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魔王と勇者と32

ひょんなことから、フェンリルの浮竹と浮竹を一日だけ交換することになった。京楽が言い出したのが原因だった。

魔神の京楽の元にいった浮竹は、つまれた洗濯物の山を見て固まる。

「俺は料理が少しできるくらいで、掃除洗濯はできないんだが」

『まぁものはためしでやってごらんよ』

魔神の京楽にそう言われて、とりあえず掃除をしてみるが、掃除する前とした後では、した後のほうがちらかっていた。

「え、エトナの光たちよ!」

浮竹は、エトナの力で人形を作りだし、それに掃除をさせる。

今度は綺麗に片付いた。

『ふふ、掃除洗濯苦手なんだね』

「魔王城にはメイドがたくさんいるから、仕事を奪うことになるから洗濯と掃除はあえてしていないんだ」

『へぇ、そうなの。で、そのエトナの力で洗濯もするの?』

「ああ。ルール違反か?」

『ううん。君の能力でやってるってことは、つまりは君がしているってことだから、合格だよ』

合格も不合格も最初からないのだが、浮竹はエトナの力を使って洗濯も終わらせて、夕飯作りにとりかかる。

「カレーでいいよな?」

『なんでもいいよ』

「カレーくらいなら、俺でも作れるから‥‥‥‥」

結果、ちょっとというかかなり辛いカレーができてしまったのだが、魔神の京楽は文句も言わずに全て平らげてしまった。

『疲れたでしょ。お風呂わかしてあるから、入って寝ていいよ』

「すまん。あんまり家事ができなくて。俺はメイドじゃないからまぁ仕方ないんだが」

『うん。ボクも、エトナの力をかりたとはいえここまでできるとは思ってなかったよ』

魔神の京楽は、そう言って浮竹の頭を撫でた。

「今頃、フェンリルの俺はどうしてるんだろうな?」

『多分、メイドさんたちの仕事奪ってるんじゃないかな』

「まぁ、メイドさんたちには休暇になって、たまにはいいか」



一方の魔王城では。

フェンリルの浮竹が、てきぱきと広い城を掃除して、メイドさんの仕事を奪っていた。

「フェンリルの浮竹、適当でいいからね?メイドさんたちもいるんだし」

『一度雇われたからには、完璧にこなしてみせるぞ?』

洗濯ものをして干すと、ベッドメイクをする。

『夕食を作りたい。厨房を借りる』

厨房にいたシェフたちは、愛らしいフェンリルの浮竹に追い出されて、途方にくれていた。

『今日はビーフシチューだ。京楽が好きなんだ』

完成したビーフシチューはとても美味だった。

「おいしかったよ。ありがとう」

『後片付けしてくるな?』

「うん。ああ、みんな、今日は休暇だと思って仕事しなくていいからね。フェンリルの浮竹が何から何までしてくれるから」

その言葉に、メイドもシェフも安堵する。

でかい風呂に湯をはって、京楽が入るとその後でフェンリルの浮竹も入った。

何気に泳いだ。

風呂の湯をぬき、風呂場を掃除しおえて、干していた洗濯物を取り入れてたたんで、その日は終了した。

「浮竹の部屋で寝るかい?」

『いいのか?勇者の俺の部屋で寝てみたい!』

「うん、かまわないよ」

浮竹の部屋は、何気にでっかいテディベアがあったり、けっこうかわいい部屋だった。

『ふふ、ベッドがふかふかで、勇者の俺の匂いがする』

その日は疲れていたのか、フェンリルの浮竹はすぐに寝てしまった。

次の日になって、魔神の京楽のいる古城に浮竹を交換しにいく。

『君のところの浮竹、けっこうやるね』

「え、そうなの。てっきり家事全然できないと思ってたんだけど」

『正確には本人がしたわけじゃないけど、エトナの力を使ってなんとかしていたよ』

「浮竹‥‥‥」

「知らん。フェンリルの俺、ご苦労様」

『えへへへへ、魔王の京楽の城ぴかぴかにしといたぞ』

浮竹は、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。

フェンリルの浮竹は嬉し気に尻尾をぶんぶん振っていた。

「ねぇ、浮竹」

「知らん。俺を交換したくなるようなやつは、知らん」

「ごめんよおおおおお。ほんのでき心だったんだよ!フェンリルの君がどう家事をしているのか見たくて」

「見れたよかったな」

つーんとした態度の浮竹は、フェンリルの浮竹の頭をまた撫でる。

『昨日は、勇者の俺の部屋に泊めてもらったんだ』

「俺の部屋か?」

『おっきいくまのぬいぐるみとかあって、かわいい部屋だった』

「そうか」

浮竹は恥ずかしくて少し照れながら、フェンリルの浮竹の尻尾をもふる。

「仕方ない。帰るぞ京楽」

「機嫌なおしてくれたの?」

「つーん」

「ああ、浮竹まってよおおおお」

浮竹は京楽を置いて、転移魔法で魔王城に戻ってしまう。

『楽しかったかい、浮竹?』

『ん、ああ!メイドさんたちには、掃除の仕方とか教えておいた。勇者の俺の部屋にあったテディベアいいなぁ』

『同じもの、買ってあげるよ』

『ほんとか!?わーい』

魔神の京楽とフェンリルの浮竹の仲は変わらない。

一方、京楽は浮竹の機嫌を元に戻すまでに、半日かかるのであった。

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魔王と勇者と31

魔神の京楽とフェンリルの浮竹から、最上級品の結界石のネックレスをもらった。

光にあてると虹色の輝くそれは、浮竹を守ってくれる。

「これで、君は聖女教から守られる」

京楽は満足そうであった。

「聖女教といえば、藍染が行方をくらましたらしい。16代目聖女アナスタシアは醜い老婆になってしまい、急遽クローンの18代目聖女アナスタシアが聖女教のTOPになった」

