お盆の日には幽霊浮竹が帰ってくる
先祖の霊が、戻ってくるという。
親友の霊もいいから、戻ってきてくれないかと、牛と馬にみせたナスとキュウリに割り箸で足をつくった置物を置いた。
「戻ってくるとはいいなと思ったけど、ほんとに戻ってこられたら、いろいろと問題があったね・・・・」
後ろにとり憑いた浮竹の霊を、どうしようと思う。
「浮竹?」
「やあ、元気か?」
「僕は元気だけど・・・君は霊子になってしまったんじゃ?」
「ああそうだぞ。お盆だから、特別に形をなして現れたんだ」
「でも、君ともう一度話せて嬉しいよ」
「あの世っていうか、隊長が落ちる場所からお前のことをみていた。総隊長として、がんばってるな」
「ああ、うん。もっと褒めて」
瞳から、大粒の涙が滴った。
「お前を泣かせるために、戻ってきたんじゃないんだぞ」
「でもね・・・・死んだ君にまた、たとえ幽霊でも会えるなんて・・・・・」
浮竹は、透けた手でよしよしと京楽の頭を撫でた。京楽の背後に憑いていたが、移動したいと強く念じると、足のない透けた体が移動した。
「俺は、今でもこんなにもお前を愛してる。お前も、俺を愛してくれている。俺も、死んだのにもう一度お前と話せて嬉しい」
落ち着きを取り戻した京楽の隣に、幽霊浮竹はずっといた。
「お盆の間だけだから。いろいろ、ゆっくり話そう」
「そうだね」
お盆は、死神の仕事も休業になる。
「何はともあれ、朝餉でもいただくか」
「あ、食べる前に俺に供えてくれ」
「うん、そうだね」
「ありがとう」
「その、幽霊とかって味とかわかるの?」
「分からないけど、供えられるとなんとなく満腹感を抱く。悪霊にならないためにも、定期的に供養とか、お供えとか、いると思う」
「そうなんだ。いつも薔薇の花を供えて、お酒を墓石に注いでいたけど、どうだった?」
「ああ、よかったぞ。幽霊なのに酔ってた」
「幽霊って、酔うんだ・・・・」
「何せ、隊長の落ちる場所は色のない世界。じご・・・・と、なんでもない」
「浮竹?」
「甘味屋へ行きたい」
行ってもいいが、幽霊の浮竹は目立つだろう。そう思ったが。
「ああ、俺はお前以外に見えないから、大丈夫」
「そうなの」
京楽は、いつもよりテンションが高めで、七緒に熱でも出したんじゃんいかと言われたほどだった。
壬生の甘味屋へいく。
白玉餡蜜一人前と、おはぎを3個頼んだ。
「僕だと、これくらいしか食べれないけど」
まずが浮竹にお供えした。
「すまん、京楽!」
浮竹は、すぽっと京楽の体の中に入った。
「ええ!?」
京楽の意識があるのに、体が勝手に動く。
もぐもぐと、美味しそうに食べる。浮竹が。体を共有することで、味もわかった。
浮竹は、満足して京楽の体から出て行った。
「そうか。他人にはとり憑けるんだ・・・・・」
「ちょ、僕以外にはとり憑かないでよ」
「ああ、それは大丈夫。お前以外にとり憑いても、お前が困るだけだろう?」
「うん」
ずっと、虚空と話しをしていたので周りの客から奇異の目で見られていて、それに気づいた京楽が、勘定を払って外に出た。
「僕だけに見えるってほんとなんだね」
「嘘をついてどうする」
「何はともあれ、お盆の間は話ができる、そう思っていいんだね?」
「ああ」
何気ない幸福なお盆の日は、あっという間に過ぎて行った。
「もう、盆も終わりだな。そろそろ戻らないと」
「戻らなかったら、どうなるの?」
「虚に落ちる。駆逐されたあとは霊子の渦に還って、新しい命となる」
「そうか。このまま傍にいてほしいけど、虚になられるわけにもいかないしね」
「心配するな。また、来年の盆も帰ってくるから」
唇を重ねると、少しだけ触れた感覚があった。
「お前の霊圧をずっと浴び続けていたせいか、少しだけ実体化できるようだ」
「じゃあ、実体化してほしいな」
「いいぞ」
目の前に、生前となんらからわぬ浮竹がいた。
京楽は、浮竹に抱き着いた。
「愛してるよ、十四郎。君がいないこの世界は寂しい」
「俺も愛してる、春水。でも、俺がいなくてもやっていけたじゃないか。また来年もくるから、それまで頑張れるか?」
「うん・・・・・僕、頑張るよ」
触れるだけの唇を重ねた。
すーっと、浮竹の体が溶けていく。
「待って!」
「ごめん、時間切れだ。戻る。愛してるぞ、京楽」
浮竹は、笑顔で消え行った。
「ばいばい、浮竹・・・・また、来年」
一度失った恋人を、また失ったかのようなショックだったが、また来年も会いに来てくれるという。
それまで、またがんばろう。そう思う京楽であった。
焦り
天井の高い洞窟の中で、一人黙々と卍解の修行に励む日番谷を見て、浮竹は思う。
若いな、と。
藍染に、結果的に護廷13隊は勝てなかった。
勝ったのは、一護。その一護ですら、不死の体になった藍染を殺すことはできず、浦原がしかけた封印を基本に、藍染は五感の全てを封じられて、2万年の投獄がきまった。
無闇という、光も音さえもない場所に今は封印されている。
雛森を守り切れなかったことが、よほど堪えたのだろう。日番谷はいつも真っすぐで、ひたむきなまでに純粋に強さを求めている。
それは、浮竹がなくしてしまった心でもあった。
強さはもっている。それをなくなさいように、落とさないように鍛錬はする。でも、もう高みに登ろうとしても、剣の腕はそれ以上あがらず、鬼道の腕も変わらずだった。
いつの頃からだろうか。
「強く」あろうとすることを諦めたのは。精神的には諦めてはいないと思う。鍛錬し、より高みに登ろうとしても、年とそして病弱さと肺の病が、それを許してくれなかった。
強くなろうとして、自分を追い込めば追い込むだけ、病に蝕まれる。
若かりし頃は、それでも鍛錬しまくり、病を克服したかに見えた。けれど、不治の病はじわじわと浮竹を侵食していく。
「俺ももう一度、ああなりたいな・・・・・・」
帰り道を歩いていると、ふわりを抱き寄せられた。
柑橘系の香水の匂いで、ああ京楽かと、振り向く。
思った通り、京楽がいた。
「何、一人で黄昏ちゃって」
「ああ、日番谷隊長の自己鍛錬を見てたんだ。卍解してた」
「日番谷隊長は、藍染にこっぴどくやられたからね。桃ちゃんも、日番谷隊長が刺しちゃったし」
未だに、意識の戻らぬ重篤な雛森を思う。
「日番谷隊長は、強くなるね。あの子はまだ子供だ。大人になったら、どれだけの腕になるか、今考えるだけでぞっとするよ」
「お前も強いしな」
「どうしたの。褒めても、何もでないよ」
クスリと、笑みを零す京楽。
「いや。俺も強くありたいものだと思って」
「浮竹は十分強いよ」
「でも、藍染たちと十刀(エスパーダ)の戦いでは、お前はスタークをやっつけたのに、俺はただ子供にやられただけだった」
「ワンダーワイス。あの子は特別仕様だったんだよ。対総隊長用だ。気に病むことはないよ」
「それでも・・・・」
それでも、もう少し力になりたかった。
「なぁ、京楽」
「なんだい」
「久しぶりに、切り合いをしないかい」
「おいおい、本気かい?」
「さすがに斬魄刀を使うわけにはいかないから、木刀にはなるが」
「まぁ、構わないけど・・・・・」
それから1時間ほどして、浮竹と京楽は、木刀を手に草原に佇んでいた。
「破道の4、白雷」
「甘い!」
雷を避けて、踏み込んできた京楽に、蹴りを入れる。
「ちぃっ!」
浮竹が子供の頃に自分の身を守るために覚えさせた蹴術は、すでに自己防衛の域を出て、敵を倒すために在るようになっていた。
キンキンカン。
木刀で何度も切り結びあう。
これが斬魄刀だったら、お互い体中にいたるところから出血していただろう。
「滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧きあがり・否定し・痺れ・瞬き 眠りを妨げる 爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ!破道の90・黒棺!」
浮竹は、切り結びあいながら詠唱を完了させた。
巨大な重力を帯びた、黒い箱が天から降ってくる。
それをまともに受けて、京楽が地面に膝を立てる。
「ぐあああああ・・・・ぬおおおお!」
腕力と脚力で立ち上がり、90番台の破道をかき消した。
でも、その時には浮竹の竹刀が、京楽の首につきつけられていた。
「降参。僕の負けだよ」
「本気じゃなかったろう?」
「そんなことないよ。本気で戦ってた」
「でも、殺そうとまでは戦っていなかった。俺は殺そうという勢いで戦った」
「浮竹・・・・何をそんなに焦っているんだい?」
「俺は別に・・・・・」
すとんと、その言葉が胸に落ちた。
何もできなかったことを後悔して、焦っているのだ。
「はははは・・・・・京楽のお陰で、すっきりした」
「なにがなにやら・・・」
浮竹は、京楽の腰を抱いて瞬歩で雨乾堂まできた。
そして中に入ると、京楽を押し倒した。
「ちょ、ちょっと浮竹・・・・・」
浮竹は、ぺろりと自分の唇を舐めた。
「情欲してるの・・・・?」
「そうだと言ったら?」
「ああ、わけがわからないけど、君が情欲するのは普段ないから」
キスを浅く深くしながら、互いに着ている隊長羽織と死覇装を脱がせていく。
「あっ」
首筋にぴりっとキスマークが残された。
「見える場所に痕をつけるな」
「いいじゃない。どうせ、みんな知ってるんだし」
「それでもだ・・・・んんっ」
ぺろりと、胸から臍にかけて舐められる。胸の先端をはじかれて、ぴりっとした電流が流れた。
「あ!」
「相変わらず感度はいいね」
「うるさっ・・・・ああ!」
潤滑油に濡れた指を体内に侵入させられて、浮竹の息もあがっていく。
「あ、あ、あ・・・・・・ひうっ」
こりこりと、前立腺のある場所をひっかかれた。
とろとろと先走りを出していた浮竹の花茎に手をそえてしごくと、けっこうな量の白濁した液がでた。
「最近してなかったから・・・溜まってたんだね」
「はあっ・・・それは、お前もだろう」
指をひきぬかれて、熱い雄があてがわれ、一気に貫かれた。
「んああああ!」
ぎちりと締め付ける中を堪能するのは久しぶりで、藍染との戦いが終わってから、期間にすると1か月以上交わっていなかった。
前立腺をすりあげながら、奥をつきあげていく。
「はうっ」
中を抉り、角度を変えて貪ると、中が締め付けられた。
「んっ・・・・・・僕もいくよ」
「あ、一緒に・・・・好きだ、春水」
「僕も大好きだよ、十四郎」
愛を囁いて、浮竹の腹の奥に、子種を出した。
かなりの量をそそがれて、ひきぬくととろりと白い液体がでてきた。
「お前も、かなり我慢してたんだな」
「本当は、もっと求めあいたいけど、生憎仕事が残ってるしね」
「ああ、俺もだ」
二人で湯あみをして、湯の中で互いにぬきあって、その日は終わった。
「そうか・・・俺は焦っていたのか。皆に後れをとるまいと」
まだまだ、現役の隊長である。
その力は確かなものだ。
「京楽のお陰でスッキリした」
京楽が、仕事を終えてもってきたおはぎを口にしながら、そう一人ごちた。
京楽は、昼に抱いた浮竹の体調が悪くなっていないかを確認した後、おはぎをおいて、お茶だけ飲んで帰ってしまった。
「今度、礼を言いに行くか」
わかめ大使でももって。
