奴隷竜とSランク冒険者9
夢渡りは無事に終わり、夢の中で浮竹と京楽は違う世界の浮竹と出会って、会話をした。
違う世界の浮竹は、京楽を怖がっていたが。
京楽が二人も浮竹がいるとでれでれするものだから、浮竹は京楽の頭をハリセンでなぐった。
「幸せ~~」
それでも幸福そうな京楽は、ある意味本当に幸せなやつだ。
目覚めると、朝だった。
「ふー。不思議な夢だったねぇ」
「お前は、でれでれしすぎだ!」
「だって、浮竹が二人だよ!?天国じゃない」
「お前の天国になりたくない・・・・・・」
浮竹はベッドから起きると、顔を洗い、歯を磨きにいった。
京楽もその後から顔を洗い、歯を磨く。
「さて、今日のメニューはとんかつです」
「う・・・・朝から、また胃に重そうなものを」
「だって昨日のとんかつまだ残ってるんだもの。捨ててもいいけど、高級肉で作ってるから少しもったいなくてね」
ぶつぶつ文句を言いながらも、浮竹は朝食のとんかつを完食してしまった。
ちなみに京楽は残した。
「もったいない」
京楽の分まで、浮竹が食べる。
「君の胃って、どうなってるの?」
「普通だ」
「でもけっこう食べるよね」
「気のせいだ」
夕飯とか、結構軽く2人前くらい食べる。その後にデザートも食べる。
「まぁ、今更だから仕方ないことだしね。君の食欲の多さは元気の証だし」
「今日は冒険者ギルドに行くのか?」
「うん。ちょっと、同じSランク冒険者と話があってね」
京楽と浮竹は、冒険者ギルドにやってきた。
会う約束のSランク冒険者はもうきていた。
朽木白哉、阿散井恋次だった。
最近Sランクになったばかりで、同じSランク冒険者の保証人がいるのだ。
任務に失敗した時の罰則金を払えない時、保証人の冒険者が払うことになっていた。
「すまぬ。兄の手を煩わせるつりもではなかったのだが」
「白哉君も恋次君も、Sランクになって間もないからね。依頼は、くれぐれも身の丈に合ったものを選ぶんだよ」
「無論だ」
「絶対、京楽さんや浮竹さんをこえるSランク冒険者になってみせるっす」
赤い髪が印象的なのは阿散井恋次だと、京楽が浮竹に教える。
黒い髪の凛とした青年が、朽木白哉だと教えた。
「白哉君には義妹がいてね。Aランク冒険者なんだ。名前はルキアちゃんだっけ。元気にしてる?」
「ルキアは、黒崎一護という精霊族と石田雨竜というエルフ、井上織姫というのとパーティーを組んでいて、Aランクダンジョンに挑んでいる。先日会ったが、元気そうにしていた。仲間にも恵まれているようだし、ダンジョンでのたれ死ぬようなことはなかろう」
「だ、そうだよ」
「ルキアの奴、俺の誘いは断ったくせに、一護の誘いには乗るのかよ!」
恋次は、ぶつぶつ文句を言っていた。
「ルキアちゃんをめぐって、恋次君と一護君はライバルでね」
こそこそと、京楽が浮竹に耳打ちする。
「ふむ。一夫多妻があるのだろう、人間社会には。逆に一妻多夫があってもいいんじゃないか」
「一妻多夫・・・・考えたこともなかったよ」
京楽は、白哉に何事かこそこそ話こむ。
「分かった。兄の言う通り、ルキアは一護と恋次と結婚させよう」
「えええええええ」
いきなりのことに、恋次が悲鳴をあげる。
「ルキアと結婚できるのは嬉しいけど、一護も一緒だなんて」
「では、ルキアは一護だけと結婚させよう」
「いや、します!結婚します!!!」
こうして、本人のいない間にルキアの結婚は決まってしまうのであった。
「本人がいないのに、結婚というのは何かおかしい気がするんだが」
「ああ、でも朽木家は大貴族だからねぇ。政略結婚に使われる前に、好きな相手と結婚させておけば、一族から結婚のことで文句は言われるだろうけど、政略結婚とは無縁になるから」
「ふむ」
「まぁ、その代わり当主の白哉にしわ寄せがくるだろうけど、緋真ちゃんっていう妻がいたからね」
「白哉は結婚していたのか」
「うん。病弱ですでに亡くなっているけどね」
「跡継ぎは?」
「それが、生まれる前に他界してしまって・・・・何度も断っているみたいだけど、今だに縁談の話が白哉君には舞いこんでくるしね。まぁ、次の当主をルキアちゃんの子供にするって決めてるみたいだから、無理に嫁いでくる押しかけ女房みたいな存在は、今のところないけど」
京楽は、そう言えばと話題を切り替える。
「忘れてたけど、僕の実家もそれなりの大貴族なんだよねぇ。家督は兄に任せてあるし、後継ぎの子もいるから、次男の僕は冒険者として自由にやらせてもらってるけど」
「な、京楽は貴族だったのか。全然そうに見えない」
「まぁ、放任主義で育てられたせいで、子供の頃かダンジョンにもぐるような生活送ってたからね。将来は絶対にSランク冒険者になるって言いふらして、実際にSランク冒険者になったよ」
「夢を現実にしたんだな」
「うん」
「そうか。俺にも、夢があるんだ」
浮竹は、翠の瞳で京楽を見た。
「どんな夢?叶えられるなら、叶えてあげるよ」
「いつか、他のムーンホワイトドラゴンと会いたい」
「それは・・・・難しい夢だね」
「ああ」
ムーンホワイトドラゴンは、巷ではもう絶滅しているのではないかと言われているほどに希少種だ。
「いつか、母上や父上、兄弟たちと会ってみたい」
「うん、会えるといいね。世界を旅しながら、探してみるのもいいかもね」
「ただの俺の我儘だ。気にしないでくれ。俺は、京楽と一緒にSランク冒険者をしている今が、一番楽しいんだ」
「夢より、僕をとってくれるの?」
「当たり前だろう」
「ふふ、なんか照れるね」
抱きしめ合い、キスをする。
ちなみに、その場には白哉と恋次がまだいたのだった。
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
無言で、二人を残して去っていくのに気づき、浮竹は京楽を蹴り転がす。
「ご、誤解だ!」
「「お幸せに」」
「京楽のあほおおお」
「ええええ、なんで僕のせいになるのおおおお」
京楽の悲鳴は、冒険者ギルドの1階にある酒場まで聞こえるのだった。
違う世界の浮竹は、京楽を怖がっていたが。
京楽が二人も浮竹がいるとでれでれするものだから、浮竹は京楽の頭をハリセンでなぐった。
「幸せ~~」
それでも幸福そうな京楽は、ある意味本当に幸せなやつだ。
目覚めると、朝だった。
「ふー。不思議な夢だったねぇ」
「お前は、でれでれしすぎだ!」
「だって、浮竹が二人だよ!?天国じゃない」
「お前の天国になりたくない・・・・・・」
浮竹はベッドから起きると、顔を洗い、歯を磨きにいった。
京楽もその後から顔を洗い、歯を磨く。
「さて、今日のメニューはとんかつです」
「う・・・・朝から、また胃に重そうなものを」
「だって昨日のとんかつまだ残ってるんだもの。捨ててもいいけど、高級肉で作ってるから少しもったいなくてね」
ぶつぶつ文句を言いながらも、浮竹は朝食のとんかつを完食してしまった。
ちなみに京楽は残した。
「もったいない」
京楽の分まで、浮竹が食べる。
「君の胃って、どうなってるの?」
「普通だ」
「でもけっこう食べるよね」
「気のせいだ」
夕飯とか、結構軽く2人前くらい食べる。その後にデザートも食べる。
「まぁ、今更だから仕方ないことだしね。君の食欲の多さは元気の証だし」
「今日は冒険者ギルドに行くのか?」
「うん。ちょっと、同じSランク冒険者と話があってね」
京楽と浮竹は、冒険者ギルドにやってきた。
会う約束のSランク冒険者はもうきていた。
朽木白哉、阿散井恋次だった。
最近Sランクになったばかりで、同じSランク冒険者の保証人がいるのだ。
任務に失敗した時の罰則金を払えない時、保証人の冒険者が払うことになっていた。
「すまぬ。兄の手を煩わせるつりもではなかったのだが」
「白哉君も恋次君も、Sランクになって間もないからね。依頼は、くれぐれも身の丈に合ったものを選ぶんだよ」
「無論だ」
「絶対、京楽さんや浮竹さんをこえるSランク冒険者になってみせるっす」
赤い髪が印象的なのは阿散井恋次だと、京楽が浮竹に教える。
黒い髪の凛とした青年が、朽木白哉だと教えた。
「白哉君には義妹がいてね。Aランク冒険者なんだ。名前はルキアちゃんだっけ。元気にしてる?」
「ルキアは、黒崎一護という精霊族と石田雨竜というエルフ、井上織姫というのとパーティーを組んでいて、Aランクダンジョンに挑んでいる。先日会ったが、元気そうにしていた。仲間にも恵まれているようだし、ダンジョンでのたれ死ぬようなことはなかろう」
「だ、そうだよ」
「ルキアの奴、俺の誘いは断ったくせに、一護の誘いには乗るのかよ!」
恋次は、ぶつぶつ文句を言っていた。
「ルキアちゃんをめぐって、恋次君と一護君はライバルでね」
こそこそと、京楽が浮竹に耳打ちする。
「ふむ。一夫多妻があるのだろう、人間社会には。逆に一妻多夫があってもいいんじゃないか」
「一妻多夫・・・・考えたこともなかったよ」
京楽は、白哉に何事かこそこそ話こむ。
「分かった。兄の言う通り、ルキアは一護と恋次と結婚させよう」
「えええええええ」
いきなりのことに、恋次が悲鳴をあげる。
「ルキアと結婚できるのは嬉しいけど、一護も一緒だなんて」
「では、ルキアは一護だけと結婚させよう」
「いや、します!結婚します!!!」
こうして、本人のいない間にルキアの結婚は決まってしまうのであった。
「本人がいないのに、結婚というのは何かおかしい気がするんだが」
「ああ、でも朽木家は大貴族だからねぇ。政略結婚に使われる前に、好きな相手と結婚させておけば、一族から結婚のことで文句は言われるだろうけど、政略結婚とは無縁になるから」
「ふむ」
「まぁ、その代わり当主の白哉にしわ寄せがくるだろうけど、緋真ちゃんっていう妻がいたからね」
「白哉は結婚していたのか」
「うん。病弱ですでに亡くなっているけどね」
「跡継ぎは?」
「それが、生まれる前に他界してしまって・・・・何度も断っているみたいだけど、今だに縁談の話が白哉君には舞いこんでくるしね。まぁ、次の当主をルキアちゃんの子供にするって決めてるみたいだから、無理に嫁いでくる押しかけ女房みたいな存在は、今のところないけど」
京楽は、そう言えばと話題を切り替える。
「忘れてたけど、僕の実家もそれなりの大貴族なんだよねぇ。家督は兄に任せてあるし、後継ぎの子もいるから、次男の僕は冒険者として自由にやらせてもらってるけど」
「な、京楽は貴族だったのか。全然そうに見えない」
「まぁ、放任主義で育てられたせいで、子供の頃かダンジョンにもぐるような生活送ってたからね。将来は絶対にSランク冒険者になるって言いふらして、実際にSランク冒険者になったよ」
「夢を現実にしたんだな」
「うん」
「そうか。俺にも、夢があるんだ」
浮竹は、翠の瞳で京楽を見た。
「どんな夢?叶えられるなら、叶えてあげるよ」
「いつか、他のムーンホワイトドラゴンと会いたい」
「それは・・・・難しい夢だね」
「ああ」
ムーンホワイトドラゴンは、巷ではもう絶滅しているのではないかと言われているほどに希少種だ。
「いつか、母上や父上、兄弟たちと会ってみたい」
「うん、会えるといいね。世界を旅しながら、探してみるのもいいかもね」
「ただの俺の我儘だ。気にしないでくれ。俺は、京楽と一緒にSランク冒険者をしている今が、一番楽しいんだ」
「夢より、僕をとってくれるの?」
「当たり前だろう」
「ふふ、なんか照れるね」
抱きしめ合い、キスをする。
ちなみに、その場には白哉と恋次がまだいたのだった。
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
無言で、二人を残して去っていくのに気づき、浮竹は京楽を蹴り転がす。
「ご、誤解だ!」
「「お幸せに」」
「京楽のあほおおお」
「ええええ、なんで僕のせいになるのおおおお」
京楽の悲鳴は、冒険者ギルドの1階にある酒場まで聞こえるのだった。
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奴隷竜とSランク冒険者8
今日は満月の日だ。
素直な尻尾の半竜人姿の浮竹を見たくて、京楽は日の出とともにスタンバイしていた。
「ん~。おはよう」
「おはよう」
「あ、今日は満月か。半竜人化して、外に出れないな」
ぺたんと尻尾を伏せる。
「室内デートしよ」
「室内デート?」
「そう。まぁ、ただいちゃいちゃするだけなんだけけど」
「お断りだ!」
そう言いながらも、浮竹の尻尾は嬉しそうにぶんぶん振られていた。
「え、だめぇ?」
「う・・・・だめじゃ、ない」
ぶんぶん。
勢いのいい尻尾は、京楽の足に当たった。
「ぬおおおおおお」
思わぬ激痛に、京楽は蹲る。
「京楽?し、尻尾があたったのか?」
「いや、なんのこれしき。愛の力の前では・・・・ヒーリング」
「愛の力の前とか言いながら、癒しの魔法使うな」
つーんと浮竹はすねた。
「今日は、ガトーショコラのケーキ作ってあげるから」
ぶんぶん。
嬉しそうに動く尻尾に苦笑しながら、京楽と浮竹は満月の日は室内で過ごすことに決めるのだった。
「ガトーショコラケーキ、まだか?」
「あと5分待って。上にチョコレート味の生クリーム乗せるから」
浮竹はチョコレートが大好きだ。
甘い物が好きなので、よく京楽が甘いお菓子を作ってくれた。
作れない忙しい時は、店で買って、冷蔵庫にストックしておく。
ダンジョンにもぐって、宿に帰れない日なんかは、アイテムポケットに入れたりしていた。
「ほら、お待ちどうさま。ガトーショコラケーキだよ」
「お、うまそうだな」
浮竹は、フォークを丁寧に使って、ガトーショコラケーキを食べる。
「ん・・・苦いが、上にのってるチョコ味の生クリームがあまくって、まっちする」
「ガトーショコラケーキは苦い味が売りだからね。もっと甘いケーキがよかった?」
「これはこれでいい。ほろ苦いけど美味しい」
浮竹は、椅子に座りながら尻尾をぶんぶん振っていた。
「京楽、お前は食べないのか?」
「ああ、君の分だけ作ったから」
「仕方ない。口をあけろ」
浮竹の言う通りに口をあけると、浮竹は自分の食べていたガトーショコラケーキを一口京楽の口に放り込んだ。
「こ、これが俗に言うあーん・・・・・」
「あーん?なんだ、それは」
「気にしないで」
京楽は、ほわほわしていた。
「桃の天然水だよ。ほのかに甘いよ。飲んでごらん」
「ん、確かに僅かに甘い」
桃の天然水をもらい、浮竹の尻尾はもうぶんぶんしっぱなしであった。
「おいしかったかい?」
「ふん、まぁまぁだな」
ツンデレな言い方とは裏腹に、尻尾は嬉しそうにぶんぶん振っている。
そんな浮竹の尻尾を、京楽は好きだった。
「ねぇ、僕のこと好き?」
「なんだ、突然」
「好き?嫌い?」
「普通・・・・・・」
ぶんぶんぶんぶん。
尻尾の振り方を見て、京楽は浮竹に口づけた。
「ん・・・・・・」
「ふふ、ほろ苦い。ガトーショコラの味がするね」
「この桃の天然水というの、おかわりはないのか」
「それ、今冬だから冷凍した桃から果汁をしぼって天然水と混ぜているからね。けっこう高いんだよ。あと2本しか、ストックがないよ」
「じゃあ、1本くれ」
「仕方ないねぇ」
京楽は、冷蔵庫をあけてよく冷えた桃の天然水を浮竹に渡した。
浮竹は、それを一口含んで、京楽にくちづけて、中身を流しこむ。
「んっ・・・・・」
京楽は、浮竹の舌をとらえてゆっくりと自分の舌で絡めとる。
「んあっ」
つっと、銀の糸をひいて舌が出ていく。
「その気になった?」
「ばか、こんな昼からそんな気になるか!」
尻尾はぶんぶん振っていないので、浮竹にその気がないと分かって、京楽は手を出すのは夜にしようと決める。
「時間はいっぱいあるしね。この前、君が気にしていた小説の最新作買っておいたよ」
「お、読みたい」
ぶんぶんと尻尾を振って、浮竹は京楽から小説の最新刊をもらって、読んでいく。
その間、暇なので京楽は少し手のこんだ夕飯を作り始めた。
「ふあ~、もう夕方か。腹減った」
「今日はいろいろ作ったよ。美味しく食べてね?その後、僕がおいしく浮竹を食べちゃうから」
「む、俺を抱く気か」
「だめ?」
「だめ・・・・・じゃ、ない」
尻尾はゆっくりと振っていた。
京楽の作った手の込んだ夕飯をゆっくり食べて、風呂に入り、髪をかわかしていると、京楽が浮竹の部屋に入ってきた。
片付いてはいるが、魔導書が床につまれていたりで、広い部屋は少し狭く感じた。
「おいで、浮竹」
「ん・・・・・・・」
京楽に抱き寄せられて、長い白髪がさらさらと零れる。
「大好きだよ、浮竹。ずっと、僕の傍にいてね」
「京楽・・・・・お前は、半竜人の俺を抱くが、この姿、不気味じゃないのか?」
「全然。すごく綺麗だよ。尻尾は素直だし」
「むう・・・・」
「ふふ、かわいい」
「あっ」
尻尾の先を握られて、思わず甘い声を出す。
「美味しく食べちゃっていい?」
「お前になら・・・いい」
浮竹は目を閉じる。
京楽が衣服を脱いで、覆いかぶさってくる。
「愛してる・・・・・・」
浮竹はそっと呟いて、目を開ける。
京楽の鳶色の瞳と視線が合った。
「ふふ、頬が赤いね。緊張してる?」
「そ、そんなことない。はじめてじゃないし・・・・それより、加減しろよ?お前に本気を出されて抱かれた次の日は、癒しの魔法がないと腰が痛い」
「分かってるよ。優しくするから・・・・・」
ちゅっと、額に口づけられて、浮竹も京楽の額に口づける。
夜はまだはじまったばかり。
奴隷竜であった浮竹と、Sランク冒険者の京楽の夜は、更けていくのだった。
素直な尻尾の半竜人姿の浮竹を見たくて、京楽は日の出とともにスタンバイしていた。
「ん~。おはよう」
「おはよう」
「あ、今日は満月か。半竜人化して、外に出れないな」
ぺたんと尻尾を伏せる。
「室内デートしよ」
「室内デート?」
「そう。まぁ、ただいちゃいちゃするだけなんだけけど」
「お断りだ!」
そう言いながらも、浮竹の尻尾は嬉しそうにぶんぶん振られていた。
「え、だめぇ?」
「う・・・・だめじゃ、ない」
ぶんぶん。
勢いのいい尻尾は、京楽の足に当たった。
「ぬおおおおおお」
思わぬ激痛に、京楽は蹲る。
「京楽?し、尻尾があたったのか?」
「いや、なんのこれしき。愛の力の前では・・・・ヒーリング」
「愛の力の前とか言いながら、癒しの魔法使うな」
つーんと浮竹はすねた。
「今日は、ガトーショコラのケーキ作ってあげるから」
ぶんぶん。
嬉しそうに動く尻尾に苦笑しながら、京楽と浮竹は満月の日は室内で過ごすことに決めるのだった。
「ガトーショコラケーキ、まだか?」
「あと5分待って。上にチョコレート味の生クリーム乗せるから」
浮竹はチョコレートが大好きだ。
甘い物が好きなので、よく京楽が甘いお菓子を作ってくれた。
作れない忙しい時は、店で買って、冷蔵庫にストックしておく。
ダンジョンにもぐって、宿に帰れない日なんかは、アイテムポケットに入れたりしていた。
「ほら、お待ちどうさま。ガトーショコラケーキだよ」
「お、うまそうだな」
浮竹は、フォークを丁寧に使って、ガトーショコラケーキを食べる。
「ん・・・苦いが、上にのってるチョコ味の生クリームがあまくって、まっちする」
「ガトーショコラケーキは苦い味が売りだからね。もっと甘いケーキがよかった?」
「これはこれでいい。ほろ苦いけど美味しい」
浮竹は、椅子に座りながら尻尾をぶんぶん振っていた。
「京楽、お前は食べないのか?」
「ああ、君の分だけ作ったから」
「仕方ない。口をあけろ」
浮竹の言う通りに口をあけると、浮竹は自分の食べていたガトーショコラケーキを一口京楽の口に放り込んだ。
「こ、これが俗に言うあーん・・・・・」
「あーん?なんだ、それは」
「気にしないで」
京楽は、ほわほわしていた。
「桃の天然水だよ。ほのかに甘いよ。飲んでごらん」
「ん、確かに僅かに甘い」
桃の天然水をもらい、浮竹の尻尾はもうぶんぶんしっぱなしであった。
「おいしかったかい?」
「ふん、まぁまぁだな」
ツンデレな言い方とは裏腹に、尻尾は嬉しそうにぶんぶん振っている。
そんな浮竹の尻尾を、京楽は好きだった。
「ねぇ、僕のこと好き?」
「なんだ、突然」
「好き?嫌い?」
「普通・・・・・・」
ぶんぶんぶんぶん。
尻尾の振り方を見て、京楽は浮竹に口づけた。
「ん・・・・・・」
「ふふ、ほろ苦い。ガトーショコラの味がするね」
「この桃の天然水というの、おかわりはないのか」
「それ、今冬だから冷凍した桃から果汁をしぼって天然水と混ぜているからね。けっこう高いんだよ。あと2本しか、ストックがないよ」
「じゃあ、1本くれ」
「仕方ないねぇ」
京楽は、冷蔵庫をあけてよく冷えた桃の天然水を浮竹に渡した。
浮竹は、それを一口含んで、京楽にくちづけて、中身を流しこむ。
「んっ・・・・・」
京楽は、浮竹の舌をとらえてゆっくりと自分の舌で絡めとる。
「んあっ」
つっと、銀の糸をひいて舌が出ていく。
「その気になった?」
「ばか、こんな昼からそんな気になるか!」
尻尾はぶんぶん振っていないので、浮竹にその気がないと分かって、京楽は手を出すのは夜にしようと決める。
「時間はいっぱいあるしね。この前、君が気にしていた小説の最新作買っておいたよ」
「お、読みたい」
ぶんぶんと尻尾を振って、浮竹は京楽から小説の最新刊をもらって、読んでいく。
その間、暇なので京楽は少し手のこんだ夕飯を作り始めた。
「ふあ~、もう夕方か。腹減った」
「今日はいろいろ作ったよ。美味しく食べてね?その後、僕がおいしく浮竹を食べちゃうから」
「む、俺を抱く気か」
「だめ?」
「だめ・・・・・じゃ、ない」
尻尾はゆっくりと振っていた。
京楽の作った手の込んだ夕飯をゆっくり食べて、風呂に入り、髪をかわかしていると、京楽が浮竹の部屋に入ってきた。
片付いてはいるが、魔導書が床につまれていたりで、広い部屋は少し狭く感じた。
「おいで、浮竹」
「ん・・・・・・・」
京楽に抱き寄せられて、長い白髪がさらさらと零れる。
「大好きだよ、浮竹。ずっと、僕の傍にいてね」
「京楽・・・・・お前は、半竜人の俺を抱くが、この姿、不気味じゃないのか?」
「全然。すごく綺麗だよ。尻尾は素直だし」
「むう・・・・」
「ふふ、かわいい」
「あっ」
尻尾の先を握られて、思わず甘い声を出す。
「美味しく食べちゃっていい?」
「お前になら・・・いい」
浮竹は目を閉じる。
京楽が衣服を脱いで、覆いかぶさってくる。
「愛してる・・・・・・」
浮竹はそっと呟いて、目を開ける。
京楽の鳶色の瞳と視線が合った。
「ふふ、頬が赤いね。緊張してる?」
「そ、そんなことない。はじめてじゃないし・・・・それより、加減しろよ?お前に本気を出されて抱かれた次の日は、癒しの魔法がないと腰が痛い」
「分かってるよ。優しくするから・・・・・」
ちゅっと、額に口づけられて、浮竹も京楽の額に口づける。
夜はまだはじまったばかり。
奴隷竜であった浮竹と、Sランク冒険者の京楽の夜は、更けていくのだった。
奴隷竜とSランク冒険者7
「師匠!」」
浮竹は、冒険者ギルドで年若い子供の真竜のドラゴンから、師匠と呼ばれてまとわりつかれていた。
他のSランク冒険者、通称「暁の星」のセレニティという女性魔法使いがテイムし、パートナーとしている子ドラゴンであった。
名前はカイル。
「俺は師匠じゃあない。弟子なんてもった覚えはない」
「でも、師匠は俺より年上で、俺よりすごくて強くて何より希少なムーンホワイトドラゴンだ!」
「だからって、弟子にはせんぞ」
「もうすでに弟子だもんね~」
けけけと明るく笑うカイルを、浮竹は冷たいそぶりを見せるが、本心では同じドラゴンが冒険者のパートナーをしているというのは、実は嬉しかった。
「こらカイル、浮竹は僕のものだよ。セレニティのところに戻りなさい」
「やーだよーもじゃひげ京楽!浮竹さんのパートナーだからって、同じドラゴン同士の絆は消せない」
京楽は軽く嫉妬していた。
「ちょっと、セレニティ笑ってないでなんとかしてよ!」
「ふふふ、他のドラゴンと交流を深めるのも、また一興。ムーンホワイトドラゴンをパートナーにもつSランク冒険者がいると噂には聞いていたが、本当だったのだね」
「嘘ついてなんになるのさ」
「ふふふ。さぁね?」
浮竹は浮竹で、京楽とセレニティの仲の良さに軽く嫉妬していた。
カイルはブラックドラゴンだ。数はまぁまぁおり、それほど珍しいドラゴンではないが、ドラゴンをパートナーにするSランク冒険者は、セレニティ、京楽、他にあと3人いた。
