奴隷竜とSランク冒険者21
「ハッピーハローウィン!」
「は?なんだそれは」
「え、知らないの。ハロウィンっていって、子供が仮装してトリックオアトリート、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞって言って家々を訪問していくの。大人も仮装して、街では祭りも開かれてるよ」
「え、祭り?」
浮竹は、人の世界のお祭りを見たことはあるが、檻の中からだったので、そわそわしだした。
「お、お前が行きたいなら、そのハロウィンとやらの祭りにいってやらなくもない」
「ふふ、素直じゃないねぇ。でも、そんなとこも好きだよ。そうだね、浮竹は魔女のコスプレをしてもらおう」
「おい、俺は女じゃないぞ」
「コスプレに性別は関係ないよ。はい、黒い服にほうき」
あらかじめ用意していたのか、浮竹の衣装はすんなりと決まった。
「そして僕は、狼男だ。ふふ、魔女の君を食べちゃったりして」
「そ、そういうのは夜にいえ」
「え、ただの冗談なのに」
お互い顔を見合わせて、赤くなった。
「と、とにかく祭りにいくぞ」
「うん、そうだね」
王都だけあって、賑やかな祭りが開かれていた。
いろんな出店があって、浮竹は金魚すくいに夢中になって、金貨5枚はらってやっと1匹の金魚がとれた。
金魚すくいの屋台の主は、まさか金貨5枚も払う太っ腹がいるとはにわかに信じられず、浮竹と京楽を貴族だと思って、丁寧に接してきた。
「金魚、おまけで3匹足しておきますね。これ、おつりの銀貨3枚」
「京楽見ろ!おまけしてもらったぞ」
「良かったねぇ。金魚鉢も売ってるね。その金魚鉢とか飼育に必要なのもろもろ売ってもらえる?」
「え、この金魚鉢は魔法がかかってて、売り物じゃあないんですが」
「白金貨3枚でどう?」
「売った!」
屋台の主は、天国に行きそうなほどに幸福な顔をしていた。
そして、次の客を適当に扱う。
「ねぇ、この金魚鉢、水の魔法がかかってるね」
「ああ、そうなんです。水を綺麗に浄化してくれて、水をとりかえる必要がないんです。えさも自動的に出してくれて、あまり家にいられない人なんかにおすすめで」
「いいねぇ、気に入った。さらに白金貨2枚あげる」
Sランク冒険者である京楽と浮竹は、高級宿を家にしているが、帰ってこれない時も多い。
ダンジョンにもぐると2週間近くは時間を拘束されるし、クエストを受けても長いと半月くらい宿に戻ってこれない。
「浮竹、この金魚鉢なら金魚、世話しなくても飼えるよ」
「え、飼っていいのか!」
キラキラした眼差しで見つめられて、京楽は笑った。
「ペットなんていないからねぇ。ほんとは犬や猫を飼いたいけど、宿の主人に世話を任せることになるのが多そうだし、金魚くらいなら構わないよ」
「やったー、ペットだ!」
浮竹は、袋の中を泳ぐ4匹の金魚をじーっと見つめた。
「サンクチュアリ」
僅かに弱っていた個体を見つけたので、範囲魔法のヒールに相当するものを使うと、金魚はぴちぴちと跳ねて元気そうになった。
「浮竹、金魚なんかに癒しの魔法使わなくても」
「俺たちのペットなんだろう?ペットとは、家族であると教えられた。山じいに」
「まぁ、家族だけど。金魚が家族か。ふふ、面白いね」
「あ、フランクフルト!あれ食いたい!あと、ポテトフライも食いたい。その後は林檎飴を・・・・・・・」
なまじお金があるので、遠慮というものを知らない。
浮竹の胃は小さなブラックホールがあるようなもので、とにかくたくさん食べた。
「綿菓子をもう3個。たこ焼きあと2つ。焼きそば3つ」
付き合わされた京楽は、かなり疲れていた。
でも、浮竹とまるでデートしているようなかんじなので、食べ物を欲しがる浮竹に、財布のひもをあけてあれこれ買ってやる。
「そうだ、金魚に名前をつけよう。この赤いのがポチで、赤白まだらなのがたま、黒い出目金がたろうで、なんかわからんがこの青いのがじろーだ」
「そういえば、この金魚青いね。青いのってなかなかに珍しい」
「金魚といえば赤だからな」
「薔薇もそうだよね。青いのは珍しい」
浮竹は、じろーと名付けた青い金魚を特に気に入ったみたいで、早速餌をあげていた。
祭りを一通り楽しんで、一度宿に戻って金魚鉢に水を入れて金魚を放ち、もう一度祭りに出かける。
音楽が軽やかに流れ出し、皆踊っていた。
浮竹と京楽は、手を取り合い軽いステップを踏む。
周りは男女関係なしに、恋のダンスを踊っていた。
さすがに恋のダンスなんて知らないので、ワルツを踊る。
「あら、あの子綺麗」
「あら、どこ?」
「ほんと。白い長い髪に緑の瞳って珍しいわ。どこぞの貴族様かしら」
貴族なのは京楽なのだが、京楽は貴族を感じさせない容姿をしているので、黒髪に鳶色の瞳は珍しくもないが、女性の視線を集めていた。
「相手の人、かっこいい。でも、踊っている魔女の女性とお似合いね」
女性と間違われたことを、浮竹は文句を言うかと思ったが、楽しそうに踊って周りの言葉など耳に入っていなかった。
「さぁ、フィナーレだ!」
誰かがそう言って、花火がぱぁんぱぁんと打ち上がる。
京楽と浮竹は、ステップを踏んで踊り終わると、浮竹は空に向けて魔法を放った。
「カラミティプチファイア!」
それはいろんな色の炎を灯して、空へ空へとあがっていく。
「ファイアサークル」
京楽の魔法は、炎が輪になって踊りながら空へ吸い込まれていく。
「よ、いいね!ランクの高い冒険者さんとみた。祭りの最後に、売りれ残ったビールを半額で販売中だ。一杯どうだい?」
「いいね、もらうよ」
「俺も飲む!」
「浮竹は一杯だけね。酒に弱いんだから」
「むう」
浮竹と京楽は冷えたビールを飲む。
浮竹の頬が赤らんで、目がとろんとなる。
「もう酔ったのかい。今日はここまでだね。さぁ、帰ろうか」
「おんぶ」
「え?」
「おんぶしてくれなきゃ、帰らなない」
まさかの甘え方に、京楽はにやけた。
「酔った浮竹は素直でかわいいから、好きだよ」
「酔ってないぞ~~~~うぃっく」
酒癖の悪い親父みたいなかんじになっていたが、京楽から見ればそれもかわいいのだ。
「また、来年もこの祭りを楽しもうね」
「ああ。また、来年も・・・再来年も、ずっとずっと・・・・・・」
京楽は、浮竹に竜の刻印を刻まれて、不老不死に近い肉体になった。
祭りを、何度もで楽しめるだろう。
周りの人が一生を終えても、その後も、その後も。
京楽は、眠ってしまった浮竹をおんぶして、宿に帰路につくのであった。
「は?なんだそれは」
「え、知らないの。ハロウィンっていって、子供が仮装してトリックオアトリート、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞって言って家々を訪問していくの。大人も仮装して、街では祭りも開かれてるよ」
「え、祭り?」
浮竹は、人の世界のお祭りを見たことはあるが、檻の中からだったので、そわそわしだした。
「お、お前が行きたいなら、そのハロウィンとやらの祭りにいってやらなくもない」
「ふふ、素直じゃないねぇ。でも、そんなとこも好きだよ。そうだね、浮竹は魔女のコスプレをしてもらおう」
「おい、俺は女じゃないぞ」
「コスプレに性別は関係ないよ。はい、黒い服にほうき」
あらかじめ用意していたのか、浮竹の衣装はすんなりと決まった。
「そして僕は、狼男だ。ふふ、魔女の君を食べちゃったりして」
「そ、そういうのは夜にいえ」
「え、ただの冗談なのに」
お互い顔を見合わせて、赤くなった。
「と、とにかく祭りにいくぞ」
「うん、そうだね」
王都だけあって、賑やかな祭りが開かれていた。
いろんな出店があって、浮竹は金魚すくいに夢中になって、金貨5枚はらってやっと1匹の金魚がとれた。
金魚すくいの屋台の主は、まさか金貨5枚も払う太っ腹がいるとはにわかに信じられず、浮竹と京楽を貴族だと思って、丁寧に接してきた。
「金魚、おまけで3匹足しておきますね。これ、おつりの銀貨3枚」
「京楽見ろ!おまけしてもらったぞ」
「良かったねぇ。金魚鉢も売ってるね。その金魚鉢とか飼育に必要なのもろもろ売ってもらえる?」
「え、この金魚鉢は魔法がかかってて、売り物じゃあないんですが」
「白金貨3枚でどう?」
「売った!」
屋台の主は、天国に行きそうなほどに幸福な顔をしていた。
そして、次の客を適当に扱う。
「ねぇ、この金魚鉢、水の魔法がかかってるね」
「ああ、そうなんです。水を綺麗に浄化してくれて、水をとりかえる必要がないんです。えさも自動的に出してくれて、あまり家にいられない人なんかにおすすめで」
「いいねぇ、気に入った。さらに白金貨2枚あげる」
Sランク冒険者である京楽と浮竹は、高級宿を家にしているが、帰ってこれない時も多い。
ダンジョンにもぐると2週間近くは時間を拘束されるし、クエストを受けても長いと半月くらい宿に戻ってこれない。
「浮竹、この金魚鉢なら金魚、世話しなくても飼えるよ」
「え、飼っていいのか!」
キラキラした眼差しで見つめられて、京楽は笑った。
「ペットなんていないからねぇ。ほんとは犬や猫を飼いたいけど、宿の主人に世話を任せることになるのが多そうだし、金魚くらいなら構わないよ」
「やったー、ペットだ!」
浮竹は、袋の中を泳ぐ4匹の金魚をじーっと見つめた。
「サンクチュアリ」
僅かに弱っていた個体を見つけたので、範囲魔法のヒールに相当するものを使うと、金魚はぴちぴちと跳ねて元気そうになった。
「浮竹、金魚なんかに癒しの魔法使わなくても」
「俺たちのペットなんだろう?ペットとは、家族であると教えられた。山じいに」
「まぁ、家族だけど。金魚が家族か。ふふ、面白いね」
「あ、フランクフルト!あれ食いたい!あと、ポテトフライも食いたい。その後は林檎飴を・・・・・・・」
なまじお金があるので、遠慮というものを知らない。
浮竹の胃は小さなブラックホールがあるようなもので、とにかくたくさん食べた。
「綿菓子をもう3個。たこ焼きあと2つ。焼きそば3つ」
付き合わされた京楽は、かなり疲れていた。
でも、浮竹とまるでデートしているようなかんじなので、食べ物を欲しがる浮竹に、財布のひもをあけてあれこれ買ってやる。
「そうだ、金魚に名前をつけよう。この赤いのがポチで、赤白まだらなのがたま、黒い出目金がたろうで、なんかわからんがこの青いのがじろーだ」
「そういえば、この金魚青いね。青いのってなかなかに珍しい」
「金魚といえば赤だからな」
「薔薇もそうだよね。青いのは珍しい」
浮竹は、じろーと名付けた青い金魚を特に気に入ったみたいで、早速餌をあげていた。
祭りを一通り楽しんで、一度宿に戻って金魚鉢に水を入れて金魚を放ち、もう一度祭りに出かける。
音楽が軽やかに流れ出し、皆踊っていた。
浮竹と京楽は、手を取り合い軽いステップを踏む。
周りは男女関係なしに、恋のダンスを踊っていた。
さすがに恋のダンスなんて知らないので、ワルツを踊る。
「あら、あの子綺麗」
「あら、どこ?」
「ほんと。白い長い髪に緑の瞳って珍しいわ。どこぞの貴族様かしら」
貴族なのは京楽なのだが、京楽は貴族を感じさせない容姿をしているので、黒髪に鳶色の瞳は珍しくもないが、女性の視線を集めていた。
「相手の人、かっこいい。でも、踊っている魔女の女性とお似合いね」
女性と間違われたことを、浮竹は文句を言うかと思ったが、楽しそうに踊って周りの言葉など耳に入っていなかった。
「さぁ、フィナーレだ!」
誰かがそう言って、花火がぱぁんぱぁんと打ち上がる。
京楽と浮竹は、ステップを踏んで踊り終わると、浮竹は空に向けて魔法を放った。
「カラミティプチファイア!」
それはいろんな色の炎を灯して、空へ空へとあがっていく。
「ファイアサークル」
京楽の魔法は、炎が輪になって踊りながら空へ吸い込まれていく。
「よ、いいね!ランクの高い冒険者さんとみた。祭りの最後に、売りれ残ったビールを半額で販売中だ。一杯どうだい?」
「いいね、もらうよ」
「俺も飲む!」
「浮竹は一杯だけね。酒に弱いんだから」
「むう」
浮竹と京楽は冷えたビールを飲む。
浮竹の頬が赤らんで、目がとろんとなる。
「もう酔ったのかい。今日はここまでだね。さぁ、帰ろうか」
「おんぶ」
「え?」
「おんぶしてくれなきゃ、帰らなない」
まさかの甘え方に、京楽はにやけた。
「酔った浮竹は素直でかわいいから、好きだよ」
「酔ってないぞ~~~~うぃっく」
酒癖の悪い親父みたいなかんじになっていたが、京楽から見ればそれもかわいいのだ。
「また、来年もこの祭りを楽しもうね」
「ああ。また、来年も・・・再来年も、ずっとずっと・・・・・・」
京楽は、浮竹に竜の刻印を刻まれて、不老不死に近い肉体になった。
祭りを、何度もで楽しめるだろう。
周りの人が一生を終えても、その後も、その後も。
京楽は、眠ってしまった浮竹をおんぶして、宿に帰路につくのであった。
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勇者は死んだ
新勇者は、いっこうに魔王の浮竹を倒せないので、国王からの支援が途絶えた。
今は、勇者教のメンバーからなんとか生活資金をもらって、暮らしているらしい。
新勇者のパーティーは、新勇者もいれてダンジョン探索をしたり、冒険者ギルドで依頼を受けてその報酬金でやりくりしているが、新勇者がアデランスとかで無駄使いするでので、新勇者には金は渡されていなかった。
「ああああ、今日のギガントサイクロプス退治、大金貨400枚の収入だったのに、俺には金貨1枚すらもらえないってどういうことだ!」
新勇者は、仲間をなじった。
「お前が、アデランスとかでパーティーメンバーの資金を無駄遣いするからだ」
少年魔法使いが、冷たく言い放つ。
「そうよ。あんたにあげる金なんて銅貨1枚もないわ」
女僧侶の言葉に、新勇者は泣いた。
「ひどいいいいいい」
新勇者は、泣いて、勇者京楽に縋りついた。
「なんとかしてくれ、勇者京楽!」
ここは、魔王城であった。
魔王城のテラスで、魔王こと浮竹と勇者として魔王を討伐することをやめた京楽は、冷ややかな眼差しで新勇者を見ていた。
「僕の知ったことじゃないよ」
「ひどい!俺とのことは、遊びだったのね!」
「気持ち悪いこと言わないでくれる。僕の恋人は浮竹だけだよ」
「おい、新勇者。お前、また魔王城の備蓄ちょろまかしただろ」
「あははは、何のことかなぁ」
新勇者は誤魔化そうとしているが、そんな犯人は新勇者しかいないので、浮竹は魔法を放つ。
「カラミティファイア!」
「ぎゃああああああああ」
業火にもやされて、新勇者は黒こげになるが、すぐに復活する。
「ふはははは、燃やされ続けたせいで俺は火属性の魔法のダメージを大幅に軽減するスキルを覚えた。みたか、魔王浮竹!今の俺は強い」
「カラミティサンダー」
「ぎにゃああああああああ!違う属性だなんてずるいぞおおお」
雷で黒こげになって、新勇者は動かなくなった。
新勇者のパーティーメンバーは、気にせず魔王城のテラスで午後のお茶をしていた。
浮竹は、侍女に京楽の分も紅茶のおかわりを頼む。
5分経っても、10分経っても、新勇者は復活しなかった。
さすがに様子がおかしいと訝しんだ浮竹が、新勇者の元にいってみる。
「息、してない」
「ええ!ちょっと、それはまずいんじゃないの」
京楽が、新勇者を殴った。
反応は返ってこない。
「仕方ないねぇ。リザレクション」
死者を蘇らすことのできる、大いなる奇跡の魔法を京楽は使う。
「わん」
「へ?」
「わんわんわん」
「ああ、死んだのに時間がちょっと経ったものだから、そこらへんにいた犬の浮遊霊が勇者の体に入ったようだね」
「お手」
「わん」
「おまわり」
「わんわん!!」
女僧侶は、犬になりさがった新勇者を楽しんでいた。
「仕方ないねぇ」
京楽は、新勇者の中の犬の浮遊霊を追い出して、元の新勇者の魂を肉体に導く。
その頃には、新勇者は犬の首輪をされて、女僧侶が鎖で魔王城の柱に鎖でつないでいた。
「はっ、俺は!?三途の渡ったから、死んだのかと思った・・・・・ってなんだこれは!俺は犬じゃないぞ!」
「君、本当に死んでたんだよ。困るよ、死んでもらっちゃ。からかえないじゃない」
「ええ、何その心配の仕方!」
「浮竹が人殺しになるなんて、ごめんだからね。浮竹、放った魔法、加減するの忘れたね。本気だったでしょ」
「ああ。つい本気を出してしまった」
「だめでしょ、こいつは雑魚の中の雑魚なんだから」
「酷い!あんまりだあああああ」
新勇者は、なんとか鎖を解いて、首輪を引きちぎると、人工聖剣エクスカリバーで女僧侶に襲いかかった。
「ちょ、なんで私なのよ!」
「犬扱いしただろう!いつも俺を不幸な目にあわせやがって。裏でパパ活してホストに貢いでること、知ってるんだぞ!」
「ちょ、あたしの秘密をこんな場所で言わないでよ!」
ぴろりろりーん。
貧乏神のスキルがLVマックスになりました。ユニークスキル不幸なる者を覚えました。
「うわああああああん!不幸なんていらない!魔王浮竹にあげる!!!」
新勇者は、自分のスキルを浮竹に放り投げて、浮竹が不幸なる者を獲得してしまった。
「大丈夫、浮竹!?」
ぴろりろりーん。
ユニークスキル、不幸なる者が進化して、幸福なる者に進化しました。
「新スキル返せえええええ」
浮竹は、新勇者に幸福なる者を返した。
すると、新勇者のスキルはまた不幸なる者に戻った。
「なんでえええええ」
「お前が不幸だからだろう」
「うわああああん」
「カラミティプチサンダー」
浮竹は、加減しまくった雷の魔法を新勇者にあてた。
「ぎゃおおおおお!あああ、おしっこもれる!」
何故かしらんが、不幸なる者のスキルが発動して、失禁していた。
「えんがちょ。こっちくるな」
「こっちにこないでね」
「あ、うんこももらした」
ぶりぶりぶり~~~。
異臭を放つ新勇者から、みんな遠ざかる。
「ぐへへへへ。今まで散々いじめてくれたお礼だ!まずは魔王浮竹、お前に俺のピーをぶつけてやる!」
「カラミティアイシクルチェーン」
「ぬおおおお、身動きがとれない」
「リフレッシュ」
浮竹は、汚いまま魔王城を汚されるのがいやなので、新勇者のおもらしをなんとかしてやった。
「はははは、俺は最強だ!」
「うん、まぁ、ある意味最強だね。人前で脱糞した勇者なんて見たことないよ。勇者教の人に教えてあげよっと」
京楽の言葉に、新勇者の顔色が変わる。
「ど、どうか、勇者教の信者にはご内密に!」
「じゃあ、裸になってフラダンスしたら、内密にしてあげる」
新勇者は、恥じらいもないのでフルチンになるとフラダンスを踊り出した。
「あ、やっぱりパンツはいて。浮竹にそんな汚いもの見せられない」
パンツを頭にかぶった。
「ちょ、はいてっていったんだよ。かぶってっていってないよ」
「ぐへへへへ、魔王浮竹、俺の華麗な裸フラダンスでダメージを負え!」
「ぐあっ」
汚い踊りを見せられて、浮竹は100のダメージを受けた。
「お、効いてる!もっと踊るぞおおおお」
「アイシクルクラッシャー」
京楽が、新勇者の裸フラダンスを氷漬けにしたあげく、吹き飛ばして止めた。
「浮竹、セイントヒール、セイントヒール、セイントヒール」
「京楽、そんなにヒールかけなくても自動HP回復でダメージは回復している」
「よかったぁ」
「チートだあああ!!!」
新勇者は、氷を砕いて、今度はちゃんとパンツをはいて、人工聖剣エクスカリバーを京楽に向ける。
「よくもやってくれたな!勝負だ!」
「新勇者が負けるに金貨100枚」
「同じく負けるに金貨50枚」
「おいこらそこ、賭けすんな!」
新勇者は怒った。
憤怒の状態になり、全てのステータスがあがった。
京楽は、溜息をついて本物の聖剣エクスカリバーを抜くと、人工聖剣エクスカリバーを叩き折った。
「ぎゃああああああ!!!俺の聖剣が!俺の武器が!」
「ちょっとは頭冷やしておいで」
京楽は、新勇者を持ち上げると、窓からぶん投げた。
キランと、新勇者はお星さまになった。
「新勇者のパーティーも、退場してくれ」
「ああん、お菓子まだ食べたかったのに」
「あたしはもうおなかいっぱい食べたから満足にゃん」
文句を言う女僧侶と反対に、獣人盗賊は食べまくったらしい。
「外にいって、新勇者回収してきてね」
「仕方ないわねぇ」
「あー、気乗りしねぇ」
少年魔法使いは、新勇者が飛んでいった方角を図る。
「回収にいくぞ。一応、あんなんだがリーダーだし、リーダーがいないと冒険者ギルドでクエスト受けれないからな」
「いっそ、リーダーかえちゃばいいのにゃん」
「まぁ、回収してから議論しよう」
新勇者パーティーが去っていき、浮竹と京楽だけが残った。
「ねぇ、また来ると思う?」
「絶対くる」
「そうだね。今は、僕たちだけの時間を楽しもう」
「あっ」
「ふふっ、浮竹かわいい」
「京楽・・・・・」
新勇者は、結局3日後に留置所から保護された。
パンツ一丁で町を徘徊し、パンを万引きして、定食屋で無銭飲食したらしい。
その次の日には、新勇者も新勇者のパーティーも、何もなかったかのように魔王城にきて、昼食を食べていくのであった。
今は、勇者教のメンバーからなんとか生活資金をもらって、暮らしているらしい。
新勇者のパーティーは、新勇者もいれてダンジョン探索をしたり、冒険者ギルドで依頼を受けてその報酬金でやりくりしているが、新勇者がアデランスとかで無駄使いするでので、新勇者には金は渡されていなかった。
「ああああ、今日のギガントサイクロプス退治、大金貨400枚の収入だったのに、俺には金貨1枚すらもらえないってどういうことだ!」
新勇者は、仲間をなじった。
「お前が、アデランスとかでパーティーメンバーの資金を無駄遣いするからだ」
少年魔法使いが、冷たく言い放つ。
「そうよ。あんたにあげる金なんて銅貨1枚もないわ」
女僧侶の言葉に、新勇者は泣いた。
「ひどいいいいいい」
新勇者は、泣いて、勇者京楽に縋りついた。
「なんとかしてくれ、勇者京楽!」
ここは、魔王城であった。
魔王城のテラスで、魔王こと浮竹と勇者として魔王を討伐することをやめた京楽は、冷ややかな眼差しで新勇者を見ていた。
「僕の知ったことじゃないよ」
「ひどい!俺とのことは、遊びだったのね!」
「気持ち悪いこと言わないでくれる。僕の恋人は浮竹だけだよ」
「おい、新勇者。お前、また魔王城の備蓄ちょろまかしただろ」
「あははは、何のことかなぁ」
新勇者は誤魔化そうとしているが、そんな犯人は新勇者しかいないので、浮竹は魔法を放つ。
「カラミティファイア!」
「ぎゃああああああああ」
業火にもやされて、新勇者は黒こげになるが、すぐに復活する。
「ふはははは、燃やされ続けたせいで俺は火属性の魔法のダメージを大幅に軽減するスキルを覚えた。みたか、魔王浮竹!今の俺は強い」
「カラミティサンダー」
「ぎにゃああああああああ!違う属性だなんてずるいぞおおお」
雷で黒こげになって、新勇者は動かなくなった。
新勇者のパーティーメンバーは、気にせず魔王城のテラスで午後のお茶をしていた。
浮竹は、侍女に京楽の分も紅茶のおかわりを頼む。
5分経っても、10分経っても、新勇者は復活しなかった。
さすがに様子がおかしいと訝しんだ浮竹が、新勇者の元にいってみる。
「息、してない」
「ええ!ちょっと、それはまずいんじゃないの」
京楽が、新勇者を殴った。
反応は返ってこない。
「仕方ないねぇ。リザレクション」
死者を蘇らすことのできる、大いなる奇跡の魔法を京楽は使う。
