教師と式3
それは浮竹が誕生する前に遡る。
今から27年前、浮竹が生まれる前に京楽は大切な人を失った。
その名も浮竹十四郎。今の浮竹と同じ名前、容姿をした人物だった。京楽はその浮竹を愛していた。愛しすぎるあまり、桜の花鬼をやめて人間になりかけていた。
だが、病で前の浮竹十四郎は他界する。
京楽は嘆き悲しみ人を襲っては生気を吸いつくした。そして、退治にやってきた前の主であった藍染と知り合った。
藍染は、京楽に魂の輪廻を教えた。代わりに、藍染の式になることを了解した。
京楽は、金のありそうな大富豪の娘を見繕い、妊娠しているのを確認して、その腹に浮竹の魂をいれた。
生まれてくる子は浮竹十四郎という名にするようにも、準備した。
やがて生まれてきた赤子は、前の浮竹のように白い髪に緑の瞳をした、前の浮竹となんら変わらぬ人間の赤子だった。
その成長を見守り傍にいたかったが、藍染の式になる約束をしていたので、傍にはいれなかった。それでもどうしても会いたくなったら、藍染が京楽から浮竹の記憶を封印した。
それから25年の年月が経ち、京楽は浮竹と再び出会った。
術者の会合で、藍染の式として藍染に従っていた京楽は、前の浮竹のように祓い屋になってしまった浮竹を見て、藍染を裏切り浮竹の式となった。藍染によって京楽の封印されていた浮竹の記憶は鮮やかに蘇っていた。
藍染は怒らなかった。
ただ、浮竹と京楽を面白うそうに観察していた。
だが、藍染は京楽の力を認めていたので、幾度ももう一度自分の式になれと言ってきたが、無視していたし、力づくの時は追い返していた。
京楽は、藍染の式の中でも3本の指に入る強力な式だった。
京楽は再び浮竹と出会い、2年の月日が流れ、浮竹は教師をしながら祓い屋を続けていた。
浮竹の中には、前の浮竹の記憶がない。
魂の輪廻は、記憶も継承すると言われていたが、浮竹の中の京楽は、自分の式であった。
ただ、お互い恋に落ちた。
京楽は、前の浮竹の記憶が戻らなくてもいいと思っていた。
病で早世した前の浮竹とはとても仲睦まじく、幸せだったが今も十分に幸せだった。
魂の輪廻は成功し、性格まで前の浮竹と同じだった。
「藍染は嫌いだけど、彼には感謝かな。また浮竹と巡り会えた」
京楽と夜を共にした浮竹は、すうすうと静かな寝息をたてて眠っていた。
「浮竹‥‥‥今度は、死ぬときは一緒だよ。ボクは桜の花鬼として400年以上生きてるけど、寿命は君と一種にした」
京楽は、浮竹の長い白髪を撫でる。
「愛してるよ、浮竹」
-------------------------------------------
「座敷童?」
「はい。私の叔父の一族が束縛している座敷童を、解放してください」
その日は教師の仕事は休みで、依頼人がきていた。
「そんなことをすると、幸福は逃げていくがいいのか?」
「かまいません。十分に潤いました。結界で束縛された座敷童の様子が変なんです。日に日に弱っていく。このままでは、きっと死んでしまう」
「分かった。では、その座敷童は俺が責任をもって、解放しよう」
「ありがとうございます」
「なーんだ、てっきり依頼だから何かを祓うのだと思ったのに」
京楽は、話を聞いてつまならなさそうにしていた。
京楽は強い。牛鬼さえもすぐに干からびさせるほど生気を吸い取る力をもつ。力の使い方次第では、死にかけた者を癒すこともできるだろう。
前の浮竹十四郎は、どんなに生気を注いでも憔悴して死んでしまったが、今なら浮竹が病気になっても回復できる自信があった。
「住所は‥‥‥」
依頼人の叔父の家に、無断であがりこんだ浮竹と京楽は、止められることを無視して、座敷童のいる部屋にくると、猛烈な妖気に立ち眩みをおこしそうになっていた。
「これは‥‥‥座敷童が、憔悴しているのは邪神になりかけているせいか」
「長い間閉じ込められていたんだよ。無理もない」
「座敷童様に何をする気だべ”!?」
依頼人の叔父を結界に閉じ込めて、とりあえず邪魔者をいなくする。
「座敷童、意識はあるか」
「あ‥‥‥私は自由になりたい。なれないなら、死にたい。でもできなくて、邪神になりかけているのを自分で止めれない」
「座敷童‥‥‥」
「私を自由に。どうかどうか」
座敷童は、5歳くらいの女の子だった。
結界でがんじがらめにされていて、その部屋から外に出れなかった。
「君を自由にしてあげよう。この結界はボクが吸いとる」
京楽は、強固な結界を生気を吸い取る容量で吸い込んで消してしまう。座敷童は、目を瞬かせた。
「私は自由になれたのか?」
「そうだよ。さぁ、好きなところにおいき」
「では‥‥しばらくだけ、術者、あなたの元で厄介になる」
「え」
浮竹と京楽は目を合わせあった。
「自由になったんだぞ?何も俺についてこなくても」
「私は、存在して幸福を呼ぶことでしか礼をできない。だから、あなたの家にしばらく居つく」
「分かったよ。好きにして」
「京楽!」
浮竹が、京楽を見る。
京楽は、浮竹の手を握る。
「ボクは浮竹と幸せになりたい。かなえてくれる?」
「あなたはすでに幸せだ。これ以上、幸せを上げることは少ししかできない」
「やっぱそっかーーー。ボクは浮竹と両想いになれただけで幸せだからねぇ」
「おい、京楽、人がいるんだぞ!」
結界に閉じ込められた、依頼人の叔父がいたが、音は聞こえていないようだった。
「聞こえちゃいないよ。さぁ、帰ろうか、浮竹。それに座敷童の‥‥名前はなんていうの?」
「彼方(かなた)」
「そう。彼方ちゃんも浮竹も帰ろうか。依頼は座敷童に自由を与えること。ボクらについてくるのはこの子の意思。依頼は達成だよ」
「しかし‥‥」
「浮竹という人の子よ。私の力が欲しくないのか。私はさらに富をもたらすぞ」
浮竹は首を横に振る。
「金は、両親が残したものがたくさんある。富なんて、いらない。しいていえば、術者としての力が欲しいかな」
「むう、それは私にはかなえられぬ願いだ」
「彼方ちゃん、君はそんなことしなくていいんだよ。ルキアちゃんに頼んで、新しい衣服作ってもらおうと思うんだけど、どう思う、浮竹?」
「ああ、いいんじゃないか」
朽木白哉の義妹である朽木ルキアは、浮竹の屋敷のメイドだった。
執事もいて、志波海燕という。
浮竹の両親は早くに他界してしまい、一時期浮竹は全寮制の学校に放り込まれたが、無事卒業して財産を我が物顔でとっていたいた父の兄から財産を返してもらい、大きな洋館に住んでいた。
家事は主にルキアと海燕がしてくれる。
最近は京楽が料理にこっていて、まだ不慣れだが夕食の料理を作ってくれた。
「ただいま」
「おかえりなさいませ、浮竹様」
「おかえりさないませ、ご主人様」
海燕とルキアに出迎えられて、浮竹は二人に彼方を紹介する。
「しばらくこの屋敷に居つくことになった座敷童の彼方だ。ルキア、すまないが洋風のこの彼方にあいそうな服を作ってくれないか」
「分かりました、ご主人様」
「ルキア、前々からご主人様と呼ばなくていいと言ってるのに」
京楽の背後から、白哉が顔を出す。
「ルキア、何か不自由はないか」
「いいえ、兄様。何も不満はありません」
ルキアも海燕もあやかしだ。海燕は朝顔の花鬼で、ルキアは白哉と同じ椿の花鬼だ。
「ルキアちゃん、今晩も浮竹の夕食はボクが作るから。ルキアちゃんは、自分たちの分を用意しててね」
式である京楽と白哉も、人のように食事をする。
花鬼は、光合成だけで生きていけるが、京楽や白哉ほどのクラスになると人の食事も必要になる。
くわえて、京楽は花鬼の中でも最強と謡われる桜の花鬼である。人の生気を吸って生きている。普段は人ゴミに入って少量の生気を大量にもらうのが月に一度くらい。浮竹も、京楽に生気をあげているが、消耗しすぎると逆に京楽から生気を分け与えられた。それは怪我をしたときや風邪にかかった時などもだ。
「京楽、今日の飯はなんだ?」
「カレー」
「この前もカレーだっただろう」
「あれは甘口の牛肉のやつ。今日作るのはシーフードの辛口のやつ」
「ふむ。できあがるまで、読書でもしとく」
「浮竹、兄が欲しがっていた本を手に入れたぞ」
「お、本当か白哉!」
京楽に興味をなくして、白哉のほうに行く浮竹に、京楽は少し悲しくなる。
「すっごいおいしいカレー作るからね!」
京楽はそう言い切ったが、できあがったカレーは普通だった。
「普通だな」
「兄もそう感じるか。私も普通だと思う」
「ちょっと、白哉くんはルキアちゃんの料理食べときなよ」
「ルキアの料理はもう食した。たりないので、京楽、兄の作るものを食べている」
白哉は、見た目は華奢だがけっこう食べた。
「普通で悪かったね!ボクが作れるのは今はここまでだよ」
ふっと、浮竹が微笑んだ。
「普通だが、それなりにおいしかった。明日の夕飯も楽しみにしている」
「浮竹‥‥‥」
京楽は、浮竹に抱きつく。
ちなみに朝食はルキアが、昼食は普段は学校の給食で、休みの日もルキアが作る。
夕食だけ、京楽が作った。
「暑苦しい。ひっつくな」
「これはハグしてるんですう」
「もう十分だろう。離れろ」
心なしか、浮竹は赤くなる。
「浮竹、照れてるの?かわいいね」
「そ、そんなんじゃないんだからな!」
そんなやりとりを、白哉がため息をつきながら見ているのだった。
ルキアや海燕も、何気に見ていた。
浮竹十四郎27歳。職業小学校教師兼祓い屋。
好きなものは桜。
それから好きな人というかあやかしは、京楽春水。
今から27年前、浮竹が生まれる前に京楽は大切な人を失った。
その名も浮竹十四郎。今の浮竹と同じ名前、容姿をした人物だった。京楽はその浮竹を愛していた。愛しすぎるあまり、桜の花鬼をやめて人間になりかけていた。
だが、病で前の浮竹十四郎は他界する。
京楽は嘆き悲しみ人を襲っては生気を吸いつくした。そして、退治にやってきた前の主であった藍染と知り合った。
藍染は、京楽に魂の輪廻を教えた。代わりに、藍染の式になることを了解した。
京楽は、金のありそうな大富豪の娘を見繕い、妊娠しているのを確認して、その腹に浮竹の魂をいれた。
生まれてくる子は浮竹十四郎という名にするようにも、準備した。
やがて生まれてきた赤子は、前の浮竹のように白い髪に緑の瞳をした、前の浮竹となんら変わらぬ人間の赤子だった。
その成長を見守り傍にいたかったが、藍染の式になる約束をしていたので、傍にはいれなかった。それでもどうしても会いたくなったら、藍染が京楽から浮竹の記憶を封印した。
それから25年の年月が経ち、京楽は浮竹と再び出会った。
術者の会合で、藍染の式として藍染に従っていた京楽は、前の浮竹のように祓い屋になってしまった浮竹を見て、藍染を裏切り浮竹の式となった。藍染によって京楽の封印されていた浮竹の記憶は鮮やかに蘇っていた。
藍染は怒らなかった。
ただ、浮竹と京楽を面白うそうに観察していた。
だが、藍染は京楽の力を認めていたので、幾度ももう一度自分の式になれと言ってきたが、無視していたし、力づくの時は追い返していた。
京楽は、藍染の式の中でも3本の指に入る強力な式だった。
京楽は再び浮竹と出会い、2年の月日が流れ、浮竹は教師をしながら祓い屋を続けていた。
浮竹の中には、前の浮竹の記憶がない。
魂の輪廻は、記憶も継承すると言われていたが、浮竹の中の京楽は、自分の式であった。
ただ、お互い恋に落ちた。
京楽は、前の浮竹の記憶が戻らなくてもいいと思っていた。
病で早世した前の浮竹とはとても仲睦まじく、幸せだったが今も十分に幸せだった。
魂の輪廻は成功し、性格まで前の浮竹と同じだった。
「藍染は嫌いだけど、彼には感謝かな。また浮竹と巡り会えた」
京楽と夜を共にした浮竹は、すうすうと静かな寝息をたてて眠っていた。
「浮竹‥‥‥今度は、死ぬときは一緒だよ。ボクは桜の花鬼として400年以上生きてるけど、寿命は君と一種にした」
京楽は、浮竹の長い白髪を撫でる。
「愛してるよ、浮竹」
-------------------------------------------
「座敷童?」
「はい。私の叔父の一族が束縛している座敷童を、解放してください」
その日は教師の仕事は休みで、依頼人がきていた。
「そんなことをすると、幸福は逃げていくがいいのか?」
「かまいません。十分に潤いました。結界で束縛された座敷童の様子が変なんです。日に日に弱っていく。このままでは、きっと死んでしまう」
「分かった。では、その座敷童は俺が責任をもって、解放しよう」
「ありがとうございます」
「なーんだ、てっきり依頼だから何かを祓うのだと思ったのに」
京楽は、話を聞いてつまならなさそうにしていた。
京楽は強い。牛鬼さえもすぐに干からびさせるほど生気を吸い取る力をもつ。力の使い方次第では、死にかけた者を癒すこともできるだろう。
前の浮竹十四郎は、どんなに生気を注いでも憔悴して死んでしまったが、今なら浮竹が病気になっても回復できる自信があった。
「住所は‥‥‥」
依頼人の叔父の家に、無断であがりこんだ浮竹と京楽は、止められることを無視して、座敷童のいる部屋にくると、猛烈な妖気に立ち眩みをおこしそうになっていた。
「これは‥‥‥座敷童が、憔悴しているのは邪神になりかけているせいか」
「長い間閉じ込められていたんだよ。無理もない」
「座敷童様に何をする気だべ”!?」
依頼人の叔父を結界に閉じ込めて、とりあえず邪魔者をいなくする。
「座敷童、意識はあるか」
「あ‥‥‥私は自由になりたい。なれないなら、死にたい。でもできなくて、邪神になりかけているのを自分で止めれない」
「座敷童‥‥‥」
「私を自由に。どうかどうか」
座敷童は、5歳くらいの女の子だった。
結界でがんじがらめにされていて、その部屋から外に出れなかった。
「君を自由にしてあげよう。この結界はボクが吸いとる」
京楽は、強固な結界を生気を吸い取る容量で吸い込んで消してしまう。座敷童は、目を瞬かせた。
「私は自由になれたのか?」
「そうだよ。さぁ、好きなところにおいき」
「では‥‥しばらくだけ、術者、あなたの元で厄介になる」
「え」
浮竹と京楽は目を合わせあった。
「自由になったんだぞ?何も俺についてこなくても」
「私は、存在して幸福を呼ぶことでしか礼をできない。だから、あなたの家にしばらく居つく」
「分かったよ。好きにして」
「京楽!」
浮竹が、京楽を見る。
京楽は、浮竹の手を握る。
「ボクは浮竹と幸せになりたい。かなえてくれる?」
「あなたはすでに幸せだ。これ以上、幸せを上げることは少ししかできない」
「やっぱそっかーーー。ボクは浮竹と両想いになれただけで幸せだからねぇ」
「おい、京楽、人がいるんだぞ!」
結界に閉じ込められた、依頼人の叔父がいたが、音は聞こえていないようだった。
「聞こえちゃいないよ。さぁ、帰ろうか、浮竹。それに座敷童の‥‥名前はなんていうの?」
「彼方(かなた)」
「そう。彼方ちゃんも浮竹も帰ろうか。依頼は座敷童に自由を与えること。ボクらについてくるのはこの子の意思。依頼は達成だよ」
「しかし‥‥」
「浮竹という人の子よ。私の力が欲しくないのか。私はさらに富をもたらすぞ」
浮竹は首を横に振る。
「金は、両親が残したものがたくさんある。富なんて、いらない。しいていえば、術者としての力が欲しいかな」
「むう、それは私にはかなえられぬ願いだ」
「彼方ちゃん、君はそんなことしなくていいんだよ。ルキアちゃんに頼んで、新しい衣服作ってもらおうと思うんだけど、どう思う、浮竹?」
「ああ、いいんじゃないか」
朽木白哉の義妹である朽木ルキアは、浮竹の屋敷のメイドだった。
執事もいて、志波海燕という。
浮竹の両親は早くに他界してしまい、一時期浮竹は全寮制の学校に放り込まれたが、無事卒業して財産を我が物顔でとっていたいた父の兄から財産を返してもらい、大きな洋館に住んでいた。
家事は主にルキアと海燕がしてくれる。
最近は京楽が料理にこっていて、まだ不慣れだが夕食の料理を作ってくれた。
「ただいま」
「おかえりなさいませ、浮竹様」
「おかえりさないませ、ご主人様」
海燕とルキアに出迎えられて、浮竹は二人に彼方を紹介する。
「しばらくこの屋敷に居つくことになった座敷童の彼方だ。ルキア、すまないが洋風のこの彼方にあいそうな服を作ってくれないか」
「分かりました、ご主人様」
「ルキア、前々からご主人様と呼ばなくていいと言ってるのに」
京楽の背後から、白哉が顔を出す。
「ルキア、何か不自由はないか」
「いいえ、兄様。何も不満はありません」
ルキアも海燕もあやかしだ。海燕は朝顔の花鬼で、ルキアは白哉と同じ椿の花鬼だ。
「ルキアちゃん、今晩も浮竹の夕食はボクが作るから。ルキアちゃんは、自分たちの分を用意しててね」
式である京楽と白哉も、人のように食事をする。
花鬼は、光合成だけで生きていけるが、京楽や白哉ほどのクラスになると人の食事も必要になる。
くわえて、京楽は花鬼の中でも最強と謡われる桜の花鬼である。人の生気を吸って生きている。普段は人ゴミに入って少量の生気を大量にもらうのが月に一度くらい。浮竹も、京楽に生気をあげているが、消耗しすぎると逆に京楽から生気を分け与えられた。それは怪我をしたときや風邪にかかった時などもだ。
「京楽、今日の飯はなんだ?」
「カレー」
「この前もカレーだっただろう」
「あれは甘口の牛肉のやつ。今日作るのはシーフードの辛口のやつ」
「ふむ。できあがるまで、読書でもしとく」
「浮竹、兄が欲しがっていた本を手に入れたぞ」
「お、本当か白哉!」
京楽に興味をなくして、白哉のほうに行く浮竹に、京楽は少し悲しくなる。
「すっごいおいしいカレー作るからね!」
京楽はそう言い切ったが、できあがったカレーは普通だった。
「普通だな」
「兄もそう感じるか。私も普通だと思う」
「ちょっと、白哉くんはルキアちゃんの料理食べときなよ」
「ルキアの料理はもう食した。たりないので、京楽、兄の作るものを食べている」
白哉は、見た目は華奢だがけっこう食べた。
「普通で悪かったね!ボクが作れるのは今はここまでだよ」
ふっと、浮竹が微笑んだ。
「普通だが、それなりにおいしかった。明日の夕飯も楽しみにしている」
「浮竹‥‥‥」
京楽は、浮竹に抱きつく。
ちなみに朝食はルキアが、昼食は普段は学校の給食で、休みの日もルキアが作る。
夕食だけ、京楽が作った。
「暑苦しい。ひっつくな」
「これはハグしてるんですう」
「もう十分だろう。離れろ」
心なしか、浮竹は赤くなる。
「浮竹、照れてるの?かわいいね」
「そ、そんなんじゃないんだからな!」
そんなやりとりを、白哉がため息をつきながら見ているのだった。
ルキアや海燕も、何気に見ていた。
浮竹十四郎27歳。職業小学校教師兼祓い屋。
好きなものは桜。
それから好きな人というかあやかしは、京楽春水。
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教師と式2
「浮竹先生~」
「浮竹先生!」
「浮竹せんせー」
浮竹は、5年のクラスの担任教諭をしていて、今日も朝から子供たちは元気で、浮竹になついていた。
「浮竹せんせ‥‥‥相談したいことがあるんです」
「どうしたんだい?」
「私のお父さんの管理している池に河童が出るんです。お友達になったんだけど、開発工事がもちあがって、河童さんが怒って工事の人を襲ちゃって‥‥‥」
浮竹は、裏の稼業の祓い屋を隠していなかったので、生徒や親からも時折あやかし絡みのことを相談された。
「どこの池か分かるかな?」
「立田池です」
「分かったよ。河童さんは俺がなんとかしてみせよう」
「ほんとですかせんせ!殺したりしないでね?私の友達なの!」
「ああ。話して説得させてみせるよ」
授業が終わり、子供たちが帰っていく。
