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院生時代の部屋 簀巻きになっても

「ねんねんころりーねんころりー」

京楽が、浮田を寝かしつけようとしていた。

浮竹は惰眠を貪り過ぎて、眠れないでいた。

すると、同じく惰眠を貪って寝れない京楽が、寝かしつけてくれるというから任せてみれば、これだった。

「おねむり~僕のあそこがすごいのよ~おねむり~君のあそこもすごいのよ~」

「もういい」

「ええ!僕の子守唄、良くなかった!?」

「途中から卑猥になっていた」

「ええ!あの程度で卑猥だなんて・・・・浮竹ったら初心だね♡」

そんなことをほざく浮竹の脳天にチョップを入れて、浮竹はごろりとベッドで寝がえりをした。

すると、目の前に京楽の顔があった。

「お前、何勝手に人のベッドで横になってるんだ!」

「でゅふふふふふ。寝れないんでしょ?一緒にいちゃいちゃいしようよ」

「誰がするか!

とりあえず、京楽を蹴って、ベッドから転げさせた。

「浮竹!もう1回!」

また浮竹のベッドに寝転がってきたので、蹴ってベッドの下に落としてやった。

「くんかくんか・・・・浮竹のかほり・・・」

蹴りをいれた裸足を掴んで、ペロリと舐めてきた。

「うわあ!」

いきなりの感触に、悲鳴がでた。

「あれ、浮竹感じちゃった?もっと舐めるよぺろぺろ」

「こそばゆい!何しやがんだこの変態!」

足の裏を舐めてくる変態に、浮竹がその顔を蹴り飛ばした。

「(*´Д`)ハァハァ」

「だめか。もうお前にはこれもご褒美になるのか」

浮竹は溜息を零した。

京楽に、ベッドから起き上がって本棚から出してきた辞書の角で、頭をゴツンとしてやった。京楽は、白目をむいて気絶した。

その京楽を京楽の布団で簀巻きにして、ベッドの上に転がす。

同じベッドの上でだ。

「は・・・あれ?僕は・・浮竹が目の前にいるのに、体が動かない!」

ベッドに紐を結んで、簀巻きにした京楽を固定しておいた。

「ふんふんふん・・・・・だめだ、動かない」

「どうだ、京楽。固定地獄は。ほれほれ」

ぱじゃまの胸のぼたんを外して、上半身をちらちらと見せてやった。

「のおおおおおおお!突進したいにのに動かないーーー!」

「ははははは」

京楽をからかって、遊んでいた。

京楽はなんとか簀巻きを脱出しようと試みているが、がっちりと縛られていて、動けなかった。

「僕の浮竹が誘ってくれているのに!僕のあそこはびんびんなのに!キスもハグもできないなんて!」

びんびんだという股間を蹴ってやった。

布団ごしだったので、痛い刺激ではなく、触られたような刺激になって。

「あ、いちゃった・・・・」

「この変態が!」

その顔面を蹴ってやった。

鼻血をたらたらこぼして、京楽はでも幸せそうだった。

「浮竹にいかせてもらえた~♪」

「俺は蹴っただけだ!」

「でも僕はいったもんね~♪このことを、皆に知らせなければ!」

「しゃべったら・・・白雷だ」

ニコニコと微笑む浮竹が怖くて、京楽はもぞもそしだした。

もぞもぞもぞもぞ。

するとどうだろう。京楽は、簀巻きから脱出してしまった。

「やったー自由だ!さぁ、浮竹、僕とめくるめく愛の世界へ!」

ゴス!

また、辞書の角で頭を殴った。京楽は白目をむいてたおれた。

また簀巻きにして、今度は念入りにロープでしばって、ベランダに放置した。

口には猿ぐつわをかませた。

「むーむーーーー」

何かいっているようだが、浮竹は眠くなって、そのまま寝てしまった。

「あ。京楽とりこむの、忘れてた・・・」

朝になって、京楽の傍にいくと、京楽はすまきになったままよく寝ていた。猿ぐつわを外してやり、簀巻きも解放してやる。

「おい、京楽起きろ!」

頬をぴたぴたと叩いてやると、京楽は目を輝かせた。

「僕の女神!僕とぬるぬる地獄へよこそ!」

京楽は、夜のうちに何度かいったのか、股間がぬるぬるになっていた。

とらえず、拳でアッパーをかました。

「ばかなことしてないで、着替えろ。学院に行くぞ」

「はーい」

京楽は残念そうであったが、浮竹はすでに平常心で運転していた。

やがて下着も全部着替えた、院生服姿の、見た目だけならまともな京楽がやってくる。

その懐に手をいれた。

「浮竹のえっち♡」

「このパンツの塊は、置いていけ」

京楽の懐には、盗んだ浮竹のパンツが数枚入っていた。

「えー、僕のスウィートたちが」

「パンツをもっていかなかったら、今日の夜キスをしてやる」

「ばいばいスウィートたち」

浮竹の腰に手を回して、京楽が部屋を出る。しばらくそうして歩いていると、浮竹が京楽の尻をつねった。

「いつまで、腰を抱いてるつもりだ、このアホ!」

「ああん、愛が痛い!」

「はぁ・・・簀巻きにしても脱出したり、簀巻きにしてるのにいったり・・・・お前は、どうなっているんだ」

「僕はね、浮竹の愛でできてるんだ!」

「そうか。それはよかったな」

浮竹は、適当に返事を返す。

今日もまた、何気ない1日が始まろうとしていた。





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朽木白哉と浮竹4

「やあ、白哉」

「浮竹・・・兄は、こんな時間に何をしている。仕事はどうした」

6番隊の執務室にやってきた浮竹に、白哉は質問した。

「ああ、もう終わらせた」

「早いな・・・・」

「それがな、清音と仙太郎が、病み上がりだからってほとんど仕事を片付けてしまってたみたいで・・・・俺が目を通す必要のあったのと、俺の採決がいる書類を残しただけで、仕事の量が思ったよりなくてだな・・・・・」

「そうか・・・兄は、副官はいないが、優秀な3席が二人もいるんだったな」

「そうなんだ。あいつら・・・白哉、結婚しよう。式はハワイで」

「は?」

白哉は間の抜けた声をだした。

「白哉はやはり白無垢かなぁ」

「おい、浮竹」

「隊長、どうなってるんでしょう?」

聞いてきた恋次に、「私も分からぬ」と答えた。

「結婚式場は、朽木家で・・・・・・」

「はーい、ごめん、ちょっと通るよ」

「京楽・・・これは、どういうことだ」

京楽が、また何か涅のつくったくだらない薬でも飲ませたのかと思うと、そうではなかった。

「浮竹、今自分で何口走ってるのか、わかってないでしょ?」

「京楽が、ペンギンと結婚すると言い出したので、白哉と結婚式を挙げるんだ・・・」

「だめだこりゃ」

浮竹を抱き上げる。

「浮竹?」

「凄い熱があるの。多分40度近い。出歩ける体調じゃないのに、布団から抜け出してきてね・・・霊圧を探ってやってきたというわけだよ。浮竹、自分でも何言ってるのか分かってないから、浮竹の言葉は真に受けないでね」

最初は、おかしい様子はなかった。

でもよく見れば、汗もかいているし顔も朱かった。

「京楽、ペンギンと浮気する気かーーー」

「はいはい。浮気しないから、ちゃんと薬飲んで横になってね」

浮竹を抱き上げて、京楽は瞬歩で去ってしまった。

それを見ていた白哉は、立ち上がる。

「え、隊長?」

「白無垢を着るとすれば浮竹のほうだ。ちゃんと訂正しておかねば」

「えーーー!!」

恋次が吃驚していた。

白哉は、そんな恋次を残して、雨乾堂まで瞬歩でくると、薬を飲まされている途中の浮竹に声をかけた。

「朽木隊長?どうしたんだい?」

「浮竹、例え結婚することになったとしても、私は白無垢など着ぬ。着るのは浮竹、兄のほうだ」

「白哉がぺんぎんだ~~~~ふにゃら~~~ペンギンが白無垢?」

「では、そういうことで」

さっと、白哉は風のように去ってしまった。

「なんだったんだろう・・・・・・」

「さぁ?」

「わかりません」

清音と仙太郎が、熱のせいでふにゃふにゃいってる浮竹を見る。

「浮竹隊長、朽木隊長にプロポーズしてたんですよね?」

「うん、そうだよ」

「多分、その時に言われた答えを言いにきたのではないかと・・・・」

「浮竹が白無垢・・・・。例え仲のいい朽木隊長でも、浮竹との結婚を許すわけにはいかないね」

「あ、浮竹隊長、起き上がっちゃだめです!熱が凄くあるんですから!」

清音の言葉に、浮竹は。

「清音は豚玉」

「は?」

「はっはっは、浮竹隊長はお前のこと豚だっていいたいのさ!この豚女ーーーー!」

「きいいいいいい、なんですって、このいんきんたむしーーー!」

二人は言い争いをしだした。

「お好み焼きに豚玉は欠かせない・・・・・ZZZZZZZ]

浮竹は、解熱剤がきいてきたのか、沈静効果で眠ってしまった。

「豚女!豚女!」

「このワキガ!水虫男!」

「なんだとー!」

「なによー!」

二人の様子を見て、言葉を挟む。

「浮竹は、お好み焼きに豚玉は欠かせないって言ってたよ。清音ちゃんの名前を出したのは、たまたまじゃないかな?」

「いーえ、隊長はこの女を豚だと思ってるに違いない!やーい、豚女ーー!!」

「きーーーーーー!」

清音は、斬魄刀を柄ごと外すと、その柄で仙太郎の頭を殴った。

「何しやがる!」

仙太郎も、この喧嘩買ったとばかりに、斬魄刀に手をかけた。

「はい、そこまで」

花天狂骨で、喉のあたりに刃をもってこられて、二人は反省しだした。

「すみません、京楽隊長。浮竹隊長がこんな時には、私がしっかりしておかないといけないのに」

「お前はお呼びじゃねぇ。でも、ほんとにすみません、京楽隊長。浮竹隊長を連れ戻してきてくれて、ありがとうございます」

まだお互い何か言いたそうだったが、肝心の浮竹は今は眠っている。

静かにしないといけない。

「まぁ、浮竹の熱が下がったら、喧嘩の続きはいくらでもするといいよ」

京楽はそう言って、浮竹の額の冷やしたタオルを取り換えるのだった。





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日番谷隊長と浮竹

「日番谷隊長、健康ランドにいこう!」

いきなり浮竹がやってききて、そう言い出したものだから、日番谷は眉を顰めた。

「何言ってるんだ、お前」

「だから、健康ランドにいこう。プールとかあるぞ。今なら子供連れだとただになるんだ」

「お前、俺を子供扱いする気か・・・・・」

日番谷は、子供扱いされるのを嫌う。

でも、身長のせいでいつも皆から子供扱いされた。まぁ、一般隊士や席官は隊長として敬ってくれるが、同じ隊長たちといると、よく子供扱いされた。

「まぁまぁ。子供のふりをすればいいだけさ」

「ただ単に、お前が健康ランドに行きたいだけだろうが」

「京楽も行くそうだぞ」

「はぁ・・・まぁ、暇だし、たまにはいいか。おーい松本、健康ランドにくぞー!」

日番谷は、松本にも声をかけた。

松本は、それを聞いて嬉しそうに、去年着ていたという際どい水着をもちだしてきた。

「却下だ!もっと地味なものにしろ!

