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小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 29 30 12

パンツを盗むその犯人とは京楽以外にありえない

朝起きると、パンツをはいた京楽が、正拳突きをしていた。

ラメ入りのパンツでめっちゃ目立った。

天井からぶら下げた浮竹のパンツに向かって、正拳突きをしていた。とりあえず、起き上がるとそのけつに蹴りを入れて、パンツを奪い返す。

昨日洗濯して干しておいたパンツだった。

「全く・・・・またパンツ盗みだしやがって」

一時期は収まっていたパンツ盗みだが、また最近ちょくちょくパンツがなくなるようになっていた。仕方ないのでネットで50枚はパンツを注文したのだが、すでに20枚はなくなっていた。

「たくさんあるんだから、ちょっとくらいいいじゃない」

「20枚はもう盗んでるだろう!全然ちょっとじゃない!」

「パンツ代金僕が払ってるんだからいいじゃない」

「そういう問題じゃない」

新品のままのパンツは盗まないのだ。

一度浮竹がはくと、そのパンツを盗むのだ。

今のところ、パンツの使い捨て状態だった。

「あほな恰好してないで、服を着ろ。学院に登校するぞ」

朝食のパンをかじりながら、コーヒーを飲んで、院生服に着替えると浮竹は部屋を出た。ラメ入りパンツ一丁の京楽も、部屋を出た。

「服着ろ!」

浮竹は、京楽のけつを蹴った。

京楽は、手にもっていた院生服をしぶしぶ着だす。

浮竹は筆記用具とかを手にしていたが、京楽は手ぶらだった。ロッカーに全ての荷物をいつも置いているらしい。

手ぶらだが、懐には何かをいれているらしい。

「動くなよ」

ボディチェックをしていく。

ポケットと懐から、浮竹のパンツが出てきた。

「なんだこれは」

「僕のものだよ!」

「一度お前に盗まれると、もうはきたくなくなるから別にいい」

今日の朝のパンツは、まだましだと思って奪い取っておいたのだが、やはり処分しようと決めた。

「行くぞ。ちんたらしていたら遅刻する」

時間にまだ余裕はあったが、京楽の変態ペースに間に合わせていると、完璧に遅刻する。

「ああん待ってマイスウィートハニー」

京楽を無視して、学院に登校した。

ざわざわざわ。

教室がざめめくので、その視線の先をたどると、京楽が浮竹のパンツをたたんでいた。

頭に被るられるよりはましなので、放置しておく。

ざわり。

さざめきが大きくなった。

京楽の方を見ると、浮竹のパンツを頭に被っていた。

「はぁ・・・・・破道の4、白雷」

「あがががががが」

パンツを頭に被ったまま、京楽は気絶した。

教師がやってくる。

「焦げ臭いな・・・・む、京楽、なんだその恰好は。京楽?」

「すみません、ばかが脳まで達したようなので、医務室に連れて行きます」

「ああ、そうか」

教師も、京楽の変態ぶりは承知していた。それくらい、京楽は変態なのだ。

寮の自室だけでなく、学院の中まで浮竹のパンツを被りだすことがあるので、教師も慣れたものだ。

焦げた京楽を、ずるずると足を掴んで引きずっていく。

ゴン、ガンとか頭を打つ音はするけど、無視だ。

医務室にいくと保険医はいなかった。

そのまま、適当にベッドの上に京楽を投げ飛ばす。

頭にはたんこぶだらけで、被っていたパンツは黒く汚れていた。

「あれ、浮竹?あいたたたた、頭が痛い!なんでたんこぶだらけ・・・・」

「お前、学院でパンツ被るのはやめろ」

「え、どうして?」

「どうしてって、変態行為はせめて自室の寮だけにしろ」

「僕、何も変態行為なんてしてないよ」

重症だった。

パンツを頭に被ることが、普通のことだと思っているらしい。

「はぁ・・・・お前の友人であることが、時折悲しくなる」

「じゃあ、今日から恋人で!」

抱き着いてきた京楽の顔面を蹴って、黙らせた。

「酷い!浮竹のバカ!」

「京楽の変態がっ!」

「そんな褒めないでよ(*´з`)」

「褒めてない!どこをどうとれば褒めていると感じるんだ!」

「え、僕にとって変態は輝かしい言葉だよ。何せ変態だからね」

浮竹が驚愕した。

京楽が、自分で自分を変態であると認めたのだ。

「熱はないか?まさかバカのウィルスが本当に脳みそにいったんじゃ・・・」

京楽の額に手をあてると、引っ張られた。バランスを崩して、京楽の上に倒れこむ。

「好きだよ、浮竹・・・・」

「そういう台詞は、せめてパンツを被らずにしろ」

裏拳で顔を殴ると、京楽はまた気絶した。

京楽のかぶっていた汚れたパンツをごみ箱にすてて、京楽の懐からパンツを出すと、それを握りしめさせた。

せめてもの、情けだ。

ちなみに、昼休みには復活して、パンツを被らずに普通に浮竹と食事をとる京楽の姿があったという。



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一護の誕生日(閑話)

