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小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 28 29 30 12

湯あみ

「んあっ」

後ろから貫かれて、白哉は少し長い黒髪を乱す。

「あ、ああ・・・・ああっ、恋次!」

「隊長・・・・・」

最奥まで突き上げて、揺さぶると、ビクンと白哉の体が痙攣した。

熱い熱を放ってしまったのだ。

「うっ・・あああっ!」

白哉の声は、甘ったるくて、恋次の腰にくる。

何度も挿入し、突き入れ、穿つ。

その度、白哉は乱れた。

「隊長・・・いいすっか?」

前立腺をすりあげるように動けば、白哉も啼いた。

「ん・・・もう、十分だ。いけ」

「隊長、好きです」

白哉の腹の奥に熱をはなって、恋次も果てた。

「なんだろなー。いつも思うんだけど、隊長って抱かれてる間、俺のこと好きっていってくれないっすよね」

「そんな恥ずかしいこと口にだせるものか」

白哉は、そっぽを向いた。

「でも、たまにはいってほしいなー。好きだって」

「好きだぞ、恋次」

「へ」

「言えと言ったのは、貴様であろう」

「なんかなー。ムードがない。棒読みっぽいし。ねえ隊長・・・・・」

白哉の艶やかな黒髪を手で梳いて、恋次は甘えた。

「もう一度、好きって言ってください」

「ん・・・好きだぞ、恋次」

「俺も大好きです、隊長!」

恋次よリ幾分小柄な白哉を抱き締めて、何度もキスを繰り返していた。

「もういいだろう、しつこい」

白哉は、犬のように尻尾をぶんぶんふっているように、恋次がそう見えた。

「恋次」

「なんですか、隊長」

「お前は犬のようだな」

「へ?なんでですか!」

「私の言動に、尻尾を振っているようだ」

「そりゃ、隊長に好きって言われたからで」

「湯あみをする。一緒にするか?」

「勿論です、隊長!」

体を重ねた後、白哉必ず湯あみをした。情事の痕を消し去るためだ。

そんな白哉と湯あみを共にするなど、初めてではないだろうか。

どうか、白哉の裸体を見ても欲情しませんようにと祈りながら、白哉と共に湯あみをするのでああった。

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名もない感情

「ん・・・・・恋次?」

「あ、すんません、起こしちまったっすか」

体を重ねた後、白哉はその激しさに、意識を飛ばしてしまったのだ。

「構わぬ・・・・湯あみがしたい」

「立ち上がれますか?」

「湯あみくらい、一人でできる」

ふらりと立ちあがった白哉の体を支えて、恋次が言う。

「すんません、無理させちゃったみたいっすね」

「構わぬと言っている」

新しい死覇装と隊長羽織を手に、白哉は湯殿に消えて行った。

「はー」

白哉とこんな関係になって半年。

まだ、好きとかそういうことはお互い口にしていなかった。

「やっぱ、この関係やめたほうがいいのか」

しばらくして、白哉が帰ってきた。

「何を考えておるのだ」

「いや、あんたとこういう関係、続けないほうがいいのかと思って」

「何故だ?」

「だって俺・・・・・あんたに好きって言われたことがない。俺はあんたのことが大好きですよ。隊長一筋ですから」

「私も・・・・」

「ん?よく聞こえないっす」

「私も、恋次を好いておる」

「え、まじですか」

「嘘などついてどうする。好きでもない相手と体を重ねるほど、私は安くない」

白哉は、その美しく整った顔の頬に、朱色を浮かべながら、もう知らぬと、あさっての方を向いてしまった。

「隊長・・・・・好きです」

恋次は、白哉を抱き締めると、口づけをした。

「ん・・・・・・」

舌がからまる口づけをして、それから離れた。

「湯あみしちゃったから、これ以上は今度ですね」

「恋次」

「はい」

「私を繋ぎとめておきたければ、もっと強くなることだ」

「隊長・・・・・」

「私は、弱い者には興味はない」

もう十分、強くなったのに、まだ高みを目指せという。

先の大戦で、重傷を負った白哉は、一時は剣も握れぬかもというほど傷ついた。卍解を奪われるという最悪の形で。

「俺は、もっと強くなります。いつか、隊長をこえてみせる」

「それくらい、当然だ。私が飽きないうちに、強くなることだ」

白哉が恋次飽きることは、本当にありそうで怖かった。恋次は、修行に精を出そうとおもうのだった。





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一護とルキアの関係とは

「ん・・・・」

ルキアは、一護のベッドで丸くなって眠っていた。

「またかよ・・・・」

ベッドの持ち主である一護は、風呂上がりでさぁ寝ようと、パジャマを着てやってきたのだが、ルキアが先に眠ってしまっていた。

同じ家にまた住むようになった。それは、ルキアが高校を卒業する僅か4か月の間だけ。尸魂界は大戦により未曽有の被害を出し、本来ならばルキアも13番隊の副隊長及び、隊長代理として尸魂界にいなければいけない人物だった。

