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小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 26 27 28 29 30 12

好きなものは好き14

コトコトと、キッチンから音とカレーの匂いがした。

「ルキア・・・・こっち来てたのか」

「たわけ。今日は金曜であろう。金曜の夜にきて、月曜の朝に帰る。この習慣を乱したくはない。買い物にいってないから、ありあわせのものだとカレーかシチューくらいしかできそうになかったから、勝手にカレーしにたが、よいな?」

「ああ。一応弁当も買ってきてたんだけど、明日食うか・・・・・」

ルキアは、フリルのエプロンをつけていた。

「なんか、新婚ってかんじするな」

「な、たわけ!」

ルキアは顔を真っ赤にした。

「うまそう」

「もう少しでできるぞ」

「いや、ルキアがうまそうだと思って」

「貴様は、何を言っているのだ!」

「ルキアがかわいいなぁと思ってる」

ルキアはさらに顔を赤くして、カレーの鍋の火を消した。

「あおっているのか?」

「そうだとしたら?」

「上等だ・・・・ふ・・・あ・・・」

一護に噛みつくようにキスをすれば、一護はルキアの唇を舐めて、ルキアは唇を開いた。

ぬめっとした一護の舌が入ってくる。

「んん・・・・・」

舌が絡み合い、ぴちゃぴちゃと音を立てる。

「ん・・・・・」

互いの唾液がまざったものを飲み込んで、ルキアは一護に肩に噛みついた。

「いって」

「ふん・・・・・」

ルキアの衣服を脱がせていく。エプロンを脱がせて、ワンピースを脱がせると、ささやかな膨らみを隠すブラジャーとショーツ姿になっていた。

「あ・・・・」

ちゅっと、リップ音をたてて、一護はルキアの胸に口づける。

それから下着を取り去ろうとして、ルキアに止められた。

「夕飯が、冷めるぞ」

「温め直せばいい。今はルキアがほしい」

性急に求められた。

一護ががっついてくるのなんて珍しくて、ルキアは一護に抱き着いた。

ベッドにまで移動して、押し倒される。

「愛してる、ルキア」

「あ、一護・・・・」

ささやかな膨らみしかない小ぶりな胸をもんで、先端を口に含むと、ルキアが一護のオレンジの髪を抱きかかえた。

「あ・・・・・」

「もう、濡れてる」

「や、言うな・・・」

秘所に指を這わせれば、ショーツは濡れていた。

それを脱がして、くちゅりと音をたてて指をいれると、柔らかい内部は熱く熟れていた。

「いれるぞ」

「んあ!」

ずくりと、熱いものが入ってくる。

「あああ」

中をすりあげられて、ルキアは目を閉じた。

とくんとくんと、一護の鼓動が伝わってくる。

「動いていいか?」

「ああ、かまわぬ」

ルキアを、そっと壊れ物のように優しく揺すって、ゆっくりと動きだす。

「ふあ・・・あ、あ」

痛みは全くない。

ゆるやかな快感に支配されて、ルキアの脳がぐずぐずに溶けていく。

「やっ」

「中、しめつけがすごい。気持ちいい?」

「あ、きもちいい・・・・もっと・・・・」

一護の首に抱き着く。

一護は緩慢な動きで、ルキアを攻めた。

「ごめん、いっちまう。中にだしていいか?」

「あ、いいぞ。どうせ、終わったら風呂に入るし」

ルキアの了承を得て、一護はルキアの中に熱を弾けさせた。

「ごめんな。いきなり抱いて」

「別にかまわぬ。貴様とは、付き合っているのだから」

肉体関係になることは少なくもなければ多くもなかった。

「風呂、入ろうぜ」

「狭いが、一緒に入ってやる」

そなえつえの風呂は、二人で入るには狭いが、仕方ない。

風呂でルキアの体を洗ってやり、中にだしたものをかき出した。義骸なので妊娠することはないが、垂れてくるので、外に出しておいたほうがいい。

湯からでると、二人は冷えた麦茶を飲んで吐息を吐いた。

「ふう。暑いな」

「暑い。クーラーつけるか」

電気代を節約するほど、困窮しているわけでもないし、ルキアからは生活費を十分にもらっているので、冷房を25度の強でつけた。

「カレー、温めてくる」

「ごめんな、ルキア。夕飯、遅くなっちまった」

「いいのだ。私とて、人なみに性欲くらいある。愛しい貴様といるのだ。我慢できなくなる時はお互い様だ」

「愛してる」

「わわわわ、私も、その、愛している・・・・・・」

ルキアの言葉は弱弱しかった。

恥ずかしがっているのだ。

二人でパジャマを着たまま、少し遅い夕飯をとった。シーフードカレーとサラダだった。

飲み物は冷えた麦茶。

夕飯を食べ終わり、クーラーの効いた室内で、二人でゴロゴロとベッドの上で寝そべっていた。

「なぁ、今度旅行いかね?温泉とか」

「温泉か。それもいいな」

「金曜の夜に出発して、日曜の夜に戻ってきて、月曜の朝には尸魂界に戻るかんじで」

「悪くないな」

ルキアは、微笑んだ。

そんなルキアに額に、ちゅっとリップ音をたててキスをする。

「な、なんだ!」

「いや、かわいいなぁと思って」

「たわけ!貴様だって、か、かっこいい・・・・・うわあああ、何を言っているのだ私は!」

タオルケットをかぶって、ルキアは縮こまった。

「ルキア。好きだぜ」

そんなルキアをタオルケットごと抱きしめながら、一護は苦笑した。

「照れてるお前もかわいい」

ルキアは真っ赤になって、タオルケットごしに一護の胸に顔を埋めるのであった。



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禁忌という名の番外編「一緒に」

涅マユリに作られた、クローン体である浮竹は、今日も京楽と共にいた。

「なぁ、京楽」

「なんだい、浮竹」

「もう、春だな。そのうち桜が咲きそうだ。4月15日で、俺は生まれて1年になる」

「そうだね。時が経つのは早いね」

「誕生にプレゼント、今欲しいって言ったら、怒るか?」

「ううん、怒らないよ」

「お前を、くれ」

「え」

「お前がほしい」

浮竹は、京楽にキスをした。

京楽は驚きながらも、浮竹を抱き上げて、寝室にやってきた。

「ん・・・ふあっ」

舌が絡み合う口づけをしながら、互いに服を脱がし合う。

「春水、愛してる」

「僕も愛してるよ、十四郎」

互いに裸になって、京楽は浮竹の肌を愛撫した。

「あ・・・・・・」

真っ白なその肌に、所有者の証を残していく。

「もっと、してくれ。お前のものだって証拠を、俺にくれ」

「十四郎、好きだよ」

胸の先端を口に含んで転がすと、浮竹は京楽の黒髪を掴んだ。

「あ、あ・・・・・」

「こっち、もう濡れてるね」

浮竹は花茎は、顔をもたげて先走りの蜜を零していた。

「あ!」

口に含まれて、浮竹は甲高い声をあげた。

「や、あ、はぁっ・・・・・あ、あ」

京楽の与える刺激で、浮竹はあっけなく京楽の口の中に精液を放ってしまった。

「あ・・・・飲んだのか」

「うん」

「バカ・・・・・」

浮竹は赤くなった。

京楽は、浮竹の額と頬に口づけをして、潤滑油を取り出した。

「あ・・・・」

「解すから。リラックスしてね」

「んん・・・・冷た・・・」

「ちょっと辛抱してね」

指が一本中に入ってくる。

くちゅりと音をたてて、蕾の入り口に円を描いてから指が入ってきた。

「んっ」

指はくにくにと動かされて、二本、三本と増やされていく。

「ああ!」

いい場所を刺激されて、浮竹は背を弓ぞらせた。

「も、いいから・・・こい」

「まだ、だめだよ」

ぐちゅぐちゅと指で愛撫されて、浮竹は軽くドライでいってしまった。

「あああ!」

「いちゃったの?出してない、みたいだけど・・・・」

「もう、いいから、早く来い。俺の中にこい」

「いれるよ」

「んっ・・・・」

京楽は、猛ったもので浮竹を引き裂いた。

「あああ!」

「痛い?」

「だい、じょうぶ・・・・・」

京楽は、浮竹の中に全てを埋め込むと、しばらく動かなかった。

「もう、動いて大丈夫?」

「大丈夫だ。あ、あ、あ!」

浮竹の右足を肩に担ぎあげて、正常位で浮竹を犯した。

「あ!んあ!」

最奥に突きいれては、入り口近くまで戻る。そんな行為を数回繰り返して、京楽は浮竹に問う。

「中に出すよ?」

「あ、奥に・・・・胎の奥に、出せ」

「んっ・・・・・ああ、きもちいいね」

浮竹の胎の奥で弾けた熱は、ドロドロに溶けて浮竹の中に染み込んでいく。

「あ・・・」

騎乗位にされて、浮竹が戸惑った。

「大丈夫。僕の首にしがみついてて」

「わかった」

下から突き上げられて、浮竹は白い髪を宙に舞わせた。

「あ、あ、あ!ん・・・・・・ああ!」

京楽の首にしがみついて、浮竹は何度か突き上げられると、自分の腹に精を弾けさせた。

「ああ、一緒にいけなかったね・・・まぁいいや。また出すよ」

「あ、奥に・・・・・」

「うん」

京楽は、また熱を浮竹の中に放っていた。

ズルリとひきぬかれて、こぽりと白濁した液体と潤滑油が混じったものが溢れてくる。

それを濡れたタオルでふき取ってから、二人は風呂に入って、浮竹は京楽に中に出したものをかき出してもらった。


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花の神によって作り出された特別な義魂丸でできた浮竹は、生前の浮竹と何一つとして変わっていなかった。

肺の病もあるし、病弱だ。

それでも、浮竹は京楽と共に生きた。

1年という、短い限られた時間を。

京楽は気づいていた。

浮竹に残された時間が少ないことを。

それでも、ただひたすら純粋に愛した。

「君をもう失いたくない。今度君がいなくなったら、僕は生きていけない」

「京楽、俺は、もうすぐ・・・・・・」

「言わないで、浮竹」

京楽は、浮竹を抱きしめていた。

涙が溢れた。

京楽と離れたくない。

でも、残された時間は少ない。

「僕は、君に巡り合ったことに後悔はしていないんだ。たとえ禁忌でも、またこうして君に会えたから。君を愛せたから」

「俺も、京楽お前のことが好きだ。ずっと一緒にいたい」

「ずっと一緒にいようよ」

でも、残された命の期間はあと1カ月もない。

それでも。

それでも、離れられない。

きっと、京楽は浮竹が死ぬ時、同じ場所に落ちていくだろう。

花の神の愛児として散っていく浮竹と共に。

「ねぇ」

「なんだ?」

「誓って。ずっと、僕の傍にいるって」

「ああ。誓う。俺は、お前の傍にいる。たとえこの命が潰えても、お前の傍に・・・・」

浮竹は花の甘い香りがした。

花の神に愛されている証。

愛児として、義魂丸という形で授けられた命。

涅マユリにクローン体として作り出されて、花の神によって義魂丸という形で命を授かり、もうすぐ1年になる。

1年が、浮竹がクローンでありながらも、生前の記憶を持って生きていられる命の限られた時間だ。

「僕は、君を離さない」

浮竹をきつく抱きしめて、京楽は浮竹の白い髪に顔を埋めた。

「京楽。お前と出会えて、よかった・・・・・」

禁忌の果てに、命を授かって。

禁忌の果てに、愛し合って。

そして禁忌の果てのせいで、散りゆこうとしている。

なぁ、京楽。

俺が我儘なんだ。

俺が死んだら、お前は・・・・・・。

お前も、こっちに、きてくれるか?

なぁ、京楽。

ずっと一緒にいてくれるなら、こちら側に落ちてきてくれるか?


静かな水底へ。

魂の末路へ。

花の神と一緒に、散って散って、魂だけの存在となっても、傍にいてくれるか?


