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教師と式22

鬼の浮竹と鬼神の京楽は元に戻り、浮竹の屋敷から自分たちのマンションへ帰っていった。

浮竹は心配で、鬼の浮竹と鬼神の京楽の住んでいるマンションを、京楽と白哉を連れて訪れる。

「元気にしているか?」

「やぁ、元気?」

「主が心配しておられる」

三人の言葉に、鬼の浮竹と鬼神の京楽ははもって。

『『元気』』

と答えるのであった。

その日は、浮竹は日曜だったので学校は休みだった。

『ナポリタン作るんだけど、食べてく?』

「ああ、そういえば昼食を食べていなかったな。ご馳走になろう」

浮竹も京楽も白哉も、食べていくらしかった。

『ちょっと待っててね。その間、浮竹と話でもしてて』

『しばらく怪異の探偵を休業していたんだが、依頼がたまっていてな。何件か、そっちにまわしたいのだが、いいか?』

「いいぞ」

浮竹は出された紅茶を飲みながら、快諾する。

『水絡みの事件が多くてな。特に河童の事件が多い』

「河童なら、俺も何件か対処してきた。任せてくれ」

『じゃあ、頼もうか』

『ナポリタンスパゲッティできたよ』

鬼神の京楽に言われて、席について昼食としていただく。

白哉は京楽に自分の多い分を無理やり食べさせた。

「白哉くん、ちゃんと食べなきゃ。それでなくても細いのに」

「椿の花神は、それほど食べぬ。少量でいいのだ」

「いつもより少なくないか?」

浮竹が心配するが、白哉はやや顔を赤くして小さい声で呟く。

「恋次から、生気を直接わけてもらったゆえ」

「そうか、恋次くんか。白哉、隠さなくても恥じなくてもいいんだぞ?」

同じ椿の花鬼である恋次という青年と、白哉ができているのは浮竹も京楽も知っていた。

「恋次くんから直接生気をもらったのか」

「やるねぇ、白哉くん」

白哉は余計に頬を赤らめた。

「知らぬ」

呪符に戻ってしまった。



昼食を食べ終わり、河童が出るという川に着く。

なんでも、近くにいる人を川の中に引きずりこんで溺死させようとするのだという。一般的な河童の度をすぎた悪戯方法であった。

「河童、いるなら出てこい」

河童は出てこなくて、かわりに魚人が出てきた。

「河童の亜空(あくう)様の手下、うおうおだ。げぎゃぎゃぎゃ、川に引きずり込んで食べてやる」

「白哉、いけ」

「分かった、主」

白哉は雷を使って、うおうおという魚人を感電させて地面に転がす。

「ぬおおお、亜空さまあああ」

「なんだ、騒々しい」

出てきた亜空という名の河童は、普通の河童の五倍はある巨大な河童だった。

「人間風情が。この河童王の亜空様を退治にきたのか?」

「ああ、そうだ」

「けきゃきゃきゃ、面白い!水で溺死させてやる!」

亜空は、川の水を操って、浮竹たちを飲み込もうとするが、浮竹は結界をはってそれをやり過ごす。

「少しはできるようだな。では、これではどうだ?」

亜空は、川の水の刃を飛ばせてくる。

数が多くて、結界の一部が破れて、そこから入ってきた水の刃が浮竹の肩をかすった。

ぽたぽたと、血が流れ出る。

「よくも浮竹に傷を‥‥」

ゆらりと、京楽が桜の花びらをまとわせて、亜空に近づく。

「桜の花神!上級妖怪が、なぜ人ごときの式になっている!」

「そりゃ、浮竹が好きだからだよ」

「人などもろい。俺と同盟を組もう」

「死んでもごめんだね」

京楽は、抜き放っていた桜の刀を鞘におさめた。

居合いで、亜空の体は真っ二つにされていた。

「ぐおおおお。痛い、痛い」

「あれ、まだ死なないの。頑丈だねぇ」

「ここは、私に任せよ。雷よ」

白哉が雷をおこして、亜空に浴びせる。

「ぐぎいいいい、これしきに雷で」

「俺が雷を落とす」

「わお。雷神の雷はすごいよ?」

京楽の台詞に、胴を真っ二つにされた亜空が青ざめる。

「人と思っていたが、まさか雷神お雷虎か!?」

「そうだ。愚かなあやかしよ。くらえ」

「ぎゃああああああああああ」

雷神の雷を受けて、亜空は塵も残さずに黒焦げとなって消えていった。

「他に、河童の件は‥‥」

「隣町の池と、琥珀川だね。そう遠くないし、ついでだから退治しちゃおう」

「ああ。今年は猛暑で河童たちの気性が荒くなっている。祓うしかないな」

「主、さっきの傷は大丈夫か?」

心配気な白哉に、京楽が笑う。

「傷なら、ボクの生気を分けて治しておいたよ」

「エロ桜め」

「何を!?」

京楽と白哉は、ぎゃあぎゃあと言い争いをはじめる。

それを、浮竹はため息をついてなだめるのであった。




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黒猫の寵姫

ソウル帝国407年。

皇帝は、10貴族から選抜された者が皇帝となった。

先代の皇帝が没して3年の空白期間を得て、ソウル帝国の皇帝は10貴族が一人、阿散井恋次となった。



「は~つまんねぇ。闇マーケットにかわいい子いねーかみてくるか」

恋次は、皇帝となったものの、政治は10貴族に任せきりで、お飾りの皇帝だった。

後宮には、恋次が気に入った娘たちが入れられて、寵姫となっていた。

その日、闇マーケットは騒がしかった。実に50年ぶりに、黒猫の亜人が奴隷として出品されるのだという。

「どんな子だろ」

恋次は、皇帝なのにお供の者も連れずに、闇マーケットで奴隷のオークションが開始されるのを待った。

「さて、次は本日の目玉商品!なんと、黒猫の亜人の青年だ!その美しさに、誰もが心奪われる!さぁさぁ」

「なんだ、野郎か」

出てきたのは、絹のような黒髪に黒い瞳、白い肌をした男性とはとても思えない、美しい青年だった。

「1億!」

「1億3千万!」

「10億」

気づけば、恋次はその黒猫の青年を競り落としていた。

「10億がでたー!さぁ、他にいませんか」

さすがに、10億以上を出す者はいなくて、恋次が黒猫の亜人の青年を落札した。

黒猫の亜人の青年の名は、朽木白哉。

人攫いに攫われて、はるばるソウル帝国の闇マーケットに売られたのだという。

ソサエティ王国という国の、貴族出身の若者だった。

「主と、呼べばいいのか」

白哉は、貴族らしい物言いの青年だった。

「いや、恋次でいいっす」

年は24歳。恋次より3つ年上だった。

「何を呆けておるのだ」

「いや、綺麗だなぁと思って」

「それで、私は何をすればいい。労働か。それとも性奴隷か」

白哉はドライな性格で、自分の立場を悲しむことなく、淡々としていた。

「いや、あんたを奴隷から解放します」

「解放されたところで、行く当ても金もない。故郷に帰るあてもないし、ここから遠すぎる。兄は、私に10億を出した。その働きはせねばなるまい」

「いや、まじでいいですから!」

「私を抱くか?」

「え、いいんすか?」

「私は兄のものだ。兄が望むことをするのが、私の仕事であろう」

恋次は、服を脱ごうとする白哉を止める。

「いや、無理しないでください。今日は、風呂に入って飯くって、ゆっくり寝てください」

「よいのか、それで」

「はい」

白哉は、言われた通りにした。

白哉が起きると、そこは宮殿の一室だった。

「私は‥‥」

「あ、起きましたか?」

「恋次、だったか」

「はい。白哉さんって呼んでいいですか」

「なんでもかまわぬ」

「じゃあ、白哉さんで」

白哉は、恋次が皇帝であることに驚きはしたが、顔には出さなかった。

「俺の、付き人になってください」

「執事のようなものか?」

「まぁ、似たようなもんすかね」

「分かった」

白哉は、恋次の付き人になった。

恋次は、白哉に恋心を抱くようになっていた。悟られないように振る舞うが、自然と視線は白哉を追ってしまう。

「ああ、なんて格好してるんですか!」

ある日、白哉が胸のあいたちょっと見た目にも煽情的な衣服を着ていたものだから、恋次は上着を脱いで白哉に着せた。

「メイドが、この服を切ればいちころだといっていた。意味が分からぬが」

「ああもう、ルキアのやつ」

後で叱っておこうと思って白哉のほうを向くと、白哉が恋次に口づけをしてきた。

ぺろりと、唇を舐める煽情的な仕草に、唾を飲み込む。

「酒持ってきてください。ありったけ」

酒を飲んで、忘れようと思った。

結果、少し酔ったが、同じように飲めと言われた白哉はかなり酔っていた。

「あーもう、知らないっすからね」

白哉をお姫様抱っこする。見た目も華奢だったが、体重も軽かった。

「ちゃんと食べてます?」

「ほどほどに」

白哉は、とろんとした瞳で見つめてくる。

恋次の我慢の糸は、すでに切れていた。

白哉をベッドに寝かせると、衣服をはぎとって、自分も裸になる。

「あんたから、誘ってきたんすからね」

「そうだ。そういう意味で、キスをした。兄は、ずっとそういう目で私を見ていたであろうが」

「それはそうですけど」

「抱きたいなら、素直に言えばいい。私は、兄のものなのだから」

「抱きますよ?」

「好きにせよ」

まず、キスをした。

逃げる白哉の舌を絡めとり、両手を頭の上で拘束して、何度も口づける。

「ふあっ」

漏れた白哉の声だけで、恋次はいきそうになっていた。

細い体を愛撫して、胸の先端を舐め転がす。黒猫の耳と尻尾を触ると、性感帯なのか、ぴくりと反応する。

「んっ」

「もっと、声きかせてください」

「ああっ」

下肢を触られて、白哉は足を閉じようとする。

