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桜のあやかしと共に32

浮竹は、妖狐になった元術者の浮竹を見て、ため息を零した。

「いつか、こうなるんじゃないかと思っていたんだ」

『そうなのか?』

「半妖と神では、生きる時間が違いすぎる。俺は、俺と同じ時を生きるように京楽と不老の契約を結ばせた。生きる時間が違う、それはいつか死の別れがあるということだ。俺たちあやかしは、死を嫌う」

『まぁねぇ。浮竹、美人でしょ?』

夜刀神の京楽がそう自慢すると、負けてはいられないとばかりに京楽が反論する。

「ボクの浮竹のほうが美人だよ」

『お、言うようになったねぇ。ここは、勝負でも‥‥」

『やめろ、京楽』

「夜刀神はからかって楽しんでいるだけだ。本気にするな」

浮竹がそう言うと、妖狐の浮竹が口を開く。

『まぁ、俺もからかいたいんだがな』

「命を捧げた相手が夜刀神だからな。性悪なところが受け継がれたんだろう」

『ってういか、ぶっちゃけ今の俺は桜鬼の京楽が嫌いで、桜の王のお前が苦手だ』

「ぶっちゃけすぎだな。もう会わないほうがいいか」

『あ、それはそれで寂しいからだめだ』

「どっちなんだ」

『浮竹には、油上げがきくよ』

こそっと、夜刀神に耳打ちされて、浮竹はキッチンに行き、冷蔵庫にあった油あげを妖狐の浮竹の前でちらつかせた。

『あ、油あげ!』

「妖狐のお前は俺が苦手じゃなーい苦手じゃなーい」

『油あげ、くれ!苦手じゃなーい、苦手じゃなーい』

本能にすりこませるように、浮竹は何度も苦手じゃないと繰り返し、油あげをちらつかせた。

「ほら、油あげやるぞ。俺のことが苦手じゃなくなったら、もっとやろう」

『もう苦手じゃない!油あげ、もっとくれ』

「京楽が嫌いなのは、さすがに治せないか」

『桜鬼の京楽は嫌いだ。「春」が混じっているから。「春」も嫌いだ。夜刀神を傷つける原因になったから』

浮竹は、嫌いと言われてちょとショックを受けている京楽の頭を撫でる。

「お前には、俺がいるだろう?それで十分だろう?」

「それもそうだね。十四郎、今夜は‥‥‥」

『お、しっぽりするのか?』

『しっぽりするんだね?』

とりあえず、似たりよったりな反応を示す二人をハリセンで殴ってから、浮竹は妖狐の浮竹と夜刀神の新しい館を見る。

「おんぼろだな」

『そりゃ、金なんてないからね。どこぞのぼんぼんと違って』

「金はあったほうがいいよ。浮竹が高級思考なのに、金がないとやっていけないからね」

『あー、生まれながらの金持ちってヤダなぁ。ボクも浮竹も節約思考なのに、高級思考なところがやだ』

「夜刀神、お前は財に興味がないだけで、俺は長く生きてるからけっこうためこんでるぞ」

『え、桜の王まで金持ちだったの?』

「半分は、「春」が残した遺産だがな」

『「春」もそういえばぼんぼんだったね。生まれ変わってもぼんぼんとか、なんか恨めしい』

浮竹は、ため息をつく。

「祓い屋稼業続けて、金を稼げばいいだろう。少しお前たちの噂を聞くようになった。仕事はけっこうこなしているようだな」

『桜の王と桜鬼の京楽には負けるけどな』

妖狐の浮竹は、油あげをかじりながら、浮竹への苦手意識がなくなっているのに気づく。

『桜の王は苦手じゃなくなった。ただし、桜鬼の京楽は嫌いなままだ。近づいたら燃やす』

「そうまで言われて、近づいたりしないよ」

京楽は肩をすくめた。

こんこん。

扉をたたく音がして、妖狐から人に姿に化けた浮竹が出る。

『はい、なんでしょう:』

「あの、最近ここに狐のお化けが出るんです。尻尾が3本で‥‥怖いので、退治してもらえませんか」

『へぇ、尻尾が3本でこういうお化け?』

妖狐の浮竹は、人間の姿を解いてあやかしの姿になった。

「ひいいい、狐のお化けええええ!!!」

『めんどうだね。消す?』

物騒な夜刀神に、浮竹がまったをかける。

「俺が、記憶だけを消しておこう」

『いいなぁ。桜の王の力、人の精神や記憶に干渉できる。いいなぁ』

「ほしがっても身につかんぞ。これは「桜の王」独自の力だ」

『桜の王はずるいね。自分だけ綺麗になっちゃって』

それは、京楽に桜鬼を譲り渡したことを意味していた。

「俺は、京楽を傷つけるなら、お前たちとも戦う」

『へぇ。力ではかなわないと、分かっているのに?』

浮竹は、威嚇する。

「桜の王の力があると言っただろう。その気になれば、夜刀神、お前から妖狐の俺の記憶を抹消できるんだぞ」

『そんなことする前に、殺すよ?』

「お前に俺が殺せるのか?ただ一人の友を」

『う‥‥‥‥』:

夜刀神にとって、浮竹はただ一人の友で、長年付き合ってきた腐れ縁だった。

それを自分の手で壊すことは、できなかった。

『精霊の俺、京楽を困らせるな』

「それはこっちの台詞だ。妖狐になっても、人間の残滓が強いぞ、今のお前は。さっきの依頼人のように、人に正体を明かさいことだな」

『考えておく』

「今のお前たちといても、全然楽しくない。京楽、帰るぞ」

「浮竹、いいの?おみやげももってきてるんでしょ?」

「あげる必要はない。帰る」

浮竹は機嫌を損ねて、京楽と一緒に異界渡りをして帰ってしまった。

『よかったの、浮竹』

『んー。うまくいかないものだな。思考が人に近い精霊の俺とは、仲良くしたいが、怒らせてしまう』

『まぁ、妖狐の力のコントロールをするついでに、精霊の君との仲直りの仕方でも考えておくといいよ。ボクは、夕ご飯作ってくるね」

『稲荷寿司と、きつねうどんで!』

『はいはい。ほんとに、油あげがすきだねぇ』

『狐だからな』

その頃、浮竹と京楽は、二人のいらつかせた存在を忘れるために、白哉に結界をはってもらい、しっぽりするのであった。




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オメガバース恋白読み切り短編2

「隊長、熱あるんじゃないっすか?顔が赤い」

「気のせいだ」

「なんか、すごいいい匂いがする‥‥‥俺、変になりそう」

やばいと、白哉は思った。

周囲に隠してはいるけれど、白哉はオメガである。

一方、恋次はオメガのフェロモンにあてられやすいアルファだ。

白哉は、何故4大貴族の朽木家の当主であるのに、自分がアルファでなくオメガであることに、強い劣等感を抱いてきた。

そして、副官は流魂街出身なのにアルファだった。

正直、アルファであることがうらやましかった。

白哉は、裏マーケットでオメガであることを隠せる強い制御剤を飲んで、暮らしてきた。緋真との間に子ができなかったのは、白哉がオメガであることが大きい。

「隊長、俺、隊長を抱きたい」

「ばかを言うな。私は男だぞ」

「隊長、オメガっすよね?薬飲んで隠してるみたいだけど、フェロモンが漏れ出てる。俺、アルファなんでおかしくなりそうだ」

「私は、ベータだ!」

「いや、オメガっすね。知り合いのオメガと同じ匂いがする」

アルファと言えなかったのは、劣等感のせい。

「隊長」

「くるな。くっ‥‥」

熱っぽいと言われた通り、薬で隠していたが、今ヒート期間の真っ最中だった。

おとなしく、仕事を休んでいればよかったと思うが、後の祭りである。

「隊長、責任ちゃんととりますから、抱かせてください」

「よせ、恋次」

「隊長‥‥好きです」

告白されて、ドクンと心臓が高鳴る。

アルファである恋次を、白哉は自然と好きになっていた。だが、全部オメガのせいだと思いこみ、恋慕を隠していた。

「隊長‥‥」

「んう」

キスをされて、嫌ではなく、もっとされたいと思った。

「やめよ、恋次。このままでは、ただの上官と副官ではいられなくなる」

「それでもいいっすよ。俺は隊長が手に入るなら、副隊長の座もおしくないっす」

ソファーに押し倒されて、白哉は千本桜に手をかけたが、体が熱くなって、それどろこではなかった。

「ああ!熱が‥‥頭が、おかしくなる」

ヒートをまともに過ごしたことのない白哉は、薬を飲み忘れたわけでもないのに、ヒートの熱にあてられた。

「あ、恋次‥‥」

「隊長、初めてっすよね?優しくしますから」

「恋次、番になれるか。責任をとって」

「なれます。むしろ、隊長と番になりたいです」

恋次は死覇装を脱ぎ、入れ墨がされたよく鍛えられた体をさらす。

白哉の服は袴と下着だけ脱がされた。

「隊長、エロいかっこですね」

「貴様がしているんだろうが」

「そうですね。いっぱい愛してあげますから」



「あああ!!!」

白哉はその日、処女を失った。

恋次に濡れているとはいえ、はじめて挿入されて、苦し気に呼吸を繰り返す。

「隊長、もっと力ぬいてください。息もちゃんとして」

「ひああああ!!」

ごりごりと奥を削られて、白哉は頭が真っ白になり、人生ではじめての中いきを経験していた。

「隊長、いっちゃった?」

「あう」

「隊長、こっちでもいけますよね?」

恋次に己のものをしごかれて、また頭が真っ白になった。

精液を吐き出し、自分ですらまともにぬいたことのない白哉は、襲い掛かってくる快感に、体を震わせて、声をあげる。

「やあああ、変になる」

「きもちよくなるだけですよ。俺も、隊長の中に出しますよ?」

「あ、だめだ、妊娠する」

「あとでアフターピル飲めば大丈夫っすから」

「やああああ」

嫌がる白哉を貫いて、恋次は白哉の胎の奥で子種を弾けさせた。

「ひあああ!」

「まだ、終わりじゃないですよ?」

「やあああ」

「っと、隊長はじめてなんすよね。後1回で終わらせますから。本当なら、何回でも抱きたいっすけど」

「恋次、責任をとれ。私を犯した責任を」

白哉は、少し長い黒髪をかき分けて、うなじと首をさらす。

「噛みつきますよ?もう、本当に元に戻れないっすけど、いいですか?」

「どうせ、いつか誰かと番にならねばならぬのだ。それなら、恋次がいい」

白哉の言葉に、恋次は己を大きくさせていた。

「あ、中で大きく‥‥‥」

「隊長、いっちゃってください」

「んああああ!!」

恋次は、白哉から一度引き抜き、最奥まで貫きながら、白哉のうなじを噛んだ。

ビリビリと電気が走ったようになって、番になったのだと分かった。

「隊長、俺たちもう番です。隊長?」

白哉は気を失っていた。

「わああ、隊長!」

揺さぶっても起きないので、恋次は執務室で発見したアフターピルを、水と一緒に口移しで飲ませる。無事嚥下したのを確認して、ぐちゃぐちゃになったソファーの隊長羽織や死覇装をとりのぞき、白哉の中に出したものをかき出して、濡れたタオルで白哉を清めて、隊首室に置かれてあった、新しい死覇装を着せた。