河童のことを相談してきた女子児童も、ちらちらと浮竹の顔を見ながら帰っていった。
「河童なんて、祓っちゃえばいいのに」
京楽が人型をとって現れる。
「殺さないと約束してしまったからな」
「甘いねぇ、浮竹は。河童でも、人を溺れさせて殺すことだってできる。中には人を食うやつもいる」
「分かっている。立田池にいくぞ」
「はいはい」
浮竹はその日の教師としての仕事を終えて、立田池にやってきた。
「ここは俺の縄張りだ!」
さっそく河童が出てきた。
「お前も、工事関係のやつか。怪我したくなかったら、出ていけ」
「君の友達の女の子に頼まれてね。君を説得にきた」
「はるかのことか?」
河童は、池からあがって浮竹に近づく。
「それ以上、近づかないでね。浮竹に触れたら、塵になるよ?」
「京楽、たかが河童に」
「河童でも、あやかしには変わりない」
「これ、やる」
「ん?」
河童は、何かを浮竹にさしだした。
それはキュウリだった。
「はるかの知り合いなら、悪いやつじゃないはずだ」
「うん。この池はもう開発で埋められてしまうから、違う池に移動しないか?他に河童も他のあやかしもいない綺麗な池を知っているんだ」
それは、浮竹の住む屋敷の近くの池だった。
土地は浮竹のものなので、河童を移住させるには安全だろう。
「ここから移動しても、はるかに会えるか?」
「ああ。俺が、はるかちゃんを呼んできてあげよう。何度でも会えるだろう」
「なら、移住する」
浮竹は胸をなでおろす。
「浮竹、甘いよ。そいつ、人を食ってる」
「う、くそっ」
「まさか。食ったのか。河童なのに、人を」
「工事のやつらが悪いんだ!見せしめに一人食った」
「はるかちゃんとの誓いは守れそうにないな」
浮竹は、残念そうな顔になる。
「人を食ったと知って、退治する気だな!お前も食ってやる!」
「浮竹、下がって」
「京楽、でも」
「もう、こいつはただのあやかしじゃない。人を食った悪いあやかしだ」
「ああ、分かっている。祓おう」
浮竹は、京楽の手を握る。
「ボクに生気を吸われて干からびるといい」
「お前は、桜の花鬼!?超上級妖怪じゃないか!そんなやつが、なぜ人間ごときの式に!」
河童は、京楽から離れようとするが、浮竹がいつの間にか描いていた円陣のせいで動けない。
「あああああ、ぎゃあああああ」
河童の体がみるみるしぼんでいく。
「まぁ、浮竹の教え子の友達みたいだし、命の全てまでは奪わないでいてあげる」
河童は、蛙の大きさにまで縮んでいた。
「けろけろっ。おのれ、桜の花鬼、覚えていろだけろっ」
浮竹は蛙になった河童を捕まえて、自分の屋敷の近くにある池に離した。
「力が戻るまではこの姿だ。はるかにもそう伝えておいてくれ」
「分かった。もう、人を食うんじゃないぞ。今度人に害をなしたら、京楽が塵にするからな」
「分かったけろ」
「ボクも甘くなったかなぁ。塵にするつもりだったのに、君の教え子と友達だって聞いて手加減しちゃった」
京楽は、浮竹を抱きしめる。
「おい、京楽」
「いいじゃない。ここは浮竹の敷地。誰もこない」
「誰もこずとも、同じ式である私が見ているのだが」
「やあ、白哉くん。元気?」
「兄は、主を自分のものにしすぎだ」
白哉は、浮竹と京楽を引き離す。
「あ、白哉ありがとう」
「主、兄は京楽に甘すぎだ。人を食らいつくす桜の花鬼だと、ちゃんと理解しているのか」
「いやまぁ、理解はしているぞ。俺には危害はくわえてこないし」
「ボクは、浮竹に惚れて藍染の式から浮竹の式になったからね」
「藍染か‥‥‥強いが、酷い術者だ。冷酷で残忍で」
浮竹は、嫌そうな顔をし。
「浮竹、兄も気をつけるといい。式に裏切られて、きっと藍染は兄にいい感情を抱いていない」
「ああ。でも、俺には白哉や京楽がいるからな」
「そうだよ。藍染を裏切る時、ちょっと老化の術かけておいたから、少しは老けて力も弱くなってるんじゃないの」
「藍染一門の当主でもあるし、その程度の術ではなんにもならんだろう」
浮竹は、京楽に抱きしめられていた。
「藍染は、自分の式でも役に立たなかったら殺す。それが怖かったわけじゃないけど、君を見つけた。ボクは、ずっと君を探していたよ」
「?京楽、なんのことだ」
「ううん、浮竹はまだ知らなくていいことだよ」
京楽は、浮竹に口づける。
白夜が渋い顔になる。
「白哉、呪符に戻れ」
「しかたあるまい‥‥」
白夜が消えて、京楽は浮竹と手を繋いで、浮竹の屋敷へと帰っていくのだった。
「浮竹先生!」
「浮竹せんせー」
浮竹は、5年のクラスの担任教諭をしていて、今日も朝から子供たちは元気で、浮竹になついていた。
「浮竹せんせ‥‥‥相談したいことがあるんです」
「どうしたんだい?」
「私のお父さんの管理している池に河童が出るんです。お友達になったんだけど、開発工事がもちあがって、河童さんが怒って工事の人を襲ちゃって‥‥‥」
浮竹は、裏の稼業の祓い屋を隠していなかったので、生徒や親からも時折あやかし絡みのことを相談された。
「どこの池か分かるかな?」
「立田池です」
「分かったよ。河童さんは俺がなんとかしてみせよう」
「ほんとですかせんせ!殺したりしないでね?私の友達なの!」
「ああ。話して説得させてみせるよ」
授業が終わり、子供たちが帰っていく。
河童のことを相談してきた女子児童も、ちらちらと浮竹の顔を見ながら帰っていった。
「河童なんて、祓っちゃえばいいのに」
京楽が人型をとって現れる。
「殺さないと約束してしまったからな」
「甘いねぇ、浮竹は。河童でも、人を溺れさせて殺すことだってできる。中には人を食うやつもいる」
「分かっている。立田池にいくぞ」
「はいはい」
浮竹はその日の教師としての仕事を終えて、立田池にやってきた。
「ここは俺の縄張りだ!」
さっそく河童が出てきた。
「お前も、工事関係のやつか。怪我したくなかったら、出ていけ」
「君の友達の女の子に頼まれてね。君を説得にきた」
「はるかのことか?」
河童は、池からあがって浮竹に近づく。
「それ以上、近づかないでね。浮竹に触れたら、塵になるよ?」
「京楽、たかが河童に」
「河童でも、あやかしには変わりない」
「これ、やる」
「ん?」
河童は、何かを浮竹にさしだした。
それはキュウリだった。
「はるかの知り合いなら、悪いやつじゃないはずだ」
「うん。この池はもう開発で埋められてしまうから、違う池に移動しないか?他に河童も他のあやかしもいない綺麗な池を知っているんだ」
それは、浮竹の住む屋敷の近くの池だった。
土地は浮竹のものなので、河童を移住させるには安全だろう。
「ここから移動しても、はるかに会えるか?」
「ああ。俺が、はるかちゃんを呼んできてあげよう。何度でも会えるだろう」
「なら、移住する」
浮竹は胸をなでおろす。
「浮竹、甘いよ。そいつ、人を食ってる」
「う、くそっ」
「まさか。食ったのか。河童なのに、人を」
「工事のやつらが悪いんだ!見せしめに一人食った」
「はるかちゃんとの誓いは守れそうにないな」
浮竹は、残念そうな顔になる。
「人を食ったと知って、退治する気だな!お前も食ってやる!」
「浮竹、下がって」
「京楽、でも」
「もう、こいつはただのあやかしじゃない。人を食った悪いあやかしだ」
「ああ、分かっている。祓おう」
浮竹は、京楽の手を握る。
「ボクに生気を吸われて干からびるといい」
「お前は、桜の花鬼!?超上級妖怪じゃないか!そんなやつが、なぜ人間ごときの式に!」
河童は、京楽から離れようとするが、浮竹がいつの間にか描いていた円陣のせいで動けない。
「あああああ、ぎゃあああああ」
河童の体がみるみるしぼんでいく。
「まぁ、浮竹の教え子の友達みたいだし、命の全てまでは奪わないでいてあげる」
河童は、蛙の大きさにまで縮んでいた。
「けろけろっ。おのれ、桜の花鬼、覚えていろだけろっ」
浮竹は蛙になった河童を捕まえて、自分の屋敷の近くにある池に離した。
「力が戻るまではこの姿だ。はるかにもそう伝えておいてくれ」
「分かった。もう、人を食うんじゃないぞ。今度人に害をなしたら、京楽が塵にするからな」
「分かったけろ」
「ボクも甘くなったかなぁ。塵にするつもりだったのに、君の教え子と友達だって聞いて手加減しちゃった」
京楽は、浮竹を抱きしめる。
「おい、京楽」
「いいじゃない。ここは浮竹の敷地。誰もこない」
「誰もこずとも、同じ式である私が見ているのだが」
「やあ、白哉くん。元気?」
「兄は、主を自分のものにしすぎだ」
白哉は、浮竹と京楽を引き離す。
「あ、白哉ありがとう」
「主、兄は京楽に甘すぎだ。人を食らいつくす桜の花鬼だと、ちゃんと理解しているのか」
「いやまぁ、理解はしているぞ。俺には危害はくわえてこないし」
「ボクは、浮竹に惚れて藍染の式から浮竹の式になったからね」
「藍染か‥‥‥強いが、酷い術者だ。冷酷で残忍で」
浮竹は、嫌そうな顔をし。
「浮竹、兄も気をつけるといい。式に裏切られて、きっと藍染は兄にいい感情を抱いていない」
「ああ。でも、俺には白哉や京楽がいるからな」
「そうだよ。藍染を裏切る時、ちょっと老化の術かけておいたから、少しは老けて力も弱くなってるんじゃないの」
「藍染一門の当主でもあるし、その程度の術ではなんにもならんだろう」
浮竹は、京楽に抱きしめられていた。
「藍染は、自分の式でも役に立たなかったら殺す。それが怖かったわけじゃないけど、君を見つけた。ボクは、ずっと君を探していたよ」
「?京楽、なんのことだ」
「ううん、浮竹はまだ知らなくていいことだよ」
京楽は、浮竹に口づける。
白夜が渋い顔になる。
「白哉、呪符に戻れ」
「しかたあるまい‥‥」
白夜が消えて、京楽は浮竹と手を繋いで、浮竹の屋敷へと帰っていくのだった。
教師と式
「何してるの、浮竹」
声をかけてきたのは、浮竹の式の京楽だった。桜の花鬼で、他にも浮竹はいくつか式を従えていたが、人型をとるのは京楽と、椿の花鬼の白哉だけだった。
「ああ、今日のテストの点数をつけてるんだ。成績がいい子ばかりで、俺も教えがいがあるな」
「そう。夕ご飯作ったから、食べる?」
「ああ。食べる」
浮竹は、小学校5年の担任の教師だった。
私立の進学校として有名な中学高校と一貫しているため、生徒たちは頭がいい子が多い。
浮竹は、教師をしながら祓い屋をしていた。
浮竹の裏家業を知る者は、同じ祓い屋の中くらいしかいない。
「兄の料理の腕は、いまいちだ」
「ちょっと、白哉くん勝手に食べときながらそれはないでしょ」
人型をとった白哉は、勝手に京楽の作ったカレーを食べて、その感想を言う。
「まぁ、俺のほうがもっと料理の腕は壊滅的だからな」
浮竹が苦笑する。白哉は、カレーをもう一口食べながら、助言する。
「ルーをもう少し入れるといい。隠し味にチョコレートをいれるとまろやかな味になる」
「ふむ。ちょっと待っててね、浮竹」
「ああ」
京楽は、辛口のルーを鍋に足して、おやつにとっておいたチョコレートを少しだけ放り込む。
「うん、さっきよりおいしいかも」
「当り前だ。私の助言でまずいものができるはずがない」
自信満々気な白哉は、また勝手に京楽の作ったカレーを一口食べた。
「先ほどよりはましだな。浮竹、兄も食べるといい」
「白哉、昨日の牛鬼退治で疲れているだろう。無理に人型をとる必要はないんだぞ」
「問題ない。それより、京楽と二人きりにして京楽が、兄にいらぬことをしないかが心配だ」
「ボクと浮竹は、互いの意思でちゃんと交際してるんですう。白哉くんはひっこんでなさい」
「主を守るのも式の務め」
白哉は、浮竹の隣に座る。
「あ、そこボクが座ろうと思ってたのに!」
「京楽、兄が浮竹を大事にしているのは承知しているが、式が主と交わるのはあまり良いことと思えぬ」
浮竹は、最近白哉に知られてしまった京楽との仲に、顔を赤くする。
「白哉、俺は大丈夫だから」
「ふむ。兄がそう言うのなら、私は呪符に戻って休憩することにしよう」
白哉は、椿の文様がある紙切れになって、眠ってしまった。
「全く、白哉くんは‥‥‥」
「まぁまぁ。カレー、うまそうだな。いただくよ」
「うん。好きなだけ食べてね?」
京楽は最近料理を始めたばかりなので、まだ簡単なものしか作れいないが、コンビニの弁当やらジャンクフードやインスタント食品を食べる浮竹の健康面を気にして、新鮮な素材で料理をしてくれるようになった。
浮竹は、京楽の作ったカレーを食べて、京楽も自分で作ったカレーを食べた。
「白哉くんの言った通りにしたら、確かにさっきよりおいしいよ」
「そうか。白哉は昨日牛鬼と戦ったからな。力を消耗しているだろうに」
「白哉君は椿の花鬼だからね。なかなか散らない椿のように強い」
「ああ。京楽は桜の花鬼ですぐ散るのに強いな」
「ふふ。桜の花鬼は人の生気を吸うからね。君がいない間、ボクは外で人間から少しだけ生気を分けてもらってるから」
「本当に、少しだけだろうな?」
「もちろん。干からびるほど吸うようなバカじゃないよ。君の式なんだから」
元々、京楽は浮竹の式ではなかった。
別の術者の式だった。
それを、京楽が惚れたとか言って、前の術者と契約を切り、浮竹の式になりたいと言ってきたのだ。最初、浮竹は拒否していたが、桜の花鬼が主を持たないままいると、人の生気をたくさん吸って殺してしまうので、仕方なく浮竹は京楽を式にした。
京楽はその勢いのまま、浮竹を口説き落とすことに成功した。
「依頼がきている。明日、昨日とは違う牛鬼を退治する」
「こんなに牛鬼が出るなんて、何かあるのかな」
「分からない。ただ、牛鬼は危険だ。人を食うからな」
「うん。生気を吸いつくしてやるよ」
次の日になって、京楽は人型から桜の花びらが描かれた呪符に宿って、浮竹と共に牛鬼が出る公園にやってきた。
「うまそうな匂いがする。人間、お前は他の人間よりうまそうだ。食わせろ」
「京楽」
「はいはい。出番だね」
浮竹は、京楽を召喚する。
「式か。貴様、術者か」
「ああ。祓い屋だ」
「おのれ、我を退治にきたか。だが、そんな式程度に‥‥‥ぎゃあああ、生気を吸われていく!?」
牛鬼は、いつの間にか生気を吸われて、干からびていく。
「ボクは桜の花鬼だからね。桜の花鬼は大量の生気を吸う。牛鬼、君の生気はまずいね」
「ああああ、我の体があああ」
牛鬼は、体を維持することができなくなるくらい生気を吸われて、灰になる。
「京楽、戻れ」
「まずい生気だったよ。浮竹のおいしい生気を少しだけちょうだい?」
「仕方ないやつだな‥‥」
浮竹は、京楽に口づけをする。
「うん。浮竹の生気は極上だね。すごくおいしかった。そんなんだから、他のあやかしに狙われるんだよ。まぁ、祓い屋だから返り討ちだろうけど」
「お前に生気を分けたことを白哉が知るとまた何か言いそうだ」
「白哉くんは、主思いが強いからね」
白哉は、浮竹がもともと持っている式で、椿の花鬼だ。狂い咲きの椿と言われていたあやかしの白哉を、浮竹が自分のものにした。
「ああ、このまま夕飯の買い出しに行こうか」
「そうだな」
「でも、牛鬼なんて強いあやかしが意味もなく出るとは思えないけどね」
「裏で、誰かが糸を引いているのかもな。まぁ、当分牛鬼どころかあやかしも出ないように結界を張っておくか」
「そうだね。逢魔が時にまた何か出そうな空気だ。結界をはって、清めておくのがいいね」
浮竹は、烏の式を召喚して結界を張る。
清めの聖水を公園に降り注がせて、京楽は浮竹のサポートのために烏の式に生気を分けた。
「さぁ、終わりだ」
「うん。じゃあ、買い物にいこっか」
「今日は何を作るんだ?」
「ん、クリームシチューだよ。魚介類いっぱいのね」
「お前の料理の腕は日に日にうまくなっていくから、楽しみだ」
「ふふふ、そう言われると嬉しいね」
京楽は、浮竹の手を握る。
浮竹は、仕方ないとばかりに京楽と手を繋ぐ。
人のいない場所だけであるが。
浮竹十四郎。彼は、その界隈ではある程度有名な祓い屋で、小学校の教師である。京楽はその式で、浮竹に一目ぼれして白哉より後から他の術者の式でありながら、裏切って浮竹の式になった。
白哉は、京楽が裏切るのではないかと心配しているが、今のところそれはなさそうであった。
京楽は、白哉からたまに少しだけ生気を分けてもらって、主に従うという契約を更新している。浮竹は、京楽を式にした限り、他人から生気を分けてもらい存在することを許しはするが、大量に生気を吸って殺すようなことがあれば、京楽を殺すだろう。
京楽は、元々、殺すまで人の生気を吸いつくす花鬼だった。前の術者が従わせるまでは、普通に人を食事としてしか見ていなかった。
浮竹と出会い、浮竹のものになってかから、京楽は自分の存在意義を変えた。
浮竹のために戦い、浮竹を守ると。
「浮竹、明日は食事してくるから、人型のままいさせてね?」
「あんまり、同じ人間から生気を奪うなよ」
「大丈夫。人間はたくさんいるんだもの。少しだけ分けてもらっていくだけでお腹いっぱいになるよ」
京楽は、人の食事は本当は必要ないのだが、浮竹のために食事を作るようになってから、料理をの腕を磨きつつ、自分も食事をするようにした。
浮竹が食べるを、ただ真似しているのだけなのだが、一人で食事するより二人で食事をすれば浮竹は必ず京楽の作ったものを食べてくれるので、そうしていた。
「クリームシチュー、おいしいの作るね?」
「白哉が、味見にまた出てくるだろうな」
「白哉くんは味にうるさいからねぇ」
とりあえず、浮竹と京楽は今は互いに交際中ということで、仲はよいのだった。
声をかけてきたのは、浮竹の式の京楽だった。桜の花鬼で、他にも浮竹はいくつか式を従えていたが、人型をとるのは京楽と、椿の花鬼の白哉だけだった。
「ああ、今日のテストの点数をつけてるんだ。成績がいい子ばかりで、俺も教えがいがあるな」
「そう。夕ご飯作ったから、食べる?」
「ああ。食べる」
浮竹は、小学校5年の担任の教師だった。
私立の進学校として有名な中学高校と一貫しているため、生徒たちは頭がいい子が多い。
浮竹は、教師をしながら祓い屋をしていた。
浮竹の裏家業を知る者は、同じ祓い屋の中くらいしかいない。
「兄の料理の腕は、いまいちだ」
「ちょっと、白哉くん勝手に食べときながらそれはないでしょ」
人型をとった白哉は、勝手に京楽の作ったカレーを食べて、その感想を言う。
「まぁ、俺のほうがもっと料理の腕は壊滅的だからな」
浮竹が苦笑する。白哉は、カレーをもう一口食べながら、助言する。
「ルーをもう少し入れるといい。隠し味にチョコレートをいれるとまろやかな味になる」
「ふむ。ちょっと待っててね、浮竹」
「ああ」
京楽は、辛口のルーを鍋に足して、おやつにとっておいたチョコレートを少しだけ放り込む。
「うん、さっきよりおいしいかも」
「当り前だ。私の助言でまずいものができるはずがない」
自信満々気な白哉は、また勝手に京楽の作ったカレーを一口食べた。
「先ほどよりはましだな。浮竹、兄も食べるといい」
「白哉、昨日の牛鬼退治で疲れているだろう。無理に人型をとる必要はないんだぞ」
「問題ない。それより、京楽と二人きりにして京楽が、兄にいらぬことをしないかが心配だ」
「ボクと浮竹は、互いの意思でちゃんと交際してるんですう。白哉くんはひっこんでなさい」
「主を守るのも式の務め」
白哉は、浮竹の隣に座る。
「あ、そこボクが座ろうと思ってたのに!」
「京楽、兄が浮竹を大事にしているのは承知しているが、式が主と交わるのはあまり良いことと思えぬ」
浮竹は、最近白哉に知られてしまった京楽との仲に、顔を赤くする。
「白哉、俺は大丈夫だから」
「ふむ。兄がそう言うのなら、私は呪符に戻って休憩することにしよう」
白哉は、椿の文様がある紙切れになって、眠ってしまった。
「全く、白哉くんは‥‥‥」
