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小説掲載プログ
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夜に恋して

浮竹十四郎。年齢、14歳。

肺の病を患っており、体が弱いが見た目がとても綺麗なので、色子ばかりを集めた桜王茶屋の陰間茶屋で、一番の売れっ子だった。

源氏名は、翡翠。夜に恋をする色子。

翡翠のように綺麗な緑色の目をしているからが、名前の由来だった。

浮竹は、体を売っても心は売らない。

どんな上客が愛を囁いても適度に受け流し、まして身請け話が出ると、自分から断った。

全ては、今から3年前に起因していた。

京楽春水という、花街に浸る上流貴族がいた。年齢は20歳。年若く、まだ妻帯していないこともあって、玉の輿を狙う遊女は多かった。

適度に遊びなれしていた京楽は、遊女ばかり相手にしていたのに、その日は珍しく陰間茶屋にきていて、色子を買っていた。

雪と呼ばれる、当時のナンバー1の色子であった。

浮竹はそれを見ながら、いつかこんな上客が自分にもつけばいいなぁと思っていた。当時、浮竹はまだ色子として売られてきたばかりで、体の弱さのせいもあって、主に簡単な雑用を任されていた。

「雪」

浮竹が、京楽を見送った雪の名を呼ぶ。

「ああ、翡翠。京楽の旦那、翡翠のこと気になるみたいだよ。あの色子を指名したいって言って、茶屋の主の旦那様が悩んでた」

「俺を、指名?」

「そう。でも、翡翠まだ茶屋に慣れていないからね。まだ11だしね。客を取るんは少し早いんじゃないかってのが、旦那様の考えだよ」

確かに、浮竹は当時11歳で幼かった。

精通さえまだ迎えていない。

色子の春を売る期間は短く、20をいくつか過ぎたころには、皆年季があけたり身請けされたりで、茶屋から去っていく。

本当なら、10から客をとることもできるのだが、浮竹は体が弱いので、茶屋の主も苦悩しているようだった。もし、体を売って、取返しがつかなくなるほど、肺の病が悪化しないかが心配だった。

浮竹の肺の病はうつらないが、なかなか治ることもなかった。売られる前よりは、少しよくなっていたが。

売られた頃は、両親にろくに食事も与えてもらえなかったうえに、医者にも診せてもらえずに、知り合いだった茶屋の主が、浮竹を買い取った。

茶屋の主の名は朽木白哉。

元色子で、貴族であったが、没落してしまい今は陰間茶屋の主をしていた。

「白哉、俺は来年で12になる。そろそろ、客をとりたい。白哉に借金をしたままなのは、いやだ」

「だが、翡翠、兄は体が弱い。もし、病が.悪化したら・・・」

「その時はその時だ。どのみち、両親に捨てられかけていたのを救ってくれたのは白哉だ。白哉が俺を買ってくれなかったら、俺は病と飢えで死んでいた。恩返しがしたい。俺に、色子をやらせてくれ」

「わかった。兄がそこまでいうなら、明日から色子として店に出てもらう」

「ああ」

そして、雪を買いに来た京楽と出会う。

「君は?新しい子?」

「翡翠という。しばらく前に茶屋の主人に買われて、その借金を返すために色子になった」

「本名は?」

「浮竹十四郎。下級貴族だが、一応は貴族だ」

「へぇ・・・・君みたいな綺麗な子がいたなんて、驚きだね。君を指名してもいいかい?」

「雪を買いにきたんじゃ?」

「今日は違う子を選ぼうを思ってたんだよ。君がいい。翡翠、今日はボクのものになって」

話はとんとん拍子でまとまって、京楽はすぐに浮竹の上客になった。

まだ精通も迎えていない浮竹は、女のようにオーガズムでいき、その体は幼いが故の中性に似ていて、京楽を喜ばせた。

雪から、客の喜ばせ方を教えてもらっていて、それが役に立った。

京楽は、週末がくると必ず浮竹を買いにきた。1年経つ頃には、京楽は浮竹を好きになっていたし、浮竹も京楽を好きになっていた。

上流貴族だけに、いつか自分を身請けしてくれるのではと思っていた。

京楽が、ぱったりこなくなったのは、浮竹が13になった誕生日の日だった。京楽から、身請け話が出ていたが、すっかりこなくなってしまったので、それも消えてしまった。

「京楽・・・・俺に飽きたのか?」

浮竹は、涙を流すが、主である白哉に慰められ、他の客もとるように勧められた。

他の客をとると、皆、浮竹の虜になった。

「翡翠、桜花屋の花魁が遊びにきているぞ」

「ああ、今いく」

色子の相手は、何も男性ばかりではない。たまに女性客もとったし、同じ花街の遊女に買われることもあった。

「元気にしてた?」

「ああ。ただ、少し昔の常連を思い出していただけだ。恋愛感情があった。花街での色恋沙汰はご法度なのにな」

「あら、そういえば、最近また京楽の旦那が花街に来てるって知ってた?」

「え、そうなのか」

浮竹を買った花魁は、浮竹に抱かれながら、話をする。

「なんでも、兄が死んで、とても花街に通えるような状態じゃなかったらしいわよ。当主には結局ならずに、いとこに家督を譲ったみたい。大金と引き換えに」

「そうか・・・・・・・・」

それから数日後、京楽は実に2年ぶりに浮竹を買いにきた。

「翡翠。ボクにまだ思いが残っているなら、身請けされて」

「え?」

「家督を譲る代わりに、君を買うだけの金をもらった。当主になったら絶対に翡翠を身請けなんてできないだろうし、ボクは当主なんてむいてないからね。君を買ってもまだまだ裕福に暮らせるだけの金はある」

「京楽・・・・・会いたかった。好き、なんだ」

「うん。ボクもずっと会いたかった。でも、屋敷から出ることを禁じられていてね。抜け出しても、君を買う金ももたせてもらえなかった」

「身請けの話を出しておきながら、いきなりいなくなるから、飽きられたのかと思った」

「そんなことあるわけないよ!ボクは翡翠、君がいればそれだけでいい」

「十四郎と、呼んでくれ。俺の本当の名だ」

「十四郎・・・・・抱いて、いいかい?」

「ああ。俺を買ったのはお前だ。好きにするといい」


「必ず、身請けをするから」

「ああああ!!」

浮竹を激しく突き上げながら、熱にうなされたかのように、京楽は身請けすると浮竹の耳元で囁いた。

「んあああ、奥はだめえええ」

「奥、相変わらず弱いんだね?」

京楽は、浮竹の奥に入り込み、抉って中をかきまぜる。

「ひああああん!!!」

「思い出すねぇ。君が精通を迎えたの、ボクと寝ている時だったね」

「やああああん」

「こっちも、もう出せるでしょ。ほら、一緒にいこう」

「ああああ、京楽」

「春水って呼んで?十四郎」

「あ、春水!」

浮竹は、大きく中いきをしながら、京楽に前をいじられて、京楽と一緒にいっていた。

京楽は浮竹の胎の奥に、浮竹は京楽の手の中に、精液を吐き出していた。

「んあああ。今、いったばかりだから・・・・ひゃん」

耳を甘噛みされて、胸の先端を舐め転がされる。

「やぁ、くすぐったい」

「ふふ、君は変わらないね。確かに伸長も伸びたし、外見はまだ女の子みたいだけど、だいぶ男性らしくなってきた」

「あ、幼いままの俺が好きなのか?」

「ううん。ただ、成長したなぁと思っただけだよ」

「ひああああ!奥はらめえええ」

浮竹を、時間をたっぷりかけて愛して、浮竹は軽くまどろみながら、京楽の黒い癖のある黒髪を撫でた。

「俺は、お前に身請けされたい・・・・・」

「うん。明日には、もう自由だからね。茶屋の主人の白哉くんには金を払っているし、了承もとってあるから」



次の日になって、浮竹は起きると着替えせられていて、馬車の中だった。

「あれ、ここは!?」

「君が眠ったままだったから、勝手に荷物全部まとめたよ。ここは馬車の中。僕の屋敷に行くところだよ。君はボクに身請けされたの」

「まだ、白哉や雪にさよならを言っていない」

「それは、ひとまず君の肺を医者に診てもらって、手術終わった後でね。君の病は、大金さえだせば治るそうだよ」

「治る・・・・・俺の病が?」

「うん。ただ、身請けの額よりも高いから、誰も治せなかっただけで」

「春水、俺はそこまで価値があるのか?」

「価値はあるよ。ボクが、人生で唯一愛した人だから」

「春水・・・・・・」

「十四郎、愛しているよ」

「俺も、愛してる」


それから、浮竹は入院して肺の手術を受け、無事完治した。

健康になったその足で、桜王茶屋に行き、白哉に久しぶりに会って話をした。雪とも会い、みやげだと、西洋のアイスクリームをあげると、大層喜ばれた。

「浮竹、兄は今幸せか?」

「ああ。白哉、幸せだ」

「なら、よいのだ。京楽春水。浮竹を泣かせるなよ」

「うん、分かってるから。女と結婚はしないし、身内だけになるけど、浮竹と・・・・翡翠と、結婚する」

「京楽、本気か!」

「ああ、まだ教えてなかったね。この国は同性婚も認められているからね。浮竹を、名実ともにボクだけのものにするよ」

「春水・・・・・・・」

「十四郎、帰ったら褥に行こうか」

浮竹は、白哉たちの前で京楽がそういうものだから、赤くなってしまった。

「幸せにな、浮竹」

「ああ。白哉も、無理はしないように」

夜に恋する色子は、夜ではなく京楽春水という男に恋するのだった。




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桜のあやかしと共に97

彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽は、いつものように京楽のマンションに遊びに来ていた。

『うまいきのこがあってな。味噌汁にしてもってきたんだ。食べてくれ』

『ちょっと、浮竹、それって』

『しーーー』

彼岸花の精霊の浮竹は、森でとれた媚薬と精力剤の効果のあるきのこを、そのままの形では食べてくれないだろうと、刻んで味噌汁にいれて、他の具もいれてわからないようにしてもってきた。

彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽は、そのきのこのせいで、彼岸花の精霊の浮竹が根を上げるくらい、しっぽりしまくった。