膝で割って入り、恋次は白哉のものに舌を這わせた。

「っはぁ」

びくんと、白哉の全身が動く。

「あ、もうだめえええ」

白哉は、恋次の口の中に精液をはきだしていた。

「はぁはぁ」

息が整う前に、潤滑油をまとった指が、体内に侵入する。

「あっ」

前立腺を刺激されて、白哉は濡れた声を出す。

それが腰にきて、恋次は手早く白哉の蕾をほぐすと、自分のものをあてがい、引き裂いた。

「ああああ!!!」

悲鳴に似た声だった。

「痛い?」

「あう」

「大丈夫っすか?」

「あ、平気だ」

とてもそうは見えないが、恋次は続けた。

もう、とてもじゃないが我慢がきかない。

白哉の中は熱くて狭くて、恋次ものを締め付けてくる。

「あ」

恋次が動くと、ぐちゅりと、音がなった。

「痛くしたらすみません」

「ああ、あ、あ」

パンパンと、肉と肉をぶつけ合わせる。

「ひあああ!」

最奥を突きあげると、白哉はびくりと痙攣して、精液を出す。

同時に、恋次も白哉の中に精液を吐き出していた。

「まだ、続けますよ」

「あう」

ぐりっと奥をえぐらて、白哉はドライのオーガズムでいっていた。

「白哉さん、かわいい」

「ひあ、恋次」

「もっと、名前呼んでください」

「あ、恋次、恋次。熱が昂って、止まらぬ」

「一緒にいきましょう」

「んああああ」

白哉の中をこすりあげて、最奥を貫く。肩に白哉の細い足を抱え込むと、より深くはいった。

「ひあ、深い」

「奥の奥まで、抉ってあげます」

「やあああああ」

前をいじられながら、胎の奥まで侵入されて、白哉はドライでいきながら、精液を出していた。

恋次も、白哉の胎の奥に精液を叩きつける。

「んああ、あ」

ずるりと引き抜かれると、中に出したものが逆流して溢れ、シーツ白い水たまりをつくる。

「白哉さん、好きです」

「ん‥‥」

おぼろげな意識の下で、白哉は静かに「そうか」と呟く。



「‥‥‥‥あ」

白哉が目覚めると、後始末は全て終わった後で、違う新しい衣服を着て、違うベッドで眠っていたらしかった。

「恋次?」

「はい、白哉さん」

「私はどれくらい眠っていた?」

「半日ですかね。無理、させすぎましたね。すんません」

「半日も‥‥‥仕事が‥‥」

白哉は、恋次の代わりに書類仕事をするようになっていた。

腐っても皇帝なので、その気になれば仕事はある。

「今日は大人しく寝ていてください」

「そうする。腰が痛い」

白哉は、その日から恋次の寵姫として扱われるようになった。

子はなせないが、元々皇帝は10貴族の中から選抜して選ばれるので、跡継ぎなどの問題はなかった。



「今日は、何をすればいい?」

「子守唄、歌ってください。あと、膝枕してもらっていいですか」

「私は、あまり歌はうまくないぞ」

「かまいません」

白哉は、うまくないというが、歌姫もかくやという歌声をもっていた。

白哉の歌声を聞きながら、恋次は白哉の黒猫の尻尾をいじる。

「んっ。尻尾は、よせ」

歌声がやみ、白哉が目を潤ませる。

「感じちゃいました?」

「うるさい」

白哉はつーんとあらぬ方角を見る。

「白哉さん」

「なんだ」

「好きです」

「そうか」

「白哉さんは?」

「知らぬ」

少し赤くなって、白哉はまた歌い始める。

黒猫の寵姫。

男でありながら、後宮に入った。

恋次は白哉を寵愛し、他の寵姫たちを無視するようになった。

他の寵姫たちも、白哉の美貌に惚れて、白哉に迫る者もいたが、そんな寵姫は恋次が排除した。

黒猫の寵姫と言われ、長い間白哉は恋次に寵愛されるのであった。



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黒猫の外伝 浮竹と京楽

ソウル帝国で、代々騎士団の副団長を務めるのは京楽というエルフの一族だった。

団長にもなったりもしたし、近衛騎士として動くこともあった。

皇帝が黒崎一護になり、京楽は剣の稽古を一護につけた。

ある日、一護が珍しい白猫の亜人の少年を連れ帰ってきた。その美しさに、京楽は言葉を失った。

「君‥‥‥名前は?」

「浮竹十四郎。一護くんに買われた奴隷だ。正確には、保護されたというべきか」

一護は、まだ13歳だった。

浮竹もまだ17歳くらいで、性奴隷として闇マーケットに売りに出されていたところを、一護に買われて保護された。

女であれば、寵姫として後宮に入れられただろう。

それくらい、美しかった。

「‥‥‥‥惚れた」

「は?」

浮竹は、目をハートマークにする京楽から、その日から愛の告白を毎日のように聞くことになるのであった。

「浮竹、今日も綺麗だね」

「お前は‥‥仕事もせず俺のところになんてきたりして」

浮竹は、とりあえず兵士として一護の傍にいることになったのだが、その剣の腕は副団長でもある京楽に引けをとらず、騎士となり、やがて騎士団の団長になった。

「仕事をしろ、仕事を」

「でも、ボクらの仕事は国を守ることじゃない。あとは、一護くんに剣の稽古をさせること」

「俺も、剣の師匠として、一護くんには強くなってもらう。俺を性奴隷から解放してくれた恩人だしな」

「浮竹は美人だもんねぇ」

「お前、いやらしい目つきでこっちを見るな」

「だって、ボクは浮竹、君に惚れたから。好きだよ?」

「あいにく、俺はそういう趣味はない」

「偶然だね。ボクも、そういう趣味はないんだよ」

「なら、なぜ俺を口説く?」

「綺麗だから」

浮竹はため息を零して、剣を手にとる。

「俺に勝てたら、お前と付き合ってやる」

「まじで?」

「ああ」

浮竹の言葉を聞いて、京楽は本気を出した。

その強さに、浮竹は負けた。

「お前、こんなに強かったのか。なのに、なぜ副団長の座にいる」

「えー、だって団長っていろいろあってかたっ苦しいじゃない。とりあえず、ボクが勝ったから君は今日からボクとお付き合いしてね」

最初は、友人の延長線のような関係だった。

それが半年ほど続き、ある日酔った京楽に押し倒されて口づけされた。

その次の日から、浮竹は京楽と少し距離を置くようになった。

浮竹は、剣の腕はあったが、外見のせいで性的な目で見られることが多く、それがたまらなく嫌いであった。

京楽からの視線は嫌ではなかったが、やはり少し距離を置きたくなった。

「浮竹は、ボクのこと嫌い?」

「いや‥‥‥ただ、こういう、なんというのか同性同士の恋愛には慣れていないから」

「ボクが手とり足とり教えてあげるよ?」

「けっこうだ」

浮竹は、一護の剣の師匠として一護に剣術を教える。騎士団に所属する騎士たちにも、剣の指導をした。

「団長なのに、筋肉あんまりつかないね」

「うるさい」

「ねぇ、ケーキ買ってきたんだよ。甘いもの好きって聞いたから」

「何、ケーキだと?」

食べ物でつれる浮竹。

案外ちょろいかもと、京楽は思う。

「ねぇ、試しにボクと寝てみない?」

「嫌だ」

「そう言わずに。スイーツ食べ放題のチケットあげるから」

「本当か?」

目をきらきら輝かせる浮竹に、京楽はしめしめと思った。

酒を飲ませて、酒に酔った勢いのまま浮竹を宿で押し倒して抱いた。

「‥‥‥‥きもちよかった。最悪だ」

「きもちよかったならいいじゃない。ボクたち、付き合ってるんだし」

「同僚だぞ。最悪だ」

「気にしない気にしない」

「俺が気にする!」

一護が、浮竹と京楽の関係に気づいていたが、特に何も言わなかった。

「浮竹さん、京楽さん、今日もお願いします」

「一護くんは素直でいいねぇ。どこかの誰かもこれくらい素直ならないかなぁ」

「京楽、殺されたいか」

剣を抜き放つ浮竹に追いかけられても、京楽は楽し気だった。

酒で関係をもってから、何度か肉体関係をもった。

浮竹は、京楽を好きになっていた。

無論、京楽は初めから浮竹のことが好きだ。

「京楽」

「なんだい?」

「伴侶に、ならないか」

プロポーズは、浮竹のほうからだった。

「え、結婚してくれるの!?」

「だって、そういう仲だし‥‥‥その‥‥式は挙げないからな!」

ぽいっと。浮竹は京楽にペアリングを放り投げる。

「嬉しい!大切にするね?」

式は挙げず、籍だけ入れた。

一護に祝われて、浮竹は真っ赤になっていた。

そんな初々しいところも、京楽は好きだった。

これは一護とルキアが出会う前のお話。

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黒猫の皇妃終章

ルキアは、一護と出会ってから4年目を迎えようとしていた。

もう少女という年ではなくなり、20歳になっていた、

一護も22歳になっていた。

二人は正式に婚姻し、ルキアはソウル帝国の皇妃になった。

最初は黒猫の皇妃と蔑まれていたが、ルキアはかまわなかった。

子供を産むことができるようになった。

子ができないのは、生まれつきの呪いのせいであった。

ルキアは、呪いを解呪された翌月には身籠り、一護と出会って3年と少し経った頃に男児を懐妊し、4年目になった頃に、皇太子を産んだ。

ソウル帝国中が喜び、ルキアの名は一気に世界にとどろいた。

黒猫の亜人でありながら、子を産み、皇妃になったと。

ルキアは、黒猫と白猫の亜人の保護を世界に訴えた。奴隷となっているなら、国で買いとるという形にした。結果、奴隷とされていた黒猫と白猫の亜人のほとんどが解放された。

「ルキア様万歳!一護陛下万歳!」

国中が皇太子の誕生に浮かれた。

