忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
03 2025/04 4 7 8 10 14 15 17 20 21 22 23 24 25 2627 28 29 30 05

堕天使と天使

「にゃあ」

ある日浮竹は、道端で黒い猫を見つけた。

その黒猫は、浮竹の足元にすりついて、離れない。

「こら、早く行け」

「にゃあああん」

右足を怪我しているようで、獣医に連れて行こうと思ったのだが、あいにく日曜でどこの獣医も休診だった。

深い傷ではなかったので、とりあえず家に連れて帰り、前の飼っていた猫用のケージいれて、ペットショップへいって、猫缶詰とカリカリとチュール、ペットシーツ、砂などを購入して帰宅した。

「にゃあにゃあああ」

ケージに閉じ込めっぱなしだったので、黒猫は外に出してくれと訴える。

前の愛猫が死んで、まだ3カ月だ。

ペットロスにも悩んでいたことだし、浮竹はその黒猫を飼うことにした。

猫缶詰をあげると、ぺろりと平らげてしまった。カリカリもあげたが、興味はチュールのほうにむいていて、仕方なくチュールをあげると、黒猫はにゃあにゃあと喜んで食べた。

「お前の名前は黒いからクロだ」

「にゃああああ」

その日から一人と一匹の生活がはじまるはずであった。

浮竹は独身で、現在一人暮らしをしている。

職業は翻訳家で、ドイツ語を翻訳していた。出版社から仕事内容がパソコンで入ってくるので、出社するというサラリーマン人生とは無縁だった。

愛猫を15年間飼っていたのだが、老衰で死んでしまい、ペットショップに寄っては、次の子を迎えるか悩み、保護猫も見てみたが、いまいちぴんとくる子がいなかった。

前に飼っていた猫も、黒猫だった。

まとわりついてきた時、前の猫を思い出して、怪我もしているしついつい連れ帰ってしまった。

「とりあえず、明日獣医に連れて行こう」

浮竹は、その日の夜普通に寝た。クロがにゃあにゃあいうものだから、自分のべッドの隣を譲ると、そこでクロは眠ってしまった。

朝起きると、ベッドが狭かった。

「んー、なんだ?」

クロのせいかとも思ったが、何やらもっとでっかい物体に抱きしめられているらしい。

「ぎゃああああああああああああ」

浮竹は悲鳴をあげていた。

べッドの隣では、布団をかぶっているとはいえ、明らかに裸の男性が、眠っていて、自分を抱きしめていたのだ。

「ふあー。もう朝?おはよう」

「ぎゃあああああ、お前は誰だああああああああ!!警察、警察を!!」

「ちょっとよしてよ。僕を拾ったのは君でしょ?」

男性の言葉に、浮竹はとりあず距離をとる。

「そんなに威嚇しないでよ。僕だよ。君が名付けたクロさ。本名は別にあるけどね」

ちょうど、右足の怪我をしているところに、昨日浮竹はハンカチを巻いて応急手当をした。

ちょうと右手首に、そのハンカチがあった。

「はぁ!?クロが人間!?そんな馬鹿な・・・変な夢だ。寝直そう」

現実逃避する浮竹に、クロはクスりと笑って、背中の翼を広げた。

「僕の名前は京楽春水。黒猫は一時的な姿で、本当は天使だよ。おっと、元天使というべきか」

「はぁ!?」

浮竹は、壁でゴンゴン頭を殴っていた。

「僕は堕天使さ。人間と悪魔と天使の女性や男性と遊びまくっていたら、神様に怒られて天界から追放されちゃったんだ」

「よくできてる翼だな」

浮竹は、京楽の翼を触ってみた。

暖かく、ばさりと動いた。

「本物・・・・・」

「ということで、今日から君が僕のご主人様だから、よろしくね」

「よろしくね・・・・・じゃない!警察、警察!!」

京楽は、その辺にあった浮竹の服を着て、とりあえず裸でいることを止めて、浮竹を背後から翼で抱きしめた。

「ああ。俺の人生、これからどうなるんだろう。とりあえず、自己紹介だけはしとく。浮竹十四郎だ」

こうして、二人の生活が始まった。

京楽は気ままにふらりといなくなる。とりあえず、浮竹は仕方なく京楽の服を下着から靴下、靴に至るまで、買いそろえてやった。

そうでもないと、勝手に浮竹の服や靴で消えてしまうのだ。

黒猫でいる時間も長く、基本は猫なのだが、食事の時間になると、家事がへたくそな浮竹の代わり、京楽が家事をしてくれた。

たまっていた洗濯物とか洗い物をしてくれて、何故か一緒に買い物に出かけて、その日の食べるものを購入する。

京楽は人間の食事をした。

料理の腕は、お前そこらへんのレストランのコックかよってくらい、おいしい物を作ってくれた。

シャワーも浴びるし、服も着替えるし、寝る時はベッドが狭いので、猫になってもらった。

浮竹は収入はいい方なので、京楽一人くらいを養える収入はある。

でも、京楽は無職のまま、だらだらと過ごして1カ月が経った。

「なぁ、京楽」

「なんだい、浮竹」

もう見慣れてしまったので、浮竹は京楽が堕天使であることを受け止めていた。

「お前、昼の時間とかいないのに、何をしてるんだ?」

「やだ、僕に興味もちゃった?」

「違う、ただ純粋に」

「人間の女の子と遊んでる」

そう聞いて、浮竹はむっとなった。

「・・・・家賃を払え」

「ええっ、急にどうして」

「昼間からぶらついてナンパしているなんて・・・・」

浮竹は、心の何処かで寂しいと感じた。

「ごめん、余計な心配をかけたね?これからは、ちゃんと昼もいるから、泣き止んで」

その時、初めて自分が涙を流しているのだと分かった。

「これは、目にゴミが!」

「うん、そうだね」

京楽はどこまで優しかった。

浮竹は孤児であった。高校まで施設で過ごし、大学生になると同時にドイツ語の語学を習得して、ドイツに留学もした。

大学を卒業する頃には、英語もドイツ語もペラペラになっていた。

奨学金で学校に通っていたので、生活費だけをなんとかバイトで賄って、無事ドイツ語翻訳家として、小さいながらも立派な出版業界に入った。

仕事は自宅でOKだったので、浮竹は愛猫と一緒に、気が向いた問に締め切りまでに翻訳して、猫みたいな気ままな人生を送っていた。

「泣かないで」

抱きしめられて、浮竹の中で何かが弾けた。

「ああ、やっぱり、君はそうだったの。匂いで分かったんだよね。君は、天使だ。しかも上位の」

「はぁ!?俺が天使!?冗談も休み休み言え」

「じゃあ、その背中の翼は何?」

気づくと、背中には6枚の翼があった。

「それは最上位天使、セラフの証。君には、セラフと人間の匂いが混じっている。片親のどちからがセラフで、どちらかが人間だったんだろうね。人間とのハーフの天使は、幼少期まで育てられると、天界から追放されるから」

「俺が、セラフ・・・・・・」

京楽と接触したことで、これまで封印されていた浮竹の記憶が蘇る。

母であった大天使ガブリエルの元で、育った。たくさんの人間と天使のハーフたちと共に。

年齢が8歳になると、大天使ガブリエルは上からの命令で、子供たちを人間界に置き去りにした。

記憶の全てを奪って。

そうして、保護されて人間の施設で育ち、人間と天使のハーフは人間として生きていく。

ただ、天使と接触すると、記憶が戻る。

その時は天使として生きるのも自由とされた。

「ガブリエル母さん・・・・・・」

「おや、君の母役はあのガブリエルかい。あの乙女は優しいからね。それにすごくうまそうだった。あの子に育てられた君も、僕好みですごくおいしそうだ」

「俺を、食べるのか?」

「食べたいね。でも、別の意味で」

浮竹は顔を赤くして、京楽をクッションで殴った。

「俺はセラフと人間とのハーフだが、人間として生きる」

「ええ!セラフになれば、永遠を約束されるよ。平和な魂の番人として」

「俺は、今の生活が気に入っているんだ。今更、天使に戻る気なんてない」

浮竹は、そう言って翼をしまうと、寝てしまった。

「僕が君を食べたい言った意味、本当に分かってるの?」

眠っている浮竹の唇に唇を重ねた。

京楽は、今まで何十人の女性や男性と、種族を問わず交じりあった。

京楽の今のお気に入りは、浮竹だった。

だが、無理やり手に入れはしない。

こちらへゆっくり落ちてくるように仕向けるのだ。

京楽と浮竹の二人暮らしが始まって、3カ月が経とうとしていた。

京楽は昼にナンパにいくのをやめた。

昼は黒猫姿でひなたぼっこをしていた。

「にゃああ」

「なんだ。言いたい事あるなら、人型になれ」

「一度僕と交わってみない?きっと、天国にいけるから」

浮竹は、顔を真っ赤にして、京楽の鳩尾に拳を入れる。

「そういう会話は、女性にしろ」

「僕は男の子でもいけるんだよ?ただし、攻めだけど。浮竹が受けかな」

浮竹は更に真っ赤になって、京楽の顎に右ストレートを決めた。

「俺は、初めてだから、その」

「僕が優しく教えてあげるよ」

「お前は、今まで爛れた生活を送ってきたんだろう。その時だけの関係になるなんて、嫌だ」

「僕は、今君に恋をしているよ?君しか、今は欲しくない」

「俺は・・・・・・」

浮竹は、とさりと京楽の横に座った。

「どうすればいいのか、分からない」

「ただ、僕に身を委ねていればいいよ」

その日、浮竹は京楽に抱かれた。

「あ・・・・」

反応を示す浮竹のものをすりあげて、京楽は浮竹に吐精させる。

「ああああ!!」

何処で買ってきたのか、京楽はローションを用意していた。

とろとろになるまで解されて、前立腺ばかりをいじられて、浮竹はまた精液を放っていた。

「んあああ!!」

「君の中に入っていい?」

「バカ、聞くな」

ズッと、京楽のものが入ってくる。

痛かったが、浮竹は我慢した。

「ごめん、初めてだもんね?でも、これからメロメロにしてあげる」

「ああああ!!」

後は、もう快楽しかなかった。

何度も奥をこすりあげられて、抉られて、人生ではじめて女のようないきかたを知った。

「ひあああ!!」

「君の中に放つよ?」

「やああ、やあ!」

「ちゃんと後始末はしてあげるから。僕、基本ナマじゃないとだめなんだよね。でも、子種はないから、女性と関係をもっても、子ができる可能性もないし」

「んあああああ」

ぐちゅぐちゅと京楽の硬いものが出入りしていく。

京楽は、浮竹の胎の奥で精を放っていた。

「やああああ」

京楽のものは、まだ硬さを失っていなかった。

最後までつき合わされて、浮竹はぐったりとなった。

「ごめんね?久しぶりだし、君が恋しいから激しくなっちゃた」

「そういうことは、言うな、バカ!」

真っ赤になりながら、浮竹はクッションを京楽の顔面に投げつけた。

すでに後処理は終えてあり、二人は狭いベッドでお互いを抱きしめ合うように寝た。

次の日、起きると朝食の用意がしてあった。

「んー。今何時だ」

「9時だけど?」

「うわ、やばい!今日は出版社に行く予定だったんだ」

「時間ないの?」

「そんなことはないが」

出社するのは10時半だ。車で迎えば30分でつく。

「じゃあ、朝食食べていって。自信作なんだ」

朝食から、どこぞのコックの料理かというものを食べて、浮竹は車に乗り込む。

「じゃあ、すまないが留守を頼む」

「腰、平気?」

「殴るぞ。平気だ!」

「じゃあ、いってらっしゃ」

「ああ、いってきます・・・・」

こんな会話をしたのは、久方ぶりだと思いつき、浮竹は昨日のことを思い出して、真っ赤になりながら安全運転で車で出版社に向かうのだった。

拍手[0回]

PR

エンシェントエルフとダークエルフ40

人間社会と、魔王率いる魔族との戦争がいよいよ始まった。

だが、こんな日でもあくまで冒険者は冒険者で、傭兵ではないので戦争には出兵しない。

するのは王国や帝国の騎士や、兵士たちだ。

そんなこんなで、壊滅的ダメージを受けつつ、回復しつつあったイアラ帝国の騎士団も、またきな臭いことに巻き込まれようとしていた。

今回は、出兵する騎士たちに変わって、ダンジョンでスタンピード、いわゆる異常繁殖によるダンジョン外へのモンスターが溢れるを駆除する、定期的なモンスター駆除の仕事が回ってきた。

本来なら騎士団の仕事なのだが、魔族との戦争のせいでそれどころではないのだ。

浮竹と京楽は、Aランクダンジョンの異常繁殖したモンスターの群れを一掃していた。

「エターナルフェニックス!」

「カラミティファイア」

主に火属性の魔法で、出てくるモンスターを駆除していく。

魔石は念のため回収しておいた。

そのダンジョンは氷属性のモンスターが中心に出没するダンジョンで、氷女、アイスタイタン、アイスウルフなどが過剰繁殖していた。

倒しても倒しても、後から湧いてくる。

「寒いね」

「炎の魔法を出しているのに、敵が突っ込んでくる。こりゃ、今回駆除しておかなきゃ絶対スタンピード起こしてたな」

「そうだね。おっと、ダークフレア」

京楽は闇魔法の禁忌を放つ。

アイスウルフの群れに、闇の炎を投げると、それは巨大な炎となってアイスウルフの群れを消滅させた。

「京楽、魔石はちゃんと回収しておけ」

「ええ、こんな大量にいるんだし、めんどくさいよ。ダークフレア」

今度は氷女の群れを消滅させた。

「エターナルフェニックス!」

浮竹は、かろうじで魔石を回収できる程度の威力で殺していく。

普通のエターナルフェニックスでは、魔石ごと消滅しているが、大分威力を加減していた。

「ああ、もうめんどうだ。ダークフレア、ダークフレア、ダークフレア」

結局、京楽の魔法のせいで異常繁殖していたモンスターだけでなく、通常のモンスターも消し炭に変えられて、そのAランクダンジョンはしばらく深層までモンスターが沸かなくなるのであった。

浮竹が回収した魔石は、倒したモンスターの4割といったところだろうか。

それでも、冒険者ギルドで買いとってもらうと、大金貨400枚にはなった。

かなりの数を倒したので、しばらくの間あのAランクダンジョンではモンスターの沸きが甘く、深層まで行ってしまい、ラスボスにやられる冒険者がでてくるのだが、それはまぁ冒険者自身の責任となった。

