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奴隷竜とSランク冒険者36

世界には、亜人が存在する。

エルフ、ドワーフ、獣人、リザードマン、それに精霊族であった。

精霊族は種類によっては個体数が少なく、冒険者稼業をしている日番谷冬獅郎は、とても珍しいアイシクルという氷の精霊族であった。

パーティーメンバーは、雛森桃と、松本乱菊。

最年少のSランク冒険者で、13歳であった。

見た目は幼く、13にも達していないように見えた。

冒険者ギルドの新人になめられて喧嘩を売られて、返り討ちにしたこと数十回。

パーティメンバーのの雛森と松本はAランク冒険者であるが、Sランク冒険者の冬獅郎がいるので、Sランクの難易度の高くないダンジョンなら行けた。

「浮竹に京楽、話がある」

冒険者ギルドで、クエストの受注をしようとしている浮竹と京楽に話しかける。

「お、冬獅郎君どうしたんだい?」

「冬獅郎から話かけてくるなんて、珍しいな」

「今度、雛森と松本とで、新しいSランクダンジョンに行くことになったんだ。だが、雛森と松本はまだAランク冒険者だ。力をかしてもらえねぇか」

「ああ、俺たちでいいなら、力を貸すぞ」

「そうだね。2人も、経験を積めばSランク冒険者になれそうだしね」

承諾の言葉を聞いて、冬獅郎が珍しく明るい表情を出した。

いつもは氷のように冷たく、表情を変えないのだが、断わられるとばかり思っていたので、嬉しいのだ。

「いつ、行くんだ?」

「来週の火曜だ」

「分かったよ。じゃあ、ボクたちも来週の火曜から1週間ばかりスケジュールをあけておくよ。ダンジョンには、1週間くらいこもるんでしょ?」

「ああ。6日間こもって、できるだけ最深部を目指す予定だ」

冬獅郎は、離れて様子を見ている雛森と松本の様子をちらりと見た。

「じゃあ、6日分の食事の用意は京楽に任せてくれ」

「いいのか?いつも携帯食で済ませているが、京楽は作った飯をアイテムポケットに入れて、取り出して食うんだろう?」

「ああ、そうだぞ。携帯食はまずいからな。栄養バランスもよくない。京楽なら、そこらのレストランのコック並みの腕をもっているからな」

「ふふふ。ボクって、何気に凄いでしょ」

京楽は、調子に乗って胸を張る。

「食事代はいくら出せばいい?」

「一緒に冒険する仲間だろう。金などいらん」

「報酬も、もらわないつもりだろう?」

冬獅郎がそう聞くと、浮竹は頷いた。

「報酬はいらん。そっちの3人で、手に入れたマジックアイテムや金銀財宝、魔法書は分けてくれ」

「浮竹、京楽、すまねぇ。恩に着る。雛森と松本のSランク昇格試験に金がいるんだ。助かる」



そうして、火曜がやってきた。

冬獅郎は、魔剣の氷輪丸を背に携帯し、アイシクルという精霊族のためか、近づくと周囲に冷気が漏れてくる。

「シロちゃん、ほんとに浮竹さんと京楽さん誘ったんだ」

「冬獅郎君、さすがね。あのムーンホワイトドラゴンで有名な浮竹さんと、そのパートナーの京楽さんを口説き落とすなんて」

松本は、神々の谷間である豊満な胸を強調するような鎧を着ていた。

その胸の谷間に京楽の視線がいくものだから、浮竹は京楽の足を踏んづけた。

「あいたたたた。ごめん、ちょっと見ただけだよ。許してよ」

「知るか」

二人は、いつものように痴話げんかをはじめるが、3人がいるので早々に痴話げんかを終わらせて、5人でSランクダンジョンに挑んだ。

浮竹と京楽は主に補佐で、危なくなったら助けるということになっていた。

「ファイアエンチャント!うなれ、灰猫!」

「エナジーランス!」

「ゴッドアイシクルランス」

主に冬獅郎を中心として戦いをはじめて、やってくるワイバーンを冬獅郎が氷の槍で地面に落とし、そこで松本が剣で、雛森が魔法でとどめを刺す。

「けっこうやるじゃない、乱菊ちゃんも桃ちゃんも」

「そうだな。だがつめが甘い・・・・・・・アイシクルブレス」

ブレスを吐こうとした、まだ生きていたワイバーンに、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。

「浮竹は、アイシクルブレスが得意だったな。俺もアイシクルブレスを、精霊族のアイシクルだから出せるぜ」

「お、お揃いか!」

浮竹は嬉しそうだった。

浮竹は、一護と白哉と冬獅郎に、特別目をかけていた。

「お前のアイシクルブレスほどの威力はないが・・・・・アイシクルブレス!」

冬獅郎が、空を飛び交うワイバーンの群れにむけて、アイシクルブレスを吐く。

ワイバーンたちは翼が凍りついて、次々と地面に落下する。

「うなれ、灰猫!」

松本の持っている灰猫という剣は魔剣で、刀身が灰のようになくなり、標的の前に突然現れてトドメを刺す。

「ファイアサークル!」

雛森が、炎で地面に落ちたワイバーンを焼いて殺していく。

雛森は、職業は魔法使いだ。

松本は剣士で、冬獅郎は魔法剣士だった。

ちなみに、浮竹と京楽も魔法剣士ということになる。

「きしゃああああああ!!!」

群れのリーダーであったブラックワイバーンが現れて、雄叫びをあげる。

「さがれ!俺と浮竹と京楽で倒す」

「でも、冬獅郎君!」

「松本、リーダーは俺だ。俺の判断に任せろ」

「は~い」

まだ暴れたりない松本は、灰猫で何気にブラックワイバーンの翼を貫いたが、傷は浅く、ブラックワイバーンは冬獅郎めがけて襲ってきた。

「アイシクルブレス!」

「アイシクルブレス!!」

冬獅郎と浮竹は、氷のブレスを吐く。

京楽が、魔剣ドラゴンスレイヤーでブラックワイバーンの前足を切り落とす。

「乱菊ちゃん、桃ちゃん、二人でとどめを。経験値が入って、レベルアップするはずだよ」

ちなみに、レベルは1000まであり、浮竹が955、京楽が987だった。

冬獅郎で850である。

松本と雛森は650くらいであった。

京楽に言われた通りに、松本と雛森がとどめをさすと、レベルが2あがっていた。

「ブラックワイバーンは、ブラックドラゴンの亜種だからね。一応ドラゴン族ということになる。経験値は膨大だ。まぁ、ボクと浮竹はカンストが近いので、そうそうレベルはあがらないけどね」

レベルが1000になり、更に鍛錬をつむと限界を突破して、1000を超えることもできるが、それはハイエルフの浮竹や、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽のレベルだった。

5人で協力しあいながら、100階層までやってくる。

氷属性のアイスドラゴンがボスだった。

アイシクルブレスでは回復するので、浮竹は炎の魔法が使えないので風の魔法で切り裂き、京楽はドラゴンスレイヤーに炎の魔法をエンチャントして、冬獅郎の氷の魔剣氷輪丸にもなんとか炎の魔法をエンチャントして、二人で切りかかった。

「ぐるるるるる」

「目つぶしさせます。目を閉じてください!サンシャイン!」

雛森が太陽の光を集めた光で、アイスドラゴンの目を瞑す。

「うなれ、灰猫!」

松本が、アイスドラゴンの額の魔石を砕く。

額の魔石は、ダンジョンにいるドラゴンという証で、弱点の一つであった。

とても固く、容易には砕けないのだが、松本の腕で砕くことができた。

「トドメは俺が刺す」

冬獅郎が、光の槍を魔法で作り出して、アイスドラゴンを串刺しにした。

「ぎゅああああああああああ」

アイスドラゴンは、悲鳴をあげながら足をばたつかせてから、息絶えた。

「あ、レベル1あがってる・・・・・・」

冬獅郎が、レベルアップした音を聞いて、驚く。

「そりゃ、5人でボコボコにしていたとはいえ、ドラゴンだからな」

浮竹が苦笑する。

財宝の間が開き、珍しいマジックアイテムやらハイエルフの浮竹の書いた魔法書、金銀財宝があったが、浮竹と京楽は、最初にいらないと言っておいた通り、受け取らなかった。

「浮竹、京楽、助かった。ありがとう。お前たちがいなかったら、踏破できなかった」

「まぁ、Sランク冒険者の最低レベルは650からだからな。乱菊君も桃君も、もう少し経験をつめば、Aランク冒険者からSランクに昇格できるだろう」

浮竹の言葉に、松本と雛森は嬉しそうにしていた。

「じゃあ、ダンジョン踏破ということで、俺たちは帰るな?」

「ボクも、宿のベッドが恋しいよ」

「ああ、ありがとう、浮竹、京楽。また、機会があれば一緒にパーティーを組もう」

「分かった」

「うん」

二人は頷いて、報酬の財宝を整理している3人を置いて、帰還スクロールでダンジョンの外に出るのだった。

「あー。アイスドラゴンかぁ。解体して売れば、けっこうな値段になるんだろうねぇ」

「今回は報酬なしでOKしたからな。また、二人でどっかのSランクダンジョンに行って、財宝を手にすればいいさ」

「それもそうだね」

6日間、健全なる生活をしていたので、京楽はたまってしまっていて、浮竹を抱き寄せて口づける。

「んっ・・・・・・・」

「ねぇ、帰ったら・・・・・」

「却下。疲れているので、飯食って風呂入ったら、寝る」

「そんなぁ」

京楽は、それからさらに数日、おあずけをくらうのだった。




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奴隷竜とSランク冒険者35

ハイエルフの浮竹の心が、元に戻ったと知って、浮竹は自分のことのように喜んだ。

「京楽、元に戻った祝いにいくぞ」

「ええ、祝いにいくの?」

「花束をもっていく。なんの花がいいだろう」

「そうだね。薔薇でいいんじゃない?」

京楽は、適当に言ってみたのだが、浮竹はその案を採用した。

「白薔薇の花束を買って、魔力をこめて青薔薇にして、カスミソウで包んで渡そう」

「白薔薇を青薔薇に?そんなこと、できるの?」

「ハイエルフの俺から、教えてもらった民間魔法だ。消費魔力がでかいが、青い薔薇は価値が高いから、覚えたがるやつが多いらしい。だから、民間魔法だけど禁忌と同じであまり教えないそうだ」

