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始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝


「温水プールに行こう」

そう言い出した東洋の浮竹を、皆は見た。

「温水プールのあるレジャー施設を貸し切りにした。西洋の俺と京楽は、人前で肌をさらしたくないだろう?だから、貸し切りにした」

「浮竹ってば、また金塊で温水プール貸し切っちゃったんだよね」

(温水プール!プール自体、行ったことがない)

すでに目をキラキラさせている東洋の浮竹の様子に、西洋の浮竹は嬉しそうだった。

(ボクも行ったことないね。行ってみたいよ)

「もちろんだ、東洋の京楽も一緒にいこう。水着は勝手に買ってきたが、別にいいだろう?」

(変なデザインじゃなければね)

「黒の、トランクスタイプの水着だ」

(それなら、問題はないかな)

(早く行こう!温水プールとやらは、やっぱり水は暖かいのか?)

「まだ春だからね。この季節に普通のプールに入ったら、寒くて風邪ひいちゃうよ」

「ウォータースライダーとやらが長くて人気の温水プールらしいんだ。年のために浮き輪も用意している。皆で遊びに行こう」

周囲から見ると双子なので、顔を隠しながら電車で揺られること15分。

温水プールについた。

(わあ、広いなぁ)

東洋の浮竹ははしゃいで、西洋の自分の手をとって急かす。

(早く泳ぎにいこう)

「まぁまて。準備運動とかもあるし、水着に着替えないと」

(楽しみだなぁ)

4人は、男性更衣室で水着に着替えた。

東洋の浮竹の水着は、黒地にペンギンが泳いでいた。

西洋の浮竹と同じデザインであった。

(あ、この水着かわいい)

「ちなみに、京楽のものがホッキョクグマだ」

(わぁそれもかわいい)

愛しい伴侶に褒められて、東洋の京楽は手を開いて東洋の浮竹を抱きしめた。

(十四郎のほうがかわいいし、似合ってるよ)

(ちょ、春水、西洋の俺たちがみてる!)

顔を真っ赤にする東洋の浮竹を、微笑ましそうに西洋の浮竹が見ていた。

「熱々だな」

同じように、西洋の京楽が手を開いて西洋の浮竹を抱きしめようとするのだが、その頭にハリセンを炸裂させて、西洋の浮竹は先に行ってしまった。

「くすん」

一人残された西洋の京楽は、ちょっとがっかりするのだった。


---------------------------------------------------------

きちんと準備運動をして、温水プールの中に入った。

(うわぁ、広いし綺麗だし、水が暖かい)

「温水プールだからな。早速、ウォータースライダーに行こう!」

西洋の浮竹は、東洋の自分の手を引っ張って、ウォータースライダーまで移動すると、一気に流れ落ちた。

「うわあああああああ」

(わあああああああ)

ざぶんと落ちてきた二人に、西洋と東洋の京楽が心配そうに見る。

「大丈夫?」

(重四郎、平気?)

「やばい、面白すぎる」

(気持ちいいな!もう1回行こう!)

そんな二人を、東洋と西洋の京楽は和やかに見ているのであった。

「ひゃほーーー」

(気持ちいいーー)

二人の浮竹は、ウォータースライダーにはまったようで、何度も利用していた。

「僕らもやってみる?」

(そうだね。あんなに楽しそうなんだし、きっときもちいいよ)

西洋と東洋の京楽も、ウォータースライダーを滑り落ちてきた。

「もう1回行こう。いや、何度でもいい」

(これはいいね。爽快感がたまらない)

「そうだろう、京楽と西洋の京楽」

西洋の浮竹は、泳げないので浮き輪を使っていた。

「浮竹、君泳げないの?」

「悪いか」

「僕が泳ぎを教えてあげるよ」

「別にいらん。泳げなくても生きていける」

「まぁそう言わずに」

そう言って、西洋の京楽は西洋の浮竹に泳ぎを教える。

一方、東洋の浮竹はすいすい泳ぎでいた。

(泳ぐのうまいね、十四郎)

(ああ、まぁな)

(僕も泳ぎは得意だけどね)

蛇は、川の中でも平気で泳ぐ。

それに似て、東洋の浮竹と京楽はすいすいと水面を泳いでいく。

「浮き輪を奪うな!おぼれる!」

「浮き輪に頼ろうとするから泳げないんだよ」

「俺を溺死させる気か」

「だから、僕が教えてあげるって、浮竹!?」

「がぼがぼ・・・・・・」

西洋の浮竹は、水中にもぐると、西洋の京楽の海パンをずりおろした。

「ちょっと、何してくれちゃってるの!」

「溺死させかけた仕返しだ」

「っていうか、今、君泳いでるよね?」

「あれ?」

西洋の浮竹は、いつの間にか泳げていた。

(西洋の俺、泳げるようになったのか。一緒に泳ごう)

「そうだな。西洋の京楽は放置で一緒に泳ごう」

「ええーそんなー」

西洋の京楽は、海パンを直して、西洋と東洋の浮竹が向こう側まで泳いでいくのを、残念そうな目でみていた。

(振られちゃったね、西洋のボク)

「ああ、東洋の僕!」

(また、一緒にウォータースライダー滑り降りるかい?)

「うん。浮竹の機嫌もすぐに直るだろうし」

二人がウォータースライダーから滑り落ちてきた地点で、ちょうと西洋と東洋の浮竹が泳いでいた。

「うわ、びっくりした」

(俺もびっくりした)

「京楽、そんなにウォータースライダーが気に入ったのか?今度は俺と滑るか」

「うん、浮竹」

西洋の京楽はすでに機嫌の直っている西洋の浮竹を連れて、ウォータースライダーを滑り落ちた。

-----------------------------------------------

お昼になり、空腹を覚えた東洋の浮竹の手を握って、西洋の浮竹がプールより少し離れた場所にいく。

温度は一定に保たれてはいるが、皆パーカーを着ていた。

「バーべキューだ。用意させておいた」

(バーベキュー!)

目をキラキラさせる東洋の浮竹の前で、西洋の浮竹は火をつけた。

「ファイア」

ぼっと、魔力でおこされた火が炭にいきわたる。

(わぁ、魔法は便利だな)

「本当は攻撃魔法だけどな。火力が最大限にまで落とした。海鮮バーベキューを中心にしたんだが、肉のほうがよかったか?」

バーベキューの網には、ほたてやサザエ、アワビ、海老に切り身の魚にイカなどが置かれて焼かれていた。

肉と野菜をさした串も焼かれていた・

(いや、海鮮でもいい。うまそうだ)

東洋の浮竹は、色が変わって食べごろの海老をフォークで突いた。

「それ、もう食えるぞ。調味料とタレはこっち、好きな風に食べるといい」

東洋の浮竹は、もっきゅもっきゅと口いっぱいに頬張った。

「お替わりはいくらでもあるから、急いで食べる必要はないぞ」

(あ、うん)

真っ赤になる東洋の浮竹。

そんな東洋の自分を見て、西洋の浮竹も海老を頬張った。

「海老は塩だけのほうがうまいな」

「このタレつけてもいけるよ?はいあーん」

「ん」

自然と口を開けて、西洋の京楽からタレのついた海老をもらい、味わう西洋の浮竹を見て、東洋の浮竹は真っ赤なっていた。

「どうした。これくらい、お前たちもよくやっているだろう」

(そりゃそうだけど・・・・はたから見てたら、急に恥ずかしくなってきた)

(十四郎、気にしすぎ。ホタテが焼けたよ。ほら、あーん)

(しゅ、春水)

そう言いながらも、東洋の浮竹は口をあけて、焼けたばかりのホタテを味わった。

(やばい、うますぎる。なんのタレだこれ)

「俺たちの世界の、魔女が開発した万能タレだ。素材によって味が変わる」

(なんだそれ!すごいな!)

(味が変わるタレだって・・・レシピは?)

「残念ながら、魔女の秘伝で秘密だそうだ」

(レシピを知りたいね。このタレ、本当においしい)

「魔女は閉鎖的な里にこもっているからな。たまたま魔女に友人ができて、レシピは明かせがと、タレだけもらったんだ」

(魔法といい、魔女といい、本当にファンタジー世界だな。俺はけっこう好きだぞ)

「それを言うと、お前たちの世界は機械仕掛けのからくりだらけの世界になる。でも、俺も好きだ。鉄の塊が空を飛んで、海に浮かんで、馬車の代わりに車や電車がある。便利そうだ」

(でも、もう一人の俺の世界には魔法があるじゃないか!)

「そうだな。魔法で空を飛べるし、海だって水面を歩けし、移動には空間転移が使える」

(いいなぁ。俺も魔法を使ってみたい)

「今度遊びに来た時、魔力がない者でも魔法が使える魔道具でも用意しておく」

(わぁ、楽しみだ)

そんな会話をしながらも、焼けた料理をもぐもぐと口に運んでいた。主に東洋の京楽がバランスを考えて、肉や野菜も与えていた。

一方の西洋の京楽は、こちらも東洋の京楽と同じように、自分も食べながら、焼けていったものを西洋の浮竹の皿に置く。

(なんか、焼き肉の食べ放題をしてる気分だよ)

(そんな豪華な飯ずっと前に一度だけ行ったきりだな。西洋の俺は金持ちだから、こんなバーベキューも用意してくれる。純粋に、ありがたい)

(そうだね)

「金に困っているなら、この大金貨を・・・・・」

「ちょっと、浮竹、だめでしょ!この世界の金の価値は、凄く高いんだから!」

「じゃあ、宝冠を・・・・・」

「だめでしょ!この世界で、金があることを東洋の僕ら以外にあまり知られないこと。じゃないと、お金目的で騙されちゃうよ」

(確かに西洋のボクの言う通りだよ。貸し切りにしてくれるのは嬉しいけど、お金のトラブルが起きないように、ほどほどにね?)

「むう、そちらの京楽も言うのだから、気をつける」

東洋の浮竹と京楽は、貧乏というほどでもないが、質素な生活を好んだ。

反対に、西洋の浮竹は金が湯水のようにあるで、贅沢を好んだ。西洋の京楽も、人間であった時は公爵家の貴族で、贅沢は当たり前だった。

それぞれ、正反対の位置にいる4人であるが、何故か馬が合うし一緒にいると楽しかった。

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「今日は楽しかっよ。また遊ぼうね」

「今後は花見、ピクニック、紅葉狩りなんかを計画している。どこか外出するのに希望の場所があったら、言ってくれ。他にも、したいことでもいい」

(今度までに考えておく)

(ボクは、料理教室がいいね。西洋のボクとで作りあって、そっちとこっちの十四郎に食べてもたいたい。あと、少しだけ料理の腕も身に着けてもらえると嬉しいね)

電子レンジを3回だめにしたことのある東洋の浮竹は、基本キッチン出入り禁止であった。

「そっちの浮竹って、料理駄目なの?」

(うん。もう壊滅的)

「こっちの浮竹も、料理はてんでダメなんだよね。戦闘人形や僕にばかり作らせて、この前卵焼きを作るっていって、錬金術で使う館を爆発させてた」

((うわーー))

東洋の浮竹と京楽がはもった。

(卵焼きを錬金術でとか、どうしてそうなった)

(館爆発って、被害額がすごそうだね)

「古城には5つ錬金術用の館がある。今2つ壊して、壊した館は建築中だ。俺の戦闘人形が」

被害は自分だけで、迷惑をかけていないとドヤ顔だったけど、住んでいる古城で爆発が起きれば、西洋の京楽が心配しないはずない。

「自慢だが、この1年で館を6回爆発させたぞ。エリクサーの調合ミスとかで」

「そんなことを自慢しないでよ、浮竹。錬金術の失敗で館吹き飛ぶようなことがあるなんて、普通じゃ起こらないって乱菊ちゃんも言ってたよ」

「俺はミスリルクラスだからな。既存の薬に、使ったことのない薬品を混ぜたりして、新しい薬を作ろうとして・・・・ドカーーン」

(ああ。俺の中のカッコイイ始祖ヴァンパイアのイメージが崩れていく・・・)

(十四郎、しっかりして)

「まぁ、僕の浮竹はこんなヴァンパイアだから。一緒に過ごしていて、毎日が楽しいよ」

(何気にのろけられてる)

(おなかいっぱいだね。さて、ボクらはそろそろ戻るよ)

「ああ、またな」

西洋の浮竹と京楽は、お土産にとたこ焼きをもらった。

「お土産ありがとう。古城でいただくよ」

そう言って、西洋の浮竹と京楽は、元の世界の古城に戻るのであった。





















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始祖なる者、ヴァンパイアマスター28

「何故だ!何故、封印が解かれるのだ!異界の存在を、手に入れたというのか!」

魔国アルカンシェルで、藍染は荒れていた。

せっかく、血族を封印し、にっくき始祖のヴァンパイアを休眠に追い詰めれたのに。

「藍染様、エスタニシア様の魂がきております」

「消せ!用はない!」

「しかし・・・子を、藍染様の子を違う魔女に宿させたと・・・」

「私の子だと?」

ぴくりと、藍染が動きを止める。

「次の駒には、いいかもしれないな」

そんなことを、藍染は考え出していた。

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(びっくりだったぞ。いきなり呼ばれたんだからな)

(うん、ボクもびっくりした)

「すまない。説明もおざなりで、いきなり力をかしてもらったあげくに、すぐに戻ってもらって」

「でも、お陰で僕は助かったよ。ありがとうね、東洋の僕と浮竹」

(キミは、ボクのお気に入りだからね。封印されたままなんて、我慢できない)

(俺もだぞ。西洋の京楽のいない世界なんて、考えられないからな)

東洋の京楽は、4人分のお茶を入れて、茶菓子を出した。

「それで、改めてお礼を言うために、お前たちを呼んだんだ」

「うん。今回は、僕の封印を解くのに力を貸してくれて、ありがとう」

「本当に、ありがとう」

ぺこりとお辞儀する二人に、東洋の二人が慌てた。

(いいから!そんなに畏まらなくても!)

(そうだよ。ボクらは当たり前のことをしただけだよ)

「俺は、京楽を失うのかと思い、休眠に入りかけていた。ブラッディ・ネイに頬を叩かれて、異界の存在をって言われて、我に戻ったんだ」

「異界の存在って、思わないからね、君たちのこと」

「ああ。大切な友人であるが、異界の存在ということを失念していた」

「今頃、藍染は悔しがっているだろうね」

「そうだな」

西洋の浮竹と京楽は、悪戯を思いついた子供のように笑った。

(俺たちの存在は、他の者には知らせていないのか?)

「ああ。ややこしいから、すでに知っているブラッディ・ネイと一護君を除いて、記憶から消し去った」

(ちょっと残念。こっちの世界の白哉とかにも話をしたかった)

(無理なことを言っちゃだめだよ、十四郎)

「記憶の件もすまないと思っている。だが、2重存在だとばれたら、いろいろ問題がおこりそうだからな」

(そうだよ。ボクらの存在は、あくまで秘密でいいからね)

(俺もだ。この世界にきて、お前たちと会えるだけでいい)

「そう言ってもらえて助かる」

(そうそう、手土産をもってきたんだよ。召還された時に食べていたミルフィーユケーキだよ)

「お、お茶菓子にしよう。もう、礼とかそういう堅苦しいの抜きで、普通にお茶をしよう」

「そうだね」

西洋と東洋の浮竹と京楽は、お茶をした。

(それにしても、藍染はこちらの世界でも悪者なんだな)

「うん。しつこくて、困ってるんだよ」

(また、力が必要になったら、召還してくれて構わないからな?)

「なるべく、そんなことにならないように注意する」

「そうだね。君たちとは、仲良くお茶をしたり、買い物したり、泊まったりしてもらいたいよ」

「今日は、泊まっていけ」

(いいのか?)

(お言葉に甘えよう、十四郎。彼なりの、気遣いなんだよ)

「フルコースの料理でもてなそう。デザートは、京楽が作ってくれる」

(楽しみだな)

(うん、楽しみだね)

その日は、西洋の浮竹の戦闘人形のメイドが作った料理を食べて、西洋の京楽の作ったデザートの苺パフェを食べた。

(んー美味しい!)

’(ボクの分も食べる?)

(いいのか!?)

東洋の浮竹は、目をキラキラさせていた。

(いいよ)

いちゃいちゃしている東洋の浮竹と京楽を見ながら、西洋の浮竹と京楽もやりとりをした。

「苺だけもらっていく」

「あ、ずるい!僕が苺好きなの知ってるくせに」

「早い者勝ちだ」

「じゃあ、アイスをもらっていくよ」

「あ、ずるいぞ。俺がアイスを好きだって知っているくせに」

西洋の浮竹も京楽も、結局はいちゃつくのであった。

その日は、他愛のないことで笑いあいながら、就寝した。

「じゃあ、また!」

「またね!」

(東洋の俺、もっと俺を頼ってくれていいからな?)

「分かってる」

(東洋のボクも、頼ってくれていいからね)

(うん。その時は、助けを求めるよ、素直に)

別れを済ませて、東洋の浮竹と京楽は、元の世界に戻ってしまった。

「なぁ、京楽」

「なんだい」

「もう、俺を庇って封印されるよなことは、するなよ」

「うん。君を悲しませたくないからね」

二人は、口づけあい、互いが今のこの世界にいるのだと実感しあいがら、舌を絡ませあった。

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「やっ」

浮竹のものを舐めあげて、京楽は浮竹の耳元で囁く。

「僕がいないとだめな体に、してあげる」

「もう、十分お前がいないと、俺はこの欲望を鎮められない」

浮竹のものに舌を這わせて、京楽は先端を刺激してやると、浮竹は体をびくんと反応させながら、京楽の口の中で弾けさせていた。

「ああああ!!!」

背後から突き上げられる。

「ひあ!」

ずくりと入ってきた熱は、浮竹の前立腺をすりあげて、奥へと入っていく。

「やあああ!!!」

「十四郎、もっと感じて?」

「やああ!」

何度も貫かれ、揺すぶられ、抉られて、浮竹は精液をシーツに零しながら、オーガズムでもいっていた。

「あ、やあああ!春水の顔が見えない」

泣きじゃくり始めた浮竹をあやしながら、体位を変えて、正常位になった。

「あ、春水!」

浮竹は、京楽の顔を手で包み込んで、キスをしてきた。

「十四郎、かわいい」

「春水、春水」

浮竹は、何度もキスをせがんできた。

それに応えてやりながら、浮竹の奥に侵入する。

「ひああああ!!!」

浮竹は背をしならせて、いっていた。

「あ、ああ・・・」

同時に、京楽は浮竹の鎖骨に噛みついて、吸血した。

「やああああああ!!!」

大きな快感の海に飲まれて、一瞬意識が白くなった。

「あ、あ、や、あ!」

京楽が刻むリズムにあわせて、浮竹は声を出す。

ゴリゴリと奥を刺激されて、浮竹はまた泣いていた。

「春水、春水」

「どうしたの」

「俺の傍に、ずっといてくれ。俺の傍からいなくならないでくれ」

京楽が封印されたことを、まだ浮竹は恐れているようだった。

「十四郎、君が嫌っていっても、僕は君の傍にいるからね」

浮竹の頭を撫でてやりながら、京楽は浮竹の胎の奥に欲望を叩きつけていた。

「ああ、春水のが、いっぱいくる!」

「何度でもいっていいよ。最後まで中で出してあげるからね?」

「ああああ!!」

浮竹の首筋に噛みつき、吸血しながら京楽はまた欲望を浮竹の中に出していた。

「あ、あ、京楽のでお腹が・・・・」

たくさんの精液を出されて、少しだけぽっこりとした腹を、浮竹は愛おしそうに撫でる。

「春水のが、たくさん。ああああ」

浮竹の中に出し尽くして、硬度を失ったものが、浮竹の体から去っていく。

「やあああ、出ないでえええ」

逆流してくる京楽の体液を手で掴みながら、浮竹はまた泣きじゃくる。

「浮竹、僕はここにいるから。だから、安心して。ね?」

「あ、京楽・・・・・」

浮竹は、京楽の動脈に噛みついて、溢れ出る血をすすった。

「お前の命は、俺のものだ」

「そうだね」

動脈の傷を再生させながあら、京楽は浮竹を抱きしめるのであった。


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「エスタニシア」

(藍染様、何故私を手にかけたの)

「君が愛しかったからさ。全部、君のためだよ」

(私の腹に宿っていた藍染様の子は、私の妹のアリスタシアの腹にいるわ)

