堕天使と天使16
「ん・・・・・・・」
起きると、すっぱだかの京楽がいた。
京楽は、黒猫の姿になれる。
久しぶりに黒猫に変化していて、浮竹が猫好きということもあって構いまくっていたら、そのまま疲れて一緒のベッドで眠ってしまったのだ。
元から一緒のベッドで寝ているが、さすがにいつもは服を着ている。
「京楽、起きろ。それから服を着ろ」
「んーもうちょっと」
ごそごそと浮竹を探してくる手をつねってやると、痛みで京楽が目を開いた。
「ぐっどもーにんぐ。まいはにー」
「バカやってないで服着て朝食の準備しろ。コーヒーをいれてくる。黒猫ならかわいいのに、なぜ堕天使のなった京楽はかわいくないのか・・・・・・」
そんなことを呟きながら、浮竹はキッチンに移動した。
京楽も服を着て、キッチンに移動して、浮竹にいれてもらったコーヒーを飲んで、簡単だが朝食を作り始めた。
いい匂いがしてきて、浮竹はテレビをつけた。
「エキドナの異常繁殖が見られます。アナウンサーの佐藤さん、現場状況をどうぞ」
「はい、佐藤です。こちらは、冒険者ギルドの前にきています。ギルドマスターにお話しを伺いましたところ、エキドナ退治は毎日のように行っているそうですが、母体がいるのか完全に駆除できないようです。これがエキドナです」
TVの向こう側では、死んだエキドナの死体が映っていた。
「緊急依頼。エキドナの母体を退治せよ。金貨200枚」
浮竹が、魔法で依頼書を分別していると、緊急依頼でエキドナの母体を叩けというものがあった。
エキドナは美しい女性の上半身に蛇の下半身をもつ、ラミアに少し似ているが、ラミアより存在は上位で、ヒュドラやケルベロスの母と言われていた。
「冒険者ギルドだけでは対応できなくなったみたいだね。母体を叩けだなんて、無茶を言ってくれるね、新しいギルドマスターは」
ハイエルフのギルドマスターは2カ月ほど前に、ドラゴンマニアなので、ドラゴンを探す旅にでるとかいって、新しいギルドマスターがやってきた。
エルフだったが、少女のような美貌を持つ少年で、男の娘だった。
浮竹と京楽は、エキドナの母体の情報を得るために冒険者ギルドに来ていた。
「やあ、浮竹に京楽。今日はいい天気だね」
「ああ、そうだな。エキドナの件について聞きたい」
京楽は、ゴスロリファッションな男の娘のギルドマスターのスカートをめくった。
「何するんだい!」
「いやぁ、下着は男の子のものなんだと思って」
「浮気か!おいこら、冒険者ギルドのしかもギルドマスターに浮気か!」
京楽は、浮竹に首を締め上げられて、酸素不足で顔が蒼くになっていた。
「ほら、浮竹、そんなことしてると京楽が死んじゃうよ」
「こいつはいっぺん殺さないと、性根が腐ってる!」
「ギブギブ、浮竹、僕が悪かったから。ほんのでき心なんだよ。男の娘のギルドマスターの下着は女物か男物か気になっただけだから」
「だからってスカートをめくるな!立派な犯罪だぞ!」
「まぁ、僕は平気だけどね。それより、エキドナの母体は西のアルンデ地方の森にいると推測されている。アルンデまでは車で4時間ってとこかな。アルンデからエキドナが沸きだしてるから、アルンデ地方は冒険者以外は立ち入り禁止になっている。住民の避難は完了しているよ」
「そうか。さっそく向かうことにする」
「母体はきっと大きい。気を付けて」
「じゃあ、エキドナの母体の魔石を提出するのを待っていてくれな」
そう言って、浮竹と京楽は車でアルンデ地方に向かい、瘴気の濃い森の近くに車を停めると、清めの呪符を手に森の中に入っていった。
「瘴気が濃いな」
「エキドナだよ」
まだ生まれて幼体のエキドナが数体いた。
「ヘルフレイム!」
「アイスクラッシャー!」
「きゃああああ!!」
「ぎゃああああああ!!」
幼体だからと手加減していては、いずれ成長して人に害を成す。
幼体がいるということは、母体が近いことを意味していた。
清めの札をもっているが、瘴気が濃くて、浮竹は京楽の分まで体の周りに結界を張り、瘴気で体がおかしくなることを防いだ。
森の奥から声がした。
「誰。わらわのかわいい子供たちを殺した。わらわの子はやがて世界を満たす。わらわは絶対。わらわは君臨者」
「母体から声をかけてくれるなんて、居場所を教えてくれているようなものだね」
「気をつけろ。母体はでかいぞ」
森の奥の開けた場所に、普通のエキドナの10倍はあろうかという巨大なエキドナがいた。
母体であった。
卵がそこかしこにあった。
「グラビディ・ゼロ!」
京楽が、重力の魔法でまずは卵を破壊する。
これ以上エキドナの孵化を防ぐためだった。
「おのれ、人間め、わらわの子供たちを殺すのか!」
「正確には天使と堕天使なんだけどね。子供っていうか、母体である君に死んでもらう」
「わらわは世界の王になるのだ。たかが天使や堕天使ごときに・・・・・」
「アイスコキュートス」
「ぎゃあああああああ!!!」
下半身の蛇の部分を浮竹に凍らされて、エキドナの母体は暴れ狂った。
自分で自分が産んだ卵を破壊しながら、身をくねらせる。
「いたい、いたい、寒いのは嫌いだ、寒いのはいやだ」
「氷が弱点か。蛇のモンスターでもあるしな。京楽、いくぞ」
「うん」
「「アイシクルフィールド」」
氷の禁忌で、エキドナの母体は大きな氷の彫像になった。
「ダイヤモンドダスト!」
それを、さらに硬い氷で割っていく。
エキドナの母体は、死しても氷は溶けず、魔石は京楽がナイフで取り出した。
「依頼達成だな。これで、エキドナの異常繁殖は終わるだろう」
「そうだと、いいんだけどね」
「どうした、京楽?」
「町に溢れかえるほどのエキドナを、この母体だけが産んだとは思えないんだ」
事実、探してみると他に3体の母体を発見し、駆除した。
「京楽、お手柄だな」
「チューして、チュー」
「はいはい」
京楽の唇にキスをする。
吸い付いて離れない京楽を殴り倒して、浮竹は魔石を4つ手に、車に乗り込んで冒険者ギルドに帰還した。
「エキドナの母体を4体確認した。どれも駆除した。証拠の魔石だ」
「わお、大きな魔石だね。これは高値がつくよ」
エキドナの母体は、ハイクラスのエキドナであった。
エキドナの女王だ.。
「1個金貨300枚で引き取ることにするよ」
「報酬が金貨200枚で、魔石が金貨300枚×4の1200枚か。なかなかの収入だな、京楽・・・・・・・」
京楽は、ギルドマスターの男の娘のスカートをまためくっていた。
「あ、今日は女の子ものの下着はいてる・・・・・・」
「京楽~~~~~~~?」
にこにこした顔で、手をボキボキならしながら、浮竹はスマイルを浮かべて京楽の鳩尾に右ストレートを決めた。
「ごふっ」
「ボクはランゼ。あいにく、京楽みたいなもじゃもじゃのおっさんに興味はないから。恋愛対象はあくまで女の子。男の娘の恰好してるけどね」
「ランゼ。京楽がすまない。スカートめくりをやめさせるよう、徹底的に指導しておく」
「ほどほどにね。さっきから、京楽嬉しそうにしてるし」
罰が罰になっていない。
そんな京楽だった。
浮竹にどんな形であれ、構ってもらえてうれしいのだ。
「京楽!おいこら!」
「にゃあああん」
「わ、黒猫の姿とるなんてずるいぞ!怒れないじゃないか!」
「にゃああん。ごろごろ」
黒猫の京楽は、浮竹の肩に乗って、甘え出した。
「仕方ない。元に戻るときは、ちゃんと服を用意しておけよ」
「にゃあああん」
その後、黒猫の京楽は、猫缶詰を食べてカリカリを食べてチュールを食べて、ベッドの下にもぐって寝るのだった。
朝になり、ベッドの下から苦悶の声が出てくる。
「ベッドの下から出れないよ~~~~」
「自業自得だ、ばかが。また黒猫になればいいだけだろう」
「あ、そうだった」
黒猫になり、ベッドの下から出てきた京楽は、すぐに人型に戻った。
「朝っぱらから、なんちゅーもんを見せつけるんだ!」
浮竹は、まっぱの京楽に怒って、股間を蹴り上げた。
「ぬおおおおおおおおおお」
悶絶する京楽に、着替えの服を投げつけて、浮竹は朝食を作るためにキッチンに移動するのであった。
起きると、すっぱだかの京楽がいた。
京楽は、黒猫の姿になれる。
久しぶりに黒猫に変化していて、浮竹が猫好きということもあって構いまくっていたら、そのまま疲れて一緒のベッドで眠ってしまったのだ。
元から一緒のベッドで寝ているが、さすがにいつもは服を着ている。
「京楽、起きろ。それから服を着ろ」
「んーもうちょっと」
ごそごそと浮竹を探してくる手をつねってやると、痛みで京楽が目を開いた。
「ぐっどもーにんぐ。まいはにー」
「バカやってないで服着て朝食の準備しろ。コーヒーをいれてくる。黒猫ならかわいいのに、なぜ堕天使のなった京楽はかわいくないのか・・・・・・」
そんなことを呟きながら、浮竹はキッチンに移動した。
京楽も服を着て、キッチンに移動して、浮竹にいれてもらったコーヒーを飲んで、簡単だが朝食を作り始めた。
いい匂いがしてきて、浮竹はテレビをつけた。
「エキドナの異常繁殖が見られます。アナウンサーの佐藤さん、現場状況をどうぞ」
「はい、佐藤です。こちらは、冒険者ギルドの前にきています。ギルドマスターにお話しを伺いましたところ、エキドナ退治は毎日のように行っているそうですが、母体がいるのか完全に駆除できないようです。これがエキドナです」
TVの向こう側では、死んだエキドナの死体が映っていた。
「緊急依頼。エキドナの母体を退治せよ。金貨200枚」
浮竹が、魔法で依頼書を分別していると、緊急依頼でエキドナの母体を叩けというものがあった。
エキドナは美しい女性の上半身に蛇の下半身をもつ、ラミアに少し似ているが、ラミアより存在は上位で、ヒュドラやケルベロスの母と言われていた。
「冒険者ギルドだけでは対応できなくなったみたいだね。母体を叩けだなんて、無茶を言ってくれるね、新しいギルドマスターは」
ハイエルフのギルドマスターは2カ月ほど前に、ドラゴンマニアなので、ドラゴンを探す旅にでるとかいって、新しいギルドマスターがやってきた。
エルフだったが、少女のような美貌を持つ少年で、男の娘だった。
浮竹と京楽は、エキドナの母体の情報を得るために冒険者ギルドに来ていた。
「やあ、浮竹に京楽。今日はいい天気だね」
「ああ、そうだな。エキドナの件について聞きたい」
京楽は、ゴスロリファッションな男の娘のギルドマスターのスカートをめくった。
「何するんだい!」
「いやぁ、下着は男の子のものなんだと思って」
「浮気か!おいこら、冒険者ギルドのしかもギルドマスターに浮気か!」
京楽は、浮竹に首を締め上げられて、酸素不足で顔が蒼くになっていた。
「ほら、浮竹、そんなことしてると京楽が死んじゃうよ」
「こいつはいっぺん殺さないと、性根が腐ってる!」
「ギブギブ、浮竹、僕が悪かったから。ほんのでき心なんだよ。男の娘のギルドマスターの下着は女物か男物か気になっただけだから」
「だからってスカートをめくるな!立派な犯罪だぞ!」
「まぁ、僕は平気だけどね。それより、エキドナの母体は西のアルンデ地方の森にいると推測されている。アルンデまでは車で4時間ってとこかな。アルンデからエキドナが沸きだしてるから、アルンデ地方は冒険者以外は立ち入り禁止になっている。住民の避難は完了しているよ」
「そうか。さっそく向かうことにする」
「母体はきっと大きい。気を付けて」
「じゃあ、エキドナの母体の魔石を提出するのを待っていてくれな」
そう言って、浮竹と京楽は車でアルンデ地方に向かい、瘴気の濃い森の近くに車を停めると、清めの呪符を手に森の中に入っていった。
「瘴気が濃いな」
「エキドナだよ」
まだ生まれて幼体のエキドナが数体いた。
「ヘルフレイム!」
「アイスクラッシャー!」
「きゃああああ!!」
「ぎゃああああああ!!」
幼体だからと手加減していては、いずれ成長して人に害を成す。
幼体がいるということは、母体が近いことを意味していた。
清めの札をもっているが、瘴気が濃くて、浮竹は京楽の分まで体の周りに結界を張り、瘴気で体がおかしくなることを防いだ。
森の奥から声がした。
「誰。わらわのかわいい子供たちを殺した。わらわの子はやがて世界を満たす。わらわは絶対。わらわは君臨者」
「母体から声をかけてくれるなんて、居場所を教えてくれているようなものだね」
「気をつけろ。母体はでかいぞ」
森の奥の開けた場所に、普通のエキドナの10倍はあろうかという巨大なエキドナがいた。
母体であった。
卵がそこかしこにあった。
「グラビディ・ゼロ!」
京楽が、重力の魔法でまずは卵を破壊する。
これ以上エキドナの孵化を防ぐためだった。
「おのれ、人間め、わらわの子供たちを殺すのか!」
「正確には天使と堕天使なんだけどね。子供っていうか、母体である君に死んでもらう」
「わらわは世界の王になるのだ。たかが天使や堕天使ごときに・・・・・」
「アイスコキュートス」
「ぎゃあああああああ!!!」
下半身の蛇の部分を浮竹に凍らされて、エキドナの母体は暴れ狂った。
自分で自分が産んだ卵を破壊しながら、身をくねらせる。
「いたい、いたい、寒いのは嫌いだ、寒いのはいやだ」
「氷が弱点か。蛇のモンスターでもあるしな。京楽、いくぞ」
「うん」
「「アイシクルフィールド」」
氷の禁忌で、エキドナの母体は大きな氷の彫像になった。
「ダイヤモンドダスト!」
それを、さらに硬い氷で割っていく。
エキドナの母体は、死しても氷は溶けず、魔石は京楽がナイフで取り出した。
「依頼達成だな。これで、エキドナの異常繁殖は終わるだろう」
「そうだと、いいんだけどね」
「どうした、京楽?」
「町に溢れかえるほどのエキドナを、この母体だけが産んだとは思えないんだ」
事実、探してみると他に3体の母体を発見し、駆除した。
「京楽、お手柄だな」
「チューして、チュー」
「はいはい」
京楽の唇にキスをする。
吸い付いて離れない京楽を殴り倒して、浮竹は魔石を4つ手に、車に乗り込んで冒険者ギルドに帰還した。
「エキドナの母体を4体確認した。どれも駆除した。証拠の魔石だ」
「わお、大きな魔石だね。これは高値がつくよ」
エキドナの母体は、ハイクラスのエキドナであった。
エキドナの女王だ.。
「1個金貨300枚で引き取ることにするよ」
「報酬が金貨200枚で、魔石が金貨300枚×4の1200枚か。なかなかの収入だな、京楽・・・・・・・」
京楽は、ギルドマスターの男の娘のスカートをまためくっていた。
「あ、今日は女の子ものの下着はいてる・・・・・・」
「京楽~~~~~~~?」
にこにこした顔で、手をボキボキならしながら、浮竹はスマイルを浮かべて京楽の鳩尾に右ストレートを決めた。
「ごふっ」
「ボクはランゼ。あいにく、京楽みたいなもじゃもじゃのおっさんに興味はないから。恋愛対象はあくまで女の子。男の娘の恰好してるけどね」
「ランゼ。京楽がすまない。スカートめくりをやめさせるよう、徹底的に指導しておく」
「ほどほどにね。さっきから、京楽嬉しそうにしてるし」
罰が罰になっていない。
そんな京楽だった。
浮竹にどんな形であれ、構ってもらえてうれしいのだ。
「京楽!おいこら!」
「にゃあああん」
「わ、黒猫の姿とるなんてずるいぞ!怒れないじゃないか!」
「にゃああん。ごろごろ」
黒猫の京楽は、浮竹の肩に乗って、甘え出した。
「仕方ない。元に戻るときは、ちゃんと服を用意しておけよ」
「にゃあああん」
その後、黒猫の京楽は、猫缶詰を食べてカリカリを食べてチュールを食べて、ベッドの下にもぐって寝るのだった。
朝になり、ベッドの下から苦悶の声が出てくる。
「ベッドの下から出れないよ~~~~」
「自業自得だ、ばかが。また黒猫になればいいだけだろう」
「あ、そうだった」
黒猫になり、ベッドの下から出てきた京楽は、すぐに人型に戻った。
「朝っぱらから、なんちゅーもんを見せつけるんだ!」
浮竹は、まっぱの京楽に怒って、股間を蹴り上げた。
「ぬおおおおおおおおおお」
悶絶する京楽に、着替えの服を投げつけて、浮竹は朝食を作るためにキッチンに移動するのであった。
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堕天使と天使13
今回の依頼者は、精霊サラマンダーであった。
暴走している炎の精霊イフリエルを鎮めることを希望していた。
提示された金額は白金貨500枚。
ただ、相手は精霊だけに冒険者ギルドでは手に負えなくて、浮竹と京楽のところに回ってきたパターンだった。
精霊使いや召喚士がその依頼に趣いたが、皆敗北して帰ってきて、提示金額が大きいけれど、それだけ危険度も高く、帰ってきた者たちは1年以上の療養生活を余儀なくされたという。
「炎の精霊イフリエルか。普通はイフリートなんだけどね。イフリエルは元々精霊使いの天使だった。それが精霊となり、炎の上位精霊に進化したんだよね」
「よく知ってるな。すごいじゃないか」
「だって、精霊になる前のイフリエルはかわいかったから、何度かちょっかいかけてたから」
「さっきの話は撤回しておこう」
褒めたところで、京楽は調子に乗ってすぐ昔のぼろを出す。
「とりあえず、イフリエルがいるという、炎の谷に向かおう」
精霊界に入る必要があった。
浮竹は天使なので、精霊と会話ができる。
最近仲良くなった水の精霊ウンディーネに頼んで、精霊界に入れてもらった。
天使の浮竹を入れるのは戸惑いはなかったが、堕天使の京楽も一緒だと知って、ウンディーネは自分が精霊界に入れたことを絶対にばらさないでくれと言って、京楽も入れてくれた。
精霊界は、天界と違ってまたファンタジー要素の溢れる不思議な世界だった。
最近の天界は人間界のようになってきている。
精霊界には機械はなく、完全に精霊の力で成り立っていた。
「よくきてくれた。炎の谷にイフリエルはいる。イフリートが何度か説得に向かったが、ボコボコにされて帰ってきたんだ」
人型をとっていた炎の精霊サラマンダーは、炎の谷に入るためのお札を渡してくれた。
その札がないと、高温で生き物が存在することができない。
前回と前々回にも、人間に冒険者たちにお札を渡して頼み込んだが、徒労に終わっている。
「元々が天使なら、なんとかなると思うんだ」
「天使ならば、解決してくれると信じている。そっちは堕天使のようだが、イフリエルと認識が昔あったんだろう?」
「何で分かるの」
「イフリエルが昔言っていたんだ。京楽という堕天使が関係を求めてきてしつこいと」
「京楽・・・・お前・・・・・」
「ちょっと、それは誇張すぎないかい!確かにイフリエルに少しはちょっかい出してたけど」
京楽は、首をぶんぶん横に振って、否定する。
京楽は昔のことは否定しないので、今回のことは誇張なのだろう。
「まぁ、昔のお前のことは俺がどうにかできることじゃないからな。とりあえず、イフリエルを鎮める方法を探そう」
「イフリエルは、召還者を求めている。鎮めるには、契約を交わすのが一番だろう。人間とは契約できなかった。だが、天使ならあるいは・・・」
サラマンダーは、浮竹を見て浮竹に望みを託した。
「これは、精霊香薬といって、精霊をおちつかせる薬だ。イフリエルに飲ませるといい。飲ませられるものなら」
なんだか、試練を受けている気分になってきた。
浮竹と京楽は、精霊香薬をとお札を手に、炎の谷を目指した。
徒歩で、3日かかる場所に炎の谷はあった。
徒歩の間は、精霊たちに食事を提供してもらい、宿も精霊に借りた。
「今のイフリエル、すごい怒ってるから、気をつけてね」
最後の宿を貸してくれた、土の精霊ノームに礼を言って、浮竹と京楽は炎の谷に入った。
「凄く暑いはずなのに、お札のお陰か暑さも熱さもかんじない」
「いた、イフリエルだ」
炎の中で、踊っている6枚の翼をもつ炎の精霊の娘がいた。
「イフリエル!」
「誰、私を呼ぶのは!私が精霊王の妻となるべきイフリエルと知ってのこと?」
「え、精霊王の妻になるのか?」
「いや、そんなこと何も聞いてないよ」
「炎の精霊王の妻になるために、修行していたのに、炎の精霊王はあろうことか風の精霊女王と結婚してしまった。許せるものか」
ごおおおと、浮竹と京楽を炎が襲う。
「あら、あなた天使なのね?私の心の痛さが分かるでしょう?」
「だからって、周囲に当たり散らすのはよくない。大人しく、元の精霊に戻って、現実を受け入れろ」
「やだ・・・あなた、京楽?千年前に天使だったあたしにまとわりついてたのに・・・あはは、そうなの。今は、この子があなたのいい人なのね」
「イフリエル!止めなさい!」
京楽の静止の台詞も聞かずに、イフリエルは6枚の翼で浮竹を包み込んだ。
「私のものになりなさい、ぼうや。いい夢を見させてあげる」
浮竹は、とっさに精霊香薬を口にすると、火傷をするのも構わずにイフリエルに口移しで飲ませた。
「浮竹!酷い火傷だ!」
「セイントヒール」
自分の火傷を治そうとするが、イフリエルから受けた火傷はなかなか治らなかった。
「私を・・・・火傷してまで、正気に戻そうと?」
「イフリエル、目を覚ましてくれ。暴走するのはやめてくれ」
「あたしのせいで、そんな火傷を負ったのに・・・・・あなたは、心が優しいのね。いいわ、決めた、あたし、あなたと契約するわ。そうすれば、その火傷も治るはず」
「え、ちょっと、だめだよ、浮竹には僕という存在が!」
「あら、京楽にはいい薬になるわね。どう、あたしと契約しない?精霊の力を手に入れられるわよ」
「契約しよう」
「そうこなくっちゃ。大丈夫、私生活を邪魔したりしないわ。いつもは精霊界にいるもの。呼ばれたら、出てくるだけよ」
イフリエルは、親指を噛みちぎって血を流した。
浮竹も親指を噛みちぎって血を流し、交じわせる。
「契約は完了よ。私はイフリエル。炎の上位精霊にして、イフリートの上をいく者」
「俺は浮竹十四郎。セラフの天使だ。イフリエル、お前を召還精霊にすると、今この瞬間に誓おう」
「京楽は、相変わらず浮気してばかりなのかしら?」
「こら、イフリエル!」
「ふふふ。いいじゃない、ちょっと過去をのぞいただけよ」
「イフリエル、正気に戻ったのなら、炎を収めてくれ」
「分かったわ」
炎の谷の炎は、イフリエルが出していたらしく、すぐに穏やかな気候に戻り、精霊の力のせいか、不毛だった大地に花が咲き乱れていく。
「私が行く道には花も灰となる。それでも、私と契約を続けてくれるのかしら」
「一度交わした契約だ。それに、サラマンダーも契約者をもつことを望んでいたしな」
「あら、サラマンダーの坊やには、苦労をかけたかしら。そういえば、何度か人間の冒険者パーティーが、力ずくで私と契約しようとしていたけど、こてんぱんにしてやったわね」
「それで、俺たちにお鉢が回ってきたんだ」
「あら、そうなの」
イフリエルは、精霊界にいる間、ずっと浮竹の隣にいた。
それが、京楽には面白くなくて、右側をイフリエルが、左側を京楽がそれぞれ浮竹の腕をとって歩いていた。
「君、離れてよ!」
「いやよ。あなたこと離れたらどうなの。どうせ、またかわいい精霊でも見つけて、つまい食いするんでしょ?」
「僕はね、今は浮竹一筋なの。だから、浮竹を独り占めしていいのは、僕だけなの」
「イフリエル、すまないが、少し離れてくれ」
「今回の召還者は天使・・・・しかも堕天使の印つき。面白いわね」
イフリエルは、妖艶に笑って、炎の塊となって精霊界を飛んでいった。
浮竹がイフリエルの炎で受けた火傷は、全てイフリエルと契約したことで治っていた。
「サラマンダー。無事、イフリエルの暴走をとめて、契約を交わした」
サラマンダーに事の顛末を話すと、白金貨500枚をもらった。
白金貨500枚は、正直報酬としては高すぎるのだが。
ドラゴン退治で大体白金貨3000枚を考えると、今回は実は命の危険もあったことを、後から感じれた。
「イフリエルは悪い子ではないのだ。仲良くしてやってくれ。きっと、人間界に召還されたら、もう暴走なんてしなくなる」
報酬を受け取り、人間界に戻ると、浮竹は京楽の静止の声も聞かずに、イフリエルを呼び出た。
「ああ、ここが人間界!すごい、すごいわ!」
イフリエルは人化して、浮竹と京楽と一緒に、服を買ったり、装飾品を買ったりした。
「ふふふ。あなたと契約してよかった。人間界で自由に動きまわれるなんて、夢のよう」
「その代わり、暴走はなしだぞ」
「勿論よ。呼ばれない限り、精霊界にいるから、安心して夜の営みをしなさい」
浮竹は顔を真っ赤にした。
「こら、イフリエル!」
「浮竹、京楽が嫌になったら言いなさい。私が京楽を怒ってあげるから」
「ああ、その時は頼む」
「ちょっと、僕のいないとこでそんな約束しないでよ!」
浮竹とイフリエルは笑った。イフリエルは、天使のセラフであった名残の6枚の翼を羽ばたかせて、精霊界に帰っていった。
「しばらく、夜は寝ないぞ」
「そんなぁ」
「イフリエルがのぞいていないか、確認ができたら、許可する」
「そんなぁ」
京楽の情けない声が、しばらくの間続くのであった。
暴走している炎の精霊イフリエルを鎮めることを希望していた。
提示された金額は白金貨500枚。
ただ、相手は精霊だけに冒険者ギルドでは手に負えなくて、浮竹と京楽のところに回ってきたパターンだった。
精霊使いや召喚士がその依頼に趣いたが、皆敗北して帰ってきて、提示金額が大きいけれど、それだけ危険度も高く、帰ってきた者たちは1年以上の療養生活を余儀なくされたという。
「炎の精霊イフリエルか。普通はイフリートなんだけどね。イフリエルは元々精霊使いの天使だった。それが精霊となり、炎の上位精霊に進化したんだよね」
「よく知ってるな。すごいじゃないか」
「だって、精霊になる前のイフリエルはかわいかったから、何度かちょっかいかけてたから」
「さっきの話は撤回しておこう」
褒めたところで、京楽は調子に乗ってすぐ昔のぼろを出す。
「とりあえず、イフリエルがいるという、炎の谷に向かおう」
精霊界に入る必要があった。
浮竹は天使なので、精霊と会話ができる。
最近仲良くなった水の精霊ウンディーネに頼んで、精霊界に入れてもらった。
天使の浮竹を入れるのは戸惑いはなかったが、堕天使の京楽も一緒だと知って、ウンディーネは自分が精霊界に入れたことを絶対にばらさないでくれと言って、京楽も入れてくれた。
精霊界は、天界と違ってまたファンタジー要素の溢れる不思議な世界だった。
最近の天界は人間界のようになってきている。
精霊界には機械はなく、完全に精霊の力で成り立っていた。
「よくきてくれた。炎の谷にイフリエルはいる。イフリートが何度か説得に向かったが、ボコボコにされて帰ってきたんだ」
人型をとっていた炎の精霊サラマンダーは、炎の谷に入るためのお札を渡してくれた。
その札がないと、高温で生き物が存在することができない。
前回と前々回にも、人間に冒険者たちにお札を渡して頼み込んだが、徒労に終わっている。
「元々が天使なら、なんとかなると思うんだ」
「天使ならば、解決してくれると信じている。そっちは堕天使のようだが、イフリエルと認識が昔あったんだろう?」
「何で分かるの」
「イフリエルが昔言っていたんだ。京楽という堕天使が関係を求めてきてしつこいと」
「京楽・・・・お前・・・・・」
「ちょっと、それは誇張すぎないかい!確かにイフリエルに少しはちょっかい出してたけど」
京楽は、首をぶんぶん横に振って、否定する。
京楽は昔のことは否定しないので、今回のことは誇張なのだろう。
「まぁ、昔のお前のことは俺がどうにかできることじゃないからな。とりあえず、イフリエルを鎮める方法を探そう」
「イフリエルは、召還者を求めている。鎮めるには、契約を交わすのが一番だろう。人間とは契約できなかった。だが、天使ならあるいは・・・」
サラマンダーは、浮竹を見て浮竹に望みを託した。
「これは、精霊香薬といって、精霊をおちつかせる薬だ。イフリエルに飲ませるといい。飲ませられるものなら」
なんだか、試練を受けている気分になってきた。
浮竹と京楽は、精霊香薬をとお札を手に、炎の谷を目指した。
徒歩で、3日かかる場所に炎の谷はあった。
徒歩の間は、精霊たちに食事を提供してもらい、宿も精霊に借りた。
「今のイフリエル、すごい怒ってるから、気をつけてね」
最後の宿を貸してくれた、土の精霊ノームに礼を言って、浮竹と京楽は炎の谷に入った。
「凄く暑いはずなのに、お札のお陰か暑さも熱さもかんじない」
「いた、イフリエルだ」
炎の中で、踊っている6枚の翼をもつ炎の精霊の娘がいた。
「イフリエル!」
「誰、私を呼ぶのは!私が精霊王の妻となるべきイフリエルと知ってのこと?」
「え、精霊王の妻になるのか?」
「いや、そんなこと何も聞いてないよ」
「炎の精霊王の妻になるために、修行していたのに、炎の精霊王はあろうことか風の精霊女王と結婚してしまった。許せるものか」
ごおおおと、浮竹と京楽を炎が襲う。
「あら、あなた天使なのね?私の心の痛さが分かるでしょう?」
「だからって、周囲に当たり散らすのはよくない。大人しく、元の精霊に戻って、現実を受け入れろ」
「やだ・・・あなた、京楽?千年前に天使だったあたしにまとわりついてたのに・・・あはは、そうなの。今は、この子があなたのいい人なのね」