ムーンホワイトドラゴン並みに希少な、サンシャインレイドラゴンをパートナーに持つSランク冒険者もいる。ムーンホワイトドラゴンの対になるようなドラゴンで、太陽竜と呼ばれていた。
一方、浮竹は冒険者ギルドでは月竜と呼ばれていた。
「月竜かぁ。憧れるなぁ。俺も月竜か太陽竜がよかったなぁ。なんで、そこらへんにいるブラックドラゴンなんだろう」
「ドラゴンの種族は関係ない。いかに強くいれて、パートナーを大切にし、力になれるかだ」
「おおー、師匠かっこいい」
「だから、師匠じゃない」
「師匠、ほらチョコレートあげる」
「むう。もらう」
浮竹は甘いものが好きだ。
チョコレートは特に好きで、カイルはその情報を手に入れて、事前にチョコレートを用意していた。
「師匠、俺を弟子にする気になった?」
「うーむ」
チョコレートをちらつかされて、浮竹が悩む。
「おい、そこで迷うな、バカドラゴン」
背の低い、銀髪の少年が浮竹にかつを入れる。
日番谷冬獅郎。最年少の12歳のSランク冒険者で、氷輪丸という特別な魔剣をもち、自身を一部氷の竜化することができて、意思のない氷の竜を操ることができた。
氷の精霊、アイシクルという種族だった。
精霊族が冒険者をしているのは珍しくなく、普通にエルフやドワーフと交じって亜人として冒険者をしている精霊族は多い。
「バカドラゴンとはなんだ、シロちゃん」
「あだなで呼ぶな。日番谷と呼べ」
浮竹と、冬獅郎は何故か仲が良かった。
同じ氷を司る者同士であるせいか、冒険者ギルドで浮竹の最初の友人になったのが冬獅郎だ。
冬獅郎はパーティ―を組んでおり、雛森というAランクの少女と二人でパーティーを組んでいた。
「シロちゃん、喧嘩はよくないよ」
「うるさい、雛森!シロちゃんて呼ぶな!」
「シロちゃんにも雛森ちゃんにもチョコレートあげる」
カイルは、持っていたチョコレートを浮竹、冬獅郎、雛森に全てあげてしまった。
チョコレートはけっこうな高級菓子である。
それをほいほい渡すということは、セレニティとカイルのパーティーは金があるということだ。
まぁ、大抵のSランク冒険者は金持ちだ。
「他の冒険者さんたちの邪魔になるから、いくよ、シロちゃん」
「おい待て、まだ話の途中・・・・・・」
雛森に連れていかれて、冬獅郎は冒険者ギルドを去ってしまった。依頼を受けていたようで、任務につくのだろう。
「セレニティ」
「なんだ、京楽」
「あの子ドラゴン、どうしてまたパートナーに。君の実力なら、大人のドラゴンでもテイムできたでしょう」
「ふふ、私はあの子がよかったのだよ。天真爛漫で、我儘で、手のかかる子供みたいで、それが実にいい。ふふふふ・・・・・・」
「あ、そう」
すでに違う世界に入っているセレニティを放置して、京楽は浮竹の傍にいく。
「帰るよ、浮竹。今日はめぼしい依頼がないから、少しだけSランクダンジョンにもぐろう」
「ああ、分かった」
「ずるい!師匠だけ、Sランクダンジョンだなんて!セレニティと一緒でも、俺はSランクダンジョンに行ったこと、数えるほどしかないのに!」
「お前はまだ若い。未熟だ」
「うっ」
ぐさぐさっと言葉の矢がささり、カイルはよろけた。
「強くなりたいなら、まずはパートナーとの連携を精密にとれるようにしろ。あと、俺の弟子になりたいとか、他人を困らせるような我儘は控えること」
「うぐっ」
カイルは、セレニティに泣きついた。
「師匠がいじめるーーー」
「ふふふ、泣くな。男だろう?」
「うん・・・・・・」
涙をふいて、カイルは顔をあげる。
「今に見てろ!師匠をこえるドラゴンになってやるんだからな!」
「そうか。楽しみにしている」
浮竹は、カイルの頭をぐしゃぐしゃに撫でて、京楽と共に冒険者ギルドを後にした。
軽くSランクダンジョンにもぐり、フロアボスのケルベロスを倒して財宝を手に入れる。
「浮竹、弟子にしてあげたらよかったのに」
「弟子にしたら、俺たちの住む高級宿に入り浸るぞ。二人でいちゃいちゃなんて、できないぞ?」
「ああ、弟子はいらないね。永遠にいらない。セレニティに、弟子になるのは諦めろって言っとこ」
ころっと意見を変える京楽が面白くて、浮竹はクスクス笑う。
「どうしたの?」
「いや、京楽は俺を独り占めしたいだなぁと思って」
「そりゃそうだよ。君は僕のもので、僕のパートナーだ。いつでも、僕の隣にいてね?」
「ああ。そうだな」
ケルベロスから大きな魔石だけを回収して、財宝をアイテムポケットに入れていく。
「お、古い魔導書か・・・・古代文字だな。おまけに竜語でかかれてある」
浮竹は、生まれた時から古代文字や竜語が読めた。
それはドラゴンの血のなせる技である。
「なんてかいてあるの?」
「究極の破壊。複雑すぎて、俺でも、俺以外でも・・・・たとえ、全てのドラゴンの母、マザードラゴンにさえ、使えなさそうな魔法だ。でも、あると危険かもしれないから、焼いてしまおう」
「うーん、究極の破壊か。物騒だね」
「京楽、火の呪文を」
「うん、ファイア!」
ぱちぱちと音を立てて、古代の魔導書は灰になった。
「他の魔法書は普通のものだ。売ればそれなりの金になるだろう」
「うん、そろそろ夜になるし、撤収しようか」
「ああ」
「そういえば、明日満月だね」
「あ、そうだな」
「ふふ、素直な君の尻尾が早く見たいよ」
京楽は、浮竹を抱き寄せた。
「ばか、ここはダンジョンだぞ」
「モンスターは全部退治した。次のモンスターが生まれるまで、数時間はある」
「ここでしたら、禁欲1カ月だからな!」
「それは困る!宿に戻ろうか」
京楽は浮竹から離れた。浮竹の手を握って、歩きだす。
「ダンジョンの中だけだから、いいでしょ?普段は手をつないだりできないから」
「仕方ないな・・・・・・」
明日は満月。
また、自分の言葉とは裏腹に、尻尾が揺れるのだろうかと思って、浮竹は少し不思議な気持ちになるのだった。
浮竹は、冒険者ギルドで年若い子供の真竜のドラゴンから、師匠と呼ばれてまとわりつかれていた。
他のSランク冒険者、通称「暁の星」のセレニティという女性魔法使いがテイムし、パートナーとしている子ドラゴンであった。
名前はカイル。
「俺は師匠じゃあない。弟子なんてもった覚えはない」
「でも、師匠は俺より年上で、俺よりすごくて強くて何より希少なムーンホワイトドラゴンだ!」
「だからって、弟子にはせんぞ」
「もうすでに弟子だもんね~」
けけけと明るく笑うカイルを、浮竹は冷たいそぶりを見せるが、本心では同じドラゴンが冒険者のパートナーをしているというのは、実は嬉しかった。
「こらカイル、浮竹は僕のものだよ。セレニティのところに戻りなさい」
「やーだよーもじゃひげ京楽!浮竹さんのパートナーだからって、同じドラゴン同士の絆は消せない」
京楽は軽く嫉妬していた。
「ちょっと、セレニティ笑ってないでなんとかしてよ!」
「ふふふ、他のドラゴンと交流を深めるのも、また一興。ムーンホワイトドラゴンをパートナーにもつSランク冒険者がいると噂には聞いていたが、本当だったのだね」
「嘘ついてなんになるのさ」
「ふふふ。さぁね?」
浮竹は浮竹で、京楽とセレニティの仲の良さに軽く嫉妬していた。
カイルはブラックドラゴンだ。数はまぁまぁおり、それほど珍しいドラゴンではないが、ドラゴンをパートナーにするSランク冒険者は、セレニティ、京楽、他にあと3人いた。
ムーンホワイトドラゴン並みに希少な、サンシャインレイドラゴンをパートナーに持つSランク冒険者もいる。ムーンホワイトドラゴンの対になるようなドラゴンで、太陽竜と呼ばれていた。
一方、浮竹は冒険者ギルドでは月竜と呼ばれていた。
「月竜かぁ。憧れるなぁ。俺も月竜か太陽竜がよかったなぁ。なんで、そこらへんにいるブラックドラゴンなんだろう」
「ドラゴンの種族は関係ない。いかに強くいれて、パートナーを大切にし、力になれるかだ」
「おおー、師匠かっこいい」
「だから、師匠じゃない」
「師匠、ほらチョコレートあげる」
「むう。もらう」
浮竹は甘いものが好きだ。
チョコレートは特に好きで、カイルはその情報を手に入れて、事前にチョコレートを用意していた。
「師匠、俺を弟子にする気になった?」
「うーむ」
チョコレートをちらつかされて、浮竹が悩む。
「おい、そこで迷うな、バカドラゴン」
背の低い、銀髪の少年が浮竹にかつを入れる。
日番谷冬獅郎。最年少の12歳のSランク冒険者で、氷輪丸という特別な魔剣をもち、自身を一部氷の竜化することができて、意思のない氷の竜を操ることができた。
氷の精霊、アイシクルという種族だった。
精霊族が冒険者をしているのは珍しくなく、普通にエルフやドワーフと交じって亜人として冒険者をしている精霊族は多い。
「バカドラゴンとはなんだ、シロちゃん」
「あだなで呼ぶな。日番谷と呼べ」
浮竹と、冬獅郎は何故か仲が良かった。
同じ氷を司る者同士であるせいか、冒険者ギルドで浮竹の最初の友人になったのが冬獅郎だ。
冬獅郎はパーティ―を組んでおり、雛森というAランクの少女と二人でパーティーを組んでいた。
「シロちゃん、喧嘩はよくないよ」
「うるさい、雛森!シロちゃんて呼ぶな!」
「シロちゃんにも雛森ちゃんにもチョコレートあげる」
カイルは、持っていたチョコレートを浮竹、冬獅郎、雛森に全てあげてしまった。
チョコレートはけっこうな高級菓子である。
それをほいほい渡すということは、セレニティとカイルのパーティーは金があるということだ。
まぁ、大抵のSランク冒険者は金持ちだ。
「他の冒険者さんたちの邪魔になるから、いくよ、シロちゃん」
「おい待て、まだ話の途中・・・・・・」
雛森に連れていかれて、冬獅郎は冒険者ギルドを去ってしまった。依頼を受けていたようで、任務につくのだろう。
「セレニティ」
「なんだ、京楽」
「あの子ドラゴン、どうしてまたパートナーに。君の実力なら、大人のドラゴンでもテイムできたでしょう」
「ふふ、私はあの子がよかったのだよ。天真爛漫で、我儘で、手のかかる子供みたいで、それが実にいい。ふふふふ・・・・・・」
「あ、そう」
すでに違う世界に入っているセレニティを放置して、京楽は浮竹の傍にいく。
「帰るよ、浮竹。今日はめぼしい依頼がないから、少しだけSランクダンジョンにもぐろう」
「ああ、分かった」
「ずるい!師匠だけ、Sランクダンジョンだなんて!セレニティと一緒でも、俺はSランクダンジョンに行ったこと、数えるほどしかないのに!」
「お前はまだ若い。未熟だ」
「うっ」
ぐさぐさっと言葉の矢がささり、カイルはよろけた。
「強くなりたいなら、まずはパートナーとの連携を精密にとれるようにしろ。あと、俺の弟子になりたいとか、他人を困らせるような我儘は控えること」
「うぐっ」
カイルは、セレニティに泣きついた。
「師匠がいじめるーーー」
「ふふふ、泣くな。男だろう?」
「うん・・・・・・」
涙をふいて、カイルは顔をあげる。
「今に見てろ!師匠をこえるドラゴンになってやるんだからな!」
「そうか。楽しみにしている」
浮竹は、カイルの頭をぐしゃぐしゃに撫でて、京楽と共に冒険者ギルドを後にした。
軽くSランクダンジョンにもぐり、フロアボスのケルベロスを倒して財宝を手に入れる。
「浮竹、弟子にしてあげたらよかったのに」
「弟子にしたら、俺たちの住む高級宿に入り浸るぞ。二人でいちゃいちゃなんて、できないぞ?」
「ああ、弟子はいらないね。永遠にいらない。セレニティに、弟子になるのは諦めろって言っとこ」
ころっと意見を変える京楽が面白くて、浮竹はクスクス笑う。
「どうしたの?」
「いや、京楽は俺を独り占めしたいだなぁと思って」
「そりゃそうだよ。君は僕のもので、僕のパートナーだ。いつでも、僕の隣にいてね?」
「ああ。そうだな」
ケルベロスから大きな魔石だけを回収して、財宝をアイテムポケットに入れていく。
「お、古い魔導書か・・・・古代文字だな。おまけに竜語でかかれてある」
浮竹は、生まれた時から古代文字や竜語が読めた。
それはドラゴンの血のなせる技である。
「なんてかいてあるの?」
「究極の破壊。複雑すぎて、俺でも、俺以外でも・・・・たとえ、全てのドラゴンの母、マザードラゴンにさえ、使えなさそうな魔法だ。でも、あると危険かもしれないから、焼いてしまおう」
「うーん、究極の破壊か。物騒だね」
「京楽、火の呪文を」
「うん、ファイア!」
ぱちぱちと音を立てて、古代の魔導書は灰になった。
「他の魔法書は普通のものだ。売ればそれなりの金になるだろう」
「うん、そろそろ夜になるし、撤収しようか」
「ああ」
「そういえば、明日満月だね」
「あ、そうだな」
「ふふ、素直な君の尻尾が早く見たいよ」
京楽は、浮竹を抱き寄せた。
「ばか、ここはダンジョンだぞ」
「モンスターは全部退治した。次のモンスターが生まれるまで、数時間はある」
「ここでしたら、禁欲1カ月だからな!」
「それは困る!宿に戻ろうか」
京楽は浮竹から離れた。浮竹の手を握って、歩きだす。
「ダンジョンの中だけだから、いいでしょ?普段は手をつないだりできないから」
「仕方ないな・・・・・・」
明日は満月。
また、自分の言葉とは裏腹に、尻尾が揺れるのだろうかと思って、浮竹は少し不思議な気持ちになるのだった。
奴隷竜とSランク冒険者6
「パーティーを組む?」
「うん。今度のダンジョン遠征は冒険者ギルドの底上げを狙っていてね。Sランク冒険者は、みんなAランク冒険者のパーティーに入って、補佐するんだよ」
「俺は・・・・・京楽がパーティーを組むのなら、それがFランクでも構わない」
「浮竹、Fランクはなりたて冒険者だよ。まず大規模なダンジョン遠征には行けない」
京楽は苦笑して、浮竹の頭を撫でた。
「もっと撫でろ」
「はいはい」
よしよしと頭を撫で続けると、浮竹は満足したのか京楽から離れた。
「だから、僕のパートナーである君も、Aランクパーティーに混じることになる。いいね?」
「ああ、構わない。京楽がいくのなら、地獄にでも天国にでも、一緒に行く」
「大袈裟だねぇ」
浮竹は京楽からもらった翡翠のブレスレットをいじっていた。
「それ、お気に入りだね」
「京楽からもらったものだから」
浮竹の部屋には、京楽があげたがらくたのようなものまで大切に保管されている。
高級宿は、セキュリティに問題はないし、掃除や手入れを信用できる業者に任せられるので、浮竹と京楽はあえて居住をかまえず、高級宿に泊まり続けていた。
一泊大金貨50枚するのだが、白金貨を腐るほどもっている京楽には、困る金額ではない。
他の客は王侯貴族が多い。
マリーシュ姫のような輩がいないことが、安心できる材料でもあった。
貴族から直接依頼を受けることもある。
大抵が、他の貴族を殺せというものなので、受諾したことはない。
「さて、この住処とは1カ月おさらばだけど、持ち物はちゃんとアイテムポケットに入れたかい」
「衣服に調理道具、魔導書に安眠枕、目覚ましにパジャマ、ベッドに毛布」
アイテムポケットには何でも入ってしまうため、ベッドまで収納してしまっていた。
「ちょっと、ベッド収納してどうするの。遠征は明日からだよ」
「今日は、京楽のベッドで一緒に寝る」
「う・・・・理性もつかな、僕」
京楽と浮竹は、もう出会って半年以上になる。
男女と同じ交際をして、肉体関係があった。
「明日は遠征なんだろう?変なことはするなよ」
「もう、僕を試すような真似はよしてよ。でも、抱きしめてキスくらいならいいよね?」
「ん、許す」
京楽の長い黒髪をいじって、浮竹は京楽に口づけた。
「キスは、もうした。夜はいらない」
「はぁ・・・・君って淡泊に見えてけっこう性欲あるよね」
「う、うるさい!」
京楽に求められて、乱れる浮竹は妖艶で妖しかった。
「性欲があるのはお前だろう!1日に5回もするくせに!」
「う、ごめんなさい・・・・」
京楽も分かっているのだ。自分が性欲が強すぎることを。
花街に出入りしていた頃は、よく女にもてたが、回数が多いので息絶え絶えになる娼婦が多かった。
それを今は浮竹一人にぶつけているのだ。
多分、元がドラゴンでなければねをあげているだろう。
「風呂に入って飯も食ったし、今日は俺はもう寝るぞ」
「え、まだ夜の8時だよ」
「眠いんだ。京楽も寝ろ」
ぽんぽんとあいているベッドを叩いて、浮竹は添い寝を誘う。
「仕方ないなぁ。スリープの魔法かけて寝よう・・・・」
しっかりと浮竹を抱きしめて、京楽は自分にスリープの呪文をかけて、翌朝の7時まで寝た。
目覚ましをアイテムポケットに入れていたせいで、寝過ごした。
本当なら、6時半には起床しなきゃいけなかったのだ。
「ああ、朝食たべてる暇ないね。顔を洗ったら、冒険者ギルドに行こう」
「分かった・・・ふあああ~~~」
「11時間も寝たのに、まだ眠いの?」
「ドラゴンは、冬や寒い時期はよく冬眠に入る。今年は寒いから、眠い」
「ほら、この羽毛ジャケットきて。あったかくして。プチファイア!」
暖をとるための、体を暖かくする魔法を浮竹にかけてやると、浮竹は完全に眠気は冷めたようで、きびきびと動き出した。
冒険者ギルドに行くと、ギルドマスターの山じいに怒られた。
「30分の遅刻じゃ!団体行動をするときは、時間を厳守せよ!」
「はい、ごめんなさい」
「すまない」
京楽と浮竹は、ギルドマスターに怒られた。
「この4人が、お主ら担当のAランク冒険者じゃ」
「タフィーっていいます。弓使いです」
「俺はアルド。魔剣士だ」
「僕はジャスティン。魔法使いだ」
「あたしはサニア。神官よ」
一通り紹介を終えると、タフィーとサニアは浮竹の長い白髪を珍しげに見ていた。
「銀髪は見たことあるけど、ここまで見事な白髪は見たことないわ。染めてるの?」
「いいや、自前のものだが」
「やーんかわいくて綺麗。Sランクにいつかなれたら、いつか一緒に冒険してくれる?」
「京楽がいいと言うなら」
「京楽さん、浮竹さんといつかパーティー組ませてください!」
「はいはい。まずは、Sランク冒険者にならないとね。あと、浮竹は僕のものだから、僕がいないとパーティーには参加しないよ」
「「きゃあああああああ」」
二人の女性は、腐女子らしく、浮竹と京楽の関係にきゃあきゃあ言っていた。
「こら、タフィー、サニア。出発するぞ」
「はーい」
「あ、待ってー」
4人の冒険者のお守をしながら、Aランクのダンジョンを下っていく。
最下層に到達すると、真竜ではないが、ドラゴンがいた。
「ドラゴンだって!ここ、Aランクダンジョンだろう!」
魔剣士のアルドが、悲鳴に似た声をあげる。
「なんらかの手違いがあったようだね。ドラゴンはSランクダンジョンでしか出ない。最初は僕たちに任せて」
浮竹は、ドラゴンスイヤーを抜き放つと、見えないほどの速さで動き、ドラゴンの右足を切り飛ばしていた。
「ぎゃおおおおおおおおおお」
ドラゴンは、超速再生で足を癒す。
「浮竹、援護を頼むよ」
「任せろ。アイシクルブレス!」
「ぎぎゃああああああああ」
体を半分凍てつかせて、ドラゴンの動きが鈍る。
「ほら、君たちもみてないで攻撃を。ドラゴンと戦えることなんて滅多にないんだから!」
「い、いくぞ!」
「「「うん」」」
魔法や矢で攻撃をする。
タフィーという弓使いの腕はよく、ドラゴンの右目を射抜いた。
「ぐるるるるる!」
「ファイアブレスだ!下がれ!」
浮竹が、アイシクルブレスを放ち、相殺する。
戦うこと15分。
けが人を出すことも死者を出すこともなく、無事ドラゴンを倒した。
「ドラゴンの体は素材の塊だからね。僕たちはいらないから、君たちで分けなよ」
「え、いいんですか!白金貨になりますよ!」
「一度の依頼で白金貨2千枚くらいもらってるし、Sランクダンジョンに長くこもれば白金貨5千枚はいく」
「ひええええ」
「白金貨は見飽きた」
浮竹が、ドラゴンの素材などに興味なさそうにドラゴンの死体を見る。
「お前、なんでここにいたんだ?森に住んでいれば、退治されることもなかっただろうに」
真竜ではないとはいえ、同じドラゴン。
敵だったとはいえ、少し同情してしまう。
「浮竹、大丈夫?ドラゴン倒したこと、怒ってない?」
「大丈夫だ。それに2カ月前、Sランクダンジョンで邪竜を倒しただろう。あの邪竜は元々真竜だ。怒るなら、邪竜を倒した時にすでに怒ってる」
「そっか・・・・ドラゴンは素材になるから、弔えないけどいいよね?」
「ああ。素材として人の役にたてるのなら、そのほうがいい。ちなみに、生きてるドラゴンの血液はすごく高いんだぞ。俺は奴隷時代、よく血を抜かれていた」
「知ってる。賢者の石やエリクサーを作る材料になるからね」
「浮竹さん、京楽さん、ドラゴンの死体をアイテムポケットにいれました。解体は、冒険者ギルドに戻ってから、専門職の方にしてもらおうと思います」
「そうだね、そのほうがいいよ」
「まだ、30階層だ。このダンジョンは80階層まである。気を脱がずに進むぞ!」
浮竹が、先頭を歩き出す。
索敵をしながら、京楽もサーチの魔法で索敵をする。
「ドラゴンがいたせいか、この階層はもうモンスターはいないようだね。31階層に行こうか」
ぐ~~~~。
その時、タフィーがお腹を鳴らせた。
「あ、違うんです、誰もドラゴンのステーキ食べたいだなんて思ってません!」
「新鮮なドラゴンの肉は貴重だからね。休憩も兼ねて、ドラゴンステーキでも焼こうか」
京楽の言葉に、浮竹は少し引き気味になる。
「お、俺は食わんぞ。同族食いなんていやだ!」
「浮竹にはサンドイッチ用意してあるから」
「それなら、許す」
もしも満月で半竜人姿で尻尾があれば、ぶんぶんと振っていただろう。
パーティーはドラゴンステーキを食べて、そのおいしさにAランク冒険者たちは涙を流した。
何度か食べたことはあるので、京楽はまぁおいしいかなぁという感想。
浮竹は、サンドイッチを食べていた。
京楽が作ってくれたものだ。
「なんだ、こっちを見て。お前も食いたいのか?」
「ううん。ドラゴンステーキを僕たちが食べてるわりには平気そうだなぁと思って」
「この世界は弱肉強食だ。弱い者は強い者の糧になる。ドラゴンも例外じゃない」
「うん、そうだね。ちょっと早いけど、今日の冒険はここまでにしよう。テントを張って、寝る準備を。結界をはるので、見張りはいらないよ」
「ああ、俺たち京楽さんと浮竹さんと同じパーティーになれてよかった」
「ほんとだよね」
「ええ、そうね」
「ドラゴンステーキまでごちそうになったし、ドラゴンの素材までもらえるし。うはうはだわ~」
一向は、半月をかけて80階層まで踏破しきり、次のAランクダンジョンへと挑むのであった。
浮竹と京楽は、Aランクパーティーが成長していく様を見届け、1カ月のダンジョン遠征の、Sランク冒険者に課せられた任務を成功させるのであった。
「うん。今度のダンジョン遠征は冒険者ギルドの底上げを狙っていてね。Sランク冒険者は、みんなAランク冒険者のパーティーに入って、補佐するんだよ」
「俺は・・・・・京楽がパーティーを組むのなら、それがFランクでも構わない」
「浮竹、Fランクはなりたて冒険者だよ。まず大規模なダンジョン遠征には行けない」
京楽は苦笑して、浮竹の頭を撫でた。
「もっと撫でろ」
「はいはい」
よしよしと頭を撫で続けると、浮竹は満足したのか京楽から離れた。
「だから、僕のパートナーである君も、Aランクパーティーに混じることになる。いいね?」
「ああ、構わない。京楽がいくのなら、地獄にでも天国にでも、一緒に行く」
「大袈裟だねぇ」
浮竹は京楽からもらった翡翠のブレスレットをいじっていた。
「それ、お気に入りだね」
「京楽からもらったものだから」
浮竹の部屋には、京楽があげたがらくたのようなものまで大切に保管されている。
高級宿は、セキュリティに問題はないし、掃除や手入れを信用できる業者に任せられるので、浮竹と京楽はあえて居住をかまえず、高級宿に泊まり続けていた。
一泊大金貨50枚するのだが、白金貨を腐るほどもっている京楽には、困る金額ではない。
他の客は王侯貴族が多い。
マリーシュ姫のような輩がいないことが、安心できる材料でもあった。
貴族から直接依頼を受けることもある。
大抵が、他の貴族を殺せというものなので、受諾したことはない。
「さて、この住処とは1カ月おさらばだけど、持ち物はちゃんとアイテムポケットに入れたかい」
「衣服に調理道具、魔導書に安眠枕、目覚ましにパジャマ、ベッドに毛布」