7月15日。

一護の誕生日であると知ったルキアは、ネットでチャッピーの抱き枕を注文した。

「一護!たたたたた、誕生日おめでとう!」

ケーキは作れなかったが、代わりにクッキーを焼いた。

綺麗にラッピングされたチャッピーの抱き枕を受け取って、一護は照れていた。

「ありがとう、ルキア。まさか死んでからも誕生日を祝ってもらえるなんて、思ってもなかった。中身、あけてもいいか?」

「ああ、いいぞ」

きっと喜んでくれる。そう思っていたルキアとは反対の表情を、一護は浮かべた。

「抱き枕でチャッピーかよ」

少し悲しくなって。

「いらぬのなら返せ!」

「誰もいらねぇなんていってねぇ!」

ふわりと抱き寄せられた。

「ありがとうルキア。気持ちだけでも嬉しいぜ」

「たたたたわけ、愚か者!」

一護の鳩尾に拳をいれて、ルキアは真っ赤になった。

「きいた・・・・・ああ、いい匂いがする」

「あっ、クッキーを焼いたのだ。食べてくれるか?」

「勿論食べるに決まってるだろ」

さくさくと、一護はルキアの手作りクッキーを食べた。

「味はどうだ?」

「うまいぞ。初めて作ったんだろう?」

「何故わかるのだ?」

「焦げたり、形がいびつだったりしてるから。それにルキアは、朽木家の者だしな」

「たわけ、そんなことがはないぞ。これでもたまに料理はするのだ。兄様のお弁当を作ったり・・・兄様がとても喜んでくれるからな」

「なぁ、ルキア」

キスをされて、真っ赤になると、一護が耳元でこう囁いてきた。

「今日だけは、白哉の話はしないでくれ」

「どうしてだ?」

「嫉妬しちまう」

結婚して、1か月はたつというのに、体を重ねてもルキアは初心なところは変わりなかった。

「好きだ・・・・・」

ルキアを抱き寄せて、耳をかじると、ビクンと腕の中のルキアが反応した。

「あ、一護・・・・・・」

「愛してる。俺の嫁は、世界で一番かわいい」

少し長くなった黒髪に口づけられて、そのまま抱き締められて、舌が絡まる深いキスをされた。

「いちご・・・・」

「好きだ。愛してる」

「私もだ、一護・・・・・」

キスに応えてくるルキアはかわいかった。

「にゃあ」

「琥珀、いいところだからあっちいってろ」

猫の琥珀は、またにゃあと鳴いて去って行った。

「今日は、確か白哉は帰ってこないんだよな?」

「ああ、そうだが・・・」

ちょうど、休日だったのだ、二人とも。

「うおっし、久しぶりにイチャイチャラブラブするぞ」

「ええっ!?」

昼食を、全部ルキアの分を一護が食べさせたり、反対に夕飯をルキアが一護に食べさせたり、意味もないのに触れ合ってごろごろしたり、一緒になって一つの布団で昼寝したり。

「今日の最後のプレゼントが欲しい」

「何が欲しいのだ?私で叶えられることなら・・・・・」

「お前が欲しい」

真顔で、そう言われた。

「なっ・・・・・」

「いいだろう?結婚式も挙げたし、もう何度も体を重ねてる」

「仕方ないな・・・いいぞ」

「おっし」

軽いルキアを抱き上げて、一緒に湯あみをした。

髪をかわかしてから、布団の上で睦みあう。

「あ・・・・・・」

真っ白なルキアの肌は、吸い付てきそうなほどにすべすべしていた。

アメジストの瞳が、潤みながら見上げてくる。

「お前が欲しい・・・・」

「んっ・・・・ああっ!」

ルキアの体のそこかしこが甘くて、夢中になった。痕をたくさん残した。

行為後のけだるい雰囲気の中、ルキアは満足そうに一護に抱き着いていた。

「いつか、子ができるといいな」

「そうだな」

朽木家の次代当主になるのだろうか。

ルキアをかき抱いたまま、その日は眠った。

「一護、朝だぞ起きろ」

「ん・・・・もう朝か」

「兄様が戻っていらしている。早く支度をして朝餉をとりにいかねば」

「ちっ、白哉め・・・・・・」

同じ屋根の下で暮らしているのだから、当然のように顔を見ることになる。

離れの屋敷にルキアと住まうことを提案したのだが、白哉に断固と拒否された。シスコンの白哉は、手の届く範囲にルキアを置いておきたいらしかった。

ルキアが一護のことを好きと知って、一護もルキアのことが好きなのをいいことに、勝手に籍をいれるようなやつだ。

棒弱無人。そんな言葉がぴったりと合いそうだった。

でも、白哉は人気だった。隊士からも尊敬されていて、何よりあの恋次が、この人のためならばと、動くような上官なのだ。

「一日過ぎてしまったが、兄への誕生日プレゼントをくれてやろう」

ぽいっとよこされたそれは、一護と迷子札のついた犬の首輪だった。

「白哉義兄様の気持ちだけありがたくいただいておくよ!」

あっかんべーをして、食堂で犬の首輪を投げ返した。

「一護!兄様からのプレゼントなのだ。ちゃんと受け取れ!」

ルキアが、嫌がらせでしかない犬の首輪をもってくる。仕方なしに受け取って、後で処分することにした。

今日の朝餉は、いつもより豪華だった。

「昨日は、楽しんだか、ルキア」

ルキアは真っ赤になった。

「子ができたら、真っ先に教えろ」

「おいおい白哉、一番初めは俺に決まってるだろう」

「ふ、犬がなにかわめいておる」

ピキピキピキ。

一護の額に血管マークがいくつも浮かんだ。

「なぁ、白哉義兄様、もう少し仲良くできねぇか?」

「笑止。無理だ」

「くそったれが!」

こっちから歩み寄ろうとしてもこれだ。

多分、ルキアが恋次と結婚していたら、恋次が今の一護の立場にいるのだろう。

いや、恋次は長年副官として白哉といても平気だから、もっと扱いは違うのか。

そんなことを考えていたら、朝餉を完食する前に下げられてしまった。

「あーもう、いらいらする」

「今日は、6番隊と13番隊で合同訓練がある。行くぞ、ルキア」

「はい、兄様」

「そこの、盛るしか脳のない駄犬も、早めに来ることだ」

「ムキーーーー!」

白哉が去り際に残していった台詞に怒って、ルキアからもらったチャッピーの抱きまくらに、白哉の写真を張り付けて、殴りまくった。

「ぜーぜー。おっとやばい、遅刻する」

一護は、白哉が本気で嫌いなわけではないのだ。本気で嫌いなら、言葉も交わさない。それは白哉も同じことであろう。

「うまくいかねーな」

こじれた嫁と姑の中のようだ。

仕方なしに遅刻しないために、新しい死覇装を着て、副官の証を左腕につけて、一護も出勤するのだった。













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ポッキーの日

「11月11日、今日は何の日でしょう!」

「京楽の死ぬ日」

雨乾堂で、ごろごろしながら、旅行のパンフレットを見ていた浮竹が、そう言った。

「酷い!僕は死なないよ!」

「んー。温泉にいきたい・・・・・・」

浮竹が見ていた旅行のパンフレットを、京楽がとりあげた。

「それはまた今度にして、じゃーーん!ポッキーの日です」

京楽は、背後にもっていたポッキーを浮竹の前に置いた。

「ポッキーだな」

「うん、ポッキーだね」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

しばしの沈黙。

「で?」

「え、いや、ポッキーの日だからこの通りポッキーを取り寄せたんだよ」

ポッキーの入った段ボール箱が3つほどあった。

「ちょっと、買いこみすぎじゃないか?」

「うんそうだね。でも、君のとこと僕のとこの一般隊士にも1人1個配るから、これくらいの量になっちゃうんだよ」

「京楽サンタか」

「いや違うから。クリスマスにはまだ早いよ」

「でも、今年もあるんだろう、京楽サンタ」

京楽は、サンタクロースに化けていろいろと自分の隊や他の隊長副隊長にプレゼントを配ったりする。ちなみに去年は浮竹もサンタクロースをして、日番谷にお菓子のセットをプレゼントしたら、お返しだと養命酒を送られた。