「えー隊長いいじゃないですかー。別に誰かを悩殺しようとしてるんじゃないんだから」

「一般市民が悩殺されるわ!」

まぁ、一般市民なんて知ったことではないのだが。

こうして、浮竹と京楽、それに日番谷と松本は、ただで健康ランドに入ることに成功した。

「やっほー!プールで泳いできまーす」

結局、松本は際どい水着のままだった。

男性の視線が、その零れ落ちそうな豊満な谷間に釘付けになる。

浮竹も京楽も、何も感じてない。日番谷もだ。

「めんどくせぇけど、俺も泳いでくる。何しでかすかわからねーからな」

「じゅあ、僕たちは銭湯とサウナにいってるから」

「また後でな、日番谷隊長」

浮竹と京楽は、バスタオルを腰に巻きながら、銭湯でまずは体と髪を洗った。それからサウナに入る。

10分ほどで、京楽は我慢ができずに外にでた。冷水に浸かって、きもちよさそうだった。

浮竹は、30分以上経ってもでてこなかった。

まさかと思い、中に入ると、ふらふらな状態で座っていた。顔が真っ赤だった。

「のぼせた~~~~~」

「ああもう、なんでのぼせるまでサウナにいるんだい」

まずは冷水に浸からせて体温を下げて、購入したスポーツドリンクを渡すと、それを浮竹は一気に飲み干してしまった。

「おかわり」

「はいはい」

もう1本スポーツドリンクを購入して、飲ませた。

「プールに入って、少し涼む」

「じゃあ、移動しよっか」

海水パンツをはいて、二人はプールで泳ぎだした。

ただ、浮竹は泳げないので、うきわ必須だったが。

「浮竹が泳げないなんて、かわいいねぇ」

「好きで泳げないわけじゃない。ちなみに最高記録は14メートルだ」

「かわいい」

長い白髪は、一つにまとめて結い上げていた。

今日のために、数日の間睦みあっても、キスマークを残すなと徹底していたので、キスマークは体になかった。

「浮竹隊長、京楽隊長、ちょっとこっちにきてください」

松本の方に行っていると、松本は豊満すぎる胸を手で隠しているだけだった。

「どうしたんだ、松本」

「乱菊ちゃん、どうしたの」

「それが、胸の水着がとれて何処かに流れてしまって。探すの、手伝ってくれません?」

「いいが、そのままの恰好は問題がある。このバスタオルを、胸に巻いておけ」

「やだ、浮竹隊長紳士~」

「僕だってまけないよ!このゴーグルで、水中を探すんだ!」

「ありがとうございます~京楽隊長」

浮竹と京楽は、二人で松本の胸の水着を探した。

といっても、浮竹はおぼれるので潜ることができないので、水面をさがしたり、顔を水につけて探すのが手一杯だったが。

「おい、松本。何遊んでやがる」

「隊長~私の胸の水着がどっかいったんですー」

「これか?なんか流れてきた」

「あ、それです!」

ほんとど布地のない、胸の水着であった。

「浮竹隊長、バスタオル返します」

ぽろり。

こぼれたでかい胸に、浮竹は顔を赤らめた。

「その、松本、胸が丸見えだぞ」

「あ、やだー、あたしったら」

水着をつける松本。

京楽はというと、その胸をみて。

「今度、涅隊長に薬作ってもらおう・・・性別転換できて、巨乳になるやつ」

「言っておくが、飲まないぞ!飲ませたら、どうなるかは分かっているんだろうな!?」

「えー、なんのことかなぁ。でゅふふふふふ」

気持ちの悪い笑いをする京楽に、こいつ絶対俺に薬を飲ます気だと、浮竹が距離をとる。

「まぁまぁ。浮竹は美女になっても今もままでも、僕はいけるから」

過去に、性別転換の薬を盛られたことがあって、結局京楽においしくいただかれてしまった。

それを思い出して、浮竹は浮輪と一緒に京楽を置いて遥か彼方に泳いでいってしまった。

「あ、待ってよ浮竹!」

「はぁ。あの二人見てるの面白いわ~。小説のネタがなんか浮かんできそう」

「松本、健康ランドに来てまで、腐った目で二人を見るのはやめろ!」

「えーなんでですか~。京浮王道なんですよー?夫婦なんですよー?」

「夫婦・・・・・」

瀞霊廷でも言われている。二人は、もはや熟練カップルを通りこして夫婦だと。

「浮竹が嫁?ありえそうで怖い・・・・。京楽が嫁・・・京楽のウェディングドレス姿」

想像して、ぶはっと日番谷は吹き出した。

「あーっはっはっはは。もじゃもじゃの嫁!」

「隊長、何かつぼになりました?」

「京楽のウェディングドレスを着た姿を想像してしまった」

「ぶはっ!腐女子とはいえ、それは流石に萌えないわ~」

そんな目で見られているとは知らず、浮竹も京楽も、ウォータースライダーを滑ったりして、健康ランドを楽しむのだった。








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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます22 精強剤

この前、大浴場で買った「超健康、ビタミンカルシウムたっぷり健康エナジードリンクスーパーZ」という名の精強剤を、飲んでみた。

あそこがビンビンになった。

「浮竹・・・・・・」

「京楽のアホーーーーー」

実体化していた浮竹は、月の2回ある睦みあう日のために実体化していたのだが、精強剤を口にした京楽を見て、その頭を殴った。

「年のくせにただでさえ性欲旺盛なのに、何精強剤飲んでやがる!」

「まぁまぁ。浮竹も飲みなよ」

「俺はいら・・・・むがー」

無理やり、口移しで飲まされた。

その味がまた、眩暈がしそうなほどにまずいのだ。

吐きだすわけにもいかず、嚥下してしまった。

「あ・・・・・」

浮竹までビンビンになった。

「あほ、俺に精強剤飲ませてどうする」

「いく回数が増えれて、いいじゃない」

「どうせドライのオーガズムでもいくんだ。あまり変わらない」

「でも、出したときのほうが快感は高いでしょ?」

「まぁ、それは・・・・・」

「ということで、いただきまーす」

「ぎゃあああああああああ」

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「んあ・・・・・・」

もう何度めになるかも分からない熱を体内に放たれて、浮竹はぼんやりとしながらそれを受け止めた。

浮竹自身、もう4回以上いっている。

超健康、ビタミンカルシウムたっぷり健康エナジードリンクスーパーZなる精強剤を、大浴場でのぼせた浮竹に水分をとらせるために適当にかった飲料がそれだった。

なんで自販機に精強剤が売っているのかは不思議だったが、とにかく普通の精強剤より効いた。
それこそ、涅マユリが作った精強剤のように。

っていうか、ドリンクの後ろによく見たら、涅製薬と書いてあった。

「こんなもの、普通の自販機で売るなよな・・・あああ!」

ズチュリと中を犯されて、疲弊しているはずの体は、それでも喜んだ。

「んあああああ!」

前立腺を刺激して、突き上げられる。

「ああ!」

もう何度目かも分からない熱を、浮竹は吐きだした。

「浮竹もいきまくりだね。この精強剤、けっこういいかも」

「ああああ、疲れるから・・・・・あんま、飲むな・・・・んんんっ」

舌が絡まるキスをされる。

「浮竹もきもちよさそうじゃない・・・・・」

「ばか、やり過ぎられると、疲れる・・・・・」

「ここはそうでもないみたいだけど?」

まだたちあがっている花茎は、だらだらと先走りの蜜を垂らせていた。

「んあああ!」

京楽の手で直接いじられて、浮竹はびくんと体を痙攣させる。

また、いってしまった。

少し効果がきついようだった。

しかし、流石にもう吐き出すものがなくなって、透明な蜜だけをとろとろと零すようになっていた。

「ひああああ・・・・ああ・・・・・・んあ」

京楽のものは、まだ硬度を保っていた。

「ひあああ、もう、早くいけ・・・・・」

下肢に力をこめると、京楽もその締め付けに我慢できず、精液を浮竹の腹の奥にぶちまけた。

「んあああ!!」

じんわりと広がっている熱にも、体は反応した。

最後のあたりは、ドライのオーガズムでいっていた。

ぬきとられると、こぽりと京楽が出したものが逆流してぼとぼととシーツの上に漏れ出す。

「あ、出ちゃう・・・・」

京楽は、濡れたタオルでそれをぬぐうが、出した回数のせいか、いつもの2倍くらいの質量で、溢れてきた。

「ん・・・・風呂に、入りたい」

「大丈夫?まだ実体化していられる?」

「あと、20分くらいなら可能だ・・・3時間あったのに、残り20分か。お前、俺を抱きすぎだ」

「いやあ、この精強剤すごいね。また使いたいくらいだ」

浮竹にジト目で睨まれた。

「今度それを飲んで俺を抱いたら、2カ月の禁欲を言い渡す」

「そんなぁ」

京楽は、心底残念そうだった。

「浮竹も気持ちよくなれたのに?」

「限度ってものがあるだろう!回数が多すぎると、疲れるんだ。もう指も動かしたくない・・・・」

そんな浮竹を抱き上げて、風呂場までいって、中に出したものをかき出した。

1番隊の新しい建築にあたって、専用の少し広めの湯殿を建築させておいて正解だったと、京楽は思う。

まさか、死んだはずの浮竹とこうして睦みあい、その処理に使うとは思っていなかったが。

「はぁ・・・・・・」

体と髪を洗い、湯船に浸かる。

浮竹は、腰が痛そうだった。

風呂からあがっても、立ち上がれないでいた。

「ちょっと、やりすぎちゃったね」

「これがちょっとか!いつもの2倍はしておいて!」

「まぁまぁ」

浮竹の髪の水分をバスタオルで吸い取って、死覇装と白いだけの羽織を着せていく。

髪を結い上げようとしたところで時間切れになって、浮竹の体は透けていった。

仕方ないので、霊体を触れる手袋をして、髪を結い上げて、翡翠の髪飾りで留めた。

翡翠の髪飾りは、浮竹の一部となって透けてしまった。

身に着けたものも透き通るが、実体化すると身に着けたいたものも普通の状態に戻る。

本当に、便利なのか不便なのか分からない体だった。

「いっそ、お前も幽霊になるか」

「僕はまだ生きていたいよ。総隊長としての役目もあるし。それが終わったら、幽霊になってもいいかな」

「ばか、冗談に決まっているだろう」

「僕はこのままゆっくり年老いていくけど、浮竹はどうなんだろうね?」

「多分、俺も年老いていくぞ。何せ、霊体なのに髪も爪も伸びる。幽霊なのにな」

浮竹は、シーツをかえたベッドの上で疲れたのか横になっていた。

霊体だから、浮いていてもいいのだが、腰が重い気がするのだ。

「ああ、君にキスしたいのにできない」

「それは諦めろ」

「こうなったら、この手袋で!」

全身をくすぐられて、浮竹は京楽から逃げた。

「まてー」

「京楽のアホー!あんなにやっておきながら、なんでそんなに元気なんだ!」

「さぁ、やっぱり一応健康ドリンクでもあるからじゃない?君も、あれだけ抱かれておきながら、そんなに活発に動くなんて元気だね」

浮竹は、拗ねて日番谷のところにいってしまった。

「ああ、もう使えないのかぁ。勿体ないなぁ」

超健康、ビタミンカルシウムたっぷり健康エナジードリンクスーパーZの残りの中身を捨てていく。

後日、また買おうとしたのだが、売り切れで普通のスポーツドリンクが売ってあった。

ネットで涅製薬を探してみたが、そんなもの存在しなくて、とにかく謎だらけのドリンクなのであった。


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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます21 大浴場

