恋次がワン
白哉は、涅マユリが残していった、飲めば犬化するという薬をじっと見ていた。
以前、夜一に猫になる薬を酒に混ぜられて、恋次に盛られて大変な目に合ったのを覚えているので、さてどう処分しようかと困っていた。
とりあえず、お茶に入れてみた。
恋次が飲むかなと思って。
そう思っていると、恋次が部下たちの剣術の指導を終えて、執務室まで戻ってきた。
9月も終わりにさしかかっているとはいえ、まだ昼は暑く、動けば余計に暑い。
「お、お茶だ。もらいますいね」
「あ、恋次、それには」
「ん?」
恋次は、ボフンと音をたてて変身した。
「ぎゃああああ、なんじゃこりゃあああああああ」
「ぶっ」
恋次の頭に犬耳がつき、尻には犬の尻尾ができた。
犬種にすると、柴犬といったところだろうか。
白哉は、恋次のその姿がツボに入ったのか、一度吹き出した後、声もなく笑っていた。
「たいちょおおおおお」
犬の耳がピンと立ち、尻尾がぶんぶん揺れる。
「涅隊長の作った変な薬、お茶に混ぜましたね?」
「兄には犬がお似合いだと思ってな」
「なにおう?」
恋次は、少し怒ったようであったが、尻尾は嬉しそうにばっさばっさと振られっぱなしであった。
「ドッグフードでも食うか?」
「いりません」
犬耳がへにゃりとなる。
「ほら、とってこい」
「わんっ」
白哉が丸めた布を中庭に投げると、恋次は口でくわえてそれを取ってきた。
「‥‥‥くくくく」
白哉は、腹が痛いとばかりに笑い、空気を求めて口を開く。
「ひゃっ」
恋次が、ぺろぺろと舐めてきたのだ。
「れ、恋次?」
「ワン!」
恋次は、思考まで犬化したようで、白哉を押し倒して顔を舐める。
「んっ、やめよ」
「くぅ~ん」
ぼふんと音を立てて、恋次は完璧な柴犬になっていた。衣服ごと変身したらしく、死覇装はなかった。
白哉は、清家を呼んで、犬の服とリードを届けてもらった。
犬の服を恋次に着せて、リードを恋次に装着して、白哉は6番隊から外に出て、散歩をはじめた。
「わん、わん!」
「恋次」
「わん」
やがて時間が経ち、恋次が犬耳尻尾がある状態まで戻る。
「ぬおおお、苦しい!」
リードと服にしめつけられて、恋次はそれを逞しい体躯のせいでぶちぶちとちぎってしまった。
「ちょっと、隊長!」
「のほうが」
「え?」
「柴犬でいたほうが、かわいかったのに」
その声に、恋次がガーンとショックを受ける。
犬耳をペタンとして、尻尾もへにゃりとなる。
「犬になった兄は、嫌いではない」
「隊長!」
恋次が犬の尻尾をばっさばっさと振って、白哉を抱きしめる。
「言っておくが、させないからな」
恋次に釘をさす。
恋次犬耳と尻尾がへにゃりとなる。
「キスとハグまでなら、許す」
「ワン!」
恋次は、本当によく犬が似合っていると白哉は思った。
常日頃から、駄犬だと思っていた。
だが、柴犬だったとは。
駄犬にしては、かわいい犬種ではないかと思うのだった。
以前、夜一に猫になる薬を酒に混ぜられて、恋次に盛られて大変な目に合ったのを覚えているので、さてどう処分しようかと困っていた。
とりあえず、お茶に入れてみた。
恋次が飲むかなと思って。
そう思っていると、恋次が部下たちの剣術の指導を終えて、執務室まで戻ってきた。
9月も終わりにさしかかっているとはいえ、まだ昼は暑く、動けば余計に暑い。
「お、お茶だ。もらいますいね」
「あ、恋次、それには」
「ん?」
恋次は、ボフンと音をたてて変身した。
「ぎゃああああ、なんじゃこりゃあああああああ」
「ぶっ」
恋次の頭に犬耳がつき、尻には犬の尻尾ができた。
犬種にすると、柴犬といったところだろうか。
白哉は、恋次のその姿がツボに入ったのか、一度吹き出した後、声もなく笑っていた。
「たいちょおおおおお」
犬の耳がピンと立ち、尻尾がぶんぶん揺れる。
「涅隊長の作った変な薬、お茶に混ぜましたね?」
「兄には犬がお似合いだと思ってな」
「なにおう?」
恋次は、少し怒ったようであったが、尻尾は嬉しそうにばっさばっさと振られっぱなしであった。
「ドッグフードでも食うか?」
「いりません」
犬耳がへにゃりとなる。
「ほら、とってこい」
「わんっ」
白哉が丸めた布を中庭に投げると、恋次は口でくわえてそれを取ってきた。
「‥‥‥くくくく」
白哉は、腹が痛いとばかりに笑い、空気を求めて口を開く。
「ひゃっ」
恋次が、ぺろぺろと舐めてきたのだ。
「れ、恋次?」
「ワン!」
恋次は、思考まで犬化したようで、白哉を押し倒して顔を舐める。
「んっ、やめよ」
「くぅ~ん」
ぼふんと音を立てて、恋次は完璧な柴犬になっていた。衣服ごと変身したらしく、死覇装はなかった。
白哉は、清家を呼んで、犬の服とリードを届けてもらった。
犬の服を恋次に着せて、リードを恋次に装着して、白哉は6番隊から外に出て、散歩をはじめた。
「わん、わん!」
「恋次」
「わん」
やがて時間が経ち、恋次が犬耳尻尾がある状態まで戻る。
「ぬおおお、苦しい!」
リードと服にしめつけられて、恋次はそれを逞しい体躯のせいでぶちぶちとちぎってしまった。
「ちょっと、隊長!」
「のほうが」
「え?」
「柴犬でいたほうが、かわいかったのに」
その声に、恋次がガーンとショックを受ける。
犬耳をペタンとして、尻尾もへにゃりとなる。
「犬になった兄は、嫌いではない」
「隊長!」
恋次が犬の尻尾をばっさばっさと振って、白哉を抱きしめる。
「言っておくが、させないからな」
恋次に釘をさす。
恋次犬耳と尻尾がへにゃりとなる。
「キスとハグまでなら、許す」
「ワン!」
恋次は、本当によく犬が似合っていると白哉は思った。
常日頃から、駄犬だと思っていた。
だが、柴犬だったとは。
駄犬にしては、かわいい犬種ではないかと思うのだった。
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奴隷の歌姫と義賊の王太子
朽木ルキアは、奴隷の歌姫だった。
でっぷりと肥えた主である商人のために今日も歌い、そして犯された。
ルキアには、奴隷の証であり主のお気に入りの証である純金の首輪をはめられており、鎖も純金だった。
主の商人は、ルキアを寵愛していたが、ある日国王に税を納めていないのが発覚して、処刑されてしまった。
ルキアは、商人の財の一部として、国王のものになった。
リリア王国の国王は黒崎一心といって、民に信頼されていてよい国王だった。
しかし、ルキアは奴隷の身分のせいで国王に謁見も叶わず、奴隷として売られていった。
売られた先は、黒崎一心に仕える貴族の男だった。
ルキアは純金の首輪と鎖をつけたまま、その貴族の男のものになった。寵愛された。そういえば聞こえはいいが、前の主と同じで、無理やり歌わされて犯された。
「もう、死にたい‥‥」
ルキアは涙を流し、川に身投げをしようとしていた。
「この鎖、純金ですぜ頭!」
「あの貴族の男のとこの奴隷ですね、頭」
「あいつの奴隷か。つまりは財産の一部ってことだな」
そう言って、オレンジの髪の少年がルキアを抱きあげた。
「え、あ?」
頭と呼ばれた少年は、リリア王国でも義賊と名高い疾風の風の盗賊団の首領であった。
散々財産を貯めこんだ、ルキアの主を殺すことはせずに、その財を生きる分は残してあとは根こそぎもっていった。
そして、貧しい民に財を分け与えた。
「お前、名前は?」
「朽木ルキア。歌いましょうか?それとも、私の体を抱きますか?」
「お前はもう自由だ。どこへなりとも、行くがいい」
「私は生まれた時から奴隷です」
「口調も、普通でいい。行き場所がないなら、俺の元に来い」
ルキアは、その少年の名を聞いた。
「名は?」
「黒崎一護」
「黒崎‥‥‥まさか、この国の王子?」
ルキアは、身震いした。
王子相手に、無礼な真似をしなかったかだろうと。
一護は、ルキアを抱き寄せた。それから、口づける。その後、純金の首輪と鎖にキスすると、ルキアを戒めていた首輪と鎖がとれた。
「これしか、解呪の方法が分からなかった。いきなりキスしてごめんな」
「私の主は、貴様だ」
「だから、お前はもう奴隷じゃない」
「しかし、私には行き場所がない。貴様の元にいていいのか?」
「いいぜ。ルキアだったな。俺のものになる気はあるか?」
「私は、生まれた時から奴隷だった。ある程度成長したら、客をとらされたり、主から犯された。何度も何度も。それでも、私を貴様のものにすると?」
一護は、ぎゅっとルキアの細すぎる肢体を抱きしめた。
「辛い思いを、ずっとしてきたんだな」
じんわりと広がっていく優しい温もりに。忘れていたはずの涙が溢れてきた。
「あああああ!!!!」
ルキアは、一護にしがみ付いて大声で泣いた。
泣くのは、本当に久しぶりだった。
ルキアに、一護は付き人を二人つけた。珍しい黒猫と白猫の亜人で、名を京楽春水と浮竹十四郎といった。
「大丈夫かい、ルキアちゃん」
京楽は隻眼で、右目に眼帯をしていた。
「大丈夫か?」
浮竹は見目麗しく、京楽と一緒に奴隷として売られて、流れに流れて一護の元にきて、従者をしているのだという。
「大丈夫です、京楽殿、浮竹殿。わざわざすみません」
京楽と浮竹は、来たばかりのルキアの世話をしてくれた。
「落ち着いたか?」
檸檬水をもらい、ルキアは一護にこくりと頷いた。
「じゃあ、今日から仕事してもらう」
「客をとればいいのか?」
「バカ、そんなことさせねぇよ。歌姫なんだろ?俺たちの酒場で歌を歌ってもらうだけだ」
「一護の酒場?」
「ああ、そうだ」
一護は、浮竹と京楽に頼んで、ルキアを風呂に入れて、真っ白な肌を際立たせるようなワインレッドのドレスを着せた。
着せるのは、浮竹がしてくれた。風呂にいれるのも信頼の厚い浮竹と京楽に任されて、隅々まで磨かれ、長すぎる黒髪はシャンプーで洗い、リンスとトリートメントでケアした後、肩の高さあたりで整えられた。
「お、綺麗になったな。見違えた」
「こ、こんな高価なドレスと宝石‥‥」
「もう、それらはお前のものだ。いらなくなったら、好きに処分するといい」
「しかし」
浮竹が苦笑する。
「受け取っておけ」
「受け取りなよ。一護君の言葉を聞くべきだよ」
京楽がそう言うが、ルキアは逡巡していた。
「ああもう、仕方ねぇなぁ」
一護は、ルキアを抱き寄せてキスをした。
「んっ」
「お前は、俺のものだ。俺が与えるものはお前のものだ。俺の命令を聞いて、生きろ」
「分かった」
ルキアは頷いた。
「じゃあ、歌声を披露してくれ」
酒場には、盗賊の主だった者たちが集まっていた。娼婦を買って、侍らしている男たちもいた。
「らららら~~~」
ルキアが歌い出すと、ざわついていた酒場が静かになった。
中には、涙を流している男たちもいた。
ふわりと、空から光が降ってくる。
「歌声を介した魔法か‥‥」
ルキアは歌った。たくさん歌った。歌い終わると、多くの拍手が送られた。
ルキアは、目をぱちくりしていた。
「ルキア、お前には魔法の素質がある。魔法士になれる。魔法を習ってみないか。俺たち疾風の風には魔法士がいない。特にルキア、お前の魔法の属性は光だ。光の魔法は他者を癒すことができる」
「一護がそう言うなら、魔法士になる」
ルキアは、酒場で歌う以外の起きてる時間を、ほぼ魔法の使い方や修行に費やした。
2カ月が経つ頃には、光魔法で他人を癒せるようにまでなっていた。
ある日、一護と昼食をとっているとき、ルキアが急に苦しみだした。
「ルキアちゃん?」
京楽が、ルキアを抱き上げる。
浮竹が、ルキアの飲んでいたワインを口に含み、吐き出した。
「毒だ!」
わっと、場が騒がしくなった。
黒崎家の、リリア王国の王族の血を引いているのは一護だけではばないが、王位継承権第一位の一護の命を狙う者は多い。
一護は、京楽からルキアの体を預かると、その場に広げられた布の上に寝かせた。
「ルキア、吐き出せるか?おい、町から医者を呼んでこい」
「だい、じょう、ぶ。自分で、解毒できる‥‥‥」
ルキアは、得意の光魔法で自分の中の毒を中和してしまった。
「一護も、同じ毒をとっている。魔法で、癒す‥‥」
「いいんだよ、俺は。毒に対して耐性もってるからな。今すぐ、毒を入れた犯人を見つけ出せ」
一護の命令で、盗賊たちはまず料理人に聞いて、毒をいれたとされる男を捕まえた。
一護と共に、この国を変えようと一緒に盗賊団を築き上げた、貴族の青年だった。
「お前の仕業か」
「そうだ。殺すか?お前を殺せば、一心は俺を王位につけてくれると約束した」
「は、ばかじゃねぇの。親父には、二人の娘が‥‥‥俺にとっては妹がいる。そいつらのどっちかが、王家を継ぐに決まってるじゃねぇか。そもそも、お前みたいな男と親父は会ったりしないし、暗殺しようなんて絶対にしない」
「な、俺は騙されたのか?」
「そうみたいだな。でも、自業自得だ。お前のせいでルキアが死にかけた。恨むなら、自分を恨むんだな」
一護は、剣で男の首を切り落とした。
「この男の友人たちを集めろ!」
「ひいい、王子、どうかお助けを」
「王子、俺は悪くありません」
命乞いをする男たちを、一護は殺さずに奴隷に落として売ることにした。
「ほら立って。さっさと歩いて」
「さっさといけ。奴隷市に間に合わなくなる」
京楽と浮竹は、捕まえた男たちをまとめて奴隷市に引っ張っていく。
「一護、私が裏切れば、私もあの男たちのように?」
「お前は、俺を裏切らないだろ?おい、太もも血が流れてる!どうしたんだ!」
「あ、分からない」
一護の従者の女性が、状態を見て医者を呼んでくれた。
「流産だそうだ。身籠っていたらしい」
「むしろ、流れてくれてすっきりした。あの、前の主の子など、産みたくない」
そう言いながらも、ルキアは涙を流していた。
他の男の手で汚されいる証を見せつけてしまったようなものだった。
それから2日が経つが、ルキアは与えられた自室に引きこもっていた。
戻ってきていた京楽と浮竹に、一護は事情を伝えてルキアを慰めてくれるように言った。
「一護君、ルキアちゃんをちょっと外に出しても大丈夫かい?」
「ああ、別に構わないが」
「部屋の中にこもってばっかりだから、気分が滅入るんだよね。ほら、浮竹も一緒に行くから、ボクたちと一緒に外の市場にでも出かけよう。食べ歩きとかもいいかもね」
「京楽、あんまり無理をさせるなよ。子を流してまだ日が浅いんだから」
「分かってるよ」
「京楽殿は、浮竹殿と仲がいいんですね」
「ああ、俺たちは幼馴染だし、一緒に捕まって奴隷にされて売られる時もいつも一緒だったからな」
「浮竹は見目がいいから、男娼にされかけたこともあって、ボクが主の足をかみちぎって止めたんだよね。そのせいで、この右目を失ったけど、安いものさ」
笑い合う二人の関係は不思議だった。親友以上、恋人未満のようであった。
「ほら、ここの串焼きおいしいんだよ。買ってみる?」
ルキアは、自分の意思で買い物をしたことがない。
奴隷だったので、全部与えられてきた。
一護からもらった財布から銅貨を6枚だして、店の主人に渡して、3本串焼きを買った。
「京楽殿と浮竹殿の分を」
「お、気を利かせちゃったみたいでごめんね」
「朽木、俺たちのことは気にする必要はないぞ」
ルキアは、生まれて初めて自由の身分で見る市場を楽しんだ。
少し高かったが、一護の髪と同じオレンジ色をした宝石をあしらったブレスレットを2つ買う。
「これ、一護に贈ったら受け取ってくれるだろうか」
「受け取るよ。一護君、ルキアちゃんのこと気に入ってるみたいだから」
「朽木、当たって砕けろだ」
「ちょっと浮竹、砕けちゃだめでしょ」
「それもそうか」
ルキアは、笑い声を自然とあげていた。
酒場に戻ると、一護の元に向かい、お揃いのブレスレットだと買ってきた片方を渡すと、一護は頬を少し赤くしながらそれを受け取ってつけてくれた。
それから半年が過ぎた。
一護は、ルキアを未来の妻にすると言ってきかなかった。
「ルキア、好きだ。愛している」
「でも、一護、私は処女ではない。どこぞの貴族の子を身籠ったこともある元奴隷だ」
「関係ない。愛してる」
一護は、ルキアを抱きしめる。
ルキアは、おずおずと一護の背に手を回した。
そのまま、口づけをした。
「らららら~~~~~~」
その日も、ルキアは歌声を披露していた。
すると、王国の騎士団がやってきた。
「疾風の風の面子だな!盗賊として皆捕らえる!反抗する者は、切り捨てる!」
ルキアに、好色そうな騎士の手が伸びてくる。
それを、一護が阻んだ。
「こいつは俺のものだ。俺は黒崎一護。この国の王の黒崎一心の実の息子にして、王太子だ」
「な、一護様!?何故、盗賊団などに?」
「それはこの国が腐っているからだ。貴族王族だけが財を蓄え、平民の中には貧しい者も多い。挙句の果てにはスラム街の住民は税を払っていないと、疫病がはやっても助けの手ひとつよこさない」
一護は、王族の、王太子の顔をしていた。
「そこをどけ。親父に直談判する。仲間に手を出すのは許さねぇ」
一護は、ルキアと京楽と浮竹を伴って、王宮に出向いた。
「おい、くそ親父!」
「なんだ、バカ息子!」
「あんたの統治の仕方じゃあ、貧富の差がですぎる。王の座をよこせとは言わねぇ。ただ、祭事(まつりごと)には俺も口出しする」
「小童が」
「なんとでも言いやがれ。あと、妃を連れてきた。歌姫のルキアだ」
一心は、目を見開く。
どんなに妻を娶れといっても一向に興味を見せず、女はだめなのかと思っていたが、そうでもなかったらしい。
「い、一護!私は、汚れている。貴様の妃になどなれるはずがない」
「黙ってろ。それを決めるのは俺だ」
「ルキアちゃん、王太子の妃だよ。未来の国母さ」
「京楽、茶化すな」
「わ、私が国母?」
ルキアはめまいを感じて、倒れてしまった。
「おい、ルキア!」
「ルキアちゃん!?」
「朽木!?」
みんなの声が、段々遠くなっていく。
次にルキアが目覚めた時、そこは王宮の後宮であった。
「私は?」
「ああ、ルキアちゃん気づいたのかい」
「京楽殿?浮竹殿も‥‥‥ここは後宮なのでは?男性の出入りができるのですか?」
「ああ、俺たちは奴隷にされた時に、幼い頃にいらぬと去勢をされている」
「ボクは浮竹より去勢されるのが遅かったから、男らしい体つきになれたけど、浮竹は早くに去勢されたから、見た通り男にしておくにはもったいない美人さんでしょ」
「京楽、だから茶化すな」
「はいはい」
そこへ、一護がやってきた。
「疾風の風は解体した。主だった者は、俺の傘下に入った。ルキアが眠っている間に王位継承の儀を終わらせた。ルキア、お前は今は黒崎ルキア。俺の正妃だ。後宮はあるが、寵姫はおかない。妾も作らない。俺の伴侶は、ルキア、お前だけだ」
ルキアの目に、涙が浮かぶ。
「一護‥‥‥好き、だ」
「ああ、俺も好きだ。愛している」
それは、一人の奴隷の歌姫と、義賊を率いていた王太子の物語。
二人は、子を3人なして、国を民主主義に変えて、国の象徴として王族を残した。
やがて、リリア共和国と呼ばれ、その国にはもう王族も貴族もいないのだった。
でっぷりと肥えた主である商人のために今日も歌い、そして犯された。
ルキアには、奴隷の証であり主のお気に入りの証である純金の首輪をはめられており、鎖も純金だった。
主の商人は、ルキアを寵愛していたが、ある日国王に税を納めていないのが発覚して、処刑されてしまった。
ルキアは、商人の財の一部として、国王のものになった。
リリア王国の国王は黒崎一心といって、民に信頼されていてよい国王だった。
しかし、ルキアは奴隷の身分のせいで国王に謁見も叶わず、奴隷として売られていった。
売られた先は、黒崎一心に仕える貴族の男だった。
ルキアは純金の首輪と鎖をつけたまま、その貴族の男のものになった。寵愛された。そういえば聞こえはいいが、前の主と同じで、無理やり歌わされて犯された。
「もう、死にたい‥‥」
ルキアは涙を流し、川に身投げをしようとしていた。
「この鎖、純金ですぜ頭!」
「あの貴族の男のとこの奴隷ですね、頭」
「あいつの奴隷か。つまりは財産の一部ってことだな」
そう言って、オレンジの髪の少年がルキアを抱きあげた。
「え、あ?」
頭と呼ばれた少年は、リリア王国でも義賊と名高い疾風の風の盗賊団の首領であった。
散々財産を貯めこんだ、ルキアの主を殺すことはせずに、その財を生きる分は残してあとは根こそぎもっていった。
そして、貧しい民に財を分け与えた。
「お前、名前は?」
「朽木ルキア。歌いましょうか?それとも、私の体を抱きますか?」
「お前はもう自由だ。どこへなりとも、行くがいい」
「私は生まれた時から奴隷です」
「口調も、普通でいい。行き場所がないなら、俺の元に来い」
ルキアは、その少年の名を聞いた。
「名は?」
「黒崎一護」
「黒崎‥‥‥まさか、この国の王子?」
ルキアは、身震いした。
王子相手に、無礼な真似をしなかったかだろうと。
一護は、ルキアを抱き寄せた。それから、口づける。その後、純金の首輪と鎖にキスすると、ルキアを戒めていた首輪と鎖がとれた。
「これしか、解呪の方法が分からなかった。いきなりキスしてごめんな」
「私の主は、貴様だ」
「だから、お前はもう奴隷じゃない」
「しかし、私には行き場所がない。貴様の元にいていいのか?」
「いいぜ。ルキアだったな。俺のものになる気はあるか?」
「私は、生まれた時から奴隷だった。ある程度成長したら、客をとらされたり、主から犯された。何度も何度も。それでも、私を貴様のものにすると?」
一護は、ぎゅっとルキアの細すぎる肢体を抱きしめた。
「辛い思いを、ずっとしてきたんだな」
じんわりと広がっていく優しい温もりに。忘れていたはずの涙が溢れてきた。
「あああああ!!!!」
ルキアは、一護にしがみ付いて大声で泣いた。
泣くのは、本当に久しぶりだった。
ルキアに、一護は付き人を二人つけた。珍しい黒猫と白猫の亜人で、名を京楽春水と浮竹十四郎といった。
「大丈夫かい、ルキアちゃん」
京楽は隻眼で、右目に眼帯をしていた。
「大丈夫か?」
浮竹は見目麗しく、京楽と一緒に奴隷として売られて、流れに流れて一護の元にきて、従者をしているのだという。
「大丈夫です、京楽殿、浮竹殿。わざわざすみません」
京楽と浮竹は、来たばかりのルキアの世話をしてくれた。
「落ち着いたか?」
檸檬水をもらい、ルキアは一護にこくりと頷いた。
「じゃあ、今日から仕事してもらう」
「客をとればいいのか?」
「バカ、そんなことさせねぇよ。歌姫なんだろ?俺たちの酒場で歌を歌ってもらうだけだ」
「一護の酒場?」
「ああ、そうだ」
一護は、浮竹と京楽に頼んで、ルキアを風呂に入れて、真っ白な肌を際立たせるようなワインレッドのドレスを着せた。
着せるのは、浮竹がしてくれた。風呂にいれるのも信頼の厚い浮竹と京楽に任されて、隅々まで磨かれ、長すぎる黒髪はシャンプーで洗い、リンスとトリートメントでケアした後、肩の高さあたりで整えられた。
「お、綺麗になったな。見違えた」
「こ、こんな高価なドレスと宝石‥‥」
「もう、それらはお前のものだ。いらなくなったら、好きに処分するといい」
「しかし」
浮竹が苦笑する。
「受け取っておけ」
「受け取りなよ。一護君の言葉を聞くべきだよ」
京楽がそう言うが、ルキアは逡巡していた。
「ああもう、仕方ねぇなぁ」
一護は、ルキアを抱き寄せてキスをした。
「んっ」
「お前は、俺のものだ。俺が与えるものはお前のものだ。俺の命令を聞いて、生きろ」
「分かった」
ルキアは頷いた。
「じゃあ、歌声を披露してくれ」
酒場には、盗賊の主だった者たちが集まっていた。娼婦を買って、侍らしている男たちもいた。
「らららら~~~」
ルキアが歌い出すと、ざわついていた酒場が静かになった。
中には、涙を流している男たちもいた。
ふわりと、空から光が降ってくる。
「歌声を介した魔法か‥‥」
ルキアは歌った。たくさん歌った。歌い終わると、多くの拍手が送られた。
ルキアは、目をぱちくりしていた。
「ルキア、お前には魔法の素質がある。魔法士になれる。魔法を習ってみないか。俺たち疾風の風には魔法士がいない。特にルキア、お前の魔法の属性は光だ。光の魔法は他者を癒すことができる」
「一護がそう言うなら、魔法士になる」
ルキアは、酒場で歌う以外の起きてる時間を、ほぼ魔法の使い方や修行に費やした。
2カ月が経つ頃には、光魔法で他人を癒せるようにまでなっていた。
ある日、一護と昼食をとっているとき、ルキアが急に苦しみだした。
「ルキアちゃん?」
京楽が、ルキアを抱き上げる。
浮竹が、ルキアの飲んでいたワインを口に含み、吐き出した。
「毒だ!」
わっと、場が騒がしくなった。
黒崎家の、リリア王国の王族の血を引いているのは一護だけではばないが、王位継承権第一位の一護の命を狙う者は多い。
一護は、京楽からルキアの体を預かると、その場に広げられた布の上に寝かせた。
「ルキア、吐き出せるか?おい、町から医者を呼んでこい」
「だい、じょう、ぶ。自分で、解毒できる‥‥‥」
ルキアは、得意の光魔法で自分の中の毒を中和してしまった。
「一護も、同じ毒をとっている。魔法で、癒す‥‥」
「いいんだよ、俺は。毒に対して耐性もってるからな。今すぐ、毒を入れた犯人を見つけ出せ」
一護の命令で、盗賊たちはまず料理人に聞いて、毒をいれたとされる男を捕まえた。
一護と共に、この国を変えようと一緒に盗賊団を築き上げた、貴族の青年だった。
「お前の仕業か」
「そうだ。殺すか?お前を殺せば、一心は俺を王位につけてくれると約束した」
「は、ばかじゃねぇの。親父には、二人の娘が‥‥‥俺にとっては妹がいる。そいつらのどっちかが、王家を継ぐに決まってるじゃねぇか。そもそも、お前みたいな男と親父は会ったりしないし、暗殺しようなんて絶対にしない」
「な、俺は騙されたのか?」
「そうみたいだな。でも、自業自得だ。お前のせいでルキアが死にかけた。恨むなら、自分を恨むんだな」
一護は、剣で男の首を切り落とした。
「この男の友人たちを集めろ!」
「ひいい、王子、どうかお助けを」
「王子、俺は悪くありません」
命乞いをする男たちを、一護は殺さずに奴隷に落として売ることにした。
「ほら立って。さっさと歩いて」
「さっさといけ。奴隷市に間に合わなくなる」
京楽と浮竹は、捕まえた男たちをまとめて奴隷市に引っ張っていく。
「一護、私が裏切れば、私もあの男たちのように?」
「お前は、俺を裏切らないだろ?おい、太もも血が流れてる!どうしたんだ!」
「あ、分からない」
一護の従者の女性が、状態を見て医者を呼んでくれた。
「流産だそうだ。身籠っていたらしい」
「むしろ、流れてくれてすっきりした。あの、前の主の子など、産みたくない」
そう言いながらも、ルキアは涙を流していた。
他の男の手で汚されいる証を見せつけてしまったようなものだった。
それから2日が経つが、ルキアは与えられた自室に引きこもっていた。
戻ってきていた京楽と浮竹に、一護は事情を伝えてルキアを慰めてくれるように言った。
「一護君、ルキアちゃんをちょっと外に出しても大丈夫かい?」
「ああ、別に構わないが」
「部屋の中にこもってばっかりだから、気分が滅入るんだよね。ほら、浮竹も一緒に行くから、ボクたちと一緒に外の市場にでも出かけよう。食べ歩きとかもいいかもね」
「京楽、あんまり無理をさせるなよ。子を流してまだ日が浅いんだから」
「分かってるよ」
「京楽殿は、浮竹殿と仲がいいんですね」
「ああ、俺たちは幼馴染だし、一緒に捕まって奴隷にされて売られる時もいつも一緒だったからな」
「浮竹は見目がいいから、男娼にされかけたこともあって、ボクが主の足をかみちぎって止めたんだよね。そのせいで、この右目を失ったけど、安いものさ」
笑い合う二人の関係は不思議だった。親友以上、恋人未満のようであった。