「隊長、無理させてしまってすみません」

恋次は、白哉をお姫様抱っこすると、隊首室の仮眠用のベッドに寝かせた。

白哉の寝顔を見つめている間に、恋次もいつの間にか眠ってしまった。

「いい加減、起きよ」

「へ、え、あ、朝!?」

「朝ではない、たわけが。初めてだといったのに、激しい上に、夕食も取らず眠ってしまい、起きると早朝。恋次、貴様はきもちよさそうに半日は眠っていたぞ」

「す、すんません隊長!朝飯どうします?」

「それより、アフターピルは?妊娠したら、堕胎するぞ」

その言葉にがっくりとしながらも、アフターピルは飲ませたことを説明し、番になったことも説明した。

「今度から、ヒート期間は私の番として、一緒に過ごしてもらう」

「もちろんです、隊長!幸せになりましょうね!」

「恋次‥‥このアホウが」

白哉と番になったことは、ある意味結婚に近い。

それを言うと、恋次は顔を蒼くした。

「私の番になったのだ。貴族としての作法を、叩き入れるからな」

「簡便してください、隊長~~~~」

恋次の情けない声が、執務室まで響くのであった。

ちなみに、朝食は焼きおにぎりだった。朽木家に連絡を入れて、清家にもってきてもらったのだ。

「うまいですね、これ」

「その食べ方も直してもらうからな」

白哉は、結構なスパルタであると、恋次は遅まきに気づくのであった。





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浮竹の生きている世界線2

「浮竹、おはよう」

「おはよう、京楽」

浮竹は、大戦で神掛けをしてミミハギ様を手放し、戦死した。

はずだった。

なぜか、京楽のベッドで、院生時代の髪の短い少年の浮竹がいた。

京楽は開いた口が塞がらないと言ったかんじであったが、浮竹が生きてこの世界にいることに感謝をした。

好きだといって、付き合ってはいたが、まだ関係は浅かったのだ。

今の院生時代の浮竹とは、正式に付き合い、浮竹の兄弟ということで通している。

「ああ、今日もいい天気だ。仕事日和だな?」

「浮竹は仕事が好きだねぇ」

書類仕事を一緒にしてくれるので、京楽は随分助かっていた。

「仕事が終わったら、久しぶりに甘味屋にでも行く?」

「行く!行って、たくさん食べる!」

浮竹は、通常の食事はあまり食べないのだが、甘いものは人の数倍を食べた。

「じゃあ、執務室に行こうか」

昨日、隊首室でお互い泊まっていったので、執務室はすぐそこだった。

「朝食、おにぎり用意させてあるから」

「いつもすまんな」

「ううん。浮竹が生きていてくれるだけで、ボクは幸せだよ」

「大げさだな」

浮竹はからから笑う。

京楽は、そんな浮竹を見て、今が幸せなのだとかみしめていた。

「浮竹、ほっぺにご飯物ついてる」

「え、どこだ?」

おにぎりをもきゅもきゅ頬張っていた浮竹の頬についた米粒を、京楽はとって自分で食べた。

「は、恥ずかしやつだな」

「夜には、もっと恥ずかしいことしてるじゃない」

「い、言うな。この体はまだ慣れていないんだから」

「でも、中いきとか覚えちゃたよね?」

「うるさい!朝飯は終わりだ!仕事するぞ”!」

浮竹は、きびきびした動きで書類仕事にとりかかる。

京楽も、仕事をしながら時折浮竹を見て、浮竹が生きている喜びをかみしめた。

「今日の仕事は、これくらいかな」

「ありがとう。浮竹のおかげで、定時にあがれそうだよ」

「そうじゃないと困る。一緒に甘味屋に行く約束だろう?」

「浮竹、こっちおいで」

「なんだ?」

京楽は、浮竹の頭を撫でた後、触れるだけのキスをする。

「京楽!」

「ふふ。いいんじゃない、キスくらい。昔は関係を隠してもいなかったんだし」

「でも、俺は浮竹の弟ということになっている。よからぬ噂が流れても、知らないぞ」

「ああ、もうすでにボクが、浮竹を思うあまり、瓜二つの弟を寵愛してるって、噂されてるから」

「あちゃー。父上と母上に、顔向け出来ない」

「いいんじゃないの。浮竹の居場所は、ボクの隣なんだから」

「むう」

浮竹は、頬を膨らませる。

「ああ、浮竹はいつでもかわいいねぇ。ボクとおない年の浮竹は美人だったけど、院生時代の君はかわいいね」

「ぬかせ。甘味屋へ行くぞ」

「はいはい。おごるから、好きなだけ食べていいよ」

京楽は上流貴族で金をはいて捨てるほど持っているうえに、総隊長で給料もよかった。

浮竹は、甘味屋で好きなだけ飲み食いをして、勘定を京楽に払わせると、けっこうな額になった。

「京楽‥‥その、いっぱい使わせてしまったし、今日は抱いていいぞ」

「え、本当に?急いで帰ってお風呂に入ろう!」

「おい、京楽!」

浮竹の手をひっぱって、京楽はぐいぐい歩く。

「京楽、俺は逃げないし消えないから」

「うん。でも、君と二人きりでいられる時間が大切だから」

浮竹は、真っ赤になった。

「お前に抱かれるの、嫌いじゃない」

「早く帰ろう」

「あ、ああ」

風呂に入り、京楽の持つ館の一つで、夜を迎えようとしていた。

「抱くよ」

「加減、してくれよ?」

「できるならね」



「ああ!」

浮竹は、京楽に貫かれて啼いていた。

「ううん」

背後から突き上げられて、奥をごりごりと抉られて、中いきをしていた。

「君は若いから、まだまだいけるよね?」

「やああ、春水、奥はだめえええ」

「いいの、間違いじゃない?」

結腸にまで入りこんできた京楽のものは、浮竹の胎の奥で子種をまき散らす。

「ひあああ、あ、あ!」

じんわりと広がっていく熱を受け止めながら、浮竹は大きく中いきをしていた。

「やああん、いってる最中だからあああ」

「こっちでも、いけるでしょ?」

浮竹のものをしごくと、まだ硬さを失っていなかったそれは、精液をはきだした。

「やああああ、2重でいっちゃてえ、思考がぐずぐずになる」

「溶けちゃいなよ。アイスみたいに」

「ひああああ!」

京楽は、浮竹をひっくり返して正常位になると、ぱんぱんと音がなるほど打ち付ける。

「いあああ!」

浮竹は、その間いきっぱなしだった。

「らめえええ、変になるうう」

「何度も同じこと言ってきて、おかしくなったこと一度もないよね?ほら、まだ精液だせるでしょ。中いきと同時にいきなよ」

「んあああ!」

京楽に攻め立てられて、浮竹はあっけなく吐精する。

「やあああ、いっちゃううう」

ぷしゅわあああと、潮をふきながら、浮竹は京楽をしめつけて、ビクンと体を弓なりにのけぞらせて、いっていた。

「愛してるよ、十四郎」

「あ、春水‥‥」

浮竹の意識は、そこで途絶えた。



朝になり、浮竹は怒っていた。

「やりすぎだ。腰が痛くて立つのがやっとだ」

「ごめんなさい。久しぶりだったので、がっつきました」

「分かればいい。おはぎが食いたい」:

「はい、買ってきます」

京楽が去っていった隊首室で、浮竹はベッドに横になる。

「俺は、京楽に抱かれるために蘇ったわけじゃないんだけどなぁ」

京楽は、浮竹が傍にいるだけでいいと言った。

でも、実際はセックスをしている。

「やめたやめた。考えるだけ、時間の無駄だ」

浮竹は、京楽の帰りを待ちながら、非番の日なのだが暇なので仕事をするのであった。





ぎしりと。

体が、音を立てる。

足元から、粉々に崩れていく。

「嫌だ、消えたくない!」

欠片となって、世界から消えていく。

そこで、はっと目覚めた。

「夢‥‥不吉な‥‥」

隣では、京楽が浮竹の手を握り締めて、眠っていた。

「京楽。俺は、あとどれくらい、お前といられるのだろうな?]