そのしっぽりしまくりを、桜の王である浮竹と桜鬼の京楽にも味わわせてやろうという、悪戯心からきていた。

「ん・・・・なんか変なきのこだな?色がすごい」

そう言いながらも、浮竹は味噌汁を食べた。

もちろん、京楽も食べた。

「ん・・・・・体が熱い」

浮竹は不調を訴える。

「大丈夫、十四郎・・・・って、ボクも体が熱い。彼岸花の精霊の浮竹、味噌汁に何か入れた?浮竹みたいに」

よく、浮竹は変な薬を作っては周囲に飲ませていた。

『ふふふふふ。俺たちは帰るから、好きなだけしっぽりしてくれ』

『浮竹、やりすぎだよ。一応解毒剤、ここにおいていくね?ただし、飲んで2時間以上しないときかないから注意ね』

二人は、住処の裏山の洞窟に戻ってしまった。

「どうする」

「どうするって、しっぽりするしかないんじゃない?」

「はぁはぁ・・・・春水、お前が今すぐほしい」

きのこの効果がきいてきて、浮竹の頭にはやること、しっぽりすることしかなかった。

対して、京楽はやや余裕をもっていた。

「ここリビングだよ。寝室に行こう」

「待てない。ここでいい。結界をはる」

家には白哉が自室でいたので、結界をはった。

「春水、はやく俺の奥で子種を注げ」

浮竹は、京楽の衣服を脱がしていく。

京楽は、浮竹の衣服を上の服は着たままにさせた。

「んあっ」

いきなり口淫されて、浮竹が床の上で乱れる。

「十四郎、熱いね。ボクも熱いけど、なんか少し余裕がある。少量しか口にしなかったせいかな」

「ああああ、待てない。早く、春水、早くううう」

身をくねらせる浮竹は、淫靡で妖艶だった。

「ローションもってこないと」

「早くもってこい」

「はいはい」

京楽がローションをとりにいっている間に、浮竹は我慢できずに自分のものをしごいて、口淫でまだいっていなかったので、精液を吐き出していた。

「あん、足りない。春水、はやくうう」

「待たせたね十四郎・・・・自分でいじちゃったの?」

「だって、春水がこないから」

「淫乱な子だねぇ」

後ろ向きにされて、尻を叩かれれる。

「ひゃん!」

それすら快感となって、浮竹は京楽にねだった。

「早く、春水ので俺を貫いて、奥を抉ってえええ」

「仕方ない子だね。指入れるよ?」

「あん、指なんていいから今すぐほしい」

「だーめ。ちゃんと解さないと、ローション使っても痛いからね。ボクは十四郎には痛い思いはしてほしくないんだよ。うわぁ、もう3本も飲み込んでる」

「んあああ、そこ、いい。もっとおおお」

「ここかい?」

前立腺がある部分を指で押すと、浮竹はびくんと体をはねさせていっていた。

「ひあああん、いくううう」

「まだ、挿入れてもいないし、奥に子種だしてないよ?何回いくつもり?」

「んんん、知らない。体が熱くなくなるまで?」

浮竹が答えると、京楽は指を引きぬいて、後ろから浮竹を貫いた。

「ひゃあああん!!大きいの、入ってきたああ!!奥にザーメンたっぷり注いで?」

「はしたない子だね」

また、軽く尻をはたくと、浮竹はいっていた。

「やあああん、痛いけど気持ちいいいい」

「淫乱な上に、お尻叩かれていくなんて、変態だね」

「やあああん、そんなこと言わないでえええ」

京楽は、浮竹の奥を抉る。

「ひゃああああん!いくうううう」

京楽は、またぴしゃりと浮竹の尻を叩く。

「いくうう!!!」

「くっ、締め付けがすごいね。お望み通り、精液を奥に注いであげる」

「ああああん、春水のザーメンびゅるびゅる奥に出てるううう。とまんないいい。俺もいくのとまんないいい」

京楽は、一度引き抜くと、正常位になって浮竹を犯す。

「んんん、キスして、春水」

「はいはい」

舌が絡まるキスをして、浮竹はうっとりと恍惚になる。

京楽はぞくぞくした。

この美しい生き物は、自分の下でしか乱れない、

前は彼岸花の精霊の浮竹と指でいじりあっていたりもしたが、浮気だとおしおきしてからしなくなった。

「愛してるよ、十四郎」

「あ、俺も愛してる、春水。だから、もっと子種ちょうだい」

浮竹は、京楽の腰を足ではさみこむ。

「ふふふ・・・・」

「あー、これはボクが反対に絞りつくされるね」

「ああん、奥、かきまぜてええぇぇ」

言われた通りにすると、浮竹は弓なりに背をしならせて、大きくいきながら潮をふく。

「ああああ、おもらししちゃうううう!とまんないいいいい!!」

潮はしばらくふいていたが、直に止まった。

かわりに白濁した、精液が溢れてくる。

「ああん、いったばかりなのに、また出るううう。春水、奥にザーメン出してええ」

浮竹の望み通り、京楽は浮竹の胎の奥の奥で子種をはじけさせる。

それを何度か繰り返すと、さすがの京楽ももう出なかった。

「ああ、まだ足りない。ザーメンもっとほしいいい」

「簡便してよ。もう出ないよ」

「いやあああ、じゃあ指でいじっってええ」

言われたとおりに、浮竹の敏感な場所を指でいりじまくって、京楽の精液が尽きて1時間以上してから、浮竹は満足して、精液の滴る床を京楽にふかせた。

「今日の君はすごいね。淫乱もいいとこだよ」

「むう、きのこのせいだ。今日のことは忘れろ」

浮竹は、全て終わって数時間してから、顔を赤くしながら、京楽の入れてくれたアールグレイの紅茶を飲む。

「京楽、お前も飲むか?」

「うん、いただくよ」

浮竹が入れた紅茶を京楽が飲むと、京楽は3歳くらいに縮んでいた。

「ちょっと、また縮ませて、何がしたいの!」

「京楽を思いっきり愛でる!」

「きききき、これは好都合なり。京楽春水、桜鬼神よ、藍染様の大いなる魔神としての誕生の贄になってもらおうか!」

「うわぁ!」

「窮鼠か!京楽を返せ!」

「きききき、返してほしくば藍染様にひれ伏すがいい。生贄として、もらっていくぞ!」

窮鼠が現れて、3歳の京楽をさらっていく。

「京楽!!!」

「十四郎!!!」

3歳の京楽は、窮鼠に連れ去られるのであった。

「まってろ、京楽。すぐに救い出してやるからな」

浮竹は静かに怒っていた。窮鼠に、どこにいるのか分かるように、京楽をさらわれる前に、桜の花びらをつけておいた。

「念のため、彼岸花の精霊の俺と鴆の京楽の力も借りるか」

しばらくは3歳児だが、5時間もすればもとに戻る。

きっと、敵側はずっと小さいままだと油断しているであろう。魔神になった藍染と、桜の花神の力は互角。

浮竹は、彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽の力も借りて、桜の花びらの位置で、商店街に京楽がいることを知る。

「助けに行こう。藍染と戦闘もありえるが、大丈夫か?」

『もちろんだ』

『早く、助け出してあげよう』

鴆の京楽は、念のために縮んだ薬の解毒剤をもってきていた。





「さぁ,偉大なる藍染様の贄になれるのだ。きききき、嬉しがれ」

「あのさぁ。アホじゃないの?窮鼠ごときが、たとえ3歳でも、桜鬼神と互角に渡り合えるとでも?」

「ききき、俺は藍染様から魔神ユーハバッハの核の一部から作り出した魔王の種をもらっている。そっちこそ、ただの窮鼠だと侮るなよ。ききききき」




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オメガバース恋白読み切り短編シリーズ

白哉は、ずっと自分がアルファであると思っていた。

ある日、熱にうなされて、周囲がヒート熱だと騒ぐので、幼少期はアルファと診断されたのだが、再検査を受けることになった。

その結果、白哉は後天的なオメガであることが発覚した。

幼少期はアルファで、大人になってからオメガになったのだ。

オメガが朽木家の当主にふさわしくないと言われ、6番隊の隊長の座も危うかったが、なんとか6番隊の隊長は勤めれそうだし、他に当主にふさわしい人材はいないので、朽木家の当主としても、健在であった。

ただし、条件があった。

四楓院夜一の弟である、四楓院家の現当主四楓院夕四郎と結婚して子を作ること。

白哉は無論反対した。夕四郎はまだ幼く、結婚するには早いし、オメガと婚姻するのは早すぎると、四楓院家からも反対が出たし、夕四郎自体、姉が大好きで、白哉との婚姻は考えていなかったのだが、周囲が勝手に婚姻を行うように進めていた。

知らない間に、白哉と夕四郎は結婚してしまっていた。

「夕四郎殿、この婚姻は策略だ。どうか、破断にしてほしい」

「はい、白哉殿。僕もこの結婚はありえないと思います」

初夜にと与えられた館で、白哉はヒート熱をだし、アルファを誘うフェロモンを出す。

夕四郎にその気はないのだが、アルファであるため、抗うこともできずに、白哉を押し倒していた。

「夕四郎殿!気を確かに!」

「あああ、頭がおかしくなりそうです。オメガのフェロモンが」

2人だけしか入れない寝所に、侵入者が現れた。

「れ、恋次!?」

「隊長、四楓院家と結婚して子を作るって本当だったんすね。でも、まだ番になってませんよね。四楓院の当主様、隊長はいただいていきます」

「あ、はい!白哉殿も人が悪い。好いた方がおられるなら、最初からそう言ってください」

「恋次、お前は何を考えている!このようなこと、発覚すれば処刑ものだぞ!」

「隊長を奪われるくらいなら、処刑されたほうがましだ」

「何を言って・・・・・・」

「俺、アルファなんす。この意味、分かりますよね」

「よせ、恋次」

白哉は、四楓院家から白哉をお姫様抱きにして連れ去っていこうとする恋次を止めようとする。

「あのまま、抱かれたかったんですか。あんな子供に」

「夕四郎殿ははまだ幼い。性的なことなど、できようはずもない」

「わかりませんよ?最近の子供は発育がいいですからね。現に、隊長を押し倒してた」

「恋次・・・・・・」

恋次は、警備の穴を縫って四楓院家から抜け出し、朽木家の所有する別邸にきていた。

「恋次、お前は何がしたいのだ」

「決まってるじゃないっすか。寝取りですよ。他の男のものになるくらいなら、俺が隊長を手に入れる」

「恋次、やめ・・・・んう」

恋次は、白哉に口づけする。

ぶわっとオメガのフェロモンが広がり、薬を飲んだはずなのに、ヒート期間なだけあって、アルファである恋次を誘っているかのようだった。

「隊長、番になりましょう。もう、誰とも婚姻できないように」

「・・・・・番?私が、恋次と?」

白哉は、想像したこともなかった。

自分の大切な副官が、自分に劣情を抱いていることすら知らなかった。

「恋次、やめよ。今ならまだ引き返せる」

「いやですね。隊長を番にして、俺のものにする」

恋次は、白哉が着ていた薄い絹の着物を脱がせる。

「あ、恋次・・・・」

すでにぎんぎんに勃ちあがったものを、腰におしつけられて、白哉もオメガのフェロモンにあてられる。

「もう、どうなってもよい。恋次、私を抱いて番にせよ」

白哉は、恥も外聞も捨てた。

「さぁ、こい、恋次」




「あ、あ、あ」

リズミカルに、ぱんぱんと肌と肌とがぶつかりあう音がした。

恋次のものは大きく、挿入には痛みを伴ったが、濡れているので慣れてしまえば挿入も簡単にできた。

「ああ、隊長と一つになってる。隊長、気持ちいいですか?」

「やあああ、恋次、激し・・・・・・」

「もう少しゆっくり動きますね」

白哉の快感を引き出すたあめに、わざと白哉の弱いところばかりを攻めたてる。

「ひああああ、いくうううう」

その日、白哉は初めて女のようにオーガズムでいくことを覚えた。

「やあああん、もっと奥に、もっと奥に子種ちょうだい」

「隊長、自分で何言ってるのか分かってないでしょ。すげーエロい」

白哉の望む通り、奥まで突き入れて、恋次は子種を子宮に注ぎこむ。

「ああああ!!!」

びくんびくんと体をはねさせながら、白哉は何度もいった。

「こっちも、いきたがってますよ?」

恋次が、勃ちあがったままの白哉のものをしごく。

「ひああああんん!!!」

白哉は、中いきをしながら、精液をこぼしていた。

「隊長の中、熱いっすね」

「ああああ」

「うなじ、噛みつきますよ?番になりましょう」

「ひああああああ!!!!」

白哉はいきながら、うなじに噛みつかれて、恋次を主とする番が完了する。

「私は、もう恋次のものなのか」

「そうです。四楓院家でも、もう手出しできません」

「体がドロドロだし、力が出ないが湯あみしたい。手伝え」

「はい!」

恋次が引き抜くと、大量の恋次の精子が逆流して、白哉の内ももを伝い落ちる。

「これでは、子を孕んだとしても仕方ないな」

「もしも子ができたら、産んでくれますよね?」

「当たり前だ。次期朽木家の当主となる」

白哉を軽そうに抱き上げて、恋次は湯殿に入り、白哉の体や髪を丁寧に洗った。

「私の身を四楓院家から連れ去り、番にしたことは普通なら許されないだろう。私がそう望んで、恋次を意のままに操ったということにしておく」

「隊長・・・・すんません。俺なんかのために」

「顔をあげろ!私の番なのであろう?もっと堂々と振るまえ!」

「は、はい!」

夕四郎は、白哉と恋次を庇ってくれて、結局罪にはならなかったが、副官とできるなんてとか、いろいろ噂されたが、恋次も白哉も気にしなかった。

番となった夜に子供ができて、朽木恋夜(れんや)と名付けられた。男の子だった。

「隊長、次は女の子、作りませんか」

「恋夜だけで十分だ。避妊しないと、やらせないからな」

「そんな~~~~」

朽木白哉と阿散井恋次は、上官と副官であると同時に番であった。恋次が婿入りする形となり、朽木恋次となった。

「隊長、避妊しますからやらせてください」

「昨日、睦みあったばかりであろうが!」

白哉に頭をはたかれて、恋次はしょげる。それが大きい犬のようで、白哉はくすくすと静かに笑うのであった。








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桜のあやかしと共に96

「京楽、しっぽりしよう。激しくしっぽりしまくろう」

浮竹がそう言ってきたので、しかも真昼から。これは夢なのではないうかと頬をつねるが、現実だった。

「よし、十四郎、結界はってしっぽりしまくろうね」

「ああ、しっぽりだ」

手をひいて歩いて行く途中で、浮竹の手が少し熱を持っているのに気づく。

「十四郎、おでこ触るよ」

京楽は、浮竹の額に手をあてると、ひどい熱だった。

40度はこえているであろうと思われる熱に、京楽が慌てだす。

「十四郎、しっぽりどころじゃないから!今すぐ寝て!」

「え、ここでしっぽりするのか?床は背中が痛くなる」

「だから、しっぽりはお預け!」

「むう。じゃあ白哉としっぽりする」

「何気に近親相姦!?その前に、十四郎も白哉くんも受けでしょうに!いや、そんなことはどうでもいいんだった。今、鴆のボクのところにいって、解熱剤とかもらってくるね。君はおとなしく寝てて」