ユーハバッハを倒した一護のたっての願いで、ルキアは高校を卒業するまで現世にいることが許された。

好きだと、告げた。

好きだと、告げられた。

互いの想いを確認しあって付き合うことになった。

デートらしきこともしたけど、なんだか今までと関係が全然変わっていないようであった。

「ルキア・・・・・」

子猫のように丸くなって眠るルキアに、口づけた。

「ん、いち・・・ご?」

「ルキア、俺も寝るからもうちょっと奥にいけ」

「無理だ」

「じゃ俺に床で寝ろってのか」

「こうすればよい」

ルキアを抱き締めるような形で、ベッドに横になる。

「あーもう」

一護は、これでもずっと我慢しているのだ。

ルキアの腰に手を回して、抱き締めるような形で眠りについた。

「起きろ、このたわけが!」

朝になると、ルキアが頬を朱くしながら一護を起こしてきた。

「たわけ、貴様また私を抱き抱えるように眠ったな!?」

「いや、あれはルキアから・・・それに、付き合ってるんだからいいじゃねぇか」

「よくない!今日、貴様の妹が見に来て、誤解されたではないか!」

「あー遊子な。まぁ、問題ねぇよ」

「問題あるわ!」

一護のオレンジの髪を引っ張りながら、ルキアは怒った。

「私は当分押入れでねる!」

「あんな窮屈な場所がいいなら、好きにすればいいじゃねぇか」

朝食を食べて、一緒に学校に登校する。そのまま授業を受けて、休み時間も一緒にいて、教室移動時も一緒で、昼食まで一緒で、帰るのも一緒だった。

「なんかさー、一護のやつ・・・・朽木さんと、つきあってるのかな?」

たつきの言葉に、井上が首を傾げる。

「さぁ、どうなんだろう。でも、一緒にいる時間、増えたよね」

まさか、朽木さんが。

そう思いながら、気軽に聞いてみた。

「黒崎君と付き合ってるの、朽木さん」

「なななななな、そそそそそそ、そんなことはないぞ井上!」

ルキアは逃げるように、教室を飛び出していった。

「だってさー。付き合っていないみたい」

「違うでしょ。あれはどう見ても付き合ってるって答えだね」

「えーそうなの?私にはわからなかった」

まだ昼休みだった。

屋上にいる一護の前にくると、ルキアは顔を真っ赤にして、井上に付き合っているのか聞かれたと報告した。

「ああ、別に付き合ってるっていえばいいじゃねぇか」

「だが、あの井上なのだぞ!お前を好いておるのだぞ!」」

「そうだけど。でも、俺はルキア、お前がいい」

「たわけ!私は・・・・」

「俺が嫌か?」

「そんなことは・・・・ないが・・・」

だんだん、言葉が小さくなっていく。

「ルキア」

「わあっ」

間近に顔があって、ルキアは驚いた。

「別に、俺たちはやましいことしているわけじゃねぇ。隠す必要なんてねーんだよ」

「それは、そうだが・・・・・・・」

ふと、虚の気配を感じた。伝令神機がアラームを鳴り響かせる。

「俺も行く!」

「私も行くぞ!」

虚は、10分もしないうちに片付けられた。

近くだったため、義魂丸も入れてこなかった。体のほう、無事であるといいが。

二人が屋上につくと、1年坊主が、ルキアの体を触っていた。

「なっ・・・・・」

一足先に自分の体に戻った一護は、その1年生を締め上げた。

「てめぇ、ルキアに何してやがる」

「ひっ!い、息してないから、ただ生きてるかどうか確認してただけで」

「それで、スカートの中身をめくって、ぱんつずらして・・・そんなものだして、何するつもりだったんだ!」

一護は、なんの力ももたない少年を、思い切り殴った。

「ひいっ」

逃げようとする1年生を、何度も殴った。

ルキアの体が、ピクリと動く。

「もういい、一護!」

「よくねぇよ!こいつ、あろうことかルキアを犯そうとしてたんだぞ」

ルキアも、その生々しい響きに眉を潜めながらも、これ以上はだめだと、一護を止めた。

「もう、顎の骨が砕けている。これ以上すれば、警察沙汰だ。止めよ、一護」

1年生の腹を蹴り上げる。恐怖で、そいつは失禁した。

「ちっ」

ルキアを連れて、一護は屋上を去った。

保健室にまでつれていき、念のためにとルキアの体を軽くチェックする。

「痛いところは?」

「ない」

「ぱんつちゃんとはいてるか?」

「はいておるわ、たわけ!」

「今度から、近くでも義魂丸は入れておいてくれ」

「ああ。私が軽率であった」

ルキアは、少し乱れた衣服を整えた。

「お前は何も悪くねぇよ。くそ、現世でなかったら、あんなやつ殺していたのに」

「一護、私は大丈夫であると言っているだろう。そこまで怒るな」

「ばか、怒らない奴なんて最低だろ!自分の彼女が襲われそうになったんだぞ」

「一護・・・・」

「なぁ、頼むからそんな悲しい顔しないでくれ」

一護は、ブラウンの瞳を細めて、ルキアを抱き締めた。

「私の存在は、貴様の重荷になるのかもしれないな・・・」

「そんなことねぇよ!好きだ。大好きだ、ルキア!」

保険医もいなかったので、とさりとベッドに押し倒した。

「俺は、ずっとお前を見ていた。お前が消えた後も、霊力がなくなった時も、ずっとお前のことを考えていた。お前のことが頭にちらつかなかった日は、一日たりともない」

「一護・・・私も、ずっと貴様のこと考えていた。霊力を取り戻した貴様と会うのを、ずっと楽しみにしておったのだ・・・・・・」

だが、すぐに先の大戦が勃発した。

愛を語り合う間もなかった。

こうやって、やっと訪れた平穏。

「俺たちの未来は、これからだろう?」

ルキアを抱き締めて、一護はルキアにキスを繰り返す。

「んあっ・・・だめだ、保健室でなど・・・」

「ああ、分かってる」

ルキアを起き上がらせて、午後の授業に出たが、ルキアも一護も、お互いのことが気になって、授業の内容などちんぷんかんぷんであった。

5限目になって、ルキアを連れてさぼった。

黒崎家に帰宅して、誰もいないのをチェックしてから、お互いの服を脱がしあい、キスを繰り返した。

「こんな事・・・・本当は、だめなのに・・・・・」

「ルキア、好きだ・・・・・」

お互い、裸になった。

胸のあまりないルキアは、手で胸を隠していたが、一護の唇がルキアの手を胸元を行き来して、あまりない膨らみが見えた。

「すっげー綺麗」

「こんな胸・・・井上と比べれば・・・」

「安心しろ、俺は貧乳派だ!」

ばきっと、とりあえず一護を殴っておいた。

「痛いけど、嬉しい。ルキア、全部俺のものだ」

やわやわと胸をもみしだき、全身の輪郭を確かめて、胸の先端を口に含むと、ルキアが甘ったるい声をあげた。

「あん」

「もっと、聞かせて?」

「ああっ、一護!」

秘所を弄られ、指で陰核をつまみあげられて、秘所の入口の天井あたりの前立腺がある場所をしつこくこすられて、指でかりかりされて、ルキアははじめていった。

「あああああ!」

ぜいぜいと、荒い息をつく。

「ここで、終わっとくか?」

「だめだ。一護と、一つになりたい」

「入れてもいいか?」

「きて、いちご・・・・・」

ゆっくりと、狭いルキアの中に侵入する。

ぶちぶちと、処女膜が切れる音がして、秘所から血が流れ落ちた。

「はじめてなのに、ごめんな」

なるべくゆっくり動いた。

「・・・・あ、あ、あああ、一護」

傷つけないように、気持ちよくなるように、ルキアに快感を与え続けていくと、一護もの方も限界がきた。

「ごめん、コンドームしてない。中でだすわけにはいかないから」

「いい。中でだせ」

「でも・・・・」

「お前の子種を注げ」

そう言われて、ルキアの中で弾けた。

お互い、浅い呼吸を繰り返した。

それから、満足感と至福感を味わった。

「いつまでも、こうしていられないからな」

手早く濡れたタオルで、汚れた部分をふいて、私服を着る。

そして、またベッドで横になった。

「もう、俺のものだ、ルキア」

「ああ、お前も私のものだ・・・・・・」

幸福感を抱きながら、数時間眠った。

「起きろ、一護」

「ん、どうしたルキア」

「もう、夕飯の時刻だ」

「ああ、そうか」

二人で、キッチンに移動した。

「ああ、一兄、ルキアちゃんと何してたの?」

「なんでもねーよ。ただ寝てただけだ」

「ほんとに何にもないの?なんか今日の一兄、すっごく嬉しそう」

その日の夕食は、カレーだった。ルキアも好きなメニューだ。

夕飯を食べ終わり、お風呂に入って、ルキアは一護の部屋にくるとドライヤーで髪を乾かしていた。

「押入れで寝るといっていたが、前言撤回だ。貴様のベッドで、一護、貴様と一緒に寝る」

「ああ、いいぜ」

二人で、抱き締めあいながら眠った。

もう、死神とか人間とか、そんなことどうでもよかった。

次の日は、土曜で休みだった。

「デート、しようぜ」

「デートか」

「おう」

「服が買いたい!ワンピースを」

白哉あたりから、たくさん金を与えられているルキアは、けれどあまりその金を使うこともなく、妹のワンピースを借りていた。

流石に、いつも借りては悪いと思ったのだろう。

「一兄、ルキアちゃんとデートするの?」

「ああもう、お前は引っ込んでろ」

妹たちの視線を無視して、ルキアと一護は玄関から外にでた。

これでもかというほどの快晴だった。

「ワンピースなら、シマムラ屋が安いかな」

「何処にあるのだ、その店は」

「駅前だ」

「では、そこまで案内しろ」

「へいへい」

でも、案内しろといいながらも、手を繋いで歩いた。途中、クレープ屋でクレープを購入し、お互いに違う味を選んで、途中で交代して食べたりした。

「ここがシマムラ屋だ」

「おお、巨大だな。これ全部、服か」

「そうだ。安いから、何着でも買えるぞ」

「そうか。こんなにいらなかったか」

ごそりと、100万円札を出すルキアに、一護はそれを隠した。

「そんな大金持ち歩くな!危ないだろう!」

「しかし、兄様が現世で買い物をする時はお金は多いにこしたことはないと・・・・」

「白哉は金銭感覚ずれてるからな。ルキア、2万もあれば、10着くらいワンピースを買えるぞ、この店では」

「なんと!そんなの安いのか!では早速!」

中に入り、きょろきょろしだすルキアが、かわいかった。

「あ、あのワンピース可愛い。2980円。本当だ、安いのだな」

ワンピースを5着ほど、パジャマと、女性用の下着も全て購入して、2万円以内で済んだ。

流石に、ルキアが女性用のランジェリー広場に来たときは、俺はここで待ってるからと、一護はその場所を避けていた。

荷物持ちにされたが、ルキアとのデートは楽しく、気にならなかった。

途中でファミリーレストランに入り、昼食とデザートを頼んだ。

ジャンボチョコパフェを頼んだルキアに、食べきれるのかと聞いたら、根性で食べると言い返された。

本当に、根性かどうかは知らぬが、あの細い体の何処に入るのかという量を完食した。

一護は、オムライスを食べていた。デザートは、苺のアイスクリームを頼んでいた。あれだけ食べたのに、苺のアイスクリームをじっと食い入るように見つめるので、一護は食べていいいぞと、ルキアにあげた。

「んーおいしい。やはり、甘味物は現世が圧倒的にうまいな・・・・・」

少しだけ、卒業後の進路などを話した。

ルキアは尸魂界に帰るが、一護は現世で大学に進む予定だった。ルキアは、高校を卒業しても、一護に会いに定期的に現世にくると約束してくれた。

午後は、意味もなく街をぶらつき、ゲームセンターでで遊んだ。プリクラを二人で撮った。

「はぁ。楽しかった」

黒崎家に戻る頃には、夕暮れ時になっていた。

「明日も休みだけど、ごろごろするか」

「そうだな。期末試験とやらもあるし・・・・勉強もせねばな」

「俺も、もうちょっと受験勉強しないとな。志望校の大学に入るためには、もうちょっと偏差値あげておかないと・・・・・・」

「偏差値?」

「ああもう、そこら説明するのめんどいから、もっと勉強しなきゃ行きたい大学にいけねーんだよ。まぁ、もう1つの志望校は余裕ラインだけど」

「大学か。現世にずっと居れるなら、私も通ってみたいものだ」

一護のベッドにごろりと横になるルキア。

「ルキア」

「なんだ」

「今日はありがとう。楽しかった。好きだぜ」

「う、うむ。貴様も荷物もち大儀であった。すすすすす、好きだぞ」

くすりと、一護は微笑んだ。

ああ、好きだな、その顔。

ルキアは思った。

次の日は、本当に二人でだらだらしながらも、勉強もした。

ルキアは、英語などちんぷんかんぷんである。まぁ、試験が赤点であろうと、記憶置換で教師の記憶を書き換えてしまえばいいのだから問題はない。

「いいよなぁ、ルキアは記憶置換があって」

参考書と睨み合いっこをしていた一護が、ルキアに言う。

「立派な社会人になるためであろう。勉強をしろ、勉強を」

「してるっつーの」

3時になって、休憩時間を挟んだ。

「なんか、いいな。こういうの」

ルキアを抱いて、ベッドでごろりと横になる。

「どうしたのだ?私を抱きたいのか?」

「ち、ちげーよ!まぁ、抱きたいことには変わりねーけど」

「一護になら、好きにされてもいい」

「あのなぁ。家族もいる家で、おっぱじめられるか」

「では、ラブホテルというのはどうだ」

ぶーーーーーーーー。

一護は、飲みかけのコーヒーを吹き出した。

「おい、誰だよお前にそんな知識吹き込んだのは」

「いや、この雑誌だが」

くだらないゴシップ雑誌であった。

「こういうものは、見るな。こっちを見とけ」

ルキアからそのゴシップ雑誌を奪って、ジャンプの雑誌を渡した。

「おお、面白いなこの漫画」

何気ない一日も、終わりを迎えようとしている。

こんな他愛もない時間が、どうか卒業するまで続きますようにと、祈る一護と、一護との淡い恋心が甘酸っぱい思い出になったとしても、想いまで廃れないようにと祈るルキアがいた。