「わん」
「へ?」
「わんわんわん」
「ああ、死んだのに時間がちょっと経ったものだから、そこらへんにいた犬の浮遊霊が勇者の体に入ったようだね」
「お手」
「わん」
「おまわり」
「わんわん!!」
女僧侶は、犬になりさがった新勇者を楽しんでいた。
「仕方ないねぇ」
京楽は、新勇者の中の犬の浮遊霊を追い出して、元の新勇者の魂を肉体に導く。
その頃には、新勇者は犬の首輪をされて、女僧侶が鎖で魔王城の柱に鎖でつないでいた。
「はっ、俺は!?三途の渡ったから、死んだのかと思った・・・・・ってなんだこれは!俺は犬じゃないぞ!」
「君、本当に死んでたんだよ。困るよ、死んでもらっちゃ。からかえないじゃない」
「ええ、何その心配の仕方!」
「浮竹が人殺しになるなんて、ごめんだからね。浮竹、放った魔法、加減するの忘れたね。本気だったでしょ」
「ああ。つい本気を出してしまった」
「だめでしょ、こいつは雑魚の中の雑魚なんだから」
「酷い!あんまりだあああああ」
新勇者は、なんとか鎖を解いて、首輪を引きちぎると、人工聖剣エクスカリバーで女僧侶に襲いかかった。
「ちょ、なんで私なのよ!」
「犬扱いしただろう!いつも俺を不幸な目にあわせやがって。裏でパパ活してホストに貢いでること、知ってるんだぞ!」
「ちょ、あたしの秘密をこんな場所で言わないでよ!」
ぴろりろりーん。
貧乏神のスキルがLVマックスになりました。ユニークスキル不幸なる者を覚えました。
「うわああああああん!不幸なんていらない!魔王浮竹にあげる!!!」
新勇者は、自分のスキルを浮竹に放り投げて、浮竹が不幸なる者を獲得してしまった。
「大丈夫、浮竹!?」
ぴろりろりーん。
ユニークスキル、不幸なる者が進化して、幸福なる者に進化しました。
「新スキル返せえええええ」
浮竹は、新勇者に幸福なる者を返した。
すると、新勇者のスキルはまた不幸なる者に戻った。
「なんでえええええ」
「お前が不幸だからだろう」
「うわああああん」
「カラミティプチサンダー」
浮竹は、加減しまくった雷の魔法を新勇者にあてた。
「ぎゃおおおおお!あああ、おしっこもれる!」
何故かしらんが、不幸なる者のスキルが発動して、失禁していた。
「えんがちょ。こっちくるな」
「こっちにこないでね」
「あ、うんこももらした」
ぶりぶりぶり~~~。
異臭を放つ新勇者から、みんな遠ざかる。
「ぐへへへへ。今まで散々いじめてくれたお礼だ!まずは魔王浮竹、お前に俺のピーをぶつけてやる!」
「カラミティアイシクルチェーン」
「ぬおおおお、身動きがとれない」
「リフレッシュ」
浮竹は、汚いまま魔王城を汚されるのがいやなので、新勇者のおもらしをなんとかしてやった。
「はははは、俺は最強だ!」
「うん、まぁ、ある意味最強だね。人前で脱糞した勇者なんて見たことないよ。勇者教の人に教えてあげよっと」
京楽の言葉に、新勇者の顔色が変わる。
「ど、どうか、勇者教の信者にはご内密に!」
「じゃあ、裸になってフラダンスしたら、内密にしてあげる」
新勇者は、恥じらいもないのでフルチンになるとフラダンスを踊り出した。
「あ、やっぱりパンツはいて。浮竹にそんな汚いもの見せられない」
パンツを頭にかぶった。
「ちょ、はいてっていったんだよ。かぶってっていってないよ」
「ぐへへへへ、魔王浮竹、俺の華麗な裸フラダンスでダメージを負え!」
「ぐあっ」
汚い踊りを見せられて、浮竹は100のダメージを受けた。
「お、効いてる!もっと踊るぞおおおお」
「アイシクルクラッシャー」
京楽が、新勇者の裸フラダンスを氷漬けにしたあげく、吹き飛ばして止めた。
「浮竹、セイントヒール、セイントヒール、セイントヒール」
「京楽、そんなにヒールかけなくても自動HP回復でダメージは回復している」
「よかったぁ」
「チートだあああ!!!」
新勇者は、氷を砕いて、今度はちゃんとパンツをはいて、人工聖剣エクスカリバーを京楽に向ける。
「よくもやってくれたな!勝負だ!」
「新勇者が負けるに金貨100枚」
「同じく負けるに金貨50枚」
「おいこらそこ、賭けすんな!」
新勇者は怒った。
憤怒の状態になり、全てのステータスがあがった。
京楽は、溜息をついて本物の聖剣エクスカリバーを抜くと、人工聖剣エクスカリバーを叩き折った。
「ぎゃああああああ!!!俺の聖剣が!俺の武器が!」
「ちょっとは頭冷やしておいで」
京楽は、新勇者を持ち上げると、窓からぶん投げた。
キランと、新勇者はお星さまになった。
「新勇者のパーティーも、退場してくれ」
「ああん、お菓子まだ食べたかったのに」
「あたしはもうおなかいっぱい食べたから満足にゃん」
文句を言う女僧侶と反対に、獣人盗賊は食べまくったらしい。
「外にいって、新勇者回収してきてね」
「仕方ないわねぇ」
「あー、気乗りしねぇ」
少年魔法使いは、新勇者が飛んでいった方角を図る。
「回収にいくぞ。一応、あんなんだがリーダーだし、リーダーがいないと冒険者ギルドでクエスト受けれないからな」
「いっそ、リーダーかえちゃばいいのにゃん」
「まぁ、回収してから議論しよう」
新勇者パーティーが去っていき、浮竹と京楽だけが残った。
「ねぇ、また来ると思う?」
「絶対くる」
「そうだね。今は、僕たちだけの時間を楽しもう」
「あっ」
「ふふっ、浮竹かわいい」
「京楽・・・・・」
新勇者は、結局3日後に留置所から保護された。
パンツ一丁で町を徘徊し、パンを万引きして、定食屋で無銭飲食したらしい。
その次の日には、新勇者も新勇者のパーティーも、何もなかったかのように魔王城にきて、昼食を食べていくのであった。
僕はそうして君に落ちていく外伝3
私は霊王。
俺は霊王。
私は楔。世界の贄。ただ在るだけの存在。
私は、私を殺したユーハバッハから私を奪い、唯一の残されていた右腕に全てを預けた。
結果、私は俺になった。
ミミハギ様と呼ばれるそれは霊王となり、それを宿す浮竹十四郎は霊王となった。
霊王は清浄なる存在。
霊王宮に住まい、清浄な空気の中で生きた。
私は・・・・俺は、霊王。
同時に、浮竹十四郎である。
霊王になって、120年が経った。
下界には、10年に一度祭事の時だけ降りることができた。霊王を崇める祭りの中を抜け出して、京楽と逢瀬を楽しむのが好きだった。
はじめ、霊王になった時もう京楽に会えないと言われて、脅すつもりで首の頸動脈を切った。
慌てた周囲は、月に一度京楽春水を霊王宮に招きいれることを承諾した。
霊王である浮竹は、下界を見たりしているが基本暇で、書物を読んだり1日の大半を寝たりして過ごしていた。
そんな浮竹が、今日はご機嫌で早起きをしていつもの十二単をまとい、そわそわしていた。
「霊王様・・・・京楽春水が、参りました」
「ご苦労。通せ」
霊王の身の回りの世話をする者たちを、霊王宮から遠ざける。
「京楽、会いたかった」
「僕もだよ、浮竹。1カ月ぶりだね。今日は、君が霊王になってから120年目の日だよ。霊王になった頃のこと、覚えてる?」
「んー、あんまり覚えない。気づいたら、迎えの者がきて霊王宮にいた。あなたは霊王だと言われて、ここで住んでもう二度と下界と接触してはいけない、京楽春水と会ってはいけないと言われて、刀で自分の首の頸動脈を脅しで切ったことは覚えている」
「ふふ、君はいつも危ない橋を渡るね」
「だって、京楽と会っちゃいけないっていうんだぞ。俺たち恋人同士なのに」
「総隊長の恋人が霊王だなんて、尸魂界の者が知ったら、卒倒しそうだね」
そもそも、霊王に意思などいらないのだが、今の霊王は意思をもつ。
浮竹に宿っていたミミハギ様は霊王の欠片。
欠片は浮竹を侵食したが、支配はできずに浮竹という名の自我を残した。
「京楽、近くへ」
「うん」
京楽は、十二単を着て動きにくそうな浮竹の傍に寄り添って、十二単を脱がすと、室内用の着物を渡した。
「今は、暦では下界は秋だよ。金木犀がよく咲いていて、いい香りがする。これ、お土産の金木犀の香水」
「ありがとう、京楽」
前の贄だった霊王とは違い、浮竹は生きて生活をしている。
身の回りの世話をする者が必要だった。
大半のことは自分でしたが、十二単は正装で、一人で着るのは難しくて侍女に手伝ってもらった。
「霊王宮の外の一部を、秋にしたんだ。金木犀も咲いてるぞ」
「また、霊王の力使ったの?体は大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
肺の病は癒えたが、病弱さが完全に消えたわけではなく、時折熱を出す。
霊王の力を使えば、熱を出して寝込むに決まっているのに、浮竹は京楽と秋を感じたいのだと霊王宮の庭を一部秋にしてしまった。
「もみじもある。紅葉が綺麗な季節だ。モナカ食うか?」
「うん、いただくよ」
今の霊王、浮竹十四郎は甘いものが好きで、特におはぎを好んだ。
「おはぎ、持ってきてるよ」
「食う!」
目をきらきらさせて、浮竹は京楽からおはぎをもらうと味わって食べた。
霊王宮でもおはぎを出されるが、味が下界のものとは違う。
京楽がもってくるおはぎは、下界の浮竹が好んで食べていた店のおはぎで、味は別格だった。
お菓子を食べ終えて、二人で手を繋いで霊王宮の外に出て、秋の庭を散歩する。
ちちちちちと、小鳥が浮竹の肩に止まった。
「かわいいね」
「そうだろう。ここの小鳥はよくなついてくれる」
「僕がかわいいって言ってるのは、浮竹のことだよ」
「う、そうか」
浮竹は頬を赤く染めながら、京楽と霊王宮の寝室に行く。
「俺を、抱け」
「言われなくても、そのつもりで来たから」
室内用の着物を脱がして、シミ一つない真っ白な肌を愛撫していく。
「あっ」
胸の先端を舌で転がされると、びくんと浮竹が反応する。
「やあ、そこは」
京楽は、浮竹の下着を取り去って、浮竹自身に舌をはわせた。
甘い蜜が零れ落ちる。
霊王の体は霊子が濃くできており、甘い味がした。
精液さえも、濃い砂糖水のように甘い。
「君は、本当に甘いね。死神だった頃が懐かしいよ。甘い浮竹は、嫌いじゃないよ」
「や、霊王に、好きでなったわけじゃない」
「知ってる」
浮竹のものに舌をはわせて、吐精した白い甘い液体を飲みこむ。
ごくりと音を立てて飲みこむ京楽に、浮竹は唇を舐めて、京楽に口づけた。
「んっ・・・・んんっ・・・・甘い」
「自分の体液、味わってどうするの」
「ふふ・・・・・・」
「抱くよ」
「早く、こい。俺の胎の奥で、子種をたくさん注いでくれ」
潤滑油に濡れた指が体内に入ってくる。
3本は飲みこむようになった頃には、蕾はとろとろにとけて、京楽のものを待ち望んでいた。
「んああああああ!!!ひあ!」
いきなり挿入されて、浮竹の体がベッドの上ではねる。
「そんなに、締め付けないで」
「やあああ、あ、あ、ああああ」
一度深くまで挿入してから、ずるずると抜いて、また突き上げる。
「あ、頭、白くなる・・・・・」
真っ白な長い髪をベッドで舞わせて、浮竹は放たれた京楽の子種を体の奥で受け止めた。
「あ、あ、あ、春水、もっと」
「愛してるよ、十四郎。1カ月に一度しか会えないのが寂しいね」
「もっと欲しい。1カ月が限度だって、零番隊の連中に泣かれたからな」
今の零番隊は昔とは違う。
本当なら、霊王である浮竹を、下界の存在である京楽に会わせたくもないのだが、霊王である浮竹自身が会いたいと望み、抱きたがられるので、京楽は会う前は必ず禊をして身を清めてからというのが決まりだった。
京楽は下界の者。
下界の者と交われば、穢れがうまれる。
だが、清浄な浮竹は、穢れをうむことはなく、逆に抱いた京楽が清浄なる者となった。
「あ、あああ、あ」
ズッ、ズッと、音をたてて出入りする京楽のものは大きく、浮竹の体の負担になるのだが、京楽は浮竹に出会えるだけでもよかったのだが、とうの浮竹が京楽に抱かれたがった。
「ふふ・・・熱が、はじけてる。俺の胎の奥で、お前の子種がどくどくいってる」
ぐちゅぐちゅと、結合部は泡立ち、浮竹の白い太ももを、京楽の精液が伝い落ちる。
「ひああああ、あ、あ!」
「たくさんあげるから、全部受け止めてね?」
「いやああああ」
ごりっと、最奥の結腸まで入ってきた熱に、浮竹は潮をふいていた。
「やああ、もれる、もれちゅう」
「ただの潮だよ。ふふ、そんなの僕のこれ、おいしい?」
「あ、おいしい。もっと、もっとくれ」
舌が絡みあう口づけを交わし合いながら、二人は乱れた。
「んああああ」
「ああ、君の精液は甘いね」
最後の精液を放った浮竹のものを口にして、京楽はそれを舐めとった。
「やああ、甘いのは、霊王であるせいで・・・・」
「死神だった頃の君の味も、嫌いではなかったよ」
「ああああ」
浮竹を起き上がらせて、騎乗位になった。
ずぷずぷと、自分の体重で浮竹は京楽を飲みこんでいく。
「あ、深い・・・・・」
「好きでしょ、こうして下から突かれるのも」
「あ、あ、ああん、や、だめぇええ」
「君のここは、浅ましいまでに貪欲だよ」
「春水、いじわる、するな」
浮竹は、涙を零した。
「ごめんごめん、じゃあ終わりにしようか」
「んあっ」
下から突き上げられて、そのまま腹の奥に子種を最後の一滴まで京楽は注ぎこんだ。
「ああ・・・・孕めれば、いいのに」
「そうだとしたら、子供いっぱいできてるよ」
「ん・・・・・」
京楽の楔が抜き取られると、大量の精液が逆流して太ももを伝い、ベッドのシーツに精液の水たまりを作った。
「ああ、このシーツももうだめだな。捨てないと」
「ごめんね。1カ月に一回しか逢瀬できないから、いつも加減がきかない」
「別にいい。俺も望んだことだ」
二人で風呂に入って身を清め、中に出されたものをかき出されて、前のシーツは捨てて、新しいシーツをしき、お日様の匂いのするベッドで二人は互いを抱き合いながら眠った。
「ん・・・・朝か。明日までいられるんだろう、京楽」
「うん。今日は何をしようか?」
「エッチなことはもうなしだぞ」
「さすがに、僕もあれだけやってまたやるほどの若さはないかも」
浮竹は霊王となった時点で、体が時を刻むのを止めている。
霊王であり続ける限り、若いままだろう。
一方の京楽は、120年という時を経たので、少しだけ年をとった。外見はほとんど変わらないが。
「いつか、お前が死んだら、俺も霊王をやめて死ぬ」
「不吉なこと言わないで」
「俺はお前さえいれば、今は尸魂界もどうなってもいい」
「だめだよ、尸魂界を支える霊王がそんなんじゃ」
「ふふ、零番隊の連中に泣かれるな」
「君って、時折意地悪だからね」
「今日はカルタをしよう。あと、外で蹴鞠をしよう」
「いいよ。なんにだって、付き合ってあげる」
私は贄、私は世界、私は霊王。
私は浮竹十四郎という者になり、残滓となった。
ミミハギ様となった私は、浮竹十四郎に逆に支配された。
もう、私は霊王とは呼べない、浮竹十四郎の魂の欠片。
でも、私も京楽春水を愛している。
それは、私であった頃の浮竹十四郎の思いなのだろうか。
私は静かに眠る。
浮竹十四郎の中で。
俺は贄、俺は世界、俺は霊王。
俺は浮竹十四郎。
霊王となっても、想いは変わらず、京楽のことを愛している。
月に一度の逢瀬。
10年に一度の、祭事として下界に降りるのが、俺の楽しみ。
俺が生きている証。
私は、俺は、霊王。
そこに在ればいいだけの存在は自我を持ち、歩き動き考える。
「愛してる、春水」
「僕も愛してるよ、浮竹」
霊王として、浮竹十四郎として。
俺は、今日も霊王宮で、愛しい相手と言葉を交わすのだ。
俺は霊王。
私は楔。世界の贄。ただ在るだけの存在。
私は、私を殺したユーハバッハから私を奪い、唯一の残されていた右腕に全てを預けた。
結果、私は俺になった。
ミミハギ様と呼ばれるそれは霊王となり、それを宿す浮竹十四郎は霊王となった。
霊王は清浄なる存在。
霊王宮に住まい、清浄な空気の中で生きた。
私は・・・・俺は、霊王。
同時に、浮竹十四郎である。
霊王になって、120年が経った。
下界には、10年に一度祭事の時だけ降りることができた。霊王を崇める祭りの中を抜け出して、京楽と逢瀬を楽しむのが好きだった。
はじめ、霊王になった時もう京楽に会えないと言われて、脅すつもりで首の頸動脈を切った。
慌てた周囲は、月に一度京楽春水を霊王宮に招きいれることを承諾した。
霊王である浮竹は、下界を見たりしているが基本暇で、書物を読んだり1日の大半を寝たりして過ごしていた。
そんな浮竹が、今日はご機嫌で早起きをしていつもの十二単をまとい、そわそわしていた。
「霊王様・・・・京楽春水が、参りました」
「ご苦労。通せ」
霊王の身の回りの世話をする者たちを、霊王宮から遠ざける。
「京楽、会いたかった」
「僕もだよ、浮竹。1カ月ぶりだね。今日は、君が霊王になってから120年目の日だよ。霊王になった頃のこと、覚えてる?」
「んー、あんまり覚えない。気づいたら、迎えの者がきて霊王宮にいた。あなたは霊王だと言われて、ここで住んでもう二度と下界と接触してはいけない、京楽春水と会ってはいけないと言われて、刀で自分の首の頸動脈を脅しで切ったことは覚えている」
「ふふ、君はいつも危ない橋を渡るね」
「だって、京楽と会っちゃいけないっていうんだぞ。俺たち恋人同士なのに」
「総隊長の恋人が霊王だなんて、尸魂界の者が知ったら、卒倒しそうだね」
そもそも、霊王に意思などいらないのだが、今の霊王は意思をもつ。
浮竹に宿っていたミミハギ様は霊王の欠片。
欠片は浮竹を侵食したが、支配はできずに浮竹という名の自我を残した。
「京楽、近くへ」
「うん」
京楽は、十二単を着て動きにくそうな浮竹の傍に寄り添って、十二単を脱がすと、室内用の着物を渡した。
「今は、暦では下界は秋だよ。金木犀がよく咲いていて、いい香りがする。これ、お土産の金木犀の香水」
「ありがとう、京楽」
前の贄だった霊王とは違い、浮竹は生きて生活をしている。
身の回りの世話をする者が必要だった。
大半のことは自分でしたが、十二単は正装で、一人で着るのは難しくて侍女に手伝ってもらった。
「霊王宮の外の一部を、秋にしたんだ。金木犀も咲いてるぞ」
「また、霊王の力使ったの?体は大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
肺の病は癒えたが、病弱さが完全に消えたわけではなく、時折熱を出す。
霊王の力を使えば、熱を出して寝込むに決まっているのに、浮竹は京楽と秋を感じたいのだと霊王宮の庭を一部秋にしてしまった。
「もみじもある。紅葉が綺麗な季節だ。モナカ食うか?」
「うん、いただくよ」
今の霊王、浮竹十四郎は甘いものが好きで、特におはぎを好んだ。
「おはぎ、持ってきてるよ」
「食う!」
目をきらきらさせて、浮竹は京楽からおはぎをもらうと味わって食べた。
霊王宮でもおはぎを出されるが、味が下界のものとは違う。
京楽がもってくるおはぎは、下界の浮竹が好んで食べていた店のおはぎで、味は別格だった。
お菓子を食べ終えて、二人で手を繋いで霊王宮の外に出て、秋の庭を散歩する。
ちちちちちと、小鳥が浮竹の肩に止まった。
「かわいいね」
「そうだろう。ここの小鳥はよくなついてくれる」
「僕がかわいいって言ってるのは、浮竹のことだよ」
「う、そうか」
浮竹は頬を赤く染めながら、京楽と霊王宮の寝室に行く。
「俺を、抱け」
「言われなくても、そのつもりで来たから」
室内用の着物を脱がして、シミ一つない真っ白な肌を愛撫していく。
「あっ」
胸の先端を舌で転がされると、びくんと浮竹が反応する。
「やあ、そこは」
京楽は、浮竹の下着を取り去って、浮竹自身に舌をはわせた。
甘い蜜が零れ落ちる。
霊王の体は霊子が濃くできており、甘い味がした。
精液さえも、濃い砂糖水のように甘い。
「君は、本当に甘いね。死神だった頃が懐かしいよ。甘い浮竹は、嫌いじゃないよ」
「や、霊王に、好きでなったわけじゃない」
「知ってる」
浮竹のものに舌をはわせて、吐精した白い甘い液体を飲みこむ。
ごくりと音を立てて飲みこむ京楽に、浮竹は唇を舐めて、京楽に口づけた。
「んっ・・・・んんっ・・・・甘い」
「自分の体液、味わってどうするの」
「ふふ・・・・・・」
「抱くよ」
「早く、こい。俺の胎の奥で、子種をたくさん注いでくれ」
潤滑油に濡れた指が体内に入ってくる。
3本は飲みこむようになった頃には、蕾はとろとろにとけて、京楽のものを待ち望んでいた。
「んああああああ!!!ひあ!」
いきなり挿入されて、浮竹の体がベッドの上ではねる。
「そんなに、締め付けないで」
「やあああ、あ、あ、ああああ」
一度深くまで挿入してから、ずるずると抜いて、また突き上げる。
「あ、頭、白くなる・・・・・」
真っ白な長い髪をベッドで舞わせて、浮竹は放たれた京楽の子種を体の奥で受け止めた。
「あ、あ、あ、春水、もっと」
「愛してるよ、十四郎。1カ月に一度しか会えないのが寂しいね」
「もっと欲しい。1カ月が限度だって、零番隊の連中に泣かれたからな」
今の零番隊は昔とは違う。
本当なら、霊王である浮竹を、下界の存在である京楽に会わせたくもないのだが、霊王である浮竹自身が会いたいと望み、抱きたがられるので、京楽は会う前は必ず禊をして身を清めてからというのが決まりだった。
京楽は下界の者。
下界の者と交われば、穢れがうまれる。
だが、清浄な浮竹は、穢れをうむことはなく、逆に抱いた京楽が清浄なる者となった。
「あ、あああ、あ」
ズッ、ズッと、音をたてて出入りする京楽のものは大きく、浮竹の体の負担になるのだが、京楽は浮竹に出会えるだけでもよかったのだが、とうの浮竹が京楽に抱かれたがった。
「ふふ・・・熱が、はじけてる。俺の胎の奥で、お前の子種がどくどくいってる」
ぐちゅぐちゅと、結合部は泡立ち、浮竹の白い太ももを、京楽の精液が伝い落ちる。
「ひああああ、あ、あ!」
「たくさんあげるから、全部受け止めてね?」
「いやああああ」
ごりっと、最奥の結腸まで入ってきた熱に、浮竹は潮をふいていた。
「やああ、もれる、もれちゅう」
「ただの潮だよ。ふふ、そんなの僕のこれ、おいしい?」
「あ、おいしい。もっと、もっとくれ」
舌が絡みあう口づけを交わし合いながら、二人は乱れた。
「んああああ」
「ああ、君の精液は甘いね」
最後の精液を放った浮竹のものを口にして、京楽はそれを舐めとった。
「やああ、甘いのは、霊王であるせいで・・・・」
「死神だった頃の君の味も、嫌いではなかったよ」
「ああああ」
浮竹を起き上がらせて、騎乗位になった。
ずぷずぷと、自分の体重で浮竹は京楽を飲みこんでいく。
「あ、深い・・・・・」
「好きでしょ、こうして下から突かれるのも」
「あ、あ、ああん、や、だめぇええ」
「君のここは、浅ましいまでに貪欲だよ」
「春水、いじわる、するな」
浮竹は、涙を零した。
「ごめんごめん、じゃあ終わりにしようか」
「んあっ」
下から突き上げられて、そのまま腹の奥に子種を最後の一滴まで京楽は注ぎこんだ。
「ああ・・・・孕めれば、いいのに」
「そうだとしたら、子供いっぱいできてるよ」
「ん・・・・・」
京楽の楔が抜き取られると、大量の精液が逆流して太ももを伝い、ベッドのシーツに精液の水たまりを作った。
「ああ、このシーツももうだめだな。捨てないと」
「ごめんね。1カ月に一回しか逢瀬できないから、いつも加減がきかない」
「別にいい。俺も望んだことだ」