アイテムポケットには何でも入ってしまうため、ベッドまで収納してしまっていた。
「ちょっと、ベッド収納してどうするの。遠征は明日からだよ」
「今日は、京楽のベッドで一緒に寝る」
「う・・・・理性もつかな、僕」
京楽と浮竹は、もう出会って半年以上になる。
男女と同じ交際をして、肉体関係があった。
「明日は遠征なんだろう?変なことはするなよ」
「もう、僕を試すような真似はよしてよ。でも、抱きしめてキスくらいならいいよね?」
「ん、許す」
京楽の長い黒髪をいじって、浮竹は京楽に口づけた。
「キスは、もうした。夜はいらない」
「はぁ・・・・君って淡泊に見えてけっこう性欲あるよね」
「う、うるさい!」
京楽に求められて、乱れる浮竹は妖艶で妖しかった。
「性欲があるのはお前だろう!1日に5回もするくせに!」
「う、ごめんなさい・・・・」
京楽も分かっているのだ。自分が性欲が強すぎることを。
花街に出入りしていた頃は、よく女にもてたが、回数が多いので息絶え絶えになる娼婦が多かった。
それを今は浮竹一人にぶつけているのだ。
多分、元がドラゴンでなければねをあげているだろう。
「風呂に入って飯も食ったし、今日は俺はもう寝るぞ」
「え、まだ夜の8時だよ」
「眠いんだ。京楽も寝ろ」
ぽんぽんとあいているベッドを叩いて、浮竹は添い寝を誘う。
「仕方ないなぁ。スリープの魔法かけて寝よう・・・・」
しっかりと浮竹を抱きしめて、京楽は自分にスリープの呪文をかけて、翌朝の7時まで寝た。
目覚ましをアイテムポケットに入れていたせいで、寝過ごした。
本当なら、6時半には起床しなきゃいけなかったのだ。
「ああ、朝食たべてる暇ないね。顔を洗ったら、冒険者ギルドに行こう」
「分かった・・・ふあああ~~~」
「11時間も寝たのに、まだ眠いの?」
「ドラゴンは、冬や寒い時期はよく冬眠に入る。今年は寒いから、眠い」
「ほら、この羽毛ジャケットきて。あったかくして。プチファイア!」
暖をとるための、体を暖かくする魔法を浮竹にかけてやると、浮竹は完全に眠気は冷めたようで、きびきびと動き出した。
冒険者ギルドに行くと、ギルドマスターの山じいに怒られた。
「30分の遅刻じゃ!団体行動をするときは、時間を厳守せよ!」
「はい、ごめんなさい」
「すまない」
京楽と浮竹は、ギルドマスターに怒られた。
「この4人が、お主ら担当のAランク冒険者じゃ」
「タフィーっていいます。弓使いです」
「俺はアルド。魔剣士だ」
「僕はジャスティン。魔法使いだ」
「あたしはサニア。神官よ」
一通り紹介を終えると、タフィーとサニアは浮竹の長い白髪を珍しげに見ていた。
「銀髪は見たことあるけど、ここまで見事な白髪は見たことないわ。染めてるの?」
「いいや、自前のものだが」
「やーんかわいくて綺麗。Sランクにいつかなれたら、いつか一緒に冒険してくれる?」
「京楽がいいと言うなら」
「京楽さん、浮竹さんといつかパーティー組ませてください!」
「はいはい。まずは、Sランク冒険者にならないとね。あと、浮竹は僕のものだから、僕がいないとパーティーには参加しないよ」
「「きゃあああああああ」」
二人の女性は、腐女子らしく、浮竹と京楽の関係にきゃあきゃあ言っていた。
「こら、タフィー、サニア。出発するぞ」
「はーい」
「あ、待ってー」
4人の冒険者のお守をしながら、Aランクのダンジョンを下っていく。
最下層に到達すると、真竜ではないが、ドラゴンがいた。
「ドラゴンだって!ここ、Aランクダンジョンだろう!」
魔剣士のアルドが、悲鳴に似た声をあげる。
「なんらかの手違いがあったようだね。ドラゴンはSランクダンジョンでしか出ない。最初は僕たちに任せて」
浮竹は、ドラゴンスイヤーを抜き放つと、見えないほどの速さで動き、ドラゴンの右足を切り飛ばしていた。
「ぎゃおおおおおおおおおお」
ドラゴンは、超速再生で足を癒す。
「浮竹、援護を頼むよ」
「任せろ。アイシクルブレス!」
「ぎぎゃああああああああ」
体を半分凍てつかせて、ドラゴンの動きが鈍る。
「ほら、君たちもみてないで攻撃を。ドラゴンと戦えることなんて滅多にないんだから!」
「い、いくぞ!」
「「「うん」」」
魔法や矢で攻撃をする。
タフィーという弓使いの腕はよく、ドラゴンの右目を射抜いた。
「ぐるるるるる!」
「ファイアブレスだ!下がれ!」
浮竹が、アイシクルブレスを放ち、相殺する。
戦うこと15分。
けが人を出すことも死者を出すこともなく、無事ドラゴンを倒した。
「ドラゴンの体は素材の塊だからね。僕たちはいらないから、君たちで分けなよ」
「え、いいんですか!白金貨になりますよ!」
「一度の依頼で白金貨2千枚くらいもらってるし、Sランクダンジョンに長くこもれば白金貨5千枚はいく」
「ひええええ」
「白金貨は見飽きた」
浮竹が、ドラゴンの素材などに興味なさそうにドラゴンの死体を見る。
「お前、なんでここにいたんだ?森に住んでいれば、退治されることもなかっただろうに」
真竜ではないとはいえ、同じドラゴン。
敵だったとはいえ、少し同情してしまう。
「浮竹、大丈夫?ドラゴン倒したこと、怒ってない?」
「大丈夫だ。それに2カ月前、Sランクダンジョンで邪竜を倒しただろう。あの邪竜は元々真竜だ。怒るなら、邪竜を倒した時にすでに怒ってる」
「そっか・・・・ドラゴンは素材になるから、弔えないけどいいよね?」
「ああ。素材として人の役にたてるのなら、そのほうがいい。ちなみに、生きてるドラゴンの血液はすごく高いんだぞ。俺は奴隷時代、よく血を抜かれていた」
「知ってる。賢者の石やエリクサーを作る材料になるからね」
「浮竹さん、京楽さん、ドラゴンの死体をアイテムポケットにいれました。解体は、冒険者ギルドに戻ってから、専門職の方にしてもらおうと思います」
「そうだね、そのほうがいいよ」
「まだ、30階層だ。このダンジョンは80階層まである。気を脱がずに進むぞ!」
浮竹が、先頭を歩き出す。
索敵をしながら、京楽もサーチの魔法で索敵をする。
「ドラゴンがいたせいか、この階層はもうモンスターはいないようだね。31階層に行こうか」
ぐ~~~~。
その時、タフィーがお腹を鳴らせた。
「あ、違うんです、誰もドラゴンのステーキ食べたいだなんて思ってません!」
「新鮮なドラゴンの肉は貴重だからね。休憩も兼ねて、ドラゴンステーキでも焼こうか」
京楽の言葉に、浮竹は少し引き気味になる。
「お、俺は食わんぞ。同族食いなんていやだ!」
「浮竹にはサンドイッチ用意してあるから」
「それなら、許す」
もしも満月で半竜人姿で尻尾があれば、ぶんぶんと振っていただろう。
パーティーはドラゴンステーキを食べて、そのおいしさにAランク冒険者たちは涙を流した。
何度か食べたことはあるので、京楽はまぁおいしいかなぁという感想。
浮竹は、サンドイッチを食べていた。
京楽が作ってくれたものだ。
「なんだ、こっちを見て。お前も食いたいのか?」
「ううん。ドラゴンステーキを僕たちが食べてるわりには平気そうだなぁと思って」
「この世界は弱肉強食だ。弱い者は強い者の糧になる。ドラゴンも例外じゃない」
「うん、そうだね。ちょっと早いけど、今日の冒険はここまでにしよう。テントを張って、寝る準備を。結界をはるので、見張りはいらないよ」
「ああ、俺たち京楽さんと浮竹さんと同じパーティーになれてよかった」
「ほんとだよね」
「ええ、そうね」
「ドラゴンステーキまでごちそうになったし、ドラゴンの素材までもらえるし。うはうはだわ~」
一向は、半月をかけて80階層まで踏破しきり、次のAランクダンジョンへと挑むのであった。
浮竹と京楽は、Aランクパーティーが成長していく様を見届け、1カ月のダンジョン遠征の、Sランク冒険者に課せられた任務を成功させるのであった。
奴隷竜とSランク冒険者5
「京楽、これはなんだ?」
「ん、シュークリームだよ。おいしいから食べてごらん」
京楽がお茶菓子にと作ったシュークリームを、浮竹は食べた。
「うまい!」
満月の日なので、浮竹は半竜人姿だった。
ゆらゆらと揺れる尻尾で、感情が分かる。
「べ、別にお前が作ったから各段にうまいというわけじゃないからな!」
ツンデレだが、尻尾をぶんぶん振っているので、言葉だけだと分かる。
あまりにも尻尾を振るものだから、椅子にぶつかって、椅子が破壊される。
「う、浮竹の尻尾って、破壊力あるんだね」
京楽は、浮竹の尻尾を触りたいと思っていたが、あんな力で薙ぎ払われた日には、肋骨を骨折しそうだ。
「ああ、俺はドラゴンだからな。尻尾で敵をうちのめすためにも、尻尾は力が強いんだ」
「そうなんだ。ちなみに、僕が君の尻尾さわっても、粉砕しない?」
「う、尻尾を触わるのか。尻尾は敏感だから、優しくしてくれ」
薙ぎ払われないと知って、京楽は浮竹の尻尾を撫でた。
「ひゃん!」
「浮竹?」
「な、なんでもない」
また触り、今度は先っぽをにぎにぎとしてみると、浮竹は顔を真っ赤にさせた。
「そ、そんな風に触っちゃだめだ。ドラゴン同士の求愛の時にしっぽをからめたり、にぎににしたりするんだ。京楽、お前は俺を嫁にしたいのか?」
真顔で聞かれて、京楽は微笑んだ。
「君をお嫁さんにもらえるなら、もらうよ」
「奴隷でドラゴンのオスの嫁なんて、いらないだろう」
「僕は大歓迎だけどね」
京楽は、半竜人姿の浮竹を抱きしめる。
翼は普通のドラゴンは被膜翼なのだが、ムーンホワイトドラゴンは天使のような羽をもつ。
「君の翼、その姿でも飛べるの?」
「ん、ああ。飛ぼうと思ったら飛べるぞ」
ふわりと、浮竹の体が浮く。
翼をはためかせると、数枚の羽毛と共に風が吹いてきた。
「あ、飛ばなくていいから!そのままどこかへ行ったりしちゃだめだよ」
「京楽と一緒じゃないと、外には出ない。俺は珍しいから、また前の愚かな姫のような輩にさらわれてしまうかもしれない」
自分の身くらい自分で守りたいが、手練れの者にかかると、前のようにスリープで眠らされて連れ去れれるかもしれない。
「今日はせっかくの休日だし、ゆっくりしよう」
「ああ」
京楽と浮竹は、ごろごろしていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
浮竹は夢を見ていた。
夢の中では、自分と同じ姿をした青年が、ムーンホワイトドラゴンの姿の浮竹をきらきらした瞳で見つめていた。
『何度見ても、綺麗でかっこいい』
「お前は?」
『俺は浮竹十四郎。異能力者の京楽の元にいる。異能力者の犯罪を取り締まっているんだ』
「イノウリョクシャ?」
浮竹にはちんぷんかんぷんで、説明してくる青年の言葉は頭に入ってこない。
「ああ、もう行かないと」
『また、夢でいいから会えるか?』
「さぁ、どうだろう。強く念じれば、会えるんじゃないか」
浮竹は、青年が見かけより幼いと分かり、優しく声をかけた。
「これをやる」
それは、浮竹の羽毛だった。
「魔力がこめられている。使えば、一度だけ身を守ってくれるだろう」
『そうなのか!いいのか、こんな価値のあるものをもらっても!」
「俺には京楽がいる」
『じゃあ、またなドラゴンの俺!』
手を振って、青年は姿を消してしまった。
「ん・・・・夢、か・・・・・・」
浮竹は、寝ぼけ眼で隣で寝ていたはずの京楽の姿を探す。
どうやら買い物に出かけてしまったようで、一人での外出を禁じられている浮竹は、あくびをしながらもう一度眠った。
「浮竹、浮竹、起きて。もう夕方だよ?」
「え、もうそんな時間なのか。昼寝しすぎた!」
「ふふ、何かいい夢でも見ていたの?顔がにまにましていたよ」
「べ、別にお前のことを夢に見ていたわけじゃないからな!」
そう言いながら、尻尾をぶんぶんと振る浮竹に、京楽はその頭を撫でた。
「ごめんね、一人での外出禁じて。でも、安全のためだから」
「いい。一人で留守番もできる」
「今日は君が寝ていたから連れ出さなかったけど、なるべく一緒に外に出るようにするよ」
「本当か?約束だぞ」
「うん、約束」
指切りをして、京楽が作ってくれたカルボナーラを食べる。
「うまい。おかわり!」
「あーあー、浮竹、口にべっとついてるよ?」
京楽はナプキンで浮竹の口をぬぐってやり、その頭を撫でる。
「京楽は、なんで俺の頭を良く撫でるんだ?」
「愛情のスキンシップだよ。それより、キスのほうがいい?」
聞かれて、浮竹は真っ赤になる。
「頭を撫でるでいい・・・・」
「ふふ、かわいいね」
「京楽のバカ」
カルボナーラのおかわりを食べつつ、浮竹はそっぽをむく。
「浮竹、大好きだよ」
耳元で囁かれて、京楽はカルボナーラを食べ終わると、京楽から距離をとる。
「俺も大好きだ、ばか!」
尻尾をぶんぶん振って、浮竹は先にお風呂に行ってしまった。
「ふふ、浮竹は本当にかわいいなぁ」
京楽は、浮竹のあとを追って一緒にお風呂に入るのであった。
「ん、シュークリームだよ。おいしいから食べてごらん」
京楽がお茶菓子にと作ったシュークリームを、浮竹は食べた。
「うまい!」
満月の日なので、浮竹は半竜人姿だった。
ゆらゆらと揺れる尻尾で、感情が分かる。
「べ、別にお前が作ったから各段にうまいというわけじゃないからな!」
ツンデレだが、尻尾をぶんぶん振っているので、言葉だけだと分かる。
あまりにも尻尾を振るものだから、椅子にぶつかって、椅子が破壊される。
「う、浮竹の尻尾って、破壊力あるんだね」
京楽は、浮竹の尻尾を触りたいと思っていたが、あんな力で薙ぎ払われた日には、肋骨を骨折しそうだ。
「ああ、俺はドラゴンだからな。尻尾で敵をうちのめすためにも、尻尾は力が強いんだ」
「そうなんだ。ちなみに、僕が君の尻尾さわっても、粉砕しない?」
「う、尻尾を触わるのか。尻尾は敏感だから、優しくしてくれ」
薙ぎ払われないと知って、京楽は浮竹の尻尾を撫でた。
「ひゃん!」
「浮竹?」
「な、なんでもない」
また触り、今度は先っぽをにぎにぎとしてみると、浮竹は顔を真っ赤にさせた。
「そ、そんな風に触っちゃだめだ。ドラゴン同士の求愛の時にしっぽをからめたり、にぎににしたりするんだ。京楽、お前は俺を嫁にしたいのか?」
真顔で聞かれて、京楽は微笑んだ。
「君をお嫁さんにもらえるなら、もらうよ」
「奴隷でドラゴンのオスの嫁なんて、いらないだろう」
「僕は大歓迎だけどね」
京楽は、半竜人姿の浮竹を抱きしめる。
翼は普通のドラゴンは被膜翼なのだが、ムーンホワイトドラゴンは天使のような羽をもつ。
「君の翼、その姿でも飛べるの?」
「ん、ああ。飛ぼうと思ったら飛べるぞ」
ふわりと、浮竹の体が浮く。
翼をはためかせると、数枚の羽毛と共に風が吹いてきた。
「あ、飛ばなくていいから!そのままどこかへ行ったりしちゃだめだよ」
「京楽と一緒じゃないと、外には出ない。俺は珍しいから、また前の愚かな姫のような輩にさらわれてしまうかもしれない」
自分の身くらい自分で守りたいが、手練れの者にかかると、前のようにスリープで眠らされて連れ去れれるかもしれない。
「今日はせっかくの休日だし、ゆっくりしよう」
「ああ」
京楽と浮竹は、ごろごろしていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
浮竹は夢を見ていた。
夢の中では、自分と同じ姿をした青年が、ムーンホワイトドラゴンの姿の浮竹をきらきらした瞳で見つめていた。
『何度見ても、綺麗でかっこいい』
「お前は?」
『俺は浮竹十四郎。異能力者の京楽の元にいる。異能力者の犯罪を取り締まっているんだ』
「イノウリョクシャ?」
浮竹にはちんぷんかんぷんで、説明してくる青年の言葉は頭に入ってこない。
「ああ、もう行かないと」
『また、夢でいいから会えるか?』
「さぁ、どうだろう。強く念じれば、会えるんじゃないか」
浮竹は、青年が見かけより幼いと分かり、優しく声をかけた。
「これをやる」
それは、浮竹の羽毛だった。
「魔力がこめられている。使えば、一度だけ身を守ってくれるだろう」
『そうなのか!いいのか、こんな価値のあるものをもらっても!」
「俺には京楽がいる」
『じゃあ、またなドラゴンの俺!』
手を振って、青年は姿を消してしまった。
「ん・・・・夢、か・・・・・・」
浮竹は、寝ぼけ眼で隣で寝ていたはずの京楽の姿を探す。
どうやら買い物に出かけてしまったようで、一人での外出を禁じられている浮竹は、あくびをしながらもう一度眠った。
「浮竹、浮竹、起きて。もう夕方だよ?」
「え、もうそんな時間なのか。昼寝しすぎた!」
「ふふ、何かいい夢でも見ていたの?顔がにまにましていたよ」
「べ、別にお前のことを夢に見ていたわけじゃないからな!」
そう言いながら、尻尾をぶんぶんと振る浮竹に、京楽はその頭を撫でた。
「ごめんね、一人での外出禁じて。でも、安全のためだから」
「いい。一人で留守番もできる」
「今日は君が寝ていたから連れ出さなかったけど、なるべく一緒に外に出るようにするよ」
「本当か?約束だぞ」
「うん、約束」
指切りをして、京楽が作ってくれたカルボナーラを食べる。
「うまい。おかわり!」
「あーあー、浮竹、口にべっとついてるよ?」
京楽はナプキンで浮竹の口をぬぐってやり、その頭を撫でる。
「京楽は、なんで俺の頭を良く撫でるんだ?」
「愛情のスキンシップだよ。それより、キスのほうがいい?」
聞かれて、浮竹は真っ赤になる。
「頭を撫でるでいい・・・・」
「ふふ、かわいいね」
「京楽のバカ」
カルボナーラのおかわりを食べつつ、浮竹はそっぽをむく。
「浮竹、大好きだよ」
耳元で囁かれて、京楽はカルボナーラを食べ終わると、京楽から距離をとる。
「俺も大好きだ、ばか!」
尻尾をぶんぶん振って、浮竹は先にお風呂に行ってしまった。
「ふふ、浮竹は本当にかわいいなぁ」
京楽は、浮竹のあとを追って一緒にお風呂に入るのであった。
奴隷竜とSランク冒険者4
浮竹が、京楽と過ごすようになって3カ月が経った。
京楽と浮竹の関係は良好で、お互い信頼しあい、背中を預けれる戦友でもあった。
誰かが漏らしたのか、浮竹がムーンホワイトドラゴンであるということが、冒険者ギルド内で囁かれるようになっていた。
浮竹もいつまでも騙せないと肯定し、京楽もまた浮竹の周囲に目を光らせつつ、外に出るときは必ず京楽と一緒に行動するようにさせていた。
そんな浮竹が、ある日攫われた。
冒険者ギルドを出たところで、京楽を短剣でさして、浮竹にスリープの魔法をかけて浮竹をさらっていった犯人は、完全にどこかの組織の者で、手練れで訓練されていた。
京楽は、短剣でさされた傷をまずは癒すと、犯人の魔力の名残を追跡していった。
辿り着いたのは、王国の王宮であった。
「くそ、またあの愚かな姫かい」
2カ月ほど前に、王国の姫君の護衛をしたことがあった。
その姫は、浮竹がムーンホワイトドラゴンであることを知って、自分のものにしたがっていた。
一度、王家の伝来の秘薬を使って自分のものにしようとしたが、京楽の怒りを買って、殺されかけたが、流石に王家の一員を殺すには問題が山積みなので、放置していたのだが。
姫の名は、マリーシュ・エル・メリアナ。
メリアナ王国の第2王女であった。
「マリーシュ様。お言いつけ通り、ムーンホワイトドラゴンを連れてきました」
「よくやったわね!報酬は弾むわ。あの京楽という冒険者は追ってこなかったのね?」
「はい。短剣で刺しました。今頃、ムーンホワイトドラゴンを奪われて、激怒しているでしょう。でも、プロの俺の手にかかれば、探知などできないはず」
大抵の人は知らない。
魔力には波長があり、個人個人で違うことを。
魔力探査できる者は数少ない。
一般人の、ほとんどない魔力を探知するなど、砂漠の砂から星の欠片を探すようなものだ。
しかし、京楽は魔法探知が得意だった。
「ん・・・・・」
「あら、目を覚ましたのね、浮竹」
「ここは!?京楽は!?」
「今日から、私があなたの主よ」
「嘘をつけ!俺を誘拐したんだな!」
「黙らせますか?」
マリーシュ姫に、闇ギルドの誘拐犯は、短剣で浮竹を脅そうとする。
「これをつけなさい」
「な・・・・・体が、勝手に動く・・・・・」
浮竹は、自分の手で奴隷の隷属の首輪を自分にはめていた。
「あはははは、これであなたは今日から私のものよ!姉君や兄君に自慢しにいきましょう」
「く、とれない・・・・・・」
隷属の首輪をつけさせられて、マリーシュ姫を殴ろうとして、電撃が体中をかけめぐる。
「ああああ!!」
「ふふ、反抗しようとすると、その隷属の首輪は電撃を流すわ。痛い思いをしたくなければ、大人しく私の言うことを聞くことね」
「いやだ!」
浮竹は、流れる電撃に顔を歪ませながら、マリーシュ姫から逃げようとする。
「あああ!!!」
身を引き裂くような電撃に、浮竹は床に倒れた。
「怪我をさせたくないのよ。大人しく言うことを聞いてちょうだい。ここは王宮。私の部屋。
あなたはマリーシュ姫である私のものになったのよ。王族が主だから、贅沢しほうだいよ」
「贅沢なんていらない。俺を解放しろ」
「いやよ。あなたは今日から私の奴隷で私のもの。私のものであるべきよ」
「俺は、京楽のものだ。京楽以外、いらない」
「私を認めなさい!」
マリーシュ姫は、頑な拒絶する浮竹にいらついて、マックスの電撃を浴びせた。
「うわああああ!!」
ぷすぷすと焦げた匂いがする。
浮竹は、身を焦がしながらも、マリーシュ姫を受け入れなかった。
「浮竹、助けにきたよ」
京楽が、冷酷な笑みを刻みながら、マリーシュ姫の部屋の窓ガラスと割って入ってきた。
「京楽!」
「だめよ、行ってはだめ!あなたは私のもの!」
「違う。俺は、京楽のものだ」
京楽は、焦げた姿の浮竹の体を受けとめる。
「大丈夫かい?」
「これくらいで、根を上げる俺じゃない」
「ハイ・ヒーリング」
ぱぁぁぁと光が満ちて、浮竹の傷が回復する。
京楽は、笑っていた。
「死ぬ覚悟は、できているだろうね?」
「何を言っているの。私はマリーシュ・エル・メリアナ。このメリアナ王国の第二王女よ!下賎な冒険者風情が!」
京楽は、風になっていた。
まず、浮竹を攫った実行犯であった闇の組織の人間の首をはねる。
「きゃあああああああ!!!」
迸る血に、マリーシュ姫が悲鳴をあげる。
そこで、はじめてこの冒険者は王族である自分を、本気で殺そうとしていることに気付いた。
でも、もう遅かった。
「返すから!ムーンホワイトドラゴンは返すから、だから」
「ねぇ、死んで?僕の浮竹を傷つけた。死をもって償いなよ」
京楽は、残酷に笑った。
ドラゴンスレイヤーの魔剣で、まずマリーシュ姫の右手を切り飛ばす。
「きゃあああああああああ!痛い、痛い!」
「浮竹も痛い思いをしたはずだよ」
「いやああああああ、助けてええええええ!!!」
なんとかドアから出ようとするマリーシュ姫の右足を切り飛ばす。
「京楽?」
「ん?もうすぐ終わるから、そこで待っててね」
「うん」
「じゃあね、マリーシュ姫とやら。永遠に、さようなら」
京楽は魔剣を煌めかせると、マリーシュ姫の首と胴を切り離した。
ころころと転がってきた、その頭部をぐしゃりと踏みつぶす。
「京楽、大丈夫なのか。仮にも王族だぞ」
「ん、大丈夫。犯人が分からないようにするから」
京楽は、マリーシュ姫の部屋に火を放った。マリーシュ姫の体は、ただの灰になっていく。
「浮竹、おいで」
「ん」
京楽は、浮竹に口づけながら、隷属の首輪を外した。
「ん・・・・・」
首輪が外れても、まだキスを続ける。
あたりは火の海に包まれていた。
「さぁ、帰ろうか」
「うん」
ドラゴン姿で出ていくとばれるので、窓から体を透明にする魔法をかけて、走って王宮を後にする。
「ありがとう、京楽。俺を助けにきてくれて」
「当たり前でしょ。君は僕のもので、僕のパートナーだ。僕から君を奪う存在は、たとえ神であっても許しはしない」
「大袈裟だな」
「ああ、無事で本当によかった。でも、あの姫の匂いが染みついているね。今着ている服は捨てて、お風呂に入ろう」
「今からか?」
「そう、今から」
浮竹と京楽は、一緒に湯浴みをした。
体からマリーシュ姫の香りがしないのを確認して、京楽は浮竹を抱きしめる。
「もう、攫われたりしちゃだめだよ」
「ああ、分かってる」
「これを君に」
京楽が出してきたのは、翡翠細工のブレスレットだった。
「君がどこにいるか、感知できる魔法がこめられてる。つけてくれる?」
「ああ、喜んで」
