奴隷竜とSランク冒険者19
「白哉に見合い話がきているのを、台無しにしてほしい?」
浮竹が、ルキアの言葉に首を傾げた。
「そうなのです。兄様に見合いの話がきているんですが、隣国の王族の姫君で・・・・こちら側からお断りするのが無理そうなので、是非京楽殿と浮竹殿でお見合いをめちゃくちゃにしてほしいのです」
「ねぇ、それしたら僕らが隣国に睨まれない?」
「大丈夫です!兄様が、脅しをかけるはずなので」
「はぁ・・・・・まぁいいけど、依頼料はもらうよ?」
「京楽、知り合いなんだから金をとらなくてもいいだろう」
「こっちは商売なんだよ。浮竹、金はもらうべし」
「ふむ」
そうして、浮竹と京楽は、白哉のお見合いを無茶苦茶にするべく、行動を開始した。
まず、白哉にめちゃめちゃださい服を着させて、お見合いに挑ませた。
でも、隣国の姫は。
「変わったファッションですね。とてもお似合いですわ」
と言って、幻滅しない。
白哉の凛と整った美貌は、男にしておくのは勿体ないほどで、ださい服を着させても、佇まいや所作で上流貴族の品格が滲みでる。
次に浮竹と京楽がとった行動は、薄めたモレ草を姫君に盛った。
「おほほほほ、ちょっとお花摘みに」
そう言って、1回だけトイレにいっただけで、進歩なし。
「おかしい。モレ草は薄めたが、トイレから出れるはずがない」
「あの姫君、もしかして毒とかに強いのかも」
浮竹と京楽は、お見合いの席の近くでこそこそとやりとりをする。
次に二人がとった行動は、王国の騎士団長である四楓院夜一を巻き込んでの、すでに恋人がいる作戦だった。
「ほう、お主、わしというものがありながら、見合いをするとは何事じゃ」
「あの、こちらの方は?」
「四楓院夜一。私の知り合いだ」
「お主、見合いを成功させたくないのじゃろう!なぜに恋人と言わぬ!」
夜一が白哉のそっけない態度にきれて、本当のことを言ってしまい、夜一は機嫌を損ねて早々に退場してしまった。
こそこそと、浮竹と京楽が会話する。
「なあ、白哉は本当にこの見合いを不成功にさせたいのか?」
「そんなの、僕が知りたいよ」
「さっきから、何をしているのかと思えば、兄らか」
白哉に見つかり、素直に義妹のルキアが、お見合いをぶち壊してほしいと依頼をしてきたと白状する。
「心配をかけなくとも、見合いは断る。姫、私はこのムーンホワイトドラゴンに命を握られている」
「え、どういうことですの」
「私と結婚すると、竜の厄災が末代まで続く」
浮竹は、外に皆を出すと竜化してムーンホワイトドラゴンになった。
「ひっ、ド、ドラゴン!」
姫君は、失神寸前であった。
「このドラゴンに呪いをかけられているのだ。結婚すると、体に鱗がはえてきて、いずれドラゴンのような体になる」
白哉の落ち着いたものいいと、いつもの服装に着替えての凛とした口調に、姫君は顔を青くする。
「ほら、見合いをするから、姫君の腕にも鱗が・・・・・」
「きゃああああああ、いやあああああああ!!こんなお見合いお断りよ!!」
白哉は、幻覚の魔法で姫の腕に鱗を生えさせているように見せたのだ。
姫は混乱して、それが魔法による幻覚と分からず、分かったところで触感なども伴っているので、本当に鱗が生えたと感じるはずだった。
「ドラゴンに末代まで祟られるなんていやよ!いい男だけど、それよりも私の美貌がドラゴンの呪いで鱗にまみれて醜くなってしまうのはいやよ!」
姫君が連れていた従者たちは皆文官で、魔法に詳しくなかった。
「皆の者、早く国に帰って、穢れを祓うために神殿にこもりますわよ!」
そう言って、姫君は馬車に乗って、お見合いの舞台であった朽木家を飛び出していった。
「俺の呪い・・・・・」
「浮竹、大丈夫、浮竹に呪いなんてないよ」
「知っている」
「すまぬ、浮竹。兄のドラゴンというのを利用させてもらった」
白哉は、すまなそうな顔をして、浮竹に謝った。
「まぁ、結果オーライだからいいだろう。ドラゴンの鱗が生える呪いか・・・・実際に、あるんだがな」
「え、あるの?」
「邪竜の呪いだ。邪竜の中でも呪いに特化した者が使える、呪詛にある」
「ひええええ」
「大丈夫、俺は使えないし、大地母神の大神官長クラスになれば解ける呪いだ」
「大地母神の大神官長は、白金貨5万枚以上は払わないと、処置してくれないよ」
「だから、邪竜の呪いに特化した者の呪いだ。普通はそんな呪い受けない。初期段階であれば、神官の祝福でも治る」
「そういうものなの」
「ああ、そういうものだ」
「兄様、見合いは無事破綻したのですね!」
「ルキア、浮竹と京楽を巻き込まなくとも、断っていた」
「しかし、隣国の王族。上流貴族とはいえ、王族には・・・・・」
「私は、冒険者だ。緋真亡き今、他の妻を娶るつもりもないし、見合いを上の身分から押しかけられたら一応は見合いはするが、ちゃんと断る。余計な心配をかけてすまぬ、ルキア」
「兄様!」
「ルキア・・・・・・」
二人は見つめ合い、白哉はルキアの中に亡き妻の面影を見て、懐かしそうな顔をしていた。
「ルキア、一護と共に、今度恋次も一緒にSランクダンジョンに挑まぬか?」
「え、いいのですか。私と一護はまだAランクですよ!」
「Sランクの者が一人以上いれば、ダンジョンには入れる」
「やった!一護に、伝えてきますね。あと、恋次にも」
ルキアは、同じ朽木家に暮らすことになった一護と恋次を探しに行った。
ルキアは一護と恋次と結婚している。
一夫多妻ならぬ、一妻多夫である。
「はぁ。依頼料ももらえそうにないし、帰ろうか」
「そうだな」
「まて、浮竹、京楽」
「「ん?」」
「これをやる。迷惑をかけた償いだ」
「わお、神の秘薬エリクサーじゃない。白金貨20万枚はするよ。いいの?」
「ああ。我が家にはそれがたくさんある。使いことも少ないので、やる」
「金持ちは違うな・・・・・・」
浮竹と京楽も、Sランク冒険者として財はそこそこにあるが、さすがに上流貴族にはかてない。
もっとも、京楽が引き継ぐはずの上流貴族の財もかなりのものであるのだが、京楽は上流貴族であることを嫌い、ほぼ出奔した形になっている。
「ありがたくもらっておくよ。緊急時に使うかもしれないから、とっておくね」
神の秘薬というだけあって、エリクサーはどんな状態異常や怪我でもたちどころに癒してくれる。
浮竹は、エリクサーを見るのは初めてで、小瓶の中につまった虹色に光るきらきらした液体を、太陽の日に透かせて、飽きる事なく眺めていた。
「じゃあ、僕たちはこれで。行くよ、浮竹」
「ん、ああ。白哉にルキア、またな」
エリクサーをアイテムポケットにしまいこむ。
「エリクサーあるなら、邪竜討伐もできるな」
「うん。でも、今のところ活動中で駆除依頼の出ている邪竜はいないよ」
「まぁ、ドラゴンは珍しいし、その中でも邪竜はさらに珍しいからな」
白哉のお見合いは見事に破綻し、隣国の姫君はドラゴンの呪いを恐れて、報復行動などには出ずに、白哉とルキアは、また共にいれるのは変わりなかった。
朽木家に、ルキアの夫として婿入りした一護と恋次もいるのだが。
朽木家は静かなところだったが、ルキアが結婚してからというもの、ことあるこごとに一護と恋次が騒ぐので、たまに白哉が二人を氷漬けにしたりするらしい。
「さて、次の依頼は何かいいのあるかな~」
「お、ピクシーの捜索依頼だってさ。依頼料は少ないが、ピクシーを見てみたい」
「じゃあ、その依頼受けよっか」
京楽と浮竹は、早くも次のクエストを探すのであった。
浮竹が、ルキアの言葉に首を傾げた。
「そうなのです。兄様に見合いの話がきているんですが、隣国の王族の姫君で・・・・こちら側からお断りするのが無理そうなので、是非京楽殿と浮竹殿でお見合いをめちゃくちゃにしてほしいのです」
「ねぇ、それしたら僕らが隣国に睨まれない?」
「大丈夫です!兄様が、脅しをかけるはずなので」
「はぁ・・・・・まぁいいけど、依頼料はもらうよ?」
「京楽、知り合いなんだから金をとらなくてもいいだろう」
「こっちは商売なんだよ。浮竹、金はもらうべし」
「ふむ」
そうして、浮竹と京楽は、白哉のお見合いを無茶苦茶にするべく、行動を開始した。
まず、白哉にめちゃめちゃださい服を着させて、お見合いに挑ませた。
でも、隣国の姫は。
「変わったファッションですね。とてもお似合いですわ」
と言って、幻滅しない。
白哉の凛と整った美貌は、男にしておくのは勿体ないほどで、ださい服を着させても、佇まいや所作で上流貴族の品格が滲みでる。
次に浮竹と京楽がとった行動は、薄めたモレ草を姫君に盛った。
「おほほほほ、ちょっとお花摘みに」
そう言って、1回だけトイレにいっただけで、進歩なし。
「おかしい。モレ草は薄めたが、トイレから出れるはずがない」
「あの姫君、もしかして毒とかに強いのかも」
浮竹と京楽は、お見合いの席の近くでこそこそとやりとりをする。
次に二人がとった行動は、王国の騎士団長である四楓院夜一を巻き込んでの、すでに恋人がいる作戦だった。
「ほう、お主、わしというものがありながら、見合いをするとは何事じゃ」
「あの、こちらの方は?」
「四楓院夜一。私の知り合いだ」
「お主、見合いを成功させたくないのじゃろう!なぜに恋人と言わぬ!」
夜一が白哉のそっけない態度にきれて、本当のことを言ってしまい、夜一は機嫌を損ねて早々に退場してしまった。
こそこそと、浮竹と京楽が会話する。
「なあ、白哉は本当にこの見合いを不成功にさせたいのか?」
「そんなの、僕が知りたいよ」
「さっきから、何をしているのかと思えば、兄らか」
白哉に見つかり、素直に義妹のルキアが、お見合いをぶち壊してほしいと依頼をしてきたと白状する。
「心配をかけなくとも、見合いは断る。姫、私はこのムーンホワイトドラゴンに命を握られている」
「え、どういうことですの」
「私と結婚すると、竜の厄災が末代まで続く」
浮竹は、外に皆を出すと竜化してムーンホワイトドラゴンになった。
「ひっ、ド、ドラゴン!」
姫君は、失神寸前であった。
「このドラゴンに呪いをかけられているのだ。結婚すると、体に鱗がはえてきて、いずれドラゴンのような体になる」
白哉の落ち着いたものいいと、いつもの服装に着替えての凛とした口調に、姫君は顔を青くする。
「ほら、見合いをするから、姫君の腕にも鱗が・・・・・」
「きゃああああああ、いやあああああああ!!こんなお見合いお断りよ!!」
白哉は、幻覚の魔法で姫の腕に鱗を生えさせているように見せたのだ。
姫は混乱して、それが魔法による幻覚と分からず、分かったところで触感なども伴っているので、本当に鱗が生えたと感じるはずだった。
「ドラゴンに末代まで祟られるなんていやよ!いい男だけど、それよりも私の美貌がドラゴンの呪いで鱗にまみれて醜くなってしまうのはいやよ!」
姫君が連れていた従者たちは皆文官で、魔法に詳しくなかった。
「皆の者、早く国に帰って、穢れを祓うために神殿にこもりますわよ!」
そう言って、姫君は馬車に乗って、お見合いの舞台であった朽木家を飛び出していった。
「俺の呪い・・・・・」
「浮竹、大丈夫、浮竹に呪いなんてないよ」
「知っている」
「すまぬ、浮竹。兄のドラゴンというのを利用させてもらった」
白哉は、すまなそうな顔をして、浮竹に謝った。
「まぁ、結果オーライだからいいだろう。ドラゴンの鱗が生える呪いか・・・・実際に、あるんだがな」
「え、あるの?」
「邪竜の呪いだ。邪竜の中でも呪いに特化した者が使える、呪詛にある」
「ひええええ」
「大丈夫、俺は使えないし、大地母神の大神官長クラスになれば解ける呪いだ」
「大地母神の大神官長は、白金貨5万枚以上は払わないと、処置してくれないよ」
「だから、邪竜の呪いに特化した者の呪いだ。普通はそんな呪い受けない。初期段階であれば、神官の祝福でも治る」
「そういうものなの」
「ああ、そういうものだ」
「兄様、見合いは無事破綻したのですね!」
「ルキア、浮竹と京楽を巻き込まなくとも、断っていた」
「しかし、隣国の王族。上流貴族とはいえ、王族には・・・・・」
「私は、冒険者だ。緋真亡き今、他の妻を娶るつもりもないし、見合いを上の身分から押しかけられたら一応は見合いはするが、ちゃんと断る。余計な心配をかけてすまぬ、ルキア」
「兄様!」
「ルキア・・・・・・」
二人は見つめ合い、白哉はルキアの中に亡き妻の面影を見て、懐かしそうな顔をしていた。
「ルキア、一護と共に、今度恋次も一緒にSランクダンジョンに挑まぬか?」
「え、いいのですか。私と一護はまだAランクですよ!」
「Sランクの者が一人以上いれば、ダンジョンには入れる」
「やった!一護に、伝えてきますね。あと、恋次にも」
ルキアは、同じ朽木家に暮らすことになった一護と恋次を探しに行った。
ルキアは一護と恋次と結婚している。
一夫多妻ならぬ、一妻多夫である。
「はぁ。依頼料ももらえそうにないし、帰ろうか」
「そうだな」
「まて、浮竹、京楽」
「「ん?」」
「これをやる。迷惑をかけた償いだ」
「わお、神の秘薬エリクサーじゃない。白金貨20万枚はするよ。いいの?」
「ああ。我が家にはそれがたくさんある。使いことも少ないので、やる」
「金持ちは違うな・・・・・・」
浮竹と京楽も、Sランク冒険者として財はそこそこにあるが、さすがに上流貴族にはかてない。
もっとも、京楽が引き継ぐはずの上流貴族の財もかなりのものであるのだが、京楽は上流貴族であることを嫌い、ほぼ出奔した形になっている。
「ありがたくもらっておくよ。緊急時に使うかもしれないから、とっておくね」
神の秘薬というだけあって、エリクサーはどんな状態異常や怪我でもたちどころに癒してくれる。
浮竹は、エリクサーを見るのは初めてで、小瓶の中につまった虹色に光るきらきらした液体を、太陽の日に透かせて、飽きる事なく眺めていた。
「じゃあ、僕たちはこれで。行くよ、浮竹」
「ん、ああ。白哉にルキア、またな」
エリクサーをアイテムポケットにしまいこむ。
「エリクサーあるなら、邪竜討伐もできるな」
「うん。でも、今のところ活動中で駆除依頼の出ている邪竜はいないよ」
「まぁ、ドラゴンは珍しいし、その中でも邪竜はさらに珍しいからな」
白哉のお見合いは見事に破綻し、隣国の姫君はドラゴンの呪いを恐れて、報復行動などには出ずに、白哉とルキアは、また共にいれるのは変わりなかった。
朽木家に、ルキアの夫として婿入りした一護と恋次もいるのだが。
朽木家は静かなところだったが、ルキアが結婚してからというもの、ことあるこごとに一護と恋次が騒ぐので、たまに白哉が二人を氷漬けにしたりするらしい。
「さて、次の依頼は何かいいのあるかな~」
「お、ピクシーの捜索依頼だってさ。依頼料は少ないが、ピクシーを見てみたい」
「じゃあ、その依頼受けよっか」
京楽と浮竹は、早くも次のクエストを探すのであった。
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奴隷竜とSランク冒険者18
異能力者の浮竹と京楽が気づくと、どこかで見たことのある光景だった。
『ああ、また異世界に来ちゃったみたいだよ』
『本当か?また、ドラゴンの俺に会えるのか?』
異能力者の浮竹と京楽が出た場所は、高級宿の風呂場だった。
「ふんふーん」
ガラッと扉があいて、全裸の冒険者の京楽が入ってくる。
『もあああああああ』
『うわあああああああ』
「何で君たちがここにいるの。ぎにゃあああああああああ」
能力者の京楽は、すっぽんぽんの冒険者の京楽を浮竹に見せまいと、殴った。
殴られて、石鹸で足を滑らせた冒険者の京楽は、頭を打った。
「どうしたんだ!?」
慌ててやってきたドラゴンの浮竹が、状況を見て。
「・・・・・・3P?」
とかいうので、とりあえず意味が分からないので、異能力者の浮竹は笑って、異能力者の京楽は眉根を寄せて、冒険者の京楽は腰にタオルを巻いて、ドラゴンの浮竹に泣きついた。
「もう一人の僕がいじめる!」
『そんなことより、早く服着てくれないかな。僕の浮竹に汚いもの見せないでくれる』
「ほら、いじめてくるううう」
「京楽、とりあえず服を着ろ。風呂はまた後で入ればいいだろう」
「うん、分かった。服を着るよ」
ドラゴンの浮竹の言葉には、冒険者の京楽は素直に従う。
「召還されるのはいいが、何故に風呂場・・・・」
『そう言われても、ボクにも分からないよ』
『ドラゴンの俺、前より美人になってないか?』
「気のせいだ」
番として冒険者の京楽から性的なことで、エナジーを吸収しているせいで、浮竹は男性的な印象が薄くなり、中性的になっていた。
「また、こっちの世界にきたのか。この前もきてたよな。どれだけいられるのか分からないが、歓迎しよう」
『ドラゴンの俺、ダンジョンにまた行きたい!』
「そうか。今度はゴブリンなんかの雑魚がでない、Sランクダンジョンに行くか?」
『行ってみたい!」
『だめだよ、浮竹。ダンジョンは危ないから』
『京楽、いってみたい』
きらきらした目で見つめられて、異能力者の京楽はうっとなって、折れた。
『分かったよ。でも、危なくなったらすぐボクかこっちの二人を頼ること。いいね?』
『ああ、分かった』
「僕は殴られた謝罪もうけてない上に、ダンジョンに連れて行かれるのか・・・・・」
「京楽、仕方ないだろう。異世界の俺たちがいれる時間は短いんだから」
そうして、難易度の高いSランクダンジョンに行くことになった。
「センチビート。毒を吐いてくる巨大な芋虫だ」
「毒は中和できるから。リポイズン」
冒険者の京楽が、全員にリボイズンの魔法をかける。
「液体が酸性なので、気をつけるように」
『え、何か言った?』
異能力者の京楽は、センチビートを欠片も残さず殲滅してしまっていた。一方の、異能力者の浮竹は、力任せに引きちぎって酸性の体液を浴びるが、どうってことないのか平然としていた。
「なんていうか・・・・いろいろな意味で規格外だな」
「そうだね。風呂で殴られた謝罪、まだ受けてないよ」
冒険者の京楽は、殴られたことを根にもっているらしかった。
下層に降りていき、ミノタウロスが出てくる。
『わぁ、でっかい牛だな!』
「ミノタウロスは高級食材だ。あまり傷をつけず仕留めて、昼食の材料にしよう」
『えー、こいつらを食うの?』
異能力者の京楽は、モンスターを食べるのに抵抗があるらしかった。
「カラミティファイア!」
「京楽、ミディアムレアで頼むぞ」
「承知してるよ!」
倒す段階で、すでに調理に入っていた。
こんがりと焼けたミノタウロスを解体し、シャトーブリアンの部分を、異世界の二人に出す。
「白金貨10枚はするステーキだ」
『高いんだね。モンスターを食べるのはちょっと勇気いるけど・・・・ん、おいしいね』
異能力者の京楽は、一口食べてその味が美味しすぎることに気づく。
『京楽、これなんだ!?こんなうまい肉、食べたことがないぞ!』
「お土産に持って帰る?」
『いいのか?』
「凍結魔法で腐らないようにしておいてやるから、持って帰るといい」
「僕、まだ風呂場で殴られた謝罪を受けてない・・・・おしいしけど、謝罪・・・・・」
「京楽、お前しつこいぞ」
「浮竹にまで怒られた。うわあああああん」
泣きながら、冒険者の京楽はミノタウロスのステーキを何枚も食べた。
『よく食べるね・・・・・おいしいけど』
「ああ、京楽はミノタウロスのステーキが好物だからな」
『シャトーブリアンの部分、あげるよ。風呂場で殴った謝罪の代わり』
「え、シャトーブリアンの部分くれるの?君って、ほんとはいいやつ?」
自分と同じ顔の人物を見て、冒険者の京楽はシャトーブリアンのステーキをもらって食べた。
「ああ、生きてるって素晴らしい」
『なんか、こっちの世界の京楽ってちょろいな』
『しっ。聞こえるから、言っちゃだめだよ』
「まぁ、京楽は単純だ。ちょろいといえばちょろい」
「何か言われてるけど気にしない。さて、昼食もすませたし、更に下の階層に潜りますか」
そのまま、30階層までもぐり、フロアボスのブラックワイバーンを倒して、財宝の間が開く。
『うわー、金銀財宝だぁ。こんだけあれば、一生遊んで暮らせそう』
異能力者の浮竹は、金貨の山は宝石、マジックアイテムを見て驚く。
「まぁ、こういうものを手に入れるために、冒険者してるからな。俺たちは十分に稼いでいるが、もっと高みを目指して、より難易度の高いダンジョンに挑んでいる」
『ドラゴンの俺、かっこいい・・・・美人だけど』
「このペンダント、もう一人の俺に似合いそうだな。つけていけ」
『え、いいのか』
「攻撃されると衝撃を一度だけ吸収できる魔法が付与されてある。付与は単純だし、そこまで値のはるものじゃないから、気軽にもってけばいい」
『わーい、ドラゴンの俺からペンダントもらったぞ、京楽!』
『よかったね、浮竹』
冒険者の京楽はというと、アイテムポケットに財宝をしまっていた。
「とりあえず、今日はもう戻るか。ダンジョンで一夜を明かすことはできるが、テントとかもあるが、宿のほうがいいだろうし・・・・・」
『うわぁ、足元が光った!』
『どうやら、タイムオーバーみたいだね。元の世界に戻るみたい』
「そうか。もう一人の俺、京楽と仲良くな」
『そういうドラゴンの俺も、もう一人の京楽と仲良くな!』
光が消え失せると、異世界の二人は元いた世界に戻り、静寂に包まれる。
「どうする、浮竹。帰る?」
「そうだな。俺たちも帰ろう」
帰還スクロールを利用して、王都まで戻ると、京楽は風呂に入るためにまっぱになって、風呂場の扉をあけた。
『ぎゃああああああああ』
『ギヤあああああああ』
「なんでまたいるの!ぎいやアアアアアアアア」
3人分の悲鳴が聞こえて、ドラゴンの浮竹は再召喚された異世界の二人を迎えるために、風呂場の扉をあけるのだった。
『ああ、また異世界に来ちゃったみたいだよ』
『本当か?また、ドラゴンの俺に会えるのか?』
異能力者の浮竹と京楽が出た場所は、高級宿の風呂場だった。
「ふんふーん」
ガラッと扉があいて、全裸の冒険者の京楽が入ってくる。
『もあああああああ』
『うわあああああああ』
「何で君たちがここにいるの。ぎにゃあああああああああ」
能力者の京楽は、すっぽんぽんの冒険者の京楽を浮竹に見せまいと、殴った。
殴られて、石鹸で足を滑らせた冒険者の京楽は、頭を打った。
「どうしたんだ!?」
慌ててやってきたドラゴンの浮竹が、状況を見て。
「・・・・・・3P?」
とかいうので、とりあえず意味が分からないので、異能力者の浮竹は笑って、異能力者の京楽は眉根を寄せて、冒険者の京楽は腰にタオルを巻いて、ドラゴンの浮竹に泣きついた。
「もう一人の僕がいじめる!」
『そんなことより、早く服着てくれないかな。僕の浮竹に汚いもの見せないでくれる』
「ほら、いじめてくるううう」