「藍染のいなくなった聖女教は、放置しておくか壊滅させるべきか。どう思う?」

「放置でいいんじゃないのか。信者たちの洗脳もとかれたし、18代目聖女はまともな聖女だそうだ。傾きかけていた聖女教をなんとか形を保っていられるようにしたらしい」

「まぁ、聖女教そのものが悪いんじゃないからね。藍染が悪いのであって」

浮竹は、翼を広げて京楽を包み込む。

「聖女教への弾圧はそのままにしておくのか?」

「うん。藍染が戻ってくるかもしれないからね」

「そうか」

 浮竹は、結界石のネックレスの石に触れる。

虹色の輝きが強くなる。

「君の聖なる力に呼応してるんだろうね」

「全く、こんな品を作れるものがいるとは‥‥‥」

「作った子に、お礼しておいたから」

「早いな」

「ケットシーの白哉くんらしいよ。勇者の白哉くんとは別人の」

「そうか」

浮竹は、今日はエトナ教の信徒に慈悲を与える日なので、エトナ教の神殿に向かおうとする。

「あ、今日はボクも行くから」

「心配しなくても、結界石のおかげで身の安全は保障されてるぞ?」

「エトナの子はボクの伴侶だってわかってもらうためにね?」

京楽は、悪戯っぽく笑った。



「おお、エトナの子だ。慈悲を」

「エトナの子の伴侶の魔王だ。魔王も心優しき方らしい」

「エトナの子と魔王は慈悲の力をもっておられる」

浮竹が京楽を連れているものだから、いつもより騒がしかった。

「これより、エトナの慈悲を与える。順番に並んでくれ」

「ああ、浮竹様。孫娘がはやり病にかかり、死にそうなのです。どうか、慈悲を」

老婆からはやり病の特徴をきいて、浮竹は自分の翼の羽を抜くと、それと一緒に煎じた薬を渡した。

「これを飲ませてやってくれ。俺の羽で、体全体をはらうようにしてくれ。はやり病も治るはずだ」

「浮竹様、ありがとうございます」

そんな様子を、京楽が見ていた。

「治癒能力は君のほうが上みたいだね」

「まぁ、エトナの子だからな」

「ボクも、癒しの力で患者を診るよ」

「ああ、ありがとう京楽」

浮竹の慈悲を求める者の行列が途切れる頃は、すっかり夕暮れになっていた。

「今日は遅いし、エトナ教の神殿に泊まっていこう。前々から、泊まるようにとすすめられていたし、ちょうどいい時間だしな」

「ボクは浮竹といれるなら、神殿でもどこでもいいよ」

神官に案内されて、浮竹のためにと用意されていた部屋に入る。

無駄に豪華だった。

「ベッドは広いな。一緒に寝るか」

「うん、そうだね」

「慈悲を与えすぎて、神の力が少し弱くなっている。こんな時、結界石があると安心できるな」

部屋で二人は夕飯をとり、備え付けられていた大きな風呂に入って、就寝する。

「浮竹、起きてる?」

「ん、なんだ?」

「エトナ教の子の浮竹は、本当に天使みたいで神々しかった」

「褒めすぎだ」

「ふふ、そうかな?」

「俺はあくまでエトナの代理だ。神じゃない」

「そうだね」

二人は、そのまま眠ってしまった。

次の日、朝食をとっていると、京楽が食べるのをやめた。

「どうしたんだ?」

「ボクの料理に、毒が入ってる」

「なんだと!おい、どういうことだ!!!」

猛烈に抗議して料理を作った者を問い詰めると、大神官の一人に魔王を亡き者にしてエトナの子を神殿でずっと暮らすように画策した者がいると判明した。


「罪は重いぞ」

「エトナの子が魔王などに束縛されるのが悪いのです!」

「お前から、大神官の地位を剥奪し、流刑処分とする」

「エトナの子よ!魔王などと慣れ親しみなさるな!まして伴侶などと」

「連れていけ」

浮竹は、他の神官たちに流刑にされる元大神官を連れていかせる。

「すまん、京楽。俺のせいで」

「いや、ボクが勝手についてきちゃったからね。魔王をまだ忌み嫌う者はいるし」

「エトナ教には魔王や魔族排斥の思想はないが、それでも人間と違うということで恐れる者もいるからな」

「うん」

「エトナ教で大々的に言いまわるjか。エトナの子は魔王とできていると」

「いいの、浮竹?」

「お前の食事に毒をもられるような真似にならないようにな」

浮竹は、その日信者たちの前で京楽を正式な伴侶であり愛していると堂々と言ってのけた。

さながら愛の告白で、京楽は少し恥ずかしくなった。

「魔王城に戻るか」

「うん」

「なんだ、結界石が‥‥‥」

光っていた。そして、何かを弾く。

「お前のせいで、私はああああ」

それは、醜い老婆となりはてた、元聖女である16代目のアナスタシアであった。

「殺してやるうううう」

「浮竹様に何を!ひっとらえろ!」

「いや、いい。エトナの光の前に滅びよ!」

「うぎゃああああああああ」

16代目のアナスタシアは、灰となっていく。

「ここまでくるなんて、執念はすごいね」

「悪しきに染まっていたからな。エトナの力で浄化した」

「じゃあ、今度こそ帰ろうか」

「ああ」

浮竹と京楽は、転移魔法で魔王城に戻ってくる。

「さて、今日も魔王の仕事片付けて、魔神のボクとフェンリルの浮竹の元にでも遊びにいきますか」

やる気になっている京楽と一緒に、浮竹も魔王の仕事を手伝うのであった。










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一護とルキア

「ルキア」

「ん-、なんだ?」

「お前さ、副隊長になったっていうのに、こう度々現世にきて大丈夫なのか?」

一護は、今大学生だった。国際大学に通っていて、ドイツ語を選択し、来年留学予定であった。

「貴様が、来年から半年間帰ってこぬというから、今のうちに会いにいきておるのだ」

「はぁ。俺のこと、好きなのか?」

「たたたたたたたたたたたた」

「?」

「たたた、たわけ、そんなこと‥‥気づけ、ばか一護」

ルキアは真っ赤になった。

「え、まじで?」

ふっかけてきた一護も赤くなる。

「ルキア、その‥‥‥」

「一護、あのな‥‥」

「ルキアが先に言えよ」

「一護が先にしゃべれ」

一護の住む、一人暮らし用のアパートで、ルキアは一護と睨み合う。

「「好きだ」」

言葉は、綺麗にはもった。

「同時か」

「同時だな」

「でも、俺は来年は半年ドイツに留学するぞ」

「奇遇だな。私も、外の世界を見て回るために、ヨーロッパとやらに半年出張なのだ」

ルキアは、絶対無理をいってヨーロッパへの出張をもぎとったのであろう。

どこか、嬉し気だった。

「じゃあ、来年から一緒にドイツで生活するか?」

「貴様が哀れだから、いたしかたあるまい。一緒に住んでやる」

「正直になれよ、ルキア」

ルキアの、紫水晶の瞳を、一護がのぞきこんでくる。

「一緒に、いたいんだろ?俺は少なくともルキアと一緒にずっといたい」

「一護‥‥‥」

手が重なりあい、自然とキスをしていた。

触れるだけの、優しいキスを。

「黒崎ルキアになる気はねぇか?」

「いくら好きだとはいえ、私は死神で貴様は人間だ」

「俺が本物の死神になる」

「一護‥‥‥」

「もう一度だけ聞く。黒崎ルキアになる気はねぇか?」

「なる‥‥‥‥なりたい!」

ルキアは、涙を流していた。

本物の死神となる。つまりは人間を捨てるということ。

家族や友人を、ルキアのために捨てるというのだ。

「一護は、平気なのか。友人や家族を捨てることになるのだぞ」

「ややこしく考えすぎだろ。確かに本物の死神になったら、ずっと一緒の時間は生きられないけど、ある程度は一緒にいれる」

「そ、そうだな」

「あー。明日、白哉に挨拶にいくか。義妹さんをくださいって」

「い、一護!」

「白哉、許してくれるかな?」

「兄様は、私の幸せを一番に考えてくださる。最終的には許可をくれるだろ」

ルキアは、一護に抱きついた。

「貴様は私がいなくてはどうしようもない奴なのだから、嫁にきてやるのだ」

「なんだ、それ」

クスリと、一護が笑う。

その顔に、ルキアは赤くなる。

「き、貴様との婚姻は仕方なくだ!」

「はいはい。好きだぜ、ルキア。愛してる」

「わ、私も‥‥‥」

言葉は、唇でふさがれた。

「もう、なんなのだ!」

「先にちょっと手出しておかないと、恋次にもっていかれちまう」

「恋次が?気のせいではないのか。あやつは家族同然だ」

「だから、余計に危ないんだ。恋次のやつ、絶対ルキアのこと好きだぜ」

「そんなわけなかろう!」

「いいや、俺があってる」

しまいには、恋次を呼び出しそうな勢いなので、いったん恋次のことは放置することにした。

「ワンピース買いにいこうぜ。金なら出すから」

「なぜ、今ワンピースなのだ」

「ルキアのワンピース姿がかわいいから」

「き、貴様はいきなり何を‥‥‥…」

一護は、ルキアと手を繋いだ。

そのまま荷物をもって外に出て、アパートに鍵をかける。

「一緒に住もうぜ。いろいろ買わなきゃな。まずは着替えのワンピースだ」

「も、もう勝手にしろ」

ルキアは一護に手をひかれて、服の安いしまむらに入っていくのであった。


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オメガバース恋白11

「恋次‥‥おらぬのか、恋次」

白哉は、恋次を探していた。

ちょうどヒート期間中で、朽木家の別邸で恋次と二人で過ごしていた。

食事は作ったものを清家がもってきてくれた。

あとのことは、恋次に任せてある。

「恋次‥‥‥」

恋次が見当たらなくて、白哉は布団と丸めてそれを抱え込む。

「隊長、どうしたんすか」

「恋次!」

恋次は、風呂にいっていたらしく、結っていない赤い髪が印象的だった。

「恋次、傍におらぬので探していたのだ」

「あー、もう、あんたほんとにかわいいっすね」

恋次は、白哉を抱きしめる。

「恋次、恋次が欲しい」

白哉はオメガで、恋次はアルファ。そして番である。

最初、白哉は自分がオメガであることを隠していたが、世間に発表し、今は白哉の懐妊が期待されていたが、白哉はまだ子を作るつもりなはく、いつもアフターピルを飲んでいた。