マリーシュ姫は、闇の組織に暗殺されたことになった。
そう根回ししたのは京楽だ。
愛する者のためなら、殺人もいとわない京楽を、浮竹は全てをひっくるめて受け入れる。
「愛してる」
「僕もだよ」
夜は更けていく。
浮竹と京楽は、同じベッドで眠りながら、二人でいられる幸せを享受するのだった。
京楽と浮竹の関係は良好で、お互い信頼しあい、背中を預けれる戦友でもあった。
誰かが漏らしたのか、浮竹がムーンホワイトドラゴンであるということが、冒険者ギルド内で囁かれるようになっていた。
浮竹もいつまでも騙せないと肯定し、京楽もまた浮竹の周囲に目を光らせつつ、外に出るときは必ず京楽と一緒に行動するようにさせていた。
そんな浮竹が、ある日攫われた。
冒険者ギルドを出たところで、京楽を短剣でさして、浮竹にスリープの魔法をかけて浮竹をさらっていった犯人は、完全にどこかの組織の者で、手練れで訓練されていた。
京楽は、短剣でさされた傷をまずは癒すと、犯人の魔力の名残を追跡していった。
辿り着いたのは、王国の王宮であった。
「くそ、またあの愚かな姫かい」
2カ月ほど前に、王国の姫君の護衛をしたことがあった。
その姫は、浮竹がムーンホワイトドラゴンであることを知って、自分のものにしたがっていた。
一度、王家の伝来の秘薬を使って自分のものにしようとしたが、京楽の怒りを買って、殺されかけたが、流石に王家の一員を殺すには問題が山積みなので、放置していたのだが。
姫の名は、マリーシュ・エル・メリアナ。
メリアナ王国の第2王女であった。
「マリーシュ様。お言いつけ通り、ムーンホワイトドラゴンを連れてきました」
「よくやったわね!報酬は弾むわ。あの京楽という冒険者は追ってこなかったのね?」
「はい。短剣で刺しました。今頃、ムーンホワイトドラゴンを奪われて、激怒しているでしょう。でも、プロの俺の手にかかれば、探知などできないはず」
大抵の人は知らない。
魔力には波長があり、個人個人で違うことを。
魔力探査できる者は数少ない。
一般人の、ほとんどない魔力を探知するなど、砂漠の砂から星の欠片を探すようなものだ。
しかし、京楽は魔法探知が得意だった。
「ん・・・・・」
「あら、目を覚ましたのね、浮竹」
「ここは!?京楽は!?」
「今日から、私があなたの主よ」
「嘘をつけ!俺を誘拐したんだな!」
「黙らせますか?」
マリーシュ姫に、闇ギルドの誘拐犯は、短剣で浮竹を脅そうとする。
「これをつけなさい」
「な・・・・・体が、勝手に動く・・・・・」
浮竹は、自分の手で奴隷の隷属の首輪を自分にはめていた。
「あはははは、これであなたは今日から私のものよ!姉君や兄君に自慢しにいきましょう」
「く、とれない・・・・・・」
隷属の首輪をつけさせられて、マリーシュ姫を殴ろうとして、電撃が体中をかけめぐる。
「ああああ!!」
「ふふ、反抗しようとすると、その隷属の首輪は電撃を流すわ。痛い思いをしたくなければ、大人しく私の言うことを聞くことね」
「いやだ!」
浮竹は、流れる電撃に顔を歪ませながら、マリーシュ姫から逃げようとする。
「あああ!!!」
身を引き裂くような電撃に、浮竹は床に倒れた。
「怪我をさせたくないのよ。大人しく言うことを聞いてちょうだい。ここは王宮。私の部屋。
あなたはマリーシュ姫である私のものになったのよ。王族が主だから、贅沢しほうだいよ」
「贅沢なんていらない。俺を解放しろ」
「いやよ。あなたは今日から私の奴隷で私のもの。私のものであるべきよ」
「俺は、京楽のものだ。京楽以外、いらない」
「私を認めなさい!」
マリーシュ姫は、頑な拒絶する浮竹にいらついて、マックスの電撃を浴びせた。
「うわああああ!!」
ぷすぷすと焦げた匂いがする。
浮竹は、身を焦がしながらも、マリーシュ姫を受け入れなかった。
「浮竹、助けにきたよ」
京楽が、冷酷な笑みを刻みながら、マリーシュ姫の部屋の窓ガラスと割って入ってきた。
「京楽!」
「だめよ、行ってはだめ!あなたは私のもの!」
「違う。俺は、京楽のものだ」
京楽は、焦げた姿の浮竹の体を受けとめる。
「大丈夫かい?」
「これくらいで、根を上げる俺じゃない」
「ハイ・ヒーリング」
ぱぁぁぁと光が満ちて、浮竹の傷が回復する。
京楽は、笑っていた。
「死ぬ覚悟は、できているだろうね?」
「何を言っているの。私はマリーシュ・エル・メリアナ。このメリアナ王国の第二王女よ!下賎な冒険者風情が!」
京楽は、風になっていた。
まず、浮竹を攫った実行犯であった闇の組織の人間の首をはねる。
「きゃあああああああ!!!」
迸る血に、マリーシュ姫が悲鳴をあげる。
そこで、はじめてこの冒険者は王族である自分を、本気で殺そうとしていることに気付いた。
でも、もう遅かった。
「返すから!ムーンホワイトドラゴンは返すから、だから」
「ねぇ、死んで?僕の浮竹を傷つけた。死をもって償いなよ」
京楽は、残酷に笑った。
ドラゴンスレイヤーの魔剣で、まずマリーシュ姫の右手を切り飛ばす。
「きゃあああああああああ!痛い、痛い!」
「浮竹も痛い思いをしたはずだよ」
「いやああああああ、助けてええええええ!!!」
なんとかドアから出ようとするマリーシュ姫の右足を切り飛ばす。
「京楽?」
「ん?もうすぐ終わるから、そこで待っててね」
「うん」
「じゃあね、マリーシュ姫とやら。永遠に、さようなら」
京楽は魔剣を煌めかせると、マリーシュ姫の首と胴を切り離した。
ころころと転がってきた、その頭部をぐしゃりと踏みつぶす。
「京楽、大丈夫なのか。仮にも王族だぞ」
「ん、大丈夫。犯人が分からないようにするから」
京楽は、マリーシュ姫の部屋に火を放った。マリーシュ姫の体は、ただの灰になっていく。
「浮竹、おいで」
「ん」
京楽は、浮竹に口づけながら、隷属の首輪を外した。
「ん・・・・・」
首輪が外れても、まだキスを続ける。
あたりは火の海に包まれていた。
「さぁ、帰ろうか」
「うん」
ドラゴン姿で出ていくとばれるので、窓から体を透明にする魔法をかけて、走って王宮を後にする。
「ありがとう、京楽。俺を助けにきてくれて」
「当たり前でしょ。君は僕のもので、僕のパートナーだ。僕から君を奪う存在は、たとえ神であっても許しはしない」
「大袈裟だな」
「ああ、無事で本当によかった。でも、あの姫の匂いが染みついているね。今着ている服は捨てて、お風呂に入ろう」
「今からか?」
「そう、今から」
浮竹と京楽は、一緒に湯浴みをした。
体からマリーシュ姫の香りがしないのを確認して、京楽は浮竹を抱きしめる。
「もう、攫われたりしちゃだめだよ」
「ああ、分かってる」
「これを君に」
京楽が出してきたのは、翡翠細工のブレスレットだった。
「君がどこにいるか、感知できる魔法がこめられてる。つけてくれる?」
「ああ、喜んで」
マリーシュ姫は、闇の組織に暗殺されたことになった。
そう根回ししたのは京楽だ。
愛する者のためなら、殺人もいとわない京楽を、浮竹は全てをひっくるめて受け入れる。
「愛してる」
「僕もだよ」
夜は更けていく。
浮竹と京楽は、同じベッドで眠りながら、二人でいられる幸せを享受するのだった。
奴隷竜とSランク冒険者3
京楽と一緒に生活しだすようになって、1カ月が過ぎていた。
Sランク冒険者として、難易度の高いダンジョンに挑んだり、高レベルのモンスター退治をしたりしていた。
ある日、舞いこんできたのは京楽が拠点としている王国の、姫君の護衛だった。
京楽は断ろうとしたのだが、ギルドマスターの山じいに言いくるめられて、結局受けることを承諾した。
「浮竹十四郎さんというのですね。素敵ですわ」
姫君は、護衛の乗った馬車の中で、京楽のいらついた視線も省みず、浮竹にちょっかいをかけてくる。
「ドラゴンなんて嘘のよう。でも、真竜であられるのですね。なんでも、ムーンホワイトドラゴンだとか」
山じいが、姫君に口を滑らしたのだ。
京楽のパートナーはムーンホワイトドラゴンの、真竜であると。
「ムーンホワイトドラゴンは羽毛に覆われているのでしょう?姿を拝見したいわ」
「む、今は姫君の護衛中だ。変身はできない」
「あら、残念ですわ。でも、城に戻った時には変身してくださいましね?」
姫君は、浮竹の手をとって、自分の頬に当てた。
「本当に綺麗。白くて、瞳は翡翠色。こんな殿方、たとえモンスターでもあったことありませんわ」
「ちょっとね、君、浮竹は僕のものだよ」
ついに耐えかねた京楽が、姫君と浮竹をべりっと引っぺがす。
「あら、あなたのような野蛮な冒険者なんて、お呼びでないですわ。私、決めましたの。この浮竹十四郎というムーンホワイトドラゴンを私のものにしますわ」
「何言ってるの!」
「元々、奴隷だったのでしょう?白金貨50万枚さしあげますから、売ってください」
「お金の問題じゃないよ!」
ガタン。
馬のいななきが聞こえ、先頭をいく馬車がグリフォンに襲撃されていた。
「グリフォンか。このあたりに巣はなかったはずだけど・・・・浮竹、出るよ!」
「きゃあ、怖い!どうか、浮竹さん、私の傍で私を守ってくださいまし」
「俺は、お前を依頼人としてしか見ていない。京楽、俺も出る」
馬車の扉をあけ放ち、飛び降りて数匹のグリフォンの群れに向かって、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。
「ぎぎゃああああ」
もろに攻撃を受けた一匹が、体を半分氷にしながらこっちにつっこんでくる。
姫君の護衛が今回の任務なので、京楽はいけすかないとはいえ、姫を守るためにグリフォンを切り殺す。
「しゃああああ」
グリフォンの群れは、浮竹と京楽が強敵とうつり、一斉に攻撃してきた。
「ダークストーム!」
「エアバレット!」
京楽は闇の魔法を、浮竹は風の魔法でグリフォンを迎え撃つ。
翼をまずはやぶき、飛べなくなったところを京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣でとどめをさしていく。
「きゃあああああ!!」
姫君の悲鳴が聞こえた。
なんと、愚かなことに馬車から降りていたのだ。
「危ない!」
生き残ったグリフォンに襲われそうになったところを、浮竹が庇う。
「ぐ・・・・・」
背中に鋭い爪の傷跡ができる。
「浮竹!」
「大丈夫だ、これくらい・・・・」
「きますわ!」
「まったく、とんだ姫君だな」
愚痴を呟きつつも、生き残ったグリフォンを切り殺して、京楽はまずは浮竹の背中の傷に、回復魔法をかけた。
「回復魔法なら、私にも使えるんですのよ。邪魔をしないでちょうだい。あなたは、負傷した兵たちを見なさい」
依頼者の命令は、王族なので絶対。
京楽は舌打ちをしながらも、浮竹を姫君に預けて、グリフォンに襲われて傷ついた兵士たちの傷を癒していった。
「終わったよ。浮竹、こっちにおいで」
「嫌だ。俺は、この姫君のものになる」
「浮竹?」
「姫君を愛している。京楽、パートナーも主従の契りも、なかったことにする」
うつろな瞳で、たんたんと告げる浮竹は、何かの魔法にかかっているらしかった。
「チャームか。めんどうだな」
京楽は、浮竹の腕にしがみついていた姫君を放りなげた。
「きゃあああああ!狼藉者!」
「僕の浮竹に何をしたの」
「ひっ」
今にも殺しそうな瞳で、姫君の首元にドラゴンスレイヤーの魔剣の切っ先を向ける。
「さぁ、白状してもらおうか」
「王家、伝来の秘薬を・・・・使いました」
「愚かな・・・・そんなに浮竹が欲しいのかい」
「欲しいわ!だってムーンホワイトドラゴンよ!私がもっていてこそ、意味があるというもの!」
「本気で言ってるの?」
京楽は、魔剣で姫君の足を切った。
「いやああああ、痛い!」
護衛の衛兵たちは、スリープの呪文で眠らせていた。
「君を殺して、王国からとんずらすることもできるんだよ。浮竹を元に戻して」
「ああああ・・・・・キスを。愛しい相手のキスなら、解けます・・・・」
「浮竹、おいで」
「嫌だ。俺は姫君のものだ。姫君を傷つけた京楽は許さない!」
殴りかかってくる体をやんわりと受け止めて、京楽は浮竹に深い口づけをした。
「京楽・・・・・俺は?」
「姫君の悪だくみで、ちょっとおかしくなっていたんだよ。もう解けたから、大丈夫」
「なんだか、姫君がすごく愛おしくなって・・・・そこから先にことは、覚えてない」
「護衛依頼は破棄する。衛兵たちはすぐに意識を取り戻すだろうから、後は城までモンスターもいそうにないし、帰ることだね」
「ひっ」
怒り、姫君を今まさに切り殺さんという眼差しの京楽の視線に、姫君は失禁していた。
「あああ、浮竹さん、あなた、こんな男のものでいいのですか!?」
「ああ。俺はかまわない。今で会ってきた人間の中で一番優しいし、一番強い。ドラゴンは強者に従う。だから、俺は京楽のものとして生きる」
「狂ってる・・・・・」
「そうかもな」
浮竹は白い羽毛が生えたドラゴンの姿になると、京楽を乗せて王都まで飛んでいく。
「よかったのか、京楽。姫君にあんな真似をして放置して」
「別にいいよ。王家伝来の秘薬を勝手に使ったんだ。怒られるだろうし、傷は一応癒しておいたし、残りの近衛兵だけで城まで戻れるでしょ」
「そうか・・・・・」
浮竹は、自分のために怒ってくれた京楽を嬉しく思いながら、京楽を乗せて王都まで戻った。
冒険者ギルドで、姫君の護衛の任務失を伝えると、山じいは卒倒した。
「山じい、ごめんねぇ。浮竹に手を出すものだから、ちょっと怒りが向いちゃった」
「ひ、姫君は無事なのかのお?」
「ああ、傷つけた足は治癒しておいた」
「怪我を負わせたのか。下手すると、王国反逆罪になるぞい」
「大丈夫。そんなことになったら、この王国捨てるし。Sランクの冒険者を欲しがるギルドなんて、外の国にいくつでもある」
「ふううううう」
山じいは、深いため息をついた。
結局、姫君の護衛の件で任務達成失敗になったのだが、あの姫君が浮竹に近づいてくることも、京楽をとがめることもなかったので、浮竹と京楽は任務失敗の罰則金を払って、まだSランクダンジョンにこもるのであった。
Sランク冒険者として、難易度の高いダンジョンに挑んだり、高レベルのモンスター退治をしたりしていた。
ある日、舞いこんできたのは京楽が拠点としている王国の、姫君の護衛だった。
京楽は断ろうとしたのだが、ギルドマスターの山じいに言いくるめられて、結局受けることを承諾した。
「浮竹十四郎さんというのですね。素敵ですわ」
姫君は、護衛の乗った馬車の中で、京楽のいらついた視線も省みず、浮竹にちょっかいをかけてくる。
「ドラゴンなんて嘘のよう。でも、真竜であられるのですね。なんでも、ムーンホワイトドラゴンだとか」
山じいが、姫君に口を滑らしたのだ。
京楽のパートナーはムーンホワイトドラゴンの、真竜であると。
「ムーンホワイトドラゴンは羽毛に覆われているのでしょう?姿を拝見したいわ」
「む、今は姫君の護衛中だ。変身はできない」
「あら、残念ですわ。でも、城に戻った時には変身してくださいましね?」
姫君は、浮竹の手をとって、自分の頬に当てた。
「本当に綺麗。白くて、瞳は翡翠色。こんな殿方、たとえモンスターでもあったことありませんわ」
「ちょっとね、君、浮竹は僕のものだよ」
ついに耐えかねた京楽が、姫君と浮竹をべりっと引っぺがす。
「あら、あなたのような野蛮な冒険者なんて、お呼びでないですわ。私、決めましたの。この浮竹十四郎というムーンホワイトドラゴンを私のものにしますわ」
「何言ってるの!」
「元々、奴隷だったのでしょう?白金貨50万枚さしあげますから、売ってください」
「お金の問題じゃないよ!」
ガタン。
馬のいななきが聞こえ、先頭をいく馬車がグリフォンに襲撃されていた。
「グリフォンか。このあたりに巣はなかったはずだけど・・・・浮竹、出るよ!」
「きゃあ、怖い!どうか、浮竹さん、私の傍で私を守ってくださいまし」
「俺は、お前を依頼人としてしか見ていない。京楽、俺も出る」
馬車の扉をあけ放ち、飛び降りて数匹のグリフォンの群れに向かって、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。
「ぎぎゃああああ」
もろに攻撃を受けた一匹が、体を半分氷にしながらこっちにつっこんでくる。
姫君の護衛が今回の任務なので、京楽はいけすかないとはいえ、姫を守るためにグリフォンを切り殺す。
「しゃああああ」
グリフォンの群れは、浮竹と京楽が強敵とうつり、一斉に攻撃してきた。
「ダークストーム!」
「エアバレット!」
京楽は闇の魔法を、浮竹は風の魔法でグリフォンを迎え撃つ。
翼をまずはやぶき、飛べなくなったところを京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣でとどめをさしていく。
「きゃあああああ!!」
姫君の悲鳴が聞こえた。
なんと、愚かなことに馬車から降りていたのだ。
「危ない!」
生き残ったグリフォンに襲われそうになったところを、浮竹が庇う。
「ぐ・・・・・」
背中に鋭い爪の傷跡ができる。
「浮竹!」
「大丈夫だ、これくらい・・・・」
「きますわ!」
「まったく、とんだ姫君だな」
愚痴を呟きつつも、生き残ったグリフォンを切り殺して、京楽はまずは浮竹の背中の傷に、回復魔法をかけた。
「回復魔法なら、私にも使えるんですのよ。邪魔をしないでちょうだい。あなたは、負傷した兵たちを見なさい」
依頼者の命令は、王族なので絶対。
京楽は舌打ちをしながらも、浮竹を姫君に預けて、グリフォンに襲われて傷ついた兵士たちの傷を癒していった。
「終わったよ。浮竹、こっちにおいで」
「嫌だ。俺は、この姫君のものになる」
「浮竹?」
「姫君を愛している。京楽、パートナーも主従の契りも、なかったことにする」
うつろな瞳で、たんたんと告げる浮竹は、何かの魔法にかかっているらしかった。
「チャームか。めんどうだな」
京楽は、浮竹の腕にしがみついていた姫君を放りなげた。
「きゃあああああ!狼藉者!」
「僕の浮竹に何をしたの」
「ひっ」
今にも殺しそうな瞳で、姫君の首元にドラゴンスレイヤーの魔剣の切っ先を向ける。
「さぁ、白状してもらおうか」
「王家、伝来の秘薬を・・・・使いました」
「愚かな・・・・そんなに浮竹が欲しいのかい」
「欲しいわ!だってムーンホワイトドラゴンよ!私がもっていてこそ、意味があるというもの!」
「本気で言ってるの?」
京楽は、魔剣で姫君の足を切った。
「いやああああ、痛い!」
護衛の衛兵たちは、スリープの呪文で眠らせていた。
「君を殺して、王国からとんずらすることもできるんだよ。浮竹を元に戻して」
「ああああ・・・・・キスを。愛しい相手のキスなら、解けます・・・・」
「浮竹、おいで」
「嫌だ。俺は姫君のものだ。姫君を傷つけた京楽は許さない!」
殴りかかってくる体をやんわりと受け止めて、京楽は浮竹に深い口づけをした。
「京楽・・・・・俺は?」
「姫君の悪だくみで、ちょっとおかしくなっていたんだよ。もう解けたから、大丈夫」
「なんだか、姫君がすごく愛おしくなって・・・・そこから先にことは、覚えてない」
「護衛依頼は破棄する。衛兵たちはすぐに意識を取り戻すだろうから、後は城までモンスターもいそうにないし、帰ることだね」
「ひっ」
怒り、姫君を今まさに切り殺さんという眼差しの京楽の視線に、姫君は失禁していた。
「あああ、浮竹さん、あなた、こんな男のものでいいのですか!?」
「ああ。俺はかまわない。今で会ってきた人間の中で一番優しいし、一番強い。ドラゴンは強者に従う。だから、俺は京楽のものとして生きる」
「狂ってる・・・・・」
「そうかもな」
浮竹は白い羽毛が生えたドラゴンの姿になると、京楽を乗せて王都まで飛んでいく。
「よかったのか、京楽。姫君にあんな真似をして放置して」
「別にいいよ。王家伝来の秘薬を勝手に使ったんだ。怒られるだろうし、傷は一応癒しておいたし、残りの近衛兵だけで城まで戻れるでしょ」
「そうか・・・・・」
浮竹は、自分のために怒ってくれた京楽を嬉しく思いながら、京楽を乗せて王都まで戻った。
冒険者ギルドで、姫君の護衛の任務失を伝えると、山じいは卒倒した。
「山じい、ごめんねぇ。浮竹に手を出すものだから、ちょっと怒りが向いちゃった」
「ひ、姫君は無事なのかのお?」
「ああ、傷つけた足は治癒しておいた」
「怪我を負わせたのか。下手すると、王国反逆罪になるぞい」
「大丈夫。そんなことになったら、この王国捨てるし。Sランクの冒険者を欲しがるギルドなんて、外の国にいくつでもある」
「ふううううう」
山じいは、深いため息をついた。
結局、姫君の護衛の件で任務達成失敗になったのだが、あの姫君が浮竹に近づいてくることも、京楽をとがめることもなかったので、浮竹と京楽は任務失敗の罰則金を払って、まだSランクダンジョンにこもるのであった。
奴隷竜とSランク冒険者2
「浮竹、そっちに行ったよ!」
「わかってる!アイシクルブレス!」
京楽はSランク冒険者だ。でも、戦闘が長引けば怪我もするし、Aランク以上推奨のダンジョンでは苦戦することもある。
昔はパーティーを組んでいたのだが、同じパーティーに所属していた女性と色恋沙汰になり、その女性は隠していたのだが、パーティーのリーダーと婚約していて、Sランクのパーティーを追放された過去をもつ。
何度かAランクの冒険者に交じって冒険をしていたが、戦力差がでかくて、ソロに移行することになって早3年。
今は、元奴隷の浮竹をパーティーに入れて、テイムしたドラゴン扱いだが、二人で冒険をしていた。
「京楽、こいつら氷に強い。俺は炎を出せないから、炎の魔法で焼き払ってくれ」
「はいよ!バーストロンド!」
「ぎゅいいいいいいい」
「ぎいいいいいい」
昆虫型の氷属性のモンスタ―たちは、断末魔の悲鳴をあげた。
今いる場所は、Sランクダンジョンの22階層。
草原地帯のダンジョンだった。
前の階層は森林地帯だった。
次の階層は、砂漠になる。
体力を温存するために、一度この22階層で食事と睡眠をとっておく必要があった。
「サンダーボルト!」
浮竹は、魔法も使う。
氷属性のムーンホワイトドラゴンなので、炎系の魔法は使えないが、他の氷、風、水、地、雷、闇、光の魔法は使えた。一番得意とするのは、氷の魔法だ。
アイシクルブレスという、人型でも氷のブレスを吐けた。
京楽と生活するようになって2週間が経っていた。
京楽の戦いのサポートをして、ダンジョンに挑み、モンスターを討伐して素材をアイテムポケットにしまいこみ、ボスを倒してお宝をゲットする。
そんな毎日が続いていた。
「お、お宝だ。何々・・・・氷属性の魔法の威力をあげるピアス。いいね。浮竹、つけてごらん」
「でも、こんなマジックアイテム、高いだろう」
「マジックアイテムなんて、高ランクダンジョンにはいっぱい出るから、気にしないでいいよ」
京楽は、浮竹にピアス穴をあけて、氷結のピアスというものをつけてしまった。
「う、耳が痛い」
「そりゃ、穴あけたからね」
「俺は別によかったのに」
「君の戦力がUPすると、僕も助かるからね」
「むう」
今日は、満月だ。
不満そうな顔と裏腹に、半竜人化した浮竹は尻尾がゆらゆら揺れていた。
本当は、嬉しいのだ。
それを感情に表せないでいるのだが、京楽は分かっているのかいないのか、とにかく浮竹を甘やかす。
22階層のモンスターを一掃して、セーブポイントでアイテムポケットから取り出したテントをはり、浮竹と京楽は少し早めの夕食をとって、寝ることにした。
「じゃあおやすみ、浮竹」
隣のテントに移動しようとする京楽の、服の裾を浮竹が掴む。
「ん?どうしたの」
「今日は、満月だ。一人は、嫌だ・・・・・・・」
満月の夜は、孤高なるドラゴンでも孤独に耐えかねて、人里に降りてきたりする。
「分かった分かった。一緒に寝よう?」
ゆらゆらと、浮竹の尻尾が揺れる。
「仕方ないから、一緒に寝てやる!」
「はいはい」
言葉とは裏腹に嬉し気に揺れるドラゴンの尻尾を見て、京楽はクスっと笑った。
「んー京楽、それはミノタウロスのシャトーブリアンのステーキ・・・独り占めは・・・」
「なんの夢を、見ているんだが」
むにゃむにゃという浮竹の頭を、京楽は愛し気に撫でる。
冒険者ギルドで浮竹を見せたが、ムーンホワイトドラゴンだという事実は、公表しないことにした。
希少すぎるのだ。