「養命酒か・・・・・やるな、日番谷隊長め」と言っていた記憶がある。

「どうせだから、ポッキーゲームでもしようじゃない」

「いいぞ」

端と端をくわえて、ポリポリ食べていく。

浮竹は、途中でポキンと折った。

「ああ、何故に!?」

「チョコまみれのキスは、なんかいやだ」

「じゃあ、普通に食べよっか」

ぽりぽりぽりぽり。

その音しか消こえなくなった。

「なんか、思ったより暇だね」

「一般隊士に配るんだろう。俺も手伝うから、用意しろ」

「ああ、そうだった。日付が変わるまでに配り終えないと」

京楽と浮竹は、まだなんとかぎりぎり隊舎にいた死神たちにポッキーを配って行った。

浮竹は、途中で10番隊の執務室により、日番谷に超巨大ポッキーを渡していた。

「おい、こんな巨大なの食えるか!」

「1日少しずつ食べていけば、3か月くらいできっと食べ終えるから!」

浮竹はその辺は適当であった。

京楽家で特別に作らせた超巨大ポッキー。

日番谷の氷輪丸と同じくらいの長さがある。それが5本。

けっこうな金がかかった。でも、受け取らされた日番谷は、全然喜んでくれなかった。

まぁいいかと思いながら、席官にポッキーを渡しておく。

中には、男死神であったが、愛の告白と間違えだす阿呆まででてきた。

「はぁ・・・・3時間かかった」

もう帰ってしまった平隊士は無視して、席官の家におしかけて、ポッキーを渡した。

「七緒ちゃんで最後だった・・・・はぁ、瞬歩こんなに使ったの久しぶりで・・・・」

二人とも、ぜぇぜぇと息が荒かった。

「やっぱ年かな?」

「そうかもな」

若い頃は、これくらいの距離の瞬歩を重ねても息はあがらなかった。

「あ、浮竹にはこれを」

苺味のポッキーを渡された。

「俺はお前からもらったポッキーしかないぞ。お返しなんてできない」

「君の体でいいから・・・・・おぶ!」

張り倒された。

「ポッキーのお返しが俺の体なんて、安すぎだ」

「じゃあ、キスで」

「ん・・・・・・」

触れるだけの口づけを数回かわして、離れた。

そして、浮竹は雨乾堂で京楽の存在を忘れて、また旅行のパンフレットを見だした。

「どこか、いきたいところでもあるの?」

「んー。草津の湯にいってみたいんだが、現世だから無理だろうな」

「現世かー。それはちょっと難しいね」

隊長副隊用クラスが現世に赴く時、限定封印を受けていくのが習わしだ。

藍染の反乱の時は限定封印なしだったが、空間凍結があったからこそだった。

「どこか、似たような温泉を探しておくよ。二人で、旅行にいこう」

「ああ、それもいいな」

旅行代なんて出す金はない。京楽に払わせてしまえと思いながら、パンフレットを放りだして京楽と一緒にごろごろするのだった。



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メロンとメロンソーダとメロンアイス

「んーうまい」

「ほんとに、美味しそうに食べるね」

浮竹は、メロンを食べていた。普通のメロンと、メロンソーダ、さらにはメロンアイス。メロン尽くしであった。

「あーんしろ」

「あーん」

京楽の口の中に、メロンアイスを放りこむ。

「ん、これはうまいね」

「こっちも飲んでみろ」

メロンソーダを飲ませると、炭酸がきいたのか、少ししてから意見を出す。

「この色だけみると、飲み物としては体に悪いと思うんだけど、味はいいね。そしてまぁ、飲んでも平気なくらいだから、体にそう悪くもないんだろうね」

普通のメロンは、京楽も食べていた。

今年初のマスクメロンだった。

けっこうな金額だったが、浮竹の喜ぶ顔がみたいと、数個買って冷やしておいたのだ。

最近、現世ではやっているメロンクリームソーダを食べさせてあげたかったが、生憎とメロンソーダは手に入ったが、メロンクリームソーダは入手できなかった。

代わりに、メロンアイスをつけた。

浮竹は甘いものが好きだ。スイーツ系のお菓子から、果物まで。

メロンは、中でも好きな果物の中で5本の指に入る。そのうちに、苺と桃が入っているのは知っていた。

「今度は、苺と桃も同じようなかんじで買ってきてあげる」

苺の果物に、イチゴオレのジュースに、苺アイス、いちごチョコでいこうと思った。

桃は、果物の桃に、桃の天然水の飲み物と、ピーチ味のアイスを。

「メロンはけっこう贅沢な品だからねぇ。貴族なんかはよく食べるけど、普通の死神にはちょっとした贅沢品かな」

「カニみたいなものか?」

「いや、カニよりは・・・・普通のメロンなら、カニよりは安い。でも、初物のメロンは一つ数十万・・・・・・」

「もしかして、これって初物か?」

「よくわかったね」

「お前が買ってくるものは、なんでも桁が1つか2つ違うから。このメロンソーダとメロンアイスは、そこまで高くはないんだろ?」

「あ、うん。現世から取り寄せたから、手間賃はかかっているけど、品物自体は千もしないね」

その言葉にほっとした。

全部で数百万するとか言われたら、お金を食べている気になってしまう。

「おかわりはできるか?」

「メロンソーダは無理だけど、普通のメロンとメロンアイスなら」

「じゃあ、それで」

メロンソーダを飲んで、浮竹も気に入ったみたいだし、お祭りにはメロン味のかき氷だってあるのだ。

「もっと、尸魂界に普及すればいいんだけどね」

アイスとか、ジュースとか。

まだ、一部の甘味屋した扱っていない。

そんな甘味屋でパフェを食べたことがあるが、その美味しさに感動したのを浮竹は覚えていた。

京楽も、そのいろんな味とボリュームとおいしさを、気に入った一品だ。

「現世のものがこの世界に普及するのは、今はゆっくりだからな。100年前まで、ありえなかった電化製品なるものも普及しだしたのも最近だし」

尸魂界は、鎖国していた江戸時代に何処か似ていた。

建物もそう思わせるものがほとんどだったし、流魂街などまるっきり江戸時代の世界だ。住む住民の髪型は自由だが、生活様式も江戸時代を思わせる。

「メロンの味が、流魂街の民にも知れるような時代がくるといいな」

「んー。でも、流魂街の子は、基本お腹がすかないから食事する必要ないからね」

「でも味覚はあるだろう。甘いものを食べたいだろうと思う」

「おなかの減る子は、学院に通うだろから、子供の頃は少し辛いかもしれないけど、まぁなんとかやっていけるものさ」

「そういうものか?」

アイスを食べた浮竹に、京楽はキスをして、半分とけたアイスを舌でもっていってしまった。

「お前、食べたいなら普通に・・・」

「君の口から食べたいの」

「恥ずかしいやつだな」

ここは、京楽の屋敷であった。

もう何度も訪れたので、何処に何の部屋があるのかも覚えてしまった。

朽木邸ほど広くはないが、京楽がもっている屋敷の本宅なので、朽木邸の3分の2くらいの大きさだった。十分に広い。

京楽の屋敷では、現世の冷凍庫なるものがあって、いろんな食品が冷凍してあった。

夏になると、よくアイスを食べさせてもらう。それに、冷凍みかんとか。

冷凍庫がくるまえは、天然の氷室をいくつかもっていて、そこで食品を冷凍していた。

「現世は本当に便利になったね」

「俺は、今度もしも生まれ変わるなら、現世の人間がいいな」

「脆弱で、寿命も短いのに?」

人間は脆すぎる。死神である京楽は、生まれ変わっても死神でありたいと思った。

「でも、いろんな美味しいものが食べれるじゃないか」

「それは、限定封印をうけて現世に繰り出せばいいだけの話じゃないか」

「そんなことのために現世にいったら、元柳斎先生に怒られる」

「まぁ、隠れて行けばいいんじゃない?」

「隊長格の霊圧だぞ。ばれるに決まっている」

山じいの怒った顔を思い出す。あまりに怒らせすぎた時は、尻に火をつけられたことがあった。あれは恥ずかしい上に、なかなか消えなくて熱い思いをしたものだ。

「それもそうだねぇ。しばらくは、やっぱり一般隊士や業者を使って、手に入れるとするか」

「これ全部、まさか現世のか?」

「そうだよ」

「はぁ・・・・・」

浮竹は溜息を零した。

いくら、浮竹のことが好きだからといって、一般隊士にものを現世からもってきてもらうってどうなんだろうと考えつつも、メロンを食べ続ける浮竹と京楽であった。






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海燕が浮竹といかがわしいことしてると勘違いする京楽

「ああっ、気持ちいい・・・・」

「ここですか?」

「そうそう、そこそこ。もっと」

「これはどうです?隊長」

「ああっ・・・いい、海燕」

そんな浮竹と海燕の会話を、雨乾堂のすぐ近くで聞いてしまった京楽は、どかどかと中にのりこんでいった。

「ちょっと浮竹、海燕君、何をいかがわしい・・・・・こと、してないね」

浮竹の腰をもむ海燕の姿に、浮竹が笑い声をあげる。

「俺と海燕がいかがわしいことしてたかだって?そんなこと、あるわけないだろ」

「そうですよ。俺は隊長と違って女性じゃなきゃ無理です」

そういう海燕の頭をばきっと殴っておいて、浮竹は京楽に座るように促す。

「海燕、続きしてくれ」

「はい」

「あん、そこいい」

腰というか全身もみほぐしだ。海燕の腕はいいのか、京楽がマッサージする時よりもきもちよさそうだった。

「ああっ、海燕もっと・・・・」

「ここですね!」

「くーきく」

浮竹は凝りやすい体質なのか、定期的に京楽が海燕が肩や腰をもんだ。

「ああっ」

「やっぱけっこう凝ってますね」

「あんっ・・あ・ああ」

腰や肩を揉まれるたびに、意識しているわけではないだろうが、快感を感じる声をだす。

その声音は、寝所でのものと同一だった。

「ちょっと、浴室かりるね」

「どうしたんだ、京楽」

「君の声聞いてると、たっちゃった」

顔を真っ赤にする浮竹。

「俺、そんなに喘いでたか?」

風呂場に消えた京楽の方を見ながら、副官に問いかけると。

「めっちゃ喘いでますよ。まるで寝所の中みたいな声出してます」

「う、ちょっと京楽には悪いことしたな。でも、声は出てしまうし・・・・」

「抑えてみてはどうですか」

「がんばってみる・・・・・」

京楽が浴槽に消えて10分は経った。

「あーきくきく」

「少しは声ましになったんじゃないですか」

「そうか。あー、そこだ、そこ。凝ってるから・・・きくー」

「一気におっさんくさくなりましたね」

「実際おっさんだからいいんだ」

ようやく、すっきりした顔で京楽が浴室からでてきた。

「京楽、海燕の腕はかなりいいぞ。お前も揉んでもらったらどうだ」

「じゃあ、たのもうかな」

海燕は少しだけ嫌な顔をしたけど、大好きな上官の大好きな相手を無視することもできない。

京楽の、浮竹とは違うごつい体をもんでいく。

「うおっ・・・・・きくねぇ」

「そうだろ!俺も揉んでやる」

二人がかりで京楽を揉みだした。

「海燕君、ほんとにうまいねー。浮竹はなんかさわさわしてるかんじで、こそばゆいんだけど」

「あ、おかしいな?これでどうだ」

「あいたたたた、そこ、揉む場所じゃないから!」

「じゃあここは?腰だぞ」

浮竹が揉むと、京楽はやっときもちよさそうな顔をした。

「あーそこだよ、そこ。そこもっと揉んでほしいんだ」

ぐりぐりと肘で圧をかけると、京楽は天の昇るような心地を味わった。

「きくね・・・・眠くなってきた・・・・・・」

「あ、ずるいぞ京楽。一人でマッサージされて眠るなんて。そんな幸福な眠りはこうだ」

足の裏を思い切りこそばしてやった。

「わあ」

驚いて、京楽が起きる。

「あれ、僕眠ってた?」

「ああ。ずるいぞ京楽。マッサージしてもらって寝るなんて」

「そんなこと言っても、きもちよくて眠くなっちゃう・・・・・・ふう。もういいよ、海燕君、ありがとう」

「あ、海燕今度はもう一度俺を揉んでくれ」

「海燕君は人気だね」

促されて、仕方なく今度は自分の上官の体をもんでいく。

さっきまで揉んでいたので、体は大分ほぐれていた。

「もう、あんまり凝ってませんよ」

「いやいや・・・マッサージされながら眠りたい」

そういって、数十秒後には寝ていた。

「ふう、今日はもう終わりです」

海燕が、手が痛いと言い出した。

浮竹は寝ている。

「起こしますか?」

「いいや。こんなに幸せそうに寝ているんだもん。このまま寝かせてあげたい。僕もまた眠くなってきたし・・・・ふあ~」

太陽の光が入ってきていた。

ぽかぽかした日差しがきもちいい。

浮竹の隣で京楽も午睡をはじめた。

「この二人は・・・・全然違うのに、こういうところは似ているんだな」

人前で、無防備に眠りだすところが。

副官だからと、安心するところが。

「はぁ。俺も眠くなってきた・・・ふあ~」

雨乾堂で、副官である海燕も眠りだした。ただ畳の上で寝っ転がっている上司たちとは違って、背を壁に預けて。

万が一何かが起きた時のために。

そんな万が一など、起きることもなく平和な何気ない日の午後は過ぎていくのだった。

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朝から盛っている二人をみてしまいその後、梅で花見。

「おはよーございます」

「あん、京楽」

朝っぱらから、やっている二人のいる雨乾堂まで入ってきてしまって、海燕は固まった。

幸いなことに、服を着ながらやっていたので、自分の上官のあられもない姿を見ることにはなったが、肌色は少なかった。

「きょ、京楽!海燕がきたから!」

「だから、なんだってんだい。続けるよ」

「んあっ・・・あ、あ、京楽!」

ピキピキピキ。

自分の存在をないこととして扱われて、海燕は怒鳴った。

「朝餉、なしですね!」

「あ、海燕まて・・・・ああっ!ううん」

浮竹の声は、確かに聴いていると腰にくるものがある。

あんな上官であるが、大切なのは確かだ。

手早く行為を終わらせて、浮竹が海燕のいる隊舎までやってくる。

「すまない、海燕!京楽がなかなか終わらせてくれなくって」

「それより、朝から盛るのはやめてくれませんかね。せめて夜になるまで待ってください」

「それは京楽が!」

「朝餉、運びますから。湯あみ、してきてくださいね。京楽隊長の匂いがする」

かっと朱くなって、浮竹は朝から京楽と湯あみをした。

新しい死覇装と隊長羽織をまとって、やり直しで今日の一日のはじまりだ。

「あ、京楽の焼いた鮭の方が大きい」

「はいはい、取り替えてあげるから」

この二人を見ていると、もはや夫婦にしか見えないのだが。

「あーんして」

「あーん」

浮竹の口の中に、デザートの栗のモンブランケーキをいれる京楽。

お前ら、熟年カップルか!

そう言いたくなった。

だって、連れ添うようになって数百年。もう、夫婦でも熟年カップルに入るだろう。

そもそも、京楽も起きたのなら、13番隊で朝餉をとらずに、8番隊に戻ればいいのに。

「京楽隊長は、泊まった時ってなんて朝餉13番隊でとっていくんですが」

「だって、ここのご飯できたてで美味しいんだもん」

「そりゃ、確かに金銭面で京楽隊長が出してくださってるお陰で、他の隊より豪華な食事はとれますが、それは8番隊もでしょう?」

「だめだめ。8番隊の食事は冷めきっていてね。美味しいことは美味しいけど、13番隊の食事には及ばない。それに、食事内容もはっきりいって13番隊のほうが豪華だ」

病弱な浮竹のために精を付けてもらおうと、市場で新鮮なものを買ってきては調理されて出されている。

浮竹のご飯はとくにデザートがこっている。今日は、栗のモンブランケーキだった。

京楽の分まで食べて、満足そうでほっこりした浮竹に、海燕も自然と顔を緩めていた。

「ああ、僕も13番隊の子になりたいなぁ」

副官の七緒が聞いたら、切れるだろう。

「京楽は、8番隊の隊長だから、いいんだ。同じ隊長でないと、距離感がでてしまうだろうが」

浮竹は、席官の京楽になんて興味なさそうだった。

「まぁ、8番隊の隊長長年してるけど、浮竹とのこの距離感がいいよね。気が向いたら自然と雨乾堂に遊びにこれる今の距離感、好きだよ」

「副隊長の時はどうしてたんですか?」

海燕が問うと、浮竹も京楽も苦笑した。

「あの頃は忙しかったからねぇ。逢瀬もたまにだよ」

「もう、副官はしたくないな」

「ああ、まぁなんとなくわかります」

朝から、上官の世話を焼くこの一日が、大変といえば大変なのだ。

隊長なら、仕事をためこんでしまうが、数日は自由がきく。その代わり、ためこんだ仕事に忙殺される日々がくるが。

京楽は、明らかに仕事をためこみ、忙殺される日々を送るタイプだろう。自分の上官である浮竹は、臥せっている時以外は、仕事は常にこなすので、その点では副官を泣かせない。