窓から空をみあげると、三日月が笑っていた。
残った傷跡
100まである鬼道の全てを一字一句間違えないように暗記した後、100ある縛道を同じように一字一句間違えないように記憶し、数日かけて暗記を繰り返した後で、テストを行われる。
浮竹や京楽クラスになると、詠唱を破棄してもそこそこの威力を出すが、鬼道の正確な暗唱を蔑ろにしてはいけない。
90番台になれば、果てしなく長い詠唱が待っている。それを200個、短期間で覚ようとするには無理があるが、その日を境に少しずつ覚えていくのだ。
浮竹は、特進クラスで出されたそのテストを100点満点で通過した。
テストの点が悪かった場合、補習もあるのだ。
京楽はというと、85点。
鬼道は使えるが得意というわけでもなく、詠唱のほとんどを破棄して覚えていたための点数だった。
次は、実技テスト。
これは浮竹でなく京楽も高い点数を出した。
詠唱破棄で、的を粉々にする。
教師たちがこそこそと話しをする。
「末恐ろしい生徒たちだ」
後に、学院からはじめての隊長格となる、京楽と浮竹の若かりし日があった。
「なーんかさー。最近つまんないね」
「何がだ?」
「なんか、周りと差ができちゃってさ。昔はわいわいしてたけど、今は指をさされて「ああなりたい」とか言われる始末じゃないか」
「友人は、けれどいるだろう?」
「いるけど、すでに護廷13隊の席官クラス入りって決まってるから、どこかよそよそしいんだよね」
今は、5回生だった。
ごろりと、校庭の芝生の上で寝転がっていた。
今は授業は自習で、まだ遅れている生徒たちは、死神に、護廷13隊に入りたいと死にもの狂いで鍛錬している。
それを、こうやってのどかに青空なんて見上げている二人を妬む者もいるのも事実だ。
「下級貴族のくせに・・・・・」
上流貴族の、ある男が、浮竹と喧嘩をした。
下級貴族のくせに、護廷13隊入りの席官クラス入りなんて間違っていると言い出したのだ。同じ上流貴族の京楽が止めに入ったが、京楽にも刃の先を向けた。
「背後から根回しして、きっと金の力だ!」
そう言い出す男に、京楽は。
「そういう君こそ、金の力でどうこうしようとしてできなかったんじゃないの」
そう図星を言い当てて、怒らせまくった。怒りの果てに、浮竹に鬼道をあてて、浮竹は1週間の怪我を負った。
無論、将来の有望な優秀な生徒に怪我を負わせたことで、1か月の停学を食らっていた。
「ねぇ、君、もう一回見せて?」
草っぱらに寝転びながら、京楽が半身を起こして、隣で同じように寝転がっていた浮竹を見る。
「え?昨日も見せただろう?」
傷跡のことだ。
うなじの普段は見えないあたりに、傷跡が残った。火傷の、ひきつれた後の皮膚に、やっぱりと、京楽は思う。
「4番隊の子に知り合いがいるんだ。傷跡も消してくれるらしいし、行かない?」
「俺は別に・・・・・うなじだし、別段見えるわけでもないし」
「髪の毛くくったら、見えちゃうでしょ!いいから一緒にくるの!」
その日は、自習になった授業以外は、遅れている生徒の指導の授業が入っているため、優等生である浮竹と京楽は自由だった。
さわさわと、緑が風で揺れた。
長くなった白髪が揺れて、白いはずのうなじに残ったひきつれた傷跡が目立った。
「行こう」
半ば無理やり、浮竹を伴って4番隊の隊舎までやってきた。
「4席の子呼んでくれるかな。京楽春水って名前だすと分かるだろうから」
「え、あ、はい・・・・・・」
出てきたのは隊長だった。
「隊長の卯ノ花烈です。今4席は生憎と、故郷に戻っているので、代わりに私が要件を聞きましょう」
まだうら若い女性なのに、もう隊長とは。
緊張しながらも、浮竹の傷跡を治してくれと頼むと、卯ノ花は手を浮竹のうなじにあてた。
ぽうっと、白い光が出て、浮竹のうなじの傷跡は綺麗に消えてしまった。
「学院の子たちですね?」
「あ、はい」
「はい」
「いつか時が廻れば、同じ隊長として護廷13隊に在るかもしれませんね」
ふふっと微笑んで、卯ノ花は去って行った。
「なんか・・・・不思議な人だったね」
「俺は母性を感じた」
「お母さんって呼びたくなったよ」
「それは失礼だろう。年はそんなに大きく変わっていないだろうし」
学院に戻ると、綺麗に消えた浮竹の傷に京楽は満足して、寮の自室にもどった。お互い4回生までは同じ部屋だったのだが、5回生から一人部屋に移動していた。
「今夜、泊まってもいいかい?」
「ああ、いいぞ」
酒盛りをした。
浮竹が酔い始めたことで、酒盛りは終わる。
そっと、ベッドに寝かせられた。
大切なものを扱うように、壊れものを扱うように、触れてくる。
「京楽、俺は硝子細工じゃない。もっと乱暴にしても構わない」
「浮竹・・・・」
口づけが、浅く深くまじりあう。互いの服を脱がしあった。院生の服が、ぱさりとベッドの下に落ちる。
「ん・・・・・・」
浮竹は、キスが好きだった。
「もっと・・・」
急かされるままに、口づけを繰り返す。
背骨のラインをたどる手が、鎖骨に移動して、そこにキスマークを残された。
「あっ」
胸の先端を口に含まれて、舌で転がされ、反対側は指でつままれた。
「んっ」
浮竹の花茎に手をかける。
「ああ!」
口腔にいれられて、指とは比較にならない快感が襲ってくる。
「や、きょうら・・・く・・・ああっ」
刺激に弱い浮竹は、あっという間に射精してしまった。
潤滑油で濡れた指がはいってくる。こりこりと前立腺を刺激しては狭い蕾を解していった。
「んう」
暑い灼熱があてがわれる。
ズズっと、入ってくる音が分かった。京楽は、一気に貫くか、ゆっくり挿入してくるかのどっちかしかない。今回はゆっくりのほうだった。
先端が入ると、後はスムーズに入った。
「あ、あ、あ・・・・・・・・・」
奥まで入れられて、揺さぶられた。
「んっ」
前立腺をこすりあげて、奥まで入ってくる。
「京楽・・・キスを・・・・」
行為の最中も何度もキスを繰り返した。
「ああ!」
狭い入口に指までいれられた。
「ひう、むりっ!」
ゆっくりと、体内に埋め込まれる。
「ああああ」
ぎちぎちと、限界にまで広げられら蕾から指をひきぬくと、少し余裕ができた。
そこを狙って、何度も穿たれた。
「んあああ!!」
「浮竹・・・一緒に、いこう」
ぐちゅぐちゅと内部を侵す雄は、硬くて力強くて。
「んーー!」
キスをしながら、浮竹は自分の腹にむかって精を吐き出していた。
「んんっ」
京楽の果てた熱が、内部に広がる。
「ん・・・・・・はあっ」
「愛してるよ、十四郎」
「俺もだ・・・・春水」
舌を絡ませあいながら、また求めあった。
若いので、京楽の欲望もすぐに硬くなった。
二度目の精を放つころには、浮竹は体液にまみれてドロドロになっていた。
いきすぎたせいで、目がトロンとなっている。ドライのオーガズムでも何度かいっている。
「湯あみにいこう」
「んっ」
だきあげられて、バスタオルを片手に、備えつけの浴槽に湯をはって、浮竹を洗い清めた。
「キスを・・・・・・」
「浮竹は、キスが好きだね・・・・・・」
何度もせがむたびにキスをした。
浮竹の放ったものをかきだして、体も髪も洗って、風呂からあがった。
「ちゃんと、かわかさなきゃね」
肩より少し長い浮竹の髪の水分をバスタオルですいとる。
「やっぱり、傷跡なくなって正解だね。あんな傷跡、君には似合わない。うなじは白くて綺麗なままの今がやっぱりいい」
ふと、4番隊の隊長を思い出す。
卯ノ花烈。
その後、学院を卒業し、8番隊と13番隊の3席になった二人は、卯ノ花烈とまた会うことになる。さらにその50年後には、京楽も浮竹も、8番隊と13番隊の隊長にまで登りつめた。
卯ノ花烈は、ずっと死神だった。
若く見えたが、もう浮竹や京楽が隊長になる数百年も前から、隊長を務めているという。
「あの頃の坊やたちが、今はこうして肩を並べて一緒に隊長をしているは、何かの縁(えにし)でしょうか」
「卯ノ花隊長、坊やはやめてくれないかい。未だに山じいにまで子供扱いされるし」
「卯ノ花隊長は、花があっていいな」
「ふふふ、お世辞として受け取っておきますね」
浮竹は病弱でよく肺の発作を起こすため、卯ノ花とは個人的に交流があった。
京楽も、そんな浮竹を抱き抱えてよくやってくるでの、卯ノ花のことを信頼していた。
死剣・卯ノ花烈。その正体が明かされるのは、遥かなる未来。
熱しやすい一護と冷めた白哉
相変わらず白哉とは、嫌がらせをしたりされたりだ。
まぁ、平穏な日常だろう。
一護は、今日の朝は寝坊してしまって、一人だけ朝食が遅くなった。ドッグフードがでてきたが、無言でそれを白哉の部屋にばらまいて、厨房にいって自分の食べるはずだったメニューをかっさらっていく。
「困ります、一護様。白哉様から、ドッグフードを食べさせろと申し上げられているのです」
「白哉にウンコたれと言っておいてくれ」
「そんな殺生な」
まぁ、一護の嫌がらせに失敗した家人を怒るほど、度量の狭い白哉ではないので、普通の朝飯を食堂でとった。
「9時半か~ルキアのやつ、起こしてくれればいいのに」
見事に、目覚まし時計も止められていた。
死覇装をきて、左肩に副隊長の証をつけて、瞬歩で13番隊の執務室までいった。浮竹隊長の代では、雨乾堂があり、そこで療養所と執務室と隊首室を兼ねた庵があったのだが、今は取り壊されて、その後に浮竹の墓石があった。
大戦のせいで、命を落としたのだ。敵にやられたわけではない。神掛をおこない、病をとめていたミミハギ様を解放し、ほぼ自死に近い。
13番隊の隊首室と執務室は作られたばかりで、木のいい香りがした。
「わりぃ、寝坊した」
ルキアはすでに仕事を4分の1は片づけていた。
「いつまで寝ているのだたわけが。自分で起きる癖ぐらいつけろ」
「いやぁ、現世のくせがなかなかぬけなくてな。大学はいつも9時半から授業だったから。真央霊術院もそうだったし」
「たわけ、そこに座れ。今日のお前の仕事は事務作業と、13番隊隊舎の裏の雑草むしりだ」
「事務作業は分かるけど、雑草むしりってなんだよ。平隊員にやらせればいいだろうが!」
一護が叫ぶが、ルキアは冷静だった。
「無論やらせる。席官も、私も、全員で草むしりだ」
「どんだけ土地広いんだよ」
「此度はユーハバッハによる戦火で、食料事情も乏しかったからな。13番隊の裏の土を耕して畑をつくるのだ。13番隊の他にも、自給自足を推進している隊はある」
「自給自足ねぇ。朽木には無縁な言葉だな・・・・・・」
「何を言う!我が家で出る卵は、かっている鶏のものなのだぞ。そのえさも、サラダに出てくる野菜も、朽木家が自家栽培しておるのだ!・・・といっても、規模がでかすぎて、自給自足というか、市場マーケットを独占しておるが・・・・・・」
白哉は、金を腐らせているわけではない。いろいろと投資して、利益を得ているのだ。
「白哉のやつ、そういう場所に視察しにいったりはするのか?」
「ああ、年に2回ほどな」
「そうか」
思ったより、真面目らしい。4大貴族であるが、驕り高ぶらず、けれど気品のよさは保ったまま・・・・そんな白哉だからこそ、ルキアも好きなのだろう。
