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小説掲載プログ
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恋する瞬間 ルキアの見合い

「朽木ルキア、只今戻りました、兄様」

「ルキアか・・・見合いだが、よいのか?このまま話を進めても」

「はい・・・・・」

ルキアは、胸の中で一護を思った。

一護。

裏切ることになるのだろうか。一護とは、魂のレベルで繋がっている。そんな繋がりを絶つように、見合いをすることになった。

相手は、4大貴族の次に並ぶ大貴族、桐蔭家。

桐蔭那由他(トウインナユタ)という、年の頃は20前後の若者と、見合いをすることが決まっていた。

多分、見合いをすませたら縁談に話は進むだろう。

桐蔭家には、13番隊を存在から立て直すしてもらうのに、かなりの財力を貸してもらった。

断るに断れない。

すぐにちよが呼ばれ、ルキアは死覇装から朽木家の姫君にふさわしい着物を着て、髪を結いあげてもらい、アメジストの髪飾りで髪をまとめられた。

薄く化粧をして、最後に口に紅を塗る。

「美しいです、ルキア様」

「ありがとう、ちよ」

そんなルキアを伴って、白哉は何か言いたげにしていたが、無言で桐蔭を待たせている部屋に、ルキアと共に入った。

見合いは、朽木家で行われた。

「ルキアさん・・・今日は一段と美しいですね」

「那由他様・・・ありがとうございます」

「この度は、急な申し出にも関わらず、見合いを受けていただき感謝しております」

「それはこちらこそ・・・桐蔭家の力がなければ、13番隊は隊長を失ったばかりで、早々に立ち上がることもできなかったでしょう。感謝しているのです」

ルキアは美しかった。今日のために用意しておいた着物もよく似合っていた。

「ルキアさん・・・・無理を、していませんか?」

「何をですか?」

「断っても、よいのですよ。私はルキアさんが好きです。でも、ルキアさんにすでに心に決めた人がいるならば、考えましょう」

「いえ、そのような人物はおりません」

いるとしたら・・・・多分、一護。

でも、一護には井上がいる。

ルキアは、井上が一護に告白するシーンに出くわしていたのだ。

でも、そのまま聞いていられずに走り去った。一護は井上と付き合っているのだと、そうルキアは勘違いをしていた。

「本当なら、縁談を今すぐに・・・と言いたいところなのですが、私も気持ちの整理がついていないのです。しばらく、猶予をくださいませんか」

「時間なら、いくらでもあげましょう。それで私を受け入れて下さるのなら」

「ありがとうございます」

あとは差し障りのない会話を行い、見合いは滞りなく終わった。


一方、仮にできた一番隊の隊舎では、一護が京楽と話をしていた。

「京楽さん・・・ほんとにありがとな。ルキアのこと」

「ああ、気にしなさんな。尸魂界を救ってくれた大恩人の、少しくらいの我儘を聞くくらい、どうってことないよ」

「でも、13番隊は浮竹さんを亡くして、副隊長であるルキアは現世にいて・・・まともに、機能しているんだろうか」

「まぁ、そこらは優秀は3席が二人いるからね。元から浮竹が臥せっていた時は、3席たちが仕事をこなしていたから、問題はないよ」

「そっか。ならいいんだ」」

一護が安堵して、息を吸った。

「尸魂界を見たかい?」

「瀞霊廷なら、ここに来る前に少し見た。大分戦火の爪痕が残ってるけど、少しずつ復旧しているようで何よりだ」

「そうだよ。ただね・・・・・。建物はいくらでも元に戻る。でも、失った人材までは、戻らないんだよ」

京楽は、辛そうに俯いた。

「浮竹さんのこととか・・・・京楽さんも、辛いだろ」

「うん・・・滅茶苦茶年下の君に甘えたいくらい、参ってる。僕はね、浮竹が誰より好きだったんだ。親友だった。大好きだった。それが急にいなくなって・・・涙を零す時間すら、今の僕には与えられていないんだ」

浮竹と京楽は同期で、とても仲がいいと、他の隊長たちの間でも有名だった。学院時代からの付き合いで、数百年という年月を共に過ごしてきたのだという。

一護だったら、とても耐えらえれない。

もしも、相手がルキアだったら・・・・そう思っただけで、寒気がした。

ルキアが居なくなってしまうなんて、考えたくもない。ずっと、傍にいてほしい。

魂のレベルで、結ばれているのだから。

「お墓、雨乾堂の跡に作るんだってな」

「うん。せめて、安らかに眠れるように、ね」

「お墓できたら、俺にも教えてほしい。墓参り、行きたいから」

「うん。今はお墓より、隊舎をまずはどうにかしないといけないから、かなり後になるだろうけど、浮竹は特に君のことを気に入っていたからね。墓参りに行ってあげると、とても喜ぶと思うよ」

もういない浮竹のことで、話を続けた。

総隊長になってしまった京楽は、もう誰にも弱さを見せてはいけないのだからと、一護にだけ弱さを見せた。

浮竹との出会い・・・院生時代の出来事、学院を卒業してお互い席官になったこと、副隊長になったこと、次期は違えど、同じく隊長にまで登りつめたこと。

「はははは・・・聞いてくれて、ありがとね。大分胸がすっきりしたよ」

「京楽さん、俺でいいなら、いつでも話相手になるぜ。一応、メルアド渡しとく」

「ああ、ごめんね。たまに、愚痴かきこむかも・・・・」

「それでもいいさ。溜めこむよりよほどましだ」

「ありがとうね。浮竹が君を大好きだったこと、よく分かるよ。僕も好きになったよ、君のこと」

「照れくさいな」

一護は、頭をぽりぽりとかいた。

「じゃあ、俺はそろそろ現世に戻るから」

「うん、気をつけてね」

「いや、もう敵とかいないから、大丈夫」

「それもそうだね」

お互いに笑いあって、別れた。

京楽は、総隊長になったけれど、心がへし折れてしまいそうな思いを抱え込んでいたのだ。

それを、今回、ルキアの礼を兼ねた一護を利用したのだ。

でも、利用されて一護はよかったと思った。京楽という死神が、飄々として掴みどころのない人物と思っていたイメージが崩れたが、それでよかったのだ。

誰であれ、心に闇がある。

それを吐きだせないことは、とても辛いことだ。

ルキア。

浮竹を失くした京楽。

一護にとって、京楽の中の浮竹は、一護の中のルキアだった。

何があっても、失いたくない。

強く、そう思った。



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恋する瞬間  魂よりも深い場所で

「ねぇ、一護」

たつきの問いかけに、ぶっきらぼうに答える一護。

「なんだよ」

「あんたと朽木さん、できてるでしょ」

ぶーーーーー。

飲みかけだったパックジュースの中身を、一護は吹き出していた。

屋上で、一護、たつき、水色、啓吾と、友人であるメンバーで昼食をとっていた。

いつもならその場にたつきはいないで、代わりにルキアがいたのだが、ルキアは義骸の調子が悪いとかで、今日は浦原商店にいっており、休みだった。

「な、どっからそんな答えが出てくるんだよ!」

「だって、あんた織姫振ったじゃない!好きな人がいるからって!」

井上から、先週告白された。

今は高校3年生。高校時代の終わりまで、あと5か月というところだろうか。

ルキアは、一護の我儘で、総隊長である京楽に、高校卒業までは現世にさせてほしいという我儘を受け入れてくれて、高校生として生きていた。

ルキアはそれに感謝していた。

同じ仲間として戦った戦友たちと、あるいは高校でできた友人たちと過ごす時間がまたできて、それを一護に感謝をしていた。

「またこうして、貴様と一緒に高校に通えるなど思ってもいなかった。貴様には本当に感謝しているのだ」

そう言っていたルキアの言葉を思い出す。

「俺とルキアは、そんなんじゃねーよ。もっと深い・・・なんつーか、魂が繋がってるみたいな・・・・・・」

「おおおお!それは、それほど朽木さんのことを思っているって考えていいんだね!」

「おい、水色」

「いやぁ、一護も大人になったねぇ。やっと女性のよさが分かるようになったんだね」

「ばか、そんなんじゃねぇ!だから、ルキアとはできてねぇって!」

一護がむきになればなるほど、水色はにんまりと笑い、たつきはにやにやして、啓吾は一人取り残されたと涙を流していた。

「なんていうか、ルキアは特別なんだ。好きとか嫌いとかじゃなしに・・・・・」

「織姫を振るほどに、朽木さんのこと好きなんでしょ!だったら、当たって砕けなよ!粉々になったら、回収してボンドでくっつけてあげるから!」

たつきの強い言葉に、一護の心に葛藤が生まれる、

ルキアのことが好きなのだろうか?

確かにルキアは特別だ。ルキアのお陰で死神代行になれて、ルキアのお陰で強くなれて、ルキアのお陰で守る力を手に入れて、ルキアのお陰で守る者たちができた。

全部、ルキアのお陰。

ルキアがいなければ、今頃くすぶって、なんの変化のもない高校生活を送って、それはそれで平和であるだろうが、今の一護から考えてみればそんな生活はありえない。

ルキア。

ルキア、ルキア、ルキア。

誰よりも特別で-------------。

好きとか嫌いとか、考えたことがなかった。

ルキアを、好きなのだろうか。

考え込んで、一護は唸った。

「んー。俺がルキアを好きねぇ・・・・・」

「織姫振ったんでしょ!他に誰が好きっていうのさ!」

確かに、井上を振った。

他に好きな人がいるからと。

その時、心に思い描いた人物は・・・・・ルキア、だった。

「あーもう、たつきうるせぇ!」

「なによ!織姫を振るあんたが悪いんだから!織姫、ずっと泣いてたんだから!」

「井上には、悪いことをしたと思ってる」

「じゃあ、付き合ってあげなよ」

たつきの言葉に、一護が首を横に振る。

「たつき、お前は好きでもない相手に告白されて、それを受け入れるか?」

「受け入れるわけないじゃん」

「それと同じだ。井上のことは好きじゃねぇ。大切な仲間で友人だとは思ってる。でも、それ以上でもそれ以下でもない」

「あーあ。織姫のやつ、こんな一護のどこがいいんだか」

たつきは大きなため息をついた。

「そりゃこっちの台詞だ。俺の何処がいいんだか」

「ま、あんたは見かけだけならいいし、優しいし、面倒見いいし、頼り甲斐あるし・・・・織姫が、好きになる気もち、分からなくもないけど」

「買いかぶりすぎだろ」

「あ、言っててあたしもそう思った」

「あーあ。結局朽木さんとはなんでもないのかー。つまんないなー」

「おい、水色」

茶々をいれてきた水色は、一人会話の中に入れず、涙を流している啓吾を見た。

「ふ、男女恋愛なんて、どうせ俺には縁がないんだ」

「啓吾、しっかりしろよ」

「一護ーーーーー!朽木さんを俺にくれーーーー!」

ばきっ。

音が立つほどに、啓吾を殴った。

「ルキアはものじゃねぇ」

ルキア。

今頃、どうしているだろう。

浦原商店から帰って、黒崎家に帰宅しているだろうか。

チャイムがなり、急いで残りのパンを食べて、一護たちは午後の授業に出た。

授業が終わり、校門のところでルキアが待っていた。

「一護」

「どうしたんだ、ルキア」

「その、義骸の調子が悪くてな・・・・すまぬが、一度、尸魂界に戻ろうと思うのだ」

「急だな。いつ戻ってこれる?」

「多分、来週の水曜には」

「そっか。戻るのはいつだ?」

「明日の昼過ぎだ」

明日は休日だ。

ルキアを見送ってやろうと思った。

「明日か・・・そうだ、俺も尸魂界にちょっと用事があるから、俺もついてく」

「一護?」

「京楽さんに、ルキアの高校生活を許してくれたこと、お礼を直接言いたいんだ」

「そうか。ならば、明日共に尸魂界に戻ろう」

「ああ」

その日の夜も、一護はルキアと同じベッドで眠った。

付き合っているわけでもないのに、抱き締めあいながら寝ていた。その距離の近さに、別段意味があるわけではなかったが、これで付き合っていないというには無理があると、たつきや水色、啓吾たちに見られたら、言われるだろう。