奴隷として、捕まって売られたら大変なので、ただのホワイトドラゴンということにした。
ホワイトドラゴンでも珍しい。
浮竹を買ったことを知ったギルドのギルドマスターは、京楽のパートナーとの位置にいることを許してくれて、テイムされたモンスター扱いではなく、一人の人のしての扱いをしてくれた。
それを他の冒険者にも強制したが、異議を申し立てる者はいなかった。
ドラゴンをテイムするテイマーがいないわけではないのだ。人型をとるモンスターの場合、基本モンスター扱いではなく、人扱いになる。
睡眠を十分にとって、23階層に挑む。
砂漠地帯は暑く、天にある太陽がじりじりと体力を奪っていく。
「アイシクルフラワー・・・・・」
暑さに耐えかねた浮竹が、クーラーのような魔法を使った。
「ああ、涼しい。生き返るよ」
「暑いのは、苦手だ」
陶器の器に氷をいれて、水を入れて溶かして飲んだ。
「水、普通は貴重だけど僕や君みたいに、水魔法を使える冒険者は特に水を所持する必要性がないからね」
「早く、砂漠地帯の23階層を抜けよう」
「そうだね」
途中で狂暴化したビッグサンドワームに襲われることはあったが、浮竹のアイシクルブレスで氷像と化してしまい、氷を解かされる前に京楽が粉々にした。
24階層。
ボスのフロアの、最終階層であった。
いたのは、闇属性のヒュドラ。
「ホワイトレイ!」
浮竹が光の魔法を放つと、ヒュドラの頭が一つもげた。
「浮竹、君って奴隷だったから戦闘経験はないっていってたけど、覚えてる魔法の数も多いし、何より強いね!」
「奴隷の頃、することがなかったので、魔法の本を読み漁っていた」
「いいことだね!」
「よくない!奴隷だったんだぞ!」
「うん、奴隷だったことはいいことじゃないけど、本を読んで知識をためこむことはいいことだよ。特にドラゴンはブレスの他に多数の魔法を操るから」
「俺もドラゴンだ!固有スキル、「凍れる者」をもっている。氷結系の魔法は、誰にも引けをとらない。アイシクルブレス!!!」
「ぎゅるるるるるる!!!」
闇のヒュドラは、ダークブレスを吐くが、それをアイシクルブレスが相殺する。
「こっちだよ、ヒュドラ。浮竹ばかり相手してないで、僕も相手してよ!」
京楽は、剣でヒュドラの8つあった首のうち、2つを斬り捨てた。
浮竹がすでに1つの頭を破壊しているので、残ってる頭は5つ。
それぞれ、違う魔法の詠唱に入る。
「合唱魔法か!完成する前に、叩くよ!」
「分かっている!アイシクルブレス!!!」
「ヘルインフェルノ!」
魔法で攻撃して、詠唱が止まったところを、京楽の剣が5つの首を切り落とし、ドラゴンの姿になった浮竹が、白い羽毛を血で汚しながらヒュドラの心臓部分に噛みついた。
「ぎゃるるるるーーーーーああああーーーーー」
断末魔の悲鳴をあげて、ヒュドラが倒れる。
浮竹は、人の姿に戻ると、べっとりとヒュドラの血にまみれていた。
「ああ、せっかくの美貌がだいなしだ。キュアクリーン」
京楽が、浄化の魔法で浮竹のヒュドラの血を落とす。
「どうした」
「ドラゴンの姿に戻る時は、事前に言ってね。危うく、剣で傷つけるところだった。この剣、魔剣でドラゴンスレイヤーの剣っていわれてて、ドラゴン系の血肉をすするのが大好きだから」
「う、俺を食うなよ!」
「大丈夫。ちゃんと持ち主の意思を反映してくれるから」
「クイタイ。レアなドラゴンの血肉、クイタイ」
「ちょ、しゃべった!」
「ああ、うん。意思があるからね。だめだぞ、ドラゴンスレイヤー。この子は僕のもの。僕のものに手を出したら、たとえ僕の愛用する魔剣とはいえ・・・・・」
ぞっとするほどに冷たい顔で、京楽は魔剣に囁やいた。
「ワカッタ。ワカッタからおろうとスルナ」
魔剣はカタカタと震えた。
Sランンクダンジョンを踏破して、戦利品をもって冒険者ギルドに戻った。
「おお、十四郎に春水、無事であったか」
ギルドマスター通称山じぃといって、引退した元Sランク冒険者で、ドラゴンスレイヤーの異名も持っていた。
「これ、今回の獲物。Sランクダンジョンを踏破したよ。ボスはヒュドラだった。魔石は大きいから、けっこう値段すると思うよ」
「ヒュドラ!それを二人だけで倒してしまうとはのう」
Sランクダンジョンで手に入れたマジックアイテムや金銀財宝をひきとってもらい、白金貨2千枚をもらった。
「白金貨が2千枚・・・・・」
ちなみに、浮竹の奴隷の頃の値段は白金貨20万枚だ。
「やっぱ冒険者稼業はもうかるね」
「そ、そうだな」
報酬金を手に、高級宿に戻ると、浮竹はそわそわしていた。
「どうしたの?」
「白金貨2千枚だぞ!とられたらどうする」
「僕が奪うバカはいないよ。そんなことしようとしたら、容赦なく殺すからね。過去にいたけど、殺したし」
「京楽・・・・」
「ん?」
「ダンジョン、それなりに楽しかった。また行こう」
浮竹は、京楽の頬にキスをして、ベッドにいくと布団にくるまってしまった。
「ふふ。君なりの精一杯の愛情表現ってところかな」
「う、うるさい」
布団をかぶってごぞごそしながら、浮竹は眠気が訪れるをゆっくりと待つのであった。
「わかってる!アイシクルブレス!」
京楽はSランク冒険者だ。でも、戦闘が長引けば怪我もするし、Aランク以上推奨のダンジョンでは苦戦することもある。
昔はパーティーを組んでいたのだが、同じパーティーに所属していた女性と色恋沙汰になり、その女性は隠していたのだが、パーティーのリーダーと婚約していて、Sランクのパーティーを追放された過去をもつ。
何度かAランクの冒険者に交じって冒険をしていたが、戦力差がでかくて、ソロに移行することになって早3年。
今は、元奴隷の浮竹をパーティーに入れて、テイムしたドラゴン扱いだが、二人で冒険をしていた。
「京楽、こいつら氷に強い。俺は炎を出せないから、炎の魔法で焼き払ってくれ」
「はいよ!バーストロンド!」
「ぎゅいいいいいいい」
「ぎいいいいいい」
昆虫型の氷属性のモンスタ―たちは、断末魔の悲鳴をあげた。
今いる場所は、Sランクダンジョンの22階層。
草原地帯のダンジョンだった。
前の階層は森林地帯だった。
次の階層は、砂漠になる。
体力を温存するために、一度この22階層で食事と睡眠をとっておく必要があった。
「サンダーボルト!」
浮竹は、魔法も使う。
氷属性のムーンホワイトドラゴンなので、炎系の魔法は使えないが、他の氷、風、水、地、雷、闇、光の魔法は使えた。一番得意とするのは、氷の魔法だ。
アイシクルブレスという、人型でも氷のブレスを吐けた。
京楽と生活するようになって2週間が経っていた。
京楽の戦いのサポートをして、ダンジョンに挑み、モンスターを討伐して素材をアイテムポケットにしまいこみ、ボスを倒してお宝をゲットする。
そんな毎日が続いていた。
「お、お宝だ。何々・・・・氷属性の魔法の威力をあげるピアス。いいね。浮竹、つけてごらん」
「でも、こんなマジックアイテム、高いだろう」
「マジックアイテムなんて、高ランクダンジョンにはいっぱい出るから、気にしないでいいよ」
京楽は、浮竹にピアス穴をあけて、氷結のピアスというものをつけてしまった。
「う、耳が痛い」
「そりゃ、穴あけたからね」
「俺は別によかったのに」
「君の戦力がUPすると、僕も助かるからね」
「むう」
今日は、満月だ。
不満そうな顔と裏腹に、半竜人化した浮竹は尻尾がゆらゆら揺れていた。
本当は、嬉しいのだ。
それを感情に表せないでいるのだが、京楽は分かっているのかいないのか、とにかく浮竹を甘やかす。
22階層のモンスターを一掃して、セーブポイントでアイテムポケットから取り出したテントをはり、浮竹と京楽は少し早めの夕食をとって、寝ることにした。
「じゃあおやすみ、浮竹」
隣のテントに移動しようとする京楽の、服の裾を浮竹が掴む。
「ん?どうしたの」
「今日は、満月だ。一人は、嫌だ・・・・・・・」
満月の夜は、孤高なるドラゴンでも孤独に耐えかねて、人里に降りてきたりする。
「分かった分かった。一緒に寝よう?」
ゆらゆらと、浮竹の尻尾が揺れる。
「仕方ないから、一緒に寝てやる!」
「はいはい」
言葉とは裏腹に嬉し気に揺れるドラゴンの尻尾を見て、京楽はクスっと笑った。
「んー京楽、それはミノタウロスのシャトーブリアンのステーキ・・・独り占めは・・・」
「なんの夢を、見ているんだが」
むにゃむにゃという浮竹の頭を、京楽は愛し気に撫でる。
冒険者ギルドで浮竹を見せたが、ムーンホワイトドラゴンだという事実は、公表しないことにした。
希少すぎるのだ。
奴隷として、捕まって売られたら大変なので、ただのホワイトドラゴンということにした。
ホワイトドラゴンでも珍しい。
浮竹を買ったことを知ったギルドのギルドマスターは、京楽のパートナーとの位置にいることを許してくれて、テイムされたモンスター扱いではなく、一人の人のしての扱いをしてくれた。
それを他の冒険者にも強制したが、異議を申し立てる者はいなかった。
ドラゴンをテイムするテイマーがいないわけではないのだ。人型をとるモンスターの場合、基本モンスター扱いではなく、人扱いになる。
睡眠を十分にとって、23階層に挑む。
砂漠地帯は暑く、天にある太陽がじりじりと体力を奪っていく。
「アイシクルフラワー・・・・・」
暑さに耐えかねた浮竹が、クーラーのような魔法を使った。
「ああ、涼しい。生き返るよ」
「暑いのは、苦手だ」
陶器の器に氷をいれて、水を入れて溶かして飲んだ。
「水、普通は貴重だけど僕や君みたいに、水魔法を使える冒険者は特に水を所持する必要性がないからね」
「早く、砂漠地帯の23階層を抜けよう」
「そうだね」
途中で狂暴化したビッグサンドワームに襲われることはあったが、浮竹のアイシクルブレスで氷像と化してしまい、氷を解かされる前に京楽が粉々にした。
24階層。
ボスのフロアの、最終階層であった。
いたのは、闇属性のヒュドラ。
「ホワイトレイ!」
浮竹が光の魔法を放つと、ヒュドラの頭が一つもげた。
「浮竹、君って奴隷だったから戦闘経験はないっていってたけど、覚えてる魔法の数も多いし、何より強いね!」
「奴隷の頃、することがなかったので、魔法の本を読み漁っていた」
「いいことだね!」
「よくない!奴隷だったんだぞ!」
「うん、奴隷だったことはいいことじゃないけど、本を読んで知識をためこむことはいいことだよ。特にドラゴンはブレスの他に多数の魔法を操るから」
「俺もドラゴンだ!固有スキル、「凍れる者」をもっている。氷結系の魔法は、誰にも引けをとらない。アイシクルブレス!!!」
「ぎゅるるるるるる!!!」
闇のヒュドラは、ダークブレスを吐くが、それをアイシクルブレスが相殺する。
「こっちだよ、ヒュドラ。浮竹ばかり相手してないで、僕も相手してよ!」
京楽は、剣でヒュドラの8つあった首のうち、2つを斬り捨てた。
浮竹がすでに1つの頭を破壊しているので、残ってる頭は5つ。
それぞれ、違う魔法の詠唱に入る。
「合唱魔法か!完成する前に、叩くよ!」
「分かっている!アイシクルブレス!!!」
「ヘルインフェルノ!」
魔法で攻撃して、詠唱が止まったところを、京楽の剣が5つの首を切り落とし、ドラゴンの姿になった浮竹が、白い羽毛を血で汚しながらヒュドラの心臓部分に噛みついた。
「ぎゃるるるるーーーーーああああーーーーー」
断末魔の悲鳴をあげて、ヒュドラが倒れる。
浮竹は、人の姿に戻ると、べっとりとヒュドラの血にまみれていた。
「ああ、せっかくの美貌がだいなしだ。キュアクリーン」
京楽が、浄化の魔法で浮竹のヒュドラの血を落とす。
「どうした」
「ドラゴンの姿に戻る時は、事前に言ってね。危うく、剣で傷つけるところだった。この剣、魔剣でドラゴンスレイヤーの剣っていわれてて、ドラゴン系の血肉をすするのが大好きだから」
「う、俺を食うなよ!」
「大丈夫。ちゃんと持ち主の意思を反映してくれるから」
「クイタイ。レアなドラゴンの血肉、クイタイ」
「ちょ、しゃべった!」
「ああ、うん。意思があるからね。だめだぞ、ドラゴンスレイヤー。この子は僕のもの。僕のものに手を出したら、たとえ僕の愛用する魔剣とはいえ・・・・・」
ぞっとするほどに冷たい顔で、京楽は魔剣に囁やいた。
「ワカッタ。ワカッタからおろうとスルナ」
魔剣はカタカタと震えた。
Sランンクダンジョンを踏破して、戦利品をもって冒険者ギルドに戻った。
「おお、十四郎に春水、無事であったか」
ギルドマスター通称山じぃといって、引退した元Sランク冒険者で、ドラゴンスレイヤーの異名も持っていた。
「これ、今回の獲物。Sランクダンジョンを踏破したよ。ボスはヒュドラだった。魔石は大きいから、けっこう値段すると思うよ」
「ヒュドラ!それを二人だけで倒してしまうとはのう」
Sランクダンジョンで手に入れたマジックアイテムや金銀財宝をひきとってもらい、白金貨2千枚をもらった。
「白金貨が2千枚・・・・・」
ちなみに、浮竹の奴隷の頃の値段は白金貨20万枚だ。
「やっぱ冒険者稼業はもうかるね」
「そ、そうだな」
報酬金を手に、高級宿に戻ると、浮竹はそわそわしていた。
「どうしたの?」
「白金貨2千枚だぞ!とられたらどうする」
「僕が奪うバカはいないよ。そんなことしようとしたら、容赦なく殺すからね。過去にいたけど、殺したし」
「京楽・・・・」
「ん?」
「ダンジョン、それなりに楽しかった。また行こう」
浮竹は、京楽の頬にキスをして、ベッドにいくと布団にくるまってしまった。
「ふふ。君なりの精一杯の愛情表現ってところかな」
「う、うるさい」
布団をかぶってごぞごそしながら、浮竹は眠気が訪れるをゆっくりと待つのであった。
奴隷竜とSランク冒険者
そのドラゴンは、鱗ではなく白い羽毛を体表にもつ。
瞳の色は深い緑。
卵の頃、親元から盗まれて奴隷屋に売られて、生まれた時から奴隷だった。
人の姿をとれたが、それを知られるのが怖くていつも檻の中で子ドラゴンの姿でいた。
見せ物小屋に貸し出されて、値段が高いせいでそのドラゴンは奴隷ではあるがなかなか売れなかった。
しまいには、はく製にしようという意見まででたので、そのドラゴンは仕方なく人の姿を見せた。
更に値段はあがった。
ドラゴンでも人型をとれるのは真竜のみ。ドラゴンの中のドラゴン。
人の姿をしている時でもとれない、隷属の奴隷の首輪をいつか外して、自由になるのが夢だった。
名は、浮竹十四郎。
卵の頃に親が名付けた名前だが、親の顔は知らないが名前だけは覚えていた。
卵の頃でも、声は聞こえていた。
「ねぇ、君、人の姿をとれるんだよね?」
巨大な檻の中にとじこめられていた浮竹の前に、高ランクらしい冒険者の青年が現れた。
「僕は京楽春水。君を買ったんだ。今日から、君のご主人様ってわけ。名前は浮竹十四郎であってるよね。ねぇ、ドラゴンの姿も綺麗だけど、人の姿になって?」
隷属の首輪が、反応する。
京楽を主として、その命令に応えるように首を絞めつけてくる。
「わかった・・・・・」
浮竹は、人の姿になった。
虹色の不思議な衣服をまとった、長い白髪の緑の瞳をした青年の姿をとる。
「ああ、人の姿でも綺麗なんだね」
京楽と名乗った青年は、うっとりして浮竹を檻から出した。
「もう、自由だよ。といっても、僕の奴隷になるんだけどね」
「それは、自由とは言わない」
「うん、そうだね。でも、隷属の首輪は・・・・・」
京楽は、浮竹の隷属の首輪を外してしまった。
「京楽?」
「隷属の首輪は君には似合わない。ドラゴンなのに首輪なんておかしい。人の姿を取っている時も、僕の命令に従うように首を絞めつけてくるんでしょ。痛い思いをしてほしくない」
浮竹は、目を瞬かせた。
今逃げれば、きっと京楽は追ってきて、無理やり力ずくで従わせるのだろうか。それとも、声をあけて帰ってきてくれというのだろうか。
「ねぇ、今度はまたドラゴンの姿になって」
「どうしてだ」
「白いドラゴンを見るのも初めてだけど、鱗じゃなしに羽毛を持つドラゴンなんて初めて見た。
背中に乗って、空を飛んでみたい。ねぇ、いいでしょ?」
「隷属の首輪を外して、俺が逃げないと思っているのか?」
「うん。君は、そんなことしない子だ。自由になったところで、行き場所もなくのたれ死ぬだけだよ」
実際その通りなので、浮竹は大人しく自分の新しい主となった京楽を背に乗せて、ドラゴンの姿になって羽ばたいた。
「うわぁ、高いなぁ」
「しっかりつかまっておけ」
丘をこえて、街をぐるりと一回りして帰ってくる。
「君を買うのに、Sランク冒険者稼業でためたお金をほとんど全部使っちゃったけど、いい買い物ができたよ。僕は君の主だけれど、解放奴隷のような存在だ。気楽に京楽とよんでね」
「ああ・・・・・・」
浮竹は話そうか迷った。
満月の夜は竜化して、竜の羽毛の翼に角、尻尾をもつ半竜人の姿になれることを。
半竜人になれるドラゴンは、真竜の中でも僅かしかいない。
「京楽、俺は、満月になると・・・・・・」
「ああ、半竜人化するんでしょ。僕はSランク冒険者だよ。君と同じ真竜を何度か見てきたし、屠ったりもしたよ」
「ドラゴンスレイヤー・・・・・」
竜殺しの英雄は、ドラゴンスレイヤーと呼ばれる。
それは、浮竹にとって恐怖の存在だ。
「ああ、意味もなくドラゴンを討伐したりしないから。安心して。君を殺すつもりもない」
「どうして、俺を、買った・・・・・」
「だって、白い羽毛をもつ希少種の中の希少種ムーンホワイトドラゴンだよ!本でしか見たことがない!実物が売ってるなんて、買うしかないでしょ!」
勢いよくまくしたてられて、浮竹は半歩下がる。
「あ、ああ・・・・・」
「ああ、綺麗だ。ムーンホワイトドラゴンを手に入れたと知ったら、ギルドの奴らどんな顔をするだろう」
くすくすと、京楽は笑う。
この高位ランクの冒険者は、ただ自分の欲が赴くままに浮竹を買ったのだ。
それが、少し哀しくはあったが、解放奴隷となり、偽りであるが自由を手に入れた。
「京楽、春水。ムーンホワイトドラゴン、浮竹十四郎の名にかけて、汝を主と認める」
浮竹は親指を噛み切って血を流すと、京楽と契約を交わした。
主従の契約であった。
「僕のこと、ご主人様とか呼ばずに、普通に京楽ってよんでね」
「ああ、わかった。京楽、腹がすいた」
ぐ~と腹をならす浮竹に、京楽は笑って、居酒屋に連れていく。
「おや、そんな美人どこでひっかけてきたんだい」
居酒屋の女将が、浮竹の姿を見て驚く。
「ああ、僕のパートナーみたいな存在。契約してね。実はドラゴンなんだ」
「はいはい。ドラゴンスレイヤーだからって、竜が人に従うはずないでしょ。もっちと面白い冗談にしておくれ」
「冗談じゃないのに・・・・・・」
がっくりと項垂れる京楽に、浮竹は酒をすすめた。
「飲んで、気を紛らわせ」
「君は酒は飲んだことはある?」
「ない」
「じゃあ、君はカクテルを。女将さん、この子に甘いカクテルあげて」
「まーた、酔わせて食べるつもりでしょ」
「意地の悪いこと言わないでよ」
京楽が苦笑する。
「今まで、何人の女の子があんたにひっかかったことか。まあ、本人たちも悪い気はしていなかったようだし、別にいいけれどね。この子は・・・・あれ、よく見ると男の子かい?」
「そうだよ」
「俺は男だ。どこからどう見ても、男だろう」
中性的な容姿と服装と長い白髪のせいで、女性に間違われていた。
「京楽、あんた趣味変わった?」
「うーん。まぁ、いろいろあってね」
「俺は確かに京楽のものだが・・・・」
「もう手を出したのかい!」
「いや、違うよ。奴隷だったのを、買ったんだ」
「おやまぁ、かわいそうに。若いのに、奴隷だなんて。今日はあたしがステーキをおごってあげるよ。京楽に買われてよかったわね。こいつ、見かけはちゃらんぽらんだけど、けっこう誠実で一途な男だから。あたしが保証するよ」
女将に好き勝手いわれて、Sランク冒険者の京楽は酒を飲みながら、浮竹にも酒をすすめる。
「酔っても何もしないから、飲んでごらん。甘くておいしいよ」
浮竹は、おそるおそる綺麗なピンク色に光るカクテルを一口飲んだ。
「甘い!おいしい!」
「おかわりしたかったら、女将さんに注文するといい」
「もっと飲みたい」
「はいはい。この子、名前は?」
「俺は浮竹十四郎」
「十四郎ちゃんね。春水坊のお気に入りかい。パートナーってことは、同じSランク冒険者としてやっていくんだろうから、がんばってねぇ」
女将は、次の客のために料理を作りにいった。
「俺は・・・・その、Sランク冒険者になるのか?」
「うーん、正確にはちょっと違うねぇ。君は僕がテイムしたモンスターって扱いだ。一緒に戦うけど、冒険者登録とかはいらないよ。ただ、ギルドではじめ、いろいろ説明を受けてもらうけど」
「めんどくさい・・・でも、お前を主と認めた。仕方ないから、その説明は受けよう」
浮竹は何杯かカクテルを飲んで、眠ってしまった。
京楽は、浮竹をお姫様抱っこして、いつも泊まっている高級宿に戻る。
「ムーンホワイトドラゴン・・・・ああ、僕のものだ。君は、僕のものだ・・・・」
京楽は、眠る浮竹の唇に唇をそっと重ねて、浮竹と同じベッドで眠りにつくのだった。
瞳の色は深い緑。
卵の頃、親元から盗まれて奴隷屋に売られて、生まれた時から奴隷だった。
人の姿をとれたが、それを知られるのが怖くていつも檻の中で子ドラゴンの姿でいた。
見せ物小屋に貸し出されて、値段が高いせいでそのドラゴンは奴隷ではあるがなかなか売れなかった。
しまいには、はく製にしようという意見まででたので、そのドラゴンは仕方なく人の姿を見せた。
更に値段はあがった。
ドラゴンでも人型をとれるのは真竜のみ。ドラゴンの中のドラゴン。
人の姿をしている時でもとれない、隷属の奴隷の首輪をいつか外して、自由になるのが夢だった。
名は、浮竹十四郎。
卵の頃に親が名付けた名前だが、親の顔は知らないが名前だけは覚えていた。
卵の頃でも、声は聞こえていた。
「ねぇ、君、人の姿をとれるんだよね?」
巨大な檻の中にとじこめられていた浮竹の前に、高ランクらしい冒険者の青年が現れた。
「僕は京楽春水。君を買ったんだ。今日から、君のご主人様ってわけ。名前は浮竹十四郎であってるよね。ねぇ、ドラゴンの姿も綺麗だけど、人の姿になって?」
隷属の首輪が、反応する。
京楽を主として、その命令に応えるように首を絞めつけてくる。
「わかった・・・・・」
浮竹は、人の姿になった。
虹色の不思議な衣服をまとった、長い白髪の緑の瞳をした青年の姿をとる。
「ああ、人の姿でも綺麗なんだね」
京楽と名乗った青年は、うっとりして浮竹を檻から出した。
「もう、自由だよ。といっても、僕の奴隷になるんだけどね」
「それは、自由とは言わない」
「うん、そうだね。でも、隷属の首輪は・・・・・」
京楽は、浮竹の隷属の首輪を外してしまった。
「京楽?」
「隷属の首輪は君には似合わない。ドラゴンなのに首輪なんておかしい。人の姿を取っている時も、僕の命令に従うように首を絞めつけてくるんでしょ。痛い思いをしてほしくない」
浮竹は、目を瞬かせた。
今逃げれば、きっと京楽は追ってきて、無理やり力ずくで従わせるのだろうか。それとも、声をあけて帰ってきてくれというのだろうか。
「ねぇ、今度はまたドラゴンの姿になって」
「どうしてだ」
「白いドラゴンを見るのも初めてだけど、鱗じゃなしに羽毛を持つドラゴンなんて初めて見た。
背中に乗って、空を飛んでみたい。ねぇ、いいでしょ?」
「隷属の首輪を外して、俺が逃げないと思っているのか?」
「うん。君は、そんなことしない子だ。自由になったところで、行き場所もなくのたれ死ぬだけだよ」
実際その通りなので、浮竹は大人しく自分の新しい主となった京楽を背に乗せて、ドラゴンの姿になって羽ばたいた。
「うわぁ、高いなぁ」
「しっかりつかまっておけ」
丘をこえて、街をぐるりと一回りして帰ってくる。
「君を買うのに、Sランク冒険者稼業でためたお金をほとんど全部使っちゃったけど、いい買い物ができたよ。僕は君の主だけれど、解放奴隷のような存在だ。気楽に京楽とよんでね」
「ああ・・・・・・」
浮竹は話そうか迷った。
満月の夜は竜化して、竜の羽毛の翼に角、尻尾をもつ半竜人の姿になれることを。
半竜人になれるドラゴンは、真竜の中でも僅かしかいない。
「京楽、俺は、満月になると・・・・・・」
「ああ、半竜人化するんでしょ。僕はSランク冒険者だよ。君と同じ真竜を何度か見てきたし、屠ったりもしたよ」
「ドラゴンスレイヤー・・・・・」
