エンシェントエルフとダークエルフ
その世界は、まだ出来立ての世界だった。
世界の名を、フレイアといった。
女神フレイアが治める、作られたばかりの世界では、全てが自由であった。
やがて時が経ち、女神フレイアはある二人の人物を、存在を変えてフレイアの世界へと召還した。
それは、アビスの世界のヴァンパイアマスターの浮竹と、ヴァンパイアロードであり、神喰らいの魔神である京楽だった。
今の浮竹はエンシェントエルフで、京楽はダークエルフだった。
エンシェントエルフは普通のエルフより耳が長かった。ダークエルフは褐色の肌をしているが、京楽の場合肌は普通の白さを保っていて、普通のエルフ、ウッドエルフに見えた。
浮竹と京楽は伴侶であり、このフレイアの世界にきてもそれは変わらなかった。
ただ、ヴァンパイアであった頃の記憶は失っていた。
力も圧倒的なまでにあったが、普通のエンシェントエルフの魔力とダークエルフの魔力を与えられていた。
ロスピア王国の隣にある、イアラ帝国の冒険者ギルドで、Bランクの冒険者として二人で活動していた。
「浮竹、魔力回復のポーションの元になる、マナの花の採取依頼が出ているよ」
「お、それはいいな。マナの花は、ちょうどBランクの依頼だ。オーガどもの住む村の近くに生えるんだよなぁ。オーガはあまり群れないが、たまに集落を築くとそこに生えてくる」
「いっそ、オーガに気づかれないように花だけ採取する?」
「いや、オーガの退治依頼も出ていただろう」
「うん。Bランクだね」
浮竹は入手したばかりの魔力を帯びたミスリルの剣を撫でた。
ミスリルの武器は高い。
Aランクの冒険者でやっと持てるといったかんじだ。
それを、浮竹はエンシェントエルフの村から出る時に、選別としてもらったのだ。
「浮竹は魔法剣士だから剣はいるけど、僕は魔法使いだから、杖を新調したいな」
「オーガの住処に行く前に、この前の報酬でもらった金で、杖を慎重しにいこう」
ダークエルフだと分かると、人間もエルフも他の種族も、いい顔をしない。なので、皮膚の色が普通の色で褐色でないのをいいことに、京楽は種族を普通のウッドエルフと偽っていた。
「あんた、ダークエルフだね?」
魔法の武器防具の店にやってくると、店の主人がそう言ってきた。
「うん・・・ウッドエルフって通してるけど、本当はダークエルフなんだ。ダークエルフに売る武器防具はないってかんじ?」
「いいや、種族が珍しいから声をかけてみただけじゃ。好きな武器防具を選べ。ダークエルフは
魔法の適性が高い。魔力を高めたいなら、その右隣にある杖たちがおすすめじゃ」
「あ、これいいね!」
杖の先端部に、青い魔石がはめ込まれいる、木製の杖だった。
「それは掘り出し物じゃぞ。といっても、中古品じゃがな。なんと、木製の部分は世界樹の木で作られているのじゃ」
「金貨4枚じゃな」
「うーん高い・・・・もう少しなんとかならない?」
「今の手持ちが金貨20枚・・・・そうだ、前の杖を下取りしてもらったらどうだ?」
「うん。愛用していたから、魔力の循環にはいい杖だと思うんだ」
京楽が前の杖を見せると、店の店主は身を乗り出してきた。
「おお、これはまた特殊は・・・・守りの魔法が付与されている杖じゃな。金貨2枚で引き取ってやってもよいぞ」
「じゃあ、これを引き取ってもらって、そっちの中古の杖をもらうとして、差額の金貨2枚を祓うよ」
「うむ。よい商いじゃった」
後日、京楽が売り払った杖が金貨10枚という値段で売られるを、知らぬ二人であった。
「じゃあ、オーガの拠点までいくか」
「一番近くの町まで、乗り合い馬車でいこう」
乗り合い馬車を乗り継いで、3日かけて移動し、一番近い村で一日だけ休息を入れると、その日は宿がないということで、村長の家に泊めてもらった。
オーガの被害にあったことがある村で、オーガを倒してくれる相手をずっと探していたそうで、やってきた浮竹と京楽を快く迎えてくれた。
「じゃあ、出発する」
「じゃあね。帰りも寄るから、よろしくね」
「どうが、女神フレイア様の加護があらんことを」
二人は、オーガの村に向かって歩きだした。
オーガは基本狩猟を行って生活しているが、モンスターだけでなく人間や家畜も食う。
ゴブリンのようにすぐに増える種族ではないし、そこそこ強いのでBランクが適正だった。
「先手必勝だ!」
浮竹がミスリル銀の剣を抜き放ち、門番をしていたオーガの首を斬り裂いて、悲鳴を与える暇もなく殺した。
「ファイアボール!」
集落の木の建物に次々と火の魔法で炎をつけていく。
「マナの花を燃やさないようにしろよ!」
「わかってるよ!周辺のフィールドには、結界を張ってあるから!」
浮竹は、襲い掛かってくるオーガを斬り捨てていく。
「ウォーターボール!!」
浮竹を背後から襲おうとしたオーガの頭部を水で包んで、窒息死させた。
「ウォーターボール!」
浮竹も京楽も、それが一番手っ取り早いと、ウォーターボールの魔法で、敵を窒息死させていった。
「GYAOOOOOOO!!」
「オーガキングだ!気をつけろ」
「ウォーターボール!」
オーガキングは身震いするだけで水の玉を弾けさせた、
「ウォータースピア!」
「GYOOOOO!!」
京楽の放った水の槍は、オーガキングの腹を貫いていた。
「いまだよ、浮竹!」
暴れまわるオーガキングに右肩を切られたが、致命傷ではないのでまず、剣で両目をつぶした。
「GAAAAAAAAA!!」
「エンチャントファイア!」
ミスリルの剣に火を付与して、硬いオーガの皮を斬り裂き、心臓を突き刺す。
それでもオーガキングは倒れなかった。
むちゃくちゃに振り回す剣で、浮竹は左足を切られた。
「ヒール!」
「助かる、京楽!」
「ライトニングボルト!」
先に目を潰して正解だった。
オーガキングは体全体を焦げさせながらも、浮竹を殺そうとする。
「いい加減、死ね!」
浮竹が放った剣は、オーガキングの首を刎ねていた。
それぞれ、倒したオーガから魔石を取り出し、討伐の証拠とする。
「あった、マナの花だよ」
「これだけあると、俺たちの分も確保できそうだな」
浮竹と京楽は、咲いている分だけマナの花を大量につみとって、アイテムポケットにしまいこむ。
オーガたちの魔石も、アイテムポケットの中だった。
アイテムポケットの中では時間が経たない。素材になりそうなモンスターを放り込んだり、料理を保存しておけた。
「さぁ、最寄りの村まで戻って、馬車で町まで戻ろう」
「うん、そうだね。あ、肩の傷、血は止まってるけど一応治しておくね。ヒール」
「ありがとう、京楽」
「ううん、僕のほうこそ。こんな、ダークエルフを拾ってくれるなんて、君くらいだよ」
ダークエルフと同じ褐色の肌をもたないからと、一族のつまはじき者として捨てられていた京楽を拾ったのは、エンシェントエルフの浮竹だった。
どっちも、まだ子供だった。
大人たちの都合で閉じ込められていた京楽を救ったのは、浮竹だった。エルフの森を抜け出して、人間の町で冒険者を始めた。
それでも、あくまで帰るのはエルフの森で。
大人になったダークエルフは、置いておけない、処刑すると言い出した他のエンシェントエルフから京楽を守るように、エルフの森を抜け出した。
村長に見つかり、罰せられると思ったが、選別だとミスリルの剣をもらった。
子供の頃から冒険者稼業を、牢屋からたびたび抜け出す京楽としていたので、ランクはB、そこそこのランクになっていた。
「オーガキングまでやっつけたし、金貨20枚は固いね」
「マナの花もあるからな。全部で35枚はいくんじゃないか」
「じゃあ、しばらく高い宿にでも泊まる?」
「いや、宿は今のままでいい。ただ、浴場に行きたいな」
「じゃあ、お風呂セット買おうか」
「そうだな」
浮竹と京楽は、冒険者ギルドでオーガ討伐の報告をして、魔石を買い取ってもらった。報酬金が金貨20枚、魔石が金貨3枚で売れた。
マナの花は金貨ちょうど15枚で買い取ってもらえた。
考えていたより3枚金貨が多かったので、ちょっと奮発して高めにお風呂セットを買ってみた。
公共浴場で、泡だらけになって、浮竹と京楽は笑いながら長い髪も洗った。
帰り際に、宿の部屋に別れる前に口づけをしあった。睦み合うことがないわけではなかったが、エルフはそういう欲求が薄いので、たまにだった。
公共浴場は安くもなく高くもない値段で、浮竹と京楽は最低週に2日は入っていた。着ている服を洗濯に出すこともできるが、金がかかるので自分たちで洗った。
今泊まっている宿は、中クラスで、夕食はついていないが、朝食はついていた。
そんな宿屋を数カ月借りているので、もはや我が家も同然のようになっていた。
「おはよう、浮竹さん京楽さん」
「ああ、おはよう、女将さん」
「おはようございます、女将さん」
「今日も冒険者ギルドで仕事かい?」
朝食を用意してくれる女将さんに感謝しつつ、今月分の宿代を払った。
それぞれ、1日銀貨2枚の宿なで、月に金貨6枚を払い、二人で12枚払った。
できれば自宅をもちたかったが、保証人もいないし、冒険者ということで危険と隣り合わせなので、家を借りることもできなかった。
「浮竹、抱きしてめていい?」
宿を出ると、京楽が甘えてきたので、浮竹は許可をした。
「大好きだよ、浮竹。ダークエルフの僕なんなの傍にいてくれて、ありがとう」
「俺も大好きだ、京楽。ダークエルフとか、そういうのは関係ない」
二人は触れるだけのキスをして、冒険者ギルドに今日の仕事を探しに出かけるのであった。
世界の名を、フレイアといった。
女神フレイアが治める、作られたばかりの世界では、全てが自由であった。
やがて時が経ち、女神フレイアはある二人の人物を、存在を変えてフレイアの世界へと召還した。
それは、アビスの世界のヴァンパイアマスターの浮竹と、ヴァンパイアロードであり、神喰らいの魔神である京楽だった。
今の浮竹はエンシェントエルフで、京楽はダークエルフだった。
エンシェントエルフは普通のエルフより耳が長かった。ダークエルフは褐色の肌をしているが、京楽の場合肌は普通の白さを保っていて、普通のエルフ、ウッドエルフに見えた。
浮竹と京楽は伴侶であり、このフレイアの世界にきてもそれは変わらなかった。
ただ、ヴァンパイアであった頃の記憶は失っていた。
力も圧倒的なまでにあったが、普通のエンシェントエルフの魔力とダークエルフの魔力を与えられていた。
ロスピア王国の隣にある、イアラ帝国の冒険者ギルドで、Bランクの冒険者として二人で活動していた。
「浮竹、魔力回復のポーションの元になる、マナの花の採取依頼が出ているよ」
「お、それはいいな。マナの花は、ちょうどBランクの依頼だ。オーガどもの住む村の近くに生えるんだよなぁ。オーガはあまり群れないが、たまに集落を築くとそこに生えてくる」
「いっそ、オーガに気づかれないように花だけ採取する?」
「いや、オーガの退治依頼も出ていただろう」
「うん。Bランクだね」
浮竹は入手したばかりの魔力を帯びたミスリルの剣を撫でた。
ミスリルの武器は高い。
Aランクの冒険者でやっと持てるといったかんじだ。
それを、浮竹はエンシェントエルフの村から出る時に、選別としてもらったのだ。
「浮竹は魔法剣士だから剣はいるけど、僕は魔法使いだから、杖を新調したいな」
「オーガの住処に行く前に、この前の報酬でもらった金で、杖を慎重しにいこう」
ダークエルフだと分かると、人間もエルフも他の種族も、いい顔をしない。なので、皮膚の色が普通の色で褐色でないのをいいことに、京楽は種族を普通のウッドエルフと偽っていた。
「あんた、ダークエルフだね?」
魔法の武器防具の店にやってくると、店の主人がそう言ってきた。
「うん・・・ウッドエルフって通してるけど、本当はダークエルフなんだ。ダークエルフに売る武器防具はないってかんじ?」
「いいや、種族が珍しいから声をかけてみただけじゃ。好きな武器防具を選べ。ダークエルフは
魔法の適性が高い。魔力を高めたいなら、その右隣にある杖たちがおすすめじゃ」
「あ、これいいね!」
杖の先端部に、青い魔石がはめ込まれいる、木製の杖だった。
「それは掘り出し物じゃぞ。といっても、中古品じゃがな。なんと、木製の部分は世界樹の木で作られているのじゃ」
「金貨4枚じゃな」
「うーん高い・・・・もう少しなんとかならない?」
「今の手持ちが金貨20枚・・・・そうだ、前の杖を下取りしてもらったらどうだ?」
「うん。愛用していたから、魔力の循環にはいい杖だと思うんだ」
京楽が前の杖を見せると、店の店主は身を乗り出してきた。
「おお、これはまた特殊は・・・・守りの魔法が付与されている杖じゃな。金貨2枚で引き取ってやってもよいぞ」
「じゃあ、これを引き取ってもらって、そっちの中古の杖をもらうとして、差額の金貨2枚を祓うよ」
「うむ。よい商いじゃった」
後日、京楽が売り払った杖が金貨10枚という値段で売られるを、知らぬ二人であった。
「じゃあ、オーガの拠点までいくか」
「一番近くの町まで、乗り合い馬車でいこう」
乗り合い馬車を乗り継いで、3日かけて移動し、一番近い村で一日だけ休息を入れると、その日は宿がないということで、村長の家に泊めてもらった。
オーガの被害にあったことがある村で、オーガを倒してくれる相手をずっと探していたそうで、やってきた浮竹と京楽を快く迎えてくれた。
「じゃあ、出発する」
「じゃあね。帰りも寄るから、よろしくね」
「どうが、女神フレイア様の加護があらんことを」
二人は、オーガの村に向かって歩きだした。
オーガは基本狩猟を行って生活しているが、モンスターだけでなく人間や家畜も食う。
ゴブリンのようにすぐに増える種族ではないし、そこそこ強いのでBランクが適正だった。
「先手必勝だ!」
浮竹がミスリル銀の剣を抜き放ち、門番をしていたオーガの首を斬り裂いて、悲鳴を与える暇もなく殺した。
「ファイアボール!」
集落の木の建物に次々と火の魔法で炎をつけていく。
「マナの花を燃やさないようにしろよ!」
「わかってるよ!周辺のフィールドには、結界を張ってあるから!」
浮竹は、襲い掛かってくるオーガを斬り捨てていく。
「ウォーターボール!!」
浮竹を背後から襲おうとしたオーガの頭部を水で包んで、窒息死させた。
「ウォーターボール!」
浮竹も京楽も、それが一番手っ取り早いと、ウォーターボールの魔法で、敵を窒息死させていった。
「GYAOOOOOOO!!」
「オーガキングだ!気をつけろ」
「ウォーターボール!」
オーガキングは身震いするだけで水の玉を弾けさせた、
「ウォータースピア!」
「GYOOOOO!!」
京楽の放った水の槍は、オーガキングの腹を貫いていた。
「いまだよ、浮竹!」
暴れまわるオーガキングに右肩を切られたが、致命傷ではないのでまず、剣で両目をつぶした。
「GAAAAAAAAA!!」
「エンチャントファイア!」
ミスリルの剣に火を付与して、硬いオーガの皮を斬り裂き、心臓を突き刺す。
それでもオーガキングは倒れなかった。
むちゃくちゃに振り回す剣で、浮竹は左足を切られた。
「ヒール!」
「助かる、京楽!」
「ライトニングボルト!」
先に目を潰して正解だった。
オーガキングは体全体を焦げさせながらも、浮竹を殺そうとする。
「いい加減、死ね!」
浮竹が放った剣は、オーガキングの首を刎ねていた。
それぞれ、倒したオーガから魔石を取り出し、討伐の証拠とする。
「あった、マナの花だよ」
「これだけあると、俺たちの分も確保できそうだな」
浮竹と京楽は、咲いている分だけマナの花を大量につみとって、アイテムポケットにしまいこむ。
オーガたちの魔石も、アイテムポケットの中だった。
アイテムポケットの中では時間が経たない。素材になりそうなモンスターを放り込んだり、料理を保存しておけた。
「さぁ、最寄りの村まで戻って、馬車で町まで戻ろう」
「うん、そうだね。あ、肩の傷、血は止まってるけど一応治しておくね。ヒール」
「ありがとう、京楽」
「ううん、僕のほうこそ。こんな、ダークエルフを拾ってくれるなんて、君くらいだよ」
ダークエルフと同じ褐色の肌をもたないからと、一族のつまはじき者として捨てられていた京楽を拾ったのは、エンシェントエルフの浮竹だった。
どっちも、まだ子供だった。
大人たちの都合で閉じ込められていた京楽を救ったのは、浮竹だった。エルフの森を抜け出して、人間の町で冒険者を始めた。
それでも、あくまで帰るのはエルフの森で。
大人になったダークエルフは、置いておけない、処刑すると言い出した他のエンシェントエルフから京楽を守るように、エルフの森を抜け出した。
村長に見つかり、罰せられると思ったが、選別だとミスリルの剣をもらった。
子供の頃から冒険者稼業を、牢屋からたびたび抜け出す京楽としていたので、ランクはB、そこそこのランクになっていた。
「オーガキングまでやっつけたし、金貨20枚は固いね」
「マナの花もあるからな。全部で35枚はいくんじゃないか」
「じゃあ、しばらく高い宿にでも泊まる?」
「いや、宿は今のままでいい。ただ、浴場に行きたいな」
「じゃあ、お風呂セット買おうか」
「そうだな」
浮竹と京楽は、冒険者ギルドでオーガ討伐の報告をして、魔石を買い取ってもらった。報酬金が金貨20枚、魔石が金貨3枚で売れた。
マナの花は金貨ちょうど15枚で買い取ってもらえた。
考えていたより3枚金貨が多かったので、ちょっと奮発して高めにお風呂セットを買ってみた。
公共浴場で、泡だらけになって、浮竹と京楽は笑いながら長い髪も洗った。
帰り際に、宿の部屋に別れる前に口づけをしあった。睦み合うことがないわけではなかったが、エルフはそういう欲求が薄いので、たまにだった。
公共浴場は安くもなく高くもない値段で、浮竹と京楽は最低週に2日は入っていた。着ている服を洗濯に出すこともできるが、金がかかるので自分たちで洗った。
今泊まっている宿は、中クラスで、夕食はついていないが、朝食はついていた。
そんな宿屋を数カ月借りているので、もはや我が家も同然のようになっていた。
「おはよう、浮竹さん京楽さん」
「ああ、おはよう、女将さん」
「おはようございます、女将さん」
「今日も冒険者ギルドで仕事かい?」
朝食を用意してくれる女将さんに感謝しつつ、今月分の宿代を払った。
それぞれ、1日銀貨2枚の宿なで、月に金貨6枚を払い、二人で12枚払った。
できれば自宅をもちたかったが、保証人もいないし、冒険者ということで危険と隣り合わせなので、家を借りることもできなかった。
「浮竹、抱きしてめていい?」
宿を出ると、京楽が甘えてきたので、浮竹は許可をした。
「大好きだよ、浮竹。ダークエルフの僕なんなの傍にいてくれて、ありがとう」
「俺も大好きだ、京楽。ダークエルフとか、そういうのは関係ない」
二人は触れるだけのキスをして、冒険者ギルドに今日の仕事を探しに出かけるのであった。
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始祖なる者、ヴァンパイアマスター64
「シロ、ハル」
「「はい、藍染様」」
シロとハルと名付けられた、浮竹と京楽と女神アルテナの肉塊の子供たちは、藍染に従順に従った。
そうなるように教育された。
逆らえば鞭うたれた。殴られ、蹴られた。
「父親である、浮竹と京楽を屠っておいで」
「「はい、藍染様」」
二人は女神アルテナの血が濃いせいか、ヴァンパイアロードではなかった。
神でもない、中途半端な存在だった。
ただ保有する魔力が極めて高く、これなら浮竹と京楽を倒せられなくとも、手傷を負わせられるだろうと思った。
藍染は、浮竹と京楽が苦しめばそれだけでも満足なのだ。
--------------------------------------------------------
「ぎゃああああああああああ」
その日の朝は、浮竹の悲鳴から始まった。
最近、ポチとタマの様子が変で、特にタマは食事の時間になっても姿を現さず、ポチがタマの分のドラゴンステーキを住処である暖炉にまで運んでいた。
暖炉の中は藁がしきつめられており、使っていないクッションやら布やらで、なかなか居心地がよさそうな巣になっていた。
その暖炉は大きめで、ミミックが2匹入ってもまだ余裕があった。
タマの様子を見ていると、タマの口から何かがでてきて、浮竹の頭をかんだ。
「なんじゃこりゃああああああ」
浮竹をかんでいたのは、ミミックだった。それも手の平サイズの、小さいミミックだった。
「タ、タマ、お前産んだのか!」
「りんりんりん~~~」
そうだよ、お腹いたかった、やっと生まれたよ、4匹いるんだ、名前をつけて。
そう言われて、浮竹は京楽を呼んだ。
「京楽、来てくれ!」
「どうしたの、浮竹ってぎょえええええええええ」
4匹の小さなミミックにかまれていた浮竹を見て、京楽は悲鳴をあげていた。
「ぞ、増殖したの?」
「違う。タマが産んだんだ」
「ええ、タマってメスだったの?」
「意思疎通はできるが、俺も知らなかった。タマはメスだって言ってなかったからな。ポチも自分をオスだと言っていなかった。オスとメスが自然にいたら、まぁ子供はできるよな」
「そ、そうだね」
ポチは青いリボンをしていて、タマはピンクのリボンをしているせいで、啼き声を聞かなくてもどっちがどっちだか分かって、助かった。
「るんるん」
「りりりり」
「らんらん」
「らららら」
4匹の子供ミミックは、それぞれ鳴き方がまた違った。
「りんりんりん~」
タマが名前をつけてあげてというので、浮竹は。
「よし、イチロー、ジロー、サブロー、シローだ!」
「えええ、そんな適当にでいいの。メスだったらどするのさ」
「見た目でメスかオスかなんてわからないだろう!」
「でも、もっとリンとかララとか、啼き声にあわせた名前をつけてあげても」
浮竹をかみまくっているミニミミックの1匹にかまれて、京楽はほんわりとした。
「か、かわいい・・・・・・」
かじかじとかんでくるが、かむ力は弱く、小さいせいもあってかわいかった。
「るるるるる?」
ポチが、イチロー、ジロー、サブロー、シローでいいのかと尋ねてきたが、浮竹は親指でグッドとジェスチャーして、子供の名前は生まれた順は分からないが、それで決まってしまった。
どれがイチローでジロー、サブロー、シローかも浮竹にも分からなかった。
「るんるん」と鳴くのがイチロー。
「りりりり」と鳴くのがジロー。
「らんらん」と鳴くのがサブロー。
「らららら」と鳴くのがシロー。
ということにしたのだが、定着するまで時間がかかりそうだし、覚えるのにも時間がかかりそうだった。
「子供ってことは、ミルクは・・・いらないな」
ミミックはモンスターだ。哺乳類ではない。
「じゃあ、ドラゴンステーキを」
「りんりんりん」
「え、ドラゴンステーキを消化しやすいようにをしろだって?」
「りんりんりん」
「ドラゴンステーキを切り刻め?分かった」
浮竹は、魔道具のミキサーを取り出して、ドラゴンステーキをペースト状にして、4枚の小皿にわけて与えた。
「るんるんるん」
「りりりりり」
「らんらんらん」
「ららららら」
4匹のミニミミックたちは、ペースト状にされたドラゴンステーキを美味しそうに食べていた。
「うーん、見ていたら俺もドラゴンの肉が食いたくなった。アイテムポケットにまだ未加工のドラゴンの肉があるから、それで夕飯を作ってくれ」
「仕方ないねぇ」
今日の夕飯は和風きのこのパスタのつもりだったが、ドラゴンステーキは食い飽きているので、ドラゴン肉のビーフシチューと唐揚げにすることにした。
その日の夜、ダイニングルームには、浮竹と京楽以外にも、ポチとタマの姿もあった。
子供たちは眠っているらしい。
「るるるるる」
「りんりんりん」
子育てをするのに栄養をつけたいので、普通の夕食を食べたいらしかった。
「でも、今回はドラゴンの肉なんだよね」
ミミックたちの大好物はドラゴンステーキなので、ポチとタマは喜んで、ドラゴン肉でできたビーチシチューを唐揚げを食べて、唐揚げの一部は子供たちへのお土産に持って帰るようだった。
「るるるるるる」
「何、おいしかったって?それは俺に言わずに京楽に言ってくれ。京楽が作ったんだから」
「るるるる」
京楽の頭に、ポチはかみついた。
「これってお礼なの!?」
「俺が教え込んだからな。相手を喜ばす時はとりあえずかみつけと」
「何デンジャラスな方法を教えてるの!まぁ、ポチもタマもミミックだけど、傷ができるほどかまないし、歯もとがってないから痛くないからいいけど」
「イチロー、ジロー、サブロー、シローにもそのうち教え込まなきゃなぁ」
「まだ生まれたばかりでしょ。気が早すぎるよ」
「うーん、やっぱり離乳食あげたほうがいいのかな。ドラゴンステーキは幼体にはあまりよくない気もする」
次の日、浮竹は離乳食だと言って、生きたマンドレイクをぶちこんだ謎の物体を作り出して、ミミックの子供たちにあげた。
ミミックの子供たちは、マンドレイクをそのまま食べてしまった。
「え、意外といけるのか、マンドレイク」
「るんるんるん」
「りりりりり」
「らんらんらん」
「ららららら」
みんな、悪くないよと言ってくれた。
浮竹は涙を零して、ミニミミックたちを抱きしめた。
「京楽でさえ分かってくれない、俺のマンドレイク料理を食べてくれるなんて!天使か!」
浮竹には、ミニミミックたちに翼があり、輪っかがあるように見えた。
「癒される~」
それから、浮竹は毎日のように生きたマンドレイクをぶちこんだ、いろんな料理をミニミミックたちに食べさせた。
「るんるんるん」
ある日、イチローが鳴きながら炎のブレスを吐いた。
「イチロー!?お前、炎のブレスが吐けるのか!?」
「るんるん」
僕だけじゃなよ、ジローもサブローもシローも、いろんなブレス吐けるよ。
「聞いたか京楽」
「うん。君にみっちり古代の魔法文字教えられたせいで、異種族翻訳の魔法覚えれたから、ちゃんと聞こえるよ」
1カ月以上に渡り、毎日魔法文字の勉強を7時間くらいさせられた京楽は、ほとんどの魔法文字を読めるようになっていた。
お陰で、異種族翻訳の魔法も使えるようになっていた。
「イチローはオスみたいだね」
「るんるんるん」
僕とサブローとシローはオスだけど、ジローはメスだよ。
「ジローはメスか!名前は・・・・ジローのままでもいいな!」
「浮竹、女の子なのにジローはいかがなものかと」
「りりりり」
そこにジローがやってきた。
「りりりりりりり」
気にしなくていいよ、ジローって名前好きだよ。マスターがつけてくれた名前だから、好きだよ。
「ジロー!」
浮竹は涙を流しながらジローを抱きしめた。
ジローは浮竹の手にかみついていた。
まだ幼体なので、歯もあまりなく、甘噛みなので痛くもない。
浮竹は、暖炉のある部屋の家具を全部撤去して、暖炉のある部屋そのものをミミックのための部屋とした。
それをポチに伝えると、ポチは嬉しそうに部屋中に藁をしき、いらなくなったクッションやら枕、布団を置いて、さらには布をあげるとそれを藁の上にしいた。
「なかなかいい巣じゃないか」
「るるるる~~~~」
「りんりんりん~~~」
ポチとタマはその部屋の巣が気に入ったようで、子供たちと快適に過ごせると言っていた。
「そのな、子供たちなんだが、俺がマンドレイクを与えすぎたせいか、炎と氷と雷のブレスを吐けるようになっているんだ」
「るるるる?」
「りんりん?」
本当に?それが本当なら凄いことだ。存在の進化だ。
「存在の進化か・・・ハイミミックか」
4匹のミニミミックが散歩から帰ってきた。
ブレスを無駄に吐くことはなく、火事やら怪我の心配はないようだった。
「お前たちは存在が進化した!ハイミミックだ!その存在を誇りに思え!」
「るんるん」
「りりりり」
「らんらん」
「ららら」
4匹は分かっているか分かっていないのか、そうなのと返事してきた。
「よし、今日の昼もマンドレイクをぶち込んだ料理を作ってやるからな!夜はドラゴンステーキだ!」
普通1日1回の食事というか、ミミックは基本飲まず食わずで半年は生きていける。半年に一回、違うモンスターを食べたりして、生命活動を維持していた。
ここにきてから、ポチとタマは毎日ドラゴンステーキをもらい、LVがあがっていた。
その間にできた子も、特別であった。
おまけにマンドレイクの魔力たっぷりな味はなんともいえないが、料理を食べて、存在進化し、ただのミミックからハイミミックになっていた。
「浮竹~~~マンドレイクぶちこんだ料理は、せめてミミックの分だけにしてよ。なんで僕まで食べなきゃいけないわけ?」
「苦情を言うな!嫌なら食べなければいいだろう」
でも、実際京楽が食べなかったら、浮竹は沈み込む。
なので、まずいと分かっていても、京楽は毎日浮竹の生きたマンドレイクをぶちこまれた昼食を食べるのであった。
------------------------------------------------------------------
「ここが、僕らの本当の父様のいる場所」
「ハル、行くぞ」
「うん、シロ」
シロとハルは、見た目こそ浮竹と京楽の色素を持ってはいたが、母親であった女神アルテナの、失われてしまった美貌を受け継いでおり、京楽と浮竹にあまり似ていなかった。
ヴァンパイアでもなかったし、神でもなかった。
中途半端な存在であったが、保持している魔力は高かった。
ジリリリリリリ。
警報が鳴り響き、まずは戦闘人形たちが襲ってきた。
「ファイアロンド」
ハルの魔法で、戦闘人形の全てだけでなく、中庭の薔薇園が吹き飛んだ。
「また、藍染の手の者か」
「あーあ、端正こめてつくった薔薇園がむちゃくちゃだ」
現れた浮竹と京楽の魔力の高さを感じ取り、ハルもシロも震えた。
「「エターナルフェニックス!!」」
ハルとシロが2重で生み出した炎の不死鳥は、浮竹と京楽が張った結界でなんとか防がれているというかんじだった。二人分を足せば、浮竹か京楽のどちからを倒せる。
そう確信していたのだが、それが過ちなのだとすぐに気づいた。
「エターナルフェニックス」
浮竹が呼び出した不死鳥は、二人が生み出した不死鳥よりもさらに高温で魔力に満ち溢れていた。
「エターナルアイシクルフィールド!!」
「エターナルフェンリル!」
同じ属性の魔法をぶつけられて、それが禁呪であろうと、魔力の差を見せつけられる。
「ワールドエンド」
世界の終末の魔法を受けて、浮竹と京楽が丹精こめて育て上げた薔薇や花が散っていく。
それに触れると、塵になるはずであった。
浮竹は、わざとワールドエンドの魔法にふれ、その右手を失いながらただの魔力にかえて握りつぶした。
「浮竹、右手が!」
「大丈夫だ」
失われたはずの右腕にはすでに骨が形成されており、肉をつけて皮膚を生やし、すぐに浮竹の右腕を復活させた。
「マンドレイクを毎日食べているせいか、魔力が前より高い。この程度の傷、癒すなど造作もない」
「ブラックホール!!」
「りんりんりん~~」
「わ、ばか、タマ!!!」
たまたま散歩に出ていたタマは、ブラックホールに吸い込まれてしまった。
浮竹はなんの逡巡もなしに、ブラックホールの中に入るとタマを抱きしめた。
「あはははは、やったぞ、始祖浮竹を倒した」
「藍染様、やりました!」
二人はブラックホールの入り口を閉じた。
「そんな、浮竹、タマ・・・・・」
呆然としている京楽に、魔法を向ける。
「ファイナルフェニックス!!」
炎の最高位禁呪。
それは京楽を飲みこんだ。
「あああああ!!!」
京楽の魔神化が激しくなっていく。
「喰ってやる・・・・・・」
「「ブラックホール」」
「ぐ・・・・・」
魔力を吸われていく。
「京楽を、手を!」
異次元に消えたはずの、浮竹とタマはまだブラックホールの魔法の入り口の空間にいた。
「浮竹!!」
魔力が消滅したわけではないので、死んではいないと思っていたが、すぐに戻ってくるとは思っていなくて、京楽は顔を輝かせて、浮竹の手を握った。
「閉じろ、ブラックホール!」
相手の魔法を、無理やり閉じさせた。
「ハル、お前だけでも逃げろ」
「いやだ、シロ、君こそ逃げろ」
「こっちは、魔力を消耗過ぎた。だが、京楽ならばお前たちの魂を喰える。食われるのがいやなら、藍染の元へ帰れ」
「どうしよう、ハル」
「このままじゃ僕たちは勝てない。一度戻り、もっと魔力を高めて再戦しよう、シロ」
シロとハルは、ゆらりと空間を歪ませると、その中に入って逃げ出してしまった。
「僕と浮竹の子供なのかな」
「そうだろうな。向こうには肉便器アルテナ様がいる」
「肉便器に様をつけないで・・・・・・うぷぷぷぷ」
「おい、笑うと女神に失礼だろ・・・・はははは」
二人は、女神アルテナのみじめな最後を思い浮かべて笑っていた。
「その女神アルテナの魂は、僕が食べちゃったんだよねぇ。正確には、僕の体内の空間に収めたことになるけど。一度解放してみようか?」
「いや、やめておけ。あの女神はゴキブリ並みにしぶとい。お前の空間で永遠の無がお似合いだ」
「それより、タマは大丈夫?」
京楽がタマを心配すると、タマは京楽の頭にかじりついた。
「りんりんりん~~~」
「助けてくれてありがとうって言ってるね」
「お前もやっと異種族翻訳の魔法がさまになってきたな」
「君のスパルタのお陰だよ・・・。それにしても、タマもよくあの魔法に吸い込まれて無事でいれたね」
「昼にマンドレイクのスープを飲ませたからな。魔力の塊だ。タマもポチも、ミニミミックたちと一緒の昼食を取っているから、存在が進化してハイミミックになったようだ」
「ハイミミックかぁ。上位存在ってことは、やっぱり強いんだろうね」
浮竹は、うんうんと頷いた。
「炎、氷、雷のブレスが吐けて、その気になれば人間も食える」
「お願いだから、人食いミミックにはならないでね!」
「りんりんりん~~~~~~~」
心配しなくても、人間なんて食べないよ。だってまずいもの。ドラゴンステーキが一番好き。
「りんりんりん」
マスターの作ってくれるマンドレイクの料理もおいしい。
「お、タマは分かってくれるなぁ」
浮竹が、京楽の頭をかじり続けていたタマを腕の中に抱きしめた。
そこそこ大きさがあるので、持っていると言ってる方が近いか。
タマは、ぺこりとお辞儀をすると、巣のある部屋に戻っていった。
「ところで、これどうしよう」
庭は荒れ放題だった。
せっかく大切に咲かせていた青薔薇も、アーチを築いていたのにボロボロの灰となっていた。
場所によっては、凍ったりもしていた。
炎や氷の禁呪を使ったせいで、庭はすごいことになっていた。
古城の1階と2階も吹き飛んでいた。
「恋次君、捕まえてくるか」
最近は金に困らなくなった恋次は、前ほど気軽に時間回帰魔法を使ってくれなくなっていた。時間回帰の魔法は神の魔法だ。
ほいほいと使っていることは、神を愚弄していることになるらしい。
「よし、行くぞ京楽!」
「はいはい、分かったよ」
血の帝国で、嫌がる恋次に白哉の丸秘写真集を餌にして、古城にまできてもらった。
「もう、ほどほどにしてくださいよ。俺ももっと使いたいけど、この魔法制約がきつくてしばらく魔法使えなくなるんすから」
古城も庭も元通りになって、浮竹は恋次に白哉の丸秘写真集と白金貨2枚をあげた。
「金はいいっすけど・・・・・・何これ、白哉さんの子供時代の写真。激可愛い。こっちは着替えの・・・・・・ぬおおおおおおおおおお」
興奮しすぎて、恋次は竜化していた。
竜の中の始祖ドラゴン、竜帝であった。
燃え上がる真っ赤な鱗が特徴的な、15メートルはあろかという巨大なドラゴンであった。
庭での変身だったので、薔薇園が少し崩壊したくらいで済んだ。
「ちょっと、恋次クン、竜化する時は気をつけてよ!?古城で竜化されちゃうと、古城が崩れちゃう」
「はい、すんません。白哉さんの宮殿でも間違って竜化しちまって、白金貨3枚の罰金とられました」
今、恋次は、異世界の神々の遊戯に参加しており、1回の参加で白金貨10枚がもらえていた。
異世界の神々の遊戯は、世界を作ること。
それに恋次が参加していることは、秘密の中の秘密だった。
創造竜と呼ばれていた。
その世界で、ドラゴンを作り出すのが仕事だった。
アビス、サーラの世界と似た、フレイアの世界を作っていた。
フレイアの世界では、女神フレイアが全ての頂点であった。
そのフレイアの世界にいずれ渡ることになるのだが、それはまだ先のお話。
----------------------------------------------------
「それで、逃げ帰ってきたというんだね?」
「ごめんなさい、藍染様!でも、あいつらの魔力は尋常じゃあなくって!」
「言い訳は聞きたくない」
ハルとシロは、頬を殴られた。
「君たちの魔力をあげるために、私の血を与えよう」
「はい・・・・・」
ハルとシロは、それを受け入れた。
血を与えられて、ハルとシロの魔力は各段にあがった。
だが、それでも浮竹と京楽に勝てる気がしないのであった。
「「はい、藍染様」」
シロとハルと名付けられた、浮竹と京楽と女神アルテナの肉塊の子供たちは、藍染に従順に従った。
そうなるように教育された。
逆らえば鞭うたれた。殴られ、蹴られた。
「父親である、浮竹と京楽を屠っておいで」
「「はい、藍染様」」
二人は女神アルテナの血が濃いせいか、ヴァンパイアロードではなかった。
神でもない、中途半端な存在だった。
ただ保有する魔力が極めて高く、これなら浮竹と京楽を倒せられなくとも、手傷を負わせられるだろうと思った。
藍染は、浮竹と京楽が苦しめばそれだけでも満足なのだ。
--------------------------------------------------------
「ぎゃああああああああああ」
その日の朝は、浮竹の悲鳴から始まった。
最近、ポチとタマの様子が変で、特にタマは食事の時間になっても姿を現さず、ポチがタマの分のドラゴンステーキを住処である暖炉にまで運んでいた。
暖炉の中は藁がしきつめられており、使っていないクッションやら布やらで、なかなか居心地がよさそうな巣になっていた。
その暖炉は大きめで、ミミックが2匹入ってもまだ余裕があった。
タマの様子を見ていると、タマの口から何かがでてきて、浮竹の頭をかんだ。
「なんじゃこりゃああああああ」
浮竹をかんでいたのは、ミミックだった。それも手の平サイズの、小さいミミックだった。
「タ、タマ、お前産んだのか!」
「りんりんりん~~~」
そうだよ、お腹いたかった、やっと生まれたよ、4匹いるんだ、名前をつけて。
そう言われて、浮竹は京楽を呼んだ。
「京楽、来てくれ!」
「どうしたの、浮竹ってぎょえええええええええ」
4匹の小さなミミックにかまれていた浮竹を見て、京楽は悲鳴をあげていた。
「ぞ、増殖したの?」
「違う。タマが産んだんだ」
「ええ、タマってメスだったの?」
「意思疎通はできるが、俺も知らなかった。タマはメスだって言ってなかったからな。ポチも自分をオスだと言っていなかった。オスとメスが自然にいたら、まぁ子供はできるよな」
「そ、そうだね」
ポチは青いリボンをしていて、タマはピンクのリボンをしているせいで、啼き声を聞かなくてもどっちがどっちだか分かって、助かった。
「るんるん」
「りりりり」
「らんらん」
「らららら」
4匹の子供ミミックは、それぞれ鳴き方がまた違った。
「りんりんりん~」
タマが名前をつけてあげてというので、浮竹は。
「よし、イチロー、ジロー、サブロー、シローだ!」
「えええ、そんな適当にでいいの。メスだったらどするのさ」
「見た目でメスかオスかなんてわからないだろう!」
「でも、もっとリンとかララとか、啼き声にあわせた名前をつけてあげても」
浮竹をかみまくっているミニミミックの1匹にかまれて、京楽はほんわりとした。
「か、かわいい・・・・・・」
かじかじとかんでくるが、かむ力は弱く、小さいせいもあってかわいかった。
「るるるるる?」
ポチが、イチロー、ジロー、サブロー、シローでいいのかと尋ねてきたが、浮竹は親指でグッドとジェスチャーして、子供の名前は生まれた順は分からないが、それで決まってしまった。
どれがイチローでジロー、サブロー、シローかも浮竹にも分からなかった。
「るんるん」と鳴くのがイチロー。
「りりりり」と鳴くのがジロー。
「らんらん」と鳴くのがサブロー。
「らららら」と鳴くのがシロー。
ということにしたのだが、定着するまで時間がかかりそうだし、覚えるのにも時間がかかりそうだった。
「子供ってことは、ミルクは・・・いらないな」
ミミックはモンスターだ。哺乳類ではない。
「じゃあ、ドラゴンステーキを」
「りんりんりん」
「え、ドラゴンステーキを消化しやすいようにをしろだって?」
「りんりんりん」
「ドラゴンステーキを切り刻め?分かった」
浮竹は、魔道具のミキサーを取り出して、ドラゴンステーキをペースト状にして、4枚の小皿にわけて与えた。
「るんるんるん」
「りりりりり」
「らんらんらん」
「ららららら」
4匹のミニミミックたちは、ペースト状にされたドラゴンステーキを美味しそうに食べていた。
「うーん、見ていたら俺もドラゴンの肉が食いたくなった。アイテムポケットにまだ未加工のドラゴンの肉があるから、それで夕飯を作ってくれ」
「仕方ないねぇ」
今日の夕飯は和風きのこのパスタのつもりだったが、ドラゴンステーキは食い飽きているので、ドラゴン肉のビーフシチューと唐揚げにすることにした。
その日の夜、ダイニングルームには、浮竹と京楽以外にも、ポチとタマの姿もあった。
子供たちは眠っているらしい。
「るるるるる」
「りんりんりん」
子育てをするのに栄養をつけたいので、普通の夕食を食べたいらしかった。
「でも、今回はドラゴンの肉なんだよね」
ミミックたちの大好物はドラゴンステーキなので、ポチとタマは喜んで、ドラゴン肉でできたビーチシチューを唐揚げを食べて、唐揚げの一部は子供たちへのお土産に持って帰るようだった。
「るるるるるる」
「何、おいしかったって?それは俺に言わずに京楽に言ってくれ。京楽が作ったんだから」
「るるるる」
京楽の頭に、ポチはかみついた。
「これってお礼なの!?」
「俺が教え込んだからな。相手を喜ばす時はとりあえずかみつけと」
「何デンジャラスな方法を教えてるの!まぁ、ポチもタマもミミックだけど、傷ができるほどかまないし、歯もとがってないから痛くないからいいけど」
「イチロー、ジロー、サブロー、シローにもそのうち教え込まなきゃなぁ」
「まだ生まれたばかりでしょ。気が早すぎるよ」
「うーん、やっぱり離乳食あげたほうがいいのかな。ドラゴンステーキは幼体にはあまりよくない気もする」
次の日、浮竹は離乳食だと言って、生きたマンドレイクをぶちこんだ謎の物体を作り出して、ミミックの子供たちにあげた。
ミミックの子供たちは、マンドレイクをそのまま食べてしまった。
「え、意外といけるのか、マンドレイク」
「るんるんるん」
「りりりりり」
「らんらんらん」
「ららららら」
みんな、悪くないよと言ってくれた。
浮竹は涙を零して、ミニミミックたちを抱きしめた。
「京楽でさえ分かってくれない、俺のマンドレイク料理を食べてくれるなんて!天使か!」
浮竹には、ミニミミックたちに翼があり、輪っかがあるように見えた。
「癒される~」
それから、浮竹は毎日のように生きたマンドレイクをぶちこんだ、いろんな料理をミニミミックたちに食べさせた。
「るんるんるん」
ある日、イチローが鳴きながら炎のブレスを吐いた。
「イチロー!?お前、炎のブレスが吐けるのか!?」
「るんるん」
僕だけじゃなよ、ジローもサブローもシローも、いろんなブレス吐けるよ。
「聞いたか京楽」
「うん。君にみっちり古代の魔法文字教えられたせいで、異種族翻訳の魔法覚えれたから、ちゃんと聞こえるよ」
1カ月以上に渡り、毎日魔法文字の勉強を7時間くらいさせられた京楽は、ほとんどの魔法文字を読めるようになっていた。
お陰で、異種族翻訳の魔法も使えるようになっていた。
「イチローはオスみたいだね」
「るんるんるん」
僕とサブローとシローはオスだけど、ジローはメスだよ。
「ジローはメスか!名前は・・・・ジローのままでもいいな!」
「浮竹、女の子なのにジローはいかがなものかと」
「りりりり」
そこにジローがやってきた。
「りりりりりりり」
気にしなくていいよ、ジローって名前好きだよ。マスターがつけてくれた名前だから、好きだよ。
「ジロー!」
浮竹は涙を流しながらジローを抱きしめた。
ジローは浮竹の手にかみついていた。
