ルキアの涙、一護の決意1
ルキア=流魂街の民。元死神。4大貴族当主暗殺未遂の罪で、遊女となる。
黒崎一護=4大貴族黒崎家の当主。ルキアに想いを寄せている。13番隊副隊長。
阿散井恋次=ルキアの幼馴染。ルキアに想いを寄せている。6番隊副隊長。
朽木白哉=朽木家の当主。妻であった緋真をなくし、ルキアと出会い養子にするか悩んでいる。
花街パロディ。設定が許せる方だけ、お読みください。
--------------------------------------------------
黒崎一護は、あの有名な4大貴族黒崎家の若き当主だった。現世を守るため、13番隊副隊長として、働いている。
かの悪名高き藍染を倒したのは、一護だった。
欠番がでたら、直に隊長になるべき器であろう。
そんな一護は、現世で一時期過ごしていた。身分を隠し、黒崎一族は人間界で生活していた。その莫大な金を隠し、双子の妹たちも人間として生きていた。
死神になれるのは、黒崎一護と先代当主であった黒崎一心。
まだ幼い妹たちは、死神ではなかった。
藍染を倒したことで、現世から尸魂界に戻ることが決まって、一護はルキアに声をかけた。
「今までありがとな。むこうでも、よろしくな」
ルキアは、13番隊の席官であった。貧しい流魂街の出身ではあるが、口調や容姿にどこか気品のある少女だった。
「たわけ!むこうについても、貴様と同じ隊ではないか!」
「それもそうだな」
「おいおい俺を忘れるなよ」
恋次が、ルキアの肩を抱いた。
「なぁ、ルキア。俺とお前の仲だもんな」
「何を言っておる恋次!ただの流魂街での幼馴染ではないか!」
ルキアは、恋次をはたいた。
3人仲良くやってきた。
恋次も一護も、ルキアのことが好きだった。お互いライバルであるが、どちらかが想いを告げることもなく、時間は過ぎて行った。
そんなある日。
4大貴族である四楓院家の当主暗殺未遂という罪で、ルキアが捕縛された。
誰もが信じなかった。あのルキアが。屈託なく笑い、平等で優しく、どこか気高いルキアが、よりによって4大貴族の四楓院家の当主の暗殺未遂をするなど、考えられなかった。
同じ4大貴族の当主である一護の訴えで、処刑こそ免れたが、霊力剥奪の後、13番隊及び流魂街への追放及び、花街での苦役100年。
その刑が言い渡された時、一護は叫んでいた。
「ルキアはやってねぇ!誰かの姦計だ!ルキアを自由にしろ!」
中央46室に何度も乗り込んだが、ルキアの刑は執行されてしまった。
「一護、恋次・・・・今まで、ありがとう。私は、行くよ」
馬車に乗せられて、流魂街にある花街に、売られるように連れていかれるルキア。
それを止めようと、恋次と一緒になって邪魔をしたが、山本総隊長が首を振った。
「ルキアはもう、もともと苗字もなき流魂街の民。それが流魂街に戻るだけじゃ」
「じゃあ、花街での苦役100年ってなんだよ!」
「あくまで、苦役100年分働けといっているだけで、金を積めば身請けもできよう」
「じゃあ、今すぐ身請けする」
「ならぬ。これは総隊長命令だ」
「そんなの、くそくらえだ!たとえ爺さんであろうが、俺の邪魔はさせねぇ!」
一護は、斬魄刀を背中から卸して構えた。
「仕方のないやつじゃ。砕蜂」
「はっ」
隠密起動を率いる砕蜂は、静かに一護に強烈な麻酔がぬってあったクナイで切り付けた。
「はっ、その程度じゃ俺は・・・・・・あれ・・・・?くそ、体が・・・・・」
一護は、その場でドサリと倒れた。
恋次も、同じように倒れていた。
こうして、ルキアは花街に連行されていった。
一護と恋次は、流魂街のいろんな花街を探し回った。
そして2年の月日が流れた。
「ルキア・・・・もうあえねぇのかな」
「恋次、探すんだ!流魂街は広すぎるけど、きっとどこかにルキアはいる!」
一護は、4大貴族の金に任せて、ルキア探しも行っていたが、ルキアの居所は用として掴めなかった。
「くそ、ルキア・・・・・・」
今頃、どうしているのだろう。
もう、客をとっているんだろうか。
知らない男に抱かれているのだろうか。
そんな想いを振りきって、ルキアを探した。そして、南流魂街の端にある花街で、ルキアという名の花魁がいるという情報を掴んだ。
一護は、瞬歩でその流魂街の花街に向かった。恋次にも連絡はいれておいた。
花街につくと、死覇装のせいもあって人目がつくので、まずは持っていた金で普通の着物に着替えて、一件一件虱潰しにルキアがいないかどうか確認していく。
一番人気だという火車という廓に、ルキアは少し長くなった髪を結い上げて、花魁であったが、苦役100年ということもあり、見世に出ていた。
「ルキア!」
「・・・・一護!?」
「ルキア、助けにきた!今すぐ身請けするから、帰る準備をしろ!」
「もう、貴様の知るルキアは死んだのだ。ここにいるのは数多くの男に抱かれて花魁になった、哀れなルキアという名の遊女だ」
「ばかなこと言ってんじゃねえ!たとえ4大貴族の黒崎家当主の座を追われても、俺はお前を身請けするぞ!」
「できないのだよ、一護。苦役を課せられた者は、最低5年は強制労働だ。身請けの制度がないのだ」
「なんだと!」
廓の主人をひっぱりだして、説明を受けると、ルキアと同じことを言われた。
つまりはあと最低でも3年は、花魁として苦役を課せられるのだ。
「じゃあ、今日から俺が毎日お前を買う!」
「何をばかなことを、一護・・・・・」
「俺は本気だ!」
その言葉に、ルキアがアメジストの瞳からポロリと一粒の涙を流した。
「ずっとずっと・・・貴様を、待っていた。一護。他の男に抱かれても、お前に抱かれていると思いこむようにしていたのだ、一護・・・・・私は、もうだめだ」
泣き崩れるルキアに、店の主人が怒号をあげる。
「ルキア、苦役の間は働いてもらうぞ!」
その廓の主人を蹴り飛ばして、金塊を投げた。
「しばらくルキアをかう金だ。こんだけあれば、十分だろ!」
「き、貴様、金があるからと・・・・・この俺を火車の廓の主人と知っての行動か!」
「俺は、4大貴族黒崎家の現当主、黒崎一護だ。文句があるなら、4大貴族の俺の家にでもいいやがれ」
「ひいいい、4大貴族の若様・・・・・・・・ひいいいい」
流魂街の廓を経営する主人だろうが、4大貴族の当主との命の差は歴然であった。
無礼だと、切り捨てられても文句は言えないのだ。
廓にあがりこんで、ルキアを抱き上げる。
「あ、今日は客が決まっていて・・・・・」
「そんなもん、金で黙らせる」
「一護?」
「他の男に抱かれてたってかまわねぇ。俺のものになれ、ルキア」
ぽたぽたと、またルキアの大きなアメジストの瞳から涙が零れた。
「好きだ、一護」
「俺もお前が大好きだ。お前の汚名を返すこともできず、こんな苦界で強制労働なんて・・・きつかただろうなぁ。苦しかっただろうなぁ。痛かっただろうなぁ。寂しかっただろうなぁ。心苦しかっただろうなぁ」
気づけば、一護も泣いていた。
「ルキア・・・・守ってあげれなくて、ごめんな」
ルキアは一護に抱き上げられたまま、一護にキスをした。
「唇だけは・・・・たとえ、どんな男であろうとも、口づけしてこなかった。初めてなのだ」
「ルキア、今日がお前にとって本当の水揚げだ。いいな?」
「ああ、構わぬ。抱いてくれ」
一護は、ルキアを抱き上げて、花魁のルキア用の部屋に行き、褥に横たえた。
つづく
黒崎一護=4大貴族黒崎家の当主。ルキアに想いを寄せている。13番隊副隊長。
阿散井恋次=ルキアの幼馴染。ルキアに想いを寄せている。6番隊副隊長。
朽木白哉=朽木家の当主。妻であった緋真をなくし、ルキアと出会い養子にするか悩んでいる。
花街パロディ。設定が許せる方だけ、お読みください。
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黒崎一護は、あの有名な4大貴族黒崎家の若き当主だった。現世を守るため、13番隊副隊長として、働いている。
かの悪名高き藍染を倒したのは、一護だった。
欠番がでたら、直に隊長になるべき器であろう。
そんな一護は、現世で一時期過ごしていた。身分を隠し、黒崎一族は人間界で生活していた。その莫大な金を隠し、双子の妹たちも人間として生きていた。
死神になれるのは、黒崎一護と先代当主であった黒崎一心。
まだ幼い妹たちは、死神ではなかった。
藍染を倒したことで、現世から尸魂界に戻ることが決まって、一護はルキアに声をかけた。
「今までありがとな。むこうでも、よろしくな」
ルキアは、13番隊の席官であった。貧しい流魂街の出身ではあるが、口調や容姿にどこか気品のある少女だった。
「たわけ!むこうについても、貴様と同じ隊ではないか!」
「それもそうだな」
「おいおい俺を忘れるなよ」
恋次が、ルキアの肩を抱いた。
「なぁ、ルキア。俺とお前の仲だもんな」
「何を言っておる恋次!ただの流魂街での幼馴染ではないか!」
ルキアは、恋次をはたいた。
3人仲良くやってきた。
恋次も一護も、ルキアのことが好きだった。お互いライバルであるが、どちらかが想いを告げることもなく、時間は過ぎて行った。
そんなある日。
4大貴族である四楓院家の当主暗殺未遂という罪で、ルキアが捕縛された。
誰もが信じなかった。あのルキアが。屈託なく笑い、平等で優しく、どこか気高いルキアが、よりによって4大貴族の四楓院家の当主の暗殺未遂をするなど、考えられなかった。
同じ4大貴族の当主である一護の訴えで、処刑こそ免れたが、霊力剥奪の後、13番隊及び流魂街への追放及び、花街での苦役100年。
その刑が言い渡された時、一護は叫んでいた。
「ルキアはやってねぇ!誰かの姦計だ!ルキアを自由にしろ!」
中央46室に何度も乗り込んだが、ルキアの刑は執行されてしまった。
「一護、恋次・・・・今まで、ありがとう。私は、行くよ」
馬車に乗せられて、流魂街にある花街に、売られるように連れていかれるルキア。
それを止めようと、恋次と一緒になって邪魔をしたが、山本総隊長が首を振った。
「ルキアはもう、もともと苗字もなき流魂街の民。それが流魂街に戻るだけじゃ」
「じゃあ、花街での苦役100年ってなんだよ!」
「あくまで、苦役100年分働けといっているだけで、金を積めば身請けもできよう」
「じゃあ、今すぐ身請けする」
「ならぬ。これは総隊長命令だ」
「そんなの、くそくらえだ!たとえ爺さんであろうが、俺の邪魔はさせねぇ!」
一護は、斬魄刀を背中から卸して構えた。
「仕方のないやつじゃ。砕蜂」
「はっ」
隠密起動を率いる砕蜂は、静かに一護に強烈な麻酔がぬってあったクナイで切り付けた。
「はっ、その程度じゃ俺は・・・・・・あれ・・・・?くそ、体が・・・・・」
一護は、その場でドサリと倒れた。
恋次も、同じように倒れていた。
こうして、ルキアは花街に連行されていった。
一護と恋次は、流魂街のいろんな花街を探し回った。
そして2年の月日が流れた。
「ルキア・・・・もうあえねぇのかな」
「恋次、探すんだ!流魂街は広すぎるけど、きっとどこかにルキアはいる!」
一護は、4大貴族の金に任せて、ルキア探しも行っていたが、ルキアの居所は用として掴めなかった。
「くそ、ルキア・・・・・・」
今頃、どうしているのだろう。
もう、客をとっているんだろうか。
知らない男に抱かれているのだろうか。
そんな想いを振りきって、ルキアを探した。そして、南流魂街の端にある花街で、ルキアという名の花魁がいるという情報を掴んだ。
一護は、瞬歩でその流魂街の花街に向かった。恋次にも連絡はいれておいた。
花街につくと、死覇装のせいもあって人目がつくので、まずは持っていた金で普通の着物に着替えて、一件一件虱潰しにルキアがいないかどうか確認していく。
一番人気だという火車という廓に、ルキアは少し長くなった髪を結い上げて、花魁であったが、苦役100年ということもあり、見世に出ていた。
「ルキア!」
「・・・・一護!?」
「ルキア、助けにきた!今すぐ身請けするから、帰る準備をしろ!」
「もう、貴様の知るルキアは死んだのだ。ここにいるのは数多くの男に抱かれて花魁になった、哀れなルキアという名の遊女だ」
「ばかなこと言ってんじゃねえ!たとえ4大貴族の黒崎家当主の座を追われても、俺はお前を身請けするぞ!」
「できないのだよ、一護。苦役を課せられた者は、最低5年は強制労働だ。身請けの制度がないのだ」
「なんだと!」
廓の主人をひっぱりだして、説明を受けると、ルキアと同じことを言われた。
つまりはあと最低でも3年は、花魁として苦役を課せられるのだ。
「じゃあ、今日から俺が毎日お前を買う!」
「何をばかなことを、一護・・・・・」
「俺は本気だ!」
その言葉に、ルキアがアメジストの瞳からポロリと一粒の涙を流した。
「ずっとずっと・・・貴様を、待っていた。一護。他の男に抱かれても、お前に抱かれていると思いこむようにしていたのだ、一護・・・・・私は、もうだめだ」
泣き崩れるルキアに、店の主人が怒号をあげる。
「ルキア、苦役の間は働いてもらうぞ!」
その廓の主人を蹴り飛ばして、金塊を投げた。
「しばらくルキアをかう金だ。こんだけあれば、十分だろ!」
「き、貴様、金があるからと・・・・・この俺を火車の廓の主人と知っての行動か!」
「俺は、4大貴族黒崎家の現当主、黒崎一護だ。文句があるなら、4大貴族の俺の家にでもいいやがれ」
「ひいいい、4大貴族の若様・・・・・・・・ひいいいい」
流魂街の廓を経営する主人だろうが、4大貴族の当主との命の差は歴然であった。
無礼だと、切り捨てられても文句は言えないのだ。
廓にあがりこんで、ルキアを抱き上げる。
「あ、今日は客が決まっていて・・・・・」
「そんなもん、金で黙らせる」
「一護?」
「他の男に抱かれてたってかまわねぇ。俺のものになれ、ルキア」
ぽたぽたと、またルキアの大きなアメジストの瞳から涙が零れた。
「好きだ、一護」
「俺もお前が大好きだ。お前の汚名を返すこともできず、こんな苦界で強制労働なんて・・・きつかただろうなぁ。苦しかっただろうなぁ。痛かっただろうなぁ。寂しかっただろうなぁ。心苦しかっただろうなぁ」
気づけば、一護も泣いていた。
「ルキア・・・・守ってあげれなくて、ごめんな」
ルキアは一護に抱き上げられたまま、一護にキスをした。
「唇だけは・・・・たとえ、どんな男であろうとも、口づけしてこなかった。初めてなのだ」
「ルキア、今日がお前にとって本当の水揚げだ。いいな?」
「ああ、構わぬ。抱いてくれ」
一護は、ルキアを抱き上げて、花魁のルキア用の部屋に行き、褥に横たえた。
つづく
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朝起きると目の前に
朝起きると、目の前でフルチンで体操している京楽の姿があった。
「・・・・・・・」
「あ、おはよう。君もする?全裸体操。解放感あるよ?」
「破道の4、白雷」
「もぎゃああああああ」
黒焦げになった京楽に布団のシーツをかぶせた。
せめてもの、慈悲だ。
「朝からなんちゅうもん見せつけてくるんだ・・・・・」
浮竹は、焼いたパンをかじりながら、京楽を放置して学院に登校した。
「おはよう浮竹。あれ、京楽は?」
「おはよ、浮竹。京楽はどうした?セットだろ、お前ら」
「浮竹君おはよーー!京楽君がいないねー。どこかで変態行為に浸ってるのかしら」
なぜ、みんなは浮竹が常に京楽といるような口ぶりなのだろうか。
考えてみる。朝起きる。朝食を食べる暇ながない時が多いので、京楽と一緒に登校する。京楽と一緒に食堂で昼飯をくう。京楽と一緒に授業を受ける。京楽と一緒に鍛錬する。京楽と一緒に下校する。夕方、京楽と一緒に食堂で夕食をとる。その後も、二人一緒に、同じ部屋なので帰る・・・・・・。
「ぬあああああああああ!!!」
京楽まみれではないか。
「俺の人生が!京楽にまみれて・・・・・!」
汚点だ。
人生の汚点だ。
浮竹は思った。京楽と別行動をとろうろ。
その3時間後。午前中の授業が終わったので、京楽と一緒に食堂で昼食をとっている浮竹の姿があった。
食べ終わって、また京楽と一緒にいることに気づく。
「京楽、少し話があるんだが」
「何、愛の告白かい?むちゅーーー!」
キスをしてこようとする京楽の頭をはたく。
「じゃあこうだ!」
抱き着かれて、浮竹は思案した。
どうすれば、京楽は俺から離れるのだろうか。
1、他の女子生徒と付き合ってみる
2、他の男子生徒と付き合ってみる
3、存在を無視する
4、諦めて京楽と過ごす
5、大嫌いだといって縁を切る
▽1、他の女子生徒と付き合ってみる
浮竹は、前々から気になっていた女子生徒に声をかけた。
「どうしたの、浮竹君」
「その・・・突然なんだが、もしよかったら俺と付き合って・・・・・」
「きゃああああああああ!!!」
般若の面をした京楽が、背後にいた。
「あ、あの、気持ちは嬉しいんだけど、浮竹君と京楽君の間に挟まれるのは、人生の危機ってかんじで。ごめんなさい!」
女子生徒は、そう謝って逃げていった。
背後を見る。
般若から菩薩にチェンジした京楽がいた。
「俺の人生は・・・・京楽がいるせいで・・・・・・」
でも、大嫌いだといって、縁を切ってさよならという気持ちは、何故かわかなかった。
「はぁ。諦めて、京楽と今まで通り過ごすか・・・・・」
京楽と離れることは、京楽が許さないだろう。
誰かと付き合うこともできない。
全部京楽のせいだ。
京楽とできてしまえば、人生は楽だし、金ももらたりして死神になる前から親の借金を返済できたりするだろうが、そんな気はおきなかった。
浮竹自身、京楽のことを好きか嫌いの二択にわけると、好きという答えが出てくる。でも、恋慕しているのかと聞かれると、いまいちよく分からない。
親友以上恋人未満。その関係が、一番しっくりくるのだ。
たとえ、いつか答えを出さなければならなないとしても、できる限り今の時間を大切にしたかった。
「京楽、帰るぞ」
「うん、帰ろう」
夕方になって、食堂で食事をする。いつも通り残してしまった分を、京楽が食べた。デザートだと、バニラアイスを特別にもらった。
京楽からだった。
アイスはまだ高い。それをほいほい買えて口にできるのは、上流貴族くらいだろう。
バニラアイスにはチョコチップも入っていた。一流の職人がつくったであろうことは、その味で分かった。
厨房には、上流貴族のために特別な調理をする料理人がいる。彼に頼んだのだろう。
乙女心ならぬ、浮竹心をつかんでいる京楽。
これで変態さえなければ・・・・・。
完璧なのだが、京楽から変態をとれば何も残らない気がした。
バニラアイスを食べ終わって、寮の自室に戻る。
少しだけ、態度を改める。
「京楽、こい」
「浮竹・・・・・」
抱き締められた。京楽からは、柑橘系の香水の匂いがした。
そのまま、キスをする。
「んっ」
何度も何度も、深く深くしつこくキスをされて、立っていられなくなった。
「続き、しない?」
「しない・・・・・」
「でも、苦しいでしょ?」
「そのうち収まる」
浮竹は、ぼふんとベッドに寝転がった。
本気を出した京楽には、きっと抗えない。
でも、京楽は無理強いしてこない。
あくまで、浮竹が想いを受け入れるのを待っていた。
クスリと、笑みが零れた。
この曖昧な関係も、あと3年と少しの間で決着をつけなければならない。
でも、今はまだこのままでいいと、思う浮竹だった。
「・・・・・・・」
「あ、おはよう。君もする?全裸体操。解放感あるよ?」
「破道の4、白雷」
「もぎゃああああああ」
黒焦げになった京楽に布団のシーツをかぶせた。
せめてもの、慈悲だ。
「朝からなんちゅうもん見せつけてくるんだ・・・・・」
浮竹は、焼いたパンをかじりながら、京楽を放置して学院に登校した。
「おはよう浮竹。あれ、京楽は?」
「おはよ、浮竹。京楽はどうした?セットだろ、お前ら」
「浮竹君おはよーー!京楽君がいないねー。どこかで変態行為に浸ってるのかしら」
なぜ、みんなは浮竹が常に京楽といるような口ぶりなのだろうか。
考えてみる。朝起きる。朝食を食べる暇ながない時が多いので、京楽と一緒に登校する。京楽と一緒に食堂で昼飯をくう。京楽と一緒に授業を受ける。京楽と一緒に鍛錬する。京楽と一緒に下校する。夕方、京楽と一緒に食堂で夕食をとる。その後も、二人一緒に、同じ部屋なので帰る・・・・・・。
「ぬあああああああああ!!!」
京楽まみれではないか。
「俺の人生が!京楽にまみれて・・・・・!」
汚点だ。
人生の汚点だ。
浮竹は思った。京楽と別行動をとろうろ。
その3時間後。午前中の授業が終わったので、京楽と一緒に食堂で昼食をとっている浮竹の姿があった。
食べ終わって、また京楽と一緒にいることに気づく。
「京楽、少し話があるんだが」
「何、愛の告白かい?むちゅーーー!」
キスをしてこようとする京楽の頭をはたく。
「じゃあこうだ!」
抱き着かれて、浮竹は思案した。
どうすれば、京楽は俺から離れるのだろうか。
1、他の女子生徒と付き合ってみる
2、他の男子生徒と付き合ってみる
3、存在を無視する
4、諦めて京楽と過ごす
5、大嫌いだといって縁を切る
▽1、他の女子生徒と付き合ってみる
浮竹は、前々から気になっていた女子生徒に声をかけた。
「どうしたの、浮竹君」
「その・・・突然なんだが、もしよかったら俺と付き合って・・・・・」
「きゃああああああああ!!!」
般若の面をした京楽が、背後にいた。
「あ、あの、気持ちは嬉しいんだけど、浮竹君と京楽君の間に挟まれるのは、人生の危機ってかんじで。ごめんなさい!」
女子生徒は、そう謝って逃げていった。
背後を見る。
般若から菩薩にチェンジした京楽がいた。
「俺の人生は・・・・京楽がいるせいで・・・・・・」
でも、大嫌いだといって、縁を切ってさよならという気持ちは、何故かわかなかった。
「はぁ。諦めて、京楽と今まで通り過ごすか・・・・・」
京楽と離れることは、京楽が許さないだろう。
誰かと付き合うこともできない。
全部京楽のせいだ。
京楽とできてしまえば、人生は楽だし、金ももらたりして死神になる前から親の借金を返済できたりするだろうが、そんな気はおきなかった。
浮竹自身、京楽のことを好きか嫌いの二択にわけると、好きという答えが出てくる。でも、恋慕しているのかと聞かれると、いまいちよく分からない。
親友以上恋人未満。その関係が、一番しっくりくるのだ。
たとえ、いつか答えを出さなければならなないとしても、できる限り今の時間を大切にしたかった。
「京楽、帰るぞ」
「うん、帰ろう」
夕方になって、食堂で食事をする。いつも通り残してしまった分を、京楽が食べた。デザートだと、バニラアイスを特別にもらった。
京楽からだった。
アイスはまだ高い。それをほいほい買えて口にできるのは、上流貴族くらいだろう。
バニラアイスにはチョコチップも入っていた。一流の職人がつくったであろうことは、その味で分かった。
厨房には、上流貴族のために特別な調理をする料理人がいる。彼に頼んだのだろう。
乙女心ならぬ、浮竹心をつかんでいる京楽。
これで変態さえなければ・・・・・。
完璧なのだが、京楽から変態をとれば何も残らない気がした。
バニラアイスを食べ終わって、寮の自室に戻る。
少しだけ、態度を改める。
「京楽、こい」
「浮竹・・・・・」
抱き締められた。京楽からは、柑橘系の香水の匂いがした。
そのまま、キスをする。
「んっ」
何度も何度も、深く深くしつこくキスをされて、立っていられなくなった。
「続き、しない?」