一度死んで、地獄へ行った身だ。

突然院生時代の体で蘇った。消えるときも、突然かもしれない。

でも、なるべく京楽と長く一緒にいたいと、儚い願いを浮かべるのであった。







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ほわいとでー

浮竹は、義理の義理の心で、50円チョコを京楽にあげた。

京楽は涙を流してそれを受けとり、食べた。

「おいしいよ。おいしいよ浮竹。今まで食べてきたものの中で一番おいしいよ」

「大げさな」

「ホワイトデー、まっててね。1万倍返しするから」

そう言って、京楽は寮の相部屋を抜け出して、夜明けに戻ってきた。

「今日がのワイトデー!お返しはボクのヌード写真集と、ボク自身だよ!」

眠っていた浮竹は、あほなことを言って起こしてくる京楽の顔に、枕を投げた。

「スンスン。京楽のにおい。でゅふふふふ」

京楽の姿を見ると、股間に葉っぱ一枚をつけただけの、ほぼフルチン状態だった。

そのくせに、乳首にはニプレスをはっていて、何故か靴下もはいていた。

「この変態が!服を着ろ!!」

「着てるよ。葉っぱ着てるよ」

「それは着ているんじゃなくって、隠しているんだ」

京楽から、京楽のヌード写真集を渡されて、中身を見ることもなく、鬼道で灰にする。

「ああっ、ボクの写真集が!予備がはいっぱいあるから、またあげるね」

「いらんわ!」

「ああん、浮竹のいけずぅ」

浮竹は、全身に鳥肌がたった。

「死ね!死にくされ!破道の4、白雷!」

浮竹の白雷は、京楽の股間にひっとして、葉っぱは黒焦げになり、京楽のものは‥‥黒焦げにならなかった。

「お返しはボク自身だよ!たっぷり味わってね!」

ベッドにダイブしてくる京楽を、布団を使って避ける。

「ああん、浮竹の恥ずかしがり屋さん☆」

「破道の33、蒼火堕!」

「もぎゃあああああああああ」

青白い炎に燃やされて、京楽はくたばったかに見えた。

でも、変態だけにぴんぴんしていた。

股間を靴下で隠して、浮竹に迫る。

「浮竹、大好きだよ」

「俺は、こんなことをしてくるお前が大嫌いだ」

「もお、照れ屋さん☆」

いよいよ逃げ場がなくなって、浮竹は靴下の上から京楽の股間を握った。思い切り。

「もぎゃあああああああ」

ねじりきるように。

「股間があああああああ!愛でファイアーしてるうううう」

京楽は、それだけいって力尽きた。

「はぁはぁ‥‥危なかった」

まさか、蒼火堕が詠唱破棄であっても、通用しないとは思わなかった。

伸びた京楽に院生の服を着せて「ボクは変態です。落書きしてください」と書いた張り紙をはって、廊下に放置した。

数時間たったが、京楽は起きない。

顔は見事に落書きまみれにされていた。

「ああ、平和だ」

浮竹は、京楽のいない一日を満喫して、機嫌がよくなっていた。

そこへ、意識を回復した京楽がやってくる。

「酷いよ浮竹!ボク、落書きまみれじゃないの」

「襲ってくるお前が悪い」

「おまけに放置プレイ‥‥嫌いじゃないよ。(*´Д`)ハァハァ」

浮竹は、にっこりと笑った。

「もっかい死んでこい!破道の77、双連蒼火堕!」

「もぎゃああああああ!!!熱いいいいいい」

黒焦げになった京楽は、やっぱり生きていた。

「ちっ、しぶといな」

布団ですまきにして、ベランダに出す。

「しくしく。ホワイトデーなのに」

「今日はホワイトデーじゃない。ホワイトデーは来月だ」

「え、まじで?」

京楽は、きょとんとした顔になった。

浮竹はため息をついて、すまきは解かず、ベランダに放置したままの京楽に、風邪をひいてはなんだからと、毛布をかけてやる。

「浮竹って、なんだかんだあっても、優しいよね」

「気のせいだ。変態は、ベランダで十分だ。おやすみ」

「おやすみー。でゅふふふふ、浮竹がかけてくれた毛布‥‥浮竹のにおいがする、すんすん。ぐへへへへへ」

浮竹は、聞かなかったことにして、寝るのだった。

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桜のあやかしと共に31

京楽は、正直なところ、夜刀神の自分をよく思っていなかった。

自分より浮竹と一緒にいた時間が長く、そして友として普通に浮竹の傍にいれる。

京楽は、満月の夜にひっそりと夜刀神を呼び出した。

『どうしたの、こんな時間に』

「十四郎と、あまり仲良くしないで」

『え、何嫉妬?かわいいねぇ』

「ボクは本気だ!」

京楽は、感情が高ぶって、桜鬼の姿になっていた。

『桜の王と仲良くしようが、しまいが、ボクの気の向くままさ』

「君って人は‥‥」

『ボクは人じゃないからね?あやかしだけど、同時に神でもある』

そう言って、夜刀神はこうもり姿になって飛んで消えていってしまった。

「十四郎‥‥ボクは‥‥」



朝になって、京楽は何食わぬ顔で浮竹を起こして朝食を作ってもらい、早起きの白哉を呼んで、3人で朝食をとった。

「京楽、何かあったのか?桜鬼の気配が強い」

「ん?何にもないよ」

「嘘をつくな。ばればれだぞ、京楽。兄は、隠し事がへたくそだ」

「んー。夜中に夜刀神とあって、ちょっと喧嘩しちゃった」

「夜刀神、しばく」

「ううん、悪いのはボクだから。浮竹は気にしないで?」

次の日、夜刀神と術者の浮竹と会った。

浮竹は無防備に夜刀神に近づいて、そっと耳うちされて笑っていた。

ギシリ。

桜鬼の感情が、歪みを覚える。

それは、闇そのもの。

「だめだ、しっかりしないと。ボクは十四郎の影で、十四郎を守る存在なんだから」

京楽は自分にしっかり言い聞かせる。

けれど、内に秘めた闇は増大するばかり。

夜刀神と、視線があった。人型をとっていた夜刀神は、ニタリと笑って、浮竹を抱きしめる。

「何をする、夜刀神!」

浮竹は怒って、ハリセンでびしばし夜刀神を殴る。

「どいて。浮竹は、ボクのものだよ。ベタベタしないで」

京楽は、桜鬼の姿になっているのにも気づかず、浮竹を奪い返す。

「京楽、桜鬼になっているぞ!落ち着け!」

「落ち着いてるよ。それなのに、わざと夜刀神が君に‥‥」

京楽が、桜色の瞳から血のような深紅の瞳に変わっていた。

『少し、闇に飲まれたようだな。精霊の俺、桜鬼の京楽を正気づかせるために少し扱いが乱暴になるが、許してくれ』

「京楽、俺が分からないのか、京楽!」

『名前言っても無駄だよ。闇に飲まれてる』

「京楽!」

「おいしそう。血をちょうだい?」

京楽は、そう言って浮竹に近づく。

「精霊の俺、こっちだ!このままじゃ、忠告した通りになってしまう」

術者の浮竹がバリアをはるが、浮竹は首を左右に振った。

「もともと、桜鬼は俺だ。俺の血をすすれば、正気に戻る」

「愛してるよ、十四郎」

闇に飲まれてもなお、恋心は消えていなかった。

京楽は浮竹の肩に噛みついて、血をすする。

それを、浮竹は受け入れる。

「あ、ボクは、なんてことを‥‥‥!」

すぐに正気に戻った京楽は、部屋を飛び出していった。

「あ、京楽!」

『今は、そっとしていおいてあげよう。自己嫌悪にひたって、帰ってくるだろうから』

「元をただせば、夜刀神、お前が!」

『うん。わざとあおったよ。それで闇に飲まれたまま帰ってこないようじゃ、桜鬼になったのは間違いだからね?』

浮竹は、ただひたすら待った。

術者の浮竹も、夜刀神も、浮竹と一緒に待った。

夜になって、京楽はずぶ濡れになって戻ってきた。

外で、どこか水のある場所で頭をひやすついでに飛び込んできたのだろう。

まだ寒いので、風邪をひかないようにと、浮竹はバスタオルをもってくる。

「浮竹、ボクが怖くないの?」

「怖くない。桜鬼はもともと俺だ。俺が桜鬼だった頃は、もっと闇に飲まれていた」

「うん‥‥‥」

「京楽、嫌なことは嫌って言ってくれ。俺には時折お前が何を考えているのか分からない時がある」

「うん、ごめんね。あと、君の血って今までのどんなおいしい料理より美味だった」

「ばか」

闇に完全に飲まれずに戻ってきた京楽は、浮竹を抱きしめて、術者の浮竹が治した噛み後に噛みついた。

「いたたた」

「ボクのものだっていう、証だよ」

「ばか‥‥」

浮竹は真っ赤になった。

心配していた術者の浮竹も夜刀神も、生温かい眼差しでこちらを見ていた。

『ラブラブだな』

『ラブラブだね。心配して損した』

『元を言えば、お前が精霊の俺を抱きしめて、わざと闇に落とすような真似をするからだ!』

術者の浮竹は、怒って、こうもり姿にもどっていた夜刀神をソファーに投げ捨てた。

『ご、誤解だよ!あれはわざとであって』

『なお、悪い』

術者の浮竹は、怒って夜刀神を放り出して、浮竹と京楽の輪に交じる。

京楽はおちついて、風呂に入りに行った。

「俺も風呂に入ってくる」

『お、しっぽりかい?』

「お前の脳内はそういうことしかないのか!違うバスルームを使うに決まっているだろう!」

『なーんだ、つまんないの』

『京楽?精霊の俺をからかうのも、ほどごどにな?桜鬼の京楽を闇に落としたりして、今日は本当に疲れた』

京楽が嚙みついた痕は、術者の浮竹が治療してくれたが、浮竹は京楽に治癒してもらいたがっていた。

傷が少し深かったので、却下されたが。

『あーあ、精霊の俺も、俺の二の舞だな。自己犠牲は愛だけど普通の愛じゃないって言ってたのに。言い出しっぺがこうなると、もうどうにもならないな』

風呂からあがってきた浮竹と京楽は、ペアルックのパジャマを着ていた。

『うわぁ、ラブパワー全開だ』

「ち、違う。パジャマは今これしかなくて、洗濯しているんだ」

『じゃあ、普通の服着ればいいのに』

もっともな夜刀神の言葉に、浮竹も京楽も赤くなった。

『どうせ、白哉くんもいないし、ボクたちがいなかったら、しっぽりしてたとこでしょ?』

「だから、お前の脳はそれしかないのか!」

逃げようとしたこうもり姿の夜刀神を、術者の浮竹は手で持って固定する。

『ちょ、浮竹ぇ!?』

『ハリセンいちゃって』

「助かる」

スパーンと、本日最大に痛いハリセンを食らって、夜刀神は涙目になった。

「ボクもハリセンで殴りたい」

『どうぞどうぞ』

術者の浮竹は、京楽のほうに夜刀神を向けた。

スパーン。

浮竹だけでなく、京楽にまでハリセンではたかれて、がっくりした。

『桜鬼のボクは怖いんじゃなかったの?』

『こわいぞ。でも、お前のふざけかたが頭にきたから』

『うううう。ごめんなさい』

『じゃあ、俺たちは帰る‥‥いい匂い。夕飯ご馳走になってから、帰るな?』

今回は、ちゃんと夜刀神の分もあった。

「今帰った」

「遅かったな、白哉。夕飯の用意をしてあるから、手を洗ってこい」

「今日は、訪問者も一緒か」

「いやだったか?」

「いや、そんなことはない。賑やかになりそうだ」

白哉は手を洗いに、奥に消えてしまう。

『精霊の俺って、白哉君には甘いよな』

『そうだね』

「白哉は、十四郎の弟だから」

「俺は、普通に白哉と接してるつもりだが?」

『天然か』

『やだやだ、たらしじゃない』

「そこもまた、十四郎のいいところだよ」

「何がだ?」

浮竹は理解できないまま、ボロネーゼやチーズハンバーグといった夕食を食べるのであった。



『ああ、やっぱり精霊の俺の飯はうまいな』

『ボクも負けないよ!』

「負けるよ。何せ、十四郎は昔、人間に化けて、料理の学校に通っていたからね」

『何それ!チートじゃない』

夜刀神の頭を、ハリセンがうなる。

「ちゃんと、努力して料理の勉強したんだからな。チートなんかじゃない」

皆、明るく笑う。

京楽も、笑っていた。

浮竹は安堵する。夜刀神のように、傷つけたくないからと、なることがなくて。

その日、就寝した白哉の部屋に結界をはって、浮竹と京楽は久しぶりに睦みあうのであった。


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さくらのあかやかしと共に30

京楽が、望んで浮竹の闇の部分である桜鬼を身に宿した。

忌み嫌われる桜鬼になって、少しでも浮竹の負担を軽くしてやりたかった。

「春水‥‥‥」

「ボクは後悔していないよ。桜鬼は君の一部でもある。愛しい」

「春」と混じりあったた京楽は、覚悟を決めて桜鬼を宿した。もう、普通の人間ではなく、あやかしであった。

「人間に戻りたいとは、思わないんだな?」

「うん。十四郎は、桜の王のままでいればいい」

「春水。愛してる」

「ボクも愛してるよ。ボクは十四郎の影だ。血なまぐさいことはボクが引き受ける」

浮竹は、そうまで愛してくれている京楽に涙を浮かべた。

「十四郎、泣かないで。これはボクと「春」が決めたことだから」

「俺のせいで、お前はあやかしになった。でも、お前を否定はしない。俺の闇を受け入れてくれて、ありがとう」

「十四郎」

京楽は、浮竹を抱き寄せて口づける。

あふれる涙を吸い取って、浮竹の頭を撫でた。

「桜鬼の姿から、元に戻らないとね」

京楽は、まるで浮竹のように桜の花びら吹いて、人間の姿に戻った。

「京楽、桜鬼の闇は深い。飲まれるなよ」

「うん。大丈夫。浮竹の一部であると愛し続けるなら、飲まれはしないよ」

「帰ったら、白哉にどう説明しよう」

「ありのままでいいんじゃないかな。ボクが浮竹の影になって、桜鬼になったことを、知らせればいい」

二人は、高級タワーマンションの自宅に戻った。

「浮竹、京楽は見つかったのか?」

白哉は、京楽から禍々しい力を感じて、目を見開いた。

「京楽‥‥‥兄は、あやかしに?」

「うん。浮竹の闇の部分である桜鬼になったんだよ」

「桜鬼は厄介だぞ?」

「慣れていくから、大丈夫」

白哉はため息をついた。

「浮竹を愛しすぎる故か」

「そうだね」

