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血と聖水と名において18

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽が言うには、京楽の悪魔王ディアブロの死の呪いの解呪方法が分かった。方法は2つあった。

1つ、かけた者に呪いを返す。しかしこれは、自分より格上の相手では無理。レイモンド相手では、浮竹と京楽ではまだ太刀打ちができない。

2つ、かけられた者を殺して蘇生させる。これは、ライフの精霊神を召喚、使役できる浮竹のためだけに許された方法。

2つ目のを行う場合、京楽は人間であるが限りなくヴァンパイアに近くなっていた。それが、完全なるヴァンパイアとなって復活する。

「京楽、お前はヴァンパイアになる覚悟はあるか」

「あるよ。ボクは、君のためなら悪魔にだって魔王にだってなれる」

「なれもしないくせに、口だけ達者だな」

「ふふ、ボクを殺す?」

京楽は、浮竹を誘ってくる。

「これはお前のためでもある。一度死んで蘇れば、もう悪魔王ディアブロの呪いは受けない。死んでくれ」

浮竹は、ゆっくりと京楽の首を絞めた。京楽は、それを恍惚と、息の根が止まるまで見ていた。


-------------------------------------------------------




「目覚めの気分はどうだ?」

「うーん、爽快だね。血が欲しい」

「待ってろ、今、人工血液を・・・・・」

「君の、マスターの血が欲しい。それ以外いらない」

「京楽、俺の血には猛毒の水銀が!あう!」

京楽は、自分のマスターであるはずの浮竹の首筋に噛みつくと、血をすする。

けっこうな量を飲まれて、浮竹はぐったりとなって、京楽に大量の人工血液をもってきてもらい、飲んだ。

「浮竹の水銀は、ボクには効かないよ。君の血と肉を口にしたことがあるんだから。花嫁となった時点で、水銀はきかないようになっていたよ」

「だからって、一度にあれほど口にするな。俺を殺すつもりか」

「あははは、ヴァンピールの君は血液がなくなった程度では死なないでしょう?おまけに銀の武器も効かないし、魔法も効きにくい。まるでヴァンパイアの王だね」

「まぁ、父はレイモンド。ヴァンパイアマスターは、ヴァンパイアの王種だ。その血を引く俺も、ある意味王種かもな」

「君は稀なる、神をも使役するエレメンタルマスターでもある。レイモンドの息子でもあるし、利用価値が高い。だから、レイモンドもボクを餌に君をブラッディア帝国の皇帝にしようとした。でも、ボクは一度死んで、命の神、ライフに蘇生してもらってヴァンパイアとなった」

京楽は、ヴァンパイア特有の尖った牙と耳をもっていた。ヴァンピールである浮竹とお揃いであった。

「なぁ、これからも俺たちはヴァンパイアハンターでいられるのだろうか」

「いられるよ?だって、ヴァンパイアとヴァンピールだけど、ハンターライセンスはもってるし、ボクも浮竹も人に害はなさないし、法律でも人に害をなしたヴァンパイア以外の殺生は禁じられている。大丈夫だよ。ただ、風当たりはきつくなるかもだけど」

「一度、ハンターギルドにいって、久しぶりに退治をしようと思う。最近旅やら休暇やらで、手持ちの金が減ってきた。その気になれば食うに困らないが、京楽はアホなことで金を使うし、俺も錬金術に関するものを仕入れたいしな」

浮竹には、錬金術師の才能もあった。

ポーション程度なら、店で買うものより浮竹が作ったもののほうが効果は数倍になる。

「行ってみよう。ハンターギルドに」

浮竹と京楽は、ヴァンパイアとヴァンピールである外見を隠しもせずに、ハンターギルドに入る。

「うわ、京楽、お前ヴァンパイアになったのか!くれぐれも、人に害をなして賞金首になったりするなよ。S級ハンターの賞金首なんて、しかも京楽じゃあ、誰も退治できやしない」

「ヴァンンピールの浮竹、久しぶりだな」

あちこちから、声をかけられる。

適当に流して、酒場にもなっているギルドで、エールを2つ注文して、ハンターギルドマスターを呼んだ。

「ああ、よりによってお前がレイモンドの息子とは。おまけに京楽はヴァンパイア化しているし」

「首か?」

「そんなことはない。A級以上のヴァンパイアハンターが不足している。血の帝国ブラッディアに皇帝がいないせいで、外の世界に出て人を襲うヴァンパイアが多くなっている。今回はこれなんてどうだ。シスター殺しのエンパニア。ヴァンパイアロードで、兄弟がいて名前は不明だが、兄と弟がいて、どっちもヴァンパイアロードだ」

「ふむ」

「ヴァンパイアロードを3人も相手なんて、京楽くらいしか頼めそうになくて往生していたところだ」

「この件、引き受けた」

京楽は、書類にサインした。報酬金は金貨3千枚。

通所のヴァンパイアで、金貨2百枚という相場なので、いかに強いのかが値段でもわかる。

「じゃあ、ちょっといって退治してくるよ」

「俺も一緒に行ってくる」

シスター殺しのエンパイアとその兄弟は、修道院に居を構えていた。周囲には、犯され血を吸われて下級のヴァンパイアになってしまったシスターたちの遺体が積み重なっていた。

「あははは、下級ヴァンパイアを犯すのも飽きたんだ。ハンターの血、飲ませてもらうぞ」

浮竹は、わざとエンパイアに血を飲ませた。

「ぎゃあああああああ、喉が、喉が焼けるううううう」

エンパイアは苦しみ続けた。

「シスターたちの仇だ。苦しみぬいて死ね」

浮竹は、エンパイアの腹を裂いて、そこに水銀を含む自分の血を滴らせる。

「ひぎあああああ!傷が再生しないいいい」

エンパイアの兄と弟は、すでに京楽が亡き者にしていた。

「京楽、とどめを」

「あいよ。血と盛衰の名において、アーメン」

そう祈り、京楽は聖銀の聖剣でエンパイアの首と胴を切り離す。傷口を焼いて、再生できないよにすると、エンパイアは吐き捨てた。

「いずれ、藍染様が帝国に君臨なさる。そうなれば、お前たちはすぐに殺される」

「うるさいね」

京楽は。エンパイアの頭を踏みつぶした。

さらさらと灰になったものをカプセルにつめこむ。3人分、3つのカプセルにつめこんで、ギルドに帰還した。

「はぁ!?もう倒した!?依頼を受けて、まだ半日だぞ!」

「いや、近かったから」

「はぁ!?馬車で1週間の距離だぞ!」

フェンリルに乗って、風の上位精霊ジルフェに依頼して一番近くの村まで転送してもらい、あとはフェンリルの足で修道院まで向かったのだと説明すると、ギルドマスターは頭を抱えてから、にこやかになった。

「今ある退治の依頼の中で、普通では倒せないのや、任務失敗の依頼を全部引き受けてくれ」

「え、ちょっと多すぎじゃない?」

「何、毎日片付けていけば、半月で終わる」

「仕方ないねぇ」

「仕方ないな」

「恩に着る!」

こうして、浮竹と京楽は、S級とA級のヴァンパイアハンターとして返り咲いたのであった。



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血と聖水と名において17

パートナードラゴンの京楽は、人の姿になれる魔道具の腕輪を入手して、さっそく人の姿でドラゴンサモナーである浮竹と共に、浮竹と京楽の館にやってきた。

最初は、浮竹も京楽もびっくりしていた。

パートナードラゴンの京楽が腕輪を使って、ちびドラゴンと人の姿を行き来して、しばらくして慣れた。

「何かあったのか?人の姿をしているし、そっちのドラゴンサモナーの俺は少し元気がなさそうだ」

『うーん、いろいろあってねぇ』

パートナードラゴンの京楽は、ドラゴンサモナーの浮竹の頭を撫でる。

『むう、子供扱いするな』

そう言いながら、ドラゴンサモナーの浮竹は顔を赤くする。

『ふふ、十四郎がかわいいからだよ』

『恥ずかしい奴め』

まんざらでもなさそうな、ドラゴンサモナーの浮竹であった。

「とりあえず、お茶していかない?苺のタルト作ったんだよ」

『ごちそうになっていこうかな』

『ああ』

出されたのは、アッサムの最高級品と京楽が作ったというおいしそうな苺のタルトだった。

「この苺、ライフの精霊に育ててもらったんだよ」

『命の神ライフを、そんな風に使役するのはヴァンピールの浮竹くらいだよ?そもそも、ボクの世界でも命の神ライフを使役できる者はごく少数だったしね。古代魔法文明があった頃は、人もライフを使役できたけど、条件つきだね』

「条件?俺は何もしないで召喚しているが」

『普通はね、ライフの神を召喚するのには自分の命を大量に捧げるんだよ。召喚し続ける限り、寿命が減っていく。2,3回使ったらお陀仏だね』

「そうなのか・・・・・・」

『うん。君は特別だね。エレメンタルマスターの中でも、神子に近い』

「おおげさだ」

浮竹は、赤くなった。

「浮気!?」

「なんでそうなる!褒められて照れただけだ!」

浮竹は、京楽をハリセンでしばく。すると、京楽はにょきと起き上がって、浮竹を抱きしめる。浮竹は、変わり身の術で丸太を抱かせた。

「もう、浮竹の照屋さん♡」

「少しは、パートナードラゴンの京楽を見習ったらどうだ」

「えー。だって、ボクと同じ顔見て頬を赤らめるから。ああ、ほんとに鏡みたい。ボクっていい男だよねぇ。これだけの美男子もなかなかお目にかかれないよ」

『自分で言ってるよ』

パートナードラゴンの京楽は呆れていた。

『人を滅ぼそうと思っていたが、止めたんだ。今は、京楽と二人で静かに暮らせる場所を探して旅をしている』

「人間を滅ぼしたら、この世界も滅びる。この世界は、人間のもつマナとごく少数の者がもつ魔力で成り立っているから」

『そ、そうなのか?』

「うーん、正確には人間がピラミッドの頂点にいるようで、この世界の成り立ちでは底辺にいることかな」

『なんだかよくわからん:』

『人を滅ぼしたら、この世界も静寂に包まれるってことだよ。他の命は生きているけど、消費する者が消えて淘汰されることがなくなって、バランスが崩れまくって壊れてしまうんだよ』

『そうなのか。それは、嫌だ。ますます滅ぼしたくない』

数週間前とは全く意見が正反対になっていて、浮竹は驚いていた。

「ここまで意見が正反対になるのも珍しいな。パートナードラゴンの京楽、何をした?」

『うーん、ひみつ』

「そ、そうか。すまない」

ドラゴンサモナーの浮竹の額jにキスをしていたパートナードラゴンの京楽を見て、浮竹は赤くなった。

「もー、なんでそこで赤くなるの!?ボクのこの股間を見て、赤くなって・・・・おぶ!」

ズボンぬいで。下半身はふんどし一丁になっていた京楽の鳩尾を、浮竹は蹴鞠を蹴るみたいに蹴った。

「おおう、効いた~~」

「変態は、地面に欲情して地面とキスでもしとけ!」

「うん、そうするね?」

「え?」

京楽は、魔法が使えるようになっていた。多分、呪いの反動だろう。

そこそこな魔力で、地面に浮竹の半裸姿を描くと、はぁはぁいって、床と接吻していた。

『変態だ・・・・・・・』

『うん、変態だね』

「でも、こんな変態だが料理の腕だけはいいんだよな」

他のメンツより多めに盛られた苺タルトを。浮竹は食べる。

『あ、ほんとにおいしい。変態が作ったのにな?』

『変態だけど、長所あってよかったよ。ただの変態なら、ボクと同じ姿をしているせいで、燃やしちゃいそうになる』

「燃やしたかったら、いつでも燃やしていいぞ?」

「酷い!浮竹の意地悪。今日のしっぽりのお誘いかい?」

「どこをどう解釈したらそうなる!」

「うふふふふ、照れちゃって」

ちゅっと、人前で唇にキスされて、浮竹は真っ赤になってフェンリルを呼び出す。

「来い、フェンリル」

「どうかしたのかにゃ?」

「この変態を凍りつかせろ」

「お安いご用にゃ!」

氷のブレスをはいて、フェンリルは京楽を凍りつかせた。

『ふふふ、なんだかんだいって、仲がいいんだな?』

『そうだね。見てて楽しいね』

「この変態とそっちの京楽、1時間だけチェンジしないか」

『『無理』』

「やっぱりか・・・・こんな変態、何故俺は花嫁にしたんだろう」

そう後悔する、浮竹であった。

ちなみに、京楽は魔法で熱気を出して氷を溶かして、浮竹の背後にこっそりと回り込む。

「変態のボクを、君は愛してる~~~~」

背後からハグされて、浮竹は驚いて京楽を投げ飛ばす。

「ああああ、幸せ」

そんな京楽を見て、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽はどん引きするのであった。


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血と聖水と名において16

京楽の呪いはしばらくの間、解けることはないだろう。

血の帝国ブラッディアの皇帝になることが、京楽の呪いを解呪する条件であった。猶予期間は3年だ。その間に、異界の存在であるパートナードラゴンの京楽から、悪魔王ディアブロの呪いを解呪する方法を模索してもらおうと思っていた。