「イフリエル!止めなさい!」
京楽の静止の台詞も聞かずに、イフリエルは6枚の翼で浮竹を包み込んだ。
「私のものになりなさい、ぼうや。いい夢を見させてあげる」
浮竹は、とっさに精霊香薬を口にすると、火傷をするのも構わずにイフリエルに口移しで飲ませた。
「浮竹!酷い火傷だ!」
「セイントヒール」
自分の火傷を治そうとするが、イフリエルから受けた火傷はなかなか治らなかった。
「私を・・・・火傷してまで、正気に戻そうと?」
「イフリエル、目を覚ましてくれ。暴走するのはやめてくれ」
「あたしのせいで、そんな火傷を負ったのに・・・・・あなたは、心が優しいのね。いいわ、決めた、あたし、あなたと契約するわ。そうすれば、その火傷も治るはず」
「え、ちょっと、だめだよ、浮竹には僕という存在が!」
「あら、京楽にはいい薬になるわね。どう、あたしと契約しない?精霊の力を手に入れられるわよ」
「契約しよう」
「そうこなくっちゃ。大丈夫、私生活を邪魔したりしないわ。いつもは精霊界にいるもの。呼ばれたら、出てくるだけよ」
イフリエルは、親指を噛みちぎって血を流した。
浮竹も親指を噛みちぎって血を流し、交じわせる。
「契約は完了よ。私はイフリエル。炎の上位精霊にして、イフリートの上をいく者」
「俺は浮竹十四郎。セラフの天使だ。イフリエル、お前を召還精霊にすると、今この瞬間に誓おう」
「京楽は、相変わらず浮気してばかりなのかしら?」
「こら、イフリエル!」
「ふふふ。いいじゃない、ちょっと過去をのぞいただけよ」
「イフリエル、正気に戻ったのなら、炎を収めてくれ」
「分かったわ」
炎の谷の炎は、イフリエルが出していたらしく、すぐに穏やかな気候に戻り、精霊の力のせいか、不毛だった大地に花が咲き乱れていく。
「私が行く道には花も灰となる。それでも、私と契約を続けてくれるのかしら」
「一度交わした契約だ。それに、サラマンダーも契約者をもつことを望んでいたしな」
「あら、サラマンダーの坊やには、苦労をかけたかしら。そういえば、何度か人間の冒険者パーティーが、力ずくで私と契約しようとしていたけど、こてんぱんにしてやったわね」
「それで、俺たちにお鉢が回ってきたんだ」
「あら、そうなの」
イフリエルは、精霊界にいる間、ずっと浮竹の隣にいた。
それが、京楽には面白くなくて、右側をイフリエルが、左側を京楽がそれぞれ浮竹の腕をとって歩いていた。
「君、離れてよ!」
「いやよ。あなたこと離れたらどうなの。どうせ、またかわいい精霊でも見つけて、つまい食いするんでしょ?」
「僕はね、今は浮竹一筋なの。だから、浮竹を独り占めしていいのは、僕だけなの」
「イフリエル、すまないが、少し離れてくれ」
「今回の召還者は天使・・・・しかも堕天使の印つき。面白いわね」
イフリエルは、妖艶に笑って、炎の塊となって精霊界を飛んでいった。
浮竹がイフリエルの炎で受けた火傷は、全てイフリエルと契約したことで治っていた。
「サラマンダー。無事、イフリエルの暴走をとめて、契約を交わした」
サラマンダーに事の顛末を話すと、白金貨500枚をもらった。
白金貨500枚は、正直報酬としては高すぎるのだが。
ドラゴン退治で大体白金貨3000枚を考えると、今回は実は命の危険もあったことを、後から感じれた。
「イフリエルは悪い子ではないのだ。仲良くしてやってくれ。きっと、人間界に召還されたら、もう暴走なんてしなくなる」
報酬を受け取り、人間界に戻ると、浮竹は京楽の静止の声も聞かずに、イフリエルを呼び出た。
「ああ、ここが人間界!すごい、すごいわ!」
イフリエルは人化して、浮竹と京楽と一緒に、服を買ったり、装飾品を買ったりした。
「ふふふ。あなたと契約してよかった。人間界で自由に動きまわれるなんて、夢のよう」
「その代わり、暴走はなしだぞ」
「勿論よ。呼ばれない限り、精霊界にいるから、安心して夜の営みをしなさい」
浮竹は顔を真っ赤にした。
「こら、イフリエル!」
「浮竹、京楽が嫌になったら言いなさい。私が京楽を怒ってあげるから」
「ああ、その時は頼む」
「ちょっと、僕のいないとこでそんな約束しないでよ!」
浮竹とイフリエルは笑った。イフリエルは、天使のセラフであった名残の6枚の翼を羽ばたかせて、精霊界に帰っていった。
「しばらく、夜は寝ないぞ」
「そんなぁ」
「イフリエルがのぞいていないか、確認ができたら、許可する」
「そんなぁ」
京楽の情けない声が、しばらくの間続くのであった。
堕天使と天使14
ヴァンパイアの京楽からもらった、小粒のルビーがついたネックレスは、ヴァンパイアの京楽の呪いの血がついており、そのお陰で悪魔や堕天使から魂を狙われないようにしてくれるという、優れものだった。
堕天使の京楽からつけてもらい、浮竹はそのネックレスがお気に入りだった。
「また、そのネックレスいじってるのかい」
「ヴァンパイアのお前が、俺の為に作ってくれたからな。何より、お前の手で渡されたことの意味が大きい。お前からもらったプレゼントのように思える」
「浮竹」
「ん?」
「僕は、君を裏切らないから。君の傍にずっといる。誓うよ」
「どうした、改まって」
浮竹は首を傾げた。
「君が不安になってるんじゃないかと思って」
「ああ・・・でも、大丈夫だ。お前は今俺の隣にいてくれている。俺は信じている」
浮竹は、京楽に抱きしめられていた。
「絶対に、君を一人にはしない」
「ああ、約束だ」
2人は、深い口づけを交わし合った。
「今日の依頼は・・・・悪魔王サタンの退治・・・却下だ。強すぎる」
「誰だろう、そんな依頼出したの」
「大悪魔アスタロトと書かれている」
「アスタロト・・・あの子、ここを便利屋か何かと勘違してるのかな」
「知り合いなのか」
大悪魔アスタロトは、悪魔王サタンの配下ではなく、敵対関係にあった。
「ちょっと昔ね。何度か会って会話をしたくらいだよ」
「お前のことだから、ちょっかいかけようとしたんじゃないのか」
「ぎくっ」
京楽との性的関係者に、悪魔もけっこういる。
大悪魔ヴェルゼブブのように。
「この依頼は・・・悪魔シェリネの討伐。ネクロマンサーを作り、死者を蘇らせて自分だけの王国を築こうとしている。決まりだな」
「悪魔シェリネ。聞いたことのない名前だね」
「ネクロマンサーは脅威的だ。すぐに向かうぞ」
浮竹と京楽は、魔界にやってきた。
シェリネの話を他の悪魔から聞きながら、居場所を突き止めた。
悪魔はただでは教えてくれないのだが、京楽の顔の広さのお陰で、大悪魔ヴェルゼブブのお気に入りだということで、話を聞けた。
魔界の隅に、その屋敷はあった。
すでにネクロマンサーはおり、死者の悪魔を蘇生させていた。
「セイントフェザースラッシュ」
聖なる羽の攻撃で、ネクロマンサーと召還された死者の悪魔が怯む。
そこに、京楽がもう一つの弱点である炎の禁忌を放つ。
「ゴッドインフェルノ!」
「ぎゃああああああ!!」
「うわあああああああ!!」
死者の悪魔たちは、腐った体をなくして魂となって転がった。
その魂を、浮竹が回収していく。そして、浄化させた。
「なんだお前たちは!私のネクロマンサーを退治するなんて、許さないわよ!」
「お前はネクロマンサーがどれだけ危険な存在か分かっているのか。その気になれば古の悪魔も復活させれる。もっとも、お前の手で作り出されたネクロマンサーは、そこいらの死者の悪魔を蘇らせるのに手いっぱいのようだが」
「私は、ネクロマンサーを作りまくって、死者の国を作るのよ!誰にも邪魔はさせない!」
「ホーリーノヴァ!」
「うぎゃあああ!」
浮竹の聖なる魔法で、ネクロマンサーが息絶えた。
「邪魔をしないで!あなた天使ね!その魂、喰らってくれる!」
悪魔シェリルは、浮竹の魂を食おうとした。
「ぎゃっ!」
小粒のルビーのネックレスが輝き、襲ってきたシェリルは体を半ば崩壊させかけていた。
「なんて力・・・・そのネックレス・・・原初の王の血の呪いか・・・・」
「僕の浮竹を食べようだなんて、不届き者だね。永遠に地獄を味わうといいよ。カースワールド」
京楽が、悪魔シェリルを呪いの世界に沈める。
「いやだ、死にたくない!」
「死なないよ。永遠に、苦しみ続けるだけさ」
「もっといやあああ」
「ホーリーノヴァ!」
浮竹は、いくら悪魔とはいえ永遠に苦しみ続けるのはかわいそうだと、とどめをシェリルにさした。
「どうして?浮竹、君を食べようとしたんだよ」
「だからって、死ぬこともできずに永遠に苦しむのはかわいそうだ」
「浮竹は、悪魔にも甘いね。悪魔は狡猾だから。気をつけてね」
「分かっている」
シェリルの討伐に成功して、魔石を入手する。
ちなみに、シェリル討伐の依頼者は大悪魔ヴェルゼブブであった。
ヴェルゼブブに浮竹を会せるわけにもいかず、浮竹を先に人間界に返して、京楽はヴェルゼブブの元に向かった。
「やあ、シェリルの討伐はすんだか」
「どうして、君が依頼なんて。自分で処分すれすむことでしょう?」
「悪魔の派閥争いで、無益に悪魔を殺すことは相手に敵対していると思われるからな。シェリルは悪魔王サタン様の敵対者だ」
「じゃあ、僕たちはサタンの敵対者を殺したってことになるの?」
「そうなるな。だが、天使と堕天使だ。シェリルは悪魔の中でも孤立していたから、まぁ問題はなかろう」
「今度からは、君の名の依頼は受けないからね」
京楽は、ヴェルゼブブを睨んだ。
「けちだな」
「けちでも、悪魔の争いに浮竹を巻き込みたくない」
「報酬の大金貨千枚だ」
「金には惜しまないんだね」
「金で済むことなら、苦労はしない」
ヴェルゼブブと京楽の関係はけっこう長かったために、ヴェルゼブブは京楽を利用することに疑問を感じない悪魔だった。
「悪魔になる気は、相変わらずないのか」
「ないね。浮竹がいる限り、悪魔にはならない」
「お前のことだ。天使の浮竹に手を出したら、たとえ大悪魔の私でも、噛みついてくるんだろうな」
「当たり前だよ!浮竹に手を出したら、躊躇なく殺すからね。僕は、神の元12使徒だ。悪魔を滅ぼす役目をしていた。どんな大悪魔だろうが、殺せる手段をもっている」
京楽の鳶色の瞳が、殺気を帯びる。
「その、殺せる手段が欲しいんだがな」
「君には利用されたくない。諦めるんだね」
「今回は、そうさせてもらおう」
「今回だけじゃなくて、今後もね」
「さぁ、それはどうだろうな」
ヴェルゼブブは、愉快そうに笑って、京楽を人間界に戻した。
「けっこう、長かったな。何をしていたんだ」
「ヴェルゼブブと、ちょっとね」
「浮気か!」
「うわぁ、違うって!!」
京楽がヴェルゼブブと関係をもっていたことを知っている浮竹は、本気ではないが、京楽の浮気を疑う。
「僕が愛しているのは、今は君だけだよ。ねぇ、信じて?」
抱きしめられて、キスをされて、浮竹は大人しくなった。
「分かった。信じる」
「ありがとう」
後に、冒険者ギルドに魔石を提出したら、悪魔の魔石と分かってギルドマスターに呼ばれるのであった。
堕天使の京楽からつけてもらい、浮竹はそのネックレスがお気に入りだった。
「また、そのネックレスいじってるのかい」
「ヴァンパイアのお前が、俺の為に作ってくれたからな。何より、お前の手で渡されたことの意味が大きい。お前からもらったプレゼントのように思える」
「浮竹」
「ん?」
「僕は、君を裏切らないから。君の傍にずっといる。誓うよ」
「どうした、改まって」
浮竹は首を傾げた。
「君が不安になってるんじゃないかと思って」
「ああ・・・でも、大丈夫だ。お前は今俺の隣にいてくれている。俺は信じている」
浮竹は、京楽に抱きしめられていた。
「絶対に、君を一人にはしない」
「ああ、約束だ」
2人は、深い口づけを交わし合った。
「今日の依頼は・・・・悪魔王サタンの退治・・・却下だ。強すぎる」
「誰だろう、そんな依頼出したの」
「大悪魔アスタロトと書かれている」
「アスタロト・・・あの子、ここを便利屋か何かと勘違してるのかな」
「知り合いなのか」
大悪魔アスタロトは、悪魔王サタンの配下ではなく、敵対関係にあった。
「ちょっと昔ね。何度か会って会話をしたくらいだよ」
「お前のことだから、ちょっかいかけようとしたんじゃないのか」
「ぎくっ」
京楽との性的関係者に、悪魔もけっこういる。
大悪魔ヴェルゼブブのように。
「この依頼は・・・悪魔シェリネの討伐。ネクロマンサーを作り、死者を蘇らせて自分だけの王国を築こうとしている。決まりだな」
「悪魔シェリネ。聞いたことのない名前だね」
「ネクロマンサーは脅威的だ。すぐに向かうぞ」
浮竹と京楽は、魔界にやってきた。
シェリネの話を他の悪魔から聞きながら、居場所を突き止めた。
悪魔はただでは教えてくれないのだが、京楽の顔の広さのお陰で、大悪魔ヴェルゼブブのお気に入りだということで、話を聞けた。
魔界の隅に、その屋敷はあった。
すでにネクロマンサーはおり、死者の悪魔を蘇生させていた。
「セイントフェザースラッシュ」
聖なる羽の攻撃で、ネクロマンサーと召還された死者の悪魔が怯む。
そこに、京楽がもう一つの弱点である炎の禁忌を放つ。
「ゴッドインフェルノ!」
「ぎゃああああああ!!」
「うわあああああああ!!」
死者の悪魔たちは、腐った体をなくして魂となって転がった。
その魂を、浮竹が回収していく。そして、浄化させた。
「なんだお前たちは!私のネクロマンサーを退治するなんて、許さないわよ!」
「お前はネクロマンサーがどれだけ危険な存在か分かっているのか。その気になれば古の悪魔も復活させれる。もっとも、お前の手で作り出されたネクロマンサーは、そこいらの死者の悪魔を蘇らせるのに手いっぱいのようだが」
「私は、ネクロマンサーを作りまくって、死者の国を作るのよ!誰にも邪魔はさせない!」
「ホーリーノヴァ!」
「うぎゃあああ!」
浮竹の聖なる魔法で、ネクロマンサーが息絶えた。
「邪魔をしないで!あなた天使ね!その魂、喰らってくれる!」
悪魔シェリルは、浮竹の魂を食おうとした。
「ぎゃっ!」
小粒のルビーのネックレスが輝き、襲ってきたシェリルは体を半ば崩壊させかけていた。
「なんて力・・・・そのネックレス・・・原初の王の血の呪いか・・・・」
「僕の浮竹を食べようだなんて、不届き者だね。永遠に地獄を味わうといいよ。カースワールド」
京楽が、悪魔シェリルを呪いの世界に沈める。
「いやだ、死にたくない!」
「死なないよ。永遠に、苦しみ続けるだけさ」
「もっといやあああ」
「ホーリーノヴァ!」
浮竹は、いくら悪魔とはいえ永遠に苦しみ続けるのはかわいそうだと、とどめをシェリルにさした。
「どうして?浮竹、君を食べようとしたんだよ」
「だからって、死ぬこともできずに永遠に苦しむのはかわいそうだ」
「浮竹は、悪魔にも甘いね。悪魔は狡猾だから。気をつけてね」
「分かっている」
シェリルの討伐に成功して、魔石を入手する。
ちなみに、シェリル討伐の依頼者は大悪魔ヴェルゼブブであった。
ヴェルゼブブに浮竹を会せるわけにもいかず、浮竹を先に人間界に返して、京楽はヴェルゼブブの元に向かった。
「やあ、シェリルの討伐はすんだか」
「どうして、君が依頼なんて。自分で処分すれすむことでしょう?」
「悪魔の派閥争いで、無益に悪魔を殺すことは相手に敵対していると思われるからな。シェリルは悪魔王サタン様の敵対者だ」
「じゃあ、僕たちはサタンの敵対者を殺したってことになるの?」
「そうなるな。だが、天使と堕天使だ。シェリルは悪魔の中でも孤立していたから、まぁ問題はなかろう」
「今度からは、君の名の依頼は受けないからね」
京楽は、ヴェルゼブブを睨んだ。
「けちだな」
「けちでも、悪魔の争いに浮竹を巻き込みたくない」
「報酬の大金貨千枚だ」
「金には惜しまないんだね」
「金で済むことなら、苦労はしない」
ヴェルゼブブと京楽の関係はけっこう長かったために、ヴェルゼブブは京楽を利用することに疑問を感じない悪魔だった。
「悪魔になる気は、相変わらずないのか」
「ないね。浮竹がいる限り、悪魔にはならない」
「お前のことだ。天使の浮竹に手を出したら、たとえ大悪魔の私でも、噛みついてくるんだろうな」
「当たり前だよ!浮竹に手を出したら、躊躇なく殺すからね。僕は、神の元12使徒だ。悪魔を滅ぼす役目をしていた。どんな大悪魔だろうが、殺せる手段をもっている」
京楽の鳶色の瞳が、殺気を帯びる。
「その、殺せる手段が欲しいんだがな」
「君には利用されたくない。諦めるんだね」
「今回は、そうさせてもらおう」
「今回だけじゃなくて、今後もね」
「さぁ、それはどうだろうな」
ヴェルゼブブは、愉快そうに笑って、京楽を人間界に戻した。
「けっこう、長かったな。何をしていたんだ」
「ヴェルゼブブと、ちょっとね」
「浮気か!」
「うわぁ、違うって!!」
京楽がヴェルゼブブと関係をもっていたことを知っている浮竹は、本気ではないが、京楽の浮気を疑う。
「僕が愛しているのは、今は君だけだよ。ねぇ、信じて?」
抱きしめられて、キスをされて、浮竹は大人しくなった。
「分かった。信じる」
「ありがとう」
後に、冒険者ギルドに魔石を提出したら、悪魔の魔石と分かってギルドマスターに呼ばれるのであった。
堕天使と天使13
京楽は、その日大悪魔ヴェルゼブブに、悪魔にならないかと誘惑された。
大悪魔ヴェルゼブブは若い美しい男性で、京楽と関係をもったことが何度かあった。
京楽が、長年堕天使をしているのに疑問を抱いていた。京楽ほどの堕天使ならば、更に堕ちて悪魔になれば、強力な悪魔が生まれるだろう。
きっと、色欲の大悪魔アスモデウスには及ばないが、そこそこの色欲の悪魔になりそうなかんじであった。
「僕は、今大好きな天使がいるからね。天使が悪魔と関係をもつのは御法度。まぁ、関係をよくもってた僕が言えたぎりじゃないけど」
「だから、悪魔にならないのか。今悪魔になれば、俺の加護がつくぞ」
「いらないよ、そんなの」
「昔は俺の眷属になりたがっていたくせに」
ヴェルゼブブは笑った。
この、憎んでも憎みきれない京楽のことが、一時期心から好きだった。
でも、京楽は本能のままにふらふらといろんな種族の男女を問わずに、関係をもつ。
それを憎むことはなく、悪魔も堕天使も、存在はほぼ変わらない。
ただ、悪魔は悪魔の派閥に左右されることが多く、ヴェルゼブブは悪魔王サタンの派閥に組していた。
悪魔王サタンも、ヴェルゼブブも、元を正せば天使で、堕天使となって悪魔になった。
今や、魔界を牛耳る存在となったサタンは、天使の時は1位の天使ルシフェルと名乗って、神に愛されていた。
それを裏切り、神を傷つけた罰だと堕天使に落とされて、悪魔となった。
神も、追放して堕天使となった者が悪魔王にまでなるとは、思っていなかっただろう。
「用事はそれだけ?じゃあ、僕は浮竹のところに帰るから」
「待て。これをもっていけ」
「何?」
「浮竹というその天使を堕天使にして、共に悪魔になればいい。そのための・・・」
「いらない」
京楽は、きっぱりと断った。
「だが、このまま天使に熱を入れていれば、その天使側が黙ってはおるまい?」
「いや、意外と大丈夫。浮気したら殺すとか言われてるけど、浮竹に一筋の間は周囲は何もしてこないよ」
ヴェルゼブブは、落胆する。
「そうか。もういけ。お前の顔はしばらく見たくない」
「じゃあ、また遊びにくるからねぇ」
「だから、しばらく見たくないと言っているだろうが!」
「あはははは、じゃあねぇ」
堕天使の京楽は、悪魔と堕天使がよく遊びにくる魔界の入り口にいた。
そこで、天使時代に悪魔とよく関係を持った。
サキュバスやインキュバスが大抵だったが、中には大悪魔ヴェルゼブブのような存在もいた。
寵愛されるを嫌い、束縛を嫌い、それが今では浮竹という、こともあろうか大天使長ミカエルと人間のハーフであるセラフに夢中なのだという。
自由気ままで羨ましいとさえ思った。
「京楽、何処に行っていたんだ」
「うん?ちょっと魔界の入り口まで」
「何をしにだ。浮気か?浮気なら、右ストレートでまずは・・・」
「ちょっと、なんでまず最初に浮気を疑うの」
「フェンリルの俺が、お前に気を付けろと言っていたからな」
「フェンリルの浮竹は僕のこと苦手だからね。真に受けないでよ」
「それもそうだな」
浮竹は、パソコンに向き直って、ドイツ語の翻訳を続け出した。
「今日は何を食べたい?」
「お前」
「そうそう、僕を・・・って、ええ!?」
京楽は真っ赤になった。
冗談のつもりで言ったので、そんな反応をされた浮竹はもっと真っ赤になった。
「つ、次の依頼のことを話し合おう」
「う、うんそうだね」
お互い、ぎくしゃくしながら、次は人を襲うハーピー退治に行くことになった。
車を運転して3時間の場所に、ハーピーは出没した。
巣を作っていて、ハーピーが群れていた。
通りすがりの人を襲い、怪我をさせたり子供が二人ほどハーピーに連れ去られて、食い殺されていた。
「一掃するしかないね」
「ああ。手加減は必要ないんだろう。ヘルインフェルノ!」
穏やかな午後に、ハーピーのつんざかんばかりの悲鳴があたりに響き渡った。
飛び立って逃げようとするハーピーに、フェザースラッシュで、京楽は堕天使の翼を広げて攻撃する。
今日のフェザースラッシュには猛毒を仕込んでいたために、攻撃を浴びたハーピーは泡をふいて息絶えていく。
「あそこが巣の中心だ。ゴッドインフェルノ!」
炎の禁忌をぶつけると、ハーピーは黒こげになってみんな死んでしまった。
「なんか、むしょうに焼き鳥が食べたくなってきた」
「食べる?ハーピー、食べれるらしいよ。人間の顔の下は」
「食べない。人間の顔をもっているんだ、亜人に近いかんじがしていやだ」
「卵は全部割れたね。ヒナも死んだようだし、戻ろうか」
「ああ」
依頼主のところにいき、金貨50枚をもらい、ハーピーから抜き取った魔石を冒険者ギルドで買いとってもらうと、数が多かったので金貨10枚になった。
まずまずの収入に、少し贅沢をしようということになり、ロブスターを中心とした魚介類のメニューに、年代もののワインを開けた。
「いやぁ、ヴェルゼブブが僕を誘惑してきてね。悪魔にならないかって」
「それでお前は、わざわざヴェルゼブブに会ってきたのか」
「中途半端な返事だとしつこいからね。嫌だと、はっきり言ってきたよ」
「ああ、そうだな」
浮竹は、酔っていた。
京楽にしなだれかかり、口にしたワインを口移しで飲ませた。
「浮竹?」
「俺を食べたいと言っていただろう。今なら、いいぞ」
ごくりと唾を飲みこんで、食事が終わった後に風呂に入り、浮竹をベッドに組み敷いた。
「いいんだね?」
「いちいち、聞くな」
浮竹は赤くなった顔を手で隠していた。
「あっ」
膝を膝で割られて、敏感な場所を撫でられて、浮竹が声を漏らす。
「ふふ、もうこんなになってる」
「ばかっ」
「十四郎、好きだよ」
「俺も好きだ、春水」
体を繋げ会う時だけ、お互い下の名前で呼び合う。
「ああっ」
衣服を脱がされ、胸の先端を甘噛みされる。
そのまま手でしごかれて、浮竹は京楽の手の中でいってしまった。
「ん・・・・・」
京楽のローションにまみれた指が入ってきて、浮竹はその異物感に目を閉じる。
「いれるよ?いいかい?」
「いちいち、聞くなと言っている・・・あああああ!!」
聞いておいて嫌だと言っても、きっとやめないだろう。
いっきに引き裂かれて、浮竹はその熱量に一瞬呼吸するのを忘れた。
「あ、あああ、あああ」
京楽に深い口づけをされて、息をする。
「んう」
「気持ちいい?」
ごりごりと奥を抉ってやると、浮竹はこくこくと頷いた。
「あ、もっとお前を感じたい」
「いっぱいあげるからね。君が僕で溺れるように」
何度も前立腺をすりあげながら、京楽は浮竹の感じる場所ばかりを攻め立てた。
「ああああ!!!」
浮竹は吐精していた。
それでも京楽の勢いは止まらずに、浮竹はいきっぱなしのままさらにドライのオーガズムでいかされる。
「ひああああ、やああ!!!」
「注いであげるから、しっかり受け止めてね?」
「あ、春水」
「ふふ、僕を欲しがる十四郎の顔、好きだよ」
「あああああ!!」
熱い熱を胎の奥で受け止めて、浮竹はまたいっていた。
「ほら、まだまだ僕は元気なんだから。満足するまで、付き合ってね?」
「この色欲魔人が・・・・・」
そう言いながらも、浮竹は京楽の背に手を回す。
情事が終わり、後始末をして眠っていると、京楽の元にヴェルゼブブがやってきた。
「ちょっと、なんで人間界に来てるの!」
「お前を悪魔にしにきた」
「なんで!」
「上からの命令だ。悪魔王サタンを凌駕しうる存在が発覚した。お前は狙われている。監視下に置くためにも、悪魔に・・・・・・」
「ならないよ。僕は、悪魔にはならない」
「そうだ。京楽は悪魔なんかにはさせない」
いつの間にか起きていた京楽が、ヴェルゼブブを威嚇した。
「お前が、セラフの浮竹か。なるほど、神好みの力をもっているな」
ヴェルブブは、浮竹に近づくと、いきなりキスをしてきた。
「んあ!?」
いきなりのことで、浮竹は目が点になっていた。
「美味い魂をしている。一度食べたいな」
「僕のものだから、だめ!」
浮竹を後ろに庇い、京楽はヴェルゼブブに炎の魔法を放った。
「今すぐ悪魔になれとは言わない。だが、近いうちにまたくる」
「もう来るな!」
「そうだ、来るな!」
浮竹は、相手がヴェルゼブブだとは知らなかったのだが、高位の悪魔であることは分かった。
「京楽、まさかあの悪魔と浮気を・・・・・」
「してない、してない。それに、あの子は僕を悪魔にしたいだけで、君の魂はうまそうだから、つまみ食いしたい感覚だよ、きっと。ねぇ、僕を信じて?」
「ああ・・・・信じる」
浮竹は、素直に頷いた。
「愛してるよ、浮竹」
たとえ、この身が悪魔になろうとも。
堕天使でなくなろうとも、愛している存在は変わらない。
京楽は、いつまで自分が堕天使でいられるのか、自分でも分からなかった。
大悪魔ヴェルゼブブは若い美しい男性で、京楽と関係をもったことが何度かあった。
京楽が、長年堕天使をしているのに疑問を抱いていた。京楽ほどの堕天使ならば、更に堕ちて悪魔になれば、強力な悪魔が生まれるだろう。
きっと、色欲の大悪魔アスモデウスには及ばないが、そこそこの色欲の悪魔になりそうなかんじであった。
「僕は、今大好きな天使がいるからね。天使が悪魔と関係をもつのは御法度。まぁ、関係をよくもってた僕が言えたぎりじゃないけど」
「だから、悪魔にならないのか。今悪魔になれば、俺の加護がつくぞ」
「いらないよ、そんなの」
「昔は俺の眷属になりたがっていたくせに」
ヴェルゼブブは笑った。
この、憎んでも憎みきれない京楽のことが、一時期心から好きだった。
でも、京楽は本能のままにふらふらといろんな種族の男女を問わずに、関係をもつ。
それを憎むことはなく、悪魔も堕天使も、存在はほぼ変わらない。
ただ、悪魔は悪魔の派閥に左右されることが多く、ヴェルゼブブは悪魔王サタンの派閥に組していた。
悪魔王サタンも、ヴェルゼブブも、元を正せば天使で、堕天使となって悪魔になった。
今や、魔界を牛耳る存在となったサタンは、天使の時は1位の天使ルシフェルと名乗って、神に愛されていた。
それを裏切り、神を傷つけた罰だと堕天使に落とされて、悪魔となった。
神も、追放して堕天使となった者が悪魔王にまでなるとは、思っていなかっただろう。
「用事はそれだけ?じゃあ、僕は浮竹のところに帰るから」
「待て。これをもっていけ」
「何?」
「浮竹というその天使を堕天使にして、共に悪魔になればいい。そのための・・・」
「いらない」
京楽は、きっぱりと断った。
「だが、このまま天使に熱を入れていれば、その天使側が黙ってはおるまい?」
「いや、意外と大丈夫。浮気したら殺すとか言われてるけど、浮竹に一筋の間は周囲は何もしてこないよ」
ヴェルゼブブは、落胆する。
「そうか。もういけ。お前の顔はしばらく見たくない」
「じゃあ、また遊びにくるからねぇ」
「だから、しばらく見たくないと言っているだろうが!」
「あはははは、じゃあねぇ」
堕天使の京楽は、悪魔と堕天使がよく遊びにくる魔界の入り口にいた。
そこで、天使時代に悪魔とよく関係を持った。
サキュバスやインキュバスが大抵だったが、中には大悪魔ヴェルゼブブのような存在もいた。
寵愛されるを嫌い、束縛を嫌い、それが今では浮竹という、こともあろうか大天使長ミカエルと人間のハーフであるセラフに夢中なのだという。
自由気ままで羨ましいとさえ思った。
「京楽、何処に行っていたんだ」
「うん?ちょっと魔界の入り口まで」
「何をしにだ。浮気か?浮気なら、右ストレートでまずは・・・」
「ちょっと、なんでまず最初に浮気を疑うの」
「フェンリルの俺が、お前に気を付けろと言っていたからな」
「フェンリルの浮竹は僕のこと苦手だからね。真に受けないでよ」
「それもそうだな」
浮竹は、パソコンに向き直って、ドイツ語の翻訳を続け出した。
「今日は何を食べたい?」
「お前」
「そうそう、僕を・・・って、ええ!?」
京楽は真っ赤になった。
冗談のつもりで言ったので、そんな反応をされた浮竹はもっと真っ赤になった。
「つ、次の依頼のことを話し合おう」