人間と死神。

その違いは、果てしもない。

千年を生きる死神と、80年くらいしか生きない人間。

たとえそんな違いがあろうとも、結ばれた二人は生きる。



世界は廻る。

軋む音を立てて。










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おいしくいただかれた浮竹

「寒いな・・・・・・」

火鉢にあたっていると、ちらちらと雪が降ってきた。

「窓、閉めますよ。それから、室内だからってそんなだらしない恰好でいないでください。ちゃんと隊長羽織も羽織って、上着もきて!」

裸足で、隊長羽織を肩にかけただけの状態だったので、寒いのも当たり前だろう。

「ほら、湯たんぽです。風邪ひかないでくださいよ?」

海燕の言葉に、頷きながら湯たんぽを抱え込む。

「はっくしょん」

「ほら、いわんこっちゃない」

「まだ、くしゃみを一度しただけだ」

「もう、今日は休んでください」

「まじか。まだ9時だぞ?暇だ、8番隊のところにいってくる」

「あ、ちょっとまった!」

上着を放りだし、はだけた死覇装の上に、隊長羽織を肩にかけた状態で、浮竹は去って行ってしまった。おまけに、裸足だ。

「あーもう。京楽隊長に、食べられなきゃいいけど」

「京楽ー」

浮竹がやってくると、京楽は屋根の上で寝ていた。

「おい、京楽降りてこい。そんなところで寝ていると、風邪をひくぞ」

京楽は、身軽に降りてきて、浮竹の姿を見て驚く。

「君こそ、風邪ひきそうな恰好だね」

「え、そうか?」

「僕を誘ってるの?」

「え?」

気づくと、浮竹は横抱きにされて、8番隊の隊首室に置いてあるベッドに寝転がされた。

「あ、まて・・・・」

「寒いでしょ。温めてあげる」

「んっ・・・・・」

深いキスをされて、浮竹のやめろと言いかけた言葉もとろともに、塞いでしまった。

「ああっ」

はだけられていた死覇装は、もっとはだけられて、衣服の意味をなさないようまで乱された。

「んーーー!」

口づけを受けながら、花茎に手をかけられてしごかれて、久しぶりだったのですぐに白濁した液を吐き出した。

「んーーー!!」

口づけられたまま、潤滑油に濡れた指が体内に入ってくる。

「んあっ」

舌を抜かれると、銀の糸が引いていた。

「ふう・・・・ううん」

コリコリと、前立腺を刺激する指に意識がもっていかれそうになる。

「んっ」

「浮竹・・・かわいい」

「んあっ」

口の中に指を突っ込まれて、乱暴にかき乱された。

「んんっ」

指が3本になり、かなり解れたその場所に、灼熱が押し当てられた。

「んああああ!」

貫かれて、一瞬だけ意識が飛ぶ。

「んあう」

突き上げてくる動きに、けれどすぐに現実に引き戻される。

「ああ・・・・きょうら・・・・・あ、あああ!」

内部を蹂躙する熱は、質量があって、浮竹の外から見ても、京楽が中に入り込んでいるのが分かった。

「ああん」

一度引き抜かれて、また再度挿入される。

そのまま、体位を変えられて、中を抉る動きに、浮竹がびくんとはねた。

「あ、ああああ!」

背後から、突き上げられる。
枕を腰のところに置かれて、何度も京楽を受け入れたそこは、体液と潤滑油で泡立ち、じゅぷじゅぷと、京楽が穿つ度に、水音を鳴らせていた。

「んあ・・・・きょうら・・・・・もう、いけ。俺も、いきそう・・・・」

ラストスパートだと、浮竹の前立腺をすりあげて、最奥に京楽は熱を放った。

「あああああ!」

京楽の、しごいてくる手の動きの助けを借りて、浮竹もまた白濁した液を放った。

「もう1回、していい?」

「いやだといっても、するんだろう?」

「まだ僕は1回しかいってないから。元気がある。息子さんが」

「その息子さん、くたばってしまえばいいと思う」

「そんなことになったら、浮竹も辛いよ?」

「どうでもいいから、続けるなら続けてくれ。体が冷める、あああっ」

ずるっと一度引き抜かれたものが、また体内に入ってきた。

背後から貫き、そのまま抱き上げて、浮竹は京楽の体に全てを預けていた。

「あ、あ、あ」

細いとはいえ、体重で灼熱を飲み込んでいく。

つぷんと全部飲み込んで、浮竹は震えた。

「ああ、こんな、全部なんて、こわれ・・・・ああっ」

下から突き上げられる。

白い髪が、宙を舞う。

「あ、あ、あ・・・・・だめ、こんなのだめ、深すぎ・・・・ああっ!」

「浮竹、もっと乱れて。かわいい」

「きょうらくの・・・・ばかぁ・・・・はぁっ」

何度も下から突き上げられて、浮竹は白濁を零しながら、ドライのオーガズムでもいってしまったようで、足を痙攣させた。

「ああ・・・・・浮竹の中、すごくいい。出すよ」

「ううん・・・・」

焦点の合わない瞳で、腹の奥で弾ける熱をかんじた。

「好きだよ、十四郎」

「あ、俺も・・・・春水」

それだけいうと、くたりと浮竹は意識を飛ばした。

濡れた蒸しタオルで互いの体を清めて、京楽はちゃんと浮竹に衣服を着せていく。それから、毛布をかぶせて布団もかぶせ、熱が出ないかを見守っていた。

足にはかせる足袋’(たび)がないので、足元には違う毛布をかけておいた。

「ん・・・・」

「あ、起きたかい?」

「京楽のばか」

「ごめんよ。君の姿を見ていたら・・・久しぶりだったし、たっちゃってどうしようもなくって、抱いちゃったよ」

「今日は、もうここで泊まる」

「いいのかい?海燕君には?」

「言ってない。でもあいつのことだから、ここか京楽の屋敷だと分かってるだろ」

「なんか悪いね」

「悪いと思ってるなら、始めから抱くな」

「ごもっともで」

その頃、海燕は。

「あー、このかんじだと、美味しくいただかれたんだろうなぁ」

と一人ごちて、雨乾堂を後にするのであった。


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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます3

「そうか、朽木が隊長か!」

「はい、浮竹隊長!」

一番隊の執務室で、ルキアは京楽の隣にいる幽霊浮竹に報告した。

この度、13番隊隊長となることが決まった。

ずっと空席だった13番隊の副官になり、そしてまた空席となってしまった、浮竹の死後のその地位につくことを、ルキアがようやく決心したのだ。

「浮竹隊長、つきましては今後もいろいろご指導ください」

「いや、朽木はもう十分一人でやっていける。あとは、仙太郎と仲良くな。俺は元気にしているって伝えといてくれ」

「はい、では失礼します」

「ルキアちゃん」

「はい」

「浮竹はこう言ってるけど、ほんとは君にもっと会いたがっているから、よければこれからも一番隊の執務室に時々でいいから遊びにおいで」

「はい!」

ルキアは、顔を輝かせて出て行った。

「こら、京楽!」

怒った浮竹が、ぽかぽかと京楽を殴ってくるが、透けているので全然痛くない。

「はははは、全然痛くも痒くもないよ、浮竹」

「むすー」

膨れた浮竹がかわいくて、京楽は機嫌をとろうとする。

「おはぎ買ってあるから、食べてもいいよ」

「じゃあ、出してくれ」

「はいはい」

重箱からおはぎをだすと、さっと一つがなくなった。

全部食べられる前にと、京楽も一つ手に取って食べた。

京楽の霊圧を浴び続けている浮竹は、最近具現化する時間が長くなってきた。

そのうち、睦みあえるかもと淡く期待心を抱く京楽の心中を知らないまま、浮竹はおはぎをさっと全部食べてしまった。

おいしそうな顔をしている。幽霊だが、味は分かるのだ。

満腹感はあるが、逆に空腹感はなかった。

霊体だからだろうか。

存在にはエネルギーを使うが、そもそも食事をとる必要などはないのだが、幽霊の浮竹が食事できると知って、いつも朝から二人分の食事を用意させていた。

「さて、今日は溜まりに溜まった仕事を片付けますか」

「おう!」

浮竹も、暇なので手伝ってくれる。

といっても、見て間違いを訂正するだけだが、それでも一人でやるよりは大分と負担が減った。

「こんな時、誰かの体に入ればOKなんだろうけど、意識のある誰かに入るのってなんだかためらわれるからなぁ」

「義骸には入れないの?」

「試したことない」

そうだと思いついて、涅隊長の元にいくと、保存されていた浮竹の義骸があった。

「随分と変わった幽霊だネ。ものを食べて成仏もしないし人を祟ることもしない、まして虚でもない。研究材料にぜひほしいネ」

「ごめんこうむる!」

浮竹の義骸に、幽霊浮竹は入ってみた。ぴくりと、義骸の体が動く。

「お、成功かい?」

「んー。体全部を動かすのは無理だ。エネルギ―が足りない。そもそも霊体だから、義魂丸があるわけじゃあないから、無理みたいだ」

「そっかぁ」

京楽は残念がった。

もしも、浮竹が義骸で活動できれば、もっとスキンシップをはかれるし、むふふふなこともできると考えていたからだ。

「なんなら、浮竹隊長の義骸をもっていくかネ?ダッチワイフ代わりに」

浮竹は真っ赤になった。

「だめだぞ、京楽!」

「あ、うん。・・・・・・いらない」

少し、惹かれたのは事実だ。

浮竹の霊体が入った義骸でセックスすれば、浮竹も気持ちよくなれるんだろうかと、真剣で考え込んだほどだ。

「言っとくが、義骸に入っても、何もかんじれなかったからな」

「そうかー。残念だなー」

「お前が何を考えているのか、大体分かる」

浮竹は拗ねて、しばらく口を聞いてくれなかった。

「まぁまぁ、そんなに機嫌損ねないでよ」

「このエロ魔人が!」

「だって、もう5年近くも浮竹を抱いていないんだよ!?」

「俺がいるだけでは、ダメなのか?」

「あ、そうじゃないんだ!」

涙をポロポロと零す幽霊浮竹の涙は、本物の涙になっていた。

「顔をあげて、十四郎」

「ん」

触れられた。

どうしてかは分からない。

口づけをした。舌が絡み合う。

「僕には君が必要だ。だから、泣かないで」

「分かった」

すーっと、また体が透けていく。

もう、触れなかった。

「まだそんなところにいたのかネ。浮竹隊長を、実験体としてよこしてくれるということかネ?」

「違う!帰るぞ、浮竹」

「ああ」

一番隊の執務室に戻り、仕事の続きをする。

全部片付いたのは深夜の1時だった。

「あーもうくたくた」

見れば、幽霊浮竹もへばっていた。

「幽霊でも疲れるんだな・・・・」

浮竹は、この体どうなっているんだと、本気で思いこんだ。

「寝れたり、食事できたり、具現化できたり・・・・追加で疲れる、と」

京楽は、メモをとっておいた。

「そんなものメモして、どうするんだ?」

「何かあった時のために役に立つかなと思って」

「未練を・・・・全て忘れてしまうと、俺は成仏してしまうのかな?」

「だめだよ。成仏なんかしちゃ!」

「いや、普通成仏してくれっていうべきだろう」

「嫌だよ。せっかく浮竹が、たとえ触れなくても隣にいるんだもの。このままがいい」

「まぁ、俺も京楽をおいて成仏はしたくないな。まだまだ未来あるお前の傍で、助け合いながら過ごしていきたい」

浮竹の指には、先日温泉宿であげたエンゲージリングが光っているのであった。




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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます2

「おはよう」

「ああ、おはよう」

浮竹は死んだはずなのだが、どういうわけか幽霊として京楽に憑いていた。

悪霊でも虚でもない。霊子の塊かと思われ、最初は日番谷に魂葬をさせらそうになったが、成仏できなかった。そもそも透けていて、触れれなかった。

浮竹は、残してきた京楽のことを強く思っていたし、京楽も失ってしまった恋人が帰ってきたかのようで、二人の死神とそれに憑いた幽霊という、微妙な関係は長く続いた。

そんなある日のこと。

独り身になった京楽に、見合いの話が舞い込んできた。

総隊長だし、身を固めるべきだという両親の強い説得に、けれど憑いている浮竹をみて、両親は言葉をなくす。

「悪いけど、僕にはこの通り、想い人が憑いてるから」

「今すぐお祓いを!」

「もう試したよ。それに、僕はこんな形でも大好きな浮竹といれて、今は幸せなんだ。見合いは断っといて」

両親は、それ以上食いさがれなかった。

まさか、見合いで結婚する相手に、夫には男の恋人の幽霊がとり憑いているなんて事実、侮辱以外の何物でもない。

「京楽、ほんとによかったのか?」

もう最近は、隣にいれるようになった浮竹が問う。

最初の頃は背中に憑いていたが、最近は少しなら京楽の近くから移動することもできるようになっていた。

「あ、アイス売ってる」

「はいはい」

二人分購入する。

売店の子が、透けている浮竹を見てぎょっとしていたが、慣れたものだ。

京楽が両方の手にもつ。片方は、幽霊なのに飲み食いできる浮竹が食べてしまった。

食べたいと思うと、それがさっとなくなってしまうのだ。

味は分かるようで、美味しそうな顔をする恋人の幽霊に、京楽も笑顔になる。

「明日は非番だし、温泉宿にでもいこうか」

「お、いいな」


次の日になって、一泊二日で温泉宿にいくことにした。

瀞霊廷にあるので、瞬歩で移動する。

「ようこそ、おこしくださいました、京楽さま、浮竹さま」

先方には、幽霊浮竹もついてくると伝えてあるので、驚きはされなかった。

「浮竹様は・・・ええと。幽霊でらっしゃるから、着換えは?」

「ああ、着換えはいいよ。ただ、食事は二人分用意してほしい」

「畏まりました」

荷物を部屋において、浴衣を手に早速露店風呂に入る。

幽霊浮竹も、服をきたまま入った。

幽霊なので、脱衣できないのだ。体は洗えないけど、温泉の湯に浸かると温度が分かるので、幽霊浮竹もゆっくりと入った。

「本当なら、お前の体を洗ってやりたいんだけどな」

物を掴めなないので、いろいろと不便がある。特に、京楽が抜くとき、浮竹がわざと喘いで、乱れるようなイメージを作り出させて、それが二人のセックスだった。

浮竹に触れたい。

その思いが強くなると、一時ではあるが、具現化して触れることもできるが、年に数回くらいで、数分しかもたない。

でも、それだけでもかなり違う。

口づけくらいしかできないけど、実体化した浮竹を堪能できるのだ。本当に、浮竹が生き返ったようで、浮竹の墓参りには時折いくけれど、とうの本人が横にいるので、なんだかおかしな感覚だった。