浮竹は、いざとなったら、ブラッディア帝国の皇帝になるだろう。

父、レイモンドが仕向けた方法は、浮竹を確実に皇帝にする方法だった。

「そういや、ヴァンパイアの世界では龍神がいるんだよね。7つのゴールデンボールを集めたらどんな願いでも聞き入れてくれるっていう」

「あほか!金玉集めてどうする!命の輝きの玉だ。聖女クラスの魂を具現化してできた玉を7つ集めると願いが叶うという。どのみち、神話だし集めれた者もいないし、誰も願いを叶えてもらった者はいない」

「ちぇっ。浮竹としっぽりしまくれますようにって願おうと思ったのに」

浮竹は、ハリセンで京楽の頭を何度もたたく。

「自分にかけられた死の呪いを解呪してもらおうとか思わないのか」

「うーん。まぁ、浮竹が皇帝になるだけでいいんなら」

「あほ!皇帝になったら、きっと離れ離れにされる。もう会えないかもしれないんだぞ」

「え、まじで。じゃあ、解呪の方法ボクも探す」

やっと、京楽は自分の死の呪いを厄介なもとのと理解した。


「それより、ズルズルボールはどうなの?集めたらちょっとのことなら願いを叶えてくれるんでしょ」

「ズルズルしてるぞ」

「うん。だからズルズルボール」

京楽は、浮竹の尻をさわりながら言う。

「ズルズル神を出すのは簡単だ」

浮竹は、そんな京楽を張り倒す。

「ズルズルボールなら、たくさんあるからそこらの雑貨屋でも売ってるだろう。だが、願いは一つしかかなわいないし、ズルズルしてるぞ」

「雑貨屋に買いにいってくる」

「おい、京楽!」

京楽は、ウィキティにある大きな雑貨屋で、1つ金貨100枚もするズルズルボールを7つも買ってきた。

「お前、まずは人の話を聞け。ズルズルボールなら、納屋に7個あった」

「ええ!1個金貨100枚で買っちゃったよ」

「また、変なことに大金を」

浮竹が怒らないのは、すでに館のお金は払い終えており、京楽のポケットマネーから金を出していたからだ。

共有の財産から出していたら、すまきにして天日干しにしていただろう。

「とにかく、ズルズル神を呼び出すよ?」

「勝手にしろ」

「ズルズルボールの偉大なるケチなズルズル神よ、出でよ!そして我が願いをできる範囲で聞き届けたまえ!」

呪文を詠唱すると、プルプル震えた高齢のズルズルした爺さんが現れた。

「いかにも、わしがズルズル神じゃ。何を願う?」

「無理だろうが頼んでみよう。この京楽にかけられた呪いの解呪はできるか?」

「む、無理じゃな。わしができるのは、物質を出すことだけじゃ。3千マニー以内の」

「銀貨3枚以内だとさ」

「じゃあ、浮竹のパンツおくれ!」

「だめじゃな。6千マニーする」

ぷくーと、京楽はむくれる。

「何を願っているんだ、お前は!」

浮竹にハリセンではたかれながらも、京楽はめげない。

「じゃあ、中古で。今浮竹がはいているパンツおくれ!」

「ちょうど3千マニーじゃ。よいじゃろう」

ズルズル神は、手の平からズルズルした浮竹のパンツをとりだすと、京楽に与えた。

「わーい!ずるずるでベタベタだけど、浮竹が今はいてたパンツだーーー」

うさぎさん柄だった。

「うさぎさんかわいい」

「あああああああ!!」

浮竹は、はいているパンツをなくしたことで、真っ赤になって、フェニックスを呼び出して京楽ごとパンツを燃やした。

「お前も燃えろおおおおお」

「ぬおあああああああ」

ズルズル神もついでに燃やした。

でも、一応神様なので死なない。

「願いはかなえた。さらばだ」

「納屋のズルズルボール破棄してやるうううう」

真っ黒こげになった京楽は、はぁはぁしていた。

「この炭化したのが浮竹のはいてたパンツってことは、今はノーパン!?」

「ぎゅああああああ、こっちにくるなああああ!!!」

浮竹は、京楽を縄で縛って、木に吊るした。

「はぁはぁ、もっとおおおお」

「この変態がああああ!!」

浮竹は、ノーパンなので、パンツをはきにいった。

「ああ、コレクションに入れたかったなぁ。浮竹のズルズルしたパンツ」

「この腐れ変態が!自分のパンツでも食ってろ!今日は飯ぬきだ!」

「ああん、浮竹の愛が激しい。そんなにボクのことが愛しいんだね?」

「話通じないな、この変態は・・・・・」

浮竹は、ウンディーネを呼び出して、京楽を水浸しにする。

この季節、まだ寒い。

「風邪でもひいてしまえ!」

「はぁはぁ。魔法使えなかったんだけど、最近基礎の魔法なら使えるようになってきたんだよね。乾け~~~~」

京楽が念じると、京楽の衣服はかわいた。

「ああ、でもパンツのあそこだけは濡れたままだよ」

「お前が濡らしているんだろうが!」

木に吊るされた京楽を、浮竹はブランブランと揺すり、ハリセンで頭をはたく。

「(*´Д`)ハァハァ。愛が激しい」

「だめだこりゃ」

浮竹は、京楽を放置して館に戻り、暖炉に牧をくべて暖をとるのであった。


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血と聖水と名において15

血の帝国ブラッディアに滞在中、浮竹は実の父のレイモンドと会ってしまった。

何も言えないでいる浮竹に、レイモンドはその顎に手をかけて上を向かせる。

「ますます、母であるブリュンヒルデに似てきたな」

「父様」

「皇帝になれ、ソアラ。いや、今は浮竹十四郎だったか」

「お断りいたします」

「ふふ、そう言うと思って、呪いをかけておいた。三年以内に皇帝にならねば、お前の愛しい花嫁、京楽春水は呪いで狂い死ぬ」

「なんてことを!」

浮竹は、実の父を殴ろうとして、抱きしめられていた。

「ソアラ。皇帝になり、ブリュンヒルデを蘇らせろ」

「呪いの解呪は!?」

「できない。悪魔王ディアブロの呪いだ。解呪方法などない。ただ、お前がおとなしくブラッディアの皇帝となり、愛しい妻で花嫁であるブリュンヒルデを、命の神ライフに生贄を捧げて蘇らせればいい。その後は、皇帝をやめてもかまわん」

「父様は狂ってる。母様は死んだのに」

「お前がライフの精霊、いや、神を使役できるからだ。命の神は死者さえ蘇らせる。なに、生贄など罪を言いわたされたヴァンパイアロードを五人ほど捧げればいい」

浮竹は、それ以上レイモンドと一緒にいたくなくて、赤の館のレイモンドの屋敷を京楽と一緒に飛び出して、自分の館として与えられた緑の館に帰る。

「まいったねぇ。解呪できない死の呪い、かけられちゃったのか」

「三年の猶予がある。その間にでも解呪がだめなら、俺はブラッディアの皇帝になる。京楽、お前を失いたくない」

「うん。仕方ないね」

「すまない。お前まで巻き込んでしまって」

「何言ってるの。ボクは君の花嫁で契約者でしょ」

「ああ。アホの子で変態だがな」

「酷い!」

しくしくと泣きだす京楽の手には、ハンカチ代わりの浮竹のパンツがあった。

「これだから、変態でアホの子なんだ」

「変態は認めるけど、なんでアホの子なの?」

京楽は、前から疑問に思っていたことを口にする。

「空気を読まないからだ。お前、父であるレイモンドの背後で尻文字でアホとかやってただろ」

「ばれてた!?」

「ばれるわ、ぼけ。レイモンドは気づいていなかったようだが。気づいていたら、死ななくても燃やされていたぞ」

「うわぁ、悪魔王ディアブロの名を冠するヴァンパイアマスターの炎、ちょっと味わってみたかったかも」

「そういうところも、アホの所以だ」

「えへへへ、そんなに褒めないでよ」

「褒めとらんわ、だアホ!」

浮竹は京楽をハリセンで殴り、レイモンドの執事に帰るということを伝えて、ウィキティへの転移魔法陣で帰ってきた。

「ああ、久しぶりの我が家だ」

「浮竹がさらわれた時、荒らされたのまだ完全に直してないからね。建物を壊すとか、どんだけアホなんだろね」

「アホのお前にアホ呼ばわりされたら、死んだとはいえS級ヴァンパイアハンターたちも成仏できないだろうな。さまよい出てきて、お前の肩に・・・・・」

「ひいいい、やめてよ!ボク、怖い心霊系はだめなんだよ」

「知ってる。今度、知り合いに頼んで心霊写真手に入れて見せてやろう」

「やーめーてー」

浮竹は、くすりと笑った。

「あ、浮竹、ブラッディアに旅立って滞在して帰ってきて、やっと笑ったね。もう二週間は強張った顔してたよ?」

「そうだな。ブラッディアまでいくのもうつだったし、滞在中もうつだった」

「今日は、ピザを作ろう。君の好きなシーフードの」

「ああ、今から楽しみだ」

浮竹は、京楽と共に仮眠した。血の帝国ブラッディアと外の世界は24時間時間が違う。

入ってでたら、それだけで1日が経っている。


『宿借りにきたよー』

「あ、パートナードラゴンの京楽じゃないか。久しぶりだな」

『あ、ヴァンピールの浮竹!ここ最近留守にしてたみたいだけど、宿を借りるのに何度か館に勝手に泊まらせてもらったよ?』

「ああ、かまわない」

『ヴァンピールの俺、浮かない顔だな?』

「実は、父のレイモンドに・・・・」

事情を説明すると、パートナードラゴンの京楽は、解呪方法があるかもしれないと言っていた。

『ちょっと時間かかるけど、解呪方法探せそうなんだ。期限は三年だよね?』

「ああ」

『その間に、なんとかしてみようと思う』

「頼む。ブラッディアの皇帝になると、父は母を蘇らせたらすぐ退位していいというんだが、そう簡単に退位できないのが皇帝というものだ」

浮竹は困った顔をしていた。

『大変だな、ヴァンピールの俺』

「母を蘇らすのには、一度失敗しているんだ。今度も多分失敗する。ライフの神は、死者の蘇りを禁呪にしているからな。死んだ者をすぐに蘇生なら、生贄なしでもできるが。体に破損がない限りは」

『そもそも、ライフの精霊と契約切っちゃえば?』

「治癒に使うから、絶対に必要なんだ。ヴァンパイアハンターをしていると、生死の境をさまようケガをする時もあるからな」

『ライフの神、呼び出せる?』

「ああ、できるが」

『ちょっと呼んでみて』

パートナードラゴンの京楽に言われて、浮竹はライフを召喚する、

「ライフよ、顕現せよ」

『やっぱり。この精霊というか神、この世界の者じゃないね』

半透明な、シルフのような乙女の姿のライフは、くすりと笑ってパートナードラゴンの京楽の周囲を舞い踊ってから、元の世界に帰ってしまった」

「どういうことだ?」

『ん。ボクは、この世界のドラゴンではないからね。そういうの、分かるんだ』

『京楽がどの世界のドラゴンでも、京楽は京楽だ』

ドラゴンサモナーの浮竹は、ちびドラゴン姿のパートナードラゴンの京楽を抱き上げる。

「異界関連なら、呪いの解呪方法があるかもしれないってことか」

『そういうことだね』

問題の京楽は、こしみの姿でサンバを踊っていたので、とりあれずハリセンで床に沈めておいた。

「今日は、この変態のアホがピザを作ってくれるんだ。よかったら、食べていけ」

『うん、そうするよ』

『世話になる』

アホの変態は、今度はふんどし姿でソーラン節を踊っていた。

つっこんだら負けだろうと思ったが、しつこかったので、ハリセンで仕留めた。

「くくくく。ぽろりしちゃた♡」

「ぎゃああああ!股間隠せえええ」

「顔隠すね?」

そんなやりとりをする二人を見ながら、パードナードラゴンの京楽とドラゴンサモナーの浮竹は、紅茶を飲んでクッキーを食べて、見なかったことにして寛ぐのであった。







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血と聖水と名において14

「何故、私の花嫁であることを拒絶する?」

「いやなものは、いやだからだ。花嫁にされた記憶は消されたが、一度お前の花嫁になってしまったのも事実だ。だが、幸福感などなかった。絶望感だけがあったのを、なんとなく覚えている」