「ほら、ここの串焼きおいしいんだよ。買ってみる?」
ルキアは、自分の意思で買い物をしたことがない。
奴隷だったので、全部与えられてきた。
一護からもらった財布から銅貨を6枚だして、店の主人に渡して、3本串焼きを買った。
「京楽殿と浮竹殿の分を」
「お、気を利かせちゃったみたいでごめんね」
「朽木、俺たちのことは気にする必要はないぞ」
ルキアは、生まれて初めて自由の身分で見る市場を楽しんだ。
少し高かったが、一護の髪と同じオレンジ色をした宝石をあしらったブレスレットを2つ買う。
「これ、一護に贈ったら受け取ってくれるだろうか」
「受け取るよ。一護君、ルキアちゃんのこと気に入ってるみたいだから」
「朽木、当たって砕けろだ」
「ちょっと浮竹、砕けちゃだめでしょ」
「それもそうか」
ルキアは、笑い声を自然とあげていた。
酒場に戻ると、一護の元に向かい、お揃いのブレスレットだと買ってきた片方を渡すと、一護は頬を少し赤くしながらそれを受け取ってつけてくれた。
それから半年が過ぎた。
一護は、ルキアを未来の妻にすると言ってきかなかった。
「ルキア、好きだ。愛している」
「でも、一護、私は処女ではない。どこぞの貴族の子を身籠ったこともある元奴隷だ」
「関係ない。愛してる」
一護は、ルキアを抱きしめる。
ルキアは、おずおずと一護の背に手を回した。
そのまま、口づけをした。
「らららら~~~~~~」
その日も、ルキアは歌声を披露していた。
すると、王国の騎士団がやってきた。
「疾風の風の面子だな!盗賊として皆捕らえる!反抗する者は、切り捨てる!」
ルキアに、好色そうな騎士の手が伸びてくる。
それを、一護が阻んだ。
「こいつは俺のものだ。俺は黒崎一護。この国の王の黒崎一心の実の息子にして、王太子だ」
「な、一護様!?何故、盗賊団などに?」
「それはこの国が腐っているからだ。貴族王族だけが財を蓄え、平民の中には貧しい者も多い。挙句の果てにはスラム街の住民は税を払っていないと、疫病がはやっても助けの手ひとつよこさない」
一護は、王族の、王太子の顔をしていた。
「そこをどけ。親父に直談判する。仲間に手を出すのは許さねぇ」
一護は、ルキアと京楽と浮竹を伴って、王宮に出向いた。
「おい、くそ親父!」
「なんだ、バカ息子!」
「あんたの統治の仕方じゃあ、貧富の差がですぎる。王の座をよこせとは言わねぇ。ただ、祭事(まつりごと)には俺も口出しする」
「小童が」
「なんとでも言いやがれ。あと、妃を連れてきた。歌姫のルキアだ」
一心は、目を見開く。
どんなに妻を娶れといっても一向に興味を見せず、女はだめなのかと思っていたが、そうでもなかったらしい。
「い、一護!私は、汚れている。貴様の妃になどなれるはずがない」
「黙ってろ。それを決めるのは俺だ」
「ルキアちゃん、王太子の妃だよ。未来の国母さ」
「京楽、茶化すな」
「わ、私が国母?」
ルキアはめまいを感じて、倒れてしまった。
「おい、ルキア!」
「ルキアちゃん!?」
「朽木!?」
みんなの声が、段々遠くなっていく。
次にルキアが目覚めた時、そこは王宮の後宮であった。
「私は?」
「ああ、ルキアちゃん気づいたのかい」
「京楽殿?浮竹殿も‥‥‥ここは後宮なのでは?男性の出入りができるのですか?」
「ああ、俺たちは奴隷にされた時に、幼い頃にいらぬと去勢をされている」
「ボクは浮竹より去勢されるのが遅かったから、男らしい体つきになれたけど、浮竹は早くに去勢されたから、見た通り男にしておくにはもったいない美人さんでしょ」
「京楽、だから茶化すな」
「はいはい」
そこへ、一護がやってきた。
「疾風の風は解体した。主だった者は、俺の傘下に入った。ルキアが眠っている間に王位継承の儀を終わらせた。ルキア、お前は今は黒崎ルキア。俺の正妃だ。後宮はあるが、寵姫はおかない。妾も作らない。俺の伴侶は、ルキア、お前だけだ」
ルキアの目に、涙が浮かぶ。
「一護‥‥‥好き、だ」
「ああ、俺も好きだ。愛している」
それは、一人の奴隷の歌姫と、義賊を率いていた王太子の物語。
二人は、子を3人なして、国を民主主義に変えて、国の象徴として王族を残した。
やがて、リリア共和国と呼ばれ、その国にはもう王族も貴族もいないのだった。
不良とお嬢様
ルキアは、朽木財閥の令嬢だった。朽木財閥といえば、数えきれない会社をもっていて、朽木ルキアはその朽木家の令嬢で、兄に白哉という名の美しい青年がいる。
朽木白哉には、かつて妻がいた。朽木緋真といって、ルキアとよく似た女性だった。
とにもかくにも、ルキアはお嬢様で中学まで名門校に通っていた。
高校になって、普通の高校に通い出した。
「うわ、リムジンきてる。今日もルキアちゃんかわいいなぁ」
「ルキアちゃんと結婚できれば、将来約束されたようなもんだよな。俺、あたっくしてみようかな」
「やめとけよ。お前の顔じゃ、まず無理」
「なんだとーー」
そんな男子の会話を遠巻きに聞きながら、ルキアは下駄箱をあけた。
ドサドサと、ラブレターの山が落ちてきた。
ルキアは、全てゴミ箱に入れて処分した。
そして、一護の姿を見つけて名前を叫ぶ。
「一護!!!」
「んあ?なんだ、ルキアかよ」
黒崎一護。ルキアの幼馴染で、最近暴走族のグループに入ったとか噂されてる、いわゆるヤンキーだった。
「俺と話してると、いろいろとあらぬ誤解受けるぜ」
「構わぬ」
ルキアは、一護と並んで歩きはじめる。
一護の髪の色はオレンジで、染めているだろうとよく生徒指導の京楽先生に怒られるのだが、地毛だった。
ルキアと一護は、同じクラスだった。しかも、特進クラスだ。
ルキアならまだ分かるが、なぜ一護のような生徒が特進クラスに居るのか謎に思う生徒や教師も多い。
ちなみにAクラスである特進クラスの担任は浮竹といって、生活指導の教師である京楽とは幼馴染であった。
授業中、寝ている一護があてられそうになって、ルキアが消しゴムを一護の頭に投げる。
「んー、昼飯?」
起き上がった一護に、数学を教えていた京楽は、にこにこと微笑む。
「一護君、後で職員室ね」
「うげ‥‥‥おい、ルキアのせいだからな」
「私は寝ていた貴様を哀れだと思って起こしただけだ」
「それがいらん世話っていうんだよ」
こそこそと言い合う二人を見て、京楽はまたにこにこする。
「ルキアちゃんも、後で職員室ね」
「な、一護、貴様のせいで私も呼び出しを食らったではないか!」
「自業自得だろ」
ふんと、窓側を見て体育のクラスの授業を一護は見ていた。
それに気づいた井上が、一護に手を振る。一護も手を振り返した。
井上織姫。一護の彼女として有名だが、実は付き合ってはいない。井上が一護に告白したのだが、一護は好きな子がいると一度振ったのだ。それでも、井上はめげることなく一護にアタックしてくる。
「ああ、もう何もかもめんどくせ‥‥‥」
ルキアと一護は、放課後職員室に呼び出されて、ルキアは口頭で注意されるだけで、一護は数学の授業を最近さぼっていたので、課題を出された。
「あーあ、ついてねぇ。パチンコでもいこうかな」
「ぱちんこ?私も行っていいか?」
「なんでお前がついてこようとするんだよ。大体18歳未満は入場禁止だぞ」
「それなら、16の貴様も入れぬではないか」
「俺は18以上に見えるからいいんだよ。お前はどう見ても16どころか中学生に見えるからな」
「失礼な!」
ルキアはぷんぷん怒って、重い鞄を一護の尻に叩きつける。
「いってぇ」
「貴様なぞ、一文無しになってしまえ」
ルキアは、そのまま帰宅用にきたリムジンに乗って帰ってしまった。
一護は、不良と言われる原因のように、不良がたむろする喫茶店にやってきて、自分より年上の不良どもに挨拶する。
「なぁ、黒崎。あの、朽木っていう女の子連れてこいよ」
「だめっすよ。あいつは朽木家の令嬢でいろいろやばい」
「ああ、ちょっとさらって金出してくれねぇかな」
げらげらと、不良どもが笑う中、一護は真剣な表情で言う。
「ルキアに何かしたら、俺が許さねぇ」
「おい、黒崎、最近お前生意気だな。ああん?」
殴りかかってくる先輩の拳をひらりと避けて、一護は言い放つ。
「そろそろ、こういうのも飽きてきたし、俺、抜けます」
「おいおい、本気で言ってるのか黒崎」
「うっせぇなぁ。抜けるって言ってるんだよ」
「野郎ども、やっちまえ」
中には、仲のいい茶渡もいて、二人で不良たちをのしてしまった。
「チャド、ちょっとやべぇ。ずらかろうぜ」
「うむ」
次の日、一護は絆創膏だらけに額には包帯を巻いて登校した。
不良どもとのケンカで、額を3針縫うけがをした。黒崎家は小さな病院をしており、手当ては父親にしてもらった。
茶渡は同じ学校の、違うクラスの生徒だが一護の友人で、強いので昨日のケンカでもけがをせず、普通に帰っていた。
「知ってる?黒崎君、族を抜けてケンカになったらしいよ」
「やだ、こわーい」
「でも、不良仲間と縁切ったんでしょ?かっこいいし、何気にねらい目かも」
「やだー、黒崎君には井上さんがいるじゃない」
「ああ、それもそうかー」
そんな女子たちの会話を耳にして、一護は話をしている女子たちに近づく。
「俺と井上はなんでもねぇよ」
そう言い放って、一護は屋上に消えてしまった。
「きゃあ、黒崎君と口きいちゃった」
「井上さんと付き合ってないってことは、今フリーってこと?」
一護の後を、ルキアが静かについていき、屋上に消えていくのを見る者は誰もいなかった。
「一護」
「なんだ、ルキアかよ」
「井上とは、その、本当になんでもないのだな?」
「んあ?そうだけどなんだ?」
「よ、よければ、わ、私と付き合わぬか?」
一護は目をぱちくりさせた後、笑った。
「ルキア、お前自分の身分考えろよ。朽木財閥のご令嬢が、俺みたいな不良と付き合ってちゃやばいだろ」
「貴様のことが、子供のころから好きだった。それでもだめか?」
一護は、頭をがしがしかいて、頬を赤くする。
実は、一護はルキアに子供の頃一目惚れしたのだ。でも、財閥の令嬢であるからと、幼いなりにただの幼馴染としてふるまってきた。
「俺も、お前のこと好きだけど‥‥‥その、後悔したりしねぇか?俺はやめたつもりだけど、不良って言われてる」
「不良でもよい。貴様が好きなのだ」
真摯な目で見つめられて、一護はルキアのスカートをめくった。
「きゃあ!?」
「うさぎ柄か‥‥‥」
「な、何をするのだ!」
「俺は男だから、こういうエッチなことにも興味があるんだよ!」
「童貞のくせに!」
ルキアの言葉に、一護は赤くなってむきになる。
「うっせ!こちとら、特進クラスでやっていくのでせいいっぱいなんだよ!」
「不良仲間とつるんで遊び歩いたり、さぼったりするからだ」
「もう、それはない。不良グループか抜けたから」
「では、命令だ。私と付き合え」
「命令って何様だよお前。へーへー、付き合えばいいんだろ。好きにしろよ」
一護は、もうどうにでもなれと答えると、ルキアは顔を輝かせた。
「では、今日は早速リムジンで貴様を連れて兄様と会う。兄様に、付き合う許可をいただかなくては」
「お前のブラコン、まだ直ってねぇの?」
「う、うるさい」
教室に戻ると、古典の授業の最中だった。
「朽木、黒崎、俺の授業に遅刻で途中から参加とはいい度胸だな。後で、課題だすからな」
「すみません、浮竹先生」
ルキアは遅刻に謝罪したが、一護は無視して自分の席に座る。
「では、103ページから。黒崎、訳してみなさい」
「私は、かの人を思い、手紙を書く。どうか、愛しい方に届けと、夢を見る。かの人は言った。すまないが、他に愛しい人ができたと。私はただ泣いた。乳母は心配して、私の好物の干し柿をもってきてくれた」
一護は、古典をすらすらと現代語で訳す。
浮竹は、しぶい顔をして一護に座れという、
一護は確かに不良で悪さをしたり、授業をさぼったりするが、頭はよかった。
IQが高いのだ。それも、ずば抜けて。
「では、今日の授業はここまで。105ページから110ページを訳すのを宿題とする」
えーという声を聴きながら、一護はその日は素直に最後まで授業に出た。
ふと校門を見ると、不良仲間だった者たちがたむろしていた。
「あいつら‥‥‥」
「ここは、私に任せておけ」
「おい、ルキア!!!」
一護が慌てて後を追うが、ルキアは一足先に不良グループの方へ行ってしまった。
「ルキア!」
「ていや!とう!」
息を切らしてやってきた一護が見たものは、護身術を身に着けて師範代にまで上り詰めている、ルキアの蹴りやら拳でやられて倒れている不良グループだった。
「あ、一護、代わり成敗しておいたぞ。さぁ、リムジンに乗って、兄様に会いに行くのだ」
「まじかよ‥‥‥いつの間にあんなに強く」
ルキアが、一護の手を引っ張って、無理やりリムジンに乗せる。
「お嬢様、自宅ではなくお坊ちゃまのいる会社へ?」
「うむ」
「おい、ルキア!」
一護とルキアを乗せたリムジンは、白哉が社長をしている会社までついた。
エレベーターで最上階まで案内されて、数日ぶりに見る兄の白哉にルキアが抱きつく。
「兄様!おかわりは、ありませんでしたか」
「ルキアか。どうした」
「私が伴侶にと決めた者を連れてきました」
「ルキア、お前はまだ16だぞ?そんなに急がずともよい。そっちのオレンジ頭が、ルキアの選んだ伴侶か?」
「はい、兄様」
「兄の名は?」
「黒崎一護」
「黒崎一心の息子か。まぁ、よいであろう」
「親父のこと、知っているのか?」
「昔の知り合いだ」
こうして、ルキアは一護と親代わりである白哉に許可されて、ルキアと付き合うことになった。
あれから不良グループがやってくることはなく、一護はルキアの夫となるためにテーブルマナーなんかを学ばせられたが、音をあげずに学校にも毎日きていた。
ルキアの見合いにと送ってこられる見合い写真を、白哉は全部処分する。
「それにしても、一護君がルキアちゃんみたいな令嬢の婚約者とはねぇ」
職員室で、茶を飲んでいた京楽が浮竹を見る。
「担任だが、仲は良いようだ」
浮竹も、京楽に進められてお茶を飲む。
「不良と令嬢がねぇ」
「今の黒崎はもう不良じゃない」
「そうかもねぇ」
ちょうど、ルキアが課題を提出にきた。
「ルキアちゃん、一護君とうまくいってる?」
「おい、京楽!」
「ばっちりうまくいってます。大学は二人そろってハーバード大学へ留学して通うつもりです」
「へぇ」
「そうか。朽木は当たり前として、黒崎はIQが高いからな」
「今年ももう終わりですね。浮竹先生も京楽先生も、よいお年を。来年と再来年の卒業までお世話になります」
ルキアは、ぺこりとお辞儀した。
「おーいルキア、迎えのリムジン来てるぞー」
「今いく、一護!」
仲良く歩き出す二人を見て、教師である浮竹と京楽は若いっていいなぁとついため息を零すのであった。
朽木白哉には、かつて妻がいた。朽木緋真といって、ルキアとよく似た女性だった。
とにもかくにも、ルキアはお嬢様で中学まで名門校に通っていた。
高校になって、普通の高校に通い出した。
「うわ、リムジンきてる。今日もルキアちゃんかわいいなぁ」
「ルキアちゃんと結婚できれば、将来約束されたようなもんだよな。俺、あたっくしてみようかな」
「やめとけよ。お前の顔じゃ、まず無理」
「なんだとーー」
そんな男子の会話を遠巻きに聞きながら、ルキアは下駄箱をあけた。
ドサドサと、ラブレターの山が落ちてきた。
ルキアは、全てゴミ箱に入れて処分した。
そして、一護の姿を見つけて名前を叫ぶ。
「一護!!!」
「んあ?なんだ、ルキアかよ」
黒崎一護。ルキアの幼馴染で、最近暴走族のグループに入ったとか噂されてる、いわゆるヤンキーだった。
「俺と話してると、いろいろとあらぬ誤解受けるぜ」
「構わぬ」
ルキアは、一護と並んで歩きはじめる。
一護の髪の色はオレンジで、染めているだろうとよく生徒指導の京楽先生に怒られるのだが、地毛だった。
ルキアと一護は、同じクラスだった。しかも、特進クラスだ。
ルキアならまだ分かるが、なぜ一護のような生徒が特進クラスに居るのか謎に思う生徒や教師も多い。
ちなみにAクラスである特進クラスの担任は浮竹といって、生活指導の教師である京楽とは幼馴染であった。
授業中、寝ている一護があてられそうになって、ルキアが消しゴムを一護の頭に投げる。
「んー、昼飯?」
起き上がった一護に、数学を教えていた京楽は、にこにこと微笑む。
「一護君、後で職員室ね」
「うげ‥‥‥おい、ルキアのせいだからな」
「私は寝ていた貴様を哀れだと思って起こしただけだ」
「それがいらん世話っていうんだよ」
こそこそと言い合う二人を見て、京楽はまたにこにこする。
「ルキアちゃんも、後で職員室ね」
「な、一護、貴様のせいで私も呼び出しを食らったではないか!」
「自業自得だろ」
ふんと、窓側を見て体育のクラスの授業を一護は見ていた。
それに気づいた井上が、一護に手を振る。一護も手を振り返した。
井上織姫。一護の彼女として有名だが、実は付き合ってはいない。井上が一護に告白したのだが、一護は好きな子がいると一度振ったのだ。それでも、井上はめげることなく一護にアタックしてくる。
「ああ、もう何もかもめんどくせ‥‥‥」
ルキアと一護は、放課後職員室に呼び出されて、ルキアは口頭で注意されるだけで、一護は数学の授業を最近さぼっていたので、課題を出された。
「あーあ、ついてねぇ。パチンコでもいこうかな」
「ぱちんこ?私も行っていいか?」
「なんでお前がついてこようとするんだよ。大体18歳未満は入場禁止だぞ」
「それなら、16の貴様も入れぬではないか」
「俺は18以上に見えるからいいんだよ。お前はどう見ても16どころか中学生に見えるからな」
「失礼な!」
ルキアはぷんぷん怒って、重い鞄を一護の尻に叩きつける。
「いってぇ」
「貴様なぞ、一文無しになってしまえ」
ルキアは、そのまま帰宅用にきたリムジンに乗って帰ってしまった。
一護は、不良と言われる原因のように、不良がたむろする喫茶店にやってきて、自分より年上の不良どもに挨拶する。
「なぁ、黒崎。あの、朽木っていう女の子連れてこいよ」
「だめっすよ。あいつは朽木家の令嬢でいろいろやばい」
「ああ、ちょっとさらって金出してくれねぇかな」
げらげらと、不良どもが笑う中、一護は真剣な表情で言う。
「ルキアに何かしたら、俺が許さねぇ」
「おい、黒崎、最近お前生意気だな。ああん?」
殴りかかってくる先輩の拳をひらりと避けて、一護は言い放つ。
「そろそろ、こういうのも飽きてきたし、俺、抜けます」
「おいおい、本気で言ってるのか黒崎」
「うっせぇなぁ。抜けるって言ってるんだよ」
「野郎ども、やっちまえ」
中には、仲のいい茶渡もいて、二人で不良たちをのしてしまった。
「チャド、ちょっとやべぇ。ずらかろうぜ」
「うむ」
次の日、一護は絆創膏だらけに額には包帯を巻いて登校した。
不良どもとのケンカで、額を3針縫うけがをした。黒崎家は小さな病院をしており、手当ては父親にしてもらった。
茶渡は同じ学校の、違うクラスの生徒だが一護の友人で、強いので昨日のケンカでもけがをせず、普通に帰っていた。
「知ってる?黒崎君、族を抜けてケンカになったらしいよ」
「やだ、こわーい」
「でも、不良仲間と縁切ったんでしょ?かっこいいし、何気にねらい目かも」
「やだー、黒崎君には井上さんがいるじゃない」
「ああ、それもそうかー」
そんな女子たちの会話を耳にして、一護は話をしている女子たちに近づく。
「俺と井上はなんでもねぇよ」
そう言い放って、一護は屋上に消えてしまった。
「きゃあ、黒崎君と口きいちゃった」
「井上さんと付き合ってないってことは、今フリーってこと?」
一護の後を、ルキアが静かについていき、屋上に消えていくのを見る者は誰もいなかった。
「一護」
「なんだ、ルキアかよ」
「井上とは、その、本当になんでもないのだな?」
「んあ?そうだけどなんだ?」
「よ、よければ、わ、私と付き合わぬか?」
一護は目をぱちくりさせた後、笑った。
「ルキア、お前自分の身分考えろよ。朽木財閥のご令嬢が、俺みたいな不良と付き合ってちゃやばいだろ」
「貴様のことが、子供のころから好きだった。それでもだめか?」
一護は、頭をがしがしかいて、頬を赤くする。
実は、一護はルキアに子供の頃一目惚れしたのだ。でも、財閥の令嬢であるからと、幼いなりにただの幼馴染としてふるまってきた。
「俺も、お前のこと好きだけど‥‥‥その、後悔したりしねぇか?俺はやめたつもりだけど、不良って言われてる」
「不良でもよい。貴様が好きなのだ」
真摯な目で見つめられて、一護はルキアのスカートをめくった。
「きゃあ!?」
「うさぎ柄か‥‥‥」
「な、何をするのだ!」
「俺は男だから、こういうエッチなことにも興味があるんだよ!」
「童貞のくせに!」
ルキアの言葉に、一護は赤くなってむきになる。
「うっせ!こちとら、特進クラスでやっていくのでせいいっぱいなんだよ!」
「不良仲間とつるんで遊び歩いたり、さぼったりするからだ」
「もう、それはない。不良グループか抜けたから」
「では、命令だ。私と付き合え」
「命令って何様だよお前。へーへー、付き合えばいいんだろ。好きにしろよ」
一護は、もうどうにでもなれと答えると、ルキアは顔を輝かせた。
「では、今日は早速リムジンで貴様を連れて兄様と会う。兄様に、付き合う許可をいただかなくては」
「お前のブラコン、まだ直ってねぇの?」
「う、うるさい」
教室に戻ると、古典の授業の最中だった。
「朽木、黒崎、俺の授業に遅刻で途中から参加とはいい度胸だな。後で、課題だすからな」
「すみません、浮竹先生」
ルキアは遅刻に謝罪したが、一護は無視して自分の席に座る。
「では、103ページから。黒崎、訳してみなさい」
「私は、かの人を思い、手紙を書く。どうか、愛しい方に届けと、夢を見る。かの人は言った。すまないが、他に愛しい人ができたと。私はただ泣いた。乳母は心配して、私の好物の干し柿をもってきてくれた」
一護は、古典をすらすらと現代語で訳す。
浮竹は、しぶい顔をして一護に座れという、
一護は確かに不良で悪さをしたり、授業をさぼったりするが、頭はよかった。
IQが高いのだ。それも、ずば抜けて。
「では、今日の授業はここまで。105ページから110ページを訳すのを宿題とする」
えーという声を聴きながら、一護はその日は素直に最後まで授業に出た。
ふと校門を見ると、不良仲間だった者たちがたむろしていた。
「あいつら‥‥‥」
「ここは、私に任せておけ」
「おい、ルキア!!!」
一護が慌てて後を追うが、ルキアは一足先に不良グループの方へ行ってしまった。
「ルキア!」
「ていや!とう!」
息を切らしてやってきた一護が見たものは、護身術を身に着けて師範代にまで上り詰めている、ルキアの蹴りやら拳でやられて倒れている不良グループだった。
「あ、一護、代わり成敗しておいたぞ。さぁ、リムジンに乗って、兄様に会いに行くのだ」
「まじかよ‥‥‥いつの間にあんなに強く」
ルキアが、一護の手を引っ張って、無理やりリムジンに乗せる。
「お嬢様、自宅ではなくお坊ちゃまのいる会社へ?」
「うむ」
「おい、ルキア!」
一護とルキアを乗せたリムジンは、白哉が社長をしている会社までついた。
エレベーターで最上階まで案内されて、数日ぶりに見る兄の白哉にルキアが抱きつく。
「兄様!おかわりは、ありませんでしたか」
「ルキアか。どうした」
「私が伴侶にと決めた者を連れてきました」
「ルキア、お前はまだ16だぞ?そんなに急がずともよい。そっちのオレンジ頭が、ルキアの選んだ伴侶か?」
「はい、兄様」
「兄の名は?」
「黒崎一護」
「黒崎一心の息子か。まぁ、よいであろう」
「親父のこと、知っているのか?」
「昔の知り合いだ」
こうして、ルキアは一護と親代わりである白哉に許可されて、ルキアと付き合うことになった。
あれから不良グループがやってくることはなく、一護はルキアの夫となるためにテーブルマナーなんかを学ばせられたが、音をあげずに学校にも毎日きていた。
ルキアの見合いにと送ってこられる見合い写真を、白哉は全部処分する。
「それにしても、一護君がルキアちゃんみたいな令嬢の婚約者とはねぇ」
職員室で、茶を飲んでいた京楽が浮竹を見る。
「担任だが、仲は良いようだ」
浮竹も、京楽に進められてお茶を飲む。
「不良と令嬢がねぇ」
「今の黒崎はもう不良じゃない」
「そうかもねぇ」
ちょうど、ルキアが課題を提出にきた。
「ルキアちゃん、一護君とうまくいってる?」
「おい、京楽!」
「ばっちりうまくいってます。大学は二人そろってハーバード大学へ留学して通うつもりです」
「へぇ」
「そうか。朽木は当たり前として、黒崎はIQが高いからな」
「今年ももう終わりですね。浮竹先生も京楽先生も、よいお年を。来年と再来年の卒業までお世話になります」
ルキアは、ぺこりとお辞儀した。
「おーいルキア、迎えのリムジン来てるぞー」
「今いく、一護!」
仲良く歩き出す二人を見て、教師である浮竹と京楽は若いっていいなぁとついため息を零すのであった。
ルキアの墓参り
「ここに、海燕殿が眠っておられるのだ」
ルキアは、大学生になった一護を呼び出して、一緒に志波海燕の墓参りにきていた。
「えっと、確か前の副隊長だった人だったっけ」
「そうだ。私の師匠でもあられる」
「俺に、似ているんだってな」
「うむ。貴様は一心殿の子。一心殿は志波家の出だからな。血が、繋がっている」
「ちょっと遠い親戚みたいなもんか」
ルキアは、墓の前で手を合わせて祈り、花束をささげて、線香に火を灯して墓前に置く。海燕が生前好きだったおはぎをそなえた。
「一護、貴様も手を合わせんか」
「ああ、うん」
一護にとって、海燕は会ったこともない人なので、どうにも墓参りにきても何も感じない。
「都殿と、天国で見守っていてください。この一護というたわけ者と、幸せになります」
ルキアは、一護との婚姻を控えていた。
死神と人間といういろいろと問題はあったが、一護が本当の死神になるということで、白哉からルキアとの婚姻を許された。
一護もルキアも死覇装を着ていた。
黒いので、喪服にもなる。
「さて、貴様は13番隊の副隊長になることが決まっている」
「え、まじかよ」
「大学卒業まであと半年ほどか。進路先は尸魂界の13番隊への就職だ」
「いや、勝手に決めんなって」
「すでに一心殿にも、妹たちにも知らせてある。あとは井上と石田と茶渡と」
「手を回すのがはええな、おい」
ルキアは、墓参りからの帰り道で、一護を追い詰めるように続ける。
「私の位置を、お前が継ぐのだ。私は13番隊の隊長になることが決まっている」
「ルキアと同じ隊なら、死神として働いてもいいか」
「ふふ、そういうと思っての、京楽総隊長と兄様の判断だ」
一護は、ため息をついたかと思うと、ルキアを抱き寄せた。
「一護?」
「ただの墓参りじゃなかったんだな。結婚の報告も兼ねてたのか?」
「う、うむ」
「で、この後は浮竹さんの墓参りだろ?」:
「そうだ」
「浮竹さんには俺もいろいろと世話になったからなぁ。生きててほしかったなぁ」
「うむ‥‥‥惜しい人を亡くした」
ルキアは涙を滲ませる。
とても、優しい人だった。副官になったルキアを一番に褒めてくれた。
「浮竹さんの好物もおはぎでいいんだよな?」
雨乾堂の後に建てられた立派な浮竹の墓に、墓参りする人は多い。
それだけ慕われていたのだ。
浮竹の墓の前にくると、ルキアも一護も無言で線香に火をつけて、花束を供えて好きだったというおはぎを備えた。
「あれ、一護君にルキアちゃんじゃない」
「京楽総隊長?」
「京楽さんも、浮竹さんの墓参りですか?」
「ああ、そうだよ。君たちが結婚する報告をしようと思っていたんだけど、先をこされたね」
穏やかに微笑む京楽だが、その隻眼の鳶色の瞳には悲しみの色がにじんでいた。