京楽の副官である伊勢七緒には、少しばかり憐れみを覚えた。

「とにかく、今度から朝から盛るのはやめてください。そして、俺を無視して続きやるのも勘弁してください」

「なるべく、そうならないようには努力するよ」

「ああ、俺もだ」

とはいえ、浮竹も京楽も一度火がついてしまうと、収まらない。

朝からはなしにしようと告げて、それで終わった。

「今日は何をしよう」

「そうだね。この季節は梅が咲いているね。梅をみながら花見でもして、ぱーっと飲もう」

「仕事は?」

海燕が問う。

「今日の分はあるのか?」

「いえ、今日の分は昨日隊長が片したやつです。それより、京楽隊長の仕事です」

「ああ、僕はいいの。あと半月分くらいため込んで、1週間かけて終わらせるから」

「その方法なんとかならないか?1週間もお前に会えないのは辛い」

「そんな時が、浮竹が8番隊にきてくれるじゃない」

「まぁ、それはそうなんだが」

「昼飯の準備してきますから。適当に酒を選んで、出発の準備しててください」

「ほんとによくできた副官だね、海燕君は」

「やらんぞ」

「欲しいけど、七緒ちゃんがいるからね」

七緒の怒った般若のような顔は怖いが、あれでも性根は優しい。

ちゃんと食事を届けてくれるし、仕事を溜めこんでいる時とかは、仮眠をとってくださいと休憩時間をくれる。

「どこの梅を見に行こうか?」

「白哉に頼んで、朽木邸の梅を見させてもらおう」

「ああ、朽木邸の梅はすごいからね。亡くなった緋真ちゃんが梅が好きで、植えさせていたほどだから」

今頃、花盛りだろうと、思案する。

「でも、大丈夫かい?朽木隊長、許してくれるかな?」

「ああ、平気だぞ。去年、新人会を朽木家の桜の花を見ながらさせてもらった」

「へぇ。あの屋敷、桜もすごいのかい」

「ああ。桜の雨のようだ。旬の花をいつも何処かに植えていて、冬は椿が綺麗だったな」

「朽木隊長は優雅だからね」

「白哉は、梅も好きだが桜も好きなんだ。幼い頃は、よく肩車して桜の花をとってやったものだ」

「朽木隊長とは、そんなに古くからの知り合いなの」

「かれこれ200年にはなるかな?」

なんだかんだと話ている間に、海燕が重箱のお弁当をもってきた。

急いで酒を集めて、出発する。

「白哉、梅をみたいんだ。庭を貸してくれるか?」

「兄の頼みなら仕方あるまい・・・・・」

本当に、すんなりと庭をかしてくれるものなのだなと、京楽も海燕も思った。

朽木邸の梅は、今が一番の見どころだった。

紅梅も美しいが、白梅も美しかった。

「京楽は、紅梅と白梅、どっちが好きだ?」

「紅梅かな。君の髪に似合いそうだ」

すまないとは思いつつ、一輪だけつみとって、浮竹の髪に飾った。

「俺は白梅かな。隊長の髪みたいで綺麗だ」

「海燕は白梅か。俺は両方好きだな」

甘い果実酒の中にまざっていた、梅酒を取り出す。

「梅酒、けっこううまいんだよな」

「梅は、咲くだけのものもあるけど、実をとれるものもあるからね」

古来より、梅は存在した。

もともとは中国あたりからもたらされてきたものだ。

山本元柳斎重國あたりなら、梅がもたらされた歴史を詳しく知っているだろう。何せ、遣唐使などが派遣されていた時も、死神をしていたのだ。

「まぁ、一杯」

京楽が、梅酒を浮竹と海燕の杯に注ぐ。浮竹が、京楽の杯に注いだ。

その日は、昼過ぎまで梅を見ながら飲んだのだった。



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今日のパンツは緑

朝起きると、真っ暗だった。

もぞもぞと、音が聞こえる。

息が苦して、顔にかぶらされていたものをとると、京楽のパンツだった。

「京楽、お前はなに、眠っている人さまに自分のパンツ顔にかぶせてるんだ!」

京楽は、スタンばっていた。

浮竹が投げてよこしたパンツをキャッチして、はく。

「(*´Д`)ハァハァ浮竹の温もりと香があるパンツ。最高」

「お・ま・え・は!」

パンツ一丁だった。

朝から、全裸で浮竹が起きてぱんつを投げてよこすのを待っていたのだ。

かなり引いた。

「お前のパンツコレクションに火をつけてやる」

ライターを片手に、京楽コレクションとかかれている袋に火をつけようとして、部屋の中ではまずいかと思い、外にでようとする。

ずるずると、パンツ一枚の京楽ついてきた。

「ノンノン、僕から宝もののパンツを奪わないで。また盗むよ」

その言葉に、浮竹がパンツコレクションから手をどける。

最近、やっと京楽のパンツ盗みがなくなったのだ。再発してもらっては困る。

「く、それは脅しか!」

「純粋なる愛だよ!」

「純粋な愛があるやつは、想い人のパンツなんて盗まない」

「(゚Д゚;)!!!」

京楽は、ショックあまりムンクの叫びになっていた。

そのまま、ばたんとドアを閉めた。

「ああ、浮竹、部屋にいれてよ!」

今日は、休日だ。これで、安心して一人でもう一度眠れると眠ったが、叫び声でとび起きた。

「きゃあああああ!」

隣の部屋からだった。

「どうした!」

部屋に入ると、ベランダに京楽がいた。ベランダごしに、自室に戻ろうとしているのだ。しかもぱんつ一丁で。

「すまない、こいつは俺が回収していく」

そんな京楽をの首をこきっと回して気絶させて、ずるずると足を引きずって自室まで戻ってきた。

「本当に、この変態は・・・・・」

「痛い!全身が痛い!」

「起きたのか。とりあえず、服を着ろ」

「わかったよ」

着換えを待っていると、終えたと京楽がこっちにきた。

浮竹のパンツを頭に被り、浮竹のパンツをはき、手と足に浮竹のパンツを通した京楽がいた。

「・・・・・破道の4、白雷」

「あががががが」

ぷしゅーっと焦げた京楽から、パンツを回収してごみ箱に捨てていく。

「全く、これだから変態は・・・・・」

室内が焦げたが、まぁ京楽が勝手に手配して直してくれるだろう。

「たまには、暇つぶしに使うか・・・・」

京楽を簀巻きにして、目の前に浮竹のパンツを置いた。

「おい京楽目を覚ませ」

「ん・・・僕は・・・・はっ、また簀巻きに!くんくん・・・浮竹のパンツの匂いがする!」

浮竹は、自分のパンツに紐をつけていた。

「ほれほれ」

京楽の目の前で見せびらかすと、京楽は口でぱんつをとろうとする。

そんな京楽をからかいまくった。

「ほーれほれほれ、もう少しだがんばれ」

「あと5センチ届かない・・・ムキーーーー」

躍起になる京楽をからかいまくって、浮竹のほうが力尽きた。

「わーい、浮竹のパンツだぁ」

苦労して手に入れたパンツにすりすりして、股間の部分をちゅっちゅとキスをする。

「はぁ・・・・京楽のせいで疲れた」

その日一日のカロリーを全て使い果たした気がした。

夕食の時間にになり、仕方ないので京楽の簀巻きをとく。京楽は、院生の服をきて、でも浮竹のぱんつを懐にいれて食堂に移動した。

「Cランチ定食で」

「僕はAランチで」

変態京楽であるが、いつも一緒に行動しているせいで、もう変態行為にも慣れてきているのか、浮竹は京楽が自分のパンツの匂いをかいでから食事をする京楽を見ても、何も思わなかった。