京楽に、藍染にされたことの記憶を消してもらった浮竹であったが、自分の身に何が起こったのかは知っていた。

「私の花嫁になりたくないと?」

「当り前だ」

「ソアラ。神さえ使役できるお前の力があれば、私はブラッディアの皇帝となり、やがて神へと至る」

「妄想癖があるようだな。そんなことにはならない。お前が皇帝になるくらいなら、俺が皇帝になる!」

浮竹は、自分がブラッディア帝国の皇位継承者であることを、認めた。

「消えろ!」

浮竹が、フェニックスを召喚して藍染に向けると、藍染は渋い顔をしながら、フェニックスの業火に燃やされていく。

どうやら分身体のようで、灰さえ残らなかった。

「京楽、大丈夫か!?」

「うん。ちょっと、腹に大穴あいただけ」

「ライフ、顕現せよ!」

京楽は、体がヴァンパイア化しているので、腹に穴が開いたくらいでは死なないが、痛みは確実にある。

「そのライフって精霊、神でもあるんでしょ?」

「ああ。綺麗に治ったな」

「ライフってすごいね。その気になれば、死者さえ復活させれるんでしょう?」

「ああ。生贄が必要だがな」

「もしもの時は、ボクを生贄に・・・・・」

「しない。絶対に、そんなことしないし、そんなことにもさせない」

浮竹は涙をにじませて、京楽を抱きしめた。

「ライフで、父であるレイモンドは、奴隷を生贄に使って、俺に母様の蘇りを強制した。でも、生贄にされた奴隷が死んだだけで、母様は生き返らなかった。その後から、父は俺を疎ましく思うようになる時もあるし、目に入れても痛くないくらいかわいがる時もある、二面性を持つようになった・・・・・・・」

「うん」

「ライフの精霊を、自分で使役しようとしたんだ。その後遺症だ」

浮竹は、悲しそうな顔をした。

「そうなの。大変だったんだね」

「ああ。今も、俺に皇位継承権を与えたのは父だ」

「レイモンド・・・・・悪魔王ディアブロのレイモンド。数百年S級ヴァンパイアハンターたちを退けてきた、ヴァンパイアマスター」

「ああ」

浮竹は頷く。

「ボクも何度か戦ったことあるけど、全部引き分け」

「父と引き分けでいけるのがお前のすごいところだ」

「え、そうかな?」

京楽はデレデレして、むちゅーとキスをしようとしてくるのをハリセンではたいてから、浮竹と京楽はブラッディア帝国に入る。

「ソアラ様!」

レイモンドの執事が、駆け寄ってくる。

「ブラッディアにようこそおこしくださいました。館を用意してございます。皇帝候補の方一人につき、一つの館が与えられます」

「俺のくるかなり前に、黒崎一護というヴァンぽイアマスターが、朽木ルキアというメイドとこなかったか?」

「ああ、黒崎様ですね。青の館に滞在中でございます。ルキア様も、同じく」

「そうか。無事ならいいんだ」

浮竹は、京楽と共に安堵する。

「藍染様とレイモンド様は、時折館に泊まられますが、基本は外で活動しておいでです」

「俺も、そうなると思う。ずっと滞在はできない」

「そうでございますか。残念です。ソアラ様に与えられるのは、緑の館です。レイモンド様の子ということで、黒崎様や藍染様の館より、かなり豪華にしております。時折レイモンド様もお泊りになります」

「父に、会いたくない」

浮竹は、苦虫を嚙み潰したような表情になる。

「そのように、取り計らいましょう。レイモンド様のご帰還は、一週間後となっております」

「三日だけ滞在する」

「短いですね?」

「ひとまず、ブラッディアという帝国を見て回りたい」

「ボクも、興味あるな」

京楽がそう言うと、レイモンドの執事は眼鏡をくいっと手であげる。

「そちらが、花嫁の京楽春水様でございますね?」

「ああ」

「レイモンド様がおしゃっておりました。花嫁にさせたのは、失敗だったと」

「京楽、怒るなよ」

「怒らないよ。でも、レイモンドのお陰で君に出会えた。そのことは、感謝しているよ?」

「レイモンド様を呼び捨てとは!」

「いい。俺が許す」

「はい、生意気な口をきいてすみませんでした、ソアラ様」

執事に、緑の館を案内された。

王宮じゃないのかという豪華さだった。

「金、かけまくってるな」

「先代の皇帝ルキオラ様の離宮でもありましたから」

「ルキオラ皇帝って、確か美少女ばかりを花嫁にした好色のヴァンパイアマスターだよね。でも、子供はできなかった」

京楽が、うろ覚えの知識を出す。

「はい。一応、二人ほど御子は誕生なさいましたが、はやり病ですぐにお亡くなりになりました。ルキオラ様には子種がないと分かって、子を産んだ花嫁は断頭台の露に消えましたが」

「こわっ」

京楽は、浮竹が皇帝になってしまったらどうしようと、少し、いやかなり心配であった。

「京楽、心配しなくても俺は皇帝になんてならない。たとえなったとしても、あの館で一緒に暮らす」

「可能でございますよ?皇帝は権力の象徴であるだけ。統治は長老たちがなさっておいでです。帝国を覆う、ドーム状の日光をいれない結界を維持する、血液を注ぎ、魔力を特殊なオーブにありったけ注げば、それでよいのです。ですから、ソアラ様が皇帝になり、外の世界で生活して半年に一度ほど。ブラッディアに帰還して魔力の補填をするのであれば、外での生活も許されましょう。ただし、贅沢などはできませんが」

「贅沢なんかしない」

「レイモンド様は、金を湯水のように使いなさるんので、ソアラ様とは反対でございますね。こちらが寝室となっております。京楽様とお過ごしになるなら、この豪奢なベッドをお使いください。レイモンド様が、若かりし頃に使っていた、由緒正しき製作者が、特別に魔力を注いで作ったベッドとなっております」

「早い話が、お下がりってことだろう?」

「このベッド一つで、奴隷が百人は買えます」

「無駄に金かけてる。ブラッディアは、奴隷制度を廃止したんだろう?」

浮竹が怪訝そうな顔をする。

「それでも、人間やヴァンピールの底辺の者たちが奴隷として売買されております。ヴァンパイアと、戸籍のある人間の奴隷化は廃止されましたが、スラムに住む住民は戸籍がないため、奴隷として捕まれば売られていきます」

