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始祖なる者、ヴァンパイアマスター25

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「ん・・・朝か」

気づくと、朝になっていた。

体はまだ女だった。

「京楽、起きろ、朝だぞ」

「うーん、もう少し・・・・」

京楽もまた、女の体だった。

男同士でいく快楽とまた違った快楽の味をしってしまった二人である。

「風呂に行こう」

「僕が、胸で浮竹を洗ってあげる」

「じゃあ、俺は手で洗ってやろう」

浮竹と京楽は、風呂に入った。性的なことはせずに、お互いの体を洗いあい、長い髪を洗った。

そのまま、3日が過ぎた。

二人は、男の体に戻っていた。

女の体で味わった快感を忘れられなくて、夜になって京楽が寝たのを確認してから、下半身の衣服に手を伸ばして、自分のものを握った。

それはすでに硬くなっていて、今だけだからと自分に言い聞かせて、手でこすりあげた。

「ああっ」

声が漏れる。

京楽を起こしてはいけないと、シーツを噛んで、自虐行為を繰り返した。

「んっ」

自分の手の中に欲望を吐き出して、浮竹はティッシュをとろうとした。

「浮竹?」

「きょ、京楽!?寝ていなかったのか!?」

「寝てたよ。隣で君がごそごそしだして起きちゃった。僕がいるのに、一人エッチなんてだめだよ。僕が君の熱を鎮めてあげる」

強引に覆いかぶさられて、浮竹は体液でべとべとな手で、京楽の手を握っていた。

「あ・・・」

「甘いね。君の体液の味がする」

それを、京楽が舐めとった。

「一人でするんなんて、お仕置きが必要かな?」

「やあああ」

出したばかりのものに舌を這わされて、浮竹は身をくねらせた。

「ああ、君の体液は本当に甘い」

「やっ」

まるで襲われるような錯覚を覚えた。

京楽はやや強引に、ローションを自分のものにまとわせると、蕾を解すことなく侵入してきた。

「やああああああああ!!」

そこは、何度も京楽のものを飲みこんでいたので、やすやすと京楽のものを受け入れた。

「痛い?」

「あ、痛くはない」

「ならよかった」

そう言って、京楽は浮竹を突き上げた。

「んあああ」

「女の子同士もいいけど、男同士もいいね。快感が、半端じゃない」

京楽は、浮竹のものをしごきあげた。

「やああああ!!!」

「一人えっちより、僕としたほうが気持ちいでしょ?」

その言葉に、浮竹はこくこくと頷いた。

「ああ!」

最奥を抉られて、熱をぶちまけられた。

それを感じながら、浮竹もまたオーガズムでいっていた。

「んあああ、あ、あ」

「奥、ごりごりされるの好きだよね?」

「あ、好き、もっと、もっと」

奥をごりっと抉って、京楽はまた浮竹の胎の奥で、子種を注いでいた。

「ああ、君がずっと女の子なら、子供ができちゃうね」

「やああ、俺は、俺のままを愛してほしい」

「うん。女の子同士は、刺激を求めたい時だけ、ね?」

「春水、春水」

「十四郎、愛してるよ」

浮竹は、京楽の手に追い詰められて、精液を出していた。

「あああ!」

「んっ、僕もまたいくよ。全部受け止めてね?」

「ひあああ!!」

どくんどくんと、濃い精子を注ぎ込まれなながら、浮竹はオーガズムでいっていた。

浮竹の肩に噛みついて、吸血する。

「あああ!」

浮竹は吸血の快楽に飲みこまれて、意識を手放していた。

ずるりと引き抜きと、浮竹の中に注いだものがこぷりと逆流してきた。

全部出したので、その量は多かった。

濡れたタオルでもぬぐいきれなくて、何枚もタオルを出してふいた。

「君は、僕だけのものだ・・・・・」

京楽は、浮竹を抱きしめるのだった。


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「ブラッディ・エターナル」

「何、ブラッディ・ネイ」

「父親と母親には、会いたくない?」

「少しだけ、会いたいわ」

「じゃあ、ボクが用意してあげる。ブラッディ・エターナルと、その両親の感動的な出会いを!」

そんなことをブラッディ・ネイが企んでいることも知らずに、浮竹と京楽は、静かに眠りにつくのであった。


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始祖なる者、ヴァンパイアマスター25

松本乱菊は、古城に来ていた。

「はい、注文の性別転換の秘薬。それから、こっちはおまけの媚薬入りポーション」

「京楽、お前は・・・・・」

「いいじゃない、浮竹。女の子同士でするのも、気持ちよかったでしょ?」

「あら、浮竹さんを女の子にして、そのまま京楽さんが襲うのじゃないのね。京楽さんも女の子になって、二人で百合プレイするのかしら」

「ノーコメントだ」

浮竹は、赤くなりながら、京楽を殴っていた。

「じゃあ、あたしは帰るわね」

「まて、せっかく来たんだ、少しゆっくりしていけ」

「え、でも、秘薬もってきたし、あたしにもう用はないでしょ?」

「ここ最近平和すぎて、することがない。せかっく遊びにきてくれたんだ。つもる話しでもして、泊まっていけ」

「浮竹さんがそういうなら、お言葉に甘えるわ」

乱菊はそう言って、古城に泊まった。


「だからねぇ、ブラッディ・ネイは何気にいい顧客なのよ。特に媚薬系のポーションを大量に買って行ってくれるから」

「ブラッディ・ネイは・・・・・あれは、肉欲の塊だからな」

浮竹は、実の妹ブラッディ・ネイに厳しい。

そうしないといけないようなことを、ブラッディ・ネイはしてきたし、今でも浮竹を伴侶として欲しがっていた。

「今は、ブラッディ・エターナルとかいう、俺に似た少女を寵愛しているそうだ」

「それなんだけど・・・・・・」

乱菊は、言いにくそうに浮竹と京楽に話す。

「ブラッディ・ネイから聞いたんだけど、女体化した浮竹さんと男性のままの京楽さんが睦み合った時、受精した卵子を盗んで、育てたそうよ」

「・・・・・本当なのか」

「ええ」

浮竹は、頭を抱え込んだ。

「ブラッディ・ネイめ・・・・」

「浮竹、じゃあブラッディ・エターナルって子は、僕らの子になるの?」

「そうなるな。でも、ブラッディ・ネイの手で育てられたのなら、今更俺たちが本当の親だと名乗っても、なんにもならないだろう」

「そうだね。あのブラッディ・ネイの寵愛を欲しいままにして、そのまま助けを求めることもしてこないってことは、僕らの子というより、ただ僕らの子の受精した卵子を盗んだだけになるから」

浮竹も京楽も、あまりブラッディ・エターナルを助けたいとか、親として名乗りでたいとか、そいうことを言わなかった。

「ブラッディ・ネイは俺を愛しているからな。俺によく似た、自分好みの寵姫ができたのなら、深く愛するだろう。ブラッディ・ネイに愛されて、愛を返しているのなら、俺たちはブラッディ・エターナルとやらとは無縁でいたい」

「あらー。てっきり、怒って俺らの娘を返せっていうのかと思ってたのに。意外~」

「娘をもった実感がない。受精した卵子を盗んだんだろう。本当は、この世界に生まれてくる命じゃなかった。つみとるのもかわいそうだから、放置でいいと俺は思う」

「僕も、浮竹に賛成だね。娘って言われても、絶対愛せない。ブラッディ・ネイに育てられた子なんて」

乱菊は、高級ワインをぱかぱかおかわりしていく。

かなり酒に強いようで、浮竹は酔ってつぶれてしまっていた。

「あら、京楽さん、あなたもお酒つよいのね?」

「そういう乱菊ちゃんもね」

京楽は、ワインだけでなくウォッカやジンといった、アルコール度の高いものをもちだしてきた。

「どっちが強いか、飲み比べしない?」

「あら、いいわね。負けないんだから」

そうして、二人は深夜まで飲んだ。

結局最後は乱菊が酔いつぶれて、酒豪の京楽は、ゲストルームに乱菊を寝かせ、自分たちの寝室に浮竹を寝かしつけて、その隣で寝るのであった。

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「うう・・・頭いたい」

次の朝起きると、浮竹は酷い二日酔いに眉を顰めた。

「浮竹、大丈夫?」

京楽が、水をもってきて、飲ませてやった。

「あたしも頭いたーい。久しぶりに二日酔いになったわ・・・・」

「乱菊、何か効くポーションはないか?頭が痛くてどうしよもない」

「あるわよ。二日酔いにきく万能ポーション。1個金貨4枚だけど、買う?」

「金をとるのか」

「ふふふ、友達でも、お金はもらうわよ?原価がかかってるんですもの」

「ほら、金貨4枚だ」

浮竹は、金貨4枚を渡して、乱菊から二日酔いに効くポーションをもらい、それを飲んだ。

「乱菊、腕をあげたな」

薬はよく効いて、嘘のように二日酔いは消えていた。

「うふふふ。あれから更に勉強して、あたしの錬金術士の腕は金クラスからプラチナクラスまであがったの」

「すごじゃないか!」

「ありがとう、浮竹さん。全部元を正せば、師匠になってくれたあなたのお陰よ」

「乱菊ちゃん、いつかミスリルクラスになれるといいね」

京楽が、戦闘人形のメイドが作った朝食を手に、ダイニングルームで、浮竹の世話をしていた。

「うふふふ、いつ見てもあなたたち、仲いいわね。見ているだけで、こっちがお腹いっぱいになっちゃうわ」」

乱菊は、開いた胸元を直しながら、二人を見た。

「京楽、乱菊の分の朝食も頼む」

「分かってるよ。乱菊ちゃん、昨日は夕飯あまり食べずに酒盛りになったから、お腹すいてるでしょ」

「ああ、そうなのよ!お腹ぺこぺこよ!浮竹さんのとこの戦闘人形の料理の腕はピカ一だから、楽しみにしてたのに、昨日は京楽さんと飲み比べになったでしょ?」

「俺は、すぐに酔いつぶれたけどな」

「浮竹はお酒に強くないんだから、仕方ないよ」

「京楽が酒に強すぎるんだ」

3人は広いダイニングルームで、少し遅めの朝食をとった。

「そうそう、新しい服が欲しいのよね。魔女の里と周辺は田舎だから、ろくなお店がなくって。この古城って、ガイア王国でもけっこう賑わってる町が近くにあるじゃない。いろいろ買いたいから、二人とも、付き合ってくれない?」

「俺は構わないが、お前はどうする、京楽」

「浮竹が行くなら、もちろん僕もいくよ」

「世界樹の雫を売ったお金があるから、お金には困ってないのよね。それに最近は錬金術の腕も認められて、世界中に顧客がいるし。もうかって、ウハウハなの」

朝食を食べ終えて、着替えをした浮竹と京楽は、神々の谷間を強調する魅惑的な衣服を着た乱菊を連れて、町にまで繰り出した。

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「なんで、俺だけ女なんだ・・・納得がいかない」

浮竹は、京楽の手で女体化する秘薬を飲ませられて、体が女性になっていた。

「今日からしばらく、浮竹には女体化したままでいてもらうから」

「だからなんで」

「僕がそうしたいと思ったから」

「お前の考えることは、時折よくわからん」

「あら、かわいい、浮竹さん、女の子になると美人ね?元から美人だけど、拍車がかかって素敵!」

乱菊は、浮竹の腕をとって抱き着いた。

「いいねぇ女の子同士で買い物!僕は荷物を持つ係でいいよ。といっても、アイテムポケットに入れちゃうけどね」

乱菊に連れられて、ランジェリーショップに入った。

浮竹は真っ赤になっていたが、乱菊が選んだ、かわいらしいブラジャーとパンティーを買った。
ベビードールも買った。

乱菊は、無論自分のものも買うが、浮竹を着急かせ人形にできるのが楽しいのか、終始ご機嫌であった。

「なぁ、これ、胸元空きすぎてないか?あと、こっちのスカート、スリットが入りすぎだ」

「似合ってるわよ?肌が白いから、ワインレッドが似合うわね。あ、こっちの服もかわいい!あっちも、浮竹さんに似合いそうね?」

「乱菊、絶対遊んでるだろ」

「あら、いやね。楽しんでるのよ。同性の友達と、こうして衣服を買うのが、夢だったのよ?」

「俺は男だぞ」

「でも、今は女の子じゃない」

「う・・・・」

京楽は、浮竹に似合う服を次々と買って、アイテムポケットにいれていく。

「乱菊ちゃん、肝心の自分の分選ばないと」

「あらそうね。浮竹さんの衣服ばかり見てて、自分の分を買うの忘れてたわ」

乱菊はそう言って、気に入った服を次々と買っていった。

京楽のアイテムポケッとに入れると、浮竹の分とごちゃ混ぜになるので、乱菊は自分の服は自分のアイテムポケットに入れていった。

認識阻害の魔法をかけてはいるが、女の子になった浮竹と、妖艶な乱菊は目立った。特に、浮竹が目立った。

「かわいいね、彼女たち。よければ、俺たちとお茶しない?」

噴水で、休憩していた浮竹と乱菊のところに、ちゃらちゃらした3人組の男性がきた。

「あたしたち、暇じゃないの。他を当たってちょうだい」

「ひゅー、こっちの彼女かわいいーー」

「離せ!」

「ちょっと、浮竹さんに何するの!」

浮竹は、エルフに見えていたが、美貌は認識阻害の魔法をかけても隠しきれなかった。

「ちょっと、何してるんだい?」

瞳を真紅にした、京楽が、二人分の飲み物を買って現れた。

「この二人は僕の連れだよ。手を出すなら、死んでもらうけど?」

「やべぇ、こいつSランク冒険者の京楽だ!逃げろ!」

3人組は、冒険者だった。

Dランクの、駆け出しの冒険者だったが、Sランク冒険者である京楽の顔は知っていた。無論浮竹の顔も知っているのだが、今は女体化しているせいで、美しいエルフに見えた。

「浮竹も乱菊ちゃんも、怪我がない?」

「大丈夫よ。それとり浮竹さん、大丈夫?腕、きつく捕まれてたでしょ」

「大丈夫だ。それより、早く買い物を終わらせて古城に戻ろう」

「えー。さっきのはなかったことにして!もう少し、ショッピング、楽しみましょ?」

「僕がちゃんと見ておくから。乱菊ちゃんと、楽しんでおいで?」

浮竹は乱菊に連れられて、次の服屋に入り、そこでも大量に買い物するのだった。

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「今日は、このレストランで夕食をとろう」

貴族階級が出入りするレストランだった。

Sランク冒険者も出入りしていた。

ブルーのマーメイドワンピースを着た浮竹と、ワインレッドの同じ形のマーメイドワンピースを着た乱菊をエスコートして、京楽は中に入った。

個室を貸し切りにして、浮竹も京楽も乱菊も、そのレストランのメニューを食べて、満足しているようだった。

「おいしいな」

「本当に、おいいしわ。京楽さん、よくこんな場所知っているのね」

「冒険者のギルドマスターが経営に携わっているレストランだよ」

「そうなのか。気づかなかった」

「ああ、今日の浮竹は一段と美人だね」

「あたしの選んだ服、似合ってるでしょ?」

「うん、すごくいいかんじだ」

褒められて、浮竹は真っ赤になった。

ワインを呷るように飲む。

「浮竹、酔うと帰るの大変になるから、ワインはほどほどにね?」

「分かってる・・・・」

浮竹は、ワインの代わりにアルコール度の低いカクテルを注文して飲んだ。

「この味、帰ったら戦闘人形に教えておこう・・・・・」

浮竹は、一度味わったものなら、レシピなしでも戦闘人形に作らせることができた。

乱菊は、ワインをたくさん飲んだ。京楽もだ。

「酒に強いのは、羨ましい・・・・・」

「あら、あたしには酔えるほうがいいけど。強いから、酔えるようになるまでが大変なのよね」

「僕は酔ったことないから、分からないね」

3人で食事を楽しんで、古城に帰還した。

アイテムポケットから出した浮竹の女ものの服を、京楽は空いているクローゼットにしまいこんでいく。

その日は、そのまま風呂に入り、皆普通に就寝した。

次の日も、浮竹は女体化したままだった。

「たくさん服用したから、少なくともあと2日は女性のままよ?」

「京楽、お前、こうなることを知ってて・・・・」

「なんのことだろうね」

「後で、覚えてろ!」

乱菊は、2日古城に泊まって、故郷である魔女の里に戻っていった。

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京楽は、自分もまた女体化の秘薬を飲んで、女性になった。

浮竹が服を選んでいる間に買った、セクシーセーターを着て、ベッドの隅で縮こまっている浮竹の背を撫でた。

「ひゃあ!」

「そんなに緊張しないで。ああ、かわいいよ十四郎」

ベビードールを着た浮竹に、京楽はメロメロだった。

「たくさん愛してあげるからね?」

「やぁあん」

ベビードールの上から、控えめな胸を揉みしだかれて、浮竹は甘い声をあげていた。

「ああ、かわいいね、このベビードール。脱がせるのが勿体ないよ」

浮竹は、女性もののブラジャーとショーツを身に着けていた。

それを、京楽の手が脱がしていく。

「愛してるよ、十四郎」

「あ、やっ」

胸の先端に吸い付き、にじみ出る母乳を舐めた。

「やああ」

ショーツを取り去った秘所は、濡れていた。

「ああ、もうこんなに蜜を溢れさせて」

京楽は、セクシーセーターを着たまま、浮竹の秘所に舌を這わせた。

「ああ、甘いね。君の体液は甘い」

「ああん!」

秘所の中に舌をいれられた。

「あああ!」

浮竹は、女の体でいっていた。

「春水、お前も!」

浮竹は、京楽のセクシーセーターを脱がして、京楽の放漫な胸を揉んだ。

「んっ。いいよ、十四郎。その調子で」

京楽の下着をはぎとり、自分がされたように、胸に吸い付いて、秘所に舌を這わせた。

「んっ」

「春水、もっと声出して?感じてる春水の声が聞きたい」

「僕はいいから。君をいかせたい」

京楽は、浮竹の濡れた秘所に指を入れて、Gスポットをぐりぐりと刺激した。

「やああああ!!!」

ビクンと、浮竹の体が弓なりにしなった。

「や、いっちゃう、いっちゃう!」

「好きなだけいっていいよ」

陰核に舌を這わしてつまみあげると、浮竹は泣きだした。

「気持ちよすぎて怖い」

「大丈夫だから、十四郎。好きなだけいって?」

京楽は、何度も舌を秘所に這わせて、溢れ出る蜜を飲んだ。

舌で抉りながら、指も侵入させて、Gスポットをせめた。

「あああああああああ!!」

ぷしゅわあああ。

音を立てて、浮竹は潮をふいていた。

「やああ、潮、やだああ、やあああ」

「浮竹は、男の子でも女の子でも、潮をふいちゃうね?」

「やぁあ、言わないでええ」

浮竹は何度もいかされたが、まだ自分を保っていた。

「今度は、俺が春水にしてやる」

「無理はしなくて、いいからね?んあっ」

いきなりGスポットを指でぐりぐりされて、京楽は珍しく喘いだ。

「ちょ、十四郎」

「春水もきもちよくなって?せっかくお前も女なんだ。いってしまえ」

浮竹は、京楽の秘所に舌を這わせて、秘所に溢れる蜜を口にした。

「お前の体液も、甘い・・・・・」

「主である、君のせいだよ・・・・・」

ぐりぐりと、Gスポットを舌で抉ってから、浮竹の指が入ってくる。それはGスポットの天井あたりを刺激した。

「ああっ」

「春水、かわいい。もっと声聞かせて」

「十四郎・・・・・」

二人は、お互いの秘所をいじりあいながら、口づけをした。

舌を絡ませあう。

それから、一緒のタイミングで吸血した。

「あああああ!!!!」

「んくっ」

凄まじい快感に、お互いを抱きしめあっていた。

「十四郎、愛してるよ」

「あ、春水、俺も愛してる・・・・・・」

脚を交差させて、秘所と秘所をくっつけ合わせた。

そして、指でぐりぐりと刺激する。

Gスポットを互いに刺激しあいなあがら、高みにのぼっていく。

「ああああん!」

「んあっ」

快感に頭が真っ白になった。2人そろって、潮をふいていた。

そのまま、真っ白な快感の波にのまれて、二人は微睡んでいった。






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始祖なる者、ヴァンパイアマスター24

「浮竹殿、京楽殿!」

「ルキアちゃん、大丈夫だった?怪我とかない?」

「ルキア君、ああいう連中は魔法の一発でもかまして、痛い目を見せたほうがいい」

「私は無事です。浮竹殿と京楽殿に迷惑はかけたくないので・・・・」

「ほんと、ルキアちゃんはいい子だねぇ」

「ああ、さすが白哉が溺愛する妹だ」

ルキアは褒められて、顔を赤くしながら、ずっしりとした金貨を受け取った。

「あの、これは?」

「討伐依頼の報酬金と、ドラゴンの素材をさばいたのと、ミスリルのゴーレムを買い取ってもらった全ての金額を、3当分にしたうちの1つだ」

「受け取れません」

「いいから、受け取って。冒険者は、こうやって生計を立てているんだから。ルキアちゃんも、一応Aランクの冒険者ってことになってるし」

「でも、こんな高額・・・・」

「それだけのことを、僕らはなしとげたんだよ」

「京楽の言う通りだぞ。遠慮せずに受け取ってくれ」

「浮竹殿と京楽殿が、そこまで言うのなら・・・」

ルキアは、大金の詰まった袋を、アイテムポケットにしまった。

そして、馬車を雇って、古城の近くまでくると、馬車の業者に金貨を数枚握らせて、古城に戻った。

「ルキア、おまえ何してたんだ!」

「ルキア、どこへいっていた?」

ルキアの守護騎士である一護と冬獅郎が、古城にきていた。

「あ、浮竹殿と京楽殿と冒険者ごっこをしていた。ドラゴンを、私一人の手で倒せたのだぞ!あと、聖属性の攻撃魔法を、新しく2つ覚えれたのだ」

「あんま心配かけんなよ。置き手紙で、浮竹さんと京楽さんのとこ行ってくるって書いただけだっただろ。ほんとに、心配したんだぞ」

「すまぬ、一護。しかし、私は守られてばかりは嫌なのだ!強くなりたい!」

「それで、浮竹と京楽を頼ったわけか」

「そうだ。心配をかけたことは本当にすまぬ。だが、2週間近くの冒険で、私は成長した。ドラゴンを単独で屠れるようになった」

「ドラゴンっていっても、竜族じゃない雑魚ドラゴンだろ」

「そ、そうだが、それでも倒せるようになったのだ!」

一護は、ルキアの頭を撫でた。

「おめでとう、ルキア。でも、お前を守るのは、俺と冬獅郎の仕事だ。仕事を全部とりあげないでくれよ?」

「う、うむ・・・・」

「一護、ルキアと最近仲がいいな・・・・・できてるのか?」

「な、冬獅郎、違うぞこれは!」

「そうだぞ!何故皇族の皇女である私が、こんな一護如きに!」

「こんなってなんだよ。如きってなんだよ」

「そ、それはつまり・・・・」

ルキアは真っ赤になった。

「はいはい、その先は血の帝国に戻ってからにしてくれないかな。長旅で、僕も浮竹も疲れてるんだよ」

「はっ、そうでした!浮竹殿、京楽殿、本当にお世話になりました。また、遊びにきてもいいですか?」

「いつでもおいで」

「ああ、いつきてもいいぞ・・・ただし、夜はなるべくやめてくれ」

「は、ばい!」

ルキアは真っ赤になってから、一護と冬獅郎を伴って、血の帝国に帰っていった。


「疲れたね」

「ああ。今日は、飯を食って風呂に入ったら、もう寝る」

「そうだね。僕もそうしよう」

長旅の疲れを癒すように、白桃の温泉の素をいれた湯に浸かってから、戦闘人形の作った夕食を口にして、その日は早めに就寝した。

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「十四郎、愛してるよ」

「なんだ、こんな朝っぱらから」

「昨日は疲れてたから我慢したけど、もう君を2週間以上も抱いていない。我慢の限界だよ」

「春水・・・」

二人は、風呂に入ってから、衣服を脱ぎあって、ベッドに上でもつれあった。

「んっ!」

薄い胸板を撫でられて、浮竹は久しぶりの感触を味わっていた。

京楽とは、3日に一度は睦み合っていた。

「んん・・・・・」

「ああ、君の肌だ。雪のように白くてなめらかで・・・」

京楽は、浮竹の肌に舌を這わしていく。

鎖骨に吸い付いて、首元から胸元にかけて、花びらを咲かせた。

「あ・・・・・・」

胸の先端を口に含んで舐め転がして、反対側をつまみあげた。

「あ!」

ぴりっとした刺激を受けて、浮竹のものはわずかに勃ちあがっていた。

それに手をかけず、京楽はしつこく胸ばかりをいじった。

「やああ、触ってえ」

京楽は、それでも浮竹のものに触れない。

「やだあああ」

浮竹は、我慢できずに自分のものを自分でしごきだした。

その大胆な行動に、京楽が驚く。

「今日の十四郎は、エロいね?」

肩に噛みついて吸血してやった。

「あ”あ”あ”!!!」

気が狂いそうなる快感に、浮竹の体が暴れる。

それを制して、京楽は口に残った浮竹の血液を、浮竹に与えた。

「ああ・・・甘い・・・・・・」

「ね、君の体液は甘いでしょう?」

再び、京楽は浮竹の血を啜った。

人工血液剤を噛み砕いていたが、渇きすぎていた。

「あ、俺を抱いてくれ、春水!おれをめちゃくちゃにしてくれ」

吸血による快感に支配されながら、浮竹はそんなことを言っていた。

「たっぷり、かわいがってあげるから。君を抱くのは2週間ぶりだよ」


「あああ!」

蕾にローションを垂らした指が入ってきて、浮竹を追い詰める。

「やあああ、触って!」

「まだ、だめ」

「やあああ、意地悪言わずに触ってええええ」

京楽は、浮竹の勃ちがったものには触れずに、指で蕾をぐちゃぐちゃにした。

「触って・・・ああっ」

我慢できなくなって、浮竹は自分のものに手を這わせた。

「ああああ!!!」

触っていると、京楽の手で包まれた。

そして、戒められる。

「やああ、いかせて!」

「勝手に触っちゃだめじゃない。十四郎、我慢できなかった?」

こくこくと頷く浮竹にキスをして、京楽は戒めをといてやる。

浮竹の濃い精液が、びゅるびゅると勢いよく弾けた。

「あああああ!」

「ここに、僕のものをあげるからね」

前立腺めがけて、京楽は己の猛ったものを突きいれて、抉ってやった。

「やあああああ!!!」

京楽は、浮竹と舌を絡み合わせた。

「やあん」

前立腺をぐりぐり刺激してやると、浮竹はかわいく啼いた。

浮竹は、また精液を吹き零しながら、涙を流した。

「あ、春水、春水、もっと!」

「淫乱な子だ。でも、そういうの好きだよ」

「ひあああ!」

最奥の結腸までごりごりと擦りあげられて、浮竹は京楽の腕に噛みついて、血を啜った。

「ああいいね・・・気もちいいよ十四郎」

「俺の奥で、奥に出してくれ。お前の熱い子種を」

「出すよ。ぶちまけるから、全部飲みほしてね」

「ひああああ!!」

「すごい締め付けだね・・・・ん、君の中がうねって、熱くて凄い」

京楽は、2回連続にわたり、浮竹の胎の奥に出していた。

出されるその感触にうっとりとしながら、浮竹は自分の唇を舐める。

「ああ、エロいね。君のその仕草、好きだよ」

「やあああ!!」

奥を抉ってやりながら、浮竹のまだ萎えていないものに手を添えて、しごきあげた。

「ひっ!や、いく、いちゃう、だめえええ」

「好きなだけいっていいよ。かわいいよ、十四郎」

「やあぁ、春水」

浮竹は、精液を京楽の手の中に放ちながら、オーガズムでもいっていた。

「あああ・・・・・」

最後の一滴までを絞り出して、浮竹はそれ以上精液を出すことはなかった。

かわりに、時折潮をふいた。

「やああ、濡れちゃうから、潮はやだぁ!」

「女の子みたいにいく十四郎は好きだよ?」

「やあああ!!!」

京楽に体位を変えられて、背後から貫かれていた。

「あ、ああああ!!」

抉られ、思い切り揺すぶられて、浮竹はオーガズムでいきまくっていた。

「いやぁ、久しぶりだから、いくのがとまらない、やだぁ」

「好きなだけいっていいよ。足始末はちゃんとしてあげるから」

「ああああ!!」

ごりっと、結腸の入り口をこねられて、浮竹はいっている最中に、京楽が肩に噛みついて吸血してきた。

「んああ!」

浮竹は、吸血による快楽を受け止める。

「あ、あ、あ、春水の、最後の一滴まで、俺にちょうだい。孕むくらいに」

「いいよ。全部君にあげる。だから、孕んでね?」

「あ、ああああ!!」

全部を受け止めて、浮竹は下腹部を膨らませた。

「んあああ・・・・・」

最後の一滴まで、奥に出されるのを感じながら、浮竹は意識を失った。


体を濡れたタオルでふいて、中にだしたものをかき出してやり、シーツを変えた違うベッドに浮竹を横たえた。

「今日の君は、大胆だったね」

「や、言うな」

意識を取り戻した浮竹は、自分のあられもない姿を思い出して、顔を赤くさせていた。

「ああ、春水の子種がない・・・・」

「また、今度たっぷりあげるから」

「約束だぞ?」

「うん、約束だよ」

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まだ昼だったので、二人で風呂に入り、少しだけ午睡して、起きた。