ざわりと、変態だ!と連呼する声が聞こえる。

「え、誰が?」

京楽がきょろきょろ周囲を見回す。視線は、京楽に集まっていた。

「え、僕?」

片手には浮竹のパンツ。もう片手にはフォーク。

「自分でなんとかしろ。俺はもう食べ終わった。じゃあな」

「ああっ浮竹!今日のパンツの色は、緑だね!?」

浮竹は、去ろうとしていたが、京楽の首を締めあげた。

「なんで知っている」

「僕の匂いをかぎわけるセンサーが、今日の浮竹のパンツは緑色のやつっていってるんだ」

「お前は犬か!なんだその嗅覚!」

頭をはたかれて、でも京楽は嬉しそうだった。

「浮竹もかわいそうに。変態が当たり前すぎて、普通につっこんでる」

「一度、警邏隊に相談してみればいいのに・・・・・」

そうするだけ無駄だということを、彼らは知らない。

一度、元柳斎先生に、変態が酷くて困っていると相談を持ち掛けたら、愛し合う二人の問題だといわれて、それで終わってしまった。

他の教師に相談しても同じようなものだった。

自分の身は、自分で守るしかないのだ。

「はぁ・・・・ほら、食い終わったならいくぞ」

ナプキンのかわりに、パンツで口を拭う。

そうやって汚れた、日常生活用のパンツは、洗って綺麗にしてまた使うのだ。

京楽は、ナニをする用のパンツ、観賞保存用、実用と、3つにパンツを使い分けていた。

実用に中には、頭に被るパンツも含まれていて、一番パンツの枚数が多かった。

「変態が・・・・」

舌内して、浮竹は横になる。

(*´Д`)ハァハァと荒い息が耳元でして、浮竹はスタンガンをとりだしてぶつけた。

「あがががががが!」

ばちっと、こげた京楽が床に倒れる。

「護身用に買ったんだが・・・鬼道みたいに他に被害がでなくて使えるな、これ・・・」

ネットの防犯グッズで取り寄せたのだ。

他にも防犯ブザーとかも買った。

少しは、京楽の変態がましになりますようにと願いながら、眠りについた。

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お盆の日には幽霊浮竹が帰ってくる

お盆の日。

先祖の霊が、戻ってくるという。

親友の霊もいいから、戻ってきてくれないかと、牛と馬にみせたナスとキュウリに割り箸で足をつくった置物を置いた。

「戻ってくるとはいいなと思ったけど、ほんとに戻ってこられたら、いろいろと問題があったね・・・・」

後ろにとり憑いた浮竹の霊を、どうしようと思う。

「浮竹?」

「やあ、元気か?」

「僕は元気だけど・・・君は霊子になってしまったんじゃ?」

「ああそうだぞ。お盆だから、特別に形をなして現れたんだ」

「でも、君ともう一度話せて嬉しいよ」

「あの世っていうか、隊長が落ちる場所からお前のことをみていた。総隊長として、がんばってるな」

「ああ、うん。もっと褒めて」

瞳から、大粒の涙が滴った。

「お前を泣かせるために、戻ってきたんじゃないんだぞ」

「でもね・・・・死んだ君にまた、たとえ幽霊でも会えるなんて・・・・・」

浮竹は、透けた手でよしよしと京楽の頭を撫でた。京楽の背後に憑いていたが、移動したいと強く念じると、足のない透けた体が移動した。

「俺は、今でもこんなにもお前を愛してる。お前も、俺を愛してくれている。俺も、死んだのにもう一度お前と話せて嬉しい」

落ち着きを取り戻した京楽の隣に、幽霊浮竹はずっといた。

「お盆の間だけだから。いろいろ、ゆっくり話そう」

「そうだね」

お盆は、死神の仕事も休業になる。

「何はともあれ、朝餉でもいただくか」

「あ、食べる前に俺に供えてくれ」

「うん、そうだね」

「ありがとう」

「その、幽霊とかって味とかわかるの?」

「分からないけど、供えられるとなんとなく満腹感を抱く。悪霊にならないためにも、定期的に供養とか、お供えとか、いると思う」

「そうなんだ。いつも薔薇の花を供えて、お酒を墓石に注いでいたけど、どうだった?」

「ああ、よかったぞ。幽霊なのに酔ってた」

「幽霊って、酔うんだ・・・・」

「何せ、隊長の落ちる場所は色のない世界。じご・・・・と、なんでもない」

「浮竹?」

「甘味屋へ行きたい」

行ってもいいが、幽霊の浮竹は目立つだろう。そう思ったが。

「ああ、俺はお前以外に見えないから、大丈夫」

「そうなの」

京楽は、いつもよりテンションが高めで、七緒に熱でも出したんじゃんいかと言われたほどだった。

壬生の甘味屋へいく。

白玉餡蜜一人前と、おはぎを3個頼んだ。

「僕だと、これくらいしか食べれないけど」

まずが浮竹にお供えした。

「すまん、京楽!」

浮竹は、すぽっと京楽の体の中に入った。

「ええ!?」

京楽の意識があるのに、体が勝手に動く。

もぐもぐと、美味しそうに食べる。浮竹が。体を共有することで、味もわかった。

浮竹は、満足して京楽の体から出て行った。

「そうか。他人にはとり憑けるんだ・・・・・」

「ちょ、僕以外にはとり憑かないでよ」

「ああ、それは大丈夫。お前以外にとり憑いても、お前が困るだけだろう?」

「うん」

ずっと、虚空と話しをしていたので周りの客から奇異の目で見られていて、それに気づいた京楽が、勘定を払って外に出た。

「僕だけに見えるってほんとなんだね」

「嘘をついてどうする」

「何はともあれ、お盆の間は話ができる、そう思っていいんだね?」

「ああ」

何気ない幸福なお盆の日は、あっという間に過ぎて行った。

「もう、盆も終わりだな。そろそろ戻らないと」

「戻らなかったら、どうなるの?」

「虚に落ちる。駆逐されたあとは霊子の渦に還って、新しい命となる」

「そうか。このまま傍にいてほしいけど、虚になられるわけにもいかないしね」

「心配するな。また、来年の盆も帰ってくるから」

唇を重ねると、少しだけ触れた感覚があった。

「お前の霊圧をずっと浴び続けていたせいか、少しだけ実体化できるようだ」

「じゃあ、実体化してほしいな」

「いいぞ」

目の前に、生前となんらからわぬ浮竹がいた。

京楽は、浮竹に抱き着いた。

「愛してるよ、十四郎。君がいないこの世界は寂しい」

「俺も愛してる、春水。でも、俺がいなくてもやっていけたじゃないか。また来年もくるから、それまで頑張れるか?」

「うん・・・・・僕、頑張るよ」

触れるだけの唇を重ねた。

すーっと、浮竹の体が溶けていく。

「待って!」

「ごめん、時間切れだ。戻る。愛してるぞ、京楽」

浮竹は、笑顔で消え行った。

「ばいばい、浮竹・・・・また、来年」

一度失った恋人を、また失ったかのようなショックだったが、また来年も会いに来てくれるという。

それまで、またがんばろう。そう思う京楽であった。

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焦り

「卍解、大紅蓮氷輪丸!」

天井の高い洞窟の中で、一人黙々と卍解の修行に励む日番谷を見て、浮竹は思う。

若いな、と。

藍染に、結果的に護廷13隊は勝てなかった。

勝ったのは、一護。その一護ですら、不死の体になった藍染を殺すことはできず、浦原がしかけた封印を基本に、藍染は五感の全てを封じられて、2万年の投獄がきまった。

無闇という、光も音さえもない場所に今は封印されている。

雛森を守り切れなかったことが、よほど堪えたのだろう。日番谷はいつも真っすぐで、ひたむきなまでに純粋に強さを求めている。

それは、浮竹がなくしてしまった心でもあった。

強さはもっている。それをなくなさいように、落とさないように鍛錬はする。でも、もう高みに登ろうとしても、剣の腕はそれ以上あがらず、鬼道の腕も変わらずだった。

いつの頃からだろうか。

「強く」あろうとすることを諦めたのは。精神的には諦めてはいないと思う。鍛錬し、より高みに登ろうとしても、年とそして病弱さと肺の病が、それを許してくれなかった。

強くなろうとして、自分を追い込めば追い込むだけ、病に蝕まれる。

若かりし頃は、それでも鍛錬しまくり、病を克服したかに見えた。けれど、不治の病はじわじわと浮竹を侵食していく。

「俺ももう一度、ああなりたいな・・・・・・」

帰り道を歩いていると、ふわりを抱き寄せられた。

柑橘系の香水の匂いで、ああ京楽かと、振り向く。

思った通り、京楽がいた。

「何、一人で黄昏ちゃって」

「ああ、日番谷隊長の自己鍛錬を見てたんだ。卍解してた」

「日番谷隊長は、藍染にこっぴどくやられたからね。桃ちゃんも、日番谷隊長が刺しちゃったし」

未だに、意識の戻らぬ重篤な雛森を思う。

「日番谷隊長は、強くなるね。あの子はまだ子供だ。大人になったら、どれだけの腕になるか、今考えるだけでぞっとするよ」

「お前も強いしな」

「どうしたの。褒めても、何もでないよ」

クスリと、笑みを零す京楽。

「いや。俺も強くありたいものだと思って」

「浮竹は十分強いよ」

「でも、藍染たちと十刀(エスパーダ)の戦いでは、お前はスタークをやっつけたのに、俺はただ子供にやられただけだった」

「ワンダーワイス。あの子は特別仕様だったんだよ。対総隊長用だ。気に病むことはないよ」

「それでも・・・・」

それでも、もう少し力になりたかった。

「なぁ、京楽」

「なんだい」

「久しぶりに、切り合いをしないかい」

「おいおい、本気かい?」

「さすがに斬魄刀を使うわけにはいかないから、木刀にはなるが」

「まぁ、構わないけど・・・・・」

それから1時間ほどして、浮竹と京楽は、木刀を手に草原に佇んでいた。

「破道の4、白雷」

「甘い!」

雷を避けて、踏み込んできた京楽に、蹴りを入れる。

「ちぃっ!」

浮竹が子供の頃に自分の身を守るために覚えさせた蹴術は、すでに自己防衛の域を出て、敵を倒すために在るようになっていた。

キンキンカン。

木刀で何度も切り結びあう。

これが斬魄刀だったら、お互い体中にいたるところから出血していただろう。

「滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧きあがり・否定し・痺れ・瞬き 眠りを妨げる 爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ!破道の90・黒棺!」

浮竹は、切り結びあいながら詠唱を完了させた。

巨大な重力を帯びた、黒い箱が天から降ってくる。

それをまともに受けて、京楽が地面に膝を立てる。

「ぐあああああ・・・・ぬおおおお!」

腕力と脚力で立ち上がり、90番台の破道をかき消した。

でも、その時には浮竹の竹刀が、京楽の首につきつけられていた。

「降参。僕の負けだよ」

「本気じゃなかったろう?」

「そんなことないよ。本気で戦ってた」

「でも、殺そうとまでは戦っていなかった。俺は殺そうという勢いで戦った」

「浮竹・・・・何をそんなに焦っているんだい?」

「俺は別に・・・・・」

すとんと、その言葉が胸に落ちた。

何もできなかったことを後悔して、焦っているのだ。

「はははは・・・・・京楽のお陰で、すっきりした」

「なにがなにやら・・・」

浮竹は、京楽の腰を抱いて瞬歩で雨乾堂まできた。

そして中に入ると、京楽を押し倒した。

「ちょ、ちょっと浮竹・・・・・」

浮竹は、ぺろりと自分の唇を舐めた。

「情欲してるの・・・・?」

「そうだと言ったら?」

「ああ、わけがわからないけど、君が情欲するのは普段ないから」

キスを浅く深くしながら、互いに着ている隊長羽織と死覇装を脱がせていく。

「あっ」

首筋にぴりっとキスマークが残された。

「見える場所に痕をつけるな」

「いいじゃない。どうせ、みんな知ってるんだし」

「それでもだ・・・・んんっ」

ぺろりと、胸から臍にかけて舐められる。胸の先端をはじかれて、ぴりっとした電流が流れた。

「あ!」

「相変わらず感度はいいね」

「うるさっ・・・・ああ!」

潤滑油に濡れた指を体内に侵入させられて、浮竹の息もあがっていく。

「あ、あ、あ・・・・・・ひうっ」

こりこりと、前立腺のある場所をひっかかれた。

とろとろと先走りを出していた浮竹の花茎に手をそえてしごくと、けっこうな量の白濁した液がでた。

「最近してなかったから・・・溜まってたんだね」

「はあっ・・・それは、お前もだろう」

指をひきぬかれて、熱い雄があてがわれ、一気に貫かれた。

「んああああ!」

ぎちりと締め付ける中を堪能するのは久しぶりで、藍染との戦いが終わってから、期間にすると1か月以上交わっていなかった。

前立腺をすりあげながら、奥をつきあげていく。

「はうっ」

中を抉り、角度を変えて貪ると、中が締め付けられた。

「んっ・・・・・・僕もいくよ」

「あ、一緒に・・・・好きだ、春水」

「僕も大好きだよ、十四郎」

愛を囁いて、浮竹の腹の奥に、子種を出した。

かなりの量をそそがれて、ひきぬくととろりと白い液体がでてきた。

「お前も、かなり我慢してたんだな」

「本当は、もっと求めあいたいけど、生憎仕事が残ってるしね」

「ああ、俺もだ」

二人で湯あみをして、湯の中で互いにぬきあって、その日は終わった。



「そうか・・・俺は焦っていたのか。皆に後れをとるまいと」

まだまだ、現役の隊長である。

その力は確かなものだ。

「京楽のお陰でスッキリした」

京楽が、仕事を終えてもってきたおはぎを口にしながら、そう一人ごちた。

京楽は、昼に抱いた浮竹の体調が悪くなっていないかを確認した後、おはぎをおいて、お茶だけ飲んで帰ってしまった。

「今度、礼を言いに行くか」

わかめ大使でももって。

窓から空をみあげると、三日月が笑っていた。











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残った傷跡

その日の授業は、鬼道の詠唱の暗記テストだった。
100まである鬼道の全てを一字一句間違えないように暗記した後、100ある縛道を同じように一字一句間違えないように記憶し、数日かけて暗記を繰り返した後で、テストを行われる。

