血と聖水と名において9
レイモンド・シュタットフェルト・ブラッディ。
通称悪魔王ディアブロのレイモンド。
それが、ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディという名ももつ、浮竹の父である、ヴァンパイアマスターの名であった。
甘い蜂蜜のように優しく、時には氷の刃のように冷たく。
父親としては、育児をメイドに任せきりにさせていたのでだめだったのかもしれない。だが、師として見るなら、超一流であった。
浮竹は剣術や体術、それに使役魔・・・・精霊使いとしての訓練も、父から受けた。
父は、魔法が使えて、それは浮竹も同じだった。
魔法が使えるものは限られている。
昔には、古代魔法文明があり、人類の全てが魔法を使えたとされているが、今の人間は全体の5%程度しか魔法が使えなかった。
なので、魔法の才能がある者は出世を約束されたようなものだ。魔法を使える者は王立の学園に入ることができる。魔法の才能の高い者は宮廷魔法士になれたりした。少しの火の魔法しか使えないような者でも、一応魔法が使えるので魔法に関係ある職につけた。
ヴァンパイアやヴァンピール、ドラゴンなどはほとんどが魔法を使えた。
ヴァンパイアは、花嫁にしたい者が意にそぐわないとき、チャームの魔法を使ったりして無理やり花嫁にする時がある。
まぁ、そんな風に花嫁にされた者は、人形のように生きるか死を選ぶかの二択だった。
それはさておき。
ヴァンパイアのアイゼアなる者を倒して、気絶したドラゴンサモナーの浮竹は、パートナードラゴンの京楽が見ている中、ゲストルームで眠っていた。
『ねぇ、神父のボクを放置して帰ったけど、よかったの?』
「あの場には、フェンリルを残らせた。フェンリルに乗ってそのうち帰ってくるだろうさ」
「はい、その通りです!帰ってきたよ!」
「はや!!!」
むちゅーとたこのように吸い付いてこようとする京楽を、浮竹はハリセンではたく。
「しっぽり!今すぐしっぽりしよう!」
「却下。ドラゴンサモナーの俺の意識が戻り、彼らが館から出るまではしっぽりしない」
「二人とも、今すぐ帰って?」
『いや、浮竹が目覚めてないんだけど』
『う・・・・・』
そこで、ドラゴンサモナーの浮竹が目を覚ました。
『よかった、浮竹、大丈夫?』
ちびドラゴンの体であるパートナードラゴンの京楽を見てから、浮竹はキッチンに行く。
『のどが、かわいた。水を・・・・・・』
「オレンジ水だ。ほのかに甘い。疲労回復の効果がある」
浮竹がキッチンから、オレンジ水の入った氷の浮かんだコップをもってくる。すると、ドラゴンサモナーの浮竹はそれを受け取って一気に飲み干して、おかわりももらった。
『ああ、生き返るようだ。ありがとう。俺は、どのくらい眠っていた?』
「4時間ってとこだね。もう外も暗いし、泊まってういけば・・・・・って、泊まられたらしっぽりできない。今すぐ出てけーーー」
そんな京楽をハリセンで黙らせて、浮竹は京楽に四人分の夕飯を作るように言って、京楽はしぶしぶそれを承諾する。
『ごめんね、食事まで世話になちゃって』
『明日には出ていくから、その後は好きにしっぽりしまくってくれ』
「しっぽりしたいのは京楽だけだ。俺は別にしたいわけじゃない」
京楽がいないので、断言する。
もしもここに京楽がいたら「酷い、ボクとのことは遊びだったのね!」とか言い出しそうだなと浮竹は思った。
「酷い、ボクとのことは遊びだったのね!浮竹のだアホおおおおおおおお」
しっぽりしたいので、冷凍食品を解凍しただけの京楽がそこにいて、わんわん泣き出すものだから、浮竹は困って京楽に明日しっぽりしていいと約束した。
「ぐひひひひ。約束しちゃった」
『計画的犯行だね』
『そうだな』
「まったく、お前は・・・・・」
浮竹は、額に手を当てて天を仰ぐ。
「じゃあ、夕飯にしよう。解凍しただけだけど、この前ボクが作ったものだから味はいいはずだよ」
メニューは、海鮮パスタとカレーであった。
『あ、このオレンジ水まだあるか?』
「気に入ったのか?俺が作ったんだが、気に入ったのなら2L入りのペットボトルのを持って帰るといい」
『すごくおいしい。水にオレンジを混ぜただけじゃあこうはならないだろう』
「ああ。魔法を使っている」
「魔法か。ヴァンピールだものな。使えて当たり前か」
ちなみに、京楽は魔法は使えない。
だから、剣術と銃の腕に特化していた。
ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、一晩だけ泊まって帰っていった。
館に、訪問者がいた。
京楽がしっぽりしようと、風呂からあがったところで遭遇した。
「ぎゃあああああ、裸みられたああ!花嫁になってるけど、もう花嫁にいけない!」
「ぐおおお、汚いものをみたあああ」
やってきたのは、昨日の昼に倒したヴァンパイア、アイゼアの兄だった。
「どうした!?ぎゃあああ、なぜ京楽はフルチンなんだ!せめて股間は隠せ!」
「恥ずかしいから、顔隠すね」
「股間を隠せーーー!!」
仕方ないので、浮竹がバスタオルを京楽の腰にまきつける。
「俺はアイゼアの兄のライゼア。昨日は、弟を倒してくれてありがとう。あいつは、誰かれかまわず花嫁にするから、一族が追放しようとしていたところだったんだ。手間が省けた」
「弟の敵討ちじゃ、ないんだな」
「あんな弟、血が繋がっているとも考えたくない。二つ名のも色欲だしな」
「ああああ、浮竹が浮気してる!」
「なぜそうなる!会話してるだけだ!」
「浮気者おおお。うわあああんんん」
腰のバスタオルをとって、京楽はフルチンで館を走り回り、メイドの伊勢に叱られて服を着せられていた。
「これは、一族からアイゼアにかけられていた報酬金だ。受け取ってくれ」
「分かった、もらっておこう。あの古城には、またヴァンパイアが住むのか?」
「俺たちの一族の一部が住む予定だ。人間とは共存協定を結んでいるから、心配はない」
共存協定。人とヴァンパイアが、互いに争いあわずに手を取り合って暮らしていく協定であった。
「浮竹、しっぽりしよ!」
「ああ、なんかすまないな。俺はこれで帰る。しっぽりでもなんでもしてくれ」
ライゼアは、金を渡して消えてしまった。
「浮竹、しっぽり!」
「だアホ!」
「おぶ!」
鳩尾を殴られて、京楽は涙をためる。
「しっぽり、するまで、粘るんだから、ね!」
「本当に仕方のないやつだ。しっぽりを許してやろう」
「やったああああ」
その晩、京楽は久しぶりに浮竹と甘い夜を過ごした。
「ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディ。悪魔王ディアブロのレイモンド・シュタットフェルト・ブラッディの一人息子にして、三人のヴァンパイアマスターの後から追加された、血の帝国ブラッディアの皇位継承者」
くすくすと、その人影は笑う。
「今は、浮竹十四郎。花嫁は、あの夜叉の京楽」
その人影は、ゆっくりと闇に溶けていくのであった。
通称悪魔王ディアブロのレイモンド。
それが、ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディという名ももつ、浮竹の父である、ヴァンパイアマスターの名であった。
甘い蜂蜜のように優しく、時には氷の刃のように冷たく。
父親としては、育児をメイドに任せきりにさせていたのでだめだったのかもしれない。だが、師として見るなら、超一流であった。
浮竹は剣術や体術、それに使役魔・・・・精霊使いとしての訓練も、父から受けた。
父は、魔法が使えて、それは浮竹も同じだった。
魔法が使えるものは限られている。
昔には、古代魔法文明があり、人類の全てが魔法を使えたとされているが、今の人間は全体の5%程度しか魔法が使えなかった。
なので、魔法の才能がある者は出世を約束されたようなものだ。魔法を使える者は王立の学園に入ることができる。魔法の才能の高い者は宮廷魔法士になれたりした。少しの火の魔法しか使えないような者でも、一応魔法が使えるので魔法に関係ある職につけた。
ヴァンパイアやヴァンピール、ドラゴンなどはほとんどが魔法を使えた。
ヴァンパイアは、花嫁にしたい者が意にそぐわないとき、チャームの魔法を使ったりして無理やり花嫁にする時がある。
まぁ、そんな風に花嫁にされた者は、人形のように生きるか死を選ぶかの二択だった。
それはさておき。
ヴァンパイアのアイゼアなる者を倒して、気絶したドラゴンサモナーの浮竹は、パートナードラゴンの京楽が見ている中、ゲストルームで眠っていた。
『ねぇ、神父のボクを放置して帰ったけど、よかったの?』
「あの場には、フェンリルを残らせた。フェンリルに乗ってそのうち帰ってくるだろうさ」
「はい、その通りです!帰ってきたよ!」
「はや!!!」
むちゅーとたこのように吸い付いてこようとする京楽を、浮竹はハリセンではたく。
「しっぽり!今すぐしっぽりしよう!」
「却下。ドラゴンサモナーの俺の意識が戻り、彼らが館から出るまではしっぽりしない」
「二人とも、今すぐ帰って?」
『いや、浮竹が目覚めてないんだけど』
『う・・・・・』
そこで、ドラゴンサモナーの浮竹が目を覚ました。
『よかった、浮竹、大丈夫?』
ちびドラゴンの体であるパートナードラゴンの京楽を見てから、浮竹はキッチンに行く。
『のどが、かわいた。水を・・・・・・』
「オレンジ水だ。ほのかに甘い。疲労回復の効果がある」
浮竹がキッチンから、オレンジ水の入った氷の浮かんだコップをもってくる。すると、ドラゴンサモナーの浮竹はそれを受け取って一気に飲み干して、おかわりももらった。
『ああ、生き返るようだ。ありがとう。俺は、どのくらい眠っていた?』
「4時間ってとこだね。もう外も暗いし、泊まってういけば・・・・・って、泊まられたらしっぽりできない。今すぐ出てけーーー」
そんな京楽をハリセンで黙らせて、浮竹は京楽に四人分の夕飯を作るように言って、京楽はしぶしぶそれを承諾する。
『ごめんね、食事まで世話になちゃって』
『明日には出ていくから、その後は好きにしっぽりしまくってくれ』
「しっぽりしたいのは京楽だけだ。俺は別にしたいわけじゃない」
京楽がいないので、断言する。
もしもここに京楽がいたら「酷い、ボクとのことは遊びだったのね!」とか言い出しそうだなと浮竹は思った。
「酷い、ボクとのことは遊びだったのね!浮竹のだアホおおおおおおおお」
しっぽりしたいので、冷凍食品を解凍しただけの京楽がそこにいて、わんわん泣き出すものだから、浮竹は困って京楽に明日しっぽりしていいと約束した。
「ぐひひひひ。約束しちゃった」
『計画的犯行だね』
『そうだな』
「まったく、お前は・・・・・」
浮竹は、額に手を当てて天を仰ぐ。
「じゃあ、夕飯にしよう。解凍しただけだけど、この前ボクが作ったものだから味はいいはずだよ」
メニューは、海鮮パスタとカレーであった。
『あ、このオレンジ水まだあるか?』
「気に入ったのか?俺が作ったんだが、気に入ったのなら2L入りのペットボトルのを持って帰るといい」
『すごくおいしい。水にオレンジを混ぜただけじゃあこうはならないだろう』
「ああ。魔法を使っている」
「魔法か。ヴァンピールだものな。使えて当たり前か」
ちなみに、京楽は魔法は使えない。
だから、剣術と銃の腕に特化していた。
ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、一晩だけ泊まって帰っていった。
館に、訪問者がいた。
京楽がしっぽりしようと、風呂からあがったところで遭遇した。
「ぎゃあああああ、裸みられたああ!花嫁になってるけど、もう花嫁にいけない!」
「ぐおおお、汚いものをみたあああ」
やってきたのは、昨日の昼に倒したヴァンパイア、アイゼアの兄だった。
「どうした!?ぎゃあああ、なぜ京楽はフルチンなんだ!せめて股間は隠せ!」
「恥ずかしいから、顔隠すね」
「股間を隠せーーー!!」
仕方ないので、浮竹がバスタオルを京楽の腰にまきつける。
「俺はアイゼアの兄のライゼア。昨日は、弟を倒してくれてありがとう。あいつは、誰かれかまわず花嫁にするから、一族が追放しようとしていたところだったんだ。手間が省けた」
「弟の敵討ちじゃ、ないんだな」
「あんな弟、血が繋がっているとも考えたくない。二つ名のも色欲だしな」
「ああああ、浮竹が浮気してる!」
「なぜそうなる!会話してるだけだ!」
「浮気者おおお。うわあああんんん」
腰のバスタオルをとって、京楽はフルチンで館を走り回り、メイドの伊勢に叱られて服を着せられていた。
「これは、一族からアイゼアにかけられていた報酬金だ。受け取ってくれ」
「分かった、もらっておこう。あの古城には、またヴァンパイアが住むのか?」
「俺たちの一族の一部が住む予定だ。人間とは共存協定を結んでいるから、心配はない」
共存協定。人とヴァンパイアが、互いに争いあわずに手を取り合って暮らしていく協定であった。
「浮竹、しっぽりしよ!」
「ああ、なんかすまないな。俺はこれで帰る。しっぽりでもなんでもしてくれ」
ライゼアは、金を渡して消えてしまった。
「浮竹、しっぽり!」
「だアホ!」
「おぶ!」
鳩尾を殴られて、京楽は涙をためる。
「しっぽり、するまで、粘るんだから、ね!」
「本当に仕方のないやつだ。しっぽりを許してやろう」
「やったああああ」
その晩、京楽は久しぶりに浮竹と甘い夜を過ごした。
「ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディ。悪魔王ディアブロのレイモンド・シュタットフェルト・ブラッディの一人息子にして、三人のヴァンパイアマスターの後から追加された、血の帝国ブラッディアの皇位継承者」
くすくすと、その人影は笑う。
「今は、浮竹十四郎。花嫁は、あの夜叉の京楽」
その人影は、ゆっくりと闇に溶けていくのであった。
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血と聖水と名において8
血の帝国、ヴァンパイアだけの楽園ブラッディアの皇帝の座が空位であった。
そこで、血の帝国の長老たちは、相談しあって三人のヴァンパイアマスターからより優れた者を選び、皇帝とすることにした。
浮竹の父、藍染惣右介 、黒崎一護の三人が、ヴァンパイアマスターであり、ブラッディア帝国の皇位継承権をもっていた。
藍染は、浮竹の父から浮竹の存在を知り、手元に欲しがっていた。
黒崎一護は、何かわからないまま巻き込まれた。絶大な力をもっているが、制御があまりできなくて暴走しがちなので、浮竹の父が、浮竹と京楽を紹介して力の制御の仕方を教えるようにと言ってきた。
その黒崎一護は、朽木ルキアに怒られていた。
朽木ルキアは、元々浮竹を育てたメイドで、浮竹の父失踪後は、浮竹の血で作りだされて管理されているが、一応一人のヴァンパイア扱いであった。
「ルキアって呼んでいいか?」
「好きにするがよい、たわけが」
「ルキア、花嫁にならないか?」
「な、まだ会ったばかりだ!なるわけがなかろう」
そうこうしている間に、浮竹と京楽が帰ってくる。
「浮竹殿、怪しい黒崎一護となるの人物がきています」
浮竹rは、ルキアの頭を撫でた。
「留守番ご苦労さま。一護くんは客人だ」
「そうなのですか」
「あ、浮竹さんと京楽さんか?力の制御の仕方教えてくれるっていう」
「ああ、そうだ。俺の父の紹介では断れないしな」
「居候がいると、しっぽりできない。いや、結界をはってしっぽり・・・・・:」
「だアホが!」
浮竹は、ハリセンで京楽をしばいた。
「はは。にぎやかですね。あのヴァンパイアマスターの息子って聞いてたから、もっと堅物イメージしてました」
「父は元気にしていたか?」
「元気すぎてハンター倒しまくってましたよ。殺してはいなかったけど」
「父らしいな。余計な殺生は好まない。明日から、びしばし鍛えていくからそのつもりで、今日は長旅で疲れただろう。ゆっくり休んでくれ」
「ルキア、話し相手になってくれ」
「ルキアを気に入ったのか?花嫁にしてもいいいぞ」
「浮竹殿!」
ルキアは、顔を赤くして叫ぶ。
「私には、浮竹殿を世話する責任があります」
「いや、俺は別にいいぞ。自分のことは自分でできるしな」
「か、解雇ですか?」
「いや、そうじゃない。幸せを見つけてほしいだけだ」
浮竹は。またルキアの頭を撫でた。
「黒崎一護、時間をやる。私が花嫁になってもいいという力をもっていたら、花嫁になってやろう」
「まじか。がんばるぞ!」
次の日から、一護の特訓が始まった。
まずは魔力をコントロールするために、精神集中からはじめる。
「足痛くなってきた」
「少し休憩しようか。10分だけ」
「うげー。座禅で5時間もなんてきつい」
「文句を言うな。ルキアを花嫁にしたいんだろう、力の制御くらいできないでどうする」
精神集中が終わると、京楽との実戦がまっていた。
「わぁ、京楽さん強すぎじゃね?」
「まぁ、一応S級ハンターだしね?」
京楽は加減しなはら、一護を攻撃する。一護はめきめきと力をつけて、はじめは敗戦一方だったが、勝利するようになってきた。
「うん、その調子。汗かいたでしょ、はいハンカチ」
京楽が渡したのは、間違って浮竹のパンツだった。
「パンツなんすけど」
「ああ、ボクのコレクションが。これは失礼。ハンカチはこっちだよ」
それも、浮竹のパンツだった。
「浮竹さん、京楽さんって・・・・・・」
「何も言うな。分かってる」
そうして、その日の修業は終わった。
一護は時間をみつけると、ルキアを口説いた。ルキアもまんざらではなさそうで、いずれ花嫁にいってしまうだろう。
家事全般は京楽ができるので、特に問題はなかった。
月1で他のメイドを雇うし。
「今日の修業をはじめるぞ。この岩を、素手でくだくのが最終目標だ」
「それくらい、できますよ?手に魔力まとって・・・・・・」
一護は、簡単に岩を砕いてしまった。
「む、やるな」
「浮竹さんの教え方がいいからっす」
「じゃあ、京楽と俺とで実践訓練をしよう」
「げ、二人も相手!?京楽さんだけでも厄介なのに」
「文句を言うな。強くなりたいんだろう?力の制御はもう大分できるようになってるみたいだし」
一護が館にきてから一か月が経とうとしていた。
「本気でこい。こちらも本気でいく」
浮竹は持っているすべての精霊を召喚する。その数の多さに、一護はあっけなく負けてしまう。
「使役魔全部召喚とかチートっすよ!」
「むう。じゃあ、フェンリルとフェニックスだけにしておく」
「ボクの存在も忘れないでね!」
京楽は、聖剣で一護に切りかかる。
一護はそれを余裕でよけて、鬼火を作り出すと京楽に向かってなげた。
一護は魔法が使えた。魔法の使える者は少ない。
浮竹の父も魔法を使えた。浮竹の精霊使いも、分類すれば魔法に入る。
「行くぞ!」
「行くよ!」
修業して1か月。黒崎一護は、二人に勝てるようになっていた。
「じゃあ、卒業を祝って乾杯」
「乾杯」
「いいんすか。こんなごちそう・・・・・・」
「今日は一護君の卒業の日だから、好きなだけ飲んで食べてくれ」
その場には、ルキアもいた。
ルキアは一護の花嫁になる決意をした。それを浮竹に伝えると、浮竹はとても喜んだ。
「ルキアのこと、頼む。幸せにしてやってくれ。マスター権限は、一護くんに譲っておいた」
ルキアは血でできたヴァンパイアだ。マスターがいないと存在できない。
今は、一護の血で体を作っていた。
「浮竹、今日こそしっぽり」
「しない。一護くんが出立したら、しっぽりしてもいい」
「え、まじで。一護くん、早くいなくなって」
一護は苦笑する。
その日は卒業を祝ってパーティーをして、次の日に一護はルキアを花嫁にして契り、一緒に血の帝国ブラッディアに旅立っていった。
「ルキアちゃんがいなくなると、寂しくなるねぇ」
「血液で他のメイドを作ろう」
浮竹は、自分の血からメイドを作り出す。
「お呼びでしょうか、ご主人様」
「浮竹でいい。こっちは京楽」
「では、浮竹様と京楽様とお呼びいたします」
「お前の名は、伊勢七緒。母様のメイドをしていた頃のメイドだった。覚えているか?」
「はい。聖女のお方ですね」
「一からメイドを作るのは苦労するからな」
京楽が残念がる。
「くすん。浮竹と二人暮らしのしっぽり計画が」
「お前は、いい加減しっぽりから離れろ」
「うん、無理」
にこやかに断言する京楽を、浮竹はハリセンでなぐりまくるのであった。
そこで、血の帝国の長老たちは、相談しあって三人のヴァンパイアマスターからより優れた者を選び、皇帝とすることにした。
浮竹の父、藍染惣右介 、黒崎一護の三人が、ヴァンパイアマスターであり、ブラッディア帝国の皇位継承権をもっていた。
藍染は、浮竹の父から浮竹の存在を知り、手元に欲しがっていた。
黒崎一護は、何かわからないまま巻き込まれた。絶大な力をもっているが、制御があまりできなくて暴走しがちなので、浮竹の父が、浮竹と京楽を紹介して力の制御の仕方を教えるようにと言ってきた。
その黒崎一護は、朽木ルキアに怒られていた。
朽木ルキアは、元々浮竹を育てたメイドで、浮竹の父失踪後は、浮竹の血で作りだされて管理されているが、一応一人のヴァンパイア扱いであった。
「ルキアって呼んでいいか?」
「好きにするがよい、たわけが」
「ルキア、花嫁にならないか?」
「な、まだ会ったばかりだ!なるわけがなかろう」
そうこうしている間に、浮竹と京楽が帰ってくる。
「浮竹殿、怪しい黒崎一護となるの人物がきています」
浮竹rは、ルキアの頭を撫でた。
「留守番ご苦労さま。一護くんは客人だ」
「そうなのですか」
「あ、浮竹さんと京楽さんか?力の制御の仕方教えてくれるっていう」
「ああ、そうだ。俺の父の紹介では断れないしな」
「居候がいると、しっぽりできない。いや、結界をはってしっぽり・・・・・:」
「だアホが!」
浮竹は、ハリセンで京楽をしばいた。
「はは。にぎやかですね。あのヴァンパイアマスターの息子って聞いてたから、もっと堅物イメージしてました」
「父は元気にしていたか?」
「元気すぎてハンター倒しまくってましたよ。殺してはいなかったけど」
「父らしいな。余計な殺生は好まない。明日から、びしばし鍛えていくからそのつもりで、今日は長旅で疲れただろう。ゆっくり休んでくれ」
「ルキア、話し相手になってくれ」
「ルキアを気に入ったのか?花嫁にしてもいいいぞ」
「浮竹殿!」
ルキアは、顔を赤くして叫ぶ。
「私には、浮竹殿を世話する責任があります」
「いや、俺は別にいいぞ。自分のことは自分でできるしな」
「か、解雇ですか?」
「いや、そうじゃない。幸せを見つけてほしいだけだ」
浮竹は。またルキアの頭を撫でた。
「黒崎一護、時間をやる。私が花嫁になってもいいという力をもっていたら、花嫁になってやろう」
「まじか。がんばるぞ!」
次の日から、一護の特訓が始まった。
まずは魔力をコントロールするために、精神集中からはじめる。
「足痛くなってきた」
「少し休憩しようか。10分だけ」
「うげー。座禅で5時間もなんてきつい」
「文句を言うな。ルキアを花嫁にしたいんだろう、力の制御くらいできないでどうする」
精神集中が終わると、京楽との実戦がまっていた。
「わぁ、京楽さん強すぎじゃね?」
「まぁ、一応S級ハンターだしね?」
京楽は加減しなはら、一護を攻撃する。一護はめきめきと力をつけて、はじめは敗戦一方だったが、勝利するようになってきた。
「うん、その調子。汗かいたでしょ、はいハンカチ」
京楽が渡したのは、間違って浮竹のパンツだった。
「パンツなんすけど」
「ああ、ボクのコレクションが。これは失礼。ハンカチはこっちだよ」
それも、浮竹のパンツだった。
「浮竹さん、京楽さんって・・・・・・」
「何も言うな。分かってる」
そうして、その日の修業は終わった。
一護は時間をみつけると、ルキアを口説いた。ルキアもまんざらではなさそうで、いずれ花嫁にいってしまうだろう。
家事全般は京楽ができるので、特に問題はなかった。
月1で他のメイドを雇うし。
「今日の修業をはじめるぞ。この岩を、素手でくだくのが最終目標だ」
「それくらい、できますよ?手に魔力まとって・・・・・・」
一護は、簡単に岩を砕いてしまった。
「む、やるな」
「浮竹さんの教え方がいいからっす」
「じゃあ、京楽と俺とで実践訓練をしよう」
「げ、二人も相手!?京楽さんだけでも厄介なのに」
「文句を言うな。強くなりたいんだろう?力の制御はもう大分できるようになってるみたいだし」
一護が館にきてから一か月が経とうとしていた。
「本気でこい。こちらも本気でいく」
浮竹は持っているすべての精霊を召喚する。その数の多さに、一護はあっけなく負けてしまう。
「使役魔全部召喚とかチートっすよ!」
「むう。じゃあ、フェンリルとフェニックスだけにしておく」
「ボクの存在も忘れないでね!」
京楽は、聖剣で一護に切りかかる。