「まだ昼過ぎか・・・・・」

戦闘人形に遅めの昼食を作ってもらい、それを食べた。

それから、ミミックのポチにドラゴンステーキをあげようとして、噛まれた。

「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~」

「ああ、全く君は・・・・」

京楽が呆れながら、ミミックのポチから浮竹を救出した。

「こらポチ、浮竹にかみつくと、浮竹が喜ぶでしょう?」

「るるる~~~~」

ポチは、ドラゴンステーキを食べて、しかっている京楽の足にかみついてから、どこかに行ってしまった。

「浮竹、ポチちょっと狂暴になってない?」

「そりゃ、2週間も餌与えず放置してたからな」

「ああ、そういえばポチの餌を置いてくの忘れてたね・・・・」

ポチは、2週間放置されたことに機嫌をそこねたいた。


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「あら、手紙?」

魔女の松本乱菊に、手紙がきていた。

なんでも、性別転換の秘薬が気に入ったから、作ってほしいと書いてあった。

「そう簡単に、作れるものじゃないのだけど」

差出人は、京楽春水。

少し面白いことになりそうだと、乱菊は、添えられていた小切手の額を確認して、性別転換の秘薬を作るために、自分のアトリエに入っていくのだった。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター24

古城に戻ると、恋次は白哉の元に帰り、ルキアはしばらくの間古城に滞在するらしかった。

「ブラッディ・ネイが、ブラッディ・エターナルという、浮竹殿にそっくりの寵姫を新たに迎えたのだが、浮竹殿と血縁関係があるわけがないから、きっと他人の空似ですね」

「そりゃそうだよ。浮竹に子はいないんだから」

その、ブラッディ・エターナルが、女体化した時の浮竹と京楽の間にできた、受精した卵子から作られていることを、浮竹も京楽も知らなかった。

ブラッディ・ネイの寵愛は、今ブラッディ・エターナルが独占していた。

血を与えて、血族にしていた。

「そういえば、冒険者ギルドで、僕たち向けに依頼がきてたね」

「どんな依頼だ?」

浮竹が、魔法書を読みながら、京楽に尋ねる。

氷で冷やした麦茶を飲みながら、浮竹はS級ダンジョンで入手した魔法書を最後のページまで読み終えると、京楽に向き直った。

「なんでも、古代遺跡に出現する、機械じかけのゴーレムを倒してほしいらしいよ。他のSランク冒険者も討伐にいったけど、みんな負けて帰ってきたんだって」

「機械じかけの、ゴーレム。失われた古代文明の遺産か」

古代文明といっても、その間も浮竹は生きていたのだが。

人間世界に興味はなかったので、人間社会の文明がどうとかなんて、知らなかった。

おまけによく休眠していて、実に5千年の間眠っていた。実際に活動していたのは、3千年くらいだ。

「報酬が、古代文明の幻の魔法書らしいよ」

がたりと、浮竹は席を立った。

「京楽、退治しにいくぞ」

「ええっ!」

「じゅあ、私は留守番しておきますね」

「いや、ルキア君もきてくれ。古代のゴーレムを倒せるなんて、ドラゴン退治よりよっぽど珍しい」

「あの、私にはドラゴン退治も珍しいものなんですけど」

ポチのための、ドラゴンの肉は大量に手に入れていた。

アイテムポケットのドラゴンの素材を売るためにも、3人は冒険者ギルドに行くことになった。

冒険者ギルドに顔を出すために、認識阻害の魔法をかけていた。

浮竹はエルフの魔法使いに、京楽はハーフエルフの剣士に、他の人間から見たらそう見えた。

ルキアは、エルフの神官に見えるようにしておいた。

「おや、Sランク冒険者の浮竹さんと京楽さんじゃないか。今回は、一人仲間が増えているんだね」

ギルドマスターが、浮竹たちの対応に当たってくれた。

「うちのギルドの存在する、どのSランク冒険者でもだめだったんだ。残るは、あんたらしか、頼れる相手がいない。無理を承知で頼む。ゴーレムを、退治してはもらえないだろうか」

「報酬は、本当に古代文明の幻の魔法書なんだな?」

「ああ、そうだ。売れば、一生遊んで暮らせる」

「売らない。読んで、自分のものにする」

「魔法使いなら、それもありだろう」

この世界において、魔法は神が人間に与えた能力であった。人間社会で、魔法は研究され、増えていった。

それを、ヴァンパイアたちも覚えていった。

人間がいなければ、魔法は少なく、多彩な魔法は生まれなかっただろう。

ヴァンパイアは、その種族独特の魔法を持っている。

血の魔法と呼ばれる、自分の血を使って武器として使用したりするものだった。

他の種族には使えない魔法だ。

浮竹がもつ魔法のほとんどは、人間の文明が発明した魔法だった。

「引き受けてくれるか」

「ああ、引き受けよう」

「ありがたい!そっちのエルフの神官の女の子は、冒険者登録していないようだな?登録しないと一緒にいけないから、登録しておこう」

適性検査で、ルキアはAクラスの冒険者となった。

「Sクラス冒険者のパーティーにはAクラスのメンバーもいたこともあるし、お前さんたちなら大丈夫だろう」

浮竹は、この前クリアしたドラゴンのS級ダンジョンの素材を、解体工房で出して、大金を手に入れていた。

ドラゴンそのものをほいほいと出されて、受付嬢は失神寸前だった。

「ちょっと待て、まだあるのか」

ギルドマスターが、ストップをかける。

「まだ、半分だが?」

「すまないが、これ以上は買い取れない。資金が足りない。加工して売りさばかないと、続きを買い取れん」

「じゃあ、残りは隣国ででも売る」

「ああ、そうしてくれ」

ギルドマスターは、冷や汗をかいていた。

冒険者の最高ランクはSクラスであるが、Sクラスの中でも上位の者と下位の者がいる。

浮竹たちは、Sクラス以上の冒険者で、上位存在であった。

もしもSクラスの上に階級があるなら、そこに振り分けられていただろう。

冒険者ギルドから、直接馬車を出してくれた。

その古代遺跡まで、馬車を利用して移動した。

10日かかった。

途中に町で宿をとったりしていた。

目の前に浮かぶ光景に、京楽は目を見開いていた。

「大地が、浮かんでる!」

「大地そのものに、風の魔法がかけられている。半永久的な魔法だ」

「すごい遺跡ですね」

ルキアが、驚いていた。

「こんな遺跡をみるのは数百年ぶりだ。よく、荒されずに残っていたものだ」

馬車は最寄りの村に残して、徒歩で古代遺跡に向かったので、人間はいなかった。

遺跡を探索して、ワープ装置を利用して、浮いている島を移動する。

途中までくると、討伐依頼の出ていた機械じかけのゴーレムと遭遇した。

「ギギギギ。エラーエラー。侵入者を発見、これより掃討に移ります」

機械じかけのゴーレムの体は、ミスリルでできていた。

神の金属と呼ばれるミスリル製のために、魔法も剣も普通は効かないのだ。

京楽が、雷の魔法を纏わせたミスリル銀の剣で切りかかるが、傷一つ負わせれないでいた。

「浮竹、そっちにいったよ!」

「ライトニングノヴァ!」

浮竹は、雷系の魔法を使って爆発させるが、ミスリルでできたゴーレムには効いていなかった。

「浮竹殿、危なない!」

ゴーレムがレザービームで攻撃してきた。

それを、ルキアがシールドを張って、防いでくれた。

「ルキア君、防御を頼む」

「はい!」

「京楽は、俺に魔力を注いでくれ」

「わかったよ」

浮竹が呪文の詠唱に入る。

「我は神の子の焔。炎は踊り踊り、悲しみも怒りも飲みこむのである。我は神の子の焔。神の怒りの炎により、ここにきたれ、炎の精霊王、イフリート、フェニックス!トライアングルエクスプロージョン!」

ごおおおおおおおおお。

凄まじい火力の炎が燃えさかる。

浮竹は、炎の精霊王、イフリート、フェニックスの3体の炎を召還して、魔法としてゴーレムに浴びせた。

「ガガガピー。損傷を確認。これより、自動モードを手動モードニキリカエ・・・ガガガガピーーー」

ミスリル製のゴーレムは、半ば体を溶かされていた。

「ミスリルを溶かす炎・・・すごいね」

「禁呪だ。普段は、使わない」

「浮竹殿、その札は?」

「ああ、東洋の妖の友人からもらったものだ」

浮竹は蛇を召還して、その蛇からもミスリルを溶かす炎を吐かせていた。

「活動を、完全に停止、シマス」

ゴーレムは、半分体を溶かしたまま、その意思を失った。

京楽は、その溶けたミスリルのゴーレムに、まだ動かないか念のため血の刃を向ける。

札のせいで猛毒になっている京楽の血は、存在が生物であったならほぼ死んでいただろう。

機械仕掛けのゴーレム、人工生命体なので、京楽の血の毒はきかなかったし、すでに動きを停止していた。

「このゴーレムの体、持って帰ろう。ミスリルでできているから、いい武器防具ができそうだ」

「とりあえず、ミスリルが溶解したままだと危ないので、固まるのを待とうよ」

ミスリルの溶解が止まるまで、浮竹、京楽、ルキアは遺跡を探検し、出没するモンスターを倒した。

「東洋の僕の加護のお陰で、血が猛毒になるから、血の刃で切るだけでモンスターを倒せられて楽でいいよ」

「俺には、毒ではないのだがな」

「そりゃ、主である浮竹に血を吸われるんだから、僕の血が浮竹にとって猛毒であるはずがないよ」

浮竹は、札を使って黒い蛇を召還すると、炎を吐かせたり、戒めてその毒で殺したりして、東洋の友人からもらった札を大切そうに使った。

モンスターは後から住み着いた存在らしく、主にキメラが多かった。

「フレイムロンド!」

蛇も一緒になって、炎を吐いた。

キメラは、黒焦げになって倒れていく。

「あ、宝箱!」

きらんと、浮竹の目が光った。

「ちょっと、ここは古代の遺跡だよ。宝箱に、ミミックは・・・・」

でも、ミミックだった。

「暗いよ怖いよ狭いよ息苦しいよ~~~」

じたばたともがく浮竹を見て、京楽は苦笑いを浮かべる。

「浮竹殿、今助けます!」

ルキアも大分慣れたのか、ルキアが助け出してくれた。

「ウィンドノヴァ」

風の爆発を起こして、ミミックは消えていった。

後に残されれたのは、古代の魔法書だった。

「やった、魔法書だ。何々・・・・・古代エルフ語でかかれているな。翻訳魔法を使ってと・・・・」

浮竹は、魔法書の解読に取り掛かった。

周囲にはもうモンスターはいないようだったが、ルキアが念のために結界を張ってくれた。

そして、浮竹と京楽の魔力を回復するように、魔力回復の魔法を使ってくれた。

「ルキアちゃん、ありがとね。さっきのでごっそり魔力をもっていかれたから、助かるよ」

「ええと・・・・炎と雷の融合・・・・・ライトニングフレイムストーム。ふむふむ。新しい魔法をまた一つ覚えれた!」

浮竹は、顔を輝かせた。

そして、ルキアに結界を解いてもらい、移動して出てきたキメラにその魔法を使った。

「ライトニングフレイムストーム!」

まず最初に電撃が走り、同時に炎の嵐が起こる。

キメラは、体を黒焦げにした後、灰となった。

「ちょっとオーバーキルだな。禁呪ではないが、違う属性を組み合わせた魔法は珍しい。覚えてれよかった」

更に奥に進んで、右に曲がるとまた宝箱があった。

「宝箱っていうかミミック!」

浮竹の中で、宝箱はミミックになっていた。

でも、その宝箱は普通の宝箱だった。

「なんだ、ミミックじゃないのか。京楽、適当に中身をアイテムポケットに入れておいてくれ」

「浮竹、でも古代の魔法書だよ」

「何、それを早くいえ!」

浮竹は、京楽の手から魔法書をひったくった。

「浮竹殿は、本当に魔法書というか、魔法の収集が好きなのですね」

「まぁ、浮竹の趣味だからね。昔から収集が好きだったみたいで、今だと民間魔法も含んて2千以上の魔法を使えると思うよ」

「2、2千をこえる魔法・・・・凄まじいですね」

普通、魔法使いが使える魔法は10種類程度。Sランクの魔法使いでも、50種類がやっとといところだ。

チートもここまでくれば、もう呆れるしかない。

「浮竹、どんな魔法だったの」

「水中で呼吸できる魔法だった。攻撃魔法じゃないが、海や湖の地形のダンジョンで、使えそうだ」

「よかったね。使える魔法で」

「別に、しょうもない民間の魔法でもいい。新しい魔法なら、どんなものでも大歓迎だ」

何気に、ネクロマンサーが使うような魔法も覚えているが、使わないことにしていた。

死者の冒涜を、浮竹は嫌っていた。

大事な血族が反魂で蘇り、死していくのを目の当たりにして、余計に黒魔術と呼ばれる種類の、アンデットを操ったりする魔法は使わない。

するすると、黒蛇が浮竹の元にやってきた。ミスリルでできたゴーレムの熱が下がり、触れても大丈夫だと教えてくれた。

「黒蛇を置いてきていた。ミスリルの熱が下がって、アイテムポケットに入れても大丈夫なようだ」

来た道を戻り、ゴーレムのところにまでくると、京楽がアイテムポケットに収納した。

「さて、帰ろうか・・・・って何してるの」

「黒蛇たちに、お宝の場所を探してきてもらった。宝箱をあけに移動するぞ」

「はぁ・・・本当に君は、宝箱というかミミックが好きだね」

浮竹は、遺跡で残っていた全ての宝箱をあけた。

全部ミミックで、浮竹は嬉しそうにかじられていた。

「暗いよ怖いよ狭いよ息苦しいよ~~~」

じたばたもがく浮竹を、京楽とルキアが助ける。

浮竹は黒蛇を操って、ミミックを倒すと、ミミックは古代の魔法書をドロップした。

「なになに、熱がさらにあがる魔法・・・・使えないな。でも覚える」

古代の魔法書といっても、いい魔法ばかりではない。つまらない民間魔法がほとんどだった。

「京楽、今度熱を出したら、更に熱を出すようにしてやるからな」

「やめてよ、僕を殺す気なの?」

「ヴァンパイアは、熱が出たくらいじゃ死なない」

「浮竹殿、熱をあげる魔法であれば、低体温の危ない時とか、寒い時なんかに使えるのではないですか?」

「さすがルキアちゃん。変な魔法だけど、低体温の危ない時に使うのはいいかもね。寒い時には、僕の体温をあげて、浮竹を抱いて体温を分けてあげる」

その言葉に、浮竹は少し赤くなって、京楽の頭を殴った。

「なんで殴るのさ!」

「抱くとかいうからだ」

「あ、私は気にしていませんので」

ルキアは真っ赤になりながらも、聞こえなかったふりをすることにした。

「じゃあ、どうせだから堂々としよう」

「京楽?」

「愛してるよ、浮竹」

「んっ」

舌が絡むキスをされて、肩に噛みつかれて吸血された。

浮竹は、体重を京楽に預けて、お返しにと京楽の首筋に噛みついて、吸血した。

ルキアは真っ赤になって、あたふたしていた。

「ルキアちゃん、ごめんね。古城に戻るまで、馬車でまた10日も揺れると思うと、その、渇きがね・・・・」

人間社会に居る時に、人工血液を口にしていると、ヴァンパイアだとばれてしまう。

血の帝国は人間国家と国交をしているが、それでも人々はヴァンパイアを恐れ、人を襲い血を吸って殺すヴァンパイアがいるので、ヴァンパイアハンターがいた。

「ここは血の帝国から遥かに離れた人間たちが住む世界ですから。ヴァンパイアとばれるのは、危険です」

本当は、10日も馬車に揺れるのに、人間の御者を雇いたくなかったのだが、ギルドマスターに怪訝な顔をされるので、大人しく人間の御者を雇った。

「とりあず、することはもう終わった。帰ろう」

遺跡から一番近い村に待たせてあった馬車に乗りこみ、3人は冒険者ギルドのある、ガイア王国の街まで戻った。

「約束のゴーレムを退治してきた。ミスリルでできているから、武器防具になると思って、アイテムポケットに入れて持って帰ってきた」

解体工房で、機械仕掛けのミスリル製の、半分溶けたゴーレムを出した。

ギルドマスターは驚いた、受付嬢は、やっぱり規格外だと、顔を青くさせていた。

「ミスリルが溶けたのか。どんな魔法を使えば、そうなるんだ」

「鍛冶師だって、ミスリルを溶かして武器防具を作るだろう。それと似たようなものだ」

「鍛冶師は特別な炎を使う。まぁいい、依頼達成だ。報酬金金貨2千枚と・・・このゴーレムは、ギルドで買い取っていいか?」

「好きにしてくれ」

「では、金貨7千枚で買い取ろう」

「分かった」

「あと、ドラゴンの素材を打って莫大な額を手に入れたから、残っているドラゴンの素材があれば買いとるぞ」

「わかった」

浮竹と京楽は、アイテムポケットから10体のドラゴンの死体と、素材になる部分を出した。

ポチの肉は確保しておいたので、全てを売ることにした。

「金貨1万5千枚で買い取ろう」

少し買いたたかれている気もするが、買い取ってくれるだけありがたいので、その金額で売却した。

「また、ドラゴンを退治したら持ってきてくれ。買いとる」

「ああ、分かった」

「それじゃあ、僕らはこれで」

ルキアは、解体工房に入らず、ギルドの外で待っていた。

「なぁ、エルフのお嬢ちゃん、俺らと茶しようぜ」

「人を待っている」

「そんなつれないこと言うなよ」

「ごほん」

宇井竹が咳払いすると、ちんぴらに近いことをしていたBランク冒険者たちが驚く。

「Sランクの、浮竹さんと京楽さんの仲間でしたか。失礼しました。おい、お前らいくぞ」

「ちっ、Sランクだからって大きな顔しやがって。今に見てろ」









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始祖なる者、ヴァンパイアマスター24

ミミックのポチの餌のドラゴンステーキが切れたので、浮竹と京楽は、ドラゴン類ばかりが出る、S級ダンジョンにきていた。

今回は、ルキアが一緒だった。

一護と冬獅郎に守られてばかりは嫌だと、同行したいと申し出できたのだ。

正直、ルキアをS級ダンジョンに連れていくのは、気乗りしなかった。

ルキアは聖女だ。その癒しの力があればいいので、強くなる必要はない。守護騎士である一護と冬獅郎の存在もある。

「私は、守られるだけの存在でいたくないのです。私も、誰かを守る存在でありたい」

そんなことを熱弁するルキアに折れて、浮竹と京楽は、ルキアを連れて、難攻不落ともいわれるドラゴンばかりがでる、S級ダンジョンに挑んだ。

水と食料を、3人分で1週間分用意して、アイテムポケットにいれる。

一階層は、プチドラゴンが出た。

ルキアは、かわいいと言っていたが、狂暴なので噛みつかれる前に、浮竹がファイアアローの魔法で倒してしまった。

「かわいいけど、狂暴なのか・・・・・」

ルキアは、残念そうにしていた。

「ルキアちゃん、守ってあげることもできるけど、強くなりたいなら自分からモンスターを討伐しなきゃ!」

「はい、京楽さん!」

ルキアは、聖なる槍、ホーリーランスでプチドラゴンたちを退治していく。

プチドラゴンは、素材になるのは瞳なので、浮竹は瞳をくりぬいて、アイテムポケットに入れていた。

ルキアもアイテムポケットを渡されてはいたが、素材は必要ないので、自分の分の水と食料、あとテントと寝袋、薬の類をいれていた。

「ホーリーランス!」

ルキアが倒したプチドラゴンの数は、優に100体を超えた。

ルキアが使える魔法は、聖属性で、攻撃魔法の数はあまり多くない。その分、魔力をこめて魔法を唱えた。

「ほら、ルキア君も解体してみるといい」

かわいいプチドラゴンの瞳をくりぬいていく、スプラッタな浮竹に、ルキアは首を振って顔を青くして、遠慮した。

血は、浮竹が自分の血を操る能力を生かして、血を蒸発させる。

プチドラゴンの瞳は、一応ドラゴンであるので、錬金術の材料なんかになった。

鱗はもろいので、防具の材料にはならない。牙も爪も小さいので、武器の素材にもならない。

「しばらくは雑魚ばかりだろうが、仕方ない。ルキア君がレベルアップするためにも、あえてワープ魔法は使わず、最深部まで攻略しよう」

一度攻略したことのあるダンジョンは、クリアしたことのある階層はワープ可能であった。

素材を集めて金銭を稼ぐのも目標にしていたので、浮竹も京楽も、一階層から攻略をはじめた。

5階層につくと、宝箱が5つほど並んでいた。

「宝箱ですね!」

「あ、ルキア君、それミミックだから、触らないほうがいいぞ」

浮竹の指摘に、箱を開けようとしていたルキアの手が止まる。

「俺が代わりにあけよう」

浮竹は、ミミックに食われていた。

「暗いよ怖いよ狭いよ息苦しいよ~~~」

ミミックにかじられる浮竹をはじめて見るルキアは、おろおろしていた。

「ああ、ルキアちゃん気にしないで。浮竹は、わざとミミックに噛まれるのが好きなんだよ」

「怪我を、しないのですか?」

「ミミックは、そこまで攻撃的じゃないからね。かじって相手を脅かせるくらいだ。よいしょっと」

京楽は、じたばたしている、ミミックに噛まれていない浮竹の下半身に力をこめて、ミミックに押しつけると、ミミックはおえっとなって浮竹を吐き出した。

「ファイアアロー」

「きゅううう」

断末魔を浴びて、ミミックは消えていった。

残されたのは、金の延べ棒。

浮竹は、嫌そうな顔をして、アイテムポケットに入れた。

「せっかく金が出たのに、何故浮竹殿はあんなに嫌そうなのですか」

「浮竹はねぇ、魔法書をドロップしなかったから、機嫌を損ねているんだよ。浮竹は魔法コレクターだからねぇ」

浮竹は、残りの4つの宝箱をあけた。

全部、ミミックだった。

ミミックにかじられて、倒した後に4連続で魔法書が出て、浮竹は機嫌がよさそうだった。

「どんな魔法だったんだい?」

「水をお湯にする魔法、風邪を引きやすくなる魔法、祈りをこめれば聖杯に聖水がわく魔法、頭をモヒカンにする魔法だ」

「1番目と3番目は使えるけど、2番目と4番目は使えなさそうだね」

「4番目の魔法を試したい・・・・」

じっと、浮竹が京楽を見た。

京楽は、首を振った。

「僕はいやだからね」

「じゃあ、自分にかけてみる」

「ちょっと待って!浮竹がモヒカンになるくらいなら、僕がなるから!」

「浮竹殿、京楽殿?」

二人の展開についていけず、ルキアは首を傾げるのであった。

数分後、頭がモヒカンになった京楽がいた。

「うぷぷぷぷ、似合うぞ、京楽」

「京楽殿・・・・ぷふっ」

「ああもう、ルキアちゃんにまで笑われたじゃない!治したいから、早く血をちょうだい!」

ちなみに、京楽の血は、東洋京楽の札により、猛毒になっている。浮竹だけには無害だが、他の者には有害であった。

「んっ」

浮竹は血を啜られて、甘い声を出していた。

「浮竹殿・・・・・」

妖艶なその姿を見て、ルキアは頬を赤くしていた。

「浮竹殿と、京楽殿は恋人同士でしたね。私はお邪魔むしでしょうか」

「そんなことないぞ、ルキア君」

「そうだよ。そんなことないって。それにダンジョンに潜る間は、吸血の他はキスとハグだけだよ」

「キスとハグだけでも、見ていて恥ずかしいです」

「俺は気にしない」

「僕も気にしてないよ。ルキアちゃんの見てないところでするから、大丈夫だよ」

「はい。見ていないところでしてください」

浮竹は、東洋の妖にもらった札を使って、蛇を召還して、ドラゴンに巻き付かせて、噛みつかせてその毒で倒したりしていた。

「僕が東洋の僕からもらったのは、僕の血を猛毒にするものだったけど、君がもらったのは蛇を使役できる札なんだね」

京楽は、ミスリル銀でできた魔剣を使わず、猛毒となった自分の血でドラゴンたちを倒していく。

ドラゴンといっても、知能の低い、恋次のような竜族ではないドラゴンだ。数は多く、竜族は世界に200匹くらいしかいない。普通のドラゴンは、地域によって異なるが数千匹はいる。