「京楽、とりあえず服を着ろ。風呂はまた後で入ればいいだろう」
「うん、分かった。服を着るよ」
ドラゴンの浮竹の言葉には、冒険者の京楽は素直に従う。
「召還されるのはいいが、何故に風呂場・・・・」
『そう言われても、ボクにも分からないよ』
『ドラゴンの俺、前より美人になってないか?』
「気のせいだ」
番として冒険者の京楽から性的なことで、エナジーを吸収しているせいで、浮竹は男性的な印象が薄くなり、中性的になっていた。
「また、こっちの世界にきたのか。この前もきてたよな。どれだけいられるのか分からないが、歓迎しよう」
『ドラゴンの俺、ダンジョンにまた行きたい!』
「そうか。今度はゴブリンなんかの雑魚がでない、Sランクダンジョンに行くか?」
『行ってみたい!」
『だめだよ、浮竹。ダンジョンは危ないから』
『京楽、いってみたい』
きらきらした目で見つめられて、異能力者の京楽はうっとなって、折れた。
『分かったよ。でも、危なくなったらすぐボクかこっちの二人を頼ること。いいね?』
『ああ、分かった』
「僕は殴られた謝罪もうけてない上に、ダンジョンに連れて行かれるのか・・・・・」
「京楽、仕方ないだろう。異世界の俺たちがいれる時間は短いんだから」
そうして、難易度の高いSランクダンジョンに行くことになった。
「センチビート。毒を吐いてくる巨大な芋虫だ」
「毒は中和できるから。リポイズン」
冒険者の京楽が、全員にリボイズンの魔法をかける。
「液体が酸性なので、気をつけるように」
『え、何か言った?』
異能力者の京楽は、センチビートを欠片も残さず殲滅してしまっていた。一方の、異能力者の浮竹は、力任せに引きちぎって酸性の体液を浴びるが、どうってことないのか平然としていた。
「なんていうか・・・・いろいろな意味で規格外だな」
「そうだね。風呂で殴られた謝罪、まだ受けてないよ」
冒険者の京楽は、殴られたことを根にもっているらしかった。
下層に降りていき、ミノタウロスが出てくる。
『わぁ、でっかい牛だな!』
「ミノタウロスは高級食材だ。あまり傷をつけず仕留めて、昼食の材料にしよう」
『えー、こいつらを食うの?』
異能力者の京楽は、モンスターを食べるのに抵抗があるらしかった。
「カラミティファイア!」
「京楽、ミディアムレアで頼むぞ」
「承知してるよ!」
倒す段階で、すでに調理に入っていた。
こんがりと焼けたミノタウロスを解体し、シャトーブリアンの部分を、異世界の二人に出す。
「白金貨10枚はするステーキだ」
『高いんだね。モンスターを食べるのはちょっと勇気いるけど・・・・ん、おいしいね』
異能力者の京楽は、一口食べてその味が美味しすぎることに気づく。
『京楽、これなんだ!?こんなうまい肉、食べたことがないぞ!』
「お土産に持って帰る?」
『いいのか?』
「凍結魔法で腐らないようにしておいてやるから、持って帰るといい」
「僕、まだ風呂場で殴られた謝罪を受けてない・・・・おしいしけど、謝罪・・・・・」
「京楽、お前しつこいぞ」
「浮竹にまで怒られた。うわあああああん」
泣きながら、冒険者の京楽はミノタウロスのステーキを何枚も食べた。
『よく食べるね・・・・・おいしいけど』
「ああ、京楽はミノタウロスのステーキが好物だからな」
『シャトーブリアンの部分、あげるよ。風呂場で殴った謝罪の代わり』
「え、シャトーブリアンの部分くれるの?君って、ほんとはいいやつ?」
自分と同じ顔の人物を見て、冒険者の京楽はシャトーブリアンのステーキをもらって食べた。
「ああ、生きてるって素晴らしい」
『なんか、こっちの世界の京楽ってちょろいな』
『しっ。聞こえるから、言っちゃだめだよ』
「まぁ、京楽は単純だ。ちょろいといえばちょろい」
「何か言われてるけど気にしない。さて、昼食もすませたし、更に下の階層に潜りますか」
そのまま、30階層までもぐり、フロアボスのブラックワイバーンを倒して、財宝の間が開く。
『うわー、金銀財宝だぁ。こんだけあれば、一生遊んで暮らせそう』
異能力者の浮竹は、金貨の山は宝石、マジックアイテムを見て驚く。
「まぁ、こういうものを手に入れるために、冒険者してるからな。俺たちは十分に稼いでいるが、もっと高みを目指して、より難易度の高いダンジョンに挑んでいる」
『ドラゴンの俺、かっこいい・・・・美人だけど』
「このペンダント、もう一人の俺に似合いそうだな。つけていけ」
『え、いいのか』
「攻撃されると衝撃を一度だけ吸収できる魔法が付与されてある。付与は単純だし、そこまで値のはるものじゃないから、気軽にもってけばいい」
『わーい、ドラゴンの俺からペンダントもらったぞ、京楽!』
『よかったね、浮竹』
冒険者の京楽はというと、アイテムポケットに財宝をしまっていた。
「とりあえず、今日はもう戻るか。ダンジョンで一夜を明かすことはできるが、テントとかもあるが、宿のほうがいいだろうし・・・・・」
『うわぁ、足元が光った!』
『どうやら、タイムオーバーみたいだね。元の世界に戻るみたい』
「そうか。もう一人の俺、京楽と仲良くな」
『そういうドラゴンの俺も、もう一人の京楽と仲良くな!』
光が消え失せると、異世界の二人は元いた世界に戻り、静寂に包まれる。
「どうする、浮竹。帰る?」
「そうだな。俺たちも帰ろう」
帰還スクロールを利用して、王都まで戻ると、京楽は風呂に入るためにまっぱになって、風呂場の扉をあけた。
『ぎゃああああああああ』
『ギヤあああああああ』
「なんでまたいるの!ぎいやアアアアアアアア」
3人分の悲鳴が聞こえて、ドラゴンの浮竹は再召喚された異世界の二人を迎えるために、風呂場の扉をあけるのだった。
奴隷竜とSランク冒険者17
「ドラゴン退治だけどいける、浮竹?」
「ああ。俺は大丈夫だ」
冒険者ギルドに、緊急クエストがもちこまれた。
アスラ火山に住んでいたファイアードラゴンが暴れ出し、火山が噴火しそうなのだという。
火山が噴火すれば未曾有の被害が出る。
Sランク冒険者の中でも、上位の京楽と浮竹がおもむくことになった。
「ファイアードラゴン。言葉は分かるかい!」
「こざかしい人間風情が、我に話かけるな。人の子の言葉など、聞かぬ」
「どうか、暴れるのを止めて大人しく火山の中で眠りについてほしい」
今度は浮竹が話かけた。
「ほう。ムーンホワイトドラゴンか。我の糧になるのか?」
ファイアードラゴンは、浮竹を喰らう気でいた。
「人の言葉が分かる真竜だけど、だめだね。同胞である浮竹を食べたいだなんて、ドラゴンがドラゴンを食うなんて聞いたことがない」
「ファイアーブレス!」
話は終わったとばかりに、ファイアーブレスを吐いてくるファイアードラゴンに、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。
じゅわっと蒸気がたちのぼる。
「火山地帯は・・・・向こうに有利だ。外に誘い出そう」
「分かったよ!ほら、こっちだよ、のろまのくず!」
「なにぃ!我を愚弄するか!」
ファイアードラゴンは、怒りに任せて空を飛んだ。
ごうっと風がうなる。
浮竹もドラゴン化して、京楽を背に乗せて空を飛ぶ。
「アイシクルブレス!」
「ファイアーブレス!」
「カラミティアイシクルチェーン!」
京楽は、浮竹の背中から氷の鎖をつくると、それでファイアードラゴンの翼をがんじがらめにした。
ズドオオンと巨大な音をたてて、巨体が宙から地面に落下する。
「おのれええ、人間が!我にたてつく月竜も、ともに食ろうてくれる」
ファイアードラゴンは暴れに暴れた。
それをうまく避けて、京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣でファイアードラゴンを切っていく。
始めは角を。牙を。爪を。
鱗を切り、肉を切り裂く頃には、ファイアードラゴンは弱気になっていた。
「わ、我が悪かった。もう、暴れぬ」
「じゃあ、大人しく火山で眠りについてくれるかい?」
「京楽、危ない!」
大人しくなったと見せかけて、ファイアーブレスを京楽に放つファイアードラゴン。
それを、ドラゴンの姿のままの浮竹が庇った。
白い美し羽毛は焼け焦げて、酷いダメージを負う。
「よくも浮竹を・・・・ドラゴンスレイヤー解放!ドラゴンの命を食らいつくせ!」
雄叫びをあげつつ、ドラゴンスレイヤーの魔剣は、ファイアードラゴンの核である額の赤い水晶を割り、心臓まで刃を届かせた。
「ばかな・・・・ドラゴンである我が、人ごときに・・・・・・」
その言葉を最後に、ファイアードラゴンは息絶えた。
「浮竹!」
「ああ、京楽。すまない、へまをした」
「僕を庇ったせいでしょ!セイントヒール」
京楽は、浮竹の傷を癒していくが、傷は深かった。
「これ・・・・呪詛が含まれているね。人化できるかい?」
「ああ」
人の姿をとった浮竹は、背に酷い火傷を負っていた。
「セイントヒール」
先ほどよりましになったが、呪詛が含まれているせいか、完全に治らない。
「神殿にいこう。呪詛を解除してもらわないと。歩ける?」
「ああ。歩ける」
ファイアードラゴンの躯をアイテムポケットに入れて、京楽はスクロールを出す。
「帰還スクロール使うから、傍に」
「ああ」
帰還スクロールで王都にまで戻ると、早速大地母神の神殿にいき、大金をはたいて呪詛を解除してもらった。
「汝に、大いなる恵みをもらたさんことを・・・・セイントブレス」
京楽は呪詛系統を解除する魔法はもっていない。浮竹もだった。
呪詛系を解除できるのは、大地母神の神殿にいる者のみだ。
「ゴッドヒール」
呪詛を解除してもらう同時に、京楽は自分がもっている最高の回復術を浮竹に施した。
いろいろ触媒がいるので、普段は使えない回復魔法だ。
浮竹の背中の傷は、綺麗に治っていた。
「ああ、良かった。君の体に傷が残ったと思うだけで、卒倒しそうになるよ」
「大袈裟だな」
浮竹と京楽は、冒険者ギルドにいき、ファイアードラゴンの討伐を報告して、素材としてファイアードラゴンを解体して買いとってもらい、白金貨20万枚を合計で手にしていた。
「浮竹、本当に大丈夫?」
「ああ。京楽のお陰で」
「念のため、3日は冒険者稼業を休もう」
「大袈裟だな・・・・・・」
いつも泊まっている高級宿の部屋につくと、京楽は浮竹を抱きしめた。
「君が僕を庇って怪我をした。僕は僕が許せない」
「京楽・・・・・・」
浮竹は、京楽に口づけた。
「浮竹?」
「俺は大丈夫だ。それより、最近ずっと我慢していたせいで、どうにかなりそうだ。抱いてくれ」
「怪我は大丈夫なの?」
「ああ」
「じゃあ、食べちゃうよ?」
「どうぞ、お好きに」
とさりとベッドに押し倒されて、浮竹の長い白髪が舞う。
「あ・・・・・・」
服を脱がされて、胸の先端を甘噛みされて、我慢できないとばかりに浮竹は京楽の服を脱がす。
「早急だね」
「お前の子種が、欲しい・・・・」
番に近いパートナーになったために、浮竹は京楽のエナジーを性的なことで取り入れていた。
「んっ」
蕾をほぐされて、潤滑油にまみれた指が入ってくる。
「も、いいから・・・・早く!」
「ならないと、浮竹が辛いよ?」
「大丈夫だから・・・・・・」
浮竹は妖艶に微笑み、京楽の腰を足で挟んだ。
「んっ・・・・いれるよ」
「ああああ!!!」
その衝撃に、浮竹は精液を飛び散らせていってしまう。
「大丈夫?」
「あ、大丈夫だから、俺の中に、お前の子種をいっぱいだせ。孕ませるくらいに」
希少種のドラゴンは他種族の同性との間にも子ができるようになっていた。
子供を産むつもりはないので、浮竹は行為の後に必ずアフターピルを飲んだ。
「あ、あ、ああああ」
パンパンと肉がぶつかりあうくらい、交じりあう。
蕾はどちらのものかも分からない体液で泡立ち、浮竹の太ももを京楽の精液が伝い落ちる。
「ひああああああ!!!」
ごりごりっと弱い奥を貫かれて、浮竹は背をしならせた。
「あ、いってる、いってるから、だめぇぇぇぇ」
「君の好きな子種注ぐよ?」
「あ、だめえええ」
京楽は、浮竹の胎の奥に、熱い液体を迸らせた。
「あああ、ひあっ」
「まだ、いけるよね?」
「んっ、もっとくれ。お前の愛と子種を」
「愛してるよ、浮竹」
「俺も、愛してる、京楽・・・・・・」
そのあと4回ほど睦みあい、お互いすっきりして風呂に入って次の日は昼まで寝た。
浮竹はちゃんとアフターピルを飲んでいた。
「ねぇ、いつか僕が子供ほしいっていったら、産んでくれる?」
「う・・・・だめだ。ドラゴンの子育ては難しい。生まれた時点で、自我をもって行動する。俺が産めば、100%ドラゴンが生まれる」
「そっか・・・」
「子供、欲しいのか?」
「少しだけね。浮竹との愛の結晶があればいいのにと思っただけだよ」
「子を産めない俺を、嫌いになったか?」
「まさか。死ぬほど愛してるよ、浮竹」
「あ、京楽・・・・・昨日、したばかり・・・だろ・・・・・・」
「君も素直になりなよ。もう、濡れてる・・・・」
「ああっ」
「んっ」
次の日も睦み合い、しばらく浮竹はベッドの上から動けないようになるのであった。
「ああ。俺は大丈夫だ」
冒険者ギルドに、緊急クエストがもちこまれた。
アスラ火山に住んでいたファイアードラゴンが暴れ出し、火山が噴火しそうなのだという。
火山が噴火すれば未曾有の被害が出る。
Sランク冒険者の中でも、上位の京楽と浮竹がおもむくことになった。
「ファイアードラゴン。言葉は分かるかい!」
「こざかしい人間風情が、我に話かけるな。人の子の言葉など、聞かぬ」
「どうか、暴れるのを止めて大人しく火山の中で眠りについてほしい」
今度は浮竹が話かけた。
「ほう。ムーンホワイトドラゴンか。我の糧になるのか?」
ファイアードラゴンは、浮竹を喰らう気でいた。
「人の言葉が分かる真竜だけど、だめだね。同胞である浮竹を食べたいだなんて、ドラゴンがドラゴンを食うなんて聞いたことがない」
「ファイアーブレス!」
話は終わったとばかりに、ファイアーブレスを吐いてくるファイアードラゴンに、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。
じゅわっと蒸気がたちのぼる。
「火山地帯は・・・・向こうに有利だ。外に誘い出そう」
「分かったよ!ほら、こっちだよ、のろまのくず!」
「なにぃ!我を愚弄するか!」
ファイアードラゴンは、怒りに任せて空を飛んだ。
ごうっと風がうなる。
浮竹もドラゴン化して、京楽を背に乗せて空を飛ぶ。
「アイシクルブレス!」
「ファイアーブレス!」
「カラミティアイシクルチェーン!」
京楽は、浮竹の背中から氷の鎖をつくると、それでファイアードラゴンの翼をがんじがらめにした。
ズドオオンと巨大な音をたてて、巨体が宙から地面に落下する。
「おのれええ、人間が!我にたてつく月竜も、ともに食ろうてくれる」
ファイアードラゴンは暴れに暴れた。
それをうまく避けて、京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣でファイアードラゴンを切っていく。
始めは角を。牙を。爪を。
鱗を切り、肉を切り裂く頃には、ファイアードラゴンは弱気になっていた。
「わ、我が悪かった。もう、暴れぬ」
「じゃあ、大人しく火山で眠りについてくれるかい?」
「京楽、危ない!」
大人しくなったと見せかけて、ファイアーブレスを京楽に放つファイアードラゴン。
それを、ドラゴンの姿のままの浮竹が庇った。
白い美し羽毛は焼け焦げて、酷いダメージを負う。
「よくも浮竹を・・・・ドラゴンスレイヤー解放!ドラゴンの命を食らいつくせ!」
雄叫びをあげつつ、ドラゴンスレイヤーの魔剣は、ファイアードラゴンの核である額の赤い水晶を割り、心臓まで刃を届かせた。
「ばかな・・・・ドラゴンである我が、人ごときに・・・・・・」
その言葉を最後に、ファイアードラゴンは息絶えた。
「浮竹!」
「ああ、京楽。すまない、へまをした」
「僕を庇ったせいでしょ!セイントヒール」
京楽は、浮竹の傷を癒していくが、傷は深かった。
「これ・・・・呪詛が含まれているね。人化できるかい?」
「ああ」
人の姿をとった浮竹は、背に酷い火傷を負っていた。
「セイントヒール」
先ほどよりましになったが、呪詛が含まれているせいか、完全に治らない。
「神殿にいこう。呪詛を解除してもらわないと。歩ける?」
「ああ。歩ける」
ファイアードラゴンの躯をアイテムポケットに入れて、京楽はスクロールを出す。
「帰還スクロール使うから、傍に」
「ああ」
帰還スクロールで王都にまで戻ると、早速大地母神の神殿にいき、大金をはたいて呪詛を解除してもらった。
「汝に、大いなる恵みをもらたさんことを・・・・セイントブレス」
京楽は呪詛系統を解除する魔法はもっていない。浮竹もだった。
呪詛系を解除できるのは、大地母神の神殿にいる者のみだ。
「ゴッドヒール」
呪詛を解除してもらう同時に、京楽は自分がもっている最高の回復術を浮竹に施した。
いろいろ触媒がいるので、普段は使えない回復魔法だ。
浮竹の背中の傷は、綺麗に治っていた。
「ああ、良かった。君の体に傷が残ったと思うだけで、卒倒しそうになるよ」
「大袈裟だな」
浮竹と京楽は、冒険者ギルドにいき、ファイアードラゴンの討伐を報告して、素材としてファイアードラゴンを解体して買いとってもらい、白金貨20万枚を合計で手にしていた。
「浮竹、本当に大丈夫?」
「ああ。京楽のお陰で」
「念のため、3日は冒険者稼業を休もう」
「大袈裟だな・・・・・・」
いつも泊まっている高級宿の部屋につくと、京楽は浮竹を抱きしめた。
「君が僕を庇って怪我をした。僕は僕が許せない」
「京楽・・・・・・」
浮竹は、京楽に口づけた。
「浮竹?」
「俺は大丈夫だ。それより、最近ずっと我慢していたせいで、どうにかなりそうだ。抱いてくれ」
「怪我は大丈夫なの?」
「ああ」
「じゃあ、食べちゃうよ?」
「どうぞ、お好きに」
とさりとベッドに押し倒されて、浮竹の長い白髪が舞う。
「あ・・・・・・」
服を脱がされて、胸の先端を甘噛みされて、我慢できないとばかりに浮竹は京楽の服を脱がす。
「早急だね」
「お前の子種が、欲しい・・・・」
番に近いパートナーになったために、浮竹は京楽のエナジーを性的なことで取り入れていた。
「んっ」
蕾をほぐされて、潤滑油にまみれた指が入ってくる。
「も、いいから・・・・早く!」
「ならないと、浮竹が辛いよ?」
「大丈夫だから・・・・・・」
浮竹は妖艶に微笑み、京楽の腰を足で挟んだ。
「んっ・・・・いれるよ」
「ああああ!!!」
その衝撃に、浮竹は精液を飛び散らせていってしまう。
「大丈夫?」
「あ、大丈夫だから、俺の中に、お前の子種をいっぱいだせ。孕ませるくらいに」
希少種のドラゴンは他種族の同性との間にも子ができるようになっていた。
子供を産むつもりはないので、浮竹は行為の後に必ずアフターピルを飲んだ。
「あ、あ、ああああ」
パンパンと肉がぶつかりあうくらい、交じりあう。
蕾はどちらのものかも分からない体液で泡立ち、浮竹の太ももを京楽の精液が伝い落ちる。
「ひああああああ!!!」
ごりごりっと弱い奥を貫かれて、浮竹は背をしならせた。
「あ、いってる、いってるから、だめぇぇぇぇ」
「君の好きな子種注ぐよ?」
「あ、だめえええ」
京楽は、浮竹の胎の奥に、熱い液体を迸らせた。
「あああ、ひあっ」
「まだ、いけるよね?」
「んっ、もっとくれ。お前の愛と子種を」
「愛してるよ、浮竹」
「俺も、愛してる、京楽・・・・・・」
そのあと4回ほど睦みあい、お互いすっきりして風呂に入って次の日は昼まで寝た。
浮竹はちゃんとアフターピルを飲んでいた。
「ねぇ、いつか僕が子供ほしいっていったら、産んでくれる?」
「う・・・・だめだ。ドラゴンの子育ては難しい。生まれた時点で、自我をもって行動する。俺が産めば、100%ドラゴンが生まれる」
「そっか・・・」
「子供、欲しいのか?」
「少しだけね。浮竹との愛の結晶があればいいのにと思っただけだよ」
「子を産めない俺を、嫌いになったか?」
「まさか。死ぬほど愛してるよ、浮竹」
「あ、京楽・・・・・昨日、したばかり・・・だろ・・・・・・」
「君も素直になりなよ。もう、濡れてる・・・・」
「ああっ」
「んっ」
次の日も睦み合い、しばらく浮竹はベッドの上から動けないようになるのであった。
奴隷竜とSランク冒険者16
「勇者?」
「そうじゃ。異界の勇者、平子真子と一緒に、Sランクダンジョンにもぐり、勇者の実力をはかってほしいのじゃ」
ある日、ギルドマスターの山じいに、京楽と浮竹は呼び出された。
「平子真子・・・・・聞いたことのない名前だね」
「勇者として召還されて間もないからの」
「そんな子を、いきなりSランクダンジョンに挑ませて大丈夫なの?」
「勇者なら、大丈夫じゃないのか」
京楽と浮竹の意見が食い違うのは、珍しいことだった。
「何、帰還スクロールがあるじゃろ。危なくなったら、それで逃げればよいのじゃ」
「うーん、山じいの頼みだし、仕方ないねぇ」
「先生、このクエスト受けます」
「うむ。十四郎はよいこじゃな。それに比べて春水は・・・・・」
「はいはい。受けるって言ってるでしょ」
京楽は溜息をついた。
次の日、勇者の平子真子と会った。
「なんや、Sランク冒険者がくるいうから、どないなツワモノ思ったら、案外普通やないか」
「これでも、Sランク冒険者では上のほうだよ」
「俺は浮竹十四郎。こっちは京楽春水。よろしくな」
「おう、よろしゅうな」
さっそく、Sランクダンジョンにもぐることになった。
実力を図るためなので、難易度は簡単なものにすることにした。
さっそく、敵のゴーレムが出てくる。
「カラミティファイア!」
平子真子は、召還されたばかりとは思えない、魔法を使う。
剣の腕もあるようで、ゴーレムを真っ二つに斬ってしまうほどだった。
「これくらいなら楽勝やな。ドラゴンでも倒せるで」
びくりと、浮竹が強張る。
「なんや、どうしたんや」
「いやね、浮竹は実はドラゴンなんだよ。ムーンホワイトドラゴンっていって、希少種で今は人化で人の姿をとってる」
「ごめんなぁ。そうとは知らずに、仲間を殺したいようなこと言うて」
「いや、いいんだ」
浮竹は首を横に振った。
Sランクダンジョンでは、時折ドラゴンが出る。
人の話を理解する真竜なら争わない時も多いが、ただのドラゴンは倒すしかない。
それでも、同じドラゴンなので浮竹は気乗りしないようであるが。
「次、フロアボスだね」
「何がでるんかいな。楽しみやな」
「10階層だから、そんなに強いモンスターは出ないんじゃないのか」
出てきたのは、地獄の門番と呼ばれるケルベロスだった。
「な、ケルベロス!?もっと下の階層のフロアボスでしょ!」