まだ幼体なので、歯もあまりなく、甘噛みなので痛くもない。
浮竹は、暖炉のある部屋の家具を全部撤去して、暖炉のある部屋そのものをミミックのための部屋とした。
それをポチに伝えると、ポチは嬉しそうに部屋中に藁をしき、いらなくなったクッションやら枕、布団を置いて、さらには布をあげるとそれを藁の上にしいた。
「なかなかいい巣じゃないか」
「るるるる~~~~」
「りんりんりん~~~」
ポチとタマはその部屋の巣が気に入ったようで、子供たちと快適に過ごせると言っていた。
「そのな、子供たちなんだが、俺がマンドレイクを与えすぎたせいか、炎と氷と雷のブレスを吐けるようになっているんだ」
「るるるる?」
「りんりん?」
本当に?それが本当なら凄いことだ。存在の進化だ。
「存在の進化か・・・ハイミミックか」
4匹のミニミミックが散歩から帰ってきた。
ブレスを無駄に吐くことはなく、火事やら怪我の心配はないようだった。
「お前たちは存在が進化した!ハイミミックだ!その存在を誇りに思え!」
「るんるん」
「りりりり」
「らんらん」
「ららら」
4匹は分かっているか分かっていないのか、そうなのと返事してきた。
「よし、今日の昼もマンドレイクをぶち込んだ料理を作ってやるからな!夜はドラゴンステーキだ!」
普通1日1回の食事というか、ミミックは基本飲まず食わずで半年は生きていける。半年に一回、違うモンスターを食べたりして、生命活動を維持していた。
ここにきてから、ポチとタマは毎日ドラゴンステーキをもらい、LVがあがっていた。
その間にできた子も、特別であった。
おまけにマンドレイクの魔力たっぷりな味はなんともいえないが、料理を食べて、存在進化し、ただのミミックからハイミミックになっていた。
「浮竹~~~マンドレイクぶちこんだ料理は、せめてミミックの分だけにしてよ。なんで僕まで食べなきゃいけないわけ?」
「苦情を言うな!嫌なら食べなければいいだろう」
でも、実際京楽が食べなかったら、浮竹は沈み込む。
なので、まずいと分かっていても、京楽は毎日浮竹の生きたマンドレイクをぶちこまれた昼食を食べるのであった。
------------------------------------------------------------------
「ここが、僕らの本当の父様のいる場所」
「ハル、行くぞ」
「うん、シロ」
シロとハルは、見た目こそ浮竹と京楽の色素を持ってはいたが、母親であった女神アルテナの、失われてしまった美貌を受け継いでおり、京楽と浮竹にあまり似ていなかった。
ヴァンパイアでもなかったし、神でもなかった。
中途半端な存在であったが、保持している魔力は高かった。
ジリリリリリリ。
警報が鳴り響き、まずは戦闘人形たちが襲ってきた。
「ファイアロンド」
ハルの魔法で、戦闘人形の全てだけでなく、中庭の薔薇園が吹き飛んだ。
「また、藍染の手の者か」
「あーあ、端正こめてつくった薔薇園がむちゃくちゃだ」
現れた浮竹と京楽の魔力の高さを感じ取り、ハルもシロも震えた。
「「エターナルフェニックス!!」」
ハルとシロが2重で生み出した炎の不死鳥は、浮竹と京楽が張った結界でなんとか防がれているというかんじだった。二人分を足せば、浮竹か京楽のどちからを倒せる。
そう確信していたのだが、それが過ちなのだとすぐに気づいた。
「エターナルフェニックス」
浮竹が呼び出した不死鳥は、二人が生み出した不死鳥よりもさらに高温で魔力に満ち溢れていた。
「エターナルアイシクルフィールド!!」
「エターナルフェンリル!」
同じ属性の魔法をぶつけられて、それが禁呪であろうと、魔力の差を見せつけられる。
「ワールドエンド」
世界の終末の魔法を受けて、浮竹と京楽が丹精こめて育て上げた薔薇や花が散っていく。
それに触れると、塵になるはずであった。
浮竹は、わざとワールドエンドの魔法にふれ、その右手を失いながらただの魔力にかえて握りつぶした。
「浮竹、右手が!」
「大丈夫だ」
失われたはずの右腕にはすでに骨が形成されており、肉をつけて皮膚を生やし、すぐに浮竹の右腕を復活させた。
「マンドレイクを毎日食べているせいか、魔力が前より高い。この程度の傷、癒すなど造作もない」
「ブラックホール!!」
「りんりんりん~~」
「わ、ばか、タマ!!!」
たまたま散歩に出ていたタマは、ブラックホールに吸い込まれてしまった。
浮竹はなんの逡巡もなしに、ブラックホールの中に入るとタマを抱きしめた。
「あはははは、やったぞ、始祖浮竹を倒した」
「藍染様、やりました!」
二人はブラックホールの入り口を閉じた。
「そんな、浮竹、タマ・・・・・」
呆然としている京楽に、魔法を向ける。
「ファイナルフェニックス!!」
炎の最高位禁呪。
それは京楽を飲みこんだ。
「あああああ!!!」
京楽の魔神化が激しくなっていく。
「喰ってやる・・・・・・」
「「ブラックホール」」
「ぐ・・・・・」
魔力を吸われていく。
「京楽を、手を!」
異次元に消えたはずの、浮竹とタマはまだブラックホールの魔法の入り口の空間にいた。
「浮竹!!」
魔力が消滅したわけではないので、死んではいないと思っていたが、すぐに戻ってくるとは思っていなくて、京楽は顔を輝かせて、浮竹の手を握った。
「閉じろ、ブラックホール!」
相手の魔法を、無理やり閉じさせた。
「ハル、お前だけでも逃げろ」
「いやだ、シロ、君こそ逃げろ」
「こっちは、魔力を消耗過ぎた。だが、京楽ならばお前たちの魂を喰える。食われるのがいやなら、藍染の元へ帰れ」
「どうしよう、ハル」
「このままじゃ僕たちは勝てない。一度戻り、もっと魔力を高めて再戦しよう、シロ」
シロとハルは、ゆらりと空間を歪ませると、その中に入って逃げ出してしまった。
「僕と浮竹の子供なのかな」
「そうだろうな。向こうには肉便器アルテナ様がいる」
「肉便器に様をつけないで・・・・・・うぷぷぷぷ」
「おい、笑うと女神に失礼だろ・・・・はははは」
二人は、女神アルテナのみじめな最後を思い浮かべて笑っていた。
「その女神アルテナの魂は、僕が食べちゃったんだよねぇ。正確には、僕の体内の空間に収めたことになるけど。一度解放してみようか?」
「いや、やめておけ。あの女神はゴキブリ並みにしぶとい。お前の空間で永遠の無がお似合いだ」
「それより、タマは大丈夫?」
京楽がタマを心配すると、タマは京楽の頭にかじりついた。
「りんりんりん~~~」
「助けてくれてありがとうって言ってるね」
「お前もやっと異種族翻訳の魔法がさまになってきたな」
「君のスパルタのお陰だよ・・・。それにしても、タマもよくあの魔法に吸い込まれて無事でいれたね」
「昼にマンドレイクのスープを飲ませたからな。魔力の塊だ。タマもポチも、ミニミミックたちと一緒の昼食を取っているから、存在が進化してハイミミックになったようだ」
「ハイミミックかぁ。上位存在ってことは、やっぱり強いんだろうね」
浮竹は、うんうんと頷いた。
「炎、氷、雷のブレスが吐けて、その気になれば人間も食える」
「お願いだから、人食いミミックにはならないでね!」
「りんりんりん~~~~~~~」
心配しなくても、人間なんて食べないよ。だってまずいもの。ドラゴンステーキが一番好き。
「りんりんりん」
マスターの作ってくれるマンドレイクの料理もおいしい。
「お、タマは分かってくれるなぁ」
浮竹が、京楽の頭をかじり続けていたタマを腕の中に抱きしめた。
そこそこ大きさがあるので、持っていると言ってる方が近いか。
タマは、ぺこりとお辞儀をすると、巣のある部屋に戻っていった。
「ところで、これどうしよう」
庭は荒れ放題だった。
せっかく大切に咲かせていた青薔薇も、アーチを築いていたのにボロボロの灰となっていた。
場所によっては、凍ったりもしていた。
炎や氷の禁呪を使ったせいで、庭はすごいことになっていた。
古城の1階と2階も吹き飛んでいた。
「恋次君、捕まえてくるか」
最近は金に困らなくなった恋次は、前ほど気軽に時間回帰魔法を使ってくれなくなっていた。時間回帰の魔法は神の魔法だ。
ほいほいと使っていることは、神を愚弄していることになるらしい。
「よし、行くぞ京楽!」
「はいはい、分かったよ」
血の帝国で、嫌がる恋次に白哉の丸秘写真集を餌にして、古城にまできてもらった。
「もう、ほどほどにしてくださいよ。俺ももっと使いたいけど、この魔法制約がきつくてしばらく魔法使えなくなるんすから」
古城も庭も元通りになって、浮竹は恋次に白哉の丸秘写真集と白金貨2枚をあげた。
「金はいいっすけど・・・・・・何これ、白哉さんの子供時代の写真。激可愛い。こっちは着替えの・・・・・・ぬおおおおおおおおおお」
興奮しすぎて、恋次は竜化していた。
竜の中の始祖ドラゴン、竜帝であった。
燃え上がる真っ赤な鱗が特徴的な、15メートルはあろかという巨大なドラゴンであった。
庭での変身だったので、薔薇園が少し崩壊したくらいで済んだ。
「ちょっと、恋次クン、竜化する時は気をつけてよ!?古城で竜化されちゃうと、古城が崩れちゃう」
「はい、すんません。白哉さんの宮殿でも間違って竜化しちまって、白金貨3枚の罰金とられました」
今、恋次は、異世界の神々の遊戯に参加しており、1回の参加で白金貨10枚がもらえていた。
異世界の神々の遊戯は、世界を作ること。
それに恋次が参加していることは、秘密の中の秘密だった。
創造竜と呼ばれていた。
その世界で、ドラゴンを作り出すのが仕事だった。
アビス、サーラの世界と似た、フレイアの世界を作っていた。
フレイアの世界では、女神フレイアが全ての頂点であった。
そのフレイアの世界にいずれ渡ることになるのだが、それはまだ先のお話。
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「それで、逃げ帰ってきたというんだね?」
「ごめんなさい、藍染様!でも、あいつらの魔力は尋常じゃあなくって!」
「言い訳は聞きたくない」
ハルとシロは、頬を殴られた。
「君たちの魔力をあげるために、私の血を与えよう」
「はい・・・・・」
ハルとシロは、それを受け入れた。
血を与えられて、ハルとシロの魔力は各段にあがった。
だが、それでも浮竹と京楽に勝てる気がしないのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター63
肉便器に入れられた浮竹の子種で、肉便器は妊娠し、1週間後に子供を産み落とした。
白い髪に翡翠の瞳をした、浮竹によく似た子供だった。
1カ月をかけて13歳くらいまで成長した浮竹の子は、男の子で名をアランと名付けられた。
ヴァンパイアマスターと女神の子であったが、ヴァンパイアロードであった。
ヴァンパイアマスターはこの世界でただ一人。
浮竹だけが、ヴァンパイアマスターだった。
ただ、アランは浮竹の血が濃いのか、限りなくヴァンパイアマスターに近かった。
「キララ」
「はい、藍染様」
名を呼ばれて、死神のキララは藍染を見た。
「アランと一緒に、浮竹と京楽を葬っていおいで」
ああ、ついにこの日がやってきた。
キララは死を覚悟した。
いっそ逃げ出そうか。そう思ったが、藍染の手からは逃れられないと察知して、死を覚悟の上でアランと共に行動を開始する。
死神。だからといって、全ての魂を狩りとれるわけではない。
特に自分より強い存在の魂は狩りにくい。
きっと、浮竹と京楽の魂を狩りとることはできないだろう。分かっていたが、黙っていた。そうでもしないと、もう用なしとして処分されるかもしれないから。
「あなた、キララの宝石は美しいのよ?宝石を生み出す子がいなくなるなんて嫌よ」
「女神オリガ、こんな時のために神族を3人ほど確保しておいた。キララより上質の宝石を生み出す者ばかりを選んだ」
「そうなの。じゃあ、キララは用済みね」
母親である女神オリガにそう言われて、一縷の望みであった希望は粉々に砕かれた。
実の母でさえ、キララを愛してなかったのだ。
「いこう、キララ。愛しているよ」
「アラン・・・・・」
キララに愛を囁くアランを、キララは愛した。
藍染と女神オリガの目を盗んで、逢瀬を重ねた。
キララの腹には、アランの子が宿っていた。
それを知らずに、アランもキララも、浮竹と京楽がいる古城に向けて出発するのであった。
---------------------------------------------------
「るるるるるるーーー」
「りんりんりんーーーー」
2匹の古城で飼われてるミミックは、今日も楽しそうに古城の中を散歩していた。
「るるるるる」
「え、なんだって。古城の外でスライムの友達ができた?」
「りんりんりん」
「え、林檎をもらった?」
京楽には、ミミックたちが何を言っているの分からなかった。
ただ、るるるるるとりんりんりんと鳴いているようにしか、聞こえなかった。
「よかったなぁ、ポチ、タマ」
頭を撫でられて、ポチとタマは嬉いそうに浮竹にかじりついた。
「あっはっは、甘噛みでも少し痛いぞ」
「るるるーーー」
「りんりんーーー」
「ほう、また友達に明日会いに行くのか。果物と野菜が好物・・・この季節じゃなかなか売っていない桃がちょうどある。それをもっていけばいい」
ポチは、体内に桃を5ついれた。
なんでも、スライムを飼っている主の分も含まれているらしい。
林檎が好物だそうなので、タマが林檎を3つ体内にいれた。
「ねぇ、浮竹、ポチとタマが何を言っているのか分かるの?」
「ああ、分かるぞ。この異種族翻訳の魔法を使えば、モンスターも何を言っているのか聞こえる」
「え、なにそれ。僕も覚えたい」
「いいが、覚えるには相当な知識が必要だぞ。まずは古代文明の魔法文字が読めるのが基本だ」
「僕、浮竹が翻訳してくれたやつでいいや」
古代文明の魔法文字など、何年かかっても習得できそうにない。
諦めの早い京楽に、浮竹がスパルタで教え込むことにしたようで、次の日から古代文明の魔法文字を覚える授業がはじまるのであった。
「るるるるるる」
「りんりんりん~~~~~~」
「おう、そうか。スライムのプルンとかいう友達のところに出かけるんだな。くれぐれも人間に見つからないように」
「いってらっしゃい、ポチ、タマ」
ポチは体内に5つの桃を、タマは3つの林檎をもって、古城を飛び出し、草原や森をぬけて、友達であるプルンのいるロスピア王国の裏路地を進み、ロスピア王奥の片隅にある家で、ポチはるるる―と鳴いて、プルンを呼んだ。
「プルルン!」
プルンは喜んで玄関から抜け出すと、ポチとタマとい一緒に、草原までくると遊びだした。
「るるるるるるーーーー」
ポチが、プルンの飼い主の分まで桃をもってきたというので、それを受け取ってプルンは飛び跳ねて喜んでいた。
自分たちの分の桃を食べていく。
甘くて甘くて、ぷるんはもう1つ食べたそうにポチを見ていた。
「るるるーー?」
半分食べるかいと言われて、プルンは飛び跳ねて喜んだ。
ポチの分を半分もらい、更にはタマが出してきた大好物の林檎を3個出してもらい、3匹はそれぞれ林檎を食べた。
「プルルン!!」
追いかけっこや鬼ごっこをしているうちに、日が傾いてきた。
「りんりんりん」
タマが、そろそろ帰らないと言い出す。
それにプルンが哀しそうな顔をする。
「るるる?」
どうするの?っとポチが聞くと、プルンは飛び跳ねて、こういった。
泊まっていけばいい。
ポチとタマは、少し逡巡したが、プルンの家に1日だけ厄介になることになたった。
「るるるるるーーー」
「りんりんりんーーー」
プルンの主に自己紹介をして、ポチとタマは10畳はあろうかという広い寝室を飛び跳ねて散歩した。
「プルルン!」
その日の夜は、プルンはポチとタマの傍で、リビングのソファーで眠った。
「るるるーーー」
「りんりんりん」
次の日の朝、ポチとタマは林檎をもらい、それを食べて草原でプルンと一緒にまた遊んだ。
かくれんぼをしたのだが、草原なので隠れる場所がなく、すぐに見つかってしまう。
「るるるる」
ポチが、人間の町を探索しようと言い出す。
「りんりんりん」
タマが人間に見つかったら危ないよと言った。
「プルルン!」
結局、小さな村にいって、そこで住人に出くわさないように今度こそかくれんぼをして遊んだ。
「プルルルルン!」
プルンが鬼だった。
プルンが少し迷ったが、匂いでポチが隠れている段ボールを見つけると、それを持ち上げた。
「るるるる」
見つかってしまったと、ポチが残念そうだった。
ただタマには匂いはついておらず、いくらプルンが探しても、見つからなかった。
「プルル!」
降参だとプルンがいうと、タマは屋根の上から降ってきた。
屋根の上で、宝箱に擬態していた。
勝者はタマだった。
3匹は元のプルンの家に戻ると、そろそろ帰らなきゃいけないからと、ロスピア王国の片隅にあるその家から飛び出して、ガイア王国の浮竹と京楽が住む古城へと戻っていった。
「るるるるる」
「りんりんりん」
「ポチ、タマ、昨日帰ってこないから心配したんだぞ」
「るるるーーー」
「りんりんーーーーー」
ポチとタマは、林檎をもらって帰ってきていた。
「そうか。友達の家に厄介になったのか。林檎までもらうとは、こちらも何かお返しをしないといけないな。また遊びに行く時は言ってくれ。何が手土産をよこすから」
「るるる」
「りんりんりん」
2匹は、友達のプルンについていろいろ語った。飼い主のことは言わなかったが、きっと優しい飼い主であるのだろうと思った。
プルンのことを語り終えた2匹のミミックは、嬉しそうに自分たちの巣である暖炉にこもり、眠り出した。
興奮しすぎて、昨日の夜なかなか眠れなかったのだ。
今頃プルンは何をしているかなぁと思いながら、ポチとタマは眠った。
----------------------------------------------
ポチとタマがお土産にもらった林檎は、京楽がアップルパイにしてくれた。
それを3時のおやつの茶菓子にして、ポチとタマの友達のことに話を咲かせた。
「ポチとタマの友達は、スライムのプルンというそうだ。仲がとてもよくて、林檎が大好物で、他にも果物や野菜もたべて、肉は嫌いだそうだ」
「ベジタリアンなんだね。うちのポチとタマとよく気があったね。あの子たちドラゴンステーキが大好物の、まぁ人間の食べ物の好き雑食性だけど、どちらかというと肉食性なのに」
「そうだな。よほど気があったんだろう」
「異種族で仲良くなるのも珍しいね。まぁ、ダンジョンでは違う群れ同士を混合させて襲ってくるモンスターもいるから、必ずしも仲良くなれないわけじゃないけど。ミミックって基本単体で動くから、ポチとタマが仲良くなっただけでも珍しいのに、スライムの友達ができるなんて、まるで奇跡だね」
浮竹は、京楽の髪を引っ張った。
「早くポチとタマの言っていることが分かるように、今日も魔法文章の勉強だ」
「ええーもういいよ。ポチとタマが何を思っててもいいし」
浮竹はハリセンを持ち出すと、弱気な京楽の頭をばしばしと何回も叩いた。
「主たる者、例え相手がミミックでもちゃんと言葉を理解してやれ」
「はーい」
今日もまた、スパルタな浮竹の勉強が始まるのであった。
------------------------------------------
「ねぇ、ここが浮竹と京楽住んでいる城?」
「はい、そのはずです」
アランとキララは、上空から浮竹と京楽が住む古城に来ていた。
そのまま中庭に降り立つと、マンドレイクがいっぱい生えていて、気味が悪かった。
「悪趣味・・・・」
「はい、そうですね」
ジリリリリリン。
警報のようなベルが鳴って、にわかに騒がしくなった。
最初に襲ってきたのは、浮竹の血で作られた戦闘人形たちであった。
魂がないので狩りとれず、キララは魔法を唱えた。
「ファイアアロー」
初歩的な魔法であるが、威力は十分に高く、戦闘人形たちを蒸発させていく。
「どんな奴がきたかと思えば、浮竹にそっくり。浮竹の子種でも盗んで、女神アルテナにでも産ませたのかい」
出てきた京楽の言葉は、それが最初だった。
「ああ、その通りだ。僕の名はアラン。始祖浮竹と女神アルテナの子だ」
「京楽、いくら俺に似ているからって、油断するんじゃないぞ」
「すでに遅いんじゃないの」
アランは、そこら中に血の糸を張り巡らせていて、それで浮竹と京楽をがんじがらめにした。
「今だよ、キララ。こいつらの魂を狩って」
「はい」
キララは死神の鎌を取り出して、まずは京楽の魂を狩ろうとした。
けれど、力の差がありすぎて、魂は狩りとれなかった。
「だめです、アラン様。私にはできません」
「なんだと?使えない死神だな」
「だって、私は1つを無理やり2つにされた。元の力の半分しかありません。元の力があれば、こんな奴らの魂を狩りとれるのに」
「それは聞き捨てならないねぇ。力があったら魂が狩りとれる?本当に、そんなこと思ってるんだ」
京楽は、血の魔法で自分と浮竹を戒める血の糸を切った。
「何故だ!僕はヴァンパイアマスターに限りなく近い。僕の血の糸を切れるだなんて」
「単純に、力の差だよ」
京楽は血の鎌を作り出すと、まずはアランの背を切った。
「ああああ!これしきの傷!」
アランもまた血の鎌を作り出して、京楽の鎌と切り結び合う。
その間に、浮竹はキララの相手をしていた。
「無理やり藍染に従わされている。違うか?」
「それは・・・・・・」
「どうやら、お腹に子がいるようだし、死神の力を一切使わず、もう俺たちの目の前に現れないと誓えるなら、見逃してやろう」
「え・・・」
意外な言葉に、キララが浮竹を見つめる。
「アランという、あれはどのみち処分する。父親があれだとしても、子には関係のないことだ。どうする?約束するなら、白金貨10枚を渡そう」
白金貨1枚あれば、一生裕福に暮らしていける。
キララが迷った末に、浮竹と交渉した。
「お金を、ください。もう二度とあなたたちの前には現れません」
「交渉成立だ。死神の鎌をこちらへ」
「はい」
死神の鎌と引き換えに、白金貨10枚を受け取り、キララはその場から逃げ出した。
「おい、キララ!」
「さようなら!」
「あの裏切者めええええ」
憤怒にもえるアランの周囲に、ぽっ、ぽっ、ぽっと鬼火が灯る。
「京楽、シールドの結界魔法だ!」
「分かったよ」
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・・トリプルファイアフェニックス!!」
「「マジックシールド!!」」
炎の最高位魔法を、二人はシールドで防いでしまった。
「なんだと、僕の最高の魔法が!」
「いくらヴァンパイアマスターに近いからと言って、力までそうだとは限らない」
浮竹が作り出した血の刃で、アランは胸を貫かれていた。
「父様・・・慈悲を」
「お前のような子供をもった覚えはない!」
「ああああああああ!!」
アランは持てる魔力の全てを槍に変えて、浮竹に向かって放つ。それはシールドを容易く破壊して、浮竹の心臓を貫いた。
「はははは、やったぞ、俺の勝利だ!」
「浮竹!よくも・・・・・・・」
浮竹は、心臓を破壊されながらも、平気そうに動いた。
血の槍を作り出し、アランの心臓を貫く。
「何故・・・何故、心臓を破壊したのに生きている・・・・・」
「知らなかったのか?俺は始祖である神の愛の呪いによって、不老不死だ」
「不老不死・・・、ならば、俺も!」
「無理だよ。君は不老不死じゃない。さよなら、哀れな浮竹の息子」
京楽は、作り出した血の刃でアランの体中を刺していた。
「藍染様・・・・・・」
その言葉を残して、アランは事切れた。
京楽は魔神の咢を開いて、その魂を貪る。
「カラミティファイア!」
浮竹は、アランの遺体を燃やして、灰にした。
「藍染の奴・・・・俺の子種を入手したようだ。しばらく俺の血を引く刺客がくるかもしれない・・・・って、京楽?」
「君のとても若い時ってあんなに可愛いんだね。今度あの年齢で僕の相手をしてよ」
「アホか!ずっとそんなこと考えていたのか!?」
「うん」
浮竹はアイテムポケットからハリセンを取り出すと、思い切り京楽の頭をばしばしと殴った。
「浮竹がいじめる~」
「戦闘の最中に、よくそんなことが考えられるな!」
「そういう浮竹こそ、死神のキララに金を与えて見逃した」
ぎくりと、浮竹が固まった。
「あれは、哀れだから・・・・・」
「いつか、子を産んでその子が敵討ちだって来ても、知らないからね」
「それくらい、承知している!」
浮竹と京楽は、もつれあいながら倒れた。
「あの子、すごい魔力だった。シールドを張るのに力を抜いていたら、きっと黒こげになっていた。君の血の力ってすごいね」
「正確には血統だろう」
「うん。君がまるで僕以外の伴侶と睦みあってできた子みたいで、嫉妬した。だから、君を抱くよ?」
「どういう理屈だ」
「さぁ、ただのこじつけかもね」
------------------------------------------------------------
「あ、あ!」
浮竹は、背後から京楽に貫かれて、ぽたぽたと精液をシーツの上に零していた。
「んあっ!」
ぐちゅぐちゅと、リズミカルに突き上げてくる愛しい伴侶の動きに合わせて、声が漏れる。
「あ、やだ、そこやだあああ」
嫌がる浮竹のいい場所を突きあげてやると、浮竹は背を弓ぞりにしあならせて、オーガズムでいっていた。
「ひあああああ!!」
京楽は気に留めることもなく、浮竹の奥へ奥へと熱い楔を打ちこんでいく。
ごりっと、最奥に入ってこられて、浮竹はまたシーツの上に子種をまき散らしていた。
同時に、京楽も子種を浮竹の胎の奥へ注ぎこむ。
「あ、もっと・・・もっと深く」
もっととねだる浮竹の最奥にぐりぐりと侵入したら、浮竹はびくんびくんと体をけいれんさせていた。
「あああ、やああああああああ!!!」
「君がもっと深くって言ったんだよ?」
「やあああ、深すぎるううう、だめえええ」
「でも、そこがいいでしょ?」
ゴリゴリッと奥を抉られて、浮竹はまた射精していた。
「ああああ!!!」
「んっ、僕もいくよ。受け止めてね」
「んああああ!!」
京楽の子種を最奥で受け止めて、浮竹は妖艶に笑う。
「もっと・・もっとくれ、春水、お前の子種を」
「仕方のない子だねぇ」
浮竹をあおむけにさせて、正常位から浮竹の右の太ももを肩にもちあげて、ずちゅりと音を立てて侵入する。
「あ、もっと・・・・」
「もうすぐあげるから、少し待ってね」
ずちゅりずちゅりと音を鳴らして、浮竹の中を出入りする。結合部はローションと互いの液体が混ざり合ったもので泡立っていた。
「んっ、いくよ。全部、飲み干してね」
「あ、飲む干すから、全部、俺の中に全部注いでくれ」
すでに3回は出したのに、京楽のものまだ硬くて、浮竹の奥にびゅるびゅると精子を注いだ。
「あ、や、いっちゃう!!」
子種を注ぎ込まれながら、オーガズムでいっている浮竹の太ももに噛みつき、吸血してやると、浮竹は泣いて嫌がった。
「やあああ、いってる時に吸血しないでえええ。頭が変になるうう」
「大丈夫、ただ気持ちいいだけだよ」
「やあああ、んあああああ!!!」
浮竹は盛大にいった後で、ぷしゅわあああと潮を漏らした。
「やああ、頭変になって、おもらし、しちゃった・・・・・」
「それはいけない子だ。お仕置きがいるね。愛してるよ、十四郎」
「俺も愛してる、春水・・・・・・」
ぐちゅりと中で円を描かれて、浮竹はまたいっていた。
「やああ、いくの、いくの止まらない、どうしてええ」
「さぁ、どうしてだろうね?」
別に媚薬も盛ってないし、普通のセックスだった。
京楽は硬さを失い、何も出なくなるまで、浮竹を犯した。
浮竹はぐったりしていた。
「大丈夫、浮竹」
「あんなにやられて、大丈夫なわけがないだろう。早く風呂に入れろ」
「はい、調子に乗りすぎました、ごめんなさい」
浮竹をシーツごと抱き上げて、風呂場に向かう。
前の古城より狭いが、それでも10人以上は入れそうな湯船にはたっぷりとお湯が満たされており、その中に浮竹は入れられた。
「あ、また湯の中でかき出すのか」
「そのほうが、かき出しやすし」
「んあああ、お湯が、お湯が中に・・・・」
「出る時に、お湯もかき出してあげるから」
浮竹は、京楽の指の動きだけでいってしまっていた。
「どしたの、今日の浮竹。すごいよ?」
「あ・・・・・昼に飲んだジュースj、血の帝国産のものだけど、きっとブラッディ・ネイが何か媚薬のようのものをいれたのかもしれない」
実際、その通りだった。
何気にお中元のように受け取って飲んだジュースは、媚薬入りだった。
「今度から、血の帝国か送られてきたものは食べないし、飲まない」
「まぁ、それが無難かもね」
京楽は、浮竹の中からお湯をかき出して、髪と体を洗ってやった。
「ん・・・・きもちいい」
「変な意味で?」
「違う。純粋に心地よいだけだ」
浮竹を風呂からあがらせると、その長い白髪の水分を拭きとって、体もふいてやり、寝間着に着替えさせた。
「ん」
「はいはい」
甘えられて、お姫様抱っこして、京楽は浮竹を寝室に連れ戻すと、いったんソファーに身を預けさせて、真新しいシーツをかけてその上に寝かせた。
「おやすみ」
「おやすみ、いい夢を、浮竹」
―-----------------------------------------------
「そうか。アランは魔法ではそこそこいけたが、キララが魂を狩り損ねたか」
「あなた、キララを探して。お仕置きをしないと」
「キララの死神の能力は役に立ちそうもない。もう用済みだ」
藍染は、キララを放置することにきめた。
「ミライ。あなたは、キララのようになっては駄目よ?」
「はい、オリガ母様」
「いい子だ、ミライ。絶対者を滅ぼすには絶対者を宛がう。お前は、絶対者だ。いずれ、浮竹を滅ぼしてもらう」
「はい、藍染父様」
歪に歪んだ藍染の世界で、狂った愛を受けながら、ミライは成長を続ける。
「次の子も、アランほど魔力が高ければいいが」
藍染は、肉便器に浮竹の子種を注ぎ、ついでに入手した京楽の子種も注いだ。
「双子だ。浮竹と京楽の子を産んでくれよ、女神アルテナ」
魂を失い、ただの肉便器と化したアルテナであった肉塊は、その言葉に嬉しそうに震える。
やがて、浮竹と京楽の子が生まれた。
二人は仲が良く、何処にいくのも一緒だった。
「あの二人は、まるで幼い浮竹と京楽のようだね」
普通ならっ微笑ましい光景だろうが、藍染にしてみれば、反吐が出るというやつだった。
「適切な教育を施そう」
そうして育った肉便器と浮竹と京楽の子たちは、瞳に色がない少年へと成長した。
「藍染様は絶対!藍染様は世界の全て!」
浮竹の子はシロと名付けられ、京楽の子はハルと名付けられた。
実際の浮竹と京楽の名前からきていた。
「さぁ、逃げてきたふりをして、自分の父親たちを葬るんだ。いいね?」
「「はい、藍染様」」
二人の哀れな子羊は、浮竹と京楽の元に向かうのであった。
白い髪に翡翠の瞳をした、浮竹によく似た子供だった。
1カ月をかけて13歳くらいまで成長した浮竹の子は、男の子で名をアランと名付けられた。
ヴァンパイアマスターと女神の子であったが、ヴァンパイアロードであった。
ヴァンパイアマスターはこの世界でただ一人。
浮竹だけが、ヴァンパイアマスターだった。
ただ、アランは浮竹の血が濃いのか、限りなくヴァンパイアマスターに近かった。
「キララ」
「はい、藍染様」
名を呼ばれて、死神のキララは藍染を見た。
「アランと一緒に、浮竹と京楽を葬っていおいで」
ああ、ついにこの日がやってきた。
キララは死を覚悟した。
いっそ逃げ出そうか。そう思ったが、藍染の手からは逃れられないと察知して、死を覚悟の上でアランと共に行動を開始する。
死神。だからといって、全ての魂を狩りとれるわけではない。
特に自分より強い存在の魂は狩りにくい。
きっと、浮竹と京楽の魂を狩りとることはできないだろう。分かっていたが、黙っていた。そうでもしないと、もう用なしとして処分されるかもしれないから。
「あなた、キララの宝石は美しいのよ?宝石を生み出す子がいなくなるなんて嫌よ」
「女神オリガ、こんな時のために神族を3人ほど確保しておいた。キララより上質の宝石を生み出す者ばかりを選んだ」
「そうなの。じゃあ、キララは用済みね」
母親である女神オリガにそう言われて、一縷の望みであった希望は粉々に砕かれた。
実の母でさえ、キララを愛してなかったのだ。
「いこう、キララ。愛しているよ」
「アラン・・・・・」
キララに愛を囁くアランを、キララは愛した。
藍染と女神オリガの目を盗んで、逢瀬を重ねた。
キララの腹には、アランの子が宿っていた。
それを知らずに、アランもキララも、浮竹と京楽がいる古城に向けて出発するのであった。
---------------------------------------------------
「るるるるるるーーー」
「りんりんりんーーーー」
2匹の古城で飼われてるミミックは、今日も楽しそうに古城の中を散歩していた。
「るるるるる」
「え、なんだって。古城の外でスライムの友達ができた?」
「りんりんりん」
「え、林檎をもらった?」
京楽には、ミミックたちが何を言っているの分からなかった。
ただ、るるるるるとりんりんりんと鳴いているようにしか、聞こえなかった。
「よかったなぁ、ポチ、タマ」
頭を撫でられて、ポチとタマは嬉いそうに浮竹にかじりついた。
「あっはっは、甘噛みでも少し痛いぞ」
「るるるーーー」
「りんりんーーー」
「ほう、また友達に明日会いに行くのか。果物と野菜が好物・・・この季節じゃなかなか売っていない桃がちょうどある。それをもっていけばいい」
ポチは、体内に桃を5ついれた。
なんでも、スライムを飼っている主の分も含まれているらしい。
林檎が好物だそうなので、タマが林檎を3つ体内にいれた。
「ねぇ、浮竹、ポチとタマが何を言っているのか分かるの?」
「ああ、分かるぞ。この異種族翻訳の魔法を使えば、モンスターも何を言っているのか聞こえる」
「え、なにそれ。僕も覚えたい」
「いいが、覚えるには相当な知識が必要だぞ。まずは古代文明の魔法文字が読めるのが基本だ」
「僕、浮竹が翻訳してくれたやつでいいや」
古代文明の魔法文字など、何年かかっても習得できそうにない。
諦めの早い京楽に、浮竹がスパルタで教え込むことにしたようで、次の日から古代文明の魔法文字を覚える授業がはじまるのであった。
「るるるるるる」
「りんりんりん~~~~~~」
「おう、そうか。スライムのプルンとかいう友達のところに出かけるんだな。くれぐれも人間に見つからないように」
「いってらっしゃい、ポチ、タマ」
ポチは体内に5つの桃を、タマは3つの林檎をもって、古城を飛び出し、草原や森をぬけて、友達であるプルンのいるロスピア王国の裏路地を進み、ロスピア王奥の片隅にある家で、ポチはるるる―と鳴いて、プルンを呼んだ。
「プルルン!」
プルンは喜んで玄関から抜け出すと、ポチとタマとい一緒に、草原までくると遊びだした。
「るるるるるるーーーー」
ポチが、プルンの飼い主の分まで桃をもってきたというので、それを受け取ってプルンは飛び跳ねて喜んでいた。
自分たちの分の桃を食べていく。
甘くて甘くて、ぷるんはもう1つ食べたそうにポチを見ていた。
「るるるーー?」
半分食べるかいと言われて、プルンは飛び跳ねて喜んだ。
ポチの分を半分もらい、更にはタマが出してきた大好物の林檎を3個出してもらい、3匹はそれぞれ林檎を食べた。
「プルルン!!」
追いかけっこや鬼ごっこをしているうちに、日が傾いてきた。
「りんりんりん」
タマが、そろそろ帰らないと言い出す。
それにプルンが哀しそうな顔をする。
「るるる?」
どうするの?っとポチが聞くと、プルンは飛び跳ねて、こういった。
泊まっていけばいい。
ポチとタマは、少し逡巡したが、プルンの家に1日だけ厄介になることになたった。
「るるるるるーーー」
「りんりんりんーーー」
プルンの主に自己紹介をして、ポチとタマは10畳はあろうかという広い寝室を飛び跳ねて散歩した。
「プルルン!」
その日の夜は、プルンはポチとタマの傍で、リビングのソファーで眠った。
「るるるーーー」
「りんりんりん」
次の日の朝、ポチとタマは林檎をもらい、それを食べて草原でプルンと一緒にまた遊んだ。
かくれんぼをしたのだが、草原なので隠れる場所がなく、すぐに見つかってしまう。
「るるるる」
ポチが、人間の町を探索しようと言い出す。
「りんりんりん」
タマが人間に見つかったら危ないよと言った。
「プルルン!」
結局、小さな村にいって、そこで住人に出くわさないように今度こそかくれんぼをして遊んだ。
「プルルルルン!」
プルンが鬼だった。
プルンが少し迷ったが、匂いでポチが隠れている段ボールを見つけると、それを持ち上げた。
「るるるる」
見つかってしまったと、ポチが残念そうだった。
ただタマには匂いはついておらず、いくらプルンが探しても、見つからなかった。
「プルル!」
降参だとプルンがいうと、タマは屋根の上から降ってきた。
屋根の上で、宝箱に擬態していた。
勝者はタマだった。
3匹は元のプルンの家に戻ると、そろそろ帰らなきゃいけないからと、ロスピア王国の片隅にあるその家から飛び出して、ガイア王国の浮竹と京楽が住む古城へと戻っていった。
「るるるるる」
「りんりんりん」
「ポチ、タマ、昨日帰ってこないから心配したんだぞ」
「るるるーーー」
「りんりんーーーーー」
ポチとタマは、林檎をもらって帰ってきていた。
「そうか。友達の家に厄介になったのか。林檎までもらうとは、こちらも何かお返しをしないといけないな。また遊びに行く時は言ってくれ。何が手土産をよこすから」
「るるる」
「りんりんりん」
2匹は、友達のプルンについていろいろ語った。飼い主のことは言わなかったが、きっと優しい飼い主であるのだろうと思った。
プルンのことを語り終えた2匹のミミックは、嬉しそうに自分たちの巣である暖炉にこもり、眠り出した。
興奮しすぎて、昨日の夜なかなか眠れなかったのだ。
今頃プルンは何をしているかなぁと思いながら、ポチとタマは眠った。
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ポチとタマがお土産にもらった林檎は、京楽がアップルパイにしてくれた。
それを3時のおやつの茶菓子にして、ポチとタマの友達のことに話を咲かせた。
「ポチとタマの友達は、スライムのプルンというそうだ。仲がとてもよくて、林檎が大好物で、他にも果物や野菜もたべて、肉は嫌いだそうだ」
「ベジタリアンなんだね。うちのポチとタマとよく気があったね。あの子たちドラゴンステーキが大好物の、まぁ人間の食べ物の好き雑食性だけど、どちらかというと肉食性なのに」
「そうだな。よほど気があったんだろう」
「異種族で仲良くなるのも珍しいね。まぁ、ダンジョンでは違う群れ同士を混合させて襲ってくるモンスターもいるから、必ずしも仲良くなれないわけじゃないけど。ミミックって基本単体で動くから、ポチとタマが仲良くなっただけでも珍しいのに、スライムの友達ができるなんて、まるで奇跡だね」
浮竹は、京楽の髪を引っ張った。
「早くポチとタマの言っていることが分かるように、今日も魔法文章の勉強だ」
「ええーもういいよ。ポチとタマが何を思っててもいいし」
浮竹はハリセンを持ち出すと、弱気な京楽の頭をばしばしと何回も叩いた。
「主たる者、例え相手がミミックでもちゃんと言葉を理解してやれ」
「はーい」
今日もまた、スパルタな浮竹の勉強が始まるのであった。
------------------------------------------
「ねぇ、ここが浮竹と京楽住んでいる城?」
「はい、そのはずです」
アランとキララは、上空から浮竹と京楽が住む古城に来ていた。
そのまま中庭に降り立つと、マンドレイクがいっぱい生えていて、気味が悪かった。
「悪趣味・・・・」
「はい、そうですね」
ジリリリリリン。
警報のようなベルが鳴って、にわかに騒がしくなった。
最初に襲ってきたのは、浮竹の血で作られた戦闘人形たちであった。
魂がないので狩りとれず、キララは魔法を唱えた。
「ファイアアロー」
初歩的な魔法であるが、威力は十分に高く、戦闘人形たちを蒸発させていく。
「どんな奴がきたかと思えば、浮竹にそっくり。浮竹の子種でも盗んで、女神アルテナにでも産ませたのかい」
出てきた京楽の言葉は、それが最初だった。
「ああ、その通りだ。僕の名はアラン。始祖浮竹と女神アルテナの子だ」
「京楽、いくら俺に似ているからって、油断するんじゃないぞ」
「すでに遅いんじゃないの」
アランは、そこら中に血の糸を張り巡らせていて、それで浮竹と京楽をがんじがらめにした。
「今だよ、キララ。こいつらの魂を狩って」
「はい」
キララは死神の鎌を取り出して、まずは京楽の魂を狩ろうとした。
けれど、力の差がありすぎて、魂は狩りとれなかった。
「だめです、アラン様。私にはできません」
「なんだと?使えない死神だな」
「だって、私は1つを無理やり2つにされた。元の力の半分しかありません。元の力があれば、こんな奴らの魂を狩りとれるのに」
「それは聞き捨てならないねぇ。力があったら魂が狩りとれる?本当に、そんなこと思ってるんだ」
京楽は、血の魔法で自分と浮竹を戒める血の糸を切った。
「何故だ!僕はヴァンパイアマスターに限りなく近い。僕の血の糸を切れるだなんて」
「単純に、力の差だよ」
京楽は血の鎌を作り出すと、まずはアランの背を切った。
「ああああ!これしきの傷!」
アランもまた血の鎌を作り出して、京楽の鎌と切り結び合う。
その間に、浮竹はキララの相手をしていた。
「無理やり藍染に従わされている。違うか?」
「それは・・・・・・」
「どうやら、お腹に子がいるようだし、死神の力を一切使わず、もう俺たちの目の前に現れないと誓えるなら、見逃してやろう」
「え・・・」
意外な言葉に、キララが浮竹を見つめる。
「アランという、あれはどのみち処分する。父親があれだとしても、子には関係のないことだ。どうする?約束するなら、白金貨10枚を渡そう」
白金貨1枚あれば、一生裕福に暮らしていける。
キララが迷った末に、浮竹と交渉した。
「お金を、ください。もう二度とあなたたちの前には現れません」
「交渉成立だ。死神の鎌をこちらへ」
「はい」
死神の鎌と引き換えに、白金貨10枚を受け取り、キララはその場から逃げ出した。
「おい、キララ!」
「さようなら!」
「あの裏切者めええええ」
憤怒にもえるアランの周囲に、ぽっ、ぽっ、ぽっと鬼火が灯る。
「京楽、シールドの結界魔法だ!」
「分かったよ」
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・・トリプルファイアフェニックス!!」
「「マジックシールド!!」」
炎の最高位魔法を、二人はシールドで防いでしまった。
「なんだと、僕の最高の魔法が!」
「いくらヴァンパイアマスターに近いからと言って、力までそうだとは限らない」
浮竹が作り出した血の刃で、アランは胸を貫かれていた。
「父様・・・慈悲を」
「お前のような子供をもった覚えはない!」
「ああああああああ!!」
アランは持てる魔力の全てを槍に変えて、浮竹に向かって放つ。それはシールドを容易く破壊して、浮竹の心臓を貫いた。
「はははは、やったぞ、俺の勝利だ!」
「浮竹!よくも・・・・・・・」
浮竹は、心臓を破壊されながらも、平気そうに動いた。
血の槍を作り出し、アランの心臓を貫く。
「何故・・・何故、心臓を破壊したのに生きている・・・・・」
「知らなかったのか?俺は始祖である神の愛の呪いによって、不老不死だ」
「不老不死・・・、ならば、俺も!」
「無理だよ。君は不老不死じゃない。さよなら、哀れな浮竹の息子」
京楽は、作り出した血の刃でアランの体中を刺していた。
「藍染様・・・・・・」
その言葉を残して、アランは事切れた。
京楽は魔神の咢を開いて、その魂を貪る。
「カラミティファイア!」
浮竹は、アランの遺体を燃やして、灰にした。
「藍染の奴・・・・俺の子種を入手したようだ。しばらく俺の血を引く刺客がくるかもしれない・・・・って、京楽?」
「君のとても若い時ってあんなに可愛いんだね。今度あの年齢で僕の相手をしてよ」
「アホか!ずっとそんなこと考えていたのか!?」