「ええと・・・次はSランクダンジョンのモンスター駆除か。これは本腰を入れないとね」

「そうだな。行くぞ」

すでに何度かチャレンジしたことのあるダンジョンなので、空間転移でいけた。

キマイラ、コカトリス、バジリスクといった強力なモンスターが異常繁殖していた。

「ワールドエンド!」

京楽は魔法を放つ。

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン、3重詠唱【グラビティ・ゼロ】

ワールドエンドの禁忌でほとんどのモンスターの魔力を吸い込んで、3重詠唱の呪力魔法で異常繁殖したモンスターたちが、中身を大破させてひしゃげていく。

モンスターは、死ねば放置しておけばダンジョンが吸収してくれる。

冒険者の死体もまた然りであった。

「グラビティ・ゼロ」

また、3重詠唱の重力の魔法で、異常繁殖したモンスターたちを駆除して、ついでに魔石を抜き取った。

これといって素材になるモンスターではないので、死体は放置だ。

まだ、このダンジョンの深層には入っていない。

120階層まであるだが、80階層までしか到達していなかった。

80階層のボスが倒せずにいた。

80階層のボスは、エンシェントドラゴンであった。

いつか、ドラゴンを倒す、ドラゴンキラーを夢見て、二人は冒険を続けている。

「今度、エンシェントドラゴンに、挑むか」

「そうだね。80階層まではこれるけど、80階層を突破できずにいるからね」

ちなみに、最深部のボスはヒドラだった。

今はスタンピード対策で、ブルンを連れてきてはいない。

ちゃんと勝負を挑むなら、ブルンの神ヒールはどうしてもいる。

「なぁ、魔族と人間の戦争・・・お前の母親は、どうなるんだろうな?」

「さぁ?人間種族は弱いから、きっと大丈夫なんじゃないの」

「でも、師匠がいるだろう」

「そうだね。剣士の僕が、きっとなんとかしてくれるさ」

頼られないのは哀しいが、Sランク冒険者程度が首を突っ込んでいい戦争ではないのだ、今回は。

小さな小競り合いなら、依頼が回ってくることがあるが、全面戦争だ。

人間社会も魔族側も、どちらも大きな犠牲を払うだろう。

「とりあえず、Sランクダンジョンのモンスタ―駆除もおわった。一度、戻ろうか」

「うん。転移魔法かけるよ」

浮竹と京楽は、転移魔法でイアラ帝国の帝都アスランの冒険者前まできていた。

61~79階層ででた、ブラックサーペントやレッドサーペントを、大量にアイテムボックスに収納していた。

サーペント種族は肉が美味しい上に、皮は高級材料だ。

解体工房で100匹ほどのサーペントを出すと、解体工房の長が泣いていた。

「多すぎる・・・・解体には、2日ほど時間をくれ」

「うん、急いでないから」

「肉は少しだけ残しておいてくれ。料理に使いたい」

「あいよ。何人分を何食分だ?」

「2人分を3食分でいい」

魔石の買取り額は、大金貨1700枚だった。

2日後、ギルドの解体工房を訪れると、100匹分のサーペントの皮と肉を買い取ってもらい、2人分を3食分だけ残してもらった。

「100匹で、ちょうど大金貨1万枚だ」

「うわお、金になるねぇ」

「サーペントを定期的に狩る冒険者はいないからな。それができる奴は、ドラゴンを定期的に狙う。お前さんら、ドラゴンは倒せるんだろう?」

「さぁ?まだ、本気で挑んだことは2回くらいしかないから」

それには、災害ドラゴンのファイアドラゴンも含まれていた。

「いつか、ファイアドラゴンを退治してみたい」

「おお、叶うといいな。あれの討伐報酬金は白金貨2000枚だ。千年生きるエルフでも、3回以上は人生遊んで暮らせる」

「まぁ、今はこつこつ依頼をこなして実力をつけつつ、まずは普通のドラゴン退治だな」

「お前さんらなら、きっと近いうちにドラゴンも倒せるさ」

「そう言ってくれると嬉しいね」

こうしてスタンピード対策は終わり、騎士団の仕事は終わるのであった。

師匠である京楽の家には、魔族との戦争が起こってから、行っていない。行ってはいけないのだと、おぼろげながらに分かった。

藍染との決着をつけるのが、待っている。

師匠である剣士の京楽とその妖刀の精霊である浮竹と最後に会ったのは、半月前だ。

魔族関係で忙しくなると言っていた。

きっと、この戦争でもどこかで活躍しているのだろう。

「全てが終わったら、ぱーっと騒ぎたいな」

「あ、僕もそれに賛成」

「とりあえず、ブラックサーペントの肉で料理でも作るか」

「そうだね。高級肉だから、おしいくなるよ」

二人はマイホームに帰り、ブラックサーペントの肉でから揚げを作ったりするのだった。

本当なら、師匠のところに差し入れしたいのだが、今は叶わない。

早く、平和な時代がくればいいのにと、二人は思うのだった。

拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ39

依頼はSランクだった。

帝都アスランで夜な夜な出没するヴァンパイアロードを退治せよ。

最近、ヴァンパイアロードに血を吸われて死ぬ人間や亜人が後を絶たないのだという。

緊急クエストだった。

浮竹と京楽は、早速調査に乗り出した。

帝都アスランは、主要都市であるのでかなり広い。

が、被害者は南の位置に固まっていて、浮竹と京楽は、夜になるとヴァンパイアロードが現れるという地域を巡回した。

「ほお、エンシェントエルフか。珍しい。見た目も悪くない」

浮竹と京楽は、お互いソロで警戒に当たっていた。

そのヴァンパイアロードは魅了(チャーム)の力をもっており、それに浮竹が罠にはまってしまい、ヴァンパイアロードに血を吸われてしまった。

血を吸われた者は、死ぬかヴァンパイアロードのものになるかの2択だ。

浮竹は、後者だった。

「あ・・・マスター」

京楽の目の前に、ヴァンパイアロードに抱かれる浮竹の姿があった。

「浮竹を離せ!」

「この子は私のものだ。私の血族になってもらう」

「そんなの、許さない!」

京楽は、ワールドエンドの魔法を放った。

すると、浮竹がヴァンパイアロードを庇い、自らもワールドエンドの魔法を使う。

「ごめんね、浮竹」

京楽は、まず手刀で浮竹を気絶させると、ヴァンパイアロードから奪い取り、距離をとった。

「私のものを奪うというのか」

「この子は、僕のものだよ」

「貴様、ダークエルフであろう。闇の眷属同士、仲良くしようではないか」

「まっぴらごめんだね」

京楽は、手加減なしの闇の火を放つ。

「ダークフレア!」

「この程度・・・・」

ヴァンパイアロードは、結界を張った。

しかし、京楽のダークフレアの魔法の方が強くて、ヴァンパイアロードの結界の中に闇の炎が侵入してくる。

「ばかな、私の結界が破れるだと!?」

「目覚めろ、エンシェントエルフ!そのダークエルフを殺してしまえ」

意識を失っていた浮竹は、ふらりと立ちあがった。

操られているのは、見てすぐに分かった。

「マスターを傷つける者は、許さない・・・・」

「浮竹、しっかりして!僕だよ、京楽だよ」

「マスターを・・・マスター?」

「マスターは私だ。さぁ、そのダークエルフを殺してしまえ」

「ダークエルフ・・・」

浮竹は、ふらふらと京楽の元に向かって歩き出す。

「・・・・京楽?」

「そうだよ。よく、ヴァンパイアロードの支配下から脱出できたね」

京楽は、浮竹の頭を撫でて、セイントヒールで浮竹の傷を癒し、ヴァンパイアの出す絶対命令に背く浮竹の精神力に感嘆した。

「何故だ!何故、私が支配できない!私はヴァンパイアロードだぞ!?」

「浮竹のほうが力が強かった証だね。上位のものを支配下にはできない」

「くそ、こうなれば二人とも殺してくれる。出でよ蝙蝠ども!こいつらの血を一滴残さず吸い取るのだ!」

吸血蝙蝠が、湧き出してきた。

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン、3重詠唱【テトラボックス】」

「ぎゃあああああああ!!」

浮竹の放った魔法で、吸血蝙蝠たちは全て屠られて、ヴァンパイアロードの右手も吹き飛んでいた。

「浮竹、とどめは僕にさせて。一時でも、君を自分のものにしたあのヴァンパイアロードガ憎い」

「京楽・・・・・」

「ブラックホール!」

「私はヴァンパイアロードだぞ!たかが冒険者如きにやられるはずが・・・・・」

「残念。僕ら、Sランク冒険者なんだ」

「Sランク・・・・・くそおお」

断末魔の悲鳴を残して、ヴァンパイアロードはブラックホールの中に吸収されてしまった。

器用に魔石だけを取り出す。

「浮竹、念のために一度家に戻ろう。ブルンに、神ヒールかけてもらわなくちゃ」

「ああ・・・まだ、洗脳が解け切っていないようだ。お前を殺したいという欲求がある」

「君になら喜んで殺されるけど、君の意思じゃないなら嫌だね」

帝都アスランの中央に近い家に、空間転移魔法で戻ると、置いてきたいたブルンに頼みこんで、浮竹に神ヒールをかけてもらった。

「ああ、もう大丈夫だ。すまん、京楽。お前に刃を向けてしまった」

「操られていたんだから、仕方ないよ」

「それでも、自分が許せない」

「僕が許すから。だから、この件はもうおしまい」

「分かった」

冒険者ギルドに魔石を提出して、魔石だけで金貨200枚になった。

緊急クエストだったため、報酬金は大金貨千枚であった。

「うっきーちゃん、ヴァンパイアロードに噛まれたって本当?」

「ああ。魅了の罠にはまってしまってな」

「あたしが、メロメロにしてあげるわ~~」

「くるな、このドブス!」

「ああん?」

「青髭けつ顎オカマ!どブサイク!」

「うっきーちゃん、いい根性してるわね」

「師匠の剣士の京楽が、黙っていないぞ」

「ぐ・・・・・・」

剣士の京楽の名を出されて、キャサリンはそれ以上何もできなかった。

「うっは、浮竹すごい毒舌だね。よくもあのオカマにケンカを売れるね」

「あいつの弱点は師匠だ!」

かつて、キャサリンがSランク冒険者昇格試験で、剣士の京楽にボコボコにされながらも、かろうじて一本とってSランクになれたのだが、キャサリンにとって剣士の京楽は恐怖の象徴であった。

「報酬金ももらったし、帰るか」

「そうだね。最近の魔王の存在も気にかかるけど、僕らの出番はないしね」

Sランク冒険者の中で、魔王に勝てるものは多分いない。

「師匠、大丈夫だろうか」

「浮竹、僕らの師匠だろう。大丈夫さ」

「そうだな」

自宅に戻り、ブルンに大量のゴミをお礼に食べさせて、しかし京楽は行方不明と言われている母親である灼熱のシャイターンのことを思うのだった。

実際は生きて無事だったのだが、それを京楽が知るにはまた後にことである。


拍手[0回]

勇者と魔王

新勇者はイメチェンした。

鼻毛を伸ばして、三つ編みにしていた。

どこをどうすれば、鼻毛が三つ編みになるほど伸びるのかというと、最近贔屓にしている魔女の作った毛生え薬を頭に塗ったのだが、なぜか鼻毛がもさもさ生えてきたのだ。

苦情をいうと、「あなたの毛根は死滅しているから、代わりに鼻毛が伸びた」と言われて、鼻毛がなぜか愛おしくかんじて、伸ばしていた。

三つ編みにできるくらい伸びたので、毎日ケアを欠かさず、風呂に入る時はトリートメントまでした。

ちなみに、一部の鼻毛がちぢれてアフロになっていた。

そんな恰好で、魔王浮竹のと勇者京楽の元を、新勇者はパーティーで訪れた。

「ふ、このふさふさした鼻毛のように、大物になった俺を見ろ!」

頭は、はげていた。

かつらを被ることを止めた新勇者は、ありのままの姿だった。

パンツを頭にかぶり、女物のブラジャーとパンツをはいていた。

「なぜこんな変態な恰好をしているかだと!?それは、驚く相手の顔が面白いからだ!」

「ちょっと、魔王さん、こいつどうにかしてくれよ」

「そうよ、魔王さん、こいつのおつむを元に戻す魔法はないの?」

新勇者のパーティーは、魔王魔王と浮竹を頼ってきた。

4月に花見パーティーをして以来、浮竹は新勇者のパーティーメンバーと少しだけ仲が良くなったのだ。

「そうは言われてもなぁ。ここまで変態が重症だとなぁ」

「いっそ、全部燃やしちゃえば?」

「そうだな。バーストロンド!」

「ふっ、甘いな!」

「何!?」

新勇者は、魔法のバリアを作って、浮竹の魔法を防いでしまった。

「この俺が・・・・・新勇者に魔法を防がれた?」

レベル500に近い浮竹は、特別魔法を弱くしたつもりはなかった。

普通なら、一発で全身が焦げて、着ているものは燃えていただろうに。

「ほれほれほれほれ」

なぜか長い乳毛を見せてくる勇者に、浮竹は悪寒を感じて、京楽の後ろに隠れた。

「ちょっと、新勇者くん。君が変態すぎて、うちの浮竹が怖がってるじゃない」

「ふはははは!俺のこのいかした姿に、全世界が感動した!」

「勘当の間違いじゃないの?バーストロンド!」

ぼっ。

今度こそ、新勇者のかぶっていたパンツに火がついた。

「あちゃーーー!!」

新勇者は、パンツを投げ捨てて、股間に吐いていたパンツを頭に被った。

「頭は防御しなければいけない」

あまりの変態な姿に、新勇者のパーティーはかける言葉もない。

「ふっ。この俺がそんなにセクシーだなんて、今更だろう?」

「きもいんだよ、この新勇者!」

「乳毛ひっこぬいてやる!!」

「あああん、やめてええ!乳毛はだめえええ」

くねくねする新勇者に、みんな悪寒を感じて、一斉に攻撃を始める。

「フレアウィンド!」

「エアリアルエッジ!」

浮竹と京楽が魔法を使うと、女僧侶は祈りをこめた。

「ホーリーブレス!」

祈りは天に届き、罰を新勇者に与える。

「ああん、股間がふるおっきするううう」

おっきした股間めがけて、天の雷がくだる。

「ぐぎゃああああああ!!」

少年魔法使いが、最後の一枚であったブラジャーを、魔法で焼いた。

「ファイアブレス!」

新勇者は、素っ裸になった。

「ああ、この開放感、これぞまさに勇者!」

「どう思う、京楽」

「いや、どう思うって聞かれても」

「お前があんな勇者になったら、俺はお前と別れるからな」

「いや、まずあんな風にはならないよ」

京楽は、フルチンでくねくねしている新勇者を指さす。

「このかんじ・・・・呪いか」

浮竹の魔力探知に、新勇者の魔力が少し歪であるのが分かった。

「全く、面倒くさい・・・キュアカース!」

浮竹は、フルチンの新勇者のために、呪いを解除する魔法を使ってやった。

「いやあああああ!!裸だああああああ!俺の服はどこだあああ!!」

正気に戻り、裸であることに恥を感じる、元の新勇者がいた。

「ああ、元にもどった」

「戻りやがった」

青年戦士と獣人盗賊は、ポテチをポリポリと食べながら、二人で新勇者の変態ぶりに呆れて、会話にも参加しないでいた。

「あの魔女か。おい新勇者、お前あの魔女の作った薬を使ったな?あの魔女は露出度高いしぼんきゅっぼんで、ここにいる女僧侶のような寸胴な体ではなく、魅惑的だが、あの魔女は魅了(チャーム)の魔法をかけて、変な薬を服用させて、その様を水鏡で見ながら笑っているぞ」

少年魔法使いの言葉に、寸胴呼ばわりされた女僧侶が怒る。

「ちょっと、あたしはそんなに寸胴じゃないわよ!」

「そんなこと、どうでもいい」

「どうでもよくないわ!」

「黙ってろ。新勇者、鼻毛を三つ編みにしだしたのも、あの魔女のせいだろう。いい加減、目を覚ませ」

少年魔法使いにビンタされて、新勇者は。

「ぶった!親父にもぶたれたことないのに!」

とかほざいていた。

とりあえず、まだおっきしたままの股間を隠すために、少年魔法使いはマントを貸してやった。

「あの魔女のせいなのか。あの魔女、俺に気があるそぶりしてたのに」

「お前みたいな変態に気がある女なんていない」

「酷い!」

「本当のことだ」

浮竹と京楽は、新勇者も、新勇者のパーティーも無視して、午後のティータイムを過ごしていた。

「どうでもいいから、帰れ」

「そうそう、帰って」

「魔王、お前が俺の呪いを解除してくれたんだろう!俺の面倒を見る義務がある!金貨10枚くれ!!」

「バーストロンド!!!」

新勇者は、浮竹の魔法吹き飛ばされて、窓の外からはるかお星さまになるのであった。

新勇者のパーティーは、そしてまた何の収穫もないまま帰るのであった。

拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ38

ドラゴンは、大ざっぱに分けて2種類いる。

人語を解し、人型をとる真竜の竜族と、普通のドラゴンだ。

依頼は、そんな竜族からの依頼であった。

冒険者の中にも獣人やエルフ、ドワーフなどの亜人種もいるが、竜族は人とあまり関わりをもたないので、竜族が依頼を出すなど、とても珍しいことであった。

依頼内容は、死に至る毒の治癒であった。

その竜族は、まだ子供だった。

その母親のドラゴンが、魔族から毒を受けて魔大陸から戻ってきたのだという。しかも厄介なことに、どんな治癒術士でも治せない毒であった。

「俺たちが引き受けるしかないな」

「うん、ブルンがいるからね」

「あななたちが、引き受けてくださるのですか」

依頼を受注したと聞いて、真っ赤に泣きはらした目をした竜族の子供が、宿屋から冒険者ギルドにきていた。

「僕の名前はアレク。アレク・サンダーゾン。どうか、母のエルミナ・サンダーソンを助けてください!報酬は、僕の体の一部を売ってお支払います。だからどうか、どうか母を」