「そんな魔法を、浮竹に」

「ああ。せっかくだから、花束にして渡そうと思う」

浮竹と京楽は、花屋にいくと白薔薇を100本と、カスミソウを買い、綺麗にラッピングしてもらった。

「よし、ハイエルフの俺の元に行くぞ」

ワープポータルをくぐり、空間移動してハイエルフの浮竹の住む神殿へとやってきた。

「快気祝いにきたぞ」

『ああ、ムーンホワイトドラゴンの浮竹かい。あとおまけのもう一人のボクも』

「ボクはおまけじゃないよ!失礼だね!」

京楽同士がけんかしそうなので、浮竹は紅茶が飲みたいとダークネスインフェルノドラゴンの京楽に甘えた。

『仕方ないねぇ。奥に浮竹がいるから、その花束も渡してあげて。いい茶葉が手に入ったから、お茶にしよう』


「ハイエルフの俺!」

浮竹は、ハイエルフの自分に抱きついた。

『わぁ、びっくりした!』

「元に戻ったんだな。俺のことも分かるよな?」

『ああ、心配をかけたようだな。もう大丈夫だ。お前はムーンホワイトドラゴンで、俺の友達。そっちは契約者で冒険者の京楽。ばっちり、思い出したぞ』

「これ、やる!お前のために青薔薇にしたんだ!」

『青薔薇をこんなに・・・・魔力、ごっそりもってかれて疲れたんじゃないか?』

「ああ。でも平気だ。マナポーション飲んだし」

マナポーションとは、安価な魔力を回復する薬だった。

「京楽が作ったマナポーションだから、普通の20倍は回復する」

『お前のところの京楽は器用だな』

「ダークネスインフェルノドラゴンの京楽が、お茶にしようと言っていた。お茶をするのに、俺が新しく覚えた魔法を使ってもいいか?」

『いいけど、俺が書いた魔法か?』

「ちがう。人間が作り出した魔法だ」

『どんな魔法なんだ?』

自分以外が作り出した魔法に興味がわいて、ハイエルフの浮竹は、浮竹の手をとる。

『お茶をいれてきたよ。茶菓子は木苺のタルトだよ』

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽がお茶やタルトが置かれたトレイを持ってきて、そこで浮竹は魔法を唱えた。

「クリエイトフラワーワールド」

『わぁ!』

『うわお』

ハイエルフの浮竹と、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は驚いた。

テーブルと椅子以外、あまりものがなかった部屋が、花畑になっていた。

テーブルと椅子はそのままで、一時的に花畑の空間を作り出す魔法だった。

『綺麗だなぁ』

『こんな魔法、あるんだね』

「俺が、Sランクのヒュドラを京楽と一緒に倒した報酬でもらったんだ」

『俺以外が作る魔法は、戦闘魔法だとばかり思っていたが、こんな綺麗な魔法もあるんだな』

浮竹と京楽はテーブルにつき、ハイエルフの浮竹は幻ではない花と花束を手にする。

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は給仕係だった。

4人でお茶をして、どうやって戻ったのとかいろいろ聞いてから、浮竹はハイエルフの浮竹を誘う。

「この魔法は、3時間しか効果がないんだ。花冠つくらないか?これだけ花が咲いているんだ。綺麗な花冠ができると思う」

『いいな。じゃあ、俺はそっちのお前と冒険者の京楽の分を作ろう』

「じゃあ、俺はハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽の分を作るな」

2人は、きゃいきゃいとはしゃぎながら花をつみ、花冠を編んでいく。

「かわいい・・・・・・」

『かわいいね』

「珍しく意見が一致したね」

『かわいいものはかわいいから、仕方ないよ』

「京楽、見ろ、できたぞ!」

浮竹が、出来上がった花冠を、ハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽の頭にのせる。

ハイエルフの浮竹も、浮竹と京楽の頭に花冠を乗せた。

風が吹き、花びらがさぁぁぁと散っていく。

幻想的な光景に、ハイエルフの浮竹は声も出ないようだった。

「そろそろ時間だな。魔法の効果が切れる」

『俺にも、その魔法を教えてくれないか?』

ハイエルフの浮竹は、生まれて初めて、人間が作り出したその魔法は美しいと思った。

『改良して、もっと効果時間も長くて花の種類も多い魔法にしたい』

「ああ、いいぞ」

浮竹は笑顔で、ハイエルフの浮竹に魔法を教える。

その光景を見て、二人の京楽はかわいいなぁと心から思うのだった。

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奴隷竜とSランク冒険者34

ハイエルフの浮竹が、魔王藍染の配下の者に強制的に魔法書を書かされて、精神的なショックから、幼児退行してしまったことに、浮竹はしょんぼりしていた。

「出会ってたくさんしゃべって、知り合えたのに初めましてって言われた」

「仕方ないよ。時間が解決するのを待つしかないんじゃないかな」

「うーーーーーー」

浮竹は、クッションを京楽に投げた。

「どうしたの」

「京楽は、もしも俺がハイエルフの俺みたいになったら、どうするんだ」

「その時は、元に戻るを気長に待ちながら、一からまた関係を築いていくよ?」

「むう」

浮竹は、うなった。

「ハイエルフの俺、大丈夫かな」

「様子、見に行く?」

「いや、いい。またショック受けるから・・・・・」

「そう。じゃあ、ボクだけいってくるね。この前一護君がきた時に作った苺のムースあまったから、おすそ分けしようと思って」

「待て、俺も行く!」

結局、浮竹も京楽についていって、ワープポータルに乗り込み、ハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽が住む神殿までやってきた。

「ごめんください」

「いるかなー?」

『どうしたの?』

「あ、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽。ハイエルフの俺の様子はどうだ?」

『変わらないね。まだ、心は子供のままだよ』

「そうか・・・・・・」

浮竹は、やっぱりショックを受けていた。

「会えるか?」

『うん』

『あれ、ムーンホワイトドラゴンだっけ?』

「ああ、そうだぞ、ハイエルフの俺。何をしているんだ?」

『魔法書を作っているんだ。作らないと怒られるから』

「重症だね」

京楽の言葉に、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽の表情が暗くなる。

「エリクサーとかためした?」

『ためしたけどダメだった。心の問題だからね』

「早く、元に戻るといいな?ハイエルフの俺」

『ん、何がだ?』

浮竹は、ハイエルフの浮竹を抱きしめて、額にキスをした。

「元に戻れる、おまじないだ」

『なんだか知らないが、ありがとう』

「ああ、浮竹の浮気者!」

「うるさい。帰るぞ、京楽。ダークネスインフェルノドラゴンの京楽も、こんを詰め過ぎないようにな?これ、お土産の苺のムースだ」

『わぁ、おいしそう』

「たくさんあるから、好きなだけ食べていいぞ」

『ありがとう』

浮竹と京楽は、そのまま帰っていった。



「エリクサーでも治らないとは、重症だな」

「心の問題だからね。エリクサーは、状態異常の全ての消去と、肉体の完全回復。今のハイエルフの浮竹は、心だけが取り残されてる」

「ああ・・・・心配だ」

「また、様子を見に行けばいいよ」

「うん、そうする」

浮竹と京楽は、久しぶりにSランクダンジョンにいき、魔法をぶっぱしすぎて、ダンジョンの形を変えてしまい、ダンジョンマスターに怒られて、帰ってきた。

「ああ、やっぱり心配で、魔法ぶっぱしたくなる!」

「宿の中では、禁止だよ?」

「違うSランクダンジョン行って、魔法ぶっぱしてくる」

浮竹は、覚醒と進化を遂げて、魔力が無尽蔵になっていた。

京楽も契約のせいで、同じように魔力が高くなっている。

結局、そのダンジョンでも海のフィールドの全ての海を蒸発させた上に、地面を割って地形を変えてしまい、ダンジョンマスターに怒られて外に放り出されるのであった。

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奴隷竜とSランク冒険者33

浮竹と京楽が泊まっている高級宿に、一護がやってきた。

「京楽さん、浮竹さん、俺を強くしてください」

「一護君は、十分強いだろう?」

「でも、この前Sランクダンジョンで、ルキアに怪我させちまった。ルキアを守り通すくらい、強くなりたいんす」

「一護君は、サンシャインレイドラゴンなのを、秘術で強制的に精霊族にしてるんだったね」

京楽の言葉に、一護は頷く。

「じゃあ、サンシャインレイドラゴンの力を、解放できるように訓練しよう」

浮竹の言葉に、一護が驚いた顔をする。

「え、そんなことできるんすか」

「ダークネスインフェルノドラゴンの京楽から、教わったドラゴニックオーラを使えば、一時的ではあるがドラゴンの力を取り戻せるだろう。修行になるけど、いいかい?」

「もちろんです」

浮竹と一護は、草原地帯にいくと、風と一体化するように精神を研ぎ澄まし、瞑想を始める。

「一護君、元の姿のサンシャインレイドラゴンの時の魔力を思い出すんだ。その魔力を、全身に纏わせるイメージを続けて」

「はい」

「ボクは何もすることないから、ちょっと狩りにいって食料調達してくるよ」

京楽は、二人の邪魔にならないように、そっと抜け出した。

「あ、なんかイメージ掴めてきたっす」

「その魔力が、ドラゴニックオーラだよ。その魔力を全身に纏わせたまま、精霊族の体では3時間が限界だろうけど、ドラゴンの力を引き出せる」

一護は目を開けた。

全身にドラゴニックオーラを纏った一護は、浮竹たちの前にくる前の一護と比較して、明らかに力がかなり増していた。

サンシャインレイドラゴンは、神竜マザードラゴンの3体の子と言われている、サンシャインレイドラゴン、ムーンホワイトドラゴン、ダークネスインフェルノドラゴンの3体のうちの1体である。

