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勇者が死んだ?

カースドラゴンに挑んで、新勇者パーティーは苦戦を強いられた。

そして、新勇者は女僧侶を庇って、大けがをした。

女僧侶が回復魔法をかけるが、カースドラゴンの呪いのせいで、傷がふさがらない。

やむなく、撤退した。

「ディスペル!」

女僧侶が、新勇者のかけられた呪いを解除しようと魔法を唱えるが、きかない。

「なんでよ!ちょっと、このまま死んじゃうなんてことないでしょうね!」

「落ち着くにゃん。魔王城に行って、魔王か勇者に呪いを解除してもらうんだにゃん」

獣人盗賊は、魔法で癒せない傷に応急処置をほどこし、止血を試みるが、呪いのせいでそれもままならなかった。

「こいつが死んだら、誰が酒場のつけ払うんだよ。こいつだけのつけだぞ?おい、新勇者、くたばるな」

少年魔法使いがうなる。

「うう、俺はもうだめだ。俺が死んだら、遺体を保存して新しい魂を入れてくれ。華麗にのっとって、復活してみせる。がく」

そう言い残して、新勇者は本当に死んでしまった。

「新勇者、おい、新勇者!!!」

少年魔法使いが、その頬をビンタしても、顔の前で屁をこいても、新勇者は呼吸も心臓の鼓動も止まっており、どうにもならなかった。

「こんな奴でも、一応勇者でパーティーリーダーだ。魔王城に行って、蘇生を頼もう」

「そうにゃね~。教会で頼むとすっごいお金かかるにゃん。魔王なら、ただでリザレクションの魔法使って、蘇生してくれるにゃん」

町に戻るのに、数日かかった。

少年魔法使いが氷の魔法で冷やしていたとはいえ、死体は腐ってきた。

「ほんとに、リザレクションで蘇るにゃん?ゾンビになったりして」

新勇者パーティーは、1週間かけて、魔王城にまでやってきた。


「魔王、助けてにゃん。新勇者が死んじゃったにゃん。リザレクションの魔法使ってなのにゃん。代金は、新勇者の臓器でももっていくといいにゃん」

「腐ってるんだが・・・・・」

「気にしちゃ負けにゃん」

「一応、魔法はかけてみるが・・・・どうなっても知らんぞ。リザレクション」

「浮竹、危ない!」

京楽が、浮竹を庇う。さっきまで、浮竹がいた場所に、ゾンビになった新勇者が立っていた。

「肉をよこせえええ。ぐがあああああああ」

「ターンアンデット」

京楽が退魔の魔法を放つと、新勇者はきらきらと光りになって、灰になった。

「新勇者・・・いなくなちゃったにゃん。にゃああああん」

「新勇者ああああああ」

「いやあああああ」

「ぬおおおおお」

悲しみにくれる新勇者パーティーがかわいそうで、浮竹は禁忌を発動させる。

「クリエイトオブライフ」

灰となったはずの新勇者が、復活した。

「ふははははは!俺、完全復活!ふはははは!!!」

フルチンだった。

「服着なさいな」

京楽が、灰となる前に着ていた服を投げてよこすと、新勇者は浮竹の前にフルチンでやってくると、尻文字でアホと書いた。

「アホはお前だ!ウィンドカッター」

「のぎゃああああああああ」

風の刃に切り刻まれながら、新勇者はぱんつを・・・・頭にかぶった。

「俺の股間はソード!ビッグマグナムだぜ」

「もっかい、死んでこい。カース」

「いぎゃあああ、体が腐るうううう」

京楽は、新勇者をおさえつけてなんとか股間にこしみのをつけさせた。

「うっほい、勇者京楽、フルチン勝負だ!」

「アホかい。誰がそんな勝負するやつがいるの」

「ここに、俺がいるぞ」

腐りかけていた体は、新勇者の生命力に負けた。

「魔王もしようぜ、フルチン勝負。誰が一番早くフルチンになれるかの勝負だ」

「誰がするか!ウォーターボール!」

「がぼがぼがぼ・・・・・」

新勇者は、陸の上で溺れた。

「浮竹、その辺にしとかないと、また死んじゃうよ?」

「死んだら、リザレクション使う」

結局、新勇者は溺れ死んで、リザレクションの魔法で復活させられた。

「ふはははは、俺、復活!フルチン万歳\(^o^)/」

「だから、なぜ脱ぐ!服を着ろ!」

他の新勇者パーティーは、逃げ帰った後だった。

「スーパーノヴァ!」

「ぎゃああああああああ」

ふってきた隕石に、ぷちっとつぶれる新勇者。

でも、生きていた。

「浮竹、落ち着いて」

「ぜぇぜぇ・・・・この変態があああああ」

魔王である浮竹は、新勇者にスリープの魔法を使うと、窓から投げ捨てた。

「ふう。汚いものを触ってしまった」

「はい、アルコール消毒液」

「ありがとう」

新勇者は、魔王城をフルチンで徘徊してから、仲間の元に帰っていくのであった。




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桜のあやかしと共に22

この前、術者の浮竹のところにフカヒレ、フォアグラ、キャビアといった高級食材とレシピを置いていったのだが、術者の浮竹が値段の高さにぶっ倒れて熱を出した。

それを聞いた浮竹と京楽は、あまり高級なものはもっていかないようにしようと決めたのだが、浮竹がカニを食べたがっていたので、京楽はズワイガニを買った。4人分。

「カニもちょっと高価かもしれないけど、この前みたいな高級食材じゃないし、安く売ってる店もあるからさ。術者の浮竹と夜刀神のボクと、浮竹とボクとの4人で、カニ鍋をつつこうと思って」

術者の浮竹の家に遊びにきた浮竹と京楽は、夕飯用にズワイガニを4人分もってきていた。

『浮竹、大丈夫?倒れたりしない?』

『カニか‥‥また倒れれるかも』

浮竹が、キッチンを漁って鍋とコンロをとりだしてきた。

テーブルの上において、粉末状の出汁をいれて、お湯を注ぎ、味付けをしてカニをぶちこみ、野菜やきのこ、うどんをぶちこんだ。

大雑把だが、鍋は調理するというより、茹で上がれるのを待つだけだった。

浮竹は、カニの他にもホタテ、シャケ、エビを入れた。

ぐつぐつと煮あがって、カニは甲羅を真っ赤にして、食べごろだと教えてくれる。

『この足、もらうね』

「あ、それはボクが食べようとしていたやつ」

「京楽たち、カニは人数分あるから、争わないで食べろ」

『はーい」

「仕方ないねぇ」

『カニ‥‥‥‥うまいけど、食べた後多分倒れるかも』

「じゃあ、術者の俺だけ猫まんまでも食うか?」

『なぜに猫まんま‥‥カニは食べる。食べてから倒れる』

有言実行。

術者の浮竹は、〆の雑炊まで食べてから、ぶっ倒れた。

「高級品食べるたびにぶっ倒れるなんて、人生損してるな」

『まぁ、そう言わないであげて。ボクたち、記念日くらいしか、豪華な食事はしないことになってるから』

「ういー。もっと酒もってこーい」

浮竹は、冷蔵庫にいれてあったビールを勝手に飲み、酔っぱらっていた。

「ああもう、浮竹、人様んちの冷蔵庫のお酒、勝手に飲まないでよ」

『別にかまわないよ?ビールくらい』

「術者の俺と寝る」

そう言って、浮竹は術者の浮竹が寝かされているベッドにもぐりこみ、だきしめた。

「あ、狐耳だ。もふもふしてやろう」

術者の浮竹は、白い狐の耳と2本の尻尾が出てしまっていた。

半妖なので、弱っているときは耳と尻尾が出てしまう。

「あ、浮竹だけずるい。ボクも触りたい」

京楽も、術者の浮竹の耳をもふった。

『うーんうーん』

うなされはじめたので、夜刀神が止めに入る。

『はい、もふもふするのはまた今度ね』

「夜刀神だけずるいぞ」

「そうだそうだ」

『ボクの浮竹は今は弱って寝ているから、そっとしてあげて』

「じゃあ、夜刀神、こうもり姿になれ」

浮竹がそう命令すると、疑問を浮かべながら夜刀神が、こうもり姿になる。

「捕獲だああああああ」

浮竹はつぶれるほどは飲んでおらず、ハイテンションになっていた。

『のあああああああ』

浮竹にぶんぶん振り回されて、夜刀神は、浮竹に中途半端に飲ますと、ろくなことがおこらないことを思い出す。

過去に、こうもり姿になったところを紐でしばられて、そのまま天日干しにされたことがあった。

「浮竹、そのへんにしとこうね。ほら、残りのビールも飲んで」

京楽にすすめられて、浮竹は残っていたビールを飲みほした。

そして、ぶっ倒れて眠りはじめた。

「中途半端に酔わせるとろくなことにならないからね。つぶして眠ってもらうのが一番手っ取り早い」

『君、桜の王の扱いうまいね』

「「春」の記憶もってるからね。「春」も、こうやって中途半端に酔った浮竹を酔いつぶして、介抱していたよ」

『そういえば、そんなこともあったねぇ。ボクも「春」とは仲よかったから』

京楽は、術者の浮竹が寝ているベッドに、浮竹を寝かせた。

「いつもなら、嫉妬おおおってところだけど、今回だけ特別だよ」

「むにゃむにゃ‥‥‥‥夜刀神のこうもり美味そう」

『ど、どんな夢見てるんだろ』

「君を料理する夢でも見てるんじゃない?」

『た、確かにこうもりは食べれるけど、ボクを食べないで』

夜刀神は、二人の浮竹に毛布をかぶせて、すやすやと眠る、うり二つの双子のような存在に、見惚れていた。

『黙っていれば、桜の王もボクの浮竹の次くらいにはかわいいのに』

「夜刀神、酒を飲まないかい」

『お、いいね。飲み比べでもする?』

「浮竹に秘密で、ウォッカとジンをもってきたんだよ」

『お、北の国の強いお酒か。嫌いじゃないよ』

そう言って、夜刀神と京楽は、夜遅くまで飲み続けるのであった。



「おはよう」

『んー、おはようって、あれ、精霊の俺なんで一緒に寝てるんだ?』

「わからん。ただ、昨日冷蔵庫にあったビールを飲んだとこまでは覚えてる」

『あれ、京楽のビールなのに。京楽は?』

「俺の京楽も、ソファーで寝てるぞ。夜刀神の京楽もだ」

あたりには、酒瓶が転がっていた。

「酔いつぶれたというより、睡魔にまけたってかんじだな」

『京楽は酒豪だからな。そっちの京楽も、酒豪だろう?』

「ああ、そうだな。変なところだけ、同じだな?」

『風邪ひかないように、毛布をかけてやろう』

「夜刀神は風邪なんかひかないだろう?」

『いや、ひくかもしれないだろ?』

「病気になったとこ、見たことないんだが」

『でも、やっぱりあったかいほうがいいだろう。こんな寒い季節だし』

「ほんと、夜刀神には甘いな」

『そういう精霊の俺も、便利屋の京楽には甘いだろう?』

「まぁな‥‥」

二人の浮竹は、珍しく同じソファーで眠る窮屈そうな京楽の顔を見つつ、毛布をかけてやり、散らかっていた酒瓶を片付けるのであった。

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桜のあやかしと共に21

「十四郎、ボクの親戚が温泉旅館を経営してるんだ。そこにあやかしが出て、困っているらしい。あやかし退治もかねて、温泉旅行に行かない?」

「お、いいな。温泉は最近行ってないからな」

「じゃあ、決まりだね。白哉君、留守番よろしくね。今回は誰にも邪魔されたくないから、スマホの電源きっとくから」

白哉は、京楽の言葉を聞き流しそうなかんじで、手を振った。

「行って、楽しんでこい。お土産を忘れるな」

「はいはい。温泉卵でも買って帰るよ」

こうして、浮竹と京楽は、温泉旅行に出かけた。

京楽のもっている2千万する高級車で、温泉宿に向かう。京楽が運転している間、浮竹は暇なので眠っていた。

その前の日、以前、長老神に殺された茶翁(ちゃおきな)の魂がさまよい、浮竹の元にきていた。浮竹は、茶翁の魂に命を与えて、桜の精霊として生きるようにさせた。

「昨日、遅くまで茶翁の対応で起きてたからね。今は寝かせておこうかな」

3時間かけて、温泉旅館にたどりつく。

「十四郎、ついたよ。起きて?」

「んー、もう朝か?」

「寝ぼけてないで、荷物もって移動するよ」

京楽は、浮竹の分の荷物までもって、温泉旅館のフロントにいく。その後ろを、あくびをしながら浮竹がついていく。

「京楽春水様ですね。今、宿の支配人がきますので、少々お待ちを」

温泉旅館だが、形式的にはホテルの形で営業していた。

「春水さん。待っていました」

ホテルの支配人が訪れて、京楽と浮竹を特別な客室に案内する。

「たわしの付喪神が、あやかしになって、温泉に入る邪魔をするのです。おかげで、宿泊してくださる方には露天風呂に入れず、室内の浴槽に温泉の湯をいれて入ってもらうしかないのです。このままでは、当旅館は営業がままならず、閉鎖してしまうでしょう」