「私が、力の使い方を教えよう。浮竹は桜鬼であったから、その存在が当たり前すぎて、他の者に教えるなどできないであろう?」

「ああ、そうだな」

こうして、白哉に桜鬼としての、あやかしの力の使い方を、日々少しずつ教えてもらうことになるのであった。



『精霊の俺、元気か?』

京楽が桜鬼になってから1週間ほどして、術者の浮竹と夜刀神の京楽が、家を訪ねてきた。

『あやかしになっちゃったもう一人のボクは、どう?』

「白哉から力の使い方を教わって、桜鬼の力を制御できるようになっている」

『すごいね。普通、人間があやかしになると、その闇に飲まれちゃうんだけど。愛の力ってやつ?あれからもうやちゃった?』

からかってくる夜刀神を、浮竹はハリセンではたく。

コウモリ姿で術者の浮竹の頭の上にいたので、術者の浮竹もハリセンを食らう羽目になった。

『痛い』

「すまん。夜刀神を見ると、ついハリセンが」

『酷い!動物虐待反対!』

「おまえはこうもりでなく、夜刀神だろうが」

術者の浮竹は、夜刀神の巻き添えになるのはごめんだと、頭の上からソファーに夜刀神の体を移動させた。

『これなら、好きなだけハリセン食らわせてもいい』

『ちょっと、浮竹ぇぇぇえ!?』

京楽が涙声を出す。

そこへ、訓練を終えた京楽とそれに付き合っていた白哉が帰ってきた。

『やぁ、元人間のボク。力は制御できるようになった?』

夜刀神の首元に、手だけ桜鬼にさせた京楽が爪をつきつける。

「こんなかんじ」

『こわいからやめてええ。なんでみんなよってたかってボクをいじめるのさ』

「からかいがいがあるからだろう?」

浮竹は言葉を一緒にハリセンを一発。

『でもよかった。闇に飲み込まれなくて』

『そうだな。便利屋の京楽、すごいぞ』

「ボク、浮竹や白哉君みたいに、桜を使った術を使えるようになったの」

『すごいじゃないか。祓い屋としての力も増したことになるな』

術者の浮竹が、浮竹のほうを向いて何かを言おうとして、顔を赤くした。

「どうした?」

『キスマークついてる。いっぱい』

「!!!」

浮竹は鏡を見て、真っ赤になってから、京楽に手加減なしのハリセンを食らわせていると、京楽は桜鬼になって、桜になって散ってしまった。

マンションから出て、公園の浮竹の桜の木にワープしたのだ。

「京楽、飯抜きにしてやる」

『キスマークつけられるくらい、やちゃったってことだね?』

「ええい、お前は一言いつも余計に多い!」

夜刀神は、またハリセンを食らい、1時間ほどして京楽が帰ってくる。

「京楽、夕飯ぬきか禁欲1週間か、どっちか選べ」

「もちろん、夕飯抜きを選ぶね」

『ひゅーひゅー、お熱いねぇ』

からかってくる夜刀神がうっとうしくて、浮竹は術者の浮竹を見た。

『ほら、京楽そんなことばっかり言ってると、精霊の俺に嫌われるぞ?』

『桜の王とは腐れ縁だから、大丈夫』

「夕飯つくるけど、京楽ふたりはぬきな」

『ええええ。元人間のボクはともかく、ボクまで!?』

「ボクと一緒に、空腹になって、水かお茶でもいっぱい飲んで、空腹を紛らわせよう」

『そんなのヤダああああ』

「ボクには桜の術があるからね」

桜吹雪を出した後には、おはぎがあった。

『あ、ずるい!ボクの分も!』

京楽は桜鬼になって、桜の術を使いまくって、おはぎやら団子やらを出す。

「俺は、桜鬼の頃そんな使い方はしたことがないが」

「桜鬼の力、すごいよ。無から有を作れる」

「あんまり、俺たち以外には見せるなよ」

ずっと黙っていた白哉が。

「腹が減った」

そういうものだから、浮竹は急いでキッチンに行き、夕食の準備をする。

浮竹は、昔から白哉には甘い。

『白哉君には甘いよね、桜の王って。ハリセンとか食らったことなさそう』

「そうでもないぞ。情事にでくわしたときなど、ハリセンがうなる」

『白哉くんがいても、盛るの、あの二人』

「いつもは私が結界をはって、眠る」

『うわぁ、大変だねぇ』

「もう慣れた」

『精霊の俺って、やっぱりセックスとかいっぱいしてるんだな』

「まぁ、恋人同士であるからな」

白哉は、術者の浮竹と夜刀神にはそういうことがほとんどないのだと察知して、桜の花びらを散らせて、幻想的な風景を見せて、忘れさせるのであった。

「おはぎ、おいしい」

夕飯抜きを言い渡されたが、京楽は作りだしたおはぎで空腹を満たす。

ちゃっかり、こうもり姿で夜刀神もおはぎにかじりつくのであった。



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オメガバース恋白読み切り短編

「隊長‥‥‥‥‥‥」

恋次は、かける言葉が出なかった。

隠していたが、白哉はオメガだった。それを知られた四楓院家の傍系の男に、オメガであることをばらすと脅されて、レイプされた。

「このようなこと‥‥蚊に噛まれたようなものだ。どうってことはない。幸いにもヒート期間ではなかった。妊娠することはないであろう」

ズタボロになった白哉を発見した恋次は、白哉を抱きしめて涙を流した。

「俺が、隊長がオメガだって気づいてれば‥‥。隊長、レイプされたんですよ!?なんでそんなに平然としていられるんすか!」

「幼少期、父から性的虐待を受けていた。あの日々を思えば、この程度のこと‥‥‥恋次、なぜそなたが泣く?」

「隊長が、泣かないっすから!代わりに泣いてるんす!」

「おかしなやつだ」

ポロリと。

白哉の瞳から涙があふれ、それは波のように訪れた。

「オメガであることをばらすと‥‥オメガであることがばれたら、朽木家の当主の座も危うい。
何故、私だけがこのような目に合わねばならぬのだ。オメガであることが、それほど罪なのか」

「隊長。もう、他のアルファにレイプとかされなうように、俺と番になりましょう」

「恋次と?そなた、アルファだったのか。てっきり、ベータだと‥‥」

「最初に検査された時はベータだったんです。でも、二回目の検査でアルファであることが分かりました。でも、アルファは支配階級。護廷13隊の死神だなんて、危険な場所にいられませんから。俺はどうしても、隊長、あんたをこえたかった。でも、こんな形になりたいと願ってアルファでいたわけじゃありません」

恋次は、白哉を抱き上げて、朽木家の湯殿まで連れてくると、見知らぬ男が出した精液をかきだした。

「んっ」

「隊長、俺は本気です。俺と番になりましょう。もう、他のアルファが手を出せないように」

「副官である恋次と番にか。それもまた、運命なのだろうな」

白哉は、恋次と番になることを了承した。

白哉をレイプした男は、暗闇のある日、誰かに殺された。それが恋次の仕業であると白哉は気づいていたが、何も言わなかった。

やがて、白哉にヒート期間がきた。

すでに首にかみついて、番になる条件は整えているが、正式に番になるにはヒート期間に交じりあって、首を噛む必要があった。

白哉は長い間、ヒート期間を強い薬で抑えつけていたため、初めで味わう本物のヒートに、思考がぐずぐずに溶けていく。

「恋次‥‥‥抱け」

「隊長。いいんすね?もう、後戻りできませんよ。俺と籍を入れて、家族になりましょう」

「それもかまわぬ」

「分かりました。ヒート期間、いっぱい抱いてあげますね?番になりましょう」




「ああ!」

もう何度目になるかも分からぬ欲望を吐き出して、白哉は恋次の動きに翻弄されていた。

「んあああ」

ずちゅずちゅと、秘所は自然と濡れて恋次のものをくわえこむ。

「あ、もっと奥に‥‥」

「隊長、愛してます。ずっと好きだったんです。でも同性だから、告白もできなかった。隊長がオメガだなんて、今でもまだ信じられません」

「ひあああ!」

恋次のものが、ごりごりと奥を抉り、白哉は背をしならせて大きく中いきをしていた。

「あ、ああ‥‥もう、何も考えられぬ。早く、首にかみつけ」

「はい」

セックスをしながら、恋次は自分でつけた噛み後のある、白哉の細い白い首に嚙みついた。

びりっと電流のようなものが走り、本当の番になったことが分かる。

「俺の子供、産んでくれますか」

「そなたが、それを望むなら。もう、きっと私は朽木家の当主ではいられない」

ぐちゅぐちゅと中を犯されて、白哉は涙を流した。

「オメガなど‥‥‥でも、恋次と番になれたことだけは、感謝しよう」

「それはこっちの台詞です」

「あああああ!!」

一際強く貫かれて、白哉は精液を出しながら、中いきしまくっていた。

「ああ、あ、思考が、すりきれる‥‥」

「隊長。もう俺だけのものだ。あんたはオメガで俺はアルファ。きっと、番になるためにそう選ばれたんですよ」

「ひあああ‥‥」

恋次は、まだ欲望が硬く、白哉を貫く。

白哉は慣れぬセックスのため、もう限界に近かった。

「恋次、意識を失いそうだ。後のことは、任せてよいか」

「はい。ヒートを抑えるためにも、生で俺の子種、たくさんあげますからね?」

恋次は、白哉の胎の奥で子種を弾けさせた。

「ああああ!」

白哉は、じんわりと熱が広がっていくのを感じながら、意識を失った。


「隊長、大丈夫っすか?」

「ん‥‥私はどれくらい寝ていた?」

「半日っすね」

「仕事が!」

「ヒート休暇とったので、大丈夫っす」

「それでは、私がオメガであると他にばれたのか?」

「いや、反対です。俺がオメガってことにして、隊長がアルファってことにしました」

「無理があるだろう」

「でも、みんな納得してましたよ。隊長は強い薬飲んでるから、オメガ特有のフェロモンも出ないし。俺は、偽のフェロモンが出る薬服用したんで、みんな俺がオメガだって思ってます」

「恋次。私がオメガであることを、そなたとだけ秘密にできるか?」

「はい。人生をかけて誓います」

白哉は、涙を浮かべた。

「そなたの一生を台無しにしてまって、すまぬ」

「いえ、だから俺は隊長のこと好きだし愛してますから!」

「恋次‥‥‥」

白哉は淡く微笑んだ。

それが妖艶に見えて、恋次は自分の頬をひっぱたく。

少し前まで、無理させてまで交わっていたのだ。

「隊長に言い寄る女も男も、みんな遠ざけるくらい、仲良くしましょう」

「私にできるだろうか?」

「隊長は、今のままでいいっすよ。俺がいちゃつきますんで」

「ふふっ、恋次は面白いな」

「そうですか?」

白哉は、触れるだけのキスを自分から恋次にした。

「た、隊長!」

抱き着いてくる恋次を受け止めながら、もう当主の座を追われてもいいと思った。

恋次と番として生きていくのが、今の白哉の目標であり、夢であった。

オメガの当主など、聞いたこともないが、籍をいれたら恋次を当主にしようかとも思った。

「恋次。私と、どこまでも堕ちてくれるか?」

「はい。どこまでも、一緒に堕ちていきます」

1か月後。

白哉は、朽木家の当主であるが自分がオメガであることを公表した。

他の朽木家に連なる者から、当主にふさわしくないと言われて、夫として籍をいれた恋次を、婿養子にして朽木家の当主にした。

周囲は反対ばかりであったが、今まで白哉がきりもりしていたから、朽木家は4大貴族のままでいれたのも事実で、反対の声は次第に薄まっていった。

ヒート期間は仕事を休み、睦みあった、

籍を入れてから半年。

「恋次‥‥‥妊娠した」

「まじっすか」

「そうだ」

「朽木家の次期当主っすね」

「気が早い」

「産んでくれるんでしょう?」

「そのつもりだ」

朽木家の当主は、今は恋次だが、実際切り盛りしているのは白哉だった。

「幸せに、なりましょう」

「私は、すでに幸せだ」

「隊長‥‥‥」

「白哉と、呼べ」

「白哉‥‥‥‥」

恋次と白哉は、口づけをしあいながら、ベッドに向かうのであった。




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よっぱらい

「日番谷隊長」

「なんだ、浮竹か。遊びにきても、あいにく俺には仕事がある。ソファーに座って、わかめ大使でも食って待ってろ」

浮竹は、10番隊の執務室のソファーで大人しく茶を飲みながら、わかめ大使を食べていたかと思うと、立ち上がって日番谷のところにきた。

「なんだ?」

「日番谷隊長、子作りしよう」

「ぶばーーーー!!!」

日番谷は、飲みかけていたお茶を重要な書類に上に、吹き出してしまった。

「な、何言ってやがる。そういうのは、京楽としとけ」

「嫌だ。日番谷隊長がいい」

浮竹に押し倒されて、日番谷は浮竹をどうしようかと考える。

正気でないのは確かだ。

「きゃあ、隊長が浮竹隊長に押し倒されてるうううう!いやーん、写真とらなきゃ」

松本は、そんな二人を見て腐った脳をしているので、創作のネタにしようとしていた。

「松本、のんきに写真なんかとってないで助けろ!」

「浮竹×日番谷。禁断の果実」

松本はすでに遠い世界に、旅立っていた。

浮竹からは、アルコールのにおいがした。

「おい、このよっぱらい。子作りは京楽としとけ」

「京楽だと、俺が産むことになるだろう?俺は日番谷隊長がいい」

「お前、自分で何言って、何してるのかわかってるのか?」

「あはははは、世界がまわるううう」

「だめだこりゃ」

浮竹は、酒にべろんべろんに酔っている挙句、熱を出していた。日番谷は、浮竹をどかして、執務室のソファーに座る。

浮竹が、まともな思考回路でないことは、確かだった。

「浮竹、日番谷隊長のところにいたの。ほら、戻るよ」

京楽がやってきて、浮竹を連れて帰ろうとするが、浮竹は嫌がった。

「まだ、日番谷隊長と子作りしてない」

京楽の視線が、日番谷に注がれる。

「言っとくが、何もしてないからな。浮竹に押し倒されたが」

「うらやましい」

「はぁ!?」

「浮竹がべろんべろんに酔っている挙句に、熱出してるの知ってるよね。浮竹ってば、熱あるの隠してボクのお酒のんで、いきなり日番谷隊長と子作りしてくるとか言って飛びだしていったの」

