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堕天使と天使4

初めての依頼は、サキュバスの退治だった。

祓い屋といっても、対象は基本討伐か浄化になる。

「ああ、ココアちゃん思い出すねぇ」

京楽は、サキュバスといわれて、1年と少し前に関係のあったサキュバスを思い出していた。

「今回のサキュバスは、対象者を死ぬまで生気を吸い取るらしい」

「わー、それは大変だ。討伐だね」

この世界は、現代によく似ているが、魔法が使えて魔族や天使族もいる、異世界だ。車が通っていたりするが、転移魔法もある。

妖怪もいればモンスターもいるし、霊もいる。

冒険者ギルドもあった。

祓い屋や退治屋は、ギルドに依頼するよりもかかる金額が好きなく、迅速に対応してくれるので、浮竹と京楽が始めた祓い屋は、今注目を浴びていた。

「とりあえず、事件の多発しているマンションに行こう。そこで俺が囮になって寝るから、お前が退治してくれ」

「ええ、危ないよ!」

「だからって、関係のない人間を巻き込むわけにもいかないだろう。それにセラフである俺の生気は、サキュバスにとって極上のえさになるだろう」

「仕方ないねぇ。囮は僕がなりたいところだけど、サキュバスには顔見知りも多いからね」

京楽の、昔の爛れた性関係の中には、サキュバスは多かった。

浮竹と京楽は、サキュバスによる被害で死者が相次いで出ているというマンションに車で向かった。

すでに事件がはじまってから、男性たちは避難するように引っ越したり、ホテルに泊まったりしているので、浮竹が囮になってサキュバスが憑りつく可能性は限りなく高かった。

浮竹と京楽は、飽き部屋を借りてべッドの周囲に魔法陣を描き、サキュバスが一度きたら逃げられないようにした。

「さて、寝るか。スリープの魔法をかけてくれ」

「分かったよ。くれぐれも無茶はしないでね」

サキュバスは夢の中に現れる。満足して去っていくくらいしか、捕まえる方法がない。

「スリープ」

京楽は、眠りの呪文をかけた。

浮竹は、すぐに深い眠りに入っていった。

浮竹は、父親である大天使長ミカエルと、母であるおぼろげな姿のアンヌがいたのだが、すぐに場面が変わった。

褐色の肌をくねらせて、体に巻き付いてくるサキュバスを、浮竹はその虜になるのではなく、魅了(チャーム)の呪文の効果をはじき返して、サキュバスを見た。

「お前は、なんのために人が死ぬまで生気をとる。サキュバスなら、人が死ぬまで生気をとらなくても、相手を変えればやっていけるだろう!」

「きゃははは!あたしは殺したいから生気を全部とってるの。あなたの生気もいただくわ」

サキュバスは、浮竹の生気を吸い取った。

「な、何この聖なる生気は!あなた、天使ね!おいしいわ、もっとちょうだい!」

体をくねらせて、吸い付いてくるサキュバスを、浮竹はホーリーインフェルノの魔法を唱えて、精神世界から叩きだした。

「きゃあああああ!!」

サキュバスは、浮竹の体から出てきた。

「なんなの!夢の中で魔法が使えるなんて信じられない。ここは、一度逃げるしか・・・ああああ!?これ以上外に出れない!」

サキュバスは、外に出ようとして、自分を封じこめている結界に呆然とした。

「それは、そういう結界を施してあるからだよ、マリンちゃん」

「京楽!?京楽なのね!お願い、あたしを助けて!あなたとは3回も関係をもったわ。ねぇ、助けてちょうだい」

「残念ながら、君は生気を食いすぎて人を殺し過ぎたせいで、駆除対象になっている」

「嫌よ!あたしは、自由に生きるのよ!もっともっと生気を吸って、あの方から力をもらうのよ!」

京楽は、あの方という人物が気になったが、とりあえずマリンという名のサキュバスを捕縛する。

「それは残念だったな」

浮竹がいつの間からか、眠りから覚めていた。

「お前は駆除対象だ。悪魔の一種だから、消滅させないといけない」

「嫌よ!もう、人の生気は食べないから、許して!」

「それは無理な相談だな」

マリンは、京楽の手で捕縛されていたが、風の魔法で浮竹を切り刻んだ。

「こうしてくれる!」

「僕の浮竹に傷を・・・・ダークフレア」

「ぎゃあああああああ」

マリンは、跡形もなく消滅した。

手元に残ったのは、魔石だけだった。

「浮竹、怪我は大丈夫!?」

けっこう深い傷もあったが、浮竹は魔法を唱える。

「セイントヒール」

全ての傷が嘘のように癒えて、血の跡も服の汚れや破けた部分まで元に戻っていた。

「君の癒しの魔法って、時間回帰じゃないかな」

「なんだそれは」

「だって、普通の回復魔法は傷を癒すだけで、服の汚れや破れた部分まで治せない。この壊れた机に、ヒールかけてみて」

置かれてあった、足が一本折れている机に、ヒールをかけると、その机は新品のようになってしまった。

「やっぱり、時間回帰だ・・・・このことは、絶対に内緒だよ。神の魔法だから」

「よくわからんが、他言無用ということだな?」

「そうそう」


サキュバス退治の依頼者であった人間の、マンションに住んでいた男性に討伐が終わったことと、その証の魔石を見せると、金貨100枚を支払ってくれた。

魔石は、冒険者ギルドに登録して、金貨5枚で買い取ってもらった。

「今日は、寝かさないよ」

「眠いんだが」

「君がサキュバスに憑りつかれている間、もやもやしてたんだから!マリンちゃんとあはんうふんしたんでしょ?」

「いや、体をくねらせて抱き着かれて生気を奪われただけだが」

「そんなの信じられない」

「んんっ」

深い口づけを受けて、浮竹はキングサイズのベッドに押し倒されていた。

「僕を欲しがって。ねぇ、十四郎・・・・」

「あ、お前が欲しい、春水」

ローションを手に、浮竹の後ろを解していく。

「もっと欲しがって」

「あ、お前をくれ、春水、春水」

「いい子だね。たくさんあげるからね」

「ああああああ!!」

熱に引き裂かれた。

「ひあう!」

最奥まで入ってきた熱に、意識がもっていかれそうになる。

京楽は、浮竹の中をじっくりと味わってから、浮竹の胎の奥に子種を注いだ。

同時に、浮竹も自分の腹に白濁した液体を出していた。

「ひあああ!!」

オーガズムでいくことを覚えた体は、女のようにいく。

浮竹は、オーガズムでもいっていた。

「あああ!春水、もっと、もっとお前をくれ。んっ」

激しい口づけを交わしあいながら、浮竹は京楽を求める。

それに応えるように、京楽は浮竹の中に精液を流し込む。

「あ、もっと・・・・もっと、めちゃくちゃにして?」

「十四郎・・・・少しの間で、こんなにエロくなちゃって」

「誰のせいだと、思っている」

「あっはー。僕のせいだね」

ズクリと奥を抉ると、浮竹は背を弓なりにしならせて、オーガズムでいっていた。

「もっといっぱいあげるからね。ぐちゃぐちゃになるまで、犯してあげる」


「あ、あもうやぁっ」

浮竹は愛されすぎて、思考も何もトロトロになっていた。

「まだ、いけるでしょ?めちゃくちゃにしてって言ったのは、君のほうだよ」

「あ、やあああ」

京楽の硬いものは、入り口付近まで出ていき、ズンと奥を貫かれた。

「やあああ、あああ!!」

「君のここ、すごいことになってる」

結合部は互いの体液とローションで泡立っていた。

「いやあああ」

「これが最後だから。しっかり受け止めてね」

「ひあああ!!」

6回目になる精液を浮竹の中に注ぎ込んで、京楽は満足した。

浮竹は最後のほうは意識も虚ろになっていた。

一緒にお風呂に入った。ぼーっとしている浮竹の髪と体を洗ってやり、中に出したものをかきだす。

「んあっ」

「もう、僕をあおらないでよ」

「京楽の手の動きがエロいせいだ」

「普通に後処理してるだけですぅ」

二人は、お互いを抱きしめ合いながら、同じベッドで眠るのだった。

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堕天使と天使3

母役であったガブリエルが、降臨した。

正確には、浮竹の家にやってきた。

「あああ、本当に京楽がいる!私のかわいい浮竹に手を出して!」

「ああ、ガブリエルちゃん、今日もかわいいね。昔なら、どう、一発?って言ってたところだけど、今の僕は浮竹一筋だから、ガブリエルちゃんがいても君には手を出さないよ」

「かわりに、私のかわいい浮竹に手を出すんでしょう!」

ガブリエルが威嚇していたが、浮竹があまりにも穏やかで幸せそうなので、伝言を伝えにきたのだと言い出した。

「浮竹。あなたの父は、天使の中でも最高位に位置する、大天使長ミカエルよ」

「ミカエルだって!?あんな高貴な者が、人間と愛を交わし合ったの?」

その結果にできた子供が、浮竹なのだ。

「一度、ミカエルに会いにいって。あなたが、京楽を人生のパートナーに選んだことを、すごく心配しているから。さぁ、一緒に天界に行きましょう」

「分かった。京楽は、適当に留守番しておいてくれ」

「あーあ。僕が堕天使じゃなかったら、一緒にいくのになぁ」

京楽のつぶやきに、浮竹は京楽の頭を撫でた。

「すぐに、帰ってくる」

「うん。夕飯の準備して、待ってるね」

天界にいくと、最高位の天使セラフの中でもTOPにいる大天使長ミカエルが迎えにきてくれた。

「私の愛しい浮竹。私とアンヌの子よ」

「・・・・父さん?」

「ああ、君から父さんと呼ばれる日がこようとは・・・・」

ミカエルは、細面の少年だった。

「なんだか、俺のほうが親といったほうが、しっくりくるんだが」

「愛しい浮竹。我ら天使族はある程度の年齢で老化が止まる。今の浮竹も、その姿のまま時を止めているだろう」

「え、そうなのか。そういえば、年齢のわりに全然若いですねっていわれるわけだ」

「これは父からの忠告と警告だ。京楽を人生のパートナーにするのはやめなさい。きっと、いつか捨てられて哀しい思いをする。いつ浮気されるかも分からない」

「京楽は、俺に愛を捧げ、誓ってくれた。パートナーにすると」

「それが、不幸でしかないとしても?」

ミカエルの言葉に、京楽は首を横に振る。

「京楽と一緒に過ごしてまだ半年だが、幸せだ。不幸なんかじゃない。京楽と別れるつもりはない」

「そうか。セラフとして、天界に来る気はないのだろう」

「ないな」

「では、一度お別れだ。元の世界に戻った、このメモの場所にお前の母親のアンヌ・マリーが住んでいる。いつか、アンヌが生きているうちに、会いに行ってやってほしい。私たちは、本気で君を愛していた。神の都合で子を略奪されて、ガブリエルに育てられて人間界に捨てられると知った時、止めたかったが、止めたら罰がくだる。私はアンヌを失いたくなかった。今まで君の存在に触れてことなかったことを、どうか許してほしい」

「許すも何も、父さんがいたから俺は生まれた。ガブリエル母さんに育てられて幸せだったし、人間界に捨てられたといっても、施設での暮らしに不自由はなかったし、なりたい職にもつけた。父さん、俺は今は幸せだ」

「そうか」

ほろりと、ミカエルは涙を零して、自分より年上に見えて、背も高い浮竹を抱きしめた。

「どうか、これからも幸せであってくれ」

「うん」

浮竹は、ミカエルとの話を終えて、天界から人間界に戻ってきた。

「おや、意外と早かったね。今、夕食を作っているところだよ」

「父に会ってきた」

「大天使長ミカエルか。僕のこと、何か言ってた?」

「不幸になるから、すぐ別れろと言われた。あと、すぐ浮気するかもしれないって」

「ははははは。散々な言われようだね」

浮竹を顔を上げた。

「でも、嫌だっていった。今の京楽と暮らしていて、幸せだと俺は感じている。だから、別れないと言ってきた」

「浮竹・・・・十四郎、愛してるよ」

「俺も愛している、春水」

二人は、触れるだけの口づけを交わした。

「君がいない間、天使の子がやってきてね。最高神である山じいからの手紙がきてた。セラフとしての力と、僕の堕天使としての力を生かして、この世界でいわゆる祓い屋をしろだってさ」

「祓い屋?」

「そう。モンスターや魔族、妖怪、霊・・・そんな存在を駆除しろだってさ」

「そんなこと、できるのか?」

「今の君は魔法を使えるはずだ」

「そうなのか?」

京楽は、ごそごそと本棚を調べ始めた。

「あったあった。魔法入門編~上級編まで。これに目を通しておけば、魔法が使えるようになるから・・・・」

「フレアバースト?」

ごおおお。

魔法の入門書に書かれていた、中級呪文を、浮竹は無詠唱で使っていた。

火は燃え盛り、今にも飛び火して家が焼けそうだったので、京楽が魔法を唱える。

「ウォーターボール」

浮竹の炎の魔法は、京楽の水の魔法で相殺された。

「ねぇ、君って魔法使うの初めてだよね?」

「そうだが?」

「魔法の才は、大天使長ミカエル並みってところかな」

「祓い屋をするのはいいが、何をすればいいんだ」

「まずは、祓い屋の業界に参加することを証明しないとね。知り合いを使って、すでに出しておいたから、もうすぐ許可証が届くよ」

黒い猫が、翼を生やして窓から入ってきた。

「おつかれ。はい、これ約束のチュール3日分」

チュール3日分と引き換えに、祓い屋の許可証を渡してくれた。

「また、何か頼み事があれば、儂をよぶといい。力になってやろう」

「またねえ、夜一ちゃん」

「あの黒猫は?」

「ん?夜一ちゃんっていって、人化できる猫又だよ。翼もあるけど。まぁ、3回くらい寝たことあるけど、褐色肌の美人さんだったよ」

浮竹はむっとなった。

「ちょっと、昔の話だから。今は、浮竹一筋だから」

「分かってる」

「そうだねぇ、家の前に祓い屋の看板を建てようか」

「好きにしてくれ。俺は今日はもう寝る」

「ちょっと、夕飯ちゃんと作るし、夜一ちゃんとはもう何もないから、怒らないでよ」

結局、京楽が作ってくれたおいしい夕飯を食べて、浮竹は風呂に入り、眠りにつく。

祓い屋をする天使など、この世に二人と存在しないだろう。

そんな祓い屋の誕生だった。


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堕天使と天使2

「ねぇ、僕のパートナーになってくれない?」

京楽は、ある日そんなことを言い出した。

京楽とは、何度か体を重ね合った。同じ部屋で暮らしてる友人というには、この関係は不適切だ。恋人同士といったほうがいいのだろう。京楽は、浮竹に恋人になってくれといっているのだった。

つまりは、人生のパートナーになってほしいということだった。

「僕の人生のパートナーになってよ。名実共に君が欲しい、浮竹」

「俺は・・・・その、どっちでもいい」

体を重ねたし、相性も悪くないし、一緒に暮らしたこの半年で京楽のことが好きになっていた。ただ、浮竹は感情を外に出すのがあまり上手ではないのか、「どっちでもいい」とぶっきらぼうに言ってしまったが、本当は京楽とパートナーになりたかった。

「じゃあ、決まりね。君は今日から僕のもので、僕は今日から君のもの」

「そんな、もの扱いはやめろ」

「どうして?」

「どうしてもだ」

浮竹は、一度言い出したら聞かないことがある。

「ガブリエル母さんに会いたい。天使として覚醒した今なら、天界にも行けるだろうか?」

「行けるよ。なんなら、門を開こうか?」

京楽は、そう言って天界に通じる門を出した。

「僕は堕天使だけど、まだ悪魔にまでは落ちてないからね。門を出すことはできるんだ。ただし、僕自身は堕天使だから入れないけど」

「ちょっと、行ってくる」

「行ってらっしゃい」


天界の門をくぐると、そこは聖なる力で満ち溢れていた。

浮竹は普段着のまま、背の6枚の翼を生やせて、天界を彷徨い歩いた。

「こっちよ。こちらに、来なさい」

優しい懐かしい声がした。

そっちの方へ行くと、まだ年若い幼い天使たちが遊びまわっていた。

その中心に、ガブリエルはいた。

「久しぶりね、京楽。天使として覚醒したのね。でも、こっちの世界には戻ってこないのね?」

浮竹の育ての親である大天使ガブリエルは、少し悲しそうな顔をしていた。

「母さん、俺はあなたに感謝を、ありがとうを言いにきたんだ」

「よして。ハーフの子たちを8歳まで育てた後は、人間界に追放するようにしてきたわ。浮竹、あなたはセラフと人間のハーフだった。それでも8歳になった時、私はあなたを人間界に置き去りにした」