なぁ。

「京楽・・・・一緒に、いて、くれるか・・・・・」

たくさんのものを犠牲にしても、俺の傍に。

なぁ、京楽。

俺は、それを望むんだ。

お前が、俺と一緒に落ちてきてくることを。



「愛してる」


それだけは、偽りのない真実。

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君がいなくなる

君がいなくなる。
君のぬくもりが失われていく。
力なく投げ出された四肢は、栄養をとれないせいで細くなってしまった。
ミミハギ様を失ったことで、君は肺の病が進行して死のうとしていた。
「京楽・・・・お前と、出会えてよかった・・・・」
「浮竹、まだ死なないで。僕を置いていかないで」
京楽はぼたぼたと大粒の涙を流していた。
なくしてしまった右目の眼帯にそっと触れて、浮竹は目を閉じた。
「俺は満足なんだ。お前と出会えて・・・・お前に愛されて」
君はそれでいいかもしれないけど、僕はだめなんだ。
「浮竹、愛してるよ。ねぇ、逝かないで。僕を置いていったりしないで」
浮竹は、苦しそうに何度かせきこんだ。
赤い血が二人の着物を汚す。
そんなこと、どうでもいい。
君の体から、ぬくもりがなくなっていく。
せめてと、ぬくもりを分け与えるように抱きしめた。
弱い力で、抱きしめ返された。
ああ、こんなにも君を愛しているのに。君はいなくなってしまうんだね。
僕を置いて。
「京楽・・・・春水、愛して・・・・る・・・・・」
ねぇ。
君がいないと、僕は輝けない。
君が太陽なら、僕は月。
ねぇ、浮竹。
太陽がないと、月は輝けないんだよ?
「逝かないで・・・・・」
君は、ゆっくりと目を閉じる。翡翠の綺麗な瞳が、閉じられていく。
君の瞳からも涙が零れていた。
やがて浮竹は涙を零さなくなり、体がふっと軽くなった。
「浮竹!」
君の返事はない。
僕は、君の唇に唇を重ねていた。
ねぇ。
君は、君のいない世界でどうやって僕に生きろというの。
太陽である君を失った月は、どうやって輝けばいいの。
ねぇ。
もう、答えてもくれないんだね。
浮竹の遺体を抱き上げて、京楽は吠えた。
慟哭が、夕暮れにかき消されていった。