「しない・・・・・」
「でも、苦しいでしょ?」
「そのうち収まる」
浮竹は、ぼふんとベッドに寝転がった。
本気を出した京楽には、きっと抗えない。
でも、京楽は無理強いしてこない。
あくまで、浮竹が想いを受け入れるのを待っていた。
クスリと、笑みが零れた。
この曖昧な関係も、あと3年と少しの間で決着をつけなければならない。
でも、今はまだこのままでいいと、思う浮竹だった。
帰郷、変態京楽の場合「息子さんを下さい」
「やったーこれで今季の授業も終わりだ!」
京楽がはしゃいでいた。
冬休みに突入したのだ。
京楽は特に予定がないので、冬休みはだらだらして浮竹と一緒に過ごそうと思っていたが、当の浮竹は故郷に一度帰ることが決まっていた。
「ねぇ、浮竹。一緒についていったら、怒る?」
「来るな!」
「一緒につれていってくれたら、甘味屋の食べ放題チケット1か月分あげるよ?」
「ぐ・・・何もない、田舎だぞ?」
「浮竹の生まれた所でしょ。一度見てみたい」
「食事代は自分でもてよ!俺の家に泊めることはできるが、広くないぞ!」
浮竹は、京楽が何を考えているのか分からなくて、つい口調が強めになった。
「この寮の部屋もせまいじゃないか」
二人で過ごすには十分な広さがあるが、上流貴族の京楽の思考からすると狭い部屋になるのだろう。
浮竹は思う。何故突然、京楽が浮竹の実家に来たいといいだしたのか。
思い当たるとしたら、息子さんを僕にください?・・・・でも、いくら京楽でもそこまでいかないか。
そうして、浮竹と京楽は、浮竹の故郷である南地方に足を向けた。
3回生であるが、成績が優秀で上の学年にも教えてもらっているせいで瞬歩は使えた。
それで、数日はかかる距離を1日に短縮した。
「へぇ、ここが浮竹の生まれ故郷かぁ」
もう、刈り取られた後の田んぼが広がっていた。森が近くにあって、よく猪や兎、鹿などをとって夕飯の足しにしたものだ。
「あれが、俺の家だ」
あばら家というほど酷くもないし、豪華というわけでもない。普通の建物の家だった。
3回建てで、けっこう幅があり、思ったよりも広かった。
「ここら辺は田舎だからな。土地代がバカ安いんだ。だから、家の面積は広めだ。何より、家族が多いしな」
「8人兄弟だっけ」
「8人兄弟と両親と、あと祖父が暮らしている」
「善は急げ!」
「おい、京楽!」
浮竹の家に向けて、京楽は全速力で走り出した。そのスピードの速さに、さすがの浮竹もついていけない。
ガラリと、戸をあけて、京楽は浮竹の家に入り込む。
「浮竹十四郎のお母様とお父様はいますか!」
「はい?母は私ですが・・・・・」
「お義母さん!息子さんを僕にください!」
「は?」
「京楽、このボケ!」
浮竹は、京楽の背中を蹴った。
「げふげふ!痛いじゃないか、なにするんだ浮竹!」
「すみません母上、こいつは変態なんです」
「は?あ、ああ・・・。手紙に書いてあった、十四郎の貞操を狙っている、十四郎のパンツを被ったり、盗んだりする、あの京楽様ですか?」
「いえいえ、人違いです」
回れ右をした京楽に、プロレス技をかける浮竹。
「そう、なんです。こいつが、あの変態京楽・・・・・・」
「ギブギブ!肩の関節が外れる!」
「手紙では書いてなかったけど、仲がいいのねぇ」
「母上、こいつは俺の貞操を狙っているんですよ」
「上流貴族の京楽様といい仲になれるなら、いいではありませんか!」
「母上のばかーーー!」
浮竹は、京楽の股間を蹴り上げて、家の奥へ引っ込んでしまった。
「父上はいないのか・・・・」
「お、十四郎じゃないか」
「お爺様!聞いてください、母上が・・・・」
「ふむ。では、護身のために、蹴術、究極奥義を授けよう・・・・・」
ごくり。
「その名も、金的蹴り」
ずさぁ。
「股間を蹴り上げるんでしょう」
「そうじゃ」
「すでに習得しています」
「む、いつの間に・・・・免許皆伝じゃ。浮竹蹴術、ここに極まれり」
「あー、お兄ちゃんだ」
「兄様」
「兄上ー」
「にいにい」
まだ幼い子をいれて、数人の妹や弟たちが、浮竹に群がった。
ずっと前に、浮竹が教えてくれた話では、田んぼや畑の仕事をしながら、読み書きや算術を学ぶ学校に行っているらしい。
「十四郎、ごめんなさいね。仕送りの額を減らしてしまって・・・・」
母親がやってきて、そう謝って、浮竹を抱き締めた。
「学校は楽しい?」
「俺の周囲にもれなく一人の変態がついてきますが、比較的楽しいです。このままいけば、護廷13隊の席官入りは間違いなしだと」
「期待していますよ、十四郎。死神様になれば、お給金が高いから、子供たちにお腹いっぱい食べさせてあげれるし、十四郎の薬のために重ねた借金も返済できます」
「不甲斐なくて申し訳ありません」
「京楽様、どうかうちの十四郎をお願いね」
「はい、お義母さん」
「京楽、お前というやつは・・・・・・」
結局数日間を京楽は浮竹家で過ごした。
「お義父さん、もう一杯」
いつも間にか、父親も懐柔されていた。
「いやぁ、こんな高い酒を飲むのははじめてで」
「安酒ですよ、さぁさぁ」
「流石は京楽家の方だ。お金はあるところにはあるんだなぁ」
浮竹の父親は、どちからというとのほほんとした性格だった。
兄弟たちとも、京楽は仲良くした。
そこに、上流貴族だから、という言葉はない。気さくで朗らかな人だと、父も母も言うが、その正体を知っているだけに、浮竹は胃に穴があきそうだった。
やがて、まだ休み期間ではあるが、学院の寮に戻る日がやってきた。
「君の真ん中の妹さん、一番君に似てるね。髪の色を白くすれば、女の子版浮竹だ」
「妹に手を出したら・・・・」
「いやだなぁ、浮竹、嫉妬してるの?僕が好きなのは浮竹十四郎、君一人だよ!」
むちゅーとキスをねだってくる京楽を押しやって、浮竹は父親と母親に挨拶した。
「では、学院にもどります。どうが、御病気などせぬよう・・・・」
「それはこちらの台詞だよ、十四郎。肺の病、酷くならないようにちゃんと薬をのむんだぞ」
「そうですよ、十四郎。京楽様、少し粗暴なところもありますが、基本は優しいいい子なんです。どうか、十四郎を頼みます」
「お義父さん、お義母さん、息子さんをくださってありがとうございます」
ばきぼき。
背後で、笑顔で浮竹が指の関節を鳴らしていた。
「で、では帰ります!とう!」
瞬歩で、京楽は逃げ出した。
「では父上、母上、またいつか。待て京楽、父上と母上に息子さんをくださってありがとうございますとは、何事だーーー!」
瞬歩で般若の面を被った浮竹が追いかけてくる。
「うひいいい、怒っているうううう。とてつもなく怒ってるうううう」
浮竹の弟妹は、お菓子で味方につけた。父親と母親には金をちらつかせて。
唯一味方にできなかったのは、浮竹の祖父であった。
蹴術の道場を開いているらしい。
懐柔しようとすると、上流貴族などくそくらえだといって、脛を蹴ってきた。
「もう、ご両親には挨拶したもんね!後は既成事実作って籍をいれるだけさ!」
カッ。
浮竹が、般若から阿修羅になった。
「京楽ーーーーーーー!!!破道の4、白雷!」
「もぎゃああああああああ」
変態京楽との帰郷は、こんな感じで終わるのだった。
京楽がはしゃいでいた。
冬休みに突入したのだ。
京楽は特に予定がないので、冬休みはだらだらして浮竹と一緒に過ごそうと思っていたが、当の浮竹は故郷に一度帰ることが決まっていた。
「ねぇ、浮竹。一緒についていったら、怒る?」
「来るな!」
「一緒につれていってくれたら、甘味屋の食べ放題チケット1か月分あげるよ?」
「ぐ・・・何もない、田舎だぞ?」
「浮竹の生まれた所でしょ。一度見てみたい」
「食事代は自分でもてよ!俺の家に泊めることはできるが、広くないぞ!」
浮竹は、京楽が何を考えているのか分からなくて、つい口調が強めになった。
「この寮の部屋もせまいじゃないか」
二人で過ごすには十分な広さがあるが、上流貴族の京楽の思考からすると狭い部屋になるのだろう。
浮竹は思う。何故突然、京楽が浮竹の実家に来たいといいだしたのか。
思い当たるとしたら、息子さんを僕にください?・・・・でも、いくら京楽でもそこまでいかないか。
そうして、浮竹と京楽は、浮竹の故郷である南地方に足を向けた。
3回生であるが、成績が優秀で上の学年にも教えてもらっているせいで瞬歩は使えた。
それで、数日はかかる距離を1日に短縮した。
「へぇ、ここが浮竹の生まれ故郷かぁ」
もう、刈り取られた後の田んぼが広がっていた。森が近くにあって、よく猪や兎、鹿などをとって夕飯の足しにしたものだ。
「あれが、俺の家だ」
あばら家というほど酷くもないし、豪華というわけでもない。普通の建物の家だった。
3回建てで、けっこう幅があり、思ったよりも広かった。
「ここら辺は田舎だからな。土地代がバカ安いんだ。だから、家の面積は広めだ。何より、家族が多いしな」
「8人兄弟だっけ」
「8人兄弟と両親と、あと祖父が暮らしている」
「善は急げ!」
「おい、京楽!」
浮竹の家に向けて、京楽は全速力で走り出した。そのスピードの速さに、さすがの浮竹もついていけない。
ガラリと、戸をあけて、京楽は浮竹の家に入り込む。
「浮竹十四郎のお母様とお父様はいますか!」
「はい?母は私ですが・・・・・」
「お義母さん!息子さんを僕にください!」
「は?」
「京楽、このボケ!」
浮竹は、京楽の背中を蹴った。
「げふげふ!痛いじゃないか、なにするんだ浮竹!」
「すみません母上、こいつは変態なんです」
「は?あ、ああ・・・。手紙に書いてあった、十四郎の貞操を狙っている、十四郎のパンツを被ったり、盗んだりする、あの京楽様ですか?」
「いえいえ、人違いです」
回れ右をした京楽に、プロレス技をかける浮竹。
「そう、なんです。こいつが、あの変態京楽・・・・・・」
「ギブギブ!肩の関節が外れる!」
「手紙では書いてなかったけど、仲がいいのねぇ」
「母上、こいつは俺の貞操を狙っているんですよ」
「上流貴族の京楽様といい仲になれるなら、いいではありませんか!」
「母上のばかーーー!」
浮竹は、京楽の股間を蹴り上げて、家の奥へ引っ込んでしまった。
「父上はいないのか・・・・」
「お、十四郎じゃないか」
「お爺様!聞いてください、母上が・・・・」
「ふむ。では、護身のために、蹴術、究極奥義を授けよう・・・・・」
ごくり。
「その名も、金的蹴り」
ずさぁ。
「股間を蹴り上げるんでしょう」
「そうじゃ」
「すでに習得しています」
「む、いつの間に・・・・免許皆伝じゃ。浮竹蹴術、ここに極まれり」
「あー、お兄ちゃんだ」
「兄様」
「兄上ー」
「にいにい」
まだ幼い子をいれて、数人の妹や弟たちが、浮竹に群がった。
ずっと前に、浮竹が教えてくれた話では、田んぼや畑の仕事をしながら、読み書きや算術を学ぶ学校に行っているらしい。
「十四郎、ごめんなさいね。仕送りの額を減らしてしまって・・・・」
母親がやってきて、そう謝って、浮竹を抱き締めた。
「学校は楽しい?」
「俺の周囲にもれなく一人の変態がついてきますが、比較的楽しいです。このままいけば、護廷13隊の席官入りは間違いなしだと」
「期待していますよ、十四郎。死神様になれば、お給金が高いから、子供たちにお腹いっぱい食べさせてあげれるし、十四郎の薬のために重ねた借金も返済できます」
「不甲斐なくて申し訳ありません」
「京楽様、どうかうちの十四郎をお願いね」
「はい、お義母さん」
「京楽、お前というやつは・・・・・・」
結局数日間を京楽は浮竹家で過ごした。
「お義父さん、もう一杯」
いつも間にか、父親も懐柔されていた。
「いやぁ、こんな高い酒を飲むのははじめてで」
「安酒ですよ、さぁさぁ」
「流石は京楽家の方だ。お金はあるところにはあるんだなぁ」
浮竹の父親は、どちからというとのほほんとした性格だった。
兄弟たちとも、京楽は仲良くした。
そこに、上流貴族だから、という言葉はない。気さくで朗らかな人だと、父も母も言うが、その正体を知っているだけに、浮竹は胃に穴があきそうだった。
やがて、まだ休み期間ではあるが、学院の寮に戻る日がやってきた。
「君の真ん中の妹さん、一番君に似てるね。髪の色を白くすれば、女の子版浮竹だ」
「妹に手を出したら・・・・」
「いやだなぁ、浮竹、嫉妬してるの?僕が好きなのは浮竹十四郎、君一人だよ!」
むちゅーとキスをねだってくる京楽を押しやって、浮竹は父親と母親に挨拶した。
「では、学院にもどります。どうが、御病気などせぬよう・・・・」
「それはこちらの台詞だよ、十四郎。肺の病、酷くならないようにちゃんと薬をのむんだぞ」
「そうですよ、十四郎。京楽様、少し粗暴なところもありますが、基本は優しいいい子なんです。どうか、十四郎を頼みます」
「お義父さん、お義母さん、息子さんをくださってありがとうございます」
ばきぼき。
背後で、笑顔で浮竹が指の関節を鳴らしていた。
「で、では帰ります!とう!」
瞬歩で、京楽は逃げ出した。
「では父上、母上、またいつか。待て京楽、父上と母上に息子さんをくださってありがとうございますとは、何事だーーー!」
瞬歩で般若の面を被った浮竹が追いかけてくる。
「うひいいい、怒っているうううう。とてつもなく怒ってるうううう」
浮竹の弟妹は、お菓子で味方につけた。父親と母親には金をちらつかせて。
唯一味方にできなかったのは、浮竹の祖父であった。
蹴術の道場を開いているらしい。
懐柔しようとすると、上流貴族などくそくらえだといって、脛を蹴ってきた。
「もう、ご両親には挨拶したもんね!後は既成事実作って籍をいれるだけさ!」
カッ。
浮竹が、般若から阿修羅になった。
「京楽ーーーーーーー!!!破道の4、白雷!」
「もぎゃああああああああ」
変態京楽との帰郷は、こんな感じで終わるのだった。
露出変態出没!その正体は!
ガチャリ。
ドアをあけて中に入ると、真っ黒なコートを羽織った京楽がいた。
「なんだ、室内で暑そうな恰好をして・・・・」
ばっと、コートの下を見せる。
パンツ一丁だった。
いや、パンツをはいていてよかったというべきか。
本当なら、すっぽんぽんのフルチンになりたかったのだろうが、浮竹に本気で愛想をつかされるのを恐れて、パンツははいたに違いない。
ちなみに、派手で多分勝負下着だ。
「僕と一緒に、パンツ一丁になって、そしてそして、めくるめく愛の楽園へ・・・・おぐっ!」
最後の蛙がつぶれたよな声は、浮竹に股間を蹴られたからだ。
「一生その恰好でいろ!」
そう言ったのが悪かったのか・・・・。
京楽は、外でも浮竹を待ち伏せしてパンツ一丁を見せる、変態になっていた。
数日後。
「えー、教師から生徒諸君、特に女子生徒に注意してほしいことがあります。最近、学院の内部や外で、黒いコートを羽織った変態が、下半身を露出してみせるという、変態行為をしているということがあり、現在7名の女子生徒と2名の男子生徒が被害にあっています。犯行時刻は夕刻の6時半~7時あたりです。どうか、この時間帯に移動するときは一人ではなく、集団で移動しましょう」
浮竹は、まさかと、京楽を見た。
京楽は、ぶんぶんと首を横に振る。
全身で訴える。
しかし、浮竹は犯人は京楽だと思った。
放課後になった。
「京楽、見損なったぞ!誰彼構わず変態行為を働く露出魔だなんて!」
「違う、僕じゃない!」
「お前以外の誰がいるというんだ!」
「でも、ほんとに僕jじゃないんだ!それに、僕が浮竹に見せた時はパンツはいてたよ!寮の部屋の前とか、道場の裏とか、確かに君がいたところで、羽織っていた黒いコートの中身のパンツ一丁を見せたけど、僕じゃないんだ!」
「信じられるか!」
怒って、浮竹は寮の自室に帰ってしまった。
「待ってよ!」
浮竹をおいかけて、京楽も寮の自室にもどった。
寮の部屋ではぎすぎすした空気が流れていた。
「もしもし、心のケア相談所ですか」
京楽は、ずっこけた。
浮竹は、この前と同じところに電話していた。
「実は、この前相談に乗ってっもらった変態が、ついに見境なく露出狂になってしまったんです。一応友人である俺の身からしたら、捕まってほしくないんですがどうすればいいでしょうか」
「説得しましょう。じっくりと話あえば、なんとかなるはずです。捕まる前に、更生を促しましょう」
「聞こえていたか?」
「うん・・・・」
「ありがとうございました」
浮竹は電話を置くと、京楽に正座するように命令した。
しょげたかんじで、床に正座した京楽。
がみがみがみ。
3時間に及ぶお説教を受けた。
そして、確信に触れる。
「本当に、お前じゃないんだな?」
「誓うよ。僕の全てにかけて」
「京楽の全てなんてどうせ変態の塊だから、誓われてもな」
「酷い!僕とのことは遊びだったのね!」
「あーはいはい。行くぞ」
「何処へ?」
京楽を立ち上がらせて、京楽がもっていた黒いコートをごみ箱に捨てて、浮竹は言った。
「見回りだ。犯人を俺たちの手で捕まえようじゃないか」
今、ちょうど夕方の6時20分だった。
「手分けした方が早いか・・・いやでも、露出魔から更に変態行為にでるかもしれない。ペアで動こう」
二人して、学校内、校庭、体育館、道場と見回るが異常なし。学院の外に出て、捜し歩く。
結局、その日が成果は得られなかった。
それから1週間見回りを続けたが、被害者が3人増えるだけだった。
「くそ、早く見つけないと・・・」
新しく被害にあった女子生徒は、鋏で髪を切られたらしい。
思っていた通り、悪化している。
このままでは、傷害沙汰や襲いかかってきたりしそうだ。
教師も、張り込みを続けた。
6時半~7時にかけて、外に一人で出る生徒はいなくなった。
「きゃああああああ!!誰かきてーーーー!」
たまたま近くを通っていたら、悲鳴が聞こえた。
京楽と浮竹は頷きあい、飛び出す。
「な、なんだ貴様らは!」
フルチンのおっさんだった。黒いコートを着ていた。
「今いいところなんだ、邪魔するな!」
手には、ナイフのような刃物を持っていた。
「京楽、女子生徒を頼む!」
こくりと頷き、泣いている女子生徒を抱き上げる。
「おんやぁ?君、男の子かい?女の子じゃないの?かわいいねぇ、俺とめくるめく愛の・・・」
ゴス。
京楽が怒りに怒って、変態の股間を後ろから蹴った。
「もぎゃああああ」
ガードするものもなかったので、変態はその場にで蹲って股間を握りしめていた。
「君、教師を呼んでこれるかい?」
被害にあった女子生徒にそう言うと、女子生徒は強くうなずいた。
「職員室にいって、先生呼んできます!」
浮竹は、念のためにもっていたロープで変態をしばりあげた。股間はみたくないので、コートのボタンを全部しめさせた。
「いい匂いがするねぇ、甘い花の香だ。かわいいねぇ、拘束プレイか。それもいいねぇ」
変態には、ロープで縛りあげることもご褒美になるらしい。
浮竹は、少し肩より長くなった髪を揺らして、微笑んだ。
「・・・・・・死ね」
ドロップキックを顔面に食らわせた。
鼻血を出して倒れたところに、教師たちがかけつけてくる。
「大丈夫かい、浮竹君!」
「浮竹君、京楽君、やりますね!教師が総動員して見つけれなかった露出魔を捕縛するとは!」
教師たち全員に褒められて、京楽はまんざらでもなさそうだった。浮竹は優等生で通しているので、教師受けがいい。
「実は、二人ほどの生徒が、京楽君が浮竹君の前で黒いコートを着ていて中身を見せていたという、変態行為をしているのでないかという相談事があったんだが、杞憂だったようだ」
びくりと、京楽は知らないふりをする。
浮竹は、京楽の手をとって、自室に戻っていく。
「これに懲りたら、もう露出魔なんてやめろよ」
「うん」
次の日から、露出狂はいなくなった。
でも、浮竹のパンツをかぶって、今まで盗んできたパンツの海にダイブして、幸せそうな声をあげる京楽がいた。
「俺のパンツ・・・・こんなに・・」
「僕の宝物だよ!」
「道理でパンツが少なくなるわけだ。こんなにとっていたとは・・・・この変態がああああ!破道の4、白雷!」
「あぎゃああああああああ」
鬼道を受けて、黒焦げになる京楽がいたとさ。
ドアをあけて中に入ると、真っ黒なコートを羽織った京楽がいた。
「なんだ、室内で暑そうな恰好をして・・・・」
ばっと、コートの下を見せる。
パンツ一丁だった。
いや、パンツをはいていてよかったというべきか。
本当なら、すっぽんぽんのフルチンになりたかったのだろうが、浮竹に本気で愛想をつかされるのを恐れて、パンツははいたに違いない。
ちなみに、派手で多分勝負下着だ。
「僕と一緒に、パンツ一丁になって、そしてそして、めくるめく愛の楽園へ・・・・おぐっ!」
最後の蛙がつぶれたよな声は、浮竹に股間を蹴られたからだ。
「一生その恰好でいろ!」
そう言ったのが悪かったのか・・・・。
京楽は、外でも浮竹を待ち伏せしてパンツ一丁を見せる、変態になっていた。
数日後。
「えー、教師から生徒諸君、特に女子生徒に注意してほしいことがあります。最近、学院の内部や外で、黒いコートを羽織った変態が、下半身を露出してみせるという、変態行為をしているということがあり、現在7名の女子生徒と2名の男子生徒が被害にあっています。犯行時刻は夕刻の6時半~7時あたりです。どうか、この時間帯に移動するときは一人ではなく、集団で移動しましょう」
浮竹は、まさかと、京楽を見た。
京楽は、ぶんぶんと首を横に振る。
全身で訴える。
しかし、浮竹は犯人は京楽だと思った。
放課後になった。
「京楽、見損なったぞ!誰彼構わず変態行為を働く露出魔だなんて!」
「違う、僕じゃない!」
「お前以外の誰がいるというんだ!」
「でも、ほんとに僕jじゃないんだ!それに、僕が浮竹に見せた時はパンツはいてたよ!寮の部屋の前とか、道場の裏とか、確かに君がいたところで、羽織っていた黒いコートの中身のパンツ一丁を見せたけど、僕じゃないんだ!」
「信じられるか!」
怒って、浮竹は寮の自室に帰ってしまった。
「待ってよ!」
浮竹をおいかけて、京楽も寮の自室にもどった。
寮の部屋ではぎすぎすした空気が流れていた。
「もしもし、心のケア相談所ですか」
京楽は、ずっこけた。
浮竹は、この前と同じところに電話していた。
「実は、この前相談に乗ってっもらった変態が、ついに見境なく露出狂になってしまったんです。一応友人である俺の身からしたら、捕まってほしくないんですがどうすればいいでしょうか」
「説得しましょう。じっくりと話あえば、なんとかなるはずです。捕まる前に、更生を促しましょう」
「聞こえていたか?」
「うん・・・・」
「ありがとうございました」
浮竹は電話を置くと、京楽に正座するように命令した。
しょげたかんじで、床に正座した京楽。
がみがみがみ。
3時間に及ぶお説教を受けた。
そして、確信に触れる。
「本当に、お前じゃないんだな?」
「誓うよ。僕の全てにかけて」
「京楽の全てなんてどうせ変態の塊だから、誓われてもな」
「酷い!僕とのことは遊びだったのね!」
「あーはいはい。行くぞ」
「何処へ?」
京楽を立ち上がらせて、京楽がもっていた黒いコートをごみ箱に捨てて、浮竹は言った。
「見回りだ。犯人を俺たちの手で捕まえようじゃないか」
今、ちょうど夕方の6時20分だった。
「手分けした方が早いか・・・いやでも、露出魔から更に変態行為にでるかもしれない。ペアで動こう」
二人して、学校内、校庭、体育館、道場と見回るが異常なし。学院の外に出て、捜し歩く。
結局、その日が成果は得られなかった。
それから1週間見回りを続けたが、被害者が3人増えるだけだった。
「くそ、早く見つけないと・・・」