「アリスタシアか。その名前、憶えておこう」

藍染は、ふっと息を吹きかけた。

エスタニシアの魂は、かき消された。

「アリスタシアの腹の子・・・私の、子、か」

藍染は、狂ったように笑い出す。

「どんなに焦がれても得られなかった我が子が、魔女如きが宿すなど・・・・・」

アリスタシアを探し出し、魔国アルカンシェルに迎え、我が花嫁とする。

そう告げた藍染の言葉を、藍染の寵姫たちは絶望の顔で聞いていた。

子を成せなかった寵姫の末路は、死であった。




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始祖なる者、ヴァンパイアマスター28

血の帝国では、薔薇祭りが開催されていた。

至る所に薔薇が飾られてあり、薔薇を砂糖漬けにしたお菓子や、薔薇のエキス入れたワインなどが無料で振る舞われた。

わあああああ。

民衆は、声をあげて女帝ブラッディ・ネイを褒め称える。

馬車に乗りながら、ブラッディ・ネイはそんな民衆に手を振っていた。隣には、寵姫であるブラッディ・エターナルとロゼ、メフィストフェレスの姿もあった。

ブラッディ・エターナルは一度死に、ブラッディ・ネイの血族ではなくなっていた。

浮竹が、破壊と再生を司る炎の最高位精霊、フェニックスを召還して、再び命を吹き込んだ。

今は、他の寵姫たちと同じ疑似血族となり、ブラッディ・ネイはブラッディ・エターナルだけに固執せず、後宮の寵姫たちを平等に愛した。

お気に入りはいるが、寵姫から追放される者はいなかった。

そんなパレードを、浮竹と京楽は、屋台から薔薇のお菓子を買って食べながら、見ていた。

「人気あるねぇ、ブラッディ・ネイ」

「仮にも、この国の女帝だからな。この薔薇の砂糖漬けうまいな。もっとくれ」

始祖である浮竹も、血の帝国の建国に携わっていたが、こうやって遠くから実の妹を見守っていた。

「薔薇水が売ってるよ」

「なんだと、けしからん。買ってしまおう」

浮竹は、喉が渇いていたので薔薇水を買って飲んだ。

ほのかな甘みが、最高だった。

「薔薇祭りはいいな。東洋のお祭りもいいが、こちらのお祭りもまた違う味わいがある」

浮竹は、そう言って京楽の分の薔薇水まで飲んでしまった。

「あ、僕の分が・・・」

「また買えばいいだろう。店の主人、薔薇水を10個くれ」

「そんなに飲めないよ!?」

「アイテムポケットに入れておくに決まってるだろう!」

そんなやりとりを繰り広げていると、パレードの馬車から降りてきたルキアと会った。

「浮竹殿、京楽殿!パレードに参加しないと思ったら、こんなところで何をされているのですか!」

「いや、ただの見物」

「右に同じく」

「始祖であられる、浮竹殿を披露できないなんて・・・」

「ああ、俺は始祖であることをあまり公にしてないからな。パレードなんかで見せ物になるのはご免だ」

浮竹は、肩を竦めた。

「僕の浮竹を欲しがる人が増えちゃう」

「浮竹殿を披露しようという、兄様との計画が・・・・・」

「白哉まで、そんなことしようとしていたのか?」

浮竹は、白哉が皇族王としてパレードで通り過ぎるのを見ていた。

「だって、浮竹殿は全てのヴァンパイアの源。血の帝国の父ですよ!?」

「母はブラッディ・ネイなんだろ。あいつと同じ位置にいるのは嫌だ」

「浮竹殿・・・・」

浮竹は、ルキアの頭を撫でた。

「気持ちだけ、ありがたくいただいておく」

「浮竹殿?」

「京楽と一緒に、もう少しパレードを見て、屋台めぐりしてくる」

遠くから、ルキアの守護騎士である一護と冬獅郎が、駆けつけてくるのが分かった。

「ルキア、何突然パレードの馬車から飛び降りてんだよ!心配するだろうが」

「とんだじゃじゃ馬姫だぜ」

「すまぬ、一護、冬獅郎」

ルキアは、去っていってしまった浮竹と京楽を、いつまでも見ているのだった。


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「エスタニシア」

「はい」

「分かっているね?」

「はい」

氷結の魔女エスタニシアは、始祖魔族と呼ばれる藍染の言葉に、ただ頷くのであった。

「封印は、この世界の者には解けない。精霊王にもだ。異界の者でもない限り・・・・・」

計画は完璧だと、藍染は笑う。

あの、異界の精霊ドラゴン平子真子でも召還しないと、封印は解けないだろう。

浮竹と京楽には、異界の存在である東洋の浮竹と京楽の存在があるのを、藍染は知らなかった。

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「ふむ、このチョコバナナうまいな」

屋台で買い込んだチョコバナナを頬張りながら、浮竹はパレードが過ぎ去るのを見ていた。

「東洋の祭りみたいに、金魚すくいはないんだな」

「おたまじゃくしすくいならあるよ」

「おたまじゃくし・・・カエルになるんだろう。かわいくないからいらない」

「ひよこ釣りもあるよ」

「にわとりの世話なんてしたくない。却下だ。他にないのか?」

「もう、浮竹は文句ばっかり・・・・」

屋台はずらーっと並んでいて、たくさんのヴァンパイアで賑わっていた。

「射的なんかどう?」

「むう、ヴァンパイアハンターを思い出すな」

そう言いながらも、銀貨を2枚払って、おもちゃの銃を受け取る。

「てい」

適当に射撃したのだが、等身大ブラディ・ネイの抱き枕交換の券が入った、小さな小瓶に当たった。

「やりますねぇ。ブラッディ・ネイ様の等身大抱き枕ですよ!」

「いらん!!」

「ええ!」

「隣のやつと交換してくれ」

「え、この等身大朽木白哉様抱き枕ですか?」

「そっちの方がいい」

「仕方ありませんね~。力あるヴァンパイアロードとお見受けします。特別ですよ?」

店の主人は、そう言って等身大白哉の抱き枕をくれた。

ヴァンパイアロードでなく、世界で一人しかいない、ヴァンパイアマスターなのだが。

浮竹は、渡されたそれをアイテムポケットにしまいこむ。

「そんなのもらって、どうするのさ」

「恋次君にやる」

「確かに、恋次クンなら欲しがりそうだね」

その頃、パレードを終えて、城に帰還した白哉と守護騎士の恋次が、くしゃみをしていたのだった。

「あとは投げ輪とかあるけど」

「それもやる。む、銀貨が尽きた」

財布を見ると、金貨と大金貨しかなかった。

「金貨で支払ってもいいか?」

「お釣りが足りませんよ!」

「じゃあ、釣りはなしでいい」

そう言って、投げ輪を受け取ると、的に向かって投げた。

猫のぬいぐるみが当たって、浮竹は喜んだ。

「ちょっと、お釣りは!?」

「いらん。もらっておけ」

「でも、こんな大金!」

金貨5枚あれば、1カ月を4人暮らしで食べていける額だ。

「まぁまぁ、僕らは皇族なんだ。何も言わず、受け取っておいて?」

「こ、皇族の方でしたか!無礼を、お許しください!」

「おい、京楽、誰が皇族だ」

「え、だって君、ブラッディ・ネイの実の兄ってことは皇族じゃない」

「確かにそうだが・・・・・」

浮竹は、納得がいかなさそうだった。

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薔薇の祭りも、佳境に入ってきた。

空を飛ぶヴァンパイアたちが、薔薇の花や花びらを地面に降らせてきた。

「いいな、あれ。俺もやりたい」

「ちょっと、浮竹!」

浮竹はアイテムポケットから青い薔薇を取り出すと、風の魔法に乗せてその花びらを町中に降らせていった。

「青い薔薇の花びらだ!」

「素敵!」

「青い薔薇って、煎じて飲むと魔力があがるんだろう?」

「金運がアップすると聞いたぞ」

ヴァンパイアの住人たちは、青い薔薇の花びらを拾いはじめた。

「これも、くれてやる」

ブラッディ・ネイにあげようか迷っていた、青い薔薇を使った花冠をばらばらにして、自分の国でもある血の国の民に最後まで分け与えた。

「ふう、もうさすがに青い薔薇はない」

「綺麗だったよ、浮竹。青い薔薇が降り注ぐ中で、凛として立つ君が素敵だった」

浮竹は、赤くなって、京楽に薔薇水を持たせた。

「それでも、飲んでろ」

「うん」

京楽は、甘い薔薇水を口に含むと、口移しで浮竹に与えた。

「んっ」

ほんのり甘い薔薇の蜜の味がした。

「このバカ!」

京楽の頭を殴った。

不意に、肌寒い風を感じて、浮竹も京楽も、顔をあげる。

「この気配・・・・魔女だね」

「乱菊君か?」

「違う。もっと禍々しい・・・・」

首にかけていた水晶のペンダントが、眩しく光った後、濁った。

「敵だ!気を付けろ!」

「こんな町中じゃ危険だよ!空を飛んで、町の外にまで向かおう!」

二人は、ヴァンパイアの赤い翼を広げて、町を出て草原地帯までやってきた。


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「姿を現せ、魔女め!」

じわりと、空気が凍てついた。

身にまとっている魔力が、桁外れだった。

京楽と同じくらいの魔力をまとった、魔女だった。

「私は氷結の魔女エスタニシア」

「氷結の?道理で、寒いわけだ」

「氷かい。残念だけど、浮竹は炎の魔法が得意だよ」

「私の吐息は、全てを凍てつかす」

ごおおおお。

氷のブレスを吐く魔女に、浮竹は炎の魔法を放った。

「フレイムロンド!」

「その程度の炎、恐るるに足りないわ」

「浮竹にそれ以上近づかないでもらおうか」

京楽は、猛毒の血を刃にして、エスタニシアに切りかかった。

けれど、その血は凍って、エスタニシアに届くことはなかった。

「京楽、気をつけろ!この魔女、お前くらいの魔力がある!」

「たった一体の魔女が、こんな魔力を有するなんて!」

「それはそうよ。私は、藍染様のお力で、魔女の里にいた魔女全てから魔力を吸い取った存在なのですもの」

「また藍染か!いい加減にしてほしいな!」

浮竹は、藍染の名が出て眉を顰めた。

「自分の操り人形ばかり作り、自分からしかけてこない。魔族の始祖、藍染も落ちたものだ」

「あの方を侮辱しないで!」

エスタニシアは、腹を撫でた。

「このお腹の中には、あの方の子がいるの」

「うげぇ」

「うわぁ、やだなぁ」

「あの方の子のためにも、封印されておしまい、始祖のヴァンパイア!!」

それは、神の愛の呪いを止めるもの。

「アイシクルエターナルワールド、アイシクルエターナルフィールド!」

禁呪を2つ受けて、浮竹の動きが止まった。

「いけない、浮竹!」

京楽は、凍り付きはじめる浮竹を何とか助け出すと、浮竹の代わりに封印呪文の中心にいた。

「京楽!」

「ちっ、浮竹ではないけれど、あなたでもいいわ!あなたが封印されれば、この始祖は休眠に入る!」

「京楽、京楽ーーーーー!!!」

京楽は、2つの禁呪の封印魔法を受けて、その場に凍結されて封印された。

「よくやったね、エスタニシア」

闇の中から、藍染が滲み出た。

「藍染様・・・・・」

「君の役目は、もう終わりだよ」

「藍染様?」

エスタニシアは、藍染に力の全てを奪われ、その場に倒れた。

「京楽・・・・」

浮竹は、血を暴走させた。

血の海がいくつもの刃となって藍染に襲いかかる。

それを、エスタニシアから奪い取った力で、藍染は凍結させた。

「さぁ、君も凍ってしまえ。この京楽のように。異界の力でもないと、この封印は解けないよ」

「藍染!!」

真紅の瞳で、浮竹は血を暴走させて、凍っても凍っても途切れることのない、血の刃を向けた。

「おっと、君の手にかかって死にたくはないのでね。私はこの辺りで去らしてもらうよ」

藍染は、闇に溶け込んでいった。

「藍染ーーーー!!!」

----------------------------------------------------------------

ブラッディ・ネイと白哉、恋次、ルキア、一護、冬獅郎が見たのは、平原で凍り付き封印された京楽に寄り添い、休眠に入りかけている浮竹の姿だった。

「何があったのですか、浮竹殿!」

「ルキア君・・・・俺は、京楽のいない世界に、居たくない・・・・」

「この程度の封印など、私の聖女の力で!」

キィィィン。

京楽の封印は、ルキアの力を拒んだ。

「な、私の手でも封印が解けない!?」

「これは・・・・この世界の者だと、解けない絶対封印だね。精霊界の存在でも、だめだろう」

ブラッディ・ネイは、全てを悟り、休眠しようとしている浮竹の頬を叩いた。

「しっかりしてよ、兄様!異界の者を召還すればいいじゃない!」

その言葉に、浮竹がはっとなって、目を見開いた。

「異界の存在・・・・東洋の、俺と京楽!」

想いが通じたのか、その場に東洋の浮竹と京楽が召還されていた。

(え、なんだ?)

(何がどうなってるの?)

いきなり異界に召還された二人は、お茶の途中だったのか、ミルフィーユケーキを食べている最中だった。

「東洋の俺と京楽!俺に、力を貸してくれ!」

皆は、東洋の浮竹と京楽に驚いていたが、ブラッディ・ネイや一護は知っているので、殊更騒ぎたてる者はいなかった。

(なんだか分からないけど、西洋の僕のピンチみたいだね)

(力を貸すぞ、もう一人の俺!)

もっきゅもっきゅと、頬の中のケーキを噛んで飲みこんで、東洋の浮竹は泣いている西洋の浮竹の頭を撫でながら、説明を受けた。

(俺と春水の力で、この封印が解けるんだな?)

「ああ。俺の体に触れていてくれ」

西洋の浮竹に、力を注ぎ込むイメージで、東洋の浮竹と京楽は西洋の浮竹の背に触れた。

「異界の力よ、宿りてその封印を打ち消したまえ!ゴッドトライアングルキュア!」

3人分の、異界の力の混ざったその魔力は、じわじわと凍り付いていた西洋の京楽の氷を溶かし始めた。

(ああ、もうここにはいられない)

(俺もだ。ごっそり力をもっていかれた)

異界の、東洋の浮竹と京楽は、西洋の浮竹が涙をぬぐいさり、微笑んでいるのに安心しながら、元の世界に戻っていった。

「あれ、僕は、封印されたはずじゃ・・・・・・・」

「京楽!」

浮竹は、泣きながら自分の愛しい伴侶を抱きしめた。

「東洋の、俺たちに力をかしてもらったんだ」

「なんだか、意識の狭間で絶対封印って聞いたんだ。この世界の者じゃ、封印は解けないって。異界の、僕らが、力をかしてくれたんだね」

「ああ。よかった、京楽、京楽」

ややこしいので、その場にいた全員の、異界の浮竹と京楽が助けてくれたという記憶を消し去った。

ただ、ブラッディ・ネイと、一護はその存在に触れたことがあるので、記憶は消さなかった。

「よかったね、兄様」

「ああ。ブラッディ・ネイ。俺を叩いて目を覚まさせてくれてありがとう。お前の言葉がなかったら、俺はこのまま休眠に入っていた」

「藍染は、今頃悔しがっているだろうね」

「あいつ、絶対許せない」

「どうして!藍染様!」

その場に残っていた、エスタニシアは藍染に奪われた力を取り戻していた。

「あなたたちがいなければ!」

エスタニシアは、氷の刃を浮竹に向けた。

「ぐふっ!」

いつの間にか、全身に薔薇を咲かせて、エスタニシアは息絶えていた。

「ボクの兄様を悲しませた罰だよ」

「ブラッディ・ネイ・・・・今回は」

「おっと、その続きは無しだよ、兄様。ボクは兄様の幸せを祈っているんだから。もちろん、愛してるよ、兄様!」

抱きついてくる妹を押しやって、浮竹は京楽と共にエスタニシアを炎の魔法で灰にした。

反魂でもされたら厄介だった。

灰は、ブラッディ・ネイの薔薇の魔法で肥料として消えていった。







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始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝

西洋の浮竹と京楽は、東洋の自分たちに会いにきていた。

「温泉宿を貸し切ったんだ。一緒に、温泉に入りに行かないか」

「どうやって・・・とか思ってるでしょ。浮竹ってば、金の延べ棒を出して貸し切ったんだよ。払いすぎだと思うけど、お釣りはいらないっていって、旅館の人たちが卒倒しそうに喜んでたよ」

「ここから、バスとやらに揺られて1時間の場所なんだが、どうだ?」

(いいね。温泉なんて、久しぶりだよ。それに、貸し切りなら十四郎の裸、他人に見られるわけじゃないから)

(温泉!俺も久しぶりだ。でも、貸し切りなんていいのか?)

首を傾げる東洋の浮竹に、西洋の浮竹が首を傾げる。

「金の延べ棒じゃ足りなかったか?じゃあ、このダイヤモンドのネックレスでも・・・・」

(わあああ!そういう問題じゃない!払い過ぎだ!)

東洋の浮竹は、貸し切りなんて負担にならないのかと思っていたようだったが、杞憂であった。

こうして、4人はバスに揺られて1時間の場所にある、山の麓の温泉旅館に来ていた。

あまり広い温泉旅館だと、節約の暮らしをしている東洋の浮竹が困るだろうと思い、中規模な温泉旅館にしておいた。

「いらっしゃいませ。ようこそおいでくださりました、浮竹様、京楽様。荷物をお運びいたしますね」

西洋の浮竹と京楽は、この世界ではアイテムポケットを人前で使ってはいけないと分かってたので、鞄に着替えの衣服やらを詰め込んでいた。

それは、東洋の浮竹と京楽も同じで、大きなカバンを取り出すと、旅館の者が運んでくれた。

「本日お泊りにいただく、スィートルームでございます」

案内されて、その広さに東洋の浮竹が驚いた。

(わぁ、広いなぁ)

24畳の部屋が、ふすまでそれぞれ3つの部屋に分かれている部屋だった。

ふすまが開かれているので、全部で72畳の広さの部屋になった。

(綺麗だし、広いし、畳のイグサいい匂いがする)

西洋の京楽は、茶菓子とお茶を4人分用意して、それぞれに渡した。

「茶菓子も美味いな。口コミでいい温泉と聞いたんだが、貸し切って正解だったな」

みんな、こくこくと頷いた。

「さぁ、風呂に入りにいこう!」

西洋の浮竹は、お風呂グッズを手に、着替えの浴衣とバスタオルを手にしていた。西洋の京楽も同じような姿だった。

東洋の浮竹と京楽も、浴衣とバスタオルだけを手に、露天風呂に向かう。

シャンプーやボディーソープ、リンスなどは備え付けられているので、東洋の浮竹と京楽はそれを使った。

「一緒に洗いっこしよう、東洋の俺」

(あ、うん)

西洋の浮竹に背中を洗われて、東洋の浮竹は少し恥ずかしそうにしていた。

「へえ、東洋の俺は、肌の所々に蛇の鱗があるんだな」

そこを中心に、泡だらけのタオルでこすってやると、東洋の浮竹がこそばゆそうにしていた。

(西洋の俺には、鱗はないんだな)

急に体を触られるものだから、西洋の浮竹は。

「ひゃあ!」

そんな悲鳴を漏らしていた。

東洋の京楽は、それに注意をしながら、クスリと笑っていた。

(次は、俺がお前を洗ってやる)

「ああ、ボディソープはこれを使ってくれ」

いい匂いのする、金木犀の香りのボディーソープをタオルにつけて、それで西洋の浮竹の背中を洗ってやった。

東洋の浮竹は、お返しだとばかりに、泡だらけのタオルで全身をこそばした。

「ひゃあああ!びっくりするじゃないか!」

西洋の浮竹は、こそばゆそうに笑っていた。釣られて、東洋の浮竹も笑う。

洗いっこする二人を、西洋と東洋の京楽は、自分の体を洗いながらほっこりした気分で見ていた。

「東洋の僕、君の体も僕が洗ってあげようか?」

(十四郎に洗ってもらうから、いい)

「じゃあ、僕も浮竹に洗ってもらおっと」

西洋と東洋の京楽は、それぞれの伴侶に背中を洗ってもらった。

お互いに髪も洗いっこをして、長い髪をまとめあげて露店風呂に湯船に入る。

「ああ、いい湯だ。体に染みる」

「浮竹、じじ臭いよ」

「ほっとけ」

(いい湯だな。貸し切りでもないと、人前でこの肌を晒すわけにはいかないからな)

(そうだね。鱗を気味悪がる人も中にはいるだろうし)

「ん、俺は気にしてないぞ」

「僕もだよ」

(あくまで、赤の他人が見たらだ)

「なるほど」

温泉にじっくり浸かり、日頃の疲れを癒した。

温泉からあがると、東洋の浮竹と京楽は、互いの髪の水分を拭き取りあっていた。

「仲かがいいな。見ていてほっこりする」

そう言いながらも、西洋の浮竹も西洋の京楽に髪を拭かれていた。

(そっちも人のこと言えないぞ?)

東洋の浮竹は拭かれながら微笑みながら言う。

浴衣に着替えて、風呂上がりにはこれだと、西洋の浮竹と京楽はフルーツ牛乳を自動販売機から買った。

腰に手をあてて、ごくごくと飲んでいく。

「ふう、美味いな」

「おいしいね」

(俺もやる!)

(十四郎)

(春水もやろう)

(仕方ないね)

東洋の浮竹と京楽も、自動販売機からフルーツ牛乳を買うと、飲んでいった。

体を綺麗にして、水分補給もまして、夕飯までまだ時間があるので、中庭までやってきた。

中庭には、遅咲きの桜が満開だった。

「花見をするのもいいかもな」

「それもいいね」

(うん、俺も思う)

(今日はとりあえず、この桜で我慢しようね)

やがて夕暮れになり、夕食の時間になった。

夕飯は、カニ鍋にカニの蒸し焼き、カニの刺身に天ぷらと、カニ尽くしであった。

(カニだ!カニだぞ!)

東洋の浮竹は、めちゃくちゃ目をキラキラさせて、東洋の京楽の服の袖を引っ張る。

(うん、おいしそうだね)

(おいしそうだな)

東洋の浮竹は、目をキラキラ輝かせたまま、まずは一口。

(うん、うまい)

「確かに、うまいな。カニの時期は少し過ぎている気もしたが、悪くない」

西洋の浮竹も美味しそうに食べていた。

西洋と東洋の京楽は、そんな二人を微笑まく見つめつつ、自分たちもカニを食べていく。

最後の〆の雑炊を食べ終えて、4人は満足した。

(もう食べられない)

「西洋の京楽の分も、一部たべるからだ」

(だって、食べていいと言われたんだぞ。それにカニを食べるのは数年ぶりだ)

そう言いながら、お腹いっぱいになったのか、東洋の浮竹は眠そうにしていた。

うつらうつらと船をこぐ東洋の浮竹の頭を、東洋の京楽が膝枕をした。

眠り始めた東洋の浮竹は、もう食べれないとかむにゃむにゃ言っていた。

そんな東洋の浮竹の頭を優しく撫でながら、東洋の京楽は。

「お酒飲んでいい?」

そんなことを言い出した。

「ああ、そういえば酒を準備させていたが、飲みそこなっていたな」

西洋の浮竹が、冷えたビールと、冷たい日本酒をもってきてくれた。

「俺も飲むぞ」

「浮竹は控えめにね?酒に強くないんだから」

(西洋のボクは、飲めるほうなの?)

「自慢じゃないが、酔いつぶれたことはない」

(へぇ。じゃあ、ボクと飲み比べしよう)

「いいぞ。日本酒で飲み比べをしよう」

二人は、酒豪だった。

酔いつぶれた西洋の浮竹と、膝枕で眠っている東洋の浮竹をそれぞれしかれてあった布団に寝かしつけて、二人の酒豪は酒を飲みかわし合うのだった。


「んー・・・・もう朝か?」

(むにゃむにゃ・・・・)

気づくと、西洋の浮竹の布団の中に東洋の浮竹がいた。

「おい、起きろ。朝だぞ」

(はっ、カニの大軍が!)

「どんな夢見てたんだ」

(いや、昨日久しぶりにカニを堪能したものだから)

「朝風呂に行かないか」

(行く!)

東洋の京楽と西洋の京楽は深夜まで飲み合いをしたのか、まだ眠っていた。

「もう少しだけ、寝かせてやろう」

(分かった)

二人は、朝風呂に入り、戻ってくると二人の京楽は起きていた。

(十四郎、ボクを起こしていってよ)

(すまん、あまりに気持ちよさそうに眠っていたもんだから)

「京楽は、起こさないでよかっただろう?」

「君と、東洋の君だけじゃ、心配だよ!」

「俺は始祖だぞ。それにこっちの俺は蛇神だ」

「それはそうだけど・・・・」

「朝食をとって、戻るか」

4人は、朝食を食べて、バスに1時間揺られて、東洋の浮竹と京楽の住まう雑居ビルに来ていた。

自分の家に戻ると、東洋の京楽は慌ただしくお菓子を作り出した。

「何をしているんだ?」

(君たちに持って帰ってもらう、お菓子を作ってるの)

「気を遣わなくていいだぞ?」

(ボクの十四郎があんなに楽しそうなの見るの、見ていて嬉しかったからね。そのお礼もこめて)

(春水、お土産のお菓子の俺の分はあるか?)

きらきら期待の眼差しで見つめられて、東洋の京楽は笑った。

(もちろん、あるよ)

(やった)

「東洋の俺は、何気に食いしん坊だな」

「それは君もでしょ」

「まぁ、そうなんだが」

お土産のチョコレートブラウニーのお菓子をもらって、西洋の浮竹と京楽は、東洋の自分たちに向かって手を振った。

「またな、東洋の俺、京楽!」

「またねぇ!」

(ああ、またな。今度は俺たちがそっちに行くから)

(元気でね)

4人は、そうして別れを告げて、西洋の浮竹と京楽は元の世界へ戻っていった。


(このチョコレートブラウニーとても美味しいな!)

東洋の浮竹は、そう言ってお土産の残りのチョコレートブラウニーをもきゅもきゅ頬張っていた。

(ああ、ボクの十四郎はかわいいね)

(ん、どうしたんだ春水。お前も食べるか?)

