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奴隷竜とSランク冒険者45

「浮竹さん、京楽さん、助けてくれ」

一護が、浮竹と京楽のところにやってきた。

なんでも、ルキアが魔族に誘拐されたらしい。条件は、勇者パーティーメンバー候補濃厚な、朽木白哉の首。

そんなこととてもできなくて、でもルキアに危害を加えられるのがいやで、自分の力だけではどうしようもなくて、浮竹と京楽を頼ってきた。

白哉と恋次はSランクダンジョンにこもっていて、今連絡がとれない。

なので、今一護が頼れるのは浮竹と京楽だった。

「いい機会だ。一護君、ドラゴンとして覚醒するんだ。そうすれば、ルキアちゃんも絶対に救いだせる」

「でも俺・・・・サンシャインレイドラゴンだけど、精霊族に擬態して・・・・・・」

「俺が魔法で解いてやろう」

浮竹が魔法を唱えると、一護は精霊族ではなくなり、ドラゴンの人化した姿になっていた。見た目の差はあまりないが、精霊族である透明な羽が消えてなくなっていた。

「あ、羽がない!」

「元にドラゴンに戻したからね。浮竹、彼を覚醒させるんでしょ」

「ああ。魔王藍染のいる浮島の結界を突破するには、サンシャインドラゴン、フルムーンドラゴン、それにインフェルノドラゴンが必要だ」

「あの、俺はサンシャインレイドラゴンで、サンシャインドラゴンじゃないんすけど」

「今から、なりにいくんだ。サンシャインドラゴンに。サンシャインドラゴンの会得できる魔法、レイグラビディを覚えると、サンシャインドラゴンになれる」

「そうなんすか。それになれば、俺の力でもルキアを取り戻せるんすか」

一護は必死だった。

愛する妻の命がかかっているかもしれないのだ。

「とりあえず、サンシャインドラゴンになれる聖地にいこう。こんなこともあるだろうと、ワープポータルで場所をメモしておいた」

「お願いします、浮竹さん、京楽さん。俺、サンシャインドラゴンになります!」

「君ならそう言うと思ったよ」

京楽は、一護をまずは落ち着かせた。

ワープポータルの魔法で、やってきたのは枯れ木ばかりの森。

「この奥に、サンシャインドラゴンになれるためのドラゴンの聖地と洞窟があるはずだ」

「でも、なんでこの森こんなに枯れてるんすか」

「太陽だ。太陽を司る力が強すぎて、植物を枯らしてしまうんだ。魔力とのバランスがとれていない。一護君、君がサンシャインドラゴンになったら、魔力も順調に流れてこの森も蘇るだろう」

「がんばります!」

枯れ木の森を歩くこと2時間。

ドラゴンの聖地だった場所と、洞窟が見えてきた。

「さぁ、あの洞窟の奥にレイグラビディの魔法がある。覚えて、覚醒して、サンシャインドラゴンになっておいで」

「はい、がんばってきます!」


--------------------------------------------------


『愛しい我が一番目の子。レイグラビディの呪文を授けましょう。今、世界は魔王の手により危機にあります。さぁ、サンシャインドラゴンに覚醒するのです』

扉の奥で、サンシャインドラゴンになる者しか入れない扉をぬけた一護に、優しいマザードラゴンの声が降ってくる。

「うわああああああ!!」

一護は、まずサンシャインレイドラゴンになったが、長い間ドラゴンの姿をとっていなかったため、魔力の巡りが無茶苦茶で、ドラゴンの姿を維持するのに必死だった。

「ルキアを、助けるんだ、俺は!」

マザードラゴンの声を聞きながら、壁に描かれている魔法の文字を読む。

「これが・・・・レイグラビティ。太陽とその闇の重力の魔法・・・・・・・・」

気づくと、一護は50メートルはあるであろう超巨大なドラゴンになっていた。

「これがサンシャインドラゴン・・・・すげぇ、力がわきあがってくる」

『もう大丈夫ですね、愛しい我が子。長い間ドラゴンでなかったので心配でしたが、杞憂に終わりましたね』

「待ってくれ、マザードラゴン!なんで、俺をサンシャインドラゴンとして生み出したんだ!」

もう、マザードラゴンの声は聞こえなかった。

一護は、人化してきた道を戻る。

「浮竹さん、京楽さん、サンシャインドラゴンになりました。レイグラビティって魔法覚えました」

「そうか、うまくいったか」

「よかったよ」

「今から、ルキア攫った魔族のところにいってきて、そいつらぶっ殺してルキア助けに行ってきます」

「場所は分かってるの?」

京楽の問いに、一護は頷く。

「廃墟の城を根城にしてる魔族どもだ。俺一人だと、ルキアが危ないかもしれないから浮竹さんと京楽さんに助け求めたけど、妻の一人も守れないなんて男じゃねぇ。一人で行きます」

「そうかい。じゃあ、近くまでドラゴンの姿で飛んでいくといい。魔族やつらも、腰を抜かすだろう」

「あと、念のために、ボクたちの宿屋に転移するスクロール渡しておくね。ルキアちゃんを救出したら、まずは手当てしないといけないだろうし」

「ありがとございます、京楽さん」



------------------------------------------------

一護は、手に入れた力と魔法で、レイグラビティの魔法を、ルキアと自分にだけ結界をはって使った。

古城そのものが、おしつぶされて、魔族どもは皆死んでいた。

「一護・・・・その姿は・・・・ドラゴン化したのか」

「ああ。ルキア、すまねぇ。俺がいながら、ルキアが攫われた。ああ、やっぱ大人しくしてなかったんだな。殴られたんだろ」

「これくらい、傷のうちに入らぬ」

「だめだ。浮竹さんのとこにいって、治してもらおう」

ルキアの頬は青黒くはれていて、他にもけられたりしたような傷も見受けられた。

「じゃあ、転移するぞ。スクロール、オープン!」

ぱぁぁと光が輝き、ルキアと一護は気づけば浮竹と京楽の泊まっている高級ホテルの、浴室に移動していた。

「ぬわあああ」

「のああああああ」

お湯でびしゃびしゃになった二人に、浮竹と京楽が急いで駆けつける。

「ああ、スクロール使ったんだね。どの部屋とまでは指定していなかったから、お風呂場にでちゃったのか」

広い湯船から出て、ルキアと一護はバスタオルをもらい、念のためもっていたアイテムポケットからかわりの服をだして、着替えた。

「浮竹さん、ルキアの傷の治療頼めますか」

「お安いごようだ。おいで、ルキアちゃん」

「はい」

「フルムーンキュア!」

浮竹は、状態異常無効化以外に、傷も癒せるその魔法を使った。

「すごい・・・・ヒールよりきいてます」

「まぁ、俺のフルムーンドラゴンだけが使える覚醒のための魔法だからな」

「俺、決めました。もう、精霊族に擬態するの辞めます。ドラゴン族としてやっていこうって思います」

「うん、それがいいね。その巨大な力を、冒険者として使うといいよ」

京楽は納得し、浮竹は少し困ったような表情をする。

「一護君のドラゴン姿は巨大すぎるから、あまり軽々しくドラゴンにならないように。ドラゴンになるときはサイズを調整するといい」

「はい、がんばってみます!」


こうして、一護はサンシャインレイドラゴンから、サンシャインドラゴンになった。

藍染のいる、浮島障壁を三大真竜でである、サンシャインドラゴンの一護、フルムーンドラゴンの浮竹、インフェルノドラゴンである京楽で、突破できるのだった。

さてはて、藍染がどういう行動にでるのかは、まだ不明であった。

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ヴァンパイアと神父

そのヴァンパイアは、名前を京楽春水といい、ヴァンパイアロードだった。

幾人ものヴァンパイアハンターを退けてきたことで有名だった。

京楽は、ある日興味本位で人の街におもむき、教会に寄った。

教会の十字架なぞ、ヴァンパイアロードである京楽には意味がなかった。銀の弾丸さえも、意味をなさない。

それだけ、ヴァンパイアロードは強く、ある意味ヴァンパイアたちの王だった。

「はじめまして。教会ははじめてですか?」

いきなり声をかけられて、京楽は振り返る。

「ああ、はじめてなんだよ」

そこにいたのは、白い長い髪に、翡翠の瞳をもった麗人。

神父の服を着ているので、聖職者だと分かった。

「神に祈りを。懺悔しますか?」

「神に死を。君を攫う」

「え?」

京楽は、一目見て浮竹を気に入ってしまい、教会からいきなり自分の古城に転移した。

「なんだこれは!」

「ああ、知らないの?転移魔法」

「転移魔法なんて、Sランク冒険者くらいしか・・・・・」

「ボクは京楽春水。ヴァンパイアロードだよ」

いきなりの自己紹介に、浮竹は一歩後ろに下がる。

「ヴァンパイアロード・・・・・そんな存在が、俺に何の用だ!」

「いや、君を気に入ったから、眷属にしようと思ってね」

「このヴァンパイアめ!」

浮竹は、十字架をつきつけた。

「で?」

「え、あれ、十字架かが効かない。じゃあ、これでどうだ!」

浮竹は、所持していた銃で銀の弾丸を京楽の胸に撃った。

「で?」

「え、あれ、おかしいな。ヴァンパイアは銀に弱いはずなのに」

「ボクはただのヴァンパイアじゃない。上位種でヴァンパイアロード。その中でも上位の王種だよ」

「ヴァンパイアロード・・・・・そんな存在が、俺を眷属に?」

「そうだよ。さぁ、いきなりだけど式を挙げよう。君はボクの花嫁として、眷属になってもらう」

「ごめんこうむる!」

浮竹は、銃をこめかみに向けて、自殺しようとした。

「だめだよ。死んじゃだめだ」

京楽は、自分の血をこめかみから血を流している浮竹に与えた。

王種であるせいか、死者にも効果があった。

「俺は・・・・神父だった」

「血を与えた。これで君もヴァンパイアだ。ボクと一緒に生きよう」

「一緒に生きる・・・・・その選択しか、俺にはないのか」

「そうだよ。それとも、ボクを殺して独立するかい?」

「お前との力の差がありすぎる。仕方ない、ヴァンパイアの神父になろう」

浮竹の言葉に、京楽は笑った。

「ヴァンパイアなのに、神父を続けるの?」

「そうだ。悪いか?」

「いや、別に君の自由だけど」

それから、京楽と浮竹は同じ古城で生活することになった。


---------------------------------------


「おい、起きろ、京楽。朝の8時だぞ!」

「うーーーん。ヴァンパイアは普通、夜型だよ」

「俺は昼型だ。それに、お前もよく昼間に徘徊してるだろう」

「人をぼけたじいさんみたいに言うのは、よしてくれないかい」

「じゃあ、朝飯はいらないんだな」

「いや、食べるよ!君の作った料理、おいしいからね」

ヴァンパイアでも、普通に食事ができた。

その気になれば、人の血を吸わずに人工血液製剤や輸血パックから血を摂取できる。

京楽も浮竹も、人工血液製剤を利用していた。

「北のトエイで、またヴァンパイアがヴァンパイアハンターの神父に殺されたそうだよ」

「トエイ・・・・近いな」

目と鼻の先であった。

「ここに、こなければいいが・・・・・」

「多分、くるんじゃない?そんな気がする」


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やってきたヴァンパイアハンターは、名を黒崎一護といった。朽木ルキアという精霊を連れていた。