二人で風呂に入って身を清め、中に出されたものをかき出されて、前のシーツは捨てて、新しいシーツをしき、お日様の匂いのするベッドで二人は互いを抱き合いながら眠った。
「ん・・・・朝か。明日までいられるんだろう、京楽」
「うん。今日は何をしようか?」
「エッチなことはもうなしだぞ」
「さすがに、僕もあれだけやってまたやるほどの若さはないかも」
浮竹は霊王となった時点で、体が時を刻むのを止めている。
霊王であり続ける限り、若いままだろう。
一方の京楽は、120年という時を経たので、少しだけ年をとった。外見はほとんど変わらないが。
「いつか、お前が死んだら、俺も霊王をやめて死ぬ」
「不吉なこと言わないで」
「俺はお前さえいれば、今は尸魂界もどうなってもいい」
「だめだよ、尸魂界を支える霊王がそんなんじゃ」
「ふふ、零番隊の連中に泣かれるな」
「君って、時折意地悪だからね」
「今日はカルタをしよう。あと、外で蹴鞠をしよう」
「いいよ。なんにだって、付き合ってあげる」
私は贄、私は世界、私は霊王。
私は浮竹十四郎という者になり、残滓となった。
ミミハギ様となった私は、浮竹十四郎に逆に支配された。
もう、私は霊王とは呼べない、浮竹十四郎の魂の欠片。
でも、私も京楽春水を愛している。
それは、私であった頃の浮竹十四郎の思いなのだろうか。
私は静かに眠る。
浮竹十四郎の中で。
俺は贄、俺は世界、俺は霊王。
俺は浮竹十四郎。
霊王となっても、想いは変わらず、京楽のことを愛している。
月に一度の逢瀬。
10年に一度の、祭事として下界に降りるのが、俺の楽しみ。
俺が生きている証。
私は、俺は、霊王。
そこに在ればいいだけの存在は自我を持ち、歩き動き考える。
「愛してる、春水」
「僕も愛してるよ、浮竹」
霊王として、浮竹十四郎として。
俺は、今日も霊王宮で、愛しい相手と言葉を交わすのだ。
無題
「行くのかい」
「ああ」
「そうかい。いつか、地獄で会おう」
「そうだな、春水」
「そうだね、十四郎」
遥か昔。
まだ学生だった頃、親友となった。
変わる季節の中で、お互いを大切にした。
浮竹の肺の病は、ミミハギ様のお陰で時を止めただけにすぎず、完治はしなかった。
時には稽古で2対の木刀で、浮竹が血を吐いたのもかまわずにきりかかったりした。
結果は引き分け。
互いの関係は、親友であり戦友でありライバルでもあった。
ミミハギ様を宿したまま、浮竹は肺の病と闘いながら京楽と同じ隊長にまで上り詰めた。
海燕亡き後、副隊長をを望む46室に、副隊長はいらぬと啖呵を切った。
京楽にミミハギ様のことを教えて、信じてもらえた。
絆は、深い。
魂のレベルでいつしか結ばれ合っていた。
「君が逝く時、きっと僕は藍染の力を借りる」
「俺が逝く時、どんな方法を使っても、尸魂界をもちこたえらせろ」
思いは、一つ。
この尸魂界を守りたい。
世界を、生きる者を守りたい。
「浮竹隊長!!浮竹隊長がいなくなれば、13番隊はどうすればいいんですか!」
「すまないな、朽木。まぁ、なんとかしてくれ」
浮竹は、神掛をした。
五臓六腑が黒くなり、はるか高みにある霊王宮までミミハギ様の、霊王の右腕はやってくる。
葬られた霊王の代わりに、この世界を少しでも永らえさせるために。
「京楽・・・・・後は、頼んだ・・・・・・」
「浮竹・・・・後は、任せなよ」
思いは交差する。
尸魂界のために死なば本望。
浮竹十四郎は、そんな男だった。
そして、一番仲のいい親友は、それを嘆きつつも受け入れる、総隊長だった。
そこには、確かに愛に似たものがあった。
何百年と同じ時を過ごし、互いに惹かれあっていた。
浮竹は死を。
京楽は生を。
それぞれ、選びとる。
「十四郎、今までお疲れさま。もう、泣いていいんだよ」
ミミハギ様を失い、体から抜け出た霊魂は、京楽の元に向かった。
「春水。もう時間がない。俺は地獄に落ちる。今まで、ありがとう。たくさんの愛を、ありがとう」
親友として、戦友として。
愛をもらった。
たくさんのありがとうを、お前に。
「地獄には、いつか老いぼれになってから、来いよ」
「うん」
京楽は、一滴の涙を零した。
「泣くな。これは、俺が決めたことだ」
「そうだね。君は、いつも僕の先をいってしまう。ずるいよ」
「ふふ。またな、春水」
「うん、またね、十四郎。今までお疲れさま」
浮竹の魂魄は、尸魂界の霊子に還っていく。
京楽は、藍染を外に出そうとしていた。
「また、いつか。十四郎、会いに、いくよ」
愛しい者の命が尽きても、総隊長である責務から逃れることはできない。
ユーハバッハを倒すためなら、どんな汚い手段でも使う。
京楽は、藍染を連れて外にでる。
「ああ、君のお陰で世界はまだ在るんだね」
もうすぐ、その命は尽きるけれど。
「いつか、俺が死んで先に地獄にいったら、お前をいつか迎えにいく」
「うん。迎えにきて」
いつの日だったかの、戯れの誓いは、いつか遠い未来で叶うだろう。
たくさんのありがとうを、君に。
たくさんの愛を、君に。
今まで、ありがとう。
「ああ」
「そうかい。いつか、地獄で会おう」
「そうだな、春水」
「そうだね、十四郎」
遥か昔。
まだ学生だった頃、親友となった。
変わる季節の中で、お互いを大切にした。
浮竹の肺の病は、ミミハギ様のお陰で時を止めただけにすぎず、完治はしなかった。
時には稽古で2対の木刀で、浮竹が血を吐いたのもかまわずにきりかかったりした。
結果は引き分け。
互いの関係は、親友であり戦友でありライバルでもあった。
ミミハギ様を宿したまま、浮竹は肺の病と闘いながら京楽と同じ隊長にまで上り詰めた。
海燕亡き後、副隊長をを望む46室に、副隊長はいらぬと啖呵を切った。
京楽にミミハギ様のことを教えて、信じてもらえた。
絆は、深い。
魂のレベルでいつしか結ばれ合っていた。
「君が逝く時、きっと僕は藍染の力を借りる」
「俺が逝く時、どんな方法を使っても、尸魂界をもちこたえらせろ」
思いは、一つ。
この尸魂界を守りたい。
世界を、生きる者を守りたい。
「浮竹隊長!!浮竹隊長がいなくなれば、13番隊はどうすればいいんですか!」
「すまないな、朽木。まぁ、なんとかしてくれ」
浮竹は、神掛をした。
五臓六腑が黒くなり、はるか高みにある霊王宮までミミハギ様の、霊王の右腕はやってくる。
葬られた霊王の代わりに、この世界を少しでも永らえさせるために。
「京楽・・・・・後は、頼んだ・・・・・・」
「浮竹・・・・後は、任せなよ」
思いは交差する。
尸魂界のために死なば本望。
浮竹十四郎は、そんな男だった。
そして、一番仲のいい親友は、それを嘆きつつも受け入れる、総隊長だった。
そこには、確かに愛に似たものがあった。
何百年と同じ時を過ごし、互いに惹かれあっていた。
浮竹は死を。
京楽は生を。
それぞれ、選びとる。
「十四郎、今までお疲れさま。もう、泣いていいんだよ」
ミミハギ様を失い、体から抜け出た霊魂は、京楽の元に向かった。
「春水。もう時間がない。俺は地獄に落ちる。今まで、ありがとう。たくさんの愛を、ありがとう」
親友として、戦友として。
愛をもらった。
たくさんのありがとうを、お前に。
「地獄には、いつか老いぼれになってから、来いよ」
「うん」
京楽は、一滴の涙を零した。
「泣くな。これは、俺が決めたことだ」
「そうだね。君は、いつも僕の先をいってしまう。ずるいよ」
「ふふ。またな、春水」
「うん、またね、十四郎。今までお疲れさま」
浮竹の魂魄は、尸魂界の霊子に還っていく。
京楽は、藍染を外に出そうとしていた。
「また、いつか。十四郎、会いに、いくよ」
愛しい者の命が尽きても、総隊長である責務から逃れることはできない。
ユーハバッハを倒すためなら、どんな汚い手段でも使う。
京楽は、藍染を連れて外にでる。
「ああ、君のお陰で世界はまだ在るんだね」
もうすぐ、その命は尽きるけれど。
「いつか、俺が死んで先に地獄にいったら、お前をいつか迎えにいく」
「うん。迎えにきて」
いつの日だったかの、戯れの誓いは、いつか遠い未来で叶うだろう。
たくさんのありがとうを、君に。
たくさんの愛を、君に。
今まで、ありがとう。
奴隷竜とSランク冒険者20
「ねぇ、浮竹、浮竹ってば!息をしてない!?そんな、浮竹!!!」
京楽は、人型のまま動かなくなった浮竹を抱きしめて、涙を流した。
「リザレクション!!!」
死者を蘇生できる魔法を使ってみる。
「生き返らない!どうして!浮竹ぇええええ!!!」
「呼んだか?」
ひょこっと風呂場から、浮竹が顔を見せたものだから、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった京楽を見て、浮竹は詫びた。
「ああすまない。今日、脱皮したんだ。人型で脱皮すると、死体みたいなのが残るの、言うの忘れてた」
「浮竹ぇぇぇぇ!!生きてる、生きてるんだね!?」
「ああ、生きているぞ。我ながら立派に脱皮したな。ただの死体に見える」
「浮竹のばかああああ!!心配したんだからねえええ!!!」
涙をぼとぼとと流して、京楽は風呂に入り、身を清めて衣服をきたばかりの浮竹にすり寄り、抱きしめてきた。
「うわ、鼻水と涙ふけ。服が汚れる」
「うきたけえええええ」
「ああ、俺が悪かった。落ち着くまで、抱いていていいぞ」
「ううう、ほんとに、心配したんだからね」
ぼとぼとと、涙の止まらない京楽。
京楽が泣き止み、落ち着くまで3時間はかかった。
「すまない。ほんとはドラゴン化して脱皮しようと思ったんだが、ドラゴン化しても死体みたいなのが残るから、処理がめんどうだから人型のままでいいかと思って」
「君が脱皮するなんて、初めて聞いた。どうして教えてくれなかったの?」
「いや、単純に俺が忘れてた。脱皮は10年に1回だから」
「10年に1回・・・・・奴隷時代も脱皮してたの?」
「ああ。死んだと思われて、逃げれそうだったんだが、うまくいかなかった」
京楽は、膝に浮竹を乗せて、その白い髪を手ですいていた。
「もう、しばらくは脱皮はしないよね?」
「ああ。早くても8年は先だ」
浮竹は、さらにすまなさそうに謝った。
「お前に、謝罪しておかなければならないことがある。体を重ね合わせ続けた結果、お前に俺の刻印が刻まれた。背中の肩甲骨あたりを見てくれ」
姿見の鏡やらで、なんとか肩甲骨の部分を確認すると、ドラゴン型の紋章があった。
「俺と同じ時間を生きる呪いを、お前は受けた」
「え」
「俺はドラゴンだ。人の数十倍は生きる。お前は人だ。百年もしない間に死んでしまう。でも、刻印を刻めば同じ時間を生きられる。俺は、お前に同じ時間を生きて欲しいと思って、刻印が刻まれるのを見て見ぬふりをしていた」
「僕はいいよ。浮竹と同じ時間を生きれるなら、何百年何千年生きたっていい」
「でも、知り合いは死んでいくぞ?それでもいいのか?」
「僕には、浮竹が一番だから。それに、まだまだ寿命を迎えるにも若すぎるし、まだまだ知り合いも生き続ける」
「うん」
浮竹は、ほろりと涙をこぼした。
二人して、泣いた。
「一緒の時間生きられるの、嬉しいよ」
「ただし、俺が死んだらお前も死ぬ。それでもいいのか?」
「君のいない世界に興味なんかない。構わないよ。君が死んだら、僕も死ぬ」
「京楽・・・・・」
「浮竹・・・・・・」
二人は、自然と唇を重ね合わせた。
「それにしても、この脱皮した抜け殻どうしよう」
「焼いちゃえば?」
「それもそうだな。外に出して焼くか」
人目のあるところで焼くと、人を焼き殺したと間違われそうなので、深夜にアイテムボックスの中に浮竹の脱皮したものを入れて、人気のない森までくると、魔法で火をつけた。
「おお、我ながらよく燃えるな。いい匂いがするだろう」
「ほんとだね。金木犀みたいな、甘い匂いがする」
「その昔、ムーンホワイトドラゴンの数が多かった頃、脱皮した品は上流階級者のお香として流行ったことがある」
浮竹は、この世界に生まれてまだ20年と少しだ。
ムーンホワイトドラゴンは成人するまでは早いが、成人してからは年を重ねない。
京楽も20代半ばほどの姿で、二人はこれから20代の容姿を保ったまま数百年、数千年を生きるのだ。
「浮竹に、永遠の愛を」
「なんだ、急に」
「うん・・・・浮竹が死んじゃったと思って、あとをおおうと思ってた」
「すまない・・・・俺が、事前に知らせていれば」
「うん。今度からは、些細なことでもいいから、知らせてね?」
「ああ」
その日の夜、浮竹は夢渡りをした。
異能力者のもう一人の浮竹が出てきて、その場に浮竹の脱皮した死体のようなものがあって、もう一人の浮竹はショックで言葉を失っていた。
「あ、俺は生きてるぞ。それは脱皮した後の残骸だ・・・・気絶しとる」
『うあ・・・・あれ?ドラゴンの俺?生きているのか!?」』
もう一人の浮竹も、涙をボロボロこぼして、ドラゴンの浮竹に抱き着いた。
『死んでない・・・・生きてる・・・暖かい・・・よかった』
「すまない。俺は、羽毛をもつドラゴンだが、10年に1回脱皮するんだ。脱皮すると、死体みたいなのが残る。これの処理も大変でな」
夢の中で、ドラゴンの浮竹は自分の脱皮したものに火を放った。
『わあああ、もったいない!』
「いや、死体コレクターでもない限りいらんだろ。燃やす」
完全に灰になったのを確認すると、もう一人の浮竹は涙を流していた。
「どうしたんだ?」
『いつか、俺やお前もこうなるのかと思って・・・・』
「思い込みしすぎだ。ほら、向こうの世界の京楽が待ってるぞ」
ゆらゆらと、夢が薄れていく。
向こう側の京楽の声が聞こえた。
『浮竹、朝だよ、起きて』
「じゃあ、俺は戻るな。またな、異能力者の俺!」
『ああ、またな』
すーっと、異能力者の浮竹もドラゴンの浮竹も消えて、夢の残骸だけが残った。
「浮竹、浮竹?」
「ん、ああ・・・夢渡りをしていた。もう一人の異能力者の俺に会っていた。俺の脱皮したのがあって、気絶してた。燃やしたけど」
「夢の中まで、脱皮してたの」
「なんかわからんが、夢の中でも脱皮してた」
「向こうの浮竹、ショック受けてたでしょ」
「気絶してた」
「あらまぁ。ちゃんと謝った?」
「ああ。謝った」
朝食を食べて、顔を洗って歯を磨き、身支度を二人で整える。
浮竹と京楽は、ピクシー探しのクエストに出かけるのであった。
京楽は、人型のまま動かなくなった浮竹を抱きしめて、涙を流した。
「リザレクション!!!」
死者を蘇生できる魔法を使ってみる。
「生き返らない!どうして!浮竹ぇええええ!!!」
「呼んだか?」
ひょこっと風呂場から、浮竹が顔を見せたものだから、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった京楽を見て、浮竹は詫びた。
「ああすまない。今日、脱皮したんだ。人型で脱皮すると、死体みたいなのが残るの、言うの忘れてた」
「浮竹ぇぇぇぇ!!生きてる、生きてるんだね!?」
「ああ、生きているぞ。我ながら立派に脱皮したな。ただの死体に見える」
「浮竹のばかああああ!!心配したんだからねえええ!!!」
涙をぼとぼとと流して、京楽は風呂に入り、身を清めて衣服をきたばかりの浮竹にすり寄り、抱きしめてきた。
「うわ、鼻水と涙ふけ。服が汚れる」
「うきたけえええええ」
「ああ、俺が悪かった。落ち着くまで、抱いていていいぞ」
「ううう、ほんとに、心配したんだからね」
ぼとぼとと、涙の止まらない京楽。
京楽が泣き止み、落ち着くまで3時間はかかった。
「すまない。ほんとはドラゴン化して脱皮しようと思ったんだが、ドラゴン化しても死体みたいなのが残るから、処理がめんどうだから人型のままでいいかと思って」
「君が脱皮するなんて、初めて聞いた。どうして教えてくれなかったの?」
「いや、単純に俺が忘れてた。脱皮は10年に1回だから」
「10年に1回・・・・・奴隷時代も脱皮してたの?」
「ああ。死んだと思われて、逃げれそうだったんだが、うまくいかなかった」
京楽は、膝に浮竹を乗せて、その白い髪を手ですいていた。
「もう、しばらくは脱皮はしないよね?」
「ああ。早くても8年は先だ」
浮竹は、さらにすまなさそうに謝った。
「お前に、謝罪しておかなければならないことがある。体を重ね合わせ続けた結果、お前に俺の刻印が刻まれた。背中の肩甲骨あたりを見てくれ」
姿見の鏡やらで、なんとか肩甲骨の部分を確認すると、ドラゴン型の紋章があった。
「俺と同じ時間を生きる呪いを、お前は受けた」
「え」
「俺はドラゴンだ。人の数十倍は生きる。お前は人だ。百年もしない間に死んでしまう。でも、刻印を刻めば同じ時間を生きられる。俺は、お前に同じ時間を生きて欲しいと思って、刻印が刻まれるのを見て見ぬふりをしていた」
「僕はいいよ。浮竹と同じ時間を生きれるなら、何百年何千年生きたっていい」
「でも、知り合いは死んでいくぞ?それでもいいのか?」
「僕には、浮竹が一番だから。それに、まだまだ寿命を迎えるにも若すぎるし、まだまだ知り合いも生き続ける」
「うん」
浮竹は、ほろりと涙をこぼした。
二人して、泣いた。
「一緒の時間生きられるの、嬉しいよ」
「ただし、俺が死んだらお前も死ぬ。それでもいいのか?」
「君のいない世界に興味なんかない。構わないよ。君が死んだら、僕も死ぬ」
「京楽・・・・・」
「浮竹・・・・・・」
二人は、自然と唇を重ね合わせた。
「それにしても、この脱皮した抜け殻どうしよう」
「焼いちゃえば?」
「それもそうだな。外に出して焼くか」
人目のあるところで焼くと、人を焼き殺したと間違われそうなので、深夜にアイテムボックスの中に浮竹の脱皮したものを入れて、人気のない森までくると、魔法で火をつけた。
「おお、我ながらよく燃えるな。いい匂いがするだろう」
「ほんとだね。金木犀みたいな、甘い匂いがする」
「その昔、ムーンホワイトドラゴンの数が多かった頃、脱皮した品は上流階級者のお香として流行ったことがある」
浮竹は、この世界に生まれてまだ20年と少しだ。
ムーンホワイトドラゴンは成人するまでは早いが、成人してからは年を重ねない。
京楽も20代半ばほどの姿で、二人はこれから20代の容姿を保ったまま数百年、数千年を生きるのだ。
「浮竹に、永遠の愛を」
「なんだ、急に」
「うん・・・・浮竹が死んじゃったと思って、あとをおおうと思ってた」
「すまない・・・・俺が、事前に知らせていれば」
「うん。今度からは、些細なことでもいいから、知らせてね?」
「ああ」
その日の夜、浮竹は夢渡りをした。
異能力者のもう一人の浮竹が出てきて、その場に浮竹の脱皮した死体のようなものがあって、もう一人の浮竹はショックで言葉を失っていた。
「あ、俺は生きてるぞ。それは脱皮した後の残骸だ・・・・気絶しとる」
『うあ・・・・あれ?ドラゴンの俺?生きているのか!?」』
もう一人の浮竹も、涙をボロボロこぼして、ドラゴンの浮竹に抱き着いた。
『死んでない・・・・生きてる・・・暖かい・・・よかった』
「すまない。俺は、羽毛をもつドラゴンだが、10年に1回脱皮するんだ。脱皮すると、死体みたいなのが残る。これの処理も大変でな」
夢の中で、ドラゴンの浮竹は自分の脱皮したものに火を放った。
『わあああ、もったいない!』
「いや、死体コレクターでもない限りいらんだろ。燃やす」
完全に灰になったのを確認すると、もう一人の浮竹は涙を流していた。
「どうしたんだ?」
『いつか、俺やお前もこうなるのかと思って・・・・』
「思い込みしすぎだ。ほら、向こうの世界の京楽が待ってるぞ」
ゆらゆらと、夢が薄れていく。
向こう側の京楽の声が聞こえた。
『浮竹、朝だよ、起きて』
「じゃあ、俺は戻るな。またな、異能力者の俺!」
『ああ、またな』
すーっと、異能力者の浮竹もドラゴンの浮竹も消えて、夢の残骸だけが残った。
「浮竹、浮竹?」
「ん、ああ・・・夢渡りをしていた。もう一人の異能力者の俺に会っていた。俺の脱皮したのがあって、気絶してた。燃やしたけど」
「夢の中まで、脱皮してたの」
「なんかわからんが、夢の中でも脱皮してた」
「向こうの浮竹、ショック受けてたでしょ」
「気絶してた」
「あらまぁ。ちゃんと謝った?」
「ああ。謝った」
朝食を食べて、顔を洗って歯を磨き、身支度を二人で整える。
浮竹と京楽は、ピクシー探しのクエストに出かけるのであった。
奴隷竜とSランク冒険者19
「白哉に見合い話がきているのを、台無しにしてほしい?」
浮竹が、ルキアの言葉に首を傾げた。
「そうなのです。兄様に見合いの話がきているんですが、隣国の王族の姫君で・・・・こちら側からお断りするのが無理そうなので、是非京楽殿と浮竹殿でお見合いをめちゃくちゃにしてほしいのです」
「ねぇ、それしたら僕らが隣国に睨まれない?」
「大丈夫です!兄様が、脅しをかけるはずなので」
「はぁ・・・・・まぁいいけど、依頼料はもらうよ?」
「京楽、知り合いなんだから金をとらなくてもいいだろう」
「こっちは商売なんだよ。浮竹、金はもらうべし」
「ふむ」
そうして、浮竹と京楽は、白哉のお見合いを無茶苦茶にするべく、行動を開始した。
まず、白哉にめちゃめちゃださい服を着させて、お見合いに挑ませた。
でも、隣国の姫は。
「変わったファッションですね。とてもお似合いですわ」
と言って、幻滅しない。
白哉の凛と整った美貌は、男にしておくのは勿体ないほどで、ださい服を着させても、佇まいや所作で上流貴族の品格が滲みでる。
次に浮竹と京楽がとった行動は、薄めたモレ草を姫君に盛った。
「おほほほほ、ちょっとお花摘みに」
そう言って、1回だけトイレにいっただけで、進歩なし。
「おかしい。モレ草は薄めたが、トイレから出れるはずがない」
「あの姫君、もしかして毒とかに強いのかも」
浮竹と京楽は、お見合いの席の近くでこそこそとやりとりをする。
次に二人がとった行動は、王国の騎士団長である四楓院夜一を巻き込んでの、すでに恋人がいる作戦だった。
「ほう、お主、わしというものがありながら、見合いをするとは何事じゃ」
「あの、こちらの方は?」
「四楓院夜一。私の知り合いだ」
「お主、見合いを成功させたくないのじゃろう!なぜに恋人と言わぬ!」
夜一が白哉のそっけない態度にきれて、本当のことを言ってしまい、夜一は機嫌を損ねて早々に退場してしまった。
こそこそと、浮竹と京楽が会話する。
「なあ、白哉は本当にこの見合いを不成功にさせたいのか?」
「そんなの、僕が知りたいよ」
「さっきから、何をしているのかと思えば、兄らか」
白哉に見つかり、素直に義妹のルキアが、お見合いをぶち壊してほしいと依頼をしてきたと白状する。
「心配をかけなくとも、見合いは断る。姫、私はこのムーンホワイトドラゴンに命を握られている」
「え、どういうことですの」
「私と結婚すると、竜の厄災が末代まで続く」
浮竹は、外に皆を出すと竜化してムーンホワイトドラゴンになった。
「ひっ、ド、ドラゴン!」
姫君は、失神寸前であった。
「このドラゴンに呪いをかけられているのだ。結婚すると、体に鱗がはえてきて、いずれドラゴンのような体になる」
白哉の落ち着いたものいいと、いつもの服装に着替えての凛とした口調に、姫君は顔を青くする。
「ほら、見合いをするから、姫君の腕にも鱗が・・・・・」
「きゃああああああ、いやあああああああ!!こんなお見合いお断りよ!!」
白哉は、幻覚の魔法で姫の腕に鱗を生えさせているように見せたのだ。