「ああもう、あんた綺麗なくせにかわいいっすね」

「恋次」

恋次の名を連呼する白哉に負けて、昨日抱いたばかりだが、恋次は今日も白哉を抱くことにした。

昨日は散々抱いたので、今日はできて1,2回というところだろうか。

「キスを‥‥‥」

ねだられて、恋次は白哉にキスをする。

「ふあっ」

飲み込み切れなかった唾液が顎を伝う。

「恋次、私を抱け」

「分かってます。でも、あんまり何回も抱けませんよ?昨日めちゃくちゃあんたを抱いたから」

「それでもかまわぬ。抱け」

「はいはい、分かりましたからそうがっつかないでください。なんだか、いつもと逆ですね?」

恋次は、白哉の衣類を脱がせて、自分も裸になった。

「また、タトゥーを増やしたのか」

「ああ、昨日では気づかなかったんすね。胸のここに新しいタトゥー入れました」

「痛いであろう」

「痛いっすけどもう慣れてます」

「恋次、好きだ。愛している」

「俺も、隊長を好きで愛してますよ」

そう言うと、白哉は恋次のものに手を伸ばして、奉仕しはじめた。

「ちょ、隊長!」

「これで、私を満足させよ」

勃ったものを、白哉が指ではじく。

「もう、どうなっても知りませんからね」

白哉は、恋次に抱かれる。

「ああああ!!」

熱いものので貫かれて、白哉は精液を放っていた。

昨日散々交わったのに、ヒート期間はすぐにまた精液が出るようになっていた。それは番の恋次も同じだが、白哉ほどではない。

「奥に出しますからね」

「あ、もっと、もっと私を犯せ」

「じゃあ、そんなにきつく締め付けないでください」

「やああああ、無理っ」

「じゃあ、中に注ぎますよ?」

「ひあああああ!!!」

白哉は、恋次に中出しされて当時にいっていた。

「あと、抱けて1回くらいっすよ」

「あ、足りぬ」

「じゃあ、おとなのおもちゃでも使いますか?」

「いやだ。恋次がいい」

「仕方ないっすねぇ。でなくなったら、指と舌でいかせてあげますから」

「ああ、う、んあああ」

恋次は、白哉のものに舌をはわせる。

「ヒート期間って、すごいっすよね。出しても出しても出るんすから」

「あ、恋次‥‥」

白哉は、恋次の口の中に精液を放って、恋次にまた抱かれた。

恋次は白哉の足を肩に担ぎあげて、深く交わる。

「んあっ」

「あんたの好きなだけ犯してやりたいけど、俺が玉切れです」

「恋次、もっと子種を‥‥…」

「あと1回だけですよ」

「もっと欲しい」

白哉はねだる。

「だから、昨日あんたも何度も俺に抱かれたじゃないっすか。満足してないんすか?」

「昨日は昨日、今日は今日だ」

「そうっすか」

恋次は、一度引き抜くと、白哉の奥まで一気に貫いた。

「いあああ!!!」

「子種、全部ぶちまけますからね?」

ドクドクと、恋次の子種が白哉の子宮で放たれる。

「あ、もっとお」

「俺が限界っす。ヒート期間の隊長、すごいっすね」

「もう終わりなのか‥‥‥」

白哉は残念そうな声を出しながら、指と舌で愛撫してくる恋次の熱を感じて、精液をはきだす。

「あああ、そこ、いい」

「ここっすか?」

「やあああん」

「隊長、淫乱っすね」

「や、言うな。ヒート期間のせいだ」

「そういうことにしておきますよ」

白哉と恋次は、ヒート期間が収まる1週間を交じりあいながら過ごす。

ヒート期間が終わると、白哉はねだっていたのが嘘のように、凛と強い眼差しで恋次を見る。

「すまぬ。ヒート期間は迷惑をかけた」

「仕方ないっすよ。俺たちは番なんだから」

「そ、そうだな。番であるのだから」

白哉は、今回のヒートは乱れた。それを思い出してか、やや赤くなっていた。

「隊長、照れるんすか?かわいい」

「な、照れてなどおらぬ!」

「はいはい。じゃあ、仕事にいきますか」

「う、うむ‥‥‥」

ヒート休暇が終わり、二人は並んで執務室に向かうのだった。





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朽木白哉と浮竹5

「それで、兄は何をしにきたのだ」

突然の訪問者に、白哉が声をかける。浮竹が、朽木家を訪れていた。

「京楽のアホが盛ってきて、嫌だから蹴りを入れたら頭打って、ほんにゃらになったので、逃げてきた」

「ほんにゃらとは何か分からぬが、正当防衛であろう。逃げる必要など‥‥」

「絶対また盛ってくるから、今日は泊めてくれ」

浮竹は、枕だけを手に朽木家に来ていた。

追い返すと、京楽の餌食になりそうなので、白哉は泊めることを了解した。

「兄を1日泊めればいいのだな。客室を使うといい」

浮竹は、ぱぁぁぁと顔を輝かせて、白哉に抱きつく。

「ありがとう、白哉!」

「く、苦しい」

「あ、すまん」

解放されて、白哉は聞いてみる。

「食事などはすませたのか?」

「いや、まだだ。枕変わると眠れないので、枕だけ咄嗟にもって逃げ出した」

なぜに枕。

宿に泊まるなりできるだろうに、金品はもっていないようであった。

「寒いであろう。風邪をひく前に風呂に入れ。その間に食事の準備をさせよう」

「すまん‥‥‥何から何まで」

「兄は、私にとって少し年の離れた兄のようなものだからな」

「そう言ってもらえると俺も嬉しい、白哉」

浮竹は、まず風呂に入り、来客用jの着物を着ると、少し遅めの夕食を食べる。

「うわ、豪華だなぁ」

「ルキアは、今現世に赴いている」

「ああ、知っている。朽木にはこんな情けない姿見せられないからな」

「そうであろうか?まぁ、兄が京楽から逃げてくるとは珍しいな」

「昨日もしたんだ。おとついも。3日連続で俺を抱こうとするから、さすがに嫌になって逃げだしてきた」

「京楽隊長は、兄が拒否すればやめるのではないのか?」

「それが、嫌がっても押し倒してくるんだ」

「ふむ。明日、ともに京楽隊長の元に行こう」

「ん、ああ。さすがに1日行方くらませば、反省するだろうしな」

京楽はそんな人物であったろうかと、白哉は思う。


次の日、朝から雨乾堂に行くと、京楽が昨日頭を打った姿勢のまま伸びていた。

「ぬお、おい京楽、しっかりしろ」

「んーうきたけぇ?ボクどうしたんだっけ」

「あまりにしつこく抱かせろというから、鳩尾に蹴りを入れたら頭を壁に打って気絶したんだ。俺はお前から逃げるために、白哉の家に1日泊まってた」

「朽木隊長の家に?」

「ああ」

「何もされなかった?」

「兄は、私が浮竹に何かをするかと思っているのか」

「だってボクの十四郎はこんなにかいわくて綺麗だからね」

浮竹は、顔を赤くする。

「ばか、白哉の前で何言ってるんだ」

「恋敵にならないように、ね」

白哉はため息をつく。

「心配せずとも、私は浮竹に手を出したりはせぬ。私にも思い人がいるからな」

「あ、恋次くんでしょ」

京楽が言い当てると、今度は白哉がうっすらと赤くなる。

「え、そうなのか白哉」

「知らぬ。兄は京楽といちゃついていればいいのだ」

そっぽをむく白哉がかわいくて、浮竹はついその頭を撫でた。

「子供扱いするでない」

「俺の弟みたいなもんだからな。幸せにな」

「兄に言われずとも、今十分に幸せだ」

「ならいいんだ」

浮竹は、白哉と恋次の仲に興味深々なようで、いろいろ訊ねてきたが、白哉は適当にはぐらかす。

「あ、隊長こんなところにいたんすか!霊圧探って探したんですからね!」

「れ、恋次」

白哉は赤くなって、恋次と距離をとる。

「どうしたんですか、隊長?あ、浮竹隊長京楽隊長、おはようございます」

「おはよう」

「おはよう」

浮竹も京楽も、にまにましていた。

「お幸せにな」

「白哉をよろしく頼む」

「え、あ、はい!」

「恋次、帰るぞ!浮竹も京楽隊長も、いらぬことをいうな」

白哉は足早に歩きだす。

「あ、待ってくださいよ隊長~~~~!!」

まるで、人懐っこい大型犬のように、恋次は白哉のあとを追っていく。

「まさか、あの白哉がなぁ」

「朽木隊長がねぇ」

浮竹と京楽は、すっかり自分たちが抱かれるのが嫌だったからもめていたことを忘れて、恋次のと白哉の小さくなっていく後姿を見ているのだった。






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魔王と勇者と30

京楽に寝室に連れられて、浮竹は豪華なベッドに横になる。

「いいかい?」

「だから、好きにするといいと言っている」

「抱くよ?」

「俺にお前を刻みこめ」

京楽は、浮竹の衣服を脱がしていく。

「あっ」

胸の先端を口にふくまれると、思わず声がでた。

「んんっ」

「声、我慢しないで?」

「あ、春水‥‥‥」

もう片方を指でつままれながら、首筋にキスマークを残される。

「春水、もう‥‥‥」

京楽は、浮竹のものに手を伸ばす。

「ああっ」

手でしごかれてから、なめあげられて、浮竹は精液を飛ばしていた。

「濃いね。最近してなかったから」

「あ、言うな」

「自虐もしてなかったんだ」

「するわけないだろう」

京楽は、ローションをとりだすと、指にからめて浮竹のつぼみに指をいれる。

「ひあ!」

「まだ指だよ?」

「う、うるさい」

指が前立腺をこりこりと刺激すると、浮竹はびくんと痙攣していっていた。

「あ、早く来い。お前が欲しい」

「今、あげるからね。たっぷり子種受け止めてね」

「ああああ!」

熱に引き裂かれて、浮竹はそれでも愉悦に満ちた表情をする。

「十四郎、エロい・‥‥‥」

「春水こそ、エロい顔になってる」

お互い言い合って、キスをする。

「ふあ‥‥‥」

深いキスを繰り返しながら、京楽はゆっくりと動いた。

「あ、もっと激しくしてくれ。足りない」

「君を傷つけたくないんだけど、仕方ないね」

京楽は、リズミカルに腰を打ちつける。

ぱんぱんと肉と肉がぶつかりあう音と、ぐちゅぐちゅと濡れた音がした。

「ひあん!あ、そこお、だめぇ」

「奥がいいんでしょ?もっと刺激してあげる」

「ひあああああん!」

浮竹の弱い奥を貫き、揺さぶると浮竹は背をしならせて中いきしながら、精液を吐き出していた。

「あ、もう出ない‥‥」

「ボクはまだだから、つきあってね?」

「あう」

浮竹の奥を抉り、京楽は子種をはじけさせる。

「あああ、きたああああ。いくううう」

「好きなだけいっていいよ?」

さらに立て続けに精液を中に出して、京楽は背中に手をまわしてくる浮竹を抱きしめた。

「愛してるよ、十四郎」

「あ、俺も愛してる。エトナの祝福を‥‥‥」

浮竹は、京楽にエトナの祝福を与える。京楽の魔力が高まる。

ずるりと抜き出すと、京楽が放ったものがこぽりと逆流してくる。

それをタオルでふいて、京楽は浮竹を抱き上げると、湯殿に向かう。



「ひああああん!」

湯殿でも、浮竹は京楽に抱かれた。

「後始末、するだけじゃあなかったのか」

「いや、君が湯で肌の色が変わっていくのが妖艶に見えて」

「もう、無理だぞ」

「うん。最後にするね?中に出さないから」

すでに中に出したものをかき出した後なので、京楽は射精しそうになると浮竹から離れて、タイルの上で射精する。

「あああ‥‥もったいない」

子種を受け止めたかった浮竹は、残念そうに零れ落ちた精液を見る。

「もう、中に出したのかきだしちゃったからね。二度手間はいやでしょ?」

「別に、そうでもないが」

「ボクは君を十分堪能できたからいいよ」

「俺も、お前に久しぶりに抱かれてすっきりした」

二人は湯あみをして、違うベッドで横になり、眠りにつく。

「浮竹‥‥‥‥エトナの子でも、ボクの傍にいてね?エトナ神の元にはいかないでね?」

よく眠っている浮竹の長い白髪を撫でながら、京楽は浮竹の額に口づける。

「‥‥‥‥京楽、それは玉座だ。食えないぞ‥‥」

「どんな夢見てるんだか」

京楽は、クスっと笑うと。浮竹を抱きしめて眠りにつくのであった。


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魔王と勇者と29