「変えたい。そんな帝国を」

「浮竹・・・・・」

京楽が、浮竹の手を握る。

「ならば、皇帝になられるとよいでしょう。皇帝の案であれば、通りましょうぞ」

「父がなればいい。父に、進言する」

「それは無理でございましょう、ソアラ様。レイモンド様は、ソアラ様を皇帝に立候補なさっておいでです」

「なんだって!」

「ああ、言っておりませんでしたか」

レイモンドが、ソアラこと浮竹を駒にするために、皇帝になることを推しているのだとは、まだほとんどの者が知らない。

「皇帝になれば、相応の力を得ます。ソアラ様の母君、ブリュンヒルデ様の蘇生を、レイモンド様は願っておいでです。どうか、命の神ライフを大切にしてください」

「ライフは、死者を蘇らすのに生贄を。たくさんの命を必要とする」

「それならば、ヴァンパイアロードの罪人を数人ささげるだけですみましょう」

「俺は、嫌だからな!絶対に、皇帝になったりしない」

「それは、分かりませんよ?」

執事は、何かいいたげであったが、口をつむぐ。

まさか、皇帝にならばければ、京楽の命の灯が危ういなど、その時の浮竹は知らなかった。














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血と聖水と名において13

「浮竹、いいものあげる」

「なんだ?」

るんるん気分の京楽が、綺麗にラッピングされた箱をもってきた。

中身は少し軽い。

「いいものだよ」

「ああ、もらう」

アクセサリーの類かと思っていたら、中に入っていたのはもじゃもじゃの毛だった。

「うふふ、ボクの胸毛♡」

「いるかこんなものおおおおお!!」

京楽の顔面に、箱を投げ返す。

「酷い!ボクの胸毛2か月分なんだよ!」

「気持ち悪いわ!変なものよこすな!」

「ははぁ、さては下の毛がよかったんだね。今から・・・・」

「死ね」

浮竹は、京楽はをハリセンでぼこぼこにした。

「う、冗談だったのに。毛を取り除いて箱の奥を見てごらん」

言われた通りにすると、翡翠の髪留めがあった。

「これは・・・綺麗だな。でも、値段が高そうだ」

「ボクも一応S級ヴァンパイアハンターだからね。この前ソロでヴァンパイアロード狩った報酬金で買ったの」

「あ、ありがとう。う、嬉しいなんて別に思っていないんだからな!」

「きたーーー、浮竹のツンデレ。かわいいいいい」

「う、うるさい」

そこで、ピンポーンとチャイムが鳴った。

「誰だろう」

「あ、ボクが出るから!もしも、また藍染関係だとやばいからね」

浮竹は、二週間ほど前に藍染に犯されて、無理やり花嫁にされて、それを同じ花嫁である京楽とまじりあうことで、花嫁でなくなった。

藍染の手下が2回ほどきたが、返り討ちにして殺した。

『元気か、ヴァンピールの俺』

「あ、ドラゴンサモナーの俺!」

『すまん、洗面所を貸してくれないか。手が血で濡れて気持ち悪い』

「誰か、殺したのか?」

浮竹が、不安げにドラゴンサモナーの浮竹を見る。

『何、お前に害をなそうとしたS級ヴァンパイアハンターの首をはねとばして火で完全に塵にしただけだ』

『浮竹ってば、君をさらおうとしてたらしいS級ヴァンパイアハンターを二人殺しちゃったの。注意したんだけどね、問題ないって聞かなくて』

「そうか・・・・あの二人を殺したんだな。俺は気にしない」

『ヴァンピールの俺ならそう言うと思った・・・・一度、誰かの花嫁にされたのか?首に、うっすらと痕がある』

「ああ、藍染に無理やり・・・・」

『藍染か。俺の力で殺せるかな?』

「藍染は不老不死に限りなく近いヴァンパイアマスターだ。普通の方法では殺せない」

『そうなのか』

ドラゴンサモナーの浮竹は、残念そうな顔をする。

「あ、ドラゴンサモナーの浮竹、これあげる!」

『なんだ?』

『何もらったの?』

パートナードラゴンのちびドラゴンの姿の京楽も、綺麗にラッピングされた箱の中身を見る。

「ボクのギャランドゥの毛」

『いるか、こんなものおおおおお!!』

浮竹と同じ反応をする。

違うのは、毛だけ燃やして、ついでに京楽も燃やした。

『ボクの浮竹に変なものあげないで!』

パートナードラゴンの京楽も、火のブレスで京楽を燃やす。

「あははは、いい火加減」

京楽は、アフロになりながらも体は燃えない。手加減されているし、京楽はもうほとんど体の構造がヴァンパイアに近くなっているせいで、炎なんてききやしない。

『あははは、アフロになってる』

パートナードラゴンの浮竹は、おかしそうに笑う。

『本当に渡したかったのはこっちか』

今の浮竹が髪に飾っている髪留めの翡翠と対になるような、ブルーサファイアの髪留めが箱の奥に入っていた。

『ありがとう。大切にする』

「うん。それなりの品物だよ。けっこうお金かかってるから、なくしたり、盗まれたりしないように気をつけてね」

『ボクの浮竹なら、大丈夫だよ』

「そうだね」

「京楽、服を脱げ」

突然、浮竹がそんなこと言いだした。

「ええ!こんなところでしっぽりのお誘い!?」

「違う、だアホ!」

おとなしく上半身裸になり、下半身も躊躇なく裸になりそうなのを慌てて止める。

「え、フルチンじゃなくていいの?」

「誰もそこまで脱げとは言ってない!」

くすくすと、そんな二人をドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽が笑う。

浮竹は、綺麗になくなった京楽の胸毛とギャランドゥを見て、溜息をこぼす。

「ライフよ、顕現せよ」

浮竹だけ使える、命の精霊ライフに、京楽の胸毛とギャランドゥをしばらくはえてこないようにお願いした。

「ちょっと!ボクの胸毛がはえてこなくなるうううう」

「こんなことに使うなら、永遠にはえてこんでいいわあああ」

「酷いいいいいい」

「この愚か者があああああ」

『なんだかんだって、仲いいね?』

『そりゃ、花嫁だからな?多分』

ドラゴンサモナーの浮竹は、勝手に紅茶をいれて飲んでいた。浅い皿にいれて、パートナードラゴンである京楽にも飲めれるようにする。

冷蔵庫を漁ると、大粒の苺があった。

それを、二人は食べる。

「あ、夕飯後の楽しみに残しておいた苺なのに。まぁいいか。ライフに頼んで、同じものをはやしてもらって収穫しよう」

ライフの精霊。

別名、命の神。

精霊でありながら、同時に神である。浮竹は、神さえ使役する。

四人は、和やかにお茶をしていたのだが、一向に燃え尽きない京楽のギャランドゥの毛を見て、浮竹が質問する。

「あれは、いつ燃え終わるんだ?」

「ん、ボクのギャランドゥは特別でね。火をつけても長時間それを維持するんだよ。冒険者してた時、よく松明代わりにしてたなぁ」

「汚らわしい松明だな」

「酷い!」

ちなみに、京楽はまだアフロだった。ライフの精霊に元に戻せと言っていなかったので。

「ボク、いつまでアフロなの?」

「一週間」

「びえええええん。ボクの美貌がああああ」

「自分で言うな!ナルシストか、お前は!」

「いえ、ただの変態です」

「たいへんだ、へんたいだ」

げらげらと、パートナードラゴンの京楽が笑い、ドラゴンサモナーの浮竹も腹を抱えて笑っていた。

変態でアホな子の京楽は、涙を浮竹のパンツでぬぐった。

「また俺のパンツを!」

「いやあああ、とりあげないで!ボクのコレクションがあああ」

「没収だ、没収」

「酷いいいいいい」

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、夕飯をごちそうになってから、元いた町の宿屋に戻っていくのであった。


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血と聖水と名において12

「へへ、藍染のご所望のソアラこと浮竹を生きて連れてきたぞ」

「約束の、報酬の5倍をもらおうか」

「愚かなる人間の割には使えるな。ほら、星白金貨だ。好きなだけもっていけ」

藍染は、眠る浮竹をベッドに寝かした。

「ひゃっほう、これで超大金もちだ!」

「行こうぜ。藍染はやべぇ。気が変わる前におさらばしようぜ」

「そうだな」

S級ヴァンパイアハンターの二人は、藍染の秘密のあじとから出ると、帰路につこうとした。

そこに、フェンリルに乗った京楽が現れる。

「浮竹はどこ!」

「ちっ、夜叉の京楽か。浮竹は藍染の家にいる。今頃、花嫁にされてるんじゃないか」

「浮竹ーーー!!!」



浮竹は、藍染に犯された。

無理やり花嫁にされた。

そこへ、京楽が乗り込んでくる。

「浮竹を返せ!」

「残念ながら、ソアラは私の花嫁になった。契ったよ」

「京楽、俺を殺してくれ・・・・・・・」

浮竹は、絶望で涙を流していた。

「殺さない!絶対に、元に戻る方法見つけるから!」

「おもしろい。ソアラを返そう。まぁ、最終的には私の花嫁として帰ってくるだろうがな」

「京楽、俺は・・・・・」

「何も言わなくていいよ。館に帰って、お風呂にはいろ?」

「うん」

浮竹の首には、藍染の所有物の証である薔薇のいばらのタトゥーが浮かんでいた。

館に戻ると、まずは浮竹と湯あみをした。

藍染のキスマークの残る体を洗っていく。

「京楽、抱いてくれ」

「いいの?」

「花嫁同士が契りあうと、特別な力を得るという。今は、それにかけたい」



「はぁん、もっと奥う」

「浮竹、奥好きだね?」

「あああ、もっと奥に」

浮竹と京楽は、ヴァンパイアの花嫁同士で契りあう。

「奥に、いっぱい注いであげるね?」

「藍染の花嫁になるくらいなら、死んでやる」

「花嫁をやめる方法はあるはずだよ。実際、花嫁として誘拐された少女が元の普通の人間に戻ったって聞いたことあるし」

京楽は、浮竹の奥をつきあげながら、奥に直接精液を注ぎ込む。

すると、浮竹の藍染の所有物の証である首の薔薇のいばらのタトゥーが薄くなっていく。

「ああん、もっとおおお」

「淫乱な浮竹も大好きだよ」

久しぶりなので、京楽は優しく抱いた。

浮竹が意識を失う頃には、ばらのいばらのタトゥーはほとんど気てえいた。

「そうか。花嫁同士で契ることで、花嫁ではなくなるんだね。藍染も知らなかったみたいだし、浮竹には悪いけど、藍染にされたことの記憶を消すよ」

京楽は、魔法は使えないが、魔法のスクロールは使えた。

倉庫から漁りだした、記憶消去のスクロールを使って、誘拐されたこと自体をなかったことにした。

「ん・・・・京楽、俺は?何か、大切なことを忘れている気がする」

「忘れてていいんだよ。無断だけど、記憶消去のスクロールを使ったよ。そうしないと、浮竹が悲しみの絶望から抜け出せないから」

「そうか。俺の身に、何かあったんだな」

「思い出せないよ?」

「ああ。消去されるほどの記憶なら、思い出したくもない」

その日の夜、浮竹と京楽はまた契った。

そこには、アホで変態の居楽はいなかった。ただ、愛して純粋に優しく、浮竹の言うことを聞いてくれる京楽はがいた。


「ひああああ、いっちゃううう」

「何度でもいっていいよ?」

「やだあああ。京楽と、一緒がいい」

「じゃあ、一緒にいこうか」

「ひあああん、いくうううう」

「ボクも、浮竹の胎の奥に出すからね」

ドクドクと精液を浮竹の奥に注ぎこみ、浮竹と京楽はしっぽりしていた。

「あああ、頭が真っ白になって、おかしくなるうう」

「それだけ気持ちいいってことでしょ?」

「やあああん」

「もっと、だね?」

京楽は、浮竹の奥を抉って突き上げる。

「んあああ、深いいいい」

「もっと深くにあげるからね?」

浮竹の足を肩に担ぎあげて、京楽は浮竹が泣いてもういらないと言っても、抱いた。

もう、完全に藍染に汚されたあとはなく、記憶もない。

京楽だけの、浮竹だった。

たとえ、藍染が現れても、記憶はもう戻らない。

京楽は、今度藍染が来たら戦うつもりであった、たとえ、敗北しようとも。

浮竹の力はとても貴重で強い。

使役魔使い、つまりは精霊使い’(エレメンタルマスター)だ。

藍染でなくても、欲しがるだろう。世界には何人かの精霊使いがいるが、浮竹は精霊の王でさえ召喚できる、稀有な存在であった。

「君は、ボクが守る。藍染からも、君の父親からも.愛しているよ、浮竹。ソアラ」











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血と聖水と名において11

「おめでとうございます。この度は、血の帝国ブラッディアの皇帝候補に選ばれました。皇位継承権をあなたはおもちです」

「は?」

訪ねてきた初老のヴァンパイアの執事らしき者は、そう言って浮竹を困らせた。

「あなたは、確か父の執事?」

「そうです。レイモンド様の執事でございます。レイモンド様も皇位継承権をお持ちです。今のブラッディアの皇帝は空位。他に、黒崎一護様、藍染惣右介様が皇位継承権をおもちです」

「一護くんはいいとして、藍染はあの悪名高い藍染か」

「さようでございます」

「俺は、皇位継承権を放棄する」

「なりません。誰かが皇帝となられるまで、皇位継承権は消えません」

執事の言葉に、浮竹は顔をしかめる。

「そもそも、ヴァンパイアマスターの父もブラッディアとか関係ないだろう」

「いいえ、おありです。レイモンド・シュタットフェルト・ブラッディ。ブラッディは、代々皇族に使われる名です。レイモンド様は、先帝の実の弟君であらせられます。ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディであられるあなたも、皇族の血を引いておいでです」

「ソアラでは今はない。今は浮竹十四郎だ」

「これは大変失礼しました浮竹様。レイモンド様はこうもおしゃっていました。愛児であるあなたは皇位継承権がなければただのごみだと」

「父様・・・・」

浮竹はショックを受ける。

それから、浮竹は執事が、一緒にブラッディアに来いというので、断固拒否して執事を追い返した。

「私はあきらめませんからね!」

「帰れ!俺は皇族なんかじゃない!」

「いいえ、あなた様はレイモンド様と聖女の奥方であられたブリュンヒルデ様の子。皇族でございます」

「帰れ!」

「仕方ありません。今日はこのへんで引きあげましょう」

執事が帰ったのを確認すると、浮竹はフェンリルを召喚する。

「どうしたにゃ。顔色が悪いにゃ」

「すまんがもふもふさせてくれ」

「京楽としっぽりのほうがいいんじゃないのかにゃ」

「そんな体力も性欲もない」

浮竹は、思い切りフェンリルをもふる。

「くすぐったいのにゃ!いやにゃん、そこはだめなのにゃん」

起きてきた京楽が、じーっと黙ってこっちを見ていた。

「なんだ」

「いや、獣姦とかさすが浮竹だけあってレベルが高いなぁと思って。まぜてまぜて。あ、今度、熊のぐるみきてしっぽりして、いくときがおーって鳴いてあげるね?」

「誤解の上にくそしょうもないことを提案するな!」

「え、今がいいの?仕方ないなぁ」

パジャマを脱ぎだした京楽を、浮竹はフェニックスを召喚して黒焦げにすると、寝室に閉じこもった。

「ねぇ、浮竹、ボクが悪かったから」

「今は、一人にしてくれ」

「やだよ」

京楽は、無理やり扉をあけて、泣いている浮竹を抱きしめた。

「君が、ソアラでも浮竹でも、ボクは君を愛しているから」

「なぜ、俺がソアラだと知っている?」

浮竹が涙をふいて、京楽に尋ねる。

「ごめん、さっきの話盗み聞きしてた」

「俺は、父様の愛児であるのに、皇位継承権がないとただのごみだそうだ。愛されているのか、愛されていないのかわからない。多分、父様は俺に母様を重ねているんだろうな。母様にとても俺は似ているからな」

「浮竹、もっと泣いていいんだよ?」

「いや、もう泣かない。みっともない姿を見せたな」

「ううん、そんなことないよ。ほら、ハンカチ」

「ありがとう・・・・・って、これ俺の新しい買ったばかりのお気に入りのパンツじゃないか!どこかにいったと思ったら、お前が盗んでいたのか!」

浮竹は、京楽が頼もしいと一瞬でも思ったことを後悔した。

「うわあああん、そんなにハリセンで殴らないでよおおお」

「うるさいいいい。全部お前が悪いいいいい」

「きゃいーん」

京楽は、ハンターギルドに逃げ出した。さすがの浮竹も、そこまで追おうとはしなかった。

「ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディとかいうヴァンピールに多額の報酬金が出たそうだぞ。しかし、聞いたことのない名前だな?」

「なんでも、なかなか凄腕のヴァンピールらしい」

「浮竹に、報酬金?誰が・・・・・・・」

京楽は、ギルドマスターを呼び止める。

「ソアラというヴァンピールは何もしていないんでしょ?なぜ、報酬金が出ているの?」

「ああ、藍染とかいうヴァンパイアマスターが、報酬金を出したらしい。ヴァンパイアだから、あてにはできんが、生かして連れてくれば報酬金の5倍を出すそうだ」

「藍染・・・・あの、いかれヴァンパイアめ」

京楽は、過去に何度か藍染と戦ったことがあった。どちらの勝利も分からい引き分けばかりであったが。

「浮竹に知らせなきゃ」

京楽が帰ると、館は荒らされており、浮竹の姿がなかった。

「浮竹!」

「にゃああん。京楽、マスターがS級ヴァンパイアハンターの二人組に連れ去られたにゃ!スリープの呪文かけられて、ボクも眠ってしまっていたにゃ!マスターを助け出さないと!」