「浮竹も、生きてルキアちゃんと一護君の結婚式出たかっただろうねぇ」
「天国から見守っていてくださいます」
「天国かぁ。そんな場所が本当にあればいいのにね。地獄は本当にあるけど、死ねば霊子に還るだけだから」
「京楽総隊長、酔ってます?」
ルキアが、京楽を見る。
「ああ、浮竹と一緒に酒を飲もうと思ったんだけど、その前に少し飲んじゃった」
京楽は、高い酒を浮竹の墓にかける。
「浮竹。ルキアちゃんは、今度一護君と結婚するんだ。そして、君の後を継いで、13番隊隊長になるんだよ」
浮竹と京楽は非常に仲がよかった。
京楽は、浮竹の墓を撫でて、少し寂しそうに笑ってから、一護とルキアを見る。
「結婚式には、もちろんボクも呼んでね?」
「はい、当たり前です」
「京楽さんも、浮竹さんの分まで見にきてください」
そこで、京楽と別れてルキアと一護は、一護が滞在すると決まった朽木邸に戻っていく。
「ふふ‥‥‥時が過ぎるのは早いねぇ。結婚かぁ」
君と見たかった。
京楽は、静かに目を閉じて祈るのだった。
ルキアは、大学生になった一護を呼び出して、一緒に志波海燕の墓参りにきていた。
「えっと、確か前の副隊長だった人だったっけ」
「そうだ。私の師匠でもあられる」
「俺に、似ているんだってな」
「うむ。貴様は一心殿の子。一心殿は志波家の出だからな。血が、繋がっている」
「ちょっと遠い親戚みたいなもんか」
ルキアは、墓の前で手を合わせて祈り、花束をささげて、線香に火を灯して墓前に置く。海燕が生前好きだったおはぎをそなえた。
「一護、貴様も手を合わせんか」
「ああ、うん」
一護にとって、海燕は会ったこともない人なので、どうにも墓参りにきても何も感じない。
「都殿と、天国で見守っていてください。この一護というたわけ者と、幸せになります」
ルキアは、一護との婚姻を控えていた。
死神と人間といういろいろと問題はあったが、一護が本当の死神になるということで、白哉からルキアとの婚姻を許された。
一護もルキアも死覇装を着ていた。
黒いので、喪服にもなる。
「さて、貴様は13番隊の副隊長になることが決まっている」
「え、まじかよ」
「大学卒業まであと半年ほどか。進路先は尸魂界の13番隊への就職だ」
「いや、勝手に決めんなって」
「すでに一心殿にも、妹たちにも知らせてある。あとは井上と石田と茶渡と」
「手を回すのがはええな、おい」
ルキアは、墓参りからの帰り道で、一護を追い詰めるように続ける。
「私の位置を、お前が継ぐのだ。私は13番隊の隊長になることが決まっている」
「ルキアと同じ隊なら、死神として働いてもいいか」
「ふふ、そういうと思っての、京楽総隊長と兄様の判断だ」
一護は、ため息をついたかと思うと、ルキアを抱き寄せた。
「一護?」
「ただの墓参りじゃなかったんだな。結婚の報告も兼ねてたのか?」
「う、うむ」
「で、この後は浮竹さんの墓参りだろ?」:
「そうだ」
「浮竹さんには俺もいろいろと世話になったからなぁ。生きててほしかったなぁ」
「うむ‥‥‥惜しい人を亡くした」
ルキアは涙を滲ませる。
とても、優しい人だった。副官になったルキアを一番に褒めてくれた。
「浮竹さんの好物もおはぎでいいんだよな?」
雨乾堂の後に建てられた立派な浮竹の墓に、墓参りする人は多い。
それだけ慕われていたのだ。
浮竹の墓の前にくると、ルキアも一護も無言で線香に火をつけて、花束を供えて好きだったというおはぎを備えた。
「あれ、一護君にルキアちゃんじゃない」
「京楽総隊長?」
「京楽さんも、浮竹さんの墓参りですか?」
「ああ、そうだよ。君たちが結婚する報告をしようと思っていたんだけど、先をこされたね」
穏やかに微笑む京楽だが、その隻眼の鳶色の瞳には悲しみの色がにじんでいた。
「浮竹も、生きてルキアちゃんと一護君の結婚式出たかっただろうねぇ」
「天国から見守っていてくださいます」
「天国かぁ。そんな場所が本当にあればいいのにね。地獄は本当にあるけど、死ねば霊子に還るだけだから」
「京楽総隊長、酔ってます?」
ルキアが、京楽を見る。
「ああ、浮竹と一緒に酒を飲もうと思ったんだけど、その前に少し飲んじゃった」
京楽は、高い酒を浮竹の墓にかける。
「浮竹。ルキアちゃんは、今度一護君と結婚するんだ。そして、君の後を継いで、13番隊隊長になるんだよ」
浮竹と京楽は非常に仲がよかった。
京楽は、浮竹の墓を撫でて、少し寂しそうに笑ってから、一護とルキアを見る。
「結婚式には、もちろんボクも呼んでね?」
「はい、当たり前です」
「京楽さんも、浮竹さんの分まで見にきてください」
そこで、京楽と別れてルキアと一護は、一護が滞在すると決まった朽木邸に戻っていく。
「ふふ‥‥‥時が過ぎるのは早いねぇ。結婚かぁ」
君と見たかった。
京楽は、静かに目を閉じて祈るのだった。
好き。5
10月の終わり。
中間テストがやってきた。
ルキアは全然勉強しなかった。一護は、はじまるかなり前から勉強していた。
前の偏差値では、希望する大学にあと少し届かなかった。
ユーハバッハとの戦いがあったせいで、勉学はどうしても疎かになりがちであった。
戦争も終わり、一護はただの死神代行として、今は現世にいる。
ルキアは、記憶置換を使い、全ての教科を100点にした。
一護は、試験前日はつめこんだ全てのおさらいをして、早めに眠った。日頃から勉強しているので、一夜漬けをする必要はなかった。
今回の中間テストと期末テストの結果で、進学する大学が最終的に決まる。
一護は中間テストで9位という成績をとり、静かにガッツポーズをした。ちなみに1位は石田だった。
茶渡や井上も、成績の上位に食い込んでいた。
皆、進路はばらばらだった。
茶渡はボクシングに打ち込むために、スポーツが盛んな大学を選んだ。井上は、看護系の大学を選び、石田は父親のあとを継ぐために医大にすすむことになっている。
「はぁ‥‥‥高校生活も、あと4カ月ちょいで終わりか」
ちなみに、ルキアは進路は就職ということになっていた。
今までの試験も全て100点で通してきたので、進路の先生からもったいないと泣かれたくらいだ。まぁ、どうせ記憶置換によるものなので、本人の力でテストを受けさせたら赤点だらけだろうが。
古典と現国はまだいい。英語と数学が特にやばい。社会と理科もやばそうだ。
「一護、試験も終わったし、どこかに遊びにいこう」
ルキアが、放課後に人の減った教室で一護に話しかける。
その近さに、黒崎は朽木さんと付き合っているという噂が流れていたが、本当のことなので無視した。
一護は財布の中身を確認して、ルキアと並んで歩き出す。
「テストも終わったし、ミスドでもいくか」
「お、ドーナツか。たくさん食べたい」
「太るぞ」
「太らん!」
ルキアに足を蹴られるが、適当に避けた。
「むっ」
「そうそう、いつもやられてばかりじゃねーよ」
ルキアは、避けて余裕をかましている一護に飛び蹴りを食らわせる。
「のあっ」
「ふふふ、隙あり!」
「このじゃじゃ馬が!ミスド、連れてってやらないぞ」
「あ、嘘だ一護。すまん、すまん」
一護の前で、謝りだすルキアの頭をくしゃりと撫でて、一護はルキアと一緒に駅前にあるミスドに入った。
「うーむ。選びきれん。とりあえず、全種コンプリートするか」
「まじで太るぞ」
「大丈夫だ。私は太らん体質なのだ。今までもよく食べてきたが、太らなかったであろう?」
「そういやそうだな」
二人で、ミスドでドーナツを食べてから、公園にきた。
ルキアは食べきれなかったドーナツをお持ち帰りしていた。
公園について、ドーナツをかじりだすルキアを、一護はじっと見る。
「な、なんだ。見てもやらんぞ」
「いや、うまそうに食うなぁと思って」
「仕方あるまい。このドーナツを半分やる」
「いらね。夕飯が食えなくなる」
「ぬおおお、夕飯の存在を失念していた。遊子の飯はうまいのだ]
「じゃあ、ドーナツはもう明日にしろ」
「いやだ。今食べる」
一護はため息をつく。
「ほんと、あんま我儘言わねぇけど食については我儘おおいのな」
「ほっとけ」
ドーナツを食べ終えて、砂糖まみれになった手を公園の水道で洗って、ルキアは一護と手を繋いで家に戻った。
「あ、一兄、ルキアちゃんお帰りなさい。今日の夕飯はビーフシチューだよ」
玄関を開けて中に入ると、遊子がいていい匂いがキッチンから漂ってきていた。
「着替えてくる」
「俺も」
ルキアは妹たちの部屋で着替え、一護は自室で着替えた。
「一護、早く夕飯を」
「ば、ノックくらいしやがれ」
パンツ一丁な一護を見てしまって、ルキアは真っ赤になって開けた扉をしめる。
ちなみにパンツはボクサーパンツだった。
「もういいぞ」
「うむ」
質素な室内着に着替えた一護は、ルキアの少し丈の少ないスカートを見て、それをばさりとめくった。
「な、何をするのだ!」
「さっきのお返し。ふむ、今日は紫か」
「たわけ!」
「ルキアちゃん?」
キッチンから戯れ合う一護とルキアを心配して、遊子が声をかけてきたので、ルキアは猫を被って笑う。
「おほほほほ。なんでもないですわ」
ルキアは、一護の足をぐりぐりと踏んでいた。
夕食もすませ、風呂にも入り終わって、一護は机に向かって勉強をしていた。ルキアは一護のベッドで遊子から借りた恋愛漫画を読んでいた。
「今日はこのへんにするか。ルキア、寝るぞ」
「うーむ、今いいところなのだ。あと少し」
「明日にしろ。どうせ明日は土曜で休みなんだから」
「うるさい、今いいところなのだ。わきゃあ!?」
コミックを奪われて、いきなり抱きしめられるものだから、ルキアは変な声をあげていた。
「寝るぞ」
「う、うむ」
ルキアは一度妹たちの部屋に行き、パジャマに着替える。
ルキアが一護の部屋でともに寝起きしているのは、黒崎家では公然とした秘密になっていた。
「待たせたな」
「パジャマ、変えたのか」
ちゃっぴー柄の前のパジャマから、猫柄のパジャマに変わっていた。
「似合わぬか?」
「いや、普通」
「そ、そこは嘘でも似合うといわんか!」
「じゃあ似合ってる」
「たわけ!」
うなる拳で頭を叩かれて、一護は頭をおさえながら布団を押し入れから取り出す。
もうだいぶ寒くなってきた。
昼時は30度近くなることもたまにあるが、衣替えの季節だ。
「寝ようぜ」
一護は、当たり前のようにルキアを先にベッドに寝かせて、後から布団に入ってきてルキアを抱きしめて眠る。
「なぁ、一護」
「なんだ?」
「その、卒業した後の二人きりの旅行のことなのだが」
「ああ、まだまだ先だから気にすんな」
「うむ‥‥」
考えてみると、二人きりで旅行などしたことはなかった。
デートはけっこうしているが
「なぁ、一護」
答える声はない。
一護のほうを向いて寝がえりをうつと、一護はすでに寝ていた。
端正な顔立ちに、ルキアが赤くなる。睫毛までオレンジだ。意外と睫毛は長い。
窓側に寝がえりをうって、ルキアも眠るのであった。
中間テストがやってきた。
ルキアは全然勉強しなかった。一護は、はじまるかなり前から勉強していた。
前の偏差値では、希望する大学にあと少し届かなかった。
ユーハバッハとの戦いがあったせいで、勉学はどうしても疎かになりがちであった。
戦争も終わり、一護はただの死神代行として、今は現世にいる。
ルキアは、記憶置換を使い、全ての教科を100点にした。
一護は、試験前日はつめこんだ全てのおさらいをして、早めに眠った。日頃から勉強しているので、一夜漬けをする必要はなかった。
今回の中間テストと期末テストの結果で、進学する大学が最終的に決まる。
一護は中間テストで9位という成績をとり、静かにガッツポーズをした。ちなみに1位は石田だった。
茶渡や井上も、成績の上位に食い込んでいた。
皆、進路はばらばらだった。
茶渡はボクシングに打ち込むために、スポーツが盛んな大学を選んだ。井上は、看護系の大学を選び、石田は父親のあとを継ぐために医大にすすむことになっている。
「はぁ‥‥‥高校生活も、あと4カ月ちょいで終わりか」
ちなみに、ルキアは進路は就職ということになっていた。
今までの試験も全て100点で通してきたので、進路の先生からもったいないと泣かれたくらいだ。まぁ、どうせ記憶置換によるものなので、本人の力でテストを受けさせたら赤点だらけだろうが。
古典と現国はまだいい。英語と数学が特にやばい。社会と理科もやばそうだ。
「一護、試験も終わったし、どこかに遊びにいこう」
ルキアが、放課後に人の減った教室で一護に話しかける。
その近さに、黒崎は朽木さんと付き合っているという噂が流れていたが、本当のことなので無視した。
一護は財布の中身を確認して、ルキアと並んで歩き出す。
「テストも終わったし、ミスドでもいくか」
「お、ドーナツか。たくさん食べたい」
「太るぞ」
「太らん!」
ルキアに足を蹴られるが、適当に避けた。
「むっ」
「そうそう、いつもやられてばかりじゃねーよ」
ルキアは、避けて余裕をかましている一護に飛び蹴りを食らわせる。
「のあっ」
「ふふふ、隙あり!」
「このじゃじゃ馬が!ミスド、連れてってやらないぞ」
「あ、嘘だ一護。すまん、すまん」
一護の前で、謝りだすルキアの頭をくしゃりと撫でて、一護はルキアと一緒に駅前にあるミスドに入った。
「うーむ。選びきれん。とりあえず、全種コンプリートするか」
「まじで太るぞ」
「大丈夫だ。私は太らん体質なのだ。今までもよく食べてきたが、太らなかったであろう?」
「そういやそうだな」
二人で、ミスドでドーナツを食べてから、公園にきた。
ルキアは食べきれなかったドーナツをお持ち帰りしていた。
公園について、ドーナツをかじりだすルキアを、一護はじっと見る。
「な、なんだ。見てもやらんぞ」
「いや、うまそうに食うなぁと思って」
「仕方あるまい。このドーナツを半分やる」
「いらね。夕飯が食えなくなる」
「ぬおおお、夕飯の存在を失念していた。遊子の飯はうまいのだ]
「じゃあ、ドーナツはもう明日にしろ」
「いやだ。今食べる」
一護はため息をつく。
「ほんと、あんま我儘言わねぇけど食については我儘おおいのな」
「ほっとけ」
ドーナツを食べ終えて、砂糖まみれになった手を公園の水道で洗って、ルキアは一護と手を繋いで家に戻った。
「あ、一兄、ルキアちゃんお帰りなさい。今日の夕飯はビーフシチューだよ」
玄関を開けて中に入ると、遊子がいていい匂いがキッチンから漂ってきていた。
「着替えてくる」
「俺も」
ルキアは妹たちの部屋で着替え、一護は自室で着替えた。
「一護、早く夕飯を」
「ば、ノックくらいしやがれ」
パンツ一丁な一護を見てしまって、ルキアは真っ赤になって開けた扉をしめる。
ちなみにパンツはボクサーパンツだった。
「もういいぞ」
「うむ」
質素な室内着に着替えた一護は、ルキアの少し丈の少ないスカートを見て、それをばさりとめくった。
「な、何をするのだ!」
「さっきのお返し。ふむ、今日は紫か」
「たわけ!」
「ルキアちゃん?」
キッチンから戯れ合う一護とルキアを心配して、遊子が声をかけてきたので、ルキアは猫を被って笑う。
「おほほほほ。なんでもないですわ」
ルキアは、一護の足をぐりぐりと踏んでいた。
夕食もすませ、風呂にも入り終わって、一護は机に向かって勉強をしていた。ルキアは一護のベッドで遊子から借りた恋愛漫画を読んでいた。
「今日はこのへんにするか。ルキア、寝るぞ」
「うーむ、今いいところなのだ。あと少し」
「明日にしろ。どうせ明日は土曜で休みなんだから」
「うるさい、今いいところなのだ。わきゃあ!?」
コミックを奪われて、いきなり抱きしめられるものだから、ルキアは変な声をあげていた。
「寝るぞ」
「う、うむ」
ルキアは一度妹たちの部屋に行き、パジャマに着替える。
ルキアが一護の部屋でともに寝起きしているのは、黒崎家では公然とした秘密になっていた。
「待たせたな」
「パジャマ、変えたのか」
ちゃっぴー柄の前のパジャマから、猫柄のパジャマに変わっていた。
「似合わぬか?」
「いや、普通」
「そ、そこは嘘でも似合うといわんか!」
「じゃあ似合ってる」
「たわけ!」
うなる拳で頭を叩かれて、一護は頭をおさえながら布団を押し入れから取り出す。
もうだいぶ寒くなってきた。
昼時は30度近くなることもたまにあるが、衣替えの季節だ。
「寝ようぜ」
一護は、当たり前のようにルキアを先にベッドに寝かせて、後から布団に入ってきてルキアを抱きしめて眠る。
「なぁ、一護」
「なんだ?」
「その、卒業した後の二人きりの旅行のことなのだが」
「ああ、まだまだ先だから気にすんな」
「うむ‥‥」
考えてみると、二人きりで旅行などしたことはなかった。
デートはけっこうしているが
「なぁ、一護」
答える声はない。
一護のほうを向いて寝がえりをうつと、一護はすでに寝ていた。
端正な顔立ちに、ルキアが赤くなる。睫毛までオレンジだ。意外と睫毛は長い。
窓側に寝がえりをうって、ルキアも眠るのであった。
いかがわしいこと?さぁ?
「んっ」
「いいかい?」
「あ、いい」
「もっとかい?」
「あ、もっと‥‥‥」
「こっちはどうだい?」
「あ、そこもいい。あ、ああ」
海燕は、雨乾堂に入ろうか入るまいか悩んでいた。
中にいるのは、浮竹と彼の恋人である京楽だ。
何か、前にもこんなことあったなぁと思いながら、どうにでもなってしまえと戸をあけた。
「あんたら、朝っぱらから変な声だして‥‥」
「あ、海燕。やぁ、見るなっ」
「やあ、海燕君。見るなら、お金おいていってね」
浮竹と京楽は睦みあっていた。
海燕は真っ赤になって、外に飛び出していく。
久し振りに、二人が交わっているところを目撃してしまった。
多分、いつかの時のようにマッサージなのだと思っていた。
京楽はおもっくそ盛っていたし、快楽に身を委ねた浮竹の顔はとろけていた。
「はぁ。俺の上司は、体弱いくせによく京楽隊長としてるし‥‥」
本当に、たまに体が本当に弱いの?ってくらい盛る時がある。
「京楽隊長には、後で抗議文送っておこう。浮竹隊長は正座でお説教だな」
その頃、浮竹と京楽は。
「あ、そこいい」
「ここ、好きだねぇ」
交わっているように見せかけて、浮竹は腰をもんでもらっていた。
まだ近くに海燕がいて、海燕に帰ってくるようにと、地獄蝶を飛ばす。
「はぁ‥‥あんたら、盛る時は俺のいないとこでしてください」
「すまん」
「ごめんねぇ。すやすや眠っている浮竹の顔見てたら、むらむらしてきちゃって」
「はぁ‥‥」
海燕は長いため息をつく。
浮竹は、やればできる隊長で、仕事も臥せってる時以外ためないし、卍解した場面など見たことがないくらい強い。
「はぁ‥‥‥」
また、長いため息をつく。
「京楽隊長、1週間この雨乾堂に近づくの禁止です」
「え」
思わぬ言葉に、京楽が固まる。
「そ、そんな!ボクの性欲解消はどうなるの!」
「そもそも、お前が盛りすぎなんだ!週に2回は多い!」
そうか。
この二人は、自分のいないとろろで週に2回も睦みあっているのか。
海燕は、胃が痛くなってきた。
「じゃあ、今度浮竹がボクの屋敷にきてね?」
「隊長、だめですよ。前、外出して熱だしたでしょう。今は季節の変わり目。風邪をひきやすい季節ですから、雨乾堂からしばらくでないでください」
「分かった」
「ちょ、浮竹!?ボクの溜まった性欲は!?」
「一人でしとけ」
「そんなぁ」
上司の性事情などに口を出すのは、海燕くらいだろう。
なんだかなぁと思いながらも、浮竹のために新しい布団をしいた。
情事の後は、熱を出しやすい。
「俺も甘いなぁ」
本来なら、浮竹のことを考えると睦みあうのを止めるべきなのだが。
肉体関係がなくても、愛は育めるが、浮竹も京楽も愛には肉欲が絡んでいた。
いい年した大人なのに、まるで少年のように性欲がおおせいだ。
京楽は特にその色が濃いが、以外と浮竹も濃い。
「はぁ。俺、今日は早退します。睦みあうなら、お好きなように」
すでに、浮竹はうとうとと微睡んでおり、京楽もその隣で眠りかけていた。
本当に、仲の良い二人だ。
関係を隠すこともせず。
ある意味、すごい。
浮竹隊長の副官となったのが最後、京楽隊長ともうまくつきあわなければいけないなぁと思う海燕であった。
「いいかい?」
「あ、いい」
「もっとかい?」
「あ、もっと‥‥‥」
「こっちはどうだい?」
「あ、そこもいい。あ、ああ」
海燕は、雨乾堂に入ろうか入るまいか悩んでいた。
中にいるのは、浮竹と彼の恋人である京楽だ。
何か、前にもこんなことあったなぁと思いながら、どうにでもなってしまえと戸をあけた。
「あんたら、朝っぱらから変な声だして‥‥」
「あ、海燕。やぁ、見るなっ」
「やあ、海燕君。見るなら、お金おいていってね」
浮竹と京楽は睦みあっていた。
海燕は真っ赤になって、外に飛び出していく。
久し振りに、二人が交わっているところを目撃してしまった。
多分、いつかの時のようにマッサージなのだと思っていた。
京楽はおもっくそ盛っていたし、快楽に身を委ねた浮竹の顔はとろけていた。
「はぁ。俺の上司は、体弱いくせによく京楽隊長としてるし‥‥」
本当に、たまに体が本当に弱いの?ってくらい盛る時がある。
「京楽隊長には、後で抗議文送っておこう。浮竹隊長は正座でお説教だな」
その頃、浮竹と京楽は。
「あ、そこいい」
「ここ、好きだねぇ」
交わっているように見せかけて、浮竹は腰をもんでもらっていた。
まだ近くに海燕がいて、海燕に帰ってくるようにと、地獄蝶を飛ばす。
「はぁ‥‥あんたら、盛る時は俺のいないとこでしてください」
「すまん」
「ごめんねぇ。すやすや眠っている浮竹の顔見てたら、むらむらしてきちゃって」
「はぁ‥‥」
海燕は長いため息をつく。
浮竹は、やればできる隊長で、仕事も臥せってる時以外ためないし、卍解した場面など見たことがないくらい強い。
「はぁ‥‥‥」
また、長いため息をつく。
「京楽隊長、1週間この雨乾堂に近づくの禁止です」
「え」
思わぬ言葉に、京楽が固まる。
「そ、そんな!ボクの性欲解消はどうなるの!」
「そもそも、お前が盛りすぎなんだ!週に2回は多い!」
そうか。
この二人は、自分のいないとろろで週に2回も睦みあっているのか。
海燕は、胃が痛くなってきた。
「じゃあ、今度浮竹がボクの屋敷にきてね?」
「隊長、だめですよ。前、外出して熱だしたでしょう。今は季節の変わり目。風邪をひきやすい季節ですから、雨乾堂からしばらくでないでください」
「分かった」
「ちょ、浮竹!?ボクの溜まった性欲は!?」
「一人でしとけ」
「そんなぁ」
上司の性事情などに口を出すのは、海燕くらいだろう。
なんだかなぁと思いながらも、浮竹のために新しい布団をしいた。
情事の後は、熱を出しやすい。
「俺も甘いなぁ」
本来なら、浮竹のことを考えると睦みあうのを止めるべきなのだが。
肉体関係がなくても、愛は育めるが、浮竹も京楽も愛には肉欲が絡んでいた。
いい年した大人なのに、まるで少年のように性欲がおおせいだ。
京楽は特にその色が濃いが、以外と浮竹も濃い。
「はぁ。俺、今日は早退します。睦みあうなら、お好きなように」
すでに、浮竹はうとうとと微睡んでおり、京楽もその隣で眠りかけていた。
本当に、仲の良い二人だ。
関係を隠すこともせず。
ある意味、すごい。
浮竹隊長の副官となったのが最後、京楽隊長ともうまくつきあわなければいけないなぁと思う海燕であった。
愛されないと消えてしまう
京楽春水は、ガイア帝国の皇帝だった。
たくさんの寵姫をもっており、子も5人いた。ただ、正妃はいなかった。妾としてたくさんの寵姫を後宮に入れていた、根っからの色事好きな皇帝だった。
ある日、預言者がこう予言した。
「皇帝は、異世界召喚で召喚した者を正妃とすれば、今のガイア帝国をもっと繁栄させ、領土も広がるだろう。ただ、その召喚した者を愛し1か月に一度肉体関係をもたさなければ、召喚した者は死んでしまう。抱かれず愛されない時間が1カ月近くなると、召喚された者の肉体は薄くなっていく」
皇帝である京楽は、預言者など怪しい者の言葉など信じなかったが、過去の皇帝に同じように異世界召喚で現れた美しい女生を正妃とした皇帝がおり、その皇帝が在位した時代は黄金期と呼ばれ、領土も広くなり、帝国も繁栄していた。ただ、正妃である女性の死後、帝国の黄金期は終わり、じわじわと領土は減っていき、帝国も衰退していった。
召喚された者は、1カ月以内に京楽に愛される必要があった。つまりは、抱かれなければならないのだ。
「異世界召喚の儀をとりおこなう!」
「京楽様、そのような必要などはないのでは?すでに御子は5人もおり、帝国も衰退はしておりません」
「ボクは、帝国を繁栄させたい」
「しかし‥‥‥‥」
「とにかく、異世界召喚の儀はとりおこなう」
こうして、京楽の正妃となる者を召喚すべく、召喚の儀がとりおこなわれた。
「‥‥‥‥。これが、ボクの正妃?」
「ブヒ?」
豚が一匹召喚された。
「な、なにかの間違いかと。もう一度、召喚の儀を」
ピチピチ。
大きな金色の鯉が召喚された。
「とりあえず、水のある場所へ。ちょっと、異世界召喚の儀って手品かなんかなの?ボクは豚や鯉を正妃するつもりはないよ?」
「し、失礼しました。おい、魔導士たち、ありったけの魔力をこめるんだ。次こそ、正妃となりえる異世界の者を召喚するのだ!」
魔導士たちは祈祷をはじめ、召喚のための魔法陣が輝いた。
まぶしすぎて、誰も目を開けれない。
「ここは‥‥‥‥?」
召喚されたのは、長い長い白髪に白い服を着て、肌も雪のように白く、瞳だけが深い緑色の人物だった。年の頃は17,8歳。
「おお、成功だ!」
「やればできるじゃない」
皇帝も、美しいその人の性別を女性だと思った。
「君は、今日からこのガイア帝国の皇帝の正妃だよ?」
「はぁ?俺は男だぞ。そもそも、神聖レオナ教の大司祭だ」
「へ?男?」
「どこをどう見ても男にしか見えないだろう」
どこをどう見ても、美しい美少女にしか見えなかった。
「また、そんな嘘を」
「俺は男だ!」
その美しい少年は、怒って京楽の手をとり、胸を触らせた。
「平だ。で、でも胸のない女性もいるし」
その人物は、ため息をついて下半身を触らせる。
「まじで男の子だった‥‥‥ボクは、この子を正妃にしないといけないの?」
「そもそも、ここはどこだ。お前は誰だ。俺はどうなったんだ」
たくさんの疑問を浮かべる人物の名前を、京楽は聞く。
「名前は?」
「浮竹十四郎。神聖レオナ帝国の、神聖レオナ教の8代目の大司祭だ」
「ボクの名前は京楽春水。ここはガイア帝国の帝都カサンドリア。ボクはこのガイア帝国の皇帝だよ」
「だからなんだ」
「えっとね‥‥‥」
京楽は、異世界召喚の儀のことを話した。
「はぁ?俺に、お前の正妃になれっていうのか?」
「いや、無理でしょ。同性だし」
「いえ、無理ではございません。少女めいた美貌をもっているのは嘘ではない。半陰陽ですな」
魔導士の一人が、浮竹の前で水晶を掲げてそう言った。
浮竹は、顔つきを変えた。
「確かに俺は半陰陽だが、男性として生きてきた。女として扱うな」
「両性具有かい。とりあえず、お風呂いれて着替えさせて。衣服は女性のもので」
「おい、聞いているのか。女として扱うなと言っている」
浮竹は、京楽に従っている女官たちに連れ去られて、無理やり風呂にいれられて、女性ものの衣服を着せられた。女性ものといっても、露出は極端に少なく、スカートになっているが、浮竹の希望でハーフパンツをはいていた。
ドレス姿だが、浮竹は勝手に他の布を改造して着こんで、ドレスとはまた異なる姿で京楽のところにやってきた。
「へえ。ドレスを着させるように言ったはずなのに、そんな風に着るんだね。悪くない」
「俺は、一刻も早く神聖レオナ帝国に戻りたい」