「ああ、いいお湯だった」

「そうだね」

浮竹も満足したようだ。京楽も満足していた。

夕餉はてっちり鍋だった。

鍋からすくいあげたものをさっと浮竹が食べる。

他の海鮮ものも食べた。

デザートは、プリンだった。京楽の分も、ねだってもらった。

普段、普通に二人で甘味屋などにいく。元から二人は注目されていたが、総隊長と幽霊になった恋人ということで、余計に視線が集中した。

まぁ、そんなことで動じる二人ではないので、甘味屋でしゃべりながらゆっくりと甘味物を食べた。といっても、浮竹はさっと消えるように食べてしまうが。

「んー。やっぱり、二人だけってのはいいね」

「ああ」

「具現化できるかい?」

「2分くらいなら」

「それで充分だよ」

浮竹は、透けていた体を実体化させた。

「好きだよ、浮竹。永遠の愛を君に」

口づけた。

それから、用意していた指輪をはめる。

「これは?」

「エンゲージリング」

かっと、浮竹が朱くなる。

「恥ずかしいやつ・・・・でも、俺も愛してる。死んでも変わらない愛を、お前に」

すーっと、浮竹の体が透明になっていく。

指にはめたエンゲージリングは、浮竹の霊体の一部になった。

「やっぱり、実体化したときに身に着けたものは、君の一部になるね。今度は、そうだね、髪飾りでも贈ろうかな」

「俺は死んでいるんだ。あまり高価なものはいらないぞ」

「死んでるって言われても、右隣に君がいるんだ。死んだって思うより、透明化してしまったと思い込む方が早いかな」

「普通なら、こんな風に泊まった日は逢瀬を重ねるんだが・・・・・俺の体は見ての通り透けてるし、お前の一人エッチになってしまってすまないな」

「それはどうでもいいよ。君がいてくれるだけでいいんだ」

始めの頃は、厠にまで憑いていっていたが、今は少しの距離なら離れられるので、待つことができた。

「ちょっと、トイレで抜いてくる」

「喘ぎ声はいるか?」

「うん。ほどほどに」

浮竹は、喘ぎ声をだした。その声を聞きながら、生身の浮竹を蹂躙しているイメージをつくりだして、抜いた。

「はぁ。すっきりした」

「そうか、よかった」

一人で喘ぐのは、けっこう恥ずかしいのだ。

「寝ようか」

「ああ」

ベッドは一つだった。一人部屋を用意してもらっていたのだ。料理は二人分だったが。

同じベッドで、浮竹も透明であるので、布団とかはあまり意味はなかったが、横になって眠った。幽霊浮竹は、眠ることもできた。

京楽は普通に眠る。その上で、丸くなってまるで猫みたいに浮竹も寝た。重さなんて感じさねないので、重なっていても平気なのだ。

こうして、幽霊浮竹との何気ない一日はまた過ぎていくのだった。






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吸血鬼とトマトケチャップ

「日番谷隊長・・・・」

「なんだ、浮竹」

「血をくれーーーーー」

「ぎゃあああああああああ」

突然襲ってきた浮竹に、日番谷は悲鳴をあげていた。

はぁはぁと荒い息を繰り返す、浮竹はの顔はいつもより青白く、牙があるのが見えた。小さかったが、背中にはコウモリの羽があった。

「ああっ、遅かったか。日番谷隊長、無念は僕が晴らすから」

「ちょっとまて勝手に殺すな京楽!どうたんだ、この浮竹は!」

「いやね、吸血鬼になる薬を開発したとかいって涅隊長が、健康になれるからって、被験者を探していたら、健康になれるならと浮竹が名乗りをあげてね・・・・ほんとに吸血鬼になっちゃったんだよ。解毒薬もってきたけど、飲んでくれなくって」

「とりあえず、浮竹をなんとかしてくれ」

日番谷の力が弱いわけではないが、迫ってくる浮竹の力のほうが強い。

「浮竹、止めなさい」

そう命令すると、浮竹は大人しくなった。

「どういうことだ?」

「念のため、暴走しないように主従の関係を築けるんだって。だから、僕を主として登録しておいた」

「日番谷隊長の血が吸いたい・・・・子供の血が・・・・・」

「僕の血で我慢してよ」

「お前の血は、まずい」

そう言って、また日番谷に襲いかかろうとする浮竹を、京楽が止めた。

「ほら、トマトジュース」

「トマトジュース、おいしい」

ちゅるるるーと、トマトジュースを飲みだす浮竹。

「涅の頭の中にあるヴァンパイアってちょっと変なんだな」

「そうなんだよ。普通、美女を襲って血を啜り、太陽と十字架とニンニクと銀を嫌うのに、今の浮竹は子供の血が好物で、太陽は大好きだし十字架もニンニクも銀も平気で、トマトジュースとトマトケチャップが大好きなの」

「おい、松本!」

「はーい、なんでしょ隊長」

「ちょっと、浮竹を抑えておいてくれ」

「え?ちょっと、隊長!」

日番谷は、10番隊の執務室を抜け出して隊舎にいってしまった。

「松本副隊長・・・・その胸けしからん!」

「え、浮竹隊長?」

いつもなら、見向きもしない松本の神々の谷間に、浮竹は顔を埋めていた。

「ああん、もう、浮竹隊長ってば。ほら、京楽隊長がめっちゃ怒ってますよ」

「けしからん胸・・・・しかし子供ではない。年増のおばさん」

その言葉に、松本の眉間に皺が寄る。

「浮竹隊長?いくらなんでも、怒りますよ?」

「京楽、トマトケチャップ!」

浮竹がトマトケチャップを求める。

「ごめん、もう切らしてるんだよ」

「うー。日番谷隊長の血が欲しい」

そこに、日番谷が戻ってきた。

トマトジュースとトマトケチャップを大量に。

「日番谷隊長!・・・・とトマトケチャップ・・・トマトケチャップのほうがうまい」

トマトケチャップをあけて、中身をなめだす浮竹に、日番谷は京楽に問う。

「おい、解毒薬はどんなのだ」

「ああこの液体状の・・・・」

「よし、このトマトジュースに混ぜるぞ。念のため、少しだけ俺の血をいれよう」

氷輪丸で指を切って、数滴トマトジュースに混ぜて、それを浮竹の前にさしだした。

「浮竹隊長の血の匂いがする・・・・トマトジュースおいしそう」

ちゅるるるーとそのトマトジュースを飲むと、ぼふんと音をたてて浮竹は元に戻った。

「あれ?俺は、何をしていたんだ・・・・なんで、こんなにトマトケチャップまみれになっているんだ?」

「吸血鬼の間のことは覚えていないのか」

「ああ、そういえば吸血鬼になるっていう薬を飲んで・・・・すまん、そっから先全然おぼてない。そうだな、京楽の血がまずかったことだけ覚えている」

「浮竹、君は血を求めてわざわざ10番隊の執務室まできて、日番谷隊長を襲ったんだよ」

「うっ、すまない日番谷隊長。傷物にしてしまったのか?」

「おい、京楽!」

「そうなんだよ、日番谷隊長はお嫁に行けない体になってしまったんだよ」

悪のりする京楽。

「責任はとる!お嫁にきてくれ!」

「ああもう、お前らは!蒼天に座せ、氷輪丸!」

ひゅるるるるるーーー。

氷の龍を出したはいいが、浮竹も京楽も松本ももみくちゃになるだけで、おまけにトマトケチャップとトマトジュースも巻き込んで天まで昇り、赤いべとべとする雨が降ってきた。

「うわ、これ最悪だ」

死覇装も隊長羽織も、トマトケチャップまみれになった。

どさどさと降ってきた、浮竹、京楽、松本もトマトケチャップまみれになっていた。

「うう・・・・・日番谷隊長の血が飲みたい・・・・」

解毒薬が完全でなかったのか、また牙だけはやした浮竹が襲い掛かってきた。

「ぎゃあああああああああ」

ぺろり。

でも、トマトケチャップのほうがすきなのか、頬についていたトマトケチャップをなめとられて、とてもくすぐったかった。

「浮竹、元に戻ってるのか?それとも吸血鬼のままなのか?」

「あ、日番谷隊長・・・・・だめだ、トマトケチャップがどうしてもほしい」

足元に無事に残っていたトマトケチャップを渡すと、その中身をなめだした。

「みんなトマトケチャップまみれだな」

浮竹の白い髪にも、べっとりとトマトケチャップがついていた。

「ちょっと、湯あみしてくる。浮竹も、京楽連れて雨乾堂まで帰って、湯あみして服を洗濯しろよ」

「ああ」

意識を失っている京楽の足を掴んで、瞬歩で移動する。

結局、松本は放置されたという。

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赤信号

11月。

肌寒い季節になってきた。

大戦は終わり、もう残り少ない時間を、ルキアと過ごしていた。

ルキアは、特別に卒業するまでの間は現世に残ることが許された。本当なら、護廷13隊の13番隊副隊長として、隊長代理も兼ねて尸魂界の復旧に尽力せねばならないのであるが。