新しく被害にあった女子生徒は、鋏で髪を切られたらしい。
思っていた通り、悪化している。
このままでは、傷害沙汰や襲いかかってきたりしそうだ。
教師も、張り込みを続けた。
6時半~7時にかけて、外に一人で出る生徒はいなくなった。
「きゃああああああ!!誰かきてーーーー!」
たまたま近くを通っていたら、悲鳴が聞こえた。
京楽と浮竹は頷きあい、飛び出す。
「な、なんだ貴様らは!」
フルチンのおっさんだった。黒いコートを着ていた。
「今いいところなんだ、邪魔するな!」
手には、ナイフのような刃物を持っていた。
「京楽、女子生徒を頼む!」
こくりと頷き、泣いている女子生徒を抱き上げる。
「おんやぁ?君、男の子かい?女の子じゃないの?かわいいねぇ、俺とめくるめく愛の・・・」
ゴス。
京楽が怒りに怒って、変態の股間を後ろから蹴った。
「もぎゃああああ」
ガードするものもなかったので、変態はその場にで蹲って股間を握りしめていた。
「君、教師を呼んでこれるかい?」
被害にあった女子生徒にそう言うと、女子生徒は強くうなずいた。
「職員室にいって、先生呼んできます!」
浮竹は、念のためにもっていたロープで変態をしばりあげた。股間はみたくないので、コートのボタンを全部しめさせた。
「いい匂いがするねぇ、甘い花の香だ。かわいいねぇ、拘束プレイか。それもいいねぇ」
変態には、ロープで縛りあげることもご褒美になるらしい。
浮竹は、少し肩より長くなった髪を揺らして、微笑んだ。
「・・・・・・死ね」
ドロップキックを顔面に食らわせた。
鼻血を出して倒れたところに、教師たちがかけつけてくる。
「大丈夫かい、浮竹君!」
「浮竹君、京楽君、やりますね!教師が総動員して見つけれなかった露出魔を捕縛するとは!」
教師たち全員に褒められて、京楽はまんざらでもなさそうだった。浮竹は優等生で通しているので、教師受けがいい。
「実は、二人ほどの生徒が、京楽君が浮竹君の前で黒いコートを着ていて中身を見せていたという、変態行為をしているのでないかという相談事があったんだが、杞憂だったようだ」
びくりと、京楽は知らないふりをする。
浮竹は、京楽の手をとって、自室に戻っていく。
「これに懲りたら、もう露出魔なんてやめろよ」
「うん」
次の日から、露出狂はいなくなった。
でも、浮竹のパンツをかぶって、今まで盗んできたパンツの海にダイブして、幸せそうな声をあげる京楽がいた。
「俺のパンツ・・・・こんなに・・」
「僕の宝物だよ!」
「道理でパンツが少なくなるわけだ。こんなにとっていたとは・・・・この変態がああああ!破道の4、白雷!」
「あぎゃああああああああ」
鬼道を受けて、黒焦げになる京楽がいたとさ。
密やかな想いの果てに
「浮竹?」
8番隊の隊首室に、浮竹がやってきた。
「どうしたんだい」
「いや、少し寂しいなと思って」
「それで、僕の所へ来たわけ?」
「ああ。迷惑だったろうか」
「ううん、そんなことないよ」
京楽と浮竹は院生時代からの親友だった。否、親友以上だ。だが、恋人というわけではなかった。
「酒をもってきた。たまには、飲み交わさないか」
「いいねぇ」
お互い、明日は非番だった。
浮竹のもってきた酒は、甘い果実酒だ。喉を焼くような強い日本酒を好む京楽の口にあうかどうかわからなかったが、お互いの杯に注ぎあった。
「果実酒だが、いいか?」
「もちろん。酒なら、どんな酒でも大抵飲めるから」
「お前の好む日本酒をもってきたら、俺が飲みつぶれるからな」
浮竹は苦笑する。
そのまま酒を深夜まで飲み交わしあって、8番隊の隊首室で、その日は眠った。
次の日。
浮竹は、発作を起こした。
「ごほごほごほっ・・・・・・」
ボタボタと、大量の血を吐血する。
ちょうど、京楽が外出していた時だった。いつもより酷い発作で、血を吐きまくった。
「ああ・・・・・」
ああ、ここで終わりか。そう思いながら、意識を手放した。
京楽は、隊首室の真っ赤な色に戦慄を覚えた。
浮竹の呼吸を確認する。
かろうじで息はあるが、危ない状態だった。
「待ってて、すぐに4番隊に連れていくから!」
浮竹を抱き上げて、4番隊の卯ノ花に真っ先に診てもらった。
「回道で癒すには限界があります。手後れになる、直前でした」
ぞっと、寒気を感じた。
「なんとかなるかい、卯ノ花隊長」
「ですから、直前でしたと。命は助かります」
「よかった・・・・・・・」
浮竹を失うかと思った。そう思った瞬間、全てが色づいて見えた。
そうか。
僕は、浮竹をずっと好きだったんだ。
愛していたんだ・・・・・・・。
遅まきになりながら気づき、自重する。
何を勝手に思っているんだろう。浮竹は親友だ。それ以上の想いを抱いてはだめだ。
でも、一度芽吹いた感情は、どうにもならなかった。
できる限り、入院した浮竹の傍にいた。
数日後、浮竹が意識を取り戻した。
「浮竹・・・・言いたいことがあるんだ」
「なんだ?」
「君のこと愛していると言ったら、笑うかい?」
浮竹は、目を見開いた。翡翠の瞳の光彩に、オパール色が混じっていて、とても美しかった。
そして、目を伏せる。
はにかみがちに、微笑んだ。
「俺も、お前を愛している」
「本当かい!?」
「嘘を言ってどうする」
「それもそうだね・・・・」
浮竹は、意識を取り戻してから順調に回復し、数日後には退院した。
京楽に付き添われて、雨乾堂にくる。その日は、京楽も雨乾堂に泊まることになった。
布団をしいた。まだ眠るには時間がある。
それは、どちらからだっただろうか。
気づくと、キスをしていた。
お互いを貪るように、深く口づけする。
「んっ」
漏れる浮竹の少し上ずった声が耳に届く。もっと鳴かせてみたいと思った。
隊長羽織を脱がせて、死覇装に手をかける前で、浮竹に止められた。
「俺は、これ以上の経験がない。戯れなら、よせ」
「戯れなら、君にこんなことはしないよ。僕は君が好きだ」
「京楽・・・・・俺も、お前が好きだ」
京楽は浮竹の想いを、浮竹は京楽の想いを受け入れた。
咥内を、舌が蹂躙する。舌と舌をからめあっていると、浮竹の腰に硬くなった京楽のものがあたった。
「おい、でかいな」
「風呂とかで、僕のみたことあるでしょ」
院生時代とかに、共同風呂とかに入ったりしたとき、見たことはあったが、さらにでかくなるものなのだと初めて知った。
「このサイズ・・・・・ちょっと凶暴じゃないか?」
「君が受け入れるんだよ?」
「何か、オイルのようなものはないか?さすがに素で受け止めるのは不可能だ」
「こんなこともあろうかと、潤滑油買ってあったんだ」
体に毒のない、潤滑油を取り出す。
「おいおい、こんなこともあるかと、前から思っていたのか?」
「君を愛していると告げた次の日には、買っていた」
それは本当だった。
死覇装を脱がせ、襦袢に手をかける。
「あまり、見るな・・・・・」
真っ白な髪と同じくらいの、真っ白な肌だった。
「んっ」
ちりっと、喉が焼ける感覚がした。
キスマークを残されたのだと知って、声を出す。
「見える場所には痕をつけるな」
「分かったよ」
鎖骨から胸にかけて、キスマークをいっぱい残された。女ではないから、柔らかな身体もしていないし、胸もない。
それなのに、京楽は浮竹の胸をもんでくる。
「何もでないぞ」
「知ってる」
先端をつままれると、声がもれた。
「あっ」
「ここ、気持ちいい?」
「分からない・・・」
舌で転がされた。ぴりっと電流が走った気がした。
「なんか・・・へん」
「感じているんだよ。恥ずかしがることはないよ」
全体の輪郭を辿るように愛撫され、花茎に手をかけられた。
「ばか、そんなとこ・・・・」
「先にいっておいたほうが、多分楽だから」
手をかけられる。上下にしごかれて、1分もしない間にに吐精してしまった。
「あああああ!!!」
すさまじい快感に、何もかもが真っ白になった。
「ちょっと我慢してね」
つぷりと、潤滑油まみれにされた指が入ってくる。最初は1本、次に2本、最終的には3本の指を飲み込んだ。
「ここで、お前を?」
「そう。ここで、受け入れるの」
「ああっ」
指が前立腺をこすりあげて、浮竹は啼いた。
「ここがいいの?」
こりこりと、前立腺がある場所を何度も刺激されて、一度収まった熱が、再度集まってきた。
ぐちゃぐちゃと、耳にいやらしい音が聞こえるほど蕾を解されて、指は出て行った。
「いくよ」
「んっ・・・・・あああああ!!!」
先端をぬけると、後は一気に入った。一気に貫かれて、痛みを感じて浮竹は涙を浮かべていた。
「ごめんね。ゆっくりでも痛いのには、変わらないだろうから」
しばらく、馴染ませるために動かさなかった。
「動くよ」
「ああ!」
前立腺をすりあげるように突き上げられて、一度は萎えかけた熱が集まってくる。
「きもちいい?」
何度も前立腺を突き上げられて、浮竹は答えた。
「痛みも少しあるが、きもちいい」
「そう、それならいいんだ」
また前立腺を突き上げられた。
「あ、あ、あ」
声がどうしても漏れるので、手を噛んでいると、キスされた。
「もっと声、聞かせて?」
「やあん」
中を円を描くように抉られた。
それから最奥をつぎあげらる。浮竹はキスを求めてくる。それに応えてやりながら、浮竹の反応していた花茎に手をかける。
「ああ、春水!」
「十四郎・・・一緒にいこう」
ぐちゃぐちゃと音がするまで突き入れられて、浮竹は京楽の手の中で射精した。
同時に、京楽も浮竹の腹の奥に欲望を放った。
「んっ」
抜かれて行く熱を、引き留めるように中が動く。
「もう一度、してもいいの?」
「お前が満足するまで、付き合ってやる・・・・・ああっ!」
言った言葉を後悔するかもしれないと思うくらい、突き上げて、抉って、こすりあげた。
「やあ、も、やぁ」
何度も前立腺を刺激されて、何度の射精した。
もう出るものもないのに、花茎は射精しとうとする。
「ああ!」
京楽は、2度目の熱を浮竹の中に放った。
「やん」
それでもまだ硬い京楽に、浮竹は朦朧とししだした意識の中で応える。
「やあっ」
逃げ出す体を片手で縫い留めて、奥深くまでえぐった。
「ああああ!」
ぷつりと、浮竹の意識が途切れる。
それと同時に、3度目の熱を放っていた。
「初めてなのに、ごめんね」
意識を手放した浮竹に、何度もキスをする。
行為中、浮竹は何度もキスをせがんできた。多分、キスが好きなんだろう。
京楽も疲れているので、濡れたタオルでお互いの体をふいて、京楽は浮竹の中にだした自分の精液をかきだした。どろりと、畳の上に零れたそれを濡れたタオルでふき取った。
布団のシーツを変えて、衣服を着せて浮竹を寝かせた。
2時間くらいして、浮竹が意識を取り戻す。
「俺は・・・?」
「行為の最中に、意識を失ったんだよ」
「そうか・・・・あいたたた」
「どうしたんだい」
「腰と尻が痛い」
「ご、ごめん」
お互い真っ赤になった。今更なのに。
「付き合おう、浮竹。僕の恋人になって」
「俺でいいのか?」
「君の初めてをもらってしまった責任をとるよ」
お互い愛し合っているのだ。交際して当たり前だろう。
外では、雪がちらついていた。
火鉢に手をあてて、浮竹が言う。
「別に、責任なんていいんだけどな」
「だめだよ!ちゃんと、責任はとるから。愛している。それとも、僕と付き合うのは嫌かい?」
「嫌なわけないだろう・・・・・・・」
「じゃあ、恋人同士ということで」
「分かった」
その後、正式に付き合いだして、皆から夫婦と呼ばれ仲になるのは、まだ先のお話。
8番隊の隊首室に、浮竹がやってきた。
「どうしたんだい」
「いや、少し寂しいなと思って」
「それで、僕の所へ来たわけ?」
「ああ。迷惑だったろうか」
「ううん、そんなことないよ」
京楽と浮竹は院生時代からの親友だった。否、親友以上だ。だが、恋人というわけではなかった。
「酒をもってきた。たまには、飲み交わさないか」
「いいねぇ」
お互い、明日は非番だった。
浮竹のもってきた酒は、甘い果実酒だ。喉を焼くような強い日本酒を好む京楽の口にあうかどうかわからなかったが、お互いの杯に注ぎあった。
「果実酒だが、いいか?」
「もちろん。酒なら、どんな酒でも大抵飲めるから」
「お前の好む日本酒をもってきたら、俺が飲みつぶれるからな」
浮竹は苦笑する。
そのまま酒を深夜まで飲み交わしあって、8番隊の隊首室で、その日は眠った。
次の日。
浮竹は、発作を起こした。
「ごほごほごほっ・・・・・・」
ボタボタと、大量の血を吐血する。
ちょうど、京楽が外出していた時だった。いつもより酷い発作で、血を吐きまくった。
「ああ・・・・・」
ああ、ここで終わりか。そう思いながら、意識を手放した。
京楽は、隊首室の真っ赤な色に戦慄を覚えた。
浮竹の呼吸を確認する。
かろうじで息はあるが、危ない状態だった。
「待ってて、すぐに4番隊に連れていくから!」
浮竹を抱き上げて、4番隊の卯ノ花に真っ先に診てもらった。
「回道で癒すには限界があります。手後れになる、直前でした」
ぞっと、寒気を感じた。
「なんとかなるかい、卯ノ花隊長」
「ですから、直前でしたと。命は助かります」
「よかった・・・・・・・」
浮竹を失うかと思った。そう思った瞬間、全てが色づいて見えた。
そうか。
僕は、浮竹をずっと好きだったんだ。
愛していたんだ・・・・・・・。
遅まきになりながら気づき、自重する。
何を勝手に思っているんだろう。浮竹は親友だ。それ以上の想いを抱いてはだめだ。
でも、一度芽吹いた感情は、どうにもならなかった。
できる限り、入院した浮竹の傍にいた。
数日後、浮竹が意識を取り戻した。
「浮竹・・・・言いたいことがあるんだ」
「なんだ?」
「君のこと愛していると言ったら、笑うかい?」
浮竹は、目を見開いた。翡翠の瞳の光彩に、オパール色が混じっていて、とても美しかった。
そして、目を伏せる。
はにかみがちに、微笑んだ。
「俺も、お前を愛している」
「本当かい!?」
「嘘を言ってどうする」
「それもそうだね・・・・」
浮竹は、意識を取り戻してから順調に回復し、数日後には退院した。
京楽に付き添われて、雨乾堂にくる。その日は、京楽も雨乾堂に泊まることになった。
布団をしいた。まだ眠るには時間がある。
それは、どちらからだっただろうか。
気づくと、キスをしていた。
お互いを貪るように、深く口づけする。
「んっ」
漏れる浮竹の少し上ずった声が耳に届く。もっと鳴かせてみたいと思った。
隊長羽織を脱がせて、死覇装に手をかける前で、浮竹に止められた。
「俺は、これ以上の経験がない。戯れなら、よせ」
「戯れなら、君にこんなことはしないよ。僕は君が好きだ」
「京楽・・・・・俺も、お前が好きだ」
京楽は浮竹の想いを、浮竹は京楽の想いを受け入れた。
咥内を、舌が蹂躙する。舌と舌をからめあっていると、浮竹の腰に硬くなった京楽のものがあたった。
「おい、でかいな」
「風呂とかで、僕のみたことあるでしょ」
院生時代とかに、共同風呂とかに入ったりしたとき、見たことはあったが、さらにでかくなるものなのだと初めて知った。
「このサイズ・・・・・ちょっと凶暴じゃないか?」
「君が受け入れるんだよ?」
「何か、オイルのようなものはないか?さすがに素で受け止めるのは不可能だ」
「こんなこともあろうかと、潤滑油買ってあったんだ」
体に毒のない、潤滑油を取り出す。
「おいおい、こんなこともあるかと、前から思っていたのか?」
「君を愛していると告げた次の日には、買っていた」
それは本当だった。
死覇装を脱がせ、襦袢に手をかける。
「あまり、見るな・・・・・」
真っ白な髪と同じくらいの、真っ白な肌だった。
「んっ」
ちりっと、喉が焼ける感覚がした。
キスマークを残されたのだと知って、声を出す。
「見える場所には痕をつけるな」
「分かったよ」
鎖骨から胸にかけて、キスマークをいっぱい残された。女ではないから、柔らかな身体もしていないし、胸もない。
それなのに、京楽は浮竹の胸をもんでくる。
「何もでないぞ」
「知ってる」
先端をつままれると、声がもれた。
「あっ」
「ここ、気持ちいい?」
「分からない・・・」
舌で転がされた。ぴりっと電流が走った気がした。
「なんか・・・へん」
「感じているんだよ。恥ずかしがることはないよ」
全体の輪郭を辿るように愛撫され、花茎に手をかけられた。
「ばか、そんなとこ・・・・」
「先にいっておいたほうが、多分楽だから」
手をかけられる。上下にしごかれて、1分もしない間にに吐精してしまった。
「あああああ!!!」
すさまじい快感に、何もかもが真っ白になった。
「ちょっと我慢してね」
つぷりと、潤滑油まみれにされた指が入ってくる。最初は1本、次に2本、最終的には3本の指を飲み込んだ。
「ここで、お前を?」
「そう。ここで、受け入れるの」
「ああっ」
指が前立腺をこすりあげて、浮竹は啼いた。
「ここがいいの?」
こりこりと、前立腺がある場所を何度も刺激されて、一度収まった熱が、再度集まってきた。
ぐちゃぐちゃと、耳にいやらしい音が聞こえるほど蕾を解されて、指は出て行った。
「いくよ」
「んっ・・・・・あああああ!!!」
先端をぬけると、後は一気に入った。一気に貫かれて、痛みを感じて浮竹は涙を浮かべていた。
「ごめんね。ゆっくりでも痛いのには、変わらないだろうから」
しばらく、馴染ませるために動かさなかった。
「動くよ」
「ああ!」
前立腺をすりあげるように突き上げられて、一度は萎えかけた熱が集まってくる。
「きもちいい?」
何度も前立腺を突き上げられて、浮竹は答えた。
「痛みも少しあるが、きもちいい」
「そう、それならいいんだ」
また前立腺を突き上げられた。
「あ、あ、あ」
声がどうしても漏れるので、手を噛んでいると、キスされた。
「もっと声、聞かせて?」
「やあん」
中を円を描くように抉られた。
それから最奥をつぎあげらる。浮竹はキスを求めてくる。それに応えてやりながら、浮竹の反応していた花茎に手をかける。
「ああ、春水!」
「十四郎・・・一緒にいこう」
ぐちゃぐちゃと音がするまで突き入れられて、浮竹は京楽の手の中で射精した。
同時に、京楽も浮竹の腹の奥に欲望を放った。
「んっ」
抜かれて行く熱を、引き留めるように中が動く。
「もう一度、してもいいの?」
「お前が満足するまで、付き合ってやる・・・・・ああっ!」
言った言葉を後悔するかもしれないと思うくらい、突き上げて、抉って、こすりあげた。
「やあ、も、やぁ」
何度も前立腺を刺激されて、何度の射精した。
もう出るものもないのに、花茎は射精しとうとする。
「ああ!」
京楽は、2度目の熱を浮竹の中に放った。
「やん」
それでもまだ硬い京楽に、浮竹は朦朧とししだした意識の中で応える。
「やあっ」
逃げ出す体を片手で縫い留めて、奥深くまでえぐった。
「ああああ!」
ぷつりと、浮竹の意識が途切れる。
それと同時に、3度目の熱を放っていた。
「初めてなのに、ごめんね」
意識を手放した浮竹に、何度もキスをする。
行為中、浮竹は何度もキスをせがんできた。多分、キスが好きなんだろう。
京楽も疲れているので、濡れたタオルでお互いの体をふいて、京楽は浮竹の中にだした自分の精液をかきだした。どろりと、畳の上に零れたそれを濡れたタオルでふき取った。
布団のシーツを変えて、衣服を着せて浮竹を寝かせた。
2時間くらいして、浮竹が意識を取り戻す。
「俺は・・・?」
「行為の最中に、意識を失ったんだよ」
「そうか・・・・あいたたた」
「どうしたんだい」
「腰と尻が痛い」
「ご、ごめん」
お互い真っ赤になった。今更なのに。
「付き合おう、浮竹。僕の恋人になって」
「俺でいいのか?」
「君の初めてをもらってしまった責任をとるよ」
お互い愛し合っているのだ。交際して当たり前だろう。
外では、雪がちらついていた。
火鉢に手をあてて、浮竹が言う。
「別に、責任なんていいんだけどな」
「だめだよ!ちゃんと、責任はとるから。愛している。それとも、僕と付き合うのは嫌かい?」
「嫌なわけないだろう・・・・・・・」
「じゃあ、恋人同士ということで」
「分かった」
その後、正式に付き合いだして、皆から夫婦と呼ばれ仲になるのは、まだ先のお話。
色のない世界番外編
「愛しているよ」
「俺も愛してる」
二人の恋人であり結ばれた伴侶は、愛を囁きあった。
護廷13隊1番隊隊長京楽春水。元13番隊隊長浮竹十四郎。
花の神に再び命をもらった二人は、寄り添いあいながら生きた。
結婚して、2年が経とうとしていた。
ルキアと恋次の子、苺花は10歳になり、元々おませだったのが余計に酷くなってきた。
「そろそろ、チカさんと体の関係を築きたいんだけど・・・」
「だめ、絶対だめ!」
「そうだぞ、せめてあと最低5年は待て!」
1番隊の執務室に遊びにきていた苺花は、京楽と浮竹の言葉に唇を尖らせた。
「えーなんでー。あたし、おっぱいふくらんできたし、もう月経もはじまってるよ」
「おい、まだ10歳だったよな」
「最近の子は発育がいいからね」
こそこそと相談しあう二人。
「この件、朽木に相談するか?」
「そうだね、ルキアちゃんにちゃんと説明したほうがいいだろうね」
「ねーねー。何こそこそ話してるの、シロさん総隊長」
「この尸魂界では、14歳未満の子は体の関係は築いちゃだめなの」
「えー絶対嘘!それ現世の法律じゃん」
「苺花ちゃん、もっと自分を大切にしろ」
「シロさん、いつも総隊長と寝てるんでしょ?チカさんと同じことしたいだけだよ?」
「それがだめなんだ!」
浮竹が、がたんと立ち上がって、苺花の両肩を掴む。
「俺と京楽は爛れた関係だから、少々何かあろうがどうでもいいけど、苺花ちゃんは初めてだろう!しかもまだ10歳だ!初めてはもっと、特別にとっておくものだ!」
「えー。だからチカさんと」
「綾瀬川3席と君が寝たら、綾瀬川3席が処罰をうけるんだよ」
「ええっ、まじで?」
「まじで。児童への姦淫罪で」
「ああ、そうだ。だから、まだ初めては、せめて15歳になるまでとっておきなさい」
「あと5年か~。あたし、待てるかな?チカさんに恋人できたらどうしよう」
「綾瀬川3席に恋人はできないんじゃないかい。あの子、自分のこと大好きのナルシストだし」
「え、じゃああたしを恋人にしてくれないの?」
目にみるみる涙をためて、苺花は泣きだした。
「うわーん。総隊長がいじめるーーー」
「いじめてないから!」
「お菓子あげるから、泣き止みなさい」
浮竹が、日番谷にあげようとしていたキャンディの入った缶詰を、苺花にあげた。
「あーそういえば、バロウィンだな。せっかくだし、ハロウィンパーティーでもしようか」
浮竹の思い付きで、10月最後の日はハロウィンパーティーが行われることになった。
みんな、その日は思い思いのコスプレをして、カボチャを使った料理や、普通のお菓子を食べたりした。
「ハッピーハロウィン。トリックオアトリート」
ルキアが、チャッピーの恰好をして、旦那の恋次にお菓子をねだっていた。
旦那の恋次は、チャッピーの着ぐるみを無理やり着せられていた。ちょっとシュールだった。
それより目を引いたのは、白哉のわかめ大使の着ぐるみだろうか。
シュールだが、怖くて誰も笑えなかったとこを、浮竹が笑いだした。
「白哉、なんだその恰好は!せっかくの美貌が台無しだぞ。あはははは」
「兄は・・・・・トリックオアトリート」
「む、お菓子は日番谷隊長にあげてしまってないぞ」
「私が、兄にあげたいのだ。わかめ大使スペシャルだ」
