、それもルキアのかわいいところだ。

下山する途中、ルキアが足をくじいた。

「おい、大丈夫かよ!?」

「軽くひねっただけだ・・・・いたたた」

一護は、荷物をルキアにもたせて、ルキアをおんぶした。

「もう少しで山の麓だ」

「すまぬ、一護」

「いいんだよ。回道かけておいたか?」

「ああ。この程度の捻挫なら、1時間ほどで治りそうだ」

「そうか、良かった」

ルキアも回道が使えぬわけではないが、小さな怪我くらいしか癒せない。

山の麓までつき、一護から降りて、荷物を一護にもたせたままバスに乗った。

帰宅して、一護が念のために湿布をはって包帯を足に巻いてくれた。

「うむ。明日には治っているはずだ。それより、あさっての月曜は一護特製の弁当を頼むぞ!」

食い意地がはっているわけではないが、一護の手作り弁当がとても気に入ったらしいルキアは、念をおしてきた。

「わーったよ。ちゃんと作ってやるから、今日と明日はあんまり足動かさないようにしろよ」

「うむ」

ルキアは、言われた通り日曜はあまり動かなかかった。夜になり、湿布を外す。

「回道のお陰でもあってか、もういいようだ」

「そうか。よかったな」

「明日の弁当は」

「どれだけ食い意地がはってんだ。分かったから」

ルキアの頭を撫でて、抱き締めながらベッドに横になった。

「昨日はめっちゃ疲れたけど、あんまり眠れなかったんだ。今日は早めに寝る・・・・・」

「おい、一護!一護!」

揺さぶっても、一護は起きなかった。

ルキアは、一護の下から這い出て、一護に毛布をかけてやった。

「ふふ・・・・こうしておると、年相応の少年に見えるのだな」

安らかな顔で眠る一護をの隣にルキアは座って、携帯ゲームをしていた。そのうち眠くなって、一護の腕の中に入るようにもぐりこんで、一緒のベッドで眠るのだった。

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一護がルキアを好きな理由6

最後の1か月を切った。

今日も、ルキアのスカートは短かった。

階段を昇っていると、パンツが見えた。もう、羊毛のフェルトパンツをはいておらず、普通のパンツだった。

「ルキア、パンツ見えてる」

「貴様、嬉しいのであろう」

「他のやつに見せたくないから、スカート抑えろ」

「仕方のないやつだな」

「それはこっちの台詞だ」

すれ違った男子たちが、パンツが見えなくなったルキアに舌打ちを打っていた。

「おい、そこのお前ら」

「ひいいい、黒崎!逃げろおおおお」

蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

相変わらず、ルキアは男子に人気が高い。

パンツが見えても、何も言わないのだ。男子生徒が、盗撮ことしなかったが、一護のいないところでは、ルキアのパンツが見えるか見えないかを巡って、熾烈な争いを続けていた。