「フェンリル、匂いはたどれるかい?」

「任すのにゃ!」

フェンリルは、3メートルはある魔氷狼の姿になると、京楽を乗せて浮竹をさらっていった犯人たちの元へと走っていくんのだった。




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血と聖水と名において10

いつものような朝がやってくる。

今日は、月に一度のメイドさんによる大きな洋館の手入れの日だった。

一護と血の帝国ブラッディアに旅立った、メイドだったルキアと入れ替わりでメイドになった七緒が、リーダーとなってメイドたちをまとめあげて、普段使っていない部屋も掃除する。

庭では、男性が庭師をしていた。

男性といっても少年で、まだ子供だった。ヴァンピールで、孤児らしい。

名前は日番谷冬獅郎。

浮竹が、時折寄付する孤児院にいるヴァンピールだった。氷の適性が高く、氷雪系の魔法を使い、ダンジョンなどに単独でもぐって、フロアボスを倒して財宝を手に入れて、孤児院に帰ってくる。

同じ孤児のヴァンピールの少女、雛森桃と仲がいい。

雛森は、今日もメイドとして孤児院から派遣されていた。

ヴァンパイアの血を引いているため、二人は孤児院でも浮いていて、成長が遅いせいで長く孤児院にいて、労働を義務づけられていた。

「日番谷くん、休憩したらどうだ。甘納豆あるぞ」

「・・・・・もらう」

冬獅郎は、浮竹の館の手入れは賃金がいいので、庭師として昔働いていた経験を生かして、月に数回庭の手入れに来ていたが、今日はメイドたちも一緒だった。

メイドの多くは孤児院育ちの者が多かった。

ヴァンピールが住んでいるので、万が一のことがあってもいいように、孤児だった者を選ぶ。そんなメイドの組織は大嫌いだが、浮竹は孤児を歓迎した。

冬獅郎は、近いうちに冒険者として雛森と一緒に、人間のパーティーに入ってやっていく予定だった。

今は、武具を買う金をためるために働いていた。

「ダンジョンはどうだ。単独で10階のフロアボスを倒して、財宝を持って帰ったそうじゃないか」

「必要経費だと、没収された」

「なに!俺が・・・・」

「いい!俺は、雛森と静かに暮らしたいんだ。冒険者にはなるが、ヴァンピールが好きな人間と組むことになっている。孤児院の居心地は最低だ。早く、独立したい」

「そうか・・・・・」

「浮竹、もしかしてショタコン!?だから、ボクとあんまりしっぽりしないの!?」

「何をほざいている、このだアホが!」

京楽の頭をすぱーんとハリセンで殴ると、氷の彫像のようだった冬獅郎が少しだけ笑った。

「このだアホ、ほんとに手がかかるんだ。俺のパンツ盗んだり、食べ残し食べたりはまだいいが、食べ終わった食器を舐めたり」

「変態だな」

「ああ、変態なんだ」

浮竹は頷く。

「変態で悪い?」

京楽は堂々としていて、いっそ潔かった。変態であるが。

「シロちゃん、仕事終わったよ」

「ああ、こっちももうすぐ終わる」

そんな二人を、浮竹と京楽は暖かい眼差しで見守る。

「何かあったら、いつでも館にこい」

「ああ。なにかピンチの時は、頼らせてもらう」

その日は、それで終わった。


後日になって、冬獅郎が血まみれの雛森を抱いて、浮竹の元に助けてくれとやってきた。

「ふざけんな!あの人間のパーティー、俺と雛森をボスの気をそらすために使いやがった。雛森は助かりそうか!?」

「ああ、さすがにヴァンピールなだけある。致命傷はないし、出血の割には傷は浅い。傷跡も残さず、癒そう」

浮竹は、ライフの精霊をだして、雛森に治癒術を施す。

ライフの精霊は、命を扱う精霊だ。そんな精霊を使役できるのは、世界広しといえど浮竹くらいだろう。

「冬獅郎くんの傷も癒そう」

「ああ、頼む。お金は、出世払いでいいか」

「こんな子供から、金なんかとらんさ」

「そうだよ?浮竹、実はショタコンだから」

京楽が、浮竹の隣でうねうねしていた。

「うるさい、京楽。誰がショタコンだ!」

「だって、冬獅郎くんにはいつも優しいし甘いじゃない。ボクにも同じように接してよ」

「毎日しっぽりうるさい自主休業S級ハンターと比べたら、冬獅郎くんのほうがいい」

「酷い!酷すぎる!!」

京楽はさらにうねうねした。

「ああもう、うっとうしい!」

蹴り上げると、京楽はキャインと鳴いて、しくしくと泣きながら用があると、七緒に連れ去られていった。

「あいつ、あんたの花嫁なんだろう?よくあんなひけもじゃの同性を花嫁にしたな」

「あれでも、まだ容姿が十代の頃はそんなにもじゃもじゃじゃなかったし、それなりにかっこよかったんだ。今は見る影もないが」

「殺して、また好きな花嫁を迎えないのか?」

「俺は、これでもあんな京楽だけど愛しているんだ。花嫁にしたことを後悔したことは・・・・数え切れないな。あれ、おかしいな」

「はははは、あんたバカだろ」

「そうかもな」

浮竹も笑って、冬獅郎と雛森の分だと、お菓子をいっぱいあげた。

「孤児院には、別途で送っておいたから、取り上げられることはないはずだ。あと、君たちを捨て駒にしようとした冒険者は、冒険者ギルドのほうで、厳しい処罰を受けるように手配しておいた」

「俺、女だったら、きっとあんたに惚れてる」

「もう、シロちゃんたら!」

怪我が綺麗に癒えた雛森は、ぷくーっと頬を膨らませて、冬獅郎をポカポカと殴る。

「雛森、冗談だ」

「シロちゃんなんて知らない!先に帰る!」

「雛森、独立しよう。もう、あんな孤児院に帰るのはやめよう。稼ぎのほとんどをもってかれるし、あの冒険者たちを手配したのも孤児院だ。最初から、捨てるつもりだったんだ」

「でも、お金ないよ?どこに住むの?」

「俺と京楽が、昔住んでいた離れの小さい家でよければ、無料で貸そう」

「いいのか?」

「いいんですか?」

「ああ」

浮竹は、冬獅郎と雛森の頭を撫でる。

「同じヴァンピールだ。助け合わないとな」

「ありがとう。恩に着る。ちゃんとした仲間を見つけて、冒険者として成功してみせる。しばらくは雛森と二人きりだが」

「ランクの高いダンジュンに挑みたい時は、俺と京楽に声をかけろ。助っ人になろう」

「浮竹、助けてええええ!!七緒ちゃんが、ボクのチャーミングなひげ剃ろうとしてくるうううう」

「はいはい、今行く」

「ついでに、しっぽりもしよおおお」

「しない!俺がびげを剃るぞ」

「ああん、浮竹になら剃られていいかも。あそこの毛を」

浮竹は、ハリセンで京楽を殴りまくる。

「まぁ、こんな京楽だが、戦闘になるとかなり強い」

「何、夜の格闘戦!?」

「このだアホがああ!子供の前だぞおおおお」

「子供の前だろうがしっぽりできるよ。むしろ見せつけたい!」

京楽は、浮竹にキスをするが、拒否される。

「誰がするか!禁欲2週間だ!」

「うわあああん、酷いいいいいいい」

「酷いのは、お前の日ごろの態度だ!毎回毎回しっぽりしっぽりうるさい!」

「うわあああんんん」

京楽は、涙を浮竹のパンツで拭う。

「あ、それこの前買ったお気に入りのパンツ!お前というやつは!」

「うええええんん」



「家、借りるな。行こうか、雛森」

「うん、シロちゃん」

冬獅郎と雛森は、手を繋いで歩き出す。

あんな時代もあったなと、浮竹はすまきにした京楽を転がしながら、懐かしく思うのであった。





「ソアラ・・・・・・ブリュンヒルデと、私の子よ。ブラッディアの、皇位継承権をお前にも与えた」

レイモンド・シュタットフェルト・ブラッディは、闇夜に紛れて、クスクスと笑う。

「私の、愛児よ」

レイモンドは、妻で花嫁であった聖女ブリュンヒルデにますます似てきたわが子を、皇位継承の争いに巻き込もうとしているのであった。




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血と聖水と名において9

レイモンド・シュタットフェルト・ブラッディ。

通称悪魔王ディアブロのレイモンド。

それが、ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディという名ももつ、浮竹の父である、ヴァンパイアマスターの名であった。

甘い蜂蜜のように優しく、時には氷の刃のように冷たく。

父親としては、育児をメイドに任せきりにさせていたのでだめだったのかもしれない。だが、師として見るなら、超一流であった。

浮竹は剣術や体術、それに使役魔・・・・精霊使いとしての訓練も、父から受けた。

父は、魔法が使えて、それは浮竹も同じだった。

魔法が使えるものは限られている。

昔には、古代魔法文明があり、人類の全てが魔法を使えたとされているが、今の人間は全体の5%程度しか魔法が使えなかった。

なので、魔法の才能がある者は出世を約束されたようなものだ。魔法を使える者は王立の学園に入ることができる。魔法の才能の高い者は宮廷魔法士になれたりした。少しの火の魔法しか使えないような者でも、一応魔法が使えるので魔法に関係ある職につけた。

ヴァンパイアやヴァンピール、ドラゴンなどはほとんどが魔法を使えた。

ヴァンパイアは、花嫁にしたい者が意にそぐわないとき、チャームの魔法を使ったりして無理やり花嫁にする時がある。

まぁ、そんな風に花嫁にされた者は、人形のように生きるか死を選ぶかの二択だった。

それはさておき。

ヴァンパイアのアイゼアなる者を倒して、気絶したドラゴンサモナーの浮竹は、パートナードラゴンの京楽が見ている中、ゲストルームで眠っていた。

『ねぇ、神父のボクを放置して帰ったけど、よかったの?』

「あの場には、フェンリルを残らせた。フェンリルに乗ってそのうち帰ってくるだろうさ」

「はい、その通りです!帰ってきたよ!」

「はや!!!」

むちゅーとたこのように吸い付いてこようとする京楽を、浮竹はハリセンではたく。

「しっぽり!今すぐしっぽりしよう!」

「却下。ドラゴンサモナーの俺の意識が戻り、彼らが館から出るまではしっぽりしない」

「二人とも、今すぐ帰って?」

『いや、浮竹が目覚めてないんだけど』

『う・・・・・』

そこで、ドラゴンサモナーの浮竹が目を覚ました。

『よかった、浮竹、大丈夫?』

ちびドラゴンの体であるパートナードラゴンの京楽を見てから、浮竹はキッチンに行く。

『のどが、かわいた。水を・・・・・・』

「オレンジ水だ。ほのかに甘い。疲労回復の効果がある」

浮竹がキッチンから、オレンジ水の入った氷の浮かんだコップをもってくる。すると、ドラゴンサモナーの浮竹はそれを受け取って一気に飲み干して、おかわりももらった。

『ああ、生き返るようだ。ありがとう。俺は、どのくらい眠っていた?』

「4時間ってとこだね。もう外も暗いし、泊まってういけば・・・・・って、泊まられたらしっぽりできない。今すぐ出てけーーー」

そんな京楽をハリセンで黙らせて、浮竹は京楽に四人分の夕飯を作るように言って、京楽はしぶしぶそれを承諾する。

『ごめんね、食事まで世話になちゃって』

『明日には出ていくから、その後は好きにしっぽりしまくってくれ』

「しっぽりしたいのは京楽だけだ。俺は別にしたいわけじゃない」

京楽がいないので、断言する。

もしもここに京楽がいたら「酷い、ボクとのことは遊びだったのね!」とか言い出しそうだなと浮竹は思った。

「酷い、ボクとのことは遊びだったのね!浮竹のだアホおおおおおおおお」

しっぽりしたいので、冷凍食品を解凍しただけの京楽がそこにいて、わんわん泣き出すものだから、浮竹は困って京楽に明日しっぽりしていいと約束した。

「ぐひひひひ。約束しちゃった」

『計画的犯行だね』

『そうだな』

「まったく、お前は・・・・・」

浮竹は、額に手を当てて天を仰ぐ。

「じゃあ、夕飯にしよう。解凍しただけだけど、この前ボクが作ったものだから味はいいはずだよ」

メニューは、海鮮パスタとカレーであった。

『あ、このオレンジ水まだあるか?』

「気に入ったのか?俺が作ったんだが、気に入ったのなら2L入りのペットボトルのを持って帰るといい」

『すごくおいしい。水にオレンジを混ぜただけじゃあこうはならないだろう』

「ああ。魔法を使っている」

「魔法か。ヴァンピールだものな。使えて当たり前か」

ちなみに、京楽は魔法は使えない。

だから、剣術と銃の腕に特化していた。

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、一晩だけ泊まって帰っていった。

館に、訪問者がいた。

京楽がしっぽりしようと、風呂からあがったところで遭遇した。

「ぎゃあああああ、裸みられたああ!花嫁になってるけど、もう花嫁にいけない!」

「ぐおおお、汚いものをみたあああ」

やってきたのは、昨日の昼に倒したヴァンパイア、アイゼアの兄だった。

「どうした!?ぎゃあああ、なぜ京楽はフルチンなんだ!せめて股間は隠せ!」

「恥ずかしいから、顔隠すね」

「股間を隠せーーー!!」

仕方ないので、浮竹がバスタオルを京楽の腰にまきつける。

「俺はアイゼアの兄のライゼア。昨日は、弟を倒してくれてありがとう。あいつは、誰かれかまわず花嫁にするから、一族が追放しようとしていたところだったんだ。手間が省けた」

