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翡翠に溶ける 新婚旅行・後編

浮竹は、朝早くに起きた。

昨日、早めに眠ってしまったせいだった。

ふらふらと温泉宿の中をふらついていると、中庭に遅咲きの桜の大木を見つけ、靴にはきかえてその桜の大木によじ登った。

ちらちらと、桜は花びらを散らせていく。

しばらく眺めていると、うとうとと眠気がやってきて、気づくと数時間寝た後だった。

「京楽!」

放置してしてきてしまった京楽の姿を探す。

「なぁに?」

桜の大木から、返事がきた。

「ああ、京楽もそこにいたのか」

「この桜の大木、院生の桜にそっくりだね。どっしりしていて、枝に登っても折れる心配がない」

「そうだな」

「少しだけ、花をもらっていこう」

ぽきりと桜の満開の枝を折る。

「そんなことして、いいのか?」

「大丈夫。ここ、京楽家も運営に金だしるから」

なるほど。

道理で、従業員がみんな恭しく京楽に接するわけだ。

桜の枝を手に、京楽と浮竹は部屋に戻った。

花瓶をもってきてもらい、水を入れて桜の枝を活けた。

「さぁ、初夜といこうじゃないの」

「本気か!まだ日が高いぞ!」

「時間はいくらでもあるけど、暇だから。それに、昨日君を抱けなかったし」

褥をしいて、従業員に部屋に近寄らないように言いつけた。

「さぁ、浮竹、観念なさい」

「う・・・・・」

逃げ腰になっているところを捕らわれて、抱き締められた。

そうなると、あとは京楽のペースだ。

「大好きだよ、十四郎」

「あ、春水・・・」

唇が重なる。

深く浅く。舌が絡まるキスを何度も受けて、浮竹も京楽も、違いに熱が高まった。

浴衣なので、すぐに脱がせれた。

下着を脱がすと、お互い透明な蜜をだらだら零していた。

京楽は、それをパクリと口に含んでしまった。

「ひああああぁぁぁ!」

いきなりの衝撃に、浮竹が悲鳴に近い喘ぎ声をあげる。

「ううん・・・・・」

舌でくちゅくちゅと嬲られて、花茎を手でしごかれ、浮竹は一度目の熱を京楽の口の中に放っていた。

「んあああああ!」

「君の味は、相変わらず淡泊だね」

「味わうなぁ・・・・ひあああ」

脇腹をなであげられる。鎖骨から胸、臍にかけて舌が這い、キスマークを残していく。

「んあああ!」

潤滑油をかけた指が体内に入ってくる。

「ああああ!」

前立腺を刺激される。でも、それだけでは物足りない。

「キスを・・・・」

舌かが絡まるキスをされ、前立腺をコリコリといじられて、浮竹は二度目の熱を放っていた。

指が引き抜かれていく。

「ああ・・・・・・・」

次にくる衝撃に備える。

「ひああああぁぁぁぁあぁ!!!」

引き裂かれれた。

怒張した熱が、無理やり体内をかき乱す。

「あああ!」

前立腺を抉り、最奥までつっこまれる。

荒々しい動きに、けれど慣らされてしまった淫乱な身体は、すぐに馴染んだ。

「ううん!」

最奥を突きあげてくる。

その動きに、浮竹は生理的な涙を零した。

「うああああ!」

ずちゅんと奥を貫かれて、じんわりとした熱が腹の奥に広がる。京楽が、一度目の射精をしたのだと分かって、そうなるはずがないのに、孕まされた気分になった。

「俺が女なら、もう絶対に子ができてる・・・・・」

「そうだねぇ」

京楽は、ずちゅずちゅと音を立てて、犯してくる。

「あああ!」

くちゅり。

「あ!」

前立腺の一番いい部分を突かれた。

「いやああああ」

ぐちゅぐちゅとそこばかりいじられて、浮竹は3度目の熱を放っていた。

「あぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」

ドライのオーガズムでもいってしまったようで、浮竹の意識が飛ぶ。

ぺちぺちと頬を叩かれて、起こされた。

「僕、まだ二度目もいってないよ」

「ア・・体がもたない・・・・」

「大丈夫。今までも何回もあったじゃない」

「ああ!」

突き上げられて、京楽はやっと二度目の熱を浮竹の中に放った。

「んあああああ!」

ぐちゃぐちゃと、また内部を犯される。

「あ、もういけ・・・・きつい・・・・」

ぐっと下肢に力をこめて締め付けるが、京楽はいかなかった、

「なんで・・・・・」

「もっと、君を堪能したい。初夜だしね」

「俺たちの初夜は、とっくの昔に終わって・・・・・あああああああ」

ぐちゅりと、内部を犯す熱が質量を増した。

「君との初めてを思い出したら、元気になってきた」

「このばか!」

くちゅりと、前立腺の一点を抉られる。

「んああああぁぁぁぁぁ!」

浮竹は、4度目の熱を放つ。途中から透明な蜜になり、もうこれ以上出すものがないと分かった。

それでも、京楽はくちゅくちゅと前立腺の一点を攻めてくる。

「やああああぁぁぁぁぁ!」

ドライのオーガズムでいった。

「十四郎、かわいい。もっといって?」

「やああああ」

京楽も、やっと3度目の熱を浮竹の中に放ち、満足したのか内部から抜き取った。

こぽりと、京楽が出したものが逆流して下肢を汚す。

それを濡れたタオルでぬぐい、だしたものをかき出して、体全体もぬぐって、浴衣を着せた。

「もう、この旅行では、セックスはしないぞ」

「うん。僕も満足したからいいや。最高の初夜をありがとう」

1時間ほど休憩して、タオルで拭われたとはいえ、まだ気持ち悪かったので、露天風呂に行く。

京楽もついてきた。

「盛るなよ!絶対に、盛るなよ!」

「発情期の犬や猫じゃあるまいし・・・・・」

浮竹は、めんどくさそうに自分の髪を適当に洗う。

「ああだめだよ、そんな洗い方したら痛んじゃう」

浮竹の髪を手に取ってシャンプーとリンスまでしてあげた。

「リンスとか、女じゃあるまいし・・・・」

「君の髪は、そこらの女のものよりサラサラで気持ちいいからね」

お返しに、京楽の髪も同じシャンプーとリンスをしてやった。

皮肉のつもりであったが、喜ばれた。

「僕の髪まで、気を使てくれるんだね」

「お前には皮肉はきかないのか」

京楽をボディーソープで泡だらけにしてやった。

お返しにと、浮竹も泡だらけにされる。

シャワーで泡を流して、浮竹は髪をまとめて湯船に浸かった。

「はぁ、生き返る・・・・・」

「山じいみたいだね」

「先生は、温泉だと熱湯を好みそうだな」

笑い合った。

次の日は何もせず、ただお互いにキスをしたり抱き締めあったりして、いちゃついて終わった。

「世話になったね」

「京楽ぼっちゃん、またいらしてください。心待ちにしております」

「うんまた年内にでもくるよ。それじゃあね」

「お世話になりました」

「浮竹様、どうか京楽ぼっちゃんを頼みます」

浮竹は顔を朱くした。首とかに、キスマークが残っいたからだ。

「まぁ、任せてください」

そうして、新婚旅行は幕を閉じたのであった。





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翡翠に溶ける 新婚旅行・前編

死神になり、1年が経過した。

ある日、浮竹は学院の桜の下に呼び出された。

「どうしたんだ、こんな場所に呼び出したりして」

桜の雨が、今年も綺麗にちらちらと降っていた。

「君に渡したいものがある」

「また髪飾りか簪か何かか?」

よく、院生時代に翡翠の装身具をもらった。

「今日は、これを・・・・」

指輪だった。翡翠があしらわれているが、小ぶりで、指輪の内側にSYUNSUIとローマ字で彫ってあった。

「これは?」

「エンゲージリング。君に、永遠の愛を」

「京楽・・・・・」

涙が零れた。

浮竹の細い長い指に、エンゲージリングが光る。

「僕の分、君がはめてくれないかな」

「喜んで・・・・・」

JYUSHIROUと裏に彫られた、浮竹とお揃いのリングを、京楽の指にはめた。

「僕ら、男同士だから結婚はできないけど、これを結婚だと思って欲しい」

「新婚旅行にでもいくか」

笑ってそう言うと、浮竹は真面目な顔でこう言った。

「浮竹のところにも、土日を入れて4日分の休みを申請して通らせておいた。近場だけど、瀞霊廷内の温泉に、二泊三日の予約をとってある。それが新婚旅行だよ」

「本当に、新婚旅行に行くのか?」

「嫌だった?もっと違う場所が良かった?」

「いや、瀞霊廷の温泉で十分だ。日頃の疲れも癒したいし」

そして、いざ新婚旅行の日がやってきた。

浮竹はがちがちに固まっていた。

「ほら、近場なんだしそんなに硬くならないで。気楽にいこうよ」

「でも、新婚旅行なんだぞ?」

「山じいにも話は通しておいたから。仕事に追われることはないよ」

「お前、先生にまで・・・・・あーー、もう、なるようになれ」

浮竹と京楽は、その温泉にまでやってきた。

「京楽ぼっちゃん、よくぞお越しくださいました。そちらが、伴侶であられる浮竹様ですね?」

「おい、京楽!」

「いいのいいの。この人は、もともと京楽家お抱えの家人だった人だから」

「だからって・・・」

「今更じゃない。僕らが席官入りする時、山じいが僕らは付き合っているけど、波風をたてないようにって広めておいてくれたお陰で、僕らは尸魂界でも公認のカップルだよ」

「そうだったのか・・・・」

がくりと、膝をつく浮竹を見る。

「どうしたの」

「今まで、お前との関係があまりばれないように気を配っていたんだ。徒労だったのかと思って」

「あはは、これからはもっと堂々としてればいいよ」

「そうする」

浮竹は、部屋に荷物を置くと、下着とバスタオルと浴衣と温泉グッズを手に、早速露天風呂に入りにいった。

「もう、せっかちなんだから」

京楽も、一式を手に露天風呂に向かう。

「あー、極楽だ」

長い白髪を結い上げて、露天風呂に入らないよにしながら温泉に浸かる浮竹の姿があった。

「貸し切りだから、髪がお湯に触れてもいいよ」

「いや、マナーは守らないと」

「こっちおいで。髪洗ってあげる」

肩甲骨の下より長くなった髪を、髪飾りをとられて、さらりと背中に白い髪がかかる。

シャワーで、浮竹の髪を濡らしてやりながら、いつも使っている匂いのいいシャンプーで洗ってやった。

「そういえば、京楽も髪が伸びたな?伸ばすのか?」

「うーん、悩んでる」

「じゃあ、お揃いにするために伸ばそう」

「それより、僕の髪も洗って」

京楽のシャンプーは、薬用シャンプーで匂いは控えめだった。

京楽からは、いつも柑橘系の香水の匂いがしていたが、今日はつけてこなかったらしい。

これといった匂いはしない。反対に浮竹は、赤子の頃の花の神に捧げられ、愛されたせい甘い花の香をいつでもさせていた。

体も洗いあう。

お互い裸が見飽きていたので、隠すことはしなかった。

浮竹はまた髪をまとめて、湯船に浸かる。

「僕はもうあがるけど、のぼせないようにね」

「ああ」

10分ほど遅く、浮竹があがってきた。

「ほら」

フルーツ牛乳を手渡されて、服を着た後に腰に手を当てて一気飲みした。

「ぷはぁ、生き返る!」

風呂場で流した汗の、水分補給だった。

「夕飯はカニ鍋だって」

「カニ鍋!食べるの、何年ぶりだろう」

院生時代に数回カニ鍋を、京楽の料理人の手によって食べたことがあるが、死神になってからが食べていなかった。

6回生の頃も食べなかったので、実に2年ぶりだろうか。

「今からわくわくする」

やがて夕飯の時間になり、カニ鍋とカニの天ぷら、刺身が出された。天ぷらは、足の身の部分だけをあげていて、刺身も足の部分だけだった。

カニ鍋も食し、おまけの雑炊まで平らげると、もう流石にお腹いっぱいだった。

「今日は、疲れているだろうから寝ようか」

「いいのか?新婚なんだぞ?初夜は?」

「初夜は、明日のお楽しみだよ」

そ言われて、浮竹は頬を膨らませた。

「お楽しみなんてしてない!」

「またまたぁ。久しぶりに僕に抱かれるものあから、体が疼いてるんでしょ」

図星、だった。

「お前なんて知らない」

浮竹は、早々にしかれていた布団の中に入り、眠ってしまった。

「愛してるよ、浮竹--------------------」

京楽の囁きは、夜の闇に紛れていった。

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翡翠に溶ける 日常

死神になって、半年が経とうとしいた。

お互い、もう業務には慣れて、遅い時間まで仕事をすることはなくなった。

浮竹は、始め自分で全部処理していたのだが、5席の白銀が他の隊士も使えというので、仕事を分担させたら、今までの忙しさが嘘のように、静かになった。

睡眠時間も7時間はキープしている。

根を詰めすぎて、一度熱を出して倒れてから、浮竹に回される仕事の量も少し減った。

「今日は飲みに行こう!」

京楽を誘って、居酒屋に行った。

京楽は、学院時代からよく飲んでいたが、死神になってから、ストレスを発散するようによく飲んだ。

甘い果実酒をちびちびやっている浮竹に、金を出してやるからと、高めの果実酒がもってこられた.