竜殺しの英雄は、ドラゴンスレイヤーと呼ばれる。
それは、浮竹にとって恐怖の存在だ。
「ああ、意味もなくドラゴンを討伐したりしないから。安心して。君を殺すつもりもない」
「どうして、俺を、買った・・・・・」
「だって、白い羽毛をもつ希少種の中の希少種ムーンホワイトドラゴンだよ!本でしか見たことがない!実物が売ってるなんて、買うしかないでしょ!」
勢いよくまくしたてられて、浮竹は半歩下がる。
「あ、ああ・・・・・」
「ああ、綺麗だ。ムーンホワイトドラゴンを手に入れたと知ったら、ギルドの奴らどんな顔をするだろう」
くすくすと、京楽は笑う。
この高位ランクの冒険者は、ただ自分の欲が赴くままに浮竹を買ったのだ。
それが、少し哀しくはあったが、解放奴隷となり、偽りであるが自由を手に入れた。
「京楽、春水。ムーンホワイトドラゴン、浮竹十四郎の名にかけて、汝を主と認める」
浮竹は親指を噛み切って血を流すと、京楽と契約を交わした。
主従の契約であった。
「僕のこと、ご主人様とか呼ばずに、普通に京楽ってよんでね」
「ああ、わかった。京楽、腹がすいた」
ぐ~と腹をならす浮竹に、京楽は笑って、居酒屋に連れていく。
「おや、そんな美人どこでひっかけてきたんだい」
居酒屋の女将が、浮竹の姿を見て驚く。
「ああ、僕のパートナーみたいな存在。契約してね。実はドラゴンなんだ」
「はいはい。ドラゴンスレイヤーだからって、竜が人に従うはずないでしょ。もっちと面白い冗談にしておくれ」
「冗談じゃないのに・・・・・・」
がっくりと項垂れる京楽に、浮竹は酒をすすめた。
「飲んで、気を紛らわせ」
「君は酒は飲んだことはある?」
「ない」
「じゃあ、君はカクテルを。女将さん、この子に甘いカクテルあげて」
「まーた、酔わせて食べるつもりでしょ」
「意地の悪いこと言わないでよ」
京楽が苦笑する。
「今まで、何人の女の子があんたにひっかかったことか。まあ、本人たちも悪い気はしていなかったようだし、別にいいけれどね。この子は・・・・あれ、よく見ると男の子かい?」
「そうだよ」
「俺は男だ。どこからどう見ても、男だろう」
中性的な容姿と服装と長い白髪のせいで、女性に間違われていた。
「京楽、あんた趣味変わった?」
「うーん。まぁ、いろいろあってね」
「俺は確かに京楽のものだが・・・・」
「もう手を出したのかい!」
「いや、違うよ。奴隷だったのを、買ったんだ」
「おやまぁ、かわいそうに。若いのに、奴隷だなんて。今日はあたしがステーキをおごってあげるよ。京楽に買われてよかったわね。こいつ、見かけはちゃらんぽらんだけど、けっこう誠実で一途な男だから。あたしが保証するよ」
女将に好き勝手いわれて、Sランク冒険者の京楽は酒を飲みながら、浮竹にも酒をすすめる。
「酔っても何もしないから、飲んでごらん。甘くておいしいよ」
浮竹は、おそるおそる綺麗なピンク色に光るカクテルを一口飲んだ。
「甘い!おいしい!」
「おかわりしたかったら、女将さんに注文するといい」
「もっと飲みたい」
「はいはい。この子、名前は?」
「俺は浮竹十四郎」
「十四郎ちゃんね。春水坊のお気に入りかい。パートナーってことは、同じSランク冒険者としてやっていくんだろうから、がんばってねぇ」
女将は、次の客のために料理を作りにいった。
「俺は・・・・その、Sランク冒険者になるのか?」
「うーん、正確にはちょっと違うねぇ。君は僕がテイムしたモンスターって扱いだ。一緒に戦うけど、冒険者登録とかはいらないよ。ただ、ギルドではじめ、いろいろ説明を受けてもらうけど」
「めんどくさい・・・でも、お前を主と認めた。仕方ないから、その説明は受けよう」
浮竹は何杯かカクテルを飲んで、眠ってしまった。
京楽は、浮竹をお姫様抱っこして、いつも泊まっている高級宿に戻る。
「ムーンホワイトドラゴン・・・・ああ、僕のものだ。君は、僕のものだ・・・・」
京楽は、眠る浮竹の唇に唇をそっと重ねて、浮竹と同じベッドで眠りにつくのだった。
無題
「まさか、そんな・・・・・・・・」
「今まで、隠していてすまない」
浮竹は、京楽に自分がオメガであることを告白した。
京楽は、上流貴族だけあってアルファだ。
統学院で、同じ寮の相部屋となり、友人となった京楽にこれ以上隠し通せないと思い、浮竹は自分がオメガであるということを教えた。
ごくりと、アルファの京楽が喉を鳴らす。
「じゃあ、君は男性とも結婚ができるの?」
「確かに、法ではそうだが・・・・俺は、誰とも結婚する気はない。ヒートを迎えることもないような薬が最近できてきている。高いが、それを飲んで・・・・・・」
「僕は、君がいい。君が欲しい」
「京楽?」
京楽は、浮竹がオメガということを知って、抑えていた欲を見せた。
「初めて会った時から、欲しいと思っていたんだ、君を。君がオメガであるなら、僕と付き合って結婚するのも可能だ」
「京楽、俺は、誰とも・・・・・・・!んっ」
浮竹は、京楽に口づけられて、ベッドに押し倒されていた。
「ああ、ヒート抑制剤を飲んでいるんだね」
「京楽!」
「今日はキスだけ。でも、覚悟していてね。君がオメガと知った今、君は僕の性欲対象だ」
「きょうら・・く・・・・?」
浮竹は、親友の変貌ぶりに、目を見開いた。
次の日には、京楽は浮竹の飲んでいるヒート抑制剤を捨てて、逆にヒートがくる薬をもらってきて、それを浮竹に無理やり飲ませた。
「あ・・・・・・」
はじめてくるヒートの熱に、浮竹はうなされる。
その体をさらうようにベッドに運び、キスをする。
「君が好きだ。入学式の日に見たときから、惹かれていた。でも、君は男性に性の対象にされるのを嫌っていたし、僕も手を出したら、もう二度と君は僕を見てくれないと思って諦めていた。
でも、君がオメガなら、君を僕のものにできる。オメガはヒートがこないままだと、短命で終わる。君を失いたくないし、君を僕のものにしたい。ちゃんと結婚もしよう」
「あ・・・京楽・・・・熱い、たすけ、て・・・・・・」
始めてヒートになった浮竹は、熱にうなされる体をもてあましていた。
「責任はとるから・・・・浮竹、好きだよ」
「あ、京楽・・・・・・」
衣服を脱がされる。
「あ、もう・・・・・」
浮竹が求めるほどに肌を愛撫すると、京楽は浮竹のものを口に含んで、なめあげた。
「ひああああ!!」
「蜜みたいな味だね・・・オメガだけあって」
浮竹は、京楽の口の中で精液を吐き出してしまっていた。
「あ、あ、あ、やあああ」
すでに濡れている蕾に指が侵入してくる。
「あ、ああ!」
ばらばらに動かされて、肉をかきわける指が一か所を刺激した。
「やあああ!」
「ここ、いいの?」
「やだあああ」
「僕だけのものになって。浮竹」
「あ、あ・・・・・」
浮竹は、京楽の昂った熱にゆっくりと引き裂かれた。
「あああ!はう!」
「ゆっくり呼吸して・・・・馴染むまで、待つから」
京楽は、ゆっくりと動いた。
なえかけていた浮竹のものが、またたちあがっていた。
それに手を添えてしごきながら、浮竹を貫いて揺さぶる。
「やああああああ!!!」
ぶわりと、オメガのフェロモンに京楽はやられそうになったが、自制した。
「あ、あ、あ、や」
「ここ、いいんだよね?」
「いやあああ」
「嫌なら、やめる?」
「あ、やだ。抜かないで・・・・・」
浮竹は、京楽を求めた。
「たくさん注いであげるから、僕の子を身籠ってね」
「やあああ、妊娠は、まだ、したくない・・・・」
中で射精されるのを嫌がるが、体は貪欲に子種を求めていた。
「そんなにきつくしめたら、出すしかないよ?」
「あ、やああ、体が」
浮竹は熱にうなされているように、意識は曖昧で、眩暈をおこしていたが、自分が京楽に抱かれている事実は受け止めていた。
「あ、バカ、京楽・・・・もしも本当に子どもできたら、責任とれ・・・・」
「うん。結婚して、一緒に子を育てよう。誰の子供よりも愛するよ。君と一緒に」
「ああああ!!!」
最奥にごりごりと侵入してきた熱は、そのまま浮竹の奥にある子宮に熱を直接ぶちまけた。
「あ、京楽が、弾けて・・・・熱い」
「愛してるよ、浮竹。番になろう。君は、もう僕のものだ」
「あああ・・・・・・・・・」
飛んでいく意識の狭間で、京楽の子を身籠った気がした。
1カ月後、検査すると本当に京楽の子を身籠っていた。
京楽に初めて抱かれてから、数日おきに京楽は浮竹を求めた。番になってしまった二人は、本能が赴くままに交じりあい、快楽を分かち合った。
「京楽・・・・その、今日の検査で、陽性で・・・・お前の子が、俺の、腹に・・・・」
「それは本当かい!?学院を卒業するまでは婚姻はしないでおこうかと思ったけど、結婚しよう。責任は全部とるから。今日から、君も京楽家の者だ」
「う・・・・上流貴族や、いやだ」
「大丈夫。親は放任主義だし、僕がオメガと結婚すると言っても、勝手にしろって怒られた」
「京楽の親・・・・・・」
「会いたいの?」
「会いたくない」
浮竹は首を横に振った。
オメガの自分なんて、どうせ侮蔑の対象となるだけだし、京楽も親に浮竹と会わせる気はなかった。
学院にの回生の時に、婚姻した。
4回生の終わりに、浮竹は女児の双子を出産し、浮竹と京楽は死神としての学業におわれながらも、京楽家のつてで乳母を雇いつつ、子育てもした。
「ねぇ、僕を恨んでる?」
「なんでだ?」
双子の女児をあやしながら、浮竹は京楽に問う。
「僕が、君を手に入れてしまったから。本当なら、君は違う誰かと番になっていたかもしれない」
浮竹は、クスリと少しだけ笑った。
「今更だぞ、京楽。俺を無理やり自分のものにした上に、子まで産ませたくせに。結婚もした」
「そうだね。今更だね。ねぇ、今、幸せかい?」
「少なくとも、不幸じゃない。家族がいるしな」
「そう、良かった・・・・・・・・」
子を乳母に預けた浮竹は、京楽に向き直った。
「俺の夫だろう、お前は。もっと自信をもて!」
「うん、そうだね。でも、浮竹の願い通り、名前は浮竹のままで京楽の名を名乗る必要はないから」
「それについては、少し迷惑をかけた」
「ううん、君が僕の傍にいてくれるだけでいいんだ。ほんとは、傍にいれるならオメガとかアルファとかどうでもよかったんだよ」
「今更だな」
「そうだね。君はオメガで僕はアルファ。そしてお互い番であり、結婚して子もいる」
「俺は、今の自分を幸せだと思っている」
「浮竹・・・・・・」
「愛してる、京楽」
「うん、僕も愛してるよ」
二人のオメガとアルファは、寄り添いあいながら死神として生きてくのであった。
「今まで、隠していてすまない」
浮竹は、京楽に自分がオメガであることを告白した。
京楽は、上流貴族だけあってアルファだ。
統学院で、同じ寮の相部屋となり、友人となった京楽にこれ以上隠し通せないと思い、浮竹は自分がオメガであるということを教えた。
ごくりと、アルファの京楽が喉を鳴らす。
「じゃあ、君は男性とも結婚ができるの?」
「確かに、法ではそうだが・・・・俺は、誰とも結婚する気はない。ヒートを迎えることもないような薬が最近できてきている。高いが、それを飲んで・・・・・・」
「僕は、君がいい。君が欲しい」
「京楽?」
京楽は、浮竹がオメガということを知って、抑えていた欲を見せた。
「初めて会った時から、欲しいと思っていたんだ、君を。君がオメガであるなら、僕と付き合って結婚するのも可能だ」
「京楽、俺は、誰とも・・・・・・・!んっ」
浮竹は、京楽に口づけられて、ベッドに押し倒されていた。
「ああ、ヒート抑制剤を飲んでいるんだね」
「京楽!」
「今日はキスだけ。でも、覚悟していてね。君がオメガと知った今、君は僕の性欲対象だ」
「きょうら・・く・・・・?」
浮竹は、親友の変貌ぶりに、目を見開いた。
次の日には、京楽は浮竹の飲んでいるヒート抑制剤を捨てて、逆にヒートがくる薬をもらってきて、それを浮竹に無理やり飲ませた。
「あ・・・・・・」
はじめてくるヒートの熱に、浮竹はうなされる。
その体をさらうようにベッドに運び、キスをする。
「君が好きだ。入学式の日に見たときから、惹かれていた。でも、君は男性に性の対象にされるのを嫌っていたし、僕も手を出したら、もう二度と君は僕を見てくれないと思って諦めていた。
でも、君がオメガなら、君を僕のものにできる。オメガはヒートがこないままだと、短命で終わる。君を失いたくないし、君を僕のものにしたい。ちゃんと結婚もしよう」
「あ・・・京楽・・・・熱い、たすけ、て・・・・・・」
始めてヒートになった浮竹は、熱にうなされる体をもてあましていた。
「責任はとるから・・・・浮竹、好きだよ」
「あ、京楽・・・・・・」
衣服を脱がされる。
「あ、もう・・・・・」
浮竹が求めるほどに肌を愛撫すると、京楽は浮竹のものを口に含んで、なめあげた。
「ひああああ!!」
「蜜みたいな味だね・・・オメガだけあって」
浮竹は、京楽の口の中で精液を吐き出してしまっていた。
「あ、あ、あ、やあああ」
すでに濡れている蕾に指が侵入してくる。
「あ、ああ!」
ばらばらに動かされて、肉をかきわける指が一か所を刺激した。
「やあああ!」
「ここ、いいの?」
「やだあああ」
「僕だけのものになって。浮竹」
「あ、あ・・・・・」
浮竹は、京楽の昂った熱にゆっくりと引き裂かれた。
「あああ!はう!」
「ゆっくり呼吸して・・・・馴染むまで、待つから」
京楽は、ゆっくりと動いた。
なえかけていた浮竹のものが、またたちあがっていた。
それに手を添えてしごきながら、浮竹を貫いて揺さぶる。
「やああああああ!!!」
ぶわりと、オメガのフェロモンに京楽はやられそうになったが、自制した。
「あ、あ、あ、や」
「ここ、いいんだよね?」
「いやあああ」
「嫌なら、やめる?」
「あ、やだ。抜かないで・・・・・」
浮竹は、京楽を求めた。
「たくさん注いであげるから、僕の子を身籠ってね」
「やあああ、妊娠は、まだ、したくない・・・・」
中で射精されるのを嫌がるが、体は貪欲に子種を求めていた。
「そんなにきつくしめたら、出すしかないよ?」
「あ、やああ、体が」
浮竹は熱にうなされているように、意識は曖昧で、眩暈をおこしていたが、自分が京楽に抱かれている事実は受け止めていた。
「あ、バカ、京楽・・・・もしも本当に子どもできたら、責任とれ・・・・」
「うん。結婚して、一緒に子を育てよう。誰の子供よりも愛するよ。君と一緒に」
「ああああ!!!」
最奥にごりごりと侵入してきた熱は、そのまま浮竹の奥にある子宮に熱を直接ぶちまけた。
「あ、京楽が、弾けて・・・・熱い」
「愛してるよ、浮竹。番になろう。君は、もう僕のものだ」
「あああ・・・・・・・・・」
飛んでいく意識の狭間で、京楽の子を身籠った気がした。
1カ月後、検査すると本当に京楽の子を身籠っていた。
京楽に初めて抱かれてから、数日おきに京楽は浮竹を求めた。番になってしまった二人は、本能が赴くままに交じりあい、快楽を分かち合った。
「京楽・・・・その、今日の検査で、陽性で・・・・お前の子が、俺の、腹に・・・・」
「それは本当かい!?学院を卒業するまでは婚姻はしないでおこうかと思ったけど、結婚しよう。責任は全部とるから。今日から、君も京楽家の者だ」
「う・・・・上流貴族や、いやだ」
「大丈夫。親は放任主義だし、僕がオメガと結婚すると言っても、勝手にしろって怒られた」
「京楽の親・・・・・・」
「会いたいの?」
「会いたくない」
浮竹は首を横に振った。
オメガの自分なんて、どうせ侮蔑の対象となるだけだし、京楽も親に浮竹と会わせる気はなかった。
学院にの回生の時に、婚姻した。
4回生の終わりに、浮竹は女児の双子を出産し、浮竹と京楽は死神としての学業におわれながらも、京楽家のつてで乳母を雇いつつ、子育てもした。
「ねぇ、僕を恨んでる?」
「なんでだ?」
双子の女児をあやしながら、浮竹は京楽に問う。
「僕が、君を手に入れてしまったから。本当なら、君は違う誰かと番になっていたかもしれない」
浮竹は、クスリと少しだけ笑った。
「今更だぞ、京楽。俺を無理やり自分のものにした上に、子まで産ませたくせに。結婚もした」
「そうだね。今更だね。ねぇ、今、幸せかい?」
「少なくとも、不幸じゃない。家族がいるしな」
「そう、良かった・・・・・・・・」
子を乳母に預けた浮竹は、京楽に向き直った。
「俺の夫だろう、お前は。もっと自信をもて!」
「うん、そうだね。でも、浮竹の願い通り、名前は浮竹のままで京楽の名を名乗る必要はないから」
「それについては、少し迷惑をかけた」
「ううん、君が僕の傍にいてくれるだけでいいんだ。ほんとは、傍にいれるならオメガとかアルファとかどうでもよかったんだよ」
「今更だな」
「そうだね。君はオメガで僕はアルファ。そしてお互い番であり、結婚して子もいる」
「俺は、今の自分を幸せだと思っている」
「浮竹・・・・・・」
「愛してる、京楽」
「うん、僕も愛してるよ」
二人のオメガとアルファは、寄り添いあいながら死神として生きてくのであった。
祓い屋京浮シリーズ30
「どうか、海坊主を退治してください」
「海坊主か・・・・」
「はい。突然現れて、船をひっくり返すんです。幸いまだ死者は出ていませんが、漁業に出れなくてとても困っているんです」
依頼人は、漁業を生業とする若い男性だった。
「こちらには、腕のいい術者さんがいると聞いて・・・・」
禍津神の浮竹と、夜刀神の京楽が最近祓い屋を少し休業しているらしく、依頼がこちら側に舞いこんでくる。
「はぁ。夜刀神の京楽にでも紹介されたか・・・・・」
「はい、そうです。京楽さんという術者の方に紹介されました」
「仕方ない、引き受けよう」
「ありがとうございます!」
依頼人の漁師は、ぺこぺこと頭を下げて帰っていった。
「海坊主だって」
話を聞いていた京楽が、海坊主にはあまりいい思い出がないらしく、嫌そうな顔をしていた。
「何か、昔海坊主とあったのか」
「僕が龍の姿で海を泳いでいたら、海坊主に捕まってね。あやうく食べれるところだった」
「食べられる?海坊主はそんなに狂暴ではないだろう」
「うーん、個体差があるんじゃないかな」
京楽は、紙にペンで海坊主を描いた。
「こんなかんじの、海坊主だった」
身の丈は5メートルはあろうかという巨体を、船を比較して描かれてあった。
「海坊主が数が少ないからね。多分、僕を食べようとした海坊主と同じ海坊主じゃないかな」
「ふむ・・・・・」
浮竹は思案する。
そして、ポンと手を叩いた。
「京楽、お前龍の姿になって海を泳げ。その上に俺が乗って、海坊主がお前を食いに現れたところを退治する」
「えー。僕、餌なの?」
「それとも、俺を乗せるのは嫌か?」
「そんなことはないけど・・・・・・」
過去に食われそうになったのは、実はトラウマであった。
まぁ、水龍神だし、少々体を食われたところで再生できるのだが。
「じゃあ、明日出発だ。今日は、もう寝ろ」
「浮竹と一緒に・・・・」
スパーンとハリセンを炸裂させて、浮竹は京楽を追いだして、ベッドで横になる。
「しくしく・・・・・・」
ドアの外で、泣いている京楽を放置して、そのまま眠りについた。
翌日、海燕がドライバーをしてくれる車で、海坊主が出る漁場までやってきた。
いつもなら、カニ漁なので賑わっているのだが、閑散としていた。
「あ、術者の方!船は、出しますか?」
昨日の依頼人がきていた。
依頼料は、漁業組合から出されていて、今は船を出すのを禁止しているのだが、退治してくれるというので特別に船を出してくれるらしい。
「いや、船はいい。式の水龍神を龍の姿にして囮にする」
「式が水龍神!なんか、すごいですね!」
「すごいってー。僕すごいんだってー」
自分をアピールする京楽の頭をハリセンではたいて、浮竹は準備をする。
京楽は、龍の姿になった。
10メートルはあろうかという、長くて巨大な龍だ。
その首元に跨り、浮竹は京楽に海を泳がせた。
依頼人は、あまりの凄さに口をぽかんと開けていた。
「匂いがする。神の匂いが・・・・・うまそう、うまそう」
海坊主が、ざざぁと海を割って現れた。
「わぁ、きたぁ!」
「京楽、浮き上がれ」
「うん!」
京楽は空を飛び上がり、海坊主から距離を取る。
「うまそう。おりてこい、おいてこい。うまそう、うまそう」
「食うことしか能がないらしいな。話をするだけ無駄だろう。いけ、神の雷よ!雷撃の雷よ!」
浮竹は、最近身に着けた雷撃を使った。
海坊主に直撃して、海坊主は真っ黒焦げになって、どーんと海に倒れ込む。
「滅!」
浮竹は、腐るしかない海坊主の体を浄化して灰にした。
「ねぇ、僕の出番は?」
「十分あっただろう。囮になったじゃないか」
「それだけ!?」
「そうだ」
海坊主退治は呆気なく終わり、依頼主からけっこうな額の依頼金をもらって、館に戻った。
『あ、いたいた。どこにいってたんだ?』
館には、禍津神の浮竹と夜刀神の京楽の姿があった。
「ちょっと、海坊主退治に」
『ああ、ボクのとこにきた依頼、そっちに回しちゃったからね』
「祓い屋をしばし休業するそうだな。何かあったのか?」
『うん・・・・まぁ、ちょっといざこざがあってね。ボクは神に完全になってしまって、術者じゃなくなってるし』
「完全にやめるわけではないのだろう?」
『うん。少し休憩を取るくらいかな』
『鳥臭い水龍神、羽をむしってやるから文鳥姿になれ!』
「いやだよ!」
「京楽、相手してやれ」
術者の浮竹が、式の京楽を文鳥姿にした。
禍津神の浮竹が、嬉しそうに文鳥姿の式の京楽を鷲掴みして、羽をむしっていく。
「ちちちちちーーーー!!!」
式の京楽は悲鳴をあげるが、術者の浮竹は知ったことではないといったそぶりだった。
『まぁ、しばらくボクらの分まで依頼が舞い込むかもしれないけど、頼んだよ』
「あんまり忙しいのは好きじゃない。他の術者にでもできそうな件は、他に回すがいいな?」
『好きにしてくれたらいいよ。ああ、十四郎、そんなにむしるとまた羽毛布団作られて使う羽目になるよ?』
『鳥臭い羽毛布団はもうこりごりだ』
禍津神の浮竹は、文鳥姿の京楽をポイ捨てした。
「ちゅんちゅん!!」
むしられた羽を再生させて、式の京楽は術者の浮竹の肩に止まる。
「ちゅん!」
術者の浮竹にかわいさをアピールするが、今のところ効果はない。
「ちゅちゅん!」
『やっぱり・・・・羽を・・・むしりたい・・・・・』
危ない目つきをしている禍津神の浮竹に、ルキアが持ってきたガトーショコラのケーキを出すと、禍津神の浮竹は興味をそちらに変えた。
『うまいな』
『十四郎、式のボクの羽をむしるのは、ほどほどにね』
『分かってる』
『ほんとに分かってるのかな?』
「まぁ、京楽の羽をいつでもむしりにこい。いつでも遊びにきていいぞ」
「ちゅんーーー!!(そりゃないよ!)」
式の京楽の抗議は、ただ空気に吸い込まれるのだった。
「海坊主か・・・・」
「はい。突然現れて、船をひっくり返すんです。幸いまだ死者は出ていませんが、漁業に出れなくてとても困っているんです」
依頼人は、漁業を生業とする若い男性だった。
「こちらには、腕のいい術者さんがいると聞いて・・・・」
禍津神の浮竹と、夜刀神の京楽が最近祓い屋を少し休業しているらしく、依頼がこちら側に舞いこんでくる。
「はぁ。夜刀神の京楽にでも紹介されたか・・・・・」
「はい、そうです。京楽さんという術者の方に紹介されました」
「仕方ない、引き受けよう」
「ありがとうございます!」
依頼人の漁師は、ぺこぺこと頭を下げて帰っていった。
「海坊主だって」
話を聞いていた京楽が、海坊主にはあまりいい思い出がないらしく、嫌そうな顔をしていた。
「何か、昔海坊主とあったのか」
「僕が龍の姿で海を泳いでいたら、海坊主に捕まってね。あやうく食べれるところだった」
「食べられる?海坊主はそんなに狂暴ではないだろう」
「うーん、個体差があるんじゃないかな」
京楽は、紙にペンで海坊主を描いた。
「こんなかんじの、海坊主だった」
身の丈は5メートルはあろうかという巨体を、船を比較して描かれてあった。
「海坊主が数が少ないからね。多分、僕を食べようとした海坊主と同じ海坊主じゃないかな」
「ふむ・・・・・」
浮竹は思案する。
そして、ポンと手を叩いた。
「京楽、お前龍の姿になって海を泳げ。その上に俺が乗って、海坊主がお前を食いに現れたところを退治する」
「えー。僕、餌なの?」
「それとも、俺を乗せるのは嫌か?」