「弟の敵討ちじゃ、ないんだな」

「あんな弟、血が繋がっているとも考えたくない。二つ名のも色欲だしな」

「ああああ、浮竹が浮気してる!」

「なぜそうなる!会話してるだけだ!」

「浮気者おおお。うわあああんんん」

腰のバスタオルをとって、京楽はフルチンで館を走り回り、メイドの伊勢に叱られて服を着せられていた。

「これは、一族からアイゼアにかけられていた報酬金だ。受け取ってくれ」

「分かった、もらっておこう。あの古城には、またヴァンパイアが住むのか?」

「俺たちの一族の一部が住む予定だ。人間とは共存協定を結んでいるから、心配はない」

共存協定。人とヴァンパイアが、互いに争いあわずに手を取り合って暮らしていく協定であった。

「浮竹、しっぽりしよ!」

「ああ、なんかすまないな。俺はこれで帰る。しっぽりでもなんでもしてくれ」

ライゼアは、金を渡して消えてしまった。

「浮竹、しっぽり!」

「だアホ!」

「おぶ!」

鳩尾を殴られて、京楽は涙をためる。

「しっぽり、するまで、粘るんだから、ね!」

「本当に仕方のないやつだ。しっぽりを許してやろう」

「やったああああ」

その晩、京楽は久しぶりに浮竹と甘い夜を過ごした。



「ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディ。悪魔王ディアブロのレイモンド・シュタットフェルト・ブラッディの一人息子にして、三人のヴァンパイアマスターの後から追加された、血の帝国ブラッディアの皇位継承者」

くすくすと、その人影は笑う。

「今は、浮竹十四郎。花嫁は、あの夜叉の京楽」

その人影は、ゆっくりと闇に溶けていくのであった。




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血と聖水と名において8

血の帝国、ヴァンパイアだけの楽園ブラッディアの皇帝の座が空位であった。

そこで、血の帝国の長老たちは、相談しあって三人のヴァンパイアマスターからより優れた者を選び、皇帝とすることにした。

浮竹の父、藍染惣右介 、黒崎一護の三人が、ヴァンパイアマスターであり、ブラッディア帝国の皇位継承権をもっていた。

藍染は、浮竹の父から浮竹の存在を知り、手元に欲しがっていた。

黒崎一護は、何かわからないまま巻き込まれた。絶大な力をもっているが、制御があまりできなくて暴走しがちなので、浮竹の父が、浮竹と京楽を紹介して力の制御の仕方を教えるようにと言ってきた。

その黒崎一護は、朽木ルキアに怒られていた。

朽木ルキアは、元々浮竹を育てたメイドで、浮竹の父失踪後は、浮竹の血で作りだされて管理されているが、一応一人のヴァンパイア扱いであった。

「ルキアって呼んでいいか?」

「好きにするがよい、たわけが」

「ルキア、花嫁にならないか?」

「な、まだ会ったばかりだ!なるわけがなかろう」

そうこうしている間に、浮竹と京楽が帰ってくる。

「浮竹殿、怪しい黒崎一護となるの人物がきています」

浮竹rは、ルキアの頭を撫でた。

「留守番ご苦労さま。一護くんは客人だ」

「そうなのですか」

「あ、浮竹さんと京楽さんか?力の制御の仕方教えてくれるっていう」

「ああ、そうだ。俺の父の紹介では断れないしな」

「居候がいると、しっぽりできない。いや、結界をはってしっぽり・・・・・:」

「だアホが!」

浮竹は、ハリセンで京楽をしばいた。

「はは。にぎやかですね。あのヴァンパイアマスターの息子って聞いてたから、もっと堅物イメージしてました」

「父は元気にしていたか?」

「元気すぎてハンター倒しまくってましたよ。殺してはいなかったけど」

「父らしいな。余計な殺生は好まない。明日から、びしばし鍛えていくからそのつもりで、今日は長旅で疲れただろう。ゆっくり休んでくれ」

「ルキア、話し相手になってくれ」

「ルキアを気に入ったのか?花嫁にしてもいいいぞ」

「浮竹殿!」

ルキアは、顔を赤くして叫ぶ。

「私には、浮竹殿を世話する責任があります」

「いや、俺は別にいいぞ。自分のことは自分でできるしな」

「か、解雇ですか?」

「いや、そうじゃない。幸せを見つけてほしいだけだ」

浮竹は。またルキアの頭を撫でた。

「黒崎一護、時間をやる。私が花嫁になってもいいという力をもっていたら、花嫁になってやろう」

「まじか。がんばるぞ!」

次の日から、一護の特訓が始まった。

まずは魔力をコントロールするために、精神集中からはじめる。

「足痛くなってきた」

「少し休憩しようか。10分だけ」

「うげー。座禅で5時間もなんてきつい」

「文句を言うな。ルキアを花嫁にしたいんだろう、力の制御くらいできないでどうする」

精神集中が終わると、京楽との実戦がまっていた。

「わぁ、京楽さん強すぎじゃね?」

「まぁ、一応S級ハンターだしね?」

京楽は加減しなはら、一護を攻撃する。一護はめきめきと力をつけて、はじめは敗戦一方だったが、勝利するようになってきた。

「うん、その調子。汗かいたでしょ、はいハンカチ」

京楽が渡したのは、間違って浮竹のパンツだった。

「パンツなんすけど」

「ああ、ボクのコレクションが。これは失礼。ハンカチはこっちだよ」

それも、浮竹のパンツだった。

「浮竹さん、京楽さんって・・・・・・」

「何も言うな。分かってる」

そうして、その日の修業は終わった。

一護は時間をみつけると、ルキアを口説いた。ルキアもまんざらではなさそうで、いずれ花嫁にいってしまうだろう。

家事全般は京楽ができるので、特に問題はなかった。

月1で他のメイドを雇うし。

「今日の修業をはじめるぞ。この岩を、素手でくだくのが最終目標だ」

「それくらい、できますよ?手に魔力まとって・・・・・・」

一護は、簡単に岩を砕いてしまった。

「む、やるな」

「浮竹さんの教え方がいいからっす」

「じゃあ、京楽と俺とで実践訓練をしよう」

「げ、二人も相手!?京楽さんだけでも厄介なのに」

「文句を言うな。強くなりたいんだろう?力の制御はもう大分できるようになってるみたいだし」

一護が館にきてから一か月が経とうとしていた。

「本気でこい。こちらも本気でいく」

浮竹は持っているすべての精霊を召喚する。その数の多さに、一護はあっけなく負けてしまう。

「使役魔全部召喚とかチートっすよ!」

「むう。じゃあ、フェンリルとフェニックスだけにしておく」

「ボクの存在も忘れないでね!」

京楽は、聖剣で一護に切りかかる。

一護はそれを余裕でよけて、鬼火を作り出すと京楽に向かってなげた。

一護は魔法が使えた。魔法の使える者は少ない。

浮竹の父も魔法を使えた。浮竹の精霊使いも、分類すれば魔法に入る。

「行くぞ!」

「行くよ!」

修業して1か月。黒崎一護は、二人に勝てるようになっていた。


「じゃあ、卒業を祝って乾杯」

「乾杯」

「いいんすか。こんなごちそう・・・・・・」

「今日は一護君の卒業の日だから、好きなだけ飲んで食べてくれ」

その場には、ルキアもいた。

ルキアは一護の花嫁になる決意をした。それを浮竹に伝えると、浮竹はとても喜んだ。

「ルキアのこと、頼む。幸せにしてやってくれ。マスター権限は、一護くんに譲っておいた」

ルキアは血でできたヴァンパイアだ。マスターがいないと存在できない。

今は、一護の血で体を作っていた。

「浮竹、今日こそしっぽり」

「しない。一護くんが出立したら、しっぽりしてもいい」

「え、まじで。一護くん、早くいなくなって」

一護は苦笑する。

その日は卒業を祝ってパーティーをして、次の日に一護はルキアを花嫁にして契り、一緒に血の帝国ブラッディアに旅立っていった。

「ルキアちゃんがいなくなると、寂しくなるねぇ」

「血液で他のメイドを作ろう」

浮竹は、自分の血からメイドを作り出す。

「お呼びでしょうか、ご主人様」

「浮竹でいい。こっちは京楽」

「では、浮竹様と京楽様とお呼びいたします」

「お前の名は、伊勢七緒。母様のメイドをしていた頃のメイドだった。覚えているか?」

「はい。聖女のお方ですね」

「一からメイドを作るのは苦労するからな」

京楽が残念がる。

「くすん。浮竹と二人暮らしのしっぽり計画が」

「お前は、いい加減しっぽりから離れろ」

「うん、無理」

にこやかに断言する京楽を、浮竹はハリセンでなぐりまくるのであった。












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血と聖水と名において7

「いやだ、母様おいていかないで!」

「ごめんなさいソアラ。あなたを置いていってしまう私を許して」

「いやだ!母様がいなくなったら、父様は俺を見てくれない!偉大なるヴァンパイアマスターの子でありながら、なんの能力をもたない俺を見てくれない!」

ソアラは、泣き叫んだ。

「ソアラ、強くなりなさい。ヴァンパイアハンターになりなさい。父様に殺されないように」

「父様が俺を殺す?」

「そう、前に言っていたの。お前はなんの能力ももたないできそこないだから、殺して新しい子をもうけて、ヴァンピールでありながらヴァンパイアマスターほどの力のある子を作ろうと」

「父様酷い」

ソアラは泣きじゃくった。

「聖女でありながら、ヴァンパイアマスターの花嫁となった報いね。不老だけど、不死ではないから。ソアラ、愛しているわ。あなたも、世界でこの人だけは愛しているという人を見つけて、花嫁にしなさい。ソアラ、愛しているわ」

そういって、ソアラの母である聖女は死んだ。

「母様!いやだああああああ!!!」




「母様!」

浮竹は、はっとなっておきた。

「夢・・・・また、懐かしくも忌まわしい夢を見たな」

ソアラとは浮竹の本名だ。

浮竹十四郎とは、ヴァンパイアハンターをしだした頃に名乗りだした。15で花嫁である京楽を迎えた。

父であるヴァンパイアマスターは、母である聖女が死ぬ13の頃まで優しかったり冷たかったり、忌まわし気に扱われたり、愛されたり、どちらが真実なのかわからぬ愛し方をしてきた。

