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小説掲載プログ
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バレンタインだから

ルキアは、台所をチョコまみれにしていた。

せっかくのバレンタインなのだ。

一護に渡して、好きだと告白しようと決めた。

一護の家の台所を使ってしまえばばれるために、尸魂界の朽木家の台所を借りた。

もうすぐ高校も卒業だ。ずっと一緒にいられなくなってしまう前に、なんとかそのハートを射止めたいと思った。

一護は色恋沙汰に疎く、毎日同じベッドで眠っても何も感じていない。ルキア一人だけが、毎日ドキドキしながら眠りについていた。

一護はもてる。目下のライバルは井上に、たつきあたりだろうか。

井上はすでに告白して一度振られている。大戦のさなかで、今はそれどころではないと一蹴されたと言っていた。

他に好きな者がいると言われて、振られたらルキアもその好きな人が誰か気になるが、今のところ一護に意中の人はいないと見た。

一護はチョコレートが好きだ。

好物だし、きっと振られても今の仲は変わらない。

いかんいかん。告白する前から、振られること前提など、いかん。

考え直して、市販の普通のチョコを溶かして、ハート形の型にいれて冷やし、ホワイトチョコでで好きだとでかでかと書いた。

「ふふふふ。名付けて一護のチョコ大好きドキドキ手作りポロリもあるよチョコ作戦だ」

何がポロリなのかというと、一護の心の中身がポロリするのだ。

一応、白哉の分と恋次の分も作った。義理チョコなので、小さめだ。白哉は甘いものを好まないため、食べてくれるか不安だったが、渡すと淡い笑顔で目の前で食べてくれた。

白哉大好きのルキアは、鼻血をだした。

「兄様、その笑顔はけしからんです」

「ルキア・・・・何をしている」

「いえ、ちょっと兄様の笑顔が眩しくて・・・・」

ルキアは、恋次の家に出かけると、恋次にもチョコを渡した。

「お、ありがとな。でもこのかんじだと義理かー」

「本命は他にいるのだ!」

「知ってるよ。一護だろ」

「な、な、な、何故知っているのだ!」

狼狽するルキアに、恋次はデコピンをした。

「ばーか。あれだけ一護の話ばっかしてると、丸分かりだ」

「ぐぬぬぬ・・・・ともあれ、私は現世にいく!振られたら、恋次の鳩尾と股間を蹴る!」

「なんでだよ!」

「八つ当たりだ!」

穿界門が開く。

ルキアに聞こえないように、恋次は言った。

「一護のやつもお前しか目がないようだから、結末は見えてるけどな」


「一護!」

現世に戻って、一護に会いにいくと、一護はいっぱいバレンタインチョコを受け取っていた。

「その中に・・・・意中の人はいるのか?」

消沈気味に聞くと、いないと言われて顔をあげた。

「私もチョコをつくったのだ!とりあえず食え!」

一護の口にチョコをつっこんだ。

「もがががが」

一護はひとかじりしてから、チョコに書かれた文字を見る。

「好きだ?」

「そ、そ、そうだ!私は貴様のことが好きなのだ!」

「ありがと。すっげー嬉しい」

「そうか・・・・・」

ポロポロと涙が溢れて止まらなかった。

「嬉しいだけか・・・・」

「ばーか。俺もお前のことが好きだぜ、ルキア」

「え。もぅ一度言ってくれ」

「何度でも言ってやるよ。俺はルキアが好きだ。恋愛感情で。ルキアもこのチョコ見る限り、俺のこと恋愛感情で好きなんだろ?」

「あ、当たり前だ。そうでなくては、貴様にチョコなど渡さん。わざわざ好きだと書いたチョコなど」

ぽふっと、一護の胸に顔が埋まった。

「大好きだぜ、ルキア。付き合おう」

「あ、ああ・・・・」

チョコレート作戦は、大成功に終わった。

その日の夜、いつものようにルキアを胸に抱いて眠ろうとすると、ルキアが顔を真っ赤にした。

「一護、貴様は私が好きだからこのように寝ていたのか?」

「んー。それもあるけど、お前がここにいるっていう安堵感が欲しかったから」

大戦を経験した者たち特有の、消失感の存在。

一護にとっても、亡くなった隊長・・・・特に浮竹とは交流があっただけに、悲しかった。

「私はいなくなったりしない。安心しろ、一護」

「でも、卒業したら尸魂界に戻るんだろう?」

「戻っても、定期的に遊びにくるさ。何せ今は、私と貴様はここここここ恋人同士なのであろう?」

「こここここ恋人同士だな」

「たわけ、真似をするな!」

ぽかぽかを殴ってくるルキアの拳を受けて、一護は笑っていた。柔らかな微笑みだった。

「今日、井上から告白されたんだ」

「え」

「お前が好きだからって、きっぱり断った。泣かせちまったけど」

「そうか・・・・・」

たとえ、一護が井上を好きだったとしても、振り向かせてみせようと思っていた。

杞憂に終わったが。

「貴様はもてるな。もらったチョコの数、20はこえていたであろう。まぁ、見た目はかっこいいから仕方ないか」

「いくつか本命チョコもまじって、下級生とかにも告白されたけど、全部断った」

「当たり前だ!私のことが好きなのであろう!」

「だから、断ったっていってるじゃねーか」

「私の一護に手を出す不届きものは、頭にパンツ被りの刑だ!」

「何それ、えぐい・・・・・・」

一護が引いたので、「こ、これは物の例えだ」と言っておいた。

「卒業まで、あと3週間もないのか・・・・・」

「一日中ずっといられるのも、もう終わりだな」

「ちゃんと定期的に遊びにくるからな!浮気するなよ!」

「お前こそ、恋次と浮気するなよ!」

同じベッドで、一護はいつものように胸にルキアを抱いて、その細い華奢な体を自分のほうに抱き寄せて、そのまま一護は目を閉じた。

「い、一護、近いぞ!」

「いつものことだろ。気にすんな」

「私はすごいドキドキしているのだが・・・一護の鼓動も早いな」

「明日も授業あるんだから、もうねろ。今日は無断欠席扱いになってたし」

「尸魂界でチョコを作っていたのだ!連絡しそびれただけだ」

「高校は、普通にいかずにさぼる奴も多いから、誰も気にしてねーよ。せいせい井上が、どうしたのかなって言ってたくらいだ」

「一護」

「なんだ?」

「私の前では、今後井上の話はやめろ」

「分かった」

井上には悪いが、一護は私がもらっていく。そう心に決めたのだ。

バレンタインだから、チョコレートで告白してみた。

バレンタインならではだ。

現世の習慣も、たまにはいいこともあるなと、ルキアは思うのだった。







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しんしんと

「結婚しよう、白哉」

6番隊の執務室に入ってきて、いきなり浮竹がそう言った。

「浮竹」

「結婚式はハワイで・・・・ハワイってどこだろう?」

「ちょっと、浮竹隊長!」

恋次が、さも噛みつかんばかりの勢いで、浮竹と白哉の間に割って入る。

「阿散井副隊長は第二夫人で・・・・白哉を思っているだろうから、情けで第二夫人にしてあげよう」

「あんたねぇ!」

掴みかかりそうな勢いの恋次を、白哉が止めた。

「大丈夫だ。もうすぐ京楽が引き取りにくる」

「やあ、その通り。ごめんねぇ、うちの子がアホ言い出して。高い熱なのに歩きだして知り合いに誰かれ構わずプロポーズしていくものだから、誤解を解いていくのに苦労するんだ。ほら、帰るよ浮竹」