「ふんふーん」

京楽はご機嫌だった。

大浴場を貸し切りにできたのだ。いつもは人が多くて入る気はしないが、貸し切りなら話は別だ。

「京楽、髪を洗ってくれ」

「はいよ」

浮竹も、久し振りに実体化して風呂に入った。

別に霊体のまま汚れるというわけではないし、実体化してついた汚れは霊体化して波長を変えれば消えるので、風呂に入る必要がなかった。

でも、幽霊のままではじんわりとした温度しか感じられず、物足りない。

大浴場を貸し切りにしたと聞いて、浮竹も実体化して風呂に入ることにした。

いつものシャンプーで、京楽が浮竹の長い髪を洗ってくれる。気持ちよかった。

その後、リンスをされた。

いつもはしないのだが、今日は風呂のために実体化したのだし、いいかと思った。

「これで、浮竹の髪はつやつやだよ」

「俺は、別にシャンプーだけでいいんだがな」

「シャンプーだけでもサラサラだけと、リンスをすればもっと艶が出るよ」

「別に髪に艶なんて求めてないんだが」

「だめだめ!せっかくこんな綺麗な長い白髪をもってるんだから、大切にしないと」

京楽は、浮竹の長い白髪が大好きだった。

いつも、甘い花の香をさせている浮竹に、シャンプーと石鹸の匂いを与えると、なんともいえぬよい芳香となって、京楽を刺激する。

「言っとくが、今日は風呂に入るだけだからな。変なことはするなよ」

「分かってるよ」

いつも、京楽は浮竹が実体化すると手を出してくる。

なので、念を押しておいた。

「ふんふーん」

京楽の長いくせのある黒髪を、浮竹が洗ってやった。シャンプーは浮竹のとは別のものだ。浮竹の髪は女性用のシャンプーで、いい匂いがするやつで、京楽のシャンプーはメンズものの薬用シャンプーで、香は控えめだった。

