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魔王と勇者と28

「その尻尾本物か?」

浮竹は、魔神の京楽のドラゴンの尻尾を見る。

フェンリルの浮竹のふさふさの尻尾と違って、ごつごつしていたが、ゆらりと揺れる。

『本物だよ。ドラゴンの尻尾さ』

「とかげのように見える」

『切ってみる?再生すぐにしちゃうけど』

「おもしろい」

『あわわわわ、勇者の俺!』

「ちょっと、浮竹?」

フェンリルの浮竹と京楽に止められそうになる前に、浮竹は魔王剣ディアブロで魔神の京楽の尻尾を本当に切ってしまった。

『わぁあああ、京楽!』

『いや、大丈夫だよ?もう再生したから』

「はや‥‥‥」

切った浮竹本人も驚くほどの再生力だった。

剣を抜いて、切って、鞘におさめる間に再生していた。

「あ、切られたしっぽはとかげみたいに動くのか」

『うん。かわいいでしょ』

「不気味だ‥‥‥‥」

「不気味だね‥‥」

『お、俺は京楽の味方だぞ?かわいくみえなくもないというかなんというか』

フェンリルの浮竹は、ビタンビタンと動く切れた尻尾を見て、尻尾をへにゃりとさせる。

『まぁ、一応魔神の体の一部だから悪用されないために消し炭にしとくね』

魔神の京楽は、切れた動く自分の尻尾を灰にする。

「見なかったことにして、お茶にしよう。フェンリルの俺、一緒に茶菓子を作ろう」

『うん。何をつくるんだ?』

「木苺のタルトでいいか」

『分かった。昨日つんだ木苺があるから、それを使おう』

浮竹は不器用なりに料理ができるようになっていた。まだ補助は必要だが、ダークマターは生み出さない。

最初の頃はダークマターをうんで、京楽の胃に穴をあけさせたものだ。

『勇者の俺、料理する手つきがさまになってきたな』

「べ、別にほめられてうれしいとかそんなんじゃないからな」

浮竹は顔を赤くする。

フェンリルの浮竹はしっぽをばっさばっさ振っていた。

『今日も触るか?』

「べ、別に‥‥‥‥いや、触る」

浮竹は、木苺のタルトをフェンリルの浮竹を中心に一緒に作ってから、フェンリルの浮竹の尻尾をもふる。

「毛皮にしたい」

ピーンと、フェンリルの浮竹の尻尾が立つ。

『お、俺の尻尾は京楽のものと違ってはえてこないからだめだぞ!』

「言ってみただけだ。実行は絶対にしない」

『ならよかった』

魔神の京楽と京楽は、テーブルと椅子をセッティングして、ダージリンの紅茶を4人分入れて、せきにつく。

「またせたな。木苺のタルトだ」

『俺と勇者の俺の手作りだぞ!』

「浮竹‥‥‥昔はあれほどダークマターを生み出していたのに、成長したね」

ホロリと、京楽が涙を零す。

『ダークマター?なんのことだ?』

浮竹の過去の料理を知らないフェンリルの浮竹は、きょとんとしていた。

『なんとなく察しはついたよ。成長したんだね』

魔神の京楽がそう言う。

「べ、別に嬉しくなんてないんだからな!」

『ツンデレな勇者の俺かわいい!』

フェンリルの浮竹は、浮竹に抱きつく。

「茶が冷めてしまう前に、食べよう」

『む、それもそうだな』

4人で、午後のティータイムを楽しむ。

ちなみにこの後は京楽は魔王の仕事が残っているので、浮竹と一緒に帰る予定だった。

それを伝えると。

『むう。もっと一緒にいたい』

『浮竹、わがままを言ってこまらせてはだめだよ』

魔神の京楽に諭されるが、フェンリルの浮竹は今回会うのが1週間ぶりだったために、我儘を言い出す。

「じゃあ、また魔王城にくるか?仕事をさっさと片付けるから」

『うん!行く!』

『ごめんねぇ、何度もおじゃまして』

「フェンリルの浮竹がいたほうが、浮竹の仕事のスピードがさらに倍になるんだよね。早く構いたいから。そうすると、ボクの仕事も全部早く片付くってわけ」

京楽は助かるとばかりに、フェンリルの浮竹を見る。

フェンリルの浮竹も、暇なので仕事を手伝ってくれる。魔神の京楽は手伝はない。

『勇者の俺と遊ぶために、今日も俺も仕事手伝うぞ!』

「フェンリルの俺、助かる。その姿を見ているだけでも、俺も仕事が片付くのが早くなる」

6時間はかかりそうな仕事を1時間半で終わらせて、遊ぶと言った通り、浮竹とフェンリルの浮竹は、近くのコラッドの森にきのこと薬草採取に出かけてしまった。

無論、魔神の京楽は一緒だ。

京楽はというと、聖女教の信徒の脱退に金を出していた。

「ボクの魔王領に新しい領地を作ったから、よければそこに住んで?」

「ああ、魔王様!今の魔王様がこんなにお優しいなんて‥‥‥」

「聖女教は間違っている。魔王様を弾圧するなんて」

「そうだそうだ」

元聖女教の者たちは、藍染の洗脳を京楽がといてまわっているので、聖女教から離脱していた。



「ただでさえ、魔神となるのに贄が1万必要なんだ。邪魔をしないでくれるかな」

「お前は、藍染!」

「魔王京楽、死んでもらう」

藍染は目にもとまらぬ速さで、京楽を切り捨てて、去ってしまう。

「切られて‥‥でも無事?あ、浮竹からもらった守護の飾り羽が身代わりになってくれたのか‥‥‥‥」

京楽は、聖女教の厨房に転移して、藍染用の夕食にモレ草をまぜた。

モレ草はすごいききめの下剤になる薬草だ。効果がきついので、毒草ともいわれている。




「ぬおおおおおおおおおおおおお」

その日の晩、藍染はモレ草のせいで1週間トイレの住人になるのであった。

ちなみに、きのこを採って帰ってきた浮竹たちがとってきたきのこは毒を含んだものが少しあって、それも今度こっそり藍染の夕食に混ぜてやろうと思う京楽であった。






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魔王と勇者と27

浮竹と京楽は、フェンリルの浮竹と魔神の京楽の住む古城に遊びにきて、お茶をしていた。

浮竹の目線はずーーっと、フェンリルの浮竹の尻尾を見ていた。

『あ、勇者の俺。俺の尻尾、触るか?』

フェンリルの浮竹が尻尾をさしだしてくると、浮竹は顔を赤らめた。

「そ、そんなんじゃない」

『ふえ?違うのか?』

京楽に、フェンリルの浮竹の尻尾を触りすぎていると、注意されたばかりなのだ。

本当は触りたい。でも、触ったら意味がない。

我慢している意味が。

『結局、触らないのか?』

フェンリルの浮竹はきょとんとしていた。

魔神の京楽が、何か言いたそうにしていたが、あえて何も言わない。代わりに京楽が言う。

「浮竹も、君の尻尾ばかり触るの失礼だと思ってるんだよ」

『ふえ?俺は別に構わないが』

そんなフェンリルの浮竹に、浮竹は尻尾を触りたいとさっきからずーっとうずうずしていた。

『なんかよくわからん』

フェンリルの浮竹は、相変わらずきょとんとしていた。

「ああ、我慢の限界だああああ」

浮竹は、思い切りフェンリルの浮竹の尻尾をもふる。

『ふふ、触りたいなら言えばいいのに』

「な、別に触りたいとは思ってないんだからな!」

「浮竹、そう言いながらめっちゃもふってる」

『ああああ、この触り心地が‥‥‥はっ、俺は別に!」

浮竹は赤くなる。

フェンリルの浮竹は、かわいくにっこりと笑っていた。

「うう、スマイルもやばい。俺は、このかわいい生物をどうしたいんだ。自分でもわからん」

「浮竹、重症だねぇ」

『そうさせた原因は君にあるんじゃないの?』

「ボクはただ、フェンリルの浮竹の尻尾触ってばっかいると、抱くよって言っただけだよ」

『それで葛藤してるんだね。勇者の浮竹も不憫な』

京楽たちは、浮竹たちを紅茶を飲みながら静かに見つめる。

「俺は別に、お前のことかわいいなんて‥‥‥‥思ってない‥‥‥‥わけがない!かわいすぎる!いっそ俺の嫁になってくれ!」

『ふえ?俺は京楽のものだから、無理だぞ?』

「分かってはいるんだ。最近はケルベロスのケロちゃんの尻尾触って我慢してたけど、やっぱりフェンリルの俺の尻尾がいい!」

「浮竹、ボクと結婚してるんだから、嫁になんかしたら不倫だよ」

「不倫でも尻尾があああああ」

『大分重症みたいだね』

魔神の京楽は笑っていた。

『ふふ、勇者の俺、俺はいつでもお前の傍にいくから、我慢しなくていいんだぞ?』

「ああ、フェンリルの俺!」

浮竹は、もうフェンリルの浮竹の尻尾に顔を埋める。

『きもちいいか?』

「きもちいい。ふかふかで最高だ」

『そう言われると嬉しいな』

フェンリルの浮竹の尻尾が少し揺れるが、浮竹が顔を埋めているためあまり動かせない。

「はぁ、ありがとう。我慢してたのが間違いだった。もふりたいときにもふる。これでいこう」

「浮竹、抱かれてもいいの?」

「もうやけくそだ。抱いてもかまわん。俺は俺のやりたいように生きる!」

とても、エトナの神の子とは思えない我儘な発言であったが、その場にいた3人はクスリと笑う。

「ああ、もふりすぎて毛並みが‥‥‥‥エトナ神の名において、慈悲を与えたまえ」

浮竹は、エトナの力を使い、フェンリルの浮竹の尻尾はいつもよりもふかふかで毛並みもよく、つやつやだった。

『あ、ボクももふりたい』

「ボクも」

「最初は俺だ!」

言い争いあいになり、結局はじゃんけんで決めて、浮竹が一番だった。

「ああ、この毛並みと手触り‥‥‥病みつきになる‥‥‥‥」

『ふふ、俺の尻尾だからな。勇者の俺、ブラッシングしてみるか?』

「ブラッシングだと!するに決まっている!」

フェンリルの浮竹の尻尾は、その日めちゃもふられるのであった。




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魔王と勇者と26

その日は満月が綺麗な夜だった。

魔神の京楽とフェンリルの浮竹の住まう古城へ、浮竹と京楽は魔王の仕事を終わらせて、泊まりにきていた。

本当は日帰りの予定だったのだが、浮竹が満月の日のせいで犬くらいの大きさのフェンリル姿になったフェンリルの浮竹をもふりまくっていると、離れがたくかんじたせいだ。

『こしょばいぞ』

「かわいい。もふもふだ」

『フェンリル姿の俺も悪くないだろう?』

「ああ、かわいすぎてお持ち帰りしたくなる」

『ちょ、浮竹は渡さないよ!?』

魔神の京楽が、浮竹につっこみをいれる。

「心配しなくても、連れて帰ったりはしない。連れて帰っても、転移魔法ですぐ戻れるだろうしな」

『だからって、お持ち帰りはなしだよ』

「魔神のボク、心配しすぎ。浮竹は連れて帰ったりしないよ」

フェンリル姿から元に戻れないのは、満月の日である。

日付が変わったら、人間の姿になるので、京楽たちもそれほど心配していなかった。

『あれ、日付変わったのに元に戻れない』

「あ、すまん。俺がエトナの力でもっともふりたいと願ったせいだ。あと2~3時間は元に戻れないと思う」

『勇者の俺、俺のフェンリル化をコントロールしてしまうとは、やるな!』

フェンリルの浮竹は、犬のサイズでばっさばっさと尻尾を振る。

「はぁ‥‥‥癒される。魔王城で犬か猫でも飼おうかな」

「世話が大変だし、こうやって遠出したり泊っている日は部下の者たちに世話をおしつけることになるから、だめだよ」

「うう、分かっているんだ。だけど、こうもかわいいと飼いたくなる‥‥‥」

『俺はいつでもフェンリルの姿になれるから、もふりたくなったら言ってくれるといいぞ』

浮竹は、ふと気づいてアイテムポケットから、鮮やかな色彩の鳥の羽を取り出す。

『わぁ、綺麗だな』

「フェンリルの俺にやる。俺の背中の翼から抜け落ちた羽を加工したものだ。お守りになる」

『エトナの子の体の一部なら、効果はありそうだね』

魔神の京楽にも、浮竹は鮮やかな羽をあげた。

『光に反射する。綺麗な羽だな。勇者の俺の翼から自然に抜け落ちたのか?』

「いや、自分でむしった。エトナの子である限り、羽の一枚でも魔力がこもるからな。悪用されないために、自然と抜け落ちないようにしている」

『神の子も大変なんだな。俺は京楽のメイドさんだから、京楽を守ってメイドとして家事をするのが仕事だ。エトナの子は、神の力を他者にあげないといけないんだろう?』

「まぁ、確かにここ最近はエトナの慈悲として、病や怪我人を無料で癒している」

『すごいな!えらいぞ!』

しっぽをばっさばっさ振るかわいいフェンリルの浮竹に、浮竹は抱きしめて離さない。

『わぁ、ちょっと苦しいぞ』

「ああ、なんでこんなにかわいいんだ、フェンリルの俺!人の姿とってる時もかわいいが。かわいさ大爆発だな!」

『えへへへ、そうか?』

魔神の京楽は、じゃれあう二人を見てほんわかとなっていた。それは京楽も同じことだった。

「人の姿してお互い一緒に寝てるのもかわいいけど、フェンリル姿でもふられるのもかわいいね」

『そりゃ、ボクの浮竹だもの』

「何気にのろけてる‥‥‥」

時計は深夜の1時をさして、眠くなった浮竹とフェンリルの浮竹は、ベッドで一緒に丸くなって眠ってしまった。

浮竹は眠る時翼を消す。

フェンリルの浮竹は、犬サイズのフェンリル姿のまま、眠ってしまっていた。

「ボクたちも寝ようか」

『そうだね』

お互いが愛する浮竹たちは、夢の中だ。

フェンリルの浮竹は、浮竹が泊まりにくるとよく一緒に寝るので、自分たちが使用しているものの他に、もう1つ大きなベッドを買った。

今、浮竹たちが眠っているベッドだ。

そのそばで寝れるように、ベッドをあと2つ用意してあった。

それに横になり、京楽たちは浮竹たちをそっと見守りながら、眠りにつくのだった。


「おはよう‥‥‥ふああああ」

『おはよう』

フェンリルの浮竹は、人の姿になっていた。

浮竹は、昨日の名残だとばかりにその尻尾をもふりまくる。

『くすぐったいぞ』

「やっぱ犬飼いたい。なぁ、京楽」

「だめなものはだめ。それに、犬ならケルベロスのケロちゃんがいるでしょ」

「あれはモンスターじゃないか。まぁ、刺客を食べたりしてくれて便利でそこそこかわいいが、フェンリルの俺のかわいさに比べると‥‥」

浮竹は、フェンリルの浮竹を見る。人の姿をとっているが、感情に素直な白い尻尾と頭には白い耳がついていた。

『ふふ、俺ってそんなにかわいいか?』

「かわいすぎる。持って帰りたい」

『ふふ、俺は京楽のものだから、京楽の許可が出ないとお持ち帰りはできないぞ?』

『言っとくけど、許可なんてださないからね』

「ケチ魔神」

「やーい、けち魔神~~~」

京楽がからかいだす。

『君たちねぇ』

魔神の京楽は、呆れた声をだす。

『ケチ魔神なのか、京楽?』

『いや、違うから!』

「フェンリルの俺、魔王城に一緒に行こう。作れるようになったホットケーキ食べさせてやる」

『わーい、勇者の俺の手料理!行く行く!』

『浮竹!』

『いいだろう、京楽?お前ももちろん一緒だ』

『仕方ないねぇ』

魔神の京楽は、フェンリルの浮竹の甘えた声にすぐに陥落する。

『お泊りの次は、そっちにお泊りにいくぞ』

「じゃ、そういうことで。京楽、仕事がんばれよ」

「ええええ。手伝ってくれないの?」

「フェンリルの俺をもてなすんだ。手伝わない」

京楽はしょげる。浮竹の仕事の能力はとても高く、手伝ってもらうといつもの3分の1以下の時間で終わるからだ。

『俺も魔王の仕事手伝う!』

「だそうだ。俺も手伝う」

「浮竹ってば、ほんとにフェンリルの浮竹に弱いんだから‥‥‥」

京楽はため息をつく。

『ボクの浮竹は、それくらいかわいいってことさ』

何気にのろける魔神の京楽を放置して、浮竹たちと京楽は転移魔法で魔王城に行ってしまう。

『ちょっと、ボクを置いてかないでよ!魔神なんだよ!?祟っちゃたうよ!?』

そんな声が、古城で響き、魔神の京楽は3人のあとを追って、魔王城に転移するのであった。




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魔王と勇者と25

その日、浮竹は普通に過ごしていた。

京楽と一緒に、書類仕事をしていた。ふと、浮竹が天井を見上げる。

「エトナ神の声が聞こえる」

「え、なんて?」

「我が元にきたれ、愛児よ、と」

「それって‥‥‥」

その時、浮竹の姿が消えた。光り輝く12枚の翼を出したかと思うと、こう言って。

「エトナ神に呼ばれた。神界に強制転移させられる。すまない、戻ってこれるか分からない」

「浮竹!!」

京楽は、浮竹が残した羽を拾いあげて、青い顔になった。

「神界だって?戻ってこれないって‥‥‥浮竹、ボクはエトナ神であろうと君を渡すことはできないよ」

神界に行く方法を、魔神の元魔王の自分なら知っているだろうと、元魔王の京楽の元に転移する。

『どうしたんだい、君一人って珍しいね』

『勇者の俺は一緒じゃないのか?』

お茶を‥‥‥という雰囲気を消し飛ばして、京楽は元魔王の京楽につめよる。

「浮竹が神エトナの元に拉致られたんだよ。しばらく戻ってこれないかもと言っていた。魔神である君になら、神界への行き方が分かるんじゃないかって」

『神、エトナが自分の子を召喚したんだね。事情は分かったよ。神界へ行こう。危ないから、浮竹は留守番‥‥‥」

フェンリルの浮竹は頬を膨らませて、元魔王の京楽の服の袖をつかむ。

『俺も一緒に行く。勇者の俺を迎えに行く』

『はぁ、そう言うと思ったよ。でも、神界は‥‥‥』

『なにがなんでも行くからな!』

フェンリルの浮竹は、一度言い出すと止まらないようだった。

『分かったよ。君も連れていく』

フェンリルの浮竹は尻尾をばっさばっさ振る。

『ボクは魔神だからね。神界へも行けるんだ。ゲートを開くから、そこに入って』

京楽にそう言い聞かせて、元魔王の京楽は古代語で呪文を唱えると、ゲートを開いた。

「ごめん、この恩は必ず返すから!」

京楽がまずはゲートに入る。次にフェンリルの浮竹、元魔王の京楽の順で入り、転移した。


『ふあああああ』

神界は、桜の花が咲き乱れる美しい場所だった。

フェンリルの浮竹が、美しい光景に声をあげる。

「エトナ神、いるんでしょ!浮竹を返して!!!」

京楽が叫ぶ。

ゆらりと空間が揺らいで、とても美しい青年が姿を現す。

「浮竹は、我が子。愛児として愛し、力を与えて地上に返そうと思っていたのだが、わざわざ神階まできたのか」

「力なんてどうでもいい。浮竹を返して」

『そうだぞ!たとえ神にだって、勇者の俺を拉致っていいわけがない!』

フェンリルの浮竹は、エトナ神に噛みつかんばかりの勢いだった。

「私は創造の神。そちらの破壊の魔神と違って、傷つけたりはせぬ」

『ボクは確かに破壊の負を司る君の対極に位置しているけど、勇者の浮竹を返してくれないかな。場合によっちゃ、神界をめちゃくちゃにするよ』

「我が愛児は、愛されているのだな。力はさずげおわった。本来なら神界でしばらく過ごしてもらうところなのだが、神界に魔神がいるのは困る。連れて帰るのなら、好きにせよ」

すーっと、浮竹の体が現れる。

眠っているのか、意識はなかった。

「浮竹!!!」

「眠っているだけだ」

「今後、エトナ神だからって浮竹を勝手に連れて行かないでね。魔神のボクに頼んで、神界めちゃくちゃにしちゃうからね」

『綺麗な世界だけど、勇者の俺を返さないなら暴れる』

フェンリルの浮竹は、がるるるるると、エトナ神を威嚇する。

『落ち着いて、浮竹』

それを、魔神の京楽がなだめる。

『エトナ神、いかに君が勇者の浮竹の親とはいえ、無断で連れていかないでね。ボクが暴れて神界をめちゃくちゃにするのを、二人が願ってしまう。ボクも、返してもらえないと暴れるけどね』