「京楽はペンギンと結婚して浮気するから、白哉と結婚するー」

「はいはい、日番谷隊長にも同じこと言ってたじゃない。無節操だと、嫌われちゃうよ」

浮竹は、京楽の肩に担がれて、二人は6番隊の執務室を去っていった。

「なんだったんですか、あれ」

「たまにあるのだ。浮竹は高熱を出すと、プロポーズしてくる」

「なんつー迷惑な」

「その度に面白いことを言ってくるから、けっこう楽しんでいる」

白哉が薄く笑った。

「ふふ・・・私が第一夫人で、恋次が第二夫人か。夫は浮竹では務まらぬな。それに浮竹には京楽がいることだし」

「え、そうなんですか」

「なんだ、知らなかったのか。浮竹と京楽は熟年カップルとして瀞霊廷でも有名だ。互いの羽織を間違えたり、同じ匂いさせていたりで、とても分かりやすい」

恋次はぽつりと呟いた。

「知らなかった・・・・・」

「そういえば、私たちのことも知っているようだったな。やはり、同じ湯殿に入るのが悪いのか・・・・・・」

「いえ、全然構いません!同じ匂いさせてて何が悪いんですか。それに気づいてる奴は気づいてますよ、俺たちの関係」

「やはり、隠し通せるものではないか。まぁいい、今日の夜、館で」

「はい!」

睦み合うために使う館に、夜になって呼ばれた。

夕方から湯あみをして、白哉も湯浴みしたのか、貴族として身に着けているものは全部外していた。

死覇装姿でなく、浴衣姿だった。

「隊長、すっごいエロい」

「何がだ。ただ浴衣を着ているだけであろう」

「いや、服の合わせ目から見える白い肌がたまらん。太ももちらちら見えるし・・・俺を悩殺しようとしているんすか?」

「戯言を。食事はとらぬのか」

「いえ、いただきます」

いつも、高級料理を食べて、酒を飲んだ。

今日も高級料理が並んでいたが、酒は高級酒ではなく、現世でいわれるカクテルのような類だった。

「隊長、甘いの苦手なんじゃ・・・カクテル系って甘いし」

「たまには、よいであろう。それに私の飲むカクテルは、味が濃い」

ためしに恋次が飲んでみたが、ぴり辛い味がして、飲めなかった。

「これ、酒ですか?でも一応、酒なんですよね・・・・」

「現世の飲み物は、酒でも面白いものがある」

ほどよく飲んだところで、褥に向かう。

「隊長・・・・・好きです」

「あ、恋次・・・・・」

浴衣だったので、脱がせるのは簡単だった。帯をぬき、合わせ目を広げると、白すぎる肌が目に映った。

「下着・・・・・つけてないんすね」

「どうせ、ぬがされてべとべとになる」

恋次は、白哉の薄い胸の筋肉に舌を這わせながら、鎖骨や胸にキスマークを残していく。

「んっ・・・・・」

胸の先端をかりかりとひっかくと、ピクンと白哉が反応した。

そのまま、胸から臍へ、臍から股間に舌を這わしていく。まだたっていない花茎を手でしごいて無理やりたたすと、舌を這わせた。

「ああ!」

咥内で思い切りむしゃぶられて、口に入りきらない部分は手でしごかれて、白哉は熱を恋次の口の中に注いでいた。

それをさも当たり前のように飲み込む。

「指、入れて平気ですか?」

「好きに、しろ・・・・・」

潤滑油で濡らした指を、体内に埋め込んでいく。

前立腺はなるべく触らずに、解すことに集中した。

「あ・・・・なぜ・・・・」

いつもなら、指でもきもちよくなっているのに、それがなくて不思議な感覚に白哉は陥っていた。

「いれますよ」

「んっ!」

ズチュリと音をたてて、潤滑油でたっぷり濡らした恋次の灼熱を穿たれた。

「あああ!」

前立腺をつきあげられると、待ちに待っていた快楽が押し寄せてくる。

「ああ、あ、あ!」

白哉の中はとろけるように熱く、狭かった。

一度目の熱を、白哉の腹の奥に出す。

口づけをせがんでくる白哉に、何度もキスをしながら、前立腺を突き上げた。

「ああああ!」

白哉は、後ろの刺激だけでいってしまった。

白濁した液と、とろとろとした先走りの蜜を零す。

「射精の回数、制限あるから・・・俺ので、いってください」

「ひあああ!あ、あ!」

背後から、恋次は獣のように白哉を抱いた。

「んあ!」

体位が変わったことで、中を抉られる。それがたまらなく快感を生み出した。

「ああ・・・・・」

そのまま穿たれて、白哉が口を開く。

「恋次・・・・お前の顔が見えぬ。この体位は嫌だ」

「隊長・・・・・」

普通の体位に戻して、白哉の口の中をその指で侵した。

指に、白哉はぴちゃりと舌を絡めた。

「恋次の味がする・・・・」

ぐちゅりと、結合部から水音が鳴った。

「隊長・・・・俺をあおらないでください。大切にしたいのに、酷くしたくなる」

「別に、それでも構わぬ」

「隊長・・・」

くちゅりと音をたてて、前立腺ばかりを犯すと、白哉は白濁した液を吐き出した。

「あ・・・・あああ!」

まだいけるようなので、恋次も白哉の腹の奥に熱を放ちながらも、白哉を犯した。

「あああ・・・・・頭が、変に、なる・・・・」

オーガズムも含めて、もう何度いったか分からなくなってきた。

恋次のものはまだかたくて、また犯されるのだと考えるだけで、体が喜びを覚えた。

白哉の頭が真っ白になっていく。墜ちていく。

真っ白のなったところで、意識がぷつりと途切れた。


「隊長、隊長」

ゆさぶられて、目を開けると、風呂の中だった。

どうやら恋次が運んでくれたらしく、後処理も終わっているようだった。

「すみません、やりすぎました」

「今に始まったことではないだろう」

セックスの終わりに、意識を飛ばしてしまうことが時折あった。恋次に最後まで付き合うと、体力を消耗して、その激しさに意識を飛ばした。

「体と髪は洗ったか?」

「いえ、まだです」

「では、互いを洗いあおう」

それは、白哉にとってはただの作業だが、恋次にとってはおいしい出来事でしかなかった。

スポンジで泡立てたボディソープで、白哉の体を洗っていく。

キスマークは残っているが、それ以外はしみ一つない肌だった。

シャンプーで、柔らかな白哉の黒髪を洗う。櫛でとくと、白哉は気持ちよさそうにしていた。

「今度は、私が洗おう」

白哉に体を洗われて、くぐすったさを感じた。

それから、長い灼熱色の髪を洗われた。

少しかたいが、綺麗に整えられていた。恋次にだけ、リンスをした。

「なんで俺だけリンスありなんすか」

「お前の髪には、艶が足りぬ。せっかく美しい色をして長いのだ。もっと大切にしろ」

「それは、隊長の黒髪っすよ。さらさらで・・・・隊長にもリンスしてやる」

「こら、やめんか」

「負けません」

風呂場で戯れあって、泡を全部流して、湯に浸かった。

「ふー、極楽極楽」

「年寄りくさいな」

「いいんすよ。幸せなんだから。隊長とこうしていられる時間は、とても大切ですから」

「傍にいることくらい、いつでも言えばしてやる」

「あー、もうすでに傍に大分いてもらってるんで、これ以上独り占めするとルキアになんか言われそうで」

「あれは、少し厳しいところがあるからな」

そのルキアには、今は一護がいる。朽木一護となった一護と一緒に、甘い生活をエンジョイしていた。

「愛してます、隊長」

「私も愛している、恋次」

湯からあがり、二人揃って浴衣を着た。

「少し冷えてきましたね」

「もう2月だが、寒波はまだ去っておらぬからな」

一組の布団で、横になって眠る。

恋次は腕の中に白哉を抱きこむかのように眠った。それが暖かくて、白哉も何も言わずに眠った。

しんしんと、外では雪が降ってきた。

今年もまだ寒い季節が残っている。

雪は、降り積もる。

ただ、しんしんと。





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好きなものは好き6

その日は、ただの土曜なのにバースディケーキが用意されてあった。

「どうしたのだ、これは」

「お前なぁ、自分の誕生日も忘れたのかよ」

「あ・・・・・」

そういえば、今週の火曜が誕生日だった。

「ま、金曜の夜から月曜の朝までしか現世にいられないお前を、リアルタイムで祝ってやれなかったが・・・・・誕生日おめでとう、ルキア」

ぽろりと。

ルキアは、涙を零した。

「ル、ルキア?」

「兄様にも恋次も祝われたのに・・・・何故か、貴様に祝われると、涙が溢れてくるのだ」

「それは、心から嬉しいってことだ」

ルキアの頭を撫でて、よしよしとすると、ルキアは抱き着いてきた。

「一護・・・・・!」

「ほら、泣き止めよ。俺はどっかにいったりしないから」

切ったバースディケーキは、ケーキが美味いという店で予約注文していたもので、とても美味しかった。一護も食べた。

チョコレートが好きな一護らしい、チョコレートケーキのバースディケーキだった。

「ここのチョコケーキ美味いんだよなぁ」

「貴様の好物だものな、チョコレート」

「チョコレートケーキのバースディケーキ嫌だったか?」

「そんなことはないぞ!美味かったし、嬉しかった!」

「そっか。誕生日プレゼントもあるんだ」

うさぎの形をした、アップリケのついたマフラーとニット帽子と手袋だった。

「まだまだ、寒いからな」

「チャッピーか!」

「いや、チャッピーじゃねぇんだけど、一応うさぎ。今年はうさぎ年だしな」

「これはみんなチャッピーだ!」

ルキアは目をきらきらさせて、それを身に着けた。

「うむ、あったかい」

「暖房つけてるからな。外に出るときに使えよ」

「ありがとう、一護!」

抱き着いてくるルキアに押し倒された。

「あと、もう1つ贈りたいものがある・・・・・」

「なんだ?」

首を傾げるルキアが愛らしくて、ちょっと見惚れていたけれど、小さな包みを一護はとりだした。

中をあけると、宝石をいれる箱がでてきた。

「え・・・・」

「バイトの給料入ったから。約束してた、エンゲージリング。ただのホワイトゴールドだけど・・・・」

とてもシンプルな指輪だった。

ルキアの手をとって、その細い指に指輪をはめた。サイズはぴったりだった。ルキアが寝ている間に、指のサイズを図っていたのだ。

一護は、自分で自分の分をはめようとすると、ルキアに拒まれた。

「一護の分は、私がつける」

一護の少し大きな手をとって、その指にホワイトゴールドの指輪をはめた。

「大事にするから、一緒に生きてくれるか」

「ああ、一緒に生きよう。お前が死する時まで。死すれば、魂魄と共に尸魂界で、千年を共に・・・・」

「ルキア、愛している」

「私も、愛している」

そのまま唇が重なった。

二人は、ベッドにもつれあいながら倒れた。

そのまま、指を天井の明かりに透かして見せる。

「そうだ、これ安かったから・・・・」

アメジストをつないでできたブレスレットを、一護はルキアの右手首につけた。

「アメジストか。私の瞳の色と一緒だとよく言われる。この宝石は好きだ」

「ま、5千円くらいのグレードの低い石の集まりだけどな」

「グレードや値段など、関係ないのだ。貴様が選んで私に贈ってくれたことに意味があるのだ」

ルキアは、またぽろぽろと涙を零した。

「ルキア?」

「幸せすぎて、怖い」

「幸せのどこが怖いんだ」

「もしも今、一護を失えば私は生きていけぬ」

「どこにもいったりしねーよ。ずっと傍にいるから。まぁ、火曜~木曜はあえねぇけど」

ルキアは、こくりと頷いて、一護の胸に顔を埋めた。

「こそばゆい」

「幸せをかみしめているのだ。少し我慢しろ」

ルキアの髪をゆっくりと撫でて、頭も撫でた。

「一護の傍は心地よいな・・・・・」

ルキアはトロンとした目つきで一護を見つめてきた。

一護は冷静に冷静にと、心がけてはいるが、ルキアにスイッチが入ってしまった。

「一護が欲しい・・・・・」

細い体を密着させて、腕に胸が当たるようにする。

「貴様が欲しい・・・・」

「ルキア・・・」

一護も男だ。恋人に欲しいと言われて、逃げるような男じゃない。

「前みたいに、優しくするから・・・・」

「酷く扱ってもいい。一護になら、私は・・・・・」

「そんなの、俺が嫌だ。ルキアには感じてほしい。気持ちよくなってもらいたい」

「一護」

「ルキア」

互いの名を何度か読んで、お互いの服を脱がせあった。

ルキアは相変わらず真っ白な肌で、数回体を重ねたが、新雪のような肌の色だった。

それを、一護が自分色に染め上げていく。

「ルキア、痛かったら言えよ」

「今まで痛かったことなどない」

初めての時だって、痛みより快楽が勝っていた。

もう数回体を重ねているので、一護が入ってくるのにも慣れた。

「好きなだけしてよいから」

「ああもう、かわいいこというなよ」

ルキアを抱き締めた。

キスをする。

そして夜は更けていくのだった。






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浮竹と京楽と海燕と 苺大福

「起きろおおおおおおおおおおおお」

「いやだああああああああああ」

「起きろおおおおおおこのやろおおおおおお」

「布団ひっぺがすのやめろおおおお、海燕ーーーーーーー!」

毛布と布団にしがみついた浮竹を、海燕はめんどくさくなって、ぺっと廊下に放り投げた。

「寒い!でも毛布と布団がある!くるまれば平気だ!」

寒い空気が入ってくる縁側の廊下で、それでも浮竹は寝ようとしていた。