「なぁ、ルキア、頼むかから階段を昇り降りするときはスカートの裾を押さえてくれ。それだけでパンツがなかなかに見えなくなる」

「貴様は、私のパンツを見たいのであろう?」

「そうだけど、他の男子生徒にまで見えるから」

「そんなもの、放っておけばよい」

「それができねぇから、頼んでるんじゃねぇか!」

「まぁそう怒るな。今度から気をつける」

「ほんとかよ・・・・」

この前も、同じような会話をして、スカートを押さえるとか言ってたのに、このざまだ。

ふと、井上とすれ違った。

「黒崎君、話があるの。後で屋上にきて」

「ああ・・・・・・」

放課後、井上の呼び出されて屋上にまできた。

「黒崎君を朽木さんなんかに渡さない!」

井上が手にしてたのは、記憶置換だった。

「何を・・・」

「黒崎君、あなたは私の恋人なの。いい?朽木さんのことは忘れて別れて」

「あ・・・・・・」

「黒崎君、私のこと好き?」

「ああ、好きだ」

「朽木さんとは、別れてくれる?」

「それは・・・・パンツだ」

「え?」

井上が、首を傾げる。

「井上、何をしている!それは記憶置換だな!一護に使ったのか!」

ルキアが、一護の凄まじい霊圧の乱れに気づいて、屋上にきていた。

「違うの、朽木さん、これは!」

「記憶置換を渡せ。人間がもっていい代物ではない」

素直に記憶置換を、ルキアに手渡して、井上はたくさん泣きながら走り去ってしまった。

「一護・・・・元に戻れ」

記憶置換を使う。

「あれ?俺どうしたんだ・・・・ルキア?」

「一護、井上に何の記憶を操作されようとした?」

「ルキアのことを、忘れろって。井上とは恋人同士だって・・・・少しだけど、そんな気分になってた。最悪だ」

「井上には、後で灸をすえておく」

「ルキアと別れろって言われて・・・・俺、パンツって答えてた」

「はぁ?」

ルキアが、素っ頓狂な声を出す。

「俺の心の底にルキア=パンツって解釈があるみたいだ」

「貴様、このたわけが!」

一護の顔に、蹴りをかます。

「あ、パンツ見えた。黒で白のチャッピーの柄いりか・・・・・」

「貴様はパンツ星人か!」

「ルキアのパンツは特別なんだよ!」

どんな特別だ。そう言いたかったが。

「貴様がほとんど記憶をいじられていなくてよかった・・・・」

もしも、一護に嫌いだ別れようと、言われたことを想像するだけでも寒気がした。

「貴様は私のものだ・・・・・」

「ああ。ルキアは俺のものだ」

互いに抱き締めあった。

いつも一緒にいられる時間は1か月を切った。

1日1日を大切に過ごしていく。

その日、井上に浦原から記憶置換を買ったことを聞き、もう2度とこんな真似をしないと約束させた。

「私、諦めないよ。朽木さんが尸魂界に帰ったら、黒崎君と付き合ってみせる」

「ふふ・・・・好敵手というわけか。あいにくだが、私も土日はこちら側へ来ることが決まっている。私は消えるわけではない」

「そんな・・・・・・」

井上は、また涙を零した。

「一護は渡さない。例え井上にでもだ」

昔のルキアなら、井上の思いを優先させて身を引いただろう。

だが、今はもう一護にメロメロなのだ。一護がいない世界など、考えらえない。一護がいて、初めてルキアはこの世界に存在するのだ。

井上は、ルキアの頬を叩いて、逃げていった。

「ふふ・・・・恋に狂ったか。まぁ、しょせんは井上も女というわけか」

教室に戻ると、一護が神妙な顔で机に座っていた。

「どうした、一護」

「井上が、付き合ってくれないと死ぬと言い出した」

「それで、貴様はどうしたのだ」

「ルキアとは別れられない。死ぬなら勝手にしろって言ってやった」

一護は、眉を顰めていた。

「ふふ・・・井上も、こんな男の何処が良いんだか」

「おいルキア、それはないだろう」

「すまぬすまぬ。一護は、私だけを見てくれるのだな」

「当たり前だろ。お前の恋人だ」

その日も、手を握り合って帰宅した。

夜寝る時間になって、ふとルキアがいないことに気づいた。

伝令神機がなっていた。

虚退治だろう。