姫は混乱して、それが魔法による幻覚と分からず、分かったところで触感なども伴っているので、本当に鱗が生えたと感じるはずだった。
「ドラゴンに末代まで祟られるなんていやよ!いい男だけど、それよりも私の美貌がドラゴンの呪いで鱗にまみれて醜くなってしまうのはいやよ!」
姫君が連れていた従者たちは皆文官で、魔法に詳しくなかった。
「皆の者、早く国に帰って、穢れを祓うために神殿にこもりますわよ!」
そう言って、姫君は馬車に乗って、お見合いの舞台であった朽木家を飛び出していった。
「俺の呪い・・・・・」
「浮竹、大丈夫、浮竹に呪いなんてないよ」
「知っている」
「すまぬ、浮竹。兄のドラゴンというのを利用させてもらった」
白哉は、すまなそうな顔をして、浮竹に謝った。
「まぁ、結果オーライだからいいだろう。ドラゴンの鱗が生える呪いか・・・・実際に、あるんだがな」
「え、あるの?」
「邪竜の呪いだ。邪竜の中でも呪いに特化した者が使える、呪詛にある」
「ひええええ」
「大丈夫、俺は使えないし、大地母神の大神官長クラスになれば解ける呪いだ」
「大地母神の大神官長は、白金貨5万枚以上は払わないと、処置してくれないよ」
「だから、邪竜の呪いに特化した者の呪いだ。普通はそんな呪い受けない。初期段階であれば、神官の祝福でも治る」
「そういうものなの」
「ああ、そういうものだ」
「兄様、見合いは無事破綻したのですね!」
「ルキア、浮竹と京楽を巻き込まなくとも、断っていた」
「しかし、隣国の王族。上流貴族とはいえ、王族には・・・・・」
「私は、冒険者だ。緋真亡き今、他の妻を娶るつもりもないし、見合いを上の身分から押しかけられたら一応は見合いはするが、ちゃんと断る。余計な心配をかけてすまぬ、ルキア」
「兄様!」
「ルキア・・・・・・」
二人は見つめ合い、白哉はルキアの中に亡き妻の面影を見て、懐かしそうな顔をしていた。
「ルキア、一護と共に、今度恋次も一緒にSランクダンジョンに挑まぬか?」
「え、いいのですか。私と一護はまだAランクですよ!」
「Sランクの者が一人以上いれば、ダンジョンには入れる」
「やった!一護に、伝えてきますね。あと、恋次にも」
ルキアは、同じ朽木家に暮らすことになった一護と恋次を探しに行った。
ルキアは一護と恋次と結婚している。
一夫多妻ならぬ、一妻多夫である。
「はぁ。依頼料ももらえそうにないし、帰ろうか」
「そうだな」
「まて、浮竹、京楽」
「「ん?」」
「これをやる。迷惑をかけた償いだ」
「わお、神の秘薬エリクサーじゃない。白金貨20万枚はするよ。いいの?」
「ああ。我が家にはそれがたくさんある。使いことも少ないので、やる」
「金持ちは違うな・・・・・・」
浮竹と京楽も、Sランク冒険者として財はそこそこにあるが、さすがに上流貴族にはかてない。
もっとも、京楽が引き継ぐはずの上流貴族の財もかなりのものであるのだが、京楽は上流貴族であることを嫌い、ほぼ出奔した形になっている。
「ありがたくもらっておくよ。緊急時に使うかもしれないから、とっておくね」
神の秘薬というだけあって、エリクサーはどんな状態異常や怪我でもたちどころに癒してくれる。
浮竹は、エリクサーを見るのは初めてで、小瓶の中につまった虹色に光るきらきらした液体を、太陽の日に透かせて、飽きる事なく眺めていた。
「じゃあ、僕たちはこれで。行くよ、浮竹」
「ん、ああ。白哉にルキア、またな」
エリクサーをアイテムポケットにしまいこむ。
「エリクサーあるなら、邪竜討伐もできるな」
「うん。でも、今のところ活動中で駆除依頼の出ている邪竜はいないよ」
「まぁ、ドラゴンは珍しいし、その中でも邪竜はさらに珍しいからな」
白哉のお見合いは見事に破綻し、隣国の姫君はドラゴンの呪いを恐れて、報復行動などには出ずに、白哉とルキアは、また共にいれるのは変わりなかった。
朽木家に、ルキアの夫として婿入りした一護と恋次もいるのだが。
朽木家は静かなところだったが、ルキアが結婚してからというもの、ことあるこごとに一護と恋次が騒ぐので、たまに白哉が二人を氷漬けにしたりするらしい。
「さて、次の依頼は何かいいのあるかな~」
「お、ピクシーの捜索依頼だってさ。依頼料は少ないが、ピクシーを見てみたい」
「じゃあ、その依頼受けよっか」
京楽と浮竹は、早くも次のクエストを探すのであった。
浮竹が、ルキアの言葉に首を傾げた。
「そうなのです。兄様に見合いの話がきているんですが、隣国の王族の姫君で・・・・こちら側からお断りするのが無理そうなので、是非京楽殿と浮竹殿でお見合いをめちゃくちゃにしてほしいのです」
「ねぇ、それしたら僕らが隣国に睨まれない?」
「大丈夫です!兄様が、脅しをかけるはずなので」
「はぁ・・・・・まぁいいけど、依頼料はもらうよ?」
「京楽、知り合いなんだから金をとらなくてもいいだろう」
「こっちは商売なんだよ。浮竹、金はもらうべし」
「ふむ」
そうして、浮竹と京楽は、白哉のお見合いを無茶苦茶にするべく、行動を開始した。
まず、白哉にめちゃめちゃださい服を着させて、お見合いに挑ませた。
でも、隣国の姫は。
「変わったファッションですね。とてもお似合いですわ」
と言って、幻滅しない。
白哉の凛と整った美貌は、男にしておくのは勿体ないほどで、ださい服を着させても、佇まいや所作で上流貴族の品格が滲みでる。
次に浮竹と京楽がとった行動は、薄めたモレ草を姫君に盛った。
「おほほほほ、ちょっとお花摘みに」
そう言って、1回だけトイレにいっただけで、進歩なし。
「おかしい。モレ草は薄めたが、トイレから出れるはずがない」
「あの姫君、もしかして毒とかに強いのかも」
浮竹と京楽は、お見合いの席の近くでこそこそとやりとりをする。
次に二人がとった行動は、王国の騎士団長である四楓院夜一を巻き込んでの、すでに恋人がいる作戦だった。
「ほう、お主、わしというものがありながら、見合いをするとは何事じゃ」
「あの、こちらの方は?」
「四楓院夜一。私の知り合いだ」
「お主、見合いを成功させたくないのじゃろう!なぜに恋人と言わぬ!」
夜一が白哉のそっけない態度にきれて、本当のことを言ってしまい、夜一は機嫌を損ねて早々に退場してしまった。
こそこそと、浮竹と京楽が会話する。
「なあ、白哉は本当にこの見合いを不成功にさせたいのか?」
「そんなの、僕が知りたいよ」
「さっきから、何をしているのかと思えば、兄らか」
白哉に見つかり、素直に義妹のルキアが、お見合いをぶち壊してほしいと依頼をしてきたと白状する。
「心配をかけなくとも、見合いは断る。姫、私はこのムーンホワイトドラゴンに命を握られている」
「え、どういうことですの」
「私と結婚すると、竜の厄災が末代まで続く」
浮竹は、外に皆を出すと竜化してムーンホワイトドラゴンになった。
「ひっ、ド、ドラゴン!」
姫君は、失神寸前であった。
「このドラゴンに呪いをかけられているのだ。結婚すると、体に鱗がはえてきて、いずれドラゴンのような体になる」
白哉の落ち着いたものいいと、いつもの服装に着替えての凛とした口調に、姫君は顔を青くする。
「ほら、見合いをするから、姫君の腕にも鱗が・・・・・」
「きゃああああああ、いやあああああああ!!こんなお見合いお断りよ!!」
白哉は、幻覚の魔法で姫の腕に鱗を生えさせているように見せたのだ。
姫は混乱して、それが魔法による幻覚と分からず、分かったところで触感なども伴っているので、本当に鱗が生えたと感じるはずだった。
「ドラゴンに末代まで祟られるなんていやよ!いい男だけど、それよりも私の美貌がドラゴンの呪いで鱗にまみれて醜くなってしまうのはいやよ!」
姫君が連れていた従者たちは皆文官で、魔法に詳しくなかった。
「皆の者、早く国に帰って、穢れを祓うために神殿にこもりますわよ!」
そう言って、姫君は馬車に乗って、お見合いの舞台であった朽木家を飛び出していった。
「俺の呪い・・・・・」
「浮竹、大丈夫、浮竹に呪いなんてないよ」
「知っている」
「すまぬ、浮竹。兄のドラゴンというのを利用させてもらった」
白哉は、すまなそうな顔をして、浮竹に謝った。
「まぁ、結果オーライだからいいだろう。ドラゴンの鱗が生える呪いか・・・・実際に、あるんだがな」
「え、あるの?」
「邪竜の呪いだ。邪竜の中でも呪いに特化した者が使える、呪詛にある」
「ひええええ」
「大丈夫、俺は使えないし、大地母神の大神官長クラスになれば解ける呪いだ」
「大地母神の大神官長は、白金貨5万枚以上は払わないと、処置してくれないよ」
「だから、邪竜の呪いに特化した者の呪いだ。普通はそんな呪い受けない。初期段階であれば、神官の祝福でも治る」
「そういうものなの」
「ああ、そういうものだ」
「兄様、見合いは無事破綻したのですね!」
「ルキア、浮竹と京楽を巻き込まなくとも、断っていた」
「しかし、隣国の王族。上流貴族とはいえ、王族には・・・・・」
「私は、冒険者だ。緋真亡き今、他の妻を娶るつもりもないし、見合いを上の身分から押しかけられたら一応は見合いはするが、ちゃんと断る。余計な心配をかけてすまぬ、ルキア」
「兄様!」
「ルキア・・・・・・」
二人は見つめ合い、白哉はルキアの中に亡き妻の面影を見て、懐かしそうな顔をしていた。
「ルキア、一護と共に、今度恋次も一緒にSランクダンジョンに挑まぬか?」
「え、いいのですか。私と一護はまだAランクですよ!」
「Sランクの者が一人以上いれば、ダンジョンには入れる」
「やった!一護に、伝えてきますね。あと、恋次にも」
ルキアは、同じ朽木家に暮らすことになった一護と恋次を探しに行った。
ルキアは一護と恋次と結婚している。
一夫多妻ならぬ、一妻多夫である。
「はぁ。依頼料ももらえそうにないし、帰ろうか」
「そうだな」
「まて、浮竹、京楽」
「「ん?」」
「これをやる。迷惑をかけた償いだ」
「わお、神の秘薬エリクサーじゃない。白金貨20万枚はするよ。いいの?」
「ああ。我が家にはそれがたくさんある。使いことも少ないので、やる」
「金持ちは違うな・・・・・・」
浮竹と京楽も、Sランク冒険者として財はそこそこにあるが、さすがに上流貴族にはかてない。
もっとも、京楽が引き継ぐはずの上流貴族の財もかなりのものであるのだが、京楽は上流貴族であることを嫌い、ほぼ出奔した形になっている。
「ありがたくもらっておくよ。緊急時に使うかもしれないから、とっておくね」
神の秘薬というだけあって、エリクサーはどんな状態異常や怪我でもたちどころに癒してくれる。
浮竹は、エリクサーを見るのは初めてで、小瓶の中につまった虹色に光るきらきらした液体を、太陽の日に透かせて、飽きる事なく眺めていた。
「じゃあ、僕たちはこれで。行くよ、浮竹」
「ん、ああ。白哉にルキア、またな」
エリクサーをアイテムポケットにしまいこむ。
「エリクサーあるなら、邪竜討伐もできるな」
「うん。でも、今のところ活動中で駆除依頼の出ている邪竜はいないよ」
「まぁ、ドラゴンは珍しいし、その中でも邪竜はさらに珍しいからな」
白哉のお見合いは見事に破綻し、隣国の姫君はドラゴンの呪いを恐れて、報復行動などには出ずに、白哉とルキアは、また共にいれるのは変わりなかった。
朽木家に、ルキアの夫として婿入りした一護と恋次もいるのだが。
朽木家は静かなところだったが、ルキアが結婚してからというもの、ことあるこごとに一護と恋次が騒ぐので、たまに白哉が二人を氷漬けにしたりするらしい。
「さて、次の依頼は何かいいのあるかな~」
「お、ピクシーの捜索依頼だってさ。依頼料は少ないが、ピクシーを見てみたい」
「じゃあ、その依頼受けよっか」
京楽と浮竹は、早くも次のクエストを探すのであった。
奴隷竜とSランク冒険者18
異能力者の浮竹と京楽が気づくと、どこかで見たことのある光景だった。
『ああ、また異世界に来ちゃったみたいだよ』
『本当か?また、ドラゴンの俺に会えるのか?』
異能力者の浮竹と京楽が出た場所は、高級宿の風呂場だった。
「ふんふーん」
ガラッと扉があいて、全裸の冒険者の京楽が入ってくる。
『もあああああああ』
『うわあああああああ』
「何で君たちがここにいるの。ぎにゃあああああああああ」
能力者の京楽は、すっぽんぽんの冒険者の京楽を浮竹に見せまいと、殴った。
殴られて、石鹸で足を滑らせた冒険者の京楽は、頭を打った。
「どうしたんだ!?」
慌ててやってきたドラゴンの浮竹が、状況を見て。
「・・・・・・3P?」
とかいうので、とりあえず意味が分からないので、異能力者の浮竹は笑って、異能力者の京楽は眉根を寄せて、冒険者の京楽は腰にタオルを巻いて、ドラゴンの浮竹に泣きついた。
「もう一人の僕がいじめる!」
『そんなことより、早く服着てくれないかな。僕の浮竹に汚いもの見せないでくれる』
「ほら、いじめてくるううう」
「京楽、とりあえず服を着ろ。風呂はまた後で入ればいいだろう」
「うん、分かった。服を着るよ」
ドラゴンの浮竹の言葉には、冒険者の京楽は素直に従う。
「召還されるのはいいが、何故に風呂場・・・・」
『そう言われても、ボクにも分からないよ』
『ドラゴンの俺、前より美人になってないか?』
「気のせいだ」
番として冒険者の京楽から性的なことで、エナジーを吸収しているせいで、浮竹は男性的な印象が薄くなり、中性的になっていた。
「また、こっちの世界にきたのか。この前もきてたよな。どれだけいられるのか分からないが、歓迎しよう」
『ドラゴンの俺、ダンジョンにまた行きたい!』
「そうか。今度はゴブリンなんかの雑魚がでない、Sランクダンジョンに行くか?」
『行ってみたい!」
『だめだよ、浮竹。ダンジョンは危ないから』
『京楽、いってみたい』
きらきらした目で見つめられて、異能力者の京楽はうっとなって、折れた。
『分かったよ。でも、危なくなったらすぐボクかこっちの二人を頼ること。いいね?』
『ああ、分かった』
「僕は殴られた謝罪もうけてない上に、ダンジョンに連れて行かれるのか・・・・・」
「京楽、仕方ないだろう。異世界の俺たちがいれる時間は短いんだから」
そうして、難易度の高いSランクダンジョンに行くことになった。
「センチビート。毒を吐いてくる巨大な芋虫だ」
「毒は中和できるから。リポイズン」
冒険者の京楽が、全員にリボイズンの魔法をかける。
「液体が酸性なので、気をつけるように」
『え、何か言った?』
異能力者の京楽は、センチビートを欠片も残さず殲滅してしまっていた。一方の、異能力者の浮竹は、力任せに引きちぎって酸性の体液を浴びるが、どうってことないのか平然としていた。
「なんていうか・・・・いろいろな意味で規格外だな」
「そうだね。風呂で殴られた謝罪、まだ受けてないよ」
冒険者の京楽は、殴られたことを根にもっているらしかった。
下層に降りていき、ミノタウロスが出てくる。
『わぁ、でっかい牛だな!』
「ミノタウロスは高級食材だ。あまり傷をつけず仕留めて、昼食の材料にしよう」
『えー、こいつらを食うの?』
異能力者の京楽は、モンスターを食べるのに抵抗があるらしかった。
「カラミティファイア!」
「京楽、ミディアムレアで頼むぞ」
「承知してるよ!」
倒す段階で、すでに調理に入っていた。
こんがりと焼けたミノタウロスを解体し、シャトーブリアンの部分を、異世界の二人に出す。
「白金貨10枚はするステーキだ」
『高いんだね。モンスターを食べるのはちょっと勇気いるけど・・・・ん、おいしいね』
異能力者の京楽は、一口食べてその味が美味しすぎることに気づく。
『京楽、これなんだ!?こんなうまい肉、食べたことがないぞ!』
「お土産に持って帰る?」
『いいのか?』
「凍結魔法で腐らないようにしておいてやるから、持って帰るといい」
「僕、まだ風呂場で殴られた謝罪を受けてない・・・・おしいしけど、謝罪・・・・・」
「京楽、お前しつこいぞ」
「浮竹にまで怒られた。うわあああああん」
泣きながら、冒険者の京楽はミノタウロスのステーキを何枚も食べた。
『よく食べるね・・・・・おいしいけど』
「ああ、京楽はミノタウロスのステーキが好物だからな」
『シャトーブリアンの部分、あげるよ。風呂場で殴った謝罪の代わり』
「え、シャトーブリアンの部分くれるの?君って、ほんとはいいやつ?」
自分と同じ顔の人物を見て、冒険者の京楽はシャトーブリアンのステーキをもらって食べた。
「ああ、生きてるって素晴らしい」
『なんか、こっちの世界の京楽ってちょろいな』
『しっ。聞こえるから、言っちゃだめだよ』
「まぁ、京楽は単純だ。ちょろいといえばちょろい」
「何か言われてるけど気にしない。さて、昼食もすませたし、更に下の階層に潜りますか」
そのまま、30階層までもぐり、フロアボスのブラックワイバーンを倒して、財宝の間が開く。
『うわー、金銀財宝だぁ。こんだけあれば、一生遊んで暮らせそう』
異能力者の浮竹は、金貨の山は宝石、マジックアイテムを見て驚く。
「まぁ、こういうものを手に入れるために、冒険者してるからな。俺たちは十分に稼いでいるが、もっと高みを目指して、より難易度の高いダンジョンに挑んでいる」
『ドラゴンの俺、かっこいい・・・・美人だけど』
「このペンダント、もう一人の俺に似合いそうだな。つけていけ」
『え、いいのか』
「攻撃されると衝撃を一度だけ吸収できる魔法が付与されてある。付与は単純だし、そこまで値のはるものじゃないから、気軽にもってけばいい」
『わーい、ドラゴンの俺からペンダントもらったぞ、京楽!』
『よかったね、浮竹』
冒険者の京楽はというと、アイテムポケットに財宝をしまっていた。
「とりあえず、今日はもう戻るか。ダンジョンで一夜を明かすことはできるが、テントとかもあるが、宿のほうがいいだろうし・・・・・」
『うわぁ、足元が光った!』
『どうやら、タイムオーバーみたいだね。元の世界に戻るみたい』
「そうか。もう一人の俺、京楽と仲良くな」
『そういうドラゴンの俺も、もう一人の京楽と仲良くな!』
光が消え失せると、異世界の二人は元いた世界に戻り、静寂に包まれる。
「どうする、浮竹。帰る?」
「そうだな。俺たちも帰ろう」
帰還スクロールを利用して、王都まで戻ると、京楽は風呂に入るためにまっぱになって、風呂場の扉をあけた。
『ぎゃああああああああ』
『ギヤあああああああ』
「なんでまたいるの!ぎいやアアアアアアアア」
3人分の悲鳴が聞こえて、ドラゴンの浮竹は再召喚された異世界の二人を迎えるために、風呂場の扉をあけるのだった。
『ああ、また異世界に来ちゃったみたいだよ』
『本当か?また、ドラゴンの俺に会えるのか?』
異能力者の浮竹と京楽が出た場所は、高級宿の風呂場だった。
「ふんふーん」
ガラッと扉があいて、全裸の冒険者の京楽が入ってくる。
『もあああああああ』
『うわあああああああ』
「何で君たちがここにいるの。ぎにゃあああああああああ」
能力者の京楽は、すっぽんぽんの冒険者の京楽を浮竹に見せまいと、殴った。
殴られて、石鹸で足を滑らせた冒険者の京楽は、頭を打った。
「どうしたんだ!?」
慌ててやってきたドラゴンの浮竹が、状況を見て。
「・・・・・・3P?」
とかいうので、とりあえず意味が分からないので、異能力者の浮竹は笑って、異能力者の京楽は眉根を寄せて、冒険者の京楽は腰にタオルを巻いて、ドラゴンの浮竹に泣きついた。
「もう一人の僕がいじめる!」
『そんなことより、早く服着てくれないかな。僕の浮竹に汚いもの見せないでくれる』
「ほら、いじめてくるううう」
「京楽、とりあえず服を着ろ。風呂はまた後で入ればいいだろう」
「うん、分かった。服を着るよ」
ドラゴンの浮竹の言葉には、冒険者の京楽は素直に従う。
「召還されるのはいいが、何故に風呂場・・・・」
『そう言われても、ボクにも分からないよ』
『ドラゴンの俺、前より美人になってないか?』
「気のせいだ」
番として冒険者の京楽から性的なことで、エナジーを吸収しているせいで、浮竹は男性的な印象が薄くなり、中性的になっていた。
「また、こっちの世界にきたのか。この前もきてたよな。どれだけいられるのか分からないが、歓迎しよう」
『ドラゴンの俺、ダンジョンにまた行きたい!』
「そうか。今度はゴブリンなんかの雑魚がでない、Sランクダンジョンに行くか?」
『行ってみたい!」
『だめだよ、浮竹。ダンジョンは危ないから』
『京楽、いってみたい』
きらきらした目で見つめられて、異能力者の京楽はうっとなって、折れた。
『分かったよ。でも、危なくなったらすぐボクかこっちの二人を頼ること。いいね?』
『ああ、分かった』
「僕は殴られた謝罪もうけてない上に、ダンジョンに連れて行かれるのか・・・・・」
「京楽、仕方ないだろう。異世界の俺たちがいれる時間は短いんだから」
そうして、難易度の高いSランクダンジョンに行くことになった。
「センチビート。毒を吐いてくる巨大な芋虫だ」
「毒は中和できるから。リポイズン」
冒険者の京楽が、全員にリボイズンの魔法をかける。
「液体が酸性なので、気をつけるように」
『え、何か言った?』
異能力者の京楽は、センチビートを欠片も残さず殲滅してしまっていた。一方の、異能力者の浮竹は、力任せに引きちぎって酸性の体液を浴びるが、どうってことないのか平然としていた。
「なんていうか・・・・いろいろな意味で規格外だな」
「そうだね。風呂で殴られた謝罪、まだ受けてないよ」
冒険者の京楽は、殴られたことを根にもっているらしかった。
下層に降りていき、ミノタウロスが出てくる。
『わぁ、でっかい牛だな!』
「ミノタウロスは高級食材だ。あまり傷をつけず仕留めて、昼食の材料にしよう」
『えー、こいつらを食うの?』
異能力者の京楽は、モンスターを食べるのに抵抗があるらしかった。
「カラミティファイア!」
「京楽、ミディアムレアで頼むぞ」
「承知してるよ!」
倒す段階で、すでに調理に入っていた。
こんがりと焼けたミノタウロスを解体し、シャトーブリアンの部分を、異世界の二人に出す。
「白金貨10枚はするステーキだ」
『高いんだね。モンスターを食べるのはちょっと勇気いるけど・・・・ん、おいしいね』
異能力者の京楽は、一口食べてその味が美味しすぎることに気づく。
『京楽、これなんだ!?こんなうまい肉、食べたことがないぞ!』
「お土産に持って帰る?」
『いいのか?』
「凍結魔法で腐らないようにしておいてやるから、持って帰るといい」
「僕、まだ風呂場で殴られた謝罪を受けてない・・・・おしいしけど、謝罪・・・・・」
「京楽、お前しつこいぞ」
「浮竹にまで怒られた。うわあああああん」
泣きながら、冒険者の京楽はミノタウロスのステーキを何枚も食べた。
『よく食べるね・・・・・おいしいけど』
「ああ、京楽はミノタウロスのステーキが好物だからな」
『シャトーブリアンの部分、あげるよ。風呂場で殴った謝罪の代わり』
「え、シャトーブリアンの部分くれるの?君って、ほんとはいいやつ?」
自分と同じ顔の人物を見て、冒険者の京楽はシャトーブリアンのステーキをもらって食べた。
「ああ、生きてるって素晴らしい」
『なんか、こっちの世界の京楽ってちょろいな』
『しっ。聞こえるから、言っちゃだめだよ』
「まぁ、京楽は単純だ。ちょろいといえばちょろい」
「何か言われてるけど気にしない。さて、昼食もすませたし、更に下の階層に潜りますか」
そのまま、30階層までもぐり、フロアボスのブラックワイバーンを倒して、財宝の間が開く。