どんと、どこに隠して持っていたのか、巨大わかめ大使や、わかめ大使チョコ、キャンディ・・・・・いろいろ詰まったお菓子セットを渡された。
「ありがとう、白哉」
「兄は、今幸せか?総隊長と結婚して・・・・・・」
「ああ、幸せだぞ。毎日を大切にしながら過ごしている」
「そうか。それならよいのだ」
白哉はルキアのほうへいった。ルキアは、白哉と同じで芸術的センスがちょっといかれているので、わかめ大使の着ぐるみをきた義兄を、「さすが兄様とても似合っています」と褒めまくっていた。
白哉も、まんざらではなさそうだった。
写真を撮ったり撮りあったり。
日番谷は、狼男のコスプレを松本は魔女のコスプレをしていた。
「あーん、隊長のコスプレかわいいー写真撮っていいですよね?」
「松本は、ちょっと年齢考えたらどうだ」
「ひどい!わたし、まだまだぴちぴちですよ!女の子です」
「女の子だって・・・・年考えろってやつだね」
フランケンシュタインにコスプレした弓親が、松本を怒らせる。
「なんですってーーー!」
「おお怖い。更年期障害かな」
「キーーー!」
京楽はかぼちゃそのもののコスプレを・・・これも笑えるのだが。
浮竹は、お岩さんのコスプレをしていた。
なんかちょっと、趣旨がずれていた。
浮竹の芸術センスもゼロだから、みんなまったりとして、京楽の恰好もきっと浮竹の仕業だと話しだす。
事実、その通りだった。
ハロウィンでは、コスプレのコンテストもあった。
優勝したのは白哉だった。
開催したのは京楽である。金一封などは意味もないだろうから、現世への旅行へ行けるチケットと有給休暇をあげた。
「ルキア、恋次、苺花。北海道へいくぞ」
「お、いいですね、隊長」
「兄様が選ぶ場所は間違っていない!」
「白哉叔父様の選ぶ場所はいいとこ!」
朽木家と縁続きのある者たちは、金銭感覚がおかしい。唯一まともなのは恋次だった。
「はぁ。久しぶりにみんなでわいわい楽しめたな」
「そうだね。こういうの、たまにはいいよね」
コスプレを終えて、元に恰好に戻る。
1番隊の隊首室の奥にある寝室で、浮竹は大きなベッドの上に体を投げ出した。
「今年ももう10月の終わりか。年末年始も、あっという間だろうな」
「そうだね」
浮竹に覆いかぶさって、京楽が口づける。
「んっ」
「今日は、していいかい?2週間ぶりだし」
「ああ、いいぞ」
浮竹からYESをもらって、口づけあいながら、違いの衣服を脱がしていく。
「んあっ」
中に入ってきた京楽の熱い熱を感じた。
「あああっ」
前立腺をすりあげていく性急な動きに、浮竹が京楽に抱き着いた。
「もっとゆっくり・・・・俺はもう、消えたりしないから」
「ごめん。ちょっと急すぎたね」
ゆっくりと内部を侵していく。
「あっ」
胸の先端をかじられ、入れられたまま揺さぶられた。
「ひあっ・・・・・いあああ」
前立腺をこすりあげられて、花茎に手をかけられる。あっという間に吐精してしまった。
「んっ」
そのまま体位を変えられ、後ろから貫かれた。
「ああっ!」
咥内に、指が入ってくる。
「んうっ」
舌を絡める。
浮竹は、ペロリと自分の唇を舐めた。
「はぁっ」
引き抜かれ、また挿入される。何度かその行為を繰り返していくうちに、結合部から水音がした。ぐちゃぐちゃと音をたてて、侵される。
「んあ!」
最奥を貫かれて、浮竹は射精した。
腹の奥で、京楽がはじけるのを感じた。
「春水・・・・もっとキスを」
「十四郎は、いつでもかわいいね」
浮竹が、京楽の眼帯を外す。右目がもう見えないが、義眼をはめてあった。浮竹と同じ、緑色の義眼だった。
「オッドアイみたいで、綺麗だ」
「こっちの目は、もうだめで摘出してしまったからね」
「片目だと、きつくないか?」
「もう、慣れてしまったよ」
何度も口づけしあう。
ハロウィンの夜も更けていく。
ふっと、水底で花の神は揺らめいた。
「愛児たちに、祝福あれ・・・」
ぶわりと、寝室の天井から花びらの奔流が降ってくる。
それはちらちらと舞う程度になり、最後は光の雨になって音もなく消えていった。
その光景を見つめながら、思う。
もう一度与えられた命の大切さを。
「俺は幸せだ」
「僕も幸せだよ」
もう、姿を現す力もない花の神に、微笑んだ。
冬になれば、雨乾堂の池に、椿を沈めよう。別名椿の狂い咲きの王のために。
椿姫に恋い焦がれれた、孤独な王に、せめて椿の花を。
色のない世界が色づいていく。
それは、椿の色。
薄紅色だった。
「俺も愛してる」
二人の恋人であり結ばれた伴侶は、愛を囁きあった。
護廷13隊1番隊隊長京楽春水。元13番隊隊長浮竹十四郎。
花の神に再び命をもらった二人は、寄り添いあいながら生きた。
結婚して、2年が経とうとしていた。
ルキアと恋次の子、苺花は10歳になり、元々おませだったのが余計に酷くなってきた。
「そろそろ、チカさんと体の関係を築きたいんだけど・・・」
「だめ、絶対だめ!」
「そうだぞ、せめてあと最低5年は待て!」
1番隊の執務室に遊びにきていた苺花は、京楽と浮竹の言葉に唇を尖らせた。
「えーなんでー。あたし、おっぱいふくらんできたし、もう月経もはじまってるよ」
「おい、まだ10歳だったよな」
「最近の子は発育がいいからね」
こそこそと相談しあう二人。
「この件、朽木に相談するか?」
「そうだね、ルキアちゃんにちゃんと説明したほうがいいだろうね」
「ねーねー。何こそこそ話してるの、シロさん総隊長」
「この尸魂界では、14歳未満の子は体の関係は築いちゃだめなの」
「えー絶対嘘!それ現世の法律じゃん」
「苺花ちゃん、もっと自分を大切にしろ」
「シロさん、いつも総隊長と寝てるんでしょ?チカさんと同じことしたいだけだよ?」
「それがだめなんだ!」
浮竹が、がたんと立ち上がって、苺花の両肩を掴む。
「俺と京楽は爛れた関係だから、少々何かあろうがどうでもいいけど、苺花ちゃんは初めてだろう!しかもまだ10歳だ!初めてはもっと、特別にとっておくものだ!」
「えー。だからチカさんと」
「綾瀬川3席と君が寝たら、綾瀬川3席が処罰をうけるんだよ」
「ええっ、まじで?」
「まじで。児童への姦淫罪で」
「ああ、そうだ。だから、まだ初めては、せめて15歳になるまでとっておきなさい」
「あと5年か~。あたし、待てるかな?チカさんに恋人できたらどうしよう」
「綾瀬川3席に恋人はできないんじゃないかい。あの子、自分のこと大好きのナルシストだし」
「え、じゃああたしを恋人にしてくれないの?」
目にみるみる涙をためて、苺花は泣きだした。
「うわーん。総隊長がいじめるーーー」
「いじめてないから!」
「お菓子あげるから、泣き止みなさい」
浮竹が、日番谷にあげようとしていたキャンディの入った缶詰を、苺花にあげた。
「あーそういえば、バロウィンだな。せっかくだし、ハロウィンパーティーでもしようか」
浮竹の思い付きで、10月最後の日はハロウィンパーティーが行われることになった。
みんな、その日は思い思いのコスプレをして、カボチャを使った料理や、普通のお菓子を食べたりした。
「ハッピーハロウィン。トリックオアトリート」
ルキアが、チャッピーの恰好をして、旦那の恋次にお菓子をねだっていた。
旦那の恋次は、チャッピーの着ぐるみを無理やり着せられていた。ちょっとシュールだった。
それより目を引いたのは、白哉のわかめ大使の着ぐるみだろうか。
シュールだが、怖くて誰も笑えなかったとこを、浮竹が笑いだした。
「白哉、なんだその恰好は!せっかくの美貌が台無しだぞ。あはははは」
「兄は・・・・・トリックオアトリート」
「む、お菓子は日番谷隊長にあげてしまってないぞ」
「私が、兄にあげたいのだ。わかめ大使スペシャルだ」
どんと、どこに隠して持っていたのか、巨大わかめ大使や、わかめ大使チョコ、キャンディ・・・・・いろいろ詰まったお菓子セットを渡された。
「ありがとう、白哉」
「兄は、今幸せか?総隊長と結婚して・・・・・・」
「ああ、幸せだぞ。毎日を大切にしながら過ごしている」
「そうか。それならよいのだ」
白哉はルキアのほうへいった。ルキアは、白哉と同じで芸術的センスがちょっといかれているので、わかめ大使の着ぐるみをきた義兄を、「さすが兄様とても似合っています」と褒めまくっていた。
白哉も、まんざらではなさそうだった。
写真を撮ったり撮りあったり。
日番谷は、狼男のコスプレを松本は魔女のコスプレをしていた。
「あーん、隊長のコスプレかわいいー写真撮っていいですよね?」
「松本は、ちょっと年齢考えたらどうだ」
「ひどい!わたし、まだまだぴちぴちですよ!女の子です」
「女の子だって・・・・年考えろってやつだね」
フランケンシュタインにコスプレした弓親が、松本を怒らせる。
「なんですってーーー!」
「おお怖い。更年期障害かな」
「キーーー!」
京楽はかぼちゃそのもののコスプレを・・・これも笑えるのだが。
浮竹は、お岩さんのコスプレをしていた。
なんかちょっと、趣旨がずれていた。
浮竹の芸術センスもゼロだから、みんなまったりとして、京楽の恰好もきっと浮竹の仕業だと話しだす。
事実、その通りだった。
ハロウィンでは、コスプレのコンテストもあった。
優勝したのは白哉だった。
開催したのは京楽である。金一封などは意味もないだろうから、現世への旅行へ行けるチケットと有給休暇をあげた。
「ルキア、恋次、苺花。北海道へいくぞ」
「お、いいですね、隊長」
「兄様が選ぶ場所は間違っていない!」
「白哉叔父様の選ぶ場所はいいとこ!」
朽木家と縁続きのある者たちは、金銭感覚がおかしい。唯一まともなのは恋次だった。
「はぁ。久しぶりにみんなでわいわい楽しめたな」
「そうだね。こういうの、たまにはいいよね」
コスプレを終えて、元に恰好に戻る。
1番隊の隊首室の奥にある寝室で、浮竹は大きなベッドの上に体を投げ出した。
「今年ももう10月の終わりか。年末年始も、あっという間だろうな」
「そうだね」
浮竹に覆いかぶさって、京楽が口づける。
「んっ」
「今日は、していいかい?2週間ぶりだし」
「ああ、いいぞ」
浮竹からYESをもらって、口づけあいながら、違いの衣服を脱がしていく。
「んあっ」
中に入ってきた京楽の熱い熱を感じた。
「あああっ」
前立腺をすりあげていく性急な動きに、浮竹が京楽に抱き着いた。
「もっとゆっくり・・・・俺はもう、消えたりしないから」
「ごめん。ちょっと急すぎたね」
ゆっくりと内部を侵していく。
「あっ」
胸の先端をかじられ、入れられたまま揺さぶられた。
「ひあっ・・・・・いあああ」
前立腺をこすりあげられて、花茎に手をかけられる。あっという間に吐精してしまった。
「んっ」
そのまま体位を変えられ、後ろから貫かれた。
「ああっ!」
咥内に、指が入ってくる。
「んうっ」
舌を絡める。
浮竹は、ペロリと自分の唇を舐めた。
「はぁっ」
引き抜かれ、また挿入される。何度かその行為を繰り返していくうちに、結合部から水音がした。ぐちゃぐちゃと音をたてて、侵される。
「んあ!」
最奥を貫かれて、浮竹は射精した。
腹の奥で、京楽がはじけるのを感じた。
「春水・・・・もっとキスを」
「十四郎は、いつでもかわいいね」
浮竹が、京楽の眼帯を外す。右目がもう見えないが、義眼をはめてあった。浮竹と同じ、緑色の義眼だった。
「オッドアイみたいで、綺麗だ」
「こっちの目は、もうだめで摘出してしまったからね」
「片目だと、きつくないか?」
「もう、慣れてしまったよ」
何度も口づけしあう。
ハロウィンの夜も更けていく。
ふっと、水底で花の神は揺らめいた。
「愛児たちに、祝福あれ・・・」
ぶわりと、寝室の天井から花びらの奔流が降ってくる。
それはちらちらと舞う程度になり、最後は光の雨になって音もなく消えていった。
その光景を見つめながら、思う。
もう一度与えられた命の大切さを。
「俺は幸せだ」
「僕も幸せだよ」
もう、姿を現す力もない花の神に、微笑んだ。
冬になれば、雨乾堂の池に、椿を沈めよう。別名椿の狂い咲きの王のために。
椿姫に恋い焦がれれた、孤独な王に、せめて椿の花を。
色のない世界が色づいていく。
それは、椿の色。
薄紅色だった。
心のケア相談所とエロ本
「宅配便です」
「あ、きたきた」
「けっこうな重さになるので、ご注意ください」
もたされた荷物は、ずしりと重かった。
「ふふ~ん♪」
「ご機嫌だな。何を頼んだんだ?」
「エロ本」
「そうかそうかエロ本か・・・・・・って京楽、本気か?本気でただのエロ本をこんなに?」
浮竹は感動していた。変態が、異性に興味を示したと。
「そうだよ。浮竹によく似た子でね。男の娘っていう、男性向けのエロ本だけど、女の子じゃあないんだ」
浮竹は消沈した。エロ本は男性向けだが、はっきりいって趣向があっち系の人だ。
つまりは、浮竹によく似た男の娘で抜くのだ。
簡単にいえば、浮竹が女装したような感覚なのだろう。
「お前、そんな本をこんなに?」
「いや、普通の女性のもあるよ。浮竹に似てる子だけど」
全部、基本は浮竹に似ているから。
症状は、改善ではなく悪性化していた。
「もしもし、心のケア相談所ですか・・・・・・・」
浮竹は、若者の心に傷をおったり、精神的に障害のある人向けの電話番号に電話した。
「もしもし代わりました」
「名前は浮竹十四郎です。実は、前々から相談していたことなんですが、俺を好きという変態に付きまとわれておりまして・・・ええ、そうです。そいつ、エロ本を頼んだんですよ。全部俺に似ているから買ったと言って・・・・」
「ちょ、何処に相談してるの!」
「はぁ。放置した方がいい・・・・はぁ。ああ、確かに熱中している間にこちらに害はなさそうですね。はい、わかりました。ありがとうございました。あ、ちなみに変態は上流貴族で、訴えてももみ消されそうなんですが・・・・・・」
「距離を置いた方がいいと思います。上流貴族には逆らえない場合、逆にありもしない罪をきせられて冤罪でさばかれるかもしれません」
「それは怖いですね・・・でも、そこまでしそうなやつじゃないんですが」
「甘い!とある少女の話になりますが、付きまとわれてやってもいない売春をしていると言い出されて、学院を退学させられた上に、借金を無理やり背負わされて、結局その上流貴族の奴隷のようになってしまった少女がいるのです。つきまとっていた貴族は、あの四楓院家の分家のどら 息子で・・・・・・ひそひそ」
「ひそひそ・・・・ええ、ひそひそ。ええっ!」
段々声が小さくなって、ひそひそとしか聞こえなくなった。そして、突然の驚き。
浮竹は、京楽をつま先からてっぺんまでみて、頷いた。
「そうです。でも、俺にはその趣味はないので、無理です」
「そうですか・・・・他に男の恋人でもできてしまえば、その上流貴族も諦めるかもしれないと思ったのですが・・・・異性の恋人ではどうですか?」
「ええ・・・今特に好きな子はいなくて・・・・・」
「それでもいいから、誰かと付き合ったほうが、安全です」
「そうですか・・・・・はい、はい。ありがとうございました」
カチャリ。電話が止められる。
「浮竹、何処に電話してたの!」
「若者を守れ、心のケア相談所」
「なんでそんなところに電話を!」
浮竹は、力の限りいった。
「同室に変態がいるからだ!!!」
「Σ(゚д゚lll)ガーン・・・・・僕はたた、浮竹を好きなだけなのに( ノД`)シクシク…」
「そう言って、お前今まで何度変態行為をしてきた?」
「それは・・・数えてないからわからないけど、10回くらいとか?」
「いや、30回以上はしているはずだ!」
「Σ(゚д゚lll)ガーン」
「京楽、お前と距離をとれと言われた。しばらく、行動を別々に・・・・・」
「変態行為、もっとするよ。今の10倍」
「・・・・分かった、今まで通りでいい」
浮竹は冷や汗をかいた。
京楽の目が、その黒曜石の瞳が真剣そのものだったからだ。
こいつ、本気で変態行為10倍するつもりだ。
「じゃあ、僕はエロ本見るから♪ご飯の時間になったら知らせて」
「エロ本でも食っとけ!」
転がっていたエロ本を1冊見てみた。そっくりというわけではないが、どことなく雰囲気の似ている白い髪の女の子の、グラビア写真があった。
他の本を見てみる。
やっぱり、みんな白い髪だった。
男の娘というやつの本を見てみると、白い髪の男の娘・・・・・これも、どことなく似ているかもしれないというかんじで、白い髪だった。やばいアングルの写真があったので、エロ本を閉じた。
「俺、髪の毛金色にでも染めようかな」
「ええっ、何言ってるの!浮竹はその白い髪がいいんだよ!むしろ白い髪しか許さない!っていうか白い髪でいてね!染めるなんてだめだよせっかくの綺麗な白い髪が!」
京楽の中で、浮竹=白い髪の方程式がたっていた。
「ぬほほほほ、これすごい。僕の股間もすごい。ちょっと浴室へ・・・・・」
京楽は、抜きに浴室に去ってしまった。
数日後、エロ本をみると、全部首から上が浮竹の写真にされていて、双火墜でもやされたらしい。
ちなみに、エロ本にかかった代金、宅配額も合わせて税込みで30万前後だったそうな。
「あ、きたきた」
「けっこうな重さになるので、ご注意ください」
もたされた荷物は、ずしりと重かった。
「ふふ~ん♪」
「ご機嫌だな。何を頼んだんだ?」
「エロ本」
「そうかそうかエロ本か・・・・・・って京楽、本気か?本気でただのエロ本をこんなに?」
浮竹は感動していた。変態が、異性に興味を示したと。
「そうだよ。浮竹によく似た子でね。男の娘っていう、男性向けのエロ本だけど、女の子じゃあないんだ」
浮竹は消沈した。エロ本は男性向けだが、はっきりいって趣向があっち系の人だ。
つまりは、浮竹によく似た男の娘で抜くのだ。
簡単にいえば、浮竹が女装したような感覚なのだろう。
「お前、そんな本をこんなに?」
「いや、普通の女性のもあるよ。浮竹に似てる子だけど」
全部、基本は浮竹に似ているから。
症状は、改善ではなく悪性化していた。
「もしもし、心のケア相談所ですか・・・・・・・」
浮竹は、若者の心に傷をおったり、精神的に障害のある人向けの電話番号に電話した。
「もしもし代わりました」
「名前は浮竹十四郎です。実は、前々から相談していたことなんですが、俺を好きという変態に付きまとわれておりまして・・・ええ、そうです。そいつ、エロ本を頼んだんですよ。全部俺に似ているから買ったと言って・・・・」
「ちょ、何処に相談してるの!」
「はぁ。放置した方がいい・・・・はぁ。ああ、確かに熱中している間にこちらに害はなさそうですね。はい、わかりました。ありがとうございました。あ、ちなみに変態は上流貴族で、訴えてももみ消されそうなんですが・・・・・・」
「距離を置いた方がいいと思います。上流貴族には逆らえない場合、逆にありもしない罪をきせられて冤罪でさばかれるかもしれません」
「それは怖いですね・・・でも、そこまでしそうなやつじゃないんですが」
「甘い!とある少女の話になりますが、付きまとわれてやってもいない売春をしていると言い出されて、学院を退学させられた上に、借金を無理やり背負わされて、結局その上流貴族の奴隷のようになってしまった少女がいるのです。つきまとっていた貴族は、あの四楓院家の分家のどら 息子で・・・・・・ひそひそ」
「ひそひそ・・・・ええ、ひそひそ。ええっ!」
段々声が小さくなって、ひそひそとしか聞こえなくなった。そして、突然の驚き。
浮竹は、京楽をつま先からてっぺんまでみて、頷いた。
「そうです。でも、俺にはその趣味はないので、無理です」
「そうですか・・・・他に男の恋人でもできてしまえば、その上流貴族も諦めるかもしれないと思ったのですが・・・・異性の恋人ではどうですか?」
「ええ・・・今特に好きな子はいなくて・・・・・」
「それでもいいから、誰かと付き合ったほうが、安全です」
「そうですか・・・・・はい、はい。ありがとうございました」
カチャリ。電話が止められる。
「浮竹、何処に電話してたの!」
「若者を守れ、心のケア相談所」
「なんでそんなところに電話を!」
浮竹は、力の限りいった。
「同室に変態がいるからだ!!!」
「Σ(゚д゚lll)ガーン・・・・・僕はたた、浮竹を好きなだけなのに( ノД`)シクシク…」
「そう言って、お前今まで何度変態行為をしてきた?」
「それは・・・数えてないからわからないけど、10回くらいとか?」
「いや、30回以上はしているはずだ!」
「Σ(゚д゚lll)ガーン」
「京楽、お前と距離をとれと言われた。しばらく、行動を別々に・・・・・」
「変態行為、もっとするよ。今の10倍」
「・・・・分かった、今まで通りでいい」
浮竹は冷や汗をかいた。
京楽の目が、その黒曜石の瞳が真剣そのものだったからだ。
こいつ、本気で変態行為10倍するつもりだ。
「じゃあ、僕はエロ本見るから♪ご飯の時間になったら知らせて」
「エロ本でも食っとけ!」
転がっていたエロ本を1冊見てみた。そっくりというわけではないが、どことなく雰囲気の似ている白い髪の女の子の、グラビア写真があった。
他の本を見てみる。
やっぱり、みんな白い髪だった。
男の娘というやつの本を見てみると、白い髪の男の娘・・・・・これも、どことなく似ているかもしれないというかんじで、白い髪だった。やばいアングルの写真があったので、エロ本を閉じた。
「俺、髪の毛金色にでも染めようかな」
「ええっ、何言ってるの!浮竹はその白い髪がいいんだよ!むしろ白い髪しか許さない!っていうか白い髪でいてね!染めるなんてだめだよせっかくの綺麗な白い髪が!」
京楽の中で、浮竹=白い髪の方程式がたっていた。
「ぬほほほほ、これすごい。僕の股間もすごい。ちょっと浴室へ・・・・・」
京楽は、抜きに浴室に去ってしまった。
数日後、エロ本をみると、全部首から上が浮竹の写真にされていて、双火墜でもやされたらしい。
ちなみに、エロ本にかかった代金、宅配額も合わせて税込みで30万前後だったそうな。
雪解け水
「今度、恋次との結婚が決まった」
久しぶりに一護の部屋を訪れたルキアは、はにかみながら笑った。
「そうか。俺も、井上と結婚するんだ」
「そうか」
「ああ」
「結婚式には、貴様も来てくれ」
「いいぞ。ルキアも、俺の結婚式には来てくれよ?」
「勿論だ」
数分の沈黙の後、ルキアが涙を零した。
「貴様のことを・・・・好いておったのだ」
その涙をそっと拭ってやる。
「俺も、ルキアが好きだった。多分、今も」
お互い、もう戻れぬ道まできていた。
婚礼の日も近い。6月上旬に、お互いの結婚式が決まっていた。
「もしも、俺が本当の死神だったら・・・・俺を、選んでくれたか?」
「たわけ。この世界にもしも、などないのだ。だが、もしも貴様が本当の死神であれば、貴様を選んでいたであろう。貴様はどうなのだ。私が人間だったら」
「井上じゃなく、お前を選んでいただろうな」
想い人がいながら、なおも想いは募っていた。
もしも。
その言葉は、ただの逃げ道でしかない。
言いわけだ。
「これが最後になる・・・・きっと、もうこんな時間はない。最初で最後の頼みだ。私を、抱け」
一護は、やや乱暴にルキアの細い体を抱き締めた。
「好きだった。ずっとずっと・・・・お前ばかり、見ていた」
「私も好きだった・・・・ずっと、貴様のあとを目で追っていた」
唇が重なる。
「んっ・・・・・」
ルキアとの初めてのキスは、ルキアが食べていた苺味のキャンディーの味がした。
「一護だから苺?」
「たわけ、違う。恋次にもらったのだ。たくさんの飴玉を。貴様にもくれやる」
懐から、キャンディーの入った袋をとりだして、いくつか一護に渡した。