「う、うんそうだね」
お互い、ぎくしゃくしながら、次は人を襲うハーピー退治に行くことになった。
車を運転して3時間の場所に、ハーピーは出没した。
巣を作っていて、ハーピーが群れていた。
通りすがりの人を襲い、怪我をさせたり子供が二人ほどハーピーに連れ去られて、食い殺されていた。
「一掃するしかないね」
「ああ。手加減は必要ないんだろう。ヘルインフェルノ!」
穏やかな午後に、ハーピーのつんざかんばかりの悲鳴があたりに響き渡った。
飛び立って逃げようとするハーピーに、フェザースラッシュで、京楽は堕天使の翼を広げて攻撃する。
今日のフェザースラッシュには猛毒を仕込んでいたために、攻撃を浴びたハーピーは泡をふいて息絶えていく。
「あそこが巣の中心だ。ゴッドインフェルノ!」
炎の禁忌をぶつけると、ハーピーは黒こげになってみんな死んでしまった。
「なんか、むしょうに焼き鳥が食べたくなってきた」
「食べる?ハーピー、食べれるらしいよ。人間の顔の下は」
「食べない。人間の顔をもっているんだ、亜人に近いかんじがしていやだ」
「卵は全部割れたね。ヒナも死んだようだし、戻ろうか」
「ああ」
依頼主のところにいき、金貨50枚をもらい、ハーピーから抜き取った魔石を冒険者ギルドで買いとってもらうと、数が多かったので金貨10枚になった。
まずまずの収入に、少し贅沢をしようということになり、ロブスターを中心とした魚介類のメニューに、年代もののワインを開けた。
「いやぁ、ヴェルゼブブが僕を誘惑してきてね。悪魔にならないかって」
「それでお前は、わざわざヴェルゼブブに会ってきたのか」
「中途半端な返事だとしつこいからね。嫌だと、はっきり言ってきたよ」
「ああ、そうだな」
浮竹は、酔っていた。
京楽にしなだれかかり、口にしたワインを口移しで飲ませた。
「浮竹?」
「俺を食べたいと言っていただろう。今なら、いいぞ」
ごくりと唾を飲みこんで、食事が終わった後に風呂に入り、浮竹をベッドに組み敷いた。
「いいんだね?」
「いちいち、聞くな」
浮竹は赤くなった顔を手で隠していた。
「あっ」
膝を膝で割られて、敏感な場所を撫でられて、浮竹が声を漏らす。
「ふふ、もうこんなになってる」
「ばかっ」
「十四郎、好きだよ」
「俺も好きだ、春水」
体を繋げ会う時だけ、お互い下の名前で呼び合う。
「ああっ」
衣服を脱がされ、胸の先端を甘噛みされる。
そのまま手でしごかれて、浮竹は京楽の手の中でいってしまった。
「ん・・・・・」
京楽のローションにまみれた指が入ってきて、浮竹はその異物感に目を閉じる。
「いれるよ?いいかい?」
「いちいち、聞くなと言っている・・・あああああ!!」
聞いておいて嫌だと言っても、きっとやめないだろう。
いっきに引き裂かれて、浮竹はその熱量に一瞬呼吸するのを忘れた。
「あ、あああ、あああ」
京楽に深い口づけをされて、息をする。
「んう」
「気持ちいい?」
ごりごりと奥を抉ってやると、浮竹はこくこくと頷いた。
「あ、もっとお前を感じたい」
「いっぱいあげるからね。君が僕で溺れるように」
何度も前立腺をすりあげながら、京楽は浮竹の感じる場所ばかりを攻め立てた。
「ああああ!!!」
浮竹は吐精していた。
それでも京楽の勢いは止まらずに、浮竹はいきっぱなしのままさらにドライのオーガズムでいかされる。
「ひああああ、やああ!!!」
「注いであげるから、しっかり受け止めてね?」
「あ、春水」
「ふふ、僕を欲しがる十四郎の顔、好きだよ」
「あああああ!!」
熱い熱を胎の奥で受け止めて、浮竹はまたいっていた。
「ほら、まだまだ僕は元気なんだから。満足するまで、付き合ってね?」
「この色欲魔人が・・・・・」
そう言いながらも、浮竹は京楽の背に手を回す。
情事が終わり、後始末をして眠っていると、京楽の元にヴェルゼブブがやってきた。
「ちょっと、なんで人間界に来てるの!」
「お前を悪魔にしにきた」
「なんで!」
「上からの命令だ。悪魔王サタンを凌駕しうる存在が発覚した。お前は狙われている。監視下に置くためにも、悪魔に・・・・・・」
「ならないよ。僕は、悪魔にはならない」
「そうだ。京楽は悪魔なんかにはさせない」
いつの間にか起きていた京楽が、ヴェルゼブブを威嚇した。
「お前が、セラフの浮竹か。なるほど、神好みの力をもっているな」
ヴェルブブは、浮竹に近づくと、いきなりキスをしてきた。
「んあ!?」
いきなりのことで、浮竹は目が点になっていた。
「美味い魂をしている。一度食べたいな」
「僕のものだから、だめ!」
浮竹を後ろに庇い、京楽はヴェルゼブブに炎の魔法を放った。
「今すぐ悪魔になれとは言わない。だが、近いうちにまたくる」
「もう来るな!」
「そうだ、来るな!」
浮竹は、相手がヴェルゼブブだとは知らなかったのだが、高位の悪魔であることは分かった。
「京楽、まさかあの悪魔と浮気を・・・・・」
「してない、してない。それに、あの子は僕を悪魔にしたいだけで、君の魂はうまそうだから、つまみ食いしたい感覚だよ、きっと。ねぇ、僕を信じて?」
「ああ・・・・信じる」
浮竹は、素直に頷いた。
「愛してるよ、浮竹」
たとえ、この身が悪魔になろうとも。
堕天使でなくなろうとも、愛している存在は変わらない。
京楽は、いつまで自分が堕天使でいられるのか、自分でも分からなかった。
堕天使と天使外伝
フェンリルの浮竹とヴァンパイアの京楽のところに、天使の浮竹と堕天使の京楽が遊びにいった。
「ペット用の犬用のシャンプーを買ってきたんだ」
すでに、浮竹はうずうずしていた。
もっふもふなフェンリルの浮竹の毛皮は綺麗だが、長い間水でしか洗っていないので、少しだけごわごわしていた。
ちゃんと長毛用の犬用のブラシも買ってきた。
「フェンリルの俺!俺に洗われてくれ!」
いきなりの言葉に、フェンリルの浮竹が頭に?マークを浮かべた。
「フェンリルの姿になったとき、もっともっふもっふのいい匂いがするようになりたいと思わないか?」
『それは思う。でも、これ犬用シャンプーって書いてある。俺は犬じゃないぞ』
「細かいことは気にしない。京楽はその辺でありでも数えてろ。ヴァンパイアの京楽は手伝ってくれ」
『はいはい。まぁ、確かにフェンリル姿で水浴びをさせたことはあるけど、ちゃんとしたシャンプーなんてしたことないからね』
ヴァンパイアの京楽は、フェンリルの浮竹にフェンリルの姿になるように頼んだ。
ぼふんと音を立てて、小柄なフェンリルが姿を現す。
大型犬くらいの大きさだった。
「ありさんを数えて・・・1匹、2匹・・・・」
ありでも数えてろと言われた堕天使の京楽は、本当にありを数え出した。
広い浴場に湯をはり、その中にフェンリル姿の浮竹を入れる。
「ていっ」
犬用シャンプーを取り出して、フェンリルの浮竹に塗っていく。
そして、ブラシでわしゃわしゃと洗い出した。
毛皮が長いので、けっこうな重労働になるが、仕上がりが楽しみなので、ヴァンパイアの京楽もまた天使の浮竹を真似て、ブラシでわしゃわしゃと洗った。
「かゆいところはないか?」
『んー。おなかがかゆい。後右足』
「任せろ!」
ごしごしと洗ってやると、気持ちよさそうにフェンリルの浮竹は目がとろんとなった。
『眠くなってきた・・・・・』
「寝ててもいいぞ。洗っておくから。お湯をかけるときに起きてくれれば」
『じゃあ、ちょっとだけ寝る・・・・』
フェンリルの浮竹は、魔狼とされる巨大なフェンリルなのだが、幼い頃に成長が止まってしまい、大型犬か狼くらいしかの大きさしかなかった。
隅々までをシャンプーで洗うと、犬用のシャンプーは半分近くなくなっていた。
「フェンリルの俺、起きろ。流すぞ」
『んー。起きた』
しゃあああと、お湯のシャワーを浴びせる。
『ああ、気持ちいい』
全身の泡を洗い流されて、フェンリルの浮竹は水を含んだ毛皮を思わずぷるぷるして、天使の浮竹とヴァンパイアの京楽はずぶ濡れになった。
『あ、すまない!』
『いいんだ。これもまた、醍醐味の一つだ』
「なんの醍醐味だ?」
「ペットずっと飼いたかったんだよな。犬を」
『むう。俺は犬じゃない。フェンリルだ』
「分かっている。でも、今日は一日フェンリルの姿でいてくれないか。もふもふで癒されたい」
『堕天使の僕はどうするの?』
「適当に放置しとく。ありさんでも数え続けてるだろ」
フェンリルの浮竹はまたぶるぶると体をふるわせて、水分を吹き飛ばす。
「今、バスタオルで細かい水分もふいてやるからな」
『乾きにくい場所はドライヤーで乾かそう』
綺麗に水分をふきとると、真っ白でつやつやな毛皮になっていた。
金木犀の甘い香りがして、傍にいるだけで落ち着いた気分になれた。
「綺麗になったな」
『ありがとう、天使の俺。毛皮なんて水浴びするだけで、こうやって洗ってもらうのは初めてだ。まぁ、京楽が似たようなことをしたことはあるが、こちらの世界の石鹸は泡立ちが悪いからな』
「この犬用シャンプー追加で買ってまたもってくる。月に1回くらいは洗ってもらえ」
浮竹は、ヴァンパイアの京楽を見た。
『うん、そうする』
『仕方ないねぇ。愛しい浮竹のためだ。フェンリル姿の君の美しさを保つために、洗ってあげよう』
『ところで、堕天使のあいつは何をしているんだ?いないようだが』
「ああ、外でありを数えさせてる。そろそろ飽きて昼寝でもしてるんじゃないのか」
実際、ありを300匹まで数えたところで、飽きて中庭の日当たりのいい場所で、堕天使の京楽は寝ていた。
「おい、京楽、帰るぞ」
「ええ、もう!?僕、なんにもしてないんだけど。夕食も食べてない」
「家についたら、適当に作って食え。俺はヴァンパイアの京楽の出してくれた飯を食った。けっこう美味だったぞ」
「ずるいー」
「ずっと寝ているお前が悪い」
「しくしく・・・・ねぇ、浮竹、君、ちゃんと僕のこと愛してくれてる?」
その言葉に、天使の浮竹は顔を真っ赤にした。
「何を言い出す!」
「うん、その反応は僕を愛していてくれる証だね」
スパーン。
天使の浮竹にハリセンで頭をはたかれながらも、堕天使の京楽は嬉しそうにしていた。
「今度は、僕が君を洗ってあげる」
「卑猥な意味にしか聞き取れない」
「まぁ、内容はさておき、日も暮れるし帰ろうか」
「ああ」
その日の夜、浮竹は京楽に体を洗われたついでに、おいしくいただかれたそうな。
「ペット用の犬用のシャンプーを買ってきたんだ」
すでに、浮竹はうずうずしていた。
もっふもふなフェンリルの浮竹の毛皮は綺麗だが、長い間水でしか洗っていないので、少しだけごわごわしていた。
ちゃんと長毛用の犬用のブラシも買ってきた。
「フェンリルの俺!俺に洗われてくれ!」
いきなりの言葉に、フェンリルの浮竹が頭に?マークを浮かべた。
「フェンリルの姿になったとき、もっともっふもっふのいい匂いがするようになりたいと思わないか?」
『それは思う。でも、これ犬用シャンプーって書いてある。俺は犬じゃないぞ』
「細かいことは気にしない。京楽はその辺でありでも数えてろ。ヴァンパイアの京楽は手伝ってくれ」
『はいはい。まぁ、確かにフェンリル姿で水浴びをさせたことはあるけど、ちゃんとしたシャンプーなんてしたことないからね』
ヴァンパイアの京楽は、フェンリルの浮竹にフェンリルの姿になるように頼んだ。
ぼふんと音を立てて、小柄なフェンリルが姿を現す。
大型犬くらいの大きさだった。
「ありさんを数えて・・・1匹、2匹・・・・」
ありでも数えてろと言われた堕天使の京楽は、本当にありを数え出した。
広い浴場に湯をはり、その中にフェンリル姿の浮竹を入れる。
「ていっ」
犬用シャンプーを取り出して、フェンリルの浮竹に塗っていく。
そして、ブラシでわしゃわしゃと洗い出した。
毛皮が長いので、けっこうな重労働になるが、仕上がりが楽しみなので、ヴァンパイアの京楽もまた天使の浮竹を真似て、ブラシでわしゃわしゃと洗った。
「かゆいところはないか?」
『んー。おなかがかゆい。後右足』
「任せろ!」
ごしごしと洗ってやると、気持ちよさそうにフェンリルの浮竹は目がとろんとなった。
『眠くなってきた・・・・・』
「寝ててもいいぞ。洗っておくから。お湯をかけるときに起きてくれれば」
『じゃあ、ちょっとだけ寝る・・・・』
フェンリルの浮竹は、魔狼とされる巨大なフェンリルなのだが、幼い頃に成長が止まってしまい、大型犬か狼くらいしかの大きさしかなかった。
隅々までをシャンプーで洗うと、犬用のシャンプーは半分近くなくなっていた。
「フェンリルの俺、起きろ。流すぞ」
『んー。起きた』
しゃあああと、お湯のシャワーを浴びせる。
『ああ、気持ちいい』
全身の泡を洗い流されて、フェンリルの浮竹は水を含んだ毛皮を思わずぷるぷるして、天使の浮竹とヴァンパイアの京楽はずぶ濡れになった。
『あ、すまない!』
『いいんだ。これもまた、醍醐味の一つだ』
「なんの醍醐味だ?」
「ペットずっと飼いたかったんだよな。犬を」
『むう。俺は犬じゃない。フェンリルだ』
「分かっている。でも、今日は一日フェンリルの姿でいてくれないか。もふもふで癒されたい」
『堕天使の僕はどうするの?』
「適当に放置しとく。ありさんでも数え続けてるだろ」
フェンリルの浮竹はまたぶるぶると体をふるわせて、水分を吹き飛ばす。
「今、バスタオルで細かい水分もふいてやるからな」
『乾きにくい場所はドライヤーで乾かそう』
綺麗に水分をふきとると、真っ白でつやつやな毛皮になっていた。
金木犀の甘い香りがして、傍にいるだけで落ち着いた気分になれた。
「綺麗になったな」
『ありがとう、天使の俺。毛皮なんて水浴びするだけで、こうやって洗ってもらうのは初めてだ。まぁ、京楽が似たようなことをしたことはあるが、こちらの世界の石鹸は泡立ちが悪いからな』
「この犬用シャンプー追加で買ってまたもってくる。月に1回くらいは洗ってもらえ」
浮竹は、ヴァンパイアの京楽を見た。
『うん、そうする』
『仕方ないねぇ。愛しい浮竹のためだ。フェンリル姿の君の美しさを保つために、洗ってあげよう』
『ところで、堕天使のあいつは何をしているんだ?いないようだが』
「ああ、外でありを数えさせてる。そろそろ飽きて昼寝でもしてるんじゃないのか」
実際、ありを300匹まで数えたところで、飽きて中庭の日当たりのいい場所で、堕天使の京楽は寝ていた。
「おい、京楽、帰るぞ」
「ええ、もう!?僕、なんにもしてないんだけど。夕食も食べてない」
「家についたら、適当に作って食え。俺はヴァンパイアの京楽の出してくれた飯を食った。けっこう美味だったぞ」
「ずるいー」
「ずっと寝ているお前が悪い」
「しくしく・・・・ねぇ、浮竹、君、ちゃんと僕のこと愛してくれてる?」
その言葉に、天使の浮竹は顔を真っ赤にした。
「何を言い出す!」
「うん、その反応は僕を愛していてくれる証だね」
スパーン。
天使の浮竹にハリセンで頭をはたかれながらも、堕天使の京楽は嬉しそうにしていた。
「今度は、僕が君を洗ってあげる」
「卑猥な意味にしか聞き取れない」
「まぁ、内容はさておき、日も暮れるし帰ろうか」
「ああ」
その日の夜、浮竹は京楽に体を洗われたついでに、おいしくいただかれたそうな。
堕天使と天使12
浮竹と京楽は、天界を訪れていた。
浮竹はセラフであるので当たり前だが、堕天使である京楽が天界にきたのは、大天使長ミカエルの許しがあったからだった。
「ラファエルがな、お前たちに会いたいと言っていてな」
「ラファエルが?」
浮竹は首を傾げた。
ガブリエルは育ての親で、ミカエルは実の父親だ。
4大天使のうち、2人は知り合いということになる。それも、濃厚な。
「ラファエルか。どんな人物なんだろう」
「子供だよ。見た目はね。右目に眼帯をしている、綺麗な13歳くらいの子さ。一度誘惑したんだけど、拒否されたよ」
「京楽、お前は4大天使にまで手を出そうとしたのか」
「他にも、ガブリエルとウリエルも誘惑したよ。ミカエルも誘惑した」
浮竹は大きなため息をついた。
「4大天使みんな誘惑してるじゃないか!」
「だってかっこよかったりかわいかったりするんだもん」
「本当に、お前は変わっていないな。息子だけを愛すると誓ったのだ。他に手を出したら、私も容赦しないぞ」
ミカエルは、京楽の浮気を許さないようで、そもそも実の息子である浮竹だけを愛しているという言葉に、疑問を抱いていた。
「父さん、京楽はちゃんと俺だけを愛してくれてるから」
ミカエルの心を読んだように、浮竹はミカエルを安心させようとする。
「ラファエルは賢者の広間にいる。知識だけならどの天使も及ばないからな」
ミカエルに、賢者の広間のある建物にまで案内してもらった。
途中、今まで関係があった天使が京楽を見て、笑いかけてきたりしたが、浮竹も京楽も普通に自然に接した。
「ここがラファエルの館。通称賢者の館だ」
「大きいね」
「中には古今東西の書物がある。特に魔法関係が多い」
「魔法、教えてもらえないかな」
浮竹がややわくわくしながら、そんな声を出した。
「多分、教えてくれるはずだ。お前たちの魔力は類を見ないほどに高い。大天使長である私と同等かそれ以上か」
「父さん、買い被り過ぎだ」
「そうでもない。父の言葉を信用しなさい」
「はい」
ミカエルと別れて、賢者の館の大きな門の前に立つと、自動的に門と扉が開いた。
「入っておいでよ。ボクの久しぶりの客人だ・・・・京楽、お前を招いた覚えはないのだけど」
「いいじゃない。僕の一人や二人いても」
「お前のようなのが二人もいたら、天界は堕天使で溢れる」
扉の奥に入り、中を歩いていく。
まるで、図書館だった。
ほとんどが魔法に関するもので、古代魔法や禁忌の魔法書もあった。
図書館になっている一番奥で、13歳くらいの緋色の髪に瞳をもつ、美少女にしか見えないラファエルがいた。
「えっと、性別は女の子?」
確か、ラファエルは男で、4大天使にはガブリエルしか女性はいなかったはずなのだが、と思いながら聞いてみると、ラファエルは失礼な、という顔をした。
「どこを見ればボクが女に見える。立派な少年だろうが」
いや、美少女に見えるんですとは言えなくて、浮竹は困った顔をした。
「そこの色欲魔人の京楽の手に落ちたということは、そこそこ魔法の知識はあると思うが、まだまだ未熟だ。ボクが、禁忌や古代魔法について教えてあげよう」
「本当か!?」
浮竹は魔法が好きだった。
民間魔法なんかもけっこう覚えている。
「今日から1週間、浮竹、お前とそこの色欲魔人にも魔法を基礎から教えてやろう」
こうして、13歳の見た目のラファエルを師として、魔法を基礎から叩き込まれることになった。
3日経つ頃には、浮竹は詠唱破棄で聖以外の全属性の禁忌を発動できるようになっていた。
一方の京楽は、禁忌は教えられたが、ちんぷんかんぷんなようで、水の魔法の禁忌を発動させようとして雷の禁忌を発動していた。
「京楽、真面目にやれ。これは遊びではないのだぞ。最高神様が、お前たちの祓い屋としての腕を磨かせるためにわざわざ呼ばれたのだ」
「え、あの神様が僕まで呼んだの?」
「そうだ。あのお方は慈悲深い。お前のような歩く色欲魔でも、死なせてはかわいそうだと、魔法の手ほどきをしてやれと命令された」
ラファエルは納得がいかないようだったが、神の命令は絶対だ。
「京楽、お前は禁忌の魔法をできるだけ使うな。魔法構築がでたらめで、違う属性の禁忌が出ている」
「うーん、難しいなぁ」
「京楽、俺もいるんだ。無理に禁忌を覚える必要はないぞ」
「そうだな。京楽、お前は古代魔法が向いている」
2千年ほど前から生きているせいで、古代文明の魔法を元から覚えていたが、いろんな古代魔法を追加で覚えた。
「浮竹は、古代魔法が苦手のようだな」
「苦手というか、文字が読めない」
「勉学するしかないな。書庫を解禁しておいてやろう。ボクがいなくてても、人間社会からスマホを通じてアクセスできるようにしておこう」
「なんか意外とハイテク・・・・・・」
京楽の意見に、浮竹も頷いた。
「本当なら、1年ほどかけて学ばせるべきだが、時間がない。神は力を求められている。お前たちは、いずれ大きな敵と巡り会うだろう」
「何それ、予言?」
「そうだ。ラファエルであるボクの予言は当たると有名なんだぞ」
ラファエルは、えっへんといばった。
「本当ならもっと後で教えるべきだが、聖なる魔法の禁忌も教えておこう。堕天使である京楽には使えない魔法だ・・・・・」
ラファエルから、浮竹は聖なる魔法の禁忌を教え込まれた。
その威力の高さに驚く。他の属性の禁忌のように破壊するのではなく、無に返す魔法や闇属性の相手を即死させたりする魔法だった。
まだ、他の属性の禁忌のほうがかわいらしい。
無に返す魔法は、とにかく教えられたはいいが、極力使わないようにと念押しされた。
1週間が経った。
浮竹はみっちりと魔法を教え込まれて、魔法使いと言えるほどの腕になっていた。
京楽も教え込まれたが、使うこともほとんどないので、のらりくらりとしていた。
「ラファエル、ありがとう。お陰で魔法の腕が随分とあがった」
「感謝するなら、神に感謝しろ。あのお方の言いつけで、お前たちに魔法を教えたのだから」
「神は・・・その、うさんくさくてな」
天使と人間のハーフの子供を親元から取り上げて、ガブリエルに育てさせて、ある一定の年齢に達したら人間界に置き去りにする。
それは、神が決めたことだった。
ハーフの天使は魔力が高く、神に反旗を翻す可能性があるとかで、そうなったという。
「今のは、聞かなかったことにしておこう」
「ああ、すまない。京楽は?」
「古代の魔法書を読んでいるように見せかけて、居眠りしていたので図書館の掃除を命令しておいた。さぼったら、自動的に鞭が打たれる古代魔法をかけておいた」
クスリと、浮竹は笑った。
「そうして笑ってると、ミカエルに似ている。母親には似ていないな。アンヌは、元気だったか?」
「ああ、母さんは元気だ。この前、会いに行った」
「知っている。水晶玉で見た」
「ラファエルは、本当は何歳なんだ?」
「さぁ?創造神がこの世界をおつくりになって2千年。12使徒の天使が生まれた後に、ボクら四天王ともよばれる4大天使は生み出された。少なくとも、2千歳まではいっていないようだ。1800歳とくらいか?」
「ラファエル、掃除終わったよ。だからこの魔法といて。さっきからべしべし鞭うってくるんだよ。僕は、Sじゃないから鞭でぶたれても喜ばないよ!」
「あの広い図書館を、掃除し終えたというのか」
「うん。分身魔法で、10体の僕を作って魔力で動かした。やることはほとんど同じだったからできたことだけど」
「分身魔法・・・また変な魔法を覚えているな」
「これがあればね、10人の女の子と同時に・・びでぶ!」
最後まで言わせずに、浮竹が京楽の股間を蹴り上げた。
「お前も、どうしようもない相手と、恋をしているのだな」
ラファエルは、浮竹を憐みの瞳で見た。
「こんなでも、一応俺の恋人だからな」
「浮竹、マジ股間はやめてよ・・・・再起不能になる」
「いっそなるか?」
浮竹の笑顔が怖くて、京楽はそれ以上何も言えなかった。
そのまま、1週間が過ぎたが、急ぎの依頼もなかったので、賢者の館で更に1週間過ごした。
パソコンももってきていたので、ドイツ語の翻訳の仕事もできた。
天界にも機械はあり、電気や水道、ガスも通っていた。
今時、洗濯物を手で洗うような天使はいない。
衣類によっては手もみで洗う場合もあるが、ほとんどが洗濯機だ。冷蔵庫やらの必需品もあるし、テレビでは人間界の番組も見ることができる。
「なんか、地上の暮らしとあまり変化がないな」
「それだけ、天界も人間界に近づいたってことでしょ」
「モンスターが出ない。犯罪が起きない。違いはこれくらいか」
2週間が過ぎて、人間界に戻る日がきた。
「また、来るといい」
「またな」
ミカエルとラファエルに見送られて、浮竹と京楽は人間界に戻った。
浮竹も京楽も、いずれ出会う大な敵という言葉を、胸に刻んでいた。
浮竹はセラフであるので当たり前だが、堕天使である京楽が天界にきたのは、大天使長ミカエルの許しがあったからだった。
「ラファエルがな、お前たちに会いたいと言っていてな」
「ラファエルが?」
浮竹は首を傾げた。
ガブリエルは育ての親で、ミカエルは実の父親だ。
4大天使のうち、2人は知り合いということになる。それも、濃厚な。
「ラファエルか。どんな人物なんだろう」
「子供だよ。見た目はね。右目に眼帯をしている、綺麗な13歳くらいの子さ。一度誘惑したんだけど、拒否されたよ」
「京楽、お前は4大天使にまで手を出そうとしたのか」
「他にも、ガブリエルとウリエルも誘惑したよ。ミカエルも誘惑した」
浮竹は大きなため息をついた。
「4大天使みんな誘惑してるじゃないか!」
「だってかっこよかったりかわいかったりするんだもん」
「本当に、お前は変わっていないな。息子だけを愛すると誓ったのだ。他に手を出したら、私も容赦しないぞ」
ミカエルは、京楽の浮気を許さないようで、そもそも実の息子である浮竹だけを愛しているという言葉に、疑問を抱いていた。
「父さん、京楽はちゃんと俺だけを愛してくれてるから」
ミカエルの心を読んだように、浮竹はミカエルを安心させようとする。
「ラファエルは賢者の広間にいる。知識だけならどの天使も及ばないからな」
ミカエルに、賢者の広間のある建物にまで案内してもらった。
途中、今まで関係があった天使が京楽を見て、笑いかけてきたりしたが、浮竹も京楽も普通に自然に接した。
「ここがラファエルの館。通称賢者の館だ」
「大きいね」
「中には古今東西の書物がある。特に魔法関係が多い」
「魔法、教えてもらえないかな」
浮竹がややわくわくしながら、そんな声を出した。
「多分、教えてくれるはずだ。お前たちの魔力は類を見ないほどに高い。大天使長である私と同等かそれ以上か」
「父さん、買い被り過ぎだ」
「そうでもない。父の言葉を信用しなさい」
「はい」
ミカエルと別れて、賢者の館の大きな門の前に立つと、自動的に門と扉が開いた。
「入っておいでよ。ボクの久しぶりの客人だ・・・・京楽、お前を招いた覚えはないのだけど」
「いいじゃない。僕の一人や二人いても」
「お前のようなのが二人もいたら、天界は堕天使で溢れる」
扉の奥に入り、中を歩いていく。
まるで、図書館だった。
ほとんどが魔法に関するもので、古代魔法や禁忌の魔法書もあった。
図書館になっている一番奥で、13歳くらいの緋色の髪に瞳をもつ、美少女にしか見えないラファエルがいた。
「えっと、性別は女の子?」
確か、ラファエルは男で、4大天使にはガブリエルしか女性はいなかったはずなのだが、と思いながら聞いてみると、ラファエルは失礼な、という顔をした。
「どこを見ればボクが女に見える。立派な少年だろうが」
いや、美少女に見えるんですとは言えなくて、浮竹は困った顔をした。
「そこの色欲魔人の京楽の手に落ちたということは、そこそこ魔法の知識はあると思うが、まだまだ未熟だ。ボクが、禁忌や古代魔法について教えてあげよう」
「本当か!?」
浮竹は魔法が好きだった。
民間魔法なんかもけっこう覚えている。
「今日から1週間、浮竹、お前とそこの色欲魔人にも魔法を基礎から教えてやろう」
こうして、13歳の見た目のラファエルを師として、魔法を基礎から叩き込まれることになった。
3日経つ頃には、浮竹は詠唱破棄で聖以外の全属性の禁忌を発動できるようになっていた。
一方の京楽は、禁忌は教えられたが、ちんぷんかんぷんなようで、水の魔法の禁忌を発動させようとして雷の禁忌を発動していた。
「京楽、真面目にやれ。これは遊びではないのだぞ。最高神様が、お前たちの祓い屋としての腕を磨かせるためにわざわざ呼ばれたのだ」
「え、あの神様が僕まで呼んだの?」
「そうだ。あのお方は慈悲深い。お前のような歩く色欲魔でも、死なせてはかわいそうだと、魔法の手ほどきをしてやれと命令された」
ラファエルは納得がいかないようだったが、神の命令は絶対だ。
「京楽、お前は禁忌の魔法をできるだけ使うな。魔法構築がでたらめで、違う属性の禁忌が出ている」
「うーん、難しいなぁ」
「京楽、俺もいるんだ。無理に禁忌を覚える必要はないぞ」
「そうだな。京楽、お前は古代魔法が向いている」
2千年ほど前から生きているせいで、古代文明の魔法を元から覚えていたが、いろんな古代魔法を追加で覚えた。
「浮竹は、古代魔法が苦手のようだな」
「苦手というか、文字が読めない」
「勉学するしかないな。書庫を解禁しておいてやろう。ボクがいなくてても、人間社会からスマホを通じてアクセスできるようにしておこう」
「なんか意外とハイテク・・・・・・」
京楽の意見に、浮竹も頷いた。
「本当なら、1年ほどかけて学ばせるべきだが、時間がない。神は力を求められている。お前たちは、いずれ大きな敵と巡り会うだろう」
「何それ、予言?」
「そうだ。ラファエルであるボクの予言は当たると有名なんだぞ」
ラファエルは、えっへんといばった。
「本当ならもっと後で教えるべきだが、聖なる魔法の禁忌も教えておこう。堕天使である京楽には使えない魔法だ・・・・・」
ラファエルから、浮竹は聖なる魔法の禁忌を教え込まれた。