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京楽と浮竹と海燕と 梨

「京楽、梨だぞ。今年初の梨だ」

浮竹は、果物も大好きで、海燕が買ってきた梨を京楽に見せた。

「梨かい。夏も中盤に差し掛かってきたねぇ」

35度をこえる気温をたたき出す夏。

京楽は、浮竹の手をとって雨乾堂の縁側にきた。

「どうしたんだ?」

「井戸水を、たらいに汲んだんだよ。冷たいだろうから、足先だけでも冷やして涼もうよ」

浮竹を抱っこする形で、それぞれ裸足になってたらいの水に足を浸した。

「冷たい・・・・でも、ひっついていて暑くないか?」

「日陰だから、それほどでもないよ。それより、どうだい。暑気あたりはしてないかい?」

「ああ、今年も暑いが今のところまだ暑気あたりはしていないぞ」


「浮竹隊長、梨がむけましたよー・・・って、何してんだあんたら」

「見れば分かるでしょ。水で足を冷やして涼んでるの」

「きもいいぞ、海燕。お前もどうだ?」

「いや、遠慮しておきます。梨、ここに置いておきますから」

去ろうとする海燕に、浮竹は子供用の水鉄砲を持ち出して、海燕の背後から水をぶっかけた。

「冷たっ・・・・あんた、何遊んでるんですか。おとなしく梨でも食べててくださいよ」

「海燕も、一緒に涼もう。たらい、もう1つあるから、それに井戸水くんで・・・」

「あーもう、分かりましたよ。そうしないと、また水鉄砲撃ってくるんでしょう?」

「よくわかったな」

浮竹は、むかれた梨を一口食べた。

「甘い・・・・・」

「僕にもちょうだい」

「ほら」

あーんと、口をあけた京楽に、浮竹が梨を口にいれる。

「うん、甘くて美味しいね。まるで浮竹みたい」

「ふふ、俺は甘くはないぞ」

「甘いよ。浮竹は甘い」

耳朶を甘噛みしてくる京楽に、浮竹はくすぐったそうにしていた。

たらいに井戸水を汲み終えた海燕は、バカップルの隣で、水に足を入れた。

「あー。確かに冷たくて気持ちいいっすね」

「そうだろう。海燕もたまには休め」

「まぁ、たまにはこういうのもいいかもしれませんね」

「海燕、梨がなくなった。冷蔵庫に冷やしているのがあっただろ。むいてくれ」

「はいはい・・・・・・」

たまには休めと言っている先からこれだ。

海燕も、もうとっくに浮竹の性格を把握しているので、素直に冷蔵庫から梨をとりだしてむいて、均等に切り分けて浮竹の元に持って行った。

それを、京楽が受け取る。

「あんたにあげるわけじゃないですよ」

「僕が浮竹に食べさせるから」

ばちばちと視線がぶつかる。

仕方ないかと、海燕はむいて切った梨を入れた皿を、京楽に渡した。

「はい、浮竹あーん」

「一人で食べれる」

「いいから、いいから」

京楽の言葉に、仕方なく浮竹は口を開ける。

梨を放り込まれて、その甘さとおいしさに、浮竹は幸せそうな顔をした。

「あ、いいね、君のその顔。すごく好きだよ」

「京楽も食え」

口をあけた京楽に、今度は浮竹が食べさせた。

そんな二人を見ながら、海燕はこっそりむいて切っておいた自分の分の梨を食べる。

「げろ甘・・・・・」

隣のカップルが。

げろ甘で、困ってます。

そう最後までは口にせず、梨を食べる。

梨はまだ旬ではないので、明日はスイカを買ってこようとか、海燕は考える。

京楽はまた、遊びにくるのだろう。

スイカ丸ごとは多いので、半分に切られたくらいのものでいいか・・・。

「浮竹、好きだよ」

「俺もだ、京楽」

隣で足を水に浸して涼みながらも、愛を語り合っているバカップルを見て、海燕はため息を一つついた。

「あー。今年も暑いし、隣は違う意味で熱い。どうにかならないか・・・・ならないな」

海燕は、最後の梨を口に入れた。

ほんのりとした上品な甘さが口に広がる。

隣のバカップルは、相変わらずいちゃいちゃしている。

ちりんと、風鈴が涼しげな音を立てる。

バカップルは、水が太陽の熱でぬるくなっても、いちゃこらしていて、海燕はいい加減にしろと、どこから取り出したのかもわからぬハリセンで、二人の頭をはたくのだった。





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翡翠を愛する者番外編

浮竹を手に入れた京楽は、機嫌がよかった。

浮竹は浮竹で、京楽とそういった大人の関係になったことを、今更ながら恥ずかしく思っていた。

「浮竹様は、王に愛されておいでですね」

女官に髪の手入れをしてもらいながら、浮竹は顔を真っ赤にさせていた。

先代王との時は、ただの体の関係だけだった。

ただ、京楽とは心が通じあっている。

京楽のことが本気で好きだと思ったのは、体の関係に至ってからだった。

京楽はいつも甘くて、そしてエッチなことをするときは受け身の負担も考えてくれて、ちゃんと蕾を解してくれる。

先代王の時は無理やりつっこまれて、その場所が切れて血が滲むのなんて日常茶飯事だった。

気持ちいいと感じるようになったのは、男を受け入れるために、自分で蕾を潤滑油で濡らしてから、寝所に通うようになってからだ。

京楽は先代王と全然似ていなかった。

先代王は小柄だったが、京楽は大きい。

本当に血の繋がりがあるのかと、大きくなった頃に疑われたが、先代王の正妃の出産も初夜も、貴族たちが見守っていたので、偽りの子とは言われなかった。

「俺は、あいつの奴隷だから」

女官に、化粧水を肌に塗られながら、浮竹はそう答える。

「あ、王!」

女官が傅く。

「京楽?」

「やぁ。そんなに畏まらなくていいよ。ただ遊びにきただけだから」

京楽は、浮竹にあげた精霊猫のヒスイを抱き上げながら、浮竹が座っているソファーの隣に座った。

女官たちが気を利かして、二人きりにさせてくれた。

「キスしていいかい?」

「いいぞ」

了承をとって、京楽は浮竹に触れるだけのキスをした。

「ん・・・これだけ、か?」

「もっといっぱいしたいけど、ここじゃねぇ。そういえば、この前僕の誕生日だったんだ」

「知らなかった。何か欲しいものあったのか?あったら、あげたのに」

「欲しいものは「浮竹」だったよ。この前もらったでしょ。だから、僕の誕生日プレゼントはもう受け取ってるんだ」

浮竹は顔を真っ赤にして、京楽に抱き着いて、京楽の肩で顔を隠した。

「恥ずかしいやつ・・・・」

「ふふ、照れてるの?かわいいね」

「あ・・・・・・」

長い白い髪を、手ですかれる。

「君を抱きたい。寝所に行こう」

抱き上げられて、浮竹は真っ赤な顔を隠そうともせずに京楽にしがみついた。

「にゃあん」

「ヒスイ、おとなしくしてるんだぞ」

浮竹の膝に座っていたヒスイは、またにゃあんとないて、浮竹の部屋のベッドで丸くなった。

浮竹の部屋で行為に及ぶには、潤滑油などがないので、無理がある。

京楽は、後宮から宮殿までの少しの距離であるが、浮竹を抱き上げたまま進んでいく。

すれ違う家臣や兵士たちは、皆傅いて王者への忠誠を現す。

寝所につくと、すでに風呂には入っていたが、風呂に入ろうと誘われた。

拒否することもできたが、京楽を洗ってやりたくて、浮竹は京楽と風呂に入った。

薔薇が浮かべられた薔薇風呂だった。

シャンプーで京楽の長い髪を洗ってやると、京楽がお返しにと浮竹の長い白髪を洗ってくれた。

「風呂はいいねぇ。体にもいいし、汗が流せてすっきりする」

「風呂は好きだ、俺も」

「ねぇ、これ飲んでみて?」

ふと、風呂の中で渡された透明な瓶を、浮竹は受け取る。

「なんだ、これは?」

「ただの栄養ドリンクだよ」

浮竹は、中身を口にした。

「甘い・・・・・」

すると、ぼふんと音をたてて、浮竹に猫耳と猫の尻尾がはえた。

「え、なんだこれ、どうなっているんだ!?」

「いやねぇ、錬金術で最近作られるようになった、獣人の姿になれるポーション」

「獣人って・・・・こういうのが好きなのか、お前は」

「いやまぁ嫌いじゃないけど。問題は、浮竹に猫耳と尻尾が生えるのに意味があるんだよ」

ぎゅっと尻尾を摑まれると、ぞくりと体に衝撃が走った。

「にゃあん・・・・・や、なにこれ・・・ふあ・・・」

「猫耳と尻尾、性感帯になるそうだよ」

「京楽のバカ!」

「まぁまぁ。たまには違ったかんじもいいでしょ?」

猫耳をつままれて、浮竹は京楽に抱き着いた。

「・・・・っあ」

風呂からあがり、雑多に水分を拭き取られて、天蓋つきのベッドに押し倒される。

ゆらゆらと、猫の尻尾が揺れていた。

「んんっ」

尻尾を摑まれながら、口づけされる。

「ふあ・・・・・・」

口内に京楽の舌が入ってくる。縮こまった舌を吸い上げて、甘く噛まれる。尻尾をさわられていると、本当に性感帯みたいで、感じてしまった。

「あ、あ・・・にゃあっ」

「あ、副作用でたまに語尾ににゃあってつくからv」

「ばか京楽!うあ!」

尻尾をくるくると巻かれて、体がのけ反る。

「ううん」

胸の先端を口に含まれる。

「あ、は・・・・や・・・・・」

猫耳をいじられて、目の奥がちかちかした。

ぷっくりとたちあがった先端を甘噛みされる。

「んっ」

胸でも感じるように体ができているので、浮竹は熱い吐息を吐いた。

「あ、もぅ・・・・・京楽」

「だめだよ、ちゃんとしないと」

京楽は、浮竹の猫耳と尻尾を何度もいじった後で、潤滑油を取り出して蕾に塗っていく。

指を増やされて、ぐちゅぐちゅと音をたてていじられて、前立腺をいじられてドライでいってしまった。

精液を吐き出せない体は、女のようにオーガズムでいくことを覚えてしまっていた。

「ああっ!」

「いったの?かわいいね」

「ひあ・・・・あ、んあ」

くるくると縁を描くように蕾を撫で上げられる。

指がまた入ってきて、浮竹は眩暈を覚えた。同時に尻尾をいじられたせいだ。

「あ・・んん・・・・・・」

こりこりと、前立腺をこすりあげられる。

「んあ・・・もう、も・・・や、早くこい、春水。俺の奥に来い」

京楽は浮竹の右足を担ぎあげて、正常位で浮竹を抱いた。

ズチュリと音を立てて、中に入ってくる。

ぞくぞくと、浮竹は尻尾を揺らしていた。

「んん・・・・は、ああ・・・・・」

中をすりあげられるのが、たまらなく心地よい。

「もっと・・・・・にゃああ」

ゆらゆらと揺れる尻尾を見て、京楽が微笑んだ。

「気持ちいいんだね?僕もきもちいいよ」

浮竹の中は、熱くてきゅうきゅうと締め付けてくる。

いきそうなのを我慢して、浮竹を追い上げた。

「あ、もう、もうだめ・・・・春水、早く!」

「うん、君の奥に出しちゃうよ?いいかい?」

「ンア・・・・奥に出せ、いっぱい、お前の子種を」

「一緒にきもちよくなろうね?」

「んああああ!にゃあああ!」

最奥を突き上げられるのと、同時に猫耳をつまみあげられた。

あまりの快感に、浮竹は頭が真っ白になった。

だが、京楽は一度果てたが、まだ硬かった。

「あ・・・・・」

「もう1ラウンド、付き合ってね?」

「あ、あ、春水・・・あっ」

浮竹は、もう啼くことしかできなかった。

「あ、いい・・いあ、ううん・・・・・」

ずちゅりずちゅり。

結合部は泡立ち、潤滑油と体液が混じったものが溢れてくる。

「ンク・・・・あぁ・・・んあああ!」

「十四郎、愛してるよ」

「にゃあっ」

浮竹を好きなだけ攻め立てて、京楽は熱を浮竹の最奥に放った。


「京楽のばか!」

浮竹は、猫耳と尻尾が消えると、後始末をちゃんとされたが怒っていた。

本気で怒っているわけではないが、薬を使われたことがお気に召さないようだった。

「ごめん、今度からこういうのする時はちゃんと許可とるから」

「誰が許可なんて出すか」

「愛してるよ・・・」

耳元で囁かれ、耳朶を甘噛みされて、浮竹は真っ赤になる。

「ね、また今度・・・・」

「ん・・・考えとく・・・・・」

よっしゃ。

京楽は、心の中で叫んだ。

王は、翡翠を愛する。

翡翠は王に愛され、輝きを増すのだ。

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翡翠を愛する者

先代王は、戦ばかりしていて民は疲弊していた。

後宮には正妃がいて、他に寵姫も何人もいたが、一番最初に子を授かったのは正妃で、正妃は他の寵姫が妊娠すると、刺客を放っては毒殺したり暗殺したりしていた。

なので、寵姫たちは王との夜伽に恐怖を抱き、後宮から抜け出る寵姫の数も多かった。

帰る場所もなく、逃げることができない寵姫たちは、子を身ごもると自ら流産した。

「春水。あなたは王となるのよ。この国でただ一人の王子であり、王太子であるあなたは、私の一番の宝物よ」

母に溺愛されたが、父には愛されなかった。

父が愛したのは、隣国との戦争で捕虜として捕らえられて、奴隷の身分に落とされた浮竹十四郎という美しい少女のような少年だった。

正妃は、男であるから子は成せぬので、浮竹のことを放置していた。

浮竹には決して子はできぬ。ならば放置すればいい。

下手に暗殺したりして、王の不興を買う必要はない。王が奴隷の浮竹に夢中になって、他に寵姫を増やさないようになったので、正妃はむしろ安堵した。

京楽は、幼い頃から正妃の後ろ盾のもと、帝王学を学んでいた。いずれ、王となるために。

ただ、京楽には欲しいものがあった。

それは、浮竹。

父が愛する、王子でありながら奴隷の身分である少年に初めて出会った時に、一目見て恋に落ちた。

「遊ぼうよ」

そう声をかけると、浮竹は少女の恰好をさせられており、悲しそうな顔をした。

「俺は所詮奴隷だ。お前とは釣り合わない。貴族の子供でも、友人にしたらどうだ」

京楽の周りには貴族の子もいたが、遊び相手にしようも、友人になって将来いい地位につこうとしているのが丸見えで、京楽には友人がいなかった。

友人と呼べるとしたら、後宮の寵姫たち。

京楽が対等の立場でいてくれるので、後宮の寵姫たちは京楽に心を開いていた。

母である正妃としては、少々不満もあるが、寵姫たちに恋をしているわけでもないので、京楽の自由にさせてくれた。

浮竹は、他のどの寵姫よりも美しかった。

幼い幼年時代に、男としてのものを切り落とされてしまって、中性的な容姿で美少女のような姿を保ち続けていて、正妃も一度女と間違えて暗殺しようと思ったほど、王の寵愛が濃かった。

「ねぇ、僕のお嫁さんになって」

「ばかか、お前は。俺は奴隷だぞ?しかもお前の父の、特別な、女でもないのに寵姫だ。男が寵姫だなんて、ほんとに笑える。でも、もう俺には子を残すこともできない」

「だったら、僕の寵姫になってよ」

「王が死んだなら、好きにすればいい」

王太子であった京楽は、幼い頃から後宮で育った。やがて王がなくなり、王となった京楽は戦争を終結させ、税を減らし、福祉制度や医療体制を発展させて、民に支えられていた。

先代王の正妃であり、国母となった京楽の母は、先代王が死んで数か月後に、流行り病で死亡した。

京楽は、一人だった。

そして、先代王の寵姫たちに金を与えて館を贈り、後宮を出させると、浮竹を寵姫として後宮に置いた。

周囲の者は不安がった。その不安は、王である京楽が、先代王が気まぐれに寵愛していた隣国の王子であるが、奴隷の身分である浮竹という少年を愛していることにあった。

後宮に囲い、他の寵姫をもたない京楽。

隣国はすでに滅んでおり、京楽の国の領土になっている。

奴隷の身分を解放することは容易いが、そうすると浮竹はふらりと消えてしまいそうで、京楽は浮竹を奴隷のままにしていた。

だが、その扱いは後宮の姫君のようだ。

幾度も家臣から妃を娶るようにと言われても、京楽は頷かない。

後宮には、有力貴族たちの娘がいれられたが、京楽の命令で全員後宮から追い出された。

「浮竹、愛しているよ」

「京楽も、変わっているな」

京楽の寵愛を受けながらも、浮竹は心ここにあらずといった雰囲気だった。まだ、夜伽を命じたことはなかった。

たくさんの豪華な贈り物をした。

でも、浮竹はもらうだけであまり身に着けない。

数人の女官をつけたが、浮竹は自分のことはほとんど自分一人でしていた。

ある日、珍しい精霊猫が手に入ったので、浮竹にプレゼントすると、浮竹は大層喜んでくれた。

「かわいいなぁ」

緑色の瞳に、白い毛並みの猫で、浮竹と同じ色をしていた。

「ヒスイという名前にする」

精霊猫は、その名の通り、精霊の一種だ。普通の猫よりも長生きをして、飼い主に幸福をもたらすとされていた。

「浮竹、今日の夜、僕の寝室にきて」

ああ。やっぱり、この時がきたか。

散々、先代王に愛されたこの体は、男が喜ぶことを教えられており、京楽に命じられて湯浴みをして着飾った浮竹は、先代王にされたように、京楽の寝室にくるとまず京楽のものを舐めようとした。