階層が深層に近付いていくほどに、でてくるドラゴンは強くなっていった。

「ホーリーランス!ホーリーアロー!ホーリーブレス!」

ルキアは、自分がもちうる攻撃魔法の全てを使って、一人でドラゴンを退治した。

「ルキアちゃん、やるじゃない」

「ドラゴンを聖属性の魔法で倒せるなんて、凄いぞ」

「いえ、浮竹殿と京楽殿には遠く及びません」

「でも、一人でドラゴンを倒せるようになってる。強くなったな、ルキア君」

「はい!」

ルキアは再度褒められて、目を輝かせた。

6日かけて、深層の最下層に到達した。

出てきたボスは、カイザードラゴン、恋次だった。

「何をしているんだ、恋次君」

「バイトっす。ドラゴン迷宮のラスボスのバイト」

「白哉の傍にいなくていいのか?」

「白哉さんの傍には、分身体を出しているので大丈夫っす」

「では、この前覚えた、ドラゴンの肉をおいしく加工する魔法で、恋次君を・・・・」

「うわあああああ!!ギブアップです!だから倒さないでください!」

「恋次、バイトなんだろう。きちんと、戦わないのか」

「戦ったところで、倒されるのがおちだ。だからギブアップする」

自動的に勝利ということになって、宝物庫への扉が開く。

「魔法書魔法書。ミミックミミック」

浮竹の頭は、金銀財宝ではなく、魔法書とミミックで支配されていた。

ゴゴゴゴゴ。

重い扉が開き、金銀財宝が姿を現す。

「うわぁ、宝の山ですね」

「ミミックは・・・・いた!」

金銀財宝の右に、ミミックが並んでいる列があった。

それに、順番にかじられていく浮竹に、もう慣れた様子でルキアが苦笑していた。

京楽は、浮竹をひたすら助けた。

浮竹は、財宝からも魔法書を発見して、全部で16冊の魔法書を抱えて、ほっこりしていた。

「お、この魔法、聖属性の攻撃魔法だ。ルキア君にぴったりじゃないか?俺も覚えるけど」

浮竹は、癒しの魔法こそ使えないが、全ての属性の魔法を使えた。

聖属性の魔法は苦手だったが、禁呪じゃないので覚えれた。

「ホーリーワールド・・・・」

聖なる空間に閉じ込めて、敵を圧縮してしまう魔法だった。

「浮竹殿、京楽殿、我がままにつきあっていただき、ありがとうございました。おまけに、新しい聖属性の攻撃魔法まで覚えられました。今回の経験を活かし、今後に励みたいと思います」

「ああ、戦わないで宝物庫まで案内したから、バイト代はでないな。まぁ仕方ない。浮竹さんと京楽さんが相手じゃな・・・・・」

恋次は、竜化を解いて、人の姿になっていた。

タトゥーが増えていた。

恋次はもともと南にある帝国の皇帝だ。よく毒殺されて、死んでは蘇り、タトゥーを増やしていた。

恋次また始祖竜であるので、不老不死の呪いをもっていた。

「恋次、何故始祖竜である貴様がバイトなどしておるのだ」

「いや、白哉さんが身に着けてる、あの薄い白いなんとかいう首に巻いてるやつを、くしゃみをし拍子に、炎を吐いてしまって、白哉さんは無事だったんだけど、着ているものがだめになっちまって。なんでも、一枚で屋敷が建つとかで、弁償することになって。帝国の金を使うわけにもかず、牙と爪を少しだけ抜いて売ったけど、まだ足りなくて、んでここでバイト募集してるの知って、給金がよかったからバイトしてた」

「兄様の銀白風花紗を焦がしたのか!」

「そうだ。すまん」

「あれは、兄様が皇族である証でもある。兄様にとってはとても大切なものであるから、今後は気をつけろ」

「ああ、分かってる。白哉さんの守護騎士なのに、白哉さんの衣服をだめにしちまった。反省も、している」

「ならば、よいのだ」

ルキアは、うんうんと頷いた。

恋次は、白哉のことが好きだったが、ルキアのことも好きだった。

でも、ルキアには最近一護という存在がいるから、ちょっかいをかけることをしていなかった。

「ルキア、白哉さんにお詫びに何を渡したらいいと思う?」

「そうだな、兄様は辛い食べ物が好きだから、貴様の南の帝国で出る辛い料理をなどを振る舞えば、そこそこ嬉しがるのではないか?」

「お、初耳だ。そうしよう。ありがとな、ルキア」

「恋次も、兄様を大切にするのだぞ」

「当たり前だ!」

そんなことを言い合っている二人を放置して、京楽は魔法書に夢中になっている浮竹を置いて、金銀財宝をアイテムポケットに収納するのに忙しかった。

「ああもう、浮竹も手伝ってよ」

「この魔法書が難解なんだ。古代エルフ語と、古代ドワーフ語でかかれてある。翻訳魔法を使いながら、今解読している」

十数分かけて、やっと浮竹は魔法書の解読を終わらせた。

「ファイアノヴァ。アイシクルノヴァ。ライトニングノヴァ。ウォーターノヴァ。ウィンドノヴァ。アースノヴァ。セイントノヴァ。ダークノヴァ。ノヴァ系の魔法全8種。習得完了」

「あ、セイントノヴァとは聖属性の魔法ですか?では、私も覚えれますか?」

「ああ、ルキア君にも教えてあげよう。現代語で、呪文と効果を書いてあげよう」

浮竹は、白い紙を取り出すと、自動的にインクが滲む魔法のペンで、ルキア用にセイントノヴァの魔法書を書いて、それをあげた。

「ありがとうございます、浮竹殿!」

「ノヴァば新星を表すそうだ。属性をこめた爆発の魔法だな」

「うわー、浮竹ってば、新しい魔法習得できて生き生きしてるね」

「そりゃそうだろう。8千年も生きているのに、また新しい、それも攻撃系の魔法を覚えれたんだ。嬉しくもなる」

「残りの魔法書は、どうするの?」

「いつまで財宝の間にいるわけにもいかんしな。アイテムポケットに入れて、古城ででも読むさ」

京楽は、最後の金貨と宝石細工をアイテムポケットに入れた。

「ルキアちゃん、金銀財宝いっぱいあるけど、いる?」

「いえ、それは浮竹殿と京楽殿で分けてください!私は、金には困っていませんので」

仮にも、ルキアは皇族だ。

金ははいて捨てるほどある。

「恋次クンは・・・ボスなのに、戦闘せずに負けて、おまけに財宝に手を出したらやばいよね?」

「やばすぎるっす。ダンジョンマスターの古代エルフたちに、ボコボコにされる」

この世界には、人間の他にも亜人種も存在する。エルフ、ドワーフ、有翼族、獣人族、羽耳族などだ。

「じゃあ、撤収だね。難攻不落のドラゴンS級ダンジョンクリアだよ!」

京楽が、魔剣を掲げて、ルキアと恋次が拍手をした。

浮竹は、魔法書を読んでいた。

「ちょっと、浮竹、こんな時くらい調子をあわせてよ」

「今、いいところなんだ。じゃあ、帰るか」

帰還の空間転送魔法陣に乗って、4人はS級ダンジョンの外に出ていた。

ちょうど、今からS級ダンジョンに挑もうとしているパーティーと遭遇した。

エルフの魔法使い、人間の剣士、獣人の盗賊、有翼族の神官のパーティーだった。

「S級ダンジョンを攻略したのか!?」

「そうだけど?」

「ラスボスは、ラスボスはなんだった?」

「カイザードラゴン」

「うわぁ。俺たちのパーティーでは、倒せないだろうな」

「まぁ、がんばれ」

「ちなみに、ラスボスはこの恋次クン。バイト中の身で、バイト辞めたから、今ならラスボスなしでクリアできるよ」

「よし、皆、がんばるぞ!」

パーティーは、一致団結して、ダンジョンに挑んでいった。

ちなみに、最後までクリアして財宝の間にくると、財宝はまた出てくる。

ダンジョンマスターである、古代エルフたちのしわざであるが、浮竹にも京楽にも、どうでもいいので、ダンジョンの財宝はおまけ程度にしか思っていなかった。



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始祖なる者、ヴァンパイアマスター23

ブラッディ・ネイに呼ばれて、浮竹は京楽と共に血の帝国に来ていた。

建国8千年を祝う、式典があったのだ。

国中が祭りで、皆は楽しみながら騒いだ。

浮竹と京楽も、祭りの喧騒に飲みこまれて、宮殿で行われる式典に参加しながら、最高級のワインを口にしていた。

式典といっても、ブラッディ・ネイが創造神ルシエードの像に、建国8千年の祝い事を述べて、あとは立食会形式のパーティーとなった。

後宮の寵姫たちは全て呼ばれているので、会場の人数は圧倒的に少女が多かった。

「兄様、楽しんでる?」

「そこそこにな」

「浮竹、ワインはほどほどにしなよ。君、酔うと脱ぎ出す癖があるんだから」

「分かっている。もう少し、飲むだけだ」

そう言って、浮竹はワイングラスを開けていく。

「ねぇ、兄様。このワインは、特別製なんだ。ボクが特別に作らせたものなんだよ。飲んで?」

ブラッディ・ネイは、青いワインを浮竹に進めた。

浮竹が、中身を口移しで京楽にも飲ませた。

「あ、兄様、余計なことを・・・・・」

「ん?・・・体が熱い・・・・・」

「あ、僕も・・・・」

気づくと、二人の体は女性のものになっていた。

「なんだこれは!ブラッディ・ネイ、お前、また変な魔法をワインにかけたな!?」

「ううん、これは男性が女性になる薬だよ。松本乱菊って魔女から取り寄せたんだ」

「乱菊、こんなもの作っているのか・・・・・」

浮竹は、ぶかぶかになった衣服を、着にくそうにしていた。

「兄様ともじゃひげ、たまには違う楽しみ方してみれば?後宮の奥の館を貸してあげるから、二人でいちゃつくといいよ。兄様も、ボクの気持ちが分かると思うから」

そう言って、ブラッディ・ネイは寵姫たちを構いに、戻ってしまった。

-------------------------------------------

「なぁ、京楽・・・・体が熱くないか」

「熱いね・・・・媚薬の成分、絶対に入ってるよ」

「後宮の奥の館が開いているらしい。俺は、このままじゃそこらの男を求めてしまいそうだ。京楽、お前がいいなら、このまま・・・・・」

「浮竹、歩ける?」

「なんとか」

浮竹は長い白髪に翡翠の瞳をもつ美女に、京楽もまた長い黒髪に鳶色の瞳をもつ美女になっていた。

「お前、女体化すると、美人だな」

「そういう浮竹も、いつも美人だけど、更に美人だね」

二人して、熱い息を吐く。

二人は、よろよろとお互いを支え合って、後宮の奥の館にやってきた。

ベッドに腰かけると、舌が絡み合うキスをした。

どちらからともなく、衣服を脱いで裸になった。

「ああっ」

浮竹は、秘所が濡れているのに気づき、真っ赤になった。

「大丈夫、浮竹、僕も同じだから」

胸の膨らむみを揉みしだいてくる京楽の手は、しかし優しく、胸の先端を舐めて転がすと、浮竹は母乳を出していた。

「や、なんでぇ。十四郎の子、孕んじゃった?」

「僕が男なら、孕ませているけど、あいにく僕も女の子だから、体質じゃないかな」

「やぁぁあ」

「君のミルク、甘いね。僕が全部飲んであげる」

京楽は、浮竹の胸をもみしだき、浮竹の母乳を全て吸うように、胸を吸い上げた。

「あああ!」

京楽は、浮竹の鎖骨に噛みつく。

「んあっ」

そのまま、うなじから鎖骨、胸、へそにかけてキスマークを残していく。

「ああ、いつものものがないから、君を貫けない。残念だよ」

そう言いながら、京楽は濡れている浮竹の秘所に舌を這わせた。

「やああ、だめえええ」

浮竹は身を捩るが、京楽がそれを許さなかった。

浮竹の秘所から溢れ出てくる、甘い蜜を吸い上げて、陰核を指でつまむと、ビクンと浮竹は体をしならせていっていた。

「やああぁぁあ!!」

「浮竹は、女の子になっても、エロいね」

「やあああ」

浮竹の秘所に舌をいれて、抉ってみる。

天井のあたりにある、感じる場所をしつこく舌でなめてから、指を入れた。

「あああ!」

「指だけじゃ物足りないけど、仕方ないね」

何度も指で天井をこすりあげられて、浮竹は乱れた。

「やああん」

「浮竹の蜜、甘くておいしい」

ぷしゅわああ。

浮竹は、感極まって潮をふいていた。

「春水、ごめんなさい、春水」

恥ずかしそうに、浮竹は泣きながら謝る。

「君が潮をふくのは、男の子の体ででも同じでしょ?」

「やああん」

陰核にかじりつき、舌で突いてやると、浮竹はまたいっていた。

「ああ・・・・・」

ブラッディ・ネイが貪る快楽が、少しだけ分かった気がした。

今度は、浮竹が京楽を押し倒していた。

ほんのりピンクに染まった肌をみせながら、情欲で満ちた眼差しを向ける。

「今度は、俺がお前を気持ちよくさせてやる」

「十四郎?無理はしなくていいんだよ」

「いや、する」

浮竹は、自分のものより豊かな京楽の胸を揉みしだき、先端を口に含んだ。

「んっ」

「春水、もっと声聞かせて」

「だめだよ、十四郎」

「春水、愛してる。好きだ、春水」

京楽の溢れる蜜をすすり、秘所に自分が京楽にされたことを真似た。

「んっ」

京楽が、顔を手で隠した。

「もっと見せて、春水。お前の感じている顔が見たい」

「十四郎・・・・」

浮竹が、京楽の秘所に指をいれる。

京楽は、必死に我慢していたが、潮をふいていた。

「ああ、十四郎、十四郎」

「俺はここにいるぞ、春水」

京楽は、女の体ではじめてオーガズムでいくということを体験した。

その味わったことのない快楽の海に溺れていた。

「ああ、女の子の体も悪くないね。乱菊ちゃんってば、こんな薬作ったりして・・・今度、取り寄せようか。浮竹を女の子のまま犯したら、赤ちゃんできちゃうのかな?」

「やっ、春水」

京楽は、快楽の海をやり過ごしてから、浮竹に口づける。

舌を絡ませあって、お互いの秘所に指を入れあって、感じる部分を指でぐりぐりと刺激しあいながら、二人は同時にいっていた。

「あああん!」

「くっ・・・」

京楽は、浮竹のように淫らに喘ぐことはなかったが、女の体で感じることを、楽しんでいた。

「お風呂いこうか。洗いっこしよう」

「あ、春水、春水」

指を引き抜かれていく感触に、これ以上はないのだと、少し寂しい気持ちを覚えた。

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お互い泡だらけになって、互いの肌で体を洗いあっていた。

「いいなぁ、春水は胸がでかくて。俺はなんか小さい」

「小ぶりの君の胸は、かわいいし、形も整っていていいかんじだよ」

京楽は、胸についた泡で、浮竹の背中を洗った。

「んっ」

指を、そっと秘所に入れる。

「んあああ!」

ぬるぬるの泡だらけであったが、愛液がとぷとぷと溢れてきた。

「十四郎、愛してるよ」

「あ、春水・・・・・」

シャワーを取り出して、強に設定すると、それを浮竹の秘所にあてがった。

「いやあああああああ!!!」

シャワーの熱の勢いに、浮竹はびくんびくんと体を反応させて、いっていた。

「春水、刺激が、強すぎて、変になるぅ」

「もっといっって、僕の十四郎」

「ああああ!」

シャワーを外して、京楽は浮竹と口づけあい、互いを貪った。

「や、ミルクでる」

「君の体液も、全部僕のものだ」

にじみ出る母乳を舐めとって、ぺろりと唇を舐めた。

「春水、美人だ」

「それはどうも。でも、十四郎のほうが、僕より美人だよ」

「あああ、春水、春水!」

京楽に指で秘所を抉られて、浮竹はいきながら、京楽の名を呼んだ。

「女の子の体って、男と違って出し終わったらもう終わりじゃないのが、いいね」

「やあああ、もう何十回もいってる。春水、もうやだぁ」

泣きじゃくる浮竹をあやしながら、髪を洗ってやった。

そのまま、体をもう一度普通に洗い、髪を洗って風呂から出る。

用意されていたバスローブを身にまとって、京楽は筋力は落ちているが、それでも力はあるほうなので、ぐったりとしてる浮竹を抱き抱えて、ベッドに戻った。

「もうやぁ」

「もうしないよ。お風呂にも入ったし」

「十四郎・・・・」

「ん?」

「愛してる。今度、乱菊からこの薬買おう。女の体で、お前の相手をしてみたい」

真っ赤になりながらそんなことを言う浮竹が愛しくて、京楽は頷きながら、その白い髪を撫でて、二人で眠りにつくのだった。

----------------------------------------------------------------------------------

「やぁ、おはよう」

「ブラッディ・ネイ・・・・」

「乱菊の薬を、楽しんでくれたかい?」

浮竹と京楽の体は、元の男のものに戻っていた。

「悪くはなかった」

「そうでしょ、兄様。男同士で睦み合うのも悪くはないけど、女同士でもいいでしょ。昨日はたっぷり、京楽と楽しんだようだね」

浮竹は真っ赤になって、ブラッディ・ネイを睨んだ。

「ああ、ボクの兄様はかわいいなぁ。女の子になった兄様を襲いたかったけど、絶対京楽に殺されるから、京楽も女にしておいて正解だったね」

女あった間は、魔力が落ちてまともに魔法も使えなかった。

多分、薬の副作用だろう。

「ブラッディ・ネイ。今回はお前の仕出かしたことを不問にするが、今度勝手に薬をもったら、寵姫を全て取り上げるからな」

「それは酷すぎじゃない、兄様」

「う、うるさい!」

浮竹は、耳まで真っ赤になって、ブラッディ・ネイの頭に拳骨をくれてやると、京楽を伴って後宮の館を後にする。

「ひげもじゃ」

「なんだい」

「これ、乱菊の薬。キミにあげるよ。乱菊は通常じゃ取り扱ってない秘薬だから、性別転換の薬はこれしかない。兄様を女体化させて、楽しむといいよ」

そう言われて、京楽はびっくりした。

「ブラッディ・ネイ、君は浮竹が好きなんだろう。敵に塩を送るような真似を、何故する?」

「さぁ、何故だろうね?ボクが寵姫たちを愛し愛されるように、兄様にもいろんな愛を知ってほしいからかもね?」

京楽は、女体化するという秘薬を、こっそり懐にしまいこんだ。

浮竹と京楽は、白哉に頼んで作らせたラフな格好をして、ブラッディ・ネイの宮殿で朝食をとった。

式典があったので、白哉、恋次、ルキア、一護、冬獅郎も宮殿に泊まったらしかった。

祭りは、3日続けて行われる。

浮竹と京楽は、白哉たちと会話をして、昼食を食べてから古城に戻っていた。

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「浮竹」

「なんだ?」

「実は、ブラッディ・ネイから、乱菊ちゃんの性別転換の秘薬をもらったんだ。今夜、使ってみてもいいかい?」

浮竹は真っ赤になって震えていた。

「ごめん、無理なこと頼んで」

「い」

「え?」

「使って、いい・・・・・」

「本当に!?」

浮竹は真っ赤になって、京楽を張り倒していた。

「ただし、今夜だけだ!分かったな!」

「浮竹、嬉しいよ」

その夜、風呂からあがった後、浮竹は乱菊の女体化する秘薬を飲んだ。

白い髪に翡翠の瞳の美女がいた。

「十四郎、愛してるよ」

舌を絡ませないながら、口づけた。

「なんか、変なかんじだ、春水」

「何が?」

「いつもなら、興奮して勃起するに、勃つものがない」

「そりゃ、女の子だからねぇ」

そっと、浮竹の秘所に手を這わせる京楽。

「濡れてるね。男の子の浮竹も、甘い蜜を零して濡れるけど、また違ったかんじだね?」

「や、男の時と、比べるな・・・・」

浮竹をベッドに押し倒す。

浮竹は、女の体で京楽を受け入れるのは初めてなので、緊張していた。

「もっとリラックスして?怖がることは、何もないよ」

「でも・・・・・」

「愛してるよ、十四郎」

衣服を全部脱がせて、京楽も衣服を脱いだ。

「たっぷり、かわいがってあげる」

「あ、春水の子を、孕んでやる」

京楽は、ささやかな膨らみの浮竹の胸を揉んで、右の心臓の位置の胸に噛みつき、吸血した。

「あああ!」

胸の先端を口に含み、滲み出てきた母乳を吸い取る。

とてつもなく甘かった。

浮竹の体液は、京楽にとっては全て甘い。他の者でも、甘さを感じることができる。

それは、始祖であるが故の、神の愛の呪いのせいだった。

「十四郎、かわいい」

「あ、春水!」

京楽は、浮竹の秘所に舌を這わせた。

「やああん」

「きもちいでしょ、ここ」

「や、きもちい、もっと、もっと」

秘所の天井あたり、いわゆるGスポットを舌でぐりぐりと刺激すると、浮竹は体をくねらせた。

「あああ!」

いってしまっていた。

指を入れて、Gスポットを刺激してやる。

「やああ、春水、春水、早く来てくれ」

「十四郎、たっぷり子種受け取って、孕んでね?」

「あ、春水の子種受けて孕むから、早く!」

京楽は、猛った己のもので浮竹の秘所を貫いた。

「ああああ!!」

女の体は、自然と濡れる。

ローションの助けなしに、浮竹は京楽のものを、受け止めていた。

「あ、痛っ」

「十四郎、大丈夫?」

ぶちっと音がして、秘所から血が流れ出でた。

「大変だ、何処か怪我を!」

抜き去ろうとする京楽のものを締め付けて、浮竹は首を振った。

顔が赤かった。

「処女膜が、多分、破れたんだと思う」

その言葉に、京楽は目を見開いてから、浮竹を優しく抱きしめた。

「そうか、初めてだもんね」

「あああ、もう、待てない。早く、子種を注いで俺を孕ませろ」

京楽は、浮竹のGスポットを何度も抉りながら、突き上げた。

柔らかな体だった。

「女の子の君も素敵だ」

「あ、や・・・・・ああああ!」

陰核をつまみあげられて、浮竹はいっていた。

そのまま、京楽のものがコンコンと子宮口をノックする。

「やああ!」

「ほら、約束の子種だよ。たっぷり受け取ってね」

子宮口の中まで侵入してきた京楽は、浮竹の子宮にたっぷりと濃い子種を注ぎ込んだ。

それを、浮竹はうっとりとした表情で迎えいれる。

「血を・・・血を、吸ってくれ」

「そういえば、女の子同士の時は、血を吸っていなかったね。今、吸ってあげるからね」

浮竹の柔らかな太ももに噛みつき、ごくりと血を飲む。

「ああああ!」

浮竹は、京楽に子種を注がれながら、血を吸われていっていた。

「やああ、頭、おかしくなる、春水の子、孕んだ・・・・・」

「孕んじゃった?それはよかったね」

京楽は、一度引き抜くと、また浮竹の秘所を貫いた。

「あああ!!!」

「何度いってもいいよ。僕ので感じて、いっちゃって?」

「あ、ああ・・・・・・・・・」

ぷしゅわああと、勢いよく浮竹が潮をふいた。

それを舐めあげながら、京楽また浮竹の子宮の中に精子を注ぎ込んだ。

そのまま、激しく睦み合い、気づくと浮竹は意識を失っていた。

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「ん・・・・・・」

「気づいたかい?」

「俺は・・・・?」

「気のやりすぎで、意識を失っていたんだよ。お風呂には入れてあげたから」

もう、男の体に戻っていた。

「なんだ、もう元に戻ったのか」

少しつまらなさそうに、浮竹はバスローブを着た己の腹を撫でた。

「せっかく、京楽の子を孕んだのに、元に戻ってしまっては産めない」

「赤ちゃん、産みたかったの?」

そう聞くと、浮竹は頬を染めた。

「愛しい男との間に子を欲しいと思うのは、変か?」

「いや、変じゃないよ。その気になれば、魔法や呪術でなんとかなるだろけど、浮竹への負担が大きすぎる。ご免だけど、諦めて」

「ああ、最初から本気で、子を作りたいとは思っていない」

その言葉に、京楽がほっとする。

「君は今のままでも、十分にかわいくて綺麗でエロくて妖艶で・・・・・・」

途中で、浮竹に唇を奪われて、京楽は最後まで言えなかった。

「愛している、京楽」

「僕も、愛してるよ、浮竹」

二人は、睦み合う時だけ、お互いの下の名を呼び合う。

「まだ夜明けには、時間がある。もう一度、眠ろう」

「ああ」

二人は、穏やかな眠りに入っていくのだった。

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「兄様。ついに手に入れた、兄様」

魔女、松本乱菊の薬で女体化したまま交わった浮竹は、体が元に戻る前はすでに、受精していた。

実の兄の浮竹の受精した卵子を、呪術で手に入れた。

それを寵姫の腹に入れて、魔法をかけて猛スピードで育てあげた。

寵姫の腹にいれて、僅か3日でその寵姫は臨月を迎え、浮竹と京楽の子を産んだ。

「始祖の子。名前は、なんにしようか?」

女の子だった。

赤子は僅か1週間で、12歳くらいの、ブラッディ・ネイ好みの美少女に成長していた。

白い髪に、緑と鳶色の瞳のオッドアイを持つ、美少女だった。

「ブラッディ・エターナル。今日から、キミはそう名乗るといい」

「ブラッディ・エターナル・・・・あたしは、始祖浮竹と血族京楽の子。同時に、ブラッディ・ネイ、あなたのもの・・・・・」

ブラッディ・ネイはブラッディ・エターナルに口づけた。

「兄様の子・・・・愛してるよ。兄様の代わりに、ボクを愛してね?」

始祖浮竹とそっくりなブラッディ・エターナルは、ブラッディ・ネイの言葉に、頷くのであった。













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始祖なる者、ヴァンパイアマスター22

ニィが最後に残した、桔梗の花を摘み取って、それ死体の灰代わりにして、古城の娘であったエメラルドが眠る墓の隣に、ニィの墓を建てた。

本当のニィの墓は、血の帝国にあったが、藍染に暴かれて酷い有様になっていたので、取り壊した。

「ニィ、安らかに眠ってくれ」

浮竹は、ニィの安楽を願った。

それは、京楽も同じだった。

血族であり、浮竹を愛する者であった存在だ。存在した時間が違えと、同じ血族であった存在だ。

「ニィ・・・」

「浮竹?まだ、彼のことが?」

「ああ。藍染が、許せない。俺は確かにニィを愛していた。過去形だが、失ってその痛みがじわじわくる。藍染が、俺を殺せないからと、わざと京楽を狙う手も気に食わない」

「藍染のところに、攻めにいくかい?」

「いや、やめておこう。いろいろ罠があるはずだ。京楽も、無事ですまないかもしれない」

「僕って、そんなに頼りないかな?今回も、守られてばかりだったし」

「俺には神の愛の、不死の呪いがあるからな。でも、京楽はそうじゃない。京楽はヴァンパイアロードだが、藍染と対峙したら、きっと藍染に勝てない。あいつは、俺と同じ不死の呪いをもつ始祖魔族だ」