「お前も髪が長くなったなぁ」

「そろそろ切ろうかと思ってるよ」

「俺が切ってやろうか?」

「勘弁して!10円はげはもうごめんだよ!」

昔、京楽の髪を切って10円禿をいっぱいこさえた。

さすがに浮竹も悪いと思って京楽に詫びて、涅マユリから育毛剤なるものをもらい、はげになったところに塗ったら、うねって長い黒髪が伸びた。

その気味の悪さに、浮竹はもう二度とあの育毛剤は使うまいと決めていた。

「はぁ。久しぶりの風呂は生き返る・・・・」

新婚旅行で温泉を味わったが、あれから数か月経過していた。

湯船に肩まで浸かり、長い髪は結い上げてまとめていた。京楽も髪が長いので、結い上げていたのだが、その姿の似合わないことこの上ない。

「お前は、あれだな。髪を下ろしたままのほがいい。結い上げると、なんというか奇妙だ」

「そういう君は、結い上げるとうなじが見えてセクシーだねぇ」

「変なことはするなよ!」

「しないって。たまには僕を信用してよ」

そのまま、京楽は風呂からあがった。

「浮竹も、早めに出てね。貸し切りの時間、2時間だから」

「ああ」

一向に出てこない浮竹を不思議に思い、大浴場をのぞくと風呂の上に浮かんでいた。

「浮竹!?」

「ほにゃら~。のぼせた~~~」

「ああもう、言わんこっちゃない・・・・・」

浮竹を風呂からあがらせて、髪の水分やらをバスタオルで吸い取り、服を着せていく。

いつもの死覇装に、13番隊と書かれていない、ただの白い羽織だった。

今は13番隊の隊長には、ルキアがついている。

実体化した時、時折間違われるので、隊長羽織は着ないことにした。でも、羽織がないと何か落ち着かないので、白いだけの羽織を着ていた。

「うー世界が廻る~」

「まってて、今つめたいスポーツドリンク買ってくるから」

尸魂界も大分近代化が進み、自販機が置かれるようになった。

念のためにもってきた財布から小銭を出していれて、スポーツドリンクを押すと、売り切れだった。

「ああもう、こんな時にうりきれとか」

とりあえず、冷たいものならなんでもいいかと、適当にボタンを押した。

ガチャン。

出てきた物体をみて、これはないかもと思った。

超健康、ビタミンカルシウムたっぷり健康エナジードリンクスーパーZとかいてあった。

「まぁいいか」

浮竹が待っている。

そう思って、そのドリンクを手に、浮竹のところにくると、のぼせて水を求めていた。

「水を・・・・」

「水じゃないけど、これ・・・・」

その健康ドリンクを飲ませると、浮竹はかっと目を見開いた。

「おいしい?」

「激まずい。のみこめない」

風呂場にもどり、口の中のものを吐き捨てて湯で流した。

「なんだこれは・・・・冷たいことは冷たいが、ドロリとしてねばついて・・イガイガしていて、味がとんでもない」

「そんなに不味いの?」

京楽は、自分でも飲んでみた。

「うへぇ、よくこんなの売ってるね」

一口、口にしたが、でもなんかパワーが溢れてきた。

「なんだろう。すごいやる気出てきた。これ、意外と効くかも?」

浮竹に無理やり飲ますと、浮竹は顔を赤らめた。

「これ、精強剤じゃないのか・・・・・」

「あ、ほんとだ。そう書いてある・・・・・」

「そんなもの買ってくるなんて、やはりいかがわしいことをしようと・・・」

「違う!不可抗力だよ!でもどうしよう、ビンビンだ」

「俺もだ。仕方ない、風呂場で抜くか」

二人は、浮竹が実体化していられる時間が少ないので、睦みあうことはせずに互いに抜きあった。

「味は不味いけど、使えるかも?」

「俺を抱く前に飲むなよ!」

「いやあ、一度ぜひとも試してみたいね」

「京楽のアホ!」

衣服を着たところで、時間がきて浮竹は幽霊に戻った。

すーっと、体がすけていく。

「今度ためしてみようよ」

「絶対に嫌だ!お前、さっき6回も抜いてただろう!」

「そういう浮竹だって5回は抜いてたじゃない!」

ぎゃあぎゃあ言い合っていると、貸し切りの時間が終わって、一般客が入ってきた。

「とりあえず、戻るか・・・水がほしい」

「1番隊の執務室の冷蔵庫に、冷えた麦茶があるから、そこにいくまで我慢してよ」

結局、超健康、ビタミンカルシウムたっぷり健康エナジードリンクスーパーZは今度浮竹が実体化した時に京楽が飲んで、5回もしてしまい不興を買うのだった。



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浮竹と京楽と海燕と 雪だ遊ぼう

「わぁ、積もったなあ」

浮竹は、雨乾堂の外の銀世界を見つめていた。

「ちょっと隊長、その姿のまま外にでないでください!」

海燕は、雪の積もった外に出ようとする浮竹に、上着を羽織らせた。ついでに防水の手袋とマフラーもさせた。

どうせ浮竹のことだから、はしゃいで雪だるまでも作り出すのだろう。

それは半分あっていた。

雪だるまのようなものを作ろうと頑張っているが、一人では無理なようで。海燕も手伝って、雪だるまをなんとか完成させると、海燕の顔面に雪の玉がぶつかった。

「あんた、手伝ってあげたのに!」

お返しとばかりに、雪玉をつくって浮竹に投げた。

ぽいぽい投げ合っていると、そこへ、京楽がやってくる。

「雨乾堂にいないと思ったら、楽しそうなことしてるねぇ。ぶべ」

京楽の顔面に、雪玉は命中した。

「ちょっと、僕は、ぶべ」

海燕も、日頃の鬱憤を晴らすように京楽に雪玉を投げまくった。

「ええい、こなりゃやけだ!」

京楽も、雪玉を作って海燕や浮竹に投げ出した。

浮竹と海燕は、別に共同作業をしているわけではないのだが、京楽に向けてばかりに雪玉を投げた。

「ちょっと、君ら僕だけターゲットってずる・・・ぶべ」

ぽいぽいと、雪玉を投げてくる浮竹と海燕に、京楽も堪忍袋の緒が切れた。

凄い勢い雪玉をつくり、浮竹と海燕に投げていく。

3人とも、雪まみれになっていた。

「あはははは、面白いけど寒くて冷たいし、疲れるね」

「そうですね」

海燕が、浮竹を心配しだした。

「隊長、このあたりで切り上げて、雨乾堂に入りましょう。そんな雪まみれの恰好でいたら、熱をだしてしまいますよ」

「嫌だ、もっと遊ぶ」

浮竹は、雪玉をこしらえて、海燕に投げた。

それは海燕の顔面に命中した。

「ったく、あんたは!」

海燕も雪玉をつくり、浮竹の顔面に命中させる。

今まで、浮竹は顔面に命中するのを避けていたのだが、気が緩んだのだろう。

「やったな、海燕」

「なんの!」

「僕も忘れないでよ!」

3人で、雪玉をまた投げ出した。

やがて1時間程経って、浮竹がくしゃみをした。

「はっくしょん」

「ああ、隊長もうだめです。時間切れ。風邪ひく前に、雨乾堂に戻ってください

仕方なしに、浮竹は言われた通りにする。

「楽しかったなぁ。雪が積もるの、何十年ぶりだろう。京楽と院生時代でも一度積もって、雪だるまや雪うさぎを作った」

「ああ、あの時は楽しかったねぇ」

昔のことに想いを馳せる。

その頃、海燕はまだ生まれてもいない。

「寒くなってきた・・・・悪寒がする」

火鉢に当たっていた浮竹は、毛布を羽織りガタガタと震えていた。

「ほら、いわんこっちゃない。お風呂入って温まりますか?」

「ああ、そうする」

海燕は、風呂を沸かした。

ちょいどいい温度になって、浮竹を呼ぶ。

「隊長、風呂沸きましたよ」

「ああ、すまない」

浮竹は、風呂に入り体を温めた。でも、髪の毛が水分を重たく吸ってしまい、タオルで水気をできるだけふきとったが、ばさりと背中に流れた。

「だめだ・・・・熱が出てきたみたいだ」

「ああもう、だから雪遊びなんてするから」

海燕は、文句を言いながらも浮竹のために布団を敷いた。

「横になっててください。幸いなことに雪がつもってるんで、氷枕つくってきますから」

「浮竹、大丈夫?」

京楽が、心配そうな顔で浮竹を覗き込んでくる。

「ああ、いつもの熱よりはましだ。少し横になって、薬を飲めばなんとかりそうだ」

京楽は、浮竹に口移しで解熱剤を飲ませた。

「隊長、氷枕つくってきました」

「ああ、ありがとう海燕」

その上に頭を乗せて、外で冷やしたタオルを、浮竹の額に乗せる。

「すまない、少し眠くなってきた・・・寝る」

スースーと、静かな音をたてて浮竹は眠りだした。

「まったく、隊長はこうなることが分かっていながら、なんで雪遊びなんてするんでしょう」

「君がいるからさ、海燕君」

「え、俺が?」

「そう。君に任させれば全て大丈夫だろうと、浮竹は思っているんじゃないかな。海憑君も、浮竹の雪遊びに付き合ったんでしょう?」

「そうですけど」

「浮竹は、一人じゃああまり雪の中へ行かないからね。発作とか起こすと大変だって分かってるし。君がいるから、はしゃいで遊んでたんだよ」

「そういうものですか」

「うん」

「早く熱下がるといいですね」

「そうだね。まぁ、下がっても浮竹はまた懲りずに雪遊びしそうだけどね」

「俺が許しません」

「浮竹も、よくできたけど姑みたいな副官をもって、幸せなんだか気の毒なんだか」

「誰が姑ですか!」

海燕が怒りだす。

「おっと、口が滑っちゃった」

「京楽隊長、そもそもあんたは・・・・・」

がみがみとお小言をもらいながら、京楽は笑う。

海燕の存在は、浮竹にとってはかけがえのないものなのだ。

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院生時代の部屋 ただのアホ

「はぁ~~~~~ほあちゃああ!!!」

朝起きると、京楽が浮竹のパンツをかぶって、ちゃんと院生の服をきてカンフーをやっていた。

どうでもよかったので、二度寝した。

「あたたたた、あたぁ!お前はもう、死んでいる」

次に起きると、京楽は世紀末覇者になっていた。

どうでもよかったので、三度寝した。

「我が人生に一片の悔いなし!」

次に起きると、ラオウになっていた。

どうでもよかったので、4度寝しようとしたが、流石に寝れなかった。

「ふあ~」

欠伸をしながら起き出す。ちょうど昼の12時だった。

「昼飯でも食いにいくか。おい、そこのラオウ。ラオウやめて京楽に戻れ」

「なに、浮竹~。今日もかわいいね」

「お前はもさいな。世紀末覇者になったり、ラオウになったり・・・・北斗の拳がそんなに好きなのか?」

北斗の拳は、遥か未来で現世で流行る漫画であった、何故ここにあるのかは説明できないので、置いておく。

「僕はラオウよりケンシロウが好きだなぁ」

「そうか。俺はレイとトキが好きだな」

北斗の拳について、会話し合った。

「レイは最後が切ない。ラオウにやられて2日の寿命を、トキに伸ばしてもらい、愛する者の仇討ちをして、愛する者を置いて死んでいった」

「うううう・・・・・まるで、僕と浮竹みたいだね」

「その場合、どっちがレイなんだ」

「僕かな」

浮竹は、首を横に振った。

「ありえない。お前はせいぜいジャギだろ」

「あんな雑魚じゃないよ!酷い、浮竹!そんな目で僕を見ているのかい!?」

「ジャギも京楽も、似たようなものだろ」

「そんなことないよ!僕は浮竹をこよなく愛するピュアな精霊だよ」

「ピュアな精霊は、人様のパンツを頭に被ったりしない」

京楽から、被っていたパンツを奪いとった。昨日干してやつだった。

「全く・・・俺のパンツをなんだと思っているんだ」

「しいていえば、楽園かな」

「やばい、早くなんとかしなければ・・・・・・・」

しかし、もう手遅れだった。

京楽菌が繁殖して、脳細胞まで京楽菌に侵されていた。

「ま、どうせ京楽だしな」

そう片付けて、昼食をとりに食堂にいった。

今日のメニューは、カツカレーだった。

「カツより、エビフライがいいな・・・・」

「へい、料理人」

指を鳴らして、京楽は自分ちの料理人を呼んだ。

「はい、坊ちゃん」

「エビフライを2人前!」

「はい!今から調理いたしますので、10分程お待ちください」

10分が経った。

できたてのエビフライが、京楽と浮竹のカレーの上に乗った。

「お前・・・・・実はドラえもんだろ」

「ノンノン。あんなたぬきとは違うよ」

なぜドラえもんを知っているのかも、ここは置いておく。

「まぁ、ありがたくいただこう」

できたてのエビフライはおいしかった。

カレーもおいしかったし、カツもボリュームがあっておいしかった。

今日は休日だった。

食堂には結構な人がいた。

「ごちそうさま」

京楽は食べ終わり、何かで口を拭っていた。

何かと思えば、浮竹のパンツだった。

とりあげると、京楽は懐からまたパンツを出した。それもとりあげると、右手の裾からパンツを出した。

それもとりあげると、次は左手から・・・・・右足、左足、服の裾、背中から。

「ぜーぜー。一体、いつも何枚の俺から盗んだパンツをもっているだ」

「んー今日は8枚」

「アホか!お前、やっぱりアホだろ」

「うん、僕は浮竹のことになるアホになるんだ」

「やってられない」

京楽を放置して、浮竹は寮の自室に戻った。

どういうことか、置いてきた京楽がいた。

「僕の愛しいパンツたちを返しておくれ」

「いやだ。これは俺のパンツだ」

「ナニに使ったパンツでも?」

「ええい、こんなものいるか!」

パンツをごみ箱に投げ捨てた。

「だめだよ、僕の愛しいパンツを捨てちゃあ。ほら、代わりに僕もパンツをあげるから」

京楽のパンツを・・・ヒョウ柄のボクサーパンツを、浮竹は頭に被せられた。

「いるか、こんなもの!」

鬼道で燃やしてやった。

「ああ、僕の勝負下着なのに!」

「誰と勝負するんだ?」

「でゅふふふふ。勿論、う・き・た・け♡」

「お前は、やっぱりただのアホだな。お前がどんなパンツはいていようが、俺には関係ない・・・って、何服を脱いでるんだ!」

「え、浮竹に僕がいまはいているパンツを見せてあげようと思って」

ラメ入りの、派手なボクサーパンツで、浮竹命と書かれていった。

「やっぱ、お前ただのアホだろ」

「そうかもねぇ」

うわ、こいつ認めやがった・・・・・そう思いながらも、夜は更けていくのだった。

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青春白書11

「一護、大人気ないぞ」

子供にルキアを独占されて、一護はルキアを抱き上げてしまった。

子供が背が届かないので、一護の足に蹴りを入れた。

「こら、親を蹴るな!」

「ママを返せー!バカ一護!!」

幼いながらも、しっかり血は変なところで受け継がれているようだ。ルキアを独占したいというところが、受け継がれている。それはそれはもう、しっかりと。一勇となづけられた長男は、とにかく一護の足を蹴った。

「ママは僕のものだ!バカ一護、返せ!」

幼い二人の我が子は、一護を蹴りi続ける。

ちゃんとしつけはしているのだが、一護に対して子供は母であるルキアを奪われると、ライバル心をむき出しにしてくる。

「パパー」

「おvなんだ?」

苺花と名づけられた、二人の子供である長女は、子供特有の大きな瞳で見上げて、一護を呼ぶ。

パパと呼ばれて、一護がルキアを地面に下ろした。

「パパー。大好きー」

「そうかー。俺も大好きだぞー」

子供を抱き上げると、子供は幼いのにどこでそんなことを覚えたのか、ルキアの血を引いているような言動をとる。

「大嫌い!」

「何をおおお」

逃げ回る子供を追い掛け回す一護。

そして、ルキアの背後に隠れて、じっとアメジストのルキアと同じ瞳で見上げてくる。

「大嫌いの反対」

「う」

この視線。ルキアの視線そのものだ。

この視線に弱い。

幼いくせに、目線の使い方をとてもよく理解している我が子に、一護はこれは年を重ねるごとに一筋縄ではいかないと思った。

「一護。愛している」

「俺もだ、ルキア」

二人はキスをする。

子供が背伸びをして、僕も私もとせがんでくる。

「僕も愛してるのー」

「愛してる」

幼い我が子の額にキスをして、ルキアは子供達を抱き上げる。そのルキアを、一護が抱き上げる。

ピンポーン。

チャイムがなる。

一護はルキアと我が子を抱き上げたままドアをあける。連絡は受けてある。

「恋次」

「恋次お兄さん」

嬉しそうに、子供は恋次の方を向く。

「はいはい、恋次お兄さんだぞー」

「恋次、大好きだ!」

ルキアは、昔と変わらない声と笑顔を恋次に向ける。

恋次は結婚したが、まだ子供はいない。そのせいで、遊びに来ることは多い。冬獅郎も、大学生になっていたが、よく遊びにきた。

「俺も大好きだぞ、ルキア」

そこに、昔のように女の子として恋次を慕うルキアはいない。

いるのは、一護の人妻で子供ありのルキア。

「おう、恋次、今日は泊まってけよ」

「言われなくてもそのつもりだ!」

「恋次お兄さん、遊んで!