「ちょっと、浮竹!いきなりすぎるよ!少し、話をしようよ」

「しないのか?」

「したいけど・・・」

京楽は押し倒されていた。

「ならさっさと・・・・」

「浮竹!僕は、浮竹を大事にしたいんだ。先代王と僕は違う。夜伽といっても、無理に抱かない」

「でも、抱きたいんだろう?」

浮竹が小首を傾げる。

まだあどけなさが残っていて、美少女にしか見えなかった。

「今日は、一緒に眠るだけにしよう。後、キスだけさせて」

京楽は紳士的だった。

寵姫にされたというのに、無理やり抱かない。

「んんっ・・・・」

口づけられて、浮竹は唇を開いた。

ぬるりと、京楽の舌が入ってくる。

「ふあっ・・・・」

久しぶりの感覚に、浮竹は京楽にしなだれかかっていた。

「俺がほしいなら、奪ってもいいんだぞ」

「今日はまだ、最後までしない。また今度ね」

「ふ・・・・・」

ぴちゃりと音をたてて、浮竹の舌をとらえて絡めあいながら、京楽は細い浮竹の体を抱きしめた。

「ちゃんと食べてる?本当に男の子?」

「胸、ないだろう。それに幼少期に男のものを切断されて、二次性徴がない。お前の父は、それが珍しいのか、中性的なところがいいと、よく俺を・・・・」

「やめて、聞きたくない。先代王とのことは、禁句だよ。僕の前では言わないで」

「分かった。すまなかった」

浮竹は、素直に謝罪した。

「ほら、冷えるからこっちにおいで」

大きな天蓋つきのベッドに招き入れられた。京楽は本当に抱くつもりはないようで、浮竹を抱きしめて、一緒に眠りについた。

朝起きると、浮竹の姿がなかった。

京楽は慌てたが、隣の部屋で精霊猫のヒスイと戯れている姿を発見して、安堵する。

それから、毎日一緒に食事するようになり、湯浴みも一緒にするようになった。

幼少期に男のものを切断されたというのは本当で、浮竹の体は細くしやなかだが、男性としては機能していなかった。

「なぁ、お前は俺のどこがいいんだ?」

執務をしている京楽の傍で、書類をのぞき込みながら、浮竹が問う。

「君に一目ぼれしたんだよ、君が城に連れてこられたその日に。父のものになったと聞いた時、腸が煮えくり返りそうだった」

「なら、奪えばよかったのに」

「母のようにはなりたくない。暗殺するしか、君を奪う方法はなかっただろうし・・・」

「そういえばお前、妃は娶らないのか?」

「いらない。君がいてくれれば、それでいい」

「言っとくが、俺は子供は産めないぞ。見えないかもしれないが、男なんだから」

最近の浮竹は、浮竹の願い通り姫君の恰好ではなく、中性的な恰好をしていた。

「ねぇ、今日の夜、君を抱いてもいいかい?」

「好きにすればいい。俺はお前の寵姫だ。お前のものだ」

「僕のもの・・・・いい響きだね」

京楽は、浮竹に翡翠の首飾りを贈った。精霊猫のヒスイ用に。

その夜、浮竹は夜伽のために肌を磨かれて、薄い化粧を施されて、薄い絹の衣服を着せられて京楽の元にやってきた。

「本当に、綺麗だね」

「化粧とか、めんどくさいんだがな」

「落としていいよ」

「じゃあ、ちょっと・・・・」

水桶で顔を洗い、化粧を落としたが、それでも浮竹は美しかった。長い白髪が、ふわりと開け放たれた窓から入ってきた夜風に流れる。

「君を抱くよ。いいかい?」

「元々そのために後宮に囲っているんだろう。好きにしろ」

「僕は君が好きだ。君は、僕のこと好きかい?」

「嫌いじゃない」

絹の衣服を脱がせていく。

肌はしっとりとしていて、触り心地もよく、何より白かった。日焼けを知らないようで、雪のようだった。

首筋にキスマークを残すと、浮竹は京楽に抱き着いた。

「浮竹、好きだよ」

「俺も・・・好きかもしれない」

唇が重なった。ふわりとした感触を楽しんでから、咥内を京楽の舌が侵入していく。

「んんっ・・・・・」

浮竹は、京楽のキスに弱いようで、上あごや下あご、歯茎を舐められると、クタリと力なく京楽に支えられた。

「久しぶりだから、やばいかも」

浮竹は、赤くなっていた。

そんな様子が愛らしくて、ちゅっとリップ音をたてて額に口づけた。

お互い全裸になって、京楽の舌が浮竹の肌を這う。

「んっ」

鎖骨を甘噛みされた。

胸の先端を舌で転がされて、浮竹はびくんと体をはねさせる。

「あっ、あっ」

声を抑えることもできないでいる。

体全体を愛撫して、切り落とされてしまった部分を口に含むと、浮竹は首を振った。

「でないから・・・・そんなことしても、なんの意味も・・・・」

今度は、浮竹が京楽のものを口に含んだ。

随分慣れているようで、先代の父王に嫉妬心を覚えた。

「もういいから・・・後ろ、向いて。解すから」

「んっ」

潤滑油を手に取り、濡れないそこを濡らしていく。

「指、入れるよ?」

「あ、いちいち言わなくていい・・・・」

ぬめっと、指が一本入ってきた。

久しぶりの感触に、浮竹は息を吸って吐いて、無理に体に力を入らないようにした。

二本、三本と指が足されいく。

「ああ!」

ある部分を触ると、浮竹がびくんと反応した。

「ここ?ここがいいんだね?」

「や・・・・・・やめ・・・・ああ、んあ・・・・・」

そこを集中的にいじると、浮竹は涙を零した。

「あ、いきたい・・・いく」

「後ろで、いけるんだ」

「あ、意地悪・・・・・・」

涙をなめとって、京楽は浮竹を抱きしめた。

「愛してるよ、十四郎」

「あ、春水、春水・・・・」

浮竹は、体を拓く。

京楽は指で蕾を解して、潤滑油でとろとろになるまで指でいじっていた。その間にも、浮竹はドライでまたいってしまっていた。

「あ・・・・早く、来い。俺の胎の奥に出せ」

京楽は自分のものに潤滑油を塗りまくって、浮竹と手を重ね合わせて、中に侵入する。

「んっ・・・・・・あ、あ、あ・・・・」

ずずっと、音を立てて、京楽のものを飲み込んでいく。

そこは、男を受け入れることに慣れているのか、中がひくついて京楽を締め上げた。

「んあっ・・・・・もっと奥に」

「一度、中に出すよ?」

「あ。お前のものになるから、お前のものでいっぱいにしてくれ」

浮竹は、京楽に口づける。

ずちゅんと奥を衝かれて、京楽は浮竹の中に熱を放ち、浮竹もドライでいっていた。

「あ、あ、おかしくなる・・・・・ああっ」

「もっといっぱい、感じて?」

京楽は、浮竹の中から一度出ると、浮竹を後ろ向きにさせて後ろから突き上げた。

「ああ、んあ、あ、あ・・・・・・」

浮竹の少女のように高い声が、寝室に響く。

二次性徴をしていないので、浮竹は声が高かった。声変わりをしていないのだ。

「あ、あ、あ・・・・・・」

ぐちゅぐちゅと内部を犯してやる。

浮竹は京楽の背中に爪を立てて、その肩に噛みついた。

「あ、もっと・・・ひあああああ!」

前立腺をすりあげられて、浮竹が啼くと、京楽は満足そうに息を吐いた。

「もう、完全に僕のものだね」

「んあっ・・・・春水、しゅんすい・・・・・」

「僕はここにいるよ、十四郎。君の中にいる」

「あ・・・・・一緒に、いってくれ」

「うん」

騎乗位になり、下から浮竹を突き上げると、ぽろぽろと快感による涙を零しながら、浮竹は京楽の上で白い長い髪を乱した。

「いくよ・・・・・奥に、いっぱい注いであげる。種付けしてあげるから、胎で身籠って」

「あ・・・・・いく、いくから・・・・・あああっ!!」

京楽が浮竹の最奥に精液をぶちまけるのと、浮竹がドライでいくのとほぼ同時だった。

「ん・・・・・・」

ぬくと、潤滑油と体液が混ざったものが、こぽりと溢れてきた。

それを濡れた絹の布でふき取って、京楽は浮竹を抱き上げた。

「京楽?」

「中に出したもの、かき出さないと。風呂場に行こう」

「先代王は、抱いたら俺を追い出したぞ」

「僕はそんなこと、絶対にしない。ちゃんと後処理もするから」

王の寝室には、少し狭いが、湯船があり、湯はきちんと張られていた。

そこに浮竹を下して、中にだしたものをかき出す。

「んあ・・・・ああっ」

「だめだよ、声だしちゃ。また君を貪りたくなる」

「俺の所有者はお前なんだろう?好きにすればいい」

「君を大切にしたいんだ」

「うん。大切にされてるって、もう分かってる」

体を洗ってやり、髪もまた洗ってから、二人で湯船に浸かった。

「俺には、夢があるんだ」

「どんな?」

「自由になって、世界を知りたい」

「君は僕だけのものだ。自由にはある程度させてあげるけど、世界を見るとしたら、僕と一緒にならいいよ。いつか君に、この世界を見せてあげる」

「本当に?」

「うん。約束するよ。そうだな、とりあえず来週あたり遠出でもしようか」

「俺が逃げるって思わないのか?」

「逃げれないように、奴隷だって印の金の鎖を首に巻き付けているでしょ。一般奴隷は銅の鎖だけど、君には金の鎖だ。ああ、白金のほうがいいかもね。今度、新しい鎖を作ってあげる。君に似合いそうな細工の綺麗なものを」

奴隷なのは仕方ない。そうでもないと、他の有力者が理由をつけて仲を引き裂こうとするだろう。奴隷なら、王に仕えるのは当たり前になる。

「好きにしろ。どのみち、お前から逃げても俺に行く場所はない」

浮竹の故郷は滅んだ。今は京楽の国の一部になっている。

京楽は、その後も妃を娶ることはせず、浮竹を寵愛した。王位は先代王の弟の息子を王太子としてたてた。

京楽は、よく浮竹を連れて世界を回った。

浮竹は、幸せそうだった。

京楽も、浮竹の幸せそうな顔を見て嬉し気だった。

二人の間には、子供こそできなかったが、法を捻じ曲げて合法的に婚姻し、王太子となった幼子をかわいがった。

浮竹は、婚姻と同時に奴隷の身分を解放されて、同時に爵位を賜った。辺境伯であったが、直轄する地域にとどまらずに、王城で暮らしていた。

京楽は浮竹を愛し、同時に浮竹もまた京楽を愛した。

浮竹の瞳の色の翡翠が、その国の象徴になった。

翡翠を愛する者。

それは王である。

王は、それから代々翡翠を国の宝石とした。





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オメガバース京浮番外編

「んっ、あっ、やっ・・・・・」

「十四郎、愛してるよ・・・・」

「あ、春水、俺も・・・・・・」

「父様たち、何をしてるの?」

ガタンガタンと音をたてて、浮竹と京楽は服を着て、我が子である史郎を追い出した。

「見られた・・・・」

「前も見られただろうが。昼間っからは、やはりやめておくべきだな。史郎、外で遊んでいなさい」

「はーい、父様!」

浮竹の言葉に、京楽はそれでもまだ終われないのだと、浮竹を押し倒した。

「おい、京楽・・・・・」

「僕、まだいってないんだもん。浮竹だけきもちよくなって、いってずるいよ」

「あ、ばか・・・んあ、いきなりいれるな・・・・はあっ」

休日ということもあり、ヒートとは関係なしに体を重ねていた二人は、行為を再開した。

「んんっ・・・・・」

ヒートは、3カ月に1回。約1週間続く。

その時は嫌になるほど睦み合うが、3カ月に一度はさすがに待てない。

浮竹は、史郎の子の後にまた妊娠して、女の子を産んだ。産んだといっても帝王切開だが。

名前は「夏水(カスイ)」

最初の子供が浮竹の名前の一部だったので、二番目の子は京楽の名前からとった。

夏水は、おとなしく寝ている。

まだ3歳だ。

史郎は6歳になった。

やんちゃな子供で、好奇心が強かった。

京楽に似たのか、寝るのが好きだった。たまに隠れて、浮竹用の果実酒を飲んでいるのを見つけられては、怒られていた。

史郎も夏水も、黒髪だ。

白髪である浮竹は、子供に自分の髪の色が移らなくてよかったと思っていた。

ただ、瞳の色は浮竹そっくりで、翡翠色をしていた。


「んんっ・・・・はっ・・・もっと動け」

「子供に見られているかもしれないって考えたら、ぞくぞくするね」

「この、変態・・・・・・」

「なんとでも。十四郎、また僕の子を産んでくれる?」

「二人で十分だ・・・・終わったら、アフターピルを飲むからな」

「意地悪」

「子供が多いと、いろいろと大変だろう。二人で十分だ・・・・ああっ」

いいとこをすりあげられて、浮竹がびくんと痙攣する。

「ああ!」

耳を甘噛みされて、ぞくりと肌が粟立った。

「んあ・・・・あ、あ!」

じゅぷじゅぷと音をたてて、京楽のものが出入りする。

「ひあ・・・あああ・・・・」

前立腺を突き上げられて、浮竹はのけ反った。

熱いものが最奥にたたきつけられて、浮竹はぐったりと体を弛緩させる。

「はぁっ・・・・」

まだ、京楽のものは硬い。

「あっ・・・・」

最奥の子宮口にずるりと入ってきた京楽に、浮竹は涙を零した。

「んん・・・ふあ」

京楽と口づける。口内を京楽の舌が暴れる。

「あ、あ、あ、あ・・・・」

子宮口を犯されて、浮竹は京楽の背中に爪をたてた。

内部は熱く、収縮を繰り返して京楽のものを締め付ける。

「すごいね、君の中・・・僕も、限界だ」

「やっ、はぁ・・・・あ、あ」

前立腺をすりあげて、子宮の中にまで入られた。

同時に浮竹の前を右手でしごいで、中でも外でもいかせた。

「んああああ!おかしくなる!あ、あ!」

浮竹は涙を流しながら首を振った。

長い白髪がさらりと零れ落ちる。

京楽は、浮竹の子宮に子種を好きなだけ注いで、浮竹をもう何もでてこないくらいいかせて、満足した。


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「風呂に入るかい?」

「ああ。でもその前に、夏水にご飯をあげないと。史郎もお昼がまだだろうし」

「じゃあ、僕がやっとくから、先にお風呂に入ってて」

「分かった」

浮竹は、死覇装を纏うと、風呂場に消えていった。

30分ほどしてでてくると、京楽が史郎と夏水にご飯をあげていた。京楽家の料理人に作らせた食事である。

浮竹がいる場所は、京楽のもつ館の一つだった。

使用人が何人かいるが、子育てはなるべく二人でしていた。

睦みあうために人払いをしておいて、史郎の面倒を見てもらうように頼んでいたのだが、抜け出してきたようだ。

「浮竹父様も食べる?おはぎ、好きでしょ」

史郎は、浮竹のことも京楽のことも父様と呼んだ。区別がつくように、京楽に話かけるときは京楽父様と、浮竹に話しかける時には浮竹父様と呼んだ。

「おはぎ、1個だけもらう」

「うん、浮竹父様。料理人が、浮竹父様のために作ったって」

「それを食べたのか、史郎」

「うん。だめだった?」

「あまり、誰かのものを勝手に食べないように」

「はーい」

あまり厳しく怒ることはできない。

まだ幼いのだ。

厳しく躾けるつもりはなかった。

ただ、史郎は兄を亡くした春水の代わりに、京楽家の跡取りとなることが決まっている。

京楽の両親は、史郎を引き取ろうとしたが、まだ早いとのことで、史郎が成人するまでは浮竹と京楽が育てるつもりだった。

夏水も、年頃になれば、京楽家の姫君として、嫁いでいくことが決まっている。

それが、京楽家の両親が、浮竹と京楽が番で居続けることの代わりに出した条件だった。

縁を切ってもよかったのだが、金はいるだろうから、条件を飲んだ。

二人の子供は、どちらもαだった。

Ωだった浮竹は、それに安堵した。

上流貴族でΩだなんて、恥ずかしいと京楽の両親が言っていたせいもある。

とりあえず、京楽の両親は根が悪い人ではないが、Ωに対しての差別意識があった。

今思えば、よく浮竹と京楽が番になることを認めとてくれたものだと思う。

「浮竹、今度するときは、普通に夜にしよう」

「当たり前だ」

浮竹は、顔を赤くさせながら、またヒートがくるのだろうなと、死神業務に休暇を取らなくてはと思うのだった。

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狂気に似た愛

浮竹十四郎が死んだ。

僕を残して。

ユーハバッハとの大戦で、ミミハギ様を手放し、神掛をして死んでしまった。

京楽の心に、ぽっかりと穴が開いた。

それは、狂気に似た愛が奏でる悲しいメロディー。

世界が色を失っていく。

何も食べたくない。眠りたくない。何もしたくない。

ただ、君に会いたい--------------。



京楽は、涅マユリのところに来ていた。

前々から、浮竹の死が近いと悟っていた京楽は、準備をさせていた。

それはしょせんただの霊骸。

けれど、その形はとても愛しい浮竹のものと同じだった。

彼が漂っている、母の羊水に似た液体を全部抜くと、浮竹の形をした霊骸は瞬きをした。

「俺は・・・誰だ。お前は誰だ」

「僕は京楽春水。君は浮竹十四郎。これを飲んで」

特別に作らせた、義魂丸。

浮竹の生前の記憶の一部を、残したもの。

それを、浮竹の霊骸は黙って飲み込んだ。

「京楽・・・・俺は、死んだのか」

「うん。でも、こうしてまた会えた」

「京楽、これがどういうことなのか分かっているのか。俺は死んだんだぞ。こんな風に蘇るなんて、望んではいない」

「僕は、君が本物とか偽物とかもうどうでもいいんだ。ただ君を愛している」

「とんだ道化だネ」

涅マユリの言葉を無視して、浮竹に死覇装を着せて、京楽は瞬歩で浮竹を連れ去ってしまった。

浮竹が連れられてきたのは、京楽家が管理する館の一つだった。

「ここが今日から君の家だよ。使用人は好きに使ってもらって構わない。でも、僕がいない時は外に出ないこと。いいね?」

「京楽!俺を閉じ込める気か!」

「そうだよ。君は小鳥だよ。翼を切られた小鳥。その体には霊圧はほとんどない。戦闘は不可能だ。ただ、僕の傍にいて僕の傍で愛を囀ってくれたらいい」

「京楽・・・・・・」

浮竹は泣いていた。

「泣かないで」

「こんな風になるなんて、思わなかった。京楽はもっと強いと・・・・俺が先に死んでも、しっかり俺の分まで生きてくれると、思っていた」

「生きてるよ。今の僕は、君がいるから生きてる。本当の君を失った時、僕の世界が壊れたんだ。世界は色をなくして、眠れないし食べれないし何もしたくなくなった。ただ君に会いたかった」

