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魔王と勇者と

この世界には、魔王がいた。

誰もが恐れる魔王のはずであった。だが、魔王は優しかった。しかし、魔王は魔王。

アリーナ国では、勇者が異世界から召喚されていた。

全ては、魔王を打ち倒すために。

魔王の名は京楽春水。そして、勇者の名は浮竹十四郎といった。



「魔王、京楽春水、覚悟!」

浮竹は、聖剣エクスカリバーで京楽に切りかかる。

それを適当に受け流して、京楽は浮竹を抱き寄せた。

「な、何を!」

「君、綺麗だね?」

「だからなんだ!」

「ねぇ、勇者なんてやめてボクとのんびりスローライフ送らない?」

「何を言っている!」

「プロポーズしてるんだけど」

浮竹は真っ赤になって、京楽を押しのける。

「お、俺は男だぞ」

「うん、見ればわかるよ。ボク、男も女も両方いけるから」

「このけだもの!」

浮竹は、京楽の意外に強い力に、抱きしめられたままになっていた。

「ふふ、否定はしないよ。ボクの第三夫人になってよ」

「重婚だと!」

「一番目の夫人はスライムのスラ子さん。2番目の夫人はスケルホーンの骨子さん。どっちも会話できないし、何もできないんだよね。魔王には夫人が必須だけど、人間っていろいろじゃまくさいじゃない。君なら、勇者だしボクの名声もあがると思うんだよね」

「名声のためだけに、俺を夫人にするというのか!」

浮竹は怒った。

「ううん。君に一目ぼれした。人間でも、こんな綺麗な子いるんだなって」

「俺はハーフエルフだ」

「そうなの。じゃあ、長い時間を生きれるから、ボクが寿命をいじる必要はないね」

「何を先走って話している!俺はお前を討伐に!」

「一人で?アリーナ国はから書状がきてるよ。勇者を生贄にするから、アリーナ国には手を出さないでくれって」

「なんだと!」

浮竹は、その書状を見せてもらった。

間違いなく、国王の字であった。

「あのたぬきじじい‥‥‥‥‥こうなったら、勇者やめてやる!京楽、夫人にはならないが、お前の仲間になってやる。あのたぬきじじいをぎゃふんと言わせてやる」

「いいねぇ、大歓迎だよ。いずれ夫人になってくれると嬉しいな」

こうして、浮竹十四郎は異世界に呼び出されて1カ月もしないうちに、魔王京楽側に寝返った。


魔王側に寝返って数日が経った。

たくさんの人間が、京楽を訪れていた。

「いやぁ、魔王様の加護をもらうと農作物がよく育つからなぁ」

「あたしなんて、長年の腰痛が嘘みたいに消えちまったよ」

人々は京楽を口々にほめたたえ、感謝の言葉を述べる。

「今時の魔王って‥‥」

アリーナ王国の国王から、魔王京楽は残忍で魔族を率いて人の世界を蹂躙せんとする人物だと聞かされていた。

それがどうだろう。

魔族を率いて、災害に見舞われた地域の復興をしていた。

「京楽、お前はいい魔王なんだな」

「魔王によしあしもないよ。本気で殺しにかかってくる人間は殺してるし」

魔王は、やっぱり魔王だった。

優しいし人望もあるが、残酷な部分もちゃんともっていた。

「勇者やめたからな」

「別に辞めなくていいんじゃない?勇者のままで」

「ふむ。その手もあるか。アリーナ王国のたぬきじじいに勇者の称号を剥奪されるだろうが、この世界では俺は勇者として名前が通っている。勇者のまま、魔王に寝返るか」

「ふふ、毎日一緒に過ごせるね」

「へ、変なことはするなよ」

「夫人になってくれるまで、キスとハグくらいしかしないよ」

浮竹は赤くなって、京楽を見つめる。

「勇者、浮竹十四郎の名をもって、魔王京楽春水の配下に加わることを誓う」

「別に、そんなのいらないよ。アリーナの国王をぎゃふんと言わせたいんでしょ。アリーナの城を攻め落としてしまおう。なるべく血は流さずに」

京楽は、魔王軍を率いてアリーナ王国の首都に攻め入った。

人々は逃げ回るどころか、京楽に挨拶して城へ案内してくれる。

「アリーナ国王の重税に、苦しんでいるんだ。助けてくれ、魔王様」

「アリーナ国王は、勇者浮竹様を見限った」

アリーナ国王は大分だめなやつのようで、京楽は魔王の名の元に、アリーナ王国jの城に攻め入り、国王を捕縛するとアリーナ王国を魔王の領地にした。

「ああ、ありがたい。これで、俺らも魔王様から加護が得られるし、隣国から戦争をしかけられることもない」

「魔王って‥‥…」

浮竹は、異世界から召喚された。元に戻る方法は魔王を倒せば戻れると言っていたが、もうなんだか異世界での暇な生活がどうでもよくなってきた。

浮竹は、地下牢に閉じ込められた国王を一発殴って、頭をバリカンではげにして、小さくではあるが復讐はした。

命をとるのは勇者のすることではない。

アリーナ国王は、魔王領地で強制労働させられるそうだ。

「京楽、ありがとう」

「どういたしまして。ボクの第三夫人になる気になった?」

「それはまだない。だが、勇者としてお前の存在を認め、共存することを世界に発表する」

「うん」

勇者浮竹が、魔王軍の配下に加わったと世界中が知り、魔王京楽の名前は浸透していく。

「お前は、何故魔王になったんだ?」

「うーん、先代魔王が残忍だったからね。人間がかわいそうに思えて倒したら、歓迎されて魔王になちゃった」

「そうか。俺は先代魔王を知らない」

「藍染っていってね。倒したけど、死んではいないようだよ。しぶといから」

「しぶといのか」

「うん。まぁ、ボクと互角くらいの強さだし、今は新しい魔王軍もいるし、攻め込まれる心配はないと思うよ。ボクにケンカを売ってきたのは、君くらいだよ、浮竹」

「お、俺は何も知らなかったから‥‥‥‥」

「ねぇ、第三夫人になってよ」

「第一夫人と第二夫人はどうするんだ」

「そのままだよ。意思の疎通もできないからね」

「なんでまた、スライムとスケルボーンなんだ。お前なら、美女美男よりどりみどりだろう」

「ボクの心を動かす相手がいなかったから。浮竹が初めてだよ。本気で恋に落ちた」

「は、恥ずかしいことを言うな」

浮竹は真っ赤になってそっぽをむく。

「ふふ、かわいいね」

「うるさい」

魔王歴233年。浮竹十四郎は、勇者の称号をもったまま、魔王軍に入るのであった。




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血と聖水の名において 最終章

京楽が浮竹の花嫁になって、50年が経った。

いろいろあった。

父のレイモンドが皇帝の座を狙う藍染を殺し、レイモンドは黒崎一護に皇帝の座を譲り、妻であるブリュンヒルデと仲良く隠居生活を送っている。

京楽の変態が、ある日ぱったりとなくなった。

最初は大騒ぎだったが、次第に慣れて、京楽は紳士となっていた。

「浮竹、おはよう」

「ああ、おはよう京楽」

今日も、何気ない一日が始まる。


ドラゴンサモナーの浮竹は、パートナードラゴンの京楽と共に、一緒に静かに暮らせる場所を精霊界で見つけて、今は精霊界に住んでいる。

時おり、浮竹と京楽の元にやってきては、泊まってまた帰っていく。

『それにしても不思議だねぇ。神父のボクがある日まともになるなんて』

『まともになっても、俺は嫌いだがな』

『わお、十四郎毒舌』

『春水だって、まともになった神父の京楽を散々からかっただろう』

『まぁねぇ』

ドラゴンサモナーの浮竹は、京楽のいれた紅茶を飲む。

隣では、浮竹が京楽と穏やかに話をして笑っていた。

「京楽が、まともになって40年くらいになるな」

「そう?ボクはずっとまともだった気がする」

「いいや、お前はすぐ全裸になってしっぽりしようと襲いかかってきたり、盗んだ俺のパンツをを‥‥‥」

「やめてよ。人生の汚点は聞きたくない」

「ほんと、なんでこんなにまともになったんだろうな?」

「花嫁になってヴァンパイアになってちょっとしてからまともになったみたいだよね、ボク。ヴァンパイア化が影響してるのかも」

「魔女の薬でもだめだったのにな?」

浮竹が、京楽から紅茶のおかわりをもらう。

「今のボクじゃ不満かい?」

「いいや。まぁ、確かに騒がしくなくなったのは寂しいが、京楽がまともなほうがいい」

浮竹は、ドラゴンサモナーの浮竹が手をわしゃわしゃしているのを見た。

『ああ、昔のように燃やしたい‥‥‥』

「なんで!ボク、なんにもしてないよ!」

『いや、昔の癖でな』

『ほら、十四郎もそんな物騒なこと言ってないで、仲良くしよう?』

『昔の名残で、まだ苦手なんだ』

「昔はごめんね、浮竹と間違って襲ったりして」

『こんな風に謝られるから、調子が狂う。ああ、焼き焦がしたい』

『我慢だよ、我慢』

『ああ‥‥‥‥』


「血の帝国ブラッディアは、皇帝が黒崎一護になって藍染が死んで、大分変わった。平和な国になった。人間の奴隷化も禁止されて、人を襲うヴァンパイアの数は減ったが、まだ根絶はできないな。まぁ、いなくなったら俺たちヴァンパイアハンターがやっていけなくなるからな」