一護はそれを余裕でよけて、鬼火を作り出すと京楽に向かってなげた。
一護は魔法が使えた。魔法の使える者は少ない。
浮竹の父も魔法を使えた。浮竹の精霊使いも、分類すれば魔法に入る。
「行くぞ!」
「行くよ!」
修業して1か月。黒崎一護は、二人に勝てるようになっていた。
「じゃあ、卒業を祝って乾杯」
「乾杯」
「いいんすか。こんなごちそう・・・・・・」
「今日は一護君の卒業の日だから、好きなだけ飲んで食べてくれ」
その場には、ルキアもいた。
ルキアは一護の花嫁になる決意をした。それを浮竹に伝えると、浮竹はとても喜んだ。
「ルキアのこと、頼む。幸せにしてやってくれ。マスター権限は、一護くんに譲っておいた」
ルキアは血でできたヴァンパイアだ。マスターがいないと存在できない。
今は、一護の血で体を作っていた。
「浮竹、今日こそしっぽり」
「しない。一護くんが出立したら、しっぽりしてもいい」
「え、まじで。一護くん、早くいなくなって」
一護は苦笑する。
その日は卒業を祝ってパーティーをして、次の日に一護はルキアを花嫁にして契り、一緒に血の帝国ブラッディアに旅立っていった。
「ルキアちゃんがいなくなると、寂しくなるねぇ」
「血液で他のメイドを作ろう」
浮竹は、自分の血からメイドを作り出す。
「お呼びでしょうか、ご主人様」
「浮竹でいい。こっちは京楽」
「では、浮竹様と京楽様とお呼びいたします」
「お前の名は、伊勢七緒。母様のメイドをしていた頃のメイドだった。覚えているか?」
「はい。聖女のお方ですね」
「一からメイドを作るのは苦労するからな」
京楽が残念がる。
「くすん。浮竹と二人暮らしのしっぽり計画が」
「お前は、いい加減しっぽりから離れろ」
「うん、無理」
にこやかに断言する京楽を、浮竹はハリセンでなぐりまくるのであった。
血と聖水と名において7
「いやだ、母様おいていかないで!」
「ごめんなさいソアラ。あなたを置いていってしまう私を許して」
「いやだ!母様がいなくなったら、父様は俺を見てくれない!偉大なるヴァンパイアマスターの子でありながら、なんの能力をもたない俺を見てくれない!」
ソアラは、泣き叫んだ。
「ソアラ、強くなりなさい。ヴァンパイアハンターになりなさい。父様に殺されないように」
「父様が俺を殺す?」
「そう、前に言っていたの。お前はなんの能力ももたないできそこないだから、殺して新しい子をもうけて、ヴァンピールでありながらヴァンパイアマスターほどの力のある子を作ろうと」
「父様酷い」
ソアラは泣きじゃくった。
「聖女でありながら、ヴァンパイアマスターの花嫁となった報いね。不老だけど、不死ではないから。ソアラ、愛しているわ。あなたも、世界でこの人だけは愛しているという人を見つけて、花嫁にしなさい。ソアラ、愛しているわ」
そういって、ソアラの母である聖女は死んだ。
「母様!いやだああああああ!!!」
「母様!」
浮竹は、はっとなっておきた。
「夢・・・・また、懐かしくも忌まわしい夢を見たな」
ソアラとは浮竹の本名だ。
浮竹十四郎とは、ヴァンパイアハンターをしだした頃に名乗りだした。15で花嫁である京楽を迎えた。
父であるヴァンパイアマスターは、母である聖女が死ぬ13の頃まで優しかったり冷たかったり、忌まわし気に扱われたり、愛されたり、どちらが真実なのかわからぬ愛し方をしてきた。
15で京楽が父を葬りにきて、浮竹に一目ぼれして、面白いと父は花嫁にすることを半ば強制した。
だが、はじめてできた人間の友達であり、恋人でもあった京楽を花嫁にするのはいやではなかた。
「ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディ」
それが、浮竹の本当の名前。
京楽も知らない、浮竹の本名。
ヴァンパイアマスターである父は、育児はメイドに任せきりで、病弱であった聖女の母をいつも心配していた。
失い、きつくあたられた時もあったが、決して憎まれて殺されそうなときはなかった。
処分されるかもと思った時はあったが、父は処分はしなかった。15で精霊使いの能力を発揮した浮竹を、父はかわいがったが、突然失踪した。
残された浮竹は、母の言っていた通りに狩られないようにヴァンパイアハンターとなり、同胞を殺して水銀の浮竹と恐れられた。
父であるヴァンパイアマスターも、血に水銀を含んでいた。確かに親子だった。
父を退治しにきた、若い京楽は、浮竹に一目ぼれした。
お互い思いを寄せ合って、京楽を花嫁として迎え、ある程度の年齢まで成長させて体の年齢を止めた。
「浮竹、ごはんできたよ」
「ああ、今行く」
ソアラは死んだ。
15の時に。
浮竹十四郎という、父から新たにもらった名で通している。京楽でさえ、浮竹の本名は知らない。
ふと、窓辺にフクロウが止まっていた。
窓を開くと、人の声を発する。
「ソアラ、お帰り。ヴァンパイアマスターは世界に三人いる。私は藍染という。ソアラの力がほしい。花嫁にならないか」
「ごめんこうむる」
浮竹は、フクロウを呼び出したウンディーネで水をかけて、追い払う。
「浮竹、まだ起きないのー?ボクが全部食べちゃうよー。浮竹も食べちゃうよー」
「このだアホが!」
何気ない顔で、京楽の元にいく。
水面下で、三人のヴァンパイアマスターは血jの帝国、ヴァンパイアだけの楽園ブラッディアを自分のものにしようと動き出していた。
浮竹の父であるヴァンパイアマスターも、きっと狙っている。
「今日はいい天気だし、休みにしよう。一緒に買い物でもいくか」
「え、一緒にっしっぽり?」
「だアホ!」
浮竹にハリセンではたかれまくられて、京楽は涙を浮かべる。
「酷い!花嫁なのに」
「本当に、俺は何を考えてこんなもじゃひげを花嫁ににしたんだろうな?花嫁にした頃はこんなにもじゃもじゃじゃなかったのに」
「うふふ、これもボクの魅力の一つだよ」
「全身の毛を剃ってやろうか!」
「いやん、下の毛も?」
「だアホ!」
ハリセンでこれでもかというほどなぐると、気分がすっきりした。
「なんか、疲れてるっぽいから、ジャスミンティーにしておいたよ」
「お、俺はそんな心使いされてもうれしいなんて思っていないんだからな!」
「うーん、たまに出るツンデレがかわういい」
「かわいいとかいうな、だアホ!」
京楽は、朝食を浮竹ととって、洗濯機を回して洗濯をし終えると、町に買い出しに出かけた。
「あ、ドラゴンサモナー様だ!」
「いや、違うから」
「パートナードラゴンは、人型になれるんですか?」
「だから、人違い!俺は水銀の浮竹。同胞を狩るヴァンピールだ」
「ああ、あの例のヴァンピール・・・・・・」
「ドラゴンサモナーの浮竹様に退治してもらいたいわ」
人は、違う種族を前にすると、時折軽蔑する。
「ちょっと、ボクの浮竹を蔑ろにするなら、ボクが許さないんだからね」
浮竹の代わりに、京楽が怒りだす。
「こわいこわい。A級ヴァンパイアハンターといっても、しょせんはヴァンピール。いつ、人を襲うか分かったもんじゃない」
ドラゴンサモナーだと集まっていた人たちは、口々に怖いだの恐ろしいだの言って、去っていく。
「全く、人間は自分勝手な生き物だね」
「お前も、一応人間だろう」
「ああ、そういえばそうだったね。気にせず、買い物続けよう」
「俺は、外套を着ておく」
「うん。仕方ないね」
そこへ、ふくろうが一羽飛んでくる。
「ソアラ、ヴァンパイアマスターの黒崎一護と接触せよ。これは父の命令だ」
「父様?」
「大きくなったな。今は浮竹十四郎だったな。父は、いつも遠くからお前を見守っていた。ヴァンパイアハンターA級昇格おめでとう」
「父様、会いたい!どこにいるんだ!」
「私はわけあって、まだお前と直接会うことはできない。黒崎一護が、もうすぐやってくるはずだ。ヴァンパイアマスターだが、若すぎて力の制御の仕方をあまり知らない。教えてやれ」
「父様!」
「またな、十四郎」
「黒崎一護・・・・・ヴァンパイアマスター」
「なんか、義父の言う通りだと、きなくさいことになってきたね」
「ああ。食料を買い込んだら、館に戻ろう」
「えーとこの辺に浮竹さんと京楽さんが住む大きな洋館が・・・・あった、あれかな?」
黒崎一護は、無人というか浮竹のメイドしかいない館に入っていく。
「すんませーん。あれ、留守かな?」
「侵入者発見。駆除します」
「わあああああ!!!」
メイドの名前は、朽木ルキア。
浮竹が自分の館を競り落としたときに、朽木白哉が気に言って、義妹にしたメイドだった。
意思をちゃんともち、食べるし寝るし、メイドとして家事は完璧にこなすし、何より美少女だった。胸は小さいが。
「胸がでかくない・・・・俺のタイプかも」
黒崎一護は、貧乳好きであった。
「ごめんなさいソアラ。あなたを置いていってしまう私を許して」
「いやだ!母様がいなくなったら、父様は俺を見てくれない!偉大なるヴァンパイアマスターの子でありながら、なんの能力をもたない俺を見てくれない!」
ソアラは、泣き叫んだ。
「ソアラ、強くなりなさい。ヴァンパイアハンターになりなさい。父様に殺されないように」
「父様が俺を殺す?」
「そう、前に言っていたの。お前はなんの能力ももたないできそこないだから、殺して新しい子をもうけて、ヴァンピールでありながらヴァンパイアマスターほどの力のある子を作ろうと」
「父様酷い」
ソアラは泣きじゃくった。
「聖女でありながら、ヴァンパイアマスターの花嫁となった報いね。不老だけど、不死ではないから。ソアラ、愛しているわ。あなたも、世界でこの人だけは愛しているという人を見つけて、花嫁にしなさい。ソアラ、愛しているわ」
そういって、ソアラの母である聖女は死んだ。
「母様!いやだああああああ!!!」
「母様!」
浮竹は、はっとなっておきた。
「夢・・・・また、懐かしくも忌まわしい夢を見たな」
ソアラとは浮竹の本名だ。
浮竹十四郎とは、ヴァンパイアハンターをしだした頃に名乗りだした。15で花嫁である京楽を迎えた。
父であるヴァンパイアマスターは、母である聖女が死ぬ13の頃まで優しかったり冷たかったり、忌まわし気に扱われたり、愛されたり、どちらが真実なのかわからぬ愛し方をしてきた。
15で京楽が父を葬りにきて、浮竹に一目ぼれして、面白いと父は花嫁にすることを半ば強制した。
だが、はじめてできた人間の友達であり、恋人でもあった京楽を花嫁にするのはいやではなかた。
「ソアラ・シュタットフェルト・ブラッディ」
それが、浮竹の本当の名前。
京楽も知らない、浮竹の本名。
ヴァンパイアマスターである父は、育児はメイドに任せきりで、病弱であった聖女の母をいつも心配していた。
失い、きつくあたられた時もあったが、決して憎まれて殺されそうなときはなかった。
処分されるかもと思った時はあったが、父は処分はしなかった。15で精霊使いの能力を発揮した浮竹を、父はかわいがったが、突然失踪した。
残された浮竹は、母の言っていた通りに狩られないようにヴァンパイアハンターとなり、同胞を殺して水銀の浮竹と恐れられた。
父であるヴァンパイアマスターも、血に水銀を含んでいた。確かに親子だった。
父を退治しにきた、若い京楽は、浮竹に一目ぼれした。
お互い思いを寄せ合って、京楽を花嫁として迎え、ある程度の年齢まで成長させて体の年齢を止めた。
「浮竹、ごはんできたよ」
「ああ、今行く」
ソアラは死んだ。
15の時に。
浮竹十四郎という、父から新たにもらった名で通している。京楽でさえ、浮竹の本名は知らない。
ふと、窓辺にフクロウが止まっていた。
窓を開くと、人の声を発する。
「ソアラ、お帰り。ヴァンパイアマスターは世界に三人いる。私は藍染という。ソアラの力がほしい。花嫁にならないか」
「ごめんこうむる」
浮竹は、フクロウを呼び出したウンディーネで水をかけて、追い払う。
「浮竹、まだ起きないのー?ボクが全部食べちゃうよー。浮竹も食べちゃうよー」
「このだアホが!」
何気ない顔で、京楽の元にいく。
水面下で、三人のヴァンパイアマスターは血jの帝国、ヴァンパイアだけの楽園ブラッディアを自分のものにしようと動き出していた。
浮竹の父であるヴァンパイアマスターも、きっと狙っている。
「今日はいい天気だし、休みにしよう。一緒に買い物でもいくか」
「え、一緒にっしっぽり?」
「だアホ!」
浮竹にハリセンではたかれまくられて、京楽は涙を浮かべる。
「酷い!花嫁なのに」
「本当に、俺は何を考えてこんなもじゃひげを花嫁ににしたんだろうな?花嫁にした頃はこんなにもじゃもじゃじゃなかったのに」
「うふふ、これもボクの魅力の一つだよ」
「全身の毛を剃ってやろうか!」
「いやん、下の毛も?」
「だアホ!」
ハリセンでこれでもかというほどなぐると、気分がすっきりした。
「なんか、疲れてるっぽいから、ジャスミンティーにしておいたよ」
「お、俺はそんな心使いされてもうれしいなんて思っていないんだからな!」
「うーん、たまに出るツンデレがかわういい」
「かわいいとかいうな、だアホ!」
京楽は、朝食を浮竹ととって、洗濯機を回して洗濯をし終えると、町に買い出しに出かけた。
「あ、ドラゴンサモナー様だ!」
「いや、違うから」
「パートナードラゴンは、人型になれるんですか?」
「だから、人違い!俺は水銀の浮竹。同胞を狩るヴァンピールだ」
「ああ、あの例のヴァンピール・・・・・・」
「ドラゴンサモナーの浮竹様に退治してもらいたいわ」
人は、違う種族を前にすると、時折軽蔑する。
「ちょっと、ボクの浮竹を蔑ろにするなら、ボクが許さないんだからね」
浮竹の代わりに、京楽が怒りだす。
「こわいこわい。A級ヴァンパイアハンターといっても、しょせんはヴァンピール。いつ、人を襲うか分かったもんじゃない」
ドラゴンサモナーだと集まっていた人たちは、口々に怖いだの恐ろしいだの言って、去っていく。
「全く、人間は自分勝手な生き物だね」
「お前も、一応人間だろう」
「ああ、そういえばそうだったね。気にせず、買い物続けよう」
「俺は、外套を着ておく」
「うん。仕方ないね」
そこへ、ふくろうが一羽飛んでくる。
「ソアラ、ヴァンパイアマスターの黒崎一護と接触せよ。これは父の命令だ」
「父様?」
「大きくなったな。今は浮竹十四郎だったな。父は、いつも遠くからお前を見守っていた。ヴァンパイアハンターA級昇格おめでとう」
「父様、会いたい!どこにいるんだ!」
「私はわけあって、まだお前と直接会うことはできない。黒崎一護が、もうすぐやってくるはずだ。ヴァンパイアマスターだが、若すぎて力の制御の仕方をあまり知らない。教えてやれ」
「父様!」
「またな、十四郎」
「黒崎一護・・・・・ヴァンパイアマスター」
「なんか、義父の言う通りだと、きなくさいことになってきたね」
「ああ。食料を買い込んだら、館に戻ろう」
「えーとこの辺に浮竹さんと京楽さんが住む大きな洋館が・・・・あった、あれかな?」
黒崎一護は、無人というか浮竹のメイドしかいない館に入っていく。
「すんませーん。あれ、留守かな?」
「侵入者発見。駆除します」
「わあああああ!!!」
メイドの名前は、朽木ルキア。
浮竹が自分の館を競り落としたときに、朽木白哉が気に言って、義妹にしたメイドだった。
意思をちゃんともち、食べるし寝るし、メイドとして家事は完璧にこなすし、何より美少女だった。胸は小さいが。
「胸がでかくない・・・・俺のタイプかも」
黒崎一護は、貧乳好きであった。
血と聖水と名において6
ドラゴンサモナーの浮竹からヴァンパイアロードの灰をもらい、浮竹は京楽と共にハンターギルドに行って、事情を説明すると、手間賃として浮竹と京楽には金貨20枚、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンに、金貨千枚が渡されることになった。
『やあ、一週間ぶりかな?』
『野宿する羽目になるので、悪いが宿を借りにきた』
ドラゴンサモナーの浮竹は、申し訳なさそうにしていた。
乱れていた衣服を直して、浮竹が対応する。
京楽としっぽりしかけていたのだ。京楽のぺースに巻きまれて、あやうくしっぽりするところだった。
「ぶーぶー。せっかくしっぽりしようと思ってたのに」
京楽が不満を露わにすると、浮竹がハリセンでその頭をはたく。ドラゴンサモナーの浮竹は赤くなり、パートナードラゴンの京楽は顔色を変えてはいなかった。
「客人の前だぞ。おとなしくしとけ」
「おとなしく浮竹にハグしとく」
「好きにしろ」
浮竹は京楽のしたいようにさせて、事情を説明して金貨千枚を渡そうとしたが、断られた。
『この館を買い取るのにお金がいるんだろう?俺たちも厄介になるし、館の負債の足しにでもしてくれ』
『そうそう、ボクらは有名人だし金には困ってないからね。むしろ金があまってて困ってる』
「二人がそう言うなら、ありがたくもらっておく」
ちなみに、京楽は抱き着いたままだ。
「ええい、うっとうしい!」
浮竹がハリセンをうならせると、京楽は涙ぐんだ。
「きゃんきゃん!動物じゃなしに恋人虐待」
「このだアホが!」
浮竹はさらにハリセンで京楽の頭を殴る。
『神父の京楽、お前、本当にSランクハンターなんだよな?』
ドラゴンサモナーの浮竹が、どうしてもS級に見えないので聞いてみた。
「ん?そうだよ。いつでも休業中だけど」
「ただの俺のひもだ」
「酷い!家事全般してるから、ヒモじゃありませーん」
「生活費は俺が出しているだろう」
「う”」
京楽は言葉に詰まった。
「このだアホが!夕飯の準備でもしてこい!お前は家事くらいしか取り柄がなんだからな」
「きゃいん!酷い!でも夕食作ってくる。4人前だから少し時間がかかるよ?」
「かまわん」
『あ、俺も手伝う』
『ボクも』
「ああ、もう好きにしてくれ」
『一泊の恩義になるしね。金は受け取ってくれなさそうだし」
ドラゴンサモナーの浮竹は、金貨をちらつかせるが、浮竹は興味を抱かなかった。
屋敷の負債の完済まで、あと少しなのだ。
元々住んでた家であるが、父であるヴァンパイアマスターが失踪したことで、悪徳業者の手にかかり、館は売られてしまった。
まだ、浮竹も若かった。人間の年で換算すと、13歳くらいだろうか。
人の言葉を素直に信じて、住んでいた館を追放された。
競売にかけられて、子供であったが、代理人をたてて競り落とした。
代理人の名は朽木白哉。浮竹と同じようん、ヴァンパイアマスターを師とあおぐカイザーヴァンパイアであった。
ヴァンパイア社会の皇族で、とにかく強い。S級ハンターを殺しはせずに倒して、森に放置したりする。
浮竹は、ハンターが嫌いではなかった。
たまにいいハンターもいて、何もしていない父や白哉、浮竹の話し相手になってくれたりした。
ハンターも、賞金がかけられない限り。。緊急の時をのぞいてヴァンパイアは殺さない。
だが、最近のハンターは見境なく殺しており、浮竹はそれが嫌だった。
「どうしたの?具合悪いの?」
「ああ、お前がしっぽりしようとしたせいで具合が悪い」
「そんな!しっぽりは楽園だよ!」
「だアホのお前にはな。ちょっと考え事をしていただけだ」
京楽は、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽に手伝ってもらい、4人分の夕食を完成させてもってきた。
「今日はカルボナーラと、チーズハンバーグだよ。浮竹、好きでしょ?」
「ああ。いただく」
ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、少し手伝いをしただけなので、味は京楽が調整した。
『なにこれめっちゃうまいんだが』
『おいしすぎる・・・・・』
感動する二人に、浮竹は苦笑する。
「このだアホを、花嫁にもらっていいかなと思ったきっかけが、食事だ」
「ええ、愛じゃないの!?」
「あ、愛はないこともないんだからな!」
『『ツンデレだ』』
夕飯をごちそうになり、湯あみもすませて就寝することにした。
「ねぇ、浮竹、しっぽり・・・・」
「お前の頭にはそれしかないのか。客人がきているんだぞ。しっぽりなんかするか!キスで我慢しとけ」
居楽のキスは深くねちっこかった。
「いい加減にしろ!」
ハリセンで頭をはたいた。
次の日になり、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は旅の続きをと去ってしまった。
「さて、俺たちもハンターギルドにいくぞ」
「この前仕事したばかりじゃない」
「次の仕事あたりで、館の負債を完済できそうなんだ」
「それなら、仕事に行かないとね。久しぶりにボクもまじめにハンター稼業するかな」
ヴァンピールが、ヴァンバイアハンターをするなど、過去に例がなかった。はじめは血を吸いにきたのか、復讐にきたのかと勘違いされて駆除されそうになったが、当時から使役魔がいたのでなんとかなった。
「お、浮竹と京楽じゃないか。いいところにきたな。ヴァンパイアキングの退治依頼が出ている。A級以上のハンターじゃないと受注できない。すでに6人がやられている。まぁ、忠告を無視して狩りにいった新米ばかりだがな」
「それでも、新米でも経験をつんでいけばいずれA級S級になる。新米を失いのは痛い」
「そうなんだ。だから、S級の京楽に頼みたかったんだ」
「えーボクー?どうしようかなぁ」
「引き受けて倒した夜なら、しっぽりにつきあってやるぞ」
浮竹は京楽に耳打ちする。
「うん、引き受ける。マジで本気だす。しっぽりだー、わーい」
浮竹は赤くなって、京楽はハリセンで殴り倒す。
「公衆の面前でいうな!」
「ぐふっふふ、しっぽり・・・・今から退治いこう」
「まだ準備が済んでないぞ」
「君の銀の銃と短剣はもってきているよ」
「抜け目のないやつめ」
フェンリルを呼び出し。3メートルのサイズになってもらうと、その背中に乗ってヴァンパイアキングの出るダンジョンに向かった。
普通はダンジョンで発生したモンスターは冒険者が倒すのだが、ヴァンパイアキングは外からダンジョンにきて居座り、冒険者を襲っているらしい。
「ついたぞ」
フェンリルに乗って走ること5時間。
すでに辺りは暗く、転移魔法陣で一度ウィキティの自宅に戻って一夜をあかすと、朝は活動のにぶいヴァンぽイアを駆除するために、ダンジョンにもぐる。
ゴブリンやらオークやら、どうでもいいモンスターは召喚したフェニックスの炎で焼いて、魔石だけは回収した。
金になるものは、基本拾うようにしていた。
「くくく、愚かな冒険者ども、きたな。ヴァンパイアキングであるこの私が血を吸ってやろう・・・て、浮竹?」
「お、伯父さん?」
「え、血縁者なの?」
「伯父さん、こんなところで何をしているんだ。懸賞金がかけられている。悪いが、討伐させてもらうぞ」
浮竹の叔父が、ヴァンパイアキングだった。もう冒険者を含めると20人以上は殺している。
「伯父さんは、逃げます。しばらく人は襲いません」
「どうする、京楽」
「いや、伯父でも人を殺してる。駆除する」
「そんな、浮竹、見逃してよ」
「無理だ、伯父さん」
「じゃあ、久しぶりに働きますか!」
そういった瞬間、浮竹の叔父である強力なヴァンパイアキングは、首と銅が切り離されていた。
「ぐがががが、何をした!?」
「ちょっと、聖銀でできた聖剣をふるっただけだよ」
「すごい・・・・動きが見えなかった」
「えへへ、浮竹ボクに惚れ直した?しっぽり・・・おぶ」
顔面にハリセンをくらい、京楽は蹲る。
「伯父さん、悪いが死んでくれ。出でよ、カイザーフェニックス」
「きゅああああああ!!我にようか、ヴァンピールの気高き子よ」
「ここヴァンぽイアを、灰になるまで焼き尽くしてくれ」
「ちょ、待ってくれ!私はお前の本当の叔父だぞ!?」
「だから、余計に許すわけにはいかない。俺は同胞殺しの水銀の浮竹」
「ぎゃあああああああ」
ヴァンぽイアキングは、炎の高位精霊に焼かれ、灰となった。
「浮竹、大丈夫?」
「少し疲れた。高位精霊も呼び出したしな」
カイザーフェニックスは、すでに精霊界に帰ってしまっていた。
「あの優しかった伯父さんが、こんなことになるなんて」
「悲しいよね?これで波をふいで」
京楽は、白い布をさしだす。
「ってこれ、俺のパンツじゃないか!このだアホの変態があああ!出でよ、エターナルフェニックス!」
炎の最高位精霊に燃やされて、京楽は髪がアフロになった。
手加減はしているし、京楽は耐性が強いので、魔法攻撃に分類される精霊の力など、大したケガをさせられる相手ではない。
「帰ってのしっぽりは?」
「無論、なしだ。さらに2週間の禁欲を言い渡す」
「そんなぁ」
京楽の間抜けな声をききながら、スクロールで浮竹と京楽はダンジョンの外に出て、ウィキティの町に転移魔法陣で帰還して、ハンターギルドに行って、灰を提出する。
「今回は、俺の実の叔父だった。ヴァンパイアマスターのにおいがほのかにした気がする。父上が、動いているかもしれない」
「簡便してくれ。ヴァンパイアマスターだぞ?S級ハンターが束になっても勝てやしない。いや、京楽ならあるいは・・・・・・」