そうだ。帰ったら、白哉の頭に生卵をぶつけてやろう。そうほくそ笑んでいると、ルキアがじとーっとした目線で見てくる。
「な、なんだよ」
「貴様今、兄様に何かしようと企んだのであるまいな?」
「んなわけあるかよ。旦那を信じろよ」
「しかし、人の悪そうな笑みを浮かべていたぞ。何かいたずらを思いついた子供のような」
「気のせいだ」
「そうか?」
執務室で、二人で仕事をしてていた。書類を手分けして、整理していく。
お昼休みになった。
13番隊の食事ではなく、ルキアと一護には朽木家からきた料理人が料理し、メニューを出してくる。ルキアのは寿司のフルコースだった。一護のは、白ご飯を平らにもった上に、梅干し一つの、いわゆる日の丸弁当だった。
「おい。調理した料理人のところに案内しろ」
「ひいっ」
メニューをもってきた給仕係も連れて、料理人のところにくると、白哉の命令は聞かずに俺の飯をちゃんと普通のものにしろと命令した。しかし、当主は白哉なので、逆らえないようだった。
仕方ないので、ありあまっていた材料で適当にご飯を作ってもらった。
ありあわせのものであったが、猫まんまやドッグフードや日の丸弁当よりはましなものを食べた。
昼飯を終わり、自由時間になって、一護はルキアを抱き寄せた。
「なぁ、ルキア」
「なんだ、くすぐったいぞ」
「子供ほしくねーか?」
「ききき貴様、なななな何を!?」
「いや、俺たち普通に体重ねてるじゃんか。子供、二人くらいできればいいなーと思って」
「そればかりは、神頼みだな・・・・だが名はすでに決めておるのだ。女なら苺花、男なら一勇だ」
「両方うまれるといいな」
キスをした。ただ、職場ではハグやキスはできても、それ以上はできないので我慢する。
「今日の夜、いいか?」
ルキアの細い腰を抱き締めながら、耳を噛むと、ルキアは真っ赤になりながら小さな声で
「好きにしろ」
と答えた。
お昼の後は、13番隊の死神総出で、空き地だった場所の草むしりをした。
久しぶりの土いじりに、一護も夢中になった。
「お、バッタ発見。ほれほれ、ルキア」
「ひいい、虫は、虫はやめろ!」
「隊長は虫がお嫌いなのか」
そんな声が、隊中に広がる。
「みみずなんてどうだ?」
「ひいい、にょろにょろしてきもち悪い!」
けっこう、ルキアって普通の女の子の反応で、それがかえって新鮮だった。
6時になり、死神の業務は通常のものは終わりとなった。ルキアと二人、並んで朽木家の岐路につく。途中で、市場で卵をかった。できるだけ古そうなものを。
「卵など、どうするのだ?」
「なんでもねーよ」
適当に誤魔化して、朽木家について、白哉の霊圧を探す。まだ帰宅していないようだった。
なんとか最近習得した、霊圧を0にする方法を試す。
「一護?霊圧なぞ消して、何をしておるのだ」
「ああルキアはいいから、先に湯あみでもしておいてくれ」
「ふむ、分かった」
白哉の霊圧が近づいてきた。
間近まできて、とりゃっと卵を投げてやった。
それを白哉はさけて、後ろにいた恋次を前に押しやって、その顔に炸裂した。
「なんだこの卵・・・うわっ、腐ってるじゃねーか!」
かまうものかと、卵をぽいぽいと、白哉に向かってなげるが、全部回避されて、その全部が恋次に命中した。
「ふ、この程度。浅はかだな、一護よ」
「ムキーーー!」
「それはこちらの台詞だバカ野郎!腐った卵まみれになっちまったじゃねーか!どうしてくれるんだ!」
「あー、俺の死覇装かしてやるから、湯あみでもしてこい」
「朽木隊長に用があるっていわれてついてきてみれば、ただの盾代わりかよ!」
この人はと、ぶつぶつ言い出す恋次。
「湯あみしてこい」
恋次をおいたてる。
「そういや、何か忘れているような・・・・?」
湯殿で、恋次とルキアはかちあった。
「ぬおおおおおおルキア!?」
「ぎゃああああああ、何故恋次が朽木家の湯殿に!」
桶でぼこぼこにされて、恋次は湯に沈んだ。
裸体をみられぬようにと、バスタオルで隠しながらあがって、一護に詰め寄る。
「入浴中なのに、恋次が入ってきたのだぞ!どういうことだ!」
ぷんぷん怒るルキアは可愛かった。
「いや、なんつーか手違いがあってな」
「他の湯殿もあるではないか!」
朽木の本宅には、3か所湯殿があった。だが、いま湯がちょうどいい具合にわいている場所は、ルキアと恋次が入った湯殿くらいであった。
「悪かった俺の手違いだ」
「貴様は、妻の裸を自分の友人に見られても平気なのか!」
「平気なわけねーだろ!」
ルキアを抱き締める。ルキアは小声で「おおうつけ者」といって、静かになった。
結局その日の晩は、なせか恋次も食堂にいて、普通のメニューの夕食を食べた。
「じゃあ、俺は帰るからな。腐った卵まみれになった俺の死覇装、ちゃんを洗って返せよ!」
洗濯を、専門の侍女にしてもらう。
白哉は、飼っている猫の琥珀を膝の上に抱きかかえながら、一言。
「阿呆が」
一護は、立ち上がった。
「バーカバーカバーカバーカ!馬の脚で蹴られて死んじまえ!このおたんこなす!」
「ふ・・・・・」
「ムキーーーーー!いつかぎゃふんをいわせてやるー!」
「ぎゃふん」
抑揚のない声で、白哉がいう。
「ムキーーーーーー!!!!あったまくるーーーーーーー!!」
その日は、頭に血が上りすぎて、結局ルキアとは一緒に眠るだけだった。
あなたの写真でナニをする
京楽は、笑んでいた。
べランダに身を潜めていた。
風呂上がり姿の、浮竹の半裸の姿ばっちりカメラで撮った。
何枚も写真を撮った。これをおかずに、ナニをするのだ。
ネガを奪われないように、ベランダの隅にこっそりおいて、部屋に戻る。
「うわあああ、京楽いたのか!」
パンツ一丁の浮竹は、京楽を蹴って、毛布を被った。
「くそ、いないと油断してしまった」
毛布の下で、こそこそと衣服を身に着ける。ちょっと難しかったが、京楽と共同生活をしているうちに身につけて、もう慣れてしまった。
院生の服に着替えると、浮竹は毛布をベッドの上に置いた。
京楽がもっていたカメラを没収し、中のネガをとりだしてだめにした。
でも、浮竹は知らない。そのネガはフェイクで、本物がベランダの床の奥にあるなんて。
「でゅふふふふふ」
「きもいから、その笑いをやめろ」
「マイスウィートハニー!」
ばきっ。
京楽の腕に飛び込むようにみせかけて、顎を殴った。
「おおう、愛が痛い・・・・・そんなに照れなくていいんだよ、浮竹」
「これが照れているように見えるか」
「見える」
「お前の目は腐っているな」
「でゅふふふふふ」
「ああ、もういい。夕飯を食べに行くぞ」
「(^O^)/はーい」
その日の夕食は、ホルモン焼きだった。全体的に内臓系の肉系は苦手な浮竹は、げっそりした。
無理に食べたくないので、デザートの梨のタルトだけを食べていた。
「僕の分も食べなよ」
結局、京楽にほぼ全部をおしつけて、梨のタルトと飲み物だけで我慢した。
幼い頃は、もっと飢えていたので、これくらい平気だった。
京楽は、浮竹が内臓系の肉が嫌いなのだと初めて知った。
途中、売店でサンドイッチを購入する。
「これ、食べなさい」
「いいのか?」
「うん」
こういう優しい紳士なところがあるから、変態でも京楽の傍にいたくなるのだ。
寮の自室に戻り、サンドイッチを口にする。あの売店のご飯はまずいと有名なので、そのサンドイッチもまずかったが、空腹を抱えているよりはましだった。
「今度から、ホルモン焼きとかの飲み屋にいくのはやめよう」
時折、飲みに行く店で、ホルモン焼きの店も選んでいた。浮竹はそんな時、酒ばかり飲むので、ホルモンが嫌いだとは思わなかった。
「すまない」
「いいんだよ。それより、初めに素直に言ってくれればいいのに。ホルモンが苦手だって」
「だって、こんな年で好き嫌いがあるのはみっともないだろう」
「そんなことないよ。嫌いな食べ物なんて、誰にでもあるよ。なんでも食べれるって人もいるけど、その人にだって苦手な食べ物くらいあるだろうし」
桃の天然水を飲み干して、浮竹はとってあった苺のキャンディを口にいれた。
こいこいと、指で京楽を呼ぶ。
抱き着いてくる京楽にキスをして、口の中の苺のキャンディをあげた。
「これはおいしいね」
「故郷で、売ってる飴だ。人気があって、なかなか入手しづらいから、実家に帰った時くらいしか買えないが」
この前、京楽が浮竹の親に息子さんを下さいとか言い出した時に、買っておいた飴だった。
4袋くらいかったのだが、もう残り1袋のうちの半分になっていた。
時折口にするのだが、美味しさについついもう1つと指が伸びてしまう。
その日の夜は、静かだった。
いつもなら寝る間際まで京楽がうるさいのだが、何かこそこそしているなと思ったら、ベッドの中で自虐しているらしかった。
こいつ・・・・と思いながらも、まぁ個人の自由なので許した。
しかし、その自虐するおかずが、浮竹の今日の湯上りの写真であるのを確認して、バキボキと指の関節を鳴らす。
「(*´Д`)ハァハァ」
「おい、京楽」
「うわあ!」
ぽろりと、息子さんを見せられた。
いそいそとそれをなおして、京楽は一緒におかずにしていた浮竹の、この前なくしたお気に入りのパンツを(*´Д`)ハァハァと口に含んでいたのを外して、こう言う。
「一緒に、えっちしたいの?」
「お前は今日はベランダで寝ろ!」
「ああ、殺生な!」
ベランダに追い出して、窓を閉めて鍵をかけた。
しばらくの間、どんどんと窓を叩いていたが、無理だとわかって素直にベランダで横になって眠りだす。こんなこともあろうかと、べランダにはいつも毛布が干されてあるのだ。
それを被っていた。
「はぁ・・・・少しはいいやつと思った俺がバカだった」
浮竹の溜息は、夜に紛れていった。
アニメ5話補完話
目の前の強敵を睨みつけて、浮竹は敬愛する山本総隊長を思う。
「今頃、京楽は無事だろうか」
多分、自分と同じように、強敵に悩まされている頃だろう。
一方の京楽は。
「山じいが本気で怒ったね」
右目と右耳からの出血が止まらない。
なんとか形だけ回道を唱えて止血を試みるが、芳しくない。
「浮竹は大丈夫だろうか」
自分のように、取り返しのない傷を負っていなければいいが。右目はもうだめだ。多分、移植手術でもしない限り、光を戻しそうにない。
そんな時間は、ありはしないのだ。
せめて、黒崎一護が来るまでは。
早く来てくれ、一護君。
早く来てくれないか、一護君。
3人の想いは交差する。
山本元柳斎重國とユーハバッハの戦いが、幕を開ける。
その変態の名は
上流貴族京楽家の次男坊。死神の通う学院の3回生。
成績優秀、眉目淡麗、鬼道の腕も剣の腕もある。
将来は護廷13隊席官入り間違いなしといわれている人材であるが、現在のところ同じ護廷13隊席官入り間違いなしと言われている浮竹に付きまとう、ただの変態であった。
朝起きると、京楽は浮竹のパンツを被っていた。それを没収すると、こう言い出した。
「浮竹~~~これつけてよ~」
猫耳をちらつかせてくる京楽。
「大丈夫、ちゃんと写真に収めるから・・・おぶっ」
頬をはたかれて、それでも京楽は迫る。
「ねぇねぇつけてよ。つけてくれるだけでいいから。つけてくれないと、寝込み襲うよ」