「たわしの付喪神か‥‥‥付喪神は本来、悪いものじゃないんだけどね?」

「付喪神がついたたわしを乱暴に扱ったりしたら、付喪神でも怒ってあやかしになって、悪さをするぞ?」

浮竹が、付喪神のついたたわしをどうしたのかと、支配人に聞いた。

「それが、古かったので焼却処分しようとしたのです。まさか、付喪神になっているとは知らず‥‥怒ったたわしの付喪神、名前を湯羅(ユラ)と申します。湯羅は、露天風呂の温泉を濁したり、床をかびだらけにしたり‥‥とにかく、困っているのです」

「話は大体分かったよ。その湯羅を退治すればいいんだね?」

「京楽、付喪神を祓うのか?」

「うん、そうなるね」

「そうか‥‥付喪神は本来悪いものじゃない。だが、旅館を閉鎖にまでおいこみそうになるなら、退治するしかないか」

浮竹はあまり気乗りしないようであった。

「とりあえず、お泊りになる一番豪華なスィートルームを用意しております。荷物は、そちらのほうにおいておきました」

「あ、うん。ありがとう。君も大変だね‥‥」

「春水さんが祓い屋で助かりました」

支配人とは、京楽は従妹にあたった。

「では、本日のうちにも湯羅の退治を」

「分かったよ」

「仕方ないか‥‥」

浮竹は、やはり気乗りしないようであった。

とりあえず、スィートルームにいき、荷物を解いて退治に必要な式や札を出す。

「付喪神に、聖なる攻撃は効かないかな?」

「そうだな。一応、形だけは神になっているから。聖なる存在であるかもしれない」

「とりあえず、露天風呂に向かおう」

「ああ」

二人は、湯羅の出る露天風呂にやってきた。

「湯羅!今すぐ、悪戯をやめてこの温泉旅館から出ていくんだ。そうすれば、命まではとらない!」

「笑止。人間ごときに、わらわを止めることなどできぬ」

湯羅は、濁った温泉の中からでてきた。

元はたわしであったのが分からないような、人魚の形をしたあやかしだった。

「そなた‥‥‥あやかしだな。あやかしなら、わらわの気持ちも分かるはず。こんな温泉宿、つぶしてくれるわ」

「あいにく、俺は桜の王で、ただのあやかしではない」

「桜の王だと!なぜ、王を冠するあやかしが人間などと一緒にいる!」

湯羅は、浮竹に熱湯をかけようとした。

それを、京楽が札で結界っを作り、防ぐ。

「話し合いでは解決しないようだね。縛!」

「ぐぬぬぬ、こんな術ごとき‥‥‥」

湯羅は、京楽の束縛の術を破ろうとした。だが、できない。

「わらわは神ぞ!人ごときに‥‥」

浮竹は、桜の花びらをふっと吹いた。

「ぎゃあああああああ」

湯羅の人魚の体が崩れていく。

「今だ、京楽!」

「うん!滅!」

青白い破滅の炎をまとわせた札を飛ばして、それは湯羅を包み込んだ。

「何故だ‥‥何故、桜の王ともあろう者が、人間などと‥‥」

「俺は、京楽を愛している」

「愛‥‥わらわは」

そのまま、湯羅は灰となり、その灰も京楽の札で消えてしまった。

あやかしの死体は、小鬼を産む。念のためであった。

露天風呂の湯は、濁っていた状態から、嘘のように綺麗になり澄み渡っていた。かびだらけだった床も、綺麗になっていた。

「討伐完了。支配人に、報告に行こう」

「ああ」

支配人に、湯羅を倒して露天風呂が正常に戻ったことを確認してもらうと、多めの謝礼金とスィートルームにただで3日泊まれるようにしてくれた。

「十四郎、露天風呂に入りにいこう。今ならボクたちしか泊まってないから、貸し切りだよ」

「貸し切りか。いいぞ、行こうか」

浮竹と京楽は、露天風呂に行く途中で、お土産屋を見つけて、浴衣をいくつか帰り際に買うことにした。

「帰りに、皆に温泉卵を買っていこう」

「うん、いいね」

露天風呂に入る。

湯につかる浮竹は、顔を僅かに薔薇色にそめていた。

「十四郎‥‥」

「うわ、京楽、何盛ってるんだ!」

「いや、これは温泉のせいで‥‥」

「苦しい言い訳だな?」

「君が裸なのがいけない」

「まぁ、たまにしか一緒に風呂に入らないからな」

京楽は、浮竹を抱きしめてキスをした。

「待て、ここは露天風呂‥‥‥」

「今日は誰もこないよ」

「んう」

深く口づけられて、浮竹は京楽の背に手を回す。

「こんな場所だけど、それがそそるね」

外でしているという刺激が、余計に熱を高めた。

「あっ」

「いいの、そんな声だして。ここ、外だよ?」

「春水が、えっちなこと、する、からぁ‥‥‥ああ!」

胸の先端をいじっていた手が、浮竹の下肢に伸びた。

「ああ!」

自身をつかまれて、そのまま手でしごかれる。

「あ!」

「外だから、声が響くね?」

「んんっ」

浮竹は、京楽の肩にかみついた。そして、精液を出していた。

「んあっ、春水のばかっ」

「十四郎、かわいい」

浮竹は外でしているというスリルのせいか、興奮していた。

「まだこんなに硬いね。もう一度、抜く?」

「や、俺の中に来い、春水」

素直に求めてくる浮竹がかわいくて、京楽は念のためにともってきたローションを浮竹の秘所にたらした。

「あ、冷た‥‥‥」

浮竹の蕾を指で解していく。

「んんう」

いい場所を京楽の指がかすめ、浮竹が声を漏らす。

「ああああああ!!!」

貫かれるのと、湯の中に入るのが同時だった。

ざぷんと、湯の中で交じり合う。

「やああ、お湯がっ」

「十四郎、奥まで愛してあげるからね?」

「やあああん」

浮竹の啼き声が響くが、聞いているのは京楽だけだった。

「やああ、声、響くう。あ、あ、声出したくないのに、止まらない」

京楽は、湯の中で浮竹を突き上げた。

「んあああ!」

「十四郎、いつもより興奮してる?乱れ具合がすごいね」

「やああん、そんなこと、ない‥‥‥ああああ!!!」

浮竹は、わざと京楽を締め付けた。

「く、一度中で出すよ」

「あ、くる、春水のザーメン、俺の中に」

浮竹をひと際強く突き上げて、京楽は浮竹の最奥に精液を吐き出していた。

「ひああああ!!!」

「まだまだ、愛してあげるからね?」

「やあ、だめぇ」

「十四郎、こんな時くらい素直になりなよ」

「あああ、俺の奥を、ごつごつしてぇ」

「うん、分かったよ」

京楽は、浮竹の奥を抉り、ごつんとぶつかる。

「ひああああ!!!」

浮竹は湯の中に精液をまき散らせながら、大きく中いきをした。

びくんと、浮竹の体が湯の中ではねる。

「あ、あ、お湯の中に出しちゃた‥‥」

「お湯は毎日変えられるから、気にすることないよ。まだまだいけそうだね?」

「やあん、お湯の中じゃ、湯あたりする」

「それもそうだね」

湯から出て、浮竹を立たせると、少し無理な体勢から貫いた。

「ひゃあああん」

ごつりと、いい場所を抉られて、浮竹はまた中いきをしていた。

「さっきから、いきまくりだね?そんなに乱れて大丈夫?」

「ひゃあああ、春水のせいだからぁっ」

「そうだね、ボクのせいだね。責任とって、もっといかせてあげるね」

「ひああああ、壊れるぅ」

「十四郎は、これくらいじゃ壊れないでしょ?」

「ああああ!!!!!」

最奥に侵入してきた京楽のものが、露天風呂に響く浮竹の声に大きくなる。

「やあああ、中で、中でまたおっきくなったぁ」

「十四郎、愛してるよ」

深い口づけを交わしあいながら、二人はフィニッシュに向けて、律動するのであった。



結局、あの後も風呂からあがって、スィートルームでも2回ほど交じりあった。

「腰が痛い」

「ごめんごめん。十四郎がかわいい声であおるから、やりすぎちゃった」

「まったく、6回もだなんて、この性欲魔人が!」

「ごめんね」

浮竹は、次の日は京楽と部屋の中でごろごろ過ごし、次の日は近くの神社に参拝し、水族館にも行った。

「さて、帰ろうか」

「あ、待て、お土産を買って帰る」

白哉と術者の浮竹と夜刀神の京楽用に浴衣を3着と、それに加えて一護、ルキア、恋次の分まで温泉卵とせんべいを買った。

「けっこうな荷物になるね」

「半分俺がもつ」

「うん。荷物があるからね」

こうして、二人は温泉旅行を楽しんだのであった。



「だから、これをお前にくれてやる!」

ばしっと、大きな蝙蝠姿の夜刀神に浴衣を叩きつける浮竹。

一方、術者の浮竹は、浴衣を受けとって、他におみやげとしてもらったせんべえをかじっていた。・

『浮竹、ボク、桜の王から初めてお土産をもらったよ!』

『よかったなぁ、京楽』

『うん。知り合って500年になるけど、桜の王の浮竹も、大分ボクの偉大さがわかってきて‥‥‥あべし!』

余計なことを言うこうもり姿の夜刀神を、浮竹のハリセンがうなる。

『精霊の俺、夜刀神はこうもりの姿をしているから、加減してやってくれ』

「こいつが、ハリセンごときで潰れるはずがない!」

事実、ハリセンで思い切り殴られたのに、夜刀神はけろっとしていた。

『桜の王、動物虐待だよ!』

「お前の姿は、こうもりなだけで、丈夫さは人間の姿の時と変わらないだろうが!」

「まぁまぁ。浮竹も落ち着いて。夜刀神も、浮竹をあおらないで」

「京楽、それに術者の浮竹は夜刀神に甘すぎる。一度、干からびるまで天日干しにするべきだ」

『怖いこというねぇ。あいにく、ボクの浮竹はそんなことしないもんね~』

『精霊の俺が望むなら、しようか?天日干し』

『ええええ、ちょっと浮竹ぇぇぇ』

『はははは、冗談だ』

「目がけっこうマジだったよ」

京楽につっこまれて、術者の浮竹は視線をさ迷わせた。

「お前は、これでも食ってろ!」

『あががががが』

こうもり姿の夜刀神の口に、せんべいをつっこむ浮竹を止める者は、誰もいなかったとか。

術者の浮竹は、温泉卵を食べて夜刀神のほうを見ていないのであった。

まぁ、桜の王である浮竹が、夜刀神の京楽に本気で害を与えることなどないと知っていての、行動であった。

「ボクも温泉卵食べよっと」

京楽は、自分たち用に買っておいた温泉卵を食べて、そのおいしさの虜になるのであった。








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桜のあやかしと共に 外伝3

恋次が、亡くなったはずの自分の妻であった、梅のあやかしの緋真の生まれ変わりだと分かって、白哉は恋次と行動することが多くなった。

まだ、パートナー契約はしていないが、近いうちにする予定だった。

京楽あてに、人を殺して食う土蜘蛛の退治依頼がきたのだが、あいにく留守だった。

「土蜘蛛とは‥‥また物騒な。早急に対処せねば、人が食われる」

白哉は、もっていたスマホで、恋次を呼び出した。

恋次は遠くに住んでいたのだが、白哉に会いたくて近くに引っ越してきていた。

祓い屋として有名な名家の跡取りで、恋次は歴代の能力者の中でも極めて優秀な術者だった。

白哉が住んでいる、京楽の家に、合鍵を使って恋次は入っていく。

「白哉さん、どうしたんですか」

とにかく、自分の元に来いとしか言っていなかったので、恋次は嬉しげにしていた。

「土蜘蛛がでて、家族が食われた者からの依頼が、京楽にきていたのだ。だが、京楽は浮竹と一緒に温泉旅行に行ってしまっている。恋次、そなたと私で、代わりに討伐しよう」

「デートのお誘いじゃなかったんすね。でも、土蜘蛛は確かに急いだほうがいいっすね。京楽さんはなんて?」

「あのアホウ、スマホの電源を切っておる。よほど浮竹との旅行を邪魔されたくないらしい。だが、土蜘蛛のような人を食うあやかしは、早めに対処しないと次の犠牲者が出る」

「そうっすね。今回は代理で討伐にいきますか」

「うむ。そのために呼んだのだ」

土蜘蛛が出るという大阪まで、白哉は昔気まぐれに一人旅をしたことがあったので、異界を通ってすぐに到着できた。

恋次が異界で迷い子にならぬように、手をつなごうというと、まるで犬が尻尾をふっているかのように喜んで、こやつに任せて大丈夫だろうかと、心の中で思う。

だが、恋次はすぐれた術者であるのは、白哉にも感じ取れた。

「住所ではここだな」

大阪城公園の近くの団地に、依頼者の家があった。

訪ねてみると、泣きはらした顔の女性が出た。

「ああ、京楽様ですか!」

「いや、朽木白哉という。こっちは術者の阿散井恋次だ」

「京楽様ではない‥‥‥でも、阿散井様といえば、あの阿散井一門のお方ですか!?」

「あってます。土蜘蛛は、いつ誰を襲ったんですか」