「無理だよ。異世界召喚の儀で召喚された者は、もう元の世界に帰れない」
浮竹は目を見開いて、京楽の頬をぶった。
「お前の正妃になれというのか!」
京楽は、口を切ってしまったが、そんなことどうでもいいように浮竹を見つめる。
「君に興味がわいた。半陰陽はこの国では崇めるべき対象であり、国の象徴でもある。そんな君を正妃にするのに誰も文句を言わないだろう」
「俺は嫌だぞ!」
「君は、ボクに抱かれなければ1か月で命が尽きてしまうんだよ?」
異世界召喚の儀の説明にも入れていたが、浮竹は眉を顰める。
「じゃあ、俺は死ぬ。1カ月、どこかで一人で過ごさせてくれ」
「ちょっと、自分から死を決意するの?それくらい、ボクとの結婚は嫌?」
「ああ、嫌だ。半陰陽だと知って、目の色を変える男の妻になんてなりたくないし、抱かれたくもない」
「ううむ。じゃあ、まずは友人から始めよう?」
「友人として接するなら、お前の傍にいてやってもいい」
浮竹は、運んでこられる豪華な食事を食べながら、京楽を見た。
見た目は悪くないが、好色家で寵姫を百人以上囲っているという。子もすでに5人はいるそうで、浮竹はますます京楽の正妃になるのが嫌になった。
浮竹は、不思議と異世界召喚されたのに、その世界の言葉が全て理解できた。文字も読めた。
どんな国の文字でも読めるし、聞き取り話すことも可能だった。
ただじっとしているのは暇なので、浮竹は後宮で大きな部屋をもたされてそこで寝起きしながら、ガイア帝国の通訳をした。
他の国の者の言葉をガイア帝国の言葉にして、政治などに口を出した。
浮竹が召喚されて2週間ばかり経った頃、ガイア帝国はイサナ公国を領土に入れた。浮竹のお陰で、イサナ公国は特殊な言語を話す民族で、交渉が進んでいなかったのだ。浮竹が通訳し、ガイア帝国の領土に加わるが、自治を許された。
「月の御子に乾杯!」
浮竹は、瞳以外白いので、月の御子と呼ばれるようになっていた。
京楽の隣で過ごすようになってから、京楽も変わった。
寵姫たちをきちんと整頓して、子のいない寵姫たちは故郷に戻された。子供たちには皇位継承権を与えないが、皇族としての暮らしを約束させた。
子を産んだ寵姫もだ。
「うーん」
浮竹は、だらしなかった京楽の変わりように、うなっていた。
「君のために身辺整理をしたよ。ボクの正妃になってよ」
「いやだ」
「そう言わず」
「はじめに召喚された豚とやらでも抱いておけ」
「じゃあ、その豚を調理しよう」
「好きにしろ」
「でも、もうこの世界にきて3週間だよ?そろそろボクに抱かれないと、本当に死んでしまうよ?」
「死しても魂は残る。俺は、そんな宗教の大司祭として過ごしてきた。男であっても女であっても、誰とも寝ない」
それから数日が経った。
浮竹は輪郭を薄くさせて、高熱を出して倒れた。
医者が言うには、原因は不明だという。もうすぐ、浮竹が召喚されて1か月になる。
京楽は、浮竹を失いたくなくて、浮竹に媚薬を盛った。
「んあ‥‥‥体が、熱い」
「ごめんね、浮竹。ほんとは同意がいいんだけど、このままじゃ君が死んでしまう。君を抱くよ」
浮竹が着ている衣服を全て脱がせると、虐待の痕があって、京楽は言葉を飲み込んだ。
半陰陽だが、見た目は男性だった。胸はなかったが、膣はあった。
京楽は、優しく浮竹を抱いた。
「あ、やぁ」
浮竹の秘所を舐めて、指を入れて濡らすと、京楽は己のものを浮竹の秘所に挿入する。
男性経験がないのか、秘所は処女膜を破られたことで血を流した。
「浮竹、大好きだよ」
「やああ」
浮竹は、高熱で意識を朦朧としていたが、誰かに同意もなく抱かれていることは分かった。
「んあっ」
「ああ、君の中すごい。このまま、子を孕んでくれたらいいのに」
「ああっ」
浮竹は、京楽に子種をたくさん幼い子宮に注ぎ込まれて、意識を失った。
次の日には、高熱で死にかけていたのが嘘のように元気になっていた。薄くなっていた体の輪郭もしっかりしていた。
「京楽」
「ん?」
「このドスケベがあああああ」
「うぎゃあああああああああ」
皇帝である京楽を、浮竹は蹴り転がす。
同意もなしに抱かれたことに、しかも女扱いされたことに浮竹は怒り、それを京楽にぶつけた。
「もぎゃああああ、ごめんなさいいいい」
京楽に思い切り八つ当たりしてすっきりする。
月日はあっという間に過ぎていく。
浮竹がこの世界にきて2か月目になろうとしていた。
京楽とは、それなりに仲のよい友人になれたが、愛されていたが、肉体関係がなかったせいで、また浮竹は体の輪郭を薄くさせて、京楽に抱かれる羽目になった。
「今回は、後ろを愛してあげる」
「ん‥‥‥」
浮竹は、またもや媚薬を盛られて、意識はあまりない。
京楽は、潤滑油を使い、浮竹の蕾を解した。
「あっ」
「やっぱり、男性でもあるから後ろでも感じるんだね。今日は、君の前もいかせてあげるから」
「やああああ」
浮竹に後ろの前立腺をすりあげられて、己のものをしごかれて、浮竹は少量であるが精液をはきだした。
「んあっ」
ぐちゅりと音をたてて、蕾を穿つ京楽は、浮竹の体の虜になっていた。
「ああ、甘い。君の精液ですら甘い。女の部分も男の部分も、感度はいいし」
くちゅっと音をたてて、浮竹の秘所の天井を指で刺激してやると、浮竹は女としていきながら、蕾の最奥に突き上げられて、また少量の精液を出していっていた。
京楽は、浮竹の胎の奥に子種を注ぎ込む。
「こっちにも、あげるね?」
まだ幼い子宮にも、子種を注いだ。
浮竹は、いつの間にか京楽に依存するようになっていた。
この世界に召喚されてから3か月目には、淫らになってしまった自分の体の火照りをどうすることもできなくて、自分の意思から居楽に抱かれた。
「おめでとうございます。ご懐妊です」
「え」
4カ月目になろうという頃、浮竹は京楽の子を身籠った。
浮竹はパニックになったが、京楽が抱きしめて安心させた。
「君を、正妃にする」
「ばかな」
「もう、前々から君を正妃にする準備は進めていたんだよ。それに、陰から他のボクの子をもつ寵姫から嫌がらせされてたでしょ?」
浮竹は黙り込む。
いない間に衣服を切り裂かれたり、京楽から贈られた小鳥を殺されたりしていた。
浮竹は騒がないし、京楽に言いつけもしないので、嫌がらせはエスカレートして、ついには浮竹の髪を切られることまでになっていた。
「正妃になって」
「俺は、元の世界に戻りたい‥‥‥‥」
「正妃になってほしい。君を、世界で一番愛している」
「俺、も。愛している」
浮竹も、京楽を好きになっていた。
何度も肉体関係をもっていて、好きでないのに抱かれるような人間ではなかった、浮竹は。
召喚されて半年が経つ頃、浮竹と京楽は結婚式を挙げた。
浮竹は正妃となたったが、後ろ盾がなく、脆い存在だった。
ある日、それまでの正妃候補だった寵姫が、浮竹を攫って、奴隷として売り飛ばした。
それを知った京楽は激怒し、その寵姫と自分の愛娘となる姫の首をはねた。2等身にあたる血族まで、処刑された。
浮竹の腹の中には京楽の子がいたが、処刑された寵姫の手によって流されていた。
やっとの思いで、奴隷から救出された浮竹は、他の貴族にあたる男に汚されていた。
「俺は汚れた。もう、お前の正妃ではいられない」
「たとえ、汚されていようと、ボクの正妃は君だけだよ、浮竹」
「京楽‥‥‥怖かった。怖かった‥‥‥」
浮竹は、京楽の胸の中で泣いた。
更に月日が経ち、再び浮竹は京楽の子を懐妊して、6カ月足らずで陣痛がきて、早産した。
早産したが、子は一命をとりとめ、男児だった。
皇太子の誕生だった。
「母様」
「父様と呼びなさい」
「えー、でも皇帝である父様と混じっちゃうよ?」
「それでもかまわない。俺を呼ぶ時は、父様と呼びなさい」
「はぁい。浮竹父様」
浮竹は不思議な力をもっていた。
それは、他者の怪我や病気を癒すというもの。
体力を消耗するので滅多に使わないが、その能力をいかして外交が進められたりして、ガイア帝国の領土は広がった。
そして、浮竹が提案した学校という施設のお陰と孤児院の設立、スラム街の住民の国民としての受け入れなど、様々なことが変革され、ガイア王国は二度目の黄金期を迎えようとしていた。
「浮竹、愛してるよ。恋夜(れんや)も」
恋夜とは、皇太子の名前だった。
「俺も、愛している、京楽」
京楽は、長寿なので200歳まで生きた。浮竹も、エルフの血を引いているので長く生きた。
最後、京楽が先に逝ってしまうのだが、国の象徴として、静かに過ごし、自分の血を継いだ子が国を統治していくのを、ゆっくりと見守るのあった。
たくさんの寵姫をもっており、子も5人いた。ただ、正妃はいなかった。妾としてたくさんの寵姫を後宮に入れていた、根っからの色事好きな皇帝だった。
ある日、預言者がこう予言した。
「皇帝は、異世界召喚で召喚した者を正妃とすれば、今のガイア帝国をもっと繁栄させ、領土も広がるだろう。ただ、その召喚した者を愛し1か月に一度肉体関係をもたさなければ、召喚した者は死んでしまう。抱かれず愛されない時間が1カ月近くなると、召喚された者の肉体は薄くなっていく」
皇帝である京楽は、預言者など怪しい者の言葉など信じなかったが、過去の皇帝に同じように異世界召喚で現れた美しい女生を正妃とした皇帝がおり、その皇帝が在位した時代は黄金期と呼ばれ、領土も広くなり、帝国も繁栄していた。ただ、正妃である女性の死後、帝国の黄金期は終わり、じわじわと領土は減っていき、帝国も衰退していった。
召喚された者は、1カ月以内に京楽に愛される必要があった。つまりは、抱かれなければならないのだ。
「異世界召喚の儀をとりおこなう!」
「京楽様、そのような必要などはないのでは?すでに御子は5人もおり、帝国も衰退はしておりません」
「ボクは、帝国を繁栄させたい」
「しかし‥‥‥‥」
「とにかく、異世界召喚の儀はとりおこなう」
こうして、京楽の正妃となる者を召喚すべく、召喚の儀がとりおこなわれた。
「‥‥‥‥。これが、ボクの正妃?」
「ブヒ?」
豚が一匹召喚された。
「な、なにかの間違いかと。もう一度、召喚の儀を」
ピチピチ。
大きな金色の鯉が召喚された。
「とりあえず、水のある場所へ。ちょっと、異世界召喚の儀って手品かなんかなの?ボクは豚や鯉を正妃するつもりはないよ?」
「し、失礼しました。おい、魔導士たち、ありったけの魔力をこめるんだ。次こそ、正妃となりえる異世界の者を召喚するのだ!」
魔導士たちは祈祷をはじめ、召喚のための魔法陣が輝いた。
まぶしすぎて、誰も目を開けれない。
「ここは‥‥‥‥?」
召喚されたのは、長い長い白髪に白い服を着て、肌も雪のように白く、瞳だけが深い緑色の人物だった。年の頃は17,8歳。
「おお、成功だ!」
「やればできるじゃない」
皇帝も、美しいその人の性別を女性だと思った。
「君は、今日からこのガイア帝国の皇帝の正妃だよ?」
「はぁ?俺は男だぞ。そもそも、神聖レオナ教の大司祭だ」
「へ?男?」
「どこをどう見ても男にしか見えないだろう」
どこをどう見ても、美しい美少女にしか見えなかった。
「また、そんな嘘を」
「俺は男だ!」
その美しい少年は、怒って京楽の手をとり、胸を触らせた。
「平だ。で、でも胸のない女性もいるし」
その人物は、ため息をついて下半身を触らせる。
「まじで男の子だった‥‥‥ボクは、この子を正妃にしないといけないの?」
「そもそも、ここはどこだ。お前は誰だ。俺はどうなったんだ」
たくさんの疑問を浮かべる人物の名前を、京楽は聞く。
「名前は?」
「浮竹十四郎。神聖レオナ帝国の、神聖レオナ教の8代目の大司祭だ」
「ボクの名前は京楽春水。ここはガイア帝国の帝都カサンドリア。ボクはこのガイア帝国の皇帝だよ」
「だからなんだ」
「えっとね‥‥‥」
京楽は、異世界召喚の儀のことを話した。
「はぁ?俺に、お前の正妃になれっていうのか?」
「いや、無理でしょ。同性だし」
「いえ、無理ではございません。少女めいた美貌をもっているのは嘘ではない。半陰陽ですな」
魔導士の一人が、浮竹の前で水晶を掲げてそう言った。
浮竹は、顔つきを変えた。
「確かに俺は半陰陽だが、男性として生きてきた。女として扱うな」
「両性具有かい。とりあえず、お風呂いれて着替えさせて。衣服は女性のもので」
「おい、聞いているのか。女として扱うなと言っている」
浮竹は、京楽に従っている女官たちに連れ去られて、無理やり風呂にいれられて、女性ものの衣服を着せられた。女性ものといっても、露出は極端に少なく、スカートになっているが、浮竹の希望でハーフパンツをはいていた。
ドレス姿だが、浮竹は勝手に他の布を改造して着こんで、ドレスとはまた異なる姿で京楽のところにやってきた。
「へえ。ドレスを着させるように言ったはずなのに、そんな風に着るんだね。悪くない」
「俺は、一刻も早く神聖レオナ帝国に戻りたい」
「無理だよ。異世界召喚の儀で召喚された者は、もう元の世界に帰れない」
浮竹は目を見開いて、京楽の頬をぶった。
「お前の正妃になれというのか!」
京楽は、口を切ってしまったが、そんなことどうでもいいように浮竹を見つめる。
「君に興味がわいた。半陰陽はこの国では崇めるべき対象であり、国の象徴でもある。そんな君を正妃にするのに誰も文句を言わないだろう」
「俺は嫌だぞ!」
「君は、ボクに抱かれなければ1か月で命が尽きてしまうんだよ?」
異世界召喚の儀の説明にも入れていたが、浮竹は眉を顰める。
「じゃあ、俺は死ぬ。1カ月、どこかで一人で過ごさせてくれ」
「ちょっと、自分から死を決意するの?それくらい、ボクとの結婚は嫌?」
「ああ、嫌だ。半陰陽だと知って、目の色を変える男の妻になんてなりたくないし、抱かれたくもない」
「ううむ。じゃあ、まずは友人から始めよう?」
「友人として接するなら、お前の傍にいてやってもいい」
浮竹は、運んでこられる豪華な食事を食べながら、京楽を見た。
見た目は悪くないが、好色家で寵姫を百人以上囲っているという。子もすでに5人はいるそうで、浮竹はますます京楽の正妃になるのが嫌になった。
浮竹は、不思議と異世界召喚されたのに、その世界の言葉が全て理解できた。文字も読めた。
どんな国の文字でも読めるし、聞き取り話すことも可能だった。
ただじっとしているのは暇なので、浮竹は後宮で大きな部屋をもたされてそこで寝起きしながら、ガイア帝国の通訳をした。
他の国の者の言葉をガイア帝国の言葉にして、政治などに口を出した。
浮竹が召喚されて2週間ばかり経った頃、ガイア帝国はイサナ公国を領土に入れた。浮竹のお陰で、イサナ公国は特殊な言語を話す民族で、交渉が進んでいなかったのだ。浮竹が通訳し、ガイア帝国の領土に加わるが、自治を許された。
「月の御子に乾杯!」
浮竹は、瞳以外白いので、月の御子と呼ばれるようになっていた。
京楽の隣で過ごすようになってから、京楽も変わった。
寵姫たちをきちんと整頓して、子のいない寵姫たちは故郷に戻された。子供たちには皇位継承権を与えないが、皇族としての暮らしを約束させた。
子を産んだ寵姫もだ。
「うーん」
浮竹は、だらしなかった京楽の変わりように、うなっていた。
「君のために身辺整理をしたよ。ボクの正妃になってよ」
「いやだ」
「そう言わず」
「はじめに召喚された豚とやらでも抱いておけ」
「じゃあ、その豚を調理しよう」
「好きにしろ」
「でも、もうこの世界にきて3週間だよ?そろそろボクに抱かれないと、本当に死んでしまうよ?」
「死しても魂は残る。俺は、そんな宗教の大司祭として過ごしてきた。男であっても女であっても、誰とも寝ない」
それから数日が経った。
浮竹は輪郭を薄くさせて、高熱を出して倒れた。
医者が言うには、原因は不明だという。もうすぐ、浮竹が召喚されて1か月になる。
京楽は、浮竹を失いたくなくて、浮竹に媚薬を盛った。
「んあ‥‥‥体が、熱い」
「ごめんね、浮竹。ほんとは同意がいいんだけど、このままじゃ君が死んでしまう。君を抱くよ」
浮竹が着ている衣服を全て脱がせると、虐待の痕があって、京楽は言葉を飲み込んだ。
半陰陽だが、見た目は男性だった。胸はなかったが、膣はあった。
京楽は、優しく浮竹を抱いた。
「あ、やぁ」
浮竹の秘所を舐めて、指を入れて濡らすと、京楽は己のものを浮竹の秘所に挿入する。
男性経験がないのか、秘所は処女膜を破られたことで血を流した。
「浮竹、大好きだよ」
「やああ」
浮竹は、高熱で意識を朦朧としていたが、誰かに同意もなく抱かれていることは分かった。
「んあっ」
「ああ、君の中すごい。このまま、子を孕んでくれたらいいのに」
「ああっ」
浮竹は、京楽に子種をたくさん幼い子宮に注ぎ込まれて、意識を失った。
次の日には、高熱で死にかけていたのが嘘のように元気になっていた。薄くなっていた体の輪郭もしっかりしていた。
「京楽」
「ん?」
「このドスケベがあああああ」
「うぎゃあああああああああ」
皇帝である京楽を、浮竹は蹴り転がす。
同意もなしに抱かれたことに、しかも女扱いされたことに浮竹は怒り、それを京楽にぶつけた。
「もぎゃああああ、ごめんなさいいいい」
京楽に思い切り八つ当たりしてすっきりする。
月日はあっという間に過ぎていく。
浮竹がこの世界にきて2か月目になろうとしていた。
京楽とは、それなりに仲のよい友人になれたが、愛されていたが、肉体関係がなかったせいで、また浮竹は体の輪郭を薄くさせて、京楽に抱かれる羽目になった。
「今回は、後ろを愛してあげる」
「ん‥‥‥」
浮竹は、またもや媚薬を盛られて、意識はあまりない。
京楽は、潤滑油を使い、浮竹の蕾を解した。
「あっ」
「やっぱり、男性でもあるから後ろでも感じるんだね。今日は、君の前もいかせてあげるから」
「やああああ」
浮竹に後ろの前立腺をすりあげられて、己のものをしごかれて、浮竹は少量であるが精液をはきだした。
「んあっ」
ぐちゅりと音をたてて、蕾を穿つ京楽は、浮竹の体の虜になっていた。
「ああ、甘い。君の精液ですら甘い。女の部分も男の部分も、感度はいいし」
くちゅっと音をたてて、浮竹の秘所の天井を指で刺激してやると、浮竹は女としていきながら、蕾の最奥に突き上げられて、また少量の精液を出していっていた。
京楽は、浮竹の胎の奥に子種を注ぎ込む。
「こっちにも、あげるね?」
まだ幼い子宮にも、子種を注いだ。
浮竹は、いつの間にか京楽に依存するようになっていた。
この世界に召喚されてから3か月目には、淫らになってしまった自分の体の火照りをどうすることもできなくて、自分の意思から居楽に抱かれた。
「おめでとうございます。ご懐妊です」
「え」
4カ月目になろうという頃、浮竹は京楽の子を身籠った。
浮竹はパニックになったが、京楽が抱きしめて安心させた。
「君を、正妃にする」
「ばかな」
「もう、前々から君を正妃にする準備は進めていたんだよ。それに、陰から他のボクの子をもつ寵姫から嫌がらせされてたでしょ?」
浮竹は黙り込む。
いない間に衣服を切り裂かれたり、京楽から贈られた小鳥を殺されたりしていた。
浮竹は騒がないし、京楽に言いつけもしないので、嫌がらせはエスカレートして、ついには浮竹の髪を切られることまでになっていた。
「正妃になって」
「俺は、元の世界に戻りたい‥‥‥‥」
「正妃になってほしい。君を、世界で一番愛している」
「俺、も。愛している」
浮竹も、京楽を好きになっていた。
何度も肉体関係をもっていて、好きでないのに抱かれるような人間ではなかった、浮竹は。
召喚されて半年が経つ頃、浮竹と京楽は結婚式を挙げた。
浮竹は正妃となたったが、後ろ盾がなく、脆い存在だった。
ある日、それまでの正妃候補だった寵姫が、浮竹を攫って、奴隷として売り飛ばした。
それを知った京楽は激怒し、その寵姫と自分の愛娘となる姫の首をはねた。2等身にあたる血族まで、処刑された。
浮竹の腹の中には京楽の子がいたが、処刑された寵姫の手によって流されていた。
やっとの思いで、奴隷から救出された浮竹は、他の貴族にあたる男に汚されていた。
「俺は汚れた。もう、お前の正妃ではいられない」
「たとえ、汚されていようと、ボクの正妃は君だけだよ、浮竹」
「京楽‥‥‥怖かった。怖かった‥‥‥」
浮竹は、京楽の胸の中で泣いた。
更に月日が経ち、再び浮竹は京楽の子を懐妊して、6カ月足らずで陣痛がきて、早産した。
早産したが、子は一命をとりとめ、男児だった。
皇太子の誕生だった。
「母様」
「父様と呼びなさい」
「えー、でも皇帝である父様と混じっちゃうよ?」
「それでもかまわない。俺を呼ぶ時は、父様と呼びなさい」
「はぁい。浮竹父様」
浮竹は不思議な力をもっていた。
それは、他者の怪我や病気を癒すというもの。
体力を消耗するので滅多に使わないが、その能力をいかして外交が進められたりして、ガイア帝国の領土は広がった。
そして、浮竹が提案した学校という施設のお陰と孤児院の設立、スラム街の住民の国民としての受け入れなど、様々なことが変革され、ガイア王国は二度目の黄金期を迎えようとしていた。
「浮竹、愛してるよ。恋夜(れんや)も」
恋夜とは、皇太子の名前だった。
「俺も、愛している、京楽」
京楽は、長寿なので200歳まで生きた。浮竹も、エルフの血を引いているので長く生きた。
最後、京楽が先に逝ってしまうのだが、国の象徴として、静かに過ごし、自分の血を継いだ子が国を統治していくのを、ゆっくりと見守るのあった。
小さな発作
隊首会に浮竹は出ていた。
その日は微熱があり、副隊長の海燕から欠席するようにと言われていたが、ここ1か月ばかり寝込んだりで隊首会に出ていなかったので、久しぶりに出ようと思った。
微熱なので、大丈夫だと思っていたのだ。
隊首会も半ばを過ぎ、終わりに近づいたころ、浮竹は高熱を出していた。
誰も気づかない。
ただ、京楽だけは違った。
「山じい、浮竹は欠席で」
ふわりと京楽に抱き上げられて、浮竹は京楽の首に腕を回して、咳きこんだ。
「ごほっ、ごほっ」
ごぽりといやな音をたてて、鮮血を吐く。
「卯の花隊長」
「はい。回道を今かけますので」
その場に卯の花がいてくれて助かった。
高熱だけなら寝ていれば治るが、浮竹の肺の病はなるべく回道をかけて癒えるのを待つしかない。
「京楽隊長、今日は具合が悪かったのでは?」
卯の花に尋ねられて、ゆるゆると首を横に振る。
「少し微熱があっただけだ」
「それを、具合が悪いと言うのですよ」
卯の花は優しかったが、自分の体調を顧みず、隊首会に出席した浮竹をやんわりとたしなめる。
「まぁまぁ、浮竹も分かっているだろうから」
「京楽隊長、あなたは浮竹隊長に甘すぎます」
回道をかけ終えて、吐血の止まった浮竹を抱き上げて、京楽は立ち上がる。
「じゃあ、浮竹送っていくから」
「うむ」
山じいも慣れているので、浮竹に体を大事にするようにと言い聞かせた。
「京楽、俺は」
「はいはい、雨乾堂に行くよ」
「すまん」
「すまないと思うなら、体調が少しでもおかしい時は無理をしないこと」
「すまん‥‥」
浮竹は京楽の背に手を回した。
ほどなくして、雨乾堂につく。
「ああっ、隊長!おとなしくしておけっていったのに!」
勝手に部屋を抜け出して、隊首会に出席した浮竹のことを、副官の海燕が怒っていた。
京楽は、布団がしかれるを待って、その上に浮竹を寝かせる。
「もう、行くのか?」
「ああ、もうその目。仕方ないねぇ。ボクも隊首会欠席で」
地獄蝶を飛ばす。
うんと甘やかすように、浮竹の頭を撫でて、隣の畳の上に寝そべる。
「京楽」
「ん?」
「いつも、すまない」
「いいって。毎度のことじゃない」
「京楽隊長、浮竹隊長に薬を」
海燕が、肺の病の薬をもってくる。あと解熱剤も。
それを受け取って、京楽は口移しで浮竹に飲ませた。
「んっ」
舌が入ってきて、浮竹の口内を舐める。
「んあっ」
「ちょ、京楽隊長なにしてるんすか!」
「ん~?ちょっと、味見を」
「ばかやってないで、浮竹隊長を寝かせてやってください!」
海燕はぷりぷりと怒り出す。
「はいはい」
京楽は、笠をかぶり直して、浮竹に布団をかける。
薬はきつめの鎮静剤だったので、浮竹はすぐに眠ってしまった。
「あんた、隊長の体調がよくないって分かっててちょっと手出したでしょ」
「え~?キスくらい、いいじゃない」
「そもそも、薬を口移しでなくても、浮竹隊長は時間はかかるけど自分で飲めたはずです」
「もう、固いこと言わないでよ」
「そもそもあんたは‥‥‥」
長い海燕のお説教を適当に聞き流して、京楽は浮竹の隣で眠ってしまった。
「ん‥‥」
「あ、起きた?」
「俺は、何時間くらい眠っていた?」
「3時間くらいかな」
京楽は、浮竹のおでこにおでこを引っ付ける。
「うん、熱は下がっているようだね。肺の発作も収まているようだし、普通の食事していいよ」
「京楽、まさかお前まで隊首会を‥‥」
「うん、さぼっちゃった」
浮竹は大きなため息を零す。
「お前というやつは‥‥‥」
半病人であった浮竹にくどくどお説教されながらも、京楽はにこにこしていた。
浮竹が元気なことがうれしいのだ。
ここ数日、会うことさえな叶わなかった。
「浮竹、愛してるよ」
「ちょ、海燕がいる」
「ああ、気にしてないよ彼」
「俺は気にする!」
浮竹はため息をついて、また横になる。
「熱は下がったが、今日は一応おとなしくしておく」
海燕にお説教されたくないので、浮竹は眠ろうとする。
その隣に、京楽はまだいた。
「泊まっていくか?」
「もちろん」
京楽は、嬉しそうにほほ笑むのだった。
その日は微熱があり、副隊長の海燕から欠席するようにと言われていたが、ここ1か月ばかり寝込んだりで隊首会に出ていなかったので、久しぶりに出ようと思った。
微熱なので、大丈夫だと思っていたのだ。
隊首会も半ばを過ぎ、終わりに近づいたころ、浮竹は高熱を出していた。
誰も気づかない。
ただ、京楽だけは違った。
「山じい、浮竹は欠席で」
ふわりと京楽に抱き上げられて、浮竹は京楽の首に腕を回して、咳きこんだ。
「ごほっ、ごほっ」
ごぽりといやな音をたてて、鮮血を吐く。
「卯の花隊長」
「はい。回道を今かけますので」
その場に卯の花がいてくれて助かった。
高熱だけなら寝ていれば治るが、浮竹の肺の病はなるべく回道をかけて癒えるのを待つしかない。
「京楽隊長、今日は具合が悪かったのでは?」
卯の花に尋ねられて、ゆるゆると首を横に振る。
「少し微熱があっただけだ」
「それを、具合が悪いと言うのですよ」
卯の花は優しかったが、自分の体調を顧みず、隊首会に出席した浮竹をやんわりとたしなめる。
「まぁまぁ、浮竹も分かっているだろうから」
「京楽隊長、あなたは浮竹隊長に甘すぎます」
回道をかけ終えて、吐血の止まった浮竹を抱き上げて、京楽は立ち上がる。
「じゃあ、浮竹送っていくから」
「うむ」
山じいも慣れているので、浮竹に体を大事にするようにと言い聞かせた。
「京楽、俺は」
「はいはい、雨乾堂に行くよ」
「すまん」
「すまないと思うなら、体調が少しでもおかしい時は無理をしないこと」
「すまん‥‥」
浮竹は京楽の背に手を回した。
ほどなくして、雨乾堂につく。
「ああっ、隊長!おとなしくしておけっていったのに!」
勝手に部屋を抜け出して、隊首会に出席した浮竹のことを、副官の海燕が怒っていた。
京楽は、布団がしかれるを待って、その上に浮竹を寝かせる。
「もう、行くのか?」
「ああ、もうその目。仕方ないねぇ。ボクも隊首会欠席で」
地獄蝶を飛ばす。
うんと甘やかすように、浮竹の頭を撫でて、隣の畳の上に寝そべる。
「京楽」
「ん?」
「いつも、すまない」
「いいって。毎度のことじゃない」
「京楽隊長、浮竹隊長に薬を」
海燕が、肺の病の薬をもってくる。あと解熱剤も。
それを受け取って、京楽は口移しで浮竹に飲ませた。
「んっ」