それをぐいぐい飲んで、少し酔った。

京楽は、高い日本酒を頼んで、それを浴びるように飲んでいた。

「京楽、飲み過ぎじゃないか?」

「大丈夫大丈夫。僕、あまり酔わないから」

言う通り、飲んでも飲んでも、京楽は酔わなかった。

浮竹は酔っぱらっていた。

「京楽の性欲の権化が・・・・何度出したら、気が済むんだ」

他の客の視線を集めてしまい、京楽は店を浮竹と出た。

「うーい。俺はまだ飲めるのぞおおおお」

「今日はここまで」

「横暴だ!」

「君、酔っぱらいすぎだから」

「京楽の・・・・・・ZZZZZZZZZZZ」

途中で眠りだした。

院生時代から変わっていない。酒を飲み過ぎて酔っぱらうと、眠ってしまうのだ。

浮竹をおんぶして、京楽は自分の家に戻った。

それから、布団を2組しいて、京楽だけ湯あみをしてパジャマを着る。浮竹の死覇装も脱がして、泊まる時用に置いてあったパジャマに着替えさせた。

「本当に、手のかかる子なんだから・・・・・」

その日は、お互い何もせずに寝た。

翌日に、浮竹は血を吐いた。

「浮竹!」

4番隊で瞬歩で運びこむが、発見が早かったお陰で、回道を当てれてそのまま帰ってもいいと言われた。

念のために鎮痛剤を投与して、京楽の家の布団に寝かせた。

休みが溜まっていたので、浮竹も京楽も休みをとった。

数時間がたち、浮竹が目覚めた。肺に残る痛みに、顔をしかめる。

「君の発作を見るの、半年ぶりだね。ほんとは、影でもっと発作を起こしていたんでしょう」

「ばれてたか・・・・・13番隊でも少し大きな発作を起こして、4番隊に運び込まれた」

「その話、僕は聞いてないよ」

「心配をかけまいと思って」

「浮竹。今度から、発作を起こしたり熱を出して倒れたりしたら、ちゃんと教えてほしいな。君を心配することになるけど、何も知らされずにいるよりはいい」

「分かった」

その日は、京楽の館に泊まった。

発作は軽いもので、明日の仕事に支障はなさそうだった。

朝になり、朝食をとって、互いに反対方向に出勤する。

「浮竹3席」

「どうした、白銀5席」

「昨日、肺の発作を起こしたと聞いた。出てきても大丈夫なのか?」

「ああ、大丈夫だ。軽い発作だったし、4番隊で診てもらったが、支障はないそうだ」

「それな良かった」

白銀に抱き締められていた。

暖かな体温に驚く。

「白銀5席?」

「あ、ああごめん。君がこの前発作を起こした時、心臓が止まるかと思った。なんでもないのなら、本当によかった」

「心配をかけたようで、すまなかった」

その日の仕事は、簡単な書類作業だけで、早めに帰宅を許された。

することもないので、京楽の館で合鍵を作って持っていたので、中に入り布団をしいてごろごろしていたら、京楽が帰ってきた。

「あれ、浮竹?」

「京楽、お帰り」

「ああうん、ただいま」

適当に買い込んだ食材で、浮竹は二人分の夕食を作り、それを食べた。

「けっこう美味しいね。いいお嫁さんになれるよ」

「ばか!」

京楽の冗談に、頭をぽかりと殴ってやった。

力は入っていんかったが、京楽が声を出す。

「あいた」

二人して、笑い合った。

死神の業務にも慣れたし、二人きりの時間を作る余裕もでてきた。

「明日は休みだし、ゆっくりしようか」

京楽は、自分の屋敷からとってきた、囲碁を取り出してきた。

「ルール、覚えてる?」

「ああ」

「じゃあ、僕が先行で」

囲碁に将棋、花札。

ひとしきり時間を潰すが、京楽に問う。

「俺を抱かなくていいのか?」

「君は、まだ病み上がりだよ。来週まで、手は出さない」

「そうか」

次の日は、休日だった。

二人で、久し振りに甘味屋に出かけた。

学院時代から通っている壬生という老舗で、最近チェーン店を展開している。

ほどよく人がはいっていた。

空いている席を見つけて、注文する。

「おはぎを10個。白玉餡蜜とぜんざいを3人前。あと抹茶アイスを1人前」

「僕はは羊羹と団子を1人前」

「畏まりました」

給仕係は、一人で大量に注文する浮竹に驚いていたが、営業スマイルを浮かべてオーダーを通した。

ほどなくして、注文した品がそれぞれやってくる。

浮竹は、よく食べた。

その細い体の何処に、それだけの量が入るのだというくらい食べた。

勘定は、京楽もちだった。

3席の給料なんて、京楽にとってはお小遣い程度だ。

浮竹は仕送りを打ち切られて、自分の薬代を出して飲食に使うだけで精一杯で、趣味とかに金が使えないでいたから、浮竹に小遣いをあげた。

始めはいらないと言っていたが、3席の給料では困窮して、ついにお小遣いをもらってしまった。それから、毎月浮竹は、京楽からまとなったお小遣いをもらうようになって、高くて買えなかった肺の薬の新薬を買った。

効き目は順調で、しばらくは肺の発作も出なかった。

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翡翠に溶ける 死神の時間

死神の3席にお互いがなって、3週間が経とうとしていた。

「浮竹3席、この書類を片しておいてくれ」

「浮竹3席、この書類にサインを」

13番隊で、浮竹は目の回るよな忙しさを体験していた。実習の時とは全然違う。

やっとのことでお昼休憩をもぎとって、食堂で遅めの昼飯を食べた。

「ああ・・・学院が懐かしい」

自由な時間が多かったあの懐かしい青春時代。

昼休憩を1時間ほどとった後は、5席と一般隊士を連れての虚退治だった。

浮竹は、次々に虚を駆逐していく。

「5席、そっちにいった」

「ああ」

5席は、当たり前のように虚を切りすてた。

「浮竹3席、3席の地位には慣れそうか?学院を卒業したばかりでいきなり3席はきついんじゃないのか」

「心配してくれてありがとう。ぼちぼちやっていくさ」

「俺は白銀音羽。改めてよろしく」

「俺は浮竹十四郎だ。よろしく」

死神の職場で初めてできた友だった。

一緒に鍛錬し、仕事をして、虚退治尾して、休憩し、昼も一緒にとった。

いうの間にか、京楽がいるはずの隣には、白銀がいるようになっていた。

「今度の土曜、飲みに行かないか」

「すまない、土日は恋人と過ごすって決めているんだ」

「ああ・・・噂の、京楽春水か」

「え、知ってるのか?」

「今度の3席は、学院時代からの男の恋人がいるって女子が騒いでいたのを耳にした。山本総隊長からも知らせを受けてあるから、誰も気味悪がったりしてないだろう?」

「先生が・・・・」

じわりと、涙が浮かんだ。

京楽と浮竹の関係を事前に知らせることで、互いを別れさせようとする動きを封じるものだった。

「なぁ、俺と付き合う気はないか?」

「え?」

「初めて見た時、なんて綺麗な子だと思ったんだ。まぁ、京楽がいる限り望みは薄いが、蚊投げておいてくれ」

「考えなくても、俺は京楽と別れるつもりはない。友人として、傍にいてくれ」

「分かった」

白銀に告白されたが、よき友人としての付き合いは壊れなかった。

やがて土日がきたが、休日出勤になった。

代わりに、来週の月曜と火曜に休みをもらった。京楽に済まないと詫びて、土曜の夜にへとへとになって帰宅したら、京楽がいた。

「京楽・・・・・」

「随分疲れてそうだね。通るか分からないけど、休日を来週に月曜と火曜になるように申請しておた。おいで」

京楽の胸に飛びこんだ。

「ああ、君の甘い花の香がする・・・会うの、3週間ぶりだね」

「京楽、仕事が忙しくて、あまり時間をとれず、会いにいけなくてすなまい。せっかくの土曜も、もうこんな時間だ・・・・・・」

「君と会えただけでもいいよ。食事はとった?」

「まだだ」

「じゃあ、食事して湯浴みして、一緒に寝ようか」

「セックスはしなくていいのか?」

「君の睡眠時価の削らせてまでするほど、僕は鬼畜じゃないし、溜まったら自分で処理するから」

「そうか・・・・・」

京楽家の料理人が作ったというお弁当を口にした。

久し振りの味で、はしが止まらなかった。

それから二人で湯あみをして、話し合う。

「僕のいる8番隊の隊長は、すごくできた人でね。仕事は確かにあるけど、君のとことろほど忙しくないよ」

「そうか。13番隊の隊長も立派な人だが、事務処理が遅くてな。副官以下がいろいろとサポートに回っていて、3席の俺のところにも事務仕事が舞い込んできて、忙しい」

「大丈夫?発作を起こしたり、熱は出てない?」

「ああ。今のところ、大丈夫だ」

そのまま、浮竹は明日も仕事があるので0時前にはお互い眠った。

学院時代は8時間以上眠っていたが、死神としての激務に追われて、平均睡眠時間が6時間を切った。

結局京楽の月曜と火曜に休日を申請したのは通らずに、浮竹は一人、月曜を寝て過ごした。

火曜に、京楽の家にいくと、少し早く帰ってきていた京楽と出会った。

「京楽!」

浮竹は、京楽に抱き着いた。

「どうしたの、こんな時間に・・・・ああ、浮竹は休日だったね」

「そういう京楽こそどうしたんだ、こんな時間に」

「それが、仕事がもうないって帰されちゃった」

「京楽・・・・しよう」

はっきりとは言わなかったが、何を言いたいのかは理解した。

京楽の館で、お互いの死覇装を抜がしていく。

「ああ・・・君を肌を重ねるの、3週間ぶりだね。自分で処理してたけど、やっぱり本物がいい」

浮竹は、この3週間処理をしていなかったので、溜まっていた。

「ああぁぁ・・・・・・」

胸の先端を舌で転がされて、舌が絡むキスをしているだけで、先走りの蜜がぽたぽたと垂れてきた。

「溜まってそうだね。処理してなかったの?」

「京楽に抱かれるために、我慢していた」

京楽は笑って、浮竹を抱き締めた。

「十四郎は、かわいいね」

「そんなことを言うのは春水、お前くらいだ」

潤滑油で濡れた指では物足りず、おざなりに解してもらって、早くと急き立てた。

「お前と、一つになりたい」

「ちゃんと解しておかないと、つらいよ」

「潤滑油でなんとかなる」

指でしばらく前立腺をいじっていたが、浮竹がいかないので、指をひきぬいて京楽は己を宛がった。

「ひあああああぁぁぁあぁ!」

待ち望んでいた衝撃に、浮竹の花茎かた白濁した液が漏れた。

「ああ、いい・・・・もっと・・・・・」

ずちゅずちゅと音を立てて、京楽のものが出入りする。

「んあああ!」

浮竹は、前立腺をすりあげられて、二度目の熱を放った。

まだまだいけそうだ。

「あああぁぁぁぁ!」

京楽の腰を足で挟み込み、背中の手を回す。

「久しぶりだからかな・・・君の中、凄いね」

吸い付いてくる。我慢できずに、京楽も一度目の熱を浮竹の中に放つ。

「んあぅ・・・・」

最奥をズチュンと突き上げられて、浮竹の体が痙攣する。三度目の精液を吐きだしていた。

「本当に、どうしたの・・・・」

「お前を思って、抜こうとしたけど、たたなかった。無理やりたたせることもできたけど、やめておいた」

「ああ・・・・抱かれ慣れちゃたんだね」

「ああああぁぁぁあ!」

京楽の怒張したものが、浮竹の中を穿つ。

京楽は、浮竹を立たせた。ふらつく体を壁に背を預けさせて立たせて、そのまま挿入した。

「ひあああああぁぁぁぁ!」

普通に抱き合うのとが違う角度を抉られて、浮竹が啼く。

その片足を肩に抱え上げて、無理な体勢で突き上げると、浮竹は京楽の肩に噛みついてきた。

「いい・・・ああ、もっと」

ぐちゅぐちゅと中を犯される。

京楽は、二度目の熱を浮竹の中に放つ。

そのまま、立ったままお互い元気まで交わった。

「ひう!」

浮竹の中締まり、京楽も何度目も可も分からない熱を放つ。

浮竹も4回以上は射精して、あとはドライのオーガズムで何度もいった。

お互い、ぐずぐずに溶けていく。

「お風呂、入ろうか」

精液でドロドロになった体に鞭うって、湯浴みをした。

浮竹の中に出したものをかき出すと、けっこうな量になった。

「きもちよかった?」

「意識が、何度か飛んでた」

「そうみたいだったね」

「お前の動きで覚醒を繰り返した」

「無理させちゃったかな?」

「いや。俺も溜まっていたから、スッキリした」

互いの体を洗いあって、その日は早めに寝た。

明日も仕事だ。睦みあって疲れていたので、互いに意識は闇に滑り落ちていった。

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翡翠に溶ける 卒業

6回生の冬がきて、そのまま季節は進み、春になった。

死神統学院の卒業式が行われた。

その場にいた者のほとんどが、護廷13隊の隊士として死神になるのは決まっていた。

卒業生代表には、浮竹が選ばれた。

スピーチをする。

山本総隊長からの言葉を聞く。

「皆、6年間よう励んだ。このまま護廷13隊入りする者がほとんどだと思う。護廷13隊の死神になっても、ここで学んだことを忘れず、尸魂界のために命を賭けて守りぬくのじゃ!」