「顔をあげて。ちゃんと依頼は引き受ける限り、必ず治癒するから」

アレクは、ぱぁぁと顔を輝かせた。

「早速、母のところまで案内します」

「ん、馬車か?それともワイバーン?」

浮竹の疑問に、アレクを首を横に振る。

「僕の上に乗って下さい」

アレクは、町の広場に出ると、竜化した。

子供といっても、6メートルはあるだろうブラックドラゴンだった。

「きゃあああ、ドラゴンよおおお!!」

「うわああ、殺されるううう」

人々は逃げていく。

「さぁ、今のうちに背中に乗ってください」

「竜化するなら、帝都を出たほうがよかったね」

「すみません。でも、早く母を楽にしてあげたくて」

アレクのブラックドラゴンの背中に乗って、二人と1匹は、空を飛んだ。

「世界広しといえど、ドラゴンの背に乗って飛んだ冒険者なんて、いないだろうな」

「あ、それ僕も思った」

アレクは、休憩することなく10時間飛び続けた。

浮竹と京楽は、ドラゴンの背中で眠ってしまっていた。

ブルンだけが、ドラゴンと会話をしていた。

「そうですか。あなたが、毒の治癒を」

「くくるー」

任せろ、どんな毒でも治してみせるよ。

そうアークエンジェリングスライムから言葉をもらい、アレクは険しい崖が続く山脈に降り立った。

「ここが、竜族の里の入り口です」

巨大な洞窟があり、そこにアレクは人化して入っていく。

中に入ると、エルフなど見たことがない竜族たちの、好奇の的にされた。

「竜族っていっても、人化したら角があるだけで、ほとんど人間と変わらないんだね」

「アレク、このエルフたちは?」

竜族の里の、族長だという者が現れた。

「母さんの毒を治癒してくれる方々です」

「アレク・・・悪いことは言わない。母さんのことは、諦めなさい。あの毒は、禁忌の毒だ」

アゾムの毒といって、猛毒でどんな治癒魔法も解毒剤も効かぬとされている毒だった。

「でも、この方たちは治してくれます。見て下さい、アークエンジェリングスライムです。この神の魔法をもつスライムなら、きっと母さんを」

「エルフのそこの二人。怪しい真似をしたら、すぐに放り出すからな」

「おお、怖」

「俺たちは、この子の依頼を引き受けてやってきたSランク冒険者だ。ちゃんと、依頼を遂行して何もせずに戻る」

浮竹と京楽は、ドラゴンの背にいる間にそれぞれ自己紹介をしていた。

「こっちです、浮竹さん、京楽さん、ブルンさん」

「くくるーー」

ブルンは、4枚の翼で空をパタパタ飛んでいく。

アレクが辿り着いた先は、大きな館が立っていた。

「人間でいうところの、貴族ですか。僕の父が先代の族長の子でした。魔族に殺されてしまいましたが」

「お前の母親は、必ず助けて見せる。なぁ、ブルン」

「くくる!!」

屋敷の中の一番奥の部屋に、その女性はいた。

とても子持ちとは思えない、十代後半の姿をした少女だった。

「母は、エンシェントドラゴンの血を引いていて、実年齢より見た目が若いんです」

綺麗な少女だった。

「ブルン、いいか?」

「くくるーー」

ブルンは、神ヒールをエルミナにかけた。

青白い顔で、今にも死にそうに横たわっていたエルミナの頬に、赤みがさしてくる。

「うん・・・アレク?私は・・・・毒が、消えてる!?」

「母さん!」

アレクはエルミナに抱き着いて、泣きだした。

「よかった、本当によかった。母さんまで失ったら、僕は独りぼっちになってしまう。こちらのエルフの浮竹さんと京楽さんが、母さんの治癒の依頼を引き受けてくれたんです。それから、こちらのアークエンジェリングスライムのブルンさんが、母さんの毒を中和してくれたんです」

「ああ、アレク!よかった、私は死を覚悟していたけれど、生きられて本当によかった」

浮竹と京楽とブルンは、その後竜の里中でもてなされて、数日滞在した。

「そろそろ、帰らないと」

「ええ、もうですか?まだ1週間しか経ってませんよ」

「僕たちもエルフだから、時間の流れはあっという間に思えるけど、1週間もいないと、ギルドマスターが僕たちがドラゴンに食べられたじゃないかとかいって、葬式の準備してそう」

「あのブスのしそうなことだな」

「あ、じゃあ報酬金はギルドに預けていますが、これをもっていってください」

それは、竜の魂のオーブという秘宝だった。

竜族の心臓から作り出される代物だった。

「こんな大層なもの、もらえないよ」

「父の形見ですが、あるだけ無駄なので。どうか、金銭に変えて、冒険の役に立たせてやってください。あ、帰りも僕の背に乗って帰りますか?」

「いや、京楽が転移魔法を使えるから、そのまま魔法で帰るよ」

「転移魔法!すごいですね!」

「ドラゴンの知り合いができたって、あのオカマのギルドマスターに知られたら、なんかいろいろありそうだから、ここのことは秘密にしておこう、浮竹」

「ああ」

アレクは、竜化すると、浮竹のほっぺを舐めた。

それに、京楽がむっとする。

京楽を舐めることはなく、浮竹とブルンばかりを舐めるアレクに、京楽が冷たい声を出す。

「浮竹は僕の伴侶なんだ。あんまり、馴れ馴れしくないで」

「あ、そうだったんですか。ごめんなさい」

しゅんとして、人の姿にもどったアレクは、京楽にぺこりと謝った。

「京楽、らしくないぞ。もしかして、嫉妬か~?」

「もう、浮竹のばか!とにかく、帰るよ」

京楽は頬を赤くしながら、転移魔法を唱える。

着いた先は、冒険者ギルドだった。

中に入ると、すでに線香がたかれて、遺影を飾られた空の棺が2つあった。

「キャサリン、君ってやつは」

「このブス!」

「あらぁ、春ちゃんにうっきーちゃん、てっきりドラゴンに食べられてあの世にいったものだと・・・・」

「ドブス!!」

「うっきーちゃん、もっぺんいってごらんなさい?」

「このド・・・ムーーー」
京楽に口を塞がれて、冒険者ギルドで行われていた浮竹と京楽の葬式は、中止で終わった。

「何故止める。あのドブスに本当のことを言っただけだぞ」

「あのドブスはね、後が怖いんだよ。あれでもドラゴンキラーの称号をもつ、元Sランク冒険者のTOPだからね」

「まぁいい。報酬金を受け取ってくる」

報酬金は、大金貨千枚だった。

竜族もドラゴンなので、金銀財宝をためこむのが好きだ。

「このドラゴンの魂の秘宝は・・・・家に飾っておくか」

「うん、そうしよう。お金には困ってないし、ギルドに売ったら、竜族との関係を知られそうだしね」

「ブラックドラゴンかぁ。アレクは子供だが、かっこよかったな」

「浮竹、浮気は許さないよ?」

「ばか、違う。ドラゴンはかっこいいと言ってるんだ」

「竜族はね。普通のドラゴンは食うことと金銀財宝をためこむことくらいしかおつむがないから」

「あのファイアドラゴンも、竜族なんだろうな」

「そうだね。人語をしゃべっていたから、きっとその気になれば人化できるんじゃない。人化する必要のないドラゴンは、人化することを嫌うからね」

以前、討伐任務を受けて失敗した、災害クラスのファイアドラゴンのことを思った。

「ドラゴンキラーになるが夢だったが、竜族とこんなに親しくなると、竜族は退治できそうにないない」

「それでも、人に害なす場合は駆除しないと」

京楽は、アレクがまだ子供でよかったと思うのだ。

アレクの行為は、求婚に近かった。

異種族だが、人化した竜族と亜人が契れないことはない。

本当に子供でよかった。心から、そう思うのであった。



拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ37

それは、Aランクの依頼であった。

金の採掘場に、アクラネが住み着いたというのだ。

このままでは金の採掘ができないので、早めのを駆除をということで、Sランクの浮竹と京楽に回ってきた。

アクラネは上半身が人間の女性の、下半身が蜘蛛のモンスターだ。

これも人の知能を有していて、闇の渾沌の眷属でもあった。

闇の渾沌の眷属のTOPは、藍染である。

金の採掘場に住み着いたアクラネは、すでに採掘者を5人ほど食い殺していた。

イアラ帝国からみれば隣国の隣国になる、サウアー王国にそのアクラネは出た。

隣国までは転移魔法で、そこからは馬車で金の採掘場の近くまで運んでもらい、徒歩で採掘場に向かう。

いつもは人であふれかえっているのだが、今はしんとしていた。

「どうする?」

「坑道だからな。火と爆発の呪文はなしで」

ブルンもついてきていた。

坑道の中に入っていく。

段々、空気が濁ってきた。

「瘴気だ・・・・ブルン、なんとかできるか?」

「くくるー!」

ブルンは光ると、大気に向かってヒールを唱えて、瘴気を浄化してしまった。

「本当に、ブルンは偉いなぁ。食べ物はゴミだし、回復魔法は神クラスだし、状態異常の心配もないし、火と氷のブレスは吐けるし、酸弾もとばせるし、初歩なら魔法も使える」

「くくるーー」

ブルンは、照れて真っ白な体を輝かせていた。

まるで電球だ。

ブルンが明るいお陰で、照明はいらなかった。

かさかさかさ。

何か大きなものが動いた気配がして、振り返ると、一面蜘蛛の巣だらけになっていた。

「なんだこの蜘蛛の巣・・・粘着性があってとれない」

「アクラネの糸だな。仕方ない、炎で燃やす。フレイムロンド」

ぱちぱちと、アクラネの糸が燃えていき、浮竹と京楽は、蜘蛛の巣から無事脱出した。

「ちっ、エルフか。人間のほうがうまいのに」

現れたアクラネは巨大で、縦に2メートル横に3メートルはあった。

金の採掘場は広めにできており、大きなアクラネが住むにはちょうどいいサイズであった。

「ここで、獲物を待ち、食べていたのに、何故邪魔をする」

「お前も渾沌の闇の眷属か!」

「だから、どうしたというのだ」

「人間を食べると、冒険者が派遣されて殺されるのは、分かるだろう!」

アクラネは笑った。

「はっ、人間如きに何ができる。私は闇の渾沌の眷属。エルフ如きにも、遅れはとらぬ」

「エターナルアイシクルワールド」

「グラビティ・ゼロ」

氷の上位呪文で、アクラネの足から体が凍っていく。

そこに重力の魔法をかけた。

「ぐぐぐぐ、これしき!」

アクラネは、二人の魔法を耐えきった。

それには、浮竹も京楽も驚いた。

「私には、藍染様からいただいた血がある。この程度の攻撃で、倒れるわけにはいかぬ」

「ふーん。藍染の手下なんだ。じゃあ、禁忌放ってもいいよね?」

「京楽、坑道が崩壊しない程度にしろよ」

「わかってるよ。ブラックホール」

闇の禁忌の魔法に、アクラネが驚愕する。

「闇の禁忌だと。何故、ダークエルフであるお前が藍染様に逆らう!」

「僕はダークエルフといっても、闇の渾沌の眷属でもない。人間社会に溶け込んだ、ダークエルフのSランク冒険者だ」

ダークホールの魔法は、じわりじわりとアクラネを吸い込んでいく。

「く、糸を!」

糸を伸ばして、なんとか吸い込まれないようにしているその命綱である糸を、浮竹はミスリル銀の魔剣で切ってしまった。

「ばいばい。せいぜい、成仏することだ。あの世でな」

「おのれええ!藍染様あああああ!!」

ブラックホールの魔法は、アクラネを完全に吸い込み、閉じてしまった。

「じゃあ、戻ろうか?」

「待て。アクラネの巣が他にあるかもしれない。全部燃やしてしまおう」

「火の魔法はだめじゃなかったの?」

「一酸化炭素中毒を起こすかもしれないと考えたが、俺たちにはブルンがいるからな」

「くくーー」

空気の清浄化なら任せろと、ブルンは言っていた。

2時間ほど坑道を見て回り、蜘蛛の糸がはってある部分は焼いていった。

最後の巣で、大量の卵を見つけた。

「よかった、発見できて。発見しないまま帰っていたら、ミニアクラネが大量に生まれて、また依頼書がくるところだった」

卵を1つずつ完全に破壊しながら、浮竹と京楽は炎の魔法を放つ。

「フレイムロンド」

「ダークファイア」

こうして、アクラネは退治して、器用に京楽はブラックホールの小さい魔法を使い、アクラネの魔石だけを取り出した。

「器用だな。アクラネの体はどうなった?」

「ブラックホールに中で、消化されてしまったよ」

「京楽、ブラックホールの魔法は、なるべく人には向けるなよ」

「いや、今まで散々使ってきたしね。剣士の僕とかに」

「師匠は別格だ。それ以外で人に向けては使うなよ」

「分かってるよ」

二人は、空間転移の魔法で帝都アスランの冒険者ギルドに行き、アクラネの魔石を提出して、報酬金金貨350枚と、魔石は金貨50枚の買取りだった。

「ここ最近師匠のところに顔をだしてないな。ブルンもプルンに会えなくて寂しがっている。京楽、師匠の家まで頼めるか」

「仕方ないねぇ」

「手土産に、お稲荷さんを買ったので、それをもっていこう」

「お稲荷さんって」

京楽が苦笑しながら、転移魔法を使う。

師匠である剣士の京楽の家にきていた。

ジリリリリリン。

ベルを鳴らすと、剣士の京楽が出てきた。

『やぁ、君たちか。あがりなよ』

「ありがとうございます、師匠。これ、お土産のお稲荷さんです」

『丁寧に、どうも』

まるで近所の主婦のような会話だった。

『ああ、エルフの俺に京楽か。プルンは奥だぞ」

「くくるー」

ブルンが飛んでいくと、ゴッドスライムになったプルンが、体を黄色にさせて喜んでいた。

「ププウ!」

いつもは偉ぶっているのに、兄であるブルンの前ではかわいくなるのを、精霊の浮竹と剣士の京楽はなんとも言えない気持ちで見ていた。

「プルンにも、土産があるぞ。りんご20個だ」

「プププ」

もらってやらなくもない。

「くくるー?」

弟よ、どうしたんだい?