ユーハバッハを倒した、一護の我儘でもあった。

それを、京楽総隊長が受け入れてくれた。

「なぁ、ルキア」

「なんだ」

学校の帰り道、ぶらぶらと二人で歩いていた。

「好きだって言ったら、どうする?」

「笑う」

「そうか。好きだ」

「ハハハハ」

ルキアは、乾いた笑い声を乾いた空気に放っていた。

「で、一体なんなのだ・・・・・ん!」

ルキアに、キスをしていた。

「ききき、貴様、なんなのだ!」

「言っても分からないようだから、行動に現しただけだ」

「まままま、まさか本気で私のことを好きだと!?」

ルキアは、見ているこっちが面白くなるくらい、青ざめたり朱くなったりを繰り返していた。

「俺は本気でお前のことが好きだ」

「一護・・・・・・」

信号が青に変わった。一護が、ルキアの手をとって歩いていく。

「答えをくれとは言わない。ただ、分かってほしい。俺が、お前のこと好きなんだってこと」

「一護、私は」

信号が赤に変わりそうになる。

ルキアの手をひっぱって、横断歩道を渡っていく。

「私も、貴様が好きだ!」

信号が完全な赤になる。

ルキアの顔も、真っ赤だった。

クスリ、と。一護が笑った。

「知ってた。お前が俺のこと好きなの」

「なななな、いつばれた!?」

「好きでもねぇ相手にハグとか、普通しないだろ?」

「そそそそんなことでばれたのか!?」

「そうだ。恋愛感情かは分からかったけど、好いていてくれてるんだなとは思ってた」

ルキアは、真っ赤になりながらも、一護の後を追う。

「私は、恋愛感情で貴様のことが好きだ!」

「ああ、俺も、恋愛感情でお前のことが好きだ」

帰宅すると、二人は制服姿のままで抱き締めあい、ベッドで横になった。

しばらくそうしていると、満足したのか、一護もルキアも私服に着替えた。

でも、またベッドで横になって、体温を共有しあった。

「本当は、貴様に想いを告げるつもりはなかったのだ」

「俺だって、ずっと秘密にしようと思ってた。でも卒業までこっちにいるって言われて、歯止めがきかなくなっちまった」

一護は、優しく優しくルキアに触れる。

「そのように、壊れものを扱うようにせんでも、私は大丈夫だ」

「俺がそうしたいんだ。想いが通じ合うのって、こんなに幸福なんだな」

「一護・・・・」

「ルキア、好きだ」

キスを繰り返す。ルキアははにかんだ笑みを浮かべる。

「私も、今幸福だ。貴様へ想いをうちあけ、お互いが好き同士だと分かって」

今までは、赤信号だった。

今の信号は青。

残り少ない時間ではあるが、一護と過ごしていこうと決める。

ただ、お互いが好きで。

それだけで満足だった。

「ルキア、今度の日曜デートしようぜ」

「いいぞ。まるで、付き合っているかのようだな」

「んー。もう、付き合うか」

「そうだな」

告白は突然で。好きと互いにぶつけあって。互いに受け入れて。

「3月の卒業まで、貴様と一緒に時間を過ごす」

「尸魂界に帰っても、連絡はくれよな」

「ああ。でも、まだ卒業まで4か月はあるのだ。その間どうやって過ごすかを決めねば」

「とりあえず、今まで通り過ごそうぜ。ただし、恋人同士としてな」

ルキアは、笑う一護のブラウンの瞳が、綺麗だと思った。

一護は、ルキアのアメジストの瞳が綺麗だと思った。

屈託なく笑う一護の笑顔が、特別なものに見えた。

赤信号になって、このまま時が永遠に止まればいいと、ルキアは思うのだった。


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変態とダッチワイフとパンツ仮面

「好きだよ。そうかい、君も僕のことが好きなのかい。うん、何も言わなくていい。分かっているから」

浮竹は、目を覚ました。

目の前に、自分と瓜二つの人形があって、最初鏡を見ているのかと驚いた。

院生の服を少しはだけさせていて、何処となく物ほしそうにしている表情の人形だった。

「京楽、これは・・・?」

「ダッチワイフ。おぶ!」

京楽の股間を蹴った。

「破道の4、白雷」

「ああああ、僕のスィートハニーが!」

股間を蹴られてのたうちまわりながら、焦げたダッチワイフに涙を零す京楽。

「高かったのに・・・・・」

「知るか!いくら本物に手が出せないからって、ダッチワイフだと!?俺の知らないところでならまだしも、俺が見ている前でダッチワイフとかふざけているのか!」

浮竹はかなり怒った。

ダッチワイフの存在くらいは知っていた。

主に、もてない男性が買うものだ。

京楽はもてる。女には不自由しないだろう。何があったのか、いきなり親友である浮竹のことを好きだ愛してると言い出して、約1年。

浮竹は、京楽の想いに振り向きそうで振り向いてくれない。

浮竹のパンツを盗み、頭に被ったりする変態であるが、ダッチワイフまでいったのは初めてだった。浮竹のダッチワイフを、本人と思い込んでナニをするつもりだったのか。

それは分からずじまいであったが、浮竹は自分のダッチワイフの存在を認めなかった。

焦げて原型のないダッチワイフをごみ袋にいれながら、しくしくと泣いている京楽を見る。

「なんの反応もないダッチワイフと、本物の俺のどっちがいいんだ?」

甘えるように抱き着いて、京楽の目の前で少しだけ院生の服をはだける。

「本物の浮竹がいいです!ダッチワイフはもう要りません!」

ちょろいな。

そう思いながら、京楽のキスを受け入れる。

「んっ」

舌が絡み合う。

ダッチワイフをだめにしてしまったし、少しはいいかと、辛抱していたら、京楽の手が服の中に入ってきた。

鎖骨のあたりにキスマークを残されて、浮竹は京楽と距離をとる。

「そこまでだ」

「もっと浮竹が欲しい・・・・」

「キスとハグまでって言ってるだろう」

「けちぃ」

「まだ俺のダッチワイフが欲しいか?」

「ううん。本物がいい」

たまには甘やかせてあげないと、こうなるのかと思った。

最近、またパンツを盗むようになった京楽に、キスやハグをさせていなかったせいもあるだろう。

とにかく、浮竹のダッチワイフはもう作らせない約束をした。

「特別だ。今日は、甘えていいぞ」

「わーい(*´▽`*)」

ベッドに座り、浮竹を膝の上に乗せる。

「好きだよ・・・」

至近距離でそういって、少し長くなった白髪をいじる。

浮竹を抱き締めて、そのまま二人でベッドに横になった。

何をするわけでもなく、ただ傍に寄り添いあう。

これくらいなら、浮竹も許す。

「変身!パンツ仮面、京楽!」

でも、京楽はやっぱり変態京楽だった。

ぱんつを首まで被り、目と口のとこに穴をあけた浮竹のパンツを被った京楽を、浮竹は無言でその尻を蹴り上げた。

「パンツ仮面か。なんの用だ」

「世界の浮竹のパンツを守るために!今日も日夜浮竹のパンツを盗む!」

「お前に盗まれるのがパンツを守ること?アホか」

追加の蹴りを鳩尾にすると、きいたのかパンツ仮面京楽はその場に屈みこんだ。

「(*´Д`)ハァハァ。パンツ仮面は、暴力に屈しないんだよ!」

「暴力?これは、変態を矯正しようとしているだけであって、暴力にならんな」

げしげしと蹴る。

「(*´Д`)ハァハァ。痛みが快楽に・・・・パンツ仮面は今日も孤独だ」

「痛みが快楽?かなりヤバイところまできてるな」

ああ、どこかに変態の治る薬でもないだろうか。

前に変態を治す薬を飲ませたら、京楽春子と名乗るオカマになった。

オカマと変態京楽・・・・どっちも嫌だ。

「そのパンツ仮面をやめたら、今日は一緒に寝てやる」

「パンツ仮面廃業します!」

見の代わりの早さが、笑いを誘う。

その日は、言葉通り京楽のベッドで眠った。ただし、いつものように京楽は簀巻きにされていたが。それでも幸せそうなのだから、別にいいだろう。

「パンツ仮面か・・・・また新しい変態が出てきたな」

ご褒美を与えても、京楽は変態に走る癖がある。

もう、変態治らないのかなと思いながら、浮竹も眠るのだった。








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発作を起こした浮竹と限界までの甘味

「きょうら・・・・く・・・・・」

目の前で、浮竹は血を吐いた。

ごほごほと咳込む浮竹。

真紅の色だけが鮮明で、京楽は動けないでいた。

それから、はっとなって、浮竹の名前を呼ぶ。

「浮竹、大丈夫かい、浮竹!」

「きょうら・・・・ごふっ」

ヒューヒューと喉が鳴る。様子がおかしい。

「血がのどにつまったのか!」

京楽は、浮竹から血をすいあげて、なんとか呼吸ができるように気道を確保すると、抱き上げた。

「今すぐ、4番隊のところに連れていくからね!」

瞬歩で、4番隊までつくと、すぐに卯ノ花が呼ばれた。

「急に、咳込んで血を吐いたんだよ」

ここ数か月、血を吐いていなかったので、浮竹が肺の病を持っていると忘れていたのだ。

久しぶりの発作は酷く、回道で手当てしても血を吐き続けた。

「まずいですね。集中治療室まで、移動させます」

卯ノ花の決断に、京楽も従う。

浮竹を抱き上げて、集中治療室まで行った。

あとは、浮竹の体力次第だった。

集中治療室の大きな窓の向こう側から、浮竹を見る。点滴を受けて、人工呼吸器をつけられた浮竹を見るのは、半年ぶりくらいだった。

「浮竹・・・」

どうか、回復しますように。

今は、ただ祈るしかなかった。

数日が経った。相変わらず、浮竹の意識は戻らないままで、一度心肺停止状態に陥り、なんとか回復したが、呼吸は浅く、脈も弱いままだった。

「浮竹、大好きだよ」

集中治療室の硝子越しに、浮竹を見る。

「・・・・・・・・きょうら・・・・・く・・・・」

「浮竹!?」

意識を取り戻した浮竹は、立ち上がって、人工呼吸器を外し点滴の管も外して、硝子越しにいる京楽とキスをした。

硝子を一枚隔てたキス。手が、硝子一枚を隔てて、重なり合う。

集中治療室に入り、浮竹をベッドに横たわらせると、ナースコールを押した。

すぐに、卯ノ花がやってきてくれた。

「気づかれたのですね。肺に痛みはありますか?」

「大丈夫だ、卯ノ花隊長。意識もしっかりしている」

「そうですか。では、普通の病室に移動しましょう。念のため、そこで3日ほど過ごして問題がないよなら、退院ですね」

体重の軽くなった浮竹を抱き上げて、普通の病室まで移動すると、あいていたベッドに横たえた。

「京楽隊長も、ちゃんと休んでくださいね」

浮竹の意識が戻らぬせいで、眠るに眠れぬ日々を過ごしていた京楽は、卯ノ花に礼を言うと、仮眠室で横になった。

久しぶりに、深く眠った。

「浮竹、起きてるかい?」

「ん、ああ」

「ここ数日、湯あみできなくて気持ち悪いでしょう。体ふいてあげるよ」

「ああ、頼む」