その威力の高さに驚く。他の属性の禁忌のように破壊するのではなく、無に返す魔法や闇属性の相手を即死させたりする魔法だった。
まだ、他の属性の禁忌のほうがかわいらしい。
無に返す魔法は、とにかく教えられたはいいが、極力使わないようにと念押しされた。
1週間が経った。
浮竹はみっちりと魔法を教え込まれて、魔法使いと言えるほどの腕になっていた。
京楽も教え込まれたが、使うこともほとんどないので、のらりくらりとしていた。
「ラファエル、ありがとう。お陰で魔法の腕が随分とあがった」
「感謝するなら、神に感謝しろ。あのお方の言いつけで、お前たちに魔法を教えたのだから」
「神は・・・その、うさんくさくてな」
天使と人間のハーフの子供を親元から取り上げて、ガブリエルに育てさせて、ある一定の年齢に達したら人間界に置き去りにする。
それは、神が決めたことだった。
ハーフの天使は魔力が高く、神に反旗を翻す可能性があるとかで、そうなったという。
「今のは、聞かなかったことにしておこう」
「ああ、すまない。京楽は?」
「古代の魔法書を読んでいるように見せかけて、居眠りしていたので図書館の掃除を命令しておいた。さぼったら、自動的に鞭が打たれる古代魔法をかけておいた」
クスリと、浮竹は笑った。
「そうして笑ってると、ミカエルに似ている。母親には似ていないな。アンヌは、元気だったか?」
「ああ、母さんは元気だ。この前、会いに行った」
「知っている。水晶玉で見た」
「ラファエルは、本当は何歳なんだ?」
「さぁ?創造神がこの世界をおつくりになって2千年。12使徒の天使が生まれた後に、ボクら四天王ともよばれる4大天使は生み出された。少なくとも、2千歳まではいっていないようだ。1800歳とくらいか?」
「ラファエル、掃除終わったよ。だからこの魔法といて。さっきからべしべし鞭うってくるんだよ。僕は、Sじゃないから鞭でぶたれても喜ばないよ!」
「あの広い図書館を、掃除し終えたというのか」
「うん。分身魔法で、10体の僕を作って魔力で動かした。やることはほとんど同じだったからできたことだけど」
「分身魔法・・・また変な魔法を覚えているな」
「これがあればね、10人の女の子と同時に・・びでぶ!」
最後まで言わせずに、浮竹が京楽の股間を蹴り上げた。
「お前も、どうしようもない相手と、恋をしているのだな」
ラファエルは、浮竹を憐みの瞳で見た。
「こんなでも、一応俺の恋人だからな」
「浮竹、マジ股間はやめてよ・・・・再起不能になる」
「いっそなるか?」
浮竹の笑顔が怖くて、京楽はそれ以上何も言えなかった。
そのまま、1週間が過ぎたが、急ぎの依頼もなかったので、賢者の館で更に1週間過ごした。
パソコンももってきていたので、ドイツ語の翻訳の仕事もできた。
天界にも機械はあり、電気や水道、ガスも通っていた。
今時、洗濯物を手で洗うような天使はいない。
衣類によっては手もみで洗う場合もあるが、ほとんどが洗濯機だ。冷蔵庫やらの必需品もあるし、テレビでは人間界の番組も見ることができる。
「なんか、地上の暮らしとあまり変化がないな」
「それだけ、天界も人間界に近づいたってことでしょ」
「モンスターが出ない。犯罪が起きない。違いはこれくらいか」
2週間が過ぎて、人間界に戻る日がきた。
「また、来るといい」
「またな」
ミカエルとラファエルに見送られて、浮竹と京楽は人間界に戻った。
浮竹も京楽も、いずれ出会う大な敵という言葉を、胸に刻んでいた。
堕天使と天使11
堕天使とは、元来、天使を誘惑して堕天させる存在だ。
けれど、京楽は神の元12使徒であった始まりの天使だったため、堕天使に落ちて天使を誘惑しても、堕天させることはなかった。
「浮竹、いい加減に起きないと」
「ん~。あと5時間寝る~」
「それじゃあ、夜の7時になっちゃうよ」
「昨日は翻訳の締め切りに追われて寝たのが朝の10時なんだ。もう少し、寝かせてくれ」
「もう、仕方ないねぇ」
京楽は、料理の他に家事もする。
元々は浮竹がやっていたのだが、浮竹の家に転がり込んできた形の京楽は、特に仕事ということもないので、暇なので家事をしていた。
「明日は卵の特売日だよ?一緒に行こうね」
「ああ・・・・・」
うつらうつらしていた浮竹は、適当に相槌を打って、そのまままた眠ってしまった。
翻訳家としての仕事はいつも締め切り前には終わらせているのだが、最近モンスターの退治が相次いでおり、なかなか仕事の時間がとれずに徹夜する羽目になった。
夜の7時になって、寝ぼけ眼で浮竹が起きてきた。
ぐ~。
日付が変わったあたりから何も食べていなかったので、浮竹はお腹がすいていて、腹が鳴ってしまい、顔を赤くする。
「今日はビーフシチューとカルボナーラだよ」
「うまそうだな」
浮竹は早速夕飯を口にした。
京楽の料理の腕はシェフ並みで、京楽の作る食事を浮竹はいつも心待ちにしていた。
「相変わらず、いい腕だな」
「いやぁ。まぁ、正直なところ三ツ星レストランで働いてたこともあったからね」
「さすがだな」
その日はシャワーを浴びて、浮竹は7時まで寝ていたためになかなか寝付けずに、結局深夜の1時頃になってようやく就寝できた。
次の日、急ぎの依頼がきていた。
森の守り手でもあるトレントが、人を攫って養分として取り込み、衰弱死させるというのだ。
金貨200枚の依頼だった。
トレント自体はそう強くないが、人の生気を喰らったモンスターは通常の数倍、力が増す。
トレントはCランクモンスターなので、Bランクあたりになっているだろう。
浮竹と京楽は、車での移動では限界があるので、あまり使わない空間転移の魔法で被害が出ている国にまでやってくると、早速聞き込みを開始した。
なんでも、少し町から離れたところにあるブナエの森という場所に、トレントがいて、薬草や花をつみにきた人々を攫い、養分として取り込むらしい。
早速、ブナエの森に出かける。
「静かだな」
「うん、そうだね。静かすぎる。動物の鳴き声や鳥のさえずりどころか、虫の音色さえ聞こえない」
さわさわと、揺れる緑の音だけがした。
「たす・・け・・・て・・・・・・」
森の奥のほうから、かすかな声が聞こえた。
その声を頼りに森を歩くと、トレントの群れと遭遇した。
捕らわれて養分を吸い取られているのは、若いエルフの少女だった。
「たすけて・・・・・・」
「エアリアルエッジ!」
「ファイアボール!」
浮竹がまず少女を戒めているトレントを風の精霊エアリアルに命じてカマイタチを出して、トレントをばらばらにする。
京楽が、ファイアボールでそのトレントを燃やし尽くした。
トレントは森を養分としており、再生能力がある。
「京楽、少女を頼む」
「あ、浮竹!」
浮竹は、自分を囮にトレントの群れに飛び込んだ。
「あーあ。トレントなむ」
京楽は、浮竹の心配ではなく、一方的に殺されるトレントの冥福を祈った。
「ボルケーノトライアングル、ヘルインフェルノ、エターナルフェニックス!!」
「ぎゃああああ!」
「うおおおおお!!」
干からびた人のなれの果てを抱いたトレントごと、3種類の魔法の業火でトレントを焼いていく。
干からびた人やまだ息のある人間には、炎の手は伸びなかった。
死んでしまっても、遺品があるかもしれないし、息のある者は救助して、適切な処置を施さないといけない。
「トレントだけでなく、ドライアドもか・・・・」
トレントの群れに交じって、ドライアドの姿もあったが、それも燃やし尽くした。
1匹のトレントを生き残らせて、どうして人を襲うのかと問いただした。
「それは、あのお方がおしゃったからだ。偉大なる賢者でもあられる、あの方が。堕天使だが、あのお方は天使だ。森の伐採で滅びゆく我らに救いの手を差し伸べてくれた・・・・」
それだけ言って、そのトレントは自害した。
「モンスターが自害?どういうことだ」
「いや、そのお方とやらの話を口にすると、最初から死ぬような呪いがかけられていたよ」
「ますますきな臭いな」
とりあえず、森のトレントは全部処理しようということになった。ドライアドも。
「そっちを頼む」
「じゃあ、君はあっちを」
森をしらみつぶしに歩いて、魔力探知でひっかかったトレントとドライアドは全部処分した。
助け出せた人間の数が4人。すでに事切れて干からびていた人間が5人。
一番古い死体は、骨になっており、密かに人を養分として昔から取り込んでいたらしい。
それが活発化して、今回の退治依頼となったのだ。
「4人、運べる?」
「そっちの死体も併せて、空間転移で町に運ぶ」
浮竹は、大規模な空間転移の魔法陣を描き、町に転移した。
始めは町の者も驚いていたが、生きていた行方不明者の顔見知りが近づき、本物だと確認すると、町をあげての騒ぎとなった。
死者となってしまった5人の身元も割れて、森のトレントどドライアドを全部処分したことを伝えると、町の住人たちは歓喜の声をあげた。
これで森に入って狩りができる。薬草やきのこ、木の実を収穫できると、喜んでいた。
町長から金貨200枚を報酬としてもらい、やや浮かれすぎな町の歓迎式に出てから、浮竹と京楽は自分たちの家に帰っていった。
トレントとドライアドの魔石は、今度換金することにした。
家に入ると、ヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹がいた。
『やあ、勝手にあがらせてもらってるよ』
『お菓子を作ってたんだ。プリンアラモード』
「また、突然だな。しかもこったお菓子だな」
『うまくできたと思うんだ。食べてくれないか、天使の俺』
「うん、いただく」
「あの、俺の分は?」
すでに不法侵入は何度かあったので、目を瞑っておく。
『お前の分など、ない!』
「えええーー!酷くない!?」
『君はかつての行いが悪いから、反省しろって浮竹がね・・・・』
フェンリルの浮竹は、カップに水を入れて、砂糖をいれて堕天使の京楽に出した。
『これでも飲んでろ』
「これ、ただの砂糖水じゃないの」
『お前なんか、これで十分だ』
「ひどい。( ノД`)シクシク…」
堕天使の京楽は、ソファーで沈みこんだ。
『まぁ、別でクッキー焼いておいたから。それで我慢しなよ』
『京楽、こんな奴にクッキーをあげる必要はない』
『まぁまぁ。ほら、向こうの浮竹が哀しそうな顔をしているでしょ?』
『むーーー』
「あ、いや別にこれはそういうのじゃなくて!」
天使の浮竹は、いきなりのことで慌てふためいた。
『仕方ない。クッキーを食べてもいい。そのかわり、こっちの世界の俺を泣かせるなよ!そんなことしたら、骨にしてやる』
「いやあああ、食べる気満々だあああ」
『食べない。まずい、くさい、穢れてる』
「ひどいいいいいいいい」
そう言いつつ、フェンリルの浮竹に手を伸ばす堕天使の京楽に、フェンリルの浮竹は噛みついた。
「いたいいいいいいい」
『気安く俺に触ろうとするな!』
「京楽?浮気は・・・・・・」
「もぎゃあああああああああ!!!」
『南無阿弥陀仏』
そんな台詞をヴァンパイアの京楽は唱えて、堕天使の京楽の冥福を祈った。
死んでないけどね!
ちゃんと生きてるけどね!
天使の浮竹は、プリンアラモードを食べながら、向こう側の浮竹と京楽と楽しそうに話していた。
一方、堕天使の京楽は、その輪に入れてもらえずに、いじいじしていた。
「このクッキーぱさぱさ・・・・まだまだだねぇ」
『俺が作ったんだ。何か言ったか』
「いえ、なんでもないです」
フェンリルの浮竹は、ぱさぱさだというクッキーを堕天使の京楽の前から回収して、ドンと砂糖水をおいた。
『やっぱり、お前はこれで十分だ』
「ひどいいいい、浮竹、フェンリルの浮竹が僕をいじめる!」
「そうか、よかったな。もっといじめてもらえ」
「浮竹もひどい!化けて出てやるううううう」
京楽はキッチンにこもり、その日の夕食をやけになって作り始めるのだった。
無論、自分と浮竹の分だけだ。
ヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹には、そうそうに帰ってもらうのだった。
けれど、京楽は神の元12使徒であった始まりの天使だったため、堕天使に落ちて天使を誘惑しても、堕天させることはなかった。
「浮竹、いい加減に起きないと」
「ん~。あと5時間寝る~」
「それじゃあ、夜の7時になっちゃうよ」
「昨日は翻訳の締め切りに追われて寝たのが朝の10時なんだ。もう少し、寝かせてくれ」
「もう、仕方ないねぇ」
京楽は、料理の他に家事もする。
元々は浮竹がやっていたのだが、浮竹の家に転がり込んできた形の京楽は、特に仕事ということもないので、暇なので家事をしていた。
「明日は卵の特売日だよ?一緒に行こうね」
「ああ・・・・・」
うつらうつらしていた浮竹は、適当に相槌を打って、そのまままた眠ってしまった。
翻訳家としての仕事はいつも締め切り前には終わらせているのだが、最近モンスターの退治が相次いでおり、なかなか仕事の時間がとれずに徹夜する羽目になった。
夜の7時になって、寝ぼけ眼で浮竹が起きてきた。
ぐ~。
日付が変わったあたりから何も食べていなかったので、浮竹はお腹がすいていて、腹が鳴ってしまい、顔を赤くする。
「今日はビーフシチューとカルボナーラだよ」
「うまそうだな」
浮竹は早速夕飯を口にした。
京楽の料理の腕はシェフ並みで、京楽の作る食事を浮竹はいつも心待ちにしていた。
「相変わらず、いい腕だな」
「いやぁ。まぁ、正直なところ三ツ星レストランで働いてたこともあったからね」
「さすがだな」
その日はシャワーを浴びて、浮竹は7時まで寝ていたためになかなか寝付けずに、結局深夜の1時頃になってようやく就寝できた。
次の日、急ぎの依頼がきていた。
森の守り手でもあるトレントが、人を攫って養分として取り込み、衰弱死させるというのだ。
金貨200枚の依頼だった。
トレント自体はそう強くないが、人の生気を喰らったモンスターは通常の数倍、力が増す。
トレントはCランクモンスターなので、Bランクあたりになっているだろう。
浮竹と京楽は、車での移動では限界があるので、あまり使わない空間転移の魔法で被害が出ている国にまでやってくると、早速聞き込みを開始した。
なんでも、少し町から離れたところにあるブナエの森という場所に、トレントがいて、薬草や花をつみにきた人々を攫い、養分として取り込むらしい。
早速、ブナエの森に出かける。
「静かだな」
「うん、そうだね。静かすぎる。動物の鳴き声や鳥のさえずりどころか、虫の音色さえ聞こえない」
さわさわと、揺れる緑の音だけがした。
「たす・・け・・・て・・・・・・」
森の奥のほうから、かすかな声が聞こえた。
その声を頼りに森を歩くと、トレントの群れと遭遇した。
捕らわれて養分を吸い取られているのは、若いエルフの少女だった。
「たすけて・・・・・・」
「エアリアルエッジ!」
「ファイアボール!」
浮竹がまず少女を戒めているトレントを風の精霊エアリアルに命じてカマイタチを出して、トレントをばらばらにする。
京楽が、ファイアボールでそのトレントを燃やし尽くした。
トレントは森を養分としており、再生能力がある。
「京楽、少女を頼む」
「あ、浮竹!」
浮竹は、自分を囮にトレントの群れに飛び込んだ。
「あーあ。トレントなむ」
京楽は、浮竹の心配ではなく、一方的に殺されるトレントの冥福を祈った。
「ボルケーノトライアングル、ヘルインフェルノ、エターナルフェニックス!!」
「ぎゃああああ!」
「うおおおおお!!」
干からびた人のなれの果てを抱いたトレントごと、3種類の魔法の業火でトレントを焼いていく。
干からびた人やまだ息のある人間には、炎の手は伸びなかった。
死んでしまっても、遺品があるかもしれないし、息のある者は救助して、適切な処置を施さないといけない。
「トレントだけでなく、ドライアドもか・・・・」
トレントの群れに交じって、ドライアドの姿もあったが、それも燃やし尽くした。
1匹のトレントを生き残らせて、どうして人を襲うのかと問いただした。
「それは、あのお方がおしゃったからだ。偉大なる賢者でもあられる、あの方が。堕天使だが、あのお方は天使だ。森の伐採で滅びゆく我らに救いの手を差し伸べてくれた・・・・」
それだけ言って、そのトレントは自害した。
「モンスターが自害?どういうことだ」
「いや、そのお方とやらの話を口にすると、最初から死ぬような呪いがかけられていたよ」
「ますますきな臭いな」
とりあえず、森のトレントは全部処理しようということになった。ドライアドも。
「そっちを頼む」
「じゃあ、君はあっちを」
森をしらみつぶしに歩いて、魔力探知でひっかかったトレントとドライアドは全部処分した。
助け出せた人間の数が4人。すでに事切れて干からびていた人間が5人。
一番古い死体は、骨になっており、密かに人を養分として昔から取り込んでいたらしい。
それが活発化して、今回の退治依頼となったのだ。
「4人、運べる?」
「そっちの死体も併せて、空間転移で町に運ぶ」
浮竹は、大規模な空間転移の魔法陣を描き、町に転移した。
始めは町の者も驚いていたが、生きていた行方不明者の顔見知りが近づき、本物だと確認すると、町をあげての騒ぎとなった。
死者となってしまった5人の身元も割れて、森のトレントどドライアドを全部処分したことを伝えると、町の住人たちは歓喜の声をあげた。
これで森に入って狩りができる。薬草やきのこ、木の実を収穫できると、喜んでいた。
町長から金貨200枚を報酬としてもらい、やや浮かれすぎな町の歓迎式に出てから、浮竹と京楽は自分たちの家に帰っていった。
トレントとドライアドの魔石は、今度換金することにした。
家に入ると、ヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹がいた。
『やあ、勝手にあがらせてもらってるよ』
『お菓子を作ってたんだ。プリンアラモード』
「また、突然だな。しかもこったお菓子だな」
『うまくできたと思うんだ。食べてくれないか、天使の俺』
「うん、いただく」
「あの、俺の分は?」
すでに不法侵入は何度かあったので、目を瞑っておく。
『お前の分など、ない!』
「えええーー!酷くない!?」
『君はかつての行いが悪いから、反省しろって浮竹がね・・・・』
フェンリルの浮竹は、カップに水を入れて、砂糖をいれて堕天使の京楽に出した。
『これでも飲んでろ』
「これ、ただの砂糖水じゃないの」
『お前なんか、これで十分だ』
「ひどい。( ノД`)シクシク…」
堕天使の京楽は、ソファーで沈みこんだ。
『まぁ、別でクッキー焼いておいたから。それで我慢しなよ』
『京楽、こんな奴にクッキーをあげる必要はない』
『まぁまぁ。ほら、向こうの浮竹が哀しそうな顔をしているでしょ?』
『むーーー』
「あ、いや別にこれはそういうのじゃなくて!」
天使の浮竹は、いきなりのことで慌てふためいた。
『仕方ない。クッキーを食べてもいい。そのかわり、こっちの世界の俺を泣かせるなよ!そんなことしたら、骨にしてやる』
「いやあああ、食べる気満々だあああ」
『食べない。まずい、くさい、穢れてる』
「ひどいいいいいいいい」
そう言いつつ、フェンリルの浮竹に手を伸ばす堕天使の京楽に、フェンリルの浮竹は噛みついた。
「いたいいいいいいい」
『気安く俺に触ろうとするな!』
「京楽?浮気は・・・・・・」
「もぎゃあああああああああ!!!」
『南無阿弥陀仏』
そんな台詞をヴァンパイアの京楽は唱えて、堕天使の京楽の冥福を祈った。
死んでないけどね!
ちゃんと生きてるけどね!
天使の浮竹は、プリンアラモードを食べながら、向こう側の浮竹と京楽と楽しそうに話していた。
一方、堕天使の京楽は、その輪に入れてもらえずに、いじいじしていた。
「このクッキーぱさぱさ・・・・まだまだだねぇ」
『俺が作ったんだ。何か言ったか』
「いえ、なんでもないです」
フェンリルの浮竹は、ぱさぱさだというクッキーを堕天使の京楽の前から回収して、ドンと砂糖水をおいた。
『やっぱり、お前はこれで十分だ』
「ひどいいいい、浮竹、フェンリルの浮竹が僕をいじめる!」
「そうか、よかったな。もっといじめてもらえ」
「浮竹もひどい!化けて出てやるううううう」
京楽はキッチンにこもり、その日の夕食をやけになって作り始めるのだった。
無論、自分と浮竹の分だけだ。
ヴァンパイアの京楽とフェンリルの浮竹には、そうそうに帰ってもらうのだった。
堕天使と天使10
京楽にしつこくまとわりついてくる女がいた。
天使だった。20年ほど前に付き合っていた天使の女で、見た目はふわふわした髪の可愛い少女だったが、中身も幼く、京楽のことが好きだ好きだとうるさかった。
「悪いが諦めてくれ。京楽は俺のものだ」
「アンナ信じらんなーい。アンナのほうかかわいいのにー。春ちゃん、両刀なのは知ってたけど、好み変わった?前は、もっと女の子っぽい男の子のほうが好きだったじゃない」
「げふげふ。アンナ、僕たちはもう終わったんだ。君と復縁する気はないよ」
アンナは、ふてくされた。
「ひどーい。やっぱり、アンナの体だけが目的だったのね」
「いやいや。それよりも、片翼のもげた天使の話は本当かい?」
「うん。アンナ見たよ。片方の翼がもげた天使。なんか、堕天使になるとか言って、天界の外に飛び出していちゃった」
アンナの言葉に、ヴァンパイアの京楽の駆除を求めてきた、片翼の天使のことを思い出す。
「とどめ、さしておいておいたほうがいいのかな?」
「やめておけ。同族争いになる」
浮竹の言葉に、京楽も頷いた。
「アンナになびかない春ちゃんのバカ!この浮竹っていうのが悪いのね!アンナの春ちゃんたぶらかして!」
アンナは、鋭いナイフをもちだしてきて、あろうことか浮竹の胸を刺した。
「ぐ・・・」
「浮竹!」
「春ちゃんが悪いのよ!」
「ヘルインフェルノ」
「きゃあああああああ」
京楽は、躊躇もなくアンナに炎の上位魔法をぶつけた。
アンナは、灰となって消えていった。
「今、癒してあげるから。セイントヒール」
浮竹は傷は深かったが、すぐに回復魔法をかけたことで出血も大量でなくてすんで、浮竹はでも困った顔をしていた。
「天使を殺したんだぞ」
「別にいいよ。僕は堕天使だ。天使や人間や悪魔を殺そうと、何も言われない」
「元、神の12使徒だろう」
「僕らの父である神は、自分のことしか頭にないよ」
「確かに、神は何を考えているか分からない。ハーフの子供を親から引き離してガブリエルに育てさせるのも意味不明だ」
浮竹もまた、人間と天使のハーフで、幼い頃に両親から神に引き離されて、母親役であったセラフのガブリエルに育てられた。
そして、ガブリエルはある程度の年齢まで育てると、神の命令で人間界にハーフの子供を置き去りにした。
神が何を考えているかなぞ、大天使長ミカエルでさえも分からないだろう。
神に一番近い場所にいるミカエルの子である浮竹も、ハーフであるということから両親から引き離されて、ガブリエルに育ててもらい、そして人間界に置き去りにされた。
孤児院で育った浮竹は、バイトをしながら大学にも通い、出版会社に就職して、ドイツ語の翻訳家をしている。
今は、神の命令で祓い屋というか退治屋というか、冒険者ギルドからあぶれたモンスター駆除を行ったりしていた。
浮竹と京楽は、その日の討伐の対象を選ぶ。
なるべく人が困っている、死者が出るような依頼を重点に選ぶが、最近は少しモンスターの活発化がましになって、セイレーンの歌声が船人を惑わすから駆除してくれという依頼を引き受けた。
車で、4時間走った場所に、セイレーンは出た。
港町で、セイレーンの歌声が聞こえた。
「綺麗な声だ。惑わすというか、ただ歌っているようにしか聞こえないが」
「船乗りには、これが魅了の声に聞こえるんだ。セイレーンは人を惑わして魅惑するが、食うわけじゃないが、たまに溺死させることがあるから、駆除しよう」
浮竹と京楽は、船を借りてセイレーンのいる岩場に近づいた。
「ららら~~~~~~♪」
セイレーンは、6体ほどいた。
「悪いけど、退治させてもらうよ。サンダーボルテックス!」
「ぎゃあああああああ!!」
セイレーンたちは黒こげになった。
「ちょっとかわいそうなことしちゃったかな?」
「いや、セイレーンは船乗りを溺死させるから、駆除しておいたほうがいい」
浮竹は、他にセイレーンがいないかどうか船で港の近くを行ったり来たりした。
「他にセイレーンはいないようだ・・・・なんだ、歌声がする」
それは、セイレーンの歌声だった。
京楽も浮竹も魅了されて、その歌声をする方に向かう。
セイレーンでも、とびぬけた美人がいた。
「ああ、たまらないね、君」
京楽のその一言で、浮竹は我に戻った。
「この浮気者!」
「あべし!」
「セイレーンなんかと浮気するのか!」
「びでぶ!」
京楽の股間を思い切り蹴り上げると、京楽も正気に戻った。
「君・・・・僕たちを、食おうとしただろう?」
「なんのことかしら。分からないわ」
「その姿・・・・人を食ったのか」
「あら、悪い?人は魚を食べるじゃない。それみたいに、セイレーンは人間をたまに食べるだけよ」
「人に害を成せば人に駆除される。それくらい、分かっているだろう?」
浮竹が、進化したセイレーンを見た。
ハイ・セイレーンというところだろうか。
保有している魔力が高く、歌声でまたこちらを誘惑してきた。
「ららら~~~~~~~♪」
浮竹は耳を手でふさいだ。
京楽は、また魅了されてそのセイレーンを抱きしめていた。
「浮気は、許さないと、言っているだろう!エターナルフェニックス!」
セイレーンもろとも、京楽も一緒に焼いた。
「もぎゃあああああ」
その熱さに、我に返った京楽が魔法のバリアを自分にだけ作り、人を食ったセイレーンは丸焼き状態になって、灰となり魔石だけを残してこの世から消え去っていった。
「セイレーンになんて、鼻の下伸ばしやがって」
「違んだよ、誤解だよ。あれは歌声に魅了されただけで、別にセイレーンを好きなわけじゃないよ」
「過去にセイレーンと関係をもったことは?」
「う・・・・・4回、くらいかな」
正直にいう京楽に、浮竹はハリセンでその頭を叩いた。
「5回目になってたら、別れてたからな」
「はい、すみません。僕がもっと魅了に気を付ければ」
「とりあえず、報告に戻ろう。もうここいらのセイレーンは全部駆除し終えたようだ。さっきの親玉ってところで、もう増えたりもしないだろう」
町の町長から報酬の金貨10枚をもらい、王都に戻って冒険者ギルドに魔石を買い取ってもった。
金貨6枚になった。
「浮竹、まだ怒ってるの?」
「別に怒ってなんてない」
つーんとした態度をとり続ける浮竹を、京楽は抱きしめた。
「僕が愛しているのは、今は浮竹だけだよ」
「そうか。それなら、いい」
自分の家に戻ると、京楽は浮竹を求めてきた。
久しぶりだったので、浮竹にも欲はあるので、応じることにした。
「んあっ」
ディープキスを繰り返されて、舌が絡みあう。
口づけの合間に服を脱がされて、平らな胸を撫でられ、先端をつままれた。
「んっ」
そのまま、ズボンをぬがされて、ボクサーパンツの上から触られた。
「あっ」
すでに染みをつくっていたそこは、京楽に触られると硬く勃ちあがり、京楽がボクサーパンツの上から執拗に愛撫すると、白濁した液を出していた。
「ああああ!!」
「ふふ、かわいい」
「ばか、服が」
「洗濯すればいいだけだよ」
浮竹は、ついには全裸にされて、京楽も裸になった。
ローションを後ろに塗り込まれて、前立腺を指がかすめる。
「あああ!」
前立腺を刺激されて、また浮竹は精液を放っていた。
「いくの早くない?」
「うるさい」
「ごめんごめん」
京楽は、熱く滾ったものを浮竹の蕾に宛がい、一気に引き裂いた。
「ひああああああああ!!」
衝撃に、涙がこぼれる。
その涙を吸い取って、京楽はゆっくりと動き出した。
「んああああ!」
わざと前立腺をかすめて、奥を貫く。
奥をゴリゴリされると、浮竹の手が京楽の背中に回り、爪を立てる。
「やあああああ!!」
ぐりっと奥まで侵入してきた熱は、しめつけられて京楽は浮竹の胎の奥に子種をびゅるびゅると注ぎ込んでいた。
「やああ、いっちゃう!」
浮竹は、ドライのオーガズムでいっていた。
「もっといっていいよ?」
浮竹のものをしごぎあげると、浮竹は呆気なく白濁した液体を京楽の手の中に放っていた。
「あ、春水、もっとお前をくれ。お前の子種で、俺の胎を満たしてくれ」
ぱちゅんぱちゅんと音をたてて、京楽のものが出入りする。
浮竹は何度目かも分からない精液を吐き出して、それ以上もう出るものがなくなり、先走りの蜜だけをたらたらと零していた。
「あ、ああああ!」
ごりごりと、奥を抉られて、浮竹の視界が真っ白になる。
オーガズムでいくことを覚えた体は、貪欲に京楽を求めた。
「あ、いい、もっと、もっと」
「十四郎・・・・愛してるよ」
「俺も愛している、春水・・・あああああ、もっと奥まで!」
ぐりっと奥を抉られて、浮竹はまたいっていた。
「いやぁ!」
「最後の一滴まで、注いであげるからね?」
「あ、やああ、やあ、あああ」