「ルキア、起きろ。朝だぞ」

「ん・・・・もう少し、寝る」

「おい、ルキア」

ベッドの上でもぞもぞしたルキアは、一護の服の裾をしっかりと掴んでいた。

「仕方ねーな」

一護も、また横になった。

1時間ほどが経ち、ルキアが完全に覚醒する。

「ん・・・一護?」

「俺の服の端、ずっと握ったままだったから、俺も二度寝しちまった」

「す、すまぬ!無理やり起こしてくれてよかったのに」

「義骸の調子が悪いんだろう?無理させられねぇよ」

「義骸はまぁ・・・・いや、なんでもない」

ルキアと一護は起きて、少し遅めの朝食をとった。とりとめのない会話をして、昼食をとり、昼過ぎになった。

「さて、いくか」

「ああ」

黒崎家から出ると、穿界門が目の前に現れる。

それをくぐって、一護とルキアは尸魂界に向かった。


尸魂界は、少しずつ復旧が進んでいるが、まだ戦火の爪痕が大きく残っており、仮に建てられた一番隊の隊舎の前で、ルキアと別れた。

「じゃあ、俺は、京楽さんとこ行ってくるから」

「ああ、私は朽木家に戻る。それから、13番隊の様子を見てから、少し溜まっているだろう仕事を片付ける。来週の水曜には、現世に戻るから」

「ああ、しばしの別れだな。じゃあ、またな、ルキア!」

「一護、京楽総隊長に、私も感謝していると伝えておいてくれ」

「そんなの、自分で言えばいいじゃないか」

「京楽総隊長はお忙しいのだ」

そんなに忙しいのに、会いにいって大丈夫だろうかと一護は思ったが、ルキアが背中を押してくれた。

「京楽総隊長は、尸魂界を救ってくれた恩人と会話をする時間くらい作れるさ」

「ああ、そうだな」

ルキアと、別れる。

また、来週の水曜に現世で会うことになるが。

一護は、知らなかった。

ルキアの義骸の調子が悪いのではなく、ルキアに断れぬ見合いが持ち込まれていることを。

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好きなものは好き8

金曜になって、やってきたルキアはエプロン姿だった。

何を思ったのか、今日の夕飯は自分が作ると言い張った。

「別に、夕飯がどっちが作るのでもいいけどよ」

「たわけ!恋人は、普通女のほうが飯を用意するというではないか!」

「ルキアは、そういうことにこだわらないだろ?」

「それもそうだが・・・・たまには、貴様に手料理を食べさせてやりたい」

ルキアが選んだメニューはカレーライス。小学生でも気軽に作れる、失敗するほうが珍しいメニューだった。

シーフードカレーに福神漬け、サラダ、あとは自分の好物の白玉餡蜜を作った。

「これって、ルキアが白玉餡蜜を食いたかっただけじゃないのか?」

「たわけ!作ってもらっておきながら、その言い分はなんだ!食わせてやらんぞ!」

「俺が悪かった」

一護は腹が減っていたので、素直に謝った。

「ん・・・シーフードカレーもたまにはいいな。美味いぜ」

「そうであろう、そうであろう。私とて料理くらい、できるのだ!」

自分で作ったシーフードカレーを、自分でもなかなかの出来だと言いながら平らげて、ルキアは白玉餡蜜を大目に食べた。

「ぐ・・・・食べすぎた」

「そりゃ、あんだけ食えばな・・・・・」

シーフードカレーを2杯食べて、白玉餡蜜を3杯食べたのだ、ルキアは。

「流魂街にいた時に、こんな思いをしたかったな・・・・・」

ふと、ルキアが流魂街にいた頃の話を聞いた。

いつもスリなどの犯罪に手を染めて、生きていた。恋次を残した仲間は、全て殺されてしまった。

「ルキア・・・今は、俺がいるだろ?」

「ああ。今は、一護がいる。恋次もいたけどな」

恋次という言葉に、一護はピクリと反応する。

「恋次のこと、まだ好きか?」

「好きだが、家族としてだ。兄様を愛しているように、恋次もまた愛している」

「そっか。でも、恋愛感情では俺だけを見ろ。お前は、俺のものだ。永遠に」

「永遠か・・・・」

ルキアは、うっとりとした。

永遠に、一護の傍に在れるのなら、それはそれで幸せだろう。

まぁ、この世界に事象で永遠など存在しないが、想いはせめて永遠になる。

「一護、大好きだ」

その日のルキアは、一護に甘えた。

一護も、ルキアを甘やかせた。

抱き締めて、優しくその黒髪を撫でて、キスをする。

エンゲージリングを光に透かせて、お互いに微笑んだ。

「想いは永遠か・・・・・」

「そうだ。たとえ体が朽ちても、想いだけは永遠だ」

「朽ちることのない愛を、お前に」

「同じく、朽ちることのない愛を貴様に」

その日の夜は、睦み合った。

朝起きると、自分が裸なのに気づいて、ルキアは真っ赤になって慌てて脱ぎ散らかした服を着た。

一護はまだ寝ていた。

「一護、起きろ!朝だぞ!」

「んー・・・・・」

一護が起きる。一護は、ボクサーパンツをはいていた。

「なぜ、貴様だけ裸ではないのだ!私は裸だったのだぞ!」

「いや、裸で寝るって抵抗感あったから」

「それは私とて同じだ!貴様、さては私を抱いた後にこそこそと下着を身に着けたな!」

「こそこそしてねーよ。めっちゃ大胆にはいたから。ルキアは俺が裸のほうがよかったのか?俺の裸を見たいのか?」

「うぐ・・・そういうわけでは・・・・・・」

一護は服を着て、ルキアを抱きしめた。

「昨日のお前、すげーかわいかった」

「な、たわけ!そういうことを、口にするな!」

ルキアは真っ赤になって、一護を殴った。

頭をぽかりと思い切り殴られて、一護がふてくされる。

「昨日は可愛かったのに・・・・・」

「たわけ!」

少し遅めの朝食をとる。めんどくさいので、コーンフレークだった。

いつもは一護が作ってくれるが、一護もたまには手を抜きたい時もある。

「なぁ、ルキア」

「なんだ」

「もっと、お前を抱いていいか?」

まじまじとした顔で迫られて、ルキアは真っ赤になった。

「すすすすす、好きにすればよかろう!」

「じゃあ、週1な。まぁ、無理ならいいけど」

一護とて男。恋人と睦み合いたくもなる。

一護がそういうことを言ってくるのが珍しくて、ルキアは呆けた顔で一護を見つめていた。

ああ、私の一護はかっこいいな。

そんなことを思っていた。

「昼食、何食べたい?」

「白玉餡蜜!」

「昨日あんだけ食っときがら、まだ食い足りないのかよ」

「毎日でも食べれるぞ!」

「へいへい。適当にありあわせの食材で作るか」

一護は、炒飯を作った。

「なあ、ルキア」

「なんだ」

「パンツ、チャッピー柄はやめて、もうちょっと大人っぽいやつにしようぜ」

「たたたたたわけ!」

ぽかぽかと殴ってくるルキアの拳を受け止めて、一護は笑う。

「ルキアなら、もうちょっと大人っぽい下着でも似合うと思う。今度、買いにいこうぜ」

「貴様、恥ずかしくないのか!」

「恋人が好きなかんじの下着つけてくれてたら燃える。それを思えば、恥ずかしくない」

「たわけが・・・・・・」

顔を真っ赤にしながらも、翌日一護好みの下着を買いに行った。一護はけろっとした顔でランジェリーコーナーにいた。

「これなどどうだ」

きわどい布地の下着を選ぶルキアに、一護が首を振る。

「こっちがいいな」

少し大人っぱいかんじの下着だった。

「この程度のものでいいのか?」

「ああ。別にスケスケのネグリジェ着ろとかいうわけじゃねーんだし。こういうので十分だ」

一護が選んだ下着を数枚買って、帰宅する。

日曜日の夜、ルキアと一護は一緒にお風呂に入った。互いに体と髪を洗いあった。

えっちなことはなしだった。

一護が選んだ下着を身に着けるルキアに、一護はごくりと唾を飲み込んだ。

「やっべ。今すぐ脱がせたい」

「ま、まて、たわけ!昨日したばかりだろう!」

「あ、ああそうだな。あんまりがっつくのもなんだしな」

「でも、どうしても貴様がしたいと言うのなら・・・・・」

ルキアを抱き上げて、一護はルキアをベッドに押し倒していた。

「あ・・・・」

「誘ったのは、ルキアのほうだからな」

「分かっておる・・・・・」

一護は、最後まで優しかった。

とろとろに愛されて、ルキアは思う。

ああ。一護のものになってよかった。一護に愛されてよかった。

一護が少し大人っぽい下着を好むということが分かり、その後ルキアはそんな下着ばかりを身に着けるようになるのであった。




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移ろわざる者

最近、体調が芳しくなかった。

肺の発作が収まったと思ったら、高熱を出し、熱が下がったと思ったらまた発作をおこした。

おかげで、最近ろくなものを食べておらず、雨乾堂にいながら点滴を受けていた。

救護詰所に入院したほうがいいと海燕は言うが、浮竹は体調が落ち着いた時は仕事をしたりしているので、入院はしなかった。

「隊長、ほんとに大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。最近は発作の回数も減ってきたし、熱も微熱だし・・・・・」