「4日前、夫が襲われて食われました。一週間後には、娘を食べにくると言い残して去っていきました」

白哉は、浮竹から教わった桜の術をためす。

桜の花びらを手のひらにのせて、ふっとふくと、桜の花びらは土蜘蛛のいる方角と場所を示した。

「この団地の近くにいるな‥‥‥距離からすると、あの廃工場あたりだろう」

「おし、退治にいきますか、白哉さん!」

「どうか頼みます!夫だけでなく、娘まで失ってしまうと、私は生きていけません」

「任せてください。ばっちり退治して、旦那さんの仇とりますから」

白哉と恋次が、廃工場に向かう。

「あやかしと人の血の匂いがする」

「間違いありません。この廃工場に、土蜘蛛がいますね」

「広いから、探すのが面倒だ‥‥‥」

白哉は、桜の花びらを手のひらに乗せて、ふっと息をふきかけた。

すると、廃工場の奥から、悲鳴が聞こえた。

「ぎゃあああ、桜の花びらが!誰だ、俺の眠りを妨げるのは!」

桜の花びらは、土蜘蛛を襲って、いぶり出してきた。

「白哉さんの力、いろいろすごいっすね」

「浮竹のほうがはるかに上だがな」

土蜘蛛が、白哉と恋次の前に姿を現す。

「貴様らか!むう、そっちは俺と同じあやかしだな」

「人食いの化け物に、同じあやかしだと思われたくない」

「取引をしようではないか。そっちの人間を渡せば、お前に危害を加えない」

「笑止。来たれ、千本桜」

白哉は、大量の桜の花びらから、美しい一本の刀を顕現させた。

「出た、白哉さんの千本桜」

白哉は、これまでも何回か恋次の依頼を手伝って、あやかし退治をしたことがあった。

その時に、千本桜を出した。

浮竹の前でさえ、出したことがないのに、なぜか恋次の前なら出すことができた。

「散れ、千本桜‥‥‥」

「きけけけけ、桜の花びらごときで‥‥‥ぎゃあああああ」

億の数になった桜の花びらは、鋭利な刃物となって土蜘蛛を襲う。

「行け、式たち。土蜘蛛にとどめをさせ!」

恋次が、十数体の式神を召喚して、土蜘蛛にとどめをさしていく。

式の雪女が、つららで土蜘蛛の腹に大穴をあけて、それがとどめになった。

「このまま置いとくと、瘴気が出て小鬼なんかがわいてしまう。水連、浄化を頼む」

「かしこまりました、主」

浄化を得意とするその式は、土蜘蛛の亡骸を塵にして、あたりに飛び散った血痕までも浄化していった。

「恋次、そなたの式は数が多いな。いったい、何体いるのだ?」

白哉の唐突な質問に、恋次は答える。

「35体っすかね。普通の術者がもつ式は2~3。多くても5~10ですね。俺の場合、複数の式を同時に操れます。阿散井家始まって以来の天才だとか言われてますけど、白哉さんのほうががはっきり言って強いっすね。その桜の術‥‥すごいです」

「これは、浮竹に習ったものだ。千本桜は、浮竹にも見せたことがないが」

「俺がはじめてっすか?」

「そうなるな」

恋次は、白哉を抱きしめた。

「俺の記憶の中にも千本桜があります。前世の記憶っすか?」

「そうなるな。緋真には見せたことがあるからな」

「白哉さんは、前の緋真か、生まれ変わりの俺、どちらが好きっすか?」

「そのようなこと‥‥‥‥答えれぬ」

苦しそうな白哉の表情に、恋次は謝った。

「すんません。悩ませるつもりじゃなかったんす」

「私は、恋次、そなたを愛している。恋次が望むのであれば、あやかし退治もするし、必要と感じれば恋次を呼ぶ。こうやって、一緒にいるのも私にとっては大切な時間だ」

「でも、俺は人間だから‥‥‥先にいってしまいますよ?」

「桜の王の浮竹が、京楽と契約を交わしている。私も、そなたと契約を交わそうと思う」

「そ、それっプロポーズ!」

「違うが、同じ時を生きてくれという願いだな」

恋次は、華奢な白哉の体を抱きしめる腕に力をこめてから、触れるだけのキスをした。

「契約、しますよ?あんたと同じ時間を生きれるなら」

「あまり強く抱きしめるな。痛い」

「あ、すんません。俺、けっこう力あるんで」

「恋次なら、あやかしを素手でも殺せそうだな」

「あ、ありますよ?素手で、人を食ったろくろ首殺しました」

「あったのか。冗談のつもりだったのだが」

「祓い屋の稼業上、一族に恨みをもつあやかしもいますからね。自衛として護身術も習ってました。まぁ、俺は式を大量に操れるんで、あんま護身術とか必要ないんすけど」

「私を、ルキアのように式にはしないのか?」

「するわけないっす!ルキアの場合、社会勉強とか言って式になりたがったんで、式にしましたが、白哉さんが想像してるかもしれないような危ない真似はさせてません。白哉さんは、あやかしだけど俺は愛してます。愛してる人を式にしたりできません」

「そうか‥‥‥」

白哉は、恋次に自分から触れるだけのキスをすると、少しだけ笑った。

「明日、契約をしよう。同じ時を生き、死すら同じという。恋次が嫌でなければ」

「嫌なわけないっす。契約します!」

依頼人に、土蜘蛛を倒したことを報告して、報酬金をもらって、異界を通って京楽のマンションまで戻る。

「通行時間短縮できたんで、時間あまってますね。よければ、その、えっと、俺とデートを‥‥‥」

「よいぞ」

「え、まじっすか」

ぱぁぁと、顔を輝かせる恋次の姿があった。



-****************************************


「京楽、急な依頼を私と恋次で片付けた。いくら浮竹と一緒に旅行だからといって、スマホの電源を切るのをやめろ。私は兄のしりぬぐいをするのはごめんだ」

「え、嘘、土蜘蛛!?人食いのやばいあやかしじゃないの。それを、恋次君と白哉君でやっつけたの?」

「京楽、白哉は強いぞ」

「え、まじで」

「白哉がその気になれば、俺も苦戦する」

「褒めすぎだ、浮竹」

白哉に、恋次の分のお土産も渡すと「渡しに行ってくる」と言って、白哉は35階のベランダから飛び降りて、近くにある恋次の家まで風を操って、飛んでいくのであった。









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桜のあやかしと共に20

「恋次君!?」

京楽は、白哉が連れ帰ってきた青年を見て驚いた。

「道端に転がっていた。車にひかれてもなんだろうと、連れてきてしまった」

白哉が人間を助けるのは珍しいことだった。

「この子が阿散井恋次君か。京楽と同じ祓い屋の」

「誰かから、洗脳を施されているな。浮竹、兄の術でなんとかならないか」

「やってみよう。それにしても、白哉はよく誰かに洗脳されたと分かったな?」

白哉は、恋次をソファーに寝かせた。

「なぜであろう。自分でもよくわからぬ。ただ、何者かに操られている。そんな気配を感じたのだ」

事実、阿散井恋次は夏の朝顔の王、市丸ギンに操られていた。

今回は、桜の王を襲わせるためにわざと倒れたのだが、襲う前に浮竹が桜の花びらをふっと吹きかけて、市丸ギンの洗脳を解いてしまった。

「これで、もう大丈夫なはずだ」

「すまぬ、浮竹」

「恋次君、一つ目小僧の式でネモフィラ畑を荒らしていたの、やっぱり本人の意思じゃあなかったんだね」

「そうだな」

「恋次か‥‥‥‥どこか、懐かしい」

ふと、恋次が目覚めた。

「来い、蛇尾丸!」

狒々の体に尾が蛇の式を、恋次は呼んで臨戦態勢に入る。

3人は、きょとんとしていた。

「蛇尾丸‥‥あれ?どこだここ‥‥俺は、確か朝顔の王の市丸ギンの罠にはまって‥‥」

「ここは、ボクの家だよ」

「京楽さん!京楽さんじゃないっすか!」

先輩にあたる祓い屋でもある京楽を見て、恋次は今いる場所は安全なんだと、自分でもっている最強の式である蛇尾丸を札にもどした。

「君、朝顔の王にやられたのかい?」

「はい。市丸ギンっていう、のっぺり笑う京都弁の男、朝顔の王であってますよね?」

「あっているな」

浮竹が頷く。

「洗脳が解けていなかったら、今頃戦いになっていたであろうな」

「あの、このすごく美人な人誰っすか。そっちは、前聞いた桜の王であってますか?」

「あってるよ。浮竹十四郎といって、桜の王だ。んで君の目玉は汚れているようだけど、君から見て美人に見えるこの華奢な子は朽木白哉。君が昔式にしていた朽木ルキアちゃんのお兄さんさ」

「ルキアの兄!こ、これは失礼しました。ルキアには世話になりました」

「いや、ルキアのほうも式となってよい経験ができたと昔言っていた」

恋次は初対面だが、白哉も初対面のはずなのに、懐かしさを覚えていた。

「そうか‥‥京楽が「春」の生まれ変わりであるように、そなたは「緋真」の生まれ変わりか」

「へ?生まれ変わり?緋真?」

「私が妻にして愛した梅の花のあやかしだ。そうか。恋次というのか」

「うわぁ、顔が、顔が近いです!」

「もう、失いたくない」

白哉は、恋次の顔を両手ではさみこんで、キスをしていた。

「あ‥‥‥‥‥」

ぶわりと、恋次の中に緋真としての記憶が蘇る。

「白哉さん‥‥俺、緋真って女性の生まれ変わり、本当なんすね」

恋次が、懐かし気に白哉を見ていた。

白哉は、それを当たり前のことのように受け入れる。

「俺、今は阿散井恋次っていって、祓い屋です」

「京楽から聞いた」

「白哉さん、一緒に暮らしませんか!」

「却下」

「ええっ」

白哉は、恋次を愛しいと思う気持ちがあるが、兄のような存在である桜の王の浮竹と京楽を二人きりで放置するわけにはいかないと思っていた。

二人きりにすれば、いずれ「春」のようなことが起こってしまうかもしれないからだ。

京楽は浮竹と同じ時を生きる不老の契約をしているが、不死ではない。

今でも思い出す。

「春」を失った時の浮竹の絶叫とショックを。

殻に閉じこもり、自閉症にまでなってしまった。もとに戻るまで、3年の月日を費やした。

白哉は、恋次をもう失いたくないとは思うが、同性であるし、まだ愛しているという感情はわずかに芽生えた程度だった。

「恋次、そなたが元気であればそれで私はよいのだ」

「俺がよくないっす。前世の記憶を取り戻したせいで、あんたが愛しい。ずっとそばにいて、守ってあげたいっす」

「私は強い。守られる必要などない」

「それでも!!」

「あー。俺たちがいること、すっかり忘れられてるな」

浮竹は、京楽のいれてくれた紅茶を飲んでいた。

「まぁまぁ。白哉君にも思い人ができてよかったじゃない」

「白哉の兄的な立場で見ていると、微妙だな。恋次君より、明らかに白哉のほうが強い」

「それは君も同じでしょ?ボクより強いんだもの‥‥‥桜の王は」

「ふふ‥‥‥」

「じゃあ、どうれば白哉さんあんたに会えるんですか」

白哉は、銀色の金属でできたカギをぽいっと、恋次向けてほうりなげた。

「この家の合鍵だ。私はこの家に住んでいる。会いたくなったら、いつでもくるがいい」

「ちょっと白哉君、ここボクの家なんですけど」

「私と浮竹の家でもある‥‥‥そうではないのか?」

白哉の質問に、京楽が言葉をつまらせる。

「うぐぐぐ」

「夜はあまりくるな。恋次、そなたの知っている先輩の京楽と桜の王がいかがわしいことをしている時がおおいいからな」

浮竹は真っ赤になって、ハリセンでなぜか京楽をしばいた。

白哉をしばくことはできないようだった。

「結界をはってあるから、部屋から声や音がもれることはない」

「だが、いかがわしいことをしているのに変わりはないであろう?」

「ムムム‥‥‥」

苦い顔をする浮竹の頭を、しばかれていた京楽が撫でる。

「ボクと今日もいかがわしいことしよう」

「お前は一度死ね」

ハリセンでボコボコにされて、京楽は床に沈む。

「なんか‥‥‥楽しそうですね。わかりました。会いたい時は会いにきます」

「公園の桜に話しかけてもよい。私の仮初の本体だからな」

「了解です」

白哉は、自分の桜の木がどれであるのかを、恋次に教えに一緒に公園のほうに行ってしまった。

ちなみに、恋次といる時は35階のベランダから飛び降りなかった。

「白哉君に愛しい人か‥‥‥」

「兄のような俺からしてみれば、幸せになってほしいな」

「そうだね」



数週間後。

恋次の式としてではなく、パートナーとして一緒に祓い屋をする白哉の姿があった。


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「あ-あ。恋次君、とられてしもた。いい人形やってんけどなぁ」

