簀巻きの添い寝
「うへへへへへへ」
京楽は夢を見ていた。浮竹が、想いを受け入れてくれて、初夜を過ごす夢だった。浮竹は初めてなのに、乱れに乱れて、もっとと、京楽をせがんできた。
「はっ!浮竹、もっとだね!」
眠っている浮竹の寝台にジャンプして押し倒して、いきなり体中をまさぐりだした京楽を、飛び起きた浮竹は股間を蹴りつけて床に落とした。
「何変な夢みてやがんだこの変態が!」
股間は思いっきりたっていた。
「(*´Д`)ハァハァ夢だったのか・・・・いい夢みたなぁ。浮竹がすごい喘いで・・・」
「殺すぞ?」
にこにこと、布団の傍らにおいてあった斬魄刀を引き抜く浮竹に、京楽は床に頭をこすりつけて懺悔する。
プライド?
そんなもの、京楽にあるはずがない。
「(*´Д`)ハァハァ・・・・浮竹、ちょっと触っていい?」
「嫌だ!今のお前は飢えたケダモノだ!」
京楽を布団で簀巻きにして、縄でぐるぐる巻きにしてベッドに寝転がせてから、浮竹はまた平穏な眠りへと旅立った。
「ああ、束縛プレイ・・・・(*´Д`)ハァハァ」
しばらく京楽が興奮していたが、静かになった。寝てしまったのだ。
次の夢は、浮竹に振られる夢だった。ただ振られるだけならいい。京楽と違う男ができて、そいつの嫁にいってしまう夢だった。
「あうあう、浮竹・・・・・」
眠りながら、涙を零した。
朝起きると、京楽は簀巻きにされたまま、床に転がって(ノД`)シクシクと泣いていた。
ぎょっとなる浮竹。
簀巻きにしたのがよほど堪えたのかと思ったら。
「浮竹が知らない男のお嫁さんにいっちゃう」
そう言って、泣いていた。
「お前、もう一日中その恰好でいろ。そしたら、添い寝してやる」
半分冗談のつもりで言ったのだが。
「ほんとに!?」
きらきらと輝く瞳で見られた。
その日、京楽は簀巻きの恰好のまま、登校した。全員が、え?って顔で振り向くのも気にせずに、教師の注意も無視して、学校で簀巻きのままでいた。
昼飯をとるのも、簀巻きのまま、他の友人に手伝ってもらっていた。
「どうしたんだ、京楽。簀巻きのまま登校したり授業にでたり、昼食とったりして」
「あのね、この格好のまま1日を過ごすと、浮竹が添い寝してくれるの」
「おお、それはよかったな、京楽」
「うん」
とても幸せそうな京楽に、今更冗談だとは言えずに、浮竹は食べていたAランチ定食を残した。
「浮竹、残りは僕が食べるから」
また、京楽の友人が、浮竹の残した食事を京楽の口にまで運んだ。
京楽は、変態だが人望があるのだ。変態だが・・・・。
変態でさえなければ。
浮竹も思う。
勿体ないと。
上流貴族の次男で、金があまりあって、遊ぶ女はたくさんいるだろうに、浮竹を好きと言って譲らない性格だ。
本当に、俺が女だったら、いちころだっただろう。生憎、浮竹は男だ。男に抱かれるなど、真っ平ごめんである。
「はぁ・・・・」
このままでは、添い寝決定だ。
京楽のはぁはぁいう呼吸と、すんすんとにおいをかいでくるのを、我慢しなくちゃいけない。
「すまない、京楽!」
斬魄刀で、布団を切り裂いた。
「きゃああああああああ!!!」
「もぎゃああああああ!!!」
服も、一緒に切り裂いてしまった。
パンツも綺麗に切れていた。
まっぱのフルチンになった京楽は、女性の悲鳴で股間を隠した。
「あああ、何故裸に!?」
浮竹は、すぐに保健室から毛布をとりだしてきて、浮竹に被せた。
「あ、浮竹・・・僕のために毛布を。優しい。惚れちゃう(*´Д`)ハァハァ」
まさか、布団と服とパンツまで切り裂いたのは自分ですとは言えずに、毛布にくるまった京楽を連れて、寮の自室に戻った。
まだ1限授業があったが、さぼることにした。
「浮竹・・・・僕、一日中、簀巻きでいたよ。途中でまっぱのフルチンになちゃったけど、約束は守ったよ」
「分かった。俺の負けだ。お前をまっぱにしたのは俺だ」
「ええ!浮竹、まっぱでフルチンの僕を見たかったの!それならそうと・・・ぐぼ」
ラリアットをかました。
「冗談のつもりだったんだ。仕方ない、責任は俺がとる。謝罪も含めて、2日添い寝してやる」
「やっほーーーう!」
京楽は、浮竹にラリアットをかまされたり、学院の中でまっぱのフルチンにされたのも気にせずに、素直に喜んでいた。
露出璧があるので、学院でまっぱになっても平気らしい。
変態と添い寝。できるだけ早く寝るために、睡眠薬でものもう。
そう思う浮竹であった。
やがて夜になり、添い寝の時間がやってきた。
飲もうとしていた睡眠薬は、体に悪いからという理由で取り上げられてしまった。
「すんすん・・・甘い花の香がする。浮竹のにおいだ・・・・すんすん」
思いっきり匂いをかがれて、浮竹は堪えろと、自分に命令していた。
「寝るぞ!」
電気を消すと、もぞもぞと体を這う手があった。
我慢だ、我慢。
寝てしまえば、少々不快なことが起きても起きない自信はあった。
体を這う手はだんだんと大胆になり、衣服の下に手を這わす京楽がいた。
「んあっ」
脇腹を撫であげられて、変な声を出してしまった。
「かわいい、浮竹・・・・もっと、声聞かせて」
鎖骨から臍、臍から・・・・・。
「いい加減にしろ!」
めきっと、京楽の頭蓋に肘をいれた。
「きゅう」
伸びた京楽を簀巻きにして、その隣で浮竹は寝た。これも、添い寝ということになる。同じベッドで眠っているからだ。
次の日も、京楽を簀巻きにして、その隣で寝た。
京楽は、簀巻きにしてもスンスンと臭いをかいできたり、首筋をペロリと舐めてきたりしたので、ガムテープで口を封じておいた。
朝起きて、簀巻きをといてやり、ガムテープをとってやると、京楽は。
「浮竹の愛を受け取ったよ!簀巻きにして隣で寝るのが、浮竹の愛なんだね!」
と、勘違いしていたという。
京楽は夢を見ていた。浮竹が、想いを受け入れてくれて、初夜を過ごす夢だった。浮竹は初めてなのに、乱れに乱れて、もっとと、京楽をせがんできた。
「はっ!浮竹、もっとだね!」
眠っている浮竹の寝台にジャンプして押し倒して、いきなり体中をまさぐりだした京楽を、飛び起きた浮竹は股間を蹴りつけて床に落とした。
「何変な夢みてやがんだこの変態が!」
股間は思いっきりたっていた。
「(*´Д`)ハァハァ夢だったのか・・・・いい夢みたなぁ。浮竹がすごい喘いで・・・」
「殺すぞ?」
にこにこと、布団の傍らにおいてあった斬魄刀を引き抜く浮竹に、京楽は床に頭をこすりつけて懺悔する。
プライド?
そんなもの、京楽にあるはずがない。
「(*´Д`)ハァハァ・・・・浮竹、ちょっと触っていい?」
「嫌だ!今のお前は飢えたケダモノだ!」
京楽を布団で簀巻きにして、縄でぐるぐる巻きにしてベッドに寝転がせてから、浮竹はまた平穏な眠りへと旅立った。
「ああ、束縛プレイ・・・・(*´Д`)ハァハァ」
しばらく京楽が興奮していたが、静かになった。寝てしまったのだ。
次の夢は、浮竹に振られる夢だった。ただ振られるだけならいい。京楽と違う男ができて、そいつの嫁にいってしまう夢だった。
「あうあう、浮竹・・・・・」
眠りながら、涙を零した。
朝起きると、京楽は簀巻きにされたまま、床に転がって(ノД`)シクシクと泣いていた。
ぎょっとなる浮竹。
簀巻きにしたのがよほど堪えたのかと思ったら。
「浮竹が知らない男のお嫁さんにいっちゃう」
そう言って、泣いていた。
「お前、もう一日中その恰好でいろ。そしたら、添い寝してやる」
半分冗談のつもりで言ったのだが。
「ほんとに!?」
きらきらと輝く瞳で見られた。
その日、京楽は簀巻きの恰好のまま、登校した。全員が、え?って顔で振り向くのも気にせずに、教師の注意も無視して、学校で簀巻きのままでいた。
昼飯をとるのも、簀巻きのまま、他の友人に手伝ってもらっていた。
「どうしたんだ、京楽。簀巻きのまま登校したり授業にでたり、昼食とったりして」
「あのね、この格好のまま1日を過ごすと、浮竹が添い寝してくれるの」
「おお、それはよかったな、京楽」
「うん」
とても幸せそうな京楽に、今更冗談だとは言えずに、浮竹は食べていたAランチ定食を残した。
「浮竹、残りは僕が食べるから」
また、京楽の友人が、浮竹の残した食事を京楽の口にまで運んだ。
京楽は、変態だが人望があるのだ。変態だが・・・・。
変態でさえなければ。
浮竹も思う。
勿体ないと。
上流貴族の次男で、金があまりあって、遊ぶ女はたくさんいるだろうに、浮竹を好きと言って譲らない性格だ。
本当に、俺が女だったら、いちころだっただろう。生憎、浮竹は男だ。男に抱かれるなど、真っ平ごめんである。
「はぁ・・・・」
このままでは、添い寝決定だ。
京楽のはぁはぁいう呼吸と、すんすんとにおいをかいでくるのを、我慢しなくちゃいけない。
「すまない、京楽!」
斬魄刀で、布団を切り裂いた。
「きゃああああああああ!!!」
「もぎゃああああああ!!!」
服も、一緒に切り裂いてしまった。
パンツも綺麗に切れていた。
まっぱのフルチンになった京楽は、女性の悲鳴で股間を隠した。
「あああ、何故裸に!?」
浮竹は、すぐに保健室から毛布をとりだしてきて、浮竹に被せた。
「あ、浮竹・・・僕のために毛布を。優しい。惚れちゃう(*´Д`)ハァハァ」
まさか、布団と服とパンツまで切り裂いたのは自分ですとは言えずに、毛布にくるまった京楽を連れて、寮の自室に戻った。
まだ1限授業があったが、さぼることにした。
「浮竹・・・・僕、一日中、簀巻きでいたよ。途中でまっぱのフルチンになちゃったけど、約束は守ったよ」
「分かった。俺の負けだ。お前をまっぱにしたのは俺だ」
「ええ!浮竹、まっぱでフルチンの僕を見たかったの!それならそうと・・・ぐぼ」
ラリアットをかました。
「冗談のつもりだったんだ。仕方ない、責任は俺がとる。謝罪も含めて、2日添い寝してやる」
「やっほーーーう!」
京楽は、浮竹にラリアットをかまされたり、学院の中でまっぱのフルチンにされたのも気にせずに、素直に喜んでいた。
露出璧があるので、学院でまっぱになっても平気らしい。
変態と添い寝。できるだけ早く寝るために、睡眠薬でものもう。
そう思う浮竹であった。
やがて夜になり、添い寝の時間がやってきた。
飲もうとしていた睡眠薬は、体に悪いからという理由で取り上げられてしまった。
「すんすん・・・甘い花の香がする。浮竹のにおいだ・・・・すんすん」
思いっきり匂いをかがれて、浮竹は堪えろと、自分に命令していた。
「寝るぞ!」
電気を消すと、もぞもぞと体を這う手があった。
我慢だ、我慢。
寝てしまえば、少々不快なことが起きても起きない自信はあった。
体を這う手はだんだんと大胆になり、衣服の下に手を這わす京楽がいた。
「んあっ」
脇腹を撫であげられて、変な声を出してしまった。
「かわいい、浮竹・・・・もっと、声聞かせて」
鎖骨から臍、臍から・・・・・。
「いい加減にしろ!」
めきっと、京楽の頭蓋に肘をいれた。
「きゅう」
伸びた京楽を簀巻きにして、その隣で浮竹は寝た。これも、添い寝ということになる。同じベッドで眠っているからだ。
次の日も、京楽を簀巻きにして、その隣で寝た。
京楽は、簀巻きにしてもスンスンと臭いをかいできたり、首筋をペロリと舐めてきたりしたので、ガムテープで口を封じておいた。
朝起きて、簀巻きをといてやり、ガムテープをとってやると、京楽は。
「浮竹の愛を受け取ったよ!簀巻きにして隣で寝るのが、浮竹の愛なんだね!」
と、勘違いしていたという。
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虚を食い、虚と同一化した青年
「くく・・・・・ここまで、うまくいくとは」
その青年は、笑った。
学院でも名高い有名な浮竹と京楽のペアの部屋に泊まっても、怪しまれなかったのだ。
教室中のみんなが、生還してきたきことを祝福してくれた。
でも、誰一人、青年の名を口にした者はいなかった。
「ああ、うまい。久しぶりの食事だ・・・・」
ぼりぼりと、青年は、同じ部屋に泊まっていたはずの、女子生徒を絞め殺し、その血肉を啜っていた。
生徒全員から、その女子生徒の名前は脳内から削除されていた。教師からもだ。
ただ、書類の中には残されていた。
特進クラスの少女A。
みんな、失踪したと記憶した。
そうなるように、青年が仕組んだ。
青年は、死神でも人間でもなかった。同時に、死神でも人間でもあった。虚を口にした青年は、虚となり、そして死神見習いとなった。
誰一人、その青年が虚でもあるということを見抜けなかった。
教師もだ。
あの山本元柳斎重國さえ見逃した、死神としてまとう霊圧に、誰もその青年が虚でもあるなどと、分からなかった。
「名前がないと不便だな・・・・・そうだ、朝凪にしよう」
今日から、青年は朝凪となる。
朝凪勇気。
青年が食らっている、少女Aの名前だった。
朝凪とは。
少女Aの記憶を食らう。そして、その能力を身につけた。
上流貴族、朝凪勇気。
朝凪家当主の、朝凪勇気。
少女Aの地位を、自分のものにした。少女Aの身の回りのものを自分のものとした。
誰も、少女が食われて、存在を奪われたとなど、気づかなかった。
「さて、次は誰を食おうか・・・・」
ふと、白髪の友人を思い出す。
屈託なく笑う、朝凪勇気が、青年が虚と一体化する前からの本当の友人。
「浮竹、十四郎・・・・・・綺麗な子だった」
少女Aのように、犯して食ってしまおう。
そう思って、ニヤリと笑んだ。
朝起きると、頭痛がした。
「なんだ・・・・」
その頭痛がなんであるのか、分からなかった。
昨日、朝凪勇気を迎えて宴を開いた。
その後で、咄嗟に名前が出なくて不思議に感じたが、今は分かる。
あの青年は、朝凪勇気。上流貴族朝凪家当主の、朝凪勇気。
浮竹とは1回生からの付き合いで、虚の遠征退治に混ざって3か月後に、一人だけ生還した、不思議な青年。
「顔を、見に行くか・・・・・」
なぜか、とても彼に惹かれた。
蜘蛛の巣がそこにあるとは気づかずに、浮竹は行動を起こす。まず、京楽を起こした。
一緒に、朝凪勇気を迎えに行こうといって、その浮竹の笑顔に、京楽は何も言わなかった。
そこで、浮竹は違和感に気づいた。京楽が、たとえどんなに仲のいい友人であっても、朝に迎えに行こうなどと言ったら、むすっとして膨れて、駄々をこねる京楽が、変態行為もなしで普通にいるのだ。
「熱でもあるのか?」
京楽の額に手をあてるが、平熱だった。
「君・・・・朝凪勇気には、気をつけて」
「え?なんでだ?」
「僕の第6感が、危険だと告げている」
「変な奴だな。置いていくぞ」
京楽を伴って、朝凪勇気が泊まっている寮の部屋にきた。チャイムを押すと、朝凪が出てきた。
「ここに泊まっていたんだろう?なんで、元から部屋が空いているのに、この前俺たちの部屋に泊まったんだろうな?」
「懐かしかったからさ」
「そうそう、懐かしかったからだ」
そう、意識が誘導された。
だが、京楽が顔をしかめた。
何故だ。他の誰もが・・・総隊長でさえ、朝凪勇気を受け入れたのに、京楽だけが素直に朝凪勇気を受け入れない。
朝凪は、計画を変えた。
まずは、邪魔な京楽から食い殺してしまおう。そして浮竹を食い殺し、特進クラスのメンバー全員を食い殺した暁には、大虚(メノスグランデ)のギリアンはおろか、アジューカス以上になっているはずだ。
計画はゆっくりでも早くてもいい。
授業の暇を見ては、京楽を洗脳しようと試みた。
でも、ばちりと弾かれて、やはり京楽は何かが違った。変態故なのか、浮竹のことに関しては特に弄れなかった。
京楽と浮竹が、できているわけでもなく、ただの友人に戻そうとした。
浮竹の周囲に常にいる京楽が邪魔だった。
朝凪は、計画を実行した。
午後になって、一人になった京楽を、朝凪が斬魄刀で刺した。はずだった。
「え・・・・・?」
ごぽりと、血を吐くのは朝凪のほうだった。
「虚・・・を、食ったんだね。飢えの果てに」
憐れみの視線で、朝凪をみる京楽。
「朝凪勇気。それは、少女の名だ。君は、名前さえない、虚を食った死神もどき・・・・・」
どうしてだ、どうしてだ、どうしてた。
「お前を食って、京楽春水になってやる!」
ズンと、心臓を貫かれて、朝凪勇気は生命活動を停止したかに見えた。
朝凪勇気の体から、何かが染み出してきた。それの気配に、学院中で悲鳴が起こる。
「何故だ!?学院の中から、虚の気配が!」
「こっちだ!」
「しまった・・・・・」
朝凪勇気の体に戻り、手早く再生すると、身を隠した。
もう、全員の洗脳が解けていた。
朝凪勇気が食った少女Aの地位と記憶はあるが、朝凪勇気は虚の遠征退治で死んだものとされた。
居場所がなくなった。
なので、朝凪は京楽が彼を探しているうちに、部屋に一人でいる浮竹をターゲットにした。
「誰だ!」
「俺だよ」
「お前は・・・・?友人だった・・・朝凪勇気。でも、朝凪は遠征で死んだはずじゃ・・・・」
虚の力で、押し倒された。
「犯しながら食ってやる」
「なっ!虚!?」
衣服が破かれていく。
「いやだ、京楽!京楽!」
熱いものが宛がわれて、引き裂かれる瞬間、朝凪の首と胴が離れた。
「僕の浮竹に手を出したことを、永遠と後悔するといい」
「何故だ。何故、分かる?何故俺が虚でもあると分かった?何故、朝凪勇気が、少女Aであったと分かった?何故・・・・・・」
京楽は、それ以上言わせず、朝凪勇気の体を細切れにした。
「あう」
虚として滲み出た存在の核に、とどめをさす。
「京楽!」
ほとんど裸に近い状態で、がたがたと京楽に抱き着いて、血まみれになって泣いている浮竹を、そっと毛布で包み込んだ。
「犯されてないよね?」
「怖かった・・・京楽!」
「大丈夫。「朝凪勇気」は最初からいなかった。虚退治の遠征で死んだ青年は、「朝凪勇気」ではなく、虚を食って死神化した、名もなき愚か者」
学院中で、騒ぎが起こった。
山本総隊長でさえも、見抜けなかった事件であった。
後に、山本元柳斎重國が、遺書として自分が死した後は、京楽春水を総隊長にせよと、したためる出来事であった。
「朝凪勇気・・・・食い殺された少女の名前。「朝凪勇気」・・・・食って名と記憶と地位を奪った、虚を口にした死神・・・・・・」
「よく、分からないんだ」
「僕にも、よくわからない。でも、あの朝凪勇気は虚だった。飢えの果てに虚を口にして、虚と一体化した、特別存在。学院の者を襲わなければ、普通に隠れて人を食べながら、虚でいられたのに」
「なぜ、俺を犯して食べようとしたんだろうな?」
「君が綺麗だからだよ。ただ食べてしまうには、もったいなかったんだろう。少女・・・本物の朝凪勇気も、犯された後に食べられたそうだよ。そんな痕跡が、霊圧から見つかったんだ」
本物の、朝凪勇気の僅かな霊圧が部屋に残っていたのだ。偽者の「朝凪勇気」の霊圧は染みるほどにあったが、やはり人間のそれと同じだった。
京楽が壊した核と、浮竹の証言がなければ、「朝凪勇気」はすでに消えた虚として処理されるところだった。
「名前を・・・・思い出せなかった。そこから、僕の意識に侵食する「朝凪勇気」を見つけて断ち切った。おかげで、虚であると分かったよ」
「いつ、断ち切ったんだ?」
「君と僕の部屋に泊まった時に。眠っている間に、侵食しようとしてきた。それを、僕の浮竹に対する愛のパワーと変態で、捩じり伏せた」
「お前の変態が、俺を救うなんて・・・・世も末だな」
「酷い!君は犯されそうになってたんだよ!助けなきゃ、ほんとに引き裂かされて食べられてたんだからね!」
「それには、深く感謝している」
浮竹は、京楽に自分から深いキスをした。
「浮竹・・・・」
「京楽・・・・」
「さぁ、めくるめく愛の世界へ!」
京楽が飛びついてくるのを避けて、浮竹は亡くなった本物の朝凪勇気の冥福を祈るのだった。
その青年は、笑った。
学院でも名高い有名な浮竹と京楽のペアの部屋に泊まっても、怪しまれなかったのだ。
教室中のみんなが、生還してきたきことを祝福してくれた。
でも、誰一人、青年の名を口にした者はいなかった。
「ああ、うまい。久しぶりの食事だ・・・・」
ぼりぼりと、青年は、同じ部屋に泊まっていたはずの、女子生徒を絞め殺し、その血肉を啜っていた。
生徒全員から、その女子生徒の名前は脳内から削除されていた。教師からもだ。
ただ、書類の中には残されていた。
特進クラスの少女A。
みんな、失踪したと記憶した。
そうなるように、青年が仕組んだ。
青年は、死神でも人間でもなかった。同時に、死神でも人間でもあった。虚を口にした青年は、虚となり、そして死神見習いとなった。
誰一人、その青年が虚でもあるということを見抜けなかった。
教師もだ。
あの山本元柳斎重國さえ見逃した、死神としてまとう霊圧に、誰もその青年が虚でもあるなどと、分からなかった。
「名前がないと不便だな・・・・・そうだ、朝凪にしよう」
今日から、青年は朝凪となる。
朝凪勇気。
青年が食らっている、少女Aの名前だった。
朝凪とは。
少女Aの記憶を食らう。そして、その能力を身につけた。
上流貴族、朝凪勇気。
朝凪家当主の、朝凪勇気。
少女Aの地位を、自分のものにした。少女Aの身の回りのものを自分のものとした。
誰も、少女が食われて、存在を奪われたとなど、気づかなかった。
「さて、次は誰を食おうか・・・・」
ふと、白髪の友人を思い出す。
屈託なく笑う、朝凪勇気が、青年が虚と一体化する前からの本当の友人。
「浮竹、十四郎・・・・・・綺麗な子だった」
少女Aのように、犯して食ってしまおう。
そう思って、ニヤリと笑んだ。
朝起きると、頭痛がした。
「なんだ・・・・」
その頭痛がなんであるのか、分からなかった。
昨日、朝凪勇気を迎えて宴を開いた。
その後で、咄嗟に名前が出なくて不思議に感じたが、今は分かる。
あの青年は、朝凪勇気。上流貴族朝凪家当主の、朝凪勇気。
浮竹とは1回生からの付き合いで、虚の遠征退治に混ざって3か月後に、一人だけ生還した、不思議な青年。
「顔を、見に行くか・・・・・」
なぜか、とても彼に惹かれた。
蜘蛛の巣がそこにあるとは気づかずに、浮竹は行動を起こす。まず、京楽を起こした。
一緒に、朝凪勇気を迎えに行こうといって、その浮竹の笑顔に、京楽は何も言わなかった。
そこで、浮竹は違和感に気づいた。京楽が、たとえどんなに仲のいい友人であっても、朝に迎えに行こうなどと言ったら、むすっとして膨れて、駄々をこねる京楽が、変態行為もなしで普通にいるのだ。
「熱でもあるのか?」
京楽の額に手をあてるが、平熱だった。
「君・・・・朝凪勇気には、気をつけて」
「え?なんでだ?」
「僕の第6感が、危険だと告げている」
「変な奴だな。置いていくぞ」
京楽を伴って、朝凪勇気が泊まっている寮の部屋にきた。チャイムを押すと、朝凪が出てきた。
「ここに泊まっていたんだろう?なんで、元から部屋が空いているのに、この前俺たちの部屋に泊まったんだろうな?」
「懐かしかったからさ」
「そうそう、懐かしかったからだ」
そう、意識が誘導された。
だが、京楽が顔をしかめた。
何故だ。他の誰もが・・・総隊長でさえ、朝凪勇気を受け入れたのに、京楽だけが素直に朝凪勇気を受け入れない。
朝凪は、計画を変えた。
まずは、邪魔な京楽から食い殺してしまおう。そして浮竹を食い殺し、特進クラスのメンバー全員を食い殺した暁には、大虚(メノスグランデ)のギリアンはおろか、アジューカス以上になっているはずだ。
計画はゆっくりでも早くてもいい。
授業の暇を見ては、京楽を洗脳しようと試みた。
でも、ばちりと弾かれて、やはり京楽は何かが違った。変態故なのか、浮竹のことに関しては特に弄れなかった。
京楽と浮竹が、できているわけでもなく、ただの友人に戻そうとした。
浮竹の周囲に常にいる京楽が邪魔だった。
朝凪は、計画を実行した。
午後になって、一人になった京楽を、朝凪が斬魄刀で刺した。はずだった。
「え・・・・・?」
ごぽりと、血を吐くのは朝凪のほうだった。
「虚・・・を、食ったんだね。飢えの果てに」
憐れみの視線で、朝凪をみる京楽。
「朝凪勇気。それは、少女の名だ。君は、名前さえない、虚を食った死神もどき・・・・・」
どうしてだ、どうしてだ、どうしてた。
「お前を食って、京楽春水になってやる!」
ズンと、心臓を貫かれて、朝凪勇気は生命活動を停止したかに見えた。
朝凪勇気の体から、何かが染み出してきた。それの気配に、学院中で悲鳴が起こる。