「父の件は、俺に任せてくれないか。あの人は人を襲うヴァンパイアじゃない」
「まあ、浮竹がそう言うなら、任せよう」
「しっぽりは~~~?」
「しつこい!」
「あべし!」
また顔面にハリセンを受けて、痛みで京楽は転がってじたばたするのであった。
『やあ、一週間ぶりかな?』
『野宿する羽目になるので、悪いが宿を借りにきた』
ドラゴンサモナーの浮竹は、申し訳なさそうにしていた。
乱れていた衣服を直して、浮竹が対応する。
京楽としっぽりしかけていたのだ。京楽のぺースに巻きまれて、あやうくしっぽりするところだった。
「ぶーぶー。せっかくしっぽりしようと思ってたのに」
京楽が不満を露わにすると、浮竹がハリセンでその頭をはたく。ドラゴンサモナーの浮竹は赤くなり、パートナードラゴンの京楽は顔色を変えてはいなかった。
「客人の前だぞ。おとなしくしとけ」
「おとなしく浮竹にハグしとく」
「好きにしろ」
浮竹は京楽のしたいようにさせて、事情を説明して金貨千枚を渡そうとしたが、断られた。
『この館を買い取るのにお金がいるんだろう?俺たちも厄介になるし、館の負債の足しにでもしてくれ』
『そうそう、ボクらは有名人だし金には困ってないからね。むしろ金があまってて困ってる』
「二人がそう言うなら、ありがたくもらっておく」
ちなみに、京楽は抱き着いたままだ。
「ええい、うっとうしい!」
浮竹がハリセンをうならせると、京楽は涙ぐんだ。
「きゃんきゃん!動物じゃなしに恋人虐待」
「このだアホが!」
浮竹はさらにハリセンで京楽の頭を殴る。
『神父の京楽、お前、本当にSランクハンターなんだよな?』
ドラゴンサモナーの浮竹が、どうしてもS級に見えないので聞いてみた。
「ん?そうだよ。いつでも休業中だけど」
「ただの俺のひもだ」
「酷い!家事全般してるから、ヒモじゃありませーん」
「生活費は俺が出しているだろう」
「う”」
京楽は言葉に詰まった。
「このだアホが!夕飯の準備でもしてこい!お前は家事くらいしか取り柄がなんだからな」
「きゃいん!酷い!でも夕食作ってくる。4人前だから少し時間がかかるよ?」
「かまわん」
『あ、俺も手伝う』
『ボクも』
「ああ、もう好きにしてくれ」
『一泊の恩義になるしね。金は受け取ってくれなさそうだし」
ドラゴンサモナーの浮竹は、金貨をちらつかせるが、浮竹は興味を抱かなかった。
屋敷の負債の完済まで、あと少しなのだ。
元々住んでた家であるが、父であるヴァンパイアマスターが失踪したことで、悪徳業者の手にかかり、館は売られてしまった。
まだ、浮竹も若かった。人間の年で換算すと、13歳くらいだろうか。
人の言葉を素直に信じて、住んでいた館を追放された。
競売にかけられて、子供であったが、代理人をたてて競り落とした。
代理人の名は朽木白哉。浮竹と同じようん、ヴァンパイアマスターを師とあおぐカイザーヴァンパイアであった。
ヴァンパイア社会の皇族で、とにかく強い。S級ハンターを殺しはせずに倒して、森に放置したりする。
浮竹は、ハンターが嫌いではなかった。
たまにいいハンターもいて、何もしていない父や白哉、浮竹の話し相手になってくれたりした。
ハンターも、賞金がかけられない限り。。緊急の時をのぞいてヴァンパイアは殺さない。
だが、最近のハンターは見境なく殺しており、浮竹はそれが嫌だった。
「どうしたの?具合悪いの?」
「ああ、お前がしっぽりしようとしたせいで具合が悪い」
「そんな!しっぽりは楽園だよ!」
「だアホのお前にはな。ちょっと考え事をしていただけだ」
京楽は、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽に手伝ってもらい、4人分の夕食を完成させてもってきた。
「今日はカルボナーラと、チーズハンバーグだよ。浮竹、好きでしょ?」
「ああ。いただく」
ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、少し手伝いをしただけなので、味は京楽が調整した。
『なにこれめっちゃうまいんだが』
『おいしすぎる・・・・・』
感動する二人に、浮竹は苦笑する。
「このだアホを、花嫁にもらっていいかなと思ったきっかけが、食事だ」
「ええ、愛じゃないの!?」
「あ、愛はないこともないんだからな!」
『『ツンデレだ』』
夕飯をごちそうになり、湯あみもすませて就寝することにした。
「ねぇ、浮竹、しっぽり・・・・」
「お前の頭にはそれしかないのか。客人がきているんだぞ。しっぽりなんかするか!キスで我慢しとけ」
居楽のキスは深くねちっこかった。
「いい加減にしろ!」
ハリセンで頭をはたいた。
次の日になり、ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は旅の続きをと去ってしまった。
「さて、俺たちもハンターギルドにいくぞ」
「この前仕事したばかりじゃない」
「次の仕事あたりで、館の負債を完済できそうなんだ」
「それなら、仕事に行かないとね。久しぶりにボクもまじめにハンター稼業するかな」
ヴァンピールが、ヴァンバイアハンターをするなど、過去に例がなかった。はじめは血を吸いにきたのか、復讐にきたのかと勘違いされて駆除されそうになったが、当時から使役魔がいたのでなんとかなった。
「お、浮竹と京楽じゃないか。いいところにきたな。ヴァンパイアキングの退治依頼が出ている。A級以上のハンターじゃないと受注できない。すでに6人がやられている。まぁ、忠告を無視して狩りにいった新米ばかりだがな」
「それでも、新米でも経験をつんでいけばいずれA級S級になる。新米を失いのは痛い」
「そうなんだ。だから、S級の京楽に頼みたかったんだ」
「えーボクー?どうしようかなぁ」
「引き受けて倒した夜なら、しっぽりにつきあってやるぞ」
浮竹は京楽に耳打ちする。
「うん、引き受ける。マジで本気だす。しっぽりだー、わーい」
浮竹は赤くなって、京楽はハリセンで殴り倒す。
「公衆の面前でいうな!」
「ぐふっふふ、しっぽり・・・・今から退治いこう」
「まだ準備が済んでないぞ」
「君の銀の銃と短剣はもってきているよ」
「抜け目のないやつめ」
フェンリルを呼び出し。3メートルのサイズになってもらうと、その背中に乗ってヴァンパイアキングの出るダンジョンに向かった。
普通はダンジョンで発生したモンスターは冒険者が倒すのだが、ヴァンパイアキングは外からダンジョンにきて居座り、冒険者を襲っているらしい。
「ついたぞ」
フェンリルに乗って走ること5時間。
すでに辺りは暗く、転移魔法陣で一度ウィキティの自宅に戻って一夜をあかすと、朝は活動のにぶいヴァンぽイアを駆除するために、ダンジョンにもぐる。
ゴブリンやらオークやら、どうでもいいモンスターは召喚したフェニックスの炎で焼いて、魔石だけは回収した。
金になるものは、基本拾うようにしていた。
「くくく、愚かな冒険者ども、きたな。ヴァンパイアキングであるこの私が血を吸ってやろう・・・て、浮竹?」
「お、伯父さん?」
「え、血縁者なの?」
「伯父さん、こんなところで何をしているんだ。懸賞金がかけられている。悪いが、討伐させてもらうぞ」
浮竹の叔父が、ヴァンパイアキングだった。もう冒険者を含めると20人以上は殺している。
「伯父さんは、逃げます。しばらく人は襲いません」
「どうする、京楽」
「いや、伯父でも人を殺してる。駆除する」
「そんな、浮竹、見逃してよ」
「無理だ、伯父さん」
「じゃあ、久しぶりに働きますか!」
そういった瞬間、浮竹の叔父である強力なヴァンパイアキングは、首と銅が切り離されていた。
「ぐがががが、何をした!?」
「ちょっと、聖銀でできた聖剣をふるっただけだよ」
「すごい・・・・動きが見えなかった」
「えへへ、浮竹ボクに惚れ直した?しっぽり・・・おぶ」
顔面にハリセンをくらい、京楽は蹲る。
「伯父さん、悪いが死んでくれ。出でよ、カイザーフェニックス」
「きゅああああああ!!我にようか、ヴァンピールの気高き子よ」
「ここヴァンぽイアを、灰になるまで焼き尽くしてくれ」
「ちょ、待ってくれ!私はお前の本当の叔父だぞ!?」
「だから、余計に許すわけにはいかない。俺は同胞殺しの水銀の浮竹」
「ぎゃあああああああ」
ヴァンぽイアキングは、炎の高位精霊に焼かれ、灰となった。
「浮竹、大丈夫?」
「少し疲れた。高位精霊も呼び出したしな」
カイザーフェニックスは、すでに精霊界に帰ってしまっていた。
「あの優しかった伯父さんが、こんなことになるなんて」
「悲しいよね?これで波をふいで」
京楽は、白い布をさしだす。
「ってこれ、俺のパンツじゃないか!このだアホの変態があああ!出でよ、エターナルフェニックス!」
炎の最高位精霊に燃やされて、京楽は髪がアフロになった。
手加減はしているし、京楽は耐性が強いので、魔法攻撃に分類される精霊の力など、大したケガをさせられる相手ではない。
「帰ってのしっぽりは?」
「無論、なしだ。さらに2週間の禁欲を言い渡す」
「そんなぁ」
京楽の間抜けな声をききながら、スクロールで浮竹と京楽はダンジョンの外に出て、ウィキティの町に転移魔法陣で帰還して、ハンターギルドに行って、灰を提出する。
「今回は、俺の実の叔父だった。ヴァンパイアマスターのにおいがほのかにした気がする。父上が、動いているかもしれない」
「簡便してくれ。ヴァンパイアマスターだぞ?S級ハンターが束になっても勝てやしない。いや、京楽ならあるいは・・・・・・」
「父の件は、俺に任せてくれないか。あの人は人を襲うヴァンパイアじゃない」
「まあ、浮竹がそう言うなら、任せよう」
「しっぽりは~~~?」
「しつこい!」
「あべし!」
また顔面にハリセンを受けて、痛みで京楽は転がってじたばたするのであった。
血と聖水と名において5
「はぁはぁ・・・・・浮竹のパンツ!」
「こら、京楽、また俺の新しいパンツ盗んだな!」
浮竹がハリセンではたくと、京楽はまだはぁはぁしていた。
「いいじゃない。洗濯前のパンツを盗んでるんじゃないし」
「そこまで変態だと、追い出してる」
「酷い!こんなに愛してるのに!」
「お前の愛はゆがんでいるからな」
朝からそんなやりとりをして、ヴァンパイアハンターギルドに向かった。
「お、ちょうどいいことろにきたな。ヴァンパイアロードが出た。退治を頼めるか。A級とS級なら、軽いことだろう?」
「S級の誰かはあてにあまりならんがな」
「浮竹が怒るから、ちゃんと仕事はするよう」
こうして、浮竹と京楽は、サザンの古城に住むヴァンパイアロード退治に出かけた。
今回もフェンリルに巨大化してもらって、その背に乗って移動する。
遠かったので、途中宿で一泊した。
転移の魔法陣もあったが、知らない町で泊まるのが新鮮だったため、宿をとった。
「浮竹、しっぽりしよう!はぉはぁ」
「アホか!仕事先でしっぽりするハンターがどこにいる!」
「ここにいる!」
自慢げに胸をはる京楽をハリセンで殴り倒して、その日は就寝した。
ちなみにベッドは2つあるのに、京楽は浮竹のベッドで寝た。いつものことなので、浮竹は気にせずぐっすりと寝た。
サザンの古城につくと、ヴァンパイアロードは、美しい少女たちに囲まれていた。
「全部、花嫁にしたのか」
「ふふふ、そうだ。お前も美しいな?花嫁になるか?」
「浮竹はボクの花婿だよ!」
「げ、そっちのヴァンピールの花嫁はお前か!もじゃもじゃの男じゃないか。花嫁になんて絶対したくない」
「失礼な。愛があるから花嫁になったんだよ」
京楽は、聖剣を抜き放つと、ヴァンパイアロードの花嫁たちを殺していく。
一度花嫁になってヴァンパイア化したら、元に戻る方法はなく、血をすするヴァンパイアになってしまう。
「よくも私の花嫁たちを!」
「出でよフェニックス!血と聖水の名においてアーメン!」
浮竹はフェニックスを召喚すると、ヴァンパイアロードを炎で燃やす。
「はははは、私はヴァンパイアロード!これしきの炎では死なぬ!」
「じゃあ、死んで?」
京楽が、目にも見えない速さで、、聖銀でできた聖剣でヴァンパイアロードの心臓を貫く。
「うぎゃあああああああ」
ヴァンパイアロードは、叫び声をあげながらもまだ死なない。
「出でよ、アイシクル、フェンリル!凍り付かせてしまえ!」
氷雪系の精霊を呼び出し、浮竹は氷のブレスをはいてもらい、ヴァンパイアロードは氷漬けになり、京楽が聖剣でその氷像を壊す。
「退治完了だね。さぁ、しっぽりしよう!」
「報告までが仕事だ!このだアホが!」
ハリセンではたかれまくっていたが、京楽は幸せそうだった。
「やばい、変態度が高くなりつつある」
「もっと殴って~~~~~~~」
「知るか!あほ!」
浮竹はヴァンパイアロードの灰をカプセルに詰めて、転移の魔法陣でウィキティにある自宅まで一度戻り、食事と湯あみをしてから浮竹は灰の入ったカプセルを提出するために、ハンターギルドまで戻る。
ちなみに、京楽は浮竹のお風呂をのぞいていたので、すまきにして外の木に吊るしておいた。
「全く、京楽のやつ強いくせになんであんなアホで変態なんだ」
ハンターギルドに行くと、ギルドマスターが話しかけてきた。
「おお、戻ったか。いつも退治が早くて助かる」
「花嫁も数人いたが、殺しておいた」
「仕方ないな。一度花嫁にされたれた、ヴァンパイア化してしまう」
ちなみに、京楽は花嫁にされたが人間のままだった。偉大なるヴァンパイアマスターの血も分けてもらっていて、人間であり続けることを許された。
ヴァンパイアもヴァンピールも、日の光の元で活動できるが、銀に弱い。
浮竹は特殊で、銀の武器を使うことができて、父であるヴァンパイアマスターから加護をもらっていた。
退治されないために、同胞殺しをする。
浮竹は、ヴァンパイアのすべてが人間の敵ではないことを知っている。人間と共存するヴァンパイアも結構いて、そういうヴァンパイアは駆除対象にならない。
誰かが退治してくれと言っても、人に危害を加えてない限りは退治されない。
「くすん。酷いよ浮竹。ボクのこと忘れてたでしょ」
洋館に戻って、アホの子を探していたら、庭の木にすまきで吊るしていたのをすっかり忘れていた。
「ああ、存在を忘れていた」
「酷い!おわびにしっぽりを」
「いいだろう。今日は満月だ。半分とはいえ、ヴァンパイアの血が疼く」
「え、まじでしっぽりしていいの?」
「別にしなくてもどっちでもいい」
「します!しっぽりします!」
浮竹は妖艶に笑い、京楽をすまきかから解放すると、京楽は真剣な顔で浮竹をお姫様だっこして、寝室に向かう。
「あ、この前おとなのおもちゃ買ってきたんだけど」
「自分に使っとけ、このだアホが!」
浮竹の機嫌をそこねてしまい、結局その日はしっぽりできなかったのであった。
「こら、京楽、また俺の新しいパンツ盗んだな!」
浮竹がハリセンではたくと、京楽はまだはぁはぁしていた。
「いいじゃない。洗濯前のパンツを盗んでるんじゃないし」
「そこまで変態だと、追い出してる」
「酷い!こんなに愛してるのに!」
「お前の愛はゆがんでいるからな」
朝からそんなやりとりをして、ヴァンパイアハンターギルドに向かった。
「お、ちょうどいいことろにきたな。ヴァンパイアロードが出た。退治を頼めるか。A級とS級なら、軽いことだろう?」
「S級の誰かはあてにあまりならんがな」
「浮竹が怒るから、ちゃんと仕事はするよう」
こうして、浮竹と京楽は、サザンの古城に住むヴァンパイアロード退治に出かけた。
今回もフェンリルに巨大化してもらって、その背に乗って移動する。
遠かったので、途中宿で一泊した。
転移の魔法陣もあったが、知らない町で泊まるのが新鮮だったため、宿をとった。
「浮竹、しっぽりしよう!はぉはぁ」
「アホか!仕事先でしっぽりするハンターがどこにいる!」
「ここにいる!」
自慢げに胸をはる京楽をハリセンで殴り倒して、その日は就寝した。
ちなみにベッドは2つあるのに、京楽は浮竹のベッドで寝た。いつものことなので、浮竹は気にせずぐっすりと寝た。
サザンの古城につくと、ヴァンパイアロードは、美しい少女たちに囲まれていた。
「全部、花嫁にしたのか」
「ふふふ、そうだ。お前も美しいな?花嫁になるか?」
「浮竹はボクの花婿だよ!」
「げ、そっちのヴァンピールの花嫁はお前か!もじゃもじゃの男じゃないか。花嫁になんて絶対したくない」
「失礼な。愛があるから花嫁になったんだよ」
京楽は、聖剣を抜き放つと、ヴァンパイアロードの花嫁たちを殺していく。
一度花嫁になってヴァンパイア化したら、元に戻る方法はなく、血をすするヴァンパイアになってしまう。
「よくも私の花嫁たちを!」
「出でよフェニックス!血と聖水の名においてアーメン!」
浮竹はフェニックスを召喚すると、ヴァンパイアロードを炎で燃やす。
「はははは、私はヴァンパイアロード!これしきの炎では死なぬ!」
「じゃあ、死んで?」
京楽が、目にも見えない速さで、、聖銀でできた聖剣でヴァンパイアロードの心臓を貫く。
「うぎゃあああああああ」
ヴァンパイアロードは、叫び声をあげながらもまだ死なない。
「出でよ、アイシクル、フェンリル!凍り付かせてしまえ!」
氷雪系の精霊を呼び出し、浮竹は氷のブレスをはいてもらい、ヴァンパイアロードは氷漬けになり、京楽が聖剣でその氷像を壊す。
「退治完了だね。さぁ、しっぽりしよう!」
「報告までが仕事だ!このだアホが!」
ハリセンではたかれまくっていたが、京楽は幸せそうだった。
「やばい、変態度が高くなりつつある」
「もっと殴って~~~~~~~」
「知るか!あほ!」
浮竹はヴァンパイアロードの灰をカプセルに詰めて、転移の魔法陣でウィキティにある自宅まで一度戻り、食事と湯あみをしてから浮竹は灰の入ったカプセルを提出するために、ハンターギルドまで戻る。
ちなみに、京楽は浮竹のお風呂をのぞいていたので、すまきにして外の木に吊るしておいた。
「全く、京楽のやつ強いくせになんであんなアホで変態なんだ」
ハンターギルドに行くと、ギルドマスターが話しかけてきた。
「おお、戻ったか。いつも退治が早くて助かる」
「花嫁も数人いたが、殺しておいた」
「仕方ないな。一度花嫁にされたれた、ヴァンパイア化してしまう」
ちなみに、京楽は花嫁にされたが人間のままだった。偉大なるヴァンパイアマスターの血も分けてもらっていて、人間であり続けることを許された。
ヴァンパイアもヴァンピールも、日の光の元で活動できるが、銀に弱い。
浮竹は特殊で、銀の武器を使うことができて、父であるヴァンパイアマスターから加護をもらっていた。
退治されないために、同胞殺しをする。
浮竹は、ヴァンパイアのすべてが人間の敵ではないことを知っている。人間と共存するヴァンパイアも結構いて、そういうヴァンパイアは駆除対象にならない。
誰かが退治してくれと言っても、人に危害を加えてない限りは退治されない。
「くすん。酷いよ浮竹。ボクのこと忘れてたでしょ」
洋館に戻って、アホの子を探していたら、庭の木にすまきで吊るしていたのをすっかり忘れていた。
「ああ、存在を忘れていた」
「酷い!おわびにしっぽりを」
「いいだろう。今日は満月だ。半分とはいえ、ヴァンパイアの血が疼く」
「え、まじでしっぽりしていいの?」
「別にしなくてもどっちでもいい」
「します!しっぽりします!」
浮竹は妖艶に笑い、京楽をすまきかから解放すると、京楽は真剣な顔で浮竹をお姫様だっこして、寝室に向かう。
「あ、この前おとなのおもちゃ買ってきたんだけど」
「自分に使っとけ、このだアホが!」
浮竹の機嫌をそこねてしまい、結局その日はしっぽりできなかったのであった。
血と聖水と名において4
自分の館にやってきた人物を見て、浮竹はぽかんとしていた。
そしてハリセンでぼこぼこにした京楽を、ある程度の大きさにしたフェンリルに運んでもらう。
「俺は浮竹十四郎。見ての通りのヴァンピールだが、同胞を狩るようにヴァンパイアハンターをしている。さっきのアホが京楽春水で、俺のヴァンパイアとしての花嫁で、契約者だ。不老で、もう契約して10年になる」
『へぇ、そうなんだ』
「ウィキティの町には、長旅で寄っただけだそうだな。この呪符をやろう」
『これは?』
ドラゴンサモナーの浮竹が聞くと、浮竹はクスリと笑う。
「転移の魔法呪符を知らないのか」
『うん。ボク、記憶喪失なんだよ』
「そうか。大変だな。まぁパートナードラゴンがいいやつみたいだから、心配はなさそうだが。あげたのは、どこからでもこのウィキティと行き来できる転移の魔法陣がでるやつだ。それがあれば、旅の先からこのウィキティの町にいつでもこれる」
「きゅるるる!(ありがとう、とても助かるよ)」
ドラゴンサモナーのパートナードラゴンの京楽は、早速外に出て少し遠くまでドラゴンサモナーの浮竹をのせて移動すると、転移の魔法呪符を使い、魔法陣に乗ると、浮竹と京楽の住む大きな洋館に戻っていた。
『これはすごい!旅先からも帰れるなんて、野宿せずにすむ!』
「ああ。これも何かの縁だ。泊まるところがなかった日は、俺たちの洋館で泊まっていけ」
「浮竹、酷いよ。気絶するまでボコボコにすることないじゃない!」
そこに、移動したはずの京楽がやってくる。
頭にでかいたんこぶをいくつもこさえて、京楽は自分にヒールを使った。
「あ、遊びにきてくれたんだね。今、紅茶と茶菓子を用意するから」
『いや、気にしないでくれ』
「そういうわけにもいかないよ。この洋館に3年ぶりのお客さんだからね」
京楽は、アッサムの高級茶葉の紅茶をだして、ラズペリーケーキを出した。
『きゅるるるる!(おいしい!)』
『ああ、京楽の言う通りうまいな。こんなのごちそうになって、すまんな』
「気にするな。友人になろう。これも何かの縁だ。ああ、あと俺たちはよくヴァンパイアハンター退治で家を空けることが多いから、もしもウィキティのこの館に帰ってきて誰もいなかったら、俺の血で作り出したメイドが1体いるので、それに食事やらを任せて気軽に泊まるといい」
『いや、さすがに悪い』
「この洋館に客は久しぶりだからな。気にするな」
『じゃあ、お言葉に甘えようかな』
『きゅるるるる!!(そうだよ、そうしようよ)』
「京楽にも、パートナードラゴンの京楽が何を言っているのかわかるように古代魔法をかけてやろう。もう失われた魔法だ。父から習ったんだがな」
浮竹の父親である、偉大なるヴァンパイアマスターは、今は行方知れずだった。
ヴァンパイアハンターに殺されていないことだけは、確実であるが。
浮竹は幼い頃に聖女であった母をなくし、ヴァンパイアマスターである父親が作ったメイドに育てられた。
今、そのメイドは浮竹が引き継いでいた。
『きゅるるるう』
「あ、今、ボクの言葉分かる?って言ったね」
『正解だよ』
パートナードラゴンの京楽の言葉を、京楽は聞き取れるようになっていた。
「今日は時間も襲いし、泊まっていけ。ゲストルームを掃除させるから」
『いいのか』
「ああ、いいとも」
浮竹は、笑顔を浮かべた。
「えええ、じゃあ今日のしっぽりは?」
「お前はそれしか頭にないのか!」
ハリセンで思い切り頭を殴られる京楽を、客人のドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、痛そうだなぁとみているのであった。
そしてハリセンでぼこぼこにした京楽を、ある程度の大きさにしたフェンリルに運んでもらう。
「俺は浮竹十四郎。見ての通りのヴァンピールだが、同胞を狩るようにヴァンパイアハンターをしている。さっきのアホが京楽春水で、俺のヴァンパイアとしての花嫁で、契約者だ。不老で、もう契約して10年になる」
『へぇ、そうなんだ』
「ウィキティの町には、長旅で寄っただけだそうだな。この呪符をやろう」
『これは?』
ドラゴンサモナーの浮竹が聞くと、浮竹はクスリと笑う。
「転移の魔法呪符を知らないのか」
『うん。ボク、記憶喪失なんだよ』
「そうか。大変だな。まぁパートナードラゴンがいいやつみたいだから、心配はなさそうだが。あげたのは、どこからでもこのウィキティと行き来できる転移の魔法陣がでるやつだ。それがあれば、旅の先からこのウィキティの町にいつでもこれる」
「きゅるるる!(ありがとう、とても助かるよ)」
ドラゴンサモナーのパートナードラゴンの京楽は、早速外に出て少し遠くまでドラゴンサモナーの浮竹をのせて移動すると、転移の魔法呪符を使い、魔法陣に乗ると、浮竹と京楽の住む大きな洋館に戻っていた。
『これはすごい!旅先からも帰れるなんて、野宿せずにすむ!』
「ああ。これも何かの縁だ。泊まるところがなかった日は、俺たちの洋館で泊まっていけ」
「浮竹、酷いよ。気絶するまでボコボコにすることないじゃない!」
そこに、移動したはずの京楽がやってくる。
頭にでかいたんこぶをいくつもこさえて、京楽は自分にヒールを使った。
「あ、遊びにきてくれたんだね。今、紅茶と茶菓子を用意するから」
『いや、気にしないでくれ』