「あんたらの運命もここまでだ。死んでもらう」

「いや、俺は何もしてないぞ。おまけにヴァンパイアだけど神父だ」

「ボクはせいぜい、やってきたヴァンパイアハンターを返り討ちにしたくらいかな。人の血は吸わない。人工血液製剤で血を補っている」

「そ、そうだとしてもヴァンパイアの存在は罪だ。許されねぇ」

一護は、銀のナイフを京楽の心臓に突き立てた。

「だから、何?」

「まじかよ!銀の武器が通じないだって!」

「一護君だっけ。退いた方が身のためだよ。こいつ、ヴァンパイアロードの王種だ。ハイヴァンパイアキングだ」

「げ」

一護は、ルキアを呼び出して、結界を作った。

「ルキア、こいつらまとめて燃やせねぇか」

「無理を言うな!力の差がありすぎて、焦げもせんわ!」

ルキアは、京楽と浮竹に謝罪した。

「うちの一護がすまぬ。去るので、どうか生かしてはくれまいか」

「でも、生かして帰ったら、またヴァンパイアを狩るんでしょう?」

「そりゃそうだ。それが俺の仕事だからな」

「こら、一護。交渉中だ、口を開くな!」

「もがーーー」

けっこう力のあるルキアに口を塞がれて、一護は目を白黒させていた。

「まぁ、いいよ。行っても。ボクは他のヴァンパイアは、浮竹以外に興味はないから」

「ありがたい。去るぞ、一護!」

「おい待てよ、ルキア!」

走り出したルキアの後を追って、一護も去ってしまった。

「なんだったんだ、あれは」

「ん、ただのヴァンパイアハンターじゃないけど、ボクに勝てないと分かって、逃げ出したことになるね」

「ヴァンパイアハンターが逃げるなんて、お前、けっこうすごいヴァンパイアロードなんだな」

その言葉に、京楽がずっこけた。

「あのねぇ、君のマスターはボク。ボクの力で、一度死んだのを蘇らせたのに」

「いや、だってヴァンパイアの花嫁って、永遠に使役されるんだろう?」

「ボクは君を大切にしているつもりだよ。ふふふ、それとも愛が足りない?」

京楽は、浮竹を抱き寄せた。

浮竹は、マスターである京楽の鳩尾に拳を入れる。

「花嫁になったつもりはない。あくまで、対等の関係だ」

「ふふ・・・・ボクをここまで否定して、拒絶するのは君くらいだよ。君を大切にしているから、無理やり契ったりしないけど・・・・・」

「契る・・・」

浮竹は真っ赤になった。

この京楽は男女どっちでもいけるらしかった。

「あと50年経てば、契ってやってもいい」

「え、まじで!?50年なんてあっという間じゃない」

ヴァンパイアの時間の感覚は人間とは違う。

また何度かヴァンパイアハンターが来たりしたが、皆返り討ちにして、浮竹と京楽は50年の時間を過ごしてしまった。


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「50年前に言った言葉、覚えてる?」

「忘れた」

浮竹は本気で忘れていて、京楽はがっかりした。

「50年一緒にいれば、契ってもいいと君は言ったんだよ」

「ななな、そ、そんなこと俺は言ったか?」

「言ったよ。だから、今夜君を抱くよ」

「何故俺なんだ」

「そりゃ、君が僕の眷属で花嫁だから」

「納得がいかない。俺がお前を抱く」

「ええええええええ!!」

「手加減はしてやる!」

浮竹と京楽は、どっちがどっちを抱くかでもめて、結局その年は何も起きなかったのだった。



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僕はそうして君に落ちていく外伝4

浮竹が、霊王になって200年が経った。

ある日、霊王が突然消えたと大騒ぎになった。

京楽は、まさかと思い、雨乾堂の跡地に行ってみた。

そこに、浮竹はいた。

池の鯉にえさをやっていた。

「浮竹、霊王がいなくなたって、えらい騒ぎになってるよ」

「霊王宮にずっといるのも飽きた。お前と一緒に居られるのは1カ月に一度だけだし」

「だからって、勝手に霊王宮を抜け出したらまずいでしょ」

「大丈夫だ。あそこには、念のためにユーハバッハの遺骸がある。俺がいなくても、数日はもつようになってある」

「だからって・・・・・」

京楽は、浮竹に抱きつかれていた。

「会いたかった、京楽、京楽、京楽!月に一度なんて、もう嫌だ」

「浮竹・・・・・・」

「とりあえず、僕の屋敷においで。話はそこでしよう。ほら、そんな姿でいると風邪をひくよ」

霊王としての正装は十二単であったが、今は夜着を着ているだけだった。

京楽は、霊王としての霊圧を封じ込めている浮竹を抱えて、瞬歩で自分の屋敷の最近使っている屋敷に戻る。

「ここは、新しいな」

「うん。君が10年に一度、下界に降りてくる時のために作らせた館だよ」

「京楽、お前が欲しい。お前の愛も、肉体、精神も。全て、欲しい」

「わお、情熱的な口説き文句だね」

浮竹は、自分から京楽に口づけた。

始めは触れるだけ。次に舌を絡め合った。

「んんう・・・・・・」

京楽の手が、浮竹の素肌を衣服を脱がして、はっていく。

「あ!」

胸の先端をつままれると、浮竹はピクリと反応した。

「ここ、もうこんなになってる・・・・・」

京楽が、服の上から浮竹の下肢を触ると、そこはもう緩くたちあがっていた。

「布団しこうか?」

「いらない」

「でも、畳の上じゃ痛いかもよ?」

「別に、それでもいい」

「仕方のない子だねぇ」

京楽は、200年経って、ほんの少しだけ老けた。

霊王である浮竹の容姿は変わらぬままだ。

いつか、睦み合うこともできなくなり、死別する時がくるかもしれないが、それは千年以上後のことだろう。

「ああああ!!」

浮竹は、京楽に衣服を脱がされて、勃ちあがったものを口に含まれて愛撫されて、すぐに精液を吐き出していた。

「ん、濃いね。1カ月に一度しか睦み合えないけど、それ以外の時は処理してないの?」

「自分の手で触っても、なんにもならない。京楽の助けがないと、いけない」

「淫乱になちゃって、まぁ」

「早く、お前をくれ。俺の胎の奥で、お前の精子をぶちまけろ」

京楽は、急いでローションをとってくると、浮竹の蕾にぬりこみ、指をいれる。

「あ、指はもういいから、早く来い」

「でも、つらいのは君だよ」

浮竹は、首を左右に振る。

「それでもいい」

「じゃあ、いくよ?」

「あああああああ!!」

灼熱に引き裂かれて、浮竹は涙を零した。

痛みと快感が、同時に襲ってきて、頭の中が真っ白になった。

「あ、だめ、いっちゃう」

「いくらでもいっていいよ?」

「ひあああああ!!」

どちゅんと京楽が突き上げると、浮竹は背をしならせて中いきをしていた。

「あ、春水の子種が欲しい。早く、早く!」

「そう急かさないでよ。今、あげるからね?」

何度か浮竹の中を出入りして、最奥を抉って精子をまき散らすと、浮竹も精子を出しながら、中いきをしていた。

「んあああ、あああ!!」

「もっと、欲しいんでしょ?」

「あ、もっとだ。俺が壊れるくらい、抱け」

「それはいくらなんでも無理。君を壊したくない」

京楽は、体位を変えて、背後から浮竹を貫いた。

「いああああ!」

「ああ、君の中は最高だね」

「あ、この体位嫌だ。春水、お前の顔が見えない」

「分かったよ」

一度引き抜いて、正常位に戻り突き上げる。

「ひゃあああ!!!」

前立腺を刺激されて、浮竹は中いきと同時に精子を畳の上にぶちまけていた。

「あ、あ、春水、春水、愛してる」

「ボクもだよ、十四郎」

最奥をこじあけて、中に精子をたっぷりと注ぎこむと、浮竹は淫靡に微笑した。

唇をぺろりと舐める。

「もっと、くれ。最後の一滴まで、俺の中に」

「仕方のない子だねぇ」

「いああああ!!」

京楽は、浮竹を何度も貫き、犯して、最後の一滴までを浮竹の中に注ぎ込んだ。

「ふふ・・・・春水の子供、できたりしてな」

「いくら霊王でも、それは無理でしょ?」

「さぁ、どうだろう。霊王なら、可能ではないか。まぁ、子などいらんが」

浮竹と京楽は、風呂に入った。

畳の上に残っていた体液を濡れたタオルでふきとる。

「あと、2~3日下界にいる。その間、俺の世話をしてくれ、京楽」

「はいはい。霊王になった君は、周りの者に世話をされて生きてるからね。自分で食事つくったりできないでしょ?」

「そうだぞ。すごいだろ」

「いや、いばることじゃないから・・・・」

浮竹は、2~3日どころか、1週間京楽の屋敷に滞在し、京楽との逢瀬を十分に楽しんだので、霊王宮に帰ることにした。

「じゃあ、半月後に」

「ああ、半月後に」

霊王が戻ったと、霊王宮の者たちは喜んだが、月に一度の京楽の召還を、半月に一度にしなければ、また行方をくらまして帰ってこないと、駄々をこねるので、周囲の者は困惑したが、霊王の不在はだめなので、承諾するしかなかった。