強くて、当たり前なのだ。

ただ、その力の制御の仕方を知らないだけで。

「魔力がすげぇ。あ、ブレスも吐ける」

一護が炎のブレスを吐くと、地面は炭化して生えていた草木はなくなってしまった。

「ちょっと、力が過剰だね。もうちょっと制御するイメージを作ろうか」

「はい!」

それから、数日にわたって一護は浮竹と京楽のところにきて、瞑想をしたりしてドラゴニックオーラを自分の力で引き出せるようになって、力の制御の仕方も覚えた。

「ありがとうございました!」

一護は、新しい力を手に入れて、その制御の仕方も覚えて、明るい顔をしていた。

「今日は暗いし、泊まっていけばいい」

「え、でも・・・・こんな高級宿・・・・・」

「じゃあ、せめて夕飯だけでも食べていって。ボクが作るんだけどね」

「京楽さんの料理マジうまいんで、嬉しいです。じゃあ、夕飯だけごちそうになって、帰りますね?」

京楽は、浮竹と一護が修行をしている間、自分も精神統一をして魔力を高めていた。

今日のメニューは、ハンバーガーにポテト、コーンスープだった。

「うまいっす」

「口にあったなら、よかったよ」

「京楽、おかわり」

「はいはい。浮竹の胃はプチブラックホールだからね」

「え、あんだけ食べてまた食べるんすか」

浮竹の前には、2人前のハンバーガーとポテトが置いてあったが、それだけでは足りなくて、おかわりをしていた。

「デザートはないのか?」

「一護君がいるから、苺のムースにしてみたよ」

「うん、うまい。一護君も食べてみればいい」

「はい!うわ、おいしい。プロのコックみたいな味ですね!」

「うちの京楽の作る飯は、とにかくうまいからな」

「毎日こんなもん食べれるなんて、幸せですね」

一護がそう言うと、浮竹は頬を赤らめた。

「な、別に料理がうまいから一緒にいるわけじゃない」

「そうだね。ボクたち、契約してるし」

「隷属ではなく、主従でもお互いをパートナーとする契約だからな」

「俺も、ルキアと契約してるけど、ルキアを守れないから焦って・・・・・」

「一護君、君は十分に強くなった。胸をはって、帰るといい」

「はい!」

夕飯を食べ終えて、ワープポータルを利用して帰っていく一護を、浮竹も京楽も見送った。

「若いねぇ」

「俺たちもまだ若いだろう」

「いや、でも見た目は少年でも、300歳はこしてるそうだよ」

「えええええ!!!俺より年上なのか!」

浮竹は、心底驚いていた。

何せ、ムーンホワイトドラゴンの浮竹は22歳ぐらいだ。

産まれてまだ20年と少ししか経っていない。

「君は、成長促進の魔法をかけられて育ったみたいだね」

「そうなのか」

「普通、ドラゴンが成人するには最低でも100年はいるよ」

「100年・・・・22歳の俺は、たとえるなら10歳にもなっていないってことか」

「まぁ、浮竹が子供じゃなくてよかったよ。子供だったら、むふふふなことするのに時間が必要だったからねぇ」

「なっ」

浮竹は真っ赤になって、京楽の足を踏んづけた。

「いたたたたた」

「このエロ魔人が!今日はしないからな」

「じゃあ、明日・・・・」

「明日もしない・・・・ひゃん」

耳を噛まれて、浮竹は高い声をあげていた。

「帰るぞ、このばか!」

ビンタされた京楽であるが、とても幸せそうな顔をしていた。

結局、しないと言った次の日には、京楽に抱かれる浮竹であった。


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奴隷竜とSランク冒険者32

その日は、満月だった。

浮竹は、半竜人化していたが、様子がいつもと違った。

苦しそうにしていたのだ。

「浮竹、大丈夫?」

「近寄るな!今、おかしいんだ。体が疼く。体がぞわぞわする・・・・何か、俺の根源が変わりそうで・・・・ううううう、ぐるあああああ!!!」

浮竹は、半竜人の姿のまま窓から身を躍らせて、空中でドラゴン化した。

いつもより、一回り大きくなり、いつもは澄んだ翡翠の瞳をしているが、今は金色に輝いていた。

「ぐるるるるる」

京楽は、なんとか浮竹の背中に飛び乗り、浮竹が出している破壊行動を、海に向けさせる。

浮竹は、何度もアイシクルブレスを海にまきちらかせて、海を凍らせた。

魚まで凍り付く有様で、浮竹の魔力があがっていく。

「浮竹、正気に戻って!浮竹!」

「ぐるるるるる」

背中にいる京楽がうっとうしいと、浮竹は空を昇る。

「くっ、スカイウォーク」

浮竹の背から落とされて、なんとか空中に魔法を使って着地する。

「浮竹、ボクだよ。君の契約者のボクだよ」

「うううう・・・・・」

浮竹の金色の瞳が、穏やかな翡翠色になっていく。

「京楽・・・俺はどうしたんだろう」

ドラゴン姿のまま、京楽を空中で拾い上げて、背に乗せて夜の空を飛ぶ。

「多分、ダークネスインフェルノドラゴンのボクのように、覚醒・・・進化じゃないかな?多分、だけど」

「でも、俺は進化するようなことはしていない」

ドラゴン姿で人の言葉をしゃべることもできた。

「これも多分だけど、覚醒して進化したダークネスインフェルノドラゴンのボクの影響じゃないかなぁ」

「俺は、強くなりたい。京楽を守りたい」

「それはボクも同じだよ。浮竹を守りたい」

夜の空を飛び続けて、ハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽のいる大陸まで渡ると、近くの森で降りて、浮竹は人型になった。

左目は翡翠色の瞳をしているが、右目は金色だった。

「オッドアイだね。綺麗だよ」

「朝早いが、ハイエルフの俺とダークネスインフェルノドラゴンの京楽に、覚醒と進化について聞いてみようと思う」

「そうだね。そのほうがいいかも」

京楽はダークネスインフェルノドラゴンの自分をあまり好きではなかったが、浮竹が懐いているのもあるし、ドラゴンとして千年以上生きており、進化をすませている。

「おーい、いるかー?」

浮竹は、ハイエルフの浮竹の住む家というか神殿の扉をたたく。

魔法の効果で、リンリンとけたたましくベルが鳴った。

『なんだ、こんな朝っぱらから・・・・って、ムーンホワイトドラゴンの俺?その瞳はどうしたんだ?』

「わからない。突然破壊衝動に駆られて、静まって人型に戻ると右目が金色になっていた。京楽が言うには、覚醒・・・・進化じゃないかって」

『まだ外は寒いでだろう、そっちの京楽も一緒に、家に入っておいで』

ハイエルフの浮竹は、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽を起こしにいった。

『はい、温かいお茶だよ。体が冷たいね・・・空を飛んできたのかい?』

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽が、起きてお茶を入れてくれた。

浮竹に触れるダークネスインフェルノドラゴンの京楽を、京楽は苦々しい表情で見ている。

『話を聞く限り、覚醒だろうね。進化したといっても、皇帝種として進化したんだろうね。体が一回り大きくなって、魔力があがってるはずだよ』

「うん。ドラゴン姿になった時、体が一回り大きくなっていた。魔力も、前よりあがっている」

『ボクの魔力と同等・・・・くらいかな』

「京楽も、契約で魔力が高くなっているんだ。京楽も強くなっているよな?」

『そうだな。さすがに俺ほど、というわけではないが、かなり魔力が高くなっているな』

「Sランク冒険者の上をいってると思うんだが」

浮竹がそう言うと、ハイエルフの浮竹が頷いた。

『国に一人いるかいいないかの魔力量だ。大陸でも、サンシャインレイドラゴンの一護君もいれて、3本の指に入るんじゃないか』

「京楽、京楽も強くなってるって!俺は進化したけど、ドラゴン名は変わらないみたいだ」

『こう、魔力がずきゅーーーんで、威力がズドドドドドで、感覚がきゅいんきゅいんなんだろ?』

「そうなんだ!魔力がばーんで、威力がごごごごごごなんだ」

『そうだろうなぁ。魔力がズドドドドなら、右目が金色なのも納得できる。覚醒の証が、金色の右目だ。元に戻そうとするには、ぐわんぐわんをするといい』

浮竹とハイエルフの浮竹の擬音語での会話は、京楽とダークネスインフェルノドラゴンの京楽にはさっぱり分からかった。

「あれで通じてるのがすごい」

『浮竹のあの説明についていけるとは・・・・・流石だね』

「ぐわんぐわんすればいいんだな。分かった」

浮竹は精神を集中させて、右目に魔力を集めた。

すると、金色の輝いてた瞳が穏やかな翡翠色に戻る。

「京楽、元に戻っているか?」

「うん」

『まぁ、名前を与えるとしたらムーンホワイトエンペラードラゴンだろうな』

「長いから却下」

浮竹は、前のムーンホワイトドラゴンでいいと言い出した。

『確かに、京楽のダークネスインフェルノドラゴンも長いしからぎゅるるるだしな。ムーンホワイトドラゴンのままでいいか』

「ああ」

浮竹は、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽と話して、覚醒した後の力の使い方とかを教えてもらっていた。

「ぐぬぬぬぬ、嫉妬が爆発するううううう」

『まぁまぁ。冒険者の京楽には、俺が新しい魔法を1つ伝授してやろう』

「どんな魔法?」

『背中がかゆくなった時、かゆみがなくなる魔法』

「戦闘魔法がいいなぁ」

『中央大図書館でいっぱい覚えただろう』

「そうだけど・・・・・」

「京楽、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽に褒められた!筋がいいって!」

「ぬおおおお、嫉妬おおおおおおお」

結局、その日は、浮竹と京楽はハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽の住む神殿に泊まるのであった。