すっかり肉の削げ落ちた、細くなった体を濡れた蒸しタオルでふいていく。つま先まで綺麗に吹き終えて、大分すっきりしたのか、浮竹は嬉し気だった。

「あと、2日我慢したら、退院できるそうだ」

すでに、食事は普通のものを食べていた。

「退院したら、甘味屋に行こうか」

「お、いいな。満腹になるまで食ってやる」

「君が満腹になるまでって、何人分たべるんだか」

今からでもそんな光景が見えて、嬉しくなった。

やはり、元気な浮竹が一番いい。

病気で儚げない浮竹が嫌いというわけではないが、想い人が元気であることに越したことはない。

それから、2日が経った。

浮竹はそれから発作も起こさず、検査でも異常が見つからなかったため、退院となった。

一度心肺停止状態にまで陥ったことが、嘘のようだ。

瞬歩は体力を使うので、歩いて移動する。浮竹を抱き上げて瞬歩で雨乾堂まで戻ることもできたが、落ちてしまった体力を戻すためのリハビリも兼ねて、徒歩で移動した。

2時間ほどかけて、雨乾堂についた。

「はぁ、我が家だ」

浮竹は、病院で湯あみもしたが、やはり雨乾堂の湯殿が好きなのか、さっそくお風呂に入ってさっぱりしてから、敷かれた布団に横になった。

京楽も、同じ布団で横になった。そのまま、午睡した。

数日がそれから経った。元気を取り戻した浮竹は、よく食べて運動し、落ちていた筋力も戻りつつあった。

「よし、甘味屋にいくぞ!」

もう、瞬歩を使っても平気なまでに回復した。

「壬生の甘味屋までいくぞ、京楽!」

「はいはい」

「どっちが先につくか競争だ!」

お互い、瞬歩で移動した。京楽が勝った。

「くそ、まだ本調子じゃないか」

「あれだけ瞬歩で飛ばせるなら、十分だよ」

京楽が恐れていた通り、浮竹は甘味物を食った。食いまくった。5人前を食べて、やっと満足した
浮竹。勘定は凄いことになっていたが、京楽には痛い額ではなかった。

「うーん。ちょっと食べすぎた」

「そりゃ、あんなに食べたらね・・・・」

「今日は流石に、夕餉は食べれそうにないな」

「あれだけ食べて、夕餉が入るならそれこそ末恐ろしい・・・・」

限界まで食べたので、運動を兼ねて徒歩で帰った。

「ああ、幸せだな」

甘味物を好きなだけ食べたのは、これが初めてかもしれない。いつも、どこかでセーブしていた。限界まで食べたのは、生まれて初めてだ。

糖分のとりすぎとか、問題は普通いろいろありそうなのだが、浮竹は甘味物を食べても太らない。

今日は泊まることにしているので、京楽の分だけ夕餉がでてきた。

デザートは、メロンだった。

じーっとそれを見つめるものだから、浮竹にあげた。

浮竹は、あれほど食べたが、消化が進んだのか、ぺろりと平らげてしまった。

「今日はありがとうな、京楽。甘味屋に連れて行ってくれて」

「入院してた時に約束したからね」

浮竹は、自分から触れるだけのキスをした。

考えれば、浮竹が倒れてからずっとしていないのだ。

「今日は・・・無理かな。明日の夜、いいかい?」

「ん・・・・ああ」

京楽からのキスを受けながら、浮竹は頷いた。

その日は、1つの寝具でお互い何度も口づけあい、抱擁して眠った。

何も異常のない、平和な1日。

それがとても幸せなことなのだと、噛みしめるのだった。




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春模様替え

「海燕、そっち持ってくれ」

「はい」

「それはこっちに」

「ちょっと、ここじゃ邪魔になりませんか」

「うーんそうだなぁ。そこの横に置こうか」

「分かりました」

「このちゃぶ台は、右端に設置しよう」

「ここですか?」

「こんなもんで、とりあえずはいいか・・・・・・」

海燕と二人で、浮竹は雨乾堂の模様替えを行っていた。

タンスの位置からちゃぶ台、文机まで、いろいろ移動した。

たんすの裏にはほこりがあったので、それも掃除した。

「うん、我ながら完璧だ」

「ちょっと、文机のあたりが細々としていて、邪魔になりませんか?」

「あれでいいんだ。あれなら、寝転べないだろう?俺は、仕事中疲れると寝転んでしまう癖がたまにあるんだ。そのまま寝てしまったりして、後悔したことは何度もある」

「そうですか。ちゃんと眠い時は昼寝でもいいから、寝てくださいよ!」

「うん、ああ」

海燕は、よくできた副官だ。

上司の浮竹の世話から、執務までこなしてくれる。

よく、寝込んでしまう浮竹の世話をしてくれるのも、海燕だ。ただ、よく京楽がやってくるため、その役割を奪われることはあるが、それはそれで楽でいいと海燕は考えていた。

京楽は、浮竹の世話を、海燕以上に見てくれるから。

「あらー。遊びにきたら、びっくり。雨乾堂じゃないかと思った」

「ちょっと、春模様にかえてみた」

ちょっとした春っぽい置物とか置いてみたり。桜の模様の座布団だったり。

「布団も、花柄に変えてみたんだ」

襖を開けると、薄いピンク色の布団が2組あった。

浮竹と、泊まる時の京楽用のものだ。

「最近ぽかぽかしてきたし、いいんじゃない?」

「そうだろう、そうだろう」

うんうんと、浮竹は頷く。

いい年したおっさんが、花柄ってどうよ?って海燕は思ったが、口には出さない。

まぁ、年中頭が春のような浮竹には、似合っているとも思う。

おっと。心の声が漏れてしまったようだ。

「誰の頭が年中春だって?」

海燕の頭をぐりぐりする浮竹。

「痛い痛い!すみません、もういいません!」

「全く、俺の副官は・・・・・」

「でも、海燕君以上の副官はそうそういないんじゃないかなぁ」

「そうですよ、もっと言ってやってください、京楽隊長!」

「七緒ちゃんと交代する?」

「だめだ、海燕はやらんぞ」

海燕の体を捕獲する浮竹。

「僕だって、七緒ちゃんはあげないよ。かわいいもんねー」

「む。俺の副官の海燕だってかわいいぞ」

「どこが?」

「この、無駄に長い下睫毛とか、無駄にある筋肉とか」

「下睫毛、無駄に長くて悪かったですね!筋肉は無駄についてません、ちゃんと鍛えてるんです」

海燕が、浮竹の手を振り払って、反論する。

「それ、可愛いって言わないよ」

「む」

「むしろ、かわいいのは君だよ、浮竹。副官のことで拗ねたり、言動がかわいい」

「むう」

ぷくーっと、怒る浮竹も可愛かった。

「ああ、君はなんでこんなに可愛いんだろうね?」

「可愛いんじゃない、かっこいいんだ」

「はいはい」

頭を撫でていると、もっとと強請ってくる。

京楽の膝に頭を乗せて、京楽の髪をいじりだす浮竹。

長い白い髪を指で梳いてやりながら、浮竹の機嫌をとる。

「今日は、いいかい?」

「ああ、いいぞ」

「副官がいるのに、何夜の段取りきめてるんですか!」

「いや、海燕は俺たちが体を繋げているシーンも見たことがあるだろうし、これくらい平気だろう?」

「好きで見たわけじゃありません!目撃してしまったのに終わらせない隊長達も悪い!」

「いや、いきなりやめろと言われても無理がある。なぁ、京楽」

「そうだね。途中ではやめれない」

「いい年なんだから、あんまり盛らないでくださいよ」

「大丈夫だ、週2だ」

「そんな生々しい答えはいりません!」

海燕は、浮竹と京楽のために茶を入れていたのだが、京楽には茶を出して、浮竹の分を飲んでしまった。

「海燕、俺のお茶は?」

「はいはい、今入れますから」

新しく買った、桜の模様の湯呑に、茶を注いで浮竹に渡す。

いつも通りの、高い玉露の茶だった。

お茶っぱまで、京楽のお金が回っている。

「本当なら、こういうのいけないことなんですけどね」

自分の隊に金をかけるなら分かるが、他の隊にまで金をかける京楽の酔狂さに、海燕は罪悪感を抱きつつも感謝していた。

お陰で、浮竹は好きなものを好きなだけ食せる。

「そうそう、壬生の甘味屋でおはぎを買っておいたんです。食べますよね?」

「食べる!」

浮竹の答えに苦笑しつつも、隊舎に一度下がって、おはぎをもってきた。

「んー美味しい」

浮竹は幸せそうだった。

京楽と海燕も食べた。

3人分ではたりないだろうと、5人分用意しておいて正解だった。次々とおはぎを平らげていく浮竹は、最後の1つになったおはぎを見て、悲しそうな顔をする。

「俺が食べると、皆の分まで食ってしまうからなぁ」

「気にしないでいいよ。最後のも食べちゃっていいよ」

「隊長、京楽隊長もそう言ってるし、俺はもうおなかいっぱいなんで」

「そうか、じゃあ悪いが最後の1個ももらうな」

もぐもぐと食べていく、浮竹が可愛いと京楽も海燕も思うのだった。


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煙管煙草

「煙管煙草、貸してくれないか」

「え、いいけど。浮竹って、吸うの?」

「一度吸ってみたいと思って」

ゆっくりと火をつけて、煙草の煙を肺にとりいれて、紫煙をあげた。

咳込むことはなかった。

「どう?」

「なんともいえない。おいしいとも感じないし、まずいとも感じない。そうだな、しいていえば煙草の香が染みつきそうであんまりよくはないか」

煙管煙草を、京楽に返す。

京楽は、それを吸った。

「これは大人の味だからね」

「む。俺が子供とでもいいたいのか」

「君、確か珈琲もダメでしょ」

「何か文句でもあるのか」

「酒はいけるけど、ビールもだめだし。甘いお菓子は大好きだし、お酒も甘いものが好きだし」

「なんだ、何か文句でもあるのか。はっきりいえ」

浮竹が京楽から、煙管煙草を取り上げた。

「味覚がお子様なんだよ」

その言葉に、浮竹は煙管煙草の中身を灰皿にいれた。

「ああっ、まだ吸えたのに・・・まぁいいか」

煙草の1つや2つ程度、かかるお金はたかが知れている。

「味覚がお子様で悪かったな。ふん」

気分を害したらしい浮竹の長い白髪を手にとってキスをする。

そのまま、どんどん近づき、浮竹の手にキスをした。唇が重なる頃には、浮竹はとろんとした目つきになっていた。

「んっ・・・・・煙草の味がする」

「キスでの煙草の味は、でも、嫌いじゃないでしょ?」

「ああ。でも、肺に悪いし俺はお前にあんまり吸ってほしくないけどな」

「たまにしか吸わないよ。いつもはただくわえてるだけ」

そういえば、よく屋根の上に寝転がって煙管煙草をくわえている京楽に出会うことはあるが、いつも紫煙があがっていなかった。

本当に、時折なのだろう。

京楽から煙草の匂いがするのは、けっこう少ない。

いつも、柑橘系の香水をつけているので、その匂いが浮竹は好きだった。

今日は、柚子の香がした。

「んんっ・・・・・香水、変えたのか?」

「うん。柚子のやつに。嫌い?」

「そんなことは、ない・・・・・・んっ」

何度も口づけられ、肌を手が這っていく。