「そこをどうにかするのが、お前の役割だろう、京楽」

「浮竹、熱あって酔ってる癖に瞬歩早いから。追いかけるのに苦労したよ。未遂でよかった」

「未遂も何も、されかけたら氷輪丸でぶっとばす。病人でもだ」

「ほら、浮竹、冬獅郎君はああ言ってるから、子作りはボクとしようね?」

「じゃあ、ここでする」

「いいよ」

「おいまてこら」

「あ、春水‥‥」

「待ってっいってるだろ!」

「ああっ」

「蒼天に座せ、氷輪丸!!!」

「なんであたしまでええええ」

松本も巻き込んで、氷輪丸を初解させて、氷の龍を出すと浮竹と京楽と吹っ飛ばす。

京楽は慣れたもので、浮竹をお姫様抱っこして、瞬歩で去ってしまった。

「あー、また壊しちまった。ま、京楽の金で明日には修繕できてるだろうから、いいか」

べちゃ。

松本が落ちてきた。

「おい、生きてるか?」

「浮竹×日番谷で今度のコミケでます」

「こおら、松本おおおおおお」

「きゃあああああああ」

氷輪丸でまた吹っ飛ばされるのだが、松本はコミケで浮竹×日番谷の小説本を出すのである。


「浮竹、大丈夫?熱、あがってるよ」

「つわりだ。京楽の子を身籠った。気分が悪い」

「それ、ただ酒に酔ってのことだから」

「日番谷隊長と、子作りしたかった」

「君にはボクがいるでしょ」

京楽は、浮竹を雨乾堂の布団に寝かせて、氷水に浸してしぼったタオルを額に置いた。、

「京楽の子だと、スケベでアホでマヌケな子ができる」

「散々な言われようだね」

「きっと毛が性別関係なくもじゃもじゃなんだ」

「否定できない‥‥‥」

京楽は、浮竹に解熱剤を飲ませようと渡すが、浮竹は。

「いらない」

そう言って、飲まない。

「仕方ないねぇ」

京楽は、コップの水を口にふくんで、口移しで解熱剤を飲ませた。

「あ、京楽のせいで妊娠した」

「口づけで妊娠するの?」

「京楽はたらしだから」

「昔の話でしょ?ほら、いいからもう寝なさい」

体温計で熱を測ると、40度あった。

よく外を、酔ったまま瞬歩で移動できたものだと思った。

「仕方ない。日番谷隊長との子作りは、明日にする」

その明日には、昨日のことなど全く記憶にない浮竹がいるのだった。



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よっぱらい

「日番谷隊長」

「なんだ、浮竹か。遊びにきても、あいにく俺には仕事がある。ソファーに座って、わかめ大使でも食って待ってろ」

浮竹は、10番隊の執務室のソファーで大人しく茶を飲みながら、わかめ大使を食べていたかと思うと、立ち上がって日番谷のところにきた。

「なんだ?」

「日番谷隊長、子作りしよう」

「ぶばーーーー!!!」

日番谷は、飲みかけていたお茶を重要な書類に上に、吹き出してしまった。

「な、何言ってやがる。そういうのは、京楽としとけ」

「嫌だ。日番谷隊長がいい」

浮竹に押し倒されて、日番谷は浮竹をどうしようかと考える。

正気でないのは確かだ。

「きゃあ、隊長が浮竹隊長に押し倒されてるうううう!いやーん、写真とらなきゃ」

松本は、そんな二人を見て腐った脳をしているので、創作のネタにしようとしていた。

「松本、のんきに写真なんかとってないで助けろ!」

「浮竹×日番谷。禁断の果実」

松本はすでに遠い世界に、旅立っていた。

浮竹からは、アルコールのにおいがした。

「おい、このよっぱらい。子作りは京楽としとけ」

「京楽だと、俺が産むことになるだろう?俺は日番谷隊長がいい」

「お前、自分で何言って、何してるのかわかってるのか?」

「あはははは、世界がまわるううう」

「だめだこりゃ」

浮竹は、酒にべろんべろんに酔っている挙句、熱を出していた。日番谷は、浮竹をどかして、執務室のソファーに座る。

浮竹が、まともな思考回路でないことは、確かだった。

「浮竹、日番谷隊長のところにいたの。ほら、戻るよ」

京楽がやってきて、浮竹を連れて帰ろうとするが、浮竹は嫌がった。

「まだ、日番谷隊長と子作りしてない」

京楽の視線が、日番谷に注がれる。

「言っとくが、何もしてないからな。浮竹に押し倒されたが」

「うらやましい」

「はぁ!?」

「浮竹がべろんべろんに酔っている挙句に、熱出してるの知ってるよね。浮竹ってば、熱あるの隠してボクのお酒のんで、いきなり日番谷隊長と子作りしてくるとか言って飛びだしていったの」

「そこをどうにかするのが、お前の役割だろう、京楽」

「浮竹、熱あって酔ってる癖に瞬歩早いから。追いかけるのに苦労したよ。未遂でよかった」

「未遂も何も、されかけたら氷輪丸でぶっとばす。病人でもだ」

「ほら、浮竹、冬獅郎君はああ言ってるから、子作りはボクとしようね?」

「じゃあ、ここでする」

「いいよ」

「おいまてこら」

「あ、春水‥‥」

「待ってっいってるだろ!」

「ああっ」

「蒼天に座せ、氷輪丸!!!」

「なんであたしまでええええ」

松本も巻き込んで、氷輪丸を初解させて、氷の龍を出すと浮竹と京楽と吹っ飛ばす。

京楽は慣れたもので、浮竹をお姫様抱っこして、瞬歩で去ってしまった。

「あー、また壊しちまった。ま、京楽の金で明日には修繕できてるだろうから、いいか」

べちゃ。

松本が落ちてきた。

「おい、生きてるか?」

「浮竹×日番谷で今度のコミケでます」

「こおら、松本おおおおおお」

「きゃあああああああ」

氷輪丸でまた吹っ飛ばされるのだが、松本はコミケで浮竹×日番谷の小説本を出すのである。


「浮竹、大丈夫?熱、あがってるよ」

「つわりだ。京楽の子を身籠った。気分が悪い」

「それ、ただ酒に酔ってのことだから」

「日番谷隊長と、子作りしたかった」

「君にはボクがいるでしょ」

京楽は、浮竹を雨乾堂の布団に寝かせて、氷水に浸してしぼったタオルを額に置いた。、

「京楽の子だと、スケベでアホでマヌケな子ができる」

「散々な言われようだね」

「きっと毛が性別関係なくもじゃもじゃなんだ」

「否定できない‥‥‥」

京楽は、浮竹に解熱剤を飲ませようと渡すが、浮竹は。

「いらない」

そう言って、飲まない。

「仕方ないねぇ」

京楽は、コップの水を口にふくんで、口移しで解熱剤を飲ませた。

「あ、京楽のせいで妊娠した」

「口づけで妊娠するの?」

「京楽はたらしだから」

「昔の話でしょ?ほら、いいからもう寝なさい」

体温計で熱を測ると、40度あった。

よく外を、酔ったまま瞬歩で移動できたものだと思った。

「仕方ない。日番谷隊長との子作りは、明日にする」

その明日には、昨日のことなど全く記憶にない浮竹がいるのだった。



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京楽と中身が入れ替わった件3

「あ、書類が落ちたぞ」

浮竹がかがんで、書類を取ろうとする。

「いいよ、ボクが拾うから」

京楽もかがみこんで、ゴンと頭をぶつけあった。

「も、もしや」

浮竹は、わくわくした。

「ぎゃあああ、また浮竹と中身がいれかわったああああ」

浮竹の姿で、京楽は叫んだ。

過去に、2回浮竹は京楽と中身が入れ替わったことがあった。

他にも、ルキア、白哉、日番谷、一護などと入れ替わったこともあった。

京楽の姿で、浮竹は前々からしたいと思ってたことを実行することにした。

「じゃあ俺は、現世で男性専門のエステに行ってくる!」

「待って、浮竹!ボクの体で何をするつもり!」

「もちろん、このムダ毛をつるつるにするんだ!」

「ぎゃああ、ボクの毛がああああ!!!」

すでに腕には、こんな時がまたくるかもしれないと買っておいた、脱毛クリームを脱いっていた。

「おお、面白いくらい抜けるな」

「やめてよおおおお」

京楽は、浮竹の体で半泣きしていた。

「はははは!じゃあ、現世にいってくる!」

「待って、ボクも行く‥‥ごほっごほっ」

「ああ、今の俺は病み上がりだから、おとなしくしていろよ?」

「浮竹のあほおおお」

浮竹は、るんるん気分で現世に行った。

エステは高いと松本から聞いていたので、白哉から金を借りた。白哉も浮竹と京楽の中身がまた入れ替わっていたのに驚いていたが、浮竹には甘いので、京楽の姿だが、200万ほど貸してくれた。