「まぁまぁ。カレー、うまそうだな。いただくよ」
「うん。好きなだけ食べてね?」
京楽は最近料理を始めたばかりなので、まだ簡単なものしか作れいないが、コンビニの弁当やらジャンクフードやインスタント食品を食べる浮竹の健康面を気にして、新鮮な素材で料理をしてくれるようになった。
浮竹は、京楽の作ったカレーを食べて、京楽も自分で作ったカレーを食べた。
「白哉くんの言った通りにしたら、確かにさっきよりおいしいよ」
「そうか。白哉は昨日牛鬼と戦ったからな。力を消耗しているだろうに」
「白哉君は椿の花鬼だからね。なかなか散らない椿のように強い」
「ああ。京楽は桜の花鬼ですぐ散るのに強いな」
「ふふ。桜の花鬼は人の生気を吸うからね。君がいない間、ボクは外で人間から少しだけ生気を分けてもらってるから」
「本当に、少しだけだろうな?」
「もちろん。干からびるほど吸うようなバカじゃないよ。君の式なんだから」
元々、京楽は浮竹の式ではなかった。
別の術者の式だった。
それを、京楽が惚れたとか言って、前の術者と契約を切り、浮竹の式になりたいと言ってきたのだ。最初、浮竹は拒否していたが、桜の花鬼が主を持たないままいると、人の生気をたくさん吸って殺してしまうので、仕方なく浮竹は京楽を式にした。
京楽はその勢いのまま、浮竹を口説き落とすことに成功した。
「依頼がきている。明日、昨日とは違う牛鬼を退治する」
「こんなに牛鬼が出るなんて、何かあるのかな」
「分からない。ただ、牛鬼は危険だ。人を食うからな」
「うん。生気を吸いつくしてやるよ」
次の日になって、京楽は人型から桜の花びらが描かれた呪符に宿って、浮竹と共に牛鬼が出る公園にやってきた。
「うまそうな匂いがする。人間、お前は他の人間よりうまそうだ。食わせろ」
「京楽」
「はいはい。出番だね」
浮竹は、京楽を召喚する。
「式か。貴様、術者か」
「ああ。祓い屋だ」
「おのれ、我を退治にきたか。だが、そんな式程度に‥‥‥ぎゃあああ、生気を吸われていく!?」
牛鬼は、いつの間にか生気を吸われて、干からびていく。
「ボクは桜の花鬼だからね。桜の花鬼は大量の生気を吸う。牛鬼、君の生気はまずいね」
「ああああ、我の体があああ」
牛鬼は、体を維持することができなくなるくらい生気を吸われて、灰になる。
「京楽、戻れ」
「まずい生気だったよ。浮竹のおいしい生気を少しだけちょうだい?」
「仕方ないやつだな‥‥」
浮竹は、京楽に口づけをする。
「うん。浮竹の生気は極上だね。すごくおいしかった。そんなんだから、他のあやかしに狙われるんだよ。まぁ、祓い屋だから返り討ちだろうけど」
「お前に生気を分けたことを白哉が知るとまた何か言いそうだ」
「白哉くんは、主思いが強いからね」
白哉は、浮竹がもともと持っている式で、椿の花鬼だ。狂い咲きの椿と言われていたあやかしの白哉を、浮竹が自分のものにした。
「ああ、このまま夕飯の買い出しに行こうか」
「そうだな」
「でも、牛鬼なんて強いあやかしが意味もなく出るとは思えないけどね」
「裏で、誰かが糸を引いているのかもな。まぁ、当分牛鬼どころかあやかしも出ないように結界を張っておくか」
「そうだね。逢魔が時にまた何か出そうな空気だ。結界をはって、清めておくのがいいね」
浮竹は、烏の式を召喚して結界を張る。
清めの聖水を公園に降り注がせて、京楽は浮竹のサポートのために烏の式に生気を分けた。
「さぁ、終わりだ」
「うん。じゃあ、買い物にいこっか」
「今日は何を作るんだ?」
「ん、クリームシチューだよ。魚介類いっぱいのね」
「お前の料理の腕は日に日にうまくなっていくから、楽しみだ」
「ふふふ、そう言われると嬉しいね」
京楽は、浮竹の手を握る。
浮竹は、仕方ないとばかりに京楽と手を繋ぐ。
人のいない場所だけであるが。
浮竹十四郎。彼は、その界隈ではある程度有名な祓い屋で、小学校の教師である。京楽はその式で、浮竹に一目ぼれして白哉より後から他の術者の式でありながら、裏切って浮竹の式になった。
白哉は、京楽が裏切るのではないかと心配しているが、今のところそれはなさそうであった。
京楽は、白哉からたまに少しだけ生気を分けてもらって、主に従うという契約を更新している。浮竹は、京楽を式にした限り、他人から生気を分けてもらい存在することを許しはするが、大量に生気を吸って殺すようなことがあれば、京楽を殺すだろう。
京楽は、元々、殺すまで人の生気を吸いつくす花鬼だった。前の術者が従わせるまでは、普通に人を食事としてしか見ていなかった。
浮竹と出会い、浮竹のものになってかから、京楽は自分の存在意義を変えた。
浮竹のために戦い、浮竹を守ると。
「浮竹、明日は食事してくるから、人型のままいさせてね?」
「あんまり、同じ人間から生気を奪うなよ」
「大丈夫。人間はたくさんいるんだもの。少しだけ分けてもらっていくだけでお腹いっぱいになるよ」
京楽は、人の食事は本当は必要ないのだが、浮竹のために食事を作るようになってから、料理をの腕を磨きつつ、自分も食事をするようにした。
浮竹が食べるを、ただ真似しているのだけなのだが、一人で食事するより二人で食事をすれば浮竹は必ず京楽の作ったものを食べてくれるので、そうしていた。
「クリームシチュー、おいしいの作るね?」
「白哉が、味見にまた出てくるだろうな」
「白哉くんは味にうるさいからねぇ」
とりあえず、浮竹と京楽は今は互いに交際中ということで、仲はよいのだった。
オメガバース京浮読み切り短編12
京楽は、久しぶりに花街にきていた。
新しい廓が数件できており、少しのぞいては興味を失い次の廓へと興味を移す。
京楽は、アルファだ。オメガの花魁を探していた。別にベータでもよいのだが、オメガだと相性もよく快楽も得やすいからだ。
無論、うなじをかんで番にする気はないし、避妊具も使う。
その店は、金銀廓という新しくできた廓だった。
見世には、花魁もいた。
京楽は、そのうちの一人を見て、これは運命の番だと感じた。相手はまだこっちには気づいていないようで、結い上げられた白い長い髪をいじっていた。
「ねぇ、君」
「あら、あたし?」
「違う。髪の白い‥‥そう、君だよ」
髪の白い花魁は、名を翡翠といった。本名は浮竹十四郎という。
「俺か?」
「え、君花魁なのに男なのかい。色子か」
15歳くらいの、見た目は美少女だった。
「色子の花魁で悪いか。廓で身を売るのに色子も遊女も関係ない。花魁であることは、位が高くてもうけている証だ‥‥‥‥お前、アルファか」
「うん、そうだよ。君、ボクの運命の番だと思うんだ。君は?」
「ん‥‥‥そういえば、なんかすごく惹きつけられる。お前、俺の運命の番なのか」
「そうみたい。君を買うよ?」
「好きにしろ」
浮竹は、運命の番だろうがただ身を売るだけだと、さっぱりしていた。
浮竹を買って、廓の中に入る。
京楽は浮竹の隣にいると、今すぐうなじを噛んで自分だけの番にしたい衝動に駆られる。
「名前は?」
「翡翠」
「本名は?」
「浮竹十四郎。そういうお前は?」
「ボクは京楽春水」
「ああ‥‥…上流貴族の京楽家のぼんぼんか。俺の揚げ代は高いがまぁお前なら払えるだろうな」
京楽は、浮竹の耳元で囁く。
「君、ボクと運命の番だと思うんだ。君は?」
「俺も、そう感じる。でも、俺は色子の花魁。身を売るだけだ」
「じゃあ、君を身請けする」
「え?」
浮竹は驚いた。
まだ自分を買ったばかりで、身を売ってもいないというのに、身請けの話が出たからだ。
今までも数件身請けの話が出たが、色子のオメガの花魁は珍しすぎてとにかく身請け代も揚げ代も高かった。
皆、その値段の高さに諦めて去っていった。
廓の上客も、何度か買うと違う花魁に興味を移して、離れていく。
浮竹は、身を売るが心までは売らない。他の花魁より気まぐれで、花魁であるが故に買われても抱かせない時も多々あった。
一時は花魁であることを理由に身を売らなかったが、廓の主人にばれてちゃんと客をとるように仕置きされた。
そんなこんなで、浮竹は冷めていた。
身を売るのは嫌いだった。色子にされたのを、今でも後悔している。
だが、幼い弟や妹を売るくらいならと、自分から色子になると言い出したのも事実。
浮竹はやや病弱で、肺を患っており、見世に出れない時もよくあった。
廓の主人が、高い薬を用意してくれているお陰で、今は発作もなく落ち着いていた。
「身請けした後、どうせ飽きて放り出すんだろう?先に抱いて確かめたらどうだ。運命の番かどうか」
「うん、そうだね。でも、君を身請けするよ?運命の番なのは間違いない」
「好きにしろ」
浮竹は、まだ出会ったばかりの京楽を、警戒していた。
「君を買う。君を抱くよ?」
「好きにすればいい」
京楽は、廓の主人を呼び、浮竹の身請けの話を進めた。かなりの金額を要求されて、さしもの上流貴族でも無理かと思われたが、もっている屋敷をいくつか売ることで金の都合はついた。
「お前、ばかか。俺のためにそんなに金を‥‥‥」
「君は、もうボクのものだよ、翡翠」
「俺は俺のものだ。買われても、変わらない」
「君を抱くよ?」
「勝手にしろ」
「廓の主人から、番にしていい許可をもらったからね。君はボクの運命の番だ。大切にするよ?」
浮竹は、翡翠の名のもとになった緑の瞳を瞬かせる。
「あっ」
褥で軽く愛撫されて、浮竹は相手が運命の番のせいかいつもより感じていた。
「俺は、お前に媚びないからな」
「うん。君は君のままでいてくれていいよ」
「ああああっ」
浮竹は、自身を握りこまれてしごかれて、精液をはきだしていた。
「んっ」
「濡れてるね。これなら、潤滑油いらないかな。でも念のため、ね?」
京楽は潤滑油を取り出して、浮竹の蕾に指を入れてばらばらに動かす。
「んあっ」
いい場所に指が当たって、浮竹は甘い声をあげる。
「ここ、君のいいところ?」
「ひあああ!」
「挿入れるね?」
「あ、待て、まだ、やっ」
浮竹は、京楽を警戒していたのだが、与えられる快感に思考がぐずぐずに溶けていく。
「待てない。ボクのものにする」
「やあああああああ!!!」
熱いもので貫かれて、浮竹は挿入れられると同時に精液を吐き出していた。
「んあああ!」
「君の細い体には少し負担かな?ボクの、けっこうでかいって言われるから」
「じゃあ、少しは加減しろっ。んあっ」
「ああ、君の中は最高だね。今まで抱いてきたどの花魁より気持ちよくて、君も綺麗だ」
「んんんっ」
舌が絡まるキスをされて、浮竹も流されるままではしゃくだと、京楽を締め付けて射精に誘導する。
「ん、そんなに締め付けられたら」
「ふふ、俺は色子だぞ?何人もの客を相手にしてきたからな。身請けする気もなくなったか?」
「いいや、そんなことないよ。身を売るのも君はもう終わりだ。ボクの番になるんだから」
京楽は、浮竹を激しく貫いて揺さぶる。
「んああああ!」
廓の主人からもらった、番にさせないための首につけられた首輪の鍵で首輪を外して、京楽は浮竹のうなじにかみつく。
「ひあああああああ!!!」
ばちばちと、電流が流れる。
運命の番が、完成する。
「翡翠、君はボクのものだ」
京楽は、浮竹の胎の奥に子種をたっぷり注ぎこむ。
「あ、もっとおお」
浮竹は、運命の番にされたせいか乱れた。
「あ、もっと奥に」
「ここかい?」
「ひあう!」
浮竹が求めるまま、京楽は浮竹を抱く。
「あ、もっと子種ちょうだい?」
愛らしい顔で淫らになる浮竹に、京楽は夢中になった。
「もう、体は売らなくていいからね。君はボクに身請けされたんだから」
「あ、あっ」
美しい顔(かんばせ)で、乱れる浮竹は花魁の地位がふさわしいほどよく感じて、満足感を京楽に与えた。
その日、京楽は浮竹が意識を飛ばすまで抱いた。
「んんっ」
浮竹が起きると、昼だった。
見慣れない天井に、はっとなる。
眠っているうちに、荷物ごと馬車で移動させられて、浮竹は部屋の中を見渡す。
高級な調度品にあふれた部屋だった。
「起きた、翡翠?」
「あ‥‥‥十四郎と呼べ。俺の運命の番なんだろう?」
「十四郎、欲しいものはない?」
京楽が、にこにこして浮竹の長い白髪にキスを落とす。
「湯あみがしたい」
「じゃあ、風呂場に案内するね?新しい着物とかも用意させてあるから」
浮竹は、広い湯船に浸かって、自分は本当に京楽に身請けされて運命の番にされたのだと、なんとも言えない気持ちになる。
まずは、親兄弟に連絡をして、色子をやめれたことを報告しようと思った。
湯からあがると、京楽が待っていた。
「お昼ごはん。うなぎのかば焼き。一緒に食べよう?」
「ああ‥‥‥なぁ、父上や母上、弟や妹に、身請けされたことを知らせたいのだがいいか?」
「もちろんいいよ。でも、外出はまだだめだよ。君、今ヒート期間きてるから」
「え?」
まだ、ヒートが訪れていなかった浮竹は、身に残る熱い感覚に、ヒートがきたのかだと遅まき気づく。
「道理で、体が熱いわけだ。俺を抱け、京楽春水」
「夜になったらね?昨日抱いたばかりだし」
京楽は、浮竹のヒートを少しでも紛らわすために、薬も用意していた。それを飲むと、浮竹のヒートの熱も少し収まった。
夜になった。
「京楽」
「春水って呼んで?」
「春水。お前を、父上と母上、弟や妹たちに会わせたい」
「今日は遅いから、明日にしようね?」
「んあっ」
褥で覆いかぶさられて、浮竹は色子時代にもなかった快楽の波を知る。
ヒート期間に抱かれるのは、子を孕むためでもあるこを知っていたが、まだ子は欲しくないのでアフターピルを用意してもらった。
「んんんっ」
「十四郎、綺麗だよ」
「あ、春水」
番になった証の噛み痕を噛まれて、浮竹は目を閉じる。
「ひあっ」
快楽の波に飲み込まれながら。
寝る、食べる以外は、ほとんど睦み合ってヒート期間を過ごし終えると、京楽は仕事に出かけてしまった。
浮竹はすることもなく、ただ京楽の帰りを待つ。
そこへ、両親と弟や妹たちがやってきた。
「十四郎!」
「十四郎、身請けされたと聞いたが大事にされているかい?」
「母上、父上!」
浮竹は、懐かしくなって涙を零していた。
「京楽様が、十四郎の元にきてもいいと、屋敷を解放されたのだ」
「そうか。春水が‥‥」
「京楽様と運命の番なんですってね。幸せになるんですよ、十四郎」
「はい、母上」
その日は家族で過ごして、京楽は顔を見せるだけだった。
翌日には家族は帰ってしまい、また暇な時間ができる。
浮竹は、その次の日京楽の仕事を手伝うと言って、京楽についていった。
京楽は死神の隊長だった。
副官に追いかけられて、書類仕事をたくさん残していた。
本来なら入れないのだが、特別に執務室に入れてもらい、浮竹は京楽のためた書類を見て、片付けられるものは京楽の代わりに仕事をしてしまった。
それがあまりにも早く、的確なので、次の日からもぜひ来てほしいと副官と京楽から請われて、浮竹は京楽の仕事の補佐をするようになった。
そして、夜になると睦み合った。
「十四郎はすごいね。初めてなのにあんなに仕事ができて」
「簡単だったぞ?お前がしないだけで、やろうとすれば片付くんじゃないのか」
「ボク、書類仕事はからっきしでねぇ」
「また、明日も一緒に仕事に行ってやるから」
「うん。愛してるよ、十四郎」
「俺は‥‥‥まだ、分からない。運命の番であることは分かったし好きだろうけど、愛しているとは、まだはっきりと言えない」
「それでもいいよ。ボクは君を愛している。君はそれにこたえてくれている。それだけでも十分だよ」
京楽に身請けされて3カ月経った頃。
浮竹は、妊娠していた。
「春水、子ができたんだ」
京楽は、飛び上がって喜んだ。
「今なら言える。愛してる、春水」
「うん。ボクもだよ。子供、産みたくないならおろしてもいいんだよ?君はまだまだ若いんだ」
「産む。お前との子だ」
「十四郎、愛しているよ。二人で、子供を育てよう」
「ああ」
浮竹が産んだ子は女児で、その3年後には男児が生まれ、京楽家の跡取りができた。
京楽と浮竹は、運命の番としていつまでも寄り添い合って、暮らすのであった。
新しい廓が数件できており、少しのぞいては興味を失い次の廓へと興味を移す。
京楽は、アルファだ。オメガの花魁を探していた。別にベータでもよいのだが、オメガだと相性もよく快楽も得やすいからだ。
無論、うなじをかんで番にする気はないし、避妊具も使う。
その店は、金銀廓という新しくできた廓だった。
見世には、花魁もいた。
京楽は、そのうちの一人を見て、これは運命の番だと感じた。相手はまだこっちには気づいていないようで、結い上げられた白い長い髪をいじっていた。
「ねぇ、君」
「あら、あたし?」
「違う。髪の白い‥‥そう、君だよ」
髪の白い花魁は、名を翡翠といった。本名は浮竹十四郎という。
「俺か?」
「え、君花魁なのに男なのかい。色子か」
15歳くらいの、見た目は美少女だった。
「色子の花魁で悪いか。廓で身を売るのに色子も遊女も関係ない。花魁であることは、位が高くてもうけている証だ‥‥‥‥お前、アルファか」
「うん、そうだよ。君、ボクの運命の番だと思うんだ。君は?」
「ん‥‥‥そういえば、なんかすごく惹きつけられる。お前、俺の運命の番なのか」
「そうみたい。君を買うよ?」
「好きにしろ」
浮竹は、運命の番だろうがただ身を売るだけだと、さっぱりしていた。
浮竹を買って、廓の中に入る。
京楽は浮竹の隣にいると、今すぐうなじを噛んで自分だけの番にしたい衝動に駆られる。
「名前は?」
「翡翠」
「本名は?」
「浮竹十四郎。そういうお前は?」
「ボクは京楽春水」
「ああ‥‥…上流貴族の京楽家のぼんぼんか。俺の揚げ代は高いがまぁお前なら払えるだろうな」
京楽は、浮竹の耳元で囁く。
「君、ボクと運命の番だと思うんだ。君は?」
「俺も、そう感じる。でも、俺は色子の花魁。身を売るだけだ」
「じゃあ、君を身請けする」
「え?」
浮竹は驚いた。
まだ自分を買ったばかりで、身を売ってもいないというのに、身請けの話が出たからだ。
今までも数件身請けの話が出たが、色子のオメガの花魁は珍しすぎてとにかく身請け代も揚げ代も高かった。
皆、その値段の高さに諦めて去っていった。
廓の上客も、何度か買うと違う花魁に興味を移して、離れていく。
浮竹は、身を売るが心までは売らない。他の花魁より気まぐれで、花魁であるが故に買われても抱かせない時も多々あった。
一時は花魁であることを理由に身を売らなかったが、廓の主人にばれてちゃんと客をとるように仕置きされた。
そんなこんなで、浮竹は冷めていた。
身を売るのは嫌いだった。色子にされたのを、今でも後悔している。
だが、幼い弟や妹を売るくらいならと、自分から色子になると言い出したのも事実。
浮竹はやや病弱で、肺を患っており、見世に出れない時もよくあった。
廓の主人が、高い薬を用意してくれているお陰で、今は発作もなく落ち着いていた。
「身請けした後、どうせ飽きて放り出すんだろう?先に抱いて確かめたらどうだ。運命の番かどうか」
「うん、そうだね。でも、君を身請けするよ?運命の番なのは間違いない」
「好きにしろ」
浮竹は、まだ出会ったばかりの京楽を、警戒していた。
「君を買う。君を抱くよ?」
「好きにすればいい」
京楽は、廓の主人を呼び、浮竹の身請けの話を進めた。かなりの金額を要求されて、さしもの上流貴族でも無理かと思われたが、もっている屋敷をいくつか売ることで金の都合はついた。
「お前、ばかか。俺のためにそんなに金を‥‥‥」
「君は、もうボクのものだよ、翡翠」
「俺は俺のものだ。買われても、変わらない」
「君を抱くよ?」
「勝手にしろ」
「廓の主人から、番にしていい許可をもらったからね。君はボクの運命の番だ。大切にするよ?」
浮竹は、翡翠の名のもとになった緑の瞳を瞬かせる。