市丸ギンは、昼顔のあやかしの豊満な胸をもつ女性に、膝枕をしてもらっていた。

「なぁ、乱菊。ボクどないしたらええんやろ。藍染様に怒られそうや」

「自分で考えなさい、ギン」

乱菊と呼ばれた女性は、ギンの頭を撫でながら、優しい声で子守唄を歌いだすのであった。










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傍に

「恋次?恋次‥‥‥?」

白哉は、情事の後、隣で寝ていたはずの恋次の姿が見えなくて、いつも逢瀬に使う別邸の屋敷を、浴衣姿で探していた。

「恋次、おらぬのか」

庭に出ると、梅の花が咲いていた。

「恋次…私を置いていくな‥‥」

緋真のことを思い出して、白哉は梅の花を見上げた。

「緋真‥‥私は‥‥」

「隊長、どうしたんすかこんな深夜に!まだ寒いのに、そんなかっこじゃ風邪ひいてしまいますよ」

恋次は、白哉から見える庭より奥で、剣をふるっていた。

「よかった‥‥恋次、この館で私を一人にするな」

剣をふって、汗をかいていたにも関わらず、白哉は恋次を抱きしめた。

「あ、俺風呂入る前っすよ。汗かいてて汚いっすよ」

「かまわぬ。今は、ただ傍にいてくれ」

「隊長‥‥‥」

恋次は、心細けな白哉が珍しく、とてもかわいく見えて、キスをする。

「んう」

「隊長‥‥一緒に、風呂入りませんか?」

「よいが、何もせぬぞ」

「はい。ただ風呂に入るだけです。隊長も、情事の後だし風呂入りたいだろうし」

白哉はうっすらと頬を赤くする。

月夜に照らされる白哉は、儚くとても綺麗だった。

「隊長‥‥惚れなおしそうなくらいに、綺麗っす」

「たわごとを‥‥」

白哉は恋次に手をひかれ、幼子のように後をついていく。

風呂場にいくと、湯はいつでも入れるように少し熱いくらいの温度だった。

迷いもなく脱ぐ恋次の前で、白哉も着ていた浴衣を脱ぐ。

「ああ‥‥隊長の体、綺麗っすね」

「そういう貴様は、入れ墨だらけだな。また増やしたのか」

「あ、分かります?」

「何度、貴様の裸を見てきたと思っておるのだ」

「いやー、もちっとほりたくて、最近また入れ墨いれてもらってる途中なんすよ」

「痛く、ないのか?」

白哉は、恋次の入れ墨に手をはわす。

「痛いっすよ。でも、我慢くらいできます」

「私も、入れ墨を‥‥‥‥」

「絶対だめっす!」

恋次に湯船の中で抱きしめられて、湯があふれた。

「入れたいなどとは言おうとしておらぬ。私も入れ墨を入れられたとしたら、痛みに平然とできるだろうかと言いたかったのだ」

「そ、そうっすか。隊長の白い肌には、入れ墨は絶対だめっすよ?」

「自分はそれだけほっておいてよく言うものだ」

「俺のこの入れ墨は、生きている証でもありますから」

「そうか‥‥」

風呂からあがると、少し厚めの浴衣を着て、二人で手をつないで、家人のいない広い屋敷を、布団のある場所まで歩いていく。

「夜明けまであと4時間はあります。もう一度、寝ましょう。今度は、勝手にいなくなったりしないっすから」

「約束だぞ。朝起きて隣にいなかったら、しばらく貴様とは寝ない」

「うへえ。絶対隣にいます」

くすくすと、小さく白哉は笑った。

「冗談だ」

そのあどけない顔に、恋次は白哉を守りたいと思い、白哉を抱きしめるのであった。

「恋次?」

「今だけ、こうさせてください」

「おかしなやつだ」

恋次は、思う。

この儚い白哉は、たまに見せる白哉の強さの裏にある、強くない白哉。

傷つくのを恐れて、自分の殻に閉じこもる前の。

「あんたのことは、俺が守ります」

「500年早い」

白哉はそう言って、背伸びして恋次に触れるだけのキスをするのであった。



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桜のあやかしと共に19

ルキアと一護が住む、ネモフィラ畑が最近一つ目小僧に荒らされて、困っているのだと白哉から相談をもちかけられた。

「ただの一つ目小僧程度なら、ルキアも対処できるのだが、どうやら誰かの式らしく、退治しても退治しても現れるのだそうだ」

「うーん。一つ目小僧は、悪戯好きがおおいからな。その式を壊せばいいんだな?」

「浮竹、頼まれてくれるか」

「白哉のためでもある。一肌脱ごう」

「じゃあ、ボクは上半身を脱ぐね」

寒いギャグを言う京楽を無視して、浮竹と白哉は、どんな一つ目小僧であるのかとか話し合っていた。

「十四郎、無視しないで~」

「上半身脱ぐんだろ?この寒い季節に。見てないとこなら、下半身も脱いでいいぞ」

「じゃあ、今日のベッドの上で・・・・おぶ!」

浮竹のハリセンが、京楽を床に沈める。

「このスケベが!」

「京楽、兄は性欲が強いな。浮竹とおとついしたばかりなのであろう?」

白哉の言葉に、浮竹が真っ赤になる。

「と、とにかくネモフィラ畑にいってくる」

「ああ、頼む」

「じゃあ、ボクも行くよ」


京楽と浮竹は、こうしてネモフィラ畑にきた。

「相変わらず、綺麗に咲いてるねぇ。ルキアちゃんがいるから、年中満開だね」

「太陽の王の一護君もいるしな」

ネモフィラ畑を見ると、一部が枯れていたり、変色していたりした。

「あ、浮竹さんに京楽さん!」

一護が二人に気づいてかけよる。後ろのほうから、少し憔悴気味のルキアもついてきた。

「一つ目小僧の式を、なんとかしてくれるんすよね?」

「ああ。そのためにきた」

「式ってとこが厄介なんだよね。ただのあやかしなら、一度葬ればすむだけなんだけど」

「ルキアの再生能力が落ちてるんだ。ネモフィラ畑全体を管理しているから、枯らされると具合が悪くなって・・・・・」

「一護、私はまだ大丈夫だ」

「ルキア、んなこと言って自分の顔見てみろ。あんまり眠れてもいないんだろ」

「一つ目小僧のやつが・・・む、浮竹殿、京楽殿、その一つ目小僧がきたようです」

ルキアが指さす方向に、ネモフィラの花をむしり取って暴れる一つ目小僧がいた。

「待っててね。今退治してくるからね」

「一護君は、ルキアちゃんの傍についていろ」

京楽と浮竹は、式を破壊すべく動きだす。

「なんだぁ、おまえら。おでの、邪魔するな」

「ネモフィラ畑を荒らすのはやめろ。今すぐ出ていって、今後現れないのであれば、命まではとらない」

「はん、おでの力を見ろ」

一つ目小僧は、普通の一つ目小僧の2倍以上は大きく、ぶんぶんと腕を振り回す。

それを避けて、京楽が式である一つ目小僧から感じる霊力に、目を見開いた。

「浮竹、こいつを式に使っているの、ボクの知っている祓い屋だ」

「そうか。手加減なしでいくが、いいな?」

「うん」

浮竹は、桜の花びらを手のひらに集めて、ふっと吹き飛ばすと、一つ目小僧のたった一つしかない目がつぶれ、体中を桜の花びらが切り刻む。

「ぎゃあああああ」

「京楽、いまだ!」

「縛!」

京楽の言葉が言霊となって、一つ目小僧を戒める。

「滅!」

京楽は、青白い炎で一つ目小僧を包む。

「ぎゃあああああ、熱い、熱い!」

「式より解放され、壊れるがいい!」

浮竹が桜の花びらをふっと吹くと、一つ目小僧の式契約は解除されて、ただのあやかしになっていた。

「滅!」

京楽が、赤い炎でとどめをさす。

「あああ・・・・恋次様・・おではあああ」

一つ目小僧は、それだけを言い残して、灰となった。

「京楽さん、浮竹さんありがとう。これで、ネモフィラ畑も元に戻る」

一護が嬉しそうにしていた。

ルキアは、滅んだ一つ目小僧の残した名を聞いて、動揺していた。

「どうしたんだ、ルキア」

「恋次と・・・・一つ目小僧が、恋次様と言ったのだ。恋次とは阿散井恋次。私を一時期式にしていた、祓い屋だ」

「阿散井恋次か・・・あったら、ぶっとばしてやる」

一護の強気な発言に、動揺していたルキアも落ち着きを取り戻す。

「ありがとうございました、浮竹殿、京楽殿。おかげで、ネモフィラ畑にまた平和が訪れました」

「阿散井恋次君・・・・こんな風に、式を使う子じゃないんだけどね」

京楽は、不思議そうにしていた。

恋次とは過去に何度か一緒になって、あやかし退治や除霊をしたことがあった。

「誰かに、操られている可能性は?」

浮竹の問いに、京楽が答える。

「可能性は高いね。ボクの知ってる恋次君は、式に暴れさせたりしないし、一時期式であったはずのルキアちゃんに害をなすはずがない」

「操っている相手が、長老神でなければよいが・・・・・」

「そうだね」



その光景を、水鏡で見ている者がいた。

「なんや、恋次君の式もたいしたことあらへんな。それにしても、桜の王か・・・・」

夏を司る、朝顔の王、市丸ギンであった。

「藍染様には、なんて報告しよか。まぁ、適当でいいか。阿散井君」

「はい・・・・・・」

阿散井恋次は、完全に市丸ギンの洗脳下にあった。

「もっと強そうな式だしてぇな。蛇尾丸みたいな」

「はい・・・・・・」

阿散井恋次は、虚ろな目で、市丸ギンを見ると、ただ相槌をうつのであった。


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桜のあやかしと共に18

術者の浮竹と夜刀神からもらった、付喪神つきの一輪挿しとティーカップは、今日もカタカタと音をならしていた。

京楽が紅茶を注げば、ティーカップはおとなしくなって動かなくなる。

一輪挿しのほうには、白哉が持って帰ってきたネモフィラの花を生けた。一輪挿しもかたかたはじめは音を鳴らせていたが、付喪神として使ってくれというサインだった。

ちゃんと使うと、おとなしくなるので、普通に使えたが、付喪神なので大事にすることにした。

お礼に何かあげたいという浮竹に、京楽は高級食材とそのレシピなどどうだと言い出した。

「フカヒレ、フォアグラ、ツバメの巣、トリュフ、キャビアとか・・・それらを使ったレシピを教えてあげたらどう?」

「いいな、それは。術者の俺と夜刀神はあんまり高級食材を食べたことなさそうだし」

「今手元には、フカヒレとフォアグラとキャビアがあるよ」

「いつの間に買ったんだ、そんな高級食材」

「浮竹に料理してもらって、おいしくいただこうと思って」

「兄は、浮竹をコックと間違えているのではないか」

白哉は、自分でいれたばかりの緑茶を飲みながら、京楽が取り出してきた高級食材を見る。

フカヒレもフォアグラもキャビアも、普通の市民には手の出ない値段のものだ。

うんと贅沢をすれば手に入るが、国内有数のグループの次男である京楽にとっては、それほど高い品ではなかった。

「今日は、この3つを使ったコース料理にするか」

「うわぁ、高級レストラみたいだね」

「高級レストランのコックより、浮竹がつくるもののほうがうまい」

白哉は、食材をもってキッチンに消えていった浮竹の後を追い、手伝うらしかった。

「ボクは・・・お皿を並べて、テーブルクロスをひいて、ネモフィラの一輪挿しを中央において・・・よし、家なのにちょっと高級レストランっぽいしゃれたかんじになったね」

浮竹が、まずはフカヒレのスープをもって、白哉と一緒に現れた。

「お、テーブルクロスまでひくなんて、まるで高級レストランみたいだな」

「京楽、兄にしてはやることが雅だ」

「ふふん、ボクだって料理はあんまりできないけど、準備くらいならできるからね」

3人でフカヒレのスープを食べる。

「我ながらうまいな」

「おいしい」

「浮竹の腕がよいのだ」

次のメニューは、フォアグラのソテーだった。

それもおいしかった。

「キャビア・ド・オーベルジーヌだ」

「なんの料理か良くわからない名前だけど、これもおいしいね」

「作るのを、私も手伝ったぞ」

白哉は、赤ワインを飲んでいた。

京楽もだ。浮竹だけ、オレンジジュースだった。

「むう。俺も赤ワインを飲みたい」

「だめ。君はアルコール禁止」

浮竹は、過去によっぱらって術者の浮竹にキスをしたり、同じ布団で寝たりすることがあったので、浮竹にはアルコールを飲ませないことにしていた。

浮竹は酒に弱い。

普通の赤ワインでもグラス半分でへべれけになってしまう。

「デザートはアップルパイと、苺のムースだ」

「アップルパイは私も焼いたのだ」

「白哉の料理の腕もなかなかいいかんじなってるぞ」

「そうなの。ボクは料理てんでだめだからね」

デザートも食べ終えて、3人は満足した。

「今日のメニューのレシピと食材を、全部術者の俺と夜刀神にあげようと思っている」

「大丈夫?素人には作れそうにないレシピだけど」

「術者の俺の料理の腕は、かなりいいぞ。俺の作ったメニューも作れるはずだ」

そうして、次の日浮竹と京楽は、両手いっぱいの食材とレシピを手に、術者の浮竹の店舗兼住宅を訪ねた。

チリンと呼び鈴を鳴らすと、術者の浮竹が出てきた。

『はーい』

「俺たちだ」

「やあ、元気にしてる?1週間ぶりだね」

『こっちは元気だぞ。依頼もなくて、暇で京楽と囲碁してた』

「これ、今日の夕飯の食材とレシピだ。今の腕のお前なら、作れるはずだ」

『え・・・フカヒレ!?フォアグラにキャビアまで・・・・・はう』

食材の値段の高さに、術者の浮竹はめまいを覚えた。

『い、いくらしたんだ』

「200万くらい」

『はう』

卒倒した術者の浮竹の頭の上には、蝙蝠姿の夜刀神がいて、術者の浮竹に一生懸命話しかけていた。

『しっかりして、浮竹!傷は浅いよ』

「漫才か。まぁ、とにかく食材とレシピ置いておくな?そっちの俺が正気に戻ったら、調理手伝ってやれ、夜刀神」

『はぁ・・・・ボクたちは倹約の節約家なのに・・・・これまた、とんでもない値段の材料もってきたねぇ』

「200万くらい、普通だぞ?いく時は500万いくこともある」

「まぁ、さすがに滅多にそんな高級料理作ってるわけじゃないけどね、十四郎は。ボクは金があまってるから、まぁ浮竹は着るものや装身具に興味ないから、食材なら受け取ってくれるから」