「ごら”あああああああああああ」

それに切れた海燕が、廊下で一人ぬくぬくしている浮竹の毛布と布団を奪った。

「寒い!この薄情者!」

「10時まで寝てるあんたが悪いんです!」

「まだ10時だろう!」

「あんたね、死神の業務開始時間9時!9時ですよ!もう1時間遅刻してますからね!」

「よそは「




よそ、うちはうち」

「がーーーーー!!!」

頭を掻きむしった海燕は、浮竹の目のまえに水のはったたらいを置いた。

「顔洗ってください。少しは眠気もすっきりするでしょうし」

浮竹は、大人しく顔を洗った。

「つめたい!タオル!」

「ばつでタオルはなしです」

「こうしてやる!」

海燕の死覇装で水気をぬぐった。

「うわ、何しやがるんだ、あんた!」

「海燕が、タオルを渡してこないからだ」

「だからって、普通人の服でふきますか!」

「俺ならふく!」

「だーーーーーー!」

朝餉を用意されて、普通に食べた。

その間も時間は進んでいく。10時半になった。

ようやくすっきりした顔で、普通の隊長達より1時間半遅く、13番隊のTOPである浮竹が動き出す。

すでに13番隊全体は仕事を始めており、たまってきた書類が回されてきた。

冬は、眠りたいという強い本心からか、仕事をする速度もその中身もほぼ完ぺきだった。

「これは昨日のだな。何故、昨日のうちに出しておかなかった」

「あんたが甘味屋いって、京楽隊長のところに泊まりにいくからです」

「う、うむまぁやむをえない事情があったんだな」

「人の話聞いてるのか、あんた」

その間も、浮竹は書類に目を通し、ハンコを押していく。

つけたす書類には、筆で文字をしたためた。

「これ、8番隊に回す仕事だな。後で俺がもっていく」

「そのまま泊まって、この前みたいにめっちゃ大遅刻したら、怒りますからね。3時のおやつ1か月抜きの刑です」

「殺生な・・・・・」

きびきびしていた浮竹が、げんなりとしおれる。

3時のおやつ抜きは、かなり堪えるらしい。

「今日のおやつは、苺大福です」

「なんと!最近人気の、現世のやつか!」

「そうです」

「よし、きびきび仕事するぞ」

夕方の6時までかかると思われた仕事も、昼休憩をとって1時からはじめた午後の部の、ちょうど3時に仕事は終わってしまった。

「相変わらず、仕事する速度は冬は早いですね。ミスもないし・・・・」

棚から苺大福をとりだして、皿にのせて浮竹の前にさしだす。

「これが苺大福・・・・」

おそるおそる、一口食べて、目を見開いた。

「苺の果実の味に大福がまっちして・・・・うーまーいー!」

「そんなに美味しいですか。まぁ、今日は特別ですよ。もう1個あげます」

「海燕、大好きだーーーーーー!」

海燕を押し倒して、苺大福をほうばっているシーンを、やってきた京楽に目撃された。

「京楽隊長、これは誤解ですから!」

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・。

そんな音をたてていると思ったら、腹の虫の音だった。

「僕にも苺大福ちょうだい」

にへらっと笑ってきたので、海燕も安堵する。

「京楽隊長はいつも3時頃には遊びにくるので、ちゃんと用意してますよ」

京楽も、苺大福が気に入ったようで、部下に買わせにいくとかいっていた。

その分、浮竹は部下に何かを買いに行かせないはしない。

どうしても欲しいものがあると、京楽に頼み込む。そして京楽は、自分の部下や家人を用いて、現世のものを買ってくる。

「いいねぇ、これ。甘味屋に売ってもらうようにしたらどうだい」

「それはナイスだ。今度、壬生の甘味屋にリクエストしておこう」

その後、壬生の甘味屋では苺大福がヒットして、繁盛している店が更に客が多くなるのだった。

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浮竹と京楽と海燕と さぁ献血しよう

13番隊で、遠征任務があった。

いつもはほわほわしている浮竹も、この時ばかりは真面目になる。いや、真面目であってほしいと、海燕は思った。

流魂街にある森で、キャンプをした。

対象の虚は複数で、流魂街でも最終地区あたりに出没して、民を貪り食っているという。流魂街の最終地区に近づく度に治安が悪くなり、民の犠牲がなくとも、住民通しで殺し合うような世界だった。

「俺、ちょっと山から何かとってくる」

そう言って、浮竹はふらりといなくなった。

海燕が仮眠していた時なので、止める者もいたが、「まぁまぁ、こんな森の中だし、対象の虚までは遠いから」と言って、キャンプ地を出て行ってしまった。

数時間しても帰ってこない浮竹を心配して、平隊士が海燕を起こした。

「何ー!隊長が山で何かとってくるといっていなくなった!?」

「はい、すいません、もっと強くおとめすれば・・・・・・」

「いや、あんたは悪くない。悪いのは隊長だから。霊圧で探ってみる」

霊圧探知にも長けた海燕は、すぐに浮竹の霊圧をキャッチした。

どこにも違和感はなく、いつもの隊長の霊圧で、乱れはなかった。

「虚に襲われているんじゃないな・・・でも、なんでこんなに帰りが遅いんだ?」

浮竹の霊圧を辿って森の中に入っていくと、木苺がたくさんなっていた。

「まさか・・・・」

浮竹は、木苺を食べながら集めていた。他の隊士の分もと、布袋にいっぱいになるまで、摘み取っていた。

「はぁ・・・・」

「うわ、びっくりした。海燕じゃないか。こんなところでどうした?」

「どうしたもこうしたもありませんよ。あんたの帰りが遅いから、様子を見に来たんです」

「ああ、じゃああれ運ぶのも手伝ってくれ」

木苺がなっている森の奥に、一頭の鹿が急所を貫かれて死んでいた。刀傷によるものだった。

「あんたが、とったんですか」

「ああ、そうだが?隊員たちに、新鮮な肉を食わせれると思ってな」

やはり、浮竹は優しい。木苺を集めたり(自分でかなり食べてたけど)こうやって獲物をとったり。

「そこらへんの山菜や、茸もとったんだ。鍋にでもするか」

海燕は立派な雄鹿を担いで、浮竹と一緒にキャンプ地に戻ってきた。

「隊長!ご無事でしたか!」

「今日は鹿の肉の鍋だ。まずい携帯食だけでは腹がすくだろう。あとは、デザートに木苺をとってきてある」

女性隊士が、叫んだ。

「浮竹隊長、こんな森の中でもサバイバル生活できそうですね!すてき!」

「いやなぁ、子供の頃貧乏で、よく山や森に入っては、獣を仕留めたり、山菜や茸、果物をとっていたんだ。畑をもっていたから、自給自足っぽい生活だったけど、やっぱ肉は仕留めないと高いからな」

からからと明るく笑う浮竹からは、子供の頃は貧乏だったという辛い思いを、微塵も感じられない。

「隊長は強いですね・・・・・」

「何がだ、海燕?」

「いいえ、こっちの話です」

海燕も、自分の一族が没落していく姿を子供心に見ていた。あんなの、もう思い出したくもない。なのに、浮竹は思い出しても、辛さを感じさずに普通に話す。

正直、羨ましかった。

鹿の肉の鍋は美味しかった。味噌をもってきていた者がいたので、みそ味にしていただいた。

毛皮はなめして、京楽への土産にもって帰ることにした。

流魂街の最終地区につき、出てきた虚の群れを、浮竹は切り殺していく。海燕も負けるものかと、他の隊士たちと一緒になって、虚の群れにつっこんでいった。

「緑色のやつ、体液が酸だ!気をつけろ!」

浮竹の言葉に、はっとなるが、目の前の女性死神が緑色の虚を切り裂いて、返り血を浴びそうになっていた。

無我夢中で、庇う。

背中に、酸の血を浴びて、海燕は苦痛のうめき声をもらした。

「くそっ」

「離れろ!破道の8、白雷!」

浮竹の放った鬼道で、緑色の虚たちは黒焦げになった。

「残りは少ない。いけ!」

席官も、平隊士も、互いに合図しあいながら慎重に討伐を進める。

最初は指揮のもなかったが、浮竹がまとめあげると、隊はその通りによく動いた。

浮竹が、あとは席官に任せて、海燕のところにやってきた。

「大丈夫か、海燕」

「少し、背中に酸を浴びました。痛いけど、死ぬほどじゃあありません」

「回道の得意なものはいるか!」

「あ、はい!」

3席の清音は、今は瀞霊廷にいる。他の隊士で回道の得意な死神を呼び出して、とりあえず火傷がこれ以上酷くならないように、応急手当てをしてもらった。

「帰ったら、4番隊の救護詰所いきだな。あそこの飯は不味いぞー。そして卯ノ花隊長は菩薩で阿修羅だ。怒らすとどうなることか・・・・」

話を聞いているだけで、汗がでてきた。卯ノ花隊長が怖いのだ。何度が浮竹の見舞いにいって騒いでいたら、元気がありますねと、無理やり献血されて、しおしおになった記憶がる。

「とりあえず、虚の駆除もおわったようだし、引き上げるぞ!怪我人は応急手当てをしてもらえ!」

浮竹もいたので、今回は死者や重傷者はでなかった。

軽傷の者が数名だ。

そんなこんなで、13番隊の遠征は終わった。


「おかえりー」

ずっと、浮竹を待っていた京楽が、雨乾堂で抱き着いてきた。

「離れろ。湯浴みを数日できなかったから、体はふいていたが、風呂が先だ」

「浮竹は綺麗好きだもんね」

湯浴みをして、あがってきた浮竹を京楽は押し倒した。

「盛っているのか?」

「うーん、半分正解だけど、帰ってきたばかりの君を襲うほど、節操なしじゃないよ」

京楽をどけて、浮竹はなめした鹿の皮を袋から取り出した。立派な角もついていた。

「どうしたの、これ」

「俺が仕留め、隊で鍋にして夕食になった」

「ちゃんとなめしてあるね。上等な毛皮だ。ありがとう。もらっておくよ。ところで、海燕君は?」

「ああ、あいつは女性死神を庇って、酸の返り血を背中に浴びて、今4番隊の救護詰所で治療中だ」

「へぇ、海燕君が。怪我するなんて初めてじゃない?」

「まぁ、庇ったからな」

「男の鏡だねぇ」

京楽は、浮竹をまた押し倒していた。

「やっぱり、前言撤回。抱くよ、君を」

「好きにしろ・・・・」



「ああ!」

中に入っていた京楽の灼熱が、前立腺をすりあげていく。

その刺激に耐え切れず、浮竹は精液を放っていた。

「んっ」

いっている最中だというのに、京楽の動きは止まらない。

何度も前立腺を突き上げられた。

「ひう!」

最奥を突きあげられる。

そのまま、腹の奥で何度目かになるかも分からない熱をぶちまけられて、京楽も満足した。

「春水・・・キスしてくれ」

「十四郎、愛しているよ」

舌が絡み合う口づけを交わす。

まだ繋がったままだった。

「まだするのか?」

「まだしてもいいなら、する」

「んっ・・・好きにしろ・・・・」

ぱんぱんと、腰と腰をがぶつかりあう音が響いた。

結合した場所はお互いの体液と潤滑油で粟立っている。

「ひああああああ!」

もう、浮竹は精液を出し尽くしており、オーガズムでいくことしかできなかった。

とろとろと透明な蜜を零して。

「あ、あ、あ!」

体位を変えて、後ろから突き上げた。

中を抉られて、浮竹が啼く。

「んあああ!」

そのまま最奥にまで入ってこられて、最後の熱を浮竹の中に放って、京楽ももう出すものがなくなって、浮竹の中から出る。

とたんにこぽりと逆流してきた精液を、濡れたタオルでふきとる。

「一緒に、湯浴みしようか」

「ああ。体液でべたついてて、洗い流したい」

一緒に風呂に入った。

いつもは着替えとかを用意してくれている海燕は今はいないので、いつも置いてある浴衣をきた。

「そんな恰好じゃ、寒いでしょ」

「お前も同じ格好じゃないか」

京楽も、浴衣姿だった。互いの下着は用意されてあったが、夜に着る着物がなかったので、浴衣になった。

京楽は、新しい布団をだして、そこに寝そべり、ぽんぽんと隣を叩いた。

そこに、浮竹がもぐりこむ。

「人間ホッカイロだな。あったかい」

まだ季節は2月。まだ肌寒い季節だ。

布団の上に横になると、遠征の緊張感と疲れと、セックスの疲れからか、すぐに浮竹はうとうとしだして、眠ってしまった。

「明日、海燕君を見まいに行こうって・・・寝ちゃってるか」

抱き着いてくる浮竹の頭を撫でて、京楽も眠りにつくのだった。

翌日、海燕の見舞いにいくと、海燕はげっそりしていた。

「怪我人なのに・・・・珍しい血液型で今不足してるからって、献血された」

しおしおだった。

「しかもほんとに食事不味いし・・・都の手料理が食べたい・・・・」

「まぁ、京楽家の料理人が作ってくれた弁当だ。これでも食べて、少しは元気だせ」

重箱の弁当箱を浮竹から渡されて、海燕は素直に喜んだ。

「ここの料理、味うっすいし、不味いし・・・・」

京楽が、顔を蒼くする。

「う、海燕君」

「怪我人に献血させるなんて最低だ」

「う、海燕・・・・・」

「そうですか。そんなにここが気に入ってくれたのですね」

いつの間にか現れた卯ノ花に、その場にいた誰もが顔を蒼くした。

「あら、京楽隊長も元気そうですね。献血にいきましょう。浮竹隊長は、発作はおちついていますか?」

「あ、ああ。最近は発作はないな」

「浮竹ー助けてーーー」

ずるずると献血室に運ばれていく京楽を、浮竹も海燕も涙目で別れを告げた。

「昨日はあれが俺だったんです。隊長は、体が弱いから血を吐きすぎて輸血されることはあれど、献血されることなくていいですね。ほんと、しおしおになるまでとるから・・・」