浮竹は快感でぐずぐずに溶けていく。
京楽も、浮竹の中に全てを放って、満足した。
濡れたタオルをもってきて、体を清めて中に出したものをかき出すと、とろとろと白濁した京楽の液体が浮竹の太ももをつたってきた。
「たくさん出したな」
「うん。だって、十四郎が求めるんだもの」
浮竹は真っ赤になって、クッションを京楽に投げた。
「シーツを変えてくれ。もう、このまま一度寝る」
「うん。分かったよ」
夕飯まではまだ時間があったので、シーツを変えたベッドの上で、浮竹はすぐに眠りに落ちていった。
「ねぇ、十四郎。僕は、このまま君の傍にいてもいいのかな?」
京楽は堕天使だ。堕天使に愛された天使は、やがて堕天使へと落ちる。
「君が望むまで傍にいるけれど、もしも君が堕天しそうになったら・・・・」
京楽は言葉を区切って、夕飯を作りにキッチンに行くのだった。
―-----------------------------------------
「それで、堕天した君は私に何の用かな?」
「力をください!血を、ください!」
ヴァンパイアの京楽に片翼をもがれたその天使だった、堕天使は、男にとり入ろうとしていた。
「私には、関係のない話だ。君程度の雑魚に、期待もしていないし、血をあげるなんてまっぴらだからね」
男は、炎の魔法を放った。
片翼の堕天使は、灰となって世界から消えいった。
「どうして・・・・・」
「どうしてもこうしても、君など始めから必要なかったんだよ」
男は笑う。
「堕天使になるか・・・・・浮竹?大天使長ミカエルの子は、堕天しにくいがこのままいけば、あるいは・・・・・・」
男はワインを開けて、ワイングラスに注ぐと、一気にあおった。
「熟するのを待つのも、また一興」
男は、そう言って静かに笑うのだった。
天使だった。20年ほど前に付き合っていた天使の女で、見た目はふわふわした髪の可愛い少女だったが、中身も幼く、京楽のことが好きだ好きだとうるさかった。
「悪いが諦めてくれ。京楽は俺のものだ」
「アンナ信じらんなーい。アンナのほうかかわいいのにー。春ちゃん、両刀なのは知ってたけど、好み変わった?前は、もっと女の子っぽい男の子のほうが好きだったじゃない」
「げふげふ。アンナ、僕たちはもう終わったんだ。君と復縁する気はないよ」
アンナは、ふてくされた。
「ひどーい。やっぱり、アンナの体だけが目的だったのね」
「いやいや。それよりも、片翼のもげた天使の話は本当かい?」
「うん。アンナ見たよ。片方の翼がもげた天使。なんか、堕天使になるとか言って、天界の外に飛び出していちゃった」
アンナの言葉に、ヴァンパイアの京楽の駆除を求めてきた、片翼の天使のことを思い出す。
「とどめ、さしておいておいたほうがいいのかな?」
「やめておけ。同族争いになる」
浮竹の言葉に、京楽も頷いた。
「アンナになびかない春ちゃんのバカ!この浮竹っていうのが悪いのね!アンナの春ちゃんたぶらかして!」
アンナは、鋭いナイフをもちだしてきて、あろうことか浮竹の胸を刺した。
「ぐ・・・」
「浮竹!」
「春ちゃんが悪いのよ!」
「ヘルインフェルノ」
「きゃあああああああ」
京楽は、躊躇もなくアンナに炎の上位魔法をぶつけた。
アンナは、灰となって消えていった。
「今、癒してあげるから。セイントヒール」
浮竹は傷は深かったが、すぐに回復魔法をかけたことで出血も大量でなくてすんで、浮竹はでも困った顔をしていた。
「天使を殺したんだぞ」
「別にいいよ。僕は堕天使だ。天使や人間や悪魔を殺そうと、何も言われない」
「元、神の12使徒だろう」
「僕らの父である神は、自分のことしか頭にないよ」
「確かに、神は何を考えているか分からない。ハーフの子供を親から引き離してガブリエルに育てさせるのも意味不明だ」
浮竹もまた、人間と天使のハーフで、幼い頃に両親から神に引き離されて、母親役であったセラフのガブリエルに育てられた。
そして、ガブリエルはある程度の年齢まで育てると、神の命令で人間界にハーフの子供を置き去りにした。
神が何を考えているかなぞ、大天使長ミカエルでさえも分からないだろう。
神に一番近い場所にいるミカエルの子である浮竹も、ハーフであるということから両親から引き離されて、ガブリエルに育ててもらい、そして人間界に置き去りにされた。
孤児院で育った浮竹は、バイトをしながら大学にも通い、出版会社に就職して、ドイツ語の翻訳家をしている。
今は、神の命令で祓い屋というか退治屋というか、冒険者ギルドからあぶれたモンスター駆除を行ったりしていた。
浮竹と京楽は、その日の討伐の対象を選ぶ。
なるべく人が困っている、死者が出るような依頼を重点に選ぶが、最近は少しモンスターの活発化がましになって、セイレーンの歌声が船人を惑わすから駆除してくれという依頼を引き受けた。
車で、4時間走った場所に、セイレーンは出た。
港町で、セイレーンの歌声が聞こえた。
「綺麗な声だ。惑わすというか、ただ歌っているようにしか聞こえないが」
「船乗りには、これが魅了の声に聞こえるんだ。セイレーンは人を惑わして魅惑するが、食うわけじゃないが、たまに溺死させることがあるから、駆除しよう」
浮竹と京楽は、船を借りてセイレーンのいる岩場に近づいた。
「ららら~~~~~~♪」
セイレーンは、6体ほどいた。
「悪いけど、退治させてもらうよ。サンダーボルテックス!」
「ぎゃあああああああ!!」
セイレーンたちは黒こげになった。
「ちょっとかわいそうなことしちゃったかな?」
「いや、セイレーンは船乗りを溺死させるから、駆除しておいたほうがいい」
浮竹は、他にセイレーンがいないかどうか船で港の近くを行ったり来たりした。
「他にセイレーンはいないようだ・・・・なんだ、歌声がする」
それは、セイレーンの歌声だった。
京楽も浮竹も魅了されて、その歌声をする方に向かう。
セイレーンでも、とびぬけた美人がいた。
「ああ、たまらないね、君」
京楽のその一言で、浮竹は我に戻った。
「この浮気者!」
「あべし!」
「セイレーンなんかと浮気するのか!」
「びでぶ!」
京楽の股間を思い切り蹴り上げると、京楽も正気に戻った。
「君・・・・僕たちを、食おうとしただろう?」
「なんのことかしら。分からないわ」
「その姿・・・・人を食ったのか」
「あら、悪い?人は魚を食べるじゃない。それみたいに、セイレーンは人間をたまに食べるだけよ」
「人に害を成せば人に駆除される。それくらい、分かっているだろう?」
浮竹が、進化したセイレーンを見た。
ハイ・セイレーンというところだろうか。
保有している魔力が高く、歌声でまたこちらを誘惑してきた。
「ららら~~~~~~~♪」
浮竹は耳を手でふさいだ。
京楽は、また魅了されてそのセイレーンを抱きしめていた。
「浮気は、許さないと、言っているだろう!エターナルフェニックス!」
セイレーンもろとも、京楽も一緒に焼いた。
「もぎゃあああああ」
その熱さに、我に返った京楽が魔法のバリアを自分にだけ作り、人を食ったセイレーンは丸焼き状態になって、灰となり魔石だけを残してこの世から消え去っていった。
「セイレーンになんて、鼻の下伸ばしやがって」
「違んだよ、誤解だよ。あれは歌声に魅了されただけで、別にセイレーンを好きなわけじゃないよ」
「過去にセイレーンと関係をもったことは?」
「う・・・・・4回、くらいかな」
正直にいう京楽に、浮竹はハリセンでその頭を叩いた。
「5回目になってたら、別れてたからな」
「はい、すみません。僕がもっと魅了に気を付ければ」
「とりあえず、報告に戻ろう。もうここいらのセイレーンは全部駆除し終えたようだ。さっきの親玉ってところで、もう増えたりもしないだろう」
町の町長から報酬の金貨10枚をもらい、王都に戻って冒険者ギルドに魔石を買い取ってもった。
金貨6枚になった。
「浮竹、まだ怒ってるの?」
「別に怒ってなんてない」
つーんとした態度をとり続ける浮竹を、京楽は抱きしめた。
「僕が愛しているのは、今は浮竹だけだよ」
「そうか。それなら、いい」
自分の家に戻ると、京楽は浮竹を求めてきた。
久しぶりだったので、浮竹にも欲はあるので、応じることにした。
「んあっ」
ディープキスを繰り返されて、舌が絡みあう。
口づけの合間に服を脱がされて、平らな胸を撫でられ、先端をつままれた。
「んっ」
そのまま、ズボンをぬがされて、ボクサーパンツの上から触られた。
「あっ」
すでに染みをつくっていたそこは、京楽に触られると硬く勃ちあがり、京楽がボクサーパンツの上から執拗に愛撫すると、白濁した液を出していた。
「ああああ!!」
「ふふ、かわいい」
「ばか、服が」
「洗濯すればいいだけだよ」
浮竹は、ついには全裸にされて、京楽も裸になった。
ローションを後ろに塗り込まれて、前立腺を指がかすめる。
「あああ!」
前立腺を刺激されて、また浮竹は精液を放っていた。
「いくの早くない?」
「うるさい」
「ごめんごめん」
京楽は、熱く滾ったものを浮竹の蕾に宛がい、一気に引き裂いた。
「ひああああああああ!!」
衝撃に、涙がこぼれる。
その涙を吸い取って、京楽はゆっくりと動き出した。
「んああああ!」
わざと前立腺をかすめて、奥を貫く。
奥をゴリゴリされると、浮竹の手が京楽の背中に回り、爪を立てる。
「やあああああ!!」
ぐりっと奥まで侵入してきた熱は、しめつけられて京楽は浮竹の胎の奥に子種をびゅるびゅると注ぎ込んでいた。
「やああ、いっちゃう!」
浮竹は、ドライのオーガズムでいっていた。
「もっといっていいよ?」
浮竹のものをしごぎあげると、浮竹は呆気なく白濁した液体を京楽の手の中に放っていた。
「あ、春水、もっとお前をくれ。お前の子種で、俺の胎を満たしてくれ」
ぱちゅんぱちゅんと音をたてて、京楽のものが出入りする。
浮竹は何度目かも分からない精液を吐き出して、それ以上もう出るものがなくなり、先走りの蜜だけをたらたらと零していた。
「あ、ああああ!」
ごりごりと、奥を抉られて、浮竹の視界が真っ白になる。
オーガズムでいくことを覚えた体は、貪欲に京楽を求めた。
「あ、いい、もっと、もっと」
「十四郎・・・・愛してるよ」
「俺も愛している、春水・・・あああああ、もっと奥まで!」
ぐりっと奥を抉られて、浮竹はまたいっていた。
「いやぁ!」
「最後の一滴まで、注いであげるからね?」
「あ、やああ、やあ、あああ」
浮竹は快感でぐずぐずに溶けていく。
京楽も、浮竹の中に全てを放って、満足した。
濡れたタオルをもってきて、体を清めて中に出したものをかき出すと、とろとろと白濁した京楽の液体が浮竹の太ももをつたってきた。
「たくさん出したな」
「うん。だって、十四郎が求めるんだもの」
浮竹は真っ赤になって、クッションを京楽に投げた。
「シーツを変えてくれ。もう、このまま一度寝る」
「うん。分かったよ」
夕飯まではまだ時間があったので、シーツを変えたベッドの上で、浮竹はすぐに眠りに落ちていった。
「ねぇ、十四郎。僕は、このまま君の傍にいてもいいのかな?」
京楽は堕天使だ。堕天使に愛された天使は、やがて堕天使へと落ちる。
「君が望むまで傍にいるけれど、もしも君が堕天しそうになったら・・・・」
京楽は言葉を区切って、夕飯を作りにキッチンに行くのだった。
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「それで、堕天した君は私に何の用かな?」
「力をください!血を、ください!」
ヴァンパイアの京楽に片翼をもがれたその天使だった、堕天使は、男にとり入ろうとしていた。
「私には、関係のない話だ。君程度の雑魚に、期待もしていないし、血をあげるなんてまっぴらだからね」
男は、炎の魔法を放った。
片翼の堕天使は、灰となって世界から消えいった。
「どうして・・・・・」
「どうしてもこうしても、君など始めから必要なかったんだよ」
男は笑う。
「堕天使になるか・・・・・浮竹?大天使長ミカエルの子は、堕天しにくいがこのままいけば、あるいは・・・・・・」
男はワインを開けて、ワイングラスに注ぐと、一気にあおった。
「熟するのを待つのも、また一興」
男は、そう言って静かに笑うのだった。
堕天使と天使9
浮竹と京楽は、ヴァンパイア退治を依頼されて、結局遂行できなくて、違う世界の自分たちと邂逅した。
京楽は原始の王の始祖ヴァンパイアで、浮竹がフェンリルだった。
お互いに会話をして、ガトーショコラを御馳走になった。
さて、それから月日は数日流れた。
浮竹の実は母親は生きている。
人間だった。アンヌ・マリーという名の女性だそうだ。
浮竹は、かつて実の父である大天使長ミカエルから、母親の住所がかかれたメモをもらっていた。いつか会いに行こうと思って、伸ばしに伸ばしてしまった。
「なぁ、京楽」
「なんだい?」
「実の母に会いに行こうと思うんだ。お前も、ついてきてくれるか?」
「え、何それ。君をお嫁さんにくださいって言いにいくってこと?」
「ばか、違う!そもそも俺はお婿さんだ。嫁にくるならお前が来い。じゃなくてだな、純粋に母親に会ってみたい」
浮竹の思いは募り、母親に会いたくなった。
アンヌ・マリーという女性は、隣国であるエスパニア王国にいるらしい。
意外と近いので、浮竹もびっくりしていた。
車に乗り込み、エスパニア王国の首都マイセルを目指して3時間。
エスパニア王国に入った。
肌の色が褐色の人種がおおくて、浮竹と京楽はちょっと毛色の変わった者に見えるかもしれなかった。
住所のメモを頼りに、小さな煉瓦作りのアパートに辿りついた。
「ここか・・・・俺の母の家は」
「会っても、大丈夫?拒否されたりしない?」
「いや、母は俺を愛してくれていた。神に幼い頃にガブリエルのところに連れて行かれるまでは、父と母と過ごしていた」
「そう。後悔しないでね」
「とりあえず、チャイムを鳴らすか」
ピンポーン。
チャイムが鳴ると、やや小柄な褐色の肌の女性が出てきた。
「どちら様ですか?」
「あなたが、アンヌ・マリー?」
「あなた・・・もしかして、十四郎?十四郎なのね!?」
見た目年齢にすると、35歳前後だろうか。
実質の年は50を超えているはずだ。
「アンヌ・マリー。僕の、母さん・・・・・・」
「ああ。またあなたを見れる日がくるなんて。私からの接触は禁じられているの。あがってちょうだい。狭いところだけど」
アパートは、3部屋とキッチンがついており、一人暮らしするにも十分な広さがあった。
「あなたの父のミカエルが、毎月お金をくれるの。私は右足が悪くてね。ろくに働けないのよ」
そういうえば、右足を引きずっていた。
「あなたの父のミカエルに会ったのは、まだ大学生の頃だったわ。一目見て恋に落ちたの。でも、相手は人間だと思っていたわ。思いが通じた時、大天使長ミカエルと聞いて、それでも離れられなかった。愛していたの」
アンヌの遺伝子は、浮竹の中にあるが、色は大天使長ミカエルの方が強く、褐色の肌は遺伝していなかった。
アンヌは、褐色の肌に金の髪、青い瞳の小柄な美しい人だった。
「その・・・母さんと、呼んでも?」
「ええ、十四郎。それで、こちらのお方は?」
アンヌが、京楽を見る。
「京楽春水。俺の伴侶だ」
「きええええええええ!!!京楽春水ですってええええええ!!あの、たらしの京楽春水!十四郎、悪いことは言わないから今すぐ別れなさい!絶対浮気するわ!!」
京楽の名は悪い意味で広がっており、京楽を知っている人物に会うと、皆別れたほうがいいというのだ。
「いや、大丈夫だから、母さん。京楽は浮気しないし、させない。俺のものだ」
「十四郎・・・・京楽春水」
「は、はい」
「この子を裏切ったりしたら、めっためたぎったんぎったんにして、あそこをもぎとってやるからね!」
「ひええええ」
京楽は、股間をおさえて数歩後ずさった。
「まぁ、とりあえずお昼だし、何が食べましょう。そうだわ、あなたの好きだったオムライスを作ってあげる。京楽春水の分も、仕方ないから作ってあげましょう」
そう言って、アンヌは3人分のオムライスを作った。
「懐かしいなぁ。うろ覚えだけど、母さんの作ったオムライスはおいしいの、覚えている」
アンヌの作り立てのオムライスは、おいしかった。
味でいえば京楽のシェフ並みの腕をもつオムライスのほうがおいしいかもしれないが、特別な愛情と懐かしさで、アンヌの作ったオムライスの方が美味しいと感じれた。
「いや、悪いね。僕まで御馳走になっちゃって」
「あなた、本当に十四郎の他には浮気していないのね?浮気したら、あそこをもいで干からびるまで十字架に張り付けよ!」
「怖い、怖いから!」
京楽は、浮竹の背後に隠れた。
「母さん、京楽は俺だけを愛してくれているから、大丈夫だ。浮気なんてしたら、別れるし俺がめったんめったんのぎったぎたにして股間をもぐ」
「あら、十四郎は頼もしいわね」
「この親子・・・・」
京楽は、自分の身を護るためにも、浮竹だけを愛していると、アンヌを言いくるめた。
「じゃあ、俺はこのあたりで帰るよ。また、遊びにきてもいいかな、母さん」
「ええ、いつでもいらっしゃい。京楽春水を連れてきてもいいけれど、浮気しないように契約の首輪でもする?」
契約の首輪とは、相手を縛り付ける魔道具の一種だ。
意に背いた行動をとると、動けなくなるようにできていた。
「いや、俺は京楽を信じているから。過去はとんでもないたらしの色欲魔だったらしいが、今は俺一筋と信じている」
「浮竹・・・・・」
京楽は感動した。
そのまま、車に乗りこんで自宅に帰る。
すると、フェンリルの浮竹が自宅前で座りこんでいた。
「どうしたの。そっちの京楽は?」
『ちょっとこの世界は珍しいものがあるから買い物にいってくるって。ついていきたかったけど、こっちの世界のフェンリルは精霊の一種らしくて、危険な存在として認識されているから、お留守番・・・・・』
「とりあえず、家にあがれ。外で待つのは退屈だったろう」
『ありさん数えてた』
「あ、そう・・・・・」
天使の浮竹は、京楽に行って紅茶と茶菓子にと作っておいたマーブルクッキーをフェンリルの浮竹に出した。
『おいしいな、これ』
「京楽が作ったんだ。そっちの京楽も、料理は上手なんだろう?」
『うん』
『浮竹、待ったかい。すまないね、すっかり世話になっているようで』
扉から入ってきたのは、ヴァンパイアの京楽だった。
戸は施錠していたのに、まるで空気のように室内に入ってきて、体を作り出す。
多分、蝙蝠になるのを応用しているのだろう。何せ原初の王にして始祖ヴァンパイアだ。
『京楽!買い物が済んだのか?』
『うん。この世界の懐中電灯なるものと缶詰と缶切りを買ったよ』
『この世界は、珍しいもので溢れているな。馬車の代わりに、車なるものが走っている』
「まぁ、君たちの世界よりは科学というものが進歩してるからねぇ」
京楽の言葉に、マーブルクッキーを全部食べ終えたフェンリルの浮竹が、ヴァンパイアの京楽の傍に寄り添った。
『じゃあ、僕らは戻るよ』
「ああ、またな」
「またねぇ」
『また、遊びにくる。その時はこちら側もお土産を用意しておくよ』
「さて、今度の依頼はなんだろうな?」
「ヴァンパイア退治はごめんだよ。情がうつる」
依頼内容は、どれも金貨10枚以下のモンスター処理の依頼だった。
そのうち、一番重要度の高そうなものを選び、二人は祓い屋もしくは退治屋としての活動を再開するのであった。
京楽は原始の王の始祖ヴァンパイアで、浮竹がフェンリルだった。
お互いに会話をして、ガトーショコラを御馳走になった。
さて、それから月日は数日流れた。
浮竹の実は母親は生きている。
人間だった。アンヌ・マリーという名の女性だそうだ。
浮竹は、かつて実の父である大天使長ミカエルから、母親の住所がかかれたメモをもらっていた。いつか会いに行こうと思って、伸ばしに伸ばしてしまった。
「なぁ、京楽」
「なんだい?」
「実の母に会いに行こうと思うんだ。お前も、ついてきてくれるか?」
「え、何それ。君をお嫁さんにくださいって言いにいくってこと?」
「ばか、違う!そもそも俺はお婿さんだ。嫁にくるならお前が来い。じゃなくてだな、純粋に母親に会ってみたい」
浮竹の思いは募り、母親に会いたくなった。
アンヌ・マリーという女性は、隣国であるエスパニア王国にいるらしい。
意外と近いので、浮竹もびっくりしていた。
車に乗り込み、エスパニア王国の首都マイセルを目指して3時間。
エスパニア王国に入った。
肌の色が褐色の人種がおおくて、浮竹と京楽はちょっと毛色の変わった者に見えるかもしれなかった。
住所のメモを頼りに、小さな煉瓦作りのアパートに辿りついた。
「ここか・・・・俺の母の家は」
「会っても、大丈夫?拒否されたりしない?」
「いや、母は俺を愛してくれていた。神に幼い頃にガブリエルのところに連れて行かれるまでは、父と母と過ごしていた」
「そう。後悔しないでね」
「とりあえず、チャイムを鳴らすか」
ピンポーン。
チャイムが鳴ると、やや小柄な褐色の肌の女性が出てきた。
「どちら様ですか?」
「あなたが、アンヌ・マリー?」
「あなた・・・もしかして、十四郎?十四郎なのね!?」
見た目年齢にすると、35歳前後だろうか。
実質の年は50を超えているはずだ。
「アンヌ・マリー。僕の、母さん・・・・・・」
「ああ。またあなたを見れる日がくるなんて。私からの接触は禁じられているの。あがってちょうだい。狭いところだけど」
アパートは、3部屋とキッチンがついており、一人暮らしするにも十分な広さがあった。
「あなたの父のミカエルが、毎月お金をくれるの。私は右足が悪くてね。ろくに働けないのよ」
そういうえば、右足を引きずっていた。
「あなたの父のミカエルに会ったのは、まだ大学生の頃だったわ。一目見て恋に落ちたの。でも、相手は人間だと思っていたわ。思いが通じた時、大天使長ミカエルと聞いて、それでも離れられなかった。愛していたの」
アンヌの遺伝子は、浮竹の中にあるが、色は大天使長ミカエルの方が強く、褐色の肌は遺伝していなかった。
アンヌは、褐色の肌に金の髪、青い瞳の小柄な美しい人だった。
「その・・・母さんと、呼んでも?」
「ええ、十四郎。それで、こちらのお方は?」
アンヌが、京楽を見る。
「京楽春水。俺の伴侶だ」
「きええええええええ!!!京楽春水ですってええええええ!!あの、たらしの京楽春水!十四郎、悪いことは言わないから今すぐ別れなさい!絶対浮気するわ!!」
京楽の名は悪い意味で広がっており、京楽を知っている人物に会うと、皆別れたほうがいいというのだ。
「いや、大丈夫だから、母さん。京楽は浮気しないし、させない。俺のものだ」
「十四郎・・・・京楽春水」
「は、はい」
「この子を裏切ったりしたら、めっためたぎったんぎったんにして、あそこをもぎとってやるからね!」
「ひええええ」
京楽は、股間をおさえて数歩後ずさった。
「まぁ、とりあえずお昼だし、何が食べましょう。そうだわ、あなたの好きだったオムライスを作ってあげる。京楽春水の分も、仕方ないから作ってあげましょう」
そう言って、アンヌは3人分のオムライスを作った。
「懐かしいなぁ。うろ覚えだけど、母さんの作ったオムライスはおいしいの、覚えている」
アンヌの作り立てのオムライスは、おいしかった。
味でいえば京楽のシェフ並みの腕をもつオムライスのほうがおいしいかもしれないが、特別な愛情と懐かしさで、アンヌの作ったオムライスの方が美味しいと感じれた。
「いや、悪いね。僕まで御馳走になっちゃって」
「あなた、本当に十四郎の他には浮気していないのね?浮気したら、あそこをもいで干からびるまで十字架に張り付けよ!」
「怖い、怖いから!」
京楽は、浮竹の背後に隠れた。
「母さん、京楽は俺だけを愛してくれているから、大丈夫だ。浮気なんてしたら、別れるし俺がめったんめったんのぎったぎたにして股間をもぐ」
「あら、十四郎は頼もしいわね」
「この親子・・・・」
京楽は、自分の身を護るためにも、浮竹だけを愛していると、アンヌを言いくるめた。
「じゃあ、俺はこのあたりで帰るよ。また、遊びにきてもいいかな、母さん」
「ええ、いつでもいらっしゃい。京楽春水を連れてきてもいいけれど、浮気しないように契約の首輪でもする?」
契約の首輪とは、相手を縛り付ける魔道具の一種だ。
意に背いた行動をとると、動けなくなるようにできていた。
「いや、俺は京楽を信じているから。過去はとんでもないたらしの色欲魔だったらしいが、今は俺一筋と信じている」
「浮竹・・・・・」
京楽は感動した。
そのまま、車に乗りこんで自宅に帰る。
すると、フェンリルの浮竹が自宅前で座りこんでいた。
「どうしたの。そっちの京楽は?」
『ちょっとこの世界は珍しいものがあるから買い物にいってくるって。ついていきたかったけど、こっちの世界のフェンリルは精霊の一種らしくて、危険な存在として認識されているから、お留守番・・・・・』
「とりあえず、家にあがれ。外で待つのは退屈だったろう」
『ありさん数えてた』
「あ、そう・・・・・」
天使の浮竹は、京楽に行って紅茶と茶菓子にと作っておいたマーブルクッキーをフェンリルの浮竹に出した。
『おいしいな、これ』
「京楽が作ったんだ。そっちの京楽も、料理は上手なんだろう?」
『うん』
『浮竹、待ったかい。すまないね、すっかり世話になっているようで』
扉から入ってきたのは、ヴァンパイアの京楽だった。
戸は施錠していたのに、まるで空気のように室内に入ってきて、体を作り出す。
多分、蝙蝠になるのを応用しているのだろう。何せ原初の王にして始祖ヴァンパイアだ。
『京楽!買い物が済んだのか?』
『うん。この世界の懐中電灯なるものと缶詰と缶切りを買ったよ』
『この世界は、珍しいもので溢れているな。馬車の代わりに、車なるものが走っている』
「まぁ、君たちの世界よりは科学というものが進歩してるからねぇ」
京楽の言葉に、マーブルクッキーを全部食べ終えたフェンリルの浮竹が、ヴァンパイアの京楽の傍に寄り添った。
『じゃあ、僕らは戻るよ』
「ああ、またな」
「またねぇ」
『また、遊びにくる。その時はこちら側もお土産を用意しておくよ』
「さて、今度の依頼はなんだろうな?」
「ヴァンパイア退治はごめんだよ。情がうつる」
依頼内容は、どれも金貨10枚以下のモンスター処理の依頼だった。
そのうち、一番重要度の高そうなものを選び、二人は祓い屋もしくは退治屋としての活動を再開するのであった。
堕天使と天使8
今回の依頼は、悪魔退治だった。
悪魔と魔族は似ているようだが違う。悪魔は契約で人の魂を食う。また、誰かに召還されて使役されたりもする。
対価は主に人の魂だが、それは使った本人でなくてもよかった。また、必ずしも人でなくてもいい。
黒魔術の中には悪魔を使役して、対価としてモンスターの魂を払う魔法がある。
人は背徳的な者でもなければ、黒魔術の中の悪魔召還の魔法は使わない。
また、魔族は神族と対になる闇の種族だが、人と同じ知能と高い魔力、生命力をもち、分類的には亜人に入った。
悪魔は完全なモンスターだ。
依頼は、アークデーモン退治だった。
ある貴族の後継ぎが攫われて、アークデーモンに生贄にされたのだという。
救出はもう無理だが、せめて仇をとってくれとのことだった。
アークデーモンを召還した黒魔術師はもう捕まっており、その裏で暗躍していた貴族の次男もすでに逮捕されていた。
「さて、悪魔退治はちょっと面倒だけど、魔王討伐なんかを考えると遥かに楽勝だね」
「お前の思考が理解できない。魔王は魔族の王だろう。何も悪いことはしていない。魔王討伐などありはしない」
浮竹は、車の運転をしていた。
「いやぁ、おとぎ話や昔話では、魔王が悪として出てくる本があるじゃない」
「あれは創作物だ。確かにかつて魔王は世界を我が物にせんとして、人間や神族と争った時代もあったが、もう数千年も昔のことだ」
「あーあ。あの頃は楽しかったのに」
100年足らずしか生きていないと思っていた京楽は、実は創造神の作った12人の使徒と呼ばれる天使の一人だった。
千年を天使として生きて、その性欲の強さと天使とも悪魔とも人間とも寝る問題児だとして、堕天使に落とされた。
堕天使に落とされてから、さらに数千年が経った。
関係をもった相手の数は、数えきれない。
今は浮竹一筋だか、過去が過去だけに、浮竹は京楽の愛を信じてはいるが、心の何処かで疑問を抱えていた。
「とにかくついたぞ」
貴族の屋敷の駐車場に車を止めると、浮竹と京楽は車を降りた。
当主と謁見する。
「ああ、祓い屋の人か。どうか頼む、長男の仇を討ってほしい」
「アークデーモンを操っていた黒魔術師と次男はもう捕まったのでは?」
「そうなんだが、実際に手をくだしたアークデーモンが、まだこの世界で我が物顔でうろついている。許せない。報酬は金貨5000枚。やってくれるか」
「謹んでお受けいたします」
京楽の身の切り替わりの速さに、浮竹が驚いた。
貴族だけあって、金はあるようだった。
いつもの金貨30枚だとかそんな依頼の100倍はする報酬に、浮竹もまたいい収入になりそうだと、心の中で喜んだ。
「それで、そのアークデーモンはどのあたりに?」