舌が入ってきて、浮竹の口内を舐める。
「んあっ」
「ちょ、京楽隊長なにしてるんすか!」
「ん~?ちょっと、味見を」
「ばかやってないで、浮竹隊長を寝かせてやってください!」
海燕はぷりぷりと怒り出す。
「はいはい」
京楽は、笠をかぶり直して、浮竹に布団をかける。
薬はきつめの鎮静剤だったので、浮竹はすぐに眠ってしまった。
「あんた、隊長の体調がよくないって分かっててちょっと手出したでしょ」
「え~?キスくらい、いいじゃない」
「そもそも、薬を口移しでなくても、浮竹隊長は時間はかかるけど自分で飲めたはずです」
「もう、固いこと言わないでよ」
「そもそもあんたは‥‥‥」
長い海燕のお説教を適当に聞き流して、京楽は浮竹の隣で眠ってしまった。
「ん‥‥」
「あ、起きた?」
「俺は、何時間くらい眠っていた?」
「3時間くらいかな」
京楽は、浮竹のおでこにおでこを引っ付ける。
「うん、熱は下がっているようだね。肺の発作も収まているようだし、普通の食事していいよ」
「京楽、まさかお前まで隊首会を‥‥」
「うん、さぼっちゃった」
浮竹は大きなため息を零す。
「お前というやつは‥‥‥」
半病人であった浮竹にくどくどお説教されながらも、京楽はにこにこしていた。
浮竹が元気なことがうれしいのだ。
ここ数日、会うことさえな叶わなかった。
「浮竹、愛してるよ」
「ちょ、海燕がいる」
「ああ、気にしてないよ彼」
「俺は気にする!」
浮竹はため息をついて、また横になる。
「熱は下がったが、今日は一応おとなしくしておく」
海燕にお説教されたくないので、浮竹は眠ろうとする。
その隣に、京楽はまだいた。
「泊まっていくか?」
「もちろん」
京楽は、嬉しそうにほほ笑むのだった。
夜に惑う
浮竹十四郎、16歳。
花街の中でも人気の桜茶屋の色子だった。
京楽春水、22歳。
その茶屋によく通う、浮竹の常連客だった。
上流貴族で、浮竹を身請けしたいと言い出したのだが、まだまだ稼ぎ頭である浮竹を茶屋の主が手放したくなく、浮竹が20歳になったら身請けしていいと言い出した。
京楽は貴族の強さを見せたのだが、結局茶屋の主を説得することはできず、浮竹が20歳になったら身請けするということで話が進んだ、
「浮竹」
「ああ、京楽か。今日も俺を買うのか?」
「うん。なるべく君を他の誰にも抱かせたくないからね」
「また、無茶を言う」
浮竹は笑った。京楽と最初に出会った頃は、綺麗なのに暗い顔をしていた。苦界であがく少年だった。
京楽に20歳になれば身請けされると決まって、浮竹は明るくなった。
あと4年辛抱すればいいのだ。その間も京楽はなるべく浮竹を買いにきてくれて、他の客をとる機会はぐっと減った。
「またな、京楽」
「うん、また明日」
京楽は、毎日のように浮竹を買う。
浮竹は、京楽に抱かれていつか身請けされるという幸せを噛みしめる。
その情報は、すぐに浮竹の元に届いた。
京楽は死神の隊長で、虚退治の遠征に出て負傷し、記憶を全て失ったのだという。
浮竹は京楽の元に行きたいが、色子なので花街の外には出れなかった。
京楽がこなくなって、浮竹はたくさんの客をとった。
いつか、京楽が自分のことを思い出して迎えに来てくれると信じて。
1年が経った頃、もう京楽のことは諦めていた浮竹の前に、京楽がひょっこり現れた。
「京楽!記憶が戻ったのか?」
「君は誰?」
「あ‥‥‥」
浮竹は、今まで我慢していた線が切れて、ぼろぼろと泣き出した。
「ちょ、君?」
「お前は、俺をいつも買いにきてくれていた。20歳になったら、俺を身請けすると言ってくれた」
「ええっ、そんなことを君と約束していたの。ボクは記憶を取り戻す手がかりが欲しくてこの花街にきたんだけど」
「俺を買え、京楽」
「名前は?」
「浮竹十四郎。周りからは翡翠と呼ばれている」
浮竹の瞳は、翡翠のような綺麗な緑だった。
「翡翠、でいいの?」
「いや、お前は本名の浮竹と呼んでいた」
京楽は、浮竹を買うことにした。
「あ、はう」
胸の先端ばかりをいじられて、浮竹はもぞもぞする。
「あ、下も触って」
「なんか、ぞくぞくするね。君のその顔をを見てると、すごく興奮する」
「はぁっ」
京楽は浮竹の下肢に手を伸ばして、浮竹のものを手でしごいた。
「んああああ!」
びくんと浮竹の体がはねて、いっていた。精液に濡れた手を舐める京楽に、浮竹が顔を赤くする。
「そんなの、舐めるな」
「どうして?」
「こ、今度は俺がする!」
浮竹は硬く勃ちあがった京楽のものを、口で奉仕しはじめる。
「あ、いいねぇ。そこ、気持ちいい。もっと全体を手を使ってしごいてみて?」
「ん」
京楽は、浮竹の口の中に子種を出す。
それを、ごくりと飲み込む浮竹。
「ああ、飲まなくていいのに」
「お前の精液は飲みなれている」
1年のブランクはあるが、浮竹に何十回と抱かれたことのある浮竹にとって、京楽の精液を飲むなんて普通の行為に等しかった。
「指で、ならすね?」
「あ」
潤滑油をまとった指が体内に入ってくる。
ばらばらに動く指が前立腺をかすめて、浮竹は甘い声をだす。
「やあああん」
「ここ、君のいいとこ?」
「や、言うな」
「じゃあ、体に聞かないとね?」
京楽は、硬い己のものを浮竹の蕾にあてがい、浮竹がいい場所を突き上げた。
「ひゃう!」
浮竹は、びくっと体を震わせて、精液を出していっていた。
同時に中いきもしていた。
「あああ、いくの、止まらない、あ、あ」
京楽は一度引き抜くと、ぐちゅりと音を立ててまた浮竹の内部を穿つ。
「ひあっ」
最奥まで貫かれて、快感で浮竹は涙を滲ませる。
「浮竹‥‥‥。ああ、なんか少し思い出してきた。君が大切だった」
「あ、京楽」
「もっとボクを求めて、浮竹?」
「あああ、京楽、俺の奥に子種をくれ」
浮竹は、自然と京楽のものを締め付ける。
我慢できなくて、京楽は白濁した液体を浮竹の最奥の結腸に注ぎ込む。
「んああああ」
ぐちゅぐちゅと音をたてる結合部。
浮竹は、オーガズムで中いきを繰り返し、背をしならせる。
「ああ、京楽、いい。あああ、もっとおお」
「淫乱な子だねえ、浮竹」
京楽の記憶は、戻っていた。
「君を、20歳になったら身請けするって話だったけど、身請け金を3倍払って、今日君を身請けする」
「え?」
京楽に貫かれながら、浮竹は目を見開く。
「京楽、お前記憶が?」
「うん。どうやら愛しい君を抱いたことで戻ったみたい」
「京楽!」
浮竹は涙をポロポロ零しながら、京楽に抱きつく。
「さぁ、最後まで付き合ってもらうよ」
「え、あ、もうむりぃ」
「そんなことないでしょ?」
「やあああ」
京楽に貫かれ、抉られ、揺すぶられて、浮竹はもう出すものがなかったのでオーガズムの中いきを繰り返す。
京楽は最後の一滴までを浮竹に注ぎ込んで満足した。
「浮竹、立てる?」
「ああ」
「湯あみしよう」
「分かった」
「君の中に出したもの、後始末しないとね」
他の客は、浮竹を抱き終わったら寝るか帰るかだった。
行為の最後まで気遣ってくれるのは、京楽だけだった。
一緒に風呂に入り、中に出したものをかき出されて、風呂からあがると京楽は店の主に話をつけてくるからと、浮竹に先に寝ていいと言って消えてしまった。
「京楽‥‥大好き」
浮竹は、交わった後で疲れていたのでそのまま眠ってしまった。
気づくと、隣に京楽が寝ていた。
「京楽?」
「ん、ああ、おはよう」
「おはよう」
「送る準備しないと」
「そんなことする必要はないよ。君は、今日からボクだけのものだから」
京楽の言葉に、目を見開く。
「茶屋の主と話がついた。君の身請け金額の4倍をはらったら、君を身請けしていいって」
「京楽、そんな大金」
「たくわえはあるからね。いらない屋敷を5つほど処分して金を作ったから、気にしなくていいよ」
「京楽、大好きだ。愛してる}
「ボクも、浮竹が大好きで愛してるよ。記憶を失っていた1年間、君を放置していてごめんね?」
「いいんだ。また、俺の元にきてくれたから」
浮竹は微笑む。綺麗な笑顔だった。
「じゃあ、荷物まとめて出発しようか。出迎えの馬車を用意してあるんだ」
「分かった」
浮竹は数の少ない自分の荷物をまとめて、他の茶屋の色子や主に声をかけたりお礼を言ったりして、馬車に乗り込む。
「今日から、君はボクの妾ってことになる。立場上、正妻を娶らなきゃいけないけど、ボクは結婚しない。君だけを愛するから」
「京楽‥‥‥‥」
「今、幸せかい?」
「当り前だ、ばか」
京楽の肩に頭を預けて、浮竹は目を閉じる。
今日から、第二の人生がはじまるのだ。
京楽の隣に存在しながら。
花街の中でも人気の桜茶屋の色子だった。
京楽春水、22歳。
その茶屋によく通う、浮竹の常連客だった。
上流貴族で、浮竹を身請けしたいと言い出したのだが、まだまだ稼ぎ頭である浮竹を茶屋の主が手放したくなく、浮竹が20歳になったら身請けしていいと言い出した。
京楽は貴族の強さを見せたのだが、結局茶屋の主を説得することはできず、浮竹が20歳になったら身請けするということで話が進んだ、
「浮竹」
「ああ、京楽か。今日も俺を買うのか?」
「うん。なるべく君を他の誰にも抱かせたくないからね」
「また、無茶を言う」
浮竹は笑った。京楽と最初に出会った頃は、綺麗なのに暗い顔をしていた。苦界であがく少年だった。
京楽に20歳になれば身請けされると決まって、浮竹は明るくなった。
あと4年辛抱すればいいのだ。その間も京楽はなるべく浮竹を買いにきてくれて、他の客をとる機会はぐっと減った。
「またな、京楽」
「うん、また明日」
京楽は、毎日のように浮竹を買う。
浮竹は、京楽に抱かれていつか身請けされるという幸せを噛みしめる。
その情報は、すぐに浮竹の元に届いた。
京楽は死神の隊長で、虚退治の遠征に出て負傷し、記憶を全て失ったのだという。
浮竹は京楽の元に行きたいが、色子なので花街の外には出れなかった。
京楽がこなくなって、浮竹はたくさんの客をとった。
いつか、京楽が自分のことを思い出して迎えに来てくれると信じて。
1年が経った頃、もう京楽のことは諦めていた浮竹の前に、京楽がひょっこり現れた。
「京楽!記憶が戻ったのか?」
「君は誰?」
「あ‥‥‥」
浮竹は、今まで我慢していた線が切れて、ぼろぼろと泣き出した。
「ちょ、君?」
「お前は、俺をいつも買いにきてくれていた。20歳になったら、俺を身請けすると言ってくれた」
「ええっ、そんなことを君と約束していたの。ボクは記憶を取り戻す手がかりが欲しくてこの花街にきたんだけど」
「俺を買え、京楽」
「名前は?」
「浮竹十四郎。周りからは翡翠と呼ばれている」
浮竹の瞳は、翡翠のような綺麗な緑だった。
「翡翠、でいいの?」
「いや、お前は本名の浮竹と呼んでいた」
京楽は、浮竹を買うことにした。
「あ、はう」
胸の先端ばかりをいじられて、浮竹はもぞもぞする。
「あ、下も触って」
「なんか、ぞくぞくするね。君のその顔をを見てると、すごく興奮する」
「はぁっ」
京楽は浮竹の下肢に手を伸ばして、浮竹のものを手でしごいた。
「んああああ!」
びくんと浮竹の体がはねて、いっていた。精液に濡れた手を舐める京楽に、浮竹が顔を赤くする。
「そんなの、舐めるな」
「どうして?」
「こ、今度は俺がする!」
浮竹は硬く勃ちあがった京楽のものを、口で奉仕しはじめる。
「あ、いいねぇ。そこ、気持ちいい。もっと全体を手を使ってしごいてみて?」
「ん」
京楽は、浮竹の口の中に子種を出す。
それを、ごくりと飲み込む浮竹。
「ああ、飲まなくていいのに」
「お前の精液は飲みなれている」
1年のブランクはあるが、浮竹に何十回と抱かれたことのある浮竹にとって、京楽の精液を飲むなんて普通の行為に等しかった。
「指で、ならすね?」
「あ」
潤滑油をまとった指が体内に入ってくる。
ばらばらに動く指が前立腺をかすめて、浮竹は甘い声をだす。
「やあああん」
「ここ、君のいいとこ?」
「や、言うな」
「じゃあ、体に聞かないとね?」
京楽は、硬い己のものを浮竹の蕾にあてがい、浮竹がいい場所を突き上げた。
「ひゃう!」
浮竹は、びくっと体を震わせて、精液を出していっていた。
同時に中いきもしていた。
「あああ、いくの、止まらない、あ、あ」
京楽は一度引き抜くと、ぐちゅりと音を立ててまた浮竹の内部を穿つ。
「ひあっ」
最奥まで貫かれて、快感で浮竹は涙を滲ませる。
「浮竹‥‥‥。ああ、なんか少し思い出してきた。君が大切だった」
「あ、京楽」
「もっとボクを求めて、浮竹?」
「あああ、京楽、俺の奥に子種をくれ」
浮竹は、自然と京楽のものを締め付ける。
我慢できなくて、京楽は白濁した液体を浮竹の最奥の結腸に注ぎ込む。
「んああああ」
ぐちゅぐちゅと音をたてる結合部。
浮竹は、オーガズムで中いきを繰り返し、背をしならせる。
「ああ、京楽、いい。あああ、もっとおお」
「淫乱な子だねえ、浮竹」
京楽の記憶は、戻っていた。
「君を、20歳になったら身請けするって話だったけど、身請け金を3倍払って、今日君を身請けする」
「え?」
京楽に貫かれながら、浮竹は目を見開く。
「京楽、お前記憶が?」
「うん。どうやら愛しい君を抱いたことで戻ったみたい」
「京楽!」
浮竹は涙をポロポロ零しながら、京楽に抱きつく。
「さぁ、最後まで付き合ってもらうよ」
「え、あ、もうむりぃ」
「そんなことないでしょ?」
「やあああ」
京楽に貫かれ、抉られ、揺すぶられて、浮竹はもう出すものがなかったのでオーガズムの中いきを繰り返す。
京楽は最後の一滴までを浮竹に注ぎ込んで満足した。
「浮竹、立てる?」
「ああ」
「湯あみしよう」
「分かった」
「君の中に出したもの、後始末しないとね」
他の客は、浮竹を抱き終わったら寝るか帰るかだった。
行為の最後まで気遣ってくれるのは、京楽だけだった。
一緒に風呂に入り、中に出したものをかき出されて、風呂からあがると京楽は店の主に話をつけてくるからと、浮竹に先に寝ていいと言って消えてしまった。
「京楽‥‥大好き」
浮竹は、交わった後で疲れていたのでそのまま眠ってしまった。
気づくと、隣に京楽が寝ていた。
「京楽?」
「ん、ああ、おはよう」
「おはよう」
「送る準備しないと」
「そんなことする必要はないよ。君は、今日からボクだけのものだから」
京楽の言葉に、目を見開く。
「茶屋の主と話がついた。君の身請け金額の4倍をはらったら、君を身請けしていいって」
「京楽、そんな大金」
「たくわえはあるからね。いらない屋敷を5つほど処分して金を作ったから、気にしなくていいよ」
「京楽、大好きだ。愛してる}
「ボクも、浮竹が大好きで愛してるよ。記憶を失っていた1年間、君を放置していてごめんね?」
「いいんだ。また、俺の元にきてくれたから」
浮竹は微笑む。綺麗な笑顔だった。
「じゃあ、荷物まとめて出発しようか。出迎えの馬車を用意してあるんだ」
「分かった」
浮竹は数の少ない自分の荷物をまとめて、他の茶屋の色子や主に声をかけたりお礼を言ったりして、馬車に乗り込む。
「今日から、君はボクの妾ってことになる。立場上、正妻を娶らなきゃいけないけど、ボクは結婚しない。君だけを愛するから」
「京楽‥‥‥‥」
「今、幸せかい?」
「当り前だ、ばか」
京楽の肩に頭を預けて、浮竹は目を閉じる。
今日から、第二の人生がはじまるのだ。
京楽の隣に存在しながら。
オメガバース恋白14
「子が、できたのだ」
「まじっすか」
「ああ。2カ月らしい。私ではなく、代理母の腹を借りて産んでもらおうと思っている」
恋次は、その言葉に眉をしかめる。
「やっぱり、自分で産むのはいやっすか」
「オメガの男だと、流産しやすい上に、子ができても帝王切開でしか産めぬからな。自分の腹が子を宿した女子のように膨れていくのは恐怖心がある」
恋次も、もしも自分が子を宿して男なのに腹が膨れていくのを想像したら、代理母を選択した白哉の気持ちも少し分かった。
「その、お腹撫でても?」
「何も起きぬぞ」
「でも、ここに俺たちの子供が、いると分かったらなんかすごく愛しくなってきた」
恋次は、平らな白哉の腹を何度も撫でた。
「前回は流産したからな。今度は、無事に生まれてきてほしい」
白哉とて、恋次との間の愛の結晶が欲しくなかったわけではないのだ。
「明日には、手術を受ける。なので、執務から離れることになるが‥‥」
「あ、はい。留守の間は任せてください」
「2~3日入院になると思うが、すぐに戻ってくる」
「はい」
白哉は、健康な女性を選んで、大金に目がくらんで産みたがる女ではなく、代理母であっても、子に愛情を注げる代理母を選んだ。
下級貴族の娘だった。
年は22で、すでに一児の母で出産経験はある。
その娘に、大金をつんで代理母になってもらい、子を移植した。
血液型は一致しており、子の移植は無事終わり、白哉は全身麻酔から目を覚ますと、まだ眠っている代理母の腹を撫でた。
「男であっても、女であっても、名は決まっている。恋夜(れんや)だ。恋次の名前からきているが‥‥‥」
白哉は、そのまま3日ほど入院して、体のどこかに異常がないかもチェックを受けて退院した。
「おかえりなさい、隊長」
「ただいま」
恋次は、白哉を抱きしめた。
「その、痛くとかはなかったですか」
「麻酔が効いていたので、それはない。だが、しばらく免疫力が下がるそうなので、薬を飲まねばならぬ」
白哉は、朝から薬を飲んできた。
胎児が代理母を攻撃しないように、免疫抑制剤を飲んでいたので、それを回復させる薬を飲んでいた。
胎児を移植など、現世の科学でも無理であるが、尸魂界ではいろいろな研究が進んでいて、可能であった。
「子の名は、男であれ女であれ、恋夜(れんや)という名にしようと思っている」
「あ、いい響きですね。俺も考えてたけど、なかなかいいのが思い当たらなくて」
白哉と恋次は、そのまま普通に生活しだした。
やがて、胎児を失ったことでヒートがきて、白哉はアフターピルを必ず飲んで、恋次に抱かれた。
「ああ!」
恋次に下から突き上げられて、白哉は黒い長めの髪を宙に舞わせる。
「んああ」
恋次が突き上げるたびに、白哉の体が上下に揺れる。
「ンあ‥‥‥」
「ほら、隊長も自分で動いてください」
「やあああ」
けれど、快感を求めていつの間にか白哉は自分で動いていた。
「うわ、この位置から見る隊長すごいエロい」
「んん‥‥」
白哉は、恋次とキスがしたくて、体位を変えてくれるように恋次に頼んだ。
「キスしたい。この体位はもういやだ」
「エロい隊長が見れるのは、貴重っすからね。普通に交じり合いましょう」
正常位から抱かれて、白哉は恋次のうなじに噛みつく。
「なんすか?もう、俺たち番っすよ?それに、オメガのあんたがアルファの俺に噛みついても意味はありませんよ?」
「それでも、いい」
今度は、肩に噛みついてきた。
けっこう力を入れて噛まれたので、血が出た。
「恋次に、私のものであるという証がほしい」
「あー。うーん、まぁ噛むことで納得いくなら何度だって噛んでいいですよ」
「恋次。愛している」
「隊長‥‥‥」
「んあああ」
最奥を突きあげられて、白哉は背をしならせて、大きくオーガズムでいっていた。
「あ、あ、大きいのがくるう」
びゅるびゅると、胎の奥で子種を出されて、白哉は精液を出しながら中いきをする。
「あああっ」
「もっと欲しいですか?」
「んあ、もっと」
「ああ、ほんと抱かれてる時のあんたって淫乱だなぁ」
「やあ」
言葉で攻められると、白哉は弱い。
「大好きです」
「あ、恋次、もっとお」
「隊長が満足するまで、また子が孕むくらい注いであげますよ」
白哉は、恋次に中出しされていきまくる。
「んあ、あ、あ、だめぇ、孕んじゃうううう」
「アフターピル飲むから大丈夫でしょ」
「やあ」
恋次は、白哉に用意されてあったアフターピルを口移しで飲ませた。
「これで、孕まない」
「んっ」
「子種もっと欲しいですか?」
「あ、欲しい」
ヒート期間は子作りの意味も兼ねているので、白哉は恋次の精子を欲しがった。
番の精子を体内で受け止めると、ヒートの熱も徐々に引いていく。
「はぁ‥‥もう、いい。寝る」
白哉は、突然行為をしなくなり、眠り始めた。
「ちょ、隊長!」
ずるりと抜かれた蕾から、恋次の出した白濁した液体があふれてくる。
恋次は濡れたタオルで意識をなくして眠ってしまった白哉の体を綺麗にふいて、中に出したものをかき出す。
また妊娠してもおかしくない量を出していた。
アフターピルを飲み忘れていたら、きっと妊娠しているだろう。
「恋夜か‥‥代理母に、今度会いに行ってみるかな」
恋次は、そんなことを考えながら、白哉を抱きしめて眠るのであった。
「まじっすか」
「ああ。2カ月らしい。私ではなく、代理母の腹を借りて産んでもらおうと思っている」
恋次は、その言葉に眉をしかめる。
「やっぱり、自分で産むのはいやっすか」
「オメガの男だと、流産しやすい上に、子ができても帝王切開でしか産めぬからな。自分の腹が子を宿した女子のように膨れていくのは恐怖心がある」
恋次も、もしも自分が子を宿して男なのに腹が膨れていくのを想像したら、代理母を選択した白哉の気持ちも少し分かった。
「その、お腹撫でても?」
「何も起きぬぞ」
「でも、ここに俺たちの子供が、いると分かったらなんかすごく愛しくなってきた」
恋次は、平らな白哉の腹を何度も撫でた。
「前回は流産したからな。今度は、無事に生まれてきてほしい」
白哉とて、恋次との間の愛の結晶が欲しくなかったわけではないのだ。
「明日には、手術を受ける。なので、執務から離れることになるが‥‥」
「あ、はい。留守の間は任せてください」
「2~3日入院になると思うが、すぐに戻ってくる」
「はい」
白哉は、健康な女性を選んで、大金に目がくらんで産みたがる女ではなく、代理母であっても、子に愛情を注げる代理母を選んだ。
下級貴族の娘だった。
年は22で、すでに一児の母で出産経験はある。
その娘に、大金をつんで代理母になってもらい、子を移植した。
血液型は一致しており、子の移植は無事終わり、白哉は全身麻酔から目を覚ますと、まだ眠っている代理母の腹を撫でた。
「男であっても、女であっても、名は決まっている。恋夜(れんや)だ。恋次の名前からきているが‥‥‥」
白哉は、そのまま3日ほど入院して、体のどこかに異常がないかもチェックを受けて退院した。
「おかえりなさい、隊長」
「ただいま」
恋次は、白哉を抱きしめた。
「その、痛くとかはなかったですか」
「麻酔が効いていたので、それはない。だが、しばらく免疫力が下がるそうなので、薬を飲まねばならぬ」
白哉は、朝から薬を飲んできた。
胎児が代理母を攻撃しないように、免疫抑制剤を飲んでいたので、それを回復させる薬を飲んでいた。
胎児を移植など、現世の科学でも無理であるが、尸魂界ではいろいろな研究が進んでいて、可能であった。
「子の名は、男であれ女であれ、恋夜(れんや)という名にしようと思っている」
「あ、いい響きですね。俺も考えてたけど、なかなかいいのが思い当たらなくて」
白哉と恋次は、そのまま普通に生活しだした。
やがて、胎児を失ったことでヒートがきて、白哉はアフターピルを必ず飲んで、恋次に抱かれた。
「ああ!」
恋次に下から突き上げられて、白哉は黒い長めの髪を宙に舞わせる。
「んああ」
恋次が突き上げるたびに、白哉の体が上下に揺れる。
「ンあ‥‥‥」
「ほら、隊長も自分で動いてください」
「やあああ」
けれど、快感を求めていつの間にか白哉は自分で動いていた。
「うわ、この位置から見る隊長すごいエロい」
「んん‥‥」
白哉は、恋次とキスがしたくて、体位を変えてくれるように恋次に頼んだ。
「キスしたい。この体位はもういやだ」
「エロい隊長が見れるのは、貴重っすからね。普通に交じり合いましょう」
正常位から抱かれて、白哉は恋次のうなじに噛みつく。
「なんすか?もう、俺たち番っすよ?それに、オメガのあんたがアルファの俺に噛みついても意味はありませんよ?」
「それでも、いい」
今度は、肩に噛みついてきた。
けっこう力を入れて噛まれたので、血が出た。
「恋次に、私のものであるという証がほしい」
「あー。うーん、まぁ噛むことで納得いくなら何度だって噛んでいいですよ」
「恋次。愛している」
「隊長‥‥‥」
「んあああ」
最奥を突きあげられて、白哉は背をしならせて、大きくオーガズムでいっていた。
「あ、あ、大きいのがくるう」
びゅるびゅると、胎の奥で子種を出されて、白哉は精液を出しながら中いきをする。
「あああっ」
「もっと欲しいですか?」
「んあ、もっと」
「ああ、ほんと抱かれてる時のあんたって淫乱だなぁ」
「やあ」
言葉で攻められると、白哉は弱い。
「大好きです」
「あ、恋次、もっとお」
「隊長が満足するまで、また子が孕むくらい注いであげますよ」
白哉は、恋次に中出しされていきまくる。
「んあ、あ、あ、だめぇ、孕んじゃうううう」
「アフターピル飲むから大丈夫でしょ」
「やあ」
恋次は、白哉に用意されてあったアフターピルを口移しで飲ませた。
「これで、孕まない」
「んっ」
「子種もっと欲しいですか?」
「あ、欲しい」
ヒート期間は子作りの意味も兼ねているので、白哉は恋次の精子を欲しがった。
番の精子を体内で受け止めると、ヒートの熱も徐々に引いていく。
「はぁ‥‥もう、いい。寝る」
白哉は、突然行為をしなくなり、眠り始めた。
「ちょ、隊長!」
ずるりと抜かれた蕾から、恋次の出した白濁した液体があふれてくる。
恋次は濡れたタオルで意識をなくして眠ってしまった白哉の体を綺麗にふいて、中に出したものをかき出す。
また妊娠してもおかしくない量を出していた。
アフターピルを飲み忘れていたら、きっと妊娠しているだろう。
「恋夜か‥‥代理母に、今度会いに行ってみるかな」
恋次は、そんなことを考えながら、白哉を抱きしめて眠るのであった。
夜に啼く
その色子は、12歳だった。
貴族出身で、読み書きも計算もでき、何より美しかった。少女かと見まごうほどの美しさで、少女といってもとびきりの美少女だ。
名は朽木白哉。
10歳で売られて、12歳から客を取り始めた。
はじめは客をとるのを嫌がっていたが、男衆に酷く輪姦されて、絶望に染まった瞳で客を取り始めた。
その男衆の中に、阿散井恋次はいた。白哉と同じ12歳だった。
色子の味も覚えておけと言われて、涙を静かに流す美しい色子の白哉をなるべく優しく抱いた。
それから、白哉のことを恋次は密かに想い、恋次は白哉の世話を任されて、白哉の心の中にぽっかりと開いた空洞に入りこみ、白哉のお気に入りになっていた。
客と色子との間に恋愛はないに等しい。
白哉は体を売り始めてあっという間に出世して、色子では珍しい花魁にまでのぼりつめた。若干15歳であった。
「恋次」
「なんでしょう、白哉さん」
「新しい簪を買いにいきたい。ついてこい」
白哉は、花街の中なら自由に移動を許可されていた。
中には足抜けしようとする色子や遊女がいるので、花街に入る門には屈強な男たちが24時間監視をして、足抜けを防止していた。
白哉は、恋次をつれて装飾品の店に行き、瑠璃でできた簪を欲しがり、店の親父を色仕掛けで落として、半額の値段で簪を手に入れた。
「白哉さん、何も色仕掛けなんかしなくても」
「私は、自分で稼いだ金でいずれ自分を買って、自由になる。身請けなどごめんだ」
色子が身請けされても、せいぜい20年ほど愛されるのが関の山。遊女と違って子を成せないので、飽きられれば、また売り飛ばされてしまう。
きっと、年がいってしまえば、色子としての価値もなくなり、奴隷に身を落とすかもしれない。
白哉はとにかく上客の、特に上流貴族の者たちに愛されて、金をどんどんもらって、その花街で一番稼ぎの多い色子になっていた。