子供が、ルキアの手からはなれてはしゃいで恋次の服をひっぱる。

そんな光景を、一護とルキアは二人並んで幸せそうに見つめている。

「大好きでだ、一護」

「俺もだぜ、ルキア」

そのまま唇を重ねる二人は、いつでも新婚気分だ。

「チャッピーーごっこしよ!一護もママも一緒にあそぼ!」

きゃっきゃとはしゃぐ我が子の愛しい声を聞きながら、二人はいつまでも抱きしめあっていた。

青春は、もう少し昔の出来事。

青春白書というドラマがあった。小説だったかもしれない。それが、どんな物語でどんな内容であったのかは二人は見ていないので知らない。

二人の青春白書は、ひとまずピリオト。


              青春白書
               fin



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青春白書10

「そうか。ああ、このままルキアは泊める。週末だし、このまま日曜まで家にいさせる。いいな、恋次?」

電話側の恋次は、安堵したように了承してくれた。

恋次から全て聞いた。

ルキアが恋次に「告白」をしてそれを恋次は受け入れず、そしてルキアは家を飛び出したのだと。

いわゆる家出のようなものだろう。

一護は自分の家にルキアが来てくれて心から安堵した。

「う・・・ん」

ベッドで寝返りをうつルキアの額にキスをする。

そのまま、同じベッドで眠った。

朝起きると、横にルキアはいなかった。一護は一人暮らしだ。

まさかどこかに行ったのかと焦ったが、靴があったのでほっとした。

でも、それもつかの間のことだった。

リビングルームで、ルキアはあられもない姿で座っていた。

綺麗に伸びた少し長めの髪が、無残なことになっていた。

「ルキア?」

鋏を持ったまま、放心しているルキアから鋏を取り上げる。切ったのは髪だけで、体に傷はつけていないようだった。

「ルキア」

ゆっくりと、アメジストの瞳が一護を見る。

「愛してくれ。私だけを愛してくれ」

服を脱ごうとするルキアを止める。

「何故だ?愛してくれないのか?」

「大丈夫、愛してる。でも、まだ早い。卒業するまで、体の関係はなしだ。それが最低限のルールだと俺は思う。教師と生徒だからっていうのもあるけど」

「本当に、私を愛しているのか?」

「ああ、本当だ。大好きだ。結婚しよう」

「・・・・・・・・・・恋次に振られた」

ルキアは泣き出した。

「恋次から聞いた」

「恋次のために伸ばした髪・・・こんなの、いらない!」

「ルキア」

頭をかきむしるルキアを抱きしめ、一護は唇を重ねると、はじめて舌を絡ました。

「ん・・・・・」

ルキアが震える。

そのまま組み敷くと、ルキアは顔を覆って震えながら泣き出した。

「怖い」

「だろ?無理に関係を求める必要なんてねぇんだ。俺は関係なんてなくてもルキアを愛している。結婚しよう」

「・・・・・・・・・私だけの一護でいてくれるのか?」

「ああ。お前だけの一護でいる。傍にいて、お前を守る。生涯かけて愛しぬく」

「・・・・・・・う、ううう、ひっく、ひっく」

ルキアは一護しがみついて泣きじゃくった。

そのまま、髪は一護がそろえてあげた。綺麗に伸ばされていた髪は、ルキアが自分でぎざぎざに切ったせいで、揃えると肩の高さになってしまった。

「約束してくれ。卒業したら、ちゃんと結婚してくれると」

「約束する。そうだな、不安なら婚約指輪を今度買いに行こうぜ」

たくさんのキスを受けて、一護の腕の中でルキアは落ち着いている。

「買いに行く。教会で結婚式あげたい。ウェディングドレス着てやる」

「うん、そうだな。いいな」

まるで新婚のように。

甘い夢を語りあう。

「一護」

「どうした?」

「大好きだ」

ルキアが、始めて一護のことを大好きと、好きといってくれた。

「愛してる。貴様が好きだ。恋次よりも好きだ・・・多分。同じくらい?まだここらへんが分からない。恋次が今まで私の全てだった。貴様が私の領域に入ってきた。恋次だけを見つめていた私の視線が、いつの間にか貴様を見つめていた。私の心を奪った責任をとれ」

「とる。だから、結婚しよう」

まるで子供のように駄々をこねるルキアの言葉にちゃんと答える一護

そのまま、しばらくの間ルキアは一護の家に泊まることになった。一護の家から通学するルキア。

ルキアが自宅に戻ったのは、2週間後のことだ。

恋次は髪を自分で切ってしまったルキアにショックを受けたが、また自分を変わりなく受け入れてくれるルキアに感謝した。

そして、そのルキアの指には一護から買ってもらったという婚約指輪が光っていた。

話を聞いて、恋次は気絶した。

「俺の大切なルキアがお嫁にいっちまう!」

学校の友人に、そして彼女にそういって男泣きする恋次の姿が数週間続いたという。

ルキアは、そのまま一護と付き合いながら高校三年になった。

それから季節は過ぎていく。

学校側は、ルキアと一護を受け入れた。正式に婚約あり、体の関係はなしという方向で。

自分たちから、正式に婚約をして付き合っているといいだしたルキアと一護。無論、問題にはなった。保護者である白哉が呼び出されもした。

教師と生徒なのだから、仕方ないことかもしれないが。

だが、昨今では体の関係などすでにあって、何もいわずに退学して結婚するケースもある中で、二人の毅然とした態度と約束は目を見張るものがあった。

すでに、この年齢で結婚の約束なしで付き合っている教師と生徒というケースはごまんとある。過去にこの学校でもあった。その中で、あえて自分たちから言い出し、約束を決めてそれを守るという姿勢を理事長も了承し、二人は学校でも公認のカップルとなった。

高校3年にもなると、もう公認でルキアは一護の家に住むようになっていた。

ルキアと一護の結婚式は、それはそれは華やかなものだった。
何せ、学校の教師全員に同じ学年の者たちが祝いに出たのだから。他にも旧知の友人の招待などもあったが、とにかくめでたくゴールインした二人を祝おうを学校で特別文化祭まであったほどに二人は祝福された。

「おめでとう!」

「おめでとう!!」

純白のウェディングドレスを着たルキアと、正装した一護

「ルキアああああ!俺はあああああ!うううう」

「落ち着け、恋次。鼻水でてるぞ」

俺はあああと、泣きまくる恋次も、次の年には彼女と結婚することになる。

冬獅郎が、恋次の鼻水を拭く。

ルキアは笑顔で恋次に「今までありがとう、大好だ恋次」といって、一護と並んだ。

恋次の泣きようはそれはもう凄いもので、鼻水の量も凄かった。一緒に出席した恋次の彼女も驚いたくらいに。

保護者であった白哉は、静かにルキアの、義妹の結婚式を見つめていた。

「緋真、見ているか。そなたの妹幸せを掴んだぞ」

ブーケを投げると、それを受け止めたのは恋次の彼女だった。

白哉の他に、ルキアの義理の両親も結婚式に出てくれた。ルキアは、虐待していた義理の両親を許した。義理両親は、長いこと悔やんでいたのだという。ルキアが緋真にあまりに似ていたため、虐待に繋がった。当時義理の母親は愛人もいて、そのせいで義理父親は精神的に不安定になって職も休んでいて、ルキアを襲ったのも本意ではなかったことらしい。覚せい剤をしていたらしい、当時。

荒れに荒れた場所から逃げたルキアは、白哉に保護され、そこから新しい恋次との出会いを生み、そしてそこから一護と出会うことになる。

一護の最初の両親も結婚式にきていた。一護も二人を許した。

長いこと、手紙で謝罪がきていた。実際にあって許そうと思ったのは、ルキアのお陰かもしれない。

二人の両親は、泣いて謝罪して、そして幸せになった二人を心から祝った

不良グループの頃の友人もきていた。当時世話になった警察官やおまわりさんまできていた。もう大所帯すぎて、とにかくにぎやかだった。

新婚旅行はニュージーランド。
新婚旅行なのに、二人は羊と戯れて、牧場で体験生活をしていたという。

ルキアは、結婚した後一護とそのまま一緒に住みながら、希望の大学に進んだ。

名前は変わっていない。朽木ルキアのままだ。白哉のことを思うと、名前をかえれなかった。一緒に暮らした時間は僅か2年であるが、愛しい義兄であった。一護も苗字が別々なのに同意してくれた。

二人はいつでも新婚バカップルだった。

恋次も同じ大学に進んだ。
大学2年の夏、3ヶ月大学を休学した。

新しい命が、二人の愛の結晶として産み落とされたからだ。

はじめ、ルキアは怖がっていた。自分が義理の親に虐待されていたせいで、子供を虐待するのではないかと。

けれど、一護と二人で歩んで一護はいつでも相談に乗ってくれたし、子供は素直に愛しいと思えた。ルキアは一護に支えられながら、育児と家事とそれに学業まですることになる。

家事を一護が全部引き受けてくれたり、恋次とその妻が子守をしにきてくれたりと、とにかくやっていけそうだとルキアは思った。

一人で子供のことに関して悩むことはなかった。初産の母親は育児ノイローゼになりがちだが、ルキアは周囲がとにかくこれでもか!ってくらいに世話をしにきてくれた。

特に恋次が。あと冬獅郎も。

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青春白書9

恋次は、とうとう覚悟を決めた。恋次の部屋に入る。恋次は宿題をしていた。

「恋次」

「どうした、ルキア」

「好きだ」

「僕もルキアのことが大好きだぞ」

「好きだ」

「俺も好きだぞ」

ルキアは、じっと恋次を見つめていた。そして首を振る。

「そういう好きじゃない。私は、ずっとずっと、恋次のことを異性として好きだった。だから恋次の彼女って人を見ると不安定になった。恋次は私のものじゃなのだ、私のものにはならぬのだと」

「え。俺のことを、異性として?」

「そうだ」。私は、恋次のことを女の子として好きのだ」

「ルキア」

「正直に答えてくれ。恋次は私のものになってくれるか?彼女と別れて、私の傍にいてずっと私を見て私を愛してくれるか?」

「すまん。ルキア、気づかなくてごめんな。ずっと苦しませてごめんな」

恋次は苦しそうだった。

つられてルキアも泣き出した。

「いいから、答えてくれ」

伸ばされた腕に抱きしめられて、ルキアは必死になって恋次の背中にしがみつく。

「俺は彼女を愛しているんだ。ルキアのことも大好きだぜ。でも、彼女と別れることはでねぇ。いつか、彼女と結婚して家庭をもつと思うんだ。お前が嫌でなければ、一緒に暮らそうと思っていた」