「あっ、このままするのか?」

「今日は、調子ちょっと悪いでしょ?止めておくよ」

「微熱があるからな・・・・・・」

額に手を当てられる。

確かに、少しだけ体温が高かった。

こんな調子の時に抱かれると、高熱を出すことが多いので、抱かないと言われて内心ほっとしたのと、残念がるもう一人の自分がいることに気づく。

ぼーっとしていると、だんだんと呼吸が苦しくなってきた。

「すまない、熱があがってきたみたいだ・・・・遊びに来てくれたのはうれしいが、寝る」

布団を敷かれて、その上で横になった。

眠気はあまりなかったが、目を閉じているといつの間にか闇に落ちるように意識をなくしいった。

「うう・・・・・」

「浮竹?」

何か、悪夢でも見ているのだろうか。

起こしてあげようかとも考えたが、せっかく寝ているので様子を見る。

「死ぬな、京楽・・・・・・・」

ぽろりと、閉じられた翡翠の瞳から涙が滴り落ちた。

これは、起こしたほうがいいなと思い、浮竹を揺さぶる。

「浮竹、起きて、起きて」

「はっ!京楽!?生きていたのか、よかった・・・・・!」

そのまま、泣きだしてしまった浮竹を、雨乾堂の入口からじーっと見てくる影があった。

「あ、海燕君、これは違うんだ、別に浮竹を泣かしたのは僕じゃないんだよ!」

「隊長、泣いてるじゃないですか。京楽隊長以外に人がいないなら、京楽隊長のせいでしょう」

海燕は、熱を出してしまった浮竹の様子を見に来たのだ。

「ほら、浮竹も泣いていないで、海燕君に誤解だといってよ」

「京楽のせいだ。京楽のせいで泣いている」

まだ夢の中で、自分を庇って真っ赤な血を出して死んでしまった京楽の姿が脳から離れなくて、浮竹は涙を滲ませながら、京楽のせいだと繰り返す。

熱は、下がっていないようだった。

「浮竹、解熱剤飲んでもう一度寝よう」

海燕も、やっと事情を呑み込んだのか、京楽に薬と水を渡した。

「ん・・・・・」

口移しで薬を飲まされる。

浮竹はしばらく、熱が高いせいで意識を朦朧とさせていたが、解熱剤に含まれる睡眠薬の成分がきいたのか、すーすーと静かな寝息をたてだした。

「はぁ・・・・やっと、寝てくれた」

浮竹の長い白髪を手で梳くと、さらさらと零れ落ちた。

「本当に、抱かなくて正解だったね」

「京楽隊長、あんたこんな病人を抱くつもりだったんですか!」

「いや、高熱出す前だよ!微熱あったから、やめたし!」

「もしも抱いてたら、もっと酷いことになってましたね」

多分、数日は寝込むことになっただろう。

そうならなくて良かったと、二人して安堵した。

「浮竹隊長は、この通り熱でやられてますけど、今日は泊まっていくんでしょう?」

「うん。浮竹の傍にいてあげたいしね」

「一応、夕餉隊長の分はおかゆで、京楽隊長の分は普通ので用意しておきますね」

「ありがとう、海燕君」

本当に、よくできた副官だ。

海燕がいるから、京楽も安心して浮竹を任せれた。

することもないので、浮竹の寝顔ばかり見ていた。畳に寝そべっていると、いつの間にか睡魔がきて眠ってしまっていた。

「京楽、おい京楽」

「あれ、どうしたの。熱はもういいの?」

浮竹が、畳の上で寝てしまった京楽を起こした。

「それより、こんな畳の上で寝ていたら、風邪をひくぞ」

「大丈夫、僕は鍛えてるから」

「そういう問題じゃないだろう。なんでこんな場所で寝ていたんだ?」

「君の寝顔をずっと見ていたら、いつの間にか寝落ちしちゃたったみたい」

「そうか。せっかく遊びにきてくれたのに、俺が熱を出して寝込んだせいで・・・その、悪かった」

「いや、いいんだよ。それより、熱はもう下がったんだね?」

「ああ、お陰様で」

海燕を呼んで、二人分の夕餉をもってきてもらった。

念のためお粥だったのだが、浮竹は文句も言わずに平らげた。

ただのお粥ではなかった。いろんな海の幸が混じっていて、見ているだけでも美味しそうだった。

「なんか、浮竹が食べていたお粥のほうがおいしそうだね」

京楽のメニューはカツ丼だった。

「うまかったぞ。俺はお粥を食べる時が多いから、料理人がいろいろと工夫してくれるんだ」

デザートは、苺だった。

京楽の分まで苺を食べて、満足した浮竹は食べ終えた京楽と湯あみをした。

風邪をひかないようにと、髪をちゃんと乾かす。

「そうだ、今日どうして僕が死んだ夢なんて見てたんだい?」

「ああ・・・・大分内容を忘れてしまったが、俺を庇って京楽が倒れて、血を流して死んでしまう夢だった」

ちくりと、胸が痛む。

京楽に抱き着くと、京楽は頭を撫でてくれた。

「僕は、誰かにやられて死ぬような玉じゃないよ」

「ああ、そうだな」

まだ病み上がりなので、深酒をしないように注意しながら酒を飲み交わした。

「煙管煙草、貸してくれないか」

「吸うのかい?」

「ああ」

ゆっくりと火をつけて、紫煙をあげる。

数分一服して、浮竹は満足した。煙管煙草を返されて、中身を灰皿に落として、直す。

「もう、寝ようか」

「そうだね」

布団を2組しかれていたが、浮竹が求めるので同じ寝具で、二人寄り添いあって眠った。

もう、浮竹は悪夢を見なかった。

京楽の腕の中で、微睡む。とても幸福な夢を見た。京楽と結婚し、養子をとって引退するまで隊長を続ける夢だった。

京楽も、その日は寝落ちしてしまっていたにも関わらず、深い眠りに入るのだった。

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人生ゲームで人生がおかしくなる

「白哉ー、阿散井副隊長も一緒に人生ゲームをしよう」

背後に京楽を連れた浮竹が、人生ゲームを手に6番隊の執務室までやってきた。

すでに仕事を終えてあるであろう時刻を見計らって。

机の上に、人生ゲームを置く。

白哉は今まで2回人生ゲームをしたことがあるので、普通にプレイしようと長椅子に移動した。

「えええ、隊長って人生ゲームなんてするんすか」

「白哉はいつも一人勝ちするから、このゲームけっこうお気に入りだよな?」

「そうなのかい朽木隊長」

京楽の問いに、白哉は答える。

「この私が勝つのはあたりまえのことだ」

「隊長と人生ゲーム・・・・うぷぷぷ、似合わねぇ」

「恋次、貴様千本桜の錆になりたいのか?」

「な、なんでもないです!はい!」

恋次も現世で暇な時に人生ゲームをしたことがあるらしく、ルールの説明は不要だった。

クジで、1位になった者は最下位になった者に何をするかを決める。

「1位になった者は、最下位の者とキスすること」

「ええええ」

「まじっすか」

ありえないと、皆思ったが、まぁキスくらいならましかとも思う。

他のクジとみると1位になった者が最下位の者に高級酒をおごる、1位になった者が最下位のものに甘味物を腹いっぱいおごるとか、誰がだした意見とか丸わかりだった。

ちなみに、キスの案件をいれたのは京楽だった。

「絶対に負けないぞ」

「負けてなるものか」

「・・・勝負」

「ようは、最下位にならなきゃいいんだよ」

浮竹、恋次、白哉、京楽の順の言葉だった。

1時間ほどでゲームの決着がついた。

やはり、1位は白哉だった。大富豪になり、子供を2人もうけてゴール。

2位は京楽、公務員になり、子供を5人ももうけてゴール。

3位は浮竹、借金まみれで子供なしでゴール。

最下位は恋次、フリーターのまま、子供を1人もうけてゴール。

「最下位俺じゃないっすか!」

「そうだな。頑張れ、阿散井副隊長」

「隊長とキスなんて無理!」

「約束は約束だ。こい、恋次」

恋次の手をとって、白哉は唇を重ねた。

その思ったより柔らか感触と、いい匂いに恋次はディープキスをしていた。

「んんっ・・・・・」

白哉の喉がなる。

浮竹も京楽も、その様をぼけーっと見ていた。

「んあっ・・・・恋次、いつまで呆けておるのだ」

口づけを終えて、真っ赤になった恋次に声をかける。

「俺、急用思い出したんでこれで”!」

恋次は逃げ出した。

「んー。意外と、阿散井副隊長もまんざらではない?」

浮竹が首を傾げると、白哉が笑う。

「そんなばかなことがあるものか」

一番信頼している副官なのだ。上官に、邪な思い何て抱いていないと決めこむ。

「いやー、あの反応は何かあるんじゃないかなー」

京楽が、他人事だと、意地の悪い笑みを見せた。

「それにしても、この人生ゲーム一護君からもらったんだが、尸魂界版もほしいな」

「それなら、私の力でなんとかしよう」

「本当か、白哉」

「この偽札も、本物の金にかえよう」

「いや、それはゲームだから偽札のままのほうがいいと思う」

「そうか?」

「そうだ」

白哉と浮竹の仲はいい。

白哉が子供の頃からの知り合いらしいのだが、白哉は実の兄のように慕っていると周囲にいったことがあった。

浮竹も、白哉を弟のように大切にしていた。

その仲のよさに、京楽も嫉妬を覚える。

「朽木隊長、浮竹と仲がいいね」

「否定はしない」

「なんだ、嫉妬してるのか京楽?」

「そりゃするでしょ。恋人が、こんなにも親しげにしてるんだから・・・・」

「俺の白哉に対する想いは家族愛だ。弟のようなものだ」

「私も、浮竹のことを実の兄のように思っている。ただ、それだけだ。兄が勘繰りたがるような関係ではない」

人生ゲームは、白哉が尸魂界版を作ってくれるそうだから、6番隊の執務室においてきた。

雨乾堂に戻ると、京楽がキスをしてきた。

「どうしたんだ、京楽」

何度も口づけられる。

「ふあっ・・・・・」

舌を絡めとられて、ディープキスになる。

浅く深く口づけを何度か繰り返して、京楽はやっと満足したのか、浮竹を解放した。

「今頃、阿散井君は大変だろうな」

「どうしてだ?」

「君には、まだ分からないよ」



一方の恋次は。

「隊長があんな顔するなんて・・・・・」

かなり、腰にきた。

美形な顔は見飽きるほど見てきたが、あんな声を聞くのもはじめだった。

「はぁ・・・明日、どうやって会えばいいんだか」

そう、悶々と苛立ちを抱え込むのだった。

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パンツを盗むその犯人とは京楽以外にありえない

朝起きると、パンツをはいた京楽が、正拳突きをしていた。

ラメ入りのパンツでめっちゃ目立った。

天井からぶら下げた浮竹のパンツに向かって、正拳突きをしていた。とりあえず、起き上がるとそのけつに蹴りを入れて、パンツを奪い返す。

昨日洗濯して干しておいたパンツだった。

「全く・・・・またパンツ盗みだしやがって」

一時期は収まっていたパンツ盗みだが、また最近ちょくちょくパンツがなくなるようになっていた。仕方ないのでネットで50枚はパンツを注文したのだが、すでに20枚はなくなっていた。