「そんなことはないけど・・・・・・」
過去に食われそうになったのは、実はトラウマであった。
まぁ、水龍神だし、少々体を食われたところで再生できるのだが。
「じゃあ、明日出発だ。今日は、もう寝ろ」
「浮竹と一緒に・・・・」
スパーンとハリセンを炸裂させて、浮竹は京楽を追いだして、ベッドで横になる。
「しくしく・・・・・・」
ドアの外で、泣いている京楽を放置して、そのまま眠りについた。
翌日、海燕がドライバーをしてくれる車で、海坊主が出る漁場までやってきた。
いつもなら、カニ漁なので賑わっているのだが、閑散としていた。
「あ、術者の方!船は、出しますか?」
昨日の依頼人がきていた。
依頼料は、漁業組合から出されていて、今は船を出すのを禁止しているのだが、退治してくれるというので特別に船を出してくれるらしい。
「いや、船はいい。式の水龍神を龍の姿にして囮にする」
「式が水龍神!なんか、すごいですね!」
「すごいってー。僕すごいんだってー」
自分をアピールする京楽の頭をハリセンではたいて、浮竹は準備をする。
京楽は、龍の姿になった。
10メートルはあろうかという、長くて巨大な龍だ。
その首元に跨り、浮竹は京楽に海を泳がせた。
依頼人は、あまりの凄さに口をぽかんと開けていた。
「匂いがする。神の匂いが・・・・・うまそう、うまそう」
海坊主が、ざざぁと海を割って現れた。
「わぁ、きたぁ!」
「京楽、浮き上がれ」
「うん!」
京楽は空を飛び上がり、海坊主から距離を取る。
「うまそう。おりてこい、おいてこい。うまそう、うまそう」
「食うことしか能がないらしいな。話をするだけ無駄だろう。いけ、神の雷よ!雷撃の雷よ!」
浮竹は、最近身に着けた雷撃を使った。
海坊主に直撃して、海坊主は真っ黒焦げになって、どーんと海に倒れ込む。
「滅!」
浮竹は、腐るしかない海坊主の体を浄化して灰にした。
「ねぇ、僕の出番は?」
「十分あっただろう。囮になったじゃないか」
「それだけ!?」
「そうだ」
海坊主退治は呆気なく終わり、依頼主からけっこうな額の依頼金をもらって、館に戻った。
『あ、いたいた。どこにいってたんだ?』
館には、禍津神の浮竹と夜刀神の京楽の姿があった。
「ちょっと、海坊主退治に」
『ああ、ボクのとこにきた依頼、そっちに回しちゃったからね』
「祓い屋をしばし休業するそうだな。何かあったのか?」
『うん・・・・まぁ、ちょっといざこざがあってね。ボクは神に完全になってしまって、術者じゃなくなってるし』
「完全にやめるわけではないのだろう?」
『うん。少し休憩を取るくらいかな』
『鳥臭い水龍神、羽をむしってやるから文鳥姿になれ!』
「いやだよ!」
「京楽、相手してやれ」
術者の浮竹が、式の京楽を文鳥姿にした。
禍津神の浮竹が、嬉しそうに文鳥姿の式の京楽を鷲掴みして、羽をむしっていく。
「ちちちちちーーーー!!!」
式の京楽は悲鳴をあげるが、術者の浮竹は知ったことではないといったそぶりだった。
『まぁ、しばらくボクらの分まで依頼が舞い込むかもしれないけど、頼んだよ』
「あんまり忙しいのは好きじゃない。他の術者にでもできそうな件は、他に回すがいいな?」
『好きにしてくれたらいいよ。ああ、十四郎、そんなにむしるとまた羽毛布団作られて使う羽目になるよ?』
『鳥臭い羽毛布団はもうこりごりだ』
禍津神の浮竹は、文鳥姿の京楽をポイ捨てした。
「ちゅんちゅん!!」
むしられた羽を再生させて、式の京楽は術者の浮竹の肩に止まる。
「ちゅん!」
術者の浮竹にかわいさをアピールするが、今のところ効果はない。
「ちゅちゅん!」
『やっぱり・・・・羽を・・・むしりたい・・・・・』
危ない目つきをしている禍津神の浮竹に、ルキアが持ってきたガトーショコラのケーキを出すと、禍津神の浮竹は興味をそちらに変えた。
『うまいな』
『十四郎、式のボクの羽をむしるのは、ほどほどにね』
『分かってる』
『ほんとに分かってるのかな?』
「まぁ、京楽の羽をいつでもむしりにこい。いつでも遊びにきていいぞ」
「ちゅんーーー!!(そりゃないよ!)」
式の京楽の抗議は、ただ空気に吸い込まれるのだった。
祓い屋京浮シリーズ29
鎌鼬(かまいたち)
つむじ風にのって、切りつけらると刃物で切ったような傷ができて、しかし痛みも血も出ないという、不思議な傷をつくる妖怪である。
その鎌鼬が、人を斬り殺す事件が起きていた。
依頼人は、かろうじで生き延びた村人。
数匹の鎌鼬が群れを作って、ある村を襲撃した。
その村は数十人の死傷者を出して、壊滅的になった。始めは、依頼人も鎌鼬と気づかずに、誰かに刃物ので切り刻まれたと思っていた。
鎌鼬の姿を、偶然見かけて、これはと思い浮竹のところに飛び込んできた。
「どうか、村を襲った鎌鼬の群れを駆除してください。まだ生きている者もいるかもしれません。でも、鎌鼬が居続ける限り、救出もできません」
「鎌鼬が群れを作って、村人を多数死傷させた?本当だとしたら、大事だな」
「本当なんです!この傷を見てください!」
依頼者は、鎌鼬に切られた傷を見せた。
傷は深いが、血を出さずに痛みさえ感じないようで、ますます鎌鼬が群れを作って村を襲撃したという事件が、明るみになる。
「緊急だな。すぐに退治にあたる」
浮竹は、ちゅんちゅんと桜文鳥姿で遊びにでかけていた京楽を至急召還した。
「どうしたの、浮竹」
「緊急依頼だ。村が一つ、鎌鼬の群れに壊滅的打撃を受けた」
「鎌鼬が群れ?鎌鼬って、普通一匹でいて群れないでしょ?」
「それが、依頼人が言うには群れで襲ってきたそうだ」
「それは、村がやばいね。生き残りはいるのかい?」
京楽は、依頼者の村人を見る。
【何十人か、生き残っているはずなんです。死者は20人ほど出ていますが、軽傷の者もけっこういて・・・・でも、鎌鼬のせいで救出できないんです」
「鎌鼬は、それから襲ってこないのか?」
「はい。不思議なことに、襲撃は一度きりでした。傷を負った者を救出しようとすると邪魔をしてきて、とにかく一刻も早く退治を!」
「分かった」
浮竹は、破壊の力をこめた式札を何枚か懐に入れた。
「京楽、今回は最初から飛ばしていけ」
「水龍神になっていいってことだね?」
「ああ。鎌鼬たちを水で包みこんで、そのまま駆除しよう」」
浮竹と京楽は、駆除方法をあらかじめ決めてから、その村に向かった。
海燕がドライバーをする車は、制限速度を無視して、村へと向かう。
「いるね。鎌鼬だ」
村につくと、一匹の鎌鼬が死んでいるであろう村人の体を切り刻んでいた。
「縛!」
浮竹は、式札を飛ばして、その鎌鼬の動きを止める。
そこに、水龍神姿になった京楽が水で鎌鼬を包み込み、そのまま水を圧縮させて、鎌鼬を殺した。
「京楽、複数でもいけるか?」
「これでも神様だよ。鎌鼬くらいなら、群れできてもなんとかなるよ」
「じゃあ、俺が囮になるから、頼んだぞ」
「あ、ちょっと、京楽!」
京楽が止める暇を与えずに、浮竹は鎌鼬の群れにつっこんで、自分を囮にした。
「縛!」
しかし、ただでは囮にならない。
鎌鼬の群れの動きを封じて、その隙に京楽が水で鎌鼬を包み込み、水圧で圧縮させて殺していく。
「見ろ、鎌鼬のボスだ」
群れを失うと、一匹の巨大な鎌鼬が現れた。
「誰ぞ。我が子らを屠るのは、誰ぞ」
「お前の子供たちは、人間を殺した。よって、排除する!」
浮竹が完結に言うと、その巨大な鎌鼬はつむじ風を起こした。
浮竹と京楽の体に、いくつかの切り傷ができる。
傷が深いわりには痛みもなく、血もでない。
しかし、ダメージは確かに受けていて、浮竹は癒しの式札を出す。
「快!」
浮竹と京楽の負った傷が、見る見る癒えていく。
水龍神は、元々浄化と癒しの神だ。
傷を再生させることなど、容易だ。
「愚かなり、人の子。我らはこの村人たちに利用され、宝石泥棒の手助けを強制させられた。嫌だという我が子らを、殺して・・・・・」
「おい、依頼者、それは本当か!」
「ち、ち、違います!鎌鼬が嘘を言っているのです。あやかしを犯罪に使う者なんていないでしょう?」
「いや、実際にいるから、確認を・・・・・」
依頼人は、浮竹にサバイバルナイフを出すと、切りかかった。
「な!」
浮竹が顔色を変える。
あやかしや霊に憑かれたわけではないようであった。
「く、鎌鼬の言っていることのほうが本当のようだ」
嘘を識別できる式を出した。
「京楽、行くぞ」
「うん!」
「縛!」
「眠!」
村人を束縛して動きを封じて、眠りに強制的に陥らせる。
「悪いが、たとえ悪用された仕返しとはいえ、人を殺したあやかしは退治する」
「我らが間違っていた。人の子など、信用するべきではなかった」
鎌鼬のボスは、涙をぽろぽろ流した。
「砕!」
浮竹が、戸惑いを見せつつも鎌鼬のボスを破壊する。
「京楽、村人の救出と癒しを。生きている村人を集めて、事情を聞く」
京楽は、倒れているが生きている村人たちの傷を癒して一か所に集めると、浮竹を待った。
「お前たち、鎌鼬を利用して宝石泥棒をしていたそうだが、偽りはないな?」
「ふん、鎌鼬を利用することのどこが悪いんだ!」
「そうだそうだ!おまけに仕返しで仲間を殺しやがった!」
浮竹は、溜息をついた。
「お前たちは、一度灸をすえる必要があるな。マオ」
「にゃあああ」
「この村人たちに、悪夢を見せてやれ。とっておきの、グロいやつを」
猫の式神、マオは夢を操ることができた。
マオに術をかけられた村人達は、眠りながら悲鳴をあげる。
「警察に通報だ」
「うん。これ以上、僕らで村人を傷つけるわけにはいかないからね」
生き残った村人たちは、宝石泥棒を集団でおこなった罪で捕まっていった。
「後味が悪いな」
「仕方ないよ。人は良くもあれば悪しきもある」
死んでしまった村人たちを、怨霊にならないように浄化して、埋葬した。
「マオ、よくやったな。この人数に悪夢を見せるの、疲れただろう」
「にゃあああああ」
「帰ったら、思う存分チュールやるからな」
「なあああ♪」
マオを抱き上げて、浮竹は京楽と共に村を後にする。
鎌鼬の群れは、駆除した。
だが、鎌鼬も利用されて殺されたのだ。
村人と鎌鼬。
どちらも悪いので、喧嘩両成敗のような形になった。
「にゃおおおおお」
「ちょっと、マオ、人の姿なのに僕を食べたそうに見ないで!」
「にゃああん」
「文鳥姿になれ、だとさ」
「食い殺されるうううう!!!」
悲鳴をあげながら、京楽はマオがいる限り文鳥姿にはならないようにしようとすると、浮竹に文鳥姿にされた。
「ちゅんちゅんんん!!!」
「にゃおおおおおんん!!」
「ちゅーーーーん!!!」
マオに追っかけられて、文鳥姿にさせられた京楽は、ばっさばっさ羽ばたいて、浮竹の頭の上に乗って、避難するのであった。
つむじ風にのって、切りつけらると刃物で切ったような傷ができて、しかし痛みも血も出ないという、不思議な傷をつくる妖怪である。
その鎌鼬が、人を斬り殺す事件が起きていた。
依頼人は、かろうじで生き延びた村人。
数匹の鎌鼬が群れを作って、ある村を襲撃した。
その村は数十人の死傷者を出して、壊滅的になった。始めは、依頼人も鎌鼬と気づかずに、誰かに刃物ので切り刻まれたと思っていた。
鎌鼬の姿を、偶然見かけて、これはと思い浮竹のところに飛び込んできた。
「どうか、村を襲った鎌鼬の群れを駆除してください。まだ生きている者もいるかもしれません。でも、鎌鼬が居続ける限り、救出もできません」
「鎌鼬が群れを作って、村人を多数死傷させた?本当だとしたら、大事だな」
「本当なんです!この傷を見てください!」
依頼者は、鎌鼬に切られた傷を見せた。
傷は深いが、血を出さずに痛みさえ感じないようで、ますます鎌鼬が群れを作って村を襲撃したという事件が、明るみになる。
「緊急だな。すぐに退治にあたる」
浮竹は、ちゅんちゅんと桜文鳥姿で遊びにでかけていた京楽を至急召還した。
「どうしたの、浮竹」
「緊急依頼だ。村が一つ、鎌鼬の群れに壊滅的打撃を受けた」
「鎌鼬が群れ?鎌鼬って、普通一匹でいて群れないでしょ?」
「それが、依頼人が言うには群れで襲ってきたそうだ」
「それは、村がやばいね。生き残りはいるのかい?」
京楽は、依頼者の村人を見る。
【何十人か、生き残っているはずなんです。死者は20人ほど出ていますが、軽傷の者もけっこういて・・・・でも、鎌鼬のせいで救出できないんです」
「鎌鼬は、それから襲ってこないのか?」
「はい。不思議なことに、襲撃は一度きりでした。傷を負った者を救出しようとすると邪魔をしてきて、とにかく一刻も早く退治を!」
「分かった」
浮竹は、破壊の力をこめた式札を何枚か懐に入れた。
「京楽、今回は最初から飛ばしていけ」
「水龍神になっていいってことだね?」
「ああ。鎌鼬たちを水で包みこんで、そのまま駆除しよう」」
浮竹と京楽は、駆除方法をあらかじめ決めてから、その村に向かった。
海燕がドライバーをする車は、制限速度を無視して、村へと向かう。
「いるね。鎌鼬だ」
村につくと、一匹の鎌鼬が死んでいるであろう村人の体を切り刻んでいた。
「縛!」
浮竹は、式札を飛ばして、その鎌鼬の動きを止める。
そこに、水龍神姿になった京楽が水で鎌鼬を包み込み、そのまま水を圧縮させて、鎌鼬を殺した。
「京楽、複数でもいけるか?」
「これでも神様だよ。鎌鼬くらいなら、群れできてもなんとかなるよ」
「じゃあ、俺が囮になるから、頼んだぞ」
「あ、ちょっと、京楽!」
京楽が止める暇を与えずに、浮竹は鎌鼬の群れにつっこんで、自分を囮にした。
「縛!」
しかし、ただでは囮にならない。
鎌鼬の群れの動きを封じて、その隙に京楽が水で鎌鼬を包み込み、水圧で圧縮させて殺していく。
「見ろ、鎌鼬のボスだ」
群れを失うと、一匹の巨大な鎌鼬が現れた。
「誰ぞ。我が子らを屠るのは、誰ぞ」
「お前の子供たちは、人間を殺した。よって、排除する!」
浮竹が完結に言うと、その巨大な鎌鼬はつむじ風を起こした。
浮竹と京楽の体に、いくつかの切り傷ができる。
傷が深いわりには痛みもなく、血もでない。
しかし、ダメージは確かに受けていて、浮竹は癒しの式札を出す。
「快!」
浮竹と京楽の負った傷が、見る見る癒えていく。
水龍神は、元々浄化と癒しの神だ。
傷を再生させることなど、容易だ。
「愚かなり、人の子。我らはこの村人たちに利用され、宝石泥棒の手助けを強制させられた。嫌だという我が子らを、殺して・・・・・」
「おい、依頼者、それは本当か!」
「ち、ち、違います!鎌鼬が嘘を言っているのです。あやかしを犯罪に使う者なんていないでしょう?」
「いや、実際にいるから、確認を・・・・・」
依頼人は、浮竹にサバイバルナイフを出すと、切りかかった。
「な!」
浮竹が顔色を変える。
あやかしや霊に憑かれたわけではないようであった。
「く、鎌鼬の言っていることのほうが本当のようだ」
嘘を識別できる式を出した。
「京楽、行くぞ」
「うん!」
「縛!」
「眠!」
村人を束縛して動きを封じて、眠りに強制的に陥らせる。
「悪いが、たとえ悪用された仕返しとはいえ、人を殺したあやかしは退治する」
「我らが間違っていた。人の子など、信用するべきではなかった」
鎌鼬のボスは、涙をぽろぽろ流した。
「砕!」
浮竹が、戸惑いを見せつつも鎌鼬のボスを破壊する。
「京楽、村人の救出と癒しを。生きている村人を集めて、事情を聞く」
京楽は、倒れているが生きている村人たちの傷を癒して一か所に集めると、浮竹を待った。
「お前たち、鎌鼬を利用して宝石泥棒をしていたそうだが、偽りはないな?」
「ふん、鎌鼬を利用することのどこが悪いんだ!」
「そうだそうだ!おまけに仕返しで仲間を殺しやがった!」
浮竹は、溜息をついた。
「お前たちは、一度灸をすえる必要があるな。マオ」
「にゃあああ」
「この村人たちに、悪夢を見せてやれ。とっておきの、グロいやつを」
猫の式神、マオは夢を操ることができた。
マオに術をかけられた村人達は、眠りながら悲鳴をあげる。
「警察に通報だ」
「うん。これ以上、僕らで村人を傷つけるわけにはいかないからね」
生き残った村人たちは、宝石泥棒を集団でおこなった罪で捕まっていった。
「後味が悪いな」
「仕方ないよ。人は良くもあれば悪しきもある」
死んでしまった村人たちを、怨霊にならないように浄化して、埋葬した。
「マオ、よくやったな。この人数に悪夢を見せるの、疲れただろう」
「にゃあああああ」
「帰ったら、思う存分チュールやるからな」
「なあああ♪」
マオを抱き上げて、浮竹は京楽と共に村を後にする。
鎌鼬の群れは、駆除した。
だが、鎌鼬も利用されて殺されたのだ。
村人と鎌鼬。
どちらも悪いので、喧嘩両成敗のような形になった。
「にゃおおおおお」
「ちょっと、マオ、人の姿なのに僕を食べたそうに見ないで!」
「にゃああん」
「文鳥姿になれ、だとさ」
「食い殺されるうううう!!!」
悲鳴をあげながら、京楽はマオがいる限り文鳥姿にはならないようにしようとすると、浮竹に文鳥姿にされた。
「ちゅんちゅんんん!!!」
「にゃおおおおおんん!!」
「ちゅーーーーん!!!」
マオに追っかけられて、文鳥姿にさせられた京楽は、ばっさばっさ羽ばたいて、浮竹の頭の上に乗って、避難するのであった。
夜に揺らめく
ハル。それが通り名。本当の名は浮竹十四郎。
遊女や色子が集まる花街で、桜花屋(おうかや)という名の、陰間茶屋で人気ナンバー1の色子であった。
長い白い髪に、花魁でも負けそうな容姿、洗練された仕草、まだあどけなさを残す年齢といい、桜花屋でも人気の色子たちを置いて、贔屓にされている色子であった。
ハルをよく買いにくるのは、なんと瀞霊廷で死神の隊長を務める京楽春水という名の、上流階級出身の貴族だった。
「十四郎、こっちを向いて」
「お前など、知らん。俺を十四郎と呼ぶな。ハルと呼べ」
浮竹は、ハルという源氏名をもっているので、自分のことを本名で呼ぶ、いつも自分を買いにくるこの京楽春水のことは、代金をたくさん支払ってくれるし、いろんな高価な贈りものをしてくれるので、嫌いではなかったが、ハルと呼んでくれないので、特別好きというわけでもなかった。
花街ので恋愛は御法度だ。
身請けされるならまだしも、そうでない者たちの間での恋愛は不幸しか呼ばない。
浮竹は、子供の頃体が弱く、親がたくさんの借金を背負い、ついに返しきれなくなって、両親は泣く泣く浮竹を売ったのだ。
浮竹は8人兄弟の長男で、色子で稼いだ金を仕送りしては、家族はどん底の貧乏からそれなりの裕福な暮らしができるようになっていた。
浮竹は、7人の弟や妹が学校に通えるように、金をもっと溜める必要があった。
学校に行くには金がかかる。
しかし、学校にいけば読み書きも計算もできるし、就職に有利になるので、どうしても7人の妹や弟たちを学校に通わせてやりたくて、借金を申し込んで、売れているのだが色子としての年季は10年と長かった。
「ねぇ、君を僕だけのものにするにはどうすればいいの」
「知らん。ここに通い続けて、俺を買い続ければいいだろう」
「お金かかるねぇ」
「上流貴族のお前には、はした金だろう」
「そうなんだけどさぁ。ねぇ、十四郎、こっちを向いて?」
「ハルと呼べと言えば何度分かるんだ。ん・・・・・・」
京楽は、浮竹に口づけて、押し倒す。
さっきまで睦みあっていたので、浮竹はまだ火の灯る体を悟られないように、京楽の口づけに応えながら、身を捩った。
「ねぇ、してもいい?」
「さっき散々抱いただろう」
「でも、君は僕のものだって証を刻みたい。ねぇ、僕以外の客をとらないでよ」
「無理なことを言うな。俺は色子だ。客がくれば体を売る。それが仕事だ。それとも、俺を身請けでもしてくれるのか?」
「身請け、したいんだけどねぇ。金額がけっこうあって・・・親に金を貸してもらわないと足りなさそうで・・・親は、色子を身請けしたいと言ったら、切れてね」
「まぁ、普通そうだろうな」
普通の親は、花街の花魁を身請けするのでさえ嫌う。
遊女も同じで、まして色子など論外であろう。
子を産んでくれるわけでもない、ただの厄介者としか、客の親には映らないはずだ。
まだ、遊女なら子を産んでくれるからと、仕方なしに納得する親もいるだろうが。
それにしても、京楽が20代後半くらいとはいえ、親の援助がないと身請けできないという事実を知って、浮竹は少し落胆した。
京楽なら、身請けしてくれるかもしれないと、心の何処かで思っていたのだ。
ただ、花街でも人気ナンバー1と言われる浮竹の身請けには、本当に膨大な金が必要で、上流貴族であろうとも、そうほいほいと出せる金額ではないのは確かである。
桜花屋の主は、金にがめつく、色子の浮竹が稼げるだけ稼ぐのを望んでいて、身請け話が出る度に金額を釣り上げていた。
「ねぇ、春水って呼んで」
「春水」
「ねぇ、愛してるって言って」
「愛してる」
「はぁ。どれも、感情がこもってない。ねぇ、僕のこと嫌いなの?」
「好きでも嫌いでもない。ただの上客だと思っている」
浮竹がそう言うと、京楽は哀しそうな顔で、浮竹を見る。
「僕は、こんなにも君のことが好きなのに」
「色子を好きになるなんてやめとけ。火遊び程度にしておけ」
「でも、僕は必ず君を身請けするよ?」
「期待しないで、待っている」
その日を境に、京楽が浮竹のところに、浮竹を買いにくることがなくなった。
「京楽・・・何をしているんだろう」
いなくなってしまえば寂しいもので、やっと己が京楽に恋心を抱いていたのに気づく。
浮竹は、他の客をとりながら、もう京楽のことは忘れようと何度も考えた。
チリン。
鈴の音がする。
京楽にもらった、翡翠の鈴のついた簪の音だ。
「こんなもの・・・・・」
投げ捨てようとして、ポロリと涙がこぼれた。
「京楽・・・会いたい・・・・・・」
浮竹の上客の中でも、京楽は特別優しくて、浮竹を甘やかしていた。
「京楽・・・・今頃、結婚してるかもな」
上流貴族だ。見合いでもして、同じ上流貴族の姫君と婚姻しているかもしれない。
浮竹は、京楽のことを忘れることにした。
でも、忘れようとすればするほど、想いは募り、恋しくなる。
「京楽・・・・俺を、買いにこい・・・・・」
また、ポロリと涙がにじんだ。
「待たせたね、十四郎」
「きょうら・・・く?」
半年も会いにこなかった愛しい相手は、少しやつれた様子で姿を現した。
「半年、金策に手こずったけど、君を身請けできる金額ができた。君を、名実共に僕だけのものにするよ」
「京楽!」
浮竹は、京楽に抱き着いた。
「寂しかったんだからな!」
「ごめんね。この半年、君が他の客に何度抱かれているだろうと思うだけで、身が焦げそうな想いだった。でも、それも今日で終わりだよ。ハル」
「ハルって呼ばなくていい。今まで通り、十四郎でいい」
「十四郎・・・・会いたかった」
「俺も、会いたかった・・・・・」
そのまま、もつれあいなながら、どちらともなしにキスを繰り返した。
「ああ!」
京楽は、浮竹を何度も抱いてきているので、浮竹のいいところは知り尽くしていた。
「んあっ」
着物を脱がされて、直接浮竹のものを舌で愛撫する京楽は、飢えた獣みたいであった。
「ごめん、久しぶりで手加減できないかも」
「いいから・・・・早く、こい」
色子として、体を開くのは慣れていたが、相手が京楽というだけで、少し緊張した。
「あああああ!!!」
貫かれて、久しぶりに感じる京楽の少し暴力的な熱に、うなされそうになる。
「あ、あ、あ!」
揺さぶられて、突き上げられて、浮竹は涙を流した。
「あ、好き・・・・京楽」
「僕も大好きだよ、十四郎」
交じりあいながら、愛を囁く。
「あああ!!!」
最奥までゴリゴリと侵入してきた京楽の熱は、大量の精液を吐き出した。
「ご無沙汰だったから・・・・ごめんね、手加減できない」
「いい。もっと抱け。もっと、俺を京楽のもので満たしてくれ」
「言うねぇ」
京楽は、手加減なしで浮竹を何度も抱いた。
色子として体を売るのは慣れているとはいえ、京楽は回数が多いので、浮竹は最後には意識を飛ばしていた。
「あ・・・俺は?」
「ごめん、僕が抱きつぶした」
「そうか」
浮竹は、京楽の腕の中で微睡むようにまた眠る。
「夢なら・・・・覚めないでくれ・・・・・」
「十四郎・・・・」
次に浮竹が起きると、真新しい上等な着物を着ていた。
京楽の姿がなくて、昨日の夜のことは夢だったのだろうかと、京楽の姿を探す。
「京楽?京楽?いないのか?」
「あ、起きた?ごめんごめん、君を身請けしたから、荷物とかまとめてたんだよ」