元から細いのに、更に肉を落とした浮竹の体は軽そうだった。

「とにかく、ちゃんと寝ててくださいね!今日は粥くらいなら食べれそうですか?」

「あまり食欲はないが、薬も飲まないといけないし、多分食べれる」

わざわざ卯ノ花隊長にきてもらい、一度回道を受けた。

体調は芳しくないが、快方には向かっているようだった。

海燕は、昼まで寝ていた浮竹に、昼食をとらせるために一度隊舎のほうに下がった。

ほどなくして、鮭の入った白粥と玉露の茶がもってこられた。

食欲は相変わらずないが、何か食べないとこのままでは何時まで経っても点滴を受けなければならない。

白粥を一口食べた。

美味しいと感じたが、相変わらず食欲は出なかった。

無理をして半分ほど食べた。

「もう無理だ・・・・これ以上食べようとしたら、きっと吐いてしまう」

「隊長、そこまで無理して食べなくていいです!無理なら数口でもいいんですから!」

「でも、せっかく用意してもらったのに」

「そんなことより、隊長の体優先です」

出された薬を飲んだ。あと、最近飲みだした肺の病にいいという漢方の薬湯を口にする。

その薬湯は苦くなく、ほんのり甘味があって浮竹は飲むのに支障はなかった。

他の薬は、苦いか味がしないかのどちらかだった。

「全部の薬が甘かったら、喜んで飲むのにな」

ふとそう思う。

今日もまたまだ熱が出ていた。

微熱だが、念のために寝ていることにした。

「はぁ・・・・最近天井ばかり見ている気がする」

「浮竹、大丈夫かい」

「京楽!」

暖簾をくぐって入ってきた京楽に、浮竹は喜びの声をあげた。

体調が芳しくないのと、京楽の仕事が溜まっていたせいで、最近来てくれなかったのだ。

「京楽、お前がくると少し元気が出る気がする」

「なら、もっと早くに来るべきだったねぇ」

頭を撫でられた。

半身を起こして、京楽の手土産のおはぎを見るが、食べれそうになかった。

「すまない、京楽。おはぎは海燕にでもやってくれ。食欲がないんだ」

「熱・・・まだあるね」

こつんと、額と額を合わせてくる。

大好きな京楽。傍にいるだけで、こんなにも世界が色を変える。

「浮竹、元気になったらまた甘味屋にでもいこう」

「ああ」

「まずは、こんな点滴を受けなくていいように、ちゃんと食べることだね」

「食欲がないが、少しずつだが食べれるようにはなっている。初めは食べていたら吐いてしまって、どうにもならなかったんだ」

「かわいそうに」

京楽は、浮竹を優しく抱きしめた。

「ああ、こんなに細くなっちゃって・・・・・」

「ここ2週間ばかり、果物とかしか口にしていないし、点滴ばっかりだったからな」

浮竹は、苦笑した。

京楽の胸が痛む。

「ああ、早く元気になっておくれ」

「お前の顔を見ていたら、元気がわいてきた。昼食半分残したんだが、何か消化にいいものをもってきてもらう」

海燕を呼んで、粥をまたもってきてもらった。

はじめから少しの量にしておいたので、完食できた。

「えらいね、浮竹」

「隊長は、薬より京楽隊長と会せたほうが、元気になるの早いかもしれませんね」

海燕は、そういって食器をもって下がっていった。

「キスしていいかい?」

「いいぞ・・・・んんっ」

舌が絡むキスを繰り返す。

もう、1か月近く交わっていない。

京楽は我慢しているが、それは浮竹もだった。性欲は強くないが、週に一度は交わるのだから、今の状態は少し苦しかった。

「元気になったら、君を抱きたい」

真正面から告白されて、浮竹は頬を赤らめる。

「すまないな・・・我慢させてしまって」

「仕方ないよ。君の体が弱いのは、今に始まったことじゃないし」

浮竹は、京楽を抱き締めた。

「その、抜いてやろうか?」

「だめだよ、熱あるんだから」

「むー」

「元気になったらね」

「ああ」

キスを何度も繰り返した。

まるで交わっている時のように。

「今日は久しぶりだから、泊まっていくね」

「ああ、そうしてくれ。暇なんだ。海燕も仕事があるから、いつも俺に構ってばかりいられないし」

天井ばかりを見ているのに飽きた。

その日は、京楽は隣に布団を敷いて寝た。寝る前に、熱がさがったので、京楽のものを抜いてやった。

翌日になると、昨日の体調の悪さが嘘のように元気になっていた。

まずしたことは、風呂に入った。点滴は外され、普通のご飯も食べれた。

たまっていた仕事を処理して、京楽と久しぶりに・・・・半月ぶりくらいに、甘味屋へ行った。

臥せっていたのが嘘のように、たくさん食べた。

「ねえ、今夜いい?」

「あ・・・ああ」

抱いていいかと、聞かれているのだ。

よいと答えてから、久し振りだなと思った。


夜になり、その日も京楽は雨乾堂に泊まった。

「久しぶりだし・・・病み上がりだから、あんまり無理はさせられないね」

「気にしなくていいのに」

「だめだよ。また熱を出したりしたらどうするの」

「う・・・・」

もっともなことを言われて、浮竹は押し黙った。

キスをされて、長い白髪を撫でられた。

褥にとさりと、押し倒され、長い白髪が畳の上に散らばる。

「ん・・・・・」

隊長羽織と死覇装を脱がされていく。肋骨が少し浮き出ているその細さに、京楽が言う。

「もっと食べて、肉つけなきゃね」

「あっ」

胸の先端をひっかかれ、舌で転がされた。

全身の輪郭を愛撫されて、胸から鎖骨にかけてキスマークを残される。

「んっ」

潤滑油に濡れた指が入ってきた。

久し振りの感覚に、腰が浮く。

「ああ!」

後ろで感じるのも久しぶりすぎて、あっけなく浮竹はいってしまった。

「早いね・・・・」

「たまってたからな」

指をひきぬかれて、京楽のものが入ってくる。

「ひあああああ!」

引き裂かれる感触は、されど悦びで。快感ばかりを生み出した。

「やっ」

前立腺ばかりをすりあげて、突き上げてくる動きに、ふるふると首を横にふる。

「もっと、乱暴にしていいから・・・・お前で、満たしてくれ」

「だめだよ。優しくしたいんだから」

浮竹の中を犯していく。

「ああ!」

腹の奥までくわえこまされて、孕むと思った。

「んん・・・・ああああ!」

行為は荒々しくはなく、最奥まで突き上げられるが、いつもより激しくはなかった。

「やああああ」

最奥をこじあけられるように、熱をたたきつけられた。

じんわりと広がっていく高温に、内部がきゅうきゅうと疼いた。

「あ、もっと・・・・・」

「十四郎・・・・愛してるよ」

「俺も愛してる・・・・・春水っ」

何度も突き上げられて、浮竹も精液を吐きだして、尽きた。

京楽は加減しようとしていたが、あおって、京楽が満足するまで抱かれた。

「風呂にいこうか」

「あ、こぼれる・・・」

京楽の子種が抜き取られたことで、零れていく。

「いっそ、孕めればいいのに」

「何その殺し文句。まだ抱かれたいの?」

「お前になら、何度だって抱かれてやる」

「全く、君って子は・・・・」

ちゅっと、音がなるキスをされて、風呂場につれてこられて中にだしたものをかき出された。

髪と体を洗う。キスマークは太腿とかにまでついていて、京楽が満足するまで抱かれたので浮竹は大分体力を消耗していた。

風呂からあがり、着物を着ると、浮竹は早々に眠ることにした。

「今日は久しぶりすぎて疲れたので、もう寝る。京楽も寝ろ」

同じ布団で、互いを抱き締めあいながら、体温を共有していると、意識は闇に滑り落ちていった。

「ん・・・・寒いね」

ふと、京楽は夜中に目を覚ます。

毛布も布団も、浮竹がもっていってしまっていた。

引っ張ってしまった勢いで起こしてはいけないと、押し入れからもう一組の布団をしいて、そこで寝た。

「おはよう」

「ああ、おはよう・・・そのすまない、どうやら寝相が悪くて一人で布団と毛布を、もっていってしまったみたいで・・・・・」

「そんなこと、いいんだよ。熱はない?」

額に手を当てられる。

幸いなことに、熱はなかった。

「朝ごはん食べれそう?」

「ああ、もう元気だし食べれる。心配をかけてばかりだな、俺は」

「心配をかけさせないのが一番いいけど、君は体が弱いから。仕方ないよ」

海燕を呼んで、朝餉を用意してもらった。

念のために、薬湯も用意してもらった。その薬湯は高くて、京楽がわざわざ手に入れた高価な品であった。味も甘味があるように、調整してもらっている。

「ありがとう、京楽。愛している」

浮竹は微笑んだ。麗人は、真っ白な髪に白い肌、翡翠の瞳をもっていて、笑顔がとても似合う。

「僕も愛してるよ、浮竹」

「あの、朝から恥ずかしいこと言ってないで、早く食べてください」

じと目の海燕など気にせず、二人はキスをした。それから朝食を食べながら、合間に螺鈿細工の櫛で浮竹の長い白髪を櫛削る。

「俺の存在は空気か・・・・・・」

二人のかもしだす、熱を孕んだいちゃいちゃぶりに、海燕はあてられて外に出た。

「はぁ・・・・俺は空気、空気・・・・」

自分に言い聞かせて、いちゃこらしている二人を急かして、京楽を8番隊まで送り、浮竹に仕事を渡す。

「海燕」

「なんですか、隊長」

「お前は、空気なんかじゃないぞ。ちゃんといるって分かってる。それでも、いちゃつくけどな」

「はぁ・・・・あんたも京楽隊長も、どっちも意地が悪い」

「そうかもな」

はははと、笑う浮竹は、元気そうだった。

元気なら、それでいいと思う。ふと、庭を見ると梅の花が咲いていた。

それを切って、花瓶に活けて、飾った。

「海燕?」

「あんたらは、梅の花みたいに咲いて、でも散ることなく今度は季節がきたら桜になって、紫陽花になって、朝顔になって・・・・・・」

「まるで、頭の中に花が咲いているといわんばかりだな」

「咲いてるでしょう」

「咲いているかもな」

くすくすと笑って、浮竹は梅の花を見た。

「もうすぐ、春だな」

「そうですね」

季節は移ろう。でも、移ろわないものもある。

それは浮竹と京楽の関係。

何百年経とうと、変わらぬ愛の軌跡。

移ろわざる者。

それが、二人なのだ。












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キスマーク

ある日、隊長といつも逢瀬に使う館で、俺は隊長のうなじにキスマークを残した。

それを知らない隊長は、翌日普通に6番隊の執務室にきて仕事を始めた。隊舎内を移動する時、ちらちちらと、いつもより多い視線を浴びているのに気づく。

移動するときふわりと黒髪が揺らめいて、隊長のうなじが見えた。

やっべ。

痕、残しすぎたかな。

でも、隊長は俺のものだし、他のやつが隊長に手を出すのを防ぐには効果はあった。

「何を呆けておる」

隊長にそう声をかけられて、はっとなる。

「いえ、なんでもないっす」

隊長の整いすぎた顔に見惚れていたと言ったら、きっと愚か者だと言われるだろう。

執務室で仕事をしだす前に、3席の利吉が小さな声で隊長に耳打ちした。

「うなじにいっぱいキスマークがあります」

おのれ。

ばらすとは卑怯な。

それを聞いて、ゆらりと隊長の霊圧が高くなった。

「恋次、こちらに来い」

「いや、隊長、あのねこれは」

「見えるかもしれない場所には、痕を残すなとあれほど言っていたのを、覚えておらぬのか」

「いえ、覚えてますけど最近の隊長は、色香が増して他の死神たちが食い入るように見てくるから・・・・・それがいやで、虫よけの意味かねて、わざとやりました」

「破道の8、白雷」

「ぎゃわわわわわ」

かなり加減された鬼道であった。普通なら真っ黒こげになる。

ちょっとしびれる程度の鬼道に、隊長が思ったより怒っていないことに気づく。

「怒ってないんですか、隊長」

「色香云々は分からぬが、容姿のせいで注目を集めるのは確かだ」

「そうなんですよ。隊長めっちゃ美人だから、俺心配で」

「私を信じれないのか?」

隊長の悲しそうな表情に、俺はしまったと思った。

俺の言動が、隊長を不安にさせている。

俺は隊長を抱きしめた。

隊長は、俺の腕の中で静かに立って、そして、背中に手が回される。

「私は、お前しか見ていない。それでも心配なのか」

「隊長・・・・・」

顔を寄せると、隊長は目を閉じた。

キスをすると、隊長の体が僅かに震えた。

「私には、恋次、お前だけだ。私が心から愛するのは。言葉だけでは信じられぬか?」

「いいえ、隊長。信じます。信じるしかできません」

隊長を愛している。

隊長しか、目に入ってこない。

隊長を抱き上げて、隊首室へといくと、隊長は首を振った。

「昨日睦み合ったばかりだ。今日はしない」

「最後まではしません」

隊長の隊長羽織を脱がせて、死覇装に手をかける。

隊長が、不安げに俺を見た。

「一回抜くだけです・・・・」

その気になってしまった俺は、隊長を抱きたいという欲を我慢して、自分のものをとりだすと、死覇装を脱がせて隊長のものを取り出すと、すり合わせて扱いだした。

「ああ、恋次!」

お互いのものに手をかけて、しごいていく。

全く反応していなかった隊長のものも、俺が無理やりたたすと、刺激でむくりと顔をもたげた。

「恋次・・・・んんっ」

キスをする。

隊長は、俺とのキスが好きだ。

舌を絡み合わせる深いキスを何度も繰り返し、ラストスパートをかける。

「隊長好きです・・・・愛してます」

「ああ!恋次、私もだ・・・・・・」

硬く熱くなったものをしごいて、俺が隊長のものの先端に爪を立てると、隊長はいってしまった。

「あああ!!!」

俺も、ほぼ同じタイミングで射精する。

「隊長・・・」

「んん・・・・・」

キスを何度も繰り返して、タオルで汚れた部分をぬぐって、お互いに服を着合った。

「恋次、辛くないのか」

「辛いですよ。ほんとなら、隊長を抱きたい。でも、昨日抱いたばかりだし、今は仕事の時間だし・・・・・」

俺のその言葉に、時間に厳格な隊長が、余韻を残した色香のある顔で、怒った。

「せめて休憩時間にせぬか、愚か者」

「でも、隊長だって拒否しなかったじゃないですか」

「それは・・・・」

真っ赤になって俯く隊長が可愛くて、顎に手をかけて上を向かせて、キスをした。

「お前はずるい・・・・」

隊長が、ベッドの上で俺に凭れかかってくる。

「私がお前を100%拒否できぬことを知っているくせに」

「そうですね。でも、昨日隊長を抱いたこともあって俺は我慢しました。少しは褒めてください」

「褒めるようなことではないだろう」

「俺は今すぐにでもしたいんです。でも隊長が嫌がるからしません」

「お前は・・・・手のかかる・・・・・・」

真っ赤になった隊長を抱きしめて、仕事時間中だということも無視して、ベッドに隊長と一緒に横になった。

「恋次?」

「今日だけですから・・・少し、こうして・・・・眠りましょう」

「だが、仕事が」

「もう、今日の仕事は終わってますよ」

「恋次」

ごろりと寝転がっている俺を、隊長は抱き寄せた。

「今日だけだぞ」

俺も、隊長を抱き寄せる。

性欲を解消した後に、緩やかな眠気が押し寄せてきた。

「隊長・・・・好きです」

すぐ近くにある、麗人の顔を見つめて、そのサラリとした黒髪をすいてやった。

「お前だけだ。私を好きにできるのは」

「はい。めちゃ嬉しいです」

触れるだけのキスを繰り返して、隊長の体温を感じながら横になっていると、いつの間にか眠ってしまっていたようだった。

起きると、腕の中に隊長はいなかった。

「隊長?」

執務室にくると、明日の分の仕事にとりかかっている隊長を見つける。

「隊長、そんなに仕事に打ちのめらなくても」

「反対だ。仕事でもしていないと、貴様に抱かれたくなる」

「隊長・・・・今日、館へいきませんか」

「昨日の今日だぞ」

「でも、体が疼くんでしょう?」

「う・・・・・・・」

俺は、隊長とやりとりをして、結局今日館にいって隊長を抱くことを承諾してもらった。

性欲の薄い隊長が俺に抱かれたいと言い出すなど、相当なものだろう。

1回だけ中途半端に抜いたのでは、足りなかったのだろう。

隊長。

好きです。世界で一番愛してます。

心の中で言ったはずが、言葉に出しているらしかった。

「世界で一番か・・・・私も、世界で一番お前を愛している」

思いもかけぬ言葉をもらい、俺は隊長に抱き着いた。

「重い」

「隊長は俺だけのものだ」

「お前も、私だけのものだ」

触れるだけの口づけを繰り返して、俺と隊長は今日も館に行き、一度だけであったが交わるのだった。

その時に、うなじに上書きするように、キスマークを残した。

隊長はそれに気づいたが、怒らなかった。

隊長。

ほんとに、あんたはかわいい人だ。

俺は眠ってしまった隊長の横顔を、眠くなるまでずっと眺めているのであった。





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永遠を誓おう

「よお、久しぶりだなルキア」

「一護も久しぶりだな」

高校を卒業するまで、一緒に現世にいたルキアは、高校を卒業すると進路指導で実家の跡を継ぐといって、尸魂界に帰ってしまって、それから時折現世に遊びにくるものの、すっかり会う回数が減ってしまった。