「この町の外れにある、魔窟で儀式をしている。長男を生贄にした後、更に上位のグレーターデーモンを召還したようだ」
「グレーターデーモン!Sクラスだね」
「そうだ。だから、君たちにお願いした。Sクラスなみの腕をもつと、冒険者ギルドのギルドマスターから紹介されて。今冒険者ギルドでは、Sランク冒険者はダンジョン攻略にあたっていて、Aランクの冒険者はいるが、君たちの方が確実だと言われた」
「じゃあ、その魔窟に向かうので、地図をもらえないかな」
「分かった。用意しよう」
浮竹と京楽は、地図を手に車で魔窟の近くまで移動して、徒歩で魔窟の中に入っていく。
「きゃはははは」
「くふふふ」
中は、インキュバスやサキュバスもいる、悪魔の巣窟になっていた。
浮竹が天使のセラフであることに恐れを抱き、すぐに逃げ出していく。逃げる間際に仲間ともいえる堕天使の京楽に、一緒にこないかと囁きかけるが、そんな輩は浮竹が魔法で退治してしまった。
「この奥にアークデーモンとグレーターデーモンがいる。用意はいいか、京楽」
「任せて」
「サンシャイン!」
まずは、奥に続く扉を開けると、疑似太陽を作り出してデーモンたちの目を焼いた。
視界が真っ白になって、目が見えなくなっている間に、浮竹と京楽は禁忌の魔法を使う。
「エターナルフェニックス!」
「ヘルコキュートス!」
氷と炎の魔法を放つ。
アークデーモンは倒れていったが、グレーターデーモンは生きていた。
「この程度の光と魔法で死ぬと思ったか」
「死ぬんだよ、君は、これから僕らの魔法で」
「ふん、天使と堕天使如きが・・・・・」
浮竹は、6枚の翼を広げた。
「フェザースラッシュ」
「く、ちょこまかと、こざかしい!」
グレーターデーモンの手が、浮竹の首にかかる。
「セラフか。食せば我の力はもっとます。魔王になれるかもしれない」
「僕を忘れないでよね。セイントホーリーノヴァ!」
「ぐぎゃああああああ!聖属性の禁忌だと!堕天使が何故使える!」
浮竹は、グレーターデーモンが魔法でやられている間に、手をしりぞけて、魔法陣を描いた。
「きたれ、大天使長ミカエル!」
自分の父を呼んだ。
グレーターデーモンが出た場合、セラフの直轄になる。
「元気にしていたか、我が息子よ」
「はい」
「グレーターデーモンか。消え去れ」
「うぎゃあああああああ!!」
グレーターデーモンは、世界で一番強い天使とされる大天使長ミカエルの手で、無に返された。
「堕天使の京楽とは、うまくいっているのか?」
「多分」
「堕天使京楽」
「は、はい」
名を呼ばれて、京楽はびくりとなった。まさか、浮竹が大天使長ミカエルを呼び出すとは思っていなかったのだ。
普通のセラフでも呼び出せない。だが、浮竹はミカエルと人間との間のハーフだ。ミカエルの血を引いていることで、ミカエルを呼び出すことができた。
洞窟の中だし、禁忌ばかり放っていては、崩れる可能性もあるので、手っ取り早く父親に退治してもらったことになる。
「私の息子を悲しませたら、容赦しないからな」
「はいーーー」
京楽は、ぺこりとお辞儀して、ミカエルが天界に帰っていくのを見ていた。
「京楽、戻るぞ」
「ちょっと浮竹、いきなり大天使長ミカエルを呼ばないでよ。寿命が縮まったよ」
「お前は何千年と生きているのだろう?少しくらい縮んでも平気だろう」
「酷い!」
泣き真似をする京楽を放置して、アークデーモンとグレーターデーモンの魔石を手に、貴族の館に報告に行った。
「約束の金貨5000枚だ。その魔石は、こちらで預かろう。砕いて、魔法水をつくり、息子の墓に注いで、少しでも冥福を祈りたい」
「ああ、分かった」
魔石の冒険者ギルドでの買取り額は金貨500枚はいくだろうが、報酬が金貨5000枚のため、魔石は貴族に譲った。
「ああ。せめて安らかに・・・・・・」
貴族の当主は、魔石を手に、泣いていた。
報酬の金貨5000枚をアイテムポケットにいれて、浮竹はこう言った。
「セラフの力でよいなら、祈りを捧げよう」
「本当か!是非に頼む!金貨500枚を払う!」
セラフの祈りは、死者を天国に運んでくれるとされていた。
セラフが人前に現れることが滅多にないのだが、たまに召還に応じてくれたセラフが、死者に祈りを捧げて、その魂を天国まで導く。
浮竹は貴族の長男の墓に、セラフの祈りをささげると、ぱぁあと虹がでて、死者の魂が浮かび上がる。
「父様。先に逝くことをお許しください。天国にいきます」
「ああ、息子よ・・・・どうか、安らかに」
親子は、一時的な対面を果たしたが、死者の魂が地上にとどまっていられる時間は少なく、浮竹の祈りに合わせて、魂は天に昇っていた。
「ありがとうございます。追加報酬の金貨500枚です」
その報酬もアイテムポケットに入れて、浮竹と京楽は車で自宅に帰った。
次の依頼が届いていた。
ヴァンパイア退治だった。浮竹と京楽は、そのヴァンパイアを退治しようとして、不思議な出会いをするのであった。
悪魔と魔族は似ているようだが違う。悪魔は契約で人の魂を食う。また、誰かに召還されて使役されたりもする。
対価は主に人の魂だが、それは使った本人でなくてもよかった。また、必ずしも人でなくてもいい。
黒魔術の中には悪魔を使役して、対価としてモンスターの魂を払う魔法がある。
人は背徳的な者でもなければ、黒魔術の中の悪魔召還の魔法は使わない。
また、魔族は神族と対になる闇の種族だが、人と同じ知能と高い魔力、生命力をもち、分類的には亜人に入った。
悪魔は完全なモンスターだ。
依頼は、アークデーモン退治だった。
ある貴族の後継ぎが攫われて、アークデーモンに生贄にされたのだという。
救出はもう無理だが、せめて仇をとってくれとのことだった。
アークデーモンを召還した黒魔術師はもう捕まっており、その裏で暗躍していた貴族の次男もすでに逮捕されていた。
「さて、悪魔退治はちょっと面倒だけど、魔王討伐なんかを考えると遥かに楽勝だね」
「お前の思考が理解できない。魔王は魔族の王だろう。何も悪いことはしていない。魔王討伐などありはしない」
浮竹は、車の運転をしていた。
「いやぁ、おとぎ話や昔話では、魔王が悪として出てくる本があるじゃない」
「あれは創作物だ。確かにかつて魔王は世界を我が物にせんとして、人間や神族と争った時代もあったが、もう数千年も昔のことだ」
「あーあ。あの頃は楽しかったのに」
100年足らずしか生きていないと思っていた京楽は、実は創造神の作った12人の使徒と呼ばれる天使の一人だった。
千年を天使として生きて、その性欲の強さと天使とも悪魔とも人間とも寝る問題児だとして、堕天使に落とされた。
堕天使に落とされてから、さらに数千年が経った。
関係をもった相手の数は、数えきれない。
今は浮竹一筋だか、過去が過去だけに、浮竹は京楽の愛を信じてはいるが、心の何処かで疑問を抱えていた。
「とにかくついたぞ」
貴族の屋敷の駐車場に車を止めると、浮竹と京楽は車を降りた。
当主と謁見する。
「ああ、祓い屋の人か。どうか頼む、長男の仇を討ってほしい」
「アークデーモンを操っていた黒魔術師と次男はもう捕まったのでは?」
「そうなんだが、実際に手をくだしたアークデーモンが、まだこの世界で我が物顔でうろついている。許せない。報酬は金貨5000枚。やってくれるか」
「謹んでお受けいたします」
京楽の身の切り替わりの速さに、浮竹が驚いた。
貴族だけあって、金はあるようだった。
いつもの金貨30枚だとかそんな依頼の100倍はする報酬に、浮竹もまたいい収入になりそうだと、心の中で喜んだ。
「それで、そのアークデーモンはどのあたりに?」
「この町の外れにある、魔窟で儀式をしている。長男を生贄にした後、更に上位のグレーターデーモンを召還したようだ」
「グレーターデーモン!Sクラスだね」
「そうだ。だから、君たちにお願いした。Sクラスなみの腕をもつと、冒険者ギルドのギルドマスターから紹介されて。今冒険者ギルドでは、Sランク冒険者はダンジョン攻略にあたっていて、Aランクの冒険者はいるが、君たちの方が確実だと言われた」
「じゃあ、その魔窟に向かうので、地図をもらえないかな」
「分かった。用意しよう」
浮竹と京楽は、地図を手に車で魔窟の近くまで移動して、徒歩で魔窟の中に入っていく。
「きゃはははは」
「くふふふ」
中は、インキュバスやサキュバスもいる、悪魔の巣窟になっていた。
浮竹が天使のセラフであることに恐れを抱き、すぐに逃げ出していく。逃げる間際に仲間ともいえる堕天使の京楽に、一緒にこないかと囁きかけるが、そんな輩は浮竹が魔法で退治してしまった。
「この奥にアークデーモンとグレーターデーモンがいる。用意はいいか、京楽」
「任せて」
「サンシャイン!」
まずは、奥に続く扉を開けると、疑似太陽を作り出してデーモンたちの目を焼いた。
視界が真っ白になって、目が見えなくなっている間に、浮竹と京楽は禁忌の魔法を使う。
「エターナルフェニックス!」
「ヘルコキュートス!」
氷と炎の魔法を放つ。
アークデーモンは倒れていったが、グレーターデーモンは生きていた。
「この程度の光と魔法で死ぬと思ったか」
「死ぬんだよ、君は、これから僕らの魔法で」
「ふん、天使と堕天使如きが・・・・・」
浮竹は、6枚の翼を広げた。
「フェザースラッシュ」
「く、ちょこまかと、こざかしい!」
グレーターデーモンの手が、浮竹の首にかかる。
「セラフか。食せば我の力はもっとます。魔王になれるかもしれない」
「僕を忘れないでよね。セイントホーリーノヴァ!」
「ぐぎゃああああああ!聖属性の禁忌だと!堕天使が何故使える!」
浮竹は、グレーターデーモンが魔法でやられている間に、手をしりぞけて、魔法陣を描いた。
「きたれ、大天使長ミカエル!」
自分の父を呼んだ。
グレーターデーモンが出た場合、セラフの直轄になる。
「元気にしていたか、我が息子よ」
「はい」
「グレーターデーモンか。消え去れ」
「うぎゃあああああああ!!」
グレーターデーモンは、世界で一番強い天使とされる大天使長ミカエルの手で、無に返された。
「堕天使の京楽とは、うまくいっているのか?」
「多分」
「堕天使京楽」
「は、はい」
名を呼ばれて、京楽はびくりとなった。まさか、浮竹が大天使長ミカエルを呼び出すとは思っていなかったのだ。
普通のセラフでも呼び出せない。だが、浮竹はミカエルと人間との間のハーフだ。ミカエルの血を引いていることで、ミカエルを呼び出すことができた。
洞窟の中だし、禁忌ばかり放っていては、崩れる可能性もあるので、手っ取り早く父親に退治してもらったことになる。
「私の息子を悲しませたら、容赦しないからな」
「はいーーー」
京楽は、ぺこりとお辞儀して、ミカエルが天界に帰っていくのを見ていた。
「京楽、戻るぞ」
「ちょっと浮竹、いきなり大天使長ミカエルを呼ばないでよ。寿命が縮まったよ」
「お前は何千年と生きているのだろう?少しくらい縮んでも平気だろう」
「酷い!」
泣き真似をする京楽を放置して、アークデーモンとグレーターデーモンの魔石を手に、貴族の館に報告に行った。
「約束の金貨5000枚だ。その魔石は、こちらで預かろう。砕いて、魔法水をつくり、息子の墓に注いで、少しでも冥福を祈りたい」
「ああ、分かった」
魔石の冒険者ギルドでの買取り額は金貨500枚はいくだろうが、報酬が金貨5000枚のため、魔石は貴族に譲った。
「ああ。せめて安らかに・・・・・・」
貴族の当主は、魔石を手に、泣いていた。
報酬の金貨5000枚をアイテムポケットにいれて、浮竹はこう言った。
「セラフの力でよいなら、祈りを捧げよう」
「本当か!是非に頼む!金貨500枚を払う!」
セラフの祈りは、死者を天国に運んでくれるとされていた。
セラフが人前に現れることが滅多にないのだが、たまに召還に応じてくれたセラフが、死者に祈りを捧げて、その魂を天国まで導く。
浮竹は貴族の長男の墓に、セラフの祈りをささげると、ぱぁあと虹がでて、死者の魂が浮かび上がる。
「父様。先に逝くことをお許しください。天国にいきます」
「ああ、息子よ・・・・どうか、安らかに」
親子は、一時的な対面を果たしたが、死者の魂が地上にとどまっていられる時間は少なく、浮竹の祈りに合わせて、魂は天に昇っていた。
「ありがとうございます。追加報酬の金貨500枚です」
その報酬もアイテムポケットに入れて、浮竹と京楽は車で自宅に帰った。
次の依頼が届いていた。
ヴァンパイア退治だった。浮竹と京楽は、そのヴァンパイアを退治しようとして、不思議な出会いをするのであった。
はい堕天使と天使7
「ふ~ん。向こうの世界では、僕はヴァンパイアの原始の王なのか」
京楽のぽそっとした呟きに、浮竹が首を傾げる。
「何の話だ?」
「いやね、僕たちを生み出した創造神様が作った別の世界にいる僕らのこと」
「?よく分からない」
「まぁ、あっちの世界が君は神に近いフェンリルで・・・・・・まぁ、セラフの天使のほうが神に近いけどね」
京楽は自己完結させて、浮竹はただ首を傾げるだけだった。
「さて、今日も低い料金の依頼がきてるねー。わお、これなんてすごい。銀貨30枚で、畑にでるブラックボアを退治してくれだって。わー、これ最低金額の更新じゃないかな」
「いいな、それ。最低金額でいってみよう」
浮竹が興味をもったみたいで、銀貨30枚たらずでCランクモンスターのブラックボアを退治することになった。
現地は寂れた村で、車で7時間もかかった。
ガソリン代だけですでに銀貨40枚をこえていた。
完全に赤字だ。
そんなこと、浮竹も京楽も関係ないようだった。
浮竹は翻訳家の仕事を抱えているし、京楽は京楽で金になる職につてがある。
神様に言われたから祓い屋稼業をしているので、金額にはあまりこだわらなかったが、命をかけるような仕事の場合、流石に報酬は少し高めにもらうことにしていた。
「ついたぞ、京楽」
浮竹は、車を駐車場に停止させた。
畑と田んぼが広がる、のどかな村だった。
「村長はいるかなぁ?」
京楽が車から降りて、まずは村の入り口あたりを見た。
何人か、見張りの村人がいた。
ブラックボアを退治しとうとしてできなくて、でも冒険者ギルドに依頼するような金もなく、仕方なく浮竹と京楽のところに依頼を出したが、銀貨30枚で引き受けてくれるはずもなく、若い村人で自衛に当たっていた。
「僕たち、祓い屋なの。村長はいるかな?ブラックボア討伐の件で・・・・・」
「奇跡だ!銀貨30枚で引き受けてくれるんですか!」
「ああ、うん、まあね」
「とりあえず、村長のところに案内してくれないだろうか」
浮竹が改めて言葉にすると、村人の青年は急いで村長の家に二人を招き入れた。
「私が村長をしております、上村と申します」
「ああ、名前とかそういうのどうでもいいから」
「はぁ」
「ブラックボアが出る畑はこの近く?」
「はい。1匹でなしに群れでくるので、村人の力では倒し切れずに追い返すのが精いっぱいで。
かといって冒険者ギルドに依頼するような金もなく・・・・出せるのは銀貨30枚と野菜か米ですかな」
野菜や米と聞いて、これは赤字でなくなるかもと、浮竹も京楽も思った。
「俺たちがやっつける。ブラックボアが出るのは昼か、夜か?」
「昼にもたまに出没しますが、主には夜ですな」
「じゃあ、この村長の家で夜まで過ごしても構わないかな」
「ええ、ええ、退治してくれるでしたら好きなだけいてください」
村長の話で、最近襲われている畑をつき止めて、夜を待った。
「ぶるるるるう!!!」
「ぶるーーーー!!」
天使族は、闇でも目が見える。
灯りもないままに、ブラックボアが10匹出没しているのを魔力探知で探し出して、駆けだした。
ブラックボアのランクはC。
Sクラスともわたりあえる浮竹と京楽には、少しものたりないが、素材として肉が少し高めで売れるため、銀貨30枚でも大丈夫だった。
「エアリアルエッジ!」
「ウォータースラッシャー!!」
「ぶひいいいいいい!!」
「ぶひいい!!」
ブラックボアの肉を焼くのは素材としてだめなので、風と水の魔法で殺した。
ブラックボア10頭を、アイテムポケットにいれる。
「こんだけいれば、しばらくブラックボアの肉食べれるね。解体してもらって、3食分くらい残してもらおう」
「そうだな。毎度ブラックボアの肉だと飽きるからな。うまいんだけど」
村長のところに、退治が終わったと報告すると、村長は涙を流して浮竹と京楽を拝みだした。
「いや、もういいから。報酬をもらいにきた」
「なんとか、村でかき集めました。銀貨30枚の他に、銀貨7枚と鉄貸8枚です。何分自給自足で回っている村なので、あとは野菜と米を・・・・・」
「ありがたい。もらっていく」
車の後ろ座席には、たくさんの野菜と米俵を乗せた。
アイテムポケットに収納するにも、アイテムポケットはかなりの高級品である。村人たちの目の前であまり見せないほうがいいだろうという、京楽の判断だった。
浮竹も荷物を持ったが、京楽が米俵なんかをもち、荷車を借りて、車まで運んだ。
そのまま、帰宅する。
一度風呂にはいって、夕飯を食べてから、寝て次の日になってから冒険者ギルドにやってきた。
「あら、いらっしゃい」
ギルドマスターが出迎えてくれた。
ギルドマスターはハイエルフの青年で、穏やかだがドラゴンマニアというなんともいえない人物だった。
「ブラックボアの解体と買取りを頼む。こっちがブラックボアの魔石だ」
浮竹が魔石を提出すると、受付嬢がにこやかに査定してくれた。
「金貨4枚になります」
「うん、ありがとね」
京楽は、受付嬢の手を握りしめて、受付嬢は顔を赤くしていた。
「京楽、浮気は殺すぞ?」
「はっ、違うよ違うよ!だから殺さないで!君なら本気でやりかねない」
「ブラックボアか。最近魔物が活発化しているな。なぜか分からんが、今まで魔物が出たことのない村や町、それに都市にまで魔物が出現するようになった」
ギルドマスターが、溜息を零した。
「ダンジョン資源は必須だし、普通の討伐を引き受けてくれる手合いが少なくてね。できれば、君たちには冒険者ギルドのギルドメンバーになってほしいんだが。Sクラス並みの腕があるあろうし。天使と堕天使だ、神の力も期待できる」
「ああ、僕らは冒険者にはならないよ。その柿様から祓い屋やれっていわれてるし」
「ううむ、残念だ」
「じゃあ、俺は解体工房にいってくる」
浮竹は解体工房でブラックボアを10体アイテムポケットから出した。
「あんたのアイテムポケットは時間が流れないのか。貴重なタイプだな。鮮度もいいし、金貨6枚で買うよ」
「ああ、2人分で3食分肉を残しておいてくれ」
「あいよ」
切り分けてもらったブラックボアの肉をアイテムポケットに入れて、浮竹は京楽と合流した。
「今日は、ボアだしボタン鍋にしよう」
「いいな、それ」
ブラックボアはカテゴライズするなら、猪のモンスターだった。
食用になり、そこそこおいしいが、狂暴なためにCランクに指定されていた。
Sランクの仕事依頼もこなしそうな二人には、楽勝な相手だった。
「報酬のお金はへぼかったが、野菜や米は嬉しいな。後魔石と素材はそこそこの値段になったし。黒字で終わりでよかったな」
「そりゃ、赤字で終わりたくないからね。まぁ、僕はちょっとお金もちのマダムに貢がせてそれなりの財産あるから、お金の心配はないんだけど」
「それ、褒められたことじゃないぞ。俺はちゃんと仕事でお金を貯蓄している」
浮竹と京楽が住んでいるのは、一軒家だった。
浮竹が、就職してその給料のよさから、思い切って買った一戸建ての新築の家だった。
ローンは30年くんでいたが、いつの間にか京楽の金でローンは返済し終わっていた。
「ぼたん鍋にはビールだ。買いにいってくる」
「じゃあ、僕は調理しとくね」
浮竹は、近所のコンビニでビールの缶を4つ買った。
「京楽のやつ、よく飲むけど今日は2本で我慢してもらおう」
京楽はうわばみというやつで、飲んでも飲んでも酔わない。酒好きで、よくワインやら焼酎、日本酒、ビールなどを飲んだ。
帰る途中で、酒屋により、京楽の好きなワインを1本買った。
「たまには、いいかな」
いつもはあまり飲ませてないので、たまには豪快に飲ませてやってもいいだろうと思った。
実は、京楽は浮竹に隠れて、仕事をすると言って姿を消しては、飲み屋で飲んでいたりしていたのだが。それを浮竹は知ることはなかった。
「そこのあなた・・・・・」
「俺のことか?」
「そう、あなたです」
商店街の隅にいた占い師が、声をかけてきた。
「他の堕天使との出会いに、注意してください」
「え?」
そう言って、占い師はスーッと消えていった。
「わ!」
浮竹は驚いた。
霊的なものを見るのは、初めてだったのだ。
「なんだったんだ・・・・・・」
---------------------------------------------------------------------------------------------------
「そうか。これがミカエルの子か。その力を取り入れれば、私は大天使長ミカエルもこえるだろう」
億のするマンションの最上階で、その人物は水鏡で浮竹を見ていた。
サキュバスに、あのお方と呼ばれた存在だった。
堕天使だった。
茶色の髪に瞳をした、柔和そうでどこか鋭そうな青年だった。
「見ていろ、神め。私を堕天使に落としたこと、後悔させてやる。ははははは」
青年の笑い声は、いつまでも木霊するのだった。
京楽のぽそっとした呟きに、浮竹が首を傾げる。
「何の話だ?」
「いやね、僕たちを生み出した創造神様が作った別の世界にいる僕らのこと」
「?よく分からない」
「まぁ、あっちの世界が君は神に近いフェンリルで・・・・・・まぁ、セラフの天使のほうが神に近いけどね」
京楽は自己完結させて、浮竹はただ首を傾げるだけだった。
「さて、今日も低い料金の依頼がきてるねー。わお、これなんてすごい。銀貨30枚で、畑にでるブラックボアを退治してくれだって。わー、これ最低金額の更新じゃないかな」
「いいな、それ。最低金額でいってみよう」
浮竹が興味をもったみたいで、銀貨30枚たらずでCランクモンスターのブラックボアを退治することになった。
現地は寂れた村で、車で7時間もかかった。
ガソリン代だけですでに銀貨40枚をこえていた。
完全に赤字だ。
そんなこと、浮竹も京楽も関係ないようだった。
浮竹は翻訳家の仕事を抱えているし、京楽は京楽で金になる職につてがある。
神様に言われたから祓い屋稼業をしているので、金額にはあまりこだわらなかったが、命をかけるような仕事の場合、流石に報酬は少し高めにもらうことにしていた。
「ついたぞ、京楽」
浮竹は、車を駐車場に停止させた。
畑と田んぼが広がる、のどかな村だった。
「村長はいるかなぁ?」
京楽が車から降りて、まずは村の入り口あたりを見た。
何人か、見張りの村人がいた。
ブラックボアを退治しとうとしてできなくて、でも冒険者ギルドに依頼するような金もなく、仕方なく浮竹と京楽のところに依頼を出したが、銀貨30枚で引き受けてくれるはずもなく、若い村人で自衛に当たっていた。
「僕たち、祓い屋なの。村長はいるかな?ブラックボア討伐の件で・・・・・」
「奇跡だ!銀貨30枚で引き受けてくれるんですか!」
「ああ、うん、まあね」
「とりあえず、村長のところに案内してくれないだろうか」
浮竹が改めて言葉にすると、村人の青年は急いで村長の家に二人を招き入れた。
「私が村長をしております、上村と申します」
「ああ、名前とかそういうのどうでもいいから」
「はぁ」
「ブラックボアが出る畑はこの近く?」
「はい。1匹でなしに群れでくるので、村人の力では倒し切れずに追い返すのが精いっぱいで。
かといって冒険者ギルドに依頼するような金もなく・・・・出せるのは銀貨30枚と野菜か米ですかな」
野菜や米と聞いて、これは赤字でなくなるかもと、浮竹も京楽も思った。
「俺たちがやっつける。ブラックボアが出るのは昼か、夜か?」
「昼にもたまに出没しますが、主には夜ですな」
「じゃあ、この村長の家で夜まで過ごしても構わないかな」
「ええ、ええ、退治してくれるでしたら好きなだけいてください」
村長の話で、最近襲われている畑をつき止めて、夜を待った。
「ぶるるるるう!!!」
「ぶるーーーー!!」
天使族は、闇でも目が見える。
灯りもないままに、ブラックボアが10匹出没しているのを魔力探知で探し出して、駆けだした。
ブラックボアのランクはC。
Sクラスともわたりあえる浮竹と京楽には、少しものたりないが、素材として肉が少し高めで売れるため、銀貨30枚でも大丈夫だった。
「エアリアルエッジ!」
「ウォータースラッシャー!!」
「ぶひいいいいいい!!」
「ぶひいい!!」
ブラックボアの肉を焼くのは素材としてだめなので、風と水の魔法で殺した。
ブラックボア10頭を、アイテムポケットにいれる。
「こんだけいれば、しばらくブラックボアの肉食べれるね。解体してもらって、3食分くらい残してもらおう」
「そうだな。毎度ブラックボアの肉だと飽きるからな。うまいんだけど」
村長のところに、退治が終わったと報告すると、村長は涙を流して浮竹と京楽を拝みだした。
「いや、もういいから。報酬をもらいにきた」
「なんとか、村でかき集めました。銀貨30枚の他に、銀貨7枚と鉄貸8枚です。何分自給自足で回っている村なので、あとは野菜と米を・・・・・」
「ありがたい。もらっていく」
車の後ろ座席には、たくさんの野菜と米俵を乗せた。
アイテムポケットに収納するにも、アイテムポケットはかなりの高級品である。村人たちの目の前であまり見せないほうがいいだろうという、京楽の判断だった。
浮竹も荷物を持ったが、京楽が米俵なんかをもち、荷車を借りて、車まで運んだ。
そのまま、帰宅する。
一度風呂にはいって、夕飯を食べてから、寝て次の日になってから冒険者ギルドにやってきた。
「あら、いらっしゃい」
ギルドマスターが出迎えてくれた。
ギルドマスターはハイエルフの青年で、穏やかだがドラゴンマニアというなんともいえない人物だった。
「ブラックボアの解体と買取りを頼む。こっちがブラックボアの魔石だ」
浮竹が魔石を提出すると、受付嬢がにこやかに査定してくれた。
「金貨4枚になります」
「うん、ありがとね」
京楽は、受付嬢の手を握りしめて、受付嬢は顔を赤くしていた。
「京楽、浮気は殺すぞ?」
「はっ、違うよ違うよ!だから殺さないで!君なら本気でやりかねない」
「ブラックボアか。最近魔物が活発化しているな。なぜか分からんが、今まで魔物が出たことのない村や町、それに都市にまで魔物が出現するようになった」
ギルドマスターが、溜息を零した。
「ダンジョン資源は必須だし、普通の討伐を引き受けてくれる手合いが少なくてね。できれば、君たちには冒険者ギルドのギルドメンバーになってほしいんだが。Sクラス並みの腕があるあろうし。天使と堕天使だ、神の力も期待できる」
「ああ、僕らは冒険者にはならないよ。その柿様から祓い屋やれっていわれてるし」
「ううむ、残念だ」
「じゃあ、俺は解体工房にいってくる」
浮竹は解体工房でブラックボアを10体アイテムポケットから出した。
「あんたのアイテムポケットは時間が流れないのか。貴重なタイプだな。鮮度もいいし、金貨6枚で買うよ」
「ああ、2人分で3食分肉を残しておいてくれ」
「あいよ」
切り分けてもらったブラックボアの肉をアイテムポケットに入れて、浮竹は京楽と合流した。
「今日は、ボアだしボタン鍋にしよう」
「いいな、それ」
ブラックボアはカテゴライズするなら、猪のモンスターだった。
食用になり、そこそこおいしいが、狂暴なためにCランクに指定されていた。
Sランクの仕事依頼もこなしそうな二人には、楽勝な相手だった。
「報酬のお金はへぼかったが、野菜や米は嬉しいな。後魔石と素材はそこそこの値段になったし。黒字で終わりでよかったな」
「そりゃ、赤字で終わりたくないからね。まぁ、僕はちょっとお金もちのマダムに貢がせてそれなりの財産あるから、お金の心配はないんだけど」
「それ、褒められたことじゃないぞ。俺はちゃんと仕事でお金を貯蓄している」
浮竹と京楽が住んでいるのは、一軒家だった。
浮竹が、就職してその給料のよさから、思い切って買った一戸建ての新築の家だった。
ローンは30年くんでいたが、いつの間にか京楽の金でローンは返済し終わっていた。
「ぼたん鍋にはビールだ。買いにいってくる」
「じゃあ、僕は調理しとくね」
浮竹は、近所のコンビニでビールの缶を4つ買った。
「京楽のやつ、よく飲むけど今日は2本で我慢してもらおう」
京楽はうわばみというやつで、飲んでも飲んでも酔わない。酒好きで、よくワインやら焼酎、日本酒、ビールなどを飲んだ。
帰る途中で、酒屋により、京楽の好きなワインを1本買った。
「たまには、いいかな」
いつもはあまり飲ませてないので、たまには豪快に飲ませてやってもいいだろうと思った。
実は、京楽は浮竹に隠れて、仕事をすると言って姿を消しては、飲み屋で飲んでいたりしていたのだが。それを浮竹は知ることはなかった。
「そこのあなた・・・・・」
「俺のことか?」
「そう、あなたです」