「あっ」
褥で軽く愛撫されて、浮竹は相手が運命の番のせいかいつもより感じていた。
「俺は、お前に媚びないからな」
「うん。君は君のままでいてくれていいよ」
「ああああっ」
浮竹は、自身を握りこまれてしごかれて、精液をはきだしていた。
「んっ」
「濡れてるね。これなら、潤滑油いらないかな。でも念のため、ね?」
京楽は潤滑油を取り出して、浮竹の蕾に指を入れてばらばらに動かす。
「んあっ」
いい場所に指が当たって、浮竹は甘い声をあげる。
「ここ、君のいいところ?」
「ひあああ!」
「挿入れるね?」
「あ、待て、まだ、やっ」
浮竹は、京楽を警戒していたのだが、与えられる快感に思考がぐずぐずに溶けていく。
「待てない。ボクのものにする」
「やあああああああ!!!」
熱いもので貫かれて、浮竹は挿入れられると同時に精液を吐き出していた。
「んあああ!」
「君の細い体には少し負担かな?ボクの、けっこうでかいって言われるから」
「じゃあ、少しは加減しろっ。んあっ」
「ああ、君の中は最高だね。今まで抱いてきたどの花魁より気持ちよくて、君も綺麗だ」
「んんんっ」
舌が絡まるキスをされて、浮竹も流されるままではしゃくだと、京楽を締め付けて射精に誘導する。
「ん、そんなに締め付けられたら」
「ふふ、俺は色子だぞ?何人もの客を相手にしてきたからな。身請けする気もなくなったか?」
「いいや、そんなことないよ。身を売るのも君はもう終わりだ。ボクの番になるんだから」
京楽は、浮竹を激しく貫いて揺さぶる。
「んああああ!」
廓の主人からもらった、番にさせないための首につけられた首輪の鍵で首輪を外して、京楽は浮竹のうなじにかみつく。
「ひあああああああ!!!」
ばちばちと、電流が流れる。
運命の番が、完成する。
「翡翠、君はボクのものだ」
京楽は、浮竹の胎の奥に子種をたっぷり注ぎこむ。
「あ、もっとおお」
浮竹は、運命の番にされたせいか乱れた。
「あ、もっと奥に」
「ここかい?」
「ひあう!」
浮竹が求めるまま、京楽は浮竹を抱く。
「あ、もっと子種ちょうだい?」
愛らしい顔で淫らになる浮竹に、京楽は夢中になった。
「もう、体は売らなくていいからね。君はボクに身請けされたんだから」
「あ、あっ」
美しい顔(かんばせ)で、乱れる浮竹は花魁の地位がふさわしいほどよく感じて、満足感を京楽に与えた。
その日、京楽は浮竹が意識を飛ばすまで抱いた。
「んんっ」
浮竹が起きると、昼だった。
見慣れない天井に、はっとなる。
眠っているうちに、荷物ごと馬車で移動させられて、浮竹は部屋の中を見渡す。
高級な調度品にあふれた部屋だった。
「起きた、翡翠?」
「あ‥‥‥十四郎と呼べ。俺の運命の番なんだろう?」
「十四郎、欲しいものはない?」
京楽が、にこにこして浮竹の長い白髪にキスを落とす。
「湯あみがしたい」
「じゃあ、風呂場に案内するね?新しい着物とかも用意させてあるから」
浮竹は、広い湯船に浸かって、自分は本当に京楽に身請けされて運命の番にされたのだと、なんとも言えない気持ちになる。
まずは、親兄弟に連絡をして、色子をやめれたことを報告しようと思った。
湯からあがると、京楽が待っていた。
「お昼ごはん。うなぎのかば焼き。一緒に食べよう?」
「ああ‥‥‥なぁ、父上や母上、弟や妹に、身請けされたことを知らせたいのだがいいか?」
「もちろんいいよ。でも、外出はまだだめだよ。君、今ヒート期間きてるから」
「え?」
まだ、ヒートが訪れていなかった浮竹は、身に残る熱い感覚に、ヒートがきたのかだと遅まき気づく。
「道理で、体が熱いわけだ。俺を抱け、京楽春水」
「夜になったらね?昨日抱いたばかりだし」
京楽は、浮竹のヒートを少しでも紛らわすために、薬も用意していた。それを飲むと、浮竹のヒートの熱も少し収まった。
夜になった。
「京楽」
「春水って呼んで?」
「春水。お前を、父上と母上、弟や妹たちに会わせたい」
「今日は遅いから、明日にしようね?」
「んあっ」
褥で覆いかぶさられて、浮竹は色子時代にもなかった快楽の波を知る。
ヒート期間に抱かれるのは、子を孕むためでもあるこを知っていたが、まだ子は欲しくないのでアフターピルを用意してもらった。
「んんんっ」
「十四郎、綺麗だよ」
「あ、春水」
番になった証の噛み痕を噛まれて、浮竹は目を閉じる。
「ひあっ」
快楽の波に飲み込まれながら。
寝る、食べる以外は、ほとんど睦み合ってヒート期間を過ごし終えると、京楽は仕事に出かけてしまった。
浮竹はすることもなく、ただ京楽の帰りを待つ。
そこへ、両親と弟や妹たちがやってきた。
「十四郎!」
「十四郎、身請けされたと聞いたが大事にされているかい?」
「母上、父上!」
浮竹は、懐かしくなって涙を零していた。
「京楽様が、十四郎の元にきてもいいと、屋敷を解放されたのだ」
「そうか。春水が‥‥」
「京楽様と運命の番なんですってね。幸せになるんですよ、十四郎」
「はい、母上」
その日は家族で過ごして、京楽は顔を見せるだけだった。
翌日には家族は帰ってしまい、また暇な時間ができる。
浮竹は、その次の日京楽の仕事を手伝うと言って、京楽についていった。
京楽は死神の隊長だった。
副官に追いかけられて、書類仕事をたくさん残していた。
本来なら入れないのだが、特別に執務室に入れてもらい、浮竹は京楽のためた書類を見て、片付けられるものは京楽の代わりに仕事をしてしまった。
それがあまりにも早く、的確なので、次の日からもぜひ来てほしいと副官と京楽から請われて、浮竹は京楽の仕事の補佐をするようになった。
そして、夜になると睦み合った。
「十四郎はすごいね。初めてなのにあんなに仕事ができて」
「簡単だったぞ?お前がしないだけで、やろうとすれば片付くんじゃないのか」
「ボク、書類仕事はからっきしでねぇ」
「また、明日も一緒に仕事に行ってやるから」
「うん。愛してるよ、十四郎」
「俺は‥‥‥まだ、分からない。運命の番であることは分かったし好きだろうけど、愛しているとは、まだはっきりと言えない」
「それでもいいよ。ボクは君を愛している。君はそれにこたえてくれている。それだけでも十分だよ」
京楽に身請けされて3カ月経った頃。
浮竹は、妊娠していた。
「春水、子ができたんだ」
京楽は、飛び上がって喜んだ。
「今なら言える。愛してる、春水」
「うん。ボクもだよ。子供、産みたくないならおろしてもいいんだよ?君はまだまだ若いんだ」
「産む。お前との子だ」
「十四郎、愛しているよ。二人で、子供を育てよう」
「ああ」
浮竹が産んだ子は女児で、その3年後には男児が生まれ、京楽家の跡取りができた。
京楽と浮竹は、運命の番としていつまでも寄り添い合って、暮らすのであった。
記憶 白哉の場合
「きゃああああああ」
「さがれ!散れ、千本桜!」
白哉は、遠征で大量の虚の群れに襲われて、自分一人の身ならなんとかできたのだが、ついてきていた隊士の女性の8席を庇って、傷を負う。
「隊長!!!」
女性が、悲鳴をあげる。
今回は、恋次は留守番で隊舎で待機していた。
「隊長負傷!至急、救護班を呼べ!」
隊士たちがざわめく。
「不要だ。大した傷ではない‥‥。私は‥‥誰だ?何故、こんな場所にいる?」
「隊長!?」
「兄らは何者だ」
虚を退治し終えた後で、白哉は救護班から傷の治療を受けながら、自分が記憶喪失になっていることを知った。
襲ってきた虚の仕業だろう。
3席が、恋次に地獄蝶を飛ばす。
(隊長負傷、記憶喪失のもよう)
「隊長!!くそ、記憶喪失とかまじかよ!」
6番隊の隊舎で白哉の帰還を待っていた恋次は、どうか戻ってくる頃には治っていることを祈るしかなかった。
「ここが、6番隊舎。あちらが私の家。私は朽木白哉。4大貴族朽木家の現当主」
白哉は、4番隊で診てもらったが、記憶喪失は治るのは自然に任せるしかないとのことだった。記憶を食らった虚は退治されたので、時間が経てば白哉の記憶も元に戻るとのことだった。
「隊長」
「兄は確か‥‥‥副官の、阿散井恋次」
「隊長、記憶喪失とかまじっすか。俺とのことも忘れてしまったんすか」
「何をだ」
「俺と隊長、付き合ってたじゃないですか。体の関係もあった」
「な!」
白哉は真っ赤になって、恋次から数歩距離をとる。
「隊長、思い出してください」
「く、くるな」
「隊長?」
「う、頭が、頭が痛い」
白哉の脳裏に、断片的ではあるが恋次と恋仲であった記憶が浮かび上がる。
「隊長、大丈夫っすか!」
「わ、私に触れるな!」
「隊長‥‥」
「恋次、そこまでにしておけ。兄様、まだ傷も完全に塞がっておりません。外出は控えてください」
ルキアが、白哉に肩をかして歩きだす。
「すまぬ、ルキア。兄は私の大切な義妹‥‥‥で、あっているな?」
「はい、兄様!」
ルキアは、白哉が記憶喪失と知って慌てたが、自己紹介していざ接してみると、記憶を失っているとは思えないかんじなので、安堵した。
ただ、恋人である恋次のことはどう説明すればいいのか分からず、自然の流れに任せることにした。
「隊長‥‥」
恋次は、ただ茫然と白哉とルキアが去っていく背中を見ていた。
3日後、白哉は大分記憶を取り戻し、仕事をしに執務室にきていた。
「恋次、だったか。兄のことはまだ思い出せぬ」
「隊長‥‥俺と結婚していたことも忘れてしまったんですか」
「け、結婚?」
恋次は、白哉が記憶喪失なのをいいことに、していないことを吹き込む。
「そうであったのか。では、恋次、兄は私の妻か?」
「いやいや、妻は隊長でしょ!ビジュアル的にも!」
「ふむ‥‥?」
白哉は首を傾げる。
それが愛らしくて、恋次は白哉を姫抱きにすると隊首室に連れ込んだ。
「な、何をするのだ恋次!」
「体に直接聞いた方が早いかなーと思って」
「そ、そのようなことはせぬ!」
白哉は、拳で恋次の鳩尾を殴る。
「ぬお‥‥‥きいた‥‥」
座り込む恋次を、白哉は困った顔で見ていた。
「恋次、私は本当に兄と恋仲なのか?」
「はい。そうです。隊長は俺のもので、俺は隊長のものです」
恋次は、口づけを白哉にする。
「んあっ‥‥‥‥」
濡れた声を、白哉が出す。
「隊長‥‥ああ、止まんねぇ。抱きますよ」
「やあああ、恋次、恋次」
白哉は、恋次に口づけされて、全てを思い出していた。
「兄と、結婚などしておらぬ。記憶喪失をいいことに、あらぬことを吹き込むな」
「隊長?記憶が戻って?」
「さっき、戻った。あ、恋次、続けよ。このままの状態で放り出すつもりか」
白哉は一度、炎が灯った体を自分で処理することができず、恋次を呼ぶ。
「隊長、お帰りなさい。優しくしますね?」
「んあっ、あ、あ」
白哉は己を恋次にしごきあげられて、恋次の手に精液をはきだす。
「挿入れますよ?」
蕾を潤滑油をまとった指で解された後、恋次のもので貫かれた。
「ひああああ!!!」
「隊長、記憶喪失って聞いて、隊長を失うんじゃないかって思ってました」
「あ、やああああ」
「子種、たくさん注いであげますから、胎んでくださいね?」
「ああああ」
白哉は、恋次の貫かれながら涙を流す。
それを恋次が吸い取る。
「痛いですか?やめましょうか?」
「あ、続けよ。最後まで‥‥」
恋次は、子種を白哉の胎の奥に注ぎ込む。
「んんんっ」
「もっと出しますよ?」
「ひあっ!」
白哉は背をしならせて、大きく中いきを繰り返す。
「こっちでも、いけるでしょ、隊長」
硬いままの白哉のものをしごきあげて、いっている最中の白哉をいかせた。
「ああああ、やあ、変になるうう」
「いつものことですよ、隊長。遠征が近いからって、ずっと抱かせてくればかったんで俺も飢えてるんすよ」
「あ、恋次」
「隊長、好きです。愛してます」
「私も、恋次が好きで愛している」
行為が終わり、清められたが白哉は怒っていた。
「恋次、兄は、私が記憶喪失であるのをいいことに、結婚したなどと嘘を」
「まぁ、いいじゃないですか。俺たち、結婚してないだけで仲は結婚してるも同然なんすから」
「よくない」
「隊長、愛してます」
「そのように、愛を囁いて流すのは‥‥‥んんっ」
「いてててて!」
白哉は、恋次の頭を拳で殴った。
「兄は、もう少し遠慮というものをわきまえよ」
「すんません」
何度も殴られて、たんこぶを作った恋次は白哉の隣に座った。
「でも、記憶が元に戻ってよかった。このままずっとなくなってたら、隊長を無理やりにでも自分のものにしていた」
「れ、恋次!」
白哉は赤くなる。
恋次は、白哉を屋敷にまで送るために白哉の手をとって歩き出す。
「もう、虚になんてやられないでくださいね」
「分かっている」
白哉は朽木家につくと、恋次に触れるだけのキスをする。とても妖艶な顔で。美しいとしか言えない表情を浮かべて。
「隊長?」
「また、明日」
「あ、はい」
白哉は、屋敷の中に入っていく。
恋次は、ただ見惚れてしまって数分動かないのであった。
「さがれ!散れ、千本桜!」
白哉は、遠征で大量の虚の群れに襲われて、自分一人の身ならなんとかできたのだが、ついてきていた隊士の女性の8席を庇って、傷を負う。
「隊長!!!」
女性が、悲鳴をあげる。
今回は、恋次は留守番で隊舎で待機していた。
「隊長負傷!至急、救護班を呼べ!」
隊士たちがざわめく。
「不要だ。大した傷ではない‥‥。私は‥‥誰だ?何故、こんな場所にいる?」
「隊長!?」
「兄らは何者だ」
虚を退治し終えた後で、白哉は救護班から傷の治療を受けながら、自分が記憶喪失になっていることを知った。
襲ってきた虚の仕業だろう。
3席が、恋次に地獄蝶を飛ばす。
(隊長負傷、記憶喪失のもよう)
「隊長!!くそ、記憶喪失とかまじかよ!」
6番隊の隊舎で白哉の帰還を待っていた恋次は、どうか戻ってくる頃には治っていることを祈るしかなかった。
「ここが、6番隊舎。あちらが私の家。私は朽木白哉。4大貴族朽木家の現当主」
白哉は、4番隊で診てもらったが、記憶喪失は治るのは自然に任せるしかないとのことだった。記憶を食らった虚は退治されたので、時間が経てば白哉の記憶も元に戻るとのことだった。
「隊長」
「兄は確か‥‥‥副官の、阿散井恋次」
「隊長、記憶喪失とかまじっすか。俺とのことも忘れてしまったんすか」
「何をだ」
「俺と隊長、付き合ってたじゃないですか。体の関係もあった」
「な!」
白哉は真っ赤になって、恋次から数歩距離をとる。
「隊長、思い出してください」
「く、くるな」
「隊長?」
「う、頭が、頭が痛い」
白哉の脳裏に、断片的ではあるが恋次と恋仲であった記憶が浮かび上がる。
「隊長、大丈夫っすか!」
「わ、私に触れるな!」
「隊長‥‥」
「恋次、そこまでにしておけ。兄様、まだ傷も完全に塞がっておりません。外出は控えてください」
ルキアが、白哉に肩をかして歩きだす。
「すまぬ、ルキア。兄は私の大切な義妹‥‥‥で、あっているな?」
「はい、兄様!」
ルキアは、白哉が記憶喪失と知って慌てたが、自己紹介していざ接してみると、記憶を失っているとは思えないかんじなので、安堵した。
ただ、恋人である恋次のことはどう説明すればいいのか分からず、自然の流れに任せることにした。
「隊長‥‥」
恋次は、ただ茫然と白哉とルキアが去っていく背中を見ていた。
3日後、白哉は大分記憶を取り戻し、仕事をしに執務室にきていた。
「恋次、だったか。兄のことはまだ思い出せぬ」
「隊長‥‥俺と結婚していたことも忘れてしまったんですか」
「け、結婚?」
恋次は、白哉が記憶喪失なのをいいことに、していないことを吹き込む。
「そうであったのか。では、恋次、兄は私の妻か?」
「いやいや、妻は隊長でしょ!ビジュアル的にも!」
「ふむ‥‥?」
白哉は首を傾げる。
それが愛らしくて、恋次は白哉を姫抱きにすると隊首室に連れ込んだ。
「な、何をするのだ恋次!」
「体に直接聞いた方が早いかなーと思って」
「そ、そのようなことはせぬ!」
白哉は、拳で恋次の鳩尾を殴る。
「ぬお‥‥‥きいた‥‥」
座り込む恋次を、白哉は困った顔で見ていた。
「恋次、私は本当に兄と恋仲なのか?」
「はい。そうです。隊長は俺のもので、俺は隊長のものです」
恋次は、口づけを白哉にする。
「んあっ‥‥‥‥」
濡れた声を、白哉が出す。
「隊長‥‥ああ、止まんねぇ。抱きますよ」
「やあああ、恋次、恋次」
白哉は、恋次に口づけされて、全てを思い出していた。
「兄と、結婚などしておらぬ。記憶喪失をいいことに、あらぬことを吹き込むな」
「隊長?記憶が戻って?」
「さっき、戻った。あ、恋次、続けよ。このままの状態で放り出すつもりか」
白哉は一度、炎が灯った体を自分で処理することができず、恋次を呼ぶ。
「隊長、お帰りなさい。優しくしますね?」
「んあっ、あ、あ」
白哉は己を恋次にしごきあげられて、恋次の手に精液をはきだす。
「挿入れますよ?」
蕾を潤滑油をまとった指で解された後、恋次のもので貫かれた。
「ひああああ!!!」
「隊長、記憶喪失って聞いて、隊長を失うんじゃないかって思ってました」
「あ、やああああ」
「子種、たくさん注いであげますから、胎んでくださいね?」
「ああああ」
白哉は、恋次の貫かれながら涙を流す。
それを恋次が吸い取る。
「痛いですか?やめましょうか?」
「あ、続けよ。最後まで‥‥」
恋次は、子種を白哉の胎の奥に注ぎ込む。
「んんんっ」
「もっと出しますよ?」
「ひあっ!」
白哉は背をしならせて、大きく中いきを繰り返す。
「こっちでも、いけるでしょ、隊長」
硬いままの白哉のものをしごきあげて、いっている最中の白哉をいかせた。
「ああああ、やあ、変になるうう」
「いつものことですよ、隊長。遠征が近いからって、ずっと抱かせてくればかったんで俺も飢えてるんすよ」
「あ、恋次」
「隊長、好きです。愛してます」
「私も、恋次が好きで愛している」
行為が終わり、清められたが白哉は怒っていた。
「恋次、兄は、私が記憶喪失であるのをいいことに、結婚したなどと嘘を」
「まぁ、いいじゃないですか。俺たち、結婚してないだけで仲は結婚してるも同然なんすから」
「よくない」
「隊長、愛してます」
「そのように、愛を囁いて流すのは‥‥‥んんっ」
「いてててて!」
白哉は、恋次の頭を拳で殴った。
「兄は、もう少し遠慮というものをわきまえよ」
「すんません」
何度も殴られて、たんこぶを作った恋次は白哉の隣に座った。
「でも、記憶が元に戻ってよかった。このままずっとなくなってたら、隊長を無理やりにでも自分のものにしていた」
「れ、恋次!」
白哉は赤くなる。
恋次は、白哉を屋敷にまで送るために白哉の手をとって歩き出す。
「もう、虚になんてやられないでくださいね」
「分かっている」
白哉は朽木家につくと、恋次に触れるだけのキスをする。とても妖艶な顔で。美しいとしか言えない表情を浮かべて。
「隊長?」
「また、明日」
「あ、はい」
白哉は、屋敷の中に入っていく。
恋次は、ただ見惚れてしまって数分動かないのであった。
夕焼け
ルキアは、ショーウィンドウの中にあるアメジストのネックレスをじーっと見ていた。
それに気づいた一護が、財布の中身とショーウィンドウの中のネックレスの値札を見る。
「ルキア、買ってやるよ」
「ななななな、だ、誰も欲しいなどと思っておらぬ」
「そうか?すっごいキラキラした目で見つめてたけどな?」
「これくらい、自分の金で買える」
「それじゃあプレゼントになんねぇだろ」
一護は、優しく笑って店員さんを呼ぶと、アメジストのネックレスを購入した。
「き、貴様の懐が寒くなったのではないか?」
「ちょっとだけな。バイトちょっと増やせば問題ない」
ルキアは、長期現世滞在許可をもらって、現世の一護のアパートに転がり込んでいた。