「ふふ、私の愛児はたいそう愛されているようだ。連れて帰るがよい。力は受け渡した」

『エトナの神の力が濃くなってるね』

魔神の京楽が、意識のない浮竹に触れる。

京楽は浮竹をお姫様だっこすると、魔神の京楽に言う。

「帰ろう」

『そうだぞ。神界などぶっそうなところに長居は無用だ』

フェンリルの浮竹は、浮竹を撫でてから魔神の京楽の手を握る。

『転移して元の人間界に戻るよ。魔法陣の中らから、外に出ないでね』

魔神の京楽は、魔力で地面に魔法陣を描くとそこに乗り、京楽と意識のない浮竹、それにフェンリルの浮竹がそこに乗る。

気づけば、魔王城のバルコニーにいた。

「浮竹、力を与えられたって言ってたけど、大丈夫かな」

『エトナ神は、傷つけるような真似はしない。神の力が強くなるだけだよ』

『むう、エトナ神だかなんだか知らないが、勇者の俺を傷つけていたなら消し炭にしてやっていた』

『いや、相手は一応神だからね?無理だからね?』


「ん‥‥‥俺は?確か、エトナ神に呼ばれて‥‥」

「連れ戻しに、神界までおしかけちゃった」

「京楽!?なんて無茶を」

「彼らも、押しかけたっていうか、魔神のボクに神界まで連れて行ってもらった」

浮竹は、魔神の京楽とフェンリルの浮竹を見る。

『よかった、気がついたんだな!無事でよかった!』

フェンリルの浮竹をは、しっぽをばっさばっさ振って、浮竹に抱きつく。

「フェンリルの俺、かすり傷があるな。セイントヒール」

『え、俺怪我してたのか』

「エトナの力でわかる」

『すごいぞ、勇者の俺!』

浮竹は、魔神の京楽を見る。

「その濁った神気、清浄なものにかえてやろう」

『え、そんなことできるの?』

「キュアクリーン」

浮竹は魔法を唱える。

『わお。ほんとにまとう神気が魔神のものじゃなくなってる』

「ただ、お前は魔神だからいずれまた濁る」

『それでも助かるよ。濁った神気で少なからず浮竹に影響を与えていたから』

『ん、俺なら平気だぞ?』

『うん。でも、微妙に食欲落ちたりしてたでしょ。濁ったボクの神気の影響で』

『え、そうなのか?全然気づかなかった』

『全く、浮竹らしいよ』


京楽は、浮竹を抱きしめる。

「君がいなくなった時、このまま帰ってこないんじゃないかと恐怖を感じたよ。無事戻ってこれてよかった」

「エトナ神は、いずれ人間界に返す予定だったらしいが、1カ月は手元にいろって言っていたからな。俺も神界なんかにいたら、退屈で死にそうだ」

京楽と浮竹は、唇が触れるだけのキスをした。

『ええと、ボクたちはこれでお邪魔するね?』

『勇者の俺!魔王な京楽と仲良くな!』

浮竹は我に返り、京楽をはりせんではたく。

「なんで!?ボク、なんかした!?」

「とりあえず全部お前が悪い」

「なんでえええええ!?」

赤くなった浮竹は、魔神の京楽とフェンリルの浮竹を見送るのであった。






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魔王と勇者と24

「エトナ教よりまいりました。どうか、慈悲を。この少女は巫女なのですが、昨年病で失明をしてしまって。浮竹様の力ならと‥‥」

「俺じゃなくても京楽でも治せると思うけどな。まぁいい、エトナ神の祝福あれ‥‥」

浮竹は、12枚の光り輝く翼で少女を包み込む。

エトナ神の慈悲を与える。

「目、目が!見えます、大神官様!」

「おお。神の御業だ。浮竹様、どうかこの星金貨2千枚をお納めください。少ないですが、エトナ教で慈悲をこう者がいたら、助けてやってほしいのです」

「俺もエトナの子だからな。分かった。祝福を求めにやってくる者には、慈悲を与えよう」

「おお。エトナ神よ、エトナの子と共に繁栄あれ!」

そう言って、エトナ神の大神官と巫女は帰っていった。

「いいの、そんなの引きうけちゃって」

「エトナの子としての使命も、一応あるからな。京楽だって、月に一度金もとらずに病や怪我を癒したりしてるじゃないか」

「まぁ、魔王だけどいい魔王だって認めてもらうためにね」

京楽は、苦笑する。

「京楽のほうがえらい気がする。俺はエトナの子として覚醒する前はモンスター退治だけだったからな。今も勇者だが、エトナの子としてのほうが知名度が高い」

「まぁいいんじゃないの。エトナ教も新エトナ教も、聖女教と違って暗殺しようと刺客さしむけてこないだけ」

「ああ、昨日自称勇者を名乗る少年を消し炭にしておいた」

「ボクの知らないところで、勇者らしからぬことしてるし」

「俺は勇者だが、魔王であるお前の伴侶だ。魔王に害をなそうとする者は排除する。それがたとえエトナ教の者であろうと」

浮竹は、輝く一対の翼を震わせる。

「愛してるよ、浮竹」

「俺も愛してる、京楽」

その日は、久しぶりに交わった。



「あ、ひあん!」

「いいんでしょ?」

「やあああ」

京楽が強く奥を突きあげると、浮竹は弓なりに背をしならせて、オーガズムでいっていた。

「好きだよ、十四郎」

「あ、春水、もっとおお」

浮竹が求める。

それにこたえて、京楽は浮竹を貫き、奥を抉って揺さぶった。

「あああ、いっちゃううう」

「こっちもいきたそうにしてるよ?」

中いきばかりを覚えて、浮竹のものは京楽の手で射精することが多くなった。

「ひあああああん、そっちはだめええええ」

「こっちもいってしまいなよ。ほら、同時にいくの好きでしょ?」

「あああああ!!」

京楽の手でしごかれて、浮竹はオーガズムでいきながら、京楽の手の中に精液をはきだしていた。

「ひあああん!」

最奥を突かれて、子種を弾けさせられて。しゅわああと浮竹は潮をふく。

「やあああ、おもらしやあああ」

「潮って何度説明しても理解しないねぇ」

「やあああ」

また潮をふきながら、浮竹は京楽に手でしごかれて射精していた。

「やあ、もぅでない」

「まだいけるでしょ」

「やあん、むりい」

浮竹は二度精液を出しただけなので、まだ出せそうだった。

京楽は、浮竹の中に出せる子種を全て出してから、引き抜く。

こぽりと、精液が逆流してくるのもかまわず、浮竹のものを口にふくんだ。

「ひあん!」

「まだ、出そうだね」

「だめぇ、そんなことされたら」

「浮竹のものは味がついてるから。甘いよ?」

「んあっ」

浮竹は、交わる前に甘い液体を飲む。精液の味がかわるものだった。

「今度、ボクに奉仕してね?精液甘くなるようにするから」

「ああああ、いくううう」

「好きだなだけいきなよ」

「ひああああ!!!」

浮竹は京楽の口の中で白濁した液体を二度続けて出して、ぐったりとなる。

「もう、でない」

「うん。続きはまた今度で。エトナの子の精液となると、欲しがる女が多いだろうねぇ。まぁ、浮竹は髪の毛一本に至るまでボクのものんなんだけど」

京楽は、浮竹をお姫様抱きして風呂に入り、中にだしたものをかきだして、身を清めてやった。

「もう、またしばらくお前とは寝ない」

「なんで!」

「こっちの身がもたん」

「じゃあ、軽く2回だけにするから」

「前も同じようなことを言って、俺を抱きつぶしただろうが」

「えー、そんなことないよ」

「俺は覚えているぞ」

「うわ~~ん。エトナの慈悲を!」

「こんなことにエトナの慈悲が与えられるはずがないだろう」

浮竹は新しい衣服を着て、疲れたのでベッドに横になる。京楽はその隣にもぐりこんでくる。

「もう、何もするなよ」

「抱きしめるくらい、いいよね?」

「それくらいなら‥‥‥」

疲れのせいもあり、やがて浮竹は眠りにつく。

「君がエトナの子でも、エトナには渡さない。ボクのものだ」

エトナ神は、エトナの子を手元に置きたがっていると、エトナ教徒から聞いたのだ。

たとえ創造神で絶対神であろうとも、浮竹は渡さない。

京楽は、浮竹の額にキスをして、一緒に眠るのであった。





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オメガバース恋白読み切り短編10

椿茶屋。

そこに、朽木白哉という名の色子がいた。

年は二十を少しこしたあたり。

絹のような艶やかなやや長い黒髪と、黒曜石の瞳、白い肌をもつ、美貌の青年であった。

本来なら、陰間茶屋などにいないタイプだ。

気品と品格があり、彼が元上流貴族であることがうかがえた。

両親が事業に失敗し、貴族の位を剥奪されて莫大な借金だけが残った。

両親は、白哉と妹のルキアを残して自殺した。白哉が選んだ道は、ルキアを売られないために自分を売ることだった。

妹のルキアも美しく、花街に売られて花魁になる予定だった。

白哉は、それを防ぐために自分を売った。元上流貴族ともっている美貌もあいまって、花街でもどこの店も欲しがった。

理由があった。

白哉は、オメガだった。

オメガは普通、すぐにアルファの婚約者ができて、花街で売られない。

だが、白哉の両親は白哉がオメガであることを隠して育てた。上流貴族なのに、オメガが生まれてくるなど恥でしかないと。

妹のルキアはアルファだった。

アルファの花魁も、金になる。

白夜をオメガと知らない親戚の連中は、ルキアを売ろうとした。ルキアを守るために、白哉は自分がオメガであることを明らかにして、花街に売られるなら自分が行くと言った。

結果、椿茶屋の色子になった。

「ふ‥‥‥今日もまた、きたのか」

白哉は、赤い髪の青年を見る。

まだ成人したばかりで、白哉より年は3つほど下だったが、上流貴族で金回りのいい、白哉の上客だった。

「恋次」

「白哉さん‥‥」

「私をわざわざ買わずとも、美しい花魁がいるであろう」

「白哉さんほど美しい人はいません」

「また、そのような」

白哉は笑う。艶やかで、紅をぬっていないのに紅い唇が、印象的だった。

「今日もあんたを買う。そして、いつか身請けする」

「私の揚げ代は高いであろう。いかに上流貴族とはいえ、そうそう毎度買える値段ではないはずだ」

「いらない屋敷を一軒売った」

「私を買うためにか」

「そうです」

恋次は、真剣だった。

「あんたが好きです。俺の番になってください」

「今の私は色子だ。誰かと番になることはない」

「はい。だから、身請けします」

恋次は本気のようだった。阿散井恋次。白哉と違い、上流貴族でも4大貴族に最も近い、名のある貴族だった。

阿散井家の当主であり、金は自由に使えたが、それでも白哉の身請け金は高く、もっている屋敷などを売り飛ばして、資金を作るつもりであった。

恋次には、4大貴族の姫君の婚約者がいた。

白夜のことを知って、刃物を手に店に押し入ろうとしたことがあった。

恋次に婚約破棄され、その元婚約者は白哉のことを恨んでいた。

「私を身請けしたところで、婚約者がいたであろう」

「婚約破棄しました。あんたと一緒になりたいから」

「愚かな‥‥‥‥」

4大貴族を敵に回すことが、どんなに恐ろしいことなのか、恋次はまだ知らない。

もっとも、恋次の元婚約者は4大貴族とは名ばかりで没落寸前だった。

「あんたが、好き、です」

もう何百回目になるかも分からない言葉を受けながら、白哉は恋次に抱かれた。


「明日は仕事があるので、あさってまたきます」

「そんなに私を買っていると、いくら金があるとはいえ減っていくぞ」

「今、あんたを身請けする資金を作っています。もうちょっとだけ、待ってください」

「ふ、期待せずに待っておく」



「白哉さん」

「‥‥ん、恋次?」

夜を客と過ごし、昼に寝ていると名を呼ばれ、恋次かと思った。

「よくもあたしの恋次をたぶらかしたわね。あんたなんか、隣国に売ってやる!」

それは、恋次の元婚約者と金で雇われた荒くれ者たちだった。

「誰か!」

「無駄よ。みんな、薬で眠ってるわ。あんたは色子が嫌になって逃げだしたけど、他に食べていく方法がなくって、隣国でまた色子になるのよ」

「愚かな‥‥」

パンと、元婚約者は、白哉の頬を叩く。

汚したところで、色子だ。意味はあまりない。

「恋次に振られたことが、そんなに頭にきたのか」

「うるさい!お前さえいなければ、あたしは阿散井家の金で贅沢できたんだ!」

白哉は、荒くれ者たちに縛られて、馬車に押し込まれる。

「あはははは、あんたなんて隣国で死ぬがいいわ」

「恋次‥‥‥ルキア‥‥」

ただ、残していく恋次と妹のルキアのことが心配だった。

馬車が動きだす前に、花街の検査があった。足抜けをしようという者を探すためだった。

「ちっ、強行突破よ!」

「待て、そこの馬車!」