「そうなんだよね。僕も不老不死なら、よかったのに」

その言葉に、浮竹が首を横に振った。

「お前が人間だったからこそ、俺はお前を血族に迎え入れれたんだ。お前が始祖だったら、きっと出会ってもこんな仲にはなっていなかっただろう」

「浮竹・・・・愛してるよ。僕が、ニィの分まで君を愛するから」

「京楽・・・」

二人は手を繋ぎあい、ニィの墓に青い薔薇を添えた。

エメラルドの墓にも、青い薔薇を添える。

「愛しい者は、皆俺を残して死んでいく。京楽、俺を残して、死んでいくなよ」

「当たり前でしょ。君の傍で、ずっと愛を囁き続けるよ」

浮竹は、自分から京楽に口づけた。

「んっ」

ぬるりとした舌が入ってくる。

「んんっ」

腰が砕けるようなキスを受けて、浮竹は京楽に支えられながら、立っているのがやっとだった。

「ベッドに行こうか。続きをしてあげる」

風呂には入った後だった。



「んっ」

ベッドで、浮竹は乱れた。

長い白髪を宙に舞わせて、京楽の上に跨り、突き上げられていた。

「ああああ!!」

何度も、何度も突き上げられる。

「んあっ」

どさりと押し倒されて、京楽の熱が奥を抉る。

「あああ!!ひああ!!」

最奥の結腸をごりごりと削られて、浮竹は精液を放っていた。

京楽は、それをもったいなさそうに手ですくいあげて、舐めとっていく。

「や、何をしている、春水」

「甘いよ。君の体液は、なんでも甘い」

「春水・・・キスを、してくれ」

「お望みのままに」

京楽は、浮竹に口づけた。

「愛してるよ・・・」

いつもより、深く何度も愛を囁いた。

浮竹は、ニィのことで傷ついていた。その心を癒すように、何度も愛していると囁く。

「んあっ」

浮竹の前立腺をこするように、何度も動いた。

「あああ・・・・・・」

浮竹は、自分の腹に熱をぶちまけていた。

「勿体ない・・・・・」

そう言って、また京楽が浮竹の体液を舐めとっていく。

「甘いね。君のものば、とても甘い。まるで、薔薇の蜜のようだ」

「あっ」

舌に浮竹のものを残したまま、浮竹に口づける。

浮竹は、自分で出したものを自分で味わっていた。

「確かに、甘い・・・・・」

「でしょ?ああ、甘い浮竹は妖艶でエロいね」

「やっ。そんなこと、言うな・・・・」

自分の顔を腕で隠す、浮竹の手をどかす。

「感じてる、君の顔が見たい。顔隠さないで」

「ああっ!」

一度引き抜くと、ぐちゅりと音をたてて貫いてやった。

「やああああ!!」

浮竹は、ドライのオーガズムでいっていた。

びくびくと暴れる体を押さえつけて、浮竹の最奥に熱をねじ込んで、京楽も浮竹の中に精液を注ぎ込んだ。

「あ、もっと・・・もっとくれ、春水」

「十四郎、かわいいね。おねだりする十四郎、好きだよ」

そう言って、京楽はリズムを刻みながら、浮竹を突き上げる。

「あ、あ、あ、あ!」

そのリズムのたびに、浮竹は声を出していた。

快感に恍惚となる浮竹は、酷く妖艶でエロかった。

ペロリと自分の唇を舐める浮竹に、京楽はそろそろかと、浮竹の首筋に噛みついて吸血した。

「あああ!もっと、もっと!」

吸血による快感に酔いしれながら、浮竹はもっととせがんでくる。

「今日の十四郎は、血を吸われるのが好きだね?」

「ああああ!後で、人工血液剤噛み砕くから、俺の血を一滴残らず飲み干してもいい」

「さすがにそれは、無理かな」

京楽は、セックスの間に休憩をはさみ、浮竹に口移しで人口血液を与えた。

「ああ、喉が渇いたから美味いな」

「もっと飲む?」

「お前の血が、飲みたい」

浮竹は、瞳を真紅に輝かせていた。

「いいよ。好きなだけ、飲んで?乾いたら、君から血をもらうから。愛してるよ、十四郎」

浮竹は、京楽の首筋に噛みつき、ごくりごくりと血を啜って、嚥下した。

その白い喉が食べたくなって、今度は京楽が浮竹の白い喉に噛みつき、ごくりと一口、血を飲みこんだ。

「ああ、春水のが欲しい。俺の中を、春水ので満たして?」

「分かってるよ」

休憩を中断して、また睦み合った。

乱れ合う。

「あ、あ、孕みたいのに、いっぱい、いっぱい、春水のザーメンもらってるのに、孕めない」

「そりゃ、君は女の子じゃないからねぇ。女の子みたいに潮は吹くけど」

「やあぁああ」

最奥に愛の液体を注ぎ込まれながら、浮竹は何度もいった。

「愛してる、春水」

「僕も愛してるよ、十四郎」

ごりごりと、結腸の入り口をかき混ぜて、京楽は浮竹を味わった。

「あ、あ、そこゴリゴリされるの好き」

「ここかい?」

「やああん」

浮竹は、背をしならせる。

「もう何十回目だい?いってるの」

「やっ、分からない」

「僕も限界だ。休憩を挟みながらだけど、もう出すものがないよ」

浮竹の中に、最後の一滴を注ぎ込んで、京楽は浮竹の中から去っていった。

「あ、ああ、孕めない!孕みたいのに、孕めない!春水のザーメンが、外にでちゃう!」

「お風呂、いこっか」

「うん」

素直な浮竹を抱き上げて、シーツで包み込みながら、風呂場に移動して、京楽は浮竹の中に出したものをかき出そうとした。

「やあああ、出さないでぇ!春水のザーメン、出さないでぇ!」

「だめだよ。お腹壊しちゃう。かき出さないと」

「やあああ。孕めない・・・孕みたいのに・・」

シャワーの熱い熱で、浮竹の内部を入念に洗った。

「ああん」

「感じちゃってるの?かわいいね」

「やあああ」

「でも、僕はさすがに今日はもう出ない。君だけでも、いかせてあげる。指と舌があれば、何度だっていかせてあげられる」

浮竹は、風呂場で京楽から注がれた体液をかき出されながら、何度かいく羽目になるのであった。

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「反魂は成功したのに、自我を与えたのが間違いだったようだね」

藍染が、魔国アルカンシェルで、ニィの死を悟り、ため息を零していた。

「他の手札は・・・・」

ニィと同じような、浮竹の血族だったものはあと二人。

墓を暴き、灰は入手していた。

「同じ手はつまらないし・・・・仕方ない、しばし休戦といこうか」


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ブラッディ・ネイは楽しんでいた。

実の兄を後宮に入れた際に、その姿形を保った人形を手に入れていた。

「愛してるよ、兄様」

でも、相手は人形なので、何も言ってくれない。

それでも、ブラッディ・ネイは浮竹の姿をした人形に愛を囁き、口づけた。

今度、浮竹がやってきたら、また女体化する魔法をかけてやろう。

そう静かに、決意するのであった。









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始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝

西洋の浮竹と京楽は、東洋の浮竹と京楽とお茶をしていた。

ここは古城。

西洋の浮竹と京楽が暮らす世界。そこに、友人である東洋の浮竹と京楽がきていた。

夢渡りを利用して、こちらの世界にきてくれたのだ。

「茶葉はアッサムの皇室御用達のものを。お菓子はドーナツとチーズケーキで」

西洋の京楽は、同じ西洋の浮竹に一番にお茶を出してやった。

次に、東洋の浮竹に、その次に自分用に、最後に東洋の京楽に。

「この茶を入れる順番に、お前の好感度が反映されてるみたいで、見ていて楽しい」

西洋の浮竹は、そう言ってアッサムの紅茶を飲み、ドーナツを食べた。

東洋の浮竹は、もくもくとお菓子を食べていた。

その瞳が嬉しそうに輝いていた。

(俺の春水と同じくらい、おいしいな。お茶もおいしいし)

(ええ、ボクが作ったほうが、きっともっとおいしいよ)

にこにこと、東洋の浮竹を見ながら、同じ東洋の京楽はそんなことを言う。

「いや、僕の方が美味しいよ」

ここは譲れないのだと、西洋と東洋の京楽はばちばちと火花を散らせた。

お互い、本来の仲は悪くはないのだが、愛する伴侶のことになると、自慢大会をしそうなくらいに、火花を散らせた。

それに、西洋の浮竹は呆れていた。東洋の浮竹はというと、もっと仲良くできないのだろうかと、心配そうな表情をするのであった。


(十四郎、ほっぺにドーナツの砂糖がついてるよ)

東洋の京楽は、同じ東洋の浮竹のほっぺについた砂糖を、ぺろりと舌でとってしまった。

それに、東洋の浮竹が真っ赤になった。

(こら、春水、西洋の俺たちが見ているだろう!)

「いや、こっちの京楽も似たようなことしてくるから、別に隠さなくていいぞ」

「ふふふ、浮竹かわいい。愛してるよ」

西洋の浮竹は、西洋の京楽に抱き着かれて、赤くなりながら、次にそのほっぺをつねった。

「あいたたたた」

「東洋の俺たちが見ているだろうが!」

東洋の浮竹と同じようなこと口にするのであった。

(そうそう、この前S級ダンジョンとやらに潜っただろう。今度は、普通にみんなで攻略したいんだが)

(十四郎が、そう言ってきかなくてね。どうだい、もう一度そのS級ダンジョンとやらに、連れていってもらえないかい?)

「お前たちの頼みなら、叶えてやるしかないな」

「そうだね。あの時は一護君がいたから、戦闘には参加できなかっただろうし」

そうして、西洋と東洋の浮竹と京楽は、S級ダンジョンに潜るために、準備をするのであった。

4人分の水と食料を1週間分。あとはテントを2つに寝袋を4つ。

西洋の浮竹は、念の為に錬金術でエリクサーを作り、疲労回復、魔力回復のポーションを作った。

錬金術を見るのは初めてで、東洋の浮竹はきらきらした目で、西洋の浮竹の錬金術を見ていた。

(俺にもできるかな?)

「うーん、無理だろうな。こうなるまでに、休眠期間を除けば3千年かかった」

(3千年・・・・・そういえば、西洋のお前は何歳だっけ?)

「8千歳だが?」

(は、8千・・・・・・)

東洋の浮竹は、あんぐりと口を開けた。

(まぁ、始祖ヴァンパイアっていうくらいだから、年をとってても仕方ないよ)

「まるで、僕の浮竹がじいさんみたいな言い方だね?」

(いや、そういうつもりじゃなかっただんよ。気に障ったのなら謝る)

(初めに年齢を聞いて驚いた俺が悪い。春水、謝らなくていいぞ)

「別に怒ってなんていない。8千年も生きいる存在なんて、この世界でもほとんど存在しないからな」

(そ、そうだよな!でも、俺もあと2百年くらいしたら漸く千年生きたことになるな!)

(あ、うん・・・そうだね)

東洋の浮竹と京楽は、輪廻転生を繰り返していた。

(俺も、そうしたら錬金術が使えるかも!)

本気で錬金術士になりそうな勢いの東洋の浮竹に、東洋の京楽が本気で止めた。

(だめだよ、十四郎。そんな変なのになっちゃ)

「変ではないぞ。錬金術士は、ちゃんとした職業だ。ちなみに、俺は最高位クラスのミスリルランクの錬金術士だ」

(最高位・・・ミスリルランク・・・かっこいい)

まるで、自分で自分に惚れるかのように、輝く瞳で東洋の浮竹は、西洋の浮竹を見ていた。

(十四郎、絶対にだめだからね。錬金術なんて、ボクの十四郎には必要ない)

「そうだぞ。ここに、俺という錬金術士がいる。錬金術士なんて、一人いれば十分だ」

「浮竹の作る薬は、とてもよくきくよ?試しに、何かポーションでも飲んでみる?」

「こら、京楽、健康な体でポーションを飲むのは意味がない」

「ああ、それもそうか」

「とりあえず、必要になりそうな薬は全て作ってもっていく」

西洋の浮竹は、そう言って錬金術で、必要になるであろう薬を調合していくのだった。

ちなみに、東洋の京楽は千里眼をもっていた。自分の浮竹が錬金術を覚えたら、住んでいる雑居ビルを吹き飛ばす。

そんな未来が見えて、東洋の京楽はお菓子をだしたりして、東洋の浮竹から錬金術への興味削いでいくのだった。

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「ヘルインフェルノ!」

出てきたモンスターを西洋の浮竹が魔法で屠る。

(やっぱいいなぁ、魔法。かっこいい。俺も使ってみたい)

キラキラした瞳で、東洋の浮竹は西洋の浮竹を見ていた。

「魔法は、流石にこちらの世界の存在じゃないと使えないな」

(むう、残念だ)

(僕らは蛇神、蛇がいるでしょ?)

(いるが・・・火とか吐いたらカッコいいと思う)

(ごめん、周り燃やしそうだから却下で・・・・・)

そう東洋の京楽に言われて、東洋の浮竹はしょんぼりするのだった。

「そっちにいったぞ」

(うん、任せて)

向かってきたマンティコアを、東洋の京楽が影の蛇をけしかけて、戒めるとその毒牙でとどめをさしてしまった。

「蛇でそんなことができるのか。さすがは蛇神。東洋の京楽だな」

(あ、そっちにもいったよ)

西洋の浮竹に向かっていったマンティコアは、西洋の京楽の剣で斬り裂かれて、息絶えた。

「僕の浮竹に襲い掛かるなんて、一億年早い」

「なんだそれは」

西洋の浮竹が笑う。釣られて、西洋の京楽も笑った。

同じように、東洋の浮竹も京楽も笑うのだった。


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宝箱があった。

西洋の浮竹は、素早い動きで動いた。

「ちょっと、浮竹、絶対ミミックだって!」

「ミミックだからいいんだ」

そう言って、西洋の浮竹は宝箱をあけた。ミミックだった。

「狭いよ暗いよ怖いよ息苦しいよ~~~」

ミミックに上半身をかじられて、西洋の浮竹はじたばたしていた。

それに、西洋の京楽がため息をつく。一方、東洋の浮竹と京楽は。

(またやってる。すごいな)

(真似できないね。というか、学習能力がない)

そう言って、ドン引きされるのであった。


ミミックから救出された、西洋の浮竹は、炎の魔法でミミックを倒した。

ミミックは、魔法書をドロップして消えてしまった。

「やった、魔法書だ。民間魔法か・・・・どれどれ」

「また、変な魔法じゃないだろうね」

「毒の効き目を遅くさせる魔法だそうだ」

「へぇ、珍しく使えそうなやつじゃない」

(いつもはどんな魔法を覚えているんだ?)

「頭がアフロになったり、水虫ができたり、10円ハゲができたりする魔法だよ」

「おい、京楽、片寄りしすぎだろう。もっといい魔法もあるんだぞ」

「まぁね。でも、浮竹が覚える魔法のほとんどが、役に立たないのは事実だよね」

本当のことを言われて、西洋の浮竹は落ち込む。

「ああ、そんなつもりじゃなかったんだよ。ごめんね、浮竹。愛してるよ?」

西洋の京楽は、西洋の浮竹の顎に手をかけて、口づけた。

「んっ」

それを見ていた東洋の浮竹は真っ赤になって、京楽のほうはというとだたじっと、自分と同じ姿をした西洋の京楽を見ていた。

「ばか、東洋の俺たちが見てるだろうが!」

そう言いつつも、まんざらでもなさそうだった。

(こっちの十四郎も、僕の十四郎ほどじゃないけど、綺麗だね)

(え、ああ、まぁそうだな)

自分のことも褒められて、真っ赤になりながら、東洋の浮竹はペロリと唇を舐めている、妖艶な西洋の自分を見ていた。

「喉が渇いた」

(あ、お茶でものむか?)

「そういう渇きじゃない。京楽、血を吸わせろ」

そう言って、西洋の浮竹は、自分の血族である西洋の京楽に噛みつき、血を啜った。

(わぁ、本当に吸血するんだ。さすがヴァンパイア)

驚く東洋の京楽と違って、東洋の浮竹は心配そうにしていた。

(痛くないのか?貧血になったりはしないのか?)

西洋の浮竹は、血の付いた唇を舐めた。

「吸血行為は快感を伴うから、痛くない。飲みすぎると貧血には確かになるが、命に別状はない」

そう言って、西洋の浮竹は同じ西洋の京楽に、人工血液を与えた。

「君の血のほうがいいんだけどね」

「文句を言うな。どうせ夜に俺を抱いて、渇きを訴えるまで血を飲むんだろうが」

ベッドで吸血しあいながらもつれる二人を想像して、東洋の浮竹は更に真っ赤になった。

「どうした、東洋の俺」

(いや、なんていうか、本当にヴァンパイアなんだなと思って)

「心配しなくても、お前たちの血をくれなんて言わないぞ」

(当たり前じゃない!ボクの十四郎の血は、一滴たりとも与えないよ!)

警戒して、東洋の浮竹を抱きしめる東洋の京楽に、西洋の浮竹が笑う。

「本当に、お前は同じ東洋の俺が大事なんだな」

(当たり前でしょ。ボクの一番大切なものは十四郎だよ。十四郎はボクのものだ。例え西洋の君にだって、あげないよ)

「いや、別にいらん。同じ顔をの相手の血を吸いたいとも思わないし」

いらんと言われたことに少し寂しさを感じながらも、東洋の浮竹も自分の京楽が西洋の浮竹に血をい吸われることを想像して、きゅっと東洋の京楽の服の裾を掴んだ。

(春水も、血をやってはだめだぞ。お前は、俺のものでもあるんだから)

(当たり前でしょ)

「おいおい、だからお前たちの血は吸わんといってるだろう。蛇神だ。血に毒をもっているだろう?」

「うわぁ、毒の血なんて飲みたくないね。それにしても、東洋の浮竹は反応がかわいいね」

「どうせ、俺は可愛くない。ふん」

「そんなことないよ!浮竹が一番かわいくて綺麗だから!エロいし!」

いらんこと言う西洋の京楽に、西洋の浮竹はアイテムポケットから取り出したハリセンで、その頭をスパンと殴るのであった。

そんな様子を、これまた東洋の京楽と浮竹は、呆れながら見ていた。

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64階層の深層まできていた。

このS級ダンジョンは、65層で終わりだった。

「いよいよボスだ。覚悟はできているな?」

「うん。僕はいつでもいけるよ」

(俺も、いつでも大丈夫だ)

(十四郎、無茶はしないでね?)

扉をあけると、ヒドラがいた。

「ヒドラか。少しだけ、八岐大蛇のお前に、似ているかもしれないな」

(ボクは、こんな醜いモンスターじゃないよ)

「だた、首が複数あるところが似ていると言ってるだけだ。蛇神であるお前のほうが存在が上位だし、こんなモンスター楽勝だろ?」

(そうだね。見ていてごらん)

そう言って、東洋の京楽は、影からたくさんの蛇をだして、ヒドラに噛みついた。

ヒドラは苦しそうに暴れまわっている。

それを西洋の浮竹と京楽が、シールドを張ってヒドラの動きを封じた。

「東洋の俺。トドメをさしてやれ」

(分かった)

東洋の浮竹は、白い巨大な蛇を召還すると、ヒドラの体に巻き付き、その牙でヒドラをかみ殺してしまった。

「すでに、東洋の京楽の蛇の毒で弱くなっていたとはいえ、流石だな。蛇神の名を語るだけはある」

「本当だね。蛇を使役するところも新鮮でいいね」

「さて、財宝の間だ」

そう言って、西洋の浮竹は最後の扉をあけた。

ヒドラもドラゴンの一種である。宝をため込む性質があった。

いろんな金銀財宝で溢れていた。

「お前たちも、好きなだけもっていっていいぞ」

(いや、俺たちは遠慮しておく)

「じゃあ、せめてこれをもって帰れ。エリクサー。別名神の涙。どんな状態異常も傷もなおしてくれる。何かあった時に、役立つだろう」

(いいのか?確か、高いんだろう?)

「お前たちに何かあったほうが、俺にとってショックだ」

エリクサーは、1つで屋敷を建てられる値段がする。

東洋の浮竹と京楽は、金銀財宝には興味がないようだった。節約生活を送っているので、莫大な富など必要ないのだ。今の生活で、十分満足していた。

反対に、西洋の浮竹は金銀財宝に執着はしていないが、貴重な魔法書やらエリクサーの材料に金をかけたりするので、しっかりとアイテムポケットにしまいこんだ。

金銀財宝をアイテムポケットに突っ込む西洋の浮竹に、東洋の浮竹が頭を抱えていた。

(カッコいいと思っていた、そっちの俺のイメージが・・・・)

錬金術やら魔法でかっこよく見えた西洋の浮竹は、東洋の浮竹に呆れられているも気づかず、ひひたすら金銀財宝をアイテムポケットにしまいこむのであった。


「あ、宝箱!」

奥の方に、宝箱があった。

見るからに怪しい。

(西洋の俺、気をつけろ。それ、多分ミミックだ!)

「ミミックだからいいんだ」

そう言って、西洋の浮竹はミミックにかじられていた。

「狭いよ暗いよ怖いよ息苦しいよ~~~」

じたばたともがくその姿を見るのは、もう20回目をこえている。

「仕方ないねぇ」

(あ、俺も手伝う)

西洋の京楽と東洋の浮竹に手伝われて、西洋の浮竹はミミックから解放された。

「フレイムランス」

ズドンと、炎の槍が、ミミックを貫く。

ミミックは断末魔をあげて、消えていった。

後には、1冊の魔法書が残されていた。

「雷系の禁呪、ゴッドブレスサンダー・・・すでに習得済みだ」

西洋の浮竹は、興味なさそうにその魔法書を放り投げた。

それを、西洋の京楽がキャッチする。

「まだ、人間界で習得されていない魔法書でしょ?めちゃ高く売れるよ。そしたら、そのお金でまた古代の魔法書の覚えていない民間魔法を覚えられるよ?」

ぴくりと、西洋の浮竹の耳が動く。

「大切にして、高く魔法屋に売ろう」

本当に、現金なものである。

(・・・・やっぱり、なんか違う。おれが思ってた始祖のヴァンパイアはもっと、こう、気高く誇り高くて・・・・・・)

(だから、十四郎?考えたら負けだよ?)

東洋の京楽は西洋の浮竹の反応を見て既に呆れ、頭を抱えている。対して、東洋の浮竹は西洋の浮竹の反応を見てなんだかしょんぼりしている。

そんなこと気にしない、西洋の浮竹であった。

そうやって、西洋と東洋の京楽と浮竹は、3日かけて全65層のS級ダンジョンをクリアしてしまうのであった。

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古城に戻り、しばしのお別れとなるので、戦闘人形にフルコースの料理を作らせた。

そんな御馳走、めったなことでは食べれないので、東洋の浮竹はおいしいおいしいと言いながら、たくさん食べてしまった。

西洋の浮竹と京楽はほどほどに、東洋の京楽も食べてはいるが、幸せそうに食べる東洋の浮竹ばかりを見ていた。

「東洋の京楽も、東洋の俺ばかり見ていないでもっと食え。あと、このワイン年代ものでうまいんだ。飲んでみろ」

ワイングラスに注がれたワインを飲みほして、東洋の京楽は、東洋の浮竹にも美味しいからと、ワインを飲ませた。

(俺は果実酒ほうが好きなんだが)

そう言いつつも、ワインを飲んだ。

(ああ、おなかいっぱいだ)

「口にあったか?」

(すごくおいしかった)

(うん、まぁまぁだったよ)

「それならいい」

「僕がいなくても、戦闘人形が料理してくれるからね。まぁ、最近は僕が作ることもおおいけど、流石に複数の数のフルコースは作れないよ」

「何か、お土産に持って帰るか?」

(じゃあ、果実酒を)

「ああ、一番いいものを選んでやる」

(いや、普通のでいいから!高すぎるのはお前に悪い!)

「面白いことを言う。東洋の俺にあげるなら、最高級のものを与えたくなって当たり前だろう」

(そうなのか?)