「そんなの嫌だ。私は恋次が好きなのだ」

「俺も好きだぜ、ルキア。でも、それ以上に彼女ことが好きなんだ、ルキアのことも大切だ。大好きだぜ」

「ああ、ありがとう」

ルキアは、とんと恋次を突き飛ばした。

「ルキア!!」

そのまま、ルキアは家を飛び出した。追いかけようとしたが、ルキアは足が早くて玄関のところでまかれてしまった。

「ルキア、ルキア、ルキア!!」

もしも、ルキアの身に何かあったら、全部俺のせいだ。

「そうだ、一護だ!」

恋次は、類阿がおきっぱなしの携帯で一護に電話をする。

だけど、最悪なことに外出中で留守電になっていた。

「くそ、どうすればいいんだ」

そこに冬獅郎が帰宅した。

「どうしたんだ、恋次」

「冬獅郎。どうすればいいんだ・・・」

恋次をなんとか説得して、冬獅郎がルキアを探すことにした。万が一帰ってくるときのために、もしくは連絡があるときのために恋次を待機させる。

気が動転した恋次に、外出させるのもある意味危険だと冬獅郎は判断した。

外は雨が降っていた。

しとしとと振り続ける雨の中、冬獅郎は傘をさしてルキアを探す。

一護は、昔の友人と飲み歩いていた。

「あー、もうこんな時間か」

「いいじゃんか。もっと飲もうぜ」

「いや、終電に遅れる」

「けちくせー」

「はははは。また今度な」

一護は酔ってはいるが、足元はしっかりしている。そのまま電車に乗って帰宅すると、家の前に人影があった。

「ルキア?」

びしょぬれになったルキアが、蹲っていた。

ルキアは泣いていた。

「どうしたんだ、ルキア。何かあったのか」

「ああ」

「こんなびしょぬれで。うわ、つめて!何時間ここにいたんだ」

「わからない・・・・気づいたら、一護の家の前にいた」

「いいから、中に入れ!」

ルキアを家の中にあがらせると、熱いシャワーを浴びさせて着替えさせた。ポタポタと髪から水を滴らせたままのルキアの髪をふく。

ルキアはずっと泣いていた。

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃない。・・・・・・・なぁ。抱いてくれ」

「ルキア」

一護はルキアを抱きしめた。

「そういう意味じゃない。私を抱いてくれ」

一護はルキアを抱きしめて、唇を重ねる。

「何もかも、忘れたい」

一護は、ルキアを抱きしめてベッドに連れて行ったが、ただ抱きしめるだけだった。

「一護?」

「もっと体を大事にしろ」

「私には魅力がないか?」

「そういう意味じゃない。恋次と何かあったんだな?」

「・・・・・うん」

ルキアは泣きじゃくった。一護はルキアを抱きしめて、ルキアが泣き疲れて眠ると、毛布を被せてルキアの家に、きっと待っているであろう恋次に連絡を入れる。

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青春白書8

また、いつもの朝がはじまる。

「一護」

3時間目になると、ルキアは保健室にやってくる。

教師はルキアが発作的に暴れたりすることが全くなくなったせいで、みな一護を信頼して、一護にルキアのことを任せていた。

ルキアは、一護のことを「一護」と呼ぶようになっていた。

鞄には、買ってあげたキーホルダーをつけているし、毎日一護があげた髪飾りをつけるようになっていた。

ためしに、違う髪飾りをプレゼントしてあげた。

翌日には、それをつけてきてくれていた。髪も恋次に綺麗に結ってもらって、周囲がみてもルキアは明らかに変わっていた。そう、とてもよい方向へ。

週末、いつものようにルキアの家に泊まりにいくと、ルキアは笑顔で出迎えてくれる。それから、一日の出来を一護に語って聞かせる。

「なぁ、俺のこと好き?」

そう聞くと、必ずルキアはこう答える。

「一護なぞ、嫌いだ」

そういいながらも、腕を引っ張って、自分の部屋に通してくれる。

夜になると、一護が買ったチャッピーのパジャマに着替えたルキアは、一護と一緒に寝ると言い出した。

いつもは恋次か冬獅郎と寝ているのだという。

誰かが傍にいると、とてもルキアは安心する。
一護は誘われるままに、一緒のベッドで眠る。ルキアを抱きしめて。

デートする回数が多くなった。

毎日、携帯電話で話をする。おやすみと、必ずメールがくる。朝になると、おはようとメールがやってくる。

一護の元で、カウンセリングに似たものを受けるルキア。

ある日、ルキアから重大なニュースが飛び込んできた。

はじめて、同じクラスで同性の友達ができたそうだ。とても嬉しそうにしていた。

活発的になったルキア。もう、以前のような退廃的な雰囲気はないに等しい

ルキアの周りに、恋次の友人以外の友人が増えた。同性の友達もできた。

以前ケンカを起こして騒ぎになった女生徒からの接触はあれからないらしい。他の女の子のグループから嫌がらせを受けることもなくなった。

ルキアはクラブに入った。委員会にも入った。
目まぐるしく変わっていく。

ルキアが、熱を出して欠席することも、突然倒れることも少なくなった。

恋次からは、正式にルキアのことをお願いすると言われた。それは、将来的な意味も含めてのことだ。一護は受け入れた。

「いや。行きたくない」

「なんでだ?」

2年の修学旅行に、ルキアは行きたくないと言い出した。

「一護がいないから嫌だ!」

一護は修学旅行には行かないことになっていた。」

「でも、みんなルキアが来るといいなっていってたぞ」

「でも、一護がいないから嫌だ!」

「じゃあ、俺がいればいいんだな?」

「ああ」

一護は、なんとか無理をして修学旅行に自費で一緒に行くことになった。生徒たちの安全を見守りたいということで、一護の個人的な我侭は通された。

何より、理事長が頭のいいティエリアのことを気にしていて、特別に計らってくれたのだ。

ルキアは学校はじまっていらいの天才だ。学力テストなどでは、全国でも必ず1位か2位をとる。今までは、学力テストも適当で、IQも高いと名高いのに、成績は今ひとつだった。

それが、飛躍的に一気に伸びたのだ。それはもう、理事長からしても、自分の学校にそんな生徒がいるとなると鼻が高いだろう。

一護は神的に不安定になりやすい、ルキアのケアをしていることもあり、理事長の耳にもその名前は届いていた。

修学旅行はイタリアだった。
2週間の旅になった。

修学旅行が終わった次の日、一護はルキアに尋ねた。

「なぁ、ルキア。俺のこと好きか?」

「一護なんて大嫌いの反対だ」

「え」

一護が聞き返した。

いつも「一護なんて大嫌いだ」と答えるルキアの返答が変わっていた。

「もっかい言って」

「いやだ」

ルキアは、一護に小さく舌を出して、そのまま教室に戻ってしまった。

「大嫌いの反対かぁ・・・・つまりは大好き?」

一人職員室でニマニマしている一護に、声をかける教師はいなかった。



神的に落ち着いたルキアに、恋次は自分の彼女と再び会わせた。
それが引き金だった。

また、ルキアが不安定になりだした。

恋次は自分の軽率な行動を悔やんだ。

熱を出して、保健室に運び込まれたルキア。

一護はルキアに事情を聞く。ルキアは素直に答える。

「まだ、恋次が好きなのだ。恋次の彼女を見ると、自分のものじゃないんだって再確認させらて・・・・なんか思考がぐるぐるして・・・・」

一護は、ルキアの右手首をみる。

リストカットしたあとはない。

「リストカットしたいと思ったか?恋次の気を引きたいって思ったか?」

「リストカットはしないと、貴様と約束した」

「うん、偉いな」

「恋次の気を引きたいかは・・・分からない。引いても、結局恋次は私のものにならぬ」

「そうか」

ルキアは、眠ってしまった。

熱は下がらず、結局早退となる。

週末、一護はいつものようにルキアの家に泊まりにいったが、恋次となんだかぎくしゃくしているようだった。

「ケンカでもしたのか?」

「違う。私が避けているのだ」

「そうか」

あまり、深いことは聞かない

これは恋次とルキア「の問題であって、一護が介入する余地はない。

「一護は、私のものでいてくれるか?ずっと私の傍にいてくれるか?」

「ああ。約束する」

「本当に?」

「本当だ。そもそも、恋次からその心を奪ってみせろといったのはルキアだぞ。俺は恋次からお前の心を奪うために必死になってる。今でも必死だ」

「ああ」

「眠いか?一緒にまた寝ようか」

「ああ」

一護は、ルキアのベッドで一緒に横になると、ルキアを抱きしめてその夜を過ごしたi。

ルキアはじっと、眠った一護の顔を見ていた

「どうした?見惚れるくらいにかっこいいか?」

「バカ

「ははは」

一護は優しくブラウンの瞳を細めると、ルキアを抱きしめて、髪を指で梳く。

「卒業したら、結婚しよう」

「え」

「俺は本気だ。ルキアは大学に進むんだろう?」

「ああ。その予定だ」

「もう結婚しても大丈夫な年齢だ、お互い。ルキアが嫌じゃなかったら、ルキアが卒業したら結婚しよう。そして一緒に暮らそうぜ。家族になろう」

「家族に?」

「ああ。毎日一緒にいられる」

「結婚。私だけの人でいてくれるのか?」

「ずっと前から決めてた。お前に、恋次から心を奪ってみせろっていわれた頃にはもう決めてた。結婚しよう。俺の家に遊びにきたことはあっても、流石に泊まらせることはできないからな。一応生徒と教師だし。俺が泊まりにくるのは、まぁ恋次の了解があるからだけど。お前を泊まらせることは恋次がNGだしてるから」

「恋次が」

「そう。大切なルキアに万が一のことがあったら困るってさ」

「・・・・・・そうか」

ルキアは、少し哀しそうに目を伏せて、そのまま一護の胸に顔を埋めてしまった。

「答え、急がなくていいから。今みたいな関係でいたいなら、それでもいいし。俺たち、付き合ってるだろう?」

「・・・・・・・・・これって、付き合ってるのか?」

腕のなかのルキアが首を傾げる。

「バカ。知らなかったのか。デートとか、付き合ってるからするんだろ」

「そうなのか」

どこまでも真っ白なルキア。
愛しいと思う。
生涯をかけて愛したいと思う。

「答え。来週、泊まりにきたとき答える」

「急がなくてもいいぜ。まだまだお前は子供なんだから。恋次の傍にいたいなら、この関係を続けてもいいし。ああ、俺が婿さんとしてこの家にくるってのもありだなぁ。今の親は怒るだろうけど」

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青春白書7

公園で待ち合わせをしたルキアと一護。

ルキアをしきりに気にする周囲の男たちを他所に、一護はルキアに近づく。

「時間きっかりだな。早くきたりはしてないだろ?」

「早くきても、他の男に声をかけられるだけだからな。それで、どこに行くのだ?」

「そうだなぁ。まずは買い物に行こうぜ」

「?」

「服を買おう」

「そんなお金はない」

「俺が出すから」

「でも、それでは」

「いいから、気にすんなって」

ルキアの服は男もので、しかも恋次のものを借りたのでサイズが合っていない。

自分で洋服を選ぶことのないルキアは、いつも恋次が適当に買ってきてくれる男ものの服をきていたり、冬獅郎の服を勝手に着ていたりで。

服を選びにいこうと、恋次と出かけても、いらないとルキアは首を横に振る。女ものの服の置いてある場所に連れて行かれても、興味は全く湧かなかった。


そのまま、ティーンズの少女向けの服が売ってあるブティックに入る

「私は、こんなものに興味は」

「はい、いいからいいから」

一護は適当に見繕ったものをルキアに持たせ、そのまま試着室に押しこんだ

少々強引ではあるが、ルキアも仕方なしに服を着替える。

萌葱色のミニスカートに、白のニーソ、上はタートルネックの長袖のシャツに、その上から白のサマーセーター。

「こんなの・・・・似合わないに決まっている」

「いや、すっごい似合ってるぜ。グッジョブ、俺」

ルキアはスカートをはくのは学生服で慣れているので、嫌ではないようだ。

ユニセックスな服装にしようかと一護は思ったが、いっそのことだからティーンズの少女らしい格好をさせようと思った。普通の靴から、膝丈まであるブーツに履き替えさせる。
全部、ニールが選んだもの。