わああと、歓声があがった。

山本総隊長を会えることなど、滅多にないのだ。

山本総隊長じきじきの言葉に感動して、泣き出す者が後を絶たなかった。

浮竹も、この6年間を思い、じんわりと涙を浮かべていた。

もう、浮竹の髪は背中の中ほどに届くまで長くなった。今日はその髪を京楽の手で結い上げられて、プレゼントされた翡翠の髪飾りで留めていた。

この6年間、京楽とずっと一緒だった。だが、今日からは別々の道を歩み出す。

浮竹は13番隊の3席として、京楽は8番隊の3席として。

学院はじまっての、卒業と同時の席官入りだった。

「春水、十四郎」

恩師に呼ばれて、理事長室までやってきた。

「春水、十四郎、お主らは春休みが終わると同時に、3席として働いてもらうことが決まっておる。学院時代のように、常に一緒にはおれぬ。それは分かっておろうな?」

「それくらい分かってるよ、山じい」

「分かっています、先生」

「それならよいのじゃ。春水と十四郎にこれを」

花天狂骨と双魚理を渡された。

「え、なんで山じいが?」

「バカ者!浅打として己の斬魄刀として配られたものを一度回収して、卒業と同時に死神になった者に渡すのじゃ!」

「え、そうなの」

「京楽、俺は知っていたぞ」

「え、じゃあ教えてよ」

「いや、お前が知らなかったことを知らなかった」

「そりゃそーだよねぇ」

笑い合う二人に、山本総隊長が厳しい目を向ける。

「これからは、生と死は紙一重の世界じゃ。分かっておろうな?」

「実習で、何度も虚退治をしたし、隊士の死も経験した。大丈夫だよ。僕らは強い。そうそうのことがなれば、死なないさ」

「それもそうじゃの」

山本総隊長も、納得したようだった。

「これより、京楽春水及び浮竹十四郎を、それぞれ護廷13隊の8番と13番の3席に任命する!」

「分かったよ、山じい」

「謹んで、お受けいたします」

二人は、その日最後の寮での一日を過ごして、京楽の人手を借りて、寮を引き払うために荷物を全て京楽も浮竹も、席官クラスの者に与えられる館に移動した。

「京楽も席官クラスに与えられる館で寝泊まりするのか?自分の屋敷に戻らないのか?」

「屋敷から、わざわざ毎日出勤するのがめんどくさい。与えられた館のほうが断然近いし。別に贅沢を求めてるわけじゃないから、小さいけど館でいいよ。」」

今まで広いとはいえ、寮の二人部屋で二人で暮らしていたのだ。例え、一人用の館でも我慢しようと思えばそれなりになった。

「そうか。ならば、それでいい。もしも、逢瀬の時はどうする?」

「互いの館か、僕の屋敷を使おう」

「分かった」


週末、その日は最後だったので、京楽の館で体を重ねた。

キスを何度も繰り返した。

明日からお互い死神としての生活のスタートだ。

「んあ・・・・・」

もう何度目になるかも分からないキスを繰り返す。

院生の寮を出る日の前日に体を重ねたが、実に2週間ぶりだろうか、体を重ねるのは。

いつも3~4日に1回は睦みあっていたので、浮竹の体調が悪い時い以来くらい、体を重ねていなかった。

「ううん・・・・」

口の中に指を突っ込まれた。それに舌を這わす。

「久しぶりだけど、明日から本番だからね。混じり合うのはやめよう」

「どうするんだ?」

「久しぶりに素股でお願い」

「分かった」

太腿をきゅっと閉めて、そこに京楽の怒張したものが出入りする。潤滑油をつけていたので、ぬるぬるとよく滑った。

「ああ、ああん」

素股をされながら、前をいじられる。

何度も扱われて、精液をはきだしていた。

「ひう」

はきだしたばかりなのに、またぐちゃぐちゃと花茎を扱われた。

「いあああ、きょうら・・・・ああああ」

連続していってしまった。

びくんと浮竹の体がはねる。

「君の声、いいね。素股でも最高だ」

京楽は、浮竹の素股で二度ほど欲望を吐きだして、後はお互いをいじりあった。

「あああ・・・・・」

京楽の口腔に入れられる。口に含まれて、口淫で攻められて、浮竹は3度目の熱を京楽の口の名中に放った。

「ひああああ!」

「もっと出るでしょ?」

「や、もう無理・・・・・」

また、ねっとりとまた口腔に含まれて、しごかれると4度目の薄い精液を吐きだしていた。

「もう流石に出ないか」

「やあん・・・も、無理・・・・・・」

「じゃあ、僕のほうをお願い。手だけでいいから」

潤滑油にまみれた京楽のものをくちゃくちゃと手で滑らせていくと、3度目の熱を浮竹の手にはだした。

「まだ、いけるのか?」

まだ萎えない京楽のものを扱う。

4度目の熱を放ったところで、ようやく京楽も満足した。

「一緒にお風呂入ろうか」

「変なことはなしだぞ」

「流石に、僕もこれ以上たたないよ」

二人で入るには狭かったが、我慢して浴槽に浸かる。

お互いの髪と体を洗った。

「君の髪、長くなったね」

「そろそろ切ろうと思うのだが」

「だめだめ!腰まで伸ばして!」

「でも、いろいろとめんどくさい・・・・・」

「ここまで伸ばしたんだから、もう少しだよ。君の白い髪はとても綺麗なんだ。日に透けると銀色に輝いて、まるでプラチナだ」

「褒めすぎだ」

「今日は最後の日だし、一緒に寝よう」

一組の布団で、眠った。

ベッド以外で寝るのは久しぶりだったが、これが普通なのだ。


「おはよう」

「おはよう」

京楽家の料理人に作らせたという、朝からわりと豪華な食事をした。

「今日から、お互いに3席だね。頑張ろう」

「ああ」

食事がすむと、舌を絡めらうキスをして、抱き締めあい、別れを惜しんだ。

「これからしばらく会えないなると思うと、寂しいね」

「週末にはまた会えるさ」

「そうだね。週末の土日は休みなんだし」

死神の業務も、忙しい時は休みがない時もあるが、基本土日は休みだった。

「じゃあ、行ってくるよ」

「ああ、俺も行ってくる」

互いに、反対方向に向かって歩き出す。

今日から本当の死神だ。

でも、また週末に会えると思えば、それも苦にならなかった。





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焦げたクッキーとエンゲージリング

白哉は甘いものが好きではない。

嫌いな部類に入るが、食べられないわけでもなかった。

ルキアが、一護に手作りクッキーをあげるのだと、オーブントースターの前でそわそわしていた。

「ルキア、私もそのくっきーなるものを作ってみたい」

そういうと、ルキアは喜んだ。

「恋次のためですね?あの幸せ者が・・・・・・・」

ルキアに手伝ってもらい、あらかた完成した。そこで、ルキアのクッキーが完成してしまい、ルキアは現世にいってしまった。

レシピが残されてういたが、ちんぷんかんぷんで、困り果ては白哉は清家を呼んだ。

「お呼びでございましょうか、白哉様」

「清家。この、くっきーなるものを完成させたい」

「クッキーですか。レシピはあるので、その通りにつくってしまいましょう」

ほとんど清家に作ってもらった。

後は焼くだけだのだが、どれくらい焼けばいいのか分からなかったので、適当に焼いたらこげた。

「これは・・・失敗、でしょうか」

「失敗でも構わぬ。どのみち、うまくできるとは考えていなかった」

適当にラッピングをした。

「恋次様に、渡されるのでですね?」

「そうだ」

「では、私はこれで・・・・・・」

清家は下がってしまった。

「さて、どうしたものか・・・・・」

作ったはいいが、いざ手渡すとなるとドキドキしてきた。

失敗作ではあるが、作り直すだけの材料もなかったし、最初からの作り方なんて知らないので、ちんぷんかんぷんだった。

「ストレートにいくか・・・・」

次の日、6番隊の執務室にいき、仕事をしている恋次に、クッキーの入った包みを渡した。

「なんすか、これ」

「ルキアと清家に手伝ってもらったが、私の手作りだ。失敗作だが」

「隊長の手作り!」

恋次は喜んで、クッキ―を受け取った。

「これは・・・犬?」

「兎だ」

「これは・・・猫?」

「ペンギンだ」

むすっとした表情の白哉を抱き締めた。

「そんなに不機嫌な顔をしないでくださいよ。せっかくの美人が台無しだ」

「知るか」

恋次の手から逃れて、白哉は仕事を始めた。

「焦げまくりですね」

「嫌なら捨てろ」

「そんな勿体ない真似、できるはずがありません!」

恋次は、焦げたクッキーを口に運ぶ。

「ちょっと始めは苦いけど、その後に甘味きて・・・・・おお、これ意外とうまいっすね」

「そうなのか?」

「そうなのかって、隊長、味見は?」

「そんな甘そうなもの、口すると思うか」

「いえ、思いません」

自分で質問しておいて、即答した。

「ルキアがいる時なら、また作ってやってもよい」

その肝心のルキアは、今は現世だ。一護の元へ、形式的には嫁入りに行った形となる。

白哉はルキアを愛しているので、いずれ黒崎一護を本物の死神化させて、朽木家に婿養子にとろうと思っていた。

「ルキアが、黒崎一護とできているのは知っているな」

「はい。一護のやつ、ルキアにベタ惚れですよ」

「いずれ死神化させて、ルキアの婿養子にとろうと思っている」

その言葉に、恋次が驚いた。

「ちょっと、隊長!」

「なんだ」

「一護を朽木家に入れるつもりですか!」

「そうだが、それがどうした」

「いいんですか。貴族の掟とか・・・・・」

白哉が、少し悲しそうな目をした。

「当主は私だ。ルキアを、最初、私は見殺しにしようとした。貴族の掟を守るために。あれには、幸せになってほしい・・・・・・・」

ルキアの幸せのためならば、一護を死神化させた後なら婿養子として、婚姻を許そうと思った。

「じゃあ、俺たちも幸せにならないと」

「言っておくが、式など挙げぬぞ」

「違いますよ。指、出してください」

素直に指を出すと、恋次は懐から小さな箱を取り出した。中には、プラチナでできた指輪が入っていた。

「これ、内側に俺の名前彫ってあるから」

ローマ字でRENJIと彫られてあった。

それを、白哉の指にはめた。

「これは?」

「エンゲージリング。婚約の証。俺にとっちゃ、結婚に近い」

「このような安物・・・・」

「プラチナですよ?けっこう高かったんですから」

「こんなものを、ずっとはめていろと?」

「別にいいじゃないですか。俺にも、はめてください」

恋次に、BYAKUYAと彫られたエンゲージリングをはめた。

「これで俺たち、結婚したも同然だからさっそく今日から子作りを・・・・」

「破道の4、白雷」

浮かれ過ぎていた恋次に、お灸をすえる。

「すんません。調子に乗り過ぎました。でも、指輪ははめていてください。俺の想いの、全てがつまってますから」

「ふん、こんなもの・・・・・」

そう言いながら、白哉はエンゲージリングを外さなかった。

「ああもう、あんたかわいすぎ。今すぐ食べちゃいたい」

「破道の・・・・・・」

「すみません、言いすぎました!」

クッキーのお礼がエンゲージリングとは、つり合いがとれないが。

素直にはならないが、薄く笑みを浮かべて幸せそうな白哉がいた。

その顔を見るだけで、恋次は白哉を抱きたくなり、その気を紛らわすために抱き締めて、キスを繰り返すのであった。






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朝顔

夏だった。

うだるような暑さになる前の朝、朽木家ではいろんな色の朝顔が、狂い咲きのように咲き誇っていた。

白、水色、紫、青紫、ピンク、紅色、赤紫・・・・・・。

いろんな色の朝顔を一輪づつ摘み取って、白哉は押し花を作ろうとしていた。

「兄様、早起きですね。そんなに、朝顔を摘み取って、いかがなされるのですか?」

「押し花にして、恋次にやろうと思う。あやつの誕生日が近いのだ」

「兄様は、本当に恋次を愛していらっしゃるのですね」

ルキアの言葉に、白皙の美貌の頬に朱がさす。

「そんなことはない」

「隠さなくていいのですよ、兄様。私と一護も、愛し合っております。愛に、性別や年齢など関係ありません」

「そういうものなのか?」

「そうです!恋次の奴、兄様から手作りの誕生日プレゼントをもらうなんて羨ましすぎる」

「ルキアの分も作ってやろう」

「本当ですか、兄様」

ルキアが顔を輝かせた。

庭に戻り、違う色をの朝顔をもう一輪ずつ摘み取って、押し花にした。

押し花にした朝顔ををいれて、薄いうちわを作った。

それをルキアにやると、ルキアはとても喜んだ。

「わぁ、綺麗ですね。それにうちわなら、夏の間中肌身離さず使えます」

「そうだな」

ただの押し花など、もらっても飾るだけだ。

だから、わざわざうちわにした。

数日が過ぎ、恋次の誕生日になった。

6番隊にいくと、恋次がいた。そわそわしているようだった。

執務室にいくと、恋次はこう切り出してきた。

「今日は俺の誕生日なんです」

「それがどうした」