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ボクだけの翡翠15

永遠を君に。

永遠をお前に。


結婚式は、密やかに行われた。

二人の仲は、隠していないので、知らない者はいないというくらい広まっていたが、山じいと卯ノ花隊長が出席してくれた。

13番隊と8番隊の者は呼ばなかった。

あまり大掛かりな式にしたくなかったので、身内だけの結婚式となった。

白い袴に、白い着物を着て、頭にウエディングヴェールを被った浮竹と、黒い袴に黒い着物を着た京楽が、式場に入ってくる。

「まさか、二人ができてしまうとはのう・・・・わしがあの時、十四郎を春水に預けたのが、そもそもの間違いかのお・・・」

「山本総隊長。彼らの門出です。今は、祝福してあげましょう」

「うむ」

腕を組みながら歩き、杯を交わし合い、そして指輪をお互いにはめ合う。

「永遠(とわ)の愛を君に」

「永遠の愛をお前に」

さぁぁぁぁと、花吹雪が舞う。

その下で、キスをする。

「こら春水、十四郎を悲しませたら、許さんからの!」

山じいは、泣いていた。

卯ノ花も、涙を浮かべていた。

「2人の、新たなる門出に、光あれ!」

神父役を引き受けた死神に祝われて、二人は歩き出す。




式を挙げて、初夜になる。

「なんか、初夜って言われても、お前と何百回と交わっているせいで、全然初夜じゃないな」

「そんなこと言わないでよ。愛してるよ、十四郎。僕の花嫁」

「俺は嫁になった覚えはないぞ」

「え、じゃあボクがお嫁さん?」

「そうなるな」

「ふふふ・・・・まぁいいよ。どっちでも。君を抱くのは、ボクだから」

「あ!」

いきなり浮竹は己のものに手をはわされて、いきなりだったので京楽をポカリと殴っていた。

「するなら、すると言え」

「初夜だから、するに決まってるでしょ」

「あああ、いああああ」

京楽にしゃぶられて、浮竹は勢いよく京楽の口の中で弾けた。

「ああ!」

「ふふ、おいしい」

ごくりと嚥下する京楽を、浮竹は溜息をつきながら見上げる。

圧し掛かってくる体重を受け止める。

「今日は、トロトロに愛し合おうね?」

「知るか」

京楽は蕾をこじ開けて、中に直接潤滑油を垂らした。

「あああ!」

「ふふ、ぬるぬる。きもちいい?」

「や、なんか変・・・・・」

「これ、催淫作用入ってるからね」

「春水のアホ・・・・・やああん」

いきなり挿入されて、浮竹は啼いた。

「あ、あ、あ、だめ、奥はだめえええ」

「いいの、間違いでしょ?」

「ひあああああ」

奥をこじ開けられて、浮竹は中いきする。

京楽は浮竹の胎の奥を抉りぬき、精液をまき散らした。

「あああ、あ、あ”!」

「子種いっぱいあげるから、たくさん子供産んでね?」

「ひあああ、だめ、孕んじゃう」

「愛してるよ、十四郎」

「あ、春水・・・エロしか今は頭にないアホだけど、愛してる」

「酷い言われようだね。まぁ、確かに今はエロいことしか頭にないね」

京楽はそう言いながら、浮竹をの足を肩にかついで、突き上げた。

「あ、あ、あ!」

律動と一緒に、声が漏れる。

「んう」

舌が絡みあうキスをされた。

「んんん・・・・・・」

キスは長かった。

「あう!」

最奥をごりっとつつかれて、浮竹はびくんと体をはねさせて、中いきしながら射精していた。

「ふふ・・・君は、永遠にボクだけのものだ」

「あ、春水・・・・・・」

濃厚な夜を過ごして、初夜の夜は更けていく。





「籍はいれるとして、苗字は今のままでいいよね?」

「ああ。隊長に京楽が二人もいたら、混乱するだろう」

二人は、籍をいれた。

京楽の妻ということに、浮竹はなっている。

「ああ、本当にボクだけのものだ。ボクだけの翡翠」

「?」

「君と出会った時から、その翡翠の瞳の虜だったんだ」

「そうか」

浮竹は、和やかに笑う。

愛しい。

ただ、愛しい。

もう、永遠に離れない。

たとえ離れ離れになっても、思いは通じ合っている。

いつか別れの時がきても、またいつか出会う。


二人は、そのまま数百年の時間を愛し合った。

そして、ユーハバッハによる滅却師の侵攻。



浮竹は、愛した者を置いて、神掛することを選んだ。

それでも、愛は永遠だから。

さよならは、あえて言わなかった。


浮竹がこの世を去ってから、さらに数百年の時が経った。

「迎えにきたぞ」

「ああ、浮竹・・・…相変わらず、綺麗だね」

「そういうお前は、すっかりおじいさんだな」

「ふふふ・・・・君が迎えにくるの、ずっと待ってたんだ。永遠を君に」

「永遠をお前に」


二人の霊子は、交じりあいながら天に昇り、世界に還っていく。


「愛してる」

「愛しているよ」


愛を囁きあいながら、溶けていく。


ボクだけの翡翠。

永遠に、ボクだけのもの。










「君、名前は?」

「ん、俺か?浮竹十四郎という」

「そう。僕は京楽春水。どこかで、出会ったこと、あるよね?」

「ああ・・・・思い出した。前世で、愛し合っていた」

「ボクも思い出したよ。君を、すごく愛してた」

二人は、始めで出会うのに、前世の記憶を蘇らせて、キスをしていた。

「ふふ、前と同じ名前なんだな」

「そうだね。また、京楽家に生まれた」

「俺も、浮竹家に生まれた。十四郎という名を、代々受け継いできた」

「ボクは、ボクの遺言で春水という名を引き継ぐようにしていた」

さぁ、歩きだそう。

二人だけの愛を奏でながら。

新しい、明日を。

一歩一歩。




君は、ボクだけの翡翠なのだから。








                  fin

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ボクだけの翡翠14

「隊長昇格おめでとう、京楽」

「ありがとう、浮竹」

人事異動があり、8番隊の隊長は10番隊に移動し、晴れて京楽は8番隊の隊長となった。

山じいのお気に入りで秘蔵っ子であった京楽が、若くして隊長になるのをねたむ者はいたが、表面上は穏やかにことが運んだ。

それから5年後には、浮竹も13番隊隊長になっていた。

前の隊長は、名誉の戦死であった。

「どうか、安らかに・・・・・」

亡き前隊長の墓参りをした帰り道、京楽とばったり出会う。

そのまま、帰る場所は同じ屋敷なので、一緒に歩いた。

隊長になってからというもの、忙しいがそれなりに充実していた。

浮竹は新人の指導に力をいれて、京楽は仕事をさぼりがちだった。

浮竹は、雨乾堂という、仕事場と療養所と寝所を兼ねた庵を作ってもらい、そこに住みだした。

京楽は、よくそこに通った。

なんの用もないのに現れては、おはぎをもってきただの、酒を飲もうだのと口実を作ってはやってきた。

京楽は、自分の屋敷から浮竹が消えたことを寂しがっていた。

「今日は、ここに泊まるか?」

「え、いいの?」

「ああ。予備の布団を用意させてあるし、飯の用意もしてもらっている」

「ここ、お風呂もあるしね。ねぇ、一緒に入ろ」

「ああ、いいぞ。でも、お前の屋敷のように広くはないからな」

「うん、分かってるよ」

一人で使うには、広い浴室であったが、成人男性が二人入るには少し狭いかんじがした。

「お前、ますますもじゃもじゃになってるな」

「浮竹だって、ますますお肌がつやつやになってる」

「なんだそれは」

クスクスと笑いあうと、浮竹と京楽の視線がぶつかった。

ここ数日、お互い隊長としての職務に追われていたせいで、ご無沙汰だった。

「ひゃん」

いきなり京楽が、浮竹の尻をもむものだから、浮竹は変な声を出していた。

「いいでしょ?」

「こんな・・・風呂場でなんて・・」

「でも、始めてじゃないでしょ?今まで何回も、風呂場でセックスしてきたじゃない」

「仕方ないやつだな・・・・」

浮竹は唇を舐めた。

京楽はその仕草が好きだった。浮竹は淫靡で、エロく、美しい。

「ああああ!」

湯の力をかりて、潤滑油なしで侵入したので、浮竹のそこは限界まで広げられて、けれど馴染んできた行為のせいで、切れることはなかった。

「んあああ、お湯が、お湯が・・・・・・」

「お湯まで飲みこむの。淫乱だねぇ」

「やあん、そうさせたのは、誰だと思っている」

「さぁ、誰だろうねぇ」

京楽ははぐらかして、お湯の中で浮竹を突き上げた。

その度にお湯がっちゃぷちゃぷと音をたてて、排水口へと流れていく。

「や、お湯の中でいっちゃう」

「いいよ、いっても。後で、新しいお湯にいれかえて、入り直せばいい」

「やあん」

「かわいいね、浮竹は」

甘く啼く浮竹に誘われるように、京楽は浮竹を貫いて犯し、子種を浮竹の中で弾けさせていた。

「ああああ!!!」

同時に、浮竹も湯の中に精液を吐き出していた。

「あ、お湯に・・・・」

「いくらでもお湯の中に出していいよ」

「ああん、んああああ」

「く、きつ・・・・」

浮竹がいいところを突かれて、中いきしながら、中を締め付ける。

京楽は我慢できずに、浅いところで精液をぶちまけた。

「ふう・・・・・」

「あ、あ、あ」

京楽が動くたびに、ちゃぷちゃぷと音がした。

浴室なので、よく声が響いた。

「あ、声、抑えれない」

「誰もいないから、抑える必要ないよ」

「ひああああ!!」

最奥をごりごりと抉られて、浮竹は中いきしながら射精した。

「熱い」

「熱いね。のぼせたね」

「誰のせいだ」

「ボクのせいだね」

浴室から出ると、二人はのぼせて氷で冷やしたタオルを額に当てた。

「風呂場でやるのは、しばらくなしにしよう」

「しばらくじゃなくって、永遠になくていい」

「ええ、でも刺激あるじゃない」

「のぼせるのはいやだ」

「仕方ない、しばらく風呂場では控えようか・・・・・」

「しばらくじゃなくって、永遠でいい・・・・」

二人は、冷たい水を飲んで、窓をあけて空気を冷やして、のぼせた体が元に戻るのをまった。

少し遅い夕餉をとり、すでに睦み合ったので、そのまま就寝した。

「ねぇ、浮竹、起きてる?」

「ああ、まだ起きてる」

「昔、誓ったよね。一緒に隊長になろうって」

「そうだな」

まだ若い、院生時代の話だった。

「それ、叶ったね」

「そうだな」

「ボク、今度は浮竹と結婚したい」

「無理を言うな」

「2人だけでいいんだよ。2人だけで、結婚式を挙げたい」

「・・・・・いいぞ」

「え、本当に!?」

「重い!」

京楽にのしかかられて、浮竹は声をあげる。

「非番の日に、指輪を買いに行こう」

「うん。約束だよ」

いつか、隊長になれたら。

その先の願いはなかった。

でも、浮竹が、愛しい人が隣にいる。

ずっとずっと、一緒にいたい。

愛しているという、証が欲しかった。


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ボクだけの翡翠13

副隊長になり、数年が経過した。

浮竹と京楽は、恋人同士をずっと続けていた。

ある日、たまに京楽が遊びにいく花街で、遊女が京楽の子だという子供を連れて、京楽の屋敷を訪ねてきた。

「浮竹?」

「最低だ、お前」

「ちょっと、確かに花街には遊びに行ってるけど、遊女は抱いてないよ!」

「そんなことないわ!この子が証拠よ!この子は、春水様、あなたの子です」

「ボクは、君と何度か飲んで一緒に夜を過ごしたけど、抱いてはいないよ!」

「信じられるか!花街に行ってたなんて、聞いていない。お前のことが、信じられなくなった。出ていく」

浮竹は怒って、話を聞いてくれなくて、京楽の屋敷から荷物をまとめて飛び出していった。

席官以上のクラスの者には館が与えられており、浮竹も自分の館をもっていた。

ただ、そこで暮らさないので、館が荒れるのを防ぐために、人を雇い月に2回ほど室内の手入れや庭の手入れをしてもらっていた。

浮竹の部屋には、置き手紙があった。

『自分の家に戻る。問題が解決するまで、戻ってこない』

「浮竹・・・・・・」

どうすれば、誤解が解けるのだろう。

「この子は、あなたの子です」

「しつこいね。ボクに隠し子はいないよ。遊女を抱いていたのは学院時代の初めの頃だ。浮竹と思いが通じあってから、花街に飲みには行くけど、遊女も色子も抱いていない」

「さぁ、夏水(かすい)、お父様よ」

「お父様?」