商店街の隅にいた占い師が、声をかけてきた。
「他の堕天使との出会いに、注意してください」
「え?」
そう言って、占い師はスーッと消えていった。
「わ!」
浮竹は驚いた。
霊的なものを見るのは、初めてだったのだ。
「なんだったんだ・・・・・・」
---------------------------------------------------------------------------------------------------
「そうか。これがミカエルの子か。その力を取り入れれば、私は大天使長ミカエルもこえるだろう」
億のするマンションの最上階で、その人物は水鏡で浮竹を見ていた。
サキュバスに、あのお方と呼ばれた存在だった。
堕天使だった。
茶色の髪に瞳をした、柔和そうでどこか鋭そうな青年だった。
「見ていろ、神め。私を堕天使に落としたこと、後悔させてやる。ははははは」
青年の笑い声は、いつまでも木霊するのだった。
浮竹の生きている世界線
「さよなら・・・浮竹」
京楽は、愛する者の死に涙を零して、浮竹の死体が荼毘に付されていくのを見ていた。
棺の中の浮竹は、白百合の花に囲まれて、今すぐに起きてきそうなほど綺麗で、体に損傷もなかった。
遠く、火葬場で煙が上がっていくのを見る。
「僕はだめだね。君がいなくなっただけで、世界が色あせて見える。総隊長なんだ、しっかりしなくちゃね」
浮竹の墓は、雨乾堂の跡地に作られた。
立派な墓標だった。
浮竹が死んで、10年が経った。
「さて、明日もがんばりますか」
浮竹の墓標に酒を注いで、久しぶりの非番だったので、墓参りにきていたのだ。
京楽は、浮竹の墓を愛しそうに撫でて、そして空を見上げた。
浮竹の遺体を焼いた日のように、空は雲一つなく蒼かった。
「とりあえず、また来るよ。またね、浮竹」
京楽は、多忙で寝不足気味だったので、非番の日であるが、寝る事にした。
夢の中で、浮竹が出てきた。
17歳くらいの、院生時代の1回生くらいの容姿の浮竹だった。
院生時代の懐かしい夢を見ていた。
「俺は、お前を一人にはしない。必ず、会いにいくから」
「僕は、でも君に残される。君は一人でいってしまう」
「そんなことはない。俺は、いつもお前の傍にいる。見えないだけで」
「見えるようにしてよ。じゃなきゃ、泣くよ?」
「お前に泣かれるのは困るな。分かった、見えるようにしてもらおう」
誰に?とは聞かなかった。
懐かしい夢を見ていた。
ふと気づくと、5時間も眠ってしまっていたらしい。日は傾いて夕日になりかけていた。
「ん・・・・暖かい?」
肌寒い季節になっていた。
布団だけで寝ていたが、寒かった。自分が寝ていた隣に、暖かな温もりがあって、京楽は不思議に思い、布団をめくった。
「えええええええええええ」
院生時代の17歳くらいの浮竹が、寝ていたのだ。
「ん・・・うるさい」
「うるさいじゃないよ君!浮竹なの!?」
「はぁ?俺以外に誰がいるんだ・・・・って、なんで俺ここにいるんだ。生きてる。死んだのに」
「ええええええええ。そうだ、これは夢だ。もう一回寝よう」
「寝るなあああああああああ!!!」
「もぎゃああああああ!!」
浮竹に布団をはぎとられて、股間を蹴り上げられて京楽は悶えた。
「どうなってるんだこれは!地獄にいたはずなのに、何故尸魂界にいる!まさか、生き返った・・・・?でも、なんで院生時代の姿なんだ。おまけに服も院生時代のままだ」
「いやあ、すごい夢だなぁ」
京楽は、頭を壁にゴンゴン打ち付けていた。
「痛い。夢じゃない・・・・浮竹えええええ!!」
「ぎゃああああああああ!!!いきなり盛るなあああ!!」
「だって、君を失って10年だよ!10年間もずっと、君を想い続けてた。生きてる君が傍にいてくれるなんて、奇跡だ」
浮竹は驚く。
「俺が死んで10年後の世界・・・・・なんで俺は、しかも院生姿で蘇った?」
謎だらけだ。
でも、考えれば考えるだけ無駄なので、思考を放棄した。
「なんだかよく分からいけど、ただいま、京楽」
「浮竹ぇええええ」
京楽は鼻水を垂らしながら泣きだした。
「ほら、ティッシュで鼻をかめ」
「うん・・・・・」
「今の13番隊はどうなっている?」
「ルキアちゃんが隊長になったよ。あと阿散井君と結婚して、子供ができた」
「隊長は朽木か。俺の思っていた通りになったな。しかも恋次君と結婚して子供ができたなんて、なんていうのか俺が死んでる間にいろいろなことが起こってるな」
浮竹は、感慨深く頷いた。
「そうだよ、なんで死んじゃったの。神掛けをしなきゃ世界が滅ぶって分かっていたど、僕には君の喪失が耐え難かった」
「今、ここにいるじゃないか」
「そうだけど、君がいないこの10年、僕の世界は色あせていて、ずっと、ずっと、君を想っていた・・・・・・・」
抱きしめられた。
まだ少年の幼さを残した姿の浮竹は、背もあまり高くなく、髪も短いが、衣服を女性のものにすれば少女で通ったかもしれない。
「その・・・・ごめん。お前を置いていったりして」
「ううん。今、君がここにいる。それだけで十分だよ」
「明日、12番隊のところにいって検査してもらおう」
「だめだよ!浮竹がいきなり生き返ったなんて知れたら、パニックだよ」
「いや、もう遅いから。地獄蝶飛ばしてしまった」
「ええ、なんだって!」
情報が広がるのは早い。
京楽は1番隊の隊首室で寝ていたのだが、浮竹もそこで寝ていたのだ。
まずは、どこから忍び込んできたのか、12番隊隊長の涅マユリが現れて、サンプルをとりないので時間が空いた時にでも12番隊に来るようにと言って、去って行った。
1番隊の執務室に場所を移すと、ルキアが恋次と一緒に赤子を抱いてやってきて、涙を零して浮竹に抱きついた。
「浮竹隊長ー!お姿が若いですが、隊長が生きてるなんて凄いです!」
「こらルキア、もっと丁寧に苺花を扱え」
「恋次のアホ!浮竹隊長が蘇ったのだぞ!ああでも、今は私が13番隊隊長をしているせいで、浮竹隊長の行く場所がない・・・・」
浮竹は、ルキアに抱き着かれて、困った顔をしていた。
「ルキアちゃん、浮竹は僕のものだから、返してね?」
「あ、すみません京楽総隊長!」
浮竹と京楽ができていたことは、尸魂界でも有名なことだった。
「霊圧は高いけど、院生時代のものだし、斬魄刀もないし、しばらくは僕の元で書類仕事を手伝ってもらおうと思ってる」
「おい、勝手に決めるな」
「だって、自由にしてもいいけど、暇でしょ?雨乾堂はもうないし」
「え、ないのか」
浮竹がびっくりしていた。
「君が死んで、壊して墓建てた」
「ううむ・・・行く当てもないか」
「だから、君は僕の傍にいてね。常に手の届くところに」
京楽の執着心は半端ではないようで、一度失った大切なものが戻ってきて、もう二度と手放すものかと、浮竹を見えない糸でがんじがらめにする。
「お前の傍か。不安なんだよな」
「とりあえず、後がつまってるから、ルキアちゃんも恋次君もまた今度で」
その後、日番谷や白哉、他の隊長副隊長と会って、話をした。
「はあ、疲れた。話を少しするだけのつもりが、もう夜だ」
「お腹すいたでしょ?」
「そうだな」
「僕の屋敷においで。今日はそこで泊まろう」
「分かった」
京楽は、浮竹を連れて今一番よく使っている屋敷に帰った。
地獄蝶を飛ばしておいたお陰で、二人分の食事の用意はされてあった。
「うわ、久しぶり食べる現代の食事・・・・・うまいな。地獄では、食べるという習慣自体なかったからな」
「山じいや卯ノ花隊長は元気にしてる?」
「ああ。よく稽古だといって斬り合っている。先生も卯ノ花隊長も元気だぞ」
「地獄に行ってまで、剣の稽古か。戦闘狂だな。流石は先代剣八」
京楽と浮竹はカニを食べた。
寒い季節になってきたから、温かい鍋は嬉しかった。
〆の雑炊までいただいて、浮竹と京楽は一緒に風呂に入った。
「その、あまりじろじろ見るな」
「どうして」
「俺の体はまだ訓練する前で、筋肉がほとんどない。お前の鍛え上げられた体をみていると、虚しくなる」
「君は、かわいいし綺麗だよ。いつもの君の姿もいいけれど、こうやって幼い君をまた見れるのはなにか、いけないことをしているようで、興奮するね」
「その、いけないことをしようとしているんだろう?」
「あ、ばれた?」
京楽のものは、腰にタオルを巻いているが、かちかちに勃っていた。
「院生時代の体だ。お前のものに慣れていない。あまり、無茶をさせるなよ」
「分かってるよ・・・・さっきのうちに、ネットでローション買ったんだよね」
ローションを用意していた京楽に、浮竹は開いた口が塞がらない。
「お前は・・・はぁ、もういい。抱くなら、抱け」
「抱くよ。君は僕のものだ。その体にはまだ触れたことがないから、大事にはするけど」
ゆっくりと味わうように、口づけを交わしていく。だんだん激しいものに変わり、つっと銀の糸が垂れた。
「あっ」
「かんじるところは、同じなんだ」
風呂場で、声が響く。
「やっ」
京楽の手で、翻弄される。
「ああああ!!」
京楽が、勃ちあがった浮竹のものを口に含み、舐めあげてしごいていると、浮竹は京楽の口の中に精液を放っていた。
「ひあああ!!」
ローションまみれの指が、体内に入ってくる。
「あ、春水・・・・・」
「大好きだよ、十四郎。君をまたこの手で抱けるなんて、夢みたいだ」
「あ!」
こりっと刺激の弱い部分を指で何度かいじり、京楽の指は去って行った。
「いれるけど、大丈夫かな?君の体、幼いし・・・・・・」
「別にいい。こい」
「ん、いくよ」
「ひあああああああ!!!」
浮竹は十年ぶり以上に引き裂かれる熱と、その痛みに涙を零す。
その涙を吸い取りながら、京楽はゆっくり解した浮竹の蕾へと、自分のものを収めていく。
「んん・・・・」
しばらく動かず、大きさに慣れるまで口づけあった。
「あ、もう、動いていいぞ」
「うん」
ずちゅりと、中を京楽が犯していく。
その体は処女らしく、浮竹今までの体との違いに戸惑いながらも、京楽を受け入れた。
「ひあああああ!!」
最奥を突きあげられて、オーガズムで達した。
まるで、昔に戻った気分になる。
若い分、体は正直だし性欲も旺盛なようで、浮竹は熱を放った。
「君からみたら、僕はおじさんだね」
「そうかもな。でも、俺も中身はおじさんだからな」
クスリと笑い合う。
「ああああ!!」
最奥を貫かれて、揺さぶられ、抉られて、浮竹はオーガズムでいきながら、生きているという喜びを噛みしめた。
「んあ・・・・」
ぱちゅんぱちゅんと音をたてて、京楽のものが出入りする。
何度か、京楽は浮竹の胎の奥で熱をはじけさせる。
「あ、もっと、もっとぐずぐずになるまで、俺を犯せ」
湯船の中に入りながら、交わった。
「あ、溶ける・・・・・」
お湯が体内に入ってくる。
京楽はあくまで浮竹の欲を満たすように動く。
「あ、いっちゃう、いっちゃう」
「何度でもいっていいよ。君がとろとろになるその顔をが好きだよ」
「ああああ!!」
浮竹は精液を湯船の中で放っていた。
「やああああああ!!」
京楽の熱が、体内の奥深くで弾けるのが分かった。
「あああ・・・・・」
浮竹は、ぐずぐずに溶けていく。
京楽と一緒に。
後始末と言われて湯船の中で、中に出したものをかき出されている時も。オーガズムでいってしまっていた。
「もう、煽らないでよ。もう、出せないよ」
「仕方ないだろう。体は処女なのに、俺という精神を宿しているせいで我ながら淫乱なんだから」
「ねえ、十四郎」
「なんだ、春水」
「いなく、ならないでね。これが今日だけのできごとだたってことに、しないでね?」
「俺も、それは分からない。いつこの体がこの時代から消えるのかも消えないのかも、何も分からない」
浮竹と京楽は口づけた。
「消えないって、約束して」
「ああ、約束しよう」
指切りをして、風呂で体を髪を洗い、出てから互いに水分を拭き取りあって、その日は眠った。
朝起きると、浮竹の姿はまだあった。
それに安心して、京楽は浮竹の額にキスをする。
「君を、もう一f度手に入れた・・・・・・」
もう、離さない。
そう京楽は思うのだった。
京楽は、愛する者の死に涙を零して、浮竹の死体が荼毘に付されていくのを見ていた。
棺の中の浮竹は、白百合の花に囲まれて、今すぐに起きてきそうなほど綺麗で、体に損傷もなかった。
遠く、火葬場で煙が上がっていくのを見る。
「僕はだめだね。君がいなくなっただけで、世界が色あせて見える。総隊長なんだ、しっかりしなくちゃね」
浮竹の墓は、雨乾堂の跡地に作られた。
立派な墓標だった。
浮竹が死んで、10年が経った。
「さて、明日もがんばりますか」
浮竹の墓標に酒を注いで、久しぶりの非番だったので、墓参りにきていたのだ。
京楽は、浮竹の墓を愛しそうに撫でて、そして空を見上げた。
浮竹の遺体を焼いた日のように、空は雲一つなく蒼かった。
「とりあえず、また来るよ。またね、浮竹」
京楽は、多忙で寝不足気味だったので、非番の日であるが、寝る事にした。
夢の中で、浮竹が出てきた。
17歳くらいの、院生時代の1回生くらいの容姿の浮竹だった。
院生時代の懐かしい夢を見ていた。
「俺は、お前を一人にはしない。必ず、会いにいくから」
「僕は、でも君に残される。君は一人でいってしまう」
「そんなことはない。俺は、いつもお前の傍にいる。見えないだけで」
「見えるようにしてよ。じゃなきゃ、泣くよ?」
「お前に泣かれるのは困るな。分かった、見えるようにしてもらおう」
誰に?とは聞かなかった。
懐かしい夢を見ていた。
ふと気づくと、5時間も眠ってしまっていたらしい。日は傾いて夕日になりかけていた。
「ん・・・・暖かい?」
肌寒い季節になっていた。
布団だけで寝ていたが、寒かった。自分が寝ていた隣に、暖かな温もりがあって、京楽は不思議に思い、布団をめくった。
「えええええええええええ」
院生時代の17歳くらいの浮竹が、寝ていたのだ。
「ん・・・うるさい」
「うるさいじゃないよ君!浮竹なの!?」
「はぁ?俺以外に誰がいるんだ・・・・って、なんで俺ここにいるんだ。生きてる。死んだのに」
「ええええええええ。そうだ、これは夢だ。もう一回寝よう」
「寝るなあああああああああ!!!」
「もぎゃああああああ!!」
浮竹に布団をはぎとられて、股間を蹴り上げられて京楽は悶えた。
「どうなってるんだこれは!地獄にいたはずなのに、何故尸魂界にいる!まさか、生き返った・・・・?でも、なんで院生時代の姿なんだ。おまけに服も院生時代のままだ」
「いやあ、すごい夢だなぁ」
京楽は、頭を壁にゴンゴン打ち付けていた。
「痛い。夢じゃない・・・・浮竹えええええ!!」
「ぎゃああああああああ!!!いきなり盛るなあああ!!」
「だって、君を失って10年だよ!10年間もずっと、君を想い続けてた。生きてる君が傍にいてくれるなんて、奇跡だ」
浮竹は驚く。
「俺が死んで10年後の世界・・・・・なんで俺は、しかも院生姿で蘇った?」
謎だらけだ。
でも、考えれば考えるだけ無駄なので、思考を放棄した。
「なんだかよく分からいけど、ただいま、京楽」
「浮竹ぇええええ」
京楽は鼻水を垂らしながら泣きだした。
「ほら、ティッシュで鼻をかめ」
「うん・・・・・」
「今の13番隊はどうなっている?」
「ルキアちゃんが隊長になったよ。あと阿散井君と結婚して、子供ができた」
「隊長は朽木か。俺の思っていた通りになったな。しかも恋次君と結婚して子供ができたなんて、なんていうのか俺が死んでる間にいろいろなことが起こってるな」
浮竹は、感慨深く頷いた。
「そうだよ、なんで死んじゃったの。神掛けをしなきゃ世界が滅ぶって分かっていたど、僕には君の喪失が耐え難かった」
「今、ここにいるじゃないか」
「そうだけど、君がいないこの10年、僕の世界は色あせていて、ずっと、ずっと、君を想っていた・・・・・・・」
抱きしめられた。
まだ少年の幼さを残した姿の浮竹は、背もあまり高くなく、髪も短いが、衣服を女性のものにすれば少女で通ったかもしれない。
「その・・・・ごめん。お前を置いていったりして」
「ううん。今、君がここにいる。それだけで十分だよ」
「明日、12番隊のところにいって検査してもらおう」
「だめだよ!浮竹がいきなり生き返ったなんて知れたら、パニックだよ」
「いや、もう遅いから。地獄蝶飛ばしてしまった」
「ええ、なんだって!」
情報が広がるのは早い。
京楽は1番隊の隊首室で寝ていたのだが、浮竹もそこで寝ていたのだ。
まずは、どこから忍び込んできたのか、12番隊隊長の涅マユリが現れて、サンプルをとりないので時間が空いた時にでも12番隊に来るようにと言って、去って行った。
1番隊の執務室に場所を移すと、ルキアが恋次と一緒に赤子を抱いてやってきて、涙を零して浮竹に抱きついた。
「浮竹隊長ー!お姿が若いですが、隊長が生きてるなんて凄いです!」
「こらルキア、もっと丁寧に苺花を扱え」
「恋次のアホ!浮竹隊長が蘇ったのだぞ!ああでも、今は私が13番隊隊長をしているせいで、浮竹隊長の行く場所がない・・・・」
浮竹は、ルキアに抱き着かれて、困った顔をしていた。
「ルキアちゃん、浮竹は僕のものだから、返してね?」
「あ、すみません京楽総隊長!」
浮竹と京楽ができていたことは、尸魂界でも有名なことだった。
「霊圧は高いけど、院生時代のものだし、斬魄刀もないし、しばらくは僕の元で書類仕事を手伝ってもらおうと思ってる」
「おい、勝手に決めるな」
「だって、自由にしてもいいけど、暇でしょ?雨乾堂はもうないし」
「え、ないのか」
浮竹がびっくりしていた。
「君が死んで、壊して墓建てた」
「ううむ・・・行く当てもないか」
「だから、君は僕の傍にいてね。常に手の届くところに」
京楽の執着心は半端ではないようで、一度失った大切なものが戻ってきて、もう二度と手放すものかと、浮竹を見えない糸でがんじがらめにする。
「お前の傍か。不安なんだよな」
「とりあえず、後がつまってるから、ルキアちゃんも恋次君もまた今度で」
その後、日番谷や白哉、他の隊長副隊長と会って、話をした。
「はあ、疲れた。話を少しするだけのつもりが、もう夜だ」
「お腹すいたでしょ?」
「そうだな」
「僕の屋敷においで。今日はそこで泊まろう」
「分かった」
京楽は、浮竹を連れて今一番よく使っている屋敷に帰った。
地獄蝶を飛ばしておいたお陰で、二人分の食事の用意はされてあった。
「うわ、久しぶり食べる現代の食事・・・・・うまいな。地獄では、食べるという習慣自体なかったからな」
「山じいや卯ノ花隊長は元気にしてる?」
「ああ。よく稽古だといって斬り合っている。先生も卯ノ花隊長も元気だぞ」
「地獄に行ってまで、剣の稽古か。戦闘狂だな。流石は先代剣八」
京楽と浮竹はカニを食べた。
寒い季節になってきたから、温かい鍋は嬉しかった。
〆の雑炊までいただいて、浮竹と京楽は一緒に風呂に入った。
「その、あまりじろじろ見るな」
「どうして」
「俺の体はまだ訓練する前で、筋肉がほとんどない。お前の鍛え上げられた体をみていると、虚しくなる」
「君は、かわいいし綺麗だよ。いつもの君の姿もいいけれど、こうやって幼い君をまた見れるのはなにか、いけないことをしているようで、興奮するね」
「その、いけないことをしようとしているんだろう?」
「あ、ばれた?」
京楽のものは、腰にタオルを巻いているが、かちかちに勃っていた。
「院生時代の体だ。お前のものに慣れていない。あまり、無茶をさせるなよ」
「分かってるよ・・・・さっきのうちに、ネットでローション買ったんだよね」
ローションを用意していた京楽に、浮竹は開いた口が塞がらない。
「お前は・・・はぁ、もういい。抱くなら、抱け」
「抱くよ。君は僕のものだ。その体にはまだ触れたことがないから、大事にはするけど」
ゆっくりと味わうように、口づけを交わしていく。だんだん激しいものに変わり、つっと銀の糸が垂れた。
「あっ」
「かんじるところは、同じなんだ」
風呂場で、声が響く。
「やっ」
京楽の手で、翻弄される。
「ああああ!!」
京楽が、勃ちあがった浮竹のものを口に含み、舐めあげてしごいていると、浮竹は京楽の口の中に精液を放っていた。
「ひあああ!!」
ローションまみれの指が、体内に入ってくる。
「あ、春水・・・・・」
「大好きだよ、十四郎。君をまたこの手で抱けるなんて、夢みたいだ」
「あ!」
こりっと刺激の弱い部分を指で何度かいじり、京楽の指は去って行った。
「いれるけど、大丈夫かな?君の体、幼いし・・・・・・」
「別にいい。こい」
「ん、いくよ」
「ひあああああああ!!!」
浮竹は十年ぶり以上に引き裂かれる熱と、その痛みに涙を零す。
その涙を吸い取りながら、京楽はゆっくり解した浮竹の蕾へと、自分のものを収めていく。
「んん・・・・」
しばらく動かず、大きさに慣れるまで口づけあった。
「あ、もう、動いていいぞ」
「うん」
ずちゅりと、中を京楽が犯していく。
その体は処女らしく、浮竹今までの体との違いに戸惑いながらも、京楽を受け入れた。
「ひあああああ!!」
最奥を突きあげられて、オーガズムで達した。
まるで、昔に戻った気分になる。
若い分、体は正直だし性欲も旺盛なようで、浮竹は熱を放った。
「君からみたら、僕はおじさんだね」
「そうかもな。でも、俺も中身はおじさんだからな」
クスリと笑い合う。
「ああああ!!」
最奥を貫かれて、揺さぶられ、抉られて、浮竹はオーガズムでいきながら、生きているという喜びを噛みしめた。
「んあ・・・・」
ぱちゅんぱちゅんと音をたてて、京楽のものが出入りする。
何度か、京楽は浮竹の胎の奥で熱をはじけさせる。
「あ、もっと、もっとぐずぐずになるまで、俺を犯せ」
湯船の中に入りながら、交わった。
「あ、溶ける・・・・・」
お湯が体内に入ってくる。
京楽はあくまで浮竹の欲を満たすように動く。
「あ、いっちゃう、いっちゃう」
「何度でもいっていいよ。君がとろとろになるその顔をが好きだよ」
「ああああ!!」
浮竹は精液を湯船の中で放っていた。
「やああああああ!!」
京楽の熱が、体内の奥深くで弾けるのが分かった。
「あああ・・・・・」
浮竹は、ぐずぐずに溶けていく。
京楽と一緒に。
後始末と言われて湯船の中で、中に出したものをかき出されている時も。オーガズムでいってしまっていた。
「もう、煽らないでよ。もう、出せないよ」
「仕方ないだろう。体は処女なのに、俺という精神を宿しているせいで我ながら淫乱なんだから」
「ねえ、十四郎」
「なんだ、春水」
「いなく、ならないでね。これが今日だけのできごとだたってことに、しないでね?」
「俺も、それは分からない。いつこの体がこの時代から消えるのかも消えないのかも、何も分からない」
浮竹と京楽は口づけた。
「消えないって、約束して」
「ああ、約束しよう」
指切りをして、風呂で体を髪を洗い、出てから互いに水分を拭き取りあって、その日は眠った。
朝起きると、浮竹の姿はまだあった。
それに安心して、京楽は浮竹の額にキスをする。
「君を、もう一f度手に入れた・・・・・・」
もう、離さない。
そう京楽は思うのだった。
堕天使と天使6
天使たちの羽は、物質ではなく霊的なものでできていて、衣服の穴があいていなくても出し入れ自由だった。
なので、翼を出した時に服が破れるだとか、そんな心配はいらないし、肩甲骨あたりが開いた衣服を着なければならないということもなかった。
浮竹は、意識を集中して背にある6枚の翼から、ダガーのように羽を的に突き刺していく。
「フェザースラッシュ」
魔法ではなく、天使としての物理攻撃だった。
今度は京楽が、堕天使としての真っ黒な翼を一対出して、浮竹と同じように的に羽を突き刺す。
「フェザースラッシュ」
浮竹の放ったものは、3分の2が的にあたったが、3分の1は外れた。
一方、京楽の放ったものは的を完全に破壊してしまった。一番のヒット部分ばかりに集中して。
「むう、俺のほうが翼が多いのに、なぜ負ける」
「こればかりは、生きていた時間の差かな。この攻撃は咄嗟の時に役に立つから、僕は昔から練習してたしね。サキュバスの女の子を的にして、フェザースラッシュで女の子の周囲に羽をつきたてて、インキュバスの連中と酒を飲みかわしあって、他のサキュバスの子から夜のお誘を・・・・・」
見る見る浮竹が不機嫌になっていくのがわかる。
なので、翼を出した時に服が破れるだとか、そんな心配はいらないし、肩甲骨あたりが開いた衣服を着なければならないということもなかった。
浮竹は、意識を集中して背にある6枚の翼から、ダガーのように羽を的に突き刺していく。
「フェザースラッシュ」
魔法ではなく、天使としての物理攻撃だった。
今度は京楽が、堕天使としての真っ黒な翼を一対出して、浮竹と同じように的に羽を突き刺す。
「フェザースラッシュ」
浮竹の放ったものは、3分の2が的にあたったが、3分の1は外れた。
一方、京楽の放ったものは的を完全に破壊してしまった。一番のヒット部分ばかりに集中して。
「むう、俺のほうが翼が多いのに、なぜ負ける」
「こればかりは、生きていた時間の差かな。この攻撃は咄嗟の時に役に立つから、僕は昔から練習してたしね。サキュバスの女の子を的にして、フェザースラッシュで女の子の周囲に羽をつきたてて、インキュバスの連中と酒を飲みかわしあって、他のサキュバスの子から夜のお誘を・・・・・」
見る見る浮竹が不機嫌になっていくのがわかる。
堕天使と天使5
祓い屋を開いて、口コミで噂が広がり、依頼がくるようになっていた。
この世界は車や電化製品があって限りなく現代に近いが、魔法があって、冒険者ギルドもあり、ダンジョンもある。
出てくるのは西洋のモンスターだけでなく、和風の妖怪、霊などもでる。
種族の人だけでなく、亜人種から精霊、悪魔や天使、神族や魔族などがいた。
今回の依頼は、化けた狐の妖狐がでて、人をかどわかわして、最終的には骨となって発見されるという、人食いの妖狐退治の依頼だった。
祓い屋とはいうが、基本的に冒険者ギルドと役割は同じで、冒険者ギルドで溢れた依頼やら、こちらのほうが報酬金が低くて済むのでといった理由で、依頼はやってくる。
浮竹と京楽は、いくつか受注した依頼のうち、妖狐事件が一番深刻だったために、それに集中することにした。
まずは、被害のあった村に車で向かう。
妖狐といった類の妖(あやかし)には、銃といった武器がきかない。
特別に力のこもった武器ならきく。一番ききやすいのは聖なる力の宿った武器か、魔法だった。
浮竹も京楽も、魔法が使えた。
浮竹は最近になって天使の大上位クラスセラフに覚醒したので、京楽に魔法の初歩から教えてもらい、すでに上級魔法まで唱えれるようになっていた。
適正は全属性。
特に聖属性と炎の魔法が強かった。
京楽もほぼ全属性だが、堕天使のせいか聖属性は使えなかった。
「ここが、依頼のあった村か・・・・・」
浮竹と京楽がやってきたのは、浮竹と京楽の住むアラン王国の隣にある、リンガル帝国の隅にある村だった。
寂れていて、人口自体も200人はいないだろう。
「すまない、依頼を受けてやってきたんだが、村長はいるだろうか」
畑仕事をしていた男性に話かけると、顔を輝かせて村長を呼びに行った。
「妖狐を退治してくれる人ですな。まっててくだしい、今村長よんできますんで」
村長は、間もなく浮竹と京楽の前に現れた。
立ちっぱなしもなんだからということで、村長の家に招かれる。
「それでですな、山の方に妖狐が住み着いて、村人をかどかわして食ってしまうんです。皆で探すんですが、数日後には骨になっていて・・・・・」
村長は涙をにじませた。
「姪っ子もやられてしまったんです。どうか、この村を助けるために、妖狐を退治してください。お金はあまりありませんが・・・金貨40枚が、出せる精一杯の額です」
「金貨40枚で十分だ。その山の方へ途中まででいいから、誰か案内役を」
浮竹の言葉に、村長は頷いて2階から娘を呼び出して、浮竹と京楽を山の妖狐のいる方角へ、案内してくれることになった。
「私からもお願いします。どうか、妖狐を退治してください」
村長の娘は、器量よしで、京楽がちょっと興味ありそうな顔をしていたので、浮竹は思い切り京楽の足を踏んづけてやった。
「痛いよ、浮竹」
「自業自得だ」
「僕は浮竹一筋だってば。ちょっと興味がわいただけで、ただそれだけだよ」
「普通、一筋なら他に興味などわかないはずだ」
浮竹の冷たい言葉に、京楽は頭をかいた。
「いや、昔千人切りの京楽って言われてたくらい、節操なかったもんだから、つい」
「千人と寝たのか!」
浮竹がびっくりする。
「うーん。700人までは数えてけど、そこからは数えてない。なので、千人をこしているのかこしていないのか、分からないね」
「最低だ」
「ああ、だから過去の話だってば。浮竹も、今の僕を見てくれるでしょ?」
「それは・・・・・」
浮竹は顔を赤くした。
「私が案内できるのはここまでです。この奥に、神社があります。妖狐はそこを塒(ねぐら)にしているらしいと・・・・」
「分かった。気をつけて、帰ってくれ」
「はい・・どうが、ご武運を」