男性専用エステ。

そう書かれた看板を見て、店内に入るとおしゃれなつくりになっていた。

「いらっしゃいませ。当店のご利用ははじめてでしょうか」

「ああ」

「会員になられますか?今なら全コース20%引きになります」

「会員になる」

「ありがとうございます」

女性のエステティシャンは、浮竹を奥に案内した。

「脱毛を頼む。腕と足と胸と顔」

「分かりました」

全身の脱毛に、3時間かかった。

普通なら、2時間程度で元に戻るのだが、今回は久しぶりに入れ替わったせいか、3時間経っても元に戻らなかった。

「やっほう、つるつるだぁ」

前々から、ちくちくと痛いムダ毛がなくなり、浮竹は喜んだ。

その頃、京楽は浮竹の体でおとなしく横になっていた。

高熱を出してしまっていた。

「お会計は、クレジットカードになさいますか?それとも分割祓いで‥‥」

「現金で一括払いでいい」

「は、はぁ。53万になります」

「高い。でもつるつるになったし、白哉からお金借りているので何の問題もない!」

浮竹は、ひげも脱毛してもらって、つるつるになった京楽の体に満足した。いずれまた生えてくるだろうが、しばらくは共に夜を過ごしてもちくちくしないですむ。

「あれ、京楽さんじゃないっすか。どうして、現世に?」

偶然会ったのは、一護だった。

「京楽さん‥‥すよね?髭とかないからちょっと分かり辛いけど」

「一護君、中身は浮竹だ」

「はぁ!?浮竹さん?また、中身入れ替わったんですか。俺の時みたいに」

「そうだぞ。京楽の胸毛とかを一度なくしてみたかったんだ。男性専門のエステにいって脱毛してもらった」

「うわー、それ京楽さんの許可なしですよね?」

「当り前だ。くくく、京楽もこれで少しはこりるだろ」

「浮竹さん、言葉が悪人になってますよ」

「まだ元に戻らないから、一護君遊ぼう」

一護は、困った顔をした。

「遊ぶっていっても、ゲーセンくらいしか思い浮かばないっすよ」

「ゲーセン!行ってみたい」

一護に連れられて、浮竹はゲーセンに行き、思う存分遊んだ。

「ああ、楽しかった」

「もう夕方っすね」

「おっと、そろそろいい加減に帰らないといけないな」

「俺の家、今日カレーなんすけど、食っていきますか?」

「それはぜひ食べてみたいというか、食べてから帰ることにする」

こうして、浮竹は尸魂界に帰還した。

「京楽戻ったぞー」

「浮竹、こんな時間まで何してたの。ごほっごほっ」

「ああ、熱があがったのか。薬のんで寝てろ。明日には元に戻っていると思うから」

京楽は、高熱のせいで、自分の体がエステで脱毛されたことに気づいてなかった。

翌日になり、二人は元に戻っていた。

「あー。まだ熱あるなぁ」

「なんじゃこりゃあああああああ」

京楽は、ツルツルスベスベのお肌に嘆いていた。

「酷いよ浮竹~~~~」

「毎回、抱かれるときにちくちくするんだ。どうせまた生えてくるだろうが」

「だからって、髭まで脱毛しなくても」

京楽は、ツルツルの顎を触った。

「ああ、これじゃあボクって分からない人が増えそう」

「大丈夫だ。涅印の育毛剤もらってきてある」

「何危ない薬もらってきてるの!?絶対わんさかはえるでしょ!」

「かもなぁ」

浮竹は、熱があることも忘れてからから笑う。

今度入れ替わったら、永久脱毛でも頼もうかなどと思う浮竹であった。

ちなみに、京楽の毛は2か月後には元に戻っていた。




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さくらあやかしと共に29

浮竹は、気づくと額にツノを生やして桜色の瞳に、桜色の漢服を着ている姿になっていた。

「なぜ‥‥」

桜鬼になって、自分を失った後で、元に戻ったのだが、妖力のコントロールが難しくなっており、朝起きると桜鬼の姿になっていた。

それを察知したのか、京楽が浮竹の部屋をノックする。

「十四郎?入るよ?」

「京楽、くるな!」

桜鬼の姿を見られたくなくて、浮竹は叫ぶ。

「十四郎、ボクは君がどんな姿になっていても愛しているよ」

「京楽‥‥‥」

浮竹は、そっと鍵をかけていた扉を開いた。

「朝起きたら、この姿になっていたんだ。桜鬼に。俺は昔、人やあやかしの血をすすって養分にしていた」

「うん。でも、やめたんでしょう?」

「そうだな。人間の食事の味とそれでエネルギーをとれるようになったから」

「十四郎は、桜鬼の姿でも綺麗だよ。桜そのものみたい」

浮竹は、そういってもらえてうれしくて、少しだけ泣いた。

「桜鬼‥‥嫌いだったけど、お前のおかげで少し考え方が変わりそうだ」

「十四郎はいつだって綺麗だよ?バカみたいに笑ってる時も、夜刀神をハリセンでしばいてる時も、料理を作っている時も、寝ている時も」

「春水」

「心配しないで?桜鬼の姿、今戻してあげるから」

京楽は、札に力をこめて、それを浮竹の背中にはった。

ちらちらと桜吹雪が室内で舞い、浮竹は元の人の姿に戻っていた。

「桜色の瞳も綺麗だけど、ボクはボクの知る翡翠色の十四郎の瞳の色のほうが好きかな」

「桜鬼なったせいで、今まで封印していた力が使えるようになったようだ」

「お、すごいね。どんな力?」

「よいものじゃない。都市一つの人間を養分に、桜を咲かせたり、他人をただの桜にしてしまったり‥‥」

「うん。使わない方向で、いいじゃないかな」

「そうだな。ただ、夜刀神には桜になる術をかけてみたいな。絶対に効かないだろうから」

クスリと、浮竹が笑う。

浮竹が元気を出してくれたみたいでよかったと、京楽は思った。

「白哉は?」

「もう起きて、朝食待ってるよ」

「すまん。すぐ作る」

「あ、十四郎」

「ん?」

振り返った浮竹に、京楽は触れるだけのキスをさした。

「おはようのキス」

「ばか」

浮竹は真っ赤になって、キッチンに去っていく。

「桜鬼か‥‥‥‥また厄介な問題を抱え込んだね、シロ。いや、十四郎」

「白哉、またせたな。今日は和食にした」

出汁卵焼き、味噌汁、鮭の焼いたもの、それに白ごはんだった。

「和食とは、兄にしては珍しいな」

「まぁ、白哉は和食のほうが好きだろう?」

「そうだが」

「待たせた詫びだ」

「それほど待ってはいないのだがな」

「京楽、早く来い。朝飯が冷めるぞ」

「はいはい、今いくよ」

浮竹、京楽、白哉の3人は、何か事情でもない限り、なるべく一緒に食事をとっていた。

家族のような関係である。

「食べ終わったら、京楽は俺と一緒に、術者の俺と夜刀神の元にいくぞ。けがをさせてしまったからな。白哉、多分今晩は泊まって帰る」

「分かった。ルキアのいるネモフィラ畑で過ごすことにする」

「いつもすまないな」

「兄と200年以上もつきあっているのだ。慣れた」

白哉は、朝食を食べ終わると、35階のベランダから飛び降りていった。

「だから、何故玄関を使わないの。帰ってくる時は玄関使うのに」

「細かいことは気にするな」

浮竹は、京楽と白哉と自分が食べ終えた食器を洗ってから、異界を通って、術者の浮竹と夜刀神のところにやってくる。

「いるか?」

『はーい。いらっしゃいませ‥‥って、精霊の俺か。便利屋の京楽まで。どうした?』

「この前は、すまなかった。桜鬼になって、我を忘れた」

『ああ、俺も力暴走したことあるから、別に謝らなくていいぞ』

「夜刀神はどうしている?」

『ここにいるよー』

術者の浮竹の服に、こうもり姿でしがみついていた。

『おっと、落としたら大変だ』

術者の浮竹は、こうもり姿の夜刀神を両手で抱きしめる。

「治癒の術はかけてもらったんじゃないのか」

『君の桜鬼の力が強すぎて、完治してないんだよ』

「すまん」

『いいよ。腐れ縁だしね』

「そういってもらえると、助かる。京楽と一緒に、詫びをかねて家事をしにきた」

『わ、精霊の俺の手料理がまた食えるのか?』

術者の浮竹ははしゃぐ。一方、京楽たちは微妙な顔をしていた。

二人きりになりたいのだ。

『ボクは傷が癒えてないから、ハリセンではたかないでね』

「それくらい、承知している」

結局、その日は夕飯はビーフシチューだった。

夜刀神は、人間の姿になって、包帯だらけで術者の浮竹から食べさせてもらっていた。

「十四郎‥‥‥‥」

「言っとくが、しないぞ」

「クスン」

その日は泊まり、朝食を浮竹が作っていると、術者の浮竹の悲鳴が聞こえた。

「なんじゃこりゃあああ!!またかあああ!!」

皆で駆けつけてみると、白い狐がいた。尾は2本だ。

『治癒術使いすぎたみたいだ』

「じゃあ、今日の治癒はボクがしておくよ」

こうもり姿の夜刀神に、京楽は治癒術を施こす。

『そうか。「春」と一つになったことで、治癒術や浄化の術を使えるようになったんだね』

「うん、そうだよ。全部「春」のおかげだね」

京楽は、「春」でもあるので、自分を卑下したりしない。

「さて、術者の俺。元に戻れない間暇だろうヵら、遊ぼうか」

『なになに?おいかけっこ?』

「フリスビーだ」

なぜかフリスビーをもってきていた浮竹は、空き地に場所を変えて、思い切りフリスビーを投げる。

それを、狐なのに犬のように口でキャッチして、術者の浮竹は浮竹のところにもっていく。

『おもしろい!もう1回』

「何度だって投げてやるぞ」

夜刀神は、こうもり姿でベンチにいた。隣には、京楽の姿もあった。

「はぁ。かわいいけど、二人きりになりたい」

『同じく、二人きりがいい:』

珍しく意見が一致して、互いの顔を見合って、ため息をついた。

『京楽も投げてくれ!』:

術者の浮竹は、2本の尻尾をぶんぶんふっていた。

『病み上がりだけど、仕方ないねぇ。犬じゃないんだからって言いたいとこだけど』

人の姿になり、包帯だかけの恰好で、フリスビーを投げる。

ちゃんとキャッチして持って帰ってくる術者の浮竹がかわいすぎて、夜刀神はもふもふしだした。

『こそばゆい』

『浮竹はボクのものでしょ』

『うん』

『かまってくれないと、すねちゃうよ。すでに、便利屋のボクは拗ねてるけど』

浮竹が全然かまってくれないので、京楽は式を作って空を飛ばせたりしていた。

「ああ、京楽すねていたのか。一人遊びしているのかと思った」

「浮竹がボクを構ってくれないから、新しい式を作ってたよ」

「今日は、この辺で帰ろうか」

「うん、帰ろう!」

今なら、白哉もまだ帰ってきていないはずだと、京楽は浮竹と二人きりになれると嬉し気だった。

「術者の俺、これをやる」

『なんだ?』:

「俺の妖力の結晶だ。使えば、人の姿に戻れるだろう」

『そうなのか”!ありがとう!』

さすがに、白い珍しい2本の尾の狐と、こうもり姿の京楽だけでは不便だろうからと、浮竹なりに気を利かせたつもりだった。

『ボクが人型に戻ればいい話だけどね:』

「そう言いながら、狐姿の術者の俺の背中にしがみついてても、迫力もなにもないぞ」

『ふん、桜鬼のばか』

「ハリセンで殴られたいか」

『ごめんなさい』

謝罪は即答だった。

浮竹と享楽が去っていったのを見とどけてから、術者の浮竹は、浮竹にもらった結晶を粉々に砕き、自分に使ってみた。

『お、人の姿に戻れた』

『浮竹、耳がでてるよ』

『あれ。引っ込めるの難しいな。まぁいいか』:

『いいんかい!』

たまらず、ツッコミを入れる夜刀神だった。



一方、異界渡りで帰宅した浮竹と京楽は、久しぶりに二人きりなのだから、しっぽりしようとしていた寸前で、白哉が帰宅してきたので、京楽は突き飛ばされて、ベッドから転げ落ちた。