浮竹は、ハンターギルドから依頼のあったヴァンパイアを倒して、灰を提出して報酬金をもらったばかりであった。

今では錬金術師としてのほうが有名で、ハンター稼業は主に京楽に任せていた。

たまに、浮竹もヴァンパイアハンターとして働く。

ランクはS級になっていたが、S級も分類化されて、浮竹はSSS、京楽はSSになっていた。

「二人は、今日も泊まりかい?」

京楽が、夕飯を作るためにドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽を見る。

『3日ほど、泊まっていい?』

「ああ、いいぞ」

「3日か‥‥‥‥食料、買い出しに行かなきゃ」

「京楽、ついでにフェンリル用のキャットフード買ってきてくれ」

「フェンリルって、狼のクセにキャットフード食べるんだよねぇ」

「悪いかにゃ!」

浮竹に召喚されっぱなしのフェンリルが、文句を言う。

「ボクはグルメなんだにゃ。ドッグフードはまずいんだにゃ」

「はいはい。買ってきてあげるから、大人しく待っててね」

「にゃーん」

浮竹たちは、京楽を見送る。


「ああ、平和だなぁ」

浮竹は、変態だった京楽を少しだけ懐かしみつつ、紅茶を飲む。

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、探し求めていた安住の地を手に入れた。

浮竹も京楽も、静かな日々を手に入れた。


それがずっとずっと長く続けばいいのにと思うのであった。



                
        血と聖水の名において THE END










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無題

「‥‥‥‥俺は誰だ?」

「君は浮竹十四郎。ボクの恋人だよ」

総隊長、京楽春水には秘密があった。

それは、失ってしまった恋人と同じ者を愛しているということ。

上流貴族の金を使って、京楽は死んでしまった浮竹のクローンを、涅マユリに作らせて、大金を支払って口止めしていた。


「俺は浮竹十四郎というのか。お前は?」

「ボクは京楽春水。君は、長い間昏睡状態にあって、記憶が欠落してしまっているんだよ」

「そうなのか。恋人のお前の名前も顔も思い出せないなんて、重症だな」

「ゆっくり歩いていこう」

「ああ」

浮竹は、許可なく外に出るのを許されず、いつも日当たりのいい部屋で眠っていた。

起きている時間は1日に4時間程度。

京楽が1日に浮竹に接していられる程度の時間だった。

「眠い。寝ていいか?」

「いいよ。ボクが子守唄歌ってあげる」

優しい旋律を聞きながら、浮竹は長い眠りにつく。

次に起きるのは、明日の夕方。今から約20時間後だ。

「浮竹、愛しているよ」

京楽は、愛おしそうに浮竹の長い白髪を撫でる。

浮竹は幸せそうに眠っている。

「君がいるから、ボクは狂わないでいられる。いや、君を作り出させて愛している時点で、狂っているのかな?」


しとしとと、雨が降る。

6月になった。

少し暑くなってきた。浮竹はあじさいを見ながら、臥せっていた。

クローンの元も病弱で、そのクローンも病弱だった。

ただ、肺の病はなく、血を吐いて生死の堺をさまようことはなかったが、季節の変わり目はよく風邪をひいた。

浮竹の存在が存在なので、4番隊に診てもらえない。

京楽が偽って、薬を手に入れて浮竹に飲ませた。

「ん‥‥‥京楽?」

「浮竹、眠いなら寝ていていいよ。起きたら、上のほうにおいてある食事をとって、薬を飲んでね?」

「今日は、俺を抱かないのか」

「君は今風邪をひいているから、抱かないよ」

「そうか」

京楽は、たまに浮竹を抱く。

浮竹の体調のいい日に。月に2~3回程度だった。

「京楽」

「なぁに?」

「俺は、どれだけ時間が経ってもお前のことを思い出せない。でも、お前は俺を愛してくれている。俺も、お前を愛している」

翡翠の瞳から、ポロリと涙が流れる。

「与えらえれた時間は少しだけだ。京楽、俺の死を受け入れられなかったのか?」

「浮竹?」

「そうだ。本物の浮竹だ。地獄から少し舞い戻った」

「浮竹!!」

京楽は、浮竹を抱きしめる。

「京楽、こんなものを作るくらい、お前は壊れてしまったんだな」

「君がいないから‥‥‥‥」

「確かにこの世界に俺はもういない。でも、こんな俺を作って愛してどうする?」

「死んでしまった君には分からないよ。残された者の気持ちなんて」

「確かにな。俺が悪かった。俺のクローンを愛するのはやめろとは言わない。ただ、もっと世界を見て生きていけ。俺のクローンにも、世界を見せてやれ」

「うん‥‥‥」

京楽は、涙をぽろぽろ流しながら、クローンの体に一時的に宿った本物の浮竹を抱きしめる。

「ああ、この瞬間が永遠であればいいのに」

「おっと、もう無理なようだ。戻る。いいか、クローンの俺に俺を重ねるなら、もっと自由にしてやれ。ずっと閉じ込めたままじゃ、いつか壊れる」

「うん‥‥‥‥」

「じゃあな」

ふっと、浮竹の霊圧が消えた。

「あれ、俺は‥‥?」

「十四郎。今日から、君を十四郎と呼ぶよ。薬を処方してもらって、長い時間起きていられるようにしよう。君を外に出す」

「俺は、外に出てもいいのか?」

「うん。この庭以外の外も出ていいようにするから」

京楽は、浮竹のクローンを作ったことを責められたが、殺すわけにもいかないので、浮竹は結局京楽の手に委ねられた。

「今日は暑いね。冷えたスイカをもらってきたんだ。二人で食べよう」

「春水、愛してる」

浮竹のクローンは、事実を知ってもすりこみ現象のように京楽のあとをついてまわる。

「ボクも愛してるよ、十四郎」

「いつか、本物の俺の話をもっとしてくれ」

「うん。今度、時間があいたらね」

クローンの浮竹は、自分がクローンであるということを受け入れていた。

ただ、愛しかった。

京楽が。

クローンの浮竹は、自由を与えられた。だが、ずっと京楽の傍にいた。

番のように、二人は寄り添いあいながら、生きる。

もう、二度と失わないように。

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血と聖水の名において32


浮竹の知り合いの、魔女がやってきた。

名前は松本乱菊。豊満なナイスバディの魔女だが、実はヴァンパイアで、実年齢は300歳を超えていた。

「はぁい、浮竹さん。頼まれていた薬、もってきたわよ?」

「きぃぃぃぃ、それ以上浮竹に近づくなああああ」

京楽は、魔女の乱菊が浮竹と仲良さげに会話しているのを見て、嫉妬でメラメラ燃えていた。

「京楽さんだっけ?」

乱菊は豊満な胸に、京楽の顔を押し付ける。

普通の男なら喜ぶところであるが、京楽は鳥肌をたてていた。

「痴女だ!浮竹、助けて!」

「うーむ。京楽は女性に反応なしか。ふむ」

「浮竹、こんな痴女魔女はほっといて、ボクとしっぽりしよう!」

朝から襲いかかってきた京楽を、浮竹はハリセンで床に沈める。

「これが約束の薬よ。どんな変態でも、ころりと真面目になる薬よ」

乱菊から薬を受け取って、浮竹は京楽に無理やり飲ませた。

「ぐおおおおおおおおおお」

京楽が苦しむ。

「あら変ね、苦しむようには作っていないのだけれど」

「ぬおおおおおおおおおお。ボクは京楽春水。浮竹の花嫁で、変態紳士だよ!」

「‥‥‥なぁ、乱菊、悪化してないか?」

「ほほほほほ。あたしはしーらないっと。一応、解毒薬あげる。言っとくけど、本当jに飲めばころりと真面目になる薬を作ったのよ。実験したけど、成功だったし。ただ、薬でも変われないほどの変態には効かないのかもしれないわね」

乱菊はそれだけ言うと、去って行ってしまった。

「ふふふ、浮竹。昼食を作ったんだよ」

皿の上には、豪華そうな料理が並べられていたが、手をふく布が浮竹のパンツだった。

「変態紳士‥‥‥」

浮竹は、残念そうに京楽を見る。

その日、京楽は紳士だった。ただ、変態紳士であった。

変に紳士で変態なので、いつものほうがまだましなので解毒薬を飲ませた。


「酷い!浮竹、ボクを真面目にする薬って何さ!」

「お前が変態すぎるからだ!」

「ボクはこんなにも浮竹を愛しているのに!」

「俺のパンツの匂いをかぎながら言うな!」

「はぁはぁ。スーハースーハー」

「フェニックス!」

「きゅおおおおんん」

フェニックスで燃やされても、京楽は浮竹の焦げたパンツを手にスーハースーハーしていた。

「変態紳士とド変態。どっちもどっちだな」

浮竹は、頭を抱え込む。

「ボクはいつだって紳士だよ!」

「焦げたまま俺のパンツを手にしていう言葉か!」

「これは緊急用の浮竹のパンツ。浮竹のパンツが摂取できない状態に陥ったら、空間魔法で浮竹のパンツを出すの」

「くだらんことで制御の難しい魔法を使うな」

浮竹は、ハリセンをかまえる。

京楽は、はたかれるのを嬉しそうに待っている。

「やめだやめだ。俺は寝る」

「えーーーー。どうせ寝るならしっぽりしようよ」

「お前はそこらの俺のパンツとでもしっぽりしとけ」

「うん、そうするよ」

いそいそと、浮竹のぱんつをもってズボンを脱ぐので、浮竹は叫んだ。

「フェンリル!」

「うわぁ、京楽がポロリなのにゃ!アイスブレス!」

「あガガガが。冷たい。しっぽりできないじゃない!」

「ほんとにパンツとしっぽりしようとするな!」

「だってそう言ったのは浮竹だよ!?」

「言っただけだ。まさか実行に移すとは」

「うえーん。ボクのマグナムがこおってるうううう」

「フェニックス!」

「もぎゃああああああああああああああああ」

浮竹は、フェニックスの炎でぽろりしたままの浮竹をこんがりと焼くのであった。

ちなみに、変態紳士の時はパンツをはいていたが、ネクタイと靴下だけはいて、後は裸だった。

普通の変態の時は、服は一応着ていた。

すぐ脱ぎだすが。

その後、町の不良に乱菊の作った真面目になる薬を試しに飲ませたら、真人間になった。その不良は変態ではなかったが。

乱菊の薬の効果は本物だった。

ただ、京楽が変態すぎて、効かなかったのだ。

「はぁ‥‥‥‥京楽の変態をなんとかできる薬はないか」

「浮竹がしっぽりしてくれたら、変態じゃなくなるかも?」

「ただ、しっぽりしたいだけだろ!」

「げふふふふふふ」

浮竹は、浮竹のパンツに頬ずりする京楽を見てから、大きなため息をつく。

「はぁ。これでも、伴侶なんだよなぁ」

ド変態であるが。

浮竹の、花嫁なのであった。

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血と聖水の名において31

池があった。

その池に斧を落とした木こりは、水の精霊に尋ねられた。

「あなたが落としたのはこの古い斧ですか、それとも金でできた斧ですか、銀でできた斧ですか?」

木こりは正直に古い斧だと答えた。

水の精霊は、正直だったと褒美に金と銀の斧両方を与えて、古い斧を返した。

さて、そこに池があった。

浮竹は、京楽と暑い時期なので涼みにきていた。ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽も一緒だった。