大学4年生になっていた一護は、就職も決定しており、井上と付き合っていた。

順風満帆な人生を送っていた。

ルキアはまとまった休みをもらったらしく、一護のアパートに転がり込んできた。

ルキアもルキアで、恋次と付き合っているはずなのだが、お互いに誰と付き合っていることについて口にすることはなかった。

「キムチチャーハンが食いたい」

その日は大学が休みだったために、スーパーで材料を買って手料理を作ってルキアに食べさせてやった。

「明日は、休みか?」

「ああ、そうだけど」

「水族館に行ってみたいのだ。連れていってくれるか?」

「別にいいぜ?」

他愛ない昔話に花を咲かせて、その日はルキアは一護のベッドで眠った。まるで付き合っているかのように、お互いを抱き締めあいながら寝た。

「おはよう」

「ああ・・・・おはよう」

寝ぼけ眼(まなこ)のルキアを起こして、真新しい白いワンピースに袖を通したルキアは愛らしく、高校時代から時が止まっているかのようだった。

「ルキアは変わらねーな。純白のままだ」

「貴様もあまり変わっていないではないか。まぁ、髪型は変わったが」

少し短めに切られた一護の髪を手に取る。

「この太陽のような髪、私は好きだ。よければ、また伸ばせ」

「ああ、別にいいけど・・・・それより水族館に行きたいんだろ?近場でいいか?」

「ああ、構わぬ」

弁当を作って、電車とバスを乗り継いで、近い中では一番規模の大きな水族館に連れていった。

昔、高校時代も皆でこうやって、水族館にきたことがあった。

その時のルキアは、アマゾンコーナーの熱帯魚に瞳をかがやかせてじっと見入っていた。

今回も、アマゾンコーナーで、ずっとネオンテトラを見ていた。

「ルキア?」

「懐かしいな・・・・昔、皆で水族館を訪れた。石田と茶虎は元気か?」

「え、ああ。石田は医者になるためにインターン生してる。忙しそうだぜ。茶虎もボクシングの世界チャンピオンになるために、日々修行を重ねてるみたいだ」

そこに、井上は、という問いはなかった。

知っていた。

一護が、井上と付き合っていることを。

「皆・・・変わっていくのだな。変わらぬのは私だけか・・・・・」

「ルキアも、恋次と・・・その、付き合ったりして、尸魂界を復興したりで、変わっていってるじゃねーか」

「恋次とは、もう別れた」

「え・・・・・」

「次は海月を見たい。行くぞ」

「ちょ、待てよルキア!」

一人すたすた歩いていくルキアの後を、追いかける。

海月のコーナーにつくと、ルキアはふわふわ漂う海月をじっと見つめていた。

「今の私は、この海月のようなものなのだ」

「ルキア?」

「ただ世界に流されて・・・・時に流されて・・・・私の、意思は・・・・・・」

「どうしたんだよ、ルキア。今日のルキア、なんかおかしいぞ?」

一護が心配して、ルキアの手を握る。

抱き寄せた。

細く華奢な体は、壊れてしまいそうに見えた。

「なぁ、一護」

「なんだ?」

「今更すぎる。自分勝手すぎる。それでも、お前のことを好きだと言ったら、どうする?」

「冗談だろ?」

一護は、寂しそうに笑った。

高校時代、一度ルキアに告白してこっぴどく振られたのだ。

生きる世界が違うから、と。

「考えていたのだ。貴様は人間で私は死神。共に過ごせば、貴様は先に逝ってしまう。でも、魂魄が尸魂界にくれば、またやり直せる」

「ルキア・・・・・」

「1年前、恋次と別れた。恋次は私をとても大切にしてくれた。私も恋次のことが好きだった。でも、気づいてしまったのだ。その感情が恋愛感情ではなく、家族愛であるということを。私は、ただひたすらに貴様が好きなのだと、会って再び核心した」

「ルキア、俺は・・・・」

ルキアと距離をとる一護。

「ふふ。ただ、貴様の傍に少しいたいだけだ。井上もいることだし、貴様に無理はいわんよ」

そんな言葉を、切なそうな表情で話すルキアを抱きしめていた。

「一護?」

「俺は・・・・自分に嘘をついていた。井上をお前の代わりにしていた。ルキア、昔から・・・そして今も、俺はお前が好きだ。やり直せるなら、チャンスをくれ」

「一護」

ルキアが、驚きに目を見開いていた。

「井上とは別れる。好きだ、ルキア。付き合おう」

「でも、井上が・・・・」

「井上も気づいてる。俺がルキアをずっと好きだってこと。身代わりにされてるってこと。井上を愛しているわけじゃないってことを」

「ずいぶんと、酷い男だな貴様は。井上が哀れだ」

「じゃあ、このまま尸魂界に戻るか?俺に告白したことはなしにして」

「いやだ。私も、貴様が好きなのだ。諦められない」

顔を見合わせて、苦笑した。

「お互い、どうしようもないな」

「そうだな」

お昼になり、お弁当を食べて水族館を二人で周った。

まるで、デートのようだ。否、これはデートだ。

水族館を出ると、一護はイルカのぬいぐるみをルキアに買い与えた。

ルキアは、嬉しそうにそれを大事するといって、チャッピーのリュックの中にしまった。

日が暮れて、一護の家に戻る。イルカのぬいぐるみを胸に、その日も同じベッドで眠った。

翌日は、ルキアは一護の大学についていった。

井上とは違う大学だったが、友人たちから新しい彼女なのかと聞かれて、適当に言葉を濁して誤魔化した。

「一護・・・家で待っていたほうがよかったか?」

「いや、傍にいてほしい。ルキアが好きだから」

大学の授業が終わり、一護のバイト先までついていって、ルキアは一護の傍にいた。そんな一護は、決意した。

「井上と今日別れる」

「一護・・・・」

「ごめん、今日は遅くなりそうだ。飯作っておくから、先に寝ててくれ」

一護は、スマホで井上に連絡を入れて、重要な話があると夜のファミレスに呼び出して、別れ話を切り出した。

井上はぽろぽろ泣いていたが、元から身代わりだったことを理解していたので、別れることを承諾してくれた。

「絶対に、朽木さんと幸せになってね。そうじゃなきゃ、私は黒崎君を許さない」

「すまない、井上・・・・・。今まで、ありがとう」

「これからは、昔みたいに友達でいよう」

「ああ」

井上の思考は前向きだった。

夜のファミレスを出て、井上を自宅まで送って、自分のアパートに帰宅する。

ルキアが、待っていた。

「先に寝てろっていったのに」

でも、そう簡単に寝れないだろう。一護と自分の未来がかかっているのだ。

「井上とは?」

「別れた。ただの友人に戻った。お前を幸せにしなきゃ絶対許さないって言われた」

「井上のやつ・・・自分も辛いだろうに」

ポロリと、ルキアの瞳から涙があふれだした。

「愚かなほどに貴様が好きだ。愛している。尸魂界にいる間中、時折気がおかしくなりそうなくらい、貴様のことを思った。現世に会いにいったりしていたのは、その気持ちを抑えるためでもあった。でも、もう我慢しなくてもいいのだな」