「もっと早くに、我儘を言えばよかった」

「いいじゃない。これからは、半月に一度は会えるよ」

「そうだな。本当なら、週に一度と言いたいところだが、お前も総隊長として仕事があることだしな」

「浮竹のためなら、総隊長の仕事さぼっちゃうけどね」

「それはだめだ。尸魂界に問題がおきたらどうする」

浮竹がそう言うと、京楽は笑って。

「霊王が、霊王宮から行方をくらますよりましだと思うけどね」

「むう」

浮竹はふくれた。

「霊王様、よくぞお帰りに」

「霊王様、祝詞の仕事が溜まっております」

「霊王様、もう何も言わず、いなくならないでくださいましね?」

霊王宮の者たちは、霊王である浮竹に甘い。

霊王である浮竹を責めることができる者など、京楽くらいしか存在しなかった。

「じゃあ、半月後に。あと、半年後には10年の一度の下界へ降りる時期だね。霊王祭が行われる。楽しみに、待っているよ」

「また半月後に会おう、京楽」

「うん。半月後に」

浮竹は、最近始めた祝詞の仕事を溜めており、それを消化することにした。

京楽も、1週間まるまる執務を休んで浮竹の傍にいたので、仕事はたまりに溜まっていた。

お互い、仕事に忙殺されながらも、次に会える時を心待ちにするのであった。

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アイスバーズ京浮2

世界には、アイスとジュースなる者が存在する。

アイスはやや病弱で体温が低く、ジュースと結ばれると溶けて死んでしまう。

浮竹はずっとアイスだった。

そして、京楽は本人は気づいていないが、ジュースだった。

院生時代によく体温が冷たいねとは言われていたが、誰が浮竹がアイスだと思うだろうか。

アイスとジュースとして、意識せずとも京楽は浮竹に惹かれ、浮竹もまた京楽に惹かれていった。

隊長までのぼりつめて、数百年の時を過ごした。

お互いを好きだと言わず、ただ想いを殺して。

やがて、大戦の勃発。

浮竹は、世界の存続のために神掛を行い、ミミハギ様を解放することを決意する。

それは、すなわち浮竹の死であった。

「浮竹、どうしても神掛をするのかい」

「当たり前だ。霊王に何かあったら、俺が代わりになる」

「そうかい。決意はかたいんだね」

「お前に、最後にお願いがある」

「なんだい」

浮竹は、やや言いにくそうに京楽を見る。

「俺は、アイスなんだ。そして、お前はジュースだ」

「え」

とんでもない事実を知って、京楽は浮竹に告白しないでよかったと思うことにした。

「そうなの。それで、最後のお願いってまさか・・・・」

「俺の命の灯が消えそうになった時、愛していると言ってくれ。おれは、アイスとしてお前の腕の中で溶けて死にたい」

「浮竹・・・・そんなの、残酷だよ。残ったジュースのボクはどうすればいいの」

「お前は強い。俺がいなくても、生きていける」

「いやだよ。死なないで」

京楽は、浮竹を抱きしめた。

体温は、相変わらず冷たく、ひんやりしていた。

京楽は涙を流していた。

想いを告げたら、浮竹は死ぬ。でも、何もしなくても神掛で死ぬ。

「約束だぞ。神掛をした後、俺はしばらく動けない。最期の時に、会いにきてくれ」


ユーハバッハの手により、霊王が殺された。

浮竹は、言っていた通り神掛をする。

大戦は終了し、浮竹はまさに死の淵にいた。

「浮竹、生きてるかい」

「ああ、かろうじで。もうすぐ、死ぬ」

「いやだ・・・・君を、失いたくない」

「もう、俺には時間が残されていない。お願いだ、京楽。お前の腕の中で、お前の言葉で死にたい」

「浮竹・・・・・」

「もう、あと数分もない。俺の命は尽きる。それでも、言ってくれないのか」

「ああ・・・・君って卑怯だね。根は素直なのに」

浮竹は、動かない体を無理やり動かし、京楽の腕の中にいた。

京楽は涙を流しながら、冷たい浮竹の体を抱きしめた。

「愛しているよ、浮竹」

「ああ、俺も愛してる、京楽・・・・これで、もう思い残すことはない。俺は、霊子に還っていく」

「浮竹、だめだ、まだ逝かないで!君に伝えたいことがいっぱいあるんだ!」

「京楽、お別れだ。愛してる」

浮竹は、触れるだけのキスを京楽とした。

京楽は驚いて目を見開いたが、唇をあけて、互いに舌が絡むキスをする。

「んっ・・・・」

「浮竹、綺麗だよ。どうか、次の世界で会う時は、アイスやジュースでなくって、普通の死神か人間になろう」

「ああ、お別れだ、京楽」

浮竹は、京楽の腕の中でとろとろと溶けてく。

京楽は、水になってしまった浮竹を、最後まで抱いていた。

隊長羽織が水でぬれたが、浮竹の名残なので哀しさしかなかった。

「いつかまた、会えるといいね。浮竹・・・・・・・」
















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2千年の時が経った。

浮竹は死神に生まれ変わっていた。

同時に、京楽も。

お互い、前世の記憶をもっていた。


「あ、そこの君」

「あ、そこのお前」

「浮竹十四郎だった子だね?」

「そういうお前こそ、京楽春水だった者だな?」

時をこえて、巡り合う。

お互い、見た目は少年で、浮竹は黒髪黒目で、以前のような浮竹とは違う、穏やかな顔つきの少年だった。

一方の京楽は、褐色の肌をもつ、黒髪の少年だった。

「愛してる京楽」

「ボクも愛してるよ、浮竹」

「俺の今の名前は----------------------」

「ボクの今名前は-----------------------」

アイスでもジュースでもなく。

二人は、新しい人生を、互い補いあいながら、今度こそ結ばれて生きていくのだった。



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ボクは壊れているのだろうか

ボクは壊れているのだろうか。

君を失って、世界は色を失った。

君を失って、それでも生きていかなければならない世界にうんざりした。

そしてボクが決断した答えは。


君を、もう一度愛すること。

12番隊の隊長である涅に、金をつんで秘密裏に作り上げたのは、君のクローン。

君の遺髪から作り出した、君だった。

君・・・・浮竹の記憶を再現した義魂丸を作り出して、そのクローンの義骸に入れた。

はじめて目を覚ました時、浮竹はこう言った。

「京楽、どうして泣いているんだ?」

ボクは、邪道な手で君を蘇らせたことに心を痛めてはいたが、もう一度浮竹を愛せるならどうでもよかった。

また生きてる浮竹を目の前にして、涙が止まらなかった。

「浮竹、愛しているよ」

浮竹を抱きしめると、羊水でぬれていた浮竹は、長い髪から雫をしたたらせていた。

「何故か知らんが、裸で濡れている。京楽、お前も濡れるぞ」

「はい、バスタオル。それに、死覇装だよ」

「ああ、ありがとう」

浮竹は、バスタオルで体と髪をふき、死覇装を着た。

隊長羽織はなかったが、見た目ははどこからどこまでも浮竹だった。

「俺は、何をしていたんだ?」

「君は、大戦で怪我をおって、長いこと眠りについていたんだよ。あまりに長いから、涅隊長の考案したカプセルの中で、怪我を癒していたんだ」

「4番隊では、治らなかったのか?」

「うん」

ボクは、嘘をつく。

浮竹は、納得した様子でボクと一緒に外に出ようとした。

「だめだよ、浮竹。世間では、君は死んだことになっているんだ。だから、人目につかないように、瞬歩でボクの館にいこう」

「俺が死んだことになっている?どうして?」

「君は、ミミハギ様を解放して神掛をおこなった」

「・・・・・覚えていない。何故だ」

「それだけ、精神的にも肉体的にもダメージを負ったんだよ」

「そうなのか」

ああ。

君が・・・・偽りであれ、君がいる。

世界は色を取り戻し、ボクはようやく生きている気分を味わった。

「雨乾堂に行きたい」

「だめだよ。君は、ボクと一緒に、ボクだけのために生きて」

「分かった。京楽のために、京楽と一緒に生きる」

あらかじめ、義魂丸にはボクがマスターであり、ボクの命令を聞くような仕掛けをほどこしてあった。

だから、この浮竹は素直だ。

ボクを疑いもしない。

ボクは、最低だ。

自分でもわかっている。

でも、どうしても君を失いたくなかった。

だから、作り上げた。君を。偽りであれど、もう一度君を愛するために、君のクローンを作った。

ボクの館につくと、浮竹は抱きついてきた。

「京楽、愛している。この館を出てはだめなんだな?」

「うん。夜は毎日ここに帰ってくるし、休みの日はここにいるから、ボクが仕事中の間は寂しかもしれないけど、我慢してね?」

「京楽がそう言うなら、我慢する」

浮竹は微笑んだ。

翡翠の瞳に長い白い髪、中性的に整った美貌。

どれも、生前の浮竹そのものだった。

「君を愛してもいいかい?」

「野暮なことを聞くな。抱きたいなら、そう言え」

「君を抱きたい」

「その、久しぶりだからちょっとわからんのだが、がんばる」

そっと、君をしいた布団の上に寝かせて、さっき着たばかりの死覇装を脱がして、肌を愛撫していく。

「ん・・・・んあっ」

浮竹は喘ぐ。

その声は、まさしく君を抱いている時の声。

「ああっ」

ボクは、浮竹のものを口に含んで、生前の時のように舌をはわせて、手でしごいて精液を吐き出させた。

「ああああ!!」

「ふふ、きもちいい?」

「あ、きもちいい。もっと、京楽、もっと・・・胎の奥がきゅんきゅんしてる。お前の子種が欲しい」

浮竹は、淫らだった。

そんなところまで、君にそっくりだった。

君のクローンなんだから、当たり前なのだが。

ボクは、浮竹の蕾を潤滑油をまとった指でほぐしながら、浮竹のものを舐めた。

「あああ、だめぇえ、前も後ろも一緒はだめえええ」

浮竹は、涙を滲ませる。

「ふふ、いっていいよ?」

「ひああああ!!」

浮竹は、精液をびゅるびゅると布団の上に吐き出していた。

「あ、京楽、早くきてくれ」

浮竹は唇を舐める。

そんな些細なところまで、君そっくりだった。

ボクは、熱く昂っったもので一気に君を貫いた。

「ひゃあああん!!!」

背中に爪をたてられるが、その痛みよりも浮竹の中にいる快感のほうが強くて、ボクは久しぶりに味わう浮竹の熱い中を堪能しながら、浮竹を突き上げた。