「うん」
浮竹はアイテムポケットからハリセンを取り出すと、思い切り京楽の頭をばしばしと殴った。
「浮竹がいじめる~」
「戦闘の最中に、よくそんなことが考えられるな!」
「そういう浮竹こそ、死神のキララに金を与えて見逃した」
ぎくりと、浮竹が固まった。
「あれは、哀れだから・・・・・」
「いつか、子を産んでその子が敵討ちだって来ても、知らないからね」
「それくらい、承知している!」
浮竹と京楽は、もつれあいながら倒れた。
「あの子、すごい魔力だった。シールドを張るのに力を抜いていたら、きっと黒こげになっていた。君の血の力ってすごいね」
「正確には血統だろう」
「うん。君がまるで僕以外の伴侶と睦みあってできた子みたいで、嫉妬した。だから、君を抱くよ?」
「どういう理屈だ」
「さぁ、ただのこじつけかもね」
------------------------------------------------------------
「あ、あ!」
浮竹は、背後から京楽に貫かれて、ぽたぽたと精液をシーツの上に零していた。
「んあっ!」
ぐちゅぐちゅと、リズミカルに突き上げてくる愛しい伴侶の動きに合わせて、声が漏れる。
「あ、やだ、そこやだあああ」
嫌がる浮竹のいい場所を突きあげてやると、浮竹は背を弓ぞりにしあならせて、オーガズムでいっていた。
「ひあああああ!!」
京楽は気に留めることもなく、浮竹の奥へ奥へと熱い楔を打ちこんでいく。
ごりっと、最奥に入ってこられて、浮竹はまたシーツの上に子種をまき散らしていた。
同時に、京楽も子種を浮竹の胎の奥へ注ぎこむ。
「あ、もっと・・・もっと深く」
もっととねだる浮竹の最奥にぐりぐりと侵入したら、浮竹はびくんびくんと体をけいれんさせていた。
「あああ、やああああああああ!!!」
「君がもっと深くって言ったんだよ?」
「やあああ、深すぎるううう、だめえええ」
「でも、そこがいいでしょ?」
ゴリゴリッと奥を抉られて、浮竹はまた射精していた。
「ああああ!!!」
「んっ、僕もいくよ。受け止めてね」
「んああああ!!」
京楽の子種を最奥で受け止めて、浮竹は妖艶に笑う。
「もっと・・もっとくれ、春水、お前の子種を」
「仕方のない子だねぇ」
浮竹をあおむけにさせて、正常位から浮竹の右の太ももを肩にもちあげて、ずちゅりと音を立てて侵入する。
「あ、もっと・・・・」
「もうすぐあげるから、少し待ってね」
ずちゅりずちゅりと音を鳴らして、浮竹の中を出入りする。結合部はローションと互いの液体が混ざり合ったもので泡立っていた。
「んっ、いくよ。全部、飲み干してね」
「あ、飲む干すから、全部、俺の中に全部注いでくれ」
すでに3回は出したのに、京楽のものまだ硬くて、浮竹の奥にびゅるびゅると精子を注いだ。
「あ、や、いっちゃう!!」
子種を注ぎ込まれながら、オーガズムでいっている浮竹の太ももに噛みつき、吸血してやると、浮竹は泣いて嫌がった。
「やあああ、いってる時に吸血しないでえええ。頭が変になるうう」
「大丈夫、ただ気持ちいいだけだよ」
「やあああ、んあああああ!!!」
浮竹は盛大にいった後で、ぷしゅわあああと潮を漏らした。
「やああ、頭変になって、おもらし、しちゃった・・・・・」
「それはいけない子だ。お仕置きがいるね。愛してるよ、十四郎」
「俺も愛してる、春水・・・・・・」
ぐちゅりと中で円を描かれて、浮竹はまたいっていた。
「やああ、いくの、いくの止まらない、どうしてええ」
「さぁ、どうしてだろうね?」
別に媚薬も盛ってないし、普通のセックスだった。
京楽は硬さを失い、何も出なくなるまで、浮竹を犯した。
浮竹はぐったりしていた。
「大丈夫、浮竹」
「あんなにやられて、大丈夫なわけがないだろう。早く風呂に入れろ」
「はい、調子に乗りすぎました、ごめんなさい」
浮竹をシーツごと抱き上げて、風呂場に向かう。
前の古城より狭いが、それでも10人以上は入れそうな湯船にはたっぷりとお湯が満たされており、その中に浮竹は入れられた。
「あ、また湯の中でかき出すのか」
「そのほうが、かき出しやすし」
「んあああ、お湯が、お湯が中に・・・・」
「出る時に、お湯もかき出してあげるから」
浮竹は、京楽の指の動きだけでいってしまっていた。
「どしたの、今日の浮竹。すごいよ?」
「あ・・・・・昼に飲んだジュースj、血の帝国産のものだけど、きっとブラッディ・ネイが何か媚薬のようのものをいれたのかもしれない」
実際、その通りだった。
何気にお中元のように受け取って飲んだジュースは、媚薬入りだった。
「今度から、血の帝国か送られてきたものは食べないし、飲まない」
「まぁ、それが無難かもね」
京楽は、浮竹の中からお湯をかき出して、髪と体を洗ってやった。
「ん・・・・きもちいい」
「変な意味で?」
「違う。純粋に心地よいだけだ」
浮竹を風呂からあがらせると、その長い白髪の水分を拭きとって、体もふいてやり、寝間着に着替えさせた。
「ん」
「はいはい」
甘えられて、お姫様抱っこして、京楽は浮竹を寝室に連れ戻すと、いったんソファーに身を預けさせて、真新しいシーツをかけてその上に寝かせた。
「おやすみ」
「おやすみ、いい夢を、浮竹」
―-----------------------------------------------
「そうか。アランは魔法ではそこそこいけたが、キララが魂を狩り損ねたか」
「あなた、キララを探して。お仕置きをしないと」
「キララの死神の能力は役に立ちそうもない。もう用済みだ」
藍染は、キララを放置することにきめた。
「ミライ。あなたは、キララのようになっては駄目よ?」
「はい、オリガ母様」
「いい子だ、ミライ。絶対者を滅ぼすには絶対者を宛がう。お前は、絶対者だ。いずれ、浮竹を滅ぼしてもらう」
「はい、藍染父様」
歪に歪んだ藍染の世界で、狂った愛を受けながら、ミライは成長を続ける。
「次の子も、アランほど魔力が高ければいいが」
藍染は、肉便器に浮竹の子種を注ぎ、ついでに入手した京楽の子種も注いだ。
「双子だ。浮竹と京楽の子を産んでくれよ、女神アルテナ」
魂を失い、ただの肉便器と化したアルテナであった肉塊は、その言葉に嬉しそうに震える。
やがて、浮竹と京楽の子が生まれた。
二人は仲が良く、何処にいくのも一緒だった。
「あの二人は、まるで幼い浮竹と京楽のようだね」
普通ならっ微笑ましい光景だろうが、藍染にしてみれば、反吐が出るというやつだった。
「適切な教育を施そう」
そうして育った肉便器と浮竹と京楽の子たちは、瞳に色がない少年へと成長した。
「藍染様は絶対!藍染様は世界の全て!」
浮竹の子はシロと名付けられ、京楽の子はハルと名付けられた。
実際の浮竹と京楽の名前からきていた。
「さぁ、逃げてきたふりをして、自分の父親たちを葬るんだ。いいね?」
「「はい、藍染様」」
二人の哀れな子羊は、浮竹と京楽の元に向かうのであった。
執事京楽、主浮竹
浮竹には幼い頃から執事がいた。
黒い燕尾服を着て、穏やかに微笑むその姿がすきだった。
名は京楽春水。
浮竹は名前を浮竹十四郎という。浮竹家は伯爵の家柄で、両親は浮竹が幼い頃に病死してしまい、僅か8歳で浮竹は当主になった。
他に兄弟姉妹もいなくて、友人もおらず、家庭教師をつけられたが、周りに居る者たちはみんな浮竹のもつ金目当てだった。
僅か8歳で結婚されられそうになった。
浮竹は当主の座を放棄して逃げ出そうとしたが、周りの大人がそれを許してくれなくて、友達もおらず、心を許せる相手は気づけばだ誰もいなかった。
浮竹は、事故で両親を失い、友達もいない寂しさを紛らわすために、だめ元で黒魔術で両親を作り出そうとした。けれどそれは、悪魔召還の儀式だった。
勝手も分からず、黒い本の通りに自分の血で描いた円陣には、中心に人が立っていた。
「父上?」
「残念。僕は悪魔。悪魔の中の上位悪魔。いわゆる魔王ってやつだね。名は京楽春水」
「魔王・・・・・俺を、食うのか?」
目の前の白い髪の少女・・・いや、少年は、魔王と名乗った京楽に一切の恐れを抱かずに、ただ見つめていた。
「んー。君の魂は極上においしそうだ。願いをなんでも叶えてあげよう。ただし、その魂をくれるなら、ね」
「じゃあ、俺と友達になってくれ!」
「は?」
京楽は目を点にしていた。
てっきり、地位や名誉、財産などが欲しい、国が欲しいと言い出すと思っていたのだ。
「あはははは。魔王の僕を呼び出しておいて、友達になってくれ?おおいに結構じゃない。君の友達に、なってあげるよ。期限は君が成人するまで」
「成人するまで・・・・・・」
浮竹にはこうして執事ができた。正体は魔王という、執事が。
京楽は、家庭教師や住み込みの者たちを追い出して、屋敷を京楽だけで切り盛りし始めた。
魔王として配下を生み出し、メイドやコックを、雇う事なく京楽の血から作り出された人形で屋敷の管理を任せていた。
「さぁ、十四郎坊ちゃん、お勉強の時間だよ」
家庭教師には、京楽本人がついてくれた。
座学からテーブルマナー、社交界のダンスの踊り方やら、身のふるまい方。全てを教えてくれた。
浮竹が12歳になる頃には、浮竹はますます美しく成長して、その魂は輝かんばかりで、とてもも美味しそうで、とても愛しく感じた。
12歳で社交界デビューを果たした浮竹は、その財力を狙う貴族の子女に囲まれて、気分が悪いと言ってきた少女を介抱していると、いきなり既成事実を作られそうになった。
京楽が、すんでのところで助けてくれた。
「君は、身の丈にあった相手を選ぶことだ。十四郎坊ちゃんにはつりあわないよ」
「いやああ、浮竹様の執事に襲われたあああ!!!」
少女はドレスを破り、騒ぎ出した。
すぐに京楽は逮捕されて、貴族への暴行未遂ということで死罪となった。
「京楽・・・いなくなってしまうのか?俺を置いていくな!」
「うん。もちろんだよ」
京楽を取り囲んでいた警備の者たちも、社交界にきていた貴族や従者たちも、みな昏倒させた。
その日の記憶を、京楽は全ての人間から奪った。
「君の魂も心も体も、僕のものだ。誰にもあげない」
「京楽・・・・・」
浮竹は、背伸びをして京楽の唇に唇で触れていた。
「十四郎坊ちゃん!?」
「俺はお前が好きだ。友人としても、家族としても。そして、1人の人間としても」
「そうは言われても、僕は悪魔の魔王だよ?」
「それでも、好きなんだ」
浮竹の周囲には、浮竹の金を目当てに集まる者しかいなかった。
そんな心寂しい状態で、唯一の温もりを与えてくれる相手を、どうして好きにならないでいられようか。
「面白い子だ。少し遊ぶのもいいか」
京楽の中で悪戯心が芽生えた。
浮竹が16になる頃、縁談の話が降り積もるようにわいてきた。
それを、京楽が全てつっぱねて、断った。
社交界に出ることはあったが、縁談の話が舞い込む度に、京楽が邪魔をしてきた。
「浮竹様、悪いことはいわないわ。あの京楽という執事、辞めさせたほうがいいわ。あなたの縁談の話の邪魔ばかりするのですよ」
叔母にあたる人の言葉に、浮竹は首を横に振る。
「あれは俺のものだ。俺がどうしようが、俺の勝手だ」
浮竹は、翡翠色の瞳で京楽の鳶色の瞳をいつも見ていた。
その底に浮かぶ欲を知りながら、京楽の傍にいた。
そのまま時は流れ、いつしか18の成人の時を迎えていた。
「今日でお別れだな」
「え、どうして?」
「だって、友人としていてくれるのは、成人の時までだろう?俺は18歳。成人した」
いつもの黒い燕尾服で、京楽はくつくつと笑い出した。
「俺の魂をくれてやる。この世に未練があるとしたら、お前ともっと時を過ごしたかった。それだけだ」
「十四郎坊ちゃん、悪魔の花嫁って知っているかい?」
「悪魔の花嫁?」
浮竹は首を傾げる。
「そう。悪魔やヴァンパイアは、気に入った相手を同族にして迎え入れる。それが悪魔の花嫁だよ」
「まさか・・・」
「そう、そのまさか。僕は君が気に入った。悪魔の花嫁として迎え入れたい。魂をいただくだけじゃ、気がすまない。その心も体も何もかも、僕のものにしたい」
浮竹は、真っ赤になった。
「その、心と体というのは・・・・」
「君が想像している通りだよ」
ふっと耳に息を吹きかけられて、浮竹はぞくりとなった。
「あ、京楽・・・・」
「十四郎坊ちゃん。いや、十四郎。僕を春水って呼んで」
「春水・・・・」
「ああ、いいね。ぞくぞくするよ」
京楽は、浮竹の魂を手中に収めて、それを浮竹に返した。
「あ、どうなったんだ?」
「君は悪魔になった。僕の同族で、僕の花嫁だ」
そのまま、京楽は浮竹の執事であり続けた。
浮竹は、夜になると京楽の部屋を訪れる。
「おや、また来たのかい」
「欲しい・・・お前が、欲しい」
魂まで手中に収められて、浮竹は完全に執事であった京楽のものになっていた。
「んっ」
舌が絡むキスをされて、浮竹は京楽の肩に噛みつく。
「この前つけたキスマーク、まだ残っているね」
浮竹は京楽を欲した。それも頻繁に。
悪魔の花嫁となり、悪魔としてなってしまったせいかは分からないが、魔王の子種を受けて、正気でいられる者などいない。
浮竹は昼は正気を保っているが、夜になると京楽を求めた。
そうなるように、京楽がしむけた。
「今夜は、寝かさないよ」
「ああ・・・春水、愛してる」
「僕も愛してるよ」
くつくつと、京楽は笑う。
愛なんて陳腐な台詞はいらないけれど、それで浮竹が安心するなら、いくらでも愛を囁いてあげよう。
そう思った。
「ああ、ああああ」
京楽に貫かれながら、浮竹は京楽の全部が欲しくて、その背中に手を回す。
「十四郎坊ちゃん、淫乱になっちゃったねぇ」
「ひあああ!」
ごりっと奥を貫かれて、浮竹は自分の腹の上で射精していた。
「もっと・・・もっと、お前をくれ」
浮竹の背中には、肩甲骨のあたりに悪魔の花嫁を意味する翼の文様があった。
「あああ!もっと!」
「十四郎、愛してるよ」
浮竹の胎の奥に子種を注ぎ込んでやり、そのまま京楽は浮竹の体の一部をいじり、孕ませた。
「あああ、やあああ、孕んじゃう!」
「僕たちの子だよ。元気な子を産んでね」
京楽は何度も浮竹の体内に子種を注いだ。
浮竹はオーガズムでいきながら、京楽のことを思う。
伴侶はいれど、子がいないとこの伯爵家を継ぐ者がいなくなる。
だから、京楽は浮竹に子を産ませるような体にした。それは一時的なもので、帝王切開で男児を出産した後は、元の普通の男性に戻っていた。
「んああああ!」
今日もまた、京楽の部屋で浮竹は啼いている。
生まれ落ちた赤子は、二人で慈しみながら育てた。いずれ、社交界でお披露目をするときもあるだろうし、母親は誰だと聞かれることもあるだろうが、息子に母親はもう他界してしまったと言って聞かせてある。
「んっ、もっと・・・・・」
まだまだだと求める浮竹抱き寄せ、銀の糸がひくようになるまで、口づけをかわしあう。
「春水、愛してる」
「僕も愛してるよ、十四郎」
浮竹は、18歳の頃から見た目が変わらなくなった。
それは悪魔の花嫁になったせいであり、悪魔となったせいでもあった。
訝しがる親戚たちの記憶を操作して、京楽は浮竹には結婚した女性がいて、すでに他界して子だけが残されたという設定にした。
「ふふふ。よく寝ているね」
2歳になったばかりの我がを抱きあげて、京楽は人間として生きる生活を送っていた。
「そろそろ、昼寝の時間だ」
「そうだね。よく食べて寝て、大きくおなり。時期浮竹伯爵家の当主で、魔王候補だ」
「魔王になんて、俺がさせないぞ」
「まぁ、そこらはこの子は大きくなってから、家族会議かな」
浮竹十四郎。
伯爵家の当主であり、悪魔の花嫁であり、悪魔でもある。
京楽春水。
浮竹伯爵家の執事であり、召還された悪魔で魔王であり、京楽と浮竹の間にできた子の父であった。
二人は、子がある程度の年齢に達しても、若い姿のままで居続けた。
京楽が国中の人間の記憶を操作して、見た目が変わらないことに関して疑問を抱かないようにしていた。
「京楽父様、浮竹父様、いってきます」
我が子は、家庭教師をつけたりせず、平民と交じって学校で授業を受けさせて、育てていた。
テーブルマナーは社交界のダンス、身の振り方は執事である京楽が教えてくれた。
結ばれても、京楽はあくまで執事であった。
それは京楽のポリシーであり、この世の召還されてはじめてついた職業が執事であり、浮竹の身の回りの世話をするのが好きなせいでもあった。
悪魔京楽。
そっちに世界では魔王として名が売れている京楽だったが、今はただ、この幸せな安寧に浸っているのだった。
黒い燕尾服を着て、穏やかに微笑むその姿がすきだった。
名は京楽春水。
浮竹は名前を浮竹十四郎という。浮竹家は伯爵の家柄で、両親は浮竹が幼い頃に病死してしまい、僅か8歳で浮竹は当主になった。
他に兄弟姉妹もいなくて、友人もおらず、家庭教師をつけられたが、周りに居る者たちはみんな浮竹のもつ金目当てだった。
僅か8歳で結婚されられそうになった。
浮竹は当主の座を放棄して逃げ出そうとしたが、周りの大人がそれを許してくれなくて、友達もおらず、心を許せる相手は気づけばだ誰もいなかった。
浮竹は、事故で両親を失い、友達もいない寂しさを紛らわすために、だめ元で黒魔術で両親を作り出そうとした。けれどそれは、悪魔召還の儀式だった。
勝手も分からず、黒い本の通りに自分の血で描いた円陣には、中心に人が立っていた。
「父上?」
「残念。僕は悪魔。悪魔の中の上位悪魔。いわゆる魔王ってやつだね。名は京楽春水」
「魔王・・・・・俺を、食うのか?」
目の前の白い髪の少女・・・いや、少年は、魔王と名乗った京楽に一切の恐れを抱かずに、ただ見つめていた。
「んー。君の魂は極上においしそうだ。願いをなんでも叶えてあげよう。ただし、その魂をくれるなら、ね」
「じゃあ、俺と友達になってくれ!」
「は?」
京楽は目を点にしていた。
てっきり、地位や名誉、財産などが欲しい、国が欲しいと言い出すと思っていたのだ。
「あはははは。魔王の僕を呼び出しておいて、友達になってくれ?おおいに結構じゃない。君の友達に、なってあげるよ。期限は君が成人するまで」
「成人するまで・・・・・・」
浮竹にはこうして執事ができた。正体は魔王という、執事が。
京楽は、家庭教師や住み込みの者たちを追い出して、屋敷を京楽だけで切り盛りし始めた。
魔王として配下を生み出し、メイドやコックを、雇う事なく京楽の血から作り出された人形で屋敷の管理を任せていた。
「さぁ、十四郎坊ちゃん、お勉強の時間だよ」
家庭教師には、京楽本人がついてくれた。
座学からテーブルマナー、社交界のダンスの踊り方やら、身のふるまい方。全てを教えてくれた。
浮竹が12歳になる頃には、浮竹はますます美しく成長して、その魂は輝かんばかりで、とてもも美味しそうで、とても愛しく感じた。
12歳で社交界デビューを果たした浮竹は、その財力を狙う貴族の子女に囲まれて、気分が悪いと言ってきた少女を介抱していると、いきなり既成事実を作られそうになった。
京楽が、すんでのところで助けてくれた。
「君は、身の丈にあった相手を選ぶことだ。十四郎坊ちゃんにはつりあわないよ」
「いやああ、浮竹様の執事に襲われたあああ!!!」
少女はドレスを破り、騒ぎ出した。
すぐに京楽は逮捕されて、貴族への暴行未遂ということで死罪となった。
「京楽・・・いなくなってしまうのか?俺を置いていくな!」
「うん。もちろんだよ」
京楽を取り囲んでいた警備の者たちも、社交界にきていた貴族や従者たちも、みな昏倒させた。
その日の記憶を、京楽は全ての人間から奪った。
「君の魂も心も体も、僕のものだ。誰にもあげない」
「京楽・・・・・」
浮竹は、背伸びをして京楽の唇に唇で触れていた。
「十四郎坊ちゃん!?」
「俺はお前が好きだ。友人としても、家族としても。そして、1人の人間としても」
「そうは言われても、僕は悪魔の魔王だよ?」
「それでも、好きなんだ」
浮竹の周囲には、浮竹の金を目当てに集まる者しかいなかった。
そんな心寂しい状態で、唯一の温もりを与えてくれる相手を、どうして好きにならないでいられようか。
「面白い子だ。少し遊ぶのもいいか」
京楽の中で悪戯心が芽生えた。
浮竹が16になる頃、縁談の話が降り積もるようにわいてきた。
それを、京楽が全てつっぱねて、断った。
社交界に出ることはあったが、縁談の話が舞い込む度に、京楽が邪魔をしてきた。
「浮竹様、悪いことはいわないわ。あの京楽という執事、辞めさせたほうがいいわ。あなたの縁談の話の邪魔ばかりするのですよ」
叔母にあたる人の言葉に、浮竹は首を横に振る。
「あれは俺のものだ。俺がどうしようが、俺の勝手だ」
浮竹は、翡翠色の瞳で京楽の鳶色の瞳をいつも見ていた。
その底に浮かぶ欲を知りながら、京楽の傍にいた。
そのまま時は流れ、いつしか18の成人の時を迎えていた。
「今日でお別れだな」
「え、どうして?」
「だって、友人としていてくれるのは、成人の時までだろう?俺は18歳。成人した」
いつもの黒い燕尾服で、京楽はくつくつと笑い出した。
「俺の魂をくれてやる。この世に未練があるとしたら、お前ともっと時を過ごしたかった。それだけだ」
「十四郎坊ちゃん、悪魔の花嫁って知っているかい?」
「悪魔の花嫁?」
浮竹は首を傾げる。
「そう。悪魔やヴァンパイアは、気に入った相手を同族にして迎え入れる。それが悪魔の花嫁だよ」
「まさか・・・」
「そう、そのまさか。僕は君が気に入った。悪魔の花嫁として迎え入れたい。魂をいただくだけじゃ、気がすまない。その心も体も何もかも、僕のものにしたい」
浮竹は、真っ赤になった。
「その、心と体というのは・・・・」
「君が想像している通りだよ」
ふっと耳に息を吹きかけられて、浮竹はぞくりとなった。
「あ、京楽・・・・」
「十四郎坊ちゃん。いや、十四郎。僕を春水って呼んで」
「春水・・・・」
「ああ、いいね。ぞくぞくするよ」
京楽は、浮竹の魂を手中に収めて、それを浮竹に返した。
「あ、どうなったんだ?」
「君は悪魔になった。僕の同族で、僕の花嫁だ」
そのまま、京楽は浮竹の執事であり続けた。
浮竹は、夜になると京楽の部屋を訪れる。
「おや、また来たのかい」
「欲しい・・・お前が、欲しい」
魂まで手中に収められて、浮竹は完全に執事であった京楽のものになっていた。
「んっ」
舌が絡むキスをされて、浮竹は京楽の肩に噛みつく。
「この前つけたキスマーク、まだ残っているね」
浮竹は京楽を欲した。それも頻繁に。
悪魔の花嫁となり、悪魔としてなってしまったせいかは分からないが、魔王の子種を受けて、正気でいられる者などいない。
浮竹は昼は正気を保っているが、夜になると京楽を求めた。
そうなるように、京楽がしむけた。
「今夜は、寝かさないよ」
「ああ・・・春水、愛してる」
「僕も愛してるよ」
くつくつと、京楽は笑う。
愛なんて陳腐な台詞はいらないけれど、それで浮竹が安心するなら、いくらでも愛を囁いてあげよう。
そう思った。
「ああ、ああああ」
京楽に貫かれながら、浮竹は京楽の全部が欲しくて、その背中に手を回す。
「十四郎坊ちゃん、淫乱になっちゃったねぇ」
「ひあああ!」
ごりっと奥を貫かれて、浮竹は自分の腹の上で射精していた。
「もっと・・・もっと、お前をくれ」
浮竹の背中には、肩甲骨のあたりに悪魔の花嫁を意味する翼の文様があった。
「あああ!もっと!」
「十四郎、愛してるよ」
浮竹の胎の奥に子種を注ぎ込んでやり、そのまま京楽は浮竹の体の一部をいじり、孕ませた。
「あああ、やあああ、孕んじゃう!」
「僕たちの子だよ。元気な子を産んでね」
京楽は何度も浮竹の体内に子種を注いだ。
浮竹はオーガズムでいきながら、京楽のことを思う。
伴侶はいれど、子がいないとこの伯爵家を継ぐ者がいなくなる。
だから、京楽は浮竹に子を産ませるような体にした。それは一時的なもので、帝王切開で男児を出産した後は、元の普通の男性に戻っていた。
「んああああ!」
今日もまた、京楽の部屋で浮竹は啼いている。
生まれ落ちた赤子は、二人で慈しみながら育てた。いずれ、社交界でお披露目をするときもあるだろうし、母親は誰だと聞かれることもあるだろうが、息子に母親はもう他界してしまったと言って聞かせてある。
「んっ、もっと・・・・・」
まだまだだと求める浮竹抱き寄せ、銀の糸がひくようになるまで、口づけをかわしあう。
「春水、愛してる」
「僕も愛してるよ、十四郎」
浮竹は、18歳の頃から見た目が変わらなくなった。
それは悪魔の花嫁になったせいであり、悪魔となったせいでもあった。
訝しがる親戚たちの記憶を操作して、京楽は浮竹には結婚した女性がいて、すでに他界して子だけが残されたという設定にした。
「ふふふ。よく寝ているね」
2歳になったばかりの我がを抱きあげて、京楽は人間として生きる生活を送っていた。
「そろそろ、昼寝の時間だ」
「そうだね。よく食べて寝て、大きくおなり。時期浮竹伯爵家の当主で、魔王候補だ」
「魔王になんて、俺がさせないぞ」
「まぁ、そこらはこの子は大きくなってから、家族会議かな」
浮竹十四郎。
伯爵家の当主であり、悪魔の花嫁であり、悪魔でもある。
京楽春水。
浮竹伯爵家の執事であり、召還された悪魔で魔王であり、京楽と浮竹の間にできた子の父であった。
二人は、子がある程度の年齢に達しても、若い姿のままで居続けた。
京楽が国中の人間の記憶を操作して、見た目が変わらないことに関して疑問を抱かないようにしていた。
「京楽父様、浮竹父様、いってきます」
我が子は、家庭教師をつけたりせず、平民と交じって学校で授業を受けさせて、育てていた。
テーブルマナーは社交界のダンス、身の振り方は執事である京楽が教えてくれた。
結ばれても、京楽はあくまで執事であった。
それは京楽のポリシーであり、この世の召還されてはじめてついた職業が執事であり、浮竹の身の回りの世話をするのが好きなせいでもあった。
悪魔京楽。
そっちに世界では魔王として名が売れている京楽だったが、今はただ、この幸せな安寧に浸っているのだった。
お花見
桜の花が満開だった。
京楽は浮竹を誘って、花見に出かけた。
花見の場所は、京楽の屋敷の一つだった。
「何で花見で、お前の屋敷にこなきゃいけないんだ」
「いいじゃない。おいしい食べ物と君の好きな果実酒を用意するから」
「仕方ない・・・・・・」
浮竹は、京楽にほだされて京楽の屋敷の一つに来ていた。
縁側で、満開の桜の花が見れるようになっていた。
「さぁ、僕らも解放的に!」
院生の服を脱ぎ出す京楽にアッパーをかまして、運ばれてきた食事を食べる。
今は短いが、春休みだった。
浮竹は実家に帰ることもなく、寮で過ごす予定だったが、京楽に外に連れ出されて今に至る。
「はっくしょん」
4月とはいえ、まだ寒い日もある。
京楽はにょきっと起き出して、上着をもってくると、ふわりと浮竹にかぶらせた。
「すまんな」
「君が風邪をひいたら、なかなか治らないからね」
「確かに、お前の言う通りだな」
「ほら、お酒飲もう」
お互いの杯に、酒を満たしていく。
京楽のものには高級な日本酒を、浮竹のものには甘い果実酒を。
桜の花が風に揺れて、杯の中にひらひらと落ちてきた。
「綺麗だね」
「ああ、綺麗だ」
「僕は、桜を背にしている君が綺麗だって言ってるの」
「はいはい」
「だから、ここは裸になって互いの温度を!」
また院生の服を脱ぎ出す京楽の股間を蹴って、浮竹は果実酒をあおり、食事を楽しんだ。
「お前の変態度には呆れるが、いい花見になった」
「そう良かった」
寮の部屋に戻ると、京楽は何かごそごそしだした。
「なんだ、また俺のパンツでも盗んでいるのか」
「え、盗んでいいの?」
「いいわけないだろ!」
綺麗な右ストレートが京楽の鳩尾に決まり、京楽はゴロゴロと痛みを味わいながらも、にんまりと笑んでいた。
「何だお前は」
「んー。押し花してたの」
「何の花を?」
「そりゃもちろん、桜の花を。君と花見をした記念に」
「完成したら、俺にもくれ。栞にしたい」
桜の押し花とは、京楽にしては風流だと思ったが、下心ありありのようだった。
「この押し花が完成した時、君と僕は・・・むふふふふ」
「何不穏なこと考えてるか知らんが、俺は押し花を受け取るだけだからな」
「その俺にあんなことやそんなことを」
そんな京楽に、浮竹は噛みつくようなキスをした。
一瞬のことだったので、京楽には実感がなく。
「もう一回!今度はもっと濃厚なやつを」
「誰がするか。さっきのは、花見の礼だ。ありがたく思え」
「ありがたいありがたい。だからもう一回!」
何度もそう言ってくる京楽に、呆れて浮竹は京楽を抱きしめた。
「今はこれで満足しろ」
「うん・・・・」
京楽は、浮竹を抱きしめ返していた。
キスとハグはするが、それ以上はしない。
それが二人の暗黙のルールだった。いつも京楽が破りそうになるけれど、その都度に浮竹の拳がうなりをあげた。
「そうだ。今から、ちょっと散歩に出てみない?」
「もうすぐ消灯時間だぞ」
「大丈夫。すぐに終わりるから」
京楽に手を繋がれて、二人は寮の部屋を後にする。
京楽が浮竹の手を繋いでやってきた場所は、川の橋の上だった。
風がふいて、満月の中、夜桜がきらきちと散っていた。
「これは・・・また、いい場所を知っているものだな」
「君と、いつかこの夜桜をみたいと思っていた」
「その願いが叶ったら?」
「君を僕だけのものにする」
抱きしめられて、キスをされた。
いつアッパーがきてもいいように身構える京楽は、浮竹の笑い声にぽかんとした。
「はははは、こんなに綺麗なものを見せてもらったんだ。殴らないさ」
「じゃあ、パンツ盗んだけど、それも殴らない?」
「それとこれとは話は別だ」
京楽の耳をつねりながら、あの頭に拳をうならせる。
「ぱんつの1枚や2枚いいじゃない」
「そう言って、去年お前が盗んだパンツの数が200を超えたよな」
びくっと、京楽がまた怒られると身構える。
「お前が盗んだから、お前の金で新しいのを買うだけだ」
「じゃあ、紐パンとかはいて・・・・おぶっ」
頬をビンタされて、それでも京楽は嬉し気だった。
「お前、本当に変態だな」
「うん。僕は変態だよ」
「そこは否定しろよな」
「否定したって、変態なことは変わらないから」
そんな京楽に、浮竹は頭を抱えるのだった。
京楽は浮竹を誘って、花見に出かけた。
花見の場所は、京楽の屋敷の一つだった。
「何で花見で、お前の屋敷にこなきゃいけないんだ」
「いいじゃない。おいしい食べ物と君の好きな果実酒を用意するから」
「仕方ない・・・・・・」
浮竹は、京楽にほだされて京楽の屋敷の一つに来ていた。
縁側で、満開の桜の花が見れるようになっていた。
「さぁ、僕らも解放的に!」
院生の服を脱ぎ出す京楽にアッパーをかまして、運ばれてきた食事を食べる。
今は短いが、春休みだった。
浮竹は実家に帰ることもなく、寮で過ごす予定だったが、京楽に外に連れ出されて今に至る。
「はっくしょん」
4月とはいえ、まだ寒い日もある。
京楽はにょきっと起き出して、上着をもってくると、ふわりと浮竹にかぶらせた。
「すまんな」
「君が風邪をひいたら、なかなか治らないからね」
「確かに、お前の言う通りだな」
「ほら、お酒飲もう」
お互いの杯に、酒を満たしていく。
京楽のものには高級な日本酒を、浮竹のものには甘い果実酒を。
桜の花が風に揺れて、杯の中にひらひらと落ちてきた。
「綺麗だね」
「ああ、綺麗だ」
「僕は、桜を背にしている君が綺麗だって言ってるの」
「はいはい」
「だから、ここは裸になって互いの温度を!」
また院生の服を脱ぎ出す京楽の股間を蹴って、浮竹は果実酒をあおり、食事を楽しんだ。
「お前の変態度には呆れるが、いい花見になった」
「そう良かった」
寮の部屋に戻ると、京楽は何かごそごそしだした。
「なんだ、また俺のパンツでも盗んでいるのか」
「え、盗んでいいの?」
「いいわけないだろ!」
綺麗な右ストレートが京楽の鳩尾に決まり、京楽はゴロゴロと痛みを味わいながらも、にんまりと笑んでいた。
「何だお前は」
「んー。押し花してたの」
「何の花を?」
「そりゃもちろん、桜の花を。君と花見をした記念に」
「完成したら、俺にもくれ。栞にしたい」
桜の押し花とは、京楽にしては風流だと思ったが、下心ありありのようだった。
「この押し花が完成した時、君と僕は・・・むふふふふ」
「何不穏なこと考えてるか知らんが、俺は押し花を受け取るだけだからな」
「その俺にあんなことやそんなことを」
そんな京楽に、浮竹は噛みつくようなキスをした。
一瞬のことだったので、京楽には実感がなく。
「もう一回!今度はもっと濃厚なやつを」
「誰がするか。さっきのは、花見の礼だ。ありがたく思え」
「ありがたいありがたい。だからもう一回!」
何度もそう言ってくる京楽に、呆れて浮竹は京楽を抱きしめた。
「今はこれで満足しろ」
「うん・・・・」
京楽は、浮竹を抱きしめ返していた。
キスとハグはするが、それ以上はしない。
それが二人の暗黙のルールだった。いつも京楽が破りそうになるけれど、その都度に浮竹の拳がうなりをあげた。
「そうだ。今から、ちょっと散歩に出てみない?」
「もうすぐ消灯時間だぞ」
「大丈夫。すぐに終わりるから」
京楽に手を繋がれて、二人は寮の部屋を後にする。
京楽が浮竹の手を繋いでやってきた場所は、川の橋の上だった。
風がふいて、満月の中、夜桜がきらきちと散っていた。
「これは・・・また、いい場所を知っているものだな」
「君と、いつかこの夜桜をみたいと思っていた」
「その願いが叶ったら?」
「君を僕だけのものにする」
抱きしめられて、キスをされた。
いつアッパーがきてもいいように身構える京楽は、浮竹の笑い声にぽかんとした。
「はははは、こんなに綺麗なものを見せてもらったんだ。殴らないさ」
「じゃあ、パンツ盗んだけど、それも殴らない?」
「それとこれとは話は別だ」
京楽の耳をつねりながら、あの頭に拳をうならせる。
「ぱんつの1枚や2枚いいじゃない」
「そう言って、去年お前が盗んだパンツの数が200を超えたよな」
びくっと、京楽がまた怒られると身構える。
「お前が盗んだから、お前の金で新しいのを買うだけだ」
「じゃあ、紐パンとかはいて・・・・おぶっ」
頬をビンタされて、それでも京楽は嬉し気だった。
「お前、本当に変態だな」
「うん。僕は変態だよ」
「そこは否定しろよな」
「否定したって、変態なことは変わらないから」
そんな京楽に、浮竹は頭を抱えるのだった。
魔王と勇者
桜の花が満開だった。
魔王浮竹は、前に言った通り、無礼講の花見パーティーを開催した。
町からコックを雇って、その日のために豪華な食事が用意された。
魔王浮竹と勇者京楽と、後は下働きの者や摂政の魔族なんかが参加していた。身内でのささやかパーティーのはずだった。
「なかなかうまいな、これ」
新勇者は、堂々と魔王城に乗り込んで、無礼講の花見パーティーに交じっていた。
「サンダー・・・・」
「浮竹、今日は無礼講でしょ?いいじゃない、新勇者パーティーがいたって」
新勇者は、タッパをもってきて、料理を詰めるだけ詰め込んでいく。
新勇者だけでなく、女僧侶、少年魔法使い、獣人盗賊、青年戦士まで、タッパーに料理をつめこんでいた。
「浮竹様、どうしましょう!料理の数が足りません!」
「急いで町に買い出しいにってくれ」
「浮竹、我慢だよ、我慢」
「京楽、俺はどうしてもあのモヒカンをやめて辮髪(べんぱつ)になっている、新勇者の頭を燃やしたい」
タッパがいっぱいになたら、限界まで料理を貪る新勇者パーティーに、他の魔族たちがざわざわとしていた。
「ええい、ヘルインフェルノ!」
「あちゃあ!あーちゃちゃちゃちゃちゃあちゃーー!!」
すっかり満州人になりきった新勇者は、拳法を披露しうようとするが、大切な自分の髪の毛が燃えていると知って、わめきだした。
「誰だ、俺の優雅な辮髪を燃やす奴は!」
「どうせアデランスだろ?」
浮竹はにこにこしていた。
その笑顔が怖いと思ったのは、何も京楽だけではないだろう。
「何故ばれている!」
「前のモヒカンもアデランスだったろう」
「べ、別に銀の食器を全部盗んで売ったりしてないからな!」
「へぇ、銀の食器がなくなったの、何故知ってるのかな?」
にこにこ笑う勇者の京楽に、新勇者は指をつきつけた。
「魔王なんかとできている元勇者のお前には分かるまい!俺は世界を救うために冒険をして、この魔王城まできたんだ!魔王浮竹の首をとらない限り、近くに住み着くからな!そして冒険をしていない間金がないから、魔王城のものを盗んで売る!これは正義だ!」
「ほう、正義か。じゃあ、魔王が新勇者を滅ぼすのも正義だよな?」
「え、あ、あれ?」
京楽は、すでに遠く離れていた。
他の魔族たちも、浮竹から離れていた。
「サンダーボルテックス!」
しびびびびび。
「なぜだああああ」
新勇者は、黒焦げになりながらも、魔王である浮竹に魔法を放った。
「カラミティファイア!」
それは、浮竹の白い髪の一部を焦がした。
「新勇者。僕の浮竹を傷つけるとは、いい度胸だね」
「へ、あ、勇者京楽、目を覚ませ!お前はこの魔王に操られているんだろう!」
「へぇ、僕が操られているって?LV限界を突破した僕が?」
「何、レベル限界突破だと!聞いていないぞ!お前たち、チートだな!ずるをしているんだろう!」
「魔王の加護に、レベル限界の突破がある。それがあれば、レベル500まであげられる」
「なにぃ!レベル500だと!お前たち、レベル99をこえているのか」
「こえてるとも。500に近いよ」
「このチート勇者とチート魔王め!正義の剣をくらえ!」
人造聖剣エクスカリバーで斬りかかってきた新勇者を、浮竹はその顔面をハリセンで叩いた。
「おぶ!」
「新勇者を一番ボコボコにした者に、金貨100枚をあげよう」
「まじか」
「やるしかないっしょ」
「俺、やる」
「はらへった」
魔族からの声はなく、代わりに新勇者パーティーが名乗りでた。
少年魔法使いは火の魔法で新勇者をあぶり、女僧侶が杖で新勇者の頭を勝ち割った。
獣人盗賊はナイフで新勇者の服を切り刻み、青年戦士は巨大な岩をもちあげて、それを新勇者に投げつけた。
「きゃあああ、裸にされたあああ!痛いし熱い!!酷い!!」
少年魔法使いは、トドメの魔法をさす。
「ダークエッジ」
黒い闇の刃は、新勇者の少しだけ残っていた辮髪を丸ハゲにした。
「勝者、少年魔法使い!」
わーわー。
魔族たちは喜んだ。
新勇者は、フルチンにされたあげく、辮髪を失い、泣いていた。
「酷い!俺はただ銀の食器を盗んで売って、パーティーの魔物討伐の上前をはねていただけなのに!」
「上前をはねていたですってええ!!」
新勇者は、さらに女僧侶にボコボコにされた。
少年魔法使いは、本当に金貨100枚を渡された。
「よし、今日は焼肉食い放題だ。新勇者はくるなよ」
「酷いいいいいい」
「酷いのはどっちだ!パーティーで退治したモンスターの報奨金はきっちり5分割すると決めていただろう。その上前をはねていたなんて、お前が悪い!」
「うわあああああん!魔王浮竹、あの新勇者パーティーを退治してくれ」
鼻水を垂らしながら全裸で近づいてくるものだから、浮竹は新勇者の足をひっかけてこかした。
「うわあああん。みんな俺をいじめるうううう!!」
「まぁ、とりあえず星になっておいで」
京楽が、新勇者の首を掴むと、そのまま魔王城の彼方の空へ投げ飛ばした。
キラーン。
新勇者は星になった。
花見パーティーは、気にせず続けられ、新勇者のいない新勇者パーティーは、食べて飲んで騒ぎあうのだった。
「新勇者、復活できるのか?」
「さぁ、それはパーティーメンバー次第じゃないかな。まぁ、一応パーティーのリーダーだから、追放はないと思うよ」
「ならいいんだが」
魔王は魔王なりに、新勇者のことを気にかけていた。
それは本当の勇者である京楽もだった。
馬鹿にして吹っ飛ばすが、また復活してきてくれないと楽しくない。
そう思うのであった。
魔王浮竹は、前に言った通り、無礼講の花見パーティーを開催した。
町からコックを雇って、その日のために豪華な食事が用意された。
魔王浮竹と勇者京楽と、後は下働きの者や摂政の魔族なんかが参加していた。身内でのささやかパーティーのはずだった。
「なかなかうまいな、これ」
新勇者は、堂々と魔王城に乗り込んで、無礼講の花見パーティーに交じっていた。
「サンダー・・・・」
「浮竹、今日は無礼講でしょ?いいじゃない、新勇者パーティーがいたって」
新勇者は、タッパをもってきて、料理を詰めるだけ詰め込んでいく。
新勇者だけでなく、女僧侶、少年魔法使い、獣人盗賊、青年戦士まで、タッパーに料理をつめこんでいた。
「浮竹様、どうしましょう!料理の数が足りません!」
「急いで町に買い出しいにってくれ」
「浮竹、我慢だよ、我慢」
「京楽、俺はどうしてもあのモヒカンをやめて辮髪(べんぱつ)になっている、新勇者の頭を燃やしたい」
タッパがいっぱいになたら、限界まで料理を貪る新勇者パーティーに、他の魔族たちがざわざわとしていた。
「ええい、ヘルインフェルノ!」
「あちゃあ!あーちゃちゃちゃちゃちゃあちゃーー!!」
すっかり満州人になりきった新勇者は、拳法を披露しうようとするが、大切な自分の髪の毛が燃えていると知って、わめきだした。
「誰だ、俺の優雅な辮髪を燃やす奴は!」
「どうせアデランスだろ?」
浮竹はにこにこしていた。
その笑顔が怖いと思ったのは、何も京楽だけではないだろう。
「何故ばれている!」
「前のモヒカンもアデランスだったろう」
「べ、別に銀の食器を全部盗んで売ったりしてないからな!」
「へぇ、銀の食器がなくなったの、何故知ってるのかな?」
にこにこ笑う勇者の京楽に、新勇者は指をつきつけた。
「魔王なんかとできている元勇者のお前には分かるまい!俺は世界を救うために冒険をして、この魔王城まできたんだ!魔王浮竹の首をとらない限り、近くに住み着くからな!そして冒険をしていない間金がないから、魔王城のものを盗んで売る!これは正義だ!」
「ほう、正義か。じゃあ、魔王が新勇者を滅ぼすのも正義だよな?」
「え、あ、あれ?」
京楽は、すでに遠く離れていた。
他の魔族たちも、浮竹から離れていた。
「サンダーボルテックス!」
しびびびびび。
「なぜだああああ」
新勇者は、黒焦げになりながらも、魔王である浮竹に魔法を放った。
「カラミティファイア!」
それは、浮竹の白い髪の一部を焦がした。
「新勇者。僕の浮竹を傷つけるとは、いい度胸だね」
「へ、あ、勇者京楽、目を覚ませ!お前はこの魔王に操られているんだろう!」
「へぇ、僕が操られているって?LV限界を突破した僕が?」
「何、レベル限界突破だと!聞いていないぞ!お前たち、チートだな!ずるをしているんだろう!」
「魔王の加護に、レベル限界の突破がある。それがあれば、レベル500まであげられる」
「なにぃ!レベル500だと!お前たち、レベル99をこえているのか」
「こえてるとも。500に近いよ」
「このチート勇者とチート魔王め!正義の剣をくらえ!」
人造聖剣エクスカリバーで斬りかかってきた新勇者を、浮竹はその顔面をハリセンで叩いた。
「おぶ!」
「新勇者を一番ボコボコにした者に、金貨100枚をあげよう」
「まじか」
「やるしかないっしょ」
「俺、やる」
「はらへった」
魔族からの声はなく、代わりに新勇者パーティーが名乗りでた。
少年魔法使いは火の魔法で新勇者をあぶり、女僧侶が杖で新勇者の頭を勝ち割った。
獣人盗賊はナイフで新勇者の服を切り刻み、青年戦士は巨大な岩をもちあげて、それを新勇者に投げつけた。
「きゃあああ、裸にされたあああ!痛いし熱い!!酷い!!」
少年魔法使いは、トドメの魔法をさす。
「ダークエッジ」
黒い闇の刃は、新勇者の少しだけ残っていた辮髪を丸ハゲにした。
「勝者、少年魔法使い!」
わーわー。
魔族たちは喜んだ。
新勇者は、フルチンにされたあげく、辮髪を失い、泣いていた。
「酷い!俺はただ銀の食器を盗んで売って、パーティーの魔物討伐の上前をはねていただけなのに!」
「上前をはねていたですってええ!!」
新勇者は、さらに女僧侶にボコボコにされた。
少年魔法使いは、本当に金貨100枚を渡された。
「よし、今日は焼肉食い放題だ。新勇者はくるなよ」
「酷いいいいいい」
「酷いのはどっちだ!パーティーで退治したモンスターの報奨金はきっちり5分割すると決めていただろう。その上前をはねていたなんて、お前が悪い!」
「うわあああああん!魔王浮竹、あの新勇者パーティーを退治してくれ」