一護は皇太子に一勇と名付け、ルキアと一緒に大切にした。



「こら、一勇!」

「べーだ。父様なんか嫌いだ。勉強勉強ばかりで!」

一護は、7歳になった皇太子に、帝王学を学ばせはじめていた。

一勇を産んで3年後、ルキアは女児を出産し、苺花と名付けられた。

「お兄様待って」

「苺花はいいよな。女だから、嫁入り修行すればいいだけだから」

一勇の言葉に、一護が首を横に振る。

「苺花ももう少し大きくなったら、帝王学を学ばせる」

「父様は無茶苦茶だ」

「こら、一勇。言いすぎだ」

「でも、母様」

ルキアは、二人の我が子を抱きしめて、微笑む。

「二人とも、愛しているぞ」

「俺も母様大好き!」

「母様」

「ルキアは俺のものだ!」

一護が、ルキアを奪う。

「ぶーぶー。父様、母様独占しすぎー」

ルキアは困った顔を浮かべる。

「母様はな、父様が大好きなのだ。だから、独占されても構わぬのだ」

「ルキア、愛してる」

「一護、私も愛している」

一護とルキアは、我が子の前でも国民の前でも家臣の前でもラブラブいちゃいいちゃする。

もう、周囲は止めることを諦めた。

「そういえば、もうすぐルキアの誕生日だったな」

「そういえば、そうだったな」

「よし、雪国のスノー王国に子供たちも一緒に旅行に出かけるか」

「国をあけても平気なのか、一護」

「ああ。一週間くらいなら、平気だろ。国は騎士団の団長の恋次が守ってくれるし、浮竹さんや京楽さんもいる」

どこかの国から戦争をもちかけられても、叩き潰す自信があった。

「じゃあ、俺はスノー王国に旅行できるように仕事を調節してくる」

「一護、あまり根を詰めぬようにな」

「ああ」

一護は、執務をささっと終わらせて一週間の休暇をもぎとった。

ルキアと一緒に、スノー王国への滞在許可をもらい、子供たちと一緒に家族旅行に出かけた。皇族なので、護衛がいるのは仕方ないが、国外に家族旅行に行くのは初めてだった。

ルキアは雪を見るのが初めてで、はしゃいで滑って転んだ。

「ルキア、大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ。一面銀世界だな。寒いが、綺麗だ」

「ルキアのほうが、綺麗だぜ?」

「い、一護、恥ずかしい」

「何を今さら」

「うむ、そうだな」

雪だるまをつくったり、かまくらや雪うさぎを作ったり、雪玉の投げ合いもした。

「さすがに寒いな。滞在する宿に戻ろう。確か、温泉がわいているんだったな?」

「ああ。一緒に入るか」

「そうだな」

貸し切り状態なので、子供たちと一緒に入った。

雪国で温泉に入り、旅行を満喫して一護とルキアと子供たちは帰国した。

ルキアは、黒猫の皇妃という異名で知られている。もう、差別的な意味は含まれず、よき皇妃として皇帝である黒崎一護を支えた。

一護とルキアの名は、ソウル帝国でも名君と謡われて長くに渡り語り継がれていくのであった。



           黒猫の皇妃 END

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黒猫の皇妃10

性懲りもなく、近衛騎士採用試験に、海賊の頭である阿散井恋次がきていた。

「おーい、ルキア」

「恋次!?貴様、仲間はどうした!海賊は!?」

「海賊やめた。俺はこの国の、皇族の血の流れを受け継ぐ侯爵家の人間だから、皇帝の一護でも処刑はできないはずだ」

「ほお。いい度胸してるじゃねーか」

一護が、ルキアを下がらせて、剣を構える。

「俺は、近衛騎士になりにきたんだ。ルキアを守るために」

「私も騎士だぞ!守られなくとも、自分の身は自分で守れる」

「俺に拉致られてたじゃねーか」

「あれは!一護、とにかく剣をおさめてくれ」

「仕方ねえな」

一護は、剣を鞘におさめる。

「ま、俺は近衛騎士の試験受けてくる。またな、ルキア、一護」

「呼び捨てにすんな!」

一護は怒っていたが、恋次を処刑するだとか、簿縛するだとかは言わなかった。

阿散井恋次は、本当に皇帝の血の流れをくむ侯爵家の跡取り息子で、父親は帝国の執務大臣であった。


「気に入らねぇ。ルキア、恋次が近衛騎士になっても、油断するんじゃねえぞ」

「分かっている」

やがて、恋次はあっけなく近衛騎士の試験に受かり、ルキアではなく一護の護衛に配置された。

「なんでてめぇなんて守らなきゃなんねーんだよ」

「そりゃ、こっちの台詞だ!」

二人はいがみ合うが、それなりに仲はよく、ルキアを安心させた。

「一護、恋次、アップルパイを焼いてみたのだ。食してくれ」

「おいルキア、恋次になんてやることねーぞ」

「んだよ、一護。やる気か?」

「なんだよ、この赤猿!」

「オレンジツンツン頭が!」

「何を!?」

「なんだよこの野郎!」

「二人とも、仲良くせんか!」

ルキアが、二人に蹴りを入れる。

「いってええ。ルキア、何するんだよ!」

「ルキア、どっちの味方なんだよ!」

ルキアは、いがみ合う二人の口に、切ったアップルパイをつめこむ。

「うまい」

「うめぇ」

「貴様らの二人分と、浮竹殿と京楽殿にも焼いた故、渡してくる」

「あ、俺もいく。京楽さんに本借りてたんだ」

一護は、ルキアと並んで歩き出す。

恋次は、昼食休憩なので、護衛から外れて食堂に向かった。


「京楽殿、浮竹殿」

「お、ルキアちゃんじゃないの。元気?一護くんもいるのか」

「アップルパイを焼いた故、おすそわけに」

ルキアがアップルパイを差し出すと、京楽が受け取った。ついでに、一護は京楽に借りていた本を返す。

「ありがとうね。ルキアちゃん。浮竹は、その、寝込んでるから」

「何か病気にでも!?」

「いや、そういうわけじゃ」

「ちょっと調子が悪いだけだ」

浮竹が現れて、アップルパイを食べた。

「うまいな。一人で作ったのか?」

「侍女に、手伝ってもらった。作り方を知らなかったので」

「ありがとうな、ルキアちゃん」

「いえ‥‥‥‥」

ルキアは、京楽と浮竹の関係に顔を赤くしつつ、去っていく。

「ありゃあ、感づかれちゃったかな?」

「俺たちの関係を知っていたら、普通気づくだろう」

浮竹の首には、キスマークが残っていたのを、ルキアは目撃してしまったのだ。

「いちゃつくのはいいが、あんましルキアに影響出さないようにな」

「はいはい、分かったよ一護くん」

「承知している」

一護は、ルキアが去っていった後を、走って追いかけた。


「ルキア!」

「一護?」

「たまには、城下町に出てみないか。お忍びで」

「でも、見つかったらまた家臣に怒られるぞ」

「んなの、どうとでもなる。昼時だし、町の酒場にでも行こうぜ」

「う、うむ‥‥‥」

一護とルキアは、黒いフードつきの外套を着て、城下町に出かけた。

人々で賑わっていた。

「あの酒場だ。俺が贔屓にしてる店」

「わりと、小ぢんまりしているのだな?」

酒場はそんなに広くなかったが、ほぼ満席だった。奥のカウンターに座る場所を見つけて、一護とルキアは座る。

「ラム肉のソテーとフィッシュカレー、あとレモネードを二人分」

「あいよ!」

酒場は女主人と給仕の娘が三人。

「何かにつまった時、たまに息抜きにここにくるんだ」

「そうなのか」

「ルキアを連れてきてなかったなぁって思って」

「ふふ、嬉しいぞ一護。また、お前のことを一つ知った」

「酒は今日は飲まないのかい、一護の旦那」

「じゃあ、エールを二人分」

「そっちの子が、ルキアちゃんかい?」

「ああ、そうだ」

「かわいらしい子だね。そういや、黒猫の亜人が子を産む方法が見つかったって知ってるかい?」

その話題に、一護が食いついた。

「まじか!」

「ああ。なんでも、黒猫の亜人の子が成せないのは、生まれつきの呪いだそうだから、特殊な方法で解呪すれば、子ができるそうだよ」

「その話、詳しく聞かせてくれ」

一護は、黒猫の亜人が子を成せる術を知り、すぐに錬金術師を呼んで、ルキアに解呪を試みた。すると、呪いは解けた。

「ルキア。俺の皇妃になってくれ」

「一護‥‥‥喜んで」

ソウル帝国504年。

16代目皇帝黒崎一護は、ソサエティ王国の四大貴族出身の黒猫の亜人の少女を妃として、朽木ルキアは正式な一護の妻として、皇妃になるのであった。




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黒猫の皇妃9

ルキアが、一護と出会ってから2年が経とうとしていた。

ルキアは、一護の政治の補佐も行っていた。

ある日、賑わう港町に一護と視察に訪れると、ちょうど大きな海賊船が港を襲撃してきた。

一護とルキアは騒動で離れ離れになり、一護には浮竹と京楽もついていたので、心配はなかったのだが、ルキアは剣の腕で海賊に捕まった人々を解放していく最中、燃えるような赤い髪の青年に出会い、剣の腕で負けた。

「殺せ」

「俺は女子供は殺さねぇ。皇帝、黒崎一護の寵姫、朽木ルキアだな?」

「そうだ」

「人質になってもらう。何、おとなしくしていれば手はださねぇよ。身代金もらったら、ちゃんと無事解放する」

「本当か」

「俺は嘘はつかねぇ。俺の名は阿散井恋次。赤髪海賊段のリーダーだ]

ルキアは、恋次と出会った。

恋次は、ルキアを丁重に扱った。

ルキアは、一護と京楽と浮竹以外の男性から、あまり親密に接することはなかった。一護との交渉が難しくなっている中、涙を零すこともなく、凛としたその姿勢に恋次が惚れて、ルキアを口説きはじめた。