女の花魁など、目に入らぬほどの稼ぎぶりだった。
当然、身請けの額もすごいことになっている。
上流貴族でも、白哉を身請けしたいという者は多かったが、その値段のあまりの高さに諦める者が多かった。
「白哉」
「はい、旦那様」
白哉は、客の前では猫を被る。
恋次といる時だけ、素顔を見せた。
「おお、白哉はいつまでたっても綺麗でかわいいねぇ」
「ありがとうございます、旦那様。さぁ、白哉を今日もかわいがってくださいましね?」
白哉は、今日も好きでもない相手に買われ、足を開いて体を売る。
一晩で複数の男の相手をすることもあった。
「白哉さん、あんまり無理しないでください。倒れたらどうするんですか」
「恋次。色子は若いうちが売り時なんだ。20代になれば売上げも落ちる。花魁でいられるのも、あと3年というところだ」
「白哉さん‥‥‥」
「兄には、教えていなかったな。朽木白哉というのは本名だ。源氏名は蛍。そう呼ばれるのが嫌なので、本当の名で体を売っている。もしも、朽木という名に心当たりのある者が店にきたら、何がなんでも通してくれ」
白哉には、義妹の朽木ルキアという少女がいた。
借金のために白哉は売られたが、せめてルキアだけはと、売られて手にいれた金のほとんどはルキアのために残した。
白哉には叔父がいたため、ルキアを任せた。
定期的にルキアの報告を聞いているため、叔父がルキアを売り飛ばすことはなかったと聞いているし、貴族であるのに節約の厳しい生活をしているらしいが、人並みの幸せを送っていると聞いてよく安堵していた。
「いつか、自分の稼いだ金で自分を買い取って自由になり、ルキアと一緒に暮らすのが夢なのだ。恋次、その時は兄もついてこい」
「え、俺ですか?」
「兄には、世話になっているからな。私をただで抱けるのは、兄だけだ」
恋次と白哉は、ご法度な恋仲にあった。
使用人が、色子とできていると知られれば、きっと恋次は花街を追われてしまう。
白哉は少しばかりの折檻で終わるだろうが、恋次の場合、命の保証すらない。
それでも、恋次はたまに白哉を抱く。
白哉は、貴族であるはずなのに身売りをしなければいけないという悪夢から、目覚めさせたいというように、たまに自傷行為に走る。
恋次は、そのストッパー役だった。
「ああ‥‥‥また、手首を切ったのか」
白哉は、3日前60代のじじいに抱かれた後、上流貴族の4人の男に輪姦されるが如く抱かれて、その反動で手首を切った。
発見されたのが早かったのと、傷が浅かったせいで生き残れた。
「複数の客を取るの、やめにしませんか」
「なぜだ。金をしこたま落としていってくれる」
「でも、白哉さんその度に体を自分で傷つけるじゃないですが、俺、そんな白哉さんを見ていられません」
「恋次、私を抱け」
「白哉さん」
白哉は、傷口を縫われていた。手首のその傷が癒えるまでの少しの間、客をとらなくてよかった。
「私は、男に抱かれたい浅ましい色子なのだ。誰が相手でも、自分から足を開いて受け入れる」
「白哉さん、泣かないで」
気づけば、白哉は涙を零していた。
「何もかも忘れたい。私を抱け」
恋次は、丁寧に白哉を扱った。
優しく口づけして、体の全体を愛撫した。
「あっ」
「もっと、声聞かせてください。あんたの声、すげぇそそる」
「んあっ」
恋次は、白哉のものをしごきあげて、ピチャリと音をたてて舐めあげる。
「あ、恋次」
「気持ちいいですか?」
こくこくと、白哉は頷いた。
白哉は右手首に包帯が巻かれていて、見ていて痛々しかった。
潤滑油を取り出して、指にまとわせると、白哉の蕾に指をいれる。
「あっ」
指をばらばらに動かされて、ぴくんと白哉が反応する。
「ここ、白哉さんのいいところ」
「ひあ!」
指でぐっとそこを押されて、白哉はオーガズムでいっていた。
「あ、もう、来い」
恋次は、指をひきぬくと、とろとろに溶けている蕾に、潤滑油をまとわせた己のものをあてがい、一気に貫いた。
「ひああああ!!」
びくんと、白哉の背がしなる。大きくオーガズムでいくと同時に、射精していた。
「あ、あ、もっとお」
「白哉さん、好きです」
白哉は、恋次の肩に噛みついて、手を背にまわす。
「んあああ、もっと。もっと激しく、壊れるくらい私を抱け」
「白哉さん」
恋次は、白哉を後ろから突き上げる。
ぐちゅりと濡れた音が結合部から聞こえて、結合部は泡立っていた。
「あ、いい。いく、いっちゃう」
「何度でも抱いてあげますよ」
「んああああ」
恋次は、白哉の胎の奥に精液を吐き出した。
「あ、あ‥‥」
白哉は、満足げに目を閉じる。
恋次は、何度も白哉の中に出した。
若いだけあって、性欲はおおせいであったが、白哉は抱かれる側なのでそうでもないようだった。
「私は、兄が羨ましい」
「どうしてですか」
「自由だからだ」
「でも、金もない貧乏人ですよ、白哉さんの世話を任されてから給金はよくなりましたが、それでも金持ちにはなれません」
「自由ならば、それでもいいではないか。私など、同じ男に足を開かねば生きていけぬ」
大分金はたまったが、まだまだ自分を自分で買う金は白哉にはなかった。
2年が過ぎた。
ある日、朽木家と聞いて客がやってきた。
まだ少年だった。
「ああ、やっぱり白哉様だ。同じ四大貴族だった四楓院夕四郎です」
「え、四大貴族?」
恋次が、目を見開く。
あの、四大貴族の一人だというのか、色子の白哉が。
「ああ、色子になどになって。身請けします」
「よいのか?」
白哉が、夕四郎に問いかける。
「はい。白哉様を身請けする金くらいありますから!」
「しかし、色子を身請けしたとなれば、兄の立場が」
「白哉様は、そこの使用人と一緒に逃げてください。自由をさしあげます」
白哉は、涙を滲ませた。
「夕四郎殿、恩に着る」
白哉は、こうして四楓院夕四郎に身請けされて自由になり、恋次を連れて生まれ故郷に戻ってきた。
「兄様!」
「ルキア!」
白哉は、一人残していたルキアが黒崎一護という伴侶を得て、幸せに暮らしているのを知って、安堵した。一緒に暮らさなくても、幸せそうだった。
「ルキア、私はしばらく世界を回ってみようと思う。この恋次と一緒に」
「兄様は、四楓院夕四郎様に身請けされたと聞きましたが?」
「ああ、その通りだ。身請けしてもらったが、自由をくれた」
「兄様、では旅が終われば私と一緒に暮らしてください。一護は上流寄贈なので、生活は安心できます」
「いつ旅から帰ってくるかも分からぬが、帰って来た時はルキア、そなたの傍にいることを誓おう」
「はい、兄様」
「いいんですか、白哉さん。俺と旅だなんて」
「世界をもっと見てみたいのだ。金は、夕四郎殿からたくさんもらっている。ただ、私は色子であった時間があるせいで、体が疼く。その時の相手を、兄がしてくれ」
「俺は、白哉さんを愛しています」
「そうであったな。私も恋次、兄を愛している。兄がいたから、まだあの地獄の中で正気でいられた」
花街は苦界ともいわれる。
白哉にとっては、苦界であったのだろう。
好きでもない男に体を売るなんて。色子として。
「いろんな世界を見て回りたい。身辺警護は兄に任せたぞ。男衆の中でも一番腕が立つのであろう?」
「そうでしたけど‥‥‥白哉さんは綺麗だから。俺、いろいろと心配です」
「没落する前の朽木家の祖先をたどってみたい。まだ没落する前の朽木家は、貴族でありながら商人だったそうだ。その足取りをたどってみたいのだ」
「では、俺はその隣で恋人兼用心棒としていますね?」
「ふふ、私の恋人か。まぁ、よかろう」
白哉は、恋次と共に旅立っていくのであった。
貴族出身で、読み書きも計算もでき、何より美しかった。少女かと見まごうほどの美しさで、少女といってもとびきりの美少女だ。
名は朽木白哉。
10歳で売られて、12歳から客を取り始めた。
はじめは客をとるのを嫌がっていたが、男衆に酷く輪姦されて、絶望に染まった瞳で客を取り始めた。
その男衆の中に、阿散井恋次はいた。白哉と同じ12歳だった。
色子の味も覚えておけと言われて、涙を静かに流す美しい色子の白哉をなるべく優しく抱いた。
それから、白哉のことを恋次は密かに想い、恋次は白哉の世話を任されて、白哉の心の中にぽっかりと開いた空洞に入りこみ、白哉のお気に入りになっていた。
客と色子との間に恋愛はないに等しい。
白哉は体を売り始めてあっという間に出世して、色子では珍しい花魁にまでのぼりつめた。若干15歳であった。
「恋次」
「なんでしょう、白哉さん」
「新しい簪を買いにいきたい。ついてこい」
白哉は、花街の中なら自由に移動を許可されていた。
中には足抜けしようとする色子や遊女がいるので、花街に入る門には屈強な男たちが24時間監視をして、足抜けを防止していた。
白哉は、恋次をつれて装飾品の店に行き、瑠璃でできた簪を欲しがり、店の親父を色仕掛けで落として、半額の値段で簪を手に入れた。
「白哉さん、何も色仕掛けなんかしなくても」
「私は、自分で稼いだ金でいずれ自分を買って、自由になる。身請けなどごめんだ」
色子が身請けされても、せいぜい20年ほど愛されるのが関の山。遊女と違って子を成せないので、飽きられれば、また売り飛ばされてしまう。
きっと、年がいってしまえば、色子としての価値もなくなり、奴隷に身を落とすかもしれない。
白哉はとにかく上客の、特に上流貴族の者たちに愛されて、金をどんどんもらって、その花街で一番稼ぎの多い色子になっていた。
女の花魁など、目に入らぬほどの稼ぎぶりだった。
当然、身請けの額もすごいことになっている。
上流貴族でも、白哉を身請けしたいという者は多かったが、その値段のあまりの高さに諦める者が多かった。
「白哉」
「はい、旦那様」
白哉は、客の前では猫を被る。
恋次といる時だけ、素顔を見せた。
「おお、白哉はいつまでたっても綺麗でかわいいねぇ」
「ありがとうございます、旦那様。さぁ、白哉を今日もかわいがってくださいましね?」
白哉は、今日も好きでもない相手に買われ、足を開いて体を売る。
一晩で複数の男の相手をすることもあった。
「白哉さん、あんまり無理しないでください。倒れたらどうするんですか」
「恋次。色子は若いうちが売り時なんだ。20代になれば売上げも落ちる。花魁でいられるのも、あと3年というところだ」
「白哉さん‥‥‥」
「兄には、教えていなかったな。朽木白哉というのは本名だ。源氏名は蛍。そう呼ばれるのが嫌なので、本当の名で体を売っている。もしも、朽木という名に心当たりのある者が店にきたら、何がなんでも通してくれ」
白哉には、義妹の朽木ルキアという少女がいた。
借金のために白哉は売られたが、せめてルキアだけはと、売られて手にいれた金のほとんどはルキアのために残した。
白哉には叔父がいたため、ルキアを任せた。
定期的にルキアの報告を聞いているため、叔父がルキアを売り飛ばすことはなかったと聞いているし、貴族であるのに節約の厳しい生活をしているらしいが、人並みの幸せを送っていると聞いてよく安堵していた。
「いつか、自分の稼いだ金で自分を買い取って自由になり、ルキアと一緒に暮らすのが夢なのだ。恋次、その時は兄もついてこい」
「え、俺ですか?」
「兄には、世話になっているからな。私をただで抱けるのは、兄だけだ」
恋次と白哉は、ご法度な恋仲にあった。
使用人が、色子とできていると知られれば、きっと恋次は花街を追われてしまう。
白哉は少しばかりの折檻で終わるだろうが、恋次の場合、命の保証すらない。
それでも、恋次はたまに白哉を抱く。
白哉は、貴族であるはずなのに身売りをしなければいけないという悪夢から、目覚めさせたいというように、たまに自傷行為に走る。
恋次は、そのストッパー役だった。
「ああ‥‥‥また、手首を切ったのか」
白哉は、3日前60代のじじいに抱かれた後、上流貴族の4人の男に輪姦されるが如く抱かれて、その反動で手首を切った。
発見されたのが早かったのと、傷が浅かったせいで生き残れた。
「複数の客を取るの、やめにしませんか」
「なぜだ。金をしこたま落としていってくれる」
「でも、白哉さんその度に体を自分で傷つけるじゃないですが、俺、そんな白哉さんを見ていられません」
「恋次、私を抱け」
「白哉さん」
白哉は、傷口を縫われていた。手首のその傷が癒えるまでの少しの間、客をとらなくてよかった。
「私は、男に抱かれたい浅ましい色子なのだ。誰が相手でも、自分から足を開いて受け入れる」
「白哉さん、泣かないで」
気づけば、白哉は涙を零していた。
「何もかも忘れたい。私を抱け」
恋次は、丁寧に白哉を扱った。
優しく口づけして、体の全体を愛撫した。
「あっ」
「もっと、声聞かせてください。あんたの声、すげぇそそる」
「んあっ」
恋次は、白哉のものをしごきあげて、ピチャリと音をたてて舐めあげる。
「あ、恋次」
「気持ちいいですか?」
こくこくと、白哉は頷いた。
白哉は右手首に包帯が巻かれていて、見ていて痛々しかった。
潤滑油を取り出して、指にまとわせると、白哉の蕾に指をいれる。
「あっ」
指をばらばらに動かされて、ぴくんと白哉が反応する。
「ここ、白哉さんのいいところ」
「ひあ!」
指でぐっとそこを押されて、白哉はオーガズムでいっていた。
「あ、もう、来い」
恋次は、指をひきぬくと、とろとろに溶けている蕾に、潤滑油をまとわせた己のものをあてがい、一気に貫いた。
「ひああああ!!」
びくんと、白哉の背がしなる。大きくオーガズムでいくと同時に、射精していた。
「あ、あ、もっとお」
「白哉さん、好きです」
白哉は、恋次の肩に噛みついて、手を背にまわす。
「んあああ、もっと。もっと激しく、壊れるくらい私を抱け」
「白哉さん」
恋次は、白哉を後ろから突き上げる。
ぐちゅりと濡れた音が結合部から聞こえて、結合部は泡立っていた。
「あ、いい。いく、いっちゃう」
「何度でも抱いてあげますよ」
「んああああ」
恋次は、白哉の胎の奥に精液を吐き出した。
「あ、あ‥‥」
白哉は、満足げに目を閉じる。
恋次は、何度も白哉の中に出した。
若いだけあって、性欲はおおせいであったが、白哉は抱かれる側なのでそうでもないようだった。
「私は、兄が羨ましい」
「どうしてですか」
「自由だからだ」
「でも、金もない貧乏人ですよ、白哉さんの世話を任されてから給金はよくなりましたが、それでも金持ちにはなれません」
「自由ならば、それでもいいではないか。私など、同じ男に足を開かねば生きていけぬ」
大分金はたまったが、まだまだ自分を自分で買う金は白哉にはなかった。
2年が過ぎた。
ある日、朽木家と聞いて客がやってきた。
まだ少年だった。
「ああ、やっぱり白哉様だ。同じ四大貴族だった四楓院夕四郎です」
「え、四大貴族?」
恋次が、目を見開く。
あの、四大貴族の一人だというのか、色子の白哉が。
「ああ、色子になどになって。身請けします」
「よいのか?」
白哉が、夕四郎に問いかける。
「はい。白哉様を身請けする金くらいありますから!」
「しかし、色子を身請けしたとなれば、兄の立場が」
「白哉様は、そこの使用人と一緒に逃げてください。自由をさしあげます」
白哉は、涙を滲ませた。
「夕四郎殿、恩に着る」
白哉は、こうして四楓院夕四郎に身請けされて自由になり、恋次を連れて生まれ故郷に戻ってきた。
「兄様!」
「ルキア!」
白哉は、一人残していたルキアが黒崎一護という伴侶を得て、幸せに暮らしているのを知って、安堵した。一緒に暮らさなくても、幸せそうだった。
「ルキア、私はしばらく世界を回ってみようと思う。この恋次と一緒に」
「兄様は、四楓院夕四郎様に身請けされたと聞きましたが?」
「ああ、その通りだ。身請けしてもらったが、自由をくれた」
「兄様、では旅が終われば私と一緒に暮らしてください。一護は上流寄贈なので、生活は安心できます」
「いつ旅から帰ってくるかも分からぬが、帰って来た時はルキア、そなたの傍にいることを誓おう」
「はい、兄様」
「いいんですか、白哉さん。俺と旅だなんて」
「世界をもっと見てみたいのだ。金は、夕四郎殿からたくさんもらっている。ただ、私は色子であった時間があるせいで、体が疼く。その時の相手を、兄がしてくれ」
「俺は、白哉さんを愛しています」
「そうであったな。私も恋次、兄を愛している。兄がいたから、まだあの地獄の中で正気でいられた」
花街は苦界ともいわれる。
白哉にとっては、苦界であったのだろう。
好きでもない男に体を売るなんて。色子として。
「いろんな世界を見て回りたい。身辺警護は兄に任せたぞ。男衆の中でも一番腕が立つのであろう?」
「そうでしたけど‥‥‥白哉さんは綺麗だから。俺、いろいろと心配です」
「没落する前の朽木家の祖先をたどってみたい。まだ没落する前の朽木家は、貴族でありながら商人だったそうだ。その足取りをたどってみたいのだ」
「では、俺はその隣で恋人兼用心棒としていますね?」
「ふふ、私の恋人か。まぁ、よかろう」
白哉は、恋次と共に旅立っていくのであった。
酒に飲まれて、そのあの。
「あぎゃああああああ」
朝起きると、恋次はフルチンだった。
褥の傍に脱ぎ散らかした服が転がっていた。
問題は、同じ褥に夜着を乱した白哉が眠っていたのだ。
「もぎゃあああ、お、俺、まさか隊長に手を出してしまったのかああ!」
酒の匂いがぷんぷんしていた。
「ん‥‥」
もぞりと、白哉が寝がえりをうつ。
儚く可憐に見える白哉は、眠っている時も美人だった。
確か、3席の理吉と隊長と一緒に少し高級な居酒屋に飲みに行って、酔いつぶれて。
理吉が、俺を送っていくと言っていたところに、隊長が何か言っていたような。
だめだ。
完全に飲んで酔いつぶれた後の記憶がふっとんでいた。酒に飲まれるとはこのことだろう。
恋次は、白哉のことが好きだった。白哉もそれはまんざらでもないようで。
「ああああ、覚えていないなんて一生の不覚!隊長と‥‥」
隊長とむふふふなことをした記憶がないなんて!
ああ、時間が巻き戻るなら記憶が残せるほどに酔ってから隊長を抱きたかった。
ここは、恋次の家だった。
隊長にお持ち帰りされたにしては、なぜ俺の家なのだろう。
ああ、ルキアとかがいるからか。
しかし、隊長のことなら別邸などいくらでもあるはず。
「んっ」
そこで、白哉の目がゆっくりと開かれる。
長すぎる睫毛が、黒曜の瞳を彩っている。起きた白哉は、眼前のフルチンに恋次を見て、自分の夜着が乱れまくっているのと、ここが恋次の家の褥であると理解して、顔を真っ赤にして布団につっぷした。
「恋次‥‥‥言いたいことはたくさんあるが、まずは服を着ろ。せめて股間は隠せ」
「もぎゃあああああ」
フルチンだったところを見られて、恋次は急いで服を着た。
「すんません。俺、何も覚えてないんです」
「そうか‥‥‥‥」
白哉は頬を朱に染めながら、起き上がる。
「私も、あまり記憶がない。ただ、兄をこの家に送った後、眠いから褥を敷いてくれと言われて、言葉通りにしたら、兄がいきなり覆いかぶさってきて‥‥そこから先の記憶がない」
お互い顔を見合わせた後、視線を逸らす。
「そ、その、違和感とかありますか」
「どんなものだ」
「こ、腰が痛いとか」
「いや、少し飲みすぎて頭痛はするが、腰が痛いとかはない」
恋次は、白哉を押し倒したそうなのだが、恋次は白哉を抱いた記憶がない。白哉も、恋次に抱かれた記憶がなかった。
しかし、同じ褥で寝て、恋次がフルチンで白哉が夜着を乱しているので、何もなかったとも言い切れない現状。
「すんませんでした!責任とります!」
「どうやって」
「結婚前提にお付き合いを‥‥‥」
「恋次、それは」
「隊長の処女を奪ってしまった俺は、責任をちゃんととらなきゃ」
「しょ、処女‥‥‥わ、私はこうは見えるがれっきとした男だ」
「分かってます。それでも、責任はとらなきゃいけません!」
白哉は、桜色の唇を開く。
「腰などが、痛くないのだ。最後までしたわけではないのではないか?」
「それでも同じ褥で俺はフルチン。きっと、どこまでか分からないけど隊長に手を出したんでしょう。責任とらせてください」
「‥‥‥‥‥分かった」
その日から、恋次と白哉は、結婚前提のお付き合いを始めた。
「兄様に手を出しただと!?」
ルキアに事情を話すと、飛び蹴りを食らった。
「いってえええ」
「もうよい、ルキア」
「しかし、この駄犬が、兄様に手を出したなどと。おいたわしや兄様」
しくしくと本気で泣き出すルキアを宥めて、白哉は恋次を見る。
「恋次とは、結婚を前提に付き合っておる」
「ぬおおおおおお、恋次の分際で兄様と結婚前提!」
また蹴りが飛んできそうだったが、ルキアも白哉の前なので必死に我慢した。
「いや、なんつーかなりゆきで。俺、隊長に手出しちまったみたいだから」
「兄様!こんな輩は刀の錆にしてやりましょう!」
「ルキア、落ち着け」
白哉は、割と落ち着いていた。
恋次は、ルキアにいつまた蹴りか拳がこないようにガードしていた。
「多分、最後まではしておらぬのだ。だが、恋次は責任をとるというので、結婚前提で付き合うということになった」
「兄様、こんな色欲魔と婚姻するつもりですか!?」
「ひでぇ言われようだな、おい」
「うるさい、このけだものめ!」
頭を拳で殴られて、恋次は沈黙する。
「ああ、兄様なんと尊い」
とりあえず、ルキアも交えて話し合いをして、恋次は朽木家に住むことが決まった。
「ぎゃあああああ、なんでシャンプーの中身が墨汁!?」
恋次が風呂に入って、悲鳴をあげていた。
ルキアがやらかしたのだ。
ちなみに、湯は氷水になっていた。
朽木邸は広い。風呂場も3か所ほどある。
離れの風呂場を使えと、ルキアは恋次に言った。白哉が間違っても同じ風呂場にこないために。
「ルキアああああ」
風呂から無事?あがってきた恋次は、ルキアにお説教を言おうとして、じっと白哉に見られていて、ルキアの頭を撫でた。
「はははは、隊長、俺たち仲良しですから!」
「そうか。それならばよいのだ」
「兄様、どうか安心してお眠りください。このけだものは兄様の寝所には絶対に行けないようにしておきますので」
「ルキア、ほどほどにな」
「はい、兄様」
ルキアを止めない白哉。恋次は、朽木邸で白哉と甘い生活ができると思っていたのだが、ルキアがいるのだ。そう簡単にはいかない。
それでもめげずに、ある日白哉の寝所まで夜這いに出かける。
「隊長‥‥」
「ん、恋次?」
「結婚前提なんだから、手、出していいっすよね?」
我慢に我慢を強いられていた恋次は、爆発寸前になっていた。
「恋次、あっ」
敏感な場所を服の上から弄られて、白哉は甘い声を出していた。
「隊長、好きです。俺のものになってください」
「恋次‥‥‥」
潤んだ瞳で見上げられて、恋次は白哉の衣服を器用に脱がせてぽいぽいと投げ捨てると、自分も裸になった。
「やあっ」
ぎんぎんに勃ちあがったものを見せられて、白哉は身をよじる。
「最後まではしませんから‥‥‥‥足、閉じててください」
「んっ」
恋次は、白哉の太ももを使って、素股をした。
「んあああ」
恋次は、白哉のものに手を伸ばしてしごきあげると、恋次がいくのとほぼ同時ぐらいに白哉の下半身に精液をぶちまけていた。
「あ‥‥」
それでもまだ勃っている恋次のものに、白哉は戸惑いながらも手をはわす。
「た、隊長?」
「んっ」
黒い髪を背に流して、白哉は恋次のものに舌をはわせる。
「隊長‥‥‥すげぇいい」
ちゅぱちゅぱと、先端部を口に含んだり鈴口を舌で刺激しながら、全体を手でしごいていると、恋次にも限界がきて、精液を白哉の顔にかけてしまった。
「すんません隊長!」
タオルで、白哉の顔をふく。
「きもち、よかったか?」
「最高でした」
「ああ‥‥‥やっぱ、最後までしたい。いいですか、隊長」
「ここまでくれば、もう仕方あるまい‥‥‥責任と後始末はするのだぞ?」
「はい」
白哉の足を大きく開かせて、秘所に舌を這わせ濡らすと、指をつきいれる。何度か繰り返してやや柔らかくなったその場所に、恋次は己のものを埋め込んでいく。
「ひあっ!」
中は灼熱のように熱く、ねっとりとからみついてくる。
「ああ、隊長と一つになれてる‥‥すっげぇ、きもちいい」
「恋次‥‥‥」
最奥にずるりと入ってきた感覚と一緒に、白哉は中いきを人生で初めて体験していた。
「はう‥‥女のように、いって、しまった‥‥‥」
「隊長、抱かれる側はそういうこと珍しくないそうですよ」
「そう、なのか?あっ、んあ、あ」
ぐちゅりぐちゅりと、結合部が水音をたてる。
恋次に弱い場所を責められて、白哉もいっていた。
「ひあああ!」
最奥を抉るように突き上げられる。
「中に出しますよ」
「あ、やぁ」
「子種、いっぱい受け取ってくださいね?」
「やあああん」
びゅるびゅると、恋次は白哉の胎の奥に精子を注ぎ込む。
白哉はオーガズムでいっていた。
恋次は何度か白哉の中に精液を注ぎ込み、満足する。
「んっ」
まだ、白哉はいけそうだったので、恋次が奉仕した。
「んあああ」
「隊長の味‥‥」
「や、ばかぁ」
恋次の赤い髪をくしゃりと手でつかんで、引きはがそうとするが、恋次は動かない。
ひたすら白哉のものを舐めて、白哉がもう何も出せなくなるまでそうしていた。
行為が終わると、恋次は濡れたタオルをもってきて、白哉の全身を綺麗にふいて、中に出したものをかき出した。
「恋次」
「はい」
「責任は、とれよ」
「隊長の夫になります」
「夫は私だ」
「いや、俺ですよ」
「私だ」
そんなことを言い合いながら、新しくかえたシーツの上で、二人は眠った。
「兄様ああああああ!なんとおいたわしい!」
朝起きると、ルキアが泣いていた。
恋次の姿がないと思って探してみると、白哉の寝所で見つかったのだ。
白哉は乱れてはいたが、夜着を着ていた。一方、恋次はフルチンだった。
「このケダモノがああああ!お前のものなぞ、ねじきってくれるわ!」
「ぎにゃああああああああああああああ」
「ルキア、ほどほどに」
白哉は、大切な義妹に情事の後の朝を見られて、頬を赤く染めるが、やめろとは言わない。
ルキアが本気ではないと分かっているからだ。
数カ月が過ぎて、二人はやがて婚姻する。
夫は白哉で、妻が恋次ということになってしまった。
子は、朽木家の分家から養子を迎えるつもりであった。
「兄様、では行ってまいります!」
「うむ」
ルキアも、一護と婚姻し、たまに朽木邸に帰ってくるが、新しくルキアと一護のために建てた新居で暮らしていた。
「あー、ルキアの奴やっと行ったか」
今日は非番な恋次と、夕方~夜出勤な白哉は、プライベートな時間で二人きりになれる時間が少ないといえば少ないので、ラブラブイチャイチャしながら、ふと過去を振り返る。
多分、あの酔った夜は何もなかったのだ。
でも、それがきっかけで付き合い始めた。
今は、それがあってよかったと思うようになっている。
「恋次、愛している」
「俺も愛してます、隊長」
長い長い人生を、二人で歩んでいくのであった。
朝起きると、恋次はフルチンだった。
褥の傍に脱ぎ散らかした服が転がっていた。
問題は、同じ褥に夜着を乱した白哉が眠っていたのだ。
「もぎゃあああ、お、俺、まさか隊長に手を出してしまったのかああ!」
酒の匂いがぷんぷんしていた。
「ん‥‥」
もぞりと、白哉が寝がえりをうつ。
儚く可憐に見える白哉は、眠っている時も美人だった。
確か、3席の理吉と隊長と一緒に少し高級な居酒屋に飲みに行って、酔いつぶれて。
理吉が、俺を送っていくと言っていたところに、隊長が何か言っていたような。
だめだ。
完全に飲んで酔いつぶれた後の記憶がふっとんでいた。酒に飲まれるとはこのことだろう。
恋次は、白哉のことが好きだった。白哉もそれはまんざらでもないようで。
「ああああ、覚えていないなんて一生の不覚!隊長と‥‥」
隊長とむふふふなことをした記憶がないなんて!