「ププウウウ」

あ、なんでもないよお兄ちゃん。

「最近、メデューサやアクラネといった、闇の渾沌の眷属の活動が激しくなってるんだが」

『ああ、うん、まぁねぇ。藍染の居場所が分かればいいんだけど』

「藍染か・・・。魔王とはまた違う、人間社会の脅威だな」

『藍染は魔族や魔王と繋がっていないからな』

「だから、余計に分かりくいんだね」

エルフの浮竹と京楽は、結局お土産にと持ってきたお稲荷さんを自分たちで食べてしまい、その上昼も食べさせてもらうのだった。


---------------------------------------------------------------

藍染は、笑っていた。

ワイングラスの中の血に、さらに血を注いでいく。

神人になれなかった、不老不死の偽物なので、命の火を灯していくには人間の血が不可欠だった。

ちなみに、邪教徒に崇められている邪神オルテガとは、藍染のことであった。

ワイングラスの血を全部飲み干して、狂気じみた笑みをまた浮かべるのであった。



拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ36

緊急クエストだった。

イアラ帝国の北部にある、イエクとう町にメデューサが3匹現れ、町の住民はみんな石化されて滅ぼされてしまったというのだ。

イエクの町から帝都アスランはそう遠くなく、このままいけば帝都アスランまでくるということで、緊急クエストになった。

Sランクの依頼で、浮竹と京楽が引き受けた。

大金貨をつみあげて、錬金術士から絶対に石化しないお守りを手に、馬車でイエクの町にむかった。

2時間ほど馬車で走ったところに、イエクの町はあった。

みんな、住民は石像と化していた。

「あらぁ、まだ石化していない人間がいたの」

「おねえさま、こいつエルフよ。おいしそうだわ」

「おねえさま、こっちはダークエルフよ?食べればきっと肌艶がよくなるわ」

闇の種族には、京楽がダークエルフだと分かるようだった。

メデューサはモンスターだが、知性があるために闇の渾沌の眷属でもあった。

メデューサ達は、散々好き勝手なことをしゃべって、浮竹と京楽を石化させようとした。

「どうして!?石化の呪いが効かない!」

「石化すると分かっていて、対策もなしに乗り込んでくるよなあほは、いないよ」

「なら、その石化の対策とやらを壊さすだけよ!」

メデューサの髪の蛇が伸びて、攻撃してきた。

それを、浮竹はミスリル銀の魔剣で切り落とす。

「おのれええ、エルフがあああ」

「おねえさま、魔法を使いましょう」

「そうよ、おねえさま」

「「「三重詠唱〈トリプルフレア〉」」」

すごい灼熱の炎が襲ってきたが、京楽が魔法を唱える。

「カウンターマジックシールド」

「魔法が反射されて・・・きゃああああ!!」

「いやああ、あたくしの美しい顔が」

「おねえさま、このエルフたちの魔力、恐ろしいわ!」

メデューサ達は、石化光線を何度も浴びせるが、一向に石化しない浮竹と京楽をぐるりと取り囲んだ。

「よくも、わたくしたちの魔法を反射してくれたわね。生きたまま食ってやるわ!」

メデューサは蛇の下半身で、浮竹と京楽を締め上げた。

「さぁ、最後に言い残すことはあるかしら?」

「ブス」

浮竹は、そう言ってミスリル銀の魔剣で蛇の下半身を切り裂いた。

「ぎゃああああ!!!」

出血がおびただしく、治癒魔法も再生も使えないメデューサは、そのまま死んでしまった。

「おのれ!よくもおねえさまを!こいつがどうなってもいいの!」

残っていた2匹のメデューサは、蛇の尾で捕らえられている京楽の首に、頭の蛇をけしかけて噛んでしまった。

「ふふふ、もう終わりよ。猛毒で、こいつの命ももってあと半日・・・・・・」

「だそうだぞ、京楽」

「普通なら、美女に囲まれて嬉しいところなんだけど、こんな蛇の頭をもった美女なんていらないね。ソニックブーム!」

スパスパっと、京楽が放った音速を超える刃で、メデューサ2体の首は、胴と離れていた。

「なぜ、エルフ如きが上位悪魔にも匹敵する、わたくしたちを、こんなに簡単に・・・」

「それは、僕たちがSランク冒険者だからだよ」

京楽の言葉に、メデューサ達は戦慄した。

「Sランク・・・世界に150人もいないと言われる、伝説の冒険者・・・・」

「頭と胴を切り離したのにしぶといな。灰となれ、フレイムロンド!」

「ぎゃあああああ!」

「いやああああ!!」

残っていたメデューサ2匹も死んでいった。

「さて、ここからが大変だよ。ブルン、大仕事だ。町の住民全員の石化を解かないと」

「これだけ規模の数になると、1日では無理か・・・・ブルン、とりあえず京楽の毒を中和してやってくれ」

「くくるーー」

ブルンは光って、京楽に神ヒールをかけた。

「お、体が楽になった。ありがとうね、ブルン」

「くくるーーー」

アークエンジェリングスライムになったブルンは、魔法の範囲も広くなっていた。10メートル範囲にいる者全ての石化した住民を、神ヒールで解いていく。

ブルンのもつ神ヒールは特殊で、呪いや毒も消せた。

「あれ、俺たちは確かメデューサに・・・・・」

「あああ、助かった。あんたたちが助けてくれたのか」

「ありがとう、ありがとう」

10メートル範囲といっても、広い町だ。

全員の石化を解く頃には次の日の昼頃になっていた。

ブルンは、浮竹と京楽が仮眠をとっている間も、ひたすら神ヒールを唱え続けていた。

「このスライム・・・へへへ」

「くくるーーー!!」

町の住民の一人が、ブルンを布で包みこみ、攫って売り飛ばそうと考えていた。

「ぎゃああああああ!!」

ブルンは炎のブレスを吐いていた。

「どうしたんだ、ブルン!」

「くくるーくるー」

「何、こいつが攫って売り飛ばそうとしていた?けしからんな、火傷の治療はしなくていいぞ。町長はいるか」

浮竹は、町長を呼び出し、男が犯罪行為に走ったことを告げて、男は捕まった。

「なんてやつだ!町を助けてくれた英雄のスライムさんを、攫おうだなんて!」

ちなみに、浮竹と京楽は適度に感謝された。

ブルンがゴミを食べると言い出すと、住民たちは喜んでゴミをもってきて、ブルンに食べてもらた。

「くくるーー」

町中のゴミを食べて、ブルンは満足したようだった。

「ありがたい。町の中心に、ブルン様の銅像を建てよう!」

「くくるーーー!!」

ブルンは、アークエンジェリングスライムになったことで、七色から白い色になっていた。

翼も2枚から4枚に増えていた。

頭の輪っかは光り輝き、まさにスライムでなければ天使で通る。

「ブルン、お疲れさま。休憩、とってもよかったんだぞ?俺たちが仮眠してる間もヒール唱えてただろう」

「くくるーーー」

「1日や2日くらい寝なくても平気だって?まぁそうかもしれないが、今は休んでくれ」

「くくるう」

ブルンは、浮竹の頭の上に乗り、早速眠りはじめるのだった。

「あの、これ少ないですが、受け取ってください」

町の町長が、かき集めた金貨をさしだしてきた。

冒険先で報酬をもらうのは違法ではないため、ありがたくいただいておいた。

金貨400枚ほどが入っていた。

メデューサの石化を防ぐお守りを錬金術士に作ってもらうために、大金貨300枚を出したのだ。それを2個で、大金貨600枚になった。

メデューサの魔石もちゃんと採取しておいて、死体は火葬にしておいた。

「もうないと思うが、何かあったら冒険者ギルドまで依頼を出してくれ」

「ありがとうございました、ブルン様!!」

みんな、浮竹と京楽ではなくブルンにばかり礼を言う。

まぁ、命の恩人であるのだから仕方ない。

冒険者ギルドに戻り、報酬の大金貨500枚をもらい、魔石を鑑定してもらって、魔石の買取り額は大金貨50枚だった。

何気に赤字だった。

錬金術士の知り合いは少なく、コネもないことで代金をふっかけられた。

ずっと使えるならいいが、有効期間は1年。

それで大金貨300枚は、高いのか安いのかわからないが、命の無事を保証してくれるなら安いほうだろう。

「ブルン、今日は特別だぞ。帝都アスランのゴミ処理施設に連れてってやる」

「くくるううう!!!」

ゴミ処理施設と聞いて、ブルンは涎を垂らしそうになっていた。

「くくる!」

「はいはい、今から連れてってあげるから。そんなに急かさないの」

ブルンは、結局食いだめができるため、帝都アスランのゴミ処理施設にあったゴミを、綺麗なまでに食べてしまうのだった。




拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ35

Sランクになり、はじめて引きう受けた依頼の内容は、数十年前からずっと残っている、ファイアドラゴンの退治であった。

イアラ帝国の更に南にある、ウズール王国のアサーニャ火山にファイアドラゴンはいた。

アサーニャ火山が噴火する時は、ファイアドラゴンの怒りだとされていた。

浮竹と京楽とブルンは、アサーニャ火山に空間転移でやってきた。

ドラゴンの住まいに忍び込み、まずは眠っているファイアドラゴンにスリープの魔法をかけて更に眠らせる。

その間に金銀財宝をありったけアイテムポケットに詰め込んで、ファイアドラゴンが目覚める頃には、自慢の金銀財宝がなくなっていた。

「GURURURURU!」

「お、お目ざめのようだな」

ファイアドラゴンは怒っていた。

自慢の金銀財宝が奪われたのだ。怒らないほうがおかしい。

その日、アサーニャ火山は噴火した。

「クリエイトアークエンジェル、クリエエイトロードオブサタン、三重詠唱「エターナルアイシクルフィールド」」

氷の禁忌の魔法を、3重でかけた。

ファイアドラゴンは凍り付いた。

しかし、数百年も誰も倒せなかったファイアドラゴンなだけあって、強かった。

氷の禁忌の魔法を打ち破り、凍り付いた体を炎のブレスで溶かしていく。

「ああ、やっぱ強いねぇ、ファイアドラゴンは。ワールドエンド」

終末の魔法の禁忌に、ファイアドラゴンの纏っている炎が吸い込まれていく。

「GYAOOOOOOO」

ファイアドラゴンは咆哮し、炎のブレスを浮竹と京楽に向かって吐いた。

「マジックシールド!」

炎のブレスは、京楽のはった魔法の盾で防がれた。

「GURURURU!」

ファイアドラゴンに、氷の属性をエンチャントしたミスリル銀の魔剣で切りかかった。

さっくりと、ドラゴンの尾がきれた。

「わお、尻尾がきれたぞ!」

「浮竹、後ろ後ろ!!」

浮竹の背後では、ファイアドラゴンが怒りを募らせて、ファイアブレスを上回る神の吐息ゴッドブレスを吐いてきた。

「ゴッドシールド×3」

それを、同じ神の盾で防ぐ。

1枚には完全に貫通し、2枚目にも罅が入っていたが、浮竹は無事だった。

ファイアドラゴンの尾をぶった切ってから、今度はファイアドラゴンの弱点である逆鱗を狙うが、ぶんと振ってきたファイアドラゴンの爪で浮竹は壁に吹っ飛ばされていた。

「いたたたた、きっつー」

「くるるるーーー」

すぐにブルンがヒールを賭けてくれたおかげで、本当なら骨折していただろうダメージもすぐに回復した。

「何用だ、人間どもよ。我の金銀財宝を奪った挙句、我の命まで欲するのか」

ファイアドラゴンは、流暢に言葉を発してきた。

さすがにそれには浮竹も京楽も驚いた。

「ファイアドラゴン、お前を退治しにきた!」

「その程度の力で・・・・・方腹が痛いわ!これが真のワールドエンドの魔法だ」

ファイアドラゴンは、ワールドエンドの魔法を使った。

噴火していた火山が静かになり、溶岩を飲みこんでいく。

「こっちも・・・・・京楽、お前も一緒に」

「「ワールドエンド」」

2重のワールドエンドの魔法が、ファイアドラゴンのワールドエンドの魔法を食った。

「ぐ、人間風情がやるではないか。おや、エルフであったか」

浮竹と京楽は、ありったけの魔力を注ぎこみ、巨大な氷の槍を作り出した。

「「スパイラルアイシクルスピア!!」」

「ぐおおおおおおお!!!」

ファイアドラゴンは、氷に翼を貫かれた。

「おのれ、エルフが。灰となれ!ゴッドブレス!」

なんとか残りの魔力でシールドを張ると、二人とブルンは空間転移の魔法で逃げ出した。

「さすがは災害クラスのドラゴン。まだ僕たちの腕じゃあ、倒せないね」

「でも、尻尾をもらったぞ」

何気に、浮竹は切り取った尻尾をアイテムポケットにいれていた。

「おまけに財宝もくすねた。ってなんか僕ら、盗賊みたいだね」

「ドラゴンはまた金銀財宝をためこむ。ドラゴンに挑んで金銀財宝だけを手に帰るSランク冒険者はいくらでもいる。この方法を教えてくれたのも、Sランク冒険者だった」

「うーん、金が増えて嬉しいけど、ファイアドラゴンにはちょっと悪いことをしたかなぁ。寝ているところを襲ったわけだし」

「ドラゴンに情けは無用だ!」

「そうだけど・・・・」

「まぁ、今回は火山も噴火させちゃったし、師匠にすごく怒られそうだ」

「ああ、剣士の僕なら怒りまくるだろうね。説教を、覚悟しておこう」


二人はいったん冒険者ギルドに立ち寄って、クエスト失敗と尻尾と金銀財宝をもってきたと話と、ギルドマスターのオカマのキャサリンがやってきた。

「いやん、うっきーちゃん、春ちゃん、Sランクになったからって、早速ファイアドラゴンの退治に行くだなんて、葬式の準備してたわ」

「ブス」

「ああん?」

キャサリンの額に血管が浮かぶ。

「ブ・・・・むーーー」

「ドラゴンの尻尾があるんだ。買いとってもらえるかな」

「ドラゴンの尻尾ですって!ちょっと先だけとかじゃないでしょうね?」

「けっこう尻尾の部分は尻に近い」

「すごいわ!これでドラゴンの鱗と骨と血と肉がとれるわ!ギルドで買いとりたいから、解体工房に出してちょうだい」

浮竹はまだ何かを言いたそうだったが、京楽が首を横に振る。

浮竹は気持ちを切り替えて、解体工房で5メートルはあるであろうドラゴンの尻尾をだした。

「わお、すごいね。ドラゴンの素材を扱うのは20年ぶりくらいだ」

解体工房の解体作業員の頭が、血と肉と鱗と骨に解体してくれた。

「合計白金貨5枚だ」

「すっご」

「うひゃあ、ドラゴン素材ってだけでそんなにいくんだねぇ」

「おまけで、金銀財宝をくすねてきたんだが」

「なんですって!出しなさい!」

金銀財宝も、冒険者ギルドのほうで買いとってもらった。

白金貨3枚になった。

イアラ帝国の冒険者ギルドでは、白金貨を流通させてあるので、支払いは白金貨であった。

「白金貨8枚か・・ファイアドラゴン討伐の報酬金が白金貨2千枚。それに比べたら少ないけど、はじめてのSランクの冒険にしては稼いだね」

「師匠のところに行こう。多分、火山を噴火させたことで怒ってそうだ」

「ああ、それはあるかも」

こうして、白金貨8枚を手に入れた二人とブルンは、空間転移で師匠である剣士の京楽の元へとやってきた。

にこにこにこ。

笑っている静かな剣士の京楽の笑みが、怖かった。

『君たちねぇ、ファイアドラゴンに挑むなんて早すぎだし、おまけに火山まで噴火させて!』

師匠は、大変お怒りであった。

「なんで、ファイアドラゴンが噴火までするほど怒ったの」

「それは、ファイアドラゴンが眠っている間に、金銀財宝を全てくすねたせいであります!」

エルフの京楽のキャラがちょっと変わっていた。

『ああ。そりゃ怒るよ。どこのドラゴンでも怒る。君たちは全くもう!』

正座させられて、3時間ほどお説教を延々とうらう羽目になり、エルフの二人はドラゴン討伐はしばらくの間引き受けないと心に誓うのであった。


----------------------------------------------------

「あー疲れた」

「僕は足がしびれたよ」

『ホットミルクでも飲んで』

精霊の浮竹にホットミルクをもらい、エルフの二人は痺れた足をマッサージしていた。