「俺に任せろや。カラミティアイシクルチェーン!」
平子は、氷の鎖を作り出すと、ケルベロスに巻き付ける。
しかし、ケルベロスは炎のブレスでそれを溶かしてしまった。
「きかんのかいな。仕方ない、ワールドエン・・・・・」
「わぁわぁ。こんなダンジョンの10階層で、そんな禁忌使わないの!浮竹、任せれる?」
「ああ。アイシクルブレス!」
浮竹は何度もアイシクルブレスをはいて、ケルベロスの炎の吐息を相殺し、ついには体を凍らせることに成功した。
「最後は勇者の出番やろ」
平子は、そう言って剣で氷ついたケルベロスを細切れにしてしまった。
「ふむ。今回の勇者は、魔法、剣ともにSランク高位レベルと」
浮竹が、メモをとる。
「なんや、俺の実力はこんなもんやないで?もっと下層にいって、邪神でも倒そうや」
「いや、この世界に邪神はいるが、ダンジョンにいたりしないからね」
「つまらんなぁ」
「邪神に挑みたいと・・・・φ(..)メモメモ」
「なぁ、あんたら強いな。どうや、俺の勇者パーティーに入らへんか?」
「いや、遠慮しておく。僕は浮竹と二人でパーティーを組んでるから」
「じゃあ、浮竹を口説けばいいんかいな?」
「俺も遠慮しておく。勇者は魔王討伐が任務だろう。俺たちSランク冒険者はあくまで冒険者。魔王討伐は、国王直々の命令でもない限り、動かない」
「なんや、つまらんなぁ。力あるのに、もてあましとるやんか」
「だから、Sランクの高難易度ダンジョンに挑んで、命のやりとりをして財宝ゲットするんだよ。モンスターの素材とか」
「へぇ。冒険者って、儲かるんやな」
「Sランクになれば、白金貨が転がり込むよ」
「俺は白金貨2千枚を支度金にってもらったけど・・・・・おたくら、いくらくらい稼いどるん?」
「んー。こもる期間によるけど、難易度の高いSランクダンジョンに2週間もぐったら、白金貨15万枚はいくね」
「あの王様、ケチやんか!」
平子は、買ったばかりという剣で地面を切る。
地面が裂けた。
「出世払いで、白金貨10万枚ほどかしてくれん?」
「いいぞ」
「ちょっと浮竹。お金のトラブルは・・・・・」
「白金貨2千枚なんて、ろくな装備揃わないじゃないか。勇者なのに。魔王討伐にいくんだろうから、それなりの装備でいかないと」
浮竹は、アイテムポケットから白金貨10万枚の入った袋を取り出すと、平子に渡した。
「ありがとな。恩にきるわ。必ず返すさかい」
「ああ、まずは勇者パーティーの募集からだな」
「ああ、Aランク冒険者やけど、黒崎一護っていうのに目をつけとるん。あと、その妻の朽木ルキアと、なんかしらんがもう一人の夫の阿散井恋次、あとそのパーティー仲間の朽木白哉」
「白哉や一護君やルキア、恋次君までもか。これまた、知り合いばかりだな」
浮竹が、不思議そうな顔をする。
「勇者パーティー募集って冒険者ギルドで紙はったけど、この4人しか反応せぇへんかった・・・・・」
「そりゃ、魔王討伐は命に関わるからね」
「今の魔王は、藍染惣右介。以前の勇者だった人物だ」
「うはぁ、勇者が魔王?人生波乱万丈やなぁ」
「勇者として性格に難ありでね。人体実験したりで、追放されて、魔王を勝手に討伐して魔王に成り代わったんだよ」
京楽が説明する。
「藍染か・・・・強いんかなぁ」
「強いよ。魔王を単身で葬るくらいだからね」
「はぁ。俺、倒せるんかなぁ」
「パーティ―を組むんだろう。倒せるさ。俺たちの知る一護君たちは強い」
「まぁ、ぶっちゃけ藍染ってぼっちだしね」
京楽が笑う。
「偉そうにしすぎて、配下の者に逃げられて、残った侍女に強くあたってモレ草とかいうすごい下剤の薬もられて、金のおまるに座ってたって有名だよ」
「モレ草・・・・・名前からしてやばそうや」
「モレ草はそこそこするぞ。白金貨3枚だ。侍女は、白金貨30枚だして、藍染を殺すつもりでモレ草を10倍盛ったらしいが、藍染は体が強いのか腹が強いのか、普通なら死ぬのに2週間おまるを利用し続けるですんだらしい」
「モレ草、襲るべし・・・・・」
「モレ草には気をつけろ。勇者でも、モレ草を盛られると、トイレに2日は閉じこもることになるぞ」
「きぃつけるわ。そもそも、勇者にモレ草もるってどんな人物やねん」
「藍染が金で雇った人物とか?」
「ありそうで怖いね。新勇者の誕生は藍染も知っているだろうし」
「モレ草って、やばいんやろ。トイレに閉じこもるなんていややで」
「モレ草は独特の苦みがある。多分、料理に入れられても飲み物に入れられても気づく」
浮竹の言葉は、藍染は気づかなかったバカということだ。
「藍染は、それに気づかなかったただのバカだな」
「うんうん」
京楽も頷いた。
新しい勇者、平子真子がパーティーメンバーと冒険をして、藍染を倒すのはこれから2年先のことになる。
らしい。
「そうじゃ。異界の勇者、平子真子と一緒に、Sランクダンジョンにもぐり、勇者の実力をはかってほしいのじゃ」
ある日、ギルドマスターの山じいに、京楽と浮竹は呼び出された。
「平子真子・・・・・聞いたことのない名前だね」
「勇者として召還されて間もないからの」
「そんな子を、いきなりSランクダンジョンに挑ませて大丈夫なの?」
「勇者なら、大丈夫じゃないのか」
京楽と浮竹の意見が食い違うのは、珍しいことだった。
「何、帰還スクロールがあるじゃろ。危なくなったら、それで逃げればよいのじゃ」
「うーん、山じいの頼みだし、仕方ないねぇ」
「先生、このクエスト受けます」
「うむ。十四郎はよいこじゃな。それに比べて春水は・・・・・」
「はいはい。受けるって言ってるでしょ」
京楽は溜息をついた。
次の日、勇者の平子真子と会った。
「なんや、Sランク冒険者がくるいうから、どないなツワモノ思ったら、案外普通やないか」
「これでも、Sランク冒険者では上のほうだよ」
「俺は浮竹十四郎。こっちは京楽春水。よろしくな」
「おう、よろしゅうな」
さっそく、Sランクダンジョンにもぐることになった。
実力を図るためなので、難易度は簡単なものにすることにした。
さっそく、敵のゴーレムが出てくる。
「カラミティファイア!」
平子真子は、召還されたばかりとは思えない、魔法を使う。
剣の腕もあるようで、ゴーレムを真っ二つに斬ってしまうほどだった。
「これくらいなら楽勝やな。ドラゴンでも倒せるで」
びくりと、浮竹が強張る。
「なんや、どうしたんや」
「いやね、浮竹は実はドラゴンなんだよ。ムーンホワイトドラゴンっていって、希少種で今は人化で人の姿をとってる」
「ごめんなぁ。そうとは知らずに、仲間を殺したいようなこと言うて」
「いや、いいんだ」
浮竹は首を横に振った。
Sランクダンジョンでは、時折ドラゴンが出る。
人の話を理解する真竜なら争わない時も多いが、ただのドラゴンは倒すしかない。
それでも、同じドラゴンなので浮竹は気乗りしないようであるが。
「次、フロアボスだね」
「何がでるんかいな。楽しみやな」
「10階層だから、そんなに強いモンスターは出ないんじゃないのか」
出てきたのは、地獄の門番と呼ばれるケルベロスだった。
「な、ケルベロス!?もっと下の階層のフロアボスでしょ!」
「俺に任せろや。カラミティアイシクルチェーン!」
平子は、氷の鎖を作り出すと、ケルベロスに巻き付ける。
しかし、ケルベロスは炎のブレスでそれを溶かしてしまった。
「きかんのかいな。仕方ない、ワールドエン・・・・・」
「わぁわぁ。こんなダンジョンの10階層で、そんな禁忌使わないの!浮竹、任せれる?」
「ああ。アイシクルブレス!」
浮竹は何度もアイシクルブレスをはいて、ケルベロスの炎の吐息を相殺し、ついには体を凍らせることに成功した。
「最後は勇者の出番やろ」
平子は、そう言って剣で氷ついたケルベロスを細切れにしてしまった。
「ふむ。今回の勇者は、魔法、剣ともにSランク高位レベルと」
浮竹が、メモをとる。
「なんや、俺の実力はこんなもんやないで?もっと下層にいって、邪神でも倒そうや」
「いや、この世界に邪神はいるが、ダンジョンにいたりしないからね」
「つまらんなぁ」
「邪神に挑みたいと・・・・φ(..)メモメモ」
「なぁ、あんたら強いな。どうや、俺の勇者パーティーに入らへんか?」
「いや、遠慮しておく。僕は浮竹と二人でパーティーを組んでるから」
「じゃあ、浮竹を口説けばいいんかいな?」
「俺も遠慮しておく。勇者は魔王討伐が任務だろう。俺たちSランク冒険者はあくまで冒険者。魔王討伐は、国王直々の命令でもない限り、動かない」
「なんや、つまらんなぁ。力あるのに、もてあましとるやんか」
「だから、Sランクの高難易度ダンジョンに挑んで、命のやりとりをして財宝ゲットするんだよ。モンスターの素材とか」
「へぇ。冒険者って、儲かるんやな」
「Sランクになれば、白金貨が転がり込むよ」
「俺は白金貨2千枚を支度金にってもらったけど・・・・・おたくら、いくらくらい稼いどるん?」
「んー。こもる期間によるけど、難易度の高いSランクダンジョンに2週間もぐったら、白金貨15万枚はいくね」
「あの王様、ケチやんか!」
平子は、買ったばかりという剣で地面を切る。
地面が裂けた。
「出世払いで、白金貨10万枚ほどかしてくれん?」
「いいぞ」
「ちょっと浮竹。お金のトラブルは・・・・・」
「白金貨2千枚なんて、ろくな装備揃わないじゃないか。勇者なのに。魔王討伐にいくんだろうから、それなりの装備でいかないと」
浮竹は、アイテムポケットから白金貨10万枚の入った袋を取り出すと、平子に渡した。
「ありがとな。恩にきるわ。必ず返すさかい」
「ああ、まずは勇者パーティーの募集からだな」
「ああ、Aランク冒険者やけど、黒崎一護っていうのに目をつけとるん。あと、その妻の朽木ルキアと、なんかしらんがもう一人の夫の阿散井恋次、あとそのパーティー仲間の朽木白哉」
「白哉や一護君やルキア、恋次君までもか。これまた、知り合いばかりだな」
浮竹が、不思議そうな顔をする。
「勇者パーティー募集って冒険者ギルドで紙はったけど、この4人しか反応せぇへんかった・・・・・」
「そりゃ、魔王討伐は命に関わるからね」
「今の魔王は、藍染惣右介。以前の勇者だった人物だ」
「うはぁ、勇者が魔王?人生波乱万丈やなぁ」
「勇者として性格に難ありでね。人体実験したりで、追放されて、魔王を勝手に討伐して魔王に成り代わったんだよ」
京楽が説明する。
「藍染か・・・・強いんかなぁ」
「強いよ。魔王を単身で葬るくらいだからね」
「はぁ。俺、倒せるんかなぁ」
「パーティ―を組むんだろう。倒せるさ。俺たちの知る一護君たちは強い」
「まぁ、ぶっちゃけ藍染ってぼっちだしね」
京楽が笑う。
「偉そうにしすぎて、配下の者に逃げられて、残った侍女に強くあたってモレ草とかいうすごい下剤の薬もられて、金のおまるに座ってたって有名だよ」
「モレ草・・・・・名前からしてやばそうや」
「モレ草はそこそこするぞ。白金貨3枚だ。侍女は、白金貨30枚だして、藍染を殺すつもりでモレ草を10倍盛ったらしいが、藍染は体が強いのか腹が強いのか、普通なら死ぬのに2週間おまるを利用し続けるですんだらしい」
「モレ草、襲るべし・・・・・」
「モレ草には気をつけろ。勇者でも、モレ草を盛られると、トイレに2日は閉じこもることになるぞ」
「きぃつけるわ。そもそも、勇者にモレ草もるってどんな人物やねん」
「藍染が金で雇った人物とか?」
「ありそうで怖いね。新勇者の誕生は藍染も知っているだろうし」
「モレ草って、やばいんやろ。トイレに閉じこもるなんていややで」
「モレ草は独特の苦みがある。多分、料理に入れられても飲み物に入れられても気づく」
浮竹の言葉は、藍染は気づかなかったバカということだ。
「藍染は、それに気づかなかったただのバカだな」
「うんうん」
京楽も頷いた。
新しい勇者、平子真子がパーティーメンバーと冒険をして、藍染を倒すのはこれから2年先のことになる。
らしい。
奴隷竜とSランク冒険者15
「邪教徒?」
「そうじゃ。今回、王国騎士団と一緒にSランク冒険者も、邪教徒の施設を叩くのに趣くとになったのじゃ」
冒険者ギルドのギルドマスターの山じいは、そう言って京楽と浮竹に参加を願い出た。
「白哉君や恋次君、それに他のSランク冒険者もくるの?」
「そうじゃ」
「そう。じゃあ、僕らだけでないってわけにはいかないね」
「邪教徒・・・・・何か、悪いことでもしたのか?この王国は、大地母神マザーサラを信仰しているが、他の宗教にも寛容なんだろう?」
「それがな。生贄として人間や亜人、精霊族を捧げたりして、邪教と認定された宗教でな。イレイア教というのじゃが」
「イレイサ教・・・・・」
浮竹が奴隷時代、イレイサ教の人間に血を抜かれたことがあって、それを思い出して浮竹は眉をしかめた。
「どうしたの、浮竹」
「昔、イレイサ教の信者がよく俺の血液を盗んでいっていた。きっと、金にかえて教団に捧げていたんだろうな」
「はい、壊滅決定。僕の浮竹を傷つけていたなら話は早い」
「春水、お主十四郎のことになると態度がかわるをなんとかせんか」
「無理ですー。奴隷時代とはいえ、浮竹から血を奪って売っていたなんて許せない。それで、その邪教徒の砦はどこ」
「明日、9時にこの冒険者ギルドにこい。王国の騎士団も合流する手はずになっておる」
「明日かぁ。僕は今すぐ壊滅させたいんだけどね」
「あくまで、生きて捕らえるためじゃ。くれぐれも短気はおこさぬように」
「分かったよ、山じい」
あんまり分かったようなかんじじゃないが、京楽はとりあえず明日暴れることにした。
明日の9時になり、Sランク冒険者も多く、王国騎士団のメンバーと合わせると人数は軽く百人をこえた。
「そんなに大規模な砦なの?」
「イレイサ教徒が七百人はいる本拠地だそうだ」
事情をよく聞いていた白哉が答える。
「殺しちゃまずいのかな?」
「武器や魔法で襲ってくる相手はなるべく無力化せよと言われてるが、殺してもかまわないぞうだ」
「そっかー。殺して大丈夫なんだー」
「兄は、くれぐれも暴れないようにと、ギルドマスターから見張りを頼まれている」
「ちぇっ。山じいも余計なことを・・・・・」
「京楽?俺のことはいいんだぞ。昔のことだから」
「だめ。昔も今も関係ない。君を傷つけた相手がいるなら、僕は全力で仕返しするよ」
「だから、くれぐれも暴れないように」
白哉も一緒に行動することになった。恋次もいる。
浮竹、京楽、白哉、恋次は、イレイサ教の本拠地へと、王国騎士団と共に乗り込んだ。
そこにあったのは、洗脳されていかれた信者と、生贄として捧げられていた人間や亜人、精霊族の躯だった。
「う、腐ってる・・・・いつの生贄だろ、これ」
「病気が広がる可能性があるのお。躯には火をつけろ。この教団そのものも灰にする」
王国騎士団の団長は、四楓院夜一といって、褐色の肌をもつ美女だった。
「そなたらには、洗脳された信者を外に誘導してもらいたい」
「仕方ないねぇ」
「行くぞ、京楽」
目が虚ろな信者たちを無理やり歩かせて、立てないものは抱えて教団の外に出る。
「おや、十四郎ちゃんんじゃないか」
三十代後半くらいの教団の幹部らしき者が、浮竹に声をかけてきた。
「う・・・・あ・・・・」
浮竹の様子がおかしかった。
「来る・・・な・・・・・・」
「君、君が昔浮竹の血を勝手に抜いて売ってた信者?」
「ああ、十四郎ちゃんは奴隷として買われていっちゃたんだね。そうだよ、たくさん稼がせてもらったよ。十四郎ちゃんはかわいかったなぁ。血を抜かないでって泣いて」
舌なめずりをする幹部は、武器はもっておらず、両手を後ろでくくられていて、連行される途中だった。
「ヘルレクイエム」
「は?何をした」
「せいぜい、苦しむことだよ。君に、悪夢のような痛みを何度も感じる魔法をかけた」
「は?・・・・・・ぎゃあああああ、痛い痛い!」
「なんだ、うるさい、静かにしろ!」
王国の騎士団の一人に気絶させられて、その幹部は一時楽になった。
だが、目覚めればまたしばらくの間、痛みを感じるだろう。
「浮竹、もう大丈夫?あいつはいなくなったよ」
「ん・・・・・もう、俺の血を抜かない?」
「そんなやつ、もうどこにもいないよ」
「京楽・・・分かっていたんだ。あいつがいるんじゃないかって。でもいないと言い聞かせてきたけど、やっぱり欠席すればよかった。しばらく、悪夢を見そうだ」
「じゃあ、悪夢も見ないようにスリープの魔法でしばらくの間眠りにつかせてあげる」
「京楽は、恩人だな」
「そんなことはないよ。君も、僕の立場だったら、何かしたでしょう?」
「そうだな。俺のように血を抜かれて痛い思いや怖い思いをさせた奴がいたなら、竜化して引き裂いていた」
浮竹の目は本気だった。
「うわお、過激。僕の方が大人しいね」
「ヘルレクイエムの魔法をかけたんだろう?」
「そうだよ?一週間は激痛が続くだろうね。でも、生きていられるだけましじゃない?」
「あの魔法の痛みは耐え切れなくなったら死んでしまう」
「知ってるよ?だからかけたの」
「京楽・・・・・・・」
「僕は君を傷つける者なら、容赦なく殺すよ?」
「すまない・・・俺が、お前の手を汚させた」
浮竹が顔を伏せる。
「そんな顔しないで。僕が自分の意思でやってることで、君は何も感じなくていいよ」
「京楽・・・・・」
「浮竹・・・・・・」
「兄らは、まだ教団関係者の移動が終わっていないことを、念頭に入れるように」
白哉の冷えた言葉で、我に返る。
「あははは。洗脳された信者の保護、続けようか」
「そ、そうだな」
とろつくろうが、白哉の冷えた眼差しはこたえた。
イレイサ教の本拠地は灰になり、洗脳されていた信者は保護されて病院や施設に入れられて、幹部の主だった面子はかどわかしや生贄にした殺人の罪で極刑となった。
噂で、イレイサ教の幹部の一人が痛い痛いと叫びながら狂い死んだと聞いて、京楽は冷たく笑うのだった。
「そうじゃ。今回、王国騎士団と一緒にSランク冒険者も、邪教徒の施設を叩くのに趣くとになったのじゃ」
冒険者ギルドのギルドマスターの山じいは、そう言って京楽と浮竹に参加を願い出た。
「白哉君や恋次君、それに他のSランク冒険者もくるの?」
「そうじゃ」
「そう。じゃあ、僕らだけでないってわけにはいかないね」
「邪教徒・・・・・何か、悪いことでもしたのか?この王国は、大地母神マザーサラを信仰しているが、他の宗教にも寛容なんだろう?」
「それがな。生贄として人間や亜人、精霊族を捧げたりして、邪教と認定された宗教でな。イレイア教というのじゃが」
「イレイサ教・・・・・」
浮竹が奴隷時代、イレイサ教の人間に血を抜かれたことがあって、それを思い出して浮竹は眉をしかめた。
「どうしたの、浮竹」
「昔、イレイサ教の信者がよく俺の血液を盗んでいっていた。きっと、金にかえて教団に捧げていたんだろうな」
「はい、壊滅決定。僕の浮竹を傷つけていたなら話は早い」
「春水、お主十四郎のことになると態度がかわるをなんとかせんか」
「無理ですー。奴隷時代とはいえ、浮竹から血を奪って売っていたなんて許せない。それで、その邪教徒の砦はどこ」
「明日、9時にこの冒険者ギルドにこい。王国の騎士団も合流する手はずになっておる」
「明日かぁ。僕は今すぐ壊滅させたいんだけどね」
「あくまで、生きて捕らえるためじゃ。くれぐれも短気はおこさぬように」
「分かったよ、山じい」
あんまり分かったようなかんじじゃないが、京楽はとりあえず明日暴れることにした。
明日の9時になり、Sランク冒険者も多く、王国騎士団のメンバーと合わせると人数は軽く百人をこえた。
「そんなに大規模な砦なの?」
「イレイサ教徒が七百人はいる本拠地だそうだ」
事情をよく聞いていた白哉が答える。
「殺しちゃまずいのかな?」
「武器や魔法で襲ってくる相手はなるべく無力化せよと言われてるが、殺してもかまわないぞうだ」
「そっかー。殺して大丈夫なんだー」
「兄は、くれぐれも暴れないようにと、ギルドマスターから見張りを頼まれている」
「ちぇっ。山じいも余計なことを・・・・・」
「京楽?俺のことはいいんだぞ。昔のことだから」
「だめ。昔も今も関係ない。君を傷つけた相手がいるなら、僕は全力で仕返しするよ」
「だから、くれぐれも暴れないように」
白哉も一緒に行動することになった。恋次もいる。
浮竹、京楽、白哉、恋次は、イレイサ教の本拠地へと、王国騎士団と共に乗り込んだ。
そこにあったのは、洗脳されていかれた信者と、生贄として捧げられていた人間や亜人、精霊族の躯だった。
「う、腐ってる・・・・いつの生贄だろ、これ」
「病気が広がる可能性があるのお。躯には火をつけろ。この教団そのものも灰にする」
王国騎士団の団長は、四楓院夜一といって、褐色の肌をもつ美女だった。
「そなたらには、洗脳された信者を外に誘導してもらいたい」
「仕方ないねぇ」
「行くぞ、京楽」
目が虚ろな信者たちを無理やり歩かせて、立てないものは抱えて教団の外に出る。
「おや、十四郎ちゃんんじゃないか」
三十代後半くらいの教団の幹部らしき者が、浮竹に声をかけてきた。
「う・・・・あ・・・・」
浮竹の様子がおかしかった。
「来る・・・な・・・・・・」
「君、君が昔浮竹の血を勝手に抜いて売ってた信者?」
「ああ、十四郎ちゃんは奴隷として買われていっちゃたんだね。そうだよ、たくさん稼がせてもらったよ。十四郎ちゃんはかわいかったなぁ。血を抜かないでって泣いて」
舌なめずりをする幹部は、武器はもっておらず、両手を後ろでくくられていて、連行される途中だった。
「ヘルレクイエム」
「は?何をした」
「せいぜい、苦しむことだよ。君に、悪夢のような痛みを何度も感じる魔法をかけた」
「は?・・・・・・ぎゃあああああ、痛い痛い!」
「なんだ、うるさい、静かにしろ!」
王国の騎士団の一人に気絶させられて、その幹部は一時楽になった。
だが、目覚めればまたしばらくの間、痛みを感じるだろう。
「浮竹、もう大丈夫?あいつはいなくなったよ」
「ん・・・・・もう、俺の血を抜かない?」
「そんなやつ、もうどこにもいないよ」
「京楽・・・分かっていたんだ。あいつがいるんじゃないかって。でもいないと言い聞かせてきたけど、やっぱり欠席すればよかった。しばらく、悪夢を見そうだ」
「じゃあ、悪夢も見ないようにスリープの魔法でしばらくの間眠りにつかせてあげる」
「京楽は、恩人だな」
「そんなことはないよ。君も、僕の立場だったら、何かしたでしょう?」
「そうだな。俺のように血を抜かれて痛い思いや怖い思いをさせた奴がいたなら、竜化して引き裂いていた」
浮竹の目は本気だった。
「うわお、過激。僕の方が大人しいね」
「ヘルレクイエムの魔法をかけたんだろう?」
「そうだよ?一週間は激痛が続くだろうね。でも、生きていられるだけましじゃない?」