浮竹や京楽クラスになると、詠唱を破棄してもそこそこの威力を出すが、鬼道の正確な暗唱を蔑ろにしてはいけない。

90番台になれば、果てしなく長い詠唱が待っている。それを200個、短期間で覚ようとするには無理があるが、その日を境に少しずつ覚えていくのだ。

浮竹は、特進クラスで出されたそのテストを100点満点で通過した。
テストの点が悪かった場合、補習もあるのだ。

京楽はというと、85点。

鬼道は使えるが得意というわけでもなく、詠唱のほとんどを破棄して覚えていたための点数だった。

次は、実技テスト。

これは浮竹でなく京楽も高い点数を出した。

詠唱破棄で、的を粉々にする。

教師たちがこそこそと話しをする。

「末恐ろしい生徒たちだ」

後に、学院からはじめての隊長格となる、京楽と浮竹の若かりし日があった。


「なーんかさー。最近つまんないね」

「何がだ?」

「なんか、周りと差ができちゃってさ。昔はわいわいしてたけど、今は指をさされて「ああなりたい」とか言われる始末じゃないか」

「友人は、けれどいるだろう?」

「いるけど、すでに護廷13隊の席官クラス入りって決まってるから、どこかよそよそしいんだよね」

今は、5回生だった。

ごろりと、校庭の芝生の上で寝転がっていた。

今は授業は自習で、まだ遅れている生徒たちは、死神に、護廷13隊に入りたいと死にもの狂いで鍛錬している。

それを、こうやってのどかに青空なんて見上げている二人を妬む者もいるのも事実だ。

「下級貴族のくせに・・・・・」

上流貴族の、ある男が、浮竹と喧嘩をした。

下級貴族のくせに、護廷13隊入りの席官クラス入りなんて間違っていると言い出したのだ。同じ上流貴族の京楽が止めに入ったが、京楽にも刃の先を向けた。

「背後から根回しして、きっと金の力だ!」

そう言い出す男に、京楽は。

「そういう君こそ、金の力でどうこうしようとしてできなかったんじゃないの」

そう図星を言い当てて、怒らせまくった。怒りの果てに、浮竹に鬼道をあてて、浮竹は1週間の怪我を負った。

無論、将来の有望な優秀な生徒に怪我を負わせたことで、1か月の停学を食らっていた。



「ねぇ、君、もう一回見せて?」

草っぱらに寝転びながら、京楽が半身を起こして、隣で同じように寝転がっていた浮竹を見る。

「え?昨日も見せただろう?」

傷跡のことだ。

うなじの普段は見えないあたりに、傷跡が残った。火傷の、ひきつれた後の皮膚に、やっぱりと、京楽は思う。

「4番隊の子に知り合いがいるんだ。傷跡も消してくれるらしいし、行かない?」

「俺は別に・・・・・うなじだし、別段見えるわけでもないし」

「髪の毛くくったら、見えちゃうでしょ!いいから一緒にくるの!」

その日は、自習になった授業以外は、遅れている生徒の指導の授業が入っているため、優等生である浮竹と京楽は自由だった。

さわさわと、緑が風で揺れた。

長くなった白髪が揺れて、白いはずのうなじに残ったひきつれた傷跡が目立った。

「行こう」

半ば無理やり、浮竹を伴って4番隊の隊舎までやってきた。

「4席の子呼んでくれるかな。京楽春水って名前だすと分かるだろうから」

「え、あ、はい・・・・・・」

出てきたのは隊長だった。

「隊長の卯ノ花烈です。今4席は生憎と、故郷に戻っているので、代わりに私が要件を聞きましょう」

まだうら若い女性なのに、もう隊長とは。

緊張しながらも、浮竹の傷跡を治してくれと頼むと、卯ノ花は手を浮竹のうなじにあてた。

ぽうっと、白い光が出て、浮竹のうなじの傷跡は綺麗に消えてしまった。

「学院の子たちですね?」

「あ、はい」

「はい」

「いつか時が廻れば、同じ隊長として護廷13隊に在るかもしれませんね」

ふふっと微笑んで、卯ノ花は去って行った。

「なんか・・・・不思議な人だったね」

「俺は母性を感じた」

「お母さんって呼びたくなったよ」

「それは失礼だろう。年はそんなに大きく変わっていないだろうし」

学院に戻ると、綺麗に消えた浮竹の傷に京楽は満足して、寮の自室にもどった。お互い4回生までは同じ部屋だったのだが、5回生から一人部屋に移動していた。

「今夜、泊まってもいいかい?」

「ああ、いいぞ」

酒盛りをした。

浮竹が酔い始めたことで、酒盛りは終わる。

そっと、ベッドに寝かせられた。

大切なものを扱うように、壊れものを扱うように、触れてくる。

「京楽、俺は硝子細工じゃない。もっと乱暴にしても構わない」

「浮竹・・・・」

口づけが、浅く深くまじりあう。互いの服を脱がしあった。院生の服が、ぱさりとベッドの下に落ちる。

「ん・・・・・・」

浮竹は、キスが好きだった。

「もっと・・・」

急かされるままに、口づけを繰り返す。

背骨のラインをたどる手が、鎖骨に移動して、そこにキスマークを残された。

「あっ」

胸の先端を口に含まれて、舌で転がされ、反対側は指でつままれた。

「んっ」

浮竹の花茎に手をかける。

「ああ!」

口腔にいれられて、指とは比較にならない快感が襲ってくる。

「や、きょうら・・・く・・・ああっ」

刺激に弱い浮竹は、あっという間に射精してしまった。

潤滑油で濡れた指がはいってくる。こりこりと前立腺を刺激しては狭い蕾を解していった。

「んう」

暑い灼熱があてがわれる。

ズズっと、入ってくる音が分かった。京楽は、一気に貫くか、ゆっくり挿入してくるかのどっちかしかない。今回はゆっくりのほうだった。
先端が入ると、後はスムーズに入った。

「あ、あ、あ・・・・・・・・・」

奥まで入れられて、揺さぶられた。

「んっ」

前立腺をこすりあげて、奥まで入ってくる。

「京楽・・・キスを・・・・」

行為の最中も何度もキスを繰り返した。

「ああ!」

狭い入口に指までいれられた。

「ひう、むりっ!」

ゆっくりと、体内に埋め込まれる。

「ああああ」

ぎちぎちと、限界にまで広げられら蕾から指をひきぬくと、少し余裕ができた。

そこを狙って、何度も穿たれた。

「んあああ!!」

「浮竹・・・一緒に、いこう」

ぐちゅぐちゅと内部を侵す雄は、硬くて力強くて。

「んーー!」

キスをしながら、浮竹は自分の腹にむかって精を吐き出していた。

「んんっ」

京楽の果てた熱が、内部に広がる。

「ん・・・・・・はあっ」

「愛してるよ、十四郎」

「俺もだ・・・・春水」

舌を絡ませあいながら、また求めあった。

若いので、京楽の欲望もすぐに硬くなった。

二度目の精を放つころには、浮竹は体液にまみれてドロドロになっていた。

いきすぎたせいで、目がトロンとなっている。ドライのオーガズムでも何度かいっている。

「湯あみにいこう」

「んっ」

だきあげられて、バスタオルを片手に、備えつけの浴槽に湯をはって、浮竹を洗い清めた。

「キスを・・・・・・」

「浮竹は、キスが好きだね・・・・・・」

何度もせがむたびにキスをした。

浮竹の放ったものをかきだして、体も髪も洗って、風呂からあがった。

「ちゃんと、かわかさなきゃね」

肩より少し長い浮竹の髪の水分をバスタオルですいとる。

「やっぱり、傷跡なくなって正解だね。あんな傷跡、君には似合わない。うなじは白くて綺麗なままの今がやっぱりいい」

ふと、4番隊の隊長を思い出す。

卯ノ花烈。


その後、学院を卒業し、8番隊と13番隊の3席になった二人は、卯ノ花烈とまた会うことになる。さらにその50年後には、京楽も浮竹も、8番隊と13番隊の隊長にまで登りつめた。

卯ノ花烈は、ずっと死神だった。

若く見えたが、もう浮竹や京楽が隊長になる数百年も前から、隊長を務めているという。

「あの頃の坊やたちが、今はこうして肩を並べて一緒に隊長をしているは、何かの縁(えにし)でしょうか」

「卯ノ花隊長、坊やはやめてくれないかい。未だに山じいにまで子供扱いされるし」

「卯ノ花隊長は、花があっていいな」

「ふふふ、お世辞として受け取っておきますね」

浮竹は病弱でよく肺の発作を起こすため、卯ノ花とは個人的に交流があった。

京楽も、そんな浮竹を抱き抱えてよくやってくるでの、卯ノ花のことを信頼していた。


死剣・卯ノ花烈。その正体が明かされるのは、遥かなる未来。







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熱しやすい一護と冷めた白哉

結婚式が終わって、2か月が経った。

相変わらず白哉とは、嫌がらせをしたりされたりだ。

まぁ、平穏な日常だろう。

一護は、今日の朝は寝坊してしまって、一人だけ朝食が遅くなった。ドッグフードがでてきたが、無言でそれを白哉の部屋にばらまいて、厨房にいって自分の食べるはずだったメニューをかっさらっていく。

「困ります、一護様。白哉様から、ドッグフードを食べさせろと申し上げられているのです」

「白哉にウンコたれと言っておいてくれ」

「そんな殺生な」

まぁ、一護の嫌がらせに失敗した家人を怒るほど、度量の狭い白哉ではないので、普通の朝飯を食堂でとった。

「9時半か~ルキアのやつ、起こしてくれればいいのに」

見事に、目覚まし時計も止められていた。

死覇装をきて、左肩に副隊長の証をつけて、瞬歩で13番隊の執務室までいった。浮竹隊長の代では、雨乾堂があり、そこで療養所と執務室と隊首室を兼ねた庵があったのだが、今は取り壊されて、その後に浮竹の墓石があった。

大戦のせいで、命を落としたのだ。敵にやられたわけではない。神掛をおこない、病をとめていたミミハギ様を解放し、ほぼ自死に近い。

13番隊の隊首室と執務室は作られたばかりで、木のいい香りがした。

「わりぃ、寝坊した」

ルキアはすでに仕事を4分の1は片づけていた。

「いつまで寝ているのだたわけが。自分で起きる癖ぐらいつけろ」

「いやぁ、現世のくせがなかなかぬけなくてな。大学はいつも9時半から授業だったから。真央霊術院もそうだったし」

「たわけ、そこに座れ。今日のお前の仕事は事務作業と、13番隊隊舎の裏の雑草むしりだ」

「事務作業は分かるけど、雑草むしりってなんだよ。平隊員にやらせればいいだろうが!」

一護が叫ぶが、ルキアは冷静だった。

「無論やらせる。席官も、私も、全員で草むしりだ」

「どんだけ土地広いんだよ」

「此度はユーハバッハによる戦火で、食料事情も乏しかったからな。13番隊の裏の土を耕して畑をつくるのだ。13番隊の他にも、自給自足を推進している隊はある」

「自給自足ねぇ。朽木には無縁な言葉だな・・・・・・」

「何を言う!我が家で出る卵は、かっている鶏のものなのだぞ。そのえさも、サラダに出てくる野菜も、朽木家が自家栽培しておるのだ!・・・といっても、規模がでかすぎて、自給自足というか、市場マーケットを独占しておるが・・・・・・」

白哉は、金を腐らせているわけではない。いろいろと投資して、利益を得ているのだ。

「白哉のやつ、そういう場所に視察しにいったりはするのか?」

「ああ、年に2回ほどな」

「そうか」

思ったより、真面目らしい。4大貴族であるが、驕り高ぶらず、けれど気品のよさは保ったまま・・・・そんな白哉だからこそ、ルキアも好きなのだろう。

そうだ。帰ったら、白哉の頭に生卵をぶつけてやろう。そうほくそ笑んでいると、ルキアがじとーっとした目線で見てくる。

「な、なんだよ」

「貴様今、兄様に何かしようと企んだのであるまいな?」

「んなわけあるかよ。旦那を信じろよ」

「しかし、人の悪そうな笑みを浮かべていたぞ。何かいたずらを思いついた子供のような」

「気のせいだ」

「そうか?」

執務室で、二人で仕事をしてていた。書類を手分けして、整理していく。

お昼休みになった。

13番隊の食事ではなく、ルキアと一護には朽木家からきた料理人が料理し、メニューを出してくる。ルキアのは寿司のフルコースだった。一護のは、白ご飯を平らにもった上に、梅干し一つの、いわゆる日の丸弁当だった。

「おい。調理した料理人のところに案内しろ」

「ひいっ」

メニューをもってきた給仕係も連れて、料理人のところにくると、白哉の命令は聞かずに俺の飯をちゃんと普通のものにしろと命令した。しかし、当主は白哉なので、逆らえないようだった。