すぐにルキアは帰ってきた。

13番隊の副隊長に昇進しただけあって、かなり強くなっているようだった。

卍解も習得済みだ。

いつか、隊長になるんろうなぁと思いながら、義骸に入ったルキアを抱き寄せた。

「すまぬ、起こしてしまったか」

「いいんだよ。虚退治の時は俺も起こせ。一緒にいく」

「もう、お前の手を煩わせるような虚はいない。私も強くなった。私一人で十分だ」

「念には念のためだよ。前、素早い奴が出ただろ。あんな時もある」

「分かった・・・今度から、寝ている貴様を叩き起こして連れていく」

「ああ」

ルキアの頭を撫でて、抱き締めたままベッドにころんと横になった。

「ルキアの匂いがする・・・」

「恥ずかしい奴だな・・・・・」

そう言いつつ、ルキアも満更ではなさそうだっった。

一護がルキアを好きな理由。

素直じゅないように見えて、けっこう素直。

どこまでも優しい。





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一護がルキアを好きな理由5

卒業まで、いよいよ1か月となった。

一護は志望大学を受験し、見事に受かった。

春からは、大学生だが、あまり嬉しそうじゃなかった。

「ルキアがいなくなっちまう」

いつも、当たり前に隣にいたルキアは、尸魂界に戻ってしまうのだ。

「あー。こうしていちゃつけるのも、あと1か月かぁ」

一護の部屋で、膝枕をしてもらい、耳かきをしてもらっていた。

「反対側も頼む」

「なぁ。何故、私は一護の耳かきをさせられておるのだ?」

「彼氏彼女の間だろ。それくらいいいじゃないか」

「貴様だけ気持ちよくなるなんてずるい!」

「じゃあ俺がルキアの耳かきをしてやるよ」

「よかろう。させてやろう」

尊大な態度だが、素直で可愛かった。

「む、これは気持ちいいな・・・・」

「だろ。絶対癖になるって」

反対側の耳かきもしてもらって、ルキアはご満悦だった。

日曜だった。

「デートでもするか?」

「別段、行きたいとことがあるわけでもない」

「まぁ、俺冬服新しいの買いたいし、デパートでもいくか。白玉餡蜜おごってやるよ」

「仕方ない、ついていってやろう。感謝しろ」

めっちゃ尊大な態度だが、それも一護にとってルキアが好きな理由の一つだ。

尊大な態度をとるが、けっこう素直でかわいい。

これも外せない。

デパートにくると、冬物の衣服が処分セールをしていた。いつもの半額で、欲しいと思っていた服の他にもいくつか服を買う。

ルキアは、マーメイワンピースを見て、それを手にとって試着室で着替えた。

冬用なので、長袖で生地も厚いが、それだけでは寒いだろう。ダウンのジャケットも選んで、一緒に着てみた。

「似合ってるじゃねーか。買ってやりたいとこだけど、まだバイト代入ってきてない・・・・」

「貴様に買ってもらわずとも、自分で買える」

チャッピーのリュックから100万円の札束をとりだして、それを会計のレジに置いた。

レジ店員が、引き攣った笑みを浮かべていた。

「そんなにいらねーよ。1万円札が1枚あればいい」

「そういうものなのか。安いな」

1万円を払うと、冬物のセール中なので5500円のお釣りが返ってきた。

それを、チャッピーのリュックに直す。

「ほら、腹減ったろ。レストラン行こうぜ」

「貴様、金がないのであろう。今日は私がおごってやる」

「う・・。確かに、白玉餡蜜おごるくらいの金しかない・・・・・」

この前水族館にいったのと、ルキアの誕生日用にヘアピンを買ったことで、貯めていた金はけしとんでしまった。

特にヘアピンは金細工だったので、金が飛んだ。

でも、安物をプレゼントしても喜ぶだろうが、朽木家の姫君なのだ。相応のものをあげたあかった。

今日も、ルキアは髪を一護があげたヘアピンで留めていた。

最近毎日つけてくれる。学校にもつけていき、井上なんかにすごく羨ましがられていた。一護からもたったのだと、嬉し気にいうルキアに、井上は一護に何かいいたそうな顔をしていたが、結局何も言ってこなかった。