京楽は、浮竹の頭を撫でた。

浮竹はぱちくりしていた。

『はぁ・・・・今日は一生で一度の、ご馳走かもね』

『あ、京楽・・・・・』

卒倒していた術者の浮竹が目を覚ます。

『気が付いた?』

『200万もするんだって・・・・食材』

『うん、聞いたよ』

『付喪神のティーカップと一輪挿しのお礼にしては高すぎる』

「まぁ、ものをあげるよりレシピのほうがいいかなと思ったんだが、食材がそろえれそうにないから、こっちでもってきた」

『俺たちは節約家だから、今度からもっと安いもので頼む』

「わかった。じゃあ、調理がんばれよ」

『俺にできるかな。こんなフルコースのメニュー』

「おい、夜刀神、手伝ってやれよ?」

『もちろんだよ』

「じゃあ、俺たちはこれで戻るな」

「またねぇ」

浮竹と京楽が去っていった後には、高級食材とレシピが残された。

『や、やるだけやってみるか。もらったからタダだし』

『ボクも、料理手伝うから』

蝙蝠姿から人化して、夜刀神は術者の浮竹と一緒にキッチンにこもり、「うわー」とか「焼きすぎたーー」とかいう悲鳴が聞こえるのあった。

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桜のあやかしと共に17

「桜の王よ・・・・どうか、慈悲を」

今にも枯れそうな金木犀に宿るあやかしが、桜の王である浮竹に会いにやってきた。

「治癒は、術者の俺が専門なんだが・・・まぁ、あやかしに力を与えるなら、俺か」

浮竹は、ふっと桜の花びらを、金木犀のあやかしに吹く。

すると、老婆のようであったあやかしはみるみる若くなり、その本体である金木犀も狂ったように咲いて、秋の深まりを知らせる。

本体である金木犀を、あやかしの鏡で映しながら、浮竹は金木犀のあやかしを褒めた。

「よく耐えたな。枯れかけていたのに」

「桜の王の慈悲のおかげです」

金木犀のあやかしは、金木犀のにおいがする香水をお礼にと置いていった。

「金木犀の甘い香り・・・・嫌いじゃない」

自分に少しだけふりかけてみる。

「あれ、十四郎さっき来ていたおばあさんは?なんか若い女性が玄関から帰ってったけど・・・・」

「ああ、同一人物だ。本体の金木犀が枯れかけていたせいで、老婆のようになっていただけだ。本来なら、帰った時の姿の若い姿が本物だ」

「枯れかけると、しわしわになっちゃう植物のあやかしもいるんだね。あ、なんかいい匂いする・・・・・」

「お礼にと置いていった金木犀の香水を少し使ったんだ。それより白哉、調子が悪そうだが大丈夫か?」

「問題ない・・・と言いたいところだが、仮初の本体である桜の木が人間に傷つけられた。枝を勝手に伐採された・・・・。浮竹、兄の桜の術でなんとかしてくれまいか」

「それは大変だ!公園に急ごう」

浮竹と白哉は、35階のベランダから飛び降りる。

残された京楽は、玄関から出てすぐ近くにある公園に急ぐのだった。

「大分、枝を切られているな」

「頭が痛い」

「今、再生させてやる」

浮竹は、自分の生命力を燃やして、ふっと桜の花びらで、白哉の桜を包み込んだ。

伐採された枝が再生し、元の姿に戻る。

「すまぬ、浮竹」

白哉はすぐに元気になった。

「おーい、十四郎に白哉君、問題はどうしたの」

「兄がちんたら歩いている間に、浮竹が命を分け与えて再生してくれた」

「命を分け与えるって・・・術を使う時、再生させるときはいつもそうなの?」

「いや、妖力を与えるだけだ。白哉は弱っていたので、生命力を分け与えた。白哉は繊細だからな。本体の桜に何かあると、体調が悪くなるんだ」

「すまぬ。改善したいのだが、生まれつきなのでどうしようもない」

「桜の王の俺がついているから、安心しろ」

「では、私はネモフィラ畑に行ってくる」

「うん、一護君とルキアちゃんによろしく言っておいてね」

「白哉、夕方までには帰ってくるんだぞ」

まるで、白哉は浮竹の弟のような存在であるが、この二人の夫婦のような関係から見ると、子供のようであった。

「あ、この公園にも金木犀あるね」

「さっきの金木犀のあやかしは、ここら一帯の金木犀のあやかしの長だからな」

「そんな偉い人だったんだ」

「金木犀の香水・・・術者の俺と、夜刀神にも分けてやるか」


術者の浮竹の家にいくと、夜刀神が出た。

『どうしたの』

「金木犀のあやかしを元気にしてやったら、金木犀の香水をくれた。人工のものではない、自然のものだから香りがすごくいい。分けてやろうと思って」

『桜の王は、甘いものも甘い匂いも好きだからねぇ』

「悪いか」

『いやー、女の子みたいだねぇって思うだけー』

浮竹のハリセンが、夜刀神の頭に炸裂する。

『あいたたた』

「誰が女の子だ」

「十四郎、でも確かに甘いの好きだよね」

「昔は甘いものなどほとんどなかったからな。「春」がいた時は、よく果物を買ってきてくれた」

「十四郎、帰りにパイナップルでも買って帰ろうか」

『んー、騒がしいなぁ。あ、桜の王の俺、来てたのか。おい京楽、なんで知らせてくれないんだ』

寝ぼけ眼で起きてきた術者の浮竹が、浮竹と京楽の姿を見て、京楽をせめる。

『だって君、依頼で徹夜あけで寝てたでしょ?そのまま寝かせておくのがいいかなと思って』

『二人が訪ねてきたなら、起こせ』

『はいはい。今度から、そうするよ』

午後だったので、香水を渡してそのままおしゃべりをした。

夕方になり、浮竹は術者の浮竹と一緒に夕ご飯を作り始めた。

それを、二人の京楽は幸せそうに見ている。

『そこ、ボケっとしてる暇があったら、皿を出してくれ』

「京楽も、お茶をいれてくれ。お前のいれる紅茶はとてもうまいからな」

ああだこうだとしているうちに、夕飯ができあがり、浮竹が主に作っただけあって、三ツ星レストランの味がした。

『やっぱり、桜の王の俺が作る料理は違うな。俺も同じものを作っても、ここまで美味しくならない』

「まぁ、俺は料理が趣味だからな。料理と買い物と片付け以外の家事は、全部京楽にやらせてる」

『こき使われるわりには、幸せそうな顔をするね?』

夜刀神が、京楽をからかうと、京楽はにんまりと笑んだ。

「家事の分担って、夫婦みたいでいいじゃない」

『確かに、それは言えてるね。ボクも、浮竹と家事を分担してるから』

「あ~、十四郎の手料理が毎日食べれるボクは幸せだなぁ」

『ボクの浮竹も、料理の腕は大分上達したんだから』

「全部、ボクの浮竹が教えてるからじゃない」

『自力でもがんばってるよ』

言い合いをする京楽達に、二人の浮竹は金木犀の香水をふきかける。

「うわ、あっま・・・・」

『うわー、金木犀のにおいだらけになっちゃった』

「ケンカはするな」

『京楽、便利屋の京楽と仲良くしろ』

それだけ言うと、二人はキッチンに戻って、デザートを作り始めた。

「苺パフェだ」

『温室栽培で、昔と違って苺は少し高いけど、いつでも買えるからな』

ちなみに、術者の浮竹は半妖で、生まれて50年は経っている。

浮竹は5千歳をこえているし、夜刀神の京楽も千歳をこしている。

一番若いのは、京楽だった。

生まれて、まだ30年ほどだった。

苺パフェを皆で食べて、浮竹と京楽は雑魚寝でいいから泊まっていくらしい。

とりあえず、空いていた部屋に布団の予備をしいて、4人は夜遅くまで騒ぎあう。

最初に睡魔に負けて寝たのは術者の浮竹で、次が京楽だった。

『なんか、君と二人で起きて一緒にいるってのも、数十年ぶりだね』

「「春」との夜をさんざん邪魔したくせに、京楽との夜には邪魔しにこないんだな」

『ボクにも浮竹がいて、人を愛するって意味が分かったからね』

「できれば今のままでずっといてくれよ。春水との夜を邪魔されるのはごめんだ」

『ボクも、浮竹のとの夜を邪魔されたくないからね』

「俺は、お前みたいな真似はしない」

『まぁ、そう答えるよ思ったよ』

浮竹は、眠ってしまった術者の浮竹と京楽に毛布をかけてやる。

『ねぇ。「春」とどっちが大事?』

「言えない。どっちも大切で、選べない」

浮竹の悲しそうな顔を見て、夜刀神は台所からくすねてきた白ワインを取り出した。

「酔っぱらって寝ちゃえば?悲しい時は」

そのまま白ワインを飲んで、浮竹はへべれけに酔って、術者の浮竹と同じ布団ですうすうと眠る。

『寝てれば、桜の王もかわいいんだけどねぇ』

500年に及ぶ腐れ縁でも、一緒に夜を過ごすことはほとんどなかった。

いつも「春」が近くにいた。

『もう一人のボク・・・・どうか「春」のように、桜の王を置き去りにしないでね』

京楽は、眠っていた。

「春」の夢を、また見ていた。

「春」は反魂で一時蘇り、また眠りについた。

浮竹の中には、また「春」への想いが一時蘇り、そして沈殿していった。

『「春」・・・君は浄化されても、また蘇るんでしょう?君の魂は、桜の王と共にある。どうか、もう一人のボクが傷つくような真似はしないでほしいね』

白ワインの入ったグラスを片手に、夜刀神は、今は静かに眠りについている「春」のことを思いだすのであった。









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桜のあやかしと共に 外伝2

京楽の3億するタワーマンションに、浮竹、京楽、術者の浮竹、夜刀神の京楽は集まった。

ちなみに、白哉はお出かけ中である。

4人で、京楽が手に入れた、1本150万する赤ワインを開けることになった。

「十四郎は、ちょっとだけだよ。すぐつぶれちゃうんだから」

「大丈夫だ。グラス半分しか飲まない」

『こっちの俺って、酒に弱いのか?』

『弱いよー。はじめて一緒に飲んだ時、日本酒のおちょこいっぱいで酔いつぶれて、からまれたことあるからねぇ』

「夜刀神、うるさい!」

浮竹は、夜刀神にハリセンを炸裂させた。

『でた、かわせれない早さのハリセン奥義!』

「十四郎、ほどほどにね?」

京楽にたしなめられて、浮竹はしぶしぶハリセンをしまう。

「じゃあ、乾杯」

『『乾杯』』

「グラス半分・・・・」


術者の浮竹は、ほろ酔い気分で他のワインも飲んでいく。

一方、京楽二人は、酒豪すぎてはじめは飲み比べをしていたのだが、お互い全然酔わないので、普通にワインを飲んで、伴侶を気遣う。

浮竹は、グラス半分の高級ワインで酔いつぶれて、ソファーをばしばしたたきながら、クッションを京楽と間違えて、延々と愚痴っていた。

「京楽~。ばかやろー。俺の手料理の失敗作を食おうとするなんて、嫌味かあああ」