一護は今大学2年生だ。学業もがんばっているが、バイトもがんばっていた。
将来黒崎医院を継ぐ気はなく、翻訳家になる夢があった。できればドイツ語で。
「ルキアが現世にきて1週間か。早いな」
「2カ月は、こちらにいられるぞ」
「13番隊大丈夫なのかよ」
「大丈夫に決まっておろう」
「へいへい」
一護は、ルキアを連れてスーパーに入る。
今日はルキアを町に案内していた日だった。一護が住んでいる町は、空座町から大分離れていて、ルキアもくるのは初めてだった。
「それにしても、なぜ実家を出たのだ。大学は実家からのほうが近いのではないのか?」
「あー、まぁそうなんだけど、バイト先が今のアパートからのほうが近いから」
一護は、飲食店でバイトしていた。
ルキアはよく店に入ってきては、ソフトドリンクだけ注文して一護をボケーっと眺めている。
「お前、俺のこと好きだもんな?」
「た、たわけ、そんなこと」
「ない?」
「ないわけは‥‥‥ない。好きだ」
「素直なルキアってなんかちょっとこえぇな」
「たわけ!何を言わせるのだ!」
ルキアは真っ赤になって抗議する。一護はルキアの頭をぐしゃぐしゃに撫でる。
「俺も好きだぜ、ルキア」
「い、一護。ここは町中だ」
「じゃあ、続きはアパートに戻ってからな?」
ルキアは、小さくコクンと頷く。
顔は真っ赤だ。
「白玉餡蜜のやつ買ったから、夕飯の後に作ってやるよ」
「やはり、私は貴様が大好きだ、一護!」
ルキアは、一護に抱きつく。
「荷物あるから、あんまくっつくな」
「むう」
ルキアは少々不満げだが、アパートにつくまでの道のりを、一護と歩いていく。
買ってもらったアメジストのネックレスは、ルキアの首に輝いている。
「それにしても、よく2か月も滞在許されたな?」
「この区域は強力な虚が出るからな。退治ついでだ」
「んで、俺のアパートに転がり込んできたと」
「悪いか!」
「いや?俺は大歓迎だぜ?お前のこと、好きだからな、ルキア」
お互い、告白は高校時代に済ませていた。
ルキアは死神ということもあり、会える時間は限られていたが、付き合っていた。
一護は井上の告白を断り、ルキアは恋次の告白を断った。
お互い、もう戻れないと分かっていた。
人と死神。寿命が違う。
それでも、好きになってしまったものは仕方ない。
ルキアがちょくちょく現世にいくものだから、京楽総隊長が一護と会えるように2か月の現世滞在を許してくれた。
「京楽総隊長に感謝せねば」
「今度、俺も尸魂界に行く」
「何をしにだ?」
「白哉に、妹さんをくださいって言わないとな」
「ぶばっ」
ルキアは、飲みかけのお茶を吹き出す。
「兄様には、貴様とのことを内密にしておるのだ」
「あ~。千本桜抜かれるかなぁ。まぁ、なんとかなるだろ」
「兄様には、事前に私から正式に付き合っていると言っておく」
「そうか。なら、千本桜抜かれることはねぇかもな」
ルキアは白哉を思う。
ここまで、大切にしてくれた。誰よりも敬愛している。
「兄様は、恋次と私が結婚してほしかったらしい」
「そりゃ、信用ある副官で家族的な恋次に任せれば安心だろうからな」
「でも、私は恋次をふった」
「恋次をふったっていう翌日、恋次の奴俺のところに現れて暴れてたな」
「す、すまぬ」
ルキアが謝る。
「お前のせいじゃないだろ。まぁ、恋次はルキアが俺と付き合ってるって知らなかったみたいだけど」
「はぁ。お前が本当の死神なら、なんの問題もないのにな」
「そうだと、出会いすらなかったってことだぞ?」
「そ、それは嫌だ!」
一護は、ルキアの手を握って、アパートまので帰り道を歩いていく。
一護の髪と同じ色の夕焼けが綺麗だった。
「幸せにするから‥‥‥」
「う、うむ‥‥」
お互い、赤くなったが夕焼けのおかげで見えなくてよかったと思うのであった。
それに気づいた一護が、財布の中身とショーウィンドウの中のネックレスの値札を見る。
「ルキア、買ってやるよ」
「ななななな、だ、誰も欲しいなどと思っておらぬ」
「そうか?すっごいキラキラした目で見つめてたけどな?」
「これくらい、自分の金で買える」
「それじゃあプレゼントになんねぇだろ」
一護は、優しく笑って店員さんを呼ぶと、アメジストのネックレスを購入した。
「き、貴様の懐が寒くなったのではないか?」
「ちょっとだけな。バイトちょっと増やせば問題ない」
ルキアは、長期現世滞在許可をもらって、現世の一護のアパートに転がり込んでいた。
一護は今大学2年生だ。学業もがんばっているが、バイトもがんばっていた。
将来黒崎医院を継ぐ気はなく、翻訳家になる夢があった。できればドイツ語で。
「ルキアが現世にきて1週間か。早いな」
「2カ月は、こちらにいられるぞ」
「13番隊大丈夫なのかよ」
「大丈夫に決まっておろう」
「へいへい」
一護は、ルキアを連れてスーパーに入る。
今日はルキアを町に案内していた日だった。一護が住んでいる町は、空座町から大分離れていて、ルキアもくるのは初めてだった。
「それにしても、なぜ実家を出たのだ。大学は実家からのほうが近いのではないのか?」
「あー、まぁそうなんだけど、バイト先が今のアパートからのほうが近いから」
一護は、飲食店でバイトしていた。
ルキアはよく店に入ってきては、ソフトドリンクだけ注文して一護をボケーっと眺めている。
「お前、俺のこと好きだもんな?」
「た、たわけ、そんなこと」
「ない?」
「ないわけは‥‥‥ない。好きだ」
「素直なルキアってなんかちょっとこえぇな」
「たわけ!何を言わせるのだ!」
ルキアは真っ赤になって抗議する。一護はルキアの頭をぐしゃぐしゃに撫でる。
「俺も好きだぜ、ルキア」
「い、一護。ここは町中だ」
「じゃあ、続きはアパートに戻ってからな?」
ルキアは、小さくコクンと頷く。
顔は真っ赤だ。
「白玉餡蜜のやつ買ったから、夕飯の後に作ってやるよ」
「やはり、私は貴様が大好きだ、一護!」
ルキアは、一護に抱きつく。
「荷物あるから、あんまくっつくな」
「むう」
ルキアは少々不満げだが、アパートにつくまでの道のりを、一護と歩いていく。
買ってもらったアメジストのネックレスは、ルキアの首に輝いている。
「それにしても、よく2か月も滞在許されたな?」
「この区域は強力な虚が出るからな。退治ついでだ」
「んで、俺のアパートに転がり込んできたと」
「悪いか!」
「いや?俺は大歓迎だぜ?お前のこと、好きだからな、ルキア」
お互い、告白は高校時代に済ませていた。
ルキアは死神ということもあり、会える時間は限られていたが、付き合っていた。
一護は井上の告白を断り、ルキアは恋次の告白を断った。
お互い、もう戻れないと分かっていた。
人と死神。寿命が違う。
それでも、好きになってしまったものは仕方ない。
ルキアがちょくちょく現世にいくものだから、京楽総隊長が一護と会えるように2か月の現世滞在を許してくれた。
「京楽総隊長に感謝せねば」
「今度、俺も尸魂界に行く」
「何をしにだ?」
「白哉に、妹さんをくださいって言わないとな」
「ぶばっ」
ルキアは、飲みかけのお茶を吹き出す。
「兄様には、貴様とのことを内密にしておるのだ」
「あ~。千本桜抜かれるかなぁ。まぁ、なんとかなるだろ」
「兄様には、事前に私から正式に付き合っていると言っておく」
「そうか。なら、千本桜抜かれることはねぇかもな」
ルキアは白哉を思う。
ここまで、大切にしてくれた。誰よりも敬愛している。
「兄様は、恋次と私が結婚してほしかったらしい」
「そりゃ、信用ある副官で家族的な恋次に任せれば安心だろうからな」
「でも、私は恋次をふった」
「恋次をふったっていう翌日、恋次の奴俺のところに現れて暴れてたな」
「す、すまぬ」
ルキアが謝る。
「お前のせいじゃないだろ。まぁ、恋次はルキアが俺と付き合ってるって知らなかったみたいだけど」
「はぁ。お前が本当の死神なら、なんの問題もないのにな」
「そうだと、出会いすらなかったってことだぞ?」
「そ、それは嫌だ!」
一護は、ルキアの手を握って、アパートまので帰り道を歩いていく。
一護の髪と同じ色の夕焼けが綺麗だった。
「幸せにするから‥‥‥」
「う、うむ‥‥」
お互い、赤くなったが夕焼けのおかげで見えなくてよかったと思うのであった。
魔王と勇者と33
フェンリルの浮竹と、魔神の京楽が、浮竹と京楽のいる魔王城にやってきた。
手には何やら荷物をもって。
『勇者の俺!フェンリルの姿で抜け落ちた毛を集めて、クッションを作ってみたんだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、クッションを手渡してくる。
「ふかふかだな」
『そうだろう』
「よし、俺もクッション作ってみるか」
『え、いいのか?お前の羽はそうそう抜け落ちないのだろう?』
「そろそろ羽の交換を考えていた頃だ。羽毛のクッションなら、そこそこいいのが作れるだろう」
浮竹は、12枚の翼を広げて、羽毛を新しいものに変える。
『うわぁ、羽毛がいっぱいだぁ。とびこんでいいか?』
「羽毛まみれになるぞ?」
『浮竹、ほどほどにね』
魔神の京楽にそう言われたが、羽毛の海にフェンリルの浮竹は頭からつっこむ。
「浮竹、ちょっといきなり全部の羽を入れ替えることないんじゃないの?クッション以外も作れそうな量だけど」
京楽は、浮竹の抜けた羽を手にとる。
ふわふわだった。
「せっかくだから、羽毛布団も作ろうと思ってな」
『勇者の俺、羽毛がふかふかで止まらないいいい』
羽毛の山にダイビングしているフェンリルの浮竹を助け起こし、浮竹は魔法で羽毛をクッションと羽毛布団の中身にしてしまった。
『むう、もう少し羽毛で埋もれたかったのに』
『浮竹、無理いわないの』
魔神の京楽が、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
『そのクッションと羽毛布団はもらってもいいのか?』
「ああ、かまわない。エトナの力は抜いてあるから、ただの羽毛クッションと羽毛布団だ」
「浮竹、羽のいれかえって一気にするんだね」
「そうだぞ。俺の羽にはエトナの力が宿っているから、抜け落ちでもしたら大変だ。一定期間たつと、エトナの力を失って全部抜け替わるようにしている」
「翼が12枚もあるからねぇ」
結局、クッションは4つと羽毛布団は2つできた。
『羽毛布団、2つとももらっていいのか?』
「ああ、いいぞ」
『浮竹、お礼言わなきゃ』
『あ、そうだな。ありがとう、勇者の俺!』
浮竹は苦笑する。
「ただ、羽毛を変えたかっただけで、その副産物だから気にするな」
フェンリルの浮竹は、アイテムポケットに羽毛のクッション2つと羽毛布団を2ついれた。
残りの2つのクッションは京楽と浮竹の分だ。
「我ながら、ふかふかだな。フェンリルの俺のクッションもふかふかだ」
『へへへ、ただ抜け落ちるのはもったいないと思ってな』
「毛皮‥‥‥」
『だ、だめだぞ!?いくら勇者の俺でも、俺の毛皮はあげられないからな!』
「言ってみただけだ」
浮竹は、フェンリルの浮竹の怯えように首を横にふる。
フェンリルの浮竹は、羽毛クッションをアイテムポケットから取り出して、早速使ってみた。
『羽毛のクッションと布団、ありがとうな?』
「べ、別に喜んでほしいから作ったんじゃないからな!」
「ツンデレだ」
『ほんとだ、ツンデレだ』
『素直じゃないねぇ』
「う、うるさい。ほっとけ!」
浮竹は赤くなって照れる。
「今日のお茶は抹茶だよ。茶菓子はたい焼き」
「たい焼き‥‥東の島国のものだな」
『中に何か入っているな!甘くておいしいぞ!』
「あんこといって、東の島国で主に使われている甘味料だよ」
『うまいな!それにこの抹茶というお茶、ちょっと苦いけどおいしい』
フェンリルの浮竹は、たい焼きのおかわりを要求する。
『浮竹、ほどほどにね?夕飯も近いんだから』
『甘いものは別腹だ』
『言うと思ったよ』
魔神の京楽も、たい焼きを食べて抹茶を飲む。
『この茶葉、よければもらえないかな』
「いいぞ。これだ」
「魔神のボク、抹茶気に入ったの?」
京楽が訊ねる。
『うん。少し苦いけど、この味好きだね』
『ああ、忘れてた。勇者の俺、ダージリンの最高級の茶葉が手に入ったんだ。やる』
「すまん、ありがとう」
『えへへへへ。いつも世話になってる勇者の俺に、プレゼントだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、夕飯に用意されたフルコースのメニューを平らげていく。
『いつ食べても、魔王城の食事はうまいな!』
「おかわりあるから、遠慮せずに食べてね」
京楽がそう言うと、フェンリルの浮竹は5回おかわりをした。
『浮竹、ほどほどにね?』
『むう、うまいからもっと食いたいのに』
『魔王城のシェフを困らせちゃだめだよ?』
『分かった』
材料がそこをつきかけていたので、6回目のおかわりを諦めたフェンリルの浮竹に、京楽も浮竹も安堵するのであった。
手には何やら荷物をもって。
『勇者の俺!フェンリルの姿で抜け落ちた毛を集めて、クッションを作ってみたんだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、クッションを手渡してくる。
「ふかふかだな」
『そうだろう』
「よし、俺もクッション作ってみるか」
『え、いいのか?お前の羽はそうそう抜け落ちないのだろう?』
「そろそろ羽の交換を考えていた頃だ。羽毛のクッションなら、そこそこいいのが作れるだろう」
浮竹は、12枚の翼を広げて、羽毛を新しいものに変える。
『うわぁ、羽毛がいっぱいだぁ。とびこんでいいか?』
「羽毛まみれになるぞ?」
『浮竹、ほどほどにね』
魔神の京楽にそう言われたが、羽毛の海にフェンリルの浮竹は頭からつっこむ。
「浮竹、ちょっといきなり全部の羽を入れ替えることないんじゃないの?クッション以外も作れそうな量だけど」
京楽は、浮竹の抜けた羽を手にとる。
ふわふわだった。
「せっかくだから、羽毛布団も作ろうと思ってな」
『勇者の俺、羽毛がふかふかで止まらないいいい』
羽毛の山にダイビングしているフェンリルの浮竹を助け起こし、浮竹は魔法で羽毛をクッションと羽毛布団の中身にしてしまった。
『むう、もう少し羽毛で埋もれたかったのに』
『浮竹、無理いわないの』
魔神の京楽が、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
『そのクッションと羽毛布団はもらってもいいのか?』
「ああ、かまわない。エトナの力は抜いてあるから、ただの羽毛クッションと羽毛布団だ」
「浮竹、羽のいれかえって一気にするんだね」
「そうだぞ。俺の羽にはエトナの力が宿っているから、抜け落ちでもしたら大変だ。一定期間たつと、エトナの力を失って全部抜け替わるようにしている」
「翼が12枚もあるからねぇ」
結局、クッションは4つと羽毛布団は2つできた。
『羽毛布団、2つとももらっていいのか?』
「ああ、いいぞ」
『浮竹、お礼言わなきゃ』
『あ、そうだな。ありがとう、勇者の俺!』
浮竹は苦笑する。
「ただ、羽毛を変えたかっただけで、その副産物だから気にするな」
フェンリルの浮竹は、アイテムポケットに羽毛のクッション2つと羽毛布団を2ついれた。
残りの2つのクッションは京楽と浮竹の分だ。
「我ながら、ふかふかだな。フェンリルの俺のクッションもふかふかだ」
『へへへ、ただ抜け落ちるのはもったいないと思ってな』
「毛皮‥‥‥」
『だ、だめだぞ!?いくら勇者の俺でも、俺の毛皮はあげられないからな!』
「言ってみただけだ」
浮竹は、フェンリルの浮竹の怯えように首を横にふる。
フェンリルの浮竹は、羽毛クッションをアイテムポケットから取り出して、早速使ってみた。
『羽毛のクッションと布団、ありがとうな?』
「べ、別に喜んでほしいから作ったんじゃないからな!」
「ツンデレだ」
『ほんとだ、ツンデレだ』
『素直じゃないねぇ』
「う、うるさい。ほっとけ!」
浮竹は赤くなって照れる。
「今日のお茶は抹茶だよ。茶菓子はたい焼き」
「たい焼き‥‥東の島国のものだな」
『中に何か入っているな!甘くておいしいぞ!』
「あんこといって、東の島国で主に使われている甘味料だよ」
『うまいな!それにこの抹茶というお茶、ちょっと苦いけどおいしい』
フェンリルの浮竹は、たい焼きのおかわりを要求する。
『浮竹、ほどほどにね?夕飯も近いんだから』
『甘いものは別腹だ』
『言うと思ったよ』
魔神の京楽も、たい焼きを食べて抹茶を飲む。
『この茶葉、よければもらえないかな』
「いいぞ。これだ」
「魔神のボク、抹茶気に入ったの?」
京楽が訊ねる。
『うん。少し苦いけど、この味好きだね』
『ああ、忘れてた。勇者の俺、ダージリンの最高級の茶葉が手に入ったんだ。やる』
「すまん、ありがとう」
『えへへへへ。いつも世話になってる勇者の俺に、プレゼントだ!』
フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、夕飯に用意されたフルコースのメニューを平らげていく。
『いつ食べても、魔王城の食事はうまいな!』
「おかわりあるから、遠慮せずに食べてね」
京楽がそう言うと、フェンリルの浮竹は5回おかわりをした。
『浮竹、ほどほどにね?』
『むう、うまいからもっと食いたいのに』
『魔王城のシェフを困らせちゃだめだよ?』
『分かった』
材料がそこをつきかけていたので、6回目のおかわりを諦めたフェンリルの浮竹に、京楽も浮竹も安堵するのであった。
記憶
恋次が遠征で虚にやられ、傷を負った。
その言葉を聞いた白哉は、居ても立っても居られず、恋次を迎えにいった。
「恋次」
「誰っすか。隊長羽織着てるから、隊長みたいだけど‥‥ああ、6番隊の隊長さんですか。すんません、俺、虚にやられて今記憶がすっぽぬけてるんす。学院時代の記憶までしかないんです」
「‥‥‥‥恋次。真か?」
「嘘ついてどうなるんすか」
周囲の隊士から、自分たちの上官で、ルキアの義兄と聞いて、恋次は驚く。
「ルキアのこと、幸せにしてやってください。ルキアとのことは覚えてるんすよね」
白哉は、恋次を連れて4番隊に行った。
記憶喪失は一時的なもので、しばらくすれば治るとのことだった。
「兄は、私のことを忘れるとは、いい度胸だ」
「す、すんません。俺と隊長は、その、仲がよかったんすか?」
「仲がよいもなにも、恋仲だ」
「はぁ!?」
恋次は驚く。
「いやいやいや。あんた綺麗だし、男にしておくのはもったいないけど、だからって俺が上司を好きになるなんて‥‥‥‥」
「これは、兄からもらったものだ」
白哉は、銀細工のブレスレットを見せる。
恋次の右手首にも、同じブレスレットがあった。
「俺‥‥‥まじで、あんたのこと好きなんすか」
「確かめるか?」
白哉は、別邸に恋次を連れて行き、キスをする。
「あ‥‥隊長、おぼろげだけど思い出しはじめました。もっとしてください」
「仕方あるあい」
白哉は恋次を押し倒し、口づける。
恋次は白哉の隊長羽織と死覇装を脱がしていく。
「恋次、記憶が戻らぬのにするつもりか」
「いや、もうほとんど戻ってるっす。ただ、隊長が積極的だから俺も止まらない」
恋次の手は、白哉の肌を愛撫する。
「あっ」
「隊長、かわいい。もっと乱れてください」
「恋次、恋次」
「はい、ここにいます」
「私を忘れるな」
「もう思い出してます。二度と忘れません」
その日、恋次は白哉を抱いた。
次の日になると、恋次はまた記憶を失っていた。
「恋次」
「隊長さんですか?」
「なぜだ、恋次。なぜ、私のことを忘れる」
白哉はとても悲しそうな顔をする。
「4番隊で検査してもらったんすけど、しばらくの間記憶を突然失ったりするかもしれないって」