一方、西洋の京楽と東洋の京楽は、レシピについて話し合っていた。

(新しいレシピ、渡しておくよ。中華料理がメインだ。こっちの世界にはない料理だと思う)

「ないわけじゃないけど、珍しいから戦闘人形でも作れない。ありがとう、ありがたくもらっておくよ」

そんなやりとりをしていうちに、眠気を催した東洋の浮竹が、東洋の京楽の傍にやってきた。

「どうしたの」

(いつものことだよ。酒に酔ったんだよ)

もたれかかってきた東洋の浮竹を、東洋の京楽はその肩をかした。

(うん・・春水、大好きだ・・・・・・)

寝言でそんなことを言う東洋の浮竹を、自慢するかのように東洋の京楽が西洋の京楽の顔を見る。

(かわいいでしょ、ボクの十四郎)

どや顔を見せる東洋の京楽に、負けてはいられないのだと。

「僕だって!」

「なんだ、京楽」

「愛してるよ、浮竹」

「知っている。だから何だ?」

どうやら、うまく甘いことにはならないようであった。

東洋の京楽はそれを見て、やっぱり自分の浮竹が一番かわいいと思った。

「君の血が欲しい。飲ませて」

「仕方のない・・・・ああっ!」

牙を立てられて、少し乱れる浮竹を、今度は西洋の京楽が東洋の京楽に見せつけた。

「僕の浮竹は、妖艶でエロいんだから」

「待て、なんの話だ」

「なんでもない」

「なんでもないは、ないだろう。こら、京楽!」

西洋の浮竹にハリセンでしばかれる西洋の京楽は、それでもどや顔で東洋の京楽を見るのであった。

東洋の京楽は、ワインを飲みながら。

(お熱いねえ〜)

そんなことを言うのであった。

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東洋の浮竹と京楽は、古城に一夜泊まると、元の世界へと帰っていった。

「ねぇ、昨日の続きしようよ」

「なんのことだ」

「昨日、吸血したじゃない。その続き。あの二人に見せつけてやりかったけど、片方は眠ってる、もう片方はそんな相手ばっかり見ていて。西洋の僕の浮竹がどんなにかわいくて綺麗で美人でエロいのか見せつけてやりたかったよ」

「そんなこと、考えていたのか」

「ねぇ、続きしようよ・・・・・・・」

「待て、せめて風呂に入ってから・・・・・」

「じゃあ、一緒に入ろう」

一緒に風呂に入り、髪を乾かしてから、京楽はベッドの上に浮竹を押し倒した。

「待て、春水、がっつきすぎだ」

衣服を脱がしてくる京楽に、浮竹が待ったをかける。

「全然そんなことないよ。愛してるよ、十四郎。ああ、悔しいなぁ。東洋の僕に見せつけてあげたい、今の色っぽい浮竹を」

「また、ばかなことを・・・・ああ!」

胸の先端をきつくつまみあげられて、びくんと浮竹は体を反応させた。

「かわいい。十四郎、かわいい」

「あああ!」

体全体の輪郭を確かめるように撫でて、キスマークを残していく。

浮竹のものを口に含むと、浮竹は乱れた。

「やぁああ!!」

じゅるじゅると音を立てて吸い上げてやると、浮竹が甘い体液を弾けさせた。それを味わって飲み干してから、ローションを手にとって人肌までに温めると、指にからめて蕾を解してく。

「あ、あ、あ!」

じゅぷじゅぷと音を立てて、浮竹は京楽の指を受け入れた。

「あああ!」

前立腺をかすめる程度で、わざと触らない。

「あ、もう、春水・・・・・・早く来て」

「十四郎、愛してるよ」

ずちゅりと音を立てて、京楽が侵入してくる。

「ああ!」

そのままごりごりと最奥まで入られて、浮竹は背をしならせてオーガズムでいっていた。

「あああ、ああ!」

「僕のものだ。誰にも、渡さない」

「あ、春水、春水」

背中に手を回してくる浮竹の肩に噛みついて、血を啜ってやると、浮竹は涙を流して喜んだ。

「きもいい・・・・もっと、吸って?」

「いくらでも」

京楽は、抱え上げた浮竹の白い太ももに牙をたてて、吸血した。

「んああああ!!」

同時に、奥をぐりぐりと刺激してやる。

「あああ!」

浮竹は熱を自分の腹にぶちまけていた。

同時に、京楽もまた熱を浮竹の胎の奥深くへ注ぐのであった。

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「浮竹十四郎。私が愛したヴァンパイアマスター。私の主」

「・・・・・・ニィ?」

浮竹は、信じられない顔で、ニィを見つめてみた。

「ニィ、お前は死んだはずだ。何故、生きている」

「藍染という男に、反魂で蘇らせてもらいました。さぁ、愛しい浮竹。私と一緒に行きましょう」

浮竹の背後では、京楽が凄まじい顔で威嚇していた。

「ああ、今のあなたには、血族がいるんでしたね。排除すればあなたは私だけのものです」

「たとえニィでも、京楽を傷つけることは許さい!」

浮竹は瞳を真紅にして、ニィを睨みつける。

「ああ、怒らないで愛しい人。あなたは、私だけのもの・・・・・」

「違う。浮竹は、僕のものだ」

京楽は、瞳を真紅にしながら、ニィとという名の青年に、血の刃を向けるのだった。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター22

ニィ・ペルル・シュトレウス。

それは、浮竹が6千年前、2番目の血族として愛した青年の名であった。

反魂するには古すぎる命であったが、魔族の始祖である藍染には可能だった。

墓を暴き、灰を入手して、反魂を行った。

失敗したら、ただのアンデットができあがる。だが、藍染の反魂は完璧であった。

ニィは、この世界に再び命を吹き込まれた。

藍染に血を与えられて、かつて浮竹のただの血族であった頃より、ずっと強くなった。

藍染に洗脳させるような形で、今の浮竹の血族である、京楽を殺すことを最優先としていた。

けれど、ニィにも自我があった。

浮竹を、200年間であったが、愛していた。

一番目の血族は、志波海燕。同じように呪術の力で反魂されて蘇り、そして死んでいった。

ニィもまた、自分もそんな運命をたどるのだろうと分かっていても、愛しい浮竹に会い、愛を囁きたくて、浮竹の住む古城を訪れるのであった。

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「ニィ、お前は死んだはずだ」

目の前にいる、愛しかった血族を、浮竹は信じられない表情でみていた。

「浮竹十四郎。私が愛したヴァンパイアマスター。私の主」

「違う、ニィ。お前は反魂だろう?もうすでに、一度死んでいるはずだ」

「死んで蘇りました。でも、あなたを愛していることに、変わりはありません」

ニィは、浮竹に向かって一歩足を踏み出す。

「そこまでだよ。僕は京楽春水。6番目の浮竹の血族にして、今浮竹が愛している者」

京楽が、浮竹とニィの間に割って入った。

「・・・・ニィ。お前を蘇らせたのは誰だ」

「魔族の始祖、藍染惣右介」

その言葉に、浮竹は険しい顔をした。

「どうしたのですか、愛しい人」

「俺はもう、お前を愛していない。今俺が愛しているのは、京楽だけだ」

その言葉に、ニィが瞳を真紅にして、京楽を睨んだ。

「この血族を殺せば、あなたは私を愛してくるはずです。あなたに血族は二人もいらない」

ニィは、血の刃で京楽を攻撃した。

「止めろ、ニィ!」

「たとえ愛しいあなたの言葉でも、これだけは譲れません。藍染惣右介から血をもらいました。今の私は、この京楽という血族より強いはずです」

京楽は、自分も同じように血の刃を作り出すと、ニィの作った血の刃を相殺した。

「反魂の身で、浮竹に愛を囁くのは、許さないよ」

「たとえニィでも、京楽を傷るけることは許さない!」

京楽に向かってやってきた、ニィの血の鎌は、浮竹が身につけていた、東洋の妖からもった水晶のペンダントの効果で、黒い蛇を召還して、黒蛇がはじき返してくれた。

「黒蛇・・・・俺たちを、守ってくれるのか?」

黒蛇は頷いて、ニィに巻き付いた。

「なんですかこれは!」

「ニィ、その魂、奪いたくはないが・・・・」

ニィは、血となって巻き付いた蛇から抜け出す。

ニィは、黒蛇に血の刃を向けるが、黒蛇はそれを吸収した。

「黒蛇!」

黒蛇は、少しだけ苦しそうにのたうち回った後、しゅるるると音をたてて、浮竹の影に潜り込む。

浮竹を守護するために。

「退け、ニィ」

「分かりました。今日は、私が蘇ったことを、あなたに知らせておきたかっただけです。時間はいくらでもあるのです。私の今の使命は、血族の京楽春水を殺すこと。それが私を蘇らせた藍染惣右介の願いであり、私の願いであるのですから」

「ニィ、せっかく授かった命だ。俺のことは忘れて、血の帝国で誰か血族をつくり、違う誰かを愛して生きてみないか?」

「浮竹。あなたは酷いことを言いますね。最初の最初にこの命に愛を与えてくれたのはあなたです。私は、あなたがいいのです。浮竹。あなたを、愛しています。狂おしいほどに」

「ニィ・・・・」

浮竹は、ニィに歩み寄ると、唇に唇を重ねた。

「浮竹!?」

「血族を解いた。盟約を、ここに破棄する」

ニィは、悲しそうに泣いた。

「私を血族から、外すというのですか・・・」

「俺は、その時に生きている時代に一人しか血族をもたない。ニィ、お前は6千年前に死んでいる。ここにいるニィ、お前は俺にとって、過去の亡霊なんだ」

ニィは、青い瞳を瞬かせて、血の渦を作り、消えていく。

「次に会った時は、京楽春水を殺して、あなたを私のものにしてみせます。愛しています、浮竹・・・・・」

そう言って、ニィは浮竹と京楽の目の前から、忽然と姿を消してしまった。

「ニィ・・・・・」

浮竹は、唇に手で触れた。

そんな浮竹を、背後から京楽が強く抱きしめる。

「君は、僕のものだ・・・・」

「ああ、お前のものだ」

「僕以外にキスするなんて、だめじゃない」

「血族を破棄するためだ。他意があって、やったわけじゃない」

「それでも、僕は嫉妬の嵐でどうにかなりそうだよ」

瞳を真紅にする京楽に、浮竹は口づける。

「んっ」

舌を絡め合わせながら、貪りあった。

「血の帝国へ行こう。いつ、ニィが現れてもいいように。ニィは藍染の血をもらっている。ブラッディ・ネイの宮殿で、しばらくの間過ごそう。ブラッディ・ネイの庇護下にいたほうが安全だ。白哉や恋次君、ルキア君、一護君、冬獅郎君の力もかりたい」

「藍染の反魂は、そんなに厄介なの?」

「ああ。ただの反魂じゃない。京楽が一人になる時が一番危険だ。血の帝国で、常に誰かに傍にいてくれるように頼もう」

「君だけじゃ、だめなの?」

「俺は、ニィを愛していた。その想いが、ニィを殺すことを躊躇ってしまう気がする。俺の力だけではだめだ。俺たちには、仲間がいる。窮地の時は、お互い頼ってもいいだろう?」

「そうだね。血の帝国にいこうか・・・・・」

京楽は、乗り気ではないようであったが、それで浮竹が安心してくれるならと、仲間たちと一緒に過ごすのもいいと思うのであった。

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「ということで、しばらく世話になる」

「OKOK兄様。僕の宮殿に、好きなだけ居ていいよ。血族の京楽も、一緒に守護してあげよう」

ブラッディ・ネイは相変わらず玉座に腰かけながら、ロゼといった寵姫を数人侍らせていた。

「白哉に恋次君、ルキア君、一護君、冬獅郎君の力も借りたい」

皆、頷いた。

「兄にはいろいろと借りがある。返せる、好機だ」

「俺で役に立つなら、白哉さんもこう言ってるし、力を貸すっす」

白哉と恋次は、そう言って浮竹を見た。

「浮竹殿とその血族である京楽殿のピンチなら、私も黙っているわけにはいきません」

「6千年前の恋人が敵とか・・・・どんだけ長生きしてるんだ、浮竹さん」

「ふん、仕方ない。俺も、力を貸してやろう」

ルキアは乗り気で、一護は浮竹の年齢が気になるようで、冬獅郎はいやいや力をかしてくれるようだった。

「ああ、ちなみに一護クン、浮竹は8千歳だよ」

「は、8千・・・・・」

あんぐりと口をあけたまま、一護は固まった。

「兄様と京楽には、ボクの後宮に住んでもらうよ。あそこが一番強い結界を張ってある。不審者の侵入も、すぐに分かるはずだ」

浮竹も京楽も、嫌そうな顔をしていた。

「仕方ない、京楽を守るためだ」

「ああ、夢みたい。兄様を後宮に入れれるなんて・・・」

「ブラッディ・ネイ、君の欲望を満たすために、浮竹は後宮に入るんじゃないからね。あくまで、僕を守るためなんだから!」

「うるさいね、分かってるよひげもじゃ。ひげもじゃなんて後宮に入れたくないけど、仕方ないから入れてあげる」

そうして、浮竹と京楽は、夜は後宮に泊まり、昼は宮殿で過ごすのであった。

浮竹は、暇を持て余して白哉とチェスをしていた。

白哉は皇族王であり、この血の帝国の摂政ではあるが、しばらく休暇をとったらしい。

全ては、始祖の浮竹とその血族京楽のためであった。

「チェックメイト」

「ちょっとたんま、白哉」

「往生際が悪いぞ、浮竹」

そこへ、京楽がやってきた。

「浮竹、助けてえええ」

京楽は、あろうことか女体化していた。身長は180センチはあろうかという、黒髪に鳶色の瞳をした美女であった。

「ぶばっ」

浮竹は、飲みかけの茶を白哉の顔面に吹きかけていた。

「・・・・」

「あ、すまない白哉。その姿はどうしたんだ、京楽」

「ブラッディ・ネイに、せめてひげもじゃも見れる姿になれとか言われて、変な魔法かけられた。1時間で元に戻るらしいけど・・・ブラッディ・ネイの寵姫たちにいろいろ服を着せられたりして、逃げてきた」

「ブラッディ・ネイめ。俺に使うつもりで、京楽を実験台にしたな・・・・・」

怒った浮竹が、ブラッディ・ネイに抗議すると、浮竹も女体化させられた。

「うわあああ!?」

「わあ、兄様美人。今すぐ、ボクとベッドで熱く抱擁しあおう」

浮竹は、逃げ出した。他の仲間にそんな姿を見られたくないので、後宮に戻る。

浮竹も、京楽と一緒に後宮の寵姫たちに、いろんなドレスを着せらて、着せ替え人形にさせられるのであった。

やがて1時間が経ち、元の姿に戻ると、用意されていた衣服を着た。浮竹は中世的な衣服を着せられていて、美貌によく似合っていた。京楽は、守護騎士の制服を着せられていた。

「あ、なんかいいかも。姫である浮竹を守る守護騎士、京楽参上なんちゃって」

「少し、動きにくい」

「着替える?」

「いや、ブラッディ・ネイがうるさそうだ。もっと女性的な服を着せられてしまう。このままでいい」

血の帝国に来たはいいが、着替えとかもってくるのを忘れていた。

いつまでも同じ服というわけにもいかず、ブラッディ・ネイが用意した服を着る羽目になった。

最初はドレスを出されて、浮竹は切れた。仕方なく、中性的な服をもってきてくれた。

中性的な服は、浮竹によく似合っていた。

後宮の寵姫たちが、浮竹を取り囲んで、化粧を施す。

なんでも、秘伝の魔法書をあげるから、代わりに化粧させろと言われて、しぶしぶ引き受けたらしい。

「本当に、君は魔法書が好きだね」

「似合わないだろう。化粧なんて」

「いいや、凄い似合ってる。君と今すぐ結婚式を挙げたいくらいだ」

「結婚式は、血の帝国では存在しないからな」

「そうなの」

浮竹は、白い髪を結い上げられ、薄く化粧を施されて、中性的な衣服を着せられているせいで、寵姫の一人に見えた。年はいっているが。

「兄様、写真、写真とらせて」

「ブラッディ・ネイ。あまり俺で遊ぶなよ」

「兄様に怒られたから、もう女体化の魔法は使わないから。だから、写真とらせて」

「一枚だけだぞ」

「兄様、愛してる!」

写真をとって、それを大事そうにブラッディ・ネイはしまう。

「ああ、兄様がボクの後宮にいて、ボクの愛に応えてくれるなんて」

「いつ、俺がお前の愛に応えた」

「いやだなぁ、兄様。後宮入りをしたことは、つまりは兄様はボクのもの・・・・」

守護騎士の姿をした京楽が、額に血管マークを浮かべて、ブラッディ・ネイに血の刃を向ける。

「浮竹は、僕のものだよ。ただ、今は僕が狙われているから後宮にいるだけで、ブラッディ・ネイのものになったわけじゃないからね!」

「ちぇっ、知ってるよひげもじゃ。本当に、守護騎士の制服きてももじゃもじゃだね。いっそ剃ったら?」

「だめだぞ、京楽。俺は、体毛の濃いお前が好きなんだから」

「浮竹、僕は君の守護騎士になりたい」

「俺がお前の守護騎士になりたい」

そんな言い合いする二人を放置して、ブラッディ・ネイは、最近お気に入りの寵姫の元へ向かうのであった。

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ピリリリリ。

警報が鳴り響く。

後宮に、侵入者が出たのだ。

それは、ニィだった。

ブラッディ・ネイの結界を破り、後宮に侵入すると、眠っていた浮竹と京楽を発見して、京楽をその手にかけようとした。

けれど、東洋の妖にもらった水晶のペンダントが反応して、黒い蛇が現れて、ニィに巻き付き、浮竹と京楽を起こした。

「黒蛇、助かった!京楽、この場所では寵姫たちに被害が出るかもしれない。宮殿に急ごう。ブラッディ・ネイたちがみんなを集めていてくれるはずだ」

浮竹は、京楽の手を握って、後宮の庭を通り過ぎる。

背後から、血の刃が襲い掛かってきた。

それは、浮竹を傷つけず、京楽だけを斬り裂いた。

「京楽!」

「大丈夫、掠っただけだよ。みんなの元に急ごう」

ニィは、ゆっくりと獲物を追い詰めていく。

それに追い立てられるように、浮竹と京楽は逃げた。

宮殿では、皆が揃っていた。

「愛しい僕の浮竹。そんなに、この血族の京楽のことを愛しているんですか?」

「そうだ。ニィ、悪いがお前は死んでもらう」

逡巡していたのだが、ずっと後宮にいるわけにもないかない。

災いの種を摘む必要があった。

「できるのですか、あなたに。私を愛したことのあるあなたに、私を殺すことが可能ですか?」

「ニィ・・・・」

白哉が、ニィ向かって式を放った。

それは、ニィが操る炎の魔法で燃やされてしまった。

「ニィは、炎を操る。元々、俺の炎の魔法はニィに教えてもらったものなんだ。気をつけろ!」

「ドラゴンブレス!」

恋次が、氷のブレスを吐くとニィはそれを血のシールドで防いだ。

「ええい、いけ、一護、冬獅郎!」

ルキアは二人に補助の魔法をかける。

一護は得意の雷の魔法を唱えながら、魔剣でニィを斬り裂いた。

ニィは、すぐに傷を再生させた。

「ちっ、すぐ再生しやがる」

「今度は俺が行く!」

冬獅郎が、氷の精霊、魔狼フェンリルを召還すると、その爪と牙で引き裂いた。

致命傷は負わせれなかったが、傷の再生速度は鈍くなっていた。

「京楽を・・・京楽を殺しさえすれば、私はまた浮竹に愛してもらえるんです」

ニィは、血の槍を複数作りだして、京楽に向けて放った。

浮竹の影から踊りでた黒蛇が、京楽の盾になる。

他の血の槍は、浮竹が受け止めていた。

「ニィ・・・・確かに、愛していた。だが、今は!」

ザシュリと、ニィの体を、浮竹が自分の血で作り出した剣で、斬り裂いた。

「ファイアロンド!」

浮竹が、炎の魔法をニィに向かって放つ。

その瞬間を狙って、みんなが一斉に攻撃を開始する。

もう、ニィには反射することもシールドを張ることもできなかった。

「俺には、仲間がいる。京楽を守るための仲間が」

「愛しい人・・・・・どうか、僕のものになってください」

体を穴だらけにしたニィは、傷を再生させることもなく、浮竹に歩み寄っていく。

「危ない、浮竹!」

それは、一瞬だった。

ニィが、浮竹の心臓めがけて、血の槍を突きだしたのだ。

京楽がかばって、腹に血の槍が刺さる。

「ぐっ」

「京楽!」

「今、回復を!」

ルキアが、すぐに近寄って、浮竹の傷の回復をしてくれた。

「ニィ・・・君、さっき浮竹を殺そうとしたね?」

「ニィ・・・許さない。俺の血族を傷つける者は、許さない」

浮竹は、血を暴走させた。

「兄様!なんて魔力だ」

仲間たちは、やや遠巻きに浮竹とニィを取り囲む。

「ニィ・・・・・愛していたよ。せめて、俺の手で、おやすみ」

ニィのコア・・・・心臓の位置にある、ニィの灰がつまった小瓶を、浮竹は血の刃で壊した。

「あああ・・・・・浮竹、愛しています。あなたに、永遠の愛を・・・・・」

ニィは、完璧は反魂ではあるが、コアを破壊されたら死んでしまう。

浮竹は、更に魔法を叩き込んだ。

「フェニックス・ファイア!」

不死鳥フェニックスの炎。

それは、死と再生を司る。

ニィがいた場所は、黒焦げになった灰が残された。

灰から芽が出て、成長して花を咲かせる。

その植物は、もうニィの灰が利用されないように、ニィの灰を全て吸収して、その場一面に花を咲かせた。

桔梗の花であった。

花言葉は「永遠の愛」

「さよなら、ニィ。愛していた・・・・・」

浮竹は、涙を流しながら、空を見上げた。

ニィ・ペルル・シュトレウス。

それは、浮竹が6千年前、2番目の血族として愛した青年の名である。


「京楽、大丈夫か!?」

「うん、ルキアちゃんお陰で傷は癒えたよ」

予想していた通り、ニィの血には藍染の血が混じっていた。普通の再生だと、間に合わない。

「ルキア君を、みんなを呼んでおいて正解だった。みんな、ありがとう」

「うん、ありがとね。特にルキアちゃん」

「そんな、京楽殿!」

京楽と浮竹に頭を撫でられて、ルキアは真っ赤になって、一護の背後に隠れてしまった。

「恥ずかしいです」

「白哉、恋次君、それに一護君と冬獅郎君もありがとう」

「兄の危機を救えたなら、それでいい」

「俺、あんまり役に立たなかったっすけど」

「俺も、活躍はできなかったけど、京楽さんが無事でよかった」

「ふん、もうこんな問題で、俺や一護、それにルキアを呼ぶな」

冬獅郎は、一人辛口だった。

「じゃあ、俺たちは古城に戻る。また、会おう」

「僕も、浮竹と一緒に戻るね」

「兄様、また遊びにきてね!いつでも待ってるから!」

ブラッディ・ネイの言葉を聞いて、浮竹と京楽は、桔梗の花が咲き乱れる宮殿の庭を見渡してから、手を繋いで歩きだした。

「ニィか。悲しい子だったね」

「ああ。俺の血族だったせいで、藍染なんか利用されてしまった」

藍染は許せない。

そう思う、二人であった。













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始祖なる者、ヴァンパイアマスター21-2


3日目の夕方。

ようやく、70階層のラスボスの扉の前にやってきた。

流石に疲れたので、魔女乱菊から買った、疲労回復や魔力回復のポーションを飲む。

「ポーションでお腹がちゃぷんちゃぷんだ」

「僕も」

「オレはなんもしとらんから、平気やけど」

平子は、モンスター退治には一切手を出していない。

せいぜい、珍しい古代の遺物や魔道具がドロップされたとき、それをもらっていいかと浮竹に尋ねて、了解をもらって自分のアイテムポケットに入れていた。

アイテムポケットの存在を知った平子は、自分も欲しいといいだして、浮竹が古城のものおきに使っている部屋にあったアイテムポケットを、平子にあげたのだ。

「オレが倒そか?」

「いや、俺と京楽で倒す。どうしても危なさそうなら、加勢してくれ」

「了解やで」

70階層のボスはドラゴンで、ドラゴンはドラゴンでも、龍の、東洋の神龍だった。

状態異常の憤怒にかかっていて、話し合いでの解決は無理そうだった。

「メテオストライク!」

浮竹が、平子の魔法を覚えたので、隕石を降らせた。

神龍は、鱗を焼かれ、血が出ても構わず攻撃してきた。

「龍だと、ドラゴンのように弱点の逆鱗がないな。どうやって倒す?」

「僕に聞かないでよ。浮竹の魔法で倒したらいいんじゃないの?」

「じゃあ・・・・ヘルインフェルノ!」

神龍は、炎の魔法を反射してきた。

業火をなんとか浮竹と京楽がシールドを張って防ぐ。

「京楽、これをやる!」

浮竹は、アイテムポケットから、一振りの輝く聖剣を取り出した。

「ドラゴンキラー。竜族と龍やドラゴンに大ダメージを与える、特化の剣だ」

「そんなものがあるなら、初めから出してよ!」

「いや、正直ここまで苦戦するとは思わなかった」

浮竹も京楽も、もう2時間以上は戦闘していた。

神龍は傷つき、ボロボロになりながらも倒れない。傷が再生することはないが、浮竹に巻きついて絞め殺そうとしたり、京楽を氷のブレスで攻撃したりしてきた。

普通のドラゴンとは違い、タフではないが、呪術に近い魔法をかけたきた。

それは、浮竹のもつ、東洋の妖からもらったお守りの効果で、相手に反射した。

呪いの反射のせいで、随分と動きは鈍くなったが、それでも強敵だった。

ある意味、竜族より厄介だ。

京楽は、ドラゴンキラーに闇属性を付与して、神龍を切った。

面白いようによく切れた。

スパスパと鱗ごと肉を切っていく。

「とどめだよ!」

京楽は、ドラゴンキラーで神龍の頭部を刺し貫いた。

そこに、浮竹が魔法を与える。

「ゴッドブレスサンダー!」

神の息吹の雷。

禁呪であった。

全身を焦げさせて、神龍はズドオオオンと音を立てて倒れた。

「やぁやぁ、どうなることかと思ったんやけど、倒せたな。お疲れやで、二人とも」

浮竹と京楽は、荒い息を吐いていた。

神龍だけあって、普通の竜族よりも強いかもしれない。

体力と魔力を限界にまで使い込み、浮竹は魔力回復のポーションを出すと、京楽にも与えた。

「ふう。素材にはなりそうだが、素材としては大分傷んでしまったな」

とりあえず、覚えたばかりの、おいしくドラゴンの肉を加工する魔法を使ってみた。

神龍の肉は綺麗に捌かれて、つやつやと輝いていた。

鱗は、焦げた部分を残して、アイテムポケットに入れる。頭部と爪はそのままアイテムポケットに入れた。

血は、自分の血を操る魔法の応用で、神龍の血を特大のポーションの瓶に入れて蓋をして、それもアイテムポケットに入れた。

「さぁ、踏破だ!最後の財宝の間へいこう!」

「お、お宝か。ええな」

「何があるんだろうね?」

財宝の間をあけると、そこには特大のミミックがいた。

「ミミックだ!ミミックキングだ!」

「ちょっと、浮竹、危ないよ!」

京楽の制止を振り切り、浮竹はミミックキングに近寄って、ペロリと飲みこまれてしまった。

「浮竹!」

「ちょ、食われれてどないするんや!」

「暗いよ怖いよ生暖かいよでも広いよ~~~。あ、普通に呼吸できる。なんだ、ミミックキングの体内はこうなっているのか」

ミミックキングの体の中は、財宝で溢れていた。

「アイシクルランス」

浮竹は、ミミックキングを内側から、氷の槍の魔法で刺し貫くと、ミミックキングは悲鳴をあげて、お宝を残して消えていった。

「凄い財宝やなぁ。ちょっと欲しいわ」

平子は、ドラゴンでもあるので、金銀財宝が好きだった。

「金銀財宝は好きなだけもっていっていいぞ」

「ほんまに?じゃあ、遠慮なく」

平子は、アイテムポケットに欲しいと思った宝石や金細工の品を入れていく。

20冊はあろうかという、魔法書を、浮竹は目を輝かせてみていた。

「古城でじっくり読もう。今は、回収しておこう」

数もあるので、浮竹はその場で魔法書を読まなかった。

平子が、この世界で活動できる時間のタイムリミットがこようとしていた。

「古城に戻ろか。空間移動の魔法は得意やねん。ただし、一度行ったところにしか行かれへんけど」

ダンジョンの財宝の間の財宝を、全てアイテムポケットに入れて、3人は古城に帰還した。

「送別会をしよう」

「いや、気を使ってくれなくていいんやで?十分楽しかったし」

「もう、会えないんだろう?せめて、送別会くらい、させてくれ」

浮竹は戦闘人形に命令して、フルコースの料理を作らせた。

京楽は、デザートを作りに、キッチンへと行ってしまった。


「ほんまはな、ルシエードが子を放置して世界を渡ってきたって知って、残された子はどんなにひねくれてるんやろと思うたんや。でも、素直でいい子に成長してたようで、オレも安心やわ」