「たくさんあるんだから、ちょっとくらいいいじゃない」

「20枚はもう盗んでるだろう!全然ちょっとじゃない!」

「パンツ代金僕が払ってるんだからいいじゃない」

「そういう問題じゃない」

新品のままのパンツは盗まないのだ。

一度浮竹がはくと、そのパンツを盗むのだ。

今のところ、パンツの使い捨て状態だった。

「あほな恰好してないで、服を着ろ。学院に登校するぞ」

朝食のパンをかじりながら、コーヒーを飲んで、院生服に着替えると浮竹は部屋を出た。ラメ入りパンツ一丁の京楽も、部屋を出た。

「服着ろ!」

浮竹は、京楽のけつを蹴った。

京楽は、手にもっていた院生服をしぶしぶ着だす。

浮竹は筆記用具とかを手にしていたが、京楽は手ぶらだった。ロッカーに全ての荷物をいつも置いているらしい。

手ぶらだが、懐には何かをいれているらしい。

「動くなよ」

ボディチェックをしていく。

ポケットと懐から、浮竹のパンツが出てきた。

「なんだこれは」

「僕のものだよ!」

「一度お前に盗まれると、もうはきたくなくなるから別にいい」

今日の朝のパンツは、まだましだと思って奪い取っておいたのだが、やはり処分しようと決めた。

「行くぞ。ちんたらしていたら遅刻する」

時間にまだ余裕はあったが、京楽の変態ペースに間に合わせていると、完璧に遅刻する。

「ああん待ってマイスウィートハニー」

京楽を無視して、学院に登校した。

ざわざわざわ。

教室がざめめくので、その視線の先をたどると、京楽が浮竹のパンツをたたんでいた。

頭に被るられるよりはましなので、放置しておく。

ざわり。

さざめきが大きくなった。

京楽の方を見ると、浮竹のパンツを頭に被っていた。

「はぁ・・・・・破道の4、白雷」

「あがががががが」

パンツを頭に被ったまま、京楽は気絶した。

教師がやってくる。

「焦げ臭いな・・・・む、京楽、なんだその恰好は。京楽?」

「すみません、ばかが脳まで達したようなので、医務室に連れて行きます」

「ああ、そうか」

教師も、京楽の変態ぶりは承知していた。それくらい、京楽は変態なのだ。

寮の自室だけでなく、学院の中まで浮竹のパンツを被りだすことがあるので、教師も慣れたものだ。

焦げた京楽を、ずるずると足を掴んで引きずっていく。

ゴン、ガンとか頭を打つ音はするけど、無視だ。

医務室にいくと保険医はいなかった。

そのまま、適当にベッドの上に京楽を投げ飛ばす。

頭にはたんこぶだらけで、被っていたパンツは黒く汚れていた。

「あれ、浮竹?あいたたたた、頭が痛い!なんでたんこぶだらけ・・・・」

「お前、学院でパンツ被るのはやめろ」

「え、どうして?」

「どうしてって、変態行為はせめて自室の寮だけにしろ」

「僕、何も変態行為なんてしてないよ」

重症だった。

パンツを頭に被ることが、普通のことだと思っているらしい。

「はぁ・・・・お前の友人であることが、時折悲しくなる」

「じゃあ、今日から恋人で!」

抱き着いてきた京楽の顔面を蹴って、黙らせた。

「酷い!浮竹のバカ!」

「京楽の変態がっ!」

「そんな褒めないでよ(*´з`)」

「褒めてない!どこをどうとれば褒めていると感じるんだ!」

「え、僕にとって変態は輝かしい言葉だよ。何せ変態だからね」

浮竹が驚愕した。

京楽が、自分で自分を変態であると認めたのだ。

「熱はないか?まさかバカのウィルスが本当に脳みそにいったんじゃ・・・」

京楽の額に手をあてると、引っ張られた。バランスを崩して、京楽の上に倒れこむ。

「好きだよ、浮竹・・・・」

「そういう台詞は、せめてパンツを被らずにしろ」

裏拳で顔を殴ると、京楽はまた気絶した。

京楽のかぶっていた汚れたパンツをごみ箱にすてて、京楽の懐からパンツを出すと、それを握りしめさせた。

せめてもの、情けだ。

ちなみに、昼休みには復活して、パンツを被らずに普通に浮竹と食事をとる京楽の姿があったという。



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一護の誕生日(閑話)

7月15日。

一護の誕生日であると知ったルキアは、ネットでチャッピーの抱き枕を注文した。

「一護!たたたたた、誕生日おめでとう!」

ケーキは作れなかったが、代わりにクッキーを焼いた。

綺麗にラッピングされたチャッピーの抱き枕を受け取って、一護は照れていた。

「ありがとう、ルキア。まさか死んでからも誕生日を祝ってもらえるなんて、思ってもなかった。中身、あけてもいいか?」

「ああ、いいぞ」

きっと喜んでくれる。そう思っていたルキアとは反対の表情を、一護は浮かべた。

「抱き枕でチャッピーかよ」

少し悲しくなって。

「いらぬのなら返せ!」

「誰もいらねぇなんていってねぇ!」

ふわりと抱き寄せられた。

「ありがとうルキア。気持ちだけでも嬉しいぜ」

「たたたたわけ、愚か者!」

一護の鳩尾に拳をいれて、ルキアは真っ赤になった。

「きいた・・・・・ああ、いい匂いがする」

「あっ、クッキーを焼いたのだ。食べてくれるか?」

「勿論食べるに決まってるだろ」

さくさくと、一護はルキアの手作りクッキーを食べた。

「味はどうだ?」

「うまいぞ。初めて作ったんだろう?」

「何故わかるのだ?」

「焦げたり、形がいびつだったりしてるから。それにルキアは、朽木家の者だしな」

「たわけ、そんなことがはないぞ。これでもたまに料理はするのだ。兄様のお弁当を作ったり・・・兄様がとても喜んでくれるからな」

「なぁ、ルキア」

キスをされて、真っ赤になると、一護が耳元でこう囁いてきた。

「今日だけは、白哉の話はしないでくれ」

「どうしてだ?」

「嫉妬しちまう」

結婚して、1か月はたつというのに、体を重ねてもルキアは初心なところは変わりなかった。

「好きだ・・・・・」

ルキアを抱き寄せて、耳をかじると、ビクンと腕の中のルキアが反応した。

「あ、一護・・・・・・」

「愛してる。俺の嫁は、世界で一番かわいい」

少し長くなった黒髪に口づけられて、そのまま抱き締められて、舌が絡まる深いキスをされた。

「いちご・・・・」

「好きだ。愛してる」

「私もだ、一護・・・・・」

キスに応えてくるルキアはかわいかった。

「にゃあ」

「琥珀、いいところだからあっちいってろ」

猫の琥珀は、またにゃあと鳴いて去って行った。

「今日は、確か白哉は帰ってこないんだよな?」

「ああ、そうだが・・・」

ちょうど、休日だったのだ、二人とも。

「うおっし、久しぶりにイチャイチャラブラブするぞ」

「ええっ!?」

昼食を、全部ルキアの分を一護が食べさせたり、反対に夕飯をルキアが一護に食べさせたり、意味もないのに触れ合ってごろごろしたり、一緒になって一つの布団で昼寝したり。

「今日の最後のプレゼントが欲しい」

「何が欲しいのだ?私で叶えられることなら・・・・・」

「お前が欲しい」

真顔で、そう言われた。

「なっ・・・・・」

「いいだろう?結婚式も挙げたし、もう何度も体を重ねてる」

「仕方ないな・・・いいぞ」

「おっし」

軽いルキアを抱き上げて、一緒に湯あみをした。

髪をかわかしてから、布団の上で睦みあう。

「あ・・・・・・」

真っ白なルキアの肌は、吸い付てきそうなほどにすべすべしていた。

アメジストの瞳が、潤みながら見上げてくる。

「お前が欲しい・・・・」

「んっ・・・・ああっ!」

ルキアの体のそこかしこが甘くて、夢中になった。痕をたくさん残した。

行為後のけだるい雰囲気の中、ルキアは満足そうに一護に抱き着いていた。

「いつか、子ができるといいな」

「そうだな」

朽木家の次代当主になるのだろうか。

ルキアをかき抱いたまま、その日は眠った。

「一護、朝だぞ起きろ」

「ん・・・・もう朝か」

「兄様が戻っていらしている。早く支度をして朝餉をとりにいかねば」

「ちっ、白哉め・・・・・・」

同じ屋根の下で暮らしているのだから、当然のように顔を見ることになる。

離れの屋敷にルキアと住まうことを提案したのだが、白哉に断固と拒否された。シスコンの白哉は、手の届く範囲にルキアを置いておきたいらしかった。

ルキアが一護のことを好きと知って、一護もルキアのことが好きなのをいいことに、勝手に籍をいれるようなやつだ。

棒弱無人。そんな言葉がぴったりと合いそうだった。

でも、白哉は人気だった。隊士からも尊敬されていて、何よりあの恋次が、この人のためならばと、動くような上官なのだ。

「一日過ぎてしまったが、兄への誕生日プレゼントをくれてやろう」

ぽいっとよこされたそれは、一護と迷子札のついた犬の首輪だった。

「白哉義兄様の気持ちだけありがたくいただいておくよ!」

あっかんべーをして、食堂で犬の首輪を投げ返した。

「一護!兄様からのプレゼントなのだ。ちゃんと受け取れ!」

ルキアが、嫌がらせでしかない犬の首輪をもってくる。仕方なしに受け取って、後で処分することにした。

今日の朝餉は、いつもより豪華だった。

「昨日は、楽しんだか、ルキア」

ルキアは真っ赤になった。

「子ができたら、真っ先に教えろ」

「おいおい白哉、一番初めは俺に決まってるだろう」

「ふ、犬がなにかわめいておる」

ピキピキピキ。

一護の額に血管マークがいくつも浮かんだ。

「なぁ、白哉義兄様、もう少し仲良くできねぇか?」

「笑止。無理だ」

「くそったれが!」

こっちから歩み寄ろうとしてもこれだ。

多分、ルキアが恋次と結婚していたら、恋次が今の一護の立場にいるのだろう。

いや、恋次は長年副官として白哉といても平気だから、もっと扱いは違うのか。

そんなことを考えていたら、朝餉を完食する前に下げられてしまった。

「あーもう、いらいらする」

「今日は、6番隊と13番隊で合同訓練がある。行くぞ、ルキア」

「はい、兄様」

「そこの、盛るしか脳のない駄犬も、早めに来ることだ」

「ムキーーーー!」

白哉が去り際に残していった台詞に怒って、ルキアからもらったチャッピーの抱きまくらに、白哉の写真を張り付けて、殴りまくった。

「ぜーぜー。おっとやばい、遅刻する」

一護は、白哉が本気で嫌いなわけではないのだ。本気で嫌いなら、言葉も交わさない。それは白哉も同じことであろう。

「うまくいかねーな」

こじれた嫁と姑の中のようだ。

仕方なしに遅刻しないために、新しい死覇装を着て、副官の証を左腕につけて、一護も出勤するのだった。













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