「あ、あああ!」

突き上げるリズムと一緒に、浮竹は声を漏らす。

その声に、ボクはまた自分のものが大きくなるのを感じした。

「ああ、や、中で、京楽が大きくなってるう」

「子種、欲しがってた胎の奥に、たっぷり注いであげるからね?」

ボクは、もう随分と自分で自虐もしていなかったので、濃くて大量の精子を浮竹の胎の奥に出した。

「いああああああ!!」

浮竹は、ボクのものを受け止めながら、中いきしていた。

「あ、京楽、愛してる」

「ボクも愛してるよ、浮竹」

君は、浮竹。君は、ボクのもの。


その日から、なるべく早く浮竹の待つ館に帰るようになった。

残業は一切しないで、休みの日は館で浮竹と一緒に過ごした。

仕事中、浮竹一人では寂しいだろうからと、猫とうさぎを飼うことにした。

浮竹はけっこう動物好きで、はじめは威嚇されないかとびくびくしていたが、買ってきた猫は人懐っこく、浮竹の腕の中でゴロゴロと喉を鳴らす。

猫は夜行性でもあるから、猫だけでは寂しいかもしれないと、うさぎも買った。

浮竹は昔、うさぎを飼っていたらしく、懐かしそうにしながら、うさぎの世話もした。


「ただいま、浮竹」

「おかえり、京楽」


ボクは、罪をおかしていると分かっていながら、今の幸せを享受していた。

ボクは、毎日のように浮竹を抱いた。

1日1回。

それが暗黙のルールになっていた。

その日はたまりにたまった仕事があり、どうしても残業しなくてはならなくて、浮竹に地獄蝶を飛ばして連絡をいれた。

浮竹には、霊圧がほとんどない。

だから、他の隊長副隊長が気づくことはなった。

狂った箱庭の中で、ボクは浮竹を愛する。

浮竹も、それに答えてくれる。

残業を終えて帰ると、深夜になっており、浮竹は死覇装姿のまま、猫を抱いて眠っていた。

「にゃああん」

「静かに。浮竹が眠っているから、あっちにいこうね?」

「にゃおん」

猫を抱いて、ボクは移動する。

浮竹はよく眠っていた。

その唇に、触れるだけのキスをする。

「ん・・・京楽?」

「ごめん、起こしちゃった?」

「別にいい。遅かったな」

「うん。独りぼっちにさせて、ごめんね」

「俺には猫とうさぎがいるから、寂しくはない」

家人を雇ってはいたが、皆口が堅い者ばかりで、浮竹の存在を外もらすことはなかったし、家人には浮竹の存在を外に漏らすと命はないと言い聞かせていた。

浮竹のためなら、ボクはどこまでも冷徹になれた。

「京楽、今日は睦み合えないが、一緒に寝よう」

「うん」

浮竹の体温は高く、健康体なので肺を患っていることもない。

最初はそのことを不思議に思っていた浮竹だったが、神掛で全て治ったと思わせることに成功して、ボクは心から安堵した。

浮竹がまだ病弱で肺を病んでいたら、ボクは心配ばかりでもちそうになかったから。

「浮竹、愛しているよ」

「俺も愛してる、京楽」

狂った箱庭の中で、ボクは今日も君のクローンに愛を囁く。

「君との愛は、永遠だ。何が起きても、ボクは君を守る」

「大袈裟だな」

「愛してるよ」

その昔、君に贈った翡翠の髪飾りを、再び君に贈った。

「あ、これ、なくしたと思っていたのに」

「君の荷物は、保管しているよ。何か欲しいものがあったら、言って。あと、何かしたいことがあったら・・・・」

「外に、出てみたい」

「ごめん、それだけはだめだよ」

「どうして?」

不思議がる浮竹に、ボクは言い聞かせる。

「君は、死んだことになっている。存在がばれたら、処分されてしまうかもしれない」

「え」

それは、本当のことだった。

今の浮竹が見つかれば、最悪処刑もありえた。無論、ボクも。

だから、浮竹をなだめて、欲しいものは全部与える。

狂った箱庭の中で、ボクたちは狂った愛を囁きあう。

この時が、永遠であればいいのに。

ただ、願った。

ボクは、とっくの昔に壊れているのだろうか。

いや、壊れているんだろう。

でも、そんなことどうだっていい。

浮竹と、一緒にいられるならば。


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痴話喧嘩

「浮竹隊長、京楽隊長と喧嘩でもしたんすか?」

「あいつのことは言うな。放っておけ。今回という今回は許さない。謝ってきても、許してやらない」

「何があったんすか?」

海燕が浮竹に聞くと、浮竹は赤くなった。

「隊首会で、皆が見ている前でキスしてきやがった」

「はぁ。それだけっすか?」

「それだけって、皆が見ている前でキスだぞ」

浮竹は珍しく怒っていた。

「俺は、それ以上の・・・隊長が、京楽隊長に抱かれる姿とかも見ちゃったりしてるんですけど」

「ああああ!見なかったことにしてくれ!」

「いや、無理っす。俺の前だと、2人は平然といちゃつくじゃないっすか。時折、俺は空気?って思いますね」

「だあああああ!」

浮竹は、顔を手で覆って畳の上をごろごろして照れ隠しをしていた。

そこへ、京楽がやってきた。

「ごめんってば、浮竹~。そんなに怒らないでよ。ボクと君が付きあっているって、みんな知ってるんだから・・・・」

「だからって、隊首会でキスなんてするな!俺は許さないからな」

「まぁまぁ浮竹、おはぎ買ってきたから、一緒に食べる?」

「おはぎ!食べる!」

浮竹ってちょろい。

京楽も海燕もそう思った。

「じゃあ、俺はお茶いれてきますね」

「ああ、ごめんね海燕君。気をきかせてもらって」

「いいですよ。それより、浮竹隊長、京楽隊長のことは絶対に許さないんじゃなかったんすか?」

「はっ、そうだった!京楽、おはぎで俺の機嫌を直そうとしても無駄だからな」

「とりあえず、お茶入れにいってきます」

その後、海燕が見たのは、浮竹の膝枕で耳かきをされている京楽の姿だった。

「どうなったんすか」

「耳かきしてやるって言われたから」

「京楽隊長、それ罠ですよ!」

「へ?あいたたたた、ちょっと浮竹、耳の奥に入れすぎ」

「ふふふふ。許したふりをしての嫌がらせ。完璧だな」

嫌がらせのレベルがちょろい。

海燕も京楽もそう思った。

「み、耳かきはもういいよ。海燕君がお茶をいれてきてくれたよ?飲んで、残りのおはぎを食べよう」

「お、玉露の高級茶か。いい匂いだな」

湯のみに入ったお茶を一口飲んで、浮竹はまたおはぎを食べだした。

すでに、浮竹の興味はおはぎに移ってしまっていて、京楽に対する怒りも収まってきていた。

「ねぇ、浮竹。仲直りしよ?」

「いやだ」

「そう言わずに」

「いやなものはいやだ。俺は怒っているんだからな」

ほんとは、もうほとんど怒っていないのだが。

「許してくれないと、凄いことするよ?」

「何をだ」

「君の好きな甘味屋を、つぶす」

「な、金に物を言わせるつもりか!卑怯だぞ」

「ふふふん、なんとでもいっていいよ」

「仕方ない。今回だけだぞ」

浮竹は、溜息をついた。

やっぱり浮竹ってちょろい。

海燕も京楽も、そう思った。


「じゃあ、仲直りのエッチしようね?」

「はぁ!?なんでそうなるんだ!」

「そういうわけだから、海燕君、席をはずしてくれないかな」

「分かりました」

「ちょ、待て、海燕。俺を生贄にするつもりか!」

「京楽隊長が一度言い出すと、止まらないんで。じゃあ、3時間後くらいに様子見に来ますんで、その間に終わらせておいてください。念のため、面会謝絶の札つけときますから」

「ありがとうね、海燕君」

「海燕の人でなしいいいいいいいい、んう」

唇を塞がれて、浮竹は京楽を見る。

京楽は、ギラギラした獣の視線をしていた。

「んあ・・・あ・・あああ」

隊長羽織も死覇装も脱がされて、浮竹は与えられる快感に涙を滲ませていた。

「やあああん、そこはだめえええ」

「ここ?」

指で前立腺のある場所をぐりぐりされて、浮竹は射精していた。

「ああああ!!」

「ふふ、いつもみたいに感じてくれてるね?まだ怒ってる?怒ってるなら、続きしないけど」

「あ、怒ってない。怒ってないから、早く京楽のものをくれ」

「指じゃ、ものたりない?」

そう聞くと、浮竹はこくこくと頷いた。

「じゃあ、挿入れるね」

「ひあああんん!!」

体内に灼熱を穿たれて、浮竹はそれだけで中いきをしていた。

「やああん、深い」

「深いところ好きでしょ?」

「やああ、そこぐりぐりしないでえええ」

「でも、ここぐりぐりされるの好きだよね」

「ひゃああんん」

浮竹は、また精液を零していた。

京楽は、浮竹の中を犯して、胎の奥に子種を弾けさせる。

「あ、あ、もっと!」

「浮竹、かわいい・・・・」

「京楽、もっとお」

浮竹は、自分の唇を舐めた。

「ああ!」

ゴリっと奥を抉られて、胎の奥がきゅんきゅんする。

「ああ、もっと抉って!」

ごりごりと最奥を抉ってから、京楽は再び浮竹の中に子種を注いだ。

「ひああああ!」

中いきをしている最中に、浮竹のものをしごいて、最後の精液を出させると、浮竹はぐったりとなった。

「ああ、胎が・・・・お前の子種で満たされてる」

「抜くよ?」

「ああ・・・流れていく」

「後始末もしないとね。お風呂、入れる?」

「今の体力じゃ、ちょっと無理だ」

「じゃあ、濡れたタオルで体ふくね?」

ついでに、中に出したものもかき出す。


きっちり3時間後。

「入りますよいいですか」

海燕が、雨乾堂の入り口をノックする。

「入っていいよ」

海燕が見ると、京楽が寝そべる隣で、眠っている浮竹の姿があった。

眠っているのに淫靡で、海燕は京楽のことをつくづく浮竹狂いだと思った。

「後のことは俺がやりますんで。帰ってもいいっすよ」

「やだなぁ、ボクも一泊して苦に決まってるじゃない。ああ、さっきまでの浮竹はかわいかったなぁ。ボクを欲しがって・・・・・・」

「猥談なら別のところでしてください」

とりあえず、ハリセンで京楽の頭を殴っておいた。

「ボクって愛されてる」

「はたいてるんすよ。愛されてると思うんですか?」

「うん。構ってもらえるのは愛されてる証だからね」

「はぁ。まぁ、そういうことにしときます」

結局、浮竹は夕刻に起きて、京楽と一緒に風呂に入り、風呂でもいかがわしいことをされて、ぷんぷん怒っていたのだが、夕食の松茸を大量に京楽から分けてもらい、許す浮竹であった。