『幸い今回の噴火は小規模で人的被害が出なかったからいいけど、最悪Sランク冒険者の資格剥奪もありえるから、注意してよ』

「はい、師匠」

「分かったよ」

『あと、寝ているドラゴンの巣に勝手に入ってきて、金銀財宝を盗まないこと!自分たちがSランク冒険者だというのを自覚して、お手本になるように行動すること!』

「はい、師匠」

「分かったよ」

師匠である剣士の京楽は、この二人、本当に分かっているのだろうかと、ちょっと心配になってくるのであった。

「くくるー」

ブルンが、お説教されている間中、プルンと遊んでいた。

「ププウ」

プルンの進化も近いようで、その日はお説教を受けて終わるのであった。

拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ34

いろんな出来事があった。

気づけば2年が経ち、Sランク昇格試験の日が目の前に迫っていた。

浮竹と京楽は、この日のためにSランクの依頼ばかり受けて、切磋琢磨していた。

浮竹と京楽にとって、念願のSランク昇格試験の日がやってきた。

「荷物よし、武器よし、体調よし、魔力よし、京楽よし」

「ねぇ、なんでそこで京楽よしなの」

「いや、京楽とぺアで挑む試験だからな」

「くくるー」

ブルンは、エンジェリングスライムから進化して、アークエンジェリングスライムになっていた。

「くくる」

「がんばれって?ああ、がっばってくるぞ」

こうして、浮竹と京楽は、Sランク昇格試験の第一次試験である、魔法使いの試練を受けることになった。

ブルンは、試験会場で試験官たちに預けることになった。

「では、この的ををまずはたくさん破壊してください」

「おいおい、ミスリル銀だぞ。破壊なんて、できるわけが」

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン。3重詠唱【テトラボックス】」

浮竹は、無の圧縮呪文でミスリル銀の大きな的を、全て豆粒大の大きさにしてしまった。

「浮竹選手クリア!次、京楽選手!」

「ブラックホール×5」

京楽は、ブラックホールの禁忌で的をまとめて吸い込んでしまった。

「ああ。破壊するんだっけ。今だすから」

ブラックホールから出されらミスリル銀の的は、砂粒になっていた。

「京楽選手クリア!」

「ふふ、今年は粒ぞろいね。それにしても、ダークエルフと組むエンシェントエルフ・・・気に食わない。個人的には不合格にしたいんだけど」

「ちょっと、試験管さん、僕がダークエルフだからって不合格はないでしょ」

「ふん、ただ不合格にしたいっていっただけよ。実際にするわけじゃないからいいんだもん」

こうして、一次試験を、浮竹と京楽はクリアしたのだった。

二次試験は、疑似ダンジョン攻略であった。

中は迷宮で入り組んでいたが、魔力感知で道をたどっていくと、ボスがいる扉の前にきた。

疑似ドラゴンのカイザードラゴンが用意してあった。

「クリエイトアークエンジェル、クリエイトロードオブサタン!三重詠唱![テトラボックス]!」

「シャドウストライク!」

カイザードラゴンのブレスを相殺さらに過剰な力がカイザードラゴンにふりかかる。

もっと苦戦するものだと思っていたのだが、それであっさりと倒してしまった。

「え、終わりか?はっ、真のボスがまだどこかに!?」

「浮竹、油断しちゃだめだよ」

疑似カイザードラゴンは、消滅した。

いつまで経っても他にモンスターがわかないので、財宝の間にやってきた。

今回のSランク試験官の古代エルフのエマ、古代ドワーフのドゥニ、そして剣士の京楽がいた。

『合格だよ。よかったね』

「やったな、京楽!」

「うん、2次試験もクリアだよ!」

二人はハイタッチした。

3次試験は明日ということになった。

その日は宿で十分な休息をとり、魔力を回復させた。

やがて次の日がきて、浮竹と京楽は3次試験、最終試験に挑んだ。

75人が残っていたが、浮竹と京楽は最終試験の番号は一番最後だった。

その内容は過酷なものだった。

二人にとって師匠である、剣士の京楽を倒せというものだった。

最初は試験官は誰だろうとか気楽な気持ちでいたのだが、気を引き締めないと殺されると分かった。

剣士の京楽は、妖刀と抜くと自らの魔力を解放した。

「なんて魔力だ。まるで竜巻だ」

「本気でかからないと殺されるよ!」

「ブラックホール!」

「ライトニングダート!」

エルフの京楽は闇の禁忌を、浮竹は風の魔法を放つが、剣士の京楽は手を掲げただけで魔法を打ち消してしまった。

『もっといけるでしょ?それとも、もう限界?』

「まだまだ!「クリエイトアークエンジェル!」二十詠唱『テトラボックス!!』」

浮竹はさらに次の魔法を唱える。

「フェンリル!エターナルアイシクルワールド!」

氷の魔狼フェンリルを生み出し、氷の魔法で師匠である京楽に魔法を放つ。

エルフの京楽も魔法を使った。

雷に禁忌であった。

「サンダーボルテックス!」

しかし、剣士の京楽はぴんぴんしていた。

「手傷も負わせれてないね!」

「さすが、師匠。めちゃ強い」

エルフの浮竹は、ミスリル銀の魔剣を抜き放ち、京楽と斬り合った。だが、力の差がありすぎて、まともな斬り合いにならない。

「エターナルフェニックス!」

剣に不死鳥をのせて、剣士の京楽を焼いていくが、剣士の京楽は無傷であった。

「ダークネスサンシャイン!」

エルフの京楽が、黒い太陽を作り出す。

じゅわっとその場の水分が干からび出す。剣士の京楽に向けて放ったが、剣士の京楽は何か言葉をつぶやいて、黒い太陽を握りつぶしてしまった。

「くそ、強いな」

「そうだね。でもまだまだ!」

「クリエトドラゴン!カイザーブレス!」

浮竹は人工竜を作り出して、炎のブレスで攻撃する。

京楽のその炎に乗せて、闇と炎の禁忌を放つ。

「ダークネスフレア!」

炎は、剣士の京楽を飲みこんだかに見えた。

だが、剣士の京楽は結界をはり、禁忌を防いでしまった。

そして、エルフの二人は剣士の京楽に手傷を負わせられた。

「セイントヒール」

京楽が負った怪我を回復魔法で癒す。

「ここまで来たんだ!諦めてたまるか!」

「ああ、そうだな!京楽とSランクになるって決めたんだ!」

二人は、諦めない。

『さぁ、かかっておいで。実力を見せてごらん。こんなんじゃ、藍染めも僕も倒せないよ』

「クリエイトロードオブサタン。クリエイトアークエンジェル。三重詠唱「ワールドエンド!!」」

エルフの浮竹は人工悪魔と人工天使を作り出し、禁忌の中の禁忌を放っていた。

『く、3重の禁忌かい。やるねぇ。でも僕も負けてないよ』

剣士の京楽は、妖刀を解放して、右半身が精霊の浮竹になっていた。

「この尋常じゃない魔力・・・」

「僕に案がある」

「分かった、それに乗ろう」

「メテオスォーム!」

エルフの京楽は、エルフの浮竹より前に魔法を放った。

エルフの京楽が放つ魔法の合間をぬってエルフの浮竹は京楽との距離を詰め一撃を撃ち込む。ただではやられないため鍔迫り合いになった

「エターナルフェニックス!」

浮竹は、自分ごと魔法を放ち、剣士の京楽めがけて不死鳥は炎を燃やした。

「俺たちはあなたに勝つんだ!」

ドゴーンと爆発音がした。

「浮竹!」

エルフの京楽が言葉をかける。

煙が晴れると、そこには京楽の腹部に剣を刺したエルフの浮竹がいた。

『君たちの勝ちだね』

「師匠、大丈夫ですか!」

エルフの浮竹は、青白い顔をしながら剣を抜き取る。

それと同時に京楽は後ろに倒れるが、いつの間にか現れた精霊の浮竹が受け止めて地面に横にする。

『ボクに勝ったんだ。堂々とてなさいな』

そうして、エマとドゥニがやってきて、二人はSランク試験合格と認められて、称号をもらうためについていくのであった。

「師匠は大丈夫だろうか」

「不老不死の神人でしょ。大丈夫に決まってるよ」

「うん、そうだな」

エルフの二人は、1次試験と2次試験の監督から、Sランク昇格の言葉を承り、称号であり証であるミスリル銀の冒険者カードをもらった。

『それにして、あそこまで強くなっているとは思わなかったよ』

『そうだな。でも、愛弟子たちがSランクになって嬉しいだろう?』

「そうだね。修行をさせたかいがあるってものだね』

剣士の京楽と精霊の浮竹は、静かに寄り添い合うのだった。


-------------------------------------------------------------------

「Sランクおめでとう!」

「ありがとう!」

「ありがとね」

「いやん、うっきーちゃんも春ちゃんも、ついにSランクになっちゃったのね!」

その日は、Sランクに昇格た祝いを祝して、酒場を貸し切って飲み放題食い放題にした。

ここぞとばかりに、F~Dクラスの下級冒険者が食事に群がっているが、祝いなので気にしない。

「後で、師匠の家にいってみる?」

「そうだな」

祝いの夜も過ぎていき、翌日の朝に剣士の京楽の家にエルフの京楽の空間転移魔法でやってきた。

『あ、やっぱきたきた。Sランク昇格を祝して、飲もう!』

「ええ、昨日飲み会したばっかりなのに」

『師匠の酒が飲めんのか~~』

気楽な剣士の京楽に、精霊の浮竹がワインの入ったグラスをエルフの二人にもたせて、4人で乾杯した。

朝食がまだだったので、少し朝食には豪華な料理を食べた。

『昨日はきっとそっちで祝ってるだろうと思って』

「ああ、うん、冒険者ギルドの酒場貸し切って祝いしてました」

「けっこうな金額が飛んでいったけど、Sランクの依頼を1件こなすだけで元は取り戻せるからね」

『とにかく、おめでとう』

『おめでとう』

「ああ、師匠に改まってそう言われると照れますね」

「僕の夢が叶ったからね。幸せだよ」

『うん、良かった』

剣士の京楽は、新たなるSランク冒険者を心から祝うのであった。

結局、エルフの二人は師匠の家で朝っぱらから飲み明かして、深夜近くまで騒ぐのであった。








拍手[0回]

始祖なる者、ヴァンパイアマスター

藍染が滅びて5年が過ぎようとしていた。

古城は相変わらず平和で、血の帝国からはブラッディ・ネイをはじめ、白哉、恋次、ルキア、一護、冬獅郎がよく遊びに来た。

人間社会からは、乱菊とその子供が。乱菊はギンという青年と結婚し、女の子を一人もうけていた。

「浮竹さん、マイカにミルクやっといて!」

「こら、乱菊どこに行くんだ!」

「近所のスーパーで今大セールやってるのよ!行かなきゃ損よ!さぁ、京楽さんもいくわよ!」

「なんや、乱菊、京楽さんもさそいはったんか」

「ギン、さぁ行くわよ!主婦たちとの格闘よ!」

「なんで僕まで・・・・・」

京楽は文句を言いつつも、乱菊とギンと一緒にスーパーに行き、お一人様1品のものを購入するのであった。

その頃、浮竹は乱菊の子であるマイカに哺乳瓶でミルクをあげて、おしめを変えてやった。

「あ、そろそろマンドレイク収穫しないと」

浮竹は、背中にマイカを背負い、マンドレイクの収穫を始めた。

「ぎゃああああ」

「ひいいいいい」

「うげろおおおお」

いろんな悲鳴をあげる、中庭のマンドレイクを収穫していく。

「あ、やばい、マイカの存在忘れてた!!」

マイカを見ると、キャッキャと喜んでいた。

それもそうだ。魔女と魔族の間の子供なのだから。

人間ではないので、マンドレイクの死の悲鳴を聞いてもケロリとしていた。

「よし、今日の昼はマンドレイク入りのポトフだ」

新鮮なマンドレイクが収穫できたので、マンドレイクを刻み、野菜を切って、コトコト煮込み、切ったソーセージをいれて、味付けをして出来上がった。

「一人で食べるのは寂しいな。神界へ行こう」」

マイカは眠っているので、ベビーベッドに寝かせた。

鍋をもって、神々が集う神界に、立ち入る許可をもらった指輪で訪れていた。

「なんだ、お前か」

「ルシエ―ド、マンドレイク入りのポトフを作ってみたんだ。食べてみないか」

「分かった。もらおう」

周囲の神々は冷や冷やしていた。創造神ルシエードは、最高神に値する。無礼を働くと、抹消される可能性があった。

ルシエ―ドは、マンドレイク入りのポトフを食べた。

「ふむ。悪くはない。マンドレイクが味をより一層引き立てている」

「お、やっぱりそう思うか。ありがとう、ルシエード。じゃあ、俺は戻るな」

浮竹は、自分の父である創造神ルシエードによく会いにきた。

神界に出入り自由な指輪をもらい、焼いたお菓子だとか、夕飯だとかを運んだ。

通常、神々は食事を必要としない。

けれど、ルシエードは食べた。愛しい我が子の作ってくれたものだからと、マンドレイクの味が好きになっていた。


「うわぁ、何このポトフ。マンドレイクの顔が浮いてる・・・」

帰ってきた京楽の一言に、浮竹がむっとなる。

「ルシエードは悪くはない、マンドレイクの味がいいって言ってたぞ」

「気のせいでしょ」

「とにかく食え!」

スーパーの戦利品をアイテムポケットから出していく京楽の口に、無理やりマンドレイク入りのポトフを入れる。

「ぎょええええええ」

京楽は、叫んですぐにキッチンにいってしまった。

「浮竹、塩とタバスコ間違えたね!?めっちゃ辛いよ!」

「え、そうか?ちょうどいい辛さだと思うんだが。ルシエードも悪くないと言っていたし」

「それ、絶対世辞だから」

「いいから、もっと食え!最後まで食え!」

浮竹に無理やり食べ去られて、京楽は灰になりそうだった。

「おぎゃあおぎゃああ」

「ああ、マイカが泣いてる」

「あら、いいわよ。ちょうど連れて帰るところだったの。またね、浮竹さん」

「ああ、またな乱菊」

「僕がおぎゃおぎゃあと泣きたいよ」

浮竹は、奇妙な物体を見る視線で京楽を見た。

「なんだ、赤ちゃんプレイがしたいのか?」

「違う!君のポトフで、僕は泣きたいってこと」

「そうか、泣くほどうまいか。また作ってやるからな」

「ああもう、君は!」

京楽は大きなため息を吐いた。

次の日は、ブラッディ・ネイが遊びにきた。

「兄様、女体化ごっこしない?」

「するか、この阿呆が!」

ブラッディ・ネイに生きたマンドレイクを投げた。

「ぎゃああああ、マンドレイク!」

マンドレイクは、ブラッディ・ネイと視線を合わせて叫んだ。

「もぎゃあああああああ」

「あぎゃあああああ」

ブラッディ・ネイも負けずに叫ぶ。

ブラッディ・ネイは、昔浮竹のマンドレイク入りの料理を食べて、マンドレイク恐怖症になっていた。

「ボク、帰る!」

「ああ、帰れ!」

「酷い、兄様のバカ!」

「たかが生きたマンドレイクで恐怖するなんて、まだまだお前も青いな」

「悪かったね!べーだ」

そうして、ブラッディ・ネイは帰っていった。

次の日になって気づく。

その日は、ブラッディ・ネイの生誕祭だった。

「ああ、ブラッディ・ネイのやつ、肝心なことを言い忘れたのか」

仕方なく、京楽と二人で血の帝国にやってきた。

「兄様、きてくれたんだ。この3年間、放置されてたけど、ちゃんと覚えててくれたんだ」

「3年間はすっかり忘れていた。ほら、3年分と今年の分のプレゼントだ」

浮竹がアイテムポケットから出して放り投げたのは、生きたマンドレイクのつまった袋だった。

「ぎゃああああああ!!」

ブラッディ・ネイは叫んで、マンドレイクを京楽に無理やり押し付けた。

「のああああああ!!」

京楽も生きたマンドレイクが苦手なので、なぜか白哉の手に渡っていった。

「なんだ、これは」

「ぎゃあああああ!!」

悲鳴をあげるマンドレイクを、不思議そうに白哉は見ていた。

「食べ物なのか?それとも、呪術に使う媒介か何か・・・」

「あ、白哉さんそれこっちで処理しときますんで」

恋次が、白哉から生きたマンドレイクを渡してもらい、生きたマンドレイクはそのまま女帝の厨房に行くこととなり、調理されてその日の晩のフルコースのスープに出てくるのだった。