京楽に、ベッドに寝かしつけられて、浮竹は頭がふらふらするので、適当に返事する。

「ふにゃあ」

「大分重症だねぇ。あやかしインフルかもね」

あやかしインフルとは、その名の通りあやかしだけがかかるインフルエンザだ。

今猛威をふるっていて、昨日遊びにきた浮竹の知り合いもあやかしインフルにかかっていたのだと、その日の午後に発覚するのだが。

京楽は、鴆の京楽からあやかしインフル用の薬をもらった。

解熱剤と、あとは風邪薬のようなものである。あやかしインフルに特効薬は今のところなく、薬草を煎じて症状を和らげる程度だった。

「ああ、鴆のボク。ボクも十四郎からうつってるかもしれないから、薬念のために飲んでおいてね。ボクから感染して、薬師が病気になったら大変だから」

『わざわざありがとうね。ボクも、あともう少しで浮竹も帰ってくるから、念のために薬を飲ませておくよ』

京楽は、あやかしインフルにかかった浮竹のためにおかゆを作り、薬を出した。

「いやだ、苦い」

「そう言わないで。薬のまないと、もっとひどくなるよ?」

「むう。しっぽり・・・・」

「なぜに、そこでしっぽり!?」

「彼岸花の精霊の俺が、しっぽりって言えば京楽が喜ぶって・・・・・」

「浮竹、しっぽりの意味わかってて言ってる?」

「ん?キスしたり、ハグしたりのことだろ?」

実は、浮竹はしっぽりの正確な意味を分かっていなかった。

「はあ。しっぽりはね、セックスって意味だよ」

「ななななな!!!!」

浮竹は、真っ赤になった。体温計で熱をはかると、40度から41度にまであがっていた。

「だめだ、世界が回る・・・・薬飲んで、寝る」

「うん、そうしなさいな。ボクと白哉くんも一応かかってる可能性あるから、薬飲んでおくから」

京楽は、浮竹の額のぬるくなった冷えピタシートをはりかえてやって、浮竹が寝たのを確認すると、白哉を呼んで、浮竹があやかしインフルにかかったことを話して、薬を飲ませた。

基本、浮竹をゲストルームに隔離する形をとる。

『様子はどうだ?』

「彼岸花の精霊の浮竹!」

「兄が、どうしてここに?」

『いや、京楽が桜の王があやかしインフルにかかったといっていたので、お見舞いにきた』

「ごめんね、わざわざ。でもうつるから、会わせられないけど」

『そうか。しっぽりすれば、全てよくなると言っておいたんだが、しっぽりは未遂か』

「あ、君ねぇ、十四郎に変な意味でしっぽりを教えるのはよしてね」

『なんだ、もうばれてしまったのか。つまらない』

彼岸花の精霊の浮竹は、白哉と格闘ゲームをしだす。

「はぁ。反省する気なさそう」

白哉が苦笑する。

『ここで、俺の勝ちだ』

「むう。私の負けだ。もう一度」

『ちょっと、浮竹、いつまで居候してるの。見舞いすんだら、早く帰ってくるって約束だったでしょ』

そこへ。鴆の京楽が現れる。

『ああ、忘れてた。あやかしインフルの客ばかりくるから、いっそこっちのほうが安全な気がする』

『でも、ボクは薬師だし、君はその手伝いをしてくれるでしょう?住処に戻ろう』

『白哉、ゲームの続きは次回だ』

「むう、勝ち逃げか」

『ふふふふ・・・・・』


住処の裏山の洞窟に戻ると、客がきていた。

あやかしまんじゅうを作る工場で、あやかしインフルのクラスターがおこり、しばらくの間あやかしまんじゅうは売りに出されないとのことだった。

何気にあやかしまんじゅうを気に入っていた、彼岸花の精霊の浮竹は、それにショックを受けて洞窟の奥でふて寝をし始める。

『もう、全然手伝ってくれないんだから・・・・・・』

『手伝ったら、しっぽりするか?』

『いいけど、夜に、ね』

彼岸花の精霊の浮竹は、鴆の京楽が作った薬を整理して、やってきた客に渡していく。

代金はきっちりもらう。

人間社会のお金だったり、黄金だったり、食べ物だったり、支払いはいろいろだった。

一番多いのは、あやかしの通貨とされている小判だったが。

『はぁ。桜の王、早くあやかしインフル治らないかな。暇だ』

『まぁ、ボクの処方した薬は治りやすいから、普通は1週間以上かかるけど、3日くらいで治るんじゃないかな』

『その3日間が暇だ』

彼岸花の精霊の浮竹は、溜息をついた。

『ボクがいるじゃない』

『京楽は恋人で、遊び相手じゃない』

『まぁそうなんだけど。3日くらいすぐだよ』

『じゃあ、しっぽりしよう』

『ええ、まだ夜になってないよ。客がきたらどうするの』

『無視すればいい。結界をはって、しっぽりするぞ』

こうして、二人はしっぽりするのだった。

浮竹は本当に3日であやかしインフルが治り、白哉にも京楽にもうつらずで、安堵するのだった。

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桜のあやかしと共に95

「顔を奪われる?」

「そう。ちまたを騒がせてるあやかしでね。狙われた人間はのっぺらぼうみたいなになっちゃうらしいんだ。祓い屋の会合で、ボクが退治することになってねぇ」

「ふむ。じゃあ、俺も行くぞ」

「うん。神出鬼没らしいから、十四郎の妖力を敏感に察知でききる能力がいるよ」

「あやかしは襲わないのか?」

「それがねぇ、あやかしも襲うんだよ。何人かの椿の花鬼が顔を奪われたらしい。冬獅郎君にも、協力を求めようと思ってね。あやかしで狙われるのは、椿の花鬼だけなんだよ。人間も、何かしらの形で椿と関わってる。植木職人だったり、花屋だったり、椿のアクセサリーをつけてた者だったり」

京楽は、まずは冬獅郎の元に行こうというと、浮竹は召喚すると言い出した。

「四季の王の名において命ずる。いでよ、冬の椿の王!」

「だから雛森、俺は大丈夫だからっ・・・うああああ、また勝手に召喚したな!」

冬獅郎とだけでなく、その契約者である雛森桃という人間の少女も一緒だった。

「しっぽりしてたのか?」

「するわけねぇだろ、この色ボケ四季の王が!」

すっかり彼岸花の精霊の浮竹のペースに飲み込まれていた浮竹は、カップルを見るとしっぽりしているんだろうかとか考えるようになっていた。

ちょっとあぶない。

「あの、こちらの方々は?」

雛森が、浮竹と享楽を見る。

「ああ、話にだけはだしてただろう。こっちの長い白髪のが浮竹、春の桜の王で四季の王でもある。こっちが桜鬼の京楽。浮竹の契約者だな」

「契約者・・・つまり、できてるってことですよね」

雛森は頬を染める。

「俺は確かに京楽とはしっぽりしているが・・・・・・・」

「おい、雛森はまだ子供なんだ、下ネタはやめろ」

「しっぽりって、下ネタになるのか?」

浮竹が京楽を見ると、京楽はうなずいた。

それに浮竹が赤くなって、話題を切り替える。

「椿の花鬼ばかり、顔を奪われるらしいな。人間にも被害者が出ているが、なんらかの形で椿とゆかりがある者たちばかりだ」

「ああ、ちょうどその顔を奪うやつの住処を見つけたから、今から退治にいくとこだった」

「お、いいタイミングだねぇ。ボクも顔を奪うやつの退治を祓い屋の会合で命じられてね。まぁ、あやかしになったボクの存在に、他の祓い屋は気づいてないみたいなんだけど」

「祓い屋って案外まぬけなんだな」

「京楽が、それほど体を人間に近くさせて、妖力を出してないだけだぞ」

「ふーん。京楽、あんたもやるな」

「いやぁ、それほどでも・・・・・・」

「そんなことはどうでもいいから、住処とやらに行くか。倒せば、多分顔を奪われた者たちの顔も戻るはずだ」

「十四郎どうでもいいってひどい」

「どうでもいいことはどうでもいいことだろう。今は顔を奪うやつを倒すのが先だ」

こうして、浮竹、京楽、冬獅郎、それに一人にすると藍染の手が伸びる恐れがあるので、雛森も連れていくことにした。

雛森には、冬獅郎と京楽が強力な結界で守っているので、藍染でもそうやすやすと手は出せないはすであった。

顔を奪うあやかしは、季節外れの椿が咲き狂う、洋館に住んでいるらしかった。

「背後をつうくか?それとも正面突破か?」

冬獅郎の服の袖を、雛森がぎゅっと握る。

「シロちゃん、危ない真似はしないでね」

「わーってるって」

「めんどくさいから、正面突破で。桜の花神になる。京楽も、桜鬼神になっておけ」

「おいおい、二人そろって神様になっちまったのかよ」

「そうだ。いろいろあってな」

浮竹は、玄関を桜の術でこじあけ、洋館の中に入る。

洋館野中はマネキンだらけで、そのマネキン一体一体が、奪われれ顔をしていた。

「悪趣味な奴だな。おい、出てこい。出てこなきゃ、このマネキン全部ぶっ壊しちまうぞ」

「ふふふふ・・・・・藍染様の言っていた通りだ。椿ばかりを襲っていれば、冬の王が出てくる。その冬の王をエサに、四季の王をおびき寄せて・・・・・・」

「四季の王ならここにいるぞ。とりあえず、桜の花びらよ、動を奪え」

「げ、まじかよ!まだ四季の王を迎え撃つ準備できてない・・・・ここは、一旦退かせてもらうことにしよう」

異界に逃げ込もうとするので、浮竹が桜の花神の力で異界へのゲートを遮断する。

「なんだと!」

「おいおまえ、名前はわからんからインキンタムシでいいか。インキンタムシ、大人しく奪った顔を返せ!」

浮竹がインキンタムシよばわりすると、あやかしは怒った。

「誰がインキンタムシだーーー!!俺には、顔奪いという名がある!」

「えーと、インキンタムシくん、藍染の手下なんだよね?」

「そうだ。魔神となられた偉大なる藍染様の部下だ!って、誰がインキンタムシだあああ」

「じゃあ、死んで?」

京楽は、桜鬼神の力を開放させて、桜の文様のある刀で、顔奪いの右手と左手を切り落とす。

「な、いきなりピンチだ!こんなに強いなんてきいてないぞ。かくなる上は、その人間の女の顔を奪って人質にしてやる!」

「きゃあああああああ!!!」

雛森に遅いかかった顔奪いは、強い結界にはじかれて、数歩たたらを踏む。

「浮竹、京楽、悪いがこの獲物は俺がもらう。雛森を傷つけようとした。許せん」

冬獅郎は、愛刀の氷輪丸を出すと、氷の龍を召喚して、顔奪いを氷つかせた。

「いやだ、死にたくない」

「じゃあ、藍染の居場所を言え」

浮竹が、なんとかしゃべることはできる氷像となった顔奪いに、桜の花びらで居場所を吐かせようとしたら、顔奪いは、なんと体を四散させた。

「藍染様、ばんざあああういいいい」

それだけを言い残して。

「ちっ、どうやら藍染の居場所を言おうとすると、自爆装置みたいになるようになっていたみたいだぞ」

「冬獅郎くん、このマネキン壊せる?ボクらの強い妖力だと、過剰に破壊する恐れがあるから」

「ああ、わかった。いけ、氷輪丸!」

「シロちゃん、壊していったマネキンから、顔が消えてる!」

「どうやら、奪われた顔は無事元の持ち主の元に返ったみたいだな」

「そうだね」

浮竹と京楽は、神の力を封印した。

「冬獅郎くん、雛森ちゃん、せっかくこっちにきたんだし、ちょっと泊まっていかない?」

「いいのか?」

「え、いいんですか?」

「藍染のせいで迷惑をかけたからな。俺の手料理をごちそうしよう」

「え、浮竹、お前料理なんてできんのか?」

「失礼な。これでも、一流シェフ並みには腕はいいぞ。人間の社会で習ったからな」

冬獅郎は、浮竹が人間に化けて、人間の料理学校に通っていたことなど知らないし、言う必要もなかった。

「あたしも手伝いますね。シロちゃんの好物、知ってますから」

京楽に材料を買いに行かせて、浮竹は白哉と仲良さげに話をする。

「日番谷冬獅郎。冬の椿の王だ」

「ほう。椿は私も好きな花だ」

「3千歳以上なんだけど、見た目は子供なんだ」

「あやかしに年齢などあまり関係ないしな」

「おいこらそこ、俺を子供扱いするなよ」

京楽が帰ってくると、スーパーの袋に甘納豆が入っていたので、冬獅郎は雛森と一緒に食べるのだった。

その日の夕飯は、冬獅郎の好きなものばかりがでてきた。

冬獅郎と雛森の仲睦まじげな様子を白哉は好奇心から、浮竹と京楽は初々しいなと、みるのであった。





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オメガバース恋白読み切り短編シリーズ

「隊長?」

「む。なんでもない」

「なんでもないってことはないでしょう。顔、赤いですよ。熱あるんじゃないっすか」

「熱などない。それに、薬を飲んだので、直に元気になる」

白哉は、自分がオメガであるということを隠して生きてきた。

ヒート期間は酷いときは休暇をとり、裏マーケットで手に入れた強い抑制剤を飲んで、ヒート期間も普通のように過ごしているが、身を燃やすような情欲の炎は消えず、つらかった。