京楽も海燕も思う。

浮竹って、ちょろいと。

でも、そこがかわいいのであった。

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愛している君に

「愛しているよ・・・・・」

京楽は、冷たくなっていく浮竹の体を抱いていた。

「君の神掛のお陰で、世界は無事に在れた。お疲れさま。そして、永遠におやすみ・・・・・・」

浮竹の冷たい唇に、キスをする。

ぽたぽたと、隻眼の瞳から涙が流れて、浮竹の頬に落ちる。

でも、浮竹がもう目を開けることは、永遠にない。

「分かっていたんだ。君が神掛をすることを。ボクは君を愛していながら、むざむざ君を失う結果になると分かっていながら、放置した。ごめんね」

浮竹が生きていたら、「気にするな」と言い出しそうだった。

「最後のお別れだよ。さぁ、君の遺骨は家族の元に戻すから、ボクは君の白髪をもらうけど、いいよね?」

斬魄刀で、一房の髪を切って、白い布でくるんで懐にいれる。

「さぁ、最後の舞台だ。みんなに、見送ってもらおう」

浮竹を抱き上げて、京楽は弔いの準備をするために、移動する。



浮竹の棺には、白ユリがたくさん咲いていた。

「さよならだね、浮竹・・・・・」

皆が見ていると分かっているので、もう京楽自身の別れはすませた。

「う、浮竹隊長・・・」

「浮竹隊長!!」

「なんで、浮竹隊長が!!」

ルキアをはじめとして、13番隊の席官たちが、泣いて浮竹の死を悲しんだ。

「さぁ、みんなでお別れを言おう」

「今まで、ありがとうございました、浮竹隊長!どうか、安らかに」

ルキアが涙をボロボロ零しながらそう言うと、皆また泣き始めた。

「まったく、隊長の死程度でこんなに泣くなんて、13番隊はひ弱ばかりなのかネ」

「まぁ、そう言ってやらないで、涅隊長」

京楽が、諫める。

「さよなら、浮竹。たくさんの思い出を、ありがとう」

浮竹の死に顔は、安らかだった。

体をとりまいていたミミハギ様の黒は消えてしまい、白い髪と肌に戻っていた。

棺の扉が塞がれて、そのまま荼毘に付される。

浮竹の体が焼いて骨になっていくのを、京楽は黙って見ていたのだが。

「・・・・浮竹」

ぽつりと、涙がこぼれた。

「ああ、ボクは総隊長なのに・・・ははは、皆に示しがつかないね」

浮竹の遺骨は、一部を浮竹の遺族である家族の元に返された。

斬魄刀と遺骨の大部分は、雨乾堂を取り壊して建てた浮竹の墓に埋葬された。



「やあ、浮竹。ボクは今日も元気だよ」

しばらくの間、京楽は毎日のように浮竹の墓に、浮竹に会いに行った。

それも時間の経過と共に、月に1回になっていた。

やがて、時はさらに過ぎる。

「久しぶりだねぇ、浮竹。今度、ルキアちゃんが君の後を継いで、13番隊隊長になることが決まったよ。時間が経つのは早いねぇ」

京楽は、懐にいつも浮竹の遺髪を持っていた。

遺品はいろいろあって、あげた翡翠の簪も持ち歩いていた。

「いつか、ボクもそっちに行くから、それまでは、ボクやボクの仲間たちを見守っていてね?」

浮竹。

あの時、浮竹を止めていたら、世界はなかった。

けれど、本当は止めたかった。

君の死は、ボクの心に大きな穴をあけた。

多分、この傷は一生塞がらない。

浮竹・・・・・・


愛してる。

昔も、今も、この先もずっとずっと。

どうか、安らかに。


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墓参りと報告

「明日、緋真の墓参りに行こうと思うのだ。一緒にくるか?」

「え。隊長、俺もいっていいんですか?」

「緋真に報告したいのだ。愛しい者ができた、と」

恋次は、泣きそうな顔をしていた。

「隊長が、そこまで俺のこと・・・・・」

「泣くな、見苦しい」

「泣いてません。これは汗です」

白哉は、緋真が好きだった梅の花と白百合を手に、朽木家の墓に入る。

廟堂になっていて、歴代の朽木家当主とそれに連なる者たちが眠っていた。

華美だが、静かで寂しい空間だった。

「緋真、去年は墓参りにきてやれずにすまぬ。私には、新しく愛しいと思う者ができたのだ。阿散井恋次。私の副官だ」

「緋真さん、隊長は俺がもらいました!」

白哉は、そんなことを言いだす恋次の赤い髪をひっぱった。

「いたたたた、なんすか」

「貴様は・・・・まぁいい。緋真の墓前だ。緋真、私は男だが、同じ男である恋次を愛している。そなたが生きていたら、なんというであろうな?」

「隊長は俺のものなので、諦めてもらいます」

「いたたたた!!!」

今度は、鳩尾に白打をくらい、恋次はその場で蹲った。

「全く、私は何故、このような愚かな男を好きになったのであろうか」

「あ、ひどいっす」

恋次は、白哉を背後から抱きしめた。

「あんたはもう、一人じゃない。俺がいる」

「恋次・・・・・」

墓前なので、それ以上はしなかった。

帰り道で、白哉は恋次にキスを何度もされた。

「緋真さんのこと、忘れろって無理でしょうけど、生きている間は俺のことを見て、俺のことを考えてください」

「ん・・・・・」

触れるだけの啄むようなキスをされて、白哉は青い空を見上げる。

緋真。

すまぬ、私は今、この男が愛しい。

この男を愛している。

でも、そなたのことも変わりなく愛している。

緋真。

どうや、安らかに。

恋次は、物憂げな表情で青い空を見上げる白哉を、抱きしめる。

「まだ、寒いでしょう。もう少し、上着着てこればよかったすね」

「寒さなど、鍛錬でなんとでもなる」

「暑さもっすか?」

「無論だ」

「帰りましょう」

「そうだな。緋真、またくる」

遠ざかった墓所を振り返りながら、白哉は恋次の愛で包まれて、心がぽかぽかするのを感じていた。

穏やかに、緩やかに。

時は過ぎていくが、恋次との恋はまだ続いている。

きっと、この恋に終わりはないのだろう。

そう思うのだった。



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奴隷竜とSランク冒険者44

また新月の夜がやってきた。

浮竹は、森の中でフルムーンドラゴンになった。

「ぐるるるるるる」

やった、大人のドラゴンだ!

そう喜ぶ浮竹を見ていた京楽は、浮竹の体が白銀に眩しく輝くのを見ていた。

ぽんっ。

音をたてて、30メートルはあるであろう巨大なドラゴンが、40センチくらいのちびどらごんになった。

「ぴぴいいい」

なんでだあああ。

浮竹は怒った。

その怒りを、京楽にぶつける。

「ぴいぴい」

「え?やけ食いしてやる?いいけど、どこかお店は・・・・・・」

「ぴいぴい」

「俺のこんな姿じゃどこかの店で食べるなんて不可能だ・・・・・それもそうだね。ボクが作るよ」

早速、浮竹は透明化する魔法を使って京楽の肩にしがみつき、京楽は大量の食材を買い込んで、アイテムポケットにいれる。

浮竹のいうやけ食いは、ほんとにやけ食いだ。

ブラックホールと化した胃に食べ物が吸い込まれていく。

フルムーンドラゴンとして覚醒したことで、巨体を維持するエネルギーは空気中の魔力からとれるようになったのだが、食欲は変わらず、良く食べた。

「ぴいいい」

「早く作れ?まってよ、今いろいろおいしいパンを買っていくから、ボクが調理している間、それでも食べてて」

「ぴい♪」

高級宿に帰ると、もはや専用となっている厨房で、まずは唐揚げを4人前。次にコンソメスープ、わかめスープ、ふかひれスープ、コーンポタージュスープを2人前。

次にカレーライス、ハヤシライス、明太子スパゲッティ、海鮮パスタをこれも2人前。

海鮮サラダと、普通のサラダを1人前。

デザートは桃のタルト、苺ショートケーキ、アップルパイ、チーズケーキ、そしてチョコレートケーキをホール1個。

全て、浮竹の胃に収まってしまった。

「ぴいぴい」

「ええ、まだ足りないの?もういつもの3倍は食べてるじゃない」

「ぴいぴい」

「もっと作れ?流石のボクも疲れてきたよ。ハイエルフの君のところにいって、夕飯たかろう」

「ぴい?」

「そんなことしていいのかって?構わないでしょ」

京楽は、自分が楽したいきもちもあって、ちびドラゴンの浮竹を連れて、ワープポータルに入り、ハイエルフの浮竹がいる神殿(家)にやってきた。

「浮竹が飢えてるんだ。食べ物を恵んでやって」

『お、またちびなのか。って、その姿から見るに、けっこう食べたな?俺の目は誤魔化されないぞ』

「ぴいいいい」

『いいから飯よこせ?大分人格かわってるな・・・・・』

「浮竹は、食べ物のことが絡むとちょっと変になるから」

『まぁいい。奥に京楽がドラゴン姿でいる。京楽の作り置きしていた飯を出そう』

「ぴいいい」

浮竹は、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽のところにいって、その顔面をひっかいたり、尻尾でぶん殴ったりして遊んでいた。

子供のすることなので、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、遊び相手をしてやった。

『君って、見かけはかわいいけど、燃費が半端ないよね』

「ぴいいいい」

『悪かったかって?まぁ別にいいんだけどさ。ボクも空腹を覚えたら、けっこう食べるから』

「ぴいいい」

『え、浮竹のために用意しておいたご飯を食べるの?ああ、また作り置きしなきゃ・・・君、全部食べるつもりでしょ」

「ぴい♪」

『君じゃなかったら、引き裂いてるよ』

「浮竹、ご飯の用意ができたよ」

「ぴいいいい」

京楽に呼ばれて、浮竹は食堂に移動する。

オムライスとかチーズハンバーグ、ハンバーガー、ポテト、ピザといろいろでてきたが、浮竹はペロリと全てを平らげてしまった。

「ぴいいいい」

『今日はこの変で辛抱してやるだって?どんだけ食べたら、フルムーンドラゴンの俺は満足するんだ』

「ぴい」

浮竹は、分からないと言った。

おなかがいっぱいになって、浮竹は丸くなって眠ってしまう。

『お、もふれる・・・・』

「今起こしたら、また食べたいっていいだすよ。今日はこのまま、ここ泊まらせてくれないかな。新月の夜が過ぎたら、食欲も大分おさまるから」

『仕方ないなぁ』

ハイエルフの浮竹は、もふりたい衝動を押し殺して、京楽が浮竹を抱き上げて、ゲストル―ムに案内されて、浮竹をベッドに寝かせた。

「はぁ・・・・ちょっとだけならいいよね」

京楽は浮竹をもふった。

浮竹はよく眠っていて、起きなかったので、ハイエルフの浮竹ももふるのだった。

一人放置されているダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、すねてその後ハイエルフの浮竹が苦労したらしい。

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奴隷竜とSランク冒険者43

「今日は新月だな。ハイエルフの俺とダークネスインフェルノドラゴンの京楽ところにいって、フルムーンドラゴン姿の俺を見せて脅かせよう」

そう言いだした浮竹は、半分眠っている京楽を引きずって、ワープポータルに入る。

新月となり、ドラゴン化した浮竹は、自分の体をみた。

「ぴぎゃああ!?」

30メートルはあるはずの、フルムーンドラゴンの姿を見せようと思っていたのに、ちびドラゴンになっていた。

「ぴいぴい」

これじゃあ、驚かせれない。

「んー、浮竹、ここハイエルフの君の家?」

「ぴいぴい」

「え?新月なのに、フルムーンドラゴンの姿になるはずが、ちびドラゴンになったって?そりゃ、進化しても君は年齢的にはまだまだ子ドラゴンなんだから、仕方ないよ」

「ぴぎゃ!」

そう言う京楽を、ドラゴンの尻尾で殴った。

「ちょっと、ちびだからって尻尾で攻撃は禁止だよ。ちびでもドラゴンなんだよ。破壊力がある。ボクじゃなきゃ、首の骨が折れてたよ」

「ぴぴい」

「え、折れてしまえばよかったのに?そりゃないよ浮竹~」

『人の家の前で、何痴話喧嘩してるんだ?』

ハイエルフの浮竹が、扉をあけて出てきた。

「お、フルムーンドラゴンの俺・・・・かわいいなぁ。もっふもふだ」

ハイエルフの自分に捕まって、もふもふされて、浮竹はハイエルフの自分に魔法をかける。

「スリープ」

『ははははは、俺には状態異常系の魔法は効かない・・・・・・ぐーーー』

突然地面に倒れて寝出したハイエルフ浮竹に、京楽が心配そうな声を出す。

「ちょっと、浮竹。ダークネスインフェルノドラゴンのボクが、黙ってないよこれ」

『浮竹?』

ちょうどそこへ、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽がやってきて、地面で眠っているハイエルフの浮竹を抱き上げる。