卯ノ花隊長は、菩薩のように優しくて、般若のように怖いのであった。








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好きなものは好き5

「ルキア、おい起きろルキア」

「んー。あと10分・・・・」

「今日は月曜だぞ。尸魂界に戻らないといけないんだろ」

その言葉に、ルキアはがばりと起きた。

「い、今何時だ!」

「9時前だ」

「ああああ、仕事に遅刻してしまう!朝飯はいい、このまま尸魂界に帰る!」

ルキアは慌てていた。

「弁当作ったから、もっていけ」

「すまんな、一護。一護の料理は美味いので嬉しい」

朽木家の料理人にも負けない料理の腕を、一護はもっていた。

弁当を手に、死覇装姿のルキアは穿界門をあけてもらい、尸魂界に帰っていった。

「ふう・・・・また金曜まで、お別れか」

少し寂しいが、また金曜に会えると思うだけで元気がわいてくる。

朝食を食べ、一護は今日は大学が休みなので一日中バイトをいれていた。駅前のラーメン店でバイトしていた。

高校時代に働いていた、なんでも屋のうなぎ屋はやめてしまった。

今はひよりがバイト員として存在している。

「さて、俺もバイトに行くか・・・」

家を出ようとして、穿界門が開いた。

「なんだ?」

ルキアが現れる。

「どうしたんだよ。忘れ物か何かか?」

「忘れていた・・・今日は、瀞霊廷は祝日なのだ。仕事がない」

帰ってきたルキアは、どさりとベッドに横になった。

「俺、今日はバイトだから。ルキアも一緒にくるか?」

「ああ。前に日雇いで雇ってもらったラーメン店のバイトだな?」

いつもはバイトを入れない土日の、ルキアとの大切な時間に、インフルエンザがバイトたちの間で流行ってしまい、ピンチヒッターとして一護がバイトに出かけたことがある。

ルキアは、長い時間一人でいるのもなんだからと、一護のバイト先で記憶置換を使って給仕係として働いた。

その時の記憶は店長にまだあり、ルキアはバイトしているということになっている。

ただ、本当にたまにしか働きにこないが。

「自分の食費くらい、自分で稼がねばな」

いつも出している食費は、死神として与えられた給料の中からだしているが、貨幣価値が違うので、現世のほうがものが安い。給料自体は、死神のほうが高いが。

危険手当も含まれているし、ルキアは13番隊の副隊長であり、実質13番隊のTOPだ。

浮竹が亡き今、ルキアを隊長にという声が高くなっている。

隊長になってしまうと、今までのような生活が出来るか分からなくて不安だった。

「じゃあ、死覇装着替えて普通の私服着て、ラーメン店行こうぜ」

ルキアと手を繋ぎながら、ラーメン店まで歩いた。

店は繁盛している様子で、ルキアがバイトに入るというと、店長は喜んで迎え入れてくれた。

「醤油ラーメン一丁!」

給仕係として世話しなく働くルキアの姿は新鮮で、ラーメン店の制服も似合っていた。

昼休憩になり、賄いにラーメンを食べて、一息つく。

「バイトしながらでも、一護と一緒にいるだけで幸せにになる」

そんなことを言うルキアに、我慢ができずにルキアを抱きしめていた。

「男の客が、お前を目で追っているのが嫌だ」

「それ言えば、女の客が貴様を目で追っているのが不快だ」

こつんと額をぶつけあって、クスクスと笑いあった。

「まぁ、お互い仕方のないことだ」

「そうだな」

バイトが終わったのは、夜の9時だった。

24時間開いているスーパーで食材を買って、ルキアと手を繋いで帰路につく。

「今日はエビチリと麻婆豆腐な」

「腹が減った。早く帰って作ってくれ」

自宅に帰ると、一護は慣れた手つきで夕飯を作った。

それをペロリと平らげて、ルキアは風呂に先に入った。その後、一護も風呂に入った。

夜の11時になっていた。

まだ髪が湿っているルキアの髪を、ドライヤーで乾かしてやった。

二人で、抱きしめ合いながら、ベッドに横になる。

「こんな日が、毎日続けばいいのにな。まぁ、流石に無理だろうけど」

ルキアを抱きしめる手に力をこめて、自分のほうに抱き寄せる。

「鼓動の音がするな」

トクントクンと脈打つ一護の心臓の音が、聞こえてきた。

「好きだぜ、ルキア。愛してる」

「私も、貴様を好きで愛してる」

唇が重なった。

明日は大学で、ルキアも死神の業務があると分かっていたが、互いを脱がしあって睦み合った。

「んあ!」

濡れた声を出すルキアの声がもっと聞きたくて、優しくしながらも征服していく。

「ああ、一護!」

「ルキア・・・・」

何度も体を重ね合った。

次の日、ルキアはやや寝不足気味で、腰が痛いようだった。

「すまねぇ、無茶させすぎたな」

「構わぬ。私も求めたのだから」

抱擁しあい、触れるだけのキスをして、ルキアは今度こそ本当に尸魂界に帰って行った。

「昨日のルキア、かわいかったなぁ」

頬が緩むのを感じた。

金曜にまた現世にきたら、思い切り甘やかしてやろう。好物の白玉餡蜜も作って。そう思う一護であった。

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浮竹と京楽と海燕と かき氷

「海燕、おはぎ食うか?」

「いきなりなんですか。なにかたくらんでるんでしょう!」

浮竹に声をかけられて、おはぎののった皿を差し出されて、海燕は警戒した。

「なんでそうなる。ただ、好物だからあげようと・・・」

「さては、おはぎで寝過ごすことを懐柔しようという作戦ですね!」

「いや、違うんだが・・・・・」

「甘い言葉には裏がある!隊長の優しさは打算でできている!」

「酷くないか、それ」

いつもの自分を顧みる。

意地汚く寝れるまで寝て、海燕を怒らせて、熱が下がったとたんに甘味屋に行ったりして怒られる。

「なんかあんまいいことないな、俺の人生・・・・・」

日々がそれなのだから、海燕に警戒されても仕方ないかもしれない。

「まぁ、ここに置いておくから、食べたい時に食べてくれ」

「まじですか」

海燕は、浮竹の額に手を当てた。

「平熱だ。明日雨が降る」

「そこまで言うか」

浮竹は苦笑するしかなかった。

「やあ、お邪魔するよ」

京楽がいつものように、遊びにやってきた。とはいっても、仕事を抱えていたので、浮竹のいる雨乾堂で一緒に仕事をしようという魂胆だ。

それでも仕事をしてくれるだけましだと、七緒は思うだろう。

七緒は副官になってまだ数年足らずだ。いろいろと海燕から習うことがあり、たまに酒を飲み交わしたりしている。

海燕は妻帯しているので、その気はない。

「おはぎもってきたよ」

京楽は、重箱にいれられたおはぎを見せた。

「もう食べた後なんだ」

浮竹は、それでもおはぎを持ってきてくれたことが嬉しいのか、笑顔だった。

「明日の分にとっておこう」

「あれ、そのおはぎ・・・・誰も食べないの?」

机の上に置いてあった、皿に乗ったおはぎを、京楽が見下ろす。

「これは、俺の分です」

海燕が、さっと皿をとった。

「海燕、さっきは散々詰っといて、結局は食うのか」

「食べますよ!隊長がせっかく用意してくれたものだし!」

「じゃあ、僕のもってきたおはぎは冷蔵庫にいれておこうか」

小さいが、冷蔵庫にいれて冷やしておくことにした。

この季節、食物は傷みやすい。

季節は5月の終わり。新緑も鮮やかで、葉桜が綺麗な季節だった。

庭では綺麗に紫陽花が咲いており、雨乾堂の花瓶にも紫陽花が活けられていた。

「そろそろ暑くなる季節だからねぇ。浮竹は、脱水症状と、直射日光に気をつけてね」

「ああ、分かっている」

蝉が鳴き出す季節まであと、2カ月。

今年も猛暑らしい。

あまりに暑い時は、井戸の水をかぶるのだが。水風呂に入る時もある。

梅雨の始まりの季節か、空気は湿っていてじめじめしていた。

「ああ、なんかこの季節はこれからどんどん暑くなっていくから、億劫だな」

「そうだね」

「夏が暑いのは当たり前でしょう」

皿の上に置いてあったおはぎを食べながら、海燕がいう。

「とにかく、隊長はあんまり水風呂に入ったり、井戸の水を浴びないこと!」

「えー、横暴だ」

「その度に風邪引いて熱だすのに、あんたもこりないな!」

「熱だしても涼しいほうがいい」

「あー、もぅ!」

浮竹の楽観的な思考に、海燕はいらっときた。

「まぁまぁ。浮竹、水風呂に入るのも井戸の水を浴びるのも、僕と一緒ね。僕と一緒なら、体を冷やし過ぎることはないから」

「それもそうですね。京楽隊長、うちの隊長をお願いします」

「うん。任して」

「なんか、俺が問題児みたいじゃないか」

「実際そうだから、言ってるんです」

海燕は腰に手を当てた。

「まぁ、あんまりに暑ければ僕のもっている氷室を開くから」

「お、いいな。かき氷食べたい。今すぐに」

「ええ、今すぐ?」

「ああ。喉もかわいているし、少し暑いし今かき氷が食べたい」

浮竹の我儘に、京楽はとても甘くて。

「じゃあ、氷室から氷もってきてもらうから、仕事を片付けておこう」

京楽家の人間あてに言伝を頼んで、京楽は浮竹の隣の黒檀の文机で仕事を始めた、

1時間ほどして、大きめの氷が届いた。

「かき氷機あるかい?」

「えっと、去年のがここらへんに・・・・あった」

押し入れを探して、かき氷機を見つけると、すでに用意されていたシロップを浮竹が味見していた。

シャリシャリと氷が削られていく。

浮竹は苺のシロップを選んだ。

京楽は宇治金時で。

いつもはそんな機会のない海燕も、メロンシロップをかけたかき氷を食べた。

「シロップって、すごい色してますね。体に毒じゃないんですか」

「まぁ、毒ではないし、過剰摂取しても大丈夫だよ。食べれるものでできているからね」

メロンシロップの鮮やかな緑が、目に痛かった。

今年も夏も、また浮竹は直射日光でやられたり、水浴びをして熱を出したりするんだろうなと思いつつも、海燕は夏がくるのを歓迎した。

全然起きてこない冬よりは、いいからだ。

冬の浮竹は、布団にしがみついて離れない。

廊下に転がしても、毛布を被って眠りだす。

そんな苦労のある季節よりは、夏のほうがましであった。





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好きなものは好き4

ルキアが大好きだ。

大切にしたい。でも、めちゃくちゃにもしたい。相反する感情が押し寄せてきて、一護は目を開けた。

アパートの自室だった。

腕の中には、ルキアの細い体と体温があった。

「ルキア・・・・」

「ん・・・・」

腕の中で、ルキアは気持ちよさそうに眠っていた。

金曜の夜にきたときは、徹夜が続いたそうで、倒れかけていた。

なんとか食事と湯あみをすませて、早めに一護と、一護のベッドで横になった。一護はそれが8時頃だったので、さすがに3時間ほど眠れず、ルキアの寝顔をずっと見ていたが、それだけで幸せな気分になれた。