「何故だ!?学院の中から、虚の気配が!」
「こっちだ!」
「しまった・・・・・」
朝凪勇気の体に戻り、手早く再生すると、身を隠した。
もう、全員の洗脳が解けていた。
朝凪勇気が食った少女Aの地位と記憶はあるが、朝凪勇気は虚の遠征退治で死んだものとされた。
居場所がなくなった。
なので、朝凪は京楽が彼を探しているうちに、部屋に一人でいる浮竹をターゲットにした。
「誰だ!」
「俺だよ」
「お前は・・・・?友人だった・・・朝凪勇気。でも、朝凪は遠征で死んだはずじゃ・・・・」
虚の力で、押し倒された。
「犯しながら食ってやる」
「なっ!虚!?」
衣服が破かれていく。
「いやだ、京楽!京楽!」
熱いものが宛がわれて、引き裂かれる瞬間、朝凪の首と胴が離れた。
「僕の浮竹に手を出したことを、永遠と後悔するといい」
「何故だ。何故、分かる?何故俺が虚でもあると分かった?何故、朝凪勇気が、少女Aであったと分かった?何故・・・・・・」
京楽は、それ以上言わせず、朝凪勇気の体を細切れにした。
「あう」
虚として滲み出た存在の核に、とどめをさす。
「京楽!」
ほとんど裸に近い状態で、がたがたと京楽に抱き着いて、血まみれになって泣いている浮竹を、そっと毛布で包み込んだ。
「犯されてないよね?」
「怖かった・・・京楽!」
「大丈夫。「朝凪勇気」は最初からいなかった。虚退治の遠征で死んだ青年は、「朝凪勇気」ではなく、虚を食って死神化した、名もなき愚か者」
学院中で、騒ぎが起こった。
山本総隊長でさえも、見抜けなかった事件であった。
後に、山本元柳斎重國が、遺書として自分が死した後は、京楽春水を総隊長にせよと、したためる出来事であった。
「朝凪勇気・・・・食い殺された少女の名前。「朝凪勇気」・・・・食って名と記憶と地位を奪った、虚を口にした死神・・・・・・」
「よく、分からないんだ」
「僕にも、よくわからない。でも、あの朝凪勇気は虚だった。飢えの果てに虚を口にして、虚と一体化した、特別存在。学院の者を襲わなければ、普通に隠れて人を食べながら、虚でいられたのに」
「なぜ、俺を犯して食べようとしたんだろうな?」
「君が綺麗だからだよ。ただ食べてしまうには、もったいなかったんだろう。少女・・・本物の朝凪勇気も、犯された後に食べられたそうだよ。そんな痕跡が、霊圧から見つかったんだ」
本物の、朝凪勇気の僅かな霊圧が部屋に残っていたのだ。偽者の「朝凪勇気」の霊圧は染みるほどにあったが、やはり人間のそれと同じだった。
京楽が壊した核と、浮竹の証言がなければ、「朝凪勇気」はすでに消えた虚として処理されるところだった。
「名前を・・・・思い出せなかった。そこから、僕の意識に侵食する「朝凪勇気」を見つけて断ち切った。おかげで、虚であると分かったよ」
「いつ、断ち切ったんだ?」
「君と僕の部屋に泊まった時に。眠っている間に、侵食しようとしてきた。それを、僕の浮竹に対する愛のパワーと変態で、捩じり伏せた」
「お前の変態が、俺を救うなんて・・・・世も末だな」
「酷い!君は犯されそうになってたんだよ!助けなきゃ、ほんとに引き裂かされて食べられてたんだからね!」
「それには、深く感謝している」
浮竹は、京楽に自分から深いキスをした。
「浮竹・・・・」
「京楽・・・・」
「さぁ、めくるめく愛の世界へ!」
京楽が飛びついてくるのを避けて、浮竹は亡くなった本物の朝凪勇気の冥福を祈るのだった。
名の分からぬ友人
朝起きると、まっぱでフルチンの京楽がコマネチをしていた。
なかったことにして、二度寝した。
次におきると、まっぱでフルチンの京楽が一人で蹴鞠をしていた。
なかったことにして、三度寝した。
次におきると、服をきた京楽が、キャベツを前に座禅して、瞑想していた。
なかったことにして、流石に四度寝はできなかったので起き出した。
「ふあ~」
もう、昼を回って午後2時だった。
今日は休日である。
冷蔵庫をあけると、オレンジがあった。適当にカットして、口に運ぶ。
酸味のある甘さが口いっぱいに広がった。
「おい、京楽」
「私ハ京楽。今、悟リヲ開イテイマス。邪魔ヲシナイデクダサイ」
「・・・・・・・」
浮竹は、思案した。
そして、京楽のコレクションを漁って、自分のパンツを見つけると、それを京楽の頭に被せた。
「(*´Д`)ハァハァ。悟リガ終了シマシタ。コレヨリ、変態京楽モードニ移行シマス」
機械のような音をたてて、ガクリと京楽から煙があがった。
「どうなってるんだ、お前?」
「マイスウィートハニー!僕に自分からパンツを被せてくれるということは、今はいているパンツも僕にくれるってことだね!?」
ばきっ。
浮竹は、京楽を殴り飛ばした。
「なんでそうなる!何気に脱がせようするな!」
ずり下げられかけている袴を引き上げる。京楽の手を外そうとするのだが、なかなか離れてくれない。
「京楽、愛してる」
耳元でそう囁くと、京楽は袴から手を放して飛び上がった。
「ついに、僕の想いに答えてくれる気になったんだね!」
浮竹に襲い掛かろうとする京楽を蹴って、浮竹は腹が減ったと食堂へ行った。
それを、殴られたり蹴られたりを、加減なしでされたのに平気な顔で、京楽がついてくる。
「お前、あひるの雛みたいなやつだな」
「浮竹のいるところなら、例え炎の中水の中」
食堂につくと、まばらだが人がいた。
「お、変態京楽と被害者浮竹じゃないか。よお、久しぶり」
「お、久しいな。元気にしてたか?」
その友人は、虚退治の遠征に授業の一環としてついていった、友人だった。
かれこれ、3か月ぶりになるだろうか。
「京楽は相変わらずか?」
二人の仲を裂こうと、京楽が割って入ってくるが、そんな京楽を無視して二人は会話を続ける。
「見ての通りだ・・・・ああ、鬱陶しいな」
浮竹は、京楽の足を引っかけて、倒れさせた。
「酷い!浮竹、僕よりもそんな男を選ぶのかい!?」
「ただの友人だろう・・・・お前にとっても、友人だろう」
「え。あほんとだ。元気にしてた?」
大人しくなった京楽に、浮竹は安堵しながら、遠征がどうであったかを聞いた。
「もう、最悪さ。最後は食料が尽きて・・・草や虫を口にして生還した」
「よく生きて帰れたな」
「自分でも、よく生きて戻れたものだと思うよ」
「まだしばらく、休暇なんだろう?」
「ああ」
「よければ俺らの部屋に遊びにこいよ。寮の寝る場所、まだ決まってないんだろう?しばらく泊まっていくか?」
その言葉に、浮竹の背後で般若の面を被った京楽が静かに威嚇していた。
「寮の泊まる部屋は、自分でなんとかするよ。ただ、お前たちと会うのも久しぶりだから、今日は泊まってもいいか?」
「ああ、いいぞ」
かっと、般若の面を被っていた京楽も、一日くらいならと、菩薩の面を被っていた。
「本当に面白いな、お前と京楽」
「そうか?」
くるくる変わる京楽の表情と、あどけない笑顔浮かべる浮竹。そのコンビは、学院でも有名だ。
できているようできていないカップルとして。
「こんな遅くに、昼飯を食いにいにきたのか?」
「ああ、寝過ごしてしまってな」
「京楽は、浮竹を起こさないのか?」
「ああ、こいつに起こされると変態行為を働いてくるから、こいつには起こされないことにしている」
「浮竹も、大変だな」
「僕はそんなに厄介かい?」
「起きるたびに、まっぱで何かしているお前に突っ込みをいれるのもいやだからな」
「うわぁ、京楽はまっぱで部屋にいるのか。それはいやだな。ますます泊まるの1日してよかったぜ」
「こいつ、こんな図体で甘えてくるんだぞ。鬱陶しいったらありゃしない」
「うわぁ。京楽って、上流貴族なのにどういう教育受けてきたんだろうな?」
「さぁ。でも、出会った頃は正常だったんだ。好きだと言われたのを断って数か月経ったら、こんな京楽になっていた」
「京楽と付き合う気はないのか?」
「やめてくれ。こんな変態と付き合う気はない」
「僕が変態じゃなくなったら、付き合ってくれるのかい?」
シリアスな顔をつくって、どこに持っていたのか、薔薇を口にくわえて、口説き出す京楽の頭をはたいて、浮竹はBランチ定食を注文した。
野菜がメインのヘルシーな昼食を、お腹がすいていたこともあって完食する。
京楽は、浮竹の食べ残しがないので、浮竹の使っていたフォークをぺろぺろしていた。
「京楽も、部屋に戻るぞ。置いていくぞ」
「あ、僕も戻る」
洗い場に食器を置いて、友人と3人で会話しながら戻った。
部屋に入ると、友人はぎょっとした。恐らくは京楽のベッドであろうその場所に笑顔の浮竹がプリントアウトされた抱き枕があったのだ。
「ああ、初めて見るとちょっと異様かもしれないが。まぁ、害はないから」
「このテープは?」
「ああ、この内側に京楽が入ってこないように、境界線を。最近はあまり意味がなくなっているが」
「寝る時は、俺はどっちのベッドで?それとも床かな」
「俺のベッドで一緒に・・・・・」
かっと、京楽が般若の顔になった。
「僕のベッドかしてあげる。僕が浮竹と同じベッドで寝るから」
「おい、いいのか、浮竹」
「んー。まぁ、1日だけなら」
やったと、満足げな京楽がいた。
夜になるまで、語りあかした。
とてもいい体験になった。
朝になる。浮竹は、京楽がいなくてどうしたのかと部屋を見ると、京楽は浮竹印の抱き枕を抱えて床で寝ていた。寝違え、落ちたのだ。
友人を見ると、もう起きたのか、簡易キッチンでパンを焼いてくれていた。
「パンだけど、食べるだろう?」
「ああ、ありがとう」
3人分を焼いてくれた。
バターを塗ったトーストを口にしながら、今日からはしばらく休暇になるが、遅れを取り戻すために積極的に授業に出るらしいので、一緒に登校した。
「おい、浮竹が京楽以外の男と部屋を出るのを目撃したやつがいるんだ。間男かな?」
「おいこら、アホなこと言ってるな。こいつの顔、忘れたのか?」
その顔をみて、みんなあっと驚く。
「お前、生きてたのか!」
「別の部隊は全滅したって聞いたぞ」
「勝手に殺さないでくれ。見ての通り、死にそうだったがなんとか生きて戻ってきた」
その時にやっと気づいたが、右目は義眼のようだった。
授業が全て終わって、午後になって教室中で、その友人を囲んで宴を開いた。
お菓子やら酒やらジュースで騒ぎあう。
ひとしきり騒いで、解散になった。
「おい、今日泊まるあてはあるのか?」
心配になった浮竹が聞くと、前々からその友人に想いを寄せていた女子生徒の寮が、ベッドが空いているらしく、しばらくそこで泊まるという。
浮竹は安堵した。京楽が、ふとした違和感に気づく。
あの友人の、名前が出てこないのだ。
「ねぇ。あの子の名前、なんだっけ」
「え・・・・・」
浮竹も、首を捻る。
「確か・・・・あれ?なんで、出てこないんだろう」
二人は首を捻った。
でも、その時はただそれだけであった。
なかったことにして、二度寝した。
次におきると、まっぱでフルチンの京楽が一人で蹴鞠をしていた。
なかったことにして、三度寝した。
次におきると、服をきた京楽が、キャベツを前に座禅して、瞑想していた。
なかったことにして、流石に四度寝はできなかったので起き出した。
「ふあ~」
もう、昼を回って午後2時だった。
今日は休日である。
冷蔵庫をあけると、オレンジがあった。適当にカットして、口に運ぶ。
酸味のある甘さが口いっぱいに広がった。
「おい、京楽」
「私ハ京楽。今、悟リヲ開イテイマス。邪魔ヲシナイデクダサイ」
「・・・・・・・」
浮竹は、思案した。
そして、京楽のコレクションを漁って、自分のパンツを見つけると、それを京楽の頭に被せた。
「(*´Д`)ハァハァ。悟リガ終了シマシタ。コレヨリ、変態京楽モードニ移行シマス」
機械のような音をたてて、ガクリと京楽から煙があがった。
「どうなってるんだ、お前?」
「マイスウィートハニー!僕に自分からパンツを被せてくれるということは、今はいているパンツも僕にくれるってことだね!?」
ばきっ。
浮竹は、京楽を殴り飛ばした。
「なんでそうなる!何気に脱がせようするな!」
ずり下げられかけている袴を引き上げる。京楽の手を外そうとするのだが、なかなか離れてくれない。
「京楽、愛してる」
耳元でそう囁くと、京楽は袴から手を放して飛び上がった。
「ついに、僕の想いに答えてくれる気になったんだね!」
浮竹に襲い掛かろうとする京楽を蹴って、浮竹は腹が減ったと食堂へ行った。
それを、殴られたり蹴られたりを、加減なしでされたのに平気な顔で、京楽がついてくる。
「お前、あひるの雛みたいなやつだな」
「浮竹のいるところなら、例え炎の中水の中」
食堂につくと、まばらだが人がいた。
「お、変態京楽と被害者浮竹じゃないか。よお、久しぶり」
「お、久しいな。元気にしてたか?」
その友人は、虚退治の遠征に授業の一環としてついていった、友人だった。
かれこれ、3か月ぶりになるだろうか。
「京楽は相変わらずか?」
二人の仲を裂こうと、京楽が割って入ってくるが、そんな京楽を無視して二人は会話を続ける。
「見ての通りだ・・・・ああ、鬱陶しいな」
浮竹は、京楽の足を引っかけて、倒れさせた。
「酷い!浮竹、僕よりもそんな男を選ぶのかい!?」
「ただの友人だろう・・・・お前にとっても、友人だろう」
「え。あほんとだ。元気にしてた?」
大人しくなった京楽に、浮竹は安堵しながら、遠征がどうであったかを聞いた。
「もう、最悪さ。最後は食料が尽きて・・・草や虫を口にして生還した」
「よく生きて帰れたな」
「自分でも、よく生きて戻れたものだと思うよ」
「まだしばらく、休暇なんだろう?」
「ああ」
「よければ俺らの部屋に遊びにこいよ。寮の寝る場所、まだ決まってないんだろう?しばらく泊まっていくか?」
その言葉に、浮竹の背後で般若の面を被った京楽が静かに威嚇していた。
「寮の泊まる部屋は、自分でなんとかするよ。ただ、お前たちと会うのも久しぶりだから、今日は泊まってもいいか?」
「ああ、いいぞ」
かっと、般若の面を被っていた京楽も、一日くらいならと、菩薩の面を被っていた。
「本当に面白いな、お前と京楽」
「そうか?」
くるくる変わる京楽の表情と、あどけない笑顔浮かべる浮竹。そのコンビは、学院でも有名だ。
できているようできていないカップルとして。
「こんな遅くに、昼飯を食いにいにきたのか?」
「ああ、寝過ごしてしまってな」
「京楽は、浮竹を起こさないのか?」
「ああ、こいつに起こされると変態行為を働いてくるから、こいつには起こされないことにしている」
「浮竹も、大変だな」
「僕はそんなに厄介かい?」
「起きるたびに、まっぱで何かしているお前に突っ込みをいれるのもいやだからな」
「うわぁ、京楽はまっぱで部屋にいるのか。それはいやだな。ますます泊まるの1日してよかったぜ」
「こいつ、こんな図体で甘えてくるんだぞ。鬱陶しいったらありゃしない」
「うわぁ。京楽って、上流貴族なのにどういう教育受けてきたんだろうな?」
「さぁ。でも、出会った頃は正常だったんだ。好きだと言われたのを断って数か月経ったら、こんな京楽になっていた」
「京楽と付き合う気はないのか?」
「やめてくれ。こんな変態と付き合う気はない」
「僕が変態じゃなくなったら、付き合ってくれるのかい?」
シリアスな顔をつくって、どこに持っていたのか、薔薇を口にくわえて、口説き出す京楽の頭をはたいて、浮竹はBランチ定食を注文した。
野菜がメインのヘルシーな昼食を、お腹がすいていたこともあって完食する。
京楽は、浮竹の食べ残しがないので、浮竹の使っていたフォークをぺろぺろしていた。
「京楽も、部屋に戻るぞ。置いていくぞ」
「あ、僕も戻る」
洗い場に食器を置いて、友人と3人で会話しながら戻った。
部屋に入ると、友人はぎょっとした。恐らくは京楽のベッドであろうその場所に笑顔の浮竹がプリントアウトされた抱き枕があったのだ。
「ああ、初めて見るとちょっと異様かもしれないが。まぁ、害はないから」
「このテープは?」
「ああ、この内側に京楽が入ってこないように、境界線を。最近はあまり意味がなくなっているが」
「寝る時は、俺はどっちのベッドで?それとも床かな」
「俺のベッドで一緒に・・・・・」
かっと、京楽が般若の顔になった。
「僕のベッドかしてあげる。僕が浮竹と同じベッドで寝るから」
「おい、いいのか、浮竹」
「んー。まぁ、1日だけなら」
やったと、満足げな京楽がいた。
夜になるまで、語りあかした。
とてもいい体験になった。
朝になる。浮竹は、京楽がいなくてどうしたのかと部屋を見ると、京楽は浮竹印の抱き枕を抱えて床で寝ていた。寝違え、落ちたのだ。
友人を見ると、もう起きたのか、簡易キッチンでパンを焼いてくれていた。
「パンだけど、食べるだろう?」
「ああ、ありがとう」
3人分を焼いてくれた。
バターを塗ったトーストを口にしながら、今日からはしばらく休暇になるが、遅れを取り戻すために積極的に授業に出るらしいので、一緒に登校した。
「おい、浮竹が京楽以外の男と部屋を出るのを目撃したやつがいるんだ。間男かな?」
「おいこら、アホなこと言ってるな。こいつの顔、忘れたのか?」
その顔をみて、みんなあっと驚く。
「お前、生きてたのか!」
「別の部隊は全滅したって聞いたぞ」
「勝手に殺さないでくれ。見ての通り、死にそうだったがなんとか生きて戻ってきた」
その時にやっと気づいたが、右目は義眼のようだった。
授業が全て終わって、午後になって教室中で、その友人を囲んで宴を開いた。
お菓子やら酒やらジュースで騒ぎあう。
ひとしきり騒いで、解散になった。
「おい、今日泊まるあてはあるのか?」
心配になった浮竹が聞くと、前々からその友人に想いを寄せていた女子生徒の寮が、ベッドが空いているらしく、しばらくそこで泊まるという。
浮竹は安堵した。京楽が、ふとした違和感に気づく。
あの友人の、名前が出てこないのだ。
「ねぇ。あの子の名前、なんだっけ」
「え・・・・・」
浮竹も、首を捻る。
「確か・・・・あれ?なんで、出てこないんだろう」
二人は首を捻った。
でも、その時はただそれだけであった。
海燕と浮竹が入れ替わった件
ごちっ。
「あいたたた」
「痛い」
海燕と浮竹は、互いの頭をぶつけた。
そして、目の前に自分がいるのを見て、悲鳴をあげた。
「ななななな、なんで俺が目の前に!?」
「なんで俺がいるんだ!」
互いに、互いを見つめあう。
「「え」」
「中身、浮竹隊長なんですか?」
「そうだぞ。そういう俺の中身は海燕なのか?」
「そうです」
「前にも京楽とぶつかって中身が入れ替わったことがあったからな・・・・しばらくしたら、元に戻るらしい。じゃ、そういうことで。ふははははは、元気な副官の体だーー」
「あ、隊長!・・・ふらふらする・・・頭痛いし眩暈もするし熱あるな、これ・・・」
海燕の体は浮竹のものだ。仕方なく、布団に入って眠った。
「浮竹、浮竹・・・・・・」
「んっ」
ふと目を覚ますと目の前に京楽がいた。
「よかった、熱はさがったようだね」
とても愛しそうな目で見られた。
「京楽隊長!」
「え、何言ってるんだい、浮竹。ははん、何か面白いことを思いついたんだね。でも、僕は」
京楽にキスされて、海燕は混乱した。
「やめろ、このもじゃもじゃの猿髭!」
「浮竹、酷いな」
抱き締められて、押し倒される。
うわぁ、やばいやばい。
このまま犯されるとか、耐えられない。
「京楽隊長、俺は海燕です!浮竹隊長と頭をぶつけて入れ替わったんです!」
「はぁ、浮竹、そんな設定なの?」
「おい、信じろこの髭もじゃ!まじなんだよ!」
じたばたもがく浮竹こと海燕に、京楽も異変を察知したのか、貪ることをやめた。
いつの間にか死覇装の襟元を大きくあけられて、首筋にはキスマークまで残されていた。
「このまま犯されるとか、冗談じゃないぞ。おい、京楽隊長!」
「まじなの?」
「何が」
「中身が海燕君って」
「まじっていってるでしょう」
「うわぁ。浮竹が相手と思ってた。浮竹の体でも、気持ち悪い」
「そりゃこっちの台詞です!その気もないのに、同じ男に抱かれそうになったんですよ!心中少しは察してください!」
「で、浮竹は・・・・君の体は、どこにいったの?」
きょろきょろと室内を見回しても、浮竹はいなかった。
「なんか、副官の元気な身体だとかいって飛び出していきました」
とても楽しそうに出て行った浮竹を思い出す。
「浮竹のことだ、きっと甘味屋にでも・・・・立てるかい?」
「なんとか」
「瞬歩は使えそうかい?」
「それもなんとか」
体は悲鳴をあげかけていたが、自分の体がどうなっているのかの危機なのだ。
少しばかりの不調は、大目に見る。
「壬生の甘味屋まで、瞬歩でついていけそうかい?」
「いけます」
「じゃあ、行くよ」
雨乾堂を出て、京楽が瞬歩を使った。その速度に驚きながらも、海燕も瞬歩を使う。
壬生の甘味屋で、やっぱり浮竹・・・・こと、海燕の体がいた。
白玉餡蜜をゆっくりゆっくり食べている。
いつもは味わっているのかもわからない速度でぺろりと平らげてしまうのだが、体が海燕のせいか、きっと満腹感を味わっているのだろう。
「2名様ですか?」
「いや、ちょっと奥の人物に用があるだけだから」
「店内での争いごとは困ります!」
そういう女性の給仕係を無視して、海燕の体の浮竹のところにくると、京楽はどす黒く微笑んだ。
「浮竹~~~?」
「え、京楽!?なんだ、もうばれてしまったのか。つまらないなぁ」
「浮竹、君が海燕君と入れ替わったなんて分からなくて、いつも通りに君に接するみたいにしちゃったじゃない」
「じゃあ、ここで白玉餡蜜でも食べていけ。この体、白玉餡蜜の前におはぎ4個くったら、もう入らない・・・・・」
「浮竹隊長、何人の体で甘味物限界まで食べようとしてるんですか!」
「そうなんだ、海燕。この体、元気で健康なのはいいけど、甘味物をあまり食べれない・・・入れ替わった意味、あんまりなかった」
白玉餡蜜を何とか平らげて、勘定を払おうとする。
「ちょ、何、人の財布で勝手に払おうとしてるんですか!」
「だって、お前の体だから、お前の財布しかもってない」
「京楽隊長」
「はいはい」
京楽が、勘定を支払ってくれた。
「二人とも、戻るよ。入れ替わるまで、大人しく雨乾堂で謹慎処分だ」
「えー。なぁ、京楽」
海燕の姿で、京楽をいつもの仕草で落とそうするが、しょせん海燕なのできもいと感じただけだった。
「きもいからやめてください、浮竹隊長」
「ふむ。海燕はきもいのか。俺は自分でいうのもなんだが、見た目はいいな」
「確かに、浮竹隊長の体は見た目はいいけど・・・・中身がらりってますからね」
「お前、上官をそんな目で見てたのか!」
「入れ変わったのに、やっほいと喜んで飛び出していくようなバカは、隊長にいらないです」
「酷い」
そう言ったのは、浮竹だった。
「あれ?」
「あ」
「元に戻ってますね」
「本当だ・・・・まぁ、このほうがしっくりくるな。あ、そこのお姉さん、白玉餡蜜3人前」
給仕係の女性を呼んで、そう注文すると、オーダーが通った。
「浮竹隊長、俺は食べませんよ」
「僕もだよ」
「何言ってるんだ、俺が全部食べるに決まっているだろう」
二人ともがっくりとなった。
海燕は、この上官は・・・・と思い、京楽は、この子は・・・・・と思った。
「お前たちも何か食べるか?」
「俺はもうおなかいっぱいなのでいいです」
「じゃあ、僕も白玉餡蜜1人前を」
3人前もってきた女性に、注文する。
「浮竹、後で高くつくからね」
「な、なんのことだ」
「海燕君を君と思い込んで、押し倒した」
「うわー。そりゃ海燕、災難だったな」
「本当ですよ。こんなもじゃひげ隊長に操奪われかけるなんて、死んだほうがましです」
「そこまで言う!?」
海燕の京楽なんて・・・・・という考え方は、いったりきたりを繰り返している。
いいことをしてくれたり、気分のいいときは、京楽に感謝するが、手を煩わせたり、気分の悪い時は、京楽なんて、と思った。
「まぁ、海燕も今日のことは事故だと思って忘れろ」
「当分無理です。悪夢として夢に出てきそう」
「まぁ、今回損をしたのは海燕と京楽だし、俺は平気なのでよしとしよう」
不敬だとは知りつつも、メニューの紙を丸めたもので、浮竹の頭をスパーンと海燕は殴った。
「何をする」
「京楽隊長、俺が許可します。浮竹隊長が熱でるまでしても構いませんよ」
「おい、海燕」
「そういうことなら」