「そういうわけにもいかないよ。この洋館に3年ぶりのお客さんだからね」
京楽は、アッサムの高級茶葉の紅茶をだして、ラズペリーケーキを出した。
『きゅるるるる!(おいしい!)』
『ああ、京楽の言う通りうまいな。こんなのごちそうになって、すまんな』
「気にするな。友人になろう。これも何かの縁だ。ああ、あと俺たちはよくヴァンパイアハンター退治で家を空けることが多いから、もしもウィキティのこの館に帰ってきて誰もいなかったら、俺の血で作り出したメイドが1体いるので、それに食事やらを任せて気軽に泊まるといい」
『いや、さすがに悪い』
「この洋館に客は久しぶりだからな。気にするな」
『じゃあ、お言葉に甘えようかな』
『きゅるるるる!!(そうだよ、そうしようよ)』
「京楽にも、パートナードラゴンの京楽が何を言っているのかわかるように古代魔法をかけてやろう。もう失われた魔法だ。父から習ったんだがな」
浮竹の父親である、偉大なるヴァンパイアマスターは、今は行方知れずだった。
ヴァンパイアハンターに殺されていないことだけは、確実であるが。
浮竹は幼い頃に聖女であった母をなくし、ヴァンパイアマスターである父親が作ったメイドに育てられた。
今、そのメイドは浮竹が引き継いでいた。
『きゅるるるう』
「あ、今、ボクの言葉分かる?って言ったね」
『正解だよ』
パートナードラゴンの京楽の言葉を、京楽は聞き取れるようになっていた。
「今日は時間も襲いし、泊まっていけ。ゲストルームを掃除させるから」
『いいのか』
「ああ、いいとも」
浮竹は、笑顔を浮かべた。
「えええ、じゃあ今日のしっぽりは?」
「お前はそれしか頭にないのか!」
ハリセンで思い切り頭を殴られる京楽を、客人のドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽は、痛そうだなぁとみているのであった。
血と聖水と名において3
浮竹と京楽は、ウィキティの町の外れにある、大きな洋館に住んでいた。
必要最低限の部屋しか使わず、月に一度メイドさんを雇って大掃除をしてもらっていた。
「にゃんにゃん」
フェンリルが、猫の声を出してチュールをねだる。
浮竹は仕方ないので、チュールをあげた。
「もっとくれにゃん」
フェンリルの知能は高い。人の言葉を解すなど、造作もないことであった。
浮竹が、初めに契約した使役魔であった。
同じヴァンパイアハンターは、使役魔といってもせいぜい烏、鷹とかフクロウ、ネズミといった鳥か小型動物しか使役魔にできない。
精霊を使役できるのは、浮竹だけだった。
冒険者としてのほうが向いているのだろうが、ヴァンパイアハンターを続けていた。京楽の存在もあるし、ヴァンパイアが人に害をなすのは嫌いだった。
偉大なるヴァンパイアたちの父でもあるヴァンパイアマスターと、当時聖女であった女性との間に生まれたのが浮竹であった。
一方、京楽は孤児で、生きていくためにヴァンパイアハンターの道を選び、神父はついでだからなった。こんな色欲魔人の神父がいてたまるか、が浮竹の口癖でもあった。
「はぁ。腰が痛い。京楽のやつ、手加減せず抱きやがって」
痛む腰をおさえつつ、フェンリルを中庭に出して遊ばせる。
ボールを放り投げると、しっぽをぶんぶんふってとってくる。いつもは子犬サイズだが、本当は
3メートルがあるであろう体躯をもつ。
たまに移動手段としても使われた。
「京楽はどうしたにゃ?」
「買い物に行かせた。俺はしっぽりのせいであまり動けないからな」
「しっぽりかにゃん。京楽は年中発情期何だにゃん」
「ああ、その通りだな」
「ただいまー」
「ちっ、戻ってきた]
[ちょ、酷くない?」
「お前がしっぽりしすぎるから、今日は仕事は休みだ」
京楽は、悪びれもせずに、浮竹に口づける。
「回復魔法かけたでしょ?」
「それでも痛いんだ!」
「ありゃ」
京楽は昨日のことを重い出して、ふにゃふにゃした顔になっていた。
「次の仕事の目星をつけたい。ハンターギルドに行って、何か退治依頼を引き受けてきてくれ。今回は、俺のA級にランクが上がるのがかかっているんだ。倒せそうだけど、強すぎないやつを見つけてこい」
「わがままだねぇ」
「俺だって、自分でギルドに行って選びたい。だが、誰かのせいで腰が痛いし、治癒魔法は効かないし、最悪だ」
「まぁまぁ。今、お茶入れるから。お茶したら、ギルドでめぼしい退治依頼引き受けてくるよ」
京楽の入れるお茶と、作る菓子は絶品だった。
今日の茶菓子はアップルパイだった。
「早く、行って来い」
「でも、この間の浮竹にそっくりなドラゴンサモナーの存在も気になるねぇ」
「どうでもいい。似ているからたまに間違われるのが嫌だ」
浮竹は、ペロリとアップルパイを京楽の分まで食べてしまった。
「後のことは任せたぞ」
「うん」
浮竹は、具合も悪かったので寝室のベッドで横になって眠る。
「マスター、ねちゃったかにゃん?」
「ああ、フェンリルか。もう、おかわりのチュールはないぞ。ああ、京楽に買いに行かせたものの中にあったかな」
「ちゅーる食べるにゃん!もってくるから、あけてほしいにゃん」
フェンリルは、京楽が買い物してきた荷物の中から器用にチュールを出すと、浮竹の元に走る。
「ちゅーる、あけてにゃん」
「すまん、ちょっと血をくれ」
「仕方ないにゃんね?マスターは精霊の血を摂取しないと、精霊を扱えないからにゃん」
ごく少量だけ、フェンリルから血を分けてもらい、浮竹はフェンリルに、いつもは1日1個だけの約束のチュールをお礼に2個あげた。
「おや、モンスターが暴れているみたいだね。まぁ、放置しても冒険者もいっぱいいる町だし、悪目立ちするのは避けたいしね」
京楽は、魔法で翼を出して空を飛んでギルドまでやってくる。
「浮竹はどうした?A級昇格のテストになるんだぞ」
ギルドマスターが、京楽を見る。
「ちょっといろいろあってね。ボクが代役で、仕留めるヴァンパイアを選びにきたの」
「夜叉の京楽が選ぶのか。この前はヴァンピール退治で、ハンターとして復活したというのは本当だったんだな」
「まぁ、ぼちぼちね。今は浮竹のサポート役さ」
ギルドマスターは、うんうんと首を縦に振る。
「浮竹は、精霊を使役できる貴重なハンターだからな。慎重に選べよ」
「この、鮮血のカスタトロフというのにするよ」
「鮮血のか。もうハンターを4人も殺している」
「ボクもサポートするから大丈夫。じゃあ、これ退治するってことで、クエスト引き受けるね」
「ああ、ピンチになったら逃げろよ・・・・おっと、夜叉の京楽も一緒にいくんだな。それなら安心か」
「ボクは、あくまでもサポート役だからね。倒すのは、浮竹さ」
京楽は、鮮血のカスタトロフを選んで帰ってきた。
「鮮血か。まあ、倒せなくもないだろう」
数日が経ち、浮竹は京楽と巨大化したフェンリルの背に乗って、鮮血のカスタトロフのいる古城にやってきた。
「くくくく、今宵も愚かなヴァンパイアハンターが二人も。血をすすって、殺してやろう」
浮竹は、マントの下から銀の短剣を引き抜くと、カスタトロフに投げる。
「くくく、私に銀はそうそう効かない」
「く、特異体質か。ならば・・・・出でよ、ジルフェ!」
「あーなんだー。かったりぃ」
「いいから、あいつを攻撃しろ」
「後で、フルーツジュース10人前な」
ジルフェは風の上位精霊だ。
「ウィドカッター」
「ぐおおおおお」
ジルフェに前足を風の魔法で切り飛ばされて、鮮血のカスタトロフは地面に膝をつく。
「この俺が、ヴァンパイアハンターごときに!」
「その調子だよ、浮竹」
京楽は、離れたところで見守っていた。
「ダークフェニックス!あのヴァンパイアを、闇の炎で燃やし尽くせ!」
ただのフェニックスだと、周りの建物にも被害が及ぶので、ダークフェニックスを召喚して使役する。
「ぎいやあああああああ」
鮮血のカスタトロフは、悲鳴を残して灰となった。
その灰をカプセルに入れて、帰り路もフェンリルにのって、ウィキティの町にあるヴァンパイアハンターギルドに行き、灰の入ったカプセルを提出する。
「京楽の手助けは?」
「受けていない」
「うむ、嘘は言っていないようだな。水銀の浮竹、お前をA級ヴァンパイアハンターとする!」
「やった!!」
「よかったね、浮竹。お祝いに、帰ったらしっぽりしようね?」
「アホか。誰がするか。A級になったら、報酬金もあがるし、Aランクのクエストの退治依頼を引き受けれる。ばりばりやっつけるぞ」
「くすん。しっぽりしたいよう」
そんな京楽を足で蹴って、浮竹は京楽を放置して自宅に帰る。
「お前、尻にしかれまくりだな。何で、浮竹の花嫁になったんだ?」
ギルドマスターに声をかけられる。
「だって、10年前になるけど、一目ぼれだったんだよ。ボクがヴァンパイアだったら、浮竹を花嫁にしてたけど、ボクは人間だったから。浮竹に頼んで、花嫁にしてもらって契りあい、契約を交わしたのさ」
「まぁ、最近ヴァンパイアどもの活動が活発になってきているからな。S級の京楽、お前が復帰してくれたことは、大きなプラスになる」
「まぁ、半分隠居だけどね」
「そう言わず、どんどん倒してくれ。まだ、あの洋館の金、払いきれていないんだろう?」
浮竹と京楽の住む大きな洋館は、元々浮竹の父のもので、いなくなって競売にかけられて、浮竹が競り落としたのだ。
その頃はすでに母は他界していたし、父もいなくなったが、成人していたので屋敷を競り落とすことができた。
思い出のいっぱいつまった洋館を手放すことはしたくなかった。
値段が値段だけに、今でもちまちまと返済をしていた。
「A級になったし、稼ぎまくって、負債を取り消しにするぞー」
「そうだのだにゃー」
「あれ、京楽は?」
「置いて毛ぼりくらって、ギルドで隅っこでいじけいたにゃ」
「まぁ、腹がすいたらそのうち帰ってくるだろう。フェンリル、今後もよろしくな」
「任せてなのにゃ。マスターの初めての使役精霊として、ビシバシ働くから、チュールは1日2本にしてほしいにゃ「
「仕方ないやつだなぁ」
浮竹は、フェンリルをもふりまくるのであった。
ちなみに、京楽は帰ってきていたが、存在に気付いてもらえなかったそうな。
必要最低限の部屋しか使わず、月に一度メイドさんを雇って大掃除をしてもらっていた。
「にゃんにゃん」
フェンリルが、猫の声を出してチュールをねだる。
浮竹は仕方ないので、チュールをあげた。
「もっとくれにゃん」
フェンリルの知能は高い。人の言葉を解すなど、造作もないことであった。
浮竹が、初めに契約した使役魔であった。
同じヴァンパイアハンターは、使役魔といってもせいぜい烏、鷹とかフクロウ、ネズミといった鳥か小型動物しか使役魔にできない。
精霊を使役できるのは、浮竹だけだった。
冒険者としてのほうが向いているのだろうが、ヴァンパイアハンターを続けていた。京楽の存在もあるし、ヴァンパイアが人に害をなすのは嫌いだった。
偉大なるヴァンパイアたちの父でもあるヴァンパイアマスターと、当時聖女であった女性との間に生まれたのが浮竹であった。
一方、京楽は孤児で、生きていくためにヴァンパイアハンターの道を選び、神父はついでだからなった。こんな色欲魔人の神父がいてたまるか、が浮竹の口癖でもあった。
「はぁ。腰が痛い。京楽のやつ、手加減せず抱きやがって」
痛む腰をおさえつつ、フェンリルを中庭に出して遊ばせる。
ボールを放り投げると、しっぽをぶんぶんふってとってくる。いつもは子犬サイズだが、本当は
3メートルがあるであろう体躯をもつ。
たまに移動手段としても使われた。
「京楽はどうしたにゃ?」
「買い物に行かせた。俺はしっぽりのせいであまり動けないからな」
「しっぽりかにゃん。京楽は年中発情期何だにゃん」
「ああ、その通りだな」
「ただいまー」
「ちっ、戻ってきた]
[ちょ、酷くない?」
「お前がしっぽりしすぎるから、今日は仕事は休みだ」
京楽は、悪びれもせずに、浮竹に口づける。
「回復魔法かけたでしょ?」
「それでも痛いんだ!」
「ありゃ」
京楽は昨日のことを重い出して、ふにゃふにゃした顔になっていた。
「次の仕事の目星をつけたい。ハンターギルドに行って、何か退治依頼を引き受けてきてくれ。今回は、俺のA級にランクが上がるのがかかっているんだ。倒せそうだけど、強すぎないやつを見つけてこい」
「わがままだねぇ」
「俺だって、自分でギルドに行って選びたい。だが、誰かのせいで腰が痛いし、治癒魔法は効かないし、最悪だ」
「まぁまぁ。今、お茶入れるから。お茶したら、ギルドでめぼしい退治依頼引き受けてくるよ」
京楽の入れるお茶と、作る菓子は絶品だった。
今日の茶菓子はアップルパイだった。
「早く、行って来い」
「でも、この間の浮竹にそっくりなドラゴンサモナーの存在も気になるねぇ」
「どうでもいい。似ているからたまに間違われるのが嫌だ」
浮竹は、ペロリとアップルパイを京楽の分まで食べてしまった。
「後のことは任せたぞ」
「うん」
浮竹は、具合も悪かったので寝室のベッドで横になって眠る。
「マスター、ねちゃったかにゃん?」
「ああ、フェンリルか。もう、おかわりのチュールはないぞ。ああ、京楽に買いに行かせたものの中にあったかな」
「ちゅーる食べるにゃん!もってくるから、あけてほしいにゃん」
フェンリルは、京楽が買い物してきた荷物の中から器用にチュールを出すと、浮竹の元に走る。
「ちゅーる、あけてにゃん」
「すまん、ちょっと血をくれ」
「仕方ないにゃんね?マスターは精霊の血を摂取しないと、精霊を扱えないからにゃん」
ごく少量だけ、フェンリルから血を分けてもらい、浮竹はフェンリルに、いつもは1日1個だけの約束のチュールをお礼に2個あげた。
「おや、モンスターが暴れているみたいだね。まぁ、放置しても冒険者もいっぱいいる町だし、悪目立ちするのは避けたいしね」
京楽は、魔法で翼を出して空を飛んでギルドまでやってくる。
「浮竹はどうした?A級昇格のテストになるんだぞ」
ギルドマスターが、京楽を見る。
「ちょっといろいろあってね。ボクが代役で、仕留めるヴァンパイアを選びにきたの」
「夜叉の京楽が選ぶのか。この前はヴァンピール退治で、ハンターとして復活したというのは本当だったんだな」
「まぁ、ぼちぼちね。今は浮竹のサポート役さ」
ギルドマスターは、うんうんと首を縦に振る。
「浮竹は、精霊を使役できる貴重なハンターだからな。慎重に選べよ」
「この、鮮血のカスタトロフというのにするよ」
「鮮血のか。もうハンターを4人も殺している」
「ボクもサポートするから大丈夫。じゃあ、これ退治するってことで、クエスト引き受けるね」
「ああ、ピンチになったら逃げろよ・・・・おっと、夜叉の京楽も一緒にいくんだな。それなら安心か」
「ボクは、あくまでもサポート役だからね。倒すのは、浮竹さ」
京楽は、鮮血のカスタトロフを選んで帰ってきた。
「鮮血か。まあ、倒せなくもないだろう」
数日が経ち、浮竹は京楽と巨大化したフェンリルの背に乗って、鮮血のカスタトロフのいる古城にやってきた。
「くくくく、今宵も愚かなヴァンパイアハンターが二人も。血をすすって、殺してやろう」
浮竹は、マントの下から銀の短剣を引き抜くと、カスタトロフに投げる。
「くくく、私に銀はそうそう効かない」
「く、特異体質か。ならば・・・・出でよ、ジルフェ!」
「あーなんだー。かったりぃ」
「いいから、あいつを攻撃しろ」
「後で、フルーツジュース10人前な」
ジルフェは風の上位精霊だ。
「ウィドカッター」
「ぐおおおおお」
ジルフェに前足を風の魔法で切り飛ばされて、鮮血のカスタトロフは地面に膝をつく。
「この俺が、ヴァンパイアハンターごときに!」
「その調子だよ、浮竹」
京楽は、離れたところで見守っていた。
「ダークフェニックス!あのヴァンパイアを、闇の炎で燃やし尽くせ!」
ただのフェニックスだと、周りの建物にも被害が及ぶので、ダークフェニックスを召喚して使役する。
「ぎいやあああああああ」
鮮血のカスタトロフは、悲鳴を残して灰となった。
その灰をカプセルに入れて、帰り路もフェンリルにのって、ウィキティの町にあるヴァンパイアハンターギルドに行き、灰の入ったカプセルを提出する。
「京楽の手助けは?」
「受けていない」
「うむ、嘘は言っていないようだな。水銀の浮竹、お前をA級ヴァンパイアハンターとする!」
「やった!!」
「よかったね、浮竹。お祝いに、帰ったらしっぽりしようね?」
「アホか。誰がするか。A級になったら、報酬金もあがるし、Aランクのクエストの退治依頼を引き受けれる。ばりばりやっつけるぞ」
「くすん。しっぽりしたいよう」
そんな京楽を足で蹴って、浮竹は京楽を放置して自宅に帰る。
「お前、尻にしかれまくりだな。何で、浮竹の花嫁になったんだ?」
ギルドマスターに声をかけられる。
「だって、10年前になるけど、一目ぼれだったんだよ。ボクがヴァンパイアだったら、浮竹を花嫁にしてたけど、ボクは人間だったから。浮竹に頼んで、花嫁にしてもらって契りあい、契約を交わしたのさ」
「まぁ、最近ヴァンパイアどもの活動が活発になってきているからな。S級の京楽、お前が復帰してくれたことは、大きなプラスになる」
「まぁ、半分隠居だけどね」
「そう言わず、どんどん倒してくれ。まだ、あの洋館の金、払いきれていないんだろう?」
浮竹と京楽の住む大きな洋館は、元々浮竹の父のもので、いなくなって競売にかけられて、浮竹が競り落としたのだ。
その頃はすでに母は他界していたし、父もいなくなったが、成人していたので屋敷を競り落とすことができた。
思い出のいっぱいつまった洋館を手放すことはしたくなかった。
値段が値段だけに、今でもちまちまと返済をしていた。
「A級になったし、稼ぎまくって、負債を取り消しにするぞー」
「そうだのだにゃー」
「あれ、京楽は?」
「置いて毛ぼりくらって、ギルドで隅っこでいじけいたにゃ」
「まぁ、腹がすいたらそのうち帰ってくるだろう。フェンリル、今後もよろしくな」
「任せてなのにゃ。マスターの初めての使役精霊として、ビシバシ働くから、チュールは1日2本にしてほしいにゃ「
「仕方ないやつだなぁ」
浮竹は、フェンリルをもふりまくるのであった。
ちなみに、京楽は帰ってきていたが、存在に気付いてもらえなかったそうな。
血と聖水と名において2
東のバラムまで、馬車で3日はかかる。
そこで、氷の精霊フェンリルを呼び出し、元の巨大な大きさになってもらい、その背に浮竹と京楽は乗って、バラムまで向かった。
半日もしないうちにつくと、バラムの町はゴーストタウンと化していた。
人が一人もいないのだ。」
いるのはグールに下級ヴァンパイアのみ。
それらの群れは、浮竹と京楽を見つけると、襲いかかってくる。
「いちいち相手にしていたらきりがない。フェニックス、イフリート、出でよ!」
「きゅあああああ」
「何ぞ用だ」
「この町のグールと下級ヴァンパイアたちを焼き尽くしてくれ」
「きゅあああ」
「承知」
フェニックスとイフリートは、灼熱の炎でグールや下級ヴァンパイアを焼き尽くし、後に残るのは灰ばかりであった。
「そこにいるんだろう、出てこい!」
「お兄ちゃん、強いんだね」
「君は?」
京楽が、住民の生き残りかと保護しようと近づくと、浮竹に止められた。
「ヴァンピールだ。三人のハンターの命を奪っている」
「あは、ヴァンパイアハンターなんだ。道理で銀のにおいがするわけね。このミネアに倒せないハンターなんていないんだから!」
ミネアと名乗ったヴァンピールは、まだ年端も行かぬ10歳くらいの女の子だった。
「両親はどうした!」
「あははは、ミネアの邪魔するから、殺してあげたの。お父様はお母さまを最後まで庇っていたけど、ミネアの攻撃に耐えきれずに灰になちゃった♪」
「このヴァンビール、感情が欠落しているな。処分しなくちゃ危険だ」
「あはははは、ミネアを処分?笑わせないで。たかがB級のハンターごときが」
浮竹はB級を意味するペンダントをしていた。
だが、浮竹もペンダントをしている。
「な、そっちはS級ですって!たかが人間ごときが!」
「まだ、休業していたいんだけどねぇ。仕方ない、一緒に駆除するよ、浮竹!」
「ああ!」
ミネアは、自分の血から戦闘人形を作りだしてけしかけてくる。
「こんなの、何の役にもたたないよ」
京楽が剣をとりだすと、一掃してしまった。
「血を飲んで、ヴァンパイアにしてあげる。そっちの白い髪のお兄ちゃん綺麗ね。血を吸って、ずっとミネアに尽くす奴隷ヴァンパイアになって?」
なぜか、浮竹を見るヴァンパイアは皆、浮竹の血を欲しがる。それはヴァンピールでも同じことだった。
浮竹は銀の短剣をミネアに投げていたが、素早い動きにあたらず、銀の弾丸の入った銃でもとらえることができなかった。
「いただきまーす」
ミネアは、浮竹の隙をついて、肩に噛みつき血をすする。
「うぎゃああああああ!!!喉が、喉が焼けるうううう」
「ふふ、残念だったな。俺は水銀の浮竹。俺の血には、猛毒の水銀が含まれている」
「おのれえええ」
ミネアが可憐な少女の姿から、醜い肉の塊になる。
「あはははは、この姿は誰にも消せない。銀もきかないし、物理攻撃も魔法攻撃も効かないんだから!」
「いっそ、その姿のほうが殺しやすくて助かるよ。本気でいっていい、浮竹?」
「ああ。夜叉の京楽の力、見せてやれ」
夜叉。それが、京楽の二つ名だった。
京楽は、軽くミネアに触れる。そこから、大量の血液が噴き出す。
「な、ミネアに今何をした!」
「死ねと思って触れただけだよ」
「そんなことで、ミネアは死なないわよ!」
「浮竹、銀の銃を」
「銃くらい、自分のをもっておけ」
浮竹は、京楽に銃を渡すと、下がった。
「血と聖水の名において、アーメン」
そう言って、京楽は銀の弾丸をミネアに向かって打つ。
それは大きな銀の刃となって、ミネアを引き裂いた。
「きゃあああああ!!!」
ミネアは、元の少女の姿に戻っていたが、右手と左足がなかった。
「嘘!ミネアのあの体を傷つけれるハンターがいるなんて、嘘!」
「いや、一応ボクはこれでもS級ヴァンパイアハンターだからね。その気になれば、ヴァンパイアマスターだって殺せるよ」
「ひいいい、くるな!ミネアは、このミネアだけの楽園の町で生きるのよ!」
「あいにくだが、住民のグールや下級ヴァンパイアたちは燃やし尽くした」
「あんなの、ミネアの血があればいくらでも作れるわ」
「ますます、君を殺さないといけなくなったね」
京楽は、銀の剣を抜いた。
S級ハンターにだけ所持を許される、聖剣であった。
「せめて、楽にいかせてあげよう」
「ミネアはこんなところで死なないわ!この町と同じように、隣の都市のリハイムも手に入れるのよ!」
叫ぶミネアを、京楽は顔色一つ変えずに、その心臓を貫く。
「あはははは、ミネアの心臓は・・・・・」
「これだろう?」
浮竹の手には、どくどくと脈打つ心臓があった。
「ぎゃああ、それに触るな!かくしておいたのに、なぜ見つけた!」
「そりゃ、あんだけ結界はってれば、ここに何かありますっていっているようなものだしな。そら、京楽、トドメを」
「いやああああああ!ごめんなさい、もう何もしませんから、どうか命だけは!」
「自分勝手がすぎるよ。おとなしく、死んで?」
京楽は、聖剣でミネアの心臓を貫いた。
「ぎゃあああああああああ」
叫び声を残して、ミネアは灰となる。その灰を、浮竹はカプセルに入れる。
「さすがだな、京楽」
「しっぽり!」
「前言撤回。お前の頭には、しっぽりすることしかないのか!」
「うん」
「だめだこりゃ」
ハンターギルドに行き、灰を提出して金貨千枚を手に入れた。
「けっこうば儲けになったな」
「早く!早く家に帰ってしっぽりしよう!」
「はぁ・・・・・まあ、約束だから仕方ない。しっぽりするか」
「やっほう!二週間ぶりに浮竹を抱ける!」
「まぁ、二週間禁欲言いつけてたからな。よく守れたな」
京楽は、浮竹を抱きしめる。
「君に嫌われたくないからね。ボクの花婿」
「お前が花嫁なんだよなぁ。変だが」
「変でもなんでもいいから、家に帰ってしっぽりしようね」
「ああ、分かっている」
京楽は性欲が強いが二週間も禁欲を言いつけられた反動か、浮竹が意識を失うまで抱くのであった。
そこで、氷の精霊フェンリルを呼び出し、元の巨大な大きさになってもらい、その背に浮竹と京楽は乗って、バラムまで向かった。
半日もしないうちにつくと、バラムの町はゴーストタウンと化していた。
人が一人もいないのだ。」
いるのはグールに下級ヴァンパイアのみ。
それらの群れは、浮竹と京楽を見つけると、襲いかかってくる。
「いちいち相手にしていたらきりがない。フェニックス、イフリート、出でよ!」
「きゅあああああ」
「何ぞ用だ」
「この町のグールと下級ヴァンパイアたちを焼き尽くしてくれ」
「きゅあああ」
「承知」
フェニックスとイフリートは、灼熱の炎でグールや下級ヴァンパイアを焼き尽くし、後に残るのは灰ばかりであった。
「そこにいるんだろう、出てこい!」
「お兄ちゃん、強いんだね」
「君は?」