マジな顔で脅されて、浮竹は大きなため息をついた。
「一度だけだからな!」
京楽の目の前で、浮竹は猫耳のカチューシゃを装着した。
「ああ、いいね、いいね!こっちむいて!」
パシャパシャと、写真を撮っていく京楽。
「にゃあって、言ってくれたら僕、いっちゃうから」
「にゃあ」
「ああああああああ!きたーーーーーーーーー!」
声まで、録音してあった。
「今日から、このにゃあって声、目覚ましにセットして起きる。ああ、僕もいっちゃいそう・・・浮竹、キスミープリーズ」
そんな京楽を蹴り飛ばして、浴室に向かわせる。
京楽は、息子さんがたっていた。
こんな猫耳、もういらないとばかりに、床にたたきつけた。
猫耳をつけたままなんて、浮竹まで変態の仲間入りだ。
浴室では、京楽が一人(*´Д`)ハァハァと荒い息をつきながら。息子さんをいじっていた。
「今日の浮竹は素直だ・・・・チャンスあるかも!」
浴室から出てきた京楽は、もう猫耳姿でない浮竹に、涙を流す。
「どうして外してしまったんだい。似合っていたのに」
「こんなもの、似合ってたまるか!」
猫耳を投げてよこして、浮竹はこういった。
「お前もつけろ」
「ええ、無理だよ。僕には似合わないよ」
「いいから、つけろ」
斬魄刀をもちだして、脅すと、京楽はこくりと頷いた。
浮竹のつけていた猫耳をつける。
「ははははははは、似合ってるぞ。すごくきもい」
その姿を写真に収めた。
「俺が身に着けていたんだ・・・・肌身離さず、身に着けていたいだろ?」
「そういえばそうだね。ああ、そう思うだけでたっちゃいそう」
「それから、語尾にはにゃあをつけること。これを守ったら、1日添い寝してやる」
「え、まじかい・・・・・にゃあ」
「さぁ、食堂にいくぞ」
「え、この格好でにゃあ?」
「お前ならいける!すごく似合っているぞ、京楽にゃあ子!」
「うーん。まぁ、浮竹がそういうにゃら」
ざわざわ。
京楽の姿はとにかく目立った。
ただでさえ一番がたいがいいのだ。浮竹の身長もそこそこあるが、それより頭一つ分ほど背が高い。190センチをこしている。おまけにもじゃもじゃだ。
そんな京楽が猫耳をつけていて・・・・。
はっきいって、似合ってなかった。かなりシュールだった。
「おい、浮竹。京楽のやつ猫耳なんてつけて、どうしたんだ?」
「猫耳だけじゃないぞ。おい京楽」
「にゃんだい」
「うわー。きつい。俺の精神に500のダメージだ」
「うわぁ、京楽・・・・お前、浮竹に弄ばれてないか?」
「そんなことにゃい」
「うわぁ、やっぱり弄ばれてる」
いつもは、変態京楽をみんな遠目で見ているのに、なぜか今日の変態京楽は人気だった。
「にゃあにゃあ」
「猫まんまでもくうか?」
嫌がらせのつもりで、食堂のおばちゃんに頼んで味噌汁ぶっかけた猫まんまを作ってもらったのだが、京楽は嬉しそうにそれを平らげた。
「おいしいにゃあ」
「そうか。よかったな・・・・・・はっ。今、俺は京楽を見てかわいいと思ってしまった!?」
浮竹はショックを受けた。
猫耳をつけて語尾がにゃあとなる京楽をかわいいと感じるなんて。
「いかんいかん、正気に戻れ浮竹十四郎」
浮竹は、食事を終えると、京楽を連れて部屋に戻った。
「ご主人にゃあ。今日は一緒にねてくれるにゃあ?」
「誰が!」
「今日一日、これつけてにゃあとつけてたら、添い寝してくれるといったにゃあ」
「く、覚えてやがったのか」
「約束守らないと、今日浮竹がはいているパンツがすごいことになるにゃあ?」
「何をするつもりだ・・・・・」
「内緒にゃあ」
結局、その日は約束だと京楽のベッドの上で眠った。京楽は癖になったのか、にゃあにゃあいいながら、浮竹と眠った。
ただ眠るだけならいいのだが、全身を這う手に我慢できなくなって、脳天に頭突きをいれて静かにさせてから寝た。
次の日、浮竹は猫耳カチューシャを処分した。
すでに、京楽の浮竹抱き枕は、昨日京楽が撮った写真がプリントアウトされていた。
猫耳の、愛らしい浮竹の姿。
それを見るだけで、京楽はにまにましていたのだった。
6回生の君へ
長くなった白い髪が、風で乱れる。
気づけば、院生の6回生になっていた。
京楽と共に、己を磨いて、時には笑いあい、病で臥せる時もあったが、勉学に励み、鬼道を究め、剣の腕を磨いた。
どれも、隣に京楽がいたからだ。
きっと、彼がいなければ自分は病で、成長が止まっていたかもしれない。
「京楽、今までありがとう。これからもよろくな」
そう言って手を伸ばすと、「こちらこそ」と言われて手をとってきた。
ふいにバランスを崩した。
「危ない!」
抱き締められて、トクンと胸が高鳴った。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
この想いを、知られてはいけない。きっと、京楽の傍にいられなくなる。
「どうして、そんな泣きそうな顔をしているの?」
「本当に、なんでもないんだ」
そう言って、浮竹は走って去ってしまった。
「おかしな浮竹・・・」
次の日、熱を出して倒れた。
いつものように、京楽が部屋まで連れて帰ってくれて、世話を焼いてくれた。
「すまない。俺は、お前に何をしてやれるだろう」
「何を今さらいいだすんだい?こんなの、しょっちゅうじゃないか」
額のタオルをとりかえてくれる京楽の優しさに、眩暈がしそうだった。
8月の夏だった。
蝉の声がうるさかった。
浮竹のために無理していた京楽が、眠ってしまった。
自分が寝ていた隣の空きベッドに寝かせて、ずっとその寝顔を見ていた。
「京楽・・・・俺は」
触れるだけの口づけをしていた。
こんな想い、持つだけ無駄なのに。
京楽は、もうすぐ見合いをして結婚相手が決まるらしい。だからだろうか。秘めていた想いが、ぶわりとあふれ出した。
「京楽・・・・見合いをするなと、結婚をするなといったら、笑うだろうか」
「笑わないよ」
いつの間にか、京楽が起きていた。
かっと頬に朱がさして、逃げるように部屋を出て行こうとすると、手首をつかまれた。
「どこにいくのさ。また、熱がでたらどうするの」
「俺のことは放っておいてくれ!」
「そんなわけにはいかないよ」
京楽に抱きしめられていた。
「京楽?」
「いつ、気づいたの。僕が、君に密やかなる想いを抱いていることを」
「え」
浮竹にしてみれば、まさに青天の霹靂であった。
「京楽が、俺のことを?」
「そうだよ。知ってるから、君も僕のことを見てくれてるんだろう?」
「いや、知らなかった」
「あちゃあ、一人相撲かな。僕は君だけを見ていた。これからも、君だけを見ていたい。見合いの件はすでに断って破談にした。相手がしつこかったから、男にしか興味がないんだといったら、頬をはたかれたよ」
「京楽・・・京楽は、男でもいいのか?」
「ん。いいもなにも、浮竹は男でしょ。その浮竹に懸想しているんだから、男もいけるんじゃないの」
「俺に懸想・・・・・・」
「あ、気持ち悪かった?無理はしなくていいんだよ。ただ、僕が君のことを好きで大切にしていたいことを、知ってほしかっただけだから」
「俺は・・・・・!」
浮竹は、熱がぶりかえしそうなのも気にせずに、想いのたけを京楽にぶつけていた。
「ずっとずっと、お前が好きだった。お前の笑う顔を見るのが好きだった。他の女と遊び歩いている姿を見るのは辛かった。出会った頃から、少しずつ惹かれていって・・・今は、お前のことが大好きなんだ。好きすぎて死にそうなんだ」
「浮竹」
どちらともなしにキスをしていた。
「それは、僕が君を好きで、君も僕がすきだって、とっていいんだね?」
「ああ」
夏の、暑い日だった。
ミーンミンと、蝉の声がうるさかった。その日は、特に暑かった。
とさりと、ベッドに押し倒された。
「あ・・・・・」
窓から、少しだけ涼しい風が入ってきた。
お互い、汗まみれになりながら、服を脱がしていく。
「あ・・・・・・・」
「まさか、買っておいたこれを使う日がくるなんて」
京楽は、浮竹の流す汗をなめとりながら、全身にキスの雨を降らした。
脇腹をなであげられ、首もとを撫であげられ、薄い筋肉しかついていない胸を触られた。
先端をつままれると、ぴりっとした刺激が体中に走った。
「あ!」
「感度、いいんだね」
「京楽」
お互い裸になって、指を潤滑油のかわりのジェルまみれにして、浮竹の体内に埋め込む。
「ん・・・・きょうら・・・・ああっ・・・・ん・・・・」
ばらばらに動かされ、前立腺を刺激されると、コリコリとその場所をひっかかれた。
「うあ!」
熱が一点に集中して、どうしようもなくなる。
「先にいっとく?」
何をと言おうとして、その意味が分かった。
浮竹の花茎に手をかけて、しごく京楽の手が、すごい快感を与える。
「あ、いきたい」
鈴口に爪をたてられて、浮竹は吐精していた。
「ああっ!」
指が引き抜かれて行く。
かわりに、熱い灼熱が宛がわれて、そのまま引き裂かれた。
「あああ!」
痛みに、涙が出る。
「ごめん、痛いよね・・・・・でも暑くて、早く終わらせて水浴びでもしよう」
何度も浮竹に挿入し、引き抜いてはまた穿つ。
「あ、あ、あ・・・・・」
ぐちゃぐちゃと音をたてる結合部は、淫らだった。
浮竹も、京楽も、汗まみれになっていた。
こんな暑い日の、真昼間からすることではないのだが。
お互い、暑さを忘れて貪りあった。
「んう」
中を抉られて、まだ花茎に熱が集まりだす。
「ひあっ・・・・・ああ、あ」
最奥を突き上げて、締め付けてくる浮竹に満足して、京楽も浮竹の中に熱を放った。
「ごめん、いきなりやりすぎたね。初めてなのに」
「別に、いい。ただこの暑さ・・・・風呂場で水を浴びよう」
二人で、風呂場で浴槽に水をはって、水をかけあった。
あまり体を冷やしてはまた熱が出るからと、浮竹は早めにあがった。京楽は、しばらく水の中に浸かっていた。
ミーンミンミン。
蝉の声がうるさかった。
暑い夏の日の出来事。
灼熱の太陽を仰ぎ見ながら、二人でゆっくりと歩く。直射日光にやられがちの浮竹のために、傘を用意した。
ペットボトルから水分補給を大目にとりながら、歩いていく。
6回生の夏も終わり、学院を卒業して、死神になり、席官になり、副隊長になり、隊長になった。
それでも、二人は歩んでいく。
互いに隣に在りながら。
夏の暑さにやられないようにと気をつけながら、母校を訪れる。
講堂で、講義を開いた。学院からの初めての隊長二人の講義は人気で、人が多く入りきらなかった。
氷雪系の斬魄刀をもつ死神が、風を送ってくれているお陰で、講堂はすずしく、浮竹は倒れずにすんだ。
「僕も、氷雪系の斬魄刀ほしいな」
「便利なのは、夏場だけだろう」
「でも、一番厄介なのは夏じゃないかな。冬は着物を重ね着したりしたらなんとかなるけど」
ミーンミンミンと、あの時のあの日と同じように、蝉が鳴く。
「夏は暑くて当たり前。それでいいじゃないか」
「でも、浮竹は夏によく倒れるし」
「まぁ、否定はしない」
クスリと、笑みあって、母校を後にしながら、キスをする。
傘がつくる小さな日陰を追って、歩いていく。
尸魂界の夏は、現世に比べればましだが、それでも暑かった。
京浮は王道として恋白もあってもいいんじゃ?