仕方ないので、ありあまっていた材料で適当にご飯を作ってもらった。

ありあわせのものであったが、猫まんまやドッグフードや日の丸弁当よりはましなものを食べた。

昼飯を終わり、自由時間になって、一護はルキアを抱き寄せた。

「なぁ、ルキア」

「なんだ、くすぐったいぞ」

「子供ほしくねーか?」

「ききき貴様、なななな何を!?」

「いや、俺たち普通に体重ねてるじゃんか。子供、二人くらいできればいいなーと思って」

「そればかりは、神頼みだな・・・・だが名はすでに決めておるのだ。女なら苺花、男なら一勇だ」

「両方うまれるといいな」

キスをした。ただ、職場ではハグやキスはできても、それ以上はできないので我慢する。

「今日の夜、いいか?」

ルキアの細い腰を抱き締めながら、耳を噛むと、ルキアは真っ赤になりながら小さな声で

「好きにしろ」

と答えた。

お昼の後は、13番隊の死神総出で、空き地だった場所の草むしりをした。

久しぶりの土いじりに、一護も夢中になった。

「お、バッタ発見。ほれほれ、ルキア」

「ひいい、虫は、虫はやめろ!」

「隊長は虫がお嫌いなのか」

そんな声が、隊中に広がる。

「みみずなんてどうだ?」

「ひいい、にょろにょろしてきもち悪い!」

けっこう、ルキアって普通の女の子の反応で、それがかえって新鮮だった。

6時になり、死神の業務は通常のものは終わりとなった。ルキアと二人、並んで朽木家の岐路につく。途中で、市場で卵をかった。できるだけ古そうなものを。

「卵など、どうするのだ?」

「なんでもねーよ」

適当に誤魔化して、朽木家について、白哉の霊圧を探す。まだ帰宅していないようだった。

なんとか最近習得した、霊圧を0にする方法を試す。

「一護?霊圧なぞ消して、何をしておるのだ」

「ああルキアはいいから、先に湯あみでもしておいてくれ」

「ふむ、分かった」


白哉の霊圧が近づいてきた。

間近まできて、とりゃっと卵を投げてやった。

それを白哉はさけて、後ろにいた恋次を前に押しやって、その顔に炸裂した。

「なんだこの卵・・・うわっ、腐ってるじゃねーか!」

かまうものかと、卵をぽいぽいと、白哉に向かってなげるが、全部回避されて、その全部が恋次に命中した。

「ふ、この程度。浅はかだな、一護よ」

「ムキーーー!」

「それはこちらの台詞だバカ野郎!腐った卵まみれになっちまったじゃねーか!どうしてくれるんだ!」

「あー、俺の死覇装かしてやるから、湯あみでもしてこい」

「朽木隊長に用があるっていわれてついてきてみれば、ただの盾代わりかよ!」

この人はと、ぶつぶつ言い出す恋次。

「湯あみしてこい」

恋次をおいたてる。

「そういや、何か忘れているような・・・・?」



湯殿で、恋次とルキアはかちあった。

「ぬおおおおおおルキア!?」

「ぎゃああああああ、何故恋次が朽木家の湯殿に!」

桶でぼこぼこにされて、恋次は湯に沈んだ。

裸体をみられぬようにと、バスタオルで隠しながらあがって、一護に詰め寄る。

「入浴中なのに、恋次が入ってきたのだぞ!どういうことだ!」

ぷんぷん怒るルキアは可愛かった。

「いや、なんつーか手違いがあってな」

「他の湯殿もあるではないか!」

朽木の本宅には、3か所湯殿があった。だが、いま湯がちょうどいい具合にわいている場所は、ルキアと恋次が入った湯殿くらいであった。

「悪かった俺の手違いだ」

「貴様は、妻の裸を自分の友人に見られても平気なのか!」

「平気なわけねーだろ!」

ルキアを抱き締める。ルキアは小声で「おおうつけ者」といって、静かになった。

結局その日の晩は、なせか恋次も食堂にいて、普通のメニューの夕食を食べた。

「じゃあ、俺は帰るからな。腐った卵まみれになった俺の死覇装、ちゃんを洗って返せよ!」

洗濯を、専門の侍女にしてもらう。

白哉は、飼っている猫の琥珀を膝の上に抱きかかえながら、一言。

「阿呆が」

一護は、立ち上がった。

「バーカバーカバーカバーカ!馬の脚で蹴られて死んじまえ!このおたんこなす!」

「ふ・・・・・」

「ムキーーーーー!いつかぎゃふんをいわせてやるー!」

「ぎゃふん」

抑揚のない声で、白哉がいう。

「ムキーーーーーー!!!!あったまくるーーーーーーー!!」

その日は、頭に血が上りすぎて、結局ルキアとは一緒に眠るだけだった。




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あなたの写真でナニをする

「でゅふふふふふ」

京楽は、笑んでいた。

べランダに身を潜めていた。

風呂上がり姿の、浮竹の半裸の姿ばっちりカメラで撮った。

何枚も写真を撮った。これをおかずに、ナニをするのだ。

ネガを奪われないように、ベランダの隅にこっそりおいて、部屋に戻る。

「うわあああ、京楽いたのか!」

パンツ一丁の浮竹は、京楽を蹴って、毛布を被った。

「くそ、いないと油断してしまった」

毛布の下で、こそこそと衣服を身に着ける。ちょっと難しかったが、京楽と共同生活をしているうちに身につけて、もう慣れてしまった。

院生の服に着替えると、浮竹は毛布をベッドの上に置いた。

京楽がもっていたカメラを没収し、中のネガをとりだしてだめにした。

でも、浮竹は知らない。そのネガはフェイクで、本物がベランダの床の奥にあるなんて。

「でゅふふふふふ」

「きもいから、その笑いをやめろ」

「マイスウィートハニー!」

ばきっ。

京楽の腕に飛び込むようにみせかけて、顎を殴った。

「おおう、愛が痛い・・・・・そんなに照れなくていいんだよ、浮竹」

「これが照れているように見えるか」

「見える」

「お前の目は腐っているな」

「でゅふふふふふ」

「ああ、もういい。夕飯を食べに行くぞ」

「(^O^)/はーい」

その日の夕食は、ホルモン焼きだった。全体的に内臓系の肉系は苦手な浮竹は、げっそりした。

無理に食べたくないので、デザートの梨のタルトだけを食べていた。

「僕の分も食べなよ」

結局、京楽にほぼ全部をおしつけて、梨のタルトと飲み物だけで我慢した。

幼い頃は、もっと飢えていたので、これくらい平気だった。

京楽は、浮竹が内臓系の肉が嫌いなのだと初めて知った。

途中、売店でサンドイッチを購入する。

「これ、食べなさい」

「いいのか?」

「うん」

こういう優しい紳士なところがあるから、変態でも京楽の傍にいたくなるのだ。

寮の自室に戻り、サンドイッチを口にする。あの売店のご飯はまずいと有名なので、そのサンドイッチもまずかったが、空腹を抱えているよりはましだった。

「今度から、ホルモン焼きとかの飲み屋にいくのはやめよう」

時折、飲みに行く店で、ホルモン焼きの店も選んでいた。浮竹はそんな時、酒ばかり飲むので、ホルモンが嫌いだとは思わなかった。

「すまない」

「いいんだよ。それより、初めに素直に言ってくれればいいのに。ホルモンが苦手だって」

「だって、こんな年で好き嫌いがあるのはみっともないだろう」

「そんなことないよ。嫌いな食べ物なんて、誰にでもあるよ。なんでも食べれるって人もいるけど、その人にだって苦手な食べ物くらいあるだろうし」

桃の天然水を飲み干して、浮竹はとってあった苺のキャンディを口にいれた。

こいこいと、指で京楽を呼ぶ。

抱き着いてくる京楽にキスをして、口の中の苺のキャンディをあげた。

「これはおいしいね」

「故郷で、売ってる飴だ。人気があって、なかなか入手しづらいから、実家に帰った時くらいしか買えないが」

この前、京楽が浮竹の親に息子さんを下さいとか言い出した時に、買っておいた飴だった。

4袋くらいかったのだが、もう残り1袋のうちの半分になっていた。

時折口にするのだが、美味しさについついもう1つと指が伸びてしまう。

その日の夜は、静かだった。

いつもなら寝る間際まで京楽がうるさいのだが、何かこそこそしているなと思ったら、ベッドの中で自虐しているらしかった。

こいつ・・・・と思いながらも、まぁ個人の自由なので許した。

しかし、その自虐するおかずが、浮竹の今日の湯上りの写真であるのを確認して、バキボキと指の関節を鳴らす。

「(*´Д`)ハァハァ」

「おい、京楽」

「うわあ!」

ぽろりと、息子さんを見せられた。

いそいそとそれをなおして、京楽は一緒におかずにしていた浮竹の、この前なくしたお気に入りのパンツを(*´Д`)ハァハァと口に含んでいたのを外して、こう言う。

「一緒に、えっちしたいの?」

「お前は今日はベランダで寝ろ!」

「ああ、殺生な!」

ベランダに追い出して、窓を閉めて鍵をかけた。

しばらくの間、どんどんと窓を叩いていたが、無理だとわかって素直にベランダで横になって眠りだす。こんなこともあろうかと、べランダにはいつも毛布が干されてあるのだ。

それを被っていた。

「はぁ・・・・少しはいいやつと思った俺がバカだった」

浮竹の溜息は、夜に紛れていった。



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アニメ5話補完話

「この霊圧・・・・元柳斎先生の・・・・・」

目の前の強敵を睨みつけて、浮竹は敬愛する山本総隊長を思う。

「今頃、京楽は無事だろうか」

多分、自分と同じように、強敵に悩まされている頃だろう。


一方の京楽は。

「山じいが本気で怒ったね」

右目と右耳からの出血が止まらない。

なんとか形だけ回道を唱えて止血を試みるが、芳しくない。

「浮竹は大丈夫だろうか」

自分のように、取り返しのない傷を負っていなければいいが。右目はもうだめだ。多分、移植手術でもしない限り、光を戻しそうにない。

そんな時間は、ありはしないのだ。

「隊長!」
恋次が、血まみれの白哉をみて、途中から言葉を失う。
卍解を奪われて、億の桜の花びらの刃を受けたのだ。無事で済むはずがない。
「くそっ、一護!」



せめて、黒崎一護が来るまでは。

早く来てくれ、一護君。

早く来てくれないか、一護君。


3人の想いは交差する。

山本元柳斎重國とユーハバッハの戦いが、幕を開ける。


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その変態の名は

その変態に名があるとしたら、京楽春水。

上流貴族京楽家の次男坊。死神の通う学院の3回生。

成績優秀、眉目淡麗、鬼道の腕も剣の腕もある。

将来は護廷13隊席官入り間違いなしといわれている人材であるが、現在のところ同じ護廷13隊席官入り間違いなしと言われている浮竹に付きまとう、ただの変態であった。

朝起きると、京楽は浮竹のパンツを被っていた。それを没収すると、こう言い出した。

「浮竹~~~これつけてよ~」

猫耳をちらつかせてくる京楽。

「大丈夫、ちゃんと写真に収めるから・・・おぶっ」

頬をはたかれて、それでも京楽は迫る。

「ねぇねぇつけてよ。つけてくれるだけでいいから。つけてくれないと、寝込み襲うよ」

マジな顔で脅されて、浮竹は大きなため息をついた。

「一度だけだからな!」

京楽の目の前で、浮竹は猫耳のカチューシゃを装着した。

「ああ、いいね、いいね!こっちむいて!」

パシャパシャと、写真を撮っていく京楽。