「レモン、パイナップル、ミカン、苺・・・・・後で、食うわ。今はお前を食う」
そっとベッドに横たえて、口づけする。死覇装を脱がしていく。
その日、最初で最後になるが、ルキアを抱いた。
「結婚おめでとう、恋次」
「おう、ありがとうな!一護、お前に祝ってもらえるなんて、複雑だな」
「戦友だろ、俺らは。戦友の親友だ。ルキアを幸せにしろよ」
白無垢に、井上が提案したヴェールをまとったルキアは、白哉に連れられて、やってくる。
「幸せに」
白哉がルキアにだけ聞こえる声で、そういう。
一護は、その唇の動きを読んだ。
そして、ルキアに近づく。
「幸せになれよ、ルキア」
アメジストの髪飾りで、一護がヴェールの下の髪の毛の、その細いさらさらな毛を留めた。
「これは?」
「結婚のお祝い品。俺と思って、もっててくれ」
「ああ、一護。私は必ず、幸せになる」
ルキアは、嬉しさと悲しみの入り混じった涙を流していた。みんな、それが幸せのあまりに流した涙と思っていた。恋次も白哉も、気づいていなかった。
ルキアが、一護に恋していたなんて。
一護がルキアを好きだったなんて。
相思相愛なのに、結ばれぬ二人は、その日を境に互いに連絡しあうことを止めた。
今まで、時折メールで日常のやりとりをしていた。
やがて少し時が過ぎる。
一護と織姫の結婚式の日がやってきた。
恋次とルキアは、義骸に入ってお祝いにかけつけてくれた。
石田、茶虎たちと一緒に、友人の列に並ぶ。
その細い体を、自然と目で追いかけていたが、隣に織姫がいたのですぐにやめた。
「黒崎君、私、こんなに幸せでいいのかな」
「なにいってんだよ織姫。今更だろう?」
「でも、私、黒崎君は朽木さんと結ばれるんだと思ってた」
「そんなわけあるか。ルキアは死神で、俺は人間だぞ?」
「そ、そうだね」
織姫は、たくさんの涙を零しながら、一護と結婚した。
それから、数年の時が過ぎた。
携帯に、着信があった。見てみると、ルキアからだった。
(今度、恋次と苺花を連れてお前も家にいく。茶虎の世界王チャンピオンへのTVを見るのも兼ねて)
(ああ、遠慮なくこいよ。俺も織姫と一勇と待ってるから)
お互い、子供ができたことは連絡しあっていた。名前も教えあった。でも、それだけだった。
お互いに、愛の結晶を見せ合うことはなかった。
ルキアをはじめとする阿散井一家が、一護の家に集まった。たつきたちの姿もあった。ただ、石田は仕事が忙しいのでこれなかった。
「よう、久しぶり。元気にしてたか?」
長く伸びたルキアの髪。アメジストの髪飾りをしていた。
「たわけ、元気に決まっているであろう」
みんなで、お酒を飲んだ。
飲むことのできない苺花は一勇と部屋で遊んでいた。
夜になった。
たつきたち現世の友人組は家に帰った。
ルキアと恋次と一勇は、黒崎家で泊まることになった。
「朽木さん・・・・じゃなかった、阿散井さんでいいのかな?」
「織姫、もうめんどくさいだろうから下の名前で呼んでくれ」
「じゃあルキアさん」
「さんづけせんでもいい。私も、呼び捨てにしている」
「じゃあ、ルキア!」
「うむ」
「ご飯の準備できたから、子供たち呼んできてくれないかな」
「分かった」
ルキアは子供たちを呼びに行こうとした。
「ちょっと、時間あるか?」
「どうしたのだ、一護」
「お前、まだ俺のこと好きか?」
そう聞かれて、顔が赤くなった。
「な、何を言っておるのだたわけ・・・・・・・今でも、好きだ」
「そっか。俺も今でもお前が好きなんだ」
「たわけ、貴様には織姫がおるであろう」
「そういうお前には、恋次がいるだろう」
お互い以外、誰もいないのを確認して、キスをした。
「また、連絡をメールでとらないか」
「ああ、いいぞ」
そして、ルキアは子供たちを呼びに行った。
お互いが好きで。でも、違う人も好きで、その人と結ばれて。
もう、過去など振り返らないと決めたのに。
気づけば、過去にあったかもしれない道を歩もうとしていた。
一護はルキアを。ルキアは一護を。お互いを好きなきもちのまま、何年も過ごしていたのだ。
互いに夫と妻をもちながら、歩んではいけない一歩を踏み出した。
だが、その曖昧な関係を、誰にも知られてはいけない。
それは、二人だけがもつ、隠し事。
秘密の関係。
体を重ねるわけでなく、ただ精神的に。
(好きだ、ルキア)
(私も好きだ、一護)
メールを見られてしまえば、お互いの家庭は壊れるであろう。
それでも、止まらない。
結婚式の前に、無理やり凍結した時間が、雪解け水のように溶けていく。
雪解け水は、大地に染み渡るように、二人の心に染み渡っていく。
また、一から築きあおう。
恋人ではない。
だが、好きだ。
不倫とも、少し違う気がする。
ぞれは、まるで出会ったあの頃の若き日の関係に、似ていた。
久しぶりに一護の部屋を訪れたルキアは、はにかみながら笑った。
「そうか。俺も、井上と結婚するんだ」
「そうか」
「ああ」
「結婚式には、貴様も来てくれ」
「いいぞ。ルキアも、俺の結婚式には来てくれよ?」
「勿論だ」
数分の沈黙の後、ルキアが涙を零した。
「貴様のことを・・・・好いておったのだ」
その涙をそっと拭ってやる。
「俺も、ルキアが好きだった。多分、今も」
お互い、もう戻れぬ道まできていた。
婚礼の日も近い。6月上旬に、お互いの結婚式が決まっていた。
「もしも、俺が本当の死神だったら・・・・俺を、選んでくれたか?」
「たわけ。この世界にもしも、などないのだ。だが、もしも貴様が本当の死神であれば、貴様を選んでいたであろう。貴様はどうなのだ。私が人間だったら」
「井上じゃなく、お前を選んでいただろうな」
想い人がいながら、なおも想いは募っていた。
もしも。
その言葉は、ただの逃げ道でしかない。
言いわけだ。
「これが最後になる・・・・きっと、もうこんな時間はない。最初で最後の頼みだ。私を、抱け」
一護は、やや乱暴にルキアの細い体を抱き締めた。
「好きだった。ずっとずっと・・・・お前ばかり、見ていた」
「私も好きだった・・・・ずっと、貴様のあとを目で追っていた」
唇が重なる。
「んっ・・・・・」
ルキアとの初めてのキスは、ルキアが食べていた苺味のキャンディーの味がした。
「一護だから苺?」
「たわけ、違う。恋次にもらったのだ。たくさんの飴玉を。貴様にもくれやる」
懐から、キャンディーの入った袋をとりだして、いくつか一護に渡した。
「レモン、パイナップル、ミカン、苺・・・・・後で、食うわ。今はお前を食う」
そっとベッドに横たえて、口づけする。死覇装を脱がしていく。
その日、最初で最後になるが、ルキアを抱いた。
「結婚おめでとう、恋次」
「おう、ありがとうな!一護、お前に祝ってもらえるなんて、複雑だな」
「戦友だろ、俺らは。戦友の親友だ。ルキアを幸せにしろよ」
白無垢に、井上が提案したヴェールをまとったルキアは、白哉に連れられて、やってくる。
「幸せに」
白哉がルキアにだけ聞こえる声で、そういう。
一護は、その唇の動きを読んだ。
そして、ルキアに近づく。
「幸せになれよ、ルキア」
アメジストの髪飾りで、一護がヴェールの下の髪の毛の、その細いさらさらな毛を留めた。
「これは?」
「結婚のお祝い品。俺と思って、もっててくれ」
「ああ、一護。私は必ず、幸せになる」
ルキアは、嬉しさと悲しみの入り混じった涙を流していた。みんな、それが幸せのあまりに流した涙と思っていた。恋次も白哉も、気づいていなかった。
ルキアが、一護に恋していたなんて。
一護がルキアを好きだったなんて。
相思相愛なのに、結ばれぬ二人は、その日を境に互いに連絡しあうことを止めた。
今まで、時折メールで日常のやりとりをしていた。
やがて少し時が過ぎる。
一護と織姫の結婚式の日がやってきた。
恋次とルキアは、義骸に入ってお祝いにかけつけてくれた。
石田、茶虎たちと一緒に、友人の列に並ぶ。
その細い体を、自然と目で追いかけていたが、隣に織姫がいたのですぐにやめた。
「黒崎君、私、こんなに幸せでいいのかな」
「なにいってんだよ織姫。今更だろう?」
「でも、私、黒崎君は朽木さんと結ばれるんだと思ってた」
「そんなわけあるか。ルキアは死神で、俺は人間だぞ?」
「そ、そうだね」
織姫は、たくさんの涙を零しながら、一護と結婚した。
それから、数年の時が過ぎた。
携帯に、着信があった。見てみると、ルキアからだった。
(今度、恋次と苺花を連れてお前も家にいく。茶虎の世界王チャンピオンへのTVを見るのも兼ねて)
(ああ、遠慮なくこいよ。俺も織姫と一勇と待ってるから)
お互い、子供ができたことは連絡しあっていた。名前も教えあった。でも、それだけだった。
お互いに、愛の結晶を見せ合うことはなかった。
ルキアをはじめとする阿散井一家が、一護の家に集まった。たつきたちの姿もあった。ただ、石田は仕事が忙しいのでこれなかった。
「よう、久しぶり。元気にしてたか?」
長く伸びたルキアの髪。アメジストの髪飾りをしていた。
「たわけ、元気に決まっているであろう」
みんなで、お酒を飲んだ。
飲むことのできない苺花は一勇と部屋で遊んでいた。
夜になった。
たつきたち現世の友人組は家に帰った。
ルキアと恋次と一勇は、黒崎家で泊まることになった。
「朽木さん・・・・じゃなかった、阿散井さんでいいのかな?」
「織姫、もうめんどくさいだろうから下の名前で呼んでくれ」
「じゃあルキアさん」
「さんづけせんでもいい。私も、呼び捨てにしている」
「じゃあ、ルキア!」
「うむ」
「ご飯の準備できたから、子供たち呼んできてくれないかな」
「分かった」
ルキアは子供たちを呼びに行こうとした。
「ちょっと、時間あるか?」
「どうしたのだ、一護」
「お前、まだ俺のこと好きか?」
そう聞かれて、顔が赤くなった。
「な、何を言っておるのだたわけ・・・・・・・今でも、好きだ」
「そっか。俺も今でもお前が好きなんだ」
「たわけ、貴様には織姫がおるであろう」
「そういうお前には、恋次がいるだろう」
お互い以外、誰もいないのを確認して、キスをした。
「また、連絡をメールでとらないか」
「ああ、いいぞ」
そして、ルキアは子供たちを呼びに行った。
お互いが好きで。でも、違う人も好きで、その人と結ばれて。
もう、過去など振り返らないと決めたのに。
気づけば、過去にあったかもしれない道を歩もうとしていた。
一護はルキアを。ルキアは一護を。お互いを好きなきもちのまま、何年も過ごしていたのだ。
互いに夫と妻をもちながら、歩んではいけない一歩を踏み出した。
だが、その曖昧な関係を、誰にも知られてはいけない。
それは、二人だけがもつ、隠し事。
秘密の関係。
体を重ねるわけでなく、ただ精神的に。
(好きだ、ルキア)
(私も好きだ、一護)
メールを見られてしまえば、お互いの家庭は壊れるであろう。
それでも、止まらない。
結婚式の前に、無理やり凍結した時間が、雪解け水のように溶けていく。
雪解け水は、大地に染み渡るように、二人の心に染み渡っていく。
また、一から築きあおう。
恋人ではない。
だが、好きだ。
不倫とも、少し違う気がする。
ぞれは、まるで出会ったあの頃の若き日の関係に、似ていた。
花街恋話6
京楽のお陰で、また花街から出ることを許された。
期限は2日。
始めの1日目に、4番隊の隊長に回道を受けて、傷跡は綺麗に消えた。
「本来なら、私がすることではありませんけどね」
「いや、卯ノ花隊長ありがとう。僕の我儘を聞いてくれて」
「せっかくわざわざ花街なんて遠いとこから、私をあてにきてくれたのです。治してあげなければかわいそうではありませんか」
「その、ありがとうございます」
浮竹は、美しい黒髪の女性に少しだけ母親の面影を見た。
生きていれば、これくらいの年齢だっただろう。
「あ・・・・」
見ていると、ポロリと涙が零れた。
「どうしたの」
「母上を思いだしてしまって・・・・・・」
「そう。いい子だから、泣き止んで」
抱き締められて涙をぬぐった。
「すみません、卯ノ花様。不快な気分にさせてしまって」
「あら、いいのですよ。私は心のケアも行うべきだと思っていますから」
「心のケアのほうが、僕が担当してるから」
「それにしても驚きですね。女性にあんなにだらしなかった急落隊長が、僅か13歳の色子の男の子に骨抜きにされているとは」
「だってかわいいんだもん」
「確かに、少女のようで愛らしいですね」
卯ノ花は、浮竹の頭を撫でた。
今日の浮竹は、余所行きの少し豪華な服を着ていた。女物だったけれど。身請けされた自分と同じくらいの体格だった花魁が残していった服だった。
今日は髪飾りをつけていた。螺鈿細工に翡翠をあしらったもので、一級品だった。
「さて、着物ができあがっているから、受け取りにいこうか」
「いいのか?俺なんかが、瀞霊廷に足を運んで」
「許可はもらってあるから、大丈夫だよ」
貴族が住む界隈の一角に、その呉服店はあった。
「うわぁ」
きらきらした金糸銀糸で刺繍のされた、豪華な着物がたくさん置いてあった。
「こんな高そうなものじゃないよな?」
「そう思って、質素に作ってもらったんだ」
それは、萌黄色をした、男の子用と女の子用の2着の着物だった。
いたって普通で、ちょっとした蝶の刺繍が愛らしかった。
「これくらいなら、花街でも、廓でも着れる」
「あとの4着はこれだよ」
薄紫色の着物と、水色の着物だった。
薄紫は紫陽花の、水色のものには桜の刺繍が施されていた。
目の飛び出るような高級品ではないが、刺繍の腕といい、値段は質素なわりには高そうだった。
「いくらしたんだ?」
「教えてあげない。教えたら、受け取ってくれないだろうから」
「けち」
京楽の髭を引っ張った。
「あたたたた、止めなさい」
二人は笑いあって、着物を受け取って店を出た。
行きかう人は、貴族でないと一目で分かる浮竹を、軽蔑の眼差しで見てきた。
浮竹は居心地が悪そうだった。
「ここは直に出よう」
貴族の住む界隈から離れた場所に、京楽の別邸があった。
「今日は、ここで泊まるよ」
「京楽は、本当に金持ちなんだな。家がたくさんあるのか」
「そうだねぇ。本宅を除いて、10軒くらい屋敷があるかな」
「10軒!別荘なんかも、あるんだろう?」
「あるよー。流魂街にも別荘はあるけどね。基本、治安がいいところか人のいない場所に別荘を建てているね」
「さすがは上流貴族・・・・」
「あら、いたの春水」
「母上・・・・・」
「これまた・・・幼い遊女を連れ回したりして。見合いが近づいているのです。身辺整理をきちんとなさい。そこのあなた、春水とはこれで縁を切ってちょうだい」
大粒の宝石をいくつか投げてよこされた。
「母上とはいえ、僕の想い人を侮辱すると許しませんよ」
「ふん、汚らわしい。そんな遊女が何をしてくれるというのです。子を産んでも汚らわしい血の子供が生まれるだけだわ」
「この子は色子です」
「あら、遊びなの。それなら安心したわ。そこのかわいいぼうや、春水とは早めに縁を切ってちょうだいね。春水には、上流貴族の姫君との縁談がまとまりかけているんですから」
浮竹は、それを聞いて屋敷から走り出した。
「待って、翡翠!」
「名前だけは優雅なこと」
「前にもいいました。僕は結婚はしません。どのみち家督は兄上が継ぐ」
「お前は、仮にも護廷13隊の8番隊隊長なんですよ。いい縁談ならいくらでもあるでしょう。色子になんて現(うつつ)を抜かすのはよしなさい」
「僕は本気だ。翡翠を身請けして、死神として生きる」
「待ちなさい、春水!」
母親のことを無視して、浮竹が走って行った道を、その霊圧を元に辿った。
「俺のことはもういい。上流貴族の姫君と結婚して、幸せになれ」
追ってきた京楽に、そう言った。
「じゃあ、どうして泣いているの」
「これは雨が降ってきたから・・・・・」
「こんなにお日様が照っているのに?素直になりなさい、翡翠」
「結婚なんてするな!俺のものだろう!お前の色に染められた。責任をもて」
「うん。責任をもって、身請けする」
「え。今なんて?」
「だから、責任を持って身請けすると言ったんだよ」
「俺を身請けする?冗談だろ」
「これが冗談を言っている顔に見えるかい?」
浮竹は、京楽を屈ませてキスをした。
「約束だぞ。俺を身請けして、幸せにしろ」
「うん」
二人は、川の畔を歩いた。
白い花が咲き乱れていた。
その花で、京楽は花冠を作った。
「器用だな・・・・・」
「君を、愛している。一緒の時を、生きて欲しい」
その編まれた花冠を受け取った。
「同じ時を生きると、誓う」
「翡翠」
「十四郎だ。本当の名前は浮竹十四郎だ」
「浮竹十四郎・・・・・愛しているよ、十四郎」
白い花が、風に吹かれて散っていく。花びらの雨の中、二人は永遠を誓い合った、
永久(とこしえ)を生きよう。
この伴侶と共に。
期限は2日。
始めの1日目に、4番隊の隊長に回道を受けて、傷跡は綺麗に消えた。
「本来なら、私がすることではありませんけどね」
「いや、卯ノ花隊長ありがとう。僕の我儘を聞いてくれて」
「せっかくわざわざ花街なんて遠いとこから、私をあてにきてくれたのです。治してあげなければかわいそうではありませんか」
「その、ありがとうございます」
浮竹は、美しい黒髪の女性に少しだけ母親の面影を見た。
生きていれば、これくらいの年齢だっただろう。
「あ・・・・」
見ていると、ポロリと涙が零れた。
「どうしたの」
「母上を思いだしてしまって・・・・・・」
「そう。いい子だから、泣き止んで」
抱き締められて涙をぬぐった。
「すみません、卯ノ花様。不快な気分にさせてしまって」
「あら、いいのですよ。私は心のケアも行うべきだと思っていますから」
「心のケアのほうが、僕が担当してるから」
「それにしても驚きですね。女性にあんなにだらしなかった急落隊長が、僅か13歳の色子の男の子に骨抜きにされているとは」
「だってかわいいんだもん」
「確かに、少女のようで愛らしいですね」
卯ノ花は、浮竹の頭を撫でた。
今日の浮竹は、余所行きの少し豪華な服を着ていた。女物だったけれど。身請けされた自分と同じくらいの体格だった花魁が残していった服だった。
今日は髪飾りをつけていた。螺鈿細工に翡翠をあしらったもので、一級品だった。
「さて、着物ができあがっているから、受け取りにいこうか」
「いいのか?俺なんかが、瀞霊廷に足を運んで」
「許可はもらってあるから、大丈夫だよ」
貴族が住む界隈の一角に、その呉服店はあった。
「うわぁ」
きらきらした金糸銀糸で刺繍のされた、豪華な着物がたくさん置いてあった。
「こんな高そうなものじゃないよな?」
「そう思って、質素に作ってもらったんだ」
それは、萌黄色をした、男の子用と女の子用の2着の着物だった。
いたって普通で、ちょっとした蝶の刺繍が愛らしかった。
「これくらいなら、花街でも、廓でも着れる」
「あとの4着はこれだよ」
薄紫色の着物と、水色の着物だった。
薄紫は紫陽花の、水色のものには桜の刺繍が施されていた。
目の飛び出るような高級品ではないが、刺繍の腕といい、値段は質素なわりには高そうだった。
「いくらしたんだ?」
「教えてあげない。教えたら、受け取ってくれないだろうから」
「けち」
京楽の髭を引っ張った。
「あたたたた、止めなさい」
二人は笑いあって、着物を受け取って店を出た。
行きかう人は、貴族でないと一目で分かる浮竹を、軽蔑の眼差しで見てきた。
浮竹は居心地が悪そうだった。
「ここは直に出よう」
貴族の住む界隈から離れた場所に、京楽の別邸があった。
「今日は、ここで泊まるよ」
「京楽は、本当に金持ちなんだな。家がたくさんあるのか」
「そうだねぇ。本宅を除いて、10軒くらい屋敷があるかな」
「10軒!別荘なんかも、あるんだろう?」
「あるよー。流魂街にも別荘はあるけどね。基本、治安がいいところか人のいない場所に別荘を建てているね」
「さすがは上流貴族・・・・」
「あら、いたの春水」
「母上・・・・・」
「これまた・・・幼い遊女を連れ回したりして。見合いが近づいているのです。身辺整理をきちんとなさい。そこのあなた、春水とはこれで縁を切ってちょうだい」
大粒の宝石をいくつか投げてよこされた。
「母上とはいえ、僕の想い人を侮辱すると許しませんよ」
「ふん、汚らわしい。そんな遊女が何をしてくれるというのです。子を産んでも汚らわしい血の子供が生まれるだけだわ」
「この子は色子です」
「あら、遊びなの。それなら安心したわ。そこのかわいいぼうや、春水とは早めに縁を切ってちょうだいね。春水には、上流貴族の姫君との縁談がまとまりかけているんですから」
浮竹は、それを聞いて屋敷から走り出した。
「待って、翡翠!」
「名前だけは優雅なこと」
「前にもいいました。僕は結婚はしません。どのみち家督は兄上が継ぐ」
「お前は、仮にも護廷13隊の8番隊隊長なんですよ。いい縁談ならいくらでもあるでしょう。色子になんて現(うつつ)を抜かすのはよしなさい」
「僕は本気だ。翡翠を身請けして、死神として生きる」
「待ちなさい、春水!」
母親のことを無視して、浮竹が走って行った道を、その霊圧を元に辿った。
「俺のことはもういい。上流貴族の姫君と結婚して、幸せになれ」
追ってきた京楽に、そう言った。
「じゃあ、どうして泣いているの」
「これは雨が降ってきたから・・・・・」
「こんなにお日様が照っているのに?素直になりなさい、翡翠」
「結婚なんてするな!俺のものだろう!お前の色に染められた。責任をもて」
「うん。責任をもって、身請けする」
「え。今なんて?」
「だから、責任を持って身請けすると言ったんだよ」
「俺を身請けする?冗談だろ」
「これが冗談を言っている顔に見えるかい?」
浮竹は、京楽を屈ませてキスをした。
「約束だぞ。俺を身請けして、幸せにしろ」
「うん」
二人は、川の畔を歩いた。
白い花が咲き乱れていた。
その花で、京楽は花冠を作った。
「器用だな・・・・・」
「君を、愛している。一緒の時を、生きて欲しい」
その編まれた花冠を受け取った。
「同じ時を生きると、誓う」
「翡翠」
「十四郎だ。本当の名前は浮竹十四郎だ」
「浮竹十四郎・・・・・愛しているよ、十四郎」
白い花が、風に吹かれて散っていく。花びらの雨の中、二人は永遠を誓い合った、
永久(とこしえ)を生きよう。
この伴侶と共に。
花街恋話5
「翡翠」
名を呼ばれて、振り返る。
幾人かの職人を呼んでやってきた京楽を、浮竹は不思議そうな目で見た。
「この前、君専用の着物を作ってあげるって言ったでしょ。その採寸を図りにきたんだ」
身長と、胸や腰や臀部などの数値をメモする職人。
「女物と男物、どっちも作らせるから。そうだね、大体3着くらいになる。両方の服を合わせると6着かな」
「そんなに作ってもらわなくても、着る物に困ってはいない」
「だって君の服、胸元とか肩とか露出して・・・・いかにも遊女か色子ですって服じゃないか。この前祭りで男に絡まれた時も、あの男、君の露出した肌を見ていた。僕以外に見せたくない」
「京楽は、俺を独り占めしたいのか?」
冗談のつもりで言ったのに、頷かれた。
「翡翠、君は僕のものだ」
「京楽・・・」
採寸が終わり、解放されると、浮竹は京楽に抱き着いた。
「京楽は、俺のものだ・・・・・」
「では、巨楽の旦那、すぐに帰って着物制作に取り掛かりますので」
「ああ、頼むよ」
そのまま、貪りあうように口づけを繰り返した。
「んっ・・・」
「翡翠の部屋にいこう」
「ああ・・・」
浮竹は、京楽の寵愛を受けているせいで、色子なのに部屋もちだった。扱いは花魁なみ。