京楽が、出された白玉餡蜜を平らげてから、浮竹の体を肩に抱き上げた。にやりと、人の悪い笑みを浮かべる二人に、浮竹はすまないと謝ったのだが、もう遅かったのであった。
「あいたたた」
「痛い」
海燕と浮竹は、互いの頭をぶつけた。
そして、目の前に自分がいるのを見て、悲鳴をあげた。
「ななななな、なんで俺が目の前に!?」
「なんで俺がいるんだ!」
互いに、互いを見つめあう。
「「え」」
「中身、浮竹隊長なんですか?」
「そうだぞ。そういう俺の中身は海燕なのか?」
「そうです」
「前にも京楽とぶつかって中身が入れ替わったことがあったからな・・・・しばらくしたら、元に戻るらしい。じゃ、そういうことで。ふははははは、元気な副官の体だーー」
「あ、隊長!・・・ふらふらする・・・頭痛いし眩暈もするし熱あるな、これ・・・」
海燕の体は浮竹のものだ。仕方なく、布団に入って眠った。
「浮竹、浮竹・・・・・・」
「んっ」
ふと目を覚ますと目の前に京楽がいた。
「よかった、熱はさがったようだね」
とても愛しそうな目で見られた。
「京楽隊長!」
「え、何言ってるんだい、浮竹。ははん、何か面白いことを思いついたんだね。でも、僕は」
京楽にキスされて、海燕は混乱した。
「やめろ、このもじゃもじゃの猿髭!」
「浮竹、酷いな」
抱き締められて、押し倒される。
うわぁ、やばいやばい。
このまま犯されるとか、耐えられない。
「京楽隊長、俺は海燕です!浮竹隊長と頭をぶつけて入れ替わったんです!」
「はぁ、浮竹、そんな設定なの?」
「おい、信じろこの髭もじゃ!まじなんだよ!」
じたばたもがく浮竹こと海燕に、京楽も異変を察知したのか、貪ることをやめた。
いつの間にか死覇装の襟元を大きくあけられて、首筋にはキスマークまで残されていた。
「このまま犯されるとか、冗談じゃないぞ。おい、京楽隊長!」
「まじなの?」
「何が」
「中身が海燕君って」
「まじっていってるでしょう」
「うわぁ。浮竹が相手と思ってた。浮竹の体でも、気持ち悪い」
「そりゃこっちの台詞です!その気もないのに、同じ男に抱かれそうになったんですよ!心中少しは察してください!」
「で、浮竹は・・・・君の体は、どこにいったの?」
きょろきょろと室内を見回しても、浮竹はいなかった。
「なんか、副官の元気な身体だとかいって飛び出していきました」
とても楽しそうに出て行った浮竹を思い出す。
「浮竹のことだ、きっと甘味屋にでも・・・・立てるかい?」
「なんとか」
「瞬歩は使えそうかい?」
「それもなんとか」
体は悲鳴をあげかけていたが、自分の体がどうなっているのかの危機なのだ。
少しばかりの不調は、大目に見る。
「壬生の甘味屋まで、瞬歩でついていけそうかい?」
「いけます」
「じゃあ、行くよ」
雨乾堂を出て、京楽が瞬歩を使った。その速度に驚きながらも、海燕も瞬歩を使う。
壬生の甘味屋で、やっぱり浮竹・・・・こと、海燕の体がいた。
白玉餡蜜をゆっくりゆっくり食べている。
いつもは味わっているのかもわからない速度でぺろりと平らげてしまうのだが、体が海燕のせいか、きっと満腹感を味わっているのだろう。
「2名様ですか?」
「いや、ちょっと奥の人物に用があるだけだから」
「店内での争いごとは困ります!」
そういう女性の給仕係を無視して、海燕の体の浮竹のところにくると、京楽はどす黒く微笑んだ。
「浮竹~~~?」
「え、京楽!?なんだ、もうばれてしまったのか。つまらないなぁ」
「浮竹、君が海燕君と入れ替わったなんて分からなくて、いつも通りに君に接するみたいにしちゃったじゃない」
「じゃあ、ここで白玉餡蜜でも食べていけ。この体、白玉餡蜜の前におはぎ4個くったら、もう入らない・・・・・」
「浮竹隊長、何人の体で甘味物限界まで食べようとしてるんですか!」
「そうなんだ、海燕。この体、元気で健康なのはいいけど、甘味物をあまり食べれない・・・入れ替わった意味、あんまりなかった」
白玉餡蜜を何とか平らげて、勘定を払おうとする。
「ちょ、何、人の財布で勝手に払おうとしてるんですか!」
「だって、お前の体だから、お前の財布しかもってない」
「京楽隊長」
「はいはい」
京楽が、勘定を支払ってくれた。
「二人とも、戻るよ。入れ替わるまで、大人しく雨乾堂で謹慎処分だ」
「えー。なぁ、京楽」
海燕の姿で、京楽をいつもの仕草で落とそうするが、しょせん海燕なのできもいと感じただけだった。
「きもいからやめてください、浮竹隊長」
「ふむ。海燕はきもいのか。俺は自分でいうのもなんだが、見た目はいいな」
「確かに、浮竹隊長の体は見た目はいいけど・・・・中身がらりってますからね」
「お前、上官をそんな目で見てたのか!」
「入れ変わったのに、やっほいと喜んで飛び出していくようなバカは、隊長にいらないです」
「酷い」
そう言ったのは、浮竹だった。
「あれ?」
「あ」
「元に戻ってますね」
「本当だ・・・・まぁ、このほうがしっくりくるな。あ、そこのお姉さん、白玉餡蜜3人前」
給仕係の女性を呼んで、そう注文すると、オーダーが通った。
「浮竹隊長、俺は食べませんよ」
「僕もだよ」
「何言ってるんだ、俺が全部食べるに決まっているだろう」
二人ともがっくりとなった。
海燕は、この上官は・・・・と思い、京楽は、この子は・・・・・と思った。
「お前たちも何か食べるか?」
「俺はもうおなかいっぱいなのでいいです」
「じゃあ、僕も白玉餡蜜1人前を」
3人前もってきた女性に、注文する。
「浮竹、後で高くつくからね」
「な、なんのことだ」
「海燕君を君と思い込んで、押し倒した」
「うわー。そりゃ海燕、災難だったな」
「本当ですよ。こんなもじゃひげ隊長に操奪われかけるなんて、死んだほうがましです」
「そこまで言う!?」
海燕の京楽なんて・・・・・という考え方は、いったりきたりを繰り返している。
いいことをしてくれたり、気分のいいときは、京楽に感謝するが、手を煩わせたり、気分の悪い時は、京楽なんて、と思った。
「まぁ、海燕も今日のことは事故だと思って忘れろ」
「当分無理です。悪夢として夢に出てきそう」
「まぁ、今回損をしたのは海燕と京楽だし、俺は平気なのでよしとしよう」
不敬だとは知りつつも、メニューの紙を丸めたもので、浮竹の頭をスパーンと海燕は殴った。
「何をする」
「京楽隊長、俺が許可します。浮竹隊長が熱でるまでしても構いませんよ」
「おい、海燕」
「そういうことなら」
京楽が、出された白玉餡蜜を平らげてから、浮竹の体を肩に抱き上げた。にやりと、人の悪い笑みを浮かべる二人に、浮竹はすまないと謝ったのだが、もう遅かったのであった。
海燕の誕生日
「そうか。今日は10月27日か」
ふと、カレンダーを見て浮竹が思案する。
「どうしたの、浮竹」
京楽が、背後から浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「いや、今日は海燕の誕生日なんだ。すっかり忘れていた」
「海燕君の誕生日か」
京楽が、浮竹を抱き寄せながら、こう言った。
「何か、好物でもあげればいいんじゃないかい」
「海燕は・・・・・俺と似ていて、おはぎが好物なんだよな」
「壬生の甘味屋まで、買いに行くかい?」
「そうだな、行こうか」
抱き締められて、キスをした。浅く深く・・・・何度か口づけあって、離れた。
「そうと決まれば、行くぞ」
京楽を伴って、雨乾堂を出る。
「どうしたんですか、隊長、京楽隊長」
途中で隊舎から出てきた海燕にあって、浮竹が焦った。
「なななななな、なんでもないぞ」
「浮竹、落ち着いて」
手を握りしめられて、幾分落ち着いた浮竹が声を出す。
「何、ちょっと甘味屋まで食べに行くだけだ」
「夕餉、入るようにちゃんと少しは空腹を抱えてきてくださいね」
そう言われなくても、甘味物をたくさん平らげても、普通に夕餉は食べるのだが。
「分かっている、海燕」
「そうそう、今日も京楽隊長はお泊りですよね?いい加減、たまには8番隊の隊首室か自分の屋敷で寝たらどうですか」
「浮竹を持って帰っていいなら」
「普通に泊まりでいいです」
前言を撤回する海燕。
この男は・・・・そう思いながら、上官の大切な想い人なので無碍にできない。
何も、京楽が嫌いなわけではない。でもここ数日毎日のように泊まる京楽に、少し嫌気がさしているのも事実だ。
自分の上官を、まるで自分のもののように扱うから。
まぁ、でもそれを浮竹も望んでいるのだから、何も言えないのだが。
13番隊の姑として名高い海燕にしてみれば、京楽がくるのは毎日じゃなくてもいいと思うのだ。
「行こう、京楽」
「そうだね」
これ見よがしに、手を繋いでいるところを見せつけられる。
海燕は、軽いため息をついた。
「海燕、どうしたんだろう。あんまり元気がなかったな」
「んー。多分、僕のせいだろうね」
「何かしたのか、京楽?」
「いやー。ここ最近毎日泊まってるから。身の回りの世話とかに、嫌気がさしたんじゃないかなーと思って」
「海燕は、俺の世話で文句を言ったことはないぞ」
「そりゃ君の副官だからね。僕の分まで朝餉やら昼餉に夕餉・・・布団をしいたりたたんだり。洗濯物を洗ったり・・・・まぁ、大変なんだろうね」
「京楽も、たまには8番隊の執務室で仕事しろよ?」
「ああ、今度ね」
最近、いつも仕事を雨乾堂にもちこんで、こなす京楽は、ここ最近雨乾堂に入り浸っていた。
小うるさい、8番隊の姑こと七緒が、最近里帰りしていていないのだ。それをいいことに、雨乾堂に毎日のように泊まりにきていた。
それも、そろそろ終わりかな。
京楽も思う。これ以上、海燕を刺激するわけにもいかない。
一度、熱を出してしまった浮竹に手を出して、熱が高くなり症状を悪化させてしまったことがあるのだが、その時の海燕の怒りようったら、ほんとに般若のようで、しばらく雨乾堂にいくこともなくなったほどだ。
般若になる前に、そろそろ8番隊に戻ろうか。そう思った。
壬生の甘味屋についた。海燕のおはぎを買いに来たはずなのだが、何故か浮竹がおはぎを注文して食べていた。他にも白玉餡蜜やらお汁粉やらぜんざいやらを頼んで、3人前はぺろりと平らげた。
「おはぎを10こ。持ち帰りで」
勘定は、持ち帰りのおはぎが浮竹もちで、それ以外が京楽もちだった。
いつもは全てが京楽もちになっていて、それが当たり前になっているので、何も言わなかったのだが、珍しく自分で金を払う浮竹に声をかける。
「僕が払っても、いいんだよ」
「俺の副官への誕生日プレゼントなんだ。これくらい、俺が出す。大した額じゃないしな」
壬生の甘味屋は、確かに高くはないが、決して安いとはいえなった。
まぁ京楽もおはぎを10個買うくらいの金はもっていて当たり前なのだが。
家族への仕送りと、薬代でかなり金がとんでいくが、たまに飲食に使う金くらいはあった。
普段の食事は、隊がもつので、そこからひかれていくので浮竹の負担はない。ただ、放置しておけば、焼き魚に漬物、汁物、ご飯程度になってしまう食事を、京楽が金を出して改善させていた。
「よし、帰るぞ」
おはぎを10個入ったパックを鞄にしまいこんで、それを背名に背負う。
また、行き道と同じように、手を繋いで帰り道を歩く。
「きゃあっ」
「浮竹隊長と京楽隊長よっ、かわいい手を繋いでる」
たまに、すれ違う女性死神から黄色い声をもらう。
京楽は、そんな女性死神にひらひらと手を振った。
それに、浮竹がむすっとなる。
「京楽は、サービス精神旺盛だな」
「そんなことはないよ。ただ手の平をふるだけだだよ」
「ふん」
気分を害したらしい浮竹を抱き寄せて、往来で口づけた。
「きゃああ!」
女性死神たちの黄色い声が高くなる。
「きょ、京楽」
浮竹も、流石に顔を真っ赤にした。
「僕には、浮竹だけだから。女性死神に嫉妬なんてする必要はないんだよ」
「恥ずかしい奴だな!ほら、帰るぞ!」
恥ずかしいといいながらも、また手を繋ぐ。
そんな浮竹にほっこりしながらも、京楽も歩き出した。
雨乾堂について、浮竹が海燕を呼ぶ。
「どうしたんですか、用があるって」
「ハッピーバースディ。誕生日おめでとう、海燕」
「え?」
「これは俺からの贈り物だ」
壬生のおはぎを海燕に渡すと、海燕は嬉しそうにしながらも、声を出す。
「俺の誕生日、明日ですよ」
「ええっ!今日は10月27日じゃ。金曜日だし・・・」
「今日は木曜ですよ」
カレンダーを見たら、9月のになっていた。
「このカレンダーめ!」
浮竹が、カレンダーの9月を破ってぐしゃぐしゃにして、足で踏みつけていた。
カレンダーに八つ当たりする浮竹が可愛くて、京楽も海燕もほっこりしながら見ていた。
「1日早いですけど、誕生日祝ってくれてありがとうございます。これ、おはぎですよね?」
「そうだぞ。壬生のやつだ」
「あそこのおはぎ、一番好きです」
海燕は、おはぎの入ったパックを手に、隊舎に下がって行った。
「ああ、1日違いなんて・・・・俺も、ボケが始まったかな」
「たまには、そんな間違いもあるよ」
京楽が、浮竹の頭を撫でた。
「今日で、お泊りは一度終わりにするよ」
「そうなのか?」
「うん。海燕君に負担かけてるし、七緒ちゃんも戻ってくるから、執務室で仕事しろって口うるさく言われそう」
「なんか、あれだな。8番隊の姑ってかんじ。海燕が13番隊の姑で」
「ははははは」
まさにその通りだった。
「まぁ、七緒ちゃんも好きで姑みたいになったわけじゃあないけどね。僕がのらりくらり、ふらふらしているから、七緒ちゃんがしっかりしないと、8番隊の示しがつかないからね」
「そうだなー。俺も臥せっている時以外で、京楽が来ない時は、日番谷隊長のところやら白哉のところにやらふらふらと行ってしまうから」
「お互い、口うるさいけどできた副官をもったものだね」
「そうだな」
その日、泊まりの最後だからと体を重ねあっていると、まだ消灯時刻ではないの海燕がやってきて、あわわわとなった。
「ちょ、俺がくるかもしれない時刻におっぱじめるの、勘弁してください!」
「海燕、今日のことは忘れろ・・・・んあっ」
「僕は、海燕君が見ていると逆に燃えちゃうなぁ」
「この変態がっ」
海燕は、真っ赤になって出て行った。
京楽は、やっぱり好きじゃないかもしれない。
そう思う海燕だった。
ふと、カレンダーを見て浮竹が思案する。
「どうしたの、浮竹」
京楽が、背後から浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「いや、今日は海燕の誕生日なんだ。すっかり忘れていた」
「海燕君の誕生日か」
京楽が、浮竹を抱き寄せながら、こう言った。
「何か、好物でもあげればいいんじゃないかい」
「海燕は・・・・・俺と似ていて、おはぎが好物なんだよな」
「壬生の甘味屋まで、買いに行くかい?」
「そうだな、行こうか」
抱き締められて、キスをした。浅く深く・・・・何度か口づけあって、離れた。
「そうと決まれば、行くぞ」
京楽を伴って、雨乾堂を出る。
「どうしたんですか、隊長、京楽隊長」
途中で隊舎から出てきた海燕にあって、浮竹が焦った。
「なななななな、なんでもないぞ」
「浮竹、落ち着いて」
手を握りしめられて、幾分落ち着いた浮竹が声を出す。
「何、ちょっと甘味屋まで食べに行くだけだ」
「夕餉、入るようにちゃんと少しは空腹を抱えてきてくださいね」
そう言われなくても、甘味物をたくさん平らげても、普通に夕餉は食べるのだが。
「分かっている、海燕」
「そうそう、今日も京楽隊長はお泊りですよね?いい加減、たまには8番隊の隊首室か自分の屋敷で寝たらどうですか」
「浮竹を持って帰っていいなら」
「普通に泊まりでいいです」
前言を撤回する海燕。
この男は・・・・そう思いながら、上官の大切な想い人なので無碍にできない。
何も、京楽が嫌いなわけではない。でもここ数日毎日のように泊まる京楽に、少し嫌気がさしているのも事実だ。
自分の上官を、まるで自分のもののように扱うから。
まぁ、でもそれを浮竹も望んでいるのだから、何も言えないのだが。
13番隊の姑として名高い海燕にしてみれば、京楽がくるのは毎日じゃなくてもいいと思うのだ。
「行こう、京楽」
「そうだね」
これ見よがしに、手を繋いでいるところを見せつけられる。
海燕は、軽いため息をついた。
「海燕、どうしたんだろう。あんまり元気がなかったな」
「んー。多分、僕のせいだろうね」
「何かしたのか、京楽?」
「いやー。ここ最近毎日泊まってるから。身の回りの世話とかに、嫌気がさしたんじゃないかなーと思って」
「海燕は、俺の世話で文句を言ったことはないぞ」
「そりゃ君の副官だからね。僕の分まで朝餉やら昼餉に夕餉・・・布団をしいたりたたんだり。洗濯物を洗ったり・・・・まぁ、大変なんだろうね」
「京楽も、たまには8番隊の執務室で仕事しろよ?」
「ああ、今度ね」
最近、いつも仕事を雨乾堂にもちこんで、こなす京楽は、ここ最近雨乾堂に入り浸っていた。
小うるさい、8番隊の姑こと七緒が、最近里帰りしていていないのだ。それをいいことに、雨乾堂に毎日のように泊まりにきていた。
それも、そろそろ終わりかな。
京楽も思う。これ以上、海燕を刺激するわけにもいかない。
一度、熱を出してしまった浮竹に手を出して、熱が高くなり症状を悪化させてしまったことがあるのだが、その時の海燕の怒りようったら、ほんとに般若のようで、しばらく雨乾堂にいくこともなくなったほどだ。
般若になる前に、そろそろ8番隊に戻ろうか。そう思った。
壬生の甘味屋についた。海燕のおはぎを買いに来たはずなのだが、何故か浮竹がおはぎを注文して食べていた。他にも白玉餡蜜やらお汁粉やらぜんざいやらを頼んで、3人前はぺろりと平らげた。
「おはぎを10こ。持ち帰りで」
勘定は、持ち帰りのおはぎが浮竹もちで、それ以外が京楽もちだった。
いつもは全てが京楽もちになっていて、それが当たり前になっているので、何も言わなかったのだが、珍しく自分で金を払う浮竹に声をかける。
「僕が払っても、いいんだよ」
「俺の副官への誕生日プレゼントなんだ。これくらい、俺が出す。大した額じゃないしな」
壬生の甘味屋は、確かに高くはないが、決して安いとはいえなった。
まぁ京楽もおはぎを10個買うくらいの金はもっていて当たり前なのだが。
家族への仕送りと、薬代でかなり金がとんでいくが、たまに飲食に使う金くらいはあった。
普段の食事は、隊がもつので、そこからひかれていくので浮竹の負担はない。ただ、放置しておけば、焼き魚に漬物、汁物、ご飯程度になってしまう食事を、京楽が金を出して改善させていた。
「よし、帰るぞ」
おはぎを10個入ったパックを鞄にしまいこんで、それを背名に背負う。
また、行き道と同じように、手を繋いで帰り道を歩く。
「きゃあっ」
「浮竹隊長と京楽隊長よっ、かわいい手を繋いでる」
たまに、すれ違う女性死神から黄色い声をもらう。
京楽は、そんな女性死神にひらひらと手を振った。
それに、浮竹がむすっとなる。
「京楽は、サービス精神旺盛だな」
「そんなことはないよ。ただ手の平をふるだけだだよ」
「ふん」
気分を害したらしい浮竹を抱き寄せて、往来で口づけた。
「きゃああ!」
女性死神たちの黄色い声が高くなる。
「きょ、京楽」
浮竹も、流石に顔を真っ赤にした。
「僕には、浮竹だけだから。女性死神に嫉妬なんてする必要はないんだよ」
「恥ずかしい奴だな!ほら、帰るぞ!」
恥ずかしいといいながらも、また手を繋ぐ。
そんな浮竹にほっこりしながらも、京楽も歩き出した。
雨乾堂について、浮竹が海燕を呼ぶ。
「どうしたんですか、用があるって」
「ハッピーバースディ。誕生日おめでとう、海燕」
「え?」
「これは俺からの贈り物だ」
壬生のおはぎを海燕に渡すと、海燕は嬉しそうにしながらも、声を出す。
「俺の誕生日、明日ですよ」
「ええっ!今日は10月27日じゃ。金曜日だし・・・」
「今日は木曜ですよ」
カレンダーを見たら、9月のになっていた。
「このカレンダーめ!」
浮竹が、カレンダーの9月を破ってぐしゃぐしゃにして、足で踏みつけていた。
カレンダーに八つ当たりする浮竹が可愛くて、京楽も海燕もほっこりしながら見ていた。
「1日早いですけど、誕生日祝ってくれてありがとうございます。これ、おはぎですよね?」
「そうだぞ。壬生のやつだ」
「あそこのおはぎ、一番好きです」
海燕は、おはぎの入ったパックを手に、隊舎に下がって行った。
「ああ、1日違いなんて・・・・俺も、ボケが始まったかな」
「たまには、そんな間違いもあるよ」
京楽が、浮竹の頭を撫でた。
「今日で、お泊りは一度終わりにするよ」
「そうなのか?」
「うん。海燕君に負担かけてるし、七緒ちゃんも戻ってくるから、執務室で仕事しろって口うるさく言われそう」
「なんか、あれだな。8番隊の姑ってかんじ。海燕が13番隊の姑で」
「ははははは」
まさにその通りだった。
「まぁ、七緒ちゃんも好きで姑みたいになったわけじゃあないけどね。僕がのらりくらり、ふらふらしているから、七緒ちゃんがしっかりしないと、8番隊の示しがつかないからね」
「そうだなー。俺も臥せっている時以外で、京楽が来ない時は、日番谷隊長のところやら白哉のところにやらふらふらと行ってしまうから」
「お互い、口うるさいけどできた副官をもったものだね」
「そうだな」
その日、泊まりの最後だからと体を重ねあっていると、まだ消灯時刻ではないの海燕がやってきて、あわわわとなった。
「ちょ、俺がくるかもしれない時刻におっぱじめるの、勘弁してください!」
「海燕、今日のことは忘れろ・・・・んあっ」
「僕は、海燕君が見ていると逆に燃えちゃうなぁ」
「この変態がっ」
海燕は、真っ赤になって出て行った。
京楽は、やっぱり好きじゃないかもしれない。
そう思う海燕だった。
酔っ払いと現世での虚退治
「うぃー、俺は酔っぱらってなんかないぞお」
「浮竹、足にきてるから。ほら、肩かすから歩いて」
「京楽のあほー。お前のせいで、俺の人生設計が滅茶苦茶だー」
「なんで僕のせい・・・・・」
「お前が変態で、俺のことを好きだからだ」
「ああ、確かに僕のせいだね」
京楽を半分抱えた状態になりながら、夜道を歩く。
今日は、飲み会があった。合同のコンパだった。浮竹と京楽は女子に興味はないだろうが、連れて行けば女子が黄色い声をあげて喜ぶので、ほぼ無理やり参加させられた。
やはり浮竹にしか興味を示さぬ京楽が、あれやこれやと浮竹の世話を焼く様子に、女子たちははしゃいで、結果的に誰か男とくっついて帰っていって、コンパは無事成功した。
送っていく女子もいないので、浮竹を送る京楽。
といっても、京楽は浮竹専門だが。
京楽は瞬歩を使えるが、まだ未熟で中途半端なため、体に負荷をかける。だから、よほどのことがない限り、瞬歩は使わないことにしていた。
千鳥足で歩く浮竹を支えながら歩くのにも、限界があった。
「ああもう、抱いていくよ」
その軽い体を横抱きにして歩いていく。こっちのほうが疲れないし、楽だ。
鍛錬を怠っていない京楽の体躯はでかく、筋肉ももりもりだ。それに対して、浮竹は鍛え上げても薄くしなやかな筋肉がつくだけで、細い。おまけに食も細いし、よく熱を出したり肺の病で臥せってろくに食事もとれないこともある。
浮竹の体重なんて、京楽の3分の2あるかないかだった。
それを浮竹はとても気にしていて、京楽の体を見ては、いいなと言う、
京楽からしてみれば、今のままの浮竹がいいので、筋肉もりもりにはなってほしくなかった。
どこか中性的な浮竹が好きなのだ。
背丈はあるのが、容姿のせいで、私服の時はよく女に間違われた。
院内では、男にまで告白されるという。京楽が睨みを効かせてから大分減ったが、それでも浮竹に邪な思いをもつ男は後を絶たない。
3回生も、もうすぐ終わりだ。
冬も終わりに近づいていた。
桜の花が咲く季節には、4回生になる。
この頃の学院は、飛び級をしていなかったので、成績のいい浮竹も京楽も、しっかりと6回生まで生徒として在席していた。
寮の自室につくと、浮竹をベッドの上に寝かせた。
「お前も、一緒に寝ろ」
ぽいぽいと衣服を脱いで、襦袢姿になった浮竹が誘ってくる。それに応える京楽。同じようにぽいぽいと衣服を脱いで、こっちは全裸になった。
最近、ちょっと露出璧が出てきたので、裸でいても平気だった。
「むちゅー」
「やっ」
たこのようにキスを求める京楽にビンタが炸裂した。