「椿茶屋に賊がはいったらしい!あの馬車が怪しい!止めろ止めろ!」

花街を抜けそうなところで、白哉は花街の男衆に助けられた。

「これは、椿茶屋の色子だな。おい、オメガの色子を攫おうとした罪は重いぞ!おまけに、この色子はもう身請けが決まっている!」

白哉は、目を見開く。

男衆に縄を解かれて自由になると、白哉は捕まった元婚約者の女を見た。

「兄は、そんなようだから恋次に婚約を破断にされるのだ」

「うるさいうるさい!お前になにが分かる!」

「分からぬ。だが、私よりは自由な身であっただろうに。こんなことをして、人生を台無しにするとは愚かとしか言えぬ」

「みんなあんたのせいよおおおお!淫乱な色子のくせに、あたしの恋次に手を出すから!」

「恋次は客だ。私が手を出したのではなく、あちらから私を買って、手を出してきたのだ」

「ああああああ!!!」

元婚約者の女は、狂ったように叫びながら、荒くれ者の仲間と一緒に連れていかれた。




「白哉さん!攫われそうになったって!怪我ありませんか!」

「ない。隣国に売る計算だったらしい。傷ものでは、値が落ちるからな」

「よかった‥‥無事で。もう、あんたを他の男に抱かせたくない。俺だけを見てほしい。あんたを、身請けします」

「本気か?」

「本気です。番にします」

恋次は、大金のかわりになる為替を店の主人に渡した。

「白哉、幸せにおなり」

[主殿‥‥‥」

恋次は、立派な馬車をもってくると、白哉を乗せて、後続の馬車に白哉の荷物を乗せて、花街を後にする。

「まさか、本当に身請けするとは‥‥」

「頑張って、資金ためました。財産の4分の1くらい吹き飛んだけど、どうってことないっす」

白哉は、恋次に連れられて、恋次の館にきていた。

「今日から、ここがあんたの家です」

「ふむ‥‥‥私をいつ抱くのだ?」

「う、え、いいなら今からでも!」

「番にするのであろう?この防止用の首輪は、もう不要だな」

白哉は、うなじを保護するための首輪に触れる。

「あ、鍵もらってきましたから。今、外しますね」

カランと音をたてて、首輪が外される。

「褥、用意してます。行きましょう」

「仕方ない‥‥‥‥」

白哉は、恋次の切ない思いにこたえることにした。



「あああああ!!」

貫かれ、揺すぶられて白哉は黒髪を乱す。

「俺だけのものだ‥‥‥」

「ひあう!」

「子種たくさんあげるから、俺の子産んでくださいね?」

「ひああああ!」

奥を抉られる。

「やあああ」

中いきを繰り返して、白哉は乱れた。

「アフターピル用意してないっすからね。孕んでくださいね?」

「あ、あ!」

恋次に貫けれるたびに、白哉が短く声をあげる。

色子として誰かに抱かれるのは慣れていたが、恋次は愛情でぶつかってくるので、白哉もいつもの数倍感じていた。

抱かれる前に飲まされた白湯に、媚薬が入っていたのだろう。

こんなに乱れるのは久しぶりだった。

「あ、早く」

「今、子種あげますからね」

「ひああああ!あああ!」

うなじを噛まれた。

「番になります」

もう一度交わりながら噛まれて、全身を電流が走りぬける。

「これで、正式にあんたは俺のものだ。白哉」

「あ‥‥‥」

胎の奥に広がっていく恋次の子種をたっぷりと受けとりながら、白哉は涙を零した。

番にはなったが、色子でなくなった。もう、客をとる必要はない。恋次だけに抱かれていればいい。

「ルキアを‥‥‥」

「承知してます。ルキアは阿散井家で引き取ります」

恋次が、ふと愛しいと思った。

自分のためにここまでしてくれるのだから。

「今、そなたに恋をした。愛している、恋次」

「ほんとっすか!」

「嘘などついて何になる」

「めっちゃ嬉しいです。番になっても、あんたの心を手に入れるのに時間かかると思っていたから」

「色子や遊女に恋はご法度だからな」

白哉は、美しい顔で言う。

「あんたはもう、色子じゃない。阿散井白哉だ」

「籍までいれるのか」

「あたりまえです。あんたは、正式な阿散井家当主阿散井恋次の妻だ」

「私は男なのだが」

「オメガなんで、性別とか関係ないっす」

「ふ‥‥‥そうか」

白哉は柔らかく笑った。

番になった恋次と共に、眠りにつく。



白哉は、ヒート期間がこないように椿茶屋にいた時は薬を飲まされていたが、恋次に身請けされて飲む必要もなくなり、ほどなくしてヒートがきた。

「あ、恋次。抱いてくれ」

「白哉さん‥‥」

「私を、そなたの色でそめあげろ」

恋次を誘う白哉は、艶やかで美しかった。色子の頃から変わらぬ美しさを、いや、恋次に愛されて恋次を愛して、より一層美しくなった。

「恋次、私を愛せ」

「もちろんです」

美しい専用にあつらえた白哉の着物を脱がしていく。

「あ‥‥‥‥」

胸にいくつものキスマークをつけられる。

「ん‥‥‥‥」

指でぬれている蕾を解され、ゆっくりと恋次がはいってくる。

「あ、もっと乱暴にしてもかまわぬのだぞ」

「いやです。あんたを大切にしたい」

恋次は、白哉が色子の時代から大切に大切に白哉を抱くことが多かった。

番になった時は、少しばかり羽目を外していたが。

「あ、奥にこい。恋次の子種が欲しい」

「ああもう、あんたあおりますね」

恋次は、白哉の快感を重視して奥に侵入する。

「ああああ!!!」

「きもちいいっすか?」

「や、聞くな」

「子種、たっぷりあげますからね。阿散井家の次期当主を、産んでくださいね」

「ひああああ!」

奥を抉られて、白哉は背を弓なりにしならせていってしまう。

「奥を抉られるの好きですよね?」

「やああああ」

「愛してます、白哉さん」

「あああ‥‥‥恋次‥‥‥」

白哉は、艶やかに微笑んだ。

「恋次の子を、産んでやろう。子種をもっとよこせ」

「ああもう、なんであんた俺をこんなにあおるの上手なんだ。大切にしたいのに」

「十分大切にしてもらっている。たまには乱れるのもいいであろう?」

「こんな風に、他の男にも抱かれてたんですか」

「色子の仕事をしていた時は、確かに乱れる時もあったが、心はなかった。今の私は、心も動いている。恋次、そなたを愛している」

白哉は、恋次に自分から口づける。

入れ墨がされた体に手を伸ばし、背に手を回す。

「はじめ、そなたの入れ墨を見た時は驚いたが、今はそれすら愛しくかんじる」

「たまにまた彫ってますよ」

「痛くはないのか?」

「少し痛いかも」

「ふふ、恋次でも痛みを感じるのだな」

「あんたが攫われたって聞いた時は、心が痛すぎて涙でそうになった」

恋次は、白哉を組み敷いて、白哉の最奥に子種を注ぎこむ。

「んあ‥‥‥‥」

淫らになる白哉を見れるのは、恋次だけだ。

「もっと?」

「あ、もっと‥‥‥ヒート期間なのだ。子種をもらうと、熱がおさまっていく」

「あんたが満足するまで抱きますよ」

「恋次、すまぬ」

白哉は、白皙の美貌をやや紅色に染めて、恋次を抱きしめる。

それにこたえるように、恋次は白哉の噛み痕のある番の証であるうなじにキスをする。

「幸せになりましょう」

「もう、十分幸せだ。ルキアまで保護してもらったし、私は色子ではなくなって体を売る必要もなくなった。今は、恋次のものだ」

「今度、式挙げませんか」

「身内だけでいいのなら」

「はい。あんたがそう望むなら、身内だけで挙げます」

恋次は、どこまでも白哉に甘い。



白夜が懐妊したと分かったのは、それから半月後のことであった。

残念ながら、一度目の子は流産してしまったが、その半年後にはまた懐妊して、無事跡継ぎとなる男児を産んだ。

ルキアにも、黒崎一護という伴侶ができた。

4大貴族の一人だ。

白哉は、色子であった時代を後悔などしていない。

恋次と出会えたのだから。

恋次のものになり、オメガとしてアルファの跡継ぎを産み、周囲からはいろいろ言われていたが、恋次が黙らせた。

白哉は、阿散井白哉として恋次と共に長い人生を歩んでいくのであった。







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魔王と勇者と23

浮竹がいる魔王城には、今日もエトナ教の神官がきていた。

「浮竹様、どうか私たちをお導きください」

「はいはい、帰った帰った。浮竹は確かにエトナの子だけど、ボクの伴侶だからね」

「おのれ魔王め。浮竹様をたぶらかすか」

「いや、浮竹は浮竹の意思でボクの側にいるんだから」

「京楽の言う通りだ。俺は俺の意思で京楽の側にいるし、エトナの子だからといってエトナ教も新エトナ教も、どちらにも組するつもりはない」

浮竹は、エトナ教の神官に冷たく言う。

「エトナの子である光輝く翼をもちながら、エトナの慈悲を与えないつもりか!」

だんだん暴言になってくる神官たちを、京楽がまとめて魔法でエトナ教の神殿に追い返す。

「助かった、京楽」

「エトナ教はちょっと野蛮だね」

「新エトナ教も似たようなものだ」

「覚醒したことが神エトナによって世界中に知らされたからね。魔神になたった元魔王のボクみたいに、一握りの者が知っているだけならよかったんだけど」

「まぁ、エトナ教が今が勢いづいているからな。聖女教は大分勢力が弱くなった」

「宗教はこりごりだよ」

「そういえば、魔王教もあったな」

「ああ、最初はあったよ。うざいからボクがつぶしたけど。エトナ教と新エトナ教も、必要であればつぶすよ。まぁ、最初に潰すのは聖女教だけどね」

京楽は、聖女教をつぶすためにいろいろと手を打っていた。

藍染と17代目聖女の子、聖者カインの保護も視野に入れている。

「魔王京楽、覚悟!」

聖女教の刺客が現れるが、京楽はファイアボールの魔法を詠唱破棄で唱えて消し炭にしてしまった。

「まったく、聖女教はろくでもないねぇ。藍染は、今のところ魔神になれないのに気付いているのかな?」

「いろいろ情報を集めているから、気づいているんじゃないか」

「そういえば、聖剣セイクリッドアポカリプスを奪いにこないね」

「聖剣セイクリッドアポカリプスで聖者を贄にしても、魔神になれないと分かったからじゃないか?」

「魔王京楽、聖女アナスタシア様のために‥‥ぎゃあああああああ」

「しつこいね。聖女教の者は魔王領地に住めなくなる法律作ろう」

次々と現れる刺客はどれも聖女教で、さすがにエトナ教と新エトナ教はいなかった。

そして京楽は、翌日には聖女教の者は領地からの撤退を法律にいれた。いると分かった場合、家と財産を没収するとしたので、多くの聖女教の者たちが京楽の納める魔王領から消えていった。

「聖女教をつぶすつもりだな”!魔王京楽を暗殺する」

「はいはい。暗殺するならせめて姿くらい隠してね」

「ぎゃああああああああああ」

「魔王京楽、伴侶のエトナの子がどうなってもいいのか!」

今度の刺客は、浮竹を人質にとった。

「あーあ、怒らせちゃうよ?」

「エトナの怒りを受けよ」

浮竹は、光輝く12枚の翼を出して、刺客を羽でずたずたにする。

「ぎゃあああああああああ」

こんな調子で、魔王城にには刺客の死体を掃除するメイドまでいた。

「メイドといえば、フェンリルの俺は元気にしてるだろうか」

「なんなら、様子見に行く?」

「お前、さぼる口実見つけるつもりだな」

「ぎくり」

「ほら、俺も手伝ってやるから、仕事終わらせよう」

「うん、ごめんね」

京楽は浮竹に謝る。

浮竹は、京楽の仕事を大臣たちに任せれるものは任せて、京楽しかできない仕事だけを片付けさせて、半日かかる仕事が2時間でかたづいた。

無論、浮竹が一緒に仕事をしたおかげだ。

「ああ、今日の分が終わった!明日は休みだし、元魔王のボクのところに泊まりにいこうかな」

「いいな。俺も泊まりにいきたい」

「もちろん、一緒だよ」



「ということで、遊びにきた」

『勇者の俺、紅茶はダージリンでいいか?』

「ああ、いいぞ」

『泊まっていくんだろう?一緒に寝ような?』

「ああ。お前はしっぽがふかふかだから寝心地がいいんだよな」

『ふふ。俺のしっぽ、いいだろう?』

フェンリルの浮竹は、真っ白いしっぽをゆらりと揺らす。

「あ、これ魔王城のシェフが作った仙桃を使ったジェラートだ」

『わぁ、うまそうだな!溶ける前に食べないと!それにしても、仙桃なんて高いもの、よく手に入ったな?』

「俺への貢物の中にあった。エトナ教徒がお布施やら貢物をもってくるんだ。いらないっていってるのに、置いて帰ってしまってな。仙桃は珍しいから、ジェラートに入れてもらった。疲労回復、状態異常を治す効果がある」