今日は、人型を維持できるらしかった。

『フルムーンドラゴンの君がしたの?』

「ぴぎゃ」

『浮竹には、状態異常無効化の加護がついているはずなんだけどね。さすが、進化してフルムーンドラゴンになっただけはあるね?』

「ぴーぴー」

『え、お腹減った?仕方ないねぇ、家にあがっていいよ』

ハイエルフの浮竹は、しばらくして気が付いた。

その時には、浮竹がピザを食べたついでに酒を飲んでしまい、酔っ払って所かまわずアイシクルブレスを出していた。

『わあああ、俺の家が氷漬けに!』

『浮竹、とめてあげて。ボクの言葉聞いてくれない』

「浮竹、ハイエルフの君が起きたよ。もう、いい加減に落ち着きなさい」 

『スリープ!』

さっきやられた仕返しだとばかりに、眠りの呪文をかけると、浮竹は地面に丸くなって眠ってしまった。

「なんだ、このかわいい生き物は・・・・」

京楽だけでなく、ハイエルフの浮竹も、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽も、3人とももふりたがっていた。

それくらいに、もふもふでもこもこだった。

「じゃんけんにしない?じゃけんで最初に勝った人は一番にもふる。あとは浮竹が目覚めるまで、順番にもふろう」

『それ、のった』

『ボクも、フルムーンドラゴンのチビをもふれる機会なんてないだろうから、賛成』

3人はじゃんけんした。

一番に勝ったのハイエルフの浮竹で、早速浮竹をもふりまくり、枕にしてみたりしていた。

「ぴいい・・・・」

『ね、寝言か・・・びっくりした』

さすがに枕にしたと知ったら、怒るだろうと思った。

「次はボクね。ふふふ・・・浮竹、かわいい」

浮竹の体に顔を埋めて、思い切りもふもふした。

最後に、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽がもふった。

『う、なんて手に優しいさわり心地なんだ。癖になりそうだよ』

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、普段浮竹をもふっていないので、今日はもふりまくった。

「ぴぎゃ?」

浮竹が気づくと、皆避のせいで、眠っていた。

「ぴぎゃああああ!!!」

寂しくなった浮竹は、3人にアイシクルブレスを吐いて、氷漬けにして怒られるのであった。

「ぴいぴいい」

「はいはい。とりあえず、アイシクルブレスを戦闘時以外に吐くのはやめようね?」

もっともな京楽の言葉に、怒られてしょんぼりしていた浮竹は、その背に飛び移る。

「わ、重く・・・・・ない。君って、羽毛で覆われてるせいか、体重軽いよね」

「ぴーぴ」

「フルムーンドラゴンの作りは鳥に似てるって?そうなんだ。はじめて知った」

「ぴーぴ」

「ふんづけて殺す時は重力魔法を使ってる・・・・へえ・・・なんか、いらない知識が増えた気がする」

「ぴーぴぎゃ」

「安心しろ、お前はぺしゃんこにしたりしない?ぺしゃんこにされたら、ボク死んじゃうよ」

「ぴーぴ」

「死んじゃダメだ?だったら、ぺしゃんこにしないでね」

「ぴぴい」

浮竹と京楽は、氷漬けにされた部屋の氷を取り除いているハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽の気もしならないで、いちゃつくのであった。







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一護を忘れたルキア ネモフィラの花畑で

一護とルキアは、ネモフィラの花畑に来ていた。

始めて訪れてから、毎年同じ時期にきて、花畑を見てお弁当を食べて、写真をとったり、花冠を編んだりした。

「あ、動いた」

「え、まじか!」

ルキアと一護が結婚して、5年が経っていた。

今、ルキアは一護の子を妊娠していて、妊娠8カ月目だった。

大分大きくなったお腹を撫でながら、ルキアは幸せそうに一護と微笑みあう。

「今度、このネモフィラの花畑に来るときは、生まれてきた子も一緒だ」

「ああ、そうだな。名前、考えたんだけど女の子なら苺花、男のなら一勇ってのはどうだ?」

「私は女の子ならキャサリン、男の子ならジョナサンがいい」

「おい、それマジでいってんのか?」

「いや?冗談だ」

「朽木キャサリンとか無理ありすぎだろ。全く、冷や冷やさせないでくれ」

お弁当を食べ終わり、時間も随分経過して、夕暮れになってきた。

夕日に染まるネモフィラも美しかった。

「あ、荷物なら私も持つぞ」

「だーめ。ルキアはもう1人の体じゃないんだから」

「むう」

「帰ったら、白玉餡蜜作ってやるよ」

「お、本当だな?嘘をいったら、キスもハグも1週間禁止にするぞ!」

「うわ、それきついわ」

「ふふふ・・・・・・」

ルキアは、その2カ月後、苺花と名付けられた女児を出産し、その3年後に一勇と名付けられた男児を出産した。

男児のほうが、朽木家の跡取りになる予定であった。


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「ねぇ、浮竹、聞いてよ。ルキアちゃんと一護君が結婚してからもう8年だよ。2人の子供に恵まれて、幸せに生活しているよ」

京楽は、浮竹の墓参りにきていた。

「あ、京楽さん」

「おや、一護君じゃないか。どうしたの、こんな場所に」

「浮竹さんの墓参りです。京楽さんも、そうでしょう?」

「ああ、うん、そうだね。ボクは、浮竹に話を聞かせていたんだ」

京楽は、浮竹の墓に高級な酒を注いだ。

「なんの話っすか?」

「君とルキアちゃんのこと」

一護は、赤くなって照れた。

「俺も、浮竹さんに、2人目の子供ができたって報告にきたんです」

「ああ・・・ボクも、浮竹に想いを告げていたら、きっと君たちみたいに仲良くできていたかもしれないね」

「結婚してたってことっすか?」

「そうだよ。式も挙げれるし、籍もいれられる。現世と違って、そのあたりは緩いからね」

京楽は青空を見上げた。

「ボクは今でも、浮竹を愛してるんだ。浮竹以上に人を愛することはもうないだろうね」

「京楽さん・・・・・・」

「ふふ、おじさんの感傷に浸らせてしまってごめんね」

「いえ。浮竹さんが生きていたら、きっと京楽さんのことを好きだって言ってたと思います」

「そうかい?」

「だって、何百年も2人で過ごしてきたんすよね?」

「そうだよ」

「普通、好きじゃなきゃそんなに長いこと、一緒にいないと思います」

「そうかい。でも、浮竹はもういないけどね。ああ、時間を巻き戻すことができるなら、浮竹に想いを告げるのに・・・・・」

「京楽さん・・・・」

「ああ、おじさんのただの懺悔だよ。気にしないで」

「はい・・・・・・」

一護は、かける言葉が見当たらず、浮竹の墓に花束を添えた。

「浮竹さん、2番目の子ができたんだ。一勇っていう男の子で、いずれ朽木の跡取りになる予定なんだ」

「さて、ボクは帰るね」

「あ、そうですか。浮竹さんは、きっと見守っていてくれてますよ」

「そうだと、いいね」

京楽はそれだけ言い残して、一番隊隊舎に戻っていった。



----------------------------------------------------------------


「こら、一勇、苺花を蹴って泣かせたな」

「父さん、僕は悪くないよ。先に姉さんが殴ってきたんだから」

「そうなのか、苺花?」

「あたし、なんのことだかわかんなーい」

「こう言ってるぞ?」

「姉さんは、父さんと母さんの前ではいい子ぶるけど、本当は暴れまくって・・・・」

必死に言う一勇に、一護は溜息をついた。

「とにかく、仲良くしろ。苺花が乱暴なのは知ってる」

「げ、ばれてた!?」

「一角さんとこに、修行に出したのが間違いだったかなぁ・・・・」

うなる一護に、ルキアが微笑みかける。

「喧嘩するほど仲がいいと言うだろう」

「でも、苺花は朽木家の姫だ。相応のしつけを、本来ならしないといけない」

「あたし、大きくなったら、お父さんのお嫁さんになる!」

「お、そうか」

「一護?私がいることを、忘れるなよ?」

冷たい空気を出すルキアに、参ったとばかりに一護は降参する。

「苺花、結婚は本当に好きになった人としなさい。俺のお嫁さんは、ルキア一人だから、苺花を嫁に迎えることはできない」

「父さんのばか!いーっだ」

走り去っていく、小さな背中を、一勇が追いかけていく。

なんだかんだいっても、兄弟仲はよかった。

「今日、浮竹さんの墓の前で京楽さんに会ったんだ」

「ああ。京楽隊長は、月に一度は浮竹隊長の墓参りにいくからな」

「いろいろ話を聞いた。浮竹さんのことが好きだったらしい」

「それは、私も気づいていた。総隊長は、浮竹隊長といるといつも幸せそうな顔をしていたからな」

「想いを告げなかったこと、後悔してるらしい」

「今となっては、もう告げるにも告げれないな」

「俺は、お前に想いを告げてこうして幸せでいられる。幸せをありがとう、ルキア」

「それは私の台詞だ、一護。幸せをありがとう、一護」

2人は、それから数百年と、朽木家の者として生きていくのであった。





                   fin

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一護を忘れたルキア 鮮やかに蘇れ

「今日は、花畑に行こう」

「なんの花畑だ?」

「ん?ネモフィラって青い花の広がった花畑がある大きな公園だ」

「ネモフィラ・・・・・なんだか、おいしそうな名前だな」

一護は笑った。

「おいしそうってお前な・・・どれだけ食い意地はってるんだよ」

「な、そういうつもりで言ったのではない!」

ルキアは真っ赤になって否定するが、一護は自分で作った弁当を包みにいれて、リュックサックの中にいれた。

「貴様の作る飯はうまいからな。今から楽しみだ」

「やっぱ、食い意地はってる」

「違うと申しているであろう!」

ネモフィラの花畑に行くと、ルキアはその美しい光景に言葉をなくしそうだった。

「空の青と交じりあって、境界線が分からなくなりそうだ」

「綺麗だろ?写真とるか」

「う、うむ・・・・・」

ネモフィラの花畑に囲まれて、シートを広げて一護特製のお弁当を食べた。

デザートには、きちんと密封された容器に白玉餡蜜が入っていた。

「貴様は、本当に私の恋人なのだな」

「そうだぜ?」

「貴様となら、結婚しても悪くない気がしてきた」

「まじか!?じゃあ、結婚しよう!」

「え、あ、ええ?」

「おーい白哉、ルキアが結婚していいって言ってるから、俺たち結婚式挙げちまってもいいよな?」

伝令神l機で、一護は白哉と連絡をとる。

白哉の方から、ルキアの伝令神機に電話があった。

「ルキア、一護と結婚するのに後悔はないか」

「兄様・・・不安がないといえば嘘になります。私は一護のことを忘れてしまった。でも、結婚式を挙げてみれば全てを思い出せそうな気がするのです」

「あいわかった。結婚式は来週の週末の予定にしておこう。一度結婚式前日で流れてしまったが、一度用意していたのだから、あまり時間はかからぬ」

「分かりました」

ルキアは、一護をずっと見つめていた。

青いネモフィラに囲まれたルキアは綺麗だと、一護は褒めてくれた。

ルキアは、記憶を失う前のように一護と一緒にいた。

今までの大切な記憶を失ってしまったのは哀しかったが、一護の言う通り、ルキアは再び一護を好きになっていた。

「もう、記憶など戻らなくてもよい。私は再び貴様が好きになった。好きだ、一護」

「俺も好きだぜ、ルキア。延期にしてた結婚式、本当に挙げてもいいよな?」

「う、うむ・・・・」

まだどこかに不安があったが、ルキアは一護という者を理解し、歩み寄り、知った。

一護と結婚すれば、失った記憶も戻るかもしれないと思った。

戻らなくても、それはそれでもう好きになっているのだがら、いいかとも思った。


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ペットショップで買ったネオンテトラは、今日も朽木家の広い玄関で元気に泳ぎ回っている。