春水の名にちなんで、夏水と名付けられた子は、10歳くらいで、女の子だった。

「ボクは、君のお父様なんかじゃない」

「母様、この人怖いよ」

「何を言ってるの、夏水。お父様にもっと近づいて、お父様の子だと認めてもらわないと」

「でも、お父様の目、怖いよ」

「消えて。嘘だってちゃんと浮竹に伝えた上で、消えて?じゃないと、殺すよ。二人とも、殺されてもいいの?」

その時になって、遊女は京楽が本当は残酷な一面があるのだと気づいた。

「いや、死にたくない!撤回します。春水様の言う通りにしますから、どうか殺さないで」

「じゃあ、最初からこんな無謀な賭けに出ないことだよ。ボクが上流貴族で君を買ったのは事実だ。でも、抱いてはいない」

遊女は、京楽と夏水を伴って浮竹の館に行くと、全てが偽りで、夏水は違う廓に出入りする一般市民の子であることを白状した。

「ごめんね、浮竹。もう、君を傷つけたくないから、花街にもいかない」

「京楽・・・・俺こそ、すまない。話を、もっとちゃんと聞くべきだった」

遊女は、手切れ金としてけっこうなお金をもらって、去っていった。

遊女から足を洗い直すことができる額を与えるものだから、浮竹が少し気があるのではないかと聞いたが、哀れだからと言われて、それ以上何も言えなかった。


「はああんん」

浮竹は、自分の館で京楽に抱かれていた。

布団など用意していなかったので、畳の上で立ったまま京楽のものを受けいれていた。

「やあああん」

「ふふ、君の中とろとろしてる。熱くて、蠢いて、締め付けてくる」

「ふああああ」

舌が絡み合うキスをしながら、突き上げられた。

「あ、いっちゃう!」

「いいよ、何度でもいって」

「ああああ!!!」

浮竹は、京楽に壁に背を預けた状態で大きく右足を左肩に抱えられて、突き入れられていた。

「んあああ、だめ、だめ、いっちゃう」

すでに畳は、浮竹の放った精液で濡れていた。

「いっていいよ?ほら、ここぐりぐりされるの好きでしょ?」

「いああああああ!だめえええええ!!!」

浮竹は背をしらなせて、中いきをしていた。

京楽は、子種を浮竹の胎の奥に注ぐ。

「ふふ、こういうの、仲直りエッチっていうんだよ?」

「ふあ・・・・・」

浮竹は軽くいった余韻で、仲直りエッチという言葉に反応しなかった。

「まだ、足りない?仲直りエッチ、もっとしようか」

「いやあああ、だめえええ。孕んじゃううう」

「孕むくらい、注いであげる」

京楽は一度浮竹から引き抜くと、浮竹の背後から貫いた。

ぐちゅりと音がして、浮竹はまた中いきをしてしまっていた。

「やん、らめええ。いくの、とまんない」

「頭がいかれるくらい、いちゃっていいよ」

「やああああ」

京楽は、リズムをつけて浮竹を貫く。

パンパンと肉と肉とがぶつかり合い、結合部は泡立ち、二人の体液が混じったものが浮竹の太もも伝って畳に流れ落ちた。

「んあっ」

ごりっと奥の結腸まではいられて、浮竹は涙を零す。

「やあああ」

「中に出すよ。仲直りエッチも、これでおしまい」

「ああああ!!!」

中にびゅるびゅると濃い精液をぶちまけられて、浮竹は射精しながら中いきをしていた。

「あ、あ・・・・・・・」

立っていられなくなった浮竹を、京楽が抱き上げる。

なんとか見つけたタオルで身を清めて、風呂場で出したものをかき出して、同じ服を着て、京楽の屋敷に戻る。

京楽は、浮竹が家出としてもちだしたものを、そのままもってきていた。


「お前の金目当てだったんだな」

「ああいう手合いは多いよ。特に本当に寝たら、子供と言われても否定できなくなるからね」

「もう、花街なんかいくなよ」

「うん、約束する。行かない」

お互い湯浴みをしてすっきりしてから、二人はお互いを抱きしめ合って眠った。

長いこと付き合ってきたから、喧嘩もあったが、浮竹が家を飛び出すという喧嘩は初めてだった。

いつもなら、おはぎを出せば機嫌が直るのに、今回ばかりはそうはいかなかった。

「愛してるよ、十四郎」

「ん・・・・俺も」

深い眠りに、二人は落ちていった。



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ボクだけの翡翠12

死神なって、10年の歳月が流れていた。

浮竹と京楽は、時には喧嘩もするが、別れることはなく、京楽の館で一緒に暮らしていた。

浮竹と京楽は、副隊長になっていた。

「副隊長おめでとう、浮竹」

「お前もな、京楽」

それぞれの副隊長は、高齢のための引退だった。

名誉ある戦死ではないのは、二人を安堵させた。いくら名誉であろうと、死なれてその後を継ぐのと、引退してその後を継ぐのとでは大きな違いがあった。

「今日は、ぱーっと飲むか」

「そうだね。飲もう飲もう」

ここぞという時に隠してあった、屋敷が買える値段のワインを取り出す京楽。

それにびびる浮竹。

「ワ、ワインか」

「ボクの乳母が、西洋かぶれでね。ワインとか好きで、よく現世にいって注文してたんだよ」

「確か、先生の副隊長も、西洋かぶれだったな」

「雀部副隊長のことかい?」

「ああ」

「あの人は、山じいをかなり買ってるからねぇ。でも、西洋趣味を理解してもらえないって、この前嘆いてたね」

京楽は、屋敷が買える値段だというワインのコルクを抜いて、中の赤い液体をワイングラスに注いで、浮竹にさしだした。

「飲んで?」

「あ、ああ」

こくりと飲むと、その甘さにくらりときそうになる。アルコール度数は低いはずなのに。

「ふふ、ボクも飲むかな」

コクリコクリと飲んで、京楽は溜息を零した。

「さすがに、美味しいね。今まで飲んできた酒の中で、一番美味しい」

「確かに・・・・」

ワイングラスにワインを注いでもらって、浮竹もまた飲んだ。

「ん・・・なんか、体が・・・・・・」

「ふふ、効いてきた?浮竹のグラスには、媚薬の透明な薬、入れておいたの」

「な、京楽!」

かぁぁぁと体が火照ってきて、浮竹は今すぐ京楽に抱かれたい欲を抱いた。

「責任、とれよ」

「うん。責任ちゃんととるよ」

「熱い・・・・・」

浮竹は、京楽に布団のしかれた部屋に抱き上げられて連れて行かれた。

「京楽、熱いんだ」

「今、その熱をとってあげる。僕も精強剤口にしたから、君を思う存分抱くよ」

浮竹の服を脱がして、露わになる白い肌に、口づけていく。

「あ、あ・・・・・」

胸の先端を甘噛みされたり、つままれたり、舐め転がされてたりして、京楽はすでに勃起している浮竹のものに触ってくれない。

「やだ、下も触って・・・・・」

「いいの?」

「体が熱いんだ。お前が欲しくて、胎の奥がきゅんきゅんしてる」

「じゃあ、触るよ?」

「んああああ」

触っただけで、浮竹はいってしまっていた。

「触っただけなのに」

「京楽が、媚薬なんて盛るから!」

「まぁ、そういうことにしておきますか」

浮竹のものを口に含み、いつものように奉仕すると、浮竹は身をくねらせた。

「やあああん」

「きもちいい?」

「あ、だめ、いっちゃう・・・・・」

「いっていいよ?」

浮竹のものを再び口に含み、全体を舐めあげて唾液を塗り、鈴口を舌でぐりぐりすると、浮竹がビクンと体をはねさせた。

「いああああ!!!」

「もっといって?」

潤滑油を手に、指を浮竹の体内に入れて、前立腺を刺激する。

「やあああ、両方は、だめええええ」

「いっていいよ?」

「あ”あ”あ”」

浮竹は、さっきよりさらに濃い精子を京楽の口の中に吐き出していた。

「じゃあ、僕も挿入れるよ?」

「ああああ!!!」

熱い熱で引き裂かれることさえ、快感だった。

ふわふわと、地面のない場所を漂うような錯覚を覚える。

「んああああ!!!」

京楽のものが出入りする。結合部は泡立ち、どちらのものかもしれない体液が溢れて、浮竹の太ももを伝い落ちる。

「あ!」

ごり、どちゅんと、結腸にまで入り込んできた京楽のものは、子種をびゅるびゅると浮竹の胎の奥に注いだ。

「あ、それ気持ちいい、もっと♡」

「ふふ、中で出されるの好きだね?」

「うん、好き。京楽のザーメンまみれになりたい」

角度を変えて抉ってやると、びくんと体を反応させて、中いきをしていた。

次は背後から突き上げる。

「ひゃあん、あああ、もっと・・・・」

京楽は、浮竹が求めるままに挿入し、奥を穿ち、抉り、揺すった。

「あああああ!!!」

浮竹は、また白濁した液体を出していた。

「んああああ、胎の奥がまだきゅんきゅんする♡」

「いっぱい、出してあげるからね?」

浮竹の最奥まで貫き、ごりごりと結腸を抉って、京楽は精液をたっぷり浮竹の中に注いだ。

「あ、ああ、きちゃう、いちゃうううう♡」

浮竹もまた、精液を吐き出しながら、中いきをしていた。

「あ、無理、もう出ない・・・・・」

浮竹は精液を出しきり、もう終わりにしたがっていたが、京楽のものはまだ硬さを失っていなかった。

「ボクはまだ満足してないよ。精強剤飲んだし、まだ体熱いでしょう?」

突き上げて揺すると、浮竹が緩慢に反応した。

「やあああ、これ以上は、壊れる」

「壊れないよ。さぁ、続きだ」

「いやあああああああ」

浮竹を思う存分に犯し、最奥に子種を注ぎまくる。

「あん、あ、あ、あん」

浮竹は、啼きながら中いきを繰り返していた。

騎乗位で下から突きあげてやると、浮竹はぶるりと体を震わせた。

「やあああ、出ちゃう、もれちゃう!」

ぷしゅわあああ。

浮竹は、潮をふいていた。

「ひっく。やあああ、もらしちゃたあああ」

「潮だよ。おもらしじゃないから、安心して?」

「ほんとに?」

「うん」

「あああ!」

突き上げられて、二度目の潮をふきあげながら、浮竹は意識を失いかけた。

「まだ、だよ?まだ、子種注いであげるからね?」

「やああ、もう、春水のザーメンいい。胎がたぷんたぷんになってる」

外からでもわかるほど、浮竹のお腹はぽっこりとして、精液を吐き出されているのが分かった。

くっきりと中に入っているのも分かる。

「ああ、あやあああ、もう、中いきしたくない。いきたくない」

「最後だよ。しっかり孕んでね?」

「ああ、あ、春水の子、できちゃう♡」

最後の精液を注がれて、浮竹は意識を失った。

引き抜くと、こぽりと浮竹の胎の奥に出した精液が逆流してきて、ふとんに水たまりをつくる。

「ふふ、ボクもいっぱいだしちゃったよ、十四郎。愛してるよ」

触れるだけの口づけをして、濡れたタオルで体をふいてやり、中に出したものをかき出てやり、浴衣に着替えさせて、新しい布団に寝かせて、京楽も眠るのだった。

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ボクだけの翡翠11

「春水。これは親としての命令だ。見合いをして、結婚しなさい」

「はぁ!?」

「なんでも、自分の屋敷に愛妾の死神を住まわせているらしいじゃないか。しかも男。見合いをして結婚をして、正しい上流貴族として暮らしなさい」

京楽は、自分の両親の言葉に唖然とした。

今まで散々放置しておいて、浮竹を住まわせたとたん、浮竹を愛妾と決めつけて、見合いをして結婚しろだなんて。

「あはははは!ボクが見合い!?ボクと結婚しようという奇特な女性は誰?」

「四楓院家の傍系の方だ。身分はあちらが格上。くれぐれも失礼のないように」

「くそっ」

京楽は、浮竹を探した。

屋敷に突然両親が押しかけてきて、見合い話をもちかけてきた。

当然、愛妾と思われている浮竹に酷い言葉を言ったに違いない。

「浮竹!」

京楽が浮竹に与えた部屋に入ると、争った形跡があり、浮竹の頬は赤くはれていた。

「殴られたの!?」

「俺が、お前の愛妾だと言われて、正式に付き合っていると言ったら、殴られた」

「あいつら・・・・殺してやる・・・・・」

「京楽、いいから!俺のことは、もう、いいから・・・・・・」

「何言ってるんだい、浮竹。ボクは君を諦めないよ。見合いなんて、めちゃくちゃにしてやる!」

「でも、そんなことをすれば、京楽、お前が四楓院の者から咎を受ける」

「あいつら、見合い相手まで浮竹にしゃべったんだね」

京楽は舌打ちした。

「浮竹、ちょっと耳貸してくれる?」



それから数日たち、京楽の見合いの日がやってきた。

相手は傍系とはいえ四楓院家。4大貴族だ。

その姫君は幼く、まだ13歳といったところだった。

四楓院愛梨(しほういんあいり)