「あの魔法の痛みは耐え切れなくなったら死んでしまう」
「知ってるよ?だからかけたの」
「京楽・・・・・・・」
「僕は君を傷つける者なら、容赦なく殺すよ?」
「すまない・・・俺が、お前の手を汚させた」
浮竹が顔を伏せる。
「そんな顔しないで。僕が自分の意思でやってることで、君は何も感じなくていいよ」
「京楽・・・・・」
「浮竹・・・・・・」
「兄らは、まだ教団関係者の移動が終わっていないことを、念頭に入れるように」
白哉の冷えた言葉で、我に返る。
「あははは。洗脳された信者の保護、続けようか」
「そ、そうだな」
とろつくろうが、白哉の冷えた眼差しはこたえた。
イレイサ教の本拠地は灰になり、洗脳されていた信者は保護されて病院や施設に入れられて、幹部の主だった面子はかどわかしや生贄にした殺人の罪で極刑となった。
噂で、イレイサ教の幹部の一人が痛い痛いと叫びながら狂い死んだと聞いて、京楽は冷たく笑うのだった。
奴隷竜とSランク冒険者14
白哉と恋次が、はじめてSランクダンジョンに挑むというので、念のために浮竹と京楽も同行することになった。
「Sランクダンジョンって広いっすね~」
「出てくるモンスターも、強いぞ」
浮竹は、さっそくでてたガーゴイルにアイシクルブレスを吐いた。
「散れ・・・・千本桜」
白哉は、魔剣千本桜をもっており、それは桜の花びらとなって数億の刃となって敵を切り裂く。
ガーゴイルの石の体を、白哉の千本桜の花の刃はすぱすぱと切っていく。
「こりゃあ、僕たちが同行する必要なかったかもねぇ」
「いや、兄らがいるから安心して戦える」
「サンダースピア!」
京楽は、浮竹の方に向かっていったガーゴイルに魔法を放ち、動きが止まった瞬間に魔剣のドラゴンスレイヤーで粉々にしてしまった。
「ドラゴンスレイヤーか。噂には聞いているが、私の千本桜並みに強いな」
「そりゃ、竜殺しの魔剣だからねぇ。白哉君の千本桜は刃を細かくできるけど、こっちはできないけど、代わりになんでも切れる。ミスリルのインゴットでも切れるよ」
「さすがに、私の千本桜ではミスリルまでは切れない」
「ほら、京楽も白哉も恋次君も、先を行くぞ」
先に進み始めた浮竹のあとを、皆追うのだった。
20階層まで下り、フロアボスを数体撃破して、20階層のボスが出てくる。
フィールドは海。
今にも沈みそうな船に乗り、フロア最大のボスである魔獣リヴァイアサンに挑む。
「ヘルボルテックスサンダー!」
「ライトニングボール!」
白哉と恋次が雷の魔法を放つ。
浮竹と京楽は、とりあえず手を出さないで見ていることにした。
「ジャッジメントサンダー!」
白哉が、雷の禁忌を放ち、それを千本桜にまとわせてリヴァイアサンの体を切り裂いていくと、リヴァイアサンは最後の咆哮をあげてどーんと海に倒れた。
「やった!俺と白哉さんだけでフロアボス倒せた!」
喜ぶ恋次の背後から、触手が伸びて恋次をからみとった。
「うわ、な、なんだ!?」
「フロアボスはもう1体いたのか!クラーケンだ!今助ける!」
浮竹は、クラーケンの本体めがけてアイシクルブレスを吐いた。
クラーケンは水属性だが、氷に強いというわけでなく、体の大半を凍らせていた。
「恋次!」
「大丈夫っす、白哉さん!ライトニングボール!」
恋次は蛇尾丸という伸縮自在の剣に雷をまとわせて、自分に巻き付いている触手を黒こげにして切り落とした。
「すまぬ、浮竹。援護、感謝する。いけ、千本桜!」
白哉は千本桜を数億の刃にして、そこに雷をまとわせて、クラーケンの凍った体をくだいていく。
「ありゃ、僕の出番はなしかな」
「ないほうがいい。Sランク冒険者としてソロで倒せるくらいでないと、ダンジョン踏破はできないからな」
「それもそうだね。それより、この船沈没しかけてるんだけど」
「もう長くはもたないな」
「浮竹、君は海全体を凍らせること、できる?」
「できるが、範囲が広すぎる。浅い氷しかできないぞ」
「だよねぇ。海岸まで、泳いでいくしかないのかな」
「俺がドラゴン化する。背に乗れ」
浮竹は、人化を解いて本来のムーンホワイトドラゴンの姿になると、京楽を背に乗せた。
それから恋次と白哉を拾い上げて、背中に乗せて空を飛行する。
「うわぁ、羽毛のドラゴン!すっげぇ!」
「ムーンホワイトドラゴンか・・・月竜と呼ばれるだけあって、美しいな」
恋次と白哉は、ふかふかの浮竹の羽毛を手で触っていた。
「いいクッションになりそう」
「ちょっと、恋次君、浮竹の羽でクッションとかそんな作ってみたいようなこと言わない!」
「作ってみたいのか、京楽」
「あ、いや、これは言葉のあやで」
「別にいいぞ。少し羽を抜くくらいでクッションはできるのだろう」
浮竹は、海岸の次の階段のある地点までくると、ドラゴンから人の姿に戻った。
「俺たちが同行するのはここまでだ。フロアボスを撃破できたし、お前たちなら無理をせず危険と判断したら帰還スクロールを使うだろうし」
「ありがとうございました、浮竹さん、京楽さん」
「何、後は二人でがんばってね」
「兄らには感謝の言葉しかでぬ」
白哉と恋次が階段のほうに歩き出したのを確認してから、京楽は浮竹を抱きしめた。
「な、なんだ」
「君の背に乗るのは久しぶりだなぁと思って。愛してるよ、浮竹」
「背に乗せるくらい、いつでもしてやるのに。俺も、愛してる」
二人きりになったものだと思って、キスをする。
「あ、京楽さん、浮竹さん、リヴァイアサン倒したのあんたらだから魔石を・・・・・・」
「・・・・・兄らは、もう少し人目を気にした方がいい」
戻ってきた恋次と白哉にキスシーンを見られて、浮竹は真っ赤になってハリセンを取り出す。
「このあほ!すかたん!ぼけ!万年発情期!」
ハリセンでスパンスパンと叩かれながら、それでも京楽はにまにましていた。
「見られても減るもんじゃなし」
「そういう問題じゃない!アイシクルブレス!」
「もぎゃああああ」
体を凍らされて、京楽は悲鳴をあげる。
「「お幸せに」」
「こ、これでも幸せそうに見える?」
「「見える」」
「あはははは、浮竹、ブレスは簡便。氷耐性あるっていっても、しもやけになっちゃう」
「しもやけになりまくれ!アイシクルブレス!」
「もぎゃあああああああ」
白哉と恋次は、悲鳴をあげる京楽を無視して、21階層に降りていくのだった。
浮竹は、二人がいなくなったことを完全に確認して、アイシクルブレスを止める。
「寒い、寒い!プチファイア!」
体を温める火の魔法を使う京楽。
その頭を、おまけとばかりに浮竹がはりせんをおみまいさせるのだった。
「Sランクダンジョンって広いっすね~」
「出てくるモンスターも、強いぞ」
浮竹は、さっそくでてたガーゴイルにアイシクルブレスを吐いた。
「散れ・・・・千本桜」
白哉は、魔剣千本桜をもっており、それは桜の花びらとなって数億の刃となって敵を切り裂く。
ガーゴイルの石の体を、白哉の千本桜の花の刃はすぱすぱと切っていく。
「こりゃあ、僕たちが同行する必要なかったかもねぇ」
「いや、兄らがいるから安心して戦える」
「サンダースピア!」
京楽は、浮竹の方に向かっていったガーゴイルに魔法を放ち、動きが止まった瞬間に魔剣のドラゴンスレイヤーで粉々にしてしまった。
「ドラゴンスレイヤーか。噂には聞いているが、私の千本桜並みに強いな」
「そりゃ、竜殺しの魔剣だからねぇ。白哉君の千本桜は刃を細かくできるけど、こっちはできないけど、代わりになんでも切れる。ミスリルのインゴットでも切れるよ」
「さすがに、私の千本桜ではミスリルまでは切れない」
「ほら、京楽も白哉も恋次君も、先を行くぞ」
先に進み始めた浮竹のあとを、皆追うのだった。
20階層まで下り、フロアボスを数体撃破して、20階層のボスが出てくる。
フィールドは海。
今にも沈みそうな船に乗り、フロア最大のボスである魔獣リヴァイアサンに挑む。
「ヘルボルテックスサンダー!」
「ライトニングボール!」
白哉と恋次が雷の魔法を放つ。
浮竹と京楽は、とりあえず手を出さないで見ていることにした。
「ジャッジメントサンダー!」
白哉が、雷の禁忌を放ち、それを千本桜にまとわせてリヴァイアサンの体を切り裂いていくと、リヴァイアサンは最後の咆哮をあげてどーんと海に倒れた。
「やった!俺と白哉さんだけでフロアボス倒せた!」
喜ぶ恋次の背後から、触手が伸びて恋次をからみとった。
「うわ、な、なんだ!?」
「フロアボスはもう1体いたのか!クラーケンだ!今助ける!」
浮竹は、クラーケンの本体めがけてアイシクルブレスを吐いた。
クラーケンは水属性だが、氷に強いというわけでなく、体の大半を凍らせていた。
「恋次!」
「大丈夫っす、白哉さん!ライトニングボール!」
恋次は蛇尾丸という伸縮自在の剣に雷をまとわせて、自分に巻き付いている触手を黒こげにして切り落とした。
「すまぬ、浮竹。援護、感謝する。いけ、千本桜!」
白哉は千本桜を数億の刃にして、そこに雷をまとわせて、クラーケンの凍った体をくだいていく。
「ありゃ、僕の出番はなしかな」
「ないほうがいい。Sランク冒険者としてソロで倒せるくらいでないと、ダンジョン踏破はできないからな」
「それもそうだね。それより、この船沈没しかけてるんだけど」
「もう長くはもたないな」
「浮竹、君は海全体を凍らせること、できる?」
「できるが、範囲が広すぎる。浅い氷しかできないぞ」
「だよねぇ。海岸まで、泳いでいくしかないのかな」
「俺がドラゴン化する。背に乗れ」
浮竹は、人化を解いて本来のムーンホワイトドラゴンの姿になると、京楽を背に乗せた。
それから恋次と白哉を拾い上げて、背中に乗せて空を飛行する。
「うわぁ、羽毛のドラゴン!すっげぇ!」
「ムーンホワイトドラゴンか・・・月竜と呼ばれるだけあって、美しいな」
恋次と白哉は、ふかふかの浮竹の羽毛を手で触っていた。
「いいクッションになりそう」
「ちょっと、恋次君、浮竹の羽でクッションとかそんな作ってみたいようなこと言わない!」
「作ってみたいのか、京楽」
「あ、いや、これは言葉のあやで」
「別にいいぞ。少し羽を抜くくらいでクッションはできるのだろう」
浮竹は、海岸の次の階段のある地点までくると、ドラゴンから人の姿に戻った。
「俺たちが同行するのはここまでだ。フロアボスを撃破できたし、お前たちなら無理をせず危険と判断したら帰還スクロールを使うだろうし」
「ありがとうございました、浮竹さん、京楽さん」
「何、後は二人でがんばってね」
「兄らには感謝の言葉しかでぬ」
白哉と恋次が階段のほうに歩き出したのを確認してから、京楽は浮竹を抱きしめた。
「な、なんだ」
「君の背に乗るのは久しぶりだなぁと思って。愛してるよ、浮竹」
「背に乗せるくらい、いつでもしてやるのに。俺も、愛してる」
二人きりになったものだと思って、キスをする。
「あ、京楽さん、浮竹さん、リヴァイアサン倒したのあんたらだから魔石を・・・・・・」
「・・・・・兄らは、もう少し人目を気にした方がいい」
戻ってきた恋次と白哉にキスシーンを見られて、浮竹は真っ赤になってハリセンを取り出す。
「このあほ!すかたん!ぼけ!万年発情期!」
ハリセンでスパンスパンと叩かれながら、それでも京楽はにまにましていた。
「見られても減るもんじゃなし」
「そういう問題じゃない!アイシクルブレス!」
「もぎゃああああ」
体を凍らされて、京楽は悲鳴をあげる。
「「お幸せに」」
「こ、これでも幸せそうに見える?」
「「見える」」
「あはははは、浮竹、ブレスは簡便。氷耐性あるっていっても、しもやけになっちゃう」
「しもやけになりまくれ!アイシクルブレス!」
「もぎゃあああああああ」
白哉と恋次は、悲鳴をあげる京楽を無視して、21階層に降りていくのだった。
浮竹は、二人がいなくなったことを完全に確認して、アイシクルブレスを止める。
「寒い、寒い!プチファイア!」
体を温める火の魔法を使う京楽。
その頭を、おまけとばかりに浮竹がはりせんをおみまいさせるのだった。
新たなる霊王
俺は、死んだはずだった。
ミミハギ様を手放し、神掛を行った。
気づいた時には、集中治療室で目覚めた。
「よかった、浮竹、目覚めたんだね」
傍で、憔悴しきった様子の京楽が、ずっと浮竹の手を握っていた。
「ああ、もうこうして君に触れていれるのも終わりかな」
「俺は死んだんじゃなかったのか?」
「君は・・・霊王になったんだ。神掛が、君を霊王にした」
「俺が霊王に?」
信じられなくて、でも新しい零番隊が迎えにやってきた。
「新しい霊王様においては、ご機嫌麗しゅう。これより、世界を見守るために霊王宮にあがってもらいます。もう、尸魂界の、下界には戻ってこれません」
「え・・・・・・・」
つまりは、もう京楽と会えないということなのだろうか。
「それは困る。俺は、下界にいたい」
「だめです。霊王様なのですよ、あなたは!」
「じゃあ、許可を。京楽も、時折でいいから霊王宮に行ける許可を。それがないなら、俺は霊王にならない」
子供の我儘のように、浮竹は京楽の手を握って、霊王にならないと言い張った。
「霊王様が霊王宮にいらせられないのは問題だ。仕方ない、京楽春水、汝を特別に霊王様のおそばに時折居れるように、許可する」
「じゃあ、京楽・・・俺は、ちょっと霊王として霊王宮にあがるよ」
「浮竹!」
「別れじゃないから。また、会える」
零番隊に連れられて、浮竹は去ってしまった。
それから、どれくらい月日が流れただろうか。
半年は音信不通だった。
浮竹が生きているだけでいいと思っていたが、それでもやはり傍にいれないと寂しさが募る。
「浮竹・・・・今頃、何してるだろう」
ふと、地獄蝶がやってくる。
「霊王様がお呼びです。一番隊隊舎の裏にゲートを作るので、そこから霊王宮にあがりなさい」
京楽は、仕事を放りだしてゲートに入った。
「浮竹に会えるの・・・・?」
気づくと、そこは春の季節を保った霊王宮の入り口だった。
「お、京楽、久しぶり」
傍に侍女を従えて、霊王となった浮竹は美しい着物を着て、長い白髪を結い上げて花で飾り、まるで女性に見間違うような出で立ちをしていた。
「浮竹?」
「他の者は下がってくれ。京楽と二人きりになりたい」
「しかし霊王様!」
「この霊王の命令が聞けないのか?」
「申し訳ありません。退席いたします」
霊王となった浮竹に案内されて、霊王宮のいろんな場所を紹介された。
「ここが、俺の部屋だ」
広い部屋に、ぽつんと大きなベッドだけがある。
「霊王の君って、普段何をしているの?」
「下界を見てる。何かの命が生まれる時が、一番嬉しい。お前のことも、時折見ていた。総隊長として、立派にやっているんだな」
「浮竹!」
京楽は、浮竹に抱き着いた。
「どうしたんだ?」
「半年も、君に会えなかった。半年ぶりだよ。浮竹不足で死にそうだ」
「大袈裟だな」
「ねぇ、しばらくこの霊王宮に居てもいいのかな?」
「ああ。俺の我儘になるが、霊王を止めるって言いだせば、大抵のことは片がつく」
「浮竹、悪いいたずらっ子みたい」
「ふふ・・・・好きだぞ、京楽」
「僕も大好きだよ、浮竹」
霊王となった浮竹をベッドに押し倒して、体を重ねた。
半年ぶりなので、加減ができなくて浮竹は意識を飛ばしてしまった。
「ごめんね、浮竹。君が傍にいないと、僕はだめみたい」
浮竹の隣で、浮竹を抱きしめて眠った。
朝餉の時刻になり、浮竹も目を覚ます。
「京楽、たまってたな」
「ああ、うん。ごめん」
配膳係は、何も聞いていないように振舞う。
「ねぇ、肺の病は大丈夫なの?」
「ああ。霊王になったせいか、肺は健康そのものなんだ。体が弱いのは変わりないが。霊王宮の外までしか出れないが、外は春の季節が保たれていて、体にも心地よい」
「ごめん、昨日君にした行為は、君の体を蝕んでしまうかもしれない」
「いい。俺も、望んだことだ」
浮竹は、朝餉を食べ終えると、京楽を連れて霊王宮の外に出た。
「ここは、年中桜が咲いているんだ。この桜の大木が、俺のお気に入りだ」
「綺麗だね」
「そうだろう」
「うん。桜の花びら舞う下にいる君が、とても綺麗だ」
浮竹は、赤くなった。
「な、何を言っている」
「ふふふ。かわいいなぁ、浮竹は」
「からかうな。これでも、霊王なんだぞ」
「かわいい霊王様だね」
「むう」
浮竹は頬を膨らませる。
「僕は、いつまでここにいれるのかな?」
「1週間。その次は、また半年後だ」
「そう。じゃあ、明日ここで花見をしよう。酒を飲みかわそう」
浮竹と京楽は、離れていた時間を取り戻すように、お互い傍にいて寄り添い合った。
「じゃあ、また半年後に」
「京楽!」
「なんだい」
「これ、俺専用の伝令神機だ。話ならできるから」
「お、気が利くね。ありがたくもらって、活用させてもらうよ」
霊王となった浮竹は、暇をもてあましている。
霊王の存在は、世界が在るのを見届け、贄となって支えるもの。
「おはよう、浮竹」
「おはよう、京楽」
専用の伝令神機を利用して、毎日のように会話ができて、二人が離れている距離は、近いものになる。
「来月は、あれから半年が経つから会える。早く、お前に触れたい」
「僕もだよ。君を抱きたい」
「な、俺は、会いたいと・・・・・・」
「でも、抱かれたいでしょ?」
「知るか!」
浮竹は、伝令神機を畳にたたきつける。
「あははは。顔まで真っ赤な君が想像できる」
受話器ごしから聞こえてくる声に、真っ赤になりながら、浮竹は。
「俺も抱かれたい。早く、会いたい・・・・・・」
そう言って、伝令神機を切って、桜の大木があるところまでくると、下界を少し見た。
京楽の姿が見えた。
滞在は一週間になるので、ばりばり仕事をしているらしかった。
「ふふ・・・・・」
一生懸命な京楽を見ていると、こっちまで嬉しくなる。
「そんなに、俺に会いたいのか・・・・」
浮竹は、少し笑って、桜の大木の下で微睡みだす。
霊王は、ただ在ればいいだけなので、基本暇だ。
書物を読んだり、身の回りの世話をする者と囲碁や麻雀をしたり、花札とかトランプをしたり。
眠っている時間が、1日の3分の2を占めるようになっていた。
「京楽・・・早く、会いたい・・・・・」
眠りながら、京楽の夢を見る。
次に会えるまであと1カ月。
伝令神機で連絡を取り合ってるので、孤独ではないし、半年に一回ではあるが、実際に会える。
霊王となったことに、後悔はしていない。
一度死んだはずなのだ。
京楽と同じ時間を生きて、会えるなら、もうそれ以上の望みはないのだった。
ミミハギ様を手放し、神掛を行った。
気づいた時には、集中治療室で目覚めた。
「よかった、浮竹、目覚めたんだね」
傍で、憔悴しきった様子の京楽が、ずっと浮竹の手を握っていた。
「ああ、もうこうして君に触れていれるのも終わりかな」
「俺は死んだんじゃなかったのか?」
「君は・・・霊王になったんだ。神掛が、君を霊王にした」
「俺が霊王に?」
信じられなくて、でも新しい零番隊が迎えにやってきた。
「新しい霊王様においては、ご機嫌麗しゅう。これより、世界を見守るために霊王宮にあがってもらいます。もう、尸魂界の、下界には戻ってこれません」
「え・・・・・・・」
つまりは、もう京楽と会えないということなのだろうか。
「それは困る。俺は、下界にいたい」
「だめです。霊王様なのですよ、あなたは!」
「じゃあ、許可を。京楽も、時折でいいから霊王宮に行ける許可を。それがないなら、俺は霊王にならない」
子供の我儘のように、浮竹は京楽の手を握って、霊王にならないと言い張った。
「霊王様が霊王宮にいらせられないのは問題だ。仕方ない、京楽春水、汝を特別に霊王様のおそばに時折居れるように、許可する」
「じゃあ、京楽・・・俺は、ちょっと霊王として霊王宮にあがるよ」
「浮竹!」
「別れじゃないから。また、会える」
零番隊に連れられて、浮竹は去ってしまった。
それから、どれくらい月日が流れただろうか。
半年は音信不通だった。
浮竹が生きているだけでいいと思っていたが、それでもやはり傍にいれないと寂しさが募る。
「浮竹・・・・今頃、何してるだろう」
ふと、地獄蝶がやってくる。
「霊王様がお呼びです。一番隊隊舎の裏にゲートを作るので、そこから霊王宮にあがりなさい」
京楽は、仕事を放りだしてゲートに入った。
「浮竹に会えるの・・・・?」
気づくと、そこは春の季節を保った霊王宮の入り口だった。
「お、京楽、久しぶり」
傍に侍女を従えて、霊王となった浮竹は美しい着物を着て、長い白髪を結い上げて花で飾り、まるで女性に見間違うような出で立ちをしていた。
「浮竹?」
「他の者は下がってくれ。京楽と二人きりになりたい」
「しかし霊王様!」
「この霊王の命令が聞けないのか?」
「申し訳ありません。退席いたします」
霊王となった浮竹に案内されて、霊王宮のいろんな場所を紹介された。
「ここが、俺の部屋だ」
広い部屋に、ぽつんと大きなベッドだけがある。
「霊王の君って、普段何をしているの?」
「下界を見てる。何かの命が生まれる時が、一番嬉しい。お前のことも、時折見ていた。総隊長として、立派にやっているんだな」
「浮竹!」
京楽は、浮竹に抱き着いた。
「どうしたんだ?」
「半年も、君に会えなかった。半年ぶりだよ。浮竹不足で死にそうだ」
「大袈裟だな」
「ねぇ、しばらくこの霊王宮に居てもいいのかな?」
「ああ。俺の我儘になるが、霊王を止めるって言いだせば、大抵のことは片がつく」
「浮竹、悪いいたずらっ子みたい」
「ふふ・・・・好きだぞ、京楽」
「僕も大好きだよ、浮竹」
霊王となった浮竹をベッドに押し倒して、体を重ねた。
半年ぶりなので、加減ができなくて浮竹は意識を飛ばしてしまった。
「ごめんね、浮竹。君が傍にいないと、僕はだめみたい」
浮竹の隣で、浮竹を抱きしめて眠った。
朝餉の時刻になり、浮竹も目を覚ます。
「京楽、たまってたな」
「ああ、うん。ごめん」
配膳係は、何も聞いていないように振舞う。
「ねぇ、肺の病は大丈夫なの?」
「ああ。霊王になったせいか、肺は健康そのものなんだ。体が弱いのは変わりないが。霊王宮の外までしか出れないが、外は春の季節が保たれていて、体にも心地よい」
「ごめん、昨日君にした行為は、君の体を蝕んでしまうかもしれない」
「いい。俺も、望んだことだ」
浮竹は、朝餉を食べ終えると、京楽を連れて霊王宮の外に出た。
「ここは、年中桜が咲いているんだ。この桜の大木が、俺のお気に入りだ」
「綺麗だね」
「そうだろう」
「うん。桜の花びら舞う下にいる君が、とても綺麗だ」
浮竹は、赤くなった。
「な、何を言っている」
「ふふふ。かわいいなぁ、浮竹は」
「からかうな。これでも、霊王なんだぞ」
「かわいい霊王様だね」
「むう」
浮竹は頬を膨らませる。
「僕は、いつまでここにいれるのかな?」