一護は、ルキアを抱きしめた。

「好きだ、ルキア。一度お前に振られても、俺はお前をずっと好きだった。愛してる。どうか・・・・・・一緒に、生きてくれ」

「一護・・・喜んで、その言葉を受け入れよう」

それからが、慌ただしかった。

尸魂界に行き、恋次にルキアと付き合うことになったことを報告した後、白哉にルキアと正式な交際を認めてもらうために朽木家にまで足を延ばした。

「兄は・・・ルキアを、幸せにできると?」

「幸せにできる。俺以外の男がルキアを幸せにはできない」

「大きく出たな・・・・散れ、千本桜」

白哉の千本桜に、一護は斬月をふりあげて、その花びらの本流を断ってしまった。

「ふ・・・・力は、健在なわけか。黒崎一護、ルキアを幸せにしろ。不幸にしたら、私の千本桜が貴様の首をかき切るだろう」

「白哉・・・・・交際、認めてもらえるんだな」

「婚礼も視野にいれておけ。その覚悟はあるだろう」

「ああ」

「兄様!」

ルキアは涙をたくさん流していた。

「兄様、すみません、兄様・・・・・・」

「よいのだ、ルキア。幸せになれ」

「兄様・・・・・」

白哉に抱き着いて泣いていたルキアは、顔をあげて一護の隣にきた。

「俺は、ルキアを幸せにしてみせる。妹さんを、俺にください」

「よかろう・・・・」

白哉は、静かに微笑んだ。

恋次とうまくいってほしかったが、ルキアが恋次ではない他の誰かを見ていることは知っていた。

あえて言及しなかった。

自分の道は、自分で切り開くものだ。

一護は、大学を卒業して翻訳家として、小さな出版会社に就職した。

土日になると、その傍にはルキアがいた。

そんな生活を2年ほど続けただろうか。

「尸魂界で・・・貴様との婚姻を、許された」

「まじか!」

一護は、ルキアを抱き上げて、くるくると回った。

「目が回るではないか!」

ルキアは、現世と尸魂界と行ったりきたりを繰り返していて、専門の穿界門を作られた。

「現世でも、結婚しようぜ」

そう言って、一護はルキアの指にエンゲージリングをはめた。

「尸魂界だと、俺の友人や家族が行けないからさ・・・2回になるけど、結婚、してくれるか?」

「喜んで・・・・」

ルキアは、静かに一護に口づけた。

誓いのキスだった。

その後、ルキアと一護は尸魂界でも現世でも婚姻し、共に時間を過ごした。

そして、一時の別れ。

「さて、尸魂界での生活を満喫しますか!」

魂魄になって若い姿に戻った一護は、魂葬され尸魂界へと落ちていく。

普通は、前世での記憶などない。

でも、一護は元々死神代行だ。

「また、会いにきたぞ、一護」

「ああ、また始めよう、新しい人生を。ルキア、大好きだ。愛してる」

「それは、こちらの台詞だ」

尸魂界で死神化した一護に抱き上げられて、ルキアは綻ぶように微笑んだ。

「永遠の愛を、貴様に」

「じゃあ、俺も永遠の愛をルキアに」

死してもなお、続く愛の軌跡。

二人の物語は、まだ続いていく。

遥かなる未来まで。


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院生時代の部屋

週末、浮竹は風呂からあがると着替えがないことに気づいた。下着はあるが、着物がなかった。

かわりにあったのは、浴衣だった。

京楽のせいだなと思いつつも、浴衣を広げてみて特に変わった様子もないので、その浴衣に袖を通した。

「おい京楽、勝手に人の着替え変えるな」

「(;゚∀゚)=3ハァハァ 浴衣姿の浮竹・・・超萌え」

「京楽?」

明らかに興奮している京楽に、浮竹が一歩後ろに下がる。

服の合わせめから見える生足とか、襟元から見える胸元とかに、京楽は鼻血を出した。

「うわああああ!」

「くっ、久しぶりのエロティック攻撃にやられた」

「浴衣を着ただけだろう」

ふと、悪戯心を覚えて、ちらりと太ももを見せた。

「はうあ!」

もだえる京楽が面白くて、少し襟元をはだけてみたりして挑発していたら、いつの間にかベッドに押し倒されていた。

「おい、京楽・・・・」

「辛抱たまらん」

抱きしめられて、キスをされた。

「んっ」

浴衣の襟元に手をいれられた。

「あ、京楽、だめだ」

「浮竹・・・・好きだよ」

膝を膝で割られて、太ももをもう片方の手が撫で上げていく。

やばい。

自分が招いたこととはいえ、このまま体の関係に発展したくなくて、浮竹は京楽の硬くなっていた股間を思い切りけった。

「うごごごご!」

七転八倒する京楽に、悪いとは思いつつ乱れた浴衣を直す。

それから脱衣所にいって、普通の着物に着替えた。

浴衣はチラリズムが多すぎる。京楽には目の毒だろう。

「ああ、着替えちゃったの・・・・せっかくおいしそうだったのに」

復活した京楽の頭をはたいて、浮竹はお説教した。

「勝手に、人の着替えを変えるな!まぁ、浴衣で悪乗りした俺も悪いが」

「だって、浮竹のチラリズムが見たかったんだもの」

「お前なぁ・・・・」

まぁ、裸に剥かれるよりはよほどましなので、怒りはあまりわかなかった。

「ほら、こい」

両手を広げると、京楽は見えない犬の尻尾を振って、浮竹の腕の中に飛び込んだ。

「浮竹、大好きだよ」

抱きしめられて、抱きしめ返すと、京楽はそのひげ面で浮竹の頬にすりすりした。

「じゃりじゃりしていたい」

「それもまた愛!」

「んっ・・・・・」

ピチャリと舌が絡まるキスを何度か繰り返して、満足したのか京楽は離れていった。

「ねぇ、何もしないから、今日は僕のベッドで眠ってよ」

「本当に、何もしないと約束できるか?破ったら、1週間はキスもハグも禁止だぞ」

「うん。約束する」

その日の夜は、京楽のベッドで眠った。

まるで恋人同士のように、抱き寄せられていた。いつもはあまりしないその体勢に、浮竹がドキドキしてしまった。

京楽の腕の中にすっぽりと入るように抱き寄せられている。

京楽は幸せそうな表情で眠っていた。

「なんで俺は、ドキドキしているんだ」

「ん・・・浮竹?寝れないの?」

「あ・・・・いや、ちょっと体勢がいつもと違うから、落ち着かなくて」

「嫌かい?」

「そうでもない」

京楽の体温に、安堵している自分がいる。

自分を好きだと言ってくる相手の腕の中で眠るなど、無防備すぎるが京楽は変態だが、無理強いはしてこない。

確かに暴走してキスとハグ以上のことをしでかしたりしそうになるが、それも浮竹が嫌がればやめるか、止めなかった時は浮竹が京楽を蹴ったりして止めた。

「今度から、一緒に寝るときはこんな感じで寝たいな」

「そもそも、お前と一緒に寝ること自体がほとんどない」

「浮竹、大好きだよ。世界で一番愛してる」

「知ってる」

京楽が、どれくらい自分のことが好きなのか、浮竹は理解しているつもりだった。もしも浮竹が女なら、すでに付き合って婚約でもしているだろう。

だが、浮竹は男だ。京楽も男だ。

そこにある弊害など、京楽にしてみればないに等しいのだろうが、浮竹にすれば大問題であった。

京楽が女だったら・・・そう想像して、もじゃもじゃの女京楽を想像してしまい、浮竹はその気味の悪さに頭を振った。

「浮竹?眠れないの?」

「いや、もういい。考えるだけ時間の無駄だ」

「?」

京楽の匂いがする。

そう思いながら、浮竹は目を閉じた。

最初は寝つけなかったが、腰に回された京楽の腕のぬくもりを感じながら、いつの間にか意識は闇に滑り落ちていった。

「おはよう」

「おはよう」

すぐそばに、京楽の顔があって、少しドキリとした。

変態行為をしていなければ、見た目はいいし、男前なのだが。

すでに京楽はぱんつ一丁で、起きだすと朝の体操を始めた。

これだから。

浮竹は、ドキリとした自分を後悔する。

京楽の変態が治るようにと思いながらも、このままでもいいかと思う矛盾する気持ちに、浮竹はもやもやするのだった。

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院生時代の部屋 えとせとら

それは、一目惚れだった。

院生時代、入学式に首席の子の挨拶があった。

京楽はさぼっていたので、入学式には出ずに桜の木の上で居眠りをしていた。山じいに見つかり、こっぴどく叱られた。

そして、自分を学院に放り込んだ両親に反抗するかのように、新しく用意されていた屋敷を使わずに寮で生活することにした。

一人部屋を希望していたが、山じいが、病弱なのでどうしても同じ部屋にして、面倒を見てほしいという相手を紹介された。

「浮竹十四郎だ。よろしく」

ぽかん。

そんな顔を、京楽はしていた。

ドストライクだった。だが、残念なことに性別は同じ男だった。

気づけば、あれは一目惚れだったのだろう。

「あ・・・・」

「これ、春水!」

山じいに叱られて、京楽も挨拶する。

「京楽春水だよ。よろしくね」

こうして、もやもやした学院での生活は始まった。


とにかく、浮竹は白い髪に翡翠の瞳という、他の人とは全く違った色をしていた。人目を集めてしまう。

本人はあんまり気にしてないようだが、その視線が鬱陶しいのだと、京楽は浮竹を見てくる、特に男を中心に睨み返した。

浮竹はもてた。

女だけでなく、男にまで。

はじめて男に告白されて、目を白黒させている間に既成事実を作られようとして、助け出したのは昨日のことだった。

浮竹は、ショックのあまり、がたがたと震えていた。

同じ男に、そういう目で見られているということは昔から知っていたが、襲ってこられたのははじめてで、護身術を身に着けていたが、茫然としてしまって対処できなかった。

ピンチを救ってくれたのは、京楽春水という、同じ寮の相手だった。

「大丈夫?」

「あ、ああ・・・・・」

まだ、がたがたと震えていた。

「かわいそうに」

ふわりと抱き締められた。

なぜか、震えが収まった。

「あ・・・」

「ごめん、嫌だったかな」

「いや・・・すまない、もう少し、このままで・・・」

京楽に抱き締められると、何故か安堵した。その体温の暖かさにも、安堵を覚えた。

「君、見た目がいいから気をつけたほうがいいよ。ただでさえ、死神は男の方が多いからね」

「護身術を・・・・習って、いたんだ。子供の頃からそういう目で見られることがあるから、念のためにって・・・でも、いざとなるとだめだった」

くやし涙を浮かべる浮竹の白い髪を手ですいて、頭を撫でてやった。

「困ったことがあったら僕にいいなよ。解決できるなら、手を貸すから」

京楽春水は、優しかった。

でも、女遊びが激しくて、授業をさぼることも多かった。

よく、山じいに怒られていた。

いつの間にか、親友になっていた。寮だけでなく、学院生活に私生活も一緒のことが多かった。

浮竹は病弱で、よく熱を出して、肺病を患っているせいで吐血もした。

でも、そんなことを微塵も感じさせない、明るい性格をしていた。

冗談で、友人の一人が浮竹と京楽はできていると言い出して、みんなして笑っていた。

1回生が過ぎ、2回生になり、3回生になった。

いつの間にか、親友以上の関係になっていた。

京楽の女遊びもなりをひそめ、京楽は浮竹を見ていた。浮竹は、それに気づいていたが、どうすればいいのか分からず、ただ京楽の隣にいた。

4回生の春。

桜の木の下で、京楽に告白された。

「あのね、浮竹。僕、君のことがどうやら好きみたいなんだ。いきなり襲ったりしないから、ためしに付き合ってみない?」

「俺も・・・・お前のことが好きだ」

浮竹は、その答えていた。

京楽は、告白したが浮竹とどうこうなるわけではなかったが、今までなかったキスとハグを経験した。

初めてキスをした時、浮竹は真っ赤になって逃げた。

浮竹は、純粋培養でできた人物で、誰か特定の相手とどうこうなるというのを、経験したことがなかった。

何度かキスをしていると、浮竹は京楽に問いかけた。

「お前は・・・・その、俺と・・・寝たい、のか?」

「あ、もう頭の中では君はあられもない恰好で、僕にいろんなことされてるから」

浮竹は真っ赤になった。

「でも、無理強いはしないから」

京楽は、浮竹がたとえ自分を受け入れなくてもいいと思っていた。

ただ、隣にあれればいいと。

5回生の春。

「お前に、俺の全部をやる!」

意を決した浮竹に、桜の木の下でそう言われて、京楽は浮竹を抱き締めた。

「本当に、いいんだね?」

「ああ・・・・その、やっぱり、俺が抱かれる側なのか?」

「僕を抱きたいなら、それでもいいよ」

「いや・・・お前が抱くで、いい・・・・・・」


初夜は、いろいろと入念に準備しておいた。

男とそんな関係をもったことのない京楽は、男とのやり方を、陰間茶屋で色子を買って、ただ買うだけで抱くことはせず知識をもらった。

潤滑油、媚薬など、いろいろ用意した。

浮竹に、媚薬を使えばきもちいいだけで、痛みはないからと言ったが、媚薬を使うのはいらないと拒否された。

ちょっぴり残念だったが、ずっと欲しかった浮竹を手に入れれるのなら、なくてもよかった。

お互い正座して、ベッドの上に座った。

「その、よろしく」

「あ、ああ・・・・」

軽く触れるだけのキスから始めた。

舌を絡めるようなキスをするのは、これで何回目だろうか。

「ん・・・・」

浮竹の熱のこもった声を聞きたくて、服の上から体のあちこちを弄った。

「あ・・・・」

衣服を脱がされていく。

そのまま、鎖骨を甘噛みされて、胸から臍にかけてキスマークを残された。

「んん・・・・」

浮竹のものを、握りしめると、びくんと浮竹が強張った。

「一緒に、きもちよくなろう」

そそり立った京楽のものと一緒にしごきあって潤滑油もたして、ぬるぬると互いのものを手でいじくりあった。

「あああ!」

「きもちいい?」

こくこくと、浮竹は頷いた。

そのままお互い射精して、呼吸を整える。

「指、いれるよ」

潤滑油に濡れた指を浮竹の体内に入れると、浮竹は体から力を抜いた。

「そうそう。リラックスリラックス」

「あ!」

前立腺がある部分をいじると、浮竹が反応した。

男という生き物は、後ろでもいけるのだ。それは誰もが同じで。色子からもらった知識をフル活用して、浮竹を追い詰めていった。

「あああ!」

ずるりと指をぬいて、自分の怒張したものを宛がう。

優しくするつもりではあるが、侵入するとその中のよさに、あっという間に果ててしまいそうになった。

「ああ!」

なんとか我慢して、根本まで入れた。

「痛くない?」

「少し、痛い・・・・・」

「動くから・・・・きつかったらいって」

「ああ」

ゆっくりと、律動する。

なるべく前立腺をすりあげるように動くと、浮竹もきもちよいのか、感じていた。

その表情を見るだけで、熱が集まる。

「あ、大きくなって・・・・・ああ!」

最奥を犯すと、浮竹は体を痙攣させた。

浮竹がいったのを確認してから、またいくように前立腺を突き上げて、とにかくよいと思う場所を突いた。

「あ、ああ・・・・ひあああ!」

浮竹は、長くなった白い髪を乱していた。

最高にエロかった。

その声と表情だけで軽く何発でも抜けそうだ。

「ん・・・出すよ」

「あ・・・・・・」

じんわりとした熱を腹の奥で感じて、浮竹は目を閉じた。

「好きだ、春水」

「僕もだよ、十四郎」

何度も口づけしあった。

そのまま、また何度か突き上げて、浮竹がいったのを確認してから、京楽もまた熱を浮竹の中に放った。

「ああ・・・・んんん・・・ああ・・・・」

ズチュリと、中を犯す。

体位を変えると、中を抉られて、浮竹は言葉もなく体を痙攣させた。

「ああ、すごいね君の中・・・・・」

「あ・・やあああああ」

気づけば、ぱんぱんと腰がぶつかる音が響いていた。

優しくするはずだったのに、あまりの良さに、加減ができなくなっていた。

「やあ!」

浮竹は、泣いてた。

生理的な涙なのか、感情からくる涙なのか判断がつきかねた。

散々浮竹を蹂躙して、京楽は満足した。

最後は、浮竹は意識を失っていた。

後始末をして、浮竹の中に吐きだした己の精液をかきだすと、驚くほどでてきた。

「ん・・・・・・」

「気づいた?」

「俺は?」

「意識、失ってた」

「もう終わりで、いいか?もう無理だ・・・・」

「うん。初めてなのに、加減できなくてごめんね」

「別に、いい」

浮竹は、照れたように赤くなりながらそっぽを向いた。

「好きだよ」

「うん・・・・・・」

その日から、週に一度は体を重ね合うようになった。

6回生になり、互いに席官として死神になった後も逢瀬を続け、気づけば隊長にまでなっていた。

「浮竹、入るよ」

「ああ、京楽か」

雨乾堂で、今日も浮竹はおはぎをほうばっていた。

昔から、甘いものが好きな子だった。

「京楽も食べるか、おはぎ」

「うん、もらおうかな」

院生時代を経て、なおも続くその関係。

全ては、京楽の一目惚れからはじまったのだった。



院生時代尾の部屋、えとせとら。 終

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秘伝の薬湯

恋次が、風邪を引いた。

白哉は、隊首室で寝泊まりしている恋次を連れて、4番隊の救護詰所にきていた。

「ただの風邪ですね。薬だしておきますから、朝昼夕の毎食の後に、薬飲んでくださいね」

副官の病気ということで、特別に診てくれた勇音に礼をいって、白哉は恋次を連れて6番隊の隊首室に戻った。

「ごほっごほっ」

「大丈夫か、恋次。辛いのか?」

「いえ、だいじょぶです。ちょっと咳が止まらなくて・・・ごほっごほっ」