浮竹は、エトナ教徒の熱烈な訪問に、仕方なく月に二回エトナ教の神殿でエトナの力を使い病や怪我を癒すことにしていた。

「ああ、エトナの子浮竹様。なんと慈悲深い」

「さすがはエトナの落とし子。天使であられる証に翼がある」

「大神官様も、よく浮竹様を神殿に顔を出すように説得してくれたものだ。感謝せねば」

エトナ教は、衰えていく聖女教ととってかわり、今世界で一番信徒の多い宗教になっていた。

エトナの子である浮竹がいるせいが強い。

聖女教から分裂した新エトナ教も、エトナ教に吸収され、エトナ教は黄金期を迎えていた。

「おつかれでしょう、浮竹様。こちらに飲み物を用意してあります。どうぞ、ご休憩を」

「ああ、ありがとう」

浮竹は、エトナ教徒の信徒から冷たい水をもらって、飲んだ。

「ぐ‥‥‥」

すると、意識が混濁して、床に膝をつく。

「エトナの子よ、その力、藍染様のために使ってもらう!」

「聖女教か‥‥」

そのまま、浮竹は意識を失い、聖女教に拉致された、



「浮竹が拉致られただって!?」

「す、すみません魔王様。エトナ神殿なので、警備の者もいましたが、まさか神の子であられる浮竹様を堂々と拉致る者が現れるとは思わず‥‥‥」

「言い訳はいいよ。聖女教の仕業なんだね?」

「はい、おそらく」

「浮竹に手を出すとどうなるか、思い知らせる必要があるね」

京楽は、愛する者を拉致られて、かなり怒っていた。

「聖女教の神殿にいってくる」

「でも、もしも‥‥‥」

「行かないと浮竹はいつまで経っても帰ってこないよ。聖女を少し痛めつけてやろう」

京楽は、残忍に笑った。



「ここは‥‥‥‥」

「気づいたのね、浮竹十四郎。エトナの子よ」

「お前は16代目の聖女アナスタシア!」

浮竹は、豪華なベッドに寝かされていた。

「エトナの力、確かに分けてもらったわよ」

聖女の手には、浮竹の翼から抜いた羽と、採血した血液の入った大きなカプセルがあった。

「俺の肉体の一部で、エトナの力を得るつもりか」

「そうよ。それだけの価値があなたにはあるもの」

「アナスタシア。エトナの子は贄にする約束だろう」

藍染が現れて、お腹の膨らんでいる聖女を抱き寄せる。

「藍染、エトナの子を殺すとエトナ神を敵にまわすわ。神と敵対はしたくないわ」

「私が魔神となるための1万の贄に匹敵する贄なのだ。アナスタシア」

「だめよ。エトナの子は、ここで永遠と力を抜かれ続けるの」

聖女は、浮竹を殺すことをためらっている。

藍染は、気にせず浮竹を殺そうと、魔法でできた刃を向ける。

「エトナの名において命ずる。光よ!」

「きゃああああああああ!」

「ぐわあああ!!」

猛烈な過剰すぎる浄化の光に、二人は焼かれる。

「浮竹!」

そこへ、聖女教に侵入してきていた京楽が現れる。

「京楽、きてくれたのか」

「君を助けるためなら、たとえ地獄にでも行くよ」

「エトナの光で目を焼いてやった。しばらくまともにものを見ることができないだろう」

「今のうちに‥‥」

京楽は、藍染の心臓を剣で突き刺す。

「うおおおおおお」

藍染は悲鳴をあげて、灰になる。

「分身体か。こざかしいね‥‥」

「何が!何が起こっているの。ねぇ、藍染!」

「藍染はいないぞ。分身体だったようだ。お前、藍染に利用されているぞ」

「そんなこと知っているわ!魔神になった藍染の力で私は女神として神々しく‥‥‥」

浮竹は、奪われた血と羽を灰にかえて、聖女にエトナの力を注ぎ着込む。

「いやああああ!私は聖女であり女神なのよ!神でもあるこの私を‥‥」

「ただの人に変えた。お前はもう聖女でも女神でもない。ただの卑しい醜い老婆だ」

「いやあああああああああ」

浮竹は、京楽が怒りで聖女を老婆の姿に変えるのを黙って見ていたのだ。

「18代目の聖女でも作ることだね。その姿じゃあ、いくら洗脳されてるとはいえ信者も離れていくだろうさ」

「私は女神なのにいいいい」

泣き叫ぶアナスタシアを放置して、京楽は浮竹をお姫様抱きにすると、神殿のバルコニーに出る。

「帰ろうか」

「ああ」

結界のはられていないその場所で、魔王城まで転移する。

「君が拉致られたと聞いて、気が気でなかったよ」

「俺はエトナの子だ。害せばたとえ藍染でもただではすまない」

「うん。でも、心配したんだよ?」

「すまん。まさかエトナ神殿で拉致られるとは思わなかった。今後は警備の者をもっとつけてもらうし、俺も注意する」

「聖女教の神殿で、大規模に藍染の洗脳を信者から解いておいたから、今頃すごいことになってるんじゃないかな」

事実、藍染に洗脳されていた信者たちは、聖女教から抜け出してエトナ教へ流れていた。

「また、エトナの信徒が増えるな。エトナの力が増す。比例して、俺の力もだ」

「でも、ボクの浮竹だよ?」

浮竹は、くすっと小さく笑った。

「ああ、そうだな。俺はお前のもので、お前は俺のものだ」

妖しく美しい生き物に見えた。

「寝室、いこうか。君を抱きたくなった」

「ふふ。俺を抱いて、エトナの祝福を受けるか?」

「祝福は別にいらないけど、君がほしい」

「好きにすればいい。俺とお前は伴侶だからな」

浮竹は妖艶に微笑みながら、京楽に寝室へと連れていかれるのであった。








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温泉旅行

「一緒に温泉旅行に行かぬか」

そう誘われて、恋次はあたりをきょろきょろみた。

「恋次に言っているのだ」

「え、俺っすか!?」

てっきり、近くにルキアがいてルキアに声をかけているものと思った。

「最近忙しくて、お互い疲れているであろう。1週間の休暇をもぎとった。恋次、お前の分もだ」

「え、俺の分まで?でも、隊長副隊長も不在だなんて」

「席官たちがなんとかすると言っていた。一緒に温泉旅行にいってこいと、宿を紹介されたのだ」

白哉は、静かに言った。

「ルキアとじゃなくって、俺と二人でいくんすか?」

「そうだ。ルキアとはいつでも一緒に行ける。だが恋次、お前とはなかなか一緒に行けぬであろう。上官副官関係なく、旅行にいかぬか。それとも私と二人きりではいやか?」

「そ、そんなわけないっす!俺隊長のこと好きなんすよ!知ってて、誘ってますよね?」

「お前が私のことを好いているのは知っている」

「俺が狼になるかもしれないと思わないんすか」

「恋次は、嫌がる私には何もしない」

白哉はきっぱりと断言した。

「そりゃそうっすけど‥‥‥そんな俺と一緒にだなんて」

「私も恋次、お前を好いておる。たまにはよかろう」

「え、今なんて?」

「二度は言わぬ」

恋次は飛び上がって喜んだ。

「隊長と、相思相愛なんすね!」

白哉に抱きつくと、恋次は地面に転がされた。

「好いてはいるが、まだ何かをしたいというわけではない」

「うー、蛇の生殺し‥‥‥‥」

恋次は、白哉を再び抱きしめる。

今度は、白哉は大人しく腕の中で抱かれた。

「隊長華奢っすね。すごいい匂いがする」

唇を重ねようとすると、拒否された。

「隊長、キスくらいいいじゃないっすか」

「‥‥‥‥なら。温泉旅行でなら、考えてやってもよい」

「まじっすか!」

それから数日が経ち、温泉旅行の日がやってきた。

恋次はその前の晩興奮で一睡もできなくて、宿につくなり爆睡してしまった。

白哉は恋次を放置して、一人で貸し切りにした温泉に入った。

そこへ、目が覚めたばかりの恋次が入ってくる。

「すんません!もう入ってるとは思わなくて!」

「よい。温泉は公共の場だ。貸し切りとはいえ。恋次も入れ」

「はい‥‥‥」

白哉は腰にタオルを巻いていたが、白い肌がほぼ露わになっていて、恋次は目のやり場に困る。

「いい湯ですね」

「なぜ、目を閉じている?」

「あんたの裸が目の毒だからですよ!」

「そうか。では私は先にあがる」

「あ、背中の流し合いとかはしないんすか!?」

「子供ではあるまいに。せぬ。私は先に部屋に戻る」

残された恋次は、もっと白哉の裸を見ておけばよかったと後悔する。


豪華な夕食をとり、消灯時間になる。

「隊長、起きてますか?」

返事はなかった。

恋次は、一緒の部屋で眠る白哉に薄暗い明りの中近づいて、触れるだけのキスをした。

「あんたが好きです‥‥‥おやすみなさい」

実は、白哉はまだ起きていた。

ドキドキと心臓が早鐘を打つ。

眠ってしまった恋次を置いて、キスされたせいでなかなか寝付けないので、夜の散歩に出かける。

「私に、お前の思いを全て受け入れられるであろうか」

月を見上げていた。

それから部屋に戻り、白哉も眠った。


次の日も温泉宿に泊まった。

「恋次、目を閉じろ」

「へ?あ、はい」

白哉は、自分から恋次にキスをする。

「えあ、隊長!?」

「ここからどう先に進むのかが分からぬ」

「あ、俺に任せてください!」

恋次は白哉を押し倒して、肌を弄っていく。

「あ‥‥‥‥」

白夜が漏らす小さな声に、自身が昂る。

「最後までしていいですか」

「だめだ。私たちは付き合いもまだしていないのだぞ。そこまでだ。どくがよい」

「ううう、我慢我慢‥‥‥‥」

白哉は、白く美しい顔(かんばせ)で、恋次に囁く。衣服の乱れは直されていた。

「私を手に入れたいのであれば、正式に付き合え」

「付き合います!隊長、好きです!」

「恋次、好きだ」

温泉旅行で互いの意思を確認しあい、正式に付き合いはじめた。

ちなみに、それを聞いたルキアは「兄様が狼に奪われた‥‥‥」と言って、卒倒するのであった。






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オメガバース京浮読み切り短編11

ある花街。

そこ一番の桜妓楼は、遊女も花魁が多く、とても美しい娘たちをそろえていた。

そんな中に、化粧を施された15歳くらいの花魁がいた。

「かわいいね?名前はなんていうの」

常連客の上流貴族出身の京楽は、初めて見るその花魁に興味をもった。

「違う。俺は花魁にされているが、遊女じゃない。色子だ」

「へ?色子の花魁?‥‥‥しかも君、オメガだね」

びくりと、15歳くらいの少年‥‥‥浮竹は、うなじを噛まれないように保護している首輪に触れる。

「面白いね。今日は君を指名するよ」

「本気か?俺は色子だぞ」

「色子とだって寝たこと何度もあるから大丈夫」

「でも、オメガだ。見たところ、お前はアルファだろう。上流貴族のアルファが、オメガの色子を買うなんて‥‥‥家の者が知ったら、嘆くぞ」

浮竹は、その日はじめて客をとる日だった。

花街でも常連の上客の京楽に指名されて、他の遊女たちが嫉妬する。

「だんな、こんな淫乱のオメガの色子なんてほっといて、あちきと遊びましょうよ」

「京楽様は私のものよ!この前、買ってくださったんだから!」

そんな醜い争いを続ける遊女や花魁を無視して、京楽は揚げ代をしこたま払い、浮竹を指名した。

「好きにするといい」

褥で、大の字になって動かない浮竹に、京楽が笑う。

「初めてなんだね。優しくするよ」

京楽の慣れた手つきと手管で、浮竹も反応してやるものかと決め込んでいたのに、気づけば啼いて京楽を喜ばせていた。

「あ、やだぁ、そこお」

「ここ、いいんだね?」

何度も奥を貫かれて、浮竹は中いきをする。

「んっ‥‥‥ボクももうもたない。中で出すよ?」

「ひああああ、だめぇ、子供できちゃう」

「アフターピル飲むんでしょ?」

「だめぇ、もしも子ができちゃったら‥‥‥‥」

「ボクが責任とるよ。だから、出すよ?」

京楽は、浮竹の子宮に子種をぶちまける。

「ひああああん!!!」

浮竹は初めてだというのに、乱れた。

夜があけて、朝になる。

「俺をまた買いにきてくれ。お前以外の男に抱かれるのはなんだかいやだ」

「ボクも同じこと考えていたよ。ボクだけの花魁でいて。金はまとめて支払っておくから、ボク以外の客をとっちゃだめだよ」

桜妓楼の女将に、大金をもたせて浮竹をもう、色子の花魁として見世に出さないように言いくるめた。

それから、京楽は3日に一度はやってきて、浮竹を抱いた。