「あっ・・・・」
「綺麗な肌だね」
真っ白ですべすべの肌を触り、やんわりとキスマークを残す。
「んっ」
肩より少し長くなった髪に飾ってあった、簪がしゃらんと音をたてて外れた。
「愛してるよ、翡翠」
「俺も愛してる、京楽っ!」
全身の輪郭を確かめるように愛撫された。
胸の先端を指で弾かれ、つままれ、舌で転がしていると、浮竹が甘ったるい吐息を吐いた。
「ああっ」
潤滑液を取り出して、指にかけてから浮竹の体内に入れる。
「んっ」
何度も何度も前立腺をすりあげられて、浮竹の花茎が反応した。
それに直接手をかける。
「んああっ」
呆気なく、射精してしまった。
それは、京楽の頬にとんだ。
「す、すまない京楽っ」
京楽は、笑ってそれを手で拭ってなめとった。
「君の中に入っていいかい?」
「いいぞ。滅茶苦茶にしていいから・・・・・」
「じゃあ、立って?」
「?」
壁に押し付けられて、立ったまま挿入された。
「ああっ」
いつもと違う体位に戸惑いを覚えながらも、京楽に貫かれて甘い声をあげる。
「あんっ」
壁に縋りついた。
ぱんぱんと、腰と腰をぶつけ合う音と、じゅぷじゅぷと結合部が粟立つ音がした。
「一度、中でだすよ?いいかい?」
「奥に注げ」
「言われなくても」
最奥にたたきつけて、京楽は欲望をぶちまけた。
じんわりと、腹の奥で弾けた熱を感じて、浮竹が求める。
「もっと・・・・もっと俺を、京楽の色で染め上げてっ」
「可愛いことを言うね」
そのまま、2ラウンド目に入った。
褥に横にされたと思ったら、京楽が下になり、浮竹が上になった。
「ほら、自分で入れてごらん」
「んっ・・・・・」
とろとろに溶けたその場所は、大きな京楽の一物を飲み込んで、奥へ奥へとおしやる。
「ああっ」
下から一気に突き上げられて、浮竹は白い髪を宙に乱した。
「あ、あ、ああああああ!」
ず、ず、ずと、体内に入っては出てを繰り返す。騎乗位から、そのまま突き上げられて後ろに倒れこんだ。
「ひあんっ」
体内で、ぐりっと抉られる。
目がちかちかする。頭がスパークして、何も考えられなくなる。世界は真っ白だ。
オーガズムでいくことを覚えた。
まだ13歳なのに。
京楽色に染め上げられて、淫乱になっていく。
「ああああ!」
京楽もラストスパートをかけてきた。
軽い体重の片足を肩に担ぎ、突き上げられる。
浮竹の花茎が、むくりと反応する。
それを出てしごかれて、内部のいいところばかりを突かれて、浮竹は果てた。
同時に、京楽も果てた。
「はぁはぁ・・・・・喉がかわいた」
「僕は気持ちよかったけど、翡翠はどうだった?」
「すごくよかった。京楽に蹂躙されて、俺は喜んでた。淫乱だな」
「僕色の染め上げられたんだよ」
店の女将に注文して、最近はやっている果実の汁を水で溶かした、天然水をもってきてもらった。濡れたタオルで拭いあって、身ぎれいにはしたけれど、情事の後の雰囲気は消せない。
「あらまぁ、翡翠ったら随分色っぽくなったわねぇ」
女将は、あどけなかった翡翠が、男に抱かれて喜びを覚える様を、満足げに見た。
桃の天然水の入ったペットボトルを2本渡される。
翡翠はそれを飲み干しても、まだ物足りないようだったから、京楽は残っていた自分の分をあげた。
「これ、美味しい・・・・」
果実の天然水シリーズは他にも出ていた。
「今度、違う味の天然水をもってきてあげるね」
「ああ」
「翡翠、これだけは約束して」
「何」
「何があっても、もう死のうとはしないで」
「分かった。この身に何が起きても、自殺はしない」
包帯は最近外すようになった。手首を切った生々しい痕があったから、ずっと隠していたのだ。
それさえ曝け出して、全てを京楽に見せた。
京楽は、浮竹の手首に何度も口づけた。
「一度、4番隊のところに連れてってあげる。傷跡も、綺麗に治してくれるよ」
「本当か?」
浮竹にとって、この傷跡は後悔の証でしかない。治るのなら、治したかった。
名を呼ばれて、振り返る。
幾人かの職人を呼んでやってきた京楽を、浮竹は不思議そうな目で見た。
「この前、君専用の着物を作ってあげるって言ったでしょ。その採寸を図りにきたんだ」
身長と、胸や腰や臀部などの数値をメモする職人。
「女物と男物、どっちも作らせるから。そうだね、大体3着くらいになる。両方の服を合わせると6着かな」
「そんなに作ってもらわなくても、着る物に困ってはいない」
「だって君の服、胸元とか肩とか露出して・・・・いかにも遊女か色子ですって服じゃないか。この前祭りで男に絡まれた時も、あの男、君の露出した肌を見ていた。僕以外に見せたくない」
「京楽は、俺を独り占めしたいのか?」
冗談のつもりで言ったのに、頷かれた。
「翡翠、君は僕のものだ」
「京楽・・・」
採寸が終わり、解放されると、浮竹は京楽に抱き着いた。
「京楽は、俺のものだ・・・・・」
「では、巨楽の旦那、すぐに帰って着物制作に取り掛かりますので」
「ああ、頼むよ」
そのまま、貪りあうように口づけを繰り返した。
「んっ・・・」
「翡翠の部屋にいこう」
「ああ・・・」
浮竹は、京楽の寵愛を受けているせいで、色子なのに部屋もちだった。扱いは花魁なみ。
「あっ・・・・」
「綺麗な肌だね」
真っ白ですべすべの肌を触り、やんわりとキスマークを残す。
「んっ」
肩より少し長くなった髪に飾ってあった、簪がしゃらんと音をたてて外れた。
「愛してるよ、翡翠」
「俺も愛してる、京楽っ!」
全身の輪郭を確かめるように愛撫された。
胸の先端を指で弾かれ、つままれ、舌で転がしていると、浮竹が甘ったるい吐息を吐いた。
「ああっ」
潤滑液を取り出して、指にかけてから浮竹の体内に入れる。
「んっ」
何度も何度も前立腺をすりあげられて、浮竹の花茎が反応した。
それに直接手をかける。
「んああっ」
呆気なく、射精してしまった。
それは、京楽の頬にとんだ。
「す、すまない京楽っ」
京楽は、笑ってそれを手で拭ってなめとった。
「君の中に入っていいかい?」
「いいぞ。滅茶苦茶にしていいから・・・・・」
「じゃあ、立って?」
「?」
壁に押し付けられて、立ったまま挿入された。
「ああっ」
いつもと違う体位に戸惑いを覚えながらも、京楽に貫かれて甘い声をあげる。
「あんっ」
壁に縋りついた。
ぱんぱんと、腰と腰をぶつけ合う音と、じゅぷじゅぷと結合部が粟立つ音がした。
「一度、中でだすよ?いいかい?」
「奥に注げ」
「言われなくても」
最奥にたたきつけて、京楽は欲望をぶちまけた。
じんわりと、腹の奥で弾けた熱を感じて、浮竹が求める。
「もっと・・・・もっと俺を、京楽の色で染め上げてっ」
「可愛いことを言うね」
そのまま、2ラウンド目に入った。
褥に横にされたと思ったら、京楽が下になり、浮竹が上になった。
「ほら、自分で入れてごらん」
「んっ・・・・・」
とろとろに溶けたその場所は、大きな京楽の一物を飲み込んで、奥へ奥へとおしやる。
「ああっ」
下から一気に突き上げられて、浮竹は白い髪を宙に乱した。
「あ、あ、ああああああ!」
ず、ず、ずと、体内に入っては出てを繰り返す。騎乗位から、そのまま突き上げられて後ろに倒れこんだ。
「ひあんっ」
体内で、ぐりっと抉られる。
目がちかちかする。頭がスパークして、何も考えられなくなる。世界は真っ白だ。
オーガズムでいくことを覚えた。
まだ13歳なのに。
京楽色に染め上げられて、淫乱になっていく。
「ああああ!」
京楽もラストスパートをかけてきた。
軽い体重の片足を肩に担ぎ、突き上げられる。
浮竹の花茎が、むくりと反応する。
それを出てしごかれて、内部のいいところばかりを突かれて、浮竹は果てた。
同時に、京楽も果てた。
「はぁはぁ・・・・・喉がかわいた」
「僕は気持ちよかったけど、翡翠はどうだった?」
「すごくよかった。京楽に蹂躙されて、俺は喜んでた。淫乱だな」
「僕色の染め上げられたんだよ」
店の女将に注文して、最近はやっている果実の汁を水で溶かした、天然水をもってきてもらった。濡れたタオルで拭いあって、身ぎれいにはしたけれど、情事の後の雰囲気は消せない。
「あらまぁ、翡翠ったら随分色っぽくなったわねぇ」
女将は、あどけなかった翡翠が、男に抱かれて喜びを覚える様を、満足げに見た。
桃の天然水の入ったペットボトルを2本渡される。
翡翠はそれを飲み干しても、まだ物足りないようだったから、京楽は残っていた自分の分をあげた。
「これ、美味しい・・・・」
果実の天然水シリーズは他にも出ていた。
「今度、違う味の天然水をもってきてあげるね」
「ああ」
「翡翠、これだけは約束して」
「何」
「何があっても、もう死のうとはしないで」
「分かった。この身に何が起きても、自殺はしない」
包帯は最近外すようになった。手首を切った生々しい痕があったから、ずっと隠していたのだ。
それさえ曝け出して、全てを京楽に見せた。
京楽は、浮竹の手首に何度も口づけた。
「一度、4番隊のところに連れてってあげる。傷跡も、綺麗に治してくれるよ」
「本当か?」
浮竹にとって、この傷跡は後悔の証でしかない。治るのなら、治したかった。
おめでた~終章
「なぁ、一護。最近気分が悪いのだ。ムカムカするのだ。あと、食事の好みが変わった・・・生理がきていない。これはなんなのだ?」
一護、ルキア、白哉と並んで夕餉での会話に、一護は驚いて声も出ないようだった。
「ルキア、それはおめでただ」
「おめでた?なんですか、それは、兄様」
「子供ができたということだ」
「子供?子供は、コウノトリが運んでくるのではないのですか」
どこまで天然ぼけなんだ。
そう思いながらも、一護はガッツポーズをとった。
「一護。兄は、今後ルキアが出産するまで、夜の営みはなしだ」
それにがっくりする一護。
「兄様、私が出産!?私の体に、赤ちゃんが?」
「そうだ」
「やったぞ一護!無事生まれたら、なんと名付けよう!一護2世なんてどうだ!」
「前に考えてたって言ってたじゃねーか。女の子なら苺花、男の子なら一勇って」
「そうであった・・・・・赤ちゃんのためにも、栄養をとらねばな」
今はつわりはないので、食べれそうだった。
ルキアは、朽木家専用の医者に診てもらい、懐妊しているのがはっきりした。
今、3か月目らしい。
一護は、それを誰よりも先に家族に話した。ソウルチケットをもっているので、現世に行くのは簡単だった。
「ぬぁんだって!ルキアちゃんが懐妊!?このバカ一護の子を!?俺はおじいさんになるのか!」
父親の一心は、うれし泣きをはじめた。
「へー。一兄に子供かー。生まれたら、絶対連れてきてよね!」
「やっぱり、子供も死神なの?」
双子の妹たちの反応はそれぞれだった。
あとは現世で結婚した石田と石田織姫になった織姫に話した。
「おめでとう、黒崎君・・・じゃなかった、朽木君!」
「おめでとう、黒崎」
石田は、黒崎と呼ぶことにするようだった。
「茶虎は・・・・今どこにいるかわかんねーから、メールでもいれとくか」
尸魂界に戻って、死神仲間の友人や知人に報告する。
みんな、お祝いを言ってくれた。
「一護が父親かぁ。感慨深いのお」
「夜一さんは結婚とかしねーのか?」
「わしか?わしには・・・・・・」
「夜一様に近づくな、この上級貴族風情が!」
砕蜂が、がるるるると、警戒心むき出しにしていた。
「ああ・・・これいると、結婚なんてできそうにねぇな」
「そうじゃろ」
けらけら笑いだす夜一。
恋次に知らせると、恋次は自分のことにように喜んだ。
「今からベビーセット贈るって、早いか?」
「ちょっと早すぎるんじゃねぇか?男か女かもまだ分かってないんだぞ」
「何はともあれおめでとう、一護。ルキアを幸せにしてくれた上、子供まで授かるなんて天はルキアの味方だな」
「無事生まれてくるといいな」
「大丈夫だ!心配すんな!」
「そうだな。今までなんとかなってきたんだ。今回も大丈夫だろ」
その頃、朽木家では。
「兄様、懐妊したときはどう過ごせばよいのですか」
「身重になるまで、普通の生活を続けて良い。8か月を過ぎたころからは、休養をとれ。出産後は、産後休暇だ」
「おお、休みまくれるのですね!」
「子が流れる可能性があるので、あまり激しい運動は禁物だ。戦闘行為は自粛しろ」
「はい、兄様」
朽木白哉も、妻だった緋真は懐妊しなかったので、知識は書物で読んだものだった。
「何、大抵のことは一護がしてくれる。ルキアは、ただ黙して栄養をとり、子を慈しめばいい」
「そういうものなのですね!」
白哉も嬉しそうだった。義妹の他に家族が増えるのだ。一護が家族に加わったが、別段とうれしいわけではなかった。ただ、義妹の幸せを優先した。
そのために黒崎一護を朽木一護にして、人間だった一護を無理やり死神にしたのだ。
時はめぐる。
7か月が経ち、ルキアは女児を出産した。
「はぁはぁ・・・・・私の、赤ちゃん・・・・・・・」
「女の子だ。名前は、朽木苺花だな」
ルキアは、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた。
無事に生まれたというニュースは、すぐに瀞霊廷中に駆け巡った。
ベビー用品が、朽木家の一護とルキアの住んでいる別宅にあふれかえった。
「なんか微妙に重複してる品が多いんだよな」
「絵本とか・・・・どれだけ気が早いのであろうな?」
苺花をベビーベッドで寝かせて、一護はルキアにキスした。
「どうだよ、もう一人欲しくねぇか?一人っ子だと、可愛そうだろ・・・・」
「ん・・・そうだな・・・・」
久しぶりに体を重ねあう。
首が座るようになり、一護はルキアと苺花を連れて、現世の家族のところへきた。
「苺花ちゃんか!ルキアちゃんににてかわゆい!」
「おい、親父!いつまで苺花を独り占めしてるんだよ!」
「わーかわいい」
「目元は、一兄似じゃないか?」
双子は、苺花をあやしていた。
石田の家にも行った。雨竜も織姫も、祝福してくれた。
尸魂界に戻ると、屋敷に恋次の姿があった。
「どうしたんだ、恋次」
「おう。せっかく生まれたんだ。記念写真でも撮らねぇか?結婚式の時も撮ってただろ」
恋次は、自動カメラを設置して、ルキアと一護、苺花を抱いた白哉の隣に佇んだ。
パシャリ。パシャリ。何度か撮影して、終わった。
世界は廻る。時は弓のように過ぎる。
「今日も美人ですね、チカさん」
苺花は、8歳になっていた。
「待ってよ、お姉ちゃん」
弟ができた。名前は一勇。
「遅いぞ、一勇。今日は師匠に修行の稽古をつけてもらうのだ。一勇は見てるだけな。お前、弱いから」
「ずるいよ、お姉ちゃんだけ!」
「べーだっ!チカさん、師匠いますか?」
苺花が師匠と呼んでいるのは、一角だった。時折、恋次も師匠として稽古をつけてくれる。
「ああ、一角ならもうすぐくるんんじゃないかな」
「お姉ちゃん!」
「ああもう、うるさいな!」
ぽかりと一勇の頭を殴ると、一勇は泣きだした。
「お姉ちゃんがぶったー。うわーん」
一勇はまだ5歳だ。木刀を握るにはまだ早いので、見学だけだった。
「おい二人とも、仲よくしねーとだめじゃねぇか」
「「お父様!」」
「私もいるぞ」
「お母様まで!」
「どれ、今日は俺が訓練につきあってやるよ」
「本当ですが、お父様!」
「僕は?」
「一勇には、私が鬼道を教えてやろう」
「わーい、ありがとうお母様」
一護とルキア。
出会って、結婚まで3年。子ができるまで4年。
長女が8歳、長男5歳。
朽木一護、朽木ルキアの名は、朽木家に永劫と刻まれた。
次の当主は長男の朽木一勇。長女の苺花が当主となることを拒否したせいであった。
4人と、朽木白哉は長いこと朽木家を支えた。
やがて、4大貴族という概念がなくなるその日まで。
永遠に近い時を過ごすのであった。
一護とルキア fin
一護、ルキア、白哉と並んで夕餉での会話に、一護は驚いて声も出ないようだった。
「ルキア、それはおめでただ」
「おめでた?なんですか、それは、兄様」
「子供ができたということだ」
「子供?子供は、コウノトリが運んでくるのではないのですか」
どこまで天然ぼけなんだ。
そう思いながらも、一護はガッツポーズをとった。
「一護。兄は、今後ルキアが出産するまで、夜の営みはなしだ」
それにがっくりする一護。
「兄様、私が出産!?私の体に、赤ちゃんが?」
「そうだ」
「やったぞ一護!無事生まれたら、なんと名付けよう!一護2世なんてどうだ!」
「前に考えてたって言ってたじゃねーか。女の子なら苺花、男の子なら一勇って」
「そうであった・・・・・赤ちゃんのためにも、栄養をとらねばな」
今はつわりはないので、食べれそうだった。
ルキアは、朽木家専用の医者に診てもらい、懐妊しているのがはっきりした。
今、3か月目らしい。
一護は、それを誰よりも先に家族に話した。ソウルチケットをもっているので、現世に行くのは簡単だった。
「ぬぁんだって!ルキアちゃんが懐妊!?このバカ一護の子を!?俺はおじいさんになるのか!」
父親の一心は、うれし泣きをはじめた。
「へー。一兄に子供かー。生まれたら、絶対連れてきてよね!」
「やっぱり、子供も死神なの?」
双子の妹たちの反応はそれぞれだった。
あとは現世で結婚した石田と石田織姫になった織姫に話した。
「おめでとう、黒崎君・・・じゃなかった、朽木君!」
「おめでとう、黒崎」
石田は、黒崎と呼ぶことにするようだった。
「茶虎は・・・・今どこにいるかわかんねーから、メールでもいれとくか」
尸魂界に戻って、死神仲間の友人や知人に報告する。
みんな、お祝いを言ってくれた。
「一護が父親かぁ。感慨深いのお」
「夜一さんは結婚とかしねーのか?」
「わしか?わしには・・・・・・」
「夜一様に近づくな、この上級貴族風情が!」
砕蜂が、がるるるると、警戒心むき出しにしていた。
「ああ・・・これいると、結婚なんてできそうにねぇな」
「そうじゃろ」
けらけら笑いだす夜一。
恋次に知らせると、恋次は自分のことにように喜んだ。
「今からベビーセット贈るって、早いか?」
「ちょっと早すぎるんじゃねぇか?男か女かもまだ分かってないんだぞ」
「何はともあれおめでとう、一護。ルキアを幸せにしてくれた上、子供まで授かるなんて天はルキアの味方だな」
「無事生まれてくるといいな」
「大丈夫だ!心配すんな!」
「そうだな。今までなんとかなってきたんだ。今回も大丈夫だろ」
その頃、朽木家では。
「兄様、懐妊したときはどう過ごせばよいのですか」
「身重になるまで、普通の生活を続けて良い。8か月を過ぎたころからは、休養をとれ。出産後は、産後休暇だ」
「おお、休みまくれるのですね!」
「子が流れる可能性があるので、あまり激しい運動は禁物だ。戦闘行為は自粛しろ」
「はい、兄様」
朽木白哉も、妻だった緋真は懐妊しなかったので、知識は書物で読んだものだった。
「何、大抵のことは一護がしてくれる。ルキアは、ただ黙して栄養をとり、子を慈しめばいい」
「そういうものなのですね!」
白哉も嬉しそうだった。義妹の他に家族が増えるのだ。一護が家族に加わったが、別段とうれしいわけではなかった。ただ、義妹の幸せを優先した。
そのために黒崎一護を朽木一護にして、人間だった一護を無理やり死神にしたのだ。
時はめぐる。
7か月が経ち、ルキアは女児を出産した。
「はぁはぁ・・・・・私の、赤ちゃん・・・・・・・」
「女の子だ。名前は、朽木苺花だな」
ルキアは、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた。
無事に生まれたというニュースは、すぐに瀞霊廷中に駆け巡った。
ベビー用品が、朽木家の一護とルキアの住んでいる別宅にあふれかえった。
「なんか微妙に重複してる品が多いんだよな」
「絵本とか・・・・どれだけ気が早いのであろうな?」
苺花をベビーベッドで寝かせて、一護はルキアにキスした。
「どうだよ、もう一人欲しくねぇか?一人っ子だと、可愛そうだろ・・・・」
「ん・・・そうだな・・・・」
久しぶりに体を重ねあう。
首が座るようになり、一護はルキアと苺花を連れて、現世の家族のところへきた。
「苺花ちゃんか!ルキアちゃんににてかわゆい!」
「おい、親父!いつまで苺花を独り占めしてるんだよ!」
「わーかわいい」
「目元は、一兄似じゃないか?」
双子は、苺花をあやしていた。
石田の家にも行った。雨竜も織姫も、祝福してくれた。
尸魂界に戻ると、屋敷に恋次の姿があった。
「どうしたんだ、恋次」
「おう。せっかく生まれたんだ。記念写真でも撮らねぇか?結婚式の時も撮ってただろ」
恋次は、自動カメラを設置して、ルキアと一護、苺花を抱いた白哉の隣に佇んだ。
パシャリ。パシャリ。何度か撮影して、終わった。
世界は廻る。時は弓のように過ぎる。
「今日も美人ですね、チカさん」
苺花は、8歳になっていた。
「待ってよ、お姉ちゃん」
弟ができた。名前は一勇。
「遅いぞ、一勇。今日は師匠に修行の稽古をつけてもらうのだ。一勇は見てるだけな。お前、弱いから」
「ずるいよ、お姉ちゃんだけ!」
「べーだっ!チカさん、師匠いますか?」
苺花が師匠と呼んでいるのは、一角だった。時折、恋次も師匠として稽古をつけてくれる。
「ああ、一角ならもうすぐくるんんじゃないかな」
「お姉ちゃん!」
「ああもう、うるさいな!」
ぽかりと一勇の頭を殴ると、一勇は泣きだした。
「お姉ちゃんがぶったー。うわーん」
一勇はまだ5歳だ。木刀を握るにはまだ早いので、見学だけだった。
「おい二人とも、仲よくしねーとだめじゃねぇか」
「「お父様!」」
「私もいるぞ」
「お母様まで!」
「どれ、今日は俺が訓練につきあってやるよ」
「本当ですが、お父様!」
「僕は?」
「一勇には、私が鬼道を教えてやろう」
「わーい、ありがとうお母様」
一護とルキア。
出会って、結婚まで3年。子ができるまで4年。
長女が8歳、長男5歳。
朽木一護、朽木ルキアの名は、朽木家に永劫と刻まれた。
次の当主は長男の朽木一勇。長女の苺花が当主となることを拒否したせいであった。
4人と、朽木白哉は長いこと朽木家を支えた。
やがて、4大貴族という概念がなくなるその日まで。
永遠に近い時を過ごすのであった。
一護とルキア fin
京楽ホイホイ
「いやぁ、疲れたねぇ。喉も乾いたし」
学院で、打ち合いの試合が行なわれた。いつも京楽とペアになる浮竹は、今回はペアではなかった。護身術の一つとして身につけた蹴りの体術で、他を圧倒していたが。木刀で打ち合いになる前に、すでに決着をつけていたりした。
「何か飲み物もってくるよ。何がいい?」
「白い液体が飲みたい」
「えっ、それって僕の精液ってこと?」
「・・・・・・カルピスだ、死ね」
にこにこにこにこ。浮竹は、微笑んでいた。でも、目が笑っていなかった。
ドカッ。
股間を蹴り上げられて、京楽はその場に蹲って、自分が言った冗談を後悔していた。
浮竹には、この手の冗談は通じない。
浮竹が戻ってくると、林檎の天然水のペットボトルが2つあった。
「僕の分までもってきてくれたんだね」
ごくごくごくごく。凄い勢いで飲みだして、京楽の分まで飲みだした。
「ああああ」
「冗談だ」
飲みかけの飲料を渡した。喉の渇きをそのままにしてやれと思ったが、二人分も飲めず、結局飲みかけのものを京楽に渡してしまい、それは京楽にとってのご褒美になってしまった。
「浮竹の飲みかけの、りんごの天然水・・・・・ぺろぺろぺろ」
だめだこいつ。変態だったんだ・・・・。
「まぁ変態はこのあたりで置いといて・・・・・」
変態って、置いておけるものなのか?