「あーあ。すっかり絡みモードに入ちゃったね」

『精霊の俺、膝枕してやろう』

『えー、浮竹、ボクには?』

『お前には、いつでも膝枕してやってるだろう』

術者の浮竹が、ソファーをばしばしたたいている浮竹の元にくると、浮竹はおとなしくなった。

「術者の俺~。そっちの京楽はエロいかー?」

『うーん?さぁ、どうだろうな』

術者の浮竹は、浮竹に膝枕をしてやった。

浮竹は、うとうとと眠りはじめる。

「きーー。嫉妬おおおお」

京楽は、嫉妬していた。

仲のいい二人を見るたびに、嫉妬する。

それが夜刀神には面白くて、げらげら笑われていた。

『あはははは、またやってる』

「君は嫉妬しないの?」

『ボクは心が広いからね。あの程度じゃ嫉妬しないね』

「キスしたくなった。んーーーー」

『ムーーー』

酔っぱらった浮竹が、術者の浮竹に口づけをしてしまったものだから、さしもの夜刀神も止めに入る。

『こら、君の相手はこっちでしょ』

京楽を押し出して、術者の浮竹を奪う。

『キスされちゃった』

「きーー、嫉妬マックスーーー!!十四郎、君がキスしていい相手は、ボクだけだよ!」

「んー?京楽が3人?」

浮竹の目には、術者の浮竹も京楽に見えていた。

『京楽、酔ってるだけだから、怒らないでやってくれ』

『わかってるよ。500年の付き合いだしね』

夜刀神と桜の王である浮竹は、長い腐れ縁だった。

『ボクたちは帰るね。高級ワイン飲ませてくれてありがとう』

『え、もう帰るのか?』

『ほら、むこうのボクが絶対おしおきとかいって、エロいことしだすからね』

『む、そうか・・・・』

術者の浮竹は赤くなって、35階のベランダからではなく、玄関から夜刀神と外に出て、帰宅する。

「十四郎、おしおきが必要だね?」

「むー。もっと酒もってこーい」

「十四郎・・・ボクを見て?」

「あ、春水?」

首筋にキスマークを残されて、浮竹の酔いが少しだけ冷める。

そのまま、姫抱きにされて寝室に入ると、ベッドに押し倒された。

「おしおきの、えっちなこと、しようね?」

「酒は?」

「終わった後でね」




「はぁ・・・記憶が飛んでる。なんで俺は、裸で京楽のベッドにいるんだ?」

「君、何も覚えてないの?あんなに乱れたことも?」

「覚えてない」

「うーん。悲しいけど、ボクはいい思いできたから、まぁいいか」

「よくない!」

浮竹のハリセンがうなる。

「おぶっ」

「少し頭痛い」

「二日酔いだね。薬もってくるから、それ飲んで寝てね」

「あー、腰は痛いけど思いだせない・・・うわぁ、キスマークがいっぱいだ・・・・」

浮竹は自分の胸元を見て、ため息を零す。

京楽がいい思いをしたということは、相当乱れたのだろう。

それを覚えていなくて、いいことなのか悪いことなのか、浮竹に判断がつかなかった。

「はい、薬にお水」

薬を受け取って、コップの水で飲み干す。

「あー、昨日の十四郎はかわいかったなぁ。もっともっとってねだってきて・・・あべし!」

真っ赤になった浮竹にハリセンで張り倒されて、京楽はベッドの海に沈むのであった。

「昨日のことは、忘れろ。じゃないと、飯つくってやんない。腰が痛い・・・・」

「でゅふふふふ。ボクだけの思い出の中にしまっておくね」

「気持ち悪い笑い方をするな!」

「あべし!」

ハリセンでさらに殴られても、京楽のニマニマした顔は変わらないのであった。

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桜のあやかしと共に 外伝

「一度、太陽の王の様子を見に行くか」

「十四郎、確か近くのネモフィラ畑だったよね」

「そうだ。あっているな、白哉?」

「浮竹、兄の言う通りだ。私たちの仮初の桜の木がある公園から、さほど離れていない」

白哉は、いつもネモフィラ畑にいっているので、浮竹と京楽にはついていかないと言った。

「私は今回は行かぬ。いつもいっているからな」

「じゃあ、京楽、一緒に行くぞ」

「わかったよ、十四郎」

浮竹は、35階のベランダから飛び降りた。

「だから、ここ35階・・・・・・・」

京楽は、言うだけ無駄だと思っているが、一応言っておいた。

3億する高級タワーマンションの近くの公園で、浮竹と京楽は落ち合う。

「この道をずっとまっすぐいくと、ネモフィラ畑がある。そこに太陽の王と白哉の妹の、一護君とルキアちゃんがいる」

「太陽の王、見た目は少年だったし、うまれて間もないようだから、ちょっと心配なんだけど、ルキアちゃんがいるなら大丈夫かな、十四郎」

「ああ。ルキアちゃんがいれば、多分大丈夫だ」

二人は、ネモフィラ畑に入る。

ネモフィラの花鬼たちが、進化していた。

太陽の王である、黒崎一護が近くにいるからだ。

「さて、たんぽぽはどこだ・・・・・」

「こうネモフィラばかり咲いていると、分からないね」

「踏んづけたら大変だ・・・でもたんぽぽは雑草だし、強いから踏んでもいいか」

「十四郎。踏まないであげてね」

ネモフィラ畑の中央にくると、ネモフィラの花鬼に囲まれて、ルキアと一護がいた。

「一護、紅茶より緑茶を飲め」

「いや、すでに飲んでるし」

「アルコールはまだだめだぞ。あやかしは50年は経つまで未成年扱いだ。私は生まれてちょうど80年ほどだから、アルコールを飲めるのだ!」

どこかで買ってきたのか、チューハイをルキアは飲んでいた。

「あ、ルキアだけずりー」

「ふふふ。私と同じ見た目だが、生まれてまだ間もない貴様は赤ん坊のようなものだ」

「俺は赤ちゃんじゃないぞ」

「知っておる。あくまで、あやかしの年齢の話だ」

一護は、ペットボトルに入った緑茶を飲んでいた。

「緑茶ってうまいよな。紅茶より、俺は和風の緑茶派だな」

「うむ。よいぞよいぞ。兄様も緑茶が大好きなのだ。なので、このネモフィラ畑の側に自販機を作らせて、緑茶を売らせている。外だから、冷蔵庫が置けないからな」

「白哉って金もちらしいな。ということは、ルキアも金持ちってことか?」

一護が聞くと、ルキアはあやかし印のアイテムボックスを取り出した。

「ざっと、一億入っている」

ざばざばと、札束があふれてきた。

「わあああああ、そんな大金出すな!人間に見られたら、盗まれるだろう!」

「私たちの姿は、普通の人間には見えないから安心しろ。この札束も、普通の人間には見えない。使うときは、軽く妖力をこめると人間にも見える・・・む、人間のにおいがする!このネモフィラ畑に侵入し、私たちの様子を見ている貴様、誰だ!」

ルキアは、険しい顔で京楽のほうを向いた。

「む、桜の王のにおいもする。さては貴様、京楽春春だな」

「誰それ。ボクは京楽春水だよ」

「む、春水であったか。京楽春水殿で、あっているか?」

「うん、あってる」

「そちらにおられるのが桜の王の、兄様が世話になっている浮竹十四郎殿だな?」

浮竹は、遠くからルキアの姿を見たことはあったが、実際に会って話すのははじめてだった。

「はじめまして、朽木ルキアちゃん。俺が浮竹十四郎で合っている」

「兄様のいう通りだ・・・白い髪に翡翠の瞳の、美しい、綺麗なお方だと、兄様から聞いているます」

「俺は美しくなんかないぞ」

「いや、美しいです」

ルキアが強く主張すると、他のネモフィラの花鬼に混ざって、京楽も頷いていた。

「十四郎は美人だよ」

「のろけっすか」

一護が、様子を見ていたのだが、つい口を開いてしまった。

ルキアから、一護は桜の王のこと、その契約者である京楽春水のことは聞いていた。

「のろけでも、美人でしょ、十四郎は」

「まぁ、否定はしないっす。それであんたたちはなんの用でここに?太陽の王の力が必要になったとかっすか?」

「いや、ただルキアちゃんとうまくいってるか、見にきただけだよ」

「ルキアは俺のものだ。あと1年もしたら、結婚する」

「一護、この前5年後とか言っていたではないか!」

「ルキア綺麗だしかわいいから、気が変わった。俺はあやかしとして赤ん坊の年かもしれないが、太陽の王だ。俺と結婚することは、女王になるということだ。ルキアには、このネモフィラの世界の女王がふさわしい」

「ああ、ボクもそれは賛成だね」

「桜の王として、太陽の王とネモフィラの女王の存在を認めよう。俺が認めれば、拍がつくらしい」

「浮竹さんと京楽さんには、結婚式の時の仲人になってもらっていいっすか」

「ああ、いいよ」

「いいだろう」

京楽と浮竹は頷いた。

ネモフィラの花鬼たちに、ルキアとのはじめての出会いだと、チューハイをすすめられて、浮竹と京楽は飲んだ。

京楽は酒に強いが、浮竹は弱い。

チューハイの半分で酔ってしまい、ルキアに膝枕されて寝ていた。

「あ、俺のルキアを」

「ボクの十四郎を」

二人は、顔を見合わせあって、笑った。

「お互い、伴侶に恵まれたね。さぁ、浮竹帰るよ。おんぶしてあげるから」

「んーーー。もっと酒もってこーーーい」

浮竹はへべれけに酔って、そんなことを言う。

「だめだこりゃ」

「浮竹さんって、酒に弱いんすね」

「うん。十四郎の一番の弱点だね」

「京楽さん、あんたは酒に強そうっすね」

「自慢じゃないけど、酔ったことがないよ」

「すげーー。酒飲んだことないからどうなるのかわからないけど、大量に飲んでも酔わないってすげーことだと思う」

一護が、京楽を褒める。

「まぁ、たまに家で酒を飲むことはあるけど、浮竹が飲みたがってすぐつぶれるから、酒はあまり飲まないね。浮竹と出会う前はよく飲んでたけど」

「愛っすね。夫婦じゃないっすか」

「ふふふ。ボクたちは確かに夫婦だからね。伴侶になる契約もしているから」

「春水のアホーーーー。エロ魔人ーーー。おとついは嫌だっていうのに、またバスルームで・・・・むにゃむにゃ」

「わああああ。十四郎、帰るよ!?」

ルキアから浮竹の体を受け取って、おんぶする。

ルキアも一護も、少し赤くなっていた。

京楽は真っ赤になりながら、浮竹をおんぶして来た道を戻るのであった。



「太陽の王だって、見ただけじゃああまり分からないな。オレンジの髪は目立つけど、染めてるようにしか見えないし、あれなら長老神に見つからないだろう」

翌日、酒の酔いも冷めた浮竹は、京楽のいれてくれた紅茶を飲みながら、一護のことを思う。

「そうだね。太陽の王としての威厳が全くないことは、本当ならよくないんだけど、ないから気づかれにくい。太陽の王が一護君でよかったよ。もしも長老神が太陽の王だったら、想像しただけでもぞっとする」