「隊長、実はオメガでしょう?」

「何を馬鹿なことを。アルファではないが、ただのベータだ」

「じゃあ、このヒート抑制剤の薬なんて、なんでもってるんすか?」

「それは!返せ!」

白哉は、恋次から抑制剤をとりあげようとするが、恋次が背伸びをして高い位置にまでもってきて、白哉の身長が届かずに、白哉はいらだって、恋次を蹴った。

「あいた!何するんすか!」

「こっちのセリフだ。ああ、お前の言う通り私はオメガだ。それがなんだというのだ。浮竹もオメガであろう。オメガであっても、隊長はできる。だから、返せ」

「浮竹隊長は、京楽隊長と番っすからね。ねぇ、隊長。ずっと薬飲まなきゃいけないの苦しいでしょうし、つらいでしょう?俺と、番になりませんか」

「ふざけたことを」

「俺は本気っすよ。隊長が、前々からずっと欲しかった。俺がアルファで隊長がオメガなのは運命っすね」

白哉は、恋次にビンタをお見舞いする。

「確かに私はオメガだし、ヒート期間は辛い。だからといって、そうほいほいと体を開くような安いようにはできていない」

「大切にしますよ?別に体目的じゃないっすし」

「アルファがオメガを欲しがるなど、子供かオメガの体目的かのどっちかだ」

「そう、教えられてきたんすね?」

「う・・・・・」

実際、その通りなので、白哉は言葉に詰まる。

「体が、熱い・・・・・」

「俺のアルファのフェロモンにやられたんでしょうね。ヒート期間なのに、外に出てくるから」

恋次は、ふらつく白哉を軽々とお姫様だっこして、隊首室にある仮眠用のベッドに寝かせる。

「恋次!」

「止まりませんよ。あんたが嫌がっても、抱きます」

「よせ」

「俺のものにしてやる」

恋次は、白哉の手をしばり、逃げれないようにした。

そんなことをしなくても、ヒートの熱のせいでろくに身動きがとれないのだが。

「んう」

口づけられて、白哉はアルファのフェロモンにやられて、口を開いて恋次の舌を受け入れる。

「隊長、ああ、俺のものだ」

「れ、恋次」

「怖いっすか?」

「当たり前だ!お前は、私をレイプしようとしているんだぞ!」

「隊長は、それでもかまわないんでしょう?番になるには、セックス中にうなじ嚙まないといけませんから」

「れ、恋次、やめよ。今なら、まだ元に戻れる」

「オメガの隊長とアルファの副官っすか?番にならなきゃ、ずっとこんな裏マーケットで売ってるような危険な抑制剤飲まないといけないんすよ?この抑制剤、少量だけど毒を含んでます。ずっと飲んでたら、病気になってしまう」

「それは・・・しかし、それがないと私はヒート期間を乗り越えれない」

「乗り越えなくてういいんすよ。俺と番になれば、ヒート期間もだいぶ収まります」

「本当なのか?」

「嘘はいいません」

「浮気しないと誓えるか?」

「もとから、隊長しか目に映ってないっす」

白哉は、重い溜息をついた。

「手の戒めをとけ。恋次、お前に抱かれてやる。責任をもって、番にしろ」

「まじっすか!」

「ああ」

恋次は、白哉の手を戒めていた布を外す。

「口づけから、やり直しだ]

「はい!」

恋次は、白哉に口づけて、それは深いものに変わっていき、舌を引き抜くと、つっと銀の糸が垂れる。

白哉は隊長羽織も死覇装も脱がされていた。

胸の先端ばかりいじっていると、白哉が言いにくそうに体をねじらせる。

「どうしてほしいのか、言ってください」

「恋次・・・・・後で、覚えていろ。下も、触ってほしい」

「下って、こっちですよね?」

すでに硬い白哉のものを手でしごくと、白哉はあっけなくいってしまった。

「ああああ!!!」

「誰かの手でいくのって初めてっすか?」

「当たり前だ。キスさえ、したことがない」

「じゃあ、俺が隊長のなにもかもの初めての人っすね」

恋次は、濡れている白哉の蕾に指を入れて、ぐちゃぐちゃと音を立てる。

「も、いいから、こい」

「挿入れますよ?」

「ひああああああああ!!!」

ズチュリと、白哉を貫いた恋次のものは、白哉の奥まで入りこんだ。

「や、だめえええ、奥は、だめえええ」

「感じるんすね?」

何度も奥をこすりあげると、白哉は精液を出しながら、中いきをしていた。

「やあああん、いくの、とまらないいいい」

恋次は白夜の奥に入ったまま、抉り、揺さぶる。

ぐちゅぐちゅと奥をかきまぜて、子種をはじけさせる。

「やあああ、避妊してないいいい。孕んじゃうううう」

「番になるんだから、孕んでも平気っすよ?」

「ひああああん」

恋次は、白哉を背後から貫いて、少し長い絹のような手触りの黒髪をかきわけて、うなじを露出させると、かみついた。

「あああ、番にさせられたあああ。子種が奥でドクンドクンいってるうう」

「ふふ、子供ができたら、いいっすね?」

「やあん、まだ、子作りの心構えができてないいいい」

「そんなの、産んじゃえばできるっすよ。念のため、もっかい噛みますね?」

「ひゃああああん、いくううう」

突き上げられながら嚙みつかれて、白哉は背を弓なりにしならせて、いっていた。

「は、隊長の中すげぇ。俺の子種、全部もっていかれちまう」

「子種びゅるびゅる出てるううう。いくのとまらないいいい」

白哉は、何度もいって、最後は潮をふいていた。

「隊長、えっろ・・・・・」

「はぁん、もぅやぁあああ」

「これで終わりにしますから」

恋次は若いだけあって、性欲もおおせいだった。白哉も若いが、性欲はヒート期間なためあるだけで、いつもは淡泊だ。

「いくのとまんないいいい。ああああ」

「隊長、元気な子を産んでくださいね?」

「あああ、孕まされるううう」

それっきり、白哉は意識を失った。

「隊長?」

返事のない白哉に、恋次は白哉の体を抱きしめる。

「隊長。もう、俺だけのものだ。番になれた。愛してます」

ヒート期間中なので、白哉は次の日から2週間ほど休暇をとり、その隣には恋次の姿があるのだった。

初めての交わりで、白哉は懐妊してしまい、朽木家の跡取りを産むのであった。




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桜のあやかしと共に94

浮竹は、どうしても小さい京楽の姿が見たかった。

鴆の京楽と彼岸花の精霊の浮竹と一緒にお茶会を開くことになった。お茶には、子供になる謎の薬が混ぜられていた。

京楽はというと、浮竹がお茶なんて珍しくいれるものだから、絶対何か変なものが入っているに違いないと、警戒して飲まなかった。

『にゃんだこれはーーー』

彼岸花の精霊の浮竹がお茶を飲んでしまい、3歳児になってしまう。だが、中身は元のままのようだが、言葉がうまくしゃべれない。

『よくもまたやってくれたな。おまえも同じ刑ら」

彼岸花の精霊の浮竹は、浮竹に無理やり紅茶を飲ませる。

ぼふんと音をたてて、浮竹も3歳児になっていた。

「か・・・・かわいいいいい」

京楽は、浮竹を抱き上げて頬ずりをする。

「いたい!おじさん、ちくちくひげいたいから、や!」

浮竹は精神も3歳児なっていて、京楽が自分の恋人であるということが抜けていた。

「おじさん・・・・・・・」

大切な恋人におじさん扱いされた挙句、いやと言われて京楽はちょっとしょげるが、浮竹を抱き上げて、お菓子用に携帯していたキャンディーをあげる。

「おいちい」

「十四郎、ボクは京楽春水。いえる?」

「きょーらく、しゅすい」

「あああ、かわいい」

『独り占めはじゅるい。俺も、桜の王と遊ぶ』

『そういえば、異界にあやかし専用の遊園地ができたんだってね?そこに、行ってみない?』

鴆の京楽は、人間がだめなので、人間世界の遊園地にはいけない。

なので、あやかしが管理する遊園地に前々からひそかに行きたかったのだ。もちろん、彼岸花の精霊の浮竹と一緒に。

『ゆーえんち!おもしりょそう』

「ゆーえんち?なにそれ」

浮竹の反応はそれぞれで、浮竹は遊園地が何であるかわからず、彼岸花の精霊の浮竹は情報のみ知っていた。

「いいねぇ、今から行こうか」

『そうだね。解毒薬つくったらすぐに元に戻っちゃいそうだし』

『こら、きょーらく、俺は元の姿でいきちゃい』

『だめだめ。かわいい今の姿だから行きたいんだよ。大人の浮竹とは、いつでも行けるからね』

こうして、異界にある遊園地に4人は行くことになった。

「あれに乗りたい!」

「ああ、あれはジェットコースターだね。身長制限があるから無理だね」

「のーりーたーいー」

「はい、苺のキャンディ」

「むーーー」

キャンディをなめなながら、浮竹は京楽にだっこされて、メリーゴーランドに乗った。

「おうま、うごいてる」

「そうだねぇ。十四郎、かわいいねぇ」

『よし、きょーらく。俺たちも、あれに、のるじょ』

『メリーゴーランドでいいの?お化け屋敷もあるよ?』

『あんなの、作り物とあやかしでできているだけじゃにゃいか。あやかし同士でばけあって、何がたにょしいんだ』

『まぁ、それもそうだねぇ。ああ、桜鬼のボクじゃないけど、浮竹かわいいね。抱き上げていい?』

『好きにしゅるといい』

4人は、メリーゴーランド、観覧車、コーヒーカップに乗った。

あやかしが管理しているので、人間社会の遊園地よりは劣るが、鴆の京楽は、彼岸花の精霊の浮竹と一緒にこれて、すごくうれしそうだった。

「たまには、童心にかえるのもいいかもねぇ」

『うん、そうだね』

お昼は、レストランで4人そろってお子様ランチを食べた。

午後は、鏡の迷路、全然怖くないお化け屋敷などに行った。

アイスを食べたりもした。浮竹は苺味のアイスを気に入り、おかわりをもらっていた。

彼岸花の精霊の浮竹は、普通にバニラとチョコ味を食べていた。

『全部食べれにゃい。きょーらく、のこりくえ』

『はいはい』

『ねむくにゃってきた』

「ねむい」

2人の浮竹は、アイスを食べ終えると、京楽たちに抱かれながら、眠ってしまった。

「最後は映画館行こうと思ったんだけど、ボクの十四郎は精神も3歳児だから、見せても意味わからないだろうね」

『そうだね。でも、二人とも寝顔かわいいね』

「写真とろう。スマホで」

『うん』

鴆の京楽はスマホをもっていないので、京楽のスマホで写真をとった。

『いい思い出になったよ』

「二人とも起きそうにないし、帰ろうか」

『そうだね』

浮竹たちは、寄り添いあって、眠りについていた。寝顔が天使みたいで、二人の京楽は離れさせられずにいた。

京楽たちは、桜鬼の京楽のマンションに帰還する。

「むにゃあ・・・・」

『んー、もうたべれにゃい・・・・』

『いったい、どんな夢見てるんだか』

「浮竹、ひたすらかわいい。(*´Д`)ハァハァ」

京楽は、ちょっとやばい人になっていた。鴆の京楽は、浮竹たちが風邪をひかないように、ブランケットをかけてやった。

夕方になって、腹をすかせた浮竹たちは目を覚ます。

京楽は、さっそく浮竹をだっこしようとする。

「おひげのおじちゃん、や!」

『うう、ねむってしまった』

浮竹は、彼岸花の精霊の浮竹の服の裾をつかんで離さない。

「いっしょが、いい」

『桜の王・・・・・・』

浮竹は、甘えん坊の寂しがりやだった。

「きょーらく、寂しい?」

「うん、寂しい。十四郎がかまってくれないから」

「俺と、しっぽり、したい?」

「ぶーーーーー」

京楽は、飲みかけの緑茶を噴き出していた。

「しっぽりって、十四郎。あ、彼岸花の精霊の浮竹のせいだね」

『ばれてちまっては、しかたにゃい。俺はしっぽりしたい。早く解毒剤よこしぇ』

『はいはい、今夕飯と一緒に出すから』

鴆の京楽が、大人4人分の食事と解毒剤をいれたオレンジジュースをもってきた。

彼岸花の精霊の浮竹は、一気に飲み干してもとに戻る。

『ふふふふ、桜の王は、俺をまきこんだ罰として、明日の朝までその姿でいろ』

「おじちゃん、だあれ?」

浮竹におじさん呼ばわりされて、それがかなりショックで、彼岸花の精霊の浮竹は浮竹に解毒剤入りのオレンジジュースを飲ませた。

『どうだ、3歳児を体験した気分は』

「あんまり、覚えてない。お前をおじちゃん呼ばわりしたのは覚えてる」

『せめて、お兄さんと言え』

「そう言われても、中身も3歳児だったんだぞ。無茶を言うな」

『これにこりて、縮む薬はもう作らないことだな』

「ああ、そうする」

本当に信用して良いのかうさんくさいにおいがしたが。とリあえず元に戻ったので、夕食を食べて、彼岸花の精霊の浮竹と、鴆の京楽は泊まるが、しっぽりするので結界をはっていた。