京楽が、住民の生き残りかと保護しようと近づくと、浮竹に止められた。
「ヴァンピールだ。三人のハンターの命を奪っている」
「あは、ヴァンパイアハンターなんだ。道理で銀のにおいがするわけね。このミネアに倒せないハンターなんていないんだから!」
ミネアと名乗ったヴァンピールは、まだ年端も行かぬ10歳くらいの女の子だった。
「両親はどうした!」
「あははは、ミネアの邪魔するから、殺してあげたの。お父様はお母さまを最後まで庇っていたけど、ミネアの攻撃に耐えきれずに灰になちゃった♪」
「このヴァンビール、感情が欠落しているな。処分しなくちゃ危険だ」
「あはははは、ミネアを処分?笑わせないで。たかがB級のハンターごときが」
浮竹はB級を意味するペンダントをしていた。
だが、浮竹もペンダントをしている。
「な、そっちはS級ですって!たかが人間ごときが!」
「まだ、休業していたいんだけどねぇ。仕方ない、一緒に駆除するよ、浮竹!」
「ああ!」
ミネアは、自分の血から戦闘人形を作りだしてけしかけてくる。
「こんなの、何の役にもたたないよ」
京楽が剣をとりだすと、一掃してしまった。
「血を飲んで、ヴァンパイアにしてあげる。そっちの白い髪のお兄ちゃん綺麗ね。血を吸って、ずっとミネアに尽くす奴隷ヴァンパイアになって?」
なぜか、浮竹を見るヴァンパイアは皆、浮竹の血を欲しがる。それはヴァンピールでも同じことだった。
浮竹は銀の短剣をミネアに投げていたが、素早い動きにあたらず、銀の弾丸の入った銃でもとらえることができなかった。
「いただきまーす」
ミネアは、浮竹の隙をついて、肩に噛みつき血をすする。
「うぎゃああああああ!!!喉が、喉が焼けるうううう」
「ふふ、残念だったな。俺は水銀の浮竹。俺の血には、猛毒の水銀が含まれている」
「おのれえええ」
ミネアが可憐な少女の姿から、醜い肉の塊になる。
「あはははは、この姿は誰にも消せない。銀もきかないし、物理攻撃も魔法攻撃も効かないんだから!」
「いっそ、その姿のほうが殺しやすくて助かるよ。本気でいっていい、浮竹?」
「ああ。夜叉の京楽の力、見せてやれ」
夜叉。それが、京楽の二つ名だった。
京楽は、軽くミネアに触れる。そこから、大量の血液が噴き出す。
「な、ミネアに今何をした!」
「死ねと思って触れただけだよ」
「そんなことで、ミネアは死なないわよ!」
「浮竹、銀の銃を」
「銃くらい、自分のをもっておけ」
浮竹は、京楽に銃を渡すと、下がった。
「血と聖水の名において、アーメン」
そう言って、京楽は銀の弾丸をミネアに向かって打つ。
それは大きな銀の刃となって、ミネアを引き裂いた。
「きゃあああああ!!!」
ミネアは、元の少女の姿に戻っていたが、右手と左足がなかった。
「嘘!ミネアのあの体を傷つけれるハンターがいるなんて、嘘!」
「いや、一応ボクはこれでもS級ヴァンパイアハンターだからね。その気になれば、ヴァンパイアマスターだって殺せるよ」
「ひいいい、くるな!ミネアは、このミネアだけの楽園の町で生きるのよ!」
「あいにくだが、住民のグールや下級ヴァンパイアたちは燃やし尽くした」
「あんなの、ミネアの血があればいくらでも作れるわ」
「ますます、君を殺さないといけなくなったね」
京楽は、銀の剣を抜いた。
S級ハンターにだけ所持を許される、聖剣であった。
「せめて、楽にいかせてあげよう」
「ミネアはこんなところで死なないわ!この町と同じように、隣の都市のリハイムも手に入れるのよ!」
叫ぶミネアを、京楽は顔色一つ変えずに、その心臓を貫く。
「あはははは、ミネアの心臓は・・・・・」
「これだろう?」
浮竹の手には、どくどくと脈打つ心臓があった。
「ぎゃああ、それに触るな!かくしておいたのに、なぜ見つけた!」
「そりゃ、あんだけ結界はってれば、ここに何かありますっていっているようなものだしな。そら、京楽、トドメを」
「いやああああああ!ごめんなさい、もう何もしませんから、どうか命だけは!」
「自分勝手がすぎるよ。おとなしく、死んで?」
京楽は、聖剣でミネアの心臓を貫いた。
「ぎゃあああああああああ」
叫び声を残して、ミネアは灰となる。その灰を、浮竹はカプセルに入れる。
「さすがだな、京楽」
「しっぽり!」
「前言撤回。お前の頭には、しっぽりすることしかないのか!」
「うん」
「だめだこりゃ」
ハンターギルドに行き、灰を提出して金貨千枚を手に入れた。
「けっこうば儲けになったな」
「早く!早く家に帰ってしっぽりしよう!」
「はぁ・・・・・まあ、約束だから仕方ない。しっぽりするか」
「やっほう!二週間ぶりに浮竹を抱ける!」
「まぁ、二週間禁欲言いつけてたからな。よく守れたな」
京楽は、浮竹を抱きしめる。
「君に嫌われたくないからね。ボクの花婿」
「お前が花嫁なんだよなぁ。変だが」
「変でもなんでもいいから、家に帰ってしっぽりしようね」
「ああ、分かっている」
京楽は性欲が強いが二週間も禁欲を言いつけられた反動か、浮竹が意識を失うまで抱くのであった。
血と聖水と名において1
むせ返るような血の匂い。錆びた鉄の匂いが空気に四散している。
浮竹は、無残にもヴァンパイアに血を吸われた死体を検分していた。
「まだ生暖かい」
死体は、まだ先ほどまで生きていたのだろう。
「血と聖水の名において・・・アーメン」
浮竹にに信じる神はない。何せ、彼はヴァンパイアと人の子の間に生まれたヴァンピールであり、ヴァンパイア退治をするヴァンパイアハンターであった。
浮竹は、もっていた銃で、死体の頭部を撃ち抜いた。
そうしないと、グールとなって、生ける屍となるか、ヴァンパイアの下等な、本能で血を求めるだけのヴァンパイアとして蘇ってしまう可能性もあるからだ。
死者がヴァンパイア化すると、知能はゼロだが、並外れた身体能力を有する場合が多い。本当なら、心臓に杭をさして聖水をかけ、墓地に埋葬しなければいけなかったが、そんなことをしている時間はない。
銃の銀の弾丸が、聖水のかわりになってくれる。頭部を銀の弾丸でうちぬけば、ヴァンパイアは死ぬ。
「美しい方・・・・このような荒れ果てた町へようこそ」
背後から声がした。
浮竹の体は、とんでいた。
地面から体が離れ、ほんの一瞬浮遊感を味わったかと思うと、家のレンガに叩きつけられていた。
「がはっ]
「匂いがする・・・・銀の匂いが。ヴァンパイアハンターか」
現れたのは、ごく普通のヴァンパイアではなく、ヴァンパイアロードだった。
ぎりっと、長く細い手が伸びて、浮竹の首を絞めた。
「くっ」
目の前にいたのは、美しい容姿をした20代後半のヴァンパイアロードの男だった。黒一色の服をまとい、血の色のマントをしていた。一般的なヴァンパイアの服装だ。
「それにしても美しいな・・・・」
浮竹は容姿を褒められることが多かった。長い白い髪に翡翠の瞳、整った顔、白い肌。ヴァンピールは美しい者がおおい。
ヴァンパイアロードの手が首から外されると、浮竹は呼吸を求めて息をつくと、いっきに駆け出した。
「血と聖水の名において・・・アーメン!」
長い真紅のコートの下から銀の短剣を取り出し、ヴァンパイアロードに向かって投げる。ヴァンパイアロードは余裕でそれをかわし、一度無数のこうもりの姿になる。それにむかって、また銀の短剣を投げる。
「100人目の生贄になってもらおうか」
そのヴァンパイアロードはが跳躍し、浮竹と距離をとる。
ヴァンパイアロードは、浮竹の影に潜んだ。
「な!」
いきなり背後から現れて、浮竹が体勢を立て直す前に、その首筋に、ヴァンパイアロードが牙をたてる。
「やめろ!」
抗うが、凄まじい力にはなすすべもない。
浮竹は、血を吸われ、そしてゆっくりと微笑んだ。
「俺の血には水銀がまじっている。猛毒だぞ」
「なにいいい」
「血と聖水の名において・・・・いでよ、フェンリル!」
「うぐああああ、喉が、喉がやけるうう!」
もがくヴァンパイアロードに向かって、銀の短剣を投げて描いた陣で、使役魔を呼び出した。フェンリルと名づけた狼は、氷を司る精霊だ。
凍てつく氷のブレスを受けて、ヴァンパイアロードは凍結した。
氷の彫像と化したヴァンパイアロードに、浮竹は銀の弾丸を撃ち込んだ。
ガラガラと、氷の彫像が崩れ、そして灰になっていく。
「血と聖水の名において」
灰を小さなカプセルの中に入れ、そのヴァンパイアのを個体を倒した証とする。灰と引き換えに、ヴァンパイアハンターは報酬金をもらっていた。
「あ、すまん。精霊界に戻ってくれ」
呼び出したフェンリルを元の世界に戻そうするが。フェンリルは戻ってくれない。
フェンリルは尻尾をふって、浮竹にじゃれてくる。
「すまない。戻ってくれないだろうか」
「わん」
「狼なので、わんと咆えないでくれないか」
「にゃあ」
「いや、もっと違うから・・・」
浮竹は、銃をホルダーに直し、カプセルを直すと、ため息をついた。
いつもこんなかんじで、いつまでたっても一流のヴァンパイアハンターになれない。使役魔の数は他のヴァンパイアハンターと比べてもひけをとらないが、使役魔は服従絶対であるのに、浮竹の使役魔は時々いうことを聞いてくれない。
他のヴァンパイアハンターにバカにされることもしばしばだ。もう十年もヴァンパイアハンターを続けているのに、未だに字(あざな)をもらえない。
「はぁ・・・・京楽の元に帰るか」
フェンリルを抱き上げて、浮竹は住処の洋館へと帰還した。
「お帰り。無事、退治できたようだね」
「普通、神父であるお前の仕事だろうが」
「ポクも一応ヴァンパイアハンターだけど、あんまり向いてないから」
「にゃあ」
「フェンリル、外で遊んでおいで」
「にゃあ」
浮竹の使役魔であるフェンリルは、中庭で遊びだした。
「浮竹、血を吸われたね?他にけがはない?」
京楽が、癒しの力で浮竹のヴァンパイアロードに噛まれた傷を癒す。
「他にけがはない」
「そう。ならよかった。昼食の準備はできてるよ」
浮竹と暮らす神父の名は、京楽春水。
神父であり、ヴァンパイアハンターであるが、滅ぼすべきヴァンピールである浮竹と一緒に暮らして10年になる。
浮竹の、いわばヴァンパイアの花嫁として浮竹と契約しており、ただの人間ではなった。不老であった。
浮竹はヴァンピールであるが、父親がヴァンパイアマスター、全てのヴァンパイアの頂点に立つ者で、力はあった。
ただ、今はまだ能力は眠りについていて、本来の力をあまり発揮できずにいた。
「京楽、ヴァンパイアハンターギルドに灰を納品に行くから、ついてきてくれ。お前がいると、俺に敵意を向けるヴァンパイアハンターが少ない」
ヴァンピールも、人の血を吸って生きる。
浮竹の場合、人工血液か、もしくは京楽の血であった。
「へぇ、今回はヴァンパイアロードだったんだ。強くなったね、浮竹」
「まだまだだ。それより、京楽、お前はいつになったらヴァンパイアハンターの稼業を再開するんだ?」
「ん-。気が向いたらかなぁ」
京楽は、浮竹と契っている。
その気になれば、京楽は浮竹を殺せる力をもつ。いや、ヴァンパイアマスターでさえ滅ぼせるかもしれない。
出会いは、父親であるヴァンパイアマスターを退治しにきた京楽が、ヴァンパイアマスターの一粒種であった浮竹に一目ぼれをして、浮竹の父は京楽を殺せたが、面白いといって、浮竹と一緒に自由にさせた。
結果、浮竹は京楽と契って契約を交わし、京楽は不老になった。
でも、ヴァンパイアハンターである。
ヴァンピールである浮竹は、自分たちを守るため、わざとヴァンパイアハンターになって、同胞を殺していた。
昼食を食べ終えて、浮竹と京楽はヴァンパイアハンターギルドに出かける。
「おい、見ろよ、ヴァンピールの浮竹だぞ」
「あっちは神父でありながら、契約者になった京楽だ」
ひそひそ噂話をされるが、気にしない。
「マスター、手配書のあったヴァンパイアロードの灰だ」
「どれどれ・・・・おお、本物だな。ヴァンパイアロードを倒せるなんて、成長したじゃないか浮竹」
「フェンリルのおかげだ」
「にゃああ」
「そのフェンリル、本当に氷の魔狼か?どう見てもにゃあと鳴く子犬に見えるが」
「フェンリル、ブレスを」
「にゃあ」
ハンターギルドのマスターの髪を氷漬けにして、フェンリルは精霊界に戻っていった。
「報酬の、金貨200枚だ。京楽、あんたは浮竹にばかりヴァンパイア退治させて、自分もヴァンパイアハンターなのに浮竹のひもになっているのか?」
「あはははは。まぁ、家事全般やってるから、浮竹の家政婦みたいなもんだよ」
「あんたほどの腕があるなら、ヴァンパイアの駆除も楽になるんだがな」
「マスター、あまり無理を言わないでくれ。京楽には、今その気はないし、ヴァンパイア退治をはじめると、父であるヴァンパイアマスターが出てきそうだから」
浮竹の言葉に、ギルドマスターは顔を青くする。
「ヴァンパイアマスターなんて出た日には、ヴァンパイアハンターなんてみんな殺される」
「父は、平和主義者だ。ハンターをさしむけない限り、害をなすことがない」
「浮竹、お前がヴァンパイアマスターの子でよかったよ。ヴァンパイアハンターとして同族を殺しているが、父親がマスターだから、このギルドまでは報復にこない。どのヴァンパイアも」
「ああ。報復にきたら、俺が退治する」
「ふふ、もう10年か。早いものだな。水銀の浮竹という、二つ名をやろう」
浮竹は嬉しそうに顔をあげる。
「二つ名か!俺も、一人前と認められるんだな?」
「ああ。ロードを倒すくらいだからな」
「よかったね、浮竹。帰ったら、しっぽりしようね?」
「ええい、京楽は一人でしっぽりしてろ!」
「そんなー」
「それがいやなら、そろそろヴァンパイアハンターとして活動しろ」
浮竹は、次のターゲットの情報をもらう。
「次は、東のバラムにいるヴァンピールを退治してほしい。ただのヴァンピールでなく、特異体質で、すでに3人のハンターがやられている」
「分かった。出でよ、フェニックス!」
「きゅああああ!!!」
「ちょ、ギルド内で使役魔を呼ばないでくれ!」
「大丈夫だ。小さくしている」
「そうか」
「浮竹は、使役魔の数は多いからねえ」
「うるさい。どうせ、まだB級のハンターだ。悪かったな」
「いや、攻めてはいないんだけど」
「フェニックス。東のバラムを偵察してきてくれ。ヴァンパイア化した人間がいたなら、炎で焼き殺してくれ」
「きゅああああ」
分かったと、フェニックスは東のバラムに飛んでいく。
「さて、たまには本当に働いてもらうぞ、京楽」
「えー。めんどくさいーーー」
「一緒にバラムに行くんだ」
「それ終わったら、しっぽりしていい?」
「ああ、いいから行くぞ」
浮竹と京楽は、ヴァンパイアハンターとして、再始動するのであった。
浮竹は、無残にもヴァンパイアに血を吸われた死体を検分していた。
「まだ生暖かい」
死体は、まだ先ほどまで生きていたのだろう。
「血と聖水の名において・・・アーメン」
浮竹にに信じる神はない。何せ、彼はヴァンパイアと人の子の間に生まれたヴァンピールであり、ヴァンパイア退治をするヴァンパイアハンターであった。
浮竹は、もっていた銃で、死体の頭部を撃ち抜いた。
そうしないと、グールとなって、生ける屍となるか、ヴァンパイアの下等な、本能で血を求めるだけのヴァンパイアとして蘇ってしまう可能性もあるからだ。
死者がヴァンパイア化すると、知能はゼロだが、並外れた身体能力を有する場合が多い。本当なら、心臓に杭をさして聖水をかけ、墓地に埋葬しなければいけなかったが、そんなことをしている時間はない。
銃の銀の弾丸が、聖水のかわりになってくれる。頭部を銀の弾丸でうちぬけば、ヴァンパイアは死ぬ。
「美しい方・・・・このような荒れ果てた町へようこそ」
背後から声がした。
浮竹の体は、とんでいた。
地面から体が離れ、ほんの一瞬浮遊感を味わったかと思うと、家のレンガに叩きつけられていた。
「がはっ]
「匂いがする・・・・銀の匂いが。ヴァンパイアハンターか」
現れたのは、ごく普通のヴァンパイアではなく、ヴァンパイアロードだった。
ぎりっと、長く細い手が伸びて、浮竹の首を絞めた。
「くっ」
目の前にいたのは、美しい容姿をした20代後半のヴァンパイアロードの男だった。黒一色の服をまとい、血の色のマントをしていた。一般的なヴァンパイアの服装だ。
「それにしても美しいな・・・・」
浮竹は容姿を褒められることが多かった。長い白い髪に翡翠の瞳、整った顔、白い肌。ヴァンピールは美しい者がおおい。
ヴァンパイアロードの手が首から外されると、浮竹は呼吸を求めて息をつくと、いっきに駆け出した。
「血と聖水の名において・・・アーメン!」
長い真紅のコートの下から銀の短剣を取り出し、ヴァンパイアロードに向かって投げる。ヴァンパイアロードは余裕でそれをかわし、一度無数のこうもりの姿になる。それにむかって、また銀の短剣を投げる。
「100人目の生贄になってもらおうか」
そのヴァンパイアロードはが跳躍し、浮竹と距離をとる。
ヴァンパイアロードは、浮竹の影に潜んだ。
「な!」
いきなり背後から現れて、浮竹が体勢を立て直す前に、その首筋に、ヴァンパイアロードが牙をたてる。
「やめろ!」
抗うが、凄まじい力にはなすすべもない。
浮竹は、血を吸われ、そしてゆっくりと微笑んだ。
「俺の血には水銀がまじっている。猛毒だぞ」
「なにいいい」
「血と聖水の名において・・・・いでよ、フェンリル!」
「うぐああああ、喉が、喉がやけるうう!」
もがくヴァンパイアロードに向かって、銀の短剣を投げて描いた陣で、使役魔を呼び出した。フェンリルと名づけた狼は、氷を司る精霊だ。
凍てつく氷のブレスを受けて、ヴァンパイアロードは凍結した。
氷の彫像と化したヴァンパイアロードに、浮竹は銀の弾丸を撃ち込んだ。
ガラガラと、氷の彫像が崩れ、そして灰になっていく。
「血と聖水の名において」
灰を小さなカプセルの中に入れ、そのヴァンパイアのを個体を倒した証とする。灰と引き換えに、ヴァンパイアハンターは報酬金をもらっていた。
「あ、すまん。精霊界に戻ってくれ」
呼び出したフェンリルを元の世界に戻そうするが。フェンリルは戻ってくれない。
フェンリルは尻尾をふって、浮竹にじゃれてくる。
「すまない。戻ってくれないだろうか」
「わん」
「狼なので、わんと咆えないでくれないか」
「にゃあ」
「いや、もっと違うから・・・」
浮竹は、銃をホルダーに直し、カプセルを直すと、ため息をついた。
いつもこんなかんじで、いつまでたっても一流のヴァンパイアハンターになれない。使役魔の数は他のヴァンパイアハンターと比べてもひけをとらないが、使役魔は服従絶対であるのに、浮竹の使役魔は時々いうことを聞いてくれない。
他のヴァンパイアハンターにバカにされることもしばしばだ。もう十年もヴァンパイアハンターを続けているのに、未だに字(あざな)をもらえない。
「はぁ・・・・京楽の元に帰るか」
フェンリルを抱き上げて、浮竹は住処の洋館へと帰還した。
「お帰り。無事、退治できたようだね」
「普通、神父であるお前の仕事だろうが」
「ポクも一応ヴァンパイアハンターだけど、あんまり向いてないから」
「にゃあ」
「フェンリル、外で遊んでおいで」
「にゃあ」
浮竹の使役魔であるフェンリルは、中庭で遊びだした。
「浮竹、血を吸われたね?他にけがはない?」
京楽が、癒しの力で浮竹のヴァンパイアロードに噛まれた傷を癒す。
「他にけがはない」
「そう。ならよかった。昼食の準備はできてるよ」
浮竹と暮らす神父の名は、京楽春水。
神父であり、ヴァンパイアハンターであるが、滅ぼすべきヴァンピールである浮竹と一緒に暮らして10年になる。
浮竹の、いわばヴァンパイアの花嫁として浮竹と契約しており、ただの人間ではなった。不老であった。
浮竹はヴァンピールであるが、父親がヴァンパイアマスター、全てのヴァンパイアの頂点に立つ者で、力はあった。
ただ、今はまだ能力は眠りについていて、本来の力をあまり発揮できずにいた。
「京楽、ヴァンパイアハンターギルドに灰を納品に行くから、ついてきてくれ。お前がいると、俺に敵意を向けるヴァンパイアハンターが少ない」
ヴァンピールも、人の血を吸って生きる。
浮竹の場合、人工血液か、もしくは京楽の血であった。
「へぇ、今回はヴァンパイアロードだったんだ。強くなったね、浮竹」
「まだまだだ。それより、京楽、お前はいつになったらヴァンパイアハンターの稼業を再開するんだ?」
「ん-。気が向いたらかなぁ」
京楽は、浮竹と契っている。
その気になれば、京楽は浮竹を殺せる力をもつ。いや、ヴァンパイアマスターでさえ滅ぼせるかもしれない。
出会いは、父親であるヴァンパイアマスターを退治しにきた京楽が、ヴァンパイアマスターの一粒種であった浮竹に一目ぼれをして、浮竹の父は京楽を殺せたが、面白いといって、浮竹と一緒に自由にさせた。
結果、浮竹は京楽と契って契約を交わし、京楽は不老になった。
でも、ヴァンパイアハンターである。
ヴァンピールである浮竹は、自分たちを守るため、わざとヴァンパイアハンターになって、同胞を殺していた。
昼食を食べ終えて、浮竹と京楽はヴァンパイアハンターギルドに出かける。
「おい、見ろよ、ヴァンピールの浮竹だぞ」
「あっちは神父でありながら、契約者になった京楽だ」
ひそひそ噂話をされるが、気にしない。
「マスター、手配書のあったヴァンパイアロードの灰だ」
「どれどれ・・・・おお、本物だな。ヴァンパイアロードを倒せるなんて、成長したじゃないか浮竹」
「フェンリルのおかげだ」
「にゃああ」
「そのフェンリル、本当に氷の魔狼か?どう見てもにゃあと鳴く子犬に見えるが」
「フェンリル、ブレスを」
「にゃあ」
ハンターギルドのマスターの髪を氷漬けにして、フェンリルは精霊界に戻っていった。
「報酬の、金貨200枚だ。京楽、あんたは浮竹にばかりヴァンパイア退治させて、自分もヴァンパイアハンターなのに浮竹のひもになっているのか?」
「あはははは。まぁ、家事全般やってるから、浮竹の家政婦みたいなもんだよ」
「あんたほどの腕があるなら、ヴァンパイアの駆除も楽になるんだがな」
「マスター、あまり無理を言わないでくれ。京楽には、今その気はないし、ヴァンパイア退治をはじめると、父であるヴァンパイアマスターが出てきそうだから」
浮竹の言葉に、ギルドマスターは顔を青くする。
「ヴァンパイアマスターなんて出た日には、ヴァンパイアハンターなんてみんな殺される」
「父は、平和主義者だ。ハンターをさしむけない限り、害をなすことがない」
「浮竹、お前がヴァンパイアマスターの子でよかったよ。ヴァンパイアハンターとして同族を殺しているが、父親がマスターだから、このギルドまでは報復にこない。どのヴァンパイアも」
「ああ。報復にきたら、俺が退治する」
「ふふ、もう10年か。早いものだな。水銀の浮竹という、二つ名をやろう」
浮竹は嬉しそうに顔をあげる。
「二つ名か!俺も、一人前と認められるんだな?」
「ああ。ロードを倒すくらいだからな」
「よかったね、浮竹。帰ったら、しっぽりしようね?」
「ええい、京楽は一人でしっぽりしてろ!」
「そんなー」
「それがいやなら、そろそろヴァンパイアハンターとして活動しろ」
浮竹は、次のターゲットの情報をもらう。
「次は、東のバラムにいるヴァンピールを退治してほしい。ただのヴァンピールでなく、特異体質で、すでに3人のハンターがやられている」
「分かった。出でよ、フェニックス!」
「きゅああああ!!!」
「ちょ、ギルド内で使役魔を呼ばないでくれ!」
「大丈夫だ。小さくしている」
「そうか」
「浮竹は、使役魔の数は多いからねえ」
「うるさい。どうせ、まだB級のハンターだ。悪かったな」
「いや、攻めてはいないんだけど」
「フェニックス。東のバラムを偵察してきてくれ。ヴァンパイア化した人間がいたなら、炎で焼き殺してくれ」
「きゅああああ」
分かったと、フェニックスは東のバラムに飛んでいく。
「さて、たまには本当に働いてもらうぞ、京楽」
「えー。めんどくさいーーー」
「一緒にバラムに行くんだ」
「それ終わったら、しっぽりしていい?」
「ああ、いいから行くぞ」
浮竹と京楽は、ヴァンパイアハンターとして、再始動するのであった。
桜のあやかしと共に98
藍染は、7つある命のうち、3つを失った。
魔神であることが終わったのだ。
「何故だ!何故、私は神のままでいられない!」
「それは、君が神にふさわしくないからだよ」
「ええい、うるさい!死ね!」
藍染は、憐れむような京楽に向けて、破壊の力を発動させる。
京楽は、それを桜鬼神の力で受け止める。
「何故、私だけ神になれないのだ!こんなにも神になりたいのに」
「動機が不純だからだろう。お前は神の力を利用してこの世界を自分のものにしようとしている」
桜の花神になった浮竹は、ふっと桜の花びらを吹いた。
それは炎となって藍染を包み込む。
「この程度の攻撃・・・・・」
藍染は、火をすぐに消し去った。
「やはり、しぶといな。魔神になりそこなっても神もどきであることには変わりない。京楽!」