「京楽、俺も行くんだが、一度健康診断を受けてみないか?」
「え、なんで?僕は健康だよ」
「そう見えて、実はここが悪かったとかいうことあるからな。俺は肺を見てもらったんだが、気管にも少し傷がいってて、この前処置してもらったんだ」
「へぇ」
「咳込んでたから、それで気管がおかしくなったらしい」
「僕も受けてみようかな。浮竹、それはいつ?」
「来週の日曜だ」
「分かった、あけておくよ」
こうして、京楽は健康診断を受けることになった。
次の週の日曜日。
4番隊の病院に、二人はいた。
「3番の方、脳のレントゲンを撮るので奥へどうぞ」
「3番は僕だ・・・・まぁ、何もないだろうけど」
そう言ってでてきた京楽を、少しして医師が呼び止めた。
「京楽春水君だね?」
「はあ、そうですが」
「脳に異常が見つかった」
その言葉に、浮竹が顔色を変える。
「すみません、京楽の友人なんですが、一緒に行ってもいいですか」
「ああ、浮竹君か。君も一緒に来なさい」
レントゲンをとった写真を見せられる。
「ここに、異常があるのが分かるね?」
「はぁ」
「異常?」
全然わからなかった。
「脳には脳内伝達物質(ドーパミン)が働く神経系統があります。それは脳の性欲の源です、精巣から分泌されるテストステロンがそれに大きく関与していて」
専門用語で、ちんぷんかんぷんだった。
「精神的な部分が大きいと思われるけど、簡単に説明すると、本来女性に向けて放たれるべき性欲が、違う他者に向かって働いています」
「あ、浮竹にだ」
「カウンセリングと、投薬の治療をおすすめします」
「んー。僕、別に困ってないしいいや」
「すみません、京楽の変態って、病気からきてるんですか?」
「どういえばいいのかな・・・・まぁ、ほとんどが心の問題だけど、病気からではないかな」
「よかった・・・・変態が病気じゃなくって」
「ちょっと何その言い方!浮竹、まるで僕の変態が病気からきてるって思わないでよ。純粋で繊細な恋心が君のパンツをかぶったり匂いをかいだりして、君の抱き枕をおかずに・・・!」
京楽の襟首を締め上げながら、移動した。
「あーはいはい。結局は健康体ってことだから、帰ろうか」
「うげー苦しいいいいい」
首を締め上げられたまま移動する。
念のため、男性ホルモンの働きを正常にする薬をもらったが、京楽はそれを飲まずに捨ててしまった。
「どうして捨てるんだ。女性をまた好きになれるかもしれないじゃないか」
「いや、僕は普通に今だって女性が好きだよ?でもそれ以上に浮竹を好きなだけで。女性の裸体と浮竹の裸体があったら、浮竹の方に吸い寄せられる」
「この変態が!ゴキブリホイホイに、もしも俺の下着があったら・・・」
「あ、絶対僕ひっかかるね!京楽ホイホイだ!」
「それいい案かもしれない・・・今度、作ろうかな・・・・・」
「ええっ!僕はゴキブリじゃあないよ!」
「似たようなものだろうがこの変態が!」
「酷い!僕とのことは遊びだったのね!あんなに愛してるって言ってくれたのに!」
「いつどこでだ!」
京楽の頭を拳でぐりぐりすると、京楽がギブアップした。
「痛い痛い、マジでそれ痛いから!」
「この変態が!」
「浮竹、それは僕にとって褒め言葉だよ!」
もう手遅れだ。
脳がいってしまっている。
薬を飲んでもだめだ。
変態だから、仕方ないか。
浮竹は、大きくため息をつくのだった。
学院で、打ち合いの試合が行なわれた。いつも京楽とペアになる浮竹は、今回はペアではなかった。護身術の一つとして身につけた蹴りの体術で、他を圧倒していたが。木刀で打ち合いになる前に、すでに決着をつけていたりした。
「何か飲み物もってくるよ。何がいい?」
「白い液体が飲みたい」
「えっ、それって僕の精液ってこと?」
「・・・・・・カルピスだ、死ね」
にこにこにこにこ。浮竹は、微笑んでいた。でも、目が笑っていなかった。
ドカッ。
股間を蹴り上げられて、京楽はその場に蹲って、自分が言った冗談を後悔していた。
浮竹には、この手の冗談は通じない。
浮竹が戻ってくると、林檎の天然水のペットボトルが2つあった。
「僕の分までもってきてくれたんだね」
ごくごくごくごく。凄い勢いで飲みだして、京楽の分まで飲みだした。
「ああああ」
「冗談だ」
飲みかけの飲料を渡した。喉の渇きをそのままにしてやれと思ったが、二人分も飲めず、結局飲みかけのものを京楽に渡してしまい、それは京楽にとってのご褒美になってしまった。
「浮竹の飲みかけの、りんごの天然水・・・・・ぺろぺろぺろ」
だめだこいつ。変態だったんだ・・・・。
「まぁ変態はこのあたりで置いといて・・・・・」
変態って、置いておけるものなのか?
「京楽、俺も行くんだが、一度健康診断を受けてみないか?」
「え、なんで?僕は健康だよ」
「そう見えて、実はここが悪かったとかいうことあるからな。俺は肺を見てもらったんだが、気管にも少し傷がいってて、この前処置してもらったんだ」
「へぇ」
「咳込んでたから、それで気管がおかしくなったらしい」
「僕も受けてみようかな。浮竹、それはいつ?」
「来週の日曜だ」
「分かった、あけておくよ」
こうして、京楽は健康診断を受けることになった。
次の週の日曜日。
4番隊の病院に、二人はいた。
「3番の方、脳のレントゲンを撮るので奥へどうぞ」
「3番は僕だ・・・・まぁ、何もないだろうけど」
そう言ってでてきた京楽を、少しして医師が呼び止めた。
「京楽春水君だね?」
「はあ、そうですが」
「脳に異常が見つかった」
その言葉に、浮竹が顔色を変える。
「すみません、京楽の友人なんですが、一緒に行ってもいいですか」
「ああ、浮竹君か。君も一緒に来なさい」
レントゲンをとった写真を見せられる。
「ここに、異常があるのが分かるね?」
「はぁ」
「異常?」
全然わからなかった。
「脳には脳内伝達物質(ドーパミン)が働く神経系統があります。それは脳の性欲の源です、精巣から分泌されるテストステロンがそれに大きく関与していて」
専門用語で、ちんぷんかんぷんだった。
「精神的な部分が大きいと思われるけど、簡単に説明すると、本来女性に向けて放たれるべき性欲が、違う他者に向かって働いています」
「あ、浮竹にだ」
「カウンセリングと、投薬の治療をおすすめします」
「んー。僕、別に困ってないしいいや」
「すみません、京楽の変態って、病気からきてるんですか?」
「どういえばいいのかな・・・・まぁ、ほとんどが心の問題だけど、病気からではないかな」
「よかった・・・・変態が病気じゃなくって」
「ちょっと何その言い方!浮竹、まるで僕の変態が病気からきてるって思わないでよ。純粋で繊細な恋心が君のパンツをかぶったり匂いをかいだりして、君の抱き枕をおかずに・・・!」
京楽の襟首を締め上げながら、移動した。
「あーはいはい。結局は健康体ってことだから、帰ろうか」
「うげー苦しいいいいい」
首を締め上げられたまま移動する。
念のため、男性ホルモンの働きを正常にする薬をもらったが、京楽はそれを飲まずに捨ててしまった。
「どうして捨てるんだ。女性をまた好きになれるかもしれないじゃないか」
「いや、僕は普通に今だって女性が好きだよ?でもそれ以上に浮竹を好きなだけで。女性の裸体と浮竹の裸体があったら、浮竹の方に吸い寄せられる」
「この変態が!ゴキブリホイホイに、もしも俺の下着があったら・・・」
「あ、絶対僕ひっかかるね!京楽ホイホイだ!」
「それいい案かもしれない・・・今度、作ろうかな・・・・・」
「ええっ!僕はゴキブリじゃあないよ!」
「似たようなものだろうがこの変態が!」
「酷い!僕とのことは遊びだったのね!あんなに愛してるって言ってくれたのに!」
「いつどこでだ!」
京楽の頭を拳でぐりぐりすると、京楽がギブアップした。
「痛い痛い、マジでそれ痛いから!」
「この変態が!」
「浮竹、それは僕にとって褒め言葉だよ!」
もう手遅れだ。
脳がいってしまっている。
薬を飲んでもだめだ。
変態だから、仕方ないか。
浮竹は、大きくため息をつくのだった。
院生時代の部屋36 アホとプールとポロリと
「プールへ行こう!この間、新しくできた温水プールのレジャー施設のチケットが数枚あるんだよ!」
「へぇ、いいな」
「なぁなぁ、女子も誘っていこうぜ」
「ポロリもあるかもか!?」
京楽は、チケットをとっていく友人たちにもまれながら、ひたすら浮竹を見ていた。
「どう、浮竹も行かない?」
「俺はいい」
「じゃあ、プールは中止ね」
京楽が、チケットを回収していく。
「そりゃねーだろ」
「だめだぞ、変態京楽は浮竹が来ない限り行きそうにもないぞ」
「浮竹、頼む俺たちのための生贄になってくれ!」
「浮竹、頼むよ」
「俺、もうプール一緒に行こうって彼女誘っちゃったんだ」
「俺は・・・・・・・」
はぁ。溜息を零す。常に周囲にいる友人のほとんどが集まって、浮竹にプールに来いと懇願しだした。
「分かった、行くから。それでいいんだろう?」
ニヤリ。
京楽は、明らかにほくそ笑んだ。
何を考えているのか、大体の察しはついた。
そして、プールに行く日になった。
浮竹は、水着をもっていなかったので、新しく通販で買った。それと同じ水着を、京楽も買った。
はっきりいって、色も柄も一緒でややこしかった。
浮竹はあまり泳ぎが得意でないので、浮輪も買った。
「さぁ、いざバカンスへ!」
浮竹の手をとり、私服でサングラスをかけた京楽は、そこらの柄の悪い若者に見えた。ハーフパンツは目に痛い蛍光ピンク。シャツはど派手なアロハ柄。
いやでも人目を引いた。
「はぁ・・・・・」
その日何回目に分からないため息を零して、浮竹は温水プールまで京楽や友達たちとやってきた。
「早速、着換えにいこう浮竹!」
浮竹の手をとって、男性更衣室へ行く。
京楽はすぐにすっぽんぽんになった。
フルチンの京楽は、隙をついて自分の水着と浮竹の水着を交換した。
「あ、忘れ物をした」
そう浮竹が言って、京楽の視線を外した時に水着は元に戻された。
それを着用する。京楽は、自分の水着は浮竹のものだと思っていた。そして細工を加えた水着は浮竹が着ているものと思い込んでいた。
浮竹は、腰にバスタオルを巻いて、変態京楽に見られないように着替えた。
「ぐほっ」
上半身が裸というだけで、すでに昇天しつつあったが、なんとか気力を振り絞って、浮竹の手をとって温水プールに入った。
「きゃははははは」
「やーん」
女性の友人たちの、露わな肌に、浮竹の視線がいく。
「浮竹は、僕だけを見ていればいいんだよ」
さっと視界を京楽で塞がれる。
「何が悲しくて、京楽と泳がねばならんのだ」
浮輪をつけて、京楽を無視してバシャバシャ泳ぎだした。
「ああん、待ってマイスウィートハニー」
その後を、スイスイと泳いで京楽がついてくる。
「今日の京楽、けっこう普通だな」
「ああ。もっと変態行為に出ると思っていたんだが」
友人たちが、こそこそと会話をしだす。
「浮竹、あのウォータースライダーに乗ろう」
「何が悲しくて、京楽とウォータースライダーに・・・・・・」
ぶつぶつ文句を言っていたが、京楽に手を引っ張られるままに、ウォータースライダーの入口まで昇る。
「ひゃっほう!浮竹のポロリがあるよ!」
滑っている途中に、やっぱりこいつと、浮竹は溜息を零した。
ザッパーン。
ぷーるにつくころには、京楽の水着が破けてポロリしていた。
「ええ!?なんで僕の水着がポロリと!?浮竹の水着に細工した僕の水着を着せたはずなのに!」
「そうだと思って、隙を見て再度交換しておいたんだ」
ポロリと露出した京楽の水着は、破けてすでに水着の原型を留めていなかった。
フルチンになった京楽は、前を隠すが、悲鳴があがる。
「きゃあああああああ!変態があああああ!」
「いやあああああ、変質者よおおおお!」
「ポロリしてる!裸よーーー!」
見回りにきていた警備員がやってきて、京楽は捕まった。腰にバスタオルを巻かれて。
浮竹は安堵する。やっぱり水着が交換された時点で、交換しなおしておいて正解だったと。
交換しなかったら、今頃ポロリをしていたのは浮竹だったろう。
ちなみに、浮竹にすごく助けを求めにきていた。
「彼の友人なんだ!水着は手違いなんだ」
「こんなことを、露出の容疑者は言っていますが、彼の友人ですか?」
「いえ、違います」
きっぱりそう言ってやった。
「NO~~~~~!!!」
京楽が連行されていく。
それを見ていた男女の友人が。
「やっぱり出たか、京楽の変態が」
「浮竹君、庇わないのね。でもそこが素敵」
「浮竹、身柄引き取り人になってくれよ?」
「京楽もばかだなぁ。レジャー施設でポロリ作戦だなんて・・・・」
結局、着替えた浮竹は、こってりとしぼられた京楽を迎えに行った。
「これに懲りたら、外でアホな真似はしないことだ」
「はい・・・・・」
しゅんとなって、項垂れた京楽の頭を撫でてやった。
尻尾を振る犬に見えた。京楽が。
触れるだけのキスをすると、すぐに京楽はいつも通りの変態京楽に戻った。
「もっとキスして!あそこにしてもいいんだよ!」
「調子に乗るな」
けつを蹴りあげておいた。
「けつがもげるーーーーー」
一昨日も昨日も、変態京楽だった。今日だけがまともとか、あり得るはずがないと思っていたが、やはり正しかった。
今日も浮竹は頭痛を抱える。
京楽が、次にどんな変態行為に出るか警戒しながら、一日は終わっていくのだった。
「へぇ、いいな」
「なぁなぁ、女子も誘っていこうぜ」
「ポロリもあるかもか!?」
京楽は、チケットをとっていく友人たちにもまれながら、ひたすら浮竹を見ていた。
「どう、浮竹も行かない?」
「俺はいい」
「じゃあ、プールは中止ね」
京楽が、チケットを回収していく。
「そりゃねーだろ」
「だめだぞ、変態京楽は浮竹が来ない限り行きそうにもないぞ」
「浮竹、頼む俺たちのための生贄になってくれ!」
「浮竹、頼むよ」
「俺、もうプール一緒に行こうって彼女誘っちゃったんだ」
「俺は・・・・・・・」
はぁ。溜息を零す。常に周囲にいる友人のほとんどが集まって、浮竹にプールに来いと懇願しだした。
「分かった、行くから。それでいいんだろう?」
ニヤリ。
京楽は、明らかにほくそ笑んだ。
何を考えているのか、大体の察しはついた。
そして、プールに行く日になった。
浮竹は、水着をもっていなかったので、新しく通販で買った。それと同じ水着を、京楽も買った。
はっきりいって、色も柄も一緒でややこしかった。
浮竹はあまり泳ぎが得意でないので、浮輪も買った。
「さぁ、いざバカンスへ!」
浮竹の手をとり、私服でサングラスをかけた京楽は、そこらの柄の悪い若者に見えた。ハーフパンツは目に痛い蛍光ピンク。シャツはど派手なアロハ柄。
いやでも人目を引いた。
「はぁ・・・・・」
その日何回目に分からないため息を零して、浮竹は温水プールまで京楽や友達たちとやってきた。
「早速、着換えにいこう浮竹!」
浮竹の手をとって、男性更衣室へ行く。
京楽はすぐにすっぽんぽんになった。
フルチンの京楽は、隙をついて自分の水着と浮竹の水着を交換した。
「あ、忘れ物をした」
そう浮竹が言って、京楽の視線を外した時に水着は元に戻された。
それを着用する。京楽は、自分の水着は浮竹のものだと思っていた。そして細工を加えた水着は浮竹が着ているものと思い込んでいた。
浮竹は、腰にバスタオルを巻いて、変態京楽に見られないように着替えた。
「ぐほっ」
上半身が裸というだけで、すでに昇天しつつあったが、なんとか気力を振り絞って、浮竹の手をとって温水プールに入った。
「きゃははははは」
「やーん」
女性の友人たちの、露わな肌に、浮竹の視線がいく。
「浮竹は、僕だけを見ていればいいんだよ」
さっと視界を京楽で塞がれる。
「何が悲しくて、京楽と泳がねばならんのだ」
浮輪をつけて、京楽を無視してバシャバシャ泳ぎだした。
「ああん、待ってマイスウィートハニー」
その後を、スイスイと泳いで京楽がついてくる。
「今日の京楽、けっこう普通だな」
「ああ。もっと変態行為に出ると思っていたんだが」
友人たちが、こそこそと会話をしだす。
「浮竹、あのウォータースライダーに乗ろう」
「何が悲しくて、京楽とウォータースライダーに・・・・・・」
ぶつぶつ文句を言っていたが、京楽に手を引っ張られるままに、ウォータースライダーの入口まで昇る。
「ひゃっほう!浮竹のポロリがあるよ!」
滑っている途中に、やっぱりこいつと、浮竹は溜息を零した。
ザッパーン。
ぷーるにつくころには、京楽の水着が破けてポロリしていた。
「ええ!?なんで僕の水着がポロリと!?浮竹の水着に細工した僕の水着を着せたはずなのに!」
「そうだと思って、隙を見て再度交換しておいたんだ」
ポロリと露出した京楽の水着は、破けてすでに水着の原型を留めていなかった。
フルチンになった京楽は、前を隠すが、悲鳴があがる。
「きゃあああああああ!変態があああああ!」
「いやあああああ、変質者よおおおお!」
「ポロリしてる!裸よーーー!」
見回りにきていた警備員がやってきて、京楽は捕まった。腰にバスタオルを巻かれて。
浮竹は安堵する。やっぱり水着が交換された時点で、交換しなおしておいて正解だったと。
交換しなかったら、今頃ポロリをしていたのは浮竹だったろう。
ちなみに、浮竹にすごく助けを求めにきていた。
「彼の友人なんだ!水着は手違いなんだ」
「こんなことを、露出の容疑者は言っていますが、彼の友人ですか?」
「いえ、違います」
きっぱりそう言ってやった。
「NO~~~~~!!!」
京楽が連行されていく。
それを見ていた男女の友人が。
「やっぱり出たか、京楽の変態が」
「浮竹君、庇わないのね。でもそこが素敵」
「浮竹、身柄引き取り人になってくれよ?」
「京楽もばかだなぁ。レジャー施設でポロリ作戦だなんて・・・・」
結局、着替えた浮竹は、こってりとしぼられた京楽を迎えに行った。
「これに懲りたら、外でアホな真似はしないことだ」
「はい・・・・・」
しゅんとなって、項垂れた京楽の頭を撫でてやった。
尻尾を振る犬に見えた。京楽が。
触れるだけのキスをすると、すぐに京楽はいつも通りの変態京楽に戻った。
「もっとキスして!あそこにしてもいいんだよ!」
「調子に乗るな」
けつを蹴りあげておいた。
「けつがもげるーーーーー」
一昨日も昨日も、変態京楽だった。今日だけがまともとか、あり得るはずがないと思っていたが、やはり正しかった。
今日も浮竹は頭痛を抱える。
京楽が、次にどんな変態行為に出るか警戒しながら、一日は終わっていくのだった。
ポッキーゲーム
「好きだよ」
「俺も好きだ」
「愛してるよ」
「俺も愛してる」
抱き締めあい、キスをする。
愛を囁くのはいい。問題は場所だった。
ここは10番隊執務室。つまりは日番谷の仕事部屋だった。
「お前らなぁ、愛を確かめ合うのはいいが、他所でやれ」
「気にするな、日番谷隊長!」
「思いっきり気になるわぼけ!」
「日番谷隊長。ポッキーをあげよう。雛森副隊長とポッキーゲームをするといい」
そう言って、浮竹はポッキーを懐から出した。
「ポッキーは現世のお菓子だろ。なんだ、ポッキーゲームって」
「こうやって」
浮竹が、ポッキーを銜える。その先を、京楽が銜えた。ポリポリと食べあって、最後はキスになった。
「こうする、ゲームだ」
「んなこと雛森とできるわけないだろう!蒼天に座せ氷輪丸!・・・あれ?氷輪丸?」
浮竹と京楽を見ると、ニヤリと笑っていた。
「お前らか!お前らの仕業か!」
「何、ちょっと範囲結界をね」
「俺は、反対したんだがな・・・・・」
でも、言葉のわりには浮竹も楽しそうであった。
構築するには数日の期間がいる。それをわざわざ日番谷の10番隊執務室で、本人に気づかれないように展開するには骨が折れた。
わざわざそんなことしなくてもいいだろうと、浮竹も京楽も思ったけど、いつも氷輪丸を向けられるので、たまにはいいかとほくそ笑みながら結界を作った。
「いやあ、いい顔するねぇ日番谷隊長!」
京楽が、ざまぁみろと言いたそうな顔をしていた。
「始解と卍解させ封じてしまえば、日番谷隊長は恐るるに足りない。ただのお子様だ」
京楽のものいいに、カチンときて抜刀したままの氷輪丸で切りかかった。
「たとえ始解や卍解ができなくとも、お前みたいなおっさん!」
京楽と日番谷は、何度も切り結びあったが、体格で不利の日番谷が圧され気味になりだした。
「京楽も日番谷隊長も、まぁ落ち着け」
一人、浮竹が勝手にお茶をいれて茶菓子を食べていた。
「浮竹、お前も一枚かんでいるんだろ!」
「まぁまぁ」
「全く、こんな時に限って松本はいねぇし」
「乱菊ちゃんがいたならいたで面白いけど、日番谷隊長を単独でからかうにはやっぱり結界くらいないとねぇ」
「からかうためだけに、こんな大がかりな結界を作ったのか」
「そうだよ。僕たち、けっこう暇人だから」
「暇人すぎるだろ!」
「否定はしないな」
浮竹が、お茶菓子のわかめ大使の足を食べていた。