「ねぇ、十四郎、ボクらも・・・・・・」

「しない」

「がびーん。かびんががびーん」

「おやじくさい」

しっしと、いつも一緒に眠る寝室ではなく、浮竹は自分の部屋で寝た。

しっぽりしないときは、たまに一人で寝ることもあった。

「くすん。今日は白夜くんの部屋におじゃまして寝るかな。誰かと一緒じゃないと、眠れなくなってきちゃった」

「なにーーーーー!白夜と一緒に寝るだと!3億5千万7421年早いわ!」

スパ-ンと、浮竹にハリセンで殴られて、結局しっぽりはしないが、京楽と一緒に眠ることになるのであった。





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俺も咲く。

「あーいい景色だねぇ」

「そうだな」

「一部をのぞいてね」

「ああ。あれは燃やしていいか?」

勇者京楽と魔王浮竹は、花見をしていた。

魔王城から少し離れた、桜が見事に咲き狂っている場所で。

他にも花見に来ている人間や亜人種もいたが、新勇者パーティーが騒いでいるのが、少しうっとうしかった。

新勇者パーティーのお弁当は、魔王城のコックが作ったものだった。

まぁ、いろいろ語らったりするので、浮竹もOKを出した。

まさか、同じ日の同じ時間に同じ場所で花見をするとは、思ってもいなかった。

まぁ、それは獣人盗賊が斥候として仕入れた情報からのものであったが。

「ああ、燃やしたい」

浮竹が燃やしたがっているのは、新勇者だった。

今日の新勇者は、ふんどし一丁に、金髪のおさけのヅラをかぶっていた。

「桜だけ見ずに、俺を見てくれえええええ」

新勇者は、桜という桜に立ちションをしまくって、どこかの桜の王を怒らせて、乳首とあそこが桜になっていた。

「今日の俺は一味違う。乳首が桜なんだYO!俺の乳首の桜で花見してくれ~(*´Д`)ハァハァ」

「見苦しい!」

浮竹が、ファイアーボールで新勇者の乳首の桜を燃やすと、桜はまた咲いてきた。

「魔王浮竹、俺の乳首の桜を浮かべて、酒でものまないか」

「誰がそんな汚らわしい、桜の花びらを浮かばせた酒なぞ飲むか!」

「あはん、実はあそこも桜が咲いているんだ。ふんどし脱いでいい?」

「ふんどしはつけておいたほうがいいよ。全裸だと捕まるよ?」

京楽は、まともなことを言う。

新勇者の存在などないものとして、桜を見上げては酒を飲み、弁当を食べた。

「弁当よこせ!」

新勇者は、京楽の弁当を奪う。

「あ、浮竹が作ってくれたお弁当なのに!」

「ふふふん、もう全部食ったぞ。まぁまぁな味だな」

「カラミティサンダー」

「おぎょぎょぎょ」

雷が天から落ちて、新勇者は感電する。

「あは~ん、刺激がいいわぁ。乳首の桜もビンビンだぜ。あそこの桜もびんびんだぜ」

「やっぱり、持やす‥‥‥」

浮竹が燃やそうとするのを、京楽が止める。

「何故、止める」

「君の魔法の炎だと、せっかく咲いている桜まで燃えてしまうでしょう?」

「それもそうだな。俺も雷にしよう。サンダーヴォルテックス」

「あぎゃぎゃぎゃぎゃ、ひあーん、びんびんだあああ」

新勇者の変態さに、花見にきていた客たちが去っていく。

「花見の人ごみが減るのは嬉しいけど、君がいるのがいやだねぇ」

「いやよいやよも好きのうち♡」

投げキッスをする新勇者に、浮竹はもう一度魔法を放つ。

「ゴッドブレスサンダー」

「ぎょえええええええええええええええ」

新勇者は、黒焦げになった。

でも、乳首の桜は咲いていた。ふんどしも、こげて大事なところがぽろりになっていた。

本当に、大事なところまで桜が咲いていた。

「ウィンドエッジ」

「あはん!!!いたい!!!!」

乳首とあそこの桜を、魔法で切り落とす。

すると、どこぞの桜の王を怒らせただけあって、全身が桜まみれになった。

「俺で、お花見してくれええええ」

「うぎゃああああああ、くるなあああ」

「こっちくるんじゃにゃい!」

「きもいわああ!こっちこないでええええ」

「パーティーメンバーだろう!」

新勇者は、逃げ出したパーティーメンバーを追いかけていたが、まだ花見している浮竹と京楽を見つめる。

「酒くれたら、おとなしく去る」

「本当だね?未成年の飲酒はだめだけど、特別だよ」

京楽が、高い酒をコップに注ぐ。

新勇者は、それを一気飲みして、桜の花びらをはいた。

「う、きもちわるい」

「ボクたちは、君の存在が気持ち悪い」

「ひどい!俺とのことは遊びだったのね、勇者京楽!]

「桜を咲かせた人間の剥製‥‥‥ふふふふ」

「ちょ、浮竹、目がまじになってるよ」

「サンダーブレスからの、カラミティアイシクル!」

黒焦げになって、でも全身に桜を咲かせて、氷に閉じ込められた新勇者は沈黙した。

「死んだの?」

「仮死状態にした。もう、花見はこりごりだ」

「この子、置いていくの?」

「もって帰りたいのか?」

「まさか」

けらけらと、京楽は笑って、浮竹にキスをする。

「来年の花見は、魔王城でしよう。ね?」

「ああ」

「じゃあ、桜の木植えないとね?」

「何本かあるが、花見というほどの量じゃないからな」

浮竹と京楽は、誰もいなくなった花見の広場で、いちゃこらしながら、氷像と化した新勇者を放置プレイして、帰っていくのであった。








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桜のあやかしと共に93

「魔神ユーハバッハ。私はその力を得て、さらに強くなるのだ。ふはははは」

かつて、遠い昔魔神として君臨していたユーハバッハは、人とあやかしの手によって滅ぼされたが、核は封印されていた。

核をどうやっても、壊すことができなかったからだ。

藍染は、深い深い深海の果てに封印されていた魔神ユーハバッハの核の封印を、無理やり壊して核をもちだす。

そこからエネルギーを抽出して、自分の体内に取り込んだ。

「ぐああああああああ」

すさまじいエネルギーに、9つある命のうち、2つを失い、残りの命は7つになったが、藍染は仮初ではあるが、魔神となった。

「やった、やったぞ!ついに私は神になったのだ!」

藍染は喜ぶ。

その力が一時的なものとは知らずに。

「牛鬼」

「はっ」

「神の血を与えよう。四季の王を葬り、私をさらなる神の高みへと至らしめるために」

「この牛鬼、必ずや藍染様のお力となりましょうぞ」



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「桜の王、助けてくださいな。雨が降らんのです。このままでは、あやかしまんじゅうに入れるあずきが収穫できなくなっちまうだ」

小豆とぎが訪れてきたかと思うと、浮竹を頼りにくる。

「雨なら、水龍神に頼んだほうがいいんじゃないか?」

「それが、藍染に女の水龍神様がさらわれて、それから行方不明なんだな」

「ああ‥‥」

千早という水龍神と藍染の子と、その母親である水龍神を藍染の呪縛から解き放ち、どこへでもいくといいと言った記憶があった。

「俺のせいでもあるのか‥‥‥」

「桜の王のせい?なにかしただか?」

「いや、こっちの話だ。京楽、一緒にきてくれるか。お前の式の力をかりたい」

「うん。ボクはどこにで十四郎についていくよ。たとえ行き先が地獄でも」

京楽は、雨を降らせれる式神の呪符を取り出す。

「この子なら、雨を降らせそう」

「ああ。俺の桜の術でも雨は降らせれるが、範囲はあまり広くないからな」

「桜の王とそのおつきの者、あずき畑に案内するだ」

小豆とぎは、異界へと入っていく。

異界に入ると、一面にあずき畑が広がっていたが、皆枯れかけていた。

「ごらんの有様なんだな。雨が降らないせいで、枯れるのも時間の問題なんだな」

京楽は、式神の呪符を取り出す。

それは一羽の小鳥となって、空を羽ばたいていく。

「天空破邪!天雨!」

ざぁぁぁと、ばけつをひっくりかえしたような雨が降ってきた。

「よし、俺も。桜よ、このあずき畑に命をふきこめ」

桜の花びらが雨と一緒になって、散っていく。

桜の花びらに触れたあずきの株は、みるみる緑色に戻り、元気になっていく。

「桜の王もすごいけど、おつきの者もすごいのだ」

「ボクは桜鬼の京楽春水。おつきの者じゃないからね。桜の王のパートナーだよ」

「桜の王は、春を司るだけに春がきてるのかなんだな」

このままいけば、あずきは無事収穫できそうで、あやかしまんじゅうが作れなくなる日は、当分の間訪れないと思えた。

あずき畑を出て、久しぶりに桜の花鬼の里にきていた。

「ふははははは、待っていたぞ、四季の王それに桜鬼」

「は?お前誰。京楽、知ってるか?」

「いや、知らないよ。頭がわいたあやかしなんじゃない」

桜の里で、頭がレインボーアフロ姿のあやかしと出会う。

「きーーーーー。藍染様の部下の俺様が、頭がわいているだと?この人の姿は仮のもの。俺様は人間の誰もが恐れる人食いの牛鬼様だ!」

「あっそ。じゃあ、俺たちは帰るから」

「待て待て待てーーーーーーー!無視しようよするなああああ!!」

「めんどくさいねぇ。天空破邪、天雷」

「うぎゃああああああああ。しびれるうううううう」

京楽の術を食らっても、牛鬼はぴんぴんしていた。

「思ったより、たふそうだな」

「牛鬼だからな。力はそれなりにあるんだろう」

「ふははははは!俺様は、魔神ユーハバッハの力を受け継ぎ、魔神となられた藍染様の血をもらっているのだ!」

「魔神ユーハバッハだと!?」

牛鬼の言葉を聞いて、浮竹が驚く。

「どうしたの、十四郎」

「はるか昔、人とあやかしの手によって滅ぼされ封印された魔神の名だ。そして、全ての花鬼の父でもある」

「花鬼の父?」

「ああ。ユーハバッハが、花鬼というあやかしを誕生させた」

「そんなすごいやつの力を?藍染ごときが?」

「きいいいい、藍染様といえ!」

「壊せなかった核が、深海に封印されていたはずだ。封印を無理やり解いたのか」

「そ、そんなことまではしらん!」

「核だけではユーハバッハの復活はありえない。人を一億人は生贄に捧げないと、復活はありえないから、大丈夫だとは思うが、核からエネルギーを抽出したら、一時的に魔神と同じ存在になれる」