「父は、俺のことを誰かに話すのか?」

「時折やな。愛しい我が子を、違う世界にわざと置いてきたって、たまに寂しそうな顔すんねん」

「わざと置いてきた・・・捨てられたんじゃなかったのか?」

「ちゃうちゃう。その世界の者は、その世界から出られへんねん。あくまでやけどな。何かで繋がっていないと、世界を渡り歩くことなんてできへん。神々は、自由に世界を渡り歩くけど、浮竹はこの世界に存在しとるやろ?神にでもならな、移動できへんねん」

浮竹と京楽は、夢渡りを利用して、時折東洋の浮竹と京楽と会うが、それはあくまでお互の魂が繋がっているからできることであって、普通世界を行ったり来たりなどできないのだ。

それこそ、神にでもならない限り。

「そうか・・・俺は、捨てられたんじゃなかったのか」

浮竹は、8千年前を思い出す。

父として慕った、創造神の姿はうろ覚えであったが、まだ愛されているのだ。

「浮竹のこと、たまに自慢しとったよ。よくできた子やて」

「そうか」

それ以上、浮竹は聞いてこなかった。

もう、会うこともできないし、8千年前、離別したことで心の区切りはついている。

「そうだ、これを、創造神ルシエードに渡してくれ」

「これは?」

「桔梗の花を、永久に解けない氷で封じこめたものだ。花言葉は永遠の愛」

ホロリと。

平子が、涙を流した。

「ほんま、ええ子に育ったんやな」

「泣くなよ、照れくさいだろうが」

「ちゃんと渡しておくわ」

「ああ」

やがて、夕食ができて、送別会が行われた。

3人は食べて飲んで騒いだ。

フルコースの料理の後で、京楽が作ったという苺のシャーベットと、チョコレートアイスクリームを食べた。

「京楽って料理できるねんな」

「昔は、からっきしだめだったけどね。浮竹が喜んで食べてくれるから、それが嬉しくて僕もいろいろ作るようになったんだよ」

デザートを食べ終えて、バルコニーで紅茶を飲みながら、平子のいるサーラという世界について聞いた。

精霊ドラゴンを信仰する宗教があり、浮竹と京楽が存在するこのアビスの世界と同じように、魔法と剣の世界だった。ただ、精霊科学なるものが進歩していて、文明度はサーラの世界のほうが進んでいるようであった。

「じゃあ、オレはそろそろ元のサーラの世界へ戻るわ。御馳走になったし、いろんなもん見せてもろたし、財宝までもろたし・・・・ほんま、世話になったわ」

「帰るのか・・・・名残惜しいな。もう会えないなら、余計に」

「まぁ。なんらかの方法見つけたら、またこの世界にくるかもしれんから。そん時は、また構ってやってや」

「じゃあ、またね」

京楽が手を振った。

平子の体は少しずつ、透けていった。

「ルシエードに!」

「なんや?」

「父に、元気でいてくれと、伝えてくれ」

「分かった、伝えとくわ」

そう言って、平子はすーっと、この世界、アビスの世界から消えてしまった。

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「めっちゃええ子に、育ってたで?」

創造神ルシエードは、平子の言葉に無言で耳を傾けていた。

「これ、渡すように頼まれてん」

氷に封じられた、桔梗の花を手渡した。

「花言葉は、永遠の愛やって」

「私が、魂に刻んだ愛の呪いを、あの子は克服しているだろうか」

「してるんとちゃう?血族作って、楽しそうに暮らしてたで。S級ダンジョンとかいうとこに連れていかれて、冒険もしたんや」

「そうか・・・・・・」

それきり、創造神は黙り込んだ。


「藍染というたか。あいつには要注意や。神になろうとしとる。最悪なことに、神になる資格をもってたんや」

平子が、嫌そうに藍染の姿を水鏡に映し出す。

「あれが神になったら、アビスの、浮竹のいる世界が危ないねん。このサーラの世界もあやうい」

始祖魔族。

神になれる最低条件は、神に作り出された始祖であること。

「まぁ、同じ意味でも浮竹も神になろう思えば、なれるねんけどな。存在を、物質からアストラルに変えなあかんけど。まぁ、血族の京楽がいれば、大丈夫やろ。神なんて存在にならんわ」

星の精霊ドラゴンである平子は、神と呼ばれているが、実際は神とは少し性質を異なっている。

神々は、体がアストラル体、星幽体でできている。物質世界の存在ではない。

平子は物質世界の存在で、アストラル体ではなかった。

「あと、元気でいてくれって、言うとったで」

話は聞いてはいるが、何も答えようとしないルシエードは、相変わらずであった。

何を考えているのか分からない神であった。

サーラの世界は、神で溢れえている。

でも、直にまた違う世界を作るために、一度神界に戻るかもしれない。

平子は、世界を渡ることは召還があれば可能だが、神界にはいけなかった。

あそこは、アストラル体でないと存在できない。

「魔人ユーハバッハ・・・。アビスの世界で、唯一アストラル体となり、神界へ侵攻してきたような奴にならんかったら、いいねんけどな・・・・」

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平子が元の世界へ帰り、1カ月が経過した。

何事もなく、また平和な毎日がやってくる。

藍染が動く様子もなく、血の帝国もブラッディ・ネイと白哉の統治で安定している。


「あああ!」

真昼から、京楽は浮竹を貪っていた。

「んあああ!」

浮竹の体を抉って揺さぶった。

浮竹は、水晶のペンダントを窓から入ってきた光にきらめかせると、一度ガクリと意識を失った。

「十四郎、十四郎?まだまだ睦み合ったばかりだよ。意識を失うには、早すぎるよ?」

ぺちぺちと浮竹の頬を叩いて意識を取り戻させる、京楽はまた突き上げた。

「ああ!」

浮竹は、与えられる快感に恍惚とした表情をしながらも、涙を流していた。

「そうだ、せっかくだし、作り置きしておいたチョコレートアイスクリーム使おうか?」

「え、春水?」

浮竹は、不安そうな顔で京楽を見上げた。

戦闘人形に命令して、冷凍庫からチョコレートアイスクリームをもってこさせる。

それを、浮竹の体に塗っていく。

「冷たい!」

「美味しくなって?」

体温で溶けていくアイスクリームを舐めとっていく。

胸の先端と股間に特にアイスクリームを塗られて、体温で溶けたアイスはシーツに染みを作った。

「ああん」

アイスを味わうように、胸の先端にしゃぶりついて、舐め転がした。

「ああ、甘いね。君の体はいつも甘いけど、更に甘い」

「やあああ!」

今度は、京楽はアイスでまみれた浮竹のものを舐めとっていく。

「んあああ!」

刺激に敏感に反応して、浮竹は喘いだ。

硬く勃ちあがった浮竹のものに舌をはわす。

「ああ、全部溶けちゃったね。でも、甘いからいいや」

浮竹の体液は甘い。

血族には、そう感じれるのだ。

実際、神の愛の呪いを受けているその体液、他の生物には甘くかんじれた。

「君の血の一滴ですら、他の者にあげたくないよ」

鈴口を刺激して、爪をたててやると、浮竹は我慢できずに精液を出していた。

それを、当たり前のように口にで受け止めて嚥下する。

「ああ、甘いね。アイスのせいもあるけど、それがなくても、君の体液は甘い」

「あ”あ”」

京楽は、あろうことか浮竹のものに噛みついて、血を啜った。

血を吸われる快感に、精液が噴き出る。

それも飲み干しながら、うっとりとなった。

「甘い・・・・ほら」

口移しで浮竹に、体液と血が混じったものを口に含ませた。

「甘い・・・・」

「ね?」

「やあ、甘いからって、そんなとこに、牙をつきたてないでぇ」

浮竹は、京楽の髪を掴んだ。

でも、その掌には力はこもっていなくて、ただ京楽の黒い髪を掴むだけだった。

京楽は、再生していく傷口を舐めながら、浮竹に再度口づけた。

「んん・・・・ふあっ」

口の中はまだ甘かった。

舌と舌を絡み合わせて、銀の糸を引いて舌が去って行く。

「ああ!」

ごりごりっと、最奥まで挿入されて、浮竹はオーガズムでいっていた。

「やあああ!」

いってる最中に、今度は鎖骨に牙を立てられた。

「あああ、やああ、吸血と一緒はやあっ!」

いっている最中の吸血行為は、大きな快感となって浮竹を襲う。

「やあああ!」

精液を出しつくして、だらだらと先走りの蜜を零していた浮竹は、ぷしゅわっと、音をたてて潮をふいていた。

「やだ、やだ、やだ、見ないでぇ」

「どうして?十四郎が気持ちよくなっている証拠じゃない」

「やあああ、女じゃないのに、こんなのやぁっ」

「君が女の子なら、何度も孕ませてるだろうね。でも、男の子でよかったね?僕の子を孕まないですむ」

「ああ、や、お前の子種が欲しい・・・・」

「欲張りだね?孕めないのに、僕の精液欲しいんだ」

「あ、あ、孕むから、だから、ちょうだい、春水のザーメン」

「たくさんあげるよ。君を犯しつくしてあげる」

京楽はそう言うと、浮竹の中を抉り、最奥に精液を注ぎ込んでいた。

「あ、くる、お前の、熱いのが・・・ひあ!」

浮竹は、胎の奥で京楽のものを受け止めながら、唇を舐めた。

ああ、本当にこの子は。

この生き物はなんて、美しく、エロいんだろうと、京楽は思った。

サキュバスやインキュバスも目じゃない。

「エロいね、君は」

「あああ!!」

再度奥に熱を放ってやると、浮竹は満足そうに胎をなでた。

「春水ので、胎がみたされて、こんなに膨らんでる」

外からでも、浮竹の腹部が膨らんでいるのが分かった。

「全部、お前のだ。ああ、このまま孕めたらいいのにな」

少しぽっこりとしてしまった腹部を大事そうに撫でて、浮竹はうっとりしていた。

「出し過ぎだな、春水」

「そうだね。もう出ないよ」

漏れ出さないように栓をしていたが、硬さがなくなった京楽のものと蕾の間から、京楽が出した精液が大量に逆流してきた。

「あああ、もったいない、流れてしまう」

浮竹は、まるで子を流産してしまったような気もちになっていた。

「また、今度いっぱいあげるから。ね?」

京楽が、浮竹の頬を手で撫でる。

その手に手を重ねて、浮竹は微笑んだ。

「愛してる、春水」

「僕も愛しているよ、十四郎」

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魔国アルカンシェルで、藍染は反魂を完成させた。

「お前の名は?」

「ニィ・ペルル・シュトレウス。浮竹十四郎の、2番目の血族です」

「浮竹十四郎を、愛しているかい?」

「愛しています。私の、最愛のひと」

「今、浮竹十四郎は、6人目の血族を作り、その者を寵愛している。嫌だとは思わないか?」

「思います」

完全なる反魂で蘇ったニィは、瞳を真紅にした。

「私は、十四郎を取り戻します。力をください。その血族を殺す力を」

藍染は、ニィに自分の血を与えた。

「さぁ、行っておいで。愛しい浮竹の血族を殺しに」

浮竹を屠れないなら、その血族である京楽を屠り、嘆き悲しんで休眠させればいいのだ。

浮竹が泣き叫ぶ様を想像して、満足げに藍染は瞳を閉じた。












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始祖なる者、ヴァンパイアマスター21

星の精霊ドラゴン。

それはサーラという異界に存在する、星の精霊とドラゴンの間に生まれたハーフ。

通称、星の精霊ドラゴンと呼ばれ、その世界で神として崇められていた。

「創造神ルシエード」

星の精霊ドラゴンは、親しき友人の名を呼んだ。

創造神ルシエードは、自分を召還しようとしている、他の神によって生み出された魔族を、冷めた瞳で見下ろしていた。

「召還には、応じひんのか?」

「私が作った世界は、もう私の手を離れている。あの世界に戻ることはない」

「子を・・・寵児がいるんやろ。始祖のヴァンパイアの。お前さんが魂に愛を刻んだせいで、死ねない、かわいそうな子が」

「あれは私と同じ絶対存在。絶対者。世界を導く者。世界の中心」

「では、オレがお前さんの代わりにその召還に応じるわ。お前さんの作った世界を、見てみたいんや」

星の精霊ドラゴンは、そう言って、世界を渡った。

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「醜い国やなぁ」

星の精霊ドラゴンは、魔族の国にあった。

藍染の言葉など無視して、ただそこに在った。

「星の精霊ドラゴンよ!始祖ヴァンパイアを滅ぼせ!」

藍染は、自分を魔族の神だと思っていた。星の精霊ドラゴンを、自分の召還に応じたのだから、言うことをきくのは当たり前だと思っていた。

「醜いわ。オレは、お前さんの召還に応じたんやない。我が友の子を、その世界を見たいから異界よりきただけで、ただの冒険者や」

「星の精霊ドラゴン、神であるならば、神の子を殺せるはず」

藍染は、狂った瞳で星の精霊ドラゴンを見つめていた。

「そういうお前さんも・・・いや、神に作られただけで、神と同じように作られた神の子ではないんか。絶対存在がある限り、お前さんは永遠に神になれんな」

「何を言う。私は神だ!」

「神の子に一度封印されておきながら、神を名乗るんかい。笑止」

「星の精霊ドラゴンよ。始祖の浮竹を殺せ」

「何度も同じことを言わせるなや。オレにその気はないねん」

星の精霊ドラゴンは怒り、天空を狂わせて星を落とした。

メテオストライク。

この世界では、そう呼ばれている禁呪。

星の精霊ドラゴンは、翼を広げた。

優に5メートルあるだろかという、白い純白の羽毛の翼だった。

藍染は、星落としをくらい、体をぐしゃりとつぶされていた。

でも、不死なので死なない。

始祖は不老不死。

厄介であるなどと、藍染は思ったことはない。神なのだから、当たり前だと思っている。

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星の精霊ドラゴンは、友人の子がいる古城にやってきて、扉を開けた。

そこは、煌びやかな世界だった。

黄金のハニワが並んでいたのが気になったが、調度品やシャンデリアが美しい、中世の佇まいを模倣した城だった。

「誰だ、お前は」

古城の主が、真紅の瞳で睨んできた。

「ちょと浮竹、やっぱ黄金のハニワなんて並べるから、変な人が・・・」

クスリと、星の精霊ドラゴンは笑った。

「オレは星の精霊ドラゴンの平子真子いうねん。お前さんの父、創造神ルシエードの友や」

その言葉に、浮竹は驚くのと同時に威嚇した。

「そんな高次元な存在が、俺になんの用だ」

「いや、ただ遊びにきただけやねん。害意はないで?その水晶のペンダントで、分かるんやろ?」

浮竹は、水晶のペンダントか一向に濁らないので、敵対心を解いた。

「平子真子といったな。我が父の友人であるならば、客人だ。心から、もてなそう」

そう言って、浮竹は京楽を連れて、古城の奥にきえてしまった。

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平子は、浮竹と京楽と酒盛りをはじめていた。

「君、飲めるほうだね」

「オレは酒に強いほうなんや」

「俺は、酒はあまり強くない。だからいつも、果実酒かワインだが、二日酔いするまでは飲まいはずなんだが、今日はなんだかたくさん飲めそうだ」

「オレには星の加護があるんや。お前さんたちにも与えとるで?」

「どんな効果だい?」

「うぃ~。まだまだ飲めるぞー」

酔っ払った浮竹を介抱しながら聞くと、平子は真面目な顔で。

「頭上に隕石が落ちひん加護や。オレが怒ると、何故か隕石が落ちてくるんや」

京楽は、ややびびりながら、聞いた。

「僕たちに、怒ったりはしないよね?隕石なんて、流石の僕や浮竹でも防ぎきれるかどうか」

「いや、浮竹には防げるやろ。我が友の子、絶対存在。それは果てしなく神に近い証や」

「浮竹って、やっぱり創造神ルシエードの子とか言われてるし、神様に近いの?」

「近いが、あくまでヴァンパイアや。神にはなれへん」

それを聞いて、京楽は安堵のため息を出した。

「浮竹が神様になったりしたら、僕のものじゃなくなっちゃう」

論点はそこかい。

平子は、つっこみたいのを我慢していた。

「星の精霊ドラゴンって何だい?」

京楽が、自分の膝枕で眠ってしまった浮竹の白い髪を撫でながら、平子に聞いた。

「星の精霊と、ドラゴンの間に生まれたハーフやから、星の精霊ドラゴンと呼ばれとるだけで、ドラゴンの能力を有した精霊やと思えばいい」

「ふーん」

「むにゃ・・・京楽、愛してるぞ」

「おーおー、お熱いこって」

「僕も愛してるよ、浮竹。ちょっと、浮竹を寝室に寝かしつけてくるよ」

「オレも行くで」

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「あ?ええと、なんだ?」

浮竹は、目をあけると裸だった。

隣に裸の京楽がいた。そこまではよかった。

なぜか、平子まで裸だったのだ。

「ま、まさかの3P?」

浮竹は、自分の体をチェックした。どこも痛いところはないし、腰も普通だし、キスマークもない。

「浮竹、愛してるよ」

そんなことを言いながら、平子を抱き寄せるものだから、浮竹は怒って京楽の頭をハリセンで叩いていた。

「わ、何!?何が起こったの!」

「んー、もう朝かいな?」

「わぁ、平子、君なんで裸・・・って、僕も浮竹も裸!まさかの3P?」

「違う!」

浮竹はハリセンで京楽の頭を殴ってから、服を着た。

「いや、ベッドに入るなり服を脱ぎ出すから、この世界では服を脱いで寝るのが常識やと思ってなぁ。ほんと堪忍やわ」

平子も服を着た。

「京楽、いい加減お前も服を着ろ」

浮竹に指摘されて、京楽も服をきた。

「なんだ、何もなかったんだね。よかたった」

本当に心からそう思っているようで、京楽に浮竹も頷いた。

「異界の神と3Pなんて、笑い種にもならん」

「ほんとだよ」

「オレはそれでも別にかまへんねんけどな?」

浮竹と京楽は、それはないと、首を横にぶんぶん振った。

「平子、いつまでこの世界にいるんだ?」

「んー、特に決めてへんけど、あと1週間くらいやな」

「じゃあ、その1週間でこの世界を観光する?」

「それでもええなぁ」

平子は、召還されてから来た国といえば、魔国アルカンシェルくらいで、血の帝国にも行っていなかった。

「よし、じゃあミミックを探しにS級ダンジョンにもぐろう」

「浮竹、またミミックかい?平子クンに呆れられるよ」

「ダンジョンもこの世界の特徴だ。立派な観光だろ?」

「いいなぁ、面白そうやん。そのS級ダンジョンとや、いこか?」

こうして、異界の星の精霊ドラゴン、平子真子を巻き込んで、S級ダンジョンにもぐることになったのであった。

今回選んだS級ダンジョンは、全部で70階層だった。

念のためにと、1週間分の食料と水を3人分用意して、テントなどはアイテムポケットに入っているので、食料と水だけを確保して、S級ダンジョンに向かった。

少し遠かったので、竜化した平子の背にのり、空を飛びながらそのS級ダンジョンに向かった。

途中休息を挟んで宿に泊まり、3日かけてようやくS級ダンジョンに到達した。

辺境にあるせいで、あまり人気のないS級ダンジョンだった。だが、人気がないつまりはあまり人の手が入っていないので、宝箱も多そうだと、浮竹は上機嫌であった。

「さぁ、行こうか」

「へぇ、これがS級ダンジョンなんや。なんか、もっと暗いのイメージしとったわ」

「ダンジョンは、そのダンジョンによるけど、ほとんどが1階層ごとに地形が変わるからね」

1階層は荒れ地だった。

出てきたシルバーウルフの群れを、浮竹が炎の魔法で屠っていく。

「やっぱ強いんやなぁ。ルシエードの子だけあるわ」

「父は、元気だろうか?」

「ああ、すごい元気やで。今、新しい世界を違う神々と作っとる」

「元気なら、それでいい」

異界にいるという創造神と、会いたいとは思わなかった。

ただ、懐かしい気持ちだけが溢れた。


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「ほんま強いなぁ。オレの出番があれへんわ」

「というより、君は戦う意思がないじゃない」

「だって、観光にきてるんやで。見てるだけでええやん」

「まあ、いいんだけどね」

京楽はそう言って、襲い掛かってくるモンスターを、火の魔法をエンチャントしたミスリル銀の魔剣で切り裂いた。

「なんや、酸をだすカエルか。でも、うまそうやな?」

「え、まさかこのモンスターを食べるつもりか?」

浮竹は、信じられないような表情で平子を見る。

敵は、酸を巻きちらすアシッドビッグフロッグだった。

「この世界では、モンスターの肉を食べる習慣はあらへんのか?」

「ドラゴンの肉なら分かるが・・・普通のモンスターの肉は食わないな」

「なんやて!ドラゴンの肉食うんかい!オレは星の精霊ドラゴンやで。ドラゴンでもあるけど、頼むから食わんといて!」

自分の体を抱きしめる平子に、浮竹も京楽も苦笑する。

「友人がドラゴンであるからって、そんなこと浮竹はしないよ」

「京楽の言う通りだ。俺は始祖ドラゴンと友人だが、その始祖ドラゴンを食べたいなどと考えたことはない」

「はぁ、ならええねん」

カイザードラゴンである恋次もドラゴンだが、それを食べたいなどと思ったことはない。

「ちょっと休憩や。このカエル、食べてええか?」

「え、調理するのか?調理器具はもっているが、アシッドビッグフロッグは体に酸をもつ。あまり食用には向いてるとは・・・・・」

平子は、竜化するとアシッドビッグフロッグの死体を、そのまま丸のみしてしまった。

「ぴりぴりするわ。酸の刺激がええかんじや。酸って聞いて、食いたなったんや。オレには酸は効かへんからな」

「だからって、丸のみ・・・腹壊しても、知らないぞ?」

「平気やて。元いた世界でもようポイズンスネークとかアシッドビートルとか丸のみにしとったわ」

想像して、浮竹も京楽顔を青くした。

「げてもの食いだな」

「そうだね」

「おい、聞こえとるで。半分ドラゴンやねんもん。モンスターはただの餌や」

「ヴァンパイアも、そちらの世界ではモンスターになるのか?」

「そうやで。モンスターの一種や」

「頼むから、俺たちを食べないでくれよ」

「食べてもおいしくないからね!」

くつくつと、平子は笑った。

「食べたいなら、最初におうた瞬間から食っとるわ」

人の姿に、平子は戻る。

ドラゴンの時の姿が、鱗の代わりに羽毛をもつ、白い翼が特徴的なドラゴンだった。

そんなドラゴンを見たことはなくて、浮竹と京楽は、平子が異界の存在なんだなと、改めて納得するのであった。


「あ、宝箱!」

「浮竹、それはミミック!」

「ミミックでも大歓迎だ!」

浮竹は、宝箱をあけた。宝箱はミミックだった。

「暗いよ~狭いよ~怖いよ~息苦しいよ~~」

「何やっとんの、あれ」

平子が、笑いながら浮竹を指さす。

「浮竹は、宝物があるとああやってあけるんだ。ほとんどがミミックで、かじられてあんな姿になるんだけど・・・・・」

「京楽、助けてくれ。平子でもいい」

「よし、オレが助けやろやないか」

平子は、浮竹をひっぱった。

その力は強くて、浮竹はミミックにかじられながらも脱出したかに見えて、頭をまだかじられていた。

「このミミック、殺してええんか?」

「いいけど、頼むから浮竹は傷つけないでよ」

「ほれ」

隕石が降ってきた。

京楽は驚いて、シールドを張る。

「ちょっと、僕たちを殺す気かい!?」

「あれ、難しいな」

「僕が助けるから、平子クン、君はモンスターも倒さなくていいから!見てるだけでいいから!余計なことはしないでね!?」

神の名を冠するだけあって、その力は絶大であった。

加減ができないようで、星の名ををつけられただけあって、隕石を降らしてくる。

京楽は、しつこく浮竹の頭をかじっているミミックにとどめを刺した。

「助かった、京楽。平子、お前は強すぎて力加減ができないんだな」

「いや、そうでもないで?小さい隕石落としたりもできるで?」

「どっちみち星の精霊ドラゴンというだけあって、隕石を降らすんだろう。隕石なんて小さくてもクレーターができる。大きいと、国ごと亡ぶ」

「オレ、そない強ないで?」

「それより、浮竹いいのかい?ミミックが、魔法書ドロップしたけど」

浮竹は、京楽の手から魔法書を受け取った。

「何々・・・ドラゴン退治の書3巻。おいしくドラゴンの肉を加工する魔法・・・・」

浮竹も京楽も、平子を見た。

平子は、顔を青くして数歩下がる。

「俺はドラゴンやないで!精霊ドラゴンやで!精霊でもあるんやで!」

「でも、竜化できるんだよな?」

「加工されるうううう」

平子の救いを求める姿に、浮竹と京楽は腹を抱えて笑った。

「いや、冗談だから。さすがに仲間のドラゴンを加工しようとなんて思わん」

「そうそう。浮竹はドラゴン倒すの好きだし、魔法も覚えるだろうけど、平子クンには使わないさ」

平子は、ほっと胸を撫で下ろした。

「ならええんやけど」

ダンジョンの40階層は、ミミックオンリーのフロアだった。

100体はいるであろうミミックに、浮竹が順番に齧られていく。

45体目までは我慢したが、流石に数が多すぎて、平子がメテオストライクを放って、ミミックを全滅させてしまった。

「ああ、まだミミック全部にかじられてないのに!」

浮竹の非難の声に、京楽も平子も、疲れ切った表情をしていた。

「君、ミミックに今日で45回もかじられて、どうってことないのかい?」

「俺はまだまだいけるぞ。今夜ここで寝て、またミミックが復活するのを待とう」

「えー。オレは嫌やで。ミミックから浮竹助けんのにどんだけ苦労することか」

「僕も、平子クンの意見に賛成だよ」

「いや、今日はここで寝る!」

浮竹の意思は固く、結局2日目は40階層のフロアで夜を明かすことになった。

朝になり、20体ミミックが復活していた。

待てばもっと復活するだろうが、時間が惜しい。平子がこの世界にいられるまで、あと4日だ。

仕方なく、浮竹はきっちり20体のミミックに齧られて、魔法書やら財宝をゲットして、41階層を攻略していくのであった。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター20-2

浮竹と京楽は、気づいたら夢渡りで世界を渡り、東洋の極東の島にきていた。

「ここは・・・なんだ、すごいボロい建物だな」

「でも、ここに僕らと同じ気配を感じるよ」

雑居ビルが建っていた。

見た目はボロかったが、確かにそこに、東洋の妖(あやかし)である浮竹と京楽の存在を感じた。

(・・・・・ボロで悪かったな?)