浮竹は、そういえば木こりの伝説があったなと、京楽を池に突き飛ばした。

「酷い!でもこれも愛!?」

そう言って、京楽は沈んでしまった。

水の精霊が現れた

「あなたが落としたのは、このアホで変態な京楽ですか、かっこよく強い京楽ですか、優しくてもてもての京楽ですか?」

京楽が三人いた。

浮竹は、どの京楽とか選ばなかった。水の精霊からは、かすかに血の匂いがした。

浮竹は、水の精霊にフェニックスを向ける。

「な、なにするんじゃわれえええ」

「この前、金と銀の斧をもらった木こりは、代償に命をもっていかれた。お前、水の精霊じゃなく、悪魔だろう?しかも、ヴァンパイアとハーフの」

「ぎくり」

「京楽、遊んで溺れてないで、この悪魔とヴァンパイアのハーフを退治するぞ」

京楽は一人だけ溺れているのがいた。

それが本物の京楽だった。

他の京楽は影がなく、幻影であった。

「もがもが、ボクはほんとに、泳げない‥‥‥」

「仕方ない。ウンディーネ!」

浮竹は本物の水の精霊を呼ぶと、水の乙女に京楽を助け出してもらう。

「地と聖水の名において、アーメン!」

浮竹と京楽は、銀の弾丸が入った銃と短剣で、偽の水の精霊を攻撃する。

「このフェルシ、その程度の攻撃では死なん」

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、様子を見とどけている。

『がんばれ、ヴァンピールの俺!』

『悪魔とヴァンパイアのハーフってやだね。不老の上に力が強い』

「くくくく、悪魔の力とヴァンパイアの不老をもつこのフェルシに勝てるものなど。ただのヴァンピールとヴァンパイア風情が」

「俺は、悪魔王ディアブロの二つ名をもつヴァンパイアマスターの息子だが?」

「な、悪魔王ディアブロ様の二つ名をもつ‥‥レイモンドか!ひいいいい、レイモンドの息子だと!?」

悪魔王ディアブロの二つ名は伊達ではないらしい。レイモンドは、悪魔にさえ畏怖される。

「ひいいいい、命だけは!」

「木こりの話を聞いてやってきた旅人を血を吸って食っただろう。処分する」

「ええい、逃げてやる」

魔界に帰ろうとするフェルシを、京楽が魔法で捕縛する。

「顕現せよ、炎の精霊王イフリール」

「よばれてじゃじゃじゃーん。灰にすればいいんだよね?」

「ああ、頼む」

「ひいいいい。精霊王!?」

フェルシは、地面に額をこすりつけて謝罪する。

「食った魂は元に戻す!もう人は食わない!」

「どうするの?」

京楽が聞いてくる。

「うーん」

隙を見せた浮竹に、フェルシは襲いかかる。

「バカめ、いかにレイモンドの子とはいえ、しょせんヴァンピール。悪魔の力をくらうがいい!」

フェルシの爪が、浮竹の届く前に、京楽の魔法でフェルシは灰になっていた。

『変態のくせに、やるね』

『本当だな。変態のくせに、かっこいいな』

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、「変態のくせに」と何度も強調する。

「失礼だね!ボクだって、変態じゃない時くらいあるよ!」

頭に浮竹のパンツをかぶりながらの言葉に、これだから変態はと、三人は京楽を無視して歩きだす。

「ああ、一応灰をカプセルにつめるか」

悪魔とのハーフであるが、ヴァンピールであり、討伐依頼のでていた者であった。

「金貨千枚ゲットだね」

「まぁ、金銭的にはまぁまぁか」

「ふふふ、ボクは父の遺産を半分受け継いだから‥‥‥」

「働かない者には飯は食わせない」

「くすん」

ついこの間、京楽の父が死んだのだ。京楽は貴族で、伯爵家の次男だった。

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、京楽が貴族であるということを未だに信じられずにいた。

『まぁ、討伐依頼達成したみたいだし、帰る?』

『金の斧と銀の斧‥‥‥木こりの話は本当で、いつの間にか、水の精霊は悪魔とヴァンパイアのハーフと入れ違っていたんだな。まぁ、帰るか』

京楽は、浮竹のパンツを池に捨てた。

「あなたが落としたのは、この浮竹の普通のパンツですか、それとも金のパンツですか、銀のパンツですか」

水の精霊は復活していた。

[あ、浮竹の使用済のパンツです」

「嘘つきには、何もあげません。投げ入れられたパンツは未使用です」

「ああ!ボクの浮竹のパンツ返してよ!」

「嘘つきは没収です」

「酷い!浮竹、この水の精霊やっつけても‥‥‥」

「フェニックス」

「もぎゃあああああああああああああ」

京楽は、浮竹に燃やされて、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽にばかにされながら、ずるずると浮竹に引きずられて池から去り、帰宅するのであった。

「ああ、ボクのコレクションが。また浮竹のパンツ盗まなきゃ」

「盗むな、このどあほ!」

『変態は治らないからね』

『変態には特効薬なんてないだろ』

そんな会話をしながら、日は暮れていくのであった。










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オメガバース恋白読み切り短編その7

「隊長‥‥‥‥隊長が、オメガって本当ですか。四大貴族のどこかに嫁ぐ話が出ているってほんとですか」

「恋次、どこでそれを」

「ルキアからです」

「ルキア‥‥‥あれほど言うなと口止めしておいたのに」

白哉は、困ったような顔をする。

「四楓院家に嫁ぐことが決まっている。当主の座をもちながら」

「いやです。隊長が、他の男のものになるなんて、俺はいやです」

「恋次?」

白哉は、恋次が自分のことを好きだと知らなかった。

「あんたが誰かの番になるくらいなら、犯して無理やり番にしてやる」

「恋次!?」

押し倒されてキスをされて、けれど白哉はそれがいやではなかった。

「恋次、おちつけ。そんなことしたら、お前は罪人として処刑されるかもしれないのだぞ」

「ばれなきゃいいんすよ。隊長が番になりたがったことにすればいい」

「このアホウめ。何故、素直に好きと言えぬ」

「え。隊長、俺が隊長好きなこと知らなかったんですか」

「初耳だ」

「今まで、散々好きだっていってきたんすけど」

白哉は、また困った顔をした。

「主語がぬけていたので、ルキアのことが好きなのだと思っていた」

「あちゃーーー。俺のアピール不足か」

「少しは頭が冷えたか、恋次」

「あ、はい‥‥‥‥でも、四楓院家に嫁ぐのは」

「やめる。思い人ができたら、嫁ががなくてもいいという約束になっている」

「隊長!」

恋次は、白哉を抱きしめた。

「力の加減をしろ、恋次。痛い」

「あ、すんません」

「私はお前のことが嫌いではない。どちらかというと好きだ。だが、今すぐ番になれと言われても困るのも事実。まずは、番になるという前提で付き合ってみぬか?」

「はい!」

それから、恋次と白哉は付き合い始めた。

キスをするのに1か月かかった。

だが、あとはとんとん拍子でことがすすみ、白哉にヒートが訪れた。

「あ、恋次。体が熱い‥‥お前が欲しくて、どうにかなりそうだ」

「隊長、今までヒートはどうしてたんすか」

「闇市場の強い抑制剤を飲んで我慢していた。副作用で頭痛がするが、発情しまくるよりましだ」

「今回は、抑制剤飲んでないんすね」

「今は、恋次がいるであろうが。私を番にしたいのであろう?」

「隊長‥‥いいんすか。抱きますよ?」

「好きにせよ。もう四楓院家に嫁ぐ話は消えた。番になる予定の好きな者がいると言っておいた」

白哉は、はじめてまともに味わうヒートの熱で思考がぐちゃぐちゃになりそうだった。

「抱け、恋次」

「隊長‥‥番にして、いいんすね?」

「ああ」



「ひあう!」

元々男を受けれる場所でないそこは、けれど自然に濡れて、恋次のものを締め付ける。

「隊長、もうちょっと力ぬいてください。俺、すぐにいっちまいそうだ。もっと隊長を味わいたい」

「無理を言うな」

「息大きくすって、はいてください。それ繰り返して」

言われた通りにしていると、だんだんと体から力がぬけてきた。

「ひあ!」

奥を貫かれて、白哉は涙を零す。

それを吸い取って、恋次は白哉を味わうようにゆっくり抱いた。

「ん‥‥‥もうよい。お前の好きなように抱け。我慢はせずともよい」

「めっちゃがっつきますよ。それでもいいですか?」

「かまわぬ」



「ひあああ、もうやああああ」

「がっついてもいいっていったのは、隊長っすよ」

「もう、4回もだしたであろう。もうやぁ」

恋次は、白哉の奥を貫いて揺さぶる。

「あああ、いくうう」

「隊長、すっごいえろい」

「ひあああ!」

何度もオーがズムでいかされた。

精液はとうに出しつくてしまった。

「うなじ、噛みますよ?番にします」

「あ、恋次」

「隊長、愛してます」

恋次は、白哉のうなじをかんだ。

お互い電流が走り、番になったことが分かる。

「あ、もうだめだ。あああああ」

白夜の意識は、そこで落ちた。




「隊長、大丈夫っすか?」

「大丈夫ではない。好きにせよとは言ったが、限度をわきまえよ」

「すんません」

しゅんとうなだれた恋次の手をとる。

「番になった。人生、一緒に生きていくのだぞ。よろしく頼む」

「は、はい!隊長、ヒート期間が辛かったらいつでも言ってください」

「明日はせぬぞ。あさってならいいが」

「はい!」


恋次は、憧れるだけだった白哉を手に入れた。

白哉は、恋次を愛してしまった。

お互い、上官と副官であるが、番として一緒に住み、一緒に生きていくのだった。







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オメガバース京浮読み切り短編

学院で、1年に1回検査がある。

それは、オメガかアルファかベータであるかという検査だ。

先天的なものが多いが、まれに後天的にオメガになったり、アルファになったり、ベータになったりすることがあるので、検査はかかせなかった。

浮竹は、ずっとベータだった。

検査の結果、オメガと分かり、特進クラスの者はほぼアルファなので、オメガの浮竹は抑制剤を飲んで、首に番にされないように首輪をつけることが義務づけられた。

「なんで、俺はオメガなんだ‥‥」

浮竹は、自分を責めた。

「ボクは、君がオメガだろうとアルファだろうとベータだろうと好きだよ?」

「京楽‥‥‥」

ベータ時代から、浮竹はアルファである京楽と付き合っていた。

付き合うといっても、友達の延長線みたいなかんじで、いつも一緒にいて、キスやハグをするくらいだった。

「君がオメガってことは、君を正式に娶れる。ボクと結婚しよう、浮竹」

「京楽、俺は‥‥」

「オメガであることが苦しいんでしょう?ボクと番になろう」

「京楽、いいのか?俺は下級貴族で、病弱で肺の病を患っている」

浮竹は、自分の首につけられた首輪に触れた。

「大丈夫。薬代もほとんどボクが出してるし、体調のかんばしくない時は無理強いしないし、番になろう。オメガで貴族で死神だと、君はきっと上級貴族の子を産むために番にさせられる。そうなる前に、ボクと番になろう」