「うん、分かってるよ!」
浮竹と京楽は、神の力を合体させる。
「われは桜の神。四季の神。桜の鬼の神。死するに値する者よ、滅びるがいい」
「うぎゃああああああ」
藍染は、4つの命のうち1つをまた失った。
「こ、こうなれば魔神ユーハバッハの核を取り込んでやる!」
藍染は、取り出した魔神ユーハバッハの核を飲み込んだ。
「くくくく、力があふれてくる」
「愚かな。相応の力もないのに、そんなものを取り込めば・・・・・・」
「ぐが、ぐぎゃああああああああ!!」
藍染は、血を全身から出しながら倒れる。
「愚かな者に死の慈悲を」
浮竹と京楽は、神として合体して一柱の神になっていた。元々、桜の花神も桜鬼神も1つの神であった。
「さぁ、残りの命はあと3つ。いつまで耐えれるかな?」
「ま、待て!わ、私と手を組もう!」
「そんなことするわけないと、分かっているだろに。我は桜の神。桜があれば、それでよいのだ」
異界にある、桜の大樹が輝いた。
「滅びよ、藍染」
「ぎゃああああああああ」
一気に残り3つの命を奪われて、藍染は塵となってこの世から消え失せた。
「ふう、終わったね」
「ああ、終わったな」
桜の神であった二人は、一人から二人に戻っていた。
「さて、これからどうするの?」
「藍染の手下を全て殺す」
「容赦ないねぇ」
「第二の藍染が出てこないとも限らないからな」
「そうだね。一掃したら、平和になるね」
それから、1か月かけて藍染の手下を全て処分した。
「結局、太陽の王の出番はなかったね」
「一護くんには、争いと無縁でいてほしいからな」
「うん、そうだね」
「俺は長く生きすぎた。少し・・・・・そうだな、1年くらい休眠しようと思う」
「じゃあ、ボクも付き合うよ」
「祓い屋の仕事はいいのか?」
浮竹が首を傾げる。
「恋次くんになすりつける」
「ふふ、わがままな神もあったものだな」
「じゃあ、眠ろうか」
「うん」
異界の桜の大樹は、いつものように咲き狂っていた。
「いつか、人とあやかしが仲良く生きられる時代がくるといいな」
「そうだね」
二人は、1年の休眠に入るのだった。
藍染はいなくなり、脅威は去った。
二人は、不要となった神の力を放棄するために休眠に入ったのだ。
それから1年後、休眠から目覚めると、白哉が迎えにいてくれた。恋次も一緒だった。
「この赤ハエがあああああああ」
「うわあああ、だから、一緒に迎えに行くの反対だったんです!」
浮竹は、どこからか殺虫スプレーを取り出して恋次にふきかける。
「うう、体がしびれる」
「ふふふ。人間にも効くように作ったからな」
「浮竹、やめないと、弟であることをやめるぞ?」
「白哉、すまなかった」
浮竹はしょんぼりした。
「さぁ、現世に返ろう。鴆の京楽と彼岸花の整理絵の浮竹が、首を長くして待っているぞ」
「帰ろうか、京楽」
「うん」
こうして、二人は京楽のマンションに戻る。
『やっと目覚めたな。神であることをやめたのか。もったいない』
『藍染が死んで、不要になったからじゃない?』
「その通りだ。不相応の力は、己を滅ぼす」
「ボクは神のままでもよかったんだけどね?」
京楽は、浮竹にハリセンではたかれる。
「さぁ、藍染もその手下もいない平和な世界を満喫しよう。まずは世界旅行だ!」
「うわあ、スケールがでかいねぇ」
『またいなくなるのか?』
彼岸花の精霊の浮竹が不機嫌そうに言う。
「何、異界渡りをすれば、いつでも会える」
『それならいい。桜の王とはもっと遊びたいからな』
鴆の京楽は、薬をいっぱいくれた。
『1年も眠っていたんでしょ。力が弱まっているはずだよ。これはそれを治す薬ね?』
「ああ、ありがとう」
「ありがとね」
浮竹と京楽は、白哉も連れて世界一周旅行に出かけることになった。
平和なさりげない日常が戻ってくる。
船での旅であったが、浮竹はよく異界を通って、彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽に、京楽と一緒に会いにいった。
「世界は広いぞ」
『うん、そうだね。ボクもいつか、外の世界を旅してみたいよ』
「まずは、人になれることからだな」
『うん』
『今日のお土産は?』
急かす彼岸花の精霊の浮竹に、浮竹はドーナツをあげた。
『始めてた食べるが、うまいな』
「ふふ。さぁ、始めようか、俺たちの新しい物語を」
浮竹は、桜の花びらを散らせて、微笑んだ。
みんな、その顔があまりにも綺麗なので、見つめていた。
さぁ、はじめよう。
新しい、物語を。
魔神であることが終わったのだ。
「何故だ!何故、私は神のままでいられない!」
「それは、君が神にふさわしくないからだよ」
「ええい、うるさい!死ね!」
藍染は、憐れむような京楽に向けて、破壊の力を発動させる。
京楽は、それを桜鬼神の力で受け止める。
「何故、私だけ神になれないのだ!こんなにも神になりたいのに」
「動機が不純だからだろう。お前は神の力を利用してこの世界を自分のものにしようとしている」
桜の花神になった浮竹は、ふっと桜の花びらを吹いた。
それは炎となって藍染を包み込む。
「この程度の攻撃・・・・・」
藍染は、火をすぐに消し去った。
「やはり、しぶといな。魔神になりそこなっても神もどきであることには変わりない。京楽!」
「うん、分かってるよ!」
浮竹と京楽は、神の力を合体させる。
「われは桜の神。四季の神。桜の鬼の神。死するに値する者よ、滅びるがいい」
「うぎゃああああああ」
藍染は、4つの命のうち1つをまた失った。
「こ、こうなれば魔神ユーハバッハの核を取り込んでやる!」
藍染は、取り出した魔神ユーハバッハの核を飲み込んだ。
「くくくく、力があふれてくる」
「愚かな。相応の力もないのに、そんなものを取り込めば・・・・・・」
「ぐが、ぐぎゃああああああああ!!」
藍染は、血を全身から出しながら倒れる。
「愚かな者に死の慈悲を」
浮竹と京楽は、神として合体して一柱の神になっていた。元々、桜の花神も桜鬼神も1つの神であった。
「さぁ、残りの命はあと3つ。いつまで耐えれるかな?」
「ま、待て!わ、私と手を組もう!」
「そんなことするわけないと、分かっているだろに。我は桜の神。桜があれば、それでよいのだ」
異界にある、桜の大樹が輝いた。
「滅びよ、藍染」
「ぎゃああああああああ」
一気に残り3つの命を奪われて、藍染は塵となってこの世から消え失せた。
「ふう、終わったね」
「ああ、終わったな」
桜の神であった二人は、一人から二人に戻っていた。
「さて、これからどうするの?」
「藍染の手下を全て殺す」
「容赦ないねぇ」
「第二の藍染が出てこないとも限らないからな」
「そうだね。一掃したら、平和になるね」
それから、1か月かけて藍染の手下を全て処分した。
「結局、太陽の王の出番はなかったね」
「一護くんには、争いと無縁でいてほしいからな」
「うん、そうだね」
「俺は長く生きすぎた。少し・・・・・そうだな、1年くらい休眠しようと思う」
「じゃあ、ボクも付き合うよ」
「祓い屋の仕事はいいのか?」
浮竹が首を傾げる。
「恋次くんになすりつける」
「ふふ、わがままな神もあったものだな」
「じゃあ、眠ろうか」
「うん」
異界の桜の大樹は、いつものように咲き狂っていた。
「いつか、人とあやかしが仲良く生きられる時代がくるといいな」
「そうだね」
二人は、1年の休眠に入るのだった。
藍染はいなくなり、脅威は去った。
二人は、不要となった神の力を放棄するために休眠に入ったのだ。
それから1年後、休眠から目覚めると、白哉が迎えにいてくれた。恋次も一緒だった。
「この赤ハエがあああああああ」
「うわあああ、だから、一緒に迎えに行くの反対だったんです!」
浮竹は、どこからか殺虫スプレーを取り出して恋次にふきかける。
「うう、体がしびれる」
「ふふふ。人間にも効くように作ったからな」
「浮竹、やめないと、弟であることをやめるぞ?」
「白哉、すまなかった」
浮竹はしょんぼりした。
「さぁ、現世に返ろう。鴆の京楽と彼岸花の整理絵の浮竹が、首を長くして待っているぞ」
「帰ろうか、京楽」
「うん」
こうして、二人は京楽のマンションに戻る。
『やっと目覚めたな。神であることをやめたのか。もったいない』
『藍染が死んで、不要になったからじゃない?』
「その通りだ。不相応の力は、己を滅ぼす」
「ボクは神のままでもよかったんだけどね?」
京楽は、浮竹にハリセンではたかれる。
「さぁ、藍染もその手下もいない平和な世界を満喫しよう。まずは世界旅行だ!」
「うわあ、スケールがでかいねぇ」
『またいなくなるのか?』
彼岸花の精霊の浮竹が不機嫌そうに言う。
「何、異界渡りをすれば、いつでも会える」
『それならいい。桜の王とはもっと遊びたいからな』
鴆の京楽は、薬をいっぱいくれた。
『1年も眠っていたんでしょ。力が弱まっているはずだよ。これはそれを治す薬ね?』
「ああ、ありがとう」
「ありがとね」
浮竹と京楽は、白哉も連れて世界一周旅行に出かけることになった。
平和なさりげない日常が戻ってくる。
船での旅であったが、浮竹はよく異界を通って、彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽に、京楽と一緒に会いにいった。
「世界は広いぞ」
『うん、そうだね。ボクもいつか、外の世界を旅してみたいよ』
「まずは、人になれることからだな」
『うん』
『今日のお土産は?』
急かす彼岸花の精霊の浮竹に、浮竹はドーナツをあげた。
『始めてた食べるが、うまいな』
「ふふ。さぁ、始めようか、俺たちの新しい物語を」
浮竹は、桜の花びらを散らせて、微笑んだ。
みんな、その顔があまりにも綺麗なので、見つめていた。
さぁ、はじめよう。
新しい、物語を。
桜のあやかしと共に97
彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽の力をかりて、浮竹は京楽のさらわれた商店街にきていた。
ちょうど昼頃で、活気があってにぎわっていたが、鴆の京楽は人がだめなので、人のいない場所で待機してもらっていた。
「このへんに、京楽がいるはずなんだが」
『窮鼠と藍染のにおいがする』
「あ、十四郎!」
現れたのは、元に戻っていた京楽だった。
誘拐から6時間が経過していた。商店街につくまでに、走ったが4時間もかかってしまった。
幼子になった京楽に、何かあるかと心配していたが、杞憂に終わった。
「お前、窮鼠は?」
「3歳の体で術を使ったら暴走して、ズタボロになって死んだよ」
『それはちょっと気の毒だな』
彼岸花の精霊の浮竹は、クスクスと笑う。
「お前が無事でよかった」
「もう、これにこりたら縮む薬なんて飲ませないでね!」
「あ、ああ」
3歳の京楽を愛でたかった浮竹であるが、敵に誘拐されるとは思っていなかったので、もう飲ませないと誓う。
『藍染は出たのか?ブーンカサカサろ』
「それゴキじゃ・・・・・」
『あんなやつ、ゴキブリでいいだろ』
「そうだそうだ。ゴキだ。藍ゴキだ]
二人の浮竹は、藍染をゴキブリ扱いする。
「殺虫スプレー今度買ってこよう」
『藍染ホイホイはないのか?』
「ひっかかるエサが何かわからないからな」
「藍染はこなかったけど、そのうち来るとは言っていたね。魔王の種とかいうものを窮鼠は藍染からもらっていたみたいだけど、確かにただの窮鼠にしてはやたらとタフだったけど、しょせんは窮鼠。ぎったんぎったんにしてやったよ」
「3歳の体でか?」
「うん、そう。いつもより術が扱いにくかったけど、暴走してくれたおかげでいつもの2倍の威力が出たし、藍染が来る前に脱出できたから問題はないよ」
『窮鼠は、お前を贄にすると言っていたんだろう?』
彼岸花の精霊の浮竹は、京楽の心配をする。
『本当に、大丈夫なのか?』
「大丈夫。何もされてないはず・・・・・浮竹、一応チェックしてみて」
京楽は、浮竹に頼む。
「あ、魔王の種!お前の背中についていたぞ。発芽していたら、ちょっとややこしいことになったかもな」
「魔王の種ごときで、死んだり傷ついたりはしないだろうけど、一応藍染の手下もどきにされてしまう可能性もあるからね」
『窮鼠もばかだな。魔神か知らないが、藍染なんかにくみするから、死ぬ羽目になった』
彼岸花の精霊の浮竹は、さまよい出てきた窮鼠の魂を、冥界に送ってやる。
「そういえば、何か忘れているような気がするんだが」
「なんだろうね?」
『さぁ、なんだろろう』
三人は、首を傾げる。
『ちょっと、どうなってるの~。人無理だから隔離されたのに、迎えにもきてくれないなんて薄情だーーーーー』
鴆の京楽の存在を、三人はすっかり忘れていた。
彼岸花の精霊の浮竹が思い出して、商店街から帰還した後で気づいた。
『そういえば、京楽を知らないか』
「ああ、そういえば人が無理っていうから、空き店舗にいてくれってお願いして忘れてた」
『異界渡りをして、迎えに行ってくる』
「ああ。すまないと、伝えておいてくれ」
「ボクを助けに人は無理なのに、きてくれてたんだね。今度、改めてお礼をしなきゃね?」
『じゃあ、京楽を迎えにいってくる』
「ああ、行ってこい」
-----------------------------------------------------
「窮鼠?ばらばらじゃないか。魔王の種を植えこんだんだぞ?それをこうもたやすく殺すとは・・・・・・桜鬼神は、私の魔神と同等かそれ以上の力でもあるというのか?」
窮鼠の死体を踏みつぶして、藍染は歯ぎしりする。
窮鼠が、魔王の種を欲しがっていたので、かわりに桜鬼神をさらって生贄にしろと言っておいたのだ。
まぁ、最初から生贄にするのは無理だろうとは思っていたが、3歳の姿でここまでされると、さすがに桜鬼神の力の巨大さを見せつけられるようで、面白くなかった。
「魔王の種を改良するか。もっと、力がつくように・・・・・」
藍染は、自分がゴキブリ呼ばわりされていることなど、全く知る由もなかった。
浮竹と京楽は、きっと待っていたら藍染と会えたかもしれないが、決選の準備が整っていないし、穏やかに暮らしたいので、藍染を放置プレイしておくのだった。
ちょうど昼頃で、活気があってにぎわっていたが、鴆の京楽は人がだめなので、人のいない場所で待機してもらっていた。
「このへんに、京楽がいるはずなんだが」
『窮鼠と藍染のにおいがする』
「あ、十四郎!」
現れたのは、元に戻っていた京楽だった。
誘拐から6時間が経過していた。商店街につくまでに、走ったが4時間もかかってしまった。
幼子になった京楽に、何かあるかと心配していたが、杞憂に終わった。
「お前、窮鼠は?」
「3歳の体で術を使ったら暴走して、ズタボロになって死んだよ」
『それはちょっと気の毒だな』
彼岸花の精霊の浮竹は、クスクスと笑う。
「お前が無事でよかった」
「もう、これにこりたら縮む薬なんて飲ませないでね!」
「あ、ああ」
3歳の京楽を愛でたかった浮竹であるが、敵に誘拐されるとは思っていなかったので、もう飲ませないと誓う。
『藍染は出たのか?ブーンカサカサろ』
「それゴキじゃ・・・・・」
『あんなやつ、ゴキブリでいいだろ』
「そうだそうだ。ゴキだ。藍ゴキだ]
二人の浮竹は、藍染をゴキブリ扱いする。
「殺虫スプレー今度買ってこよう」
『藍染ホイホイはないのか?』
「ひっかかるエサが何かわからないからな」
「藍染はこなかったけど、そのうち来るとは言っていたね。魔王の種とかいうものを窮鼠は藍染からもらっていたみたいだけど、確かにただの窮鼠にしてはやたらとタフだったけど、しょせんは窮鼠。ぎったんぎったんにしてやったよ」
「3歳の体でか?」
「うん、そう。いつもより術が扱いにくかったけど、暴走してくれたおかげでいつもの2倍の威力が出たし、藍染が来る前に脱出できたから問題はないよ」
『窮鼠は、お前を贄にすると言っていたんだろう?』
彼岸花の精霊の浮竹は、京楽の心配をする。
『本当に、大丈夫なのか?』
「大丈夫。何もされてないはず・・・・・浮竹、一応チェックしてみて」
京楽は、浮竹に頼む。
「あ、魔王の種!お前の背中についていたぞ。発芽していたら、ちょっとややこしいことになったかもな」
「魔王の種ごときで、死んだり傷ついたりはしないだろうけど、一応藍染の手下もどきにされてしまう可能性もあるからね」
『窮鼠もばかだな。魔神か知らないが、藍染なんかにくみするから、死ぬ羽目になった』
彼岸花の精霊の浮竹は、さまよい出てきた窮鼠の魂を、冥界に送ってやる。
「そういえば、何か忘れているような気がするんだが」
「なんだろうね?」
『さぁ、なんだろろう』
三人は、首を傾げる。
『ちょっと、どうなってるの~。人無理だから隔離されたのに、迎えにもきてくれないなんて薄情だーーーーー』
鴆の京楽の存在を、三人はすっかり忘れていた。
彼岸花の精霊の浮竹が思い出して、商店街から帰還した後で気づいた。
『そういえば、京楽を知らないか』
「ああ、そういえば人が無理っていうから、空き店舗にいてくれってお願いして忘れてた」
『異界渡りをして、迎えに行ってくる』
「ああ。すまないと、伝えておいてくれ」
「ボクを助けに人は無理なのに、きてくれてたんだね。今度、改めてお礼をしなきゃね?」
『じゃあ、京楽を迎えにいってくる』
「ああ、行ってこい」
-----------------------------------------------------
「窮鼠?ばらばらじゃないか。魔王の種を植えこんだんだぞ?それをこうもたやすく殺すとは・・・・・・桜鬼神は、私の魔神と同等かそれ以上の力でもあるというのか?」
窮鼠の死体を踏みつぶして、藍染は歯ぎしりする。
窮鼠が、魔王の種を欲しがっていたので、かわりに桜鬼神をさらって生贄にしろと言っておいたのだ。
まぁ、最初から生贄にするのは無理だろうとは思っていたが、3歳の姿でここまでされると、さすがに桜鬼神の力の巨大さを見せつけられるようで、面白くなかった。
「魔王の種を改良するか。もっと、力がつくように・・・・・」
藍染は、自分がゴキブリ呼ばわりされていることなど、全く知る由もなかった。
浮竹と京楽は、きっと待っていたら藍染と会えたかもしれないが、決選の準備が整っていないし、穏やかに暮らしたいので、藍染を放置プレイしておくのだった。
夜に恋して
浮竹十四郎。年齢、14歳。
肺の病を患っており、体が弱いが見た目がとても綺麗なので、色子ばかりを集めた桜王茶屋の陰間茶屋で、一番の売れっ子だった。
源氏名は、翡翠。夜に恋をする色子。
翡翠のように綺麗な緑色の目をしているからが、名前の由来だった。
浮竹は、体を売っても心は売らない。
どんな上客が愛を囁いても適度に受け流し、まして身請け話が出ると、自分から断った。
全ては、今から3年前に起因していた。
京楽春水という、花街に浸る上流貴族がいた。年齢は20歳。年若く、まだ妻帯していないこともあって、玉の輿を狙う遊女は多かった。
適度に遊びなれしていた京楽は、遊女ばかり相手にしていたのに、その日は珍しく陰間茶屋にきていて、色子を買っていた。
雪と呼ばれる、当時のナンバー1の色子であった。
浮竹はそれを見ながら、いつかこんな上客が自分にもつけばいいなぁと思っていた。当時、浮竹はまだ色子として売られてきたばかりで、体の弱さのせいもあって、主に簡単な雑用を任されていた。
「雪」
浮竹が、京楽を見送った雪の名を呼ぶ。
「ああ、翡翠。京楽の旦那、翡翠のこと気になるみたいだよ。あの色子を指名したいって言って、茶屋の主の旦那様が悩んでた」
「俺を、指名?」
「そう。でも、翡翠まだ茶屋に慣れていないからね。まだ11だしね。客を取るんは少し早いんじゃないかってのが、旦那様の考えだよ」
確かに、浮竹は当時11歳で幼かった。
精通さえまだ迎えていない。
色子の春を売る期間は短く、20をいくつか過ぎたころには、皆年季があけたり身請けされたりで、茶屋から去っていく。
本当なら、10から客をとることもできるのだが、浮竹は体が弱いので、茶屋の主も苦悩しているようだった。もし、体を売って、取返しがつかなくなるほど、肺の病が悪化しないかが心配だった。
浮竹の肺の病はうつらないが、なかなか治ることもなかった。売られる前よりは、少しよくなっていたが。
売られた頃は、両親にろくに食事も与えてもらえなかったうえに、医者にも診せてもらえずに、知り合いだった茶屋の主が、浮竹を買い取った。
茶屋の主の名は朽木白哉。
元色子で、貴族であったが、没落してしまい今は陰間茶屋の主をしていた。
「白哉、俺は来年で12になる。そろそろ、客をとりたい。白哉に借金をしたままなのは、いやだ」
「だが、翡翠、兄は体が弱い。もし、病が.悪化したら・・・」
「その時はその時だ。どのみち、両親に捨てられかけていたのを救ってくれたのは白哉だ。白哉が俺を買ってくれなかったら、俺は病と飢えで死んでいた。恩返しがしたい。俺に、色子をやらせてくれ」
「わかった。兄がそこまでいうなら、明日から色子として店に出てもらう」
「ああ」
そして、雪を買いに来た京楽と出会う。
「君は?新しい子?」
「翡翠という。しばらく前に茶屋の主人に買われて、その借金を返すために色子になった」
「本名は?」
「浮竹十四郎。下級貴族だが、一応は貴族だ」
「へぇ・・・・君みたいな綺麗な子がいたなんて、驚きだね。君を指名してもいいかい?」
「雪を買いにきたんじゃ?」
「今日は違う子を選ぼうを思ってたんだよ。君がいい。翡翠、今日はボクのものになって」
話はとんとん拍子でまとまって、京楽はすぐに浮竹の上客になった。
まだ精通も迎えていない浮竹は、女のようにオーガズムでいき、その体は幼いが故の中性に似ていて、京楽を喜ばせた。
雪から、客の喜ばせ方を教えてもらっていて、それが役に立った。
京楽は、週末がくると必ず浮竹を買いにきた。1年経つ頃には、京楽は浮竹を好きになっていたし、浮竹も京楽を好きになっていた。
上流貴族だけに、いつか自分を身請けしてくれるのではと思っていた。
京楽が、ぱったりこなくなったのは、浮竹が13になった誕生日の日だった。京楽から、身請け話が出ていたが、すっかりこなくなってしまったので、それも消えてしまった。
「京楽・・・・俺に飽きたのか?」
浮竹は、涙を流すが、主である白哉に慰められ、他の客もとるように勧められた。
他の客をとると、皆、浮竹の虜になった。
「翡翠、桜花屋の花魁が遊びにきているぞ」
「ああ、今いく」
色子の相手は、何も男性ばかりではない。たまに女性客もとったし、同じ花街の遊女に買われることもあった。
「元気にしてた?」
「ああ。ただ、少し昔の常連を思い出していただけだ。恋愛感情があった。花街での色恋沙汰はご法度なのにな」
「あら、そういえば、最近また京楽の旦那が花街に来てるって知ってた?」
「え、そうなのか」
浮竹を買った花魁は、浮竹に抱かれながら、話をする。
「なんでも、兄が死んで、とても花街に通えるような状態じゃなかったらしいわよ。当主には結局ならずに、いとこに家督を譲ったみたい。大金と引き換えに」
「そうか・・・・・・・・」
それから数日後、京楽は実に2年ぶりに浮竹を買いにきた。
「翡翠。ボクにまだ思いが残っているなら、身請けされて」
「え?」
「家督を譲る代わりに、君を買うだけの金をもらった。当主になったら絶対に翡翠を身請けなんてできないだろうし、ボクは当主なんてむいてないからね。君を買ってもまだまだ裕福に暮らせるだけの金はある」
「京楽・・・・・会いたかった。好き、なんだ」
「うん。ボクもずっと会いたかった。でも、屋敷から出ることを禁じられていてね。抜け出しても、君を買う金ももたせてもらえなかった」
「身請けの話を出しておきながら、いきなりいなくなるから、飽きられたのかと思った」
「そんなことあるわけないよ!ボクは翡翠、君がいればそれだけでいい」
「十四郎と、呼んでくれ。俺の本当の名だ」
「十四郎・・・・・抱いて、いいかい?」
「ああ。俺を買ったのはお前だ。好きにするといい」
「必ず、身請けをするから」
「ああああ!!」
浮竹を激しく突き上げながら、熱にうなされたかのように、京楽は身請けすると浮竹の耳元で囁いた。
「んあああ、奥はだめえええ」
「奥、相変わらず弱いんだね?」
京楽は、浮竹の奥に入り込み、抉って中をかきまぜる。
「ひああああん!!!」
「思い出すねぇ。君が精通を迎えたの、ボクと寝ている時だったね」
「やああああん」
「こっちも、もう出せるでしょ。ほら、一緒にいこう」
「ああああ、京楽」
「春水って呼んで?十四郎」
「あ、春水!」
浮竹は、大きく中いきをしながら、京楽に前をいじられて、京楽と一緒にいっていた。
京楽は浮竹の胎の奥に、浮竹は京楽の手の中に、精液を吐き出していた。
「んあああ。今、いったばかりだから・・・・ひゃん」
耳を甘噛みされて、胸の先端を舐め転がされる。
「やぁ、くすぐったい」
「ふふ、君は変わらないね。確かに伸長も伸びたし、外見はまだ女の子みたいだけど、だいぶ男性らしくなってきた」