『うわー、金銀財宝だぁ。こんだけあれば、一生遊んで暮らせそう』
異能力者の浮竹は、金貨の山は宝石、マジックアイテムを見て驚く。
「まぁ、こういうものを手に入れるために、冒険者してるからな。俺たちは十分に稼いでいるが、もっと高みを目指して、より難易度の高いダンジョンに挑んでいる」
『ドラゴンの俺、かっこいい・・・・美人だけど』
「このペンダント、もう一人の俺に似合いそうだな。つけていけ」
『え、いいのか』
「攻撃されると衝撃を一度だけ吸収できる魔法が付与されてある。付与は単純だし、そこまで値のはるものじゃないから、気軽にもってけばいい」
『わーい、ドラゴンの俺からペンダントもらったぞ、京楽!』
『よかったね、浮竹』
冒険者の京楽はというと、アイテムポケットに財宝をしまっていた。
「とりあえず、今日はもう戻るか。ダンジョンで一夜を明かすことはできるが、テントとかもあるが、宿のほうがいいだろうし・・・・・」
『うわぁ、足元が光った!』
『どうやら、タイムオーバーみたいだね。元の世界に戻るみたい』
「そうか。もう一人の俺、京楽と仲良くな」
『そういうドラゴンの俺も、もう一人の京楽と仲良くな!』
光が消え失せると、異世界の二人は元いた世界に戻り、静寂に包まれる。
「どうする、浮竹。帰る?」
「そうだな。俺たちも帰ろう」
帰還スクロールを利用して、王都まで戻ると、京楽は風呂に入るためにまっぱになって、風呂場の扉をあけた。
『ぎゃああああああああ』
『ギヤあああああああ』
「なんでまたいるの!ぎいやアアアアアアアア」
3人分の悲鳴が聞こえて、ドラゴンの浮竹は再召喚された異世界の二人を迎えるために、風呂場の扉をあけるのだった。
奴隷竜とSランク冒険者17
「ドラゴン退治だけどいける、浮竹?」
「ああ。俺は大丈夫だ」
冒険者ギルドに、緊急クエストがもちこまれた。
アスラ火山に住んでいたファイアードラゴンが暴れ出し、火山が噴火しそうなのだという。
火山が噴火すれば未曾有の被害が出る。
Sランク冒険者の中でも、上位の京楽と浮竹がおもむくことになった。
「ファイアードラゴン。言葉は分かるかい!」
「こざかしい人間風情が、我に話かけるな。人の子の言葉など、聞かぬ」
「どうか、暴れるのを止めて大人しく火山の中で眠りについてほしい」
今度は浮竹が話かけた。
「ほう。ムーンホワイトドラゴンか。我の糧になるのか?」
ファイアードラゴンは、浮竹を喰らう気でいた。
「人の言葉が分かる真竜だけど、だめだね。同胞である浮竹を食べたいだなんて、ドラゴンがドラゴンを食うなんて聞いたことがない」
「ファイアーブレス!」
話は終わったとばかりに、ファイアーブレスを吐いてくるファイアードラゴンに、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。
じゅわっと蒸気がたちのぼる。
「火山地帯は・・・・向こうに有利だ。外に誘い出そう」
「分かったよ!ほら、こっちだよ、のろまのくず!」
「なにぃ!我を愚弄するか!」
ファイアードラゴンは、怒りに任せて空を飛んだ。
ごうっと風がうなる。
浮竹もドラゴン化して、京楽を背に乗せて空を飛ぶ。
「アイシクルブレス!」
「ファイアーブレス!」
「カラミティアイシクルチェーン!」
京楽は、浮竹の背中から氷の鎖をつくると、それでファイアードラゴンの翼をがんじがらめにした。
ズドオオンと巨大な音をたてて、巨体が宙から地面に落下する。
「おのれええ、人間が!我にたてつく月竜も、ともに食ろうてくれる」
ファイアードラゴンは暴れに暴れた。
それをうまく避けて、京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣でファイアードラゴンを切っていく。
始めは角を。牙を。爪を。
鱗を切り、肉を切り裂く頃には、ファイアードラゴンは弱気になっていた。
「わ、我が悪かった。もう、暴れぬ」
「じゃあ、大人しく火山で眠りについてくれるかい?」
「京楽、危ない!」
大人しくなったと見せかけて、ファイアーブレスを京楽に放つファイアードラゴン。
それを、ドラゴンの姿のままの浮竹が庇った。
白い美し羽毛は焼け焦げて、酷いダメージを負う。
「よくも浮竹を・・・・ドラゴンスレイヤー解放!ドラゴンの命を食らいつくせ!」
雄叫びをあげつつ、ドラゴンスレイヤーの魔剣は、ファイアードラゴンの核である額の赤い水晶を割り、心臓まで刃を届かせた。
「ばかな・・・・ドラゴンである我が、人ごときに・・・・・・」
その言葉を最後に、ファイアードラゴンは息絶えた。
「浮竹!」
「ああ、京楽。すまない、へまをした」
「僕を庇ったせいでしょ!セイントヒール」
京楽は、浮竹の傷を癒していくが、傷は深かった。
「これ・・・・呪詛が含まれているね。人化できるかい?」
「ああ」
人の姿をとった浮竹は、背に酷い火傷を負っていた。
「セイントヒール」
先ほどよりましになったが、呪詛が含まれているせいか、完全に治らない。
「神殿にいこう。呪詛を解除してもらわないと。歩ける?」
「ああ。歩ける」
ファイアードラゴンの躯をアイテムポケットに入れて、京楽はスクロールを出す。
「帰還スクロール使うから、傍に」
「ああ」
帰還スクロールで王都にまで戻ると、早速大地母神の神殿にいき、大金をはたいて呪詛を解除してもらった。
「汝に、大いなる恵みをもらたさんことを・・・・セイントブレス」
京楽は呪詛系統を解除する魔法はもっていない。浮竹もだった。
呪詛系を解除できるのは、大地母神の神殿にいる者のみだ。
「ゴッドヒール」
呪詛を解除してもらう同時に、京楽は自分がもっている最高の回復術を浮竹に施した。
いろいろ触媒がいるので、普段は使えない回復魔法だ。
浮竹の背中の傷は、綺麗に治っていた。
「ああ、良かった。君の体に傷が残ったと思うだけで、卒倒しそうになるよ」
「大袈裟だな」
浮竹と京楽は、冒険者ギルドにいき、ファイアードラゴンの討伐を報告して、素材としてファイアードラゴンを解体して買いとってもらい、白金貨20万枚を合計で手にしていた。
「浮竹、本当に大丈夫?」
「ああ。京楽のお陰で」
「念のため、3日は冒険者稼業を休もう」
「大袈裟だな・・・・・・」
いつも泊まっている高級宿の部屋につくと、京楽は浮竹を抱きしめた。
「君が僕を庇って怪我をした。僕は僕が許せない」
「京楽・・・・・・」
浮竹は、京楽に口づけた。
「浮竹?」
「俺は大丈夫だ。それより、最近ずっと我慢していたせいで、どうにかなりそうだ。抱いてくれ」
「怪我は大丈夫なの?」
「ああ」
「じゃあ、食べちゃうよ?」
「どうぞ、お好きに」
とさりとベッドに押し倒されて、浮竹の長い白髪が舞う。
「あ・・・・・・」
服を脱がされて、胸の先端を甘噛みされて、我慢できないとばかりに浮竹は京楽の服を脱がす。
「早急だね」
「お前の子種が、欲しい・・・・」
番に近いパートナーになったために、浮竹は京楽のエナジーを性的なことで取り入れていた。
「んっ」
蕾をほぐされて、潤滑油にまみれた指が入ってくる。
「も、いいから・・・・早く!」
「ならないと、浮竹が辛いよ?」
「大丈夫だから・・・・・・」
浮竹は妖艶に微笑み、京楽の腰を足で挟んだ。
「んっ・・・・いれるよ」
「ああああ!!!」
その衝撃に、浮竹は精液を飛び散らせていってしまう。
「大丈夫?」
「あ、大丈夫だから、俺の中に、お前の子種をいっぱいだせ。孕ませるくらいに」
希少種のドラゴンは他種族の同性との間にも子ができるようになっていた。
子供を産むつもりはないので、浮竹は行為の後に必ずアフターピルを飲んだ。
「あ、あ、ああああ」
パンパンと肉がぶつかりあうくらい、交じりあう。
蕾はどちらのものかも分からない体液で泡立ち、浮竹の太ももを京楽の精液が伝い落ちる。
「ひああああああ!!!」
ごりごりっと弱い奥を貫かれて、浮竹は背をしならせた。
「あ、いってる、いってるから、だめぇぇぇぇ」
「君の好きな子種注ぐよ?」
「あ、だめえええ」
京楽は、浮竹の胎の奥に、熱い液体を迸らせた。
「あああ、ひあっ」
「まだ、いけるよね?」
「んっ、もっとくれ。お前の愛と子種を」
「愛してるよ、浮竹」
「俺も、愛してる、京楽・・・・・・」
そのあと4回ほど睦みあい、お互いすっきりして風呂に入って次の日は昼まで寝た。
浮竹はちゃんとアフターピルを飲んでいた。
「ねぇ、いつか僕が子供ほしいっていったら、産んでくれる?」
「う・・・・だめだ。ドラゴンの子育ては難しい。生まれた時点で、自我をもって行動する。俺が産めば、100%ドラゴンが生まれる」
「そっか・・・」
「子供、欲しいのか?」
「少しだけね。浮竹との愛の結晶があればいいのにと思っただけだよ」
「子を産めない俺を、嫌いになったか?」
「まさか。死ぬほど愛してるよ、浮竹」
「あ、京楽・・・・・昨日、したばかり・・・だろ・・・・・・」
「君も素直になりなよ。もう、濡れてる・・・・」
「ああっ」
「んっ」
次の日も睦み合い、しばらく浮竹はベッドの上から動けないようになるのであった。
「ああ。俺は大丈夫だ」
冒険者ギルドに、緊急クエストがもちこまれた。
アスラ火山に住んでいたファイアードラゴンが暴れ出し、火山が噴火しそうなのだという。
火山が噴火すれば未曾有の被害が出る。
Sランク冒険者の中でも、上位の京楽と浮竹がおもむくことになった。
「ファイアードラゴン。言葉は分かるかい!」
「こざかしい人間風情が、我に話かけるな。人の子の言葉など、聞かぬ」
「どうか、暴れるのを止めて大人しく火山の中で眠りについてほしい」
今度は浮竹が話かけた。
「ほう。ムーンホワイトドラゴンか。我の糧になるのか?」
ファイアードラゴンは、浮竹を喰らう気でいた。
「人の言葉が分かる真竜だけど、だめだね。同胞である浮竹を食べたいだなんて、ドラゴンがドラゴンを食うなんて聞いたことがない」
「ファイアーブレス!」
話は終わったとばかりに、ファイアーブレスを吐いてくるファイアードラゴンに、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。
じゅわっと蒸気がたちのぼる。
「火山地帯は・・・・向こうに有利だ。外に誘い出そう」
「分かったよ!ほら、こっちだよ、のろまのくず!」
「なにぃ!我を愚弄するか!」
ファイアードラゴンは、怒りに任せて空を飛んだ。
ごうっと風がうなる。
浮竹もドラゴン化して、京楽を背に乗せて空を飛ぶ。
「アイシクルブレス!」
「ファイアーブレス!」
「カラミティアイシクルチェーン!」
京楽は、浮竹の背中から氷の鎖をつくると、それでファイアードラゴンの翼をがんじがらめにした。
ズドオオンと巨大な音をたてて、巨体が宙から地面に落下する。
「おのれええ、人間が!我にたてつく月竜も、ともに食ろうてくれる」
ファイアードラゴンは暴れに暴れた。
それをうまく避けて、京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣でファイアードラゴンを切っていく。
始めは角を。牙を。爪を。
鱗を切り、肉を切り裂く頃には、ファイアードラゴンは弱気になっていた。
「わ、我が悪かった。もう、暴れぬ」
「じゃあ、大人しく火山で眠りについてくれるかい?」
「京楽、危ない!」
大人しくなったと見せかけて、ファイアーブレスを京楽に放つファイアードラゴン。
それを、ドラゴンの姿のままの浮竹が庇った。
白い美し羽毛は焼け焦げて、酷いダメージを負う。
「よくも浮竹を・・・・ドラゴンスレイヤー解放!ドラゴンの命を食らいつくせ!」
雄叫びをあげつつ、ドラゴンスレイヤーの魔剣は、ファイアードラゴンの核である額の赤い水晶を割り、心臓まで刃を届かせた。
「ばかな・・・・ドラゴンである我が、人ごときに・・・・・・」
その言葉を最後に、ファイアードラゴンは息絶えた。
「浮竹!」
「ああ、京楽。すまない、へまをした」
「僕を庇ったせいでしょ!セイントヒール」
京楽は、浮竹の傷を癒していくが、傷は深かった。
「これ・・・・呪詛が含まれているね。人化できるかい?」
「ああ」
人の姿をとった浮竹は、背に酷い火傷を負っていた。
「セイントヒール」
先ほどよりましになったが、呪詛が含まれているせいか、完全に治らない。
「神殿にいこう。呪詛を解除してもらわないと。歩ける?」
「ああ。歩ける」
ファイアードラゴンの躯をアイテムポケットに入れて、京楽はスクロールを出す。
「帰還スクロール使うから、傍に」
「ああ」
帰還スクロールで王都にまで戻ると、早速大地母神の神殿にいき、大金をはたいて呪詛を解除してもらった。
「汝に、大いなる恵みをもらたさんことを・・・・セイントブレス」
京楽は呪詛系統を解除する魔法はもっていない。浮竹もだった。
呪詛系を解除できるのは、大地母神の神殿にいる者のみだ。
「ゴッドヒール」
呪詛を解除してもらう同時に、京楽は自分がもっている最高の回復術を浮竹に施した。
いろいろ触媒がいるので、普段は使えない回復魔法だ。
浮竹の背中の傷は、綺麗に治っていた。
「ああ、良かった。君の体に傷が残ったと思うだけで、卒倒しそうになるよ」
「大袈裟だな」
浮竹と京楽は、冒険者ギルドにいき、ファイアードラゴンの討伐を報告して、素材としてファイアードラゴンを解体して買いとってもらい、白金貨20万枚を合計で手にしていた。
「浮竹、本当に大丈夫?」
「ああ。京楽のお陰で」
「念のため、3日は冒険者稼業を休もう」
「大袈裟だな・・・・・・」
いつも泊まっている高級宿の部屋につくと、京楽は浮竹を抱きしめた。
「君が僕を庇って怪我をした。僕は僕が許せない」
「京楽・・・・・・」
浮竹は、京楽に口づけた。
「浮竹?」
「俺は大丈夫だ。それより、最近ずっと我慢していたせいで、どうにかなりそうだ。抱いてくれ」
「怪我は大丈夫なの?」
「ああ」
「じゃあ、食べちゃうよ?」
「どうぞ、お好きに」
とさりとベッドに押し倒されて、浮竹の長い白髪が舞う。
「あ・・・・・・」
服を脱がされて、胸の先端を甘噛みされて、我慢できないとばかりに浮竹は京楽の服を脱がす。
「早急だね」
「お前の子種が、欲しい・・・・」
番に近いパートナーになったために、浮竹は京楽のエナジーを性的なことで取り入れていた。
「んっ」
蕾をほぐされて、潤滑油にまみれた指が入ってくる。
「も、いいから・・・・早く!」
「ならないと、浮竹が辛いよ?」
「大丈夫だから・・・・・・」
浮竹は妖艶に微笑み、京楽の腰を足で挟んだ。
「んっ・・・・いれるよ」
「ああああ!!!」
その衝撃に、浮竹は精液を飛び散らせていってしまう。
「大丈夫?」
「あ、大丈夫だから、俺の中に、お前の子種をいっぱいだせ。孕ませるくらいに」
希少種のドラゴンは他種族の同性との間にも子ができるようになっていた。
子供を産むつもりはないので、浮竹は行為の後に必ずアフターピルを飲んだ。
「あ、あ、ああああ」
パンパンと肉がぶつかりあうくらい、交じりあう。
蕾はどちらのものかも分からない体液で泡立ち、浮竹の太ももを京楽の精液が伝い落ちる。
「ひああああああ!!!」
ごりごりっと弱い奥を貫かれて、浮竹は背をしならせた。
「あ、いってる、いってるから、だめぇぇぇぇ」
「君の好きな子種注ぐよ?」
「あ、だめえええ」
京楽は、浮竹の胎の奥に、熱い液体を迸らせた。
「あああ、ひあっ」
「まだ、いけるよね?」
「んっ、もっとくれ。お前の愛と子種を」
「愛してるよ、浮竹」
「俺も、愛してる、京楽・・・・・・」
そのあと4回ほど睦みあい、お互いすっきりして風呂に入って次の日は昼まで寝た。
浮竹はちゃんとアフターピルを飲んでいた。
「ねぇ、いつか僕が子供ほしいっていったら、産んでくれる?」
「う・・・・だめだ。ドラゴンの子育ては難しい。生まれた時点で、自我をもって行動する。俺が産めば、100%ドラゴンが生まれる」
「そっか・・・」
「子供、欲しいのか?」
「少しだけね。浮竹との愛の結晶があればいいのにと思っただけだよ」
「子を産めない俺を、嫌いになったか?」
「まさか。死ぬほど愛してるよ、浮竹」
「あ、京楽・・・・・昨日、したばかり・・・だろ・・・・・・」
「君も素直になりなよ。もう、濡れてる・・・・」
「ああっ」
「んっ」
次の日も睦み合い、しばらく浮竹はベッドの上から動けないようになるのであった。
奴隷竜とSランク冒険者16
「勇者?」
「そうじゃ。異界の勇者、平子真子と一緒に、Sランクダンジョンにもぐり、勇者の実力をはかってほしいのじゃ」
ある日、ギルドマスターの山じいに、京楽と浮竹は呼び出された。
「平子真子・・・・・聞いたことのない名前だね」
「勇者として召還されて間もないからの」
「そんな子を、いきなりSランクダンジョンに挑ませて大丈夫なの?」
「勇者なら、大丈夫じゃないのか」
京楽と浮竹の意見が食い違うのは、珍しいことだった。
「何、帰還スクロールがあるじゃろ。危なくなったら、それで逃げればよいのじゃ」
「うーん、山じいの頼みだし、仕方ないねぇ」
「先生、このクエスト受けます」
「うむ。十四郎はよいこじゃな。それに比べて春水は・・・・・」
「はいはい。受けるって言ってるでしょ」
京楽は溜息をついた。
次の日、勇者の平子真子と会った。
「なんや、Sランク冒険者がくるいうから、どないなツワモノ思ったら、案外普通やないか」
「これでも、Sランク冒険者では上のほうだよ」
「俺は浮竹十四郎。こっちは京楽春水。よろしくな」
「おう、よろしゅうな」
さっそく、Sランクダンジョンにもぐることになった。
実力を図るためなので、難易度は簡単なものにすることにした。
さっそく、敵のゴーレムが出てくる。
「カラミティファイア!」
平子真子は、召還されたばかりとは思えない、魔法を使う。
剣の腕もあるようで、ゴーレムを真っ二つに斬ってしまうほどだった。
「これくらいなら楽勝やな。ドラゴンでも倒せるで」
びくりと、浮竹が強張る。
「なんや、どうしたんや」
「いやね、浮竹は実はドラゴンなんだよ。ムーンホワイトドラゴンっていって、希少種で今は人化で人の姿をとってる」
「ごめんなぁ。そうとは知らずに、仲間を殺したいようなこと言うて」
「いや、いいんだ」
浮竹は首を横に振った。
Sランクダンジョンでは、時折ドラゴンが出る。
人の話を理解する真竜なら争わない時も多いが、ただのドラゴンは倒すしかない。
それでも、同じドラゴンなので浮竹は気乗りしないようであるが。
「次、フロアボスだね」
「何がでるんかいな。楽しみやな」
「10階層だから、そんなに強いモンスターは出ないんじゃないのか」
出てきたのは、地獄の門番と呼ばれるケルベロスだった。
「な、ケルベロス!?もっと下の階層のフロアボスでしょ!」
「俺に任せろや。カラミティアイシクルチェーン!」
平子は、氷の鎖を作り出すと、ケルベロスに巻き付ける。
しかし、ケルベロスは炎のブレスでそれを溶かしてしまった。
「きかんのかいな。仕方ない、ワールドエン・・・・・」
「わぁわぁ。こんなダンジョンの10階層で、そんな禁忌使わないの!浮竹、任せれる?」
「ああ。アイシクルブレス!」
浮竹は何度もアイシクルブレスをはいて、ケルベロスの炎の吐息を相殺し、ついには体を凍らせることに成功した。
「最後は勇者の出番やろ」
平子は、そう言って剣で氷ついたケルベロスを細切れにしてしまった。
「ふむ。今回の勇者は、魔法、剣ともにSランク高位レベルと」
浮竹が、メモをとる。
「なんや、俺の実力はこんなもんやないで?もっと下層にいって、邪神でも倒そうや」
「いや、この世界に邪神はいるが、ダンジョンにいたりしないからね」
「つまらんなぁ」
「邪神に挑みたいと・・・・φ(..)メモメモ」
「なぁ、あんたら強いな。どうや、俺の勇者パーティーに入らへんか?」
「いや、遠慮しておく。僕は浮竹と二人でパーティーを組んでるから」
「じゃあ、浮竹を口説けばいいんかいな?」
「俺も遠慮しておく。勇者は魔王討伐が任務だろう。俺たちSランク冒険者はあくまで冒険者。魔王討伐は、国王直々の命令でもない限り、動かない」
「なんや、つまらんなぁ。力あるのに、もてあましとるやんか」
「だから、Sランクの高難易度ダンジョンに挑んで、命のやりとりをして財宝ゲットするんだよ。モンスターの素材とか」
「へぇ。冒険者って、儲かるんやな」
「Sランクになれば、白金貨が転がり込むよ」
「俺は白金貨2千枚を支度金にってもらったけど・・・・・おたくら、いくらくらい稼いどるん?」
「んー。こもる期間によるけど、難易度の高いSランクダンジョンに2週間もぐったら、白金貨15万枚はいくね」
「あの王様、ケチやんか!」
平子は、買ったばかりという剣で地面を切る。
地面が裂けた。
「出世払いで、白金貨10万枚ほどかしてくれん?」
「いいぞ」
「ちょっと浮竹。お金のトラブルは・・・・・」
「白金貨2千枚なんて、ろくな装備揃わないじゃないか。勇者なのに。魔王討伐にいくんだろうから、それなりの装備でいかないと」
浮竹は、アイテムポケットから白金貨10万枚の入った袋を取り出すと、平子に渡した。
「ありがとな。恩にきるわ。必ず返すさかい」
「ああ、まずは勇者パーティーの募集からだな」
「ああ、Aランク冒険者やけど、黒崎一護っていうのに目をつけとるん。あと、その妻の朽木ルキアと、なんかしらんがもう一人の夫の阿散井恋次、あとそのパーティー仲間の朽木白哉」
「白哉や一護君やルキア、恋次君までもか。これまた、知り合いばかりだな」
浮竹が、不思議そうな顔をする。
「勇者パーティー募集って冒険者ギルドで紙はったけど、この4人しか反応せぇへんかった・・・・・」
「そりゃ、魔王討伐は命に関わるからね」
「今の魔王は、藍染惣右介。以前の勇者だった人物だ」
「うはぁ、勇者が魔王?人生波乱万丈やなぁ」
「勇者として性格に難ありでね。人体実験したりで、追放されて、魔王を勝手に討伐して魔王に成り代わったんだよ」
京楽が説明する。
「藍染か・・・・強いんかなぁ」
「強いよ。魔王を単身で葬るくらいだからね」
「はぁ。俺、倒せるんかなぁ」
「パーティ―を組むんだろう。倒せるさ。俺たちの知る一護君たちは強い」
「まぁ、ぶっちゃけ藍染ってぼっちだしね」
京楽が笑う。
「偉そうにしすぎて、配下の者に逃げられて、残った侍女に強くあたってモレ草とかいうすごい下剤の薬もられて、金のおまるに座ってたって有名だよ」
「モレ草・・・・・名前からしてやばそうや」
「モレ草はそこそこするぞ。白金貨3枚だ。侍女は、白金貨30枚だして、藍染を殺すつもりでモレ草を10倍盛ったらしいが、藍染は体が強いのか腹が強いのか、普通なら死ぬのに2週間おまるを利用し続けるですんだらしい」
「モレ草、襲るべし・・・・・」
「モレ草には気をつけろ。勇者でも、モレ草を盛られると、トイレに2日は閉じこもることになるぞ」
「きぃつけるわ。そもそも、勇者にモレ草もるってどんな人物やねん」
「藍染が金で雇った人物とか?」
「ありそうで怖いね。新勇者の誕生は藍染も知っているだろうし」
「モレ草って、やばいんやろ。トイレに閉じこもるなんていややで」
「モレ草は独特の苦みがある。多分、料理に入れられても飲み物に入れられても気づく」
浮竹の言葉は、藍染は気づかなかったバカということだ。
「藍染は、それに気づかなかったただのバカだな」