「京楽」

「ごめん、今日は君を買えない。前に贔屓にしてた花魁の誕生日なんだ」

「そうか」

それだけを言い残して、浮竹は自分の部屋に戻る。

他の遊女たちから、繰り返し嫌がらせをされていた。

色子で、しかもオメガで、花魁にされたからと京楽ばかり独り占めしてずるいと。

今日の夕飯にも、虫が混じっていた。

「はぁ‥‥京楽は、俺を身請けなんてしてくれないだろうな。ただ珍しいから抱いてるだけで」

次の日、京楽の相手をしていた遊女が、女将に訴えた。

浮竹が、足抜けしようとしていると。

相手は、浮竹に惚れた男衆の一人だと。

女将は、男衆のざれごとを本気にして、遊女の言葉を信じて浮竹を折檻した。

「ちょっと、どうしたのその傷!」

京楽が浮竹を買いにいくると、傷を作った浮竹を見て驚く。

「足抜けしようとしていると疑いをかけられて、折檻された。言い出したのは菊花だ」

「昨日、ボクが買った花魁じゃないか。他には何かされた?」

「黙っていたが、遊女たちから嫌がらせを受けている。ご飯に虫を混ぜられたり、階段から突き落とされたり、他の男に犯されそうになったり」

浮竹の言葉を聞いて、京楽は顔色を変える。

「決めた。君を身請けする」

「京楽?」

「ボクは、これでも京楽家の当主だからね。ボクの決定には、この廓の女将も逆らえないよ」

「でも、俺は色子のオメガで」

「関係ないよ。君が好きなんだ。素直に、ボクのものになって」

京楽は浮竹を抱きしめた。

「京楽、俺もお前のこと好きだ。一緒にいたい」

「じゃあ、もう話つけてくるね。その前に、菊花のところにいこうか」


「あら、京楽様‥‥‥」

「浮竹に、足抜けしようとしているって嘘を女将に言ったんだってね」

「そ、そんなこと言ってないわ!それに、それは色子のくせに花魁の地位にいる、卑しい淫乱のオメガよ!」

「君から、そんな言葉を聞きたくなかった。浮竹はボクが引き取る」

菊花は、形相を変えて浮竹に詰め寄る。

「おのれ、あたしの客を奪うだけでなく身請けされるだって!」

浮竹の首を締めあげようとしたところで、京楽に阻まれた。

「京楽様、これは誤解です!」

「もう遅いよ。この廓の色子の花魁は、今日をもっていなくなる」

「京楽?」

浮竹が首を傾げる。

「もう、身請けの代金は払っておいたから。菊花には、さよならを告げるために昨日指名したんだ」

「俺を、身請けしてくれるのか?」

「こんな環境で客を取り続けていたら、君は多分死ぬよ?」

「同情か?」

「違う。君が好きだよ。君を買うたびに、愛らしく思っていた」

「京楽、俺もお前が好きだ」

浮竹は、京楽に抱きしめられた後、身請けの手続きをしにいった。



「これで、君は自由だ。まぁ、ボクのものなんだけど」

「俺はそれでかまわない」

「君は、どこまでもかわいいねぇ」

京楽は、浮竹にキスをして、自分の館に連れていくと抱いた。

「あ、京楽」

「春水って呼んで?」

「あ、春水、そこだめぇ」

「十四郎、番になろう。ボクの正式な妻になってほしい」

「ひああああ!!!あ、なるうう」

京楽は、浮竹の奥を突きあげながら、浮竹の首輪をとった。

「噛みつくよ?番にするからね?」

「ああああ!!!」

うなじに噛みつかれて、浮竹は京楽の番になった。

「あ、体が熱い。ヒートがきたみたいだ」

「年のわりにヒートこないからどうなってるんだろうと思ってたけど、薬飲んでたんだね」

「フェロモンで、アルファを無駄に誘惑しないようにと‥‥」

「そんなの、今は不要だからね。さぁ、子種をたくさんあげるから、ボクの子孕んでね?」

「ひああああ!!!」

京楽は、浮竹を突き上げる。

浮竹は、背をしならせて、いってしまう。

浮竹の長い白髪をいじりながら、京楽は浮竹の心も手に入れられたと、誇らしげだった。

「お前は、俺の初めで最後の客だ」

「うん」

「お前の番として、余生を送る」

「結婚しよう」

突然の言葉に、浮竹が目を見開く。

「せ、籍を入れるのか?俺はオメガとはいえ、元花街の住民だぞ?」

「ボクは当主だよ。ボクに逆らえるものは、ほんの一握りしかいない」

「そうか‥‥」

次の日から、浮竹はヒートになって京楽と一緒に過ごした。

寝る、食べる以外は、ほとんど交わっていた。

浮竹はアフターピルを与えられなかったので、ほどなく懐妊した。

「ボクたちの愛の結晶だ。大事に育てようね」

「お腹の子はアルファだそうだ。オメガじゃなくってよかった」

「ボクは、たとえオメガの子が生まれてきても、純粋に愛するよ?」

「俺のようになってほしくないからな。俺は、元貴族だ」

浮竹の言葉に、京楽が驚く。

「え、本当に?」

「ああ、下級だがな。借金のかたに売られてしまって、桜妓楼に買われた」

「でも、お陰で出会えて番になれた。いろんなことに感謝しないと」

「ふふ、お前は前向きなやつだな」

「十四郎、好きだよ。生まれてくる子には、なんて名づけよう?」

「そうだな‥‥‥」



浮竹十四郎は、京楽春水に身請けされ、ほどなく双子の男児を産んだ。

どちらもアルファで、浮竹をそしる者がいれば京楽が許さなかった。

花街で出会ったが、浮竹は上流貴族となり、子は双子以外生まれなかったが、京楽と子供たちに囲まれて、幸せに生きるのだった。

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魔王と勇者と28

「その尻尾本物か?」

浮竹は、魔神の京楽のドラゴンの尻尾を見る。

フェンリルの浮竹のふさふさの尻尾と違って、ごつごつしていたが、ゆらりと揺れる。

『本物だよ。ドラゴンの尻尾さ』

「とかげのように見える」

『切ってみる?再生すぐにしちゃうけど』

「おもしろい」

『あわわわわ、勇者の俺!』

「ちょっと、浮竹?」

フェンリルの浮竹と京楽に止められそうになる前に、浮竹は魔王剣ディアブロで魔神の京楽の尻尾を本当に切ってしまった。

『わぁあああ、京楽!』

『いや、大丈夫だよ?もう再生したから』

「はや‥‥‥」

切った浮竹本人も驚くほどの再生力だった。

剣を抜いて、切って、鞘におさめる間に再生していた。

「あ、切られたしっぽはとかげみたいに動くのか」

『うん。かわいいでしょ』

「不気味だ‥‥‥‥」

「不気味だね‥‥」

『お、俺は京楽の味方だぞ?かわいくみえなくもないというかなんというか』

フェンリルの浮竹は、ビタンビタンと動く切れた尻尾を見て、尻尾をへにゃりとさせる。

『まぁ、一応魔神の体の一部だから悪用されないために消し炭にしとくね』

魔神の京楽は、切れた動く自分の尻尾を灰にする。

「見なかったことにして、お茶にしよう。フェンリルの俺、一緒に茶菓子を作ろう」

『うん。何をつくるんだ?』

「木苺のタルトでいいか」

『分かった。昨日つんだ木苺があるから、それを使おう』

浮竹は不器用なりに料理ができるようになっていた。まだ補助は必要だが、ダークマターは生み出さない。

最初の頃はダークマターをうんで、京楽の胃に穴をあけさせたものだ。

『勇者の俺、料理する手つきがさまになってきたな』

「べ、別にほめられてうれしいとかそんなんじゃないからな」

浮竹は顔を赤くする。

フェンリルの浮竹はしっぽをばっさばっさ振っていた。

『今日も触るか?』

「べ、別に‥‥‥‥いや、触る」

浮竹は、木苺のタルトをフェンリルの浮竹を中心に一緒に作ってから、フェンリルの浮竹の尻尾をもふる。

「毛皮にしたい」

ピーンと、フェンリルの浮竹の尻尾が立つ。

『お、俺の尻尾は京楽のものと違ってはえてこないからだめだぞ!』

「言ってみただけだ。実行は絶対にしない」

『ならよかった』

魔神の京楽と京楽は、テーブルと椅子をセッティングして、ダージリンの紅茶を4人分入れて、せきにつく。

「またせたな。木苺のタルトだ」

『俺と勇者の俺の手作りだぞ!』

「浮竹‥‥‥昔はあれほどダークマターを生み出していたのに、成長したね」

ホロリと、京楽が涙を零す。

『ダークマター?なんのことだ?』

浮竹の過去の料理を知らないフェンリルの浮竹は、きょとんとしていた。

『なんとなく察しはついたよ。成長したんだね』

魔神の京楽がそう言う。

「べ、別に嬉しくなんてないんだからな!」

『ツンデレな勇者の俺かわいい!』

フェンリルの浮竹は、浮竹に抱きつく。

「茶が冷めてしまう前に、食べよう」

『む、それもそうだな』

4人で、午後のティータイムを楽しむ。

ちなみにこの後は京楽は魔王の仕事が残っているので、浮竹と一緒に帰る予定だった。

それを伝えると。

『むう。もっと一緒にいたい』

『浮竹、わがままを言ってこまらせてはだめだよ』

魔神の京楽に諭されるが、フェンリルの浮竹は今回会うのが1週間ぶりだったために、我儘を言い出す。

「じゃあ、また魔王城にくるか?仕事をさっさと片付けるから」

『うん!行く!』

『ごめんねぇ、何度もおじゃまして』

「フェンリルの浮竹がいたほうが、浮竹の仕事のスピードがさらに倍になるんだよね。早く構いたいから。そうすると、ボクの仕事も全部早く片付くってわけ」

京楽は助かるとばかりに、フェンリルの浮竹を見る。

フェンリルの浮竹も、暇なので仕事を手伝ってくれる。魔神の京楽は手伝はない。

『勇者の俺と遊ぶために、今日も俺も仕事手伝うぞ!』

「フェンリルの俺、助かる。その姿を見ているだけでも、俺も仕事が片付くのが早くなる」

6時間はかかりそうな仕事を1時間半で終わらせて、遊ぶと言った通り、浮竹とフェンリルの浮竹は、近くのコラッドの森にきのこと薬草採取に出かけてしまった。

無論、魔神の京楽は一緒だ。

京楽はというと、聖女教の信徒の脱退に金を出していた。

「ボクの魔王領に新しい領地を作ったから、よければそこに住んで?」

「ああ、魔王様!今の魔王様がこんなにお優しいなんて‥‥‥」

「聖女教は間違っている。魔王様を弾圧するなんて」

「そうだそうだ」

元聖女教の者たちは、藍染の洗脳を京楽がといてまわっているので、聖女教から離脱していた。



「ただでさえ、魔神となるのに贄が1万必要なんだ。邪魔をしないでくれるかな」

「お前は、藍染!」

「魔王京楽、死んでもらう」

藍染は目にもとまらぬ速さで、京楽を切り捨てて、去ってしまう。

「切られて‥‥でも無事?あ、浮竹からもらった守護の飾り羽が身代わりになってくれたのか‥‥‥‥」

京楽は、聖女教の厨房に転移して、藍染用の夕食にモレ草をまぜた。

モレ草はすごいききめの下剤になる薬草だ。効果がきついので、毒草ともいわれている。




「ぬおおおおおおおおおおおおお」

その日の晩、藍染はモレ草のせいで1週間トイレの住人になるのであった。

ちなみに、きのこを採って帰ってきた浮竹たちがとってきたきのこは毒を含んだものが少しあって、それも今度こっそり藍染の夕食に混ぜてやろうと思う京楽であった。






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魔王と勇者と27

浮竹と京楽は、フェンリルの浮竹と魔神の京楽の住む古城に遊びにきて、お茶をしていた。

浮竹の目線はずーーっと、フェンリルの浮竹の尻尾を見ていた。

『あ、勇者の俺。俺の尻尾、触るか?』

フェンリルの浮竹が尻尾をさしだしてくると、浮竹は顔を赤らめた。

「そ、そんなんじゃない」

『ふえ?違うのか?』

京楽に、フェンリルの浮竹の尻尾を触りすぎていると、注意されたばかりなのだ。

本当は触りたい。でも、触ったら意味がない。

我慢している意味が。

『結局、触らないのか?』

フェンリルの浮竹はきょとんとしていた。

魔神の京楽が、何か言いたそうにしていたが、あえて何も言わない。代わりに京楽が言う。

「浮竹も、君の尻尾ばかり触るの失礼だと思ってるんだよ」

『ふえ?俺は別に構わないが』

そんなフェンリルの浮竹に、浮竹は尻尾を触りたいとさっきからずーっとうずうずしていた。

『なんかよくわからん』

フェンリルの浮竹は、相変わらずきょとんとしていた。