鼻水を垂らしながら全裸で近づいてくるものだから、浮竹は新勇者の足をひっかけてこかした。
「うわあああん。みんな俺をいじめるうううう!!」
「まぁ、とりあえず星になっておいで」
京楽が、新勇者の首を掴むと、そのまま魔王城の彼方の空へ投げ飛ばした。
キラーン。
新勇者は星になった。
花見パーティーは、気にせず続けられ、新勇者のいない新勇者パーティーは、食べて飲んで騒ぎあうのだった。
「新勇者、復活できるのか?」
「さぁ、それはパーティーメンバー次第じゃないかな。まぁ、一応パーティーのリーダーだから、追放はないと思うよ」
「ならいいんだが」
魔王は魔王なりに、新勇者のことを気にかけていた。
それは本当の勇者である京楽もだった。
馬鹿にして吹っ飛ばすが、また復活してきてくれないと楽しくない。
そう思うのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター62
ウツクは、見た目こそ邪神ザナドゥにそっくりだし、記憶を継承していたが、浮竹を友人として愛しいと思う気持ちはなかった。
ただその血を与えられて血族となり、富と地位と名誉と力が欲しかった。
浮竹を服従させれば、血族になれると思っていた。
それが大きな誤りであると気づいた時には、遅かった。
-----------------------------------------------------
「兄様!今度の古城もいいかんじだね」
「げ、ブラッディ・ネイ。何しにきた」
「やっぱり、兄様覚えてない。明日はボクの誕生日だよ」
「え、そうだったか?」
浮竹が首を傾げる。
そういえば、ここ数年妹の誕生日を祝っていなかったことを思い出す。京楽の誕生日を祝い、自分の誕生日を、毎年ではないが祝ってもらったことはあるが、実の妹の誕生日なんて、日にちすら覚えていなかった。
「ああ、そうだったか、明日だったな」
じとーっと、ブラッディ・ネイは浮竹を見つめた。
「兄様、ボクの誕生日の存在自体、忘れてるね?」
「そ、そ、そんなことないぞ。ちゃんとプレゼントも用意してある」
「ほんと、兄様!明日を楽しみにしてるね!」
ブラッディ・ネイは目をきらきら輝かせて、血の帝国に戻っていった。
「ねぇ、浮竹・・・・・」
「やばい、忘れてた。妹の誕生日など、存在自体を忘れてた・・・くしょん」
「風邪でも引いたの?」
「いや、東洋の俺と浮竹が噂でもしているんだろう」
「ああ、それはありそうだね・・・・・って、現実逃避してる場合じゃないでしょ。プレゼント、何にするの」
「そうだな、生きたマンドレイクを20本くらい・・・・・」
浮竹はかなり本気だった。
「絶対、性別転換の薬飲ませて襲ってくるよ」
「ぐはぁっ!あいつならやりかねん。何か装飾品でも買ってくるか」
「もう夜だよ。どこの店も、きっとしまってるよ」
「ぐはぁっ!どうする俺!操の危機だ!」
「別に、装飾品ならなんでもいいんでしょ。そこらのS級ダンジョンの財宝にあった何かの装飾品でも贈ればいいんじゃないの」
京楽は、ブラッディ・ネイの生誕祭には興味はなかったが、浮竹が行くならついていくつもりだった。
「京楽、お前実は頭が良かったのか」
「何それ!まるで僕をバカだと思ってるみたいじゃない」
「いや、バカだと思ってた」
「酷い!」
泣き真似をする京楽を放置して、アイテムポケットからこのまえS級ダンジョンで拾ったお宝を床に並べる。
金と銀、ミスリル、ミスリル銀のインゴット、金貨、宝石・・・・。
「なんかぱっとしないなぁ」
金貨や宝石を贈ったところで、喜びはしそうだが、金銀財宝を見慣れているブラッディ・ネイが心から喜んでもらえそうなものもない。
浮竹は、さらに財宝をだした。
すると、その中に大きなスターサファイアをあしらったネックレスがあった。
浮竹は、何を思ったのかそのネックレスを錬金術の釜に投げ入れて、生きたマンドレイク、ドラゴンの血、後何かの液体を注ぎこんで煮た。
煮ること30分。
スターサファイアのネックレスは、輝きを増して、持ち主の魔力を高める能力が付与されていた。
「恐るべし浮竹・・・錬金術でそんなものに加工できるだなんて」
「ふっ、俺もミスリルランクの最高位錬金術士だ。こんな加工、朝飯前だ」
「でも、エリクサーの調合に失敗して、錬金術の館爆発させるもんねぇ」
京楽がしみじみと言う。
「エリクサーは成功率が低いんだ!それに調合に失敗したら爆発するのは当たり前だ!」
「そうなの?1週間前、乱菊ちゃんちに遊びにいったけど、爆発なんてしてなかったよ」
「まだ彼女はプラチナランクだろう。エリクサーを調合できないはずだ」
「でも、浮竹ってエリクサー以外でもたまに失敗して館、爆発させてるよね」
「誰にでもミスはある!」
浮竹は、顔を真っ赤にしながら否定した。
「まぁ、別になんでもいいんだけど」
浮竹はアイテムポケットからハリセンを取り出して、京楽の頭を殴る。
スパーン。
いい音がした。
「痛いよ、酷い、浮竹!何するの!」
「俺のほうが傷ついた!プライドを傷つけられた!だから、今日は抱かせてやらない!」
「えー。今日は前から約束してたじゃない」
「抱かせてやらないって言ったら、抱かせてやらない」
「十四郎、愛してるよ」
耳元で低音ボイスで囁かれて、耳を甘噛みされて浮竹はビクンと反応した。
「このばかっ!」
真っ赤になった浮竹は、すでにスイッチが入ってしまったかのようで、浮竹の背に手を回して、何度も口づけを繰り返すのであった。
-----------------------------------------------------------------
「ああああああ!!寝坊した!!!」
昨日遅くまで睦み合ったので、起きたら昼を過ぎていた。
「京楽、すぐ着替えろ!血の帝国にいくぞ!」
「あれ、結局生誕祭には行くの?」
「行くに決まっているだろう。行かなきゃ、ブラッディ・ネイがこっちの世界で半月はずっと居座りそうだ」
「うわあああ、それは急がないと!」
浮竹と京楽は、皇族の正式な格好をして、顔を洗って歯を磨いて、食事はしないまま血の帝国へと繋がる地下の空間転移の魔法陣に乗る。
気づくと、血の帝国が広がっていた。
「急ぐぞ」
宮殿より少し離れた位置に設置されているので、ヴァンパイアに翼を広げてブラッディ・ネイの宮殿にまでやってくると、寵姫たちに囲まれながらも、不貞腐れているブラッディ・ネイと視線があった。
「兄様!ちゃんと来てくれたんだ!ボクは信じてたよ兄様がちゃんと来てくれるって!」
すぐそばでは、ルキアと一護、冬獅郎がこそこそとやりとりをしていた。
「浮竹殿と京楽殿が来ないほうに賭けていたのに」
「お前は皇女で聖女だろうが。賭け事はすんな」
「俺も浮竹と京楽がこない方に賭けてた・・・・負けだな」
「何が負けなんだ?」
額に血管マークを浮かべる浮竹に、3人は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「全く、人を賭け事の対象にするな」
白哉と恋次もきていた。
皇族王である白哉は、ブラッディ・ネイの次に血の帝国において身分が高い。
白哉の寵愛を得ようと、ブラッディ・ネイの寵姫たちが迫ってくるが、それを恋次が防いでいた。
「だから、白哉さんは俺のものだって言ってるだろうが!」
「勝手にお前のものにするな。私は誰のものでもない」
白哉の冷たい視線と態度に、恋次は見えない犬の尻尾を振っているように見えた。
「もう、白哉さんは照れ屋なんだから」
「散れ、千本桜・・・・」
「うわあああ、冗談です、すみません、すみません」
ぺこぺこと詫びる恋次を、浮竹も京楽もなんともいえない目で見つめていた。
たまに、自分たちもああなるのだ。
浮竹が怒って、それに対して京楽が謝りまくる。その構図が、白哉と恋次あてはまって、なんともえない気持ちになった。
「ブラッディ・ネイ。8045歳おめでとう」
「ありがとう、兄様。年齢はちゃんと覚えてくれてたんだ」
「ああ。俺が8050歳だからな」
神代の頃に生まれてから8千年と少しを超えていた。
ブラッディ・ネイは不老不死の限りなく近い、転生という状態を維持して、血の帝国をずっとまとめあげてきた。
8千年の間、浮竹のように5千年も休眠することなく、ずっと休眠しないで活動してきた。
そのせいか、性格はやや歪み、性愛の対象が十代前半の少女になっていた。
浮竹が眠る前、生まれた頃はちゃんとした異性愛者で、結婚し子を成していた。その血筋が、今の皇族の基本になるのだが。
「ほら、ブラッディ・ネイ。誕生日プレゼントだ」
「ぎいやああああ」
「ぎぃえええええ」
「ぎょわえええええええええ」
そう叫びまくる生きたマンドレイクを出されて、ブラッディ・ネイは寵姫たちに何か命令しだす。
「こ、これはただの手土産だ!本物はこっちだ!」
浮竹は、性別転換の薬を盛られる前に、本命のスターサファイアのネックレスをブラッディ・ネイに与えた。
「わぁ、綺麗。それに、身に着けると魔力が上がるんだね。素敵な贈り物をありがとう、兄様。寵姫たち、さっき命じたことはしなくていいよ」
「お前、俺がマンドレイクだけだったら、俺を女にして襲うつもりだったな?」
「やだなぁ、そんな当たり前のこと」
「当たり前にするな!全く、お前はすぐに俺とどうこうなりたがるから、この宮殿に住まう気がしないんだ」
「別に、ボクがどうこうしなくても、兄様はそのひげもじゃと一緒にいるために、古城に住んでたでしょう?」
「そ、それは・・・・・」
浮竹は赤くなった。
「照れてる兄様かわいい!」
ブラッディ・ネイは浮竹に抱き着いていた。今の体は9代目にあたり、16くらいの皇族の少女の体だった。
もとの皇族の少女の意識はもうない。
ブラッディ・ネイの転生先に選ばれた皇族や貴族は、その身内に莫大な富を与えて、自分の娘を人未御供にしたわけではなく、選ばれた神の子であると信じさせた。
今までそうやって生きてきた。
そういう生き方しか知らなかった。
寵姫たちを愛し、男の子種なしで妊娠させれるようになった。
寵姫の数はいつも40人前後だった。
「お前、そういえば去年に競り落とした魂のルビーはどうした?」
「ああ、あれ。飽きちゃったから、宝物庫にしまってあるよ」
「飽きるのが、相変わらず早いな」
「でも兄様には飽きてないよ!何度転生しても、兄様を愛している」
「俺は、お前を妹としては愛しているのだと思う。だが、お前の求める愛には答えられない」
ぶすーっと、美しい顔でブラッディ・ネイは不貞腐れた。
「全く、あんなひげもじゃの元人間のどこがいいんだか」
「元人間だが、今はヴァンパイアロードであり、魔神だ」
「魔神ってのが気にくわない」
「いざとなったら、君の魂だって食べれるんだよ。魂を喰われてしまえば、君も終わりだ。せいぜい、浮竹にあまり迷惑をかけないことだね」
京楽の余裕ぶった態度が気に食わなくて、ブラッディ・ネイは京楽に向かって、寵姫の誰かがあげた宝石を頭に向かって投げた。
それを後ろを見ないままキャッチする京楽に、寵姫たちの数人が惚れ惚れしていた。
「ほらほら、ボクの寵姫たち。お戯れの時間は終わりだ。後宮に戻りなさい」
「ブラッディ・ネイ様ずるいわ。わたくしも、白哉様や浮竹様や京楽様と話したい」
「だーめ。そんなこと言う子には、お仕置きだよ?」
「きゃっ、ブラッディ・ネイ様のエッチ!」
きゃっきゃと女の子同士で会話しているのは、見ていて和むが、会話の内容が内容だけになんとも言えない気持ちになった。
「浮竹」
「どうした、白哉」
「兄に、何か悪い影が近づいている。せいぜい、気をつけることだ」
「悪い影だって。藍染の手の者だったりしてね」
「そうだねぇ。僕は、確かに藍染の手の者。悪い影かもねぇ」
「誰だ!」
浮竹は、皆に結界を張った。
「ザナドゥ?」
「それは父の名だよ。僕の名はウツク。美しいから、ウツク。この前君が殺したミニクの兄弟さ」
「ザナドゥではないのか・・・そうだな、確かにザナドゥは死んだはずだ」
「浮竹、宮殿を出よう。ここでバトルしたら、被害が出過ぎる」
「僕はここでもいいんだよ?ヘルインフェルノ」
「きゃあああ!!」
「いやあああ!!」
ブラッディ・ネイの寵姫が火に包まれ、ブラッディ・ネイは得意の薔薇魔法で炎を鎮火させると、火傷をの痕が残らないように、自分の血をかけて、寵姫たちを守った。
「お前、関係のない者を巻き込むな!」
「巻き込んで欲しくなければ、君の血族にしてよ」
「な!」
「浮竹、いいから宮殿の外に出よう!」
「僕はここから動かないよ。ここにいる者全員を殺す。それがいやなら、僕を血族にしてよ」
ブラッディ・ネイの薔薇の魔法で束縛されても、ウツクは何事もなかったかのように空に浮かんでいた。
「この、よくもボクの寵姫を!」
「うるさいなぁ。部外者は黙っていてよ。ボルケーノトライアングル」
「くっ」
炎に巻き込まれて、ブラッディ・ネイは薔薇魔法で炎を喰った。
「ブラッディ・ネイ様!」
「兄は、愚かだ。なんの関係もない者を手にかけて、浮竹が兄を血族にするとでも?」
白哉の言葉にいらついて、ウツクは白哉を風の魔法でスタズタにした。
「白哉さん!」
「恋次、やめろ。お前のかなう相手ではない!」
「でも、白哉さん、怪我を!」
「この程度、自分で再生できる」
「さぁ、我が友浮竹。血族にしないと、ここにいる者を全員皆殺しにするよ?血を頂戴」
浮竹は、ワイングラスをとると、それに血を滴らせた。
「これを飲め。血族になれるはずだ」
「やったね。藍染はバカだ。最初からこうすればよかったのに」
浮竹の血を飲んでいき、ウツクはヴァンパイアロードに進化したように見えた。
「あはははは、力が漲ってくる」
「浮竹!」
「京楽、ここは黙って俺の言葉を聞いてくれないか」
「何か策があるんだね。いいよ」
「ちゃんと血族にした。城の外に出ろ」
「はいはい。主の言うことは絶対だからね」
宮殿の外に出ると、太陽の光を通さないための血の幕の結界が血の帝国中を覆っていた。
浮竹は、頭上にある血の結界の一部を壊した。
「なんだ、太陽の光なんて・・・・・・ぎゃあああああああ!!!」
「お前に与えた血は、確かに俺のものだ。だが、俺が望まない限り、血族となってもただのヴァンパイアかそれ以下になる。それに、京楽以外に血族はいらない」
「浮竹・・・・」
京楽は感動して、涙ぐんでいた。
「おのれええ、騙したな!」
「騙されるお前が、間抜けなんだ」
「太陽が、太陽が眩しい・・・・・うぎゃあああああ」
ウツクは、太陽の光を浴びて灰となった。
頭上の結界を元に戻して、浮竹は京楽と一緒に宮殿の中に戻ってくる。
「終わったぞ」
「浮竹かっこいい。痺れる。今すぐ抱いて」
京楽は、浮竹の右腕をぎゅーっと掴んでいた。
「俺はお前に抱かれることはできるが、お前を抱きたくはない」
「振られちゃった。でも浮竹、愛しているよ。血族を一度作ったのも、許してあげる」
「許すも許さないも、血族を誰にするかは俺の自由だ」
京楽の瞳に、狂気に満ちた色が宿っていることを知らずに、ブラッディ・ネイの生誕祭を引き続き行い、夜まで騒ぎ会うのだった。
------------------------------------------------------------------------------
「だからさぁ、君の血族は僕だけでいいって、教えてあげなきゃね?」
「やああん」
浮竹は、静かに怒る京楽に、目隠しをされて前を戒められて、手を後ろで拘束されていた。
「やあああ、とって、とってえええ」
「だーめ。君の血族は僕だけだよ。僕の許可なしに血族にしたりして・・・・・・許せない」
京楽は、狂気じみた笑顔を浮かべていた。
浮竹の蕾を指でぐちゃぐちゃにしてやる。
「やああ、あれは、あれは、ただ血族しただけで、愛するとかそういうのじゃなくて」
「それでも、君が僕以外を血族にしたことを許せない」
「ああああ、ごめんなさい」
ぐちゅりと中を突きあげると、浮竹はオーガズムでいっていた。
「これは、お仕置きだからね?」
「やあああ、いきたい、いきたい、とってええ」
「そう簡単にとっちゃったら、お仕置きにならないでしょ?」
「やああああ、いきたい」
「だーめ」
浮竹の中を味わうように、わざとゆっくり挿入する。
そして、ゆっくり引き抜き、またゆっくり突き入れた。
「あ、あ、もっと激しくして、春水」
「欲張りな子だねぇ」
京楽は、言われた通り、ぐちゅぐちゅと音がするほどに貫き、犯した。
浮竹は見えない視線で、京楽を探す。
「目隠しだけは、とってあげる」
涙を吸い取って重くなった目隠しを外してやると、泣きすぎて目を真っ赤にさせた浮竹がいた。
「ごめんね。こんな怒りのぶつけかた、だめなのは分かってる」
「春水、キスして」
「十四郎・・・僕だけのものだよ」
浮竹は、京楽のキスにうっとりしていた。
「あああ!」
京楽がごりごりっと奥を突きあげると、浮竹はオーガズムでいっていた。
「やああ、とってええ、いきたい」
「仕方ないねぇ。あんまりお仕置きになってないけど、とってあげる」
まず手の戒めをといて、最後に京楽が最奥をぐりっとえぐった瞬間に、前を戒めていた紐をとってやった。
「やああああ、いく、いく、いっちゃう♡」
「エロい子だね」
「やあああん」
びゅるびゅると飛んだ精子は、勢いよくはじけて、浮竹と京楽の腹だけでなく、胸や顔にもかかった。
「たくさんだしたね?きもちよかった?」
「あああ、きもちいい、いくの、止まらない♡」
「僕もいくからね。全部うけとってね」
「ああ、春水の子種、ちょうだい」
浮竹は足を開いて、京楽を離すまいと腰を足で挟み、背中に手を回した。
びゅーびゅーと、勢いよく京楽の精液が浮竹の中に注がれる。
「あ、あ、もっといっぱいちょうだい、春水」
「十四郎・・・ほんとにエロくていけない子だ」
京楽は、ぱんぱんと肉がぶつかり合う音をさせながら、浮竹を攻めた。
「ああああ!!」
また、奥で精液を注いでやると、浮竹はオーガズムでいきながら、射精していた。
「ぐずぐずになっちゃいなよ」
浮竹の肩に噛みついて、吸血してやると、浮竹は精液の代わりに潮をふいていた。
「あ、ああ”!いくの、とまらない♡」
「いつまでもいっていていいよ。僕と君との時間は無限にあるのだから」
「やあああ、いきすぎて、変になるうう」
「そしたら、僕が責任をもって、抱いてあげる」
「ああああ!」
ガツンと奥までえぐってくる熱に、浮竹はオーガズムでいきながら、緩やかに気を失うのであった。
「はぁ・・やりすぎちゃったかな。ごめんね」
意識のない浮竹に口づける。
シーツはすごいことになっていた。
洗うだけ無駄だろうからと、捨てることにした。
「愛しているよ、十四郎」
長い白い髪を、すいてから、京楽は後始末をするために、一度寝室を後にするのであった。
------------------------------------------------------------------------
「やっと手に入れた」
藍染は、浮竹の子種が少量だけ入った小瓶を手にしていた。
京楽が後始末のために離れている間に、シーツについていた精液を、式に命令して採取しておいたのだ。
「さぁ、これで親子同士で対決だ。ウツクは見事に京楽を怒らせることに成功した。お陰で、浮竹の精液を入手できた」
肉便器に、薄めた液体を注ぎ込む。
「一匹だけじゃあ、物足りない。ヴァンパイアマスターと女神の子だ。何匹か産んでもらうぞ」
肉便器には、もう女神アルテナの魂はない。
ただ、孕まされて、子を産む落とすだけの肉塊だ。
「なぁ、ミライ」
「はい、父さま」
ミライは、成長促進の禁呪をかけられて、今5歳くらいになっていた。美しい幼子だった。
「いずれ、お前の力が必要だ。始祖ヴァンパイアと同じ絶対存在となった、お前の力が」
「はい、父さま。私は喜んで、父さまの力になりましょう」
「いい子だ。キララ、キララはいるか」
「こ、ここにいます」
キララは、名を呼ばれて急いで藍染の元に向かった。
「お前には、今度生まれてくる子供と一緒に、浮竹と京楽の元へ行ってもらう。今度こそ、魂を狩りとれ。これは命令だ。わかるな?」
「はい・・・全ては藍染様の御心のままに」
キララは、死を覚悟するのであった。
ただその血を与えられて血族となり、富と地位と名誉と力が欲しかった。
浮竹を服従させれば、血族になれると思っていた。
それが大きな誤りであると気づいた時には、遅かった。
-----------------------------------------------------
「兄様!今度の古城もいいかんじだね」
「げ、ブラッディ・ネイ。何しにきた」
「やっぱり、兄様覚えてない。明日はボクの誕生日だよ」
「え、そうだったか?」
浮竹が首を傾げる。
そういえば、ここ数年妹の誕生日を祝っていなかったことを思い出す。京楽の誕生日を祝い、自分の誕生日を、毎年ではないが祝ってもらったことはあるが、実の妹の誕生日なんて、日にちすら覚えていなかった。
「ああ、そうだったか、明日だったな」
じとーっと、ブラッディ・ネイは浮竹を見つめた。
「兄様、ボクの誕生日の存在自体、忘れてるね?」
「そ、そ、そんなことないぞ。ちゃんとプレゼントも用意してある」
「ほんと、兄様!明日を楽しみにしてるね!」
ブラッディ・ネイは目をきらきら輝かせて、血の帝国に戻っていった。
「ねぇ、浮竹・・・・・」
「やばい、忘れてた。妹の誕生日など、存在自体を忘れてた・・・くしょん」
「風邪でも引いたの?」
「いや、東洋の俺と浮竹が噂でもしているんだろう」
「ああ、それはありそうだね・・・・・って、現実逃避してる場合じゃないでしょ。プレゼント、何にするの」
「そうだな、生きたマンドレイクを20本くらい・・・・・」
浮竹はかなり本気だった。
「絶対、性別転換の薬飲ませて襲ってくるよ」
「ぐはぁっ!あいつならやりかねん。何か装飾品でも買ってくるか」
「もう夜だよ。どこの店も、きっとしまってるよ」
「ぐはぁっ!どうする俺!操の危機だ!」
「別に、装飾品ならなんでもいいんでしょ。そこらのS級ダンジョンの財宝にあった何かの装飾品でも贈ればいいんじゃないの」
京楽は、ブラッディ・ネイの生誕祭には興味はなかったが、浮竹が行くならついていくつもりだった。
「京楽、お前実は頭が良かったのか」
「何それ!まるで僕をバカだと思ってるみたいじゃない」
「いや、バカだと思ってた」
「酷い!」
泣き真似をする京楽を放置して、アイテムポケットからこのまえS級ダンジョンで拾ったお宝を床に並べる。
金と銀、ミスリル、ミスリル銀のインゴット、金貨、宝石・・・・。
「なんかぱっとしないなぁ」
金貨や宝石を贈ったところで、喜びはしそうだが、金銀財宝を見慣れているブラッディ・ネイが心から喜んでもらえそうなものもない。
浮竹は、さらに財宝をだした。
すると、その中に大きなスターサファイアをあしらったネックレスがあった。
浮竹は、何を思ったのかそのネックレスを錬金術の釜に投げ入れて、生きたマンドレイク、ドラゴンの血、後何かの液体を注ぎこんで煮た。
煮ること30分。
スターサファイアのネックレスは、輝きを増して、持ち主の魔力を高める能力が付与されていた。
「恐るべし浮竹・・・錬金術でそんなものに加工できるだなんて」
「ふっ、俺もミスリルランクの最高位錬金術士だ。こんな加工、朝飯前だ」
「でも、エリクサーの調合に失敗して、錬金術の館爆発させるもんねぇ」
京楽がしみじみと言う。
「エリクサーは成功率が低いんだ!それに調合に失敗したら爆発するのは当たり前だ!」
「そうなの?1週間前、乱菊ちゃんちに遊びにいったけど、爆発なんてしてなかったよ」
「まだ彼女はプラチナランクだろう。エリクサーを調合できないはずだ」
「でも、浮竹ってエリクサー以外でもたまに失敗して館、爆発させてるよね」
「誰にでもミスはある!」
浮竹は、顔を真っ赤にしながら否定した。
「まぁ、別になんでもいいんだけど」
浮竹はアイテムポケットからハリセンを取り出して、京楽の頭を殴る。
スパーン。
いい音がした。
「痛いよ、酷い、浮竹!何するの!」
「俺のほうが傷ついた!プライドを傷つけられた!だから、今日は抱かせてやらない!」
「えー。今日は前から約束してたじゃない」
「抱かせてやらないって言ったら、抱かせてやらない」
「十四郎、愛してるよ」
耳元で低音ボイスで囁かれて、耳を甘噛みされて浮竹はビクンと反応した。
「このばかっ!」
真っ赤になった浮竹は、すでにスイッチが入ってしまったかのようで、浮竹の背に手を回して、何度も口づけを繰り返すのであった。
-----------------------------------------------------------------
「ああああああ!!寝坊した!!!」
昨日遅くまで睦み合ったので、起きたら昼を過ぎていた。
「京楽、すぐ着替えろ!血の帝国にいくぞ!」
「あれ、結局生誕祭には行くの?」
「行くに決まっているだろう。行かなきゃ、ブラッディ・ネイがこっちの世界で半月はずっと居座りそうだ」
「うわあああ、それは急がないと!」
浮竹と京楽は、皇族の正式な格好をして、顔を洗って歯を磨いて、食事はしないまま血の帝国へと繋がる地下の空間転移の魔法陣に乗る。
気づくと、血の帝国が広がっていた。
「急ぐぞ」
宮殿より少し離れた位置に設置されているので、ヴァンパイアに翼を広げてブラッディ・ネイの宮殿にまでやってくると、寵姫たちに囲まれながらも、不貞腐れているブラッディ・ネイと視線があった。
「兄様!ちゃんと来てくれたんだ!ボクは信じてたよ兄様がちゃんと来てくれるって!」
すぐそばでは、ルキアと一護、冬獅郎がこそこそとやりとりをしていた。
「浮竹殿と京楽殿が来ないほうに賭けていたのに」
「お前は皇女で聖女だろうが。賭け事はすんな」
「俺も浮竹と京楽がこない方に賭けてた・・・・負けだな」
「何が負けなんだ?」
額に血管マークを浮かべる浮竹に、3人は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「全く、人を賭け事の対象にするな」
白哉と恋次もきていた。
皇族王である白哉は、ブラッディ・ネイの次に血の帝国において身分が高い。
白哉の寵愛を得ようと、ブラッディ・ネイの寵姫たちが迫ってくるが、それを恋次が防いでいた。
「だから、白哉さんは俺のものだって言ってるだろうが!」
「勝手にお前のものにするな。私は誰のものでもない」
白哉の冷たい視線と態度に、恋次は見えない犬の尻尾を振っているように見えた。
「もう、白哉さんは照れ屋なんだから」
「散れ、千本桜・・・・」
「うわあああ、冗談です、すみません、すみません」
ぺこぺこと詫びる恋次を、浮竹も京楽もなんともいえない目で見つめていた。
たまに、自分たちもああなるのだ。
浮竹が怒って、それに対して京楽が謝りまくる。その構図が、白哉と恋次あてはまって、なんともえない気持ちになった。
「ブラッディ・ネイ。8045歳おめでとう」
「ありがとう、兄様。年齢はちゃんと覚えてくれてたんだ」
「ああ。俺が8050歳だからな」
神代の頃に生まれてから8千年と少しを超えていた。
ブラッディ・ネイは不老不死の限りなく近い、転生という状態を維持して、血の帝国をずっとまとめあげてきた。
8千年の間、浮竹のように5千年も休眠することなく、ずっと休眠しないで活動してきた。
そのせいか、性格はやや歪み、性愛の対象が十代前半の少女になっていた。
浮竹が眠る前、生まれた頃はちゃんとした異性愛者で、結婚し子を成していた。その血筋が、今の皇族の基本になるのだが。
「ほら、ブラッディ・ネイ。誕生日プレゼントだ」
「ぎいやああああ」
「ぎぃえええええ」
「ぎょわえええええええええ」
そう叫びまくる生きたマンドレイクを出されて、ブラッディ・ネイは寵姫たちに何か命令しだす。
「こ、これはただの手土産だ!本物はこっちだ!」
浮竹は、性別転換の薬を盛られる前に、本命のスターサファイアのネックレスをブラッディ・ネイに与えた。
「わぁ、綺麗。それに、身に着けると魔力が上がるんだね。素敵な贈り物をありがとう、兄様。寵姫たち、さっき命じたことはしなくていいよ」
「お前、俺がマンドレイクだけだったら、俺を女にして襲うつもりだったな?」
「やだなぁ、そんな当たり前のこと」
「当たり前にするな!全く、お前はすぐに俺とどうこうなりたがるから、この宮殿に住まう気がしないんだ」
「別に、ボクがどうこうしなくても、兄様はそのひげもじゃと一緒にいるために、古城に住んでたでしょう?」
「そ、それは・・・・・」
浮竹は赤くなった。
「照れてる兄様かわいい!」
ブラッディ・ネイは浮竹に抱き着いていた。今の体は9代目にあたり、16くらいの皇族の少女の体だった。
もとの皇族の少女の意識はもうない。
ブラッディ・ネイの転生先に選ばれた皇族や貴族は、その身内に莫大な富を与えて、自分の娘を人未御供にしたわけではなく、選ばれた神の子であると信じさせた。
今までそうやって生きてきた。
そういう生き方しか知らなかった。
寵姫たちを愛し、男の子種なしで妊娠させれるようになった。
寵姫の数はいつも40人前後だった。
「お前、そういえば去年に競り落とした魂のルビーはどうした?」
「ああ、あれ。飽きちゃったから、宝物庫にしまってあるよ」
「飽きるのが、相変わらず早いな」
「でも兄様には飽きてないよ!何度転生しても、兄様を愛している」
「俺は、お前を妹としては愛しているのだと思う。だが、お前の求める愛には答えられない」
ぶすーっと、美しい顔でブラッディ・ネイは不貞腐れた。
「全く、あんなひげもじゃの元人間のどこがいいんだか」
「元人間だが、今はヴァンパイアロードであり、魔神だ」
「魔神ってのが気にくわない」
「いざとなったら、君の魂だって食べれるんだよ。魂を喰われてしまえば、君も終わりだ。せいぜい、浮竹にあまり迷惑をかけないことだね」
京楽の余裕ぶった態度が気に食わなくて、ブラッディ・ネイは京楽に向かって、寵姫の誰かがあげた宝石を頭に向かって投げた。
それを後ろを見ないままキャッチする京楽に、寵姫たちの数人が惚れ惚れしていた。
「ほらほら、ボクの寵姫たち。お戯れの時間は終わりだ。後宮に戻りなさい」
「ブラッディ・ネイ様ずるいわ。わたくしも、白哉様や浮竹様や京楽様と話したい」
「だーめ。そんなこと言う子には、お仕置きだよ?」
「きゃっ、ブラッディ・ネイ様のエッチ!」
きゃっきゃと女の子同士で会話しているのは、見ていて和むが、会話の内容が内容だけになんとも言えない気持ちになった。
「浮竹」
「どうした、白哉」
「兄に、何か悪い影が近づいている。せいぜい、気をつけることだ」
「悪い影だって。藍染の手の者だったりしてね」
「そうだねぇ。僕は、確かに藍染の手の者。悪い影かもねぇ」
「誰だ!」
浮竹は、皆に結界を張った。
「ザナドゥ?」
「それは父の名だよ。僕の名はウツク。美しいから、ウツク。この前君が殺したミニクの兄弟さ」
「ザナドゥではないのか・・・そうだな、確かにザナドゥは死んだはずだ」
「浮竹、宮殿を出よう。ここでバトルしたら、被害が出過ぎる」
「僕はここでもいいんだよ?ヘルインフェルノ」
「きゃあああ!!」
「いやあああ!!」
ブラッディ・ネイの寵姫が火に包まれ、ブラッディ・ネイは得意の薔薇魔法で炎を鎮火させると、火傷をの痕が残らないように、自分の血をかけて、寵姫たちを守った。
「お前、関係のない者を巻き込むな!」
「巻き込んで欲しくなければ、君の血族にしてよ」
「な!」
「浮竹、いいから宮殿の外に出よう!」
「僕はここから動かないよ。ここにいる者全員を殺す。それがいやなら、僕を血族にしてよ」
ブラッディ・ネイの薔薇の魔法で束縛されても、ウツクは何事もなかったかのように空に浮かんでいた。
「この、よくもボクの寵姫を!」
「うるさいなぁ。部外者は黙っていてよ。ボルケーノトライアングル」
「くっ」
炎に巻き込まれて、ブラッディ・ネイは薔薇魔法で炎を喰った。
「ブラッディ・ネイ様!」
「兄は、愚かだ。なんの関係もない者を手にかけて、浮竹が兄を血族にするとでも?」
白哉の言葉にいらついて、ウツクは白哉を風の魔法でスタズタにした。
「白哉さん!」
「恋次、やめろ。お前のかなう相手ではない!」
「でも、白哉さん、怪我を!」
「この程度、自分で再生できる」
「さぁ、我が友浮竹。血族にしないと、ここにいる者を全員皆殺しにするよ?血を頂戴」
浮竹は、ワイングラスをとると、それに血を滴らせた。
「これを飲め。血族になれるはずだ」
「やったね。藍染はバカだ。最初からこうすればよかったのに」
浮竹の血を飲んでいき、ウツクはヴァンパイアロードに進化したように見えた。
「あはははは、力が漲ってくる」
「浮竹!」
「京楽、ここは黙って俺の言葉を聞いてくれないか」
「何か策があるんだね。いいよ」
「ちゃんと血族にした。城の外に出ろ」
「はいはい。主の言うことは絶対だからね」
宮殿の外に出ると、太陽の光を通さないための血の幕の結界が血の帝国中を覆っていた。
浮竹は、頭上にある血の結界の一部を壊した。
「なんだ、太陽の光なんて・・・・・・ぎゃあああああああ!!!」
「お前に与えた血は、確かに俺のものだ。だが、俺が望まない限り、血族となってもただのヴァンパイアかそれ以下になる。それに、京楽以外に血族はいらない」
「浮竹・・・・」
京楽は感動して、涙ぐんでいた。
「おのれええ、騙したな!」
「騙されるお前が、間抜けなんだ」
「太陽が、太陽が眩しい・・・・・うぎゃあああああ」
ウツクは、太陽の光を浴びて灰となった。
頭上の結界を元に戻して、浮竹は京楽と一緒に宮殿の中に戻ってくる。
「終わったぞ」
「浮竹かっこいい。痺れる。今すぐ抱いて」
京楽は、浮竹の右腕をぎゅーっと掴んでいた。
「俺はお前に抱かれることはできるが、お前を抱きたくはない」
「振られちゃった。でも浮竹、愛しているよ。血族を一度作ったのも、許してあげる」
「許すも許さないも、血族を誰にするかは俺の自由だ」
京楽の瞳に、狂気に満ちた色が宿っていることを知らずに、ブラッディ・ネイの生誕祭を引き続き行い、夜まで騒ぎ会うのだった。
------------------------------------------------------------------------------
「だからさぁ、君の血族は僕だけでいいって、教えてあげなきゃね?」
「やああん」
浮竹は、静かに怒る京楽に、目隠しをされて前を戒められて、手を後ろで拘束されていた。
「やあああ、とって、とってえええ」
「だーめ。君の血族は僕だけだよ。僕の許可なしに血族にしたりして・・・・・・許せない」
京楽は、狂気じみた笑顔を浮かべていた。
浮竹の蕾を指でぐちゃぐちゃにしてやる。
「やああ、あれは、あれは、ただ血族しただけで、愛するとかそういうのじゃなくて」
「それでも、君が僕以外を血族にしたことを許せない」
「ああああ、ごめんなさい」
ぐちゅりと中を突きあげると、浮竹はオーガズムでいっていた。
「これは、お仕置きだからね?」
「やあああ、いきたい、いきたい、とってええ」
「そう簡単にとっちゃったら、お仕置きにならないでしょ?」
「やああああ、いきたい」
「だーめ」
浮竹の中を味わうように、わざとゆっくり挿入する。
そして、ゆっくり引き抜き、またゆっくり突き入れた。
「あ、あ、もっと激しくして、春水」
「欲張りな子だねぇ」
京楽は、言われた通り、ぐちゅぐちゅと音がするほどに貫き、犯した。
浮竹は見えない視線で、京楽を探す。
「目隠しだけは、とってあげる」
涙を吸い取って重くなった目隠しを外してやると、泣きすぎて目を真っ赤にさせた浮竹がいた。
「ごめんね。こんな怒りのぶつけかた、だめなのは分かってる」
「春水、キスして」
「十四郎・・・僕だけのものだよ」
浮竹は、京楽のキスにうっとりしていた。
「あああ!」
京楽がごりごりっと奥を突きあげると、浮竹はオーガズムでいっていた。
「やああ、とってええ、いきたい」
「仕方ないねぇ。あんまりお仕置きになってないけど、とってあげる」
まず手の戒めをといて、最後に京楽が最奥をぐりっとえぐった瞬間に、前を戒めていた紐をとってやった。
「やああああ、いく、いく、いっちゃう♡」
「エロい子だね」
「やあああん」
びゅるびゅると飛んだ精子は、勢いよくはじけて、浮竹と京楽の腹だけでなく、胸や顔にもかかった。
「たくさんだしたね?きもちよかった?」
「あああ、きもちいい、いくの、止まらない♡」
「僕もいくからね。全部うけとってね」
「ああ、春水の子種、ちょうだい」
浮竹は足を開いて、京楽を離すまいと腰を足で挟み、背中に手を回した。
びゅーびゅーと、勢いよく京楽の精液が浮竹の中に注がれる。
「あ、あ、もっといっぱいちょうだい、春水」
「十四郎・・・ほんとにエロくていけない子だ」
京楽は、ぱんぱんと肉がぶつかり合う音をさせながら、浮竹を攻めた。
「ああああ!!」
また、奥で精液を注いでやると、浮竹はオーガズムでいきながら、射精していた。
「ぐずぐずになっちゃいなよ」
浮竹の肩に噛みついて、吸血してやると、浮竹は精液の代わりに潮をふいていた。
「あ、ああ”!いくの、とまらない♡」
「いつまでもいっていていいよ。僕と君との時間は無限にあるのだから」
「やあああ、いきすぎて、変になるうう」
「そしたら、僕が責任をもって、抱いてあげる」
「ああああ!」
ガツンと奥までえぐってくる熱に、浮竹はオーガズムでいきながら、緩やかに気を失うのであった。
「はぁ・・やりすぎちゃったかな。ごめんね」
意識のない浮竹に口づける。
シーツはすごいことになっていた。
洗うだけ無駄だろうからと、捨てることにした。
「愛しているよ、十四郎」
長い白い髪を、すいてから、京楽は後始末をするために、一度寝室を後にするのであった。
------------------------------------------------------------------------
「やっと手に入れた」
藍染は、浮竹の子種が少量だけ入った小瓶を手にしていた。
京楽が後始末のために離れている間に、シーツについていた精液を、式に命令して採取しておいたのだ。
「さぁ、これで親子同士で対決だ。ウツクは見事に京楽を怒らせることに成功した。お陰で、浮竹の精液を入手できた」
肉便器に、薄めた液体を注ぎ込む。
「一匹だけじゃあ、物足りない。ヴァンパイアマスターと女神の子だ。何匹か産んでもらうぞ」
肉便器には、もう女神アルテナの魂はない。
ただ、孕まされて、子を産む落とすだけの肉塊だ。
「なぁ、ミライ」
「はい、父さま」
ミライは、成長促進の禁呪をかけられて、今5歳くらいになっていた。美しい幼子だった。
「いずれ、お前の力が必要だ。始祖ヴァンパイアと同じ絶対存在となった、お前の力が」
「はい、父さま。私は喜んで、父さまの力になりましょう」
「いい子だ。キララ、キララはいるか」
「こ、ここにいます」
キララは、名を呼ばれて急いで藍染の元に向かった。
「お前には、今度生まれてくる子供と一緒に、浮竹と京楽の元へ行ってもらう。今度こそ、魂を狩りとれ。これは命令だ。わかるな?」
「はい・・・全ては藍染様の御心のままに」
キララは、死を覚悟するのであった。
君ヲ想ウ
浮竹十四郎。
護廷13隊の13番隊隊長にして、ミミハギ様を肺に宿す者。
浮竹は、ユーハバッハが霊王を屠ったことにより、神掛けをしてそのまま世界の安定を保ち、そして死んでいった。
京楽春水。
浮竹十四郎の院生時代からの親友であり、共に2対1本の斬魄刀をもち、よく酒を飲みかわしたりした。
山本元柳斎重國が死んだ、次の総隊長だった。
京楽は、浮竹のことが好きだった。
院生時代から、好きだった。
それは浮竹も同じことで、けれど告白はなく、隊長になってやっと告白しあい、結ばれて200年が経過しようとしていた。
たくさんの思い出ができた。
浮竹は肺の病の他にも病弱で、時折入院したりした。
雨乾堂で臥せっていることも多く、よく見舞いにいった。
体を重ね合わせて、どす黒い感情に苛まれることはあれど、二人の愛は不変だった。
「俺は先に逝く」
「そうかい・・・・・・」
浮竹のその言葉を、京楽はどこか遠くで聞いていた。
「じゃあ、いってらっしゃい」
「ああ、またどこかで会おう」
まるで、明日また会おうと言っているようだった。
護廷13隊のために死なば本望。
浮竹はそれを実現させた。
遺体の保存状態はよかった。
「お別れだね」
冷たくなってしまった唇に口づける。
ポタリ、ポタリ、ポタリ。
隻眼の瞳から、涙がとどめとなく滴り落ちた。
「もっと・・・・もっと、君とこの世界を生きたかった。最後まで一緒にいて、引退して、いつか君がへたくそな盆栽をいじっている、その隣にいたかった」
涙はふけどもふけども溢れてくる。
「君を愛していた!」
棺の中で静かに眠る浮竹の体を抱き寄せた。
「君を今でも愛しているんだ・・・・この感情を、どうすればいいの」
あふれ出す想い。
君を想う。
ただ、恋しくいて恋しくて。
純粋に愛しくて。
浮竹の遺体は、百合の花に包まれて荼毘に付された。
浮竹を失い、京楽の世界から色が消えた。
何もかもが、モノクロに見えた。
雨乾堂を取り壊して、そこに墓を建てた。
けれど世界はモノクロで。
「やぁ、京楽。元気にしているか」
「浮竹・・・?」
「俺のことでいつまでもくよくよするなよ。お前の周りの世界はこんなにも色づいている」
浮竹に、唇を奪われた。
「浮竹!!」
掴もうとするが、それは届かなくて。
白昼夢だったのだろうか。
気が付くと、浮竹の遺品としてもっていた翡翠の髪飾りが落ちていた。
世界が、また色づいて見えた。
「君は・・・・・僕に、会いに来てくれたの?」
また、涙がぽたぽたと落ちていく。
きっと、そうに違いない。
君を想うあまりに、世界の色を失ってしまった僕を、戒めにきたのだろう。
京楽は、隻眼の鳶色の瞳で、涙を流しながら微笑んだ。
「浮竹、僕は元気でやっているよ。確かに君を失って辛い。でも、みんなが支えてくれる。君との思い出がたくさんある・・・・・だから、前を向いて歩いていくよ」
立ち止まるな。
きっと、そう言いにいきてくれたんだろう。
「さて、今日もほどほどに仕事しますか」
総隊長の地位は楽ではない。けれど、支えてくれる仲間たちがいる。
君の魂を、僕は背負っている。
君の魂は、きっと僕の中にある。
この想いがある限り。
君を想う。
どんなことがあろうとも。
君を想う。
どんなにつらくことも。
君を想う。
どんなに離れていても。
君を想う。
どんなに思って、会えなくとも。
ただひたすらに君を想い、愛する。
君ヲ想ウ。
護廷13隊の13番隊隊長にして、ミミハギ様を肺に宿す者。
浮竹は、ユーハバッハが霊王を屠ったことにより、神掛けをしてそのまま世界の安定を保ち、そして死んでいった。
京楽春水。
浮竹十四郎の院生時代からの親友であり、共に2対1本の斬魄刀をもち、よく酒を飲みかわしたりした。
山本元柳斎重國が死んだ、次の総隊長だった。
京楽は、浮竹のことが好きだった。
院生時代から、好きだった。
それは浮竹も同じことで、けれど告白はなく、隊長になってやっと告白しあい、結ばれて200年が経過しようとしていた。
たくさんの思い出ができた。
浮竹は肺の病の他にも病弱で、時折入院したりした。
雨乾堂で臥せっていることも多く、よく見舞いにいった。
体を重ね合わせて、どす黒い感情に苛まれることはあれど、二人の愛は不変だった。
「俺は先に逝く」
「そうかい・・・・・・」
浮竹のその言葉を、京楽はどこか遠くで聞いていた。
「じゃあ、いってらっしゃい」
「ああ、またどこかで会おう」
まるで、明日また会おうと言っているようだった。
護廷13隊のために死なば本望。
浮竹はそれを実現させた。
遺体の保存状態はよかった。
「お別れだね」
冷たくなってしまった唇に口づける。
ポタリ、ポタリ、ポタリ。
隻眼の瞳から、涙がとどめとなく滴り落ちた。
「もっと・・・・もっと、君とこの世界を生きたかった。最後まで一緒にいて、引退して、いつか君がへたくそな盆栽をいじっている、その隣にいたかった」
涙はふけどもふけども溢れてくる。
「君を愛していた!」
棺の中で静かに眠る浮竹の体を抱き寄せた。
「君を今でも愛しているんだ・・・・この感情を、どうすればいいの」