容姿秀麗、性格は冷静沈着。護廷13隊6番隊隊長であり、4大貴族の朽木家当主。大金持ちの上流貴族であるが、あまり感情を表に出さない。喘ぎ声はきっと控えめ。恋×白があたりがオススメ。
浮竹十四郎。
容姿端麗、性格は人懐こく優しい。護廷13隊13番隊隊長であり、下級貴族の長男。8人の兄弟として育ち、金はあまりない。表情をころころと変えるが、肺の病をもっており、また体が弱く熱を出しやすい。喘ぎ声はけっこう大胆。京楽×浮竹が王道。
「うーん」
腐った松本の書いたそのメモを見る。
「うーん?」
自分の書かれていたメモは真実なのでいいが、白哉のメモは恋次×白哉ってどうなんだろうと思いながら、見ていた。
「あ、浮竹隊長、どうです?最近の私の思考なんですけど」
「これ見たら、白哉は千本桜を散らすな」
「やっぱり同人誌にして売り出すのは無理かしら・・・・」
「隠れながらなら、大丈夫じゃないか?」
「もうすでに3章まで書き上がってるんです!浮竹隊長と一緒においしくいただかれるシーンが・・・・ちょっと、どう打ったらいいかわからなくって」
「いや、俺と美味しくいただかれるシーンって・・・・京浮に恋白もまざるのか?」
「そうなんです、突然の恋白は飛ぶほどには売れないから、王道の京浮に入れながら慣れてもらおうと思って」
「うーん」
白哉がここにいたら、浮竹にも千本桜を散らしそうだなと思いながらも、アドバイスをだす。
「阿散井副隊長の人格をちょっとブラックすればいいんじゃないか」
「きゃ、ブラック恋次!上官を裏切り、巨額の富を自分のものとして、上官を性奴隷のように扱う・・・・・萌えるわぁ」
「いや、誰もそこまで言ってない・・・・」
「浮竹隊長も借金の方に売られて京楽隊長が買いとる・・・・むふふ、このネタで新作1本かけそう」
そして、冬コミはそのままのネタで小説を書きあげた松本が、京浮と恋白で新刊を2冊発売していた。
好評のようで、重版がかかるらしい。
「今期ももうけたもうけた」
ほくほくの松本は、その稼ぎの一部で浮竹を甘味屋まで誘ってくれた。
けっこうな量の甘味を食べたが、コミケで隊長の給料を上回る収入を得ている松本には、平気な額だった。
ふと、帰り道に白哉と会った。
松本はこそこそと逃げ出す。
「白哉、お前の同人誌は人気らしいぞ」
「私の・・・?兄は、何をいって・・・・松本副隊長、兄は、まさかまた私を題材に・・・」
松本は瞬歩で逃げ出した。その後を手加減を加えた白哉が追う。
一度まいたように見せて、松本が安心して自分の部屋に戻ると、先回りしていた白哉がいた。
「ぎゃあああ、朽木隊長」
「なんだこれは・・・恋次と?恋次と私が・・・私が性奴隷?恋次が私を一晩百万で買って・・・・」
ぺらぺらと、けっこう厚い小説の本を読んでいく。
「浮竹に京楽も・・・・・浮竹は性奴隷になり京楽に買われて・・・・・」
ぱたん。
本を閉じた。
松本は、せめてデータだけでもと、携帯をいじりだす。
「散れ、千本桜・・・・・・」
「もぎゃああああああ」
白哉が題材にされた同人誌と、そのデータを壊し、松本も一緒に攻撃する。
「あああ、あたしのお金がーーー」
塵になっていく同人誌に手を伸ばす。
煙をあげた携帯を見て、悲鳴をあげる。
「ああああ、大切なデータが!書きかけの恋白が!」
「兄は・・・・少しは懲りたらどうだ」
以前、白哉×浮竹の小説本を書いて、白哉にこてんぱんにされたのに、また自分を題材にした・・・今度は、あろうことが自分が受けで喘いでいる本を読んで、大変白哉は不機嫌だった。
「浮竹も京楽も、作り話だから何も言わぬだろうが、私は違う」
千の桜を操り、全ての同人誌を粉々にした。
「これにこりたら、もう私を題材にした同人誌とやらはかかぬことだ」
白哉は去って行った。
「ふふふふ・・・・・・こんなこともあろうかと」
地下のスペースに、パソコンを隠していた。
そこに、全てのデータがつまっていた。
「ふ、甘い」
「なんですって!?ぎゃああ、朽木隊長!」
「散れ、千本桜」
千本桜にやられて、パソコンはショートした。原型もないほどに壊された。
「あーん、あたしのお金がーーー」
「兄は・・・少しは働いて金を得ろ」
そこは、10番隊の隊首室であった。
松本も、自分の屋敷をもっているが、帰るのがめんどくさいのでいつも10番隊の隊首室で寝起きしていた。部屋は松本の私物だらけで、日番谷がこの隊首室を使うことはない。
日番谷は、いつも自分の屋敷まで帰る。
「ふーんだ。予備の予備だってあるんだから」
衣装ケースの中に、パソコンがあった。
さすがにもう白哉は去ったらしく、打ちかけだった恋白小説はデータがふっとんだものの、それ以外は無事だった。
「朽木隊長め・・・・・小説の中でめっためたに犯されるといいわ」
「恋次」
「なんすか、隊長」
「お前は、恋白をどう思う」
ブフーーーーー!
飲みかけだったお茶を吹きだしてしまった。
「ごっほごっほ。はぁ?隊長と俺!?」
「そうだ。松本副隊長が、そのような小説を打って、同人誌にして売りさばいているらしい」
「乱菊さんめ・・・・・・」
ところかわって、雨乾堂では。
「僕と浮竹の小説の本、乱菊ちゃんからもらちゃった。鬼畜な阿散井君がいて、朽木隊長が受けになってた」
「ああ、それなら読んだ。京楽も鬼畜になっていたな」
「僕はこんなに酷い男じゃないんだけどなぁ。薬はたまに使うけど、道具類は使わないし」
「おい、薬たまに使うって、涅隊長のやつか」
「んふふ。秘密」
人の悪い笑みを浮かべる京楽に、浮竹は京楽の首を絞めた。
「ぎぶぎぶ。媚薬とかだよ。たまに、ほんとにたまーーに使った」
「このまま絞め殺していいか?」
ニコニコした顔で、物騒なことをいう。
「ああ、ごめんなさい。もうしません」
一方、10番隊の執務室では、仕事時間なのに、ふっとんだデータの恋白の小説を書いている松本の姿があった。
「おい松本!仕事しやがれ!何、同人の原稿かいてやがんだ!」
「仕事もあとでしまーす」
全くこりていない松本の姿があった。
浮竹に髪を切られ、10円はげをこさえた京楽
「浮竹?」
「んー」
「どうしたの」
「んー」
8番隊の執務室に珍しくやってきた浮竹は、京楽の髪の毛で遊んでいた。
黒いくせっ毛で、かたかったが手入れは行き届いているのでつやはあった。
「お前の髪・・・強制ストレートパーマとかあてたら、面白そうだ」
「ちょ、そんなことしないからね!?さらささらな黒髪の僕なんて、自分でも嫌だよ」
「そうだな。京楽はいまの髪型がいい」
「君の髪の毛も、今のままがいい。さらさらさだし、白い色も綺麗だし、長い白髪が風に揺れる様を見ているだけでも絵になる」
「俺としては、もう少し短くてもいいんだがな。たまに、院生の頃のように短くしたくなる」
「でも、切らないでよ?そこまで綺麗に伸ばすのに、10年以上はかかってるんだから」
浮竹の髪は、京楽が切っていた。腰より長くなると、いつも京楽が腰より少し高い位置で切り揃えてくれた。
「京楽も、髪伸びたな。切ってもいいか?」
「いいけど・・・・ちゃんと、加減してよ?」
仕事をいったん終わらせて、浮竹が京楽の髪をきっていく。
ジョキジョキと遠慮のいらぬ音で、ばさばさときっていく。
「ああ、もうあれだ。不毛だ」
「ちょ、え、まじで?10円はげできてるんだけど!」
「ここに、涅隊長のつくった、「髪のびーる」っていう薬がある。これを濡れば・・・・あら不思議・・・・・ぎゃあああああああ」
10円はげのところにぬると、すごい量の髪の毛が生えてきた。
「ちょっと、浮竹!?」
「く、この髪の毛め!」
ジョキジョキと切っていくと、10円はげが3つできた。
「さっきより酷くなってるんだけど!もう、自分で切り揃えるから、その「髪のびーる」で僕の10円はげになったところ、伸ばしてよ」
「分かった」
ばさぁと伸びた。
「京楽の髪の毛でおぼれ死ぬ!」
「どんな死に方だい、それ!」
浮竹から髪切り用の鋏を手に取り、雑に切っていく。ある程度切った後、京楽は七緒を呼んだ。
「七緒ちゃん、ごめんだけどちょっと髪揃えてくれないかな」
「どうなっても知りませんよ」
「ええっ、ちょ、10円はげだけはやめてね!?」
はさみでちょきちょきと、うまい具合に切っていく。京楽は、前より幾分が髪が短い、というよな髪型になった。
「ありがとう、七緒ちゃん」
「すまない、伊勢」
「どういたしまして。この黒い髪、全部隊長のものですか」
「そうだけど」
「ちゃんと、後でごみとして片づけてください」
「うん、分かった」
七緒は、自分の部屋に戻って行った。
「んー悔しいなぁ。俺でも京楽の髪くらい切れると思ったんだが」
「君が切ると10円はげがいっぱいになることが分かったから、今度から美容院か、七緒ちゃんに切ってもらうことにするよ」
「10円はげのある京楽も、きっと・・・・多分・・・・・それなりにかっこいいかもしれないぞ?」
「今、君疑問形にしながらしゃべってるでしょ」
「お前の髪くらい、切り揃えてやりたいが、それができない自分が情けない」
「そんな深刻にならなくても」
「でも、涅隊長の「髪のびーる」があってよかったな。10円はげ3つもこさえた8番隊ハゲ隊長ににならずにすんで」
「8番隊ハゲ隊長!酷い名前だ」
髪の海をゴミ袋につめこむと、2袋分になった。どれだけ伸びたのかが分かった。
「んーー」
京楽が仕事している間、暇なので隊舎で飼われている、タロという子犬と遊んでいた。
京楽は猫アレルギーなので、猫自体は好きなのが、飼えないのだ。
「わんわん」
「といれかな?」
「ああ、散歩の時間なんだよ。浮竹、暇そうだし散歩に出も連れにいってくるかい?」
犬用の、フンを始末するしゃべると袋を渡された。
子犬を連れて、隊舎の外を歩く。
リードをちゃんとしていたのだが、浮竹が石につまづいてこけかけた時に、リードを手放してしまった。
「あ、タロ!」
急いで後を追うが、子犬しか入れない狭さの路地をいかれて、行方不明になってしまった。
「どうしよう・・・・・」
きょろきょろと見回す。
仕方なしに空から瞬歩を使って探し始めた。
「この子犬、どこかの隊舎の犬か」
「さぁ」
狛村が、タロを抱き抱えていた。
「狛村隊長!その犬、8番隊のタロというんだ。さっき、リードを離してしまった時に逃げ出して・・・・・」
「そうか、8番隊でも子犬を飼っているのか。犬はいいぞ」
「狛村隊長、タロをこっちに」
タロは、狛村の手の中でぶんぶん尻尾を振っていた。
そして、狛村が手を離して地面に置くと、狛村の足にでおしっこをしだした。
「ああ、タロ!狛村隊長、すまない!」
「ははは、元気があってよい」
何度もあやまって、もっていたタオルでぬぐったが、やはり匂いがついてしまっていた。
「隊長、隊舎についたらすぐ服を洗いましょう」
一緒にいた席官が、そう言う。
「本当にすまない」
「浮竹隊長、どうかその子を叱らないでやってくれ」
「あ、ああ」
タロを抱いて、瞬歩で8番隊までくると、大きなため息をついた。
「どうしたんだい、そんな溜息なんかついて・・・・」
「タロが・・・・」