「ああ、我慢の限界だああああ」

浮竹は、思い切りフェンリルの浮竹の尻尾をもふる。

『ふふ、触りたいなら言えばいいのに』

「な、別に触りたいとは思ってないんだからな!」

「浮竹、そう言いながらめっちゃもふってる」

『ああああ、この触り心地が‥‥‥はっ、俺は別に!」

浮竹は赤くなる。

フェンリルの浮竹は、かわいくにっこりと笑っていた。

「うう、スマイルもやばい。俺は、このかわいい生物をどうしたいんだ。自分でもわからん」

「浮竹、重症だねぇ」

『そうさせた原因は君にあるんじゃないの?』

「ボクはただ、フェンリルの浮竹の尻尾触ってばっかいると、抱くよって言っただけだよ」

『それで葛藤してるんだね。勇者の浮竹も不憫な』

京楽たちは、浮竹たちを紅茶を飲みながら静かに見つめる。

「俺は別に、お前のことかわいいなんて‥‥‥‥思ってない‥‥‥‥わけがない!かわいすぎる!いっそ俺の嫁になってくれ!」

『ふえ?俺は京楽のものだから、無理だぞ?』

「分かってはいるんだ。最近はケルベロスのケロちゃんの尻尾触って我慢してたけど、やっぱりフェンリルの俺の尻尾がいい!」

「浮竹、ボクと結婚してるんだから、嫁になんかしたら不倫だよ」

「不倫でも尻尾があああああ」

『大分重症みたいだね』

魔神の京楽は笑っていた。

『ふふ、勇者の俺、俺はいつでもお前の傍にいくから、我慢しなくていいんだぞ?』

「ああ、フェンリルの俺!」

浮竹は、もうフェンリルの浮竹の尻尾に顔を埋める。

『きもちいいか?』

「きもちいい。ふかふかで最高だ」

『そう言われると嬉しいな』

フェンリルの浮竹の尻尾が少し揺れるが、浮竹が顔を埋めているためあまり動かせない。

「はぁ、ありがとう。我慢してたのが間違いだった。もふりたいときにもふる。これでいこう」

「浮竹、抱かれてもいいの?」

「もうやけくそだ。抱いてもかまわん。俺は俺のやりたいように生きる!」

とても、エトナの神の子とは思えない我儘な発言であったが、その場にいた3人はクスリと笑う。

「ああ、もふりすぎて毛並みが‥‥‥‥エトナ神の名において、慈悲を与えたまえ」

浮竹は、エトナの力を使い、フェンリルの浮竹の尻尾はいつもよりもふかふかで毛並みもよく、つやつやだった。

『あ、ボクももふりたい』

「ボクも」

「最初は俺だ!」

言い争いあいになり、結局はじゃんけんで決めて、浮竹が一番だった。

「ああ、この毛並みと手触り‥‥‥病みつきになる‥‥‥‥」

『ふふ、俺の尻尾だからな。勇者の俺、ブラッシングしてみるか?』

「ブラッシングだと!するに決まっている!」

フェンリルの浮竹の尻尾は、その日めちゃもふられるのであった。




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魔王と勇者と26

その日は満月が綺麗な夜だった。

魔神の京楽とフェンリルの浮竹の住まう古城へ、浮竹と京楽は魔王の仕事を終わらせて、泊まりにきていた。

本当は日帰りの予定だったのだが、浮竹が満月の日のせいで犬くらいの大きさのフェンリル姿になったフェンリルの浮竹をもふりまくっていると、離れがたくかんじたせいだ。

『こしょばいぞ』

「かわいい。もふもふだ」

『フェンリル姿の俺も悪くないだろう?』

「ああ、かわいすぎてお持ち帰りしたくなる」

『ちょ、浮竹は渡さないよ!?』

魔神の京楽が、浮竹につっこみをいれる。

「心配しなくても、連れて帰ったりはしない。連れて帰っても、転移魔法ですぐ戻れるだろうしな」

『だからって、お持ち帰りはなしだよ』

「魔神のボク、心配しすぎ。浮竹は連れて帰ったりしないよ」

フェンリル姿から元に戻れないのは、満月の日である。

日付が変わったら、人間の姿になるので、京楽たちもそれほど心配していなかった。

『あれ、日付変わったのに元に戻れない』

「あ、すまん。俺がエトナの力でもっともふりたいと願ったせいだ。あと2~3時間は元に戻れないと思う」

『勇者の俺、俺のフェンリル化をコントロールしてしまうとは、やるな!』

フェンリルの浮竹は、犬のサイズでばっさばっさと尻尾を振る。

「はぁ‥‥‥癒される。魔王城で犬か猫でも飼おうかな」

「世話が大変だし、こうやって遠出したり泊っている日は部下の者たちに世話をおしつけることになるから、だめだよ」

「うう、分かっているんだ。だけど、こうもかわいいと飼いたくなる‥‥‥」

『俺はいつでもフェンリルの姿になれるから、もふりたくなったら言ってくれるといいぞ』

浮竹は、ふと気づいてアイテムポケットから、鮮やかな色彩の鳥の羽を取り出す。

『わぁ、綺麗だな』

「フェンリルの俺にやる。俺の背中の翼から抜け落ちた羽を加工したものだ。お守りになる」

『エトナの子の体の一部なら、効果はありそうだね』

魔神の京楽にも、浮竹は鮮やかな羽をあげた。

『光に反射する。綺麗な羽だな。勇者の俺の翼から自然に抜け落ちたのか?』

「いや、自分でむしった。エトナの子である限り、羽の一枚でも魔力がこもるからな。悪用されないために、自然と抜け落ちないようにしている」

『神の子も大変なんだな。俺は京楽のメイドさんだから、京楽を守ってメイドとして家事をするのが仕事だ。エトナの子は、神の力を他者にあげないといけないんだろう?』

「まぁ、確かにここ最近はエトナの慈悲として、病や怪我人を無料で癒している」

『すごいな!えらいぞ!』

しっぽをばっさばっさ振るかわいいフェンリルの浮竹に、浮竹は抱きしめて離さない。

『わぁ、ちょっと苦しいぞ』

「ああ、なんでこんなにかわいいんだ、フェンリルの俺!人の姿とってる時もかわいいが。かわいさ大爆発だな!」

『えへへへ、そうか?』

魔神の京楽は、じゃれあう二人を見てほんわかとなっていた。それは京楽も同じことだった。

「人の姿してお互い一緒に寝てるのもかわいいけど、フェンリル姿でもふられるのもかわいいね」

『そりゃ、ボクの浮竹だもの』

「何気にのろけてる‥‥‥」

時計は深夜の1時をさして、眠くなった浮竹とフェンリルの浮竹は、ベッドで一緒に丸くなって眠ってしまった。

浮竹は眠る時翼を消す。

フェンリルの浮竹は、犬サイズのフェンリル姿のまま、眠ってしまっていた。

「ボクたちも寝ようか」

『そうだね』

お互いが愛する浮竹たちは、夢の中だ。

フェンリルの浮竹は、浮竹が泊まりにくるとよく一緒に寝るので、自分たちが使用しているものの他に、もう1つ大きなベッドを買った。

今、浮竹たちが眠っているベッドだ。

そのそばで寝れるように、ベッドをあと2つ用意してあった。

それに横になり、京楽たちは浮竹たちをそっと見守りながら、眠りにつくのだった。


「おはよう‥‥‥ふああああ」

『おはよう』

フェンリルの浮竹は、人の姿になっていた。

浮竹は、昨日の名残だとばかりにその尻尾をもふりまくる。

『くすぐったいぞ』

「やっぱ犬飼いたい。なぁ、京楽」

「だめなものはだめ。それに、犬ならケルベロスのケロちゃんがいるでしょ」

「あれはモンスターじゃないか。まぁ、刺客を食べたりしてくれて便利でそこそこかわいいが、フェンリルの俺のかわいさに比べると‥‥」

浮竹は、フェンリルの浮竹を見る。人の姿をとっているが、感情に素直な白い尻尾と頭には白い耳がついていた。

『ふふ、俺ってそんなにかわいいか?』

「かわいすぎる。持って帰りたい」

『ふふ、俺は京楽のものだから、京楽の許可が出ないとお持ち帰りはできないぞ?』

『言っとくけど、許可なんてださないからね』

「ケチ魔神」

「やーい、けち魔神~~~」

京楽がからかいだす。

『君たちねぇ』

魔神の京楽は、呆れた声をだす。

『ケチ魔神なのか、京楽?』

『いや、違うから!』

「フェンリルの俺、魔王城に一緒に行こう。作れるようになったホットケーキ食べさせてやる」

『わーい、勇者の俺の手料理!行く行く!』

『浮竹!』

『いいだろう、京楽?お前ももちろん一緒だ』

『仕方ないねぇ』

魔神の京楽は、フェンリルの浮竹の甘えた声にすぐに陥落する。

『お泊りの次は、そっちにお泊りにいくぞ』

「じゃ、そういうことで。京楽、仕事がんばれよ」

「ええええ。手伝ってくれないの?」

「フェンリルの俺をもてなすんだ。手伝わない」

京楽はしょげる。浮竹の仕事の能力はとても高く、手伝ってもらうといつもの3分の1以下の時間で終わるからだ。

『俺も魔王の仕事手伝う!』

「だそうだ。俺も手伝う」

「浮竹ってば、ほんとにフェンリルの浮竹に弱いんだから‥‥‥」

京楽はため息をつく。

『ボクの浮竹は、それくらいかわいいってことさ』

何気にのろける魔神の京楽を放置して、浮竹たちと京楽は転移魔法で魔王城に行ってしまう。

『ちょっと、ボクを置いてかないでよ!魔神なんだよ!?祟っちゃたうよ!?』

そんな声が、古城で響き、魔神の京楽は3人のあとを追って、魔王城に転移するのであった。




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魔王と勇者と25

その日、浮竹は普通に過ごしていた。

京楽と一緒に、書類仕事をしていた。ふと、浮竹が天井を見上げる。

「エトナ神の声が聞こえる」

「え、なんて?」

「我が元にきたれ、愛児よ、と」

「それって‥‥‥」

その時、浮竹の姿が消えた。光り輝く12枚の翼を出したかと思うと、こう言って。

「エトナ神に呼ばれた。神界に強制転移させられる。すまない、戻ってこれるか分からない」

「浮竹!!」

京楽は、浮竹が残した羽を拾いあげて、青い顔になった。

「神界だって?戻ってこれないって‥‥‥浮竹、ボクはエトナ神であろうと君を渡すことはできないよ」

神界に行く方法を、魔神の元魔王の自分なら知っているだろうと、元魔王の京楽の元に転移する。

『どうしたんだい、君一人って珍しいね』

『勇者の俺は一緒じゃないのか?』

お茶を‥‥‥という雰囲気を消し飛ばして、京楽は元魔王の京楽につめよる。

「浮竹が神エトナの元に拉致られたんだよ。しばらく戻ってこれないかもと言っていた。魔神である君になら、神界への行き方が分かるんじゃないかって」

『神、エトナが自分の子を召喚したんだね。事情は分かったよ。神界へ行こう。危ないから、浮竹は留守番‥‥‥」

フェンリルの浮竹は頬を膨らませて、元魔王の京楽の服の袖をつかむ。

『俺も一緒に行く。勇者の俺を迎えに行く』

『はぁ、そう言うと思ったよ。でも、神界は‥‥‥』

『なにがなんでも行くからな!』

フェンリルの浮竹は、一度言い出すと止まらないようだった。

『分かったよ。君も連れていく』

フェンリルの浮竹は尻尾をばっさばっさ振る。

『ボクは魔神だからね。神界へも行けるんだ。ゲートを開くから、そこに入って』

京楽にそう言い聞かせて、元魔王の京楽は古代語で呪文を唱えると、ゲートを開いた。

「ごめん、この恩は必ず返すから!」

京楽がまずはゲートに入る。次にフェンリルの浮竹、元魔王の京楽の順で入り、転移した。


『ふあああああ』

神界は、桜の花が咲き乱れる美しい場所だった。

フェンリルの浮竹が、美しい光景に声をあげる。

「エトナ神、いるんでしょ!浮竹を返して!!!」

京楽が叫ぶ。

ゆらりと空間が揺らいで、とても美しい青年が姿を現す。

「浮竹は、我が子。愛児として愛し、力を与えて地上に返そうと思っていたのだが、わざわざ神階まできたのか」

「力なんてどうでもいい。浮竹を返して」

『そうだぞ!たとえ神にだって、勇者の俺を拉致っていいわけがない!』

フェンリルの浮竹は、エトナ神に噛みつかんばかりの勢いだった。

「私は創造の神。そちらの破壊の魔神と違って、傷つけたりはせぬ」

『ボクは確かに破壊の負を司る君の対極に位置しているけど、勇者の浮竹を返してくれないかな。場合によっちゃ、神界をめちゃくちゃにするよ』

「我が愛児は、愛されているのだな。力はさずげおわった。本来なら神界でしばらく過ごしてもらうところなのだが、神界に魔神がいるのは困る。連れて帰るのなら、好きにせよ」