「横になっていろ。今、清家に頼んで、何か消化にいいものをもってきてもらう」

「隊長・・・・あんまり近くにいると、うつりますよ」

「かまわぬ。はやめに風邪薬を飲めば済む話だ」

白哉は、白粥に鮭をいれたものを恋次に渡した。

「一人で食べれるか?」

熱が大分あがってきたのか、恋次は苦しそうにしていた。

「ちょっと、無理っす・・・・・」

「では、口を開け。食べさせてやる」

白哉がそこまで親身になってくれるのが嬉しくて、恋次は口をあけて、朽木兼の病人用の食事を食べた。やはり、美味だった。

なんとか全部食べさせて、薬を飲ませる。

白湯を渡すと、それを恋次は飲みほした。

次に、朽木家秘伝の薬湯を飲ませた。

「苦いです・・・・・」

「我慢して飲め。病気の治りがよくなる」

「はい・・・・・」

薬湯を飲み干して、恋次はベッドの上で寝転びながら、隣に白哉がくるのにびっくりした。

「隊長?」

「ただの添い寝だ。お前も寝ろ」

「隊長・・・・・」

心遣いが嬉しくて、でも風邪をうつしてしまいそうで、逡巡する。

でも、白哉の傍にいたいという欲が勝って、恋次は白哉を抱き寄せた。

「隊長、あったかい・・・・」

「寒いのか?」

「少し」

「もう一枚、毛布をかけよう」

白哉は、一度ベッドから起き上がって、押し入れになおされてあった毛布をもってくると、恋次にかけた。

「ああ、あったかいです・・・・・・」

また、恋次の傍で寝そべる。

恋次は、薬が効いてきたのか、うとうとと微睡みだした。

「そのまま寝ろ。私が傍にいる」

「隊長・・・・愛してます・・・・・」

「私も愛している、恋次。今は、寝ろ」

恋次の意識は、闇に滑り落ちていった。

気づくと、すぐ近くに端正な白哉の顔があって驚いた。

恋次を看病したまま、白哉も眠ってしまったらしい。

睦み合ったわけでもないのに、同じベッドにいるのは少し新鮮だった。

白哉の寝顔を見る。あどけない顔をしていた。動かなければ、精巧につくられた人形のように見えてくる。

静かな寝息が聞こて、それに恋次は安堵する。

風邪薬が効いたのか、朽木家秘伝の薬湯が効いたのか、薬の飲む前より大分楽になっていた。熱はまだあるようで、恋次は白哉を抱き寄せて、また眠りについた。

「ん・・・・朝か?」

白哉が目を開けると、朝の7時だった。

恋次はよく眠っていた。

とりあえず、瞬歩で朽木家に戻り、朝食を食べて、昨日湯あみをしていなかったので、風呂をすませると、清家に頼んでまだ病人用の朝食を用意させて、6番隊の隊首室にきた。

「恋次、起きれるか」

「ああ、隊長、ありがとうございます。また朝食用意してくれたんですか」

「私が風邪をひけば、朽木家の者がいるが、お前は一人だ。私が看病するしかあるまい」

恋人同士なのだ。

そうするのが当たり前だろう。

「今日は一人で食べれるか?」

「あ、はい」

恋次は、病人用とはいえ、豪華な朝食を食べた後、風邪薬を飲んで、朽木家秘伝の薬湯を飲んだ。

薬湯は本当によく効いて、昼には熱も下がってしまった。

「あと、2日ほどおとなしくしていれば大丈夫であろう」

白哉は、濡れたタオルを持ってくると、恋次が着ていた死覇装を脱がせた。

汗もかいていたし、体をふいて清め、新しい死覇装に着替えさせる。

「この調子なら、今日は風呂に入ってもよい」

「何から何まで、すみません」

恋次は、しゅんとしていた。

「私とて風邪くらいひくときはひく。恋次が悪いわけではない」

「仕事、滞ってませんか?」

「私を誰だと思っている」

「すみません、杞憂でしたね。隊長には、ほんとに感謝してます」

「ならば、早くよくなれ」

「はい」

2日ほど隊首室で大人しくして、恋次の風邪も完全に治った。

その間も、白哉からご飯をもらい、薬湯を飲んだ。

「朽木家秘伝の薬湯って、すっごい苦いけど効きますね。けっこうあっさり治った」

「秘伝だからな。何でできているか、私自身しらぬが」

でろでろとした緑色の液体だった。

見るからに苦そうで、実際苦かった。

「仕事の遅れ、取り戻します」

「恋次が寝込んだくらいでは、仕事は遅れたりせぬ。私がいるからな」

インフルエンザで二人してダウンした時は、3席とかに仕事をが圧しかかって随分な目を合わせてしまったが。

何はともあれ、恋次の風邪は治った。

ちなみに、白哉も念のため風邪薬を飲んでいたので、うつることはなかった。


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好きなものは好き7

「ルキア?」

「ごほっごほっ」

ルキアは、春の日差しも見えてきた季節の変わり目に、風邪になってしまった。

「熱・・・少しあるな」

金曜の夜に現世に戻ってきた時も、咳をしていたけれど、酷くなっていた。

体温計で熱を測ると、38度4分あった。

とりあえず、石田のやっている病院に連れて行って、風邪薬を出してもらった。

「食事、卵粥作ったけれど食えそうか?」

「げほっげほっ・・・・咳も出るし、熱もあるが、案外元気だぞ。飯も普通に食えそうだ」

卵粥をべろりと平らげて、処方してもらった風邪薬を飲んで、解熱剤を飲ませた。

「とりあえず、月曜の朝までずっと寝てろ」

「寝ているだけでは暇だ」

「だからって、こじれたらどうする」

「うぬ・・・・・仕方ない、大人しくしておく。一護、好きだ。傍にいてくれ」

熱のせいか、いつもより甘えてくる。

「プリンが食べたい」

「ああ・・・買ってきてやるよ」

「嫌だ。私を置いていくな」

「そうは言われても、スーパーかコンビニにでもいかねーと売ってねーよ」

「私を一人にするな」

ルキアは、一護の腕にぎゅっとしがみついて離れなかった。

「ルキア、少し寝ろ」

「んー・・・・」

熱があがってきたらしい。

意識が朦朧としだして、ルキアは浅い眠りの中へ旅立ってしまった。

一護は、今のうちだと、近くのスーパーで今夜の夕食の材料とプリンを2つ買った。

あと、アイスも。

「いちご・・・・どこ?」

熱で朦朧とした意識の中、一護の姿を探すがいなくて、ルキアは泣き出した。

「いちご・・・いない・・・・」

「ただいま、ルキア」

「いちご?」

「うわ!」

ルキアは、ベッドから起き上がると一護に体当たりを食らわせる勢いで抱き着いてきた。

「貴様がいなくて、寂しかったのだ。とても、寂しかったのだ」

涙を滲ませるルキアを抱き上げて、ベッドに寝かせる。

「悪い、寝たと思って買い物行ってた」

「何処にも行かないでくれ・・・・」

「ああ、今日はもう何処にもいかねーよ」

数時間して、熱が下がってきたのか、ルキアは目を覚ました。

「プリンとアイスが食べたい」

「そういうと思って、買ってきてある」

まずはプリンを渡した。2個食べてしまった。

アイスは、普通のバニラアイスを買ってきたので、それを渡すと、ルキアはねだってきた。

「食べさせてくれ」

「一人で食べれるだろう」

「私は病人だ。貴様が面倒を見るのが当たり前なのだ」

「はいはい」

ルキアの小さな口に、スプーンですくったアイスを入れてやる。

「冷たくて甘くておいしい・・・・・・」

ルキアは上機嫌だった。

「ああ、こういうのもいいな・・・たまには、病気になってみるものだ。好きなだけ甘えられる」

「早く治せよ。甘えるくらい、いつだってできるだろ」

「普通の時は、恥ずかしさがあるのだ!」

「今は恥ずかしくないのか?」

「全然恥ずかしくない。風邪のせいだ」

まだ熱があったので、アイスを全部食べ負わせると、氷枕を作ってやった。

「ひんやりしている・・・・・」

「そりゃ、氷枕だからな・・・・」

「きもちいい・・・・」

ルキアは、一護の手を引いて、隣に寝かせた。

「貴様も一緒に寝ろ」

「風邪うつす気か」

「貴様が風邪になったら、私が責任をもって看病してやろう」

一護は溜息を小さく零して、ルキアの隣に寝そべって、その体を抱きしめた。

いつの間にか、一護も眠ってしまっていたらしく、時計を見ると7時になっていた。

ルキアを起こさないようにベッドから起き上がり、夕食の準備をする。

「ルキア、夕飯食えるか?」

「ん・・・今何時だ」

「夜の7時半だ」

「食べる。熱も大分下がったようだし」

「あんま無理すんなよ」

ルキアに、夕飯を食べさせてやった。

ひな鳥のように口をあけるルキアに、スプーンをつっこむ。親鳥になった気分だった。

「風呂は・・・今日は入れぬな」

「明日も無理だろうな。服脱げよ」

「き、貴様、病人を襲う気か!」

「ばか、ちげーよ。体を濡れたタオルでふくだけだ。汗かいてるだろうし、風呂入れなかったら気持ち悪いだろ」

「うむ、頼む」

ぽいぽいと服を脱いで、下着姿になったルキアの体を、蒸したタオルで丁寧にふいてやった。

新しいパジャマに着替えさせて、まだベッドに横になる。

「せっかくの土日なのに、私の看病で潰れてしまってすまぬな」

「別にいい。ルキアといれるなら」

ルキアは、赤くなった。

一護は、風邪がうつるかもしれないと分かりつつも、ルキアを抱き締めてその日は眠った。

日曜になると、ルキアはすっかり回復した。咳もあまりでず、とりあえずあと4日くらいは風邪薬を飲ませることにした。

することもなく、二人でだらだらとベッドの上で、抱き締めあいながら話をしていた。

「尸魂界に戻っても、風邪薬飲めよ?」

「分かっている。現世の医療は発達しているしな。まあ、4番隊にかかるほどのものでもない」

「最近、寝る時腹出してるだろ。気づくと直してるけど。多分原因はそれだと思う」

「貴様、私が腹を出して寝ているだと!?」

ルキアが噛みついてくる。

「これ、証拠写真」

スマホで、腹を出して寝ているルキアの写真を見せられて、ルキアは言葉に詰まった。

「た、たまたまだ」

「俺、今までに6回くらい直してるんだけどな」

「ええい、忘れろ!」

ルキアは、一護をベッドに押し倒して、上に乗っかった。

「ふふん」

「何がふふんだ」

尻を撫でられて、ルキアは真っ赤になった。

「貴様・・・・・」

「こういう姿勢、襲い受けっていうんだぜ。ま、風邪だし襲わねーけど」

ルキアをどけて、一護はルキアを抱き締めた。

「あー。ルキア成分補充」

「貴様、アホか」

「アホでもいい。月曜からまた別れると思うと、ルキアとは金曜まで会えないから、それまでのルキア不足を補っておくんだ」

けっこう頻繁に、メールでやりとりしてたりしているけど。

「あー。やっぱルキアといると落ち着くなー」

「それはこちらの台詞だ」

風邪がうつるといけないので、キスはしなかった。

月曜になり、体調も大分回復したルキアと別れる。

「じゃあ、今週の金曜な」

「ああ、それではな」

穿界門に消えていったルキアに向けて、メールを送る。

(風邪、うつったみたい)

熱はないが、咳が出た。

(たわけ)

(風邪薬早めに飲んだから、1~2日で治るけどな)

(次に会うまでに、治しておけ)

(大丈夫だ。いざとなったらルキアを抱いて元気吸い取るから)

(たたたたた、たわけ!)

きっと、伝令神機越しで真っ赤になっているだろう、ルキアにメッセージを送る。

(好きだぜ、ルキア。離れていても、心は一つだ)

(当たり前だ、たわけ)

一護は、大学に行く用意をする。

ルキアのいない、普通の大学生活の始まりだ。金曜の夜になれば、また会える。それまでは、メールでやりとりをする。

(じゃあ、大学行ってくる)

(私も、仕事にいく)

二人の心は、離れていても一つ。

好きなものは好きだから、仕方ないのだ。




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さくらさくら

「ん・・・・・・」

寒さもなくなり、暖かな日が多くなってきていた。

夜遅くまで、書物を読みふけってしまった白哉は、執務室でうたた寝をしてしまっていた。こういう時に恋次に起こせと言っているのだが、恋次は起こさない。

「・・・・・早咲きの桜、か」

ふと気づくと、テーブルの上に桜の花を活けた花瓶があった。

その柔らかな色彩に、目覚めたばかりの白哉の思考溶けていく。

ああ。

雪解け水のように、春の日差しに溶けていきたい。

もうすぐ、白哉の好きな桜が満開になる季節だ。今はまだ早咲きの桜と少し遅咲きの梅が一緒に見れる、微妙な季節だ。

梅を見ようにも散りかけていて、桜を見ようにも少ししか咲いていない。

「この桜の枝は、どこで見つけたのだ、恋次」

隊首室の方で様子を伺っていたことにばれた恋次は、頭をかきながら流石は白哉だと思った。

「6番隊にくる途中の、河川敷の桜です」

「そうか。あの河川敷は早咲きだからな・・・・」

もう、桜の花が咲いていることに喜びを感じ、同時に散ってしまう季節を感じると悲しみを少しだけ覚えた。

自分の斬魄刀を千本桜にしてしまうほど、桜を愛していた。梅の花も、緋真が好きだったために愛していたが。

「昨日は、少しばかり夜更かしをしすぎたな・・・・・執務室で寝てしまうなど」

「隊長、春だし最近仕事づくめだったし、少し休んだほうがいいですよ」

「そうだな・・・・今日の仕事はもう終わってしまったようだ」

仕事の途中で寝てしまうと隊長失格と思うが、終わってしまっているのなら、少しばかりのうたた寝くらいは大丈夫だろう。

そもそも、白哉は時間や規則に厳格だ。

それも緩んでしまうくらい、春の日差しが窓の外から入ってきていた。

「隊長・・・・・」

恋次が、仕事が終わってもう、帰宅するだけになってしまった白哉の名を呼んで、引き留める。

「恋次?」

「隊長、桜が満開になったら、花見に行きましょう」

「ああ、そうだな」

抱き締められて、キスをされた。

「ん・・・」

応えていると、口づけが激しくなる。

「んん・・・・」

ピチャリと、舌と舌が絡み合うキスを繰り返していると、最近睦み合っていないので、どちらが先なのか分からぬが、スイッチが入ってしまった。

恋次が寝泊まりしている隊首室の、ベッドに押し倒されていた。

「あ、恋次・・・・・」

「好きです、隊長」

「いい加減、もう少し片付かないのかこの部屋は」

「そんなに酷く散らかってはいませんよ」

確かに、昔に比べれば綺麗になっている。掃除も行き届いていて、隊首室は意外にきちんとされれていたが、白哉から見ればまだ物がおおい部屋だった。

「恋次・・・・来い」

貴族の証も奪い取り、隊長羽織を脱がせて、死覇装を脱がせていく。

真っ白な肌に、自分のものだというキスマークを残していった。

「恋次・・・・・」

「隊長・・・・」

体の輪郭全部を愛撫して、胸の先端をひっかき、弄り回していると、白哉がぴくんと反応した。

「あ・・・・・」

ゆるゆると反応している花茎に手をかけて、いじられるとそれだけで何も考えられなくなる。

「恋次!」

白哉のものは色が薄く、恋次のそれより淡かった。

「んっ」

花茎をしごかれて、先端に爪を立てられると、あっけなく白哉はいってしまった。

「ああ!」

「ん・・・・隊長、俺のも」

「ん・・・」

恋次のものを、白哉は手でしごく。

ぴりゃりと舌を這わせて、口に含めない部分は指で扱っていると、恋次はびゅるびゅると濃い精子を、白哉の口の中に吐きだした。

「げほっげほっ」

むせてしまったが、ほとんどを嚥下した。

「指、入れますよ」

潤滑油で濡らした指が体内に入ってくる。

「ん・・・・・ああ・・・・あ」

くちゅりと、音をたてて前立腺を刺激しながら、解していく。

「ああ・・・あ・・・」

3本の指を飲み込む頃には、後ろも潤滑油のせいで濡れてぬるぬるになっていた。

そこに、そそり立ったものを宛がう。

「いきますよ、隊長」

「んっ!」

ずちゅっと、音がして侵入してくる恋次の熱は緩やかだった。

「息はいて・・・・ゆっくり・・・痛くないですか?」

「大丈夫だ」

その言葉を受けて、奥まで突き入れると、揺さぶった。

「ああ!」

「すみません、久し振りなのでちょっとがっついてます」

ぐちゅぐちゅと音をたてて、内部を犯された。

「ひああああ!」

前立腺をすりあげられて、白哉のものが透明な先走りの蜜を零す。

ぐちゃっと音が立つほどに抉られて、白哉は精を放っていた。

「ああああ!」

締め付けがきつくなり、恋次も白哉の腹の奥に熱を放つ。

「んう」

何度もキスをしあった。

「恋次、愛している」

「俺も愛してます、隊長」

内部を犯す熱は硬度を保ったままで、そのまま背後から犯された。

「あああ・・・ひあう」

恋次の激しい動きに、白哉の体と髪が揺れる。

白哉の黒髪が宙を舞う。

結合部は泡立ち、白哉は途中で意識を失いそうになった。

「あ!」

最奥まで抉られて、ふっと意識が戻る。

「ああ!」

最奥でまるで子供を孕ますように、びゅるびゅると熱い精子を叩きつけられて、恋次は満足したのか動かなくなった。

「すんません、タオル用意してなかった」

「お前の死覇装でふけ」

「うー・・・・」

仕方なく、恋次は自分の死覇装で、抜き取ってこぽりと逆流してくる自分の精液をふきとった。

白哉は自分の死覇装を体の上にかける。

その間に、恋次はタオルを蒸したものをもってきて、白哉の体を清めて、中に出したものをかきだした。

蒸したタオルで情欲の痕を消し去るが、白哉はいつも行為後に風呂に入るので、とりあえず死覇装を着て、隊長羽織はもったまま、真新しい死覇装を着た恋次を連れて、朽木邸にまで瞬歩で戻った。