「ウェディングドレスは水色がいい。ヴェールは青で・・・ネオンテトラのようになりたい」

「それ、ルキア、お前が記憶を失う前も言ってた台詞だ」

「む、そうなのか」

ルキアは不思議がる。

「やっぱ、完全に忘れてるわけじゃねーんだな。ちょっとずつ、戻ってきてる」

「そうか?」

「ああ」

やがて日にちが経ち、結婚式の日がやってきた。

「石田、チャド、井上、それに恋次に白哉。みんな、ありがとな」

結婚式にかけつけてくれた、友人たちを見渡す。

石田とチャドと井上も死んでおり、死神となって尸魂界で働いていた。

恋次と白哉は、ルキアの保護者と幼馴染として、姿を現した。

「てめぇ、ルキアを泣かせてみろ。とりあげるからな」

「んなことするかよ!」

「恋次、やめぬか。一護が困っているであろう」

水色のウェディングドレスを着て、青いヴェールを被ったルキアは美しかった。

「すっげー綺麗だ、ルキア」

「褒めても、何も出ないぞ!」

「いや、まじで。ネオンテトラか・・・悪くないな」

ブーケも、ネモフィtラの青と青薔薇でできていて、全体的に青で統一されていた。

「花嫁って純白が基本だけど、朽木さんの青で統一した姿、凄く綺麗」

井上が、ルキアを褒めた。

「ありがとう、井上」

「あ、あたしがあげた髪飾り、つけてくれてるんだ」

「ああ。ちょうど、青い宝石だったしな」

「嬉しいなぁ。黒崎君をとられるのはちょっと悲しいけど、二人が幸せならそれでいいや」

「ルキア、いくぞ。式場で、皆が待ってる」

「待て、一護!置いていくつもりか」

式は、淡々と行われた。

最初は洋風に結婚指輪を交換して、キスをした。

その瞬間、ルキアは倒れた。

ざわざわざとざわめく式場で、ルキアはすぐに立ち上がった。

「案ずるな。記憶が・・・・・戻ったのだ」

「本当か、ルキア!?」

「ああ。貴様との出会いも、死神代行の時代も、貴様が死神代行を引退した後も・・・・全て、思い出した」

一護は、ルキアを抱き上げて、くるくると回った。

「きゃあああ」

「はは、すげぇ嬉しい。結婚式の日に思い出してくれるなんて、まるで運命みたいだな?」

「貴様には、迷惑をかけた。これからは、貴様の妻として、貴様を支えていこう」

「ああ。好きだ、ルキア。愛している」

「私も好きだ、一護。愛している」

和風の結婚式も終わり、貴族へのあいさつ回りも終わって、結婚式は無事に終わった。

「子供が何人がいい?」

「き、貴様、まだ式を挙げたばかりであろうが」

「でも、結婚したら肉体関係もっていいんだろ?俺は3人ほしい」

「わ、私は2人でいい・・・・」

じゃあ、早速風呂一緒に入るぞ。

「ええええ!待て、心の準備が」

「んなもんいらねぇよ。風呂では何もしねーから」

「信じて、よいのだな?」

「お前がいやなら、夜も何もしない」

「嫌ではない・・・むしろ、愛し合いたい」

一護とルキアは一緒にお風呂に入り、一護はルキアの初めてをもらった。



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一護を忘れたルキア もう一度、始めから

「ルキア。俺の名前は黒崎一護。お前が好きだった男だ。ルキア、お前は俺の妻になる予定だった」

「黒崎一護・・・・・頭痛はしなくなったが、貴様のことが思い出せない。何故なのだ。何故、私は貴様のことだけを覚えていない?」

原因は不明だった。

「もう一度、一からはじめよう。はじめまして、俺は黒崎一護。13番隊副隊長だ」

「副隊長は、違う人物だったはずだ」

ルキアの言う名前は、前の副隊長だった。

「ルキア、愛してる」

一護は、ルキアを抱きしめてキスをする。

「何をする!」

パン!

平手打ちで頬を殴られたが、一護は嬉しそうにしていた。

「俺のこと、無視しないで見てくれるんだな。お前は、俺の妻になるべき人だ。愛してるぜ、ルキア。たとえ、お前が俺のことを忘れていたって、この想いは変わらない」

「うう、頭が、痛い・・・・・・・」

ルキアは、記憶にもやがかかったような気分を味わっていた。

「その声・・・どこでだろう。どこかで、聞き覚えが・・・せまい押し入れ・・・コン・・・」

「そうだ、ルキア。少しずつ、思い出そう?きっと、記憶は一時的に奪われただけだ。時間がたてば、元に戻るはずだ。それが無理なら、もう一度お前が俺を愛してくれたらいい」

一護は、自分に言い聞かせるようにルキアに話しかけた。

「貴様を愛する・・・・兄様や周囲の者が言うには、私は貴様のことを愛していたのだな」

「そうだぜ」

「また、愛せるだろうか?」

「ああ、できる。俺とお前は、魂のレベルで繋がっている」

「何故、そう言い切れる?」

「それくらい愛してるから」

一護は、警戒を解いたルキアを抱きしめた。優しく、優しく。

「この温度・・・・知っている、気がする」

「俺は今まで何度もこの腕でルキア、お前を抱いてきた。まぁ、結婚前提で付き合ってたけど、結婚するまでは清い交際でいようということで、肉体関係はなかったけど、キスやハグをよくしていたな」

「に、肉体関係だと!」

ルキアは真っ赤になって、一護から距離をとる。

「わ、私は朽木ルキア。13番隊隊長だぞ!」

「ああ、知ってるぜ。おれを13番隊の副隊長にしたのはお前だからな」

ルキアは、驚く。

「私が、貴様を副隊長に?」

「そうだ。俺はこう見えても尸魂界を2回に渡って救ってきた。んで、その功績のせいで死んで本当の死神になって、護廷13隊のどこもが俺をほしがるからって、ルキア、お前が俺をお前の副隊長にしてくれたんだ」

「前の副隊長はどうした」

「違う隊に配属したっていってたぞ」

「ううむ・・・・」

ルキアは、何故愛していた一護のことだけ思い出せないのか、苦悩し始めた。

「私は、もう一度、貴様を好きになれるのであろうか?」

「なれるんだろうかじゃなくって、するんだよ。俺が、お前を振り向かせてみせる」

「な!」

自信満々な一護に、ルキアは真っ赤になった。

「貴様の霊圧は凄い・・・・尸魂界を2回に渡って救ってきたというのも、兄様から聞いた。私には、恋次と兄様以上に好きな相手がいたなんて、今だに信じられぬのだ」

「だから、もう一度、恋をはじめようぜ。とりあえず、明日早いからもう寝ようぜ」

「な、なぜ私の寝所で寝ようとするのだ!」

「だって、昔からこうやって、ルキアを腕の中に抱いて、眠っていたから、今日もその体制で寝る」

「こんな、密着した・・・ぬああああ、恥ずかしい!」

ルキアは、一護の腕の中から逃げ出す。

「今日は、違う布団で寝よう。いきなりすぎて、私の心の準備ができていない」

「ああ、いいぜ。じゃあおやすみ、ルキア」

「おやすみ・・・」

ルキアは、寝れなくて深夜まで一護の顔を見ていた。

「かっこいことは、かっこいいのだよな」

一護は、見た目は悪くない。むしろ、女性の視線を集めそうなほどに整った顔立ちをしている。

「兄様のような美しさはないが、逞しさというのか、とても優しそうで・・・・」

ルキアは、自分が一護のことばかり考えているのに気づいて、とりあえず今は眠ろうと目を閉じた。


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「ルキア、起きろ。朝だぞ」

「んー。今日は非番であろう?もう少し寝る・・・・・」

「今日は、記憶を失う前のことをもう1回してみようと思うんだ」

「な、何をさせる気だ!」

身構えるルキアに、一護は笑ってその頭を撫でた。

「一緒に現世にいって、水族館でデートだ」

「で、でぇと!?」

ルキアは真っ赤になった。

デートなど、してきたことがない、はずだった。だが、一護が言うには、記憶を失う前はよく現世にデートに出かけていたらしい。

「き、貴様がそこまで言うなら、付き合ってやらんでもない」

「ぷくくく」

「な、何がおかしいのだ!」

「いや、記憶失ってても、ルキアはルキアだなぁと思って」

「どう意味だ、それは!」

「いや、ルキアは変わってねぇなって。ネオンテトラ、見に行こうぜ」

「ネオン?」

「行けば分かるから」

一護と手を繋いで、現世にくると、ルキアは繋いだままの手を離そうとするが、すぐに一護が握ってくるので、諦めてそのままにさせた。

「わあ、これが水族館か。魚が泳いでおる」

「ルキア、こっちだ」

「うむ」

一護に手をひっぱられて、ルキアはアマゾンの熱帯魚コーナーにきていた。

「これがネオンテトラ。お前が気に入ってた魚だ」

「美しい・・・・これは、本当に魚なのか?宝石ではないのか?」

「魚だよ。今の尸魂界なら、飼育も可能だろうな」

「本当か!」

ルキアは目を輝かせた。

伝令神機で白哉と連絡をとり、白哉の承諾を得て、水族館にいった帰り道にペットショップによって、水槽、ポンプ、ヒーター、水草、その他飼育に必要なものとネオンテトラを20匹買った。