(ボクは、君が食べている姿を見るのが好きなの)

(知ってる)

(十四郎、大好きだよ)

愛を囁くと東洋の浮竹は真っ赤になって。

(お、俺もだ・・・)

そう答えるのであった。



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始祖なる者、ヴァンパイアマスター27

「ここがいいわね」

ガイア王国にある、浮竹の古城から少しいったところにある町の近くに、空いている屋敷があったので、乱菊は世界樹の雫を売った金がまだ残っていたので、その屋敷を買い上げた。

「ふむ、乱菊ちゃんはここに住むんだね?」

「ええ。家具とか、いろいろ出してちょうだい。移動は手伝ってね」

浮竹と京楽は、乱菊の引っ越しを手伝った。

乱菊の魔女の館にあったものは、ほぼ全てアイテムポケットに入れた。

「疲れるな。戦闘人形にも手伝ってもらおう」

浮竹は、自分の血でできた戦闘人形を動かして、屋敷の簡単な掃除をさせて家具を配置させ、一番重要な錬金術に使う鍋や器具などを南向きの部屋の中央に置いた。

「こんな感じでいいか、乱菊?」

「ええ、ありがとう、浮竹さん」

「魔女の里に行かなくても乱菊ちゃんに会えるなんて、嬉しいねぇ」

「そうだな。俺と京楽が遊びにきてもいいだろうか」

「ええ、いいわよ。ただ、お客がきてる時は対応できないかもしれないけど」

「それは分かっている」

「これはお礼よ」

京楽に何かポーションを受け取らせて、耳元でこそこそやっていた。

浮竹はそれに気づかずに、錬金術の鍋の中身を見ていた。

「じゃあ、浮竹、古城に帰ろうか」

「ん、ああ、そうしようか」

「じゃあ、また今度ね、浮竹さん京楽さん」

「近いから、すぐに会えるな」

「ええ、そうね」

そんなやりとりをして、二人は古城に戻っていった。

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「浮竹、新しいワインが届いたんだ。飲んでよ」

「ああ、いただく」

浮竹は中見を飲み干した。浮竹は、ワイングラスを手に、自分の体を抱きしめる。

「浮竹!?」

「お前・・・媚薬入りポーションいれたな・・・」

「ええ、分かる?」

「乱菊の媚薬ポーションは、何度か口にしたからな」

「ええと・・・」

「お返しだ」

浮竹は、媚薬ポーションを口に含んで、原液のまま京楽に飲ませた。

「熱い・・・体が熱くて仕方ないよ」

京楽は、獣のような瞳で浮竹を見た。

浮竹は、その目を見て、ゾクリと感じた。

「ま、待て、せめて寝室で・・・・」

「待てない。今すぐ、君を抱きつぶしたい」

ダイニングルームで、浮竹は京楽に覆いかぶさられていた。

ダイニングテーブルに押し付けられると同時に、京楽の硬くなったものが腰にあたった。

「あ、春水・・・・・」

浮竹は、これからはじまる行為に、情欲に瞳を濡れさせて、自分の唇をペロリと舐めた。

「十四郎、エロすぎ」

京楽は、浮竹の衣服を脱がしていった。

「んっ」

舌と舌を絡み合わせて、乱れていく。

「あ、やっ」

京楽は媚薬の入った体で、自分のものを口に含まれて、浮竹はいつもより感じていた。

「ああ、ああ!」

少しの刺激で、浮竹はいってしまっていた。

「ああ、せっかくダイニングルームだから、蜂蜜でも使おうか」

「や、何を」

ダイニングテーブルの上にあった、調味料などをいれていた籠に、蜂蜜があった。

それを手にとり、浮竹の体に塗っていく。

「やあああ」

それを舐めとる京楽の舌で感じてしまい、浮竹は顔を隠した。

「君の顔がみたい、十四郎」

「あっ」

ダイニングテーブルの上に押し倒されて、京楽は浮竹の手をとって、自分の背中に回させた。

「爪立ててもいいから、顔隠さないで?」

「あああ!」

蜂蜜を舐めとっていく京楽の舌が、浮竹の胸の先端を舐めとる。

「んんん」

「甘いね。君がただでさえ甘いのに、蜂蜜で更に甘い」

京楽は、飢えた獣の瞳で浮竹をじっと見ていた。

「あ、春水・・・・」

浮竹は、京楽の舌が蜂蜜をなめとっていくのを、ただ感じていた。

「ああああ」

浮竹の勃ちあがったものにも蜂蜜は垂らされていた。

全体の蜂蜜を舐めとるように、丁寧に舐められた。

「ああ、あ!」

浮竹のものが次第に硬くなっていき、とろとろと先走りの蜜を零した。

「我慢しなくていいんだよ、十四郎」

「ああ!」

浮竹は、京楽の口の中に精液を吐き出していた。

「ああ、君の体液は蜂蜜に負けないくらいに甘い」

浮竹の精液を舌で味わってから、京楽はそれを嚥下した。

「あ、春水、春水」

「ちょっと待ってね。ローションとってくる」

一人残された浮竹は、熱い体を持て余す。

「ただいま」

「春水・・・・・」

「どしたの」

「俺を置いていかないでくれ」

「今日はもう、ずっと一緒だから、安心して?」

ローションを、下腹部から蕾かけて垂らされた。

「あ、冷たい」

「慣らしていくね?」

「ん・・・・・ああ!」

京楽の指が入ってくる。

それだけで、浮竹はいきそうになっていた。何とか我慢した。

「ああ、あ、あ」

ぐちゅりぐちゅりと中を解していく京楽の指が前立腺に触れる。

「やあああ」

「ここは、後で、ね?」

また、獣の視線で見られた。

「僕も限界だよ。君に媚薬の原液もられたせいで、いつでも弾けそうだ」

浮竹の中に侵入しただけで、京楽のものは弾けていた。

「ん、やっぱり奥までは無理だったね」

「やあっ」

浅い部分を犯されて、もっと奥にと浮竹の中が誘ってくる。

「君のここは吸い付いて僕を離さない」

「やあ、言うな・・・・・」

前立腺をすりあげて入ってきた京楽のものに、浮竹が精を放っていた。

「ああああ!!」

「僕は、君のせいで何度でもいけそうだ。責任もって、付き合ってもらうからね?」

「やああああ」

最奥の結腸にまで侵入されて、浮竹はオーガズムでいっていた。

「ああ、あああ!!!」

何度も出入りを繰り返す京楽の熱を胎の奥で受け止めて、浮竹は満足気に微笑んだ。


「あ、やああ、もう、いきたくない」

「君が、媚薬のポーションを原液で僕に飲ませるから・・・」

もう、京楽は7回以上も浮竹の中に精液を流し込んでいた。

「ああ、やだああ!」

壁に押し付けられて、立ったまま犯されていた。

「やあ、いきたくない、もうやだあっ」

ぐちゅりと音を立てて、京楽のものが出入りする。

京楽のものは一向に萎えることなく、浮竹を貫いた。

「あああ!」

京楽は、浮竹の肩に噛みついて吸血した。

「やああ、いきすぎて、頭が変になるううう」

浮竹は泣いていた。

かわいそうとは思ったが、体を支配する熱はまだ収まってくれない。

何度か浮竹を突き上げると、浮竹は泣きながら京楽を締め付けた。

「んっ・・・・これが最後だから。しっかり、受け止めてね?」

「ああああ!!!」

ぷしゅわああと、浮竹は勢いよく潮をふきだした。

京楽は、最後の一滴までを浮竹の中に注ぎ込んだ。

浮竹の中から出ていくと、ダイニングルームの床に白い水たまりができた。

それは全部、京楽の精液であった。

「こんなに出しちゃったよ」

「やあ、ばかあ」

寝室でなくてよかったと、京楽は思った。

ベッドだと、マットレスまで使い物にならくなりそうな量の精液だった。

「あああ・・・・・」

最後の仕上げとばかりに、首に噛みつかれて血を吸われて、浮竹は意識を失った。

浮竹を抱きつぶした京楽は、満足そうに浮竹の白い長い髪を撫でた。

風呂に入り、身を清めてから浮竹に衣服を着せてやり、寝室のベッドに横たえる。

長時間京楽に犯された浮竹は、幸せなまどろみの中にいるようで、疲れてもいるのか起きる気配はなかった。

「おやすみ、十四郎」

額にキスをちゅっとして、京楽の眠りについた。

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「ん・・・浮竹?」

朝起きると、浮竹の姿がなかった。

そういうのは珍しくて、また藍染に攫われたのかと京楽は気が気でなくて、ダイニングルームにまでやってきた。

そこには、ダイニングルームを隅々まで綺麗にする戦闘人形と、それを操っている浮竹がいた。

「よかった、浮竹、無事だったんだ」

「よくない。ダイニングルームなんかで抱きやがって。おまけに蜂蜜も使ったから、テーブルも床もべとべとだ」

「ごめんごめん」

「食べ物を粗末にするな」

「でも、浮竹もよさそうだったじゃない」

浮竹は赤くなって、ハリセンで何度も京楽の頭を殴った。

「ごめん、ごめん」

「乱菊の媚薬ポーションは処分したからな」

「ええっ!せっかくもらったのに」

「おまえが媚薬を飲むとどうなるのか分かった。俺の身がもたない」

「まぁ、加減できなくなっちゃうからね」

「朝食の用意はできてある。ダイニングルームは掃除中だから、キッチンで食べよう」

キッチンにも、テーブルと椅子は備わっていた。

「さて、今日はどうする?」

「薔薇祭りが近いだろう。薔薇をいろいろ咲かせようと思う」

「ああ、薔薇祭りね」

それは、血の帝国の祭りだった。

薔薇の魔法を使い、薔薇を愛するブラッディ・ネイが作り出した祭りであった。

いろんな品種の薔薇を咲かせて、ワインを飲んで料理を食べる。

血の帝国では数少ない祭りの一つだ。

「青い薔薇を咲かせよう」

「浮竹が発見した青い薔薇は、今じゃブラッディ・ネイのお気に入りだもんね」

ブラディカを眠らせる時、棺に青い薔薇をしきつめた。青い薔薇は、ダンジョンでしか咲かなくて、人間社会にもヴァンパイアの世界にも存在しなかった。

2株だけ、妹のために持ち帰った青い薔薇は、今や青い薔薇のアーチを作るほどに、血の帝国で普及していた。

最も、高価であるでの、ブラッディ・ネイの宮殿や皇族貴族の薔薇園くらにしか存在しないが。

浮竹の古城にも、小さいが薔薇園があった。

まだ開花に至っていない青い薔薇の蕾に魔力を注ぎ込むと、綺麗に開花した。

「綺麗だね」

「ああ。青い薔薇は、人間世界では不可能と言われていた。それが、魔力のたまるダンジョンで青くなったんだ。元々は紫色だったと思う」

青い薔薇を世界ではじめて見つけたのは、浮竹だ。

人間に話すと、全てとられると思い、自分の薔薇園で育てる分だけを持って帰った。

ブラディカが休眠に入る際、その青い薔薇をつみとってしきつめたのだが、数が足りずにダンジョンの群生地でいくつか摘み取った。

ブラッディ・ネイへのお土産にもした。

「薔薇祭りか・・・・綺麗な薔薇がいっぱいあるといいね?」

「そうだな」

薔薇祭りまで、あと3日だった。

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魔女の里は、不穏な空気を抱えていた。

魔女ハルキュリアも、始祖のローデン・ファルストルもいなくなった。

猫の魔女、松本乱菊もだった。

「君の名は?」

藍染は、魔女の里に分身体を飛ばしていた。

「魔女エスタニシア。氷結の魔女」

「君に、始祖ヴァンパイアを封印できる魔法を教えてあげよう・・・・エターナルアイシクルワールド。これが、その呪文と効果を書いた、魔法書だ」

かつて、自分が受けた封印の魔法を、エスタニシアに教えると、彼女が首を横に振った。

「魔力が足りないわ。とてもじゃないけど、使えないわ」

「魔力なら、ほら、魔女の里中にあるじゃないか」

藍染は、魔女たちから魔力を吸い上げると、それをエスタニシアに与えた。

「いいかい、これは君たち魔女の総意だ。始祖ヴァンパイアを、封印せよ」

「封印せよ」

「封印を」

魔女会議が開かれた。

もう、藍染の姿はなかった。

「始祖ヴァンパイア、浮竹十四郎を、この魔女の里の魔女たちから吸い上げた魔力で、封印せよ!」

魔女の里の不穏な空気は、濃密になって動きだす。

浮竹も京楽もそれを知らず、薔薇祭りのために血の帝国に旅立つのであった。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター27

浮竹は、東洋の浮竹からもらった浴衣を大事そうにクローゼットにしまった。

そして同じようにもらった金魚を金魚鉢にいれて、玄関に飾った。

「うーん、黄金のハニワとのミスマッチがまたいい」

浮竹は、一人悦に浸っていた。

「この金魚、すぐに死んじゃうのかな?」

「死なせない。俺の血を、一滴金魚鉢に注ぎ込む」

そう言って、浮竹は牙で自分の指を噛むと、滲み出た血を一滴、金魚鉢にたらした。

金魚はパシャンとはねて、赤い鱗が更に赤くなる。

「眷属化しちゃったようだよ」

「金魚の眷属か。それはそれで、面白い」

使い魔にはなりそうもないが、大切に育ってくれるだろう。

浮竹は満足して、京楽は金魚に餌をあげていた。

「ああ、よく食べるね。これなら、死ぬ心配もなさそうだ」

「金魚の世話は俺とお前でしよう。戦闘人形に任せることもできるが、せっかく東洋の友人から譲り受けたものだ」

「うん、そうだね」

ほのぼのとした時間が、過ぎていく。


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夢見せの魔女ハルキュリア。

かつて数年前、女帝ブラッディ・ネイを夢で操り、血の帝国を自分のものにしようとした魔女の名であった。

ブラッディ・ネイの怒りを買った後、どうなったかは知らない。

「一護君、ルキア君と冬獅郎君は今どこに?」

「ブラッディ・ネイの宮殿にいます」

「京楽、俺たちも血の帝国の、ブラッディ・ネイの宮殿に向かうぞ」

一護を伴って、浮竹と京楽は血の帝国まできていた。

ベッドには、ルキアと冬獅郎が寝かされていた。

幸せそうな顔をしていた。

点滴の管がつけらており、昏睡状態になって数日が経過しているのが分かった。

ルキアと冬獅郎の胸元を見る。

百合の文様があった。

「間違いない、夢見せの魔女ハルキュリアに夢を見せられている証だ。ハルキュリアは、自分の魔法で夢を見させた者の胸元に、百合の文様を刻む」

「助かる方法はあるんすか!?」

「まず、普通の方法では無理だ。魔女ハルキュリアを殺すか、術を解かせないと。もしくは、こちらから夢の中に干渉して、起こすかだな」

「居場所、分かりますか?」

「分からない。もしかすると、魔女の里からかもしれない」

「じゃあ、どうすれば・・・」

一護は、おろおろとしていた。

「俺と京楽で、夢の中に潜ってみる。うまくいけば、それで目が覚めるはずだ」

「お願いします!ルキアと冬獅郎を助けてやってください!」

「分かっている。いつ何処で昏睡状態になったんだ?」」

「ああ、宮殿をぬけたところに森があって、湖が広がってるんです。その湖の水が、聖水を作るのに一番適してるって、ルキアが冬獅郎連れて出て行って。俺は雑務したので、迎えにいったら、二人とも意識をなくしてたんす」

「ふむ。血の帝国内にいる可能性が高いな。多分、ルキア君の聖女としての力を削ぎたいんだろう。ルキア君の癒しの力は、魔女の作るポーションの比じゃないからな」

ルキアは聖女として、血の帝国内だけでなく、国外からも患者を受け入れていた。

魔女の里は閉鎖的だし、魔女の作るポーションは高い。

ルキアは魔女のポーションに比べると、安い値段で治癒を行っていた。

疫病などが起こった時は、無料で患者を診て、病気を癒した。

それは、元々魔女の役割だった。

「夢の中に入る。俺と京楽の分のベッドを用意してくれ」

「浮竹、大丈夫なの?夢の中は精神体で入るんでしょ。何かあったら・・・」

「京楽も、俺を信じろ。俺は5千年も眠っていたんだぞ。好きに夢を操るくらい、造作もなことだ」

「なら、いいんだけど」

そして、浮竹と京楽は眠り薬を飲んで、ルキアと冬獅郎の体に触れて、夢の中に潜っていった。

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冬獅郎の見ている夢は、両親が生きている夢だった。

「冬獅郎君、それはただの夢だよ」

まず、夢の中にもぐりこんだ京楽が、冬獅郎の目を覚まさせようと、そう言うと、冬獅郎は氷輪丸という氷を操れる剣で、京楽を斬り裂いた。

「これは夢じゃねぇ、現実だ」

斬り裂かれても、夢なので痛くなかった。

「冬獅郎君、ルキア君を、雛森君を一人にしていいのか?」

浮竹の言葉に、冬獅郎の耳がピクリと動く。

「ルキアと雛森がどうしたんだ」

「このまま、君が夢から覚めないと、二人に一生会えないよ」

「そんな馬鹿なことが・・・・・」

「ほら、一緒に帰ろう。ルキア君と一護君が待っているぞ」

冬獅郎は、父と母を見た。その姿は溶けていき、ただの人形が残った。

「俺は・・・父さん、母さん、さよならだ。俺は戻る」

がばりと、冬獅郎は起き上がった。

「ルキア、一護!」

「ルキアはまだ寝ている。冬獅郎、よかった、目が覚めたんだな」

「京楽と浮竹が・・・・って、何してるんだ、こいつら」

眠っている浮竹と京楽を見る。

「冬獅郎とルキアは、夢見せの魔女ハルキュリアの手で眠らされていたんだ。今、浮竹さんと京楽さんが、起こしてくれるために夢に潜り込んでる」

「そうか。だから、あんな幸せな夢を見ていたのに、浮竹と京楽が登場してきたのか」

「どんな夢を見ていたんだ?」

「両親が生きている夢だ」

「ハルキュリアって、酷いことする奴だな、冬獅郎が孤児だってことにつけこんで・・・」

一護は、本気で怒っていた。

「次は、ルキアを起こしに、夢の中に潜りこんでいるんのか?」

「そうだと思うぜ」

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ルキアが見ている夢は、チャッピーといううさぎのキャラクターが生き生きとしている夢だった。

ルキアはというと、チャッピーと会話しながら、大好物の白玉餡蜜を、一護と一緒に食べていた。

「一護クンのことが好きだから、夢の中にもいるんだねぇ」

「誰だ!」

「ルキア君、これは夢だ」

「分かっている」

ルキアは、紫紺の瞳を瞬かせた。

「なら、目覚めないと」

「一護が、目覚めるなというのだ。一護を置いていくわけにはいかぬ」

「一護君なら、夢の外にいるよ。今の君は、魔女ハルキュリアに夢を見せられているんだよ」

「一護が、行ってはいけないと・・・」

ルキアの元に一護がやってきて、キスをして去っていった。

「これは、その!」

「さあ、ルキアちゃん目覚めよう。本物の一護クンが、君を待っているよ」

ルキアは目覚めた。

「目覚めたのか、ルキア!」

一護が、ルキアに抱き着いた。

「ええい、この大馬鹿者め!」

ルキアは、一護にアッパーをかませた。

「なんで。俺なんもしてねえのに」

ルキアは真っ赤になっていた。

「浮竹殿と京楽殿は?」

「まだ眠ってる」

「もう、起きたぞ」

「僕もだよ」

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「浮竹殿、京楽殿、ご迷惑をおかけしました。私と冬獅郎が魔女などに眠らされるとは・・・・」

「いや、ハルキュリアはブラッディ・ネイさえも眠りに落とし、操ろうとした実力者だ。今回のことは仕方ない」

「湖で、聖水を作っていたのです。そこに魔女が現れて、私と冬獅郎は術をかけられ、眠りの中に・・・・・・」

浮竹と京楽は、ルキアと冬獅郎の胸元に百合の文様がなくなっいるのを確認して、話を進める。

「俺が囮になろう」

「だめだよ、危険すぎる」

「京楽殿の言う通りです」

「俺には、東洋の友人がくれた、呪術を跳ね返すお札がある。ハルキュリアの夢を見せ魔法は呪術に近い。跳ね返るだろう」

「それなら、一応は安心かな。でも、僕もいくからね」

「京楽にもお守りの効果はきいてくれると思う」

「兄様が眠りつき、危険だったら、ボクが動くからね」

今まで黙ってことの成り行きを見守っていた、ブラッディ・ネイがそう言った。

「とりあえず、森の湖にまで行こう。そう遠くまでは行っていないはすだ」

浮竹と京楽は、二人だけで魔女ハルキュリアの元に行くことになった。

「多分、隠れ家を作っている。魔法が解かれたとまだ気づいていないだろう。そこを叩こう」

「うん、分かったよ」

森をすすみ、湖まできた。

探したが、どこにも魔女ハルキュリアの姿はなかった。

「もう、魔女の里へ帰ったか?」

「浮竹、見て、湖が!」

湖全体が紫色になって、浮竹と京楽を襲った。

水中で呼吸できなくて、このまま溺死かと思ったら、浮竹はがいつだったか覚えた、水中で呼吸できる魔法を唱えてくれて、京楽は水に飲みこまれたまま呼吸をした。

「うふふふふ。さあ、くたばっちまいな、ヴァンパイアども」

京楽と浮竹は、死んだふりをした。

「あはははは!ヴァンパイアももろいものだ。夢を見せずに、最初からこうして殺したほうがよかったかもしれない」

どさりと、浮竹と京楽は折り重なって倒れた。

「ヴァンパイアにしては美しい男だ。顔を、もらってやろう」

伸びてきたハルキュリアの手を、京楽が掴んだ。

「浮竹に手を出すのは、許さないよ?」

「ちっ、まだ生きてたのか。夢見の魔法を喰らいな!ギャッ!」

魔法を反射されて、ハルキュリアは甲高い声をあげていた。

「魔法を反射だと!?反射の護符でももっているのか!」

「当たりだ」

浮竹が、血の刃でハルキュリアの顔面を切った。

「いやああああ、あたしの、あたしの顔が!」

「燃え尽きろ。バーストロンド!」

「ぎゃああああああ!!!」

ハルキュリアは、灰をとなった。

「一段落だね」

「いや、まだだ」

「え?」

「魔女の里に行くぞ。このハルキュリアは分身体だ」

「でも、灰が・・・・」

灰は、見る見るうちに消えてしまった。

「水鏡で、のぞいているんだろう、ハルキュリア?どこに逃げても無駄だからな。ルキア君と冬獅郎君を魔法で眠りにつかせ、殺そうとしたんだ。代償を、払ってもらおうか」

「浮竹、魔女の里になんてどうやっていくんだい?」

「猫の魔女がいるだろう。彼女に案内してもらう」

「そうか、乱菊ちゃんか」

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「あたし、仲間を売るような真似はしたくないけど、浮竹さんと京楽さんを怒らせた相手なら、話が別ね。放置しておいたら、きっと魔女の里ごと消されちゃうかもしれないわ」