「ルキア、俺のものにならねぇか」

「無駄だ。私は一護の寵姫で、一護のものだ」

「その一護は、お前を見捨てたぜ」

「嘘だ!」

「じゃあ、なんですぐに身代金を支払わねえんだ?」

「それは‥‥分からぬ」

ルキアは、黒い猫耳をへにゃりとさせる。

「俺のものになっちまえよ、ルキア」

1カ月以上にも及ぶ、海賊としての暮らしの中で、ルキアの心に恋次が入りこむ。

「一護‥‥‥早く、迎えにきてくれ」

一方、一護は今すぐ身代金を支払いたいところだったが、その膨大な額に手間取り、家臣たちの大反対もあって、武力でルキアを取り戻すことになった。

「皇帝軍の船がきたぞおおお。交渉は決裂だぁ!」

「一護、何故だ。何故、すぐに迎えにきてくれぬ」

「もう、見捨てられたんだよ、おめぇは。俺のものになっちまえ」

乱暴に口づけられて、ルキアはアメジスト色の瞳を見開き、恋次をビンタする。

「おお、気がつぇぇことで。ますます俺の好みだぜ」

「一護、一護!」

ルキアは、恋次に迫らて、甲板に身を乗り出し、後ろに続く皇帝の海軍を見る。

「私はここだ!」

「おいルキア、あぶねーから船室に入っとけ」

「私はここだああああ!」

ルキアのありったけの叫びに、海軍の船に乗っていた一護が叫ぶ。

「ルキア!助けにきた!!」

「一護!」

「ちっ、囲まれたか。仕方ねぇ、ずらかるぞ。帆をはれ!」

「私は、一護の元に戻るのだ!」

「おい、ルキア”!!」

恋次が止める間もなく、ルキアは海に飛び込んだ。

それを見ていた一護も、海に飛び込む。

「ちっ、仕方ねぇ。浮き輪をなげてやれ。皇帝の寵姫を殺すわけにはいかねぇ」

ルキアは、泳げなかったので、浮き輪に掴まる。

海軍が、ルキアと一護を救出している間に、恋次の船の海賊船は海の彼方に去ってしまった。

「ルキア!ルキア!」

「一護!」

海軍の船に拾われた一護とルキアは、久しぶりの再会を喜ぶ前に、一護にルキアは思い切り抱きしめられた。

「苦しいぞ、一護」

「身代金が膨大すぎて、払えなかった。税をあげるわけにもいかず、お前を救い出すのに1か月もかかちまった。何もされてないと、俺は思いたい」

「何もされていないわけではないが、ほぼ無傷だ」

「何されたんだ!」

「キスを、恋次に」

「あの海賊の頭にか」

「そうだ」

「ぶっ殺す」

「待て、一護。そんな理由で、海軍で戦争など起こすな」

「けど」

「私は無事に戻ってきたのだ。それでも、不満か?」

「そんなわけじゃねーけど、お前を攫った海賊が許せない」

一護は、怒っていた。

「海賊の首に懸賞金をかければよかろう。まぁ、恋次という男、そう悪そうには見えなかったが」

「ばか、拉致られたんだぞ」

「でも、扱いは丁重だった」

「まぁ、ルキアが無事なら戻るか。海での暮らしはもうこりただろ?」

「ああ。湯あみがしたい。体をふくだけでは、どうにも‥‥」

一護は、港につくと宮殿まで帰らず、宿をとった。

「一緒に湯あみしようぜ。宮殿まで、待てないだろ?」

「うむ」

湯あみしながら、久しぶりに二人は肌を重ね合う。

「んあっ、お湯が、中に‥‥‥」

「ああ、ルキアの中に入るの、久しぶりだ」

「んんっ」

ちゃぷんと、動いで湯があふれる。

一護はルキアを下から貫きながら、揺さぶった。

「あああ、深い」

「お前のここ、俺をもっと欲しいっていってる」

「あ、一護。もっと、欲しい」

ルキアは、淫らになるのは一護の腕の中だけだ。

秘所を抉られ、Gスポットを刺激されて、同時に陰核をつまみあげられて、ルキアは潮をふいていってしまった。

「あああああ!」

「ルキア、すげぇいい。もっと、欲しいか?」

「あ、もっと‥‥‥」

「俺の寵姫は、淫乱だな。清楚なのに」

「こうさせたのは貴様であろう。あああ、またくる‥‥いっちゃう」

「何度いってもいいぜ」

結局、二人はのぼぜた。

「風呂の中でするもんじゃあねぇな」

「同感だ」

冷たい果実ジュースを飲みながら、うちわで風をあおぎながら、二人は体の火照りがおさまるのを待って、宮殿に戻るのであった。



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黒猫の皇妃8

その日は、一護の誕生日パーティーがあった。

国中の貴族、皇族、近隣諸国の王侯貴族がきていた。

一護は、隣にルキアを立たせた。

「一護、このような式典に私など」

「いいんだよ。それに一人じゃあつまんねーし、他の国の王侯貴族の娘を紹介されて、皇妃にしないかってうるせーんだよ。俺が皇妃にするとしたら、ルキア、お前しかいねぇ」

「でも、私は黒猫の亜人だ。子を産めぬ故、皇妃にはなれぬ」

「今、裏でいろいろ法律かえてるんだよ。大反対する家臣たちちも説得してる」

「一護‥‥‥」

ルキアが一護の隣に立っているのを見て、隣国の王侯貴族たちはまだ皇妃が決まっていないのだと安堵する。

「これこれは一護陛下、ご機嫌麗しゅう。私はアズア王国の王、トレッド・アズアにございます。この度は18歳の誕生日ということで、皇妃候補に、我が娘ドリッドを紹介したく」

「アズア王国の第王女、ドリッド・アズアにごいます」

「ああ、そうか。じゃあな」

「ちょ、陛下!」

「どけどけ。俺はルンバ公国のイルガデス。皇妃には、我が娘リリーを」

「興味ねぇ」

一護は、ルキアを連れて玉座に座ると、隣の皇妃の席にルキアを座らせたかったができないので、そのすぐ近くに椅子を設置して、それにルキアを座らせた。

「皆、俺の誕生日の式典に集まってもらってすまない。俺は皇妃はまだもたない。候補として後宮に娘を入れるなら、それも拒否しない。だが、俺はルキア以外を寵愛するつもりはない」

「陛下、黒猫の亜人の寵姫を妃のように扱うなど、前代未聞ですぞ」

「かまわねぇ。この国の皇帝は俺だ。俺が法だとは言わないが、皇妃に関しては、俺の意思を尊重してもらう。皇妃は一人だけ。側室ももたない。今はこれ以上は言えない」

近隣諸国の王侯貴族はざわついた。

帝国の貴族たちは、一護とルキアのことを知っているので、後宮に娘をいれようとする者はいなかったが、近隣の王侯貴族は、ここまではっきり一護が、ルキアだけを寵愛すると言ったのに、自分の娘を後宮に入れる算段をしはじめた。

「ではドリッド、うまくやるのだぞ」

「はい、父様」

「リリー、お前の美貌なら皇帝を落とせる。後宮に入るのだぞ」

「分かりました、父上」

一護の誕生日の式典は華やかに行われたが、同時に5人ほどの近隣諸国の王族の姫君などが後宮入りした。

ソウル帝国は、今一護の統治の元、黄金時代を迎えようとしていた。

領土は広くなり、和平条約も進み、ソウル帝国が魔術師を3人ももっているということで、敵対関係にあった隣国とも、休戦協定を結んでいた。

ソウル帝国を脅かす存在など、もうどの国にもなかった。

一護は酒を飲み、酔っていた。

ルキアは、先に後宮へと戻る。

一護が、後宮入りしたルンバ公国のリリー姫に、酔った勢いで手を出してしまったという情報は、すぐに後宮中に知れ渡り、ルキアは耳を疑った。

「一護」

「すまねぇ、ルキア。薬盛られて、抱かされた。子供、身籠ったかもしれない」

「卑怯だぞ、リリー姫!」

「あら、なんのことかしら。あたしは一護陛下の寵愛を受けただけよ。激しい夜だったもの。きっと、陛下の子を孕んだわ。陛下の子を産めば、皇妃になれるのよ」

今の法律では、身分に関係なく一護の子を産めば皇妃になれるとなっていた。

その母親が平民や奴隷でなく、貴族以上の娘なら、家臣たちも納得するし、リリー姫は領土は狭いものの、金がよく産出する大金持ちのルンバ公国の第一公女だ。

皇妃にするには、まさにとてもよい条件であった。

子が生まれれば、一護の意思など関係なく、皇妃になってしまう。

たとえその仲が冷めきっていたとしても、ルキアを側室におくことはできる。

リリー姫は、はなからそのつもりで、一護の飲む酒に薬を入れたのだ。

ルキアに手を出せば、きっと追放される。

だから、あえてルキアを放置した。ルキアだけなら、なんの力ももたない。そう思っていた。

「寵姫のルキアとやら。元奴隷の卑しい身分のあなたに、一護様はふさわくないわ」

「私は、貴族だ」

「あら、今頃そんな嘘をつくの?」

「私は、ソサエティ王国の四大貴族、朽木家の娘。朽木ルキアだ」

ルキアの素性を調べると、王族の血の流れを受け継ぐ、れっきとした大貴族の娘だと分かった。

だが、それでもリリーは焦らなかった。

リリーは、一護の子を孕んだかどうか分からぬうちに、幾人もの男と交わり、懐妊していた。

一護が手を出した事実と子さえいれば、父親の血筋などどうでもいいと考えていた。

それが間違いだった。

後宮にきて腹が膨らみ始めると、さすがの一護もリリーを皇妃にすることを承諾する他なかった。

ルキアは泣いたが、側室として絶対に寵愛すると言われて、皇妃の座を諦めていた。


やがて、生まれてくる子が、本当に一護の子なのか鑑定された。

結果、同じ黒崎家の血筋の皇族の子であるが、父親は一護ではないと分かり、リリーは堕胎させられ、後宮から追放された。

極刑にならぬだけ、ましであった。

「ルキア、すまねぇ。もう、大丈夫だ」

「一護‥‥‥‥」

「俺は、もう絶対にルキア以外を抱かない」

「一護、愛している」

「俺も愛してる、ルキア」

一護とルキアは、何度も肌を重ねた。

けれど、黒猫の亜人であるルキアには月経もなく、一護の子を身籠ることはなかった。

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黒猫の皇妃7

ルキアが一護の元にきてから、一年が過ぎた。

一護は法を変えて、何とかルキアを皇妃にしたがっていたが、家臣たちに大反対されてルキアを皇妃にできぬまま、寵姫として留めていた。

「一護、無理をせずともいいのだぞ。私を寵姫のままで傍にいさせてくれるだけで、私は幸せなのだ」

「俺は、ルキアを娶りたい。正式な妻にしたい」

もう、ルキアは一護にとってなくてはならない存在になっていた。

「その気持ちだけで私は十分幸せだ」

ルキアが、病に倒れたのは、それから一週間後のできごとだった。



「ルキア、ルキア、しっかりしろ!」

「一護‥‥?うつってしまう。傍にくるな」

「調べたら、この病は亜人だけにかかる病だって。俺は大丈夫だ。同じ白猫の亜人の浮竹さんはやべぇから遠ざけてるけど、こんな病で死ぬな、ルキア!」

ルキアは高熱を出し、生死の境をさまよう。

一護は、金をおしまずエリクサーという神の秘薬と呼ばれる薬を入手してルキアに飲ませたが、病は癒えなかった。

「ちくしょう、どうすればいいんだ!」

「一護くん、落ち着け」

「でも、浮竹さん!」

「この病は亜人病という。俺も幼い時にかかったが、こうして生き延びている。抗体ができているのだろう。俺の血を輸血すれば、あるいは助かるかもしれない」

浮竹の言葉に、京楽が反対する。

「だめだよ、浮竹!君の、白猫の亜人族の血は、一種の毒だ。命を逆に落とすかもしれない」

「だが、このままでは確実にルキアちゃんは死んでしまう」

「浮竹さん、血を分けてくれ。ルキアに輸血する」

このままルキアの死を待つよりも、可能性があるならと、一護は抗体をもつ浮竹の血をルキアに輸血した。

ルキアは、そのまま数日また生死の境をさよったが、熱はしばらくしてひいていき、病は癒えていった。

「ルキア‥‥‥助かってよかった」

「一護‥‥‥浮竹殿が、血を分けてくれたおかげで助かったと聞いた」

「ああ。浮竹さんが、幼い頃同じ病にかかり、全快していたんだ。ただ、白猫の亜人の血は毒になりうるから、助かるかどうかは天任せだった。本当に、治ってよかった」

「浮竹殿に、大きな恩ができたな」

「ああ。京楽さんと一緒に、貴族の爵位と領地をあたえた」

「そうか。報酬は、もう形にしたのだな」

「ルキア、まだ寝てないとだめだ。熱は下がったが、まだ病が完全に言えたわけじゃない」

ルキアは、ベッドに半身を起こして、一護に抱きしめられた。

「ルキア、お前を失うかと思ったら、目の前が真っ暗になったんだ。エリクサーでも病は癒えなかった。もうだめかと思った」

「一護‥‥‥」

「助かってよかった。後遺症でしばらく頭痛がするかもしれないらしいが、薬はあるから大丈夫だ」

「そうか」

「もしものこともあるかもしれないと、白哉を呼んでいたんだ。まだ帝国に滞在しているから、会うか?」

「兄様が!?会いたい!」

ルキアが、白哉と会うのは実に半年ぶり以上だった。

一護は、宮殿に白哉を呼んだ。

「ルキア、心配していたのだ。そなたの身に万が一のことがあるかもしれないと、覚悟していたが、無事助かってよかった」

「兄様、会いたかったです!」

ルキアは黒猫の耳を動かして、尻尾をゆらりと揺らす。

「兄様、会いに来てくださってありがとうございます」

「黒崎一護が、そなたの身が危ないと知らせてくれてな。居ても立っても居られず、貴族としての執務を放置して、ソウル帝国にやってきた。そろそろ帰らねば、領地で問題が起こるかもしれぬ」