「うんうん」
京楽も頷いた。
新しい勇者、平子真子がパーティーメンバーと冒険をして、藍染を倒すのはこれから2年先のことになる。
らしい。
「そうじゃ。異界の勇者、平子真子と一緒に、Sランクダンジョンにもぐり、勇者の実力をはかってほしいのじゃ」
ある日、ギルドマスターの山じいに、京楽と浮竹は呼び出された。
「平子真子・・・・・聞いたことのない名前だね」
「勇者として召還されて間もないからの」
「そんな子を、いきなりSランクダンジョンに挑ませて大丈夫なの?」
「勇者なら、大丈夫じゃないのか」
京楽と浮竹の意見が食い違うのは、珍しいことだった。
「何、帰還スクロールがあるじゃろ。危なくなったら、それで逃げればよいのじゃ」
「うーん、山じいの頼みだし、仕方ないねぇ」
「先生、このクエスト受けます」
「うむ。十四郎はよいこじゃな。それに比べて春水は・・・・・」
「はいはい。受けるって言ってるでしょ」
京楽は溜息をついた。
次の日、勇者の平子真子と会った。
「なんや、Sランク冒険者がくるいうから、どないなツワモノ思ったら、案外普通やないか」
「これでも、Sランク冒険者では上のほうだよ」
「俺は浮竹十四郎。こっちは京楽春水。よろしくな」
「おう、よろしゅうな」
さっそく、Sランクダンジョンにもぐることになった。
実力を図るためなので、難易度は簡単なものにすることにした。
さっそく、敵のゴーレムが出てくる。
「カラミティファイア!」
平子真子は、召還されたばかりとは思えない、魔法を使う。
剣の腕もあるようで、ゴーレムを真っ二つに斬ってしまうほどだった。
「これくらいなら楽勝やな。ドラゴンでも倒せるで」
びくりと、浮竹が強張る。
「なんや、どうしたんや」
「いやね、浮竹は実はドラゴンなんだよ。ムーンホワイトドラゴンっていって、希少種で今は人化で人の姿をとってる」
「ごめんなぁ。そうとは知らずに、仲間を殺したいようなこと言うて」
「いや、いいんだ」
浮竹は首を横に振った。
Sランクダンジョンでは、時折ドラゴンが出る。
人の話を理解する真竜なら争わない時も多いが、ただのドラゴンは倒すしかない。
それでも、同じドラゴンなので浮竹は気乗りしないようであるが。
「次、フロアボスだね」
「何がでるんかいな。楽しみやな」
「10階層だから、そんなに強いモンスターは出ないんじゃないのか」
出てきたのは、地獄の門番と呼ばれるケルベロスだった。
「な、ケルベロス!?もっと下の階層のフロアボスでしょ!」
「俺に任せろや。カラミティアイシクルチェーン!」
平子は、氷の鎖を作り出すと、ケルベロスに巻き付ける。
しかし、ケルベロスは炎のブレスでそれを溶かしてしまった。
「きかんのかいな。仕方ない、ワールドエン・・・・・」
「わぁわぁ。こんなダンジョンの10階層で、そんな禁忌使わないの!浮竹、任せれる?」
「ああ。アイシクルブレス!」
浮竹は何度もアイシクルブレスをはいて、ケルベロスの炎の吐息を相殺し、ついには体を凍らせることに成功した。
「最後は勇者の出番やろ」
平子は、そう言って剣で氷ついたケルベロスを細切れにしてしまった。
「ふむ。今回の勇者は、魔法、剣ともにSランク高位レベルと」
浮竹が、メモをとる。
「なんや、俺の実力はこんなもんやないで?もっと下層にいって、邪神でも倒そうや」
「いや、この世界に邪神はいるが、ダンジョンにいたりしないからね」
「つまらんなぁ」
「邪神に挑みたいと・・・・φ(..)メモメモ」
「なぁ、あんたら強いな。どうや、俺の勇者パーティーに入らへんか?」
「いや、遠慮しておく。僕は浮竹と二人でパーティーを組んでるから」
「じゃあ、浮竹を口説けばいいんかいな?」
「俺も遠慮しておく。勇者は魔王討伐が任務だろう。俺たちSランク冒険者はあくまで冒険者。魔王討伐は、国王直々の命令でもない限り、動かない」
「なんや、つまらんなぁ。力あるのに、もてあましとるやんか」
「だから、Sランクの高難易度ダンジョンに挑んで、命のやりとりをして財宝ゲットするんだよ。モンスターの素材とか」
「へぇ。冒険者って、儲かるんやな」
「Sランクになれば、白金貨が転がり込むよ」
「俺は白金貨2千枚を支度金にってもらったけど・・・・・おたくら、いくらくらい稼いどるん?」
「んー。こもる期間によるけど、難易度の高いSランクダンジョンに2週間もぐったら、白金貨15万枚はいくね」
「あの王様、ケチやんか!」
平子は、買ったばかりという剣で地面を切る。
地面が裂けた。
「出世払いで、白金貨10万枚ほどかしてくれん?」
「いいぞ」
「ちょっと浮竹。お金のトラブルは・・・・・」
「白金貨2千枚なんて、ろくな装備揃わないじゃないか。勇者なのに。魔王討伐にいくんだろうから、それなりの装備でいかないと」
浮竹は、アイテムポケットから白金貨10万枚の入った袋を取り出すと、平子に渡した。
「ありがとな。恩にきるわ。必ず返すさかい」
「ああ、まずは勇者パーティーの募集からだな」
「ああ、Aランク冒険者やけど、黒崎一護っていうのに目をつけとるん。あと、その妻の朽木ルキアと、なんかしらんがもう一人の夫の阿散井恋次、あとそのパーティー仲間の朽木白哉」
「白哉や一護君やルキア、恋次君までもか。これまた、知り合いばかりだな」
浮竹が、不思議そうな顔をする。
「勇者パーティー募集って冒険者ギルドで紙はったけど、この4人しか反応せぇへんかった・・・・・」
「そりゃ、魔王討伐は命に関わるからね」
「今の魔王は、藍染惣右介。以前の勇者だった人物だ」
「うはぁ、勇者が魔王?人生波乱万丈やなぁ」
「勇者として性格に難ありでね。人体実験したりで、追放されて、魔王を勝手に討伐して魔王に成り代わったんだよ」
京楽が説明する。
「藍染か・・・・強いんかなぁ」
「強いよ。魔王を単身で葬るくらいだからね」
「はぁ。俺、倒せるんかなぁ」
「パーティ―を組むんだろう。倒せるさ。俺たちの知る一護君たちは強い」
「まぁ、ぶっちゃけ藍染ってぼっちだしね」
京楽が笑う。
「偉そうにしすぎて、配下の者に逃げられて、残った侍女に強くあたってモレ草とかいうすごい下剤の薬もられて、金のおまるに座ってたって有名だよ」
「モレ草・・・・・名前からしてやばそうや」
「モレ草はそこそこするぞ。白金貨3枚だ。侍女は、白金貨30枚だして、藍染を殺すつもりでモレ草を10倍盛ったらしいが、藍染は体が強いのか腹が強いのか、普通なら死ぬのに2週間おまるを利用し続けるですんだらしい」
「モレ草、襲るべし・・・・・」
「モレ草には気をつけろ。勇者でも、モレ草を盛られると、トイレに2日は閉じこもることになるぞ」
「きぃつけるわ。そもそも、勇者にモレ草もるってどんな人物やねん」
「藍染が金で雇った人物とか?」
「ありそうで怖いね。新勇者の誕生は藍染も知っているだろうし」
「モレ草って、やばいんやろ。トイレに閉じこもるなんていややで」
「モレ草は独特の苦みがある。多分、料理に入れられても飲み物に入れられても気づく」
浮竹の言葉は、藍染は気づかなかったバカということだ。
「藍染は、それに気づかなかったただのバカだな」
「うんうん」
京楽も頷いた。
新しい勇者、平子真子がパーティーメンバーと冒険をして、藍染を倒すのはこれから2年先のことになる。
らしい。
奴隷竜とSランク冒険者15
「邪教徒?」
「そうじゃ。今回、王国騎士団と一緒にSランク冒険者も、邪教徒の施設を叩くのに趣くとになったのじゃ」
冒険者ギルドのギルドマスターの山じいは、そう言って京楽と浮竹に参加を願い出た。
「白哉君や恋次君、それに他のSランク冒険者もくるの?」
「そうじゃ」
「そう。じゃあ、僕らだけでないってわけにはいかないね」
「邪教徒・・・・・何か、悪いことでもしたのか?この王国は、大地母神マザーサラを信仰しているが、他の宗教にも寛容なんだろう?」
「それがな。生贄として人間や亜人、精霊族を捧げたりして、邪教と認定された宗教でな。イレイア教というのじゃが」
「イレイサ教・・・・・」
浮竹が奴隷時代、イレイサ教の人間に血を抜かれたことがあって、それを思い出して浮竹は眉をしかめた。
「どうしたの、浮竹」
「昔、イレイサ教の信者がよく俺の血液を盗んでいっていた。きっと、金にかえて教団に捧げていたんだろうな」
「はい、壊滅決定。僕の浮竹を傷つけていたなら話は早い」
「春水、お主十四郎のことになると態度がかわるをなんとかせんか」
「無理ですー。奴隷時代とはいえ、浮竹から血を奪って売っていたなんて許せない。それで、その邪教徒の砦はどこ」
「明日、9時にこの冒険者ギルドにこい。王国の騎士団も合流する手はずになっておる」
「明日かぁ。僕は今すぐ壊滅させたいんだけどね」
「あくまで、生きて捕らえるためじゃ。くれぐれも短気はおこさぬように」
「分かったよ、山じい」
あんまり分かったようなかんじじゃないが、京楽はとりあえず明日暴れることにした。
明日の9時になり、Sランク冒険者も多く、王国騎士団のメンバーと合わせると人数は軽く百人をこえた。
「そんなに大規模な砦なの?」
「イレイサ教徒が七百人はいる本拠地だそうだ」
事情をよく聞いていた白哉が答える。
「殺しちゃまずいのかな?」
「武器や魔法で襲ってくる相手はなるべく無力化せよと言われてるが、殺してもかまわないぞうだ」
「そっかー。殺して大丈夫なんだー」
「兄は、くれぐれも暴れないようにと、ギルドマスターから見張りを頼まれている」
「ちぇっ。山じいも余計なことを・・・・・」
「京楽?俺のことはいいんだぞ。昔のことだから」
「だめ。昔も今も関係ない。君を傷つけた相手がいるなら、僕は全力で仕返しするよ」
「だから、くれぐれも暴れないように」
白哉も一緒に行動することになった。恋次もいる。
浮竹、京楽、白哉、恋次は、イレイサ教の本拠地へと、王国騎士団と共に乗り込んだ。
そこにあったのは、洗脳されていかれた信者と、生贄として捧げられていた人間や亜人、精霊族の躯だった。
「う、腐ってる・・・・いつの生贄だろ、これ」
「病気が広がる可能性があるのお。躯には火をつけろ。この教団そのものも灰にする」
王国騎士団の団長は、四楓院夜一といって、褐色の肌をもつ美女だった。
「そなたらには、洗脳された信者を外に誘導してもらいたい」
「仕方ないねぇ」
「行くぞ、京楽」
目が虚ろな信者たちを無理やり歩かせて、立てないものは抱えて教団の外に出る。
「おや、十四郎ちゃんんじゃないか」
三十代後半くらいの教団の幹部らしき者が、浮竹に声をかけてきた。
「う・・・・あ・・・・」
浮竹の様子がおかしかった。
「来る・・・な・・・・・・」
「君、君が昔浮竹の血を勝手に抜いて売ってた信者?」
「ああ、十四郎ちゃんは奴隷として買われていっちゃたんだね。そうだよ、たくさん稼がせてもらったよ。十四郎ちゃんはかわいかったなぁ。血を抜かないでって泣いて」
舌なめずりをする幹部は、武器はもっておらず、両手を後ろでくくられていて、連行される途中だった。
「ヘルレクイエム」
「は?何をした」
「せいぜい、苦しむことだよ。君に、悪夢のような痛みを何度も感じる魔法をかけた」
「は?・・・・・・ぎゃあああああ、痛い痛い!」
「なんだ、うるさい、静かにしろ!」
王国の騎士団の一人に気絶させられて、その幹部は一時楽になった。
だが、目覚めればまたしばらくの間、痛みを感じるだろう。
「浮竹、もう大丈夫?あいつはいなくなったよ」
「ん・・・・・もう、俺の血を抜かない?」
「そんなやつ、もうどこにもいないよ」
「京楽・・・分かっていたんだ。あいつがいるんじゃないかって。でもいないと言い聞かせてきたけど、やっぱり欠席すればよかった。しばらく、悪夢を見そうだ」
「じゃあ、悪夢も見ないようにスリープの魔法でしばらくの間眠りにつかせてあげる」
「京楽は、恩人だな」
「そんなことはないよ。君も、僕の立場だったら、何かしたでしょう?」
「そうだな。俺のように血を抜かれて痛い思いや怖い思いをさせた奴がいたなら、竜化して引き裂いていた」
浮竹の目は本気だった。
「うわお、過激。僕の方が大人しいね」
「ヘルレクイエムの魔法をかけたんだろう?」
「そうだよ?一週間は激痛が続くだろうね。でも、生きていられるだけましじゃない?」
「あの魔法の痛みは耐え切れなくなったら死んでしまう」
「知ってるよ?だからかけたの」
「京楽・・・・・・・」
「僕は君を傷つける者なら、容赦なく殺すよ?」
「すまない・・・俺が、お前の手を汚させた」
浮竹が顔を伏せる。
「そんな顔しないで。僕が自分の意思でやってることで、君は何も感じなくていいよ」
「京楽・・・・・」
「浮竹・・・・・・」
「兄らは、まだ教団関係者の移動が終わっていないことを、念頭に入れるように」
白哉の冷えた言葉で、我に返る。
「あははは。洗脳された信者の保護、続けようか」
「そ、そうだな」
とろつくろうが、白哉の冷えた眼差しはこたえた。
イレイサ教の本拠地は灰になり、洗脳されていた信者は保護されて病院や施設に入れられて、幹部の主だった面子はかどわかしや生贄にした殺人の罪で極刑となった。
噂で、イレイサ教の幹部の一人が痛い痛いと叫びながら狂い死んだと聞いて、京楽は冷たく笑うのだった。
「そうじゃ。今回、王国騎士団と一緒にSランク冒険者も、邪教徒の施設を叩くのに趣くとになったのじゃ」
冒険者ギルドのギルドマスターの山じいは、そう言って京楽と浮竹に参加を願い出た。
「白哉君や恋次君、それに他のSランク冒険者もくるの?」
「そうじゃ」
「そう。じゃあ、僕らだけでないってわけにはいかないね」
「邪教徒・・・・・何か、悪いことでもしたのか?この王国は、大地母神マザーサラを信仰しているが、他の宗教にも寛容なんだろう?」
「それがな。生贄として人間や亜人、精霊族を捧げたりして、邪教と認定された宗教でな。イレイア教というのじゃが」
「イレイサ教・・・・・」
浮竹が奴隷時代、イレイサ教の人間に血を抜かれたことがあって、それを思い出して浮竹は眉をしかめた。
「どうしたの、浮竹」
「昔、イレイサ教の信者がよく俺の血液を盗んでいっていた。きっと、金にかえて教団に捧げていたんだろうな」
「はい、壊滅決定。僕の浮竹を傷つけていたなら話は早い」
「春水、お主十四郎のことになると態度がかわるをなんとかせんか」
「無理ですー。奴隷時代とはいえ、浮竹から血を奪って売っていたなんて許せない。それで、その邪教徒の砦はどこ」
「明日、9時にこの冒険者ギルドにこい。王国の騎士団も合流する手はずになっておる」
「明日かぁ。僕は今すぐ壊滅させたいんだけどね」
「あくまで、生きて捕らえるためじゃ。くれぐれも短気はおこさぬように」
「分かったよ、山じい」
あんまり分かったようなかんじじゃないが、京楽はとりあえず明日暴れることにした。
明日の9時になり、Sランク冒険者も多く、王国騎士団のメンバーと合わせると人数は軽く百人をこえた。
「そんなに大規模な砦なの?」
「イレイサ教徒が七百人はいる本拠地だそうだ」
事情をよく聞いていた白哉が答える。
「殺しちゃまずいのかな?」
「武器や魔法で襲ってくる相手はなるべく無力化せよと言われてるが、殺してもかまわないぞうだ」
「そっかー。殺して大丈夫なんだー」
「兄は、くれぐれも暴れないようにと、ギルドマスターから見張りを頼まれている」
「ちぇっ。山じいも余計なことを・・・・・」
「京楽?俺のことはいいんだぞ。昔のことだから」
「だめ。昔も今も関係ない。君を傷つけた相手がいるなら、僕は全力で仕返しするよ」
「だから、くれぐれも暴れないように」
白哉も一緒に行動することになった。恋次もいる。
浮竹、京楽、白哉、恋次は、イレイサ教の本拠地へと、王国騎士団と共に乗り込んだ。
そこにあったのは、洗脳されていかれた信者と、生贄として捧げられていた人間や亜人、精霊族の躯だった。
「う、腐ってる・・・・いつの生贄だろ、これ」
「病気が広がる可能性があるのお。躯には火をつけろ。この教団そのものも灰にする」
王国騎士団の団長は、四楓院夜一といって、褐色の肌をもつ美女だった。
「そなたらには、洗脳された信者を外に誘導してもらいたい」
「仕方ないねぇ」
「行くぞ、京楽」
目が虚ろな信者たちを無理やり歩かせて、立てないものは抱えて教団の外に出る。
「おや、十四郎ちゃんんじゃないか」
三十代後半くらいの教団の幹部らしき者が、浮竹に声をかけてきた。
「う・・・・あ・・・・」
浮竹の様子がおかしかった。
「来る・・・な・・・・・・」
「君、君が昔浮竹の血を勝手に抜いて売ってた信者?」
「ああ、十四郎ちゃんは奴隷として買われていっちゃたんだね。そうだよ、たくさん稼がせてもらったよ。十四郎ちゃんはかわいかったなぁ。血を抜かないでって泣いて」
舌なめずりをする幹部は、武器はもっておらず、両手を後ろでくくられていて、連行される途中だった。
「ヘルレクイエム」
「は?何をした」
「せいぜい、苦しむことだよ。君に、悪夢のような痛みを何度も感じる魔法をかけた」
「は?・・・・・・ぎゃあああああ、痛い痛い!」
「なんだ、うるさい、静かにしろ!」
王国の騎士団の一人に気絶させられて、その幹部は一時楽になった。
だが、目覚めればまたしばらくの間、痛みを感じるだろう。
「浮竹、もう大丈夫?あいつはいなくなったよ」
「ん・・・・・もう、俺の血を抜かない?」
「そんなやつ、もうどこにもいないよ」
「京楽・・・分かっていたんだ。あいつがいるんじゃないかって。でもいないと言い聞かせてきたけど、やっぱり欠席すればよかった。しばらく、悪夢を見そうだ」
「じゃあ、悪夢も見ないようにスリープの魔法でしばらくの間眠りにつかせてあげる」
「京楽は、恩人だな」
「そんなことはないよ。君も、僕の立場だったら、何かしたでしょう?」
「そうだな。俺のように血を抜かれて痛い思いや怖い思いをさせた奴がいたなら、竜化して引き裂いていた」
浮竹の目は本気だった。
「うわお、過激。僕の方が大人しいね」
「ヘルレクイエムの魔法をかけたんだろう?」
「そうだよ?一週間は激痛が続くだろうね。でも、生きていられるだけましじゃない?」
「あの魔法の痛みは耐え切れなくなったら死んでしまう」
「知ってるよ?だからかけたの」
「京楽・・・・・・・」
「僕は君を傷つける者なら、容赦なく殺すよ?」
「すまない・・・俺が、お前の手を汚させた」
浮竹が顔を伏せる。
「そんな顔しないで。僕が自分の意思でやってることで、君は何も感じなくていいよ」
「京楽・・・・・」
「浮竹・・・・・・」
「兄らは、まだ教団関係者の移動が終わっていないことを、念頭に入れるように」
白哉の冷えた言葉で、我に返る。
「あははは。洗脳された信者の保護、続けようか」
「そ、そうだな」
とろつくろうが、白哉の冷えた眼差しはこたえた。
イレイサ教の本拠地は灰になり、洗脳されていた信者は保護されて病院や施設に入れられて、幹部の主だった面子はかどわかしや生贄にした殺人の罪で極刑となった。
噂で、イレイサ教の幹部の一人が痛い痛いと叫びながら狂い死んだと聞いて、京楽は冷たく笑うのだった。
奴隷竜とSランク冒険者14
白哉と恋次が、はじめてSランクダンジョンに挑むというので、念のために浮竹と京楽も同行することになった。
「Sランクダンジョンって広いっすね~」
「出てくるモンスターも、強いぞ」
浮竹は、さっそくでてたガーゴイルにアイシクルブレスを吐いた。
「散れ・・・・千本桜」
白哉は、魔剣千本桜をもっており、それは桜の花びらとなって数億の刃となって敵を切り裂く。
ガーゴイルの石の体を、白哉の千本桜の花の刃はすぱすぱと切っていく。
「こりゃあ、僕たちが同行する必要なかったかもねぇ」
「いや、兄らがいるから安心して戦える」
「サンダースピア!」
京楽は、浮竹の方に向かっていったガーゴイルに魔法を放ち、動きが止まった瞬間に魔剣のドラゴンスレイヤーで粉々にしてしまった。
「ドラゴンスレイヤーか。噂には聞いているが、私の千本桜並みに強いな」
「そりゃ、竜殺しの魔剣だからねぇ。白哉君の千本桜は刃を細かくできるけど、こっちはできないけど、代わりになんでも切れる。ミスリルのインゴットでも切れるよ」
「さすがに、私の千本桜ではミスリルまでは切れない」
「ほら、京楽も白哉も恋次君も、先を行くぞ」
先に進み始めた浮竹のあとを、皆追うのだった。
20階層まで下り、フロアボスを数体撃破して、20階層のボスが出てくる。
フィールドは海。
今にも沈みそうな船に乗り、フロア最大のボスである魔獣リヴァイアサンに挑む。
「ヘルボルテックスサンダー!」
「ライトニングボール!」
白哉と恋次が雷の魔法を放つ。
浮竹と京楽は、とりあえず手を出さないで見ていることにした。
「ジャッジメントサンダー!」
白哉が、雷の禁忌を放ち、それを千本桜にまとわせてリヴァイアサンの体を切り裂いていくと、リヴァイアサンは最後の咆哮をあげてどーんと海に倒れた。
「やった!俺と白哉さんだけでフロアボス倒せた!」
喜ぶ恋次の背後から、触手が伸びて恋次をからみとった。
「うわ、な、なんだ!?」
「フロアボスはもう1体いたのか!クラーケンだ!今助ける!」
浮竹は、クラーケンの本体めがけてアイシクルブレスを吐いた。
クラーケンは水属性だが、氷に強いというわけでなく、体の大半を凍らせていた。
「恋次!」
「大丈夫っす、白哉さん!ライトニングボール!」
恋次は蛇尾丸という伸縮自在の剣に雷をまとわせて、自分に巻き付いている触手を黒こげにして切り落とした。
「すまぬ、浮竹。援護、感謝する。いけ、千本桜!」
白哉は千本桜を数億の刃にして、そこに雷をまとわせて、クラーケンの凍った体をくだいていく。
「ありゃ、僕の出番はなしかな」
「ないほうがいい。Sランク冒険者としてソロで倒せるくらいでないと、ダンジョン踏破はできないからな」
「それもそうだね。それより、この船沈没しかけてるんだけど」
「もう長くはもたないな」
「浮竹、君は海全体を凍らせること、できる?」
「できるが、範囲が広すぎる。浅い氷しかできないぞ」
「だよねぇ。海岸まで、泳いでいくしかないのかな」
「俺がドラゴン化する。背に乗れ」
浮竹は、人化を解いて本来のムーンホワイトドラゴンの姿になると、京楽を背に乗せた。
それから恋次と白哉を拾い上げて、背中に乗せて空を飛行する。
「うわぁ、羽毛のドラゴン!すっげぇ!」
「ムーンホワイトドラゴンか・・・月竜と呼ばれるだけあって、美しいな」
恋次と白哉は、ふかふかの浮竹の羽毛を手で触っていた。
「いいクッションになりそう」
「ちょっと、恋次君、浮竹の羽でクッションとかそんな作ってみたいようなこと言わない!」
「作ってみたいのか、京楽」
「あ、いや、これは言葉のあやで」
「別にいいぞ。少し羽を抜くくらいでクッションはできるのだろう」
浮竹は、海岸の次の階段のある地点までくると、ドラゴンから人の姿に戻った。
「俺たちが同行するのはここまでだ。フロアボスを撃破できたし、お前たちなら無理をせず危険と判断したら帰還スクロールを使うだろうし」
「ありがとうございました、浮竹さん、京楽さん」
「何、後は二人でがんばってね」
「兄らには感謝の言葉しかでぬ」
白哉と恋次が階段のほうに歩き出したのを確認してから、京楽は浮竹を抱きしめた。
「な、なんだ」
「君の背に乗るのは久しぶりだなぁと思って。愛してるよ、浮竹」
「背に乗せるくらい、いつでもしてやるのに。俺も、愛してる」