「昨日のことも忘れたのか、恋次」
「え、あ、すんません。俺と隊長は、その、恋仲ってやつだって聞きました。覚えてなくてすんません」
「兄が何度忘れようとも、私は兄を愛している」
「隊長‥‥‥」
恋次は、上官と恋仲だと知って驚きはしたが、自分が白哉に恋しているのは納得がいった。
「また、忘れてしまうかもしれませんが‥‥好きです、隊長」
「忘れるなら、何度でも思い出させてやろう」
白哉は恋次口づける。
その日も、恋次は白哉を抱いた。
「隊長!記憶が元に戻りました!今までのこと、全部思い出しました!」
「兄が、私のことを忘れないと言って抱いて、また記憶を失っていたこともか?」
「う、それについてはすんません。何分、俺も忘れたくて忘れたんじゃないので」
「虚などにやられる兄に問題があるのだ」
白夜の言葉に、恋次がうなる。
「うぐぐぐ」
「何はともあれ、愛している、恋次。記憶が戻ってよかった」
「隊長‥‥‥‥」
「抱かせてはやらぬぞ。2日連続で抱かれたのだ。しばらくお預けだ」
「ええええ、そんなぁ」
恋次は大型犬のようにしゅんとなる。
「キスとハグまでなら、許す」
恋次は、尻尾をぶんぶん振っているように見えた。
「大好きです、隊長!」
思い切り抱きしめられてキスをされて、白哉は淡く微笑む。
「兄は、私のものだ」
「はい、隊長のものです」
記憶の消失はなくなり、恋次は元に戻った。白哉はそれを喜んだ。
「恋次、もう記憶を失うような無様な真似をするな」
「すんません」
「兄が記憶を失って、私のことを忘れたと聞いて気が気ではなかった」
「すんません。返す言葉もないっす」
「兄は私ものだ。今後、虚ごときにやられたら、抱かせてやらぬからな」
「ぬおお、もう虚になんてやられません!」
恋次は、白哉にキスをして、抱きしめる。
華奢な白哉は、美しい顔(かんばせ)で微笑む。
「約束だぞ、恋次」
「はい。約束します」
それから、恋次が遠征で虚にやられることはなかった。白哉を抱けないということを忘れずに、弱い虚でも全力で立ち向かった。
「隊長、愛してます」
「私も兄を愛している、恋次」
上官と副官という仲をこえて、愛しあう二人は、静かに寄り添い合うのだった。
その言葉を聞いた白哉は、居ても立っても居られず、恋次を迎えにいった。
「恋次」
「誰っすか。隊長羽織着てるから、隊長みたいだけど‥‥ああ、6番隊の隊長さんですか。すんません、俺、虚にやられて今記憶がすっぽぬけてるんす。学院時代の記憶までしかないんです」
「‥‥‥‥恋次。真か?」
「嘘ついてどうなるんすか」
周囲の隊士から、自分たちの上官で、ルキアの義兄と聞いて、恋次は驚く。
「ルキアのこと、幸せにしてやってください。ルキアとのことは覚えてるんすよね」
白哉は、恋次を連れて4番隊に行った。
記憶喪失は一時的なもので、しばらくすれば治るとのことだった。
「兄は、私のことを忘れるとは、いい度胸だ」
「す、すんません。俺と隊長は、その、仲がよかったんすか?」
「仲がよいもなにも、恋仲だ」
「はぁ!?」
恋次は驚く。
「いやいやいや。あんた綺麗だし、男にしておくのはもったいないけど、だからって俺が上司を好きになるなんて‥‥‥‥」
「これは、兄からもらったものだ」
白哉は、銀細工のブレスレットを見せる。
恋次の右手首にも、同じブレスレットがあった。
「俺‥‥‥まじで、あんたのこと好きなんすか」
「確かめるか?」
白哉は、別邸に恋次を連れて行き、キスをする。
「あ‥‥隊長、おぼろげだけど思い出しはじめました。もっとしてください」
「仕方あるあい」
白哉は恋次を押し倒し、口づける。
恋次は白哉の隊長羽織と死覇装を脱がしていく。
「恋次、記憶が戻らぬのにするつもりか」
「いや、もうほとんど戻ってるっす。ただ、隊長が積極的だから俺も止まらない」
恋次の手は、白哉の肌を愛撫する。
「あっ」
「隊長、かわいい。もっと乱れてください」
「恋次、恋次」
「はい、ここにいます」
「私を忘れるな」
「もう思い出してます。二度と忘れません」
その日、恋次は白哉を抱いた。
次の日になると、恋次はまた記憶を失っていた。
「恋次」
「隊長さんですか?」
「なぜだ、恋次。なぜ、私のことを忘れる」
白哉はとても悲しそうな顔をする。
「4番隊で検査してもらったんすけど、しばらくの間記憶を突然失ったりするかもしれないって」
「昨日のことも忘れたのか、恋次」
「え、あ、すんません。俺と隊長は、その、恋仲ってやつだって聞きました。覚えてなくてすんません」
「兄が何度忘れようとも、私は兄を愛している」
「隊長‥‥‥」
恋次は、上官と恋仲だと知って驚きはしたが、自分が白哉に恋しているのは納得がいった。
「また、忘れてしまうかもしれませんが‥‥好きです、隊長」
「忘れるなら、何度でも思い出させてやろう」
白哉は恋次口づける。
その日も、恋次は白哉を抱いた。
「隊長!記憶が元に戻りました!今までのこと、全部思い出しました!」
「兄が、私のことを忘れないと言って抱いて、また記憶を失っていたこともか?」
「う、それについてはすんません。何分、俺も忘れたくて忘れたんじゃないので」
「虚などにやられる兄に問題があるのだ」
白夜の言葉に、恋次がうなる。
「うぐぐぐ」
「何はともあれ、愛している、恋次。記憶が戻ってよかった」
「隊長‥‥‥‥」
「抱かせてはやらぬぞ。2日連続で抱かれたのだ。しばらくお預けだ」
「ええええ、そんなぁ」
恋次は大型犬のようにしゅんとなる。
「キスとハグまでなら、許す」
恋次は、尻尾をぶんぶん振っているように見えた。
「大好きです、隊長!」
思い切り抱きしめられてキスをされて、白哉は淡く微笑む。
「兄は、私のものだ」
「はい、隊長のものです」
記憶の消失はなくなり、恋次は元に戻った。白哉はそれを喜んだ。
「恋次、もう記憶を失うような無様な真似をするな」
「すんません」
「兄が記憶を失って、私のことを忘れたと聞いて気が気ではなかった」
「すんません。返す言葉もないっす」
「兄は私ものだ。今後、虚ごときにやられたら、抱かせてやらぬからな」
「ぬおお、もう虚になんてやられません!」
恋次は、白哉にキスをして、抱きしめる。
華奢な白哉は、美しい顔(かんばせ)で微笑む。
「約束だぞ、恋次」
「はい。約束します」
それから、恋次が遠征で虚にやられることはなかった。白哉を抱けないということを忘れずに、弱い虚でも全力で立ち向かった。
「隊長、愛してます」
「私も兄を愛している、恋次」
上官と副官という仲をこえて、愛しあう二人は、静かに寄り添い合うのだった。
眠り
「浮竹、起きてるかい?」
「寝てる」
京楽は、クスっと笑う。
「やっぱり起きてた」
「明日は隊首会だ。寝ろ」
「それが、眠くないんだよねぇ」
「昼間、昼寝をたくさんするからだ」
浮竹はごろりと寝がえりをうつ。
「君も同じように寝てたじゃないの」
「俺は寝れるぞ。入院した時なんて寝ることくらいしかすることないしな」
京楽は、その日雨乾堂に泊まっていた。
同じ布団で寝るには狭すぎるので、布団は二組。
「ねぇ、ちょっとだけ‥‥…」
「どこを触ってるんだ!盛るな!怒るぞ!」
浮竹が本気で怒りそうなので、京楽もおとなしくなる。
「ああ、眠れない時間ってひまだよね」
「羊でも数えてろ。俺は寝る」
「羊が1040匹‥‥‥おおい、浮竹」
返事はない。
「羊が1041匹‥‥‥全然眠れない。夜の散歩でもしてくるかな」
京楽は、すうすうと静かに眠る浮竹の頭を撫でて、外に出る。
「ああ、月が綺麗だね」
京楽は、酒瓶をもちだして一人で飲んだ。
でも、睡魔は訪れず、結局朝方まで眠れなかった。
「おい、京楽起きろ!隊首会の時間だぞ!」
「うーん、あと10分‥‥‥」
「遅刻して、先生に尻に火をつけられても知らないからな」
浮竹は、全然起きない京楽をほうりだして隊首会に向かう。
結局京楽は遅刻しまくって、山じいに尻に火をつけられるのであった。
「寝てる」
京楽は、クスっと笑う。
「やっぱり起きてた」
「明日は隊首会だ。寝ろ」
「それが、眠くないんだよねぇ」
「昼間、昼寝をたくさんするからだ」
浮竹はごろりと寝がえりをうつ。
「君も同じように寝てたじゃないの」
「俺は寝れるぞ。入院した時なんて寝ることくらいしかすることないしな」
京楽は、その日雨乾堂に泊まっていた。
同じ布団で寝るには狭すぎるので、布団は二組。
「ねぇ、ちょっとだけ‥‥…」
「どこを触ってるんだ!盛るな!怒るぞ!」
浮竹が本気で怒りそうなので、京楽もおとなしくなる。
「ああ、眠れない時間ってひまだよね」
「羊でも数えてろ。俺は寝る」
「羊が1040匹‥‥‥おおい、浮竹」
返事はない。
「羊が1041匹‥‥‥全然眠れない。夜の散歩でもしてくるかな」
京楽は、すうすうと静かに眠る浮竹の頭を撫でて、外に出る。
「ああ、月が綺麗だね」
京楽は、酒瓶をもちだして一人で飲んだ。
でも、睡魔は訪れず、結局朝方まで眠れなかった。
「おい、京楽起きろ!隊首会の時間だぞ!」
「うーん、あと10分‥‥‥」
「遅刻して、先生に尻に火をつけられても知らないからな」
浮竹は、全然起きない京楽をほうりだして隊首会に向かう。
結局京楽は遅刻しまくって、山じいに尻に火をつけられるのであった。
温もり
ただのお泊りのはずであったのだ。
だが肌寒い季節、恋次と一緒の部屋で寝ると決めた白哉は、別々の布団で寝ていたのだが、白哉が恋次の布団の中に入り込んできて、恋次は目を覚ました。
「隊長?」
返事はない。
かわりに、抱き寄せられる。
「隊長‥‥‥?」
「寒い‥‥」
半分覚醒しながら半分寝ていた。
恋次を抱き寄せて、その体温の温かさで白哉はまた眠ってしまった。
「ぬおおお、蛇の生殺し状態いいいいい」
恋次も寝ようとしたが、白哉の綺麗な顔(かんばせ)と艶のある長い黒髪といい匂いに、寝ようにも寝れない。
「隊長、我慢の限界っす!」
恋次は、白哉を抱きしめてキスをした。
ぼんやりと覚醒した白哉は。
「湯たんぽ代わりは黙って寝ていろ」
と言って、また眠ってしまった。
「隊長おおおおお」
恋次は、結局それから一睡もできなかった。
次の日。
白哉は、夜の自分の言動を覚えていなくて、恋次が白哉を抱きしめていたのでとりあえず殴った。
「隊長、酷いっす。俺を湯たんぽ代わりにしたり」
「私はそのようなことはせぬ」
そう言って、布団を片付けようとする。
「すんません、隊長のせいで全然寝れてないんで、3時間ばかり仮眠させてください」
「軟弱者め」
「隊長のせいですからね!」
「私は何もしていない」
その唇を唇でふさいでいやると、白哉はやや赤くなって恋次から離れる。
「寝るなら好きにせよ。兄といく予定の買いものであったが、ルキアと一緒に行く」
「あああああああ!約束してたんだったああああ」
恋次は、結局仮眠を諦めて白哉と行動を共にする。
駄菓子屋により、わかめ大使がちゃんと売られているのを確認してから、次の遠征で個人的に必要なものを商店街に入り、いろんな店によっては買っていく。
支払いは全て白哉もちだ。
「あ、新作のゴーグルでてやがる‥‥‥‥」
「たまには兄との買い物もいいな。楽しませてくれた礼だ。買ってやる」
「えええ、でもめちゃくちゃ高いっすよ」
「安いであろう。たかが40万環だ」
つまりは40万円。
やっぱり白哉の金銭感覚は普通と違うと思いながらも、何気に新作ゴーグルを買ってもらう恋次であった。
白哉との買い物は、恋次はデートだと思っているが、白哉はそうは全然思っていないことは、買い物が終わってから分かるのあった。
だが肌寒い季節、恋次と一緒の部屋で寝ると決めた白哉は、別々の布団で寝ていたのだが、白哉が恋次の布団の中に入り込んできて、恋次は目を覚ました。
「隊長?」
返事はない。
かわりに、抱き寄せられる。
「隊長‥‥‥?」
「寒い‥‥」
半分覚醒しながら半分寝ていた。
恋次を抱き寄せて、その体温の温かさで白哉はまた眠ってしまった。
「ぬおおお、蛇の生殺し状態いいいいい」
恋次も寝ようとしたが、白哉の綺麗な顔(かんばせ)と艶のある長い黒髪といい匂いに、寝ようにも寝れない。
「隊長、我慢の限界っす!」
恋次は、白哉を抱きしめてキスをした。
ぼんやりと覚醒した白哉は。
「湯たんぽ代わりは黙って寝ていろ」
と言って、また眠ってしまった。
「隊長おおおおお」
恋次は、結局それから一睡もできなかった。
次の日。
白哉は、夜の自分の言動を覚えていなくて、恋次が白哉を抱きしめていたのでとりあえず殴った。
「隊長、酷いっす。俺を湯たんぽ代わりにしたり」
「私はそのようなことはせぬ」
そう言って、布団を片付けようとする。
「すんません、隊長のせいで全然寝れてないんで、3時間ばかり仮眠させてください」
「軟弱者め」
「隊長のせいですからね!」
「私は何もしていない」
その唇を唇でふさいでいやると、白哉はやや赤くなって恋次から離れる。
「寝るなら好きにせよ。兄といく予定の買いものであったが、ルキアと一緒に行く」
「あああああああ!約束してたんだったああああ」
恋次は、結局仮眠を諦めて白哉と行動を共にする。
駄菓子屋により、わかめ大使がちゃんと売られているのを確認してから、次の遠征で個人的に必要なものを商店街に入り、いろんな店によっては買っていく。
支払いは全て白哉もちだ。
「あ、新作のゴーグルでてやがる‥‥‥‥」
「たまには兄との買い物もいいな。楽しませてくれた礼だ。買ってやる」
「えええ、でもめちゃくちゃ高いっすよ」
「安いであろう。たかが40万環だ」
つまりは40万円。
やっぱり白哉の金銭感覚は普通と違うと思いながらも、何気に新作ゴーグルを買ってもらう恋次であった。
白哉との買い物は、恋次はデートだと思っているが、白哉はそうは全然思っていないことは、買い物が終わってから分かるのあった。
魔王と勇者と32
ひょんなことから、フェンリルの浮竹と浮竹を一日だけ交換することになった。京楽が言い出したのが原因だった。
魔神の京楽の元にいった浮竹は、つまれた洗濯物の山を見て固まる。
「俺は料理が少しできるくらいで、掃除洗濯はできないんだが」
『まぁものはためしでやってごらんよ』
魔神の京楽にそう言われて、とりあえず掃除をしてみるが、掃除する前とした後では、した後のほうがちらかっていた。
「え、エトナの光たちよ!」
浮竹は、エトナの力で人形を作りだし、それに掃除をさせる。
今度は綺麗に片付いた。
『ふふ、掃除洗濯苦手なんだね』
「魔王城にはメイドがたくさんいるから、仕事を奪うことになるから洗濯と掃除はあえてしていないんだ」
『へぇ、そうなの。で、そのエトナの力で洗濯もするの?』
「ああ。ルール違反か?」
『ううん。君の能力でやってるってことは、つまりは君がしているってことだから、合格だよ』
合格も不合格も最初からないのだが、浮竹はエトナの力を使って洗濯も終わらせて、夕飯作りにとりかかる。
「カレーでいいよな?」
『なんでもいいよ』
「カレーくらいなら、俺でも作れるから‥‥‥‥」
結果、ちょっとというかかなり辛いカレーができてしまったのだが、魔神の京楽は文句も言わずに全て平らげてしまった。
『疲れたでしょ。お風呂わかしてあるから、入って寝ていいよ』
「すまん。あんまり家事ができなくて。俺はメイドじゃないからまぁ仕方ないんだが」
『うん。ボクも、エトナの力をかりたとはいえここまでできるとは思ってなかったよ』
魔神の京楽は、そう言って浮竹の頭を撫でた。
「今頃、フェンリルの俺はどうしてるんだろうな?」
『多分、メイドさんたちの仕事奪ってるんじゃないかな』
「まぁ、メイドさんたちには休暇になって、たまにはいいか」
一方の魔王城では。
フェンリルの浮竹が、てきぱきと広い城を掃除して、メイドさんの仕事を奪っていた。
「フェンリルの浮竹、適当でいいからね?メイドさんたちもいるんだし」
『一度雇われたからには、完璧にこなしてみせるぞ?』
洗濯ものをして干すと、ベッドメイクをする。
『夕食を作りたい。厨房を借りる』
厨房にいたシェフたちは、愛らしいフェンリルの浮竹に追い出されて、途方にくれていた。
『今日はビーフシチューだ。京楽が好きなんだ』
完成したビーフシチューはとても美味だった。
「おいしかったよ。ありがとう」
『後片付けしてくるな?』
「うん。ああ、みんな、今日は休暇だと思って仕事しなくていいからね。フェンリルの浮竹が何から何までしてくれるから」
その言葉に、メイドもシェフも安堵する。
でかい風呂に湯をはって、京楽が入るとその後でフェンリルの浮竹も入った。
何気に泳いだ。
風呂の湯をぬき、風呂場を掃除しおえて、干していた洗濯物を取り入れてたたんで、その日は終了した。
「浮竹の部屋で寝るかい?」
『いいのか?勇者の俺の部屋で寝てみたい!』
「うん、かまわないよ」
浮竹の部屋は、何気にでっかいテディベアがあったり、けっこうかわいい部屋だった。
『ふふ、ベッドがふかふかで、勇者の俺の匂いがする』
その日は疲れていたのか、フェンリルの浮竹はすぐに寝てしまった。
次の日になって、魔神の京楽のいる古城に浮竹を交換しにいく。
『君のところの浮竹、けっこうやるね』
「え、そうなの。てっきり家事全然できないと思ってたんだけど」
『正確には本人がしたわけじゃないけど、エトナの力を使ってなんとかしていたよ』
「浮竹‥‥‥」
「知らん。フェンリルの俺、ご苦労様」
『えへへへへ、魔王の京楽の城ぴかぴかにしといたぞ』
浮竹は、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
フェンリルの浮竹は嬉し気に尻尾をぶんぶん振っていた。
「ねぇ、浮竹」
「知らん。俺を交換したくなるようなやつは、知らん」
「ごめんよおおおおお。ほんのでき心だったんだよ!フェンリルの君がどう家事をしているのか見たくて」
「見れたよかったな」
つーんとした態度の浮竹は、フェンリルの浮竹の頭をまた撫でる。
『昨日は、勇者の俺の部屋に泊めてもらったんだ』
「俺の部屋か?」
『おっきいくまのぬいぐるみとかあって、かわいい部屋だった』
「そうか」
浮竹は恥ずかしくて少し照れながら、フェンリルの浮竹の尻尾をもふる。
「仕方ない。帰るぞ京楽」
「機嫌なおしてくれたの?」
「つーん」
「ああ、浮竹まってよおおおお」
浮竹は京楽を置いて、転移魔法で魔王城に戻ってしまう。
『楽しかったかい、浮竹?』
『ん、ああ!メイドさんたちには、掃除の仕方とか教えておいた。勇者の俺の部屋にあったテディベアいいなぁ』
『同じもの、買ってあげるよ』
『ほんとか!?わーい』
魔神の京楽とフェンリルの浮竹の仲は変わらない。
一方、京楽は浮竹の機嫌を元に戻すまでに、半日かかるのであった。
魔神の京楽の元にいった浮竹は、つまれた洗濯物の山を見て固まる。
「俺は料理が少しできるくらいで、掃除洗濯はできないんだが」
『まぁものはためしでやってごらんよ』
魔神の京楽にそう言われて、とりあえず掃除をしてみるが、掃除する前とした後では、した後のほうがちらかっていた。
「え、エトナの光たちよ!」
浮竹は、エトナの力で人形を作りだし、それに掃除をさせる。
今度は綺麗に片付いた。
『ふふ、掃除洗濯苦手なんだね』
「魔王城にはメイドがたくさんいるから、仕事を奪うことになるから洗濯と掃除はあえてしていないんだ」
『へぇ、そうなの。で、そのエトナの力で洗濯もするの?』
「ああ。ルール違反か?」
『ううん。君の能力でやってるってことは、つまりは君がしているってことだから、合格だよ』
合格も不合格も最初からないのだが、浮竹はエトナの力を使って洗濯も終わらせて、夕飯作りにとりかかる。