「やばいじゃない。どうするの?」

「放置だな。放っておけば、魔神じゃなくなる。あのアホは、しぶといだけでそれに気づいていないようだが」

「藍染様は偉大なのだ!アホなどではない!多分!」

牛鬼は、体中に鋭い刃をつけて襲い掛かってくる。

「桜の花びらよ!」

「天空破邪、天地!」

浮竹が桜の花びらで牛鬼の体を燃やして、京楽が大地を割って牛鬼を落とす。

「ぬがあああああ、これしきのことでええええ」

魔神藍染の血というのは本物なのか、本来のあやかしであればくたばるだけの威力があった。

「桜の花びらよ、生気を吸ってしまえ!」

「うぎゃあああああ」

「天空破邪、天嵐!」

生気をごっそりもっていかれた牛鬼は、大分弱った。そこに、京楽が嵐を叩きこむ。

「あああああ、藍染様、万歳!!!」

牛鬼は、ぼろぼろになって、最後は京楽の桜鬼神の力で、桜の文様の刀で首を落とされて、死んだ。

「まさか、ユーハバッハにまで手を出すなんて。命がいくつもないと、できない芸当だな」

「あいつ、確か命が10個あるんだっけ。この前1個なくなったから、今回のことでさらに命をなくして、残りの命は8個以下だろうね」

「命に個数があるのが、そもそもおかしい」

「まぁ、そうなんだけど。まぁ、今は藍染がどこにいるかも分からないし、刺客と言ってもたいしたことないから、放っておこうか」

「そうだな。藍染はゴキブリみたいにしぶといから、まぁ魔神になったって喜んでいられるのも今のうちだな。そのうち、また元の神もどきに戻る」

「うん」

浮竹は、牛鬼の死体を養分に、桜を育てた。

花びらが真っ赤な桜咲いた。

「真っ赤な桜‥‥‥不吉だね」

「まぁ、美しくはあるがな」


-------------------------------------------------------------------------


「いちいち、血を与えるのではこの私は痛い思いをしなければならない。魔神の種を作ろう」

藍染は、また動き出す。

ユーハバッハの核は、エネルギーをいくら吸い取られても、壊れることはなかった。

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桜のあやかしと共に92

「かわいいぞ、彼岸花の精霊の俺」

『むすーーー』

彼岸花の精霊の浮竹は、京楽のマンションでしゅわしゅわ、コーラを飲んで女の子の子供になってしまった。

浮竹が、また変な薬を入れたのだ。

今回のターゲットは彼岸花の精霊の浮竹のようで、女の子の子供になったのだが、なぜか衣装が用意されてあって、鴆の京楽に着替えさせられた。

『浮竹、かわいいねぇ。でも、この姿じゃあしっぽりできないねぇ』

『早く、元に戻す薬を作れ、京楽』

『えー、どうしようかなぁ』

あまりにも彼岸花の精霊の浮竹がかわいいので、鴆の京楽もすぐに戻すのを渋っていた。

『桜の王は、薬を飲まないのか』

「今回はお前を子供の女の子にしたかったので、俺は飲まない。かわいいなぁ、彼岸花の精霊の俺。その姿なら、鴆の京楽じゃなくてもたらしこめるぞ」

『京楽、お前も楽しんでるな?』

『まぁねぇ。事前に許可あげたから』

『むすーーーーー』

京楽は、スマホで彼岸花の精霊の浮竹の写真をとる。

『写真とるな。彼岸花を咲かせるぞ』

「その姿で脅されても、かわいいだけだねぇ」

『むすーーーーーー』

彼岸花の精霊の浮竹は、怒って鴆の京楽に耳打ちする。

『おやすいご用だよ』

鴆の京楽は、住処の洞窟に戻って、何かの薬をとってきた。

『これを飲め。そしたら、しばらくこの恰好でいてやる』

「なんか分からんが、飲んでやろう」

「ボクも飲むよ。君だけってわけにはいかないしね」

浮竹と京楽は、薬を飲んだ。

ぼふんと音をたてて、浮竹はオッドアイの白猫の子猫に、京楽はたぬきになった。

『ふふふ、これでお前たちもしっぽりできない』

「大変だよ十四郎!しっぽりできない!」

「別にできなくてもいいだろうが」

「そんな!しっぽりがない生活なんて考えられない」

京楽は、たぬきの姿で浮竹の子猫の首をくわえた。

「お、おろせ京楽!」

「十四郎と、しっぽりできないなんて、しっぽりできないなんて」

京楽は、薬の効果なのかパニック状態になっていた.

「鴆の京楽、解毒剤はあるか?」

『あるけど、浮竹が元の恰好に戻るまで、その姿でいろだってさ』

『ふふふふ、子猫の桜の王はかわいいな?たぬきな桜鬼もかわいいが」

彼岸花の精霊の浮竹は、京楽から浮竹の体をとりあげて、頬ずりした。

「毛皮がもふもふだ」

「うにゃあああああああ」

浮竹は、頬ずりふが激しいので、変な声をだしていた.

「お、俺が悪かった、彼岸花の俺。もとに戻る薬やるから、俺たちも元に戻してくれ」

『いやだ。こうなったら、嫌がらせをしてやる。今日1日はこの恰好のままでいる』

鴆の京楽に抱き上げられて、かわいい姿の彼岸花の精霊の浮竹は、チュールを取り出す。

「チュール!くれくれ」

『いいぞ。好きなだけ食え』

チュールに惑わされて、浮竹はすっかり彼岸花の精霊の浮竹のものになっていた。

「十四郎、こっちに戻っておいで」

「いやだ。チュール食べる。お前も食べてみろ」

「えー。どれどれ‥‥‥」

たぬき姿の京楽も、チュールを食べる。

「何これ!激うま!」

鴆の京楽は、彼岸花の精霊の浮竹の頭を撫でる。

『今日しっぽりできないよ?それでもいいの?』

『いやだ、しっぽりする!』

『じゃあ、元に戻らないとね』

『分かった。‥‥‥桜の王の俺と、桜鬼の京楽は、責任取って今日は1日その姿でいろよ』

「しっぽりできないいいいい」

「うるさいわあああ。チュール食って、しっぽりを忘れろおおお」

浮竹は、ハリセンがないので、京楽に猫パンチをかましていた。

「うげふ、猫パンチいいいい。きもちいいいい」

浮竹は、何度も猫パンチをお見舞いするが、おとなのたぬき姿の京楽にはきいていなかった。

『かわいい』

『確かにかわいいね。心が和むよ』

結局、彼岸花の精霊の浮竹は解毒剤を飲んで1日も経たずに元に戻り、浮竹と京楽は丸1日、獣姿なのであった。

『ほらほら、高級猫缶詰だぞ』

彼岸花の精霊の浮竹は、子猫になった浮竹とたぬきになった京楽で遊ぶ。

鴆の京楽は、それを見て和やかに笑う。

「なにゆえ、浮竹と京楽は子猫とたぬきなのだ?」

帰ってきた白哉が、獣姿の二人を見て首を傾げる。

『お、白哉か。二人は悪いことをしたから、今日1日獣姿なんだ』

「ふむ‥‥‥」

白哉も黒猫の子猫姿に自分からなって、京楽家のマンションは、にぎやかになる。

「チュールがほしい」

「白哉も、チュール好きだな?」

「そういう浮竹、兄も好きであろうが」

「ああ。京楽も好きになったようだ」

「しっぽりしたい‥‥」

京楽は、たぬき姿でしっぽりしたいと仲睦まじくいちゃつく、鴆の京楽と彼岸花の精霊の浮竹を見ているのであった。

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桜のあやかしと共に91

それは、京楽のマンションから出て、近くにある浮竹の桜のある公園での出来事だった。

「京楽?どうしたんだ、こんな時間に呼び出して。マンションの中で用件を話せばいいだろうに」

「い、いや、ここでしか話せないものがあるんだよ!」

九尾狐は京楽に化けていた。

藍染から託された、強力は呪詛を片手に、浮竹に近づく。

「お前、ちょっと変わったか?妖力が少し小さい」

「きょ、今日は調子が悪くてね」

「お前‥‥‥本当に京楽か?」

「な、何を言ってるんだい。本物に決まっているだろう」

「偽物だよ、十四郎!離れて!」

京楽がもう一人現れるが、浮竹はすぐにそっちが本物であると分かった。

姿も声も妖力さえ似せても、魂の輝きまでは変えれない。

京楽は、偽物の京楽に攻撃する。偽物の京楽は、九尾狐になった。

「く、この呪詛をくらえ!」

「十四郎!」

九尾狐は、最初京楽の姿をしていて、妖力までそっくりだった。

浮竹に、強力な呪詛を浴びせるのが、藍染から受けた命令だった。だが、そこに本物の京楽が現れて、偽物であるとばれて、九尾狐は元の姿に戻り、浮竹に呪詛をかけようとする。

京楽は、代わりにその呪詛を浴びたが、悪鬼になっていて、呪詛を身の内に食ってしまった。

しばらく無言で呪詛を浴びていた京楽は、瞳を黄金色にしていた。

「ボクは‥‥‥覚醒した。悪鬼ではなく、桜鬼神だ。桜の花神の対になる存在」

「春水、お前‥‥」

「さぁ、十四郎。君も、桜の花神になって?」

浮竹も覚醒して、桜の花神になる。

「俺と対をなす存在があったとは。春水が、桜鬼神か。運命を感じるな」

「おのれえええ、呪詛を食うなど、化け物が!]

九尾狐は、予備の呪詛を浮竹に浴びようとするが、桜の花神となった浮竹は呪詛をはじいて、それは九尾狐にふりかかる。

「ぎゃあああああ、肌が、肌が焼けただれるううう」

「その呪詛、ボクが食らってあげよう」

九尾狐を助けるつもりではなかったが、呪詛など負のものが桜鬼神のごちそうなので、京楽は呪詛を食べてしまった。

「おのれ、おぼえていろ!」

「ボクが、逃がすと思う?」

京楽は、桜の花びらで九尾狐の首を切断する。

「さぁ、桜の花神。十四郎。君は災厄を招く神。対のボクは、その災厄を食らう神だよ」

「ふふ、神であれる時間は限られている。十四郎、お前の望むままに災厄を与えよう。それを食らい、さらに強くなれ」

浮竹は、災厄を京楽に降り注がせる。

それは星のように煌めき、そして京楽の中に吸い込まれていく。

「ふふ、おいしいね?君の災厄は」

「俺の災厄を食らうことができるのは、世界広しといえど、お前くらいだ」

浮竹はありったけの災厄を京楽に降り注がせて、元の桜の王に戻る。

京楽も、満足いくだけ災厄を食べて、ただの桜鬼である人の姿の京楽に戻った。

「神であるのは疲れる。さぁ、お前の存在を俺に刻みこめ」

浮竹は、京楽にキスをする。

「マンションに戻ろうか」

「ああ」

京楽は、浮竹をお姫様抱っこして、マンションの寝室に入ると、衣服を脱がしていく。

「あああ、はやく、はやくお前をくれ」

「淫乱な神様もいたもんだねぇ」

「やあああん、今は神なんかじゃないからぁ。春水の子種、いっぱいちょうだい?」

きゅっと胸の先端をつまみあげられると、びくんと浮竹が反応する。それが面白くて胸ばかりいじっていると、浮竹が甘えた声をあげる。

「あああ、下も、下も触ってええ」

「ああ、こんなにびしょびしょに濡れてる」

「んあああ、触って、いかせてぇ」

京楽は、浮竹のもののをしごいて舐めてやると、浮竹は精液を出していっていた。

「やああん、気持ちいいいい」

「奥にも、欲しいでしょ?」

「欲しい。奥に、いっぱい子種ちょうだい?」

浮竹は、自ら足を開いて、ペロリと自分の唇を舐める。

淫靡なその姿に、京楽のものはもうぎんぎんになっていた。

「ああああ」

浮竹の蕾を、ローションをまとわせた指で解していく。

ある程度柔らかくなったところで、京楽は己の欲望を浮竹に突き入れた。

「ひあああああああ!!!すごいのきたあああ!!!」

ごつんと奥にぶつかり、浮竹はいってしまう。

「あああ、もっと奥、抉ってええええ」

「前々から思っていたけど、君って純情そうな顔してとんだ淫乱だね」

「それはあああ、春水の、せいい」

「まぁ、確かにボクが君をこうしちゃったんだけどね?」

「ああああん。奥に子種きたああああ!!ビュービュー出てるううう」

「最後の一滴まで注いであげるから、付き合ってね?」

「やああああん、奥、かき混ぜられてるううう」

京楽は、奥をかき混ぜるように円を描く。

「ひあああああ、いくうううううう」

奥だけでなく、浮竹のいいところを突き上げて、京楽はまた浮竹の中に精液を放つ。

「やあああん、いってるのに、追加きたあああ。またいくううう」

何度もオーガズムでメスイキを繰り返す浮竹。

「十四郎、どうしてほしい?」

「あ、春水ので奥まで犯してぇ」

かわいくねだる浮竹に、京楽は奥まで貫く。

「いあああ、きたあああ!!!