「普通に、しろ」
普通にキスをすると、浮竹はそれに応えた。舌と舌を絡ませなあいながら、深く、そして浅くキスを繰り返していると、浮竹は寝てしまった。
「ちぇっ」
もうちょっと、イチャイチャラブラブしたかったが、浮竹が酔って甘えてくることはたまにあるので、今度の機会になる。
そのまま、浮竹のベッドの上で一緒に丸くなって眠った。
朝になって。
「このドヘンタイ!何、人のベッドで全裸で寝てやがる!」
浮竹が怒って、京楽の尻を蹴った。
「もぎゃ!」
「パンツくらいはけ!」
京楽の脱ぎ散らかした、勝負パンツを投げてよこすと、京楽はしぶしぶパンツを身に着けた。
「これはね、浮竹が酔って・・・・」
「俺が酔って、お前を一緒のベッドで眠ろうと誘うことはあるかもしれない。でも、裸になれとは、酔っていても絶対に言わない!」
「解放感あるよ?」
「俺に裸になれと言っているのか?」
「うん」
「ごめんこうむる!」
京楽の尻を、また蹴り上げる。
「きゃいん!」
「この駄犬が!服を着ろ!」
そういう浮竹も、襦袢姿だったので、下着を変えて新しい院生の服を身にまとう。
洗いものにいれた浮竹の下着を、京楽が盗もうとするので、股間を蹴り上げておいた。
登校の時間になり、京楽も真面目になって・・・・いや、大分にまついているが・・まぁ、なんとか学院まで登校して、授業を受けた。
次の日は、現世での虚退治だった。
すでに、尸魂界で2つしかないと言われている二対一刀の斬魄刀をもつ二人は、ペアになって虚を駆逐していく。
そのスピードはすさまじく、撒きえで呼ばれた虚の80%までを二人が退治してしまった。
「京楽、浮竹はそこまで!これ以上虚を退治されては、他の生徒の授業にならん」
「つまんないの」
「仕方ないだろう」
ふと、空を見る。
黒腔(ガルガンタ)があき、大虚(メノスグランデ)が顔を覗かせた。
「生徒たちは至急、尸魂界へ戻れ!こちら現世、大虚が現れた、至急、援助にこられたし!」
「あれ、やっちゃう?」
「そうだな」:
違いの斬魄刀を始解して、大虚に切りかかる。
大虚は、理解できないおたけびをあげて、塵となった。
「浮竹、京楽・・・・・・ここまで成長したか」
引率の教師が、舌を巻いた。
すでに、護廷13隊の席官入りは間違いなしとされていて、山本元柳斎重國の愛弟子であり、秘蔵っ子。
二人の身柄を確保すべく、すでに13隊の間で苛烈なとりあい合戦が繰り広げられているという。
4番隊はなしとしても、残りの12隊でのとりあいだ。
「けが人がいないな!?」
「いません」
浮竹が、周囲にいる進学クラスの仲間をみて、そう答えた。
「では、これより尸魂界に帰還する!」
穿界門が開かれる。
京楽は、浮竹の腕をひいて、穿界門から遠ざけた。
「何をする、京楽!」
大虚のがでたせいで、他の普通の虚たちが集まってきていた。まだ教師は気づかないほど遠くだが、浮竹と京楽は感知した。
「先生、大量の虚がこちらにむかっています。退治して帰りますね」
「おい、浮竹、京楽!」
教師も、穿界門に入った後だった。
「暴れますか」
「ああ、たまには死を抱えた戦いをしようじゃないか」
互いに背をあわせて、遅いかかってくる虚を切りすてていく。
その数、50、60、70・・・・・。
100ほど数えたあたりで、虚はいなくなってしまった。
「暴れたりない」
「同じく」
大地に降りて、抱き締めあう。
貪るように、口づけを繰り返した。
虚の返り血で真っ赤になった浮竹の白い髪を手にとり、口づける。
そのまま、互いの体を少しだけまさぐりあって、そこで終わった、
「物足りないよ・・・・」
「ここまでだ。我慢しろ」
「うん」
体の全てを許したわけではないので、そこで終わりだった。
迎えの教師が、遅れてやってくる。血だらけの二人を見て、血相を変えるが、無事なのを見て安堵した。
「浮竹、京楽、今回のようなことは今後慎むように」
「はい」
「すみません」
形だけの謝罪を口にする。例え教師でも、あの数の虚は駆逐できないだろう。
それを知っているので、あえて汚れ役を引き受けた二人であった。
「浮竹、足にきてるから。ほら、肩かすから歩いて」
「京楽のあほー。お前のせいで、俺の人生設計が滅茶苦茶だー」
「なんで僕のせい・・・・・」
「お前が変態で、俺のことを好きだからだ」
「ああ、確かに僕のせいだね」
京楽を半分抱えた状態になりながら、夜道を歩く。
今日は、飲み会があった。合同のコンパだった。浮竹と京楽は女子に興味はないだろうが、連れて行けば女子が黄色い声をあげて喜ぶので、ほぼ無理やり参加させられた。
やはり浮竹にしか興味を示さぬ京楽が、あれやこれやと浮竹の世話を焼く様子に、女子たちははしゃいで、結果的に誰か男とくっついて帰っていって、コンパは無事成功した。
送っていく女子もいないので、浮竹を送る京楽。
といっても、京楽は浮竹専門だが。
京楽は瞬歩を使えるが、まだ未熟で中途半端なため、体に負荷をかける。だから、よほどのことがない限り、瞬歩は使わないことにしていた。
千鳥足で歩く浮竹を支えながら歩くのにも、限界があった。
「ああもう、抱いていくよ」
その軽い体を横抱きにして歩いていく。こっちのほうが疲れないし、楽だ。
鍛錬を怠っていない京楽の体躯はでかく、筋肉ももりもりだ。それに対して、浮竹は鍛え上げても薄くしなやかな筋肉がつくだけで、細い。おまけに食も細いし、よく熱を出したり肺の病で臥せってろくに食事もとれないこともある。
浮竹の体重なんて、京楽の3分の2あるかないかだった。
それを浮竹はとても気にしていて、京楽の体を見ては、いいなと言う、
京楽からしてみれば、今のままの浮竹がいいので、筋肉もりもりにはなってほしくなかった。
どこか中性的な浮竹が好きなのだ。
背丈はあるのが、容姿のせいで、私服の時はよく女に間違われた。
院内では、男にまで告白されるという。京楽が睨みを効かせてから大分減ったが、それでも浮竹に邪な思いをもつ男は後を絶たない。
3回生も、もうすぐ終わりだ。
冬も終わりに近づいていた。
桜の花が咲く季節には、4回生になる。
この頃の学院は、飛び級をしていなかったので、成績のいい浮竹も京楽も、しっかりと6回生まで生徒として在席していた。
寮の自室につくと、浮竹をベッドの上に寝かせた。
「お前も、一緒に寝ろ」
ぽいぽいと衣服を脱いで、襦袢姿になった浮竹が誘ってくる。それに応える京楽。同じようにぽいぽいと衣服を脱いで、こっちは全裸になった。
最近、ちょっと露出璧が出てきたので、裸でいても平気だった。
「むちゅー」
「やっ」
たこのようにキスを求める京楽にビンタが炸裂した。
「普通に、しろ」
普通にキスをすると、浮竹はそれに応えた。舌と舌を絡ませなあいながら、深く、そして浅くキスを繰り返していると、浮竹は寝てしまった。
「ちぇっ」
もうちょっと、イチャイチャラブラブしたかったが、浮竹が酔って甘えてくることはたまにあるので、今度の機会になる。
そのまま、浮竹のベッドの上で一緒に丸くなって眠った。
朝になって。
「このドヘンタイ!何、人のベッドで全裸で寝てやがる!」
浮竹が怒って、京楽の尻を蹴った。
「もぎゃ!」
「パンツくらいはけ!」
京楽の脱ぎ散らかした、勝負パンツを投げてよこすと、京楽はしぶしぶパンツを身に着けた。
「これはね、浮竹が酔って・・・・」
「俺が酔って、お前を一緒のベッドで眠ろうと誘うことはあるかもしれない。でも、裸になれとは、酔っていても絶対に言わない!」
「解放感あるよ?」
「俺に裸になれと言っているのか?」
「うん」
「ごめんこうむる!」
京楽の尻を、また蹴り上げる。
「きゃいん!」
「この駄犬が!服を着ろ!」
そういう浮竹も、襦袢姿だったので、下着を変えて新しい院生の服を身にまとう。
洗いものにいれた浮竹の下着を、京楽が盗もうとするので、股間を蹴り上げておいた。
登校の時間になり、京楽も真面目になって・・・・いや、大分にまついているが・・まぁ、なんとか学院まで登校して、授業を受けた。
次の日は、現世での虚退治だった。
すでに、尸魂界で2つしかないと言われている二対一刀の斬魄刀をもつ二人は、ペアになって虚を駆逐していく。
そのスピードはすさまじく、撒きえで呼ばれた虚の80%までを二人が退治してしまった。
「京楽、浮竹はそこまで!これ以上虚を退治されては、他の生徒の授業にならん」
「つまんないの」
「仕方ないだろう」
ふと、空を見る。
黒腔(ガルガンタ)があき、大虚(メノスグランデ)が顔を覗かせた。
「生徒たちは至急、尸魂界へ戻れ!こちら現世、大虚が現れた、至急、援助にこられたし!」
「あれ、やっちゃう?」
「そうだな」:
違いの斬魄刀を始解して、大虚に切りかかる。
大虚は、理解できないおたけびをあげて、塵となった。
「浮竹、京楽・・・・・・ここまで成長したか」
引率の教師が、舌を巻いた。
すでに、護廷13隊の席官入りは間違いなしとされていて、山本元柳斎重國の愛弟子であり、秘蔵っ子。
二人の身柄を確保すべく、すでに13隊の間で苛烈なとりあい合戦が繰り広げられているという。
4番隊はなしとしても、残りの12隊でのとりあいだ。
「けが人がいないな!?」
「いません」
浮竹が、周囲にいる進学クラスの仲間をみて、そう答えた。
「では、これより尸魂界に帰還する!」
穿界門が開かれる。
京楽は、浮竹の腕をひいて、穿界門から遠ざけた。
「何をする、京楽!」
大虚のがでたせいで、他の普通の虚たちが集まってきていた。まだ教師は気づかないほど遠くだが、浮竹と京楽は感知した。
「先生、大量の虚がこちらにむかっています。退治して帰りますね」
「おい、浮竹、京楽!」
教師も、穿界門に入った後だった。
「暴れますか」
「ああ、たまには死を抱えた戦いをしようじゃないか」
互いに背をあわせて、遅いかかってくる虚を切りすてていく。
その数、50、60、70・・・・・。
100ほど数えたあたりで、虚はいなくなってしまった。
「暴れたりない」
「同じく」
大地に降りて、抱き締めあう。
貪るように、口づけを繰り返した。
虚の返り血で真っ赤になった浮竹の白い髪を手にとり、口づける。
そのまま、互いの体を少しだけまさぐりあって、そこで終わった、
「物足りないよ・・・・」
「ここまでだ。我慢しろ」
「うん」
体の全てを許したわけではないので、そこで終わりだった。
迎えの教師が、遅れてやってくる。血だらけの二人を見て、血相を変えるが、無事なのを見て安堵した。
「浮竹、京楽、今回のようなことは今後慎むように」
「はい」
「すみません」
形だけの謝罪を口にする。例え教師でも、あの数の虚は駆逐できないだろう。
それを知っているので、あえて汚れ役を引き受けた二人であった。
浮竹と京楽と海燕と
「あはははは、海燕、お星さまをがまわっているぞ」
「しっかりしてください、隊長!」
飲み屋で、浮竹と海燕は飲んでいた。強い酒を頼んだつもりはなかったが、深夜まで飲み明かして、浮竹は酔っぱらってしまった。
浮竹は、酔っぱらうと笑い上戸になって、饒舌になる。そして、いきなり寝だす。
「ちょっと、ほんとにこんなところで寝ないでくださいよ」
「海燕お前も結婚したらどうだ。都といい関係なんだろう。結婚しろ結婚してしまえ。そして子供が生まれたら俺が名付け親になるんだ。あはははははは」
支えていた体重が、ずしりと重くなる。
「ZZZZ・・・・・・」
「もう、勘弁してくださいよ!」
海燕は辟易とした声をあげた。
このままでは移動できないので、悪いとは思いながらも、その体を横抱きにして、瞬歩で雨乾堂まで帰った。
「何してるの、海燕君」
待っていた京楽が、少し棘のある声をだした。
「ああ、京楽隊長。浮竹隊長が酔っぱらって・・・・・・」
「かしてごらん」
浮竹は、大の大人にしては体重は軽いほうであろうが、それでも海燕には重かった。その体重をひょいっと軽く、京楽は持ち上げた。
鍛錬の仕方が違う。そう思わされた。
「浮竹、起きて、浮竹」
「ん~?京楽か・・・なんだ、なんの用だ」
「まだ、肺の薬飲んでないでしょ」
そういえば、そうだった。
いつも、夕餉と一緒に肺の薬を出すのだ、今日は夕方から飲み屋で食事をしながら酒を飲んでいた。
海燕が、肺の薬を出してくる。
「苦いからいやだ」
「そう言わないの」
「いーやーだー」
「水を」
「はい」
京楽に水の入ったコップを渡すと、京楽はそれを肺の薬と一緒に口にした。
「え、京楽隊長!?」
浮竹に、口移しで飲ませる光景を、見ていた。
二人ができているのは知っているが、こうまで隠すこともなく口移しで飲ませるものなのだと思った。
「服を」
「あ、はい」
浮竹の体調羽織と死覇装を脱がせて、室内用のゆったりとした着物を着せる。
それから布団をしいて、浮竹を横にさせると、毛布と布団を被せた。
「京楽も、一緒に寝よう」
まだ酔っているが、素面でも同じことを言うだろう、浮竹は。
ぽんぽんと、自分の隣を叩く浮竹に、仕方ないなと、笠と女ものの打掛と体調羽織を脱いで、横になる。
「京楽の匂いがする・・・・・」
浮竹は、京楽にすり寄った。
「見ていても楽しいものじゃないでしょ」
「はぁ。でも、隊長の甘える姿見るのけっこうはじめてに近いんで、けっこう面白いです」
「君も、人が悪いね」
「そういう京楽隊長も、俺がいなければ浮竹隊長に手を出してたでしょう」
「そうでもないよ。浮竹が僕に甘えてくるのは酔ってる時か高熱にうなされている時くらいだから、それを楽しむことだってある」
「どっちにしろ、京楽隊長も人が悪いです」
はぁと、短いため息をついて、海燕は雨乾堂を後にした。
翌日。
ぷんぷんと怒っている浮竹の姿があった。
その先には、目に痣を作った京楽の姿。
「だから、違うっていってるじゃない。寝込みを襲ったんじゃなくって、君が一緒に寝ようと甘えだしたから、一緒に寝たんだよ」
「だったら、なんで普段用の着物がこんなに乱れているんだ!」
「それは君が暑いとかいって脱ぎだしたんだよ」
「記憶にない」
「そりゃ、酔っぱらってたからね」
ぎゃあぎゃあ言い争いあう二人を見ているのも楽しいが、流石に京楽隊長が可愛そうになって、助け舟を出す。
「隊長は、昨日俺としこたま飲んで寄っぱらって、京楽隊長に一緒に寝ようっていってるシーンをバッチリ見ました」
「海燕に見られているのに、俺はそんなことを言ったのか」
「いや、今更でしょう。隊長たち、俺がいてもおっぱじめるくらいだし」
かっと、浮竹が朱くなる。
「そ、そんなことあったのか?」
「ありました。過去に3回くらい」
「そんなバカな・・・・」
「俺の存在を空気として扱ってましたから」
「京楽、海燕がいる前では手を出してくるなよ!」
「それは約束できないなぁ」
人の悪い笑みを浮かべる京楽。くつくつと、笑む。
「京楽のあほ!」
浮竹は、その華奢な身体にどこにこんな力があるかのかって勢いで、京楽の脛を蹴った。
「あいた!!もう、浮竹、蹴るのはなしにしてよ!君の蹴り、結構痛いんだからね!」
「べーだっ」
浮竹は、たまに子供っぽいところがある。まぁ、そこが可愛いのだが。
と、上司を可愛いと思ってしまう自分もどうなのだろうかと、海燕は思った。
何はともあれ、昨日の棘のあった京楽は怖かった。
浮竹のことになると、飄々とした雰囲気が霧散して、真剣になる。
もしも、海燕が仮にだとしても、浮竹に手を出せば、京楽は海燕を切り捨てるだろう。そう思わせるほどに、剣呑な京楽がいることも確かだ。
今の関係が、一番心地よい。
京楽とできている浮竹を支えて、身の回りの世話や仕事をしたりして、上官である浮竹だけでなく、京楽と3人で過ごす時間が。
いつか、昨日いっていたように、所帯をもって子供ができたら、浮竹に名付け親になってもらおう。
そう思う海燕がいた。
「しっかりしてください、隊長!」
飲み屋で、浮竹と海燕は飲んでいた。強い酒を頼んだつもりはなかったが、深夜まで飲み明かして、浮竹は酔っぱらってしまった。
浮竹は、酔っぱらうと笑い上戸になって、饒舌になる。そして、いきなり寝だす。
「ちょっと、ほんとにこんなところで寝ないでくださいよ」
「海燕お前も結婚したらどうだ。都といい関係なんだろう。結婚しろ結婚してしまえ。そして子供が生まれたら俺が名付け親になるんだ。あはははははは」
支えていた体重が、ずしりと重くなる。
「ZZZZ・・・・・・」
「もう、勘弁してくださいよ!」
海燕は辟易とした声をあげた。
このままでは移動できないので、悪いとは思いながらも、その体を横抱きにして、瞬歩で雨乾堂まで帰った。
「何してるの、海燕君」
待っていた京楽が、少し棘のある声をだした。
「ああ、京楽隊長。浮竹隊長が酔っぱらって・・・・・・」
「かしてごらん」
浮竹は、大の大人にしては体重は軽いほうであろうが、それでも海燕には重かった。その体重をひょいっと軽く、京楽は持ち上げた。
鍛錬の仕方が違う。そう思わされた。
「浮竹、起きて、浮竹」
「ん~?京楽か・・・なんだ、なんの用だ」
「まだ、肺の薬飲んでないでしょ」
そういえば、そうだった。
いつも、夕餉と一緒に肺の薬を出すのだ、今日は夕方から飲み屋で食事をしながら酒を飲んでいた。
海燕が、肺の薬を出してくる。
「苦いからいやだ」
「そう言わないの」
「いーやーだー」
「水を」
「はい」
京楽に水の入ったコップを渡すと、京楽はそれを肺の薬と一緒に口にした。
「え、京楽隊長!?」
浮竹に、口移しで飲ませる光景を、見ていた。
二人ができているのは知っているが、こうまで隠すこともなく口移しで飲ませるものなのだと思った。
「服を」
「あ、はい」
浮竹の体調羽織と死覇装を脱がせて、室内用のゆったりとした着物を着せる。
それから布団をしいて、浮竹を横にさせると、毛布と布団を被せた。
「京楽も、一緒に寝よう」
まだ酔っているが、素面でも同じことを言うだろう、浮竹は。
ぽんぽんと、自分の隣を叩く浮竹に、仕方ないなと、笠と女ものの打掛と体調羽織を脱いで、横になる。
「京楽の匂いがする・・・・・」
浮竹は、京楽にすり寄った。
「見ていても楽しいものじゃないでしょ」
「はぁ。でも、隊長の甘える姿見るのけっこうはじめてに近いんで、けっこう面白いです」
「君も、人が悪いね」
「そういう京楽隊長も、俺がいなければ浮竹隊長に手を出してたでしょう」
「そうでもないよ。浮竹が僕に甘えてくるのは酔ってる時か高熱にうなされている時くらいだから、それを楽しむことだってある」
「どっちにしろ、京楽隊長も人が悪いです」
はぁと、短いため息をついて、海燕は雨乾堂を後にした。
翌日。
ぷんぷんと怒っている浮竹の姿があった。
その先には、目に痣を作った京楽の姿。
「だから、違うっていってるじゃない。寝込みを襲ったんじゃなくって、君が一緒に寝ようと甘えだしたから、一緒に寝たんだよ」
「だったら、なんで普段用の着物がこんなに乱れているんだ!」
「それは君が暑いとかいって脱ぎだしたんだよ」
「記憶にない」
「そりゃ、酔っぱらってたからね」
ぎゃあぎゃあ言い争いあう二人を見ているのも楽しいが、流石に京楽隊長が可愛そうになって、助け舟を出す。
「隊長は、昨日俺としこたま飲んで寄っぱらって、京楽隊長に一緒に寝ようっていってるシーンをバッチリ見ました」
「海燕に見られているのに、俺はそんなことを言ったのか」
「いや、今更でしょう。隊長たち、俺がいてもおっぱじめるくらいだし」
かっと、浮竹が朱くなる。
「そ、そんなことあったのか?」
「ありました。過去に3回くらい」
「そんなバカな・・・・」
「俺の存在を空気として扱ってましたから」
「京楽、海燕がいる前では手を出してくるなよ!」
「それは約束できないなぁ」
人の悪い笑みを浮かべる京楽。くつくつと、笑む。
「京楽のあほ!」
浮竹は、その華奢な身体にどこにこんな力があるかのかって勢いで、京楽の脛を蹴った。
「あいた!!もう、浮竹、蹴るのはなしにしてよ!君の蹴り、結構痛いんだからね!」
「べーだっ」
浮竹は、たまに子供っぽいところがある。まぁ、そこが可愛いのだが。
と、上司を可愛いと思ってしまう自分もどうなのだろうかと、海燕は思った。
何はともあれ、昨日の棘のあった京楽は怖かった。
浮竹のことになると、飄々とした雰囲気が霧散して、真剣になる。
もしも、海燕が仮にだとしても、浮竹に手を出せば、京楽は海燕を切り捨てるだろう。そう思わせるほどに、剣呑な京楽がいることも確かだ。
今の関係が、一番心地よい。
京楽とできている浮竹を支えて、身の回りの世話や仕事をしたりして、上官である浮竹だけでなく、京楽と3人で過ごす時間が。
いつか、昨日いっていたように、所帯をもって子供ができたら、浮竹に名付け親になってもらおう。
そう思う海燕がいた。
新婚旅行と白哉
ルキアと一護と白哉は、義骸に入り現世にきていた。
正確にはルキアと一護の新婚旅行なのだが、なぜか白哉もついてきていた。ルキアの我儘でもあった。それを許した一護は、けっこう寛大だと死神仲間は思うのだが、白哉は当たり前と感じているらしかった。
「ここが大阪だ」
「わぁ、人がいっぱいだな!」
「食い倒れとかいって、ここらの・・・ほら、あのカニのやつとか、すごいだろ」
カニ道楽の動く看板に、ルキアも白哉も、ぽかんとしていた。
「あのカニは本物なのか?随分巨大だが・・・・・」
「あほか。ただの宣伝用の看板だ。かに道楽っていうんだ」
「カニ大使・・・・・」
白哉に至っては、思考が違う領域にいっていた。
「どうでもいいから、中に入るぞ。ちょうど昼食時だ」
かに道楽というだけあって、カニのメニューが揃っていた。値段もそんなに驚くほど高くはなく、手頃な場所というイメージだった。
「ふむ、なかなかの美味だ。しかし、現世のカニは安いのだな」
「そりゃ、海のない尸魂界でカニ食うのに比べたたら安上がりだろうぜ」
「ふむ、悪くない。カニ大使・・・カニを使った菓子ではないカニ大使・・・・」
「白哉、悪いことはいわねぇから、カニ大使はやめとけ」
何故知ってるという顔をされた。
「兄様のカニ大使!ぜひ見たいです!」
「ああ!ルキアも白哉に火をつけるのをやめろ!」
「ふふふふ・・・・カニ大使」
「とりあえず、放置して出ようか」
一護の腕を、がしっと白哉が掴んだ。
「試食第一号は、兄だ」
「ああああああ、もう、ルキアが火をつけるから!」
「え、私のせいなのか?一護も食べたくないか、兄様のカニ大使」
「全然食いたくねぇ!」
外にでて、道頓堀を散策する。
「あそこが、日本一うまいらしい、銀だこ。たこ焼きの店だ」
「ほう、買ってくる!」
「おい、さっき昼食食べたばっかだろ!」
「一人分を3人で分ければよかろう!」
「それもそうか・・・・・」
地方によって考え方は変わるが、たこ焼きは間食のイメージだった。
ルキアが、12個入りのたこ焼きを買ってきた。爪楊枝が、3本あった。
「立ったままはなんだから、あそこに座って食べようぜ」
近くの雑居ビルの階段を指さすと、白哉はあからさまに嫌そうな顔をした。、
「あのような、貧乏くさいところで・・・・ここで立ちながら食したほうがましだ」
そう言って、立ながらルキアがもっているたこ焼きから、爪楊枝で器用にたこ焼きをとって口にいれる。
「たこ焼き大使・・・・・・・」
「もう、つっこまないからな!」
「兄様、たこ焼き大使も美味しそうですね!」
「だから、ルキアは白哉に火をつけるよな真似はやめろ。今の白哉は油なんだ。火をつけたら、燃え上がる」
「大阪か。よいところだな。カニ大使にたこ焼き大使・・・・・」
「そういう問題かよ」
道頓堀で、ナンパで有名な橋を渡ると、ルキアが他の人間の男に声をかけられた。
「そこのかわいいこ、俺とお茶しない・・・・・ひいっ」
ごごごごごご。
その背後に修羅の面を被った一護と、殺気を漲らせた白哉。
何度かルキアは声をかけられていたが、結局全員一護と白哉の顔を見て逃げ出した。
「なんなのであろうな?」
「なんぱだよ」
「なんぱ?なんだそれは」
「異性に、声をかけること。無論下心ありありで」
「なっ」
かっと、ルキアの頬が朱くなる。
「そのような不埒な輩、切り捨ててくれる」
「白哉、現世に新婚旅行に行くにあたって、斬魄刀は置いてきたからな」
「む、そうであった・・・ならば鬼道で」
「やめろやめろ。なんの罪もない一般市民だぞ」
「それもそうであったな・・・」