「兄様」

「領民たちも心配していたぞ」

「そうですか。会いにいきてくださり、私はとても嬉しいです、兄様」

「しかし、もう帰らねば。また、会いにくる。約束だ」

「はい、兄様」

ルキアは、病も言えて白哉を見送ると、一護がルキアを独占した。

「一護、なぜ一緒に湯あみをするのだ」

「ルキアが心配だから」

「もう、私の病は癒えたのだぞ」

「それでも心配だから」

また、前のようにただ同じベッドで眠る時間が増えた。

一護は、ルキアを壊れ物のように扱い、性的な意味で抱くことがなくなった。

ルキアは体が疼いて、自分から一護を誘った。

一護は、優しく優しくルキアを抱いた。

毎度毎度そんなので、ルキアは満足できず、一護にこう言う。

「もっと、乱暴に激しく愛してほしい」

一護の我慢の糸が切れるには、十分な言葉で、その日はルキアは意識を飛ばすまで一護に抱かれるのであった。


「ふう‥‥‥」

ある日、ルキアは後宮の自分の部屋の窓から空を見上げていた。

雨が降った後で、虹がでていた。

「一護の寵姫で、ずっといられるのだろうか」

季節はうつろいゆく。

いつか、一護が皇妃を子迎えねばならぬ時がくるだろう。

子を産めない黒猫の亜人のルキアには縁のない話だ。

「いやだな‥‥」

違う誰かが、一護の傍で皇妃として笑うのが、想像しただけでもいやだった。

「ルキア?」

「一護?どうしたのだ」

「お前が宮殿にこないから、迎えにきた」

「今日は、会わぬ約束ではなかったか?仕事が多いからと」

「お前に会いたいから、全力で仕事片付けてきた」

一護は、ルキアを抱きしめる。

その温かさに、ルキアは瞳が潤む。

涙が流れた。

一護を愛しすぎた。

でも、もう後には引けない。

いつか、黒猫の皇妃になる。ルキアはそう決意するのであった。





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黒猫の皇妃6

ソウル帝国と平和条約を結んでいる、大国であるエメラルド王国から、皇妃候補してエメラダという名の第一王女が輿入れしてきたのは、新年があけてのことだった。

一護は、最後まで娶らないと言っていたが、平和条約の破棄とソウル帝国へ侵略をちらつかせられて、王女の輿入れを許してしまった。

「一護‥‥‥結婚するのか?」

「まだわかんねぇ。とりあえず、後宮に入れて様子を見る」

エメラダ王女は、優しく気の弱い王女なら一護の気も引けただろうに、傲慢で高飛車で我儘な王女だった。

「あなたが一護様に一番愛されていると噂の、黒猫の亜人の寵姫ね?」

「だから、なんだというのだ」

「ほほほほ、今日から一護様の一番の寵姫はこのあたくしよ。汚らわしい黒猫の亜人なんかの出る幕はないわ。聞けば、元奴隷だそうじゃない。身分の差でも、あたくしに及ばないわね。くわえてあたくしのこの美貌。一護様の皇妃になるのは、このあたくしよ」

「勝手に言っていればいい。私は剣の稽古があるので、これで失礼する」

「あなた、生意気ね」

「だからなんだ」

「侍女たち、このルキアという女を縛りなさい」

「はい」

「はい、エメラダ様」

侍女たちに囲まれるが、ルキアは顔色一つ変えず、捕縛用の縄を剣で切ってしまう。

「きゃああああああああ!!!ルキアという寵姫が、あたくしに剣を向けたわ!侍女たちも見たでしょう?」

「はい、見ましたエメラダ様」

「エメラダ様に、ルキアは剣を向けました」

「なんだ、殺されたいのか?」

ルキアは、本当にエメラダ王女に剣を向ける。

「きゃああああ、殺されるううううう!」

大きな悲鳴をあげて、エメラダ王女は一護の元に助けを求めにいった。

ルキアは、剣を鞘におさめて、後宮の自分の部屋に戻る。

やがて兵士をつれた一護と、エメラダ王女がやってきた。

「さぁ、一護様、皇妃に剣を向けた反逆罪で、この女を始末してください」

「ルキア‥‥‥」

「一護、かまわぬのだぞ。国のためを思うなら、私を切り捨てても、私は貴様を恨まない」

一護は、剣をぬいてルキアのほうに向けたかと思うと、エメラダ王女に向けた。

「お前を皇妃にするつもりはない。ルキアは俺の一番の寵姫だ。お前はこの国では王女でもなんでもなく、ただの一人の寵姫だ。だが、俺はお前のような我儘で高飛車な女は好きじゃにいし、もとの身分で他人を平然と差別し貶めようとする寵姫を愛する気もない。後宮で、このまま俺に相手にされず、朽ちていくといい」

「一護様、何を言っているの”!?私は大国エメラルド王国の第一王女よ!」

「この国では、ただの寵姫だ」

「そんな‥‥‥お父様に言いつけてやる!こんな国、滅んでしまえばいいのよ!」

「エメラダ王女、大国であるがエメラルド王国にソウル帝国はたくさんの食料を供給している。それを絶つ気があるのであれば、国王に泣きつくといい」

一護は、兵士を下がらせて、エメラダ王女の目の前でルキアを抱き寄せる。

「俺が愛しているのは、この騎士でもあり寵姫でもある朽木ルキアただ一人だ」

「一護、本当に戦争になったらどうするのだ!」

「戦争なんておきねーよ。本当に戦争がおきたら、俺は真っ先に国王を殺してやる。俺の剣の腕は、誰にもひけをとらねぇし、ソウル帝国には魔術師がいる。魔術師は一人で一万の兵士に匹敵する。そんな魔術師が、ソウル帝国には三人いる」