「俺はそこまでしないぞ」

「ううん、しそうだもの」

「確かに、浮竹なら禁呪の一つでもかまして、魔女の里ごと吹っ飛ばしそうだね」

「お前らの中の俺って・・・・・」

「しいてういなら、破壊神」

「魔法の極みの禁呪を平気で発動する、兵器」

「俺っていったい・・・・・」

浮竹は、がっくりと項垂れた。

「あら、過去が見えたわ。あなたの妹さん、一度ハルキュリアの術にかかって、命を落としそうになったのね。怒っても、無理はないわね」

乱菊は、過去を見るオッドアイを持っている。

白い金と銀の目をした猫の姿になることもある、猫の魔女だった。

「そんな昔のことはどうでもいい。俺は、俺の友人に手を出したことに怒っているんだ」

「ついた。ここが、魔女の里よ」

乱菊の魔法で、空を飛んで血の帝国をぬけて、遥か西にある魔女の里に着ていた。

閉鎖的な空間を出していて、魔女たちは扉を固く閉ざして、侵入者を拒んでいた。

「あの、中央の館があたしの家。んで、右にずっといったところにあるのが、ハルキュリアの館よ」

「乱菊君、ありがとう」

「ありがとね、乱菊ちゃん」

浮竹と京楽は、ハルキュリアの館の扉を開いた。

中には、5歳くらいの女の子と、3歳くらいの男の子がいた。

「母さんに、何の用だ!」

「殺しにきただけだ」

「この悪魔め!」

ホウキを手に、殴りかかってくる男の子を、浮竹の血の刃が首を刎ねた。

「う、浮竹?」

京楽が、浮竹を見る。

「ここはハルキュリアのテリトリー。強すぎて、お守りでは反射できなかったようだ。ここは、ハルキュリアの見せる、夢の中だ」

「でも、僕と浮竹を、同じ夢に?」

「お前は、俺の京楽じゃない」

浮竹は、京楽の首を刎ねた。

「どうして。愛しているのに、浮竹」

足に縋りついてくる京楽を、冷めた目で浮竹は見ていた。

「俺の京楽は、そんな香水の匂いなんてさせない。俺を見ると愛しそうに笑って、浮竹と名を呼んで、抱き着いてくる」

「でも、本物だったら?」

「そんなことはあり得ない」

「本物かも、しれないよ?」

複数の京楽が現れた。

浮竹は、血の刃で京楽を消していく。

「俺に京楽を殺させるような真似をしてくれたことにも、礼を言わないとな」

浮竹は冷酷に笑って、魔女ハルキュリアの存在を探した。

ふと一体の京楽が、浮竹を抱き寄せた。

ふっと耳に息を吹き込まれて、その京楽に浮竹はハリセンをお見舞いしていた、

「お前は本物だ。魂が他と違う」

「君って、僕の姿をしている偽物の首、平気で刎ねるんだから、僕が肝が冷えたよ」

「魔女ハルキュリア。出てこい。出てこないのなら、この里の一角ごと、消し去る」

「いやだわ。そんなことされたら、反魂でも蘇れないじゃない」

すでに、ハルキュリアは反魂の用意をしていた。

死んでも構わないと、浮竹と京楽の元に出てくる。

「炎と踊れ。バーストフレイム」

館全体に火の魔法をかけて、反魂の札を燃やしていく。

「なんなのよ!たかが、ヴァンパイアの小娘とガキに、魔法をかけて殺そうとしたくらいで!」

浮竹は瞳を真紅にして、ハルキュリアを血の刃でズタズタに斬り裂いた。

「あはははは、そんなのきかない。だって、ここは夢の中!夢の・・・・・ぎゃあああ、何故痛い!?夢のはずが!」

「ハルキュリア。始祖のヴァンパイアが、夢見の魔法を破る魔法を持っていても不思議じゃないと、思わないか?」

「ひいいい、始祖ヴァンパイア!浮竹十四郎!」

ハルキュリアは、失禁していた。

ただのヴァンパイアだと思っていたのだ。

「浮竹を怒らせた、君が悪いよ」

京楽は、興味なさそうに、縋りついてくるハルキュリアを見ていた。

「なんでもする!なんでもするから、命だけは助けて!」

「そうか。なら、命だけは助けてやろう。お前は、今日からカエルになるといい」

ぼふん。

音を立てて、ハルキュリアはカエルになっていた。

「いやああああああああ!!!」

「あ、黒蛇!」

浮竹を守っていた黒蛇が、影からしゅるしゅると出て、カエルにされたハルキュリアを美味しそうに見つめていた。

「こんなの食べたら、腹痛を起こすぞ?」

しゅるるる。

黒蛇は、それでも食べたそうにしていた。

「言葉さえしゃべれるのなら、人間の姿にだって戻れる!」

ハルキュリアは、カエルから元の魔女の姿に戻っていた。

しゅるるる。

「そうか、そこまで食べたいのか」

浮竹は、もう一度ハルキュリアをカエルにした。

「わあああああああ」

しゅるしゅると音をたてて、黒蛇が近付いてくる。

「いやあああ、食べられる!」

黒蛇は、ハルキュリアを丸のみしてしまった。

「ああ、消化不良を起こさないといいんだが」

魔女ハルキュリアは、反魂も燃やされて効かずカエルとなって、東洋の浮竹からもらった札から出てきた黒蛇に食べられてしまった。

命だけは助けてやると言ったのだが、黒蛇が珍しそうに食べたそうにしていたので、与えてしまったのだ。

黒蛇に取り込まれた魔女ハルキュリアの魔力が、浮竹に注ぎこまれた。

「魔力なんて、これ以上いらない気もするが・・・・まぁ、受け取っておこう」

魔女ハルキュリアの魔力も多かった。

京楽ほどではないが、京楽の半分くらいの魔力があった。

「これで、もう魔女ハルキュリアに夢を見せられることはないね」

「ああ」

焼け焦げた館を見て、心配そうにしていた乱菊と会った。

「大丈夫だったの!いきなり館が燃えたから、心配していたのよ?」

「魔女ハルキュリアは、カエルになって最後は黒蛇に食べられた」

「黒蛇?」

「俺を守護してくれる、使役魔みたいなものだ」

「カエルにされた魔女。かわいそうだけど、浮竹さんの知り合いに手を出したハルキュリアが悪いわね」

------------------------------------------------------------------

魔女乱菊は、魔女集会に呼ばれた。

「始祖ヴァンパイアは危険だ!排除すべきだ!」

「魔女ハルキュリアも、始祖のローデン・ファルストルも、始祖のヴァンパイアにやられてしまった。報復に出るべきだ!」

他の魔女たちの意見に、乱菊が反論した。

「始祖ヴァンパイアは、手を出さない限り襲ってこないわ」

ざわざわ。

他の魔女たちのさざめきが起こる。

「それにあの人は始祖ヴァンパイア。不老不死。私たちの力では、殺せないわよ?」

「我ら魔女が一団となれば、封印くらいは・・・・・」

「どうでしょうね。そんなに簡単に封印されるくらいなら、もうとっくに封印されてると思うのだけど?」

ざわざわ。

またざわめきが起こる。

「猫の魔女、松本乱菊」

「はい」

「お主には、始祖のヴァンパイアと友好関係を続けることを命令する」

「あら、あたしはそんな命令されなくても、始祖ヴァンパイアとはもう友達ですもの。魔女会議には、もう今度からあたしは出ないわよ。閉鎖的な魔女の里なんてうんざり。ガイア王国にでも館を構えて、錬金術士兼魔女として、生きていくわ」

「魔女の里をぬけるだと!そんなこと、許されると・・・・・」

「あら、あたしに殺されたいの長老?今のあたしは、始祖のヴァンパイアの血を少しだけもらっていて、強いわよ?」

浮竹は、猫の魔女乱菊に、敵対する者の手が伸びないように、数滴の血を分け与えていた。

「魔女の里は、もう終わりかもしれぬ。乱菊がぬけ、魔女ハルキュリアも、始祖のローデン・ファルストルも失った」

「もっと、里を開いて開放的になることね。薬だけの売買のやりとりじゃあ、魔女の里はいつまでたっても閉鎖的だわ」

「今後のことについて、話合おう」

魔女の長老たちの会議はまだ続きそうなので、乱菊は抜け出して浮竹と京楽の元へ来ていた。

「いろいろあって、あたし、ガイア王国で暮らすことにしたから!引っ越し、手伝ってね?」

にーっこりと微笑まれながら、拒否するわけにもいかず、浮竹と京楽は、アイテムポケットを利用して、乱菊の引っ越しを手伝うのであった。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター26

一緒に風呂に入り、寝間着は買っていなかったが、京楽の上着をかしてもらった。

ばっちり、下着まで京楽は買っていた。

苺柄のパンツだった。

それをはいて、京楽の上着を着て寝ようとすると、京楽の濡れた視線とぶつかった。

「言っておくが、この姿の間はしないからな」

「うん、分かってる。でも、キスくらいはいいよね?」

「キスとハグだけだぞ」

京楽は、小さな浮竹の体を抱き寄せて、そっと唇を重ねた。

「なんか、君、お人形さんみたいに顔が整いすぎて、町に一人でいたら、絶対人攫いに攫われるから、一人で町にいっちゃだめだからね」

「分かっている」

その日は、そのまま寝た。

翌日からが忙しかった。いつもは戦闘人形に任せてある家事を、京楽一人で担うことになったからだ。

浮竹は少しずつ魔力を回復させているようだが、まだしばらく子供の姿のままらしい。

朝食と昼食をとり、浮竹はミミックのポチにドラゴンステーキをあげていた。

「るるるる~~~~~?」

浮竹だと分からないポチは、ドラゴンステーキを食べたが、浮竹にかみついてこなかった。・

「ミミックにも、俺が分からないのか・・・」

しょんぼりして、浮竹は京楽の膝に乗って、古代の魔法書を読みだした。

また、ゴスロリ姿であったが。

「ああ、かわいい。食べちゃいたい・・・・・」

「んっ」

舌が重なりあう口づけをされて、浮竹は禁欲生活を強いている京楽のことが少し哀れに思って、譲歩した。

「フェラだけなら、してやる」

「本当に!?」

「あ、ああ・・・・・」

「じゃあ、早速お風呂に入ろう!」

風呂に入って、京楽はぎんぎんに硬くなったものを、浮竹の目の前でちらつかせた。

「下手かもしれないが・・・・んっ」

小さな下で、ペロペロと舐めてくる浮竹は、小さくてかわいいのに、いつもの浮竹の妖艶さがあった。

「ああ、そこもっと強くこすって」

「こうか?」

「そうそう」

普段でも、あまり浮竹は京楽にフェラをしないので、新鮮だった。

小さな舌でペロペロ必死になめる姿がかわいかった。

「んんっ」

大きいので、先端を咥えることもできない。

鈴口を舌で舐めていると、京楽がうなった。

「どうした、気持ちよくないか?」

「反対だよ。気持ちよすぎて・・・んっ、出すよ」

「待て、俺の口じゃ受け止めきれない・・・・って、ああ・・・・」

浮竹は、京楽の精液を顔面におもいきりかけられていた。

髪までついてしまったそれを、浮竹が小さな手で舐めとっていく。

「お前の体液は甘い。勿体ない」

「本当に、君って子は・・・・」

京楽は、浮竹の体を抱きしめて、衣服を脱がした。

「ちょっと、しないぞ!そんな大きなもの、今の俺には無理だ!」

「最後までしないから」

「ああん」

まだ精通も迎えていないであろう浮竹のものに、しゃぶりついた。

「やっ、くすぐったい・・・・」

「太もも、閉じれる?」

「あ、素股をするのか?」

「うん。それなら、10歳の体の君でも大丈夫でしょ?」

「分かった」

浮竹は、言葉通り太ももを閉じた。

トロリと、ローションを垂らされた。

「んっ」

浮竹の小さな体を抱き寄せて、閉じられた太ももの間を行き来させる。

「ああ、きもちいいよ、十四郎」

「んっ・・俺は、変な気分だ」

「ああ、もういくよ。いいかい?」

ぎゅっと小さな体を抱き寄せて、京楽はシーツに向かって勢いよく精液を飛び散らせた。

浮竹の小さな腕に噛みついて、吸血してやった。

「あああ、いやああ!!」

小さな浮竹の血液は、いつものものより更に甘かった。

「ああ、足りない。お前に胎の中で出されないと、満足できない」

小さな指で、浮竹は後ろをいじった。

「ああ、お前のじゃないと、届かない」

「最後までは、しないよ。指で我慢してね?」

ローションを垂らした指が、二本体内に入ってくる。

「ああああ!」

前立腺をすりあげられて、幼い浮竹は泣きだした。

「やあああ」

「ほんとは、君の中に入りたいけど、流石に君の体が小さすぎだ」

「やああん」

前立腺ばかりを指で抉られて、精液を出したいのに、まだ精通を向かえていない体は、オーガズムでいっていた。

「はあああ!!」

がくりと、浮竹が意識を失う。

ぐったりと弛緩した浮竹を抱きしめて、まだ足りない京楽は、浮竹の顔を見ながら自虐行為を繰り返すのであった。


-------------------------------------------------


「ああ、やっと元に戻れた」

いつもの姿に戻った浮竹を、京楽が抱きしめた。

「京楽?」

「10歳の君に手を出しちゃったからね・・・僕は犯罪者だね」

「俺の許可があっただろう」

「でも、法的にはアウトだよ」

「細かいことは気にするな。人間の法律だろう。ヴァンパイアに年齢は関係ない。それに、10歳といても、あの体の実年齢は50歳くらいだ」

「ヴァンパイアだものね。見た目と歳は一致しないよね」

「続きは、しないのか?あの夜の続きを。最後まで、したいんじゃなかったのか?」

浮竹も満足しきれていなかったようで、情欲に濡れた瞳で見つめてきた。

「するから!」

二人で風呂に入り、そしてべッドに上にいた。

「んっ・・・・・」

ローションの滑りをかりて、浮竹が自分で後ろをいじっていた。

ごくりと、何度も京楽が唾を飲みこむ。

「ふふ・・・俺の乱れる姿を見るだけで、お前のここはぎんぎんだな」

足の指で、浮竹は京楽のものに触れた。

「ああ、弾けちゃうよ」

「もう少し、我慢しろ・・・んんっ」

太ももを、とろとろに溶けたローションが伝い落ちてくる。

「挿れるよ」

「あああ!」

突きいれられて、浮竹は悦びで妖艶に微笑んでいた。

「んああああ!」

待ち望んでいた熱に引き裂かれる悦びに、浮竹は体を震わせた。

「んっ」

体の奥で、京楽が熱を弾けさせるのを、感じていた。

「もっと、もっとお前の子種をくれ」

「たっぷりあげるから、そんなにせっつかないで」

味わいつくすように、全身にキスの雨を降らせて、京楽は浮竹を貪った。

「んああああ!」

「もっと、もっと感じて?」

奥をゴリゴリ刺激してやりながら、京楽は浮竹のものに手を伸ばした。

何度か熱を弾けさせていたが、まだ硬かった。

「やああ、そこだめぇえ!」

こすりあげて、鈴口に爪を立てると、びゅるびゅると音を立てて、浮竹が射精する。

「やああああ」

同時に肩に噛みついて、吸血してやった。

「ああああ!!!」

浮竹は潮をふいていた。

「やあああ、止まらない、やだああっ」

「女の子みたいだね?」

クスリと笑って、京楽は浮竹の太ももを肩に担ぎあげると、再び挿入した。

「んああああ!」

「最後の一滴まで、あげるからね?」

「ああ、ひあああ・・・・・・」

最奥の結腸をごりごりされて、浮竹はまたいっていた。

「ひあ!」

「これが今日の最後だよ。味わって、受け取ってね」

「あ、春水の、美味しい!孕むまで、出してくれ」

「たっぷり、出してあげるね?」

びゅーびゅーと、たくさんの精子を、浮竹の中に注ぎ込む。

恍惚とした表情で、浮竹はそれを受け入れた。

引き抜かれると、とぷんと音をたてて、京楽の精液が逆流してくる。

「ああ、勿体ない・・・」

「お風呂、行こうか」

「ああ・・・・・」

二人は風呂にはいり、互いの体にキスマークを残し合った。

もう、お互い出すものが何もなかったので、ただ戯れ合った。


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「ルキアが、目覚めないんだ」

古城にやってきた一護は、そんな言葉を出して、浮竹と京楽に助けを求めてきた。

「冬獅郎も、その場にいたんだが、同じように目覚めないんだ」

浮竹と京楽は、顔を見合わせあった。

「一護君、君から魔女の匂いがする」

魔女が好む、香の匂いがした。

「これは・・・夢見せの魔女、ハルキュリアか?」

かつて、数年前、女帝ブラッディ・ネイに夢を見せて操った、魔女の名前であった。





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始祖なる者、ヴァンパイアマスター26

ブラッディ・エターナル。

ブラッディ・ネイの寵姫にして唯一の血族。

他の疑似血族の寵姫たちのようでない、本当の血族にブラッディ・ネイはブラッディ・エターナルを迎えていた。

喉から手が出る程に欲しい兄の、血を受けつぐ子供。

浮竹と京楽に子はいない。

だが、猫の魔女乱菊から性別転換の秘薬を盛られて、女体化した浮竹は男性のままの京楽と睦み合った。

その時、受精した卵子を、ブラッディ・ネイは呪術で盗みだし、自分の寵姫の腹にいれた。

その寵姫は、僅か3日で臨月を迎え、子を産んだ。

産まれた子は、わずか1週間で12歳にまで成長した。

ブラッディ・エターナルという名を与えられて、ブラッディ・ネイの寵愛を欲しいままにしていた。

でも、ブラッディ・ネイが真に欲しているのは兄である浮竹だ。

そのことが、ブラッディ・エターナルには気に食わなかった。

「ブラッディ・ネイ。あたしがいるのだから、始祖の浮竹のことなんてどうでもいいわよね?」

「そんなことはないよ。ボクは兄様を愛している。その事実だけは、何があっても変えれない」

「始祖、浮竹十四郎・・・・」

ブラッディ・エターナルの心に、どす黒い闇が憑りつく。

「あたしの母親に値するヴァンパイアの始祖・・・・」

母親と言われても、ピンとこなかった。

自分には父も母もいないものだと思っていた。

呪術で、生まれ落ちるはずの命ではないと知った時、ブラッディ・ネイに感謝をするのではなく、憎悪を抱いた。

でも、その憎悪はブラッディ・ネイに愛されることで霧散した。

「始祖の浮竹・・・・ブラッディ・ネイが唯一不遜に愛する存在」

ゆらりと、ブラッディ・エターナルの血が揺らめいた。

始祖の浮竹の子であるのは本当なので、ただの寵姫ではなかった。

------------------------------------------------

古城の庭にいた。

目の前にいる、ブラッディ・エターナルは浮竹によく似ていた。

浮竹が12歳くらいなら、きっと判別がつかないくらいに。

「あなたが、あたしの母様と父様・・・・・」

「ブラッディ・エターナル。俺はお前の母親じゃない」

「僕も君の父親じゃない。娘をもった気はないよ」

「そう。じゃあ、あたしが始祖の浮竹を殺しても、何も問題はないわよね?」

ブラッディ・エターナルの言葉に、まず京楽が身構えた。

「俺は神の愛の呪いを受けている。お前程度に、殺せたりできない」

「あら、それはやってみないと分からないじゃない」

ブラッディ・エターナルは、血の刃を作りだして、それを浮竹に向かって放った。

「やめるんだ、ブラッディ・エターナル!ボクはキミを愛してる。それだけじゃ、不満なのかい!?」

制止するブラッディ・ネイの言葉に、ブラッディ・エターナルは頷いた。

「ブラッディ・ネイ。あなたはあたしに愛を囁くけれど、本当はこの始祖に囁きたいのでしょう?始祖の身代わりだなんて、ごめんだわ。始祖を殺して、あたしがあなたの一番になるの」

「ブラッディ・エターナル!」

「悪いけど、浮竹を害そうとするなら容赦はしないよ」

猛毒でもある京楽の血の刃を、全てブラッディ・エターナルが相殺した。

「あたしはブラッディ・ネイの本物の血族。そして始祖の血を引いている。そんなあたしに、あなたの血の毒は効かないわよ?」

「血の毒が効かなくても、僕にだって力はある!」

血の鎌を作りだして、ブラッディ・エターナルに切りかかるが、それをブラッディ・ネイが止めた。

「やめてよ!あの子は、ボクの寵姫で血族なんだ!

「ブラッディ・ネイ。君の頼みでも、僕の浮竹を傷つけようとする存在は許さないよ」

「ブラッディ・エターナル!いい子だから、やめるんだ!」

「愛しているわ、ブラッディ・ネイ」

ブラッディ・エターナルは、ブラッディ・ネイのオリジナルの薔薇の魔法を使った。

薔薇は浮竹と京楽に絡みつき、血をすする。

「フレイムロンド!」

浮竹は、炎の魔法で血を吸う薔薇をもやしていく。

一方、京楽の血を吸った薔薇は、猛毒である京楽の血のせいで枯れていった。

「薔薇の魔法でもだめ・・・じゃあ、これはどう?」

ブラッディ・エターナルは、自ら血液となって、浮竹の体に侵入した。

「浮竹!」

「ごふっ!」

体中を滅茶苦茶に暴れるブラッディ・エターナルのせいで、浮竹は真っ赤な血を吐いた。

「俺の体から出ていけ!」

浮竹が魔力をこめると、ブラッディ・エターナルは外にはじき出されていた。

「ちっ。始祖が・・・・・」

「ブラッディ・エターナル。今ならまだ間に合う、やめるんだ!」

「ブラッディ・ネイの言葉でも、それは聞けないわ」

「ボクはキミを愛してるんだ!」

涙を流す実の妹に、浮竹がブラッディ・エターナルにとどめを刺すのを躊躇する。

その瞬間を狙って、ブラッディ・エターナルは自身を刃に変えて、浮竹の心臓を突き刺した。

「浮竹!」

「ぐ・・・・・」

ゆらりと、浮竹の体が傾ぐ。

それを受け止めて、京楽は青い顔をしていた。

心臓が、破裂していた。

ドクドクと流れ出る血が止まらない。

「浮竹!」

けれど、浮竹は神の愛の呪いで不老不死だ。

流れ出た血は逆流し、まるで時間が遡っていくように、心臓の怪我は治ったしまった。

「どうして死なない!心臓を、コアを貫いたはず!」

「言っているだろう、俺は始祖ヴァンパイアだと。神の愛の呪いで、不老不死だ」

ゆっくりと、ブラッディ・エターナルを追い詰めていく。

「お前から、俺と京楽の記憶を奪う。ブラッディ・ネイがあれほど愛しているんだ。殺すことはしないでおいてやる。来い、炎の精霊フェニックス!」

浮竹は、フェニックスを召還していた。

「ああああ・・・」

その絶大な魔力に、ブラッディ・エターナルは戦意を消失していた。

「フェニックスの業火に焼かれ、生まれ変わるといい!」

「いやあああああああああ!!!」

フェニックスは、赤い炎の翼を広げて、ブラッディ・エターナルを灰にした。

その灰から、芽が出てみるみるうちに育ち、花が咲き実がなった。

その身の中には、新しい命を与えられた、ブラッディ・エターナルがいた。

「兄様、ありがとう、兄様!ブラッディ・エターナルを殺さないでくれて」

ボロボロ涙を零し、礼をいう実の妹の頭を、浮竹は撫でた。

「ブラッディ・エターナルから俺と京楽の記憶を消した。もう、ブラッディ・エターナルに俺たちのことを言うな。お前の兄様愛してるって言葉は、死んだ俺に向けてということにしておいた。だから、いつもの台詞は言っても大丈夫だ」

「ありがとう、兄様!兄様、愛してる!」

わんわんと泣きながら、実の兄に縋りつくブラッディ・ネイに、京楽は二人を引きはがしたかったが、我慢した。

「ん・・・ブラッディ・ネイ?あたしはどうしたの。いやだ、あたし裸じゃない!」

「これでも着て」

京楽は、アイテムポケットにしまってあった、バスローブをブラッディ・エターナルに渡した。

「誰か知りませんが、ありがとう。あら、そっちのあなた、あたしに似てるのね。不思議ね。他人の空似ってやつね」

浮竹は、鼻水を垂らす美しい顔の妹を押しやった。

「ああ、ただ偶然似ているだけだ」

「ブラッディ・エターナル。血の帝国に帰るよ」

「あ、待ってブラッディ・ネイ!ちょっと、何をそんなに怒っているの!」

「ブラッディ・エターナルのせいなんだからね!兄様に頭撫でられた・・・・」

「兄様?やだ、ブラッディ・ネイってば夢でも見たのね。あなたの兄は、300年前に死んでいるのだから」

そんな二人のやり取りを聞きながら、浮竹も京楽も安堵する。

「破壊と再生を司るフェニックスを使うなんて、考えたね」

「一応、俺とお前の血を、引いているんだろう。殺したくはない」

「そうだね。たとえ生まれ落ちるはずのなかった命でも、もう生まれ落ちてしまった。ブラッディ・ネイがちゃんと制御してくれるさ」

「一度コアを破壊された。再生するのに魔力をたくさん消耗した。今日は、魔力回復のポーションを飲んで、もう、寝る。疲れた」

ふらりと立ちくらみを起こす浮竹の体を抱き抱えて、京楽は激しい戦闘で荒れ果てた庭をどう修理しようと考えながら、古城の中へ戻っていくのだった。

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「疲れた・・・・・」

浮竹は、魔力回復のポーションをたくさん飲んで、眠った。

「おかしい・・・」

次の日になっても、浮竹の魔力は回復しなかった。

「どうしたの、浮竹」

「京楽。魔力が回復しないんだ。何かに吸われてる気がする」

「まさか、ブラッディ・エターナルのせいで?」

「いや、違う。ブラッディ・ネイのせいでもない・・・フェニックスを出した後から、魔力切れが続いている」

もしかしてと思って、浮竹は炎の精霊イフリートを召還した。

「この魔力の消耗、精霊王を召還したのに似ているんだが、炎の精霊王は精霊界にいるか?」

「いいえ、汝がフェニックスを召還した瞬間に強制召還をさせて、今こちらの世界にきています。召還しっぱなしの状態なので、魔力が回復しないのでしょう」

「炎の精霊王め。何処にいるか分かるか?」

「汝の古城のキッチンで。食べまくってます」

ふんがーーー。

浮竹は切れた。

京楽は、それをはらはらと見ていた。

「おいこら、炎の精霊王」

「おお、我が友ではないか。どうした」

戦闘人形に勝手に調理をさせて、それをできあがるはしから、次々と炎の精霊王が食べていく。

「うむ、こちらの世界の食事は美味だな。ワインもうまい」

「召還してないのに、勝手に出てきて、挙句人んちで勝手に飲み食いするとは、いい度胸だな?」

「我が友よ、少しくらいいいではないか。穏便に、穏便に済ませよう」

「このボケナスが・・・・力が、入らない」

「おっと、我が友の魔力を消耗しすぎたようだ」

「え、浮竹!?」

見ると、浮竹は10歳くらいの姿になっていた。

「魔力切れの弊害か。この姿になるのは、800年ぶりだ」

きらんと、京楽の目が輝いた。

「浮竹、めちゃくちゃかわいい!君の子供時代って、こんなにかわいいの!?」

京楽に抱きしめらて、浮竹は苦しそうにしていた。

「京楽、とりあえず離してくれ、苦しい」

「ああ、ごめん。君があまりにも愛らしいから、つい」

「炎の精霊王。この姿になったってことは、魔力が完全に切れた。お前の存在だけこの世界に存在し続けるのは難しいだろうし、魔力切れの症状が治らなないので、精霊界に戻ってくれ」