ルキアのことになると、性格が攻撃的になるのは、勘違いではなさそうだった。
「これが道頓堀川。汚くて臭い川だけど、阪神とかいう野球の球団が優勝すると飛び込むばかがいる」
「野球?」
白哉が首を傾げる。
「ああ、もう説明めんどいから簡単にな。野球っていう、スポーツがあるんだよ。それをしながら、グループごとで争って、一番になったやつが優勝な」
「蹴鞠のようなものか?」
「それはサッカーだろ」
「私は野球もサッカーも知っているぞ!」
自慢げなルキアであったが、ただ単に現世にいた時間が長かったからに他ならない。
その日は道頓堀でも有名な飲み屋で夕食をとって、夜のうちに淡路島に移動し、温泉街で宿をとった。
「間違ってる!絶対に間違ってる!」
一護が、そう叫んでいた。
部屋を2つとったのはいいが、一護と白哉が同室になったのだ。
ルキアはどう見ても未成年で、まだ十代半ばに見えるせいもあり、一人部屋を与えられたのだ。
「何処へ行く」
「ルキアの部屋だよ。白哉と同室なんて、ストレスで胃に穴が空く!」
「婚姻まで待つことができたのだし、新婚だし・・・仕方ない、許可しよう」
「誰も白哉の許可なんていらねーよ!俺の自由意思だ」
一護は、結局ルキアの部屋に泊まった。
新婚旅行というだけあって、逢瀬をした。
次の日は、その温泉宿でだらだらした。
白哉は何度も温泉に入っていた。温泉が好きなようだ。
一護はつまらないと思いながらも、ルキアといちゃいちゃできたので満足だった。
「ルキア、好きだせ」
「私もだ、一護・・・」
白哉が温泉に入っている間、二人の時間を大切に使った。
「夕食の時間だ。行こうぜ」
夕食は、またカニだった。
昨日食べたばかりなので、少し辟易とするが、美味いことには変わらなかった。
そのまま、その夜もルキアの部屋で泊まった。その日は、ただ一緒の布団で寝るだけだった。
次の日は、触れ合い動物園に行った。
「かわいいな・・・・・」
ルキアが、100円玉をいれて、カットされた人参の入ったボール玉を買う。
その人参をモルモットやうさぎにあげていた。
「うさぎのソテー・・・・」
「おい白哉、ここのうさぎがいっとくが、愛玩用だからな。とって食おうなどとするなよ」
「うさぎのシチュー・・・・・」
「だから白哉・・・・・ああもう、妄想は好きなだけしてくれ」
「うさぎ大使・・・・・」
「ちょ、待て!また大使かよ!?」
カニ大使にたこ焼き大使に、次はうさぎ大使。なんでも大使にすればいいってもんじゃないとくどくど口にすると、白哉は一護を無視しだした。
「無視かよ!」
「ルキア、私にも人参を」
「はい、兄様。人参を食すのですね?」
「違うだろ、ルキア。人参で餌やりたいんだろ」
「おっと、私としたことが。ごめんなさい、兄様」
人参の入ったボール玉を渡すと、面白いほどにわらわらとうさぎやモルモットが寄ってきた。
「ふむ・・・術の効果はあるようだ」
「術!?なんか変な鬼道でも使ったのか!?」
白哉は、全部の人参をやり終えた。わらわら集まっていたうさぎもモルモットも去っていく。
「ねぇ、あの人かっこよくない?」
「ほんと、かっこいい・・・・美人」
女性客がざわざわと、白哉を見て騒ぎ出す。モルモットやうさぎがいっぺんに集まったせいで、女性客の視線が集中していたのだ。
その白哉を隠すように、次のコーナーに移動する。
犬猫コーナーだった。
「もふもふだぞ!」
さっきのうさぎとモルモットコーナーでは抱き上げてはいけなかったので、自由に抱き上げれるその場所で、ルキアは思う存分猫をもふもふしていた。
「くー犬も捨てがたい」
次は犬をもふもしだした。
白哉は、恐らく血統書つきであろうシャム猫を抱きかかえていた。
「白哉も動物好きなのか・・・・・意外だな」
「猫鍋・・・・・」
「え!?」
さすがの一護も、猫鍋は聞き捨てにできなかった。
「おい、白哉、お前は尸魂界で猫を鍋にして食うのかよ!?」
「違う。子猫を鍋の中にいれて、蓋をあけたらふわふわと出てくる様はかわいいだろうと思って」
「なんだ、そういう意味か」
一護はほっとした。
まさか、貴族は猫を食べるのが当たり前とか言われたらどうしようと思っていた。
「黒猫は嫌いだ。夜一を思い出す」
「へー、白哉は夜一さんのことが苦手なのか」
「兄様、尸魂界に戻ったら、猫を飼いませんか!?」
「思案しておく」
「やった!」
まだ飼うと決まったわけではないが、ルキアの我儘は大抵聞き入れる白哉のことだ。きっと、猫を飼いだすに違いない。
次のコーナーにいくと、カンガルー、ワラビー、羊にアルパカだった。
それらに餌をやって、温泉街に戻る前に牧場を訪れた。
そこの牛の臭さに辟易となり、酪農家はすごいと、3人とも思った。
特別販売のミルクアイスを食して、温泉街に戻った。
その次の日は京都に2日、その次は奈良に2日。
まるで、中学生か高校生の修学旅行のような内容になったが、現世にあまりこない白哉は特に楽しんでいたようだし、修学旅行には結局いけずじまいだったルキアも楽しんでくれた。
現世での6泊7日の新婚旅行も終わった。
「楽しかったか、ルキア?」
「ああ、一生の思い出だ!」
「猫鍋・・・・・」
「白哉、怖いから猫鍋っていうのやめてくれ」
白哉も連れてきてよかったと思う一護であった。
尸魂界に戻ると、白哉は血統書つきのオッドアイの白猫の子猫を、ルキアに与えた。
「いいのですか、兄様!」
「思案するといっていただろう」
「嬉しい!大好きです、兄様!」
義妹に抱き着かれて、白哉は朱くなっておろおろしていた。
その様子が可愛かったので、一護は伝令神機で写メをとった。
白猫は、琥珀、と名付けられた。
ルキアは、家にいる間中琥珀に構っていて、一護を構ってくれないので、一護が琥珀を白哉の部屋に置いてきた。
「琥珀は?」
「たまには、夫の俺にも構ってくれよ」
「なんだ、一護、貴様琥珀に嫉妬しているのか?」
「そうだよ、悪いかよ」
「貴様もかわいいところがあるのだな」
ルキアが、一護に膝枕をした。
「ちゃんと貴様のことも思っておる」
触れるだけのキスをしてきた。ルキアからのキスは珍しいので、一護はすっかり機嫌を直した。
「琥珀、何故ここにいる?」
「にゃああ」
白哉は、琥珀を抱き上げた。
「そうか。兄も、あの二人の邪魔をするなと、弾かれたのか。私と一緒だな」
小さく微笑んで、琥珀を抱き締める白哉の姿があった。
正確にはルキアと一護の新婚旅行なのだが、なぜか白哉もついてきていた。ルキアの我儘でもあった。それを許した一護は、けっこう寛大だと死神仲間は思うのだが、白哉は当たり前と感じているらしかった。
「ここが大阪だ」
「わぁ、人がいっぱいだな!」
「食い倒れとかいって、ここらの・・・ほら、あのカニのやつとか、すごいだろ」
カニ道楽の動く看板に、ルキアも白哉も、ぽかんとしていた。
「あのカニは本物なのか?随分巨大だが・・・・・」
「あほか。ただの宣伝用の看板だ。かに道楽っていうんだ」
「カニ大使・・・・・」
白哉に至っては、思考が違う領域にいっていた。
「どうでもいいから、中に入るぞ。ちょうど昼食時だ」
かに道楽というだけあって、カニのメニューが揃っていた。値段もそんなに驚くほど高くはなく、手頃な場所というイメージだった。
「ふむ、なかなかの美味だ。しかし、現世のカニは安いのだな」
「そりゃ、海のない尸魂界でカニ食うのに比べたたら安上がりだろうぜ」
「ふむ、悪くない。カニ大使・・・カニを使った菓子ではないカニ大使・・・・」
「白哉、悪いことはいわねぇから、カニ大使はやめとけ」
何故知ってるという顔をされた。
「兄様のカニ大使!ぜひ見たいです!」
「ああ!ルキアも白哉に火をつけるのをやめろ!」
「ふふふふ・・・・カニ大使」
「とりあえず、放置して出ようか」
一護の腕を、がしっと白哉が掴んだ。
「試食第一号は、兄だ」
「ああああああ、もう、ルキアが火をつけるから!」
「え、私のせいなのか?一護も食べたくないか、兄様のカニ大使」
「全然食いたくねぇ!」
外にでて、道頓堀を散策する。
「あそこが、日本一うまいらしい、銀だこ。たこ焼きの店だ」
「ほう、買ってくる!」
「おい、さっき昼食食べたばっかだろ!」
「一人分を3人で分ければよかろう!」
「それもそうか・・・・・」
地方によって考え方は変わるが、たこ焼きは間食のイメージだった。
ルキアが、12個入りのたこ焼きを買ってきた。爪楊枝が、3本あった。
「立ったままはなんだから、あそこに座って食べようぜ」
近くの雑居ビルの階段を指さすと、白哉はあからさまに嫌そうな顔をした。、
「あのような、貧乏くさいところで・・・・ここで立ちながら食したほうがましだ」
そう言って、立ながらルキアがもっているたこ焼きから、爪楊枝で器用にたこ焼きをとって口にいれる。
「たこ焼き大使・・・・・・・」
「もう、つっこまないからな!」
「兄様、たこ焼き大使も美味しそうですね!」
「だから、ルキアは白哉に火をつけるよな真似はやめろ。今の白哉は油なんだ。火をつけたら、燃え上がる」
「大阪か。よいところだな。カニ大使にたこ焼き大使・・・・・」
「そういう問題かよ」
道頓堀で、ナンパで有名な橋を渡ると、ルキアが他の人間の男に声をかけられた。
「そこのかわいいこ、俺とお茶しない・・・・・ひいっ」
ごごごごごご。
その背後に修羅の面を被った一護と、殺気を漲らせた白哉。
何度かルキアは声をかけられていたが、結局全員一護と白哉の顔を見て逃げ出した。
「なんなのであろうな?」
「なんぱだよ」
「なんぱ?なんだそれは」
「異性に、声をかけること。無論下心ありありで」
「なっ」
かっと、ルキアの頬が朱くなる。
「そのような不埒な輩、切り捨ててくれる」
「白哉、現世に新婚旅行に行くにあたって、斬魄刀は置いてきたからな」
「む、そうであった・・・ならば鬼道で」
「やめろやめろ。なんの罪もない一般市民だぞ」
「それもそうであったな・・・」
ルキアのことになると、性格が攻撃的になるのは、勘違いではなさそうだった。
「これが道頓堀川。汚くて臭い川だけど、阪神とかいう野球の球団が優勝すると飛び込むばかがいる」
「野球?」
白哉が首を傾げる。
「ああ、もう説明めんどいから簡単にな。野球っていう、スポーツがあるんだよ。それをしながら、グループごとで争って、一番になったやつが優勝な」
「蹴鞠のようなものか?」
「それはサッカーだろ」
「私は野球もサッカーも知っているぞ!」
自慢げなルキアであったが、ただ単に現世にいた時間が長かったからに他ならない。
その日は道頓堀でも有名な飲み屋で夕食をとって、夜のうちに淡路島に移動し、温泉街で宿をとった。
「間違ってる!絶対に間違ってる!」
一護が、そう叫んでいた。
部屋を2つとったのはいいが、一護と白哉が同室になったのだ。
ルキアはどう見ても未成年で、まだ十代半ばに見えるせいもあり、一人部屋を与えられたのだ。
「何処へ行く」
「ルキアの部屋だよ。白哉と同室なんて、ストレスで胃に穴が空く!」
「婚姻まで待つことができたのだし、新婚だし・・・仕方ない、許可しよう」
「誰も白哉の許可なんていらねーよ!俺の自由意思だ」
一護は、結局ルキアの部屋に泊まった。
新婚旅行というだけあって、逢瀬をした。
次の日は、その温泉宿でだらだらした。
白哉は何度も温泉に入っていた。温泉が好きなようだ。
一護はつまらないと思いながらも、ルキアといちゃいちゃできたので満足だった。
「ルキア、好きだせ」
「私もだ、一護・・・」
白哉が温泉に入っている間、二人の時間を大切に使った。
「夕食の時間だ。行こうぜ」
夕食は、またカニだった。
昨日食べたばかりなので、少し辟易とするが、美味いことには変わらなかった。
そのまま、その夜もルキアの部屋で泊まった。その日は、ただ一緒の布団で寝るだけだった。
次の日は、触れ合い動物園に行った。
「かわいいな・・・・・」
ルキアが、100円玉をいれて、カットされた人参の入ったボール玉を買う。
その人参をモルモットやうさぎにあげていた。
「うさぎのソテー・・・・」
「おい白哉、ここのうさぎがいっとくが、愛玩用だからな。とって食おうなどとするなよ」
「うさぎのシチュー・・・・・」
「だから白哉・・・・・ああもう、妄想は好きなだけしてくれ」
「うさぎ大使・・・・・」
「ちょ、待て!また大使かよ!?」
カニ大使にたこ焼き大使に、次はうさぎ大使。なんでも大使にすればいいってもんじゃないとくどくど口にすると、白哉は一護を無視しだした。
「無視かよ!」
「ルキア、私にも人参を」
「はい、兄様。人参を食すのですね?」
「違うだろ、ルキア。人参で餌やりたいんだろ」
「おっと、私としたことが。ごめんなさい、兄様」
人参の入ったボール玉を渡すと、面白いほどにわらわらとうさぎやモルモットが寄ってきた。
「ふむ・・・術の効果はあるようだ」
「術!?なんか変な鬼道でも使ったのか!?」
白哉は、全部の人参をやり終えた。わらわら集まっていたうさぎもモルモットも去っていく。
「ねぇ、あの人かっこよくない?」
「ほんと、かっこいい・・・・美人」
女性客がざわざわと、白哉を見て騒ぎ出す。モルモットやうさぎがいっぺんに集まったせいで、女性客の視線が集中していたのだ。
その白哉を隠すように、次のコーナーに移動する。
犬猫コーナーだった。
「もふもふだぞ!」
さっきのうさぎとモルモットコーナーでは抱き上げてはいけなかったので、自由に抱き上げれるその場所で、ルキアは思う存分猫をもふもふしていた。
「くー犬も捨てがたい」
次は犬をもふもしだした。
白哉は、恐らく血統書つきであろうシャム猫を抱きかかえていた。
「白哉も動物好きなのか・・・・・意外だな」
「猫鍋・・・・・」
「え!?」
さすがの一護も、猫鍋は聞き捨てにできなかった。
「おい、白哉、お前は尸魂界で猫を鍋にして食うのかよ!?」
「違う。子猫を鍋の中にいれて、蓋をあけたらふわふわと出てくる様はかわいいだろうと思って」
「なんだ、そういう意味か」
一護はほっとした。
まさか、貴族は猫を食べるのが当たり前とか言われたらどうしようと思っていた。
「黒猫は嫌いだ。夜一を思い出す」
「へー、白哉は夜一さんのことが苦手なのか」
「兄様、尸魂界に戻ったら、猫を飼いませんか!?」
「思案しておく」
「やった!」
まだ飼うと決まったわけではないが、ルキアの我儘は大抵聞き入れる白哉のことだ。きっと、猫を飼いだすに違いない。
次のコーナーにいくと、カンガルー、ワラビー、羊にアルパカだった。
それらに餌をやって、温泉街に戻る前に牧場を訪れた。
そこの牛の臭さに辟易となり、酪農家はすごいと、3人とも思った。
特別販売のミルクアイスを食して、温泉街に戻った。
その次の日は京都に2日、その次は奈良に2日。
まるで、中学生か高校生の修学旅行のような内容になったが、現世にあまりこない白哉は特に楽しんでいたようだし、修学旅行には結局いけずじまいだったルキアも楽しんでくれた。
現世での6泊7日の新婚旅行も終わった。
「楽しかったか、ルキア?」
「ああ、一生の思い出だ!」
「猫鍋・・・・・」
「白哉、怖いから猫鍋っていうのやめてくれ」
白哉も連れてきてよかったと思う一護であった。
尸魂界に戻ると、白哉は血統書つきのオッドアイの白猫の子猫を、ルキアに与えた。
「いいのですか、兄様!」
「思案するといっていただろう」
「嬉しい!大好きです、兄様!」
義妹に抱き着かれて、白哉は朱くなっておろおろしていた。
その様子が可愛かったので、一護は伝令神機で写メをとった。
白猫は、琥珀、と名付けられた。
ルキアは、家にいる間中琥珀に構っていて、一護を構ってくれないので、一護が琥珀を白哉の部屋に置いてきた。
「琥珀は?」
「たまには、夫の俺にも構ってくれよ」
「なんだ、一護、貴様琥珀に嫉妬しているのか?」
「そうだよ、悪いかよ」
「貴様もかわいいところがあるのだな」
ルキアが、一護に膝枕をした。
「ちゃんと貴様のことも思っておる」
触れるだけのキスをしてきた。ルキアからのキスは珍しいので、一護はすっかり機嫌を直した。
「琥珀、何故ここにいる?」
「にゃああ」
白哉は、琥珀を抱き上げた。
「そうか。兄も、あの二人の邪魔をするなと、弾かれたのか。私と一緒だな」
小さく微笑んで、琥珀を抱き締める白哉の姿があった。
結婚してもルキアのとりあい
いよいよ、ルキアとの結婚式の日がやってきた。
一護は、朽木家の家紋の入った衣装で正装していた。
ルキアが、部屋に入ってくる。
広い1番隊の執務室で、婚礼をあげることになった。
白哉に付き添われて、白いウェディングドレスのルキアが、金糸銀糸の刺繍の麗しいウェディングベールをかぶりながら、やってくる。
美しかった。時を凍りつかせることができるなら、そうしたいと思ったほどだった。
やがて、ルキアは白哉から離れて、一護の隣にそっと立った。
この時のためにと、流魂街で最近やってきた元神父を雇い入れた。
「汝、朽木一護、あなたは病める時も健やかなる時も、朽木ルキアを伴侶とし、愛することを誓いますか?」
「誓います」
「汝、朽木ルキア、あなたは病める時も健やかなる時も、朽木一護を伴侶とし、愛することを誓いますか?」
「誓います」
結婚指輪を交換しあった。大前田の宝石店で買った、ピンクダイヤをあしらった指輪だった。
ルキアのウェディングヴェールを、そっとあげて、顔を露わにする。
「すげー綺麗だ、ルキア」
「ふふ、そういう一護もかっこいいぞ」
口づけを交わした。
「ひゅーひゅー」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
全ての隊長副隊長が参加してくれた。
「ルキア、幸せに」
白哉は、この時ばかりは素直だった。
その後は祝賀会ということで、白哉が朽木家の料理人が作った料理を、立食会という形で振る舞った。酒も、高級酒を用意されてあった。
13番隊は、席官も訪れていて、仙太郎などは自分のことのように泣いていた。
ルキアは、ウェディングブーケをもっていた。
それを投げると、わざわざこの世界まできてくれた井上の手におちた。
「朽木さん、黒崎君とお幸せに!」
石田と茶虎もきていた。
「黒崎君が死んで、すごく悲しかったけど、死神として生きててくれて嬉しい」
井上は、泣きまくった。
自分の死後、現世にはいっていなかった。
死神として生きていると連絡を入れたのは最近だ。父親も双子の妹も、驚きながらも喜んでくれた。
井上は、動画を撮影していた。
一護の父親や双子の妹たちに見せるためだ。
一護は、笑ってルキアと並んで、酒を飲んだ。高級酒だけに、美味かった。
「ルキア、幸せになろうな?」
「ああ、一護」
二人は、キスをした。
「見せつけてくれるのう」
「夜一さんもきてたのか。浦原さんまで」
「いやー、黒崎さんが、まさか朽木さんになるなんて、思ってもみませんでした」
夜一の後ろから、砕蜂が顔をだして、夜一を式を挙げたいとだだをこねだしたが、夜一が頭をなでると、「ああ、夜一様・・・」といって、陶酔の世界に浸ってしまった。
やがて、式も終わり、二次回になった。場所は朽木邸。
朽木邸でも、御馳走と美酒が振る舞われる。入りきれなかった席官以外の平隊士も参加できるので、結婚式の時よりも人は多かった。
「さすがに、飲みすぎたか・・・・」
まだウェディングドレス姿のルキアの頬が朱くなっていた。
「大丈夫か、ルキア」
「少し、夜風に当たってくる」
「俺も行く」
二人きりになって、笑いあった。
「俺とお前が結婚するなんて、誰も思わなかっただろうな」
「そうであろうな。貴様は人間で死神ではなかったのだから。しかし、一度死んで死神になる死神代行など、聞いたこともない」
「まぁ、俺も18で死ぬなんて思ってなかったけど。あのまま現世にいたら、多分井上と結婚していた」
「私もだ。貴様が死神としてやってこなければ、多分恋次と結婚していたであろう」
お互い、あるべき運命を覆したのだ。
そのきっかけは、一護の現世での死だった。
普通、死は悲しいはずであるが、尸魂界に魂魄としてやってきた一護は、霊圧を保ったまま死神化できた。
そのままでも十分であったが、死神として尸魂界でやっていくために、わざわざ真央霊術院まで通い、ルキアの副官となった。
「これからもよろしくな、ルキア。今日の夜、いいか?」
「何をだ?」
「抱いていいかって聞いてるんだよ」
「なななななな、い、いいぞ・・・・・恥ずかしい!今、死ぬほど恥ずかしい」
「照れたルキアもかわいいな」
ルキアを抱き上げた。
もうそろそろ、二次回もおしまいだった。
人もまばらになった朽木邸で、ルキアを降ろす。
「行こう、ルキア」
「ああ」
朽木邸に入り、与えられた寝室で、互いに衣装を脱がしあった。
「愛してる、一護」
「俺も愛してる、ルキア」
婚礼と同時に、睦みあうことも許可されていた。
二人は何度も口づけあいながら、体を重ねた。
「ふあー」
次の日、寝坊した。
だが、念のために1週間は休暇をとっておいたので、一護は眠たい目をこすりながら、ルキアを起こす。
「ルキア、起きろ、朝だぞ」
「ん~。一護、もうキスはいい・・・むにゃむにゃ」
「おい、ルキア」
「はっ!白玉餡蜜は!?」
「なんの夢みてたんだ、お前」
「夢か・・・・一護が、白玉餡蜜の中にいて、キスばかりしてくる夢を見た」
「欲求不満か?」
「たわけ!ちちちち、違う!」
そっとルキアの顎に手をかけて、口づける。
「一護!」
「いいじゃねぇか。俺たち、新婚さんなんだ。甘ったるい雰囲気があってもいいと思う」
「そ、それもそうだな」
互いに下着姿であることに気づいて、朱くなりながらいつもの死覇装を着る。他にも服はあったが、着慣れたこの服が一番しっくりときた。
「遅いぞ、二人とも」
白哉が、何故かいた。
「なんで白哉がいやがんだ」
「ルキアの結婚とその後を見守るために、数日の休暇をとったまで」
「くそー、ルキアといちゃいちゃラブラブの計画が!」
遅めの朝餉の支度がされた。
今回は、一護も普通にメニューだった。数日続いた猫まんまじゃなくて、一護も安心した。
「そうだ、兄様。兄様と一護と私の3人で、現世に新婚旅行にいきませんか」
「ルキア、新婚旅行に兄は普通誘わない!」
「え、でも私は常に兄様のお傍にいたい・・・・・」
「白哉ぬきで、新婚旅行に行こう!」
「待て」
ぎくり。
「私も行く」
「兄様!」
ルキアが目を輝かせた。義兄連れの新婚旅行ってどうなんだよ・・・・そう思いながらも、嬉しそうなルキアの顔を曇らせたくなくて、一護もその条件を飲んだ。
「わーったよ。白哉も連れて行けばいいんだろ」
「一護、よいのだな?」
「二言はねーよ」
白哉が、二人を微笑ましそうに見る。
そんな白哉を見たのははじめてで、一護はぽかんとしていた。
「白哉、熱でもあるのか?」
額に手を当てるが、平熱だった。
「兄は・・・まぁいい。ルキアとの新婚生活に、なるべく邪魔はすまい」
「だったら、新婚旅行になんでついてくるんだよ」
「それはこれとは別だ」
「納得いかねぇ・・・・」
ばちばちと、視線で火花を散らしあう二人。
「ルキアは渡さねぇ!」
「それはこちらの台詞だ!」
結婚式をあげても、白哉は白哉であった。ルキアの傍からいなくなることはないのだろう。
一護は、それでも一応は新婚旅行になるので、仕方なしに白哉も連れて、大阪にでも食道楽あたりにでもいこうかなと、考えるのだった。
一護は、朽木家の家紋の入った衣装で正装していた。
ルキアが、部屋に入ってくる。
広い1番隊の執務室で、婚礼をあげることになった。
白哉に付き添われて、白いウェディングドレスのルキアが、金糸銀糸の刺繍の麗しいウェディングベールをかぶりながら、やってくる。
美しかった。時を凍りつかせることができるなら、そうしたいと思ったほどだった。
やがて、ルキアは白哉から離れて、一護の隣にそっと立った。
この時のためにと、流魂街で最近やってきた元神父を雇い入れた。
「汝、朽木一護、あなたは病める時も健やかなる時も、朽木ルキアを伴侶とし、愛することを誓いますか?」
「誓います」
「汝、朽木ルキア、あなたは病める時も健やかなる時も、朽木一護を伴侶とし、愛することを誓いますか?」
「誓います」
結婚指輪を交換しあった。大前田の宝石店で買った、ピンクダイヤをあしらった指輪だった。