15で京楽が父を葬りにきて、浮竹に一目ぼれして、面白いと父は花嫁にすることを半ば強制した。

だが、はじめてできた人間の友達であり、恋人でもあった京楽を花嫁にするのはいやではなかた。

「ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディ」

それが、浮竹の本当の名前。

京楽も知らない、浮竹の本名。

ヴァンパイアマスターである父は、育児はメイドに任せきりで、病弱であった聖女の母をいつも心配していた。

失い、きつくあたられた時もあったが、決して憎まれて殺されそうなときはなかった。

処分されるかもと思った時はあったが、父は処分はしなかった。15で精霊使いの能力を発揮した浮竹を、父はかわいがったが、突然失踪した。

残された浮竹は、母の言っていた通りに狩られないようにヴァンパイアハンターとなり、同胞を殺して水銀の浮竹と恐れられた。

父であるヴァンパイアマスターも、血に水銀を含んでいた。確かに親子だった。

父を退治しにきた、若い京楽は、浮竹に一目ぼれした。

お互い思いを寄せ合って、京楽を花嫁として迎え、ある程度の年齢まで成長させて体の年齢を止めた。

「浮竹、ごはんできたよ」

「ああ、今行く」

ソアラは死んだ。

15の時に。

浮竹十四郎という、父から新たにもらった名で通している。京楽でさえ、浮竹の本名は知らない。

ふと、窓辺にフクロウが止まっていた。

窓を開くと、人の声を発する。

「ソアラ、お帰り。ヴァンパイアマスターは世界に三人いる。私は藍染という。ソアラの力がほしい。花嫁にならないか」

「ごめんこうむる」

浮竹は、フクロウを呼び出したウンディーネで水をかけて、追い払う。

「浮竹、まだ起きないのー?ボクが全部食べちゃうよー。浮竹も食べちゃうよー」

「このだアホが!」

何気ない顔で、京楽の元にいく。

水面下で、三人のヴァンパイアマスターは血jの帝国、ヴァンパイアだけの楽園ブラッディアを自分のものにしようと動き出していた。

浮竹の父であるヴァンパイアマスターも、きっと狙っている。

「今日はいい天気だし、休みにしよう。一緒に買い物でもいくか」

「え、一緒にっしっぽり?」

「だアホ!」

浮竹にハリセンではたかれまくられて、京楽は涙を浮かべる。

「酷い!花嫁なのに」

「本当に、俺は何を考えてこんなもじゃひげを花嫁ににしたんだろうな?花嫁にした頃はこんなにもじゃもじゃじゃなかったのに」

「うふふ、これもボクの魅力の一つだよ」

「全身の毛を剃ってやろうか!」

「いやん、下の毛も?」

「だアホ!」

ハリセンでこれでもかというほどなぐると、気分がすっきりした。

「なんか、疲れてるっぽいから、ジャスミンティーにしておいたよ」

「お、俺はそんな心使いされてもうれしいなんて思っていないんだからな!」

「うーん、たまに出るツンデレがかわういい」

「かわいいとかいうな、だアホ!」

京楽は、朝食を浮竹ととって、洗濯機を回して洗濯をし終えると、町に買い出しに出かけた。

「あ、ドラゴンサモナー様だ!」

「いや、違うから」

「パートナードラゴンは、人型になれるんですか?」

「だから、人違い!俺は水銀の浮竹。同胞を狩るヴァンピールだ」

「ああ、あの例のヴァンピール・・・・・・」

「ドラゴンサモナーの浮竹様に退治してもらいたいわ」

人は、違う種族を前にすると、時折軽蔑する。

「ちょっと、ボクの浮竹を蔑ろにするなら、ボクが許さないんだからね」

浮竹の代わりに、京楽が怒りだす。

「こわいこわい。A級ヴァンパイアハンターといっても、しょせんはヴァンピール。いつ、人を襲うか分かったもんじゃない」

ドラゴンサモナーだと集まっていた人たちは、口々に怖いだの恐ろしいだの言って、去っていく。

「全く、人間は自分勝手な生き物だね」

「お前も、一応人間だろう」

「ああ、そういえばそうだったね。気にせず、買い物続けよう」

「俺は、外套を着ておく」

「うん。仕方ないね」

そこへ、ふくろうが一羽飛んでくる。

「ソアラ、ヴァンパイアマスターの黒崎一護と接触せよ。これは父の命令だ」

「父様?」

「大きくなったな。今は浮竹十四郎だったな。父は、いつも遠くからお前を見守っていた。ヴァンパイアハンターA級昇格おめでとう」

「父様、会いたい!どこにいるんだ!」

「私はわけあって、まだお前と直接会うことはできない。黒崎一護が、もうすぐやってくるはずだ。ヴァンパイアマスターだが、若すぎて力の制御の仕方をあまり知らない。教えてやれ」

「父様!」

「またな、十四郎」

「黒崎一護・・・・・ヴァンパイアマスター」

「なんか、義父の言う通りだと、きなくさいことになってきたね」

「ああ。食料を買い込んだら、館に戻ろう」



「えーとこの辺に浮竹さんと京楽さんが住む大きな洋館が・・・・あった、あれかな?」

黒崎一護は、無人というか浮竹のメイドしかいない館に入っていく。

「すんませーん。あれ、留守かな?」

「侵入者発見。駆除します」

「わあああああ!!!」

メイドの名前は、朽木ルキア。

浮竹が自分の館を競り落としたときに、朽木白哉が気に言って、義妹にしたメイドだった。

意思をちゃんともち、食べるし寝るし、メイドとして家事は完璧にこなすし、何より美少女だった。胸は小さいが。

「胸がでかくない・・・・俺のタイプかも」

黒崎一護は、貧乳好きであった。




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血と聖水と名において6

ドラゴンサモナーの浮竹からヴァンパイアロードの灰をもらい、浮竹は京楽と共にハンターギルドに行って、事情を説明すると、手間賃として浮竹と京楽には金貨20枚、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンに、金貨千枚が渡されることになった。

『やあ、一週間ぶりかな?』

『野宿する羽目になるので、悪いが宿を借りにきた』

ドラゴンサモナーの浮竹は、申し訳なさそうにしていた。

乱れていた衣服を直して、浮竹が対応する。

京楽としっぽりしかけていたのだ。京楽のぺースに巻きまれて、あやうくしっぽりするところだった。

「ぶーぶー。せっかくしっぽりしようと思ってたのに」

京楽が不満を露わにすると、浮竹がハリセンでその頭をはたく。ドラゴンサモナーの浮竹は赤くなり、パートナードラゴンの京楽は顔色を変えてはいなかった。

「客人の前だぞ。おとなしくしとけ」

「おとなしく浮竹にハグしとく」

「好きにしろ」

浮竹は京楽のしたいようにさせて、事情を説明して金貨千枚を渡そうとしたが、断られた。

『この館を買い取るのにお金がいるんだろう?俺たちも厄介になるし、館の負債の足しにでもしてくれ』

『そうそう、ボクらは有名人だし金には困ってないからね。むしろ金があまってて困ってる』

「二人がそう言うなら、ありがたくもらっておく」

ちなみに、京楽は抱き着いたままだ。

「ええい、うっとうしい!」

浮竹がハリセンをうならせると、京楽は涙ぐんだ。

「きゃんきゃん!動物じゃなしに恋人虐待」

「このだアホが!」

浮竹はさらにハリセンで京楽の頭を殴る。

『神父の京楽、お前、本当にSランクハンターなんだよな?』

ドラゴンサモナーの浮竹が、どうしてもS級に見えないので聞いてみた。

「ん?そうだよ。いつでも休業中だけど」

「ただの俺のひもだ」

「酷い!家事全般してるから、ヒモじゃありませーん」

「生活費は俺が出しているだろう」

「う”」

京楽は言葉に詰まった。

「このだアホが!夕飯の準備でもしてこい!お前は家事くらいしか取り柄がなんだからな」

「きゃいん!酷い!でも夕食作ってくる。4人前だから少し時間がかかるよ?」

「かまわん」

『あ、俺も手伝う』

『ボクも』

「ああ、もう好きにしてくれ」

『一泊の恩義になるしね。金は受け取ってくれなさそうだし」

ドラゴンサモナーの浮竹は、金貨をちらつかせるが、浮竹は興味を抱かなかった。

屋敷の負債の完済まで、あと少しなのだ。

元々住んでた家であるが、父であるヴァンパイアマスターが失踪したことで、悪徳業者の手にかかり、館は売られてしまった。

まだ、浮竹も若かった。人間の年で換算すと、13歳くらいだろうか。

人の言葉を素直に信じて、住んでいた館を追放された。

競売にかけられて、子供であったが、代理人をたてて競り落とした。

代理人の名は朽木白哉。浮竹と同じようん、ヴァンパイアマスターを師とあおぐカイザーヴァンパイアであった。

ヴァンパイア社会の皇族で、とにかく強い。S級ハンターを殺しはせずに倒して、森に放置したりする。

浮竹は、ハンターが嫌いではなかった。

たまにいいハンターもいて、何もしていない父や白哉、浮竹の話し相手になってくれたりした。

ハンターも、賞金がかけられない限り。。緊急の時をのぞいてヴァンパイアは殺さない。

だが、最近のハンターは見境なく殺しており、浮竹はそれが嫌だった。

「どうしたの?具合悪いの?」

「ああ、お前がしっぽりしようとしたせいで具合が悪い」

「そんな!しっぽりは楽園だよ!」

「だアホのお前にはな。ちょっと考え事をしていただけだ」

京楽は、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽に手伝ってもらい、4人分の夕食を完成させてもってきた。

「今日はカルボナーラと、チーズハンバーグだよ。浮竹、好きでしょ?」

「ああ。いただく」

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、少し手伝いをしただけなので、味は京楽が調整した。

『なにこれめっちゃうまいんだが』

『おいしすぎる・・・・・』

感動する二人に、浮竹は苦笑する。

「このだアホを、花嫁にもらっていいかなと思ったきっかけが、食事だ」

「ええ、愛じゃないの!?」

「あ、愛はないこともないんだからな!」

『『ツンデレだ』』

夕飯をごちそうになり、湯あみもすませて就寝することにした。

「ねぇ、浮竹、しっぽり・・・・」

「お前の頭にはそれしかないのか。客人がきているんだぞ。しっぽりなんかするか!キスで我慢しとけ」

居楽のキスは深くねちっこかった。

「いい加減にしろ!」

ハリセンで頭をはたいた。

次の日になり、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は旅の続きをと去ってしまった。

「さて、俺たちもハンターギルドにいくぞ」

「この前仕事したばかりじゃない」

「次の仕事あたりで、館の負債を完済できそうなんだ」

「それなら、仕事に行かないとね。久しぶりにボクもまじめにハンター稼業するかな」

ヴァンピールが、ヴァンバイアハンターをするなど、過去に例がなかった。はじめは血を吸いにきたのか、復讐にきたのかと勘違いされて駆除されそうになったが、当時から使役魔がいたのでなんとかなった。

「お、浮竹と京楽じゃないか。いいところにきたな。ヴァンパイアキングの退治依頼が出ている。A級以上のハンターじゃないと受注できない。すでに6人がやられている。まぁ、忠告を無視して狩りにいった新米ばかりだがな」