しゅんとなる恋次。

「・・・・ほしい」

「なんだ?」

「誕生日プレゼントに、あんたが欲しい」

白皙の美貌が朱くなる。

「朝からお前は何をいっておるのだ!」

「だって、せっかく隊長が俺を愛してくれるようになったんすよ。誕生日プレゼントに体調をもらってもいいじゃないですか」

「誕生日プレゼントなら、もう用意してある」

「え。また高級な酒とかですか?」

「違う。私の手作りだ」

「隊長の手作り!早く見せてください」

朝顔の押し花をいれたうちわをとりだして、恋次に与えた。

「ほー。綺麗なもんですね。朝顔ですか。めっちゃ嬉しい」

恋次は本当に嬉しそうに、はにかみながら笑って、うちわで風を白哉のほうに送った。

「自分で使え。私はまだ暑くなどない」

「大切にしますね。それより今夜・・・・」

しつこいと恫喝しようかとも考えていたが、最近体を重ねていないし、誕生日だからいいかと、白哉も思った。

「今年だけだ。誕生日プレゼントに、「私」をやる」

「おっしゃああああ」

恋次は飛び上がって喜んでいた。


夜になり、逢瀬のときに使う館にきた。

今日も、御馳走と美味い酒が用意されてあった。食後にと、鯛焼きがだされる。

「何から何まですみません」

鯛焼きをおいしそうに頬張りながら、酒を飲んだ。

ほろ酔い気分のまま、同じくほろ酔いの白哉に手を伸ばす。

「恋次・・・」

上目遣いで、潤んだ瞳に見つめられて、気づけば白夜の唇を奪っていた。

「ううん」

舌が絡むくらいの深い口づけを繰り返し、抱き上げて褥に寝かせる。

「隊長、好きです。誕生日プレゼント、いただきます」

そう言って、白哉の隊長羽織に手をかけ、死覇装を脱がしていく。

日に焼けることのない真っ白な肌が露わになる。

脇腹を撫でて、薄い胸と腹にかけて手を這わせていく。

「あ・・・・・・」

鎖骨に噛みついて、キスマークを残した。

鎖骨、胸、臍にかけていっぱいキスマークを残す。

胸に手をやり、先端をひっかくと、白哉がびくんと反応した。

「恋次・・・・・」

白い太腿に吸い付いて、たちかけていた白哉の花茎に舌を這わした。

「ああ!」

ねっとりと、口腔に包まれて、何も考えらえなくなる。そのまま与えられる刺激のままに、白哉は熱を恋次の口の中に放っていた。

「けっこう睦みあってないけど、相変わらず薄いですね、あんたの。一人で、してるとか?」

「そのような真似はせぬ・・・・」

元々、性欲に淡泊すぎて、一人で抜くなどという行為はごく稀にしかしてこなかった。

性欲がおおせいの恋次の手にかかると、白哉はあっけなく陥落してしまう。

潤滑油で濡らした指を侵入させる。

「ああ!」

中でぐっと指を折り曲げられて、前立腺に当たり、白哉は啼いた。

「ひあう!」

ぐりぐりとそこばかりに刺激を与えられる。

やがて指が、引き抜かれ、怒張したものが宛がわれた。

「ひあああああ!」

ゆっくりと侵入してきた。引き裂くように一気に侵入されても痛みはあるが、ゆっくり挿入さっれても引き攣るような痛みを感じた。

「すんません、ちょっと我慢してください」

奥まで届くと、なえていた白哉の前をいじりながら、律動を始める。

「んああああ!」

恋次の手が、しつこく白哉の前をぐちゃぐちゃといじり、先端に爪を立てられて、白哉は二度目の熱を放っていた。

「ああ・・・・んあ・・うああ」

ぐちゅぐちゅと中を犯される。

恋次も、白哉の締め付けに耐え切れなくなり、一度目の熱を白哉の腹の奥にぶちまけた。

「ひあ!」

じんわりと広がっていく熱も快感で。

「ひあっ!」

騎乗位にされた。

ずぷずぷと、自分の体重で恋次のものを飲み込んでいく。最奥まで届いて、白哉は恋次の胸に手をついた。

「はぁっ・・・・・・」

「自分で動いてくださいよ。腰ふって」

「そのような真似は、死んでもせぬ」

「仕方ないなぁ」

恋次が下から突き上げると、白哉は少し長い黒髪を宙に舞わせた。

「あ、あ、あ・・・・・・・」

ずっずっと、穿ってくる熱は、けれど白哉のいいところをついてくれない。

快感を追って、自然と少し動いていた。

「あーすげぇ。隊長が・・・・嘘みてぇ。淫らになっちまって」

「そうさせたのは、お前であろうが!」

「愛してます、隊長」

「あ、私も愛している、恋次」

白哉を押し倒した。

ぐりっと深く内部を抉られて、白哉が痙攣する。

三度目の熱を放っていた。

「けっこういきましたね。そろそろ出すもんもねーか。でも、ドライのオーガズムでもあんたはいけるから、関係ないか」

ぐちゅりと最奥を犯された。

恋次も、二度目の熱を白夜の中に放つ。

「俺若いから・・・・もうちょっと、付き合ってください。隊長もまだまだ若いから、大丈夫でしょう?」

「ん・・・・疲れてきた・・・早く、終わらせろ」

「快感続きで疲れた?」

「世迷言を・・・」

ずちゅんと音をたてて、最奥までこじあげる。

「ひあう!」

「ここ、いい?」

「いあ、やああああ」

白哉の悲鳴に似た喘ぎ声を聞きながら、前立腺をすりあげるのと同時に奥の奥まで犯した。

「いやああああ」

ビクンと、白哉の体がはねる。

もう、白濁した液体は出てこず、透明な蜜をたらたら零して、ドライのオーガズムでいっているらしかった。

「ああああ!」

何度もこすりあげ、穿って、恋次は三度目になる熱を白哉の腹の奥で弾けさせて、満足して抜いていく。

こぽりと、恋次が吐きだしたものが溢れてくる。

「湯殿、いきましょうか」

「一人で立てぬ。肩を貸せ」

白哉を抱き上げた。

そのまま湯殿で体を清めて、恋次は中に放ったものをかき出す。

「うん・・んあああ・・・・・」

その声と艶のある表情に、おさまっていた熱がまたずくりと疼いてたちあがっていた。

「すんません、もう一度お相手お願いします」

「このばか!」

怒られたが、白哉は相手をしてくれた。

「ああん・・・もう・・・・やめ・・・・・・」

白哉の最奥を何度も犯して、恋次はまた熱を吐き出して、今度こそ満足して終わった。

中に放ったものを、またかき出す。

「ん・・・」

「隊長、後始末するとき、誘うように声を出すの、やめれませんか」

「さ、誘ってなどおらぬ!それに、声は自然と漏れてしまうのだ!」

「隊長の声、すごく腰にくるから・・・・」

「知らぬ!」

白哉はそっぽを向いた。

シャンプーで髪を洗ってあげて、ボディソープで体を洗ってあげた。

白哉は何も言わないが、気持ちよさそうにしていた。

湯船に浸かり、自然と吐息がもれた。

「お前に抱かれるのは、嫌いではないが体力がいる」

「すみません。隊長相手だと、我慢の歯止めが効かない」

「浮気されるよりは、よい」

白哉は、湯の中で身動ぎして、恋次と触れるだけのキスをした。

「浮気だなんて、するわけがないでしょう!」

「昔、私を思いながらルキアも思っていたであろう」

「あの頃は・・・まだ、隊長とこうなるとは思ってなかったから。って、あの頃からって・・・知っていたんですか?」

「ずっと私の方ばかりを見ていたであろう。副官になったばかりのくせに、私の後ばかりをついて回って。気づかぬほうがおかしい」

白哉は、お湯を恋次かけた。

「うわぁ、俺ってそんなに隊長べったりだったかなぁ」

「自覚がなかったのか」

「でも、お陰で隊長に気づいてもらえて、告白を受け入れてもらえてて、恋人同士になれて俺は幸せです」

「恋人同士か・・・・」

ふと、遠い目をする白哉。

「はい。あんたとの関係は、昔の肉体関係だけじゃない。心も伴っている」

「まぁよい。今の関係を恋人同士と認めておいてやろう」

「隊長も、素直じゃないなぁ」

「そのまたについているもの、よほどいらぬと見える」

「じょ、冗談です!のぼせたら大変だから、湯からでましょう!」

恋次の刺青が見事な、鍛え上げられた体をみる。

白く細い、しなやかな筋肉しかついていない自分の体を見る。

「お前のようには、私はなれぬであろうな」

「何がですか」

「体つきだ」

「隊長は今のままがいい!白くて艶めかしくて、細いけどちゃんと筋肉があって・・・・見ているだけで、たっちまいそうな」

「世迷言を」

「本気ですってば」

夜着を着ながら、恋次の言葉を戯言として捨てる。

「でも、これだけは本当だ。あんたを愛している:

抱き寄せられて、口づけされる。

「私も、お前を愛している・・・・誕生日おめでとう、恋次。「私」のプレゼントは堪能したか?」

「はい、勿論です!」

恋次の笑顔が、眩しかった。


朝起きて、自宅に帰ると朝顔が咲き乱れていた。

けれど、朝方しか咲かずに昼にはしおれてしうまう。

美しいが儚い。

まるで、この身に宿る想いのようだ。

朝顔は、狂うように咲き乱れるのであった。







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ある朝に

「隊長!」

恋次が、白哉にまとわりつく。

「うるさい」

白哉は、恋次のことなど無視していた。

「隊長ってば!髪はねてますよ」

「知らぬ」

「隊長、ちょっとちゃんと聞いてますか、隊長!髪の毛、はねてますよ」

「む?」

鏡を見る。

ちゃんとセットしてきて、牽星箝もつけてきた。

それなのに、右側の髪が外側にはねていた。

「寝癖であろうか・・・」

白哉の髪は、サラサラの猫っ毛で、寝癖はあまりつかないのだが、その日は珍しく寝癖がついてしまっていたようだった。

「む、直らぬ・・・・」

「ちょっと貸してください」

恋次はどこからもってきたのか、ヘアーアイロンをもちだしてきた。

はねた部分の髪を水で濡らして、ヘアーアイロンで真っ直ぐに伸ばした。

「ほらできた。いつものかわいい隊長の完成です!」

「かわいいは、余計だ。礼を言う。それより、そんなものどこから手に入れた」

「ああ、これは俺のです。俺、髪がはねやすいんで」

「恋次の髪は、少し硬いな」

恋次の髪を指で、白哉がすいていく。

「あんた、誘ってる?」

「なぜ、そうなるのだ」

「だって、いつもより積極的だから」

頬を朱くする白哉に、恋次はキスをした。

「ふあ・・・・・・」

「隊長、かわいい。食べちまいたい・・・・・」

「世迷言を・・・・・」

恋次をしっしと追い出そうとするが、恋次は白哉の傍から離れなかった。

「なんなのだ、お前は」

「隊長が可愛過ぎて・・・・鼻血だしそう」

「勝手に出していろ」

またキスされた。

「んあ・・・・・」

舌が絡まる濃厚なキスだった。

「恋次、お前はなんなのだ・・・・・・」

「隊長は覚えてないだろうけど、今日は隊長が俺を愛していると言ってくれた日からちょうど
1年目なんです」

「そうであったか・・・あれから、もう1年か」

「まだ1年しか経ってません!もっと俺を愛してください」

そう言われて、中性的な白皙の美貌で、白哉は長椅子に恋次を押し倒した。

「隊長?」

「今日だけだぞ」

長椅子に、白哉も横になる。

胸の上にある細い肢体に手を伸ばす。

「ああ・・・・あんたが甘えてくるなんて、最高だ」

恋次の体の上半分乗りかかるように体を重ねて、白哉は甘えてきた。

夢中になって、何度もキスを繰り返した。

「俺、今すごく幸せです・・・・・」

「私は、恥ずかしい・・・・」

「隊長、愛しています」

「私もだ、恋次。愛している・・・・・・」

昔は、緋真のみを愛し、恋次のことを愛するとは言ってくれなかった。

でも、白哉は恋次に対して抱いていた想いを自覚して、愛していると伝えてくれた。

それだけでも幸せなのだ。

時折、体を重ねあう時以外、愛してると言ってくれなかった白哉であったが、最近はそれ以外でも愛していると言ってくれるようになった。

こんな何気ない日常でいちゃいちゃできるのは、恋次にとって幸せ以外の何物でもなかった。

そのまま、うとうととしてきて、気づけば2時間ほど眠ってしまっていた。

「恋次。起きていたならば、何故私を起こさぬ。仕事の時間中なのだぞ」

「他の隊は、けっこう仕事中もさぼってますよ」

「それは他所だ。6番隊では、そのようなことは認めぬ。く、不覚であった・・・・・」

「あんたの寝顔があんまりにかわいいから、起こせなかった」

「また、世迷言を」

「隊長はかわいいですよ。美人っていったほうがしっくりするかもしれませんが」

「私は、男だ」

「そんなの百も承知です。でも、そこらの下手な女より美人だ」

白皙の中性的な美貌、その顔(かんばせ)、細い体、白い肌、絹のような黒髪、黒曜石の瞳。

睫毛は長いし。ふとした表情はとても魅力的だった。

白哉は知らないようで知っていた。自分がどれほど他の男の劣情をあおっているかを。

恋次が潰しているが、貴族間の交流までは口を出せない。

ねばりつくような視線で眺められて、誘われたことも何度も経験しているなど、恋次には言えそうにない。

「隊長に言い寄る男はみんな死刑になればいい」:

「それならば、真っ先にお前が死刑だな」

「俺は特別じゃないんですか!」

「さぁな」

ふっと微笑んで、それから何も答えてくれなかった。

今頃、朽木家の庭では朝顔をが咲き乱れている。今度、その朝顔を押し花にして、恋次にあげよう。金目のものはあまり喜ばぬ恋次であるが、手作りのものなどを好む。

清家に手伝ってもらった焦げたクッキーをあげた時、苦いだろうに全部平らげたほどだ。

私も、恋次に甘いな----------------。

そう思いながら、窓の外から空を見上げるのであった。










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翡翠に溶ける 死の間際

6回生の春になった、

浮竹は、その人生の中でも最大の発作を起こした。

鮮血をまき散らした。着ているものも床もべッドも血まみれになった。

「浮竹ーーー!!!!」

見ていた京楽が悲鳴をあげた。

浮竹を抱き抱えて、瞬歩で4番隊の救護院までいくと、すぐに隊長の卯ノ花が呼ばれて、回道を受けたが、状況は進展しない。

集中治療室に運ばれた。

「心停止!電気ショックを!」

「浮竹!!」

今は、硝子越しから見て祈るしかなかった。

「もう一度、電気ショックを」

浮竹の体が、電気ショックを受けるたびにはねる。

「浮竹、どうか生きてくれ!!!」

京楽は、唇を噛み切っていた。握りしめた拳に爪が食い込んで、血が滴った。

「心拍復活!酸素吸入を」

浮竹は、かろうじのところで助かった。

「ああ、浮竹・・・・・神様、感謝します」

それから、2週間は集中治療室で、目覚めなかった。

京楽は学院に通いつつ、毎日様子を見に来た。

ある日、集中治療室に浮竹の姿がなくて、亡くなったのかと気が動転している京楽に、隊長の卯ノ花が声をかける。

「心配ありません。意識を取り戻し、しっかりとしていたために、一般病室に移っただけです」

「よかったーーーー」

浮竹のいる病室に案内されると、意外と元気そうな浮竹がいた。

「久しぶりに、湯浴みをしたんだ」

浮竹は、生来からの甘い花の香をさせていたけれど、それに交じってシャンプーや石鹸のいい匂いがした。

「湯あみができたってことは、もう大丈夫なのかい?」

「ああ。あと3日様子を見て、どうってことなかったら、退院だ」

「本当によかった・・・・・」

「すまない。心配をかけた。あんなに血を吐いたのは初めてだった。三途の川を渡りそうば夢をみたんだ。向こう側んに亡くなった祖母がいて、呼んでくるんだ。でも、反対側で、京楽、お前がずっと俺を呼んでいたんだ。だから、川を渡らなかった」

「僕の祈りは、通じていたんだね」

「ああ」

キスをした。

点滴を受けていたとはいえ、2週間絶食していた浮竹はかなり痩せてしまった。

「退院したら、甘味屋へ行こう。好きなだけ食べていいよ」

「やった」

浮竹は、嬉しそうだった。

「その手は、どうしたんだ?」

包帯巻かれてある、京楽の手をとる。

「君が死んでしまうと、拳を強く握っていたら、爪が食い込んでね。大したことはないよ」

浮竹は、その手をとって口づけた。

「俺のせいだな」

「退院したら、君を抱いてもいいかい?」

「ああ。退院したらな」

3日間は、京楽は学院をさぼって浮竹の傍にいた。

もう、卒業単位は満たしているので、浮竹も怒りはしなかった。

浮竹自身、もう半月も学院を休んでいる。

もう、死神統学院で学ぶことはない。実習ばかりだった。

3日経って、退院の日がやってきた。

クラスメイトも心配して見舞いにきてくれた。退院のお祝いだと、薔薇の花束をもらった。浮竹と京楽ができていることによく黄色い悲鳴をあげていた女の子だった。

リハビリのため、歩いて寮まで帰る。

その日は早めに休んだ。

次の日は、土曜で休日だった。

京楽は、浮竹を伴って、甘味屋までいった。久しぶりなので、少し控えめに食べた。それでも二人分は平らげてしまった。

午後になり、することもなくだらだらしはじめた。

浮竹の膝枕で、京楽は横になっていた。耳掃除をしてあげていた。

さわりと尻を撫でられる。その手を、浮竹がつねる。

「あいたた」

「耳かきしてるのに、いらないことするな」

「はーい」

反対側の耳かきをしてもらった。

本当に、することがなかった。

京楽も浮竹も卒業単位を満たし、下の学年の指導にあたっていたが、交代制なので、今は休暇をもらっていた。

「セックス、しようか」

京楽から誘ってきた。

「いいぞ。退院したら、俺を抱いていいといったしな。ただし、加減しろよ。病み上がりだ」

「うん」

お互いの院生の服を脱がしあう。

「好きだよ、十四郎」

「俺も好きだ、春水・・・春水って、いい名前だよな。春の水・・・今の季節の水だ」

「十四郎も、いい名前だと思うけどね」

「14回死んでも死なないようにと、つけられた」

「いいじゃない」

「俺の肺には、ミミハギ様が宿っている」

「ミミハギ様?」

「土着神だよ。3歳の時、肺病で死にそうになった。ミミハギ様を宿すことで、病気の進行はとまり、一命をとりとめ・・・・・んんん」

「なんか難しそうだから今度でいいや。今は君を食べたい」

「ばか」

浮竹が、院生の服を脱がされながら、京楽の頭を殴った。

「んん」

舌が絡むキスをされる。

胸の先端をかりかりとひっかかれて、体中に電流が走った。

「んああ」

「感度いいね」

「ばか」

脇腹を撫であげられて、肉の落ちた太腿を撫であげられる。

膝を膝で割り、覆いかぶさってくる。

「ああっ」

潤滑油で濡れた指がいつものように体内で暴れる。

前立腺をコリコリと刺激されて、下腹部に熱が溜まってきた。

「一度、いっちゃいなよ。久しぶりだろうから」

手でしごかれて、自分でも驚くほどの量の精液を、京楽の手の中にだしていた。京楽はそれをティッシュで拭い、拭いきれなかった分は舐めた。

「ばか、舐めるな」

「だって君のだもの。平気だよ」

指が引き抜かれ、怒張したものが宛がわれ、体から力を抜いた。

「ひああああああああ!!!!!」

それでも、衝撃は圧倒的で、挿入と同時に浮竹は射精してしまった。

「ほんとにどうしたの。いきまくりじゃない」

「あ、言うな・・・・・あああああああ!!」

ずるりと入口あたりまで引き抜かれて、また深く挿入された。

「あああ、ああん!」

ずちゅずちゅと音をたてて、熱が出入りを繰り返す。

前立腺をこすりあげられて、浮竹は早くも3回目の熱を放っていた。中がきゅうと締まって、我慢ができずに、京楽も浮竹の中に熱を放っていた。

「んああああ!」

ずぷずぷと、侵入してくる灼熱を受け止める。

「はぁっ・・・・・・」

熱い息を吐いた。

「あああ!」

京楽は、軽くリズムをつけて挿入を繰り返す。ぱんぱんと腰と腰がぶつかる音がした。

「んっ!」

前立腺ばかりをすりあげられて、浮竹はたらたらと蜜を零した。少し精液を出したが、もう出るものがなかった。
射精しながら、ドライのオーガズムでも同時にいくことを覚えた体は、物理的にも精神的にも同時ににいっていた。