「カレーでいいよな?」
『なんでもいいよ』
「カレーくらいなら、俺でも作れるから‥‥‥‥」
結果、ちょっとというかかなり辛いカレーができてしまったのだが、魔神の京楽は文句も言わずに全て平らげてしまった。
『疲れたでしょ。お風呂わかしてあるから、入って寝ていいよ』
「すまん。あんまり家事ができなくて。俺はメイドじゃないからまぁ仕方ないんだが」
『うん。ボクも、エトナの力をかりたとはいえここまでできるとは思ってなかったよ』
魔神の京楽は、そう言って浮竹の頭を撫でた。
「今頃、フェンリルの俺はどうしてるんだろうな?」
『多分、メイドさんたちの仕事奪ってるんじゃないかな』
「まぁ、メイドさんたちには休暇になって、たまにはいいか」
一方の魔王城では。
フェンリルの浮竹が、てきぱきと広い城を掃除して、メイドさんの仕事を奪っていた。
「フェンリルの浮竹、適当でいいからね?メイドさんたちもいるんだし」
『一度雇われたからには、完璧にこなしてみせるぞ?』
洗濯ものをして干すと、ベッドメイクをする。
『夕食を作りたい。厨房を借りる』
厨房にいたシェフたちは、愛らしいフェンリルの浮竹に追い出されて、途方にくれていた。
『今日はビーフシチューだ。京楽が好きなんだ』
完成したビーフシチューはとても美味だった。
「おいしかったよ。ありがとう」
『後片付けしてくるな?』
「うん。ああ、みんな、今日は休暇だと思って仕事しなくていいからね。フェンリルの浮竹が何から何までしてくれるから」
その言葉に、メイドもシェフも安堵する。
でかい風呂に湯をはって、京楽が入るとその後でフェンリルの浮竹も入った。
何気に泳いだ。
風呂の湯をぬき、風呂場を掃除しおえて、干していた洗濯物を取り入れてたたんで、その日は終了した。
「浮竹の部屋で寝るかい?」
『いいのか?勇者の俺の部屋で寝てみたい!』
「うん、かまわないよ」
浮竹の部屋は、何気にでっかいテディベアがあったり、けっこうかわいい部屋だった。
『ふふ、ベッドがふかふかで、勇者の俺の匂いがする』
その日は疲れていたのか、フェンリルの浮竹はすぐに寝てしまった。
次の日になって、魔神の京楽のいる古城に浮竹を交換しにいく。
『君のところの浮竹、けっこうやるね』
「え、そうなの。てっきり家事全然できないと思ってたんだけど」
『正確には本人がしたわけじゃないけど、エトナの力を使ってなんとかしていたよ』
「浮竹‥‥‥」
「知らん。フェンリルの俺、ご苦労様」
『えへへへへ、魔王の京楽の城ぴかぴかにしといたぞ』
浮竹は、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。
フェンリルの浮竹は嬉し気に尻尾をぶんぶん振っていた。
「ねぇ、浮竹」
「知らん。俺を交換したくなるようなやつは、知らん」
「ごめんよおおおおお。ほんのでき心だったんだよ!フェンリルの君がどう家事をしているのか見たくて」
「見れたよかったな」
つーんとした態度の浮竹は、フェンリルの浮竹の頭をまた撫でる。
『昨日は、勇者の俺の部屋に泊めてもらったんだ』
「俺の部屋か?」
『おっきいくまのぬいぐるみとかあって、かわいい部屋だった』
「そうか」
浮竹は恥ずかしくて少し照れながら、フェンリルの浮竹の尻尾をもふる。
「仕方ない。帰るぞ京楽」
「機嫌なおしてくれたの?」
「つーん」
「ああ、浮竹まってよおおおお」
浮竹は京楽を置いて、転移魔法で魔王城に戻ってしまう。
『楽しかったかい、浮竹?』
『ん、ああ!メイドさんたちには、掃除の仕方とか教えておいた。勇者の俺の部屋にあったテディベアいいなぁ』
『同じもの、買ってあげるよ』
『ほんとか!?わーい』
魔神の京楽とフェンリルの浮竹の仲は変わらない。
一方、京楽は浮竹の機嫌を元に戻すまでに、半日かかるのであった。
魔王と勇者と31
魔神の京楽とフェンリルの浮竹から、最上級品の結界石のネックレスをもらった。
光にあてると虹色の輝くそれは、浮竹を守ってくれる。
「これで、君は聖女教から守られる」
京楽は満足そうであった。
「聖女教といえば、藍染が行方をくらましたらしい。16代目聖女アナスタシアは醜い老婆になってしまい、急遽クローンの18代目聖女アナスタシアが聖女教のTOPになった」
「藍染のいなくなった聖女教は、放置しておくか壊滅させるべきか。どう思う?」
「放置でいいんじゃないのか。信者たちの洗脳もとかれたし、18代目聖女はまともな聖女だそうだ。傾きかけていた聖女教をなんとか形を保っていられるようにしたらしい」
「まぁ、聖女教そのものが悪いんじゃないからね。藍染が悪いのであって」
浮竹は、翼を広げて京楽を包み込む。
「聖女教への弾圧はそのままにしておくのか?」
「うん。藍染が戻ってくるかもしれないからね」
「そうか」
浮竹は、結界石のネックレスの石に触れる。
虹色の輝きが強くなる。
「君の聖なる力に呼応してるんだろうね」
「全く、こんな品を作れるものがいるとは‥‥‥」
「作った子に、お礼しておいたから」
「早いな」
「ケットシーの白哉くんらしいよ。勇者の白哉くんとは別人の」
「そうか」
浮竹は、今日はエトナ教の信徒に慈悲を与える日なので、エトナ教の神殿に向かおうとする。
「あ、今日はボクも行くから」
「心配しなくても、結界石のおかげで身の安全は保障されてるぞ?」
「エトナの子はボクの伴侶だってわかってもらうためにね?」
京楽は、悪戯っぽく笑った。
「おお、エトナの子だ。慈悲を」
「エトナの子の伴侶の魔王だ。魔王も心優しき方らしい」
「エトナの子と魔王は慈悲の力をもっておられる」
浮竹が京楽を連れているものだから、いつもより騒がしかった。
「これより、エトナの慈悲を与える。順番に並んでくれ」
「ああ、浮竹様。孫娘がはやり病にかかり、死にそうなのです。どうか、慈悲を」
老婆からはやり病の特徴をきいて、浮竹は自分の翼の羽を抜くと、それと一緒に煎じた薬を渡した。
「これを飲ませてやってくれ。俺の羽で、体全体をはらうようにしてくれ。はやり病も治るはずだ」
「浮竹様、ありがとうございます」
そんな様子を、京楽が見ていた。
「治癒能力は君のほうが上みたいだね」
「まぁ、エトナの子だからな」
「ボクも、癒しの力で患者を診るよ」
「ああ、ありがとう京楽」
浮竹の慈悲を求める者の行列が途切れる頃は、すっかり夕暮れになっていた。
「今日は遅いし、エトナ教の神殿に泊まっていこう。前々から、泊まるようにとすすめられていたし、ちょうどいい時間だしな」
「ボクは浮竹といれるなら、神殿でもどこでもいいよ」
神官に案内されて、浮竹のためにと用意されていた部屋に入る。
無駄に豪華だった。
「ベッドは広いな。一緒に寝るか」
「うん、そうだね」
「慈悲を与えすぎて、神の力が少し弱くなっている。こんな時、結界石があると安心できるな」
部屋で二人は夕飯をとり、備え付けられていた大きな風呂に入って、就寝する。
「浮竹、起きてる?」
「ん、なんだ?」
「エトナ教の子の浮竹は、本当に天使みたいで神々しかった」
「褒めすぎだ」
「ふふ、そうかな?」
「俺はあくまでエトナの代理だ。神じゃない」
「そうだね」
二人は、そのまま眠ってしまった。
次の日、朝食をとっていると、京楽が食べるのをやめた。
「どうしたんだ?」
「ボクの料理に、毒が入ってる」
「なんだと!おい、どういうことだ!!!」
猛烈に抗議して料理を作った者を問い詰めると、大神官の一人に魔王を亡き者にしてエトナの子を神殿でずっと暮らすように画策した者がいると判明した。
「罪は重いぞ」
「エトナの子が魔王などに束縛されるのが悪いのです!」
「お前から、大神官の地位を剥奪し、流刑処分とする」
「エトナの子よ!魔王などと慣れ親しみなさるな!まして伴侶などと」
「連れていけ」
浮竹は、他の神官たちに流刑にされる元大神官を連れていかせる。
「すまん、京楽。俺のせいで」
「いや、ボクが勝手についてきちゃったからね。魔王をまだ忌み嫌う者はいるし」
「エトナ教には魔王や魔族排斥の思想はないが、それでも人間と違うということで恐れる者もいるからな」
「うん」
「エトナ教で大々的に言いまわるjか。エトナの子は魔王とできていると」
「いいの、浮竹?」
「お前の食事に毒をもられるような真似にならないようにな」
浮竹は、その日信者たちの前で京楽を正式な伴侶であり愛していると堂々と言ってのけた。
さながら愛の告白で、京楽は少し恥ずかしくなった。
「魔王城に戻るか」
「うん」
「なんだ、結界石が‥‥‥」
光っていた。そして、何かを弾く。
「お前のせいで、私はああああ」
それは、醜い老婆となりはてた、元聖女である16代目のアナスタシアであった。
「殺してやるうううう」
「浮竹様に何を!ひっとらえろ!」
「いや、いい。エトナの光の前に滅びよ!」
「うぎゃああああああああ」
16代目のアナスタシアは、灰となっていく。
「ここまでくるなんて、執念はすごいね」
「悪しきに染まっていたからな。エトナの力で浄化した」
「じゃあ、今度こそ帰ろうか」
「ああ」
浮竹と京楽は、転移魔法で魔王城に戻ってくる。
「さて、今日も魔王の仕事片付けて、魔神のボクとフェンリルの浮竹の元にでも遊びにいきますか」
やる気になっている京楽と一緒に、浮竹も魔王の仕事を手伝うのであった。
光にあてると虹色の輝くそれは、浮竹を守ってくれる。
「これで、君は聖女教から守られる」
京楽は満足そうであった。
「聖女教といえば、藍染が行方をくらましたらしい。16代目聖女アナスタシアは醜い老婆になってしまい、急遽クローンの18代目聖女アナスタシアが聖女教のTOPになった」
「藍染のいなくなった聖女教は、放置しておくか壊滅させるべきか。どう思う?」
「放置でいいんじゃないのか。信者たちの洗脳もとかれたし、18代目聖女はまともな聖女だそうだ。傾きかけていた聖女教をなんとか形を保っていられるようにしたらしい」
「まぁ、聖女教そのものが悪いんじゃないからね。藍染が悪いのであって」
浮竹は、翼を広げて京楽を包み込む。
「聖女教への弾圧はそのままにしておくのか?」
「うん。藍染が戻ってくるかもしれないからね」
「そうか」
浮竹は、結界石のネックレスの石に触れる。
虹色の輝きが強くなる。
「君の聖なる力に呼応してるんだろうね」
「全く、こんな品を作れるものがいるとは‥‥‥」
「作った子に、お礼しておいたから」
「早いな」
「ケットシーの白哉くんらしいよ。勇者の白哉くんとは別人の」
「そうか」
浮竹は、今日はエトナ教の信徒に慈悲を与える日なので、エトナ教の神殿に向かおうとする。
「あ、今日はボクも行くから」
「心配しなくても、結界石のおかげで身の安全は保障されてるぞ?」
「エトナの子はボクの伴侶だってわかってもらうためにね?」
京楽は、悪戯っぽく笑った。
「おお、エトナの子だ。慈悲を」
「エトナの子の伴侶の魔王だ。魔王も心優しき方らしい」
「エトナの子と魔王は慈悲の力をもっておられる」
浮竹が京楽を連れているものだから、いつもより騒がしかった。
「これより、エトナの慈悲を与える。順番に並んでくれ」
「ああ、浮竹様。孫娘がはやり病にかかり、死にそうなのです。どうか、慈悲を」
老婆からはやり病の特徴をきいて、浮竹は自分の翼の羽を抜くと、それと一緒に煎じた薬を渡した。
「これを飲ませてやってくれ。俺の羽で、体全体をはらうようにしてくれ。はやり病も治るはずだ」
「浮竹様、ありがとうございます」
そんな様子を、京楽が見ていた。
「治癒能力は君のほうが上みたいだね」
「まぁ、エトナの子だからな」
「ボクも、癒しの力で患者を診るよ」
「ああ、ありがとう京楽」
浮竹の慈悲を求める者の行列が途切れる頃は、すっかり夕暮れになっていた。
「今日は遅いし、エトナ教の神殿に泊まっていこう。前々から、泊まるようにとすすめられていたし、ちょうどいい時間だしな」
「ボクは浮竹といれるなら、神殿でもどこでもいいよ」
神官に案内されて、浮竹のためにと用意されていた部屋に入る。
無駄に豪華だった。
「ベッドは広いな。一緒に寝るか」
「うん、そうだね」
「慈悲を与えすぎて、神の力が少し弱くなっている。こんな時、結界石があると安心できるな」
部屋で二人は夕飯をとり、備え付けられていた大きな風呂に入って、就寝する。
「浮竹、起きてる?」
「ん、なんだ?」
「エトナ教の子の浮竹は、本当に天使みたいで神々しかった」
「褒めすぎだ」
「ふふ、そうかな?」
「俺はあくまでエトナの代理だ。神じゃない」
「そうだね」
二人は、そのまま眠ってしまった。
次の日、朝食をとっていると、京楽が食べるのをやめた。
「どうしたんだ?」
「ボクの料理に、毒が入ってる」
「なんだと!おい、どういうことだ!!!」
猛烈に抗議して料理を作った者を問い詰めると、大神官の一人に魔王を亡き者にしてエトナの子を神殿でずっと暮らすように画策した者がいると判明した。
「罪は重いぞ」
「エトナの子が魔王などに束縛されるのが悪いのです!」
「お前から、大神官の地位を剥奪し、流刑処分とする」
「エトナの子よ!魔王などと慣れ親しみなさるな!まして伴侶などと」
「連れていけ」
浮竹は、他の神官たちに流刑にされる元大神官を連れていかせる。
「すまん、京楽。俺のせいで」
「いや、ボクが勝手についてきちゃったからね。魔王をまだ忌み嫌う者はいるし」
「エトナ教には魔王や魔族排斥の思想はないが、それでも人間と違うということで恐れる者もいるからな」
「うん」
「エトナ教で大々的に言いまわるjか。エトナの子は魔王とできていると」
「いいの、浮竹?」
「お前の食事に毒をもられるような真似にならないようにな」
浮竹は、その日信者たちの前で京楽を正式な伴侶であり愛していると堂々と言ってのけた。
さながら愛の告白で、京楽は少し恥ずかしくなった。
「魔王城に戻るか」
「うん」
「なんだ、結界石が‥‥‥」
光っていた。そして、何かを弾く。
「お前のせいで、私はああああ」
それは、醜い老婆となりはてた、元聖女である16代目のアナスタシアであった。
「殺してやるうううう」
「浮竹様に何を!ひっとらえろ!」
「いや、いい。エトナの光の前に滅びよ!」
「うぎゃああああああああ」
16代目のアナスタシアは、灰となっていく。
「ここまでくるなんて、執念はすごいね」
「悪しきに染まっていたからな。エトナの力で浄化した」
「じゃあ、今度こそ帰ろうか」
「ああ」
浮竹と京楽は、転移魔法で魔王城に戻ってくる。
「さて、今日も魔王の仕事片付けて、魔神のボクとフェンリルの浮竹の元にでも遊びにいきますか」
やる気になっている京楽と一緒に、浮竹も魔王の仕事を手伝うのであった。
一護とルキア
「ルキア」
「ん-、なんだ?」
「お前さ、副隊長になったっていうのに、こう度々現世にきて大丈夫なのか?」
一護は、今大学生だった。国際大学に通っていて、ドイツ語を選択し、来年留学予定であった。
「貴様が、来年から半年間帰ってこぬというから、今のうちに会いにいきておるのだ」
「はぁ。俺のこと、好きなのか?」
「たたたたたたたたたたたた」
「?」
「たたた、たわけ、そんなこと‥‥気づけ、ばか一護」
ルキアは真っ赤になった。
「え、まじで?」
ふっかけてきた一護も赤くなる。
「ルキア、その‥‥‥」
「一護、あのな‥‥」
「ルキアが先に言えよ」
「一護が先にしゃべれ」
一護の住む、一人暮らし用のアパートで、ルキアは一護と睨み合う。
「「好きだ」」
言葉は、綺麗にはもった。
「同時か」
「同時だな」
「でも、俺は来年は半年ドイツに留学するぞ」
「奇遇だな。私も、外の世界を見て回るために、ヨーロッパとやらに半年出張なのだ」
ルキアは、絶対無理をいってヨーロッパへの出張をもぎとったのであろう。
どこか、嬉し気だった。
「じゃあ、来年から一緒にドイツで生活するか?」
「貴様が哀れだから、いたしかたあるまい。一緒に住んでやる」
「正直になれよ、ルキア」
ルキアの、紫水晶の瞳を、一護がのぞきこんでくる。
「一緒に、いたいんだろ?俺は少なくともルキアと一緒にずっといたい」
「一護‥‥‥」
手が重なりあい、自然とキスをしていた。
触れるだけの、優しいキスを。
「黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「いくら好きだとはいえ、私は死神で貴様は人間だ」
「俺が本物の死神になる」
「一護‥‥‥」
「もう一度だけ聞く。黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「なる‥‥‥‥なりたい!」
ルキアは、涙を流していた。
本物の死神となる。つまりは人間を捨てるということ。
家族や友人を、ルキアのために捨てるというのだ。
「一護は、平気なのか。友人や家族を捨てることになるのだぞ」
「ややこしく考えすぎだろ。確かに本物の死神になったら、ずっと一緒の時間は生きられないけど、ある程度は一緒にいれる」
「そ、そうだな」
「あー。明日、白哉に挨拶にいくか。義妹さんをくださいって」
「い、一護!」
「白哉、許してくれるかな?」
「兄様は、私の幸せを一番に考えてくださる。最終的には許可をくれるだろ」
ルキアは、一護に抱きついた。
「貴様は私がいなくてはどうしようもない奴なのだから、嫁にきてやるのだ」
「なんだ、それ」
クスリと、一護が笑う。
その顔に、ルキアは赤くなる。
「き、貴様との婚姻は仕方なくだ!」
「はいはい。好きだぜ、ルキア。愛してる」
「わ、私も‥‥‥」
言葉は、唇でふさがれた。
「もう、なんなのだ!」
「先にちょっと手出しておかないと、恋次にもっていかれちまう」
「恋次が?気のせいではないのか。あやつは家族同然だ」
「だから、余計に危ないんだ。恋次のやつ、絶対ルキアのこと好きだぜ」
「そんなわけなかろう!」
「いいや、俺があってる」
しまいには、恋次を呼び出しそうな勢いなので、いったん恋次のことは放置することにした。
「ワンピース買いにいこうぜ。金なら出すから」
「なぜ、今ワンピースなのだ」
「ルキアのワンピース姿がかわいいから」
「き、貴様はいきなり何を‥‥‥…」
一護は、ルキアと手を繋いだ。
そのまま荷物をもって外に出て、アパートに鍵をかける。
「一緒に住もうぜ。いろいろ買わなきゃな。まずは着替えのワンピースだ」
「も、もう勝手にしろ」
ルキアは一護に手をひかれて、服の安いしまむらに入っていくのであった。
「ん-、なんだ?」
「お前さ、副隊長になったっていうのに、こう度々現世にきて大丈夫なのか?」
一護は、今大学生だった。国際大学に通っていて、ドイツ語を選択し、来年留学予定であった。
「貴様が、来年から半年間帰ってこぬというから、今のうちに会いにいきておるのだ」
「はぁ。俺のこと、好きなのか?」
「たたたたたたたたたたたた」
「?」
「たたた、たわけ、そんなこと‥‥気づけ、ばか一護」
ルキアは真っ赤になった。
「え、まじで?」
ふっかけてきた一護も赤くなる。
「ルキア、その‥‥‥」
「一護、あのな‥‥」
「ルキアが先に言えよ」
「一護が先にしゃべれ」
一護の住む、一人暮らし用のアパートで、ルキアは一護と睨み合う。
「「好きだ」」
言葉は、綺麗にはもった。
「同時か」
「同時だな」
「でも、俺は来年は半年ドイツに留学するぞ」
「奇遇だな。私も、外の世界を見て回るために、ヨーロッパとやらに半年出張なのだ」
ルキアは、絶対無理をいってヨーロッパへの出張をもぎとったのであろう。
どこか、嬉し気だった。
「じゃあ、来年から一緒にドイツで生活するか?」
「貴様が哀れだから、いたしかたあるまい。一緒に住んでやる」
「正直になれよ、ルキア」