「それでも、ガブリエル母さんがいなかったら、俺は、いや俺を含めた天使のハーフたちは生き延びれなかっただろう」

浮竹は、可憐な少女のまま時を止めた、ガブリエルの前に座って、手を握った。

「俺を育ててくれてありがとう。俺に人の愛し方を教えてくれてありがとう」

「浮竹・・・・あら、あなた、ちょっと堕天使の匂いがするわね?これは・・・うそ、京楽のものじゃない!あなた、あの食いちからすで有名な、京楽の手にかかったの!?」

「京楽は、そんなに有名なのか?」

「京楽は、あろうことか女神にまで手を出した堕天使よ。天使はおろか、堕天使や悪魔とさえ寝る、色欲魔よ!」

「その・・・・いま、俺の家で一緒に住んでるんだが」

「悪いことは言わないから、すぐに追い出しなさい。あなたも、いずれあの堕天使の爛れた欲の騒動に巻き込まれてしまうわ」

「でも、京楽は俺に人生のパートナーになってほしいって」

ガブリエルは、ふっと意識を失った。

「母さん、母さん?」

「ああ、ごめんなさい。浮竹、あなたはセラフとしては生きないのね。そう、人間として生きるなら、京楽と一緒にいても・・・・・やっぱりだめ。別れなさい」

「それはできないんだ。もう、俺は京楽のものだから」

今度こそ、ガブリエルはショックで意識を失い、子供の天使たちに囲まれるのだった。

天界での天使の成り立ちは、世界樹の実から天使が生まれる。

天使同士の間でも子は産まれるが、出生率が低くて、普通の天使は世界樹の実から生まれた。

浮竹の場合、父がセラフで母が人間であった。

ハーフの子が生まれると、時期の遅い早いはあるが、神々は子供を没収する。

今でも、天界のどこかに父親はいて、人間世界のどこかに本当の母親もいるのだろう。

ちなみに、堕天使京楽は、元々は天使の生まれなので世界樹の実から生まれた。

素行がよくなくて、ある程度の年齢に達すると、同じ天使の少女を誘惑して、抱いた。

それは果てしなく続き、しまいには人間界に降りて、人間もそして悪魔とも寝た。

堕天する原因となったのは、女神に手を出したからだった。

浮竹は失神してしまったガブリエルに傍にあった毛布をかけると、天使と人間のハーフの幼い子供たちに、起こさないように言い聞かせて、天界を去り、元の人間界の自分の自宅に戻った。

「どうだった?」

「お前のことを言うと、即刻別れろと言われた」

「そりゃそうだろうね。僕は色欲魔だから。女神にまで手を出したって言われてたでしょ」

「ああ」

「あれが原因で、堕天使になっちゃったんだよねぇ」

京楽は、夕飯を作ってくれていた。

これまた、どこのレストランの料理ですか的なものが作られていて、デザートは苺のシャーベットだった。

「あ、俺苺は好きなんだ」

「よかった。特売日だったんだよ」

お金は、浮竹のものであったが、貯金はけっこうあったので、クレジットカードを京楽に持たせて、買い物を自由にできるようにさせた。

あと、パソコンとスマホも買い与えてやった。

「ここ数日で、もしもサキュバスが来たら、教えてね。別れをちゃんと言わずに別れた子だから、今の僕が愛している君にちょっかいをかけてくるかもしれない」

「ああ、分かった」

その日の夢の中で、ガブリエルとよく似た女性に誘惑された。

反抗しようとしたが抗えず、けれど交わることも断固拒否していると、生気だけを吸われて、目覚めた。

「ココア!何してるんだい!」

「だって、京楽が悪いのよ!あたしに愛を囁いておきながら、こんなセラフもどきと愛を交わし、おまけに人生のパートナーになるなんて!」

「ココア、君との関係は遊びだ。それを君も知っていて、関係をもったでしょ」

「それでも、あたしは京楽がいいの!京楽の生気はすごくおいしいんだから!この子の生気もおいしいけど・・・・・」

ココアと呼ばれたサキュバスは、スレンダーな体をしていたが、露出度の高い衣装を着ていた。

水着と言っても過言ではない出で立ちだった。

「京楽、この子は?」

「僕の1年前まで、よく関係をもっていたサキュバスだよ」

京楽の性生活は爛れていたと聞いていたので、そんな存在が現れても、特別浮竹は驚きはしなかった。

「京楽は、俺のものだ。帰れ」

「何よ!ちょっと顔がいいからって調子のらないでよ!」

「ココア、怒るよ!」

「何よ何よ!みんなして、まるであたしが悪いみたいじゃない。もういいわ、あたし帰る!」

ココアという名のサキュバスは、悪魔の翼を広げて魔界に戻ってしまった。

「・・・・・おいしそうな名前だった」

浮竹の言葉に、京楽が笑いだす。

「あはははは、サキュバスに生気を抜き取られたっていうのに、平気な顔してるあげくにおいしそうって・・・・・」

「何か変か?」

「ううん、君は今のままでいてね」

口づけられて、浮竹はその身を京楽に任せた。

「愛しているよ、十四郎」

「あっ」

京楽は、睦言になると下の名前で呼んできた。

「んんっ」

平らな胸をなでられて、首筋から鎖骨、胸にかけてキスマークを花のように散らしていく。

「んあっ」

唇を重ねられて、浮竹は自分から口を開いて、京楽の舌を受け入れた。

「んんっ」

京楽の手にはローションがあり、ああ、そういう行為に及ぶのだと、今更ながらに他人事のように感じていた。

「んっ」

指が入ってきて、いい場所をかすめて中を解していく。

「あああああああ!!!」

京楽は、いれる前に浮竹のものをしごいて、精液をださせた。

その快感に、頭が真っ白になる。

その間に、熱に引き裂かれた。

「んああああ!!」

ぐちゅりと音をたてて、京楽の巨大なものが入ってくる。

そんなものを受け入れる器官ではないそこは、うねって京楽を排除しようとした。

「ああ、いいね。一度中で出すよ」

「ああ、春水、春水」

「うん、僕はここにいるよ」

浮竹は、京楽の背中に爪痕を立てた。

ずぐっと音がして、最奥にまで入り込んできた京楽のものは、浮竹の中に精液を放っていた。

コンドームがあるのだが、京楽はつけたがらない。

後処理とかめんどそうだし、つけてみればいいとすすめたのだが、断固拒否された。

「ああ、やっぱり生がいい。君の中を、生で味わって精液をぶちまけている男の名前、分かるかい?」

「あ、春水・・・・・・」

「そう、正解」

京楽は、また熱を浮竹の中に放っていた。

「ひあああああ!!!」

オーガズムで、浮竹はいっていた。

「あ、あ、ああああ」

京楽は、何度も浮竹を犯し、貪った。

「もうやああああ」

浮竹がもう出すものがなくなっても、いじってきた。

「やあああ!」

最後の一滴まで、浮竹の中に注ぎ込む。

浮竹の熱が弾けるのを感じながら、浮竹は意識を失った。

気づくと、ベッドの上だった。

普通のべッドから、キングサイズのベッドに買い替えたので、京楽と2人で寝てもまだ広さが少しだけあった。

後始末はちゃんとしてくれたみたいで、シーツを変えられた布団の中で、身じろぐ。

「ん、起きたの?」

「ああ」

「まだ夜明け前だよ。もう一度、寝て」

「分かった」

「愛してるよ、十四郎。僕の人生のパートナー」

「俺も愛してる、春水」

浮竹は、また微睡みの中に沈んでいく。

夢を見ていた。

名前も知らぬ父親が出てくる夢だった。噂では、セラフの中でもかなりの高位の身分だそうで、大天使であるガブリエルにも匹敵するとかしないとか。

しょせん夢は夢。

それでも、夢の中では父と本当の母と過ごす夢だった。

幸せだった。

だが、神に邪魔された。

ハーフの子として、ガブリエルに託された。

顔もあまり知らぬ本当の父と母より、育ての親であったガブリエルのほうが、数倍愛しいと感じるのだった。


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始祖なる者、ヴァンパイアマスター

今日も、浮竹は神界を訪れていた。

創造神であり、最高神であるルシエードに会いにきていた。

「今日はチーズケーキを作ってみたんだ。甘さは控えめにしている。よかったら、食べてくれ」

「ああ、いただこう」

ルシエードは、愛児である浮竹に甘かった。

神界に行ける指輪を渡してからというのもの、浮竹はよく神界にやってきた。

もう、他の神々も慣れてしまって、最初は顔を青くして、ルシエードと浮竹のやりとりを聞いていたり眺めていたりしていたが、今日も平和に終わりそうだった。

「なかなかうまかった。よければ、また作ってくれ」

「ああ!じゃあ、またな」

「京楽に、魔神として魂を喰うのはほどほどにしておけと伝えてくれ」

「どうしてだ?」

「邪神になる可能性が高くなる。まぁ、今程度の魂の食事なら、あと千年は余裕だろうが、念のためだ」

「ああ、伝えておく」

浮竹は、自分の古城に戻ると、京楽を呼び出した。

「京楽、お前陰で隠れて魂を喰っているな?」

「ええ、なんでばれてるの」

「ルシエードが教えてくれた。なんの魂を食べているんだ」

「モンスターに決まってるでしょ」

「モンスターでも、数が貯まれば人の魂と同価値になる。今のままでは千年は余裕だろうが、念のためと言われた。モンスターの魂を喰うのも、ほどほどにしておけよ」

「はーい」

京楽は、その日の夜は、用事があると出かけてしまった。

「るるるる?」

「りんりんりん~」

一人の夜は長く感じて、ミミック部屋になっているミミックの巣にやってくると、ポチとタマが出迎えてくれた。

子供たちだったイチロー、ジロー、サブロー、シローはそれぞれダンジョンに旅立ち、伴侶を見つけてたまに古城にやってくる。

ポチとタマは、おじいちゃんとおばあちゃんになってしまっていた。

子供たちが、さらに子供産んだせいだ。

もっとも、ミミックは不老種族であるので、年など関係ないが。

ある一定の大きさまで成長すると、そこで成長が途絶える。老いることがなくなるのだ。

ミミックが老いないことに関した研究論が最近発表され、人類の中でも不老を求める者が多くなってきた。

平和な時代は、時に争いの火種を投げかける。

不老の象徴であるヴァンパイアを、麻酔もなしに解剖実験したという事件が起こったことがある。

その時は、浮竹は怒り、加害者とその仲間もろとも皆殺しにした。

そういえば、あの魂は京楽が喰ったのだ。

京楽がいうには、人間の魂はまぁまぁおいしいらしい。

邪神の魂はくそまずく、女神の魂が極上であるらしい。

藍染が死んだことで、残された女神オリガが処刑されたが、その魂は世界を彷徨い、やがてある少女の中に宿った。

浮竹に接触してきたその少女は、浮竹が昔血族にしようとしていたブラドツェペシュによく似ていた。

京楽が、その魂が女神のものであると気づき、京楽は女神オリガの魂だけを喰って、片隅においやられていた少女の魂を救った。

女神の魂は極上の味と満足感を生み出し、あれから数カ月は京楽は魂を口にしなかった。

いつ頃からだろうか。

倒したモンスターの魂を喰うようになったのは。

魔神は、普通の食事でも生きていけるが、魂の飢えもかんじるのだそうだ。

我慢できなくはないが、満たしたい欲求が生まれるらしい。なので、モンスタ―を倒してその魂を喰っていた。

人の魂を、意味なく口にすることは硬く禁止させているので、最近では、懲りずにやってくるヴァンパイアハンターの魂くらいしか、口にしていなかった。

「ポチ、タマ、今日はここで寝てもいいか。京楽がいないんだ。寂しくて一人で眠れそうにない

「るるるる~~」

「りんりんりん」

ポチとタマは、いいよと言ってくれた。とりあえずまだ原型をとどめているソファーの上に寝そべって、もってきた毛布をかぶると、ポチとタマがいるせいか、安心してすぐに眠ってしまった。