「ひああああああ!や、やだ、おかしくなるう」

「そうなったら、僕が責任をとるから」

京楽は、じっくり浮竹の中を堪能しながら、浮竹のいいところを攻め続けた。

「ひあ!」

びくんと体が痙攣する。

ドライでいった体は、敏感すぎた。

ズチュンと奥を犯されて、またいった。

「あああ、もうやああああ」

泣きだした浮竹をあやしながら、二度目の熱を浮竹の中に放って、その日は満足した。手加減をしたつもりだったのだが、浮竹は意識を飛ばしていた。

濡れたタオルで体を清めて、出したものをかき出して、衣服を着せて、ベッドのシーツを変えて京楽も眠った。





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翡翠に溶ける 山じいと卍解

5回生の冬になった。

違いに13番隊と8番隊の見習いの実習も、うまくいっていた。

卒業と同時に、3席を渡すと言われていた。

死神統学院から初めての、護廷13隊の席官入りだった。ただの平隊士になる死神はいたが、いきなり席官クラスは初めてだった。しかも3席だ。

久し振りに、山本総隊長に呼ばれた。

「なんだい、山じい」

「先生、なんですか」

「あの小童どもが、よく5年でここまで強くなったものだ・・・・お主ら、卍解を習得しておるな?」

びくりとなった。

お互い、強く口止めしあっていた。

だが、山本元柳斎重國には、バレていた。

「小童どもが。隠し通せると、思っておったのか?」

「でも山じい、僕の卍解は、とてもじゃないけれど人のいる場所ではできないものだよ」

「分かっておる。十四郎の卍解も、お主のと似たよなものじゃ」

「そうなの?お互い、卍解ができるってだけで、見せ合ってはいないんだけど。危険だから。僕の卍解は、敵味方の区別がない」

「そうなのか、京楽」

「うん」

浮竹も、自分の卍解について語る。

「俺の卍解は・・・・その場にいる者の霊圧と生命を全て吸い取り、自分のものにする。敵味方の区別なく。京楽の卍解に、少し似ている」

「うわぁ、浮竹の卍解もかなりやばいね。その場にいるだけで、お陀仏か」

「だけど、京楽の卍解もそうなんだろう?」

「うん、そうだよ。その場にいる者を巻き込んで死なす」

お互い、厄介ば卍解をもったものだと、嘆息した。

「山じいみたいな、圧倒的強さの卍解がよかったなぁ」

「卍解を自在に操れるようになってこそ、隊長になれる。お主ら、隊長を目指しているのであろう?」

「なんでそれまでばれてるの」

「先生は、本当に何でもお見通しなんだな」

「春水、十四郎。お主らは、必ずこの統学院卒業初の隊長となるであろう。卍解をその時まで磨いておくのじゃ。卍解を自在に操ることが、隊長になる一つの条件だ」

「分かってるよ、山じい」

「はい、先生」

「今日はそれを伝えたかっただけじゃ。行ってよし」

二人は、理事長室を出ようとした。

「待て」

「?」

「なんですか、先生」

「お主ら、体を重ねるのはいいが、くれぐれも授業や実習にさしさわりのない範囲にするのじゃぞ」

恩師にそう言われて、二人は茹蛸のようになって、理事長室を走り去っていた。

「全く、逃げ足だけは一人前じゃな」

山本総隊長は知っていた。浮竹と京楽が体を重ねていることを。良き友人となればいいと考えていたが、まさか恋人同士になるとは思ってもいなかった。

「困った小童どもじゃ・・・・・・」


その日の夜、我慢しようと思っていたのだが、もう1週間以上も体を重ねていないせいで、お互いに疼いた。

実習のハードな毎日を過ごして疲れているのに、性欲は衰えることを知らない。

「京楽が、欲しい」

珍しく浮竹から求めてきた。幸いなことに、明日は休日だった。

お互いの院生の服を脱がしあう。

「あ・・・・」

すでにたちかけていた浮竹の花茎を、京楽は口に含んだ。

「ああああ!」

ねっとりとした熱に包まれる。

「あ!」

指でしごかれ、舌で刺激されて、あっという間に浮竹は京楽の口の中に精を放っていた。

京楽は、当たり前のようにそれを嚥下する。

「そんなの、飲むな・・・・」

「浮竹のものだから、平気だよ」

キスをされた。少し、青臭い味がした。

「俺も・・・・・」

京楽のそそりたった灼熱に、舌を這わせる。

全部を口にいれることは無理なので、先端に舌をはわせて、じゅぷじゅぷと音を立てて唯でしごいた。

「あ・・・・」

びゅるると、京楽の精子が勢いよく飛んで、浮竹の髪と顔にかかった。

「あちゃー。そうだ、たまには風呂場でしようか。汚れても平気だし」

「ああ、分かった」

二人は、着換えのパジャマと下着を用意して、湯をはった浴槽に浸かる。

ぱちゃんと音をたてて、浮竹の体内に指が入ってきた。

「あ、お湯が・・・・・」

「あとでかき出してあげるから」

前立腺を刺激されて、ゆるゆるとまた花茎がたちあがる。

京楽はそれに気づいていたが、前をいじることなく後ろだけを責め続けた。

「ひあっ!」

かりかりと胸の先端をひっかかれる。

体内に埋め込まれた指がぐっと、前立腺を触って、浮竹は白濁した液体を湯の中に放っていた。

「あ、お湯に・・・・・」

「あとで入れ替えるから、心配しなくていいよ」

ぱしゃんと、水音がした。

浴槽からたち、太ももあたりまでお湯に浸かった体勢で、挿入された。流石に挿入には潤滑油が使われた。

「んん・・・」

足を限界まで抱え上げらえる。体の柔らかい浮竹は、少し無理な体位でも受け入れた。

「んああああああ!」

前立腺ばかりを突き上げられる。

「京楽・・・そんなにしたら、変になる・・・・・・・」

「何度でもいくといいよ。明日は休みだ。ゆっくり寝れる」

「あああああああ!」

がりっと、京楽の背中をひっかいた。

血がこぼれた。

「あ、すまな・・・ああああ!」

浮竹は、3度目の熱を放っていた。

「はあ・・・・・ああ・・・・・うああああ」

何度か挿入を繰り返されて、やっと京楽も一度目の熱を浮竹の中に放った。

「今日は、僕が満足するまで抱くから。覚悟してね?」

「そんな・・・壊れる・・・・あああ!」

浮竹は、何度も啼いた。

京楽は、浮竹がいくようにと、自分の快感もおいつつ、前立腺を攻めてくる。

「んああああ!」

もう何度目になるか分からない精液を、浮竹は吐きだしいた。途中で透明になって、もうこれ以上出すものはなくなった。

それでも、京楽は止まらない。

「ひああ、もう、いきたくな・・・・ああああ」

やっと、二度目の熱を浮竹の中に放った京楽。

それから1時間ばかり、浮竹は京楽に攻められ続けた。

「んあ・・・・・・」

もう、大分反応も鈍くなってきた。

4回目の熱を浮竹の中に吐きだす頃には、浮竹は息も絶え絶えで、立っているのがやっとだった。

「あ・・・おわり?・・・・んあ」

外から見ても、京楽が浮竹の中にいるのがわかった。

ずちゅずちゅと音をたてて、まだ犯された。

今日の京楽はすごい。もう10回以上はドライでいかされた。

「ああん・・・もう・・・・やめ・・・・・・」

ぐちゅりと、結合部で音がした。

くちゅくちゅと浅い部分を犯される。

「んああ!あ、あ、あ・・・・・・・」

浮竹の喘ぎ声をも掠れてきた。

「ああ、もう終わるから」

浮竹の浅い部部に、5度目の熱を放って、京楽はやっと動きをやめた。

「んああ・・・・・・」

ずるりと引き抜かれていく。

たらたらと、京楽が浮竹の中に放ったものが太腿を伝って、湯船に広がっていく。

浮竹の中から精液をかきだして、すぐにお湯を入れ替えた。

綺麗な湯で、浮竹の髪と体を洗い、自分の髪と体も洗った。

浮竹の髪は大分伸びて、肩甲骨あたりまであった。

ぐったりとした浮竹を抱き上げて風呂からあがり、水気をぬぐいさってパジャマを着せていく。

「もう無理。歩くのもだるい。やり過ぎだ」

「言ったじゃない。僕が満足するまで抱くよって」

「こんなに、抱かれるとは思わなかった。おまえ、性欲の権化だな」「

「それを受け止めることができる君もね」

1つのベッドで横になる。

性欲を思い切り満たし、疲れ切っているので、二人はあっという間に眠りに落ちてしまった。



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翡翠に溶ける 血の誓い

5回生の春になっていた。

もはや、いつ死神になっても大丈夫だという実力もついた。

5回生からは、実際に護廷13隊の隊士をして任務につく授業があった。互いに、京楽は8番隊に、浮竹は13番隊に選ばれた。

即ち、将来もこの隊に配属されることが決まった。

京楽と浮竹は、些細なことで喧嘩をしてしまい、その日お互いばつが悪そうな顔をして口を聞かなかった。

「浮竹のバカ!」

「なんだと、京楽のおたんこなす!」

口を開くとこうなる。

なので、任務中は口を閉じていた。

8番隊と13番隊が連携しての、虚狩りだった。普通見習いの学院生は、バックアップに回るのだが、その実力の高さを買われて、一般隊士に交じって、出現する虚を切っていった。

霊圧が濁った。

「なんだ!?」

大虚(メノスグランデ)だった。しかも、ギリアンでなくアジューカス。

黒腔(ガルガンタ)が開き、アジューカスが姿を現す。歪な形をしていた。

一般隊士たちが次々にやられていく。

「危ない!」

浮竹を庇った京楽の背中に、深々とアジューカスの爪痕があった。

「な・・・・・」

「卍解!」

13番隊長が、卍解をしてアジューカスを切り殺した。

「負傷者を早く4番隊のところへ!」

浮竹は、京楽に謝った。

「今日の朝はごめん、俺が悪かった!頼むから、死なないでくれ!」

出血の量がおびただしい。

回道をかけるが、出血が止まらない。

「こちらへ!」

ついてきていた4番隊の席官に、京楽を託す。

「出血の量が多いですが、傷口は浅いです」

回道で、血が止まった。

「後は、安静に・・・・」

「う・・・・」

「京楽、意識が戻ったのか?」

「浮竹・・・僕こそ今日はごめん。君を抱けなかったから、イラついた」

「いいんだ。セックスしたい時はちゃんと前日の夜に言ってくれ。朝方に抱きたいと言われても、対処のしよがない」

「ごほん」

4番隊の席官が、赤くなりながら、咳払いをした。

「「あ」」

時と場所を弁えろ、というやつだった。

次々に負傷した者たちが運びこまれる。

京楽はまだ傷が塞がっていないので、4番隊の見習いの学院の生徒に傷口に薬をぬってもらい、包帯を巻いてもらった。

浮竹の院生の服は、京楽の血で真っ赤に染まっていた。

「君も怪我を?」

「いえ、これは俺を庇った友人の血です」

「そうか良かった。一般隊士が2名死んだ」

「え・・・・」

ただの虚退治、のはずだった。

そうなのだ。

虚退治、すなわり死神は、いつでも死と隣り合わせなのだ。

京楽の血がべっとりついた服の血の匂いに、くらりと眩暈がして倒れこんだ。

「ごほっごほっ!」

浮竹は、吐血していた。

「おい、君!誰か!」

「浮竹!?」

「おい、君は動いちゃいかん!血止めはしたが、傷は完全に塞がっていない!安静にしていなさい!」

京楽は、失血のせいでいうことを聞かない体を呪った。

そのまま二人は、4番隊の病院に入院となった。

京楽は怪我人として。浮竹は病人として。

浮竹は京楽が死にそうになったことと、初めての死神の死に直面した精神的なショックのせいで、吐血した挙句に高熱を数日出して、容体はよくなかった。

4番隊の病院で再び回道を受けて、京楽の怪我は大分癒えた。あと数日で退院となり、自由に動くことも許された。

京楽は、浮竹のベッドにきていた。

「ねぇ、浮竹、早く目を覚まして・・・・・・」

未だに意識の戻らぬ浮竹の傍にずっとついていた。

天敵の管をさされた、細い白い手が痛々しかった。

「京楽・・・・・・」

「気がついたの、浮竹!」

「ああ、よかった・・・お前は、無事だったんだな」

「よくないよ!君、肺の発作を起こした上に高熱で倒れて、今まで5日間も意識がなかったんだよ」

「ああ、こういうの幼い頃からよくあったことだから。精神的に強いショックを受けると、発作の後に高熱を出してしまうんだ」

「どれほど、僕が心配したことか・・・・・・・」

「すまなかった、京楽」

「君の意識が戻ってよかった。一般隊士で2名死亡者が出たことに驚いていたね。死神になるの、やめるかい?」

「いや、俺の覚悟が足りなかっただけだ。大丈夫だ」

虚退治で、人が死ぬを経験したのは初めてだった。ショックは大きかったが、そうならないように、自分を鍛錬して強くなればいいのだ。

いずれ、隊長に。

桜の下で誓い会った言葉を忘れてはいない。

浮竹は、がりっと自分の親指をかじった。

「浮竹?」

「血の誓いだ。お前も」

「うん」

京楽も、自分の親指をかんで、血を滲ませた。

その血を交じり合わせながら、言葉を紡ぐ。

「俺たちは、もっともっと強くなって、いずれ隊長になる。俺は13番隊で、お前は8番隊だ。血の誓いをここに」

「血の誓いにかけて。いずれ隊長となり、いつまでも君の傍にいることを誓う」

キスをした。

血の味がした。

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翡翠に溶ける 4回生の夏

4回生の夏になっていた。

相変わらず暑くて、浮竹は肌を露出して室内で扇風機で風を受けていた。

「あ~暑い・・・・」

「暑いって言ってると、余計に暑くなるよ」

氷室から出してきた、氷をいれた麦茶を渡される。

「ああ、生き返る・・・」

冷蔵庫もあるが、氷を作る機能はついていない。氷を作れる機能のある冷蔵庫があるのは、大きな料理店や氷と書いてある旗を掲げた甘味屋くらいのものだ。

電気代をバカみたいに食うので、普通の家庭では冷蔵庫と言えば、少しだけ冷やせる程度のものという印象だった。

冷蔵庫に麦茶をいれていたが、少し冷たいだけで、それでもないよりはましかと口にしていたが、京楽が自分の家の氷室をあけたことで、氷が出された。

「かき氷、食べるよね?」

「ああ、食べる」

わざわざ買ったかき氷機で、シャリシャリと氷が削られていく。

鬼道で溶けにくくしていたお陰で、京楽邸から寮までの間、溶けることなくもった。

ブルーハワイという、目にも鮮やかな青いシロップを選んでみた。

甘かった。

「浮竹、舌が青くなってる」

「え、まじか」

鏡を見ると、舌が青白くなっていた。

「見た目からして体に悪そうだしな・・・・味は美味しいけど」

おかわりのかき氷をもらって、メロン味のシロップをつけて食べた。今度が舌が緑色になった。

「シロップって甘いけど、色がすごいな」

「まあ、合成着色料がめっちゃ入ってるから」

「体にはあまりよくなさそうだな」

「害はないけどね」

残った氷を砕いて、氷マクラにいれた。

けっこうな大きさの氷を運んできたで、二人が満足するまでかき氷を食べても氷は残った。このまま溶かすのはもったいないと、氷まくらにいれてみたのだが、ひんやりとしてなんとも心地よかた。

2回生の夏は、京楽邸に泊まったが、京楽邸には今は家族が滞在しているらしい。京楽春水名義の屋敷なので、本来ならいないはずなのだが、帰省を求められいるのだ。

すでに護廷13隊入りが決定していて、席官になるだろうと言われていた。

そんな未来の死神を、一族で腐らせておくのは勿体ない、もっとさらに上流貴族と縁談をすすめて、京楽家を安泰にしようという目論見だった。

わかっていたので、浮竹が京楽邸に行きたいというと、今年はだめなのだとつっぱねた。

京楽は、一度きっぱりと両親に断った。男の恋人がいるので、見合い縁談はなしにしてくれと。それに怒った両親は、相手の浮竹に危害を加えようとした。

なんとか未遂で終わったが、今度こんな真似をしたら、家族の縁を切るといっておいた。

浮竹は知らない。

京楽との関係が、危うい場所にあるのだと。

一度、浮竹を寮に残して京楽邸にきた。両親が喜んでやってきた。浮竹と手を切ったと思っているのだ。

「春水、今度に日曜に、吉祥寺桜の妹の吉祥寺楓と見合いしなさい」

「父上。母上も。俺は、一生結婚も見合いもしません。僕には浮竹がいる。浮竹に手を出したら、父上と母上といえども、容赦はしません」

「ぬう・・・・・」

父親と母親は、ここまで育ててやったのにと、文句をたくさん零しながらも、結局は京楽のことを諦めてくれた。京楽は次男だ。
長男がいい縁談を決めていて、しょせん京楽はついでだったのだ。