ルキアの、紫水晶の瞳を、一護がのぞきこんでくる。
「一緒に、いたいんだろ?俺は少なくともルキアと一緒にずっといたい」
「一護‥‥‥」
手が重なりあい、自然とキスをしていた。
触れるだけの、優しいキスを。
「黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「いくら好きだとはいえ、私は死神で貴様は人間だ」
「俺が本物の死神になる」
「一護‥‥‥」
「もう一度だけ聞く。黒崎ルキアになる気はねぇか?」
「なる‥‥‥‥なりたい!」
ルキアは、涙を流していた。
本物の死神となる。つまりは人間を捨てるということ。
家族や友人を、ルキアのために捨てるというのだ。
「一護は、平気なのか。友人や家族を捨てることになるのだぞ」
「ややこしく考えすぎだろ。確かに本物の死神になったら、ずっと一緒の時間は生きられないけど、ある程度は一緒にいれる」
「そ、そうだな」
「あー。明日、白哉に挨拶にいくか。義妹さんをくださいって」
「い、一護!」
「白哉、許してくれるかな?」
「兄様は、私の幸せを一番に考えてくださる。最終的には許可をくれるだろ」
ルキアは、一護に抱きついた。
「貴様は私がいなくてはどうしようもない奴なのだから、嫁にきてやるのだ」
「なんだ、それ」
クスリと、一護が笑う。
その顔に、ルキアは赤くなる。
「き、貴様との婚姻は仕方なくだ!」
「はいはい。好きだぜ、ルキア。愛してる」
「わ、私も‥‥‥」
言葉は、唇でふさがれた。
「もう、なんなのだ!」
「先にちょっと手出しておかないと、恋次にもっていかれちまう」
「恋次が?気のせいではないのか。あやつは家族同然だ」
「だから、余計に危ないんだ。恋次のやつ、絶対ルキアのこと好きだぜ」
「そんなわけなかろう!」
「いいや、俺があってる」
しまいには、恋次を呼び出しそうな勢いなので、いったん恋次のことは放置することにした。
「ワンピース買いにいこうぜ。金なら出すから」
「なぜ、今ワンピースなのだ」
「ルキアのワンピース姿がかわいいから」
「き、貴様はいきなり何を‥‥‥…」
一護は、ルキアと手を繋いだ。
そのまま荷物をもって外に出て、アパートに鍵をかける。
「一緒に住もうぜ。いろいろ買わなきゃな。まずは着替えのワンピースだ」
「も、もう勝手にしろ」
ルキアは一護に手をひかれて、服の安いしまむらに入っていくのであった。
オメガバース恋白11
「恋次‥‥おらぬのか、恋次」
白哉は、恋次を探していた。
ちょうどヒート期間中で、朽木家の別邸で恋次と二人で過ごしていた。
食事は作ったものを清家がもってきてくれた。
あとのことは、恋次に任せてある。
「恋次‥‥‥」
恋次が見当たらなくて、白哉は布団と丸めてそれを抱え込む。
「隊長、どうしたんすか」
「恋次!」
恋次は、風呂にいっていたらしく、結っていない赤い髪が印象的だった。
「恋次、傍におらぬので探していたのだ」
「あー、もう、あんたほんとにかわいいっすね」
恋次は、白哉を抱きしめる。
「恋次、恋次が欲しい」
白哉はオメガで、恋次はアルファ。そして番である。
最初、白哉は自分がオメガであることを隠していたが、世間に発表し、今は白哉の懐妊が期待されていたが、白哉はまだ子を作るつもりなはく、いつもアフターピルを飲んでいた。
「ああもう、あんた綺麗なくせにかわいいっすね」
「恋次」
恋次の名を連呼する白哉に負けて、昨日抱いたばかりだが、恋次は今日も白哉を抱くことにした。
昨日は散々抱いたので、今日はできて1,2回というところだろうか。
「キスを‥‥‥」
ねだられて、恋次は白哉にキスをする。
「ふあっ」
飲み込み切れなかった唾液が顎を伝う。
「恋次、私を抱け」
「分かってます。でも、あんまり何回も抱けませんよ?昨日めちゃくちゃあんたを抱いたから」
「それでもかまわぬ。抱け」
「はいはい、分かりましたからそうがっつかないでください。なんだか、いつもと逆ですね?」
恋次は、白哉の衣類を脱がせて、自分も裸になった。
「また、タトゥーを増やしたのか」
「ああ、昨日では気づかなかったんすね。胸のここに新しいタトゥー入れました」
「痛いであろう」
「痛いっすけどもう慣れてます」
「恋次、好きだ。愛している」
「俺も、隊長を好きで愛してますよ」
そう言うと、白哉は恋次のものに手を伸ばして、奉仕しはじめた。
「ちょ、隊長!」
「これで、私を満足させよ」
勃ったものを、白哉が指ではじく。
「もう、どうなっても知りませんからね」
白哉は、恋次に抱かれる。
「ああああ!!」
熱いものので貫かれて、白哉は精液を放っていた。
昨日散々交わったのに、ヒート期間はすぐにまた精液が出るようになっていた。それは番の恋次も同じだが、白哉ほどではない。
「奥に出しますからね」
「あ、もっと、もっと私を犯せ」
「じゃあ、そんなにきつく締め付けないでください」
「やああああ、無理っ」
「じゃあ、中に注ぎますよ?」
「ひあああああ!!!」
白哉は、恋次に中出しされて当時にいっていた。
「あと、抱けて1回くらいっすよ」
「あ、足りぬ」
「じゃあ、おとなのおもちゃでも使いますか?」
「いやだ。恋次がいい」
「仕方ないっすねぇ。でなくなったら、指と舌でいかせてあげますから」
「ああ、う、んあああ」
恋次は、白哉のものに舌をはわせる。
「ヒート期間って、すごいっすよね。出しても出しても出るんすから」
「あ、恋次‥‥」
白哉は、恋次の口の中に精液を放って、恋次にまた抱かれた。
恋次は白哉の足を肩に担ぎあげて、深く交わる。
「んあっ」
「あんたの好きなだけ犯してやりたいけど、俺が玉切れです」
「恋次、もっと子種を‥‥…」
「あと1回だけですよ」
「もっと欲しい」
白哉はねだる。
「だから、昨日あんたも何度も俺に抱かれたじゃないっすか。満足してないんすか?」
「昨日は昨日、今日は今日だ」
「そうっすか」
恋次は、一度引き抜くと、白哉の奥まで一気に貫いた。
「いあああ!!!」
「子種、全部ぶちまけますからね?」
ドクドクと、恋次の子種が白哉の子宮で放たれる。
「あ、もっとお」
「俺が限界っす。ヒート期間の隊長、すごいっすね」
「もう終わりなのか‥‥‥」
白哉は残念そうな声を出しながら、指と舌で愛撫してくる恋次の熱を感じて、精液をはきだす。
「あああ、そこ、いい」
「ここっすか?」
「やあああん」
「隊長、淫乱っすね」
「や、言うな。ヒート期間のせいだ」
「そういうことにしておきますよ」
白哉と恋次は、ヒート期間が収まる1週間を交じりあいながら過ごす。
ヒート期間が終わると、白哉はねだっていたのが嘘のように、凛と強い眼差しで恋次を見る。
「すまぬ。ヒート期間は迷惑をかけた」
「仕方ないっすよ。俺たちは番なんだから」
「そ、そうだな。番であるのだから」
白哉は、今回のヒートは乱れた。それを思い出してか、やや赤くなっていた。
「隊長、照れるんすか?かわいい」
「な、照れてなどおらぬ!」
「はいはい。じゃあ、仕事にいきますか」
「う、うむ‥‥‥」
ヒート休暇が終わり、二人は並んで執務室に向かうのだった。
白哉は、恋次を探していた。
ちょうどヒート期間中で、朽木家の別邸で恋次と二人で過ごしていた。
食事は作ったものを清家がもってきてくれた。
あとのことは、恋次に任せてある。
「恋次‥‥‥」
恋次が見当たらなくて、白哉は布団と丸めてそれを抱え込む。
「隊長、どうしたんすか」
「恋次!」
恋次は、風呂にいっていたらしく、結っていない赤い髪が印象的だった。
「恋次、傍におらぬので探していたのだ」
「あー、もう、あんたほんとにかわいいっすね」
恋次は、白哉を抱きしめる。
「恋次、恋次が欲しい」
白哉はオメガで、恋次はアルファ。そして番である。
最初、白哉は自分がオメガであることを隠していたが、世間に発表し、今は白哉の懐妊が期待されていたが、白哉はまだ子を作るつもりなはく、いつもアフターピルを飲んでいた。
「ああもう、あんた綺麗なくせにかわいいっすね」
「恋次」
恋次の名を連呼する白哉に負けて、昨日抱いたばかりだが、恋次は今日も白哉を抱くことにした。
昨日は散々抱いたので、今日はできて1,2回というところだろうか。
「キスを‥‥‥」
ねだられて、恋次は白哉にキスをする。
「ふあっ」
飲み込み切れなかった唾液が顎を伝う。
「恋次、私を抱け」
「分かってます。でも、あんまり何回も抱けませんよ?昨日めちゃくちゃあんたを抱いたから」
「それでもかまわぬ。抱け」
「はいはい、分かりましたからそうがっつかないでください。なんだか、いつもと逆ですね?」
恋次は、白哉の衣類を脱がせて、自分も裸になった。
「また、タトゥーを増やしたのか」
「ああ、昨日では気づかなかったんすね。胸のここに新しいタトゥー入れました」
「痛いであろう」
「痛いっすけどもう慣れてます」
「恋次、好きだ。愛している」
「俺も、隊長を好きで愛してますよ」
そう言うと、白哉は恋次のものに手を伸ばして、奉仕しはじめた。
「ちょ、隊長!」
「これで、私を満足させよ」
勃ったものを、白哉が指ではじく。
「もう、どうなっても知りませんからね」
白哉は、恋次に抱かれる。
「ああああ!!」
熱いものので貫かれて、白哉は精液を放っていた。
昨日散々交わったのに、ヒート期間はすぐにまた精液が出るようになっていた。それは番の恋次も同じだが、白哉ほどではない。
「奥に出しますからね」
「あ、もっと、もっと私を犯せ」
「じゃあ、そんなにきつく締め付けないでください」
「やああああ、無理っ」
「じゃあ、中に注ぎますよ?」
「ひあああああ!!!」
白哉は、恋次に中出しされて当時にいっていた。
「あと、抱けて1回くらいっすよ」
「あ、足りぬ」
「じゃあ、おとなのおもちゃでも使いますか?」
「いやだ。恋次がいい」
「仕方ないっすねぇ。でなくなったら、指と舌でいかせてあげますから」
「ああ、う、んあああ」
恋次は、白哉のものに舌をはわせる。
「ヒート期間って、すごいっすよね。出しても出しても出るんすから」
「あ、恋次‥‥」
白哉は、恋次の口の中に精液を放って、恋次にまた抱かれた。
恋次は白哉の足を肩に担ぎあげて、深く交わる。
「んあっ」
「あんたの好きなだけ犯してやりたいけど、俺が玉切れです」
「恋次、もっと子種を‥‥…」
「あと1回だけですよ」
「もっと欲しい」
白哉はねだる。
「だから、昨日あんたも何度も俺に抱かれたじゃないっすか。満足してないんすか?」
「昨日は昨日、今日は今日だ」
「そうっすか」
恋次は、一度引き抜くと、白哉の奥まで一気に貫いた。
「いあああ!!!」
「子種、全部ぶちまけますからね?」
ドクドクと、恋次の子種が白哉の子宮で放たれる。
「あ、もっとお」
「俺が限界っす。ヒート期間の隊長、すごいっすね」
「もう終わりなのか‥‥‥」
白哉は残念そうな声を出しながら、指と舌で愛撫してくる恋次の熱を感じて、精液をはきだす。
「あああ、そこ、いい」
「ここっすか?」
「やあああん」
「隊長、淫乱っすね」
「や、言うな。ヒート期間のせいだ」
「そういうことにしておきますよ」
白哉と恋次は、ヒート期間が収まる1週間を交じりあいながら過ごす。
ヒート期間が終わると、白哉はねだっていたのが嘘のように、凛と強い眼差しで恋次を見る。
「すまぬ。ヒート期間は迷惑をかけた」
「仕方ないっすよ。俺たちは番なんだから」
「そ、そうだな。番であるのだから」
白哉は、今回のヒートは乱れた。それを思い出してか、やや赤くなっていた。
「隊長、照れるんすか?かわいい」
「な、照れてなどおらぬ!」
「はいはい。じゃあ、仕事にいきますか」
「う、うむ‥‥‥」
ヒート休暇が終わり、二人は並んで執務室に向かうのだった。
朽木白哉と浮竹5
「それで、兄は何をしにきたのだ」
突然の訪問者に、白哉が声をかける。浮竹が、朽木家を訪れていた。
「京楽のアホが盛ってきて、嫌だから蹴りを入れたら頭打って、ほんにゃらになったので、逃げてきた」
「ほんにゃらとは何か分からぬが、正当防衛であろう。逃げる必要など‥‥」
「絶対また盛ってくるから、今日は泊めてくれ」
浮竹は、枕だけを手に朽木家に来ていた。
追い返すと、京楽の餌食になりそうなので、白哉は泊めることを了解した。
「兄を1日泊めればいいのだな。客室を使うといい」
浮竹は、ぱぁぁぁと顔を輝かせて、白哉に抱きつく。
「ありがとう、白哉!」
「く、苦しい」
「あ、すまん」
解放されて、白哉は聞いてみる。
「食事などはすませたのか?」
「いや、まだだ。枕変わると眠れないので、枕だけ咄嗟にもって逃げ出した」
なぜに枕。
宿に泊まるなりできるだろうに、金品はもっていないようであった。
「寒いであろう。風邪をひく前に風呂に入れ。その間に食事の準備をさせよう」
「すまん‥‥‥何から何まで」
「兄は、私にとって少し年の離れた兄のようなものだからな」
「そう言ってもらえると俺も嬉しい、白哉」
浮竹は、まず風呂に入り、来客用jの着物を着ると、少し遅めの夕食を食べる。
「うわ、豪華だなぁ」
「ルキアは、今現世に赴いている」
「ああ、知っている。朽木にはこんな情けない姿見せられないからな」
「そうであろうか?まぁ、兄が京楽から逃げてくるとは珍しいな」
「昨日もしたんだ。おとついも。3日連続で俺を抱こうとするから、さすがに嫌になって逃げだしてきた」
「京楽隊長は、兄が拒否すればやめるのではないのか?」
「それが、嫌がっても押し倒してくるんだ」
「ふむ。明日、ともに京楽隊長の元に行こう」
「ん、ああ。さすがに1日行方くらませば、反省するだろうしな」
京楽はそんな人物であったろうかと、白哉は思う。
次の日、朝から雨乾堂に行くと、京楽が昨日頭を打った姿勢のまま伸びていた。
「ぬお、おい京楽、しっかりしろ」
「んーうきたけぇ?ボクどうしたんだっけ」
「あまりにしつこく抱かせろというから、鳩尾に蹴りを入れたら頭を壁に打って気絶したんだ。俺はお前から逃げるために、白哉の家に1日泊まってた」
「朽木隊長の家に?」
「ああ」
「何もされなかった?」
「兄は、私が浮竹に何かをするかと思っているのか」
「だってボクの十四郎はこんなにかいわくて綺麗だからね」
浮竹は、顔を赤くする。
「ばか、白哉の前で何言ってるんだ」
「恋敵にならないように、ね」
白哉はため息をつく。
「心配せずとも、私は浮竹に手を出したりはせぬ。私にも思い人がいるからな」
「あ、恋次くんでしょ」
京楽が言い当てると、今度は白哉がうっすらと赤くなる。
「え、そうなのか白哉」
「知らぬ。兄は京楽といちゃついていればいいのだ」
そっぽをむく白哉がかわいくて、浮竹はついその頭を撫でた。
「子供扱いするでない」
「俺の弟みたいなもんだからな。幸せにな」
「兄に言われずとも、今十分に幸せだ」
「ならいいんだ」
浮竹は、白哉と恋次の仲に興味深々なようで、いろいろ訊ねてきたが、白哉は適当にはぐらかす。
「あ、隊長こんなところにいたんすか!霊圧探って探したんですからね!」
「れ、恋次」
白哉は赤くなって、恋次と距離をとる。
「どうしたんですか、隊長?あ、浮竹隊長京楽隊長、おはようございます」
「おはよう」
「おはよう」
浮竹も京楽も、にまにましていた。
「お幸せにな」
「白哉をよろしく頼む」
「え、あ、はい!」
「恋次、帰るぞ!浮竹も京楽隊長も、いらぬことをいうな」
白哉は足早に歩きだす。
「あ、待ってくださいよ隊長~~~~!!」
まるで、人懐っこい大型犬のように、恋次は白哉のあとを追っていく。
「まさか、あの白哉がなぁ」
「朽木隊長がねぇ」
浮竹と京楽は、すっかり自分たちが抱かれるのが嫌だったからもめていたことを忘れて、恋次のと白哉の小さくなっていく後姿を見ているのだった。
突然の訪問者に、白哉が声をかける。浮竹が、朽木家を訪れていた。
「京楽のアホが盛ってきて、嫌だから蹴りを入れたら頭打って、ほんにゃらになったので、逃げてきた」
「ほんにゃらとは何か分からぬが、正当防衛であろう。逃げる必要など‥‥」
「絶対また盛ってくるから、今日は泊めてくれ」
浮竹は、枕だけを手に朽木家に来ていた。
追い返すと、京楽の餌食になりそうなので、白哉は泊めることを了解した。
「兄を1日泊めればいいのだな。客室を使うといい」
浮竹は、ぱぁぁぁと顔を輝かせて、白哉に抱きつく。
「ありがとう、白哉!」
「く、苦しい」
「あ、すまん」
解放されて、白哉は聞いてみる。
「食事などはすませたのか?」
「いや、まだだ。枕変わると眠れないので、枕だけ咄嗟にもって逃げ出した」
なぜに枕。
宿に泊まるなりできるだろうに、金品はもっていないようであった。
「寒いであろう。風邪をひく前に風呂に入れ。その間に食事の準備をさせよう」
「すまん‥‥‥何から何まで」
「兄は、私にとって少し年の離れた兄のようなものだからな」
「そう言ってもらえると俺も嬉しい、白哉」
浮竹は、まず風呂に入り、来客用jの着物を着ると、少し遅めの夕食を食べる。
「うわ、豪華だなぁ」
「ルキアは、今現世に赴いている」
「ああ、知っている。朽木にはこんな情けない姿見せられないからな」
「そうであろうか?まぁ、兄が京楽から逃げてくるとは珍しいな」
「昨日もしたんだ。おとついも。3日連続で俺を抱こうとするから、さすがに嫌になって逃げだしてきた」
「京楽隊長は、兄が拒否すればやめるのではないのか?」
「それが、嫌がっても押し倒してくるんだ」
「ふむ。明日、ともに京楽隊長の元に行こう」
「ん、ああ。さすがに1日行方くらませば、反省するだろうしな」
京楽はそんな人物であったろうかと、白哉は思う。
次の日、朝から雨乾堂に行くと、京楽が昨日頭を打った姿勢のまま伸びていた。
「ぬお、おい京楽、しっかりしろ」
「んーうきたけぇ?ボクどうしたんだっけ」
「あまりにしつこく抱かせろというから、鳩尾に蹴りを入れたら頭を壁に打って気絶したんだ。俺はお前から逃げるために、白哉の家に1日泊まってた」
「朽木隊長の家に?」
「ああ」
「何もされなかった?」
「兄は、私が浮竹に何かをするかと思っているのか」
「だってボクの十四郎はこんなにかいわくて綺麗だからね」
浮竹は、顔を赤くする。
「ばか、白哉の前で何言ってるんだ」
「恋敵にならないように、ね」
白哉はため息をつく。
「心配せずとも、私は浮竹に手を出したりはせぬ。私にも思い人がいるからな」
「あ、恋次くんでしょ」
京楽が言い当てると、今度は白哉がうっすらと赤くなる。
「え、そうなのか白哉」
「知らぬ。兄は京楽といちゃついていればいいのだ」
そっぽをむく白哉がかわいくて、浮竹はついその頭を撫でた。
「子供扱いするでない」
「俺の弟みたいなもんだからな。幸せにな」
「兄に言われずとも、今十分に幸せだ」
「ならいいんだ」
浮竹は、白哉と恋次の仲に興味深々なようで、いろいろ訊ねてきたが、白哉は適当にはぐらかす。
「あ、隊長こんなところにいたんすか!霊圧探って探したんですからね!」
「れ、恋次」
白哉は赤くなって、恋次と距離をとる。
「どうしたんですか、隊長?あ、浮竹隊長京楽隊長、おはようございます」
「おはよう」
「おはよう」
浮竹も京楽も、にまにましていた。
「お幸せにな」
「白哉をよろしく頼む」
「え、あ、はい!」
「恋次、帰るぞ!浮竹も京楽隊長も、いらぬことをいうな」
白哉は足早に歩きだす。
「あ、待ってくださいよ隊長~~~~!!」
まるで、人懐っこい大型犬のように、恋次は白哉のあとを追っていく。
「まさか、あの白哉がなぁ」
「朽木隊長がねぇ」
浮竹と京楽は、すっかり自分たちが抱かれるのが嫌だったからもめていたことを忘れて、恋次のと白哉の小さくなっていく後姿を見ているのだった。