すぐに湯殿にいき、清家に着換えを頼み、恋次と一緒に風呂に入った。

お互いの髪を洗いあい、体を洗った。

「隊首室ですると、後始末に困るな」

「そうですね」

「だからといって、大浴場はさすがに・・・・・」

貸し切りにするにも、迷惑をかける。

だから、睦み合う時はいつも決められた館を使っていた。

「まぁ、たまには隊首室でもいいじゃないですか」

「ふむ・・・・」

どうせ、すぐ朽木邸にまで戻り、風呂に入るのだからと、恋次が言う。

湯船は、桜色で、桃の香がした。

「うわーまた贅沢な・・・・」

特別な入浴剤だ。香りもよい。

白哉と恋次は湯船に浸かりながら、触れあうだけのキスをした。

「もう、盛るなよ」

「盛れますけど、お仕置きが怖いのでやめておきます」

湯からあがると、二人分の着物と下着が置いてあった。

それに着替えて、白哉は恋次の手をとる。

「今日は、泊まっていけ」

「隊長?」

「答えは?」

「あ、はい、泊まっていきます!」

夕食を朽木家でとり、そのまま泊まった。

恋次は、白哉の寝室で寝た。

白哉のあどけない寝顔をずっと見ていたが、いつの間にか寝落ちして眠ってしまっていた。

「ああ、もう朝か・・・・・・」

恋次はまだ眠っている白哉に口づけて、瞬歩で隊首室までいって、昨日の逢瀬に使った汚れ物を洗濯した。

そのまままた朽木邸に戻ると、白哉が起きていた。

「忙しい奴だな」

「すみません。でも、仕事時間前に片付けるのもあれだし・・・・・」

館を使う時は、汚れ物は家人が洗濯してくれる。

「しばらくは、隊首室ではしない」

「あ、はい」

もっともだった。

朝食をとり、2人で6番隊の執務室に向かう。

同じ匂いをさせていることで、関係はばれているのだが、それを口にする猛者は6番隊にはいなかった。

執務室のテーブルの花瓶には、桜の枝が増えていた。

「恋次か?」

「ああ、河川敷の桜綺麗だったんで、追加で飾っときました」

「もう春か・・・・・」

恋次を愛していると確信し、愛を告げて2年が経とうとしていた。お互いの関係は、逢瀬の時が増えたくらいで、これといった進展はない。

だが、別れもない。

エンゲージリングは指にはまったままだし、お互いを愛し合っていることは、呼吸をすることのように自然だった。

はらりと、花瓶の桜の花びらが一枚散る。

それを受け止めて、白哉は恋次に命令する。

「永遠に、私を愛し抜け」

「隊長・・・・当たり前です。あんたは俺のもんだ。離せっていっても、離しません」

背後から抱き寄せられる。

「永遠の愛を、あんたに」

「ふ・・・・」

触れるだけの口づけを交わして、いつも通りの日常に戻っていく。

桜は、ひらひらと、ただ散っていくのだった。








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浮竹と京楽と海燕と アイス

「起きろおおおおおおおおおお」

「起きてる」

ずさぁあああああ。海燕は畳の上を滑った。

いつものように、起きない浮竹を無理やり起こすために、布団をはごうとしていたのだ。

「ほんとだ・・・・起きてる」

海燕は、きちんと畳まれて押し入れにいれられた布団を見て、まずは浮竹の額に手を当てた。

「熱く・・・ない。どうしたんですか隊長、何か悪い物でも食べたんですか。拾い食いとか。4番隊に行きますか?」

たまにきちんとした生活をしようとしたらこれなので、浮竹も額に血管マークを浮かべた。

「たまに早起きするのが、そんなに悪いことなのか。拾い食いってなんだ」

「だって、隊長が規則正しい生活をするなんて・・・こんな朝早くから起きるなんて、明日雪が降る」

まだ2月だ。火鉢もなおしていない。

寒波は大分和らいできたが、それでも朝は0℃に近い気温になる。

「まったく、朝早くに普通に起きただけなのに、扱いが酷い。明日は思いっきり寝てやろう。昼頃まで・・・・・」

「いやいや隊長、言いすぎました!是非ともこの生活習慣を身に着けてください!」

海燕は、是非是非と、勧めてくる。

浮竹が起きたのは朝の8時だ。そう特別早い時間でもないが、いつも10時、11時まで寝ている浮竹からしてみればかなりの早起きだった。

朝食をすませて、9時の死神の業務時間の始まりだ。

すると、京楽が入ってきた。

「ほら浮竹、いい加減に起きて。もう9時だよ?・・・ってあれ?起きてる?」

「なんだ、京楽」

文机に向かった浮竹が、京楽のつま先から頭のてっぺんまで見た。

「いや、海燕君に最近寝坊が酷いから、起こしてくれと頼まれてきたんだけど・・・今日は寝坊しなかったんだ。珍しいねぇ。明日雪でも降るんじゃないかなぁ」

「お前もか。俺が早起きすると何故雪が降るんだ」

「いやあ、まぁ揶揄だよ。気にしないで」

京楽は、片手に仕事であろう書類をもってきていた。今日も雨乾堂で浮竹と一緒に仕事をするつもりなのだろう。

副隊長になったばかりの七緒には、それは嬉しいことであった。いつも限界まで仕事をためこむ京楽が、どんな形であれ仕事をしてくれるなら、たとえ恋人のところにいこうが、喜んで見送ってくれる。

海燕も、何も言わない。

べたつきあうなら止めるが、仕事はきちんとするタイプの二人なので、京楽が仕事をもってきても別にどっちでもよかった。

仕事中に遊びにこられても、浮竹はとりあず仕事が終わるまでは京楽にあまり構わない。

なので、最近の京楽も学習したのか、仕事をもってきて終わってから浮竹に構ってもらっていた。

「甘味屋で、新しい味のアイスが発売されてるらしいよ。仕事が終わったら、食べに行こうか」

「いいな。よし、仕事を片付けるぞ」

京楽用に用意されてある黒檀の文机に、京楽が向かって一緒に書類の仕事を始めた。浮竹のすぐ隣に黒檀の文机はあり、最近購入されたもので、京楽が仕事をもってきてやりやすいようにと、浮竹が珍しく自分の懐から出して買ったものだ。

まぁ、京楽から小遣いをもらっているので、元を正せば京楽の金なのだが。

昼になり、昼食をとって30分はかり休憩をした後、1時からまた仕事を始めた。

4時には二人ともその日の仕事を終えて、海燕の許可をもらってから、甘味屋に出かけた。

「抹茶アイスにバニラアイスもいいが、苺アイスか。けっこううまいな。甘い」

まだ寒い季節だが、室内は大分温度が高かったので、アイスを食べても寒くはなかった。牧で燃えるタイプのストーブがあった。

「あのストーブいいな」

「大きな店舗用だよ。牧たくさんいるし、下手したら火事になるから、雨乾堂では火鉢で我慢なさい」

苺味のアイスを食べながら、浮竹はバニラ味のアイスを頼んで、あと持ち帰り用に30個のおはぎを頼んだ。

「30個って、ちょっと多くない?」

「海燕とお前の分も含めての2日分だ。少し足りないくらいだ」

浮竹は甘味物ならたくさん食べる。多分、1日10個が浮竹のもので、残り5つを海燕と京楽でわけろというところだろうか。

「せっかくだし、アイスも買って帰ってやるか」

「溶けちゃうよ」

「重い荷物もあるんだ。瞬歩で帰る」

カップにアイスをいれてもらい、それとおはぎ30個を買って、甘味屋を出た。

京楽は支払いのために少し遅れたが、瞬歩で雨乾堂に帰還した。

「海燕、苺味のアイスだ。食え」

「え。隊長が俺に甘味物をもってくるなんて・・・・・やっぱり明日は雪だ」

「食べないなら俺が食うぞ」

「あ、食べます!食べますから!」

苺味のアイスは美味しくて、海燕は感動した。

「今のアイスってこんなフルーツの味のもあるんですね」

「他にもメロン、オレンジ、ブドウとか・・・・いろんな味があるぞ」

「へー。今度都も連れてってやろう」

「ああ、そうしろ。女性にも人気だ」

「都ちゃん、久しくみてないねぇ。元気にしてる?かわいいんだよねぇ」

京楽の言葉に、浮竹が京楽の足を踏みつける。

「浮気は許さんぞ」

「もう、違うよ浮竹~。僕が好きで愛してるのは浮竹だけだよ」

キスされた。

苺の味がした。

「京楽隊長、今日は泊まっていくんですか」

「うん、そうする予定」

「じゃあ、明日も寝坊は回避できますね」

「そうだねぇ。まぁ僕まで寝坊することもあるけど」

「8時に起こしにきますから、起きていてくださいね」

「分かったよ」

その日はもうすることがないので、夕飯を食べて一緒に風呂に入った。そしてそのまま一組の布団で寝て、8時に起きた。

寒いと思うと、外を見ると雪が降っていた。

昨日、あれだけ雪が降ると言われて現実になってしまい、浮竹は複雑な気持ちになるのであった。











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それ行け浮竹さん 夏コミ

「暇だ―日番谷隊長構ってくれー」

「ああそうか。あいにく俺は仕事で忙しい。松本とでも遊んでいろ」

「分かった。おーい松本ー」

「はーい」

浮竹は、懐から何かを取り出した。

「ここに、うちの13番隊が撮った日番谷隊長の丸秘写真があるのだが」

「えええ!ぜひください!」

「くぉらああああ、浮竹ー!盗撮かーー!」

日番谷が、浮竹から写真を奪う。

寝ている写真がほとんどだった。でも、中には着替えてる写写真とかも含まれていて、日番谷の中でNGとなった。

「燃やす」

鬼道で、日番谷はその写真の燃やしてしまった。

「ああ!私まだ見てないのに!」

「ネガがあるから、いくらでも焼き回しできるぞ。今度、13番隊にとりにおいで」

「浮竹ーーー!!」

日番谷が、浮竹の死覇装の襟を掴みたそうにしていたが、身長差があるために、鳩尾に拳を軽く入れておいた。

「ぐふっ」

浮竹が吐血する。

「おい、発作か!?」

「いや、こういう時は血をだしたほうがいのかと思って。自分の意思で吐血できたりするんだぞ。便利だろ」

「便利とかじゃねーだろ!ほんとに発作起こしたらどうするんだ!演技で吐血とかやめろ!」

「日番谷隊長は優しいなぁ」

頭を撫でられて、日番谷は照れ隠しにその手を追い払った。

「今日は、京楽はいないのか?」

「いるぞ。あそこの壁に」

執務室の窓がある壁に、京楽がへばりついて中の様子を窺っていた。

「気味悪いから、やめさせろ」

「おーい京楽、日番谷隊長がお前と遊びたいって」

「おい、誰もンなこと言ってねぇだろ!」

「まぁまぁ」

京楽は、10番隊の執務室にくると、ふっと笑って浮竹の傍にきた。

「日番谷隊長も、僕を必要とする日がきたんだね」

「ただの浮竹の狂言だ。京楽なんてどうでもいい」

「ひどい!僕とのことは遊びだったのね!」

その台詞に、腐った思考の持ち主の松本が反応する。

「こ、これは禁断の京楽隊長×日番谷隊長!?」

「こら松本、なんでも腐った目と思考で考えるな!