「ルキア・・・大好きだ」

「いち・・・ご?」

ルキアがぼんやりと覚醒と眠りの狭間を漂っている。

それが大分気持ちいいのだろう。

とろんとした目つきで少し目をあけたかと思うと、また目をつむって眠りにつく。

ルキアを抱き締める腕には力をこめず、休日なので好きなだけルキアを寝かせることにした。

もう、朝の10時を回っていて、普通ならルキアも起きる時間なのだが、しばらくの間激務が続いて睡眠時間をとれなかったせいか、まとめて眠るように、長い時間寝ていた。

一護も、いい加減起きないとと思って、そっと離れようとすると、ルキアが一護の手をひっぱった。

「いちご・・・もう少し、このままで・・・・・」

浅い眠りの狭間を漂っていたルキアは、寝ぼけ気味だが覚醒したようだ。

「このまま、抱いていればいいのか?」

「ああ。貴様が辛くなければ・・・この体勢は、安心するのだ」

体温を共有できるからと、小さく付け足す。

「貴様の鼓動の音がする・・・・」

「それはルキアだって同じだろ」

二人で、ベッドの上でお互いを抱き締めあったまま、寝転んでいた。

「腹減らねぇ?」

「ん・・・少し、すいた」

しばらくの間ベッドの上でごろごろしていたが、昼前の11時になり、流石に起きねばと、ルキアを起こして一護も起きた。

「昼飯、炒飯でいいか?」

「なんでもいい・・・・・」

一護が作ったものはなんでも美味い。それを知っているので、なんでもいいと言うのだ。

「私は、昼飯ができるまでもう少し横になっておく。貴様の残り香のするベッド、悪くない・・・・・・・」

ルキアは、今日は一日をだらだらすると決めたようで、一護の炒飯ができるまで、ベッドの上で寝転がっていた。

今日の昼のメニューは、炒飯と中華スープ、それに杏仁豆腐だった。

「ほら、ルキアいい加減起きろ」

「んーーー・・・・」

また、眠りの海を漂っていたルキアは、一護の腕をとった。

「キスしてくれれば、起きる」

「お前なぁ・・・・」

「おとぎ話のお姫様は、王子様のキスで目覚めるのだ」

一護は、溜息をつきながらも、ルキアに啄むようなキスをした。

「もっと・・・・」

せがまれて、何度も口づけを交わしあった。

「んっ」

朝から、盛りそうな勢いで、一護は顔を洗いにいった。

ルキアも顔を洗って、テーブルに置かれた二人分の昼食を見る。スプーンを手に、まだ顔を洗っている一護を置いて食べだした。

「中華もうまいな。現世は、本当に美味い物が多い」

美味しそうに食べるルキアに、一護も作ってよかったと思った。

「今日は、家でごろごろするのか?」

「ああ。大戦の復興の処理が一気にきて、体も酷使したので、ゆっくり休養したい」

「マッサージでもしようか?」

「おお、それはいいな。肩が凝っておるのだ。揉み解してくれ」

昼食を食べ終わり、後片付けを終えた一護が、ベッドにうつぶせで横になったルキアにまたがって、まずは肩を揉みだした。

「んっ。そうだ、そこがいい。きもちいい・・・・・・」

「けっこう凝ってるな・・・・・・」

「ん・・・ああ、きもちいい・・・・」

肩を揉んだ後に、腰を揉みだすと、ルキアは本当にきもちよさそうにしていた。

ぐっぐっと力をこめて揉んでいると、ルキアは満足したようだった。

「もういい。今度は貴様が横になれ。私が揉んでやる」

「肩凝ったりあんましてねぇんだけどな」

「それでも、筋肉は使うから多少の疲労はあるはずだ」

肩をもんでいくと、一護も気持ちいいと感じた。

「ああ、いいなこれ。普通に揉みほぐし30分コースとったら、3千円もするんだよな。こうやって、お互いを揉んでいればただだ・・・・」

つい、貧乏気味なので、お金の換算をしてしまう。

ルキアの分の食費は、ルキアが出していた。

ルキアがアパートを借りているお金や学費、生活費の資金援助をしようかと言ってきたが、断った。

食費は流石に生活が苦しくなるので、もらっているが、彼女に全部お金を出させるなんて、男の風上にも置けないようなことはしない。それが一護のポリシーだ。

土日は、ルキアといれる日なのでなるべくバイトを入れないようにしていた。

次の日の日曜は、ルキアを連れて実家にまで戻った。

「一兄!」

「お兄ちゃん!」

遊子と夏梨は、年頃で彼氏とかもいるらしい。まだ高校生だが。

「ルキアちゃん、久し振り!」

「ああ、遊子と夏梨も元気でいたか?」

「お父さんはああああ、ルキアちゃんがこのまま嫁にくればいいと思っている!」

一心が涙ながらにルキアを抱き締めた。

「一心殿・・・・・」

「ルキアとは、結婚前提で付き合ってるから」

「一護!」

「俺はそのつもりで付き合っている」

「おおおお、ルキアちゃんは是非現世でも結婚式を挙げてほしい。尸魂界でも結婚式を挙げるかもしれないが!」

まだまだ、先の話なのに、一心は真咲の大きな遺影に式場はどこがいいだろうなどと、語りかけていた。

「俺の部屋にいこうぜ」

「ああ、分かった」

一護の部屋は、そのままにされてあった。

高校時代の学生服が、ハンガーにかかっていた。

「懐かしいな、この景色も。この窓から、いつも私は出入りをして・・・・押し入れで寝泊まりをしていた」

「最初の頃はな」

「日番谷隊長の先遣隊となった私は、再びこの部屋で生活をしだした。あの頃には、もう同じベッドで眠っていたな」

「お互い、好きとかそんなのぬきで、寝てたよな」

今も同じベッドで眠っているが、その頃から今と同じように眠っていたのを思い出す。

「そうだな。恋次と同じように接していた」

「恋次ともああやって寝てたのか?」

「真央霊術院に入るまでの話だ」

「そうか」

一護は、ルキアを抱き締めて、とさりとベッドに寝転がった。

「いつか、結婚してくれるか?」

「ああ、いいぞ」

一生に一度あるかないかの告白だったが、案外あっさりだった。

「給料入ったら、エンゲージリングでも買うか。あんま高いのは買えねぇけど。ホワイトゴールドの指輪くらいなら、ペアで買えるだろ」

「私が、金を出そうか?」

「こういうのは、男が出すんだ。ルキアは何もしなくていい」

「そうか・・・なんだか、眠くなってきた・・・・」

「寝てもいいぞ」

「うむ・・・少しだけ、寝る・・・・・」

スースーと寝息をたてだしたルキアに、よほど疲れてたいたんだなと、一護はルキアを抱き締めながら、ルキアを大切にしようと、改めて誓うのであった。



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好きなものは好き3

「一護!」

金曜の夜になり、ルキアが現世にやってきた。

ルキアは最近金曜の夜に現世にきて、月曜の朝には尸魂界へと帰っていく。週末の休みの土日を、一護と共に現世で過ごすのだ。

「一護!うぃ~~~」

やってきてルキアは、べろんべんろんに酔っていた。

よく一護の家までこれからといいうほど酔っていて、すぐに水をのまされて、二日酔い止めの薬を飲ませて、ベッドに横にさせた。

「一護貴様も飲め~~」

酒はないのに、ルキアは飲め飲めとうるさかった。

「知っているのだぞ、一護。貴様が貧乳派であるということを!」

「悪酔いしすぎだぞ、ルキア」

「それとも、まさかの巨乳派なのか!?」

うるうると目を潤まされて、一護はきっぱり言う。

「貧乳派だ」

「おっしゃああ、恋次私の勝ちだ!あれ、恋次は?」

「はぁ・・・・・ここは現世の俺の家。恋次と飲んでたのか?」

少しだけ酔いの冷めたルキアが、首を縦に振る。

「恋次とだけではないぞ。松本副隊長と班目副隊長、あとは綾瀬川3席に、檜佐木副隊長と吉良副隊長だ」

「けっこう豪華なメンバーで飲んだんだな」

多分、檜佐木と吉良は松本目当てだろう。

「付き合っている男女が、同じベッドで眠るだけなぞおかしいのだと言われた。一護は、私を抱きたいとは思ぬのか?貧乳派なら、問題はあるまい?」

「あのな。俺はお前のこと大事にしたいんだ。まだ、お前には手を出さねーよ」

ルキアは、死覇装を脱ぎだした。

そして、一護を自分の方に倒れるようにひっぱった。

「あっぶね」

もう少しで、ルキアを押しつぶすところだった。

「なぁ、一護・・・貴様が、欲しい・・・・」

潤んだ瞳に見つめられて、一護の理性ももたなくなっていく。

「ルキア・・・・」

一護を押し倒す。

その上によじ登り、誘うように上半身の死覇装は脱いで、ぶらじゃ―に包まれたささやかな膨らみを押し付ける。

「一護・・・・欲しい・・・・」

甘く耳を噛み、吐息を吐いて、一護の首筋にキスマークを残した。

襲い受というやつだろうか。

「どうなっても、知らねぇからな」

ルキアにキスをすると、一護は自分も服を脱いで、ルキアの死覇装と下着を脱がせた。

「あ!」

敏感に感じ取っていくルキアが愛らしく、できるだけ優しく優しく扱った。

「んんう・・・・・」

ぴちゃりと舌を絡ませあう。

その日は長い夜になった。



「おはよう、ルキア」

「ん、一護?何故私は裸・・・・・はわわわわわ」

自分で言った言葉の数々や、抱かれた時の記憶が蘇る。

「とりあえず、服着ろ」

現世のワンピースではなく、室内着用に買ったスウェットの上下を差し出した。

昨日抜いだ下着も死覇装も洗濯されて、お日様の下で干されていた。

一護の部屋に、最近当たり前においてあるルキアの衣装専用タンスを漁り、新しい下着を着て、ルキアは真っ赤になって一護を見た。

「私と貴様は結ばれた・・・で、あっているよな?」

「ああ。お前の初めてを、俺がもらった」

「うきゃああああああ!」

真っ赤になって、ぼんと破裂したルキアは、ベッドで布団を被り丸くなった。

「後悔してるのか?」

少し悲しそうな一護の声に、ルキアがもそっと顔を出しながら、首を横に振る。

「いつか、着様に抱かれたかいとは思っていた。だが、あんな酒に酔っての勢いなど・・・・あああ、松本副隊長に散々いろいろ言われたからなぁ」

「乱菊さん、こういうこと楽しがるからな、酒に酔って勢いで迫っていけとか言われたんじゃないのか」

「うぐっ・・・・・」

まさにその通りだった。

一護と正式に付き合い始めて2カ月。

早いような気もするが、ルキアにも焦りがあった。現世には井上がいる。そして、井上は一護に惚れている。

既に何度か告白されたというが、ルキアと正式に付き合いだしたといっても、まだ告白してくるらしかった。

「これでお前はもう、俺のもんだ」

ルキアがもぐった布団ごしに抱き締められる。

「ひゃわっ!」

耳に息を吹きかけられて、ルキアは布団から這い出した。

そのまま腕をとられて、一護の胸の中に。

「優しくしたつもりだったけど、痛くなかったか?」

慈愛に満ちた、優しい眼差しだった。

「いや・・・・気持ちよかった・・・・」

「そっか」

ルキアの頭を撫でて、一護はちょっと遅い朝食を作りだした。

ベーコンエッグに、トースター、サラダに味噌汁。

さらに、朝から白玉餡蜜が用意されていた。

「今日を忘れねぇ」

「わ、忘れろ!」

「なんでだ。お前から求めてくれたじゃないか。もっともっとって・・・・」

「うきゃあああああ!記憶から消せ!」

真っ赤になったルキアは、結局一護に抱き締められていた。

「いつも、あんな風に素直ならかわいいけど、ま、ルキアは今のままが一番かわいいからな」

「たわけ!何を言っておるのだ!」

ルキアはもう許容量を超えてしまった恥ずかしさに、ボンと音をたててエンストした。

冷静になろうとすればするほどに、夜の出来事を思い出してしまう。

「冷めるから、早めに朝食食おうぜ」

「あ、ああ・・・・・」

味噌汁だけが何か和風のメニューでちょっとあっていなかったが、味はとても美味しかった。好物の白玉餡蜜を口していると、段々と落ち着いてきた。

「今日は昼からどっかいくか?それともこの部屋にいるか?」

「腰が重い・・・・・今日はこの部屋にいる」

「やりすぎたつもりなはいんだが、ごめんな。はじめてなのに2回もしちまった」

「い、いいのだ。私が望んだことでもあるのだから」

ルキアは微笑んだ。

自然な微笑みだった。一護も、柔らかく笑った。



好きなものは好きだから、許せる関係がある。

たとえ酒の勢いでも、好きだからこそなのだ。







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さくら

桜の花が満開になった。

朽木邸の桜も、見事に咲きほこっていた。

そんな庭で、恋次と白哉は花見をしていた。縁側に腰かけて、朽木家お抱えの料理人が作った弁当を食べて、高級酒を飲み交わし合った。

「桜は好きだ」

白哉の言葉に、恋次が頷く。

「そりゃ、隊長の斬魄刀も千本桜ですしね」

「浅打と対話しているときに、ふと満開の桜を思い浮かべたのだ。桜のことばかり考えていると、浅打は千本桜になった。始解した時の千本桜の美しさに、私は言葉を忘れた」

確かに、白哉の千本桜は美しい。ルキアの袖白雪のような見かけの美しさはないが、始解、卍解した時の花びらの本流となった美しさは、瀞霊廷の死神がもつ斬魄刀でも5本の指に入るほどの美しさであった。