あふれ出す想い。
君を想う。
ただ、恋しくいて恋しくて。
純粋に愛しくて。
浮竹の遺体は、百合の花に包まれて荼毘に付された。
浮竹を失い、京楽の世界から色が消えた。
何もかもが、モノクロに見えた。
雨乾堂を取り壊して、そこに墓を建てた。
けれど世界はモノクロで。
「やぁ、京楽。元気にしているか」
「浮竹・・・?」
「俺のことでいつまでもくよくよするなよ。お前の周りの世界はこんなにも色づいている」
浮竹に、唇を奪われた。
「浮竹!!」
掴もうとするが、それは届かなくて。
白昼夢だったのだろうか。
気が付くと、浮竹の遺品としてもっていた翡翠の髪飾りが落ちていた。
世界が、また色づいて見えた。
「君は・・・・・僕に、会いに来てくれたの?」
また、涙がぽたぽたと落ちていく。
きっと、そうに違いない。
君を想うあまりに、世界の色を失ってしまった僕を、戒めにきたのだろう。
京楽は、隻眼の鳶色の瞳で、涙を流しながら微笑んだ。
「浮竹、僕は元気でやっているよ。確かに君を失って辛い。でも、みんなが支えてくれる。君との思い出がたくさんある・・・・・だから、前を向いて歩いていくよ」
立ち止まるな。
きっと、そう言いにいきてくれたんだろう。
「さて、今日もほどほどに仕事しますか」
総隊長の地位は楽ではない。けれど、支えてくれる仲間たちがいる。
君の魂を、僕は背負っている。
君の魂は、きっと僕の中にある。
この想いがある限り。
君を想う。
どんなことがあろうとも。
君を想う。
どんなにつらくことも。
君を想う。
どんなに離れていても。
君を想う。
どんなに思って、会えなくとも。
ただひたすらに君を想い、愛する。
君ヲ想ウ。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター61
邪神ザナドゥは、邪神ディアブロと同じように、数十万の人間の魂を喰らって、魔神から邪神へとなった。
ディアブロの場合は、伴侶であった浮竹の迫害を止めようとして、一つの王国を滅ぼした。
一方、邪神ザナドゥは欲のままに町をいくつも滅ぼして、邪神となった。
ディアブロが滅んだのが今から5千年前。
ザナドゥが滅んだのは、今から4千年前。ザナドゥは、当時の人間の勇者に滅ぼされた。
邪神でありながら、魔王を名乗っていた。
幾人もの勇者を殺し、血を浴びた。
その血肉を口にして、人喰らいの邪神ザナドゥと恐れられた。
ただ、邪神ザナドゥにも友人がいた。それは今から自分が殺そうとしている、始祖ヴァンパイアの浮竹であった。
浮竹は邪神であろうがなかろうが、人間が嫌いで、ザナドゥを友人として認め、共に過ごしてくれた。ザナドゥが勇者と対峙する度に、どこかへ出かけてしまい、帰ってきては勇者パーティーの血肉を喰らいザナドゥを窘めた。
「こんなことをしていると、本当にいつか勇者か上位神に滅ぼされるぞ」
「ならば、打ち倒すのみ」
浮竹は、人食いの邪神と恐れられるザナドゥの、かけがえない友人であった。
その記憶を、ずっと忘れていた。
浮竹と再び巡り会い、ザナドゥは涙を零す。
かけがえのない友人を葬らねば、自分の呪いが解けぬことに。
--------------------------------------------------------
「こら、京楽、何をしている!」
錬金術の館で、錬金術士でもないのに、京楽が釜の中でマンドレイクを生でぶちこみ、ドラゴンの血をぶちこんで、更にいろんなものをぶちこんで、でろでろの青い薬を作りあげた。
「完成したよ!精強剤だ!これで今夜の浮竹を啼かしまくる!」
「待て、錬金術士でもないのに、同じレシピで作っても!」
ぼふん。
音を立てて、京楽は7歳くらいの子供になっていた。
「なんだこれはあああ!!!」
「それはこっちの台詞だああああ!!」
浮竹が、天を仰いだ。
「はぁ。薬の効果が切れるまでまぁ3日程度だろうが、エリクサーをやるには惜しい。そのままの姿で3日暮らすことだ」
「そんなぁ。浮竹をベッドの上であはんあはん言われるつもりだったのに!」
「動機が不純すぎるこのバカ!」
浮竹は、アイテムポケットに入っていたハリセンを取り出して、京楽の頭を殴っていた。
「ぶった。うわああああんん」
「なんだ!?何が起こっている!?」
浮竹は慌てた。まさか、精神年齢まで若がっているとか?いや、それにしても浮竹をベッドの上であはんあはん言わせるとか、大人にしか思いつかないことを言っていた。
「泣き真似しても、謝らないからな。お前が悪い」
「べーっだ。浮竹のバーカバーカ」
ぴしっ。
浮竹は怒り出して、京楽を追いかけるのであった。
「どこへ行った・・・・・・」
京楽は小さくて素早く、浮竹は見失ってしまった。
その頃、中庭ではまだ収穫前のマンドレイクをひっこぬく京楽の姿があった。
若返ったといっても、魔神で浮竹の血族であることには変わりないが、精神年齢がどんどん7歳になっていた。
「ぎゃあああああ」
「ひいいいい」
マンドレイクは、収穫前のものなので、悲鳴の威力も小さかった。
本来ならあと1カ月は植えておかなければならない。
新しい古城の中庭は、前の古城の中庭の2倍ほどの広さがあった。
戦闘人形のメイドたちに命令して、せっかく植えたマンドレイクの苗は、実ることなく京楽の手で引っこ抜かれた。
その悲鳴に気づいた浮竹がやってきた頃には、まだ収穫前のマンドレイク畑の3分の2がひっこぬかれていた。
「京楽ぅぅぅ。いい度胸だな」
「浮竹が僕に構ってくれないのがいけないんだからね」
「知ったことか!ヘルインフェルノ!」
怒った浮竹は、京楽とマンドレイクごと魔法をぶっぱなしていた。
真っ黒に焦げて、頭をアフロにした京楽は、浮竹の前で泣きだした。
「浮竹がいじめる~~」
「京楽、本当にどうしたんだ。お前らしくないぞ。精神年齢まで7歳になったのか」
「そうだとしたら?」
「縄でぐるぐる巻きにして監視下に置く」
「そんなのお断りだね!」
京楽は、素早く風のように逃げた。
そして、浮竹の部屋に入って、浮竹のパンツを古城の窓から降らせた。
「京楽!!」
浮竹の堪忍袋の緒が切れるのは、時間の問題だろう。
「こら、京楽!」
浮竹が京楽が悪戯しているのを見つける度に、浮竹は怒るが、京楽は凄まじいスピードで逃げていた。
玄関の黄金のハニワに油性ペンで落書きしたり、貴重な名画にペンキを塗ったり、しまいにはトイレを詰まらせた。
「京楽ぅぅぅぅ」
堪忍袋の緒が切れた浮竹は、罠をしかけた。
おやつにとっておいたドーナツを、ダイニングテーブルの上において、それを取ると上から網がかぶさるようにしておいた。
お腹をすかせた京楽は、すぐにその罠にひっかかった。
「京楽、覚悟はできているな?」
ポキポキと指の関節の音を鳴り響かせる浮竹に、京楽は泣きだした。
「うわああああん!浮竹がいじめるーーー!」
「あのなぁ、京楽。いい子にしてるなら、俺だって怒らない」
「本当に?」
「ああ。だが、今まで悪戯した分のお仕置きは覚悟してもらおうか」
「浮竹の嘘つきいいいい!!」
京楽は、浮竹にハリセンでボコボコにされて、縄でぐるぐる巻きにされて、しくしくと泣いていた。
「お腹すいた」
「よし、俺がマンドレイクのスープを作ってやろう」
「ひいいい!嫌だ、浮竹の料理は食べたくない!」
「ふふふふ。待っていろ、今特別に作ってやる」
京楽は縛られたまま、尺取虫のようにもぞもぞと動きだすので、浮竹は縄を柱につないだ。
「子供虐待だああ!」
「ふははははは。虐待してやる」
浮竹はブラックモードになっていた。
錬金術用の釜を取りだして、生きたマンドレイクをぶちこみ、ドラゴンの血をぶちこんで、人参、じゃがいも、玉ねぎを切ってぶちこんで、コトコト煮ること20分。
マンドレイクとドラゴンの血入り野菜スープのできあがりだった。
「ほら、食え」
ずいっと、スプーンでスープを口の前にもっていかれて、京楽は死を覚悟した。
「骨は拾ってね」
「縁起の悪いことを」
スープを口にして、京楽は目を輝かせた。
「そんな、浮竹の手料理なのに美味しい!?」
「ちゃんと味見した。戦闘人形にも手伝ってもらった」
「浮竹の手料理が食べれるものなんて奇跡だ」
「もっぺん殴られたいか」
ハリセンを取り出した浮竹に、京楽は首を横に振る。
「ごめんなさい」
「最初からそう言え。もう悪戯はしないな?」
「しない。だから遊ぼう、浮竹」
野菜スープを全部食べて、おなかがいっぱいになった京楽は、遊びたくてうずうずしていた。
「何がしたい」
「かくれんぼ」
「かくれんぼか・・・仕方ないな」
浮竹が鬼になった。
そして、京楽の魔力を探知しようとするが、魔力が小さすぎて分からかった。
この広い古城を探し回るのは骨が折れるので、戦闘人形たちにも探させた。
結果、キッチンの籠に中に隠れて、そのまま眠っている京楽を発見する。
浮竹は幼い京楽を抱いて、寝室のベッドまでくると、京楽を寝かせた。
そして、仕方なくエリクサーを口にして、口移しで京楽に飲ませる。
ぼふん。
音を立てて、京楽は元に戻った。
でも、すやすやと寝ていた。
浮竹は起こすのもなんだしと、戦闘人形に命じて、京楽の悪戯の処理をする。
庭に散っていった浮竹のパンツを拾い集め、黄金のハニワの油性ペンの落書きをシンナーで落として、名画のペンキを修復魔法で元にする。
中庭のマンドレイクは、新しい苗を植えておいた。
「エリクサーの残りがもうないな。材料も切れているようだし・・・・」
市場でも、エリクサーの材料は切れていた。
さっき、京楽に使ったエリクサーが最後の1本だった。
翌日、京楽は7歳になって行った悪戯の数々をちゃんと覚えていた。
「ごめんね、浮竹」
「謝るなら最初からするな。錬金術士でもないのに、薬を作ろうとするな。欲しいなら、俺か乱菊にでも依頼しろ」
「そうだね。今度から、浮竹に言ったら作ってくれないだろうから、乱菊ちゃんに頼もうかな」
リンリンリン。
鈴のような音が鳴った。
「来客か・・・・珍しいな」
新しい古城に引っ越しからというもの、まだ来客は訪れていなかった。
「ザナドゥ?生きて、いたのか」
「誰だい、浮竹」
古城の来客は、邪神ザナドゥであった。長い黒髪に黒い瞳の、美青年だった。
「邪神ザナドゥ。4千年前に人間の勇者に滅ぼされた魔王であり邪神だ」
京楽が威嚇する。
「そんな邪神が、浮竹になんのようだい?」
「藍染の手で蘇った。俺は呪いを受けている。浮竹、おまえとその血族の京楽の血を浴びねば、解けることのない死の呪いだ」
「じゃあ、そのまま死んでよ」
魔神の咢で、ザナドゥの魂を噛み砕こうとする京楽を、浮竹が止めた。
「どうして止めるの?」
「ザナドゥは、俺の友人だ。友を見殺しになどできない。俺と京楽の血を浴びれば、その呪いは解けるんだな?」
「藍染の話によれば、だ」
浮竹は、手首を切り、ザナドゥに自分の血を浴びせた。京楽も黙ってそれに従い、自分の血をザナドゥに浴びせる。
「どうだ、呪いは消えたか?」
「がああああ!!呪いが、侵食を・・・・藍染の言葉は、嘘のようだ。あああ、苦しい。殺す、殺す・・・・」
「ザナドゥ、しっかりしろ!」
「浮竹、危ない!」
浮竹がいた空間の地面にクレーターができていた。
「ザナドゥ!正気に戻れ!」
「だめだよ、呪いに侵食されてる。エリクサーは?」
「それが、在庫を切らしていて・・・・材料も市場に売っていない」
「じゃあ、どうするの」
ザナドゥは暴れ始めた。
中庭に出て、古城が破壊されないようにした。古城に結界を張る。
「うおおおおお、俺を、俺を殺せ、浮竹。どうせ仮初で蘇った命だ。友を殺してまで、生きていたくはない」
「ザナドゥ!」
ザナドゥは、休眠から目覚めたばかりの浮竹が、その時初めてできた友人であった。愛してはいなかったので、血族にはしなかったが、浮竹のお気に入りの友人であった。
「おのれ藍染・・・・俺がザナドゥと友人であることを知った上での行為か」
「いや、藍染はそこまでは知らぬようだ。だが、お前とその血族の血を浴びれば呪いは解けるといわれたが、嘘だったようだ」
「ザナドゥ。封印か死か、どちからを選んでくれ。このまま放置しておけばお前は、京楽に魂を喰われるだろう。封印されてくれないか」
「封印など・・・・また、藍染に利用されるだけだ」
「ザナドゥ!!」
「我が友よ。100年に渡るそなたとの友情は、かけがえのない時間だった。安寧なる死を、俺に・・・・・・・」
浮竹は、涙を零しながら、魔法を詠唱する。
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・・トリプルファイアフェニックス!!」
「ああああ!!!」
ザナドゥは魔法をレジストした。
耐えきった。
「これで死なないとは・・・・・」
涙をふいて、浮竹はザナドゥの攻撃を受け止めた。
ザナドゥは巨大な爪で、浮竹を袈裟懸けに斬っていた。
「浮竹!」
「セイントヒール」
浮竹は、苦手な聖魔法の癒しの魔法を使い、深すぎる傷をすぐに癒した。
血の魔法で癒している時間などなかった。
流れ出た血を、ザナドゥは美味しそうにペロリと舐める。
「もっと、もっとお前の血をよこせ。お前の血を」
「もう、正気じゃないね」
「もう一度試させてくれ。エターナルアイシクルフィールド!!」
炎の禁呪が効かなかったので、今度は氷の禁呪を出した。
ザナドゥの体が凍っていく。けれど、凍るはしから溶けていく。
「封印の魔法でもダメか・・・・京楽、せめて苦しめずに屠ってくれ」
浮竹は、また泣いていた。
「さよならだ、ザナドゥ。お前と一緒に過ごした100年は楽しかった・・・・・」
京楽は魔神の咢で、ザナドゥの魂を喰らっていく。
「邪神の魂は、あまりおいしくないんだよね」
そう文句をたれながら、京楽はザナドゥの魂を噛み砕いた。
ぐらりと、ザナドゥの体が倒れる。
もう悪用されないように、浮竹はフェニックスを呼び出す。
ザナドゥの灰から、青い薔薇が狂い咲いた。
「さよなら。俺の友よ・・・・・・」
京楽は、涙を流す浮竹の涙を舐めとった。
「甘い。君は涙さえも甘い・・・・・・」
------------------------------------------------------
「まだ、泣いてるの?」
「残酷なやつだったが、親友だった」
京楽は、浮竹の涙を吸い取って、ベッドに押し倒した。
「でも、血族にはしなかったんだ」
「友人で、愛してはいなかったからな」
「僕は、それでも憎い。僕の知らない君の存在を知っている者が憎い」
「あっ」
浮竹は京楽に口づけられていた。
「そんなこと言っても、お前が生まれてきたのは140年くらい前だろう。8千年の俺の人生は、5千年は休眠だったが、3千年は活動していた。その頃には血族も他にいたし、友人だっていろいろといた」
「その全てが憎い」
京楽は、浮竹の衣服を脱がしていくと、自分のものだといいう所有のキスマークヲ咲かせていく。
「んあっ」
胸の先端をいじられて、浮竹は甘い声を出していた。
「もう終わりがいい?」
「あ、春水・・・・お前をくれ。全てを忘れさせるくらいに、お前をくれ」
京楽は、勃ちあがりかけている浮竹ものを手でしごいた。
「ああああ!!」
浮竹は簡単にいってしまった。
欲情にスイッチが入ったのか、浮竹は自分から足を開いて京楽を受け入れる。
「君が僕のことしか考えられないようにしてあげる」
ローションで後ろを解して、京楽は一気に貫いた。
「ひああああ!!」
びくんと、浮竹はオーガズムでいっていた。
「こっちもいけるでしょ?」
浮竹のものをしごきあげて、オーガズムの途中なのに精液を出して二重にいかせてやった。
「やああああああああ!!」
「君のここは、全然嫌なんていってないよ?僕のものに絡みついてくる」
「ああああ!」
浮竹は、啼いていた。
「んあああ」
京楽は、浮竹を味わうかのように、ゆっくりと犯していく。
「あ、もっと、もっと激しく!お前を、俺の中に刻みこんでくれ」
「分かったよ」
「ああああ!!」
ぱちゅぱちゅんと、激しく浮竹の中を出入りする。
京楽は、浮竹の胎の奥で精液を弾けさせた。
「んああああ」
同時に、京楽に手首を噛まれた。
動脈から直接血を吸われて、その得も言われぬ快感に虜になる。
「あ、もっと、もっと吸ってくれ」
京楽は、次に浮竹の太ももに牙を立てた。
「ああああ!!」
吸血による快楽と、体に与えられる快楽が二重になって浮竹を襲う。
「んあああ、ああ、あ」
京楽に貫かれて抉られ、揺すぶられて、浮竹は涙を流した。
「春水、お前で、満たされていく・・・・・・」
「十四郎。僕のものだ。例え他に血族がいたとしても、僕のものだ」
「ああ、春水・・・・・」
京楽は、ごりごりと奥をけずりながら結腸にまで侵入し、そこで精を放った。
「ああ、熱い・・・・・」
「君は僕のものだっていう、証を、注ぎ込んであげたよ」
「あ、春水。キスを・・・・・」
口づけをねだる浮竹に、舌が絡まるディープキスを繰り返す。
「んっ」
咥内を犯していく京楽の舌が去ってくとつっと銀の糸が垂れた。
「愛している」
「僕も、愛してるよ」
お互いに愛を囁きながら、まどろんでいく。
京楽は浮竹の中から去ると、逢瀬の名残を拭い去って浮竹を清めると、シーツを変えたベッドで、浮竹を抱きしめながら眠るのであった。
-----------------------------------------------------------------
「これは、邪神ザナドゥの子種だ」
藍染は、女神アルテナの肉体のなれの果ての肉便器に、ザナドゥから回収しておいた子種を注いだ。
「前のミニクのような存在でもいい。あの邪神の子は、特別な力をもっているようだしな」
肉便器は、数週間かけて子を産んだ。
今度は、美しい黒神黒目の邪神、ザナドゥそのものが生まれてきたような子供だった。
「名前は何がいいだろう。美しいから、ウツクでいいか」
もう、名付けるのも適当になっていた、
ウツクは、父であるザナドゥの記憶を継承していた。
藍染の首をはねて、肉体をぐちゃぐちゃにして、浮竹と京楽の元へ走り出す。
今度こそ、友人である浮竹の生き血をすすり、血族となって永遠を生きるのだ。
そう決めたウツクは、ばらばらになった藍染が再生するのを阻害するために、聖水をまき散らしていた。
「く、ウツクめ・・・・・やってくれるな」
1週間かけて、やっと再生した藍染は、壊れた女神オリガに泣きつかれた。
「あなた、死んでしまったかと思ったわ」
「オリガ、私は不老不死だ。何があっても、死なない」
「でも、魂を狩られたり、食われたら・・・・・・」
「それは心配ない。浮竹と同じように、この魂は肉体と結びついている。魔神に魂を喰われることはないし、死神に魂を狩りとられることもない」
その言葉に安心した女神オリガは、むずがる自分と藍染の子をあやした。
「ミライ、そんなに泣かないでちょうだい」
女神と邪神の子、ミライと名付けられた女の赤子は、真紅の瞳をしていた。
まるで、始祖ヴァンパイアのような魔力をもっているのであった。
ディアブロの場合は、伴侶であった浮竹の迫害を止めようとして、一つの王国を滅ぼした。
一方、邪神ザナドゥは欲のままに町をいくつも滅ぼして、邪神となった。
ディアブロが滅んだのが今から5千年前。
ザナドゥが滅んだのは、今から4千年前。ザナドゥは、当時の人間の勇者に滅ぼされた。
邪神でありながら、魔王を名乗っていた。
幾人もの勇者を殺し、血を浴びた。
その血肉を口にして、人喰らいの邪神ザナドゥと恐れられた。
ただ、邪神ザナドゥにも友人がいた。それは今から自分が殺そうとしている、始祖ヴァンパイアの浮竹であった。
浮竹は邪神であろうがなかろうが、人間が嫌いで、ザナドゥを友人として認め、共に過ごしてくれた。ザナドゥが勇者と対峙する度に、どこかへ出かけてしまい、帰ってきては勇者パーティーの血肉を喰らいザナドゥを窘めた。
「こんなことをしていると、本当にいつか勇者か上位神に滅ぼされるぞ」
「ならば、打ち倒すのみ」
浮竹は、人食いの邪神と恐れられるザナドゥの、かけがえない友人であった。
その記憶を、ずっと忘れていた。
浮竹と再び巡り会い、ザナドゥは涙を零す。
かけがえのない友人を葬らねば、自分の呪いが解けぬことに。
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「こら、京楽、何をしている!」
錬金術の館で、錬金術士でもないのに、京楽が釜の中でマンドレイクを生でぶちこみ、ドラゴンの血をぶちこんで、更にいろんなものをぶちこんで、でろでろの青い薬を作りあげた。
「完成したよ!精強剤だ!これで今夜の浮竹を啼かしまくる!」
「待て、錬金術士でもないのに、同じレシピで作っても!」
ぼふん。
音を立てて、京楽は7歳くらいの子供になっていた。
「なんだこれはあああ!!!」
「それはこっちの台詞だああああ!!」
浮竹が、天を仰いだ。
「はぁ。薬の効果が切れるまでまぁ3日程度だろうが、エリクサーをやるには惜しい。そのままの姿で3日暮らすことだ」
「そんなぁ。浮竹をベッドの上であはんあはん言われるつもりだったのに!」
「動機が不純すぎるこのバカ!」
浮竹は、アイテムポケットに入っていたハリセンを取り出して、京楽の頭を殴っていた。
「ぶった。うわああああんん」
「なんだ!?何が起こっている!?」
浮竹は慌てた。まさか、精神年齢まで若がっているとか?いや、それにしても浮竹をベッドの上であはんあはん言わせるとか、大人にしか思いつかないことを言っていた。
「泣き真似しても、謝らないからな。お前が悪い」
「べーっだ。浮竹のバーカバーカ」
ぴしっ。
浮竹は怒り出して、京楽を追いかけるのであった。
「どこへ行った・・・・・・」
京楽は小さくて素早く、浮竹は見失ってしまった。
その頃、中庭ではまだ収穫前のマンドレイクをひっこぬく京楽の姿があった。
若返ったといっても、魔神で浮竹の血族であることには変わりないが、精神年齢がどんどん7歳になっていた。
「ぎゃあああああ」
「ひいいいい」
マンドレイクは、収穫前のものなので、悲鳴の威力も小さかった。
本来ならあと1カ月は植えておかなければならない。
新しい古城の中庭は、前の古城の中庭の2倍ほどの広さがあった。
戦闘人形のメイドたちに命令して、せっかく植えたマンドレイクの苗は、実ることなく京楽の手で引っこ抜かれた。
その悲鳴に気づいた浮竹がやってきた頃には、まだ収穫前のマンドレイク畑の3分の2がひっこぬかれていた。
「京楽ぅぅぅ。いい度胸だな」
「浮竹が僕に構ってくれないのがいけないんだからね」
「知ったことか!ヘルインフェルノ!」
怒った浮竹は、京楽とマンドレイクごと魔法をぶっぱなしていた。
真っ黒に焦げて、頭をアフロにした京楽は、浮竹の前で泣きだした。
「浮竹がいじめる~~」
「京楽、本当にどうしたんだ。お前らしくないぞ。精神年齢まで7歳になったのか」
「そうだとしたら?」
「縄でぐるぐる巻きにして監視下に置く」
「そんなのお断りだね!」
京楽は、素早く風のように逃げた。
そして、浮竹の部屋に入って、浮竹のパンツを古城の窓から降らせた。
「京楽!!」
浮竹の堪忍袋の緒が切れるのは、時間の問題だろう。
「こら、京楽!」
浮竹が京楽が悪戯しているのを見つける度に、浮竹は怒るが、京楽は凄まじいスピードで逃げていた。
玄関の黄金のハニワに油性ペンで落書きしたり、貴重な名画にペンキを塗ったり、しまいにはトイレを詰まらせた。
「京楽ぅぅぅぅ」
堪忍袋の緒が切れた浮竹は、罠をしかけた。
おやつにとっておいたドーナツを、ダイニングテーブルの上において、それを取ると上から網がかぶさるようにしておいた。
お腹をすかせた京楽は、すぐにその罠にひっかかった。
「京楽、覚悟はできているな?」
ポキポキと指の関節の音を鳴り響かせる浮竹に、京楽は泣きだした。
「うわああああん!浮竹がいじめるーーー!」
「あのなぁ、京楽。いい子にしてるなら、俺だって怒らない」
「本当に?」
「ああ。だが、今まで悪戯した分のお仕置きは覚悟してもらおうか」
「浮竹の嘘つきいいいい!!」
京楽は、浮竹にハリセンでボコボコにされて、縄でぐるぐる巻きにされて、しくしくと泣いていた。
「お腹すいた」
「よし、俺がマンドレイクのスープを作ってやろう」
「ひいいい!嫌だ、浮竹の料理は食べたくない!」
「ふふふふ。待っていろ、今特別に作ってやる」
京楽は縛られたまま、尺取虫のようにもぞもぞと動きだすので、浮竹は縄を柱につないだ。
「子供虐待だああ!」
「ふははははは。虐待してやる」
浮竹はブラックモードになっていた。
錬金術用の釜を取りだして、生きたマンドレイクをぶちこみ、ドラゴンの血をぶちこんで、人参、じゃがいも、玉ねぎを切ってぶちこんで、コトコト煮ること20分。
マンドレイクとドラゴンの血入り野菜スープのできあがりだった。
「ほら、食え」
ずいっと、スプーンでスープを口の前にもっていかれて、京楽は死を覚悟した。
「骨は拾ってね」
「縁起の悪いことを」
スープを口にして、京楽は目を輝かせた。
「そんな、浮竹の手料理なのに美味しい!?」
「ちゃんと味見した。戦闘人形にも手伝ってもらった」
「浮竹の手料理が食べれるものなんて奇跡だ」
「もっぺん殴られたいか」
ハリセンを取り出した浮竹に、京楽は首を横に振る。
「ごめんなさい」
「最初からそう言え。もう悪戯はしないな?」
「しない。だから遊ぼう、浮竹」
野菜スープを全部食べて、おなかがいっぱいになった京楽は、遊びたくてうずうずしていた。
「何がしたい」
「かくれんぼ」
「かくれんぼか・・・仕方ないな」
浮竹が鬼になった。
そして、京楽の魔力を探知しようとするが、魔力が小さすぎて分からかった。
この広い古城を探し回るのは骨が折れるので、戦闘人形たちにも探させた。
結果、キッチンの籠に中に隠れて、そのまま眠っている京楽を発見する。
浮竹は幼い京楽を抱いて、寝室のベッドまでくると、京楽を寝かせた。
そして、仕方なくエリクサーを口にして、口移しで京楽に飲ませる。
ぼふん。
音を立てて、京楽は元に戻った。
でも、すやすやと寝ていた。
浮竹は起こすのもなんだしと、戦闘人形に命じて、京楽の悪戯の処理をする。
庭に散っていった浮竹のパンツを拾い集め、黄金のハニワの油性ペンの落書きをシンナーで落として、名画のペンキを修復魔法で元にする。
中庭のマンドレイクは、新しい苗を植えておいた。
「エリクサーの残りがもうないな。材料も切れているようだし・・・・」
市場でも、エリクサーの材料は切れていた。
さっき、京楽に使ったエリクサーが最後の1本だった。
翌日、京楽は7歳になって行った悪戯の数々をちゃんと覚えていた。
「ごめんね、浮竹」
「謝るなら最初からするな。錬金術士でもないのに、薬を作ろうとするな。欲しいなら、俺か乱菊にでも依頼しろ」
「そうだね。今度から、浮竹に言ったら作ってくれないだろうから、乱菊ちゃんに頼もうかな」
リンリンリン。
鈴のような音が鳴った。
「来客か・・・・珍しいな」
新しい古城に引っ越しからというもの、まだ来客は訪れていなかった。
「ザナドゥ?生きて、いたのか」
「誰だい、浮竹」
古城の来客は、邪神ザナドゥであった。長い黒髪に黒い瞳の、美青年だった。
「邪神ザナドゥ。4千年前に人間の勇者に滅ぼされた魔王であり邪神だ」
京楽が威嚇する。
「そんな邪神が、浮竹になんのようだい?」
「藍染の手で蘇った。俺は呪いを受けている。浮竹、おまえとその血族の京楽の血を浴びねば、解けることのない死の呪いだ」
「じゃあ、そのまま死んでよ」
魔神の咢で、ザナドゥの魂を噛み砕こうとする京楽を、浮竹が止めた。
「どうして止めるの?」
「ザナドゥは、俺の友人だ。友を見殺しになどできない。俺と京楽の血を浴びれば、その呪いは解けるんだな?」
「藍染の話によれば、だ」
浮竹は、手首を切り、ザナドゥに自分の血を浴びせた。京楽も黙ってそれに従い、自分の血をザナドゥに浴びせる。
「どうだ、呪いは消えたか?」
「がああああ!!呪いが、侵食を・・・・藍染の言葉は、嘘のようだ。あああ、苦しい。殺す、殺す・・・・」
「ザナドゥ、しっかりしろ!」
「浮竹、危ない!」
浮竹がいた空間の地面にクレーターができていた。
「ザナドゥ!正気に戻れ!」
「だめだよ、呪いに侵食されてる。エリクサーは?」
「それが、在庫を切らしていて・・・・材料も市場に売っていない」
「じゃあ、どうするの」
ザナドゥは暴れ始めた。
中庭に出て、古城が破壊されないようにした。古城に結界を張る。
「うおおおおお、俺を、俺を殺せ、浮竹。どうせ仮初で蘇った命だ。友を殺してまで、生きていたくはない」
「ザナドゥ!」
ザナドゥは、休眠から目覚めたばかりの浮竹が、その時初めてできた友人であった。愛してはいなかったので、血族にはしなかったが、浮竹のお気に入りの友人であった。
「おのれ藍染・・・・俺がザナドゥと友人であることを知った上での行為か」
「いや、藍染はそこまでは知らぬようだ。だが、お前とその血族の血を浴びれば呪いは解けるといわれたが、嘘だったようだ」
「ザナドゥ。封印か死か、どちからを選んでくれ。このまま放置しておけばお前は、京楽に魂を喰われるだろう。封印されてくれないか」
「封印など・・・・また、藍染に利用されるだけだ」
「ザナドゥ!!」
「我が友よ。100年に渡るそなたとの友情は、かけがえのない時間だった。安寧なる死を、俺に・・・・・・・」
浮竹は、涙を零しながら、魔法を詠唱する。
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・・トリプルファイアフェニックス!!」
「ああああ!!!」
ザナドゥは魔法をレジストした。
耐えきった。
「これで死なないとは・・・・・」
涙をふいて、浮竹はザナドゥの攻撃を受け止めた。
ザナドゥは巨大な爪で、浮竹を袈裟懸けに斬っていた。
「浮竹!」
「セイントヒール」
浮竹は、苦手な聖魔法の癒しの魔法を使い、深すぎる傷をすぐに癒した。
血の魔法で癒している時間などなかった。
流れ出た血を、ザナドゥは美味しそうにペロリと舐める。
「もっと、もっとお前の血をよこせ。お前の血を」
「もう、正気じゃないね」
「もう一度試させてくれ。エターナルアイシクルフィールド!!」
炎の禁呪が効かなかったので、今度は氷の禁呪を出した。
ザナドゥの体が凍っていく。けれど、凍るはしから溶けていく。
「封印の魔法でもダメか・・・・京楽、せめて苦しめずに屠ってくれ」
浮竹は、また泣いていた。
「さよならだ、ザナドゥ。お前と一緒に過ごした100年は楽しかった・・・・・」
京楽は魔神の咢で、ザナドゥの魂を喰らっていく。
「邪神の魂は、あまりおいしくないんだよね」
そう文句をたれながら、京楽はザナドゥの魂を噛み砕いた。
ぐらりと、ザナドゥの体が倒れる。
もう悪用されないように、浮竹はフェニックスを呼び出す。
ザナドゥの灰から、青い薔薇が狂い咲いた。
「さよなら。俺の友よ・・・・・・」
京楽は、涙を流す浮竹の涙を舐めとった。
「甘い。君は涙さえも甘い・・・・・・」
------------------------------------------------------
「まだ、泣いてるの?」
「残酷なやつだったが、親友だった」
京楽は、浮竹の涙を吸い取って、ベッドに押し倒した。
「でも、血族にはしなかったんだ」
「友人で、愛してはいなかったからな」
「僕は、それでも憎い。僕の知らない君の存在を知っている者が憎い」
「あっ」
浮竹は京楽に口づけられていた。
「そんなこと言っても、お前が生まれてきたのは140年くらい前だろう。8千年の俺の人生は、5千年は休眠だったが、3千年は活動していた。その頃には血族も他にいたし、友人だっていろいろといた」
「その全てが憎い」
京楽は、浮竹の衣服を脱がしていくと、自分のものだといいう所有のキスマークヲ咲かせていく。
「んあっ」
胸の先端をいじられて、浮竹は甘い声を出していた。
「もう終わりがいい?」
「あ、春水・・・・お前をくれ。全てを忘れさせるくらいに、お前をくれ」
京楽は、勃ちあがりかけている浮竹ものを手でしごいた。
「ああああ!!」
浮竹は簡単にいってしまった。
欲情にスイッチが入ったのか、浮竹は自分から足を開いて京楽を受け入れる。
「君が僕のことしか考えられないようにしてあげる」
ローションで後ろを解して、京楽は一気に貫いた。
「ひああああ!!」
びくんと、浮竹はオーガズムでいっていた。
「こっちもいけるでしょ?」
浮竹のものをしごきあげて、オーガズムの途中なのに精液を出して二重にいかせてやった。
「やああああああああ!!」
「君のここは、全然嫌なんていってないよ?僕のものに絡みついてくる」
「ああああ!」
浮竹は、啼いていた。
「んあああ」
京楽は、浮竹を味わうかのように、ゆっくりと犯していく。
「あ、もっと、もっと激しく!お前を、俺の中に刻みこんでくれ」
「分かったよ」
「ああああ!!」
ぱちゅぱちゅんと、激しく浮竹の中を出入りする。
京楽は、浮竹の胎の奥で精液を弾けさせた。
「んああああ」
同時に、京楽に手首を噛まれた。
動脈から直接血を吸われて、その得も言われぬ快感に虜になる。
「あ、もっと、もっと吸ってくれ」
京楽は、次に浮竹の太ももに牙を立てた。
「ああああ!!」
吸血による快楽と、体に与えられる快楽が二重になって浮竹を襲う。
「んあああ、ああ、あ」
京楽に貫かれて抉られ、揺すぶられて、浮竹は涙を流した。
「春水、お前で、満たされていく・・・・・・」
「十四郎。僕のものだ。例え他に血族がいたとしても、僕のものだ」
「ああ、春水・・・・・」
京楽は、ごりごりと奥をけずりながら結腸にまで侵入し、そこで精を放った。
「ああ、熱い・・・・・」
「君は僕のものだっていう、証を、注ぎ込んであげたよ」
「あ、春水。キスを・・・・・」
口づけをねだる浮竹に、舌が絡まるディープキスを繰り返す。
「んっ」
咥内を犯していく京楽の舌が去ってくとつっと銀の糸が垂れた。
「愛している」
「僕も、愛してるよ」
お互いに愛を囁きながら、まどろんでいく。
京楽は浮竹の中から去ると、逢瀬の名残を拭い去って浮竹を清めると、シーツを変えたベッドで、浮竹を抱きしめながら眠るのであった。
-----------------------------------------------------------------
「これは、邪神ザナドゥの子種だ」
藍染は、女神アルテナの肉体のなれの果ての肉便器に、ザナドゥから回収しておいた子種を注いだ。
「前のミニクのような存在でもいい。あの邪神の子は、特別な力をもっているようだしな」
肉便器は、数週間かけて子を産んだ。
今度は、美しい黒神黒目の邪神、ザナドゥそのものが生まれてきたような子供だった。
「名前は何がいいだろう。美しいから、ウツクでいいか」
もう、名付けるのも適当になっていた、
ウツクは、父であるザナドゥの記憶を継承していた。
藍染の首をはねて、肉体をぐちゃぐちゃにして、浮竹と京楽の元へ走り出す。
今度こそ、友人である浮竹の生き血をすすり、血族となって永遠を生きるのだ。
そう決めたウツクは、ばらばらになった藍染が再生するのを阻害するために、聖水をまき散らしていた。
「く、ウツクめ・・・・・やってくれるな」
1週間かけて、やっと再生した藍染は、壊れた女神オリガに泣きつかれた。
「あなた、死んでしまったかと思ったわ」
「オリガ、私は不老不死だ。何があっても、死なない」
「でも、魂を狩られたり、食われたら・・・・・・」
「それは心配ない。浮竹と同じように、この魂は肉体と結びついている。魔神に魂を喰われることはないし、死神に魂を狩りとられることもない」
その言葉に安心した女神オリガは、むずがる自分と藍染の子をあやした。
「ミライ、そんなに泣かないでちょうだい」
女神と邪神の子、ミライと名付けられた女の赤子は、真紅の瞳をしていた。
まるで、始祖ヴァンパイアのような魔力をもっているのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝
ヨーロッパの、その城に観光で西洋の浮竹と京楽は訪れていた。
東洋の浮竹と京楽も一緒だった。
エリザベート・バートリー。
中世でも有名な、肌が白く見えるからと、少女たちを拷問にかけて、生き血を浴びた、まさに魔女のような存在いたこのとある城だった。
(いるね。確かに、エリザベート・バートリーの生贄にされた少女の霊だ)
すでに、浮竹の顔は青く、今にも倒れそうだった。
「東洋の俺。西洋の霊は、やはり東洋のやり方では、成仏させれないのか?」
(うーん、どうだろう。こればかりは、やってみないと分からないな)
「浮竹、これはそもそも僕らに依頼された内容なんだよ」
「幽霊はいやだああああ!!!」
西洋の浮竹は、東洋の浮竹の背後に隠れた。
西洋の歴史にある魔女が存在する世界で、彷徨う少女の霊が哀れだと、血の帝国を介して西洋の浮竹と京楽の元に、どうか少女の霊を成仏させてほしいという依頼があった。
東洋に、退治屋の知り合いがいるとのことで、西洋の浮竹と京楽も、退治屋をしていると勘違いされたのだ。
断ろうにも、相手はすでに事故で死去していた。
ならば無視すればいいだろうに、浮竹はいやだいやだといいながら、西洋の京楽と東洋の浮竹と京楽と共に、生贄になった少女の霊が現れる城にやってきていた。
(これは夜を待つしかないかなぁ。人目もあるし)
「よ、夜まで幽霊と・・・・」
(ああ、しっかり、西洋の俺!)
西洋の浮竹は、眩暈を起こした。
「浮竹、しっかりして。今日の一晩で終わるから」
「う、うむ・・・・・・」
こうして、4人は夜を待った。
夜になると、その少女の幽霊は、よりはっきりと見えた。
「ようこそ、お越しくださいました、お客様」
少女は、自分がまだ生きているのだと思っていた。
「今、主を呼んで参ります」
(待って)
「はい?」
(キミ、気づいてないの。キミはもう死んでるんだよ。エリザベート・バートリーの手にかかり、拷問を受けて血を抜き取られて死んじゃったんだよ)
「私はちゃんと生きていますよ?」
少女はにこにこしていた。
(だめだ。負の感情がない。成仏させられるかどうか・・・・)
「えいえいえいえい!!」
西洋の浮竹は、やけになって聖女ルキアの聖水を少女の霊に向かって投げまくった。
「ぎゃあああ!!」
霊ではあるので、聖水はきいた。
「あああ、殺してやる。殺してやる!私を笑いながら殺したあの女のように!」
一気に負の感情が爆発して、4人は怯んだ。
「どうせいくなら、あなたも道連れにしてやる・・・・」
西洋の浮竹は、足を幽霊に触られて、泣きかけていた。
「ひあああ!霊が、霊に、足を、足をおおお」
(しっかりしてくれ、西洋の俺!今除霊するから!)
「おーい浮竹、お札で成仏させてみたら?」
「あ、東洋の俺からもらった浄化のお札があったんだ。えい」
お札を霊に向かって掲げると、明るい光に満ちた。
「ああ・・。お父さん、お母さん、お兄ちゃん・・・私もそこへ行くわ!」
光が消える頃には、少女の幽霊の姿は消えていた。
(あ、お札でも除霊できたんだ)
(そうみたいだね。わざわざボクらが出向く必要はなかったってことかな?)
「それが・・・少女の霊があと15体・・・ばらばらの場所に・・・・」
浮竹は、思い出したとばかりに口にする。
「次は、東棟にいる少女の霊だよ」
西洋の京楽に引きずられながら、西洋の浮竹は浄化のお札で有無を言わせず霊たちを成仏させていった。
(はぁ。足が痛い)
(ちょっと、何も一晩で終わらせることなかたんじゃない?もう夜明けだよ)
「あと、最後の一体が残ってるよ」
洋館の中にいた少女は、年端もいかないようで、ゴーストと化していた。
「ははは、たかがゴーストの一匹!ホーリーランス!!」
聖属性の攻撃をされて、少女のゴーストは倒されてしまった。
「浮竹・・・ゴーストだと、平気なんだね」
「ゴーストと幽霊は違うんだぞ!幽霊には魔法は効かないが、ゴーストには効く!」
「はいはい。とりあえず、帰って仮眠とってそれから昼食にでもしようか」
4人は、引っ越したばかりの古城にきていた。
4人はそれぞれペアに別れて、寝室とゲストルームで5時間ほど仮眠をとった。
最初に起きだしたのは、東洋の浮竹だった。
時計が昼の2時をさしていたので、急いで西洋の浮竹と京楽を起こす。東洋の京楽は、東洋の浮竹が起きた時点で起きていた。
(うわぁ、ダイニングルーム広い。おまけにホワイトタイガーの毛皮まである。ソファもふかふかだし、テーブルや椅子も高そうだ)
「一級品ばかりかったからな」
「浮竹、こういうことには金かけるんだよね」
(玄関の黄金のハニワは相変わらずだけどね)
東洋の京楽の指摘に、西洋の浮竹が自慢する。
「いい丁度品だろう。骨董屋で見つけた、純金のハニワとそれを複製して作った黄金のハニワの群れだ」
(感想は、あえて言わないでおくよ)
「あ、浮竹、背後霊が・・・・」
「ぎにゃあ!!」
変な声を出して、西洋の浮竹は固まった。それから真っ赤になって東洋の浮竹の背後に隠れる。
「お前とは、今日一日口きいてやんない」
「えー、ただのジョークだよ」
「知るか」
「浮竹~」
そんな二人を見ながら、苦笑して東洋の京楽は昼食を4人分作り、東洋の浮竹は配膳係をするのであった。
東洋の浮竹と京楽も一緒だった。
エリザベート・バートリー。
中世でも有名な、肌が白く見えるからと、少女たちを拷問にかけて、生き血を浴びた、まさに魔女のような存在いたこのとある城だった。
(いるね。確かに、エリザベート・バートリーの生贄にされた少女の霊だ)
すでに、浮竹の顔は青く、今にも倒れそうだった。
「東洋の俺。西洋の霊は、やはり東洋のやり方では、成仏させれないのか?」
(うーん、どうだろう。こればかりは、やってみないと分からないな)
「浮竹、これはそもそも僕らに依頼された内容なんだよ」
「幽霊はいやだああああ!!!」
西洋の浮竹は、東洋の浮竹の背後に隠れた。
西洋の歴史にある魔女が存在する世界で、彷徨う少女の霊が哀れだと、血の帝国を介して西洋の浮竹と京楽の元に、どうか少女の霊を成仏させてほしいという依頼があった。
東洋に、退治屋の知り合いがいるとのことで、西洋の浮竹と京楽も、退治屋をしていると勘違いされたのだ。
断ろうにも、相手はすでに事故で死去していた。
ならば無視すればいいだろうに、浮竹はいやだいやだといいながら、西洋の京楽と東洋の浮竹と京楽と共に、生贄になった少女の霊が現れる城にやってきていた。
(これは夜を待つしかないかなぁ。人目もあるし)
「よ、夜まで幽霊と・・・・」
(ああ、しっかり、西洋の俺!)
西洋の浮竹は、眩暈を起こした。
「浮竹、しっかりして。今日の一晩で終わるから」
「う、うむ・・・・・・」
こうして、4人は夜を待った。
夜になると、その少女の幽霊は、よりはっきりと見えた。
「ようこそ、お越しくださいました、お客様」
少女は、自分がまだ生きているのだと思っていた。
「今、主を呼んで参ります」
(待って)
「はい?」
(キミ、気づいてないの。キミはもう死んでるんだよ。エリザベート・バートリーの手にかかり、拷問を受けて血を抜き取られて死んじゃったんだよ)
「私はちゃんと生きていますよ?」
少女はにこにこしていた。
(だめだ。負の感情がない。成仏させられるかどうか・・・・)
「えいえいえいえい!!」
西洋の浮竹は、やけになって聖女ルキアの聖水を少女の霊に向かって投げまくった。
「ぎゃあああ!!」
霊ではあるので、聖水はきいた。
「あああ、殺してやる。殺してやる!私を笑いながら殺したあの女のように!」
一気に負の感情が爆発して、4人は怯んだ。
「どうせいくなら、あなたも道連れにしてやる・・・・」
西洋の浮竹は、足を幽霊に触られて、泣きかけていた。
「ひあああ!霊が、霊に、足を、足をおおお」
(しっかりしてくれ、西洋の俺!今除霊するから!)
「おーい浮竹、お札で成仏させてみたら?」
「あ、東洋の俺からもらった浄化のお札があったんだ。えい」
お札を霊に向かって掲げると、明るい光に満ちた。
「ああ・・。お父さん、お母さん、お兄ちゃん・・・私もそこへ行くわ!」
光が消える頃には、少女の幽霊の姿は消えていた。
(あ、お札でも除霊できたんだ)
(そうみたいだね。わざわざボクらが出向く必要はなかったってことかな?)