京楽も、涙を流していた。

「君が、好きなんだ。たとえクローンでも・・・君がいてくれるだけで、僕は・・・・」

「京楽・・・・」

浮竹は、京楽を抱きしめていた。

仮初に与えられた命でも、その浮竹は京楽の知る「浮竹」であった。

「毎日会いにくるから。夜まで、おとなしくしててね」

京楽は、後のことを使用人に任せて、一番隊の隊者に戻っていった。



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「聞いてますか、隊長!」

「ああどうしたの、七緒ちゃん」

「それが、なんでも幽霊が出るそうで。浮竹隊長に似た幽霊が、時折人通りの少ない夜道に現れるそうで・・・・でも、すぐ消えちゃうんだそうです」

「へぇ・・・そうなの」

「京楽隊長、ちゃんと墓参りに行ってますか?」

「もちろんいってるよ」

クローン浮竹を囲っているだなんて、誰にも気づかれてはいけない。

「七緒ちゃん、その幽霊を見たっていうのはどの子?いつ頃?」

「ええと確か、10番隊の7席で名前は・・・・」

京楽は、七緒とその10番隊の7席の記憶を、記憶置換で浮竹の幽霊のことにだけ関して忘れさせた。

「ごめんね、七緒ちゃん。でも、知られるとだめだから」

館に帰ると、浮竹が出迎てくれた。

「浮竹、深夜に外に出てるでしょ」

ぎくりと、浮竹の体が強張る。

「外に出てはいけないと、言っているのに。君の存在は、公にできないんだ。この館で、静かに暮らそうよ。僕がいれば、何もいらないでしょう?ほしいものなら、なんだって取り寄せてあげるから」

「・・・・自由がほしい」

「それだけは、叶えてあげられない。おいで、十四郎」

浮竹を手招きして傍に呼ぶ。

「愛してるよ、十四郎」

「春水、俺は偽りだ。それでも、愛を囁くのか?」

「君は偽りなんかじゃない。浮竹十四郎だ。僕の恋人の。確かに、13番隊隊長ではなくなったけれど、君は浮竹十四郎だ・・・・・」

まるで、自分に言い聞かせるように京楽はその言葉を繰り返した。


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「おいで、十四郎」

「あっ」

京楽は、浮竹を愛した。

「ほら・・・もうこんなになってる」

「や、いうな・・・・」

浮竹は、京楽に死覇装を脱がされて、着ているもの全てを奪われていた。

京楽も隊長羽織と女ものの打掛と、死覇装を脱いだ。

「んっ」

キスを何度もされた。

おずおずと唇を開けば、京楽の舌がぬめりと、浮竹の縮こまった舌を吸い上げて、歯茎や上あご、下あごを舐めて、唾液を溢れさせる。

「ふあ・・・・・」

飲み込みきれなかた唾液が、顎から布団のシーツに滴った。

鎖骨を甘噛みして、キスマークを残す。

自分のものだと主張するように、首筋にも胸にもキスマークをいっぱい残した。

「ん・・・・・・」

胸の先端をいじられると、それだけで浮竹の花茎はとろとろと先走りの蜜を零していた。

「もうこんなに硬くなってる」

「それは、お前もだろっ」

「うん。僕も限界かな。僕の、舐めてくれって言ったら、舐めてくれる?」

「分かった」

浮竹は、京楽のものに唇を這わせる。

「ん・・・そう、うまいね」

夜の知識も、浮竹は持っている。

京楽の大きなものを、全体は無理なので先端だけ口に含み、あとは手でしごいた。

じゅるじゅると音をたてて、舐めあげたり吸ったりしていると、京楽が限界を迎えて、浮竹の口の中に欲望を吐き出した。

「んっ」

「飲み込んで」

ごくりと飲み込んだ。

京楽は満足して、浮竹の額にキスをした。

潤滑油を手にとって、浮竹の蕾に塗りたくる。濡れないそこを、指を一本一本増やしていきながら、ゆっくりと解していく。

「あっ」

中のしこりを触られて、浮竹がびくりと体を動かした。

「ここ、君のいい場所。何度でも、気持ちよくさせてあげる」

前立腺ばかり刺激を受けて、浮竹は涙を浮かべていた。

「やあ・・・・でるっ」

指だけで、浮竹は後ろだけでいってしまった。

「いれるよ」

自分の分身にも潤滑油をぬりたくり、ゆっくりと浮竹の蕾に埋めていく。

「ひああ・・・ああ・・・・あ」

浮竹は、掠れた喘ぎ声を出していた。

数分動かずに、京楽の大きさに浮竹の体が馴染んだ頃を見計らって、律動を開始する。

「んあっ、あ、あ!」

浮竹は、シーツを握りしめていた。

「気持ちいいかい、十四郎」

「あ、あ、きもちいい・・・・・もっとお」

「かわいいね、君は」

「やあっ」

最奥を突き上げると、浮竹は頭を真っ白にさせて、快楽の波にさらわれていく。

「もっと、求めて?」

「あ、春水・・・・も、ああ、うあ・・・・」

じゅぷじゅぷと結合部は水音をたてて、泡立っていた。

正面から抱き合っていたのを、くるりと反転させて、背後から京楽が浮竹を突き上げる。

「んあ・・・・・ああ・・・・・・」

浮竹は、啼くことしかできなくなっていた。

「や、もういく・・・・・」

「僕もいくよ。一緒にいこう」

「やあっ」

最奥を突き上げて、浮竹のものに手を這わせてしごきあげて、30秒ほどのずれがあったが、同時に精液を浮竹は自分の腹に、京楽は浮竹の腹の奥にぶちまけていた。

「あ・・・・・・」

抜かれると、ずるりという音とともに、京楽の吐き出した白い液体が太ももを伝って落ちていく。

「お風呂に入ろうか。中のかき出さなきゃいけないし」

肌を重ね合わせる前も風呂に入ったが、事後処理のためにもまた風呂に入る。

「ん・・・腰が痛い。風呂まで連れて行ってくれ」

「お安い御用だよ」

浮竹を抱き上げて、京楽は広い檜の風呂場にくると、浮竹を抱き下ろして、中に放ったものをかきだすと、湯を体にかけてやった。

「あったかい・・・・・・」

湯船に浸かって、浮竹はふわりと笑った。

その表情が、生きていた頃の浮竹のものにあまりに似ていたので、京楽は言葉を飲み込んだ。

「君は、ずっと僕の傍にいてね。いなくならないでね」

「京楽・・・こんな形でも、与えられた命だ・・・・傍に、いる」

京楽はほっとして、浮竹を風呂の中で抱きしめて、キスをした。

「んあっ」

「大好きだよ、十四郎」

「俺も好きだ、春水」

風呂からあがり、長い白髪の水分をタオルでふいてもらったあと、ドライヤーで乾かしてもらって、浮竹は遅めの夕食を口にしていた。

久しぶりに半日休暇をとれたので、夕方から睦みあっていたのだ。

「おはぎ、あるよ」

「食べる」

食の細い浮竹は、京楽の3分の2ほどしか食事をとらない。

でも、甘味物はよく食べた。

「夕飯の後でね」

「ああ」

夕飯を食べ終えた浮竹は、おはぎを2個もらって嬉しそうに平らげた。

「もっと食べたい」

「明日にしよう。あんまり甘いものばかり口にしても、体に悪いからね」

「・・・・・・わかった」

物わかりのいい浮竹は、あまり昔の浮竹のように我がままを言わなかった。


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浮竹との甘い生活が続く。

けれど最近の浮竹は元気がない。

肺の病で血を吐くこともあるのだが、下手に4番隊になどに診せれないので、高価な薬湯や薬を買って、なんとか凌いだ。

「俺は・・・この世界に、生きている意味はあるのだろうか」

「君は、僕のためだけに生きてくれたらいい」

「京楽のためだけか・・・・それも、また別の意味でいいのかもな」

浮竹は熱を出して寝込むようになった。

京楽は総隊長としての責任と責務があるので、弱弱しい浮竹を使用人に任せて、仕事に出る。

でもある日、高熱を出して生死の堺を彷徨い始めて、京楽は責任も責務も放棄して、浮竹の傍にいた。

「京楽・・・・俺は、死ぬのかな」

「死なせない。もう二度と、君を失ったりしない!」

京楽は泣いていた。

「嫌だよ・・・・君まで、本当の浮竹のように僕を置いて行ってしまうのかい?君の命は、僕のものだ・・・・僕の寿命をあげるから、どうか生きて!」

12番隊の涅マユリの元に浮竹を瞬歩で連れ出して、京楽はこう言った。

「僕の命を、この子に分け与えてやってほしい」

「簡単にいうけどね、キミ、けっこう難しいんだヨ」

「できないの?」

「ふん、私にできないことはない。その浮竹を寝かせて、君はこの装置をつけなさい」

血を、抜きとらえれて、それが生命エネルギーに変換されて、浮竹の中に入っていく。

高熱で苦しそうにしていた浮竹の顔色が、熱が下がったのか安からなものになっていく。

「はい、終わり。言っておくけど、高くつくからネ!」

「金なら、いくらでも払うよ」

生気を取り戻した浮竹を抱き上げて、京楽は館に帰っていった。



「ん・・・・・」

「浮竹、目覚めたかい?気分はどう?」

「大丈夫・・・・臥せっていたのが嘘みたいに、体が軽い」

京楽は、浮竹を抱きしめた。

総隊長が数日も無断欠勤していたことで、居場所を特定されて、浮竹の存在が明るみになってしまった。

でも、京楽は揺るがない。

「この子は、浮竹だ。この子を殺すなら、僕も死ぬ。この子を閉じ込めるなら、僕も一緒に閉じこもる」

何を言っても聞かない京楽に、皆がため息をつく。

「浮竹十四郎は死んだ。この者は、浮竹十四郎の紛いものだ」

白哉の言葉に、京楽は冷静に答えた。

「でも、ちゃんと浮竹の記憶をもっているし、霊圧がないだけで生前の浮竹と同じだ。僕の大切な愛しい恋人なんだ」

本来なら、無に還す案件なのだが、京楽はもう、浮竹がいなければ命を捨てると言い出すので、仕方なしに13番隊の隊長、副隊長たちは浮竹の存在を認めた。

京楽は、とても喜んだ。

「君は、自由だ。もう、閉じ込めなくてもいい。好きな時に好きな場所へ行っていいんだよ」

「俺の居場所は、京楽の隣だ」

「うん。そうだね」

それは、狂気に似た愛から生まれたもの。

でも、こんなにも純粋に愛されて、狂気から生まれ落ちた浮竹は、幸せというものを手に入れた。

「浮竹、今後もよろしくね」

「俺も、よろしく」

浮竹の居場所は、相変わらず京楽の館だった。

でも、人の目のある中で普通に一番隊隊舎を訪れて、京楽の元を訪ねたり、日番谷や白哉の元に顔を出したりして、本当に浮竹が生き返ったかのようだった。

今の浮竹は、限りなく亡くなった浮竹に近かった。

肺の病を患っているが、ミミハギ様がいなくても生きていられる程度のもので、体が弱いところなども変わらない。

ただ、浮竹としての霊圧はなく、戦闘は不可能で、京楽のための浮竹ということで、居場所は固まった。

浮竹は、幸せだった。

たとえ、仮初の命だったとしても、また京楽に会えて、愛されて。

京楽もまた幸せだった。

愛した者を、また手に入れることができて。


それは狂気に似た愛。

けれど、ひたむきなまでに純粋なもの。



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オメガバース京浮後編

3カ月に一度のヒートを、京楽と過ごしながら、浮竹は巣作りをはじめていた。

ぽいぽいと京楽の服を出してきては、重ねる。

元々院生の服といくつかの着物くらいしかなかったので、浮竹の巣作りは浮竹が満足する量の衣服を得られなかったが、それでも巣を作って、そこで京楽の着ていた院生の服を抱きしめて、匂いをかいで安心し、京楽と睦みあった。