すーっと、浮竹の体が現れる。

眠っているのか、意識はなかった。

「浮竹!!!」

「眠っているだけだ」

「今後、エトナ神だからって浮竹を勝手に連れて行かないでね。魔神のボクに頼んで、神界めちゃくちゃにしちゃうからね」

『綺麗な世界だけど、勇者の俺を返さないなら暴れる』

フェンリルの浮竹は、がるるるるると、エトナ神を威嚇する。

『落ち着いて、浮竹』

それを、魔神の京楽がなだめる。

『エトナ神、いかに君が勇者の浮竹の親とはいえ、無断で連れていかないでね。ボクが暴れて神界をめちゃくちゃにするのを、二人が願ってしまう。ボクも、返してもらえないと暴れるけどね』

「ふふ、私の愛児はたいそう愛されているようだ。連れて帰るがよい。力は受け渡した」

『エトナの神の力が濃くなってるね』

魔神の京楽が、意識のない浮竹に触れる。

京楽は浮竹をお姫様だっこすると、魔神の京楽に言う。

「帰ろう」

『そうだぞ。神界などぶっそうなところに長居は無用だ』

フェンリルの浮竹は、浮竹を撫でてから魔神の京楽の手を握る。

『転移して元の人間界に戻るよ。魔法陣の中らから、外に出ないでね』

魔神の京楽は、魔力で地面に魔法陣を描くとそこに乗り、京楽と意識のない浮竹、それにフェンリルの浮竹がそこに乗る。

気づけば、魔王城のバルコニーにいた。

「浮竹、力を与えられたって言ってたけど、大丈夫かな」

『エトナ神は、傷つけるような真似はしない。神の力が強くなるだけだよ』

『むう、エトナ神だかなんだか知らないが、勇者の俺を傷つけていたなら消し炭にしてやっていた』

『いや、相手は一応神だからね?無理だからね?』


「ん‥‥‥俺は?確か、エトナ神に呼ばれて‥‥」

「連れ戻しに、神界までおしかけちゃった」

「京楽!?なんて無茶を」

「彼らも、押しかけたっていうか、魔神のボクに神界まで連れて行ってもらった」

浮竹は、魔神の京楽とフェンリルの浮竹を見る。

『よかった、気がついたんだな!無事でよかった!』

フェンリルの浮竹をは、しっぽをばっさばっさ振って、浮竹に抱きつく。

「フェンリルの俺、かすり傷があるな。セイントヒール」

『え、俺怪我してたのか』

「エトナの力でわかる」

『すごいぞ、勇者の俺!』

浮竹は、魔神の京楽を見る。

「その濁った神気、清浄なものにかえてやろう」

『え、そんなことできるの?』

「キュアクリーン」

浮竹は魔法を唱える。

『わお。ほんとにまとう神気が魔神のものじゃなくなってる』

「ただ、お前は魔神だからいずれまた濁る」

『それでも助かるよ。濁った神気で少なからず浮竹に影響を与えていたから』

『ん、俺なら平気だぞ?』

『うん。でも、微妙に食欲落ちたりしてたでしょ。濁ったボクの神気の影響で』

『え、そうなのか?全然気づかなかった』

『全く、浮竹らしいよ』


京楽は、浮竹を抱きしめる。

「君がいなくなった時、このまま帰ってこないんじゃないかと恐怖を感じたよ。無事戻ってこれてよかった」

「エトナ神は、いずれ人間界に返す予定だったらしいが、1カ月は手元にいろって言っていたからな。俺も神界なんかにいたら、退屈で死にそうだ」

京楽と浮竹は、唇が触れるだけのキスをした。

『ええと、ボクたちはこれでお邪魔するね?』

『勇者の俺!魔王な京楽と仲良くな!』

浮竹は我に返り、京楽をはりせんではたく。

「なんで!?ボク、なんかした!?」

「とりあえず全部お前が悪い」

「なんでえええええ!?」

赤くなった浮竹は、魔神の京楽とフェンリルの浮竹を見送るのであった。






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魔王と勇者と24

「エトナ教よりまいりました。どうか、慈悲を。この少女は巫女なのですが、昨年病で失明をしてしまって。浮竹様の力ならと‥‥」

「俺じゃなくても京楽でも治せると思うけどな。まぁいい、エトナ神の祝福あれ‥‥」

浮竹は、12枚の光り輝く翼で少女を包み込む。

エトナ神の慈悲を与える。

「目、目が!見えます、大神官様!」

「おお。神の御業だ。浮竹様、どうかこの星金貨2千枚をお納めください。少ないですが、エトナ教で慈悲をこう者がいたら、助けてやってほしいのです」

「俺もエトナの子だからな。分かった。祝福を求めにやってくる者には、慈悲を与えよう」

「おお。エトナ神よ、エトナの子と共に繁栄あれ!」

そう言って、エトナ神の大神官と巫女は帰っていった。

「いいの、そんなの引きうけちゃって」

「エトナの子としての使命も、一応あるからな。京楽だって、月に一度金もとらずに病や怪我を癒したりしてるじゃないか」

「まぁ、魔王だけどいい魔王だって認めてもらうためにね」

京楽は、苦笑する。

「京楽のほうがえらい気がする。俺はエトナの子として覚醒する前はモンスター退治だけだったからな。今も勇者だが、エトナの子としてのほうが知名度が高い」

「まぁいいんじゃないの。エトナ教も新エトナ教も、聖女教と違って暗殺しようと刺客さしむけてこないだけ」

「ああ、昨日自称勇者を名乗る少年を消し炭にしておいた」

「ボクの知らないところで、勇者らしからぬことしてるし」

「俺は勇者だが、魔王であるお前の伴侶だ。魔王に害をなそうとする者は排除する。それがたとえエトナ教の者であろうと」

浮竹は、輝く一対の翼を震わせる。

「愛してるよ、浮竹」

「俺も愛してる、京楽」

その日は、久しぶりに交わった。



「あ、ひあん!」

「いいんでしょ?」

「やあああ」

京楽が強く奥を突きあげると、浮竹は弓なりに背をしならせて、オーガズムでいっていた。

「好きだよ、十四郎」

「あ、春水、もっとおお」

浮竹が求める。

それにこたえて、京楽は浮竹を貫き、奥を抉って揺さぶった。

「あああ、いっちゃううう」

「こっちもいきたそうにしてるよ?」

中いきばかりを覚えて、浮竹のものは京楽の手で射精することが多くなった。

「ひあああああん、そっちはだめええええ」

「こっちもいってしまいなよ。ほら、同時にいくの好きでしょ?」

「あああああ!!」

京楽の手でしごかれて、浮竹はオーガズムでいきながら、京楽の手の中に精液をはきだしていた。

「ひあああん!」

最奥を突かれて、子種を弾けさせられて。しゅわああと浮竹は潮をふく。

「やあああ、おもらしやあああ」

「潮って何度説明しても理解しないねぇ」

「やあああ」

また潮をふきながら、浮竹は京楽に手でしごかれて射精していた。

「やあ、もぅでない」

「まだいけるでしょ」

「やあん、むりい」

浮竹は二度精液を出しただけなので、まだ出せそうだった。

京楽は、浮竹の中に出せる子種を全て出してから、引き抜く。

こぽりと、精液が逆流してくるのもかまわず、浮竹のものを口にふくんだ。

「ひあん!」

「まだ、出そうだね」

「だめぇ、そんなことされたら」

「浮竹のものは味がついてるから。甘いよ?」

「んあっ」

浮竹は、交わる前に甘い液体を飲む。精液の味がかわるものだった。

「今度、ボクに奉仕してね?精液甘くなるようにするから」

「ああああ、いくううう」

「好きだなだけいきなよ」

「ひああああ!!!」

浮竹は京楽の口の中で白濁した液体を二度続けて出して、ぐったりとなる。

「もう、でない」

「うん。続きはまた今度で。エトナの子の精液となると、欲しがる女が多いだろうねぇ。まぁ、浮竹は髪の毛一本に至るまでボクのものんなんだけど」

京楽は、浮竹をお姫様抱きして風呂に入り、中にだしたものをかきだして、身を清めてやった。

「もう、またしばらくお前とは寝ない」

「なんで!」

「こっちの身がもたん」

「じゃあ、軽く2回だけにするから」

「前も同じようなことを言って、俺を抱きつぶしただろうが」

「えー、そんなことないよ」

「俺は覚えているぞ」

「うわ~~ん。エトナの慈悲を!」

「こんなことにエトナの慈悲が与えられるはずがないだろう」

浮竹は新しい衣服を着て、疲れたのでベッドに横になる。京楽はその隣にもぐりこんでくる。

「もう、何もするなよ」

「抱きしめるくらい、いいよね?」

「それくらいなら‥‥‥」

疲れのせいもあり、やがて浮竹は眠りにつく。

「君がエトナの子でも、エトナには渡さない。ボクのものだ」

エトナ神は、エトナの子を手元に置きたがっていると、エトナ教徒から聞いたのだ。

たとえ創造神で絶対神であろうとも、浮竹は渡さない。

京楽は、浮竹の額にキスをして、一緒に眠るのであった。





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オメガバース恋白読み切り短編10

椿茶屋。

そこに、朽木白哉という名の色子がいた。

年は二十を少しこしたあたり。

絹のような艶やかなやや長い黒髪と、黒曜石の瞳、白い肌をもつ、美貌の青年であった。

本来なら、陰間茶屋などにいないタイプだ。

気品と品格があり、彼が元上流貴族であることがうかがえた。

両親が事業に失敗し、貴族の位を剥奪されて莫大な借金だけが残った。

両親は、白哉と妹のルキアを残して自殺した。白哉が選んだ道は、ルキアを売られないために自分を売ることだった。

妹のルキアも美しく、花街に売られて花魁になる予定だった。

白哉は、それを防ぐために自分を売った。元上流貴族ともっている美貌もあいまって、花街でもどこの店も欲しがった。

理由があった。

白哉は、オメガだった。

オメガは普通、すぐにアルファの婚約者ができて、花街で売られない。

だが、白哉の両親は白哉がオメガであることを隠して育てた。上流貴族なのに、オメガが生まれてくるなど恥でしかないと。

妹のルキアはアルファだった。

アルファの花魁も、金になる。

白夜をオメガと知らない親戚の連中は、ルキアを売ろうとした。ルキアを守るために、白哉は自分がオメガであることを明らかにして、花街に売られるなら自分が行くと言った。

結果、椿茶屋の色子になった。

「ふ‥‥‥今日もまた、きたのか」

白哉は、赤い髪の青年を見る。

まだ成人したばかりで、白哉より年は3つほど下だったが、上流貴族で金回りのいい、白哉の上客だった。

「恋次」

「白哉さん‥‥」

「私をわざわざ買わずとも、美しい花魁がいるであろう」

「白哉さんほど美しい人はいません」

「また、そのような」

白哉は笑う。艶やかで、紅をぬっていないのに紅い唇が、印象的だった。

「今日もあんたを買う。そして、いつか身請けする」

「私の揚げ代は高いであろう。いかに上流貴族とはいえ、そうそう毎度買える値段ではないはずだ」

「いらない屋敷を一軒売った」