精子をまき散らす京楽のものをしめあげて、浮竹はびくんびくんと体をはねさせていっていた。

「ああああん、いくのとまらないいいい」

「好きなだけいくといいよ」

「ひあああん、んあああ、ひあーーーー」

浮竹はいきまくって、ついには気を失う。

「桜の花神もボクのものだ」

京楽は、浮竹を抱きしめて、桜鬼神になって、浮竹に口づける。

「んあ?」

「君も、桜の花神になって?」

「ひあん、なったぞ?」

「さぁ、神同士で交じり合おうか」

「やああああ、壊れるうう」

「壊れたら、ボクが神気をあげて元に戻してあげるから。さぁ、交わろう」

浮竹と京楽は、神になったまま交わり、いきまくった。

「んはああ、もうらめえええ。いきたくないいいいい」

「そんなこと言って、ほんとはいきたいんでしょ?」

「奥はらめえええ。やらああ、もうやああ」

「じゃあ、これが最後ね?」

「ひああああん、いくうううう」

浮竹は潮を吹いて、今度こそ意識を失った。



「もう、そんなに怒らないでよ」

「むすーーー。いやっていったのに」

「君のあの時のいやは、もっとって意味でしょ?」

「ふん、春水なんてしらない。しばらくしないからな」

「えー。機嫌なおしてよ」

京楽は、浮竹のご機嫌とりに、苦労するのであった。

桜の花神も、桜鬼神も、また眠りにつく。

神であれる時間は短いので、必要以上に神にはならない。

桜の王と桜鬼が、痴話喧嘩もどきをしだすのであった。





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桜のあやかしと共に90

「春水、春水」

「ん、なあに?」

「よかった‥‥桜鬼ではあるけれど、悪鬼ではないな」

「悪鬼には、なろうと思えばいつでもなれるよ」

京楽は、ごく当たり前のことのように言う。

それに、浮竹が悲しそうな顔をした。

「頼むから、悪鬼にはならないでくれ。念のために、桜の術で封印しておく」

浮竹は、複雑な封印を京楽に施す。

「異界にいるままではなんだしな。現世に戻ろう。白哉たちが心配しているはずだ」

「十四郎、もう怪我は癒えたの?」

「ああ。回復に2週間かけたが、心臓は呪詛を受けていたからな。俺は呪詛とかに弱いから、普通なら1日で治せる怪我だったが、2週間かかった」

「解呪をかけておいたけど、やっぱり完全に呪詛をとりのぞけなかったんだね」

浮竹と京楽は、手を握りあって現世の京楽のマンションに帰ってきた。

「浮竹!京楽も!!!」

白夜が、恋次を連れ込んでいたが、いつもは赤ハエと言って、殺虫スプレーをかけるのだが、今回はとりあえずない。

「白哉、心配をかけたな。もう、大丈夫だ」

「すまぬ。私が、藍染などに人質にとられたから‥‥」

「藍染が悪い。あいつのしそうなことだ」

「でも、命を1つ摘み取ったから、ダメージはかなり負っているはずだよ。念のために、恋次くんも藍染には気をつけてね」

「あ、はい」

恋次はさっきまで白哉とイチャイチャラブラブしていたようで、ちょっと居心地が悪そうな顔をしていた。

「白哉の傷は、完全に治癒したんだな、京楽?」

「うん。呪詛も何もなかったから、酷い怪我ではあったけど、命に係わるほどじゃあなかったよ」

「俺、ちょっと用事を思い出したんで先帰ります。白哉さん、また今度に」

「うむ。帰り道、気をつけるのだぞ、恋次」

「はい」

恋次は、式神を従えながら自分の家に戻っていった。

「いるんだろう?もう人間はいない。でてきて大丈夫だぞ」

鴆の京楽と彼岸花の精霊の浮竹が現れる。

『ごめんね。ボクが人間が苦手なせいで』

「いい。見ての通り、俺は元気だ。2週間は休眠したが、そっちは大丈夫だったか?」

『夜叉神のなりそこないが全部で3体でたけど、どれも彼岸花の養分にしておいた。もう、夜叉神のなりそこないはいないようだ:』

「そうか。藍染も、命を狩られて今がおとなしくしているようだな」

『彼、悪鬼になったんでしょ?元に戻ってるけど‥‥…』

彼岸花の精霊の浮竹が、浮竹に耳打ちをすると、浮竹は封印を施したと言った。

『ふうん。封じちゃったんだ。もったいない』

「お前は、京楽の中の闇に近いからな。まぁそうかんじるかもしれないが、悪鬼はだめだ。ずっと悪鬼のままでいると、理性を失う」

『2週間も眠っていて、おなかすいたでしょ。食事の用意、してあるから』

鴆の京楽の言葉に甘えて、浮竹と京楽は食事をした。

薬膳料理だったが、2週間も眠っていたのでそちらのほうがありがたかった。

「白哉、大丈夫か?」

「いや、ただ食事が口にあわぬだけだ。薬膳料理はあまり好きではない」

いやそうに食事をする白哉に、浮竹が辛めのチャーハンをささっと作って与えた。

「白哉は、子供のころからこの料理が好きだからなぁ」

「ふふ。浮竹、兄が私には兄であると同時に父であり、母であった」

『ボクの薬膳料理まずい?』

鴆の京楽が、少しがっかりする。

「いや、うまいぞ。ただ、白哉はこういう系統の料理が苦手なんだ」

『妖力も補充できるのにな?』

彼岸花の精霊の浮竹は、浮竹の耳元でこっそり耳打ちする。

『今夜は、しっぽろしろよ?それが、悪鬼の抑制力になる』

浮竹は、赤くなる。

それを見て、鴆の京楽は苦笑いして、京楽は何も分からないので首を傾げているのだった。


「白哉、首元が赤い‥‥‥キスマークか!おのれええ、あの赤ハエ、今から殺虫剤ふきかけにいってくる!!」

浮竹は、殺虫スプレーをもって、恋次の家に行こうとする。

それを、京楽と白哉が必死でとめて、鴆の京楽と彼岸花の精霊の浮竹は、笑ってみてるのだった。

さして、結局殺虫スプレーを吹きかけられた恋次は、謝りながらも京楽の家で白哉としっぽりしないという約束には、あいまいに頷くのであった。


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「夜叉神のクローンは全て使い果たした。私は10あるうちの1つの命を失った」