「ありがとうございました」

他にもいろんな服を買って、荷物は全部一護が持った。

ルキアは、髪を両サイドを三つ編みにしてツインテールにすると、一護があげた髪飾りをしていた。

全部恋次がしてくれた。二人でデートだと事前に一護が恋次に教えておいたのだ。

恋次はおしゃれをしなければと、ルキアの長い髪を結ってくれた。そして、自分が買い与えたと、壊れたとは思っていない硝子細工のかわいい髪飾りをつける。

服装は男ものなのは仕方ない。女の子の服というものをルキアは持っていないから。恋次は、一護なら似合った服を買って着せるだろうと予想していた。それは的中する。

「うん、かわいい」

「こんなもの・・・・」

「かわいい、ルキア」

一護が自信たっぷりに、ルキアに声をかける。

ルキアは頬を赤くして、あらぬ方角を見てしまった。

異性に、こんな風に接してもらうことが極端に少ないのだ。恋次はルキアの家族としてあくまで接しているので、恋次からかわいいと言われることも多いが、こうやって違う異性から堂々とかわいいと言われるのは初めてなのかもしれない。

そのまま服の荷物はかさばるので、駅のコインロッカーに入れる。

そして一護は、ルキアと手を繋いで歩きだす。

「どこにいくのだ?」

「何処に行きたい?」

「別に、何処でも・・・・」

電車に乗って、駅を乗り継いで、一護はルキアと並んで歩きだす。

テーマパークにやってきた。

「こんなの、興味ない・・・・」

「いいから、いいから」

そのまま、二人分のお金を払って入場すると、一護はテーマパークの奥へ奥へとルキアの手を掴んで歩きだす。さも億劫というようなルキアの顔。
男女のカップルの男は、大抵ルキアを見れば振り返り、彼女に怒られている。そんな周囲はどうでもいいので放置する。ルキアの美少女ぶりは、とにかく人目をひく。それは、出あった時にすでに分かっている。

ある場所で、一護が止まる。

ルキアは、どうでもよさげにしていたが、目の前にきた着ぐるみに目を輝かせる。

「チャッピーだ!」

一護の手を離して、ルキアは駆け出す。

そこはチャッピーのイベントをしている場所だった。

並んだいろんな商品を楽しげに見つめるルキア。チャッピーグッズがある前にくると、本当に嬉しそうにしていた。

「なんでも好きなの選ぶといい。買ってやるよ」

「しかし・・」

「欲しいんだろ?俺とデートしてくれたお礼」

「じゃ、じゃあこれとこれとこれとこれ・・・」

ルキアは、チャッピーのキーホルダー、マグカップ、手の平サイズのぬいぐるみ、パシャマを選んだ。

「遠慮することねぇぞ。荷物が多ければ、タクシーで移動するし」

「!」

一護はとても優しく微笑んでいた。

「じゃあ、これとこれとこれも!」

ルキアは微笑んでいた。とても自然な笑みを刻んでいる。

事前に、恋次からルキアはチャッピーがとても好きだという話を、聞いておいてよかったと思った。
ルキアが欲しがったものをそのまま全部買った。一護はチャッピーのイベント場所でルキアが喜んでくれて、心から嬉しかった。

ルキアは上機嫌だった。荷物はまたコインロッカーに入れて、それまではタクシーで移動し、近くなれば歩いて手を繋いで移動する。

ルキアが見たいといっていたという映画を見て、水族館にいって、それから少し早いが夕食に少し高級なレストランに入る。ルキアは戸惑っていたが、慣れている一護にリードされて自然な状態を保っていた。

デートの一日が終わる。

たくさんの荷物は持ちきれなくて、タクシーでルキアを家まで送り届ける。

「なぁ」

「なんだ?」

「今日、楽しかったか?」

「・・・・・・ああ」

「そりゃ良かった」

一護は自分のことのように喜んだ。

「・・・・・・・・一護」

はじめて、ルキアが一護のことを名前で呼んでくれた。それまでは先生という呼び方さえもなかなかしてくれなかったのに。

「また、デートしてくれるか?」

「・・・・・ああ」

「そうか。好きだぜ」

「・・・・・・目、瞑って」

一護は、言われた通りに目を瞑った。

ルキアは、頬にキスをすると、そのまま走り去ってしまった。

「あーもう。ほんとかわいいな」

一護は夕暮れに向かって、呟いていた。

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青春白書6

次の日、ルキアは欠席した

携帯に電話を入れると、かわりに恋次が出た。

「恋次?」

「ああ、すまねぇば。ルキアの奴、熱をまた出しちまってな。最近は体調も良かったんだだが。なんか、学校でいざこざ起こしたんだってな。迷惑かけてすまん。俺も今日は調子が悪いから休みをとった」

「いや、別にいい。・・・恋次、気づいてたんのか?」

「そりゃな。携帯電話でまでやりとりしてるし、メールの交換もしてるし、家では一護のことも話すしな。多分始めてなんじゃないか、ルキアが誰かに恋をするのは。俺からも頼む。ルキアを大切にしてあげてくれ」

「本気か?俺は教師でルキアは生徒だぞ」

「ああ。問題は多いだろうけが・・・お前になら、ルキアを任せられると思う」

「そうか。・・・・・・なぁ、恋次」

「なんだ?」

「この鈍感バカ!」

そう言って、一護は携帯を切った。

ルキアが恋をするのは始めてじゃなのか。

ルキアはあんなにも恋次を慕い、恋をしているのに。
本人は気づいてもくれない。それで諦めれるならいいだろうが、ルキアは恋次にかなり依存している

同じ屋根の下に住んでいる以上、顔を合わさないわけにはいかない。

ルキアはきっと、とても苦しんでいる。

「どうしたもんだおるな・・・」

恋次に信頼されるのは嬉しいが。

「奪いきれるなら、簡単なんだけどな」

当のルキア本人は、一護という存在を認めて、悩み事打ち明けたり、他愛もない会話をしたり、挨拶のメールをくれたりするけど、それはあくまで対等である者としてみているからだろう。

「やべぇな・・・・俺本気かよ。24歳の男が、17歳の女の子に本気って。しかも教師と生徒。うわぁ、犯罪すぎる・・・・」

一おgは、保健室のデスクに肘をついてもんもんと悩んでいた。

次の日、ルキアはいつもの3時間目にやってきた。

手にはまだ包帯を巻いたままだ

「ルキア」

「何だ?」

「少しは俺のこと好きになってくれたか?教師としてとか友人としてとかじゃなくって、異性として」

「・・・・・わからなぬ」

ルキアは困ったように視線を彷徨わせている。

「恋次が好きなのも、依存してるのも分かるし、そこに俺が入る隙なんてないのかもしれねぇ。でも、俺はルキアのことが好きだ。恋してる」

ああ、ついに言ってしまった。
まぁ、隠しておく気もなかったし。

「私のことが好きなのか」

「そうだ」

「同情ではなく?」

「同情じゃない。家に戻ってもルキアのことが気になって、いつもルキアのこと考えてる。たまに見せてくれる笑顔に心がこうキュンキュンとな。やべぇ、俺乙女だ。どうしようルキア。俺、乙女になっちまった・・・」

「本当に私のことが好きか?」

「好きだ」

「じゃあ。じゃあ奪ってみせよ。私の心を、恋次から奪ってみせろ。私は恋次に恋してる。恋次が大好きだ。そこから私の心をさらっていってみよ」

「あーもう、お前は難題ばっかりふっかけるなぁ」

「貴様のことは嫌いではない」

一護は、ルキアの髪に、髪飾りを留めた。

「これは?」

「俺からのプレゼント」

ルキアが恋次から貰ったものと同じものだった。

「・・・・・・・・・・ありがとう」

「なぁ、キスしていいか?」

「いつも勝手にするくせに」

一護はルキアの細すぎる腰に手を回して、唇に唇を重ねた。
ただ触れるだけのキス。

少しの間抱きしめた後、ルキアは逃げるように教室にもどっていった。

頬が赤かった。

可能性がないわけではない。

「よーし、略奪愛な。いいぜ、奪ってみせようじゃねぇか」

一護も覚悟を決めた。

次の週末、一護はルキアをデートに誘った。

ルキアは、誘いに乗ってくれた。


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青春白書5

「どうしたんだ、ルキア。最近機嫌がよさそうだな」

朝食のテーブルについた恋次とルキアと冬獅郎。

「そ、そんなことはない」

ルキアは必死で首を振る。

「なんか・・・かわいくなった」

恋次の一言で、ルキアはぱっと顔をあげた。周囲に花が咲いている。

隣にいる冬獅郎はこういうことに疎いが、流石のルキアの反応は率直すぎてすぐに気づいた。ルキアは恋次を友人や家族としてではなく、異性として慕っている、恋をしているのだと。

それを恋次に教えるような冬獅郎ではない。ルキアはそんなことは望まないだろう、この友は。

ルキアは、思考の半分も行動もどこか男性のものに似ているけど、明らかに少女だ。疎い冬獅郎の目から見ても分かるほどに、恋次に恋をしている。

でも、恋次は鈍感すぎてそれに気づきもしない。

「そうだ、今日は髪くくってやるよ」

「ほ、ほんとうか?