「我が友・・・ぷくくく。やけに愛らしい姿だな?たくさん食べて飲めたので、我は満足だ。言葉通り、精霊界に戻るとしよう」

「あ、精霊界には、魔力回復の飲み物が・・・・・!」

「もう去っちゃったよ」

「くそ・・数日、この姿でいないとだめだ」

きらんと、京楽の目が輝いた。

「とりあえず、町にいって、子供服買おうか!」

「京楽?楽しんでいないか?」

「そ、そんなことないよ!」

「あやしい・・・・」

町に繰り出した。

普通に歩けると言っているのに、京楽は浮竹を抱っこして、町までやってきた。

認識阻害の魔法は使えなかった。

とても愛らしい子供の浮竹は、人目を引いた。

「かわいい君に、周囲もメロメロだね」

「どうでもいいから、早く服を買って帰ろう」

居心地が悪そうに、浮竹は京楽に抱っこされながら、自分に降り注ぐ人間の視線を気にしていた。

「あら、かわいい。この子の似合う服ね。これなんかどうかしら」

オカマの店長に進められた服は、ゴスロリの少女用の服だった。

「おい、俺はおと・・・・・」

「それ買った!早速、着替えさせてくるね」

「おい、京楽」

「いいじゃない。女の子になった時も、女の子の服平気で着てたでしょ?その延長戦上と思えばいいよ」

赤いゴスロリの少女服を着せられて、ヘッドドレスまでつけられた浮竹は、愛らしい10歳の少女にしか見えなかった。

「すごい似合ってる。ああ、このまま君をお持ち帰りしたい」

「あらん、似合ってるんじゃない!こっちはお父さんかしら?」

「いや、恋人だよ」

「そう。10歳の子に、こんな恋人・・・・犯罪じゃないの」

金貨をちらつかせると、オカマの店長は何も言わなくなった。

「毎度あり~」

その店で、他にも数枚ゴスロリの少女服とヘッドドレスを買って、浮竹と京楽は店の外にでた。

「やあああん、かわいい。あなたのお子さんですか?」

何故か、京楽の子に間違われた。

まぁ、年齢的に京楽の子であっても仕方ないので、浮竹は怯えるそぶりをして、浮竹の背後に隠れた。

今の浮竹は魔力がない。自慢の血の魔法も使えなかった。

「京楽、古城に戻っても、戦闘人形はいないぞ。町で、食べて帰ろう」

「ああ。戦闘人形は君の血と魔力で動いているからね」

手近なレストランに入った。

「2名様ですね」

浮竹の前には、お子様ランチがあった。

「一度でいいから、食べてみたかったんだよな」

「お子様ランチを頬張る浮竹・・・・かわいすぎて、鼻血が出そう」

すでに鼻血を出していた。

「京楽、俺がこんな姿になったの、楽しんでるな?」

「そうだよ。120年間一緒にいて、君がこんな姿になるなんて初めて知ったからね」

「魔力切れは怖いんだ。自分の身を守れない」

「大丈夫。僕が君を守るから・・・・」

「京楽・・・・・」

「浮竹・・・・」

いつもの調子で口づけようとして、注がれる人間の視線に気づき、二人とも咳払いをして誤魔化した。

レストランで食事をして、その日は古城に戻った。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝

古城に訪問者がいた。

東洋の浮竹と京楽だった。

(また遊びにきた)

(お菓子もってきたよ。たい焼きだ。お茶をしよう)

東洋の浮竹と京楽だった。東洋の浮竹と京楽は、存在する世界が違うのに、よく遊びにきてくれた。

「ああ、なんてことだ。今、俺の妹が来てるんだ」

「東洋の僕らまで巻き込むことになっちゃうね?」

(何、西洋の俺の妹だって!すごく会いたい)

(なんか嫌な予感がするんだけど・・・)

「兄様、お客さんって誰」

現れたブラッディ・ネイは、東洋の浮竹と京楽の存在に驚いた。

「この世界の存在じゃないね。違う匂いがする。でも、兄様がもう一人。愛してるよ、兄様!」

東洋の浮竹に抱き着くブラッディ・ネイに東洋の京楽は言霊に近づくなと命令して、ブラッディ・ネイは東洋の浮竹から引きはがされた。

「その、西洋の俺の妹なんだよな?仲良くしよう」

「兄様がボクに仲良くしようだって!鼻血ものだね!」

ぶばっと鼻血を噴き出して、ブラッディ・ネイはティッシュを鼻につめた。

「ボクの名前はブラッディ・ネイ。兄様である浮竹十四郎の実の妹にして、血の帝国の女帝をしている。ちなみに、死ぬたびに10代の少女の中に転生するから、見た目は全然兄様ににてないよ」

(へー、そうなのか?じゃあ、ここにお菓子あるんだがいらないよな・・・・女帝だと、食べ物にもこだわりそうだし)

東洋の浮竹はしょんぼりしながらも懐から出したお菓子を見せる。対して、東洋の京楽は目を金色にさせてブラッディ・ネイを睨みつけている。

「大好きだよ兄様!東洋の兄様でも大好きなんだから!」

ブラッディ・ネイは全力で東洋の浮竹に抱き着いた。

(僕の十四郎に何するの!)

東洋の京楽は、言霊でまたブラッディ・ネイを引きはがした。

「こら、ブラッディ・ネイ!東洋の俺が困っているだろう!」

西洋の浮竹が、ブラッディ・ネイに拳骨をくれるが、ブラッディ・ネイにはそれもご褒美にしかならなかった。

拳骨に嬉しがるブラッディ・ネイに、東洋の浮竹は引き気味で、東洋の京楽も引いていた。

(なんかこの子、やばいんだけど)

そんなことを無視して、ブラッディ・ネイは西洋の浮竹が東洋の浮竹を庇うことににまにましていた。

「やだなぁ、兄様。嫉妬してくれてるの?」

「誰が嫉妬などするか!」

「あ、東洋の兄様、ボクは女帝だから、何か欲しいものあったらあげるよ」

(なんか、始祖ヴァンパイアの妹だけあって、女帝とかすごいことになってるな)

(この子、十四郎のこともそっちの十四郎のことも大好きみたいだね)

「ああ、いつも俺を愛してるとかいって、兄弟愛じゃなくって伴侶としての愛を囁くんだ」

「ブラデッイ・ネイがいるときに遊びにくるなんて、タイミングが悪いね」

西洋の京楽が落胆する。

(まぁ、西洋の妹も交えて、お茶かいをしよう)

(そうそう、存在をないものとして扱えばいいだけなんだから)

「東洋のひげもじゃは、西洋のひげもじゃより辛辣だね」

(ひげもじゃって何。ボクには京楽っていう名前がちゃんとあるんだから)

東洋の京楽は、呆れ気味にブラッディ・ネイを睨んだ。

「おお怖い。西洋も東洋のもひげもじゃは兄様に一途なんだから。でも、ボクも負けてないよ!愛してるからね、兄様!」

「はいはい」

西洋の浮竹は、適当に聞き流した。

「今日は緑茶を用意したよ。そっちの僕がくれたレシピで、白玉餡蜜を作ってみたんだよ。それと、そっちの君たちがもってきてくれたたい屋きも食べよう」

「もちろん、ボクの分もあるよね?」

ブラッディ・ネイの分がないと言い出すと、この非常識な存在は何をしでかすのか分からないので、ブラッディ・ネイの分も用意した。

「今日だけだぞ、ブラッディ・ネイ。茶会が終わったら、すぐ戻れ」

「えー。兄様が二人もいる楽園を置いて去れって?いやだよ」

「去らないなら、もう茶会などしない」

「ちぇっ。分かったよ」

西洋の京楽が、5人分のお茶とスィーツを用意した。

「白玉餡蜜は、ルキア君の好物なんだよな」

(わあ、こっちの世界にもルキアはいるのか)

「え、やっぱりそっちの世界にもいるのか」

(たまに稽古をつけてやっている)

「こっちの世界では聖女をしていて、この前一緒に冒険したな」

(聖女か。同じ存在がいても、全然役割は違うんだな)

東洋の浮竹は、せっかく西洋の浮竹の妹に会ったのだからと、お土産にもってきて、いまふるまわれているタイ焼きをブラッディ・ネイにあげた。

(西洋の俺の妹は、美人だな。愛を囁かれるのは困るけど、タイ焼きまだたくさんあるから食え)

「東洋の兄様優しい!」

(ぎゃああああああああ)

ブラッディ・ネイは東洋の浮竹に襲い掛かった。

それに西洋の浮竹が顔を青くする。

(ちょっと、ボクの十四郎に何するの!手を二度と触れないようにしてあげようか?

「そうだよ。東洋の浮竹から離れてよ!」

東洋の京楽は、ブラッディ・ネイを手にかけたがっていたが、一応西洋の浮竹の妹であるのだからと、自分を戒めた。

二人の京楽につまみあげられて、ブラッディ・ネイはポイッと捨てられた。

「ああ、兄様が二人・・・ひげもじゃも二人だけど、いい・・・・」

自分の世界に入りだしたブラッディ・ネイを無視して、4人はお茶を飲んでスィーツを食べた。

(ああ、この白玉餡蜜、キミがつくったね?)

「ああ、うん。分かるんだ?」

(友人のことだから、たいていのことは分かるよ。美味しくできてるよ)

「君に褒めてもらえるのは嬉しいね」

「京楽、おかわり」

(俺も)

おかわりを所望する二人に、白玉餡蜜をあげて、西洋と東洋の京楽は新しいレシピについて話あっていた。

「兄様の使ったスプーン・・・・」

「おい、ブラッディ・ネイ!何変態的なことをしている!」

西洋の浮竹の使用済みのスプーンを舐める実に妹に、実の兄である西洋の浮竹が、頭をハリセンで叩いた。

「ああ、兄様の愛を感じる」

「もういいから、お前はとっとと帰れ。そのスプーンはやるから」

「兄様成分をもっと補充したい!」

「ぎゃあああああああ」

西洋の浮竹は、悲鳴をあげていた。

衣服を脱がしてくるブラッディ・ネイを、西洋と東洋の京楽が、額に血管マークを浮かべて、べりっと、西洋の浮竹から引きはがした。

「た、助かった・・・」

「何浮竹に手を出してるの。ブラッディ・ネイでも許さないよ」

(実の妹か何かしらないけど、西洋の浮竹に手を出すのは許せないね)

ゴゴゴゴゴ。

二人の怒りを買い、ブラッディ・ネイは東洋の京楽の蛇でぐるぐる巻きにされて、西洋の京楽に使用済みのスプーンをとりあげられた。

「覚えてろ、ひげもじゃ!ボクは、こんなことでは屈しないんだからね!」

血となって、ブラッディ・ネイは戒めを解くと、そのまま血の形で移動して、血の帝国に戻っていった。

「すごいな、東洋の京楽。あのブラッディ・ネイを拘束できるなんて」

(大したことじゃないよ。同じ東洋の浮竹にもできることだよ)

「蛇かー。札をもらったが、つい使うことを忘れるんだよな」

(つ、使ってくれ!使ってくれないと俺みたいに拗ねるからな!)

「ああ、ごめん。でも、この前の遺跡探検では十分に使わせてもらったぞ?」

(それならいいんだ。俺の蛇は、使ってもらわないと拗ねるからな。されより、いいのか西洋の俺。実の妹にあんなふうに接して)

心配してくる東洋の浮竹を、西洋の浮竹が頭を撫でた。

「あの妹は、性格が破綻している上に、いろいろと厄介なんだ。西洋の俺が気にすることじゃない」

そんな二人を見て、西洋と東洋の京楽は、ほっこり二人を見つめていた。

(西洋と東洋の京楽の視線が気になる)

「俺たちが仲良くしていると、何か熱い視線を感じるな」

「いやぁ、いいね。西洋と東洋の君たちが仲良くしてるのは、心が和む」

(まぁ、西洋の浮竹だから許してあげる)

東洋の京楽は、自分の浮竹に誰かが触れることを嫌っていた。自分だけのものだと、知らしめてやりたくなる。

「やっぱり、浮竹こっちにおいで?」

「なんだ、京楽?」

(十四郎もこっちにおいで?)

(春水?)

二人は、それぞれ伴侶を抱きしめた。西洋と東洋の浮竹が仲良くしているのは心が和むが、やはり隣には自分がいたいのだと、西洋と東洋の京楽は思うのであった。

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「東洋の俺は、いつも同じ着物を着ているな?近くに町があるから、服を買いに行こう」

(え、でも、俺たちはこの国の通貨をもっていないぞ)

「それくらい、俺が出してやる。金なら腐るほどあるからな)

(でも、悪い・・・・)

(十四郎、言葉に甘えたら?西洋のキミが、気遣ってくれてるんだ。たまには甘えもいいんじゃないかあ)

「そうだよ、東洋の浮竹。東洋の僕の服も、一緒に買いに行こう」

そうして、ガイア王国の一番近い街に、4人はきていた。

それぞれ認識阻害の魔法をかけていたので、お互い双子のようであったが、周囲の人間から見たら完全に違う姿に見えた。

東洋の京楽は、念のためにと、東洋の浮竹の影に黒蛇をもぐらせて、守護にあたっていた。

「これなんか似合うな。これもどうだ?」

あれこれと選んでくる西洋の浮竹に、東洋の浮竹はされるがままになっていたが、東洋の浮竹も自分で服を選びはじめた。

それを見守る西洋の京楽と、巨大な黒蛇の姿で見守る東洋の京楽。

「こっちもいいな。そうだ、せっかくなんだから、同じ服を買ってペアルックってのはどうだ?」

「お、いいね。じゃあこの服を2着買ってきなよ」

西洋の浮竹は、ラフな格好の衣服を2枚分買って、東洋の浮竹と試着室でそれぞれ着替えた。

その間に、西洋の京楽は、東洋の京楽に上下セットの衣服を買ってやった。

(ボクの分まで、ありがとう。いいのかい?)

「友人でしょ。そう硬くならないでよ」

(そうだね)

試着室から出てきた西洋と東洋の浮竹は、ファンタジー風味のするこの世界の衣服がよく似合っていた。

「わぁ、いいね、双子でどっちがどっちだが、一瞬分からなくなったよ」

(こっちが、ボクの十四郎だね)

「見た目も同じだけど、纏っている雰囲気が違うからね。こっちが僕の浮竹だね。血の匂いで分かる」

そのまま着て帰るからと、合計で金貨4枚を支払った。

(金貨が4枚・・・・金貨・・・・・)

「東洋の俺、金貨はこの世界の貨幣だ。多分、そっちの世界の金より価値は低いぞ」

(でも、金貨だぞ!)

節約家の東洋の浮竹には、金貨の存在そのものがだめらしい。

「まぁ、この服屋は高いからな。普通は銀貨20枚ってところだ。俺は金銭感覚が一般常識からずれているらしい」

(まぁ、とにかく古城へ戻ろう)

Sランク冒険者の浮竹と京楽がきていると、少しだけ騒がれはじめたのだ。

早めに古城に戻り、西洋の京楽はダージリンのお茶を4人分注いだ。

「お茶でも飲んで、一息つこうよ」

東洋の京楽は、フルーツタルトを作ってもってきてくれた。

みんな、それを味わいながら食べる。

「おいしいな」

「うん、おいしいね。東洋の僕、後でレシピちょうだいね」

(さすがにおかわりはないか。少し残念)

(元の世界に戻ったら、いくらでも作ってあげるから)

そんな東洋の浮竹と京楽に、西洋の浮竹が申し訳なさそうにしていた。

「あの街には冒険者ギルドがあるんだ。Sランク冒険者で登録しているから、顔が認識阻害の魔法をかけていても、知られているんだ」

(びっくりした)

(ボクもだよ)

「夕飯は食べていくか?」

(いや、お茶をしにきただけだから、そろそろお暇する)

「その服、元の世界では着れないデザインかもしれないな。こちらの世界では普通なんだが」

「文化が違うからねぇ。そっちの世界は文明が進んでいるけど、こっちはそっちでいう、異世界ファンタジーの世界だし」

(大切に保管しておく。こっちに来るときにでも、着てくるさ)

(ボクも、西洋のボクから服を買ってもらったんだよね。また遊びに来る時にでも、十四郎と一緒に着てくるよ)

「ああ、気をつけてな。お土産だ。京楽」

「苺のショートケーキだよ。そっちの世界に戻ったら、食べてよ」

ショートケーキを受け取って、東洋の浮竹もお土産だと、白蛇の置き物を取り出した。

(運気逃げそうだが・・・置物はこれくいらしかなくて)

「・・・・まぁいいか。黄金のハニワの傍に飾っておく」


(ありがとう。世話になった。またお茶をしに遊びにくる)

(十四郎、楽しそうだったし、ボクもまた来るよ)

「ああ、じゃあな!」

西洋の浮竹は、ぶんぶんと手を大きく振った。

少しずつ、東洋の二人が透けていく。

やがて完全に消えてしまい、浮竹と京楽は、お茶の続きだとばかりに、二人で友人たちのことに花を咲かせて、ダージリンンの茶を飲むのであった。

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「母様、父様?」

ブラッディ・エターナルは、自分の実の親になる浮竹と京楽を見ていた。

「俺たちは、お前の母親でも父親でもない」

「血が繋がっているかもしれないけど、僕たちに娘はいない。いたのは、昔養女にしたエメラルドだけだよ」

かつて、娘として愛した、ヴァンピールの少女がいた。

ヴァンパイアハンターに利用されて殺された。

「お前は、俺たちの娘じゃない」

「僕たちには、娘はいない」

ブラッディ・エターナルは、浮竹によく似た顔で、囁く。

「始祖なんて、いらないのに」

浮竹と京楽は、身構える。

ブラッディ・エターナル。

永遠の血の名をもつ少女は、母親に値する始祖の浮竹を睨むのだった。




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始祖なる者、ヴァンパイアマスター25

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「ん・・・朝か」

気づくと、朝になっていた。

体はまだ女だった。

「京楽、起きろ、朝だぞ」

「うーん、もう少し・・・・」

京楽もまた、女の体だった。

男同士でいく快楽とまた違った快楽の味をしってしまった二人である。

「風呂に行こう」

「僕が、胸で浮竹を洗ってあげる」

「じゃあ、俺は手で洗ってやろう」

浮竹と京楽は、風呂に入った。性的なことはせずに、お互いの体を洗いあい、長い髪を洗った。

そのまま、3日が過ぎた。

二人は、男の体に戻っていた。

女の体で味わった快感を忘れられなくて、夜になって京楽が寝たのを確認してから、下半身の衣服に手を伸ばして、自分のものを握った。

それはすでに硬くなっていて、今だけだからと自分に言い聞かせて、手でこすりあげた。

「ああっ」

声が漏れる。

京楽を起こしてはいけないと、シーツを噛んで、自虐行為を繰り返した。

「んっ」

自分の手の中に欲望を吐き出して、浮竹はティッシュをとろうとした。

「浮竹?」

「きょ、京楽!?寝ていなかったのか!?」

「寝てたよ。隣で君がごそごそしだして起きちゃった。僕がいるのに、一人エッチなんてだめだよ。僕が君の熱を鎮めてあげる」

強引に覆いかぶさられて、浮竹は体液でべとべとな手で、京楽の手を握っていた。

「あ・・・」

「甘いね。君の体液の味がする」

それを、京楽が舐めとった。

「一人でするんなんて、お仕置きが必要かな?」

「やあああ」

出したばかりのものに舌を這わされて、浮竹は身をくねらせた。

「ああ、君の体液は本当に甘い」

「やっ」

まるで襲われるような錯覚を覚えた。

京楽はやや強引に、ローションを自分のものにまとわせると、蕾を解すことなく侵入してきた。

「やああああああああ!!」

そこは、何度も京楽のものを飲みこんでいたので、やすやすと京楽のものを受け入れた。

「痛い?」

「あ、痛くはない」

「ならよかった」

そう言って、京楽は浮竹を突き上げた。

「んあああ」

「女の子同士もいいけど、男同士もいいね。快感が、半端じゃない」

京楽は、浮竹のものをしごきあげた。

「やああああ!!!」

「一人えっちより、僕としたほうが気持ちいでしょ?」

その言葉に、浮竹はこくこくと頷いた。

「ああ!」

最奥を抉られて、熱をぶちまけられた。

それを感じながら、浮竹もまたオーガズムでいっていた。

「んあああ、あ、あ」

「奥、ごりごりされるの好きだよね?」

「あ、好き、もっと、もっと」

奥をごりっと抉って、京楽はまた浮竹の胎の奥で、子種を注いでいた。

「ああ、君がずっと女の子なら、子供ができちゃうね」

「やああ、俺は、俺のままを愛してほしい」

「うん。女の子同士は、刺激を求めたい時だけ、ね?」

「春水、春水」

「十四郎、愛してるよ」

浮竹は、京楽の手に追い詰められて、精液を出していた。

「あああ!」

「んっ、僕もまたいくよ。全部受け止めてね?」

「ひあああ!!」

どくんどくんと、濃い精子を注ぎ込まれなながら、浮竹はオーガズムでいっていた。

浮竹の肩に噛みついて、吸血する。

「あああ!」

浮竹は吸血の快楽に飲みこまれて、意識を手放していた。

ずるりと引き抜きと、浮竹の中に注いだものがこぷりと逆流してきた。

全部出したので、その量は多かった。

濡れたタオルでもぬぐいきれなくて、何枚もタオルを出してふいた。

「君は、僕だけのものだ・・・・・」

京楽は、浮竹を抱きしめるのだった。


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「ブラッディ・エターナル」

「何、ブラッディ・ネイ」

「父親と母親には、会いたくない?」

「少しだけ、会いたいわ」

「じゃあ、ボクが用意してあげる。ブラッディ・エターナルと、その両親の感動的な出会いを!」

そんなことをブラッディ・ネイが企んでいることも知らずに、浮竹と京楽は、静かに眠りにつくのであった。


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始祖なる者、ヴァンパイアマスター25

松本乱菊は、古城に来ていた。

「はい、注文の性別転換の秘薬。それから、こっちはおまけの媚薬入りポーション」

「京楽、お前は・・・・・」

「いいじゃない、浮竹。女の子同士でするのも、気持ちよかったでしょ?」

「あら、浮竹さんを女の子にして、そのまま京楽さんが襲うのじゃないのね。京楽さんも女の子になって、二人で百合プレイするのかしら」

「ノーコメントだ」

浮竹は、赤くなりながら、京楽を殴っていた。

「じゃあ、あたしは帰るわね」

「まて、せっかく来たんだ、少しゆっくりしていけ」

「え、でも、秘薬もってきたし、あたしにもう用はないでしょ?」

「ここ最近平和すぎて、することがない。せかっく遊びにきてくれたんだ。つもる話しでもして、泊まっていけ」

「浮竹さんがそういうなら、お言葉に甘えるわ」

乱菊はそう言って、古城に泊まった。


「だからねぇ、ブラッディ・ネイは何気にいい顧客なのよ。特に媚薬系のポーションを大量に買って行ってくれるから」

「ブラッディ・ネイは・・・・・あれは、肉欲の塊だからな」

浮竹は、実の妹ブラッディ・ネイに厳しい。

そうしないといけないようなことを、ブラッディ・ネイはしてきたし、今でも浮竹を伴侶として欲しがっていた。

「今は、ブラッディ・エターナルとかいう、俺に似た少女を寵愛しているそうだ」

「それなんだけど・・・・・・」

乱菊は、言いにくそうに浮竹と京楽に話す。

「ブラッディ・ネイから聞いたんだけど、女体化した浮竹さんと男性のままの京楽さんが睦み合った時、受精した卵子を盗んで、育てたそうよ」

「・・・・・本当なのか」

「ええ」

浮竹は、頭を抱え込んだ。

「ブラッディ・ネイめ・・・・」

「浮竹、じゃあブラッディ・エターナルって子は、僕らの子になるの?」

「そうなるな。でも、ブラッディ・ネイの手で育てられたのなら、今更俺たちが本当の親だと名乗っても、なんにもならないだろう」

「そうだね。あのブラッディ・ネイの寵愛を欲しいままにして、そのまま助けを求めることもしてこないってことは、僕らの子というより、ただ僕らの子の受精した卵子を盗んだだけになるから」

浮竹も京楽も、あまりブラッディ・エターナルを助けたいとか、親として名乗りでたいとか、そいうことを言わなかった。

「ブラッディ・ネイは俺を愛しているからな。俺によく似た、自分好みの寵姫ができたのなら、深く愛するだろう。ブラッディ・ネイに愛されて、愛を返しているのなら、俺たちはブラッディ・エターナルとやらとは無縁でいたい」