「あ、幼いままの俺が好きなのか?」
「ううん。ただ、成長したなぁと思っただけだよ」
「ひああああ!奥はらめえええ」
浮竹を、時間をたっぷりかけて愛して、浮竹は軽くまどろみながら、京楽の黒い癖のある黒髪を撫でた。
「俺は、お前に身請けされたい・・・・・」
「うん。明日には、もう自由だからね。茶屋の主人の白哉くんには金を払っているし、了承もとってあるから」
次の日になって、浮竹は起きると着替えせられていて、馬車の中だった。
「あれ、ここは!?」
「君が眠ったままだったから、勝手に荷物全部まとめたよ。ここは馬車の中。僕の屋敷に行くところだよ。君はボクに身請けされたの」
「まだ、白哉や雪にさよならを言っていない」
「それは、ひとまず君の肺を医者に診てもらって、手術終わった後でね。君の病は、大金さえだせば治るそうだよ」
「治る・・・・・俺の病が?」
「うん。ただ、身請けの額よりも高いから、誰も治せなかっただけで」
「春水、俺はそこまで価値があるのか?」
「価値はあるよ。ボクが、人生で唯一愛した人だから」
「春水・・・・・・」
「十四郎、愛しているよ」
「俺も、愛してる」
それから、浮竹は入院して肺の手術を受け、無事完治した。
健康になったその足で、桜王茶屋に行き、白哉に久しぶりに会って話をした。雪とも会い、みやげだと、西洋のアイスクリームをあげると、大層喜ばれた。
「浮竹、兄は今幸せか?」
「ああ。白哉、幸せだ」
「なら、よいのだ。京楽春水。浮竹を泣かせるなよ」
「うん、分かってるから。女と結婚はしないし、身内だけになるけど、浮竹と・・・・翡翠と、結婚する」
「京楽、本気か!」
「ああ、まだ教えてなかったね。この国は同性婚も認められているからね。浮竹を、名実ともにボクだけのものにするよ」
「春水・・・・・・・」
「十四郎、帰ったら褥に行こうか」
浮竹は、白哉たちの前で京楽がそういうものだから、赤くなってしまった。
「幸せにな、浮竹」
「ああ。白哉も、無理はしないように」
夜に恋する色子は、夜ではなく京楽春水という男に恋するのだった。
肺の病を患っており、体が弱いが見た目がとても綺麗なので、色子ばかりを集めた桜王茶屋の陰間茶屋で、一番の売れっ子だった。
源氏名は、翡翠。夜に恋をする色子。
翡翠のように綺麗な緑色の目をしているからが、名前の由来だった。
浮竹は、体を売っても心は売らない。
どんな上客が愛を囁いても適度に受け流し、まして身請け話が出ると、自分から断った。
全ては、今から3年前に起因していた。
京楽春水という、花街に浸る上流貴族がいた。年齢は20歳。年若く、まだ妻帯していないこともあって、玉の輿を狙う遊女は多かった。
適度に遊びなれしていた京楽は、遊女ばかり相手にしていたのに、その日は珍しく陰間茶屋にきていて、色子を買っていた。
雪と呼ばれる、当時のナンバー1の色子であった。
浮竹はそれを見ながら、いつかこんな上客が自分にもつけばいいなぁと思っていた。当時、浮竹はまだ色子として売られてきたばかりで、体の弱さのせいもあって、主に簡単な雑用を任されていた。
「雪」
浮竹が、京楽を見送った雪の名を呼ぶ。
「ああ、翡翠。京楽の旦那、翡翠のこと気になるみたいだよ。あの色子を指名したいって言って、茶屋の主の旦那様が悩んでた」
「俺を、指名?」
「そう。でも、翡翠まだ茶屋に慣れていないからね。まだ11だしね。客を取るんは少し早いんじゃないかってのが、旦那様の考えだよ」
確かに、浮竹は当時11歳で幼かった。
精通さえまだ迎えていない。
色子の春を売る期間は短く、20をいくつか過ぎたころには、皆年季があけたり身請けされたりで、茶屋から去っていく。
本当なら、10から客をとることもできるのだが、浮竹は体が弱いので、茶屋の主も苦悩しているようだった。もし、体を売って、取返しがつかなくなるほど、肺の病が悪化しないかが心配だった。
浮竹の肺の病はうつらないが、なかなか治ることもなかった。売られる前よりは、少しよくなっていたが。
売られた頃は、両親にろくに食事も与えてもらえなかったうえに、医者にも診せてもらえずに、知り合いだった茶屋の主が、浮竹を買い取った。
茶屋の主の名は朽木白哉。
元色子で、貴族であったが、没落してしまい今は陰間茶屋の主をしていた。
「白哉、俺は来年で12になる。そろそろ、客をとりたい。白哉に借金をしたままなのは、いやだ」
「だが、翡翠、兄は体が弱い。もし、病が.悪化したら・・・」
「その時はその時だ。どのみち、両親に捨てられかけていたのを救ってくれたのは白哉だ。白哉が俺を買ってくれなかったら、俺は病と飢えで死んでいた。恩返しがしたい。俺に、色子をやらせてくれ」
「わかった。兄がそこまでいうなら、明日から色子として店に出てもらう」
「ああ」
そして、雪を買いに来た京楽と出会う。
「君は?新しい子?」
「翡翠という。しばらく前に茶屋の主人に買われて、その借金を返すために色子になった」
「本名は?」
「浮竹十四郎。下級貴族だが、一応は貴族だ」
「へぇ・・・・君みたいな綺麗な子がいたなんて、驚きだね。君を指名してもいいかい?」
「雪を買いにきたんじゃ?」
「今日は違う子を選ぼうを思ってたんだよ。君がいい。翡翠、今日はボクのものになって」
話はとんとん拍子でまとまって、京楽はすぐに浮竹の上客になった。
まだ精通も迎えていない浮竹は、女のようにオーガズムでいき、その体は幼いが故の中性に似ていて、京楽を喜ばせた。
雪から、客の喜ばせ方を教えてもらっていて、それが役に立った。
京楽は、週末がくると必ず浮竹を買いにきた。1年経つ頃には、京楽は浮竹を好きになっていたし、浮竹も京楽を好きになっていた。
上流貴族だけに、いつか自分を身請けしてくれるのではと思っていた。
京楽が、ぱったりこなくなったのは、浮竹が13になった誕生日の日だった。京楽から、身請け話が出ていたが、すっかりこなくなってしまったので、それも消えてしまった。
「京楽・・・・俺に飽きたのか?」
浮竹は、涙を流すが、主である白哉に慰められ、他の客もとるように勧められた。
他の客をとると、皆、浮竹の虜になった。
「翡翠、桜花屋の花魁が遊びにきているぞ」
「ああ、今いく」
色子の相手は、何も男性ばかりではない。たまに女性客もとったし、同じ花街の遊女に買われることもあった。
「元気にしてた?」
「ああ。ただ、少し昔の常連を思い出していただけだ。恋愛感情があった。花街での色恋沙汰はご法度なのにな」
「あら、そういえば、最近また京楽の旦那が花街に来てるって知ってた?」
「え、そうなのか」
浮竹を買った花魁は、浮竹に抱かれながら、話をする。
「なんでも、兄が死んで、とても花街に通えるような状態じゃなかったらしいわよ。当主には結局ならずに、いとこに家督を譲ったみたい。大金と引き換えに」
「そうか・・・・・・・・」
それから数日後、京楽は実に2年ぶりに浮竹を買いにきた。
「翡翠。ボクにまだ思いが残っているなら、身請けされて」
「え?」
「家督を譲る代わりに、君を買うだけの金をもらった。当主になったら絶対に翡翠を身請けなんてできないだろうし、ボクは当主なんてむいてないからね。君を買ってもまだまだ裕福に暮らせるだけの金はある」
「京楽・・・・・会いたかった。好き、なんだ」
「うん。ボクもずっと会いたかった。でも、屋敷から出ることを禁じられていてね。抜け出しても、君を買う金ももたせてもらえなかった」
「身請けの話を出しておきながら、いきなりいなくなるから、飽きられたのかと思った」
「そんなことあるわけないよ!ボクは翡翠、君がいればそれだけでいい」
「十四郎と、呼んでくれ。俺の本当の名だ」
「十四郎・・・・・抱いて、いいかい?」
「ああ。俺を買ったのはお前だ。好きにするといい」
「必ず、身請けをするから」
「ああああ!!」
浮竹を激しく突き上げながら、熱にうなされたかのように、京楽は身請けすると浮竹の耳元で囁いた。
「んあああ、奥はだめえええ」
「奥、相変わらず弱いんだね?」
京楽は、浮竹の奥に入り込み、抉って中をかきまぜる。
「ひああああん!!!」
「思い出すねぇ。君が精通を迎えたの、ボクと寝ている時だったね」
「やああああん」
「こっちも、もう出せるでしょ。ほら、一緒にいこう」
「ああああ、京楽」
「春水って呼んで?十四郎」
「あ、春水!」
浮竹は、大きく中いきをしながら、京楽に前をいじられて、京楽と一緒にいっていた。
京楽は浮竹の胎の奥に、浮竹は京楽の手の中に、精液を吐き出していた。
「んあああ。今、いったばかりだから・・・・ひゃん」
耳を甘噛みされて、胸の先端を舐め転がされる。
「やぁ、くすぐったい」
「ふふ、君は変わらないね。確かに伸長も伸びたし、外見はまだ女の子みたいだけど、だいぶ男性らしくなってきた」
「あ、幼いままの俺が好きなのか?」
「ううん。ただ、成長したなぁと思っただけだよ」
「ひああああ!奥はらめえええ」
浮竹を、時間をたっぷりかけて愛して、浮竹は軽くまどろみながら、京楽の黒い癖のある黒髪を撫でた。
「俺は、お前に身請けされたい・・・・・」
「うん。明日には、もう自由だからね。茶屋の主人の白哉くんには金を払っているし、了承もとってあるから」
次の日になって、浮竹は起きると着替えせられていて、馬車の中だった。
「あれ、ここは!?」
「君が眠ったままだったから、勝手に荷物全部まとめたよ。ここは馬車の中。僕の屋敷に行くところだよ。君はボクに身請けされたの」
「まだ、白哉や雪にさよならを言っていない」
「それは、ひとまず君の肺を医者に診てもらって、手術終わった後でね。君の病は、大金さえだせば治るそうだよ」
「治る・・・・・俺の病が?」
「うん。ただ、身請けの額よりも高いから、誰も治せなかっただけで」
「春水、俺はそこまで価値があるのか?」
「価値はあるよ。ボクが、人生で唯一愛した人だから」
「春水・・・・・・」
「十四郎、愛しているよ」
「俺も、愛してる」
それから、浮竹は入院して肺の手術を受け、無事完治した。
健康になったその足で、桜王茶屋に行き、白哉に久しぶりに会って話をした。雪とも会い、みやげだと、西洋のアイスクリームをあげると、大層喜ばれた。
「浮竹、兄は今幸せか?」
「ああ。白哉、幸せだ」
「なら、よいのだ。京楽春水。浮竹を泣かせるなよ」
「うん、分かってるから。女と結婚はしないし、身内だけになるけど、浮竹と・・・・翡翠と、結婚する」
「京楽、本気か!」
「ああ、まだ教えてなかったね。この国は同性婚も認められているからね。浮竹を、名実ともにボクだけのものにするよ」
「春水・・・・・・・」
「十四郎、帰ったら褥に行こうか」
浮竹は、白哉たちの前で京楽がそういうものだから、赤くなってしまった。
「幸せにな、浮竹」
「ああ。白哉も、無理はしないように」
夜に恋する色子は、夜ではなく京楽春水という男に恋するのだった。
桜のあやかしと共に97
彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽は、いつものように京楽のマンションに遊びに来ていた。
『うまいきのこがあってな。味噌汁にしてもってきたんだ。食べてくれ』
『ちょっと、浮竹、それって』
『しーーー』
彼岸花の精霊の浮竹は、森でとれた媚薬と精力剤の効果のあるきのこを、そのままの形では食べてくれないだろうと、刻んで味噌汁にいれて、他の具もいれてわからないようにしてもってきた。
彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽は、そのきのこのせいで、彼岸花の精霊の浮竹が根を上げるくらい、しっぽりしまくった。
そのしっぽりしまくりを、桜の王である浮竹と桜鬼の京楽にも味わわせてやろうという、悪戯心からきていた。
「ん・・・・なんか変なきのこだな?色がすごい」
そう言いながらも、浮竹は味噌汁を食べた。
もちろん、京楽も食べた。
「ん・・・・・体が熱い」
浮竹は不調を訴える。
「大丈夫、十四郎・・・・って、ボクも体が熱い。彼岸花の精霊の浮竹、味噌汁に何か入れた?浮竹みたいに」
よく、浮竹は変な薬を作っては周囲に飲ませていた。
『ふふふふふ。俺たちは帰るから、好きなだけしっぽりしてくれ』
『浮竹、やりすぎだよ。一応解毒剤、ここにおいていくね?ただし、飲んで2時間以上しないときかないから注意ね』
二人は、住処の裏山の洞窟に戻ってしまった。
「どうする」
「どうするって、しっぽりするしかないんじゃない?」
「はぁはぁ・・・・春水、お前が今すぐほしい」
きのこの効果がきいてきて、浮竹の頭にはやること、しっぽりすることしかなかった。
対して、京楽はやや余裕をもっていた。
「ここリビングだよ。寝室に行こう」
「待てない。ここでいい。結界をはる」
家には白哉が自室でいたので、結界をはった。
「春水、はやく俺の奥で子種を注げ」
浮竹は、京楽の衣服を脱がしていく。
京楽は、浮竹の衣服を上の服は着たままにさせた。
「んあっ」
いきなり口淫されて、浮竹が床の上で乱れる。
「十四郎、熱いね。ボクも熱いけど、なんか少し余裕がある。少量しか口にしなかったせいかな」
「ああああ、待てない。早く、春水、早くううう」
身をくねらせる浮竹は、淫靡で妖艶だった。
「ローションもってこないと」
「早くもってこい」
「はいはい」
京楽がローションをとりにいっている間に、浮竹は我慢できずに自分のものをしごいて、口淫でまだいっていなかったので、精液を吐き出していた。
「あん、足りない。春水、はやくうう」
「待たせたね十四郎・・・・自分でいじちゃったの?」
「だって、春水がこないから」
「淫乱な子だねぇ」
後ろ向きにされて、尻を叩かれれる。
「ひゃん!」
それすら快感となって、浮竹は京楽にねだった。
「早く、春水ので俺を貫いて、奥を抉ってえええ」
「仕方ない子だね。指入れるよ?」
「あん、指なんていいから今すぐほしい」
「だーめ。ちゃんと解さないと、ローション使っても痛いからね。ボクは十四郎には痛い思いはしてほしくないんだよ。うわぁ、もう3本も飲み込んでる」
「んあああ、そこ、いい。もっとおおお」
「ここかい?」
前立腺がある部分を指で押すと、浮竹はびくんと体をはねさせていっていた。
「ひあああん、いくううう」
「まだ、挿入れてもいないし、奥に子種だしてないよ?何回いくつもり?」
「んんん、知らない。体が熱くなくなるまで?」
浮竹が答えると、京楽は指を引きぬいて、後ろから浮竹を貫いた。
「ひゃあああん!!大きいの、入ってきたああ!!奥にザーメンたっぷり注いで?」
「はしたない子だね」
また、軽く尻をはたくと、浮竹はいっていた。
「やあああん、痛いけど気持ちいいいい」
「淫乱な上に、お尻叩かれていくなんて、変態だね」
「やあああん、そんなこと言わないでえええ」
京楽は、浮竹の奥を抉る。
「ひゃああああん!いくうううう」
京楽は、またぴしゃりと浮竹の尻を叩く。
「いくうう!!!」
「くっ、締め付けがすごいね。お望み通り、精液を奥に注いであげる」
「ああああん、春水のザーメンびゅるびゅる奥に出てるううう。とまんないいい。俺もいくのとまんないいい」
京楽は、一度引き抜くと、正常位になって浮竹を犯す。
「んんん、キスして、春水」
「はいはい」
舌が絡まるキスをして、浮竹はうっとりと恍惚になる。
京楽はぞくぞくした。
この美しい生き物は、自分の下でしか乱れない、
前は彼岸花の精霊の浮竹と指でいじりあっていたりもしたが、浮気だとおしおきしてからしなくなった。
「愛してるよ、十四郎」
「あ、俺も愛してる、春水。だから、もっと子種ちょうだい」
浮竹は、京楽の腰を足ではさみこむ。
「ふふふ・・・・」
「あー、これはボクが反対に絞りつくされるね」
「ああん、奥、かきまぜてええぇぇ」
言われた通りにすると、浮竹は弓なりに背をしならせて、大きくいきながら潮をふく。
「ああああ、おもらししちゃうううう!とまんないいいいい!!」
潮はしばらくふいていたが、直に止まった。
かわりに白濁した、精液が溢れてくる。
「ああん、いったばかりなのに、また出るううう。春水、奥にザーメン出してええ」
浮竹の望み通り、京楽は浮竹の胎の奥の奥で子種をはじけさせる。
それを何度か繰り返すと、さすがの京楽ももう出なかった。
「ああ、まだ足りない。ザーメンもっとほしいいい」
「簡便してよ。もう出ないよ」
「いやあああ、じゃあ指でいじっってええ」
言われたとおりに、浮竹の敏感な場所を指でいりじまくって、京楽の精液が尽きて1時間以上してから、浮竹は満足して、精液の滴る床を京楽にふかせた。
「今日の君はすごいね。淫乱もいいとこだよ」
「むう、きのこのせいだ。今日のことは忘れろ」
浮竹は、全て終わって数時間してから、顔を赤くしながら、京楽の入れてくれたアールグレイの紅茶を飲む。
「京楽、お前も飲むか?」
「うん、いただくよ」
浮竹が入れた紅茶を京楽が飲むと、京楽は3歳くらいに縮んでいた。
「ちょっと、また縮ませて、何がしたいの!」
「京楽を思いっきり愛でる!」
「きききき、これは好都合なり。京楽春水、桜鬼神よ、藍染様の大いなる魔神としての誕生の贄になってもらおうか!」
「うわぁ!」
「窮鼠か!京楽を返せ!」
「きききき、返してほしくば藍染様にひれ伏すがいい。生贄として、もらっていくぞ!」
窮鼠が現れて、3歳の京楽をさらっていく。
「京楽!!!」
「十四郎!!!」
3歳の京楽は、窮鼠に連れ去られるのであった。
「まってろ、京楽。すぐに救い出してやるからな」
浮竹は静かに怒っていた。窮鼠に、どこにいるのか分かるように、京楽をさらわれる前に、桜の花びらをつけておいた。
「念のため、彼岸花の精霊の俺と鴆の京楽の力も借りるか」
しばらくは3歳児だが、5時間もすればもとに戻る。
きっと、敵側はずっと小さいままだと油断しているであろう。魔神になった藍染と、桜の花神の力は互角。
浮竹は、彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽の力も借りて、桜の花びらの位置で、商店街に京楽がいることを知る。
「助けに行こう。藍染と戦闘もありえるが、大丈夫か?」
『もちろんだ』
『早く、助け出してあげよう』
鴆の京楽は、念のために縮んだ薬の解毒剤をもってきていた。
「さぁ,偉大なる藍染様の贄になれるのだ。きききき、嬉しがれ」
「あのさぁ。アホじゃないの?窮鼠ごときが、たとえ3歳でも、桜鬼神と互角に渡り合えるとでも?」
「ききき、俺は藍染様から魔神ユーハバッハの核の一部から作り出した魔王の種をもらっている。そっちこそ、ただの窮鼠だと侮るなよ。ききききき」
『うまいきのこがあってな。味噌汁にしてもってきたんだ。食べてくれ』
『ちょっと、浮竹、それって』
『しーーー』
彼岸花の精霊の浮竹は、森でとれた媚薬と精力剤の効果のあるきのこを、そのままの形では食べてくれないだろうと、刻んで味噌汁にいれて、他の具もいれてわからないようにしてもってきた。
彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽は、そのきのこのせいで、彼岸花の精霊の浮竹が根を上げるくらい、しっぽりしまくった。
そのしっぽりしまくりを、桜の王である浮竹と桜鬼の京楽にも味わわせてやろうという、悪戯心からきていた。
「ん・・・・なんか変なきのこだな?色がすごい」
そう言いながらも、浮竹は味噌汁を食べた。
もちろん、京楽も食べた。
「ん・・・・・体が熱い」
浮竹は不調を訴える。
「大丈夫、十四郎・・・・って、ボクも体が熱い。彼岸花の精霊の浮竹、味噌汁に何か入れた?浮竹みたいに」
よく、浮竹は変な薬を作っては周囲に飲ませていた。
『ふふふふふ。俺たちは帰るから、好きなだけしっぽりしてくれ』
『浮竹、やりすぎだよ。一応解毒剤、ここにおいていくね?ただし、飲んで2時間以上しないときかないから注意ね』
二人は、住処の裏山の洞窟に戻ってしまった。
「どうする」
「どうするって、しっぽりするしかないんじゃない?」
「はぁはぁ・・・・春水、お前が今すぐほしい」
きのこの効果がきいてきて、浮竹の頭にはやること、しっぽりすることしかなかった。
対して、京楽はやや余裕をもっていた。
「ここリビングだよ。寝室に行こう」
「待てない。ここでいい。結界をはる」
家には白哉が自室でいたので、結界をはった。
「春水、はやく俺の奥で子種を注げ」
浮竹は、京楽の衣服を脱がしていく。
京楽は、浮竹の衣服を上の服は着たままにさせた。
「んあっ」
いきなり口淫されて、浮竹が床の上で乱れる。
「十四郎、熱いね。ボクも熱いけど、なんか少し余裕がある。少量しか口にしなかったせいかな」
「ああああ、待てない。早く、春水、早くううう」
身をくねらせる浮竹は、淫靡で妖艶だった。
「ローションもってこないと」
「早くもってこい」
「はいはい」
京楽がローションをとりにいっている間に、浮竹は我慢できずに自分のものをしごいて、口淫でまだいっていなかったので、精液を吐き出していた。
「あん、足りない。春水、はやくうう」
「待たせたね十四郎・・・・自分でいじちゃったの?」
「だって、春水がこないから」
「淫乱な子だねぇ」
後ろ向きにされて、尻を叩かれれる。
「ひゃん!」
それすら快感となって、浮竹は京楽にねだった。
「早く、春水ので俺を貫いて、奥を抉ってえええ」
「仕方ない子だね。指入れるよ?」
「あん、指なんていいから今すぐほしい」
「だーめ。ちゃんと解さないと、ローション使っても痛いからね。ボクは十四郎には痛い思いはしてほしくないんだよ。うわぁ、もう3本も飲み込んでる」
「んあああ、そこ、いい。もっとおおお」
「ここかい?」
前立腺がある部分を指で押すと、浮竹はびくんと体をはねさせていっていた。
「ひあああん、いくううう」
「まだ、挿入れてもいないし、奥に子種だしてないよ?何回いくつもり?」
「んんん、知らない。体が熱くなくなるまで?」
浮竹が答えると、京楽は指を引きぬいて、後ろから浮竹を貫いた。
「ひゃあああん!!大きいの、入ってきたああ!!奥にザーメンたっぷり注いで?」
「はしたない子だね」
また、軽く尻をはたくと、浮竹はいっていた。
「やあああん、痛いけど気持ちいいいい」
「淫乱な上に、お尻叩かれていくなんて、変態だね」
「やあああん、そんなこと言わないでえええ」
京楽は、浮竹の奥を抉る。
「ひゃああああん!いくうううう」
京楽は、またぴしゃりと浮竹の尻を叩く。
「いくうう!!!」
「くっ、締め付けがすごいね。お望み通り、精液を奥に注いであげる」
「ああああん、春水のザーメンびゅるびゅる奥に出てるううう。とまんないいい。俺もいくのとまんないいい」
京楽は、一度引き抜くと、正常位になって浮竹を犯す。
「んんん、キスして、春水」
「はいはい」
舌が絡まるキスをして、浮竹はうっとりと恍惚になる。
京楽はぞくぞくした。
この美しい生き物は、自分の下でしか乱れない、
前は彼岸花の精霊の浮竹と指でいじりあっていたりもしたが、浮気だとおしおきしてからしなくなった。
「愛してるよ、十四郎」
「あ、俺も愛してる、春水。だから、もっと子種ちょうだい」
浮竹は、京楽の腰を足ではさみこむ。
「ふふふ・・・・」
「あー、これはボクが反対に絞りつくされるね」
「ああん、奥、かきまぜてええぇぇ」
言われた通りにすると、浮竹は弓なりに背をしならせて、大きくいきながら潮をふく。
「ああああ、おもらししちゃうううう!とまんないいいいい!!」
潮はしばらくふいていたが、直に止まった。
かわりに白濁した、精液が溢れてくる。
「ああん、いったばかりなのに、また出るううう。春水、奥にザーメン出してええ」
浮竹の望み通り、京楽は浮竹の胎の奥の奥で子種をはじけさせる。
それを何度か繰り返すと、さすがの京楽ももう出なかった。
「ああ、まだ足りない。ザーメンもっとほしいいい」
「簡便してよ。もう出ないよ」
「いやあああ、じゃあ指でいじっってええ」
言われたとおりに、浮竹の敏感な場所を指でいりじまくって、京楽の精液が尽きて1時間以上してから、浮竹は満足して、精液の滴る床を京楽にふかせた。
「今日の君はすごいね。淫乱もいいとこだよ」
「むう、きのこのせいだ。今日のことは忘れろ」
浮竹は、全て終わって数時間してから、顔を赤くしながら、京楽の入れてくれたアールグレイの紅茶を飲む。
「京楽、お前も飲むか?」
「うん、いただくよ」
浮竹が入れた紅茶を京楽が飲むと、京楽は3歳くらいに縮んでいた。
「ちょっと、また縮ませて、何がしたいの!」
「京楽を思いっきり愛でる!」
「きききき、これは好都合なり。京楽春水、桜鬼神よ、藍染様の大いなる魔神としての誕生の贄になってもらおうか!」
「うわぁ!」
「窮鼠か!京楽を返せ!」
「きききき、返してほしくば藍染様にひれ伏すがいい。生贄として、もらっていくぞ!」
窮鼠が現れて、3歳の京楽をさらっていく。