それが、彼女の名前だった。

「愛梨ちゃん、担当直入に聞くよ。お兄さんは、君のことを愛せないし愛そうとも思ってないし、結婚したとしても他に好きな人がいるので、そちらにばかり構う。こんなお兄さんと、見合いをして結婚したいと思う?」

「えー。愛梨わかんない。結婚に、好きとか嫌いとかあるの?」

「あるんだよ。ボクは君とは結婚しない」

「嘘!愛梨、四楓院家のお姫様だよ!愛梨の命令は絶対。愛梨、あなたのことが欲しくなってきた」

子供だと舐めていたら、子供独特の我儘を出してきた。

「ねぇ、愛梨と結婚して、その愛してるって人泣かせてみたい。それで、ぐちゃぐちゃになって別れて、結局愛梨の元に帰ってくるの」

「別れないよ。それに、ボクは愛梨ちゃん、君みたいな我がままお姫様は大嫌いなんだ」

「ひっどーい。愛梨、我儘じゃないもん!」

「困ります!今、春水様は見合い中で・・・・・・」

「京楽、帰るぞ。見合いは中止だ。四楓院愛梨。京楽は俺のものだ」

長くなった白い髪を美しく結い上げて、上等な着物を着て、薄く化粧をされた浮竹は、その場にいた誰よりも美しかった。

「誰?」

「浮竹十四郎」

「女の子じゃないの?」

「男だ。京楽春水は、女を相手にしないんだ」

「愛梨、あなたが欲しい!」

愛梨は、突然そんなことを言いだした。京楽の策では、見合いにきた女性に着飾った浮竹に、京楽は自分のものだと告げてもらい、見合いを破綻させるはずだった。

だが、見合い相手があまりにも幼かった。

それ故の誤算。

「愛梨、あなたと結婚する。あなたが欲しい。浮竹十四郎。四楓院家の名にかけて、命令するよ。愛梨と、結婚して」

「できない」

「どうして!?死刑になるとしても、結婚してくれないの!?」

「君と結婚して京楽と別れるくらいなら、潔く死を選ぶ」

「かっこいい・・・・・・・・」

愛梨は、浮竹のことを気に入ったようだった。

「愛梨が応援してあげる!いいよ、十四郎みたいに綺麗な子なら、春水も手放したくないよね。
愛梨が、四楓院家の名にかけて、二人の仲を認めてあげる!」

四楓院家の名にかけて、という言葉に、見合いの席の隣の部屋にいた両親は息を飲み、ことの顛末が、思い通りにならなかったため、浮竹の殺害を企てようとしていた。

「動かないで。愛梨、分かるんだから。訓練されてるんだから。そこの侍女、暗殺者だね?十四郎を殺したら、四楓院家の名にかけて、京楽家をつぶすよ?」

「愛梨ちゃん・・・・・」

「ふふ、春水のお兄ちゃん、少しは愛梨に惚れた?」

「痺れちゃうね」

「うふふふふ。愛梨は十四郎と春水ができてるのがいい。これ、腐女子っていうんだよね、確か。まぁいいや、愛梨が二人を応援してあげるから、見合いはおしまい!」

四楓院愛梨の手により、結局浮竹の存在もあって、見合いはめちゃくちゃで終わり、京楽の結婚はなくなった。

「四楓院家の姫君というから、どんな我儘女性か、おしとやかな女性かと思ったら、幼い少女だったな。仲を認めてくれたこと、素直に感謝しないと」

「そうだね。愛梨ちゃんには、今度手紙を書いて送るよ。浮竹も、手紙書いてね」

「ああ」

「浮竹、ほんと美人だね。いつもその恰好でいればいいのに」

「化粧とかされて、恥ずかしいんだぞ。一応、着物は男でも女でも着れるものを用意してくれいたが」

京楽の作戦に乗った浮竹であるが、着飾って登場するというのに、躊躇いを覚えたのは事実だ。

結局、見合いは破談。京楽春水と浮竹十四郎に手を出せば、四楓院家が黙っていないとなって、京楽の両親は口汚く浮竹のことを罵りながら、自分たちの屋敷に帰っていくのであった。


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ボクだけの翡翠10

遠征は、1週間に渡って続いた。

遠征の結果は、華々しいものではなく、なんとか生きて帰ってこれたという具合だった。

「浮竹!」

包帯でぐるぐる巻きにされて、担架に乗せられた浮竹を、京楽は4番隊の総合救護詰所に連れていかれるのに、ついてきていた。

「浮竹さんの付き添いですか?」

「うん、そうです」

「非常に危険な状態です。虚と戦っている間に発作を起こして、自分を守ろうとしれくれた者を逆に庇って、背骨まで露出する怪我を負いました。4番隊で応急処置をはしましたが、手術になるでしょう」

「手術・・・・・」

「背中に、虚の卵のようなものが植え付けられていて、それを摘出する手術です。家族の方を、念のために・・・・・」

「死なない。浮竹は、こんなことでは死なない」

「京楽さん?」

「こんなところで死んでたまるか、浮竹!」

「病院内ではお静かに!」

ナースに怒られて、京楽は手洗面所にいって、冷たい水を頭からかぶった。

「ねぇ、浮竹。ボクたちは、隊長になるんでしょ?こんなところで、死なないよね?」

京楽は、面会謝絶になって集中治療室に運ばれて眠っている浮竹を、硝子ごしに見ていた。

「浮竹、愛しているよ。君は、こんなところで死ぬ男じゃない。ボクと一緒に、隊長になるんだ」

次の日、浮竹の手術が行われた。

仕事に全く手が入らない京楽を見かねて、8番隊の隊長が浮竹のところに行ってやれと言ってくれて、京楽は仕事を放棄して4番隊の総合救護詰所に行き、浮竹の手術が終わるのを待った。

手術は、無事成功した。

京楽は、ほっとして全身の力を抜いた。

「きょうら・・・・・」

「いけません、浮竹さん。まだしゃべっては・・・・」

「きょうら・・・・く、すまない、へまをした。でも、俺はこんなことでは、死なない。一緒に、隊長に・・・・・・」

がくりと、浮竹の体から力が抜けて、京楽は焦った。

「大丈夫です。意識を失っただけです」

「そう。良かった・・・・・」

「京楽さん、酷い顔ですよ。眠っていないし、何も食べていませんね?浮竹さんの部屋に仮眠用のベッドを置いておくので、よければ使ってください」

「ありがとう」

ナースの心使いに感謝して、浮竹の病室に入る。

浮竹は青白い顔をしていたが、ちゃんと息をしているし、点滴を受けているし、後は回復を待つばかりだった。

「ふふ、君がボクが止めると思って遠征教えてくれなかったの、なんとなく分かるよ。隊長になるためには、遠征くらい経験しないといけないからね。ボクは君の立場だったら、ボクは君に遠征に行くと打ち明けるけど、止めてもらっても行くだろうね」

京楽は、1週間の休みを申請して、受理された。

浮竹が目覚めるまで、その体をふいてやったり、髪を洗ってすいてあげたり、いろんな世話をした。

「ん・・・ここは?」

「浮竹!」

「京楽!そうか、俺は助かったんだな。京楽、遠征のこと、話さないまま別れてしまって、すまない」

「ううん、それはいいんだ。君が、生きて帰ってきてくれたから。無事に、とは言えなかったけど、手術も成功して、意識も戻ったし、後は療養して退院を待つばかりだね」

「こんな時間から、詰所にいるのはどういうことだ?」

「ああ、1週間の休暇をとったの。君の傍にいたくて」

「ほんと、お前は俺に関係すると唐突なことをするな」

浮竹は苦笑していた。

「だって、君が心配なんだもの。もしも、ボクのいない時に君が息を引きとったらどうしようって、悪夢を見るからあまり眠れなくて、8番隊のほうではミスばかりして、心配してくれた隊長が、1週間の休暇を許してくれたんだ」

「休暇の後の仕事は、きついぞ?」

「君が生きて、ボクの隣にいる。それだけで、ボクはばりばり仕事できそう」

「仕事の時は、俺はまだ救護詰所だからな。退院まで、半月はかかるだろう」

浮竹の言葉に、京楽は頷く。

「毎日、様子見に来るから!」

「いや、仕事があるだろう?」

「それでも、毎日顔を出す!」

「ほどほどにな」

浮竹は、京楽が本当に毎日顔を出してくるので、少し心配だった。8番隊に使いを送ったが、ちゃんと仕事は終わらせて会いにきているらしい。

「俺って、愛されてるなぁ」

「そうだよ」

「わ、びっくりした。霊圧を消して近づいてくるなよ」

「ふふ、君を驚かせたくてね」

「明日、退院だそうだ」

「ほんとに!?」

「ああ。リハビリに少し通うことはあるが、傷は塞がった。手術で摘出されたものは、本当に虚の卵だったそうだ。あのまま朽ちていたら、虚の餌になっていただろうな」

「後遺症はないの?」

「ああ。心配をかけた」

「じゃあ、浮竹はしばらくボクの屋敷で生活してね?」

「は?」

「は?じゃないよ。怪我なおったからって、体力が落ちてるんだから、今までみたいな一人暮らしきついでしょ?」

京楽は、浮竹が自分の屋敷で暮らすのを、さも当たり前のことのように言う。

「それはそうだが・・・・でも、お前の世話になりっぱなしというのも」

「じゃあ、侍女つけようか?でも、エロい気分になって、抜こうとしても侍女がいて邪魔でできないよ?」

「ああもう、お前の屋敷で暮らす!これでいいんだろう?」

「もう、いっそのことボクの屋敷に引っ越してくれば?」

「でも、周囲が・・・・・」

浮竹が、顔を伏せる。

「そんなの、ボクが金と実力で黙らせる」

「こわ!」

浮竹は、ニンマリ笑う京楽の金の力というものに恐れを抱いた

いかに両親に放り出されといっても、上流貴族だ。それも、4大貴族に近い。

結局、その日を境に、浮竹は京楽の屋敷に引っ越すことになった。

もう、互いの帰りを心配して、すれ違いのようになることはない。

同じ場所に帰ってくるのだから、いない時は寂しいが、朝起きる時は一緒なのだ。出勤も一緒で、それぞれ途中で8番隊隊舎と13番隊隊舎で別れた。

穏やかな日常が戻ってくるかに見えた。

京楽の両親が、京楽に見合いをさせると言い出すまでは。

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奴隷竜とSランク冒険者31

ダークネスインフェルノドラゴンとなった京楽は、絶大な力を手に入れて、パートナーであるハイエルフの浮竹と比較しても負けないくらいの存在になった。

ムーンホワイトドラゴンの浮竹は、まだその域に達していない。

年若く、まだ覚醒していないので、ハイエルフの浮竹やダークネスインフェルノドラゴンの京楽と本気の戦いをすれば、負けてしまうかもしれない。

それでも、浮竹も京楽も強くなった。

中央大図書館で、ハイエルフの浮竹が書いた禁忌の魔法を覚えて、強さに磨きがかかっていた。

Sランク冒険者の域をすでに脱していた。

浮竹と京楽は、難易度の低めのSランクダンジョンをクリアした。

欲しかったのは、新しい魔導書で、それはハイエルフの浮竹が書いたものだった。

「エナジードレイン・・・・他人の生命力を、自分のものに変換する魔法か。今度、モンスターにでも試してみるか」

浮竹は、オボエルモノのユニークスキルを持っているし、様々なユニークスキルをもっているので、本に目を通しただけで覚えれた。

京楽は古代語の知識はあるが、ちゃんと目を通さないと覚えれない。

「それにしても、おまけでついてきたこの粉、なんだろうな?」

「若返りの秘薬って書いてたよ。一時的にだけど」

「試してみるか」

「ちょ、浮竹!」

浮竹はその粉を自分にかけてみるが、何も起こらなかった。

「エナジードレインの魔法のコツを聞ききに、ハイエルフの俺のところに行こう。ワープポータルをいじって、直接、家(神殿)に行けるようにしてある」

「それ、向こうのボクが聞いたら怒るんじゃない?」

「大丈夫だ。あいつは、俺には優しい。怒られるのはお前だ、京楽」

「簡便してよお」


なんやかんやで、浮竹と京楽は、ハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽のところにやってきた。

ちょうどお茶の時間で、浮竹と京楽も混ざった。

「なぁ、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽」

『なんだい?』

「てい!」

若返りの秘薬という魔法の粉を、浮竹はダークネスインフェルノドラゴンの京楽にかけた。

『けほっけほっ・・・・なに、この粉』

「若返りの秘薬だそうだ。効果はないが。本当にあったら俺とお前が小さくなって、面白いんじゃないかと思ったが、やはり効果はないようだな」

『若返りの秘薬だって!』

ハイエルフの浮竹が、身を乗り出す。

「どうしたんだ、ハイエルフの俺」

『それ、多分本物だよ。効果が効くまで5時間ほどかかるんだ。魔導書と一緒に、とあるSランクのダンジョンのクリア報酬として、ダンジョンマスターが特別に用意していたものだ』

「え、まじで若返るの?俺、これ以上若返ると・・・ちびどらごんに」

『ボクもちびドラゴンになるの!?』

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、ハイエルフの浮竹になんとかならないかと聞くが、ハイエルフの浮竹は首を左右に振るばかり。

『自然に時間が経過すれば、効果は解ける。それまで、チビでいることだな』

数時間後。

「ぴーー」

『キュウキュウ』

2匹は、見事にちびドラゴンになっていた。

「うわー、浮竹ふっさふさのもっふもふ。かわいいなぁ」

『俺の京楽もかわいいぞ!』

「目つき悪いし、爪は鋭いし、なついてこないし、全然かわいくない」

「ぴーぴー」

「ん、お腹減ったの?」

「ぴー」

浮竹は、お腹が減ったと訴えた。

「ハイエルフの浮竹、ちょっと台所かりるよ。ダークネスインフェルノドラゴンのボクもいないことだし、みんなの分の夕飯を用意するけど、いいよね?」

『ん、ああ。助かる。こら、京楽。ちびになっても威嚇してちゃ、かわいくないぞ』

『キュウキュウ(人間のボクにかわいいと思ってもらいたくもない)』

『全く、お前たちは仲がとことん悪いな。ムーンホワイトドラゴンの俺には、優しいのに』

『キュウキュウー(同じドラゴン仲間だからね。同胞には優しくするよ』

「夕飯できたよ。チーズハンバーグに、オムライス、コンソメスープだよ」

『おお、美味そうだな』

『きゅう!』

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、変なものが入っていないか味見をした。

「ちょっと、味見なんかしなくても変なものいれたりしないよ。浮竹の分になら入れるかもしれないけど」

『キュウキュウ』

「何、ヘンタイスケベ?ああ、そうだよ。ボクはヘンタイスケベだよ。だから、僕の浮竹を自分のもののように、撫でまくるのやめてくれない?」

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、ふさふさのもふもふ姿の浮竹の魅力にまけて、もふっていた。

ムーンホワイトドラゴンは、ちびの時は羽毛に埋もれた大きな猫のようであった。

抱えると軽く、羽毛がふわふわしていてさわり心地がいい。

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽も、チビ姿であるがもふもふに負けて、浮竹を撫でたり舌でその頬を舐めたりしていた。

『きゅうう』

ばーかばーかとドラゴン語で言われて、ハイエルフの浮竹のスパルタでリカイスルモノのユニークスキルを手に入れて、ドラゴン語が分かるようになった京楽は、もう一人の自分の首を締め上げたい感情を、なんとか押し殺す。

相手はチビ化したドラゴン。思考まで、チビになっている。

「相手は子供、相手は子供・・・・・・」

『冒険者の京楽、落ち着け』

「分かってるよ。さぁ、冷めないうちに召し上がれ」

「ぴーーーー」

浮竹は、チーズハンバーグを一口で食べてしまった。

「ぴぴー」

「おかわり?はいはい、たくさん焼いておいたから、いくらでもおかわりしていいよ」

チビになっても、浮竹の胃は軽いブラックホールだった。

皆で夕飯を食べ終えて、オレンジジュースを飲む。

ハイエルフの浮竹と京楽は何気にアルコールの入ったものを飲んでいた。

「ぴーーー」

『ん、いつになったら元に戻るかだって?大丈夫だ、明日の朝にはもとに戻ってるだろう』

「ぴぴーーー」

『何、京楽にヘンタイなことされる前にここにきてよかった・・・・?お前の京楽は、ちびドラゴンで人化してチビなままのお前に、性的なことをするのか?』

「ぴぴーーー」

『多分しないけど、その一歩手前まではいく・・・?おい、冒険者の京楽』

ボキボキと指を鳴らして、ハイエルフの浮竹は京楽をこらしめた。

『ちびになったもう一人の俺に、変なことするなよ!』

「はい」

しょんぼりする京楽を、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽はざまぁみろと嘲笑う。

『きゅうきゅうう(自業自得だね)』

「ぴー。ぴーぴー」

しょんぼりして元気ない京楽を、浮竹が羽毛の翼で包み込み、頭を撫でた。

「浮竹、心配してくれてありがとう」

「ぴぴ!」

その日は、ハイエルフの浮竹の家に泊まった。

「良かった、元に戻ってる」

浮竹は、大人の姿に戻った自分に安心していた。

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、浮竹がしでかして騒動であるが、怒らない。

同胞には甘いのだ。

「じゃあ、ボクたち帰るね」

「何をしに来たのか・・・・忘れた」

『ばいばい・・・・そっちのボクは、もうこなくてもいいからね』

「来ますう。浮竹が行くならついてきますうう」

「あ!思い出した!エナジードレインの魔法を覚えたから、使い方を教えてもらうんだった!」

その一言で、浮竹と京楽はもう一泊することになるのだが、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、最後まで人間である京楽に冷たいのだった。