卍解すれば、桜の花びら一つ一つが、億の刃となって襲いかかってくる。美しいが、とても強い。そんな斬魄刀だった。

「なんか隊長にすごく似合ってますね。綺麗なのに、鋭い」

「斬魄刀を千本桜にしてしまうほど、桜が好きなのだ」

白哉は穏やかな顔で、庭の桜の花を見上げていた。

「ちょっと待っててください」

恋次は手の届く範囲にある桜の花を一輪手にとると、白哉の黒髪に飾った。

「よく似合ってますよ」

「女子(おなご)ではないのだ。髪に花を飾られても・・・」

「いいじゃないっすか。似合ってるんだから」

「ところで、お前の斬魄刀は何故に蛇尾丸なのだ?」

「いやー。浅打と対話してるときに蛇とか狒々とか動物をイメージしてたら、そのまま形になっちまって・・・まぁ、今の蛇尾丸に満足してますけど、もうちょっと優雅な斬魄刀でもよかったかもしれないって、千本桜を見ているとそう思います」

それに異を唱えるように、腰に帯刀した蛇尾丸が震えた。

「おっと、蛇尾丸の奴が怒ってやがる」

「私の斬魄刀に懸想するからだ」

「いや、千本桜は好きですけど、懸想しているのは隊長に、です!」

「知っている」

ふわりと、白哉が微笑んだ。

桜の花びらがちらちらと降り注いでいく。

その中にいる白哉は、美しかった。

「やっぱ、隊長めっちゃ美人ですね」

「中世的な美貌だとは、よく言われる」

「そうですね。男性にしては美しすぎるし、女性にしては凛としています」

「褒めすぎだ」

「いやいや、本当のことですから」

恋次に言わせたら、白哉を褒める言葉は尽きないだろう。

「隊長は美人です!」

白哉の手をとって、口づける。

「隊長・・・・・」

白哉をじっと見つめる。

ふっと、白哉が目を閉じた。

それを合図に、触れるだけのキスをした。

キスは、高級酒の味がした。喉を焼くような強い酒ではなく、清廉とした味だった。

「ん・・・・」

何度か白哉の唇を貪っている間に、キスがより深いものになる。

舌を絡め合わせていると、杯に桜の花びらが落ちた。

「もう、よい・・・・」

「隊長、好きです。愛してます」

「知っている」

花びらごと高級酒を口にした。

ふと恋次に抱き寄せられて、その体温の暖かさに安堵する。

「ふ・・・私も、甘くなったものだな」

ずっと昔は、近づくことさえ許さなかったのに。今は、白哉の心にまで恋次は入ってくる。

「後添えをと望む声が多い。だがそれを否定しているのは、緋真だけを妻として愛し、今はお前がいるからだ」

「隊長・・・・・」

恋次は、白哉を抱き締めたまま離さなかった。

「一生、離しません」

「お互い戦火になれば散る可能性もある。だが、永遠の安寧に近いものが訪れた今、こうやって寄り添いあうのもいいのかもしれぬ」

もう、ユーハバッハの侵攻のような、脅威は訪れないだろう。

死神は千年を生きる。

その無限に近い命を、共にしていくのも悪くないと、思うのだった。

ちらちらと。

桜の花びらが散っていく。

桜が好きな白哉は、ただその光景を恋次に抱き締められながら、目に焼き付けていた。



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安酒

高級料理店でもない居酒屋に、白哉の姿があった。

たまには、普通の店で飲みませんかと戯れに誘ったら、本当についてきた。

いつもは、みんな飲んで騒ぐうるさい居酒屋であったが、白哉がいるだけで店の気温がマイナスになったくらい、冷たく感じられた。

「この酒は・・・意外にうまいな。私のことは構わず、騒ぐがよい。今日は私が皆をおごってやろう」

そんな話になって、さっきまでの静けさが嘘のように、騒がしくなった。

ここぞとばかりに、店で一番高い酒や料理を注文する、恋次にとってはモブに等しいどうでもいい奴ら。

その居酒屋で、白哉はいつもの高級酒ではない日本酒を飲んだ。

けっこうなハイペースで飲んでいたので、心配になって白哉に声をかけてみる。

「隊長?」

「なんだ」

ほんのり頬が染まっていた。

「今日はこの辺にしておきましょう」

「分かった」

「というわけだから、今まで飲んで食った代金は払っていくけど、新しく注文した分は自分たちで払えよ!」

恋次がそう言って聞かせると、ブーイングが響き渡った。

居酒屋の日本酒は、高級酒のほうの日本酒よりも、アルコール度が高かった。

勘定をすませる。けっこうな代金になったが、白哉のもっているお金の2割にも満たない値段だった。

白哉は、足元がふらついていた。

「ああ、もう!」

恋次は、白哉を抱き上げて朽木邸にまでくると、白哉を下ろした。

「恋次・・・・今日は泊まっていけ」

「いいんすか、隊長」

「隊長命令だ」

白哉は、湯浴みをしてさっぱりすると、寝室で違う湯殿で風呂に入った恋次の膝に、寝転んでいた。

「恋次・・・好きだ」

白哉は、酔っぱらっていた。

「隊長・・・好きです」

押し倒して、口づけると、白哉の手が背中に回された。

深い口づけを繰り返したが、流石に抱くわけでもいかず、生殺しの状態だった。

「いつもの館にいきませんか。あんたを抱きたい」

「構わぬが・・・」

その言葉を聞いた時には、白哉を連れていつも睦み合う時に使う館にきていた、

今日は人を雇ってはおらず、真っ暗だった。

明かりを灯して、寝室にいき、布団をしくとそこに白哉を横たえた。

「ん・・・・」

薄い明かりに照らされた白哉は、綺麗だった。

中性めいた美貌に、白い肌と黒い髪が艶めかしい。

貴族の証も、衣服もはぎとる。

そのしっとりとした肌に舌を這わせながら、恋次は言う。

「やっぱ、安い居酒屋だと、酔いも早いですね」

「そうか?」

「いつもの半分の量で、今酔ってますよ、あんた」

「私には、分からぬ・・・ただ、何かふわふわした心地がする」

「それが寄っている証です」

鎖骨から胸元にキスマークを残していく。

「んんっ・・・」

全身の輪郭を確かめるように愛撫して、胸の先端をかりかりとひっかっくと、白哉が声をあげた。

「何故、私は抱かれているのだ?」

「あんた、抱いてもいいかって聞いたら、いいって答えたじゃないですか」

「覚えておらぬ」

「ああ、もう・・・・でも、今更引き返せませんよ」

白哉の花茎に手をかけて、しごいて先端に爪をたてると、白哉はあっけなくいってしまった。

「あああ!」

潤滑油で濡らした指が、白哉の体内に入る頃には、大分酔いも冷めてきたようだった。

「ん・・・もっと、奥だ]