二人きりになったものだと思って、キスをする。
「あ、京楽さん、浮竹さん、リヴァイアサン倒したのあんたらだから魔石を・・・・・・」
「・・・・・兄らは、もう少し人目を気にした方がいい」
戻ってきた恋次と白哉にキスシーンを見られて、浮竹は真っ赤になってハリセンを取り出す。
「このあほ!すかたん!ぼけ!万年発情期!」
ハリセンでスパンスパンと叩かれながら、それでも京楽はにまにましていた。
「見られても減るもんじゃなし」
「そういう問題じゃない!アイシクルブレス!」
「もぎゃああああ」
体を凍らされて、京楽は悲鳴をあげる。
「「お幸せに」」
「こ、これでも幸せそうに見える?」
「「見える」」
「あはははは、浮竹、ブレスは簡便。氷耐性あるっていっても、しもやけになっちゃう」
「しもやけになりまくれ!アイシクルブレス!」
「もぎゃあああああああ」
白哉と恋次は、悲鳴をあげる京楽を無視して、21階層に降りていくのだった。
浮竹は、二人がいなくなったことを完全に確認して、アイシクルブレスを止める。
「寒い、寒い!プチファイア!」
体を温める火の魔法を使う京楽。
その頭を、おまけとばかりに浮竹がはりせんをおみまいさせるのだった。
「Sランクダンジョンって広いっすね~」
「出てくるモンスターも、強いぞ」
浮竹は、さっそくでてたガーゴイルにアイシクルブレスを吐いた。
「散れ・・・・千本桜」
白哉は、魔剣千本桜をもっており、それは桜の花びらとなって数億の刃となって敵を切り裂く。
ガーゴイルの石の体を、白哉の千本桜の花の刃はすぱすぱと切っていく。
「こりゃあ、僕たちが同行する必要なかったかもねぇ」
「いや、兄らがいるから安心して戦える」
「サンダースピア!」
京楽は、浮竹の方に向かっていったガーゴイルに魔法を放ち、動きが止まった瞬間に魔剣のドラゴンスレイヤーで粉々にしてしまった。
「ドラゴンスレイヤーか。噂には聞いているが、私の千本桜並みに強いな」
「そりゃ、竜殺しの魔剣だからねぇ。白哉君の千本桜は刃を細かくできるけど、こっちはできないけど、代わりになんでも切れる。ミスリルのインゴットでも切れるよ」
「さすがに、私の千本桜ではミスリルまでは切れない」
「ほら、京楽も白哉も恋次君も、先を行くぞ」
先に進み始めた浮竹のあとを、皆追うのだった。
20階層まで下り、フロアボスを数体撃破して、20階層のボスが出てくる。
フィールドは海。
今にも沈みそうな船に乗り、フロア最大のボスである魔獣リヴァイアサンに挑む。
「ヘルボルテックスサンダー!」
「ライトニングボール!」
白哉と恋次が雷の魔法を放つ。
浮竹と京楽は、とりあえず手を出さないで見ていることにした。
「ジャッジメントサンダー!」
白哉が、雷の禁忌を放ち、それを千本桜にまとわせてリヴァイアサンの体を切り裂いていくと、リヴァイアサンは最後の咆哮をあげてどーんと海に倒れた。
「やった!俺と白哉さんだけでフロアボス倒せた!」
喜ぶ恋次の背後から、触手が伸びて恋次をからみとった。
「うわ、な、なんだ!?」
「フロアボスはもう1体いたのか!クラーケンだ!今助ける!」
浮竹は、クラーケンの本体めがけてアイシクルブレスを吐いた。
クラーケンは水属性だが、氷に強いというわけでなく、体の大半を凍らせていた。
「恋次!」
「大丈夫っす、白哉さん!ライトニングボール!」
恋次は蛇尾丸という伸縮自在の剣に雷をまとわせて、自分に巻き付いている触手を黒こげにして切り落とした。
「すまぬ、浮竹。援護、感謝する。いけ、千本桜!」
白哉は千本桜を数億の刃にして、そこに雷をまとわせて、クラーケンの凍った体をくだいていく。
「ありゃ、僕の出番はなしかな」
「ないほうがいい。Sランク冒険者としてソロで倒せるくらいでないと、ダンジョン踏破はできないからな」
「それもそうだね。それより、この船沈没しかけてるんだけど」
「もう長くはもたないな」
「浮竹、君は海全体を凍らせること、できる?」
「できるが、範囲が広すぎる。浅い氷しかできないぞ」
「だよねぇ。海岸まで、泳いでいくしかないのかな」
「俺がドラゴン化する。背に乗れ」
浮竹は、人化を解いて本来のムーンホワイトドラゴンの姿になると、京楽を背に乗せた。
それから恋次と白哉を拾い上げて、背中に乗せて空を飛行する。
「うわぁ、羽毛のドラゴン!すっげぇ!」
「ムーンホワイトドラゴンか・・・月竜と呼ばれるだけあって、美しいな」
恋次と白哉は、ふかふかの浮竹の羽毛を手で触っていた。
「いいクッションになりそう」
「ちょっと、恋次君、浮竹の羽でクッションとかそんな作ってみたいようなこと言わない!」
「作ってみたいのか、京楽」
「あ、いや、これは言葉のあやで」
「別にいいぞ。少し羽を抜くくらいでクッションはできるのだろう」
浮竹は、海岸の次の階段のある地点までくると、ドラゴンから人の姿に戻った。
「俺たちが同行するのはここまでだ。フロアボスを撃破できたし、お前たちなら無理をせず危険と判断したら帰還スクロールを使うだろうし」
「ありがとうございました、浮竹さん、京楽さん」
「何、後は二人でがんばってね」
「兄らには感謝の言葉しかでぬ」
白哉と恋次が階段のほうに歩き出したのを確認してから、京楽は浮竹を抱きしめた。
「な、なんだ」
「君の背に乗るのは久しぶりだなぁと思って。愛してるよ、浮竹」
「背に乗せるくらい、いつでもしてやるのに。俺も、愛してる」
二人きりになったものだと思って、キスをする。
「あ、京楽さん、浮竹さん、リヴァイアサン倒したのあんたらだから魔石を・・・・・・」
「・・・・・兄らは、もう少し人目を気にした方がいい」
戻ってきた恋次と白哉にキスシーンを見られて、浮竹は真っ赤になってハリセンを取り出す。
「このあほ!すかたん!ぼけ!万年発情期!」
ハリセンでスパンスパンと叩かれながら、それでも京楽はにまにましていた。
「見られても減るもんじゃなし」
「そういう問題じゃない!アイシクルブレス!」
「もぎゃああああ」
体を凍らされて、京楽は悲鳴をあげる。
「「お幸せに」」
「こ、これでも幸せそうに見える?」
「「見える」」
「あはははは、浮竹、ブレスは簡便。氷耐性あるっていっても、しもやけになっちゃう」
「しもやけになりまくれ!アイシクルブレス!」
「もぎゃあああああああ」
白哉と恋次は、悲鳴をあげる京楽を無視して、21階層に降りていくのだった。
浮竹は、二人がいなくなったことを完全に確認して、アイシクルブレスを止める。
「寒い、寒い!プチファイア!」
体を温める火の魔法を使う京楽。
その頭を、おまけとばかりに浮竹がはりせんをおみまいさせるのだった。
新たなる霊王
俺は、死んだはずだった。
ミミハギ様を手放し、神掛を行った。
気づいた時には、集中治療室で目覚めた。
「よかった、浮竹、目覚めたんだね」
傍で、憔悴しきった様子の京楽が、ずっと浮竹の手を握っていた。
「ああ、もうこうして君に触れていれるのも終わりかな」
「俺は死んだんじゃなかったのか?」
「君は・・・霊王になったんだ。神掛が、君を霊王にした」
「俺が霊王に?」
信じられなくて、でも新しい零番隊が迎えにやってきた。
「新しい霊王様においては、ご機嫌麗しゅう。これより、世界を見守るために霊王宮にあがってもらいます。もう、尸魂界の、下界には戻ってこれません」
「え・・・・・・・」
つまりは、もう京楽と会えないということなのだろうか。
「それは困る。俺は、下界にいたい」
「だめです。霊王様なのですよ、あなたは!」
「じゃあ、許可を。京楽も、時折でいいから霊王宮に行ける許可を。それがないなら、俺は霊王にならない」
子供の我儘のように、浮竹は京楽の手を握って、霊王にならないと言い張った。
「霊王様が霊王宮にいらせられないのは問題だ。仕方ない、京楽春水、汝を特別に霊王様のおそばに時折居れるように、許可する」
「じゃあ、京楽・・・俺は、ちょっと霊王として霊王宮にあがるよ」
「浮竹!」
「別れじゃないから。また、会える」
零番隊に連れられて、浮竹は去ってしまった。
それから、どれくらい月日が流れただろうか。
半年は音信不通だった。
浮竹が生きているだけでいいと思っていたが、それでもやはり傍にいれないと寂しさが募る。
「浮竹・・・・今頃、何してるだろう」
ふと、地獄蝶がやってくる。
「霊王様がお呼びです。一番隊隊舎の裏にゲートを作るので、そこから霊王宮にあがりなさい」
京楽は、仕事を放りだしてゲートに入った。
「浮竹に会えるの・・・・?」
気づくと、そこは春の季節を保った霊王宮の入り口だった。
「お、京楽、久しぶり」
傍に侍女を従えて、霊王となった浮竹は美しい着物を着て、長い白髪を結い上げて花で飾り、まるで女性に見間違うような出で立ちをしていた。
「浮竹?」
「他の者は下がってくれ。京楽と二人きりになりたい」
「しかし霊王様!」
「この霊王の命令が聞けないのか?」
「申し訳ありません。退席いたします」
霊王となった浮竹に案内されて、霊王宮のいろんな場所を紹介された。
「ここが、俺の部屋だ」
広い部屋に、ぽつんと大きなベッドだけがある。
「霊王の君って、普段何をしているの?」
「下界を見てる。何かの命が生まれる時が、一番嬉しい。お前のことも、時折見ていた。総隊長として、立派にやっているんだな」
「浮竹!」
京楽は、浮竹に抱き着いた。
「どうしたんだ?」
「半年も、君に会えなかった。半年ぶりだよ。浮竹不足で死にそうだ」
「大袈裟だな」
「ねぇ、しばらくこの霊王宮に居てもいいのかな?」
「ああ。俺の我儘になるが、霊王を止めるって言いだせば、大抵のことは片がつく」
「浮竹、悪いいたずらっ子みたい」
「ふふ・・・・好きだぞ、京楽」
「僕も大好きだよ、浮竹」
霊王となった浮竹をベッドに押し倒して、体を重ねた。
半年ぶりなので、加減ができなくて浮竹は意識を飛ばしてしまった。
「ごめんね、浮竹。君が傍にいないと、僕はだめみたい」
浮竹の隣で、浮竹を抱きしめて眠った。
朝餉の時刻になり、浮竹も目を覚ます。
「京楽、たまってたな」
「ああ、うん。ごめん」
配膳係は、何も聞いていないように振舞う。
「ねぇ、肺の病は大丈夫なの?」
「ああ。霊王になったせいか、肺は健康そのものなんだ。体が弱いのは変わりないが。霊王宮の外までしか出れないが、外は春の季節が保たれていて、体にも心地よい」
「ごめん、昨日君にした行為は、君の体を蝕んでしまうかもしれない」
「いい。俺も、望んだことだ」
浮竹は、朝餉を食べ終えると、京楽を連れて霊王宮の外に出た。
「ここは、年中桜が咲いているんだ。この桜の大木が、俺のお気に入りだ」
「綺麗だね」
「そうだろう」
「うん。桜の花びら舞う下にいる君が、とても綺麗だ」
浮竹は、赤くなった。
「な、何を言っている」
「ふふふ。かわいいなぁ、浮竹は」
「からかうな。これでも、霊王なんだぞ」
「かわいい霊王様だね」
「むう」
浮竹は頬を膨らませる。
「僕は、いつまでここにいれるのかな?」
「1週間。その次は、また半年後だ」
「そう。じゃあ、明日ここで花見をしよう。酒を飲みかわそう」
浮竹と京楽は、離れていた時間を取り戻すように、お互い傍にいて寄り添い合った。
「じゃあ、また半年後に」
「京楽!」
「なんだい」
「これ、俺専用の伝令神機だ。話ならできるから」
「お、気が利くね。ありがたくもらって、活用させてもらうよ」
霊王となった浮竹は、暇をもてあましている。
霊王の存在は、世界が在るのを見届け、贄となって支えるもの。
「おはよう、浮竹」
「おはよう、京楽」
専用の伝令神機を利用して、毎日のように会話ができて、二人が離れている距離は、近いものになる。
「来月は、あれから半年が経つから会える。早く、お前に触れたい」
「僕もだよ。君を抱きたい」
「な、俺は、会いたいと・・・・・・」
「でも、抱かれたいでしょ?」
「知るか!」
浮竹は、伝令神機を畳にたたきつける。
「あははは。顔まで真っ赤な君が想像できる」
受話器ごしから聞こえてくる声に、真っ赤になりながら、浮竹は。
「俺も抱かれたい。早く、会いたい・・・・・・」
そう言って、伝令神機を切って、桜の大木があるところまでくると、下界を少し見た。
京楽の姿が見えた。
滞在は一週間になるので、ばりばり仕事をしているらしかった。
「ふふ・・・・・」
一生懸命な京楽を見ていると、こっちまで嬉しくなる。
「そんなに、俺に会いたいのか・・・・」
浮竹は、少し笑って、桜の大木の下で微睡みだす。
霊王は、ただ在ればいいだけなので、基本暇だ。
書物を読んだり、身の回りの世話をする者と囲碁や麻雀をしたり、花札とかトランプをしたり。
眠っている時間が、1日の3分の2を占めるようになっていた。
「京楽・・・早く、会いたい・・・・・」
眠りながら、京楽の夢を見る。
次に会えるまであと1カ月。
伝令神機で連絡を取り合ってるので、孤独ではないし、半年に一回ではあるが、実際に会える。
霊王となったことに、後悔はしていない。
一度死んだはずなのだ。
京楽と同じ時間を生きて、会えるなら、もうそれ以上の望みはないのだった。
ミミハギ様を手放し、神掛を行った。
気づいた時には、集中治療室で目覚めた。
「よかった、浮竹、目覚めたんだね」
傍で、憔悴しきった様子の京楽が、ずっと浮竹の手を握っていた。
「ああ、もうこうして君に触れていれるのも終わりかな」
「俺は死んだんじゃなかったのか?」
「君は・・・霊王になったんだ。神掛が、君を霊王にした」
「俺が霊王に?」
信じられなくて、でも新しい零番隊が迎えにやってきた。
「新しい霊王様においては、ご機嫌麗しゅう。これより、世界を見守るために霊王宮にあがってもらいます。もう、尸魂界の、下界には戻ってこれません」
「え・・・・・・・」
つまりは、もう京楽と会えないということなのだろうか。
「それは困る。俺は、下界にいたい」
「だめです。霊王様なのですよ、あなたは!」
「じゃあ、許可を。京楽も、時折でいいから霊王宮に行ける許可を。それがないなら、俺は霊王にならない」
子供の我儘のように、浮竹は京楽の手を握って、霊王にならないと言い張った。
「霊王様が霊王宮にいらせられないのは問題だ。仕方ない、京楽春水、汝を特別に霊王様のおそばに時折居れるように、許可する」
「じゃあ、京楽・・・俺は、ちょっと霊王として霊王宮にあがるよ」
「浮竹!」
「別れじゃないから。また、会える」
零番隊に連れられて、浮竹は去ってしまった。
それから、どれくらい月日が流れただろうか。
半年は音信不通だった。
浮竹が生きているだけでいいと思っていたが、それでもやはり傍にいれないと寂しさが募る。
「浮竹・・・・今頃、何してるだろう」
ふと、地獄蝶がやってくる。
「霊王様がお呼びです。一番隊隊舎の裏にゲートを作るので、そこから霊王宮にあがりなさい」
京楽は、仕事を放りだしてゲートに入った。
「浮竹に会えるの・・・・?」
気づくと、そこは春の季節を保った霊王宮の入り口だった。
「お、京楽、久しぶり」
傍に侍女を従えて、霊王となった浮竹は美しい着物を着て、長い白髪を結い上げて花で飾り、まるで女性に見間違うような出で立ちをしていた。
「浮竹?」
「他の者は下がってくれ。京楽と二人きりになりたい」
「しかし霊王様!」
「この霊王の命令が聞けないのか?」
「申し訳ありません。退席いたします」
霊王となった浮竹に案内されて、霊王宮のいろんな場所を紹介された。
「ここが、俺の部屋だ」
広い部屋に、ぽつんと大きなベッドだけがある。
「霊王の君って、普段何をしているの?」
「下界を見てる。何かの命が生まれる時が、一番嬉しい。お前のことも、時折見ていた。総隊長として、立派にやっているんだな」
「浮竹!」
京楽は、浮竹に抱き着いた。
「どうしたんだ?」
「半年も、君に会えなかった。半年ぶりだよ。浮竹不足で死にそうだ」
「大袈裟だな」
「ねぇ、しばらくこの霊王宮に居てもいいのかな?」
「ああ。俺の我儘になるが、霊王を止めるって言いだせば、大抵のことは片がつく」
「浮竹、悪いいたずらっ子みたい」
「ふふ・・・・好きだぞ、京楽」
「僕も大好きだよ、浮竹」
霊王となった浮竹をベッドに押し倒して、体を重ねた。
半年ぶりなので、加減ができなくて浮竹は意識を飛ばしてしまった。
「ごめんね、浮竹。君が傍にいないと、僕はだめみたい」
浮竹の隣で、浮竹を抱きしめて眠った。
朝餉の時刻になり、浮竹も目を覚ます。
「京楽、たまってたな」
「ああ、うん。ごめん」
配膳係は、何も聞いていないように振舞う。
「ねぇ、肺の病は大丈夫なの?」
「ああ。霊王になったせいか、肺は健康そのものなんだ。体が弱いのは変わりないが。霊王宮の外までしか出れないが、外は春の季節が保たれていて、体にも心地よい」
「ごめん、昨日君にした行為は、君の体を蝕んでしまうかもしれない」
「いい。俺も、望んだことだ」
浮竹は、朝餉を食べ終えると、京楽を連れて霊王宮の外に出た。
「ここは、年中桜が咲いているんだ。この桜の大木が、俺のお気に入りだ」
「綺麗だね」
「そうだろう」
「うん。桜の花びら舞う下にいる君が、とても綺麗だ」
浮竹は、赤くなった。
「な、何を言っている」
「ふふふ。かわいいなぁ、浮竹は」
「からかうな。これでも、霊王なんだぞ」
「かわいい霊王様だね」
「むう」
浮竹は頬を膨らませる。
「僕は、いつまでここにいれるのかな?」
「1週間。その次は、また半年後だ」
「そう。じゃあ、明日ここで花見をしよう。酒を飲みかわそう」
浮竹と京楽は、離れていた時間を取り戻すように、お互い傍にいて寄り添い合った。
「じゃあ、また半年後に」
「京楽!」
「なんだい」
「これ、俺専用の伝令神機だ。話ならできるから」
「お、気が利くね。ありがたくもらって、活用させてもらうよ」
霊王となった浮竹は、暇をもてあましている。
霊王の存在は、世界が在るのを見届け、贄となって支えるもの。
「おはよう、浮竹」
「おはよう、京楽」
専用の伝令神機を利用して、毎日のように会話ができて、二人が離れている距離は、近いものになる。
「来月は、あれから半年が経つから会える。早く、お前に触れたい」
「僕もだよ。君を抱きたい」
「な、俺は、会いたいと・・・・・・」
「でも、抱かれたいでしょ?」
「知るか!」
浮竹は、伝令神機を畳にたたきつける。
「あははは。顔まで真っ赤な君が想像できる」
受話器ごしから聞こえてくる声に、真っ赤になりながら、浮竹は。
「俺も抱かれたい。早く、会いたい・・・・・・」
そう言って、伝令神機を切って、桜の大木があるところまでくると、下界を少し見た。
京楽の姿が見えた。
滞在は一週間になるので、ばりばり仕事をしているらしかった。
「ふふ・・・・・」
一生懸命な京楽を見ていると、こっちまで嬉しくなる。
「そんなに、俺に会いたいのか・・・・」
浮竹は、少し笑って、桜の大木の下で微睡みだす。
霊王は、ただ在ればいいだけなので、基本暇だ。
書物を読んだり、身の回りの世話をする者と囲碁や麻雀をしたり、花札とかトランプをしたり。
眠っている時間が、1日の3分の2を占めるようになっていた。
「京楽・・・早く、会いたい・・・・・」
眠りながら、京楽の夢を見る。
次に会えるまであと1カ月。
伝令神機で連絡を取り合ってるので、孤独ではないし、半年に一回ではあるが、実際に会える。
霊王となったことに、後悔はしていない。
一度死んだはずなのだ。
京楽と同じ時間を生きて、会えるなら、もうそれ以上の望みはないのだった。
28話補完小説
「俺は・・・・あんたを止めるためにここにきたんだ。あんたを止めて、尸魂界も現世も虚圏を、全部守るために!」
「無駄だ。全部観えている」
「うおおおおおおおお!!月牙天衝!」
天鎖斬月を握り、月牙天衝を何度も放つが、ユーハバッハにはきかない。
「ああああああ!!!!」
修行でパワーアップしたはずの月牙天衝をはじかれて、弓で攻撃される。
それを斬月ではじいていくが、数が多く威力が高い。
「俺は、お前を倒して・・・・・・」
「全てを守るか。手遅れだ」
ユーハバッハは、霊王を見せた。
「霊王は死んだ。お前になす術は最早ない」
ユーハバッハの言葉通り、霊王を封じ込めた水晶には剣がささっていた。
「剣をぬいて霊王を救うか。抜くがいい。お前にならそれができよう。お前自身の手で尸魂界を滅ぼすがいい」
「なんだ・・・・・どうなっている!剣が・・・」
霊王を、真っ二つにしていた。
ざっと、自分のしでかしたことの大きさと絶望に、地面に膝をつける。
俺が。
俺の手が、霊王を殺した。
信じられなかった。
自分の中に流れる滅却師の血が、ざわめく。
ユーハバッハに操つられたような状態だったとはいえ、俺が霊王を殺し、世界を終わらせようとしている。
「さぁ、一護よ。共に観よう。尸魂界の終焉を」
「俺は・・・・俺は・・・」
「言ったはずだ。手遅れだと。ここに現れたお前自身の手で、霊王は止めをさされるのだから」
ユーハバッハの言葉が遠くにかんじる。
「どうしてだ・・・・どうして俺は斬った?どうしてこの剣は俺の手を離れねぇんだ?」
一護は、不敵な笑みを浮かべるユーハバッハに切りかかった。
「我が聖文字はA。全知全能。全ての未来を見通し、全ての力を奪い、与える。わが剣に宿る我が霊圧をお前に与えることもできる。その流れ込んだ私の力が、お前の血に呼びかけたのだ。
許せぬはずだ許せぬはずだ。お前に滅却師の血が流れるのならば、お前は霊王をきらなければならぬ!」
ユーハバッハは叫んだ。
人間であり、滅却師であり、フルブリンガーであり、死神であり、虚である。
その存在こそが、唯一霊王を死に至らしめるのだと。
俺は。
俺は、無力なのか。
俺の手で、世界を壊すというのか。
ああ。
どうか。
世界よ、壊れないでくれ。
「私は、私の手で新たな世界を創造する」
「無駄だ。全部観えている」
「うおおおおおおおお!!月牙天衝!」
天鎖斬月を握り、月牙天衝を何度も放つが、ユーハバッハにはきかない。
「ああああああ!!!!」
修行でパワーアップしたはずの月牙天衝をはじかれて、弓で攻撃される。
それを斬月ではじいていくが、数が多く威力が高い。
「俺は、お前を倒して・・・・・・」
「全てを守るか。手遅れだ」
ユーハバッハは、霊王を見せた。
「霊王は死んだ。お前になす術は最早ない」
ユーハバッハの言葉通り、霊王を封じ込めた水晶には剣がささっていた。
「剣をぬいて霊王を救うか。抜くがいい。お前にならそれができよう。お前自身の手で尸魂界を滅ぼすがいい」
「なんだ・・・・・どうなっている!剣が・・・」
霊王を、真っ二つにしていた。
ざっと、自分のしでかしたことの大きさと絶望に、地面に膝をつける。
俺が。
俺の手が、霊王を殺した。
信じられなかった。
自分の中に流れる滅却師の血が、ざわめく。
ユーハバッハに操つられたような状態だったとはいえ、俺が霊王を殺し、世界を終わらせようとしている。
「さぁ、一護よ。共に観よう。尸魂界の終焉を」
「俺は・・・・俺は・・・」
「言ったはずだ。手遅れだと。ここに現れたお前自身の手で、霊王は止めをさされるのだから」
ユーハバッハの言葉が遠くにかんじる。
「どうしてだ・・・・どうして俺は斬った?どうしてこの剣は俺の手を離れねぇんだ?」
一護は、不敵な笑みを浮かべるユーハバッハに切りかかった。