東洋の浮竹は、自分たちの住処がボロいと言われて、少し怒っていた。

(・・・・十四郎?どうしたの?)

東洋の京楽は、警戒心をむき出しで、西洋の浮竹と京楽をみた。

「ああ、本当にこんな場所に住んでいるのか。まぁいい、お茶しにきたんだ。いい茶葉が手に入ったんだ」

「ヴァンパイアの皇族御用達の品らしいよ」

「あと、こっちの京楽がラズベリーパイとアップルパイを焼いてくれたから、それを持ってきた」

(わあ、いい匂いがするなぁ。あがってくれ)

(十四郎、急がなくてもスイーツは逃げないよ?)

西洋の浮竹と京楽は、靴を脱いで部屋にあがった。

そして、いろいろ部屋を見て回って、寝室の一角にある畳のスペースを見て、嬉しそうにそこに座った。

「畳、一度味わってみたかったんだ」

「浮竹ってば、ミミックの次に最近和風のものにはまりだしてね。古城にも、和室作ろうかとか言い出したんだよ」

(別に、いいんじゃないのか。あ、お茶いれてくるな?)

東洋の浮竹は、西洋の京楽から茶葉をもらうと、お茶を入れにキッチンに行ってしまった。

(あ、ボクが行くよ!キミはちょっと色々とマズいから・・・!)


お茶を入れに行った東洋の浮竹の後を、東洋の京楽が追う。

なんでも、電子レンジなるものに卵を入れて壊して、それ以来基本的にキッチンに立ち入り禁止らしかった。

寝室でお茶するのもなんだしと、西洋の浮竹と京楽もキッチンにやってきた。

ダイニングルームのテーブルの上に広げられた、ラズベリーパイとアップルパイを見る。

紅茶は最高級の茶葉のアッサムだった。

(おいしそうだな)

(そうだね。でも、ボクが作ったものの方がおいしいかもね?)

「おいおい、せっかく焼いたんだから、そんなこと言わないでよ」

「俺の京楽もそうだが、東洋の京楽も、料理好きなんだな」

(ボクは、十四郎が幸せそうに食べている顔を見るのが好きなの)

(みんな、食べないのか?)

切り分けたパイを、早速東洋の浮竹が美味しそうに頬張るのを、東洋の京楽はにこにこと楽しそうに見ていた。

「そっちの京楽も、食べたらどうだ。けっこういけるぞ」

西洋の浮竹は、東洋の浮竹ほどではないが、それでも美味しそうに食べていた。

(じゃあ、ボクは一つだけでいいや。あとは十四郎にあげるよ)

(ん?いいのか?じゃあ、遠慮なく!)

東洋の京楽はパイをそれぞれ一つずつ取ると、他を東洋の浮竹に勧める。東洋の浮竹は目をキラキラさせてパイを頬張っている。

東洋の京楽は、パイを一口、口にして、西洋の自分をほめた。

(キミ、腕あがってるね)

「君がくれたレシピの通り、作ってみたんだよ。おいしいなら、よかった」

西洋の浮竹も、美味しそうにパイを食べている。

西洋の京楽はというと、東洋の京楽のように、幸せそうにパイを頬張る、愛しい主であるヴァンパイアマスターを見て、にこにこしていた。

「また、今度何か差し入れにもってくる。また、お茶をしよう」

「うん。今度は、こっちの古城においで?」

(ああ、今度はボクらがそっちにお茶をしにいこうか)

(そうだな、お菓子は春水に任せた)

(あ、そうそう。お二人さんにお土産)

帰ろうとする西洋の浮竹と京楽を、東洋の京楽が呼び止め袋を渡す。

「なんだ?これは?」

(シフォンケーキ、作りすぎちゃってよかったら食べて?)

(お、俺の分はあるよな!)

(あるってば・・・後で冷蔵庫みといで)

そんな二人を見守ってから、西洋の浮竹と京楽は、元の世界へと戻っていった。


「ああ、畳って取り寄せられるかな?」

「できるんじゃない?少し高くなるかもしれないけど」

「この前、玄関に飾っておいた金のハニワを撤去したな、京楽」

「だって、ださいんだもの。おまけの純金だし、危ないよ?」

「金細工なんて、別にけちけちするようなもんじゃないだろ。その気になれば、錬金術で金を生み出せる。ちょびっとだけど」

浮竹の錬金術士の腕は、ミスリルランク。

ミスリルランクをもつ者は、ガイア王国に5人しかいないと言われている。浮竹は、隠れた6人目であった。

錬金術士は、本当に金を生み出せた。でも、その量があまりにも少しなので、他のミスリルといった金属を生み出すほうが儲かった。

「ミスリルでできたハニワを置こう」

「ハニワ、好きだね」

「あの独特の感じがいい」

「ミミックと、どっちが好き?」

浮竹はうなった。

「ミミックかな、やっぱ。そういえば、今日はまたポチにエサをやっていなかったな。おーいポチ」

「るるるる~~~~」

放し飼いにされているミミックのポチは、ドラゴンステーキを手にした浮竹ごと、かじりついていた。

「あいたたたた、ポチ、ちょっと痛い」

「るるるるう~~~~~~」

ポチは、浮竹をぺっと吐き出すと、ドラゴンステーキをもぐもぐと食べた。

「ポチはドラゴンステーキが好きだなぁ。肉がなくなったら、またドラゴン退治にでもいくか」

聖帝国と魔国が戦争した時、略奪を受けた村に、エンシェントドラゴンの肉を置いていった。

残っているドラゴンステーキは少しになっていた。

その後、東洋の京楽と浮竹と一緒に、ドラゴンを倒しにいくのだが、それはまた別のお話。

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「君は、僕のせいで一度、本当に死んでしまったんだね」

京楽は、寝室で哀しそうにしていた。

「お前のためだ。それくらい、どうってことない」

「確かに、君は神の愛の呪いを受けて不老不死だ。でも、目の前で灰になられた時、世界が色を失った」

「大袈裟だな」

「そんなことないよ!約束して。もう、あんな真似しないって」

「お前の命がかかっていたら、俺は何度でも死を選ぶ。だから、約束はできない」

「君って、時に残酷だよね」

哀しそうな表情の京楽に、浮竹はその見た目よりも柔らかな黒髪を撫でた。

「俺はお前を愛している。俺の命でお前が助かるなら、例え不老不死じゃなくても死を選ぶ」

「本当に君は・・・・・」

京楽は、浮竹を押し倒していた。

「なんだ、するのか?」

「君に刻み込んであげる。僕の愛を。その魂にある神の愛の呪いより、濃いんだって」

京楽は、浮竹に口づけていた。

浮竹は自分から口を開けて、京楽の舌を迎え入れる。

ピチャリと音を立てて二人は舌を絡ませあった。ベッドの上で、もつれるように動きあう。

「んあ・・・」

京楽は、浮竹の服を脱がせていく。

露わになった鎖骨に吸い付いてキスマークを残すと、平らな胸を撫ででから、先端をつまみあげた。

「やあっ」

ぴくんと、浮竹が反応する。

それが可愛くて、何度も舌で舐め転がし、つまみあげた。

「やあ、触って・・・」

浮竹のものは勃ちあがって、先走りの蜜をだらだら零していた。

「んあ!」

京楽のねっとりとした舌に包みこまれる。

数分舐めあげられて、浮竹は京楽の口の中に欲望を吐き出していた。

「ああああ!」

「美味しい。浮竹も、味わって?」

京楽は、嚥下する前に、浮竹に自分のものを味合わせた。

「ん・・・何これ、甘い・・・・」

「君にかけられた神の愛の呪いだね。君の体液は、いつも甘い」

京楽はそう言って、ローションを手にとった。

手の平で温度をなじませて、浮竹の蕾にぬりたくり、指にもぬって、蕾を解していく。

「ああ!」

前立腺を触られて、浮竹瞳を真紅にさせて、京楽に噛みつき、血を啜っていた。

「ん・・・どうしたの。積極的じゃない」

「喉が渇く。お前の血が、飲みたい」

ぺろりと唇を舐めるその妖艶な仕草に、京楽は手首を差し出した。

「少し、血をもらう・・・・」

「ん・・気持ちいいよ。もっと吸っていいよ?」

「もういい。渇きが癒えた」

「じゃあ、僕の渇きも癒してね?」

そう言って、京楽は浮竹のうなじに噛みついて、吸血すると同時に、浮竹を熱で引き裂いていた。

「あああ!!!」

じゅるじゅると血を啜り続ける。

「あ”あ”!」

最奥を突きあげてやった。

浮竹は、精液を出しながらオーガズムでもいっていた。

「あああーー!!」

はぁはぁと息を乱す浮竹を追い上げるように、ごりごりと最奥を抉ると、浮竹は泣いた。

「春水、春水」

「どうしたの」

「俺を、一人にしないでくれ・・・・」

ぎゅっと抱き着かれて、浮竹の中に欲望を注ぎ込みながら、京楽はその白い髪を撫で、キスを落とすのであった。

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「そうか。ウルキオラは死んだか。使えない・・・・」

魔国アルカンシェルで、藍染はため息をついていた。

十刃はまだ9人いるが、4位でこの有様だ。

複数向けることもいいかもしれない。

でも、と、藍染は思う。

「召還には一向に成功しない」

創造神ルシエードの召還の儀式を、ここ半年ずっと続けているが、神は用意に召還などに応じてくれない。

世界を渡った神々は、もうこの世界には戻ってこない。

藍染の傍で、唯一召還に応えた、その神に等しき存在は、異界の者。

星の精霊ドラゴンと呼ばれる、精霊とドラゴンの間に生まれた、ハーフであった。

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始祖なる者、ヴァンパイアマスター20

浮竹は、悪夢を見ていた。

京楽が病気にかかり、治療のかいなく、死んでしまう夢だった。

「京楽!」

「どうしたの、浮竹」

がばりと起き上がると、いつもの京楽が、そこにいた。

「凄い汗。悪夢でも見たの?」

「ああ・・・・・」

「シャワーでも浴びておいで。その間に戦闘人形と一緒に、朝食作っておくから」

「ああ、すまない」

冷たい冷水で、シャワーを浴びて悪夢の残滓を洗い流した後、熱いシャワーを浴びて、体と髪を洗った。

昨日睦みあったので、キスマークがいたるところにあった。

「京楽の奴、誰も来ないからって、こんな服を着ても見えるとろにまで、キスマーク残しやがって・・・・・・」

浮竹はぷりぷりと怒りながら、食堂に移動した。

「ああだめだよ浮竹、ちゃんと髪乾かさないと」

まだ完全に乾いていない髪の水分を、京楽がタオルでふいてやる。

「俺には民間魔法がある。この前覚えたあったかい空気を出す魔法だ」

ごおおおと、その魔法を自分の髪にかけた。

「ああもう、ぼさぼさじゃない!ちゃんとくしを通さないと!」

「お前は俺の母親か」

まるで、おかんのような京楽に、浮竹はけれどされるがままになっていた。

「ほら、今日は寒いからこの上着を羽織って。髪は結んでしまおう」

普通の結びのならわかるが、京楽は両サイドを三つ編みにして、後ろも三つ編みにした。

「ほら、かわいい」

「おい、俺の髪で遊ぶな」

「別にいいじゃない」

ふと、首にぶら下げていた東洋の浮竹と京楽からもらった水晶のペンダントが輝きだし、白く濁った。

「なんだ、誰かいるのか!」

「俺はウルキオラ。藍染様の配下、十刃の一人」

ゆらりと建物の影から現れた、白い肌に黒い髪、緑の瞳をした美しい青年は、魔族であった。

「魔族が俺たちになんの用だ!」

「気をつけて、浮竹。その子、強いよ」

浮竹は血の刃で攻撃する。すると、ウルキオラは浮竹を無視して、京楽の近くにきて、至近距離で小瓶を割った。

「うわ、なんだい!?」

「ウィルスだ。ヴァンパイアにしか感染しない。ヴァンパイアマスターには感染しない。せいぜい、愛する男が病気で死んでいくのを、見て苦しむがいい」

そう言って、ウルキオラは影の中に溶けていった。

「大丈夫か、京楽!」

「え、全然なんでも・・・・・ぐ、ごほっごほっ」

京楽は、咳き込んだかと思うといきなり血を吐いた。

ヴァンパイアの血では、傷は再生できるが病気はどうしようもない。

「今、ルキア君を呼ぶ!」

京楽は意識を失い、浮竹にベッドまで運ばれた。

浮竹は急いで式を飛ばした。帰ってきた式の言葉はNO。

今、血の帝国全土で謎の奇病が流行っているというのだ。感染源は不明。もって1週間で死に至る、肺を蝕むウィルスらしい。

ルキアはその治療にかりだされていて、こちらから出向いても対応が遅れるだろう。

「聖女は・・・シスター・ノヴァは封印したし、そうだ、井上織姫!」

人間の国の聖神殿にいる、井上織姫に会って、なんとしても京楽を治してもらおう。

浮竹は、初めて直面する血族の死の匂いに、震えながら、最近やっと契約した、冬獅郎も契約している氷の精霊、魔狼フェンリルの背に京楽を乗せ、大地を走るのであった。

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井上織姫に面会を頼みたい。

急病の患者がいるのだ。

そう訴えても、ヴァンパイアであるせいで、拒絶された。

すでに、京楽が謎の奇病にかかって3日が過ぎていた。京楽は水しか受けつけず、高熱をだしては血を吐いた。

「もういい、人間どもよ。どけ」

真紅の瞳を輝かせて、ヴァンパイアの証であり真紅の翼を広げて、浮竹は京楽をフェンリルの背に預けながら、聖神殿の中に足を踏み入れた。

「賊だ!賊が侵入したぞ!」

切りかかってくる兵士たちを、本当は殺したいが、聖女井上織姫が殺戮を繰り返したヴァンパイアの連れを治すとも考えにくく、浮竹は蔦の魔法でとらえて身動きを封じる。

「シズアイビー」

しゅるるると、蔦の魔法は聖神殿全体を覆ってしまった。

「どうたんですが、皆さん」

「聖女よ!出てきてはなりません、凶悪なヴァンパイアが、聖女を狙っています」

「誤解だ!聖女井上織姫、どうか俺の血族を助けてくれ!」

浮竹は、聖女井上織姫の前にくると、傅いた。

「顔をあげてください。浮竹さん!」

織姫は、優しい眼差しで浮竹を見つめた。

そして、京楽の病気のことを知ると、京楽を自分の部屋に運ぶように周りの者に指示して、去らせた。

「これは・・・ヴァンパイアだけがかかる病気ですね。ウィルス性急性エパトリンという病です。これは、ヴァンパイアの灰がないと、治りません」

血の帝国では、ルキアがヴァンパイアの墓を暴いて灰を集めてくるように命じて、患者たちを癒していた。

浮竹は、自分の右手を切り落とし燃やし、灰を作りだした。

「この灰で、なんとかならないか」

「やってみます!」

ぱぁあと、光が満ちた。けれど、京楽の病気は癒えず、少し改善しただけだった。

「氷の魔法で仮死状態にしても無理か!?」

「無理です。この病気の怖いところは、仮死状態でも病気が進行するところなんです」

「僕は・・・死なないよ。大丈夫だよ、浮竹・・・僕を、信じて?ゴホッ、ゴホッ」

顔に少し赤みが戻っていたが、治癒できたわけではなく、血を吐いた。

浮竹は泣いた。

「お前のいない世界なんていらないんだ。京楽、愛している」

浮竹は、炎の精霊王を呼び出した。

フェニックスで一度屠り、命を与えても、この病気は治らない。

そうと知った浮竹は、炎の精霊王に命令した。

「俺を焼き殺せ」

「我が友よ。汝は、神の愛で守られている。死しても死なぬ」

「だから、一度死ぬんだ。炎の精霊王、俺を灰にしろ。これは盟約にのっとった命令だ。拒否は許さない」

「地獄の業火で自ら焼かれるというのか」

「そうだ」

「仕方ない、分かった」

「え、ちょと、浮竹さん!?」

織姫の静止をふりきって、浮竹は炎の精霊王の滅びの炎の焼かれて、灰となった。

その灰を、織姫は泣きながら京楽に与えて、癒しの魔法を唱えた。

「僕は・・・浮竹は!?」

「浮竹さんは、死んでしまいました」

「冗談でしょ?」

「冗談ではない。我が灰にした」

京楽は、浮竹の血族だ。

今その場に、浮竹の気配なかった。ただ、浮竹が残した灰だけがあった。

「我は精霊界に戻る。我が友は不死。信じるといい」

「君のいない世界なんて、僕はいらないんだ!」

京楽は、浮竹の灰を掴んで泣いた。

滴り落ちた雫から、芽がでた。

それはみるみるうちに巨大な花を咲かせて、実をつけた。

実の中には、裸の浮竹がいた。

「あ、何か着るもの持ってきます!」

織姫は赤くなって、部屋を飛び出していた。

「浮竹?」

「誰だ、お前は」

実から生まれ出で、再生した浮竹は真紅の瞳で京楽を見た。

「冗談はやめてよ。僕は君の血族で、君は僕の主」

「俺は、創造神ルシエードの子、始祖ヴァンパイア浮竹十四郎。我が父、ルシエードはどこだ?」

真紅の瞳で、京楽を睨みにつけてくる。

京楽は構わず、裸の浮竹にシーツを巻きつけて、腕の中に抱きしめていた。

「僕を思い出て」

「お前など、知らぬ。うう、頭が・・・・・」

浮竹は、その場に蹲った。

京楽は、浮竹を抱き上げて、口づけしていた。

真紅だった瞳は、元の翡翠色に戻っていた。そして、混濁していた記憶が、はっきりしてくる。

今、浮竹を抱きしめてる存在に、安堵を覚えた。

「お前は俺の血族。血族の、京楽春水」

浮竹が、おずおずと、京楽の背に手を伸ばす

「そうだよ、浮竹。僕は君の血族の京楽春水にして、君だけを愛する君だけのもの」

「京楽・・・病気は、もういいのか」

「うん。浮竹と織姫ちゃんのお陰で治ったよ」

開いたままの扉の入り口で、織姫が顔を真っ赤にして服を手に立っていた。

「すみません、その、のぞいていたとかそうではなく・・・・・」

「気にしないでくれ、織姫君。君の助けがいる。今、血の帝国中に、そのウィルス性急性エパトリンと病気が広がっているんだ。普通の方法では治せない。聖女の力が必要だ。俺たちと一緒に血の帝国にきてくれ!」

「はい、分かりました!」

織姫は、ささっと旅の準備をしてしまった。

「手慣れているな」

「聖地巡礼とかしていますし、聖神殿にやってこれない患者さんのところに行くこともあるので」

「浮竹、本当にもう大丈夫なのかい?」

「京楽こそ、大丈夫なのか?」

「僕はぴんぴんしてるよ。でも、いくら不死とはいっても、君が死ぬ姿なんてもう見たくない」

「すまない。多分、あれが最初で最後だ」

浮竹と京楽は、織姫を連れて古城に戻ると、血の帝国に向かって出発した。


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「ルキア、無茶だ!もう3日も寝てないんだぞ!少し眠れ!」

「しかし、私の聖女の魔法がないと、病気が癒えぬ!このままでは、死者は増すばかりだ!」

すでに、数千人が死んでいた。

「俺の氷の魔法で仮死状態にしても、病気は進行する。厄介だな」

一度、冬獅郎が患者を氷漬けにして、病気の進行をどうにかしようとしたが、無駄に終わった。

「感染源は特定できたのか?」

ルキアの言葉に、一護も冬獅郎も首を横に振った。

「今、3か所の街で発病が確認されている。空気感染でもないし、飛沫感染でもなさそうで、感染源の特定に至っていない」

ルキアは皇族であるため、ウィルス性急性エパトリン病にはかからかった。

ヴァンピールである一護と冬獅郎もだ。


「ルキア君、一護君、冬獅郎君!援軍を連れてきたぞ!」

浮竹は、治った京楽と共に、聖女井上織姫を連れてきていた。

「井上織姫っていいます!よろしくお願いします!」

「織姫殿!聖女であられるのだな!すまぬ、私は限界だ。少し休ませてもらう。患者を頼んだ」

「はい!」

他にも、聖帝国からも聖女がかけつけてきてくれて、病魔の勢いは静まりつつあった。

「あのウルキオラという青年が、ウィルスをもっていたんだろう。多分、いろんな場所で感染させていたんだろうが、幸いなことにウィルスそのものは空気感染も飛沫感染もしない。なんとかなりそうだが、ウルキオラを見つけるまでは、油断できないぞ」

「うん、分かってる」

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浮竹と京楽は、手を握りあって、新しい患者が出たという町にきていた。

「魔族の・・・あの、ウルキオラって奴の魔力を感じる。この町にいるみたいだね」

「ああ。影に潜んでいるかもしれない。注意しよう」

町をしらみつぶしに探し、やっとウルキオラを追いつめた。

「ちっ、死ななかったのか京楽」

「浮竹の愛のお陰で、僕はぴんぴんしているよ」

「ちっ、もっと毒性のあるウィルスにすれば良かった」

「十分に、毒性は強いと思うけどね?君のせいで、死者は5千人をこした」

「たった5千人か。500万人を殺したかったが・・・・・」

ウルキオラは、悔しそうであった。

「何の罪もない5千人の命を奪ったこと、その命で償わせてやる!」

「できるものなら、やってみろ!俺は藍染様から特別に愛され、力を分け与えていただいた魔族だ!」

「その藍染そのものが、一度俺に封印されたことを忘れるなよ?」

浮竹は、炎の精霊王を呼び出していた。

「呼んだか、我が友」

「この男を燃やし尽くせ。周囲にある、病のウィスルごと」

「分かった」

炎の精霊王は、地獄の業火を呼び出し、ウルキオラに向けた。

それを、ウルキオラは、肉体を焦げさせながらも吸収した。

「ほう、我がを吸収するか。しかし、我の炎は無限。くらえ、ファイアオブファイア!」

ウルキオラは、氷の魔法でシールドを張った。

しかし、相手は精霊王。

「くううう、藍染様ーーーーーー!!」

炎の侵食され、ウルキオラは敵の手にかかるのではなく、自害を選んだ。

「愛しております、藍染様」

ぱぁんと、爆発音がして、ウルキオラの体は粉々に吹っ飛んだ。

「気をつけろ、血肉にも何かのウィルスをもっている!」

「我に任せよ」

炎の精霊王は、満ちた瘴気ごと、ウルキオラの血も肉も蒸発させた。

「これで、その病気はこれ以上広がることはあるまい」

そう言って、炎の精霊王は精霊界に戻っていった。

「終わったね」

「ああ」

「思ったより死者が出ちゃったっけど、全面戦争になるのかな?」

「分からない。証拠は自害してしまったしな。ブラッディ・ネイに任せる。血の帝国は、基本戦争は行わない。多分、報復行動はすると思うが・・・・・」


その言葉通り、このウィルスばら撒き事件が収まった頃、ブラッディ・ネイは分身体を飛ばし魔国アルカンシェルの中にある川に、飲めば死ぬ毒を投げ入れ、それによる魔族の死者は4万人をこえるのであった。