「魔術師が三人もですって!そんな話、聞いてないわ!」

「そりゃ、隠してたからな。でも、ルキアを害すなら、俺は魔術師を動かしてエメラルド王国をぶっつぶす」

「ひいいいいい」

一護の脅しに、エメラダ王女は悲鳴をあげる。

「おぼえていなさい!」

エメラダ王女は、荷物と侍女を連れて後宮から飛び出し、エメラルド王国に帰ってしまった。

「ああ、すっきりした」

「一護、貴様、私と国とどっちをとるつもりなのだ!」

「両方だ」

「両方‥‥‥」

ルキアはぽかんとしていた。

「ははは、マヌケな面だな、ルキア。まぁかわいいけど」

「な!」

ルキアは真っ赤になって、一護の足を踏む。

「いててて」

「まったく、貴様という男は」

ルキアは、一番愛していると言われて、嬉しかった。

「私は貴様を愛している、一護」

「俺もお前を愛してる、ルキア」



その日の夜は、閨を共にした。

「ああ、一護!」

「すげー濡れてる。気持ちいいか?」

「あ、もっとお」

一護はルキアの秘所に舌を這わせて、陰核を指でつまみあげる。

「ああああ!」

「かわいい。もっと俺を欲しがれよ、ルキア」

「あ、早くぅ。早く、私の中にこい」

一護は、自分のものをルキアの秘所にあてがうと、一気に一貫いた。

「ひあああああ!」

「ルキア、体の力ぬけ。きつい」

「あ、あ」

胸を愛撫され、口づけられて、ルキアは自然と体から力を抜く。

「子種、いっぱい注いでやるからな。ルキアが人間だったらよかったのに。すぐにでも皇妃にするのにな」

「あ、私は子を産めぬから‥‥‥」

ルキアは黒猫の耳をさわられる。

一護の足に、尻尾を巻きつけた。

「猫耳に尻尾つきとか、すげーもえるけど、代償がでかいなぁ。でも、きっといつかルキアを皇妃にしてみせる」

「んあっ」

中で大きくなった一護を感じて、ルキアは濡れた声を出す。

「あ、あ、あ、一護」

「ルキア‥‥‥‥」

二人は、己を貪りあった。

一護は、週に一度はルキアを抱いた。

けれど、ルキアが子を懐妊することはなかった。

黒猫の亜人は、子を成せない。

皇妃になるには、子を産めなければいけなかった。

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黒猫の皇妃5

ルキアは、その日一人で城下町に来ていた。

誰かにつけられているのにば気づいていた。人気のない場所に進み、尾行している相手が来るのを待つ。

「貴様、何者だ!」

「く、はめられたか!おとなしく捕まってもらおうか」

「私が騎士であることを知った上でか!」

「抵抗したら、この女の命はないぞ?」

「ルキアちゃん‥‥‥」

それは、元寵姫の井上であった。

「くそ、卑怯だぞ!」

「卑怯でけっこう。剣を捨ててもらおうか」

ぞくぞくと、賊が集まってくる。井上を殺す気はあるようで、ルキアが逡巡していると、賊は井上の首に刃を食いこませる。

「きゃあああああ」

「やめろ!分かった、剣は捨てる」

カランと、剣を投げ飛ばすと、ルキアは賊に捕縛されてしまった。

「もう、この女に用はない。殺せ」

「井上に手を出すな!殺したら、お前たち全員を殺してやるからな!」

ルキアの気迫に、賊たちは押されて、井上を地面に転がしたまま、ルキアを縄で厳重にしばって連れ去ってしまった。



「お前が黒崎一護の一番の寵姫か。騎士でもあるという」

「誰だ、貴様は」

「俺は黒崎遥。黒崎一護の従妹だ。ソウル帝国の皇帝になるのは、この俺だ」

「哀れな‥‥」

「黙れ、女!」

賊の頭に殴られても、ルキアは泣きもしないし怒りを隠さなかった。

「ソウル帝国の皇帝は一護だ。一護だけがふさわしい。一護の命を狙って刺客を放っていたのはお前だな?」

「だとしたらなんだ」

「殺してやる」

「はん、縛られた体で何ができる。ああ、一護のやつの寵姫だったな。お前を犯せば、一護のやつ泣くだろうなぁ」

「なっ」

そうだ。どんなに強くなっても、自分は女で寵姫なのだ。

他の男に汚された寵姫を、一護がまだ愛してくれるかどうか分からない。

「そんなことをするなら、舌を噛んで死んでやる」

ルキアは、本気だった。

「ちっ、死なれちゃ困る。猿轡をさせておけ」

「はっ」

配下の者が、ルキアに猿轡をして自害できないようにする。

「よくよく見れば、上玉だな。黒猫の亜人だし、売れば高くなりそうだ。皇帝のご寵愛ありなら、なおさらだ」

「んーー!!!」

ルキアは叫ぶが、言葉にならない。

賊に連れられて、ルキアは攫われて、一護を一人で呼び出す餌にされた。

一護は、本当に一人で賊の指定した場所に来てしまった。

「ほら、最後の対面だ。命乞いでもしろ」

猿轡を外されて、ルキアは叫ぶ。

「一護、私のことはいいから逃げろ!こいつら、お前の命を狙っている!」

「ルキア、ちょっと待ってろ。すぐこいつら片付けて、助け出す」

「おいおい、こっちには人質がいるんだぜ?」

賊の頭は、ルキアの首に剣をつきつける。

一護は、まず持っていた予備の剣で、ルキアの喉元にあった剣を弾いて、口笛をふく。

すると、どこに潜んでいたのか、浮竹と京楽が現れた。

「浮竹さん、京楽さん、雑魚は任せた!俺はルキアを救出に向かう!」

「任せなよ!こんなやつら、敵じゃない。ね、浮竹?」

「ああ、京楽の言う通りだ」

浮竹と京楽は、次々に賊の手下たちを倒していく。

「くそ、来るな!」

「ルキアを傷つけたな?」

一護は、ルキアの体に傷があるのを知って、怒りを爆発させる。

「ルキアは返してもらう!」

目にもとまらぬ速さで、ルキアを取り返すと、一護は賊を切り捨てた。

一護に縄をとかれて、ルキアは一護に抱きつく。

「一護!よかった、無事なんだな」

「それはこっちの台詞だ!無事でよかった‥‥‥少し怪我してるけど、まさか他に何もされてないだろうな?」

「大丈夫だ。汚されてはおらぬ」

「よかった‥‥‥」

一護は、ルキアを強く抱きしめて、口づけた。

「頭を倒したし、もう俺の命を狙う者もいないだろう。ルキア、怖い思いさせてごめんな?」

「私こそ、心配をかけてすまない。あ、井上は!?」

「ちゃんと保護した」

ルキアはほっと胸をなでおろす。

「いちゃつくのはいいけど、こいつら捕縛するのが先なんじゃない?」

京楽が、倒した賊たちを一か所にまとめた。

浮竹は、剣を鞘にしまっていた。

「すぐに兵士をよこす。殺してないよな?」

「ああ。どのみち、処刑台いきだろうが」

「見せしめにしないと、同じ考えの者が出てくるかもしれない。頭も生かしてある。拷問にかけて、隣国のエスパニア王国と関係あるのかはかしてから、ギロチンいきだ」

一護は、ルキアを抱き上げて歩きだす。

「一護、一人で歩ける」

「だめだ。お前は攫われたんだぞ。俺がどれだけ心配したと思ってるんだ」

「すまぬ‥‥‥井上を人質にとられて、せっかく覚えた剣の腕を出す間もなく捕まった」

「まったく、心配かけやがって」

「んっ」

やや乱暴なキスをされて、ルキアは一護の首に手をまわす。

「愛してる。俺の元を離れる時は、何か一言言ってからにしろ」

「分かった‥‥‥」

ルキアは、一護の鼓動の音を聞いていた。

やがて兵士が呼ばれて、賊たちは捕縛され、黒崎一護の命を狙うエスパニア王国と関係は明らかにされないまま、賊たちは反逆罪でギロチンの刑に処されるのだった。


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黒猫の皇妃4

「ボクは京楽春水。一護くんの剣の師匠だよ」

「俺の名は浮竹十四郎。同じく、一護くんの剣の師匠だ」

ルキアが、剣を習いたいと言い出すと、一護は自分の剣の師匠を紹介してくれた。

京楽はエルフで、浮竹は黒猫の次に珍しい白猫の亜人だった。

「もともと、俺は奴隷でな。一護くんに救われたんだ」

浮竹は、元奴隷であった。

白猫の亜人も珍しいので、高値で売買される。

剣の師匠なのに、奴隷だったということは、何か卑怯な手段で自由を奪われて奴隷にされたのだろう。

「一護くんには、返しても返しきれない恩があるからな。ルキアちゃん、君を強い剣士として育てよう」

ルキアは飲み込みが早く、今まで自分のを身を守る術をもたないと思っていたのだが、浮竹と京楽に剣を習うと、嘘のように剣の腕は上達した。

今まで教えてきた相手が悪かったのか、ルキアは剣の腕はからっきしだったのに、みるみる強くなっていった。

「私は強くなったであろうか。剣の腕で、一護を守りたい。自分の身も守りたい」

「うん、ルキアちゃんは飲み込みが早いからね。今まで、剣の腕はなかったんじゃない?」

「なぜ分かる?」

「なんていうか、でたらめな剣の腕をしていたよ。強いのに、外に力を出せないような。多分、君を思う誰かが、剣の腕を封印していたんだろうね。無益な殺生に巻き込まれないように」

ルキアが思い当たるのは、兄である白哉だった。

「兄様が‥‥‥」

兄の白哉は、ルキアにいつも護衛をつけていた。

ルキアに剣を握るような人生を歩んでほしくないから、剣の腕を封印したのだろう。しかし、結果的に護衛を倒されて、ルキアは攫わて奴隷に落ちた。

今は解放されているが。

「ルキアちゃん、強くなろう」

「ああ。もっと、強くなりたい」

「ルキアちゃん、一護くんの剣の腕は国でも並ぶ者がいないほどだ。その一護くんを守りたいなら、もっと修行して強くならないとな」

「うむ」

ルキアは、一護と過ごしながら、剣の稽古の時間をもらって、修行を続けた。

ルキアは細身の体をいかした敏捷性の高い剣の動きを身に着けた。

ある日、一護の命が狙われた。

刺客を放ったのは、敵国の隣国であった。一護は自分の剣を抜く前に、ルキアが剣を抜いて刺客を倒してしまった。

「ルキア、お前強くなったな」

「ふふふ、剣の師匠である浮竹殿と京楽殿に毎日剣の稽古をつけてもらっているからな。一護、貴様の身は私が守る。だから、貴様は私を守ってくれ」

「分かった」

ルキアは、寵姫であるが帯剣を許されて、騎士の称号を授与された。

もう、ただの寵姫で黒猫の亜人だからと泣いているルキアの姿はなかった。

「浮竹さんと京楽さんは教え方がうまいからな。でも、ルキアがここまで強くなるなんて思わなかった」

「私は自分の身を守るようになりたかった」

「ああ」

「もう、私は昔の私ではない」

「頼りになりそうだな。俺の背中は任せたぞ、ルキア」

「ああ、任せろ」

それからも、時おり一護は命を狙われた。一護自身が倒したり、ルキアが倒したりしていた。

「一護は、なぜ命を狙われているのだ?」

「ああ。隣国に、俺と同じ血筋をひく皇族がいてな。俺を亡き者にして、皇帝の座を奪おうとしているんだ」

「なんだと!そんな不届き者、殺してしまえばいい」

「隣国と戦争になっちまう。戦争になれば大きな戦になる。無駄な血が流れる。民が犠牲になる。戦争だけは、しちゃいけないんだ」

「一護‥‥‥」

ルキアは、一護に抱きついた。

「貴様は私が守ってやる」

「頼もしいな」

「もし、私の身に何か起きても、戦争はするなよ」

「ああ、分かっている」

ルキアは、一護と出会って変わった。

最初はただの寵姫の奴隷だった。今では、騎士の称号をもつ。

「浮竹さんと京楽さん呼んで、お礼の席をもうけようか」

「お、いい考えだな。あのお方たちには、とても世話になっている」

浮竹と京楽は、宴に招かれて、一護たちと一緒に酒を飲み、語り合う。

「ルキアちゃんは強くなったね。元々素質があったんだろうけど。黒猫の亜人はか弱い子が多いから、強くなってくれるのは嬉しいね」

「俺も、白猫の亜人だからルキアちゃんが奴隷として売られていた時の気持ちは分かる。一護君に買われなければ、今頃俺は性奴隷にされていたかもしれない。一護くんには、感謝をしてもしきれない」