「巣、作ったんだね」

「ああ。京楽・・・・お前の子種がほしい」

そういって、浮竹は京楽にキスをした。

京楽は浮竹を抱き上げて、巣を少し移動させて、ベッドの上にやってきた。

「あ、あ、あ・・・・・」

首筋に噛みつき、噛まれた痕をまた残す。

「京楽、京楽・・・・」

浮竹は、京楽を求めた。

運命の番である。もう、京楽以外、何も見えないでいる。

「んっ」

衣服をぬがされて、首筋から鎖骨にかけてキスマークを残す。

「あ・・・・」

胸の先端を舐められると、それだけで秘所はとろとろと蜜を零した。

「もう、濡れてるね」

「あ、京楽、早く!」

浮竹はせがんだ。それに、京楽が応える。

秘所を解すことなく、そのまま突きいれた。

「あー、あ、あ、あ!」

胎の奥の子宮口がぱくぱくと口をあける。

前立腺をすりあげられると、浮竹は簡単にいってしまった。

「あ、春水・・・・・俺を満たせ。俺を犯せ」

浮竹は、ぺろりと自分の唇を舐めた。

「あ、んあ、あ、あ!」

刻まれるリズムと一緒に、白い髪が乱れて流れる。

「奥に出すよ。君のご希望通り、いっぱい注いであげる」

びゅるびゅると京楽が吐き出す精液を子宮で受け取って、その熱の熱さと快感に頭が真っ白になる。

「あ、あ、いってるのに、まだ、あ、だめだ春水、今は」

浮竹は射精しながら犯された。

「あああ!」

京楽はずちゅりずちゅりと音をたてて、浮竹の中に出し入れを繰り返す。

「ん!・・・・ふあ、あ、あ」

浮竹と口づけると、京楽の舌が浮竹の舌を追いかける。

「ふあ・・・・・」

互いのまじりあった唾液を飲み込みながら、京楽は子宮口まで入ってきた。

「あ、深・・・・・ああ、あ!」

「また出すよ。受け止めてね」

「ああああ!」

京楽のものを受け止めて、浮竹は涙を流した。

きもちいい。満たされていく。


浮竹はヒート抑制剤を飲んでいるが、肺を病んでいるためにヒート抑制剤と肺の薬があまり相性がよろしくないようで、最近はヒート抑制剤も少なめにしていた。

もう、浮竹は京楽と運命の番になっている。

浮竹が他のαにフェロモンを出すことはなくなっていたし、αである京楽も浮竹のフェロモンにだけ反応した。

ある日、見合いを受けろといわれて、すでに運命の番がいて、その人以外と結婚も子供ももうけるつもりはないと、両親に言い切った。

どこの馬とも知れぬΩを番にしたことを、両親は嘆き、そして怒った。

Ωが女性ではなく、男性の下級貴族の長男であると知った時、京楽の両親は、京楽と浮竹を引き離そうとした。

だが、もう卒業も間近で、死神として卍解まで習得し、Ωであるにも関わらず、将来隊長になることが有望視されている浮竹に手を出すことは、なかなかできなかった。

ただ、別れないとお前の家族がどうなるか分からないと脅されて、さすがの浮竹も京楽に相談した。

結果、京楽は両親を説得し、浮竹の存在は公認のものとなった。

浮竹は京楽の子を身ごもることができたが、子供は産まなかった。

一度に身ごもり、流産したことで子ができない体になってしまったのだ。

それでも、京楽は他に恋人は作らずに、浮竹だけを伴侶とした。

それから、時が経った。


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「今年のヒートは、なかなかこなかったわりには、長いな」

もう、ここ半年ほどヒートは訪れていなかったのだが、かわりに遅めにやってきたヒートは2週間は続いた。

もう院生の若いころではあるまいにと思いながらも、2週間のヒートに京楽は付き合ってくれた。

「正直、もうヒートはいらんのだがな」

「僕はほしいね。浮竹が僕を欲してくれるから」

「ばか・・・・」

顔を真っ赤にさせて、浮竹は京楽の胸に顔を埋めた。

「お前・・・子供はできないが、いいのか?」

「別に、子供がほしくて君を運命の番にしたわけじゃないよ」

「ああ、分かっている」

ただ、愛していたから。

Ωやαであることも関係なく。

「それより、いい加減眠ろう。昨日から眠っていない。やって飯たべて、風呂でもやって、やりまくっただけで眠っていないから、眠いでしょ」

「ああ・・・・凄い眠い」

「僕も限界だよ。一緒に寝よう」

京楽は、浮竹がヒートになると別館の館に閉じこもるようになっていた。今もヒートがきているので、館に移った。

大きな広い部屋に、布団を2つ敷いて、そのうえで二人は眠った。

京楽は浮竹の布団の中に入ってきて、よく眠る浮竹の隣で、その長い白髪に口づけながら、
眠りについた。

ヒートはそれから1週間は続いた。

それから、奇跡が訪れた。

子供ができない体になっていた浮竹が、妊娠したのだ。

京楽は喜んだ。

そして、流産しないように二人で気をつけて生きた。

やがて男の子が生まれ、「史郎」と名付けられた。

「かわいいなぁ。君そっくりだ」

「目元はお前に似ているぞ」

結婚していなかったが、名前は京楽史郎となった。

京楽家の、後継ぎだ。

京楽の両親は、それは喜んだ。

無論浮竹の両親も。

「いい加減、結婚式を挙げないかい?」

「結婚式はいい。俺はお前と史郎といれるだけで幸せなんだ」

「そっか・・・・・」

京楽は笑った。

史郎は、Ωが子を成したとき、番の性別を持って生まれてくることが多いために、αだった。

それに、浮竹は安堵した。

自分の子に、Ωとなって苦しんでほしくない。

浮竹も京楽も隊長だ。

子育てはにはいろいろとみんなに協力してもらった。

Ωであることを疎んだ浮竹の姿は、そこにはなかった。

ただ、愛する京楽がαであっただけで、二人はΩやαでなくとも、お互いを必要として一緒にいただろう。

だが、京楽がαでいてくれて、浮竹を運命の番に選んでくれてよかったと思った。

まだ、寿命は当分ある。

また子を成すかもしれない。

もう、ヒート抑制剤は飲んでいなかった。

自然のままに流れを任せる。

それが、浮竹と京楽が選んだ道だった。

次のヒートがきても、アフターピルは飲まないようにしよう。

そう浮竹は誓った。

もう、何も遠慮することなどないのだ。

京楽は浮竹を手に入れて、浮竹は京楽を手に入れた。

子は成長していく。

その後ろを、二人でゆっくりと歩んでいくのだ。




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オメガバース京浮中編

その日も抑制剤を飲んでいたが、ヒートになった。

「あ・・・・・」

授業はもう終わっていたが、数人の生徒が男子残っている中、京楽は慌てた。

浮竹のフェロモンにやられて、こちらにやってくる。

逃げようとして、うずく胎と熱に体が思ったように動かない。

「やめろ、正気に戻れ!」

男子生徒の一人が、浮竹を押し倒した。

「やめろ!」

「浮竹ってΩだけどまだ番がいなんでしょ。俺たちと楽しもうよ」

完全に浮竹のだすフェロモンにあてられていた。

特進クラスなので、周囲を取り囲んだ連中はみんなαだ。

床に押し倒されて、浮竹は鬼道を放っていた。

けれどヒートのせいでほとんど効果がなかった。

院生の服から、手が入ってくる。

「嫌だ、京楽、京楽!!!」

助けを呼ぶと、京楽が瞬歩で浮竹のところにきてくれた。

「君たち、浮竹のフェロモンにやられたからといって、僕の浮竹に手を出すのは許さないよ」

「なんだ、京楽と番になるのか?」

面白くなさそうに、男子生徒たちは散り散りに去って行った。

京楽のもつαは質が高い。おまけに上流貴族だ。

そんな京楽の番になるかもしれないと分かって、フェロモンにあてられていたが、男子生徒たちはいなくなった。




「浮竹」

「あ、京楽・・・・熱い、助けてくれ」

「もう、君を自由にさせておけない。僕の運命の番にするよ」

京楽は、浮竹を抱き上げて、寮の部屋まで戻ると、浮竹のフェロモンの効果のせいか、いつもよりギラついた瞳で射抜かれた。

「あ・・・・運命の番・・・お前となら、番になっても後悔しない」

浮竹の院生服を脱がしながら、京楽は浮竹を自分のものにすると、行為中に首を噛む決心をした。

本当なら、浮竹が平静の時に番になってくれと何度でも願うところだったが、前回のヒートの時に浮竹は京楽の番になることをほぼ了承していた。

「あ!」

すでに熱を帯びていた体は、京楽の生み出す些細な行動でも快感をかんじていた。

「ん・・・・ふ、んんっ」

キスされると、舌が絡みあう。

首筋から鎖骨、胸にかけてキスマークを残した。

「んっ」

胸の先端をきゅっとつまむと、びくりと浮竹の体がはねた。

「もうとろとろになっているね」

浮竹のものをしごきながら、京楽は浮竹の秘所に突き入れた。

「ああ!」

「運命の、番になって・・・・」

首筋に嚙みついた。

「ああ・・・俺は、京楽、お前と番になる」

ぐちゅぐちゅと、抜き差しを繰り返すその場所は、卑猥な音を立てていた。

首筋をかまれた時、世界が真っ白になって、その中から京楽が愛しい、京楽の子がほしいという衝動が出てきた。

「んん・・・・・」

ゆっくりと緩慢に動くと、浮竹は物足りなさそうに京楽を見上げた。

「京楽・・・・もう、俺は完全にお前のものだ。お前以外にフェロモンはきかないし、お前の子がほしい・・・・・・」

「子供は、まだいいよ。僕たち、まだ学生でしょ」

「もっと奥まできて」

くちゅりと音をたてて侵してやれば、浮竹は嬌声をあげた。

「あああ!」

一度抜き去って、浮竹の反応を見る。

「京楽・・・ほしい。まだ、足りない」

「おいで」

騎乗位になって、浮竹は深く京楽に貫かれた。

下から突き上げられて、浮竹は涙を零す。

快感で、わけがわからなくなっていく。

「あ・・・・春水・・・・俺のものだ」

「それは僕の台詞だよ、十四郎。僕だけのものだ。もう、誰にも触れさせない」

そのヒートは1週間続き、二人は授業を欠席して、眠る食べる風呂に入る以外の時間、ずっとほとんど交わっていた。

ヒートがあけると、浮竹は京楽と二人で休んだ分の補習を受けた。

昔はΩの地位は低かったが、最近は法律もできて、Ωのヒート休暇が認められている。

αである京楽も、ヒートの余波、番の相手としてのヒート休暇が認められたので、欠席自体はカウントされなかった。

「いつか、君は巣作りを始めるかもしれないね」

「お前の服を使ってか?」

「そうだよ」

「そんなに服あったかな・・・・」

「まぁ、僕がついているから、安心して」

浮竹は、京楽と運命の番になったが、ヒート抑制剤を強めのを出してもらった。3カ月に1回、1週間のヒートは長すぎる。

けれど、京楽は文句も言わずに、優しく甘く浮竹の相手をしてくれる。

いつか、京楽の子を産むのかもしれないと思いつつも、アフターピルを処方してもらいながら、浮竹は今度くるヒートを避けるために、強い薬を飲んで、それがばれて京楽に普通の抑制剤に変えられて、困るのであった。