浮竹と京楽は、まだ昼であるが、周囲を警戒しながら神社があるという道を進んでいく。
しばらくすると、その神社が見えた。
傾国の美の美しい女性が、神社の奥に入っていくのを見つけた。
「浮竹、見た?さっきの凄い美人」
「ああ。まさに人ならざる者といった風体だな」
「ああ、昔の僕なら口説いてズキューンバキューン」
台詞の途中で、浮竹がアイテムポケットから取り出したハリセンで頭を殴られた。
「ふざけてないで、行くぞ、京楽」
「うん」
絶世の美女には尻尾があり、その尻尾は9つに分かれていた。
「妖狐でも、九尾の狐か!また厄介な!」
浮竹が、まずは結界をはった。
式を飛ばして、円陣を魔法で描き、外に逃げられないようにする。
「あら、新しい獲物?村長に退治してくれとお願いされたのでしょう?そうやって、強い者をとって食うようにしているの。ちゃんと村人を襲わないって約束はしていたけど、全然獲物がこないから、村人を襲ってしまったの」
「なんだい、話を聞く限りでは、僕らは人未御供よろしく、村長に騙されたってことかな」
「ええ、そうよ」
「あの村長、戻ったらぎったんぎったんにしてやる」
珍しく本気で怒る浮竹を前に、京楽は魔法を唱える。
「ダークフレア」
「ホーリーランス」
「あははは!魔法なんて私には効かないわ!この九尾の尻尾で吸収できるのよ!だから、冒険者ギルドから派遣されてきたやつらも、返り討ちにして食ってやったの。きゃははは!」
浮竹は、式を呼び出す。
それは戦乙女のヴァルキリーだった。
「いけ!」
式のヴァルキリーは、物理攻撃をしかける。持っている聖なる槍で、九尾の妖狐の足を貫いた。
「あああ!人間ごときが!いいえ、この匂い・・天使と堕天使か!」
京楽も、式を呼び出す。
それは、3つの頭をもつケルベロスだった。
九尾の妖狐に火のブレスを浴びせる。
「なんなの、お前たち!私には魔法は効かないのに、式如きで・・・・・・」
「そう。その式如きに祓われてよ」
ケルベロスは、九尾の妖狐を文字通り爪で引き裂いた。
「いやあああああ!!!」
浮竹の式のヴァルキリーが、トドメの槍を繰り出す。
「後で、村長に謝ってもらわないとな」
「ぎゃあああ」
九尾の妖狐は断末魔をあげて、体を灰に変えていく。そして最後は小さな魔石になってしまった。
「この魔石、小さいけど魔力純度高いね。冒険者ギルドで買いとってもらえば、金貨100枚はいくと思うよ」
「命を狙われたにしては、安い値段だな」
「まぁ、そう言わないでよ。村長も必死だったんでしょ。あの村を守るために」
神社の奥には、冒険者や旅の者と思わしき荷物や衣服と一緒に、骸骨が散乱していた。
「それにしても、こいつ一体何人食ったんだろう」
「10人は食ってるんじゃないのか」
「普通、妖怪は人を食えば食うほど力があがるのに、式だけで片付けれるなんてラッキーというかなんというか」
「どのみち、魔法が効いていれば魔法で倒せただろう。九尾の妖狐というが、かつ東の極東で暴れまわって、国を崩壊させた九尾の大妖狐とはクラスが違いすぎる」
「そうだね。とりあえず、村に戻って報告して、警察呼ぼう。村人を守るためだからと、冒険者や旅人をだまして食わせた罪で逮捕されるだろうね」
--------------------------------------
「そんな、なぜ生きて・・・・本当に、妖狐をやっつけてくれたのですか!」
「そういうそっちは、僕らを妖狐の生贄にしようとしていたね。警察呼んどいたから、大人しく捕縛されてね」
村長は、項垂れた。
「これは私の罪です。お約束通り、代金の金貨40枚はお支払いします」
「えらいものわかりがいいね?」
京楽が訝しがるが、村長も腹をくくったのだろう。
金貨40枚を報酬として手に入れて、呼んだ警察に村長を引き渡し、九尾の妖狐に冒険者をえさとして与えていたことを話して、捕縛してもらった。
「さて、この村はどうなるのかな?」
「きっと、娘が村長の後を継ぐだろう。こういう閉鎖的な村は、血統を重んじる」
「じゃあ、戻るとしますか」
浮竹と京楽は、車で冒険者ギルドにまでやってくると、九尾の妖狐が残した魔石を買い取ってもらった。
「これは、小さいですが魔力の密度が純粋に高いですね。これなら、金貨140枚の買取りになりますが、いかがいたします?」
「ああ、その値段で頼む」
「やったね。思ったより高く売れた」
「ああ、そうだな」
京楽と浮竹は、思ったよりも収入があったので、焼き肉食べ放題の店にやってくると、一人金貨5枚はらって、席につくと、高級肉を注文しまくった。
浮竹も京楽もたくさん食べたので、金貨5枚以上の分は食べただろう。
「たまには、店で食べるのもいいね。いつもは僕が調理するけど」
「お前の料理はチートだ。なぜ、あの食材でこんなものができるのかってかんじで」
「僕は100歳を超えているからね。趣味は料理。腕を磨いてたら、そこらへんのシェフ並みになっちゃった」
「まぁ、うまい飯にありつけて、俺は嬉しいが」
「よーし。明日の夕食、楽しみにしててね。ちょっとこまったものを出してあげる。帰る前に、スーパーで買い物していこっか」
「ああ」
こうして、妖狐退治は終わり、浮竹と京楽は次の退治依頼を受けるのだった。
この世界は車や電化製品があって限りなく現代に近いが、魔法があって、冒険者ギルドもあり、ダンジョンもある。
出てくるのは西洋のモンスターだけでなく、和風の妖怪、霊などもでる。
種族の人だけでなく、亜人種から精霊、悪魔や天使、神族や魔族などがいた。
今回の依頼は、化けた狐の妖狐がでて、人をかどわかわして、最終的には骨となって発見されるという、人食いの妖狐退治の依頼だった。
祓い屋とはいうが、基本的に冒険者ギルドと役割は同じで、冒険者ギルドで溢れた依頼やら、こちらのほうが報酬金が低くて済むのでといった理由で、依頼はやってくる。
浮竹と京楽は、いくつか受注した依頼のうち、妖狐事件が一番深刻だったために、それに集中することにした。
まずは、被害のあった村に車で向かう。
妖狐といった類の妖(あやかし)には、銃といった武器がきかない。
特別に力のこもった武器ならきく。一番ききやすいのは聖なる力の宿った武器か、魔法だった。
浮竹も京楽も、魔法が使えた。
浮竹は最近になって天使の大上位クラスセラフに覚醒したので、京楽に魔法の初歩から教えてもらい、すでに上級魔法まで唱えれるようになっていた。
適正は全属性。
特に聖属性と炎の魔法が強かった。
京楽もほぼ全属性だが、堕天使のせいか聖属性は使えなかった。
「ここが、依頼のあった村か・・・・・」
浮竹と京楽がやってきたのは、浮竹と京楽の住むアラン王国の隣にある、リンガル帝国の隅にある村だった。
寂れていて、人口自体も200人はいないだろう。
「すまない、依頼を受けてやってきたんだが、村長はいるだろうか」
畑仕事をしていた男性に話かけると、顔を輝かせて村長を呼びに行った。
「妖狐を退治してくれる人ですな。まっててくだしい、今村長よんできますんで」
村長は、間もなく浮竹と京楽の前に現れた。
立ちっぱなしもなんだからということで、村長の家に招かれる。
「それでですな、山の方に妖狐が住み着いて、村人をかどかわして食ってしまうんです。皆で探すんですが、数日後には骨になっていて・・・・・」
村長は涙をにじませた。
「姪っ子もやられてしまったんです。どうか、この村を助けるために、妖狐を退治してください。お金はあまりありませんが・・・金貨40枚が、出せる精一杯の額です」
「金貨40枚で十分だ。その山の方へ途中まででいいから、誰か案内役を」
浮竹の言葉に、村長は頷いて2階から娘を呼び出して、浮竹と京楽を山の妖狐のいる方角へ、案内してくれることになった。
「私からもお願いします。どうか、妖狐を退治してください」
村長の娘は、器量よしで、京楽がちょっと興味ありそうな顔をしていたので、浮竹は思い切り京楽の足を踏んづけてやった。
「痛いよ、浮竹」
「自業自得だ」
「僕は浮竹一筋だってば。ちょっと興味がわいただけで、ただそれだけだよ」
「普通、一筋なら他に興味などわかないはずだ」
浮竹の冷たい言葉に、京楽は頭をかいた。
「いや、昔千人切りの京楽って言われてたくらい、節操なかったもんだから、つい」
「千人と寝たのか!」
浮竹がびっくりする。
「うーん。700人までは数えてけど、そこからは数えてない。なので、千人をこしているのかこしていないのか、分からないね」
「最低だ」
「ああ、だから過去の話だってば。浮竹も、今の僕を見てくれるでしょ?」
「それは・・・・・」
浮竹は顔を赤くした。
「私が案内できるのはここまでです。この奥に、神社があります。妖狐はそこを塒(ねぐら)にしているらしいと・・・・」
「分かった。気をつけて、帰ってくれ」
「はい・・どうが、ご武運を」
浮竹と京楽は、まだ昼であるが、周囲を警戒しながら神社があるという道を進んでいく。
しばらくすると、その神社が見えた。
傾国の美の美しい女性が、神社の奥に入っていくのを見つけた。
「浮竹、見た?さっきの凄い美人」
「ああ。まさに人ならざる者といった風体だな」
「ああ、昔の僕なら口説いてズキューンバキューン」
台詞の途中で、浮竹がアイテムポケットから取り出したハリセンで頭を殴られた。
「ふざけてないで、行くぞ、京楽」
「うん」
絶世の美女には尻尾があり、その尻尾は9つに分かれていた。
「妖狐でも、九尾の狐か!また厄介な!」
浮竹が、まずは結界をはった。
式を飛ばして、円陣を魔法で描き、外に逃げられないようにする。
「あら、新しい獲物?村長に退治してくれとお願いされたのでしょう?そうやって、強い者をとって食うようにしているの。ちゃんと村人を襲わないって約束はしていたけど、全然獲物がこないから、村人を襲ってしまったの」
「なんだい、話を聞く限りでは、僕らは人未御供よろしく、村長に騙されたってことかな」
「ええ、そうよ」
「あの村長、戻ったらぎったんぎったんにしてやる」
珍しく本気で怒る浮竹を前に、京楽は魔法を唱える。
「ダークフレア」
「ホーリーランス」
「あははは!魔法なんて私には効かないわ!この九尾の尻尾で吸収できるのよ!だから、冒険者ギルドから派遣されてきたやつらも、返り討ちにして食ってやったの。きゃははは!」
浮竹は、式を呼び出す。
それは戦乙女のヴァルキリーだった。
「いけ!」
式のヴァルキリーは、物理攻撃をしかける。持っている聖なる槍で、九尾の妖狐の足を貫いた。
「あああ!人間ごときが!いいえ、この匂い・・天使と堕天使か!」
京楽も、式を呼び出す。
それは、3つの頭をもつケルベロスだった。
九尾の妖狐に火のブレスを浴びせる。
「なんなの、お前たち!私には魔法は効かないのに、式如きで・・・・・・」
「そう。その式如きに祓われてよ」
ケルベロスは、九尾の妖狐を文字通り爪で引き裂いた。
「いやあああああ!!!」
浮竹の式のヴァルキリーが、トドメの槍を繰り出す。
「後で、村長に謝ってもらわないとな」
「ぎゃあああ」
九尾の妖狐は断末魔をあげて、体を灰に変えていく。そして最後は小さな魔石になってしまった。
「この魔石、小さいけど魔力純度高いね。冒険者ギルドで買いとってもらえば、金貨100枚はいくと思うよ」
「命を狙われたにしては、安い値段だな」
「まぁ、そう言わないでよ。村長も必死だったんでしょ。あの村を守るために」
神社の奥には、冒険者や旅の者と思わしき荷物や衣服と一緒に、骸骨が散乱していた。
「それにしても、こいつ一体何人食ったんだろう」
「10人は食ってるんじゃないのか」
「普通、妖怪は人を食えば食うほど力があがるのに、式だけで片付けれるなんてラッキーというかなんというか」
「どのみち、魔法が効いていれば魔法で倒せただろう。九尾の妖狐というが、かつ東の極東で暴れまわって、国を崩壊させた九尾の大妖狐とはクラスが違いすぎる」
「そうだね。とりあえず、村に戻って報告して、警察呼ぼう。村人を守るためだからと、冒険者や旅人をだまして食わせた罪で逮捕されるだろうね」
--------------------------------------
「そんな、なぜ生きて・・・・本当に、妖狐をやっつけてくれたのですか!」
「そういうそっちは、僕らを妖狐の生贄にしようとしていたね。警察呼んどいたから、大人しく捕縛されてね」
村長は、項垂れた。
「これは私の罪です。お約束通り、代金の金貨40枚はお支払いします」
「えらいものわかりがいいね?」
京楽が訝しがるが、村長も腹をくくったのだろう。
金貨40枚を報酬として手に入れて、呼んだ警察に村長を引き渡し、九尾の妖狐に冒険者をえさとして与えていたことを話して、捕縛してもらった。
「さて、この村はどうなるのかな?」
「きっと、娘が村長の後を継ぐだろう。こういう閉鎖的な村は、血統を重んじる」
「じゃあ、戻るとしますか」
浮竹と京楽は、車で冒険者ギルドにまでやってくると、九尾の妖狐が残した魔石を買い取ってもらった。
「これは、小さいですが魔力の密度が純粋に高いですね。これなら、金貨140枚の買取りになりますが、いかがいたします?」
「ああ、その値段で頼む」
「やったね。思ったより高く売れた」
「ああ、そうだな」
京楽と浮竹は、思ったよりも収入があったので、焼き肉食べ放題の店にやってくると、一人金貨5枚はらって、席につくと、高級肉を注文しまくった。
浮竹も京楽もたくさん食べたので、金貨5枚以上の分は食べただろう。
「たまには、店で食べるのもいいね。いつもは僕が調理するけど」
「お前の料理はチートだ。なぜ、あの食材でこんなものができるのかってかんじで」
「僕は100歳を超えているからね。趣味は料理。腕を磨いてたら、そこらへんのシェフ並みになっちゃった」
「まぁ、うまい飯にありつけて、俺は嬉しいが」
「よーし。明日の夕食、楽しみにしててね。ちょっとこまったものを出してあげる。帰る前に、スーパーで買い物していこっか」
「ああ」
こうして、妖狐退治は終わり、浮竹と京楽は次の退治依頼を受けるのだった。
堕天使と天使4
初めての依頼は、サキュバスの退治だった。
祓い屋といっても、対象は基本討伐か浄化になる。
「ああ、ココアちゃん思い出すねぇ」
京楽は、サキュバスといわれて、1年と少し前に関係のあったサキュバスを思い出していた。
「今回のサキュバスは、対象者を死ぬまで生気を吸い取るらしい」
「わー、それは大変だ。討伐だね」
この世界は、現代によく似ているが、魔法が使えて魔族や天使族もいる、異世界だ。車が通っていたりするが、転移魔法もある。
妖怪もいればモンスターもいるし、霊もいる。
冒険者ギルドもあった。
祓い屋や退治屋は、ギルドに依頼するよりもかかる金額が好きなく、迅速に対応してくれるので、浮竹と京楽が始めた祓い屋は、今注目を浴びていた。
「とりあえず、事件の多発しているマンションに行こう。そこで俺が囮になって寝るから、お前が退治してくれ」
「ええ、危ないよ!」
「だからって、関係のない人間を巻き込むわけにもいかないだろう。それにセラフである俺の生気は、サキュバスにとって極上のえさになるだろう」
「仕方ないねぇ。囮は僕がなりたいところだけど、サキュバスには顔見知りも多いからね」
京楽の、昔の爛れた性関係の中には、サキュバスは多かった。
浮竹と京楽は、サキュバスによる被害で死者が相次いで出ているというマンションに車で向かった。
すでに事件がはじまってから、男性たちは避難するように引っ越したり、ホテルに泊まったりしているので、浮竹が囮になってサキュバスが憑りつく可能性は限りなく高かった。
浮竹と京楽は、飽き部屋を借りてべッドの周囲に魔法陣を描き、サキュバスが一度きたら逃げられないようにした。
「さて、寝るか。スリープの魔法をかけてくれ」
「分かったよ。くれぐれも無茶はしないでね」
サキュバスは夢の中に現れる。満足して去っていくくらいしか、捕まえる方法がない。
「スリープ」
京楽は、眠りの呪文をかけた。
浮竹は、すぐに深い眠りに入っていった。
浮竹は、父親である大天使長ミカエルと、母であるおぼろげな姿のアンヌがいたのだが、すぐに場面が変わった。
褐色の肌をくねらせて、体に巻き付いてくるサキュバスを、浮竹はその虜になるのではなく、魅了(チャーム)の呪文の効果をはじき返して、サキュバスを見た。
「お前は、なんのために人が死ぬまで生気をとる。サキュバスなら、人が死ぬまで生気をとらなくても、相手を変えればやっていけるだろう!」
「きゃははは!あたしは殺したいから生気を全部とってるの。あなたの生気もいただくわ」
サキュバスは、浮竹の生気を吸い取った。
「な、何この聖なる生気は!あなた、天使ね!おいしいわ、もっとちょうだい!」
体をくねらせて、吸い付いてくるサキュバスを、浮竹はホーリーインフェルノの魔法を唱えて、精神世界から叩きだした。
「きゃあああああ!!」
サキュバスは、浮竹の体から出てきた。
「なんなの!夢の中で魔法が使えるなんて信じられない。ここは、一度逃げるしか・・・ああああ!?これ以上外に出れない!」
サキュバスは、外に出ようとして、自分を封じこめている結界に呆然とした。
「それは、そういう結界を施してあるからだよ、マリンちゃん」
「京楽!?京楽なのね!お願い、あたしを助けて!あなたとは3回も関係をもったわ。ねぇ、助けてちょうだい」
「残念ながら、君は生気を食いすぎて人を殺し過ぎたせいで、駆除対象になっている」
「嫌よ!あたしは、自由に生きるのよ!もっともっと生気を吸って、あの方から力をもらうのよ!」
京楽は、あの方という人物が気になったが、とりあえずマリンという名のサキュバスを捕縛する。
「それは残念だったな」
浮竹がいつの間からか、眠りから覚めていた。
「お前は駆除対象だ。悪魔の一種だから、消滅させないといけない」
「嫌よ!もう、人の生気は食べないから、許して!」
「それは無理な相談だな」
マリンは、京楽の手で捕縛されていたが、風の魔法で浮竹を切り刻んだ。
「こうしてくれる!」
「僕の浮竹に傷を・・・・ダークフレア」
「ぎゃあああああああ」
マリンは、跡形もなく消滅した。
手元に残ったのは、魔石だけだった。
「浮竹、怪我は大丈夫!?」
けっこう深い傷もあったが、浮竹は魔法を唱える。
「セイントヒール」
全ての傷が嘘のように癒えて、血の跡も服の汚れや破けた部分まで元に戻っていた。
「君の癒しの魔法って、時間回帰じゃないかな」
「なんだそれは」
「だって、普通の回復魔法は傷を癒すだけで、服の汚れや破れた部分まで治せない。この壊れた机に、ヒールかけてみて」
置かれてあった、足が一本折れている机に、ヒールをかけると、その机は新品のようになってしまった。
「やっぱり、時間回帰だ・・・・このことは、絶対に内緒だよ。神の魔法だから」
「よくわからんが、他言無用ということだな?」
「そうそう」
サキュバス退治の依頼者であった人間の、マンションに住んでいた男性に討伐が終わったことと、その証の魔石を見せると、金貨100枚を支払ってくれた。
魔石は、冒険者ギルドに登録して、金貨5枚で買い取ってもらった。
「今日は、寝かさないよ」
「眠いんだが」
「君がサキュバスに憑りつかれている間、もやもやしてたんだから!マリンちゃんとあはんうふんしたんでしょ?」
「いや、体をくねらせて抱き着かれて生気を奪われただけだが」
「そんなの信じられない」
「んんっ」
深い口づけを受けて、浮竹はキングサイズのベッドに押し倒されていた。
「僕を欲しがって。ねぇ、十四郎・・・・」
「あ、お前が欲しい、春水」
ローションを手に、浮竹の後ろを解していく。
「もっと欲しがって」
「あ、お前をくれ、春水、春水」
「いい子だね。たくさんあげるからね」
「ああああああ!!」
熱に引き裂かれた。
「ひあう!」
最奥まで入ってきた熱に、意識がもっていかれそうになる。
京楽は、浮竹の中をじっくりと味わってから、浮竹の胎の奥に子種を注いだ。
同時に、浮竹も自分の腹に白濁した液体を出していた。
「ひあああ!!」
オーガズムでいくことを覚えた体は、女のようにいく。
浮竹は、オーガズムでもいっていた。
「あああ!春水、もっと、もっとお前をくれ。んっ」
激しい口づけを交わしあいながら、浮竹は京楽を求める。
それに応えるように、京楽は浮竹の中に精液を流し込む。
「あ、もっと・・・・もっと、めちゃくちゃにして?」
「十四郎・・・・少しの間で、こんなにエロくなちゃって」
「誰のせいだと、思っている」
「あっはー。僕のせいだね」
ズクリと奥を抉ると、浮竹は背を弓なりにしならせて、オーガズムでいっていた。
「もっといっぱいあげるからね。ぐちゃぐちゃになるまで、犯してあげる」
「あ、あもうやぁっ」
浮竹は愛されすぎて、思考も何もトロトロになっていた。
「まだ、いけるでしょ?めちゃくちゃにしてって言ったのは、君のほうだよ」
「あ、やあああ」
京楽の硬いものは、入り口付近まで出ていき、ズンと奥を貫かれた。
「やあああ、あああ!!」
「君のここ、すごいことになってる」
結合部は互いの体液とローションで泡立っていた。
「いやあああ」
「これが最後だから。しっかり受け止めてね」
「ひあああ!!」
6回目になる精液を浮竹の中に注ぎ込んで、京楽は満足した。
浮竹は最後のほうは意識も虚ろになっていた。
一緒にお風呂に入った。ぼーっとしている浮竹の髪と体を洗ってやり、中に出したものをかきだす。
「んあっ」
「もう、僕をあおらないでよ」
「京楽の手の動きがエロいせいだ」
「普通に後処理してるだけですぅ」
二人は、お互いを抱きしめ合いながら、同じベッドで眠るのだった。
祓い屋といっても、対象は基本討伐か浄化になる。
「ああ、ココアちゃん思い出すねぇ」
京楽は、サキュバスといわれて、1年と少し前に関係のあったサキュバスを思い出していた。
「今回のサキュバスは、対象者を死ぬまで生気を吸い取るらしい」
「わー、それは大変だ。討伐だね」
この世界は、現代によく似ているが、魔法が使えて魔族や天使族もいる、異世界だ。車が通っていたりするが、転移魔法もある。
妖怪もいればモンスターもいるし、霊もいる。
冒険者ギルドもあった。
祓い屋や退治屋は、ギルドに依頼するよりもかかる金額が好きなく、迅速に対応してくれるので、浮竹と京楽が始めた祓い屋は、今注目を浴びていた。
「とりあえず、事件の多発しているマンションに行こう。そこで俺が囮になって寝るから、お前が退治してくれ」
「ええ、危ないよ!」
「だからって、関係のない人間を巻き込むわけにもいかないだろう。それにセラフである俺の生気は、サキュバスにとって極上のえさになるだろう」
「仕方ないねぇ。囮は僕がなりたいところだけど、サキュバスには顔見知りも多いからね」
京楽の、昔の爛れた性関係の中には、サキュバスは多かった。
浮竹と京楽は、サキュバスによる被害で死者が相次いで出ているというマンションに車で向かった。
すでに事件がはじまってから、男性たちは避難するように引っ越したり、ホテルに泊まったりしているので、浮竹が囮になってサキュバスが憑りつく可能性は限りなく高かった。
浮竹と京楽は、飽き部屋を借りてべッドの周囲に魔法陣を描き、サキュバスが一度きたら逃げられないようにした。
「さて、寝るか。スリープの魔法をかけてくれ」
「分かったよ。くれぐれも無茶はしないでね」
サキュバスは夢の中に現れる。満足して去っていくくらいしか、捕まえる方法がない。
「スリープ」
京楽は、眠りの呪文をかけた。
浮竹は、すぐに深い眠りに入っていった。
浮竹は、父親である大天使長ミカエルと、母であるおぼろげな姿のアンヌがいたのだが、すぐに場面が変わった。
褐色の肌をくねらせて、体に巻き付いてくるサキュバスを、浮竹はその虜になるのではなく、魅了(チャーム)の呪文の効果をはじき返して、サキュバスを見た。
「お前は、なんのために人が死ぬまで生気をとる。サキュバスなら、人が死ぬまで生気をとらなくても、相手を変えればやっていけるだろう!」
「きゃははは!あたしは殺したいから生気を全部とってるの。あなたの生気もいただくわ」
サキュバスは、浮竹の生気を吸い取った。
「な、何この聖なる生気は!あなた、天使ね!おいしいわ、もっとちょうだい!」
体をくねらせて、吸い付いてくるサキュバスを、浮竹はホーリーインフェルノの魔法を唱えて、精神世界から叩きだした。
「きゃあああああ!!」
サキュバスは、浮竹の体から出てきた。
「なんなの!夢の中で魔法が使えるなんて信じられない。ここは、一度逃げるしか・・・ああああ!?これ以上外に出れない!」
サキュバスは、外に出ようとして、自分を封じこめている結界に呆然とした。
「それは、そういう結界を施してあるからだよ、マリンちゃん」
「京楽!?京楽なのね!お願い、あたしを助けて!あなたとは3回も関係をもったわ。ねぇ、助けてちょうだい」
「残念ながら、君は生気を食いすぎて人を殺し過ぎたせいで、駆除対象になっている」
「嫌よ!あたしは、自由に生きるのよ!もっともっと生気を吸って、あの方から力をもらうのよ!」
京楽は、あの方という人物が気になったが、とりあえずマリンという名のサキュバスを捕縛する。
「それは残念だったな」
浮竹がいつの間からか、眠りから覚めていた。
「お前は駆除対象だ。悪魔の一種だから、消滅させないといけない」
「嫌よ!もう、人の生気は食べないから、許して!」
「それは無理な相談だな」
マリンは、京楽の手で捕縛されていたが、風の魔法で浮竹を切り刻んだ。
「こうしてくれる!」
「僕の浮竹に傷を・・・・ダークフレア」
「ぎゃあああああああ」
マリンは、跡形もなく消滅した。
手元に残ったのは、魔石だけだった。
「浮竹、怪我は大丈夫!?」
けっこう深い傷もあったが、浮竹は魔法を唱える。
「セイントヒール」
全ての傷が嘘のように癒えて、血の跡も服の汚れや破けた部分まで元に戻っていた。
「君の癒しの魔法って、時間回帰じゃないかな」
「なんだそれは」
「だって、普通の回復魔法は傷を癒すだけで、服の汚れや破れた部分まで治せない。この壊れた机に、ヒールかけてみて」
置かれてあった、足が一本折れている机に、ヒールをかけると、その机は新品のようになってしまった。
「やっぱり、時間回帰だ・・・・このことは、絶対に内緒だよ。神の魔法だから」
「よくわからんが、他言無用ということだな?」
「そうそう」
サキュバス退治の依頼者であった人間の、マンションに住んでいた男性に討伐が終わったことと、その証の魔石を見せると、金貨100枚を支払ってくれた。
魔石は、冒険者ギルドに登録して、金貨5枚で買い取ってもらった。
「今日は、寝かさないよ」
「眠いんだが」
「君がサキュバスに憑りつかれている間、もやもやしてたんだから!マリンちゃんとあはんうふんしたんでしょ?」
「いや、体をくねらせて抱き着かれて生気を奪われただけだが」
「そんなの信じられない」
「んんっ」
深い口づけを受けて、浮竹はキングサイズのベッドに押し倒されていた。
「僕を欲しがって。ねぇ、十四郎・・・・」
「あ、お前が欲しい、春水」
ローションを手に、浮竹の後ろを解していく。
「もっと欲しがって」
「あ、お前をくれ、春水、春水」
「いい子だね。たくさんあげるからね」
「ああああああ!!」
熱に引き裂かれた。
「ひあう!」
最奥まで入ってきた熱に、意識がもっていかれそうになる。
京楽は、浮竹の中をじっくりと味わってから、浮竹の胎の奥に子種を注いだ。
同時に、浮竹も自分の腹に白濁した液体を出していた。
「ひあああ!!」
オーガズムでいくことを覚えた体は、女のようにいく。
浮竹は、オーガズムでもいっていた。
「あああ!春水、もっと、もっとお前をくれ。んっ」
激しい口づけを交わしあいながら、浮竹は京楽を求める。
それに応えるように、京楽は浮竹の中に精液を流し込む。
「あ、もっと・・・・もっと、めちゃくちゃにして?」
「十四郎・・・・少しの間で、こんなにエロくなちゃって」
「誰のせいだと、思っている」
「あっはー。僕のせいだね」
ズクリと奥を抉ると、浮竹は背を弓なりにしならせて、オーガズムでいっていた。
「もっといっぱいあげるからね。ぐちゃぐちゃになるまで、犯してあげる」
「あ、あもうやぁっ」
浮竹は愛されすぎて、思考も何もトロトロになっていた。
「まだ、いけるでしょ?めちゃくちゃにしてって言ったのは、君のほうだよ」
「あ、やあああ」
京楽の硬いものは、入り口付近まで出ていき、ズンと奥を貫かれた。
「やあああ、あああ!!」
「君のここ、すごいことになってる」
結合部は互いの体液とローションで泡立っていた。
「いやあああ」
「これが最後だから。しっかり受け止めてね」
「ひあああ!!」
6回目になる精液を浮竹の中に注ぎ込んで、京楽は満足した。
浮竹は最後のほうは意識も虚ろになっていた。
一緒にお風呂に入った。ぼーっとしている浮竹の髪と体を洗ってやり、中に出したものをかきだす。
「んあっ」
「もう、僕をあおらないでよ」
「京楽の手の動きがエロいせいだ」
「普通に後処理してるだけですぅ」
二人は、お互いを抱きしめ合いながら、同じベッドで眠るのだった。