「浮竹、浮竹」

「んー。後2時間・・・・・」

「2時間も経つと、昼の3時になってしまうよ」

「ん、京楽?」

「こんなミミックの巣なんかで寝て。どうしたの?」

「お前が!」

浮竹は、京楽の鳩尾にパンチをかました。

「おぐっ」

「お前がいなかったせいなんかじゃないからな!」

「ちょ、もっかいいって。すごいかわいい、浮竹」

「知るか!」

昼過ぎで、腹も減っていたので昼食を食べた。

それから夕食の時間になり、京楽はオレンジ色の果実酒を浮竹にすすめた。

「甘いな。おいしい」

「そう、ならよかった」

「京楽は飲まないのか?」

「僕はいいよ。こっちのワインを飲んどく」

「あ、それ年代物のやつだぞ。勝手に飲むな。俺も飲む」

浮竹は、結局果実酒を丸々1本と、ワインを半分飲んでしまい、眠そうにしていた。

あれだけ眠ったというのに、まだ寝れるなんてある意味凄いと浮竹は思った。

「浮竹、夜はこれからだよ?」

「へ?」

果実酒に混ぜた薬の効果が効いてきた。

「何・・・・体が熱い。お前、また媚薬か、それともこの前みたいな、うさぎ耳か」

「残念。今回猫耳でした」

「お前は!」

浮竹が振り上げた拳は、力なく京楽の肩をたたく。

「媚薬も入ってるな」

「うん」

「うんじゃない、この変態が!」

「乱菊ちゃんの特製猫耳薬。猫耳と猫の尻尾が生えて、発情期と同じ状態になる」

「だから、こんなに体が熱く・・・・・・」

京楽は、浮竹を抱き上げて、一緒にお風呂に入った。

風呂場では一切性的なことはなかったが、風呂からあがり、髪を水分をふいていると、京楽に抱き上げられて、寝室のべッドまでやってきた。

「やっ」

ほとんど裸同然の、バスローブだけを羽織った姿だったので、すぐに白い肌が露わになった。

「んっ」

猫耳を撫でられ、いじくられると、そこだけ電気が通ったようなしびれを感じた。

猫の尻尾を触られても、同じようなかんじた。

「やああ、にゃああん」

発情しているのが、自分でもわかった。

浮竹のものは勃ちあがり、京楽に触られるのを待っていた。

「ふふ、かわいいね、十四郎」

「や、猫耳と尻尾ばかり触ってないで・・・・・」

「触ってないで?」

「言わせるな」

浮竹の胸に顔を埋めて、浮竹は京楽の首に噛みついて、血を啜った。

「ん・・・分かったよ。触ってあげる」

京楽の手が、浮竹のものをいじりだす。

最初は包み込むように、次にしごきだして、その快感に浮竹はうっとりとなった。

「気持ちいい・・・・」

「いっていいよ」

「やあ、にゃああんん」

浮竹は、京楽の手に射精していた。それを、浮竹が舐めとる。

「ふふ、猫みたいな鳴き声も出るのが、今回の薬の特徴なんだよね」

「ばか・・・・・」

全身を撫でられる。

平らな胸を何度も触られて、先端をつままれると、猫耳と猫の尻尾を触った時と同じような快感が生まれた。

「や、もう・・・早く、来い」

「ちゃんと慣らしておかないと」

ローションを垂らされて、浮竹は震えた。

「冷たい!」

「ああ、ごめん。いつも、人肌まで温めていたからね。僕も余裕なくなってるから」

「一度、抜いてやろうか?」

「じゃあ、お願いしようかな」

浮竹は、硬くなっている京楽のものに、ちろちろと舌をはわせながら、根本から扱きあげた。

「あ、いいね。気持ちいいよ」

京楽は、お礼だと浮竹の猫耳ばかりといじっていた。

「にゃあん。あっ」

京楽の精液が、浮竹の顔にかかった。

「ああ、ごめんね。今ふくから」

ティッシュで顔を拭われて、浮竹は早くとせがむ。

人肌の温度にしたローションを、京楽が浮竹の中に塗りこんでいく。

「あああ、あ」

こりこりといいところを指でえぐってやると、浮竹は啼いた。

「にゃああんん」

「もう我慢できない?」

こくりと、浮竹は頷く。

「いれるから、力ぬいていてね」

熱い京楽のものが宛がわれて、一気に貫かれた。

「ひあああああああ!にゃあああ!!!」

浮竹は、生理的な涙を零して、京楽の肩に伸びた爪を立てた。

「手、背中に回していいよ」

浮竹は、手を背中にまわして、京楽の背に引っかき傷をつくる。

でも、すぐに癒えてしまう。

「あああ、あああ」

前後に動く京楽のものに、浮竹の内部はねっとりと絡みついた。

「あ、あ、あ、にゃあああ」

猫の尻尾を同時に触られて、オーガズムでいっていた。

「にゃあああ!!」

「ほら、まだまだいけるでしょ?」

「やああああ」

浮竹は、自分の腹に精液を出していた。

それを、京楽が舐めとる。

「甘いね」

「ばかぁ」

ジュプジュプと、結合部が水音を立てる。

「はあっ!」

最奥をごりっと抉られて、浮竹はオーガズムでいっていた。

猫の尻尾をいじられていた。

「あああ、にゃあああ!!!」

ごりごりっと奥を削るように入って、京楽の熱を自然と締め付ける。

「ん、出すよ。全部、受け止めてね」

「にゃあああ!!!」

びゅるびゅると、濃い精子を浮竹の最奥に注ぎながら、京楽は浮竹の猫耳を噛んでいた。

「にゃあああん」

「ふふ、かわいい。十四郎、交わったら発情期なのは終わって、ただの猫耳と猫の尻尾が生えてる時間が3日あるから、その間に写真とろうね?」

「にゃああ」

浮竹は、最初はただ啼くことしかできなかった。

猫の尻尾を揺らして、京楽の腰を足で挟みこむ。

「ふふふ・・・・俺のものだ、春水。お前は、俺だけのものだ」

「十四郎・・・・・」

「にゃあああ」

京楽は、また熱を浮竹の胎の奥で出していた。

「もっと、もっと、俺が壊れるくらい愛してくれ」

「君が壊れるとだめだから、加減はするよ」

ぐちゅりと奥を突きあげられて、目がちかちかしら。

「にゃあああ!!」

びくんと浮竹の尻尾がぴんと伸びて、背が弓ななりになる。

オーガズムでいったことを確認してから、京楽は浮竹の肩に噛みつき、血を啜った。

「ああああ、あああ!!!」

オーガズムでいきながらの吸血の快楽は、頭を真っ白にする。

「にゃああん」

京楽は、結局5回も浮竹の中に出して、その頃には浮竹も発情期が収まり、元に戻っているのだった。

相変わらず、猫耳と猫の尻尾はあった。



「ねぇ、浮竹~」

「知らん」

「浮竹、写真とらせて」

「やだ」

「そう言わずに」

「知らない」

つーんとなる浮竹に、またたびをあげると、面白いほどに素直になった。

「写真、とろうね?」

「にゃあん」

京楽にごろごろとすりよりながらの浮竹の可愛さは、京楽もびっくりするくらいで、猫耳の薬にはまただび用意と、メモをするのであった。

そして、後日京楽は浮竹にしばかれるのであった。


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エンシェントエルフとダークエルフ41

ブルンが進化した。

ある日突然体が光り、オパール色の色彩を放つ、背中に6枚の翼をもつセラフィムスライムになっていた。

「ブルン、それは最終進化だな?」

「くるるるーー」

「ええ、プルンに会いたい?そうだな、魔族との戦争も一段落したことだし、師匠の家に行くか」

「くるる」

「おい、京楽、師匠の家まで送ってくれ」

「あ、待って!僕も行くから!」

京楽の空間転移魔法で、浮竹と京楽とブルンは、師匠の剣士の京楽の家にやってきた。

ジリリリリン。

ベルを鳴らすと、眠たそうな顔の京楽が出迎えてくれた。

「師匠、寝不足か?」

『んー。戦後の報告とか、まぁ雑務』

『俺が書こうとすると怒るんだ』

『浮竹は、ぱぱっとやってしゅっとしたって書くから、意味不明で却下』

剣士の京楽の言葉に、精霊の浮竹がしょぼんとなる。

「師匠、俺が手伝いましょうか?」

『ああ、うん。手伝ってくれる?』

「僕も手伝うよ」

「くくるーーー」

「ぷぷううう」

奥の部屋では、セラフィムスライムに進化したブルンと、それを見て嬉しがっているプルンの姿があった。

「藍染は、やっつけたの?」

『ああ。妖刀で魂を喰ってやった』

「藍染も、邪神のくせに神になりたいとか思って戦争を起こすから、師匠に葬られるんだ」

『ほんとにね。魔王ヴェルはちょっとかわいそうだったね』

魔王ヴェルのこと、生き残った四天王のことなどを教えてもらった。

今は、一時的ではあるが、魔族と人間は休戦協定を結んだ。

いずれ、本格的なものになるだろう。

「師匠に、見てもらいたものがあるんだ」

エルフの浮竹が取り出したものは、巨大なドラゴンの牙であった。

「ブラックドラゴンを、討伐したんだ」

『おお、やるじゃない』

「討伐報酬が白金貨500枚、ドラゴンの素材が白金貨200枚になたった。ドラゴンキラーの称号を得た」

冒険者カードに、Sランク、ドラゴンキラーの称号が書かれてあった。

「これで、俺と京楽の夢が叶った。これからも、ドラゴンを倒しまくって・・・まぁ、ほどほどに。Bランク以上の依頼を引き受けて、冒険者活動をしていこうと思っている」

『うん、いいね。君たちをSランク試験に合格させたボクの目に、狂いはなかったってことだよ』

「で、サーモアにある120階層に出るヒドラなんだが、80階層のエンシェントドラゴンはなんとか倒せたんだが、ヒドラが回復力が強すぎて倒せないんだ」

『ああ、ヒドラは回復魔法を反転するかんじでかけると、回復しなくなるよ』

「そうだったのか。京楽、師匠の家を出たら、すぐ120階層に向かうぞ。今までクリアした階層はスキップして」

ダンジョンでは、一度攻略したマップをスキップできる機能があった。

空間転移魔法で、今攻略中の階層までいける仕組みになっていた。

師匠である剣士の京楽の雑務を片付けて、浮竹と京楽は、離れたがらないブルンをプルンと引き離して、ヒドラ退治に行くことにした。

『じゃあ、健闘を祈ってる』

『怪我しないようにな』

最後に、精霊の浮竹がそう言ってくれた。

「じゃあ、いってきます」

「くくるるうう」

うるうると涙ぐむブルンを連れて、京楽は空間転移魔法を使う。

「テレポート!」

ざっと場面は120階層の、ボスの扉の前だった。

「いくぞ、京楽」

「分かってるよ、浮竹」

「ぶるん、神ヒールをかけるのを、反対の形でかけてくれ」

「くくうる?」

試しに、浮竹に魔法をかけてみる。

「あいたたた、そ、それでOKだ」

ダメージもろにくっらたので、ブルンに神ヒールをかけてもらった。

「行くぞ!」

「うん!」

「くくる!」

「GYAOOOOOOOOO!!」

ヒドラだった。

8つの首があり、それぞれ別属性のブレスを吐いてくる。

「エターナルアイシクルフィールド!」

まずは氷の禁忌で、ヒドラの足から体までを凍り付かせる。

「今だ、ブルン!」

「くくるーーー!!」

ぱぁぁぁぁ。

ブルンの神魔法の反対の魔法は、ヒドラに大ダメージを与えて、再生ができなくなっていた。

「ダークフレア×5、ブラックホール×5!」

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン、三重詠唱【ワールドエンド】」

「GYAOOOOOOOOOOO!!」

ヒドラの首が5つ消し飛んだ。

何とか再生を試みるが、ヒドラは再生できず、暴れまわった。

「ホーリーエンチャント」

浮竹がミスリル銀の魔剣に、聖属性をエンチャントする。

「エアウィング!」

京楽が、浮竹の体に風の魔法で加速をかけた。

「グラビティ・ゼロ×5!」

「GUGYAAAA!!!」

重量の嵐でぺちゃんこになっているヒドラの中央にある、心臓に値する核を、浮竹は剣で粉々にした。

「GUAAAAAAAAAAA!」

ずどおおおおん。

巨大な音を立てて、ヒドラは倒れた。

「グッジョブ、浮竹」

「グッジョブ、京楽」

「くくるー」

「ブルンもお疲れさま」

ヒドラの魔石は、今までのどの魔石よりも巨大で、魔力密度が高かった。

ヒドラはドラゴンの素材になるようなものを含んでいるので、死体はアイテムポケットにいれる。ちなみに、80階層に出るエンシェントドラゴンもまだアイテムポケットの中だ。

財宝の間にいくと、金銀財宝、魔力付与されたミスリル銀、ミスリル製の武器防具、ドラゴン素材の武器防具、古代の遺物、魔道具、魔導書などがあった。

浮竹が一番に気になったのは、記載されている魔法が全て禁忌という魔本だった。

とりあえず、全部アイテムポケットに収納した。

冒険者ギルドの解体工房にヒドラの体を出すと、公式記録ではここ20年出回っていないそうだった。

損傷が激しかったため、白金貨50枚の買取額だった。

ちなみに、魔石は白金貨10枚で売れた。

討伐報酬はないが、サーモアSランクダンジョンの踏破者として、名前がギルドで刻まれることとなった。

「あはん、うっきーちゃん、春ちゃん、あたしはいずれあなたたちがこうなることを予想していたのよん。ああん、体のあそこが熱いわ!熱くて仕方ないの!」

「エターナルアイシクルワールド」

浮竹は、オカマのギルドマスターを氷像にした。

「ぐふふふふ。あたしがこの程度で」

「エターナルフェニックス」

「ぐふ、あたしがこの」

「エターナルフェンリル」

「ぐふ、あたし」

「ゴッドブレスサンダー」

「もぎゃあああああああ!!!」

「やったぞ。あいつ、ついにやった。あのオカマのギルドマスターを倒しやがった!」

冒険者たちには、サーモアのSランクダンジョン踏破よりも、キャサリンというセクハラを同性にしてくるオカマのマスターを倒したことのほうが意味が大きいようであった。

「今日は僕と浮竹のおごりだよ!好きなだけ飲んで食べてって!」

「そうこなくちゃ!よっ、Sランク冒険者の鏡!」

はじめは、12歳に外見年齢が届いた80歳の頃、冒険者登録をした。

Fランクから始まった。

幽閉されている京楽を誘い、一緒にエルフの森を飛び出して、冒険者ギルドで依頼を受けて、すごいスローペースだったが、月に2回ほどしかできなかったが、依頼を引き受けて、成人してエルフの森を本当に飛び出した時は、Bランク冒険者になっていた。

ブルンを拾い、他にも使い魔やらもできて、楽しかった。

ドラゴン討伐を夢見て、ファイアドラゴンに挑戦して破れた。

全ての始まりは、エンシェントエルフの族長である、浮竹の父親がダークエルフの京楽を拾ったことから始まった。

京楽は、殺されさえしなかったが、牢屋に入れられた。

その牢屋から抜け出す道を、浮竹は知っており、よく二人で抜け出した。

そのことを、牢屋の見張り番は内緒にしてくれていた。

世界はこんなにも美しく、こんなにも広く、そしてとても強いモンスターで満ち溢れていた。

BランクからAランクへ昇格し、2年後に迎えていたSランク昇格試験では、師匠である剣士の京楽との闘いもあった。

なんとかSランクに昇格はしたが、まだまだ力不足で、災害ドラゴンと言われる、ファイアドラゴンの討伐はできなかった。

だが、今ではドラゴンスレイヤーとなり、ドラゴンキラーの称号を手に入れて、ファイアドラゴンでも倒せそうだった。

長い長い旅は、これからも続いていく。

Sランクになり、ドラゴンを退治できたからといって、それで終わりではないのだ。世界はまだ広い。

見知らぬ世界を見て、ダンジョンを踏破していくためにも、浮竹と京楽とブルンの旅は続くのであった。



                  fin

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堕天使と天使

「にゃあ」

ある日浮竹は、道端で黒い猫を見つけた。

その黒猫は、浮竹の足元にすりついて、離れない。

「こら、早く行け」

「にゃあああん」

右足を怪我しているようで、獣医に連れて行こうと思ったのだが、あいにく日曜でどこの獣医も休診だった。

深い傷ではなかったので、とりあえず家に連れて帰り、前の飼っていた猫用のケージいれて、ペットショップへいって、猫缶詰とカリカリとチュール、ペットシーツ、砂などを購入して帰宅した。

「にゃあにゃあああ」

ケージに閉じ込めっぱなしだったので、黒猫は外に出してくれと訴える。

前の愛猫が死んで、まだ3カ月だ。

ペットロスにも悩んでいたことだし、浮竹はその黒猫を飼うことにした。

猫缶詰をあげると、ぺろりと平らげてしまった。カリカリもあげたが、興味はチュールのほうにむいていて、仕方なくチュールをあげると、黒猫はにゃあにゃあと喜んで食べた。

「お前の名前は黒いからクロだ」

「にゃああああ」

その日から一人と一匹の生活がはじまるはずであった。

浮竹は独身で、現在一人暮らしをしている。

職業は翻訳家で、ドイツ語を翻訳していた。出版社から仕事内容がパソコンで入ってくるので、出社するというサラリーマン人生とは無縁だった。

愛猫を15年間飼っていたのだが、老衰で死んでしまい、ペットショップに寄っては、次の子を迎えるか悩み、保護猫も見てみたが、いまいちぴんとくる子がいなかった。

前に飼っていた猫も、黒猫だった。

まとわりついてきた時、前の猫を思い出して、怪我もしているしついつい連れ帰ってしまった。

「とりあえず、明日獣医に連れて行こう」

浮竹は、その日の夜普通に寝た。クロがにゃあにゃあいうものだから、自分のべッドの隣を譲ると、そこでクロは眠ってしまった。

朝起きると、ベッドが狭かった。

「んー、なんだ?」

クロのせいかとも思ったが、何やらもっとでっかい物体に抱きしめられているらしい。

「ぎゃああああああああああああ」

浮竹は悲鳴をあげていた。

べッドの隣では、布団をかぶっているとはいえ、明らかに裸の男性が、眠っていて、自分を抱きしめていたのだ。

「ふあー。もう朝?おはよう」

「ぎゃあああああ、お前は誰だああああああああ!!警察、警察を!!」

「ちょっとよしてよ。僕を拾ったのは君でしょ?」

男性の言葉に、浮竹はとりあず距離をとる。

「そんなに威嚇しないでよ。僕だよ。君が名付けたクロさ。本名は別にあるけどね」

ちょうど、右足の怪我をしているところに、昨日浮竹はハンカチを巻いて応急手当をした。

ちょうと右手首に、そのハンカチがあった。

「はぁ!?クロが人間!?そんな馬鹿な・・・変な夢だ。寝直そう」

現実逃避する浮竹に、クロはクスりと笑って、背中の翼を広げた。

「僕の名前は京楽春水。黒猫は一時的な姿で、本当は天使だよ。おっと、元天使というべきか」

「はぁ!?」

浮竹は、壁でゴンゴン頭を殴っていた。

「僕は堕天使さ。人間と悪魔と天使の女性や男性と遊びまくっていたら、神様に怒られて天界から追放されちゃったんだ」

「よくできてる翼だな」

浮竹は、京楽の翼を触ってみた。

暖かく、ばさりと動いた。

「本物・・・・・」

「ということで、今日から君が僕のご主人様だから、よろしくね」

「よろしくね・・・・・じゃない!警察、警察!!」

京楽は、その辺にあった浮竹の服を着て、とりあえず裸でいることを止めて、浮竹を背後から翼で抱きしめた。

「ああ。俺の人生、これからどうなるんだろう。とりあえず、自己紹介だけはしとく。浮竹十四郎だ」

こうして、二人の生活が始まった。

京楽は気ままにふらりといなくなる。とりあえず、浮竹は仕方なく京楽の服を下着から靴下、靴に至るまで、買いそろえてやった。

そうでもないと、勝手に浮竹の服や靴で消えてしまうのだ。

黒猫でいる時間も長く、基本は猫なのだが、食事の時間になると、家事がへたくそな浮竹の代わり、京楽が家事をしてくれた。

たまっていた洗濯物とか洗い物をしてくれて、何故か一緒に買い物に出かけて、その日の食べるものを購入する。

京楽は人間の食事をした。

料理の腕は、お前そこらへんのレストランのコックかよってくらい、おいしい物を作ってくれた。

シャワーも浴びるし、服も着替えるし、寝る時はベッドが狭いので、猫になってもらった。

浮竹は収入はいい方なので、京楽一人くらいを養える収入はある。

でも、京楽は無職のまま、だらだらと過ごして1カ月が経った。

「なぁ、京楽」

「なんだい、浮竹」

もう見慣れてしまったので、浮竹は京楽が堕天使であることを受け止めていた。

「お前、昼の時間とかいないのに、何をしてるんだ?」

「やだ、僕に興味もちゃった?」

「違う、ただ純粋に」

「人間の女の子と遊んでる」

そう聞いて、浮竹はむっとなった。

「・・・・家賃を払え」

「ええっ、急にどうして」

「昼間からぶらついてナンパしているなんて・・・・」

浮竹は、心の何処かで寂しいと感じた。

「ごめん、余計な心配をかけたね?これからは、ちゃんと昼もいるから、泣き止んで」

その時、初めて自分が涙を流しているのだと分かった。

「これは、目にゴミが!」

「うん、そうだね」

京楽はどこまで優しかった。

浮竹は孤児であった。高校まで施設で過ごし、大学生になると同時にドイツ語の語学を習得して、ドイツに留学もした。

大学を卒業する頃には、英語もドイツ語もペラペラになっていた。

奨学金で学校に通っていたので、生活費だけをなんとかバイトで賄って、無事ドイツ語翻訳家として、小さいながらも立派な出版業界に入った。

仕事は自宅でOKだったので、浮竹は愛猫と一緒に、気が向いた問に締め切りまでに翻訳して、猫みたいな気ままな人生を送っていた。

「泣かないで」

抱きしめられて、浮竹の中で何かが弾けた。

「ああ、やっぱり、君はそうだったの。匂いで分かったんだよね。君は、天使だ。しかも上位の」

「はぁ!?俺が天使!?冗談も休み休み言え」

「じゃあ、その背中の翼は何?」

気づくと、背中には6枚の翼があった。

「それは最上位天使、セラフの証。君には、セラフと人間の匂いが混じっている。片親のどちからがセラフで、どちらかが人間だったんだろうね。人間とのハーフの天使は、幼少期まで育てられると、天界から追放されるから」