「ああ・・・他の者を洗脳して、自分だけのあやかしの王国を作りそうだな」

「そうなんだよ、白哉君」

「長老神は、災厄をもたらす神もどきだからな。いっそ、誰か今の長老神を倒して、一護君が長老神になってくれればいいのに」

「十四郎、無理がありすぎるよ。でも、それが理想だね」

「兄らは、太陽の王を担ぎ出したいのか?」

「いや、そんなつもりじゃない」

「あくまで仮定の話だよ」

「ふむ・・・・太陽の王は、ルキアと半月後に結婚することになった」

白哉のセリフに、浮竹も京楽も驚く。

「昨日様子を見に行ったときは、1年後に結構するっていってたよ」

「出会って1か月で結婚か。少し早い気もするが・・・・・・」

「まぁ、ルキアと黒崎一護が決めたことだ。私は二人の意思を尊重する。ということで、仲人として頼んだぞ、浮竹、京楽」

浮竹も京楽も、仲人などしたことがないので、なってもいいと決めたのだが、正直どうすれないいのか途方にくれるのであった。










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桜のあやかしと共に16

「よお、桜の王。今度はダージリンの茶葉ができたんじゃ。もっていけ」

「ああ、茶のあやかしの茶翁(ちゃおきな)か。この前もらったアッサムの紅茶、すごくおいしかったぞ」

「そりゃ、わしが栽培したものは世界一だからのお」

「スケールがでかいな。でも、確かに茶翁の茶はうまい」

京楽の3億のマンションに、茶翁が訪ねてきていた。

「このおじいさん、茶翁っていうんだ」

「京楽、兄は知らんだろうが、茶翁は齢千年を超すけっこう大物のあやかしだ」

「うへぇ。千年・・・・・・」

「私で二百年だからな。茶翁はけっこうな先輩だ」

白哉は、茶翁に頭を下げた。

「おう、白哉坊か。変わらず、桜の王と同じで綺麗じゃのう」

「本当のことを言っても何もならないぞ」

「かっかっかっか。それでこそ、桜の王の弟のような存在というのものじゃ」

茶翁は、和服をきたただの人間に見えるが、その妖力が分かる者には、大物だと分かる存在であった。

桜の王である浮竹の妖力は、妖力の分かるものにもはかりきれず、白哉の妖力もとても大きかった。

「じゃあ、わしはまた新しい茶を栽培するかのう」

「今度は、緑茶で頼む」

白哉がそう言うと、茶翁は恰幅よく笑った。

「わかったわかった。今度は、緑茶を栽培することにするとしようかのう」

ダージリンの茶葉の入った、麻袋をおいて、茶翁は35階のベランダから飛び降りていった。

「だから、ここ35階・・・・・・・・」

京楽がそういうが、浮竹の元を訪れるあやかしの大半が、35階のベランダから飛び降りて、地面に激突することなく、異界のゲートを開いて帰っていく。

「京楽、早速茶をいれてくれ」

「分かったよ。茶菓子は、この前十四郎が作っていたワッフルでいいかい?」

「ああ、かまわない」

「京楽、私には緑茶を」

「白哉君は緑茶ばっかりだね。たまには、紅茶飲んでみたら?」

「紅茶は私の口にあわぬ。緑茶のしぶさがうまいのだ]

「はいはい。じゃあ、白哉君だけ緑茶ね」

京楽は、キッチンに茶をいれにいった。

「白哉、ルキアちゃんと一護君はどうしている?」

「ああ、あの二人か。正式に付き合いだして半月になるが、仲は良いようだ。太陽の王・・・ネモフィラ畑の全てのあやかしが、太陽の王である黒崎一護の恩恵を受けて、妖力が高まって進化しているらしい」

「一護君がいるだけで進化か・・・・さすが、太陽の王だけあるな」

「ルキアは、いずれ太陽の王の妻になるであろう。名誉なことだ」

「ちょっと気が早いんじゃないか?まだ付き合いだして半月だろう」

浮竹がそう言うと、白哉は首を横にふった。

「すでに、太陽の王と婚約を交わしている」

「正式な契約でか?」

「その通りだ」

「ふむ・・・・太陽の王に嫁ぐということは、ネモフィラの女王になるってことだな」

「もともと、ルキアはネモフィラの花鬼たちを統べる長だ。存在意味はあまり変わらないであろう」

そこへ、京楽がいい匂いのするトレイをもってくる。

「お茶、いれてきたよ」

「ああ、ありがとう。京楽は、そういえばなぜ、こんなに茶をいれるのがうまいんだ?」

「あー。実家に、紅茶を入れる専門の職人がいてね。けっこうな年で・・・・さっきの茶翁にちょっと似てるかな。彼から、暇な時に手ほどきを受けたんだよ。元々紅茶好きだったから。ボクがいれるお茶がおいしいって、兄が珍しく褒めてくれてね。嬉しくて、更に腕を磨いて、両親にもおいしいって言わせた」

「京楽の家族に、一度会ってみたいな」

「十四郎に会わせれるのは、兄くらいかな。両親は偏見が強いから」

「そうか・・・・・」

浮竹は、少し残念そうに笑った。

「そうそう、茶菓子に、ボクがこの前十四郎に教えてもらった形で、クッキー焼いてみたのを混ぜてあるんだ。味はまぁまぁだと思うから、食べてみて?」

「ん・・・これか。どれどれ」

「このクッキーを、兄が焼いただと・・・・浮竹が焼いてちょっと失敗したものかと思った。まぁまぁ、うまいではないか」

「お、白哉君がそう言ってくれると嬉しいねぇ」

「本当だ。けっこうおいしい」

浮竹も、びっくりしていた。

「京楽、料理を俺から習ってみないか?」

「気が向いたらね。浮竹のおいしいごはんが食べたいから」

「浮竹、兄の作る料理が生きてきた中で一案美味い」

「白哉君の言う通りだね」

「まぁ、昔になるが、料理の学校にも通っていたしな。料理は完全な趣味だな」

「あれ?茶翁のおいていった麻袋の中に、茶葉以外の何かが入ってるね」

京楽が、ごそごそと茶葉をどけてそれを掴む。

「・・・・・チュールだ」

茶翁とは古くからの知り合いなので、浮竹と白哉が猫の姿をとる時があるのを知っていた。

「チュール!京楽、黒猫になるから、兄が私に食べさせろ。兄からもらうチュールはうまいのだ」

「いや、チュールって誰があげても一緒じゃない?」

「そうでもないぞ。あやかしに関係のある人物だと、ものの味が変わる時がある」

浮竹の言葉に、京楽は興味深そうになった。

「チュール!にゃあああ」

白哉が、チュールをもらう合図のように、京楽の頭をかじる。

「白哉君、毎度頭をかじるのやめてよ」

「そうだぞ、白哉。京楽のアホがうつるぞ」

そう言われながら、京楽は黒猫になった白哉にチュールを与えた。

紅茶を飲んで、茶菓子も食べて、浮竹もオッドアイの白猫の子猫姿になると、京楽にチュールをねだる。

「ああ、白哉君もだけど、十四郎も猫になるとかわいいねぇ。あやかし姿もかわいいけど」

「にゃあああ」

浮竹は、京楽の手からチュールをもらう。

浮竹はチュールを食べ終わると、白哉の黒い毛皮をなめた。

白哉も、浮竹の白い毛皮をなめる。

それを、京楽はかわいいなぁと見ていた。

「そうだ。猫の姿で、お風呂いれてあげたい。猫用シャンプー買ってあるんだよ」

「猫の姿で、風呂に入るのか?」

「私はかまわんが・・・・・」

「じゃあ、十四郎も白哉君も、そのままの姿でいてね。猫用シャンプーとってくるから」

そう言って、京楽は一度奥に消えると、バスタオルとドライヤーと猫用シャンプーを手に戻ってきた。

「さぁ、お風呂に入ろうか」

「京楽、兄が言うと卑猥に聞こえる」

「ちょ、白哉君!この前、十四郎とお風呂でエッチしたの、気づいてた?」

「匂いが残っていた」

白哉は、あやかしだけに鼻がいい。それは、浮竹とて同じであるが。

「京楽、風呂ではもうしないからな」

「まぁ、それはまた今度話そう。お風呂入るよー」

「にゃあああああ」

「にゃああ!」

二人というか二匹は、京楽にシャンプーをしてもらい、洗われてバスタオルで包まれて水分をふきとり、ドライヤーでかわかされると、気持ちのよさから二匹は猫の姿のまま丸まって、ソファーで眠ってしまった。

「かわいい・・・写真とろう。スマホスマホ・・・」

京楽が、二人の姿をスマホで写真をとる。

それを待ち受け画面にした。

茶翁が、その腕を見込まれて、長老神の藍染に茶を入れろと命令されて、反発して亡き者にされるのは、茶翁が浮竹たちの元を去ってから、一週間後の出来事であった。

「茶翁が死んだ・・・・・」

「え、どうして!?」

京楽が驚愕する。

「長老神の、藍染の怒りを買ったらしい」

「長老神とは、また厄介な存在に殺されたものだな」

「白哉の言う通りだな。「春」の時と同じように、反魂の法で茶翁は藍染の元に通っているらしい。俺たちの手で、永遠の眠りにつかせてやろう」

こうして、浮竹、京楽、白哉は茶翁を反魂の法から解放して、永遠の眠りにつかせてやった。

「茶翁・・・仇は、いつか必ずとる。「春」を反魂の法で蘇らせたのも、藍染の仕業だと分かった」

浮竹は、春の王として、いずれ長老神に挑む時がくるだろうと分かっているのだが、まだ力不足で茶翁の仇はしばしの間とれそうにないのであった。

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桜のあやかしと共に15

浮竹と京楽は、術者の浮竹と夜刀神の京楽の家にきていた。

「昔話に、花咲かじいさんという話があるだろう。あれ、俺だ」

4人でお茶をしていると、突然浮竹がそう言い出すものだから、京楽が自分でいれたアッサムの紅茶をふきだした。

「何してるんだ。汚いなぁ」

「何って、こっちのセリフだよ。花咲かじいさんが君?いつのことだい」

「だいたい、1100年くらい前のことかな。桜が枯れまくる時があって・・・長老神の仕業なんだが。それで、散ってしまった桜に、灰ではなく桜の花びらを吹き飛ばして咲かせていたら、白い髪のあやかしがいるって噂になって。じいさんのかっこして、年齢は今の姿のままで桜を咲かせ続けていたら、いつの間にか伝承になってた」

「一体君は、何をしているんだい」

「いや、だから枯れた桜を咲かせていただけだぞ?」

『それを見た人間は、驚いただろう?』

術者の浮竹の言葉に、浮竹が頷いた。

「当時はあやかしは今より恐れられていたからな。退治されそうになった。安倍晴明に」

『はぁ!?あの、安倍晴明かい!?』

「そうだぞ、夜刀神。お前は会ったことないだろう」

『当たり前でしょ。そもそも生まれてもいないよ』

「安倍晴明は強かったぞ。もっている式にされそうになった。あれほど強い術者は、陰陽師といえど、安倍晴明くらいだろうな」

『はうあー。生の安倍晴明か。会ってみたいな』

「人間の人生は短いからな。あれだけ強いと、他の術者が全部ゴミに見えた」

「術者がゴミ・・・・君がそう言うんだから、相当なものだろうね」

「長老神の藍染なんて、封印されかけてたぞ。都に穢れをふりまいていたからな」

「何やってるの長老神・・・・・」

京楽は、ため息を零す。

「長老神はある意味アホだからな。都に穢れをまいて、あやかしの世界にしようとして、安倍晴明に本当に封印というか、退治されかけていた。今思えば、あの時安倍晴明について、長老神を退治していれば、今みたいにややこしくなっていなかっただろうな」

『安倍晴明ってすごいな。その長老神を退治しそうになるなんて』

「だろう?それに、いい男だった。見た目がとてもよかった。そのせいで、女の花鬼はよく式にされていたな」

『安倍晴明と会って生きてるあやかしって、君と長老神くらいじゃない?』

夜刀神が、人の儚さを思う。

「まぁ、そうだろうな。桜の王じゃなかったら、あれの式になっていたかもしれん」

「式になったら、術者が死ぬまで使役されるんでしょう?」

「京楽と同じくらいにかっこよかったからな。式になることも少し考えた」

「桜の王が式なんて、冗談でもだめだよ」

術者の浮竹は、目を輝かせて質問してきた。

『安倍晴明ってどんなのだった!?』

「京楽みたいにかっこよかったぞ。ただの人間にしておくには惜しかったな。式にされかけなければ、契約をしていたかもしれない」

「春」や京楽と同じような、不老の契約であった。

「当時の都は魑魅魍魎が跋扈する闇を抱えていたからな。長老神は、その魑魅魍魎を自分のものにしようとして失敗して、安倍晴明に倒されかけていた。遠くから見ていたが、本当に強い陰陽師だった」