「私を買うためにか」

「そうです」

恋次は、真剣だった。

「あんたが好きです。俺の番になってください」

「今の私は色子だ。誰かと番になることはない」

「はい。だから、身請けします」

恋次は本気のようだった。阿散井恋次。白哉と違い、上流貴族でも4大貴族に最も近い、名のある貴族だった。

阿散井家の当主であり、金は自由に使えたが、それでも白哉の身請け金は高く、もっている屋敷などを売り飛ばして、資金を作るつもりであった。

恋次には、4大貴族の姫君の婚約者がいた。

白夜のことを知って、刃物を手に店に押し入ろうとしたことがあった。

恋次に婚約破棄され、その元婚約者は白哉のことを恨んでいた。

「私を身請けしたところで、婚約者がいたであろう」

「婚約破棄しました。あんたと一緒になりたいから」

「愚かな‥‥‥‥」

4大貴族を敵に回すことが、どんなに恐ろしいことなのか、恋次はまだ知らない。

もっとも、恋次の元婚約者は4大貴族とは名ばかりで没落寸前だった。

「あんたが、好き、です」

もう何百回目になるかも分からない言葉を受けながら、白哉は恋次に抱かれた。


「明日は仕事があるので、あさってまたきます」

「そんなに私を買っていると、いくら金があるとはいえ減っていくぞ」

「今、あんたを身請けする資金を作っています。もうちょっとだけ、待ってください」

「ふ、期待せずに待っておく」



「白哉さん」

「‥‥ん、恋次?」

夜を客と過ごし、昼に寝ていると名を呼ばれ、恋次かと思った。

「よくもあたしの恋次をたぶらかしたわね。あんたなんか、隣国に売ってやる!」

それは、恋次の元婚約者と金で雇われた荒くれ者たちだった。

「誰か!」

「無駄よ。みんな、薬で眠ってるわ。あんたは色子が嫌になって逃げだしたけど、他に食べていく方法がなくって、隣国でまた色子になるのよ」

「愚かな‥‥」

パンと、元婚約者は、白哉の頬を叩く。

汚したところで、色子だ。意味はあまりない。

「恋次に振られたことが、そんなに頭にきたのか」

「うるさい!お前さえいなければ、あたしは阿散井家の金で贅沢できたんだ!」

白哉は、荒くれ者たちに縛られて、馬車に押し込まれる。

「あはははは、あんたなんて隣国で死ぬがいいわ」

「恋次‥‥‥ルキア‥‥」

ただ、残していく恋次と妹のルキアのことが心配だった。

馬車が動きだす前に、花街の検査があった。足抜けをしようという者を探すためだった。

「ちっ、強行突破よ!」

「待て、そこの馬車!」

「椿茶屋に賊がはいったらしい!あの馬車が怪しい!止めろ止めろ!」

花街を抜けそうなところで、白哉は花街の男衆に助けられた。

「これは、椿茶屋の色子だな。おい、オメガの色子を攫おうとした罪は重いぞ!おまけに、この色子はもう身請けが決まっている!」

白哉は、目を見開く。

男衆に縄を解かれて自由になると、白哉は捕まった元婚約者の女を見た。

「兄は、そんなようだから恋次に婚約を破断にされるのだ」

「うるさいうるさい!お前になにが分かる!」

「分からぬ。だが、私よりは自由な身であっただろうに。こんなことをして、人生を台無しにするとは愚かとしか言えぬ」

「みんなあんたのせいよおおおお!淫乱な色子のくせに、あたしの恋次に手を出すから!」

「恋次は客だ。私が手を出したのではなく、あちらから私を買って、手を出してきたのだ」

「ああああああ!!!」

元婚約者の女は、狂ったように叫びながら、荒くれ者の仲間と一緒に連れていかれた。




「白哉さん!攫われそうになったって!怪我ありませんか!」

「ない。隣国に売る計算だったらしい。傷ものでは、値が落ちるからな」

「よかった‥‥無事で。もう、あんたを他の男に抱かせたくない。俺だけを見てほしい。あんたを、身請けします」

「本気か?」

「本気です。番にします」

恋次は、大金のかわりになる為替を店の主人に渡した。

「白哉、幸せにおなり」

[主殿‥‥‥」

恋次は、立派な馬車をもってくると、白哉を乗せて、後続の馬車に白哉の荷物を乗せて、花街を後にする。

「まさか、本当に身請けするとは‥‥」

「頑張って、資金ためました。財産の4分の1くらい吹き飛んだけど、どうってことないっす」

白哉は、恋次に連れられて、恋次の館にきていた。

「今日から、ここがあんたの家です」

「ふむ‥‥‥私をいつ抱くのだ?」

「う、え、いいなら今からでも!」

「番にするのであろう?この防止用の首輪は、もう不要だな」

白哉は、うなじを保護するための首輪に触れる。

「あ、鍵もらってきましたから。今、外しますね」

カランと音をたてて、首輪が外される。

「褥、用意してます。行きましょう」

「仕方ない‥‥‥‥」

白哉は、恋次の切ない思いにこたえることにした。



「あああああ!!」

貫かれ、揺すぶられて白哉は黒髪を乱す。

「俺だけのものだ‥‥‥」

「ひあう!」

「子種たくさんあげるから、俺の子産んでくださいね?」

「ひああああ!」

奥を抉られる。

「やあああ」

中いきを繰り返して、白哉は乱れた。

「アフターピル用意してないっすからね。孕んでくださいね?」

「あ、あ!」

恋次に貫けれるたびに、白哉が短く声をあげる。

色子として誰かに抱かれるのは慣れていたが、恋次は愛情でぶつかってくるので、白哉もいつもの数倍感じていた。

抱かれる前に飲まされた白湯に、媚薬が入っていたのだろう。

こんなに乱れるのは久しぶりだった。

「あ、早く」

「今、子種あげますからね」

「ひああああ!あああ!」

うなじを噛まれた。

「番になります」

もう一度交わりながら噛まれて、全身を電流が走りぬける。

「これで、正式にあんたは俺のものだ。白哉」

「あ‥‥‥」

胎の奥に広がっていく恋次の子種をたっぷりと受けとりながら、白哉は涙を零した。

番にはなったが、色子でなくなった。もう、客をとる必要はない。恋次だけに抱かれていればいい。

「ルキアを‥‥‥」

「承知してます。ルキアは阿散井家で引き取ります」

恋次が、ふと愛しいと思った。

自分のためにここまでしてくれるのだから。

「今、そなたに恋をした。愛している、恋次」

「ほんとっすか!」

「嘘などついて何になる」

「めっちゃ嬉しいです。番になっても、あんたの心を手に入れるのに時間かかると思っていたから」

「色子や遊女に恋はご法度だからな」

白哉は、美しい顔で言う。

「あんたはもう、色子じゃない。阿散井白哉だ」

「籍までいれるのか」

「あたりまえです。あんたは、正式な阿散井家当主阿散井恋次の妻だ」

「私は男なのだが」

「オメガなんで、性別とか関係ないっす」

「ふ‥‥‥そうか」

白哉は柔らかく笑った。

番になった恋次と共に、眠りにつく。



白哉は、ヒート期間がこないように椿茶屋にいた時は薬を飲まされていたが、恋次に身請けされて飲む必要もなくなり、ほどなくしてヒートがきた。

「あ、恋次。抱いてくれ」

「白哉さん‥‥」

「私を、そなたの色でそめあげろ」

恋次を誘う白哉は、艶やかで美しかった。色子の頃から変わらぬ美しさを、いや、恋次に愛されて恋次を愛して、より一層美しくなった。

「恋次、私を愛せ」

「もちろんです」

美しい専用にあつらえた白哉の着物を脱がしていく。

「あ‥‥‥‥」

胸にいくつものキスマークをつけられる。

「ん‥‥‥‥」

指でぬれている蕾を解され、ゆっくりと恋次がはいってくる。

「あ、もっと乱暴にしてもかまわぬのだぞ」

「いやです。あんたを大切にしたい」

恋次は、白哉が色子の時代から大切に大切に白哉を抱くことが多かった。

番になった時は、少しばかり羽目を外していたが。

「あ、奥にこい。恋次の子種が欲しい」

「ああもう、あんたあおりますね」

恋次は、白哉の快感を重視して奥に侵入する。

「ああああ!!!」

「きもちいいっすか?」

「や、聞くな」

「子種、たっぷりあげますからね。阿散井家の次期当主を、産んでくださいね」

「ひああああ!」

奥を抉られて、白哉は背を弓なりにしならせていってしまう。

「奥を抉られるの好きですよね?」

「やああああ」

「愛してます、白哉さん」

「あああ‥‥‥恋次‥‥‥」

白哉は、艶やかに微笑んだ。

「恋次の子を、産んでやろう。子種をもっとよこせ」

「ああもう、なんであんた俺をこんなにあおるの上手なんだ。大切にしたいのに」

「十分大切にしてもらっている。たまには乱れるのもいいであろう?」

「こんな風に、他の男にも抱かれてたんですか」

「色子の仕事をしていた時は、確かに乱れる時もあったが、心はなかった。今の私は、心も動いている。恋次、そなたを愛している」

白哉は、恋次に自分から口づける。

入れ墨がされた体に手を伸ばし、背に手を回す。

「はじめ、そなたの入れ墨を見た時は驚いたが、今はそれすら愛しくかんじる」

「たまにまた彫ってますよ」

「痛くはないのか?」

「少し痛いかも」

「ふふ、恋次でも痛みを感じるのだな」

「あんたが攫われたって聞いた時は、心が痛すぎて涙でそうになった」

恋次は、白哉を組み敷いて、白哉の最奥に子種を注ぎこむ。

「んあ‥‥‥‥」

淫らになる白哉を見れるのは、恋次だけだ。

「もっと?」

「あ、もっと‥‥‥ヒート期間なのだ。子種をもらうと、熱がおさまっていく」

「あんたが満足するまで抱きますよ」

「恋次、すまぬ」

白哉は、白皙の美貌をやや紅色に染めて、恋次を抱きしめる。

それにこたえるように、恋次は白哉の噛み痕のある番の証であるうなじにキスをする。

「幸せになりましょう」

「もう、十分幸せだ。ルキアまで保護してもらったし、私は色子ではなくなって体を売る必要もなくなった。今は、恋次のものだ」

「今度、式挙げませんか」

「身内だけでいいのなら」

「はい。あんたがそう望むなら、身内だけで挙げます」

恋次は、どこまでも白哉に甘い。



白夜が懐妊したと分かったのは、それから半月後のことであった。

残念ながら、一度目の子は流産してしまったが、その半年後にはまた懐妊して、無事跡継ぎとなる男児を産んだ。

ルキアにも、黒崎一護という伴侶ができた。

4大貴族の一人だ。

白哉は、色子であった時代を後悔などしていない。

恋次と出会えたのだから。

恋次のものになり、オメガとしてアルファの跡継ぎを産み、周囲からはいろいろ言われていたが、恋次が黙らせた。

白哉は、阿散井白哉として恋次と共に長い人生を歩んでいくのであった。







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