「それが・・・少女の霊があと15体・・・ばらばらの場所に・・・・」
浮竹は、思い出したとばかりに口にする。
「次は、東棟にいる少女の霊だよ」
西洋の京楽に引きずられながら、西洋の浮竹は浄化のお札で有無を言わせず霊たちを成仏させていった。
(はぁ。足が痛い)
(ちょっと、何も一晩で終わらせることなかたんじゃない?もう夜明けだよ)
「あと、最後の一体が残ってるよ」
洋館の中にいた少女は、年端もいかないようで、ゴーストと化していた。
「ははは、たかがゴーストの一匹!ホーリーランス!!」
聖属性の攻撃をされて、少女のゴーストは倒されてしまった。
「浮竹・・・ゴーストだと、平気なんだね」
「ゴーストと幽霊は違うんだぞ!幽霊には魔法は効かないが、ゴーストには効く!」
「はいはい。とりあえず、帰って仮眠とってそれから昼食にでもしようか」
4人は、引っ越したばかりの古城にきていた。
4人はそれぞれペアに別れて、寝室とゲストルームで5時間ほど仮眠をとった。
最初に起きだしたのは、東洋の浮竹だった。
時計が昼の2時をさしていたので、急いで西洋の浮竹と京楽を起こす。東洋の京楽は、東洋の浮竹が起きた時点で起きていた。
(うわぁ、ダイニングルーム広い。おまけにホワイトタイガーの毛皮まである。ソファもふかふかだし、テーブルや椅子も高そうだ)
「一級品ばかりかったからな」
「浮竹、こういうことには金かけるんだよね」
(玄関の黄金のハニワは相変わらずだけどね)
東洋の京楽の指摘に、西洋の浮竹が自慢する。
「いい丁度品だろう。骨董屋で見つけた、純金のハニワとそれを複製して作った黄金のハニワの群れだ」
(感想は、あえて言わないでおくよ)
「あ、浮竹、背後霊が・・・・」
「ぎにゃあ!!」
変な声を出して、西洋の浮竹は固まった。それから真っ赤になって東洋の浮竹の背後に隠れる。
「お前とは、今日一日口きいてやんない」
「えー、ただのジョークだよ」
「知るか」
「浮竹~」
そんな二人を見ながら、苦笑して東洋の京楽は昼食を4人分作り、東洋の浮竹は配膳係をするのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター60
邪神ザナドゥは、藍染の血により意識を侵食されていく。
藍染の呪いは少しずつザナドゥを蝕んでいくか、期限にはまだ日数があった。
藍染が肉便器という奇妙な肉体にザナドゥの子種を注ぐと、数日で子は生まれ落ちた。
邪神ザナドゥさえ、嫌悪しそうなくらい醜い肉の塊が生まれた。
性別はどちから分からなかった。
「ほう、邪神の子といっても、邪神が生まれるわけではないのか。それになんて醜い。この世界に呪われて生まれ落ちたかのようだ」
「あああ・・・・・あたしは、う、美しくなりたい・・・・・」
自我は女性であるらしかった。
数日で立ち上がり、母親である肉便器に縋りついた。
「ああああ!太陽が、太陽が眩しい!!
太陽の光を嫌い、夜の闇の中で動いた。
「こんなもの、使えるかどうか分からんが、一応駒として使ってみるか」
「あああ!う、美しくなりたい」
「美しくなれる方法がある。始祖ヴァンパイアの血を浴びれば、お前は美しくなれる」
「本当に?」
「ああ、本当だ。名を与えていなかったな。醜いからミニクだ。それがお前の名前だ」
「ミニク・・・あたしは醜い。だから、美しくなる」
とぷんと、藍染の影の中にもぐりこんだ。
「なんだ!?」
「あたしは、影と影を移動できる。この力があれば、始祖ヴァンパイアの血を浴びれる?」
「ほう、面白い能力だ。せいぜい、がんばっておいで」
ミニクは、影の中を移動しながら、ガイア王国に向かう。
古城にいくと、そこは廃墟になっていた。
「始祖ヴァンパイア・・・・何処に住んでいるの」
ミニクは、辺りを探したけれど分からなかった。
「きゃあああああああ!!!」
通行人にみられて、ミニクはすぐに建物の影に潜り込んだ。
その日のうちに、アラルの町の冒険者ギルドでモンスターの手配書が回った。
「醜い、肉塊のような生き物だったそうだ。影を中を移動するらしい」
「影ねぇ・・・・」
京楽はどうでもよさそうだった。
「とりあえず、まだ被害でてないんだろう。見つけ次第退治する。それでいいだろう」
「ああ、そうしてくてれ」
ギルドマスターに用があると呼び出されたら、前の古城の廃墟の近くで蠢く醜い肉塊が目撃されたのだという。
藍染の手下の者という可能性が限りなく高かったが、少し探れば近くの古城に引っ越したことくらい分かるだろう。
「それより、明日のガイア王国の女王生誕祭に呼ばれているんだろう。行ってこい」
「何故それを・・・・」
「すっぽかしから、俺に咎がいくようにされてしまった。ギルドマスターとしての命令だ。明日の卯ノ花女王の生誕祭に参加すること」
ギルドマスターは、名誉貴族ということにされていた。
「女王とか貴族とか、そういう柵に捕らわれるのは嫌いなんだがな」
「まぁ、浮竹は卯ノ花に気に入られるみたいだし」
「また、夜の誘いをされるかもしれんぞ」
「それは許さないよ、浮竹!」
京楽が真剣な顔で諭してくるものだから、浮竹は笑った。
「このスタールビーにかけて、お前以外を愛さないと誓う」
「浮竹、愛しているよ!」
ギルドマスターの前で抱きついてくる京楽の頭をハリセンで殴って、浮竹と京楽は明日の女王生誕祭のために、正装するのだが、どの衣装にするのか困るのであった。
--------------------------------------------------------
結局、京楽は黒のスーツを。浮竹は極東の衣服の袴と羽織を着ていた。
「君がそういう服着ると思わなかった」
「スーツは窮屈で嫌いだ。この姿は、東洋の正装にもなるそうだ。京楽こそ、もっと着飾ればいいのに」
「いや、僕はこれで十分だよ。浮竹、こっちにおいで」
手招きされると、京楽の傍にいくと京楽は白いレースのリボンをとりだし、浮竹の両サイドの髪を三つ編みにして、後ろでリボンで結んだ。
「ほら、かわいい」
「俺は女じゃないぞ」
「でも、似合ってるよ」
そこへ、リンリンと来訪者を告げるベルが鳴った。
「はいはい、今行くから。ほら、浮竹も」
迎えの馬車がやってきたのだ。
卯ノ花は浮竹と京楽のことを気に入り、生誕祭に招いたが、こない可能性もあるでギルドマスターに手を回していた。
「わあ、豪華な馬車だねぇ」
二頭引きの馬車は、金細工が美しかった。
先に京楽がのり、エスコートするように浮竹の手を取る。
「さぁ、生誕祭の夜会に行こうか、僕のお姫様」
「誰がお姫様だ」
京楽のほっぺをつねって、浮竹と京楽を乗せた馬車は宮殿に向かって出発した。
「宮殿っていっても、ブラッディ・ネイの宮殿ほど広くないんだね」
馬車の外から、近くなっていく宮殿を見る。
「あれは、後宮が広いからな。寵姫をいつも40人前後は侍らしている」
「うわー、そんな後宮、浮竹はいっちゃだめだよ!」
「頼まれてもいかん」
一度狙われた京楽のために後宮に入ったことはあるが、それ以外だと女同士になって入ったことを除いて、普通の浮竹が後宮に足を伸ばすとこはあれど、ブラッディ・ネイのために後宮に入ったことなど一度もなかった。
後宮に入ったが最後、女になる魔女の秘薬を飲まされ続け、ブラッディ・ネイ好みの外見年齢にさせられて、子を孕めさせられるに違いない。
浮竹が、ブラッディ・ネイを避けるのは、ブラッディ・ネイが家族愛ではなく、伴侶としての愛を浮竹に囁くからであった。
「到着しました、浮竹様、京楽様」
馬車のドアを開けられて、まずが京楽が外にでた。
浮竹に手を差し出す。
浮竹は何も言わず、その手に手を重ねて、京楽にエスコートされて生誕祭の夜会が行われている広間にやってきた。
「まぁ、浮竹さん、京楽さん、きてくれたのですね」
卯ノ花は、とても3人の大きな子供がいるとは思えない、若々しい姿だった。
艶やかに笑みを浮かべる女王のドレスは真紅だった。
首飾りにピジョンブラッドのスタールビーの大きなものがついているのが見えた。
「あら、ペアリングをなさっているのですね。結婚式は挙げられましたか?」
「いや、まだだ。そういうことは、平和になってからしようと思って・・・・」
浮竹が頬を赤らめながらそう言う。
「果報者ですね、京楽さん」
京楽も赤くなりながら、卯ノ花を見る。
「今日は一段とお綺麗だね」
「ありがとうございます。でも、浮竹さんの出で立ちも可憐ですね。男性にしておくのがもったいないです」
「これは京楽が!」
「わたしと、一曲踊ってくださりませんこと?」
卯ノ花が、浮竹に手を差し出す。
無下にもできないので、その手をとって、広間の中心に来て、オーケストラを鳴らす楽器たちの音色に合わせて踊った。
「まぁ、どこの殿方でしょう。可憐で麗しいわ」
貴族の女性たちが、浮竹に視線を集める。
浮竹は夜会には慣れているのが、見事に踊り終わると、卯ノ花の手にキスをして別れた。
わっと、貴族の女性たちに、浮竹が取り囲まれる。
その間をぬって、京楽が浮竹の手に口づけた。
「俺と一曲踊ってくれないかい?」
浮竹がその手をとると、別に意味で貴族の女性たちはきゃあきゃあと騒ぎ始めた。
貴族の男性も、浮竹を見つめていた。
踊り終わり、貴族に囲まれるのを抜け出して、二人はバルコニーまでやってきた。
シャンパンのグラスを手に、中身を飲み干していく。
「夜会は頼んでいただけるでしょうか?」
「卯ノ花・・・びっくりさせないでくれ」
「あら、これは失礼しました。あなたたちが伴侶であると知らない貴族たちが、迷惑をかけましたね」
「いや、別にそれはいい・・・・」
浮竹は、スィーツ置いてある場所に移動して、次々にスィーツを平らげていく。
「京楽さんは、食べないのですか?」
「いや、僕もある態度食べたから。スィーツに関しては、浮竹の胃はブラックホールなんだよね」
「あら、まぁ。持って帰れるように、手配しましょうか?」
「え、いいの?でも貴族って普通持って帰らないんじゃ」
「あななたちは貴族ではないでしょう?まぁこの国では平民ということになっていますが、血の帝国の皇族でしょう」
「それはそうなんだけど・・・・浮竹、持って帰れると知ったら、大量に持ち帰るよ?」
「別に、構いません」
卯ノ花は、あまり食べられていないスィーツを持ち帰れるように手配してくれた。
アイスなどは溶けるので、その場で食べた。
「これはおみやけどいうことで。ではまた、遊びにきてくださいね」
卯ノ花の微笑みは、あったかい陽だまりのようで、浮竹も京楽もほわんとなった。
「母上!この方たちが、例のヴァンパイアの?」
「ジエ、失礼のないように。紹介しおくれました王太子のジエルド・ルドワール・レ・ガイアです」
「ジエルドと申します。お気軽にジエとお呼びください」
卯ノ花は3人の子が出来が悪いと言っていたが、少なくともこの皇太子のジエルドは普通に見えた。
「浮竹さん、ああ麗しい。どうか、僕と一晩の甘い夜を過ごしませんか」
実の母である卯ノ花と恋人でる京楽を目の前に、そんなことを言いだした。
「酷いわ、ジエ様!今日の夜はわたくしと過ごしてくれる約束だったはず」
貴族の少女が、ジエルドの手を取った。
「ああ、そうだった。君と約束をしていたね。でも、新しい麗し人を見つけたんだ。今日は3Pでどうだろうか」
「あら、それも悪くはないわね」
「どうしてそこに俺の数が入っている!このあほ皇太子が!」
見事な浮竹のアッパーを受けて、ジエルドは床に沈んだ。
「きゃああ、ジエ様!」
「悪いのはジエですよ。反省なさい。すみません、浮竹さん京楽さん。私のバカ息子どもは性欲が強くて、許嫁のいる相手にも手を出してしまうのです」
「そうかい・・・・・・」
「帰るぞ、京楽!」
スィーツのお土産を全部アイテムポケットに入れて、怒った浮竹はそのまま京楽と一緒に帰ってしまった。
帰りも馬車だったが、馬車が急に立ち止まって、浮竹と京楽は前につんのめった。
「何が起きた!?」
「何か、影の中に何かがいるんです!!」
御者の男性は、怖がっていた。
馬も怖がって、蹄で地面の影を蹴っていた。
「これは・・・・フレアロンド!」
ぽっ、ぽっ、ぽっ。
青い火花が生まれていき、影に向かって攻撃する。
「熱いいいいい!!あたしは、熱いの嫌い、ひいいい」
出てきたのは、醜悪な肉の塊だった。
生きているのだと認識はできるが、変な匂いもして、生理的に受け付けれなかった。
「始祖ヴァンパイアの血を浴びればぁ、あたしは美しくなるの。そう藍染様がおしゃったのだから!」
「こんな肉の塊が今回の敵か?」
「すごい醜いね。女の子の言葉を使うから、女なのかな?」
肉塊は、裸だった。
どこもうねっていて、女の特徴らしいものは見えなかったし、男にも見えなかった。
ただうねるだけの肉塊だった。
どうやってしゃべっているのかも、分からなかった。
「始祖ヴァンパイアぁぁあ。血をよこせえぇぇぇぇ」
浮竹は、気まぐれをおこしてミニクに数滴の血を滴らせた。
「あああ、始祖ヴァンパイアの血ぃ!これで、ミニクは醜いじゃない。美しいから、名前はウツクよ!」
何分たっても、肉塊は肉塊のままだった。
「嘘おおおお!なんにも起きない、どうして!!」
ミニクは、ねばねばした液体をどこからか吐き出した。
浮竹と京楽は避けるが、馬車の御者と馬がそのねばねばした液体をかけられて、シューシューと肉が腐っていき、骨になった。
「浮竹、こいつ見た目もやばいけど、能力もやばいよ!」
「攻撃する暇を与えず、攻めるしかないな!エターナルフェニックス!!」
「サンダーボルテックス!」
「いやあああ!ぎゃあああ、熱い、熱い!!」
その巨体を焦げさせて、燃やされて、ミニクは影に沈んだ。
「どこからくる?」
「京楽、後ろだ!」
ねばねばした液体が、さっきまえ京楽のいた空間の地面を腐らせていた。
「ふふふ、影を、利用すれば、あなたたちなんて倒せる」
「こいつ、影を利用するつもりだ」
「影がなくなればいいんだな。サンシャイン!」
かっと、疑似太陽が浮かびあがる。
それはちょうど浮竹と京楽の頭上に輝き、影がなくなった。
「いやああああ、太陽の光は、光は嫌い!!」
失われた影から、ミニクが飛び出してきた。
「「エターナルアイシクルワールド!!」」
「いやああ、寒い・・・さむい・・・・」
ミニクは完全に凍り付いた。
生命活動の停止を確認して、炎の精霊フェニックスではなく、イフリートを呼んだ。
「イフリート、あれを灰にしてくれ」
燃え上がる紅蓮の乙女は、頷いて氷を溶かしていき、ミニクを灰にかえた。
あんな醜いものを、もう一度この世界で違う何かとして生きさせるのがいやだったから、フェニックスではなくイフリートを呼んだ。
「主・・・完了しました」
ミニクは、完全な灰となった。
「分かった、戻ってくれイフリート」
イフリートは、浮竹の胸に吸い込まれていった。
「藍染にしては、えらく醜い化け物をよこしてきたもんだね」
「おまけに、馬と御者が死んでしまった。卯ノ花に詫びをいれないといけないな」
馬車も、腐り、ドロドロだった。
普通黄金は腐らないのに、黄金も腐っていた。
「これが、普通の意思をもって攻撃してきたら厄介だった」
「そうだね。黄金まで腐らせる液体なんて、聞いたことがないよ」
「名前は、醜いからミニクって名前だったんだろう。藍染らしい名づけ方だ」
「少し、可愛そうだね」
京楽が、灰となったミニクを見下ろす。
「藍染の手中で生まれたのが運の尽きだ」
「うん。とりあえずどうする?古城まで時間かかりそうだけど」
「ヴァンパイアの翼で飛んで帰ろう。あとは、式で馬車がだめになったことと、馬と業者を死なせてしまったことも報告しよう」
「ああ、そういえば、影に潜むモンスターの退治依頼があったよね。あれって、さっきの子じゃないの?」
「そうだな。まぁ、今日は遅い。明日、報告に行こう」
その日は風呂に入り、そのまま寝た。
翌日になって、浮竹と京楽は冒険者ギルドにいき、モンスター退治をしたと報告して、大金貨500枚をもらった。
古城に戻ると、式が帰ってきていた。
馬と馬車はいいが、御者の死には驚いたようで、王宮で追悼式が行われることとなり、浮竹と京楽も、喪服を着て参加した。
「卯ノ花すまない。俺たちの戦いに巻き込んでしまった」
「人の死はいつか訪れるもの。今は、黙祷してやってください」
皆で黙祷した。
身寄りはなかったらしく、王家が管理する墓場の片隅に墓が建てられることになった。
「おお、浮竹殿。喪服を着ていても美しい!この僕と、一晩の熱い夜を!!」
「浮竹は僕のものだよ!」
「では京楽さん、あなたも混ぜて3Pで!」
王太子のジエルドに常識は通用しないようで、京楽が怒ってジエルドの股間を蹴りあげた。
「ああん、僕の愛しいたまたまが」
「君には、これをあげよう」
京楽は、浮竹が悪戯で作ったモレ草の薬をジエルドに渡した。
「これは精強剤だ。飲めば効果はばつぐん」
「おお、それはすぐに飲まねば!」
ジエルドは、モレ草の薬をその場で飲んだ。
「のあああああああ!!漏れるうううううう!!!」
ジエルドはトイレにかけこみ、それから3時間は戻ってこなかった。
「京楽、さっき飲ませたのはモレ草の・・・」
「だって、浮竹に手を出そうとしたんだよ」
「効果は薄めてあるだろうな?原液を使うと、人なら死ぬことがる」
「その辺は大丈夫。3日もすれば効果は切れるよ。原液を20倍に薄めた薬を盛ったから」
「なら、いいんだ」
ちなみに、その会話は卯ノ花に筒抜けであった。
「そうですか、王太子のジエルドに、強力な下剤を・・・・・」
「浮竹、逃げよう」
「京楽、足が竦んで・・・・・」
「あら、私は褒めているのですよ?あのくそ息子に下剤をもるなんて、やりますね」
にーっこりと微笑む卯ノ花が怖くて、二人は王宮を去り、古城に戻るのだった。
----------------------------------------------------
「ミニクは死んだか。死んだわりには、ガイア王国で懸賞金がかかるモンスターになるなんて、醜いわりには頑張ったものだ」
「次には、俺にいけというのか」
邪神ザナドゥは、やる気はあまりなさそうだった。
「そうだよ。嫌だと言っても、呪いの侵食まであと1週間。このまま呪いで死ぬか、浮竹と京楽を殺すか・・・・・それは君の自由意思に任せよう」
「では、俺もいくとしよう。ミニクが先に待っている。俺もすぐ、そこにいくさ」
「おや、すでに死ぬ覚悟をしているのかい?」
「あの始祖ヴァンパイアと血族の神喰らいの魔神京楽の力は歪(いびつ)だ。上位神の力をもっている。いずれ、お前も滅ぼされるだろう」
藍染は笑った。
「あれらが、上位神の力があるだって?笑わせないでくれるか」
「好きなようにとるといい。私は、滅ぼされにいく。安寧の死が欲しい・・・・・」
「私が世界で唯一無二の絶対神になるのだ!はははは!!」
邪神ザナドゥは死を見据えて。
藍染は欲望だけを輝かせて。
それぞれ、前へ前へと進んでいくのであった。
藍染の呪いは少しずつザナドゥを蝕んでいくか、期限にはまだ日数があった。
藍染が肉便器という奇妙な肉体にザナドゥの子種を注ぐと、数日で子は生まれ落ちた。
邪神ザナドゥさえ、嫌悪しそうなくらい醜い肉の塊が生まれた。
性別はどちから分からなかった。
「ほう、邪神の子といっても、邪神が生まれるわけではないのか。それになんて醜い。この世界に呪われて生まれ落ちたかのようだ」
「あああ・・・・・あたしは、う、美しくなりたい・・・・・」
自我は女性であるらしかった。
数日で立ち上がり、母親である肉便器に縋りついた。
「ああああ!太陽が、太陽が眩しい!!
太陽の光を嫌い、夜の闇の中で動いた。
「こんなもの、使えるかどうか分からんが、一応駒として使ってみるか」
「あああ!う、美しくなりたい」
「美しくなれる方法がある。始祖ヴァンパイアの血を浴びれば、お前は美しくなれる」
「本当に?」
「ああ、本当だ。名を与えていなかったな。醜いからミニクだ。それがお前の名前だ」
「ミニク・・・あたしは醜い。だから、美しくなる」
とぷんと、藍染の影の中にもぐりこんだ。
「なんだ!?」
「あたしは、影と影を移動できる。この力があれば、始祖ヴァンパイアの血を浴びれる?」
「ほう、面白い能力だ。せいぜい、がんばっておいで」
ミニクは、影の中を移動しながら、ガイア王国に向かう。
古城にいくと、そこは廃墟になっていた。
「始祖ヴァンパイア・・・・何処に住んでいるの」
ミニクは、辺りを探したけれど分からなかった。
「きゃあああああああ!!!」
通行人にみられて、ミニクはすぐに建物の影に潜り込んだ。
その日のうちに、アラルの町の冒険者ギルドでモンスターの手配書が回った。
「醜い、肉塊のような生き物だったそうだ。影を中を移動するらしい」
「影ねぇ・・・・」
京楽はどうでもよさそうだった。
「とりあえず、まだ被害でてないんだろう。見つけ次第退治する。それでいいだろう」
「ああ、そうしてくてれ」
ギルドマスターに用があると呼び出されたら、前の古城の廃墟の近くで蠢く醜い肉塊が目撃されたのだという。
藍染の手下の者という可能性が限りなく高かったが、少し探れば近くの古城に引っ越したことくらい分かるだろう。
「それより、明日のガイア王国の女王生誕祭に呼ばれているんだろう。行ってこい」
「何故それを・・・・」
「すっぽかしから、俺に咎がいくようにされてしまった。ギルドマスターとしての命令だ。明日の卯ノ花女王の生誕祭に参加すること」
ギルドマスターは、名誉貴族ということにされていた。
「女王とか貴族とか、そういう柵に捕らわれるのは嫌いなんだがな」
「まぁ、浮竹は卯ノ花に気に入られるみたいだし」
「また、夜の誘いをされるかもしれんぞ」
「それは許さないよ、浮竹!」
京楽が真剣な顔で諭してくるものだから、浮竹は笑った。
「このスタールビーにかけて、お前以外を愛さないと誓う」
「浮竹、愛しているよ!」
ギルドマスターの前で抱きついてくる京楽の頭をハリセンで殴って、浮竹と京楽は明日の女王生誕祭のために、正装するのだが、どの衣装にするのか困るのであった。
--------------------------------------------------------
結局、京楽は黒のスーツを。浮竹は極東の衣服の袴と羽織を着ていた。
「君がそういう服着ると思わなかった」
「スーツは窮屈で嫌いだ。この姿は、東洋の正装にもなるそうだ。京楽こそ、もっと着飾ればいいのに」
「いや、僕はこれで十分だよ。浮竹、こっちにおいで」
手招きされると、京楽の傍にいくと京楽は白いレースのリボンをとりだし、浮竹の両サイドの髪を三つ編みにして、後ろでリボンで結んだ。
「ほら、かわいい」
「俺は女じゃないぞ」
「でも、似合ってるよ」
そこへ、リンリンと来訪者を告げるベルが鳴った。
「はいはい、今行くから。ほら、浮竹も」
迎えの馬車がやってきたのだ。
卯ノ花は浮竹と京楽のことを気に入り、生誕祭に招いたが、こない可能性もあるでギルドマスターに手を回していた。
「わあ、豪華な馬車だねぇ」
二頭引きの馬車は、金細工が美しかった。
先に京楽がのり、エスコートするように浮竹の手を取る。
「さぁ、生誕祭の夜会に行こうか、僕のお姫様」
「誰がお姫様だ」
京楽のほっぺをつねって、浮竹と京楽を乗せた馬車は宮殿に向かって出発した。
「宮殿っていっても、ブラッディ・ネイの宮殿ほど広くないんだね」
馬車の外から、近くなっていく宮殿を見る。
「あれは、後宮が広いからな。寵姫をいつも40人前後は侍らしている」
「うわー、そんな後宮、浮竹はいっちゃだめだよ!」
「頼まれてもいかん」
一度狙われた京楽のために後宮に入ったことはあるが、それ以外だと女同士になって入ったことを除いて、普通の浮竹が後宮に足を伸ばすとこはあれど、ブラッディ・ネイのために後宮に入ったことなど一度もなかった。
後宮に入ったが最後、女になる魔女の秘薬を飲まされ続け、ブラッディ・ネイ好みの外見年齢にさせられて、子を孕めさせられるに違いない。
浮竹が、ブラッディ・ネイを避けるのは、ブラッディ・ネイが家族愛ではなく、伴侶としての愛を浮竹に囁くからであった。
「到着しました、浮竹様、京楽様」
馬車のドアを開けられて、まずが京楽が外にでた。
浮竹に手を差し出す。
浮竹は何も言わず、その手に手を重ねて、京楽にエスコートされて生誕祭の夜会が行われている広間にやってきた。
「まぁ、浮竹さん、京楽さん、きてくれたのですね」
卯ノ花は、とても3人の大きな子供がいるとは思えない、若々しい姿だった。
艶やかに笑みを浮かべる女王のドレスは真紅だった。
首飾りにピジョンブラッドのスタールビーの大きなものがついているのが見えた。
「あら、ペアリングをなさっているのですね。結婚式は挙げられましたか?」
「いや、まだだ。そういうことは、平和になってからしようと思って・・・・」
浮竹が頬を赤らめながらそう言う。
「果報者ですね、京楽さん」
京楽も赤くなりながら、卯ノ花を見る。
「今日は一段とお綺麗だね」
「ありがとうございます。でも、浮竹さんの出で立ちも可憐ですね。男性にしておくのがもったいないです」
「これは京楽が!」
「わたしと、一曲踊ってくださりませんこと?」
卯ノ花が、浮竹に手を差し出す。
無下にもできないので、その手をとって、広間の中心に来て、オーケストラを鳴らす楽器たちの音色に合わせて踊った。
「まぁ、どこの殿方でしょう。可憐で麗しいわ」
貴族の女性たちが、浮竹に視線を集める。
浮竹は夜会には慣れているのが、見事に踊り終わると、卯ノ花の手にキスをして別れた。
わっと、貴族の女性たちに、浮竹が取り囲まれる。
その間をぬって、京楽が浮竹の手に口づけた。
「俺と一曲踊ってくれないかい?」
浮竹がその手をとると、別に意味で貴族の女性たちはきゃあきゃあと騒ぎ始めた。
貴族の男性も、浮竹を見つめていた。
踊り終わり、貴族に囲まれるのを抜け出して、二人はバルコニーまでやってきた。
シャンパンのグラスを手に、中身を飲み干していく。
「夜会は頼んでいただけるでしょうか?」
「卯ノ花・・・びっくりさせないでくれ」
「あら、これは失礼しました。あなたたちが伴侶であると知らない貴族たちが、迷惑をかけましたね」
「いや、別にそれはいい・・・・」
浮竹は、スィーツ置いてある場所に移動して、次々にスィーツを平らげていく。
「京楽さんは、食べないのですか?」
「いや、僕もある態度食べたから。スィーツに関しては、浮竹の胃はブラックホールなんだよね」
「あら、まぁ。持って帰れるように、手配しましょうか?」
「え、いいの?でも貴族って普通持って帰らないんじゃ」
「あななたちは貴族ではないでしょう?まぁこの国では平民ということになっていますが、血の帝国の皇族でしょう」
「それはそうなんだけど・・・・浮竹、持って帰れると知ったら、大量に持ち帰るよ?」
「別に、構いません」
卯ノ花は、あまり食べられていないスィーツを持ち帰れるように手配してくれた。
アイスなどは溶けるので、その場で食べた。
「これはおみやけどいうことで。ではまた、遊びにきてくださいね」
卯ノ花の微笑みは、あったかい陽だまりのようで、浮竹も京楽もほわんとなった。
「母上!この方たちが、例のヴァンパイアの?」
「ジエ、失礼のないように。紹介しおくれました王太子のジエルド・ルドワール・レ・ガイアです」
「ジエルドと申します。お気軽にジエとお呼びください」
卯ノ花は3人の子が出来が悪いと言っていたが、少なくともこの皇太子のジエルドは普通に見えた。
「浮竹さん、ああ麗しい。どうか、僕と一晩の甘い夜を過ごしませんか」
実の母である卯ノ花と恋人でる京楽を目の前に、そんなことを言いだした。
「酷いわ、ジエ様!今日の夜はわたくしと過ごしてくれる約束だったはず」
貴族の少女が、ジエルドの手を取った。
「ああ、そうだった。君と約束をしていたね。でも、新しい麗し人を見つけたんだ。今日は3Pでどうだろうか」
「あら、それも悪くはないわね」
「どうしてそこに俺の数が入っている!このあほ皇太子が!」
見事な浮竹のアッパーを受けて、ジエルドは床に沈んだ。
「きゃああ、ジエ様!」
「悪いのはジエですよ。反省なさい。すみません、浮竹さん京楽さん。私のバカ息子どもは性欲が強くて、許嫁のいる相手にも手を出してしまうのです」
「そうかい・・・・・・」
「帰るぞ、京楽!」
スィーツのお土産を全部アイテムポケットに入れて、怒った浮竹はそのまま京楽と一緒に帰ってしまった。
帰りも馬車だったが、馬車が急に立ち止まって、浮竹と京楽は前につんのめった。
「何が起きた!?」
「何か、影の中に何かがいるんです!!」
御者の男性は、怖がっていた。
馬も怖がって、蹄で地面の影を蹴っていた。
「これは・・・・フレアロンド!」
ぽっ、ぽっ、ぽっ。
青い火花が生まれていき、影に向かって攻撃する。
「熱いいいいい!!あたしは、熱いの嫌い、ひいいい」
出てきたのは、醜悪な肉の塊だった。
生きているのだと認識はできるが、変な匂いもして、生理的に受け付けれなかった。
「始祖ヴァンパイアの血を浴びればぁ、あたしは美しくなるの。そう藍染様がおしゃったのだから!」
「こんな肉の塊が今回の敵か?」
「すごい醜いね。女の子の言葉を使うから、女なのかな?」
肉塊は、裸だった。
どこもうねっていて、女の特徴らしいものは見えなかったし、男にも見えなかった。
ただうねるだけの肉塊だった。
どうやってしゃべっているのかも、分からなかった。
「始祖ヴァンパイアぁぁあ。血をよこせえぇぇぇぇ」
浮竹は、気まぐれをおこしてミニクに数滴の血を滴らせた。
「あああ、始祖ヴァンパイアの血ぃ!これで、ミニクは醜いじゃない。美しいから、名前はウツクよ!」
何分たっても、肉塊は肉塊のままだった。
「嘘おおおお!なんにも起きない、どうして!!」
ミニクは、ねばねばした液体をどこからか吐き出した。
浮竹と京楽は避けるが、馬車の御者と馬がそのねばねばした液体をかけられて、シューシューと肉が腐っていき、骨になった。
「浮竹、こいつ見た目もやばいけど、能力もやばいよ!」
「攻撃する暇を与えず、攻めるしかないな!エターナルフェニックス!!」
「サンダーボルテックス!」
「いやあああ!ぎゃあああ、熱い、熱い!!」
その巨体を焦げさせて、燃やされて、ミニクは影に沈んだ。
「どこからくる?」
「京楽、後ろだ!」
ねばねばした液体が、さっきまえ京楽のいた空間の地面を腐らせていた。
「ふふふ、影を、利用すれば、あなたたちなんて倒せる」
「こいつ、影を利用するつもりだ」
「影がなくなればいいんだな。サンシャイン!」
かっと、疑似太陽が浮かびあがる。
それはちょうど浮竹と京楽の頭上に輝き、影がなくなった。
「いやああああ、太陽の光は、光は嫌い!!」
失われた影から、ミニクが飛び出してきた。
「「エターナルアイシクルワールド!!」」
「いやああ、寒い・・・さむい・・・・」
ミニクは完全に凍り付いた。
生命活動の停止を確認して、炎の精霊フェニックスではなく、イフリートを呼んだ。
「イフリート、あれを灰にしてくれ」
燃え上がる紅蓮の乙女は、頷いて氷を溶かしていき、ミニクを灰にかえた。
あんな醜いものを、もう一度この世界で違う何かとして生きさせるのがいやだったから、フェニックスではなくイフリートを呼んだ。
「主・・・完了しました」
ミニクは、完全な灰となった。
「分かった、戻ってくれイフリート」
イフリートは、浮竹の胸に吸い込まれていった。
「藍染にしては、えらく醜い化け物をよこしてきたもんだね」
「おまけに、馬と御者が死んでしまった。卯ノ花に詫びをいれないといけないな」
馬車も、腐り、ドロドロだった。
普通黄金は腐らないのに、黄金も腐っていた。
「これが、普通の意思をもって攻撃してきたら厄介だった」
「そうだね。黄金まで腐らせる液体なんて、聞いたことがないよ」
「名前は、醜いからミニクって名前だったんだろう。藍染らしい名づけ方だ」
「少し、可愛そうだね」
京楽が、灰となったミニクを見下ろす。
「藍染の手中で生まれたのが運の尽きだ」
「うん。とりあえずどうする?古城まで時間かかりそうだけど」
「ヴァンパイアの翼で飛んで帰ろう。あとは、式で馬車がだめになったことと、馬と業者を死なせてしまったことも報告しよう」
「ああ、そういえば、影に潜むモンスターの退治依頼があったよね。あれって、さっきの子じゃないの?」
「そうだな。まぁ、今日は遅い。明日、報告に行こう」
その日は風呂に入り、そのまま寝た。
翌日になって、浮竹と京楽は冒険者ギルドにいき、モンスター退治をしたと報告して、大金貨500枚をもらった。
古城に戻ると、式が帰ってきていた。
馬と馬車はいいが、御者の死には驚いたようで、王宮で追悼式が行われることとなり、浮竹と京楽も、喪服を着て参加した。
「卯ノ花すまない。俺たちの戦いに巻き込んでしまった」
「人の死はいつか訪れるもの。今は、黙祷してやってください」
皆で黙祷した。
身寄りはなかったらしく、王家が管理する墓場の片隅に墓が建てられることになった。
「おお、浮竹殿。喪服を着ていても美しい!この僕と、一晩の熱い夜を!!」
「浮竹は僕のものだよ!」
「では京楽さん、あなたも混ぜて3Pで!」
王太子のジエルドに常識は通用しないようで、京楽が怒ってジエルドの股間を蹴りあげた。
「ああん、僕の愛しいたまたまが」
「君には、これをあげよう」
京楽は、浮竹が悪戯で作ったモレ草の薬をジエルドに渡した。
「これは精強剤だ。飲めば効果はばつぐん」
「おお、それはすぐに飲まねば!」
ジエルドは、モレ草の薬をその場で飲んだ。
「のあああああああ!!漏れるうううううう!!!」
ジエルドはトイレにかけこみ、それから3時間は戻ってこなかった。
「京楽、さっき飲ませたのはモレ草の・・・」
「だって、浮竹に手を出そうとしたんだよ」
「効果は薄めてあるだろうな?原液を使うと、人なら死ぬことがる」
「その辺は大丈夫。3日もすれば効果は切れるよ。原液を20倍に薄めた薬を盛ったから」
「なら、いいんだ」
ちなみに、その会話は卯ノ花に筒抜けであった。
「そうですか、王太子のジエルドに、強力な下剤を・・・・・」
「浮竹、逃げよう」
「京楽、足が竦んで・・・・・」
「あら、私は褒めているのですよ?あのくそ息子に下剤をもるなんて、やりますね」
にーっこりと微笑む卯ノ花が怖くて、二人は王宮を去り、古城に戻るのだった。
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「ミニクは死んだか。死んだわりには、ガイア王国で懸賞金がかかるモンスターになるなんて、醜いわりには頑張ったものだ」
「次には、俺にいけというのか」
邪神ザナドゥは、やる気はあまりなさそうだった。
「そうだよ。嫌だと言っても、呪いの侵食まであと1週間。このまま呪いで死ぬか、浮竹と京楽を殺すか・・・・・それは君の自由意思に任せよう」
「では、俺もいくとしよう。ミニクが先に待っている。俺もすぐ、そこにいくさ」
「おや、すでに死ぬ覚悟をしているのかい?」
「あの始祖ヴァンパイアと血族の神喰らいの魔神京楽の力は歪(いびつ)だ。上位神の力をもっている。いずれ、お前も滅ぼされるだろう」
藍染は笑った。
「あれらが、上位神の力があるだって?笑わせないでくれるか」
「好きなようにとるといい。私は、滅ぼされにいく。安寧の死が欲しい・・・・・」
「私が世界で唯一無二の絶対神になるのだ!はははは!!」
邪神ザナドゥは死を見据えて。
藍染は欲望だけを輝かせて。
それぞれ、前へ前へと進んでいくのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝
「遊びに来たぞ」
「やっほー。遊びにきたよー」
(西洋の俺!元気にしてたか!)
(西洋のボクも、元気にしてた?)
雑居ビルの狭い部屋に、4人が並ぶ。狭いのに余計狭く感じれたが、楽しいからそんなことどうでもいいのだ。
(そうそう、また幽霊退治を依頼されてな)
東洋の浮竹の言葉に、西洋の浮竹は固まった。
「じゃあ、この前みたいに成仏させにいく?」
のりのりの西洋の京楽の首を、西洋の浮竹が締め上げる。
「お前、俺が幽霊とか悪霊とか、そういうの苦手なの知ってて、わざとやっているのか?」
「キブギブ!!苦じい”~~~」
西洋の京楽の首を解放すると、西洋の浮竹はつーんと違う方向を向いた。
(俺たちがついているから、大丈夫だ!)
(そうそう。いざとなればうちの十四郎が調伏できるし)
「お留守番、というわけにはいかないのか」
(せっかくきたんだし、一緒に行こう。きっと、幽霊も怖くなくなる)
「本当だな?怖かったら、10円はげこさえるぞ?」
(何それ!そっちのほうが怖いんですけど!!)
東洋の京楽の言葉に、みんな笑うのだった。
----------------------------------------------------------
(ここが、幽霊の出る場所・・・・って、早速でてるな)
男の幽霊だった。男性に憑依しては、道端を歩く女性に話しかけて、ナンパして振られていた。
「ちっ、もっとイケメンはいねーのかよ」
そこに、西洋の京楽と視線があった。
(いけない!)
「ふへへへ。この体は俺もんだ」
(この、憑依したな。無理やりでも調伏してやる)
「へぇ。俺の京楽に霊が憑りついたのか。物質に力でも効くんなら、容赦しなくてもいいな?」
(おーい、西洋の俺?)
「行きかう先々で、かわいい女の子みてニマニマしやがって!制裁してくれる!」
「ぎゃあああああ!!なんだこの体の持ち主、何をしたんだ!!」
(春水、止めなくていいのか?)
(そういう十四郎こそ、止めなくていいの?)
東洋の浮竹と京楽は、引いていた。
「ひいいい。俺が悪かった、成仏するから助けてくれえええ」
西洋の京楽に憑依していた男性の霊は、本当に成仏してしまった。
(あ、成仏しちゃった)
(ボクたちがきた意味、なくなちゃったね)
とりあえず、結界をはって、もう霊が戻ってこないようにした。
「幽霊はどこだ?」
「浮竹、僕が憑依されてたんだよ。酷いよ、ボコボコにしなくてもいいじゃない」
(霊は、成仏したぞ)
「え、まじか」
(まじで)
「じゃあ、帰るか」
帰ろうとする西洋の浮竹を、東洋の浮竹ががしっとその肩を掴んだ。
(さっきのは、ついでに依頼されていた霊だった。本物はあっちだ)
廃墟の病院があった。
窓から、明らかに人ならざる者がこっちを見つめてきていて、西洋の浮竹は東洋の浮竹の腕に縋りついた。
「な、なんかこっち見てる!」
(地縛霊だね。あの廃病院から動けないんだ。ここ最近、ここで事故が多発してる。あいつのせいだ)
(早く除霊しないと、怨霊になっちゃいそうだね。急ごう)
「はうあっ」
また幽霊と目があって、西洋の浮竹は軽く意識を飛ばして、西洋の京楽に支えられる。
(強い怨念があるね。とりあえず、中にはいろう)
ぴしっパリン。
硝子の壊れる、ラップ音が鳴り響く。
かたかたと、地面に転がった薬品の空の瓶が宙を舞う。
「簡便してくれ!俺はこういうのが一番苦手なんだ!」
西洋の浮竹は、東洋の浮竹の背後に隠れる。
「呪ってやる。あの医者の男、許さない。よくも妻がいることを黙っていたわね!許さない!」
(あー。痴情のもつれか。ああいうのは悪霊になりやすい)
「東洋の俺、どうでもいいから除霊だ!除霊してくれ!」
(まぁ、待って。ちょっと会話してみよう)
(ボクは反対だけどねぇ、こんな悪霊と会話したところで、普通に霊に戻ってくれるとは思えない)
「誰!そこにいるのは誰!!」
(君を退治しにきた。でも、怒りを鎮めてくれるなら、普通に成仏させてあげれる)
「成仏!?ばかじゃないの!あたしはあの男が来るまで、ずっとここにいるのよ!あの男が運転していた車だって事故らせてやったわ!殺せなかったけどね!」
女の地縛霊は、東洋の浮竹を見て、ついでに西洋の浮竹を見た。
「あなたのうちのどちらか一人が、あたしのものになるっていうなら、憎しみを捨ててやってもいいわ」
「君ごときにあげれるほど、僕の浮竹は安くないんでね」
(キミみたいな醜い女に、愛しい伴侶を渡す男がいるはずもない)
それぞれ京楽に抱き寄せられて、おでこにキスをされた。
西洋も東洋も、浮竹は顔を真っ赤にしていた。
「あたしをばかにしてるの!」
(君には、これがお似合いさ)
妖刀をだして、それで地縛霊の体を切る。
「あははは、あたしに物理攻撃がきくわけ・・・ぐっ、何をした!?」
(ちょっと瘴気を食っただけだよ。十四郎)
(分かった)
東洋の浮竹は、浄化の札を取り出して結界を張る。
「祓われる前に、お前を道連れにしてやる!!)
西洋の京楽の傍に隠れて怯えている、一番弱そうに見える西洋の浮竹に襲い掛かる。
(西洋の俺!)
「大丈夫だ。ちゃんと、浄化の護符を身に着けている。選別だ、受け取れ」
襲い掛かってきた幽霊に、小瓶の中の水をかけた。
「ぎゃああああああ!!痛い、苦しい!!」
「今だ、東洋の俺!」
(ああ、分かってる)
東洋の浮竹は、聖なる力を使って地縛霊を綺麗に除霊してしまった。
(怖いのに、よく地縛霊に相手をできたな?)
東洋の浮竹はしゃがみこんでいた。
「聖女の聖水をかけたんだが、こっちの世界でも効くみたいだ。それより・・・腰が抜けた。京楽、背負ってくれ」
「仕方ないねぇ」
西洋の浮竹をおんぶして、西洋の京楽は歩きだす。
ボコボコにしてもされても、二人の仲は良いのだ。
(なんか、仲が悪い時もあるように見えて、基本ラブラブなんだな)
「な、ラブラブなんかじゃないぞ!」
「浮竹、そんなに否定しなくてもいいじゃない。昨日、睦み合った仲でしょ」
「お前は余計なことを言うな」
背中におんぶした西洋の浮竹に首を絞められて、でも西洋の京楽は笑っていた。
「少し幽霊になれた気がする。少しだけだけど」
西洋の浮竹は、もう自力で歩けるからと、地面に立った。
(そうか。苦手なものを克服しようとするのは、いい心がけだぞ)
東洋の浮竹に頭を撫でられて、西洋の浮竹も東洋の浮竹の頭を撫でた。
(どうした?)
「いや、俺はお前の兄でありたいと思っているのに、今回もまたお前に助けられてばかりで情けない」
(そんなことないぞ。お前の強さを、俺も知っているからな?)
「俺も、お前の強さを知っている。鳳凰の技は、俺のエターナルフェニックス・・・炎の禁呪にとてもよく似ている」
(鳳凰と炎の不死鳥の違いはなんだろう?)
「ほとんど同じじゃないか?西洋か東洋かの違いだけで」
「浮竹、置いていくよ」
「待て、京楽!ああ、そうそう、おみやげを。マンドレイクの・・・・」
((却下))
「マンドレイクを乾燥させた茶葉なんだが・・・だめか?」
(茶葉なら、ぎりぎりセーフだな)
(そうだね。くれぐれも、生のマンドレイクを持ってこないように)
「生が欲しいなら、アイテムポケットに・・・・」
(わーわーわー、この世界じゃ生のマンドレイク禁止!乾燥させたやつもNG!)
「なのに、茶葉はいいのか?変なかんじだな」
西洋の浮竹は、乾燥させたマンドレイクの茶葉が入った瓶を、東洋の浮竹にあげた。
(あははは、もらっておくよ)
「こっちには、アッサムの最高級茶葉もある」
(そっちのほうがうれしいなぁ)
「そうか。じゃあこれもやる」
(十四郎、片方もつよ)
(じゃあ、この呪われてそうなマンドレイクの茶葉をもってくれ)
(本当に呪われてそう・・・)
マンドレイクの茶葉は、しなびているけれど、人間の顔をしていた。
「じゃあな、東洋の俺と京楽」
「おいていくよ、浮竹」
「待ってくれ、京楽!!」
歩き始めた西洋の京楽の背中を追って、西洋の浮竹の背中も小さくなってく。
(あのさ。この前もらった乾燥マンドレイク、まだ残ってるって言ったほうがよかっただろうか)
(でも、西洋の君ががっかりするでしょ)
(そうだな。しばらくは秘密にしておこう)
ちなみに、乾燥させたマンドレイクは、段ボールの中に入れっぱなしであった。
(この茶葉・・・お湯入れたら、悲鳴あげそうに見えるのは、気のせいだろうか)
(いや、気のせいじゃないでしょ。西洋の君は、本当にマンドレイクが好きだね)
(俺に言われてもな・・・・)
クスリと、東洋の京楽は笑みを零して、東洋の浮竹の額にキスを落とすのであった。
「やっほー。遊びにきたよー」
(西洋の俺!元気にしてたか!)
(西洋のボクも、元気にしてた?)
雑居ビルの狭い部屋に、4人が並ぶ。狭いのに余計狭く感じれたが、楽しいからそんなことどうでもいいのだ。
(そうそう、また幽霊退治を依頼されてな)
東洋の浮竹の言葉に、西洋の浮竹は固まった。
「じゃあ、この前みたいに成仏させにいく?」
のりのりの西洋の京楽の首を、西洋の浮竹が締め上げる。
「お前、俺が幽霊とか悪霊とか、そういうの苦手なの知ってて、わざとやっているのか?」
「キブギブ!!苦じい”~~~」
西洋の京楽の首を解放すると、西洋の浮竹はつーんと違う方向を向いた。
(俺たちがついているから、大丈夫だ!)