『ボクが食べも大丈夫かな?』

「大丈夫なはずだぞ。魔神だからって、何かがあるわけでもないだろう」

『いただきます‥‥‥ん、よく冷えてておいしいね。仙桃って、桃より味が濃いんだね』

ちなみに、仙桃のジェラートは溶けないようにアイテムポケットに入れて持ち運びした。アイテムポケットの中は時が止まっていて、溶けることはない。

「ボク、木苺のジェラートが食べたいかも」

珍しい京楽のリクエストに、フェンリルの浮竹は尻尾を揺らす。

『じゃあ、木苺つみにいこう。勇者の俺と』

「え、ボクは?」

『京楽の相手をしていてくれ』

「だってさ。チェスでもする?」

『チェスか。久しぶりだが、これでも昔は‥‥‥』



「木苺、いっぱいとれたな」

『これでジェラートだけでなくパフェも作ろう』

浮竹は、つんだ木苺で、フェンリルの浮竹がデザートを作るのを手伝った。

「ぶ、不器用ですまん。魔王城ではいつも料理はシェフがしてくれるから」

『はじめてにしては、よくできたほうじゃないか?味はいいぞ?』

木苺のジェラートをスプーン一口分すくい、フェンリルの浮竹は感想を言う。

「なんだか、照れるな」

『照れてる勇者の俺、かわいいぞ!』

「かわいいのはお前だろう。しっぽが素直だ」

フェンリルの浮竹のしっぽはぶんぶん振られていた。

『京楽たち、夕飯にしょう。デザートは、俺と勇者の俺が作った木苺のジェラートとパフェだ』

「へえ、浮竹料理できるんだ」

「教わりながらだがな」

京楽は、浮竹が一人で作った木苺のジェラートを渡される。

「あ、なんかいいね、こういうの。普通の夫婦みたいで」

「夫婦というか、俺たちは結婚しているだろう」

「それもそうだね」

浮竹と京楽は笑いあう。

フェンリルの浮竹と元魔王の京楽も、つられて笑う。

『浮竹、ボクの分のジェラート半分あげる』

『いいのか!?』

しっぽをぶんぶん振って、フェンリルの浮竹は元魔王の京楽から、ジェラートを半分もらった。

『冷たくておいしい。俺と勇者の俺が作ったんだが、うまいな』

目をきらきらさせるフェンリルの浮竹のしっぽは、ちぎれんばかりに振られるのであった。


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魔王と勇者と22

魔族から魔神になれるのは、生まれつき魔力がない場合だと判明した。

藍染は魔力をもっており、藍染の方法は悪魔が魔神になる方法だった。

魔族と悪魔は似ているが、異なる種族だ。藍染が悪魔になるには、今の肉体を捨てて新たに転生しなければいけなかった。

転生は必ずしもうまくいくとは限らない。

今のところ、藍染が悪魔になる気配はなかった。

『でな、京楽は魔神になれるんだ』

「ふむ。でも、肝心の元魔王の京楽はどうなんだ?魔神になりたいのか?」

『うーん、どうだろう。ボクは今のままがいいかな』

「じゃあ、魔神なんて物騒な存在にはならいでほしいな。まぁ、元魔王の京楽が魔神になったところで、存在意義が変わるだけで、中身は変わらなそうだが」

浮竹は、元魔王の京楽にお茶を出す。

魔王京楽の城で、4人はお茶会をしていた。

「元魔王の魔神。うーん、いつか魔神に覚醒しちゃうかもね」

「なんでそう思うんだ?」

「だって、君もエトナの子として覚醒しちゃたじゃない。何かの拍子で覚醒するのはけっこうあることだよ」

「ふむ‥‥‥」

京楽は、浮竹を見る。

「まぁ、今悩んだところでなんにもならないけどね」

『京楽には、魔神にならないでほしいが、魔神の京楽はそれはそれでかっこよさそう』

フェンリルの浮竹はしっぽを揺らす。

『ボクは、今のところ魔神になる気はないよ』

「ああ、それがいい。いつかなってしまったとしても、今のようにいられるならそれでかまわない」

『どうだろうねぇ。魔神はディアブロくらいしか知らないから。存在自体分からない』

『京楽は魔神になってしまったとしても、京楽だ。俺は今まで通りメイドとして接するぞ?』

フェンリルの浮竹はしっぽをぶんぶん振り、京楽と浮竹は苦笑する。

「魔神になったら、姿形もかわるんだろうか」

「そうかもね」

『え、俺は今の京楽がいい』

フェンリルの浮竹のしっぽが、へにゃりとなる。

「魔神の存在自体がないからな。憶測だ。多分、見た目に違いはあまりないだろう」

『そうだといいなあ』

『うん。何気に角はえてたり耳とがってたりドラゴンの尻尾あったりするけど、今の見た目それなりに気に入ってるから』

京楽は、古い本をもってきた。

「これに、魔神ディアブロについて少しだけ書かれている」

「なになに‥‥‥魔神は人の魂を食らうかもしれない‥‥‥見た目が4メートル‥‥‥目が10個‥‥‥なんだこれ。全部いい加減じゃないか」

「それだけ、魔神は珍しいってことだよ。魔神ディアブロは異界にいたからね。こっちの世界にはたまにしか顔を出さなかったそうだよ」

「まぁ、魔神だしな。勇者とかが退治にくるだろうし」

『京楽が魔神になったら、勇者の俺はやっつけるのか?』

フェンリルの浮竹の尻尾がへにゃりとなる。

「まさか。今まで通り、友人として接する」

浮竹の答えに、フェンリルの浮竹は尻尾をぶんぶん振った。

「念のため、エトナ神の祝福をやろう。魔神になったとしても、自我を保っていられるように」

浮竹は、光り輝く翼で元魔王の京楽を包み込む。ぱさりと、12枚の翼が広がる。

「偉大なるエトナよ、この者に祝福を‥‥‥」

天から光がさしこんで、元魔王の京楽を包み込むj。

『エトナ神の加護かい。魔神になったとしても、じ魔族から魔神になれるのは、生まれつき魔力がない場合だと判明した。
藍染は魔力をもっており、藍染の方法は悪魔が魔神になる方法だった。
魔族と悪魔は似ているが、異なる種族だ。藍染が悪魔になるには、今の肉体を捨てて新たに転生しなければいけなかった。
転生は必ずしもうまくいくとは限らない。
今のところ、藍染が悪魔になる気配はなかった。
『でな、京楽は魔神になれるんだ』
「ふむ。でも、肝心の元魔王の京楽はどうなんだ?魔神になりたいのか?」
『うーん、どうだろう。ボクは今のままがいいかな』
「じゃあ、魔神なんて物騒な存在にはなないでほしいな。まぁ、元魔王の京楽が魔神になったところで、存在意義が変わるだけで、中身は変わらなそうだが」
浮竹は、元魔王の京楽にお茶を出す。
魔王京楽の城で、4人はお茶会をしていた。
「元魔王の魔神。うーん、いつか魔神に覚醒しちゃうかもね」
「なんでそう思うんだ?」
「だって、君もエトナの子として覚醒しちゃたじゃない。何かの拍子で覚醒するのはけっこうあることだよ」
「ふむ‥‥‥」
京楽は、浮竹を見る。
「まぁ、今悩んだところでなんにもならないけどね」
『京楽には、魔神にならないでほしいが、魔神の京楽はそれはそれでかっこよさそう』
フェンリルの浮竹はしっぽを揺らす。
『ボクは、今のところ魔神になる気はないよ』
「ああ、それがいい。いつかなってしまったとしても、今のようにいられるならそれでかまわない」
『どうだろうねぇ。魔神はディアブロくらいしか知らないから。存在自体分からない』
『京楽は魔神になってしまったとしても、京楽だ。俺は今まで通りメイドとして接するぞ?』
フェンリルの浮竹はしっぽをぶんぶん振り、京楽と浮竹は苦笑する。
「魔神になったら、姿形もかわるんだろうか」
「そうかもね」
『え、俺は今の京楽がいい』
フェンリルの浮竹のしっぽが、へにゃりとなる。
「魔神の存在自体がないからな。憶測だ。多分、見た目に違いはあまりないだろう」
『そうだといいなあ』
『うん。何気に角はえてたり耳とがってたりドラゴンの尻尾あったりするけど、今の見た目それなりに気に入ってるから』
京楽は、古い本をもってきた。
「これに、魔神ディアブロについて少しだけ書かれている」
「なになに‥‥‥魔神は人の魂を食らうかもしれない‥‥‥見た目が4メートル‥‥‥目が10個‥‥‥なんだこれ。全部いい加減じゃないか」
「それだけ、魔神は珍しいってことだよ。魔神ディアブロは異界にいたからね。こっちの世界にはたまにしか顔を出さなかったそうだよ」
「まぁ、魔神だしな。勇者とかが退治にくるだろうし」
『京楽が魔神になったら、勇者の俺はやっつけるのか?』
フェンリルの浮竹の尻尾がへにゃりとなる。
「まさか。今まで通り、友人として接する」
浮竹の答えに、フェンリルの浮竹は尻尾をぶんぶん振った。
「念のため、エトナ神の祝福をやろう。魔神になったとしても、自我を保っていられるように」
浮竹は、光り輝く翼で元魔王の京楽を包み込む。ぱさりと、12枚の翼が広がる。
「偉大なるエトナよ、この者に祝福を‥‥‥」
天から光がさしこんで、元魔王の京楽を包み込むj。
『エトナ神の加護かい。魔神になったとしても、自我を保てれるのはありがたいね。最初は暴走するかもしれないけど』

浮竹は、ついでにだと京楽とフェンリルの浮竹にもエトナ神の祝福をかける。

『これはなんの祝福だ?』

「いいことが起こるように。幸運をあげている」

『あ、金貨見っけ』

フェンリルの浮竹は、しゃがみこんで金貨を拾う。

『こ、これも祝福の効果か?』

「そうなるな」

『もっといいことおこるといいな』

「ボクには何も起きないんだけど」

「お前には仕事がよくできる祝福を与えておいた」

「嬉しいのか悲しいのかよく分からない」

京楽は、仕事ができてもなぁと、ちょっと不服そうだった。

「俺と一緒にいれる時間が増えるぞ。抱かせてやってもいい」

「うん、祝福は偉大だ!」

180度態度を変える京楽に、皆苦笑する。



「紅茶のおかわりをもってこよう」

『あ、俺がするぞ!』

「頼めるか?」

『うん』

二人の浮竹を見て、二人の京楽はほんわりとなる。

「ボクの浮竹って美人だよね」

『ボクの浮竹ってかわいいよね』

二人そろって、のろけるのであった。






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オメガバース京浮読み切り短編10

学院時代、浮竹がオメガであることを知った。

京楽はアルファであったが、ヒートが訪れない浮竹を番にしたいが、浮竹が嫌がるので手を出さず、そのまま卒業してしまった。

死神になり、お互い仕事で忙殺される中、久しぶりに京楽は浮竹と会った。

浮竹は、見知らぬ上流貴族の妾として番にされていた。

「浮竹、首の噛み痕‥‥‥‥‥」

「ああ。上流貴族の伊集院家の当主の番にされたんだ。アルファの子を産むために。妾だがな」

「なんで、ボクは拒否して、その伊集院家はいいの?」

「京楽には、迷惑をかけたくなかったから。伊集院家からは、番にならないと実家に手を出すと脅されてな。まぁ、下級貴族だが一応貴族だし、見た目もいいからと無理やり番にされた。今思えばば、お前と番になっていたかった」