「1週間。その次は、また半年後だ」
「そう。じゃあ、明日ここで花見をしよう。酒を飲みかわそう」
浮竹と京楽は、離れていた時間を取り戻すように、お互い傍にいて寄り添い合った。
「じゃあ、また半年後に」
「京楽!」
「なんだい」
「これ、俺専用の伝令神機だ。話ならできるから」
「お、気が利くね。ありがたくもらって、活用させてもらうよ」
霊王となった浮竹は、暇をもてあましている。
霊王の存在は、世界が在るのを見届け、贄となって支えるもの。
「おはよう、浮竹」
「おはよう、京楽」
専用の伝令神機を利用して、毎日のように会話ができて、二人が離れている距離は、近いものになる。
「来月は、あれから半年が経つから会える。早く、お前に触れたい」
「僕もだよ。君を抱きたい」
「な、俺は、会いたいと・・・・・・」
「でも、抱かれたいでしょ?」
「知るか!」
浮竹は、伝令神機を畳にたたきつける。
「あははは。顔まで真っ赤な君が想像できる」
受話器ごしから聞こえてくる声に、真っ赤になりながら、浮竹は。
「俺も抱かれたい。早く、会いたい・・・・・・」
そう言って、伝令神機を切って、桜の大木があるところまでくると、下界を少し見た。
京楽の姿が見えた。
滞在は一週間になるので、ばりばり仕事をしているらしかった。
「ふふ・・・・・」
一生懸命な京楽を見ていると、こっちまで嬉しくなる。
「そんなに、俺に会いたいのか・・・・」
浮竹は、少し笑って、桜の大木の下で微睡みだす。
霊王は、ただ在ればいいだけなので、基本暇だ。
書物を読んだり、身の回りの世話をする者と囲碁や麻雀をしたり、花札とかトランプをしたり。
眠っている時間が、1日の3分の2を占めるようになっていた。
「京楽・・・早く、会いたい・・・・・」
眠りながら、京楽の夢を見る。
次に会えるまであと1カ月。
伝令神機で連絡を取り合ってるので、孤独ではないし、半年に一回ではあるが、実際に会える。
霊王となったことに、後悔はしていない。
一度死んだはずなのだ。
京楽と同じ時間を生きて、会えるなら、もうそれ以上の望みはないのだった。
28話補完小説
「俺は・・・・あんたを止めるためにここにきたんだ。あんたを止めて、尸魂界も現世も虚圏を、全部守るために!」
「無駄だ。全部観えている」
「うおおおおおおおお!!月牙天衝!」
天鎖斬月を握り、月牙天衝を何度も放つが、ユーハバッハにはきかない。
「ああああああ!!!!」
修行でパワーアップしたはずの月牙天衝をはじかれて、弓で攻撃される。
それを斬月ではじいていくが、数が多く威力が高い。
「俺は、お前を倒して・・・・・・」
「全てを守るか。手遅れだ」
ユーハバッハは、霊王を見せた。
「霊王は死んだ。お前になす術は最早ない」
ユーハバッハの言葉通り、霊王を封じ込めた水晶には剣がささっていた。
「剣をぬいて霊王を救うか。抜くがいい。お前にならそれができよう。お前自身の手で尸魂界を滅ぼすがいい」
「なんだ・・・・・どうなっている!剣が・・・」
霊王を、真っ二つにしていた。
ざっと、自分のしでかしたことの大きさと絶望に、地面に膝をつける。
俺が。
俺の手が、霊王を殺した。
信じられなかった。
自分の中に流れる滅却師の血が、ざわめく。
ユーハバッハに操つられたような状態だったとはいえ、俺が霊王を殺し、世界を終わらせようとしている。
「さぁ、一護よ。共に観よう。尸魂界の終焉を」
「俺は・・・・俺は・・・」
「言ったはずだ。手遅れだと。ここに現れたお前自身の手で、霊王は止めをさされるのだから」
ユーハバッハの言葉が遠くにかんじる。
「どうしてだ・・・・どうして俺は斬った?どうしてこの剣は俺の手を離れねぇんだ?」
一護は、不敵な笑みを浮かべるユーハバッハに切りかかった。
「我が聖文字はA。全知全能。全ての未来を見通し、全ての力を奪い、与える。わが剣に宿る我が霊圧をお前に与えることもできる。その流れ込んだ私の力が、お前の血に呼びかけたのだ。
許せぬはずだ許せぬはずだ。お前に滅却師の血が流れるのならば、お前は霊王をきらなければならぬ!」
ユーハバッハは叫んだ。
人間であり、滅却師であり、フルブリンガーであり、死神であり、虚である。
その存在こそが、唯一霊王を死に至らしめるのだと。
俺は。
俺は、無力なのか。
俺の手で、世界を壊すというのか。
ああ。
どうか。
世界よ、壊れないでくれ。
「私は、私の手で新たな世界を創造する」
「無駄だ。全部観えている」
「うおおおおおおおお!!月牙天衝!」
天鎖斬月を握り、月牙天衝を何度も放つが、ユーハバッハにはきかない。
「ああああああ!!!!」
修行でパワーアップしたはずの月牙天衝をはじかれて、弓で攻撃される。
それを斬月ではじいていくが、数が多く威力が高い。
「俺は、お前を倒して・・・・・・」
「全てを守るか。手遅れだ」
ユーハバッハは、霊王を見せた。
「霊王は死んだ。お前になす術は最早ない」
ユーハバッハの言葉通り、霊王を封じ込めた水晶には剣がささっていた。
「剣をぬいて霊王を救うか。抜くがいい。お前にならそれができよう。お前自身の手で尸魂界を滅ぼすがいい」
「なんだ・・・・・どうなっている!剣が・・・」
霊王を、真っ二つにしていた。
ざっと、自分のしでかしたことの大きさと絶望に、地面に膝をつける。
俺が。
俺の手が、霊王を殺した。
信じられなかった。
自分の中に流れる滅却師の血が、ざわめく。
ユーハバッハに操つられたような状態だったとはいえ、俺が霊王を殺し、世界を終わらせようとしている。
「さぁ、一護よ。共に観よう。尸魂界の終焉を」
「俺は・・・・俺は・・・」
「言ったはずだ。手遅れだと。ここに現れたお前自身の手で、霊王は止めをさされるのだから」
ユーハバッハの言葉が遠くにかんじる。
「どうしてだ・・・・どうして俺は斬った?どうしてこの剣は俺の手を離れねぇんだ?」
一護は、不敵な笑みを浮かべるユーハバッハに切りかかった。
「我が聖文字はA。全知全能。全ての未来を見通し、全ての力を奪い、与える。わが剣に宿る我が霊圧をお前に与えることもできる。その流れ込んだ私の力が、お前の血に呼びかけたのだ。
許せぬはずだ許せぬはずだ。お前に滅却師の血が流れるのならば、お前は霊王をきらなければならぬ!」
ユーハバッハは叫んだ。
人間であり、滅却師であり、フルブリンガーであり、死神であり、虚である。
その存在こそが、唯一霊王を死に至らしめるのだと。
俺は。
俺は、無力なのか。
俺の手で、世界を壊すというのか。
ああ。
どうか。
世界よ、壊れないでくれ。
「私は、私の手で新たな世界を創造する」
奴隷竜とSランク冒険者13
「ふう、今回のダンジョン探索はマジックアイテムがたくさんでたね」
「ああ。金になるな」
「うん。いくらになるか楽しみだね」
京楽と浮竹は、Sランクダンジョンを踏破した帰り道に、冒険者ギルドに寄った。
マジックアイテムをたくさん買いとってもらい、白金貨13万枚を手にした。
「久しぶりに、外で食事しないか」
「いいね。高級レストランにでも行こうか」
街を歩いていると、浮竹と京楽そっくりの人物が、向こう側からやってくる。
「あ、お前、なんでこの世界に!夢の中じゃないのに!」
浮竹が、変身能力をもつ、夢の中で出会う浮竹に話しかける。
『あ、ドラゴンの俺!気づいたら、この世界にいたんだ!ここはすごいな!魔法とかあるんだな!それに、見たこともない種族がいっぱいだし、絵本の通りでびっくりだ!』
「びっくりしたのは俺のほうだ」
「僕がいる・・・・・・」
『ボクがいるね・・・・・』
京楽たちは、鏡を見るように不思議そうにしていた。
「京楽、こっちが夢によく出てくるもう一人の俺で、そっちは連れの京楽らしい」
『こっちの浮竹も、かわいいね。でも、ボクの浮竹が一番かわいいけどね』
「僕の浮竹が一番かわいいよ!」
不毛な言い争いをする京楽たちを放置して、浮竹たちは市場に行くことにした。
「待ってよ、浮竹!」
『浮竹、だめだよ一人で出歩いちゃ。世界が違うんだから』
「京楽たち、仲良くしろ」
『そうだぞ、京楽。俺たちみたいに、仲良くなれ』
道すがら、違う世界の浮竹と京楽は、こっちの世界でいわゆる異世界召還されたのだと知る。
術者はいなくて、気づいたらこっちの世界にいたそうだ。
「勇者が召還される以外にも、普通の人間が召還されることもあるし、普通にすぐに戻ることもある。多分、今回は後者だろう。こっちの世界にいられる時間は限られているだろうから、とりあえず買い物だ!」
浮竹は、もう一人の浮竹の手を引っ張って、洋服屋に入っていった。
「あ、これ似合いそうだな。でも、こっちの青も捨てがたい」
『服、買ってもらっていいのか、ドラゴンの俺。この店、凄く高そうなんだが』
「金なら腐るほどある。どうせなら、いい服を買ってやりたい」
『これ、絹じゃないか!高いだろう』
「金は腐るほどある」
「そっちの浮竹には、こういう服が似合うんじゃない?」
京楽がチョイスした服を、もう一人の浮竹は気に入ったようで、それに着替えた。
『どうだ、似合っているか?』
『「かわいい・・・・・」』
京楽たちは、はもっていた。
「うん、バッチリ似合っているぞ。そっちの京楽も、好きな服を選ぶといい。買ってやる」
『じゃあ、お言葉に甘えて・・・・』
異能力者の京楽は、もう一人の浮竹の服と対になるような服を買って、着ることにした。
ぐうううう。
もう一人の浮竹の腹が鳴って、もう一人の浮竹は顔を真っ赤にする。
「ちょうど、高級レストランに行こうかとさっきまで京楽と話していたところなんだ。おごってやるから、お前たちも来い」
『ドラゴンの浮竹におごられるのって、なんか不思議な感覚』
「浮竹も僕も、Sランク冒険者だからね。君たちよりは金持ちのはずだよ」
『ドラゴンの俺、凄いんだな』
「全部、京楽が俺を買ってくれたおかげだ」
高級レストランへいく道の途中で、浮竹は自分が元奴隷であり、京楽に買われて幸せになっていることを話した。
『つらかっただろう、ドラゴンの俺。でも今は、冒険者の京楽がいて、安心だな!』
「ああ。京楽がいてくれるから、俺は生きている。ほんとははく製にするとかという話も出ていたんだ」
『ドラゴンのはく製は迫力があるだろうが、ドラゴンの俺がはく製になるなんて嫌だ!』
もう一人の浮竹は、ぎゅっと浮竹に抱き着いた。
「着いたぞ。もう一人の俺、もう今の俺は大丈夫だから安心しろ。好きなコースを頼むといい」
文字が読めないので、浮竹と京楽に翻訳してもらって、異世界の浮竹と京楽は本日のおすすめコースを選んだ。
シャトーブリアンのステーキとか、トリュフたっぷりの海鮮パスタとか、おいしいが高そうなものばかりでてきた。
『うまいが、お金が気になる・・・・』
『ボクも手持ちはあるけど、こっちの世界とじゃあ通貨が違うものね』
財布を見る異能力者の京楽。
一方、浮竹はもう一人の浮竹を見た。
「パフェ食うか?」
『パフェ!?食べる!』
「こっちの世界にしかないフルーツを使っている。多分、そっちの世界では味わえない味だぞ」
『楽しみだ!』
『あ、ボクの分もお願い』
『京楽、パフェはうまいもんな!』
『うん、そうだね』
やってきたパフェは、紫色の甘い見たことのないフルーツをふんだんに使っていて、おいしいが元の世界では味わえない不思議な味がした。
「会計は僕がもつよ。浮竹に支払わせるわけにはいかないからね」
京楽が、全員分の会計を払う。
白金貨が数百枚飛んでいく。
『白金貨・・・・確か、通貨で一番高い・・・・はう』
その金額を考えて、もう一人の浮竹は軽い眩暈をおこした。
「気にするな、もう一人の俺。俺たちはSランク冒険者だ。白金貨なんて、月に数百万枚うまくいけば溜めれる」
『すごいな、ドラゴンの俺と冒険者の京楽は』
レストランを出て、浮竹たちが泊まっている高級宿にくる。
『また、高そうな宿だな・・・・・』
その時、ぱぁぁぁと異世界の浮竹と京楽の足元が輝いた。
その時、もう一人の浮竹は直観した。
『もう、元の世界に戻るようだ。また、夢の中でいいから会おう、ドラゴンの俺』
「これみやげにもっていけ!」
浮竹が、この世界にしかない果実を盛り合わせたフルーツバスケットを、もう一人の浮竹に渡す。
『何から何まで、ありがとうな!』
『浮竹が世話になったね。まぁボクも世話になったんだけど』
「そっちの浮竹を幸せにしなよ、異世界の僕!」
『当たり前だよ』
光はぱぁぁあと輝いて、異世界の浮竹と京楽はいなくなってしまった。
「不思議な体験だったな」
「うん。でも、君のいう夢の中の浮竹に出会えてよかったよ」
「さて、風呂にでも入るか」
「僕も一緒に入る」
「変なこと、するなよ?」
「ふふ、それはどうだろうねぇ・・・・・」
浮竹と京楽は、普通の日常に戻っていくのだった。
「ああ。金になるな」
「うん。いくらになるか楽しみだね」
京楽と浮竹は、Sランクダンジョンを踏破した帰り道に、冒険者ギルドに寄った。
マジックアイテムをたくさん買いとってもらい、白金貨13万枚を手にした。
「久しぶりに、外で食事しないか」
「いいね。高級レストランにでも行こうか」
街を歩いていると、浮竹と京楽そっくりの人物が、向こう側からやってくる。
「あ、お前、なんでこの世界に!夢の中じゃないのに!」
浮竹が、変身能力をもつ、夢の中で出会う浮竹に話しかける。
『あ、ドラゴンの俺!気づいたら、この世界にいたんだ!ここはすごいな!魔法とかあるんだな!それに、見たこともない種族がいっぱいだし、絵本の通りでびっくりだ!』
「びっくりしたのは俺のほうだ」
「僕がいる・・・・・・」
『ボクがいるね・・・・・』
京楽たちは、鏡を見るように不思議そうにしていた。
「京楽、こっちが夢によく出てくるもう一人の俺で、そっちは連れの京楽らしい」
『こっちの浮竹も、かわいいね。でも、ボクの浮竹が一番かわいいけどね』
「僕の浮竹が一番かわいいよ!」
不毛な言い争いをする京楽たちを放置して、浮竹たちは市場に行くことにした。
「待ってよ、浮竹!」
『浮竹、だめだよ一人で出歩いちゃ。世界が違うんだから』
「京楽たち、仲良くしろ」
『そうだぞ、京楽。俺たちみたいに、仲良くなれ』
道すがら、違う世界の浮竹と京楽は、こっちの世界でいわゆる異世界召還されたのだと知る。
術者はいなくて、気づいたらこっちの世界にいたそうだ。
「勇者が召還される以外にも、普通の人間が召還されることもあるし、普通にすぐに戻ることもある。多分、今回は後者だろう。こっちの世界にいられる時間は限られているだろうから、とりあえず買い物だ!」
浮竹は、もう一人の浮竹の手を引っ張って、洋服屋に入っていった。
「あ、これ似合いそうだな。でも、こっちの青も捨てがたい」
『服、買ってもらっていいのか、ドラゴンの俺。この店、凄く高そうなんだが』
「金なら腐るほどある。どうせなら、いい服を買ってやりたい」
『これ、絹じゃないか!高いだろう』
「金は腐るほどある」
「そっちの浮竹には、こういう服が似合うんじゃない?」
京楽がチョイスした服を、もう一人の浮竹は気に入ったようで、それに着替えた。
『どうだ、似合っているか?』
『「かわいい・・・・・」』
京楽たちは、はもっていた。
「うん、バッチリ似合っているぞ。そっちの京楽も、好きな服を選ぶといい。買ってやる」
『じゃあ、お言葉に甘えて・・・・』
異能力者の京楽は、もう一人の浮竹の服と対になるような服を買って、着ることにした。
ぐうううう。
もう一人の浮竹の腹が鳴って、もう一人の浮竹は顔を真っ赤にする。
「ちょうど、高級レストランに行こうかとさっきまで京楽と話していたところなんだ。おごってやるから、お前たちも来い」
『ドラゴンの浮竹におごられるのって、なんか不思議な感覚』
「浮竹も僕も、Sランク冒険者だからね。君たちよりは金持ちのはずだよ」
『ドラゴンの俺、凄いんだな』
「全部、京楽が俺を買ってくれたおかげだ」
高級レストランへいく道の途中で、浮竹は自分が元奴隷であり、京楽に買われて幸せになっていることを話した。
『つらかっただろう、ドラゴンの俺。でも今は、冒険者の京楽がいて、安心だな!』
「ああ。京楽がいてくれるから、俺は生きている。ほんとははく製にするとかという話も出ていたんだ」
『ドラゴンのはく製は迫力があるだろうが、ドラゴンの俺がはく製になるなんて嫌だ!』
もう一人の浮竹は、ぎゅっと浮竹に抱き着いた。
「着いたぞ。もう一人の俺、もう今の俺は大丈夫だから安心しろ。好きなコースを頼むといい」
文字が読めないので、浮竹と京楽に翻訳してもらって、異世界の浮竹と京楽は本日のおすすめコースを選んだ。
シャトーブリアンのステーキとか、トリュフたっぷりの海鮮パスタとか、おいしいが高そうなものばかりでてきた。
『うまいが、お金が気になる・・・・』
『ボクも手持ちはあるけど、こっちの世界とじゃあ通貨が違うものね』
財布を見る異能力者の京楽。
一方、浮竹はもう一人の浮竹を見た。
「パフェ食うか?」
『パフェ!?食べる!』
「こっちの世界にしかないフルーツを使っている。多分、そっちの世界では味わえない味だぞ」
『楽しみだ!』
『あ、ボクの分もお願い』
『京楽、パフェはうまいもんな!』
『うん、そうだね』
やってきたパフェは、紫色の甘い見たことのないフルーツをふんだんに使っていて、おいしいが元の世界では味わえない不思議な味がした。
「会計は僕がもつよ。浮竹に支払わせるわけにはいかないからね」
京楽が、全員分の会計を払う。
白金貨が数百枚飛んでいく。
『白金貨・・・・確か、通貨で一番高い・・・・はう』
その金額を考えて、もう一人の浮竹は軽い眩暈をおこした。
「気にするな、もう一人の俺。俺たちはSランク冒険者だ。白金貨なんて、月に数百万枚うまくいけば溜めれる」
『すごいな、ドラゴンの俺と冒険者の京楽は』
レストランを出て、浮竹たちが泊まっている高級宿にくる。
『また、高そうな宿だな・・・・・』
その時、ぱぁぁぁと異世界の浮竹と京楽の足元が輝いた。
その時、もう一人の浮竹は直観した。
『もう、元の世界に戻るようだ。また、夢の中でいいから会おう、ドラゴンの俺』
「これみやげにもっていけ!」
浮竹が、この世界にしかない果実を盛り合わせたフルーツバスケットを、もう一人の浮竹に渡す。
『何から何まで、ありがとうな!』
『浮竹が世話になったね。まぁボクも世話になったんだけど』
「そっちの浮竹を幸せにしなよ、異世界の僕!」
『当たり前だよ』
光はぱぁぁあと輝いて、異世界の浮竹と京楽はいなくなってしまった。
「不思議な体験だったな」
「うん。でも、君のいう夢の中の浮竹に出会えてよかったよ」
「さて、風呂にでも入るか」
「僕も一緒に入る」
「変なこと、するなよ?」
「ふふ、それはどうだろうねぇ・・・・・」
浮竹と京楽は、普通の日常に戻っていくのだった。
奴隷竜とSランク冒険者12
その日は新月だった。
浮竹は、京楽の寝ているベッドに忍び込み、ぺろりと唇を舐めた。
「ん・・・浮竹?どうしたの、こんな夜中に。一人じゃ眠れない?」
「したい」
「え?」
「したい。やらせろ」
「ええええええええ!?」
京楽は、訳が分からないまま浮竹の手で衣服を脱がされて、その気にさせられて浮竹を抱くのであった。
「ねぇ、昨日のこと覚えてる?」
「覚えてる。新月の日は、時折発情期になる」
「は、発情期・・・・・・・」
京楽は、肌も露わな浮竹に衣服を着せて、とりあえずお風呂に入った。
次に浮竹をお風呂に入れて、朝食の準備をする。
浮竹は何もなかったかのように、たんたんとしている。
京楽から誘って断られることも多いが、浮竹から襲ってくるのははじめてで、いまだに昨日の妖艶な浮竹が脳内にこびりついて、京楽は焼いたトーストにジャムでもバターでもなく、海苔をぬっていた。
「京楽、それ海苔だぞ」
「え、ああ、本当だ!あははは、やだなぁ、朝から僕ってば」
「なぁ、京楽。今日は休みにしないか?」
「どうして?」
「まだ足りない。したい」
浮竹からきっぱりと求めてくるのはとても珍しいので、京楽はその日のスケジュールを調整して休みにすることにした。
「ん・・・・・んあっ」
朝から、ベッドで乱れ合う。
「あ・・・・・・」
浮竹の甘い声を聞きながら、旺盛な性欲を持つ京楽は浮竹を求める。
昨日抱いたが、まだ抱けた。
「ん・・・・もっと」
「浮竹・・・そんなに絞めつけないで」
「や、もっと奥に出せ」
最奥を抉り、京楽は浮竹の胎の奥に精液を注ぎ込む。
「あ、京楽で満たされる・・・・赤ちゃん、卵、できちゃう」
「ドラゴンって、同性でも子供できるの?」
「希少種は可能だ。でも、俺は子供はいらない・・・・京楽をとられる」
浮竹は、抱かれた後はアフターピルを飲むようにしていた。
「浮竹との赤ちゃんかぁ。ちょっと欲しいかも」
「俺はいやだ。京楽をとりあげられる」
「まぁ、子育てしながら冒険者なんてできないからね。諦めるしかないね」
「京楽、もっと・・・・もっと、奥にいっぱい出して」
身をくねらせて、浮竹は京楽を求めた。
その日、京楽はもう出すものはがないほど浮竹を抱いた。
「んあっ」
「んっ・・・・・ごめん、これで最後。僕のほうがもたない」
「んんっ・・・・ああああ」
最奥に熱い飛沫が出されるのを確認して、浮竹は意識を失った。
「京楽、京楽?」
「ん、浮竹?」
「もう夜だぞ」
「ええっ!」
朝方に寝てしまったのは覚えているが、てっきり昼頃に起きるとばかり思っていたら、もう夕時もこして夜になっていた。
「腹が減った」
「ごめん、今から作るから!」
京楽は慌てて起き上がり、身支度を整えると、クリームシチューを作り、買い置きしていたパンを出した。あと、サラダを作った。
「ごめん、もう少し手のこんだもの作りたかったけど、これで簡便して」
「ん、十分にうまいし大丈夫だ」
「そう、よかった・・・・・・」
「俺は、うまかったか?」
「え、あ、うん。こっちの足腰が立たないじゃないかってくらい、いただきました」
「発情期はたまにくる。その時は、また頼む」
「う、うん。ねぇ、奴隷時代は発情期はあったの?」
「なかった。番に近いパートナーができると、発情期がくる」
浮竹は、クリームシチューのおかわりを食べながら、爆弾発言をしてくる。
「今後も、こういうことが起こるかもしれないんだね」
「俺なりに、発情期はコントロールしている。ダンジョン探索の時なんか、新月でもお前を求めなかっただろう」
「そういえばそうだね」
「今日は久しぶりに溜まっていたから、爆発した」
そういえば、最近浮竹がやり過ぎだと怒るので、セックスをする回数を減らしていたのだ。
それが原因なのかもしれない。浮竹は淡泊なようで、ドラゴンなので性欲は強かった。
「もう、クリームシチューない?」