「京楽も上流貴族だろうが」

浮竹が、クスリと笑った。

「君が他の男の番になるなんて、ボクは嫌だよ」

「俺も嫌だ。京楽がいい」

「じゃあ、ヒート期間がきたら、番になろう」

「分かった」

オメガと分かって半年経っても、浮竹にヒート期間は訪れなかった。

ある日、放課後にアルファの男たちに取り囲まれて、浮竹は恐怖していた。

性欲の対象として見られていたからだ。

「浮竹、抑制剤飲んでるんだろうけど、フェロモンが出てるんだよ。アルファをおかしくさせる」

「すまない、すぐに帰る」

「まぁまぁ、オメガなんだし、アルファの俺らと楽しもうぜ?」

首の首輪に触れられて、浮竹は心の中で京楽を呼んだ。

「俺は、オメガだが番になる予定の相手がいる。お前たちと遊ぶつもりはない」

「まぁ、そう固いこと言わずにさ」

院生の衣服に手をかけられて押し倒されて、浮竹は京楽の名を呼んでいた。

「京楽!!!」

「大丈夫、今きたよ。君たち、上流貴族であるボクの未来の伴侶に、何するつもりだったの。こととしだいによっちゃ、許さないよ?」

「げ、番の予定って京楽かよ」

「逃げろ、退学にさせられるぞ!」

「もう遅いんだけどね?顔覚えちゃたから」

男たちが去り、浮竹は地面に蹲る。

「浮竹、大丈夫かい?」

「怖かった。性欲の対象として見られてた」

「うん。でも、ボクも浮竹を性欲の対象として見てるよ?」

「何故か、京楽なら平気なんだ」

浮竹は、京楽の顔を見た。

「そう。性欲剤飲んだ?フェロモンがすごいよ」

「熱で、くらくらする」

「きっと、ヒートがきたんだね。部屋に戻ろう」

浮竹は、その日はなんとか寝れたが、次の日から人生で初めてのヒート期間がきて、熱にうなされる。

「浮竹、番になろう。抱くよ?」

「あ、京楽‥‥‥」

京楽は、浮竹を抱きしめて、キスをした。

「いやじゃ、ない?」

「ああ。お前なら、平気だ」

「もう、後戻りはできないからね」

京楽は、よく鍛えられた体を見せる。浮竹の衣服も脱がされたが、あまり筋肉がついていなくて浮竹は京楽の体が羨ましいと思った。

「京楽は、いい体をしているな。俺なんて、痩せっぽっちで‥‥‥」

「君はそのままでいいよ。白いきめ細かい肌が綺麗だね。少し長くななった白髪も、翡翠の瞳も大好きだよ」

「あっ」

胸の先端をつままれて、浮竹は声を出してしまい、手で口を塞ぐ。

「声、聞かせて?興奮するから」

「あ、春水‥‥あああ!」

初めて、浮竹は他人の手でいかされた。

「指、いれるよ?」

「んあう」

ぐちゅぐちゅと、潤滑油をまとった指が、浮竹の蕾を解していく。

「あ、なんか変だ。そこ、やだ」

「ああ、ここは前立腺がある部分なんだろうね。オーガズムでいってみる?」

京楽は、浮竹の弱いところを指で攻める。

「あああああ!!」

浮竹は、女のようにオーガズムでいくことを覚えた。

「あ、来い、春水」

浮竹は、自分から足を開く。

「はじめてだから、優しくしたいけど、ボクはずっと君にこんなことをしたいと思っていたからね。ちょっと激しくなるかも」

「あ、あ、あ、春水」

「もっと名前呼んで、十四郎」

浮竹と京楽は、ゆっくり交わった。

「あ、そこやぁ。変になるうう」

「奥、好きなの?」

「あ、分からない」

京楽は、ゆっくりと浮竹の奥に侵入する。

「あ、もっと激しくして平気だ」

「分かったよ」

京楽は、勢いつけて浮竹の奥を抉る。

「ひあああああ!」

「気持ちいい?」

「あ、気持ちいい。もっとおお」

「素直な十四郎はかわいいね」

「あ、春水」

京楽は、何度も浮竹の中を行き来して、浮竹の子宮の奥で精液を出した。

「ああああ!熱い」

「番にするよ?」

浮竹の首輪を外して、うなじを思い切り噛む。

お互い電流が走ったようなかんじがして、番になったのだと分かった。

「ボクは、君を正式な伴侶にする。親や山じいが何を言っても」

「春水、愛してる」

「ボクも愛してるよ、十四郎」

番になった二人は、ヒート期間学院を休み、睦み合った。

「アフターピルはどこ?」

浮竹は、まだ子どもを生みたくないので、あらかじめ用意されてあったアフターピルを探す。

「飲ませてあげる」

「ん‥‥‥‥」

京楽は、アフターピルと水を口に含むと、口移しで浮竹に飲ませた。

「ボクと番になったこと、後悔してない?」

「してない。するくらいなら、はじめから拒否する」

浮竹の頭を撫でて、京楽は浮竹が眠りにつくのを見ていた。

「君はボクのものだ。誰にも、渡さない」

番となった二人は、やがて卒業し死神になり、周囲の反対を押し切って籍を入れた。

浮竹は、京楽の子を二人産んだ。

兄がなくなり、京楽家の跡を継ぐ気のない京楽は、子を後継者とした。



「十四郎、ボクとこうなったこと、後悔してない?」

「してない。してたら番を解消するし、お前の子を産んだりしていない「

「そう。よかった」

二人は寄り添いあいながら、乳母を雇って子の面倒を見てもらいながら死神を続け、やがて隊長になるのであった。


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浮竹が生きている世界線4

浮竹は、一度死んだ。

神掛けをして、ミミハギ様を手放して、そのまま亡くなった。

ちゃんとお葬式もして、大量の花がいれられた棺ごと、火で燃やされた。

京楽は、それをただ黙ってみていた。

浮竹がいなくなった日から、世界から色が消えたようだった。

浮竹の葬式が終わった日、一人で泣いた。涙が枯れるかと思うほどに。

そんな浮竹が、死んで10年経ったある日、院生時代の姿でひょっこりと現れた。

京楽は、再び世界が色づいて見えるようになった。

浮竹が蘇ったとなるといろいろ問題が出てややこしいので、浮竹の弟と暮らしているということにしていた。

「浮竹、朝だよ?」

「んー、あと10分‥‥‥」

「10分経ったら、起こすからね?起きないと、襲っちゃうからね?」

「わあああ、起きる、起きるから」

一度、そう言って本当に寝込みを襲われて、朝からえらい目にあったことがあったので、浮竹は飛び起きた。

「今日の予定は?」

「今日は非番なの。家でゆっくりする?」

「うーん、家でゆっくりとかいうと、お前が襲ってくる気がする」

「最近はそこまで飢えてないよ。浮竹とは毎週2回は睦み合ってるから」

浮竹は、真っ赤になって京楽の頭をはたく。

「何するのさ」

「お前が、恥ずかしいことを言うからだ」

「でも、本当でしょ?」

「うーん、まぁ、そうだな」

「他に誰かがいるわけでもなし、今日は家でごろごろ‥‥」

「現世にいきたい」

突然そう言い出した浮竹に、京楽は首を傾げる。

「現世のどこかに行きたいの?」

「パチンコに行きたい」

一護から昔聞かされた、現世の賭博のようことをしてみたかった。

「却下」

「なんで!」

「君は少年の姿なんだよ。義骸もないし、パチンコ店にも入るのに外見年齢が足りない」

「むう。仕方ない、川で釣りでもするか」

「パチンコからどこをどうとんだら、川の魚釣りになるのか知らないけど、それならいいよ。瞬歩は使えるよね?」

「当り前だ」

浮竹は、斬魄刀はないが、死神としての能力は十分にあった。

「じゃあ、ちょっと山奥の川に釣りにいこうか。釣り道具はめんどくさいから、買っていこう」

「買うのか。まぁいいが」

こうして、その日は浮竹と京楽は川に釣りに出かけることになった。



「むう、釣れない」

「ボクは3匹釣れたよ」

「お前の釣竿と交換しろ」

浮竹は、京楽が釣りをしている釣竿を自分のものと交換した。

「あ、また釣れた」

「なんで俺は釣れないんだあああああ」

「魚に嫌われてたりして」

京楽の冗談に、浮竹が噛みつく。

「俺の斬魄刀は双魚理だぞ。魚がついているんだぞ。そういえば、俺の斬魄刀ってどうなったんだ?」

「君の遺骨と一緒に、墓に埋葬したよ」

「むう。墓の中か。暴くわけもにもいかんから、斬魄刀は諦めるか」

京楽は、くすっと笑った。

「弟の設定の君が双魚理をもっていたら、騒ぎになるよ」

「ふむ。それもそうか。俺は浮竹十四郎ではなく、確か弟の浮竹実純だったな。実純は元気にしているだろうか。他の弟や妹たち、父上に母上は元気だろうか」