浮竹は、乱れた衣服を整えて、なにくわぬ顔で白哉に夕飯は何がいいのか聞きにいくのだった。


「あーーー。またおあずけええ。いつになったら、抱けるのお」「

京楽のため息交じりの泣き言が、空しく響くのだった。

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さくらのかやかしと共に 外伝5

「どうしても欲しいなら、これをやる」

バレンタイン当日に、ツンデレ浮竹が降臨した。いつもはそんなにツンデレではないのだが、時折ツンデレになった。

京楽は、浮竹が用意したチョコを受け取った。

「100倍返しだぞ」

「普通、3倍返しじゃないの?」

「俺に、人間にまじってちょこ売り場まで行って買わせたんだ。100倍返しでも少ないほうだ」

「はいはい。何かみつくろっておくよ。ほしいものはある?」

「最近肩こりがひどい。マッサージチェアがほしい」

浮竹は、首を左右に動かしながら、少し自分の肩をもんだ。

「パソコンをいじってることが最近おおいからでしょ。適度に休憩とらなきゃだめだよ」

「分かってはいるんだが‥‥」

最近、浮竹はパソコンゲームにはまっていて、1日3時間くらい暇な時にゲームをしていた。

「浮竹、京楽、兄らにこのチョコをやろう」

珍しいことに、白哉がチョコを渡してきた。

「天変地異の前触れかな」

「明日槍がふる」

散々な言われように、白哉はため息をつく。

「ルキアからだ」

「なんだ、それなら先に言ってよ」

「ルキアちゃんも律儀だな」

「黒崎一護との結婚が控えているからな。のりのりでチョコを渡してきたぞ」

「ルキアちゃんも人妻か‥‥‥なんかいけない響きだね」

「いけないのはお前の脳みそだ」

浮竹が、ハリセンで京楽の頭を叩く。

「人妻の浮竹‥‥‥ゴクリ」

「ぎゃああああああ」

吸いついてくる京楽をハリセンでびしばし叩く。

「そのハリセンも、大分古くなってるね。新しいの買ってあげる」

「だめだ。これは夜刀神からもらったものだ。何百個目かは分からないが、夜刀神にハリセンを作らせると、右に出る者はいない」

「変なとこで役に立ってるね、彼も」

「浮竹が、そのハリセンを愛用しているからな。居楽、兄が新しいハリセンを買っても、きっと使わぬ」

白哉はそう言いながら、緑茶をすすり、あやしい形のお菓子を食べていた。

「白哉、何を食べているんだ?」

「私が考案した、わかめ大使だ」

「わかめ大使‥‥見た目はあれだけど、なんかおいしそうな予感がする。俺にもくれ」

「けっこう作らせたので食べるがよい」

「お、うまいな。誰に作らせたんだ?」

「小豆とぎだ。もらっていた給料の最高級小豆を3倍あげたら、喜んで作成してくれた。あやかしまんじゅうを置いてある店に、今度置くことになった」

「最近ちょこちょこ見かけないと思ったら、そんなことしてたんだね」

京楽も、わかめ大使を食べた。

「しつこくない甘さだね。上品な味がするよ」

「最高級小豆を使用しているからな」

白哉は自慢げに胸をはる。

「白哉さんいますかー?」

合鍵を使って勝手に入ってきたのは、阿散井恋次だった。

「恋次、こっちだ」

「あ、白哉さん」

「これをやる」

「まさか、バレンタインチョコっすか?」

「そうだ。何か文句でもあるか」

白哉は頬を若干赤くしながら、チョコを渡すと恋次を連れ出そうとする。

「ほら、あやかし退治の依頼がきているのであろうが。私もいくから、さっさといくぞ」

白哉は、チョコレートをもらって嬉しそうな恋次を引きずって、行ってしまった。

「京楽。そういえば、俺たちもあやかし退治の依頼、きてたな?」

「ああ。でも、子供河童のいたずらだよ。退治じゃなくて説得と保護か移住かかな」

「ふむ」

河童は悪戯好きで人間を困らることはおおいが、人を食ったり、酷い害を与える者はいない。

「まぁ、また今度でいいか。それより、牛鬼の知り合いが‥‥」

「牛鬼だって!?あの人を食べることで有名な強いあやかしでしょ?」

「普通の牛鬼はな。俺の知り合いの牛鬼は名前を藤(ふじ)と言って、ベジタリアンなんだ。肉類は一切食わず、いつもは坊さんに化けて、寺でお経唱えてる」

「うへあ、牛鬼のお坊さん‥‥」

「供養する亡骸が他のあやかしに食べられて、牛鬼ということがばれて退治されそうになっているんだそうだ。早急に手を打ちたい。今日の午後にでも向かえるか?」

「あ、あ、うん大丈夫だよ。河童の子供は後回しだね。それより、君とそのベジタリアンの牛鬼の馴れ初めが聞きたいくらいだね」

京楽が、興味をもったようだった。

「妖力があるって、あろうことか俺の桜の花を枝ごと食いやがたんだ。ボッコボコにしたら、人間を一度も食べていないので妖力が弱くなって、野垂れ死にしかけていたらしい。見捨てるのもなんだから、藤という名前を与えて妖力を分けてやり、俺の桜の大樹の見張り役を任せていた。大分古くからの知り合いだな」

「友人じゃないんだ」

「藤は、夜刀神が嫌いでな。その友である俺とは、友人にはなりたくないのだそうだ」

「浮竹と友達になりたくないだなんて、わがままだねぇ」

「まぁ、俺もあやかしの友は夜刀神くらいでいい」

浮竹と京楽は、その日の午後、異界渡りをして藤という牛鬼が住み込みで働いている寺にいき、関係者や亡骸を失った遺族たちから、藤が牛鬼であるという記憶を消した。

「ありがとう、桜鬼」

「その名はやめろ。今の俺は桜の王と呼ばれている」

「分かった。桜の王、ありがとう。少ないが、謝礼金だ」

藤は、50万ばかり入った封筒を浮竹に渡す。

「坊さんってもうかるのか?」

「けっこう。お経あげて供養するだけで金がもらえるから楽だ。他の牛鬼は人を食べて退治されているが、俺が退治されそうになったのは今回がはじめてだ」

「そりゃ、牛鬼の見た目も人食うことも、怖いからな」

「はははは。今じゃ見ての通り、ただの坊さんだ。近いうちに、人化の術を使おうと思う」

「人化の術を使うと、老いがくるぞ」

「ああ。それでいいんだ。俺は、人として生きて、人として死にたい」

その言葉は、京楽を感動させた。

「人として生きたいあやかしも、いるんだね」

「こいつは「春」じゃないな。誰だ」

「京楽春水。「春」の生まれ変わりで、「春」と魂が融合した者だよ」

「半妖の気配がする。妖力が漏れている。きちんと、妖力のコントロールの仕方を覚えないと、俺みたいに人間に退治されそうになるぞ。簡単な方法でいいなら、俺が教えてやろう」