「長老神に助けろとか言われなかったの?」

「長老神とは面識がほぼないからな。俺が桜の王だとも分からなかったんじゃないか?」

『俺も安倍晴明に会ってみたい・・・・・』

『浮竹には、ボクがいるでしょ』

『でも、あの安倍晴明だぞ!』

『まぁ、気持ちは分からないでもないよ」

夜刀神は、術者の浮竹の頭を撫でた。

「安倍晴明に会ってたら、術者の俺は弟子になっていたんじゃないか。あれは、あやかしさえも超越していた。人間であるのが、おかしなくらいだった」

「相当強いんだね」

浮竹は、アッサムの紅茶のおかわりを、京楽に頼む。

「おかわり」

「はいはい」

茶葉は、浮竹がもってきたものだった。

いい茶葉が手に入ったと、茶のあやかしから無料でもらったのだ。

『それにしても、このアッサムのお茶、すごくおいしいね』

『ああ、俺もそう思った』

「茶のあやかしから手に入れたものだ。独自の方法で栽培しているらしい」

「浮竹は、白哉君みたいに緑茶は飲まずに紅茶が好きだからねぇ」

「京楽、お前のいれるお茶が一番うまい」

浮竹の褒められて、京楽は術者の浮竹と夜刀神の分のお茶のおかわりもいれた。

『ぼんぼんなのに、紅茶いれるのうまいって、不思議だな』

『人間のボクは金持ちだからねぇ』

実は、今住んでいる3億のマンションの他にも、3つの別荘と、2つの家をもっていた。

「今度、北海道の別荘に行こうと思ってるんだ。よければ、君たちもどうだい?」

『え、いいのか?』

『別荘・・・・やっぱりぼんぼんだね』

「まぁ、国内でも有数のグループの次男だからね。ほとんどほっぽりだされてるけど、金だけはある程度もらって、放置されてる」

「京楽、肉親がいなくて寂しいか?」

「いや?十四郎がいるから、寂しくないよ」

「春水・・・・」

「十四郎・・・・・」

二人の世界に入りそうになるのを、術者の浮竹の咳払いでなんとかなった。

『俺たちがいるのを、忘れないようにな』

『ボクたちがいない場所で、いちゃついてね?』

「ごほん。まぁ、安倍晴明の昔話をしてやる。興味をもって、当時いろいろ調べたんだ」

浮竹の話に、3人はのめりこむ。

「というのが、安倍晴明だ」

『スケールが違う』

『帝とか、時代も違うからねぇ』

「まぁ、俺の話はこれくらいだな。また何かネタを思い出したら、聞かせてやる」

『楽しみにしとくな!』

『さすがは5千年も生きているだけあるね』

「ボクにもちゃんと教えてね?」

京楽は、浮竹の過去を詮索しないが、興味はあった。

「春」の存在があったので、浮竹の過去は詮索しないことにしていた。

「じゃあ、俺たちはこれで帰る。また遊びにくる」

「またね~。あ、浮竹アッサムの茶葉渡さないと」

「ああ、忘れるところだった。あやかし印のアッサムの茶葉だ。市場に出回っている高級品よりうまい」

『ありがとう。ありがたく、もらっておく』

「術者の俺の作ったレアチーズケーキうまかったぞ。腕をあげたな」

『何度か作って練習したからな』

『ボクの浮竹はなんでもこなすからねぇ』

「では、帰る。行き来が面倒なので、桜の世界を通って帰る。京楽、異界に入るから、迷子にならないように手を繋ぐぞ」

「うん」

京楽は、うれしそうに返事をする。

二人は、手をつないで、浮竹が出した異界のゲートを通って帰ってしまった。

異界を通ると、長距離でも知って居る場所なら、すぐに到着する。

ただ、異界は不安定なので、安定している時しか利用できなかった。

京楽は、異界で桜を見ていた。

樹齢数千年はあるだろうという、桜だった。

「これが、俺の本体だ」

「へぇ。これが、浮竹そのもの・・・・・」

「人の世界では伐採されるから、異界で生きてる。で、あやかしの俺は人間界にいるわけだ。異界にある限り、人の手で伐採されることはないからな。それに、俺の許可がないと、この桜の世界には出入りできない。白哉には許可しているが」

「白哉君は、浮竹の本体から株分けされた桜なんだっけ」

「そうだぞ。弟のようなものだ」

「浮竹の桜、綺麗だね。浮竹そのものってかんじがするよ」

浮竹と京楽は、桜の世界で口づけて、手を繋いで3億のマンションに戻る。

「以外と早かったな」

異界から出ると、白哉がいた。

「ああ、桜の世界を通っていったからな」

「異界を通ったのか。浮竹、兄はいいが、京楽は慣れていないので迷い人になる可能性があるから、手をつなぐなりするべきだぞ」

「手を繋いで帰ってきたよ」

「それなら、問題はないな」

「少し早いが、夕食の準備をするか。京楽、白哉、何が食べたい?」

「カレー」

「オムライス」

「簡単だし、両方作るか」

そう言って、浮竹はキッチンに消えていくのであった。





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桜のあやかしと共に14

「十四郎」

「ん・・・なんだ、こんな早朝に」

「桔梗の王がきてるよ」

「なんだって!」

浮竹は、起き上がって顔を洗い、身支度を整えて、桔梗の王である卯ノ花烈と会った。

「この前は、どうもありがとうございました。おかげで病は癒え、秋を花の世界に知らせられます」

「いや、穢れが原因だからな。長老神のせいだろうが、彼が何を考えているのかわからない」

「それは私にもわかりません。今回はその件ではなく、ある少年と会ってほしいのです」

卯ノ花は、真剣な表情で、浮竹を見る。

「少年?」

「名は黒崎一護。太陽の花、たんぽぽのあやかしです。ネモフィラ畑に場違いで咲いていて、こちらにおられる朽木白哉さんの妹さんの朽木ルキアさんが見つけられました。たんぽぽのあやかしは太陽の王。植物のあやかし全ての上を行く者・・・・・・」

「長老神より上の、太陽の王だって!?」

浮竹は驚いた。

たんぽぽはただの雑草で珍しくないが、それゆえにあやかしが生まれることがない。

ここ5千年、浮竹は太陽の王を見たことがなかった。

「それが本当なら、ぜひ会いたい」

「すでに、隣の部屋で待機してもらっています」

「会おう。京楽も、白哉もこい」

「うん」

「分かった」

隣の部屋に、浮竹、京楽、白哉、卯ノ花が集まった。

「あの、なんすか。いきなりついて来いって言われてついてきたら、こんな高そうなマンションに入って・・・俺、なんなんだ?植物のあやかしっていうのは理解してるけど、たんぽぽのあやかしだって言ったら、ルキアが仰天してた」

「あなたは、太陽の王です」

卯ノ花がが言った。

「太陽の王?なんだそれ」

「あやかしには、4大長老が存在する。俺の春の桜の王、市丸ギンの夏の朝顔の王、ここいる卯ノ花さんの秋の桔梗の王、そして日番谷冬獅郎という冬の椿の王」

浮竹が、一護に説明する。

「その上に、長老神がいる。だが、太陽の王はその長老神より上の存在だ。6千年前にいた太陽の王はオレンジの髪をしていたという。その髪が、太陽の王の証だろう」

「はぁ・・・・・・」

浮竹は、まだわかっていない一護に、さらに説明する。

「太陽の王は、植物のあやかしの頂点だ。つまり、君はとっても偉い存在ってことだ」

「はぁ。そういわれても、実感わきません。ネモフィラ畑に帰っていいっすか?ルキアに会いたい」

一護は、囲まれて居づらそうにしていた。

「兄は、ルキアと良い仲なのか?」

「ん?あー、なんか俺をみつけてくれていろいろ世話してくれるから、かわいいし、好きかな」

一護は、ルキアのことを思う。

「兄が太陽の王であるのならば、ルキアにとっても悪いことではない。妹を頼む」

「え、あんたルキアのお兄さん!?」

「ああ、そうだ」

「全然似てない・・・・・・」

「ルキアとは、契約で家族になったので、血は繋がっていない」

「そうなんすか」

一護は、納得したようだった。

一護がトイレに行きたいというので、とりあえず部屋から出す。

「太陽の王だ・・・・・これからどうする?」

浮竹が言うと、京楽が口を開いた。

「放置するわけにもいかず、かといって長老神がいるのに崇めるわけにもいかず・・・とりあえず、元のネモフィラ畑に隠しとけばいいんじゃない?」

「そうだな。長老神に見つかるのが一番厄介だ。元のネモフィラ畑で、雑草としていてもらおう」

浮竹の言葉に、皆頷いた。

ちょうど、一護が帰ってくる。

「黒崎一護さん。あなたの太陽の王のことは内密に。今まで通り、ただの雑草のあやかしとして生きてください」

卯ノ花の言葉に、一護が首を傾げる。

「いや、ルキアくらいしか知ってないし・・・・・」

「そのまま。他言無用でお願いします」

「あー、なんかいろいろごちゃごちゃして分かりにくいけど、俺ってアホみたいに偉くて、長老神とやらにばれたらまずいってことでいいんすね?」

「そうだな」

「そうだね」

「兄は、植物のあやかしのTOPだ」

「白哉さんのいう通りです」

4人に言われて、一護はオレンジの髪をつまんだ。

「この髪が、太陽の王の証なんだろ?染めたほうがいいかな?」

「いや、逆に染めていると思われるのでそのままでいい」

浮竹がそう言うと、一護は頷いた。

「俺、この髪の色すきだし・・・・ルキアが、太陽みたいだっていって、笑ってくれた」

一護とルキアは、実は付き合いはじめていた。

「白哉だっけ・・・ルキアのお兄さん。ルキアと、正式に付き合うの、認めてくれねーか」

「ルキアが望むのであれば、私が兄に言うことは、ルキアを頼む・・・・これくらいだ」

「おう、任せてくれ。絶対、幸せにしてみせるから」

こうして、太陽の王、黒崎一護はその存在を隠され、ルキアのいるネモフィラ畑に雑草として咲いていた。


「長老神に、ばれなければいいが・・・・」

「十四郎、ばれても長老神より太陽の王のほうが力はだんとつに上だから、安心しなよ」

「そうだな。悩んでも仕方ない」

こうして、太陽の王は実に6千年ぶりに世界に顕現するのであった。



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梅の花

「そろそろ、梅の花が咲く時期ですね」

「ああ、そうだな」

朽木邸の中庭に繋がる縁側で、恋次は茶菓子に出されたわかめ大使を食べながら、白哉を見た。

白哉は、咲き始めた梅の花を、懐かしそうに見ていた。

「緋真は、梅の花が好きで・・・・緋真のために、中庭に梅を木を植えたのだ」

「そうっすか」

今は亡き、妻を白哉は懐かしそうに空を見上げた。

「梅の花が咲くたびに、緋真を思い出す」

「今は、俺のことも考えてくださいよ?」

「わかっている」

白哉は、子供のようにすねる恋次の口に、わかめ大使をつめこむ。

「もがががが」

「私は、今は貴様を愛している」

「隊長・・・・・・」

恋次が抱きついてきた。

それを許してしまうあたり、恋次を愛してしまった故か。

「兄様、恋次が来ていると聞きましたが・・::」

ルキアの声が聞こえると、白哉は恋次を庭に転がした。

「恋次?貴様、そのような場所で、何をしておるのだ」

「いや、隊長、いくらなんでもひどいっす」

「うるさい」

白哉は、何もなかったかのように玉露のお茶を飲む。

「恋次は、この庭の土が好きだそうだ」

「そうなのか、恋次!この朽木家の庭師は手がよくてだな・・・・・」

ルキアの話をえんえんと恋次は聞かされる。

ルキアが満足して去っていった頃には、夕刻になっていた。

「ひどいっす、隊長」

「そうすねるな。何もしないのであれば、同じ褥で寝てやる」

「せめて、キスとハグくらいはさせてください」

「仕方ない・・・・・・・」

白哉は、恋次に大分甘くなっていた。

雪解け水のように、凍っていた白哉の心を、恋次が溶かしてしまった。

「緋真のことは永遠に忘れないし、今も愛している。でも、私は今は恋次、お前のほうをもっと愛してしまっているのだ」

「鼻血でてきた・・・・」

「貴様・・・」

「す、すんません。でも、鼻血でるくらいうれしいです」

「ふっ・・・今日は泊まっていくのであろう」

「そのつもりです」

付き合いはじめて、恋次が白哉のところに泊まっていく回数が増えた、

1週間に一度ほど、別の屋敷で会い、逢瀬をしているが。

白哉の近くに、恋次はいるようになっていた。

「私も、甘くなったものだな・・・・・・」

「なんか言いました?」

わかめ大使を食べながら、恋次が聞いてくる。

「いや、なんでもない」

緋真。

そなだだけを永遠に愛すると言って死別してしまったのに、裏切ってしまいすまない。

だが、私には今は恋次が必要なのだ。

どうか、許してほしい。、

緋真。

愚かな私を、許してくれ。


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