「俺が、セラフ・・・・・・」

京楽と接触したことで、これまで封印されていた浮竹の記憶が蘇る。

母であった大天使ガブリエルの元で、育った。たくさんの人間と天使のハーフたちと共に。

年齢が8歳になると、大天使ガブリエルは上からの命令で、子供たちを人間界に置き去りにした。

記憶の全てを奪って。

そうして、保護されて人間の施設で育ち、人間と天使のハーフは人間として生きていく。

ただ、天使と接触すると、記憶が戻る。

その時は天使として生きるのも自由とされた。

「ガブリエル母さん・・・・・・」

「おや、君の母役はあのガブリエルかい。あの乙女は優しいからね。それにすごくうまそうだった。あの子に育てられた君も、僕好みですごくおいしそうだ」

「俺を、食べるのか?」

「食べたいね。でも、別の意味で」

浮竹は顔を赤くして、京楽をクッションで殴った。

「俺はセラフと人間とのハーフだが、人間として生きる」

「ええ!セラフになれば、永遠を約束されるよ。平和な魂の番人として」

「俺は、今の生活が気に入っているんだ。今更、天使に戻る気なんてない」

浮竹は、そう言って翼をしまうと、寝てしまった。

「僕が君を食べたい言った意味、本当に分かってるの?」

眠っている浮竹の唇に唇を重ねた。

京楽は、今まで何十人の女性や男性と、種族を問わず交じりあった。

京楽の今のお気に入りは、浮竹だった。

だが、無理やり手に入れはしない。

こちらへゆっくり落ちてくるように仕向けるのだ。

京楽と浮竹の二人暮らしが始まって、3カ月が経とうとしていた。

京楽は昼にナンパにいくのをやめた。

昼は黒猫姿でひなたぼっこをしていた。

「にゃああ」

「なんだ。言いたい事あるなら、人型になれ」

「一度僕と交わってみない?きっと、天国にいけるから」

浮竹は、顔を真っ赤にして、京楽の鳩尾に拳を入れる。

「そういう会話は、女性にしろ」

「僕は男の子でもいけるんだよ?ただし、攻めだけど。浮竹が受けかな」

浮竹は更に真っ赤になって、京楽の顎に右ストレートを決めた。

「俺は、初めてだから、その」

「僕が優しく教えてあげるよ」

「お前は、今まで爛れた生活を送ってきたんだろう。その時だけの関係になるなんて、嫌だ」

「僕は、今君に恋をしているよ?君しか、今は欲しくない」

「俺は・・・・・・」

浮竹は、とさりと京楽の横に座った。

「どうすればいいのか、分からない」

「ただ、僕に身を委ねていればいいよ」

その日、浮竹は京楽に抱かれた。

「あ・・・・」

反応を示す浮竹のものをすりあげて、京楽は浮竹に吐精させる。

「ああああ!!」

何処で買ってきたのか、京楽はローションを用意していた。

とろとろになるまで解されて、前立腺ばかりをいじられて、浮竹はまた精液を放っていた。

「んあああ!!」

「君の中に入っていい?」

「バカ、聞くな」

ズッと、京楽のものが入ってくる。

痛かったが、浮竹は我慢した。

「ごめん、初めてだもんね?でも、これからメロメロにしてあげる」

「ああああ!!」

後は、もう快楽しかなかった。

何度も奥をこすりあげられて、抉られて、人生ではじめて女のようないきかたを知った。

「ひあああ!!」

「君の中に放つよ?」

「やああ、やあ!」

「ちゃんと後始末はしてあげるから。僕、基本ナマじゃないとだめなんだよね。でも、子種はないから、女性と関係をもっても、子ができる可能性もないし」

「んあああああ」

ぐちゅぐちゅと京楽の硬いものが出入りしていく。

京楽は、浮竹の胎の奥で精を放っていた。

「やああああ」

京楽のものは、まだ硬さを失っていなかった。

最後までつき合わされて、浮竹はぐったりとなった。

「ごめんね?久しぶりだし、君が恋しいから激しくなっちゃた」

「そういうことは、言うな、バカ!」

真っ赤になりながら、浮竹はクッションを京楽の顔面に投げつけた。

すでに後処理は終えてあり、二人は狭いベッドでお互いを抱きしめ合うように寝た。

次の日、起きると朝食の用意がしてあった。

「んー。今何時だ」

「9時だけど?」

「うわ、やばい!今日は出版社に行く予定だったんだ」

「時間ないの?」

「そんなことはないが」

出社するのは10時半だ。車で迎えば30分でつく。

「じゃあ、朝食食べていって。自信作なんだ」

朝食から、どこぞのコックの料理かというものを食べて、浮竹は車に乗り込む。

「じゃあ、すまないが留守を頼む」

「腰、平気?」

「殴るぞ。平気だ!」

「じゃあ、いってらっしゃ」

「ああ、いってきます・・・・」

こんな会話をしたのは、久方ぶりだと思いつき、浮竹は昨日のことを思い出して、真っ赤になりながら安全運転で車で出版社に向かうのだった。

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エンシェントエルフとダークエルフ40

人間社会と、魔王率いる魔族との戦争がいよいよ始まった。

だが、こんな日でもあくまで冒険者は冒険者で、傭兵ではないので戦争には出兵しない。

するのは王国や帝国の騎士や、兵士たちだ。

そんなこんなで、壊滅的ダメージを受けつつ、回復しつつあったイアラ帝国の騎士団も、またきな臭いことに巻き込まれようとしていた。

今回は、出兵する騎士たちに変わって、ダンジョンでスタンピード、いわゆる異常繁殖によるダンジョン外へのモンスターが溢れるを駆除する、定期的なモンスター駆除の仕事が回ってきた。

本来なら騎士団の仕事なのだが、魔族との戦争のせいでそれどころではないのだ。

浮竹と京楽は、Aランクダンジョンの異常繁殖したモンスターの群れを一掃していた。

「エターナルフェニックス!」

「カラミティファイア」

主に火属性の魔法で、出てくるモンスターを駆除していく。

魔石は念のため回収しておいた。

そのダンジョンは氷属性のモンスターが中心に出没するダンジョンで、氷女、アイスタイタン、アイスウルフなどが過剰繁殖していた。

倒しても倒しても、後から湧いてくる。

「寒いね」

「炎の魔法を出しているのに、敵が突っ込んでくる。こりゃ、今回駆除しておかなきゃ絶対スタンピード起こしてたな」

「そうだね。おっと、ダークフレア」

京楽は闇魔法の禁忌を放つ。

アイスウルフの群れに、闇の炎を投げると、それは巨大な炎となってアイスウルフの群れを消滅させた。

「京楽、魔石はちゃんと回収しておけ」

「ええ、こんな大量にいるんだし、めんどくさいよ。ダークフレア」

今度は氷女の群れを消滅させた。

「エターナルフェニックス!」

浮竹は、かろうじで魔石を回収できる程度の威力で殺していく。

普通のエターナルフェニックスでは、魔石ごと消滅しているが、大分威力を加減していた。

「ああ、もうめんどうだ。ダークフレア、ダークフレア、ダークフレア」

結局、京楽の魔法のせいで異常繁殖していたモンスターだけでなく、通常のモンスターも消し炭に変えられて、そのAランクダンジョンはしばらく深層までモンスターが沸かなくなるのであった。

浮竹が回収した魔石は、倒したモンスターの4割といったところだろうか。

それでも、冒険者ギルドで買いとってもらうと、大金貨400枚にはなった。

かなりの数を倒したので、しばらくの間あのAランクダンジョンではモンスターの沸きが甘く、深層まで行ってしまい、ラスボスにやられる冒険者がでてくるのだが、それはまぁ冒険者自身の責任となった。