「今度、遠くから見にいく?元気にはしていたよ。君の死をとても悲しんでいたけれど、君の父上も母上も、君のことを誇りだと言っていたよ」

「ああ、会いたくなってしまうが、会うわけにはいかないな」

「ごめんね。君が蘇ったなんて、誰にも知られたくないから」

浮竹が蘇ったことを知っているのは、京楽だけだった。

「君はボクのものだから。誰にも教えない」

「京楽、お前俺を独り占めする気か?」

「そうだよ?」

「ふふ、そうか。お、かかった。釣れるな」

浮竹は、続けて3匹釣り上げた。

鮎が釣れた。

そのまま枯れ葉と枝を集め、串焼きにして火であぶって食べた。

「うん、とれたてはうまいな」

「そうだね」

京楽は、ペロリと4匹の焼いた鮎を食べ終わった浮竹に、自分の分をあげた。

「いいのか?」

「うん。ボクはその気になれば、金があるからいくらでも食べれるから」

「じゃあ遠慮なく」

京楽の分の2匹をもらって、浮竹はよく食べた。

肺の病もなく、病弱でもなくなっていた。

「帰ろうか」

「ああ」



京樂の屋敷に帰宅すると、京楽が覆いかぶさってきた。

「おい、京楽」

「春水って呼んで?」

「春水、俺はきっとお前のために生き返ったんだ」

「うん。そうだね」

口づけしあいながら、お互いの衣服を脱がせていく。

「春水、そこばっかやだぁ」

胸の先端ばかりをいじる京楽に、浮竹が身をよじる。

「ふふ、言ってごらん?」

「あ、下も触って。俺を犯して、俺の奥で子種をちょうだい」

「幼い姿なのに、淫乱な言葉ばっかり覚えてるね?」

「中身は死ぬ間際の俺だからな」

京楽は、浮竹のものをしごいてから口にふくみ、浮竹はあっけなく精液を出してしまう。

「若いねぇ」

「そういうお前は、それなりに年とってるくせに、性欲おおせいだな?俺が死ぬ前と全然変わってない」

京楽は、悲しそうな顔をした。

「君がいなくなって、誰も抱いてなかったからね」

「え。遊女とかは?」

「遊郭での遊びは、院生時代に終わらせてるからね。君のことを思って、時おり一人で処理してた」

「春水、今日は好きに抱いていいぞ」

「ふふ、同情?」

「それもある。だが、お前を残して逝ってしまったのは、俺のせいだから」

「十四郎、大好きだよ。戻ってきてくれて、ありがとう」

「春水、ただいま‥‥」

二人は肌を重ね合う。

「ひあああんん」

京楽のものが、浮竹の最奥を抉り、そこに直接子種を注ぎ込む。

「やあああん、春水、もっとおお」

「幼い姿なのに、淫乱だねぇ」

「好きで院生時代の姿でいるわけじゃない‥‥あああ、そこ、もっとおおお」

「十四郎は、昔から奥が好きだったもんね?」

「ああああ!」

京楽は、浮竹の最奥に何度も突き上げて、何度目になるかも分からない子種を注いだ。

「ひああ、もうだめええええ」

浮竹は、何もオーガズムでいきながら、意識を手放した。



「十四郎、朝だよ」

「んー、あと10分」

「今日は仕事があるから、寝坊はだめだよ。それとも、睦み合った次の日まで、ボクに襲われたい?」

「うぎゃあああああ、起きるうううううう」

京楽の手が衣服の中に入ってきたので、浮竹は飛び起きて京楽の手をはらう。

「あれだけしといて、まだ足りないっていうのか?」

「そんなことはないよ。でも抱こうと思えば抱けるね」

「性欲おおせいすぎるだろ」

「そうかもね?愛しい誰かが、帰ってきてくれたおかげでね?」

浮竹は赤くなりながら、素早く着替えて顔を洗いにいった。

ちゃんと、朝食は食べていく。



「あら浮竹さん、今日は早いんですね?」

「七緒ちゃん、浮竹はちょっと疲れてるから、午前中はボク一人で仕事するよ」

京楽の言葉に、七緒が眼鏡をかけなおす。

「京楽総隊長、まさかとは思いますが、浮竹さんに、その‥‥」

「ふふ、それは秘密だよ」

「京楽総隊長!すみません、浮竹さん、隊長があなたに浮竹隊長を重ねていることは、つらいでしょうが‥‥」

「いや、俺は平気だぞ?」

「そ、そうですか‥‥」

京楽が、浮竹の弟にめろめろだと、その次の日には噂がちょっとだけ出ているのだった。

浮竹十四郎が蘇ったことは、京楽だけの秘密であるのだった。

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血と聖水の名において30

京楽の家の使いの者がやってきた。

なんでも、京楽の父が死んだらしい。

「そうかい。父上は死んだのかい」

「跡継ぎに、春水様をとの遺書が見つかり、こうして参った次第であります」

京楽家の者は、京楽がヴァンパイア化していると知って、恐々としていた。

「安心して。ボクは人の血は吸わないよ。浮竹の血しか吸わない」

「おかげ様で、こっちは貧血気味だ」

「そんなにしょっちゅう吸ってないでしょ」

「一週間に2回は吸うだろうが!」

「ほんとは毎日吸いたいんだよ!」

「俺がミイラになるわ!」

京楽家の使いの者は、京楽と浮竹を連れてウィキティを含む州を領地としている、京楽伯爵家にやってきた。

「おかえりなさいませ、坊ちゃま」

「お前が坊ちゃま?うぐぐぐ、笑い死ぬ」

「失礼だね」

「でも、お前は貴族だったんだな」

「そうだよ。伯爵家の次男さ」




「おかえりなさい、春水」

「母上」

「そこの汚らわしいヴァンピールとの関係を絶って、人に戻りなさい」

「ヴァンパイアが人に戻るのは、生贄が必要だよ」

「なら、奴隷商人から購入しましょう」

「母上、ボクは伯爵を継ぐ気はないよ。それを言いにきたんだよ。兄上に、全てを任せるよ」

「そうなの。じゃあ早く立ち去りなさい。汚らわしいヴァンピールと共に」

京楽は、珍しく怒っていた。

「今度、浮竹を汚らわしいヴァンピールって言ったら、母上でも容赦はしないよ?」

「ひいっ。このヴァンパイアめ!ヴァンピールの花嫁になった挙句、ヴァンパイアになったなんて!京楽伯爵家の恥よ!早々に立ち去りなさい!」

「言われなくてもお暇するよ。行こう、浮竹」

「いいのか、京楽」

「うん。兄とは昔から馬が合わないし、会っても無駄。帰ろう」

風の精霊王ジルフェを呼んで、空間転移の魔法でウィキティに帰ると、ウィキティの町の一部が破壊されていた。

「どうしたんだろう」

「何かあったな?この気配は‥‥‥‥ドラゴンサモナーの俺か」

建物を壊した場所に、ドラゴンサモナーの浮竹の魔力の名残を感じた。

まだウィキティの館の中にいるようで、二人はドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽から、事情を聴いた。

なんでも、呪詛のせいらしい。

『俺は、まだここにいていいんだろうか』

ドラゴンサモナーの浮竹は、意気消沈していた。

「闇の精霊王ダークピュリアよ、顕現せよ」

「はぁい。呼んだ?」

豊満なナイスバディをもつ闇の精霊王は、浮竹にしなだれかかる。

それに、京楽の変態が反応しない。

何故かは分からないが、故郷に戻る道までの間もずっと変態でアホの子はおらず、京楽は真面目だった。

「ダークピュリア、町の人間から、襲ってきたのがドラゴンサモナーの俺だという記憶を消してくれ」

「あら、いいの?対価に、寿命少しもらうわよ?」

「ああ、構わない」

ダークピュリアは、大きな魔法陣を展開し、それは町全土まで広がり、人々の記憶からドラゴンサモナーの浮竹が襲ったことは忘れ去られた。

『神父のボクが変態じゃない。ボクの目がいかれたのかな』

『大丈夫だ、俺にも変態が見えない』

バタンと、京楽は倒れた。

「おい、京楽!」

すごい熱だった。

すぐに命の精霊ライフを呼び、癒してもらう。

「浮竹のパンツがない!ボクはどうしてまともだったんだ!浮竹のパンツで全ては解決する!」

京楽は、荷物を漁って浮竹のパンツを見つけると、スーハ-スーハーしてから、頭に被った。

「どうやら、ずっと熱を出していて、そのせいで変態がひっこんでいたみたいだ。まぁ、こっちのほうが俺は安心できる。変態だけど」

「浮竹、しっぽりしよう!」

「100年後にな」

「ボク、ミイラになっちゃうううううう」

何故か腹踊りをしだす京楽を無視して、浮竹はドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽と、お茶をする。