ルキアのウェディングヴェールを、そっとあげて、顔を露わにする。
「すげー綺麗だ、ルキア」
「ふふ、そういう一護もかっこいいぞ」
口づけを交わした。
「ひゅーひゅー」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
全ての隊長副隊長が参加してくれた。
「ルキア、幸せに」
白哉は、この時ばかりは素直だった。
その後は祝賀会ということで、白哉が朽木家の料理人が作った料理を、立食会という形で振る舞った。酒も、高級酒を用意されてあった。
13番隊は、席官も訪れていて、仙太郎などは自分のことのように泣いていた。
ルキアは、ウェディングブーケをもっていた。
それを投げると、わざわざこの世界まできてくれた井上の手におちた。
「朽木さん、黒崎君とお幸せに!」
石田と茶虎もきていた。
「黒崎君が死んで、すごく悲しかったけど、死神として生きててくれて嬉しい」
井上は、泣きまくった。
自分の死後、現世にはいっていなかった。
死神として生きていると連絡を入れたのは最近だ。父親も双子の妹も、驚きながらも喜んでくれた。
井上は、動画を撮影していた。
一護の父親や双子の妹たちに見せるためだ。
一護は、笑ってルキアと並んで、酒を飲んだ。高級酒だけに、美味かった。
「ルキア、幸せになろうな?」
「ああ、一護」
二人は、キスをした。
「見せつけてくれるのう」
「夜一さんもきてたのか。浦原さんまで」
「いやー、黒崎さんが、まさか朽木さんになるなんて、思ってもみませんでした」
夜一の後ろから、砕蜂が顔をだして、夜一を式を挙げたいとだだをこねだしたが、夜一が頭をなでると、「ああ、夜一様・・・」といって、陶酔の世界に浸ってしまった。
やがて、式も終わり、二次回になった。場所は朽木邸。
朽木邸でも、御馳走と美酒が振る舞われる。入りきれなかった席官以外の平隊士も参加できるので、結婚式の時よりも人は多かった。
「さすがに、飲みすぎたか・・・・」
まだウェディングドレス姿のルキアの頬が朱くなっていた。
「大丈夫か、ルキア」
「少し、夜風に当たってくる」
「俺も行く」
二人きりになって、笑いあった。
「俺とお前が結婚するなんて、誰も思わなかっただろうな」
「そうであろうな。貴様は人間で死神ではなかったのだから。しかし、一度死んで死神になる死神代行など、聞いたこともない」
「まぁ、俺も18で死ぬなんて思ってなかったけど。あのまま現世にいたら、多分井上と結婚していた」
「私もだ。貴様が死神としてやってこなければ、多分恋次と結婚していたであろう」
お互い、あるべき運命を覆したのだ。
そのきっかけは、一護の現世での死だった。
普通、死は悲しいはずであるが、尸魂界に魂魄としてやってきた一護は、霊圧を保ったまま死神化できた。
そのままでも十分であったが、死神として尸魂界でやっていくために、わざわざ真央霊術院まで通い、ルキアの副官となった。
「これからもよろしくな、ルキア。今日の夜、いいか?」
「何をだ?」
「抱いていいかって聞いてるんだよ」
「なななななな、い、いいぞ・・・・・恥ずかしい!今、死ぬほど恥ずかしい」
「照れたルキアもかわいいな」
ルキアを抱き上げた。
もうそろそろ、二次回もおしまいだった。
人もまばらになった朽木邸で、ルキアを降ろす。
「行こう、ルキア」
「ああ」
朽木邸に入り、与えられた寝室で、互いに衣装を脱がしあった。
「愛してる、一護」
「俺も愛してる、ルキア」
婚礼と同時に、睦みあうことも許可されていた。
二人は何度も口づけあいながら、体を重ねた。
「ふあー」
次の日、寝坊した。
だが、念のために1週間は休暇をとっておいたので、一護は眠たい目をこすりながら、ルキアを起こす。
「ルキア、起きろ、朝だぞ」
「ん~。一護、もうキスはいい・・・むにゃむにゃ」
「おい、ルキア」
「はっ!白玉餡蜜は!?」
「なんの夢みてたんだ、お前」
「夢か・・・・一護が、白玉餡蜜の中にいて、キスばかりしてくる夢を見た」
「欲求不満か?」
「たわけ!ちちちち、違う!」
そっとルキアの顎に手をかけて、口づける。
「一護!」
「いいじゃねぇか。俺たち、新婚さんなんだ。甘ったるい雰囲気があってもいいと思う」
「そ、それもそうだな」
互いに下着姿であることに気づいて、朱くなりながらいつもの死覇装を着る。他にも服はあったが、着慣れたこの服が一番しっくりときた。
「遅いぞ、二人とも」
白哉が、何故かいた。
「なんで白哉がいやがんだ」
「ルキアの結婚とその後を見守るために、数日の休暇をとったまで」
「くそー、ルキアといちゃいちゃラブラブの計画が!」
遅めの朝餉の支度がされた。
今回は、一護も普通にメニューだった。数日続いた猫まんまじゃなくて、一護も安心した。
「そうだ、兄様。兄様と一護と私の3人で、現世に新婚旅行にいきませんか」
「ルキア、新婚旅行に兄は普通誘わない!」
「え、でも私は常に兄様のお傍にいたい・・・・・」
「白哉ぬきで、新婚旅行に行こう!」
「待て」
ぎくり。
「私も行く」
「兄様!」
ルキアが目を輝かせた。義兄連れの新婚旅行ってどうなんだよ・・・・そう思いながらも、嬉しそうなルキアの顔を曇らせたくなくて、一護もその条件を飲んだ。
「わーったよ。白哉も連れて行けばいいんだろ」
「一護、よいのだな?」
「二言はねーよ」
白哉が、二人を微笑ましそうに見る。
そんな白哉を見たのははじめてで、一護はぽかんとしていた。
「白哉、熱でもあるのか?」
額に手を当てるが、平熱だった。
「兄は・・・まぁいい。ルキアとの新婚生活に、なるべく邪魔はすまい」
「だったら、新婚旅行になんでついてくるんだよ」
「それはこれとは別だ」
「納得いかねぇ・・・・」
ばちばちと、視線で火花を散らしあう二人。
「ルキアは渡さねぇ!」
「それはこちらの台詞だ!」
結婚式をあげても、白哉は白哉であった。ルキアの傍からいなくなることはないのだろう。
一護は、それでも一応は新婚旅行になるので、仕方なしに白哉も連れて、大阪にでも食道楽あたりにでもいこうかなと、考えるのだった。
一護と白哉
ルキアと一護の結婚式まで、あと1か月。
一護は、ルキアと一緒に尸魂界での虚退治にきていた。
「やっぱ、書類仕事よりこっちのほうが断然楽だわ」
「バカ者!そうやって、命を落としていった死神もおおいのだぞ!気を引き締めろ」
「へいへい」
出現したのは、大虚(メノグランデ)の中でもアジューカスクラスの虚だった。
そのアジューカスが、15体。
「怯むな!かかれ!」
平隊員たちには下がっていろと伝えてある。
今いるのは、13番隊でも上位席官クラスの者たちだ、
「てやあああ!」
4番隊に移籍して、いなくなった清音の分まで、がんばるように仙太郎が先陣を切る。
そのまま、乱闘になった。
「ぎゃあああああ」
「うわあああああ」
一人が倒され、また一人が倒されていく。
アジューカスはやがて合体して、ヴァストローデに近い霊圧をもって、襲い掛かってっきた。
「舞え、袖白雪。次の舞、白漣!」
虚のいる地面から空高くまで凍り付く。まだ虚は生きていた。
「しつけぇ野郎だ。月牙天衝!」
一護が、そのでたらめな霊圧で、卍解することもなく虚の霊圧を混じらせた一撃をくらわせると、凍り付いた虚は粉々になって霊子へと還っていった。
「3席以下6席までは、けが人の収容と治療に当たれ!他の者は、虚の残党がいないかの捜索にあたれ!」
「やっぱ、ルキアが隊長で正解だわ」
「何故だ?」
「俺はこんな風に、下の者に命令なんて出せない。自分一人の力で倒せると信じこんで、一人でつっこんでいっちまう。席官クラスの扱い方なんてわかんねーしな」
「私も、最初はそうだった。でも、貴様ももう13番隊の副隊長なのだ。席官クラスの者を動かせるように、慣れておけ」
「へいへい」
「朽木副隊長、8席の怪我が酷いです!どうしましょう!」
「急いで、4番隊の虎鉄隊長の元に運んでくれ!」
「分かりました!」
「おお、一護、その調子だ。やればできるではないか」
「おい、これくらい普通できるだろ。舐めてんのか」
「別に~。兄様に、お前をいじめるようになど、言われておらぬぞ」
「あの白哉義兄様がっ・・・・・」
舌内を打つ。
何かあると、姑のように口を出し、そして小ばかにしてくる、貴族の中の貴族、見てるだけなら誰も振り返るような気品と気高さをもつ白哉。
その白哉のほうから、一護を朽木家の婿養子という形で出迎えたくせに、義妹のルキアとは結婚するまで清いままでいろとうるさい。
結婚したらしたで、子供はまだか?と聞かれそうだ。
「そうだ、ルキア、帰ったら明日の分の白哉の弁当作ってくれねーか?」
「いいが、何故だ?」
「ぎゃふんといわせてやるんだよ、白哉を」
「兄様は、そんなこと決して言わぬと思うがな」
次の日になって、今日の昼食はルキアの手作り弁当だと白哉に吹き込むと、白哉は嬉しそうにしていた。重度のシスコンだから、ルキアの手作り弁当が嬉しいのだろう。
そして、ルキアが作った弁当をうけとり、それにハバネロをこれでもかというほどにかけてやった。
「くくく、これだけあれば・・・・・」
いくら白哉でも、辛いと飛び上がるだろう。
さささっと移動して、昼の時間帯に6番隊の執務室の前までやってきた。隠れて、様子を伺う。
ちょうど、白哉はルキアの弁当を口にしているところだった。
「ざまーみろ」
「む、これは・・・・・・」
「にしししし」
「辛くてうまいな」
「そうくるか!?」
「兄は、そこにいるのであろう。朽木一護」
びくりと、一護が飛び上がった。
「なんでわかった」
「その霊圧の垂れ流しをやめぬ限り、兄の存在はどこにいても丸わかりだ」
「くそ、霊圧の閉じ方ちゃんと学んだんだけどな・・・・」
それでも、霊圧が漏れる。それほどに一護の霊圧は高いのだ。
「おい一護、朽木隊長に嫌がらせするならやめておけ。命がいくつあっても足りねーぞ」
「うっせぇ、恋次!これは男と男の勝負なんだよ!」
「そういうわりには、兄は卑劣な手段をとるな。ルキアの作ってくれた弁当にハバネロか・・・普通の死神なら、食すこともできぬであろうが、私は辛いものが好きなのだ。残念であったな」
「俺は知らねーからな」
恋次が退避する。
「一度、きつく灸をすえる必要があるか」
「おう、やれるもんならやってみろ」
互い瞬歩で開けた場所にきた。
「卍解・・・・・千本桜景厳・・・・・」
「卍解!天鎖斬月」
二人で、切り結びあう。
億の桜の花びらの奔流をはじき返す。
「月牙天衝!」
「殲景・千本桜景厳・・・」
互いの技がぶつかりあう。そこに、巨大な霊圧をぶつけられて、二人ははっとなった。
「朽木隊長も、一護君もそこまで。いけないよ、隊長副隊長での卍解での切り結びあいは、禁じられている」
「京楽総隊長・・・・すまぬ。軽率であった」
卍解を解き、剣を鞘に納める白哉。
「ほら、一護君も」
「すまねぇ、京楽さん」
卍解を解いて、斬魄刀を背中にしまった。
「兄様も、一護も、喧嘩するなら口でしてください!こんな、卍解での切り結びあいなどしないでください」
ルキアが泣いていた。その泣き顔に、一護が困り果てる。
「いやな、違うんだ。俺と白哉は仲良しなんだ。だから、技を磨きあってたんだ」
「本当なのか、一護?」
ちらりと白哉を見ると、めっちゃ嫌そうな顔をしていた。
その白哉の隣に佇んで、白哉の肩を抱く。
「ほらほら、こんなに仲いいぞ」
「おお、兄様、一護とそんなに仲がよいなどとは、このルキア、思ってもみませんでした」
白哉は、思い切り足を踏んづけてきた。それを我慢しながら、笑顔で応える。
「そうだ、せっかくなので写メをとりましょう」
京楽は、用は終わったとばかりに去ってしまった後だった。
ぱしゃりと、引きつった笑顔の一護と、むすっとした表情の白哉の写真がとられた。
「まだ仕事が残っているので、一度戻ります、兄様。一護も、後からでいいからちゃんと戻るのだぞ!」
「破道の4、白雷」
「あががががが」
鬼道で黒焦げにされて、一護はまた白哉めと、思った。
「破道の4、白雷」
白哉に向けてうったはずの鬼道は、自分を焦がした。
「鬼道も使えないなど、笑止」
「うっせぇ、このばか!バーカバーカバーカ!」
「猿か・・・・」
「ムキーーー」
一護は、噴火した。
そして、鬼道ででかいのを放とうとして、自爆した。
「ウッキーーーーーー」
「猿め」
黒焦げになりながら、地団駄を踏む一護。それを嘲笑う白哉。
二人の仲は改善されるのは、まだまだ先になりそうだった。
一護は、ルキアと一緒に尸魂界での虚退治にきていた。
「やっぱ、書類仕事よりこっちのほうが断然楽だわ」
「バカ者!そうやって、命を落としていった死神もおおいのだぞ!気を引き締めろ」
「へいへい」
出現したのは、大虚(メノグランデ)の中でもアジューカスクラスの虚だった。
そのアジューカスが、15体。
「怯むな!かかれ!」
平隊員たちには下がっていろと伝えてある。
今いるのは、13番隊でも上位席官クラスの者たちだ、
「てやあああ!」
4番隊に移籍して、いなくなった清音の分まで、がんばるように仙太郎が先陣を切る。
そのまま、乱闘になった。
「ぎゃあああああ」
「うわあああああ」
一人が倒され、また一人が倒されていく。
アジューカスはやがて合体して、ヴァストローデに近い霊圧をもって、襲い掛かってっきた。
「舞え、袖白雪。次の舞、白漣!」
虚のいる地面から空高くまで凍り付く。まだ虚は生きていた。
「しつけぇ野郎だ。月牙天衝!」
一護が、そのでたらめな霊圧で、卍解することもなく虚の霊圧を混じらせた一撃をくらわせると、凍り付いた虚は粉々になって霊子へと還っていった。
「3席以下6席までは、けが人の収容と治療に当たれ!他の者は、虚の残党がいないかの捜索にあたれ!」
「やっぱ、ルキアが隊長で正解だわ」
「何故だ?」
「俺はこんな風に、下の者に命令なんて出せない。自分一人の力で倒せると信じこんで、一人でつっこんでいっちまう。席官クラスの扱い方なんてわかんねーしな」
「私も、最初はそうだった。でも、貴様ももう13番隊の副隊長なのだ。席官クラスの者を動かせるように、慣れておけ」
「へいへい」
「朽木副隊長、8席の怪我が酷いです!どうしましょう!」
「急いで、4番隊の虎鉄隊長の元に運んでくれ!」
「分かりました!」
「おお、一護、その調子だ。やればできるではないか」
「おい、これくらい普通できるだろ。舐めてんのか」
「別に~。兄様に、お前をいじめるようになど、言われておらぬぞ」
「あの白哉義兄様がっ・・・・・」
舌内を打つ。
何かあると、姑のように口を出し、そして小ばかにしてくる、貴族の中の貴族、見てるだけなら誰も振り返るような気品と気高さをもつ白哉。
その白哉のほうから、一護を朽木家の婿養子という形で出迎えたくせに、義妹のルキアとは結婚するまで清いままでいろとうるさい。
結婚したらしたで、子供はまだか?と聞かれそうだ。
「そうだ、ルキア、帰ったら明日の分の白哉の弁当作ってくれねーか?」
「いいが、何故だ?」
「ぎゃふんといわせてやるんだよ、白哉を」
「兄様は、そんなこと決して言わぬと思うがな」
次の日になって、今日の昼食はルキアの手作り弁当だと白哉に吹き込むと、白哉は嬉しそうにしていた。重度のシスコンだから、ルキアの手作り弁当が嬉しいのだろう。
そして、ルキアが作った弁当をうけとり、それにハバネロをこれでもかというほどにかけてやった。
「くくく、これだけあれば・・・・・」
いくら白哉でも、辛いと飛び上がるだろう。
さささっと移動して、昼の時間帯に6番隊の執務室の前までやってきた。隠れて、様子を伺う。
ちょうど、白哉はルキアの弁当を口にしているところだった。
「ざまーみろ」
「む、これは・・・・・・」
「にしししし」
「辛くてうまいな」
「そうくるか!?」
「兄は、そこにいるのであろう。朽木一護」
びくりと、一護が飛び上がった。
「なんでわかった」
「その霊圧の垂れ流しをやめぬ限り、兄の存在はどこにいても丸わかりだ」
「くそ、霊圧の閉じ方ちゃんと学んだんだけどな・・・・」
それでも、霊圧が漏れる。それほどに一護の霊圧は高いのだ。
「おい一護、朽木隊長に嫌がらせするならやめておけ。命がいくつあっても足りねーぞ」
「うっせぇ、恋次!これは男と男の勝負なんだよ!」
「そういうわりには、兄は卑劣な手段をとるな。ルキアの作ってくれた弁当にハバネロか・・・普通の死神なら、食すこともできぬであろうが、私は辛いものが好きなのだ。残念であったな」
「俺は知らねーからな」
恋次が退避する。
「一度、きつく灸をすえる必要があるか」
「おう、やれるもんならやってみろ」
互い瞬歩で開けた場所にきた。
「卍解・・・・・千本桜景厳・・・・・」
「卍解!天鎖斬月」
二人で、切り結びあう。
億の桜の花びらの奔流をはじき返す。
「月牙天衝!」
「殲景・千本桜景厳・・・」
互いの技がぶつかりあう。そこに、巨大な霊圧をぶつけられて、二人ははっとなった。
「朽木隊長も、一護君もそこまで。いけないよ、隊長副隊長での卍解での切り結びあいは、禁じられている」
「京楽総隊長・・・・すまぬ。軽率であった」
卍解を解き、剣を鞘に納める白哉。
「ほら、一護君も」
「すまねぇ、京楽さん」
卍解を解いて、斬魄刀を背中にしまった。
「兄様も、一護も、喧嘩するなら口でしてください!こんな、卍解での切り結びあいなどしないでください」
ルキアが泣いていた。その泣き顔に、一護が困り果てる。
「いやな、違うんだ。俺と白哉は仲良しなんだ。だから、技を磨きあってたんだ」
「本当なのか、一護?」
ちらりと白哉を見ると、めっちゃ嫌そうな顔をしていた。
その白哉の隣に佇んで、白哉の肩を抱く。
「ほらほら、こんなに仲いいぞ」
「おお、兄様、一護とそんなに仲がよいなどとは、このルキア、思ってもみませんでした」
白哉は、思い切り足を踏んづけてきた。それを我慢しながら、笑顔で応える。
「そうだ、せっかくなので写メをとりましょう」
京楽は、用は終わったとばかりに去ってしまった後だった。
ぱしゃりと、引きつった笑顔の一護と、むすっとした表情の白哉の写真がとられた。
「まだ仕事が残っているので、一度戻ります、兄様。一護も、後からでいいからちゃんと戻るのだぞ!」
「破道の4、白雷」
「あががががが」
鬼道で黒焦げにされて、一護はまた白哉めと、思った。
「破道の4、白雷」
白哉に向けてうったはずの鬼道は、自分を焦がした。
「鬼道も使えないなど、笑止」
「うっせぇ、このばか!バーカバーカバーカ!」
「猿か・・・・」
「ムキーーー」
一護は、噴火した。
そして、鬼道ででかいのを放とうとして、自爆した。
「ウッキーーーーーー」
「猿め」
黒焦げになりながら、地団駄を踏む一護。それを嘲笑う白哉。
二人の仲は改善されるのは、まだまだ先になりそうだった。
浮竹が京楽で、京楽が浮竹にいれかわった?
「じゃあ、僕はいくから」
「あ、ちょっと待て京楽!」
「なんだい?」
ゴン!
振り返って数歩足を進めた京楽と、そのまま真っすぐ向かって進んだ浮竹は、頭をぶつけあった
「あいたたたた」
「いたい」
浮竹があいたたたといい、京楽がいたいと言った。
「「え!?」」
浮竹は自分の体を見る。体は巨躯で、鍛え上げられており、頭に笠を被っていた、女ものの派手な打掛を羽織り、煙管煙草をしていた。
「ええええ!」
「どうなってるんだいこれ」
京楽が自分の体を見る。華奢にみえる細い手足。肌の色はぬけるように白く、長い白髪がさらさと零れ落ちる。体はしなやかな筋肉がのっているが、基本的に細い。
「「中身が入れ替わった!?」」
「おい京楽、その体は俺のものだ。中身は京楽なのか!?」
「そういう浮竹も、その体は僕のものだ。中身は浮竹なのかい!?」
二人してパニックになる。
30分程して落ち着いて、向かい合って茶を飲んだ。
「もう一度、頭をぶつければ元にもどるんじゃないかい」
「俺もそう思った」
そしで、ごちっと頭をぶつけあう。
何も起こらなかった。
「いたたた」
「痛い」
二人は、仕方なく涅隊長の元へいった。
「はぁ?中身が入れ替わった?そんなこと、私の知ったことではないのだヨ。本当に中身がいれかわっているとしたら、よい実験材料に・・・・・・」
最後まで言わせず、二人は走って逃げた。
その次に二人が訪れたのは4番隊。卯ノ花に事情を説明すると、魂がどうのこうの言い出されて、ちんぷんかんぷんだった。
「ようは、衝撃で互いの魂魄が入れ替わったのでしょう。時が経てば元に戻るでしょう」
「ほんとかな?」
「どうだろう?」
「私の言葉を疑うのですか?」
にこにこしているが、背後にどす黒いオーラが見えた。二人して汗をだらだらかいて、にっこりと微笑む卯ノ花が怖かった。
「分かった。じゃあ、いつも通り過ごしていることにするよ」
「俺もだ」
二人は、脱兎のごとく逃げ出した。
雨乾堂に帰り、京楽に浮竹の体のまま8番隊に帰らないように言う。
「俺も雨乾堂にいることにする。数日は泊まっても、いつものことだから大丈夫だろう」
京楽の体の浮竹は、自分の体のでかさにちょっとびびっていた。
「それにしても、京楽の体はでかいな」
「浮竹の体は細いね。ちゃんと食べてる?」
お互いの体を触りあっていると、なぜかたった。
「どういうことだ、これは!」
「あれかな。精神は違うけど、体が反応しているってやつ」
「どうする」
「どうするって、抜くしかないでしょ」
「風呂場で?」
「今ここで」
「ええっ」
京楽は、浮竹の体のまま股間をまさぐりだして、浮竹が声をあげる。
「おい」
「お互いの体じゃあ混じり合うのは無理しょ。手伝うから、抜きあおう」
「仕方ない・・・・」
一度熱をもってしまったものは、なかなか収まってくれない。
浮竹も、京楽の体のままで一物をしごきだした。
「なんか、すごいエロい。浮竹の体」
「そういう京楽の体もエロい。なんなんだ、この大きさ」
二人で、花茎をすりあわせ、ぐちゃぐちゃと音をたてていじる。
浮竹が熱をだしたりして長いこと睦みあえずに、溜まりに溜まった時はそうして抜いていた。
「んっ・・・・いいね、浮竹の体感度がいい」
「京楽の体は、んあっ」
「浮竹、僕の体であえがないで。みっともないから」
「そう言われても・・・ひうっ」
お互い、ぐちゃぐちゃになるまですりあげて、二度ほどいった時、体の異常が消えた。
「あれ、俺の体に戻ってる・・・」
「僕もだ・・・・・・」
でも、まだ熱の余韻が残っていた。
「浮竹・・・・・」
「京楽・・・・」
そのまま、畳の上で倒れこんだ。
「やっぱり、これがしっくりくるね」
浮竹を押し倒して、京楽が口づける。
「自分の顔にキスなんてできないからな」
浮竹は、京楽の体をかき抱いた。
「あっ」
京楽が、懐から潤滑油を取り出す。
「お前、いつもそんなもの持ち歩いているのかっ」
飽きれ気味の浮竹に、京楽は笑みを浮かべる。
「だって、いつ浮竹を抱けるか分からないでしょ」
「んっ」
蕾を、潤滑油の力をかりて指が出入りし、解していく。
「も、いいから来い・・・・・・」
「大丈夫?いつもより性急だけど」
「今は、お前の体温を感じたい」
「じゃあ、いくよ」
ずっと中に入り込まれる。
穿つ熱の灼熱さに、体が震えた。
「あああ!」
「んっ・・・いつもより、狭いね」
それでも、じっくりと中を堪能した。
ずずずと、挿入して引き抜いて、また挿入する。
やがて結合部はぐちゃぐちゃと水音をたてだした。
「んあああ!だめ、いっちゃう・・・・あう!」
京楽に花茎をいじられて、前立腺をすりあげられて、浮竹は果てた。
「君の中すごいね・・・・うねって・ああ、僕ももうだめだ」
浮竹の腹の奥で、京楽も弾けた。
はぁはぁと、お互い荒い息をついた。
「ぐちゃぐちゃだ・・・・湯あみにいこう」
「うん。その前に、畳ふかなきゃ・・・・」
互いの体液が混ざった液体が、畳の上に滴っていた。
それを濡れたタオルでさっとふきさって、情事の痕を消すと、湯あみをした。
「はぁ。なんだかんだあったけど、けっこう楽しめたね」
「楽しんだというか・・・お前の体から元に戻った時、すごい快感で・・・お前がどうしても欲しくなった」
「僕もだよ。凄い快感で・・・君を抱きたくなった」
その後、また頭をぶつけて入れ替わったりするのだが、それはまた別のお話。
「あ、ちょっと待て京楽!」
「なんだい?」
ゴン!