藍染は、悔し気に爪を噛む。

「あの、京楽という者の悪鬼。あれはなんだ。四季の王も、私にさえ匹敵する力をもっていた」

「藍染様、食事の用意ができております」

「九尾狐か。ちょうどいい、京楽に化けて、四季の王にこの呪詛をかけろ」

「はい‥‥‥‥‥」

九尾狐の女は、藍染から渡された呪詛の塊を、つかむのであった。




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桜のあやかしと共に89

「十四郎、十四郎!」

浮竹の意識はない。

「よくも十四郎を‥‥」

桜鬼の京楽は、目を深紅にして、夜叉神のまがいものの腹を腕でつらぬく。

「ぐはっ」

「死ね。藍染も同じ目に合わせてやる」

京楽の闇は深く、底なしだった。

「ふはははは、神である私を滅ぼせるとでも?」

嘲笑して高みの見物を決め込んでいた藍染の背後に、一瞬で移動して京楽はとがった爪をきらめかせる。

「死ね」

「ぐあっ」

夜叉神のまがいものと同じように腕で腹を貫かれて、藍染は苦しむ。

京楽は、闇に身を委ねて、悪鬼になっていた。

「ボクは神をも殺せる。神など、滅んでしまえ」

「ふはははは。私は命がいくつにも分かれているのだ。この程度では滅びない」

「なら、全部の君の命をつみとっていくまで」

京楽は、闇に飲み込まれていく。

「きょうら‥‥‥く」

「十四郎、しっかりして!今、傷を癒すから」

「闇に、飲まれるな。悪鬼になるな」

「そんなことどうでもいいんだよ!今の君の傷は、半神半妖といえど、命にかかわる!」

京楽は、桜鬼である自分の妖力も癒しの力に変えて、なんとか浮竹の命は繋がった。

「藍染‥‥‥全部の命を、つみとってやる」



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「くくく、命をもらいにきたぞ」

「またきたのか、夜叉神のまがいもの。あいにく、お前に渡す命などない」

「死ね!」

夜叉神のまがいものは、浮竹を殺そうとする。

「君が死んでよ。ボクの十四郎を殺そうとするなて許せない」

いつの間には、京楽は桜鬼になっていた。

「今度こそ、封印する。時間稼ぎを頼めるか、京楽」

「うん、任せて」

「くくく、今回はそうはいかない。あいつもきているからな」

「あいつ?」

「危ない!」

京楽は、浮竹を自分側にひっぱった。

「くそ、外したか」

「藍染!?」

「ふふふ、そうだとも。長老神であり、四季の王になる者だ」

「俺がいる限り、お前は永遠に四季の王になれず、神にもなれない」

藍染は、忌々しそうに浮竹を睨んだ。

「くくく、こいつの命がどうなってもいいのか?」

「白哉!」

「白哉くん!」

藍染の手の中には、血まみれの白哉がいた。

「よくも白哉を。許さない」

「おっと、動くなよ。動けば、この桜の花鬼の命はない」

「く‥‥」

「卑怯だぞ、藍染!」

「卑怯だろうが、四季の王を殺せればいいのだ。さぁ、夜叉神やってしまえ!」

長老神である藍染は、自分の手では四季の王を殺せない掟があるので、夜叉神のまがいものに浮竹の抹殺を命令する。

「白哉、今助け‥‥‥ぐはっ」

背後から、浮竹は剣で貫かれていた。

「夜叉神が二人?」

「くくく、私に不可能の文字はない.。さぁ、夜叉神、四季の王の首をはねてしまえ!」

「悪いが、死んでくれ」

「死ぬのは、君たちのほうだよ」

京楽は、浮竹を傷つけられて、闇に飲み込まれていた。夜叉神から傷ついた浮竹を離すと、藍染からも夜叉神からも離れた場所に移動する。

白哉も、術でこちらの手にもってきたが、酷い怪我だが、浮竹のほうが酷かった。心臓を貫かれていたのだ。

「浮竹、今傷を癒してあげるからね」

「無駄だ。呪詛の魔剣で攻撃した。普通の治癒術ではなおらない。さぁ、一人では寂しいだろうから、お前も一緒に死んでやれ」

「お前が死ね!」

京楽は夜叉神のまがいものと剣を交えながら、浮竹と白哉に遠距離で治癒術をかける。

そして、桜鬼の京楽は、目を深紅にして、夜叉神のまがいものの腹を腕でつらぬく。

「ぐはっ」

「死ね。藍染も同じ目に合わせてやる」

京楽の闇は深く、底なしだった。

「ふはははは、神である私を滅ぼせるとでも?」

嘲笑して高みの見物を決め込んでいた藍染の背後に、一瞬で移動して京楽はとがった爪をきらめかせる。

「死ね」

「ぐあっ」

夜叉神のまがいものと同じように腕で腹を貫かれて、藍染は苦しむ。

京楽は、闇に身を委ねて、悪鬼になっていた。

「ボクは神をも殺せる。神など、滅んでしまえ」

「ふはははは。私は命がいくつにも分かれているのだ。この程度では滅びない」

「なら、全部の君の命をつみとっていくまで」

京楽は、残酷に笑った。

「きょうら‥‥‥く」

「十四郎、しっかりして!今、傷を癒すから」

「闇に、飲まれるな。悪鬼になるな」

「そんなことどうでもいいんだよ!今の君の傷は、半神半妖といえど、命にかかわる!」

京楽は、先に酷い怪我ではあるが、命に別条のない白哉を癒してから、浮竹にかけられた呪詛を浄化し、自分の命の炎を治癒能力に変えて、浮竹を癒す。

少しずつではあるが、浮竹の傷が塞がっていく。

ある程度まで治癒して、虫の息の夜叉神のまがいものと、藍染に、死刑宣告をするように、京楽はニィと笑って、二人をずたずたに切り裂いた。

結果、夜叉神のまがいものは死に、藍染も死ぬかと思ったのだが、命をいくつもっているとは本当のことのようで、傷を手で庇いながら、空間に溶け込んでいく。

「私に傷を負わせたこと、絶対に後悔させてやる」

「滅びよ」

「ぐぎゃ!?」

悪鬼となった京楽は、藍染の1つ目の命をつみとっていた。

「あははははは。破壊だよ。藍染なんて、全て殺して、十四郎を傷つける者もみんな殺してやる」

「きょうら‥‥く、正気に、戻れ」

「十四郎、ボクは今の力を気に入っているんだよ。君を守れる。このままでいていいよね?」

「だめだ。悪鬼のままでは、いずれ破壊衝動で、自我が壊れる」

「君を守れるなら、それでもいい」

「俺が、嫌なんだ。もう、「春」の時のように失いたくない」

浮竹は、震える手を京楽の頬に添えて、キスをする。

桜の術をかけた。

京楽は、悪鬼の姿から桜鬼の姿に、それから人の姿に戻った。

「十四郎、そんなことしたら傷が!」

「傷が深い。少し、眠りにつく」

「十四郎、君が眠るならボクも眠るよ」

悪鬼であったはずの京楽は、浮竹の命の雫をもらって元に戻った。

「白哉‥‥すまない、後は頼む。2週間ほど、眠りにつく」

気が付いた白哉にそう言って、浮竹と居楽は、異界の浮竹の本体である桜の大樹でしばしの眠りにつくのであった。






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桜のあやかしと共に88

「たまには俺も、祓い屋の仕事の手伝いをするぞ」

「いや、君がくると神の気配にあやかしたちがびっくりして、退治するやつも出てこないから」

「じゃあ、妖力を極限にまで抑えて子猫姿になる。それなら、同行してもいいだろう?」

「うん、それならね」

こうして、浮竹は久しぶりに京楽の祓い屋の仕事を手伝うとことになった。

祓い屋稼業をしてすでに京楽は10年以上になっていた。

最初の頃は力量以上のものは避けて、浮竹と出会ってから、力あるあやかしも退治できるようになった。

最近の浮竹は封印が解けて、桜の花神であったことが分かり、神の気配に退治するはずのあやかしが恐れをなして出てこないので、京楽一人で退治していた。

「今回の依頼はなんだ?」

子猫姿で、浮竹は流暢に人の言葉をしゃべる。

「滝夜叉姫が出たそうなんだ。若い姿を保つために、少女をさらって食ってしまうそうだよ」

「滝夜叉姫か。女は怖いからな」

「人が食われるのは最悪のケースだ。早く依頼をこなさないと、次の犠牲者が出る」

「ふむ。じゃあ、俺は滝夜叉姫が出てきたら、元の姿に戻って攻撃するな?」

「うん、それなら問題ないかも」

滝夜叉姫が出るという渓谷に、京楽の高級車でやってきた。

依頼人は、村全体だった。

渓谷に来る前に、村に立ちよって、次の生贄として選ばれた少女と行動を共にすることにした。

「あの、本当に大丈夫なんでしょうか」

「任せておけ」

「ひい、子猫がしゃべった!化け物!」

「化け物は酷いな。本来なら、こんな姿だ」

少しだけ人型をとると、少女は頬を赤らめた。

「かっこいい‥‥美人‥‥」

「ちょっと十四郎、何人の子に好かれてるの」

「俺は本体を見せただけだぞ」

「君の姿を見たら、たいていの女の子は惚れちゃうよ」

「心配するな、俺が惚れているのは京楽、お前だけだ」

「あの、お二人の関係は?」

子猫姿に戻っていた浮竹が、隠しもせずにいう。

「恋人同士というか、伴侶だ」

「きゃああああ、イケメン同士で」

少女は、鼻血をふきだした。

とりあえずティッシュを与えて、滝夜叉姫が出るという渓谷にくると、生贄の少女を結界で守りながらさしだす。

「ほほほ、わらわの永遠の若さのために、そなたを食らうことにしよう」

「きゃあああああああ」

滝夜叉姫を見て、少女が悲鳴をあげる。

それが合図だった。

ばちっと、結界に弾かれて、滝夜叉姫は目をかっと深紅にして、牙を生やして怒る。

「おのれ、術者か!前の術者のように、わらわの栄養源にしてくれるわ!」

「うわぁ、ヒステリーっぽいおばさんだなぁ」

元の姿に戻った浮竹の言葉に、滝夜叉姫は敵意を浮竹に向ける。

「おのれ、桜の王か!人と慣れ親しみ、落ちたそなたなぞに負けはせぬわ」

浮竹は、桜の花びらをふっと吹いた。

「ぎゃあああああああああ」

桜の花びらごと炎に包まれて、滝夜叉姫は水を生み出すと、それで鎮火する。

「おのれえ、わらわの美貌を台無しにしようとしおって」

「美貌っていうけどね、君、それほど美人じゃないよ」

「なにぃ!?」

滝夜叉姫は、術者である京楽を殺そうと、鬼火を放つが、それは京楽は出した桜の文様のある日本刀で一丁両断されてしまう。

「本当の美人は、自分が美人だなんて自慢しないし、心も綺麗だよ。君は、そうだね、少女たちを食らってできたつぎはぎの整形手術失敗したような、醜い化け物だよ」

「おのれええ、わらわを誰と心得る!伝説の滝夜叉姫ぞ!」

「じゃあ、俺は5千年も生きている桜の王だ」

「桜の王ごときに‥‥」

「てい」

浮竹は、まぶしい光を放って、滝夜叉姫の目を焼いた。

「いまだ、京楽!」

「うん!天空破邪、天炎、天雷、縛、滅!」

「ぎいやあああああああああ」

すごい悲鳴をだして、滝夜叉姫は首だけになって、浮竹の傍に転がった。

「さ、桜の王、わらわが伴侶になって、子を産んでやろう。だから、命までは‥‥」

「君、もう5人も食い殺してるんだってね?その分際で、しかもそんな姿で浮竹に近づかないでくれえる?浮竹が汚れちゃう」

「おのれええ、術者の人間がああああああ」

「あ、ボク人間じゃないから。桜鬼だからね」

桜鬼の姿になって、首だけになった滝夜叉姫を京楽は踏みつぶした。

「くくく、もともとわらわは霊魂の存在。肉体なぞ、いくらでも‥‥」

「縛!禁!」

「な、霊魂のわらわをしばる術だと!?」

にじみ出てきた滝夜叉姫の霊魂を、京楽が動けないようにする。

「霊魂ごと滅びよ。桜よ、食らいつくせ」

桜の花びらが、じわりじわりと滝夜叉姫の霊魂を食っていく。

「いやじゃ、こんなところで死にたくない、桜の王よ慈悲を!」

「そんなもの、人を食らったところでもう存在しない」

「桜鬼と呼ばれていたそなたも、散々人を食らったではないか!」

「そうだな。そんな時もあったが、反省している。今は、人間と共存しているさ。滅べ」

「いやじゃあああああああ。わらわの美貌があああああ」

それだけ叫び言い残して、滝夜叉姫は完全にこの世から消えた。

「霊魂、食べちゃったの?」

「ああ。俺の桜は悪食だから」

「あーあ、霊魂まで食われると、冥界にもいけやしないね」

「それでいいんじゃないか。生まれ変わりができるとかいやだしな」

「そうだね」

結界で守られていた生贄の少女は、気を失っていた。

「このまま、村まで運ぼう。ああ、この水晶に滝夜叉姫は宿っていたんだな。割れて粉々だけど。退治した証拠品として提出しよう」

「あ、一応浄化かけとくね?」

「ああ、すまんな」

京楽は、割れた水晶に浄化をかけておいた。

長らく滝夜叉姫を宿らせていたので、水曜は闇に満ちていた。

完全に浄化しおわると、水晶は虹色に煌めいていた。

「瑠璃虹水晶か」

「そうみたい」

「道理で、滝夜叉姫を宿しても壊れないわけだ」

瑠璃虹水晶は、神をも宿す。

「もう使えないように、粉々にくだいていこう。藍染なんかが、手にしたら大変だ」

「そうだね。国内でも、もう5つもないんじゃないかな」

生贄だった少女を乗せて、高級車で浮竹と京楽は村まで戻った。

退治した報酬金として、500万が現金で支払われた。

「ありがとうございました、術者の方々。そちらの白い髪のお方は最初いなかったような?」

「ああ、気にするな。こいつの式神だから」

「なるほど」

村人たちは、手と手をとりあって、滝夜叉姫の消滅を喜んだ。

「なぜ、もっと早くに‥‥そうすれば、うちの子は死なずに済んだ」

一部の、子を失った親たちの憎しみを受けながら、浮竹と京楽は早々と村をあとにする。

子を生贄にされた親にとって、京楽と浮竹の存在はいいものではない。なので、早めに帰った。

「喜ばれる一方で、憎しみもぶつけられる。祓い屋稼業は、これだからあまり好きでない」

「まぁまぁ、浮竹。ボクの生業だしね」

「ああ」

マンションに戻ると、どこか色っぽい白哉と風呂あがりの恋次と遭遇した。

「あ、赤ハエ!」

「恋次、逃げろ!」

「えええええええ!!!」

「殺虫スプレーで退治してくれる!」

本当に殺虫スプレーを、恋次にかける浮竹であった。


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桜のあやかしと共に87

「彼岸花の精霊の俺、鴆の京楽ではなく、昔の山の王の京楽を求めているのか?」

『そ、そんなつもりは‥‥‥』

彼岸花の精霊の浮竹は、言葉をつまらせる。

『ただ、京楽に傍にいてほしい。離れたくない。死なないでほしい』

「君の思いは分かるけど、君は心のどこかで、昔の山の王のボクを欲している」

『そうか‥‥‥‥』

彼岸花の精霊の浮竹は、俯いた。

『だが、今の京楽のままでもいいんだ!』

「うん。それは分かってる」

「彼岸花の精霊の俺が、今の鴆の京楽だけでないものを欲している。見ていてつらい。それに、下級とはいえあやかしを殺しすぎている。今後の改善点は多いぞ」

『改善したら、京楽は許してくれるか?』

「多分ね。絶対とまでの保証はないけど、君が鴆のボクに山の王を重ねなくなったら、前みたいに仲睦まじくいられるよ」

『俺は、山の王だった京楽が好きだった。外の世界を教えてくれたから。でも、もういない」

「そうだね」

「ああ。死んでしまったものは仕方ない」

「今の京楽をずっと好きでいたい』

「いっそ、山の王の京楽の記憶を封印するか?」

『いやだ。それはいやだ』

彼岸花の精霊の浮竹は、首を左右に振る。

『山の王だった京楽も大好きなんだ。今の京楽も大好きだけど』

「結局、問題は解決しないのか?」

『俺が変わってみる』

「うん。そのいきだよ」

京楽に励まされて、彼岸花の精霊の浮竹は鴆の京楽に山の王の京楽をなるべく見ないことをしようと思った。

「さて、あちらさんは、一人で今頃何を悩んでいるんだろうね。まぁ、大体の察しはつくけど」

結局、彼岸花の精霊の浮竹は京楽のマンションに泊まった。

「寝顔だけ見てると、本当に君がもう一人いるみたいなんだけどね?」

「寝ている間に術をかけよう。山の王の京楽を、だんだん忘れていく術を」

「いいの?そんなことして」

「そうでもしないと、二人に待っているのは破滅だ」

「うん、そうだね」

彼岸花の精霊の浮竹は、眠りながら涙を零した。

『もう‥‥失いたく、ない』

「やっぱり、術かけるのやめておく。これは二人の問題だ。俺たちがどうこうしていい問題じゃない」

「確かにそうだね。下級のあやかしを食う件は、なくなってくれるといいけど」

「なくなるだろうさ。鴆の京楽がそれを望む限り」

「夜も遅い。ボクたちも寝よう」

「しっぽりはなしだぞ」

「さすがに、今の気分でしっぽりはないね」

「白哉、一緒に寝よう」

部屋のソファーで、静かに読書していた白哉を呼んで、一緒に寝ようと誘う浮竹に、京楽はちょっとだけ眉が動く。

冷静に冷静に。

嫉妬に飲まれると、闇が蠢き出す。

京楽は、桜鬼の闇を今でも体内でかっている。

うまくつきあっていくつもりだった。

「京楽と寝なくていいのか、兄は」

「京楽とは毎日のように一緒に寝てるから、たまには白哉と寝たい」

「私は別にかまわぬが。京楽が、変な顔をしているぞ」

「ああ、あれは放置でいい」

次の日のあさ、鴆の京楽が彼岸花の精霊の浮竹を迎えにくるのだった。



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