「よしてください、浮竹さん。俺たちは対等な立場だ」

「皇帝が、そう言ってくれるのは嬉しいな」

ルキアも一護も酒を飲んだが、京楽はかなりの酒豪で、次々に酒のたるを開けてしまう。

「京楽、飲みすぎないようにな」

「浮竹、いいじゃない。君ももっと飲みなよ」

京楽にすすめられて、浮竹も飲むが、あまり酒に強くないのか酔って眠ってしまった。

「宴はお開きにするか」

「そうだね。浮竹寝ちゃったし」

京楽は、浮竹をおんぶする。

「ボクは、浮竹の恋人なんだよ」

突然の爆弾告白に、ルキアが真っ赤になる。一護は知っているのか、普通だった。

「じゃあ、浮竹連れて部屋に戻るから」

「は、はい‥‥‥‥」

ルキアは、去っていった浮竹と京楽の関係を、赤くなって見送った。

「ルキア」

「なんだ、一護」

「故郷に帰りたいか?」

「それは、そう言われればそうだが」

「ソサエティ王国の四大貴族、朽木白哉はお前の兄だろう?」

「兄様が、どうかしたのか?」

ルキアが、心配そうな顔になる。

「お前を返せと、このソウル帝国に滞在している」

「兄様が、この帝国に!」

ルキアは、一護に案内されて白哉が泊っている高級宿までやってきた。

「つもる話もあるだろうから、俺は外で待っておく。でも、これだけは言っておく。俺はお前を手放す気はない。ルキア、俺はお前を愛してる。奪われたら、奪い返す」

「一護‥‥‥‥」

ルキアは、兄である白哉のいる部屋に入る。

「ルキア!」

「兄様!」

その日、ルキアは実に半年ぶりに白哉と会った。白哉の胸に飛び込んで、ルキアは感動のあまり涙を流した。

「奴隷にされたと聞いてずっと探していたのだ。ソウル帝国の皇帝の寵姫にされたと知ったのはつい最近だ。ルキア、共にソサエティ王国に戻ろう」

「兄様、それはできません」

「なにゆえだ、ルキア」

「私は、この国の皇帝黒崎一護を愛しております。一護も、私を愛してくれています」

「真か」

「はい」

「無理やり連れ帰れば、飛び出しかねんか。分かった、ルキアそなたの意思を尊重しよう。自由を与える。好きに生きよ」

「すみません、兄様。ご心配ばかりおかけして」

「辛くなったら、いつでも帰ってくるとよい。皇帝の黒崎一護には、そう約束をとりつけた」

「はい、兄様。でも、私はきっと戻りません。不出来な妹を、お許しください」

「ルキア、幸せになれ」

「はい。兄様」

白哉は、1週間ほどソウル帝国に滞在して、故郷のソサエティ王国へと戻っていった。


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黒猫の皇妃3

ルキアは、相変わらず一護に寵愛されていた。

だが、閨を共にすることはなく、ただ夜は一緒に眠るだけだった。

細く華奢なルキアを胸の中に抱いて、一護は眠る。

ルキアは、それだけでも幸せを感じていた。性的な関係はなかったが、一護に愛されていることを感じれた。

「ルキア」

「なんだ」

「好きだぜ」

「知っている」

「なんで、お前は黒猫の亜人なんだろな?普通の人間なら、よかったのに」

「そう言われても、私は黒猫の亜人として生を受けたのだ。今更どうにもならぬ」

一護は、ルキアを抱き寄せる。

「家臣たちがな、黒猫の皇妃って、侮辱を含めた意味でお前を呼んでいるんだ」

「そうか。私も、後宮で他の寵姫たちにそう呼ばれている」

「辛くないか?後宮は、女だけの園だ。不自由はないか?」

「毎日後宮にいるわけでもないし、一護、貴様の元にいる時が多いから、不自由はしておらぬ」

「そうか。ならいいんだ。井上は後宮で嫌がらせを受けていたと言っていたから、離れに移した」

ズキンと、ルキアの胸が痛む。

「井上は、俺の子を身籠っているからな。万が一にでも毒でも盛られた日には、犯人は極刑だ」

井上に毒。

考えたこともなかったし、しようとも思わない。

ただ、お腹の子が生まれてこなければいいのにと、醜い気持ちがルキアの中で生まれていた。

ルキアはそれに目を背けて、一護と井上に接する。

「一護、今日は井上と一緒にいてやれ。最近ずっと私ばかりと寝ていて、井上と会っていないであろう。井上がかわいそうだ」

「あー。やっぱ、会ったほうがいいか。俺は、ルキアがいればそれでいいんだけどな」

ならば、なぜ井上を寵姫として傍におき、抱いたのだと責めたかった。

「ルキア、好きだ」

「私も、一護、貴様が好きだ」

「そっか。じゃあ、今夜は井上と寝るけど、また明日一緒に過ごそう」

「ああ、分かった」

一護の寵姫でいられるだけで十分なのだ。

妃の座など、望んではいけない。けれど、欲しい。

皇妃になれば、追放されることもない。寵姫という立場よりも強固に、一護と繋がっていられる。

「黒猫の皇妃か‥‥‥」

ルキアは、久しぶりに一人で寝た。

一護の温もりがないのが、とても寂しい夜だった。



一護は、ある日夕食の席にルキアだけでなく井上も呼んだ。

一護が離籍している間に、ルキアは井上と他愛もない会話をしていた。飲み物を井上が望んだので、とってきて飲ませてやると、腹痛を訴えたのでルキアは慌てて一護を呼んだ。

井上は、毒を盛られていた。

命に関わるものではなかったが、宿っていた腹の子を流すには十分な量の堕胎の毒が含まれていて、ルキアが疑われた。

「私ではない!私は、毒など盛っておらぬ!」

「ルキアちゃんからもらった飲み物を飲んだら‥‥‥」

「井上、私を疑うのか!」

「だって、私に一護様の子が宿っているの、一番嫌がっていたのはルキアちゃんでしょ!」

「違う!私は、そんなこと思っておらぬ!」

ルキアは、必死で弁明した。

一護は、ルキアを疑わなかった。調べると、毒をもったのは他の寵姫だと分かり、その寵姫は首をはねられて、極刑にされた。

「ルキア、ごめんな。みんなお前を疑ってた。もちろん、俺はルキアがそんなことするはずないって、信じてた」

「一護‥‥‥私以外を、抱くな。私を、一人にするな」

その日の夜、ルキアは一護に抱かれた。

子のできない体で。



「あ‥‥‥」

あまり膨らみをもたぬ胸をもまれて、ルキアは甘い声をあげる。

一護は、鍛え抜かれた裸身をさらして、ルキアの衣服を脱がしていく。

「怖いか?」

「少し」

「嫌なら、止める」

「いい。このまま、私を抱け」

灼熱に貫かれて、濡れていたとはいえ、指とは比べ物にならない質感に、ルキアは痛みに涙を零す。

秘所から、血があふれた。

「血が‥‥…」

「処女膜が破れたんだ。大丈夫、病気とかじゃない」

「そうか‥‥‥」

一護は、愛しそうにルキアを抱き、ルキアもまたそれにこたえた。

朝になり、ルキアは目を覚ます。隣には、一護がいて、お互い裸だった。

ついに、一線を超えてしまった。

けれど、その次の日からも一護は、ルキアと何もなかったかのようにふるまうし、ルキアもそれに文句を言わず、普通に接した。

夜は一緒に寝るし、食事をするのも一緒で、遊ぶのも一緒だった。

子を失った井上は、ショックから立ち直れず、生まれ故郷に戻された。

一護がルキア以外の寵姫を愛することはなかった。

ある日、ルキアは一護から美しい羽と囀りをもつ小鳥をもらった。ルキアは名をつけてかわいがった。

だが、ルキアが留守の間に小鳥は殺されてしまった。

ルキアは泣いて、犯人であろう寵姫を殴りまくった。

「ルキア、落ち着け!」

「できぬ!この女は、瑠璃を殺したのだ!」

小鳥の名前だった。

「また同じ鳥を贈ってやるから」

「そんなの意味がない。瑠璃がよかったのだ。あの子は特別だったのだ」

女の鼻血で汚れた手を、一護が掴んで止める。

「辛かったな。でも、これ以上殴ってはだめだ。相手が死んでしまう」

「一護‥‥‥‥うわあああああ」

ルキアは泣いた。

寵姫の嫌がらせで泣いたことはなかったが、大切にしていた小さな命を奪われて、泣いた。

一護は、いつまでもルキアを抱きしめていた。




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黒猫の皇妃2

「陛下、ルキア様を寵愛するのはいいのですが、残念ながらルキア様は子を宿せません。織姫様をもっと寵愛されるべきです」

家臣の言葉に、一護が顔をしかめる。

「俺がルキアを寵愛するのは俺の自由だ。今後、二度とそんなことを言うな」

一護は、皇帝としてよくソウル帝国を守っているが、早く世継ぎをと求める声が高かった。

ルキアは黒猫の亜人で、黒い猫耳と尻尾をもっている。とても貴重な存在で、残念ながら黒猫の亜人は子を成せないので、生まれてくるのは偶然であった。

ルキアは、ソサエティ王国の4大貴族、朽木家の出身であるが、攫われて売られ、一護に買われて奴隷を解放されて、寵姫となった。

ルキアが一護に買われて、2カ月が経とうとしていた。



「一護、魚釣りに出かけぬか」

「ああ、いいぜ。今日の執務は全部終わらせたしな」

一護はよく、お忍びで外に出かけることが多かった。

目立つオレンジの髪を隠せば、一護が皇帝だと分かる者は民にはほとんどいない。

一応近衛騎士はいるのだが、一護自体剣の腕が相当なものなので、外に遊びに行く時は近衛騎士はつけなかった。

「どこに魚釣りにいくんだ?」

「ソウル湖まで」

「ソウル湖か。馬がいるな」

「この前の黒馬で行こう。あの馬はお気に入りなのだ」

「ああ、そうするか。釣り道具とえさはこっちで準備させる」

やがて、ソウル湖まで釣り道具をもって馬を走らせると、1時間ほどでソウル湖についた。

さっそく、ルキアは餌を釣り針につけて、竿をたらす。

「どうせなら、主を釣るぞ」

「この湖の主はでかいぞ。4メートルはある」

「でかいな!ますます釣りたくなった」

一護とルキアは、釣りを続けるが、夏なので日差しが暑くなってきた。

いっこうに釣れそうにないので、一護は釣りをやめて、ソウル湖にばしゃんと音をたてて入ってしまった。

「一護!?」

ルキアがびっくりして、黒い猫の尻尾をぴーんと立てる。

「はは、気持ちいいぞルキア。お前も入れよ」

「しかし、着替えをもってきておらぬ」

「この日差しだ。濡れても、すぐに乾くだろ」

一護は、湖から出て、まだ逡巡しているルキアを湖に突き落とした。

「き、貴様、何をする!」

ルキアはびしょ濡れになって怒る。

「ははは、気持ちいいだろ?」

「確かに涼しいが‥‥‥」

一護は、ルキアに向かって水をかける。

ルキアも、黙ってやられるのはしゃくなので、一護に水をかけた。

「はははは、気持ちいいな?」

「一護のアホ!」

散々水遊びをして、岸にあがると、体のラインが浮き彫りになっているので、ルキアは恥ずかしがったが、一護がまったくもって、性的な目で見てこないので、ルキアも堂々とふるまう。