藤は、半妖の気配をまとう京楽に、妖力のコントロールの仕方を教えた。

「すまん、藤。本来なら俺の役割だったんだろうな。京楽の気配に慣れすぎて、妖力が少し漏れているのに気づかなかった」

「こっちは助けてもらった恩があるからな。どうってことない」

そのまま藤と別れ、浮竹と京楽は帰宅した。

家では、白哉がもう帰っており、恋次の姿もあった。

「あ、お邪魔してます、浮竹さん京楽さん。白哉さんを、祓い屋の俺の家に行かせることができないので、こっちにお邪魔することにしました」

「ああ、わかめ大使でも食べて、待っていてくれ。夕飯を作る。食べていけ」

「浮竹の作る料理は、とてもうまいのだ」

「白哉さんがそう言うなら、相当おいしんでしょうね。楽しみっす」

「ああ‥‥また居候もどきというかが増えた。浮竹と二人っきりになれる時間はいずこへ?」

京楽は、賑やかなのはいいことだが、浮竹と二人でいちゃつけないので、浮竹の手料理を食べてから、ふて寝するのであった。




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オメガバース恋白9

「隊長、バレンタインチョコって‥‥‥」

「そんなもの、用意しておらぬ」

「そうですよね」

恋次はがっくりとうなだれた。

番になって2年が経とうとしていた。

白哉はヒート期間は仕事を休むし、その相手をする恋次も仕事を休むが、それ以外の日は非番以外は休まない。

「チョコがそんなに欲しいか」

「欲しいです」

「では、清家に言って、現世で買ってこさせる」

「そうじゃなくって、隊長が買ってきてほしいんす」

「私に、現世にいき、女たちに混ざってバレンタインチョコを買えと?」

「いや、普通の菓子屋で売ってるようなんでいいんで。隊長が、俺のために買ってくれることに意味があるので。手作りは無理だろうし」

「当り前だ。私は料理などせぬ」

白哉は自慢気に言う。

「まぁ、専属の料理人いますからね」

「仕方ない。お前がそこまで望むなら、現世にいきチョコレートとやらを買ってこようではないか」

「え、まじっすか!楽しみに待ってますね!」

白哉は、現世に急遽行くことになった。

許可も得ずに現世に行き、短時間なのでささっとコンビニとやらでチョコレートを大量に買いこんだ。

「ほら、お前が欲しがっていたチョコレートだ」

「ちょっと、量がおおすぎませんか」

「お前が望んだことであろう。責任をとって、全部食せ」

「いや、この量は鼻血じゃすまない‥‥」

「恋次」

「はい!」

白哉は、恋次を呼ぶ。

「チョコレートなど、どうでもよいであろう。私はお前を愛している。番として、オメガとして、アルファであるお前を愛している」

「隊長‥‥抱いていいっすか?」

「だめだ。ヒート期間ではないのだ。体を繋げる必要はない」

「少しだけっすから」

恋次は、白哉を抱き寄せると、深い口づけをする。

「ふあ‥‥」

「隊長、かわいい」

「破道の4、白雷」

「ぬおおお!でも、負けません!」

恋次は、嫌がる白哉を姫抱きにして、奥の隊首室に連れていくと、やや乱暴にベッドに放りなげた。

「恋次?」

「俺は、いつだってあんたを抱きたい。飢えてるんだ」

「恋次、やめよ!」

「好きです、隊長」

「あああ!」

隊長羽織も死覇装もするすると脱がされて、白哉は諦めて恋次に身を委ねた。

「痛くしたりしたら、承知せぬぞ」

「もっとって、言わせてやりますよ」

自信満々な恋次に、白哉は抱かれる。

「んああああ!!!」

いい場所を指がすりあげて、白哉は啼いていた。

「んあ‥‥もう」

「もっとっていうまで、あげませんよ」

「恋次」

妖艶な笑みで、白哉が足を広げる。

「ま、負けません」

「く‥‥仕方ない。もっと、もっとお前をくれ」

「わかりました」

ローションまみれの指を引き抜いて、恋次は昂った己で白哉を貫いた。

「ああああ!!!!」

「隊長‥‥もっと力ぬいて」

「ううん」

「息、ちゃんとしてください」

「ひあああ!!!」

白哉の奥の奥まで侵入した恋次のものは、奥をゴリゴリと刺激する。

「いあああああ!」

白哉は、体をビクンと弓ぞりにしならせて、大きく中いきをしていた。

「きもちいいっすか?俺はすごくきもちいいです」

「たわけが‥‥ああああ!!」

一度引き抜かれてから、最奥まで一気に貫かれて、白哉は目を細めた。

「あ、もっと、恋次」

「はい、隊長。隊長が満足するまで、抱いてあげますよ」

恋次の熱い精液を胎の奥で受け止めて、白哉は目を閉じる。

じんわりと広がっていく熱は、アフターピルを飲まねば妊娠する。

コンドームをすればいいのだが、白哉も恋次もコンドームを使わない。

ヒート期間中に、白哉の欲望を沈下する作用があるせいで、ヒート期間でなくても生で交わる。

「ひあああ、ああ、ああ!」

ごりごりっと奥を抉られながら、白哉は己のものを恋次の手でしごかれて、恋次の手の中に精液を放っていた。

「んあっ」

「気持ちいいっすか、隊長?」

白哉は熱にうなされて、コクコクと頷いた。

「もっと、たくさん子種あげますからね」

「恋次、愛している」

「俺も愛してますよ、隊長」

白哉の胎の奥に子種を注ぎこむ。

白哉は、大きなオーガズムでいってしまい、そのまま意識を失った。

「隊長?」

白哉はピクリともしない。急に心配になって、呼吸をしているのを確かめると、ちゃんと息をしていたので安堵する。

「あちゃー、やりすぎちまったかな。後で怒られるな」

白哉の体を、濡れたタオルで清めて衣服を着せて、シーツを変えたベッドで横にさせたまま、恋次は白哉を起こさないで仕事をしだす。アフターピルは飲ませておいた。

白哉が起きてきたころには、夕方になっていた。

「恋次」

「あ、起きましたか隊長。俺のテクで気を失って‥‥」

「破道の4、白雷」

「ぎょえええええ」

調子に乗った恋次は、白哉に白雷を思い切りうたれた。

「すんませんでした!」

「わかればよい。チョコレートとやらは、お前で全部食べろ。残すなよ」

「はいいい」

恋次は、もう白雷をくらいたくなくて、思い切り返事をするのだった。




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好きなものは好き

「その、今日はバレンタインの日であろう?失敗したが、チョコを作ってみたのだ」

ルキアが渡したチョコは、ラッピングもされておらず、焦げていた。

一護は、焦げたチョコを戸惑うことなく口に入れる。

「そ、その、ちゃんとしたやつを買ってくるから!」

「俺は、これでいい。ルキアの手作りってとこが一番いい」

「一護‥‥苦いであろう?」

「ガトーショコラだと思えばいい。ルキア、手作りチョコレートありがとな」

一護は文句も言わず、ルキアが失敗した手作りチョコを全部食べてしまった。

「無理をして、全部食べずともよかったのだぞ」

「ルキアが俺のために作ってくれたんだ。全部食うのが当たり前だろ」

「一護‥‥‥」

「ルキア、俺からもチョコやる」

「え?」

ルキアは目を瞬かせた。

「女性が男性におくるのが通常だけど、俺もルキアにチョコ渡したかったから、買ってきた。店員さんにかわいそうな目で見られてたけど」

「ふふっ」

ルキアは、おかしそうに笑う。

それから、一護からチョコを受けとって食べた。

「甘いな。おいしい。一護の愛がつまっている」

「ちゃんと、ホワイトデーにはお返しもするからな」

「すまぬな。あのようなチョコで」

「いいって。気にすんな」

一護が買ってきたチョコはハート型で、それを食べていたルキアが、ふと一護に口づけた。

「あめぇ」

「ふふ、おすそわけだ」

チョコを食べながら笑うルキアがかわいくて、一護はルキアを抱き寄せる。

「一護?」

「あー、もう、お前ってかわいいなぁ。食べてもいいか?」

「ちょこはもう食べたであろう?」

「違う。ルキアを食べたい」

ルキアは真っ赤になったが、コクンと頷いた。

「先に、一緒に風呂入ろうぜ」

「わかった]

そんなに広くない風呂場は、二人入るのが精一杯で、湯船に二人で浸った後、一護はルキアの髪を洗ってやった。

「私も貴様の髪を洗ってやる」

ルキアが、お返しにと一護の髪を洗う。

風呂から出て、髪の毛をドライヤーでかわかして、パジャマを着た。

「本当にいいのか?」

一護が聞くと、ルキアはコクンと頷いた。

初めてではないのだ。

だが、あまり抱かれることはないので、行為に慣れているわけでもない。

一護はルキアを大切にするあまり、セックスをあまりしなかった。

「貴様が欲しい」

そう言われて、一護のものも昂る。

「ああ!」

薄い胸の先端を甘噛みしてやると、ルキアが声をあげる。

「や‥‥」

「もう、こんなに濡れてる」

一護の手が、ルキアの秘所を触る。

「あ、一護」

「ルキア、好きだ」

「私も、一護が大好きだ」

秘所に指をいれられて、天井部分をこすられると、ルキアは快感のあまり頭が真っ白になった。

「ああああ!!!!」

「いれて、いいか?」

「う、うむ」

一護は、コンドームをつけて、ルキアの秘所に挿入する。

ゆっくりと、なるべく痛くないように。

「痛くないか?」

コクンと、ルキアは頷いた。

「もっと貴様が欲しい。もっと奥までこい」

「ルキア‥‥愛してる」

一護は、ルキアを突き上げて、揺さぶった。

「んああああ!!」

オーガズムの波にさらわれる。

「あ、あ、ああ!!」

一護を締め付けて、一護はコンドームの中に精液を出していた。

「コンドーム変えるな。ルキア、もう少し相手してくれるか」

「一護が、それを望むなら」

一護はルキアに口づけて、コンドームを変えるとまたルキアの中に侵入する。

「んあっ」

濡れた声を出すルキアは、快感でとろけていた。

「あああ、いやああ、もらしちゃうううう」

ルキアは、潮をふいていた。

「潮だ。もらしたわけじゃないから、安心しろ」

「ほんとに?潮とはなんだ?」

「あー、気持ちよくなりすぎたら出ちゃう、透明な液体」

一護もうまいこと説明できず、ルキアの額に口づけて、律動を再開する。

「あん、あ、あああ」

「もっと、声、聞かせて?」

「あああ、一護!」

「ルキア、愛してる」

「あ、私も愛している」

ルキアと一護は、一つになってお互い高みへと昇っていく。

一護がコンドームの中に二度目の精液を出していた頃には、ルキアは絶頂を迎えて、少し息を乱していた。

「大丈夫か?もう終わりだけど」

「あ、もっと、一護」

「ルキア‥‥」

一護は、ルキアの中でまた欲望をたぎらせる。

「あ、中で大きくなって‥‥」

「ごめん、ルキア。もうちょっと付き合ってくれ」

「わかった」

ルキアは、二度目の潮をふいて、一護から優しい口づけをもらっていた。

「ごめんな。俺ばっかいっちまって」

「そんなことはない。私も気持ちよかったし、何度もいった」

「そうか。ならよかった」

お互いを抱きしめあいながら、クスリと笑う。

「貴様は、私をあまり抱きたがらないから、異性として魅力がないのかと少し心配していたのだ」

「いや、ただ大事にしたいだけだ。セックスしだすと、夢中になってがっついてしまいそうで」

「それでも、別によいのだぞ?私たちは大人の関係だ」

「体が目的と思われたくねーんだよ」

一護は、優しくルキアの髪を手ですいた。

「一護は、そんな男じゃないことくらい、十分に知っている」

「そうか」

ルキアの体をぬれたタオルでぬぐい、一護は自分の体もふくと、パジャマをきて、新しくひいたシーツの上で、ルキアと一緒に横になる。

ルキアは体力を消耗していたのか、すぐに眠ってしまった。

「おやすみ、ルキア」

一護は、ルキアの額に口づけて、自分も寝ることにした。

明日は、ルキアが尸魂界に戻る日だ。

金曜の夜に現世にやってきて、土日を一護と過ごし、月曜の朝に尸魂界に戻る。

慌ただしいが、現世にいくことを許されている今が、一番幸福だった。


「ルキア、起きろ。朝だぞ」

「うーん、後10分‥‥」

「尸魂界に戻る時間、過ぎてるぞ?」

「へあ!?」

ルキアは飛び起きた。

「や、やばい。兄さまに叱られる」

「俺のせいだって言っとけ」

「そのような‥‥しかし、半分はそうだな」

ルキアは、尸魂界に戻る時間をとっくに過ぎているので、もう余裕で朝飯を食べてから、尸魂界に戻り、義兄である白哉から長いお説教をくらうのであった。



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演劇

「おお、一護、あなたはなぜ一護なの」

「おお、ルキア、愛しの‥‥やってられっか!」

高校3年の最後の文化祭で、一護とルキアは演劇を担当することに、半ば強制的に決められた。

ロミオとジュリエットのパロディで、ロミオ役が一護、ジュリエット役がルキアだった。

「私もやめだ。なぜ貴様と愛し合う劇などしなければならぬ。井上にでもさせておけばよかろう」

「え、あ、私!?えええ、困るなぁ」

そう言いつつ、井上は相手が一護なので満更でもないようだった。

「俺もやめだ。井上、石田、ということであとは頼む!」

一護とルキアは、演劇の練習を切り上げて、虚出現の連絡を受けて、学校を飛び出す。

一護は一度自宅に戻り、コンを肉体にいれて死神化すると、待っていたルキアと合流した。

この地区を担当する死神には手のあまる、少し強い虚だった。

「行くぞ、ルキア。油断すんなよ」

「誰に向かって言っておるだ」

ルキアは、袖白雪で、虚を凍りつかせる。

そこに、一護が斬月で切りかかり、虚はあっという間に片付いてしまった。

「どうする?学校に戻るか?」

「バカを言え。また、あのくだらない劇の続きをさせられえるぞ」

「俺、お芝居じゃなかったら、ルキアを愛してるって言えるんだけどな」

「はぁ!?」

ルキアは、一護の言葉にトマトのように真っ赤になった。

「わ、私を、愛しているだと!?」

「愛しているっていうか、恋愛感情で好きだ」

「き、貴様、そのようなこと微塵も感じさせなかったではないか!」

ルキアが叫ぶと、一護も少し赤くなった。

「そりゃ、隠してたから」

「本当に、私のことが好きなのか?」

「好きでもない女と、一緒のベッドで眠ったりしない」

ルキアは、一護の妹たちの部屋をあてがわれていたが、一護の部屋で一護のベッドでいつも、一護に背後から抱きしめられて寝ていた。

好きだとか、そんな感情を真剣に考えていなかった。

「一護‥‥‥その、真剣に考えると、一護のことを思うと胸がどきどきするのだ。これが、恋というものなのか?」

「多分そうじゃね?」

一護は、ルキアを抱き寄せた。

「一護‥‥‥」

ルキアは、一護の腕の中で、おとなしくなった。

「どうしたんだよ。いつもなら、貴様何をするとか言って、蹴ったりするのに」

「わ、私とて好きな相手を蹴りまくったりはせぬ」

「俺たち、相思相愛ってことでいいんだな?じゃあ、付き合おうぜ」

「付き合うか‥‥‥しかし、兄様が」

「白哉のことは抜きで」

「わかった。今日から、私は貴様の彼女ということにしてやろう」

「素直じゃないやつ」

「う、うるさい!」

一護とルキアは、手を繋いで歩きだす。

死神の姿なので、霊感のある者以外見えなかった。

「帰ったら、ファミレス行こうぜ。白玉餡蜜おごってやるよ」

「本当か!?」

ルキアが目を輝かせる。

「一応、初デートってことで」

「う、うむ」

ルキアは、一護の手をぎゅっと握った。

一護は、あいていた手でルキアの頭を撫でた。

「演劇、明日からも続けるか?」

「くだらぬ劇だが、相手が貴様なのだ。続けてやってもいい」

本当に、ルキアは素直じゃないなと一護は思うが、口には出さない。

素直じゃないところも、かわいいのだ。

一度自宅に戻り、死神姿から人間の体に戻ると、ルキアとまた手を繋いで、ファミレスに向かう。

「チョコレートパフェも頼んでもいいか?」

「バイト代入ったばっかだし、好きなもん頼めよ」

「うむ」

ルキアは、白玉餡蜜の他にいろんなスィーツを注文して、一護の財布に大打撃を与えるのだった。

「ルキア、食いすぎだ」

「好きなものを頼めと言ったのは、貴様だぞ?」

「だからって、遠慮を知らんのか」

「心配せずとも、金なら私も兄さまにもらった分をもってきている」

背に背負ったチャッピーのリュックサックを開けると、100万円の束がでてきた。

「ばか、危ないだろ!そんな大金持ち歩くな」

「でも、あったほうが何かあった時、便利であろう?」

「持ち歩くのは、せいぜい10万くらいにしとけ。それでも多い」

「ふむ」

ルキアは首を傾げた。

そんな仕草すら愛らしく見えてしまう。

一護は、自分も大分末期だなと思った。

「そういえば、他の男子たちが胸の大きい井上がいいと言っておったのだ。貴様は、違うのか?」

「あー俺?俺巨乳に興味ねーから。どっちかっていうと、貧乳派‥‥あべし」

ルキアにアッパーを食らった。

「貴様、私が貧乳だから好きだとか、最低な理由で好きではないだろうな?」

「違う違う。ルキアだから好きなんだ。そのルキアがたまたま貧乳で‥‥あべし」

今度はエルボーをくらった。

「私は断じて貧乳などではない!」

「いや、さっき自分で貧乳って言ってたじゃねーか」

「聞き間違いだ!」

「はいはい、そういうことにしておく」

ファミレスで大分時間をつぶしてしまい、外に出ると真っ暗になっていた。

「帰ろうか」

「うむ」

また、手を繋いで歩きだす。

ルキアは、高校を卒業するまでは現世にとどまることを許可されていた。

一護は、ルキアが高校を卒業した後も、定期的に会いにいこうと思うのであった。





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