事情を説明すると、京楽は笑った。
「笑いごとじゃない」
「いやごめん。狛村隊長は、自分の隊の隊舎で飼ってる犬をよく世話しているから、その程度のことで腹を立てるような人物じゃないよ」
「そうか・・・・それより、仕事は終わったのか?」
「うーん、追加でまたきてね。最近さぼってたから」
「仕方ない、手伝おう。このまま仕事をするお前を見ているだけでは暇だから」
「ごめんね、京楽。せっかく遊びにきてくれたのに、構ってあげられなくて」
「そいいうお前も、よく雨乾堂に遊びにきて、俺が臥せっていて無理な時も多いだろう」
「ああ、まぁお互いさまというわけか」
「そうだ」
京楽の仕事を手伝っていると、ミスを発見したりして、浮竹の事務能力の高さが分かった。
2時間ほどして、とりあえずためていた仕事は片付いた。
「もう、夕餉の時刻だね?どうする?」
「たまには、俺が泊まる」
「そうだね、僕の本宅の屋敷にいこうか」
「ああ」
京楽家の屋敷は広かったが、何度か来たことがるので、どこのなんの部屋があるのかくらいは、うろ覚えだが分かった。
家人に頼み、二人分の夕餉を出してもらう。
普段浮竹が雨乾堂で食べる食事よりも数倍豪華な食事が出された。
「なんだか悪いな・・・・こんな豪勢なもの」
「お金はあるだけじゃ意味ないからね。たまには、使わないと」
ぱあっと使っても、京楽の金が尽きることはない。
4大貴族の白哉ほどではないとしても、上流貴族らしく蓄えはたくさんあった。
屋敷をいくつも抱え、それに家人を置いて管理させているだけでも、相当な金が飛ぶだろうに。
「酒は飲むかい?」
「ああ、いただこう」
その日は、深夜まで飲み交わした。
次の日、京楽の髪がうねっていた。
「な、なんだいこれ」
「ああ、涅隊長の薬の副作用だ。1日だけ、うねって生き物にようになるとか」
「そんな薬、塗らないでよ!」
「でも、10円ハゲを作ってしまったんだぞ」
「ああ、こんな髪が外出もできない。今日は休みをとるよ」
「じゃあ、俺も」
京楽の髪がうねるさまを、面白げに見ながら、二人は共に休暇を過ごすのであった。「
浮竹のミニフィギュア
浮竹は年はもう若くないくせに、ガチャガチャにはまっていた。
「あと200円・・・」
百円玉が2枚しかなかった。
「勝負!」
百円玉をいれて引くと、外れだった。
「だぶった・・・・」
ブリーチのキャラの、ミニフィギュアだった。
「く、京楽ばかり5体も!こんなにいらない!こい、俺!」
最後の百円玉でガチャガチャを引くと、また京楽だった。
「京楽のあほーーー!」
べしっと、地面に投げつけた。
「あのさぁ。こんな駄菓子屋で、いい年した大人がガチャガチャとか・・・聞いてるのかい、浮竹?」
「京楽、千円よこせ」
「はいはい・・・・」
小銭と交換して、10回ガチャガチャをひいた。結果、京楽6、狛村、砕蜂、恋次、ルキア。
「く、あとは俺だけなのに・・・みんなだぶってる」
「僕がいっぱいるけど、これって愛かな」
「こんな京楽のフィギュアなんていらない!京楽にやる!」
「いや、僕ももらっても嬉しくないんだけど・・・・日番谷隊長にでもあげるかな」
午後に、日番谷に駄菓子の差し入れと一緒に京楽のミニフイギュアを10体あげたら、思いっきり嫌そうな顔をされた。
「わーやったー浮竹だ!」
浮竹のミニフィギュアをひいた子供をさっと瞬歩で拉致して、千円分の駄菓子と引き換えに、浮竹のミニフィギュアを手に入れた。
「やった、揃った」
「・・・・・・500歳以上になるのに何してるんだか」
京楽は、だけど止めはしない。
愛しい浮竹のすることは、時折すごい子供じみている・・・・・というか、子供そのものなのだが、それもまた浮竹の可愛いところなのだ。
「ほら、浮竹、帰るよ」
喜んで自分のミニフィギュアを手に入れた浮竹は、ご機嫌で京楽が往来でキスしてきても、何も言わなかった。
なので、首筋に噛みついた。
「いたい!」
ぴりっとした痛みを感じて、浮竹が京楽の頭を殴った。
「往来で何をするんだ!」
「やっと、僕のほうを向いてくれた・・・・・」
「え、ああ、すまない」
思いっきり、京楽の存在を無視していた。
「いたのか・・・・」
「酷い!さっき千円渡したのに!」
「うん、ああ・・・なんか、千円がわいてきて、小銭と交換したのは覚えいる」
「わいたってなに!」
「いや、いたなぁと思って」
京楽は、浮竹を肩に抱き上げた。
「おい、京楽」
「雨乾堂に戻るよ」
瞬歩で、雨乾堂までもどってくると、押し倒された。
「ちょ、きょうら・・・・・」
深く口づけられて、それ以上声が出せなかった。
「う・・・ん・・・・」
浅く深く、何度も口づけられる。
浮竹は、京楽の背中に手を回していた。
こんな昼間から、と思いながらも、一度火がついてしまった体はいうことをきいてくれない。
「あっ」
死覇装の袴と下着をずらされて、上の服はきたまま、潤滑油に濡れた指が体内に入ってきた。
「ん・・・・ああ、京楽・・・・ああっ」
ぬぷぬぷと、何度も潤滑油の力を借りて、出入りする。
こりこりと、前立腺のある場所を刺激されると、浮竹のものはたちあがり、先走りを迸らせた。
「んあ!」
前立腺ばかりを指でなであげられて、浮竹はいってしまった。
「はぁはぁ・・・・・」
呼吸が荒くなる。
「もう、いいかい?」
「ああ。来い」
京楽の巨大な灼熱が、浮竹の蕾に宛がわれる。
それに一気に貫かれる。
「ああああ!!!」
きゅうと、中が締め付けてきた。
「力、抜いて」
「ん・・・・」
浅く呼吸を繰り返す。
「いくよ」
「んあ・・・・・うあ、あ、あ」
振動する動きに合わせて、声が漏れた。
中をずずっと奥まで突き上げられると、浮竹は京楽の背中に爪を立てた。
「すまない・・・爪が・・・・」
「いいよ。君のひっかき傷だらけだもの、僕の背中。今更だよ」
「ああん」
中をイイ角度でえぐられて、女のよな喘ぎ声が漏れた。それが恥ずかしくて、手をかじっていると、京楽がその手を取って口づけてくる。
「声、我慢しないで。いつもいってるじゃない・・・君の声は、どんなものでも心地よい」
「ああっ・・・・・きょうら・・・・・あ」
前立腺を突き上げられて、浮竹はまた高みに登り上がりそうになった。
「きょうら・・・・・・京楽も、一緒に・・・・・・・」
「うん」
浮竹の花茎を手で戒める。
「ああ!いきたいのに・・・・・」
「ちょっと待ってね」
浮竹を何度も突き上げて、ようやく満足して、浮竹の腹の奥で射精する。同時に浮竹の戒めを解いてやると、勢いよく精液が飛び散った。
「はぁ・・・ああ!」
「あともう1回、いける?」
「ん・・・あと、1回だけだぞ」
「ありがとう」
中をすり上げられて、浮竹は京楽にキスをせがんだ。
浮竹は、行為中のキスが好きだった。
触れるのだけのものから、舌が絡み合う深いキスまでを繰り返す。
「んん・・・・・」
中を抉られて、浮竹の体がビクンと痙攣した。
「ひあっ」
「ここ、いいんだ?」
最奥の一点をつきあげて、そのまま浮竹は二度目の熱を、浮竹の中に放った。
「ん・・・・・」
行為が終わると、よく浮竹はとろんとする。
自分の乱れたことを恥ずかしいと思い、同時に京楽に好き勝手にされたことを恥ずかしいと思った。思うのだが、余韻に浸ってばかりで。
「湯あみ、できそう?」
「無理だ。お前の助けがいる」
「じゃあ、一緒に湯あみしよう。今日は白桃の湯にしよう」
浮竹が気に入ってる入浴剤だった。
いい匂いがして、それが浮竹が生来もっている甘い花の香と混じり合って、なんともいえぬ淫靡な香をさせるのだが。
どうせ、その香をかぐのは自分か浮竹の副官である海燕くらいなのだ。
海燕が浮竹をどうこうすることはないので、安心はできる。
ただ、やったと分かって、険しい表情はされるが。
「熱は、大丈夫だよね?」
時折、肌を重ねると浮竹は熱を出した。
「それは大丈夫だ・・・・・あああああ、俺のミニフィギュアが!」
すぐ近くにおいてあったので、精液にまみれていた。
「お湯で洗えば、落ちるよ」
「色落ちしないか?」
「いくら100円だからって、そこまで安い作りじゃないでしょ」
白桃の湯に、二人して入る。
ぷかりと、色落ちしなかった浮竹のミニフィギュアが浮かんでいた。
一護の家出と白哉
「おい、琥珀」
「にゃあ」
「そこ、俺の席なんだが・・・・」
「にゃあ」
食堂で、夕餉をとろうとして、一護、ルキア、白哉の3人と、子猫の琥珀が揃っていた。
ルキアと白哉の前には、豪華なメニューが並んでいる。一護の席には、琥珀が座っていて、その前にはちょうど猫1匹分くらいのささみ、おさしみにチュールがおいてあった。
琥珀が座る席に、「一護」とかかれた食器がおいてあり、白ご飯に味噌汁をぶっかけて、かつおぶしをかけて醤油をかけた、いわゆる猫まんまが置かれていた。
「おい、白哉義兄様」
白哉が、とても嫌そうな顔をして、こっちを見てくる。
「この扱いはなんなんだよ。俺は琥珀じゃねーぞ」
「兄は、そこがお似合いだ」
ピキ。
一護の額に血管マークが浮かんだ。
「おい、白哉義兄様・・・・」
「兄にそのように呼ばれたくない。汚らわしい」
ピキピキ。
一護の血管マークが増える。
「にゃあ」
琥珀はすでにささみとさしみを食べ終えてしまって、まだもの欲しそうにチュールをいじっていた。チュールの中身が食べたいのだ。
「ああ、兄も欲しいのか。ささみ味とまぐろ味、どっちにする?」
一護に、白哉はチュールを渡そうとする。
「俺は琥珀じゃねぇ・・・・・」
そう言いながらも、まぐろ味のチュールを受け取った。
「けっ、ばーかばーかばーかばーか!家出してやる!」
琥珀を片手に、一護と書かれた猫まんまの入った食器ももって、一護は食堂を後にした。
「兄様、琥珀が・・・・・」
「心配はいらぬ。あれは、弱者をいたぶるような者ではない。琥珀は大丈夫だ」
「兄様、なぜ一護にあんな試練を?」
ルキアは、本気で白哉のなんの意味ももたない嫌がらせを、一護への試練だと思っていた。
「そうだな・・・緋真と過ごせた時間は僅かだった。兄らは、そうならぬようにしてほしい・・・・ただ、それだけだ」
それなら、いっそう一護をいじめるのは間違っているはずなのだが、ルキアは感動した。
「そこまで深いお考えがあったのですね!」
豪華な夕食を食べながら、ルキアが白哉の、男としては色白で細い手をとった。
「このルキア、感服いたしました。一護にも、きっとその思いも伝わるでしょう」
一護がその場にいたら、噴火しそうなことをいうルキア。
ルキアは、一護の姿を探すこともなく、夕食を続ける。
それを、食堂が見える位置から聞いていた一護は、猫まんまを食した後、琥珀を連れて本当に家出した。
「探さないでください。琥珀と一緒に、流浪の旅にでます・・・・・・兄様、どうすれば!」
「むう、琥珀が!」
白哉の心配は、琥珀だけだった。
一護は、適当に白哉の財布を盗んで、金を手に入れていた。一人で家出は寂しいので、琥珀を旅の連れにした。
「恋次、泊まらせてくれ」
「あーん?何言ってやがんだてめぇ」
「朽木家を家出してきた」
事情を聞いて、恋次は笑いながらも、泊めてくれた。