「ええと・・・次はSランクダンジョンのモンスター駆除か。これは本腰を入れないとね」

「そうだな。行くぞ」

すでに何度かチャレンジしたことのあるダンジョンなので、空間転移でいけた。

キマイラ、コカトリス、バジリスクといった強力なモンスターが異常繁殖していた。

「ワールドエンド!」

京楽は魔法を放つ。

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン、3重詠唱【グラビティ・ゼロ】

ワールドエンドの禁忌でほとんどのモンスターの魔力を吸い込んで、3重詠唱の呪力魔法で異常繁殖したモンスターたちが、中身を大破させてひしゃげていく。

モンスターは、死ねば放置しておけばダンジョンが吸収してくれる。

冒険者の死体もまた然りであった。

「グラビティ・ゼロ」

また、3重詠唱の重力の魔法で、異常繁殖したモンスターたちを駆除して、ついでに魔石を抜き取った。

これといって素材になるモンスターではないので、死体は放置だ。

まだ、このダンジョンの深層には入っていない。

120階層まであるだが、80階層までしか到達していなかった。

80階層のボスが倒せずにいた。

80階層のボスは、エンシェントドラゴンであった。

いつか、ドラゴンを倒す、ドラゴンキラーを夢見て、二人は冒険を続けている。

「今度、エンシェントドラゴンに、挑むか」

「そうだね。80階層まではこれるけど、80階層を突破できずにいるからね」

ちなみに、最深部のボスはヒドラだった。

今はスタンピード対策で、ブルンを連れてきてはいない。

ちゃんと勝負を挑むなら、ブルンの神ヒールはどうしてもいる。

「なぁ、魔族と人間の戦争・・・お前の母親は、どうなるんだろうな?」

「さぁ?人間種族は弱いから、きっと大丈夫なんじゃないの」

「でも、師匠がいるだろう」

「そうだね。剣士の僕が、きっとなんとかしてくれるさ」

頼られないのは哀しいが、Sランク冒険者程度が首を突っ込んでいい戦争ではないのだ、今回は。

小さな小競り合いなら、依頼が回ってくることがあるが、全面戦争だ。

人間社会も魔族側も、どちらも大きな犠牲を払うだろう。

「とりあえず、Sランクダンジョンのモンスタ―駆除もおわった。一度、戻ろうか」

「うん。転移魔法かけるよ」

浮竹と京楽は、転移魔法でイアラ帝国の帝都アスランの冒険者前まできていた。

61~79階層ででた、ブラックサーペントやレッドサーペントを、大量にアイテムボックスに収納していた。

サーペント種族は肉が美味しい上に、皮は高級材料だ。

解体工房で100匹ほどのサーペントを出すと、解体工房の長が泣いていた。

「多すぎる・・・・解体には、2日ほど時間をくれ」

「うん、急いでないから」

「肉は少しだけ残しておいてくれ。料理に使いたい」

「あいよ。何人分を何食分だ?」

「2人分を3食分でいい」

魔石の買取り額は、大金貨1700枚だった。

2日後、ギルドの解体工房を訪れると、100匹分のサーペントの皮と肉を買い取ってもらい、2人分を3食分だけ残してもらった。

「100匹で、ちょうど大金貨1万枚だ」

「うわお、金になるねぇ」

「サーペントを定期的に狩る冒険者はいないからな。それができる奴は、ドラゴンを定期的に狙う。お前さんら、ドラゴンは倒せるんだろう?」

「さぁ?まだ、本気で挑んだことは2回くらいしかないから」

それには、災害ドラゴンのファイアドラゴンも含まれていた。

「いつか、ファイアドラゴンを退治してみたい」

「おお、叶うといいな。あれの討伐報酬金は白金貨2000枚だ。千年生きるエルフでも、3回以上は人生遊んで暮らせる」

「まぁ、今はこつこつ依頼をこなして実力をつけつつ、まずは普通のドラゴン退治だな」

「お前さんらなら、きっと近いうちにドラゴンも倒せるさ」

「そう言ってくれると嬉しいね」

こうしてスタンピード対策は終わり、騎士団の仕事は終わるのであった。

師匠である京楽の家には、魔族との戦争が起こってから、行っていない。行ってはいけないのだと、おぼろげながらに分かった。

藍染との決着をつけるのが、待っている。

師匠である剣士の京楽とその妖刀の精霊である浮竹と最後に会ったのは、半月前だ。

魔族関係で忙しくなると言っていた。

きっと、この戦争でもどこかで活躍しているのだろう。

「全てが終わったら、ぱーっと騒ぎたいな」

「あ、僕もそれに賛成」

「とりあえず、ブラックサーペントの肉で料理でも作るか」

「そうだね。高級肉だから、おしいくなるよ」

二人はマイホームに帰り、ブラックサーペントの肉でから揚げを作ったりするのだった。

本当なら、師匠のところに差し入れしたいのだが、今は叶わない。

早く、平和な時代がくればいいのにと、二人は思うのだった。

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エンシェントエルフとダークエルフ39

依頼はSランクだった。

帝都アスランで夜な夜な出没するヴァンパイアロードを退治せよ。

最近、ヴァンパイアロードに血を吸われて死ぬ人間や亜人が後を絶たないのだという。

緊急クエストだった。

浮竹と京楽は、早速調査に乗り出した。

帝都アスランは、主要都市であるのでかなり広い。

が、被害者は南の位置に固まっていて、浮竹と京楽は、夜になるとヴァンパイアロードが現れるという地域を巡回した。

「ほお、エンシェントエルフか。珍しい。見た目も悪くない」

浮竹と京楽は、お互いソロで警戒に当たっていた。

そのヴァンパイアロードは魅了(チャーム)の力をもっており、それに浮竹が罠にはまってしまい、ヴァンパイアロードに血を吸われてしまった。

血を吸われた者は、死ぬかヴァンパイアロードのものになるかの2択だ。

浮竹は、後者だった。

「あ・・・マスター」

京楽の目の前に、ヴァンパイアロードに抱かれる浮竹の姿があった。

「浮竹を離せ!」

「この子は私のものだ。私の血族になってもらう」

「そんなの、許さない!」

京楽は、ワールドエンドの魔法を放った。

すると、浮竹がヴァンパイアロードを庇い、自らもワールドエンドの魔法を使う。

「ごめんね、浮竹」

京楽は、まず手刀で浮竹を気絶させると、ヴァンパイアロードから奪い取り、距離をとった。

「私のものを奪うというのか」

「この子は、僕のものだよ」

「貴様、ダークエルフであろう。闇の眷属同士、仲良くしようではないか」

「まっぴらごめんだね」

京楽は、手加減なしの闇の火を放つ。

「ダークフレア!」

「この程度・・・・」

ヴァンパイアロードは、結界を張った。

しかし、京楽のダークフレアの魔法の方が強くて、ヴァンパイアロードの結界の中に闇の炎が侵入してくる。

「ばかな、私の結界が破れるだと!?」

「目覚めろ、エンシェントエルフ!そのダークエルフを殺してしまえ」

意識を失っていた浮竹は、ふらりと立ちあがった。

操られているのは、見てすぐに分かった。

「マスターを傷つける者は、許さない・・・・」

「浮竹、しっかりして!僕だよ、京楽だよ」

「マスターを・・・マスター?」

「マスターは私だ。さぁ、そのダークエルフを殺してしまえ」

「ダークエルフ・・・」

浮竹は、ふらふらと京楽の元に向かって歩き出す。

「・・・・京楽?」

「そうだよ。よく、ヴァンパイアロードの支配下から脱出できたね」

京楽は、浮竹の頭を撫でて、セイントヒールで浮竹の傷を癒し、ヴァンパイアの出す絶対命令に背く浮竹の精神力に感嘆した。

「何故だ!何故、私が支配できない!私はヴァンパイアロードだぞ!?」

「浮竹のほうが力が強かった証だね。上位のものを支配下にはできない」

「くそ、こうなれば二人とも殺してくれる。出でよ蝙蝠ども!こいつらの血を一滴残さず吸い取るのだ!」

吸血蝙蝠が、湧き出してきた。

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン、3重詠唱【テトラボックス】」

「ぎゃあああああああ!!」

浮竹の放った魔法で、吸血蝙蝠たちは全て屠られて、ヴァンパイアロードの右手も吹き飛んでいた。

「浮竹、とどめは僕にさせて。一時でも、君を自分のものにしたあのヴァンパイアロードガ憎い」

「京楽・・・・・」

「ブラックホール!」

「私はヴァンパイアロードだぞ!たかが冒険者如きにやられるはずが・・・・・」

「残念。僕ら、Sランク冒険者なんだ」

「Sランク・・・・・くそおお」

断末魔の悲鳴を残して、ヴァンパイアロードはブラックホールの中に吸収されてしまった。

器用に魔石だけを取り出す。

「浮竹、念のために一度家に戻ろう。ブルンに、神ヒールかけてもらわなくちゃ」

「ああ・・・まだ、洗脳が解け切っていないようだ。お前を殺したいという欲求がある」

「君になら喜んで殺されるけど、君の意思じゃないなら嫌だね」

帝都アスランの中央に近い家に、空間転移魔法で戻ると、置いてきたいたブルンに頼みこんで、浮竹に神ヒールをかけてもらった。

「ああ、もう大丈夫だ。すまん、京楽。お前に刃を向けてしまった」

「操られていたんだから、仕方ないよ」

「それでも、自分が許せない」

「僕が許すから。だから、この件はもうおしまい」

「分かった」

冒険者ギルドに魔石を提出して、魔石だけで金貨200枚になった。

緊急クエストだったため、報酬金は大金貨千枚であった。

「うっきーちゃん、ヴァンパイアロードに噛まれたって本当?」

「ああ。魅了の罠にはまってしまってな」

「あたしが、メロメロにしてあげるわ~~」

「くるな、このドブス!」

「ああん?」

「青髭けつ顎オカマ!どブサイク!」

「うっきーちゃん、いい根性してるわね」

「師匠の剣士の京楽が、黙っていないぞ」

「ぐ・・・・・・」

剣士の京楽の名を出されて、キャサリンはそれ以上何もできなかった。

「うっは、浮竹すごい毒舌だね。よくもあのオカマにケンカを売れるね」

「あいつの弱点は師匠だ!」

かつて、キャサリンがSランク冒険者昇格試験で、剣士の京楽にボコボコにされながらも、かろうじて一本とってSランクになれたのだが、キャサリンにとって剣士の京楽は恐怖の象徴であった。

「報酬金ももらったし、帰るか」

「そうだね。最近の魔王の存在も気にかかるけど、僕らの出番はないしね」

Sランク冒険者の中で、魔王に勝てるものは多分いない。

「師匠、大丈夫だろうか」

「浮竹、僕らの師匠だろう。大丈夫さ」

「そうだな」

自宅に戻り、ブルンに大量のゴミをお礼に食べさせて、しかし京楽は行方不明と言われている母親である灼熱のシャイターンのことを思うのだった。

実際は生きて無事だったのだが、それを京楽が知るにはまた後にことである。


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勇者と魔王

新勇者はイメチェンした。

鼻毛を伸ばして、三つ編みにしていた。

どこをどうすれば、鼻毛が三つ編みになるほど伸びるのかというと、最近贔屓にしている魔女の作った毛生え薬を頭に塗ったのだが、なぜか鼻毛がもさもさ生えてきたのだ。

苦情をいうと、「あなたの毛根は死滅しているから、代わりに鼻毛が伸びた」と言われて、鼻毛がなぜか愛おしくかんじて、伸ばしていた。

三つ編みにできるくらい伸びたので、毎日ケアを欠かさず、風呂に入る時はトリートメントまでした。

ちなみに、一部の鼻毛がちぢれてアフロになっていた。

そんな恰好で、魔王浮竹のと勇者京楽の元を、新勇者はパーティーで訪れた。

「ふ、このふさふさした鼻毛のように、大物になった俺を見ろ!」

頭は、はげていた。

かつらを被ることを止めた新勇者は、ありのままの姿だった。

パンツを頭にかぶり、女物のブラジャーとパンツをはいていた。

「なぜこんな変態な恰好をしているかだと!?それは、驚く相手の顔が面白いからだ!」

「ちょっと、魔王さん、こいつどうにかしてくれよ」

「そうよ、魔王さん、こいつのおつむを元に戻す魔法はないの?」

新勇者のパーティーは、魔王魔王と浮竹を頼ってきた。

4月に花見パーティーをして以来、浮竹は新勇者のパーティーメンバーと少しだけ仲が良くなったのだ。

「そうは言われてもなぁ。ここまで変態が重症だとなぁ」

「いっそ、全部燃やしちゃえば?」

「そうだな。バーストロンド!」

「ふっ、甘いな!」

「何!?」

新勇者は、魔法のバリアを作って、浮竹の魔法を防いでしまった。

「この俺が・・・・・新勇者に魔法を防がれた?」

レベル500に近い浮竹は、特別魔法を弱くしたつもりはなかった。

普通なら、一発で全身が焦げて、着ているものは燃えていただろうに。

「ほれほれほれほれ」

なぜか長い乳毛を見せてくる勇者に、浮竹は悪寒を感じて、京楽の後ろに隠れた。

「ちょっと、新勇者くん。君が変態すぎて、うちの浮竹が怖がってるじゃない」

「ふはははは!俺のこのいかした姿に、全世界が感動した!」

「勘当の間違いじゃないの?バーストロンド!」

ぼっ。

今度こそ、新勇者のかぶっていたパンツに火がついた。

「あちゃーーー!!」

新勇者は、パンツを投げ捨てて、股間に吐いていたパンツを頭に被った。

「頭は防御しなければいけない」

あまりの変態な姿に、新勇者のパーティーはかける言葉もない。

「ふっ。この俺がそんなにセクシーだなんて、今更だろう?」

「きもいんだよ、この新勇者!」

「乳毛ひっこぬいてやる!!」

「あああん、やめてええ!乳毛はだめえええ」

くねくねする新勇者に、みんな悪寒を感じて、一斉に攻撃を始める。

「フレアウィンド!」

「エアリアルエッジ!」

浮竹と京楽が魔法を使うと、女僧侶は祈りをこめた。

「ホーリーブレス!」

祈りは天に届き、罰を新勇者に与える。

「ああん、股間がふるおっきするううう」

おっきした股間めがけて、天の雷がくだる。

「ぐぎゃああああああ!!」

少年魔法使いが、最後の一枚であったブラジャーを、魔法で焼いた。

「ファイアブレス!」

新勇者は、素っ裸になった。

「ああ、この開放感、これぞまさに勇者!」

「どう思う、京楽」

「いや、どう思うって聞かれても」

「お前があんな勇者になったら、俺はお前と別れるからな」

「いや、まずあんな風にはならないよ」

京楽は、フルチンでくねくねしている新勇者を指さす。

「このかんじ・・・・呪いか」

浮竹の魔力探知に、新勇者の魔力が少し歪であるのが分かった。

「全く、面倒くさい・・・キュアカース!」

浮竹は、フルチンの新勇者のために、呪いを解除する魔法を使ってやった。

「いやあああああ!!裸だああああああ!俺の服はどこだあああ!!」

正気に戻り、裸であることに恥を感じる、元の新勇者がいた。

「ああ、元にもどった」

「戻りやがった」

青年戦士と獣人盗賊は、ポテチをポリポリと食べながら、二人で新勇者の変態ぶりに呆れて、会話にも参加しないでいた。

「あの魔女か。おい新勇者、お前あの魔女の作った薬を使ったな?あの魔女は露出度高いしぼんきゅっぼんで、ここにいる女僧侶のような寸胴な体ではなく、魅惑的だが、あの魔女は魅了(チャーム)の魔法をかけて、変な薬を服用させて、その様を水鏡で見ながら笑っているぞ」

少年魔法使いの言葉に、寸胴呼ばわりされた女僧侶が怒る。

「ちょっと、あたしはそんなに寸胴じゃないわよ!」

「そんなこと、どうでもいい」

「どうでもよくないわ!」

「黙ってろ。新勇者、鼻毛を三つ編みにしだしたのも、あの魔女のせいだろう。いい加減、目を覚ませ」

少年魔法使いにビンタされて、新勇者は。

「ぶった!親父にもぶたれたことないのに!」

とかほざいていた。

とりあえず、まだおっきしたままの股間を隠すために、少年魔法使いはマントを貸してやった。

「あの魔女のせいなのか。あの魔女、俺に気があるそぶりしてたのに」

「お前みたいな変態に気がある女なんていない」

「酷い!」

「本当のことだ」

浮竹と京楽は、新勇者も、新勇者のパーティーも無視して、午後のティータイムを過ごしていた。

「どうでもいいから、帰れ」

「そうそう、帰って」

「魔王、お前が俺の呪いを解除してくれたんだろう!俺の面倒を見る義務がある!金貨10枚くれ!!」

「バーストロンド!!!」

新勇者は、浮竹の魔法吹き飛ばされて、窓の外からはるかお星さまになるのであった。

新勇者のパーティーは、そしてまた何の収穫もないまま帰るのであった。

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エンシェントエルフとダークエルフ38

ドラゴンは、大ざっぱに分けて2種類いる。

人語を解し、人型をとる真竜の竜族と、普通のドラゴンだ。

依頼は、そんな竜族からの依頼であった。

冒険者の中にも獣人やエルフ、ドワーフなどの亜人種もいるが、竜族は人とあまり関わりをもたないので、竜族が依頼を出すなど、とても珍しいことであった。

依頼内容は、死に至る毒の治癒であった。

その竜族は、まだ子供だった。

その母親のドラゴンが、魔族から毒を受けて魔大陸から戻ってきたのだという。しかも厄介なことに、どんな治癒術士でも治せない毒であった。

「俺たちが引き受けるしかないな」

「うん、ブルンがいるからね」

「あななたちが、引き受けてくださるのですか」

依頼を受注したと聞いて、真っ赤に泣きはらした目をした竜族の子供が、宿屋から冒険者ギルドにきていた。

「僕の名前はアレク。アレク・サンダーゾン。どうか、母のエルミナ・サンダーソンを助けてください!報酬は、僕の体の一部を売ってお支払います。だからどうか、どうか母を」

「顔をあげて。ちゃんと依頼は引き受ける限り、必ず治癒するから」

アレクは、ぱぁぁと顔を輝かせた。

「早速、母のところまで案内します」

「ん、馬車か?それともワイバーン?」

浮竹の疑問に、アレクを首を横に振る。

「僕の上に乗って下さい」

アレクは、町の広場に出ると、竜化した。

子供といっても、6メートルはあるだろうブラックドラゴンだった。

「きゃあああ、ドラゴンよおおお!!」

「うわああ、殺されるううう」

人々は逃げていく。

「さぁ、今のうちに背中に乗ってください」

「竜化するなら、帝都を出たほうがよかったね」

「すみません。でも、早く母を楽にしてあげたくて」

アレクのブラックドラゴンの背中に乗って、二人と1匹は、空を飛んだ。

「世界広しといえど、ドラゴンの背に乗って飛んだ冒険者なんて、いないだろうな」

「あ、それ僕も思った」

アレクは、休憩することなく10時間飛び続けた。

浮竹と京楽は、ドラゴンの背中で眠ってしまっていた。

ブルンだけが、ドラゴンと会話をしていた。

「そうですか。あなたが、毒の治癒を」

「くくるー」

任せろ、どんな毒でも治してみせるよ。

そうアークエンジェリングスライムから言葉をもらい、アレクは険しい崖が続く山脈に降り立った。

「ここが、竜族の里の入り口です」

巨大な洞窟があり、そこにアレクは人化して入っていく。

中に入ると、エルフなど見たことがない竜族たちの、好奇の的にされた。

「竜族っていっても、人化したら角があるだけで、ほとんど人間と変わらないんだね」

「アレク、このエルフたちは?」

竜族の里の、族長だという者が現れた。

「母さんの毒を治癒してくれる方々です」

「アレク・・・悪いことは言わない。母さんのことは、諦めなさい。あの毒は、禁忌の毒だ」

アゾムの毒といって、猛毒でどんな治癒魔法も解毒剤も効かぬとされている毒だった。

「でも、この方たちは治してくれます。見て下さい、アークエンジェリングスライムです。この神の魔法をもつスライムなら、きっと母さんを」

「エルフのそこの二人。怪しい真似をしたら、すぐに放り出すからな」

「おお、怖」

「俺たちは、この子の依頼を引き受けてやってきたSランク冒険者だ。ちゃんと、依頼を遂行して何もせずに戻る」

浮竹と京楽は、ドラゴンの背にいる間にそれぞれ自己紹介をしていた。

「こっちです、浮竹さん、京楽さん、ブルンさん」

「くくるーー」

ブルンは、4枚の翼で空をパタパタ飛んでいく。

アレクが辿り着いた先は、大きな館が立っていた。

「人間でいうところの、貴族ですか。僕の父が先代の族長の子でした。魔族に殺されてしまいましたが」

「お前の母親は、必ず助けて見せる。なぁ、ブルン」

「くくる!!」

屋敷の中の一番奥の部屋に、その女性はいた。

とても子持ちとは思えない、十代後半の姿をした少女だった。

「母は、エンシェントドラゴンの血を引いていて、実年齢より見た目が若いんです」

綺麗な少女だった。

「ブルン、いいか?」

「くくるーー」

ブルンは、神ヒールをエルミナにかけた。

青白い顔で、今にも死にそうに横たわっていたエルミナの頬に、赤みがさしてくる。

「うん・・・アレク?私は・・・・毒が、消えてる!?」

「母さん!」

アレクはエルミナに抱き着いて、泣きだした。

「よかった、本当によかった。母さんまで失ったら、僕は独りぼっちになってしまう。こちらのエルフの浮竹さんと京楽さんが、母さんの治癒の依頼を引き受けてくれたんです。それから、こちらのアークエンジェリングスライムのブルンさんが、母さんの毒を中和してくれたんです」

「ああ、アレク!よかった、私は死を覚悟していたけれど、生きられて本当によかった」

浮竹と京楽とブルンは、その後竜の里中でもてなされて、数日滞在した。

「そろそろ、帰らないと」

「ええ、もうですか?まだ1週間しか経ってませんよ」

「僕たちもエルフだから、時間の流れはあっという間に思えるけど、1週間もいないと、ギルドマスターが僕たちがドラゴンに食べられたじゃないかとかいって、葬式の準備してそう」