「本当に、俺を身請けしてくれるのか?」
浮竹は、京楽に抱き寄せられる。
「この半年、君を身請けするためだけに翻弄した。君が僕以外の客をとっているのは知っていたし、止めることはできなかったけど、もう体を売る必要はないよ。僕だけを見て、僕だけのものになればいい」
「あ・・・・・・」
舌がからまるキスをされて、浮竹は涙を零す。
「この半年、寂しかった」
「ごめんね」
「でも、もう俺はお前のものなんだな。嬉しい」
「じゃあ、馬車を手配しておいたから、まとめた荷物と一緒に、僕の館に帰ろう。そこが、今日から君の家だよ」
「俺の家・・・・・・」
浮竹は、まだ昨日の熱が覚めないのか、少しぼんやりとしていた。
「どうしたの?」
「その、昨日が激しくて、腰が・・・・・」
「うわ、ごめんね。僕が抱えるから」
京楽は、浮竹をお姫様抱っこすると、馬車まで運んでくれた。
花街ナンバー1の色子が身請けされると知って、いろんな遊女や色子、客たちが見ていた。
「京楽、みんなが見ている」
「いいじゃない。君は僕のものだ。もう、僕以外に触らせない」
「京楽・・・・・」
浮竹は、京楽の首に手を回す。
「ねぇ、京楽じゃなくって、春水って呼んで?」
「春水・・・・・」
「今日から、僕のことは春水って呼んでね、ハル」
「こんな時だけ、通り名で呼ぶなんて意地悪だ」
「ふふふ・・・・・・」
京楽は悪戯気に笑う。
浮竹は、京楽の腕の中で幸せそうに微笑んだ。
「春水、愛してる」
「僕も愛してるよ、十四郎」
身請けされた浮竹は、京楽と末永く幸せに暮らしたそうな。
夜に揺らめく、色子はもういない。
遊女や色子が集まる花街で、桜花屋(おうかや)という名の、陰間茶屋で人気ナンバー1の色子であった。
長い白い髪に、花魁でも負けそうな容姿、洗練された仕草、まだあどけなさを残す年齢といい、桜花屋でも人気の色子たちを置いて、贔屓にされている色子であった。
ハルをよく買いにくるのは、なんと瀞霊廷で死神の隊長を務める京楽春水という名の、上流階級出身の貴族だった。
「十四郎、こっちを向いて」
「お前など、知らん。俺を十四郎と呼ぶな。ハルと呼べ」
浮竹は、ハルという源氏名をもっているので、自分のことを本名で呼ぶ、いつも自分を買いにくるこの京楽春水のことは、代金をたくさん支払ってくれるし、いろんな高価な贈りものをしてくれるので、嫌いではなかったが、ハルと呼んでくれないので、特別好きというわけでもなかった。
花街ので恋愛は御法度だ。
身請けされるならまだしも、そうでない者たちの間での恋愛は不幸しか呼ばない。
浮竹は、子供の頃体が弱く、親がたくさんの借金を背負い、ついに返しきれなくなって、両親は泣く泣く浮竹を売ったのだ。
浮竹は8人兄弟の長男で、色子で稼いだ金を仕送りしては、家族はどん底の貧乏からそれなりの裕福な暮らしができるようになっていた。
浮竹は、7人の弟や妹が学校に通えるように、金をもっと溜める必要があった。
学校に行くには金がかかる。
しかし、学校にいけば読み書きも計算もできるし、就職に有利になるので、どうしても7人の妹や弟たちを学校に通わせてやりたくて、借金を申し込んで、売れているのだが色子としての年季は10年と長かった。
「ねぇ、君を僕だけのものにするにはどうすればいいの」
「知らん。ここに通い続けて、俺を買い続ければいいだろう」
「お金かかるねぇ」
「上流貴族のお前には、はした金だろう」
「そうなんだけどさぁ。ねぇ、十四郎、こっちを向いて?」
「ハルと呼べと言えば何度分かるんだ。ん・・・・・・」
京楽は、浮竹に口づけて、押し倒す。
さっきまで睦みあっていたので、浮竹はまだ火の灯る体を悟られないように、京楽の口づけに応えながら、身を捩った。
「ねぇ、してもいい?」
「さっき散々抱いただろう」
「でも、君は僕のものだって証を刻みたい。ねぇ、僕以外の客をとらないでよ」
「無理なことを言うな。俺は色子だ。客がくれば体を売る。それが仕事だ。それとも、俺を身請けでもしてくれるのか?」
「身請け、したいんだけどねぇ。金額がけっこうあって・・・親に金を貸してもらわないと足りなさそうで・・・親は、色子を身請けしたいと言ったら、切れてね」
「まぁ、普通そうだろうな」
普通の親は、花街の花魁を身請けするのでさえ嫌う。
遊女も同じで、まして色子など論外であろう。
子を産んでくれるわけでもない、ただの厄介者としか、客の親には映らないはずだ。
まだ、遊女なら子を産んでくれるからと、仕方なしに納得する親もいるだろうが。
それにしても、京楽が20代後半くらいとはいえ、親の援助がないと身請けできないという事実を知って、浮竹は少し落胆した。
京楽なら、身請けしてくれるかもしれないと、心の何処かで思っていたのだ。
ただ、花街でも人気ナンバー1と言われる浮竹の身請けには、本当に膨大な金が必要で、上流貴族であろうとも、そうほいほいと出せる金額ではないのは確かである。
桜花屋の主は、金にがめつく、色子の浮竹が稼げるだけ稼ぐのを望んでいて、身請け話が出る度に金額を釣り上げていた。
「ねぇ、春水って呼んで」
「春水」
「ねぇ、愛してるって言って」
「愛してる」
「はぁ。どれも、感情がこもってない。ねぇ、僕のこと嫌いなの?」
「好きでも嫌いでもない。ただの上客だと思っている」
浮竹がそう言うと、京楽は哀しそうな顔で、浮竹を見る。
「僕は、こんなにも君のことが好きなのに」
「色子を好きになるなんてやめとけ。火遊び程度にしておけ」
「でも、僕は必ず君を身請けするよ?」
「期待しないで、待っている」
その日を境に、京楽が浮竹のところに、浮竹を買いにくることがなくなった。
「京楽・・・何をしているんだろう」
いなくなってしまえば寂しいもので、やっと己が京楽に恋心を抱いていたのに気づく。
浮竹は、他の客をとりながら、もう京楽のことは忘れようと何度も考えた。
チリン。
鈴の音がする。
京楽にもらった、翡翠の鈴のついた簪の音だ。
「こんなもの・・・・・」
投げ捨てようとして、ポロリと涙がこぼれた。
「京楽・・・会いたい・・・・・・」
浮竹の上客の中でも、京楽は特別優しくて、浮竹を甘やかしていた。
「京楽・・・・今頃、結婚してるかもな」
上流貴族だ。見合いでもして、同じ上流貴族の姫君と婚姻しているかもしれない。
浮竹は、京楽のことを忘れることにした。
でも、忘れようとすればするほど、想いは募り、恋しくなる。
「京楽・・・・俺を、買いにこい・・・・・」
また、ポロリと涙がにじんだ。
「待たせたね、十四郎」
「きょうら・・・く?」
半年も会いにこなかった愛しい相手は、少しやつれた様子で姿を現した。
「半年、金策に手こずったけど、君を身請けできる金額ができた。君を、名実共に僕だけのものにするよ」
「京楽!」
浮竹は、京楽に抱き着いた。
「寂しかったんだからな!」
「ごめんね。この半年、君が他の客に何度抱かれているだろうと思うだけで、身が焦げそうな想いだった。でも、それも今日で終わりだよ。ハル」
「ハルって呼ばなくていい。今まで通り、十四郎でいい」
「十四郎・・・・会いたかった」
「俺も、会いたかった・・・・・」
そのまま、もつれあいなながら、どちらともなしにキスを繰り返した。
「ああ!」
京楽は、浮竹を何度も抱いてきているので、浮竹のいいところは知り尽くしていた。
「んあっ」
着物を脱がされて、直接浮竹のものを舌で愛撫する京楽は、飢えた獣みたいであった。
「ごめん、久しぶりで手加減できないかも」
「いいから・・・・早く、こい」
色子として、体を開くのは慣れていたが、相手が京楽というだけで、少し緊張した。
「あああああ!!!」
貫かれて、久しぶりに感じる京楽の少し暴力的な熱に、うなされそうになる。
「あ、あ、あ!」
揺さぶられて、突き上げられて、浮竹は涙を流した。
「あ、好き・・・・京楽」
「僕も大好きだよ、十四郎」
交じりあいながら、愛を囁く。
「あああ!!!」
最奥までゴリゴリと侵入してきた京楽の熱は、大量の精液を吐き出した。
「ご無沙汰だったから・・・・ごめんね、手加減できない」
「いい。もっと抱け。もっと、俺を京楽のもので満たしてくれ」
「言うねぇ」
京楽は、手加減なしで浮竹を何度も抱いた。
色子として体を売るのは慣れているとはいえ、京楽は回数が多いので、浮竹は最後には意識を飛ばしていた。
「あ・・・俺は?」
「ごめん、僕が抱きつぶした」
「そうか」
浮竹は、京楽の腕の中で微睡むようにまた眠る。
「夢なら・・・・覚めないでくれ・・・・・」
「十四郎・・・・」
次に浮竹が起きると、真新しい上等な着物を着ていた。
京楽の姿がなくて、昨日の夜のことは夢だったのだろうかと、京楽の姿を探す。
「京楽?京楽?いないのか?」
「あ、起きた?ごめんごめん、君を身請けしたから、荷物とかまとめてたんだよ」
「本当に、俺を身請けしてくれるのか?」
浮竹は、京楽に抱き寄せられる。
「この半年、君を身請けするためだけに翻弄した。君が僕以外の客をとっているのは知っていたし、止めることはできなかったけど、もう体を売る必要はないよ。僕だけを見て、僕だけのものになればいい」
「あ・・・・・・」
舌がからまるキスをされて、浮竹は涙を零す。
「この半年、寂しかった」
「ごめんね」
「でも、もう俺はお前のものなんだな。嬉しい」
「じゃあ、馬車を手配しておいたから、まとめた荷物と一緒に、僕の館に帰ろう。そこが、今日から君の家だよ」
「俺の家・・・・・・」
浮竹は、まだ昨日の熱が覚めないのか、少しぼんやりとしていた。
「どうしたの?」
「その、昨日が激しくて、腰が・・・・・」
「うわ、ごめんね。僕が抱えるから」
京楽は、浮竹をお姫様抱っこすると、馬車まで運んでくれた。
花街ナンバー1の色子が身請けされると知って、いろんな遊女や色子、客たちが見ていた。
「京楽、みんなが見ている」
「いいじゃない。君は僕のものだ。もう、僕以外に触らせない」
「京楽・・・・・」
浮竹は、京楽の首に手を回す。
「ねぇ、京楽じゃなくって、春水って呼んで?」
「春水・・・・・」
「今日から、僕のことは春水って呼んでね、ハル」
「こんな時だけ、通り名で呼ぶなんて意地悪だ」
「ふふふ・・・・・・」
京楽は悪戯気に笑う。
浮竹は、京楽の腕の中で幸せそうに微笑んだ。
「春水、愛してる」
「僕も愛してるよ、十四郎」
身請けされた浮竹は、京楽と末永く幸せに暮らしたそうな。
夜に揺らめく、色子はもういない。
好きなものは好き18
「一護?何をしておるのだ?」
「んー。ルキアの寝顔見てた」
一護は、ベッドで眠るルキアの顔を見てにまにましていたのだが、ルキアが起きてきたので、表情を引き締めた。
「私の寝顔など見ても、何も楽しいことなどないであろうが」
「そうでもないぜ?ルキアの寝顔、めちゃくちゃかわいい。襲いたいくらいに」
その言葉に、ルキアが真っ赤になる。
「な、朝っぱらから何を言っておるのだ!」
「んー。ルキア、かわいいなぁと思って」
ルキアは、一護の頭をはたいた。
「あいて」
「朝っぱらから、恥ずかしいことを言うな!」
「そうか?俺は別に恥ずかしくなんてないけどな」
「私が恥ずかしいのだ!着替えるから、どけ」
ルキアは、パジャマを脱ぎ捨てると、下着姿になって、たんすをあけて白いワンピースを着る。
「何をしておるのだ」
「お前の下着姿見ないように、目を閉じてる。襲わない自信がないから」
「な!」
恋人同士とはいえ、好きな相手の目の前で着替えるのは、少し問題があるのかと、ルキアは遅まきに気づく。
「も、もう目をあけてもよいぞ。着替え終わった」
「ん・・・ああ、今日もかわいな、ルキア」
「たわけ!毎日毎日、かわいいだの綺麗だの、聞きあきたわ!」
「じゃあ、食っちまいたい」
「な!」
ルキアはまた赤くなった。
「ど、どのように食うのだ」
「そうだな、まずは目玉焼きを・・・・ああ、朝ごはん作るな?」
からかわれたのだと気づいて、ルキアはクッションを一護に投げた。
一護は、小さな笑い声をあげて、それを受け止めて投げ返してきた。
「むう、一護のやつ・・・・・」
ルキアは、クッションを抱えて悶々する。
「朝飯できたぞ。今日はトーストとサラダ、目玉焼きだ」
「食べる。おかわりはあるか?」
「ルキアは食いしん坊だな。もう一枚トースト焼いてやるよ」
「うむ、すまぬ」
朝ごはんを食べ終えて、休日なので何処かへ出かけようと提案する。
「まだ残暑も厳しいから、家でごろごろしようぜ」
「確かに、まだ熱中症警戒日だしな。仕方ない、家で過ごすか」
ルキアと一護は、冷房のきいた室内で、雑誌を読み始めた。
でも、時間の流れはあっという間で、昼食の時間になった。
「作るのめんどくさいし、デリバリー頼むか。ピザでいいだろ?」
「うむ。飲み物は、あのしゅわしゅわするやつで」
「コーラだな」
一護は、一番近くのピザ屋に注文して、配達を頼んだ。
15分ほどして、ピンポーンとチャイムが鳴る。
「きたみたいだ。やっべ、一万円札しかねぇ」
「私が出す。たまには、私にも払わせろ」
ルキアは、愛用しているチャッピーの財布を取り出すと、扉をあけてピザを受け取り、お金を払った。
「うまそうだな」
「この店、うまいって評判いいからな」
二人は、あつあつのピザをコーラを飲みながら食べた。
それから、眠くなったので、少しだけ寝ることにした。
「ルキア・・・・・もう寝たか?」
「ん・・・・まだ、かろうじで、意識はあるが・・・・寝落ちしそう、だ」
「ルキア、愛してるぜ」
「ん、一護、私も・・・・・」
ルキアはそれだけ言うと、スースーと眠りについてしまった。
一護もまた、眠りにつく。
次に起きると、時計は4時半をさしていた。
「やっべ、寝過ごした!ルキア、起きろ!」
「んん?」
「もう4時半だ。4時間以上寝ちまった。夜の買い出しに出かけるぞ」
近くのスーパーまで、急いで歩く。
「昼寝をしすぎたな。今日の夜が眠れぬかもしれぬ」
「そんときはそんときだ。お買い得品、さすがにもう売り切れてるだろうな」
「主婦みたいだな、一護は」
「ピザを取る時もあるけど、一応は節約生活だからな」
「むう、私も金を出しているだろう。節約などせずとも」
「ああ、お陰でバイトかなり減らせれたし。でも、お金があるからといって豪勢な生活は性に合わねぇからな」
ルキアと一護は、買い物をして、手を繋いで帰路につく。
今日は、夜のデザートはルキアの大好きな白玉餡蜜で、帰り道のルキアは上機嫌だった。
「ルキア」
「なんだ?」
振り返ったルキアの唇に、唇を重ねる。
「な、一護!」
「ははは、あんまりにかわいいから」
「人前かもしれぬのだぞ!家に戻ってからにしろ!」
「家に戻ったら、キスしていいのか?」
「そ、それは、まぁ、その・・・・」
「とにかく、帰ろうぜ」
夕焼けを浴びて、影が長く伸びる。
二人は夕焼けに真っ赤に染まりながら、歩き出す。
ルキアは、自分が真っ赤になっているのを隠せて、ちょうどよいと思うのであった。
「んー。ルキアの寝顔見てた」
一護は、ベッドで眠るルキアの顔を見てにまにましていたのだが、ルキアが起きてきたので、表情を引き締めた。
「私の寝顔など見ても、何も楽しいことなどないであろうが」
「そうでもないぜ?ルキアの寝顔、めちゃくちゃかわいい。襲いたいくらいに」
その言葉に、ルキアが真っ赤になる。
「な、朝っぱらから何を言っておるのだ!」
「んー。ルキア、かわいいなぁと思って」
ルキアは、一護の頭をはたいた。
「あいて」
「朝っぱらから、恥ずかしいことを言うな!」
「そうか?俺は別に恥ずかしくなんてないけどな」
「私が恥ずかしいのだ!着替えるから、どけ」
ルキアは、パジャマを脱ぎ捨てると、下着姿になって、たんすをあけて白いワンピースを着る。
「何をしておるのだ」
「お前の下着姿見ないように、目を閉じてる。襲わない自信がないから」
「な!」
恋人同士とはいえ、好きな相手の目の前で着替えるのは、少し問題があるのかと、ルキアは遅まきに気づく。
「も、もう目をあけてもよいぞ。着替え終わった」
「ん・・・ああ、今日もかわいな、ルキア」
「たわけ!毎日毎日、かわいいだの綺麗だの、聞きあきたわ!」
「じゃあ、食っちまいたい」
「な!」
ルキアはまた赤くなった。
「ど、どのように食うのだ」
「そうだな、まずは目玉焼きを・・・・ああ、朝ごはん作るな?」
からかわれたのだと気づいて、ルキアはクッションを一護に投げた。
一護は、小さな笑い声をあげて、それを受け止めて投げ返してきた。
「むう、一護のやつ・・・・・」
ルキアは、クッションを抱えて悶々する。
「朝飯できたぞ。今日はトーストとサラダ、目玉焼きだ」
「食べる。おかわりはあるか?」
「ルキアは食いしん坊だな。もう一枚トースト焼いてやるよ」
「うむ、すまぬ」
朝ごはんを食べ終えて、休日なので何処かへ出かけようと提案する。
「まだ残暑も厳しいから、家でごろごろしようぜ」
「確かに、まだ熱中症警戒日だしな。仕方ない、家で過ごすか」
ルキアと一護は、冷房のきいた室内で、雑誌を読み始めた。
でも、時間の流れはあっという間で、昼食の時間になった。
「作るのめんどくさいし、デリバリー頼むか。ピザでいいだろ?」
「うむ。飲み物は、あのしゅわしゅわするやつで」
「コーラだな」
一護は、一番近くのピザ屋に注文して、配達を頼んだ。
15分ほどして、ピンポーンとチャイムが鳴る。
「きたみたいだ。やっべ、一万円札しかねぇ」
「私が出す。たまには、私にも払わせろ」
ルキアは、愛用しているチャッピーの財布を取り出すと、扉をあけてピザを受け取り、お金を払った。
「うまそうだな」
「この店、うまいって評判いいからな」
二人は、あつあつのピザをコーラを飲みながら食べた。
それから、眠くなったので、少しだけ寝ることにした。
「ルキア・・・・・もう寝たか?」
「ん・・・・まだ、かろうじで、意識はあるが・・・・寝落ちしそう、だ」
「ルキア、愛してるぜ」
「ん、一護、私も・・・・・」
ルキアはそれだけ言うと、スースーと眠りについてしまった。
一護もまた、眠りにつく。
次に起きると、時計は4時半をさしていた。
「やっべ、寝過ごした!ルキア、起きろ!」
「んん?」
「もう4時半だ。4時間以上寝ちまった。夜の買い出しに出かけるぞ」
近くのスーパーまで、急いで歩く。
「昼寝をしすぎたな。今日の夜が眠れぬかもしれぬ」
「そんときはそんときだ。お買い得品、さすがにもう売り切れてるだろうな」
「主婦みたいだな、一護は」
「ピザを取る時もあるけど、一応は節約生活だからな」
「むう、私も金を出しているだろう。節約などせずとも」
「ああ、お陰でバイトかなり減らせれたし。でも、お金があるからといって豪勢な生活は性に合わねぇからな」
ルキアと一護は、買い物をして、手を繋いで帰路につく。
今日は、夜のデザートはルキアの大好きな白玉餡蜜で、帰り道のルキアは上機嫌だった。
「ルキア」
「なんだ?」
振り返ったルキアの唇に、唇を重ねる。
「な、一護!」
「ははは、あんまりにかわいいから」
「人前かもしれぬのだぞ!家に戻ってからにしろ!」
「家に戻ったら、キスしていいのか?」
「そ、それは、まぁ、その・・・・」
「とにかく、帰ろうぜ」
夕焼けを浴びて、影が長く伸びる。
二人は夕焼けに真っ赤に染まりながら、歩き出す。
ルキアは、自分が真っ赤になっているのを隠せて、ちょうどよいと思うのであった。
好きという言葉
「ルキア?」
「なんだ、一護」
「パンツ見えて・・・おぶっ」
屋上で座っていたルキアの白いパンツが見えてしまい、一護は注意しようとしたのだが、当のルキアに蹴り転がされた。
「この変態が!」
「な、俺はただ、注意しようと」
「見たのだろう!」
「す、少しだけ」
顔を赤くして、遠い方角を見る一護に、ルキアはその鳩尾にパンチを入れる。
「ぬおおお」
「チャッピーの白パンツで悪いか!」
「だ、誰もそこまでみてないし、そんなこと言ってない」
「兄様、一護にパンツを見られました」
ルキアは、白哉専用の伝令神機で、白哉にそうメッセージを送ると、穿界門が現れて、白哉が姿を現した。
「兄は、ルキアの見てはいけないものを見た。散れ、千本桜・・・・・」
「ぎゃあああああ、お前ら二人そろって俺を殺すつもりか!」
「笑止。殺すつもりだ」
「のあああああああ」
一護は、死神姿になると、千本桜の本流から逃げ出した。
「がんばれ、一護、兄様」
「ルキアのあほおおおお」
「あほとはなんだ、あほとは!」
「ぎゃあああああああ」
一護は白哉の千本桜の桜の海に包まれる。
なんとかかすり傷だけになるように回避して、また逃げ出す。
白哉には、説得とかそういうものがきかない。
「白哉、ルキアと俺は付き合っているんだ!」
「な・・・・んだと?」
白哉が固まる。
「な、誰が貴様と付き合っているだと!」
「この前、俺のこと好きって言ってくれただろ!」
「違う、あれは、ただ友人として!」
ルキアが真っ赤になった。
「むう。仕方ない、ここは退こう。今度、じっくり話し合いをしよう」
「話し合いなんてしたくない。早く尸魂界に帰れ!」
一護が手をしっしと振ると、白哉は何か言いたそうな顔をしていたが、尸魂界に帰っていった。
「あ、兄様!」
「ルキア。いい加減、俺を好きなこと、認めたらどうだ?俺はルキア、お前のこと好きだぜ」
「い、一護・・・・・・・」
ルキアは、真っ赤になって固まった。
「好きだ。改めて、付き合ってくれ」
「わわわわ、私は」
「俺のこと、好きだろ?」
耳元で囁かれて、ルキアはこくんと首を縦に振った。
「日曜、デートしようぜ」
「でででででーと?」
ルキアは真っ赤になりすぎて、頭から湯気を出していた。
「はうあ」
オーバーヒートして、一護の胸に倒れ込む。
「おい、ルキア?ルキア??」
「はれひれほれ~~~~~」
「だめだこりゃ」
ルキアをお姫様抱っこして、一護は保健室までルキアを送るのであった。
「なんだ、一護」
「パンツ見えて・・・おぶっ」
屋上で座っていたルキアの白いパンツが見えてしまい、一護は注意しようとしたのだが、当のルキアに蹴り転がされた。
「この変態が!」
「な、俺はただ、注意しようと」
「見たのだろう!」
「す、少しだけ」
顔を赤くして、遠い方角を見る一護に、ルキアはその鳩尾にパンチを入れる。
「ぬおおお」
「チャッピーの白パンツで悪いか!」
「だ、誰もそこまでみてないし、そんなこと言ってない」
「兄様、一護にパンツを見られました」
ルキアは、白哉専用の伝令神機で、白哉にそうメッセージを送ると、穿界門が現れて、白哉が姿を現した。
「兄は、ルキアの見てはいけないものを見た。散れ、千本桜・・・・・」
「ぎゃあああああ、お前ら二人そろって俺を殺すつもりか!」
「笑止。殺すつもりだ」
「のあああああああ」
一護は、死神姿になると、千本桜の本流から逃げ出した。
「がんばれ、一護、兄様」
「ルキアのあほおおおお」
「あほとはなんだ、あほとは!」
「ぎゃあああああああ」
一護は白哉の千本桜の桜の海に包まれる。
なんとかかすり傷だけになるように回避して、また逃げ出す。
白哉には、説得とかそういうものがきかない。
「白哉、ルキアと俺は付き合っているんだ!」
「な・・・・んだと?」
白哉が固まる。
「な、誰が貴様と付き合っているだと!」
「この前、俺のこと好きって言ってくれただろ!」
「違う、あれは、ただ友人として!」
ルキアが真っ赤になった。
「むう。仕方ない、ここは退こう。今度、じっくり話し合いをしよう」
「話し合いなんてしたくない。早く尸魂界に帰れ!」
一護が手をしっしと振ると、白哉は何か言いたそうな顔をしていたが、尸魂界に帰っていった。
「あ、兄様!」
「ルキア。いい加減、俺を好きなこと、認めたらどうだ?俺はルキア、お前のこと好きだぜ」
「い、一護・・・・・・・」
ルキアは、真っ赤になって固まった。
「好きだ。改めて、付き合ってくれ」
「わわわわ、私は」
「俺のこと、好きだろ?」
耳元で囁かれて、ルキアはこくんと首を縦に振った。
「日曜、デートしようぜ」
「でででででーと?」
ルキアは真っ赤になりすぎて、頭から湯気を出していた。
「はうあ」
オーバーヒートして、一護の胸に倒れ込む。
「おい、ルキア?ルキア??」
「はれひれほれ~~~~~」
「だめだこりゃ」
ルキアをお姫様抱っこして、一護は保健室までルキアを送るのであった。