「じゃあ、そうしよう」

「え?」

京楽は、浮竹を抱きしめた。

「1週間待って。君を自由にするから」

その日も、浮竹は当主の男に抱かれるはずだった。

だが、待てども男は一向にこない。

男が事故死して、遺体が発見されたのはそれから3日後のことだった。

「まさか京楽が‥‥いや、まさかな」

番の相手を失った浮竹は、まだ子を懐妊していないせいで、伊集院家をおわれた。行くあてもない浮竹を、待っていたかのように、京楽が迎えにきてくれた。

「ボクの家においで」

「でも」

「君をボクの番にしたい。幸い、前の男は死んで番は解消されたから」

「まさか、お前が?」

「さぁ、どうだろうね?」

クスクスと、京楽は笑う。

浮竹は、自分は京楽と番になりたかったのだと、今更ながらに気づく。

「いいのか、俺で。他の男の番だったオメガだぞ」

「そんなの関係ないよ。たとえ君がアルファだったとしても、ボクは君を手に入れた。ボクは君がずっと好きだった。けれど、番になることを拒まれて、ボクも臆病になっていた。君が他の男のものになるくらいなら、拒絶されても無理やり番にしておくんだったよ」

京楽に思い切り抱きしめられて、浮竹は涙を浮かべた。

「京楽‥‥‥‥伊集院家の番にされたのは無理やりだったんだ。お前のことを忘れた日は一日もない」

「浮竹、つらかったね。もう、苦しめる相手はいないからね」

浮竹は、京楽の背中に手を回して、泣いた。

「京楽‥‥‥ずっと、会いたかった。お前と学院時代に番になればよかった」

「もう、君はボクのものだ。番にするけど、いいよね?」

「ああ」

浮竹と京楽は一緒に風呂に入り、用意された褥に向かう。

「綺麗だよ、十四郎」

「他の男の手あかにまみれてしまった。すまない」

「そんなの関係ないよ。抱くよ?」

「ああ、好きにしてくれ」



「あ、奥はだめええええ」

「いいんでしょ?さっきから締め付けがすごい」

「ひああああん」

京楽のものが奥を抉るたびに、浮竹はびくんと体を震わせていってしまう。

「あ、こうなるように、調教されたから‥‥‥‥」

「それでもかまわないよ。君は君のままでいい。どんな君だって受け入れてみせる」

「ひゃあああん」

ごりっと奥を貫かれ揺すぶられて、浮竹は中いきをしながら精液を出していた。

「ひあああ、こんな快楽、知らない」

「前のやつは、どうやって君を抱いていたの?」

「ただ突っ込まれて、相手が満足すればそれで終わりだった」

「最低だね」

「ひあう、子種ちょうだい。春水の子を産みたい」

京楽は、浮竹にせがまれて、浮竹の子宮に精液をぶちまけた。

「生で出してるから、本当に妊娠してしまうよ?」

「あ、構わない。うなじを噛んでくれ」

「うん。番になろう」

交わったまま、京楽は浮竹のうなじを噛んで、浮竹を番にした。

「あ、きたあああ。番になったあああ」

「うん、ピリピリするね。もう、他の男に番にされないように、首にはストールを巻いてね」

「俺を番にしたがっててた男はけっこういたから」

「うん。君は貴族の上にオメガで見た目がいいからね」

闇マーケットでは、番を解消する薬も売っている。そんなものを飲まされて、番を解消させられないように、うなじを保護するために京楽は柔らかい生地のストールを用意していた。