「あのブスのしそうなことだな」

「あ、じゃあ報酬金はギルドに預けていますが、これをもっていってください」

それは、竜の魂のオーブという秘宝だった。

竜族の心臓から作り出される代物だった。

「こんな大層なもの、もらえないよ」

「父の形見ですが、あるだけ無駄なので。どうか、金銭に変えて、冒険の役に立たせてやってください。あ、帰りも僕の背に乗って帰りますか?」

「いや、京楽が転移魔法を使えるから、そのまま魔法で帰るよ」

「転移魔法!すごいですね!」

「ドラゴンの知り合いができたって、あのオカマのギルドマスターに知られたら、なんかいろいろありそうだから、ここのことは秘密にしておこう、浮竹」

「ああ」

アレクは、竜化すると、浮竹のほっぺを舐めた。

それに、京楽がむっとする。

京楽を舐めることはなく、浮竹とブルンばかりを舐めるアレクに、京楽が冷たい声を出す。

「浮竹は僕の伴侶なんだ。あんまり、馴れ馴れしくないで」

「あ、そうだったんですか。ごめんなさい」

しゅんとして、人の姿にもどったアレクは、京楽にぺこりと謝った。

「京楽、らしくないぞ。もしかして、嫉妬か~?」

「もう、浮竹のばか!とにかく、帰るよ」

京楽は頬を赤くしながら、転移魔法を唱える。

着いた先は、冒険者ギルドだった。

中に入ると、すでに線香がたかれて、遺影を飾られた空の棺が2つあった。

「キャサリン、君ってやつは」

「このブス!」

「あらぁ、春ちゃんにうっきーちゃん、てっきりドラゴンに食べられてあの世にいったものだと・・・・」

「ドブス!!」

「うっきーちゃん、もっぺんいってごらんなさい?」

「このド・・・ムーーー」
京楽に口を塞がれて、冒険者ギルドで行われていた浮竹と京楽の葬式は、中止で終わった。

「何故止める。あのドブスに本当のことを言っただけだぞ」

「あのドブスはね、後が怖いんだよ。あれでもドラゴンキラーの称号をもつ、元Sランク冒険者のTOPだからね」

「まぁいい。報酬金を受け取ってくる」

報酬金は、大金貨千枚だった。

竜族もドラゴンなので、金銀財宝をためこむのが好きだ。

「このドラゴンの魂の秘宝は・・・・家に飾っておくか」

「うん、そうしよう。お金には困ってないし、ギルドに売ったら、竜族との関係を知られそうだしね」

「ブラックドラゴンかぁ。アレクは子供だが、かっこよかったな」

「浮竹、浮気は許さないよ?」

「ばか、違う。ドラゴンはかっこいいと言ってるんだ」

「竜族はね。普通のドラゴンは食うことと金銀財宝をためこむことくらいしかおつむがないから」

「あのファイアドラゴンも、竜族なんだろうな」

「そうだね。人語をしゃべっていたから、きっとその気になれば人化できるんじゃない。人化する必要のないドラゴンは、人化することを嫌うからね」

以前、討伐任務を受けて失敗した、災害クラスのファイアドラゴンのことを思った。

「ドラゴンキラーになるが夢だったが、竜族とこんなに親しくなると、竜族は退治できそうにないない」

「それでも、人に害なす場合は駆除しないと」

京楽は、アレクがまだ子供でよかったと思うのだ。

アレクの行為は、求婚に近かった。

異種族だが、人化した竜族と亜人が契れないことはない。

本当に子供でよかった。心から、そう思うのであった。



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エンシェントエルフとダークエルフ37

それは、Aランクの依頼であった。

金の採掘場に、アクラネが住み着いたというのだ。

このままでは金の採掘ができないので、早めのを駆除をということで、Sランクの浮竹と京楽に回ってきた。

アクラネは上半身が人間の女性の、下半身が蜘蛛のモンスターだ。

これも人の知能を有していて、闇の渾沌の眷属でもあった。

闇の渾沌の眷属のTOPは、藍染である。

金の採掘場に住み着いたアクラネは、すでに採掘者を5人ほど食い殺していた。

イアラ帝国からみれば隣国の隣国になる、サウアー王国にそのアクラネは出た。

隣国までは転移魔法で、そこからは馬車で金の採掘場の近くまで運んでもらい、徒歩で採掘場に向かう。

いつもは人であふれかえっているのだが、今はしんとしていた。

「どうする?」

「坑道だからな。火と爆発の呪文はなしで」

ブルンもついてきていた。

坑道の中に入っていく。

段々、空気が濁ってきた。

「瘴気だ・・・・ブルン、なんとかできるか?」

「くくるー!」

ブルンは光ると、大気に向かってヒールを唱えて、瘴気を浄化してしまった。

「本当に、ブルンは偉いなぁ。食べ物はゴミだし、回復魔法は神クラスだし、状態異常の心配もないし、火と氷のブレスは吐けるし、酸弾もとばせるし、初歩なら魔法も使える」

「くくるーー」

ブルンは、照れて真っ白な体を輝かせていた。

まるで電球だ。

ブルンが明るいお陰で、照明はいらなかった。

かさかさかさ。

何か大きなものが動いた気配がして、振り返ると、一面蜘蛛の巣だらけになっていた。

「なんだこの蜘蛛の巣・・・粘着性があってとれない」

「アクラネの糸だな。仕方ない、炎で燃やす。フレイムロンド」

ぱちぱちと、アクラネの糸が燃えていき、浮竹と京楽は、蜘蛛の巣から無事脱出した。

「ちっ、エルフか。人間のほうがうまいのに」

現れたアクラネは巨大で、縦に2メートル横に3メートルはあった。

金の採掘場は広めにできており、大きなアクラネが住むにはちょうどいいサイズであった。

「ここで、獲物を待ち、食べていたのに、何故邪魔をする」

「お前も渾沌の闇の眷属か!」

「だから、どうしたというのだ」

「人間を食べると、冒険者が派遣されて殺されるのは、分かるだろう!」

アクラネは笑った。

「はっ、人間如きに何ができる。私は闇の渾沌の眷属。エルフ如きにも、遅れはとらぬ」

「エターナルアイシクルワールド」

「グラビティ・ゼロ」

氷の上位呪文で、アクラネの足から体が凍っていく。

そこに重力の魔法をかけた。

「ぐぐぐぐ、これしき!」

アクラネは、二人の魔法を耐えきった。

それには、浮竹も京楽も驚いた。

「私には、藍染様からいただいた血がある。この程度の攻撃で、倒れるわけにはいかぬ」

「ふーん。藍染の手下なんだ。じゃあ、禁忌放ってもいいよね?」

「京楽、坑道が崩壊しない程度にしろよ」

「わかってるよ。ブラックホール」

闇の禁忌の魔法に、アクラネが驚愕する。

「闇の禁忌だと。何故、ダークエルフであるお前が藍染様に逆らう!」

「僕はダークエルフといっても、闇の渾沌の眷属でもない。人間社会に溶け込んだ、ダークエルフのSランク冒険者だ」

ダークホールの魔法は、じわりじわりとアクラネを吸い込んでいく。

「く、糸を!」

糸を伸ばして、なんとか吸い込まれないようにしているその命綱である糸を、浮竹はミスリル銀の魔剣で切ってしまった。

「ばいばい。せいぜい、成仏することだ。あの世でな」

「おのれええ!藍染様あああああ!!」

ブラックホールの魔法は、アクラネを完全に吸い込み、閉じてしまった。

「じゃあ、戻ろうか?」

「待て。アクラネの巣が他にあるかもしれない。全部燃やしてしまおう」

「火の魔法はだめじゃなかったの?」

「一酸化炭素中毒を起こすかもしれないと考えたが、俺たちにはブルンがいるからな」

「くくーー」

空気の清浄化なら任せろと、ブルンは言っていた。

2時間ほど坑道を見て回り、蜘蛛の糸がはってある部分は焼いていった。

最後の巣で、大量の卵を見つけた。

「よかった、発見できて。発見しないまま帰っていたら、ミニアクラネが大量に生まれて、また依頼書がくるところだった」

卵を1つずつ完全に破壊しながら、浮竹と京楽は炎の魔法を放つ。

「フレイムロンド」

「ダークファイア」

こうして、アクラネは退治して、器用に京楽はブラックホールの小さい魔法を使い、アクラネの魔石だけを取り出した。

「器用だな。アクラネの体はどうなった?」

「ブラックホールに中で、消化されてしまったよ」

「京楽、ブラックホールの魔法は、なるべく人には向けるなよ」

「いや、今まで散々使ってきたしね。剣士の僕とかに」

「師匠は別格だ。それ以外で人に向けては使うなよ」

「分かってるよ」

二人は、空間転移の魔法で帝都アスランの冒険者ギルドに行き、アクラネの魔石を提出して、報酬金金貨350枚と、魔石は金貨50枚の買取りだった。

「ここ最近師匠のところに顔をだしてないな。ブルンもプルンに会えなくて寂しがっている。京楽、師匠の家まで頼めるか」

「仕方ないねぇ」

「手土産に、お稲荷さんを買ったので、それをもっていこう」

「お稲荷さんって」

京楽が苦笑しながら、転移魔法を使う。

師匠である剣士の京楽の家にきていた。

ジリリリリリン。

ベルを鳴らすと、剣士の京楽が出てきた。

『やぁ、君たちか。あがりなよ』

「ありがとうございます、師匠。これ、お土産のお稲荷さんです」

『丁寧に、どうも』

まるで近所の主婦のような会話だった。

『ああ、エルフの俺に京楽か。プルンは奥だぞ」

「くくるー」

ブルンが飛んでいくと、ゴッドスライムになったプルンが、体を黄色にさせて喜んでいた。

「ププウ!」

いつもは偉ぶっているのに、兄であるブルンの前ではかわいくなるのを、精霊の浮竹と剣士の京楽はなんとも言えない気持ちで見ていた。

「プルンにも、土産があるぞ。りんご20個だ」

「プププ」

もらってやらなくもない。

「くくるー?」

弟よ、どうしたんだい?