「ああ、ボクを見てええ」

『ヘルインフェルノ』

『カラミティファイア』

「フェニックス!」

3人から燃やされて、京楽はいつものように真っ黒こげのアフロになるのであった。



「京楽、夕飯はなんだ?」

「んー海鮮パスタ」

「そうか。サラダとあと、苺のタルトも追加してくれ」

「もう、浮竹は我儘だねぇ。まぁ、ボクの家の事情に悩まされたから、今日は特別にジャンボパフェもつけてあげよう」

京楽は、久しぶりに家事をしていた。

いつもは、居候のドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽がしてくれる。

二人は、今本当に町の住民から記憶が消えたのか確かめに行っている最中だった。

「ジャンボパフェは、浮竹だけだよ。ボクの家、貴族だから身内からヴァンパイアが出るなんて恥でしかないっていう考えもってるからね」

「まぁ、悪いヴァンパイアもいることだしな」

「人間と同じだよ。普通のヴァンパイアもいれば、悪いヴァンパイアもいる。それだけさ」

「頭に俺のパンツを被っていなければ、かっこよく見えたかもな?」

「え、ボクはいつでもかっこいいよ!」

「はぁ‥‥」

浮竹は大きなため息をついた。

京楽は、本気で頭にパンツを被っていても、自分がかっこいいと思っていた。

「熱、あったほうがかっこよかったかもな」

「酷い!ボクは健康な今こそ、真にかっこよいのだよ!」

「はいはい。さっさと夕飯作れ」

「はーい」

浮竹は、また大きなため息をつくのであった。





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二人だけの卒業旅行

「ルキア、二人きりで卒業旅行に行かないか?」

一護にそう言われ、ルキアは目を瞬かせた。

「他に誘わぬのか?井上や石田や茶虎とか」

「俺は、お前と二人きりで卒業旅行に行きたいんだ。渡したい物もあるし」

「まぁ、別にかまわぬが」

ルキアは、意外とあっさりと二人きりの卒業旅行を承諾した。

一護は、もっとしぶられると思っていたが、ルキアがあっさり許可したことで、少し拍子抜けしていた。

やがて、高校の卒業式がやってきた。

ルキアは、高校を卒業すれば尸魂界に戻ることが決まっていた。

卒業から10日ほどは、まだ現世にいられるらしくて、その時間を作って、二人は卒業旅行に出かけた。

行き先は草津の湯。

部屋は一緒。

さすがに部屋が一緒という点で、ルキアもちょっと気になりだしたようだった。

「一護‥‥‥」

宿について、温泉に浸かってから、ルキアは浴衣をきた一護に背後から抱きしめられていた。

「好きだ、ルキア。付き合ってくれ」

「一護、私は」

「死神だとか、そんなこと関係ない。お前はどうなんだ、ルキア」

「私も‥‥‥‥貴様のことが好きだ、一護」

「俺は、お前を尸魂界に帰っても好きでいる。伝令神機もあるし、連絡はとれるし週末とか利用して現世にこいよ。俺、大学に入ったら一人暮らしするつもりなんだ」

「週末の度に現世に行くのか。許可が下りればいいが‥‥‥」

「俺が京楽さんにお願いしといた」

「一護、貴様先回りしすぎだぞ!」

「俺はルキアと一分でも一緒にいたい。嫌か?」

「嫌ではないが‥‥」

一護は、ルキアを正面から抱きしめると、触れるだけのキスをした。

「ん、一護」

「ルキア、すげー好き。俺と一緒になってくれるか?」

一護は、シルバーでできたペアリングを見せた。

「一護‥‥‥」

「ペアリング。高校生だったし、大学に行けば一人暮らしするしでいろいろ金がかかるから、あんまり高価なのは買えなかったけど‥‥」

「その気持ちだけで、十分だ」

一護は、ルキアにシルバーのペアリングをはめた。

ルキアが、一護にシルバーのペアリングをはめる。

「好きだ、一護。誰よりも」

「俺も、ルキアが好きだ。誰よりも。世界中で一番」


キスをして、互いに乱れた浴衣を脱がし合う。

ルキアも一護もはじめてだった。

「ルキア」

「あっ」

あまり大きくない胸を包み込むようにもまれて、ルキアは甘い声を出す。

「すっげー興奮する。もっと、声、聞かせて?」

「ああっ、一護」

下着を取り去り、濡れてきた秘所に指をはわすと、ルキアがぎゅっと目を閉じる。

そこに口づけしながら、一護は優しく指で愛撫していく。

「ああああ!」

Gスポットを指でいじられて、ルキアはオーガズムでいっていた。

「ルキアと一つになりてぇ。いれていいか?」

コンドームをつけて、一護は聞く。

「あ、こい、一護。貴様が欲しい」

「ルキア、愛してる」

「ひああああ!!」

指とは比べ物にならない質量のものをいれられて、痛みと快感でルキアは涙を零す。

ぶちっと音がして、秘所から血が滴った。

「ごめん、ルキア。加減できそうにない」

「あ、一護、一護」

揺さぶられるたびに、ルキアは一護の名を呼ぶ。

一護は、口づけしてそれにこたえる。

「ひあ、あ、あ」

ルキアは一護の背中に手をまわし、爪をたてていた。

「ルキア、大好きだ」

「んん、いちごぉ。好き」

二人は、一つになっていた。

何度も挿入を繰り返し、一護はルキアの中でコンドームの中に精液を放つ。

「ああああ!!!」

ルキアは何度目かも分からぬオーガズムでいっていた。

セックスが終わると、二人はお互いを抱きしめあいながら少しだけ眠った。

それから、また温泉に入った。

宿の部屋は、庭にも温泉があり、そこにルキアと一護は入った。

「ルキア、ごめん。抱いていいか?」

「またか」

「俺、1回しかいってないから。抱きたりない」

「仕方のない奴だ。こい」

一護は、温泉の中でルキアを抱いた。

結局二人してのぼせた。

「やっぱ、今度から風呂でやるのはやめよう」

「同感だ」

冷たい麦茶を飲みながら、まだ肌寒い季節なので、浴衣をちゃんと着て暖房を入れる。

のぼせたのが治った頃には、ルキアも一護も、何もすることがないので、二人で抱き合いながらごろごろしていた。

「なぁ、ルキア、お前が俺を好きになってくれたのはいつだ?」

「んー。私が処刑されそうになって、助けに来てくれた時くらいからかな」

「そっか。俺も大体そんな時期だ」

「兄様に、なんと言おう。一護と付き合っていますと言って、怒られないだろうか」

「白哉はきっと怒らないさ。ルキアの幸せを一番に思ってるから」

「そうだとよいのだが」

二人きりの卒業旅行は、甘いハネムーンなかんじだった。


「おみやげに、温泉の元でも買っていくか」

「そうだな。あと菓子とかも」

適当にお土産を買って、二人は一護の家に帰宅した。


「少しだけ、さよならだ、一護」

「大げさだな。来週の土曜には会えるだろ」

「そ、それまでの間一緒にいれぬのだぞ」

「伝令神機と俺のスマホ繋がってるから、連絡は取れる」

「それはそうだが。貴様は寂しくはないのか?」

「霊圧をなくして、お前とずっと離れ離れのでいた期間を思えば、そんなに寂しくない」

「そ、そうか」

ルキアは、尸魂界へど戻っていった。

一護は、大学に近いアパートを借りて、そこで暮らすことにした。大学の学費は、私立なので親に払ってもらうが、卒業して社会人になったら、少しずつ返していく予定だった。



「一護!」

「のわぁ!」

大学から帰ると、ルキアが家の外で待っていて、こちらに気づいて抱き着いてきた。

「どうしたんだよ。今日木曜だぜ?」

「たまたま非番になったのだ。メールを送っておいたであろう」

「あー、まだ読んでねぇわ」

一護の言葉に、ルキアが叫ぶ。

「浮気か!」

「なんでそうなる!」

「ふふふ、言ってみたかっただけだ」

「はいはい。合鍵、渡しておくな?」

「うむ」

それから、週末や非番になるとルキアは現世の一護の家に入り浸った。

一護はルキアといれる時間を大切にしたいので、週末はバイトを入れす、平日にバイトをした。

やがて、一護は大学を卒業間近になった頃、ルキアはある薬をもって、一護の家を訪れた。

「一護。私を愛し抜く覚悟があるならば、真の死神となれ。人間が死神になる薬だ」

「ルキア‥‥‥‥いいぜ。その薬飲んでやろうじゃねぇか」

一護は、人間から死神となった。

とりあえず大学は卒業し、就職はしなかった。

尸魂界の朽木家の別邸で、一護は暮らし始めた。ルキアと一緒に。

「今度、結婚式挙げようぜ。尸魂界でも現世でも」

「ああ、よいぞ。現世の友も呼ぼう」

一護とルキアの結婚式は、ルキアが4大貴族の一人であるせいで盛大に行われ、一護は13番隊の副官となり、ルキアと一緒に死神として平和につつましく暮らすのであった。









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隊長

隊長が好きだった。

はじめは、純粋な憧れだった。その強さに。その潔さに。

ルキアの処刑が決まり、心は揺れ動く。

やがてその騒動も終わり、ルキアと隊長は雪解け水のように仲が深まっていく。

ルキアと一緒にいる隊長は、すごく優しい目をしていた。

ああ、隊長でもこんな顔をするんだなと思った。

「隊長。隊長が好き、です‥‥‥」

ある日、一緒に月を見ながら酒を飲んでいた日に、ついに告白してしまった。

隊長は、はじめ驚いた顔をしていたが、すんなりと受け入れてくれた。

「私も恋次が好きだ」

「まじっすか」

「こんなことで冗談を言うほど、器用ではない」

隊長は、ぐいっと酒をあおると、俺の頬に手で触れた。

「ずっと、私のあとを追ってきたのであろう。憧れが、気づけば恋慕になっていたのであろう?」

「そ、その通りっす」

なんで分かるんだと思った。

ずっと、隊長の後姿を見てきた。

憧れが恋慕に変わり、いつしか欲を抱くようになった。

「私の全ては、まだやらぬぞ?」

「あ、はい。その、ちゃんとお付き合いをしたうえでなら‥‥‥‥?」

「考えておく」

隊長は、見事な満月を見上げながら、酒を飲む。

俺もそれを真似して、盃の中身を胃に流し込む。

隊長が好きだ。

告白を受け入れてくれたと思ったら、どきどきしてきた。

手を重ねるくらいは、許してくれるだろうか?

そう思い、隊長の白い手に手を重ねる。

「恋次」

触れるだけのキスをされて、俺は真っ赤になった。

「今はまだ、これだけだ」

「十分です」

隊長は、俺の心臓を止めるつもりだろうか?

ドキドキが止まらない。

ああ、無性に叫びたい。

隊長が好きだと。

でもそんなことをしたら、千本桜を抜かれそうだ。

俺は真っ赤になっているのは酒のせいだと、言い訳をしながら酒をさらに飲む。

やがて眠気がきて、俺は眠ってしまった。



「のあああああああああ!!」

「うるさい」

起きたら、隣に隊長がいた。

一緒の布団で眠っていたらしかった。

ああ、睫毛長いとか思いつつ、起き上がって隊長に謝る。

「酒のせいで眠ってしまいました。すんませんでした」

「よい。肌寒い季節なので、湯たんぽ代わりにした」

「はぁ」

隊長、俺のこと好きなんだよな?

俺と一緒にいて、隊長はドキドキしないのだろうか。

いや、隊長のことだからきっと落ち着いているのだろう。

俺はその日、隊長の家から執務室に一緒に出掛けた。

やっぱり、ドキドキは止まらなかった。

隊長と二人きりでいることは、執務室では当たり前なのに、ちょっと気恥ずかしい。

隊長は黙々と仕事をこなす。

俺も見習って仕事をする。

休憩時間に茶を入れると、隊長はうまいといって飲んでくれた。

まぁ、隊長がもってきた茶葉なんだが。

仕事が終わり、家に帰ろうとすると、隊長に誘われる。

「泊まっていけ」

ああ、隊長。

殺し文句ですか?

隊長は俺を殺したいんですか?

俺の精神がもちません。

隊長、ちょっとは自覚して!

俺は、飢えた狼なんす。

隊長!



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好きなのか?