「浮竹、ポッキーゲームするぞ。お前と」
「ええっ、日番谷隊長!?」
京楽が慌てだす。
「俺は別に構わないが・・・・いいのか、日番谷隊長」
「誰かさんをぎゃふんと言わせるには、これに限る」
日番谷がポッキーを銜えた。その端を、浮竹が銜える。
ポリポリポリ。
「だめだよ!」
途中で邪魔をされて、ポッキーが折れた。
「ふふふ。京楽の最大の弱点、見つけたり」
「ん?」
浮竹は何も分かっていないようだった。
日番谷は、浮竹の白い髪を手にとって口づけた。
「ぬあああああ、お子様の分際で!」
「なんだと、このおっさんの分際で!」
「このまだあそこに毛も生えてないようなガキンチョのくせに!」
「けつ毛がボーボーで、あそこの毛と臍から下のギャランドゥが濃いおっさんが!」
お互い霊圧を極限にまで高めあっていると、結界が耐えきれなくなってパリンと割れた音がした。
「ガキンチョ!」
「くそおっさん!」
二人は言い争いを続ける。
そして、結界が壊れたことに気付いた日番谷が、京楽に氷輪丸を向けた。
「卍解!大紅蓮氷輪丸!」
結界で邪魔されて放てなかった分の霊圧を極限にまでの濃縮した一撃が、京楽に襲いかかる。
「なんの!」
瞬歩で交わすが、浮竹のことを失念していた。
「危ない、浮竹!」
浮竹は、日番谷にひっぱられて、宙にいた。
「返してほしければこっちまでこい」
「このガキンチョめ!」
京楽が高く跳躍すると、そこに巨大な氷の龍が現れた。
「のああああああああああ!」
どんがらがっしゃん。ひゅるるるるるーーー。
氷の龍の一撃を受けて、彼方にまで飛んでいく京楽。
「あ、おい京楽。何楽しそうなことしてるんだ!」
浮竹には、加減した氷の龍がぶつかってきた。
「ぬあああああああああ!」
ひゅるるるるるーーーー。
二人とも飛んでいったのを確認して、卍解を解いて氷輪丸を鞘にしまう。
執務室は、全壊だった。
「またやっちまった・・・・・・」
床に、ポッキーがまだ入った箱が落ちていた。
「ポッキーゲームか・・・・・」
後日、ポッキーゲームをする日番谷と雛森の姿があったという。
「俺も好きだ」
「愛してるよ」
「俺も愛してる」
抱き締めあい、キスをする。
愛を囁くのはいい。問題は場所だった。
ここは10番隊執務室。つまりは日番谷の仕事部屋だった。
「お前らなぁ、愛を確かめ合うのはいいが、他所でやれ」
「気にするな、日番谷隊長!」
「思いっきり気になるわぼけ!」
「日番谷隊長。ポッキーをあげよう。雛森副隊長とポッキーゲームをするといい」
そう言って、浮竹はポッキーを懐から出した。
「ポッキーは現世のお菓子だろ。なんだ、ポッキーゲームって」
「こうやって」
浮竹が、ポッキーを銜える。その先を、京楽が銜えた。ポリポリと食べあって、最後はキスになった。
「こうする、ゲームだ」
「んなこと雛森とできるわけないだろう!蒼天に座せ氷輪丸!・・・あれ?氷輪丸?」
浮竹と京楽を見ると、ニヤリと笑っていた。
「お前らか!お前らの仕業か!」
「何、ちょっと範囲結界をね」
「俺は、反対したんだがな・・・・・」
でも、言葉のわりには浮竹も楽しそうであった。
構築するには数日の期間がいる。それをわざわざ日番谷の10番隊執務室で、本人に気づかれないように展開するには骨が折れた。
わざわざそんなことしなくてもいいだろうと、浮竹も京楽も思ったけど、いつも氷輪丸を向けられるので、たまにはいいかとほくそ笑みながら結界を作った。
「いやあ、いい顔するねぇ日番谷隊長!」
京楽が、ざまぁみろと言いたそうな顔をしていた。
「始解と卍解させ封じてしまえば、日番谷隊長は恐るるに足りない。ただのお子様だ」
京楽のものいいに、カチンときて抜刀したままの氷輪丸で切りかかった。
「たとえ始解や卍解ができなくとも、お前みたいなおっさん!」
京楽と日番谷は、何度も切り結びあったが、体格で不利の日番谷が圧され気味になりだした。
「京楽も日番谷隊長も、まぁ落ち着け」
一人、浮竹が勝手にお茶をいれて茶菓子を食べていた。
「浮竹、お前も一枚かんでいるんだろ!」
「まぁまぁ」
「全く、こんな時に限って松本はいねぇし」
「乱菊ちゃんがいたならいたで面白いけど、日番谷隊長を単独でからかうにはやっぱり結界くらいないとねぇ」
「からかうためだけに、こんな大がかりな結界を作ったのか」
「そうだよ。僕たち、けっこう暇人だから」
「暇人すぎるだろ!」
「否定はしないな」
浮竹が、お茶菓子のわかめ大使の足を食べていた。
「浮竹、ポッキーゲームするぞ。お前と」
「ええっ、日番谷隊長!?」
京楽が慌てだす。
「俺は別に構わないが・・・・いいのか、日番谷隊長」
「誰かさんをぎゃふんと言わせるには、これに限る」
日番谷がポッキーを銜えた。その端を、浮竹が銜える。
ポリポリポリ。
「だめだよ!」
途中で邪魔をされて、ポッキーが折れた。
「ふふふ。京楽の最大の弱点、見つけたり」
「ん?」
浮竹は何も分かっていないようだった。
日番谷は、浮竹の白い髪を手にとって口づけた。
「ぬあああああ、お子様の分際で!」
「なんだと、このおっさんの分際で!」
「このまだあそこに毛も生えてないようなガキンチョのくせに!」
「けつ毛がボーボーで、あそこの毛と臍から下のギャランドゥが濃いおっさんが!」
お互い霊圧を極限にまで高めあっていると、結界が耐えきれなくなってパリンと割れた音がした。
「ガキンチョ!」
「くそおっさん!」
二人は言い争いを続ける。
そして、結界が壊れたことに気付いた日番谷が、京楽に氷輪丸を向けた。
「卍解!大紅蓮氷輪丸!」
結界で邪魔されて放てなかった分の霊圧を極限にまでの濃縮した一撃が、京楽に襲いかかる。
「なんの!」
瞬歩で交わすが、浮竹のことを失念していた。
「危ない、浮竹!」
浮竹は、日番谷にひっぱられて、宙にいた。
「返してほしければこっちまでこい」
「このガキンチョめ!」
京楽が高く跳躍すると、そこに巨大な氷の龍が現れた。
「のああああああああああ!」
どんがらがっしゃん。ひゅるるるるるーーー。
氷の龍の一撃を受けて、彼方にまで飛んでいく京楽。
「あ、おい京楽。何楽しそうなことしてるんだ!」
浮竹には、加減した氷の龍がぶつかってきた。
「ぬあああああああああ!」
ひゅるるるるるーーーー。
二人とも飛んでいったのを確認して、卍解を解いて氷輪丸を鞘にしまう。
執務室は、全壊だった。
「またやっちまった・・・・・・」
床に、ポッキーがまだ入った箱が落ちていた。
「ポッキーゲームか・・・・・」
後日、ポッキーゲームをする日番谷と雛森の姿があったという。
花街恋話4
花街に売られて、4か月が経った。
京楽は相変わらず週2くらいのペースで浮竹を買っていく。椿が荒れ狂って浮竹に手を出すので、仕方なく京楽は椿を前のように2週間に一度くらいの頻度で買った。
ある日、花街の外で祭りがあった。
浮竹はとても行きたそうにしていたが、足抜け防止のために遊女や色子が花街を抜けることはできなかった。通行手形がいるのだ。
「京楽、我儘をいっていいか?」
「どうしたんだい」
「花街の外の祭りに行ってみたい」
「祭りに興味があるのかい?」
「幼い頃、父上と母上に連れて行ってもらった」
昔を懐かしんでいるのだ。
「いいよ。通行手形を作ってもらおう。一人では花街の外には出れないけど、僕と一緒なら出れるから」
その日、早速通行手形を作ってもらい、花街の外に出かけた。
「わあ・・・・・」
人の多さに、驚かされた。
花街も人でに賑わっていたが、それの数倍は人がいた。
小遣いをもらい、好きな屋台で好きなものを買った。
林檎飴ばかり買う浮竹に、京楽が苦笑する。
「そんなに林檎飴ばかり買わなくても、林檎飴くらい廓にもっていってあげるよ」
「本当か!」
浮竹が顔を輝かせた。
京楽は、焼そばを二人前買った。浮竹に与えて、昼餉ということにした。
「今だけ、俺は自由だ」
浮竹のはしゃぎ具合に、定期的に外に連れ出してあげようという気になる。
綿あめをお土産に買ってもらい、輪投げ、ビンゴ、金魚すくいをした。
金魚を持って帰るかと聞かれて、少し悲しそうに首を横に振る。
「廓では、勝手に生き物をかっちゃいけないんだ」
「僕が、廓の主人に話しをつけてあげるから」
「いいのか?」
「ああ、勿論だよ」
「やった!」
浮竹は、2匹の金魚を入れてもらい、それを手首にぶら下げて、歩き出す。
こうしてみていれば、また育ち盛りの普通の子供に見えた。
着ている服が女もののせいであるのと、浮竹本来の容姿が美しく整っているせいで、どうみても少女に見えた。
13歳。
それは微妙な年だった。
大人というには幼過ぎて。子供というには少し大きすぎて。
最初、廓にきたときは酷く痩せていて、あばら骨が浮いていた体も、食生活が改善されて、細いがしなやかな筋肉がつくようになった。
「京楽、こっちだ」
お面を売っている屋台で、狐のお面を買う浮竹。京楽の分も買って、お揃いにした。
狐のお面を被った浮竹は、はしゃいでいた。
フランクフルトを食べながら歩いていると、柄の悪そうな若者にぶつかった。
「ああ、嬢ちゃん何してくれてんだ。俺様の服が汚れただろうが!」
「す、すまない」
「はぁ?金だせや金。服が台無しになっちまった」
京楽が何か言う前に、浮竹はもっていた所持金を見せる。子供がもつ額には多すぎて、柄の悪い若者はにやりと笑った。
「有り金おいてけ。それがいやなら、俺の相手でもしてもらおうか」
「はい、そこまでね」
「なんだよ、てめぇ・・・・・・」
「護廷13隊8番隊隊長京楽春水」
「げ、死神かよ。くそ、覚えてろよ」
足早に去っていく柄の悪い若者に、浮竹は不思議そうな顔をしていた。
「死神の隊長って、そんなに恐れられるものなのか?」
「そうだねぇ。一般的には、お近づきになりたくない相手かもね」
「でも、京楽は優しい。俺に、いろんなものを与えてくれるし、いろんなことを教えてくれる」
「それは、君を愛しているからだよ」
肩の上に抱き上げられた。軽い浮竹の体重は、身長も少し13歳にしては低めなので、40キロもないだろう。
「まだ、祭りを見るかい?」
「まだいいのか?いつもなら、仕事があるからって帰るのに」
「今日は特別だよ。明日、久しぶりの非番なんだ」
明日は、一日中浮竹といよう。そう決めた京楽であった。
廓に戻って、夕餉はとらずに湯あみをして普通に二人で眠った。そう毎回抱くわけではない。
次の日になって、まだ浮竹が寝ていたので、顔を洗いに井戸のところまできた。
「京楽のだんなっ。あたしを買っておくれよ」
「椿か・・・・・この前買ったじゃないか」
「もう3週間前のことじゃないか!」
「まだ3週間前だろう。君には他にも馴染の客もいるし・・・・僕が買わなくても、不自由はしないでしょ」
「あたしを身請けしておくれよ!」
「君を身請け?冗談じゃない、僕は気の強すぎる子は好きじゃないんだ。大人しい子がタイプなんでね」
「それは、翡翠のことかい?」
「さぁ、どうだろうね。椿、君は美しい。でも、中身をあければ腐っている。翡翠をいじめたり・・・・もう、僕は君を買うことをしない」
「翡翠め。どうしてくれよう」
「もしも、翡翠に何かしたら、僕が許さないからね」
花魁の命である美貌の顔に、持っていた斬魄刀をあてる。
「一生、残る傷を顔につけるよ?」
ゆらりと、霊圧が高くなる。殺気を迸らせた。
「ひいっ」
椿は、腰を抜かした。そのまま、廓の中に去っていく。
「ん・・・・・京楽?」
寝ていた浮竹が、霊圧の高さに気づいて起きてきた。
「なんだろうこれ・・・・京楽、何かがお前の体を取り囲んで、高まっていく」
「翡翠?霊圧が見えるのかい?」
「これ、霊圧っていうのか?皆に気味悪がられるから言わなかったけど、何もしなくても物を動かせたり、壊すことができる」
「ふむ・・・・確かに、霊圧があるね」
浮竹の中の霊圧を探ると、思っていた以上に霊圧があることが分かった。
「君、死神になるつもりはないかい?」
「死神に?」
「そう。借金を返し終わるか身請けされて自由になったら、真央霊術院っていう、死神になるための学校に通う気はあるかい?」
「今のとこそんな学校に通う気はないかな。だって俺、色子だぞ?そんな身分だったやつが、死神になんて・・・・・」
「なれないこともないよ。真央霊術院は、貧困にあえぐ流魂街の民でも、上級貴族みたいな僕でも受け入れる。元が罪人でも、ちゃんとその罪を償っていれば学院は受け入れるよ。勿論、花街の住人でも」
浮竹は、少し興味を持ったようだった。
昨日、金魚鉢と色硝子と、金魚の餌を買った。
色硝子を入れた金魚鉢の中で、持って帰ってきた金魚が2匹、仲よさげに泳いでいる。それを見ながら、浮竹は言う。
「死神になったら、ずっと京楽の傍にいれるか?」
「さぁ、それはどうだろう。配置される隊によるかな」
「じゃあ、今はこのままでいい」
「どうして?」
「京楽が、俺のところに来てくれるから」
「参ったね・・・・・・」
護廷13隊の8番隊隊長ともあろう者が、僅か13歳の色子に腑抜けにされている。そんな噂でも広まりそうなほど、浮竹にのめりこんでいた。
「翡翠は、身請けしてくれとは言わないんだね」
「だって、俺の場合しょっていた借金そのものプラスで、身請けの金額が途方もない。そんな金を出してくれる酔狂な輩はいない」
確かに、廓の主人松村が提案した身請けの金額は、花魁の椿の身請けの金額の5倍。
屋敷が数件建てられる。
今すぐにそんな巨額の金は動かせないので、翡翠を買うまでに留まっていた。
廓の主人も意地悪なことをする。こっちの足元を見て、出せるぎりぎりの金額まで搾り取るつもりだ。
「今日は一日休みんだ。おいで、翡翠」
京楽の腕の中に寝転んで、浮竹は笑う。
「こんな平和な時間が、ずっと続けばいいのに・・・・・・」
京楽は相変わらず週2くらいのペースで浮竹を買っていく。椿が荒れ狂って浮竹に手を出すので、仕方なく京楽は椿を前のように2週間に一度くらいの頻度で買った。
ある日、花街の外で祭りがあった。
浮竹はとても行きたそうにしていたが、足抜け防止のために遊女や色子が花街を抜けることはできなかった。通行手形がいるのだ。
「京楽、我儘をいっていいか?」
「どうしたんだい」
「花街の外の祭りに行ってみたい」
「祭りに興味があるのかい?」
「幼い頃、父上と母上に連れて行ってもらった」
昔を懐かしんでいるのだ。
「いいよ。通行手形を作ってもらおう。一人では花街の外には出れないけど、僕と一緒なら出れるから」
その日、早速通行手形を作ってもらい、花街の外に出かけた。
「わあ・・・・・」
人の多さに、驚かされた。
花街も人でに賑わっていたが、それの数倍は人がいた。
小遣いをもらい、好きな屋台で好きなものを買った。
林檎飴ばかり買う浮竹に、京楽が苦笑する。
「そんなに林檎飴ばかり買わなくても、林檎飴くらい廓にもっていってあげるよ」
「本当か!」
浮竹が顔を輝かせた。
京楽は、焼そばを二人前買った。浮竹に与えて、昼餉ということにした。
「今だけ、俺は自由だ」
浮竹のはしゃぎ具合に、定期的に外に連れ出してあげようという気になる。
綿あめをお土産に買ってもらい、輪投げ、ビンゴ、金魚すくいをした。
金魚を持って帰るかと聞かれて、少し悲しそうに首を横に振る。
「廓では、勝手に生き物をかっちゃいけないんだ」
「僕が、廓の主人に話しをつけてあげるから」
「いいのか?」
「ああ、勿論だよ」
「やった!」
浮竹は、2匹の金魚を入れてもらい、それを手首にぶら下げて、歩き出す。
こうしてみていれば、また育ち盛りの普通の子供に見えた。
着ている服が女もののせいであるのと、浮竹本来の容姿が美しく整っているせいで、どうみても少女に見えた。
13歳。
それは微妙な年だった。
大人というには幼過ぎて。子供というには少し大きすぎて。
最初、廓にきたときは酷く痩せていて、あばら骨が浮いていた体も、食生活が改善されて、細いがしなやかな筋肉がつくようになった。
「京楽、こっちだ」
お面を売っている屋台で、狐のお面を買う浮竹。京楽の分も買って、お揃いにした。
狐のお面を被った浮竹は、はしゃいでいた。
フランクフルトを食べながら歩いていると、柄の悪そうな若者にぶつかった。
「ああ、嬢ちゃん何してくれてんだ。俺様の服が汚れただろうが!」
「す、すまない」
「はぁ?金だせや金。服が台無しになっちまった」
京楽が何か言う前に、浮竹はもっていた所持金を見せる。子供がもつ額には多すぎて、柄の悪い若者はにやりと笑った。
「有り金おいてけ。それがいやなら、俺の相手でもしてもらおうか」
「はい、そこまでね」
「なんだよ、てめぇ・・・・・・」
「護廷13隊8番隊隊長京楽春水」
「げ、死神かよ。くそ、覚えてろよ」
足早に去っていく柄の悪い若者に、浮竹は不思議そうな顔をしていた。
「死神の隊長って、そんなに恐れられるものなのか?」
「そうだねぇ。一般的には、お近づきになりたくない相手かもね」
「でも、京楽は優しい。俺に、いろんなものを与えてくれるし、いろんなことを教えてくれる」
「それは、君を愛しているからだよ」
肩の上に抱き上げられた。軽い浮竹の体重は、身長も少し13歳にしては低めなので、40キロもないだろう。
「まだ、祭りを見るかい?」
「まだいいのか?いつもなら、仕事があるからって帰るのに」
「今日は特別だよ。明日、久しぶりの非番なんだ」
明日は、一日中浮竹といよう。そう決めた京楽であった。
廓に戻って、夕餉はとらずに湯あみをして普通に二人で眠った。そう毎回抱くわけではない。
次の日になって、まだ浮竹が寝ていたので、顔を洗いに井戸のところまできた。
「京楽のだんなっ。あたしを買っておくれよ」
「椿か・・・・・この前買ったじゃないか」
「もう3週間前のことじゃないか!」
「まだ3週間前だろう。君には他にも馴染の客もいるし・・・・僕が買わなくても、不自由はしないでしょ」
「あたしを身請けしておくれよ!」
「君を身請け?冗談じゃない、僕は気の強すぎる子は好きじゃないんだ。大人しい子がタイプなんでね」
「それは、翡翠のことかい?」
「さぁ、どうだろうね。椿、君は美しい。でも、中身をあければ腐っている。翡翠をいじめたり・・・・もう、僕は君を買うことをしない」
「翡翠め。どうしてくれよう」
「もしも、翡翠に何かしたら、僕が許さないからね」
花魁の命である美貌の顔に、持っていた斬魄刀をあてる。
「一生、残る傷を顔につけるよ?」
ゆらりと、霊圧が高くなる。殺気を迸らせた。
「ひいっ」
椿は、腰を抜かした。そのまま、廓の中に去っていく。
「ん・・・・・京楽?」
寝ていた浮竹が、霊圧の高さに気づいて起きてきた。
「なんだろうこれ・・・・京楽、何かがお前の体を取り囲んで、高まっていく」
「翡翠?霊圧が見えるのかい?」
「これ、霊圧っていうのか?皆に気味悪がられるから言わなかったけど、何もしなくても物を動かせたり、壊すことができる」
「ふむ・・・・確かに、霊圧があるね」
浮竹の中の霊圧を探ると、思っていた以上に霊圧があることが分かった。
「君、死神になるつもりはないかい?」
「死神に?」
「そう。借金を返し終わるか身請けされて自由になったら、真央霊術院っていう、死神になるための学校に通う気はあるかい?」
「今のとこそんな学校に通う気はないかな。だって俺、色子だぞ?そんな身分だったやつが、死神になんて・・・・・」
「なれないこともないよ。真央霊術院は、貧困にあえぐ流魂街の民でも、上級貴族みたいな僕でも受け入れる。元が罪人でも、ちゃんとその罪を償っていれば学院は受け入れるよ。勿論、花街の住人でも」
浮竹は、少し興味を持ったようだった。
昨日、金魚鉢と色硝子と、金魚の餌を買った。
色硝子を入れた金魚鉢の中で、持って帰ってきた金魚が2匹、仲よさげに泳いでいる。それを見ながら、浮竹は言う。
「死神になったら、ずっと京楽の傍にいれるか?」
「さぁ、それはどうだろう。配置される隊によるかな」
「じゃあ、今はこのままでいい」
「どうして?」
「京楽が、俺のところに来てくれるから」
「参ったね・・・・・・」
護廷13隊の8番隊隊長ともあろう者が、僅か13歳の色子に腑抜けにされている。そんな噂でも広まりそうなほど、浮竹にのめりこんでいた。
「翡翠は、身請けしてくれとは言わないんだね」
「だって、俺の場合しょっていた借金そのものプラスで、身請けの金額が途方もない。そんな金を出してくれる酔狂な輩はいない」
確かに、廓の主人松村が提案した身請けの金額は、花魁の椿の身請けの金額の5倍。
屋敷が数件建てられる。
今すぐにそんな巨額の金は動かせないので、翡翠を買うまでに留まっていた。
廓の主人も意地悪なことをする。こっちの足元を見て、出せるぎりぎりの金額まで搾り取るつもりだ。
「今日は一日休みんだ。おいで、翡翠」
京楽の腕の中に寝転んで、浮竹は笑う。
「こんな平和な時間が、ずっと続けばいいのに・・・・・・」