「我が聖文字はA。全知全能。全ての未来を見通し、全ての力を奪い、与える。わが剣に宿る我が霊圧をお前に与えることもできる。その流れ込んだ私の力が、お前の血に呼びかけたのだ。
許せぬはずだ許せぬはずだ。お前に滅却師の血が流れるのならば、お前は霊王をきらなければならぬ!」
ユーハバッハは叫んだ。
人間であり、滅却師であり、フルブリンガーであり、死神であり、虚である。
その存在こそが、唯一霊王を死に至らしめるのだと。
俺は。
俺は、無力なのか。
俺の手で、世界を壊すというのか。
ああ。
どうか。
世界よ、壊れないでくれ。
「私は、私の手で新たな世界を創造する」
奴隷竜とSランク冒険者13
「ふう、今回のダンジョン探索はマジックアイテムがたくさんでたね」
「ああ。金になるな」
「うん。いくらになるか楽しみだね」
京楽と浮竹は、Sランクダンジョンを踏破した帰り道に、冒険者ギルドに寄った。
マジックアイテムをたくさん買いとってもらい、白金貨13万枚を手にした。
「久しぶりに、外で食事しないか」
「いいね。高級レストランにでも行こうか」
街を歩いていると、浮竹と京楽そっくりの人物が、向こう側からやってくる。
「あ、お前、なんでこの世界に!夢の中じゃないのに!」
浮竹が、変身能力をもつ、夢の中で出会う浮竹に話しかける。
『あ、ドラゴンの俺!気づいたら、この世界にいたんだ!ここはすごいな!魔法とかあるんだな!それに、見たこともない種族がいっぱいだし、絵本の通りでびっくりだ!』
「びっくりしたのは俺のほうだ」
「僕がいる・・・・・・」
『ボクがいるね・・・・・』
京楽たちは、鏡を見るように不思議そうにしていた。
「京楽、こっちが夢によく出てくるもう一人の俺で、そっちは連れの京楽らしい」
『こっちの浮竹も、かわいいね。でも、ボクの浮竹が一番かわいいけどね』
「僕の浮竹が一番かわいいよ!」
不毛な言い争いをする京楽たちを放置して、浮竹たちは市場に行くことにした。
「待ってよ、浮竹!」
『浮竹、だめだよ一人で出歩いちゃ。世界が違うんだから』
「京楽たち、仲良くしろ」
『そうだぞ、京楽。俺たちみたいに、仲良くなれ』
道すがら、違う世界の浮竹と京楽は、こっちの世界でいわゆる異世界召還されたのだと知る。
術者はいなくて、気づいたらこっちの世界にいたそうだ。
「勇者が召還される以外にも、普通の人間が召還されることもあるし、普通にすぐに戻ることもある。多分、今回は後者だろう。こっちの世界にいられる時間は限られているだろうから、とりあえず買い物だ!」
浮竹は、もう一人の浮竹の手を引っ張って、洋服屋に入っていった。
「あ、これ似合いそうだな。でも、こっちの青も捨てがたい」
『服、買ってもらっていいのか、ドラゴンの俺。この店、凄く高そうなんだが』
「金なら腐るほどある。どうせなら、いい服を買ってやりたい」
『これ、絹じゃないか!高いだろう』
「金は腐るほどある」
「そっちの浮竹には、こういう服が似合うんじゃない?」
京楽がチョイスした服を、もう一人の浮竹は気に入ったようで、それに着替えた。
『どうだ、似合っているか?』
『「かわいい・・・・・」』
京楽たちは、はもっていた。
「うん、バッチリ似合っているぞ。そっちの京楽も、好きな服を選ぶといい。買ってやる」
『じゃあ、お言葉に甘えて・・・・』
異能力者の京楽は、もう一人の浮竹の服と対になるような服を買って、着ることにした。
ぐうううう。
もう一人の浮竹の腹が鳴って、もう一人の浮竹は顔を真っ赤にする。
「ちょうど、高級レストランに行こうかとさっきまで京楽と話していたところなんだ。おごってやるから、お前たちも来い」
『ドラゴンの浮竹におごられるのって、なんか不思議な感覚』
「浮竹も僕も、Sランク冒険者だからね。君たちよりは金持ちのはずだよ」
『ドラゴンの俺、凄いんだな』
「全部、京楽が俺を買ってくれたおかげだ」
高級レストランへいく道の途中で、浮竹は自分が元奴隷であり、京楽に買われて幸せになっていることを話した。
『つらかっただろう、ドラゴンの俺。でも今は、冒険者の京楽がいて、安心だな!』
「ああ。京楽がいてくれるから、俺は生きている。ほんとははく製にするとかという話も出ていたんだ」
『ドラゴンのはく製は迫力があるだろうが、ドラゴンの俺がはく製になるなんて嫌だ!』
もう一人の浮竹は、ぎゅっと浮竹に抱き着いた。
「着いたぞ。もう一人の俺、もう今の俺は大丈夫だから安心しろ。好きなコースを頼むといい」
文字が読めないので、浮竹と京楽に翻訳してもらって、異世界の浮竹と京楽は本日のおすすめコースを選んだ。
シャトーブリアンのステーキとか、トリュフたっぷりの海鮮パスタとか、おいしいが高そうなものばかりでてきた。
『うまいが、お金が気になる・・・・』
『ボクも手持ちはあるけど、こっちの世界とじゃあ通貨が違うものね』
財布を見る異能力者の京楽。
一方、浮竹はもう一人の浮竹を見た。
「パフェ食うか?」
『パフェ!?食べる!』
「こっちの世界にしかないフルーツを使っている。多分、そっちの世界では味わえない味だぞ」
『楽しみだ!』
『あ、ボクの分もお願い』
『京楽、パフェはうまいもんな!』
『うん、そうだね』
やってきたパフェは、紫色の甘い見たことのないフルーツをふんだんに使っていて、おいしいが元の世界では味わえない不思議な味がした。
「会計は僕がもつよ。浮竹に支払わせるわけにはいかないからね」
京楽が、全員分の会計を払う。
白金貨が数百枚飛んでいく。
『白金貨・・・・確か、通貨で一番高い・・・・はう』
その金額を考えて、もう一人の浮竹は軽い眩暈をおこした。
「気にするな、もう一人の俺。俺たちはSランク冒険者だ。白金貨なんて、月に数百万枚うまくいけば溜めれる」
『すごいな、ドラゴンの俺と冒険者の京楽は』
レストランを出て、浮竹たちが泊まっている高級宿にくる。
『また、高そうな宿だな・・・・・』
その時、ぱぁぁぁと異世界の浮竹と京楽の足元が輝いた。
その時、もう一人の浮竹は直観した。
『もう、元の世界に戻るようだ。また、夢の中でいいから会おう、ドラゴンの俺』
「これみやげにもっていけ!」
浮竹が、この世界にしかない果実を盛り合わせたフルーツバスケットを、もう一人の浮竹に渡す。
『何から何まで、ありがとうな!』
『浮竹が世話になったね。まぁボクも世話になったんだけど』
「そっちの浮竹を幸せにしなよ、異世界の僕!」
『当たり前だよ』
光はぱぁぁあと輝いて、異世界の浮竹と京楽はいなくなってしまった。
「不思議な体験だったな」
「うん。でも、君のいう夢の中の浮竹に出会えてよかったよ」
「さて、風呂にでも入るか」
「僕も一緒に入る」
「変なこと、するなよ?」
「ふふ、それはどうだろうねぇ・・・・・」
浮竹と京楽は、普通の日常に戻っていくのだった。
「ああ。金になるな」
「うん。いくらになるか楽しみだね」
京楽と浮竹は、Sランクダンジョンを踏破した帰り道に、冒険者ギルドに寄った。
マジックアイテムをたくさん買いとってもらい、白金貨13万枚を手にした。
「久しぶりに、外で食事しないか」
「いいね。高級レストランにでも行こうか」
街を歩いていると、浮竹と京楽そっくりの人物が、向こう側からやってくる。
「あ、お前、なんでこの世界に!夢の中じゃないのに!」
浮竹が、変身能力をもつ、夢の中で出会う浮竹に話しかける。
『あ、ドラゴンの俺!気づいたら、この世界にいたんだ!ここはすごいな!魔法とかあるんだな!それに、見たこともない種族がいっぱいだし、絵本の通りでびっくりだ!』
「びっくりしたのは俺のほうだ」
「僕がいる・・・・・・」
『ボクがいるね・・・・・』
京楽たちは、鏡を見るように不思議そうにしていた。
「京楽、こっちが夢によく出てくるもう一人の俺で、そっちは連れの京楽らしい」
『こっちの浮竹も、かわいいね。でも、ボクの浮竹が一番かわいいけどね』
「僕の浮竹が一番かわいいよ!」
不毛な言い争いをする京楽たちを放置して、浮竹たちは市場に行くことにした。
「待ってよ、浮竹!」
『浮竹、だめだよ一人で出歩いちゃ。世界が違うんだから』
「京楽たち、仲良くしろ」
『そうだぞ、京楽。俺たちみたいに、仲良くなれ』
道すがら、違う世界の浮竹と京楽は、こっちの世界でいわゆる異世界召還されたのだと知る。
術者はいなくて、気づいたらこっちの世界にいたそうだ。
「勇者が召還される以外にも、普通の人間が召還されることもあるし、普通にすぐに戻ることもある。多分、今回は後者だろう。こっちの世界にいられる時間は限られているだろうから、とりあえず買い物だ!」
浮竹は、もう一人の浮竹の手を引っ張って、洋服屋に入っていった。
「あ、これ似合いそうだな。でも、こっちの青も捨てがたい」
『服、買ってもらっていいのか、ドラゴンの俺。この店、凄く高そうなんだが』
「金なら腐るほどある。どうせなら、いい服を買ってやりたい」
『これ、絹じゃないか!高いだろう』
「金は腐るほどある」
「そっちの浮竹には、こういう服が似合うんじゃない?」
京楽がチョイスした服を、もう一人の浮竹は気に入ったようで、それに着替えた。
『どうだ、似合っているか?』
『「かわいい・・・・・」』
京楽たちは、はもっていた。
「うん、バッチリ似合っているぞ。そっちの京楽も、好きな服を選ぶといい。買ってやる」
『じゃあ、お言葉に甘えて・・・・』
異能力者の京楽は、もう一人の浮竹の服と対になるような服を買って、着ることにした。
ぐうううう。
もう一人の浮竹の腹が鳴って、もう一人の浮竹は顔を真っ赤にする。
「ちょうど、高級レストランに行こうかとさっきまで京楽と話していたところなんだ。おごってやるから、お前たちも来い」
『ドラゴンの浮竹におごられるのって、なんか不思議な感覚』
「浮竹も僕も、Sランク冒険者だからね。君たちよりは金持ちのはずだよ」
『ドラゴンの俺、凄いんだな』
「全部、京楽が俺を買ってくれたおかげだ」
高級レストランへいく道の途中で、浮竹は自分が元奴隷であり、京楽に買われて幸せになっていることを話した。
『つらかっただろう、ドラゴンの俺。でも今は、冒険者の京楽がいて、安心だな!』
「ああ。京楽がいてくれるから、俺は生きている。ほんとははく製にするとかという話も出ていたんだ」
『ドラゴンのはく製は迫力があるだろうが、ドラゴンの俺がはく製になるなんて嫌だ!』
もう一人の浮竹は、ぎゅっと浮竹に抱き着いた。
「着いたぞ。もう一人の俺、もう今の俺は大丈夫だから安心しろ。好きなコースを頼むといい」
文字が読めないので、浮竹と京楽に翻訳してもらって、異世界の浮竹と京楽は本日のおすすめコースを選んだ。
シャトーブリアンのステーキとか、トリュフたっぷりの海鮮パスタとか、おいしいが高そうなものばかりでてきた。
『うまいが、お金が気になる・・・・』
『ボクも手持ちはあるけど、こっちの世界とじゃあ通貨が違うものね』
財布を見る異能力者の京楽。
一方、浮竹はもう一人の浮竹を見た。
「パフェ食うか?」
『パフェ!?食べる!』
「こっちの世界にしかないフルーツを使っている。多分、そっちの世界では味わえない味だぞ」
『楽しみだ!』
『あ、ボクの分もお願い』
『京楽、パフェはうまいもんな!』
『うん、そうだね』
やってきたパフェは、紫色の甘い見たことのないフルーツをふんだんに使っていて、おいしいが元の世界では味わえない不思議な味がした。
「会計は僕がもつよ。浮竹に支払わせるわけにはいかないからね」
京楽が、全員分の会計を払う。
白金貨が数百枚飛んでいく。
『白金貨・・・・確か、通貨で一番高い・・・・はう』
その金額を考えて、もう一人の浮竹は軽い眩暈をおこした。
「気にするな、もう一人の俺。俺たちはSランク冒険者だ。白金貨なんて、月に数百万枚うまくいけば溜めれる」
『すごいな、ドラゴンの俺と冒険者の京楽は』
レストランを出て、浮竹たちが泊まっている高級宿にくる。
『また、高そうな宿だな・・・・・』
その時、ぱぁぁぁと異世界の浮竹と京楽の足元が輝いた。
その時、もう一人の浮竹は直観した。
『もう、元の世界に戻るようだ。また、夢の中でいいから会おう、ドラゴンの俺』
「これみやげにもっていけ!」
浮竹が、この世界にしかない果実を盛り合わせたフルーツバスケットを、もう一人の浮竹に渡す。
『何から何まで、ありがとうな!』
『浮竹が世話になったね。まぁボクも世話になったんだけど』
「そっちの浮竹を幸せにしなよ、異世界の僕!」
『当たり前だよ』
光はぱぁぁあと輝いて、異世界の浮竹と京楽はいなくなってしまった。
「不思議な体験だったな」
「うん。でも、君のいう夢の中の浮竹に出会えてよかったよ」
「さて、風呂にでも入るか」
「僕も一緒に入る」
「変なこと、するなよ?」
「ふふ、それはどうだろうねぇ・・・・・」
浮竹と京楽は、普通の日常に戻っていくのだった。
奴隷竜とSランク冒険者12
その日は新月だった。
浮竹は、京楽の寝ているベッドに忍び込み、ぺろりと唇を舐めた。
「ん・・・浮竹?どうしたの、こんな夜中に。一人じゃ眠れない?」
「したい」
「え?」
「したい。やらせろ」
「ええええええええ!?」
京楽は、訳が分からないまま浮竹の手で衣服を脱がされて、その気にさせられて浮竹を抱くのであった。
「ねぇ、昨日のこと覚えてる?」
「覚えてる。新月の日は、時折発情期になる」
「は、発情期・・・・・・・」
京楽は、肌も露わな浮竹に衣服を着せて、とりあえずお風呂に入った。
次に浮竹をお風呂に入れて、朝食の準備をする。
浮竹は何もなかったかのように、たんたんとしている。
京楽から誘って断られることも多いが、浮竹から襲ってくるのははじめてで、いまだに昨日の妖艶な浮竹が脳内にこびりついて、京楽は焼いたトーストにジャムでもバターでもなく、海苔をぬっていた。
「京楽、それ海苔だぞ」
「え、ああ、本当だ!あははは、やだなぁ、朝から僕ってば」
「なぁ、京楽。今日は休みにしないか?」
「どうして?」
「まだ足りない。したい」
浮竹からきっぱりと求めてくるのはとても珍しいので、京楽はその日のスケジュールを調整して休みにすることにした。
「ん・・・・・んあっ」
朝から、ベッドで乱れ合う。
「あ・・・・・・」
浮竹の甘い声を聞きながら、旺盛な性欲を持つ京楽は浮竹を求める。
昨日抱いたが、まだ抱けた。
「ん・・・・もっと」
「浮竹・・・そんなに絞めつけないで」
「や、もっと奥に出せ」
最奥を抉り、京楽は浮竹の胎の奥に精液を注ぎ込む。
「あ、京楽で満たされる・・・・赤ちゃん、卵、できちゃう」
「ドラゴンって、同性でも子供できるの?」
「希少種は可能だ。でも、俺は子供はいらない・・・・京楽をとられる」
浮竹は、抱かれた後はアフターピルを飲むようにしていた。
「浮竹との赤ちゃんかぁ。ちょっと欲しいかも」
「俺はいやだ。京楽をとりあげられる」
「まぁ、子育てしながら冒険者なんてできないからね。諦めるしかないね」
「京楽、もっと・・・・もっと、奥にいっぱい出して」
身をくねらせて、浮竹は京楽を求めた。
その日、京楽はもう出すものはがないほど浮竹を抱いた。
「んあっ」
「んっ・・・・・ごめん、これで最後。僕のほうがもたない」
「んんっ・・・・ああああ」
最奥に熱い飛沫が出されるのを確認して、浮竹は意識を失った。
「京楽、京楽?」
「ん、浮竹?」
「もう夜だぞ」
「ええっ!」
朝方に寝てしまったのは覚えているが、てっきり昼頃に起きるとばかり思っていたら、もう夕時もこして夜になっていた。
「腹が減った」
「ごめん、今から作るから!」
京楽は慌てて起き上がり、身支度を整えると、クリームシチューを作り、買い置きしていたパンを出した。あと、サラダを作った。
「ごめん、もう少し手のこんだもの作りたかったけど、これで簡便して」
「ん、十分にうまいし大丈夫だ」
「そう、よかった・・・・・・」
「俺は、うまかったか?」
「え、あ、うん。こっちの足腰が立たないじゃないかってくらい、いただきました」
「発情期はたまにくる。その時は、また頼む」
「う、うん。ねぇ、奴隷時代は発情期はあったの?」
「なかった。番に近いパートナーができると、発情期がくる」
浮竹は、クリームシチューのおかわりを食べながら、爆弾発言をしてくる。
「今後も、こういうことが起こるかもしれないんだね」
「俺なりに、発情期はコントロールしている。ダンジョン探索の時なんか、新月でもお前を求めなかっただろう」
「そういえばそうだね」
「今日は久しぶりに溜まっていたから、爆発した」
そういえば、最近浮竹がやり過ぎだと怒るので、セックスをする回数を減らしていたのだ。
それが原因なのかもしれない。浮竹は淡泊なようで、ドラゴンなので性欲は強かった。
「もう、クリームシチューない?」
すっかり食べ終わった浮竹に、京楽は苦笑して冷蔵庫から作りおきしておいたハムカツサンドを出す。
「ん、うまい」
「浮竹は、やっぱり色気より食い気かな」
「何かいったか?」
「ううん、なんでもない」
浮竹はお腹いっぱいになると、風呂に入って、歯を磨いて寝てしまった。
「う、眠れない・・・・・・・」
夜まで爆睡した京楽は、横になっても眠れなかった。
「ねぇ、浮竹、浮竹」
「んー、眠い。邪魔、するな」
しっしとあしらわれて、一人京楽は外に出て星を見ていた。
「あ、流れ星・・・・・」
浮竹とずっと一緒にいられますように。
そう願いをかけた。
浮竹は、深い睡眠の中だ。
京楽は、浮竹のベッドに忍び込んで、いつの間にか眠っていた。
「京楽?朝だぞ。なんで俺のベッドにいるんだ」
「え、ああ、昨日なかなな眠れなかたから、君が恋しくて一緒に寝ちゃった」
「恥ずかしいやつ」
浮竹は頬を赤くしていた。
大胆な浮竹を知ってしまったので、そんな仕草をかわいいなと思う。
「浮竹、かわいい」
「からかうな」
「いや、本当にかわいいなと思って」
浮竹は、顔を赤くしながら身支度を整える。
今日は、Sランクダンジョン探索に行く予定だった。
一週間ほどこもるので、その間えろいことはなしだ。
「大好きだよ、浮竹」
そう言って口づけると。
「俺も好きだ、京楽」
浮竹は、そう言い返して口づけし返してくるのであった。
浮竹は、京楽の寝ているベッドに忍び込み、ぺろりと唇を舐めた。
「ん・・・浮竹?どうしたの、こんな夜中に。一人じゃ眠れない?」
「したい」
「え?」
「したい。やらせろ」
「ええええええええ!?」
京楽は、訳が分からないまま浮竹の手で衣服を脱がされて、その気にさせられて浮竹を抱くのであった。
「ねぇ、昨日のこと覚えてる?」
「覚えてる。新月の日は、時折発情期になる」
「は、発情期・・・・・・・」
京楽は、肌も露わな浮竹に衣服を着せて、とりあえずお風呂に入った。
次に浮竹をお風呂に入れて、朝食の準備をする。
浮竹は何もなかったかのように、たんたんとしている。
京楽から誘って断られることも多いが、浮竹から襲ってくるのははじめてで、いまだに昨日の妖艶な浮竹が脳内にこびりついて、京楽は焼いたトーストにジャムでもバターでもなく、海苔をぬっていた。
「京楽、それ海苔だぞ」
「え、ああ、本当だ!あははは、やだなぁ、朝から僕ってば」
「なぁ、京楽。今日は休みにしないか?」
「どうして?」
「まだ足りない。したい」
浮竹からきっぱりと求めてくるのはとても珍しいので、京楽はその日のスケジュールを調整して休みにすることにした。
「ん・・・・・んあっ」
朝から、ベッドで乱れ合う。
「あ・・・・・・」
浮竹の甘い声を聞きながら、旺盛な性欲を持つ京楽は浮竹を求める。
昨日抱いたが、まだ抱けた。
「ん・・・・もっと」
「浮竹・・・そんなに絞めつけないで」
「や、もっと奥に出せ」
最奥を抉り、京楽は浮竹の胎の奥に精液を注ぎ込む。
「あ、京楽で満たされる・・・・赤ちゃん、卵、できちゃう」
「ドラゴンって、同性でも子供できるの?」
「希少種は可能だ。でも、俺は子供はいらない・・・・京楽をとられる」
浮竹は、抱かれた後はアフターピルを飲むようにしていた。
「浮竹との赤ちゃんかぁ。ちょっと欲しいかも」
「俺はいやだ。京楽をとりあげられる」
「まぁ、子育てしながら冒険者なんてできないからね。諦めるしかないね」
「京楽、もっと・・・・もっと、奥にいっぱい出して」
身をくねらせて、浮竹は京楽を求めた。
その日、京楽はもう出すものはがないほど浮竹を抱いた。
「んあっ」
「んっ・・・・・ごめん、これで最後。僕のほうがもたない」
「んんっ・・・・ああああ」
最奥に熱い飛沫が出されるのを確認して、浮竹は意識を失った。
「京楽、京楽?」
「ん、浮竹?」
「もう夜だぞ」
「ええっ!」
朝方に寝てしまったのは覚えているが、てっきり昼頃に起きるとばかり思っていたら、もう夕時もこして夜になっていた。
「腹が減った」
「ごめん、今から作るから!」
京楽は慌てて起き上がり、身支度を整えると、クリームシチューを作り、買い置きしていたパンを出した。あと、サラダを作った。
「ごめん、もう少し手のこんだもの作りたかったけど、これで簡便して」
「ん、十分にうまいし大丈夫だ」
「そう、よかった・・・・・・」
「俺は、うまかったか?」
「え、あ、うん。こっちの足腰が立たないじゃないかってくらい、いただきました」
「発情期はたまにくる。その時は、また頼む」
「う、うん。ねぇ、奴隷時代は発情期はあったの?」
「なかった。番に近いパートナーができると、発情期がくる」
浮竹は、クリームシチューのおかわりを食べながら、爆弾発言をしてくる。
「今後も、こういうことが起こるかもしれないんだね」
「俺なりに、発情期はコントロールしている。ダンジョン探索の時なんか、新月でもお前を求めなかっただろう」
「そういえばそうだね」
「今日は久しぶりに溜まっていたから、爆発した」
そういえば、最近浮竹がやり過ぎだと怒るので、セックスをする回数を減らしていたのだ。
それが原因なのかもしれない。浮竹は淡泊なようで、ドラゴンなので性欲は強かった。
「もう、クリームシチューない?」
すっかり食べ終わった浮竹に、京楽は苦笑して冷蔵庫から作りおきしておいたハムカツサンドを出す。
「ん、うまい」
「浮竹は、やっぱり色気より食い気かな」
「何かいったか?」
「ううん、なんでもない」
浮竹はお腹いっぱいになると、風呂に入って、歯を磨いて寝てしまった。
「う、眠れない・・・・・・・」
夜まで爆睡した京楽は、横になっても眠れなかった。
「ねぇ、浮竹、浮竹」
「んー、眠い。邪魔、するな」
しっしとあしらわれて、一人京楽は外に出て星を見ていた。
「あ、流れ星・・・・・」
浮竹とずっと一緒にいられますように。
そう願いをかけた。
浮竹は、深い睡眠の中だ。
京楽は、浮竹のベッドに忍び込んで、いつの間にか眠っていた。
「京楽?朝だぞ。なんで俺のベッドにいるんだ」
「え、ああ、昨日なかなな眠れなかたから、君が恋しくて一緒に寝ちゃった」
「恥ずかしいやつ」
浮竹は頬を赤くしていた。
大胆な浮竹を知ってしまったので、そんな仕草をかわいいなと思う。
「浮竹、かわいい」
「からかうな」
「いや、本当にかわいいなと思って」
浮竹は、顔を赤くしながら身支度を整える。
今日は、Sランクダンジョン探索に行く予定だった。
一週間ほどこもるので、その間えろいことはなしだ。
「大好きだよ、浮竹」
そう言って口づけると。
「俺も好きだ、京楽」
浮竹は、そう言い返して口づけし返してくるのであった。