(そうそう。いざとなればうちの十四郎が調伏できるし)
「お留守番、というわけにはいかないのか」
(せっかくきたんだし、一緒に行こう。きっと、幽霊も怖くなくなる)
「本当だな?怖かったら、10円はげこさえるぞ?」
(何それ!そっちのほうが怖いんですけど!!)
東洋の京楽の言葉に、みんな笑うのだった。
----------------------------------------------------------
(ここが、幽霊の出る場所・・・・って、早速でてるな)
男の幽霊だった。男性に憑依しては、道端を歩く女性に話しかけて、ナンパして振られていた。
「ちっ、もっとイケメンはいねーのかよ」
そこに、西洋の京楽と視線があった。
(いけない!)
「ふへへへ。この体は俺もんだ」
(この、憑依したな。無理やりでも調伏してやる)
「へぇ。俺の京楽に霊が憑りついたのか。物質に力でも効くんなら、容赦しなくてもいいな?」
(おーい、西洋の俺?)
「行きかう先々で、かわいい女の子みてニマニマしやがって!制裁してくれる!」
「ぎゃあああああ!!なんだこの体の持ち主、何をしたんだ!!」
(春水、止めなくていいのか?)
(そういう十四郎こそ、止めなくていいの?)
東洋の浮竹と京楽は、引いていた。
「ひいいい。俺が悪かった、成仏するから助けてくれえええ」
西洋の京楽に憑依していた男性の霊は、本当に成仏してしまった。
(あ、成仏しちゃった)
(ボクたちがきた意味、なくなちゃったね)
とりあえず、結界をはって、もう霊が戻ってこないようにした。
「幽霊はどこだ?」
「浮竹、僕が憑依されてたんだよ。酷いよ、ボコボコにしなくてもいいじゃない」
(霊は、成仏したぞ)
「え、まじか」
(まじで)
「じゃあ、帰るか」
帰ろうとする西洋の浮竹を、東洋の浮竹ががしっとその肩を掴んだ。
(さっきのは、ついでに依頼されていた霊だった。本物はあっちだ)
廃墟の病院があった。
窓から、明らかに人ならざる者がこっちを見つめてきていて、西洋の浮竹は東洋の浮竹の腕に縋りついた。
「な、なんかこっち見てる!」
(地縛霊だね。あの廃病院から動けないんだ。ここ最近、ここで事故が多発してる。あいつのせいだ)
(早く除霊しないと、怨霊になっちゃいそうだね。急ごう)
「はうあっ」
また幽霊と目があって、西洋の浮竹は軽く意識を飛ばして、西洋の京楽に支えられる。
(強い怨念があるね。とりあえず、中にはいろう)
ぴしっパリン。
硝子の壊れる、ラップ音が鳴り響く。
かたかたと、地面に転がった薬品の空の瓶が宙を舞う。
「簡便してくれ!俺はこういうのが一番苦手なんだ!」
西洋の浮竹は、東洋の浮竹の背後に隠れる。
「呪ってやる。あの医者の男、許さない。よくも妻がいることを黙っていたわね!許さない!」
(あー。痴情のもつれか。ああいうのは悪霊になりやすい)
「東洋の俺、どうでもいいから除霊だ!除霊してくれ!」
(まぁ、待って。ちょっと会話してみよう)
(ボクは反対だけどねぇ、こんな悪霊と会話したところで、普通に霊に戻ってくれるとは思えない)
「誰!そこにいるのは誰!!」
(君を退治しにきた。でも、怒りを鎮めてくれるなら、普通に成仏させてあげれる)
「成仏!?ばかじゃないの!あたしはあの男が来るまで、ずっとここにいるのよ!あの男が運転していた車だって事故らせてやったわ!殺せなかったけどね!」
女の地縛霊は、東洋の浮竹を見て、ついでに西洋の浮竹を見た。
「あなたのうちのどちらか一人が、あたしのものになるっていうなら、憎しみを捨ててやってもいいわ」
「君ごときにあげれるほど、僕の浮竹は安くないんでね」
(キミみたいな醜い女に、愛しい伴侶を渡す男がいるはずもない)
それぞれ京楽に抱き寄せられて、おでこにキスをされた。
西洋も東洋も、浮竹は顔を真っ赤にしていた。
「あたしをばかにしてるの!」
(君には、これがお似合いさ)
妖刀をだして、それで地縛霊の体を切る。
「あははは、あたしに物理攻撃がきくわけ・・・ぐっ、何をした!?」
(ちょっと瘴気を食っただけだよ。十四郎)
(分かった)
東洋の浮竹は、浄化の札を取り出して結界を張る。
「祓われる前に、お前を道連れにしてやる!!)
西洋の京楽の傍に隠れて怯えている、一番弱そうに見える西洋の浮竹に襲い掛かる。
(西洋の俺!)
「大丈夫だ。ちゃんと、浄化の護符を身に着けている。選別だ、受け取れ」
襲い掛かってきた幽霊に、小瓶の中の水をかけた。
「ぎゃああああああ!!痛い、苦しい!!」
「今だ、東洋の俺!」
(ああ、分かってる)
東洋の浮竹は、聖なる力を使って地縛霊を綺麗に除霊してしまった。
(怖いのに、よく地縛霊に相手をできたな?)
東洋の浮竹はしゃがみこんでいた。
「聖女の聖水をかけたんだが、こっちの世界でも効くみたいだ。それより・・・腰が抜けた。京楽、背負ってくれ」
「仕方ないねぇ」
西洋の浮竹をおんぶして、西洋の京楽は歩きだす。
ボコボコにしてもされても、二人の仲は良いのだ。
(なんか、仲が悪い時もあるように見えて、基本ラブラブなんだな)
「な、ラブラブなんかじゃないぞ!」
「浮竹、そんなに否定しなくてもいいじゃない。昨日、睦み合った仲でしょ」
「お前は余計なことを言うな」
背中におんぶした西洋の浮竹に首を絞められて、でも西洋の京楽は笑っていた。
「少し幽霊になれた気がする。少しだけだけど」
西洋の浮竹は、もう自力で歩けるからと、地面に立った。
(そうか。苦手なものを克服しようとするのは、いい心がけだぞ)
東洋の浮竹に頭を撫でられて、西洋の浮竹も東洋の浮竹の頭を撫でた。
(どうした?)
「いや、俺はお前の兄でありたいと思っているのに、今回もまたお前に助けられてばかりで情けない」
(そんなことないぞ。お前の強さを、俺も知っているからな?)
「俺も、お前の強さを知っている。鳳凰の技は、俺のエターナルフェニックス・・・炎の禁呪にとてもよく似ている」
(鳳凰と炎の不死鳥の違いはなんだろう?)
「ほとんど同じじゃないか?西洋か東洋かの違いだけで」
「浮竹、置いていくよ」
「待て、京楽!ああ、そうそう、おみやげを。マンドレイクの・・・・」
((却下))
「マンドレイクを乾燥させた茶葉なんだが・・・だめか?」
(茶葉なら、ぎりぎりセーフだな)
(そうだね。くれぐれも、生のマンドレイクを持ってこないように)
「生が欲しいなら、アイテムポケットに・・・・」
(わーわーわー、この世界じゃ生のマンドレイク禁止!乾燥させたやつもNG!)
「なのに、茶葉はいいのか?変なかんじだな」
西洋の浮竹は、乾燥させたマンドレイクの茶葉が入った瓶を、東洋の浮竹にあげた。
(あははは、もらっておくよ)
「こっちには、アッサムの最高級茶葉もある」
(そっちのほうがうれしいなぁ)
「そうか。じゃあこれもやる」
(十四郎、片方もつよ)
(じゃあ、この呪われてそうなマンドレイクの茶葉をもってくれ)
(本当に呪われてそう・・・)
マンドレイクの茶葉は、しなびているけれど、人間の顔をしていた。
「じゃあな、東洋の俺と京楽」
「おいていくよ、浮竹」
「待ってくれ、京楽!!」
歩き始めた西洋の京楽の背中を追って、西洋の浮竹の背中も小さくなってく。
(あのさ。この前もらった乾燥マンドレイク、まだ残ってるって言ったほうがよかっただろうか)
(でも、西洋の君ががっかりするでしょ)
(そうだな。しばらくは秘密にしておこう)
ちなみに、乾燥させたマンドレイクは、段ボールの中に入れっぱなしであった。
(この茶葉・・・お湯入れたら、悲鳴あげそうに見えるのは、気のせいだろうか)
(いや、気のせいじゃないでしょ。西洋の君は、本当にマンドレイクが好きだね)
(俺に言われてもな・・・・)
クスリと、東洋の京楽は笑みを零して、東洋の浮竹の額にキスを落とすのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター59
血の帝国から、浮竹と京楽は、ルキア、一護、冬獅郎を呼び寄せた。
用があるのはルキアだけだが、その守護騎士をしている二人も一緒にやってくるのは、至極当然なことなので、浮竹も京楽も気にしなかった。
「出るんだ」
「何がですか、浮竹殿」
「ぼ、亡霊が出るんだ。13歳くらいの女の子で、私の赤ちゃんがいないって・・・俺は見てしまった。情けない話だが、ゴースト系の亡霊のモンスターなら平気なんが、本物の亡霊は苦手なんだ。昨日出会って、その場で気絶してしまった」
「だっせぇ」
冬獅郎の言葉に、ぐさっと浮竹の心が傷つく。
「浮竹さんにも苦手なものがあるんすね」
「一護君・・・・」
「亡霊なんかで怖がるなんて、かわいいところあるっすね」
「かわいくない!私はかっこいいのだ!」
「はいはい」
一護は適当にあしらって、京楽に話を聞く。
「13歳くらいの女の子の幽霊。赤子がいないってことは、すでに結婚して子供を産んでなくなった少女の霊っすね」
「この古城を買い取ってから、話を聞いたんだよ。今から100年くらい前に、12歳で無理やり嫁がされた少女が、13歳で子供を産み、そのまま亡くなったそうだよ」
「京楽殿、その亡霊は赤子を探していたと?」
浮竹はガタガタ震えて、怖がっていた。
「浮竹が言うには、そうみたいだね」
「ふむ。未練を残したまま亡くなった亡霊ですか。無理やり成仏させることもできますが、その赤子の霊とやらを呼び寄せて、それから成仏してもらった方がいいですね」
「あ、赤子の霊を呼び出すのか」
浮竹は、京楽の服の裾を引っ張った。
「浮竹、君は寝ていていいよ。今晩にでも除霊してもらうから」
「亡霊が現れるかもしれないのに、一人で寝れるはずがないだろう!」
「じゃあ、一緒に亡霊を探す?」
浮竹はガタガタ震え出す。
「そ、それはいやだ!」
「どうやら、その少女の霊は、浮竹殿を気に入ってるようですね。思念の残滓が残っています。浮竹殿には悪いが、囮になってもらおう」
ルキアの言葉に、浮竹は倒れた。
「ちょっと、浮竹!?」
「亡霊の囮なんて嫌だーーー」
「一夜の我慢だよ。成仏すれば、二度と亡霊はでないから」
「ほ、本当だな!?」
「多分、ですが」
ルキアの言葉に、浮竹はまた眩暈がした。
「亡霊は、何もしてこないよな!?」
「どうでしょう。場合によっては憑依したりする亡霊もいますが、100年も亡霊をしていてそれほど騒ぎになっていないところを見ると、憑依したり頻繁に出る亡霊ではない気がします。悪さを働くような亡霊でないなら、放置しておいても大丈夫なのですが」
涙目になっている浮竹を見て、ルキアは溜息をつく。
「まぁ、今晩除霊しましょう。今のうちに仮眠をとっておきましょう」
「ちょうど眠かったんだ。寝れるなら寝る」
冬獅郎は早々と、まるで自分の家のようにゲストルームに入るとベッドに横になった。
ルキアも違うゲストルームで横になる。一護は、ルキアのゲストルームにあるソファーで寝ることしにたようだ。
「一護クン、ゲストルームは5つあるから、そんなソファーで寝なくても、ベッドは空いているよ?」
「いや、念のためにルキアの傍にいたいっすから」
「君は、本当にルキアちゃんが好きんなんだね」
すでに、ルキアは眠り落ちている。
一護は顔を真っ赤にして「そんなことないっす」と言って否定するのだった。
こうして、浮竹、京楽、ルキア、一護、冬獅郎は仮眠をとった。
日が暮れて夜になる。
ささやかな晩餐がふるまわれて、皆、京楽と戦闘人形のメイドの作った料理に満足気であった。
「いいもの毎日食ってるな、浮竹は」
冬獅郎とて、守護騎士としてそれなりのものを食べているが、京楽の手料理や戦闘人形のメイドたちが作る食事はどれも美味で、おいしかった。
「いや、今日は特別だ。3人がいるから、フルコースのメニューになってるだけで、いつもはもう少し質素だ」
「どのみちいいもん食ってんじゃねぇか」
「否定はしない」
湯浴みをして、普通なら就寝時刻なのだが、ルキアが霊を呼び寄やすいお香を焚いた。
「こ、怖くなんかないぞ。どこからでも出てこい!」
「浮竹、そう言いながら僕の服の裾を掴んでるから、強がってるのが丸わかりだよ」
「浮竹殿。その場で一人でいてください。霊が集まってきています」
「じゃあ、そういうことで浮竹」
「お、俺は一人でも怖くないぞ!」
浮竹は、がたがた震えながら、夜は寒いので毛布をかぶって、その場で緊張しすぎてどうにかなったのか、船をこぎ始めた。
「寝ちゃったけど、いいの?」
「大丈夫です。霊は集まってきています。もう少しで現れそうです」
「俺と冬獅郎もいる。なんとかなるだろう」
一護が、ルキアに毛布をかぶせた。
「すまぬ、一護」
「風邪でもひかれちゃ、大変だからな」
おおおおおおおおおお。
うおおおおおおお。
何やら、哀しい叫び声がしてきた。
もやのようなものが集まり、13歳くらいの少女の形をとった。
「返して・・・私の赤ちゃんを返して・・・」
眠っている浮竹にそう訴えかける。
「返して・・・・・」
浮竹は、起きると目の前に亡霊がいて、言葉を失い毛布をかぶって縮こまっていた。
「あなたの名前はララ・フォン・シスターニア。合っていますか?」
ルキアは亡霊に話しかけた。
亡霊を意識をはっきりとさせて、言葉を返してきた。
「そうよ。私はシスターニア伯爵家の三女、ララ・フォン・シスターニア。嫌だといったのに、お父様が借金の肩代わりだと、私をラトゥール家へお嫁にいけと」
「はい、それで?」
「ラトゥール侯爵家は、身分こそ上だったけれど、当主はまだ12歳だった私を無理やり犯して、子を身籠らた。私は初産が13歳であったせいで、この世を去ってしまった。私の赤ちゃんを返して!!」
ルキアは、魔法陣を描きだした。
何か呪文を唱えて、それは天国と呼ばれる霊的な物質が漂う世界とゲートを開く。
魔法陣には、1人の青年が立っていた。
「この方が、あなたの赤ちゃんの成長した姿です」
「私の赤ちゃん・・・本当に?」
「母さん?」
「名前は、名前はなんというの」
「リザ・フォン・ラトゥール」
「ラトゥール・・・私の息子は、成人してそれからラトゥール侯爵の爵位をついだのね」
ララは泣いていた。
リザは、どこか浮竹に似ていて、白髪い翡翠の瞳をもっていた。
ララの亡霊が、浮竹に惹かれて姿を現したのも納得がいった。
「母さん、一緒に天国に行こう。父さんは、母さんを亡くしてしまったことを後悔していたよ。もっと優しく扱ってやるべきだったって。もう、この地に未練も何もないでしょ?僕に会えなかったことが未練なら、もう果たされたはずだ。さぁ、一緒に天国に行こう?」
ふわりと、浮かび上がるリザの背中には、白い翼が生えていた。
ララは、浮竹のところにくると、怯えている浮竹の頭を撫でた。
「ごめんなさい。あなたは私の赤ちゃんの色によく似ていたから、化けて出てしまったわ。でももうそれも終わり。私も、天国に行くわ」
ララの背中にも白い翼が生えていた。
「行くのか?」
「ええ」
「たまに、戻ってきてもいいんだぞ」
「そうね。考えておくわ」
そうして、リザとララは天国に戻っていた。
ルキアは念のために聖水をまき、魔法陣をいたるところで描き出して、結界を張った。
「ふう。これで不浄な霊はこの古城には入ってこれないでしょう」
「ルキアちゃん、ありがとね」
「用事が片付いたなら、俺は寝る。仮眠をとったといっても眠い。また夜だ」
「あれ、そういえば血の帝国での活動時間が夜じゃなかったのか?」
「浮竹殿、知らなかったのですか。血の帝国では、5年前からブラッディ・ネイが活動時間を夜から昼に変えています」
「ああ、そういえばみんな昼なのに活動していたな」
「浮竹、今頃気づいたの」
「今頃で悪かったな」
つーんと尖がる浮竹に、ルキアも一護も眠るといって、ゲストルームに行ってしまった。
「僕たちも眠ろうか。これで、亡霊騒ぎも一段落したし」
「ああ、そうだな」
次の日の昼に、ルキア、一護、冬獅郎は血の帝国へ帰ってしまった。
住んでいる古城が変わったのだが、3人ともあまり興味がないようで、せっかく新しい家具とかを自慢しようと思っていた浮竹は、もの悲しくなった。
ガタン。
音がして、びくっと浮竹が振り返る。
そこには、ララが立っていた。
「あら、驚かせちゃたようでごめんなさい」
浮竹は、気を失っていた。
「浮竹さん、浮竹さん」
ぺちぺちと頬を叩かれて、浮竹は飛び起きた。
「え、ララ?どうして。ルキア君が結界を張ったはずなのに」」
「どうやら、こっちの世界と天国とを行き来でるようになたみたいで。亡霊ではなく、害のある霊を弾く結界のようです。私が悪意がないので、すり抜けられました。私が、怖いですか?」
「ちょっとまだ怖い。でも、悪意がないということはいい幽霊なんだろう?」
「そうですね。あなたの背後霊は・・・・・」
「わあああああ!!そんな話聞きたくない!」
耳を塞ぐ浮竹に、ララは苦笑した。
「ちゃんと、京楽さんの許可もとってありますから」
「そうなのか!?」
驚く浮竹は、京楽の部屋にいき、京楽の首を締め上げた。
「おいこら、害のない幽霊が行き来可能だってなんで教えなかった。ララを見た瞬間気を失ってしまったじゃないか!」
「ぎぶぎぶ!!」
浮竹の手を外して、呼吸を整える。
「いや、まさらララちゃんがこっちにまた戻ってくるとは思わなくて」
「天国なんてつまらないわ。こっちの世界のほうが、よほど刺激がって楽しいわ」
「ララちゃん、くれぐれも僕と浮竹の夜には・・・・・」
「大丈夫、のぞいたりしませんから、安心してください」
浮竹は真っ赤になった。
この古城に引っ越してもうすぐ半月になる。その間に、京楽に4回も抱かれた。
「ララ、本当に見ていないだろうな?」
「ええ、見ていませんよ。これは本当です」
「るるるるる~~~~~~」
「りんりんりん~~~~~~」
ミミックのポチとタマも、ララを歓迎するかのように、その側でくるくる回る。
「古城、幽霊つき・・・・・白金貨50枚に値切っておくんだった」
そんなことを口にする浮竹を、京楽は見る。
「この古城のこと、嫌いになった?なんなら、元の古城に戻ってもいいんだよ?」
「いや、俺はこの古城が気に入っている。幽霊つきだが、前よりも心地よい気がする」
庭には、薔薇園があり、アーチを築いていた。
その薔薇の世話をしたり、もってきた桔梗のプランターの世話をするのも、浮竹の役割だった。
ちなみに、庭の一部では鶏を飼いだした。
毎日、新鮮な卵が取れる。
オスメス飼っているので、そのうちひよこも生まれそうだ。
多すぎたら、かわいそうだがチキンソテーにでもなってもらおう。
そんなことを考えるのであった。
-----------------------------------------------------------------
それは、イデア王国で管理されてた。
邪神、ザナドゥ。
その封印を、藍染は解いた。
ザナドゥは、藍染を殺した。だが、藍染は何度殺しても再生してくる。
「不老不死・・・・始祖の呪いか」
邪神ザナドゥは、諦めの境地に立った。
「自由が欲しくないか」
「別に、いらぬ」
「お前に呪いをかけた。始祖のヴァンパイア浮竹と、神喰らいの魔神京楽の血を浴びねば、1カ月後に死ぬ呪いだ」
「そんな呪い、あるものか!」
藍染は笑った。
「ぐはっ」
呪いの侵食により、ザナドゥは呼吸ができなくなった。
「くそ・・・・・・」
「仮にも邪神だろう?封印を解いてあげたんだ、私の言うことくらい、聞いてもらおうか」
「私は神に滅ぼされた。この器に残った力は、弱い」
「じゃあ、私が力を与えよう」
邪神である自分の血を、藍染はザナドゥに与えた。
邪神である藍染の血は、ザナドゥを侵食していく。
「殺す、浮竹、京楽」
「まずは、女神アルテナの残した肉塊に、子を宿させてもらおうか。私が神の完成体になるまで、遊ぼうじゃないか」
藍染は、そうして笑うのであった。
用があるのはルキアだけだが、その守護騎士をしている二人も一緒にやってくるのは、至極当然なことなので、浮竹も京楽も気にしなかった。
「出るんだ」
「何がですか、浮竹殿」
「ぼ、亡霊が出るんだ。13歳くらいの女の子で、私の赤ちゃんがいないって・・・俺は見てしまった。情けない話だが、ゴースト系の亡霊のモンスターなら平気なんが、本物の亡霊は苦手なんだ。昨日出会って、その場で気絶してしまった」
「だっせぇ」
冬獅郎の言葉に、ぐさっと浮竹の心が傷つく。
「浮竹さんにも苦手なものがあるんすね」
「一護君・・・・」
「亡霊なんかで怖がるなんて、かわいいところあるっすね」
「かわいくない!私はかっこいいのだ!」
「はいはい」
一護は適当にあしらって、京楽に話を聞く。
「13歳くらいの女の子の幽霊。赤子がいないってことは、すでに結婚して子供を産んでなくなった少女の霊っすね」
「この古城を買い取ってから、話を聞いたんだよ。今から100年くらい前に、12歳で無理やり嫁がされた少女が、13歳で子供を産み、そのまま亡くなったそうだよ」
「京楽殿、その亡霊は赤子を探していたと?」
浮竹はガタガタ震えて、怖がっていた。
「浮竹が言うには、そうみたいだね」
「ふむ。未練を残したまま亡くなった亡霊ですか。無理やり成仏させることもできますが、その赤子の霊とやらを呼び寄せて、それから成仏してもらった方がいいですね」
「あ、赤子の霊を呼び出すのか」
浮竹は、京楽の服の裾を引っ張った。
「浮竹、君は寝ていていいよ。今晩にでも除霊してもらうから」
「亡霊が現れるかもしれないのに、一人で寝れるはずがないだろう!」
「じゃあ、一緒に亡霊を探す?」
浮竹はガタガタ震え出す。
「そ、それはいやだ!」
「どうやら、その少女の霊は、浮竹殿を気に入ってるようですね。思念の残滓が残っています。浮竹殿には悪いが、囮になってもらおう」
ルキアの言葉に、浮竹は倒れた。
「ちょっと、浮竹!?」
「亡霊の囮なんて嫌だーーー」
「一夜の我慢だよ。成仏すれば、二度と亡霊はでないから」
「ほ、本当だな!?」
「多分、ですが」
ルキアの言葉に、浮竹はまた眩暈がした。
「亡霊は、何もしてこないよな!?」
「どうでしょう。場合によっては憑依したりする亡霊もいますが、100年も亡霊をしていてそれほど騒ぎになっていないところを見ると、憑依したり頻繁に出る亡霊ではない気がします。悪さを働くような亡霊でないなら、放置しておいても大丈夫なのですが」
涙目になっている浮竹を見て、ルキアは溜息をつく。
「まぁ、今晩除霊しましょう。今のうちに仮眠をとっておきましょう」
「ちょうど眠かったんだ。寝れるなら寝る」
冬獅郎は早々と、まるで自分の家のようにゲストルームに入るとベッドに横になった。
ルキアも違うゲストルームで横になる。一護は、ルキアのゲストルームにあるソファーで寝ることしにたようだ。
「一護クン、ゲストルームは5つあるから、そんなソファーで寝なくても、ベッドは空いているよ?」
「いや、念のためにルキアの傍にいたいっすから」
「君は、本当にルキアちゃんが好きんなんだね」
すでに、ルキアは眠り落ちている。
一護は顔を真っ赤にして「そんなことないっす」と言って否定するのだった。
こうして、浮竹、京楽、ルキア、一護、冬獅郎は仮眠をとった。
日が暮れて夜になる。
ささやかな晩餐がふるまわれて、皆、京楽と戦闘人形のメイドの作った料理に満足気であった。
「いいもの毎日食ってるな、浮竹は」
冬獅郎とて、守護騎士としてそれなりのものを食べているが、京楽の手料理や戦闘人形のメイドたちが作る食事はどれも美味で、おいしかった。
「いや、今日は特別だ。3人がいるから、フルコースのメニューになってるだけで、いつもはもう少し質素だ」
「どのみちいいもん食ってんじゃねぇか」
「否定はしない」
湯浴みをして、普通なら就寝時刻なのだが、ルキアが霊を呼び寄やすいお香を焚いた。
「こ、怖くなんかないぞ。どこからでも出てこい!」
「浮竹、そう言いながら僕の服の裾を掴んでるから、強がってるのが丸わかりだよ」
「浮竹殿。その場で一人でいてください。霊が集まってきています」
「じゃあ、そういうことで浮竹」
「お、俺は一人でも怖くないぞ!」
浮竹は、がたがた震えながら、夜は寒いので毛布をかぶって、その場で緊張しすぎてどうにかなったのか、船をこぎ始めた。
「寝ちゃったけど、いいの?」
「大丈夫です。霊は集まってきています。もう少しで現れそうです」
「俺と冬獅郎もいる。なんとかなるだろう」
一護が、ルキアに毛布をかぶせた。
「すまぬ、一護」
「風邪でもひかれちゃ、大変だからな」
おおおおおおおおおお。
うおおおおおおお。
何やら、哀しい叫び声がしてきた。
もやのようなものが集まり、13歳くらいの少女の形をとった。
「返して・・・私の赤ちゃんを返して・・・」
眠っている浮竹にそう訴えかける。
「返して・・・・・」
浮竹は、起きると目の前に亡霊がいて、言葉を失い毛布をかぶって縮こまっていた。
「あなたの名前はララ・フォン・シスターニア。合っていますか?」
ルキアは亡霊に話しかけた。
亡霊を意識をはっきりとさせて、言葉を返してきた。
「そうよ。私はシスターニア伯爵家の三女、ララ・フォン・シスターニア。嫌だといったのに、お父様が借金の肩代わりだと、私をラトゥール家へお嫁にいけと」
「はい、それで?」
「ラトゥール侯爵家は、身分こそ上だったけれど、当主はまだ12歳だった私を無理やり犯して、子を身籠らた。私は初産が13歳であったせいで、この世を去ってしまった。私の赤ちゃんを返して!!」
ルキアは、魔法陣を描きだした。
何か呪文を唱えて、それは天国と呼ばれる霊的な物質が漂う世界とゲートを開く。
魔法陣には、1人の青年が立っていた。
「この方が、あなたの赤ちゃんの成長した姿です」
「私の赤ちゃん・・・本当に?」
「母さん?」
「名前は、名前はなんというの」
「リザ・フォン・ラトゥール」
「ラトゥール・・・私の息子は、成人してそれからラトゥール侯爵の爵位をついだのね」
ララは泣いていた。
リザは、どこか浮竹に似ていて、白髪い翡翠の瞳をもっていた。
ララの亡霊が、浮竹に惹かれて姿を現したのも納得がいった。
「母さん、一緒に天国に行こう。父さんは、母さんを亡くしてしまったことを後悔していたよ。もっと優しく扱ってやるべきだったって。もう、この地に未練も何もないでしょ?僕に会えなかったことが未練なら、もう果たされたはずだ。さぁ、一緒に天国に行こう?」
ふわりと、浮かび上がるリザの背中には、白い翼が生えていた。
ララは、浮竹のところにくると、怯えている浮竹の頭を撫でた。
「ごめんなさい。あなたは私の赤ちゃんの色によく似ていたから、化けて出てしまったわ。でももうそれも終わり。私も、天国に行くわ」
ララの背中にも白い翼が生えていた。
「行くのか?」
「ええ」
「たまに、戻ってきてもいいんだぞ」
「そうね。考えておくわ」
そうして、リザとララは天国に戻っていた。
ルキアは念のために聖水をまき、魔法陣をいたるところで描き出して、結界を張った。
「ふう。これで不浄な霊はこの古城には入ってこれないでしょう」
「ルキアちゃん、ありがとね」
「用事が片付いたなら、俺は寝る。仮眠をとったといっても眠い。また夜だ」
「あれ、そういえば血の帝国での活動時間が夜じゃなかったのか?」
「浮竹殿、知らなかったのですか。血の帝国では、5年前からブラッディ・ネイが活動時間を夜から昼に変えています」
「ああ、そういえばみんな昼なのに活動していたな」
「浮竹、今頃気づいたの」
「今頃で悪かったな」
つーんと尖がる浮竹に、ルキアも一護も眠るといって、ゲストルームに行ってしまった。
「僕たちも眠ろうか。これで、亡霊騒ぎも一段落したし」
「ああ、そうだな」
次の日の昼に、ルキア、一護、冬獅郎は血の帝国へ帰ってしまった。
住んでいる古城が変わったのだが、3人ともあまり興味がないようで、せっかく新しい家具とかを自慢しようと思っていた浮竹は、もの悲しくなった。
ガタン。
音がして、びくっと浮竹が振り返る。
そこには、ララが立っていた。
「あら、驚かせちゃたようでごめんなさい」
浮竹は、気を失っていた。
「浮竹さん、浮竹さん」
ぺちぺちと頬を叩かれて、浮竹は飛び起きた。
「え、ララ?どうして。ルキア君が結界を張ったはずなのに」」
「どうやら、こっちの世界と天国とを行き来でるようになたみたいで。亡霊ではなく、害のある霊を弾く結界のようです。私が悪意がないので、すり抜けられました。私が、怖いですか?」
「ちょっとまだ怖い。でも、悪意がないということはいい幽霊なんだろう?」
「そうですね。あなたの背後霊は・・・・・」
「わあああああ!!そんな話聞きたくない!」
耳を塞ぐ浮竹に、ララは苦笑した。
「ちゃんと、京楽さんの許可もとってありますから」
「そうなのか!?」
驚く浮竹は、京楽の部屋にいき、京楽の首を締め上げた。
「おいこら、害のない幽霊が行き来可能だってなんで教えなかった。ララを見た瞬間気を失ってしまったじゃないか!」
「ぎぶぎぶ!!」
浮竹の手を外して、呼吸を整える。
「いや、まさらララちゃんがこっちにまた戻ってくるとは思わなくて」
「天国なんてつまらないわ。こっちの世界のほうが、よほど刺激がって楽しいわ」
「ララちゃん、くれぐれも僕と浮竹の夜には・・・・・」
「大丈夫、のぞいたりしませんから、安心してください」
浮竹は真っ赤になった。
この古城に引っ越してもうすぐ半月になる。その間に、京楽に4回も抱かれた。
「ララ、本当に見ていないだろうな?」
「ええ、見ていませんよ。これは本当です」
「るるるるる~~~~~~」
「りんりんりん~~~~~~」
ミミックのポチとタマも、ララを歓迎するかのように、その側でくるくる回る。
「古城、幽霊つき・・・・・白金貨50枚に値切っておくんだった」
そんなことを口にする浮竹を、京楽は見る。
「この古城のこと、嫌いになった?なんなら、元の古城に戻ってもいいんだよ?」
「いや、俺はこの古城が気に入っている。幽霊つきだが、前よりも心地よい気がする」
庭には、薔薇園があり、アーチを築いていた。
その薔薇の世話をしたり、もってきた桔梗のプランターの世話をするのも、浮竹の役割だった。
ちなみに、庭の一部では鶏を飼いだした。
毎日、新鮮な卵が取れる。
オスメス飼っているので、そのうちひよこも生まれそうだ。
多すぎたら、かわいそうだがチキンソテーにでもなってもらおう。
そんなことを考えるのであった。
-----------------------------------------------------------------
それは、イデア王国で管理されてた。
邪神、ザナドゥ。
その封印を、藍染は解いた。
ザナドゥは、藍染を殺した。だが、藍染は何度殺しても再生してくる。
「不老不死・・・・始祖の呪いか」
邪神ザナドゥは、諦めの境地に立った。
「自由が欲しくないか」
「別に、いらぬ」
「お前に呪いをかけた。始祖のヴァンパイア浮竹と、神喰らいの魔神京楽の血を浴びねば、1カ月後に死ぬ呪いだ」
「そんな呪い、あるものか!」
藍染は笑った。
「ぐはっ」
呪いの侵食により、ザナドゥは呼吸ができなくなった。
「くそ・・・・・・」
「仮にも邪神だろう?封印を解いてあげたんだ、私の言うことくらい、聞いてもらおうか」
「私は神に滅ぼされた。この器に残った力は、弱い」
「じゃあ、私が力を与えよう」
邪神である自分の血を、藍染はザナドゥに与えた。
邪神である藍染の血は、ザナドゥを侵食していく。
「殺す、浮竹、京楽」
「まずは、女神アルテナの残した肉塊に、子を宿させてもらおうか。私が神の完成体になるまで、遊ぼうじゃないか」
藍染は、そうして笑うのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター58
「浮竹殿、京楽殿」
やってきたのは、血の帝国の皇女であり、聖女であるルキアと守護騎士の黒崎一護であった。
「どうしたんだい、ルキア君、一護君」
「あれ、ルキアちゃん、冬獅郎クンの姿が見えないね?」
「その冬獅郎が!!」
ルキアの話では、冬獅郎は何者かに攫われたというのだ。
それが、藍染の手による者の可能性が近いと分かり、浮竹と京楽は顔色を変えた。
「ついに、友人たちに手を出し始めたか」
「ルキアちゃん、多分冬獅郎クンは僕らを襲ってくる。ちゃんと加減して、目を覚まさせてもらうから、ここは僕らに任せてくれないかな」
「浮竹殿と京楽殿がそういうのであれば・・・」
ルキアと一護は、冬獅郎のことは浮竹と京楽に任せることにして、騒ぎを大きくしないためにも、一度血の帝国に戻ってもらった。
「どう思う、京楽」
「そうだね。藍染の血を与えられて、やってくるに1票」
「奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
----------------------------------------------------
「誰だ・・・・・」
冬獅郎は、揺蕩う意識の狭間で、夢を見ていた。、
自分を助けようとしてくれた母親が、優しくしてくれる夢だった。
冬獅郎の母親は、特別な血をもった人間で、稀にしか生まれぬヴァンパイアの子を確実に孕める血をもっていた。
冬獅郎の父親は、ヴァンパイアだった。
ヴァンパイアであった父親は、冬獅郎の母親に血を与えて花嫁と迎えることはせずに、ただ犯して子を産ませた。
ヴァンピールの力は、個体差があれど普通のヴァンパイアより強い。
現に、黒崎一護というヴァンピールは、聖女朽木ルキアの守護騎士をしていた。
冬獅郎には他に4人の兄弟姉妹がいたが、皆力に溺れて幼くして死んでいった。父親であるヴァンパイアは、強いヴァンピールである冬獅郎の力を求めた。
母親は、そのヴァンパイアの父親の元から、冬獅郎を連れて逃げ出そうとして、父親に殺された。
気づけば、冬獅郎は父親を殺して、親殺しのヴァンピールと蔑まれて生きてきた。
そんな冬獅郎に、救いの手を差し伸べてくれたのは、ルキアと一護、それに浮竹と京楽だった。
「誰か・・・・そこにいるのか」
「君は忌まわしきヴァンピール。君が守護するべき朽木ルキアは死んだ。殺したのは、浮竹十四郎と京楽春水」
「ルキアが死ぬはずがない・・・・」
「これを見ても?」
藍染は、強烈な洗脳を行っていた。
「これは・・・ルキアの生首。いやだ、ルキア、ルキア!」
「これも、浮竹十四郎と京楽春水のせいだよ」
次に冬獅郎の前に置かれ生首は、雛森桃のものだった。
「雛森!!うわああああ!!!」
実際は、ただの肉塊であったけれど、冬獅郎にはルキアと雛森の生首に見えた。
浮竹のことと、京楽に関することは記憶が奪われていた。
「許さない・・浮竹十四郎、京楽春水。この手で、葬り去ってやる」
「この血を飲みなさい。君の力になるだろう」
強烈な洗脳にかけられた冬獅郎には、藍染の邪神の血が女神の血に見えた。
冬獅郎は、ワイングラスに入れられた血を飲み干した。
「力が湧いてくる・・・・・」
「さぁ、行っておいで。浮竹十四郎と京楽春水を抹殺するんだ」
「殺す・・浮竹、京楽・・・・」
冬獅郎は、自分の愛刀である氷輪丸を手に、浮竹と京楽の住む古城に向かう。
冬獅郎は、氷の龍を出していた。
それに跨り、空を飛ぶ。
「ルキア、雛森・・・仇は、とってやる」
冬獅郎は、数日でイデア王国からガイア王国へと来ていた。
浮竹たちの住ま古城にくると、まずが使役できる氷の精霊フェンリルと氷女を出して、城ごと凍結させた。
けれど、一度火柱があがり、氷はどんどん溶かされていく。
「どうなっている!」
「待ってたよ、冬獅郎クン」
「冬獅郎君、元に戻るんだ」
庭に出てきた浮竹と京楽を、冬獅郎は憎しみの眼差しで見つめる。
「よくもルキアと雛森を・・・・殺してやる!」
「わお、冬獅郎クン本気みたいだね。どうする、浮竹」
「ある程度力を削ったところで、エリクサーを飲ませる」
冬獅郎は、魔狼フェンリルと氷女の精霊を操って、浮竹と京楽を攻撃する。
それをかわして、浮竹は炎の魔法を放つ。
「ゴッドフェニックス!!」
炎の不死鳥は、氷女を包み込んだが、氷女は炎を凍てつかせた。
「ちょっと、思ったより力つけてるね。これ、本気でいかなきゃ無理かも。サンダーボルテックス!!」
冬獅郎本人に魔法をかまそうとすると、フェンリルが代わりに魔法を受けた。
「げ、魔力に変換して食われた。ちょっと、浮竹どうにかならないの!?」
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・トリプルファイアフェニックス!!!」
「いきなりそれかい!」
京楽が余波を浴びないように、シールドを張った。
「ウォォォォォン!!」
氷の魔狼フェンリル冬獅郎を庇い、蒸発してしまった。
「よくもフェンリルを!」
冬獅郎は、愛刀氷輪丸を手に、氷の龍を出してきた。
それは浮竹と京楽に襲い掛かる。
「ファイアシールド×5」
浮竹は、5枚重ねの炎の盾を張った。
じゅわっと、氷の龍が蒸発していく。
「まだだ、俺はこんなところで終わってたまるか、ルキアと雛森の仇を取るんだ!」
「冬獅郎!!」
「シロちゃん!!」
中庭から現れたのは、浮竹と京楽に殺されたはずのルキアと雛森だった。
「シロちゃん、私たちは無事だよ!藍染に洗脳されているの!お願い、元に戻って!!」
「全部幻だあああ!!」
冬獅郎は、氷の龍をルキアと雛森に向けた。
「いい加減、目を覚ましやがれ!!」
一護に殴られて、冬獅郎は瞬きを数回繰り返した。
「一護?なんでここにいやがる。ルキアと一緒に死んだはずじゃねぇのか!」
「勝手に殺すな!お前は藍染の手の者に攫われて、洗脳されてんだよ!」
「じゃあ、今この目の前にいるルキアと雛森は、本物?」
「ああ、そうだ!自分が守りたい存在を、自分で壊す気か!」
一護は、冬獅郎の頭を殴った。
でも、そんなことで藍染の洗脳がそう簡単に解けるわけもなく。
「浮竹と京楽、あいつらだけは許せねぇ」
「冬獅郎!」
「シロちゃん!」
浮竹は、さっと雛森の体を攫うと、早口で事情を説明する。
それに真っ赤になって、雛森はエリクサーを手に、冬獅郎の元に駆け寄る。
「シロちゃん、元に戻って!」
雛森は、エリクサーを口にすると、冬獅郎に口移しで飲ませた。
エリクサーを飲みこんで、冬獅郎は我に返る。
「俺は、一体何を・・・・・」
「冬獅郎、元に戻ったのだな!?」
「シロちゃん!」
ルキアと雛森に抱き着かれて、冬獅郎は真っ赤になっていた。
「雛森、さっきのは・・・・」
「えへへへ、ファーストキス。シロちゃんと、しちゃった」
その言葉に、冬獅郎は耳まで真っ赤になった。
「おい、冬獅郎、まずは言うことがあるだろうが!」
一護に急かされて、冬獅郎は、氷の龍が暴れたせいでめちゃくちゃに壊れた古城を見上げながら、浮竹と京楽に詫びを入れた。
「すまん!俺が、洗脳されたせいで、こんなことを引き起こして・・・・」
「まぁ、悪いのは全部藍染だから」
「そうそう。古城は恋次君の時間回帰の魔法でなんとかしてもらうから、気にしなくていいよ」
「京楽、この古城のことは藍染に知られているし、いっそ引っ越すのはどうだ?」
浮竹の言葉に、京楽が首を傾げる。
「けど、どこへ?」
「向こう側に、古城があるだろう。ほら、東の運河の近くにある」
「あれは、貴族が住んでいるよ?」
「ここに白金貨100枚ある。これで買いとる」
「金に全部物を言わす浮竹・・・なんかかっこいい!!」
浮竹はすぐに交渉に乗り出して、その貴族は没落寸前で、古城しか資産がなかったのだが、古城の買取り手もなく、維持費に必要な金を借金して賄っていた。
浮竹の出してきた条件に食いついてきた。
浮竹は、戦闘人形のメイドたちに命令して、無事だった家具やら衣服やらあとあらゆるものをアイテムポケットにいれさせると、まずは掃除が行き届いていないせいで、埃にまみれていた古城を、戦闘人形のメイドたちに徹底的に掃除してもらった。
そして、家具の配置を行っていき、クローゼットに衣服をしまいこむ。
絵画などを飾り、シャンデリアを前の古城のものと入れ替えた。
純金でできたハニワを玄関に飾ってみた。
ペルシャ絨毯を寝室にしいて、天蓋つきのキングサイズベッドのベッドを寝室に置く。
ダイニングルームには、テーブルと椅子に他にも、前の古城のものより広かったので、ホイワイトタイガーの毛皮をしいて、その上にソファーを置いた。
風呂場は前の古城より狭かったが、二人で入るには十分な広さを兼ね備えいた。
玄関から続く赤い絨毯は、職人技のものを選び、他に足りなかったり、壊れたりした家具は、金で一流のものを買いそろえた。
埃にまみれておいた古城は、ビフォアアフターで、どれだけ違いがあるのか分からないほどに、手入れする前の古城とは比べ物にならないくらいに豪華なものになっていた。
浮竹の手元には、ガイア王国の女王からもらった白金貨がまだ5千枚手つかずで残っていた。
ダンジョンにもぐったり、錬金術でもうけた金で事足りた。
前の古城のマンドレイクを全部引き抜いて、新しい古城は前の古城より中庭が広かったので、戦闘メイドたちに畑を耕してもらい、マンドレイクの苗を植えた。
最後に、地下に血の帝国と繋がる空間転移の魔法陣を設置した。
どのみち、周囲には鬱蒼と森が生えていたし、一番近くの町はやはりアラルだった。
前の古城よりもアラルの町が近くなった。
ゲストルームは前より少なくなったが、それでも5つはあって、広さは倍になった。
図書館を配置したり、錬金術用の館を5つ建てた。
外見は少々違えと、前と同じような古城ができあがった。
違う点があるとしたら、家畜小屋ができて、そこで鶏を飼うようになったことだろうか。
使わない暖炉では、いつも通りミミックのポチとタマの巣になっていた。
「るるるるる~~~」
「りんりんりん~~~~~」
ポチとタマは、お引越しは初めてなので、嬉しそうに古城の中を冒険しに出て行ってしまった。
「エリクサーが尽きてしまったな。材料を買い占めて、作るかー」
「また、新しく作った錬金術の館を吹き飛ばすつもりだね」
「当たり前だ!館は吹き飛ばすためにあるようなものだ!」
「そんなこと言う錬金術士は君くらいだと思うけどね」
「ほら、アラルの町に買いだしにいくぞ。ついでに乱菊と冒険者ギルドに引っ越しをしたことを伝えないと」
浮竹は、上着を着て、出かける用意をする。
ついでに夕飯とかの買い出しも兼ねて、外に出る。
鬱蒼とている森には獣道があって、そこを通るとすぐにアラルの町に出られた。
「あら、引っ越したの。古城から古城へ。あんまり、外見以外変わってないんじゃないの?」
乱菊の言葉に、浮竹は「鶏を飼いだした」と威張り始めた。
「まぁ、マンドレイクは相変わらず育ててくれるからいいけど。あの古城、出るって、噂よ?」
「な、何が・・・・・・・」
「ほら、亡霊が・・・・」
「そんなわけあるか!」
浮竹は、ヴァンパイアマスターなのに亡霊が怖いようで、京楽の服の裾を掴んでいた。
「浮竹、もしかして亡霊が怖いの?」
「こ、怖くなんかない!この世界にはゴーストとか亡霊系のモンスターもいるだろう!」
「そうだけど・・・・手が震えてるよ」
「き、気のせいだ」
京楽は、そんな浮竹はかわいくて、頭を撫でて抱きしめた。
「あら、お熱いこと」
「そんなに気になるなら、亡霊退治をしよう。聖女のルキアちゃんも呼んで。ちゃんと成仏してもらおう」
「あ、ああ、そうだな」
その後で、冒険者ギルドにより、住所を変更してその日は食事と風呂に入り、就寝となった。
ふと、すすり泣く声が聞こえて、目が覚めた浮竹は、泣き声をがするほうにふらふらと歩いていく。
「いないの・・・お腹に赤ちゃんがいたのに・・・いないの」
すすり泣く、少女の姿をした亡霊を見てしまい、浮竹はその場で気を失った。
「浮竹、おーい、浮竹。こんな場所で寝たら、風邪引くでしょ?」
朝になって京楽に起こされて、浮竹はその肩を掴んで揺さぶった。