「それでも、新米でも経験をつんでいけばいずれA級S級になる。新米を失いのは痛い」

「そうなんだ。だから、S級の京楽に頼みたかったんだ」

「えーボクー?どうしようかなぁ」

「引き受けて倒した夜なら、しっぽりにつきあってやるぞ」

浮竹は京楽に耳打ちする。

「うん、引き受ける。マジで本気だす。しっぽりだー、わーい」

浮竹は赤くなって、京楽はハリセンで殴り倒す。

「公衆の面前でいうな!」

「ぐふっふふ、しっぽり・・・・今から退治いこう」

「まだ準備が済んでないぞ」

「君の銀の銃と短剣はもってきているよ」

「抜け目のないやつめ」

フェンリルを呼び出し。3メートルのサイズになってもらうと、その背中に乗ってヴァンパイアキングの出るダンジョンに向かった。

普通はダンジョンで発生したモンスターは冒険者が倒すのだが、ヴァンパイアキングは外からダンジョンにきて居座り、冒険者を襲っているらしい。

「ついたぞ」

フェンリルに乗って走ること5時間。

すでに辺りは暗く、転移魔法陣で一度ウィキティの自宅に戻って一夜をあかすと、朝は活動のにぶいヴァンぽイアを駆除するために、ダンジョンにもぐる。

ゴブリンやらオークやら、どうでもいいモンスターは召喚したフェニックスの炎で焼いて、魔石だけは回収した。

金になるものは、基本拾うようにしていた。

「くくく、愚かな冒険者ども、きたな。ヴァンパイアキングであるこの私が血を吸ってやろう・・・て、浮竹?」

「お、伯父さん?」

「え、血縁者なの?」

「伯父さん、こんなところで何をしているんだ。懸賞金がかけられている。悪いが、討伐させてもらうぞ」

浮竹の叔父が、ヴァンパイアキングだった。もう冒険者を含めると20人以上は殺している。

「伯父さんは、逃げます。しばらく人は襲いません」

「どうする、京楽」

「いや、伯父でも人を殺してる。駆除する」

「そんな、浮竹、見逃してよ」

「無理だ、伯父さん」

「じゃあ、久しぶりに働きますか!」

そういった瞬間、浮竹の叔父である強力なヴァンパイアキングは、首と銅が切り離されていた。

「ぐがががが、何をした!?」

「ちょっと、聖銀でできた聖剣をふるっただけだよ」

「すごい・・・・動きが見えなかった」

「えへへ、浮竹ボクに惚れ直した?しっぽり・・・おぶ」

顔面にハリセンをくらい、京楽は蹲る。

「伯父さん、悪いが死んでくれ。出でよ、カイザーフェニックス」

「きゅああああああ!!我にようか、ヴァンピールの気高き子よ」

「ここヴァンぽイアを、灰になるまで焼き尽くしてくれ」

「ちょ、待ってくれ!私はお前の本当の叔父だぞ!?」

「だから、余計に許すわけにはいかない。俺は同胞殺しの水銀の浮竹」

「ぎゃあああああああ」

ヴァンぽイアキングは、炎の高位精霊に焼かれ、灰となった。

「浮竹、大丈夫?」

「少し疲れた。高位精霊も呼び出したしな」

カイザーフェニックスは、すでに精霊界に帰ってしまっていた。

「あの優しかった伯父さんが、こんなことになるなんて」

「悲しいよね?これで波をふいで」

京楽は、白い布をさしだす。

「ってこれ、俺のパンツじゃないか!このだアホの変態があああ!出でよ、エターナルフェニックス!」

炎の最高位精霊に燃やされて、京楽は髪がアフロになった。

手加減はしているし、京楽は耐性が強いので、魔法攻撃に分類される精霊の力など、大したケガをさせられる相手ではない。

「帰ってのしっぽりは?」

「無論、なしだ。さらに2週間の禁欲を言い渡す」

「そんなぁ」

京楽の間抜けな声をききながら、スクロールで浮竹と京楽はダンジョンの外に出て、ウィキティの町に転移魔法陣で帰還して、ハンターギルドに行って、灰を提出する。

「今回は、俺の実の叔父だった。ヴァンパイアマスターのにおいがほのかにした気がする。父上が、動いているかもしれない」

「簡便してくれ。ヴァンパイアマスターだぞ?S級ハンターが束になっても勝てやしない。いや、京楽ならあるいは・・・・・・」

「父の件は、俺に任せてくれないか。あの人は人を襲うヴァンパイアじゃない」

「まあ、浮竹がそう言うなら、任せよう」

「しっぽりは~~~?」

「しつこい!」

「あべし!」

また顔面にハリセンを受けて、痛みで京楽は転がってじたばたするのであった。



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血と聖水と名において5

「はぁはぁ・・・・・浮竹のパンツ!」

「こら、京楽、また俺の新しいパンツ盗んだな!」

浮竹がハリセンではたくと、京楽はまだはぁはぁしていた。

「いいじゃない。洗濯前のパンツを盗んでるんじゃないし」

「そこまで変態だと、追い出してる」

「酷い!こんなに愛してるのに!」

「お前の愛はゆがんでいるからな」

朝からそんなやりとりをして、ヴァンパイアハンターギルドに向かった。

「お、ちょうどいいことろにきたな。ヴァンパイアロードが出た。退治を頼めるか。A級とS級なら、軽いことだろう?」

「S級の誰かはあてにあまりならんがな」

「浮竹が怒るから、ちゃんと仕事はするよう」

こうして、浮竹と京楽は、サザンの古城に住むヴァンパイアロード退治に出かけた。

今回もフェンリルに巨大化してもらって、その背に乗って移動する。

遠かったので、途中宿で一泊した。

転移の魔法陣もあったが、知らない町で泊まるのが新鮮だったため、宿をとった。

「浮竹、しっぽりしよう!はぉはぁ」

「アホか!仕事先でしっぽりするハンターがどこにいる!」

「ここにいる!」

自慢げに胸をはる京楽をハリセンで殴り倒して、その日は就寝した。

ちなみにベッドは2つあるのに、京楽は浮竹のベッドで寝た。いつものことなので、浮竹は気にせずぐっすりと寝た。


サザンの古城につくと、ヴァンパイアロードは、美しい少女たちに囲まれていた。

「全部、花嫁にしたのか」

「ふふふ、そうだ。お前も美しいな?花嫁になるか?」

「浮竹はボクの花婿だよ!」

「げ、そっちのヴァンピールの花嫁はお前か!もじゃもじゃの男じゃないか。花嫁になんて絶対したくない」

「失礼な。愛があるから花嫁になったんだよ」

京楽は、聖剣を抜き放つと、ヴァンパイアロードの花嫁たちを殺していく。

一度花嫁になってヴァンパイア化したら、元に戻る方法はなく、血をすするヴァンパイアになってしまう。

「よくも私の花嫁たちを!」

「出でよフェニックス!血と聖水の名においてアーメン!」

浮竹はフェニックスを召喚すると、ヴァンパイアロードを炎で燃やす。

「はははは、私はヴァンパイアロード!これしきの炎では死なぬ!」

「じゃあ、死んで?」

京楽が、目にも見えない速さで、、聖銀でできた聖剣でヴァンパイアロードの心臓を貫く。

「うぎゃあああああああ」

ヴァンパイアロードは、叫び声をあげながらもまだ死なない。

「出でよ、アイシクル、フェンリル!凍り付かせてしまえ!」

氷雪系の精霊を呼び出し、浮竹は氷のブレスをはいてもらい、ヴァンパイアロードは氷漬けになり、京楽が聖剣でその氷像を壊す。

「退治完了だね。さぁ、しっぽりしよう!」

「報告までが仕事だ!このだアホが!」

ハリセンではたかれまくっていたが、京楽は幸せそうだった。

「やばい、変態度が高くなりつつある」

「もっと殴って~~~~~~~」

「知るか!あほ!」

浮竹はヴァンパイアロードの灰をカプセルに詰めて、転移の魔法陣でウィキティにある自宅まで一度戻り、食事と湯あみをしてから浮竹は灰の入ったカプセルを提出するために、ハンターギルドまで戻る。

ちなみに、京楽は浮竹のお風呂をのぞいていたので、すまきにして外の木に吊るしておいた。

「全く、京楽のやつ強いくせになんであんなアホで変態なんだ」

ハンターギルドに行くと、ギルドマスターが話しかけてきた。

「おお、戻ったか。いつも退治が早くて助かる」

「花嫁も数人いたが、殺しておいた」

「仕方ないな。一度花嫁にされたれた、ヴァンパイア化してしまう」

ちなみに、京楽は花嫁にされたが人間のままだった。偉大なるヴァンパイアマスターの血も分けてもらっていて、人間であり続けることを許された。

ヴァンパイアもヴァンピールも、日の光の元で活動できるが、銀に弱い。

浮竹は特殊で、銀の武器を使うことができて、父であるヴァンパイアマスターから加護をもらっていた。

退治されないために、同胞殺しをする。

浮竹は、ヴァンパイアのすべてが人間の敵ではないことを知っている。人間と共存するヴァンパイアも結構いて、そういうヴァンパイアは駆除対象にならない。

誰かが退治してくれと言っても、人に危害を加えてない限りは退治されない。


「くすん。酷いよ浮竹。ボクのこと忘れてたでしょ」

洋館に戻って、アホの子を探していたら、庭の木にすまきで吊るしていたのをすっかり忘れていた。

「ああ、存在を忘れていた」

「酷い!おわびにしっぽりを」

「いいだろう。今日は満月だ。半分とはいえ、ヴァンパイアの血が疼く」

「え、まじでしっぽりしていいの?」

「別にしなくてもどっちでもいい」

「します!しっぽりします!」

浮竹は妖艶に笑い、京楽をすまきかから解放すると、京楽は真剣な顔で浮竹をお姫様だっこして、寝室に向かう。

「あ、この前おとなのおもちゃ買ってきたんだけど」

「自分に使っとけ、このだアホが!」

浮竹の機嫌をそこねてしまい、結局その日はしっぽりできなかったのであった。



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血と聖水と名において4

自分の館にやってきた人物を見て、浮竹はぽかんとしていた。

そしてハリセンでぼこぼこにした京楽を、ある程度の大きさにしたフェンリルに運んでもらう。

「俺は浮竹十四郎。見ての通りのヴァンピールだが、同胞を狩るようにヴァンパイアハンターをしている。さっきのアホが京楽春水で、俺のヴァンパイアとしての花嫁で、契約者だ。不老で、もう契約して10年になる」

『へぇ、そうなんだ』

「ウィキティの町には、長旅で寄っただけだそうだな。この呪符をやろう」

『これは?』

ドラゴンサモナーの浮竹が聞くと、浮竹はクスリと笑う。

「転移の魔法呪符を知らないのか」

『うん。ボク、記憶喪失なんだよ』

「そうか。大変だな。まぁパートナードラゴンがいいやつみたいだから、心配はなさそうだが。あげたのは、どこからでもこのウィキティと行き来できる転移の魔法陣がでるやつだ。それがあれば、旅の先からこのウィキティの町にいつでもこれる」

「きゅるるる!(ありがとう、とても助かるよ)」

ドラゴンサモナーのパートナードラゴンの京楽は、早速外に出て少し遠くまでドラゴンサモナーの浮竹をのせて移動すると、転移の魔法呪符を使い、魔法陣に乗ると、浮竹と京楽の住む大きな洋館に戻っていた。

『これはすごい!旅先からも帰れるなんて、野宿せずにすむ!』

「ああ。これも何かの縁だ。泊まるところがなかった日は、俺たちの洋館で泊まっていけ」

「浮竹、酷いよ。気絶するまでボコボコにすることないじゃない!」

そこに、移動したはずの京楽がやってくる。

頭にでかいたんこぶをいくつもこさえて、京楽は自分にヒールを使った。

「あ、遊びにきてくれたんだね。今、紅茶と茶菓子を用意するから」

『いや、気にしないでくれ』

「そういうわけにもいかないよ。この洋館に3年ぶりのお客さんだからね」

京楽は、アッサムの高級茶葉の紅茶をだして、ラズペリーケーキを出した。

『きゅるるるる!(おいしい!)』

『ああ、京楽の言う通りうまいな。こんなのごちそうになって、すまんな』

「気にするな。友人になろう。これも何かの縁だ。ああ、あと俺たちはよくヴァンパイアハンター退治で家を空けることが多いから、もしもウィキティのこの館に帰ってきて誰もいなかったら、俺の血で作り出したメイドが1体いるので、それに食事やらを任せて気軽に泊まるといい」

『いや、さすがに悪い』

「この洋館に客は久しぶりだからな。気にするな」

『じゃあ、お言葉に甘えようかな』

『きゅるるるる!!(そうだよ、そうしようよ)』

「京楽にも、パートナードラゴンの京楽が何を言っているのかわかるように古代魔法をかけてやろう。もう失われた魔法だ。父から習ったんだがな」

浮竹の父親である、偉大なるヴァンパイアマスターは、今は行方知れずだった。

ヴァンパイアハンターに殺されていないことだけは、確実であるが。

浮竹は幼い頃に聖女であった母をなくし、ヴァンパイアマスターである父親が作ったメイドに育てられた。

今、そのメイドは浮竹が引き継いでいた。

『きゅるるるう』

「あ、今、ボクの言葉分かる?って言ったね」

『正解だよ』

パートナードラゴンの京楽の言葉を、京楽は聞き取れるようになっていた。

「今日は時間も襲いし、泊まっていけ。ゲストルームを掃除させるから」

『いいのか』

「ああ、いいとも」

浮竹は、笑顔を浮かべた。

「えええ、じゃあ今日のしっぽりは?」

「お前はそれしか頭にないのか!」

ハリセンで思い切り頭を殴られる京楽を、客人のドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、痛そうだなぁとみているのであった。

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