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オメガバース京浮

そんな、まさか。

世界には、男女の他にα、Ω、βという3つ目の性がある。

浮竹は、その日まで自分をただのβだと思っていた。

家族全員がβだった。まさか、自分がΩだなんて、思ってもいなかった。

死神統学院に入る時、年のための検査を受けた。その時、自分がβではばく、Ωであることを知った。

抑制剤を飲むようになった。

ただ、ヒートは一度もきていないので、飲まない日もあった。

その日、体調が優れなかったので早退しようかと思った時、急に体が熱くなった。

やばい。

そう思っても、もう後の祭りだった。

Ωであると知ったのは、ついこの前だ。

抑制剤を飲んでいなかったせいで、はじめて発作のように発情期・・・・ヒートになりかけていた。

抑制剤を取り出して、飲んでみるがもう遅かった。

甘いフェロモンの香りをさせた浮竹に、教室にいるαが近づいてくる。

それから逃げるように、ふらふらする足取りで、医務室に向かおうとする。

「しっかりして、浮竹」

「・・・・・・京楽」

親友は上流貴族なだけあって、αだった。しかし、αの抑制剤を飲んでいるため、フェロモンを発していた浮竹に理性を失うわけでもなく、浮竹を医務室に運んでくれた。

医務室で、とにかくきつめの抑制剤を処方してもらい、それを飲んでべッドに横になった。

「浮竹はΩだったんだね・・・・抑制剤を飲んでいなきゃ、襲ってたよ」

「京楽となら、番になってもいい」

冗談めいた言葉だったが、京楽は真剣に浮竹の手をとった。

「これから、3カ月に一度ヒートが訪れる。抑制剤を飲んでも、効かないかもしれない。その時は、僕を呼んで。君を運命の番にしたい」

何をばかな・・・・。

そんな言葉を飲み込む。

京楽とだったら、本当に運命の番になれそうな気がした。

「浮竹君、もう帰りなさい。医務室にいるより、寮の部屋のほが安全だ」

保険医に言われて、京楽は浮竹を抱き上げて、瞬歩で寮の部屋へと戻った。

相部屋で、いつも京楽と同じ部屋で過ごしていた。

浮竹は、抑制剤をまた飲んだ。

「浮竹、そんなに抑制剤ばかり飲んでいると、体に悪いよ」

「Ωになんてなりたくなかった・・・・βがよかった・・・・・・」

「でも、僕は浮竹がΩで嬉しいよ。αの僕は、君が好きだ」

「京楽・・・・・・・」

フェロモンに惑わされているだけだろうと思った。

でも、キスをされて、優しく抱きしめられて、浮竹は安堵した。

「少し眠る・・・・・」

「うん。苦しいなら、僕が相手になるから」

Ωを番にするなど、京楽の未来を台無しにしてしまう。京楽はやがて上流貴族の姫でも娶って、幸せに暮らすのだろう。

そう思うと、心が痛かった。

そのまま、はじめてのヒートは抑制剤のお陰でなんとかなった。

それから3カ月後。

またヒートをが訪れた。

抑制剤を飲んでも飲んでも体が熱くて、どうにかなりそうだった。

「浮竹・・・・僕の、運命の番になって」

「京楽、またばかなことを」

でも、京楽は本気だった。

甘いフェロモンの香りに誘われて、浮竹をべッドの上に押し倒すと、浮竹は喜んで京楽を受け入れた。

舌と舌が絡まるキスをして、ふわりと体が浮く感覚がした。

「んん・・・・・・・」

院生の服を脱がされていく。裸になった浮竹をみて、京楽も服を脱いだ。

「君を僕だけのものにする」

「京楽・・・熱い・・・・助けてくれ」

体中を愛撫して、胸の先端をいじると、一際高く浮竹が声をあげた。

「ああっ!」

「もう、何もしてないのに濡れてる・・・・・」

秘所は、ぐずぐずに溶けて京楽のものが突きいれられるのを待っていた。

「あ、京楽待ってくれ!このままじゃ妊娠してしまう!アフターピル飲むから!」

「し終わった後に飲んでも大丈夫だよ」

そう言って、京楽のものが浮竹の中に侵入してきた。

「あ、きもちいい・・・・もっと」

「浮竹ば欲張りだね」

京楽は、浮竹のいい場所を突き上げた。

「んあっ!そこ、そこいい・・・・あああ、もっと!」

ヒート中は、子を成そうとする。

そのせいで、解してもない秘所は濡れて京楽が突きいれると、子宮口を開いて子種をまだかまだかと待っていた。

何度も突き上げられて、前を扱かれて、浮竹は頭を真っ白にしていってしまった。

「ああああ!」

体が弓ぞりに反り返る。

「好きだよ、十四郎」

浮竹の両足を肩に担ぎあげて、じゅぷじゅぷと音をたてながら、抜き差しを繰り返す。

「あ、春水・・・・・あああ!」

ごりっと最奥をえぐられて、浮竹の息が止まった。

「ひっ・・・・・あああ、いく」

「一緒にいこう」

浮竹は、白濁した液体を散らしながら、中でもいった。

きゅうきゅうとしめつけられて、京楽も浮竹の中にはなっていた。

「あ、もっと・・・・・」

ヒート中は、我慢が効かない。

何度も京楽の精を中にだされて、浮竹もいきまくる。

「あ!」

ピリッと音がしたかと思うと、首筋をかまれそうになった。

ああ・・・・京楽は、本当に俺を運命の番にする気なんだ。

浮竹は、その日から京楽のものになった。

アフターピルを飲んで、妊娠しないようにした。

一度交わって、1週間を普通は交わり続けるのだが、強めの抑制剤を飲んで、ヒート期間を3日ほどに短縮することができた。

食事をし、風呂に入り、それ以外の時間はほぼ交わっていた。

「京楽・・・俺で本当にいいのか?」

「僕は浮竹がΩでなくても、自分のものにしてたと思う」

「じゃあ、俺はΩでよかったんだな」

「いずれ、僕の子を産んでもらうから。君と僕は運命の番になるんだ。卒業までには、運命の番にするから」

浮竹は、京楽の言葉にΩに生まれてきてよかったのかもしれないと思った。

この先、いろいろ辛いことが待ち受けているだろうが、京楽となら乗り越えていける。

そんな気がした。

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翡翠に溶ける 番外編「名付け親」

ユーハバッハとの大戦が終わり、命を失うはずだった浮竹は、京楽が花の神の器になることを条件に助かった。

13番隊の隊長に新たについたのは、朽木ルキアだった。

浮竹は霊圧を生きるエネルギーに変換したことで失っており、もう霊圧はなかった。肺の病は、花の神の力によって完治した。

書類仕事などは変わらずできるため、霊圧を失くした浮竹は、13番隊の隊長補佐となっていた。もう戦う力はないが、書類仕事や雑務などを任されていた。

「今日もいい天気だねぇ」

「ああ、そうだな」

薄紅色の髪と瞳の色になってしまった京楽は、半神の証の色だ。花の神を宿したことで、色を変えてしまった髪と瞳の色だが、特にこれといった不自由はない。

「浮竹隊長!」

「お、朽木どうした」

今は結婚して阿散井になっているが、浮竹は変わらずルキアのことを朽木と呼んでいた。

ルキアも、もう浮竹は隊長でないのだが、浮竹隊長と呼んでいた。

「もうすぐ、子が生まれるんです。隊長に、名付け親になってもらいたくて」

「もうそんな時期か」

「うっ」

「どうした?」

「ルキアちゃん?」

京楽も浮竹も、顔色を変えたルキアを心配する。

「まだ産み月には・・・でも、陣痛が・・・!」

「大変だ!京楽、瞬歩で朽木を4番隊まで!」

「君も連れていくから」

京楽は、ルキアを抱き上げ、背中に浮竹をおぶさって、4番隊の救護詰所までやってくると、勇音が対応してくれた。

「早産ですね。まだ産み月には半月はありますが、でも大丈夫です。とりあえず、阿散井副隊長を呼びましょう」

「うう・・・破水、したかも・・・・」

「タオルを!湯をわかして!」

勇音は、てきぱきと指示を出した。

瞬歩でやってきた恋次が、ルキアの手を握る。

「早産でも、大丈夫だ。俺たちの子供だ。絶対に、無事に生まれてくる」

「そうだな、恋次」

3時間ほどして、おぎゃあおぎゃあという声が響いて、待合室で待っていた恋次も浮竹も京楽も、喜び合った。

やがて、赤子を抱いたルキアと対面できた。

「名を・・・浮竹隊長に、決めていただきたくて」

「女の子か・・・・髪色は阿散井副隊長だね・・・苺。苺花(いちか)というのはどうだろう。一護君のおかげで、今があるから、彼の名前もとって・・・・・」

「いい名前ですね!それに決めます!」

「浮竹さん、ありがとうございます。いい名前ですね」

こうして、ルキアと恋次の娘は苺花と名付けられた。


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「なぁ」

「なんだ、京楽」

「お前も、子供、ほしいか?」

「うーん。別にいらない」

「でも、もしも俺が女なら、お前の子を産めたのに。涅隊長にいえば、女性化できる薬作ってもらえそうだなぁ」

「あのね、浮竹。僕は子供なんて別にいらないし、今のままの浮竹がいいんだよ」

1番隊の隊首室のの奥にある寝室で、ごろごろと寝転んでいた浮竹を抱きしめて、京楽は口づけた。

「ん・・・・」

「僕は、今のままの君がいい」

「そうか」

浮竹は、はにかんで笑った。

ルキアのように愛しい者の子を成すことはできないが、京楽は今のままがいいという。

浮竹は、つきものがとれたように、ほわりと笑った。

「俺も今の京楽が好きだ。半神になったが、そのままでもいい」

「うん。お互い、今のままでいいんだよ。変わるなら少しずつでいい」

大戦を生き延びれただけでも奇跡なのだ。

元々、浮竹は死ぬ運命だった。

それをも捻じ曲げたのは、花の神という存在を呼び出した京楽の想い。

浮竹の願い。

花の神は、京楽の奥底で眠り続けている。

もう、これ以上叶えてほしい願いはなかった。

浮竹の命を救ってくれただけで十分だ。

京楽と浮竹は、キスをしたり触れ合いながら、ベッドでごろごろしていた。

「仕事、しなきゃね」

「ああ。俺も、13番隊の仕事、朽木の代わりにやらなければ」

二人して、いちゃつくのをやめて、今日の仕事にとりかかった。

午前中は休みをとっていたため、ゆっくりしていたが、京楽は総隊長だし、隊長を辞任したとはいえ、浮竹も13番隊隊長補佐についている。

「でも、ルキアちゃんの子の名前はいい名前だったね」

「一護君の名前を、いれてあげたいと思ったら、髪の色は赤いし苺が浮かんだ。苺花って名前、かわいいと思うし、きっと美人に育つ」

「美人に育っても、浮気しないでね」

「ロリコンにはならないぞ」

くすくすと、浮竹が笑う。

京楽も、つられて笑った。

今日も、尸魂界は平和だ。


翡翠に溶けて溶けて。

翡翠は輝き続ける。

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京楽の誕生日2

「その・・・・2日すぎてしまったが、俺をやる」

「え。本当に?」

7月13日になったその日、11日を無理して起きだしてまた熱を出した浮竹は、次の日には熱が下がったが念のためその日一日も布団の中で過ごしていた。

そのおかげか、13日には熱は下がって、仕事も終わらせて自由行動ができるようになっていた。

11日の誕生日に、夜になれば「俺」をあげると言ってしまった。

きっと、京楽はすごく喜んだのだろう。

一日で、たまっていた仕事を片付けてしまったくらいだ。

11日は熱を出して倒れてしまったが、今日は大丈夫。

いざと、京楽と一緒に京楽の館にやってきた。

京楽はと浮竹は、半分ふざけあいながら風呂に入った。浮竹の長い髪を、京楽が丁寧に洗ってくれた。

お返しにと、京楽の黒髪を洗ってやった。

ゆっくりと広い湯船につかり、風呂からあがって浴衣を着る。

褥を見て、浮竹が赤くなった。

「その・・・するのは、久しぶりだな。手加減してくれ」

ここ最近浮竹が臥せっていたために、京楽はその間浮竹を抱いていない。

一人で処理をすることはあったが、昔のように若くはないので回数は少なめだった。