ああ、時間が巻き戻るなら記憶が残せるほどに酔ってから隊長を抱きたかった。
ここは、恋次の家だった。
隊長にお持ち帰りされたにしては、なぜ俺の家なのだろう。
ああ、ルキアとかがいるからか。
しかし、隊長のことなら別邸などいくらでもあるはず。
「んっ」
そこで、白哉の目がゆっくりと開かれる。
長すぎる睫毛が、黒曜の瞳を彩っている。起きた白哉は、眼前のフルチンに恋次を見て、自分の夜着が乱れまくっているのと、ここが恋次の家の褥であると理解して、顔を真っ赤にして布団につっぷした。
「恋次‥‥‥言いたいことはたくさんあるが、まずは服を着ろ。せめて股間は隠せ」
「もぎゃあああああ」
フルチンだったところを見られて、恋次は急いで服を着た。
「すんません。俺、何も覚えてないんです」
「そうか‥‥‥‥」
白哉は頬を朱に染めながら、起き上がる。
「私も、あまり記憶がない。ただ、兄をこの家に送った後、眠いから褥を敷いてくれと言われて、言葉通りにしたら、兄がいきなり覆いかぶさってきて‥‥そこから先の記憶がない」
お互い顔を見合わせた後、視線を逸らす。
「そ、その、違和感とかありますか」
「どんなものだ」
「こ、腰が痛いとか」
「いや、少し飲みすぎて頭痛はするが、腰が痛いとかはない」
恋次は、白哉を押し倒したそうなのだが、恋次は白哉を抱いた記憶がない。白哉も、恋次に抱かれた記憶がなかった。
しかし、同じ褥で寝て、恋次がフルチンで白哉が夜着を乱しているので、何もなかったとも言い切れない現状。
「すんませんでした!責任とります!」
「どうやって」
「結婚前提にお付き合いを‥‥‥」
「恋次、それは」
「隊長の処女を奪ってしまった俺は、責任をちゃんととらなきゃ」
「しょ、処女‥‥‥わ、私はこうは見えるがれっきとした男だ」
「分かってます。それでも、責任はとらなきゃいけません!」
白哉は、桜色の唇を開く。
「腰などが、痛くないのだ。最後までしたわけではないのではないか?」
「それでも同じ褥で俺はフルチン。きっと、どこまでか分からないけど隊長に手を出したんでしょう。責任とらせてください」
「‥‥‥‥‥分かった」
その日から、恋次と白哉は、結婚前提のお付き合いを始めた。
「兄様に手を出しただと!?」
ルキアに事情を話すと、飛び蹴りを食らった。
「いってえええ」
「もうよい、ルキア」
「しかし、この駄犬が、兄様に手を出したなどと。おいたわしや兄様」
しくしくと本気で泣き出すルキアを宥めて、白哉は恋次を見る。
「恋次とは、結婚を前提に付き合っておる」
「ぬおおおおおお、恋次の分際で兄様と結婚前提!」
また蹴りが飛んできそうだったが、ルキアも白哉の前なので必死に我慢した。
「いや、なんつーかなりゆきで。俺、隊長に手出しちまったみたいだから」
「兄様!こんな輩は刀の錆にしてやりましょう!」
「ルキア、落ち着け」
白哉は、割と落ち着いていた。
恋次は、ルキアにいつまた蹴りか拳がこないようにガードしていた。
「多分、最後まではしておらぬのだ。だが、恋次は責任をとるというので、結婚前提で付き合うということになった」
「兄様、こんな色欲魔と婚姻するつもりですか!?」
「ひでぇ言われようだな、おい」
「うるさい、このけだものめ!」
頭を拳で殴られて、恋次は沈黙する。
「ああ、兄様なんと尊い」
とりあえず、ルキアも交えて話し合いをして、恋次は朽木家に住むことが決まった。
「ぎゃあああああ、なんでシャンプーの中身が墨汁!?」
恋次が風呂に入って、悲鳴をあげていた。
ルキアがやらかしたのだ。
ちなみに、湯は氷水になっていた。
朽木邸は広い。風呂場も3か所ほどある。
離れの風呂場を使えと、ルキアは恋次に言った。白哉が間違っても同じ風呂場にこないために。
「ルキアああああ」
風呂から無事?あがってきた恋次は、ルキアにお説教を言おうとして、じっと白哉に見られていて、ルキアの頭を撫でた。
「はははは、隊長、俺たち仲良しですから!」
「そうか。それならばよいのだ」
「兄様、どうか安心してお眠りください。このけだものは兄様の寝所には絶対に行けないようにしておきますので」
「ルキア、ほどほどにな」
「はい、兄様」
ルキアを止めない白哉。恋次は、朽木邸で白哉と甘い生活ができると思っていたのだが、ルキアがいるのだ。そう簡単にはいかない。
それでもめげずに、ある日白哉の寝所まで夜這いに出かける。
「隊長‥‥」
「ん、恋次?」
「結婚前提なんだから、手、出していいっすよね?」
我慢に我慢を強いられていた恋次は、爆発寸前になっていた。
「恋次、あっ」
敏感な場所を服の上から弄られて、白哉は甘い声を出していた。
「隊長、好きです。俺のものになってください」
「恋次‥‥‥」
潤んだ瞳で見上げられて、恋次は白哉の衣服を器用に脱がせてぽいぽいと投げ捨てると、自分も裸になった。
「やあっ」
ぎんぎんに勃ちあがったものを見せられて、白哉は身をよじる。
「最後まではしませんから‥‥‥‥足、閉じててください」
「んっ」
恋次は、白哉の太ももを使って、素股をした。
「んあああ」
恋次は、白哉のものに手を伸ばしてしごきあげると、恋次がいくのとほぼ同時ぐらいに白哉の下半身に精液をぶちまけていた。
「あ‥‥」
それでもまだ勃っている恋次のものに、白哉は戸惑いながらも手をはわす。
「た、隊長?」
「んっ」
黒い髪を背に流して、白哉は恋次のものに舌をはわせる。
「隊長‥‥‥すげぇいい」
ちゅぱちゅぱと、先端部を口に含んだり鈴口を舌で刺激しながら、全体を手でしごいていると、恋次にも限界がきて、精液を白哉の顔にかけてしまった。
「すんません隊長!」
タオルで、白哉の顔をふく。
「きもち、よかったか?」
「最高でした」
「ああ‥‥‥やっぱ、最後までしたい。いいですか、隊長」
「ここまでくれば、もう仕方あるまい‥‥‥責任と後始末はするのだぞ?」
「はい」
白哉の足を大きく開かせて、秘所に舌を這わせ濡らすと、指をつきいれる。何度か繰り返してやや柔らかくなったその場所に、恋次は己のものを埋め込んでいく。
「ひあっ!」
中は灼熱のように熱く、ねっとりとからみついてくる。
「ああ、隊長と一つになれてる‥‥すっげぇ、きもちいい」
「恋次‥‥‥」
最奥にずるりと入ってきた感覚と一緒に、白哉は中いきを人生で初めて体験していた。
「はう‥‥女のように、いって、しまった‥‥‥」
「隊長、抱かれる側はそういうこと珍しくないそうですよ」
「そう、なのか?あっ、んあ、あ」
ぐちゅりぐちゅりと、結合部が水音をたてる。
恋次に弱い場所を責められて、白哉もいっていた。
「ひあああ!」
最奥を抉るように突き上げられる。
「中に出しますよ」
「あ、やぁ」
「子種、いっぱい受け取ってくださいね?」
「やあああん」
びゅるびゅると、恋次は白哉の胎の奥に精子を注ぎ込む。
白哉はオーガズムでいっていた。
恋次は何度か白哉の中に精液を注ぎ込み、満足する。
「んっ」
まだ、白哉はいけそうだったので、恋次が奉仕した。
「んあああ」
「隊長の味‥‥」
「や、ばかぁ」
恋次の赤い髪をくしゃりと手でつかんで、引きはがそうとするが、恋次は動かない。
ひたすら白哉のものを舐めて、白哉がもう何も出せなくなるまでそうしていた。
行為が終わると、恋次は濡れたタオルをもってきて、白哉の全身を綺麗にふいて、中に出したものをかき出した。
「恋次」
「はい」
「責任は、とれよ」
「隊長の夫になります」
「夫は私だ」
「いや、俺ですよ」
「私だ」
そんなことを言い合いながら、新しくかえたシーツの上で、二人は眠った。
「兄様ああああああ!なんとおいたわしい!」
朝起きると、ルキアが泣いていた。
恋次の姿がないと思って探してみると、白哉の寝所で見つかったのだ。
白哉は乱れてはいたが、夜着を着ていた。一方、恋次はフルチンだった。
「このケダモノがああああ!お前のものなぞ、ねじきってくれるわ!」
「ぎにゃああああああああああああああ」
「ルキア、ほどほどに」
白哉は、大切な義妹に情事の後の朝を見られて、頬を赤く染めるが、やめろとは言わない。
ルキアが本気ではないと分かっているからだ。
数カ月が過ぎて、二人はやがて婚姻する。
夫は白哉で、妻が恋次ということになってしまった。
子は、朽木家の分家から養子を迎えるつもりであった。
「兄様、では行ってまいります!」
「うむ」
ルキアも、一護と婚姻し、たまに朽木邸に帰ってくるが、新しくルキアと一護のために建てた新居で暮らしていた。
「あー、ルキアの奴やっと行ったか」
今日は非番な恋次と、夕方~夜出勤な白哉は、プライベートな時間で二人きりになれる時間が少ないといえば少ないので、ラブラブイチャイチャしながら、ふと過去を振り返る。
多分、あの酔った夜は何もなかったのだ。
でも、それがきっかけで付き合い始めた。
今は、それがあってよかったと思うようになっている。
「恋次、愛している」
「俺も愛してます、隊長」
長い長い人生を、二人で歩んでいくのであった。
好き。4
10月のはじめ、一護はルキアと一緒に海にきていた。
中間テストが迫ってきていたが、息抜きだった。
まだ泳げなくはないが、海水客はおらず、海の家も閉まっていた。
ルキアも一護も、水着はもってきておらず、浜辺を裸足で歩いて、押し寄せる波を蹴り飛ばす。
「海とは、広いし塩の味がするし、不思議だな」
「尸魂界には海はないんだっけ」
「そうだ。こんな広い海という存在などない。海にくるのは、これで二度目だな」
かつて、ルキアが現世に派遣されていた時、女性死神協会のメンツと海にきたのが初めての海だった。
白哉と一緒に砂の細工のものを作った。白哉はわかめ大使で、その隣でぐちゃっとつぶれたようにチャッピーを作った。
ユーハバッハの侵攻などがあり、ルキアも一護も命をかけて尸魂界を守った。
ユーハバッハは倒され、尸魂界では復興が始まっていたが、ルキアは一護の我儘で高校を卒業するまで、現世にいれることができた。
「あ、貝殻」
ルキアが、波にさらわれそうな虹色の貝殻を見つける。
「綺麗だな」
「そうだな」
一護は、ルキアの横顔を見ていた。
ちなみに、ルキアは中間試験でも勉強はしない。記憶置換の装置で、全て100点をとったということにするつもりだった。
一護は、大学の受験が控えているので、そこそこ勉強には力を入れていた。現世に離れている間、学べなかったことなど教師に教えてもらったりしていた。
一護は、一年生の頃は目立つオレンジの髪のせいでいざこざが起こるのがうざくて、成績は上位を保っていたが、藍染との決着で霊圧を失ってルキアと別れた空白の17カ月の間で、随分と成績が落ちた。
それでも、中の上は保っていたが、希望する大学はもう少しランクが上なので、勉強をこっそりしていた。
「ルキア、帰ろうか」
「もう少し、いたい」
ルキアは、裸足で走り出す。
そして、一護に手で海水をかけた。
「何しやがる!」
「これもデートなのであろう?それなのに、辛気臭い顔をしているからだ」
「帰りにファミリーレストランで白玉餡蜜おごってやろうと思ってたけど、やっぱやーめた」
「そ、それは卑怯だぞ一護!」
ルキアは、むきになって一護に海水をかけまくる。
一護も、お返しとばかりにルキアに海水をかけた。
「はぁ。タオルもってきててよかった」
一護は、髪と服をタオルでぬぐう。ルキアの髪もタオルでぬぐってやるが、白いワンピースが体にはりついていて、下着のラインがくっきりしていて、顔を赤くする。
「なんなのだ‥‥って、ひゃあ!下着のラインが!」
「俺の服が、鞄の中に入ってるから、それでもかぶっとけ」
ルキアは、ワンピースの水分をタオルでできる限り吸い取って、一護の上着を羽織る。
「ふ、大きいな」
「そりゃお前チビだし細いしな」
「チビは余計だ!」
「あいて!」
ルキアに足で足を蹴られて、一護は地面に蹲る。
「これを、やる」
「ん?」
ルキアが拾った、虹色に輝く貝殻だった。
「別にいらねーよ」
「やるといったらのだから、素直に受け取れ。貴様はいっぱい私によくしてくれるが、私は貴様に何もあげられていない」
「いいんだよ。隣にいてくれるだけで十分だから」
「しかし」
口論をやめて、二人でベンチに座り、海を見ていた。
夕暮れ時になり、海に沈んでいく太陽が綺麗で、ルキアはオレンジの髪をさらなるオレンジ色に染め上げる一護の横顔を見ていた。
「なんだよ」
「いや、かっこいいなと思って」
「ルキアがそんなこと言うなんて珍しいじゃねーか。明日は雨だな」
「失礼な奴だな。人が褒めてやっているというのに」
きていた濡れた服はかわいていた。
「ファミリーレストラン寄って帰るか」
「うむ」
二人、手を繋いで歩き出す。
「また、いつか海にこよう」
「ああ。そん時は夏がいいな。泳ぎたい」
「ふふ、そうだな。兄様や恋次も誘って‥‥‥」
「それは別の時な。お前とデートで夏に海にいきたいんだ」
ルキアは赤くなって、俯く。
ファミリーレストランについて、一護と手を放す。
「パフェも食べたい」
「仕方ねぇなぁ」
食費として相応の額をルキアから受け取っているので、一護は財布の中身を心配することはなかった。
「苺パフェ2つと、白玉餡蜜を1つ」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「おい、俺は別に」
「貴様は一護だろう。苺のパフェがあるのだ。食え!」
「どういう考え方だよ」
一護は笑って、ルキアの頭をぐしゃぐしゃにする。
「わきゃ」
ルキアは負けずに、一護の席の近くに移動して、一護の髪をぐしゃぐしゃにしてやった。
やがて苺パフェと白玉餡蜜が運び込まれて、ルキアは幸せそうにそれを食べる。
一護も、苺パフェを食べた。
「パフェとか食うの、久しぶりだな」
「そうか。今度からもっと食べろ」
「なんだよそれ」
「苺の時期になったら、苺狩りにいこう。一護だけに」
一護は、ルキアにデコピンする。
「な、何をするのだ」
「俺の名前は、苺からきてるんじゃねぇぞ。一人の愛しい人を護れるようにって意味だ。この場合、ルキアだな」
「恥ずかしいやつ」
ルキアは赤くなりつつ、苺パフェを口に運ぶ。
全部を食べ終えると、ルキアはメニューを見てまた何かを食べたそうにしていたが、夕飯があると言うと、大人しく一護に会計をすませて外にでた。
「星が綺麗だな」
尸魂界にも星空はある。
「尸魂界のほうが星はもっとあって美しいが」
「今度、プラネタリウム行くか」
「プラネタ?」
「この世界の星の紹介をしながら、天井に星が浮かび上がるんだよ。最近じゃあ、花火までみれるとこもある」
「いいな、行ってみたい」
「じゃあ、今度の日曜な」
「分かった」
ルキアと一護は、手を繋いでいたが、途中から腕を組んで歩き出した。
好きという感情以外に、今浮きあがるものはなかった。
中間テストが迫ってきていたが、息抜きだった。
まだ泳げなくはないが、海水客はおらず、海の家も閉まっていた。
ルキアも一護も、水着はもってきておらず、浜辺を裸足で歩いて、押し寄せる波を蹴り飛ばす。
「海とは、広いし塩の味がするし、不思議だな」
「尸魂界には海はないんだっけ」
「そうだ。こんな広い海という存在などない。海にくるのは、これで二度目だな」
かつて、ルキアが現世に派遣されていた時、女性死神協会のメンツと海にきたのが初めての海だった。
白哉と一緒に砂の細工のものを作った。白哉はわかめ大使で、その隣でぐちゃっとつぶれたようにチャッピーを作った。
ユーハバッハの侵攻などがあり、ルキアも一護も命をかけて尸魂界を守った。
ユーハバッハは倒され、尸魂界では復興が始まっていたが、ルキアは一護の我儘で高校を卒業するまで、現世にいれることができた。
「あ、貝殻」
ルキアが、波にさらわれそうな虹色の貝殻を見つける。
「綺麗だな」
「そうだな」
一護は、ルキアの横顔を見ていた。
ちなみに、ルキアは中間試験でも勉強はしない。記憶置換の装置で、全て100点をとったということにするつもりだった。
一護は、大学の受験が控えているので、そこそこ勉強には力を入れていた。現世に離れている間、学べなかったことなど教師に教えてもらったりしていた。
一護は、一年生の頃は目立つオレンジの髪のせいでいざこざが起こるのがうざくて、成績は上位を保っていたが、藍染との決着で霊圧を失ってルキアと別れた空白の17カ月の間で、随分と成績が落ちた。
それでも、中の上は保っていたが、希望する大学はもう少しランクが上なので、勉強をこっそりしていた。
「ルキア、帰ろうか」
「もう少し、いたい」
ルキアは、裸足で走り出す。
そして、一護に手で海水をかけた。
「何しやがる!」
「これもデートなのであろう?それなのに、辛気臭い顔をしているからだ」
「帰りにファミリーレストランで白玉餡蜜おごってやろうと思ってたけど、やっぱやーめた」
「そ、それは卑怯だぞ一護!」
ルキアは、むきになって一護に海水をかけまくる。
一護も、お返しとばかりにルキアに海水をかけた。
「はぁ。タオルもってきててよかった」
一護は、髪と服をタオルでぬぐう。ルキアの髪もタオルでぬぐってやるが、白いワンピースが体にはりついていて、下着のラインがくっきりしていて、顔を赤くする。
「なんなのだ‥‥って、ひゃあ!下着のラインが!」
「俺の服が、鞄の中に入ってるから、それでもかぶっとけ」
ルキアは、ワンピースの水分をタオルでできる限り吸い取って、一護の上着を羽織る。
「ふ、大きいな」
「そりゃお前チビだし細いしな」
「チビは余計だ!」
「あいて!」
ルキアに足で足を蹴られて、一護は地面に蹲る。
「これを、やる」
「ん?」
ルキアが拾った、虹色に輝く貝殻だった。
「別にいらねーよ」
「やるといったらのだから、素直に受け取れ。貴様はいっぱい私によくしてくれるが、私は貴様に何もあげられていない」
「いいんだよ。隣にいてくれるだけで十分だから」
「しかし」
口論をやめて、二人でベンチに座り、海を見ていた。
夕暮れ時になり、海に沈んでいく太陽が綺麗で、ルキアはオレンジの髪をさらなるオレンジ色に染め上げる一護の横顔を見ていた。
「なんだよ」
「いや、かっこいいなと思って」
「ルキアがそんなこと言うなんて珍しいじゃねーか。明日は雨だな」
「失礼な奴だな。人が褒めてやっているというのに」
きていた濡れた服はかわいていた。
「ファミリーレストラン寄って帰るか」
「うむ」
二人、手を繋いで歩き出す。
「また、いつか海にこよう」
「ああ。そん時は夏がいいな。泳ぎたい」
「ふふ、そうだな。兄様や恋次も誘って‥‥‥」
「それは別の時な。お前とデートで夏に海にいきたいんだ」
ルキアは赤くなって、俯く。
ファミリーレストランについて、一護と手を放す。
「パフェも食べたい」
「仕方ねぇなぁ」
食費として相応の額をルキアから受け取っているので、一護は財布の中身を心配することはなかった。
「苺パフェ2つと、白玉餡蜜を1つ」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「おい、俺は別に」
「貴様は一護だろう。苺のパフェがあるのだ。食え!」
「どういう考え方だよ」
一護は笑って、ルキアの頭をぐしゃぐしゃにする。
「わきゃ」
ルキアは負けずに、一護の席の近くに移動して、一護の髪をぐしゃぐしゃにしてやった。
やがて苺パフェと白玉餡蜜が運び込まれて、ルキアは幸せそうにそれを食べる。
一護も、苺パフェを食べた。
「パフェとか食うの、久しぶりだな」
「そうか。今度からもっと食べろ」
「なんだよそれ」
「苺の時期になったら、苺狩りにいこう。一護だけに」
一護は、ルキアにデコピンする。
「な、何をするのだ」
「俺の名前は、苺からきてるんじゃねぇぞ。一人の愛しい人を護れるようにって意味だ。この場合、ルキアだな」
「恥ずかしいやつ」
ルキアは赤くなりつつ、苺パフェを口に運ぶ。
全部を食べ終えると、ルキアはメニューを見てまた何かを食べたそうにしていたが、夕飯があると言うと、大人しく一護に会計をすませて外にでた。
「星が綺麗だな」
尸魂界にも星空はある。
「尸魂界のほうが星はもっとあって美しいが」
「今度、プラネタリウム行くか」
「プラネタ?」
「この世界の星の紹介をしながら、天井に星が浮かび上がるんだよ。最近じゃあ、花火までみれるとこもある」
「いいな、行ってみたい」
「じゃあ、今度の日曜な」
「分かった」
ルキアと一護は、手を繋いでいたが、途中から腕を組んで歩き出した。
好きという感情以外に、今浮きあがるものはなかった。
ドラゴン族の子とミミック17
京楽は、ダークドラゴンになって暴走した。それを、Sランクの浮竹と霊刀の京楽で切りつけられて沈められた。
傷跡が残った。
その傷跡を見るたびに、浮竹は己の力のなさに悲しくなった。
二人きりで里で過ごしていた時も、京楽はドラゴンになって暴走することがあった。浮竹が命がけで止めるか、里の者が強制的に止めていた。
ドラゴンになれぬ浮竹より、暴走する京楽のほうが恐れられて捨てられてからも時折里の者が様子を見に来た。
「お前たちは、今日をもって里を追放とする。京楽、お主はダークドラゴンになって暴走し、里の者を傷つけた。もう、里のすみにでも置いてやることもできぬ。早々に里から立ち去れ。立ち去らねば、殺す」
同胞からそう言われて、まだ少年だった京楽と浮竹は、身を寄せ合って顔を伏せた。
里を追い出されて、冒険者として生きていこうと決意するまで、人里に近い場所で自力で建てた小屋に住み着き、竜血石を売って暮らした。
「浮竹、冒険者になろうよ」
「冒険者?」
「そう。いろんなダンジョンや遺跡やクエストを受けたりして、冒険してお金を稼ぐんだ。そうすれば、もう自分を傷つけて竜血石を売る必要もない。この前みたいに、人間に竜血石めあてで狩られそうになることも、きっとなくなる」
「世界を冒険か。いいな。なりたいなぁ」
その時、浮竹は病を患っていた。
竜人族だけがかかる病だった。うつることはないので、浮竹を遠ざけはしなかったが。
治す方法は、ある薬草を手に入れること。その薬草は竜人族の里にしか生えなかった。京楽は、もう里にきてはいけないという戒律を破り、里に侵入して薬草を手に入れた。
大人たちに切り刻まれ、ボロボロになりながら。
「ごほっごほっ。京楽、やだ、死なないで」
「ボクは大丈夫。薬草煎じるから、早くよくなってね」
悲しいほどに、竜血石ができた。
病から回復した浮竹は、大けがをして臥せっている京楽のために、人の町にいって竜血石を売り、ポーションをたくさん買ってきた。
「ほら、京楽ポーションだ」
「うん。ありがとう」
京楽の怪我は、高価なポーションのお陰か治った。
「ああ‥‥夢、か」
浮竹は、目を開けた。
いつの間にか、泣いていた。
浮竹の病のために里に侵入して、大人たちに殺されそうになった京楽を思いだして、涙を零していたらしい。
「きしきしきし?」
なんで泣いているの?