すっかり食べ終わった浮竹に、京楽は苦笑して冷蔵庫から作りおきしておいたハムカツサンドを出す。
「ん、うまい」
「浮竹は、やっぱり色気より食い気かな」
「何かいったか?」
「ううん、なんでもない」
浮竹はお腹いっぱいになると、風呂に入って、歯を磨いて寝てしまった。
「う、眠れない・・・・・・・」
夜まで爆睡した京楽は、横になっても眠れなかった。
「ねぇ、浮竹、浮竹」
「んー、眠い。邪魔、するな」
しっしとあしらわれて、一人京楽は外に出て星を見ていた。
「あ、流れ星・・・・・」
浮竹とずっと一緒にいられますように。
そう願いをかけた。
浮竹は、深い睡眠の中だ。
京楽は、浮竹のベッドに忍び込んで、いつの間にか眠っていた。
「京楽?朝だぞ。なんで俺のベッドにいるんだ」
「え、ああ、昨日なかなな眠れなかたから、君が恋しくて一緒に寝ちゃった」
「恥ずかしいやつ」
浮竹は頬を赤くしていた。
大胆な浮竹を知ってしまったので、そんな仕草をかわいいなと思う。
「浮竹、かわいい」
「からかうな」
「いや、本当にかわいいなと思って」
浮竹は、顔を赤くしながら身支度を整える。
今日は、Sランクダンジョン探索に行く予定だった。
一週間ほどこもるので、その間えろいことはなしだ。
「大好きだよ、浮竹」
そう言って口づけると。
「俺も好きだ、京楽」
浮竹は、そう言い返して口づけし返してくるのであった。
浮竹は、京楽の寝ているベッドに忍び込み、ぺろりと唇を舐めた。
「ん・・・浮竹?どうしたの、こんな夜中に。一人じゃ眠れない?」
「したい」
「え?」
「したい。やらせろ」
「ええええええええ!?」
京楽は、訳が分からないまま浮竹の手で衣服を脱がされて、その気にさせられて浮竹を抱くのであった。
「ねぇ、昨日のこと覚えてる?」
「覚えてる。新月の日は、時折発情期になる」
「は、発情期・・・・・・・」
京楽は、肌も露わな浮竹に衣服を着せて、とりあえずお風呂に入った。
次に浮竹をお風呂に入れて、朝食の準備をする。
浮竹は何もなかったかのように、たんたんとしている。
京楽から誘って断られることも多いが、浮竹から襲ってくるのははじめてで、いまだに昨日の妖艶な浮竹が脳内にこびりついて、京楽は焼いたトーストにジャムでもバターでもなく、海苔をぬっていた。
「京楽、それ海苔だぞ」
「え、ああ、本当だ!あははは、やだなぁ、朝から僕ってば」
「なぁ、京楽。今日は休みにしないか?」
「どうして?」
「まだ足りない。したい」
浮竹からきっぱりと求めてくるのはとても珍しいので、京楽はその日のスケジュールを調整して休みにすることにした。
「ん・・・・・んあっ」
朝から、ベッドで乱れ合う。
「あ・・・・・・」
浮竹の甘い声を聞きながら、旺盛な性欲を持つ京楽は浮竹を求める。
昨日抱いたが、まだ抱けた。
「ん・・・・もっと」
「浮竹・・・そんなに絞めつけないで」
「や、もっと奥に出せ」
最奥を抉り、京楽は浮竹の胎の奥に精液を注ぎ込む。
「あ、京楽で満たされる・・・・赤ちゃん、卵、できちゃう」
「ドラゴンって、同性でも子供できるの?」
「希少種は可能だ。でも、俺は子供はいらない・・・・京楽をとられる」
浮竹は、抱かれた後はアフターピルを飲むようにしていた。
「浮竹との赤ちゃんかぁ。ちょっと欲しいかも」
「俺はいやだ。京楽をとりあげられる」
「まぁ、子育てしながら冒険者なんてできないからね。諦めるしかないね」
「京楽、もっと・・・・もっと、奥にいっぱい出して」
身をくねらせて、浮竹は京楽を求めた。
その日、京楽はもう出すものはがないほど浮竹を抱いた。
「んあっ」
「んっ・・・・・ごめん、これで最後。僕のほうがもたない」
「んんっ・・・・ああああ」
最奥に熱い飛沫が出されるのを確認して、浮竹は意識を失った。
「京楽、京楽?」
「ん、浮竹?」
「もう夜だぞ」
「ええっ!」
朝方に寝てしまったのは覚えているが、てっきり昼頃に起きるとばかり思っていたら、もう夕時もこして夜になっていた。
「腹が減った」
「ごめん、今から作るから!」
京楽は慌てて起き上がり、身支度を整えると、クリームシチューを作り、買い置きしていたパンを出した。あと、サラダを作った。
「ごめん、もう少し手のこんだもの作りたかったけど、これで簡便して」
「ん、十分にうまいし大丈夫だ」
「そう、よかった・・・・・・」
「俺は、うまかったか?」
「え、あ、うん。こっちの足腰が立たないじゃないかってくらい、いただきました」
「発情期はたまにくる。その時は、また頼む」
「う、うん。ねぇ、奴隷時代は発情期はあったの?」
「なかった。番に近いパートナーができると、発情期がくる」
浮竹は、クリームシチューのおかわりを食べながら、爆弾発言をしてくる。
「今後も、こういうことが起こるかもしれないんだね」
「俺なりに、発情期はコントロールしている。ダンジョン探索の時なんか、新月でもお前を求めなかっただろう」
「そういえばそうだね」
「今日は久しぶりに溜まっていたから、爆発した」
そういえば、最近浮竹がやり過ぎだと怒るので、セックスをする回数を減らしていたのだ。
それが原因なのかもしれない。浮竹は淡泊なようで、ドラゴンなので性欲は強かった。
「もう、クリームシチューない?」
すっかり食べ終わった浮竹に、京楽は苦笑して冷蔵庫から作りおきしておいたハムカツサンドを出す。
「ん、うまい」
「浮竹は、やっぱり色気より食い気かな」
「何かいったか?」
「ううん、なんでもない」
浮竹はお腹いっぱいになると、風呂に入って、歯を磨いて寝てしまった。
「う、眠れない・・・・・・・」
夜まで爆睡した京楽は、横になっても眠れなかった。
「ねぇ、浮竹、浮竹」
「んー、眠い。邪魔、するな」
しっしとあしらわれて、一人京楽は外に出て星を見ていた。
「あ、流れ星・・・・・」
浮竹とずっと一緒にいられますように。
そう願いをかけた。
浮竹は、深い睡眠の中だ。
京楽は、浮竹のベッドに忍び込んで、いつの間にか眠っていた。
「京楽?朝だぞ。なんで俺のベッドにいるんだ」
「え、ああ、昨日なかなな眠れなかたから、君が恋しくて一緒に寝ちゃった」
「恥ずかしいやつ」
浮竹は頬を赤くしていた。
大胆な浮竹を知ってしまったので、そんな仕草をかわいいなと思う。
「浮竹、かわいい」
「からかうな」
「いや、本当にかわいいなと思って」
浮竹は、顔を赤くしながら身支度を整える。
今日は、Sランクダンジョン探索に行く予定だった。
一週間ほどこもるので、その間えろいことはなしだ。
「大好きだよ、浮竹」
そう言って口づけると。
「俺も好きだ、京楽」
浮竹は、そう言い返して口づけし返してくるのであった。
奴隷竜とSランク冒険者11
「わわわわわ、私が一護と恋次と結婚!?」
勝手に進んでしまった結婚話をうけて、ルキアは卒倒した。
「俺がルキアの夫!?しかも恋次まで!?」
ついでに、一護も卒倒した。
「ふう。もっと落ち着いて」
京楽が、倒れた二人を椅子に座らせる。
「兄様の決めたことには、守ると決めているが、しかしいいのだろうか。夫を二人ももつだなんて」
「いいんじゃないの。逆ハーレムで」
「逆ハーレム!けしからん!」
ルキアは、そう言いながら真っ赤になっていた。
「まぁ、いいんじゃないのか。結婚式の日取りがもう決められているし、4大貴族朽木家らしく、かなり派手にするみたいだぞ」
浮竹の言葉に、その場に一応参加していた恋次もちらちらルキアを見ていた。
「なんだ、恋次。何か言いたいのか」
「いや、お前の夫になるんだ。その、仲良くしようぜ」
「元から幼馴染で仲はいいだろうが」
「それより、なんで一護までルキアの夫になるんだよ」
「知るか!兄様に聞け!それに、私は恋次を好いてはおるが、一護のことも好いておる」
「おい、一護」
恋次は、まだふわふわしている一護の頭をチョップで殴った。
「何すんだよ!」
「そ、その、これからルキアの夫同士になるんだ。よ、よろしくな」
「ああ、これはどうもご丁寧に・・・なんて言うわけねぇだろ!」
「なにぃ?」
「なんだよ!」
喧嘩を始める二人を、ルキアがなだめて、それでも収集がつかないので京楽が魔剣を抜く。
「ちょっと、痛い目見る?」
「すんません」
「すみません」
「まぁ、式はうまくいくでしょ。3人で、あとは仲良くできるようにしてね。これから一生3人で・・・・子供も生まれば、家族として暮らしていくんだから」
「こ、子供!」
ボンっと、ルキアは真っ赤になった。
「その、一護、恋次、ふがいない私だが、今後ともよろしく」
「あ、ああ。ルキア、好きだぜ」
「何を。俺のほうがルキアのことが好きだ」
一護の言葉に、恋次がかみつく。
ぎゃあぎゃあ言い合いをはじめるが、浮竹が軽くアイシクルブレスを吐くと、静かになった。
結局、ルキアと一護と恋次の結婚式は、一週間後に行われた。
純白のウェディングドレスを着たルキアは、美しかった。
「綺麗だね、ルキアちゃん」
「ああ。ルキアは美人だからな」
両脇を、白いスーツを着た恋次と一護が、ルキアと腕を組みながら歩いていく。
リーンゴーン。
鐘が鳴り響き、花びらが舞い落ちてきた。
「結婚か。なんだかいいな」
「僕たちも、式あげちゃう?」
「いや、いい。俺は京楽の傍にいられるなら、それでいい」
リーンゴーン。
ルキアは笑顔ふりまいて、一護も恋次も笑っていた。
どうなることかと少し心配していたのだが、どうやらうまくやっていけそうである。
「あ、浮竹さん!」
ルキアが、浮竹を呼び止める。
「どうした?」
「その、いろいろとありがとうござました。京楽さんも」
「いや、気にするな」
「そうだよ。気にしないいでいいよ」
ルキアは、持っていたブーケを浮竹に渡した。
「どうか、二人もお幸せに」
そう言って、恋次と一護の元に戻っていった。
結婚指輪をはめて、新郎の二人と口づけを交わす。
「病める時も、健やかなる時も、朽木ルキア、汝は・・・・・・・」
浮竹は、豪華なブーケを手に、ルキアに声をかける。
「幸せになれよ、ルキア!」
「はい!」
どこからか、音もなく白哉がやってくる。
「どうだ。兄らから見て、あの3人は仲良くやっていけると思うか」
「ああ、白哉。大丈夫だろう。お互い好きあってるし、一護君と恋次君も仲良くなったみたいだし、きっとうまくやっていける」
「最初に生まれた子が朽木家の時期当主となる」
「女の子でもか?」
「ああ、そうだ」
「気が早いよ、白哉君」
京楽が、苦笑する。
「あれの姉は、私の妻だった。体が弱く、子を産まないまま逝ってしまった。後妻をとれと一族の者がうるさいので、ルキアの子を時期当主にすると勝手にきめた。あれは、私を恨んでいるだろうか。結婚まで勝手に決めて」
浮竹は、白哉の頭を撫でた。
「大丈夫だ。まだ若いが、3人ももうすぐ立派な大人だ。分かってくれる」
「兄は、優しいのだな・・・・・・」
「浮竹は僕のものだよ」
「そういう意味ではない。兄は、少し浮竹を縛り過ぎではないのか」
「え、そうなの?」
聞いてくる京楽に、浮竹はもっていたブーケを京楽に押し付けた。
「大丈夫だ。俺は、お前のものだ。お前に縛られるのはむしろ歓迎だ」
「浮竹・・・・・・」
「京楽・・・・・」
「ごほん」
白哉の咳払いで、現実に戻る二人は、ルキアの結婚式を見届けた。結婚式は、明日も行われて、明日は祭りが開かれることになっていた。
「ああ、ルキアちゃん綺麗だったなぁ。最後には泣いちゃってた」
「幸福の涙だ。それより、知っているか。ムーンホワイトドラゴンが、満月の半竜人の日に流す涙は竜涙石と言って、貴重な宝石になるんだ」
「え、何それ。知らない」
「奴隷時代、満月になると涙を流すように強制された。嫌な思い出だが、もう半竜人の時に涙を流すことはないと思っている。持っている最後の竜涙石だ。お前にやる」
「え、いいの。貴重なものなんでしょ」
虹色に輝く、小粒の石を京楽は受け取る。
「1つ、白金貨5万枚」
けっこうな額に、京楽は浮竹が奴隷時代に涙を零すよう強制させられたことに心を痛ませた。
「奴隷時代のことは、もう忘れれた?」
「ああ。もう忘れた。今は隣にお前がいる。それだけで、俺は幸せだ」
浮竹は、京楽に寄り添って、そっと額にキスをする。
京楽も、浮竹の額にキスをした。
「いつも、お前がいろいろとくれるから、お返しになればと思って」
「そんなの、別にいいのに。でも、大切にするね」
京楽は、竜涙石をブレスレットに加工して、いつもはめることになる。
ルキアと一護と恋次の結婚式は、翌日も行われた。
京楽と浮竹も参加して、3人の新しい門出を祝うのであった。
勝手に進んでしまった結婚話をうけて、ルキアは卒倒した。
「俺がルキアの夫!?しかも恋次まで!?」
ついでに、一護も卒倒した。
「ふう。もっと落ち着いて」
京楽が、倒れた二人を椅子に座らせる。
「兄様の決めたことには、守ると決めているが、しかしいいのだろうか。夫を二人ももつだなんて」
「いいんじゃないの。逆ハーレムで」
「逆ハーレム!けしからん!」
ルキアは、そう言いながら真っ赤になっていた。
「まぁ、いいんじゃないのか。結婚式の日取りがもう決められているし、4大貴族朽木家らしく、かなり派手にするみたいだぞ」
浮竹の言葉に、その場に一応参加していた恋次もちらちらルキアを見ていた。
「なんだ、恋次。何か言いたいのか」
「いや、お前の夫になるんだ。その、仲良くしようぜ」
「元から幼馴染で仲はいいだろうが」
「それより、なんで一護までルキアの夫になるんだよ」
「知るか!兄様に聞け!それに、私は恋次を好いてはおるが、一護のことも好いておる」
「おい、一護」
恋次は、まだふわふわしている一護の頭をチョップで殴った。
「何すんだよ!」
「そ、その、これからルキアの夫同士になるんだ。よ、よろしくな」
「ああ、これはどうもご丁寧に・・・なんて言うわけねぇだろ!」
「なにぃ?」
「なんだよ!」
喧嘩を始める二人を、ルキアがなだめて、それでも収集がつかないので京楽が魔剣を抜く。
「ちょっと、痛い目見る?」
「すんません」
「すみません」
「まぁ、式はうまくいくでしょ。3人で、あとは仲良くできるようにしてね。これから一生3人で・・・・子供も生まれば、家族として暮らしていくんだから」
「こ、子供!」
ボンっと、ルキアは真っ赤になった。
「その、一護、恋次、ふがいない私だが、今後ともよろしく」
「あ、ああ。ルキア、好きだぜ」
「何を。俺のほうがルキアのことが好きだ」
一護の言葉に、恋次がかみつく。
ぎゃあぎゃあ言い合いをはじめるが、浮竹が軽くアイシクルブレスを吐くと、静かになった。
結局、ルキアと一護と恋次の結婚式は、一週間後に行われた。
純白のウェディングドレスを着たルキアは、美しかった。
「綺麗だね、ルキアちゃん」
「ああ。ルキアは美人だからな」
両脇を、白いスーツを着た恋次と一護が、ルキアと腕を組みながら歩いていく。
リーンゴーン。
鐘が鳴り響き、花びらが舞い落ちてきた。
「結婚か。なんだかいいな」
「僕たちも、式あげちゃう?」
「いや、いい。俺は京楽の傍にいられるなら、それでいい」
リーンゴーン。
ルキアは笑顔ふりまいて、一護も恋次も笑っていた。
どうなることかと少し心配していたのだが、どうやらうまくやっていけそうである。
「あ、浮竹さん!」
ルキアが、浮竹を呼び止める。
「どうした?」
「その、いろいろとありがとうござました。京楽さんも」
「いや、気にするな」
「そうだよ。気にしないいでいいよ」
ルキアは、持っていたブーケを浮竹に渡した。
「どうか、二人もお幸せに」
そう言って、恋次と一護の元に戻っていった。
結婚指輪をはめて、新郎の二人と口づけを交わす。
「病める時も、健やかなる時も、朽木ルキア、汝は・・・・・・・」
浮竹は、豪華なブーケを手に、ルキアに声をかける。
「幸せになれよ、ルキア!」
「はい!」
どこからか、音もなく白哉がやってくる。
「どうだ。兄らから見て、あの3人は仲良くやっていけると思うか」
「ああ、白哉。大丈夫だろう。お互い好きあってるし、一護君と恋次君も仲良くなったみたいだし、きっとうまくやっていける」
「最初に生まれた子が朽木家の時期当主となる」
「女の子でもか?」
「ああ、そうだ」
「気が早いよ、白哉君」
京楽が、苦笑する。
「あれの姉は、私の妻だった。体が弱く、子を産まないまま逝ってしまった。後妻をとれと一族の者がうるさいので、ルキアの子を時期当主にすると勝手にきめた。あれは、私を恨んでいるだろうか。結婚まで勝手に決めて」
浮竹は、白哉の頭を撫でた。
「大丈夫だ。まだ若いが、3人ももうすぐ立派な大人だ。分かってくれる」
「兄は、優しいのだな・・・・・・」
「浮竹は僕のものだよ」
「そういう意味ではない。兄は、少し浮竹を縛り過ぎではないのか」
「え、そうなの?」
聞いてくる京楽に、浮竹はもっていたブーケを京楽に押し付けた。
「大丈夫だ。俺は、お前のものだ。お前に縛られるのはむしろ歓迎だ」
「浮竹・・・・・・」
「京楽・・・・・」
「ごほん」
白哉の咳払いで、現実に戻る二人は、ルキアの結婚式を見届けた。結婚式は、明日も行われて、明日は祭りが開かれることになっていた。
「ああ、ルキアちゃん綺麗だったなぁ。最後には泣いちゃってた」
「幸福の涙だ。それより、知っているか。ムーンホワイトドラゴンが、満月の半竜人の日に流す涙は竜涙石と言って、貴重な宝石になるんだ」
「え、何それ。知らない」
「奴隷時代、満月になると涙を流すように強制された。嫌な思い出だが、もう半竜人の時に涙を流すことはないと思っている。持っている最後の竜涙石だ。お前にやる」
「え、いいの。貴重なものなんでしょ」
虹色に輝く、小粒の石を京楽は受け取る。
「1つ、白金貨5万枚」
けっこうな額に、京楽は浮竹が奴隷時代に涙を零すよう強制させられたことに心を痛ませた。
「奴隷時代のことは、もう忘れれた?」
「ああ。もう忘れた。今は隣にお前がいる。それだけで、俺は幸せだ」
浮竹は、京楽に寄り添って、そっと額にキスをする。
京楽も、浮竹の額にキスをした。
「いつも、お前がいろいろとくれるから、お返しになればと思って」
「そんなの、別にいいのに。でも、大切にするね」
京楽は、竜涙石をブレスレットに加工して、いつもはめることになる。
ルキアと一護と恋次の結婚式は、翌日も行われた。
京楽と浮竹も参加して、3人の新しい門出を祝うのであった。
奴隷竜とSランク冒険者10
「寒い・・・・・・・」
「どうしたの、浮竹」
「ふらふらする・・・・・」
浮竹は、Sランクダンジョン攻略の途中でそう言って、京楽にもたれかかってきた。
「こりゃ、風邪かなぁ。ダンジョン攻略は中止だね」
浮竹を背負って、京楽は帰還スクロールを使い、地上に戻るとそのまま高級宿に帰る。
「大丈夫?」
「あつい・・・・体が、あつい・・・・」
「あちゃー、熱あるね。今、薬屋にいって熱さましと風邪の薬買ってくるね」
部屋を去って行こうとする京楽の服の裾を、ぞっと掴む。
「一人は、嫌だ・・・・・・」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから」
「やだ・・・一人は、や」
「仕方ないねぇ。スリープ」
眠りの呪文をかけて、浮竹を寝かせると、京楽は熱さましと風邪薬を買いに外に出ていくのだった。
まどろみの夢の中で、浮竹は夢渡りをしていた。
『どうしたんだ、ドラゴンの俺?』
「あ・・・・一人は、いや、だ・・・・」
『傍にあの京楽はいないのか?』
「薬を買いに行くって・・・・・」
『よしよし。俺がいるから、寂しくないぞ?』
青年は、浮竹の頭を優しく撫でる。
「あったかい・・・・・おちつく」
浮竹は、青年に抱きしめられて、すうすうと眠りについた。
『夢の中でも眠っちゃうのか。俺は傍にいるから、安心しておやすみ』
「ん・・・・・」
まどろみから目覚めると、京楽がいた。
「きょうら・・・・く?」
「ああ、目が覚めた?おかゆ、食べれそう?」
「食欲ない・・・・・・」
いつもならたくさん食べる浮竹だが、風邪の時ばかりは食欲はでないようであった。
「数口でもいいから食べて。薬効きやすくするために。はい、あーん」
「ん・・・・・」
優しい味のおかゆを、数口食べて、浮竹はギブアップした。
「もう、無理・・・・」
「うん、がんばったね。はい、これ熱さましと風薬」
「薬は苦いからいやだ」
「そんなこと言わないで飲んで。子供用の甘い薬にしておいたから」
京楽が、苦笑しながら浮竹に水の入ったコップを渡す。
浮竹は、しぶしぶ薬を飲んだ。
「甘い・・・・・・」
「ね?甘い薬にしてあげたから、ちゃんと1日3回のんでね?」
「うん・・・・・・」
熱を出した浮竹は素直で、京楽の手を握ってくる。
「傍に、いてくれ。お前がいないと、寂しい」
「いつもがこんなに素直なら、嬉しいんだけどねぇ」
京楽は、なかなか寝付けないでいる浮竹に、再びスリープの魔法をかけて寝かせると、傍で本を読みだした。
浮竹のおでこには、冷えピタシートをはっておいた。
「ん・・・」
数時間して、浮竹が目覚める。
「あ・・・・きょうらく、どこ?」
「僕はここにいるよ。ちゃんと君の傍にいるから」
「きょうらく・・・・・・好き」
「うん。僕も大好きだよ」
浮竹は、まどろみと覚醒を繰り返す。
丸1日がたち、少し熱が下がったので、お粥をまた食べさせた。
今度は完食した。
「うん、大分元気になってきたね。熱はまだあるみたいだけど」
「京楽、傍にいて」
「うん。寝汗かいて気持ち悪いでしょ?体、ふいてあげる」
浮竹は、パジャマを脱がされて京楽に体をふいてもらった。
「京楽、いつもより優しい」
「そりゃ、病人だしね、今の浮竹は。それより、ドラゴンでも風邪ひくって知って、ちょっとびっくりしてる」
「ドラゴンだって風邪をひく時はひく」
風邪薬を飲んで、横になる。
スリープの呪文をかけることもなく、浮竹は自然に薬の効果で眠ってしまった。
浮竹が風邪をひいて3日目。
風邪は見事に治り、今度は京楽が風邪をひいた。
「お粥作った」
「その黒転げがおかゆ・・・・ああああ」
「食え!」
「はひ」
「薬は、俺の残りの分でいいな?」
「うん。このおかゆ、苦くて辛くてしょっぱいよ」
「愛情の味だ。文句言わずに食え。食って薬飲まないと、治らないぞ」
「分かってるよ」
ちなみに、京楽は熱を出した上に腹痛もやってきた。浮竹のおかゆのせいであった。
「ねぇ、お粥に何いれたの」
「マンドレイク」
「それ、錬金術に使うやつ・・・・・おなかいたい・・・・・・」
「生まれるのか!?」
「そうそう・・・ってそんなわけないでしょ。ちょっとトイレ行ってくる」
「支えなくて平気か?」
「大丈夫、大分よくなったし、一人で歩けるよ」
京楽は、よろよろとよろけながらも歩く。