「まぁ、マンドレイクは冗談だ。これをやる」

それは、大きなサファイアでできたネックレスだった。

「俺の錬金術で、氷の魔法が付与されている。暑い時とかにつけると涼しくなる」

「これから、夏だもんね!ありがとう兄様、大好きだよ!」

抱きついてきて、尻を触ろうとしていたブラッディ・ネイを手だけで押しやって、浮竹はその日の晩は、京楽と共にブラッディ・ネイの宮殿に泊まった。

夕食のフルコースメニューのスープには、マンドレイクの顔が浮かんでいた。

「マンドレイクをスープにしたのか」

「誰だ、こんなのスープに入れた奴は!」

ブラッディ・ネイは、怒った。

「料理長です。しかし、マンドレイクは美容にもいいとのことで、味は悪くないはずと料理長がおっしゃっていました」

「ふーん、美容にいいのか」

ブラッディ・ネイは、マンドレイクのスープを一口飲むと。

「おいしい!」

そう言って、残さず飲んでしまった。

「おかわりある?」

「料理長がさぞ喜ぶでしょう。おかわりを今、お持ちしますね」

男性は、オウカ・ザンペルという名で、5年前に採用されて、ブラッディ・ネイの執事のような存在で、周囲の世話をよくしてくれていた。

「ブラッディ・ネイをよく世話してやってくれているようで、兄である俺からも礼を言わせてくれ」

「そんな!浮竹様からそのような言葉をかけていただけるだけで、幸せ者でございます」

とても礼儀よく、恐らく貴族出身であろう。

「オウカの妹はボクの寵姫なんだよ」

「愚昧が迷惑をかける」

「えー。何それ兄様」

「本当のことだろうか。愚妹で何か困ったことがあれば、俺に相談してくれ。できるだけの対処はする」

「いえ、没落寸前の我がザンペル家を救っていただき、妹は寵姫にまでなれました。ブラッディ・ネイ様には感謝の心が絶えません」

「ほら、こう言ってるじゃない。それに寵姫としてオウカの妹は愛しているし、大丈夫だよ?」

夕飯に出たマンドレイクのスープは本当においしく、一流のシェフが作った味なのだが、京楽の作ったマンドレイクのスープの味に似ていた。


----------------------------------------------------------------------


その日、京楽はこそこそしていた。

「じゃあ、毎度、京楽さん」

マイカをおぶった乱菊から何かの薬品を買って、京楽は周囲を見渡した。

そして、キッチンで浮竹のグラスに買った液体を注ぎ、その上から高級ワインを注いで、氷をいえれて、浮竹に渡す。

「ん・・・・今日のワインは、やたら甘ったるいな」

そのまま夕食を続けていると、浮竹が体調の変化を訴えた。

「体が熱い・・・まさか、また媚薬を盛ったのか?」

京楽は凝りもせず、浮竹に時折媚薬を盛った。

「違うよ。今回はウサギ耳と尻尾ができる薬を盛ったの」

「はぁ!?ウサギ耳に尻尾!?」

ぼふんと音をたてて、浮竹の頭にはうさぎの耳が、尻にはうさぎの尻尾が生えていた。

「や・・・」

京楽にうさぎ耳を触られて、浮竹はピクンと体を反応させた。

「やっぱり、性感帯になってるね」

「京楽のアホ!」

「はいはい。苦情は後でいくらでも受け付けるから、ベッドに行こう?」

そのまま京楽に横抱きにされて、寝室のベッドにまで連れてこられた。

とさりとベッドにゆっくりと下ろされて、久しぶりになるので、浮竹から京楽に口づけていた。

「好きだ、春水」

「僕も大好きだよ、十四郎」

互いの衣服を脱がしていく。

「あっ」

すでに先走りの蜜を零している浮竹にものを手で包みこみ、しごいてやると、久しぶりなので浮竹は濃い精液を吐き出していた。

「もったいない」

京楽は、手についた精液を舐めとる。

甘い味がした。

「ああ!」

うさぎの耳を噛まれて、浮竹は啼いた。

「んあっ」

平らな胸をなでられ、先端をつままれると、電流が走ったような衝撃を感じた。

「んんっ」

京楽とキスをしながら、お互いの体を弄る。

京楽の硬いものに手をはわせると、それだけで京楽はいってしまっていた。

「ん、早いな」

「たまってたからね。ここ、気持ちいい?」

うさぎの尻尾をクニクニと触られて、浮竹はくすぐったいと訴えた。

「性感帯はウサギの耳だけか・・・・」

「ばか」

ローションを手にとると、浮竹の後ろを指で解していく。

わざといい場所に触れずに解すと、情欲に濡れた瞳で、浮竹が京楽を見上げた。

「はやく、お前をくれ」

「もう、君って子は・・・・」

京楽は、また硬くなった己のものを浮竹の蕾に宛がい、一気に貫いた。

「あああああ!!!」

ウサギ耳を触ってやると、浮竹は余計に啼いた。

「ああん、だめぇええ」

「ここをこんなにしてるのに?」

ぐちゅぐちゅと音を立てる結合部を、わざと見せつけるように、京楽は動いた。

「やああああ」

「君のここは、もっとって言ってるよ?」

「ああああ!」

京楽は、浮竹の奥をごりごりと削りあげながら抉った。

「あああ!!」

浮竹はシーツに精液を飛び散らせていっていた。

「んああああ!」

ウサギの耳に噛みつかれて、僅かだが吸血されると、浮竹は涙を零した。

「あああ!もっと、もっとお前をくれ、春水」

「いっぱいあげるから、受け止めてね?」

京楽は、浮竹の胎の奥に濃い子種を出していた。

びゅるびゅると注ぎ込まれる精子に、浮竹はオーガズムでいっていた。

「あ、あ、もっと」

「愛してるよ、十四郎」

「あ、俺も愛してる・・・・ああああ!」

うさぎ耳をぐりぐり撫でられながら、突き上げられた。

「耳はだめえええ」

「いいの、間違いでしょ?」

「あああ!」

最奥に侵入しながら、浮竹のうさぎ耳をいじった。

「あ、いっちゃう!」

「何度でもいっていいよ。ぐずぐずになるまで、溶けちゃって」

「ああああ!!」

浮竹はオーガズムでいって、精液も出していた。

「んああ」

京楽が、2度目になる熱を浮竹の中に放つ。

「あああ、お前で、満たされていく・・・・・」

「うん。もっといっぱいあげるから、全部飲んでね?」

「あああ、うあああ!」

ウサギ耳を散々いじられた。

浮竹はもう出すものがなくなって、オーガズムでいきっぱなしだった。

「ああ・・・・・・」

京楽のものはまだ硬く、浮竹はうさぎ耳をいじられながら、京楽が最後の一滴まで自分の中に注ぎ込んだことを確認すると、意識を失った。

-----------------------------------------------------------------


起きると、体は綺麗に清められており、中に出されたものもかき出されたいた。

「京楽」

「はい、反省してます」

「全く、お前はまた変な薬を俺に盛りやがって」

「でも、いい思いはしたでしょう?」

京楽が、まだついたままの浮竹のうさぎ耳を指でつまみあげる。

「バーストロンド!」

「もぎゃああああああ」

爆発の魔法で、京楽は吹っ飛んでいくのであった。


拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ33

北のロードア帝国で、イエティが異常繁殖してるので、駆除の依頼が回ってきた。

ロードア帝国は、領土の大部分が永久凍土に覆われている寒い地方だ。

そんな場所まで、冒険者は普通趣かないが、報酬金がいいので、北のロードア帝国までの便の蒸気船が出ていた。

浮竹と京楽も、イエティの退治依頼を受注して、1週間船で過ごすのであった。

「くるっくー」

「ブルン、我慢してくれよ。船上生活ではそうそうゴミは出ないんだから」

「くるるー」

ブルンは怒って、浮竹に体アタックをしたが、小さいので威力はなかった。

「そもそも、ブルンは食いだめできるんだろう?出発前に町中のゴミを処理していたじゃないか

「くるる」

「それとこれは別?仕方ない、厨房にいって生ごみでももらってくる」

「くるる♪」

「え、ついていくって?仕方ないなぁ」

「浮竹、よくそんなに元気でいられるね・・・・・」

京楽は船酔いしてしまっていた。

「シーサーペントが出たぞ!」

巨大な海蛇の化け物だった。

剣では届かず、矢と魔法で退治することになった。

「ファイアボール!」

「フレアアロー」

同乗した冒険者たちは、船に火が付くのを恐れて、初級魔法しか使わない。

「浮竹、支えてて」

「ああ、分かった」

「メテオストライク!ハイマジックシールド!」

京楽は、禁忌の炎属性の隕石が降り注ぐ魔法を使った。

「UGYAAAAAAAAA!!」

シーサーペントは悲鳴をあげて、息絶えてしまった。

魔法で結界を張っていたので、隕石が船に落ちることはなかったが、近くの海に落ちて衝撃と波がやってきた。

「浮竹、気をつけて」

「京楽こそ!」

「くくるーー?」

「あ、ブルン、空を飛べ!」

「くるー?」

そのまま、ブルンは波にさらわれてしまった。

「ブルン!」

「くーーくくる!!!」

ブルンが虹色に輝いた。

波がおさまり、船から落ちかけていた者もみんな助かった。

ブルンは波にさらわれたかと思うと、空を飛んでいた。

「一体何があったんだ?」

「あのエルフの魔法使いが禁忌を使ったようだぞ」

「マジックシールドも唱えていたぞ。やり手だな」

噂の的の京楽はというと。

「船が揺れて・・・・おえええ」

船の上から海にむかって、胃の内容物を出しているのだった。

「くくるー」

ブルンがヒールをかけてくれたので、大分ましになったが、船酔いは病気や怪我ではないので、完治することはない。

それでも常にヒールをもらって、通常の人と同じようにまで回復した。

「もう、ブルン、ヒールでこんなに楽になるなら、最初からかけてよ」

「くくるー」

「船酔いを見たのは初めて?まぁそうだろうな。京楽も、ブルンのお陰で船酔いがなくなったんだろう。そうせめてやるな」

「それもそうだね。ありがとうね、ブルン」

「くくるー」

「感謝の意思を示すならゴミをくれ?君、食事のことしか頭にないのかい?」

「くくる?」

「ちゃんとみんなのことも思っているよ・・・本当かなぁ」

蒸気船で、1週間かけてロードア帝国までやってきた。

雪が降っていた。

「うわー寒い寒い。上着着ても寒い」

「くくー」

ブルンが魔法をかける。すると、体がぽかぽかしてきた。

「ぶるん、お前回復以外でも魔法使えるんだな?地味な魔法だけど」

「くくる」

「でたぞーー、イエティだああ!!」

早速でてきたイエティは大量だった。

「クリエイトアストラルエンジェル。クリエイトアストラルデビル」

浮竹は、人工的な天使と悪魔を作り出す。

「「「テトラボックス」」」

無の破壊魔法を唱える。

3重詠唱で、あれだけいたイエティの群れは、魔法でぎゅっと押し込められて、消滅してしまった。

「すごいな、あんたら。Sランク冒険者だろう」

「いや、Aランクだ」

「Sじゃないのか。まぁ、再来年にはSランクだろうな」

用意されていた馬車に、それぞれパーティーごとに別れて、ロードア帝国の異常繁殖したイエティの群れの駆除をした。

イエティの駆除をしていると、ボスだと思われるキングイエティが現れた。

「HYURURURURU」

キングイエティは、強烈な氷のブレスを吐いてきた。

「くくーー!!」

ブルンも、炎のブレスを吐いて相殺する。

その間に、浮竹がミスリル銀の魔剣に炎をエンチャントしてキングイエティの足をきる。

「BURURURURU!!!」

キングイエティは咆哮した。

雪崩が襲ってきて、浮竹と京楽はシールドを張ってやり過ごす。

「雪崩を起こすなんて、すごいね。だてにボスじゃないってことかな」

「手傷は負わせておいた。血の跡をたどって、トドメをさそう」

二人はシールドを解除する。

雪まみれになったが、仕方のないことだった。

「くくる!」

空を飛んで逃げたブルンは無事だった。

キングイエティのものと思われる、青い血液の液体が雪の上を続いていた。

それをたどっていくと、巨大な洞窟があった。

「ライト」

京楽が光を作り出す。

奥にがイエティのメスと、子供たちがいた。ボスは、子作りに励んでいる最中だった。

「クリエイトカースドラゴン」

「きゃしゃあああああ!!」

浮竹が作り出した人工的な呪いのドラゴンは、イエティの子供とメスを喰らっていく。そして、大地に呪いを与えた。

生き物が繁殖できない呪いだった。

ボスのキングイエティは、カースドラゴンに立ち向かい、カースドラゴンを引き裂いた。

「ぎゃうううう!!」

悲鳴をあげて、カースドラゴンは消えた。

「京楽、用意はいいか?」

「浮竹こそ」

「「フレアフェニックス」」

キングイエティごと炎で洞窟を包み込む。

急いで洞窟からでると。

「「エクスプロージョン」」

爆発の魔法で、イエティたちを生き埋めにした。

繁殖のオスであったボスの討伐で、イエティの異常繁殖は終わるだろう。

イエティ退治に、1週間をかけた。

蒸気船の往復で2週間。実に3週間、家をあけていたことになる。

師匠である剣士の京楽には、連絡を入れておいた。

やがて、イアラ帝国から出発してちょうど23日して、やっと自宅に帰ってきた。

「くくるーー」

ぶるんが、留守にしていた間にたまったほこりなどを食べて綺麗にしてくれた。

「師匠のところに顔をだそう。長らく家を空けていたからな」

「そうだね」

旅の荷物を片付けて、お風呂に入って服を着て、簡単な食事をとり、身支度を整えて、京楽の転移魔法で師匠である剣士の京楽の家にきた。

チリンチリン。

ベルが鳴ると、剣士の京楽が対応に出てくれた。

『やっと帰ってきたの。長かったね』

「長期出張討伐は、Sランク試験に通るためにいるものだから」

『ブルン、プルンが最近会えないからって元気がないんだ。会って、元気づけてやってくれないか』

精霊の浮竹の言葉に、ブルンが奥にいるプルンのほうへ飛んでいった。

「くくーー!」

「ププウ!」

ブルンは、体を黄色に変えて喜んでいた。

「くっくるー」

「プププ」

『ふふ、喜んでる喜んでる』

ブルンは、光輝いた。

『なんか、ブルン、違う魔法覚えたの?』

「あ、なんか船酔い治したり、船で波にのまれそうな人助けたり・・・ちょっと、普通のヒール以外の魔法も覚えたかんじです」

『やっぱり。次の進化先はアークエンジェリングスライムでしょ。アークエンジェリングスライムは、普通の魔法も使う。きっと、進化の前触れかもね」

「ブルン、お前また進化するのか?」

「くくるー?」

なんのこと。僕わかんない。

「ププウ」

お兄ちゃん、また進化するの?

「くく」

そのうちするかもね。

「プププ」

すごいね!あと2つ進化あるんでしょ

「くっくるーー」

最後にはセラフィムスライムっていう天使みたいなスライムになるんだよ。

「ププウウ」

俺はゴッドスライムになるんだ。

「くくるー」

神様!すごいね!

「ププ」

お兄ちゃんのほうがすごいよ。


会話を続ける2匹のスライムを、4人はいつまでいつまでも見ているのだった。







拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ32

Sランクの依頼を受けた。

Sランク試験まであと2年を切った。できる限り実績を踏み、力をつけておきたかった。

今回は、漁場を荒らし回っているクラーケンの退治だった。

敵が巨大なので、剣は使わずに魔法で倒すことになった。

大きな船に乗って戦うことも考えたが、船がだめになる可能が高いので、京楽の魔法でフライウィングという空を飛ぶ魔法で海に出て、浮かんできた巨大なクラーケンに、二人は雷の魔法を放った。