「ああ。かわいい髪飾りもあるぞ。つけていくか?」

「ああ、つけていく」

「ルキアもせっかく美人なんだ。もっとおしゃれに気を使った方せいいぜ」

「そうか?」

ルキアは、別に自分の容姿なんてどうでもいいと思っている。ただ、誰の目をもひく美しさを与えられた。それだけだ。おしゃれしようなんて、思ったことはない。

自分のことに疎い恋次であったが、一護とルキアの仲には気づいていた。

一護に尋ねてはいないが、泊まりにくると二人は何か秘密を共有しあっているように見えた。ルキアの口から一護の話題が増えた。

恋次が話す一護の過去を熱心に聴いている。ああ、こいつは一護に恋をしているんだなと思った。一護になら、ルキアのことは任せられると思った。きっと、大切にしてくれる。

一護の過去はしっている。同じような傷を持つ二人は、きっと惹かれあうのだろう。

携帯で話しているようだし、メールのやりとりもしているようだ。教師と生徒いう障害はあるが、二人ならそれさえも取り除けると恋次は思った。

恋次は、ルキアの髪を綺麗にポニーテールにすると、硝子細工でできたかわいい髪飾りを留める。

自分の彼女にあげようと思って買ったものだが、ルキアにあげよう。

かわいく女の子になっていくルキアfを見るのも、恋次は好きだった。
そのまま、上機嫌でルキアと恋次と冬獅郎は、学校に出かけてしまった。

朝の3時間目。いつもルキアがくる時間。

ちょっとした問題児であるルキアが、一護の保健室に通い、心のケアをしていると教師の間では広まっていた。一護は担任の教師にまでルキアをお願いしますといわれたほどに信頼されていた。

ルキアが倒れたり、発作のように暴れるのは、教師一同皆知っていた。それがルキアの過去の、精神的なものからくるものだということも。

恋次が教師側にあらかた話し、理解と納得を促したのだ。

最近のルキアはとても落ち着いていて、何より生きている耀きに溢れていた。

3時間目、いつもはルキアが来る時間なのに、今日はこなかった。
まぁそんな日もあるだろうと、一護は普通に過ごしていた。
一護が呼び出された。

呼び出された先は、生徒指導室。

ルキアから事情を聞いてほしいとのことだった。他の教師には何も話さないのだと。一護になら話すだろうと他の教師が一護を呼び出したのだ。

生徒指導室に入ると、ルキアは黙って俯いていた。

手に、粉々に砕け散った髪飾りを握り締めていた。

なんでも、隣クラスの優等生で名高い女生徒といさかいをおこしたらしい。ただのケンカかと教師らは思ったが、ルキアが女生徒を拳でなぐりつけ、女生徒は鼻血を出して泣き出した。

優等生の生徒とルキアの接点は、周囲から見ると友人という位置にあったらしい。何度か同じ場所にいたり、会話をしているところを目撃されているし、ルキアは女生徒の友人にノートを見せているのだという。

優等生同志で友情を築くことはよいことだと、教師たちは思っていた。ルキアに同性の友人はクラスにいないので、よい友人になってくれると期待さえされていた。

その友人をよりによって拳で殴りつけた。周囲が必死で止めるまで、ルキアは暴れて女生徒にものを投げつけたりしていたという。

女生徒は念のため病院にいっている。
鼻血が止まらなかったのだ。

「なぁ。なんで・・・・」

二人だけにされた生徒指導室で、キッと、ルキアは一護を睨みつけたかと思うと開口一番にこう言った。

「私は謝罪しないぞ。何があっても謝罪しないからな」

「どうしたんだ、暴力なんてお前らしくもない」

ルキアは、発作的に暴れることはあっても、他人に暴力を振るったことは今までなかった。

「あの女が悪いからだ」

「あの子にいじめられいたのか?」

ルキアは、無言で俯く。

「いじめられてるなら、なんで相談を・・・」

「あやつは恋次の親戚なのだ!私が恋次に恋しているの知ってる。いうこと聞かないなら、恋次にばらすと・・・・・!」

「脅されてたのか」

いじめではあちがちなパターンだ。

「どうってことなかった。ただ、ノート見せろとかそれくらいだったから。金を要求してきたこともあったけが、つっぱねた。私が発作的に暴れると困るんで、相手もそれ以上はいってことなかった。かわりにノートとったり、宿題をするくらいなんの苦痛でもなかった。実際に、嫌がらせしてくるのはあの女のグループじゃなかったし」

「他にいるのか・・・」

一護は、ルキアの手をとる。

「破片が指につきささってるぞ。捨てないと」

「嫌だ」

手からは血が滲んでいた。大切な髪飾り。大好きな恋次がくれたもの。

「これ、あの子が壊したのか?」

「そうだ」

「はじめて髪飾りをしていった。そしたらあの女に呼び出されて、取り上げられた。取り返そうと必死になったら、あの女、これ地面にたたきつけたのだ。だから殴った」

「理由はなんであれ、人に暴力を振るうのはよくねぇ」

「じゃあ!じゃあどうすればよかったというのだ!恋次から、恋次からもらった大事なものなのだ!恋次がかわいいっていってくれたのだ。似合うと。今までいろんなものもらってきたが、こういうの興味ないからいらないと断っていた。はじめてもらったのだ、髪飾りを。髪だって、長いほうがスキだって恋次が言ってたからずっと伸ばしてる!・・・恋次が笑顔でつけてくれて、似合ってるかわいいと言ってくれたのだ!!」

ルキアは破片を握り締めたまま、震えていた。

一護はルキア抱きしめた。

「守ってやれなくてごめんな」

「・・・・・・う、うわあああああ」

ルキアは、一護の背中にしがみついて泣き出した。

結局、この事件は二人のただのケンカとして処理された。女生徒の傷は大したものでもなく、ルキアをいじめているとばれることを怖がって、女生徒は自分が友人であるルキアとケンカしただけなのだと言い出したのだ。

ルキアを保健室に連れて行き、破片のささった手を治療する。

「恋次に謝らなければならぬ。怒るであろうか?」

「大丈夫、許してくれるさ」

「ああ・・・・・」

恋次が迎えにきた。
そのまま、授業時間も全て終わって、ルキアは恋次と一緒に下校した。

割れた硝子細工の髪飾りの破片を、ルキアは大切にハンカチで包んで持って返った。

「恋次の奴、愛されてるなぁ」

一護は、軽い嫉妬心を覚えるくらいだった。

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青春白書4

二人は「約束」をした。

「いいぜ。でもかわりに、もうリストカットしないって約束だ。「特別」になるから、もうしないって。悩みがあったらちゃんと話すこと。いいか?」

「・・・・・・・・・・ああ」

紫水晶の瞳とブラウン色の瞳が交じり合う。
ルキアは涙を零すことを止めた。


どうせ。

どうせ、この大人もすぐに飽きてしまうだろう。

私にはなんの魅力もないから。可愛そうだと構っているだけだろう。

同じような境遇を過ごしていたということに、すごくひかれるものはある。でも、なまじ同じ環境を過ごしただけに同じ者の心の痛みは分かる。可愛そうという同情心は他人よりも大きい。

どうせ、私は。

お金よりもこの命は安いのだから。


そのまま、ルキアはまた眠ってしまった。

一護はしばらく傍にいたが、そのまま恋次の元に戻った。

事情を説明しようか迷ったが、ルキアは知られたくないだろうと思って秘密にした。

恋次に悪いと思いながらも、どうして自分がルキアという名の少女にここまで吸い寄せられるのかよく分からない。

似たような、いや自分よりも酷い環境を過ごしていたのも理由にあるが。

美しい容姿だからというのも確かにあるのかもしれない。放っておけないというのもある。

それ以上に、もっと何かがあるような気がした。そうだ、青春ドラマにありがちな運命の悪戯ってやつだろうか。

青春白書じゃあるまいに。

しかも相手は生徒。未成年だ。年齢は17歳。同じ学校の生徒で、一護は教師だ。

その障害は大きい。それなのに、どうしてだろうか。

まるで蜘蛛の糸にかかった蝶のようだ。でも、ルキアになら捕食されても構わないとさえ思った。
まだ知り合って数日だというのに。


週末があけて、月曜日。

一護はいつも通り保健室にいた

3時間目、ルキアがやってきた。

「お、どうした?」

「悩みがある。貴様がいった。悩みがあったら打ち明けろと」

「話してくれる気になったのか。どうした。クラスになじめないのか?女子の友達がいないらしいな。いじめられてるとか、そういう話か?」

「違う。クラスにはなじめなくったってどうでもいい。女の友達なんて別にいらない」

いじめのことについて、ルキアは触れなかった。

「恋次が好きなのだ。好きで好きでどうしようもないのだ。どうしたらいい?」

「あー・・・・・」

一護は天井を仰いだ。

確かに、重要な悩みだろう。まるで本当に青春白書。青春の悩みだ。

「恋次に告白はした?」

「してない。彼女がいるから振られるにきまってる。だからしてない」

「うーん・・・・」

恋だとかの悩みを打ち明けられるとは思ってもいなかったので、少し考える。

「そうだ」

「何だ?」

「俺にに恋しろ。俺を好きになれ。だって「特別」なんだろう?だったら俺にに恋をしろ」

「・・・貴様は馬鹿か?」

ルキアは、一護を睨みつける。

特別でいてくれとは言ったが、その存在定義はルキアにとっては仲間というようなもので、恋だとか好きだとかの特別とはまた違う。

バカと言われた保健室の先生は、朗らかに笑っていた。

「バカだよ俺は。なぁ、ルキア。恋次を好きなままでいいから、俺も好きになっていこうぜ」

「バカだ。相談した私もバカだ」

「はははは」

「帰る」

ルキアの手をとって、引き止める。

すぐに、テルキアはふらついた。

華奢すぎる体。

「ちゃんと食ってるか?」

「ある程度は。それ以上は体が受け付けない。嘔吐する。だから無理には食べない」

「そっか・・・・・」

ひきよせられる。

ルキアは一護の腕の中にいた。

「貴様は。・・・・これは同情か?」

「多分、違う」

「だったら何だというのだ」

ルキアの唇に、一護は自分の唇を重ねる。

ルキアは、真っ赤になって一護から逃れた。

「な、な、な!この犯罪教師!」

「おー、犯罪だよな、これ」

「帰る!」

ルキアは、保健室のドアを乱暴にあけた。かと思うと、一護の元に戻ってくる。

そして、アメジストの瞳で見上げる。

「これが、私の携帯番号とメルアドだ」

書かれたメモを一護に渡した。

拒否されているわけではないのだろうかと、一護も思う。

メモを渡してくるルキアの頭を撫でていると、ルキアは年齢よりも幼くみえた。視線の使い方を知っている。自分を守ってくれと訴えるような使い方だ。多分、義理の両親のせいでこんな使い方を覚えたのだろうと思うと、胸がチクリと痛んだ。

一護が抱きしめると、ルキアは瞳を閉じる。

「恋次と冬獅郎以外にこうされたことがない」

「居心地悪いか?」

「分からぬ」

そういって、またアメジストの瞳を開く。いつでも熱を孕んでいるように潤んだ瞳。

「帰る。貴様など、嫌いだ」

ルキアは、頬を赤くして保健室から逃げ出した。

「嫌いっていいながら頬赤くしてもなぁ。あーやべ、まじでかわいい。青春白書ってドラマあったよなぁ。こんな犯罪ちっくな内容じゃなかったけど・・・・」

一護は、ルキアがくれたメモを見る。

綺麗な執筆だ。

メモの裏には絵が描かれてあった。

「あー。なんだこれ?」

それは、ルキアの大好きなチャッピーだった。

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