猫まんまではない、暖かい食事もごちそうになった。
そのまま、恋次の屋敷にとまって、琥珀にはまぐろ味のチュールをあげて、次の日は13番隊の執務室へといった。
「にゃあ」
「琥珀!無事だったか!」
琥珀も一緒に連れていくと、ルキアにすり寄り、甘えだした。
「旦那の俺には、何もなしかよ」
「いたのか一護」
「ひでぇ!」
「一護、バカなことをしていないで戻ってこい。貴様のいるべき場所は朽木家なのだぞ」
ルキアなりの心配なのか、その言葉は暖かった。
「白哉のバカが嫌がらせを止めてくれたらな」
「あれは嫌がらせではない。兄様からの試練なのだ」
「絶対、あれは嫁いびりの姑がするみたいなやつだ!」
「一護・・・・・」
ルキアは、一護の手をとった。
「何処に寝泊まりしたのだ。まさか、この寒い中、外でではあるまいな?」
「恋次のところに泊めてもらった」
「そうか、恋次か・・・・・」
「ルキア、好きだ、愛してる・・・・一緒に、朽木家を出て、新しい家で住まないか」
「それは無理だ一護!私は、兄様のいる今の朽木家が好きなのだ。そこに、貴様もいる。もう大好きすぎて、鼻血が・・・・・・」
言葉通り、鼻血を出すルキア。
「おい、大丈夫かよ!」
長椅子に寝そべらせて、鼻血が止まるまで待った。
「にゃあん」
「琥珀・・・心配をかけたな。すまぬ、一護」
「もういい。ちゃんと、毎日13番隊の執務室にはくるから、もう少し家出させといてくれ」
恋次の世話になるのも悪いと思ったが、他に行き場所がない。
恋次に、居候している間の賃金として、ぱくってきた白哉の財布を渡すと、その金額の多さに驚かれて、屋敷でも建てるつもりかと言われた。
「にゃあ」
「ああ、琥珀腹減ったのか。今、キャットフードとチュールやるからな」
恋次の家は、けっこう広かった。
席官クラス以上の者が屋敷をもてる区域に館はあった。
「ルキアとは、うまくいってるのか?」
「ルキアとはな。白哉とうまくいかねーんだよ。だから、家出中なんだ」
「隊長は・・・・一度嫌いだすと、とことんだからなぁ。まぁ、見る限り本気で一護のことを嫌ってはいねーよ」
「でも、俺の飯だけ猫まんまだぜ?俺が風呂に入ろうとした時にはお湯がねぇし!他にも・・・・・」
話を聞いているうちに、恋次も一護を哀れに思って、苺味のキャンディをくれた。
「ま、元気だせ」
「甘い・・・・・」
キャンディをなめながら、一護は2週間ほど恋次の世話になった。
「いい加減、帰ってきたらどうだ、一護。琥珀までもっていきおってからに」
「琥珀は俺の心の友だー」
その日は、酒を飲んでいた。
6時に死神の通所業務が終了して、恋次と一角と弓親で飲み歩いた帰り道であった。
「ぬおーーー、ルキア、好きだーーーーーーー」
「こら、こんな往来で!」
ルキアを抱き締めて、キスをする。
「白哉がなんだーいじめがなんだー」
「そう思うなら、帰ってきてくれぬか。貴様のいない寝室は寂しい」
ルキアの悲しそうな顔に、一護も揺れる。
「わーったよ。家出はもうやめる。琥珀と朽木家に帰るよ」
せっかくの酔いも冷めた。
一護が朽木家にいくと、外に犬小屋があった。看板に、一護とかかれてあった。
「もっかい家出していいか?」
「だめだ、たわけ!帰るぞ」
朽木邸に入り、久しぶりに白哉と会った。
「琥珀は無事か?」
「ああ、この通り元気だよ」
「にゃああん」
琥珀は、白哉にすりよった。その小さな体を抱いて、自分の寝室に戻る白哉は一護にだけ聞こえる声でこういった。
「ルキアを幸せにしろ」
「んなこと、言われなくても分かってる」
次の日は、猫まんまではなく、普通の食事だった。
一護も安心する。
しかし、寝室の布団が処理されていて、寝室の中に犬小屋が建てられ、そこに一護と書かれてあった。
「猫まんまの猫の次は、犬か?」
一護も、図太くなる。こんないじめ程度で屈してなるものかと、犬小屋を移動して、白哉の寝室にもってくると、看板をペンキで書き直して、白哉とかいた。
「ぬう・・・・やるな」
それを見た白哉は、そう言った。
寝具を処理されてしまったので、いつもルキアと同じ布団で寝た。けっこういいかも、と思った。
「白哉義兄様に、負けてなるものか!」
一護は、食事にドッグフードが混ぜられても、気にせず食事した。
「く・・・何かいい嫌がらせの方法は・・・・・・」
白哉がそう口にする。
ある日、白哉が読んでいる本が落ちてあった。中身を見ると、「嫁をいびる姑の100の行動」と書いてあった。
「あの白哉義兄様が・・・・・・・」
気づけば、結婚式を挙げて1か月が経っていた。
「ルキア、今日いいか?」
「あっ、一護・・・・・・・」
白哉の前で、いちゃつくと、白哉の嫌がらせもきつくなった。
「負けるか!」
一護も、白哉が湯あみしようという時刻に、湯を抜いてやったりした。
お互い、嫌がらせのし合いだった。
「にゃあん」
琥珀が、ある日手紙を一護の元に持ってきた。
読むと、「阿呆」
とだけ、書かれてあった。
なので、一護も「死ねバーカ」と書いた手紙を琥珀に銜えさて、白哉の寝室に放った。
「ぬう・・・・・」
「ふふふ・・・・」
一護はやられたり、やり返したりしながら、朽木家でルキアと一緒に過ごす。
琥珀も、もう子猫ではなくなったいた。
日番谷隊長と入れ替わった件
「茶でも飲んでろ」
いつもみたいに遊びにきた浮竹を長椅子に座らせて、日番谷も休憩をいれた。
「俺な、最近違う人とよく入れ変わるんだ」
「何がだ」
日番谷がわかめ大使を落とした。二人とも屈んで拾おうとすると、ゴチンと頭がぶつかりあった。
「いてぇ」
「いたい」
日番谷は、自分を見る。
「なんで俺が、俺の目の前にいるんだ」
「あれ?ほんとだ、俺がいる。あーあ、今度は日番谷隊長と入れ替わってしまったのか」
「へ?」
日番谷が、自分の体をみた。どうみても、浮竹の体であったが、納得がいかず手鏡を見る。
やっぱり浮竹の体だった。
「なんじゃこりゃああああああああ!!」
日番谷(体は浮竹)の悲鳴が、執務中に響き渡った。
「どーしたんですか、浮竹隊長」
「松本、おい松本、涅隊長よんできてくれ」
「浮竹隊長?そんなに慌ててどうしたんですか」
「むがーーー」
「いや、これには深いわけが。さがっていいぞ、松本副隊長・・・・じゃなかった、松本」
日番谷の体で、浮竹を抑え込むのはきつかったが、浮竹は頑張った。
「変な隊長」
そういって、松本は隊首室に下がって行った。
「大丈夫だ、時間がたてば元に戻る。俺は今まで、京楽に海燕と、入れ替わってきた。どれも2~3時間ほどで元に戻った」
「戻るまで、大人しくしてろってことか」
「せっかく日番谷隊長の体になったんだ、駄菓子でも買いにいこっと」
瞬歩で、浮竹は去ってしまった。
「待て、浮竹!俺の体でうろちょろするな!」
日番谷は、駄菓子をたまに買いにく店にいこうとすると、途中で京楽とぶつかった。
「どうしたの浮竹」
うわぁ。やばい。どうしよう。
「お、俺はなんでもない、さらばだっ」
「待ってよ浮竹。この前の続きしない?」
「この前の続き?」
京楽は、日番谷を抱き抱えると、雨乾堂まできた。
「君から誘ってきたんじゃない・・・・・」
口づけられて、日番谷は真っ白になった。
「ま、まて京楽、おれは日番谷!・・・んっ」
「日番谷隊長と遊んでたの?さっき、駄菓子たくさん買い込んでたけど・・・・」
「浮竹のやつ・・・・」
「なんか変だね。ねぇ、浮竹?」
「わっ、やめ、やめろ京楽!俺は日番谷だ!浮竹と入れ替わったんだ!」
必死に叫ぶと、まさぐってくる京楽の手が止まった。首筋キスマークを残されたりして、美味しくいただかれてしまうところだった。
浮竹と京楽のそういうシーンをもう何度も見ているので、いきなりで驚きはしたが、なんとか平静を保てた。
「まじで?」
「まじだ」
「あーもう浮竹のばか!なんで入れ替わったら大人しくしていないんだ!」
「駄菓子を買いに行ったといってたな。浮竹を捕まえるぞ」
京楽と日番谷は、協力しながら、浮竹(体は日番谷)を探した。
そして、駄菓子屋のすみでガチャガチャをひいていた浮竹を見つけて、捕獲した。
「捕獲完了!」
「京楽!?日番谷隊長、もうちょっと互いの体が入れ替わったの楽しんでもいいじゃないか」
「よくない!」
「さっき雛森副隊長にあったから、買った駄菓子を「俺だと思って食べてくれ」と言っておいたからな」
「あああああああ、お前はああああああああ!」
自分の体の首を締め上げる日番谷。
「やめなよ、日番谷隊長。自分の体が傷つくだけだよ。怒るなら、お互い元の体に戻ってからにしなよ」
仕方ないので、日番谷も雨乾堂にきた。
「まぁ、何もない部屋だが、寛いでくれ」
日番谷の体で、とてもじじくさい行動をとる浮竹に、日番谷は苛立ちを隠せないでいる。
「もうとっくに3時間は経ってるぞ!」
「おかしいなぁ。もう戻ってもいい頃なんだけど・・・・・」
「まさか、体が入れ替わるのになれちゃったとか?」
京楽の言葉に、まさかと、浮竹は思う。
「とりあえず、夕餉にしよう。海燕、頼めるか」
そう日番谷の体の浮竹がいうので、海燕は混乱した。
「まさか、俺の時みたいに中身がいれかわったとか?」
「そうなんだ。日番谷隊長の体だが、俺は浮竹だ」
「日番谷隊長もお気の毒に・・・・・」
3人前の夕餉をもってきてくれた。
「なんだ、お前の隊いいものくってんな」
でてきた夕餉のメニューの豊富さに、日番谷は羨ましくなった。
どこかのバカ副官が金を使い込むせいで、10番隊のご飯はけっこう質素だった。
食べて終えて、そして困る。
「湯あみは・・・・さすがにしないほうがいいな」
「当たり前だろう!他人の体の裸なんて恥ずかしい!」
「じゃあ、僕だけ湯あみしてこよーっと♪」
おのれ京楽・・・・。
二人分の呪いの眼差しを受けても、京楽は飄々としていた。
京楽の湯あみが終わり、3人で適当に話をしていた。まだ、体は元に戻らない。
10時になった。
「寝よう」
「もうそんな時間か?」
「そうだね、寝よう」
「まだ10時だぞ」
浮竹と京楽は、布団をしいた。3組だ。
「真ん中は俺な。川の字で寝よう」
「寝るには少し早くないか」
日番谷がそういうが、浮竹も京楽も、寝る気まんまんだった。
「寝ている間に、きっと戻っている。それで戻らなきゃ、卯ノ花隊長のところへいこう」
「・・・・・・分かった。ちなみに浮竹、京楽のやついきなりキスして迫ってきたぞ。お前ら、いつもこうなのか?」
「うーんまぁ、似たり寄ったりの日々だ」
浮竹が、苦笑する。
「まさか、浮竹の中身が日番谷隊長だなんて思わないじゃない。それに日番谷隊長はお子さまだし、あんまりわからなかったでしょう?」
「誰がお子様だ!」
浮竹の体でぷんぷん怒る日番谷はかわいかった。
「駄菓子食べてガチャガチャしたくらいか・・・あと雛森副隊長と会ったくらい・・・あまり収穫はなかったな」
「おい、浮竹、お前絶対楽しんでるだろ」
「え、あ、まぁな」
自分の体であるが、むかついたので頭を殴っておいた。
「いたい」
「怒らずにいられるか」
まぁ、とにかく3人で寝た。
朝起きると、元にもどっていた。