浮竹は、そんな京楽をお姫様抱っこした。
「ちょ、浮竹!?」
「俺だって力はあるぞ。トイレまで連れてく」
「うん、ありがと」
「何か変なものでも食ったのか?」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は曖昧に微笑む。
「薬の消費期限が、ちょっと古かったみたい」
トイレから出てくると、浮竹はまた京楽をお姫様抱っこした。
「それは大変だ。急いで、新しい薬を・・・・・って、俺一人じゃ外出しちゃいけないんだった」
「大丈夫、寝てれば直に治るから」
「そうか。子守唄をうたってやる」
ベッドに寝かしつけた京楽に、浮竹は優しい旋律の子守唄を歌い出した。
以外と綺麗な声で、京楽はその子守歌に耳を傾けながら、眠りに落ちていく。
「早く、よくなれよ」
京楽も、3日ほどで治り、念のためと京楽は浮竹と一緒に病院にいき、完治しているのを確かめてもらって、予備用に風薬を買った。
「ドラゴンでも風邪ひくと、辛いものだな」
「風邪ひくドラゴンってはじめて見た」
「俺は人型をとるからな。人の病もうつりやすい」
「とにかく、お互い治ってよかったね」
京楽の言葉に、浮竹は頷く。
「この前、放棄したダンジョン探索の続きをしよう」
「ああ、そんなに走り回っちゃだめだよ。一応病み上がりなんだから」
「平気だ。ドラゴンは病にかかっても、治りやすい」
「確かに、けっこう重症に見えた割には治るの早かったね」
「京楽も治るの早かった。なぜか腹痛も起こしてたけど」
「腹痛も風邪のせいだよ」
「そうか」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は冷や汗を垂らしながら、浮竹が台所に立つを禁じようと思うのだった。
「どうしたの、浮竹」
「ふらふらする・・・・・」
浮竹は、Sランクダンジョン攻略の途中でそう言って、京楽にもたれかかってきた。
「こりゃ、風邪かなぁ。ダンジョン攻略は中止だね」
浮竹を背負って、京楽は帰還スクロールを使い、地上に戻るとそのまま高級宿に帰る。
「大丈夫?」
「あつい・・・・体が、あつい・・・・」
「あちゃー、熱あるね。今、薬屋にいって熱さましと風邪の薬買ってくるね」
部屋を去って行こうとする京楽の服の裾を、ぞっと掴む。
「一人は、嫌だ・・・・・・」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから」
「やだ・・・一人は、や」
「仕方ないねぇ。スリープ」
眠りの呪文をかけて、浮竹を寝かせると、京楽は熱さましと風邪薬を買いに外に出ていくのだった。
まどろみの夢の中で、浮竹は夢渡りをしていた。
『どうしたんだ、ドラゴンの俺?』
「あ・・・・一人は、いや、だ・・・・」
『傍にあの京楽はいないのか?』
「薬を買いに行くって・・・・・」
『よしよし。俺がいるから、寂しくないぞ?』
青年は、浮竹の頭を優しく撫でる。
「あったかい・・・・・おちつく」
浮竹は、青年に抱きしめられて、すうすうと眠りについた。
『夢の中でも眠っちゃうのか。俺は傍にいるから、安心しておやすみ』
「ん・・・・・」
まどろみから目覚めると、京楽がいた。
「きょうら・・・・く?」
「ああ、目が覚めた?おかゆ、食べれそう?」
「食欲ない・・・・・・」
いつもならたくさん食べる浮竹だが、風邪の時ばかりは食欲はでないようであった。
「数口でもいいから食べて。薬効きやすくするために。はい、あーん」
「ん・・・・・」
優しい味のおかゆを、数口食べて、浮竹はギブアップした。
「もう、無理・・・・」
「うん、がんばったね。はい、これ熱さましと風薬」
「薬は苦いからいやだ」
「そんなこと言わないで飲んで。子供用の甘い薬にしておいたから」
京楽が、苦笑しながら浮竹に水の入ったコップを渡す。
浮竹は、しぶしぶ薬を飲んだ。
「甘い・・・・・・」
「ね?甘い薬にしてあげたから、ちゃんと1日3回のんでね?」
「うん・・・・・・」
熱を出した浮竹は素直で、京楽の手を握ってくる。
「傍に、いてくれ。お前がいないと、寂しい」
「いつもがこんなに素直なら、嬉しいんだけどねぇ」
京楽は、なかなか寝付けないでいる浮竹に、再びスリープの魔法をかけて寝かせると、傍で本を読みだした。
浮竹のおでこには、冷えピタシートをはっておいた。
「ん・・・」
数時間して、浮竹が目覚める。
「あ・・・・きょうらく、どこ?」
「僕はここにいるよ。ちゃんと君の傍にいるから」
「きょうらく・・・・・・好き」
「うん。僕も大好きだよ」
浮竹は、まどろみと覚醒を繰り返す。
丸1日がたち、少し熱が下がったので、お粥をまた食べさせた。
今度は完食した。
「うん、大分元気になってきたね。熱はまだあるみたいだけど」
「京楽、傍にいて」
「うん。寝汗かいて気持ち悪いでしょ?体、ふいてあげる」
浮竹は、パジャマを脱がされて京楽に体をふいてもらった。
「京楽、いつもより優しい」
「そりゃ、病人だしね、今の浮竹は。それより、ドラゴンでも風邪ひくって知って、ちょっとびっくりしてる」
「ドラゴンだって風邪をひく時はひく」
風邪薬を飲んで、横になる。
スリープの呪文をかけることもなく、浮竹は自然に薬の効果で眠ってしまった。
浮竹が風邪をひいて3日目。
風邪は見事に治り、今度は京楽が風邪をひいた。
「お粥作った」
「その黒転げがおかゆ・・・・ああああ」
「食え!」
「はひ」
「薬は、俺の残りの分でいいな?」
「うん。このおかゆ、苦くて辛くてしょっぱいよ」
「愛情の味だ。文句言わずに食え。食って薬飲まないと、治らないぞ」
「分かってるよ」
ちなみに、京楽は熱を出した上に腹痛もやってきた。浮竹のおかゆのせいであった。
「ねぇ、お粥に何いれたの」
「マンドレイク」
「それ、錬金術に使うやつ・・・・・おなかいたい・・・・・・」
「生まれるのか!?」
「そうそう・・・ってそんなわけないでしょ。ちょっとトイレ行ってくる」
「支えなくて平気か?」
「大丈夫、大分よくなったし、一人で歩けるよ」
京楽は、よろよろとよろけながらも歩く。
浮竹は、そんな京楽をお姫様抱っこした。
「ちょ、浮竹!?」
「俺だって力はあるぞ。トイレまで連れてく」
「うん、ありがと」
「何か変なものでも食ったのか?」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は曖昧に微笑む。
「薬の消費期限が、ちょっと古かったみたい」
トイレから出てくると、浮竹はまた京楽をお姫様抱っこした。
「それは大変だ。急いで、新しい薬を・・・・・って、俺一人じゃ外出しちゃいけないんだった」
「大丈夫、寝てれば直に治るから」
「そうか。子守唄をうたってやる」
ベッドに寝かしつけた京楽に、浮竹は優しい旋律の子守唄を歌い出した。
以外と綺麗な声で、京楽はその子守歌に耳を傾けながら、眠りに落ちていく。
「早く、よくなれよ」
京楽も、3日ほどで治り、念のためと京楽は浮竹と一緒に病院にいき、完治しているのを確かめてもらって、予備用に風薬を買った。
「ドラゴンでも風邪ひくと、辛いものだな」
「風邪ひくドラゴンってはじめて見た」
「俺は人型をとるからな。人の病もうつりやすい」
「とにかく、お互い治ってよかったね」
京楽の言葉に、浮竹は頷く。
「この前、放棄したダンジョン探索の続きをしよう」
「ああ、そんなに走り回っちゃだめだよ。一応病み上がりなんだから」
「平気だ。ドラゴンは病にかかっても、治りやすい」
「確かに、けっこう重症に見えた割には治るの早かったね」
「京楽も治るの早かった。なぜか腹痛も起こしてたけど」
「腹痛も風邪のせいだよ」
「そうか」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は冷や汗を垂らしながら、浮竹が台所に立つを禁じようと思うのだった。
奴隷竜とSランク冒険者9
夢渡りは無事に終わり、夢の中で浮竹と京楽は違う世界の浮竹と出会って、会話をした。
違う世界の浮竹は、京楽を怖がっていたが。
京楽が二人も浮竹がいるとでれでれするものだから、浮竹は京楽の頭をハリセンでなぐった。
「幸せ~~」
それでも幸福そうな京楽は、ある意味本当に幸せなやつだ。
目覚めると、朝だった。
「ふー。不思議な夢だったねぇ」
「お前は、でれでれしすぎだ!」
「だって、浮竹が二人だよ!?天国じゃない」
「お前の天国になりたくない・・・・・・」
浮竹はベッドから起きると、顔を洗い、歯を磨きにいった。
京楽もその後から顔を洗い、歯を磨く。
「さて、今日のメニューはとんかつです」
「う・・・・朝から、また胃に重そうなものを」
「だって昨日のとんかつまだ残ってるんだもの。捨ててもいいけど、高級肉で作ってるから少しもったいなくてね」
ぶつぶつ文句を言いながらも、浮竹は朝食のとんかつを完食してしまった。
ちなみに京楽は残した。
「もったいない」
京楽の分まで、浮竹が食べる。
「君の胃って、どうなってるの?」
「普通だ」
「でもけっこう食べるよね」
「気のせいだ」
夕飯とか、結構軽く2人前くらい食べる。その後にデザートも食べる。
「まぁ、今更だから仕方ないことだしね。君の食欲の多さは元気の証だし」
「今日は冒険者ギルドに行くのか?」
「うん。ちょっと、同じSランク冒険者と話があってね」
京楽と浮竹は、冒険者ギルドにやってきた。
会う約束のSランク冒険者はもうきていた。
朽木白哉、阿散井恋次だった。
最近Sランクになったばかりで、同じSランク冒険者の保証人がいるのだ。
任務に失敗した時の罰則金を払えない時、保証人の冒険者が払うことになっていた。
「すまぬ。兄の手を煩わせるつりもではなかったのだが」
「白哉君も恋次君も、Sランクになって間もないからね。依頼は、くれぐれも身の丈に合ったものを選ぶんだよ」
「無論だ」
「絶対、京楽さんや浮竹さんをこえるSランク冒険者になってみせるっす」
赤い髪が印象的なのは阿散井恋次だと、京楽が浮竹に教える。
黒い髪の凛とした青年が、朽木白哉だと教えた。
「白哉君には義妹がいてね。Aランク冒険者なんだ。名前はルキアちゃんだっけ。元気にしてる?」
「ルキアは、黒崎一護という精霊族と石田雨竜というエルフ、井上織姫というのとパーティーを組んでいて、Aランクダンジョンに挑んでいる。先日会ったが、元気そうにしていた。仲間にも恵まれているようだし、ダンジョンでのたれ死ぬようなことはなかろう」
「だ、そうだよ」
「ルキアの奴、俺の誘いは断ったくせに、一護の誘いには乗るのかよ!」
恋次は、ぶつぶつ文句を言っていた。
「ルキアちゃんをめぐって、恋次君と一護君はライバルでね」
こそこそと、京楽が浮竹に耳打ちする。
「ふむ。一夫多妻があるのだろう、人間社会には。逆に一妻多夫があってもいいんじゃないか」
「一妻多夫・・・・考えたこともなかったよ」
京楽は、白哉に何事かこそこそ話こむ。
「分かった。兄の言う通り、ルキアは一護と恋次と結婚させよう」
「えええええええ」
いきなりのことに、恋次が悲鳴をあげる。
「ルキアと結婚できるのは嬉しいけど、一護も一緒だなんて」
「では、ルキアは一護だけと結婚させよう」
「いや、します!結婚します!!!」
こうして、本人のいない間にルキアの結婚は決まってしまうのであった。
「本人がいないのに、結婚というのは何かおかしい気がするんだが」
「ああ、でも朽木家は大貴族だからねぇ。政略結婚に使われる前に、好きな相手と結婚させておけば、一族から結婚のことで文句は言われるだろうけど、政略結婚とは無縁になるから」
「ふむ」
「まぁ、その代わり当主の白哉にしわ寄せがくるだろうけど、緋真ちゃんっていう妻がいたからね」
「白哉は結婚していたのか」
「うん。病弱ですでに亡くなっているけどね」
「跡継ぎは?」
「それが、生まれる前に他界してしまって・・・・何度も断っているみたいだけど、今だに縁談の話が白哉君には舞いこんでくるしね。まぁ、次の当主をルキアちゃんの子供にするって決めてるみたいだから、無理に嫁いでくる押しかけ女房みたいな存在は、今のところないけど」
京楽は、そう言えばと話題を切り替える。
「忘れてたけど、僕の実家もそれなりの大貴族なんだよねぇ。家督は兄に任せてあるし、後継ぎの子もいるから、次男の僕は冒険者として自由にやらせてもらってるけど」
「な、京楽は貴族だったのか。全然そうに見えない」
「まぁ、放任主義で育てられたせいで、子供の頃かダンジョンにもぐるような生活送ってたからね。将来は絶対にSランク冒険者になるって言いふらして、実際にSランク冒険者になったよ」
「夢を現実にしたんだな」
「うん」
「そうか。俺にも、夢があるんだ」
浮竹は、翠の瞳で京楽を見た。
「どんな夢?叶えられるなら、叶えてあげるよ」
「いつか、他のムーンホワイトドラゴンと会いたい」
「それは・・・・難しい夢だね」
「ああ」
ムーンホワイトドラゴンは、巷ではもう絶滅しているのではないかと言われているほどに希少種だ。
「いつか、母上や父上、兄弟たちと会ってみたい」
「うん、会えるといいね。世界を旅しながら、探してみるのもいいかもね」
「ただの俺の我儘だ。気にしないでくれ。俺は、京楽と一緒にSランク冒険者をしている今が、一番楽しいんだ」
「夢より、僕をとってくれるの?」
「当たり前だろう」
「ふふ、なんか照れるね」
抱きしめ合い、キスをする。
ちなみに、その場には白哉と恋次がまだいたのだった。
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
無言で、二人を残して去っていくのに気づき、浮竹は京楽を蹴り転がす。
「ご、誤解だ!」
「「お幸せに」」
「京楽のあほおおお」
「ええええ、なんで僕のせいになるのおおおお」
京楽の悲鳴は、冒険者ギルドの1階にある酒場まで聞こえるのだった。
違う世界の浮竹は、京楽を怖がっていたが。
京楽が二人も浮竹がいるとでれでれするものだから、浮竹は京楽の頭をハリセンでなぐった。
「幸せ~~」
それでも幸福そうな京楽は、ある意味本当に幸せなやつだ。
目覚めると、朝だった。
「ふー。不思議な夢だったねぇ」
「お前は、でれでれしすぎだ!」
「だって、浮竹が二人だよ!?天国じゃない」
「お前の天国になりたくない・・・・・・」
浮竹はベッドから起きると、顔を洗い、歯を磨きにいった。
京楽もその後から顔を洗い、歯を磨く。
「さて、今日のメニューはとんかつです」
「う・・・・朝から、また胃に重そうなものを」
「だって昨日のとんかつまだ残ってるんだもの。捨ててもいいけど、高級肉で作ってるから少しもったいなくてね」
ぶつぶつ文句を言いながらも、浮竹は朝食のとんかつを完食してしまった。
ちなみに京楽は残した。
「もったいない」
京楽の分まで、浮竹が食べる。
「君の胃って、どうなってるの?」
「普通だ」
「でもけっこう食べるよね」
「気のせいだ」
夕飯とか、結構軽く2人前くらい食べる。その後にデザートも食べる。
「まぁ、今更だから仕方ないことだしね。君の食欲の多さは元気の証だし」
「今日は冒険者ギルドに行くのか?」
「うん。ちょっと、同じSランク冒険者と話があってね」
京楽と浮竹は、冒険者ギルドにやってきた。
会う約束のSランク冒険者はもうきていた。
朽木白哉、阿散井恋次だった。
最近Sランクになったばかりで、同じSランク冒険者の保証人がいるのだ。
任務に失敗した時の罰則金を払えない時、保証人の冒険者が払うことになっていた。
「すまぬ。兄の手を煩わせるつりもではなかったのだが」
「白哉君も恋次君も、Sランクになって間もないからね。依頼は、くれぐれも身の丈に合ったものを選ぶんだよ」
「無論だ」
「絶対、京楽さんや浮竹さんをこえるSランク冒険者になってみせるっす」
赤い髪が印象的なのは阿散井恋次だと、京楽が浮竹に教える。
黒い髪の凛とした青年が、朽木白哉だと教えた。
「白哉君には義妹がいてね。Aランク冒険者なんだ。名前はルキアちゃんだっけ。元気にしてる?」
「ルキアは、黒崎一護という精霊族と石田雨竜というエルフ、井上織姫というのとパーティーを組んでいて、Aランクダンジョンに挑んでいる。先日会ったが、元気そうにしていた。仲間にも恵まれているようだし、ダンジョンでのたれ死ぬようなことはなかろう」
「だ、そうだよ」
「ルキアの奴、俺の誘いは断ったくせに、一護の誘いには乗るのかよ!」
恋次は、ぶつぶつ文句を言っていた。
「ルキアちゃんをめぐって、恋次君と一護君はライバルでね」
こそこそと、京楽が浮竹に耳打ちする。
「ふむ。一夫多妻があるのだろう、人間社会には。逆に一妻多夫があってもいいんじゃないか」
「一妻多夫・・・・考えたこともなかったよ」
京楽は、白哉に何事かこそこそ話こむ。
「分かった。兄の言う通り、ルキアは一護と恋次と結婚させよう」
「えええええええ」
いきなりのことに、恋次が悲鳴をあげる。
「ルキアと結婚できるのは嬉しいけど、一護も一緒だなんて」
「では、ルキアは一護だけと結婚させよう」
「いや、します!結婚します!!!」
こうして、本人のいない間にルキアの結婚は決まってしまうのであった。
「本人がいないのに、結婚というのは何かおかしい気がするんだが」
「ああ、でも朽木家は大貴族だからねぇ。政略結婚に使われる前に、好きな相手と結婚させておけば、一族から結婚のことで文句は言われるだろうけど、政略結婚とは無縁になるから」
「ふむ」
「まぁ、その代わり当主の白哉にしわ寄せがくるだろうけど、緋真ちゃんっていう妻がいたからね」
「白哉は結婚していたのか」
「うん。病弱ですでに亡くなっているけどね」
「跡継ぎは?」
「それが、生まれる前に他界してしまって・・・・何度も断っているみたいだけど、今だに縁談の話が白哉君には舞いこんでくるしね。まぁ、次の当主をルキアちゃんの子供にするって決めてるみたいだから、無理に嫁いでくる押しかけ女房みたいな存在は、今のところないけど」
京楽は、そう言えばと話題を切り替える。
「忘れてたけど、僕の実家もそれなりの大貴族なんだよねぇ。家督は兄に任せてあるし、後継ぎの子もいるから、次男の僕は冒険者として自由にやらせてもらってるけど」
「な、京楽は貴族だったのか。全然そうに見えない」
「まぁ、放任主義で育てられたせいで、子供の頃かダンジョンにもぐるような生活送ってたからね。将来は絶対にSランク冒険者になるって言いふらして、実際にSランク冒険者になったよ」
「夢を現実にしたんだな」
「うん」
「そうか。俺にも、夢があるんだ」
浮竹は、翠の瞳で京楽を見た。
「どんな夢?叶えられるなら、叶えてあげるよ」
「いつか、他のムーンホワイトドラゴンと会いたい」
「それは・・・・難しい夢だね」
「ああ」
ムーンホワイトドラゴンは、巷ではもう絶滅しているのではないかと言われているほどに希少種だ。
「いつか、母上や父上、兄弟たちと会ってみたい」
「うん、会えるといいね。世界を旅しながら、探してみるのもいいかもね」
「ただの俺の我儘だ。気にしないでくれ。俺は、京楽と一緒にSランク冒険者をしている今が、一番楽しいんだ」
「夢より、僕をとってくれるの?」
「当たり前だろう」
「ふふ、なんか照れるね」
抱きしめ合い、キスをする。
ちなみに、その場には白哉と恋次がまだいたのだった。
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
無言で、二人を残して去っていくのに気づき、浮竹は京楽を蹴り転がす。
「ご、誤解だ!」
「「お幸せに」」
「京楽のあほおおお」
「ええええ、なんで僕のせいになるのおおおお」
京楽の悲鳴は、冒険者ギルドの1階にある酒場まで聞こえるのだった。
奴隷竜とSランク冒険者8
今日は満月の日だ。
素直な尻尾の半竜人姿の浮竹を見たくて、京楽は日の出とともにスタンバイしていた。
「ん~。おはよう」
「おはよう」
「あ、今日は満月か。半竜人化して、外に出れないな」
ぺたんと尻尾を伏せる。
「室内デートしよ」
「室内デート?」
「そう。まぁ、ただいちゃいちゃするだけなんだけけど」
「お断りだ!」
そう言いながらも、浮竹の尻尾は嬉しそうにぶんぶん振られていた。
「え、だめぇ?」
「う・・・・だめじゃ、ない」
ぶんぶん。
勢いのいい尻尾は、京楽の足に当たった。
「ぬおおおおおお」
思わぬ激痛に、京楽は蹲る。
「京楽?し、尻尾があたったのか?」
「いや、なんのこれしき。愛の力の前では・・・・ヒーリング」
「愛の力の前とか言いながら、癒しの魔法使うな」
つーんと浮竹はすねた。
「今日は、ガトーショコラのケーキ作ってあげるから」
ぶんぶん。
嬉しそうに動く尻尾に苦笑しながら、京楽と浮竹は満月の日は室内で過ごすことに決めるのだった。
「ガトーショコラケーキ、まだか?」
「あと5分待って。上にチョコレート味の生クリーム乗せるから」
浮竹はチョコレートが大好きだ。
甘い物が好きなので、よく京楽が甘いお菓子を作ってくれた。
作れない忙しい時は、店で買って、冷蔵庫にストックしておく。
ダンジョンにもぐって、宿に帰れない日なんかは、アイテムポケットに入れたりしていた。
「ほら、お待ちどうさま。ガトーショコラケーキだよ」
「お、うまそうだな」
浮竹は、フォークを丁寧に使って、ガトーショコラケーキを食べる。
「ん・・・苦いが、上にのってるチョコ味の生クリームがあまくって、まっちする」
「ガトーショコラケーキは苦い味が売りだからね。もっと甘いケーキがよかった?」
「これはこれでいい。ほろ苦いけど美味しい」
浮竹は、椅子に座りながら尻尾をぶんぶん振っていた。
「京楽、お前は食べないのか?」
「ああ、君の分だけ作ったから」
「仕方ない。口をあけろ」
浮竹の言う通りに口をあけると、浮竹は自分の食べていたガトーショコラケーキを一口京楽の口に放り込んだ。
「こ、これが俗に言うあーん・・・・・」
「あーん?なんだ、それは」
「気にしないで」
京楽は、ほわほわしていた。
「桃の天然水だよ。ほのかに甘いよ。飲んでごらん」
「ん、確かに僅かに甘い」
桃の天然水をもらい、浮竹の尻尾はもうぶんぶんしっぱなしであった。
「おいしかったかい?」
「ふん、まぁまぁだな」
ツンデレな言い方とは裏腹に、尻尾は嬉しそうにぶんぶん振っている。
そんな浮竹の尻尾を、京楽は好きだった。
「ねぇ、僕のこと好き?」
「なんだ、突然」
「好き?嫌い?」
「普通・・・・・・」
ぶんぶんぶんぶん。
尻尾の振り方を見て、京楽は浮竹に口づけた。
「ん・・・・・・」
「ふふ、ほろ苦い。ガトーショコラの味がするね」
「この桃の天然水というの、おかわりはないのか」