「はい」

前立腺を刺激してやると、白哉の花茎はとろとろと先走りの蜜を零した。

「いれますよ。いいですか」

「ん・・・・・こい」

灼熱を、ゆっくりと埋め込んだ。

「んあ・・・・・」

痛みは少ないが、鈍痛に似たものを感じる、

一気に貫くと痛みは一瞬で終わるが、かなり痛い。

ぐちゅりと音を立てて、内部を犯していくと、白哉は恋次のキスを求めてきた。

それに応えてやる。

「愛してます、隊長・・・・」

飾立てた言葉を並べる必要はない。

「あ・・・・私も、愛している、恋次・・・」

白哉の太腿を肩に担いで、突き上げた。

「ああ!」

だんだん交わりが激しくなってくる。

ぐちゅぐちゅと音をたてて内部を突き上げる。

白哉の体がびくんとはねる。

白哉が精を放ったのを確認した後で、また前立腺を突き上げてやった。

「ん、あああ、あ、あ!」

後ろでもいかされて、白哉は快感に染まった思考で、恋次の背中に爪をたてた。

細やかな反抗のようなものだ。

「隊長、俺のものだ・・・あんたは、俺のだ」

「んんん!ああ!」

恋次は、白哉の腹の奥で熱を放った。それでも足らずに、白哉を貪った。

「あ・・・・あああ!」

くちゅくちゅと音を立てて、前立腺ばかりを突き上げてやると、また白哉の体が痙攣した。

「ひあ!あ、あ!」

精液を吐きだした後は、透明な蜜がトロトロと零れるだけで、もう限界だと分かった。

恋次は、白哉を突き上げる。

体勢を変えて、後ろから突き上げると、中を抉られて、白哉が鳴く。

「ああああ・・・・ひああ!」

何度か後ろから突き上げている最中も、白哉はドライでいったらしく、黒髪を乱していた。

「も、無理・・・・・・・」

何度目かも分からぬ熱を白夜の腹の奥にぶちまけて、恋次も満足した。

「あ、風呂の用意してきます!」

人を雇っていなかったので、湯をわかしていなかった。

白哉は、行為後は風呂に入るのがいつもの習慣だった。

30分ほどして湯の用意ができて、白哉を抱き抱えながら、一緒に風呂に入った。

白哉の中に吐きだしたものをかきだして、髪と体を洗う。そのまま湯に浸かった後、体をふいて新しい服に着替えた。

「安い酒の割には美味かったが、アルコール度が高いな」

「それが、あの店の売りでもあるんですけどね。強い酒が飲めるって有名な店です。隊長があんなに飲むとは思ってなかった」

「もう、あの店には行かぬ」

白哉は、まだ濡れた黒絹のよな髪を、恋次の手で水分をタオルでふいてもらっていた。

「多分それが正解でしょうね。隊長は高級酒のほうが似合ってるし、そっちのほうが好みっすよね」

「まぁ、安酒の割には、楽しめた。酔ったのは久しぶりだ」

「足元ふらついてましたからね」

「いつもはそこまで飲まぬからな。お前もいたし、少し羽目を外しすぎたな」

恋次は、白哉に口づけた。

「あんた、キス好きですよね」

「否定はせぬ」

「俺以外の前で、酔っぱらわないでくださいよ。何されるか分かったもんじゃない」

「馬鹿なことを。私は男だ」

「俺も男ですけどね。隊長は男でも惑わすような美人ですから」

「戯言を・・・・・」

白哉は、自分から恋次に口づけた。

噛みつくようなキスだった。

「私をこんな気もちにさせるのは、お前だけだ」

「特別なんだって、受け取っておきます」

次の日は仕事の日だったので、6番隊の執務室にいった。

二人とも、同じ匂いを漂わせていたせいで、気づく者はすでに気づいでいたが、沈黙がルールだったので、誰も何も言わない。

そんなこととは知らずに、二人は普通の上官と副官を演じるのだった。


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鈍感もなんのその

「好きだぜ、ルキア」

「そうか」

いつものように、好きと言うと、ルキアはそうかとだけ答えて何も他に返事をしてくれない。

今までもそうだった。

多分、このままではずっとそうだろう。

ルキアを抱き締める。

「恋次?」

「俺の言い方が悪かったんだな。恋愛感情で好きだ、ルキア。結婚を前提に、俺と付き合ってくれ」

「そうか・・・・・って、えええええええ!!!」

ルキアは素っ頓狂な声をあげていた。

「やっぱり、今までの俺の「好き」って言葉は伝わってなかったんだな」

「あの、恋次?本気か?」

ルキアは首を傾げて聞いてきた。

その様があまりにも可愛らしいので、恋次は再びルキアを抱き締めていた。

「恋次、苦しい」

「あ、すまねぇ」

ルキアを離す。

でも、その手を握ったままだった。

「答えは?」

「今、答えねばならぬのか?」

「いや、時間おいてもいいぜ。でも、できれば今がいい。ルキアに好きだって告白したの一護にばれたら、一護までお前のこと好きだって言ってきそうだ」

「ええええええ!一護まで!?」

「やっぱ、お前きづいてねぇのな。自分ことに関してちょっと鈍感すぎやしねぇか」

「恋次と一護が、私を好き・・・・」

ぷしゅーと、湯気をたててルキアは真っ赤になった。

片方の手は恋次に握られたままなので、もう片方の手で顔を覆っていた。

「ルキア、答えは?」

「恋次・・・6番隊の、何席か忘れたが、女性がかわいいとかなんとか言っていたではないか」

ルキアが、一生懸命考える。

「お前の気を引くために、そんな話をした。でも俺が好きなのは、ルキア、お前だけだ。俺は隊長の副官だし、お買い得だと思うぞ」

「そんな、自分をセール品みたいに・・・・」

「答えは?」

「い、いえすだ」

「おっしゃああああ!!!!」

恋次はガッツポーズをとった。

一護が、ルキアを好きなのは知っていた。恋次もルキアが好きで、どちらが先に告白してどちらが先にそのハートをいただくのかという話に発展したことがあった。

一護には悪いが、井上という存在もあるし、きっぱりと諦めてもらおう。

「じゃあ、結婚前提でいいんだな?」

「う、うむ・・・・兄様に報告しないと・・・」

「ああ、隊長にはすでに結婚前提で付き合う許可、もらってあるから」

「行動が早いな!?私に振られたら、どうするつもりだったのだ!」

「考えてなかった」

ルキアは、ガクリとなった。

恋次は、突っ走ると止まらない。猪突猛進と言えばいいのだろうか。

ルキアのことを一度好きになったら、きっと嫌だと言っても何度も告白してくるだろう。

本気で嫌がれば流石に引いてくれるだろうが、ルキアは恋次のことが好きだった。一護のことも好きだが、仲間として他のみんなも好きだった。

その中で、恋次は隣にいたいという、「特別」の好きだった。

好きにはいろんなものがある。愛と一言でくくっても、友情愛、家族愛、仲間愛などいろいろある。

そんな中でも、恋次は特別だった。幼い時から一緒に過ごしてきただけに、恋次の考えていることは分かっていたつもりだったが、恋次が自分のことを恋愛感情で好いていてくれるとは思っていなかった。

「はぁ・・・・恥ずかしい」

顔を真っ赤にして、両手で覆っているルキアを、恋次は抱き上げた。

「れ、恋次!?」

「今日は飲もうぜ!」

「ええ!」

恋次に連れられて、居酒屋にやってきた。

恋次は上機嫌で、どんどん酒を飲んでいく。

ルキアは、アルコール度の低い果実酒を少しずつ飲んでいた。

自慢ではないが、酔っぱらうとろくなことにならない。酒癖が悪いらしい。

「ルキアももっと飲め!」

日本酒をどんと置かれて、けれどルキアはそれを飲むのを断った。

「恋次、私は酒にあまり強くないのだ。日本酒など飲めば、べろんべろんによっぱらって、貴様に迷惑をかける」

「じゃあ俺が飲む」

恋次は、酒に強かった。

時折、白哉と飲み交わすことがあるが、白哉も比較的酒に強かった。

「そろそろ帰るか」

居酒屋で飯も食べて、ルキアは朽木邸に向けて帰ろうとするが、恋次が手をひっぱって反対方向に歩きだす。

「なんなのだ、恋次」

「俺の家に泊まってけ」

「き、貴様、いくら結婚前提とはいえ・・・・・」

「何もとってくおうってわけじゃねーよ。ただ、一緒にいたいだけだ」

「貴様・・・ずるいぞ。そんな顔をしおって」

子供の時から見せる、少し寂しそうな笑い顔。

ルキアは、その顔を見るたびに恋次を元気づけた。

「一緒にいてくれるか?」

「ああ、いてやる」

恋次の家は、席官クラス以上がもてる館の通りにあり、けっこう広かった。

庭の手入れなどもきちんとされてあって、そんな時間がどこにあるのだろう思ったが、どうやら時折人を雇って、清掃などを行ってもらっているらしい。

館には、生活感があまりなかった。6番隊の隊首室で寝泊まりすることが多いので、館に帰るのは月に数度くらいだった。

「風呂、先に入るだろ?」

「しかし、着換えが・・・・」

「俺の服でかまわねーだろ」

ルキアは、それ以上言わずに、風呂場に消えていった。

20分くらいが経ち、恋次が風呂に入る。

ルキアは、下着をつけていなかった。ぶかぶかの恋次の服を羽織ったまま、恋次が風呂からあがってくるのを待った。

「寝るか。昔みたいに、一緒の布団でも構わねーだろ?」

流魂街にいた頃は、いつもよく同じ毛布をかぶって、寒さに震えながら、お互いの体温を共有しあって寝たものだ。

しかれた一組の布団に、恋次が横になって、ルキアも横になる。

ルキアは酒をほどほどにしていたが、眠気がゆっくりと襲ってきた。このまま寝ても、恋次は何もしないという確信はあった。ルキアが寝てほどなくして、恋次も眠ってしまった。

次の日の朝起きると、ルキアの姿がなかった。

「ルキア?」

「ああ、起きたのか恋次」

縁側に、ルキアはいた。ぶかぶかの恋次の服から見える胸元や細い手足が、目の毒だった。

「昨日の服、着てくれ・・・・いろいろ見えそうで、俺の理性がやばい」

ルキアは真っ赤になって、昨日脱いだ死覇装に袖を通した。

「で、では私は一度、朽木邸に戻る。ま、またな恋次」

「ああ」

ルキアは、瞬歩で去ってしまった。

脱衣所に、薄い色の何かが落ちていた。

それがルキアのブラジャーとパンツということを理解した時には、恋次は鼻血を垂らして昏倒していた。

その日、恋次は6番隊の執務室に遅れてやってきた。

白哉がなぜかと問うと、ルキアのパンツとブラジャーと答えて、千本桜の鞘で思い切り頭を叩かれた。

「告白したばかりであろう。よもや、手を出したのではあるまいな」

手を出していたら、きっと千本桜でめためたにされただろう。

「一緒の布団で、眠っただけです・・・・」

白哉は恋次を信頼していた。その言葉に偽りはないと信じる。

「そうか。あれは、天然なところがある」

「そうっすね・・・・・」

あのパンツとブラジャーどうしよう。

後日、洗ってルキアに返したが、ひっぱたかれた。
















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好きなものは好き2 

ルキアは、約束した通り、金曜の夜には現世にやってきて、月曜の朝には尸魂界へと戻っていった。

大学生活も残りあと1年。

土日はバイトでつぶれそうだったのを、なるべくあけるようにして、大学が休みの日にバイトをいれまくった。 週末になり、金曜の夜にルキアがやってきた。

「ルキア、おかえり」

「ああ、ただいま」

金曜の夜は、仕事が終わり次第こちらにきているので、夕食は現世で食べることになる。

現世の豊富な、食べたことのないメニューを食べるルキアは、とても幸せそうだった。

今日はカルボナーラだ。 パスタ系はあまり食べたことのないルキアは、できあがるのをまだかまだかと待っていた。

ベーコンと玉ねぎを炒めたものに、濃厚な卵黄のコクがスパゲティに絡んだカルボナーラに、粉チーズをかけた。ドレッシングをいれたサラダと、デザートにパイナップルを出した。

「美味い!初めて食べたが美味いな!これは外国の料理なのだろう?」

「そうだぜ。本場はイタリアだったかな」

「おかわり!」

「へいへい」

大目に作っておいて正解だった。

ルキアは、ぺろりと二人前を食べてしまった。

サラダとパイナップルも食べた。

「このドレッシングも美味いし、パイナップルというデザートも美味い。ああ、現世は美味いものの宝庫だな」

「スパゲッティ、結構買ったから、明日はペペロンチーノを作ってやるよ」

ルキアは顔を輝かせた。また、食べたことのないメニューを食べれるのだ。

「スパゲッティ・・・この細い麺のことか」

「そうだ」

「ふむ。尸魂界でいえばうどんか蕎麦のようなものか」

「まぁかなり違うけど、麺類であることにはかわりねーな」

「私も、作れるであろうか?」

ルキアがきらきらした顔で、聞いてくる。

「作りたいのか?」

「兄様に、作ってさしあげたいのだ」

「じゃあ、ここにレシピ書いとくから・・・・材料はスパゲッティとベーコンをもっていけば、あとは卵は尸魂界にあるとして・・・粉チーズもいるか。けっこう材料現世にしかないものだが、いいのか?」

「構わぬ!」

白哉ラブのルキアにとって、現世の料理はぜひとも朽木家で、白哉にも食べさせたいものであった。

そのまま、土日は水族館と美術館と図書館でデートして、月曜の朝に尸魂界へとルキアは戻っていった。

「また金曜な!」

「ああ。カルボナーラの材料もすまないな」

ルキアは、カルボナーラを作る材料として、ベーコンとスパゲッティ、粉チーズを手に尸魂界へと戻っていった。

尸魂界に戻ったルキアは、夕飯の一部を自分で作る許可を白哉にもらい、13番隊の執務室に向かった。

夜になり戻ってくると、カルボナーラをレシピ通りにつくった。辛いものが好きな白哉のために、塩味を少しきつめにしておいた。

「兄様、現世の外国料理だそうです。味はどうですか」

「ふむ・・・変わった味だが、美味いな」

「ありがとうございます」

ふと、白哉の方を見る。

「兄様・・・私が、一護と付き合っているのを、何も言わぬのですか」

「それはルキアの選んだ道であろう。ルキアが望むのであれば、止めはせぬ」

「兄様!今度、一護を連れてきます!」

「分かった」

その次の週、一護はルキアに連れられて尸魂界の朽木家に来ていた。

「兄は、ルキアを幸せにできるか?」

白哉の開口一番の声に、はっきりと答えた。

「ああ、できる。ルキアを幸せにしてみせる」

「ならば許そう。ルキアと付き合うことを」

「ありがとう、白哉」

白哉とはもっともめると思っていたので、あまりにもあっさりすぎて、一護は内心驚いていた。

「次は恋次だ」

恋次を呼び出すと、恋次は厳しい顔つきで現れた。

「ルキアと付き合ってるんだってな。泣かしたら、どうなるか分かっているんだろうな?」

「泣かさねーよ」

「俺も、ルキアのこと好きだったんだけどな。一護にまんまとさらわれちまった」

「な、な、な、恋次、私のことを恋愛感情で好いていたというのか?」

ルキアが、吃驚していた。

「何度も好きだっていっただろう」

「いや、言われていたが・・・友人として好かれているのだと思っていた」

「恋次、ルキアのやつは、白哉と恋次と俺が好きって言っておいて、俺だけ恋愛感情で好きだといったつもりだったというくらい、好きだという言葉を伝えるのが苦手なんだ。ちょっとやそっとの告白じゃあ、動かねぇぜ」