「あ、春水もっとおお」

「十四郎、かわいい」

京楽は、番になった後も浮竹を抱いた。

4回ほど中に生で出して、満足すると浮竹も満足したようで、一緒にまた風呂に入って眠る。

次の日には浮竹にヒートがきて、2週間は交わったり眠ったりを繰り返した。

死神稼業は、ヒートということを正式に発表して、休暇をもらった。

上流貴族の京楽家にうまく取り入ったと影口を叩かれることもあったが、それを京楽は許さず、浮竹を悪く言う者はいなくなっていった。

京楽と番になって数週間後、浮竹の懐妊が明らかになる。

「生まれてくる子は、アルファだといいな」

「オメガでもベータでもいいよ。君との愛の結晶だ」

京楽は産着を用意したり、気が早かった。

「名前、一緒に決めようね?」

「ああ。俺は女の子がいいな」

「ボクはどっちでもいいよ。どうせ、兄弟ができるんだし」

「俺に何人産ませるつもりだ」

「たくさん」

「ふふ。そんなに産めないぞ?」

「そうだね。子供に浮竹をとられっぱなしはいやだから、避妊もするようにしようか」

「そうだな」

数か月後、早産であったが帝王切開で無事女児を産み、浮竹は京楽と式を挙げて籍も入れた。



「京楽、愛している」

「ボクも愛してるよ、浮竹」

番として、互いにアルファとオメガとして二人は幸せに生きた。生まれてきた子たちは皆アルファで、京楽家の子ということになった。

「永遠の愛をお前に」

「永遠の愛を君に」

二人は、比翼の鳥のように寄り添いあいながら生きていくのだった。










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一護と白哉

「ルキア、好きだ」

「あ、一護‥‥‥‥‥」

ルキアと一護は寝室でいいかんじになっていた。

「ルキア」

「に、兄様!」

突然ノックして入ってきた白哉に、一護はルキアに突き飛ばされて壁にめりこんでいた。

「明日のことなのだが‥‥‥」

明日、朽木家も参加して4大貴族とそれに近い上流貴族のあいさつ回りにいくことになっていた。

「はい、兄様」

ルキアは白哉と楽し気に話し出す。

「で、この愚弟も参加するわけだが」

「誰が愚弟だ!確かにあんたとは義兄弟になるが、愚弟よびされるいわれはないぞおおおお」

「で、愚弟がやらかさないか、ルキア、見張っていてくれ」

「はい、兄様!」

「邪魔をした。それでは私は戻る」

「しっしっ」

一護は、白哉を邪険に扱う。

「一護、兄様に失礼だぞ!」

「白哉なんか馬に蹴られればいいんだ」

「一護!」

「ルキア、続きは‥‥」

「しない。そんな気分ではなくなった」

「やっぱり」

がくりとなる一護は、明日がくるのが憂鬱だった。


「で、これが愚弟の朽木一護だ。ルキアの夫の」

「あらまぁ、 尸魂界を救ってくれた英雄の」

貴族の挨拶回りに引っ張り出さた一護は、作り笑いを浮かべて白哉に紹介される。

隣にルキアがいるのが、せめてもの救いだった。



「ああああ、疲れたああああああ」

「あと30件残っている」

「まじかよ。こんなこと、毎年してるのか?」

「そうだ。軟弱な兄にはもう無理か?」

「む、まだまだいける」

「兄様も一護もほどほどに」

ルキアは、酒の宴の席で酒を飲む一護と白哉を心配していた。

ケンカにはなっていないが、酒を飲むペースが早い。

30件の貴族のあいさつ回りが終わった頃には、二人ともべろんべろんに酔っていた。

もっとも、白哉は涼しい顔をしているが、中身は酔っぱらっている。

「兄は、もっと貴族の作法を身に着けろ」

「ばーろー、これでも精一杯やってるつーの」

言いあらそいをしながら、まだ残っている酒を、朽木家で飲んでいた。

「おたんこなす」

「どあほ」

「ドアホは兄だ」

「いいや、白哉だな」

「兄だ」

「白哉だ」

「ふん」

「ふん」

さらに酒をあおって、二人は飲み潰れた。

「兄様も一護も‥‥‥はあ、仲がいいのか悪いのか」



次の日、一護が風呂に入ろうとすると湯船は氷水だった。

「つめてぇ!」

シャンプーの中身はボディーソープだった。

「白哉めええええ」

白夜が風呂に入ろうとすると、湯船は熱すぎた。

「一護め‥‥‥」

シャンプーの中身は空っぽだった。


「いつか、ぎゃふんと言わせてやる」

朝食の席でそんなことを一護が言うものだから、ルキアは慌てた。

「兄様に失礼だぞ、一護」

「ぎゃふん」

涼しい顔で、白哉がそう言うものだから、一護はムキーっとなった。

「バーカバーカバーカ」

「散れ、千本桜‥‥‥‥‥」

「もぎゃああああああああ。斬月!」

食堂から移動して外に出て、お互い斬魄刀を手に切り結び合う。

「白哉なんて馬に蹴られて死んじまえ」

「兄など、虚にやられて霊子に還れ!」

朝っぱらから、元気な二人にルキアはため息をつきつつも、仲裁するために袖白雪を抜いて二人を氷漬けにするのであった。


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酒にのまれた。

「もぎゃああああああああああ」

朝起きると、恋次はすっぱだかだった。

隣には、同じく裸の白哉。

「隊長と飲みにいって‥‥やべぇ、そこから先の記憶がねぇ」

「ん‥‥‥‥」

隣で、ごそごそと白哉が動く。

白い肌が目の毒なので、布団をかぶせた。

「起きたのか、恋次」

「すんません!何も覚えてませんが責任とります!」

「え」

「え?」

「は、裸‥‥‥‥何かしたのか、恋次」

「すんません、記憶にぜんぜんないです」

「私も記憶がない。恋次と酒を飲んだことまでは覚えているが‥‥‥」

お互い、顔を見合わせる。

何もなかった。

そう言えたら、どんなに楽だろうか。

周囲にはティッシュやらタオルやらにまみれていて、死覇装はくしゃくしゃで、白哉の隊長羽織には精液がこびりついていた。

「腰が痛い‥‥」

「責任とります。付き合いましょう、隊長」

「ふむ‥‥‥‥」


こうして、恋次と白哉は付き合いだした。

だが、何かが変わったわけでもなく、しかしいざ付き合いだしてみると、恋次はもともと白哉のことが好きだったので、それに拍車をかける。

「ああ、なんで隊長と寝た記憶がないんだろう。もったいねぇ」

白哉は、触れるだけのキスとハグは許してくれるが、それ以上は許してくれなかった。

「ああ。隊長と寝たい」

「声が漏れているぞ、恋次」

「もぎゃあああああ!冗談です!」

「私と寝たいのか?」

「は、はい‥‥」

「百万年早いわ」

「はう」

その日の晩、恋次は白哉と飲みに出かけた。

そのまま勢いで体の関係になった。

寝て記憶が抜け落ちないように、メモを書いておいた。

「もぎゃああああああああ」

朝になると、やっぱり恋次の記憶はふっとんでいて。

白哉は今回は覚えているらしく、ほんのりと紅くなって、衣服を身に着ける。

「覚えていないのであろう」

「いえ、メモしときました」

メモを読んでいると、記憶が蘇ってくる。

「た、隊長、俺は隊長の体目当てじゃないですからね!?ちゃんと愛してます!」

「私が、体目当てのような相手に体を許すとでも?」

「え、あ、はい、すみません」

「一度しか言わぬ。私も愛している、恋次」

白哉からキスをされて、恋次は目を見開く。

「た、隊長!」

「服を着ろ。執務時間に間に合わなくなる」

「あ、はい!」


酒でふきとんだ記憶は、断片的に戻ってきている。

淫らな白哉を思い出してしまい、恋次は鼻血を垂らしながらティッシュをつめて執務室に、白哉のあとを追って向かうのであった。


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魔王と勇者と21

浮竹は、エトナ神の子の天使として覚醒して、12枚の翼をもつようになった。

普段は一対の翼で、眠る時などは翼を消すことができた。

「今日も綺麗だね、浮竹」

「そうか?いつもと変わらないぞ」

「浮竹はもともと美人だったけど、エトナの子として覚醒してからさらに綺麗になったよ」

「エトナは美と愛の神でもあるかなら」

エトナの彫像などは、どれも美しい青年の姿をしていた。

今の浮竹と少し似ている。

「エトナ教が騒がしいね。予言されていたエトナの子が地上に降臨したって。浮竹、一人であまり町中なんかに行かないでね」

「過保護だな」

「君がエトナの子だってばれたら、エトナ教の信者がさらいにきそうだ」

「予言者のせいで、すでにエトナの子は俺だってばれてるぞ」

「ええ!警護を厳重にしないと!」

「落ち着け。エトナ教には必要時には力を貸すといってあるし、魔王であるお前を監視するために傍にいるといったら、あっさりひいていった」

浮竹は、おかしそうに笑った。

「でも、それは昔からあるエトナ教でしょ。聖女教から派生した新エトナ教は君を狙っているはず。教祖に据えたがっているだろうね」

「ああ、昨日町に出たら攫われそうになったのでボコボコにしておいた」

「浮竹ええ!?ちょっとは自分の身の安全を確保できるからって、さらっと攫われそうになったとか!絶対、今度からボクか元魔王のボクかフェンリルの浮竹と一緒に行動して」

浮竹は困った顔をする。

翼がゆらりと揺れる。

「お前はただでさえ仕事で忙しいのに」

「浮竹のためなら、仕事なんて放置するよ」

「まぁ、一人で行動しないようにする。どうしても心配なら、一応護衛つけるか?」

「うん。そうだ、同じ勇者の白哉くんに警護を頼もう。一護くんは今恋人ができたらしくて勇者稼業おやすみしてるし」

京楽は、旧知の仲の朽木白哉を魔王城に呼んだ。



「つまりは、新エトナ教に狙われているから、一人で行動しそうな時は、警護せよということだな?」

「うん」

「分かった。警護の件は引きうけよう。まぁ、エトナの子であれば、魔王さえ倒せそうだが」

白哉は、エトナの子の証である浮竹の輝く白銀の翼を見る。

「俺は京楽を倒したりしないぞ?」

「分かっている。今の魔王が、京楽、兄でいる限り平和が保たれている。兄が望むのであれば、伴侶の警護もしよう」

「助かるよ、白哉くん。浮竹、いいかい、白哉くんと一緒に行動するんだよ」

「分かった」

その日、浮竹はモンスター退治に出たが、白哉と一緒だった。