「それ、今冬だから冷凍した桃から果汁をしぼって天然水と混ぜているからね。けっこう高いんだよ。あと2本しか、ストックがないよ」
「じゃあ、1本くれ」
「仕方ないねぇ」
京楽は、冷蔵庫をあけてよく冷えた桃の天然水を浮竹に渡した。
浮竹は、それを一口含んで、京楽にくちづけて、中身を流しこむ。
「んっ・・・・・」
京楽は、浮竹の舌をとらえてゆっくりと自分の舌で絡めとる。
「んあっ」
つっと、銀の糸をひいて舌が出ていく。
「その気になった?」
「ばか、こんな昼からそんな気になるか!」
尻尾はぶんぶん振っていないので、浮竹にその気がないと分かって、京楽は手を出すのは夜にしようと決める。
「時間はいっぱいあるしね。この前、君が気にしていた小説の最新作買っておいたよ」
「お、読みたい」
ぶんぶんと尻尾を振って、浮竹は京楽から小説の最新刊をもらって、読んでいく。
その間、暇なので京楽は少し手のこんだ夕飯を作り始めた。
「ふあ~、もう夕方か。腹減った」
「今日はいろいろ作ったよ。美味しく食べてね?その後、僕がおいしく浮竹を食べちゃうから」
「む、俺を抱く気か」
「だめ?」
「だめ・・・・・じゃ、ない」
尻尾はゆっくりと振っていた。
京楽の作った手の込んだ夕飯をゆっくり食べて、風呂に入り、髪をかわかしていると、京楽が浮竹の部屋に入ってきた。
片付いてはいるが、魔導書が床につまれていたりで、広い部屋は少し狭く感じた。
「おいで、浮竹」
「ん・・・・・・・」
京楽に抱き寄せられて、長い白髪がさらさらと零れる。
「大好きだよ、浮竹。ずっと、僕の傍にいてね」
「京楽・・・・・お前は、半竜人の俺を抱くが、この姿、不気味じゃないのか?」
「全然。すごく綺麗だよ。尻尾は素直だし」
「むう・・・・」
「ふふ、かわいい」
「あっ」
尻尾の先を握られて、思わず甘い声を出す。
「美味しく食べちゃっていい?」
「お前になら・・・いい」
浮竹は目を閉じる。
京楽が衣服を脱いで、覆いかぶさってくる。
「愛してる・・・・・・」
浮竹はそっと呟いて、目を開ける。
京楽の鳶色の瞳と視線が合った。
「ふふ、頬が赤いね。緊張してる?」
「そ、そんなことない。はじめてじゃないし・・・・それより、加減しろよ?お前に本気を出されて抱かれた次の日は、癒しの魔法がないと腰が痛い」
「分かってるよ。優しくするから・・・・・」
ちゅっと、額に口づけられて、浮竹も京楽の額に口づける。
夜はまだはじまったばかり。
奴隷竜であった浮竹と、Sランク冒険者の京楽の夜は、更けていくのだった。
素直な尻尾の半竜人姿の浮竹を見たくて、京楽は日の出とともにスタンバイしていた。
「ん~。おはよう」
「おはよう」
「あ、今日は満月か。半竜人化して、外に出れないな」
ぺたんと尻尾を伏せる。
「室内デートしよ」
「室内デート?」
「そう。まぁ、ただいちゃいちゃするだけなんだけけど」
「お断りだ!」
そう言いながらも、浮竹の尻尾は嬉しそうにぶんぶん振られていた。
「え、だめぇ?」
「う・・・・だめじゃ、ない」
ぶんぶん。
勢いのいい尻尾は、京楽の足に当たった。
「ぬおおおおおお」
思わぬ激痛に、京楽は蹲る。
「京楽?し、尻尾があたったのか?」
「いや、なんのこれしき。愛の力の前では・・・・ヒーリング」
「愛の力の前とか言いながら、癒しの魔法使うな」
つーんと浮竹はすねた。
「今日は、ガトーショコラのケーキ作ってあげるから」
ぶんぶん。
嬉しそうに動く尻尾に苦笑しながら、京楽と浮竹は満月の日は室内で過ごすことに決めるのだった。
「ガトーショコラケーキ、まだか?」
「あと5分待って。上にチョコレート味の生クリーム乗せるから」
浮竹はチョコレートが大好きだ。
甘い物が好きなので、よく京楽が甘いお菓子を作ってくれた。
作れない忙しい時は、店で買って、冷蔵庫にストックしておく。
ダンジョンにもぐって、宿に帰れない日なんかは、アイテムポケットに入れたりしていた。
「ほら、お待ちどうさま。ガトーショコラケーキだよ」
「お、うまそうだな」
浮竹は、フォークを丁寧に使って、ガトーショコラケーキを食べる。
「ん・・・苦いが、上にのってるチョコ味の生クリームがあまくって、まっちする」
「ガトーショコラケーキは苦い味が売りだからね。もっと甘いケーキがよかった?」
「これはこれでいい。ほろ苦いけど美味しい」
浮竹は、椅子に座りながら尻尾をぶんぶん振っていた。
「京楽、お前は食べないのか?」
「ああ、君の分だけ作ったから」
「仕方ない。口をあけろ」
浮竹の言う通りに口をあけると、浮竹は自分の食べていたガトーショコラケーキを一口京楽の口に放り込んだ。
「こ、これが俗に言うあーん・・・・・」
「あーん?なんだ、それは」
「気にしないで」
京楽は、ほわほわしていた。
「桃の天然水だよ。ほのかに甘いよ。飲んでごらん」
「ん、確かに僅かに甘い」
桃の天然水をもらい、浮竹の尻尾はもうぶんぶんしっぱなしであった。
「おいしかったかい?」
「ふん、まぁまぁだな」
ツンデレな言い方とは裏腹に、尻尾は嬉しそうにぶんぶん振っている。
そんな浮竹の尻尾を、京楽は好きだった。
「ねぇ、僕のこと好き?」
「なんだ、突然」
「好き?嫌い?」
「普通・・・・・・」
ぶんぶんぶんぶん。
尻尾の振り方を見て、京楽は浮竹に口づけた。
「ん・・・・・・」
「ふふ、ほろ苦い。ガトーショコラの味がするね」
「この桃の天然水というの、おかわりはないのか」
「それ、今冬だから冷凍した桃から果汁をしぼって天然水と混ぜているからね。けっこう高いんだよ。あと2本しか、ストックがないよ」
「じゃあ、1本くれ」
「仕方ないねぇ」
京楽は、冷蔵庫をあけてよく冷えた桃の天然水を浮竹に渡した。
浮竹は、それを一口含んで、京楽にくちづけて、中身を流しこむ。
「んっ・・・・・」
京楽は、浮竹の舌をとらえてゆっくりと自分の舌で絡めとる。
「んあっ」
つっと、銀の糸をひいて舌が出ていく。
「その気になった?」
「ばか、こんな昼からそんな気になるか!」
尻尾はぶんぶん振っていないので、浮竹にその気がないと分かって、京楽は手を出すのは夜にしようと決める。
「時間はいっぱいあるしね。この前、君が気にしていた小説の最新作買っておいたよ」
「お、読みたい」
ぶんぶんと尻尾を振って、浮竹は京楽から小説の最新刊をもらって、読んでいく。
その間、暇なので京楽は少し手のこんだ夕飯を作り始めた。
「ふあ~、もう夕方か。腹減った」
「今日はいろいろ作ったよ。美味しく食べてね?その後、僕がおいしく浮竹を食べちゃうから」
「む、俺を抱く気か」
「だめ?」
「だめ・・・・・じゃ、ない」
尻尾はゆっくりと振っていた。
京楽の作った手の込んだ夕飯をゆっくり食べて、風呂に入り、髪をかわかしていると、京楽が浮竹の部屋に入ってきた。
片付いてはいるが、魔導書が床につまれていたりで、広い部屋は少し狭く感じた。
「おいで、浮竹」
「ん・・・・・・・」
京楽に抱き寄せられて、長い白髪がさらさらと零れる。
「大好きだよ、浮竹。ずっと、僕の傍にいてね」
「京楽・・・・・お前は、半竜人の俺を抱くが、この姿、不気味じゃないのか?」
「全然。すごく綺麗だよ。尻尾は素直だし」
「むう・・・・」
「ふふ、かわいい」
「あっ」
尻尾の先を握られて、思わず甘い声を出す。
「美味しく食べちゃっていい?」
「お前になら・・・いい」
浮竹は目を閉じる。
京楽が衣服を脱いで、覆いかぶさってくる。
「愛してる・・・・・・」
浮竹はそっと呟いて、目を開ける。
京楽の鳶色の瞳と視線が合った。
「ふふ、頬が赤いね。緊張してる?」
「そ、そんなことない。はじめてじゃないし・・・・それより、加減しろよ?お前に本気を出されて抱かれた次の日は、癒しの魔法がないと腰が痛い」
「分かってるよ。優しくするから・・・・・」
ちゅっと、額に口づけられて、浮竹も京楽の額に口づける。
夜はまだはじまったばかり。
奴隷竜であった浮竹と、Sランク冒険者の京楽の夜は、更けていくのだった。
奴隷竜とSランク冒険者7
「師匠!」」
浮竹は、冒険者ギルドで年若い子供の真竜のドラゴンから、師匠と呼ばれてまとわりつかれていた。
他のSランク冒険者、通称「暁の星」のセレニティという女性魔法使いがテイムし、パートナーとしている子ドラゴンであった。
名前はカイル。
「俺は師匠じゃあない。弟子なんてもった覚えはない」
「でも、師匠は俺より年上で、俺よりすごくて強くて何より希少なムーンホワイトドラゴンだ!」
「だからって、弟子にはせんぞ」
「もうすでに弟子だもんね~」
けけけと明るく笑うカイルを、浮竹は冷たいそぶりを見せるが、本心では同じドラゴンが冒険者のパートナーをしているというのは、実は嬉しかった。
「こらカイル、浮竹は僕のものだよ。セレニティのところに戻りなさい」
「やーだよーもじゃひげ京楽!浮竹さんのパートナーだからって、同じドラゴン同士の絆は消せない」
京楽は軽く嫉妬していた。
「ちょっと、セレニティ笑ってないでなんとかしてよ!」
「ふふふ、他のドラゴンと交流を深めるのも、また一興。ムーンホワイトドラゴンをパートナーにもつSランク冒険者がいると噂には聞いていたが、本当だったのだね」
「嘘ついてなんになるのさ」
「ふふふ。さぁね?」
浮竹は浮竹で、京楽とセレニティの仲の良さに軽く嫉妬していた。
カイルはブラックドラゴンだ。数はまぁまぁおり、それほど珍しいドラゴンではないが、ドラゴンをパートナーにするSランク冒険者は、セレニティ、京楽、他にあと3人いた。
ムーンホワイトドラゴン並みに希少な、サンシャインレイドラゴンをパートナーに持つSランク冒険者もいる。ムーンホワイトドラゴンの対になるようなドラゴンで、太陽竜と呼ばれていた。
一方、浮竹は冒険者ギルドでは月竜と呼ばれていた。
「月竜かぁ。憧れるなぁ。俺も月竜か太陽竜がよかったなぁ。なんで、そこらへんにいるブラックドラゴンなんだろう」
「ドラゴンの種族は関係ない。いかに強くいれて、パートナーを大切にし、力になれるかだ」
「おおー、師匠かっこいい」
「だから、師匠じゃない」
「師匠、ほらチョコレートあげる」
「むう。もらう」
浮竹は甘いものが好きだ。
チョコレートは特に好きで、カイルはその情報を手に入れて、事前にチョコレートを用意していた。
「師匠、俺を弟子にする気になった?」
「うーむ」
チョコレートをちらつかされて、浮竹が悩む。
「おい、そこで迷うな、バカドラゴン」
背の低い、銀髪の少年が浮竹にかつを入れる。
日番谷冬獅郎。最年少の12歳のSランク冒険者で、氷輪丸という特別な魔剣をもち、自身を一部氷の竜化することができて、意思のない氷の竜を操ることができた。
氷の精霊、アイシクルという種族だった。
精霊族が冒険者をしているのは珍しくなく、普通にエルフやドワーフと交じって亜人として冒険者をしている精霊族は多い。
「バカドラゴンとはなんだ、シロちゃん」
「あだなで呼ぶな。日番谷と呼べ」
浮竹と、冬獅郎は何故か仲が良かった。
同じ氷を司る者同士であるせいか、冒険者ギルドで浮竹の最初の友人になったのが冬獅郎だ。
冬獅郎はパーティ―を組んでおり、雛森というAランクの少女と二人でパーティーを組んでいた。
「シロちゃん、喧嘩はよくないよ」
「うるさい、雛森!シロちゃんて呼ぶな!」
「シロちゃんにも雛森ちゃんにもチョコレートあげる」
カイルは、持っていたチョコレートを浮竹、冬獅郎、雛森に全てあげてしまった。
チョコレートはけっこうな高級菓子である。
それをほいほい渡すということは、セレニティとカイルのパーティーは金があるということだ。
まぁ、大抵のSランク冒険者は金持ちだ。
「他の冒険者さんたちの邪魔になるから、いくよ、シロちゃん」
「おい待て、まだ話の途中・・・・・・」
雛森に連れていかれて、冬獅郎は冒険者ギルドを去ってしまった。依頼を受けていたようで、任務につくのだろう。
「セレニティ」
「なんだ、京楽」
「あの子ドラゴン、どうしてまたパートナーに。君の実力なら、大人のドラゴンでもテイムできたでしょう」
「ふふ、私はあの子がよかったのだよ。天真爛漫で、我儘で、手のかかる子供みたいで、それが実にいい。ふふふふ・・・・・・」
「あ、そう」
すでに違う世界に入っているセレニティを放置して、京楽は浮竹の傍にいく。
「帰るよ、浮竹。今日はめぼしい依頼がないから、少しだけSランクダンジョンにもぐろう」
「ああ、分かった」
「ずるい!師匠だけ、Sランクダンジョンだなんて!セレニティと一緒でも、俺はSランクダンジョンに行ったこと、数えるほどしかないのに!」
「お前はまだ若い。未熟だ」
「うっ」
ぐさぐさっと言葉の矢がささり、カイルはよろけた。
「強くなりたいなら、まずはパートナーとの連携を精密にとれるようにしろ。あと、俺の弟子になりたいとか、他人を困らせるような我儘は控えること」
「うぐっ」
カイルは、セレニティに泣きついた。
「師匠がいじめるーーー」
「ふふふ、泣くな。男だろう?」
「うん・・・・・・」
涙をふいて、カイルは顔をあげる。
「今に見てろ!師匠をこえるドラゴンになってやるんだからな!」
「そうか。楽しみにしている」
浮竹は、カイルの頭をぐしゃぐしゃに撫でて、京楽と共に冒険者ギルドを後にした。
軽くSランクダンジョンにもぐり、フロアボスのケルベロスを倒して財宝を手に入れる。
「浮竹、弟子にしてあげたらよかったのに」
「弟子にしたら、俺たちの住む高級宿に入り浸るぞ。二人でいちゃいちゃなんて、できないぞ?」
「ああ、弟子はいらないね。永遠にいらない。セレニティに、弟子になるのは諦めろって言っとこ」
ころっと意見を変える京楽が面白くて、浮竹はクスクス笑う。
「どうしたの?」
「いや、京楽は俺を独り占めしたいだなぁと思って」
「そりゃそうだよ。君は僕のもので、僕のパートナーだ。いつでも、僕の隣にいてね?」
「ああ。そうだな」
ケルベロスから大きな魔石だけを回収して、財宝をアイテムポケットに入れていく。
「お、古い魔導書か・・・・古代文字だな。おまけに竜語でかかれてある」
浮竹は、生まれた時から古代文字や竜語が読めた。
それはドラゴンの血のなせる技である。
「なんてかいてあるの?」
「究極の破壊。複雑すぎて、俺でも、俺以外でも・・・・たとえ、全てのドラゴンの母、マザードラゴンにさえ、使えなさそうな魔法だ。でも、あると危険かもしれないから、焼いてしまおう」
「うーん、究極の破壊か。物騒だね」
「京楽、火の呪文を」
「うん、ファイア!」
ぱちぱちと音を立てて、古代の魔導書は灰になった。
「他の魔法書は普通のものだ。売ればそれなりの金になるだろう」
「うん、そろそろ夜になるし、撤収しようか」
「ああ」
「そういえば、明日満月だね」
「あ、そうだな」
「ふふ、素直な君の尻尾が早く見たいよ」
京楽は、浮竹を抱き寄せた。
「ばか、ここはダンジョンだぞ」
「モンスターは全部退治した。次のモンスターが生まれるまで、数時間はある」
「ここでしたら、禁欲1カ月だからな!」
「それは困る!宿に戻ろうか」
京楽は浮竹から離れた。浮竹の手を握って、歩きだす。
「ダンジョンの中だけだから、いいでしょ?普段は手をつないだりできないから」
「仕方ないな・・・・・・」
明日は満月。
また、自分の言葉とは裏腹に、尻尾が揺れるのだろうかと思って、浮竹は少し不思議な気持ちになるのだった。
浮竹は、冒険者ギルドで年若い子供の真竜のドラゴンから、師匠と呼ばれてまとわりつかれていた。
他のSランク冒険者、通称「暁の星」のセレニティという女性魔法使いがテイムし、パートナーとしている子ドラゴンであった。
名前はカイル。
「俺は師匠じゃあない。弟子なんてもった覚えはない」
「でも、師匠は俺より年上で、俺よりすごくて強くて何より希少なムーンホワイトドラゴンだ!」
「だからって、弟子にはせんぞ」
「もうすでに弟子だもんね~」
けけけと明るく笑うカイルを、浮竹は冷たいそぶりを見せるが、本心では同じドラゴンが冒険者のパートナーをしているというのは、実は嬉しかった。
「こらカイル、浮竹は僕のものだよ。セレニティのところに戻りなさい」
「やーだよーもじゃひげ京楽!浮竹さんのパートナーだからって、同じドラゴン同士の絆は消せない」
京楽は軽く嫉妬していた。
「ちょっと、セレニティ笑ってないでなんとかしてよ!」
「ふふふ、他のドラゴンと交流を深めるのも、また一興。ムーンホワイトドラゴンをパートナーにもつSランク冒険者がいると噂には聞いていたが、本当だったのだね」
「嘘ついてなんになるのさ」
「ふふふ。さぁね?」
浮竹は浮竹で、京楽とセレニティの仲の良さに軽く嫉妬していた。
カイルはブラックドラゴンだ。数はまぁまぁおり、それほど珍しいドラゴンではないが、ドラゴンをパートナーにするSランク冒険者は、セレニティ、京楽、他にあと3人いた。
ムーンホワイトドラゴン並みに希少な、サンシャインレイドラゴンをパートナーに持つSランク冒険者もいる。ムーンホワイトドラゴンの対になるようなドラゴンで、太陽竜と呼ばれていた。
一方、浮竹は冒険者ギルドでは月竜と呼ばれていた。
「月竜かぁ。憧れるなぁ。俺も月竜か太陽竜がよかったなぁ。なんで、そこらへんにいるブラックドラゴンなんだろう」
「ドラゴンの種族は関係ない。いかに強くいれて、パートナーを大切にし、力になれるかだ」
「おおー、師匠かっこいい」
「だから、師匠じゃない」
「師匠、ほらチョコレートあげる」
「むう。もらう」
浮竹は甘いものが好きだ。
チョコレートは特に好きで、カイルはその情報を手に入れて、事前にチョコレートを用意していた。
「師匠、俺を弟子にする気になった?」
「うーむ」
チョコレートをちらつかされて、浮竹が悩む。
「おい、そこで迷うな、バカドラゴン」
背の低い、銀髪の少年が浮竹にかつを入れる。
日番谷冬獅郎。最年少の12歳のSランク冒険者で、氷輪丸という特別な魔剣をもち、自身を一部氷の竜化することができて、意思のない氷の竜を操ることができた。
氷の精霊、アイシクルという種族だった。
精霊族が冒険者をしているのは珍しくなく、普通にエルフやドワーフと交じって亜人として冒険者をしている精霊族は多い。
「バカドラゴンとはなんだ、シロちゃん」
「あだなで呼ぶな。日番谷と呼べ」
浮竹と、冬獅郎は何故か仲が良かった。
同じ氷を司る者同士であるせいか、冒険者ギルドで浮竹の最初の友人になったのが冬獅郎だ。
冬獅郎はパーティ―を組んでおり、雛森というAランクの少女と二人でパーティーを組んでいた。
「シロちゃん、喧嘩はよくないよ」
「うるさい、雛森!シロちゃんて呼ぶな!」
「シロちゃんにも雛森ちゃんにもチョコレートあげる」
カイルは、持っていたチョコレートを浮竹、冬獅郎、雛森に全てあげてしまった。
チョコレートはけっこうな高級菓子である。
それをほいほい渡すということは、セレニティとカイルのパーティーは金があるということだ。
まぁ、大抵のSランク冒険者は金持ちだ。
「他の冒険者さんたちの邪魔になるから、いくよ、シロちゃん」
「おい待て、まだ話の途中・・・・・・」
雛森に連れていかれて、冬獅郎は冒険者ギルドを去ってしまった。依頼を受けていたようで、任務につくのだろう。
「セレニティ」
「なんだ、京楽」
「あの子ドラゴン、どうしてまたパートナーに。君の実力なら、大人のドラゴンでもテイムできたでしょう」
「ふふ、私はあの子がよかったのだよ。天真爛漫で、我儘で、手のかかる子供みたいで、それが実にいい。ふふふふ・・・・・・」
「あ、そう」
すでに違う世界に入っているセレニティを放置して、京楽は浮竹の傍にいく。
「帰るよ、浮竹。今日はめぼしい依頼がないから、少しだけSランクダンジョンにもぐろう」
「ああ、分かった」
「ずるい!師匠だけ、Sランクダンジョンだなんて!セレニティと一緒でも、俺はSランクダンジョンに行ったこと、数えるほどしかないのに!」
「お前はまだ若い。未熟だ」
「うっ」
ぐさぐさっと言葉の矢がささり、カイルはよろけた。
「強くなりたいなら、まずはパートナーとの連携を精密にとれるようにしろ。あと、俺の弟子になりたいとか、他人を困らせるような我儘は控えること」
「うぐっ」
カイルは、セレニティに泣きついた。
「師匠がいじめるーーー」
「ふふふ、泣くな。男だろう?」
「うん・・・・・・」
涙をふいて、カイルは顔をあげる。
「今に見てろ!師匠をこえるドラゴンになってやるんだからな!」
「そうか。楽しみにしている」
浮竹は、カイルの頭をぐしゃぐしゃに撫でて、京楽と共に冒険者ギルドを後にした。
軽くSランクダンジョンにもぐり、フロアボスのケルベロスを倒して財宝を手に入れる。
「浮竹、弟子にしてあげたらよかったのに」
「弟子にしたら、俺たちの住む高級宿に入り浸るぞ。二人でいちゃいちゃなんて、できないぞ?」
「ああ、弟子はいらないね。永遠にいらない。セレニティに、弟子になるのは諦めろって言っとこ」
ころっと意見を変える京楽が面白くて、浮竹はクスクス笑う。
「どうしたの?」
「いや、京楽は俺を独り占めしたいだなぁと思って」
「そりゃそうだよ。君は僕のもので、僕のパートナーだ。いつでも、僕の隣にいてね?」
「ああ。そうだな」
ケルベロスから大きな魔石だけを回収して、財宝をアイテムポケットに入れていく。
「お、古い魔導書か・・・・古代文字だな。おまけに竜語でかかれてある」
浮竹は、生まれた時から古代文字や竜語が読めた。
それはドラゴンの血のなせる技である。
「なんてかいてあるの?」
「究極の破壊。複雑すぎて、俺でも、俺以外でも・・・・たとえ、全てのドラゴンの母、マザードラゴンにさえ、使えなさそうな魔法だ。でも、あると危険かもしれないから、焼いてしまおう」
「うーん、究極の破壊か。物騒だね」
「京楽、火の呪文を」
「うん、ファイア!」
ぱちぱちと音を立てて、古代の魔導書は灰になった。
「他の魔法書は普通のものだ。売ればそれなりの金になるだろう」
「うん、そろそろ夜になるし、撤収しようか」
「ああ」
「そういえば、明日満月だね」
「あ、そうだな」
「ふふ、素直な君の尻尾が早く見たいよ」
京楽は、浮竹を抱き寄せた。
「ばか、ここはダンジョンだぞ」
「モンスターは全部退治した。次のモンスターが生まれるまで、数時間はある」
「ここでしたら、禁欲1カ月だからな!」
「それは困る!宿に戻ろうか」
京楽は浮竹から離れた。浮竹の手を握って、歩きだす。
「ダンジョンの中だけだから、いいでしょ?普段は手をつないだりできないから」
「仕方ないな・・・・・・」
明日は満月。
また、自分の言葉とは裏腹に、尻尾が揺れるのだろうかと思って、浮竹は少し不思議な気持ちになるのだった。