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始祖なる者、ヴァンパイアマスター19

炎の精霊王は、全ての精霊の頂点に君臨する存在であった。

始祖精霊と呼ばれていた。

精霊王は、炎の精霊王の他に、大地の精霊王、風の精霊王、水の精霊王、光の精霊王、闇の精霊王、雷の精霊王、氷の精霊王の、合計8人がいた。

でも一番偉いのは、炎の精霊王だった。

何せ始祖精霊である。

全ての精霊王、精霊たちは、炎の精霊王から生まれた。

それは、始祖ヴァンパイアである浮竹と、その妹であるブラッディ・ネイがヴァンパイアという存在を、作っていったのに似ていた。

炎の精霊王は、氷の精霊王と水の精霊王と仲が悪かった。

ただ単に、反属性であるからという理由もあった。

この世界が、創造神ルシエードによって作られて8千年。

ヴァンパイアの国、血の帝国は当時弱小国であった。それが、始祖浮竹とブラッディ・ネイの手によって繁栄を謳歌し、今日(こんにち)まで続いた。

氷の精霊王は、代替わりしたばかりで、齢100年にも満たぬ若輩者であった。

炎の精霊王は、新しい氷の精霊王と交流を深め、属性による相性の悪さを克服していた。

「我には、新しい契約者ができた。実に140年ぶりのことだ」

「いいなぁ。我にはまだいない。いいなぁ」

氷の精霊王は、12歳くらいの少年の姿を形どっていた。水色の髪に、水色の瞳をした美少年だた。

炎の精霊王は、20代前半の、燃えるような長い赤い髪に、赤い瞳の美青年だった。

二人は、酒盛りをしていた。

精霊に未成年という定義はない。

生まれ落ちた瞬間から、酒も飲めるし、他の精霊と睦み合って、子を成すこともできた。

炎の精霊王は、樽ごとワインを飲みほしていた。

「いいなぁ、炎の精霊王は。我も契約者が、主が欲しい」

精霊王は、その属性の一番上に立つ存在であった。

その精霊王たちは、主を、契約者を欲しがった。そうでなければ、人間界に、制約つきでないと遊びにいけないのだ。

人間界は、精霊界にないもので満ち溢れている。

精霊たちは、通称精霊族と呼ばれた。

他の精霊たちは、自由に人間界を行き来しているのに、精霊王たちがその有する魔力のため、制約つきでしか人間界に行くことができなかった。

力の大半を封印した形で、居れて3日が限度であった。

炎の精霊王は、浮竹の元を訪れて追い返された後、一度精霊界に帰った。

そしてS級ダンジョンに挑むと聞いて、炎の精霊王はそれだと思い至り、50階層のボスを勝手に倒して、自分がボスになった。

やってきた浮竹、京楽、一護にやられて、最後は浮竹の、契約者になってほしい者に屠られるほどのダメージを与えられて、それを契約とした。

普通の方法で契約してくれない者には、少々強引な手を使う。それが炎の精霊王のやり方であった。

「この料理、辛いな!」

炎の精霊王は、氷の精霊王に向けて、炎のブレスを吐いていた。

「ちょっと、炎の精霊王!我のキューティクルな髪が、アフロになったではないか!」

「てへ」

「てへじゃない、表でろやこらぁ」

「まあまあ、氷の精霊王。ほら、苺のシャーベットだぞ」

「何!我の大好物ではないか!」

苺のシャーベットに夢中になる氷の精霊王を、まるで孫を見るような眼で、炎の精霊王は見ていた。

「時に、汝の契約者の名はなんであった?」

「浮竹十四郎。始祖ヴァンパイアにして、我が友創造神ルシエードの子にして、我の新しい友だ」

「浮竹、十四郎・・・・・・・」

「こら、氷の精霊王。我の友に、契約者になってもらおうなどと、思っているのではないだろうな?」

「別にいいではないか、炎の精霊王。世界には、かの魔人ユーハバッハのように、複数の精霊王を使役する者もいた」

「ユーハバッハは、神に刃を向けた罰として、千年の眠りについているであろう」

「ユーハバッハが目覚めるまで待てない。我は、契約者を探しに人間界へ行くぞ」

「待て、氷の精霊王!」

「バーカバーカ。アフロにしてくれた礼だ」

氷の精霊王は、覚えたばかりの禁呪を使った。

「何をする、氷の精霊王」

「ふふふ。酒を持ってこいー。酒が足りぬぞー」

水の精霊ウンディーネが、ワインを持ってきた。

「我はワインは好かぬ。アニモニアの実の果実酒を所望する」

「あいにく、在庫を切らしていてな」

「なんだと!炎の精霊王、我がアニモニアの実の果実酒がなければ、氷のブレスがはけないことを知ったうえでのことか!」

「いや、ただの偶然で・・・・・」

「許せぬ、炎の精霊王。我を蔑ろにするつもりだな?」

「誤解だ、氷の精霊王」

「汝など、凍てついてしまえ」

ほんの冗談のつもりであった。戯れのつもりであった。

氷の精霊王が炎の精霊王に向けた氷の刃は、あろうことか炎の精霊王のコアを貫いた。

「あ、やべ、炎の!」

「ちょ、なにしてくれる、氷の!」

二人して、顔を見合わせた。

「きゃあああああ!氷の精霊王様のご乱心だわ!氷の精霊王様が、炎の精霊王様を封印しようとしている!早く、このことを契約者に伝えなければ!」

「ちょっと待て、ウンディーネ!」

「今、契約者を呼んでまいります!」

「だから、ちょっと待って!これは・・・・・」

「行ってしまったぞ?」

ウンディーネは、すでに精霊界を出ていた。

「氷の精霊王。汝に、我が契約者と契約するのを、許そう」

「本当か、氷の精霊王!」

「その代わり、このコアの修復代金は、そちらもちで」

「う!汚いぞ、炎の」

「元を正せば、氷の、汝が氷の刃など向けてくるから!」

炎の精霊王は、コアを破壊されかけたせいで、活動を停止してしまうので、炎の精霊イフリートに憑依した。

「我はコアが再生するまでの間、イフリートでいる」

「炎の精霊王、すまない。我のミスだ」

「氷の精霊王。我を召還できぬことで、契約者が本当に精霊界にくるかもしれない。その時に頼んでみるといい。契約を」

「すまない、炎の精霊王」

----------------------------------------------------


「こちらです、浮竹様!」

浮竹は、京楽を伴って、精霊界にきていた。

水の精霊ウンディーネに導かれるまま、炎の精霊王のいる神殿を目指す。神殿では、炎の精霊王が活動を停止していた。

「遅かったか!」

「いや、我は無事だぞ、我が友よ」

「イフリート?いや、中身は炎の精霊王か」

「そうだ、我が友よ」

「ねぇ、浮竹。ちょっとウンディーネの言ってたことと、現実が違うようなんだけど」

京楽は、浮竹を見た。

浮竹は、イフリートを見ていた。

「我と酒を飲みかわしいて、好物の果実酒がないと知った氷の精霊王が怒って、戯れに我に氷の刃を向けて、我は油断しまくりで、コアを、つまりは心臓を少し。修復すれば、我は元の姿に戻れる」

「コアの再生方法は?」

「魔力」

「京楽、出番だ!」

「ええ、なんで!浮竹の従えてる精霊王でしょ!?」

京楽が、浮竹に抗議した。

「なんか、嫌な気がする。複数の精霊王から、契約者にならないかって言われそうな気がして」

「ああ、氷の精霊王には、契約者として、汝を紹介しておいた」

「ああ、いらないことを・・・・」

浮竹は、頭を抱えた。

そこに、12歳くらいの、水色の髪に水色の瞳の少年が現れた。

「汝が、浮竹十四郎か。我は氷の精霊王である。我の契約者になれ」

「いやだ」

「そうかそうか。ってなんで!?」

氷の精霊王は、泣いて喜んでもらえるものだとばかり思っていたので、拒絶の言葉に自分で自分をつっこでいた。

「我ら精霊王を複数従えるのは、名誉あることなのだぞ!」

「そんなもの、いらない」

「浮竹、氷の精霊王泣いちゃったよ」

うわんうわんと、氷の精霊王は盛大に泣きだした。

「ああもう、精霊王って変なのばっかだな!分かった、契約してやる」

「本当だな?」

「別にしなくてもいいんだぞ」

また、うわんうわんと、氷の精霊王は泣きだした。

「分かった、分かったから泣くな。どうやって契約するんだ?」

「普通は、相手を打ち破る。しかし、炎の精霊王を打ち破るほどであるから、この契約書に署名でいい」

氷の精霊王が出してきた契約書は、古代語で書かれていた。

浮竹は、それにサインせず破り捨てた。

「依代になるなんて、聞いていない」

「ぐ、古代語だから読めないと思っていたのに・・・・・」

「浮竹、この子、意地が悪いみたいだよ」

「そうだな。帰るか」

「ちょ、ま!嘘だ、さっきの契約書は嘘!本物はこっちだ」

氷の精霊王は、本物の契約書を出してきた。

現代語で書かれた、ちゃんとした内容の契約書で、浮竹は何度か読み返した後、サインをした。

「これで、汝は我が友である。ばりばり呼べ」

「呼ばん」

「なんですと!?」

「そう頻繁に、戦闘をしているわけじゃない。それに、精霊王の召還は、魔力がごっそりもっていかれるから、きっとめったにしない」

「仕方ない。魔人ユーハバッハのようにはいかぬか」

「魔人ユーハバッハ?」

浮竹が首を傾げた。

「古代人だ。古代魔法文明を築いた、魔人ユーハバッハ。8種族の全ての精霊王を使役した、伝説の存在」

「そんな者が存在したのか・・・・」

「神になろうと、神を殺そうとして怒りを買い、千年の封印を施された」

「死んで、いないのか」

「そんな存在がいるの?」

ごくりと、京楽が唾を飲みこむ。

「魔人と呼ばれ、4千年を生きていた。今も、海に沈んだ古代遺跡で眠っている。封印が解かれるまで、あと400年はある」

「封印されたのは、今から600年前・・・・俺が、ちょうど休眠していた間だな。知らなくて当たり前か。元々、俺は他の種族に、特に人間には興味なかったからな」

「僕は人間だったけどね。浮竹の熱い愛で、血族になったんだ」

「汝ら、できているのか」

「そうだよ。僕と浮竹は愛し合っている」

「京楽、いらんことを教えなくていい」

「あはは、ごめん、浮竹」

氷の精霊王は、浮竹の手を取って、魔力を流し込んだ。

「何をしているんだ?」

「この世界は、存在するのに魔力を消費する。2人も精霊王と契約していると、魔力の消耗も激しくなる。それを防いだだけだ」

「気を使ってくれたのか。ありがとう」

「魔力を流しこんで今分かった。汝、とんでもない魔力を有しているな?魔人ユーハバッハに引けをとらぬ・・・・」

「そうか?」

「そうだ」

「さすが僕の浮竹」

京楽は、浮竹に抱きついてキスをした。

「こら、子供が見ているだろう!」

「我は、齢80歳なのだが・・・・・」

「80歳だなんて、ヴァンパイアでも子供の年齢だ!」

「そうか。汝はヴァンパイアであったな。長くを生きるでのあれば、我も嬉しい」

「浮竹、古城に帰ろうよ」

京楽が、除け者にされてつまんないのだとばかりに、意思表示した。

「炎の精霊王の傷ついたコアに魔力を流してから帰る。京楽、お前も手伝ってくれ」

「分かったよ」

神殿のベッドの上で、昏々と眠る炎の精霊王のコアに、魔力を注ぎ込む。ぎゅんと、凄まじい魔力をもっていかれた。それは、京楽も同じだった。

二人して、魔力切れを起こしかけていた。

「すまぬ、我が友と。汝と、汝の血族の魔力が美味すぎて、ほとんど吸ってしまった」

炎の精霊王は、復活していた。

「魔力がないと、この精霊界にはいられないんだろう。俺と京楽は、戻る」

「少し待て。今、魔力の実をもってくる。失われた魔力を回復させる薬だ」

少しして、ウンディーネが魔力の実でできた飲み物をもってきてくれた。

「あ、意外とおいしい。なんだろう、胸のあたりがぽかぽかする」

「本当だ美味いな。体全体がぽかぽかする」

「我が友の魔力は膨大だ。体全体がぽかぽかするは、神クラスの魔力を持っている証」

「俺は神クラスなのか?」

「そうでなければ、我が望んで契約を無理やりにさせたりはせぬ」

浮竹は、まだ納得がいかなかったようだが、まぁいいかと、難しい事柄の思考を放棄した。

「まだ、精霊界にいていいのか?」

「ああ。精霊界は、汝と汝の血族を、快く迎え入れよう。よくぞ、我の危機を救ってくれた。宴だ!飲め、食え、騒げ!」

炎の精霊王の様子に、浮竹も京楽も、祝いごとが好きなんだなと思った。

たくさんの料理が出され、ワインか果実酒といった酒もあった。

S級ダンジョンで、50階層を突破した後にも精霊界にきたが、友人が古城で待っていたので、思う存分飲み食いできなかった。

今回は、思う存分食べて、飲んで、そして笑った。

「次は、ウンディーネによるストリップ!」

「浮竹は見ちゃダメ!」

京楽は、大胆に動くウンディーネの裸を見ながら、浮竹の目を塞いでいた。

「ああ、あれが浮竹なら・・・・」

浮竹の大胆なストリップを想像して、京楽は鼻血を出していた。

「どうした、京楽。そんなにウンディーネのストリップに興奮したのか。この浮気者!」

「違う・・・脳内で、浮竹に変換してた」

「なっ!」

浮竹は真っ赤になり、京楽の頭をはたいた。

「いたたたた。でも、いいもの想像できた。おなかいっぱい」

「この変態が!」

「我が友には、少ないが、財宝を与えよう」

「宝箱!」

「ミミックだ。ミミック好きだと、聞いたのでな」

「ミミックの宝箱!」

浮竹は、目をキラキラ輝かせて、宝箱をあけた。

「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよーーー」

「またやってる」

京楽は、苦笑しながら、浮竹をミミックから救出した。

「ウィンドカッター」

風の魔法で斬り裂くと、ミミックは金塊の他に5冊も魔法書を落としてくれた。

「我が、精霊族に伝わる魔法だ」

「禁呪ばかりだな。ありがたくもらっておく」

目を通して、もう覚えてしまったが、他の誰かにも教えることがあるかもしれないと、アイテムポケットに直した。

「浮竹、肝心の金塊忘れてる」

「ああ、魔法書にばかり目がいって、忘れていた」

金塊も、アイテムポケットに入れた。

「じゃあ、元の世界に戻る。世話になった」

「こちらこそ、騒ぎに巻き込んですまぬ、我が友よ」

「炎の精霊王だけでなく、我も呼んでくれよ?」

氷の精霊王が、手を振っていた。

「ああ、分かった」

「浮竹、いくよ」

「まってくれ、京楽!」

水の精霊ウンディーネに案内されて、来た道を戻る。

「我ら精霊族は、他種族の侵略から身を護るため、世界を閉ざしいます。許可のある者しか出入入りができません。これを」

黒水晶の結晶を渡された。

「その黒水晶があれば、精霊界への道は開けます。では、また・・・・」

「ああ、ありがとう」

「ああ、あの子ストリップしてたウンディーネだ。浮竹に頭の中で変換してたから・・・ああ、思い出すだけで鼻血が!」

「この変態が!」

京楽は、浮竹に蹴られながら、浮竹と一緒に古城の庭にもどってきていた。

-------------------------------------

桔梗の花が綺麗に咲いていた。

前に、東洋の浮竹と京楽からもらった花の種を、プランターで育ていた。

四季を通して咲くようにと、民間魔法の乱れ咲きの魔法をかけていた。

「ああ、まだ脳内で、浮竹がストリップしてる」

「いい加減、忘れろ」

「無理。むらむらしてきた」

「盛るな!せめて、風呂に入ってからにしろ!」

夕飯を食べて、風呂に入った後で、京楽が寝間着を一枚一枚浮竹からはぎとって、その美しい体に魅入っていた。

「ああ、ウンディーネのストリップなんて目じゃないね。なんて白くて滑らかな肌だろう」

「んんっ」

京楽が、味わうように、肌をついばみ、舐めていく。

「変なかんじだ」

「そうだ、今日は最後まではしないでおこう」

「お前がそれで満足するなら、俺はそれでいいが」

京楽は、殊更ゆっくりと、浮竹の衣服を脱がせていった。下着をとりさり、裸の浮竹を舐めるように見た。

「や、なんか恥ずかしい・・・・・」

「綺麗だよ浮竹」

京楽は、自分も裸になって、浮竹に覆いかぶさった。

「ああ、白い肌。なめらかで気持ちいい」

浮竹のものを口に含み、舐め挙げて、全体を指でしごいた。

「ああああ!!!」

浮竹は、京楽の攻めに耐え切れず、京楽の口の中に精液を吐き出していた。

「今日は、素股をしよう」

「素股か。まぁ、俺はそっちの方が負担がなくて楽だな」

「太もも、閉じて?」

言われるまま、浮竹は太ももを閉じた。

背後から、京楽の立派な一物が、閉じた太ももの間を出入りする。

「ああ、いいよ。すごくきもいい」

「俺は何も感じないんだが」

「後で、またいかせてあげるから、今は僕を気持ちよくさせて?」

そのまま、何度か太ももを出入りして、京楽はシーツに染みを作った。

それを、京楽は4回ほど繰り返した。


「あ、ああああ!」

京楽にしゃぶりつかれて、浮竹はいっていた。

「ああああ!」

「まだ、出せるでしょ?美味しい君のミルク、僕にもっとっちょうだい?」

「やああ、もう出ない・・・・・・」

それでも、しつこく京楽は浮竹のものを舐め続けた。

「きもちよくしてもらった、ご褒美だよ」

白い太もももにかじりついて、京楽は吸血した。

「ひあああああ!!」

ぷしゅあああああああ。

浮竹は、潮をふいていた。

「ああ、エロいね。君の中に出してないのに、君の体は吸血されるだけで、女の子みたいになっちゃうんだね」

「あああ、ああ・・・」

浮竹は、何度も吸血してくるその快感を感じながら、瞳を閉じるのであった。

-----------------------------------------------

「ウルキオラ」

「はい、藍染様」

「血の帝国にいき、このウィルスをまき散らすのだ」

「御意」

ウルキオラは、藍染が集めた十刃の一人だった。

他の十刃がどうしているのかは、知らない。

ただ、主である藍染の命令に従うだけ。

「必ず、藍染様の役にたってみせます」

「いい子だね、ウルキオラ」

藍染は、ウルキオラの顎に手をかけて、上を見させると、口づけた。

「あ、藍染様・・・・・・」

「さぁ、行っておいで。そして、血の帝国を滅茶苦茶にしておいで」

「はい、藍染様・・・」

魔族であるウルキオラは、闇にその身を紛れさすと、魔国アルカンシェルを出て、血の帝国に向かうのであった。














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始祖なる者、ヴァンパイアマスター18-2

そこは、精霊界であった。

精霊たちで満ちた世界。

浮竹や京楽のいる世界と、完全に異なる異界であった。

西洋の浮竹と京楽の影に潜んでいた、東洋の浮竹と京楽も異界の存在であるため、必要なしと飛ばされしまった。

「あ、東洋の僕らがいない」

「本当だ」

浮竹は、きょろきょろと辺りを見回すが、浮竹と京楽、一護の他には精霊しかいなかった。


「よくきたな、我が友よ。今宵は我を使役することができた者が現れたことの祝いの宴だ。参加していけ」

炎の精霊王は、元に戻った長い赤い髪を翻して、精霊たちに客人をもてなすように命令した。

いろんな精霊がいた。

フェニックスやイフリートの姿もあったし、冬獅郎が使役している氷の精霊フェンリルや、S級ダンジョンで倒したウンディーネ、シルフィードといった、炎の属性以外の精霊の姿もあった。

祭りが、行われた。

「さぁさぁ、飲め、食え、そして騒げ!」

精霊王は、樽ごと酒を飲んでいた。

浮竹と京楽はそれぞれワインを飲んでいた。

一護は未成年なので、フルーツジュースを飲んでいた。

「我を使役できる者は、実に140年ぶりだ」

「精霊王も、けっこう暇人なんだな」

「我は忙しいぞ。精霊界を統治しなければいけないし、いろんな精霊を生み出し、管理している」

「そうか。悪かった、暇人などと言って」

「構わぬ。我も、長い時間を生き過ぎた。我を使役し、我と対等の会話できる者が現れることを、この140年間ずっと待っていた」

「それが俺か」

「そうだ。我が友、創造神ルシエードの子よ。まさか、我の友の子が、我の主となるとはな。運命とは、かくも奇妙なものよ」

きっと、古城に飛ばされたであろう東洋の浮竹と京楽は、ご飯を作って待っていてくれているだろうと思い、料理にはあまり手を出さなかった。

「む、精霊界の食べ物は口に合わぬか?」

「いや、夕飯を作って待ってくれているだろう友人たちがいるので」

「そうか。酒だけでも、飲んでいけ」

高級なワインやら甘い果実酒やらが出された。

それを口にしていると、精霊王は満足したのか、浮竹と京楽と一護を、元のダンジョンではなく、古城にまで飛ばしてくれた。

「また会おう、我が主。我が友の子にして、新たなる友よ」

「ああ、またいつか力を貸してもらう」

「汝の召還に、我はいつでも答えよう」

古城は、夕焼けに染まっていた。

「ただいま」

「ただいまー」

「お邪魔します」

帰ってきた3人を、東洋の浮竹と京楽が出迎えてくれた。

(おかえり)

(おかえりなさい。僕たちで夕飯を作ったんだ。食材を勝手に使わせてもらったけれど、大丈夫だよね?)

「ああ、ありがとう。いい匂いだ」

「ほんと、いい匂い」

「俺、帰りますね」

「え、一護君、食べていかないのかい?」

「なんか、俺だけ邪魔っぽいから」

「そんなことないのに」

しゅんとなる浮竹に、京楽が頭を撫でた。

「ルキアちゃんの顔を見て、強くなったことを教えたいんだよね?」

「別に、そんなんじゃ・・・・」

一護は、赤くなっていた。

「そうか。一護君は、ルキア君を。ふーん。へー」

「ちょ、浮竹さん!」

真っ赤になった一護は、礼を言って、古城の地下に安置された空間転移魔法陣で、血の帝国に戻ってしまった。

(カルボナーラとペペロンチーノを作ったんだ。春水が)

(デザートは羊羹だよ)

「ありがたい。皆で食べよう」

足りない分は戦闘人形に調理させて、最高級のワインを出して、夕飯を皆で食べた。

お茶会を何度かしたが、夕飯を一緒に食べるのは初めてだった。

「ふう、おなかいっぱいだ。もう食べれない」

浮竹は、そう言いながら羊羹を食べていた。

「ねぇ、東洋の僕。このご飯、君が作ったんだよね?」

(そうだよ?)

「レシピを!レシピを頂戴!僕も、浮竹に手料理を食べてもらいたい。レパートリーが少なくて、困ってたんだ」

東洋の京楽は、いろんな料理のレシピを西洋の京楽に、書いて与えた。

「ありがとう!」

(料理の腕、あげるんだよ?)

「うん」

(さて、僕らは、そろそろおいとまするよ。とても有意義な時間を過ごせて、楽しかったよ)

(俺も、もういく。本当に世話になった。また、遊びにくる)

「え、もう行ってしまうのか?」

(こっちの世界で、数日を過ごしてしまったからな。俺たちにも、帰る場所があるから)

(うん。本当にありがとう、西洋の僕ら。じゃあ、僕たちは自分の世界に戻るよ)


突然やってきた時のように、彼らは風のように去っていった。

「まるで、嵐みたいだったね」

「そうだな。また、会えるといいな」

「会えるさ。必ず」

京楽は、もらったレシピを手に、胸に光る水晶をぎゅっと握った。

浮竹も、同じように水晶のペンダントを握りしめるのであった。


---------------------------------------------------------

風呂に入り、ベッドに横になると、お腹はいっぱいだろうに、飢えた目で見つめてくる京楽がいた。

「どうしたんだ?」

「君が、東洋の僕についていきそうな気がして」

「ばかだな、京楽。俺には、お前だけだ」

「うん、そうだね。ねぇ、一度してみたかったことがあるんだよ。してもいい?」

「ああ、いいぞ」

「言質、もらったからね」


「あ、やぁ!」

浮竹は、目隠しをされていた。

おまけに、包帯で手首を戒められていた。

「やあ、とって、とって春水!」

「だめ。今日はそのまま、乱れて僕の下で喘いで?」

「やぁん」

ズチュリと、浮竹の中を犯してる熱は、熱を放っても放っても、硬度を失わなかった。

「ああああ!」

浮竹の奥に向かって、突き上げる。

「あああ・・・見えないから、余計に感じる」

「そうでしょ。ほら」

「あああ!!!」

ちゅどんと、最奥の結腸をこじ開けられて、浮竹は乱れた。

「ああああ!!!」

「もっと僕を求めて、十四郎」

「あ、春水春水!」

見えない目で、浮竹は京楽を探す。

「ここにいるよ」

頬に手を当てると、涙が京楽の手に触れた。

「泣いてるの?」

「お前が見えないから、怖い」

「ごめん」

京楽は、浮竹の目隠しと戒めを解いてやった。

「これで、大丈夫?」

「あ、春水・・・・愛してる」

浮竹は、うっとりと微笑んだ。

本当に、サキュバスのようだ。いや、男なのでインキュバスか。

「君は、本当にかわいいね」

「ああん!」

胸の先端をつまみあげると、甘い声を出した。

「あ、あ、あ!」

リズムをつけて、浮竹を貫き、揺さぶった。

「あああ!」

浮竹は、精液を弾けさせていた。

「やっ、血を、血を吸ってくれ」

「君からそんなこと言うなんて、珍しいね?」

「あああああ!」

首筋を噛まれて、大量に血を飲まれた。

「数日ぶりだから、僕も乾いてる」

「あああ・・・・」

再生していく傷口をぺろりと舐めると、浮竹も自分の唇を舐めた。

「もっと、精液、ちょうだい?」

「君は本当に・・・娼婦のようだね。僕専用の」

ずちゅっと、中をすりあげて、最奥にまた熱を流しこむと、浮竹は満足したように眠りに落ちていった。


------------------------------------------------------------------


「ん・・・・」

「どうしたの、浮竹」

「頭が痛い。飲みすぎた」

「ああ、僕の精液を・・・いた!」

浮竹は、思い切り京楽の頭を殴っていた。

二日酔いだった。

症状が重いので、ポーションを飲んだ。

猫の魔女、松本乱菊の作ったポーションだった。


リィィン。

鈴の音がする。

訪問者だ。

浮竹も京楽も、着替えてから、対応した。


「助けてください!」

いたのは、精霊のウンディーネだった。

「炎の精霊王が、炎の精霊王が!」

浮竹と京楽は、顔を見合わせた。

「どうしたの?」

「何があった!」

「精霊王が、新しく生まれた氷の精霊王に、封印されかかって!」

もう一度、浮竹と京楽は、顔を見合わあうのだった。

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