ルキアは、普通のレストランではなく高級レストランに入った。

「おい、ルキア、いいのかよ」

「たまには私がおごってやると言っているだろう。金はあるのだ。好きなだけ食べればよい」

一護は、ならばと遠慮せずに松阪牛のステーキを頼んだ。

ルキアも同じものを頼んだ。

「んー流石に高いだけあってうまいな」

一応、白玉餡蜜も置いてあるみたいだが、普通のレストランの2倍以上の値段がした。

その白玉餡蜜を、一護の分も含めて2人分注文する。

やってきた白玉餡蜜に顔を輝かせるルキア。ペロリと平らげて、まだ食べている一護の白玉餡蜜をみて、こう言う。

「白玉を食べやろう」

「素直に欲しいっていえよ」

「欲しいからよこせ」

「率直すぎだ・・・・・」

食べかけの白玉餡蜜を、ルキアが食べていく。

お勘定は、5万円になった。

恐るべし、松阪牛のステーキ・・・・・。

ルキアにあげたヘアピン2つより高かった。

「今日はもうすることがないな」

「ペットショップにでもよるか?」

「おお、それはよいな。飼えぬが、見ているだけで心が和む」

デパートの1階にある、大型のペットショップまで足を伸ばした。

「たっけぇ・・・・」

子犬、特に子猫の値段に驚く。

20万は当たり前、中には100万をこしてる子もいた。

「ぬう、この子は私の全財産では買えぬ子なのだな」

100万円の値札がケージに貼られた子猫を見る。

「でも、分割払いとかできるし・・・・・・」

「決めた。こっちの子を買う」

「え、おい。俺んちはペット無理だぞ」

「何も、貴様の家で飼うわけではない。朽木家で飼うのだ」

伝令神機で白哉に電話をかける。

「兄様、飼いたい子猫がおります。買ってそちらに送りますので、私が尸魂界に帰還するまでの間、ちよに世話を頼めますか」

ちよは、尸魂界の朽木家で、白哉には清家がいるように、主に面倒を見てくれる女性だった。

「よかろう」

そんな、白哉の声が聞こえた。

ルキアが選んだ子猫は、スコティッシュフォールドの雌猫だった。

愛らしいくりくりした目と、垂れた耳がかわいい茶色の毛並みの子猫だった。

いろいろと説明を受けて、もう予防接種は終わっていることを確認し、30万をその場で一括で支払って、キャリーケージに入れて、黒崎家ではなく浦原の店にいった。

浦原商店では、裏の空き地に静かに白哉が佇んでいた。

「兄様!」

「ルキア、元気にしておるか」

「この子猫を頼みます。スコティッシュフォールドという種類で、血統書つきです」

「ほう。よい血筋の猫なのだな」

キャリーケージから出して、白哉は子猫を抱き抱えた。

「耳が垂れておるのか。なかなかに愛らしい」

穿界門が開けられる。

「尸魂界への帰還まであと1か月・・・黒崎一護、ルキアを頼む」

「ああ、分かってるよ白哉」

白哉は、茶色い毛並みの子猫を抱いて、尸魂界に戻ってしまった。

「なぁ、いいのか?えさとか猫の砂とか買わなくて」

「それくらい、尸魂界のペットショップでも買える。ただ、犬猫の品種は少なくて、現世でしか買えぬ種類のペットがほとんどだ」

「そうか。でもなんで、急に猫なんか・・・・・・」

「ではないか」

「え?」

「あと1か月が経ってしまうと、毎日貴様の隣にはいれぬではないか!寂しさを紛らわすためだ。何か文句でもあるのか!」

「ルキア・・・。1か月経ったら、土日はこっちにくるんだろう?」

「そうだ。それでも、毎日貴様の隣のいれぬのは寂しい・・・・・」

ルキアを胸にかき抱いていた。

「ふあ・・・・」

舌が絡むキスをして、一護はルキアの耳元で囁く。

「1年7か月の空白を我慢したんだ。あの頃を思えば、週に2回しか会えないなんて、どうということはねぇよ」

「一護は、私が傍にいなくて平気だというのか?」

「誰もそんなこといってねーだろ。できることなら、全てを捨ててお前の元にいきたい」

「一護・・・」

ルキアは、全てを捨てろと言おうとした。死神化できる方法があるのだ。

でも、まだ1か月の時間があるし、一護には家族がいる。

いつか、死神化できるからと言って、人間であるか死神になるかを選ばせようと思うのだった。



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翡翠に溶ける 浮竹の見合い

死神になり、2年が経とうとしていた。

3席であることも堂々とてきたある日、京楽ではなく浮竹の元に、見合い話がもちこまれた。