「にゃあって、言ってくれたら僕、いっちゃうから」

「にゃあ」

「ああああああああ!きたーーーーーーーーー!」

声まで、録音してあった。

「今日から、このにゃあって声、目覚ましにセットして起きる。ああ、僕もいっちゃいそう・・・浮竹、キスミープリーズ」

そんな京楽を蹴り飛ばして、浴室に向かわせる。

京楽は、息子さんがたっていた。

こんな猫耳、もういらないとばかりに、床にたたきつけた。

猫耳をつけたままなんて、浮竹まで変態の仲間入りだ。

浴室では、京楽が一人(*´Д`)ハァハァと荒い息をつきながら。息子さんをいじっていた。

「今日の浮竹は素直だ・・・・チャンスあるかも!」

浴室から出てきた京楽は、もう猫耳姿でない浮竹に、涙を流す。

「どうして外してしまったんだい。似合っていたのに」

「こんなもの、似合ってたまるか!」

猫耳を投げてよこして、浮竹はこういった。

「お前もつけろ」

「ええ、無理だよ。僕には似合わないよ」

「いいから、つけろ」

斬魄刀をもちだして、脅すと、京楽はこくりと頷いた。

浮竹のつけていた猫耳をつける。

「ははははははは、似合ってるぞ。すごくきもい」

その姿を写真に収めた。

「俺が身に着けていたんだ・・・・肌身離さず、身に着けていたいだろ?」

「そういえばそうだね。ああ、そう思うだけでたっちゃいそう」

「それから、語尾にはにゃあをつけること。これを守ったら、1日添い寝してやる」

「え、まじかい・・・・・にゃあ」

「さぁ、食堂にいくぞ」

「え、この格好でにゃあ?」

「お前ならいける!すごく似合っているぞ、京楽にゃあ子!」

「うーん。まぁ、浮竹がそういうにゃら」

ざわざわ。

京楽の姿はとにかく目立った。

ただでさえ一番がたいがいいのだ。浮竹の身長もそこそこあるが、それより頭一つ分ほど背が高い。190センチをこしている。おまけにもじゃもじゃだ。

そんな京楽が猫耳をつけていて・・・・。

はっきいって、似合ってなかった。かなりシュールだった。

「おい、浮竹。京楽のやつ猫耳なんてつけて、どうしたんだ?」

「猫耳だけじゃないぞ。おい京楽」

「にゃんだい」

「うわー。きつい。俺の精神に500のダメージだ」

「うわぁ、京楽・・・・お前、浮竹に弄ばれてないか?」

「そんなことにゃい」

「うわぁ、やっぱり弄ばれてる」

いつもは、変態京楽をみんな遠目で見ているのに、なぜか今日の変態京楽は人気だった。

「にゃあにゃあ」

「猫まんまでもくうか?」

嫌がらせのつもりで、食堂のおばちゃんに頼んで味噌汁ぶっかけた猫まんまを作ってもらったのだが、京楽は嬉しそうにそれを平らげた。

「おいしいにゃあ」

「そうか。よかったな・・・・・・はっ。今、俺は京楽を見てかわいいと思ってしまった!?」

浮竹はショックを受けた。

猫耳をつけて語尾がにゃあとなる京楽をかわいいと感じるなんて。

「いかんいかん、正気に戻れ浮竹十四郎」

浮竹は、食事を終えると、京楽を連れて部屋に戻った。

「ご主人にゃあ。今日は一緒にねてくれるにゃあ?」

「誰が!」

「今日一日、これつけてにゃあとつけてたら、添い寝してくれるといったにゃあ」

「く、覚えてやがったのか」

「約束守らないと、今日浮竹がはいているパンツがすごいことになるにゃあ?」

「何をするつもりだ・・・・・」

「内緒にゃあ」

結局、その日は約束だと京楽のベッドの上で眠った。京楽は癖になったのか、にゃあにゃあいいながら、浮竹と眠った。

ただ眠るだけならいいのだが、全身を這う手に我慢できなくなって、脳天に頭突きをいれて静かにさせてから寝た。

次の日、浮竹は猫耳カチューシャを処分した。

すでに、京楽の浮竹抱き枕は、昨日京楽が撮った写真がプリントアウトされていた。

猫耳の、愛らしい浮竹の姿。

それを見るだけで、京楽はにまにましていたのだった。




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6回生の君へ

さわさわと、風で緑が揺れる。

長くなった白い髪が、風で乱れる。

気づけば、院生の6回生になっていた。

京楽と共に、己を磨いて、時には笑いあい、病で臥せる時もあったが、勉学に励み、鬼道を究め、剣の腕を磨いた。

どれも、隣に京楽がいたからだ。

きっと、彼がいなければ自分は病で、成長が止まっていたかもしれない。

「京楽、今までありがとう。これからもよろくな」

そう言って手を伸ばすと、「こちらこそ」と言われて手をとってきた。

ふいにバランスを崩した。

「危ない!」

抱き締められて、トクンと胸が高鳴った。

「どうしたの?」

「な、なんでもない」

この想いを、知られてはいけない。きっと、京楽の傍にいられなくなる。

「どうして、そんな泣きそうな顔をしているの?」

「本当に、なんでもないんだ」

そう言って、浮竹は走って去ってしまった。

「おかしな浮竹・・・」

次の日、熱を出して倒れた。

いつものように、京楽が部屋まで連れて帰ってくれて、世話を焼いてくれた。

「すまない。俺は、お前に何をしてやれるだろう」

「何を今さらいいだすんだい?こんなの、しょっちゅうじゃないか」

額のタオルをとりかえてくれる京楽の優しさに、眩暈がしそうだった。

8月の夏だった。

蝉の声がうるさかった。

浮竹のために無理していた京楽が、眠ってしまった。

自分が寝ていた隣の空きベッドに寝かせて、ずっとその寝顔を見ていた。

「京楽・・・・俺は」

触れるだけの口づけをしていた。

こんな想い、持つだけ無駄なのに。

京楽は、もうすぐ見合いをして結婚相手が決まるらしい。だからだろうか。秘めていた想いが、ぶわりとあふれ出した。

「京楽・・・・見合いをするなと、結婚をするなといったら、笑うだろうか」

「笑わないよ」

いつの間にか、京楽が起きていた。

かっと頬に朱がさして、逃げるように部屋を出て行こうとすると、手首をつかまれた。

「どこにいくのさ。また、熱がでたらどうするの」

「俺のことは放っておいてくれ!」

「そんなわけにはいかないよ」

京楽に抱きしめられていた。

「京楽?」

「いつ、気づいたの。僕が、君に密やかなる想いを抱いていることを」

「え」

浮竹にしてみれば、まさに青天の霹靂であった。

「京楽が、俺のことを?」

「そうだよ。知ってるから、君も僕のことを見てくれてるんだろう?」

「いや、知らなかった」

「あちゃあ、一人相撲かな。僕は君だけを見ていた。これからも、君だけを見ていたい。見合いの件はすでに断って破談にした。相手がしつこかったから、男にしか興味がないんだといったら、頬をはたかれたよ」

「京楽・・・京楽は、男でもいいのか?」

「ん。いいもなにも、浮竹は男でしょ。その浮竹に懸想しているんだから、男もいけるんじゃないの」

「俺に懸想・・・・・・」

「あ、気持ち悪かった?無理はしなくていいんだよ。ただ、僕が君のことを好きで大切にしていたいことを、知ってほしかっただけだから」

「俺は・・・・・!」

浮竹は、熱がぶりかえしそうなのも気にせずに、想いのたけを京楽にぶつけていた。

「ずっとずっと、お前が好きだった。お前の笑う顔を見るのが好きだった。他の女と遊び歩いている姿を見るのは辛かった。出会った頃から、少しずつ惹かれていって・・・今は、お前のことが大好きなんだ。好きすぎて死にそうなんだ」

「浮竹」

どちらともなしにキスをしていた。

「それは、僕が君を好きで、君も僕がすきだって、とっていいんだね?」

「ああ」

夏の、暑い日だった。

ミーンミンと、蝉の声がうるさかった。その日は、特に暑かった。

とさりと、ベッドに押し倒された。

「あ・・・・・」

窓から、少しだけ涼しい風が入ってきた。

お互い、汗まみれになりながら、服を脱がしていく。

「あ・・・・・・・」

「まさか、買っておいたこれを使う日がくるなんて」

京楽は、浮竹の流す汗をなめとりながら、全身にキスの雨を降らした。

脇腹をなであげられ、首もとを撫であげられ、薄い筋肉しかついていない胸を触られた。

先端をつままれると、ぴりっとした刺激が体中に走った。

「あ!」

「感度、いいんだね」

「京楽」

お互い裸になって、指を潤滑油のかわりのジェルまみれにして、浮竹の体内に埋め込む。

「ん・・・・きょうら・・・・ああっ・・・・ん・・・・」

ばらばらに動かされ、前立腺を刺激されると、コリコリとその場所をひっかかれた。

「うあ!」

熱が一点に集中して、どうしようもなくなる。

「先にいっとく?」

何をと言おうとして、その意味が分かった。

浮竹の花茎に手をかけて、しごく京楽の手が、すごい快感を与える。

「あ、いきたい」

鈴口に爪をたてられて、浮竹は吐精していた。

「ああっ!」

指が引き抜かれて行く。

かわりに、熱い灼熱が宛がわれて、そのまま引き裂かれた。

「あああ!」

痛みに、涙が出る。

「ごめん、痛いよね・・・・・でも暑くて、早く終わらせて水浴びでもしよう」

何度も浮竹に挿入し、引き抜いてはまた穿つ。

「あ、あ、あ・・・・・」

ぐちゃぐちゃと音をたてる結合部は、淫らだった。

浮竹も、京楽も、汗まみれになっていた。

こんな暑い日の、真昼間からすることではないのだが。

お互い、暑さを忘れて貪りあった。

「んう」

中を抉られて、まだ花茎に熱が集まりだす。

「ひあっ・・・・・ああ、あ」

最奥を突き上げて、締め付けてくる浮竹に満足して、京楽も浮竹の中に熱を放った。



「ごめん、いきなりやりすぎたね。初めてなのに」

「別に、いい。ただこの暑さ・・・・風呂場で水を浴びよう」

二人で、風呂場で浴槽に水をはって、水をかけあった。

あまり体を冷やしてはまた熱が出るからと、浮竹は早めにあがった。京楽は、しばらく水の中に浸かっていた。

ミーンミンミン。

蝉の声がうるさかった。

暑い夏の日の出来事。



灼熱の太陽を仰ぎ見ながら、二人でゆっくりと歩く。直射日光にやられがちの浮竹のために、傘を用意した。

ペットボトルから水分補給を大目にとりながら、歩いていく。

6回生の夏も終わり、学院を卒業して、死神になり、席官になり、副隊長になり、隊長になった。

それでも、二人は歩んでいく。

互いに隣に在りながら。

夏の暑さにやられないようにと気をつけながら、母校を訪れる。

講堂で、講義を開いた。学院からの初めての隊長二人の講義は人気で、人が多く入りきらなかった。

氷雪系の斬魄刀をもつ死神が、風を送ってくれているお陰で、講堂はすずしく、浮竹は倒れずにすんだ。

「僕も、氷雪系の斬魄刀ほしいな」

「便利なのは、夏場だけだろう」

「でも、一番厄介なのは夏じゃないかな。冬は着物を重ね着したりしたらなんとかなるけど」

ミーンミンミンと、あの時のあの日と同じように、蝉が鳴く。

「夏は暑くて当たり前。それでいいじゃないか」

「でも、浮竹は夏によく倒れるし」

「まぁ、否定はしない」

クスリと、笑みあって、母校を後にしながら、キスをする。

傘がつくる小さな日陰を追って、歩いていく。

尸魂界の夏は、現世に比べればましだが、それでも暑かった。










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