「よかった、俺の体だ」
「うーん。次は松本副隊長と入れ替わりたいな。あの神々の谷間を自分でもってみたい」
「あほか!お前が松本になるなんて、せくはらだろ!」
浮竹をなぜか雨乾堂にあったはりせんで殴って、日番谷は10番隊の執務室にもどることにした。
「ああ、でも松本副隊長と入れ替わったら、絶対俺の体で京楽と寝そうでいやだな」
「しそうだね、乱菊ちゃんなら。腐ってるから」
あの腐女子は、とことん腐っている。
目の脳も耳も。
そして腐った小説を打って、コミケで売るのだ。
とにかく、元に戻ってよかったと思う浮竹と京楽であった。
京浮に日番谷と朽木白哉と。
「俺も、愛してる・・・・・」
抱き合う二人を邪魔する者はいた。
日番谷だった。
「お前らなぁ、ここは10番隊の執務室だ。盛るなら、8番隊の隊首室か、雨乾堂でやりやがれ!」
「んー。やっぱ日番谷隊長のいる部屋でいちゃつくと、邪魔があっていいなぁ」
「うん、本当に、素直に愛し合えなくっていいね」
浮竹と京楽は、日番谷の突っ込みを嬉しがっていた。
「お前らなぁ・・・・・・」
額に血管マークの浮いた日番谷の頭を、浮竹が撫でた。
「11月11日はポッキーの日だぞ、知ってるかい、日番谷隊長」
「ポッキーゲームだろ。それならこの前やった」
「そうだったな」
わかめ大使を、浮竹が日番谷の口にいれた。
「もぐもぐ・・・・お前らは・・・・もぐもぐ・・・・・一体何を・・・、もぐもぐ」
「日番谷隊長、食べるかしゃべるかのどっちかにしてよ」
「うっさい、浮竹が無理やり口の中に・・・・・もぐもぐもぐ」
「もっと食べるかい、日番谷隊長」
「もういいわぼけ!お前は、自分で食え!俺も自分で食うから!」
「そういわずに」
「もぐもぐもぐ・・・・・だああああ、鬱陶しい!」
「わーい」
「わーい」
アホな大人二人は、日番谷が切れると悦びだした。
「次、何しよう?」
京楽が、浮竹を見る。
「ん-、白哉を呼んで、みんなで人生ゲームなんでどうだろう?」
「あ、それ面白そう。朽木隊長が人生ゲームなんて、面白い以外の何物でもない」
「じゃ、ちょっと白哉呼んでくる」
浮竹は、思いついたのが吉だとばかりに、瞬歩で6番隊の執務室へと向かった。
「だから、火急の要件とはなんなのだ、日番谷隊長」
白哉を連れて、浮竹が帰ってきた。
「あーあ。生贄がきた」
「生贄・・・・・?はっ、浮竹、兄は私を騙して・・・・」
「いいから、人生ゲームはじめるぞー」
「何故私まで・・・・・」
そう言いながら、長椅子に座る白哉。
人生ゲームは過去に浮竹としたことがあるので、ルールは分かっていた。
知らない日番谷のために、浮竹と京楽が説明をした。
「では始めるぞ。そうだな、1番にゴールした者は、最下位の者の言うことを1つ聞く。こういうのはどうだろう。何もないのはつまらないし」
浮竹の提案に、京楽は早速乗った。しぶしぶという様子で、日番谷と白哉ものった。
そして、30分程が経った。
「一番は私だ」
一番は、白哉だった。
「誰か分かったらつまらぬので、今のうちに命令しておこう。最下位は・・・そうだな、私の肩をマッサージすること。もみほぐしだ」
「うわー、めんどそう」
「最下位になりませんように」
「最下位なんてごめんだ」
ちなみに、白哉はクジで億万長者になって、子供が4人も生まれてゴールした。
2位は浮竹。破産して、借金のかたに身売りをしてゴールした。
3位は京楽。総隊長になって、ハーレムを作ってゴールした。
最下位は、日番谷だった。借金をして、子供を売ってゴールした。
「日番谷隊長が最下位か・・・・・」
「ああ、もうやけだ。もみほぐしだろうがなんだろうがやってやろうじゃねぇか!」
日番谷が、毎日の激務で肩が凝り気味の白哉の肩をもみ、腰をこみ、全身をマッサージしていく。
「んっ・・・・・・・」
白哉のあげたちょっと色っぽい声に、浮竹も京楽も、ごくりと喉を鳴らした。
絶対、普段なら聞けない声だ。
「ああ、そこがきく・・・・・んっ」
日番谷も、もみほぐしながら、少し朱くなっていた。
「しかし、凝ってるなぁ、白哉」
浮竹の言葉に、白哉が答える。
「恋次の愚か者が、最近事務処理を放棄して、現世に遊びにいくからな・・・・・}
「ああ、一護君の元にか」
「ルキアも現世だし、会いにいきたくなるのは分かるが・・・・・」
恋次がルキアのことを好きなことなど、みんな知っていた。
知らないのは、当のルキア本人くらいだろう。
もみほぐし終わり、白哉が満足した様子で、日番谷に金塊を渡した。
「兄への、礼だ」
「いらねぇよ、こんなもん」
ポイッと捨てるそれを、浮竹がキャッチする。
「いらないなら、俺がもらってもいいか?」
「好きにするが良い」
「ちょっと、浮竹。金に困っているなら、僕が・・・・・」
「朽木に、何かプレゼントを渡したいと思っていたんだ。朽木の大好きなチャッピー人形を、これでもかというほど買ってやる」
浮竹のいう朽木とは、ルキアのほうだ。
「好きにするが良い」
白哉は、用が終わったので6番隊に帰って行った。
「次は何して遊ぼうか」
「日番谷隊長をメイド姿にするなんてどうだい」
「お、それいいな。きっと、飛ぶように写真が売れるぞ」
「そんな恰好するか!お前らいい加減にしろ!蒼天に座せ、氷輪丸!」
「わーい、久しぶりの氷輪丸だ」
「わーい」
あほな大人二人を、喜ばすだけであった。
簀巻きの添い寝
京楽は夢を見ていた。浮竹が、想いを受け入れてくれて、初夜を過ごす夢だった。浮竹は初めてなのに、乱れに乱れて、もっとと、京楽をせがんできた。
「はっ!浮竹、もっとだね!」
眠っている浮竹の寝台にジャンプして押し倒して、いきなり体中をまさぐりだした京楽を、飛び起きた浮竹は股間を蹴りつけて床に落とした。
「何変な夢みてやがんだこの変態が!」
股間は思いっきりたっていた。
「(*´Д`)ハァハァ夢だったのか・・・・いい夢みたなぁ。浮竹がすごい喘いで・・・」
「殺すぞ?」
にこにこと、布団の傍らにおいてあった斬魄刀を引き抜く浮竹に、京楽は床に頭をこすりつけて懺悔する。
プライド?
そんなもの、京楽にあるはずがない。
「(*´Д`)ハァハァ・・・・浮竹、ちょっと触っていい?」
「嫌だ!今のお前は飢えたケダモノだ!」
京楽を布団で簀巻きにして、縄でぐるぐる巻きにしてベッドに寝転がせてから、浮竹はまた平穏な眠りへと旅立った。
「ああ、束縛プレイ・・・・(*´Д`)ハァハァ」
しばらく京楽が興奮していたが、静かになった。寝てしまったのだ。
次の夢は、浮竹に振られる夢だった。ただ振られるだけならいい。京楽と違う男ができて、そいつの嫁にいってしまう夢だった。
「あうあう、浮竹・・・・・」
眠りながら、涙を零した。
朝起きると、京楽は簀巻きにされたまま、床に転がって(ノД`)シクシクと泣いていた。
ぎょっとなる浮竹。
簀巻きにしたのがよほど堪えたのかと思ったら。
「浮竹が知らない男のお嫁さんにいっちゃう」
そう言って、泣いていた。
「お前、もう一日中その恰好でいろ。そしたら、添い寝してやる」
半分冗談のつもりで言ったのだが。
「ほんとに!?」
きらきらと輝く瞳で見られた。
その日、京楽は簀巻きの恰好のまま、登校した。全員が、え?って顔で振り向くのも気にせずに、教師の注意も無視して、学校で簀巻きのままでいた。
昼飯をとるのも、簀巻きのまま、他の友人に手伝ってもらっていた。
「どうしたんだ、京楽。簀巻きのまま登校したり授業にでたり、昼食とったりして」
「あのね、この格好のまま1日を過ごすと、浮竹が添い寝してくれるの」
「おお、それはよかったな、京楽」
「うん」
とても幸せそうな京楽に、今更冗談だとは言えずに、浮竹は食べていたAランチ定食を残した。
「浮竹、残りは僕が食べるから」
また、京楽の友人が、浮竹の残した食事を京楽の口にまで運んだ。
京楽は、変態だが人望があるのだ。変態だが・・・・。
変態でさえなければ。
浮竹も思う。
勿体ないと。
上流貴族の次男で、金があまりあって、遊ぶ女はたくさんいるだろうに、浮竹を好きと言って譲らない性格だ。
本当に、俺が女だったら、いちころだっただろう。生憎、浮竹は男だ。男に抱かれるなど、真っ平ごめんである。
「はぁ・・・・」
このままでは、添い寝決定だ。
京楽のはぁはぁいう呼吸と、すんすんとにおいをかいでくるのを、我慢しなくちゃいけない。
「すまない、京楽!」
斬魄刀で、布団を切り裂いた。
「きゃああああああああ!!!」
「もぎゃああああああ!!!」
服も、一緒に切り裂いてしまった。
パンツも綺麗に切れていた。
まっぱのフルチンになった京楽は、女性の悲鳴で股間を隠した。
「あああ、何故裸に!?」
浮竹は、すぐに保健室から毛布をとりだしてきて、浮竹に被せた。
「あ、浮竹・・・僕のために毛布を。優しい。惚れちゃう(*´Д`)ハァハァ」
まさか、布団と服とパンツまで切り裂いたのは自分ですとは言えずに、毛布にくるまった京楽を連れて、寮の自室に戻った。
まだ1限授業があったが、さぼることにした。
「浮竹・・・・僕、一日中、簀巻きでいたよ。途中でまっぱのフルチンになちゃったけど、約束は守ったよ」
「分かった。俺の負けだ。お前をまっぱにしたのは俺だ」
「ええ!浮竹、まっぱでフルチンの僕を見たかったの!それならそうと・・・ぐぼ」
ラリアットをかました。
「冗談のつもりだったんだ。仕方ない、責任は俺がとる。謝罪も含めて、2日添い寝してやる」
「やっほーーーう!」
京楽は、浮竹にラリアットをかまされたり、学院の中でまっぱのフルチンにされたのも気にせずに、素直に喜んでいた。
露出璧があるので、学院でまっぱになっても平気らしい。
変態と添い寝。できるだけ早く寝るために、睡眠薬でものもう。
そう思う浮竹であった。
やがて夜になり、添い寝の時間がやってきた。
飲もうとしていた睡眠薬は、体に悪いからという理由で取り上げられてしまった。
「すんすん・・・甘い花の香がする。浮竹のにおいだ・・・・すんすん」
思いっきり匂いをかがれて、浮竹は堪えろと、自分に命令していた。
「寝るぞ!」
電気を消すと、もぞもぞと体を這う手があった。
我慢だ、我慢。
寝てしまえば、少々不快なことが起きても起きない自信はあった。
体を這う手はだんだんと大胆になり、衣服の下に手を這わす京楽がいた。
「んあっ」
脇腹を撫であげられて、変な声を出してしまった。
「かわいい、浮竹・・・・もっと、声聞かせて」
鎖骨から臍、臍から・・・・・。
「いい加減にしろ!」
めきっと、京楽の頭蓋に肘をいれた。
「きゅう」
伸びた京楽を簀巻きにして、その隣で浮竹は寝た。これも、添い寝ということになる。同じベッドで眠っているからだ。
次の日も、京楽を簀巻きにして、その隣で寝た。
京楽は、簀巻きにしてもスンスンと臭いをかいできたり、首筋をペロリと舐めてきたりしたので、ガムテープで口を封じておいた。
朝起きて、簀巻きをといてやり、ガムテープをとってやると、京楽は。
「浮竹の愛を受け取ったよ!簀巻きにして隣で寝るのが、浮竹の愛なんだね!」
と、勘違いしていたという。