上流貴族の姫君で、浮竹は断ったのだが、権力を振りかざされて、受けることとなった。

「白銀香と申します」

「白銀・・・・・?」

「兄が、5席ですの。よく浮竹様のことを話すので、気になって見たのですが、一目惚れです。どうか、嫁にもらってください」

「俺は、京楽と結婚してるんです」

エンゲージリングを見せると、香は笑ってこういう。

「京楽様と付き合ったままでかまいません。どうか、嫁に」

「すみません。俺では、あなたを幸せにはできないし、きっと子供も作れない」

「どしててもダメですか」

「ええ」

「では、京楽様の命をいただきます」

「なんだと!」

浮竹が叫んだ。

「白銀家は隠密機動を率いています。秘密裏に、京楽様を屠れます」

「その時は、俺も自害する」

「そんな・・・・・・・」

香は、へなへなと座り込んだ。

本気で京楽に手をかけるつもりはなかったし、隠密機動を少し動かせる権力があるだけで、率いているわけでもない。

「このことは内密にしておくので、諦めてください」

「私はあなたが好きです!」

「俺は、あなたが嫌いだ。権力を振りかざす輩に、まともな者はいない」

香は泣き出した。

「あなたの兄、音羽殿のためにこのことは内密にしてさしあげますから、諦めてください」

「浮竹、浮竹はいるかい!?」

「そんな、京楽様・・・・閉じ込めておいたのに、何故」

香は、慌てだした。

「京楽、こっちだ!」

浮竹の声がする方へ、京楽がやってくる。

「5席の白銀音羽君に助けられた。愚かな妹を処罰しないで欲しいと言われたけど、これは山じいの耳に入れておいた方がいいね。浮竹、怪我はないかい?」

「京楽の方こそ。無事で良かった」

香は、泣きながら浮竹の方を見た。

「来世では、夫婦になりましょう!」

「何を!」

止めようとしたが、遅かった。

香は、刀で喉の動脈を切り裂いて、こと切れてしまった。

「香殿!」

ぶしゅああああと、部屋中が血の海になる。その中に、香は満足した顔で沈んでいた。

「香殿!」

「もうだめだよ、死んでる」

「そんな・・・・俺のせいか・・・・ぐ。ごほっごほっ」

「浮竹!」

浮竹はショックのあまり、肺の発作を引き起こした。

すぐに4番隊の席官が呼ばれて、回道を受けた。

幸いにも軽い発作で、薬を飲んでなんとかなった。

香の遺体はもっていかれ、音羽が茫然自失の状態で現れた。

「すまなかった・・・・愚かな妹を、許してやってほしい」

ぼろぼろと泣き出す音羽を、京楽の目の前で抱き締めた。

「事故だったんだ。誰にも、止められなかった」

「香!かおるーーーーーー!!!」

音羽は浮竹に泣きついて、自決してしまった妹を思った。

しばらくして、冷静になったのか、音羽が浮竹から離れた。

「すまなかった。伴侶の前で・・・・・」

「いや、いいんだ」

それからが忙しかった。

香の葬式に、白銀一族から香を殺したと糾弾された。

音羽と京楽が庇ってくれた。

しばらくの間は、浮竹は死神として仕事を休めと言い渡されて、自宅で大人しくしていた。

香の死を、白銀家の両親が四十六室にもちこんで、裁判沙汰になりそうなのを、山元総隊長が止めてくれた。

「白銀香は自決。誰のせいでもない。悪いのは、自決した香自身である。もしも十四郎の家族や十四郎を傷つけたりすれば、護廷13隊の総隊長である儂を敵に回したと思うがよかろう」

山本総隊長の言葉に、浮竹は救われた。

死神の業務にも戻り、音羽も通常通り5席として仕事に復帰していた。

「香の遺言なんだ。これを君に」

「?」

受け取ったのは、白銀家の家紋の入った螺鈿細工の櫛だった。

「香は、はじめから自決する気でいたしい。遺言だ。どうか、それをもらってほしい。時折でいいから、白銀香という姫がいたと、思い出して欲しい」

「分かった。大切にする」

音羽は、満足したように、泣きながら微笑んだ。

「白銀、泣くな。こちらまで、泣きそうになる」

「すまない。愚かな妹であったが、愛していたのだ」

「家族を愛するのは当り前だ」

音羽は、一度も浮田を責めなかった。

それが、浮竹には辛かった。

京楽や浮竹には、その後に見合いの話が何度か紛れ込んだが、二人とも断固として拒否した。

もう、白銀香のような者を出すのも、誰かが悲しむ姿を見るのも嫌だった。


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