浮竹は、師匠の修行のお陰か、火、水、氷の他に風と雷の魔法を使えるようになっていた。

「「サンダーボルテックス」」

二人は、雷の禁忌を使った。

クラーケンはこんがり焼けて、ぷかぁと浮かんできた。

それだけならまだ良かった。

周りの魚たちも感電死して、ぷかぁと浮かんでいた。

その数たるや大量。

「ちょっと、冒険者さん、クラーケンを退治してくれたことには感謝しますが、やり過ぎですよ!港に近い場所じゃ魚とれなくなったじゃないですか!」

漁業に携わる者たちは、とりあえず浮かんでいる魚の死体を全部回収して、近隣の住民に分けあたえたりして、なんとか無駄にならないようにしていた。

「クラーケンの死体は、あなたたちが責任をもってなんとかしてくださいね!」

報酬金は金貨600枚だったが、被害が多かったので半額の300枚にされた。

「浮竹ー今度からはオーバーキルになるのはよそうね」

「そうだな」

報酬金を半額にされたことに嘆きながら、とりあえずクラーケンの巨大な体を輪切りにしてアイテムポケットにいれた。

そして一言。

「イカ焼きが食いたい」

「クラーケンでイカ焼きできるかな?」

「文献では、クラーケンの肉というか身は食えるらしい」

京楽が空間転移の魔法を使い、冒険者ギルドで半額の報酬の金貨300枚と魔石の買取金25枚を受け取ると、キャサリンは解体工房にクラーケンを出せと言い出した。

「輪切りになってるよ」

まさか提出になるとは思わず、輪切りにされてこんがり焼かれたクラーケンが出された。

めっちゃイカ焼きの匂いがして、浮竹は齧ってみた。

「うん、うまい。イカ焼きになってる」

「ちょっと、解体工房に出したのに何食べてるの。でもおいしそう、僕も」

京楽はナイフを取り出して、一番おいしそうなゲソを一口食べた。

「おいしい」

「な?」

「ちょっとあなたたち!ギルドで買わなくていいのね、このクラーケン。随分こげちゃってるし、素材としてはだめだわ」

「今回はクラーケンの買取りはなしということで」

京楽は、クラーケンをアイテムポケットに直した。

ちなみにアイテムポケットには、海に浮かんでいた魚やエビといった、新鮮な魚介類がたまっていた。

責任をもてと、買いとらされたのだ。

金貨50枚分はふっとんでいった。

アイテムポケットには時間の流れはない。魚介類を置いていても、腐ることはなかった。

一度家に帰り、浮竹と京楽はクラーケンでイカ焼きを作った。

次に買いとった海老や魚を、クラーケンを小さく切った身をいれてパエリアを作った。

さらについで、海鮮丼もつくった。

全部、4人分である。

「よし、師匠たちにも食べてもらおう」

「くくるーー」

ブルンは、海老の皮やら、酒の骨などを大量に食べてもらった。

早速出来上がったあつあつのまま、アイテムポケットに夕飯となる飯をいれて、京楽は空間転移の魔法で剣士の京楽の家にきた。

チリンチリン。

べるを鳴らすと、剣士の京楽が出てきた。

『どうしたの』

「師匠、夕飯の差し入れです」

『ええっ!今作ってる途中なんだけど』

「それは明日にでもまわして、今夜はこれを食べてよ」

京楽と浮竹は、イカ焼き、パエリア、海鮮丼を出していった。

「お、うまそうな匂いがするな」

精霊の浮竹がつられて玄関に置かれた料理のイカ焼きを手に取って、食べる。

「なんだこのイカ焼き!人生で食べてきたイカの中で一番うまい!」

「それ、クラーケンのイカ焼きだよ」

『クラーケン!食べるのは初めてだ』

「それは僕もだったんだけど、普通のイカよりおいしくてびっくりしたよ」

京楽が、おみやげだと、魚やエビ、貝類をくれた。

『そうか、クラーケン退治して、雷の禁忌でも放って、やりすぎたんだね?』

「「ぎくっ」」

ブルンが、部屋に奥にいるプルンに会いに入って行ってしまった。

「ププウ!」

「くくる~~」

『まるで出前だね。まぁ、玄関でいるのもなんだし、料理もってリビングルームにでもおいでよ』

剣士の京楽の許可が出たので、家に上がらせてもらった。

精霊の浮竹は、クラーケンのイカ焼きが気に入ったようで、さっきからおかわりばかりしていた。

「くくる~~~」

「ププウ」

2匹にも、プルンには林檎を大量と、魚介類のゴミをブルンに与えた。

エルフ浮竹と京楽も、パエリアと海鮮丼を食べていく。イカ焼きはここに来るまでけっこう食べたからだ。

「もうだめ、食べれない」

「勿体ない。まだこんなに残っているぞ。俺が残りを食おう」

「浮竹の胃って、ブラックホール?」

『ふふ、精霊の浮竹と一緒だね。よく食べるよ』

『俺は普通だ!』

イカ焼きだけですにで3人前を食べての意見だったので、みんなそういうことにしておいた。

「ププウ!!」

「くくるうーー」

見ると、遊んでいた2匹のプルンの王冠に、ブルンがはまってしまっていた。

「また、厄介なことを」

京楽が力の限りブルンをひっぱると、ブルンはすぽっと抜けたが、王冠の形になっていた。

『あははは、変な形!』

精霊の浮竹に笑われて、ブルンは「くるるー」といって、浮竹の頭の上に乗った。

「変な形のエンジェリングスライムだね、ブルン」

「くくう」

この形からなかなか治らない。ブルンはそう言った。

「ヒールしてみればどうだ」

エルフの浮竹の言葉に、ブルンは自分にヒールを使った。

歪な姿になっていたブルンの体系が、元の丸いスライムのものに戻った。

「くくるーー!!」

ブルンは喜んで空を飛び回り、照明にぶつかって墜落してきた。

「ぷぷう!」

お兄ちゃん、危ない!

すぽっ。

また王冠の中にはまってしまい、最初に逆戻りするのであった。

『結局、そうなるのね』

『王冠の上に着地しなければいいんじゃないのか』

もっとも精霊の浮竹の言葉に、2匹はびっくりするのであった。


----------------------------------------------


「最近、モンスターの活動が活発化している気がするんだけど、気のせいじゃないよね」

『そうだね。藍染の件もあるし、人工モンスターが暴れたりしている』

「藍染って何者なんだ?」

『僕と同じ不老不死。ただし、条件つきだけど。神人の失敗作で、定期的に人間の生き血を必要としている。自分が神になると思っている』

「なんとも、物騒な話だ」

「そうだね」

『君たちも、見かけたら注意するんだよ』

『そうだぞ」

「肝に銘じておくよ」

「分かった」

「ププウ」

「くくるー」

プルンとブルンは、また離れ離れになるこを嘆いたが、またすぐ会えると4人が言ってくれたので、悲しまずにお別れをした。

「じゃあ、こっちで何か情報が入り次第届けるよ」

『うん、そうしてくれると助かるよ』


こうして、クラーケン退治は4人の胃におさまり、終わるのであった。

拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ31

その女性は、褐色の肌が美しいダークエルフだった。黒髪に黒目をしていた。

「母上が捨てた子か・・・面白い」

女性の名は、夜一と言った。

見た目は京楽より若いが、京楽より200歳は年上の実の姉だった。

夜一は、見た目を人間に見える魔法をかけて、空間転移魔法でイアラ帝国までくると、浮竹と京楽が住んでいるという家を訪ねた。

ピンポーンとチャイムが鳴り、浮竹が対応にでた。

「どちら様で?」

「よう。京楽の嫁じゃな?」

「はぁ?」

「儂は四楓院夜市。京楽春水の実の姉にして、ダークエルフじゃ」

夜一は、人間に見える魔法を解いた。

「京楽に何の用だ!」

いつでも剣を抜けるように、鞘に手を伸ばす。

「誤解じゃ誤解じゃ。捨てられたはずの弟が、人間社会でAランク冒険者をやっていると聞いてのう。ただ純粋に、好奇心から会いに来ただけじゃ。害意はない」

「くくるーーー」

ブルンが、この人ほんとに害意がないよと言うので、浮竹は夜一を家にあげた。

「京楽」

「んー?」

ソファーでゴロンと横になって、書物を読んでいた京楽は、ダークエルフの夜一を見て、闇の魔法を発動させようとした。

「いきなり初対面で闇の魔法はなじゃろ。儂は四楓院夜一。灼熱がシャイターンの長女にして、お主の実の姉じゃ!」

「はあああああ!?」

間の抜けた京楽の声が、家中に響き渡った。


とりあえず、お茶を出した。

「で、夜一さんはなんの用でこんなところにいるの?」

「夜一姉さんじゃ」

有無を言わさない強さで迫られて、咳払いしてから京楽は言い直した。

「で、夜一姉さんは何の用があってここにきたの?」

「儂か?儂は何の用もない。しいていれば、お主の様子を見に来たくらいじゃろうか」

「そんな理由で、わざわざ魔大陸から来たの!?」

「この国には昔きたことがあるからのお。転移魔法で一発じゃ。それにしてもやるのうお主。こんな綺麗なエンシェントエルフを嫁にするなぞ」

「浮竹は僕と同じ男だよ!」

「分かっておるわい。でも、ものにしたんじゃろう?お主の匂いがぷんぷんするわい」

その会話を聞いていた浮竹は、真っ赤になってブルンを抱きしめて、隣の部屋に逃げてしまった。

「ちょっと、浮竹逃げないで!頼むから、この夜一姉さんと2人きりにしないで~~」

情けない声を出す京楽に、仕方なく浮竹は部屋に戻ってきた。

「くくるーー」

「お、エンジェリングスライムか。実物を見るの始めてじゃのう。なんていうか・・・うまそうじゃ」

「くくるーーー!!」

ブルンは、空を飛びまくって、照明と激突して落っこちてきた。

「夜一姉さん、そんな本当か冗談なのか分からないことを言わないで!」

「む?本心じゃぞ」

浮竹が、気絶したブルンを抱きしめて、首を横に振った。

「ブルンは大切な家族だ。食べさせないぞ!」

「嘘じゃ嘘じゃ。ただの冗談じゃ」

「ダークエルフの普通の食生活がどんなのか分からないから、冗談に聞こえない」

「む?人やエルフのような同じような生活を送っておるぞ?ただ、モンスターの肉を食うのが多いくらいじゃの。違いは」

「ダークエルフって、もっと魔族に近くて野蛮なんじゃ」

「ダークエルフというだけで、そう決めつけないでくれぬか」

「ああ、すまなかった」

「よい。儂も悪ふざけが過ぎた」

夜一は謝ると、京楽の手を取った。

「人間社会の冒険者ギルドを見たいのじゃ。連れていってくれぬか?」

「でも、その見た目じゃ・・・・」

夜一は、人間の女性に見える魔法を使った。その魔法は完璧で、魔力障害を発生させても解けなかった。

「分かったよ。夜一姉さんの言う通りにするから、目立たないでね。あと、冒険者ギルドでは僕がダークエルフっていうのはばれてるから、姉だって言わないでね」

「分かった分かった。言う通りにするから、早く冒険者ギルドへ行こうぞ」

京楽と浮竹は、ブルンと人間にしか見えない夜一を連れて冒険者ギルドに来た。

「あら、春ちゃんうっきーちゃん、どうしたの?今日はもう帰るって言ってたのに」

「なんじゃ、この化け物は?」

キャサリンは、ぴきっと引きつった。

「何か言った、お嬢ちゃん?」

「お主のことを化け物と言ったのじゃ。冒険者ギルドのギルドマスターなのか。マスターが化け物と・・・・・・むーーー」

京楽は、夜一の口を塞いだ。

「むーむーーーー」

「夜一ちゃん、あっちに依頼の掲示板あるから、それを見に行こう」

「だめだ、夜一さん。あのオカマを化け物扱いしたら、後で凄い目にあうから、化け物って言っちゃだめだ」

「わかった。お主らの言う通りにする。依頼・・・・何々、ファイアドラゴンの退治。これが面白そうじゃ。受けて、退治にいくぞ!」

「いや、僕らにはまだ無理だから。ドラゴン退治はまだしたことがないよ」

「じゃあ、ますます受けねば!」

「だから、まだ早いって!ドラゴン退治はSランクになってから受けるって決めてあるんだよ」

「つまらんのう」

夜一は依頼書を隅から隅まで見た。

「よし、この薬草採取に行こう」

「ええ、本気なの!?」

「これなら、危なくないじゃろ?」

「でもそれ、Fランクの依頼だよ?報酬とか銀貨1枚だよ?」

「いいのじゃいいのじゃ。これを受ける。ついでに、儂も冒険者登録しておこうかの」

そうして、夜一はFランク冒険者になった。

草原にいき、ヒーリング草と、解毒ポーションの元になる毒消し草を探して、籠の中に入れていく。

指定の数をつみ終わる頃には、日が暮れていた。

「かけだし冒険者は大変じゃのう。こんなに苦労して、報酬は銀貨一枚だけとは」

冒険者ギルドに戻ると、夜一の顔を知らない同じAランク冒険者たちが声をかけてきた。

「なんだ、新米冒険者のお嬢ちゃんのお守か?」

「まぁ、似たようなもんだよ」

「ぬう、バカにされておるのか・・・・」

「夜一さんは、この籠をもって、受付嬢のところに行ってくれ」

「分かったぞ、浮竹」

夜一は、ヒーリング草と毒消し草をそれぞれ50個ずつ提出して、報酬の銀貨一枚をもらった。

「今夜は疲れたのじゃ。帰るぞ」

「ふーん。京楽さんが目にかける子だけあって、かわいいじゃん」

「ねえ、お嬢さんお名前は?」

「四楓院夜一じゃ。魔王が配下、灼熱のシャイターンの・・・むーーーー」

浮竹と京楽に口を塞がれて、夜一はずるずると浮竹と京楽の自宅に引っ張っていかれた。

「何をする!」

「それはこっちの台詞だよ!中立を保っているとはいえ、魔族は人間の敵なんだよ!しかも灼熱のシャイターンは四天王の一人!その長女とばれたら、どうなるか分からない!」

「むう、そうなのか。儂が悪かった・・・」

「まぁ京楽、悪気があったわけじゃないから」

「浮竹は甘いよ。さぁ、用は済んだでしょ。魔大陸に帰ってよ」

「むう、まだ人間社会の市場などを見て回りたいのじゃ」

「じゃあ、明日にしよう。今日は夕飯をとって、風呂に入って寝よう。着替えとかは持ってきているか?」

浮竹の言葉に、夜一は頷いた。

「勿論じゃ。お風呂セットももってきておるし、布団と毛布と枕ももってきておる」

アイテムポケットをごそごそして、夜一はお風呂セット手に、脱衣所に消えていった。

「あ、お風呂まだ水じゃない?」

「ファイアボール!」

夜一は、器用に炎の魔法でお湯にして適温にすると、鼻歌を歌いながら長湯をするのであった。

「ああ、いい風呂じゃった。お、おいしそうじゃの」

今夜のメニューは、タルタルソースつっきのエビフライ、コーンスープ、白パン、ビーフシチューであった。

「うむ、うまいのお」

「京楽が作ってくれたんだ。後で、お礼を言ったら、きっと恥ずかしがるぞ」

くすくすと、浮竹は笑った。

その京楽は、デザートを作るためにキッチンに居た。

「苺のシャーベットでいいか」

苺のシャーベットをもってくると、夜一はニヤニヤしていた。

「なんだい、夜一姉さん」

「この料理、全部お主が作ったのじゃろう?」

「そうだけど」

夜一は、背伸びをして京楽の頭を撫でた。

「偉いのう、京楽は。姉として、鼻がたかいぞ。冒険者ギルドでの評判を聞く限りでは、次のSランク試験にはほぼ通りそうというではないか」

「まだまだ、修行が足りないよ」

「謙虚なところも良いな」

その日はそのまま就寝して、次の日になって朝食をとって、三人で市場に出かけた。

「おお、人が多いのう」

「そりゃ、帝都だからね」

「あっちの店に売ってあるあれはなんじゃ?」

「ああ、クレープだな。食べたいのか?」

「うむ」

「じゃあ、買ってくる」

浮竹は、クレープ屋にいって、チョコ味とバナナ味とストロベリー味を注文して、持って帰ってきた。

「食べてもよいのか?」

「うん、いいよ」

「甘い・・・初めて食べる食べ物じゃ。人間社会は、いろんなものがあって楽しいのう」

市場でいろいろ見て、夜一の職業がアサシンであることが分かり、短剣がボロボロだったので新調することにした。

浮竹と京楽が馴染みにしている武器屋で、ミスリルのナイフを二つ白金貨七枚で購入した。

「いやあ、人間社会の鍛冶屋はすごいのう。ミスリルの武器を扱えるのか」

中古品だったので、今度は馴染みの鍛冶屋でミスリルのナイフを研いでもらった。

「ふふ、これでまたいい仕事ができそうじゃ」

「夜一姉さんは、そのナイフで人を殺すの?」

「人というか、魔族じゃがの。灼熱のシャイターンに逆らう連中をヤるのじゃ」

「そう・・・・・」

京楽は、沈んだ顔をしていた。

「心配せんでも、無駄な殺しはせぬよ。どうしても必要になった時、集団の頭を暗殺する。その程度じゃ」

「そう・・・・・」

京楽の表情が、少し晴れた。

「さて、人間社会の見学も終えたし、いろいろ食えたし、短剣も新調したし、儂は魔大陸に戻るよ」

自宅に戻ると、夜一がそう言いだした.。

「夜一姉さん・・・・灼熱のシャイターンは・・・・母さんは元気にしてる?」

「おう、元気じゃぞ。この前、一三番目の夫と結婚して、新婚生活を満喫中じゃ」

「一三番目の夫?今、母さんには夫は何人いるの!?」

『生きている数では、九人じゃな。あと、男妾を5人もっておる。母上は、エルフにしては性欲が旺盛じゃからのう。子は末子の子で12人目か。まだ30歳じゃ」

「はぁ・・・なんか眩暈がする」

「大丈夫か、京楽」

「うん。僕の家庭問題から。平気だよ、浮竹」

「じゃあ、儂は戻るな。また、遊びにきてもよいじゃろうか?」

「うん、別にいいよ。ただし、ダークエルフってばれないようにね」

「分かっておるよ」

「さよなら」

「うむ、浮竹、そなたは義理の弟になるのじゃな、そういえば。京楽と契りの儀式を交わした伴侶じゃろ」

浮竹は真っ赤になって、エンジェリングスライムのブルンで、顔を隠してしまった。

「ははは、照れ屋じゃのう」

「もう、夜一姉さん、浮竹は純粋なんだから、からかわないで」

「悪かった悪かった。では、今度こそ帰るよ」

夜一は、空間転移魔法で、魔大陸に戻ってしまった。

「なんか、嵐のような人だったな。そこだけは、シャイターンにそっくりだ」

「僕の一族って、みんな嵐のような人物だったりして」

冗談で言ったつもりであったのだが、事実、灼熱のシャイターンの一族は、ほとんどが嵐のような人物で構成されていると、まだ知らない京楽であった。

拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ30

浮竹とブルンが攫われた。

正確には行方不明になったのだが、事件が解決してから犯人から手紙があったのだ。

(ありがとう)

「はぁ?」

京楽は情けない声をあげていた。

ことの発端は、昨日にまで遡る。

草原で、浮竹と京楽とブルンは、ピクニックをしていた。

ブルンには大量のゴミを与えてやった。

そのブルンが、何か変な声がするといって、飛んでいった。

その後を浮竹が追ったのだが、そのまま一人と一匹は帰ってこなかった。

周囲を探したが、姿はなく、先に帰っていると思ったのだがいなかった。冒険者ギルドにもいなかった。このまま帰ってこないと心配なので、冒険者ギルドの者にも依頼して、行方を捜してもらおうかと思っていた矢先だった。