「ププウウウ」

あ、なんでもないよお兄ちゃん。

「最近、メデューサやアクラネといった、闇の渾沌の眷属の活動が激しくなってるんだが」

『ああ、うん、まぁねぇ。藍染の居場所が分かればいいんだけど』

「藍染か・・・。魔王とはまた違う、人間社会の脅威だな」

『藍染は魔族や魔王と繋がっていないからな』

「だから、余計に分かりくいんだね」

エルフの浮竹と京楽は、結局お土産にと持ってきたお稲荷さんを自分たちで食べてしまい、その上昼も食べさせてもらうのだった。


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藍染は、笑っていた。

ワイングラスの中の血に、さらに血を注いでいく。

神人になれなかった、不老不死の偽物なので、命の火を灯していくには人間の血が不可欠だった。

ちなみに、邪教徒に崇められている邪神オルテガとは、藍染のことであった。

ワイングラスの血を全部飲み干して、狂気じみた笑みをまた浮かべるのであった。



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エンシェントエルフとダークエルフ36

緊急クエストだった。

イアラ帝国の北部にある、イエクとう町にメデューサが3匹現れ、町の住民はみんな石化されて滅ぼされてしまったというのだ。

イエクの町から帝都アスランはそう遠くなく、このままいけば帝都アスランまでくるということで、緊急クエストになった。

Sランクの依頼で、浮竹と京楽が引き受けた。

大金貨をつみあげて、錬金術士から絶対に石化しないお守りを手に、馬車でイエクの町にむかった。

2時間ほど馬車で走ったところに、イエクの町はあった。

みんな、住民は石像と化していた。

「あらぁ、まだ石化していない人間がいたの」

「おねえさま、こいつエルフよ。おいしそうだわ」

「おねえさま、こっちはダークエルフよ?食べればきっと肌艶がよくなるわ」

闇の種族には、京楽がダークエルフだと分かるようだった。

メデューサはモンスターだが、知性があるために闇の渾沌の眷属でもあった。

メデューサ達は、散々好き勝手なことをしゃべって、浮竹と京楽を石化させようとした。

「どうして!?石化の呪いが効かない!」

「石化すると分かっていて、対策もなしに乗り込んでくるよなあほは、いないよ」

「なら、その石化の対策とやらを壊さすだけよ!」

メデューサの髪の蛇が伸びて、攻撃してきた。

それを、浮竹はミスリル銀の魔剣で切り落とす。

「おのれええ、エルフがあああ」

「おねえさま、魔法を使いましょう」

「そうよ、おねえさま」

「「「三重詠唱〈トリプルフレア〉」」」

すごい灼熱の炎が襲ってきたが、京楽が魔法を唱える。

「カウンターマジックシールド」

「魔法が反射されて・・・きゃああああ!!」

「いやああ、あたくしの美しい顔が」

「おねえさま、このエルフたちの魔力、恐ろしいわ!」

メデューサ達は、石化光線を何度も浴びせるが、一向に石化しない浮竹と京楽をぐるりと取り囲んだ。

「よくも、わたくしたちの魔法を反射してくれたわね。生きたまま食ってやるわ!」

メデューサは蛇の下半身で、浮竹と京楽を締め上げた。

「さぁ、最後に言い残すことはあるかしら?」

「ブス」

浮竹は、そう言ってミスリル銀の魔剣で蛇の下半身を切り裂いた。

「ぎゃああああ!!!」

出血がおびただしく、治癒魔法も再生も使えないメデューサは、そのまま死んでしまった。

「おのれ!よくもおねえさまを!こいつがどうなってもいいの!」

残っていた2匹のメデューサは、蛇の尾で捕らえられている京楽の首に、頭の蛇をけしかけて噛んでしまった。

「ふふふ、もう終わりよ。猛毒で、こいつの命ももってあと半日・・・・・・」

「だそうだぞ、京楽」

「普通なら、美女に囲まれて嬉しいところなんだけど、こんな蛇の頭をもった美女なんていらないね。ソニックブーム!」

スパスパっと、京楽が放った音速を超える刃で、メデューサ2体の首は、胴と離れていた。

「なぜ、エルフ如きが上位悪魔にも匹敵する、わたくしたちを、こんなに簡単に・・・」

「それは、僕たちがSランク冒険者だからだよ」

京楽の言葉に、メデューサ達は戦慄した。

「Sランク・・・世界に150人もいないと言われる、伝説の冒険者・・・・」

「頭と胴を切り離したのにしぶといな。灰となれ、フレイムロンド!」

「ぎゃあああああ!」

「いやああああ!!」

残っていたメデューサ2匹も死んでいった。

「さて、ここからが大変だよ。ブルン、大仕事だ。町の住民全員の石化を解かないと」

「これだけ規模の数になると、1日では無理か・・・・ブルン、とりあえず京楽の毒を中和してやってくれ」

「くくるーー」

ブルンは光って、京楽に神ヒールをかけた。

「お、体が楽になった。ありがとうね、ブルン」

「くくるーーー」

アークエンジェリングスライムになったブルンは、魔法の範囲も広くなっていた。10メートル範囲にいる者全ての石化した住民を、神ヒールで解いていく。

ブルンのもつ神ヒールは特殊で、呪いや毒も消せた。

「あれ、俺たちは確かメデューサに・・・・・」

「あああ、助かった。あんたたちが助けてくれたのか」

「ありがとう、ありがとう」

10メートル範囲といっても、広い町だ。

全員の石化を解く頃には次の日の昼頃になっていた。

ブルンは、浮竹と京楽が仮眠をとっている間も、ひたすら神ヒールを唱え続けていた。

「このスライム・・・へへへ」

「くくるーーー!!」

町の住民の一人が、ブルンを布で包みこみ、攫って売り飛ばそうと考えていた。

「ぎゃああああああ!!」

ブルンは炎のブレスを吐いていた。

「どうしたんだ、ブルン!」

「くくるーくるー」

「何、こいつが攫って売り飛ばそうとしていた?けしからんな、火傷の治療はしなくていいぞ。町長はいるか」

浮竹は、町長を呼び出し、男が犯罪行為に走ったことを告げて、男は捕まった。

「なんてやつだ!町を助けてくれた英雄のスライムさんを、攫おうだなんて!」

ちなみに、浮竹と京楽は適度に感謝された。

ブルンがゴミを食べると言い出すと、住民たちは喜んでゴミをもってきて、ブルンに食べてもらた。

「くくるーー」

町中のゴミを食べて、ブルンは満足したようだった。

「ありがたい。町の中心に、ブルン様の銅像を建てよう!」

「くくるーーー!!」

ブルンは、アークエンジェリングスライムになったことで、七色から白い色になっていた。

翼も2枚から4枚に増えていた。

頭の輪っかは光り輝き、まさにスライムでなければ天使で通る。

「ブルン、お疲れさま。休憩、とってもよかったんだぞ?俺たちが仮眠してる間もヒール唱えてただろう」

「くくるーーー」

「1日や2日くらい寝なくても平気だって?まぁそうかもしれないが、今は休んでくれ」

「くくるう」

ブルンは、浮竹の頭の上に乗り、早速眠りはじめるのだった。

「あの、これ少ないですが、受け取ってください」

町の町長が、かき集めた金貨をさしだしてきた。

冒険先で報酬をもらうのは違法ではないため、ありがたくいただいておいた。

金貨400枚ほどが入っていた。

メデューサの石化を防ぐお守りを錬金術士に作ってもらうために、大金貨300枚を出したのだ。それを2個で、大金貨600枚になった。

メデューサの魔石もちゃんと採取しておいて、死体は火葬にしておいた。

「もうないと思うが、何かあったら冒険者ギルドまで依頼を出してくれ」

「ありがとうございました、ブルン様!!」

みんな、浮竹と京楽ではなくブルンにばかり礼を言う。

まぁ、命の恩人であるのだから仕方ない。

冒険者ギルドに戻り、報酬の大金貨500枚をもらい、魔石を鑑定してもらって、魔石の買取り額は大金貨50枚だった。

何気に赤字だった。

錬金術士の知り合いは少なく、コネもないことで代金をふっかけられた。

ずっと使えるならいいが、有効期間は1年。

それで大金貨300枚は、高いのか安いのかわからないが、命の無事を保証してくれるなら安いほうだろう。

「ブルン、今日は特別だぞ。帝都アスランのゴミ処理施設に連れてってやる」

「くくるううう!!!」

ゴミ処理施設と聞いて、ブルンは涎を垂らしそうになっていた。

「くくる!」

「はいはい、今から連れてってあげるから。そんなに急かさないの」

ブルンは、結局食いだめができるため、帝都アスランのゴミ処理施設にあったゴミを、綺麗なまでに食べてしまうのだった。




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エンシェントエルフとダークエルフ35

Sランクになり、はじめて引きう受けた依頼の内容は、数十年前からずっと残っている、ファイアドラゴンの退治であった。

イアラ帝国の更に南にある、ウズール王国のアサーニャ火山にファイアドラゴンはいた。

アサーニャ火山が噴火する時は、ファイアドラゴンの怒りだとされていた。

浮竹と京楽とブルンは、アサーニャ火山に空間転移でやってきた。

ドラゴンの住まいに忍び込み、まずは眠っているファイアドラゴンにスリープの魔法をかけて更に眠らせる。

その間に金銀財宝をありったけアイテムポケットに詰め込んで、ファイアドラゴンが目覚める頃には、自慢の金銀財宝がなくなっていた。

「GURURURURU!」

「お、お目ざめのようだな」

ファイアドラゴンは怒っていた。

自慢の金銀財宝が奪われたのだ。怒らないほうがおかしい。

その日、アサーニャ火山は噴火した。

「クリエイトアークエンジェル、クリエエイトロードオブサタン、三重詠唱「エターナルアイシクルフィールド」」

氷の禁忌の魔法を、3重でかけた。

ファイアドラゴンは凍り付いた。

しかし、数百年も誰も倒せなかったファイアドラゴンなだけあって、強かった。

氷の禁忌の魔法を打ち破り、凍り付いた体を炎のブレスで溶かしていく。

「ああ、やっぱ強いねぇ、ファイアドラゴンは。ワールドエンド」

終末の魔法の禁忌に、ファイアドラゴンの纏っている炎が吸い込まれていく。

「GYAOOOOOOO」

ファイアドラゴンは咆哮し、炎のブレスを浮竹と京楽に向かって吐いた。

「マジックシールド!」

炎のブレスは、京楽のはった魔法の盾で防がれた。

「GURURURU!」

ファイアドラゴンに、氷の属性をエンチャントしたミスリル銀の魔剣で切りかかった。

さっくりと、ドラゴンの尾がきれた。

「わお、尻尾がきれたぞ!」

「浮竹、後ろ後ろ!!」

浮竹の背後では、ファイアドラゴンが怒りを募らせて、ファイアブレスを上回る神の吐息ゴッドブレスを吐いてきた。

「ゴッドシールド×3」

それを、同じ神の盾で防ぐ。

1枚には完全に貫通し、2枚目にも罅が入っていたが、浮竹は無事だった。

ファイアドラゴンの尾をぶった切ってから、今度はファイアドラゴンの弱点である逆鱗を狙うが、ぶんと振ってきたファイアドラゴンの爪で浮竹は壁に吹っ飛ばされていた。

「いたたたた、きっつー」

「くるるるーーー」

すぐにブルンがヒールを賭けてくれたおかげで、本当なら骨折していただろうダメージもすぐに回復した。

「何用だ、人間どもよ。我の金銀財宝を奪った挙句、我の命まで欲するのか」

ファイアドラゴンは、流暢に言葉を発してきた。

さすがにそれには浮竹も京楽も驚いた。

「ファイアドラゴン、お前を退治しにきた!」

「その程度の力で・・・・・方腹が痛いわ!これが真のワールドエンドの魔法だ」

ファイアドラゴンは、ワールドエンドの魔法を使った。

噴火していた火山が静かになり、溶岩を飲みこんでいく。

「こっちも・・・・・京楽、お前も一緒に」

「「ワールドエンド」」

2重のワールドエンドの魔法が、ファイアドラゴンのワールドエンドの魔法を食った。

「ぐ、人間風情がやるではないか。おや、エルフであったか」

浮竹と京楽は、ありったけの魔力を注ぎこみ、巨大な氷の槍を作り出した。

「「スパイラルアイシクルスピア!!」」

「ぐおおおおおおお!!!」

ファイアドラゴンは、氷に翼を貫かれた。

「おのれ、エルフが。灰となれ!ゴッドブレス!」

なんとか残りの魔力でシールドを張ると、二人とブルンは空間転移の魔法で逃げ出した。

「さすがは災害クラスのドラゴン。まだ僕たちの腕じゃあ、倒せないね」

「でも、尻尾をもらったぞ」

何気に、浮竹は切り取った尻尾をアイテムポケットにいれていた。

「おまけに財宝もくすねた。ってなんか僕ら、盗賊みたいだね」

「ドラゴンはまた金銀財宝をためこむ。ドラゴンに挑んで金銀財宝だけを手に帰るSランク冒険者はいくらでもいる。この方法を教えてくれたのも、Sランク冒険者だった」

「うーん、金が増えて嬉しいけど、ファイアドラゴンにはちょっと悪いことをしたかなぁ。寝ているところを襲ったわけだし」

「ドラゴンに情けは無用だ!」

「そうだけど・・・・」

「まぁ、今回は火山も噴火させちゃったし、師匠にすごく怒られそうだ」

「ああ、剣士の僕なら怒りまくるだろうね。説教を、覚悟しておこう」


二人はいったん冒険者ギルドに立ち寄って、クエスト失敗と尻尾と金銀財宝をもってきたと話と、ギルドマスターのオカマのキャサリンがやってきた。

「いやん、うっきーちゃん、春ちゃん、Sランクになったからって、早速ファイアドラゴンの退治に行くだなんて、葬式の準備してたわ」

「ブス」

「ああん?」

キャサリンの額に血管が浮かぶ。

「ブ・・・・むーーー」

「ドラゴンの尻尾があるんだ。買いとってもらえるかな」

「ドラゴンの尻尾ですって!ちょっと先だけとかじゃないでしょうね?」

「けっこう尻尾の部分は尻に近い」

「すごいわ!これでドラゴンの鱗と骨と血と肉がとれるわ!ギルドで買いとりたいから、解体工房に出してちょうだい」

浮竹はまだ何かを言いたそうだったが、京楽が首を横に振る。

浮竹は気持ちを切り替えて、解体工房で5メートルはあるであろうドラゴンの尻尾をだした。

「わお、すごいね。ドラゴンの素材を扱うのは20年ぶりくらいだ」

解体工房の解体作業員の頭が、血と肉と鱗と骨に解体してくれた。

「合計白金貨5枚だ」

「すっご」

「うひゃあ、ドラゴン素材ってだけでそんなにいくんだねぇ」

「おまけで、金銀財宝をくすねてきたんだが」

「なんですって!出しなさい!」

金銀財宝も、冒険者ギルドのほうで買いとってもらった。

白金貨3枚になった。

イアラ帝国の冒険者ギルドでは、白金貨を流通させてあるので、支払いは白金貨であった。

「白金貨8枚か・・ファイアドラゴン討伐の報酬金が白金貨2千枚。それに比べたら少ないけど、はじめてのSランクの冒険にしては稼いだね」

「師匠のところに行こう。多分、火山を噴火させたことで怒ってそうだ」

「ああ、それはあるかも」

こうして、白金貨8枚を手に入れた二人とブルンは、空間転移で師匠である剣士の京楽の元へとやってきた。

にこにこにこ。

笑っている静かな剣士の京楽の笑みが、怖かった。

『君たちねぇ、ファイアドラゴンに挑むなんて早すぎだし、おまけに火山まで噴火させて!』

師匠は、大変お怒りであった。

「なんで、ファイアドラゴンが噴火までするほど怒ったの」

「それは、ファイアドラゴンが眠っている間に、金銀財宝を全てくすねたせいであります!」

エルフの京楽のキャラがちょっと変わっていた。

『ああ。そりゃ怒るよ。どこのドラゴンでも怒る。君たちは全くもう!』

正座させられて、3時間ほどお説教を延々とうらう羽目になり、エルフの二人はドラゴン討伐はしばらくの間引き受けないと心に誓うのであった。


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「あー疲れた」

「僕は足がしびれたよ」

『ホットミルクでも飲んで』

精霊の浮竹にホットミルクをもらい、エルフの二人は痺れた足をマッサージしていた。

『幸い今回の噴火は小規模で人的被害が出なかったからいいけど、最悪Sランク冒険者の資格剥奪もありえるから、注意してよ』

「はい、師匠」

「分かったよ」

『あと、寝ているドラゴンの巣に勝手に入ってきて、金銀財宝を盗まないこと!自分たちがSランク冒険者だというのを自覚して、お手本になるように行動すること!』

「はい、師匠」

「分かったよ」

師匠である剣士の京楽は、この二人、本当に分かっているのだろうかと、ちょっと心配になってくるのであった。

「くくるー」

ブルンが、お説教されている間中、プルンと遊んでいた。

「ププウ」

プルンの進化も近いようで、その日はお説教を受けて終わるのであった。

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エンシェントエルフとダークエルフ34

いろんな出来事があった。

気づけば2年が経ち、Sランク昇格試験の日が目の前に迫っていた。

浮竹と京楽は、この日のためにSランクの依頼ばかり受けて、切磋琢磨していた。

浮竹と京楽にとって、念願のSランク昇格試験の日がやってきた。

「荷物よし、武器よし、体調よし、魔力よし、京楽よし」

「ねぇ、なんでそこで京楽よしなの」

「いや、京楽とぺアで挑む試験だからな」

「くくるー」

ブルンは、エンジェリングスライムから進化して、アークエンジェリングスライムになっていた。

「くくる」

「がんばれって?ああ、がっばってくるぞ」

こうして、浮竹と京楽は、Sランク昇格試験の第一次試験である、魔法使いの試練を受けることになった。

ブルンは、試験会場で試験官たちに預けることになった。

「では、この的ををまずはたくさん破壊してください」

「おいおい、ミスリル銀だぞ。破壊なんて、できるわけが」

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン。3重詠唱【テトラボックス】」

浮竹は、無の圧縮呪文でミスリル銀の大きな的を、全て豆粒大の大きさにしてしまった。

「浮竹選手クリア!次、京楽選手!」

「ブラックホール×5」

京楽は、ブラックホールの禁忌で的をまとめて吸い込んでしまった。

「ああ。破壊するんだっけ。今だすから」

ブラックホールから出されらミスリル銀の的は、砂粒になっていた。

「京楽選手クリア!」

「ふふ、今年は粒ぞろいね。それにしても、ダークエルフと組むエンシェントエルフ・・・気に食わない。個人的には不合格にしたいんだけど」

「ちょっと、試験管さん、僕がダークエルフだからって不合格はないでしょ」

「ふん、ただ不合格にしたいっていっただけよ。実際にするわけじゃないからいいんだもん」

こうして、一次試験を、浮竹と京楽はクリアしたのだった。

二次試験は、疑似ダンジョン攻略であった。

中は迷宮で入り組んでいたが、魔力感知で道をたどっていくと、ボスがいる扉の前にきた。

疑似ドラゴンのカイザードラゴンが用意してあった。

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン!三重詠唱![テトラボックス]!」

「シャドウストライク!」

カイザードラゴンのブレスを相殺さらに過剰な力がカイザードラゴンにふりかかる。

もっと苦戦するものだと思っていたのだが、それであっさりと倒してしまった。

「え、終わりか?はっ、真のボスがまだどこかに!?」

「浮竹、油断しちゃだめだよ」

疑似カイザードラゴンは、消滅した。

いつまで経っても他にモンスターがわかないので、財宝の間にやってきた。