その日、考えれば白哉はおかしかった。

酒を飲まないかと誘われて、恋次は高めの居酒屋に来ていた。

一護とルキアも誘われていて、久しぶりに一護と話す機会があって、飯も酒も進む。ルキアは義兄である白哉があまり食がすすまないようなので、心配していた。

「兄様、ここの居酒屋の食事は口にあいませんでしたか?」

「いや、そうではない。少し、食欲がないだけだ」

白哉は、そう言って高級酒を飲む。

一護はもう大学生なので、酒は飲めた。

「高い店だけあって、酒も料理もうまいよな」

「そうだろ、一護。ここは、たまに隊長と飲みにくる店なんだ」

「へぇ。白哉でも、外にこんな風に飲みに行くこともあるんだな」

「兄は、私が飲みに行くのがおかしいか」

「いや、そんなことねーぜ?ただ、もっと個室の部屋で静かに飲んでそうだなと思っただけだ」

「昔はそうだった。最近は、普通に外でも飲む」

「この店は兄様のお気に入りなのだ。酒も飯もうまいであろう、一護」

なぜかルキアが威張る。

「会計は兄様が出してくれる。思う存分飲んで食うがいい」

ルキアも、遠慮せずに食べて飲んでいた。

恋次も、普段は飲まないような高級酒を飲み、高めのつまみを頼んだりする。

「‥‥‥好きだ、恋次」

「は?」

「え?」

「兄様?」

突然の白哉の告白に、三人とも固まる。

「好きなのだ、恋次」

「た、隊長!?酒の飲みすぎですか!?」

「兄様が好きだと言われておるのだ!ちゃんと返事を‥‥」

「ルキア、朽木家に戻るぞ」

「へあ、一護!?」

一護はルキアを連れて、居酒屋から出る。

「がんばれよ、恋次」

「おいこら、一護おおおおお」

白哉は、白い頬をうっすら紅色に染めて、恋次を見つめる。

「隊長、俺は」

「私のことが好きなのであろう?」

「え、ばれてた!?」

「日々の言動を見れば分かる」

「え、あ、はい、すんません」

「私は好きなのだ、恋次」

白哉は、絹のような黒髪をさらさらと零して、恋次を見つめる。

「隊長、俺も隊長のこと好きです。愛してます」

「私は‥‥だから、辛い酒が好きなのだ」

「はぁ」

「椿も好きなのだ」

「はぁ」

「梅の花も好きなのだ」

「はぁ」

「桜の花も好きなのだ」

「はぁ‥‥隊長、熱でもあるんすか?」

恋次は、白哉の額に手を当てると、とんでもない高熱だった。

「わああああ、隊長、熱高すぎです!自分が何いってるのかあんまり分かってませんね!?」

「恋次は、私のことが好きなのであろう」

「そうですけど、帰りますよ!いや、救護詰所に行ったほうがいいか」

「私は辛いものが好きなのだ、恋次」

「はい、わかりましたから、瞬歩で移動します!」

代金を白哉のもっていた財布から勝手に支払い、恋次は白哉をおぶって瞬歩で4番隊ヘ向かう。

隊長である虎徹勇音が、まだいた。

診てもらい、インフルエンザだと判明する。

「薬処方しておきますので、くれぐれも安静に」

「ありがとうございました」

「私は辛いものが好きなのだ」

「ああもう、隊長同じこと10回は繰り返してますよ!?」

朽木家に戻り、白哉を寝室に寝かせて、薬を飲ませると白哉はあっという間に眠ってしまった。

体温は41度もあって、へろへろだろうに、言動はおかしいが、見た目は普通だった。

一護とルキアに、白哉がインフルエンザであることを告げ、念のために検査キットをもらってきていたので、検査するが一護もルキアも恋次も陰性だった。

白哉はそれから一週間は寝込んだ。

インフルエンザが完治して、白哉が執務室に顔を出すようになると、恋次は顔が合わせづらかった。

熱のせいだとはいえ、恋次が白哉を好きなことがばれてしまったのだ。

一方の白哉は、恋次が好きだと言っていたが、他にもいろんなものを好きだと言っていたので、恋愛感情で好きと言ってくれたのかどうか怪しい。

恋次は、勇気を振り絞って白哉に言う。

「隊長、俺は隊長のことが好きです。恋愛感情で」

「そうか」

白哉は黙々と仕事を続ける。

「隊長、俺はピクミンです」

「そうか」

はぁと、恋次はため息をつく。

「隊長、俺の顔ちゃんと見て、俺の言葉聞いてください」

「恋次?」

白哉の手をとって、恋次は手を重ねた。

「俺のこと、嫌いですか」

「それはない」

「じゃあ、俺のこと好きですか」

「‥‥‥‥‥‥分からぬ。ただ、傍にいてほしいとは思うのだ」

「それ、きっと俺のこと好きなんすよ」

「そうなのであろうか」

奥手な白哉を、言い聞かせるように何度も好きだからと言っていると、白哉もだんだんそう思えてきた。

「恋次」

「はい」

「駄犬」

「酷い!」

「ふふ‥‥‥」

白哉はうっすら微笑する。その白い顔があまりにも綺麗で、恋次は見惚れてしまう。

「きっと、私は恋次が好きなのであろうな。恋次」

「はい」

白哉は、恋次の目を手で覆って口づけた。

「た、隊長!?」

「嫌ではない。私と付き合ってみるか、恋次」

「はい!」

恋次は自分の中の欲に気づいてしまっていた。いつか、白哉の全てを手に入れたいと。

「隊長、俺本気で落としにかかりますからね!」

「ふふ、構わぬぞ。私の全てを手に入れたいなら、励むことだ」

恋次は、白哉に口づける。

「今は、キスまでだ。それ以上は、まだだめだ」

「隊長の全てが欲しいです。いつか、全てを手に入れてみせます」

「恋次」

「はい」

「お前のそういう前向きなところ、嫌いではない」

「隊長、覚悟しておいてくださいね」

「ふ‥‥‥」

白哉は小さく笑うと、仕事に戻る。恋次も、仕事をする。

その日から、恋次と白哉は交際しだした。

ルキアはその話を聞いて、卒倒するのだった。

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血と聖水と名において29

100年に一度の精霊祭が行われることになった。

見た目は若いが、何気に齢100をこしている浮竹にとって、2回目の精霊祭だった。

当時はやっと精霊と契約ができるレベルで、精霊界に行ったが、祭りの隅っこで見学しているだけだった。

今は、全ての属性の精霊王と契約している、世界で唯一のエレメンタルマスターとして、主賓であった。

浮竹は、京楽を連れていくことを決めていた。

「精霊界で、精霊祭が行われるんだ。俺の知り合いなら、参加できる。お前たちもくるか?」

『え、精霊?精霊界に行けるの?』

『面白そうだ。行ってみたい』

パートナードラゴンの京楽は精霊界に行くのは久しぶりだった。もともと異界のドラゴンなので、精霊の知り合いは多い。

何気にフェンリルとかと顔見知りだったりした。フェンリルはそんなこと一言も言わないし、パートナードラゴンの京楽も何も言わないので、初対面と思っていたら違ったと知ったのは最近のことだ。

ドラゴンサモナーの浮竹は、精霊の知り合いはおらず、精霊界に行ったこともなかった。

『行きたい!』

ドラゴンサモナーの浮竹は、精霊界に行きたがっているし、パートナードラゴンの京楽も行っていいみたいなので、二人をゲストして招くことにした。

ちなみに、京楽は正式な浮竹のパートナーとして招待されていた。

「おい、京楽。くれぐれも変なことはするなよ?変態にはなるな。アホの子はいいが」

あほの子はいいんかいと、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽はつっこみを入れそうになって、かろうじでこらえた。

「浮竹のパンツ頭に被っていけば、大丈夫だよね?」

「あほおおおおお」

パンツを奪って、ハリセンではたきまくる。

「お前は俺の花嫁としていくんだ。もっとまともになれ」

「まともだよ」

浮竹のパンツをスーハーしながら、京楽は言う。

「もういい。アホの変態ですって、精霊王たちに紹介してやる」



「はぁい、久しぶり。元気にしてた?」

闇の精霊王ダークピュリアが、精霊界へ行くために迎えにやってきた。

「俺以外に3人ついていく。ドラゴンサモナーの俺と、パートナードラゴンの京楽、あとアホで変態な俺のパートナーだ」

「あら、ほんとに変態ね。あなたのパンツじゃないの、あれ」

「更生できるなら、すでにしている」

浮竹は、浮竹のパンツを舐めている京楽をハリセンではたいておいた。

『お、ダークピュリアじゃない』

「あら、そういうあなたは異界のドラゴンの」

『ダークピュリアリアと知り合いか?」

『うん。ボクは結構生きてるからね。知り合いの精霊は多いよ』

「そうか。では、ダークピュリア、精霊界まで案内してくれ」

闇の精霊王ダークピュリアは、精霊界に続く扉を出す。

4人は、その扉をくぐった。


そこかしこで、人型をとれない精霊たちが光を瞬かせている。

精霊界は緑と水に囲まれた、美しい世界だった。

いくつもの虹がかかっており、人間界でいうとエルフの里に近いかもしれない。

「ついたわよ?」

『綺麗なところだな』

「さぁ、こっちよ。エレメンタルマスターのあなたは主賓ですもの。そのお友達も、主賓として迎えらるわよ?」

ダークピュリアは、去る間際にパートナードラゴンの京楽の顎を撫でていく。

『むう』

『十四郎、嫉妬しないで。ダークピュリアは古い知り合いなだけだよ』

『俺の知らない春水を、知っているんだろうな』

『まぁまぁ。さぁ、祭りを楽しもう』

パートナードラゴンの居楽とドラゴンサモナーの浮竹がそんなことを言い合っているうちに、豪華な料理といろんな酒が運ばれてくる。

「古き友も一緒か」

『お、氷の精霊王、アイシクルアイシス』

「浮竹、何故いつもアイシクルとフェンリルを呼ぶ。なぜ我を呼ばぬ」

「だって、アイシクルアイシスはなんでも氷漬けにするだろう。加減もなしで。エレメンタルマスターとしては、使い時が強敵しかいない時だけとか条件が限られるし、人の世界にくるとどこかへ行ってしまうから、あんまり呼ばない」

「むう。我は強いのだぞ。炎の精霊王イフリールにも負けぬ」

「それは分かっている」

「ボクも強いぞ!」

炎の精霊王イフリールが、浮竹たちのために用意された酒の中で、一番強いものを飲み干した。

「ボクに何か文句jでもあるのか、アイシクルアイシス。全く、水の精霊王ウォータを見習え。呼ばれなくても文句の一つも言わない」

「くんくん。かすかに浮竹の匂いがする」

京楽は、イフリールの匂いをかぐ。

「ぎゃあああああああ、なんだこの変態はあああああ」

「京楽、お座り!」

「わん!」

浮竹は精霊界にいく前に、京楽に「お座り」と言ったら「わん」とないて、静かにその場所に座ることを教えた。

それを繰り返せば、しっぽりしていいと約束したので、京楽は素直に従う。

「においを嗅ぐのはマナー違反だ。パンツ被っててていいから、おとなしく食事でもしとけ」

「うん、そうする」

京楽は、出された精霊界だけの食事を楽しむ。浮竹も、静かに食事をしていた。

時折精霊王が現れては、浮竹に挨拶をしていく。

「今度、風の精霊王になったジルフェだ。お前はもう俺を何度も召喚しているから、自己紹介はいらないな」

「え、ジルフェ、風の精霊王になったのか!?」

転移魔法を引き受けてくれる、風の上位精霊であったが、いつの間にか精霊王になってしまっていたらしい。

「精霊王になったの、気づかなかった」

「戴冠してまだ1週間だからな」

「そうか。まぁ、今後もよろしく」

「仕方ないやつだ」

「浮竹、浮気かい!?はぁはぁ‥‥‥浮竹が食べ終わったお皿」

べろべろとそれを舐める京楽に、ジルフェだけでなく、その場にいた精霊王全員とドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽も引いていた。

「京楽はどうしようもない変態のアホなんだ」

「なるほど」

「マスターのパートナーって‥‥‥」

「変態でもおもしろいからいい」

いろんな意見が飛び交う中、京楽は浮竹の使った食器を舐めまくる。

「いい加減にしとけ!」

浮竹にハリセンで床に沈められて、京楽ははぁはぁしていた。

「もっと!」

「ついにどMになったか!」

「そんなことないよ!ただ、浮竹がボクをパートナーとして紹介してくれたことが嬉しくて、しっぽりしたい」

「精霊界ではしないからな!」

「人間界に戻ったら、約束もあるししっぽりしようね?」

浮竹は赤くなりながら、京楽をハリセンではたきまくる。

「ああん、愛が激しい!」

「ド変態だな。よく花嫁にしたな?」

ジルフェに言われて、浮竹は昔を懐かしむ。

「今はどうしようもないは変態だが、まぁ花嫁になる前もっとまもともだった」

「ボクはいつでもまともだよ!」

浮竹の食べかけの料理を盗んで食べていく京楽に、浮竹はため息をつく。

「改めて紹介する。アホで変態だが、俺の花嫁でパートナーの京楽春水だ。おい、挨拶くらいしろ」

「はぁはぁ、ボクは京楽春水。見ての通り変態さ!」

「こいつ、自分で変態って認めた。やるな」

「ふふふ、京楽が変態なのは前から知ってるもんねー」

「変態の花嫁の男かぁ。俺には無理だな」

いろんな意見が飛び交う中、パートナードラゴンの京楽とドラゴンサモナーの浮竹は、食事を終えて精霊界を見て回ってくると別れていった。



「多分、世界樹の雫でも京楽の変態は治らない」

「すごい変態だ。絶滅する前に保護しよう」

「あーれー」

アホなやりとりを広げて、浮竹も京楽も、精霊王たちも笑って酒を飲みかわしかうのだった。ただし、京楽は浮竹の飲みかけのものを飲んでいたが。

「あほで変態な花嫁の京楽に乾杯」

「乾杯」


精霊界で、しばしの間京楽の変態は語り継がれていくのであった。










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再婚

「ルキア、好きだ」

「ふ、冗談も休み休みにしておけ。貴様には井上がいるであろうが」

「離婚した」

その言葉に、ルキアが目を見開く。

「結婚して、まだ1か月であろう!?」

「ああ。でも気づいたんだ。ずっとルキアが好きだって。井上‥‥‥織姫を愛していると思っていたけど、違った。俺が愛していたのはルキア、お前だ」

「やめよ。私には恋次が」

「恋次と、うまくいってないんだろ?」

「何故それを知っている」

「恋次から聞いた」

「恋次、あやつめ‥‥‥‥」

ルキアは、大きくため息をついた。

「白状する。一護、貴様のことがずっと好きだった。しかし貴様は人間。同じ人間である井上と結婚するのが一番だと思って、思いを隠していた。恋次と結婚すれば、この恋心も消えるであろうと思っていた」