行方不明になった翌日に、浮竹とブルンは帰ってきた。

「浮竹にブルン、どうしたの!心配したんだよ!」

「助かった!よかったよう」

「くるるーーー」

一人と一匹は泣きだした。

なんでも、獣人に誘拐されたのだそうだ。

魔力が消えるお札を使われて、目隠しをされて、プルンと一緒にどこかへと運ばれた。

周囲をふっとばそうかと思ったが、犯人は明らかに子供だったのだ。

子供に誘拐されてついた先は、山奥の深い森の中だった。

「メアリ、どうしたの。探したのよ」

「かあさん!かあさんを治せる人を連れてきたよ!」

大きな白い狼と、獣人の子供たちがいた。

「えっと、これは?」

「誘拐しちゃってごめんなさい。報酬を払うお金がないの。どうか、かあさんの傷を癒してください!」

浮竹は、大きな白い狼が獣人たちの母親であると分かった。

「ちょっと、傷を見せてくれるか」

「はい。この右足です」

右足は腐って半分ちぎれかけていた。

「これは酷い。どうしたんだ?」

「人間の罠にはまって・・・・かあさんの毛皮が高く売れるからって、人間たちが」

「ブルン、頼めるか?」

「くるる~~~」

ブルンは体を光らせて、大きな白い狼の傷を治した。

「まぁ。怪我が嘘のよう」

「それより、この獣人たちはあなたの子なのだろう。人化はできないのか?」

「いえ、できます。ただ、足の傷が深すぎて人化できなかっただけで。私はダリア。この山の奥の森を縄張りにしている狼の獣人です」

ダリアは人化した。

純白の獣人が現れた。

髪も肌も目も衣服も、何もかもが白かった。

頭の上には狼の耳があり、白い尻尾もついていた。

「傷を治してくださり、ありがとうごいます・・・・ううう」

「どうした?」

「こ、子供が・・・生まれそう」

「ええ!」

「くくるー!」

「おかあさん、どうしたの、まだ苦しいの?」

「違うのよ。新しいあなたたちの妹か弟ができるの」

「すみません、いつもは亭主がいるのですが、大掛かりな狩りの最中で。お産の手伝い、してもらっていいですか?」

浮竹は真っ赤になった。

「いいが、俺は男だぞ?」

「ええ、分かっています。でも、子供たちは小さくてまだ頼めません」

それから、浮竹はお湯を分かし、綺麗な布を用意して、子供が生まれてくるのを待った。

「出てこないぞ?」

「逆子のようです。少しずつ、ひっぱりだしてください」

足がでてきたので、少し引っ張った。ピクリと足は動いたが、それきり動かなくなった。

「だめだ、息をしていないかもしれない。ちょっと荒くなるが、我慢してくれ!」

浮竹は、赤子の足を掴んで無理やり引っ張りだした。

やはり、息はしていなかった。

「死産ですか・・・・・うううう」

「まて、まだ可能性はある!」

浮竹は、習ったことのある方法で、心臓マッサージを繰り返し、息を吹き込んだ。

するとどうだろう。

赤子が息を吹き返したのだ。

「おぎゃあおぎゃあ」

「ブルン、頼む」

「くくうるーー」

ブルンが魔法をかけて、赤子の容態はすぐに安定した。

「よかったー。生まれたよう」

「くくる――」

浮竹とブルンは、わんわんと泣きだした。

そのまま、一晩を様子見のために親子の様子を見ながら眠った。

「イアラ帝国のどこにお住まいですか?」

「帝都アスランだが」

「そこなら、行った事があるので、空間転移の魔法で送りますね」

「あ、俺は浮竹という。こっちはブルンだ」

「ありがとございます、優しい浮竹さん、ブルンさん」

ダリアは、去り際に刃で作られたネックレスをくれた。

その刃は、牙狼一族の証であった。

牙狼一族は義理堅いという。

「何か、獣人のことで問題が起きたら、そのネックレスを見せてください。きっと、役に立ちますから」

そうして、浮竹とブルンは帰ってきた。

子供がちゃんと生まれた記憶が蘇り、京楽が目の前にいたので緊張の糸が解けて、浮竹とブルンはわんわん泣きだした。

それから、犯人らしき人物が残した手紙がポストの中に投函されていた。

内容は「ありがとう」

浮竹とブルンは泣くばかりで、京楽は訳が分からないのだが、浮竹とブルンが帰ってきてくれて、ほっとするのだった。

ことのあらましを聞いて、京楽は溜息をついた。

「で、その獣人の子供に攫われたというか連れていかれて、ブルンも浮竹も、犯人の母親の傷を無報酬で治しちゃったんだね?」

「無報酬じゃないぞ。ちゃんと、牙で作られたネックレスをもらった」

「牙狼族?聞いたこともないよ?」

「でも、いたんだ。真っ白な大きな狼が」

「それってフェンリルじゃないの?」

「フェンリルは、氷の精霊だろう?」

浮竹が首を傾げる。

「個体によっては、ただの大きな狼の場合がある。フェンリルなら、牙狼族と名乗っていたとしても頷ける」

「そういえば、人化した時何もかもが白かった」

「白亜種族のフェンリルだろうね」

京楽は、浮竹より獣人なんかには詳しかった。

「子供を産んだんだけど、死産で、俺が蘇生させて、ブルンが安定させてくれたんだ」

「蘇生できたのかい。おまけにフェンリルの傷を癒したとなると、牙は本物かもね」

京楽は、牙狼族と名乗ったフェンリルの牙のネックレスをみた。ほのかだが、氷の属性がエンチャントされていた。

「なんでも、毛皮目当ての人間の罠にかかってしまったらしい」

「フェンリルの毛皮は、毛皮の中でもダントツに高いからね」

「でも、なぜ?フェンリルは獣人でもあるのだろう?」

「正確には、人の姿になれる獣かな。本性は獣だよ」

「仲良く、なれないのかな」

「無理だろうね。本物の獣人ならいざ知らず、フェンリルの獣人だと、毛皮目当てで襲からわれる、人を見つけると襲うだろう。君は、エルフだったから無傷だったんだよ。あとブルンも連れていたから」

「そうか・・・・仲良くなれないのか」

しょんぼりする浮竹に、京楽が助け舟を出す。

「あ、でもそのネックレスをもらったってことは、友好の証じゃないの?」

「そうかな。そうだな。うん、きっとそうだ」

「くくるーーー」

「ブルンも、そう思うか?」

「くくる!」

浮竹とブルンは、前の日食事をあまりとっていなかったので、よく食べて眠りにつくのであった。


-----------------------------------------------------------------



「フェンリルの捕獲に失敗したか」

藍染は、ぽつりと呟いた。

「まぁいい。他の魔獣を探してみるか」

ワイングラスの赤い液体を飲み干す。

それは、ワインなどでなく人の生き血であった。不老不死を維持するために、時折藍染は人の生き血を飲むのだった。

ゴポリ。

藍染の背後では、変わらず水槽の中で何かの肉塊が蠢いていた。




拍手[0回]

エンシェントエルフとダークエルフ29

浮竹と京楽は、またイアラ帝国の女帝卯ノ花に呼び出された。

前回のケルベロスと今回のヒュドラで、騎士団が壊滅的だというのだ。本来なら、聖騎士を派遣する内容に、浮竹と京楽を派遣したいのだという。

それはイアラ帝国のウララ高原にある、スキア帝国の遺跡での話だった。

重要なイアラ帝国の資金源でもあるミスリルが発掘できる遺跡で、変異キメラが出て、冒険者たちを食い殺していったのが今から2カ月ほど前の話だ。

その変異キメラを、京楽が禁忌の魔法ワールドエンドで葬った。

それまでの犠牲者の数は30人以上なのだという。地下のダークエルフのことも含めると、死者は50人以上になるだろう。

ダークエルフを使って変異キメラを作っていた男、藍染のことは女帝の耳にも入っていた。

「それで、お願いがあるのです。遺跡にでるリッチとレイスたちを何とかしてほしいのです。このままではあの遺跡でミスリルの鉱石がいつまで経っても掘り出せません。通常、聖騎士を派遣して駆除する予定だったのでが、モンスターの進撃で我が騎士団は聖騎士も含めてボロボロで。
リッチとレイスは聖属性と火属性が弱いとききます。
そこで帝都アスランの冒険者にどうかならないかと、ギルドマスターに聞いたら、あなたたちの名前があがったのです」

「はぁ・・・・・」

あのオカマのギルドマスターめ。

京楽心の中で罵っていた。

「しかし、それなら教会の人間が適任なのでは?」

「教会側にも要請したのですが、とてもリッチを浄化できる聖職者はいないとのことなので・・・・・」

「くくるー」

エンジェリングライムに進化した、ブルンを卯ノ花は見ていた。

「あなた方が連れているエンジェリングスライムは、浄化の魔法が得意なはず。レイス程度なら楽勝でしょう。リッチもどうにかなるはず。ですから、お願いします」

「まぁ僕ら自身の力でもどうにかなるけどね」

「陛下、今回の件はお引き受けいたします」

「ありがとございます。健闘をお祈り申してあげます」

謁見の間から去ると、京楽が文句を言った。

「そもそも、リッチを浄化できない教会ってどういうこと。上位アンデットくらい浄化できる神官もいないなんて、この国の教会腐ってない?」

「この国の教会は純粋にフレイア神を崇めるフレイア教だ。浄化の能力とか関係なく、一般信徒から上位の者が出て、教皇もフレイア神殿のTOPというだけで、浄化とかそういう能力は一切ない。教会の力は最初からあてにならない」

「教会はだめ、聖騎士もだめ、ついにお鉢がこっち回ってきたってわけかい」

「まぁ、ブルンもいるんだ。ささっと駆除してこよう」

「そうだね。お互い、兵士に武器を返してもらおう」

近衛騎士に預けていたミスリル銀の魔剣と、最近浮竹がミスリル銀の魔剣を買った時におまけでついてきた、闇属性の杖、通称アークデーモンスタッフを返してもらった。

「ふふふ・・・・リッチってことは闇属性だよね。禁忌使っても滅びないよね?」

「いや、普通に滅びると思うが・・・」

とりあえず、京楽にウララ高原にあるスキア帝国の遺跡の前まで転移魔法で運んでもらった。

「くるるーーー」

「お、さっそくいるようだね。ブルン、思いっきり浄化しちゃっていいよ!」

「くるるん!」

ブルンの体が光り、最初の部屋にいたレイスたちが穏やかな顔をして消えていく。

「これなら、楽勝だな」

「そうだね」

遺跡の全ての部屋を浄化していくが、リッチの姿がなかった。

念のため、地下にもぐるとそこにリッチがいた。しかもダークエルフだった。

「オノレ、ヨクモ私ヲ殺シテクレタナ」

リッチは浮竹のことを覚えているようで、いきなり攻撃してきた。

「マジックバリア!」

京楽が、結界を張ってくれた。

「アア憎イ。生キテイル者ガ憎イ」

「ブルン、なんとかなりそうか?」

「くくぅ」

僕じゃ無理かも。

「そうか。じゃあ、俺がなんとかしよう」

「え、でも浮竹は聖属性の魔法はエンチャントくらいしか・・・って、修行でレベルアップした後だしね」

「クリエイトアストラルエンジェル」

「おおおおおん」

人工的な天使が生み出された。

天使は、聖なる剣をもちレイスを串刺しにした。

「「テトラボックス」」

2重詠唱で、無属性の魔法の禁忌を使った。

レイスは、何も言う暇もなく滅びていった。

「な、楽勝だったろ?」

京楽は、ぽかんと口を開けていたが、すぐに正気に戻った。

「天使!?人工的に天使作ってるの!?これ、浮竹の魔法なの?」

「そうだぞ。何かおかしいか?」

「おかしいも何も・・・天使を人工的に作り出す魔法なんて聞いたことがないよ」

「それは、俺のオリジナルの魔法だからな。師匠には、創造は神の魔法だと言われた」

京楽は、天を仰いだ。

すっかり、自分だけが強くなった気でいたのだ。

それと同等か、場合によってはそれ以上の力を浮竹はもっていた。

「ブルン、この地下全体も、俺の人工天使と一緒に浄化してれるか」

「くるる!」

「あおおおん」

「はぁ!?作り出した天使が浄化の魔法使える・・・ああ、僕はもうつっこまないからね」

「ちなみに、人工悪魔を作りだせば闇魔法も使える。その時は人工悪魔を媒介に、俺も闇魔法の禁忌を使えるぞ」

「チートだ」

京楽は、そう言って嘆くのであった。

ブルンと人工天使と一緒に、地下の隅々まで浄化して結界を張ると、人工天使はすーっと消えていった。

「よし、依頼は達成だ。戻るか」

「はいはい。また女帝と謁見だね」

「報酬が楽しみだ。女帝からの依頼なら、白金貨が期待できる」


--------------------------------------------


「そうですか。無事、レイスとリッチを駆除してくれましたか」

「魔石あるんですが、一応鑑定してもらいますか?」

「いいえ、あなたたちの言葉を何より信じましょう。この近衛騎士団長から」

「はい」

「褒美を、ここへ」

近衛騎士は、報酬の金が入った袋を手にやってきた。

「報酬の白金貨10枚に値する、大金貨100万枚です」

「うわぁ、重そう」

「すみません、白金貨は流通量が少ないので大金貨での支払いとなってしまいます」

「いえ、問題ありません」

近衛騎士団長から大金貨の詰まった袋をもらい、それをアイテムポケットに収納していく。

大金貨100万枚なので、けっこうな袋の数になった。

「では、また何かあれば助力をこうかもしれませんが、その時はまたお願いします」

「はい、喜んで」

京楽は思った。金の力って怖いと。

浮竹と京楽がマイホームにつくと、プルンが一匹で遊びにきていた。

「プルププ」

「なんだ、プルン?進化したのか」

「プルプ」

エンペラースライムになった。

プルンにはひげがはえており、頭には小さな王冠があった。

「くくるーーー!!」

弟よ、すごいな!

「プルプウ!」

お兄ちゃん、こんな姿だけど俺はプルンだよ。

「プルン、お前俺たちとブルンの前では、態度が違わないか?」

「プルププ」

当たり前。俺はエンペラースライムだよ?

ブルンは、プルンの真上をばっさばっさと飛ぶと、ちょうど王冠のところ着地した。

「プルプウ」

「くくるーーー」

はまって出られない。

ブルンの声に、プルンが驚く。

その後浮竹と京楽に引っ張ってもらって、なんとかブルンはプルンの王冠の中から外にでられるのであった。

「そういえば、プルンは今林檎いくつ食べてるんだ?」

「プルプ」

「15個!?大食いなぁ」

京楽は、アイテムポケットからりんごを15個並べて、プルンにあげた。

「ブルンも負けてないぞ。近所中のゴミ消化してきらしい」

「くるっくー!」

りんご、おししいかい?

「ププウ」

おしいよ。お兄ちゃんもおいしかった?

「くるくる」

近所中のゴミを消化しといた。食いだめができる体で便利だ。

「プルプウウ」

食いだめできるんだ、すごいね!

『プルン、やっぱりここにきてたのか、探したんだぞ』

『音沙汰もなくいなくならないでね。浮竹がすごく心配してたんだから』

「プルプル」

現れた精霊の浮竹と剣士の京楽に、プルンは堂々と遊びいくとメモを書いたという。

でもそのメモは字がぐちゃぐちゃで読めなかった。

「師匠、少しだけお久しぶりです!」

『やあ、といっても、2週間くらい前に会ったばかりだけどね』

「浮竹の魔法が・・・・・・」

浮竹のオリジナルの魔法でショックを受けている京楽に一言。

『あれは神の魔法だよ。悪用されないように、君が気をつけてあげて』

そう言って、プルンを回収していく。

「プルプププ」

あ、りんごまだ全部食べてない。

「残りは家で帰ってお食べ」

エルフの京楽から、残っていたりんご3つを渡されて、それを体内に保存する。

『じゃあ、俺たちはこれで帰る。プルンを回収にきただけだから』

「師匠、また遊びにきてください」

『うん、またねぇ』

プルンの魔法で、精霊の浮竹と剣士の京楽は空間転移の魔法で帰っていくのであった。




拍手[0回]

新着記事
(04/19)
(04/19)
(04/18)
(04/16)
(04/16)
"ココはカウンター設置場所"