「ここまで育ててやったっていうけど、金与えて放置して、扱いにこまって学院に放り込んで・・・死神が決定したら呼び戻すとか、どうかしてるよ」

寮に戻ると、浮竹の膝枕の上で、そう零していた。

「子は親を選べないからな」

「まさにそれ。まぁ、上流貴族として生まれたのはよかったけどね。お金があるお陰で、浮竹と安心して付き合える」

「俺は、お前が貧乏でもお前を選んでいたぞ」

「浮竹にみじめな思いをさせたくないじゃない」

「俺は金がかかるからな。薬代に、食費代・・・・・・」

「薬代は自分で出してるじゃない」

確かにそうだが、京楽の金が浮竹に流れているのは確かだ。

「だが、食費代を随分だしてもらっている。この前も、高級居酒屋に連れていってもらった」

「じゃあ、体で返して?」

「いいぞ」

「え、まじで?」

「まじで」

扇風機をかけたまま、浮竹の院生の服を脱がせる。

つい、4日前につけたばかりのキスマークが残っていた。

そこに上書きするように、キスマークを残していく。

「ああ・・・・」

キスをすると、舌が絡まった。

潤滑油でその場所を解しつつ、前立腺を触ってやると、浮竹の体がはねた。

「ひああああ!」

「気持ちいい?」

「あ。気持ちいい・・・・」

挿入した。

「んあああ!」

衝撃に、浮竹の背が弓なりにしなる。

前立腺ばかりをすりあげると、浮竹は花茎から先走りの蜜を零した。

「ああん!」

ずちゅっと犯されて、浮竹は白濁した液体を散らしていた。

「あああ!」

京楽が、浮竹の全てを侵略していく。前立腺をいじられるだけでいけることを、浮竹は覚えてしまった。

たった数か月で、淫らな体にされてしまった。

3~4日の1回でペースで体を重ねた。

若いので、互いの性欲は旺盛だった。

浮竹はよく熱を出すので、無理に抱くことはしない日もある。

臥せると、安静を兼ねて2週間は手を出さなかった。でも、その次の日に抱かれた時は、本当に出すものがなくなるまで抱かれるので、浮竹は普通のセックスで十分だった。

「あ!」

くちゅりと、浅い部分を犯される。ぬぷぬぷと出入りを繰り返す灼熱に、身もだえる。

「あ、もっと奥に・・・・・いいところ、犯して」

「浮竹は、本当にかわいいね」

言われた通りに、前立腺を犯してやると、浮竹は嬌声をげて白濁した液を散らした。

「あああああああ!!!」

きゅっと内部がしまり、京楽も浮竹の中に熱を放った。

暑い中、セックスは暑いが、それでもお互いを求めあった。

「ひあう!」

ズチュンと音がたてるくらい激しく挿入を繰り返される。

「ひあ!」

前立腺をきっちりとこすりあげていく動きに、浮竹は三度目になる熱を放つ。

最奥まで突き上げて、京楽も浮竹の腹の奥に二度目になる欲望を吐きだした。

お互い、汗まみれだった。

「水風呂に入ろうか」

「んあっ・・・・」

中からひきぬかれるだけでも、浮竹は甘い声をあげる。

「そんなにあおらないでよ。また抱きたくなるじゃない」

「あおってない!今日はもう十分だ!」

二人で水風呂に入って、体も髪も洗ってすっきりして戻ってくる。精液でぐちゃぐちゃになったシーツを、京楽が手で洗った。

「手伝おうか?」

「腰、重いでしょ。休んでて」

セックスをした後は、受け身の浮竹にダメージが残る、

学院のみんなが、浮竹と京楽がついにできたと知っていた。原因は、初めて抱いた日に首筋にいっぱいつけたキスマークのせいだった。

気味悪がられるどころか祝福されて、いい友人をもったものだと、二人とも思った。

「なぁ」

「なぁに?」

「こん関係を、いつまで続けらると思う?」

「どちかが死ぬまで」

「そうか・・・・って、正気か?」

浮竹が、シーツを浴室で洗っている京楽の近くに立った。

「僕は、年をとっても別れる気はないよ。セックスできなくなっても、君から離れたくない」

「それは俺もだが・・・・・・」

「ふふふふ」

「なんだ、気持ち悪いな」

「僕は、浮竹に愛されてるんだな~と思って」

シーツを洗いながらにまにましている京楽。

「それはこちらの台詞だ」

浮竹は、赤くなってそう返すのだった。







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翡翠に溶ける 桜の木の下で

3回生を何事もなく過ごし、4回生になっていた。

京楽と出会い、3年以上経った。

恋人同士になり、完全ではないが肉体関係があった。

桜の降る季節。

約束していた桜の木の下に来ていた。

京楽は、心臓をドクドクと高鳴らせていた。もうすぐ、浮竹の思いが聞ける。

「京楽-------------------」

ちらちらと降る、桜の雨が幻想的だった、

「俺は、京楽、お前が好きで愛している。これからもお互い傍にいて、護廷13隊のに死神になり、いつかは隊長になろう。想いの証拠に、今日俺を抱いてもいい」

「浮竹・・・大好きだよ。愛してる」

浮竹を抱き締めて、キスをしていた。

ここまで、3年かかった。長いようで短かった。

ずっと桜の木の下にいたかった。この時間が永久に止まってしまえばいいと思った。

幸せだった。

浮竹は、もう完全に僕のもの-----------------。

雨のように降る桜が綺麗だった。

思いを告げ合い、寮の自室に戻ると、どちらともなしに口づけしあい、院生の衣服を脱がしあった。

「あ・・・・」

首筋に、自分のものだという証拠のキスマークを残された。

そんなところにキスマークを残されるのは初めてだった。鎖骨から胸、臍にかけて、たくさんキスマークを残された。

「ん・・・・・」

平らな胸を撫でられ、先端をカリカリとひっかかれた後、口に含まれ、舌で転がされた。

「あっ」

思わず漏れた声に、口を手で塞ぐ。

「声、もっと聞かせて?」

京楽が、浮竹の手にキスをして、口からどかせる。

「ああっ!」

花茎に手をかけられて、すでに先走りの蜜を垂らしていたそこは、数回しごかれて、鈴口に爪を立てられると、あっけなく精液を吐きだした。

「力、抜いててね?」

そこに潤滑油をつけたとはいえ、指を侵入させられて、浮竹の体が硬くなる。

でも、前をいじられて快感ですぐに体から力を抜いていた。

「ん、そこや・・・」

「ここ?前立腺ていって、男が後ろで感じる場所だよ」

「そんなの、知らない・・・・・・」

「そりゃね。でも、僕はこの日のために知識を積んできたからね」

前立腺ばかり刺激されて、浮竹はまた熱を放った。

「んあああ!」

「ペース早いね。大丈夫?」

「平気だ」

出るものがなくなるまで抜かれたことが数えきれないほどあったので、まだ平気だった。

指は、ぐちゃぐちゃと水音をたてて、蕾を解していく。

引き抜かれたと思った時には、指と比べものにないものが宛がわれた。

「あああああああああ!!!!!」

引き裂かれる。

全身が軋んだ。

潤滑油まみれにしたとはいえ、そんなことに使う器官ではないそこが、痛み訴える。

ぼろぼろと涙を零すと、京楽が前を触ってきた。

「ああ!」

「ごめん、痛いよね。初めてだし。でも、ちゃんと気持ちよくしてあげるから」

前立腺を突き上げられて、びくんと体がはねた。

「大丈夫?」

「・・・・平気だ。ここまできて、止めたらお前が苦しいだろう」

「そりゃね。止めるつもりもないし」

ずっ、ずっと音を立てて出入りを繰り返す。

浅く挿入され、前立腺ばかりをいじられていると、内部が締まり、京楽は一度目の熱を浮竹の仲に放っていた。

ぐちゃぐちゃと音を立てて犯される。

「あ、やあああああああ!!!」

前もいじられて、何も考えられなくなる。

「やああ、いっちゃ・・・・・ああ・・・・いってしまう・・・」

「いいから、いっちゃって。どうせ、ドライのオーガズムでもいくんだし」

抜きあっている時、もう出るものがないのに、ドライでいったことが何度かあった。

京楽は一際強く奥に突き上げると、浮竹の最奥で熱を弾けさせた。

同時に浮竹の前をしごきつつ、浮竹も3度目の熱を放っていた。

それでも、まだ京楽のものは硬かった。

「ひあ!」

浮竹が啼く。

体位を変えられて、中を抉られた。

「ううん・・・」

背後から犯された。

「あ、あ、あ・・・・春水っ!」

初めて下の名前で呼ばれて、ずくりと熱が増すのが分かった。

「ああああ!おっきい・・・!」

「愛してるよ十四郎」

気づけば京楽も浮竹を下の名で呼んでた。

また体位を変えて、抱きしめあった。

浮竹にねらだれて、何度も深いキスを繰り返した。

「ふあ・・・・うんん・・・・あああ・・・・・」

ぐちゃぐちゃと犯されるそこは、泡立ち、情事の激しさを物語っていた。

パンパンと、腰と腰とがぶつかりあう音がする。

浮竹は京楽の背中に爪をたて、その足を腰に絡ませていた。

「あ、あ、あ!」

激しく突き上げられる度に、白い髪が宙を舞う。

「んああああああ!ああん!」

前立腺をしつこくつきあげられて、もう出すものはないので、先走りの蜜だけをだらだらと零して、ドライのオーガズムで達した。

「やあ、もうきもちいいの、やあ・・・・ぐずぐずになる」

「溶けちゃいなよ。何度もでもいかせてあげる」

その後、浮竹は4回ほどいった。

京楽は頑張った。

浮竹を何度もいかせた。

初めて体を繋げたが、相性はかなりいいようだった。

くちゅりと音をたてて、内部をえぐると、浮竹の体が痙攣した。

「やあ、もういきたくな・・・・ひあああああああ」

いくのを我慢して、何度も浮竹を追い詰める。

浮竹は快感に涙を零していた。

それを口で吸い取って、耳元で囁く。

「もう、君は全部僕のものだ、十四郎」

「あ、あ・・・・・春水、お前も俺のものだ」

一際強く最奥を突き上げると、浮竹が体を痙攣させていっていまう。

京楽も、やっと4回目になる熱を浮竹の中に放ち、満足した。

浮竹は、意識を飛ばしていた。

ゆっくりと浮竹の中から抜くと、京楽の出した白濁した液体がコポリと溢れてきた。

それを濡れたタオルでふきとって、意識のない浮竹の体内から、中に放ったものをかき出す。

「随分だしたものだね・・・・」

この日のために我慢していたとはいえ、一度のセックスで4回も射精をしたのは久しぶりだった。抜きあうとき、ためいたときに一度4回抜いてもらったことはあるが、あれは2回生の頃だろうか。

京楽も浮竹も若い。

まだまだこれから未来がある。

やっと浮竹の初めてをもらい、京楽は満足していた。この関係が、これから先もずっとずっと続けばいいと思った。

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翡翠に溶ける 寒い日には

2回生の冬。

その年は、いつもより寒かった。

浮竹は、いつも院生の服の上に上着を着ていた。他の院生たちも、違反ではないので冬になると上着を着て授業を受けていた。

だが、浮竹の場合でもこもこだった。

ふわふわの耳当てやらマフラーをつけている姿は愛らしかったが、夏に惜しげもなく肌を晒す季節が恋しくなった。

授業が終わり、浮竹は京楽とともに真っ直ぐ寮の部屋に戻って、火鉢で冷えた体を温めた。

浮竹は、それでも寒いのか毛布を被りだした。

「浮竹、そんなに寒いの?お風呂いれておいたから、温まってくれば?」

「ああ、ありがとう。少しお湯に浸かって、体温あげてくる」

そのまま、浮竹は浴室に消えた。

20分ほどして、いい匂いをさせた浮竹が現れた。風呂に入るついでに、髪と体を洗ったのだ。

「寒くなかったかい?」

「寒かったけど、どのみち風呂には入らないといけなから」

「ちゃんとぬくもった?」

「100数えた。湯がちょっと熱すぎて、水を入れた」

「そう。ちょっと熱かったか。ごめんよ」

自動で湯を沸かすのだが、温度設定が難しいのが欠点だった。

自動湯沸かし器が開発されて、数十年。みんなそれに世話になっているが、熱すぎることが多い。なんとか欠点をなくそうと、四苦八苦しているようだが、そもそもそんな便利なものが開発されたこと自体奇跡に近い。

他にも、尸魂界には独自で進化した冷蔵庫もあった。

寮の部屋にも、小さな冷蔵庫が備え付けられてあった。

だが、エアコンはまだない。冬に暖をとるといえ、まだ火鉢くらいしかなかった。

「髪、ちゃんと乾かさなきゃ」:

タオルで、水を滴らせている、肩より長くなった髪をふいてやった。

「ありがとう、京楽」

湯で大分あったまったのか、浮竹は暖かかった。

毛布をかぶり、火鉢にあたる。

京楽は、その毛布を半分ぶんどって、一緒に火鉢に当たった。

しばらくすると、外に出ていた寒さもやわらぎ、室内の温度に馴染みだす。

「そういえば、おやつにと思って、この前おはぎを買っておいたんだ」

「何、早くよこせ」

毛布を放りだす浮竹に苦笑しつつ、戸棚の中からおはぎをだした。

3個だった。

「3個か・・・・・・・」

「僕は1個でいいから、君が2個食べなよ」

「ありがたい。そうする」

浮竹は、ゆっくり味わいながらおはぎを食べた。

でも、2個はあっとう間で。

「足りない・・・・・」

「仕方ない、寒いけど甘味屋までいくかい?」

「行く!」

浮竹はふわふわの上着をきて、ふわふわの耳当てにマフラーをした。手だけは、上着のポケットに入れるので手袋はしていなかった。

よくなくすので、手袋はしない主義だった。

「行こうか」

京楽も上着を着るが、薄かった。

「そんな恰好で、寒くないのか」

「僕は北のほうの生まれだから。寒いのには慣れてるんだよ」

「俺は南のほうだから、寒さに弱い」

「だと思った。寒がりだからね」

亜愛ない会話をしながら、甘味屋までくると中に入る。まだ普及しはじめていないストーブがあって、その暖かさに目を見開く。

「これ、いいなぁ」

「ストーブか。電気を食うから、ちゃんとした発電機がないと使えないからね」

寮に備え付けられている発電機では、ストーブはつきそうもなかった。

「そうだ。今度こたつを購入することにしたから」

「こたつ!」

これも、開発されて間もないが、ストーブよりは安価だった。

「今から楽しみだ」

甘味屋で、浮竹はおはぎを10個食べて、ぜんざいと白玉餡蜜を3人分たべて、寒いのにバニラアイスを食べた。

「アイスなんて食べて平気かい?」

「ストーブの熱で、ちょうどいい気温なんだ」

上着を脱いでいた。

「学院でも、ストーブがあればいいんだけど」

学び舎である死神統学院には、そんなものない。

寒いなら、動いてあったまれという精神でできている。医務室にだけ、かろうじで火鉢があるくらいだ。

京楽の口の中に、バニラアイスをつっこむ。

口の中の熱でほろほろと溶けていき、甘い味がした。

「おいしいね・・・・」

「この店はアイスがうまいんだ。すみません、抹茶アイスを1人前」

「食べすぎて、お腹冷やさないようにね」

「限度は分かってる」

やってきた抹茶アイスを京楽の口にも運びながら、食べていく。

甘味屋で食べるだけ食べて満足して、そのまま本屋に向かった。

「本買うお金なんてあるの?僕が出そうか?」

「いや、いい。この前、絵のモデルをしたときにもらったお小遣いがけっこう残っているから」

「あんな金額、数日でとぶよ。よくもってるね」

「お前は、金の使い方が荒いんだ」

最近流行りのミステリーものと恋愛ものの小説を2つ買った。

印刷技術はそこそこにあるので、小説本は多かった。まだこの時代には、漫画はない。

京楽は、アダルトコーナーにいって、エロ本を購入していた。

「お前・・・こんな堂々と。俺がいながら・・・」

「いや、新しいエッチの仕方何かのってないかと思って」

「恥ずかしいやつ」

勘定を払い、二人で寮ではなく学院の食堂に向かった。

夕食の時刻だった。

甘味屋で食べた分は別腹なので、鮭の焼き魚定食を食べる。

「鮭はうまいな・・・・・」

「現世の、北の民族は、鮭を主食として暮らしているそうだよ」

「へぇ・・・・そんなにとれるのか」

海のない尸魂界では、鮭はとれない。現世でとった分を、尸魂界に流しているのだ。
久し振りに食べた鮭は美味かった。

食堂のおばちゃんに頼んで、焼いた鮭だけを二人前もらってきた浮竹は、白飯と味噌汁と一緒に、焼いた鮭の切り身を口に運ぶ。

「鮭、好きなの?」

「ああ。子供の頃、よく鮭の入ったお粥を食べた」

まだ8人兄弟になる前だった。妹や弟たちは、読み書きと算術を通常の初等部で学びながら、近所の畑仕事を手伝ったりして賃金を得ていた。

浮竹だけが、病弱なせいもあり、薬に金がかかるめんどくさい子だった。

それでも、両親は愛してくれた。でも、借金が重なって、とうとう妹が人買いに買われた。取り戻すために、遊女に化けて京楽に近づき、眠剤入りの酒を飲ませて、金目のものをとっていった。その金で、妹を買い戻すことには成功したが、金額が金額なので、京楽に返すあてがなく、京楽のものになると誓った。

無理やりではなかった。

現に、京楽は無理強いをしてこない。

その日の夜も、浮竹は素股で京楽の相手をした。京楽も浮竹を気持ちよくしてくれるので、本当のセックスではないが、似たようなものだった。

もう、体を重ねることに、抵抗感はなくなっていた。

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一護がルキアを好きな理由4

ルキアは、昔はよく押入れを利用していたが、一護が霊圧を取り戻し、大戦が終わった後からまた高校に通いだしたのだが、最近はずっと一護のベッドで一緒に眠っていた。

付き合いだす前から一緒のベッドで眠っていたが、お互い少し離れて眠っていた。

付き合いはじめて、一護はルキアの細く小さな体を抱き寄せるようにして眠るようになった。一護には言っていないが、けっこう恥ずかしのだ。

意を決して、一護に言ってみた。

「眠るときのが体勢が恥ずかしいのだが、なんとかならぬか?」

「俺はルキアに触れていたいんだ。今のままがいい。恥ずかしいくらいいいじゃねぇか」

「でも」

「いいから、寝るぞ」

電気を消す。
真っ暗になった。

一護の腕が、ルキアの腰に回されて、一護は自分の方にルキアを抱き寄せた。

「なんだよ、緊張してるのかよ」

その強張った体を解すように、頭を撫でてやる。

ルキアは安堵して、体から力を抜いた。

「何も取って食うわけじゃねーんだから」

一護は、自分の胸にルキアの手を当てた。

「ほら、俺ドキドキしてるだろ?」

「ああ・・・・」

「ルキアと接するだけでこうなるんだ」

「私のせいなのか」

「そう。だから、責任とってくれ」

キスをされた。

ルキアの胸も高鳴る。

結局、その日もそれ以上進展せず、朝を迎えた。

「ふあー」

次の日は、土曜で休日だった。

二人とも、10時までだらだら寝た。

起こしてくれる人がいなかったのだ。

父親はが学会で出張、妹の双子は従妹の家にお泊りだ。

「今日は親父は出張で、妹たちは従妹の家に泊まるから、明日まで俺と二人きりだぞ」

「え」

ルキアが真っ赤になった。

「どうしたんだ?」

「すすすす、するのか?」

「何を」

「その体を重ねたり・・・・・」

「しねーよ。どっからそんな話がわいてくるんだよ」

「だってこの雑誌に書いてある」

ルキアが出してきた雑誌は、くだたないゴシップ雑誌で、男子は二人きりになると途端に襲ってくる飢えた獣だと書かれていた。

「そんなくだたない雑誌、真に受けるのはやめろ」

「でも」

「俺は抱かねーよ。お互い、高校卒業まで清い関係でいようと誓ったじゃねーか。俺は、お前との卒業旅行では抱くけど、それ以外は抱かない」

「そうか」

ルキアは期待と不安が入り混じっているような表情をしていた。

「それより、貴様は受験勉強はいいのか?」

「合格率75%だ。大丈夫だ」

「でも、残りの25%は落ちるのであろう?」

「心配しすぎなんだよ」

一護が受験予定の大学はそこそこ頭のいいレベルだったが、今の一護の成績なら75%合格のB判定を模試でもらった。

一護は、もともと頭がいい。テスト勉強も一夜漬けなどせず、授業をまともに受けている限り成績はよかった。5段階評価で平均4だ。3以下はとったことがない。

一護は、霊圧が戻るまで、受験勉強をきちっとしていた。だが、受験勉強をしてもテストの成績は変わらず、ちゃんと睡眠をとって授業を受けたほうがテストの成績はよかった。

だから、授業はきっちり受ける。塾などに通うこともなかった。

「今日は二人きりだから、リビングルームに行こうぜ」

普段はいちゃつけない場所で、ルキアを膝の上に乗せて、一護はご満悦だった。

「ルキア、かわいい」

「ひゃう」

耳をかじるとそんな声を出した。

「耳弱い?」

「そんなこと・・・きゃう!」

耳に息をふききかけ、舌を入れると、ルキアは真っ赤になって縮こまった。

「俺が悪かったって。そう硬くなるなよ」

「お返しだ!」

ルキアが、一護の耳をかんだ。

「あいててて、本気で噛むな!」

「しかし、この雑誌には・・・」

「ああもう、そういうのいいから。いいか、今から雑誌とかで知った情報は真に受けないこと。それから、嫌なら嫌ってはっきりいうこと」

「分かった」

「ルキア、こっちこいよ」

「ふあ・・・・・」

ルキアを抱き締めて、キスをした。

浅く深く何度もキスを繰り返していると、ルキアの目がとろんとしてきた。

「ルキア?」

「貴様、反則だぞ・・・」

ぽふりと、一護の膝に寝転がってきた。

「ルキア、かわいい」

ルキアのあたまを撫でてやりながら、その柔らかい黒髪を触る。サラサラと指の間を零れていった。

「今日の夕飯、どうする?」

「ああ、私が作ろう」

「お前、飯作れたのか?」

「たわけ!いくら4大貴族の姫君と呼ばれているといっても、おなごだ。一通りのことは学んだ」

「じゃあ、今日はルキアが夕飯作ってくれ」

昼飯は、一護が炒飯を作ってくれた。嫌になるくらい、美味しかった。絶対、ルキアより一護の料理の腕のほうがいい。

やがて夕方になり、食量を買い出しに近くのスーパーまでいった。今日はカレーだった。カレーは簡単なので、一護も安心した。

カレーの上に乗せるのだと、完成されたエビフライとカツを二人分買った。

帰宅すると、ルキアは材料をきり鍋に入れていく。カレールーを彫り込んでしばらくすると、いい匂いが漂ってきた。

「よし、完成だ!」

「炊飯器にスイッチ入ってないけど、白飯は」

「あ、忘れていた」

「今からたくのも時間かかるし、スーパーでレンジでチンできる白飯買ってくるか」

二人でスーパーにいき、レンジで白飯を温めて、カレーをかけると上にエビフライとカツを乗せた。見た目は美味しそうだ。

一護は、恐る恐るスプーンで一口食べる、ちょうどよい辛さで、美味しかった。

「うん、けっこう美味い」

「そうであろう。私は、やればできるのだ」

「それより、風呂は?」

「ああっ、お湯を出しっぱなしだった!」

一護は溜息を出した。やっぱり、お姫様なのだ。

ルキアと一護は、互いにバスタオルを巻きながら、一緒の風呂に入った。下着姿を見飽きているので、今更裸に近い恰好をされても、意識しない限り何も感じなかった。

意識してしまうとアウトだ。ルキアの裸とか、恥ずかしすぎてみていられない。

ルキアの髪を、一護が洗ってやった。妹たちが使っているシャンプーで。いつもルキアの髪から甘い匂いがする発生源はここだったのかと、新発見した。

今度は、ルキアが一護の髪を洗ってくれる。

「あ、ちょっと待ってくれ。そっちのシャンプー、匂いが甘すぎるからこっちの薬用シャンプー使ってくれ」

「文句の多い奴だな」

そう言いつつも、髪を洗ってくれた。

背中の流しあいもした。ルキアが先に風呂からあがり、パジャマに着替えて一護の部屋にいった。次に一護があがって、パジャマを着て部屋に入る。

「髪、乾かしてやるよ」

ドライヤーで、ルキアの髪をかわかしてやり、一護も自分の髪をかわかした。

寝るまで、まだだいぶ時間があった。

「ホラームービでも見るか」

適当に録画しておいたホラームービー、死霊の腸(はらわた)というリメイク映画を見た。

「ひいいいい!」

悪霊が乗りついて、次々に仲間が死んでいく。その血まみれのスプラッタなシーンに、ルキアがかたかたと震えて、一護に抱き着いた。

「血が・・・・」

「つくりものだ。CGさ」

「それでも、怖い」

「ここで見るのやめとくか?」

「続きが気になるではなか!最後まで見る!」

怖がりのわりには、ルキアも物好きだ、

最後まで見終えて、主人公も死んだ映画に、なんともいえない寂寥感と恐怖をかんじた。

「い、一護・・・・あれは、成仏したのか?」

「死霊か?成仏してねーんじゃねぇかな。もともと、呪文で蘇ったものだから」

「虚になるのならいい・・・・しかし、西洋の悪霊は悪魔になるのであろう?」

「そうだっけ。西洋なんだから、尸魂界の範囲ではないだろし。ま、作り者だからどうでもいいじゃねーか」

「よくないたわけ!怖くて眠れぬではないか!」

「俺がいるだろ?」

ルキアの頭を撫でて、胸にかき抱いていると、ルキアの恐怖心も紛れたのか、大人しくじっとそうしいた。

間近に、アメジストの瞳があった。

「これ、やるよ」

一護が、机の引き出しから何かを取り出した。

小さな花形カットされた、アメジストのついたヘアピンが2つあった。

「かわいい・・・・・」

「親父にお年玉もらったから、その金とバイトでためた金で買った」

金細工でできており、それなりに値段がしそうだった。

「よいのか、こんな高そうなもの」

「お前にだから、あげたいんだよ。少し早いけど、誕生日おめでとう、ルキア」

「ありがとう、一護」

一護は、ルキアの髪をそのヘアピンで留めてやった。

二人は、傍に寄り添いあいながら、出会った頃のことを語った。

ルキアとの出会いは突然で。いろいろと語り合っていると、寝る時間になって、二人で1つのB度の上で丸くなって眠った。


一護がルキアを好きな理由。

かわいいけど凛々しくてかっこよくて、強い。

それも外せなかった。




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