ポチが近くに寄ってきてそう聞いてくるので、浮竹は柔らかい笑みを浮かべてポチを撫でる。
「昔のことを思い出していたんだ。京楽の傷を見たせいで、忘れかけていた記憶を思い出した」
なるべく、昔のいやなことは忘れようとしていた。
京楽がドラゴン化して暴走したせいで、忘れかけていた記憶が呼び覚まされる。
「お前は死ぬべきだ!」
「どうして?どうして、お父さん」
「お父さんと呼ぶな!ドラゴンになれぬ竜人族など、災いの象徴。災厄をもたらす。里を追い出されても、きっといつか里を滅ぼしにくる」
「そんなことしない!」
「死ね!」
浮竹の父親は、槍で浮竹の胸を貫いた。
思い出した。
自分は、本当は一度死んでいるのだ。
京楽の竜涙石の奇跡で蘇ったのだ。
「ああ‥‥京楽には、世話ばかりかけるな」
浮竹は泣いた。
父にも母にも疎まれているのは知っていた。だが、殺されるほどに忌み嫌われていると、死ぬその間際まで思わなかったのだ。
「京楽」
「どうしたの、浮竹」
「一緒に、寝ていいか?」
「いいよ」
「傷はどうだ?」
「魔法で治ってるから、痛くはないよ?ただちょっと傷跡が疼くかんじがするけど」
浮竹は、京楽に抱きつく。
「浮竹?」
「お前は、いなくならないでくれ」
「いなくならないよ」
「うん」
そのまま、二人は眠った。
朝になると、浮竹はいつもの浮竹に戻っていた。
「ぬおおおおおお、ポチがプラチナのインゴットを出したああああ。金になるうう」
「はぁ、浮竹ってば」
「金貨少量食わせてプラチナのインゴットって大儲けだと思わないか、京楽」
「まぁ、それはそうだけど」
「よし、牧場をもう少し広げよう」
「ええ、またかい?」
「ミミックは数はいつでも足りないんだ。150匹くらい飼えるようにしよう」
その日の午前はミミック牧場で過ごして、午後からAランクダンジョンにもぐった。
「ここのフロアボスはヘルケルベロスだな。一度倒したことがあるから楽勝だ」
ヘルケルベロスを、浮竹と京楽は1分もかからず倒してしまった。
確実に強くなっていた。
Aランクでもかなり上位にいるのだろう。
「よし、ラスボスを倒すか」
「そうだね」
出てきたのは、知恵のない邪竜のアースドラゴンだった。
竜人族ではないとはいえ、ドラゴンは同胞に近いので浮竹と京楽は最初躊躇ったが、ダンジョンを攻略すると決意したので、アースドラゴンに立ち向かう。
「アルティメットノヴァ!」
「きしゃあああああ」
「ワールドエンド!」
「ぎゃうううう」
アースドラゴンは巨大な地震を起こし、岩を出現させて浮竹と京楽押しつぶそうとするが、二人は巧みに避けて最後は浮竹が火の魔法をエンチャントした魔剣で、アースドラゴンの逆鱗を貫いて、勝った。
「この魔剣、名前ないんだよな。ドラゴンも倒せたことだし、ドラゴンキラーとでも名付けよう」
「竜人族でドラゴンであるボクからしたら、いやな響きなんだけど」
「まぁ、そう気にするな」
浮竹は、笑って開いた宝物庫にミミックが数匹いるのを見つけて、飛び込んでいく。
「あああああ、ミミックだあああ」
「きしきしきしいい」
「きいきいきい」
ミミックたちは、浮竹から他のミミックの匂いをかぎつけて甘噛みしはじめる。
同時に複数のミミックに甘噛みされているが、浮竹は幸せそうだった。
やがて、ミミックたちは星金貨を大量にドロップした。
「この子たちは牧場に連れて行こう。新しい血筋が欲しいしな」
7匹いたミミックたちをアイテムポケットに押し込んで、浮竹と京楽はミミック牧場に戻る。
ダンジョンマスターには、ミミックを増やすということでミミック捕獲の許可をもらったので、騒ぎにならなかった。
今、ダンジョンのミミックは激減していて、保護条令がでており、ダンジョンでミミックを殺した場合、罰金を払わねばならなかった。
けっこうな額なので、ミミックを殺して宝物のドロップをさせる輩はかぎりなくゼロに近づいたが、Sランクの金持ちな冒険者の中にはミミックをわざと殺して罰金を払っている者もいる。
Sランクダンジョンのミミックはとにかく不足気味で、浮竹はSランクダンジョンに放つミミックたちには護身術を覚えさせてから放っていた。
「はぁ‥‥‥ミミックも、200号以上になってきたなぁ」
ミミック牧場のミミックは大量で、浮竹もさすがに名前が分からなくなってきた。
京楽がミミックの内側にナンバーを油性マジックで書くので、それで見分けをつけていた。
牧場のミミックは、飼っているミミックと違ってほとんど個性がない。
「きしきしきし」
「え、肉が食いたい?」
「きしきし」
「仕方ないなぁ。京楽、バーベキューの用意だ」
「ええ、またぁ?先週もしたばかりだよ!」
ブラックワイバーンの肉が大量にアイテムポケットに入っているので、肉不足になることはない。
「おっと、ダンジョンで回収したミミックたちを出さないとな」
浮竹がアイテムポケットからミミックを出して牧場に入れると、すぐに牧場のミミックと仲良くなった。そうなる前に、京楽が油性マジックで内側に221号とかかいていたが。
「はぁ。ミミック日和のいい天気だ」
「きしきしい」
京楽がバーベキューの用意をしている間、浮竹はミミック牧場の芝生に寝っ転がる。
大空が広がっていた。
「きしきしきし」
「ん?腹減ったのか?金貨食うか?」
「きしきしいい」
金貨を10枚食べさせると、ポチは少量だがオリハルコンをドロップした。
オリハルコンは欠片でも膨大な値段がつく。
「ポチ、お前ドロップするものどんどん高額になっていくな?」
「きしい?」
「まぁ、いいか」
浮竹はバーベキューでミミックたちに肉をやるのを京楽に任せて、うたた寝するのであった。
傷跡が残った。
その傷跡を見るたびに、浮竹は己の力のなさに悲しくなった。
二人きりで里で過ごしていた時も、京楽はドラゴンになって暴走することがあった。浮竹が命がけで止めるか、里の者が強制的に止めていた。
ドラゴンになれぬ浮竹より、暴走する京楽のほうが恐れられて捨てられてからも時折里の者が様子を見に来た。
「お前たちは、今日をもって里を追放とする。京楽、お主はダークドラゴンになって暴走し、里の者を傷つけた。もう、里のすみにでも置いてやることもできぬ。早々に里から立ち去れ。立ち去らねば、殺す」
同胞からそう言われて、まだ少年だった京楽と浮竹は、身を寄せ合って顔を伏せた。
里を追い出されて、冒険者として生きていこうと決意するまで、人里に近い場所で自力で建てた小屋に住み着き、竜血石を売って暮らした。
「浮竹、冒険者になろうよ」
「冒険者?」
「そう。いろんなダンジョンや遺跡やクエストを受けたりして、冒険してお金を稼ぐんだ。そうすれば、もう自分を傷つけて竜血石を売る必要もない。この前みたいに、人間に竜血石めあてで狩られそうになることも、きっとなくなる」
「世界を冒険か。いいな。なりたいなぁ」
その時、浮竹は病を患っていた。
竜人族だけがかかる病だった。うつることはないので、浮竹を遠ざけはしなかったが。
治す方法は、ある薬草を手に入れること。その薬草は竜人族の里にしか生えなかった。京楽は、もう里にきてはいけないという戒律を破り、里に侵入して薬草を手に入れた。
大人たちに切り刻まれ、ボロボロになりながら。
「ごほっごほっ。京楽、やだ、死なないで」
「ボクは大丈夫。薬草煎じるから、早くよくなってね」
悲しいほどに、竜血石ができた。
病から回復した浮竹は、大けがをして臥せっている京楽のために、人の町にいって竜血石を売り、ポーションをたくさん買ってきた。
「ほら、京楽ポーションだ」
「うん。ありがとう」
京楽の怪我は、高価なポーションのお陰か治った。
「ああ‥‥夢、か」
浮竹は、目を開けた。
いつの間にか、泣いていた。
浮竹の病のために里に侵入して、大人たちに殺されそうになった京楽を思いだして、涙を零していたらしい。
「きしきしきし?」
なんで泣いているの?
ポチが近くに寄ってきてそう聞いてくるので、浮竹は柔らかい笑みを浮かべてポチを撫でる。
「昔のことを思い出していたんだ。京楽の傷を見たせいで、忘れかけていた記憶を思い出した」
なるべく、昔のいやなことは忘れようとしていた。
京楽がドラゴン化して暴走したせいで、忘れかけていた記憶が呼び覚まされる。
「お前は死ぬべきだ!」
「どうして?どうして、お父さん」
「お父さんと呼ぶな!ドラゴンになれぬ竜人族など、災いの象徴。災厄をもたらす。里を追い出されても、きっといつか里を滅ぼしにくる」
「そんなことしない!」
「死ね!」
浮竹の父親は、槍で浮竹の胸を貫いた。
思い出した。
自分は、本当は一度死んでいるのだ。
京楽の竜涙石の奇跡で蘇ったのだ。
「ああ‥‥京楽には、世話ばかりかけるな」
浮竹は泣いた。
父にも母にも疎まれているのは知っていた。だが、殺されるほどに忌み嫌われていると、死ぬその間際まで思わなかったのだ。
「京楽」
「どうしたの、浮竹」
「一緒に、寝ていいか?」
「いいよ」
「傷はどうだ?」
「魔法で治ってるから、痛くはないよ?ただちょっと傷跡が疼くかんじがするけど」
浮竹は、京楽に抱きつく。
「浮竹?」
「お前は、いなくならないでくれ」
「いなくならないよ」
「うん」
そのまま、二人は眠った。
朝になると、浮竹はいつもの浮竹に戻っていた。
「ぬおおおおおお、ポチがプラチナのインゴットを出したああああ。金になるうう」
「はぁ、浮竹ってば」
「金貨少量食わせてプラチナのインゴットって大儲けだと思わないか、京楽」
「まぁ、それはそうだけど」
「よし、牧場をもう少し広げよう」
「ええ、またかい?」
「ミミックは数はいつでも足りないんだ。150匹くらい飼えるようにしよう」
その日の午前はミミック牧場で過ごして、午後からAランクダンジョンにもぐった。
「ここのフロアボスはヘルケルベロスだな。一度倒したことがあるから楽勝だ」
ヘルケルベロスを、浮竹と京楽は1分もかからず倒してしまった。
確実に強くなっていた。
Aランクでもかなり上位にいるのだろう。
「よし、ラスボスを倒すか」
「そうだね」
出てきたのは、知恵のない邪竜のアースドラゴンだった。
竜人族ではないとはいえ、ドラゴンは同胞に近いので浮竹と京楽は最初躊躇ったが、ダンジョンを攻略すると決意したので、アースドラゴンに立ち向かう。
「アルティメットノヴァ!」
「きしゃあああああ」
「ワールドエンド!」
「ぎゃうううう」
アースドラゴンは巨大な地震を起こし、岩を出現させて浮竹と京楽押しつぶそうとするが、二人は巧みに避けて最後は浮竹が火の魔法をエンチャントした魔剣で、アースドラゴンの逆鱗を貫いて、勝った。
「この魔剣、名前ないんだよな。ドラゴンも倒せたことだし、ドラゴンキラーとでも名付けよう」
「竜人族でドラゴンであるボクからしたら、いやな響きなんだけど」
「まぁ、そう気にするな」
浮竹は、笑って開いた宝物庫にミミックが数匹いるのを見つけて、飛び込んでいく。
「あああああ、ミミックだあああ」
「きしきしきしいい」
「きいきいきい」
ミミックたちは、浮竹から他のミミックの匂いをかぎつけて甘噛みしはじめる。
同時に複数のミミックに甘噛みされているが、浮竹は幸せそうだった。
やがて、ミミックたちは星金貨を大量にドロップした。
「この子たちは牧場に連れて行こう。新しい血筋が欲しいしな」
7匹いたミミックたちをアイテムポケットに押し込んで、浮竹と京楽はミミック牧場に戻る。
ダンジョンマスターには、ミミックを増やすということでミミック捕獲の許可をもらったので、騒ぎにならなかった。
今、ダンジョンのミミックは激減していて、保護条令がでており、ダンジョンでミミックを殺した場合、罰金を払わねばならなかった。
けっこうな額なので、ミミックを殺して宝物のドロップをさせる輩はかぎりなくゼロに近づいたが、Sランクの金持ちな冒険者の中にはミミックをわざと殺して罰金を払っている者もいる。
Sランクダンジョンのミミックはとにかく不足気味で、浮竹はSランクダンジョンに放つミミックたちには護身術を覚えさせてから放っていた。
「はぁ‥‥‥ミミックも、200号以上になってきたなぁ」
ミミック牧場のミミックは大量で、浮竹もさすがに名前が分からなくなってきた。
京楽がミミックの内側にナンバーを油性マジックで書くので、それで見分けをつけていた。
牧場のミミックは、飼っているミミックと違ってほとんど個性がない。
「きしきしきし」
「え、肉が食いたい?」
「きしきし」
「仕方ないなぁ。京楽、バーベキューの用意だ」
「ええ、またぁ?先週もしたばかりだよ!」
ブラックワイバーンの肉が大量にアイテムポケットに入っているので、肉不足になることはない。
「おっと、ダンジョンで回収したミミックたちを出さないとな」
浮竹がアイテムポケットからミミックを出して牧場に入れると、すぐに牧場のミミックと仲良くなった。そうなる前に、京楽が油性マジックで内側に221号とかかいていたが。
「はぁ。ミミック日和のいい天気だ」
「きしきしい」
京楽がバーベキューの用意をしている間、浮竹はミミック牧場の芝生に寝っ転がる。
大空が広がっていた。
「きしきしきし」
「ん?腹減ったのか?金貨食うか?」
「きしきしいい」
金貨を10枚食べさせると、ポチは少量だがオリハルコンをドロップした。
オリハルコンは欠片でも膨大な値段がつく。
「ポチ、お前ドロップするものどんどん高額になっていくな?」
「きしい?」
「まぁ、いいか」
浮竹はバーベキューでミミックたちに肉をやるのを京楽に任せて、うたた寝するのであった。
教師と生徒のいけない関係
朽木白哉は、私立木立学園高等部の保健室の先生だった。阿散井恋次は、高等部3年A組の生徒だった。
恋次のいるクラスは特進クラスで、恋次の頭の成績はよかったが、生まれつき真っ赤な髪をしているせいで不良とよく間違われた。
クラブでは、剣道部に所属していて、鍛え上げられた肉体をしていた。
「白哉さん」
恋次は、仮病で保健室を訪れる。
「恋次か」
「白哉さん、頭が痛い」
「ここでは、先生と呼べ。頭が痛いなど仮病であろう?」
「へへ、ばれちまった」
「まぁいい。兄は、もう必要な授業数を満たしているし、今度の期末でもよい成績を出すのであろう?この学園の上の大学はかなり頭がよくないと進めないなからな。特進クラスでも成績のよい兄のことだ、当然のこの上の大学を目指すのであろう?」
「はい、一応そのつもりです」
「2時間ほど寝て、午後の授業には出なさい」
「はい、白哉さん」
恋次は、そうは言うが椅子に座った白哉に後ろから抱きつく。
「兄は、このような場所でまた・・・・・・・盛るなら、家に帰ってからにしろ」
白哉と恋次は恋人同士であった。
白哉の家に、家出している恋次が転がり込んでいる形でいる。朽木家はすごい金持ちで、白哉は仕事などしなくてもいいのだが、暇なので高校の保健室の先生をしていた。
給料などたかがしれているが、白哉は義妹が通うこの学園を選んだ。
「失礼します。先生、頭が痛くて‥‥」
「ルキア!?大丈夫か?とりあえず、薬を飲んで横になりなさい。それでも治らないようなら、早退して病院で検査を」
「白哉さん、ルキアに甘すぎだ」
「大切な義妹なのだ。当り前であろうが」
「はぁ。それがもっと俺に向けばいいのに」
ルキアと白哉は別々のマンションに住んでいる。白哉の家に、恋次が転がりこんでいることは、ルキアも知っていた。
「恋次、また兄様を困らせているのか‥‥‥う、余計に頭が痛くなってきた。兄様、早退します。そのまま病院よって帰ります」
「うむ。気をつけて帰るのだぞ」
朽木家の令嬢であるルキアには、黒崎一護という婚約者がいる。
大学生1年生で、念のため白哉は一護の携帯にメールを送っておいた。
「一護に連絡しておいた。病院で会うといい」
「はい、兄様」
そう言って、ルキアは早退していった。
「恋次、兄は‥‥んっ」
恋次に口づけられて、白哉は潤んだ瞳で恋次を見るが、恋次と距離をとる。
生徒と教師だ。おまけに同性同士だ。
こんな場面、死んでも他人に知られてはいけない。ルキアは知っていたが、恋次に兄様を困らせるなというだけで、関係を知ってはいるが止めはしなかった。
「恋次、学校では生徒と教師という関係で立場をわきまえよ」
「あー。早く卒業したい」
「卒業すれば、私はこのまま学園に残り、兄は大学に進学することになるのだが?」
「ああああ、やっぱ卒業したくねぇ!でも卒業しなきゃ外でイチャイチャできねぇ!」
「兄の頭は、いつでも桜が咲いているな」
「どうせ俺の頭は年中春ですよ。でも、この前の中間も学園2位だった。1位のルキアには3点差で勝てなかったけど」
恋次は、昼まで保険室で時間をつぶし、白哉と普通の話をして教室に帰っていった。
「はぁ。やっと授業終わった。クラブももうぐす引退かぁ」
夏の大会も終わり、クラブは秋には引退が決まっていた。
文武両道の高校なので、恋次が所属している剣道部も、全国とまではいかないが、県内ベスト4まではいった。
バスケット部は、全国クラスで、毎年インターハイで全国大会に出場する強豪であった。
「はぁ‥‥もうすぐ引退だし、今日は下級生の指南して帰るか」
愛しい、白哉のいるあのマンションへ。
恋次の両親は、今離婚問題を抱えており、荒れていた。白哉とは遠い親戚関係にあり、恋次を離婚問題が解決するまで、置いてもらうことになっていた。
阿散井家もそれなりに裕福ではあるが、朽木家には及ばない。
朽木家はいくつもの会社をもっている。
そのTOPにいるのは白哉ではないが、売り上げは全て白哉に与えられていた。
恋次は、軽くクラブに顔を出して、下級生と試合をして白哉のマンションに帰宅する。
恋次が買い物にいき、夕飯ができた頃に白哉が帰ってきた。
「おかえりなさい。飯、それとも風呂、それとも俺?」
「兄で」
「えええ、まじで?」
「そんなわけがなかろう。先に風呂だ。のぞくなよ?」
過去に一度、恋次に風呂場をのぞかれたことがあるので、白哉は釘をさしておく。
「今度のぞいたら、1週間口をきいてやらぬからな」
「ぐ‥‥我慢我慢」
風呂上がりの白哉は、色ぽっくて押し倒したかったが、飯の前だし我慢する。
夕飯を食べ終えて、恋次も風呂に入る。
課題があったので、片付けた頃には9時を回っていた。
「白哉さん、明日休みですよね?」
明日は土曜だった。
学園も休みだ。
「休みだが?」
「その、我慢できません!同じ屋根の下に好きな人がいるのに、手出しできないとか無理っす!抱かせてください」
「その言葉、もう3回目だな?」
「でも、前の2回も白哉さんはOKを」
「兄に、学園で盛られては問題行動だ。抱きたいなら、抱け」
「よっしゃ」
恋次は、白哉の華奢な体をお姫様抱っこして、寝室にまでいくと、広いベッドに押し倒す。
「んっ」
口づけされて、服の上から直接弄られて、白哉も熱を帯びていく。
「コンドームつけますね。ローションもまだ切れてないみたいだし」
「早く、こい」
「はい」
恋次は、白哉の衣服を脱がして衣服に隠れる部分にキスマークを残していく。
「あっ」
胸の先端を口にふくみ、白哉のものをしごきあげると、白哉は恋次の手の中に射精していた。
「んあっ」
ローションで濡れた指が入ってくる。
ばらばらに動かされて、いい場所に指があたって、白哉はびくっと体を反応させた。
「ああ!」
白哉は、本当は生でやりたいのだが、後始末が大変なのでコンドームをつけると、一気に白哉を貫いた。
「ひあああ!やぁ、激し‥‥‥」
「白哉さん、愛してます。俺のものだ」
「んん、あっ」
最奥にはいられて、白哉が甘い声を出す。
「奥、好きですもんね、白哉さん」
「あ、あ、恋次」
「ほんとは奥にいっぱい注いであげたいけど、我慢します。う、いきそうだ。白哉さんの中すげぇいい」
「あああっ!」
白哉は、オーガズムでいっていた。
恋次はコンドームの中に子種を弾けさせる。
「ねぇ、白哉さん、一回でいいから生でしてみていいっすか。後処理とかちゃんとしますんで」
「一回だけだぞ」
「やったぁ!」
恋次は、コンドームなしで白哉を突き上げる。
その内包する熱に、すぐにぐすぐずに溶けて弾けそうになる。
「ああ、もっと味わいたい‥‥白哉さん、愛してます」
「ああ、恋次、熱い」
「子種、いっぱい出すから受け取ってくださいね?」
「ひああああああ!!!」
生で子種を受け取るその熱に、白哉はオーガズムでいきながら射精していた。
「ああ、白哉さんの匂い」
恋次は、余韻を味わうように数度白哉を突き上げて、抜き去った。
一回だけという約束なので、残りはコンドームの中に出した。
「白哉さん、気持ちよかったですか?」
「し、知らぬ」
「後始末、しますね?」
指を挿入されてかき出される行為に白哉は慣れていなかった。
「んあっ」
「ちょっと、白哉さん後始末してるだけなんですから、煽らないでくださいよ」
「んっ」
指をぬきとられる。
白濁した液体が、タオルの上に零れ落ちる。
「もう、寝る」
「ええ、早くないですか!まだ10時ですよ!」
「疲れた。眠いから寝る」
「白哉さ~ん」
情けない恋次の声を聴きながら、白哉は内心赤くなって身もだえしそうなほどに恥ずかしかった。
「あいして、いる」
寝る前にそうつぶやくと、やりたりないのか恋次が襲ってきたが、足で蹴って放置して寝るのであった。
恋次のいるクラスは特進クラスで、恋次の頭の成績はよかったが、生まれつき真っ赤な髪をしているせいで不良とよく間違われた。
クラブでは、剣道部に所属していて、鍛え上げられた肉体をしていた。
「白哉さん」
恋次は、仮病で保健室を訪れる。
「恋次か」
「白哉さん、頭が痛い」
「ここでは、先生と呼べ。頭が痛いなど仮病であろう?」
「へへ、ばれちまった」
「まぁいい。兄は、もう必要な授業数を満たしているし、今度の期末でもよい成績を出すのであろう?この学園の上の大学はかなり頭がよくないと進めないなからな。特進クラスでも成績のよい兄のことだ、当然のこの上の大学を目指すのであろう?」
「はい、一応そのつもりです」
「2時間ほど寝て、午後の授業には出なさい」
「はい、白哉さん」
恋次は、そうは言うが椅子に座った白哉に後ろから抱きつく。
「兄は、このような場所でまた・・・・・・・盛るなら、家に帰ってからにしろ」
白哉と恋次は恋人同士であった。
白哉の家に、家出している恋次が転がり込んでいる形でいる。朽木家はすごい金持ちで、白哉は仕事などしなくてもいいのだが、暇なので高校の保健室の先生をしていた。
給料などたかがしれているが、白哉は義妹が通うこの学園を選んだ。
「失礼します。先生、頭が痛くて‥‥」
「ルキア!?大丈夫か?とりあえず、薬を飲んで横になりなさい。それでも治らないようなら、早退して病院で検査を」
「白哉さん、ルキアに甘すぎだ」
「大切な義妹なのだ。当り前であろうが」
「はぁ。それがもっと俺に向けばいいのに」
ルキアと白哉は別々のマンションに住んでいる。白哉の家に、恋次が転がりこんでいることは、ルキアも知っていた。
「恋次、また兄様を困らせているのか‥‥‥う、余計に頭が痛くなってきた。兄様、早退します。そのまま病院よって帰ります」
「うむ。気をつけて帰るのだぞ」
朽木家の令嬢であるルキアには、黒崎一護という婚約者がいる。
大学生1年生で、念のため白哉は一護の携帯にメールを送っておいた。
「一護に連絡しておいた。病院で会うといい」
「はい、兄様」
そう言って、ルキアは早退していった。
「恋次、兄は‥‥んっ」
恋次に口づけられて、白哉は潤んだ瞳で恋次を見るが、恋次と距離をとる。
生徒と教師だ。おまけに同性同士だ。
こんな場面、死んでも他人に知られてはいけない。ルキアは知っていたが、恋次に兄様を困らせるなというだけで、関係を知ってはいるが止めはしなかった。
「恋次、学校では生徒と教師という関係で立場をわきまえよ」
「あー。早く卒業したい」
「卒業すれば、私はこのまま学園に残り、兄は大学に進学することになるのだが?」
「ああああ、やっぱ卒業したくねぇ!でも卒業しなきゃ外でイチャイチャできねぇ!」
「兄の頭は、いつでも桜が咲いているな」
「どうせ俺の頭は年中春ですよ。でも、この前の中間も学園2位だった。1位のルキアには3点差で勝てなかったけど」
恋次は、昼まで保険室で時間をつぶし、白哉と普通の話をして教室に帰っていった。
「はぁ。やっと授業終わった。クラブももうぐす引退かぁ」
夏の大会も終わり、クラブは秋には引退が決まっていた。
文武両道の高校なので、恋次が所属している剣道部も、全国とまではいかないが、県内ベスト4まではいった。
バスケット部は、全国クラスで、毎年インターハイで全国大会に出場する強豪であった。
「はぁ‥‥もうすぐ引退だし、今日は下級生の指南して帰るか」
愛しい、白哉のいるあのマンションへ。
恋次の両親は、今離婚問題を抱えており、荒れていた。白哉とは遠い親戚関係にあり、恋次を離婚問題が解決するまで、置いてもらうことになっていた。
阿散井家もそれなりに裕福ではあるが、朽木家には及ばない。
朽木家はいくつもの会社をもっている。
そのTOPにいるのは白哉ではないが、売り上げは全て白哉に与えられていた。
恋次は、軽くクラブに顔を出して、下級生と試合をして白哉のマンションに帰宅する。
恋次が買い物にいき、夕飯ができた頃に白哉が帰ってきた。
「おかえりなさい。飯、それとも風呂、それとも俺?」
「兄で」
「えええ、まじで?」
「そんなわけがなかろう。先に風呂だ。のぞくなよ?」
過去に一度、恋次に風呂場をのぞかれたことがあるので、白哉は釘をさしておく。
「今度のぞいたら、1週間口をきいてやらぬからな」
「ぐ‥‥我慢我慢」
風呂上がりの白哉は、色ぽっくて押し倒したかったが、飯の前だし我慢する。
夕飯を食べ終えて、恋次も風呂に入る。
課題があったので、片付けた頃には9時を回っていた。
「白哉さん、明日休みですよね?」
明日は土曜だった。
学園も休みだ。
「休みだが?」
「その、我慢できません!同じ屋根の下に好きな人がいるのに、手出しできないとか無理っす!抱かせてください」
「その言葉、もう3回目だな?」
「でも、前の2回も白哉さんはOKを」
「兄に、学園で盛られては問題行動だ。抱きたいなら、抱け」
「よっしゃ」
恋次は、白哉の華奢な体をお姫様抱っこして、寝室にまでいくと、広いベッドに押し倒す。
「んっ」
口づけされて、服の上から直接弄られて、白哉も熱を帯びていく。
「コンドームつけますね。ローションもまだ切れてないみたいだし」
「早く、こい」
「はい」
恋次は、白哉の衣服を脱がして衣服に隠れる部分にキスマークを残していく。
「あっ」
胸の先端を口にふくみ、白哉のものをしごきあげると、白哉は恋次の手の中に射精していた。
「んあっ」
ローションで濡れた指が入ってくる。
ばらばらに動かされて、いい場所に指があたって、白哉はびくっと体を反応させた。
「ああ!」
白哉は、本当は生でやりたいのだが、後始末が大変なのでコンドームをつけると、一気に白哉を貫いた。
「ひあああ!やぁ、激し‥‥‥」
「白哉さん、愛してます。俺のものだ」
「んん、あっ」
最奥にはいられて、白哉が甘い声を出す。
「奥、好きですもんね、白哉さん」
「あ、あ、恋次」
「ほんとは奥にいっぱい注いであげたいけど、我慢します。う、いきそうだ。白哉さんの中すげぇいい」
「あああっ!」
白哉は、オーガズムでいっていた。
恋次はコンドームの中に子種を弾けさせる。
「ねぇ、白哉さん、一回でいいから生でしてみていいっすか。後処理とかちゃんとしますんで」
「一回だけだぞ」
「やったぁ!」
恋次は、コンドームなしで白哉を突き上げる。
その内包する熱に、すぐにぐすぐずに溶けて弾けそうになる。
「ああ、もっと味わいたい‥‥白哉さん、愛してます」
「ああ、恋次、熱い」
「子種、いっぱい出すから受け取ってくださいね?」
「ひああああああ!!!」
生で子種を受け取るその熱に、白哉はオーガズムでいきながら射精していた。
「ああ、白哉さんの匂い」
恋次は、余韻を味わうように数度白哉を突き上げて、抜き去った。
一回だけという約束なので、残りはコンドームの中に出した。
「白哉さん、気持ちよかったですか?」
「し、知らぬ」
「後始末、しますね?」
指を挿入されてかき出される行為に白哉は慣れていなかった。
「んあっ」
「ちょっと、白哉さん後始末してるだけなんですから、煽らないでくださいよ」
「んっ」
指をぬきとられる。
白濁した液体が、タオルの上に零れ落ちる。
「もう、寝る」
「ええ、早くないですか!まだ10時ですよ!」
「疲れた。眠いから寝る」
「白哉さ~ん」
情けない恋次の声を聴きながら、白哉は内心赤くなって身もだえしそうなほどに恥ずかしかった。
「あいして、いる」
寝る前にそうつぶやくと、やりたりないのか恋次が襲ってきたが、足で蹴って放置して寝るのであった。