今回のSランク試験官の古代エルフのエマ、古代ドワーフのドゥニ、そして剣士の京楽がいた。

『合格だよ。よかったね』

「やったな、京楽!」

「うん、2次試験もクリアだよ!」

二人はハイタッチした。

3次試験は明日ということになった。

その日は宿で十分な休息をとり、魔力を回復させた。

やがて次の日がきて、浮竹と京楽は3次試験、最終試験に挑んだ。

75人が残っていたが、浮竹と京楽は最終試験の番号は一番最後だった。

その内容は過酷なものだった。

二人にとって師匠である、剣士の京楽を倒せというものだった。

最初は試験官は誰だろうとか気楽な気持ちでいたのだが、気を引き締めないと殺されると分かった。

剣士の京楽は、妖刀と抜くと自らの魔力を解放した。

「なんて魔力だ。まるで竜巻だ」

「本気でかからないと殺されるよ!」

「ブラックホール!」

「ライトニングダート!」

エルフの京楽は闇の禁忌を、浮竹は風の魔法を放つが、剣士の京楽は手を掲げただけで魔法を打ち消してしまった。

『もっといけるでしょ?それとも、もう限界?』

「まだまだ!「クリエイトアークエンジェル!」二十詠唱『テトラボックス!!』」

浮竹はさらに次の魔法を唱える。

「フェンリル!エターナルアイシクルワールド!」

氷の魔狼フェンリルを生み出し、氷の魔法で師匠である京楽に魔法を放つ。

エルフの京楽も魔法を使った。

雷に禁忌であった。

「サンダーボルテックス!」

しかし、剣士の京楽はぴんぴんしていた。

「手傷も負わせれてないね!」

「さすが、師匠。めちゃ強い」

エルフの浮竹は、ミスリル銀の魔剣を抜き放ち、京楽と斬り合った。だが、力の差がありすぎて、まともな斬り合いにならない。

「エターナルフェニックス!」

剣に不死鳥をのせて、剣士の京楽を焼いていくが、剣士の京楽は無傷であった。

「ダークネスサンシャイン!」

エルフの京楽が、黒い太陽を作り出す。

じゅわっとその場の水分が干からび出す。剣士の京楽に向けて放ったが、剣士の京楽は何か言葉をつぶやいて、黒い太陽を握りつぶしてしまった。

「くそ、強いな」

「そうだね。でもまだまだ!」

「クリエトドラゴン!カイザーブレス!」

浮竹は人工竜を作り出して、炎のブレスで攻撃する。

京楽のその炎に乗せて、闇と炎の禁忌を放つ。

「ダークネスフレア!」

炎は、剣士の京楽を飲みこんだかに見えた。

だが、剣士の京楽は結界をはり、禁忌を防いでしまった。

そして、エルフの二人は剣士の京楽に手傷を負わせられた。

「セイントヒール」

京楽が負った怪我を回復魔法で癒す。

「ここまで来たんだ!諦めてたまるか!」

「ああ、そうだな!京楽とSランクになるって決めたんだ!」

二人は、諦めない。

『さぁ、かかっておいで。実力を見せてごらん。こんなんじゃ、藍染めも僕も倒せないよ』

「クリエイトロードオブサタン。クリエイトアークエンジェル。三重詠唱「ワールドエンド!!」」

エルフの浮竹は人工悪魔と人工天使を作り出し、禁忌の中の禁忌を放っていた。

『く、3重の禁忌かい。やるねぇ。でも僕も負けてないよ』

剣士の京楽は、妖刀を解放して、右半身が精霊の浮竹になっていた。

「この尋常じゃない魔力・・・」

「僕に案がある」

「分かった、それに乗ろう」

「メテオスォーム!」

エルフの京楽は、エルフの浮竹より前に魔法を放った。

エルフの京楽が放つ魔法の合間をぬってエルフの浮竹は京楽との距離を詰め一撃を撃ち込む。ただではやられないため鍔迫り合いになった

「エターナルフェニックス!」

浮竹は、自分ごと魔法を放ち、剣士の京楽めがけて不死鳥は炎を燃やした。

「俺たちはあなたに勝つんだ!」

ドゴーンと爆発音がした。

「浮竹!」

エルフの京楽が言葉をかける。

煙が晴れると、そこには京楽の腹部に剣を刺したエルフの浮竹がいた。

『君たちの勝ちだね』

「師匠、大丈夫ですか!」

エルフの浮竹は、青白い顔をしながら剣を抜き取る。

それと同時に京楽は後ろに倒れるが、いつの間にか現れた精霊の浮竹が受け止めて地面に横にする。

『ボクに勝ったんだ。堂々とてなさいな』

そうして、エマとドゥニがやってきて、二人はSランク試験合格と認められて、称号をもらうためについていくのであった。

「師匠は大丈夫だろうか」

「不老不死の神人でしょ。大丈夫に決まってるよ」

「うん、そうだな」

エルフの二人は、1次試験と2次試験の監督から、Sランク昇格の言葉を承り、称号であり証であるミスリル銀の冒険者カードをもらった。

『それにして、あそこまで強くなっているとは思わなかったよ』

『そうだな。でも、愛弟子たちがSランクになって嬉しいだろう?』

「そうだね。修行をさせたかいがあるってものだね』

剣士の京楽と精霊の浮竹は、静かに寄り添い合うのだった。


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「Sランクおめでとう!」

「ありがとう!」

「ありがとね」

「いやん、うっきーちゃんも春ちゃんも、ついにSランクになっちゃったのね!」

その日は、Sランクに昇格た祝いを祝して、酒場を貸し切って飲み放題食い放題にした。

ここぞとばかりに、F~Dクラスの下級冒険者が食事に群がっているが、祝いなので気にしない。

「後で、師匠の家にいってみる?」

「そうだな」

祝いの夜も過ぎていき、翌日の朝に剣士の京楽の家にエルフの京楽の空間転移魔法でやってきた。

『あ、やっぱきたきた。Sランク昇格を祝して、飲もう!』

「ええ、昨日飲み会したばっかりなのに」

『師匠の酒が飲めんのか~~』

気楽な剣士の京楽に、精霊の浮竹がワインの入ったグラスをエルフの二人にもたせて、4人で乾杯した。

朝食がまだだったので、少し朝食には豪華な料理を食べた。

『昨日はきっとそっちで祝ってるだろうと思って』

「ああ、うん、冒険者ギルドの酒場貸し切って祝いしてました」

「けっこうな金額が飛んでいったけど、Sランクの依頼を1件こなすだけで元は取り戻せるからね」

『とにかく、おめでとう』

『おめでとう』

「ああ、師匠に改まってそう言われると照れますね」

「僕の夢が叶ったからね。幸せだよ」

『うん、良かった』

剣士の京楽は、新たなるSランク冒険者を心から祝うのであった。

結局、エルフの二人は師匠の家で朝っぱらから飲み明かして、深夜近くまで騒ぐのであった。








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始祖なる者、ヴァンパイアマスター

藍染が滅びて5年が過ぎようとしていた。

古城は相変わらず平和で、血の帝国からはブラッディ・ネイをはじめ、白哉、恋次、ルキア、一護、冬獅郎がよく遊びに来た。

人間社会からは、乱菊とその子供が。乱菊はギンという青年と結婚し、女の子を一人もうけていた。

「浮竹さん、マイカにミルクやっといて!」

「こら、乱菊どこに行くんだ!」

「近所のスーパーで今大セールやってるのよ!行かなきゃ損よ!さぁ、京楽さんもいくわよ!」

「なんや、乱菊、京楽さんもさそいはったんか」

「ギン、さぁ行くわよ!主婦たちとの格闘よ!」

「なんで僕まで・・・・・」

京楽は文句を言いつつも、乱菊とギンと一緒にスーパーに行き、お一人様1品のものを購入するのであった。

その頃、浮竹は乱菊の子であるマイカに哺乳瓶でミルクをあげて、おしめを変えてやった。

「あ、そろそろマンドレイク収穫しないと」

浮竹は、背中にマイカを背負い、マンドレイクの収穫を始めた。

「ぎゃああああ」

「ひいいいいい」

「うげろおおおお」

いろんな悲鳴をあげる、中庭のマンドレイクを収穫していく。

「あ、やばい、マイカの存在忘れてた!!」

マイカを見ると、キャッキャと喜んでいた。

それもそうだ。魔女と魔族の間の子供なのだから。

人間ではないので、マンドレイクの死の悲鳴を聞いてもケロリとしていた。

「よし、今日の昼はマンドレイク入りのポトフだ」

新鮮なマンドレイクが収穫できたので、マンドレイクを刻み、野菜を切って、コトコト煮込み、切ったソーセージをいれて、味付けをして出来上がった。

「一人で食べるのは寂しいな。神界へ行こう」」

マイカは眠っているので、ベビーベッドに寝かせた。

鍋をもって、神々が集う神界に、立ち入る許可をもらった指輪で訪れていた。

「なんだ、お前か」

「ルシエ―ド、マンドレイク入りのポトフを作ってみたんだ。食べてみないか」

「分かった。もらおう」

周囲の神々は冷や冷やしていた。創造神ルシエードは、最高神に値する。無礼を働くと、抹消される可能性があった。

ルシエ―ドは、マンドレイク入りのポトフを食べた。

「ふむ。悪くはない。マンドレイクが味をより一層引き立てている」

「お、やっぱりそう思うか。ありがとう、ルシエード。じゃあ、俺は戻るな」

浮竹は、自分の父である創造神ルシエードによく会いにきた。

神界に出入り自由な指輪をもらい、焼いたお菓子だとか、夕飯だとかを運んだ。

通常、神々は食事を必要としない。

けれど、ルシエードは食べた。愛しい我が子の作ってくれたものだからと、マンドレイクの味が好きになっていた。


「うわぁ、何このポトフ。マンドレイクの顔が浮いてる・・・」

帰ってきた京楽の一言に、浮竹がむっとなる。

「ルシエードは悪くはない、マンドレイクの味がいいって言ってたぞ」

「気のせいでしょ」

「とにかく食え!」

スーパーの戦利品をアイテムポケットから出していく京楽の口に、無理やりマンドレイク入りのポトフを入れる。

「ぎょええええええ」

京楽は、叫んですぐにキッチンにいってしまった。

「浮竹、塩とタバスコ間違えたね!?めっちゃ辛いよ!」

「え、そうか?ちょうどいい辛さだと思うんだが。ルシエードも悪くないと言っていたし」

「それ、絶対世辞だから」

「いいから、もっと食え!最後まで食え!」

浮竹に無理やり食べ去られて、京楽は灰になりそうだった。

「おぎゃあおぎゃああ」

「ああ、マイカが泣いてる」

「あら、いいわよ。ちょうど連れて帰るところだったの。またね、浮竹さん」

「ああ、またな乱菊」

「僕がおぎゃおぎゃあと泣きたいよ」

浮竹は、奇妙な物体を見る視線で京楽を見た。

「なんだ、赤ちゃんプレイがしたいのか?」

「違う!君のポトフで、僕は泣きたいってこと」

「そうか、泣くほどうまいか。また作ってやるからな」

「ああもう、君は!」

京楽は大きなため息を吐いた。

次の日は、ブラッディ・ネイが遊びにきた。

「兄様、女体化ごっこしない?」

「するか、この阿呆が!」

ブラッディ・ネイに生きたマンドレイクを投げた。

「ぎゃああああ、マンドレイク!」

マンドレイクは、ブラッディ・ネイと視線を合わせて叫んだ。

「もぎゃあああああああ」

「あぎゃあああああ」

ブラッディ・ネイも負けずに叫ぶ。

ブラッディ・ネイは、昔浮竹のマンドレイク入りの料理を食べて、マンドレイク恐怖症になっていた。

「ボク、帰る!」

「ああ、帰れ!」

「酷い、兄様のバカ!」

「たかが生きたマンドレイクで恐怖するなんて、まだまだお前も青いな」

「悪かったね!べーだ」

そうして、ブラッディ・ネイは帰っていった。

次の日になって気づく。

その日は、ブラッディ・ネイの生誕祭だった。

「ああ、ブラッディ・ネイのやつ、肝心なことを言い忘れたのか」

仕方なく、京楽と二人で血の帝国にやってきた。

「兄様、きてくれたんだ。この3年間、放置されてたけど、ちゃんと覚えててくれたんだ」

「3年間はすっかり忘れていた。ほら、3年分と今年の分のプレゼントだ」

浮竹がアイテムポケットから出して放り投げたのは、生きたマンドレイクのつまった袋だった。

「ぎゃああああああ!!」

ブラッディ・ネイは叫んで、マンドレイクを京楽に無理やり押し付けた。

「のああああああ!!」

京楽も生きたマンドレイクが苦手なので、なぜか白哉の手に渡っていった。

「なんだ、これは」

「ぎゃあああああ!!」

悲鳴をあげるマンドレイクを、不思議そうに白哉は見ていた。

「食べ物なのか?それとも、呪術に使う媒介か何か・・・」

「あ、白哉さんそれこっちで処理しときますんで」

恋次が、白哉から生きたマンドレイクを渡してもらい、生きたマンドレイクはそのまま女帝の厨房に行くこととなり、調理されてその日の晩のフルコースのスープに出てくるのだった。

「まぁ、マンドレイクは冗談だ。これをやる」

それは、大きなサファイアでできたネックレスだった。

「俺の錬金術で、氷の魔法が付与されている。暑い時とかにつけると涼しくなる」

「これから、夏だもんね!ありがとう兄様、大好きだよ!」

抱きついてきて、尻を触ろうとしていたブラッディ・ネイを手だけで押しやって、浮竹はその日の晩は、京楽と共にブラッディ・ネイの宮殿に泊まった。

夕食のフルコースメニューのスープには、マンドレイクの顔が浮かんでいた。

「マンドレイクをスープにしたのか」

「誰だ、こんなのスープに入れた奴は!」

ブラッディ・ネイは、怒った。

「料理長です。しかし、マンドレイクは美容にもいいとのことで、味は悪くないはずと料理長がおっしゃっていました」

「ふーん、美容にいいのか」

ブラッディ・ネイは、マンドレイクのスープを一口飲むと。

「おいしい!」

そう言って、残さず飲んでしまった。

「おかわりある?」

「料理長がさぞ喜ぶでしょう。おかわりを今、お持ちしますね」

男性は、オウカ・ザンペルという名で、5年前に採用されて、ブラッディ・ネイの執事のような存在で、周囲の世話をよくしてくれていた。

「ブラッディ・ネイをよく世話してやってくれているようで、兄である俺からも礼を言わせてくれ」

「そんな!浮竹様からそのような言葉をかけていただけるだけで、幸せ者でございます」

とても礼儀よく、恐らく貴族出身であろう。

「オウカの妹はボクの寵姫なんだよ」

「愚昧が迷惑をかける」

「えー。何それ兄様」

「本当のことだろうか。愚妹で何か困ったことがあれば、俺に相談してくれ。できるだけの対処はする」

「いえ、没落寸前の我がザンペル家を救っていただき、妹は寵姫にまでなれました。ブラッディ・ネイ様には感謝の心が絶えません」

「ほら、こう言ってるじゃない。それに寵姫としてオウカの妹は愛しているし、大丈夫だよ?」

夕飯に出たマンドレイクのスープは本当においしく、一流のシェフが作った味なのだが、京楽の作ったマンドレイクのスープの味に似ていた。


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その日、京楽はこそこそしていた。

「じゃあ、毎度、京楽さん」

マイカをおぶった乱菊から何かの薬品を買って、京楽は周囲を見渡した。

そして、キッチンで浮竹のグラスに買った液体を注ぎ、その上から高級ワインを注いで、氷をいえれて、浮竹に渡す。

「ん・・・・今日のワインは、やたら甘ったるいな」

そのまま夕食を続けていると、浮竹が体調の変化を訴えた。

「体が熱い・・・まさか、また媚薬を盛ったのか?」

京楽は凝りもせず、浮竹に時折媚薬を盛った。

「違うよ。今回はウサギ耳と尻尾ができる薬を盛ったの」

「はぁ!?ウサギ耳に尻尾!?」

ぼふんと音をたてて、浮竹の頭にはうさぎの耳が、尻にはうさぎの尻尾が生えていた。

「や・・・」

京楽にうさぎ耳を触られて、浮竹はピクンと体を反応させた。

「やっぱり、性感帯になってるね」

「京楽のアホ!」

「はいはい。苦情は後でいくらでも受け付けるから、ベッドに行こう?」

そのまま京楽に横抱きにされて、寝室のベッドにまで連れてこられた。

とさりとベッドにゆっくりと下ろされて、久しぶりになるので、浮竹から京楽に口づけていた。

「好きだ、春水」

「僕も大好きだよ、十四郎」

互いの衣服を脱がしていく。

「あっ」

すでに先走りの蜜を零している浮竹にものを手で包みこみ、しごいてやると、久しぶりなので浮竹は濃い精液を吐き出していた。

「もったいない」

京楽は、手についた精液を舐めとる。

甘い味がした。

「ああ!」

うさぎの耳を噛まれて、浮竹は啼いた。

「んあっ」

平らな胸をなでられ、先端をつままれると、電流が走ったような衝撃を感じた。

「んんっ」

京楽とキスをしながら、お互いの体を弄る。

京楽の硬いものに手をはわせると、それだけで京楽はいってしまっていた。

「ん、早いな」

「たまってたからね。ここ、気持ちいい?」

うさぎの尻尾をクニクニと触られて、浮竹はくすぐったいと訴えた。

「性感帯はウサギの耳だけか・・・・」

「ばか」

ローションを手にとると、浮竹の後ろを指で解していく。

わざといい場所に触れずに解すと、情欲に濡れた瞳で、浮竹が京楽を見上げた。

「はやく、お前をくれ」

「もう、君って子は・・・・」

京楽は、また硬くなった己のものを浮竹の蕾に宛がい、一気に貫いた。

「あああああ!!!」

ウサギ耳を触ってやると、浮竹は余計に啼いた。

「ああん、だめぇええ」

「ここをこんなにしてるのに?」

ぐちゅぐちゅと音を立てる結合部を、わざと見せつけるように、京楽は動いた。

「やああああ」

「君のここは、もっとって言ってるよ?」

「ああああ!」

京楽は、浮竹の奥をごりごりと削りあげながら抉った。

「あああ!!」

浮竹はシーツに精液を飛び散らせていっていた。

「んああああ!」

ウサギの耳に噛みつかれて、僅かだが吸血されると、浮竹は涙を零した。

「あああ!もっと、もっとお前をくれ、春水」

「いっぱいあげるから、受け止めてね?」

京楽は、浮竹の胎の奥に濃い子種を出していた。

びゅるびゅると注ぎ込まれる精子に、浮竹はオーガズムでいっていた。

「あ、あ、もっと」

「愛してるよ、十四郎」

「あ、俺も愛してる・・・・ああああ!」

うさぎ耳をぐりぐり撫でられながら、突き上げられた。

「耳はだめえええ」

「いいの、間違いでしょ?」

「あああ!」

最奥に侵入しながら、浮竹のうさぎ耳をいじった。

「あ、いっちゃう!」

「何度でもいっていいよ。ぐずぐずになるまで、溶けちゃって」

「ああああ!!」

浮竹はオーガズムでいって、精液も出していた。

「んああ」

京楽が、2度目になる熱を浮竹の中に放つ。

「あああ、お前で、満たされていく・・・・・」

「うん。もっといっぱいあげるから、全部飲んでね?」

「あああ、うあああ!」

ウサギ耳を散々いじられた。

浮竹はもう出すものがなくなって、オーガズムでいきっぱなしだった。

「ああ・・・・・・」

京楽のものはまだ硬く、浮竹はうさぎ耳をいじられながら、京楽が最後の一滴まで自分の中に注ぎ込んだことを確認すると、意識を失った。

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起きると、体は綺麗に清められており、中に出されたものもかき出されたいた。

「京楽」

「はい、反省してます」

「全く、お前はまた変な薬を俺に盛りやがって」

「でも、いい思いはしたでしょう?」

京楽が、まだついたままの浮竹のうさぎ耳を指でつまみあげる。

「バーストロンド!」

「もぎゃああああああ」

爆発の魔法で、京楽は吹っ飛んでいくのであった。


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