それが1週間は続き、町に出る時も白哉が一緒なので、京楽も安心していた。

『久しぶりに遊びにきたぞ。おや、勇者か』

フェンリルの浮竹が、白哉を見て尻尾を揺らす。

「兄らがきたということは、私の役目は一度休憩だな」

『ん?どういうことだ?』

フェンリルの浮竹は頭に?マークを浮かべる。

「ああ、俺が一人で行動してるときに新エトナ教徒にさらわれそうになったんで、警護として白哉がついてくれているんだ」

『勇者の俺をさらうだって!』

フェンリルの浮竹はしっぽをびーんとたてて、威嚇する。

「いや、俺も一応勇者だし、エトナの子の力があるから、ボコボコにした」

フェンリルの浮竹も、元魔王の京楽も安堵する。

『それにしても、美人になったねぇ。元から美人だったけど、拍車をかけたかんじだね』

「エトナは美の神でもあるからな。加護もちの俺はそう見えてしまうんだろう」

『エトナ教徒でなくても、手を出してきそうだな。そんな奴がいたら、俺がボコボコにしてやるからな』

「そこにいるぞ」

浮竹は、京楽を指さす。

「ボ、ボクは君の伴侶だよ!?」

「この前、いやだっていったのに手を出してきた」

『京楽、この場合魔王の京楽をボコボコにするべきか?』

真剣に悩むフェンリルの浮竹は尻尾が揺れていた。

ボコボコにちょっとしたいらしい。

「簡便してよ!友達でしょ!」

『む、むう。そうだな、友達だな!』

フェンリルの浮竹は、しっぽをぶんぶん振っていた。

「フェンリルの俺、空を飛びたいと言っていただろう。重量の魔法で体重を0にして、空を一緒に飛んでみるか?」

『と、飛べるのか?一緒に!』

フェンリルの浮竹の尻尾は、ちぎれんばかりにぶんぶん振られていた。

『いいよ、いっておいで』

「ボクも地上で見とく」

浮竹は、重力の魔法でフェンリルの浮竹の体重を0にして、12枚の光り輝く翼を出すと、フェンリルの浮竹を抱えて大空を飛んでいく。

『わぁ、京楽があんなに小さく見える』

「もっと上に飛ぶぞ。しっかり掴まっていろ」

『わわわわ』

「怖いか?」

『ぜんぜん!こんな風に空を飛んだのははじめてだから興奮する!』

空中でも、フェンリルの浮竹の尻尾は素直でぶんぶんと振られていた。

『わぁ、鳥まで集まってきた』

「エトナ神は創造神で美と愛の神だからな。野生動物に好かれるようになった」

『すごいな、勇者の俺』

二人は、10分ほど空を飛んで帰ってきた。

『どうだった?』

『こう、ぶわっともあっとしてしゅーーだった』

『そう。それはよかったね』

『うん!』

「何いってるんだろう‥‥‥」

「俺は理解できるぞ?」

「え、理解できないのボクだけ!?」

京楽をのぞく3人は、笑い合う。

「なんか、のけものにされてる気分。くすん」

ちゅっと、浮竹が京楽の頬にキスをする。

「まぁ、そうむくれるな」

「も、もっかい!」

「だーめ。今夜までお預け」

浮竹は妖艶に微笑む。京楽は、がぜんやる気を出して、残っていた仕事を全て片付けて、元魔王の京楽とフェンリルの浮竹と浮竹の4人でお茶をするのであった。




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魔王と勇者と20

その日は、なぜか胸がざわついてなかなか眠れなかった。

その次の日、聖女教から、魔王領でされている聖女教の布教の禁止の廃止と、聖女教の存在を認めるようにと大神官が派遣されてきた。

「魔王京楽様、どうか聖女教を」

「禁止なものは禁止だよ。前からどうかと思っていたけど、魔神崇拝を掲げてからの聖女教はおかしくなった。モンスターの活発化にも影響しているらしいし。何より今のTOPの16代目の聖女が先代の魔王の藍染を夫としているし、前の17代目聖女アナスタシアとの間にできた聖女と魔族の子、聖者カインを聖剣セイクリッドアポカリプスで贄にすれば魔神になれるとか。とにかく、物騒なので禁止」

「この魔王め!」

大神官は、錫杖を抜き放ち、鋭い刃物を取り出す。

「死ね!」

「お前が死ね」

背後で様子をうかがっていた浮竹が、聖剣セイクリッドアポカリプスでもある魔王剣ディアブロで大神官の首をはねた。

「あーあ、殺しちゃった」

「まずかったか?」

「いや?どのみち帰ってこないという時点で、あちらもやられたって気づくでしょ」

「大神官でこの程度か。今の聖女教は弱体化してるな」

「それもそうでしょ。ちゃんとした聖職者は藍染の洗脳から逃れて聖女教を抜けてる。神エトナを崇拝する、新しい宗教に信者も流れてるらしいよ」

「エトナ‥‥‥懐かしい響きだ」

「え、知ってるの?」

「いや、初耳だ。ただ、昔どこかで聞いたことがある気がして」

その時、大神官の死体が動いた。

「危ない!」

浮竹は、京楽を庇って刺される。

「くくく、その傷は聖女アナスタシア様しか治せない」

「あ、そう」

大神官の遺体を焼いて、京楽は回復魔法をかけるが傷はいっこうに塞がらない。

「仕方ないね」

京楽は、聖女教の本部に浮竹を抱えて転移する。

「16代目聖女アナスタシアはいるかい」

「何者だ!不敬であるぞ!」

その神官の首を跳ね飛ばして、京楽は聖女のいる聖女の間にやってきた。

「あら、意外と早くきたのね」

「浮竹を治せ」

「そのかわり、聖剣セイクリッドアポカリプスをもらいます」

「いいだろう」

違う聖剣を与えると、先代の魔王の藍染が出てきた。

「それは、聖剣セイクリッドアポカリプスじゃない。本物を渡せ」

「浮竹を治すのが先だ」

「いや、聖剣セイクリッドアポカリプスを渡すのが先だ。勇者浮竹は、私たちの手で保護する」

藍染は、京楽に無理やり転移魔法を使い、魔王城に戻してしまった。

「浮竹!!」

京楽は、再度聖女教の本部に転移しようとして、結界がはられていてできない。仕方なしに本部のある町に転移して、走る。

「勇者浮竹。聖女のものになれ」

傷を癒された浮竹は、藍染から強烈な洗脳を受けるが、洗脳の効かないタイプなので、洗脳されたふりをする。

「アナスタシア様と藍染の御心のままに」

「ふはははは!あの勇者浮竹も私の傀儡だ!」

浮竹は、隙を見て聖剣セイクリッドアポカリプスを手にして、藍染の胸を貫く。

「な‥‥‥私の、洗脳が効かないだと?だが、お前には隠された力があるはずだ。聖女教のために働いてもらうぞ」

「言っとくが、洗脳は効かないぞ」

「いうことを聞かなければ、魔王京楽を殺す」

いつの間にか、京楽が走ってではあるが、戻ってきていた。

京楽は、衛兵にとらわれていたが、いつでも脱走可能のようであった。

「エトナの神を殺すために、その血肉を捧げよ、勇者浮竹」

浮竹は、びくんと反応する。

「エトナ‥‥‥‥神‥‥‥‥」

藍染は、聖剣セイクリッドアポカリプスで作られた傷を治癒するのに手いっぱいで、浮竹の変化に気づかない。

「どうしたの、浮竹!」

「思い、出した。俺はエトナの落とし子。エトナの涙から生まれた天使」

ばさりと、浮竹の背中から12枚の翼が現れる。

「な、エトナの子だと!?」

「藍染、話が違うわ!」

藍染と16代目聖女アナスタシアは叫ぶ。、

「エトナを害しようとする者よ。神の裁きを受けるがいい。ホーリージャッジメント!」

「ぎゃああああああ」

「きゃあああああ」:

最後まで見届けず、浮竹は京楽を連れて魔王城まで転移する。

「浮竹?」

「なんだ?」

「その翼、本物?それにエトナの落とし子って本当?」

「本物だぞ。触ってみるか?あと、俺はエトナ神の涙から生まれた天使だ」

「温かい‥‥」

京楽は、浮竹の翼を触った。空も飛べるようで、京楽を連れてふわりと宙を浮く。

「君が何者でも、ボクは君を愛してるよ、浮竹」

「俺も、たとえ天使でもお前を愛している、京楽」

二人は触れ合う口づけを交わし合う。

「藍染と16代目聖女アナスタシアは生きているだろうな。手加減はしなかったが」

「今度浮竹を襲ったりしたら、ボクが殺す」

京楽は、翼ごと浮竹を抱きしめる。

「俺は、強いぞ?エトナの子として覚醒したからな」

「ボクとどっちが強い?」

「さぁ、どうだろう。魔王としてのお前の強さは本物だからな」

クスリと浮竹は笑う。




「おのれえ、勇者浮竹め。エトナの子だと!?エトナ神は絶対神。その子の力は推し量れない‥‥」

「藍染、エトナ神はやばいわ。エトナ神に手を出そうというの?」

「今のところはやめだ。聖剣セイクリッドアポカリプスをもう一度手に入れて、我が子聖者カインを贄に、魔神になる」

「早く魔神になって、私に力をちょうだい」

「分かっている」



エトナ神。

このイスラの世界を支える絶対神にして創造神である。

エトナの神は、神界で愛しい落とし子が覚醒したのに微笑む。

「イスラの世界よ。繁栄あれ」

エトナの神の祝福を受けて、浮竹の体は光り輝くのであった。





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魔王と勇者と19

「キリア王国が新しく魔王領に加わったんだけど、モンスターの被害に悩んでて、ボクと一緒にモンスター討伐に行ってくれる?」

「ああ、もちろんだ」

『仕方ないねぇ』

『乗りかかった船だ』

京楽は、ここ数週間前に新たに魔王領に加わったキリア王国から、モンスターの被害が酷いので助けてくれとせがまれ、魔王自らが動くことにした。

ただ、王国中となると範囲が広いので、浮竹と元魔王の京楽、フェンリルの浮竹にも手伝ってもらうことにした。

軍も動かして大規模な討伐隊が組まれているが、強いモンスターの多い高原地帯には魔王自らが赴くことになった。

「君たちには、キリア高原に出るモンスターをお願いしたいんだよ。ボクたちもキリア高原のモンスター討伐に行くから」

『なにか、厄介なモンスターでもいるのか?』

フェンリルの浮竹の問いに、京楽は渋い顔をする。

「ダークドラゴンと、アンデットドラゴンが出る」

『ドラゴンかい。こりゃまた厄介だね』

元魔王の京楽も、ドラゴンの強さは知っていた。

「アンデットドラゴンには知能はほとんどないけど、ダークドラゴンは知能が高い。人語を理解するが、どんなに説得しても人間を襲うのを止めてくれないらしく、討伐することになった」