「あらー。てっきり、怒って俺らの娘を返せっていうのかと思ってたのに。意外~」

「娘をもった実感がない。受精した卵子を盗んだんだろう。本当は、この世界に生まれてくる命じゃなかった。つみとるのもかわいそうだから、放置でいいと俺は思う」

「僕も、浮竹に賛成だね。娘って言われても、絶対愛せない。ブラッディ・ネイに育てられた子なんて」

乱菊は、高級ワインをぱかぱかおかわりしていく。

かなり酒に強いようで、浮竹は酔ってつぶれてしまっていた。

「あら、京楽さん、あなたもお酒つよいのね?」

「そういう乱菊ちゃんもね」

京楽は、ワインだけでなくウォッカやジンといった、アルコール度の高いものをもちだしてきた。

「どっちが強いか、飲み比べしない?」

「あら、いいわね。負けないんだから」

そうして、二人は深夜まで飲んだ。

結局最後は乱菊が酔いつぶれて、酒豪の京楽は、ゲストルームに乱菊を寝かせ、自分たちの寝室に浮竹を寝かしつけて、その隣で寝るのであった。

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「うう・・・頭いたい」

次の朝起きると、浮竹は酷い二日酔いに眉を顰めた。

「浮竹、大丈夫?」

京楽が、水をもってきて、飲ませてやった。

「あたしも頭いたーい。久しぶりに二日酔いになったわ・・・・」

「乱菊、何か効くポーションはないか?頭が痛くてどうしよもない」

「あるわよ。二日酔いにきく万能ポーション。1個金貨4枚だけど、買う?」

「金をとるのか」

「ふふふ、友達でも、お金はもらうわよ?原価がかかってるんですもの」

「ほら、金貨4枚だ」

浮竹は、金貨4枚を渡して、乱菊から二日酔いに効くポーションをもらい、それを飲んだ。

「乱菊、腕をあげたな」

薬はよく効いて、嘘のように二日酔いは消えていた。

「うふふふ。あれから更に勉強して、あたしの錬金術士の腕は金クラスからプラチナクラスまであがったの」

「すごじゃないか!」

「ありがとう、浮竹さん。全部元を正せば、師匠になってくれたあなたのお陰よ」

「乱菊ちゃん、いつかミスリルクラスになれるといいね」

京楽が、戦闘人形のメイドが作った朝食を手に、ダイニングルームで、浮竹の世話をしていた。

「うふふふ、いつ見てもあなたたち、仲いいわね。見ているだけで、こっちがお腹いっぱいになっちゃうわ」」

乱菊は、開いた胸元を直しながら、二人を見た。

「京楽、乱菊の分の朝食も頼む」

「分かってるよ。乱菊ちゃん、昨日は夕飯あまり食べずに酒盛りになったから、お腹すいてるでしょ」

「ああ、そうなのよ!お腹ぺこぺこよ!浮竹さんのとこの戦闘人形の料理の腕はピカ一だから、楽しみにしてたのに、昨日は京楽さんと飲み比べになったでしょ?」

「俺は、すぐに酔いつぶれたけどな」

「浮竹はお酒に強くないんだから、仕方ないよ」

「京楽が酒に強すぎるんだ」

3人は広いダイニングルームで、少し遅めの朝食をとった。

「そうそう、新しい服が欲しいのよね。魔女の里と周辺は田舎だから、ろくなお店がなくって。この古城って、ガイア王国でもけっこう賑わってる町が近くにあるじゃない。いろいろ買いたいから、二人とも、付き合ってくれない?」

「俺は構わないが、お前はどうする、京楽」

「浮竹が行くなら、もちろん僕もいくよ」

「世界樹の雫を売ったお金があるから、お金には困ってないのよね。それに最近は錬金術の腕も認められて、世界中に顧客がいるし。もうかって、ウハウハなの」

朝食を食べ終えて、着替えをした浮竹と京楽は、神々の谷間を強調する魅惑的な衣服を着た乱菊を連れて、町にまで繰り出した。

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「なんで、俺だけ女なんだ・・・納得がいかない」

浮竹は、京楽の手で女体化する秘薬を飲ませられて、体が女性になっていた。

「今日からしばらく、浮竹には女体化したままでいてもらうから」

「だからなんで」

「僕がそうしたいと思ったから」

「お前の考えることは、時折よくわからん」

「あら、かわいい、浮竹さん、女の子になると美人ね?元から美人だけど、拍車がかかって素敵!」

乱菊は、浮竹の腕をとって抱き着いた。

「いいねぇ女の子同士で買い物!僕は荷物を持つ係でいいよ。といっても、アイテムポケットに入れちゃうけどね」

乱菊に連れられて、ランジェリーショップに入った。

浮竹は真っ赤になっていたが、乱菊が選んだ、かわいらしいブラジャーとパンティーを買った。
ベビードールも買った。

乱菊は、無論自分のものも買うが、浮竹を着急かせ人形にできるのが楽しいのか、終始ご機嫌であった。

「なぁ、これ、胸元空きすぎてないか?あと、こっちのスカート、スリットが入りすぎだ」

「似合ってるわよ?肌が白いから、ワインレッドが似合うわね。あ、こっちの服もかわいい!あっちも、浮竹さんに似合いそうね?」

「乱菊、絶対遊んでるだろ」

「あら、いやね。楽しんでるのよ。同性の友達と、こうして衣服を買うのが、夢だったのよ?」

「俺は男だぞ」

「でも、今は女の子じゃない」

「う・・・・」

京楽は、浮竹に似合う服を次々と買って、アイテムポケットにいれていく。

「乱菊ちゃん、肝心の自分の分選ばないと」

「あらそうね。浮竹さんの衣服ばかり見てて、自分の分を買うの忘れてたわ」

乱菊はそう言って、気に入った服を次々と買っていった。

京楽のアイテムポケッとに入れると、浮竹の分とごちゃ混ぜになるので、乱菊は自分の服は自分のアイテムポケットに入れていった。

認識阻害の魔法をかけてはいるが、女の子になった浮竹と、妖艶な乱菊は目立った。特に、浮竹が目立った。

「かわいいね、彼女たち。よければ、俺たちとお茶しない?」

噴水で、休憩していた浮竹と乱菊のところに、ちゃらちゃらした3人組の男性がきた。

「あたしたち、暇じゃないの。他を当たってちょうだい」

「ひゅー、こっちの彼女かわいいーー」

「離せ!」

「ちょっと、浮竹さんに何するの!」

浮竹は、エルフに見えていたが、美貌は認識阻害の魔法をかけても隠しきれなかった。

「ちょっと、何してるんだい?」

瞳を真紅にした、京楽が、二人分の飲み物を買って現れた。

「この二人は僕の連れだよ。手を出すなら、死んでもらうけど?」

「やべぇ、こいつSランク冒険者の京楽だ!逃げろ!」

3人組は、冒険者だった。

Dランクの、駆け出しの冒険者だったが、Sランク冒険者である京楽の顔は知っていた。無論浮竹の顔も知っているのだが、今は女体化しているせいで、美しいエルフに見えた。

「浮竹も乱菊ちゃんも、怪我がない?」

「大丈夫よ。それとり浮竹さん、大丈夫?腕、きつく捕まれてたでしょ」

「大丈夫だ。それより、早く買い物を終わらせて古城に戻ろう」

「えー。さっきのはなかったことにして!もう少し、ショッピング、楽しみましょ?」

「僕がちゃんと見ておくから。乱菊ちゃんと、楽しんでおいで?」

浮竹は乱菊に連れられて、次の服屋に入り、そこでも大量に買い物するのだった。

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「今日は、このレストランで夕食をとろう」

貴族階級が出入りするレストランだった。

Sランク冒険者も出入りしていた。

ブルーのマーメイドワンピースを着た浮竹と、ワインレッドの同じ形のマーメイドワンピースを着た乱菊をエスコートして、京楽は中に入った。

個室を貸し切りにして、浮竹も京楽も乱菊も、そのレストランのメニューを食べて、満足しているようだった。

「おいしいな」

「本当に、おいいしわ。京楽さん、よくこんな場所知っているのね」

「冒険者のギルドマスターが経営に携わっているレストランだよ」

「そうなのか。気づかなかった」

「ああ、今日の浮竹は一段と美人だね」

「あたしの選んだ服、似合ってるでしょ?」

「うん、すごくいいかんじだ」

褒められて、浮竹は真っ赤になった。

ワインを呷るように飲む。

「浮竹、酔うと帰るの大変になるから、ワインはほどほどにね?」

「分かってる・・・・」

浮竹は、ワインの代わりにアルコール度の低いカクテルを注文して飲んだ。

「この味、帰ったら戦闘人形に教えておこう・・・・・」

浮竹は、一度味わったものなら、レシピなしでも戦闘人形に作らせることができた。

乱菊は、ワインをたくさん飲んだ。京楽もだ。

「酒に強いのは、羨ましい・・・・・」

「あら、あたしには酔えるほうがいいけど。強いから、酔えるようになるまでが大変なのよね」

「僕は酔ったことないから、分からないね」

3人で食事を楽しんで、古城に帰還した。

アイテムポケットから出した浮竹の女ものの服を、京楽は空いているクローゼットにしまいこんでいく。

その日は、そのまま風呂に入り、皆普通に就寝した。

次の日も、浮竹は女体化したままだった。

「たくさん服用したから、少なくともあと2日は女性のままよ?」

「京楽、お前、こうなることを知ってて・・・・」

「なんのことだろうね」

「後で、覚えてろ!」

乱菊は、2日古城に泊まって、故郷である魔女の里に戻っていった。

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京楽は、自分もまた女体化の秘薬を飲んで、女性になった。

浮竹が服を選んでいる間に買った、セクシーセーターを着て、ベッドの隅で縮こまっている浮竹の背を撫でた。

「ひゃあ!」

「そんなに緊張しないで。ああ、かわいいよ十四郎」

ベビードールを着た浮竹に、京楽はメロメロだった。

「たくさん愛してあげるからね?」

「やぁあん」

ベビードールの上から、控えめな胸を揉みしだかれて、浮竹は甘い声をあげていた。

「ああ、かわいいね、このベビードール。脱がせるのが勿体ないよ」

浮竹は、女性もののブラジャーとショーツを身に着けていた。

それを、京楽の手が脱がしていく。

「愛してるよ、十四郎」

「あ、やっ」

胸の先端に吸い付き、にじみ出る母乳を舐めた。

「やああ」

ショーツを取り去った秘所は、濡れていた。

「ああ、もうこんなに蜜を溢れさせて」

京楽は、セクシーセーターを着たまま、浮竹の秘所に舌を這わせた。

「ああ、甘いね。君の体液は甘い」

「ああん!」

秘所の中に舌をいれられた。

「あああ!」

浮竹は、女の体でいっていた。

「春水、お前も!」

浮竹は、京楽のセクシーセーターを脱がして、京楽の放漫な胸を揉んだ。

「んっ。いいよ、十四郎。その調子で」

京楽の下着をはぎとり、自分がされたように、胸に吸い付いて、秘所に舌を這わせた。

「んっ」

「春水、もっと声出して?感じてる春水の声が聞きたい」

「僕はいいから。君をいかせたい」

京楽は、浮竹の濡れた秘所に指を入れて、Gスポットをぐりぐりと刺激した。

「やああああ!!!」

ビクンと、浮竹の体が弓なりにしなった。

「や、いっちゃう、いっちゃう!」

「好きなだけいっていいよ」

陰核に舌を這わしてつまみあげると、浮竹は泣きだした。

「気持ちよすぎて怖い」

「大丈夫だから、十四郎。好きなだけいって?」

京楽は、何度も舌を秘所に這わせて、溢れ出る蜜を飲んだ。

舌で抉りながら、指も侵入させて、Gスポットをせめた。

「あああああああああ!!」

ぷしゅわあああ。

音を立てて、浮竹は潮をふいていた。

「やああ、潮、やだああ、やあああ」

「浮竹は、男の子でも女の子でも、潮をふいちゃうね?」

「やぁあ、言わないでええ」

浮竹は何度もいかされたが、まだ自分を保っていた。

「今度は、俺が春水にしてやる」

「無理はしなくて、いいからね?んあっ」

いきなりGスポットを指でぐりぐりされて、京楽は珍しく喘いだ。

「ちょ、十四郎」

「春水もきもちよくなって?せっかくお前も女なんだ。いってしまえ」

浮竹は、京楽の秘所に舌を這わせて、秘所に溢れる蜜を口にした。

「お前の体液も、甘い・・・・・」

「主である、君のせいだよ・・・・・」

ぐりぐりと、Gスポットを舌で抉ってから、浮竹の指が入ってくる。それはGスポットの天井あたりを刺激した。

「ああっ」

「春水、かわいい。もっと声聞かせて」

「十四郎・・・・・」

二人は、お互いの秘所をいじりあいながら、口づけをした。

舌を絡ませあう。

それから、一緒のタイミングで吸血した。

「あああああ!!!!」

「んくっ」

凄まじい快感に、お互いを抱きしめあっていた。

「十四郎、愛してるよ」

「あ、春水、俺も愛してる・・・・・・」

脚を交差させて、秘所と秘所をくっつけ合わせた。

そして、指でぐりぐりと刺激する。

Gスポットを互いに刺激しあいなあがら、高みにのぼっていく。

「ああああん!」

「んあっ」

快感に頭が真っ白になった。2人そろって、潮をふいていた。

そのまま、真っ白な快感の波にのまれて、二人は微睡んでいった。






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始祖なる者、ヴァンパイアマスター24

「浮竹殿、京楽殿!」

「ルキアちゃん、大丈夫だった?怪我とかない?」

「ルキア君、ああいう連中は魔法の一発でもかまして、痛い目を見せたほうがいい」

「私は無事です。浮竹殿と京楽殿に迷惑はかけたくないので・・・・」

「ほんと、ルキアちゃんはいい子だねぇ」

「ああ、さすが白哉が溺愛する妹だ」

ルキアは褒められて、顔を赤くしながら、ずっしりとした金貨を受け取った。

「あの、これは?」

「討伐依頼の報酬金と、ドラゴンの素材をさばいたのと、ミスリルのゴーレムを買い取ってもらった全ての金額を、3当分にしたうちの1つだ」

「受け取れません」

「いいから、受け取って。冒険者は、こうやって生計を立てているんだから。ルキアちゃんも、一応Aランクの冒険者ってことになってるし」

「でも、こんな高額・・・・」

「それだけのことを、僕らはなしとげたんだよ」

「京楽の言う通りだぞ。遠慮せずに受け取ってくれ」

「浮竹殿と京楽殿が、そこまで言うのなら・・・」

ルキアは、大金の詰まった袋を、アイテムポケットにしまった。

そして、馬車を雇って、古城の近くまでくると、馬車の業者に金貨を数枚握らせて、古城に戻った。

「ルキア、おまえ何してたんだ!」

「ルキア、どこへいっていた?」

ルキアの守護騎士である一護と冬獅郎が、古城にきていた。

「あ、浮竹殿と京楽殿と冒険者ごっこをしていた。ドラゴンを、私一人の手で倒せたのだぞ!あと、聖属性の攻撃魔法を、新しく2つ覚えれたのだ」

「あんま心配かけんなよ。置き手紙で、浮竹さんと京楽さんのとこ行ってくるって書いただけだっただろ。ほんとに、心配したんだぞ」

「すまぬ、一護。しかし、私は守られてばかりは嫌なのだ!強くなりたい!」

「それで、浮竹と京楽を頼ったわけか」

「そうだ。心配をかけたことは本当にすまぬ。だが、2週間近くの冒険で、私は成長した。ドラゴンを単独で屠れるようになった」

「ドラゴンっていっても、竜族じゃない雑魚ドラゴンだろ」

「そ、そうだが、それでも倒せるようになったのだ!」

一護は、ルキアの頭を撫でた。

「おめでとう、ルキア。でも、お前を守るのは、俺と冬獅郎の仕事だ。仕事を全部とりあげないでくれよ?」

「う、うむ・・・・」

「一護、ルキアと最近仲がいいな・・・・・できてるのか?」

「な、冬獅郎、違うぞこれは!」

「そうだぞ!何故皇族の皇女である私が、こんな一護如きに!」

「こんなってなんだよ。如きってなんだよ」

「そ、それはつまり・・・・」

ルキアは真っ赤になった。

「はいはい、その先は血の帝国に戻ってからにしてくれないかな。長旅で、僕も浮竹も疲れてるんだよ」

「はっ、そうでした!浮竹殿、京楽殿、本当にお世話になりました。また、遊びにきてもいいですか?」

「いつでもおいで」

「ああ、いつきてもいいぞ・・・ただし、夜はなるべくやめてくれ」

「は、ばい!」

ルキアは真っ赤になってから、一護と冬獅郎を伴って、血の帝国に帰っていった。


「疲れたね」

「ああ。今日は、飯を食って風呂に入ったら、もう寝る」

「そうだね。僕もそうしよう」

長旅の疲れを癒すように、白桃の温泉の素をいれた湯に浸かってから、戦闘人形の作った夕食を口にして、その日は早めに就寝した。

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「十四郎、愛してるよ」

「なんだ、こんな朝っぱらから」

「昨日は疲れてたから我慢したけど、もう君を2週間以上も抱いていない。我慢の限界だよ」

「春水・・・」

二人は、風呂に入ってから、衣服を脱ぎあって、ベッドに上でもつれあった。

「んっ!」

薄い胸板を撫でられて、浮竹は久しぶりの感触を味わっていた。

京楽とは、3日に一度は睦み合っていた。

「んん・・・・・」

「ああ、君の肌だ。雪のように白くてなめらかで・・・」

京楽は、浮竹の肌に舌を這わしていく。

鎖骨に吸い付いて、首元から胸元にかけて、花びらを咲かせた。

「あ・・・・・・」

胸の先端を口に含んで舐め転がして、反対側をつまみあげた。

「あ!」

ぴりっとした刺激を受けて、浮竹のものはわずかに勃ちあがっていた。

それに手をかけず、京楽はしつこく胸ばかりをいじった。

「やああ、触ってえ」

京楽は、それでも浮竹のものに触れない。

「やだあああ」

浮竹は、我慢できずに自分のものを自分でしごきだした。

その大胆な行動に、京楽が驚く。

「今日の十四郎は、エロいね?」

肩に噛みついて吸血してやった。

「あ”あ”あ”!!!」

気が狂いそうなる快感に、浮竹の体が暴れる。

それを制して、京楽は口に残った浮竹の血液を、浮竹に与えた。

「ああ・・・甘い・・・・・・」

「ね、君の体液は甘いでしょう?」

再び、京楽は浮竹の血を啜った。

人工血液剤を噛み砕いていたが、渇きすぎていた。

「あ、俺を抱いてくれ、春水!おれをめちゃくちゃにしてくれ」

吸血による快感に支配されながら、浮竹はそんなことを言っていた。

「たっぷり、かわいがってあげるから。君を抱くのは2週間ぶりだよ」


「あああ!」

蕾にローションを垂らした指が入ってきて、浮竹を追い詰める。

「やあああ、触って!」

「まだ、だめ」

「やあああ、意地悪言わずに触ってええええ」

京楽は、浮竹の勃ちがったものには触れずに、指で蕾をぐちゃぐちゃにした。

「触って・・・ああっ」

我慢できなくなって、浮竹は自分のものに手を這わせた。

「ああああ!!!」

触っていると、京楽の手で包まれた。

そして、戒められる。

「やああ、いかせて!」

「勝手に触っちゃだめじゃない。十四郎、我慢できなかった?」

こくこくと頷く浮竹にキスをして、京楽は戒めをといてやる。

浮竹の濃い精液が、びゅるびゅると勢いよく弾けた。

「あああああ!」

「ここに、僕のものをあげるからね」

前立腺めがけて、京楽は己の猛ったものを突きいれて、抉ってやった。

「やあああああ!!!」

京楽は、浮竹と舌を絡み合わせた。

「やあん」

前立腺をぐりぐり刺激してやると、浮竹はかわいく啼いた。

浮竹は、また精液を吹き零しながら、涙を流した。

「あ、春水、春水、もっと!」

「淫乱な子だ。でも、そういうの好きだよ」

「ひあああ!」

最奥の結腸までごりごりと擦りあげられて、浮竹は京楽の腕に噛みついて、血を啜った。

「ああいいね・・・気もちいいよ十四郎」

「俺の奥で、奥に出してくれ。お前の熱い子種を」

「出すよ。ぶちまけるから、全部飲みほしてね」

「ひああああ!!」

「すごい締め付けだね・・・・ん、君の中がうねって、熱くて凄い」

京楽は、2回連続にわたり、浮竹の胎の奥に出していた。

出されるその感触にうっとりとしながら、浮竹は自分の唇を舐める。

「ああ、エロいね。君のその仕草、好きだよ」

「やあああ!!」

奥を抉ってやりながら、浮竹のまだ萎えていないものに手を添えて、しごきあげた。

「ひっ!や、いく、いちゃう、だめえええ」

「好きなだけいっていいよ。かわいいよ、十四郎」

「やあぁ、春水」

浮竹は、精液を京楽の手の中に放ちながら、オーガズムでもいっていた。

「あああ・・・・・」

最後の一滴までを絞り出して、浮竹はそれ以上精液を出すことはなかった。

かわりに、時折潮をふいた。

「やああ、濡れちゃうから、潮はやだぁ!」

「女の子みたいにいく十四郎は好きだよ?」

「やあああ!!!」

京楽に体位を変えられて、背後から貫かれていた。

「あ、ああああ!!」

抉られ、思い切り揺すぶられて、浮竹はオーガズムでいきまくっていた。

「いやぁ、久しぶりだから、いくのがとまらない、やだぁ」

「好きなだけいっていいよ。足始末はちゃんとしてあげるから」

「ああああ!!」

ごりっと、結腸の入り口をこねられて、浮竹はいっている最中に、京楽が肩に噛みついて吸血してきた。

「んああ!」

浮竹は、吸血による快楽を受け止める。

「あ、あ、あ、春水の、最後の一滴まで、俺にちょうだい。孕むくらいに」

「いいよ。全部君にあげる。だから、孕んでね?」

「あ、ああああ!!」

全部を受け止めて、浮竹は下腹部を膨らませた。

「んあああ・・・・・」

最後の一滴まで、奥に出されるのを感じながら、浮竹は意識を失った。


体を濡れたタオルでふいて、中にだしたものをかき出してやり、シーツを変えた違うベッドに浮竹を横たえた。

「今日の君は、大胆だったね」

「や、言うな」

意識を取り戻した浮竹は、自分のあられもない姿を思い出して、顔を赤くさせていた。

「ああ、春水の子種がない・・・・」

「また、今度たっぷりあげるから」

「約束だぞ?」

「うん、約束だよ」

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まだ昼だったので、二人で風呂に入り、少しだけ午睡して、起きた。

「まだ昼過ぎか・・・・・」

戦闘人形に遅めの昼食を作ってもらい、それを食べた。

それから、ミミックのポチにドラゴンステーキをあげようとして、噛まれた。

「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~」

「ああ、全く君は・・・・」

京楽が呆れながら、ミミックのポチから浮竹を救出した。

「こらポチ、浮竹にかみつくと、浮竹が喜ぶでしょう?」

「るるる~~~~」

ポチは、ドラゴンステーキを食べて、しかっている京楽の足にかみついてから、どこかに行ってしまった。

「浮竹、ポチちょっと狂暴になってない?」

「そりゃ、2週間も餌与えず放置してたからな」

「ああ、そういえばポチの餌を置いてくの忘れてたね・・・・」

ポチは、2週間放置されたことに機嫌をそこねたいた。


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「あら、手紙?」

魔女の松本乱菊に、手紙がきていた。

なんでも、性別転換の秘薬が気に入ったから、作ってほしいと書いてあった。

「そう簡単に、作れるものじゃないのだけど」

差出人は、京楽春水。

少し面白いことになりそうだと、乱菊は、添えられていた小切手の額を確認して、性別転換の秘薬を作るために、自分のアトリエに入っていくのだった。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター24