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ボクだけの翡翠9

死神になって、1年が過ぎた。

お互い大分慣れてきて、非番でない日も遅くならない日は会って食事して酒を飲み、当たり前のように睦みあった。

その日は、次の日が浮竹の非番で、京楽は昼からの出勤だった。

「俺を抱け」

しばらくご無沙汰だった浮竹は、たまっていた。

自分で処理する日もあったが、受け身で中いきを覚えた体は、京楽に抱かれたがってうずうずしていた。

「わお。積極的だね」

浮竹は、軽く自分の唇を舐めて、京楽の衣服を脱がしていく。

「ん・・・いいね、積極的な君も」

浮竹は、京楽のものを手でしごいて、口に含む。

風呂には入った後なので、戸惑いはなかった。

「ふ・・・・」

鈴口を舌でチロチロと刺激されて、さらに全体をこするように手でしごいた。

「出すよ・・・・飲んで?」

京楽は、浮竹の口の中に射精した。

浮竹は、それを当たり前のように嚥下して、口をあけて中身を全て飲みほしたことをアピールする。

「ん・・・君のここ、柔らかいね。さては、一人の時ちょっといじってたね?」

「あ、京楽のじゃないと中いきできない。中できもちよくなりたい」

「正直な君もかわいいね」

京楽は、潤滑油を足して、すでに柔らかくなっている蕾に指をいれて、前立腺をひっかいてやった。

「はう!中で、いっちゃう」

「思う存分いって?前も慰めてあげる」

口で浮竹のものを舐めあげながら、指で浮竹の前立腺をコリコリと刺激すると、びくんと浮竹の体がはねた。

「やああああ、中いきしながらいっちゃう!」

「2重にいくの、クセになりそうでしょ?」

「んああああ!!」

びくんびくんと体をはねさせて、浮竹はいっていた。

「じゃあ、いれるよ?」

「あ、早く・・・俺を、めちゃくちゃにして?」

「十四郎、かわいい」

「あ、春水・・・・あああ、挿入ってきてる。京楽の、熱いのおおお」

京楽は、ゆっくりと浮竹を貫く。

「あああ、またいっちゃう!」

ぐりっと奥を刺激されて、それに弱い浮竹は中いきをまたしていた。

「いああああ!」

京楽は、何度か浮竹を貫き揺さぶり、ごりごりと奥を抉ってから、浮竹の胎の奥に射精していた。

「あ、くる、春水の子種・・・あああ、俺もいっちゃう」

「一緒にいこうか」

京楽は、萎えていない浮竹のものを手でしごいて、射精に導く。

「いやああああ、あああ」

「こんなに濡らして、いやじゃないでしょ?」

「ううん・・」

舌を絡み合わせてキスを繰り返す。

「あああ!」

ごりごりと、結腸にまでグポンと入り込んできた京楽のものを締め上げる。

「ん、ちょっときつい。まだ君の中堪能したいから」

「ああああ!」

浮竹のものに手をそえて、しごきあげる。

「んあああ!」

中の締め付けが、少し緩くなった。

京楽は、浮竹から抜いて、浮竹の反応を見た。

「なんで?俺の中、きもちよくない?」

「そんなことないよ。今度は、君が挿入れてみて?」

京楽は寝転がり、その上に浮竹がしゃがみこむ。

「ああああ!!!」

自分の体重で、ずぷずぷと京楽のものを飲みこんでいく。

「あ、深い・・・・深いの、好き」

「奥、ごりごりしてあげるからね?」

「うん」

下から突き上げられながら、浮竹も自分で動いた。

いい場所に当たるように、腰をくねらせる。

「今日の十四郎、エロい・・・・・・」

「あ、奥にきてる!このまま、京楽の子種どぴゅどぴゅ注いで!」

京楽は、浮竹を勢いよく押し倒した。

ゴリっと奥を抉られまくって、浮竹は今日一番の大きな中いきをしながら、射精していた。

「いあああああああ、あああ、あ”!」

頭が真っ白になる。

快感に支配されて、何も考えられなくなる。

「あ、きもちいい、春水、春水」

「ボクも最高にきもちいいよ。君の中はとろけるように熱くて、締め付けてくる」

京楽は、最後の一滴まで浮竹の中に吐き出して、満足した。

「んあ・・・ああああ」

浮竹は、京楽にしごかれて、最後の射精を終えた。

「はう・・・・あああ、お前の子種が、流れ出てしまう」

ぽっこりと少しお腹を膨らませた部分から、とろとろと白い液体が太ももを伝って流れ落ちてくる。

「俺が女なら、京楽の子を孕めて、愛の結晶を生み出せるのに」

「浮竹、そんなものいらないよ。浮竹が男の子でも、ボクは愛してる。もちろん、女の子でも愛してるけどね」

「ん・・・・」

濡れたタオルで、太ももを伝い落ちる白濁した液体をふかれて、浮竹は京楽にキスをする。

「何、まだ足りないの?」

「ん・・・・愛に、形があればいいのにと思って」

京楽が、浮竹が大規模な遠征に出ると知ったのは、浮竹が自分の家に帰って、太陽が登り切り、遠征のメンバーが出発した後だった。



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ボクだけの翡翠8

席官としての死神の業務は忙しかった。

たまに休みをとれても、お互いが一緒の非番の日はなく、すれ違いの毎日を過ごす。

「ああ浮竹、君に会いたい。君を抱きたいよ」

「ばかか。今俺たちにそんな余裕はない」

地獄蝶でたまにやりとりをした。

席官となり、隊長となる。

それが二人の最終目的だった。卍解はすでに習得済みで、経験さえ重ねれば十分に隊長になれる可能性はあった。

死神になって、半年が過ぎた。

時折非番になった時、セックスをして眠ることはあったが、どこかへ一緒に出掛けるということがなかった。

久しぶりに、お互い1週間の休暇をもぎとった。

二人がしたのは、温泉旅行に行くことだった。

「温泉旅行、院生時代を思い出すねぇ」

「院生時代に借りた宿より、はるかに高級だけどな」

お互い、金はあった。

浮竹の場合、家族に仕送りをしているが、薬を買ってもまだ金は残るほどには給金はもらえていた。

「ようこそ、おいでくださいました」

「すまない。3日ほど、世話になる」

京楽の馴染みの店らしく、女将は京楽を見ると頬を染めた。

「おい、お前まさか・・・・・」

「あ、うん。学院に入る前、火遊びでちょっと・・・・・」

「うわー最悪だ」

浮竹は京楽の脛を蹴りあげた。

「このすけこまし!」

「む、昔のことだよ。ボクもまだ、少年になって、性に敏感だった頃に、初めての相手で・・・・・」

「もっと最悪だ」

だからと言って、今更宿を変えることもできないので、そのまま宿泊することにした。

宿の女将は、案の定死神となった京楽にちょっかいをかけてきたが、ことあるごとに浮竹が潰し、しまいには女将の目の前でいちゃついてキスをして、女将を落胆させた。

「京楽様は、女殺しの京楽様と異名を持っていらしゃったのに、今はもう違うのですね」

「京楽は俺のものだ。欲しければ、俺からとりあげてみろ」

「浮竹様・・・できません。浮竹様、私と京楽さまは火遊びの相手だったのです。どうか京楽様といつまで仲良く、夫婦のようにいてくださいませ」

「浮竹、やっぱり結婚するしかないね」

「言ってろ」

そのまま温泉に浸かり、日頃の疲れを癒した。

夜になり、京楽が迫ってくる。

「したくない」

「そんなぁ。次にいつ休暇とれるかわかんないんだよ」

「素股なら、してもいい」

「それでもいいから、させて!」

京楽は、浮竹の浴衣を脱がせて、股を閉じさせるとそこに自分のものを出し入れした。

「気持ちいいのか?」

「うん、最高・・・・ねぇ、君もきもちよくなって?」

「あ、やああああ」

京楽は浮竹の素股を楽しみながら、浮竹のものをしごきあげる。

「あ、あ、あ、あ!」

リズミカルにしごかれて、浮竹はたまっていたこともあり、あっという間に精液を畳に零していた。

「やああ、らめええええ」

また、京楽の手が浮竹のものを触る。

ズリズリと、京楽は浮竹の素股を楽しんだ。

「やらあああああ」

京楽は、浮竹のものを射精に導こうとして、ぎゅっと握りしめていけないようにする。

「やあああ、いかせてええええ」

「ふふ、ボクと一緒にいこうね?」

「あああ、あああ!!!!」

京楽が、浮竹の太ももと腹に白濁した液体を垂らす頃には、浮竹のものを戒めている手を離してやって、精液を出させてやった。

久しぶりの行為に、浮竹はごっそりと体力をとられてしまった。

「ねぇ、やっぱりしようよ」

「やらぁ。だめぇえ」

まだ頭が真っ白になったままで、うまく言葉を話せない。

「仕方ない、今回は諦めるよ。でも、今度同じ休暇とれたときには、君を想う存分抱くからね?」

「あ・・・・ん・・・勝手に、決める、な」

少し意識を回復した浮竹が、怒る。

「素股だけって言ったのに!」

「でも、素股だけじゃあボクだけが気持ちよくなって、君は気持ちよくなれないでしょ?」

「それは・・・・」

「疑似セックスなんだから、君も気持ちよくならないとね?」

京楽に言いくるめられて、浮竹は次の日結局、体を許すのであった。

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ボクだけの翡翠7

「うー、腰が痛い」

「回道、かけてあげるね」

「やり過ぎた、バカ!」

浮竹が起きると、後始末は綺麗にされており、中に出されたものもかき出されていて、シーツも新しいものに変えられており、浮竹はパジャマを着ていた。

「腰がいたくなかったら、全てが夢だったように思える」

「浮竹のヴァージンは、ボクがもらったからね」

「恥ずかしいことを言うな、バカ!」

「ふふ・・・」

京楽は、浮竹の腰に回道をかける。浮竹も回道を使えるようになっていて、自分でも回道をかけた。

「今日は、念のためベッドで過ごしてね。今日と明日は休みだし」

「風呂に入ってくる」

「一人で入れる?なんなら、一緒に入る?」

「お前のことだから、絶倫だし絶対風呂の中でするだろ」

「あ、ばれた?」

「バカ!」

浮竹は、京楽をポカリと殴って、風呂に消えていった。

「ああ、幸せだなぁ」

京楽は、浮竹を手に入れた幸せを噛みしめていた。




それから月日は流れ、5回生になっていた。

浮竹の髪は腰まで伸びて、麗人だった。

「きゃあ、浮竹さんよ」

「素敵。京楽さんもいるわ」

二人は、お互いを高めあい、死神となるために歩み続ける。

5回生になった頃から、死神にまじって行動するようになった。

もう、学院で習うことは何もなかった。

卍解まで会得しており、6回生になって卒業した後には、席官クラスが用意されているそうだ。

「京楽、俺たち、死神の隊長になるぞ。先生に言われた通りに進んでいくんだ」

「山じいの言われた通りってわけじゃあないけど、ここまできたら、隊長になるしかないねぇ」



6回生になり、卒業式がやってきた。

浮竹は家族総出で喜んでいたが、京楽は一人だった。

「京楽、一緒にこい!」

「ええ!?」

浮竹は、京楽を無理やり誘って、流魂街にある自分の家に招待した。

「十四郎が、いつもお世話になっております」

「あ、これはどうも」

「これからも、十四郎のことを頼みます」

浮竹の母と父からそう言われて、京楽はまさかと思った。

「浮竹、もしかしてボクらのこと・・・・」

「文で書いて知らせている」

「えええええ!!いいの!?君、長男でしょ!?」

「俺が愛した人なら、性別も年齢もなんでもいいと言われた」

「緩すぎない?」

「そういう教育で育ってきた。今更だ」

「じゃあ、ボクたちは君の両親に認められて、正式にお付き合いしているって言ってもいいんだね?」

「ああ」

「お父さん、お母さん。ボクは京楽春水と申します。息子さんの浮竹十四郎は、ボクにとってとても大事な人です。幸せにします。どうか、ボクたちを見守っていてください」

京楽は、かしこまって浮竹の両親に挨拶をした。

浮竹の父と母は朗らかな人で「息子を頼みます」といって、ごちそうと酒を用意してくれた。

「お前の食べてきた貴族としての食事には遠く及ばないだろうけれど、俺も手伝って作ったんだ。食べてくれ」

京楽は、もっていたはしを動かして、祝い事のある時でしか作らないごちそうを食べていく。

「うん、おいしいね。君が作るの手伝ったっていうから、余計においしくかんじられる」

「そうか。よかった。酒は飲むだろう?」

京楽は酒豪だった。

浮竹はある程度は飲めるが、一定量を飲むと眠ってしまうので、酒を飲む時はセーブして飲んでいた。

「今日は、お互いはれて13番隊と8番隊の7席と8席としての席官入りを果たした日でもある。飲め。俺も今日は限界まで飲むぞ」

浮竹は言葉通り、眠りに落ちるまで飲んだ。

酒豪である京楽が、浮竹を抱き上げて、浮竹の寝室にまで運ぶと、浮竹を布団に寝かせて、キスをすると、その隣に布団をしいて、自分も寝た。

「浮竹、朝だよ。起きなよ」

「ん・・・昨日は、飲みすぎたな」

「そうみたいだね。君、途中で潰れちゃって、ボクが部屋まで運んで布団に寝かせたよ」

「すまん!客人であるお前に迷惑をかけた」

「そんなこと、いいって。それより、家族と別れをすましてこないと。しばらくの間は、死神としての業務に追われるよ」

「ああ、そうだな」

京楽の言葉通り、浮竹は家族に会い、しばしの別れを告げた。

「いいねぇ、浮竹にはいい家族がいて。ボクの家族ときたら、卒業式にもこないし、8番隊の8席になったっていうのに、祝いの言葉もなしだよ」

「京楽、寂しいか?」

別れを済ませた浮竹が、京楽に問う。

すると、京楽は笑って浮竹を抱き上げた。

「ボクは、君がいるから寂しくないよ。君は、ボクだけの翡翠だ」

「こら、まだ家族が見てるかもしれないんだぞ。やめないか」

「ふふ、浮竹の恥ずかしがりやさん」

「ばか、弟や妹はまだ幼いんだ。教育に悪い」

浮竹は、京楽の頭をぽかりと殴った。

「ふふ。ボクは幸せ者だなぁ」

「家族が卒業式に顔も出さないのにか?」

「あんな奴ら、家族と思ってない。ボクの家族は、浮竹、君だよ」

浮竹は真っ赤になった。

「お、俺もお前のこと、家族だと、思っている」

「ねえ、隊長になったら結婚式挙げようか」

「な!何をばかな・・・・・」

浮竹は、京楽がからかっているものだと思っていた。

「結婚式あげよ?」

「本気か?」

「本気だよ」

「考えておく」

答えは、保留だった。


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