「ルキア‥‥」

一護は、ルキアの華奢な体を抱きしめた。

「私はもう、体は恋次のものになってしまった。それでも、私を好きでいてくれるか?」

「俺も、井上‥‥織姫を抱いちまった。それでも、お前が好きだ」

一護とルキアは、どちらともなしに衣服を脱がし合いながら、キスをする。

「恋次と離婚する」

「恋次のやつ、頷いてくれるか?」

行為が終わり、一護はルキアをただ抱きしめていた。

「ん‥‥貴様が中に出したものがあふれてきた」

「風呂、入るか」

「ああ」

そこは、一護が一人暮らしをはじめたアパートだった。

翻訳家になったので、外に仕事に行くことはあまりない。一時は井上がおしかけてきたが、今では誰もこない。

「なぁ。お前さえよければ、このアパートで一緒に暮らさないか」

「しかし、仕事が」

「ああ。週末だけ現世にきてくれればいいから」

「まるで、通い妻だな?」

「そうだな」

一護とルキアは一緒に風呂に入り、そこでも行為に及んだ。

「この義骸は子を産める。もしかしたら、孕んだやもしれぬな」

「そしたら、産んでくれるか?」

「もしも、できていたのであればな」

ルキアは一度 尸魂界にもどった。

いろいろとごたごたがあり、結局ルキアは恋次と離婚した。そして、現世で一護と再婚した。

「子が、いるのだ。腹のなかに」

「まじか。男の子か女の子かどっちだろう」

「ふふ、こんな最低な二人の間にも、子は平等に生まれるのだな」

ルキアは、まだ膨らんでもいない腹部を愛しそうに撫でる。

一護も、ルキアの腹部を撫でた。

「ルキア。幸せになろう」

「うむ。恋次と誓いあったからな。一護と幸せになると」

「俺もだ。井上と誓った」

ルキアは、尸魂界で普段暮らし、13番隊隊長を務めながら、週末になると現世の一護のアパートで過ごした。

やがて、月日も経ち、二人の間に子が生まれた。

子は、死神だった。

一護は、自分から代行ではなく、本物の死神になることを選び、現世の家を引き払って、尸魂界でルキアと一緒に暮らし始めた。

「ルキア、おはよう」

「おはよう、一護。朝食はできておるぞ」

ルキアは、朽木家からよこされた家政婦を雇い、隊長としての忙しい日々と母としての忙しい日々も送っていた。

一護は、話し合いの結果、ルキアのいる13番隊へしばらくの間死神業務に慣れるために配属が決まり、二人は1日ほぼ一緒にいた。

「おぎゃあ、おぎゃああ」

泣き出した子供をあやして、ルキアは家政婦に後のことを頼む。

「では行ってくる。一護、先に行くぞ」

「待ってくれよ。俺も行くから」

歪な愛の形から始まったが、今は幸せだった。

「ルキア、好きだ」

「ああ、私も好きだ、一護」

二人の死神は、再婚して幸せになった。

不幸にしてしまった人はいたけれど、そちらも新しい出会いを得て幸せになっていく。



「子を、もう一人作らぬか」

「いいのか?」

「苺花だけでは、かわいそうに思えてな」

子は女の子で、苺花と名付けられ、2歳になっていた。

「今度は、男の子がいいな」

「ふふ、そればかりは分からぬ」

一護とルキアはキスをして、乱れ合っていく。

今までずっと避妊していたが、その日から避妊しなかった。

やがて半年が経ち、ルキアは懐妊した。

「子は、男の子だそうだ」

「そうか!愛してるぜ、ルキア」

「私も愛している、一護」

浮気から始まった恋であったが、幸せになれた。離別した相手も、今は幸せになっていた。

幼い苺花を連れて、白哉の元にたまに顔を見せにいく。

「ルキア、今幸せか?」

「はい、兄様」

「黒崎一護、これからもルキアを幸せにできるか」

「魂をかけて誓う。幸せにし続ける」

「そうか‥‥‥‥」

白哉はルキアが離婚を決めた時、叱責しなかった。

本人たちの問題であると、恋次とルキアに任せて、一護と再婚すると言い出した時は天を仰いだが、今では一護も家族であった。

「いつまでも、幸せにな」

「はい、兄様」

「白哉も、幸せになれよ」

「ふ、兄は相変わらずだな。まぁよい。では、ルキアまた会う時まで」

「はい」

「またな、白哉」

愛の形は人それぞれ。

結婚してから、違う誰かが好きだったと気づいてしまった。

もう、手遅れかもしれないと思いつつも、相手に本当の気持ちを伝えて理解してもらった。

再婚という形になるが、ルキアと一護は幸せだった。

その幸せは長く続くのであった。




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好きなものは好き20

「今度、一緒に温水プールに行こうぜ。バイト先でチケットもらったんだ」

「むう。私は、水着をもっていないぞ」

「明日休日だし、買いに行こう」

一護は、ルキアをそう誘って、一緒に水着を買いにいくことにした。

大胆なセクシー水着から、スクール水着なようなものでまで、多種多様な水着が売っていた。

「これなんかどうだ?薄い水色だけど、ちょっとルキアの瞳の色と同じアメジスト色が入ってる。上下に分かれたビキニタイプだけど、胸のなさを隠せるようにフリルがふんだんにあしらわれている」

「むう、貧乳で悪かったな!」

「俺は貧乳が大好きだ」

他の客もいるのに、一護は自信満々に、ルキアにそう答える。

「は、恥ずかしいやつめ。それでいい。レジに行くぞ」

「帰りにレストランに入って、白玉餡蜜食べて帰るか」

「それはいいな!」

ルキアは、るんるん気分でレジで水着を購入した。金は一護がだしたがっていたが、たくさんもっているのでルキアが出した。



後日、温水プールにやってきた。

「やっぱ、その水着似合ってる。買って正解だったな」

一護は、ルキアの水着姿を褒めた。

折れそうに華奢なルキアに、ぴったりだった。


二人で泳ぐというか、何度もウォータースライダーを滑り落ちる。

「もう一度だ!」

ルキアはウォータースライダーが気に入ったようで、何度も一護と滑り落ちた。

「普通に泳ぐか」

「私はあまり泳げんぞ」

不安げなルキアに、一護は浮き輪を渡す。

「これで、大丈夫だろ?」

「うむ。何気にチャッピー柄とは、貴様も見る目がいいな」

現世のうさぎ模様であったのだが、ルキアにはチャッピー柄に見えた。


2時間ほど遊泳し、一護はルキアを岸に引き上げる。

「腹減っただろ?今、屋台で何か買ってくるから」

「イカ焼きがいい」

「はいはい」

そんなルキアと一護を、たまたま現世にきていた乱菊に見つかって、いろいろ根掘り葉掘り聞かれた。

「一護って、意外と紳士よね?」

「当り前であろう。私が愛した者だ」

「はは~ん。ルキア、もう初めても終わってるわね?」

ルキアは真っ赤になって、乱菊の胸を見る。

「私の胸が羨ましいの?一護も男だから、でかい胸のほうがすきでしょ?」

「そうでもない。貧乳が好きだそうだ」

「ぶばっ」

乱菊は、飲みかけのドリンクをルキアの顔に吹き出していた。

「ルキア、ほらイカ焼き。乱菊さん、なんでこんなところにいるんだ?」

「いや、本当はちょっと朽木隊長に様子を見てこいと頼まれて」

「俺たちは、普通だぞ?」

「そうだぞ。何もやましいことなどしていない」

「そうね。健全すぎて、お姉さんちょっとつまらないわ」

乱菊の豊満な胸を見て、一護は次に平らに近いルキアの胸を見る。

「やっぱ、巨乳より貧乳だな」

「まぁ、失礼な!」

「い、一護」

一護は、ルキアと乱菊の分のかき氷を買いに行った。

「彼氏、なかなかいうし、優しいじゃないの」

「一護は、私に甘いから」

「ふふふ、愛されてる証拠よ?」

「そうなのであろうか」

「ええ、そうに決まってるわ」

一護が戻ってくる。手には、3人分のかき氷。

全部、苺味だった。

「苺は好きだ。一護と同じ名前だから」

「俺も好きだな。乱菊さんは?」

「あたしは普通かしら。朽木隊長には、仲良くやってたと伝えておくわ。じゃあ、戻るわね」

かき氷を食べて、乱菊は温水プールから出ると、 尸魂界に戻ってしまった。

一護とルキアは、まったり夕暮れ時になるまで、温水プールで遊んだ。

家への帰り道、ルキアは一護をの手を握る。

「ん、どうした?」

「目、目を閉じろ!」

「ああ」

ちゅっと、ルキアは触れるだけのキスを一護にする。

「きょ、今日は楽しかった。また、行きたい」

「ああ、いいぜ。また今度行こうぜ」

家に戻る前に、スーパーに寄って、今日の夕飯の材料を買って帰る。

今日は、王道にカレーだった。

「一護の作るカレーはうまいからな。今から、楽しみだ」

ルキアは、一護とまた手を繋いで歩きだす。

荷物は、一護が反対の手でもっていた。

「ルキア、かわいい」

「へあ!?」

ルキアは、突然の言葉に顔を真っ赤にさせる。

「な、なんなのだ突然!」

「いや、好きだなぁと思って」

「わ、私のほうが一護のことを好きだ」

「俺だって、ルキアのこと世界一好きだぜ?」

「せ、世界一とか‥‥」

ルキアはまた赤くなって黙りこむ。


ちゅっ。

頬にキスをされて、ルキアは赤くなったまま、一護と帰宅するのであった。






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