振り返って数歩足を進めた京楽と、そのまま真っすぐ向かって進んだ浮竹は、頭をぶつけあった
「あいたたたた」
「いたい」
浮竹があいたたたといい、京楽がいたいと言った。
「「え!?」」
浮竹は自分の体を見る。体は巨躯で、鍛え上げられており、頭に笠を被っていた、女ものの派手な打掛を羽織り、煙管煙草をしていた。
「ええええ!」
「どうなってるんだいこれ」
京楽が自分の体を見る。華奢にみえる細い手足。肌の色はぬけるように白く、長い白髪がさらさと零れ落ちる。体はしなやかな筋肉がのっているが、基本的に細い。
「「中身が入れ替わった!?」」
「おい京楽、その体は俺のものだ。中身は京楽なのか!?」
「そういう浮竹も、その体は僕のものだ。中身は浮竹なのかい!?」
二人してパニックになる。
30分程して落ち着いて、向かい合って茶を飲んだ。
「もう一度、頭をぶつければ元にもどるんじゃないかい」
「俺もそう思った」
そしで、ごちっと頭をぶつけあう。
何も起こらなかった。
「いたたた」
「痛い」
二人は、仕方なく涅隊長の元へいった。
「はぁ?中身が入れ替わった?そんなこと、私の知ったことではないのだヨ。本当に中身がいれかわっているとしたら、よい実験材料に・・・・・・」
最後まで言わせず、二人は走って逃げた。
その次に二人が訪れたのは4番隊。卯ノ花に事情を説明すると、魂がどうのこうの言い出されて、ちんぷんかんぷんだった。
「ようは、衝撃で互いの魂魄が入れ替わったのでしょう。時が経てば元に戻るでしょう」
「ほんとかな?」
「どうだろう?」
「私の言葉を疑うのですか?」
にこにこしているが、背後にどす黒いオーラが見えた。二人して汗をだらだらかいて、にっこりと微笑む卯ノ花が怖かった。
「分かった。じゃあ、いつも通り過ごしていることにするよ」
「俺もだ」
二人は、脱兎のごとく逃げ出した。
雨乾堂に帰り、京楽に浮竹の体のまま8番隊に帰らないように言う。
「俺も雨乾堂にいることにする。数日は泊まっても、いつものことだから大丈夫だろう」
京楽の体の浮竹は、自分の体のでかさにちょっとびびっていた。
「それにしても、京楽の体はでかいな」
「浮竹の体は細いね。ちゃんと食べてる?」
お互いの体を触りあっていると、なぜかたった。
「どういうことだ、これは!」
「あれかな。精神は違うけど、体が反応しているってやつ」
「どうする」
「どうするって、抜くしかないでしょ」
「風呂場で?」
「今ここで」
「ええっ」
京楽は、浮竹の体のまま股間をまさぐりだして、浮竹が声をあげる。
「おい」
「お互いの体じゃあ混じり合うのは無理しょ。手伝うから、抜きあおう」
「仕方ない・・・・」
一度熱をもってしまったものは、なかなか収まってくれない。
浮竹も、京楽の体のままで一物をしごきだした。
「なんか、すごいエロい。浮竹の体」
「そういう京楽の体もエロい。なんなんだ、この大きさ」
二人で、花茎をすりあわせ、ぐちゃぐちゃと音をたてていじる。
浮竹が熱をだしたりして長いこと睦みあえずに、溜まりに溜まった時はそうして抜いていた。
「んっ・・・・いいね、浮竹の体感度がいい」
「京楽の体は、んあっ」
「浮竹、僕の体であえがないで。みっともないから」
「そう言われても・・・ひうっ」
お互い、ぐちゃぐちゃになるまですりあげて、二度ほどいった時、体の異常が消えた。
「あれ、俺の体に戻ってる・・・」
「僕もだ・・・・・・」
でも、まだ熱の余韻が残っていた。
「浮竹・・・・・」
「京楽・・・・」
そのまま、畳の上で倒れこんだ。
「やっぱり、これがしっくりくるね」
浮竹を押し倒して、京楽が口づける。
「自分の顔にキスなんてできないからな」
浮竹は、京楽の体をかき抱いた。
「あっ」
京楽が、懐から潤滑油を取り出す。
「お前、いつもそんなもの持ち歩いているのかっ」
飽きれ気味の浮竹に、京楽は笑みを浮かべる。
「だって、いつ浮竹を抱けるか分からないでしょ」
「んっ」
蕾を、潤滑油の力をかりて指が出入りし、解していく。
「も、いいから来い・・・・・・」
「大丈夫?いつもより性急だけど」
「今は、お前の体温を感じたい」
「じゃあ、いくよ」
ずっと中に入り込まれる。
穿つ熱の灼熱さに、体が震えた。
「あああ!」
「んっ・・・いつもより、狭いね」
それでも、じっくりと中を堪能した。
ずずずと、挿入して引き抜いて、また挿入する。
やがて結合部はぐちゃぐちゃと水音をたてだした。
「んあああ!だめ、いっちゃう・・・・あう!」
京楽に花茎をいじられて、前立腺をすりあげられて、浮竹は果てた。
「君の中すごいね・・・・うねって・ああ、僕ももうだめだ」
浮竹の腹の奥で、京楽も弾けた。
はぁはぁと、お互い荒い息をついた。
「ぐちゃぐちゃだ・・・・湯あみにいこう」
「うん。その前に、畳ふかなきゃ・・・・」
互いの体液が混ざった液体が、畳の上に滴っていた。
それを濡れたタオルでさっとふきさって、情事の痕を消すと、湯あみをした。
「はぁ。なんだかんだあったけど、けっこう楽しめたね」
「楽しんだというか・・・お前の体から元に戻った時、すごい快感で・・・お前がどうしても欲しくなった」
「僕もだよ。凄い快感で・・・君を抱きたくなった」
その後、また頭をぶつけて入れ替わったりするのだが、それはまた別のお話。
太陽の落ちる時 翡翠の双眸
京楽と浮竹の想いが通じ合って、3か月が経とうとしていた、
もう京楽は廓にいくことも、女生徒とも付き合うことはなくなっていた。
「京楽・・・・・」
浮竹が、少し朱くなりながら、京楽の名を呼んだ。
「ん?どうしたの」
「お前の、翡翠になってやる。俺がお前の全てを受け止める。俺を・・・抱いても、構わない」
「浮竹?無理してない?」
「していない」
潤んだ瞳で見上げられた。
「ほんとにいいの?抱くよ」
「構わない・・・・」
浮竹をベッドに押し倒す。
京楽の体の下の浮竹は、震えていた。
「痛かったら、いってね」
前々から準備していた潤滑油をとりだして、ベッドの上に置く。
「それは?」
「入れる時に使うの。女のあそこと違って、濡れないからね。無理にいれると切れて血がでてしまう」
「ん・・・・」
優しい口づけを受けた。段々激しくなり、深くなっていく。
「んあう」
舌と舌を絡めあうと、浮竹が喉をならした。二人分の唾液を嚥下していく。
「いいかい?」
「ああ・・・・」
浮竹の院生服を脱がしていく。浮竹も京楽の院生服を脱がしていく。
お互い、裸になった。
「ん・・・・」
共同風呂でなんかで見たことはあるが、京楽のそれは大きかった。
それが、熱をもってたちあがっていく。
こんなでかいものが、自分の体の中に入るのだろうかという恐怖心を抱いたが、京楽のキスでその気持ちも霧散していく。
「あっ」
体中にキスの雨を受けた。
「んう」
浮竹の花茎に手をかけて、しごいていく。
「ああああ!だめ、そこは、ひっ」
すられてくだけで、たちあがり先走りを迸らせて、ひくひくと震える。
「んあああああ!いっちゃう・・・・ああ!」
何度もしごきあげられ、浮竹は京楽の手の中に欲望を吐き出していた。
「あっ」
つぷりと、潤滑油で濡らされた指が入ってくる。
「ああ、だめだ・・・・」
前立腺を刺激するように動かされて、何も考えられなくなった。
「ん・・・変、そこ、ああっ」
何度も前立腺をこりこりと刺激される。そして蕾をとろとろになるまで解された。
「いくよ・・・・・・」
「んっ」
あてがわれた熱量に恐怖心を抱きながらも、覚悟する。
ずっと、先端が入ってきた。
「ひうっ」
「ん、力抜いて」
そう言われても、どうすればいいのか分からなかった。
「あ・・・・・」
深い口づけを受ける。
それと同時に、挿入された。
「はぁっ」
しばらくの間、大きさに馴染ませるために動かない京楽を、知らぬ間にしめつけているらしくて、京楽は一度浮竹の中に欲望を注いだ。
「あ・・・・・」
腹の中腹くらいでゆっくりと広がっていく熱をかんじた。
「君の中が良すぎて、もう出ちゃったよ」
「や、言うな・・・・あ!」
ずっと動かされて、浮竹の体が逃げようとする。両手首を頭の上で片手で戒められた。
「逃げないで・・・・・」
「ああん」
最奥まで入ってくる熱を感じた。
そのまま前立腺をすりあげて、何度も穿たれ、抉られ、突き上げられた。
「ああ、京楽、ああ、だめっ・・ひあうっ」
もう何度目かも分からぬ前立腺をすりあげられて、浮竹は二度目の精液を放った。
すでに、手首は解放されている。
京楽の背中に手を回していた。
「ああっ」
ずくりと中を抉られて、浮竹はドライのオーガズムでいってしまた。
「ひうっ」
びくびくとはねる体を抱き締めて、京楽が穿つ。
「愛してる・・・・十四郎」
「あっ、あっ、あっ」
与えられる刺激に、浮竹は京楽が何を言ったのかも理解できないでいた。
「あああ!」
のけ反る浮竹。その背筋のラインをたどって、舌を這わす。
「うん・・・・・」
背後から貫かれて、浮竹は京楽をきつく締めあげた。
「うっ・・・これはきもちいいね・・・」
「さっさと、いってしまえ・・・・・」
中を意図的に締め上げて、京楽は浮竹の腹の奥で欲望を迸らせた。
浮竹も、京楽の手ですりあげられて、もう3回目にもなる吐精をした。
がくりと、浮竹が意識を失う。
「浮竹?」
気を失ってしまった浮竹を抱き締めて、キスをした。
「もう、僕だけのものだ・・・・」
濡れたタオルで浮竹の体をふいてやり、中にだしたものをかきだすと、トロリと白い性液が蕾からあふれた。
「けっこう出したね、僕も・・・・」
2回精液を放ったが、まだ足りなかった。でも、これ以上浮竹に無理させるわけもいかなくて、風呂場で処理した。
先ほどまでの乱れた浮竹を思い起こすだけで、簡単に抜けた。
いつもは想像で脳内で犯していたのだが。
浮竹のいくときの顔を思い出すだけで、欲望に熱が集まった。
「僕も、まだまだ若いね」
2回ほど抜いて、やっと収まった。
「ん・・・・俺は?」
京楽の腕の中で眠っていた浮竹は、ずくりと重い腰に立ち上がれなくて、困惑する。
「浮竹?目覚めたの?」
「京楽・・・立ち上がれない」
「え、大丈夫?」
「多分、明日には立てる。それより、夕飯食べ損ねたな」
「ああ、弁当買ってきてあるから、大丈夫」
「本当に、用意のいい奴だな・・・・」
「十四郎、愛してるよ・・・・・」
「京楽・・・・」
「春水って呼んで」
「春水・・・俺も、愛してる」
めでたく結ばれた二人は、愛を囁きあって、その後学院を卒業するまで仲睦まじく過ごした。
学院を卒業すると、京楽は8番隊の3席に、浮竹は13番隊の3席に選ばれた。
忙しい日々ではあったが、合間を縫って逢瀬を重ね、デートした。
そして、若くして隊長にまで登りつめた。
「浮竹、入るよ」
「ああ、京楽か。仕事も終わって暇なんだ。花札の相手をしてくれ」
昼間っから、浮竹は、浮竹のためだけに建てられた療養所と執務室と寝室を兼ねた雨乾堂で、一人で花札をして遊んでいた。
「一人花札なんて、つまんないでしょ」
「することもなく寝てるよりはましだ」
浮竹の前に座り、花札を手にとる。
「さぁ、一勝負だ」
浮竹は、発作を繰り返したり、高熱をだして臥せる日が多く、隊長になるにあたって議論が別れた。だが、その優しい気性と隊をまとめあげる力、何より突出した霊圧と格闘センスがあり、隊長へとなった。
先に隊長になった京楽も、浮竹を推薦した。
「花札が終わったら、一杯やらないかい。君の大好きな果実酒を手に入れたんだ」
「お、いいな」
花札を最後までせず、昼から酒盛りを始めた。
院生時代の話に花を咲かせる。
「あれから56年か・・・・・早いものだな」
「僕らは、これから何百年も腕が衰えるまで隊長をしていくしかないからね」
「いつか、引退して京楽と二人で静かに暮らしたいな」
「浮竹・・・・」
何十年経とうと、想いは色あせない。
「愛してる、浮竹」
「俺もだ」
その後、数百年とこの関係を続けていくことを、二人はまだ知らない。
太陽が落ちる時
fin
もう京楽は廓にいくことも、女生徒とも付き合うことはなくなっていた。
「京楽・・・・・」
浮竹が、少し朱くなりながら、京楽の名を呼んだ。
「ん?どうしたの」
「お前の、翡翠になってやる。俺がお前の全てを受け止める。俺を・・・抱いても、構わない」
「浮竹?無理してない?」
「していない」
潤んだ瞳で見上げられた。
「ほんとにいいの?抱くよ」
「構わない・・・・」
浮竹をベッドに押し倒す。
京楽の体の下の浮竹は、震えていた。
「痛かったら、いってね」
前々から準備していた潤滑油をとりだして、ベッドの上に置く。
「それは?」
「入れる時に使うの。女のあそこと違って、濡れないからね。無理にいれると切れて血がでてしまう」
「ん・・・・」
優しい口づけを受けた。段々激しくなり、深くなっていく。
「んあう」
舌と舌を絡めあうと、浮竹が喉をならした。二人分の唾液を嚥下していく。
「いいかい?」
「ああ・・・・」
浮竹の院生服を脱がしていく。浮竹も京楽の院生服を脱がしていく。
お互い、裸になった。
「ん・・・・」
共同風呂でなんかで見たことはあるが、京楽のそれは大きかった。
それが、熱をもってたちあがっていく。
こんなでかいものが、自分の体の中に入るのだろうかという恐怖心を抱いたが、京楽のキスでその気持ちも霧散していく。
「あっ」
体中にキスの雨を受けた。
「んう」
浮竹の花茎に手をかけて、しごいていく。
「ああああ!だめ、そこは、ひっ」
すられてくだけで、たちあがり先走りを迸らせて、ひくひくと震える。
「んあああああ!いっちゃう・・・・ああ!」
何度もしごきあげられ、浮竹は京楽の手の中に欲望を吐き出していた。
「あっ」
つぷりと、潤滑油で濡らされた指が入ってくる。
「ああ、だめだ・・・・」
前立腺を刺激するように動かされて、何も考えられなくなった。
「ん・・・変、そこ、ああっ」
何度も前立腺をこりこりと刺激される。そして蕾をとろとろになるまで解された。
「いくよ・・・・・・」
「んっ」
あてがわれた熱量に恐怖心を抱きながらも、覚悟する。
ずっと、先端が入ってきた。
「ひうっ」
「ん、力抜いて」
そう言われても、どうすればいいのか分からなかった。
「あ・・・・・」
深い口づけを受ける。
それと同時に、挿入された。
「はぁっ」
しばらくの間、大きさに馴染ませるために動かない京楽を、知らぬ間にしめつけているらしくて、京楽は一度浮竹の中に欲望を注いだ。
「あ・・・・・」
腹の中腹くらいでゆっくりと広がっていく熱をかんじた。
「君の中が良すぎて、もう出ちゃったよ」
「や、言うな・・・・あ!」
ずっと動かされて、浮竹の体が逃げようとする。両手首を頭の上で片手で戒められた。
「逃げないで・・・・・」
「ああん」
最奥まで入ってくる熱を感じた。
そのまま前立腺をすりあげて、何度も穿たれ、抉られ、突き上げられた。
「ああ、京楽、ああ、だめっ・・ひあうっ」
もう何度目かも分からぬ前立腺をすりあげられて、浮竹は二度目の精液を放った。
すでに、手首は解放されている。
京楽の背中に手を回していた。
「ああっ」
ずくりと中を抉られて、浮竹はドライのオーガズムでいってしまた。
「ひうっ」
びくびくとはねる体を抱き締めて、京楽が穿つ。
「愛してる・・・・十四郎」
「あっ、あっ、あっ」
与えられる刺激に、浮竹は京楽が何を言ったのかも理解できないでいた。
「あああ!」
のけ反る浮竹。その背筋のラインをたどって、舌を這わす。
「うん・・・・・」
背後から貫かれて、浮竹は京楽をきつく締めあげた。
「うっ・・・これはきもちいいね・・・」
「さっさと、いってしまえ・・・・・」
中を意図的に締め上げて、京楽は浮竹の腹の奥で欲望を迸らせた。
浮竹も、京楽の手ですりあげられて、もう3回目にもなる吐精をした。
がくりと、浮竹が意識を失う。
「浮竹?」
気を失ってしまった浮竹を抱き締めて、キスをした。
「もう、僕だけのものだ・・・・」
濡れたタオルで浮竹の体をふいてやり、中にだしたものをかきだすと、トロリと白い性液が蕾からあふれた。
「けっこう出したね、僕も・・・・」
2回精液を放ったが、まだ足りなかった。でも、これ以上浮竹に無理させるわけもいかなくて、風呂場で処理した。
先ほどまでの乱れた浮竹を思い起こすだけで、簡単に抜けた。
いつもは想像で脳内で犯していたのだが。
浮竹のいくときの顔を思い出すだけで、欲望に熱が集まった。
「僕も、まだまだ若いね」
2回ほど抜いて、やっと収まった。
「ん・・・・俺は?」
京楽の腕の中で眠っていた浮竹は、ずくりと重い腰に立ち上がれなくて、困惑する。
「浮竹?目覚めたの?」
「京楽・・・立ち上がれない」
「え、大丈夫?」
「多分、明日には立てる。それより、夕飯食べ損ねたな」
「ああ、弁当買ってきてあるから、大丈夫」
「本当に、用意のいい奴だな・・・・」
「十四郎、愛してるよ・・・・・」
「京楽・・・・」
「春水って呼んで」
「春水・・・俺も、愛してる」
めでたく結ばれた二人は、愛を囁きあって、その後学院を卒業するまで仲睦まじく過ごした。
学院を卒業すると、京楽は8番隊の3席に、浮竹は13番隊の3席に選ばれた。
忙しい日々ではあったが、合間を縫って逢瀬を重ね、デートした。
そして、若くして隊長にまで登りつめた。
「浮竹、入るよ」
「ああ、京楽か。仕事も終わって暇なんだ。花札の相手をしてくれ」
昼間っから、浮竹は、浮竹のためだけに建てられた療養所と執務室と寝室を兼ねた雨乾堂で、一人で花札をして遊んでいた。
「一人花札なんて、つまんないでしょ」
「することもなく寝てるよりはましだ」
浮竹の前に座り、花札を手にとる。
「さぁ、一勝負だ」
浮竹は、発作を繰り返したり、高熱をだして臥せる日が多く、隊長になるにあたって議論が別れた。だが、その優しい気性と隊をまとめあげる力、何より突出した霊圧と格闘センスがあり、隊長へとなった。
先に隊長になった京楽も、浮竹を推薦した。
「花札が終わったら、一杯やらないかい。君の大好きな果実酒を手に入れたんだ」
「お、いいな」
花札を最後までせず、昼から酒盛りを始めた。
院生時代の話に花を咲かせる。
「あれから56年か・・・・・早いものだな」
「僕らは、これから何百年も腕が衰えるまで隊長をしていくしかないからね」
「いつか、引退して京楽と二人で静かに暮らしたいな」
「浮竹・・・・」
何十年経とうと、想いは色あせない。
「愛してる、浮竹」
「俺もだ」
その後、数百年とこの関係を続けていくことを、二人はまだ知らない。
太陽が落ちる時
fin
花街恋話8
浮竹が京楽に身請けされて、半年が過ぎた。
浮竹は14歳になろうとしていた。
栄養を十分にとって、規則正しい生活をしていたためも、13歳の初めの頃は11歳くらいにしか見えなかったが、今は年相応に見えた。
浮竹の願いで、売られていった妹と弟を全部買い戻し、京楽が与えてくれた館で過ごしていた。
妹の中には、幼いのに体を売らされていた子もいて、そんな妹には京楽は4番隊の隊員を呼んで、記憶を抹消してもらったりした。
「京楽・・・」
「どうしたんだい」
「妹と弟たちを買い戻してくれて、ありがとう」
浮竹は、今は京楽のいる屋敷で暮らしいた。すぐ近くにある館に、弟や妹たちは住んでいる。まだ幼いので、大人の庇護下に置く必要があった。
「春水。俺は、学院に入学してもいいか?」
霊力のある浮竹は、真央霊術院に前々から通いたがっていた。死神になって、京楽の傍にいるために。
「いいよ。でも、もう少し待ちなさい。まだ君は13だ。せめて15になるまで」
「嫌だ。6年間もあるんだろう。俺が卒業する頃には俺は成人してしまう。そしたら、きっとごつくなってかわいくなくなっている」
「そんなことはないと思うけどね」
「可愛く見えるのは、今のうちだけだ。色子も、20を過ぎれば大抵引退する」
「もう、君は色子じゃないよ」
「でも・・・・あっ」
「君を身請けしたのは僕。僕のものだ。僕の言うことが、できるだけ聞いて」
「分かった・・・・・」
「そういえば、今日は君の誕生日だね」
「そういえばそうだったか。すっかり忘れていた」
「14歳、おめでとう、十四郎」
14歳の誕生日プレゼントは、死神になるための心得という分厚い本と、オパールのピアスだった。
「君の翡翠の瞳は、時々光彩にオパール色の虹色がまざる。それがとても綺麗だから」
ピアスのための穴を、京楽が開けてくれた。
少し痛かったが、オパールは大粒で、少し長くなった白髪からちらちらと見えて、綺麗だと京楽は思った。
髪飾りや首飾りも考えたが、いつもつけているとなると、指輪かピアスくらいのものだろう。
指輪は、もう用意してある。
今日の夜にでも、与えるつもりだった。
「何をにまにましているんだ、京楽?」
「ん~?幸せだなぁと思って」
「今日は非番でも、明日から仕事があるんだろう?」
「いや、実は今日も仕事ある日なんだけどね。書類仕事は全部持ち帰って屋敷でしているから」
「大変じゃないか!仕事をさぼってはいけない」
浮竹が、京楽の長い黒髪をひっぱる。
「いやぁ、さぼるのとはちょっと違うよ。僕は隊長だからね。主に戦闘で出番がでるから・・・普段は雑務が多いから、その辺は副官に任せられるから、どうしても僕は処理しなければいけないところだけ、仕事をしにいくくらいかな」
「そういうものなのか。俺が死神になっても、ただの死神だと、お前に会えないのか」
「君が死神になったら、僕が8番隊に引き抜くから」
「約束だぞ」
「ああ、男同士の約束だ」
指きりげんまんをした。
その日の夕食のメニューは、浮竹の好物だらけだった。デザートには、最近はやりのアイスクリームがあった。
嬉しそうに平らげる浮竹を見て、京楽も幸せそうだった。
夜になって、褥に呼ばれた。
「今日は、君の14歳になった誕生日の、特別な日だ。僕が君を身請けしてからきた、はじめての君の誕生日」
翡翠をあしらった指輪を見せられた。
「これは?」
「僕との、結婚指輪」
「結婚?・・・・男同士で、結婚できるのか?」
「できないよ、今の尸魂界では。でも、二人だけで秘密の結婚式をあげようと思ってるんだ」
その言葉に、浮竹は涙を零した。
「京楽、お前の優しさは、時に酷い」
「ええ、優しさが酷い?」
涙をポロポロ零しながら、浮竹は言う。
「こんなに、誰かに愛されたのは初めてだ。実の両親より、俺は愛されている」
その日の夜は、睦みあって眠った。
朝がきて、特別な場所というところに案内された。
「ここは・・・?教会?」
尸魂界に教会があるなんて、珍しいときょろきょろとあたりを見回す。
「中に入っておいで」
呼ばれて、中に入るとステンドグラスに日の光が入ってきて、とても幻想的な色の影を落としていた。
「この教会で、今日、僕と君は結ばれる」
一人の老人がいた。
「あなたは?」
「昔、現世で教会の神父をしていた者です」
「さぁ、始めようか」
浮竹は、いつもより繊細な服を着て、髪飾りやら首飾りやらをされていた。その頭に、金糸銀糸の刺繍がされたウェディングヴェールが被せられる。
「汝、京楽春水、病める時も健やかなる時も、浮竹十四郎を愛すると誓いますか?」
「誓います」
「汝、浮竹十四郎、病める時も健やかなる時も、京楽春水を愛すると誓いますか?」
「誓います・・・・」
指輪の交換をした。
浮竹の指輪に翡翠が、京楽の指輪には黒曜石がはめこまれていた。
「では、誓いの口づけを」
「ん・・・・」
何度も何度も、浅く深く口づけられて、口づけが終わる頃には立っていられなくなった。
「おめでとう。君たちは、二人で一つの伴侶です」
「ありがとう、神父さん」
「ありがとう、神父様・・・・」
そのまま、屋敷に戻った。
寝室にやってきて、どちらともなしに口づけしあい、衣服を脱がしていく。
「ああっ」
薄い胸の先端を撫でられ、つままれ、口に含まれて、甘い声が漏れる。
「早くきて、春水・・・・・・」
「ちょっと待ってね」
蕾を、潤滑油で濡らした指で解していく。指だけでいかすことはできるが、今回は本当に解すだけだった。
己の欲望に潤滑油を注ぎ、浮竹の中に入りこむ。
「ああっ!」
貫かれて、その衝撃に涙を零した。
「どうしたの?」
「幸せだから、いいんだ。んあっ」
ぐちぐちと、浅いところばかりを侵してくる。
「もっと奥に」
前立腺をすりあげて奥に侵入すると、びくんと浮竹の体ははねた。
「ああ、今のもっと」
また前立腺をすりあげて、奥まで突き上げられた。
「いい・・・もっと。あ、あんっ」
いつもは喘ぐだけなのに、今日は積極的に求めてくる浮竹が可愛くて、花茎に手をそてえ、戒める。
「ああっ。いきたい・・・・」
「僕と一緒にいこう」
前立腺を突き上げる。
先走りを迸らせる浮竹の花茎は限界に近付いていた。
最奥に突き上げて、浮竹の戒めを解放する、びゅるるると、勢いよく浮竹は射精した。京楽も、浮竹の腹の奥に欲望を迸らせた。
その後、何度も求めあった。
若いので、数回してやっとくたくたになった。
「今日から、君は僕の伴侶だ」
「本当に、俺でいいのか?」
「君じゃないとダメなんだ」
「春水・・・・愛してる」
「僕もだよ、十四郎」
その後、15で学院に入った浮竹は、飛び級をして僅か2年で真央霊術院を卒業した。
始めは、13番隊に・・・・・という話がきていたが、京楽がとても欲しがったので、8番隊に所属された。
卒業と同時に、8番隊の3席になった。
その後、京楽を支え続けて、50年後には副隊長になった。それから数百年、二人は伴侶として生きるのだった。
花街恋話
fin
浮竹は14歳になろうとしていた。
栄養を十分にとって、規則正しい生活をしていたためも、13歳の初めの頃は11歳くらいにしか見えなかったが、今は年相応に見えた。
浮竹の願いで、売られていった妹と弟を全部買い戻し、京楽が与えてくれた館で過ごしていた。
妹の中には、幼いのに体を売らされていた子もいて、そんな妹には京楽は4番隊の隊員を呼んで、記憶を抹消してもらったりした。