「出た。本当に出た。お腹に赤ちゃんがいないとかいって・・・・13歳くらいの、少女の亡霊だった・・・本当に、出たんだ」
ガタガタと震えて、京楽の服の裾を掴む。
「夢じゃないようだね。今回は、幽霊退治と参りますか」
京楽は、血の帝国からルキア、一護、冬獅郎を呼び寄せて、幽霊退治と乗り込むのであった。
やってきたのは、血の帝国の皇女であり、聖女であるルキアと守護騎士の黒崎一護であった。
「どうしたんだい、ルキア君、一護君」
「あれ、ルキアちゃん、冬獅郎クンの姿が見えないね?」
「その冬獅郎が!!」
ルキアの話では、冬獅郎は何者かに攫われたというのだ。
それが、藍染の手による者の可能性が近いと分かり、浮竹と京楽は顔色を変えた。
「ついに、友人たちに手を出し始めたか」
「ルキアちゃん、多分冬獅郎クンは僕らを襲ってくる。ちゃんと加減して、目を覚まさせてもらうから、ここは僕らに任せてくれないかな」
「浮竹殿と京楽殿がそういうのであれば・・・」
ルキアと一護は、冬獅郎のことは浮竹と京楽に任せることにして、騒ぎを大きくしないためにも、一度血の帝国に戻ってもらった。
「どう思う、京楽」
「そうだね。藍染の血を与えられて、やってくるに1票」
「奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
----------------------------------------------------
「誰だ・・・・・」
冬獅郎は、揺蕩う意識の狭間で、夢を見ていた。、
自分を助けようとしてくれた母親が、優しくしてくれる夢だった。
冬獅郎の母親は、特別な血をもった人間で、稀にしか生まれぬヴァンパイアの子を確実に孕める血をもっていた。
冬獅郎の父親は、ヴァンパイアだった。
ヴァンパイアであった父親は、冬獅郎の母親に血を与えて花嫁と迎えることはせずに、ただ犯して子を産ませた。
ヴァンピールの力は、個体差があれど普通のヴァンパイアより強い。
現に、黒崎一護というヴァンピールは、聖女朽木ルキアの守護騎士をしていた。
冬獅郎には他に4人の兄弟姉妹がいたが、皆力に溺れて幼くして死んでいった。父親であるヴァンパイアは、強いヴァンピールである冬獅郎の力を求めた。
母親は、そのヴァンパイアの父親の元から、冬獅郎を連れて逃げ出そうとして、父親に殺された。
気づけば、冬獅郎は父親を殺して、親殺しのヴァンピールと蔑まれて生きてきた。
そんな冬獅郎に、救いの手を差し伸べてくれたのは、ルキアと一護、それに浮竹と京楽だった。
「誰か・・・・そこにいるのか」
「君は忌まわしきヴァンピール。君が守護するべき朽木ルキアは死んだ。殺したのは、浮竹十四郎と京楽春水」
「ルキアが死ぬはずがない・・・・」
「これを見ても?」
藍染は、強烈な洗脳を行っていた。
「これは・・・ルキアの生首。いやだ、ルキア、ルキア!」
「これも、浮竹十四郎と京楽春水のせいだよ」
次に冬獅郎の前に置かれ生首は、雛森桃のものだった。
「雛森!!うわああああ!!!」
実際は、ただの肉塊であったけれど、冬獅郎にはルキアと雛森の生首に見えた。
浮竹のことと、京楽に関することは記憶が奪われていた。
「許さない・・浮竹十四郎、京楽春水。この手で、葬り去ってやる」
「この血を飲みなさい。君の力になるだろう」
強烈な洗脳にかけられた冬獅郎には、藍染の邪神の血が女神の血に見えた。
冬獅郎は、ワイングラスに入れられた血を飲み干した。
「力が湧いてくる・・・・・」
「さぁ、行っておいで。浮竹十四郎と京楽春水を抹殺するんだ」
「殺す・・浮竹、京楽・・・・」
冬獅郎は、自分の愛刀である氷輪丸を手に、浮竹と京楽の住む古城に向かう。
冬獅郎は、氷の龍を出していた。
それに跨り、空を飛ぶ。
「ルキア、雛森・・・仇は、とってやる」
冬獅郎は、数日でイデア王国からガイア王国へと来ていた。
浮竹たちの住ま古城にくると、まずが使役できる氷の精霊フェンリルと氷女を出して、城ごと凍結させた。
けれど、一度火柱があがり、氷はどんどん溶かされていく。
「どうなっている!」
「待ってたよ、冬獅郎クン」
「冬獅郎君、元に戻るんだ」
庭に出てきた浮竹と京楽を、冬獅郎は憎しみの眼差しで見つめる。
「よくもルキアと雛森を・・・・殺してやる!」
「わお、冬獅郎クン本気みたいだね。どうする、浮竹」
「ある程度力を削ったところで、エリクサーを飲ませる」
冬獅郎は、魔狼フェンリルと氷女の精霊を操って、浮竹と京楽を攻撃する。
それをかわして、浮竹は炎の魔法を放つ。
「ゴッドフェニックス!!」
炎の不死鳥は、氷女を包み込んだが、氷女は炎を凍てつかせた。
「ちょっと、思ったより力つけてるね。これ、本気でいかなきゃ無理かも。サンダーボルテックス!!」
冬獅郎本人に魔法をかまそうとすると、フェンリルが代わりに魔法を受けた。
「げ、魔力に変換して食われた。ちょっと、浮竹どうにかならないの!?」
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・トリプルファイアフェニックス!!!」
「いきなりそれかい!」
京楽が余波を浴びないように、シールドを張った。
「ウォォォォォン!!」
氷の魔狼フェンリル冬獅郎を庇い、蒸発してしまった。
「よくもフェンリルを!」
冬獅郎は、愛刀氷輪丸を手に、氷の龍を出してきた。
それは浮竹と京楽に襲い掛かる。
「ファイアシールド×5」
浮竹は、5枚重ねの炎の盾を張った。
じゅわっと、氷の龍が蒸発していく。
「まだだ、俺はこんなところで終わってたまるか、ルキアと雛森の仇を取るんだ!」
「冬獅郎!!」
「シロちゃん!!」
中庭から現れたのは、浮竹と京楽に殺されたはずのルキアと雛森だった。
「シロちゃん、私たちは無事だよ!藍染に洗脳されているの!お願い、元に戻って!!」
「全部幻だあああ!!」
冬獅郎は、氷の龍をルキアと雛森に向けた。
「いい加減、目を覚ましやがれ!!」
一護に殴られて、冬獅郎は瞬きを数回繰り返した。
「一護?なんでここにいやがる。ルキアと一緒に死んだはずじゃねぇのか!」
「勝手に殺すな!お前は藍染の手の者に攫われて、洗脳されてんだよ!」
「じゃあ、今この目の前にいるルキアと雛森は、本物?」
「ああ、そうだ!自分が守りたい存在を、自分で壊す気か!」
一護は、冬獅郎の頭を殴った。
でも、そんなことで藍染の洗脳がそう簡単に解けるわけもなく。
「浮竹と京楽、あいつらだけは許せねぇ」
「冬獅郎!」
「シロちゃん!」
浮竹は、さっと雛森の体を攫うと、早口で事情を説明する。
それに真っ赤になって、雛森はエリクサーを手に、冬獅郎の元に駆け寄る。
「シロちゃん、元に戻って!」
雛森は、エリクサーを口にすると、冬獅郎に口移しで飲ませた。
エリクサーを飲みこんで、冬獅郎は我に返る。
「俺は、一体何を・・・・・」
「冬獅郎、元に戻ったのだな!?」
「シロちゃん!」
ルキアと雛森に抱き着かれて、冬獅郎は真っ赤になっていた。
「雛森、さっきのは・・・・」
「えへへへ、ファーストキス。シロちゃんと、しちゃった」
その言葉に、冬獅郎は耳まで真っ赤になった。
「おい、冬獅郎、まずは言うことがあるだろうが!」
一護に急かされて、冬獅郎は、氷の龍が暴れたせいでめちゃくちゃに壊れた古城を見上げながら、浮竹と京楽に詫びを入れた。
「すまん!俺が、洗脳されたせいで、こんなことを引き起こして・・・・」
「まぁ、悪いのは全部藍染だから」
「そうそう。古城は恋次君の時間回帰の魔法でなんとかしてもらうから、気にしなくていいよ」
「京楽、この古城のことは藍染に知られているし、いっそ引っ越すのはどうだ?」
浮竹の言葉に、京楽が首を傾げる。
「けど、どこへ?」
「向こう側に、古城があるだろう。ほら、東の運河の近くにある」
「あれは、貴族が住んでいるよ?」
「ここに白金貨100枚ある。これで買いとる」
「金に全部物を言わす浮竹・・・なんかかっこいい!!」
浮竹はすぐに交渉に乗り出して、その貴族は没落寸前で、古城しか資産がなかったのだが、古城の買取り手もなく、維持費に必要な金を借金して賄っていた。
浮竹の出してきた条件に食いついてきた。
浮竹は、戦闘人形のメイドたちに命令して、無事だった家具やら衣服やらあとあらゆるものをアイテムポケットにいれさせると、まずは掃除が行き届いていないせいで、埃にまみれていた古城を、戦闘人形のメイドたちに徹底的に掃除してもらった。
そして、家具の配置を行っていき、クローゼットに衣服をしまいこむ。
絵画などを飾り、シャンデリアを前の古城のものと入れ替えた。
純金でできたハニワを玄関に飾ってみた。
ペルシャ絨毯を寝室にしいて、天蓋つきのキングサイズベッドのベッドを寝室に置く。
ダイニングルームには、テーブルと椅子に他にも、前の古城のものより広かったので、ホイワイトタイガーの毛皮をしいて、その上にソファーを置いた。
風呂場は前の古城より狭かったが、二人で入るには十分な広さを兼ね備えいた。
玄関から続く赤い絨毯は、職人技のものを選び、他に足りなかったり、壊れたりした家具は、金で一流のものを買いそろえた。
埃にまみれておいた古城は、ビフォアアフターで、どれだけ違いがあるのか分からないほどに、手入れする前の古城とは比べ物にならないくらいに豪華なものになっていた。
浮竹の手元には、ガイア王国の女王からもらった白金貨がまだ5千枚手つかずで残っていた。
ダンジョンにもぐったり、錬金術でもうけた金で事足りた。
前の古城のマンドレイクを全部引き抜いて、新しい古城は前の古城より中庭が広かったので、戦闘メイドたちに畑を耕してもらい、マンドレイクの苗を植えた。
最後に、地下に血の帝国と繋がる空間転移の魔法陣を設置した。
どのみち、周囲には鬱蒼と森が生えていたし、一番近くの町はやはりアラルだった。
前の古城よりもアラルの町が近くなった。
ゲストルームは前より少なくなったが、それでも5つはあって、広さは倍になった。
図書館を配置したり、錬金術用の館を5つ建てた。
外見は少々違えと、前と同じような古城ができあがった。
違う点があるとしたら、家畜小屋ができて、そこで鶏を飼うようになったことだろうか。
使わない暖炉では、いつも通りミミックのポチとタマの巣になっていた。
「るるるるる~~~」
「りんりんりん~~~~~」
ポチとタマは、お引越しは初めてなので、嬉しそうに古城の中を冒険しに出て行ってしまった。
「エリクサーが尽きてしまったな。材料を買い占めて、作るかー」
「また、新しく作った錬金術の館を吹き飛ばすつもりだね」
「当たり前だ!館は吹き飛ばすためにあるようなものだ!」
「そんなこと言う錬金術士は君くらいだと思うけどね」
「ほら、アラルの町に買いだしにいくぞ。ついでに乱菊と冒険者ギルドに引っ越しをしたことを伝えないと」
浮竹は、上着を着て、出かける用意をする。
ついでに夕飯とかの買い出しも兼ねて、外に出る。
鬱蒼とている森には獣道があって、そこを通るとすぐにアラルの町に出られた。
「あら、引っ越したの。古城から古城へ。あんまり、外見以外変わってないんじゃないの?」
乱菊の言葉に、浮竹は「鶏を飼いだした」と威張り始めた。
「まぁ、マンドレイクは相変わらず育ててくれるからいいけど。あの古城、出るって、噂よ?」
「な、何が・・・・・・・」
「ほら、亡霊が・・・・」
「そんなわけあるか!」
浮竹は、ヴァンパイアマスターなのに亡霊が怖いようで、京楽の服の裾を掴んでいた。
「浮竹、もしかして亡霊が怖いの?」
「こ、怖くなんかない!この世界にはゴーストとか亡霊系のモンスターもいるだろう!」
「そうだけど・・・・手が震えてるよ」
「き、気のせいだ」
京楽は、そんな浮竹はかわいくて、頭を撫でて抱きしめた。
「あら、お熱いこと」
「そんなに気になるなら、亡霊退治をしよう。聖女のルキアちゃんも呼んで。ちゃんと成仏してもらおう」
「あ、ああ、そうだな」
その後で、冒険者ギルドにより、住所を変更してその日は食事と風呂に入り、就寝となった。
ふと、すすり泣く声が聞こえて、目が覚めた浮竹は、泣き声をがするほうにふらふらと歩いていく。
「いないの・・・お腹に赤ちゃんがいたのに・・・いないの」
すすり泣く、少女の姿をした亡霊を見てしまい、浮竹はその場で気を失った。
「浮竹、おーい、浮竹。こんな場所で寝たら、風邪引くでしょ?」
朝になって京楽に起こされて、浮竹はその肩を掴んで揺さぶった。
「出た。本当に出た。お腹に赤ちゃんがいないとかいって・・・・13歳くらいの、少女の亡霊だった・・・本当に、出たんだ」
ガタガタと震えて、京楽の服の裾を掴む。
「夢じゃないようだね。今回は、幽霊退治と参りますか」
京楽は、血の帝国からルキア、一護、冬獅郎を呼び寄せて、幽霊退治と乗り込むのであった。
始祖なる者、ヴァンパイアマスター57
魔女エルは、京楽に最後の別れにと古城に会いに来ていた。
浮竹は、それが気に入らなかったが、魔女のエルに京楽の周囲をうろうろされたくなくて、しぶしぶ魔女エルを古城に招きいれた。
「このワインを飲んで。私も飲むから。それで最後ですから」
京楽は、ワイングラスに注がれたワインをなんの疑いもせずに飲む。
青いワインだった。この世界のワインは青や緑、オレンジ、紫などいろんな色があるので、浮竹も気にしていなかった。
青いワインを飲んだ京楽は、ワイングラスを落とした。
パリン!
けたたましい音がして、浮竹が京楽の名を呼ぶ。
「京楽!」
「気安く話しかけないでくれるかな。僕は、エルが好きなんだ」
「は?」
浮竹は固まった。冗談にしては、性質が悪い。
「エル・・・君を愛している。君が大好きだ」
魔女エルを、京楽は抱きしめていた。
「京楽!!!」
「うふふふ、京楽さんは私のものよ!」
狂った顔で笑う魔女エルに、京楽は惚れ薬でも飲まされたのかと、京楽を正気づけようとして、その頬をひっぱたいた。
「京楽、帰ってこい!」
「君みたいな始祖に用はないよ。僕はエルと共に生きる」
魔女のエルは、京楽と口づけしていた。
体が燃えるように熱かった。これが、嫉妬という感情なのだろうか。
「魔女エル、京楽に何を飲ませた!」
「女神の秘薬よ。きっとエリクサーでも治せないわ」
「そんなこと、分からないだろう」
魔女エルはホウキを取り出した。
それにエルが跨り、後ろに京楽を乗せた。
「あははは、京楽さんは私がいただいていくわ。男同士で愛し合うなんて不毛なのもこれで終わりよ。私と京楽さんは結婚して幸せな家庭を築き、子供にも恵まれるの」
魔法を放とうとしたが、京楽が巻き添えになると、我慢する。
「京楽!!」
「じゃあね、浮竹さん。永遠にさようなら」
「じゃあ、浮竹。長い間世話になったね」
「京楽ーーーー!!」
京楽と魔女エルはどこかへ飛び去ってしまった。
「・・・・・京楽のアホ」
浮竹は少しだけ泣いていた。
「俺から京楽を奪うだと?その行為がどれだけ俺を怒らせたのか、知らしめる必要があるな」
浮竹は錬金術士の館からエリクサーをあるだけもってきた。
「神の秘薬・・・・エクリサーは神の涙。どうか、効いてくれ」
浮竹は祈りながら、エリクサーをアイテムポケットに大切そうにしまいこんで、京楽の魔力を探知するのだった。
-----------------------------------------------------------------
「ああ、いいわ、京楽さん」
魔女エルと京楽は睦み合っていた。
「エル大好きだ。僕の主・・・・」
「ああん」
身をくねらす魔女エルに、それ以上に行為でがきなくれて、京楽は愕然とした。
「勃たない・・・」
「そ、そんなに急く必要はないんだから。ゆっくり、一緒に歩んでいきましょう?」
魔女エルは、裸のまま京楽にしな垂れかかった。
「そうだね。子供は、生まれたらでいい。僕は君を愛している。それだけで十分・・・・」
「京楽さん?」
「何か、大切な存在を忘れている気がする・・・」
「気のせいよ!それより、食事にしましょう?」
「ああ、僕が作るよ。戦闘メイドにも手伝ってもらって・・・あれ、戦闘メイドは?」
京楽が訝しがる。
「そ、そんな存在はじめからないわ!」
「頭が痛い・・・・」
「京楽さん!私が食事をつくるから、京楽さんは休んでいて!」
魔女エルは服を着ると、京楽をベッドに寝かせた。
女神の秘薬は効果は絶大だが、すでに最愛の者がいる京楽には、何か違う作用がおきているようで、魔女エルは不安になりながらも、京楽と共に過ごすのであった。
ピンポーーン。
チャイムが鳴った。
魔女の里の外れに新居を構えたのだが、魔女の知人でもやってきたのかと、扉を開ける。
そこには、浮竹がいた。
「浮竹さん!京楽さんは、渡さないわよ!」
浮竹はスリッパはかずに土足であがると、京楽のいる部屋までやってきて、扉を開けた。
「京楽!」
「君は・・君は誰?」
「俺は浮竹十四郎。お前の主で、お前は俺の血族のヴァンパイアロードであり、神喰らいの魔神だ」
「血族・・・主・・・・魔神。頭が・・・・」
浮竹は、アイテムポケットからエリクサーを出すと、それを口に含んで京楽に飲ませた。
「何を・・・・」
「全ての状態異常を治す神の涙と呼ばれている、エリクサーだ」
「僕は、何も異常なんてない。エルが好きなんだ」
その言葉を聞いても、浮竹は取り乱さなかった。
「必ず、京楽、お前を取り戻す。魔女エル、俺も今日からここに住むからな」
「な!部外者は出て行って!」
魔女エルは、驚いて浮竹にクッションを投げつけた。
「僕からもお願いするよ。何か、とても大切なことを忘れている気がするんだ。この浮竹って子が近くにいたら、思い出せる気がする」
「京楽さん、京楽さんは私のものよ!」
浮竹は、くつくつと笑いだした。
「必死だな。せいぜいあがくといいさ」
「浮竹だっけ。もっと傍においでよ」
ごく当たり前のように、京楽は浮竹の近くにくると、顎に手をかけてキスをしていた。
「京楽さん!何をしているの!!」
「え、は、本当だ!ごめんね、浮竹」
浮竹は、もう一度エリクサーを口に含むと、京楽に飲ませる。
「何を飲ませているの!」
「エリクサーだが?」
エリクサーと聞いて、魔女エルは慌て出した。
「無駄よ!女神の秘薬はエリクサーでも治らないと、藍染様がおっしゃっていたんだから」
「ほう。藍染からもらった惚れ薬か」
浮竹は、残忍に笑った。
「藍染と通じているということは、死を覚悟しているんだろう?」
「助けて、京楽さん!」
京楽は、浮竹と魔女エルの間に割って入った。
「エルを傷つけるのは、許さないよ。エルは、僕の全てなんだ」
浮竹は、左手の薬指にしているピジョンブラッドのスタールビーを見せた。
「お前の手も、はまっているはずだ」
「本当だ・・・どうして。ねぇ、エルは知ってる?どうして、僕と浮竹が同じペアリングをしているの?」
「ああああああああ!!!」
魔女エルは、包丁を取り出して、それで浮竹の胸を刺し貫いていた。
「死んで死んで死んで!!!私と京楽さんの中を引き裂こうとする者は、みんな殺してやる」
浮竹は、平気な顔で傷を再生させる。
「ああああ!!死んで!」
もう一度ふりあげようとしたエルの包丁を、京楽が奪う。
「エル、だめだ。人を傷つけてはだめだ」
「こいつは人じゃないわ!ヴァンパイアマスターよ!」
「ヴァンパイアマスター・・・・頭が・・・・・」
「素直に、京楽を解放しろ。そうすれば、命だけは助けてやる」
残酷に笑う浮竹に、魔女エルはきっと睨みつけた。
「嫌よ!京楽さんは私のものよ。私だけを見て、私だけを愛してくれると誓ったわ!」
「それが薬の効果でも?」
「そうよ!薬の効果でも、女神の秘薬よ!エリクサーでも解けなかった!もう、あなたに成す術はないのよ!諦めて帰ってちょうだい!」
「嫌だね。俺も今日からここに住む」
「京楽さん、何か言ってやって!」
魔女エルは、浮竹を追い出してくれるものだと信じていた。
「浮竹。君がよければ、こんな狭い家だけど、一緒に暮らそう」
「そんな・・・・京楽さん」
「どうしたんだい、エル。愛しているよ」
「うふふふ。京楽さんの愛は、私のものよ」
「本当にそうかな?」
浮竹は、血の魔法を使って、自分の指を切った。
にじみ出る鮮血に、ごくりと京楽が唾を飲みこむ。
「ああ、おいしそう・・・」
「ダメよ、京楽さん!あの人の血は猛毒なの!」
「そうなの?おいしそうなのに・・・・・・」
「私の!私の血を飲んで!処女の生き血よ!浮竹さんの血よりもずっとずっとおいしいはずだわ!」
魔女エルは、首を差し出す。
それに、京楽が噛みついて血をすする。
一口分も飲まない間に、京楽は牙をひきぬいた。
「どうしたの、京楽さん」
「まずい」
「え?」
「君の血がまずい。どうしてだい?君を愛しているなら、君の血は甘いはずだ」
不機嫌になる京楽の目の前に、ワイングラスが置かれた。
それに、浮竹が自分の手首をきって、滴り落ちる血を集めた。
「俺の血だ。飲んでみろ」
「浮竹の、血・・・・・」
ワイングラスを手にとり、魔女エルが止める間もなく、京楽は浮竹の血が入ったワイングラスの中身を飲み干した。
「甘い・・・甘すぎて、眩暈がする」
魔女エルは、絶望に顔を歪めた。
その日から、魔女エルに家には京楽の他に浮竹も住みつくことになった。
クスクスクス。
他愛ない会話をして、微笑み合う二人を、それでも京楽を手放すことができなくて、魔女エルは不思議な気持ち見つめていた。
「エルどうしたの。君を愛しているよ」
京楽はエルに愛を囁く。浮竹には愛を囁かない。
それでも、魔女エルといるより浮竹と一緒に過ごす時間のほうが、京楽には多かった。
「今日は一緒に寝よう」
「ええ、そうね!」
エルの寝室にやってきた京楽は、エルを求めた。
途中で違和感を感じた。
「やっぱり、勃たない・・・どうしてだろう。こんなにもエルを愛して、エルの子供が欲しいのに・・・・・・・」
「俺が相手してやろうか?」
ふと、眠っていたと思っていた浮竹が、寝室に入ってきた。
「浮竹!」
あられもない姿でいた京楽は、衣服を整えると、浮竹を抱きしめた。
「どうしてだろう。君を愛していないのに、体は君を求めている」
京楽のものは、浮竹を欲っして勃起していた。
「出てってちょうだい!さぁ、京楽さん、さっきの続きをしましょう?」
「うん、そうだね。おやすみ、浮竹」
「おやすみ、京楽」
浮竹はゲストルームに戻ってしまった。
硬く勃ちあがっていたものは、魔女エルの裸を見たとたん、萎えていた。
「あれ、どうして・・・僕は、浮竹に欲情しているのかな?」
「そ、そんなことないわ!いい加減、出ていってもらわないとね?」
魔女エルは、どうにかしてこの新居から邪魔者である浮竹を追放したがっていた。
「だめだよ!浮竹が出ていくなら、僕も出ていく」
「京楽さん・・・・・・」
もはや、薬の効果は薄れ始めていた。
刷り込み現象のように、エルに愛を囁くが、京楽の意識は浮竹に向かっていた。
「京楽さん、私と一緒に死んで?あの世で、永遠に一緒になりましょう?」
エルは包丁をもちだして、京楽の心臓を突き刺した。
次に自分の手首を切ろうとして、凄い殺気を感じてはっとなった。
「いやああ、私は!京楽さん、京楽さん」
「どけ、じゃまだ」
浮竹は、魔女エルを突き飛ばした。
魔神であっても、京楽はただのヴァンパイアロードだ。不老不死ではない。
心臓が再生されていくのを確認しながら、浮竹は念の為に傷口に自分の血を注ぎこみ、京楽を抱きしめた。
「ここまで愚かだったとは・・・・俺だけならいざ知らず、愛してるはずの京楽を傷つける。それがお前の愛し方か、魔女エル」
「違うの!違うのよ!!」
「もう、お前はいらない。死ね」
「いやあああああ!!京楽さんは私ものよ!私から奪わないでええええええ」
「ゴッドフェニックス!」
浮竹は、炎の不死鳥を呼び出すと、魔女エルを灰に変えてしまった。
「あれ・・・僕は何をしていたんだろう。浮竹?」
「京楽、お帰り」
浮竹は、涙を滲ませていた。
「なんだかよく分からいけど、ただいま」
こうやって、京楽はエルの死で惚れ薬の効果が切れて解放されて、浮竹の元に戻ってきた。
「本当に、お前という男は・・・・」
事情を聞いて、何度も謝る京楽に、浮竹はツーンを態度をとんがらせていた。
「そもそも、愛しい伴侶がいるのに、女なんかに近寄られて、変なものを飲まされるお前が悪い」
「だから、ごめんてば」
「ふん」
「今日の夜、たっぷり愛してあげるから」
耳元でそう囁かれて、真っ赤になる浮竹であった。
---------------------------------------------------
「いいか、これはお仕置きだ。俺がいいっていうまで、これを外すなよ」
京楽のものは、根本が戒められていた。
「ああ・・・・十四郎。いかせてよ」
「だめだ。これはお仕置きなんだから」
騎乗位になって、浮竹は精液を弾けることができず、ずっと硬さを保ったままのそれを、自分の蕾にあてがい、ゆっくりと飲みこんでいく。
「あああ・・・・」
白い喉を見せ妖艶に笑う浮竹に、京楽はごくりと唾を飲みこんだ。
「んあっ」
下から僅かに突き上げられて、浮竹は声を漏らす。
「お仕置きなんだから・・・ひあっ」
ごりっと奥に入ってくるものに、浮竹が驚く。
根元を戒められているというのに、京楽は我慢しながらも浮竹を貪った。
「あああ!」
これでは、どっちがお仕置きをされているのか分からない。
「んああああ!」
ごりごりっと奥をすりあげられて、浮竹はせがんだ。
「春水、いっぱいだしてくれ」
「じゃあ、これとってもいいよね」
「仕方ない。とっていいぞ。ひあああああ!!」
浮竹の奥で、京楽はびゅるびゅると濃い精子を思い切り流し込んでいた。
いつもの2倍の時間をかけての射精に、浮竹もいっていた。
「あ、やあ、子種受けながらいっちゃううう」
「吸血もしてあげる」
肩に噛みつかれて、血をごくりと飲まれる。
その快感にも支配されて、お仕置きどころではなくなっていた。
「ああ、お仕置きが・・・ひあっ」
「我慢した後で出すのって、すごい快感。たまにはこういうのもいいね」
「ひああああ」
京楽は騎乗位から浮竹を押し倒して、ごりっと中を抉る。
その感覚に、浮竹はまたオーガズムでいっていた。
「ああああ!」
「ほら、十四郎、お仕置きは?」
「もう、やああっ」
「結局、僕がリードする羽目になるんだね」
薄く笑いながら、京楽は浮竹を突き上げる。
「やあああ」
「十四郎、かわいい」
「やあ、春水、お仕置き・・・」
浮竹は、自分の意思で京楽を締め上げる。
「んっ、そんなにされたら僕がもたなくなる」
浮竹の奥に精液を流し込む。
また締め付けられて、京楽は2回連続していっていた。
「確かに、お仕置き、だね。僕をこんな風にさせるなんて。十四郎、すごいね、君の中うねってしめつけてくる。熱いよ」
「あああん、春水、春水」
求められるままに口づける。
「んっ」
舌と舌が絡み合うキスを繰り返す。
もう、お仕置きとか関係なく、普通に交わっていた。
「んあああああ!!」
「くっ」
浮竹の最奥に精液を注ぎ込む。
浮竹はもう精を出し尽して、オーガズムでいくばかりであった。
「春水、愛してる。お前は?」
「僕も十四郎、君だけを愛しているよ」
「魔女エルにも愛を囁いていたくせに」
「あれは薬の効果だよ。僕が心から愛しているのは、十四郎、君だけだ」
お互いを抱しめあいながら、口づけを交わしていた。
「もう、惚れ薬なんて飲まされたりするなよ」
「そういう君も、記憶をいじられたりして、元血族にさらわれたりしないようにね」
----------------------------------------------------------------------------
「そうか。魔女エルは滅んだか。もともと、うまくいくとは思っていなかった」
藍染は、城でワインを飲んでいた。
「魔女の里にいた魔族は、浮竹と京楽により滅ぼされました。どうなさいますか」
「放っておけ」
「はっ」
そう言って、部下は下がっていった。
「あなた」
「女神オリガか」
「言われた通り、攫ってきたわ」
「この子が、浮竹と京楽の友人か。まだ子供だが、守護騎士ということは、それなりに力があるんだろう。次回はこの子にいってもらおうか」
女神オリガが、血の帝国から攫ってきたのは、ルキアの守護騎士である日番谷冬獅郎であった。
冬獅郎は藍染の血を与えられて、狂暴化するのだった。
浮竹は、それが気に入らなかったが、魔女のエルに京楽の周囲をうろうろされたくなくて、しぶしぶ魔女エルを古城に招きいれた。
「このワインを飲んで。私も飲むから。それで最後ですから」
京楽は、ワイングラスに注がれたワインをなんの疑いもせずに飲む。
青いワインだった。この世界のワインは青や緑、オレンジ、紫などいろんな色があるので、浮竹も気にしていなかった。
青いワインを飲んだ京楽は、ワイングラスを落とした。
パリン!
けたたましい音がして、浮竹が京楽の名を呼ぶ。
「京楽!」
「気安く話しかけないでくれるかな。僕は、エルが好きなんだ」
「は?」
浮竹は固まった。冗談にしては、性質が悪い。
「エル・・・君を愛している。君が大好きだ」
魔女エルを、京楽は抱きしめていた。
「京楽!!!」
「うふふふ、京楽さんは私のものよ!」
狂った顔で笑う魔女エルに、京楽は惚れ薬でも飲まされたのかと、京楽を正気づけようとして、その頬をひっぱたいた。
「京楽、帰ってこい!」
「君みたいな始祖に用はないよ。僕はエルと共に生きる」
魔女のエルは、京楽と口づけしていた。
体が燃えるように熱かった。これが、嫉妬という感情なのだろうか。
「魔女エル、京楽に何を飲ませた!」
「女神の秘薬よ。きっとエリクサーでも治せないわ」
「そんなこと、分からないだろう」
魔女エルはホウキを取り出した。
それにエルが跨り、後ろに京楽を乗せた。
「あははは、京楽さんは私がいただいていくわ。男同士で愛し合うなんて不毛なのもこれで終わりよ。私と京楽さんは結婚して幸せな家庭を築き、子供にも恵まれるの」
魔法を放とうとしたが、京楽が巻き添えになると、我慢する。
「京楽!!」
「じゃあね、浮竹さん。永遠にさようなら」
「じゃあ、浮竹。長い間世話になったね」
「京楽ーーーー!!」
京楽と魔女エルはどこかへ飛び去ってしまった。
「・・・・・京楽のアホ」
浮竹は少しだけ泣いていた。
「俺から京楽を奪うだと?その行為がどれだけ俺を怒らせたのか、知らしめる必要があるな」
浮竹は錬金術士の館からエリクサーをあるだけもってきた。
「神の秘薬・・・・エクリサーは神の涙。どうか、効いてくれ」
浮竹は祈りながら、エリクサーをアイテムポケットに大切そうにしまいこんで、京楽の魔力を探知するのだった。
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「ああ、いいわ、京楽さん」
魔女エルと京楽は睦み合っていた。
「エル大好きだ。僕の主・・・・」
「ああん」
身をくねらす魔女エルに、それ以上に行為でがきなくれて、京楽は愕然とした。
「勃たない・・・」
「そ、そんなに急く必要はないんだから。ゆっくり、一緒に歩んでいきましょう?」
魔女エルは、裸のまま京楽にしな垂れかかった。
「そうだね。子供は、生まれたらでいい。僕は君を愛している。それだけで十分・・・・」
「京楽さん?」
「何か、大切な存在を忘れている気がする・・・」
「気のせいよ!それより、食事にしましょう?」
「ああ、僕が作るよ。戦闘メイドにも手伝ってもらって・・・あれ、戦闘メイドは?」
京楽が訝しがる。
「そ、そんな存在はじめからないわ!」
「頭が痛い・・・・」
「京楽さん!私が食事をつくるから、京楽さんは休んでいて!」
魔女エルは服を着ると、京楽をベッドに寝かせた。
女神の秘薬は効果は絶大だが、すでに最愛の者がいる京楽には、何か違う作用がおきているようで、魔女エルは不安になりながらも、京楽と共に過ごすのであった。
ピンポーーン。
チャイムが鳴った。
魔女の里の外れに新居を構えたのだが、魔女の知人でもやってきたのかと、扉を開ける。
そこには、浮竹がいた。
「浮竹さん!京楽さんは、渡さないわよ!」
浮竹はスリッパはかずに土足であがると、京楽のいる部屋までやってきて、扉を開けた。
「京楽!」
「君は・・君は誰?」
「俺は浮竹十四郎。お前の主で、お前は俺の血族のヴァンパイアロードであり、神喰らいの魔神だ」
「血族・・・主・・・・魔神。頭が・・・・」
浮竹は、アイテムポケットからエリクサーを出すと、それを口に含んで京楽に飲ませた。
「何を・・・・」
「全ての状態異常を治す神の涙と呼ばれている、エリクサーだ」
「僕は、何も異常なんてない。エルが好きなんだ」
その言葉を聞いても、浮竹は取り乱さなかった。
「必ず、京楽、お前を取り戻す。魔女エル、俺も今日からここに住むからな」
「な!部外者は出て行って!」
魔女エルは、驚いて浮竹にクッションを投げつけた。
「僕からもお願いするよ。何か、とても大切なことを忘れている気がするんだ。この浮竹って子が近くにいたら、思い出せる気がする」
「京楽さん、京楽さんは私のものよ!」
浮竹は、くつくつと笑いだした。
「必死だな。せいぜいあがくといいさ」
「浮竹だっけ。もっと傍においでよ」
ごく当たり前のように、京楽は浮竹の近くにくると、顎に手をかけてキスをしていた。
「京楽さん!何をしているの!!」
「え、は、本当だ!ごめんね、浮竹」
浮竹は、もう一度エリクサーを口に含むと、京楽に飲ませる。
「何を飲ませているの!」
「エリクサーだが?」
エリクサーと聞いて、魔女エルは慌て出した。
「無駄よ!女神の秘薬はエリクサーでも治らないと、藍染様がおっしゃっていたんだから」
「ほう。藍染からもらった惚れ薬か」
浮竹は、残忍に笑った。
「藍染と通じているということは、死を覚悟しているんだろう?」
「助けて、京楽さん!」
京楽は、浮竹と魔女エルの間に割って入った。
「エルを傷つけるのは、許さないよ。エルは、僕の全てなんだ」
浮竹は、左手の薬指にしているピジョンブラッドのスタールビーを見せた。
「お前の手も、はまっているはずだ」
「本当だ・・・どうして。ねぇ、エルは知ってる?どうして、僕と浮竹が同じペアリングをしているの?」
「ああああああああ!!!」
魔女エルは、包丁を取り出して、それで浮竹の胸を刺し貫いていた。
「死んで死んで死んで!!!私と京楽さんの中を引き裂こうとする者は、みんな殺してやる」
浮竹は、平気な顔で傷を再生させる。
「ああああ!!死んで!」
もう一度ふりあげようとしたエルの包丁を、京楽が奪う。
「エル、だめだ。人を傷つけてはだめだ」
「こいつは人じゃないわ!ヴァンパイアマスターよ!」
「ヴァンパイアマスター・・・・頭が・・・・・」
「素直に、京楽を解放しろ。そうすれば、命だけは助けてやる」
残酷に笑う浮竹に、魔女エルはきっと睨みつけた。
「嫌よ!京楽さんは私のものよ。私だけを見て、私だけを愛してくれると誓ったわ!」
「それが薬の効果でも?」
「そうよ!薬の効果でも、女神の秘薬よ!エリクサーでも解けなかった!もう、あなたに成す術はないのよ!諦めて帰ってちょうだい!」
「嫌だね。俺も今日からここに住む」
「京楽さん、何か言ってやって!」
魔女エルは、浮竹を追い出してくれるものだと信じていた。
「浮竹。君がよければ、こんな狭い家だけど、一緒に暮らそう」
「そんな・・・・京楽さん」
「どうしたんだい、エル。愛しているよ」
「うふふふ。京楽さんの愛は、私のものよ」
「本当にそうかな?」
浮竹は、血の魔法を使って、自分の指を切った。
にじみ出る鮮血に、ごくりと京楽が唾を飲みこむ。
「ああ、おいしそう・・・」
「ダメよ、京楽さん!あの人の血は猛毒なの!」
「そうなの?おいしそうなのに・・・・・・」
「私の!私の血を飲んで!処女の生き血よ!浮竹さんの血よりもずっとずっとおいしいはずだわ!」
魔女エルは、首を差し出す。
それに、京楽が噛みついて血をすする。
一口分も飲まない間に、京楽は牙をひきぬいた。
「どうしたの、京楽さん」
「まずい」
「え?」
「君の血がまずい。どうしてだい?君を愛しているなら、君の血は甘いはずだ」
不機嫌になる京楽の目の前に、ワイングラスが置かれた。
それに、浮竹が自分の手首をきって、滴り落ちる血を集めた。
「俺の血だ。飲んでみろ」
「浮竹の、血・・・・・」
ワイングラスを手にとり、魔女エルが止める間もなく、京楽は浮竹の血が入ったワイングラスの中身を飲み干した。
「甘い・・・甘すぎて、眩暈がする」
魔女エルは、絶望に顔を歪めた。
その日から、魔女エルに家には京楽の他に浮竹も住みつくことになった。
クスクスクス。
他愛ない会話をして、微笑み合う二人を、それでも京楽を手放すことができなくて、魔女エルは不思議な気持ち見つめていた。
「エルどうしたの。君を愛しているよ」
京楽はエルに愛を囁く。浮竹には愛を囁かない。
それでも、魔女エルといるより浮竹と一緒に過ごす時間のほうが、京楽には多かった。
「今日は一緒に寝よう」
「ええ、そうね!」
エルの寝室にやってきた京楽は、エルを求めた。
途中で違和感を感じた。
「やっぱり、勃たない・・・どうしてだろう。こんなにもエルを愛して、エルの子供が欲しいのに・・・・・・・」
「俺が相手してやろうか?」
ふと、眠っていたと思っていた浮竹が、寝室に入ってきた。
「浮竹!」
あられもない姿でいた京楽は、衣服を整えると、浮竹を抱きしめた。
「どうしてだろう。君を愛していないのに、体は君を求めている」
京楽のものは、浮竹を欲っして勃起していた。
「出てってちょうだい!さぁ、京楽さん、さっきの続きをしましょう?」
「うん、そうだね。おやすみ、浮竹」
「おやすみ、京楽」
浮竹はゲストルームに戻ってしまった。
硬く勃ちあがっていたものは、魔女エルの裸を見たとたん、萎えていた。
「あれ、どうして・・・僕は、浮竹に欲情しているのかな?」
「そ、そんなことないわ!いい加減、出ていってもらわないとね?」
魔女エルは、どうにかしてこの新居から邪魔者である浮竹を追放したがっていた。
「だめだよ!浮竹が出ていくなら、僕も出ていく」
「京楽さん・・・・・・」
もはや、薬の効果は薄れ始めていた。
刷り込み現象のように、エルに愛を囁くが、京楽の意識は浮竹に向かっていた。
「京楽さん、私と一緒に死んで?あの世で、永遠に一緒になりましょう?」
エルは包丁をもちだして、京楽の心臓を突き刺した。
次に自分の手首を切ろうとして、凄い殺気を感じてはっとなった。
「いやああ、私は!京楽さん、京楽さん」
「どけ、じゃまだ」
浮竹は、魔女エルを突き飛ばした。
魔神であっても、京楽はただのヴァンパイアロードだ。不老不死ではない。
心臓が再生されていくのを確認しながら、浮竹は念の為に傷口に自分の血を注ぎこみ、京楽を抱きしめた。
「ここまで愚かだったとは・・・・俺だけならいざ知らず、愛してるはずの京楽を傷つける。それがお前の愛し方か、魔女エル」
「違うの!違うのよ!!」
「もう、お前はいらない。死ね」
「いやあああああ!!京楽さんは私ものよ!私から奪わないでええええええ」
「ゴッドフェニックス!」
浮竹は、炎の不死鳥を呼び出すと、魔女エルを灰に変えてしまった。
「あれ・・・僕は何をしていたんだろう。浮竹?」
「京楽、お帰り」
浮竹は、涙を滲ませていた。
「なんだかよく分からいけど、ただいま」
こうやって、京楽はエルの死で惚れ薬の効果が切れて解放されて、浮竹の元に戻ってきた。
「本当に、お前という男は・・・・」
事情を聞いて、何度も謝る京楽に、浮竹はツーンを態度をとんがらせていた。
「そもそも、愛しい伴侶がいるのに、女なんかに近寄られて、変なものを飲まされるお前が悪い」
「だから、ごめんてば」
「ふん」
「今日の夜、たっぷり愛してあげるから」
耳元でそう囁かれて、真っ赤になる浮竹であった。
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「いいか、これはお仕置きだ。俺がいいっていうまで、これを外すなよ」
京楽のものは、根本が戒められていた。
「ああ・・・・十四郎。いかせてよ」
「だめだ。これはお仕置きなんだから」
騎乗位になって、浮竹は精液を弾けることができず、ずっと硬さを保ったままのそれを、自分の蕾にあてがい、ゆっくりと飲みこんでいく。
「あああ・・・・」
白い喉を見せ妖艶に笑う浮竹に、京楽はごくりと唾を飲みこんだ。
「んあっ」
下から僅かに突き上げられて、浮竹は声を漏らす。
「お仕置きなんだから・・・ひあっ」
ごりっと奥に入ってくるものに、浮竹が驚く。
根元を戒められているというのに、京楽は我慢しながらも浮竹を貪った。
「あああ!」
これでは、どっちがお仕置きをされているのか分からない。
「んああああ!」
ごりごりっと奥をすりあげられて、浮竹はせがんだ。
「春水、いっぱいだしてくれ」
「じゃあ、これとってもいいよね」
「仕方ない。とっていいぞ。ひあああああ!!」
浮竹の奥で、京楽はびゅるびゅると濃い精子を思い切り流し込んでいた。
いつもの2倍の時間をかけての射精に、浮竹もいっていた。
「あ、やあ、子種受けながらいっちゃううう」
「吸血もしてあげる」
肩に噛みつかれて、血をごくりと飲まれる。
その快感にも支配されて、お仕置きどころではなくなっていた。
「ああ、お仕置きが・・・ひあっ」
「我慢した後で出すのって、すごい快感。たまにはこういうのもいいね」
「ひああああ」
京楽は騎乗位から浮竹を押し倒して、ごりっと中を抉る。
その感覚に、浮竹はまたオーガズムでいっていた。
「ああああ!」
「ほら、十四郎、お仕置きは?」
「もう、やああっ」
「結局、僕がリードする羽目になるんだね」
薄く笑いながら、京楽は浮竹を突き上げる。
「やあああ」
「十四郎、かわいい」
「やあ、春水、お仕置き・・・」
浮竹は、自分の意思で京楽を締め上げる。
「んっ、そんなにされたら僕がもたなくなる」
浮竹の奥に精液を流し込む。
また締め付けられて、京楽は2回連続していっていた。
「確かに、お仕置き、だね。僕をこんな風にさせるなんて。十四郎、すごいね、君の中うねってしめつけてくる。熱いよ」
「あああん、春水、春水」
求められるままに口づける。
「んっ」
舌と舌が絡み合うキスを繰り返す。
もう、お仕置きとか関係なく、普通に交わっていた。
「んあああああ!!」
「くっ」
浮竹の最奥に精液を注ぎ込む。
浮竹はもう精を出し尽して、オーガズムでいくばかりであった。
「春水、愛してる。お前は?」
「僕も十四郎、君だけを愛しているよ」
「魔女エルにも愛を囁いていたくせに」
「あれは薬の効果だよ。僕が心から愛しているのは、十四郎、君だけだ」
お互いを抱しめあいながら、口づけを交わしていた。
「もう、惚れ薬なんて飲まされたりするなよ」
「そういう君も、記憶をいじられたりして、元血族にさらわれたりしないようにね」
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「そうか。魔女エルは滅んだか。もともと、うまくいくとは思っていなかった」
藍染は、城でワインを飲んでいた。
「魔女の里にいた魔族は、浮竹と京楽により滅ぼされました。どうなさいますか」
「放っておけ」
「はっ」
そう言って、部下は下がっていった。
「あなた」
「女神オリガか」
「言われた通り、攫ってきたわ」
「この子が、浮竹と京楽の友人か。まだ子供だが、守護騎士ということは、それなりに力があるんだろう。次回はこの子にいってもらおうか」
女神オリガが、血の帝国から攫ってきたのは、ルキアの守護騎士である日番谷冬獅郎であった。
冬獅郎は藍染の血を与えられて、狂暴化するのだった。