日番谷が叫ぶと、松本も頷いた。

「やっぱ、京楽隊長×浮竹隊長に勝てるカップリングはそうそうないわね・・・・」

もはや、松本の考えを訂正する者もいない。

京楽と浮竹ができているのは瀞霊廷中で知られていたし、二人はその仲を隠そうともしていないのだ。

「今年の夏コミも京浮だわ~。あとは日番谷隊長総受けで・・・」

背筋に寒気が走って、日番谷は松本の夏コミの内容につっこんだ。

「総受けはやめろ!せめて浮竹とにしろ!」

「きゃあ、ここでまさかの告白!?」

「日番谷隊長、うちの浮竹はあげないよ」

「そういう意味で言ってるんじゃない!例えだ例え!総受けにされるよりは、誰と固定のほうがいい。何せ松本のことだ、総受けとかいいながら触手とかだしてくる」

「乱菊ちゃんが夏コミの原稿書くのを止めればいじゃない」

「そんなことで止めれるなら苦労せんわ!」

「日番谷隊長も大変だな」

浮竹の言葉に、日番谷もほろりときた。

「分かってくれるか浮竹。このくそ腐女子は仕事はしねーわ、仕事中に酒は飲むは、仕事そっちのけで同人誌の原稿を書くわ・・・・・」

「ここに、実は日番谷隊長総受けの本のサンプルが・・・・」

松本の言葉に、日番谷は斬魄刀を抜いた。

「うおおおおおおお!蒼天に座せ氷輪丸!」

「ぎゃああああああああ」

吹っ飛んでいく松本と、瞬歩でかわした京楽と浮竹は、落ちてきた日番谷総受のサンプル本を見た。

「あーこりゃ日番谷隊長、見ない方がいいよ」

まじめに京楽が言って、浮竹も頷いた。

鬼道でサンプル本を燃やしていく。

「藍染と一護君とたちと×××の×××だから」

「蒼天に座せ、氷輪丸!」

説明した京楽もふっとばした。

「どうどう。落ち着け、日番谷隊長。なんとか本を出さないように妨害するしかないな」

「こうなったら、松本の伝令神機もパソコンもぶっ壊してやる」

しかし、何処に隠してあったのか、原稿は残っていて、夏コミには日番谷の総受本が出て、松本はがっぽり稼いだ。

「隊長のお陰で稼げました~」

「卍解、大紅蓮氷輪丸!」

「ぎゃあああああああああ」

こりない松本は、冬コミも日番谷総受本も出そうと思いながら、氷漬けになっていた。





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バレンタイン(恋白)

「あー。そういや、もうすぐバレンタインかー。隊長甘い物嫌いだしなぁ」

恋次は、一度まだ白哉と深い仲になる前に、友チョコとしてチョコレートを渡そうとしたら、甘い物は嫌いだと一蹴されたことを思い出す。

「そうだ」

伝令神機で検索すると、甘くないチョコレートというのが出てきた。

カカオたっぷりのやつだ。

それを1人前注文して、バレンタインの前日に届いた。

1つ味見をしてみた。

「にげぇ・・・でもこれなら・・・・・」

丁寧にラッピングして、バレンタインの日に白哉に渡した。

「恋次、これは?」

「バレンタインチョコです」

「甘いものは好まぬ」

「そう思って、甘くないチョコレート買ったんです」

「甘くないチョコレート?」

白哉が首を傾げた。

黒絹の髪が、さらさらと音を立てて零れていく。

「騙されたと思って、1つ食べてみてください」

白哉は、1つ口にした。

「ほろ苦いな。これはよい」

おっしゃ。

恋次は心の中でガッツポーズをした。

「どうせ、ホワイトバレンタインの日に、私が欲しいと言い出すのであろう」

ぐ。

ばれてた。

「そ、そんなこと言いませんよ!」

「去年、甘いチョコレートを無理やり渡して、お返しくれと襲ってきたのは、どこのどいつであろうな」

「ほんと、どこのどいつかなー」

冷や汗をかきながら、口笛など吹いてみた。

「まぁよい。これはもらっておこう」

1時間に1個ってかんじで食べていくと、1日でなくなってしまった。

「ふむ。もう終わりか」

「そんなに気に入ったんですか?」

「ほろ苦い中にまろやかさがある。気に入った」

「このサイトから購入できます」

伝令神機でサイトを表示すると、白哉も自分の伝令神機でネットにつなげて、そのページを開けた。

「とりあえず、5個と・・・・」

ネットで注文する。

「少し眠い・・・・隊首室で仮眠してから帰る・・・・」

「俺も傍についています」

隊首室は、恋次の部屋にもなっていて、少しごちゃごちゃしていたが、ベッドは普通に置いてあった。

そこに横になると、白哉は直に眠ってしまった。

「ここ最近、激務でしたからね・・・」

白哉のあどけない寝顔を見ていると、恋次まで眠くなってきた。

白哉と同じベッドに横になり、眠った。

起きると、朝になっていた。

白哉の姿はなく、隊長羽織が恋次の体にかけられていた。

「隊長?帰ったのか・・・・・」

かけられていた隊長羽織の匂いをかぐと、白哉の匂いがした。

少し甘い、シャンプーとかの匂いだった。

9時前になり、白哉が姿を現す。

「恋次、朝まで眠っていたのか」

「はい」

「激務はお互いだが、ちゃんと自宅にも帰れ」

「はぁ・・・・」

帰っても、一人なのでたまに人を雇って、掃除や庭の面倒などを見てもらうくらいで、風呂と寝るために、たまに帰る。

隊首室に泊まることの方が多かった。風呂は、大浴場を使っていた。

「あと、隊首室をもう少し片付けろ。私用に使ってもいいが、せめて整頓して掃除をかかせるな。私もたまに使いたいからな」

「はい!」

恋次は目を輝かせた。

本当にたまに、逢瀬の時にも使う部屋だった。

「隊長、今日のシャンプー変えたんですか?」

「何故わかる」

「この隊長羽織についてた匂いと、違う匂いがしたから」

「犬か、お前は・・・・・」

恋次にかけておいた隊長羽織を受け取った。

「朝からなんですが、愛してます」

「本当に、朝からなんなのかわからぬな」

クスリと、白哉が小さな笑みを零した。

その表情と仕草がかわいくて、白哉を抱き締める。

「隊長、俺だけのものだ・・・」

「お前以外に、欲しがるやつなどおらぬ」

「そんなことありません」

「そうか?」

「虫よけも大変なんですから!」

同じ匂いをつけていたり、うなじにキスマークを残したり。

何はともあれ、バレンタインの日は過ぎた。

また、来年も同じようなチョコレートを渡そう。そして、ホワイトバレンタインには、隊長をもらいおうとニマニマする恋次だった。



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それ行け一護君 バレンタインとかあった

その日はバレンタインで、ルキアは一護、白哉、恋次の3人の分のチョコレートを用意していた。白夜のチョコは限りなく砂糖のないカカオベースの苦いやつにしておいた。

白哉は甘い物が好きだし、この前現世のブラックコーヒーを飲んで美味しいといっていたので、苦い味もいけるだろう。

「おはよう、ルキア」

「ああ、おはよう」

「お、チョコじゃねーか。俺の分か?」

「これは兄様の分で、こっちは恋次の分だ。こっちのいっぱいあるのが貴様用だ」

「ちょっと食べていいか?」

ホワイトチョコと普通のチョコをハート型に固めて、ルキアの手作りチョコを一護は口にした。

「甘くて美味いな」

「よかった・・・一度、湯せんの方法を忘れて鍋にそのままいれて焦がしてだな・・・・」

「うわぁ、そのチョコもったいねぇ」

「食べるか?何気にあるのだが」

「何かに使えそうだ。もらっとく。そういえば、白哉は平気なのか、チョコレート。甘いもの嫌いなんだろ?」

一護が首を傾げるが、ルキアは自信満々にこう言った。

「カカオ80%の苦いチョコレートを用意したのだ。甘い味がだめな兄様でも、苦いのなら平気であろう」

「うわー、カカオ80%ってまずそう・・・・」

「貴様は、自分のチョコレートを食べておけ!」

口の中に、ハート形のホワイトチョコをつっこまれた。

「あんま食うと、朝食食えなくなるからここまでな」

「ああ、そうだな」

食堂にいくと、白哉が待っていた。

「遅いぞ」

「すみません、兄様」

「よお、白哉おはよう」

一護の朝の挨拶を無視して、朝食がテーブルの上に並びだした。

味噌汁に数種類の焼いた魚、ご飯、コーンポタージュスープと、多分温室育ちの苺がメニューだった。

普通のメニューを皆で食べ終わり、デザートの苺を食べだす。

「この苺は、どこかの誰かと違ってできがいいな」

白哉の毒舌に、一護は苺をフォークでぶっさしながら、笑顔で聞いていた。

「ほんと、この苺は甘いなぁ。大粒で、まるでどこかの誰かのようにできがいい」

自分を自分で褒めていた。

「それにしても、白哉は甘い物嫌いなのに、果物は食うんだな」

「悪いか」

「いーえー。ちっともー」

何か言いたげに、棒読み状態だった。

「一護、朝から今日は兄様と喧嘩しないのだな。偉いぞ」

ルキアに頭を撫でられて、ちらりと白哉を見た。

「ルキア、こちらにこい」

「はい、兄様!」

ルキアは、とたんに一護を放りだして、白哉の方に行ってしまった。

「最近、現世ではコロナという病気が流行っているぞうだ。こうやって、アルコールで消毒するのだ」

一護の頭を撫でた手を、白哉はアルコール消毒させた。

「おお、そうですか」

「それから、一護に触った後も消毒するといい」

「分かりました、兄様!」

ぴきっ。

一護の額に血管マークが浮かんだ。

「俺も手を消毒しなきゃなぁ・・・おっと、手が滑ったああああ」

アルコールの消毒液を、噴射させて思いっきり白哉に浴びせた。

「悪いなぁ、白哉。なんか、病原菌がここらへんからきてるみたいで」

「そうか。手が滑った」

アルコール消毒液を、白哉は一護に向かって噴射した。

「きーーーーー」

「ふん」

二人は互いにそっぽを向けてしまった。

「もう、兄様も一護も仲よくしてください!」

ルキアは額に手をあてていた。

死神業務が始まる前の時間になって、それぞれ13番隊と6番隊に別れて行こうとするときに、ルキアが想い出したかのように、白哉にチョコレートを渡した。

「兄様、これは甘くないチョコレートです。これなら兄様も食べれると思って。後これは恋次の分です。渡しておいてください」

「わかった。ルキア、いつもすまぬ」

「いいえ」

「ルキア、行くぞー」

一護は、白夜としゃべている途中のルキアを引きずって、13番隊の隊舎に向かった。

「一護、なんなのだ!まさか、兄様に嫉妬しているのか?」

ニヤリと笑んできたルキアに、一護は真っ赤になって否定する。

「そんなんじゃねぇ!」

「あやしい」

「違うったら違う!白哉のやつ、俺を邪険に扱うから、その対抗策をだな」

「兄様は、本気で嫌った相手には口を聞いたりせぬものだぞ」

「そうなのか?」

「顔も見たくないといって、後は空気のように扱うお方だ」

「うーむ。懐柔作戦でもとってみるか。明太子美味い店ないか?」

「あるぞ。帰りに寄っていこう」

今日の業務が終わり、帰り道に明太子を買った。さらに現世にいき、スパゲッティの麺をかってきた。あとバターと、めんつゆとマヨネーズ。

その日の夕食は、一護が作った。明太子パスタを作ったのだ。たっぷりかかった明太子の上にバターとを乗せて、テーブルに置くと、白哉は口をへの字に曲げた。

「これはなんだ?」

「俺様特製明太子パスタだ」

「ルキア、先に食べて感想を聞かせろ」

「はい兄様・・・・・んむ、これは・・・うまい!明太子の辛さを、バターのまろやかさが包み込んで・・・・・」

その言葉を聞き、白哉も食べた。

「こ、これは・・・今までにない味だ。一護、料理人にレシピを教えてこい」

「へいへい。好評なようで俺は嬉しいぜ」

そのまま料理人に、あまっためんつゆとバター、スパゲッティ、マヨネーズを渡す。

料理人にレシピを教えてると、一護の分をその料理人は見事に作ってくれた。

食堂でそれを食べた。

「ああ、やっぱ作る人によって微妙に味が変わるな・・・・・・」

まろやかさを出すために、マヨネーズを少し多めにいれたみたいだった。

「まぁ、これはこれで美味しいからいいけど・・・・」

その日は、白哉は至極ご機嫌で、一護が明太子が好きだと聞いて、少し好感をもったようだった。

辛い物がすきな白哉のために、明日は明太子のおにぎりをつくってやろうと思った。

翌日になり、明太子いりのおにぎりを皿にいれて手渡すと、白哉は迷いもなく口にした。

「美味いな・・・一護、死神を辞めて我が家の料理人になる気はないか」

「そこまで評価してくれてうれしいけど、おれは死神のほうが性に合ってるから」

「そうか」

白哉はどこか残念そうだった。

「ま、現世にまた買い物にいくついでに、新しいメニュー仕入れてくるよ。できれば辛いやつな」

次の日、一護はキムチチャーハンを作った。

それも白哉とルキアには好評で、レシピを料理人に伝えた。もっとも、キムチは現世にいかないとあまり売っていないが。

しばらくは平和な日が続いたが、ある日ルキアを一日中独り占めしていたら、風呂に入ろうとすると湯がなかった。

シャワーがついていたのでよかったが、冬場なので寒い思いをした。

朽木家には、湯殿が3つほどある。

白哉が風呂に入ろうとした瞬間に湯を流して、仕返ししてやった。

「むう・・・・・・」

白哉も、シャワーで済ませた。一護と同じく寒い思いをして。

白哉と一護は、歩み寄ったり離れたりで、本当によくわからない仲だった。

「ルキア」

「なんだ、一護」

「お前の兄様は、ほんとによく分からないやつだな」

ごろりとルキアの膝に寝っ転がった。

耳かきをしてもらった。

「兄様にも、いろいろと私たちのことで考えることがあるのだろう」

「そうか?複雑に絡んでもつれた糸みたいだと思った」

「んー。ルキア、大好きだーーーー!」

耳かきをやめさせて、ルキアに抱き着いた。

「こら、一護」

「寝室なら、流石に白哉も手が出ないだろうし」

久し振りに、体を重ねた。

次の日、「子はまだか?」と言ってきた白哉に、一護もルキアも真っ赤になって、固まるのであった。

声、きかれてた!

恥ずかしい!

ルキアは特に恥ずかしがって、しばらくの間抱かせてくれなかった。

「別に、盗み聞きしたわけではないぞ。部屋の前を通りかかると、声が漏れていたのだ」

恥ずかしい!

ルキアは小さくなっていく。

「あーもぅ、そういうこといちいち言うな!」

「何故だ?」

「あんたも、緋真さんとの睦み事を人に聞かれたらいやだろう」

「ふむ、それもそうだな・・・・すまなかった」

白哉が謝罪したので、行き場を失った怒りは、プスプスと心の中で焦げた。

本当に、よく分からない関係だ。

ルキアは、それから半月は抱かせてくれなかった。











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