古城に戻ると、恋次は白哉の元に帰り、ルキアはしばらくの間古城に滞在するらしかった。

「ブラッディ・ネイが、ブラッディ・エターナルという、浮竹殿にそっくりの寵姫を新たに迎えたのだが、浮竹殿と血縁関係があるわけがないから、きっと他人の空似ですね」

「そりゃそうだよ。浮竹に子はいないんだから」

その、ブラッディ・エターナルが、女体化した時の浮竹と京楽の間にできた、受精した卵子から作られていることを、浮竹も京楽も知らなかった。

ブラッディ・ネイの寵愛は、今ブラッディ・エターナルが独占していた。

血を与えて、血族にしていた。

「そういえば、冒険者ギルドで、僕たち向けに依頼がきてたね」

「どんな依頼だ?」

浮竹が、魔法書を読みながら、京楽に尋ねる。

氷で冷やした麦茶を飲みながら、浮竹はS級ダンジョンで入手した魔法書を最後のページまで読み終えると、京楽に向き直った。

「なんでも、古代遺跡に出現する、機械じかけのゴーレムを倒してほしいらしいよ。他のSランク冒険者も討伐にいったけど、みんな負けて帰ってきたんだって」

「機械じかけの、ゴーレム。失われた古代文明の遺産か」

古代文明といっても、その間も浮竹は生きていたのだが。

人間世界に興味はなかったので、人間社会の文明がどうとかなんて、知らなかった。

おまけによく休眠していて、実に5千年の間眠っていた。実際に活動していたのは、3千年くらいだ。

「報酬が、古代文明の幻の魔法書らしいよ」

がたりと、浮竹は席を立った。

「京楽、退治しにいくぞ」

「ええっ!」

「じゅあ、私は留守番しておきますね」

「いや、ルキア君もきてくれ。古代のゴーレムを倒せるなんて、ドラゴン退治よりよっぽど珍しい」

「あの、私にはドラゴン退治も珍しいものなんですけど」

ポチのための、ドラゴンの肉は大量に手に入れていた。

アイテムポケットのドラゴンの素材を売るためにも、3人は冒険者ギルドに行くことになった。

冒険者ギルドに顔を出すために、認識阻害の魔法をかけていた。

浮竹はエルフの魔法使いに、京楽はハーフエルフの剣士に、他の人間から見たらそう見えた。

ルキアは、エルフの神官に見えるようにしておいた。

「おや、Sランク冒険者の浮竹さんと京楽さんじゃないか。今回は、一人仲間が増えているんだね」

ギルドマスターが、浮竹たちの対応に当たってくれた。

「うちのギルドの存在する、どのSランク冒険者でもだめだったんだ。残るは、あんたらしか、頼れる相手がいない。無理を承知で頼む。ゴーレムを、退治してはもらえないだろうか」

「報酬は、本当に古代文明の幻の魔法書なんだな?」

「ああ、そうだ。売れば、一生遊んで暮らせる」

「売らない。読んで、自分のものにする」

「魔法使いなら、それもありだろう」

この世界において、魔法は神が人間に与えた能力であった。人間社会で、魔法は研究され、増えていった。

それを、ヴァンパイアたちも覚えていった。

人間がいなければ、魔法は少なく、多彩な魔法は生まれなかっただろう。

ヴァンパイアは、その種族独特の魔法を持っている。

血の魔法と呼ばれる、自分の血を使って武器として使用したりするものだった。

他の種族には使えない魔法だ。

浮竹がもつ魔法のほとんどは、人間の文明が発明した魔法だった。

「引き受けてくれるか」

「ああ、引き受けよう」

「ありがたい!そっちのエルフの神官の女の子は、冒険者登録していないようだな?登録しないと一緒にいけないから、登録しておこう」

適性検査で、ルキアはAクラスの冒険者となった。

「Sクラス冒険者のパーティーにはAクラスのメンバーもいたこともあるし、お前さんたちなら大丈夫だろう」

浮竹は、この前クリアしたドラゴンのS級ダンジョンの素材を、解体工房で出して、大金を手に入れていた。

ドラゴンそのものをほいほいと出されて、受付嬢は失神寸前だった。

「ちょっと待て、まだあるのか」

ギルドマスターが、ストップをかける。

「まだ、半分だが?」

「すまないが、これ以上は買い取れない。資金が足りない。加工して売りさばかないと、続きを買い取れん」

「じゃあ、残りは隣国ででも売る」

「ああ、そうしてくれ」

ギルドマスターは、冷や汗をかいていた。

冒険者の最高ランクはSクラスであるが、Sクラスの中でも上位の者と下位の者がいる。

浮竹たちは、Sクラス以上の冒険者で、上位存在であった。

もしもSクラスの上に階級があるなら、そこに振り分けられていただろう。

冒険者ギルドから、直接馬車を出してくれた。

その古代遺跡まで、馬車を利用して移動した。

10日かかった。

途中に町で宿をとったりしていた。

目の前に浮かぶ光景に、京楽は目を見開いていた。

「大地が、浮かんでる!」

「大地そのものに、風の魔法がかけられている。半永久的な魔法だ」

「すごい遺跡ですね」

ルキアが、驚いていた。

「こんな遺跡をみるのは数百年ぶりだ。よく、荒されずに残っていたものだ」

馬車は最寄りの村に残して、徒歩で古代遺跡に向かったので、人間はいなかった。

遺跡を探索して、ワープ装置を利用して、浮いている島を移動する。

途中までくると、討伐依頼の出ていた機械じかけのゴーレムと遭遇した。

「ギギギギ。エラーエラー。侵入者を発見、これより掃討に移ります」

機械じかけのゴーレムの体は、ミスリルでできていた。

神の金属と呼ばれるミスリル製のために、魔法も剣も普通は効かないのだ。

京楽が、雷の魔法を纏わせたミスリル銀の剣で切りかかるが、傷一つ負わせれないでいた。

「浮竹、そっちにいったよ!」

「ライトニングノヴァ!」

浮竹は、雷系の魔法を使って爆発させるが、ミスリルでできたゴーレムには効いていなかった。

「浮竹殿、危なない!」

ゴーレムがレザービームで攻撃してきた。

それを、ルキアがシールドを張って、防いでくれた。

「ルキア君、防御を頼む」

「はい!」

「京楽は、俺に魔力を注いでくれ」

「わかったよ」

浮竹が呪文の詠唱に入る。

「我は神の子の焔。炎は踊り踊り、悲しみも怒りも飲みこむのである。我は神の子の焔。神の怒りの炎により、ここにきたれ、炎の精霊王、イフリート、フェニックス!トライアングルエクスプロージョン!」

ごおおおおおおおおお。

凄まじい火力の炎が燃えさかる。

浮竹は、炎の精霊王、イフリート、フェニックスの3体の炎を召還して、魔法としてゴーレムに浴びせた。

「ガガガピー。損傷を確認。これより、自動モードを手動モードニキリカエ・・・ガガガガピーーー」

ミスリル製のゴーレムは、半ば体を溶かされていた。

「ミスリルを溶かす炎・・・すごいね」

「禁呪だ。普段は、使わない」

「浮竹殿、その札は?」

「ああ、東洋の妖の友人からもらったものだ」

浮竹は蛇を召還して、その蛇からもミスリルを溶かす炎を吐かせていた。

「活動を、完全に停止、シマス」

ゴーレムは、半分体を溶かしたまま、その意思を失った。

京楽は、その溶けたミスリルのゴーレムに、まだ動かないか念のため血の刃を向ける。

札のせいで猛毒になっている京楽の血は、存在が生物であったならほぼ死んでいただろう。

機械仕掛けのゴーレム、人工生命体なので、京楽の血の毒はきかなかったし、すでに動きを停止していた。

「このゴーレムの体、持って帰ろう。ミスリルでできているから、いい武器防具ができそうだ」

「とりあえず、ミスリルが溶解したままだと危ないので、固まるのを待とうよ」

ミスリルの溶解が止まるまで、浮竹、京楽、ルキアは遺跡を探検し、出没するモンスターを倒した。

「東洋の僕の加護のお陰で、血が猛毒になるから、血の刃で切るだけでモンスターを倒せられて楽でいいよ」

「俺には、毒ではないのだがな」

「そりゃ、主である浮竹に血を吸われるんだから、僕の血が浮竹にとって猛毒であるはずがないよ」

浮竹は、札を使って黒い蛇を召還すると、炎を吐かせたり、戒めてその毒で殺したりして、東洋の友人からもらった札を大切そうに使った。

モンスターは後から住み着いた存在らしく、主にキメラが多かった。

「フレイムロンド!」

蛇も一緒になって、炎を吐いた。

キメラは、黒焦げになって倒れていく。

「あ、宝箱!」

きらんと、浮竹の目が光った。

「ちょっと、ここは古代の遺跡だよ。宝箱に、ミミックは・・・・」

でも、ミミックだった。

「暗いよ怖いよ狭いよ息苦しいよ~~~」

じたばたともがく浮竹を見て、京楽は苦笑いを浮かべる。

「浮竹殿、今助けます!」

ルキアも大分慣れたのか、ルキアが助け出してくれた。

「ウィンドノヴァ」

風の爆発を起こして、ミミックは消えていった。

後に残されれたのは、古代の魔法書だった。

「やった、魔法書だ。何々・・・・・古代エルフ語でかかれているな。翻訳魔法を使ってと・・・・」

浮竹は、魔法書の解読に取り掛かった。

周囲にはもうモンスターはいないようだったが、ルキアが念のために結界を張ってくれた。

そして、浮竹と京楽の魔力を回復するように、魔力回復の魔法を使ってくれた。

「ルキアちゃん、ありがとね。さっきのでごっそり魔力をもっていかれたから、助かるよ」

「ええと・・・・炎と雷の融合・・・・・ライトニングフレイムストーム。ふむふむ。新しい魔法をまた一つ覚えれた!」

浮竹は、顔を輝かせた。

そして、ルキアに結界を解いてもらい、移動して出てきたキメラにその魔法を使った。

「ライトニングフレイムストーム!」

まず最初に電撃が走り、同時に炎の嵐が起こる。

キメラは、体を黒焦げにした後、灰となった。

「ちょっとオーバーキルだな。禁呪ではないが、違う属性を組み合わせた魔法は珍しい。覚えてれよかった」

更に奥に進んで、右に曲がるとまた宝箱があった。

「宝箱っていうかミミック!」

浮竹の中で、宝箱はミミックになっていた。

でも、その宝箱は普通の宝箱だった。

「なんだ、ミミックじゃないのか。京楽、適当に中身をアイテムポケットに入れておいてくれ」

「浮竹、でも古代の魔法書だよ」

「何、それを早くいえ!」

浮竹は、京楽の手から魔法書をひったくった。

「浮竹殿は、本当に魔法書というか、魔法の収集が好きなのですね」

「まぁ、浮竹の趣味だからね。昔から収集が好きだったみたいで、今だと民間魔法も含んて2千以上の魔法を使えると思うよ」

「2、2千をこえる魔法・・・・凄まじいですね」

普通、魔法使いが使える魔法は10種類程度。Sランクの魔法使いでも、50種類がやっとといところだ。

チートもここまでくれば、もう呆れるしかない。

「浮竹、どんな魔法だったの」

「水中で呼吸できる魔法だった。攻撃魔法じゃないが、海や湖の地形のダンジョンで、使えそうだ」

「よかったね。使える魔法で」

「別に、しょうもない民間の魔法でもいい。新しい魔法なら、どんなものでも大歓迎だ」

何気に、ネクロマンサーが使うような魔法も覚えているが、使わないことにしていた。

死者の冒涜を、浮竹は嫌っていた。

大事な血族が反魂で蘇り、死していくのを目の当たりにして、余計に黒魔術と呼ばれる種類の、アンデットを操ったりする魔法は使わない。

するすると、黒蛇が浮竹の元にやってきた。ミスリルでできたゴーレムの熱が下がり、触れても大丈夫だと教えてくれた。

「黒蛇を置いてきていた。ミスリルの熱が下がって、アイテムポケットに入れても大丈夫なようだ」

来た道を戻り、ゴーレムのところにまでくると、京楽がアイテムポケットに収納した。

「さて、帰ろうか・・・・って何してるの」

「黒蛇たちに、お宝の場所を探してきてもらった。宝箱をあけに移動するぞ」

「はぁ・・・本当に君は、宝箱というかミミックが好きだね」

浮竹は、遺跡で残っていた全ての宝箱をあけた。

全部ミミックで、浮竹は嬉しそうにかじられていた。

「暗いよ怖いよ狭いよ息苦しいよ~~~」

じたばたもがく浮竹を、京楽とルキアが助ける。

浮竹は黒蛇を操って、ミミックを倒すと、ミミックは古代の魔法書をドロップした。

「なになに、熱がさらにあがる魔法・・・・使えないな。でも覚える」

古代の魔法書といっても、いい魔法ばかりではない。つまらない民間魔法がほとんどだった。

「京楽、今度熱を出したら、更に熱を出すようにしてやるからな」

「やめてよ、僕を殺す気なの?」

「ヴァンパイアは、熱が出たくらいじゃ死なない」

「浮竹殿、熱をあげる魔法であれば、低体温の危ない時とか、寒い時なんかに使えるのではないですか?」

「さすがルキアちゃん。変な魔法だけど、低体温の危ない時に使うのはいいかもね。寒い時には、僕の体温をあげて、浮竹を抱いて体温を分けてあげる」

その言葉に、浮竹は少し赤くなって、京楽の頭を殴った。

「なんで殴るのさ!」

「抱くとかいうからだ」

「あ、私は気にしていませんので」

ルキアは真っ赤になりながらも、聞こえなかったふりをすることにした。

「じゃあ、どうせだから堂々としよう」

「京楽?」

「愛してるよ、浮竹」

「んっ」

舌が絡むキスをされて、肩に噛みつかれて吸血された。

浮竹は、体重を京楽に預けて、お返しにと京楽の首筋に噛みついて、吸血した。

ルキアは真っ赤になって、あたふたしていた。

「ルキアちゃん、ごめんね。古城に戻るまで、馬車でまた10日も揺れると思うと、その、渇きがね・・・・」

人間社会に居る時に、人工血液を口にしていると、ヴァンパイアだとばれてしまう。

血の帝国は人間国家と国交をしているが、それでも人々はヴァンパイアを恐れ、人を襲い血を吸って殺すヴァンパイアがいるので、ヴァンパイアハンターがいた。

「ここは血の帝国から遥かに離れた人間たちが住む世界ですから。ヴァンパイアとばれるのは、危険です」

本当は、10日も馬車に揺れるのに、人間の御者を雇いたくなかったのだが、ギルドマスターに怪訝な顔をされるので、大人しく人間の御者を雇った。

「とりあず、することはもう終わった。帰ろう」

遺跡から一番近い村に待たせてあった馬車に乗りこみ、3人は冒険者ギルドのある、ガイア王国の街まで戻った。

「約束のゴーレムを退治してきた。ミスリルでできているから、武器防具になると思って、アイテムポケットに入れて持って帰ってきた」

解体工房で、機械仕掛けのミスリル製の、半分溶けたゴーレムを出した。

ギルドマスターは驚いた、受付嬢は、やっぱり規格外だと、顔を青くさせていた。

「ミスリルが溶けたのか。どんな魔法を使えば、そうなるんだ」

「鍛冶師だって、ミスリルを溶かして武器防具を作るだろう。それと似たようなものだ」

「鍛冶師は特別な炎を使う。まぁいい、依頼達成だ。報酬金金貨2千枚と・・・このゴーレムは、ギルドで買い取っていいか?」

「好きにしてくれ」

「では、金貨7千枚で買い取ろう」

「分かった」

「あと、ドラゴンの素材を打って莫大な額を手に入れたから、残っているドラゴンの素材があれば買いとるぞ」

「わかった」

浮竹と京楽は、アイテムポケットから10体のドラゴンの死体と、素材になる部分を出した。

ポチの肉は確保しておいたので、全てを売ることにした。

「金貨1万5千枚で買い取ろう」

少し買いたたかれている気もするが、買い取ってくれるだけありがたいので、その金額で売却した。

「また、ドラゴンを退治したら持ってきてくれ。買いとる」

「ああ、分かった」

「それじゃあ、僕らはこれで」

ルキアは、解体工房に入らず、ギルドの外で待っていた。

「なぁ、エルフのお嬢ちゃん、俺らと茶しようぜ」

「人を待っている」

「そんなつれないこと言うなよ」

「ごほん」

宇井竹が咳払いすると、ちんぴらに近いことをしていたBランク冒険者たちが驚く。

「Sランクの、浮竹さんと京楽さんの仲間でしたか。失礼しました。おい、お前らいくぞ」

「ちっ、Sランクだからって大きな顔しやがって。今に見てろ」









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始祖なる者、ヴァンパイアマスター24

ミミックのポチの餌のドラゴンステーキが切れたので、浮竹と京楽は、ドラゴン類ばかりが出る、S級ダンジョンにきていた。

今回は、ルキアが一緒だった。

一護と冬獅郎に守られてばかりは嫌だと、同行したいと申し出できたのだ。

正直、ルキアをS級ダンジョンに連れていくのは、気乗りしなかった。

ルキアは聖女だ。その癒しの力があればいいので、強くなる必要はない。守護騎士である一護と冬獅郎の存在もある。

「私は、守られるだけの存在でいたくないのです。私も、誰かを守る存在でありたい」

そんなことを熱弁するルキアに折れて、浮竹と京楽は、ルキアを連れて、難攻不落ともいわれるドラゴンばかりがでる、S級ダンジョンに挑んだ。

水と食料を、3人分で1週間分用意して、アイテムポケットにいれる。

一階層は、プチドラゴンが出た。

ルキアは、かわいいと言っていたが、狂暴なので噛みつかれる前に、浮竹がファイアアローの魔法で倒してしまった。

「かわいいけど、狂暴なのか・・・・・」

ルキアは、残念そうにしていた。

「ルキアちゃん、守ってあげることもできるけど、強くなりたいなら自分からモンスターを討伐しなきゃ!」

「はい、京楽さん!」

ルキアは、聖なる槍、ホーリーランスでプチドラゴンたちを退治していく。

プチドラゴンは、素材になるのは瞳なので、浮竹は瞳をくりぬいて、アイテムポケットに入れていた。

ルキアもアイテムポケットを渡されてはいたが、素材は必要ないので、自分の分の水と食料、あとテントと寝袋、薬の類をいれていた。

「ホーリーランス!」

ルキアが倒したプチドラゴンの数は、優に100体を超えた。

ルキアが使える魔法は、聖属性で、攻撃魔法の数はあまり多くない。その分、魔力をこめて魔法を唱えた。

「ほら、ルキア君も解体してみるといい」

かわいいプチドラゴンの瞳をくりぬいていく、スプラッタな浮竹に、ルキアは首を振って顔を青くして、遠慮した。

血は、浮竹が自分の血を操る能力を生かして、血を蒸発させる。

プチドラゴンの瞳は、一応ドラゴンであるので、錬金術の材料なんかになった。

鱗はもろいので、防具の材料にはならない。牙も爪も小さいので、武器の素材にもならない。

「しばらくは雑魚ばかりだろうが、仕方ない。ルキア君がレベルアップするためにも、あえてワープ魔法は使わず、最深部まで攻略しよう」

一度攻略したことのあるダンジョンは、クリアしたことのある階層はワープ可能であった。

素材を集めて金銭を稼ぐのも目標にしていたので、浮竹も京楽も、一階層から攻略をはじめた。

5階層につくと、宝箱が5つほど並んでいた。

「宝箱ですね!」

「あ、ルキア君、それミミックだから、触らないほうがいいぞ」

浮竹の指摘に、箱を開けようとしていたルキアの手が止まる。

「俺が代わりにあけよう」

浮竹は、ミミックに食われていた。

「暗いよ怖いよ狭いよ息苦しいよ~~~」

ミミックにかじられる浮竹をはじめて見るルキアは、おろおろしていた。

「ああ、ルキアちゃん気にしないで。浮竹は、わざとミミックに噛まれるのが好きなんだよ」

「怪我を、しないのですか?」

「ミミックは、そこまで攻撃的じゃないからね。かじって相手を脅かせるくらいだ。よいしょっと」

京楽は、じたばたしている、ミミックに噛まれていない浮竹の下半身に力をこめて、ミミックに押しつけると、ミミックはおえっとなって浮竹を吐き出した。

「ファイアアロー」

「きゅううう」

断末魔を浴びて、ミミックは消えていった。

残されたのは、金の延べ棒。

浮竹は、嫌そうな顔をして、アイテムポケットに入れた。

「せっかく金が出たのに、何故浮竹殿はあんなに嫌そうなのですか」

「浮竹はねぇ、魔法書をドロップしなかったから、機嫌を損ねているんだよ。浮竹は魔法コレクターだからねぇ」

浮竹は、残りの4つの宝箱をあけた。

全部、ミミックだった。

ミミックにかじられて、倒した後に4連続で魔法書が出て、浮竹は機嫌がよさそうだった。

「どんな魔法だったんだい?」

「水をお湯にする魔法、風邪を引きやすくなる魔法、祈りをこめれば聖杯に聖水がわく魔法、頭をモヒカンにする魔法だ」

「1番目と3番目は使えるけど、2番目と4番目は使えなさそうだね」

「4番目の魔法を試したい・・・・」

じっと、浮竹が京楽を見た。

京楽は、首を振った。

「僕はいやだからね」

「じゃあ、自分にかけてみる」

「ちょっと待って!浮竹がモヒカンになるくらいなら、僕がなるから!」

「浮竹殿、京楽殿?」

二人の展開についていけず、ルキアは首を傾げるのであった。

数分後、頭がモヒカンになった京楽がいた。

「うぷぷぷぷ、似合うぞ、京楽」

「京楽殿・・・・ぷふっ」

「ああもう、ルキアちゃんにまで笑われたじゃない!治したいから、早く血をちょうだい!」

ちなみに、京楽の血は、東洋京楽の札により、猛毒になっている。浮竹だけには無害だが、他の者には有害であった。

「んっ」

浮竹は血を啜られて、甘い声を出していた。

「浮竹殿・・・・・」

妖艶なその姿を見て、ルキアは頬を赤くしていた。

「浮竹殿と、京楽殿は恋人同士でしたね。私はお邪魔むしでしょうか」

「そんなことないぞ、ルキア君」

「そうだよ。そんなことないって。それにダンジョンに潜る間は、吸血の他はキスとハグだけだよ」

「キスとハグだけでも、見ていて恥ずかしいです」

「俺は気にしない」

「僕も気にしてないよ。ルキアちゃんの見てないところでするから、大丈夫だよ」

「はい。見ていないところでしてください」

浮竹は、東洋の妖にもらった札を使って、蛇を召還して、ドラゴンに巻き付かせて、噛みつかせてその毒で倒したりしていた。

「僕が東洋の僕からもらったのは、僕の血を猛毒にするものだったけど、君がもらったのは蛇を使役できる札なんだね」

京楽は、ミスリル銀でできた魔剣を使わず、猛毒となった自分の血でドラゴンたちを倒していく。

ドラゴンといっても、知能の低い、恋次のような竜族ではないドラゴンだ。数は多く、竜族は世界に200匹くらいしかいない。普通のドラゴンは、地域によって異なるが数千匹はいる。

階層が深層に近付いていくほどに、でてくるドラゴンは強くなっていった。

「ホーリーランス!ホーリーアロー!ホーリーブレス!」

ルキアは、自分がもちうる攻撃魔法の全てを使って、一人でドラゴンを退治した。

「ルキアちゃん、やるじゃない」

「ドラゴンを聖属性の魔法で倒せるなんて、凄いぞ」

「いえ、浮竹殿と京楽殿には遠く及びません」

「でも、一人でドラゴンを倒せるようになってる。強くなったな、ルキア君」

「はい!」

ルキアは再度褒められて、目を輝かせた。

6日かけて、深層の最下層に到達した。

出てきたボスは、カイザードラゴン、恋次だった。

「何をしているんだ、恋次君」

「バイトっす。ドラゴン迷宮のラスボスのバイト」

「白哉の傍にいなくていいのか?」

「白哉さんの傍には、分身体を出しているので大丈夫っす」

「では、この前覚えた、ドラゴンの肉をおいしく加工する魔法で、恋次君を・・・・」

「うわあああああ!!ギブアップです!だから倒さないでください!」

「恋次、バイトなんだろう。きちんと、戦わないのか」

「戦ったところで、倒されるのがおちだ。だからギブアップする」

自動的に勝利ということになって、宝物庫への扉が開く。

「魔法書魔法書。ミミックミミック」

浮竹の頭は、金銀財宝ではなく、魔法書とミミックで支配されていた。

ゴゴゴゴゴ。

重い扉が開き、金銀財宝が姿を現す。

「うわぁ、宝の山ですね」

「ミミックは・・・・いた!」

金銀財宝の右に、ミミックが並んでいる列があった。

それに、順番にかじられていく浮竹に、もう慣れた様子でルキアが苦笑していた。

京楽は、浮竹をひたすら助けた。

浮竹は、財宝からも魔法書を発見して、全部で16冊の魔法書を抱えて、ほっこりしていた。

「お、この魔法、聖属性の攻撃魔法だ。ルキア君にぴったりじゃないか?俺も覚えるけど」

浮竹は、癒しの魔法こそ使えないが、全ての属性の魔法を使えた。

聖属性の魔法は苦手だったが、禁呪じゃないので覚えれた。

「ホーリーワールド・・・・」

聖なる空間に閉じ込めて、敵を圧縮してしまう魔法だった。

「浮竹殿、京楽殿、我がままにつきあっていただき、ありがとうございました。おまけに、新しい聖属性の攻撃魔法まで覚えられました。今回の経験を活かし、今後に励みたいと思います」