手招きで浮竹を呼び、触れるだけのキスをする。

「んっ・・・・・」

浮竹の唇をこじあけて、縮こまった舌を吸い上げて、絡み取る。

「ふ・・・・んんっ・・・・・」

浮竹が愛らしくて、つい本気で攻めてしまった。

「んん・・・・んあっ」

ディープキスに、浮竹がくったりとなる。

「手加減しろと・・・言っている」

息も絶え絶えな浮竹を抱きしめて、京楽は耳元で囁いた。

「ごめんね」

耳に舌をいれられて、びくんと浮竹が動く。

「耳、弱いよね?」

「やぁ・・・・やめっ」

浴衣の中に手を滑らせて、胸の先端をつまみあげげ、引っかくと、浮竹はもぞもぞと動いた。

「やらしい子だね・・・これだけで、蜜を零して・・・・・・」

「あ・・・言うな・・・ああっ」

すでに硬くなった浮竹の花茎に口づけて、吸い上げると、浮竹はその快楽に頭を真っ白にさせて、京楽の黒髪をゆっくりと引っ張った。

「あ、もう出るから・・・京楽、あああ!」

浮竹が吐き出したものを、京楽は飲み込んだ。

「ばか、飲むな」

「君のだから」

潤滑油でぬれた指をいれられて、前立腺を刺激されると、また頭が真っ白になってきた。

「あ・・・・ううん」

中を刺激されて、射精せずにドライでいってしまったようだった。

「あ・・・なんか、変・・・・」

指を3本までに増やして、蕾をぐちゃぐちゃと音を立てながら解していく。ずるっと指を引き抜かれる感触に、浮竹の体がはねた。

「いれていいかい?」

「いちいち、聞くな」

あらぬ方角を向く浮竹の頬に手を添えて、深い口づけをする。

「あ・・んあああ」

ずるっと、中に京楽が入ってきた。

胎の奥が疼く。

「もっと奥まで、来い」

前立腺をすりあげて、最奥に叩きつけられる。

その感覚がなんともいえない。

ぱんぱんと激しく体をぶつけ合わせながら、浮竹は京楽の背中に爪を立てた。

ついでに、肩にも噛みついた。

「あああ・・・・あっ」

最奥に侵入してきた京楽のものを締め付けて、京楽は浮竹の耳をかじりながらささやいた。

「出すよ?君の奥に」

「あ、来い・・・俺の奥に出せ」

とくんとくんと、胎の奥に熱がじんわりと広がるのを感じて、浮竹は意識を失った。

気づくと、体は綺麗にふかれており、後処理もされて新しい浴衣を着せられて、布団の中に横になっていた。

「ん・・・だるい」

「まだ1時だよ。寝なさい」

「京楽、起きていたのか?」

「ううん、君が目が覚めた動きで僕も目が覚めただけだよ。僕もまた寝るから。浮竹も寝て」

京楽に抱きしめられながら、浮竹はまた横になる。

とくんとくんと、京楽の鼓動の音が聞こえる。

だんだんと眠くなってきた。

次の日は休日なので、寝過ごしてやろうと考えながら、浮竹は京楽を満足させられただろうかと思いながらも、襲ってくる眠気に勝てずに、眠った。


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京楽の誕生日

「よお、京楽」

その人は、向日葵の花束をもって、8番隊隊舎を訪れた。

「これ、誕生日プレゼント。あとこれとこれとこれも誕生日プレゼント。誕生日おめでとう、京楽」

新しい財布やら、筆やら、判子やらが黒檀の机の上に置かれた。

「ありがとう。君からもらえるなら、言葉だけでも嬉しいのに。この向日葵、早いね。時期的にはまだ紫陽花でしょ?」

「現世から取り寄せた。紫陽花の花より、お前は向日葵みたいに元気に咲いていると思って」

「気を遣ってもらって悪いね」

「いや、俺も毎年いろいろもらってるからな」

京楽が浮竹に渡す誕生日プレゼントは、どれも高価なものばかりで、浮竹は館の鍵を渡された時など、受け取るのを拒否したほどだ。

上流貴族でも上のほうから数えたほうが早い京楽は、金使いが荒いわけではないが、浮竹のこととなるとぽんっと金を出す。

向日葵を受け取って、京楽は笑みを零した。

「太陽の時期だね。もう夏かぁ」

まだ梅雨はあけていない。

それでも、もう太陽は随分と高くなり、気温も30度を超える日々が続いていた。

「今年も暑くなりそうだね」

「ああ」

浮竹は、向日葵の花を花瓶に活けた京楽の膝に寝ころんだ。

「浮竹?」

「京楽・・・・好きだ」

そっと、京楽の頬に手を添えて、触れるだけのキスをしてきた。

「僕は、期待してもいいのかな?君をもらっていいと・・・・・・」

「仕事が全部終わって、夜になったら、な」

京楽は、ばりばり仕事を始めた。

溜まっていた仕事をあらたか片づける頃には、浮竹は眠っていた。

最近伏せっていて、比較的調子いい今日にやってきてくれたのだが、額に手をあてるとほんのりと熱かった。

「無理、しちゃったんだろうね」

京楽の誕生日だからと、微熱で外出したのがあだとなったのだろう。

ちゅっと、リップ音を立ててキスをする。

「ありがとう、浮竹」

浮竹を抱き上げて、自分の館に瞬歩で戻ると、布団をしいて浮竹を寝かせて、額に冷えたタオルを置いた。

「君が傍にいてくれるだけで、僕は幸せだよ」

浮竹の隣に布団をしいて、京楽は浮竹の白い髪に口づけした。

夜はゆっくりと更けていく。

結局、浮竹を抱けなかったが、そんなことはどうでもいいのだ。

一緒にいられる。傍にいられる。

それだけで、満足なのだ。

何百年と一緒に居続けて。

これからも、一緒にいれることを願おう。


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僕は君の瞳の色の名を知らない9

体を重ねあうようになって2年が経っていた。

5回生になっていた。

浮竹の髪はすでに肩甲骨あたりまで伸びていて、白い髪は風になびくとさらさらと音をたてる。

最近はめんどうなので、後ろで一つにくくっていたりするが、京楽がよく髪は流したままのほうがいいと、髪ゴムをとっていくので、今は髪は肩に流したままだ。

「はぁ・・・・」

浮竹は、今日何度目かになるため息をついていた。

すでに、卒業と同時に3席の死神としての席官入りが二人同時に決まっていた。

授業の内容は、もはや学院の中でだけでなく、実際に死神としての一般隊士に混ざっての虚退治なども含まれていた。

死神統学院を卒業しても、死神にならない者もいる。

浮竹と京楽は死神になる。

斬魄刀ももっているし、卍解まで扱えた。

一般隊士に混ざっていても、特別扱いされた。

「はぁ・・・・・」

「どうしたの。気分でも重いの?」

「・・・あと1年もすれば、学生生活ともおさらばで、こうやってゆっくり時間を過ごすこともなくなくなるのかと思うと、少し億劫でな」

「まぁ、学院生活で怠けた分、働くしかないよね」

「お互い席官入りだしな」

「おまけに3席ときたしね。山じいが関わっているとはいえ、ちょっと出世させすぎだよね」

浮竹と京楽は、山本総隊長にかわいがられていて、卍解も扱えるとのことで将来隊長だと有望視されている人材である。

京楽からキスをされて、浮竹は肩の力をぬいて、くたりと京楽に上半身を預けた。

「もー、本当にどうしたの」

「金がない」

「いつものことでしょ」

「いや切実で・・・・俺の薬代の借金がかさばって、妹が売られそうなんだ。京楽、悪いが借金をしていいか?」

「妹が売られそうだって!?なんでもっと早く言ってくれないの!」

「金額が金額だけに・・・・・」

京楽が聞いた金額は、京楽が思っていた以上の金額だった。

「両親が・・・悪い金貸しや捕まってな。全額返済しないと、妹を借金のかたにもらっていくと・・・・・」

「後で合法で処理しよう。お金はちゃんと用意してあげるから、とりあえずそれを送って妹さんをもっていかれないようにしなきゃ」

「ああ」

京楽に借金はしたくないが、大きな金額なので京楽くらいしか当てがなかった。

「本当は、俺なんだ」

「どういう意味?」

「俺を見たという金貸しのやつが、俺欲しさに、借金の額を釣り上げてきてな。ただ、死神の席官入りが決まっていると知って、俺に一番似ている妹を妾にするといいだした」

「そいつ、殺してもいいかい?」

「やめろ。いくら悪徳でも、殺すのはやりすぎだ」

京楽なら、本当に殺してしまいそうで怖かった。

「じゃあ、借金を肩代わりする代わりに、君を買うよ。僕が」

「は?」

「一晩、100万環で買うよ。夜を」

「お前・・・」

浮竹は顔が真っ赤になるのを、隠せなかった。

「ああ、その条件でいい。死神になって稼ぐまで、借金は返済できそうにないし。合法的に処理できても、借金の額はもともと多いし・・・・」

その日のうちに、金を用意してもらい、実家に送って、妹は売られずにすんだ。


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「ほら、いってごらん?どうしてほしいの」

「お前、最近意地悪だな」

夜の睦みごとの最中、京楽はただ浮竹の反応を楽しむだけでなく、どうしてほしいのかと聞いたり、わざと動かずに浮竹を焦らしたりした。

「お前ので、奥まできてくれ。俺をぐずぐずに溶かしてくれ・・・・」

「よくできました」

くちゅりと音をたてて、京楽が入ってくる。

「あああ!」

入ってくる瞬間の痛みは少なくなったが、その衝撃はまだ慣れない。

「ん・・・・んあ・・・・」

京楽とのキスは好きだった。

頭の中がぐずぐずに溶けていきそうで。

「ん・・・ふあ・・・やっ」

奥を衝かれながら、揺さぶられると頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなる。

ただ、気持ちいい。

それだけが脳内を満たし、そして京楽の存在を認識させる。

「ああ・・・・春水っ!」

「十四郎・・・・ああ、僕だけのものだ・・・」

胎の奥が疼いた。

女ではないのに。奥まで満たされたい。

京楽が胎の奥で熱を弾けさせるのと同時に、浮竹も熱を放っていた。


「はぁ・・・今日で3千万環。3億環まで遠い・・・・・」

1日100万環で買われて、30回睦みあって、借金は2億7千万環まで減った。合法的に処理しても、3億環の借金、現世でいえば3億円の借金が残った。

京楽の出した提案に乗ったが、3億環までは遠いが、この調子なら卒業までに2億環の前半まではもっていけそうだった。

後は地道に稼いで返すか、死神家業をしながら夜を買ってもらうかだ。
借金がなくなれば、夜なんて買ってもらわなくていいから、普通に求め合うときに体をつなげればいい。

今は買われているせいもあって、なんだか不思議な気分だ。京楽のことは好きだが、対等の立場じゃない気がして、ちょっと苦しい。

それを口にすると、京楽は困ったように笑って、抱きしめてきた。

「君を買うなんて、ただの口実だよ。借金なんて、ちゃらにしてもいい」

「だめだ。ちゃんと返す。働くか、もしくは夜を買ってもらって」

「君は変なところで頑固だね」

「恋人に、いつまでも借金しておくなんて、嫌だろう、普通。だからって、借金をなしにしてもらうには、あまりにも金額が多い」

「僕にとっては、そんなにとびぬけた額じゃないし、君のためならむしろ喜んで金なんて出すけどね」

「京楽、キスしろ」

「なんだい。どうしたの」

「お前とのキスは好きだ。んん・・・・・ふあっ」

咥内を舌でまさぐられて、声が漏れた。

「ふあ・・・・んっ・・・・」

舌を絡ませあいながら、唾液を飲み込む。

キスも深くなればなるほどに、何も考えられなくなる。

「んっ・・・・・」

浮竹は、緑の瞳を開いた。

そうだった。この色だった。

翡翠。

それが、君に送ってきた宝石であり、君の瞳の色の正体。

僕は君の瞳の色の名を知らないと思っていた。

本当は、初めから知っていたんだ。

君の瞳の色は翡翠。

翡翠。

それが、僕が知る君の瞳の色の名前。

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