「京楽!!!」
「十四郎!!!」
3歳の京楽は、窮鼠に連れ去られるのであった。
「まってろ、京楽。すぐに救い出してやるからな」
浮竹は静かに怒っていた。窮鼠に、どこにいるのか分かるように、京楽をさらわれる前に、桜の花びらをつけておいた。
「念のため、彼岸花の精霊の俺と鴆の京楽の力も借りるか」
しばらくは3歳児だが、5時間もすればもとに戻る。
きっと、敵側はずっと小さいままだと油断しているであろう。魔神になった藍染と、桜の花神の力は互角。
浮竹は、彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽の力も借りて、桜の花びらの位置で、商店街に京楽がいることを知る。
「助けに行こう。藍染と戦闘もありえるが、大丈夫か?」
『もちろんだ』
『早く、助け出してあげよう』
鴆の京楽は、念のために縮んだ薬の解毒剤をもってきていた。
「さぁ,偉大なる藍染様の贄になれるのだ。きききき、嬉しがれ」
「あのさぁ。アホじゃないの?窮鼠ごときが、たとえ3歳でも、桜鬼神と互角に渡り合えるとでも?」
「ききき、俺は藍染様から魔神ユーハバッハの核の一部から作り出した魔王の種をもらっている。そっちこそ、ただの窮鼠だと侮るなよ。ききききき」
オメガバース恋白読み切り短編シリーズ
白哉は、ずっと自分がアルファであると思っていた。
ある日、熱にうなされて、周囲がヒート熱だと騒ぐので、幼少期はアルファと診断されたのだが、再検査を受けることになった。
その結果、白哉は後天的なオメガであることが発覚した。
幼少期はアルファで、大人になってからオメガになったのだ。
オメガが朽木家の当主にふさわしくないと言われ、6番隊の隊長の座も危うかったが、なんとか6番隊の隊長は勤めれそうだし、他に当主にふさわしい人材はいないので、朽木家の当主としても、健在であった。
ただし、条件があった。
四楓院夜一の弟である、四楓院家の現当主四楓院夕四郎と結婚して子を作ること。
白哉は無論反対した。夕四郎はまだ幼く、結婚するには早いし、オメガと婚姻するのは早すぎると、四楓院家からも反対が出たし、夕四郎自体、姉が大好きで、白哉との婚姻は考えていなかったのだが、周囲が勝手に婚姻を行うように進めていた。
知らない間に、白哉と夕四郎は結婚してしまっていた。
「夕四郎殿、この婚姻は策略だ。どうか、破断にしてほしい」
「はい、白哉殿。僕もこの結婚はありえないと思います」
初夜にと与えられた館で、白哉はヒート熱をだし、アルファを誘うフェロモンを出す。
夕四郎にその気はないのだが、アルファであるため、抗うこともできずに、白哉を押し倒していた。
「夕四郎殿!気を確かに!」
「あああ、頭がおかしくなりそうです。オメガのフェロモンが」
2人だけしか入れない寝所に、侵入者が現れた。
「れ、恋次!?」
「隊長、四楓院家と結婚して子を作るって本当だったんすね。でも、まだ番になってませんよね。四楓院の当主様、隊長はいただいていきます」
「あ、はい!白哉殿も人が悪い。好いた方がおられるなら、最初からそう言ってください」
「恋次、お前は何を考えている!このようなこと、発覚すれば処刑ものだぞ!」
「隊長を奪われるくらいなら、処刑されたほうがましだ」
「何を言って・・・・・・」
「俺、アルファなんす。この意味、分かりますよね」
「よせ、恋次」
白哉は、四楓院家から白哉をお姫様抱きにして連れ去っていこうとする恋次を止めようとする。
「あのまま、抱かれたかったんですか。あんな子供に」
「夕四郎殿ははまだ幼い。性的なことなど、できようはずもない」
「わかりませんよ?最近の子供は発育がいいですからね。現に、隊長を押し倒してた」
「恋次・・・・・・」
恋次は、警備の穴を縫って四楓院家から抜け出し、朽木家の所有する別邸にきていた。
「恋次、お前は何がしたいのだ」
「決まってるじゃないっすか。寝取りですよ。他の男のものになるくらいなら、俺が隊長を手に入れる」
「恋次、やめ・・・・んう」
恋次は、白哉に口づけする。
ぶわっとオメガのフェロモンが広がり、薬を飲んだはずなのに、ヒート期間なだけあって、アルファである恋次を誘っているかのようだった。
「隊長、番になりましょう。もう、誰とも婚姻できないように」
「・・・・・番?私が、恋次と?」
白哉は、想像したこともなかった。
自分の大切な副官が、自分に劣情を抱いていることすら知らなかった。
「恋次、やめよ。今ならまだ引き返せる」
「いやですね。隊長を番にして、俺のものにする」
恋次は、白哉が着ていた薄い絹の着物を脱がせる。
「あ、恋次・・・・」
すでにぎんぎんに勃ちあがったものを、腰におしつけられて、白哉もオメガのフェロモンにあてられる。
「もう、どうなってもよい。恋次、私を抱いて番にせよ」
白哉は、恥も外聞も捨てた。
「さぁ、こい、恋次」
「あ、あ、あ」
リズミカルに、ぱんぱんと肌と肌とがぶつかりあう音がした。
恋次のものは大きく、挿入には痛みを伴ったが、濡れているので慣れてしまえば挿入も簡単にできた。
「ああ、隊長と一つになってる。隊長、気持ちいいですか?」
「やあああ、恋次、激し・・・・・・」
「もう少しゆっくり動きますね」
白哉の快感を引き出すたあめに、わざと白哉の弱いところばかりを攻めたてる。
「ひああああ、いくうううう」
その日、白哉は初めて女のようにオーガズムでいくことを覚えた。
「やあああん、もっと奥に、もっと奥に子種ちょうだい」
「隊長、自分で何言ってるのか分かってないでしょ。すげーエロい」
白哉の望む通り、奥まで突き入れて、恋次は子種を子宮に注ぎこむ。
「ああああ!!!」
びくんびくんと体をはねさせながら、白哉は何度もいった。
「こっちも、いきたがってますよ?」
恋次が、勃ちあがったままの白哉のものをしごく。
「ひああああんん!!!」
白哉は、中いきをしながら、精液をこぼしていた。
「隊長の中、熱いっすね」
「ああああ」
「うなじ、噛みつきますよ?番になりましょう」
「ひああああああ!!!!」
白哉はいきながら、うなじに噛みつかれて、恋次を主とする番が完了する。
「私は、もう恋次のものなのか」
「そうです。四楓院家でも、もう手出しできません」
「体がドロドロだし、力が出ないが湯あみしたい。手伝え」
「はい!」
恋次が引き抜くと、大量の恋次の精子が逆流して、白哉の内ももを伝い落ちる。
「これでは、子を孕んだとしても仕方ないな」
「もしも子ができたら、産んでくれますよね?」
「当たり前だ。次期朽木家の当主となる」
白哉を軽そうに抱き上げて、恋次は湯殿に入り、白哉の体や髪を丁寧に洗った。
「私の身を四楓院家から連れ去り、番にしたことは普通なら許されないだろう。私がそう望んで、恋次を意のままに操ったということにしておく」
「隊長・・・・すんません。俺なんかのために」
「顔をあげろ!私の番なのであろう?もっと堂々と振るまえ!」
「は、はい!」
夕四郎は、白哉と恋次を庇ってくれて、結局罪にはならなかったが、副官とできるなんてとか、いろいろ噂されたが、恋次も白哉も気にしなかった。
番となった夜に子供ができて、朽木恋夜(れんや)と名付けられた。男の子だった。
「隊長、次は女の子、作りませんか」
「恋夜だけで十分だ。避妊しないと、やらせないからな」
「そんな~~~~」
朽木白哉と阿散井恋次は、上官と副官であると同時に番であった。恋次が婿入りする形となり、朽木恋次となった。
「隊長、避妊しますからやらせてください」
「昨日、睦みあったばかりであろうが!」
白哉に頭をはたかれて、恋次はしょげる。それが大きい犬のようで、白哉はくすくすと静かに笑うのであった。
ある日、熱にうなされて、周囲がヒート熱だと騒ぐので、幼少期はアルファと診断されたのだが、再検査を受けることになった。
その結果、白哉は後天的なオメガであることが発覚した。
幼少期はアルファで、大人になってからオメガになったのだ。
オメガが朽木家の当主にふさわしくないと言われ、6番隊の隊長の座も危うかったが、なんとか6番隊の隊長は勤めれそうだし、他に当主にふさわしい人材はいないので、朽木家の当主としても、健在であった。
ただし、条件があった。
四楓院夜一の弟である、四楓院家の現当主四楓院夕四郎と結婚して子を作ること。
白哉は無論反対した。夕四郎はまだ幼く、結婚するには早いし、オメガと婚姻するのは早すぎると、四楓院家からも反対が出たし、夕四郎自体、姉が大好きで、白哉との婚姻は考えていなかったのだが、周囲が勝手に婚姻を行うように進めていた。
知らない間に、白哉と夕四郎は結婚してしまっていた。
「夕四郎殿、この婚姻は策略だ。どうか、破断にしてほしい」
「はい、白哉殿。僕もこの結婚はありえないと思います」
初夜にと与えられた館で、白哉はヒート熱をだし、アルファを誘うフェロモンを出す。
夕四郎にその気はないのだが、アルファであるため、抗うこともできずに、白哉を押し倒していた。
「夕四郎殿!気を確かに!」
「あああ、頭がおかしくなりそうです。オメガのフェロモンが」
2人だけしか入れない寝所に、侵入者が現れた。
「れ、恋次!?」
「隊長、四楓院家と結婚して子を作るって本当だったんすね。でも、まだ番になってませんよね。四楓院の当主様、隊長はいただいていきます」
「あ、はい!白哉殿も人が悪い。好いた方がおられるなら、最初からそう言ってください」
「恋次、お前は何を考えている!このようなこと、発覚すれば処刑ものだぞ!」
「隊長を奪われるくらいなら、処刑されたほうがましだ」
「何を言って・・・・・・」
「俺、アルファなんす。この意味、分かりますよね」
「よせ、恋次」
白哉は、四楓院家から白哉をお姫様抱きにして連れ去っていこうとする恋次を止めようとする。
「あのまま、抱かれたかったんですか。あんな子供に」
「夕四郎殿ははまだ幼い。性的なことなど、できようはずもない」
「わかりませんよ?最近の子供は発育がいいですからね。現に、隊長を押し倒してた」
「恋次・・・・・・」
恋次は、警備の穴を縫って四楓院家から抜け出し、朽木家の所有する別邸にきていた。
「恋次、お前は何がしたいのだ」
「決まってるじゃないっすか。寝取りですよ。他の男のものになるくらいなら、俺が隊長を手に入れる」
「恋次、やめ・・・・んう」
恋次は、白哉に口づけする。
ぶわっとオメガのフェロモンが広がり、薬を飲んだはずなのに、ヒート期間なだけあって、アルファである恋次を誘っているかのようだった。
「隊長、番になりましょう。もう、誰とも婚姻できないように」
「・・・・・番?私が、恋次と?」
白哉は、想像したこともなかった。
自分の大切な副官が、自分に劣情を抱いていることすら知らなかった。
「恋次、やめよ。今ならまだ引き返せる」
「いやですね。隊長を番にして、俺のものにする」
恋次は、白哉が着ていた薄い絹の着物を脱がせる。
「あ、恋次・・・・」
すでにぎんぎんに勃ちあがったものを、腰におしつけられて、白哉もオメガのフェロモンにあてられる。
「もう、どうなってもよい。恋次、私を抱いて番にせよ」
白哉は、恥も外聞も捨てた。
「さぁ、こい、恋次」
「あ、あ、あ」
リズミカルに、ぱんぱんと肌と肌とがぶつかりあう音がした。
恋次のものは大きく、挿入には痛みを伴ったが、濡れているので慣れてしまえば挿入も簡単にできた。
「ああ、隊長と一つになってる。隊長、気持ちいいですか?」
「やあああ、恋次、激し・・・・・・」
「もう少しゆっくり動きますね」
白哉の快感を引き出すたあめに、わざと白哉の弱いところばかりを攻めたてる。
「ひああああ、いくうううう」
その日、白哉は初めて女のようにオーガズムでいくことを覚えた。
「やあああん、もっと奥に、もっと奥に子種ちょうだい」
「隊長、自分で何言ってるのか分かってないでしょ。すげーエロい」
白哉の望む通り、奥まで突き入れて、恋次は子種を子宮に注ぎこむ。
「ああああ!!!」
びくんびくんと体をはねさせながら、白哉は何度もいった。
「こっちも、いきたがってますよ?」
恋次が、勃ちあがったままの白哉のものをしごく。
「ひああああんん!!!」
白哉は、中いきをしながら、精液をこぼしていた。
「隊長の中、熱いっすね」
「ああああ」
「うなじ、噛みつきますよ?番になりましょう」
「ひああああああ!!!!」
白哉はいきながら、うなじに噛みつかれて、恋次を主とする番が完了する。
「私は、もう恋次のものなのか」
「そうです。四楓院家でも、もう手出しできません」
「体がドロドロだし、力が出ないが湯あみしたい。手伝え」
「はい!」
恋次が引き抜くと、大量の恋次の精子が逆流して、白哉の内ももを伝い落ちる。
「これでは、子を孕んだとしても仕方ないな」
「もしも子ができたら、産んでくれますよね?」
「当たり前だ。次期朽木家の当主となる」
白哉を軽そうに抱き上げて、恋次は湯殿に入り、白哉の体や髪を丁寧に洗った。
「私の身を四楓院家から連れ去り、番にしたことは普通なら許されないだろう。私がそう望んで、恋次を意のままに操ったということにしておく」
「隊長・・・・すんません。俺なんかのために」
「顔をあげろ!私の番なのであろう?もっと堂々と振るまえ!」
「は、はい!」
夕四郎は、白哉と恋次を庇ってくれて、結局罪にはならなかったが、副官とできるなんてとか、いろいろ噂されたが、恋次も白哉も気にしなかった。
番となった夜に子供ができて、朽木恋夜(れんや)と名付けられた。男の子だった。
「隊長、次は女の子、作りませんか」
「恋夜だけで十分だ。避妊しないと、やらせないからな」
「そんな~~~~」
朽木白哉と阿散井恋次は、上官と副官であると同時に番であった。恋次が婿入りする形となり、朽木恋次となった。
「隊長、避妊しますからやらせてください」
「昨日、睦みあったばかりであろうが!」
白哉に頭をはたかれて、恋次はしょげる。それが大きい犬のようで、白哉はくすくすと静かに笑うのであった。
桜のあやかしと共に96
「京楽、しっぽりしよう。激しくしっぽりしまくろう」
浮竹がそう言ってきたので、しかも真昼から。これは夢なのではないうかと頬をつねるが、現実だった。
「よし、十四郎、結界はってしっぽりしまくろうね」
「ああ、しっぽりだ」
手をひいて歩いて行く途中で、浮竹の手が少し熱を持っているのに気づく。
「十四郎、おでこ触るよ」
京楽は、浮竹の額に手をあてると、ひどい熱だった。
40度はこえているであろうと思われる熱に、京楽が慌てだす。
「十四郎、しっぽりどころじゃないから!今すぐ寝て!」
「え、ここでしっぽりするのか?床は背中が痛くなる」
「だから、しっぽりはお預け!」
「むう。じゃあ白哉としっぽりする」
「何気に近親相姦!?その前に、十四郎も白哉くんも受けでしょうに!いや、そんなことはどうでもいいんだった。今、鴆のボクのところにいって、解熱剤とかもらってくるね。君はおとなしく寝てて」
京楽に、ベッドに寝かしつけられて、浮竹は頭がふらふらするので、適当に返事する。
「ふにゃあ」
「大分重症だねぇ。あやかしインフルかもね」
あやかしインフルとは、その名の通りあやかしだけがかかるインフルエンザだ。
今猛威をふるっていて、昨日遊びにきた浮竹の知り合いもあやかしインフルにかかっていたのだと、その日の午後に発覚するのだが。
京楽は、鴆の京楽からあやかしインフル用の薬をもらった。
解熱剤と、あとは風邪薬のようなものである。あやかしインフルに特効薬は今のところなく、薬草を煎じて症状を和らげる程度だった。
「ああ、鴆のボク。ボクも十四郎からうつってるかもしれないから、薬念のために飲んでおいてね。ボクから感染して、薬師が病気になったら大変だから」
『わざわざありがとうね。ボクも、あともう少しで浮竹も帰ってくるから、念のために薬を飲ませておくよ』
京楽は、あやかしインフルにかかった浮竹のためにおかゆを作り、薬を出した。
「いやだ、苦い」
「そう言わないで。薬のまないと、もっとひどくなるよ?」
「むう。しっぽり・・・・」
「なぜに、そこでしっぽり!?」
「彼岸花の精霊の俺が、しっぽりって言えば京楽が喜ぶって・・・・・」
「浮竹、しっぽりの意味わかってて言ってる?」
「ん?キスしたり、ハグしたりのことだろ?」
実は、浮竹はしっぽりの正確な意味を分かっていなかった。
「はあ。しっぽりはね、セックスって意味だよ」
「ななななな!!!!」
浮竹は、真っ赤になった。体温計で熱をはかると、40度から41度にまであがっていた。
「だめだ、世界が回る・・・・薬飲んで、寝る」
「うん、そうしなさいな。ボクと白哉くんも一応かかってる可能性あるから、薬飲んでおくから」
京楽は、浮竹の額のぬるくなった冷えピタシートをはりかえてやって、浮竹が寝たのを確認すると、白哉を呼んで、浮竹があやかしインフルにかかったことを話して、薬を飲ませた。
基本、浮竹をゲストルームに隔離する形をとる。
『様子はどうだ?』
「彼岸花の精霊の浮竹!」
「兄が、どうしてここに?」
『いや、京楽が桜の王があやかしインフルにかかったといっていたので、お見舞いにきた』
「ごめんね、わざわざ。でもうつるから、会わせられないけど」
『そうか。しっぽりすれば、全てよくなると言っておいたんだが、しっぽりは未遂か』
「あ、君ねぇ、十四郎に変な意味でしっぽりを教えるのはよしてね」
『なんだ、もうばれてしまったのか。つまらない』
彼岸花の精霊の浮竹は、白哉と格闘ゲームをしだす。
「はぁ。反省する気なさそう」
白哉が苦笑する。
『ここで、俺の勝ちだ』
「むう。私の負けだ。もう一度」
『ちょっと、浮竹、いつまで居候してるの。見舞いすんだら、早く帰ってくるって約束だったでしょ』
そこへ。鴆の京楽が現れる。
『ああ、忘れてた。あやかしインフルの客ばかりくるから、いっそこっちのほうが安全な気がする』
『でも、ボクは薬師だし、君はその手伝いをしてくれるでしょう?住処に戻ろう』
『白哉、ゲームの続きは次回だ』
「むう、勝ち逃げか」
『ふふふふ・・・・・』
住処の裏山の洞窟に戻ると、客がきていた。
あやかしまんじゅうを作る工場で、あやかしインフルのクラスターがおこり、しばらくの間あやかしまんじゅうは売りに出されないとのことだった。
何気にあやかしまんじゅうを気に入っていた、彼岸花の精霊の浮竹は、それにショックを受けて洞窟の奥でふて寝をし始める。
『もう、全然手伝ってくれないんだから・・・・・・』
『手伝ったら、しっぽりするか?』
『いいけど、夜に、ね』
彼岸花の精霊の浮竹は、鴆の京楽が作った薬を整理して、やってきた客に渡していく。
代金はきっちりもらう。
人間社会のお金だったり、黄金だったり、食べ物だったり、支払いはいろいろだった。
一番多いのは、あやかしの通貨とされている小判だったが。
『はぁ。桜の王、早くあやかしインフル治らないかな。暇だ』
『まぁ、ボクの処方した薬は治りやすいから、普通は1週間以上かかるけど、3日くらいで治るんじゃないかな』
『その3日間が暇だ』
彼岸花の精霊の浮竹は、溜息をついた。
『ボクがいるじゃない』
『京楽は恋人で、遊び相手じゃない』
『まぁそうなんだけど。3日くらいすぐだよ』
『じゃあ、しっぽりしよう』
『ええ、まだ夜になってないよ。客がきたらどうするの』
『無視すればいい。結界をはって、しっぽりするぞ』
こうして、二人はしっぽりするのだった。
浮竹は本当に3日であやかしインフルが治り、白哉にも京楽にもうつらずで、安堵するのだった。
浮竹がそう言ってきたので、しかも真昼から。これは夢なのではないうかと頬をつねるが、現実だった。
「よし、十四郎、結界はってしっぽりしまくろうね」
「ああ、しっぽりだ」
手をひいて歩いて行く途中で、浮竹の手が少し熱を持っているのに気づく。
「十四郎、おでこ触るよ」
京楽は、浮竹の額に手をあてると、ひどい熱だった。
40度はこえているであろうと思われる熱に、京楽が慌てだす。
「十四郎、しっぽりどころじゃないから!今すぐ寝て!」
「え、ここでしっぽりするのか?床は背中が痛くなる」
「だから、しっぽりはお預け!」
「むう。じゃあ白哉としっぽりする」
「何気に近親相姦!?その前に、十四郎も白哉くんも受けでしょうに!いや、そんなことはどうでもいいんだった。今、鴆のボクのところにいって、解熱剤とかもらってくるね。君はおとなしく寝てて」
京楽に、ベッドに寝かしつけられて、浮竹は頭がふらふらするので、適当に返事する。
「ふにゃあ」
「大分重症だねぇ。あやかしインフルかもね」
あやかしインフルとは、その名の通りあやかしだけがかかるインフルエンザだ。
今猛威をふるっていて、昨日遊びにきた浮竹の知り合いもあやかしインフルにかかっていたのだと、その日の午後に発覚するのだが。
京楽は、鴆の京楽からあやかしインフル用の薬をもらった。
解熱剤と、あとは風邪薬のようなものである。あやかしインフルに特効薬は今のところなく、薬草を煎じて症状を和らげる程度だった。
「ああ、鴆のボク。ボクも十四郎からうつってるかもしれないから、薬念のために飲んでおいてね。ボクから感染して、薬師が病気になったら大変だから」
『わざわざありがとうね。ボクも、あともう少しで浮竹も帰ってくるから、念のために薬を飲ませておくよ』
京楽は、あやかしインフルにかかった浮竹のためにおかゆを作り、薬を出した。
「いやだ、苦い」
「そう言わないで。薬のまないと、もっとひどくなるよ?」
「むう。しっぽり・・・・」
「なぜに、そこでしっぽり!?」
「彼岸花の精霊の俺が、しっぽりって言えば京楽が喜ぶって・・・・・」
「浮竹、しっぽりの意味わかってて言ってる?」
「ん?キスしたり、ハグしたりのことだろ?」
実は、浮竹はしっぽりの正確な意味を分かっていなかった。
「はあ。しっぽりはね、セックスって意味だよ」
「ななななな!!!!」
浮竹は、真っ赤になった。体温計で熱をはかると、40度から41度にまであがっていた。
「だめだ、世界が回る・・・・薬飲んで、寝る」
「うん、そうしなさいな。ボクと白哉くんも一応かかってる可能性あるから、薬飲んでおくから」
京楽は、浮竹の額のぬるくなった冷えピタシートをはりかえてやって、浮竹が寝たのを確認すると、白哉を呼んで、浮竹があやかしインフルにかかったことを話して、薬を飲ませた。
基本、浮竹をゲストルームに隔離する形をとる。
『様子はどうだ?』
「彼岸花の精霊の浮竹!」
「兄が、どうしてここに?」
『いや、京楽が桜の王があやかしインフルにかかったといっていたので、お見舞いにきた』
「ごめんね、わざわざ。でもうつるから、会わせられないけど」
『そうか。しっぽりすれば、全てよくなると言っておいたんだが、しっぽりは未遂か』
「あ、君ねぇ、十四郎に変な意味でしっぽりを教えるのはよしてね」
『なんだ、もうばれてしまったのか。つまらない』
彼岸花の精霊の浮竹は、白哉と格闘ゲームをしだす。
「はぁ。反省する気なさそう」
白哉が苦笑する。
『ここで、俺の勝ちだ』
「むう。私の負けだ。もう一度」
『ちょっと、浮竹、いつまで居候してるの。見舞いすんだら、早く帰ってくるって約束だったでしょ』
そこへ。鴆の京楽が現れる。
『ああ、忘れてた。あやかしインフルの客ばかりくるから、いっそこっちのほうが安全な気がする』
『でも、ボクは薬師だし、君はその手伝いをしてくれるでしょう?住処に戻ろう』
『白哉、ゲームの続きは次回だ』
「むう、勝ち逃げか」
『ふふふふ・・・・・』
住処の裏山の洞窟に戻ると、客がきていた。
あやかしまんじゅうを作る工場で、あやかしインフルのクラスターがおこり、しばらくの間あやかしまんじゅうは売りに出されないとのことだった。
何気にあやかしまんじゅうを気に入っていた、彼岸花の精霊の浮竹は、それにショックを受けて洞窟の奥でふて寝をし始める。
『もう、全然手伝ってくれないんだから・・・・・・』
『手伝ったら、しっぽりするか?』
『いいけど、夜に、ね』
彼岸花の精霊の浮竹は、鴆の京楽が作った薬を整理して、やってきた客に渡していく。
代金はきっちりもらう。
人間社会のお金だったり、黄金だったり、食べ物だったり、支払いはいろいろだった。
一番多いのは、あやかしの通貨とされている小判だったが。
『はぁ。桜の王、早くあやかしインフル治らないかな。暇だ』
『まぁ、ボクの処方した薬は治りやすいから、普通は1週間以上かかるけど、3日くらいで治るんじゃないかな』
『その3日間が暇だ』
彼岸花の精霊の浮竹は、溜息をついた。
『ボクがいるじゃない』
『京楽は恋人で、遊び相手じゃない』
『まぁそうなんだけど。3日くらいすぐだよ』
『じゃあ、しっぽりしよう』
『ええ、まだ夜になってないよ。客がきたらどうするの』
『無視すればいい。結界をはって、しっぽりするぞ』
こうして、二人はしっぽりするのだった。
浮竹は本当に3日であやかしインフルが治り、白哉にも京楽にもうつらずで、安堵するのだった。