恋次は天を仰いだ。

「もっと強く押しとくべきだったか」

「ばーか。ルキアの中にいるのは俺だ」

「ばかとはなんだ、ばかとは」

恋次は、紅蓮の髪を揺らした。

「まぁ、ルキアが自分の意思で一護を選んだんだ。ルキア、一護が嫌になったら言え。俺はルキアなら大歓迎だ」

「そんなことなるかよ。ルキアは手放さない」

恋次の目の前で、ルキアを抱き寄せた。

「い、一護・・・・・」

「お前が好きなのは誰だ?」

「い、一護だ・・・たわけ」

恋次は、ガクリと項垂れて帰って行った。

「たまには、朽木家で泊まれ。今夜は尸魂界で過ごせ」

「いいのか?」

「ああ。兄様には後からになるが、許可をとる」

白哉から許可をもらい、ルキアの寝室に泊まった。

2つの布団で寝ていたが、一護はルキアを腕の中にかき抱くようにして眠った。ルキアがいつも一護のベッドで寝る体勢と同じだった。

「ふあーよく寝た」

次の日、一護は日曜ということもあって、ゆっくりしていた。

「たまには、尸魂界で過ごすのも悪くないであろう?」

「ああ」

起きると、休日なだけあって、少し高価そうな着物をきたルキアがいた。髪を珍しく結っており、花が飾られていた。

「ルキア、すっげーかわいい。おしゃれに目覚めたか?」

現世にいるときは、いつも同じようなワンピース姿を見てきたので、着物姿のルキアは新鮮だった。

「ちよが・・・・好きな殿方の前では、着飾るのが普通だと、このような恰好にされた」

「ああ、前に言ってた付き人の人か」

「うむ」

そんなルキアを抱き上げて、くるりくるりと回った。

「わあ」

「ほんとにお姫様みてぇ。4大貴族の姫君だったな」

そっとルキアを下ろした。

「なんなのだ、一護」

「いや、俺の彼女はめちゃくちゃかわいいなと思って」

ぼふんと音を立てて、ルキアが真っ赤になる。

「き、貴様はずるい。私とて、貴様のことはかっこいいと思っておるぞ」

「おう」

その日は、尸魂界の瀞霊廷をいろいろ案内してもらった。

やがて日が暮れて、一護は現世に戻ることにした。ルキアは、一護の髪をひっぱって、かがませた。

「なんだ?」

「目を閉じろ」

精一杯背伸びして、触れるだけのキスをした。

「ルキア・・・じゃあ、また来週な」

「うむ」

ルキアと一護は、朽木家の庭で別れた。穿界門が開かれる。

「また来週な、一護!」

「ああ、また来週な!」

たとえ生きる世界が違っても、好きなものは好きなんだから、しょうがない。

白哉の許しも得たし、恋次にもきっぱりと諦めてもらった。

「ふふっ」

唇を指でなぞる。

まだ一護の唇の感触があった。

幸せだと思う。生きる世界が違うのに、交際を許可されたのだ。愛の果ては幸せだと思う。きっと、もうすでに愛の果てなのだ。

こんなに幸せなのだから。



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院生時代の二人

時は院生時代。3回生の頃の話だ。

お互い、友人以上の仲だった。

友人以上恋人未満。そんな仲がずっと続いていた。

ある日、浮竹は桜舞う季節、桜の木の下に呼び出された。内心ドキドキしながら、京楽を待つ。

やってきた京楽は、真面目な話があると、浮竹に告げた。

「迷惑かもしれないけど・・・・君のことが好きなんだ。恋愛感情で」

浮竹は迷うことなく告げる。

「俺も、お前が好きだ。恋愛感情で」

京楽は目を見開く。友人以上恋人未満の関係が続いていたので、きっと拒否されると思っていたのだ。

「本当に?僕の傍にいてくれる?」

「ああ。お前が嫌だといっても、傍にいる」

京楽は、浮竹を抱き締めていた。

友人以上恋人未満といっても、プラトニックな関係に近く、抱き締めるのは初めてだった。

「細いね。ちゃんと食べてる?」

「食べてるぞ。あまり太らない体質なんだ」

「キスしてもいい?」

「あ、ああ・・・・」

翡翠の瞳が閉じられる。

京楽は、そっと触れるだけのキスをして、また浮竹を抱き締めた。

「君に想いが届く日がくるなんて・・・・・・」

その日から、二人は変わった。

お互いを恋人同士として接するようになった。

学院の中では隠していたつもりだったが、けっこうばればれであった。

「浮竹、起きて。もう8時だよ」

冬の季節になると、浮竹は冬眠するように眠りに入り、なかなかおきない。

同じ寮の部屋を、上流貴族の権限でとっていた京楽は、浮竹との甘い毎日に満足していた。

「んーあと10分・・・」

「用意とかしてると遅刻するよ」

布団をひっぺがすと、寝ぼけ眼で浮竹が起きた。

今日も朝食はなしだ。顔を洗い、院生の服に着替えて、荷物をもって走って学院に行った。なんとか遅刻は免れた。

冬になると、放っておくと浮竹はけっこう遅刻する。

京楽が浮竹を起こし、遅刻ぎりぎりで登校した。

恋人同士になって、半年が経とうとしていた。

ハグやキスはするけれど、それ以上はまだしていない。

京楽は、ある日の夜、浮竹に思い切って告げる。

「君を、抱いてもいいかい?」

浮竹は真っ赤になったが、頷いた。

「覚悟は、もうできていたんだ。抱いてもいいぞ」

お互い、1つのベッドの上で正座した。

「では、よろしくお願いします」

「よ、よろしく・・・」

浮竹の衣装を脱がしていく。

真っ白な肌だった。白い髪と同じで色素の少ない肌だった。

京楽も服を脱ぎ捨てる。

「キスを・・・・・」

浮竹は、京楽とのキスが好きだった。

深く口づけられて、浮竹は吐息を漏らす。

「んんっ・・・・」

その声を聞きながら、体全体を愛撫して、薄い筋肉のついた胸の先端をかりかりとひっかく。

「ああっ」

反応してくれることが嬉しくて、何度もつまみあげたり舌で転がしたりした。

浮竹のものに手をはわす。

「あっ」

花茎はとろとろと先走りの蜜を零していた。

そのまま手でしごき、先端に爪を立てると、浮竹はあっけなくいってしまった。

「ああああ!」

ぜぇぜぇと荒い息をつく浮竹にキスをして、潤滑油で濡らした指を蕾に突き入れる。

「ああ!」

初めての感覚に、体がついてこない。

やがて前立腺をいじられて、浮竹は痛みだけでないものを感じ出した。

「あ、京楽、変になる・・・・・・あああ!」

「ここ、きもちいんだね?」

「んんっ」

キスを何度もした。

ぐちゃぐちゃと音がたつほどに解された場所に、京楽のものが宛がわれる。潤滑油で濡らしているとはいえ、その質量に浮竹が息を飲む。

「痛いかもしれないけど、我慢してね」

「分かった」

はじめて受け入れるそこは、浮竹に苦痛をもたらした。

「ひう!」

痛みでぽろぽろと涙が零れる。

「ごめん、痛いよね。やめようか?」

「大丈夫だ・・・・・こい」

浮竹は京楽を迎え入れた。

中の締め付けはきつくて、いれただけで京楽は熱を浮竹の中に放っていた。

「君の中すごい・・・」

「あ・・・・」

じんわりと広がっていく熱を感じた。

前立腺を突き上げると、浮竹の体がはねた。

「あ!」

「きもちいい?」

何度も前立腺をすりあげてやると、浮竹はこくこくと頷いた。

「きもちいい・・・・」

「よかった・・・男は後ろでも感じれる場所があるから」

「そうなのか?」

そんな知識0の浮竹には、男が後ろで感じれることが不思議でたまらなかった。

「前立腺っていってね。感じれる場所があるんだよ。ほら、ここ」

突き上げられて、浮竹はびくりと体を震わせた。

「あ、そこなんか変・・・・」

「かんじてるんだよ。僕が君の処女を奪った」

京楽の陶酔した言葉に、浮竹が異を唱える。

「俺は男だ。処女とかそういうのはない」

「あるよ。男で後ろを奪われるのは処女を失うに等しいんだ」

「じゃあ、責任、とれよ?」

「もちろんだよ。君が嫌といっても離さない」

そのまま、何度か貫かれて、奥までねじこまれて、浮竹は啼いた。

「ああああ・・・・・あああ!」

もういきすぎて、花茎はトロトロと蜜を零すだけで、精液などでなかった。

「んう」

何度も京楽とキスを交わした。

京楽も数度浮竹の中に熱を放って、満足した。

中からひきぬかれると、こぽりと出したものが逆流して溢れてくる。

「あわわ、タオルタオル」

シーツは体液で汚れてしまい、洗うことにした。

新しいシーツを広げて、浮竹を浴室につれていき、中にだしたものをかきだして、体と髪を洗った。京楽も体と髪を洗い、二人では少し狭い浴槽で湯に浸かる。

「体、大丈夫かい?」

「腰が痛い・・・・・・」

「ごめん、初めてなのにやり過ぎたね」

「別にいい。こうなることを望んだのは俺だ」

「愛してるよ、十四郎」

「俺もだ、春水」

もうさすがに交わることはしなかったが、何度もキスをした。

「また、あの桜の木の下にいこう」

「ん?」

浮竹は、首を傾げた。それ以上京楽が何も言ってこないので、その時はそれで終わった。



季節は流れ、4回生の春になった。

呼び出され、浮竹は桜舞い散る、告白された場所にきていた。大きな桜の大木があって、そこで告白すると成就すると院生内では噂のスポットだった。

京楽がやってくる。

肩まで伸びた浮竹の白い髪が、風で桜の花びらと一緒にさらさらと流れた。

「どうしたんだ、京楽」

「指を出して」

「?」

素直に指を出すと、翡翠のはめこまれた指輪をされた。

「指輪?」

「エンゲージリング。婚約指輪だよ。結婚はできないけど、これがその想いの代わりだよ」

浮竹は、涙を零した。

「京楽、俺は・・・・・」

「もう片方。僕の指に君がはめてくれる?」

同じ形の指輪を、京楽の指にはめた。

「想いは永遠だよ。何があっても、君を離さない」

「京楽・・・・・」

桜の木の下で、将来のための2回目のプロポーズ。

桜の大木は、花びらを雨のように降り注がせて、二人を祝福するのだった。


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好きなものは好き

ルキアが好きだった。

でもルキアには恋次がいて。

でも、思いを告げぬまま終わらせる気はなかった。

大戦が終わって3年。一護は大学4年生になっていた。

ドイツ語の翻訳家を目指して、ドイツ語を身につけた。大きくはないが、出版社から翻訳の依頼を受けて就職も決まっていた。

「ルキア・・・・・・」

今はここにいない、彼女を思い出す。

ルキアは、月に2度くらいは一護の家に遊びに来た。

そのまま泊っていく日もある。

ある日、遊びにきたルキアに真剣な話があると切り出した。

「その、お前は恋次と付き合っていて、今更だと思うだろうけど・・・」

ルキアはきょとんとしていた。

「私は恋次と付き合ってなどいないぞ?」

「ええ!?だって、恋次のことが好きだって・・・・」

「ああ、家族としてな。兄様を好きな気持ちに似ている」

「なんだよそれ・・・」

ずっと遠慮していたのがばかみたいだった。

「あのな、俺はルキアのことずっと好きで」

「知っておる。私は、だから一護の家に泊まりにきているのだ」

一護は、顔を真っ赤にした。

「じゃあ、ルキアも俺のことを?」

「ああ、好きだ。男女の恋愛感情で。1年前に好きだと告げたであろう」

思い出す。確か、白哉も恋次も一護も好きだと言っていた記憶があった。





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