「京楽・・・」
「どうしたんだい」
「妹と弟たちを買い戻してくれて、ありがとう」
浮竹は、今は京楽のいる屋敷で暮らしいた。すぐ近くにある館に、弟や妹たちは住んでいる。まだ幼いので、大人の庇護下に置く必要があった。
「春水。俺は、学院に入学してもいいか?」
霊力のある浮竹は、真央霊術院に前々から通いたがっていた。死神になって、京楽の傍にいるために。
「いいよ。でも、もう少し待ちなさい。まだ君は13だ。せめて15になるまで」
「嫌だ。6年間もあるんだろう。俺が卒業する頃には俺は成人してしまう。そしたら、きっとごつくなってかわいくなくなっている」
「そんなことはないと思うけどね」
「可愛く見えるのは、今のうちだけだ。色子も、20を過ぎれば大抵引退する」
「もう、君は色子じゃないよ」
「でも・・・・あっ」
「君を身請けしたのは僕。僕のものだ。僕の言うことが、できるだけ聞いて」
「分かった・・・・・」
「そういえば、今日は君の誕生日だね」
「そういえばそうだったか。すっかり忘れていた」
「14歳、おめでとう、十四郎」
14歳の誕生日プレゼントは、死神になるための心得という分厚い本と、オパールのピアスだった。
「君の翡翠の瞳は、時々光彩にオパール色の虹色がまざる。それがとても綺麗だから」
ピアスのための穴を、京楽が開けてくれた。
少し痛かったが、オパールは大粒で、少し長くなった白髪からちらちらと見えて、綺麗だと京楽は思った。
髪飾りや首飾りも考えたが、いつもつけているとなると、指輪かピアスくらいのものだろう。
指輪は、もう用意してある。
今日の夜にでも、与えるつもりだった。
「何をにまにましているんだ、京楽?」
「ん~?幸せだなぁと思って」
「今日は非番でも、明日から仕事があるんだろう?」
「いや、実は今日も仕事ある日なんだけどね。書類仕事は全部持ち帰って屋敷でしているから」
「大変じゃないか!仕事をさぼってはいけない」
浮竹が、京楽の長い黒髪をひっぱる。
「いやぁ、さぼるのとはちょっと違うよ。僕は隊長だからね。主に戦闘で出番がでるから・・・普段は雑務が多いから、その辺は副官に任せられるから、どうしても僕は処理しなければいけないところだけ、仕事をしにいくくらいかな」
「そういうものなのか。俺が死神になっても、ただの死神だと、お前に会えないのか」
「君が死神になったら、僕が8番隊に引き抜くから」
「約束だぞ」
「ああ、男同士の約束だ」
指きりげんまんをした。
その日の夕食のメニューは、浮竹の好物だらけだった。デザートには、最近はやりのアイスクリームがあった。
嬉しそうに平らげる浮竹を見て、京楽も幸せそうだった。
夜になって、褥に呼ばれた。
「今日は、君の14歳になった誕生日の、特別な日だ。僕が君を身請けしてからきた、はじめての君の誕生日」
翡翠をあしらった指輪を見せられた。
「これは?」
「僕との、結婚指輪」
「結婚?・・・・男同士で、結婚できるのか?」
「できないよ、今の尸魂界では。でも、二人だけで秘密の結婚式をあげようと思ってるんだ」
その言葉に、浮竹は涙を零した。
「京楽、お前の優しさは、時に酷い」
「ええ、優しさが酷い?」
涙をポロポロ零しながら、浮竹は言う。
「こんなに、誰かに愛されたのは初めてだ。実の両親より、俺は愛されている」
その日の夜は、睦みあって眠った。
朝がきて、特別な場所というところに案内された。
「ここは・・・?教会?」
尸魂界に教会があるなんて、珍しいときょろきょろとあたりを見回す。
「中に入っておいで」
呼ばれて、中に入るとステンドグラスに日の光が入ってきて、とても幻想的な色の影を落としていた。
「この教会で、今日、僕と君は結ばれる」
一人の老人がいた。
「あなたは?」
「昔、現世で教会の神父をしていた者です」
「さぁ、始めようか」
浮竹は、いつもより繊細な服を着て、髪飾りやら首飾りやらをされていた。その頭に、金糸銀糸の刺繍がされたウェディングヴェールが被せられる。
「汝、京楽春水、病める時も健やかなる時も、浮竹十四郎を愛すると誓いますか?」
「誓います」
「汝、浮竹十四郎、病める時も健やかなる時も、京楽春水を愛すると誓いますか?」
「誓います・・・・」
指輪の交換をした。
浮竹の指輪に翡翠が、京楽の指輪には黒曜石がはめこまれていた。
「では、誓いの口づけを」
「ん・・・・」
何度も何度も、浅く深く口づけられて、口づけが終わる頃には立っていられなくなった。
「おめでとう。君たちは、二人で一つの伴侶です」
「ありがとう、神父さん」
「ありがとう、神父様・・・・」
そのまま、屋敷に戻った。
寝室にやってきて、どちらともなしに口づけしあい、衣服を脱がしていく。
「ああっ」
薄い胸の先端を撫でられ、つままれ、口に含まれて、甘い声が漏れる。
「早くきて、春水・・・・・・」
「ちょっと待ってね」
蕾を、潤滑油で濡らした指で解していく。指だけでいかすことはできるが、今回は本当に解すだけだった。
己の欲望に潤滑油を注ぎ、浮竹の中に入りこむ。
「ああっ!」
貫かれて、その衝撃に涙を零した。
「どうしたの?」
「幸せだから、いいんだ。んあっ」
ぐちぐちと、浅いところばかりを侵してくる。
「もっと奥に」
前立腺をすりあげて奥に侵入すると、びくんと浮竹の体ははねた。
「ああ、今のもっと」
また前立腺をすりあげて、奥まで突き上げられた。
「いい・・・もっと。あ、あんっ」
いつもは喘ぐだけなのに、今日は積極的に求めてくる浮竹が可愛くて、花茎に手をそてえ、戒める。
「ああっ。いきたい・・・・」
「僕と一緒にいこう」
前立腺を突き上げる。
先走りを迸らせる浮竹の花茎は限界に近付いていた。
最奥に突き上げて、浮竹の戒めを解放する、びゅるるると、勢いよく浮竹は射精した。京楽も、浮竹の腹の奥に欲望を迸らせた。
その後、何度も求めあった。
若いので、数回してやっとくたくたになった。
「今日から、君は僕の伴侶だ」
「本当に、俺でいいのか?」
「君じゃないとダメなんだ」
「春水・・・・愛してる」
「僕もだよ、十四郎」
その後、15で学院に入った浮竹は、飛び級をして僅か2年で真央霊術院を卒業した。
始めは、13番隊に・・・・・という話がきていたが、京楽がとても欲しがったので、8番隊に所属された。
卒業と同時に、8番隊の3席になった。
その後、京楽を支え続けて、50年後には副隊長になった。それから数百年、二人は伴侶として生きるのだった。
花街恋話
fin
朽木白夜と浮竹3
高熱で臥せっていた浮竹は、熱がなくなったので、さぁ仕事をしようとしたところを、京楽に言いくるめられて、また仙太郎と清音に泣きながら懇願されて、熱もないのに寝ていた。
昼間から深夜にかけて寝ていたため、夜になっても寝れないでいた。
こんな時間に誰かを起こすのもなんだしと思って、散歩にでかけた。
「また、兄か・・・・」
向こうからやってくるのは、夜の散歩が趣味だという白哉ではないか。
「やあ、白哉。夜の散歩か?今日は月が綺麗だな」
「浮竹、兄はそんな薄着でいるべきではない。上着を羽織ってこなかったのか」
「ああ、そういえば少し寒いかな?」
鈍感な部分のある浮竹は、隊首会も病欠してたくらいなのに、今はとても元気だった。
「これでも、羽織っていろ」
薄い色の着物の上着をかけられた。
「白哉が寒くなるんじゃないのか?」
「兄とは違う。ちゃんと鍛錬している。風邪などひかん」
その言葉に、少しむっとなった。
「俺だって、好きで風邪をひいているわけじゃないぞ」
「兄は、体質であろう。病弱なのは仕方ないことだ」
いつもより饒舌な白哉に、浮竹は首を傾げた。
「何処に行くつもりだったんだ?」
「双極の丘まで」
「あんな場所へか!」
義妹のルキアが、処刑されそうになり、藍染の企みが発覚したいわくつきの場所だ。
今はその藍染も封印されているが。
「どうした。何故ついてくる」
「いや、俺も行ってみようかなと思って」
「行っても何もないぞ」
「分かっている」
二人で、のんびりぶらぶらと散歩する。
昼間であれば、こうやって散歩をしていると、途中で誰かに捕まって、行き先を制限される。
月の綺麗な夜は、好きだった。
「満月もいいが、下弦の月もいいな」
「兄にしては、情緒的だな」
「む。俺にしてはは、言いすぎだぞ」
クスリと、分かるか分からないかの声で、白哉が笑う。
「すまぬ」
「白哉も大きくなったものだなぁ。昔はあんなにやんちゃ坊主だったのに」
「兄は、昔のことなど忘れろ」
「いや、無理だろ。夜一にむきになって挑んでいた頃のお前は可愛かった」
「もう、そんな年ではない」
「そうだな。貴族らしく気品があり誇り高く美しい。それが今の白哉だ」
「褒めすぎだ」
「そうか?」
首を傾げる浮竹。白い髪がさらさらと零れ落ちた。
星の光が瞬く。
下弦の月は雲に隠れて、見えなくなっていた。
「兄は、京楽隊長とは相変わらずか」
「ああ、相変わらずできてるぞ。最近抱かせてやってないから、きっと溜まってるだろうな」
「何故妻を娶らぬ?」
「なんでだろうなぁ。好きな女性がいないからじゃないか。俺も京楽も。お互い、二人でいれればいいって考え方だから」
「緋真は・・・・・」
「ああ」
「緋真も、下弦の月が好きだった」
「そうか。って、この着物!」
女ものであることは知っていたが、まさかと思った。
「そうだ。緋真が着ていたものだ。兄にやる」
「そんな大事なもの、受け取れない!」
「もう、誰も着ることのなくなったものだ。処分しようにも、緋真との思い出まで処分するようで、手放せなかっただけのこと」
「なんで俺に・・・・・」
「兄は、儚いからな。病弱なのに芯が強いところなど、緋真によく似ている」
「白哉・・・・」
雲が切れて、下弦の月がまた顔を出した。
月光に輝く浮竹の白い髪は、銀色に見えた。
やがて、双極の丘へたどり着いた。
そのまま、何をするでもないしに数分間佇んだ後、きた道を逆に辿っていく。
「眠くなってきたので、これで失礼する。兄は、くれぐれも風邪などひかぬように」
瞬歩で、白哉が去って行った。
「でな、聞いてるのか京楽」
「はいはい。深夜に朽木隊長と出会って、デートしたんでしょ」
すねた京楽は、がたいがいいが可愛かった。
「デートじゃない。あれはただ、一緒に散歩しただけだ」
「それで、緋真ちゃんの大切の上着をもらったんでしょ」
また京楽はすねた。
「俺がデートするのも、好きなのも、抱かれたいのも、全部お前だけだ」
耳元でそう囁くと、すねていた京楽は、浮竹を腕の中に抱きしめた。
「今日は、体調は平気?」
「ああ」
「今日は、してもいい?半月はお預けくらってる」
「いいぞ」
そう答えると、京楽は深い口づけをしてきた。
「ただし、夜だ」
「分かったよ」
また、夜になると白哉は散歩に出かけるのだろうな。
そう思いながら、浮竹をかき抱いた。
昼間から深夜にかけて寝ていたため、夜になっても寝れないでいた。
こんな時間に誰かを起こすのもなんだしと思って、散歩にでかけた。
「また、兄か・・・・」
向こうからやってくるのは、夜の散歩が趣味だという白哉ではないか。
「やあ、白哉。夜の散歩か?今日は月が綺麗だな」
「浮竹、兄はそんな薄着でいるべきではない。上着を羽織ってこなかったのか」
「ああ、そういえば少し寒いかな?」
鈍感な部分のある浮竹は、隊首会も病欠してたくらいなのに、今はとても元気だった。
「これでも、羽織っていろ」
薄い色の着物の上着をかけられた。
「白哉が寒くなるんじゃないのか?」
「兄とは違う。ちゃんと鍛錬している。風邪などひかん」
その言葉に、少しむっとなった。
「俺だって、好きで風邪をひいているわけじゃないぞ」
「兄は、体質であろう。病弱なのは仕方ないことだ」
いつもより饒舌な白哉に、浮竹は首を傾げた。
「何処に行くつもりだったんだ?」
「双極の丘まで」
「あんな場所へか!」
義妹のルキアが、処刑されそうになり、藍染の企みが発覚したいわくつきの場所だ。
今はその藍染も封印されているが。
「どうした。何故ついてくる」
「いや、俺も行ってみようかなと思って」
「行っても何もないぞ」
「分かっている」
二人で、のんびりぶらぶらと散歩する。
昼間であれば、こうやって散歩をしていると、途中で誰かに捕まって、行き先を制限される。
月の綺麗な夜は、好きだった。
「満月もいいが、下弦の月もいいな」
「兄にしては、情緒的だな」
「む。俺にしてはは、言いすぎだぞ」
クスリと、分かるか分からないかの声で、白哉が笑う。
「すまぬ」
「白哉も大きくなったものだなぁ。昔はあんなにやんちゃ坊主だったのに」
「兄は、昔のことなど忘れろ」
「いや、無理だろ。夜一にむきになって挑んでいた頃のお前は可愛かった」
「もう、そんな年ではない」
「そうだな。貴族らしく気品があり誇り高く美しい。それが今の白哉だ」
「褒めすぎだ」
「そうか?」
首を傾げる浮竹。白い髪がさらさらと零れ落ちた。
星の光が瞬く。
下弦の月は雲に隠れて、見えなくなっていた。
「兄は、京楽隊長とは相変わらずか」
「ああ、相変わらずできてるぞ。最近抱かせてやってないから、きっと溜まってるだろうな」
「何故妻を娶らぬ?」
「なんでだろうなぁ。好きな女性がいないからじゃないか。俺も京楽も。お互い、二人でいれればいいって考え方だから」
「緋真は・・・・・」
「ああ」
「緋真も、下弦の月が好きだった」
「そうか。って、この着物!」
女ものであることは知っていたが、まさかと思った。
「そうだ。緋真が着ていたものだ。兄にやる」
「そんな大事なもの、受け取れない!」
「もう、誰も着ることのなくなったものだ。処分しようにも、緋真との思い出まで処分するようで、手放せなかっただけのこと」
「なんで俺に・・・・・」
「兄は、儚いからな。病弱なのに芯が強いところなど、緋真によく似ている」
「白哉・・・・」
雲が切れて、下弦の月がまた顔を出した。
月光に輝く浮竹の白い髪は、銀色に見えた。
やがて、双極の丘へたどり着いた。
そのまま、何をするでもないしに数分間佇んだ後、きた道を逆に辿っていく。
「眠くなってきたので、これで失礼する。兄は、くれぐれも風邪などひかぬように」
瞬歩で、白哉が去って行った。
「でな、聞いてるのか京楽」
「はいはい。深夜に朽木隊長と出会って、デートしたんでしょ」
すねた京楽は、がたいがいいが可愛かった。
「デートじゃない。あれはただ、一緒に散歩しただけだ」
「それで、緋真ちゃんの大切の上着をもらったんでしょ」
また京楽はすねた。
「俺がデートするのも、好きなのも、抱かれたいのも、全部お前だけだ」
耳元でそう囁くと、すねていた京楽は、浮竹を腕の中に抱きしめた。
「今日は、体調は平気?」
「ああ」
「今日は、してもいい?半月はお預けくらってる」
「いいぞ」
そう答えると、京楽は深い口づけをしてきた。
「ただし、夜だ」
「分かったよ」
また、夜になると白哉は散歩に出かけるのだろうな。
そう思いながら、浮竹をかき抱いた。
マッサージ否、いかがわいいこと
「きもちいい・・・・」
ぴくり。
海燕の耳が動いた。
「あーいい。すごくいい」
ぴくぴく。
「ここかい?」
「あんっ」
がらっ。雨乾堂の戸をあけて、海燕はずかずかと入りこんでくると叫んだ。
「あんたら、朝っぱらから何卑猥なことして・・・・・」
「え、なんだ?」
浮竹が驚く。京楽も驚いた。
「朝っぱらから・・・・マッサージだけど?」
京楽の言葉に、早合点した自分を呪った。穴にあったら入りたい心境だった。
「なになに、僕たちがいかがわしいことしてると思ったの?」
「そうなのか、海燕?」
「ああもうそうですよ!よくいかがわしいことしてるでしょ、あんたら!」
「否定はしないけどね」
「同じく」
「いや、普通否定するでしょ!」
「いや、だって本当のことだしね?」
「ああ。一昨日も海燕のいういかがわしいことしてたしな」
浮竹は畳に座って、お茶を飲みだした。
「一昨日・・・・・道理で、入室禁止をいいわたされたわけだ」
京楽が、お茶を飲んでいる浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「だってこんなにかわいいんだよ」
「確かに隊長は愛らしいですが、だからって俺はその気にはなりません」
「まぁ、それが普通の反応だろうな。京楽は目と脳が腐ってるから」
「何それ!まるで乱菊ちゃんみたいじゃないの!」
「いや、だって男の俺をかわいいとかいうの、お前くらいだぞ」
「さっき海燕君も愛らしいとか言ってたよ」
浮竹は、ごろりと横になった。そして、畳の上を転がりだす。
ごろごろごろごろ。
二人とも、何このかわいい生物と思った。
「た、隊長は男らしいいですよ」
「うん、そうそう」
ごろごろごろごろ。
「絶対そう思ってない。嘘ついてるな、お前ら」
ごろごろごろごろ。
意味不明な行動をとる浮竹。京楽の傍までくると、その膝に頭を乗せた。
「鍛えても筋肉はつかないし、すぐ熱は出すし、肺の病で吐血するし・・・・全然男らしくない。だからもういい」
京楽の膝の上で、甘えだす。
「京楽、壬生の甘味屋のおはぎが食べたい・・・・」
「海燕君、今すぐ買いに行きなさい」
「なんで俺なんですか!頼まれているのは、京楽隊長でしょう!」
「だって、こんなかわいい浮竹を放置できないよ!!!!」
思いっきり、断言した。
じとー。
2つの視線が、京楽に注がれる。
海燕のうわーという視線と、浮竹のこいつなんなのって視線が。
「いや・・・そんなに見つめられると照れるんだけど」
「まぁいい、京楽、壬生の甘味屋まで行くぞ」
「お、珍しい。隊長が自分から行きたがるなんて」
「そうでもないよ。甘味屋だと、よく僕と一緒に食べにいくからね。支払いはもちろん僕もちで」
ああ、やっぱり。
あれだけ家族に仕送りして、肺の病の高い薬を買っているんだ。残った金で飲み食いできるのも難しい。
「海燕には、おはぎを3こだけお土産に持って帰ってあげよう」
「3こだけなんですね」
「後は俺が食べるために残しておくんだ」
そう言って、浮竹は京楽と出かけた。
「ああもう、布団ひきっぱなしで・・・・・」
布団を片付ける。
多分2~3時間は帰ってこないだろうと、雨乾堂の中の掃除を始めた。
きっかり3時間して、二人は帰ってきた。
「浮竹、やっぱり食いすぎだよ」
「まだまだだ・・・・」
「おかえりなさい」
「何してたんだ?」
「掃除です」
「そんなことしなくても、俺が定期的に掃除してるのに」
「隊長の掃除は雑なんです。みてください、こんなに埃がとれました。あと、長い白い髪とか」
「海燕、土産だ」
おはぎ3つ。そう言っていたおみやげだろう。
「ありがたくいたただきます」
手を洗って、箱の中をあけると、おがぎが2つしかなかった。
「3つって言ってませんでしたっけ?」
「ああ、浮竹が小腹がすいたとかいって、途中で1個たべちゃたんだよ。白玉餡蜜3人前食べて、ぜんざい4杯にお汁粉に・・・・・」
「食べすぎですね。そのうち、糖尿病になりますよ。あと、虫歯にも気をつけてくださいね」
「だってさ、浮竹」
ぷくーっと頬を膨らませる浮竹は、仕草が子供っぽかった。
そこが、京楽がいうかわいいといところの一部なのだろう。
「とりあえず、おはぎいただきますね」
2つを食べて、夕餉の時刻が近いことに気づいた。
「湯あみ、すませてきてください。夕餉の準備しときますんで。京楽隊長は今日は泊まりで?」
「うん、そうだよ。前から言ってたからね」
ふくれた浮竹を連れて、雨乾堂専用の湯殿に消えていく二人。
「夕餉の準備しなくちゃな」
今日の夕餉はちらし寿司。あなごがのっかっていた。
「あなごかぁ。食べるのは久しぶりだねぇ」
「俺のあなごが京楽のより小さい」
「はいはい、交換してあげるから」
食べだす二人にお茶を入れたりして、世話を焼く。
食事をし終えた膳を、海燕が下げていった。
ようやく、海燕も夕餉の時間だ。
ふと、忘れ物をして雨乾同に戻る。
「あっだめだ・・・海燕がきたらどうする」
「大丈夫だよ。もう来ないでしょ」
「ああんっ」
またマッサージかと、ガラリと戸をあける。
半裸の京楽と、それに押し倒されて、ほとんど裸に近い恰好の浮竹がいた。
「な、何も見てません!」
顔を真っ赤にして、海燕は回れ右をした。
「ああっ」
浮竹と京楽は、なかったことにして続けるらしい。
かなり図太い神経をしているものだと思いながら、忘れ物がそのままであったが、明日とりにこようと思う海燕だった。
ぴくり。
海燕の耳が動いた。
「あーいい。すごくいい」
ぴくぴく。
「ここかい?」
「あんっ」
がらっ。雨乾堂の戸をあけて、海燕はずかずかと入りこんでくると叫んだ。
「あんたら、朝っぱらから何卑猥なことして・・・・・」
「え、なんだ?」
浮竹が驚く。京楽も驚いた。
「朝っぱらから・・・・マッサージだけど?」
京楽の言葉に、早合点した自分を呪った。穴にあったら入りたい心境だった。
「なになに、僕たちがいかがわしいことしてると思ったの?」
「そうなのか、海燕?」
「ああもうそうですよ!よくいかがわしいことしてるでしょ、あんたら!」
「否定はしないけどね」
「同じく」
「いや、普通否定するでしょ!」
「いや、だって本当のことだしね?」
「ああ。一昨日も海燕のいういかがわしいことしてたしな」
浮竹は畳に座って、お茶を飲みだした。
「一昨日・・・・・道理で、入室禁止をいいわたされたわけだ」
京楽が、お茶を飲んでいる浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「だってこんなにかわいいんだよ」
「確かに隊長は愛らしいですが、だからって俺はその気にはなりません」
「まぁ、それが普通の反応だろうな。京楽は目と脳が腐ってるから」
「何それ!まるで乱菊ちゃんみたいじゃないの!」
「いや、だって男の俺をかわいいとかいうの、お前くらいだぞ」
「さっき海燕君も愛らしいとか言ってたよ」
浮竹は、ごろりと横になった。そして、畳の上を転がりだす。
ごろごろごろごろ。
二人とも、何このかわいい生物と思った。
「た、隊長は男らしいいですよ」
「うん、そうそう」
ごろごろごろごろ。
「絶対そう思ってない。嘘ついてるな、お前ら」
ごろごろごろごろ。
意味不明な行動をとる浮竹。京楽の傍までくると、その膝に頭を乗せた。
「鍛えても筋肉はつかないし、すぐ熱は出すし、肺の病で吐血するし・・・・全然男らしくない。だからもういい」
京楽の膝の上で、甘えだす。
「京楽、壬生の甘味屋のおはぎが食べたい・・・・」
「海燕君、今すぐ買いに行きなさい」
「なんで俺なんですか!頼まれているのは、京楽隊長でしょう!」
「だって、こんなかわいい浮竹を放置できないよ!!!!」
思いっきり、断言した。
じとー。
2つの視線が、京楽に注がれる。
海燕のうわーという視線と、浮竹のこいつなんなのって視線が。
「いや・・・そんなに見つめられると照れるんだけど」
「まぁいい、京楽、壬生の甘味屋まで行くぞ」
「お、珍しい。隊長が自分から行きたがるなんて」
「そうでもないよ。甘味屋だと、よく僕と一緒に食べにいくからね。支払いはもちろん僕もちで」
ああ、やっぱり。
あれだけ家族に仕送りして、肺の病の高い薬を買っているんだ。残った金で飲み食いできるのも難しい。
「海燕には、おはぎを3こだけお土産に持って帰ってあげよう」
「3こだけなんですね」
「後は俺が食べるために残しておくんだ」
そう言って、浮竹は京楽と出かけた。
「ああもう、布団ひきっぱなしで・・・・・」
布団を片付ける。
多分2~3時間は帰ってこないだろうと、雨乾堂の中の掃除を始めた。
きっかり3時間して、二人は帰ってきた。
「浮竹、やっぱり食いすぎだよ」
「まだまだだ・・・・」
「おかえりなさい」
「何してたんだ?」
「掃除です」
「そんなことしなくても、俺が定期的に掃除してるのに」
「隊長の掃除は雑なんです。みてください、こんなに埃がとれました。あと、長い白い髪とか」
「海燕、土産だ」
おはぎ3つ。そう言っていたおみやげだろう。
「ありがたくいたただきます」
手を洗って、箱の中をあけると、おがぎが2つしかなかった。
「3つって言ってませんでしたっけ?」
「ああ、浮竹が小腹がすいたとかいって、途中で1個たべちゃたんだよ。白玉餡蜜3人前食べて、ぜんざい4杯にお汁粉に・・・・・」
「食べすぎですね。そのうち、糖尿病になりますよ。あと、虫歯にも気をつけてくださいね」
「だってさ、浮竹」
ぷくーっと頬を膨らませる浮竹は、仕草が子供っぽかった。
そこが、京楽がいうかわいいといところの一部なのだろう。
「とりあえず、おはぎいただきますね」
2つを食べて、夕餉の時刻が近いことに気づいた。
「湯あみ、すませてきてください。夕餉の準備しときますんで。京楽隊長は今日は泊まりで?」
「うん、そうだよ。前から言ってたからね」
ふくれた浮竹を連れて、雨乾堂専用の湯殿に消えていく二人。
「夕餉の準備しなくちゃな」
今日の夕餉はちらし寿司。あなごがのっかっていた。
「あなごかぁ。食べるのは久しぶりだねぇ」
「俺のあなごが京楽のより小さい」
「はいはい、交換してあげるから」
食べだす二人にお茶を入れたりして、世話を焼く。
食事をし終えた膳を、海燕が下げていった。
ようやく、海燕も夕餉の時間だ。
ふと、忘れ物をして雨乾同に戻る。
「あっだめだ・・・海燕がきたらどうする」
「大丈夫だよ。もう来ないでしょ」
「ああんっ」
またマッサージかと、ガラリと戸をあける。
半裸の京楽と、それに押し倒されて、ほとんど裸に近い恰好の浮竹がいた。
「な、何も見てません!」
顔を真っ赤にして、海燕は回れ右をした。
「ああっ」
浮竹と京楽は、なかったことにして続けるらしい。
かなり図太い神経をしているものだと思いながら、忘れ物がそのままであったが、明日とりにこようと思う海燕だった。