京楽は、できればダークドラゴンは討伐したくないようであった。

「ダークドラゴンは絶滅危惧種だから」

「うん。でも、人に危害を加えるなら仕方ないね」

こうして、4人はキリア王国のキリア高原に向かった。

雑魚のモンスターでもそこそこ強く、直接討伐に向かってよかったと京楽は思う。

『でたよ。まずはアンデットドラゴンだね』

「ヘルフレイム!」

『ファイアストーム』

「顕現せよ、炎の精霊王イフリール。ヘルインフェルノ!」

『おまけのファイアボールだよ』

アンデットドラゴンの弱点は聖と炎だ。

元魔王の京楽は、魔法を使うと初級魔法でも上位魔法の威力になるので、ファイアボールの初級の炎の魔法を使った。

「きしゃああああああああ」

アンデットドラゴンは、4人の炎の魔法に包まれて、悲鳴をあげて死んだ。

灰と骨なったアンデットドラゴンがもう蘇らないように、骨は素材になるので回収し、灰は聖水で清めた。




「しょせんはアンデットか。我の力を食らうがいい。ダークブレス」

「ダークドラゴンだ!気をつけて!」

京楽は、バリアをはるが、ダークドラゴンのブレスの威力はすごくて、罅が入ってくる。

『ボクに任せて』

「ああ、うん」

『知能の高いドラゴンの割には、ブレスだけでどうにかなるとでも思ってるの?』

元魔王の京楽は、ダークドラゴンをあおる。

「なんだと、虫けらの分際で」

『さぁ、どっちが本物の虫けらなんだろうね?フレア」

「熱いいい!!!ぎゃあああああああ!!」

初級魔法すら上位魔法になってしまう元魔王の京楽の中級魔法を受けて、ダークドラゴンは自慢の黒い鱗を燃やされて、もだえ苦しんでいた。

「この!」

ふりおろされるダークドラゴンの爪の攻撃を、フェンリルの浮竹がもっている自分の2つの剣で受け流す。

『京楽を傷付けようとする者は、ドラゴンであっても許さない』

「顕現せよ世界の終わりの終末の精霊王ジ・エンド。ワールドエンド」

浮竹が、自分と契約している精霊王の中でも、滅びを司る精霊王を呼び出し、禁忌を唱えさせる。

「ちょっと浮竹、やりすぎなんじゃ!」

「これくらいしないと、このダークドラゴンは死なない」

「おのれえええ、羽虫の分際で‥‥‥きしゃあああああ」

断末魔の叫びを残して、ダークドラゴンは世界の滅びの魔法で跡形もなく消えてしまった。

『やるな、勇者の俺!』

フェンリルの浮竹は、しっぽをぶんぶん振っていた。

その愛らしい姿に、浮竹も京楽もほんわりとなる。

『じゃあ、あとは雑魚だけだね。別れて一掃しようか』

「分かった。じゃあ、俺は北の方角を」

「じゃあ、ボクは南を」

『それじゃあ、ボクは東を担当するから浮竹は西をお願い』

『わかった!』

フェンリルの浮竹は、しっぽを揺らしっぱなしだった。

「フェンリルの俺、モンスター退治だが楽しいのか?」

浮竹が不思議に思って口にする。

『ん、ああ。見たこともないモンスターをやっつけれて、楽しいぞ!』

「冒険者ギルドに登録すればいいのに」

『ん。俺はメイドの上にアサシンをしていたからな。普通の冒険者ギルドには登録できないんだ。すでに、違うギルドに登録されてあるし』

「そうなのか」

4人は雑魚モンスターを一掃して、あとの違う地域のモンスターは魔王軍が退治することになった。

軍もたまには動かさないと、兵士がただ飯を食っていることになるので、定期的にモンスター討伐などに動かしていた。

『いっぱい倒したぞ。素材になりそうなモンスターは、言われた通りアイテムポケットに入れておいた』

『浮竹、偉い偉い』

『えへへ~~~』

元魔王の京楽に頭を撫でられるフェンリルの浮竹。

浮竹も、真似てフェンリルの浮竹の頭を撫でた。

尻尾をぶんぶんと降っていて、どうやら嬉しいらしい。

「キリア高原だけでなく、各地で人を襲うドラゴンが出ている。聖女教はおかしくなってモンスターの行動の活発化を放置してるし、これはもう聖女教は排除したほうがいいかもね」

京楽は、そう結論づけた。

「今の16代目聖女アナスタシアの夫は藍染だろう?」

「うん。放置しておくわけにもいかなくなってきたね」

だが、藍染は強い。

京楽は、たまたま藍染を退けて魔王になれたのであって、お互いが本気を出し合えばどうなるか分からない。

国の一つや二つは滅びるかもしれない。

「ボクも、魔王として動かないとね」

今の聖女教は静かだが、裏でモンスターの活発化と繋がりがありそうだ。

ぐうううう。

フェンリルの浮竹のお腹が鳴って、みんな目を合わせて笑った。

「撤収して、ごはんにしよう」

『賛成』

『お、俺は腹なんて‥‥』

ぐ~~とまたフェンリルの浮竹のお腹が鳴って、フェンリルの浮竹は赤くなる。

「魔王城に帰ろう。すぐに食事の準備してくれるから。君たちへの少しでもの恩義になれば」

『浮竹、言葉に甘えよう。お腹減ってる君に作らせるのもなんだしね』

フェンリルの浮竹は、尻尾を揺らして、浮竹の手を握る。

「フェンリルの俺?」

『あの精霊王ジ・エンドの召喚には生命力も使うと聞いた。失った生命力が戻る秘術をかけた。手をつないでいる間、周囲のマナから返還できる』

「ありがとう」

浮竹派、愛しい者を見る目でフェンリルの浮竹を見る。

そうしていると、種族は違うが双子に見えるのであった。


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魔王と勇者と18

「いつまで経っても仕事は終わらないし、浮竹はモンスター退治した後に元魔王のボクとフェンリルの浮竹のところに行っちゃうし‥‥‥ああ、やめだやめだ。今日の仕事はここで終わり!」

「魔王様!まだ目を通していただかないといけない書類がこんなに!」

猫の亜人の大臣が、紙の束を抱えている。

「今日の仕事は終わり!ボクも浮竹のところにいってくる!」

「あ、逃げた!」

京楽は、毎日の仕事に飽きて、浮竹を追って、いつの間にか地下に設置された転移魔法陣で元魔王の京楽とフェンリルの浮竹の住む城にやってくる。

「浮竹だけずるい」

「いや、お前は仕事があるだろうから。仕事はどうしたんだ?」

「大臣に任せて放り出してきた」

「まぁ、毎日仕事ばかりだもんな。息抜きもしたくなるか」

「浮竹成分が足りない」

京楽は、浮竹を抱き寄せた。

「おい、見られてるぞ」

「見せつけてるの」

元魔王の京楽とフェンリルの浮竹は、そっちがその気ならといちゃつきはじめた。

『はい、あーん』

フェンリルの浮竹が、茶菓子のプリンを元魔王の京楽の口元にもっていく。

『あーん』

それを、元魔王の京楽が口をあけて食べる。

「ねぇ、浮竹」

「自分で食え。あれはしないぞ」

「くすん」

それでも、京楽は浮竹と一緒にいられるのが嬉しくて、にこにこしていた。

フェンリルの浮竹の尻尾が揺れているのを見て、思い出したとばかりにアイテムポケットから何かの薬を取り出す。

「なんだそれ」

「狼の耳と尻尾が生える薬」

「何そんなものもってきてるんだ」

「フェンリルの浮竹と双子みたいになりたいと思わない?」

「双子‥‥‥」

浮竹は悩んだ。

『俺は勇者の俺とお揃いになりたい』

フェンリルの浮竹は尻尾をぶんぶん振っていた。

『ボクも見てみたいかも』

皆に言われて、浮竹はしぶしぶ薬を飲んだ。

ピョコンと狼の耳が生えて、尻尾も生えた。

「服があわないな」

『俺のメイド服をやる。一緒にメイドになろう』

「いや、女装は‥‥‥‥」

『だめか?』

うるうるとした瞳で見つめられて、浮竹はあっけなく陥落した。

「着替えてくる」

『初めて着るんじゃ、着かたが分からないだろう。教えてやる』

フェンリルの浮竹に連れられて、浮竹は城の奥に入っていく。

数分して、メイド姿になった浮竹が現れた。

「おお、似合ってるね。そうしてると、ほんとに双子みたいだね」

『うん、悪くないね』

『ふふ、双子みたいだって』

「けっこう恥ずかしいんだが」

『慣れたら平気になる』

メイドの姿で、浮竹は京楽に紅茶を入れてフェンリルの浮竹の作ったラズベリータルトを出す。

浮竹の尻尾も、フェンリルの浮竹のように揺れていた。

「きゃう!」

京楽にいきなり尻尾を握られて、浮竹は変な声を出してしまった。

『大丈夫か、勇者の俺』

「京楽、この薬もしかして‥‥‥‥」

「あ、ばれた?性感帯になるの」

「あほおおおおおおおお!!!」

浮竹は、綺麗なアッパーを京楽に決める。

「ひゃう」

フェンリルの浮竹に耳をにぎにぎされて、また声を出してしまう。

「京楽、解毒剤は!」

「ないよ。ちなみに誰かと交わらないととれないから」

「ぐぬぬぬぬ、はめたな!」

浮竹は、くやしそうだが尻尾は揺れていた。

「げふふふふ。こうも簡単にひっかかってくれるとは」

『魔王のボクって‥‥…』

『京楽、きっと仕事のしすぎで勇者の俺とできなくてたまってるんだろう』

『部屋、貸してあげるけど?』

「いや、一度帰るよ」

京楽は、浮竹を姫抱きにして転移魔法陣に乗って、一度戻っていった。

2時間ほどどして、メイド姿だが耳も尻尾もない浮竹ががやってくる。京楽は上機嫌で、反対に浮竹はぐったりしていた。

『勇者の俺、大丈夫か!』

「性欲の権化の餌食にされた」

「おかげですっきりしたよ」

「この魔王め!」

「そうだよ、ボクは魔王だよ?あと魔族だから悪魔でも通じるかもね」

「悪魔めええええ」

『なんだかんだいって、仲がいいんだね』

『むう、せっかく双子のようになれたのに。少し残念だ』

「じゃあ、浮竹にもう一度薬を‥‥‥」

「誰が飲むか!」

京楽は、鳩尾に拳を入れられて、それでも嬉しそうににまにましているのだった。



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