「これで、朽木家に居てもいつでも見れるぞ」

「ありがとう、一護!」

まるで、ルキアは記憶を失っていないように見えた。

「なぁ、俺のこと、思い出せたか?」

「すまぬ。まだ、おぼろげだ。貴様の声は聞いたことがあるとは思う」

「一歩前進だな。この調子で、毎日を過ごしていこうぜ」

一護を忘れたルキアは、もう一度一護を好きになるのに、それほど時間はかからなかった。



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一護を忘れたルキア 結婚式前日

「ウェディングドレスは純白ではなく、水色のものにしようと思うのだ」

「いいんじゃね?」

「ヴェールは青で。全体的に青い色で統一しようと思っている」

「まぁ、純白ってのが当たり前だけど、青もいいな」

ルキアは、一護と同じ布団で、一護の胸に抱かれながら、数日後の結婚式のことについて話し合っていた。

「な、貴様も青い色もいいと思うであろう?」

「ああ。なんか新鮮だな」

「あの水族館で見た、ネオンテトラのようになりたいのだ」

「ネオンテトラか・・・ルキアがネオンテトラになったら、俺が捕まえにいく」

「ふふ・・・広大な水の中を泳いでいるのであろう?貴様に、それができるか?」

「できるさ」

一護は、胸に抱いたルキアを少し強く抱きしめた。

「貴様は、いつも暖かいな」

「そりゃ、生きてるからな」

「ふふ・・・ああ、早く結婚式の日にならぬかな。楽しみで仕方ない」

「貴族の結婚になるから、いろいろ準備がいるらしいぜ」

「私は、元々は流魂街の孤児であったのだがな。兄様に拾われて、貴族になった。今でも、自分が貴族であるのがおかしいような気がする時があるのだ」

「気にすんなよ」

一護がそう言うと、ルキアははっとなった。

「兄様の晴れ姿も見れる。ああ、着飾った兄様は美しいだろうなぁ」

「うわ、でたよこのブラコン」

「ええい、うるさいわ!兄様が好きで悪いか」

「いや、悪くねぇけど、ちゃんと夫となる俺のことも見てくれよ?」

「当たり前だ!正装した貴様は・・・かっこいいのだろうな」

ルキアは、想像して痺れそうになった。

一護は、かっこいい。正装した一護はかっこよすぎて、気を失わないだろうかとか、考えていた。


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「ねぇ、浮竹。ルキアちゃんが、一護君と結婚するんだよ。年月が経つのは早いねぇ。君が死んで70年と少し・・・本当に、月日が流れるのは早い」

京楽は、浮竹の墓の前に座っていた。

酒を、浮竹の墓にかける。

「君が生きてたら、きっと自分の身内のことのように泣くんだろうね。ああ、ボクも勇気を出して君に告白すればよかった。そしたら、今と少し違う結末があったのかもしれないね」

大戦の終了から70年と少し。

もう、尸魂界に大戦の傷跡はほとんど残っていなかった。

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結婚式の前日に、ルキアは虚討伐に赴いた。

一護は留守を任されていた。

そこで、意外と苦戦してしまい、新人が襲われそうなったのを、ルキアが庇った。

その虚は特殊で、人の記憶を喰らう。

ルキアの目の前に、虚の吸収器官が見えた。

「いやだ、忘れたくない。いやだ!一護、一護!!!」

ルキアは、虚に記憶を奪われた。

皆、ルキアをすぐに4番隊に見せたが、記憶を奪われてはいない、との診断であった。

あの虚は、全ての記憶を奪うとして、警戒されていた虚だった。

その虚は退治されて、もうこの世にいない。

奪われた記憶も、虚の退治と共に戻ったとされていた。

ルキアは、朽木家に戻った。

自分の寝室をあけて、そこにオレンジ頭の死神がいるのを見て、斬魄刀を抜く。

「貴様、誰だ!」

「は?何言ってるんだ、ルキア」

「貴様のような知らぬ者が、何故朽木家の、私の寝室にいる!」

「おい、ルキア、ふざけてんのかよ。俺だよ、一護だ」

一護は、ルキアが記憶を奪う虚に襲われたことを知っていた。

「う・・・・頭が、痛い・・・・」

ルキアは頭に手を当てて、そのまま頽れた。

一護が、顔色を変える。

「ルキア!?おい、ルキア!!!」


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「はっきり申し上げます。朽木ルキアさんは、黒崎一護さん、あなただけの記憶を失っておられます」

「は?冗談だろ?明日、結婚式なんだぜ」

「いろいろ検査した結果、虚に記憶を食われたせいだと思われます。記憶が回復するかどうかは、まだ分かりません」

一護は、きつく拳を握りしめた。

白哉もかけつけて、一護に休めといって、ルキアに会いにいった。

「兄様!あやつはなんなのですか!私と結婚するとか言うのです!知らない相手なのに」

「ルキア・・・・兄は、黒崎一護という、大切な人の記憶を失っているのだ」

「記憶を失う?でも、私は確かに記憶を奪う虚とやらにやられましたが、記憶はこの通りあります。兄様は兄様だと分かります」

「ルキア・・・・・」

一護は、涙をにじませて、ルキアの手を握った。

「思い出してくれ。俺のことを」

「うう、頭が・・・・・・」

ルキアは、一護を見ると頭痛を訴えた。耐えがたい痛みのようで、一護はルキアから引き離された。

「こんなのってありかよ・・・・・・・」

明日は結婚式。

人生でも最大の幸福の時間。

もう、式場の用意も済み、後は新郎新婦である一護とルキアがやってきて、皆に見守られながら式をあげるだけ、のはずだった。

「こんなのってありかよ!!!」

一護は、唇を噛み切った。

「ルキア、ルキア、ルキア。愛してる。俺を・・・・俺を、忘れないでくれ!!」

一護の願いは、届かなかった。

結婚式は、次の日こなかった。

ルキアは、一護のことを忘れたまま、不思議そうな顔をして、一護と共に朽木家で生活を始めるのだった。


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一護を忘れたルキア 京楽

ルキアと付き合いだして、1カ月が過ぎようとしていた。

その日は、かつて現世で仲間で友達であった、井上、石田、チャド、それに恋次をくわえて、居酒屋に飲みにきていた。

「黒崎君に告白した時ふられたのって、やっぱり朽木さんが好きだったのね」

井上は、すでにできあがっているようで、石田に酒のおかわりをもってこいと言って、ビールの大ジョッキの3つめをあけたところだった。

「おい、大丈夫かよ井上。飲みすぎじゃねぇか?」

「いいのよ、私のことはほっといて~。どうせ私は、魅力のない女ですよ~」

「いや、巨乳があるだろ」

恋次のつっこみに、ルキアがその頭に拳骨を入れる。

「いてぇ」

「女性の価値を胸で決めるな」

「ああ、ルキアは貧乳だもんな」

地雷を踏んだ恋次は、ルキアにひっぱっていかれて、ボコボコになって帰ってきた。

傷を、井上に治療してもらいながら、皆一護とルキアがうまくいっているのを、自分のことのように喜んでくれた。

「半年後に、式を挙げることになったんだ」

「おめでとう!」

「おめでとう、黒崎」

「ルキアを不幸にしたら、絶対に許さねーからな」

「黒崎君も朽木さんも、幸せになってね」

皆、いい仲間で友達だ。

井上は一護に、恋次はルキアに未練があったようだが、顔に出すまいとしていた。

「今日は俺のおごりだ。じゃんじゃん飲んでくれ」

13番隊の副隊長の給料はけっこうな額であった。

ルキアは、その数倍をもらっているが、朽木家に住んでいるので使っていない。

たまりにたまった金は、チャッピーグッズに消えていく。

「うい~私は酔ってないぞおおお」

「いや、完全に酔っ払てるだろ。飲みすぎだ。明日が二日酔いでつらいぞ」

「私には回道がある。ふははははは」

「俺、回道はからっきしなんだよなぁ。鬼道はそこそこ使えるようになったけど」

「教えたのが私だからな。私の生徒になっておきながら、使えないなど許せるものか」

鬼道を教えてくれるルキアは、それなりに厳しかった。

いつもが優しいだけに、その厳しさでルキアの意外な一面が見れて、一護は嬉しかった。

「明日も早いから、風呂入って寝るぞ」

「うぃーー。酔ってないのだーー」

「おい、一人で風呂入れるよな?風呂場でお湯に浸かったまま寝て、溺死したりしないよな?」

一護はルキアが心配になってきた。

「風呂くらい一人で入れるわ」

「そうか。ならいいんだ」

一緒に入りたいと言いたいところだが、清い関係でいたいために、一護はぐっと我慢した。

「じゃあ、俺は先に寝るからな」

「ういーー。おやすみぃいい」

ルキアは、酔っ払いながら風呂場で寝かけて、念のためにと見に来た一護が助けて、のぼせるだけですんだ。

「ルキアには、しばらく酒は飲ませない」

「何故だ!横暴だ!」

「酔っぱらって風呂場で寝落ちしかけてたんだぞ!」

「う・・・・・」

ルキアは、1カ月禁酒を白哉から言い渡されて、しょんぼりしていた。

「兄様が言うなら、仕方ない・・・・」

一護の言うことは聞かないが、義兄である白哉のいうことは、ルキアは素直に聞いた。

半年後の結婚式まで、清い交際をと言う白哉だが、ルキアと同じ部屋を宛がうあたり、試されているのではないかと思うようになった。

「はぁ・・・・毎日が幸せだけど辛い」

恋次に相談すると、恋次は笑って。

「食っちまえよ」

と言って、相談相手にならない。

悩んだ末に、総隊長である京楽に相談してみた。



「あー、それは白哉君、確かに君を試してるだろうね。手を出したら、多分結婚は延期になるんじゃないかなぁ」

「そうっすよね。白哉のやつ、俺のこと試してますよね」

「うん、ボクはそう思うよ」

「はぁ・・・ルキアと別の部屋で寝ようかな・・・でも、ルキアになんでだって言われそうだし」

一護は溜息をついた。

「我慢するしかないねぇ」

「京楽さんは、好きな人とかいたんすか?」

京楽に尋ねると、京楽は少し辛そうな顔をした。

「いたよ。学院からのなじみの子でね。大戦で、死んじゃったけど」

「まさか・・・浮竹さんっすか?」

「よくわかったね」

「だって、京楽さんの隣にはいつも浮竹さんがいたから。半分は感ですけど」

「ボクは、今も浮竹のことを愛しているよ」

「浮竹さん、神掛して・・・・・」

「そのことは、事前に聞いていたんだよ。でも、ボクは止めなかった。護廷13隊のために死なば本望。死神達は皆、浮竹と同じ思いだった。もちろん、ボクもね」

死んでもなお愛し続ける。

それだけの覚悟が、一護は自分にあるだろうかと考えてみるが、ルキアが死ぬことなんてありえないと思ってしまう。

「京楽さん、いきなりおしかけてすんませんでした」

「いや、いいよ。また悩み事があったらおいで。おじさんでよければ、相談相手になるから」

「はい」

それから数度、一護は京楽に相談事をして、いろいろ人生の経験をつんでいくのだった。


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