「ああ、戦わないで宝物庫まで案内したから、バイト代はでないな。まぁ仕方ない。浮竹さんと京楽さんが相手じゃな・・・・・」

恋次は、竜化を解いて、人の姿になっていた。

タトゥーが増えていた。

恋次はもともと南にある帝国の皇帝だ。よく毒殺されて、死んでは蘇り、タトゥーを増やしていた。

恋次また始祖竜であるので、不老不死の呪いをもっていた。

「恋次、何故始祖竜である貴様がバイトなどしておるのだ」

「いや、白哉さんが身に着けてる、あの薄い白いなんとかいう首に巻いてるやつを、くしゃみをし拍子に、炎を吐いてしまって、白哉さんは無事だったんだけど、着ているものがだめになっちまって。なんでも、一枚で屋敷が建つとかで、弁償することになって。帝国の金を使うわけにもかず、牙と爪を少しだけ抜いて売ったけど、まだ足りなくて、んでここでバイト募集してるの知って、給金がよかったからバイトしてた」

「兄様の銀白風花紗を焦がしたのか!」

「そうだ。すまん」

「あれは、兄様が皇族である証でもある。兄様にとってはとても大切なものであるから、今後は気をつけろ」

「ああ、分かってる。白哉さんの守護騎士なのに、白哉さんの衣服をだめにしちまった。反省も、している」

「ならば、よいのだ」

ルキアは、うんうんと頷いた。

恋次は、白哉のことが好きだったが、ルキアのことも好きだった。

でも、ルキアには最近一護という存在がいるから、ちょっかいをかけることをしていなかった。

「ルキア、白哉さんにお詫びに何を渡したらいいと思う?」

「そうだな、兄様は辛い食べ物が好きだから、貴様の南の帝国で出る辛い料理をなどを振る舞えば、そこそこ嬉しがるのではないか?」

「お、初耳だ。そうしよう。ありがとな、ルキア」

「恋次も、兄様を大切にするのだぞ」

「当たり前だ!」

そんなことを言い合っている二人を放置して、京楽は魔法書に夢中になっている浮竹を置いて、金銀財宝をアイテムポケットに収納するのに忙しかった。

「ああもう、浮竹も手伝ってよ」

「この魔法書が難解なんだ。古代エルフ語と、古代ドワーフ語でかかれてある。翻訳魔法を使いながら、今解読している」

十数分かけて、やっと浮竹は魔法書の解読を終わらせた。

「ファイアノヴァ。アイシクルノヴァ。ライトニングノヴァ。ウォーターノヴァ。ウィンドノヴァ。アースノヴァ。セイントノヴァ。ダークノヴァ。ノヴァ系の魔法全8種。習得完了」

「あ、セイントノヴァとは聖属性の魔法ですか?では、私も覚えれますか?」

「ああ、ルキア君にも教えてあげよう。現代語で、呪文と効果を書いてあげよう」

浮竹は、白い紙を取り出すと、自動的にインクが滲む魔法のペンで、ルキア用にセイントノヴァの魔法書を書いて、それをあげた。

「ありがとうございます、浮竹殿!」

「ノヴァば新星を表すそうだ。属性をこめた爆発の魔法だな」

「うわー、浮竹ってば、新しい魔法習得できて生き生きしてるね」

「そりゃそうだろう。8千年も生きているのに、また新しい、それも攻撃系の魔法を覚えれたんだ。嬉しくもなる」

「残りの魔法書は、どうするの?」

「いつまで財宝の間にいるわけにもいかんしな。アイテムポケットに入れて、古城ででも読むさ」

京楽は、最後の金貨と宝石細工をアイテムポケットに入れた。

「ルキアちゃん、金銀財宝いっぱいあるけど、いる?」

「いえ、それは浮竹殿と京楽殿で分けてください!私は、金には困っていませんので」

仮にも、ルキアは皇族だ。

金ははいて捨てるほどある。

「恋次クンは・・・ボスなのに、戦闘せずに負けて、おまけに財宝に手を出したらやばいよね?」

「やばすぎるっす。ダンジョンマスターの古代エルフたちに、ボコボコにされる」

この世界には、人間の他にも亜人種も存在する。エルフ、ドワーフ、有翼族、獣人族、羽耳族などだ。

「じゃあ、撤収だね。難攻不落のドラゴンS級ダンジョンクリアだよ!」

京楽が、魔剣を掲げて、ルキアと恋次が拍手をした。

浮竹は、魔法書を読んでいた。

「ちょっと、浮竹、こんな時くらい調子をあわせてよ」

「今、いいところなんだ。じゃあ、帰るか」

帰還の空間転送魔法陣に乗って、4人はS級ダンジョンの外に出ていた。

ちょうど、今からS級ダンジョンに挑もうとしているパーティーと遭遇した。

エルフの魔法使い、人間の剣士、獣人の盗賊、有翼族の神官のパーティーだった。

「S級ダンジョンを攻略したのか!?」

「そうだけど?」

「ラスボスは、ラスボスはなんだった?」

「カイザードラゴン」

「うわぁ。俺たちのパーティーでは、倒せないだろうな」

「まぁ、がんばれ」

「ちなみに、ラスボスはこの恋次クン。バイト中の身で、バイト辞めたから、今ならラスボスなしでクリアできるよ」

「よし、皆、がんばるぞ!」

パーティーは、一致団結して、ダンジョンに挑んでいった。

ちなみに、最後までクリアして財宝の間にくると、財宝はまた出てくる。

ダンジョンマスターである、古代エルフたちのしわざであるが、浮竹にも京楽にも、どうでもいいので、ダンジョンの財宝はおまけ程度にしか思っていなかった。



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始祖なる者、ヴァンパイアマスター23

ブラッディ・ネイに呼ばれて、浮竹は京楽と共に血の帝国に来ていた。

建国8千年を祝う、式典があったのだ。

国中が祭りで、皆は楽しみながら騒いだ。

浮竹と京楽も、祭りの喧騒に飲みこまれて、宮殿で行われる式典に参加しながら、最高級のワインを口にしていた。

式典といっても、ブラッディ・ネイが創造神ルシエードの像に、建国8千年の祝い事を述べて、あとは立食会形式のパーティーとなった。

後宮の寵姫たちは全て呼ばれているので、会場の人数は圧倒的に少女が多かった。

「兄様、楽しんでる?」

「そこそこにな」

「浮竹、ワインはほどほどにしなよ。君、酔うと脱ぎ出す癖があるんだから」

「分かっている。もう少し、飲むだけだ」

そう言って、浮竹はワイングラスを開けていく。

「ねぇ、兄様。このワインは、特別製なんだ。ボクが特別に作らせたものなんだよ。飲んで?」

ブラッディ・ネイは、青いワインを浮竹に進めた。

浮竹が、中身を口移しで京楽にも飲ませた。

「あ、兄様、余計なことを・・・・・」

「ん?・・・体が熱い・・・・・」

「あ、僕も・・・・」

気づくと、二人の体は女性のものになっていた。

「なんだこれは!ブラッディ・ネイ、お前、また変な魔法をワインにかけたな!?」

「ううん、これは男性が女性になる薬だよ。松本乱菊って魔女から取り寄せたんだ」

「乱菊、こんなもの作っているのか・・・・・」

浮竹は、ぶかぶかになった衣服を、着にくそうにしていた。

「兄様ともじゃひげ、たまには違う楽しみ方してみれば?後宮の奥の館を貸してあげるから、二人でいちゃつくといいよ。兄様も、ボクの気持ちが分かると思うから」

そう言って、ブラッディ・ネイは寵姫たちを構いに、戻ってしまった。

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「なぁ、京楽・・・・体が熱くないか」

「熱いね・・・・媚薬の成分、絶対に入ってるよ」

「後宮の奥の館が開いているらしい。俺は、このままじゃそこらの男を求めてしまいそうだ。京楽、お前がいいなら、このまま・・・・・」

「浮竹、歩ける?」

「なんとか」

浮竹は長い白髪に翡翠の瞳をもつ美女に、京楽もまた長い黒髪に鳶色の瞳をもつ美女になっていた。

「お前、女体化すると、美人だな」

「そういう浮竹も、いつも美人だけど、更に美人だね」

二人して、熱い息を吐く。

二人は、よろよろとお互いを支え合って、後宮の奥の館にやってきた。

ベッドに腰かけると、舌が絡み合うキスをした。

どちらからともなく、衣服を脱いで裸になった。

「ああっ」

浮竹は、秘所が濡れているのに気づき、真っ赤になった。

「大丈夫、浮竹、僕も同じだから」

胸の膨らむみを揉みしだいてくる京楽の手は、しかし優しく、胸の先端を舐めて転がすと、浮竹は母乳を出していた。

「や、なんでぇ。十四郎の子、孕んじゃった?」

「僕が男なら、孕ませているけど、あいにく僕も女の子だから、体質じゃないかな」

「やぁぁあ」

「君のミルク、甘いね。僕が全部飲んであげる」

京楽は、浮竹の胸をもみしだき、浮竹の母乳を全て吸うように、胸を吸い上げた。

「あああ!」

京楽は、浮竹の鎖骨に噛みつく。

「んあっ」

そのまま、うなじから鎖骨、胸、へそにかけてキスマークを残していく。

「ああ、いつものものがないから、君を貫けない。残念だよ」

そう言いながら、京楽は濡れている浮竹の秘所に舌を這わせた。

「やああ、だめえええ」

浮竹は身を捩るが、京楽がそれを許さなかった。

浮竹の秘所から溢れ出てくる、甘い蜜を吸い上げて、陰核を指でつまむと、ビクンと浮竹は体をしならせていっていた。

「やああぁぁあ!!」

「浮竹は、女の子になっても、エロいね」

「やあああ」

浮竹の秘所に舌をいれて、抉ってみる。

天井のあたりにある、感じる場所をしつこく舌でなめてから、指を入れた。

「あああ!」

「指だけじゃ物足りないけど、仕方ないね」

何度も指で天井をこすりあげられて、浮竹は乱れた。

「やああん」

「浮竹の蜜、甘くておいしい」

ぷしゅわああ。

浮竹は、感極まって潮をふいていた。

「春水、ごめんなさい、春水」

恥ずかしそうに、浮竹は泣きながら謝る。

「君が潮をふくのは、男の子の体ででも同じでしょ?」

「やああん」

陰核にかじりつき、舌で突いてやると、浮竹はまたいっていた。

「ああ・・・・・」

ブラッディ・ネイが貪る快楽が、少しだけ分かった気がした。

今度は、浮竹が京楽を押し倒していた。

ほんのりピンクに染まった肌をみせながら、情欲で満ちた眼差しを向ける。

「今度は、俺がお前を気持ちよくさせてやる」

「十四郎?無理はしなくていいんだよ」

「いや、する」

浮竹は、自分のものより豊かな京楽の胸を揉みしだき、先端を口に含んだ。

「んっ」

「春水、もっと声聞かせて」

「だめだよ、十四郎」

「春水、愛してる。好きだ、春水」

京楽の溢れる蜜をすすり、秘所に自分が京楽にされたことを真似た。

「んっ」

京楽が、顔を手で隠した。

「もっと見せて、春水。お前の感じている顔が見たい」

「十四郎・・・・」

浮竹が、京楽の秘所に指をいれる。

京楽は、必死に我慢していたが、潮をふいていた。

「ああ、十四郎、十四郎」

「俺はここにいるぞ、春水」

京楽は、女の体ではじめてオーガズムでいくということを体験した。

その味わったことのない快楽の海に溺れていた。

「ああ、女の子の体も悪くないね。乱菊ちゃんってば、こんな薬作ったりして・・・今度、取り寄せようか。浮竹を女の子のまま犯したら、赤ちゃんできちゃうのかな?」

「やっ、春水」

京楽は、快楽の海をやり過ごしてから、浮竹に口づける。

舌を絡ませあって、お互いの秘所に指を入れあって、感じる部分を指でぐりぐりと刺激しあいながら、二人は同時にいっていた。

「あああん!」

「くっ・・・」

京楽は、浮竹のように淫らに喘ぐことはなかったが、女の体で感じることを、楽しんでいた。

「お風呂いこうか。洗いっこしよう」

「あ、春水、春水」

指を引き抜かれていく感触に、これ以上はないのだと、少し寂しい気持ちを覚えた。

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お互い泡だらけになって、互いの肌で体を洗いあっていた。

「いいなぁ、春水は胸がでかくて。俺はなんか小さい」

「小ぶりの君の胸は、かわいいし、形も整っていていいかんじだよ」

京楽は、胸についた泡で、浮竹の背中を洗った。

「んっ」

指を、そっと秘所に入れる。

「んあああ!」

ぬるぬるの泡だらけであったが、愛液がとぷとぷと溢れてきた。

「十四郎、愛してるよ」

「あ、春水・・・・・」

シャワーを取り出して、強に設定すると、それを浮竹の秘所にあてがった。

「いやあああああああ!!!」

シャワーの熱の勢いに、浮竹はびくんびくんと体を反応させて、いっていた。

「春水、刺激が、強すぎて、変になるぅ」

「もっといっって、僕の十四郎」

「ああああ!」

シャワーを外して、京楽は浮竹と口づけあい、互いを貪った。

「や、ミルクでる」

「君の体液も、全部僕のものだ」

にじみ出る母乳を舐めとって、ぺろりと唇を舐めた。

「春水、美人だ」

「それはどうも。でも、十四郎のほうが、僕より美人だよ」

「あああ、春水、春水!」

京楽に指で秘所を抉られて、浮竹はいきながら、京楽の名を呼んだ。

「女の子の体って、男と違って出し終わったらもう終わりじゃないのが、いいね」

「やあああ、もう何十回もいってる。春水、もうやだぁ」

泣きじゃくる浮竹をあやしながら、髪を洗ってやった。

そのまま、体をもう一度普通に洗い、髪を洗って風呂から出る。

用意されていたバスローブを身にまとって、京楽は筋力は落ちているが、それでも力はあるほうなので、ぐったりとしてる浮竹を抱き抱えて、ベッドに戻った。

「もうやぁ」

「もうしないよ。お風呂にも入ったし」

「十四郎・・・・」

「ん?」

「愛してる。今度、乱菊からこの薬買おう。女の体で、お前の相手をしてみたい」

真っ赤になりながらそんなことを言う浮竹が愛しくて、京楽は頷きながら、その白い髪を撫でて、二人で眠りにつくのだった。

----------------------------------------------------------------------------------

「やぁ、おはよう」

「ブラッディ・ネイ・・・・」

「乱菊の薬を、楽しんでくれたかい?」

浮竹と京楽の体は、元の男のものに戻っていた。

「悪くはなかった」

「そうでしょ、兄様。男同士で睦み合うのも悪くはないけど、女同士でもいいでしょ。昨日はたっぷり、京楽と楽しんだようだね」

浮竹は真っ赤になって、ブラッディ・ネイを睨んだ。

「ああ、ボクの兄様はかわいいなぁ。女の子になった兄様を襲いたかったけど、絶対京楽に殺されるから、京楽も女にしておいて正解だったね」

女あった間は、魔力が落ちてまともに魔法も使えなかった。

多分、薬の副作用だろう。

「ブラッディ・ネイ。今回はお前の仕出かしたことを不問にするが、今度勝手に薬をもったら、寵姫を全て取り上げるからな」

「それは酷すぎじゃない、兄様」

「う、うるさい!」

浮竹は、耳まで真っ赤になって、ブラッディ・ネイの頭に拳骨をくれてやると、京楽を伴って後宮の館を後にする。

「ひげもじゃ」

「なんだい」

「これ、乱菊の薬。キミにあげるよ。乱菊は通常じゃ取り扱ってない秘薬だから、性別転換の薬はこれしかない。兄様を女体化させて、楽しむといいよ」

そう言われて、京楽はびっくりした。

「ブラッディ・ネイ、君は浮竹が好きなんだろう。敵に塩を送るような真似を、何故する?」

「さぁ、何故だろうね?ボクが寵姫たちを愛し愛されるように、兄様にもいろんな愛を知ってほしいからかもね?」

京楽は、女体化するという秘薬を、こっそり懐にしまいこんだ。

浮竹と京楽は、白哉に頼んで作らせたラフな格好をして、ブラッディ・ネイの宮殿で朝食をとった。

式典があったので、白哉、恋次、ルキア、一護、冬獅郎も宮殿に泊まったらしかった。

祭りは、3日続けて行われる。

浮竹と京楽は、白哉たちと会話をして、昼食を食べてから古城に戻っていた。

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「浮竹」

「なんだ?」

「実は、ブラッディ・ネイから、乱菊ちゃんの性別転換の秘薬をもらったんだ。今夜、使ってみてもいいかい?」

浮竹は真っ赤になって震えていた。

「ごめん、無理なこと頼んで」

「い」

「え?」

「使って、いい・・・・・」

「本当に!?」

浮竹は真っ赤になって、京楽を張り倒していた。

「ただし、今夜だけだ!分かったな!」

「浮竹、嬉しいよ」

その夜、風呂からあがった後、浮竹は乱菊の女体化する秘薬を飲んだ。

白い髪に翡翠の瞳の美女がいた。

「十四郎、愛してるよ」

舌を絡ませないながら、口づけた。

「なんか、変なかんじだ、春水」

「何が?」

「いつもなら、興奮して勃起するに、勃つものがない」

「そりゃ、女の子だからねぇ」

そっと、浮竹の秘所に手を這わせる京楽。

「濡れてるね。男の子の浮竹も、甘い蜜を零して濡れるけど、また違ったかんじだね?」

「や、男の時と、比べるな・・・・」

浮竹をベッドに押し倒す。

浮竹は、女の体で京楽を受け入れるのは初めてなので、緊張していた。

「もっとリラックスして?怖がることは、何もないよ」

「でも・・・・・」

「愛してるよ、十四郎」

衣服を全部脱がせて、京楽も衣服を脱いだ。

「たっぷり、かわいがってあげる」

「あ、春水の子を、孕んでやる」

京楽は、ささやかな膨らみの浮竹の胸を揉んで、右の心臓の位置の胸に噛みつき、吸血した。

「あああ!」

胸の先端を口に含み、滲み出てきた母乳を吸い取る。

とてつもなく甘かった。

浮竹の体液は、京楽にとっては全て甘い。他の者でも、甘さを感じることができる。

それは、始祖であるが故の、神の愛の呪いのせいだった。

「十四郎、かわいい」

「あ、春水!」

京楽は、浮竹の秘所に舌を這わせた。

「やああん」

「きもちいでしょ、ここ」

「や、きもちい、もっと、もっと」

秘所の天井あたり、いわゆるGスポットを舌でぐりぐりと刺激すると、浮竹は体をくねらせた。

「あああ!」

いってしまっていた。

指を入れて、Gスポットを刺激してやる。

「やああ、春水、春水、早く来てくれ」

「十四郎、たっぷり子種受け取って、孕んでね?」

「あ、春水の子種受けて孕むから、早く!」

京楽は、猛った己のもので浮竹の秘所を貫いた。

「ああああ!!」

女の体は、自然と濡れる。

ローションの助けなしに、浮竹は京楽のものを、受け止めていた。

「あ、痛っ」

「十四郎、大丈夫?」

ぶちっと音がして、秘所から血が流れ出でた。

「大変だ、何処か怪我を!」

抜き去ろうとする京楽のものを締め付けて、浮竹は首を振った。

顔が赤かった。

「処女膜が、多分、破れたんだと思う」

その言葉に、京楽は目を見開いてから、浮竹を優しく抱きしめた。

「そうか、初めてだもんね」

「あああ、もう、待てない。早く、子種を注いで俺を孕ませろ」

京楽は、浮竹のGスポットを何度も抉りながら、突き上げた。

柔らかな体だった。

「女の子の君も素敵だ」

「あ、や・・・・・ああああ!」

陰核をつまみあげられて、浮竹はいっていた。

そのまま、京楽のものがコンコンと子宮口をノックする。

「やああ!」

「ほら、約束の子種だよ。たっぷり受け取ってね」

子宮口の中まで侵入してきた京楽は、浮竹の子宮にたっぷりと濃い子種を注ぎ込んだ。

それを、浮竹はうっとりとした表情で迎えいれる。

「血を・・・血を、吸ってくれ」

「そういえば、女の子同士の時は、血を吸っていなかったね。今、吸ってあげるからね」

浮竹の柔らかな太ももに噛みつき、ごくりと血を飲む。

「ああああ!」

浮竹は、京楽に子種を注がれながら、血を吸われていっていた。

「やああ、頭、おかしくなる、春水の子、孕んだ・・・・・」

「孕んじゃった?それはよかったね」

京楽は、一度引き抜くと、また浮竹の秘所を貫いた。

「あああ!!!」

「何度いってもいいよ。僕ので感じて、いっちゃって?」

「あ、ああ・・・・・・・・・」

ぷしゅわああと、勢いよく浮竹が潮をふいた。

それを舐めあげながら、京楽また浮竹の子宮の中に精子を注ぎ込んだ。

そのまま、激しく睦み合い、気づくと浮竹は意識を失っていた。

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「ん・・・・・・」

「気づいたかい?」

「俺は・・・・?」

「気のやりすぎで、意識を失っていたんだよ。お風呂には入れてあげたから」

もう、男の体に戻っていた。

「なんだ、もう元に戻ったのか」

少しつまらなさそうに、浮竹はバスローブを着た己の腹を撫でた。

「せっかく、京楽の子を孕んだのに、元に戻ってしまっては産めない」

「赤ちゃん、産みたかったの?」

そう聞くと、浮竹は頬を染めた。

「愛しい男との間に子を欲しいと思うのは、変か?」

「いや、変じゃないよ。その気になれば、魔法や呪術でなんとかなるだろけど、浮竹への負担が大きすぎる。ご免だけど、諦めて」

「ああ、最初から本気で、子を作りたいとは思っていない」

その言葉に、京楽がほっとする。

「君は今のままでも、十分にかわいくて綺麗でエロくて妖艶で・・・・・・」

途中で、浮竹に唇を奪われて、京楽は最後まで言えなかった。

「愛している、京楽」

「僕も、愛してるよ、浮竹」

二人は、睦み合う時だけ、お互いの下の名を呼び合う。

「まだ夜明けには、時間がある。もう一度、眠ろう」

「ああ」

二人は、穏やかな眠りに入っていくのだった。

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「兄様。ついに手に入れた、兄様」

魔女、松本乱菊の薬で女体化したまま交わった浮竹は、体が元に戻る前はすでに、受精していた。

実の兄の浮竹の受精した卵子を、呪術で手に入れた。

それを寵姫の腹に入れて、魔法をかけて猛スピードで育てあげた。

寵姫の腹にいれて、僅か3日でその寵姫は臨月を迎え、浮竹と京楽の子を産んだ。

「始祖の子。名前は、なんにしようか?」

女の子だった。

赤子は僅か1週間で、12歳くらいの、ブラッディ・ネイ好みの美少女に成長していた。

白い髪に、緑と鳶色の瞳のオッドアイを持つ、美少女だった。

「ブラッディ・エターナル。今日から、キミはそう名乗るといい」

「ブラッディ・エターナル・・・・あたしは、始祖浮竹と血族京楽の子。同時に、ブラッディ・ネイ、あなたのもの・・・・・」

ブラッディ・ネイはブラッディ・エターナルに口づけた。

「兄様の子・・・・愛してるよ。兄様の代わりに、ボクを愛してね?」

始祖浮竹とそっくりなブラッディ・エターナルは、ブラッディ・ネイの言葉に、頷くのであった。













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