2時間もせぬうちに服はかわき、結局釣りは中止になって、馬に乗って宮殿に帰った。

「大変です、陛下!」

「どうした」

「寵姫のオリビエ様が流産を!」

「オリビエを抱いた覚えはない。後宮から追放しろ」

「はっ」

ルキアは、その言葉を聞いて怖くなった。

子はできぬ体。友人となれたと思っているが、飽きられていつか自分も後宮から追放されるのではないだろうかと。

「ルキア、今日はお前と寝れない。井上と寝る」

「ああ、分かった」

ルキアは、最近一護と一緒に寝ていた。

本当にただ一緒に寝るだけで、抱きしめられるが性的なことは一切なかった。

「ルキア」

「なんだ」

「好きだぜ」

「な、何を言っておるのだ!さっさと井上のところに行け!」

「ははははははは」

一護は、ルキアの黒い猫耳をもふってから、ルキアを置いて去ってしまう。

ルキアは、後宮の自分の部屋に戻る。

お気に入りのクッションが、刃物でずたずたに切り裂かれていた。

「またか‥‥一護に言ったほうがいいのだろうか」

他の寵姫からの嫌がらせは、止まることを知らない。

さらに半月が経ち、ルキアは井上に呼ばれた。

「どうしたのだ、井上」

「あのね‥‥‥一護様の子供、身籠ったみたいなの」

「え」

それは、ルキアがどんなに望んでもできないこと。

井上は、とても幸せそうに微笑んでいる。

「よかったな」

「うん。ルキアちゃんならそう言うと思っていたの」

ルキアは、自分の胸が苦しくなるのを感じていた。

一護は、ルキアは抱かないが井上は抱くのだ。

そして、結果子供ができた。

生まれてくれば、男女関係なく未来の皇帝だ。

「私は‥‥‥‥‥」

一護が、好きになっていた。

だが、たとえ抱かれても子供はできない。お飾りで、皇妃にはなれない。

黒猫の皇妃。

後宮で、寵姫たちがいやな意味をこめてルキアをそう呼んでいた。

だが、どんなに望んでもきっと、皇妃にはなれない。

黒猫の亜人だから。

ルキアは、その日自分が黒猫の亜人であることを、はじめて呪った。









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黒猫の皇妃1

「兄様‥‥‥誰か、助けて」

手枷に首輪と鎖で繋げられていた少女の名は朽木ルキア。

ソサエティ王国の4大貴族朽木家の人間だった。朽木家は亜人の家系で、ルキアには黒い猫耳と猫の尻尾があった。

人攫いに掴まり、闇ルートでソウル帝国の闇市でオークションにかけられていた。

「7千万」

「1億」

「1億2千万」

「5億」

ざわりと、周囲が騒がしくなったかと思うと、5億という言葉をオレンジ色の髪の少年が出して、沈黙が訪れる。

「皇帝だ!皇帝の黒崎一護様だ!」

わぁわぁと、場がうるさくなる。

「そいつ、気に入った」

「運がいいな、女!皇帝がお買い上げだ!贅沢な暮らしができるぞ!」

「うるさい!私は、奴隷などではない!」

「ばーか、売られているお前は奴隷なんだよ!」

ジャラリと鎖を引っ張られて、ルキアが前のめりに倒れそうになる。

それを、ルキアを5億で競り落とした一護が止めた。

「そいつは、もう俺のものだ」

「あ、はい、すいません皇帝陛下!」

「皇帝‥‥‥」

ルキアは黒い猫耳をぴくぴくさせながらも、一護を威嚇する。

「今すぐに、何もしやしねーよ。お前は俺のもんだ。おとなしくしていれば、俺の目の届く範囲でだが自由も与えるし衣食住は保証する」

「私は、生まれ故郷に帰るのだ!兄様がきっと心配しておいでだ!」

「ばーか。お前は俺に買われた奴隷だ。故郷になんて帰らせねぇ。どうしても帰りたきゃ、5億
を今現金で支払え」

「そんな大金、もっているはずがなかろう!」

「じゃあ、お前はやっぱ今日から俺の奴隷だ」

「兄様ぁああ」

一護に連れられようとして、ルキアはめちゃくちゃに暴れた。見かねた奴隷商人が、ルキアの鳩尾に拳を入れて気絶させる。

「すみません。皇帝陛下。しつけのなっていない奴隷で」

「かまわねぇよ。生意気なところが気に入った」

一護は、近衛騎士にルキアを担がせて、闇市からぬけだして宮殿に戻る。

「陛下、また勝手に宮殿を抜け出して!なんですか、その汚い少女は!」

「俺が競り落とし奴隷だ。どうやら、貴族の生まれらしい。生意気で面白そうだから、しばらく傍にいさせる」

「はぁ‥‥」

一護の気まぐれは、今に始まったことではない。

後宮には百人をこえる美女や美少女たちが入れられていて、大半が元奴隷であった。ルキアも、その中に入ることになる。

「しかし、まだ幼い。世継ぎを産ませるには向かないとみられますが」

「別にいいだろ。それに妹たちもいる。皇族はちゃんといるんだし、子を早急にもうける必要はない」

「陛下‥‥‥‥」

近衛騎士が、ルキアが気づいたのを一護に知らせる。

「とりあえず、手枷と首輪と鎖を外して、風呂にいれて新しい服を着せて身ぎれいにさせろ。それから食事は‥‥‥俺と一緒にとらせる」

「離せ!私を誰だと思っている!」

「おい、お前、名前は?」

一護が、暴れるルキアを抱き寄せる。

「貴様‥‥‥」

「怖かっただろ。もう、暴力を振るう人間はいねぇ。俺が守るから、安心しろ」

「あ‥‥‥‥」

ルキアは、涙をぽろぽろ流し始めた。

「名は、朽木ルキア‥‥‥」

「ソサエティ王国の四大貴族か。人攫いに捕まったんだな」

「故郷に、帰りたい‥‥‥‥」

「とりあえず、風呂はいってこい。おい、誰か」

「はい、陛下」

「ああ、井上か。すまねぇが、ルキアを風呂にいれて着替えさせてやってくれ」

ルキアも、自分の運命を受け入れたのか、手枷と首輪と鎖を外されると、おとなしくなった。

「さあ、ルキアちゃん。お風呂に入ろ。ご飯は、一護様ととることになるだろうけど」

ルキアは、後宮出身の寵姫である井上織姫に連れられて、侍女と一緒になってルキアを風呂にいれて、絹のドレスを着せた。

そして、一護と会わせる。

「お、可愛いじゃねぇか」

「う、うるさい!」

「口の利き方がなってねーけど、まぁいいか。ろくなもの食べさせてもらってないだろ。細すぎだ」

「生まれつきだ!腹など減っておらぬ!」

ルキアは、並んだ豪華な食事を見てそう言い張るが、ぐうううと、腹がなった。

「腹減ってるんだろ。毒なんて入ってないから、安心しろ」

「私をどうするつもりだ」

「後宮に入れて寵姫にする」

「‥‥‥‥後悔するぞ」

「何か問題でもあんのか?」

「私は、生まれつき子が産めぬ」

嘘ではなかった。亜人で黒猫の耳と尻尾をもつ個体は、子を作れない。

ごくまれに生まれてきて、億をこえる値段で売買された。

それが、朽木家に生まれてきた。身分の高い貴族であるお陰で、奴隷になることは今まで防がれていたが、人攫いに捕まりこうして奴隷として売られてしまった。

子を産めないので、性玩具として生きるか、労働を強いられるかしかない。

「別に、子供なんて産めなくていいぜ。俺はルキア、お前を気に入った。嫌なら手は出さないし、ただ傍にいてくれればいい」

「本当に、それでよいのか?」

ルキアが、聞き返す。

「ああ、それでいい」

こうして、ルキアは102人目の寵姫として、黒崎一護の後宮に入れられるのであった。



そうして、1カ月が経った。

「ルキア」

「なんだ、一護」

ルキアは一護から特別扱いされて、名を言い捨てにしても許可されていた。

「いい黒馬が手に入ったんだ。外に、遠出に出かけないか」

「ああ、いいぞ」

ルキアも、最初は故郷に帰ろうと足掻いていたが、一護の寵愛を受けて、いつか里帰りを許されるのを待っている。

一護の一番の寵姫でいることは、苦痛ではなかった。

ただ、他の寵姫から嫌がらせをされるが。

「そういえば、聞きたいことがあった」

「なんだ?」

「貴様は、巨乳好きではないのか。後宮の者は皆巨乳の娘ばかりだ。私のような貧乳も好みなのか?」

「あー。後宮の寵姫のほとんどが、親父や家臣が集めた女だ。俺が自分の意思で後宮に入れたのは、ルキアと井上くらいだ。別に巨乳が好きなわけでもないし、貧乳とかも関係ねーな。俺が気に入るだろうと、あえて巨乳の女が集められてるだけだ」

「そうか」

ルキアは安堵する。

出会って1か月。

一護はルキアを気に入っていたし、ルキアも一護を好きになっていた。

「おし、遠出にいくぞ。馬は乗れるか?無理なら同じ馬に乗せるけど」

「ばかにするな。乗馬くらい、できる」

「へぇ」

「これでも、ある程度の訓練は受けている」

身を守る術はいまいちのせいで人攫いに捕まったが、ルキアが危惧するような、閨への誘いは一切なかった。

一護はルキアを寵姫としたが、関係はとても仲のよい友人のようであった。




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オメガバース恋白11

白哉が妊娠した。

そう気づいたのは、白哉が子を流産してからであった。

ヒート期間中、アフターピルを飲み忘れ、子を宿してしまった。だが、まだ白哉には子を産むつもりはなく、できたら中絶するつもりだった。

いざ、子を宿していたと知ると、なくなった命が尊すぎるようにかんじた。

「隊長、無理しないでください。流産したばかりなんすから」

「大丈夫だ」

白哉は、数日安静にしてから仕事を普通にこなしていた。

「あ、その書類の束俺が運びます!」

恋次は、白哉に力仕事をさせない。

隊首会があり、白哉はそれに出席していた時に子を流した。

「恋次‥‥‥気を遣いすぎだ。私はもう、どうということはない」

「それでも、俺はあんたが大事っすから」

「恋次」

恋次の優しさは心に染みるが、子を身籠っていたと気づけなかった自分を、白哉は恥じていた。

「もし、また子を宿したら、私は産もうと思う」

「え、まじっすか」

「どのみち、朽木家の跡取りがいないのだ。私がオメガである以上、番である兄と子を成して跡継ぎにするのが普通であろう」

「隊長、無理してませんか?」

恋次は、優しく白哉を抱き寄せる。

白哉は、人知れず傷ついていた。

「‥‥‥‥すまぬ。兄との間にできた子を、失ってしまった」

白哉は、小さい涙を零した。

「流れたのは仕方ないっす。俺も気づけなかったし」

「恋次、私を嫌いにならぬか?」

「嫌いになんてなりません」

「抱いてくれ」

「え、でも」

恋次は逡巡する。

今はヒート期間でもないし、白哉は子を流してからまだそれほど経っていない。

「よいから、抱け」

「分かりました」

逢瀬に使う屋敷にいき、二人で湯あみをして夕食を食べてから、褥に向かう。

「あ‥‥‥」

しつように胸の先端ばかりいじる恋次に、白哉が懇願する。

「下も、触ってほしい」

すでに白哉のものは勃っていて、秘所も濡れていた。

恋次は、白哉の衣服を全部脱がせると、白哉の全身にキスの雨を降らせて愛撫する。

「んあっ」

白哉は目を潤ませて、恋次を見る。

恋次はゆっくりと白哉を抱くつもりであったのだが、白哉の反応や濡れた瞳に己の欲望が膨らんで弾けそうになる。

「指、いれますよ?」

潤滑油を指につけて、白哉の蕾に指を侵入させる。

「あっ」

「ここ、いいっすか?」

こりっと、指を折り曲げてやると、白哉がこくこくと頷いた。

「恋次、もっと」

「はい‥‥‥ここ、前立腺っすね。先に一度、いっちゃってください」

恋次は、白哉の中を指で刺激すると同時に前に舌を這わせて奉仕する。

「ひあああ、同時はやああああ」

「いっていいっすよ?」

ぐっと、指で中を押して、白哉のものを口に含んでちろちろと鈴口を刺激してやると、白哉は恋次の口の中に精液を吐き出していた。

「子を流してから、交わってなかったっすから、ちょっと濃いっすね」

「やっ、言うな」

「挿入れますよ?」

指をひきぬいて、恋次は自分のものを白哉の蕾にあてがう。

「あああああああ!!!」

引き裂かれる瞬間は、いつまで経っても慣れない。

痛みと同時に快楽が混ざりこむ。

「んっ」

恋次は、己のものを白哉の中にいれて、動かなかった。

「恋次?」

「しばらく、こうさせてください。あんたの中、すごくきもちいい。それに、なじむまで時間かかるだろうし」

「あ、私はもっと激しくしてほしい」

白哉は、自分から恋次に口づける。

舌を絡ませあって、引き抜くとつっと銀の糸が垂れた。

「ああもう、どうなっても知らないっすよ?」

恋次は、勢いよく白哉の中を穿つ。

「あああ!」

白哉はびくんを体をしならせて、オーガズムでいってしまう。

「もっと、乱れてください。俺だけを求めて?」

「あ、恋次、恋次」

白哉は、熱病にうなされたかのように恋次の名を繰り返し呼び、瞳を潤ませる。

「恋次、もっともっと欲しい。私を兄で満たしてくれ」

「隊長‥‥‥‥愛してます」

恋次は、白哉を突き上げる。

「んああああ」

「もっと?」

「あ、もっと」

白哉が求めるままに、交じり合う。

結合部はぐちゅぐちゅと音をたてて、泡立っていた。

「子種注いであげますから、また俺の子孕んでくださいね?」

「ひああああああ!!!」

恋次は、白哉の子宮に入り込み、直接ドクドクと大量の精液を注ぎ込む。

「んあああ、あ、熱い」

「まだ、出しますよ?」

「いあああああ」

たっぷりと子種を注がれるが、白哉はまだ足りないようで恋次を求める。

「もっと、私を愛せ」

「ああもう、隊長かわいすぎ」

恋次は、まだ萎えていない自分のもので、白哉の中をかき混ぜる。

「うあっ」

「ここも、いいんすか?」

「あ、分からぬ」

「じゃあ、いいってことで」

「ひあう」

どちゅんと奥まで貫き、恋次は一度白哉から己を抜き取る。

「恋次?」

「隊長が上になってください」

「分かった‥‥‥‥」

騎乗位は、普段あまりしない。

ずぶずぶと、白哉は自分の体重で恋次のものを飲み込んでいく。

「んんん」

白哉は恋次の胸に両手をついて、拙い動きで自分から動いた。

「すっげーいい眺め」

「ん、やっ」

トンと下から突き上げられて、白哉は乱れた。

「ああああ、恋次」

「隊長‥‥‥…また、出しますよ?全部飲んでくださいね?」

「ひあああああ!」

ドクドクと、精液を白哉の子宮に注ぎこみ、恋次は白哉に口づける。

「愛してます、隊長」

「んああああ‥‥‥」

白哉は、遠ざかっていく意識の中で、恋次の赤い髪を掴んでいた。

「隊長」

呼んでも、白哉に反応はない。

「アフターピル、いりますよね。ほんとは子供産んでほしいんすけど、まだ早いかな」

口移しで、水とアフターピルを飲ませて、精液と体液で汚れた白哉の体を綺麗にすると、中に出したものをかき出した。

「隊長。隊長さえいれば、俺はそれでいいんすよ」

恋次は白哉の絹のような黒髪を撫でて、額にキスをするのだった。



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