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よっぱらった浮竹

「うい~~日番谷隊長~」

「なんだ浮竹・・・・うわ、酒くせぇ!」

「うい~~!」

浮竹は相当酔っぱらっている様子だった。

日番谷に抱き着いて、離れない。

「おい、浮竹大丈夫か?」

「うい~~~酒もっとよこせーーー」

「なんつー悪酔いの仕方だ・・・・・」

「日番谷隊長好きだああああああ」

「ぎゃああああああああ」

浮竹に押し倒されて、日番谷が悲鳴をあげる。

その悲鳴でとび起きた松本がやったきた。

「おい、松本見てないで助けろ!」

「これは禁断の浮竹×日番谷!シャッターチャンス!」

ぱしゃぱしゃと、伝令神機で写真をとっていく松本に切れた。

「蒼天に座せ氷輪丸!」

浮竹も松本も、ひゅるるるるると吹き飛んでいく。

松本はしっかり着地した。

浮竹も、酔ってるくせにちゃんと着地した。

「くそ・・・・・・」

最近こいつらを氷輪丸で吹き飛ばし過ぎているせいか、なかなか倒れない。

「日番谷隊長、好きだああああああ」

「ぎゃああああああああ!俺じゃなくて、松本にしろおおお」

「松本?」

ゆらりと、酔っぱらいの浮竹がたちあがる。

「けしからん乳ーーーーー!」

「ぎゃああああああああああ」

乳を手でわしづかみにされて、松本が悲鳴をあげた。

「ちょっと、浮竹隊長どこさわってるんですか!」

「乳ーーーーーー」

ゴス。

その頭を、氷輪丸の柄で殴った。

「隊長、助かりました」

「お前がどうなろと知ったこっちゃないが、浮竹をじーっと見ているあいつがいたんでな」

破壊した窓の外から、へばりついている京楽がいた。

やがて、中にやってくる。

「浮竹、酔っぱらってても浮気は許さないよ」

「京楽~お前が飲めというからこうなった~。日番谷隊長、松本、全死神の諸君好きだあああああああああああ!!!」

「節操ねぇのかよ!」

日番谷がつっこむと、浮竹はゆらりと立ち上がった。

「日番谷隊長、俺と京楽の息子になってくれ!」

そういって抱き締められた。

「無茶いうなあああ!!」

「うーん、日番谷隊長が息子かぁ」

「そこ、真剣に悩むなあああ!!!」

「うーい。好きだあああああ!!」

「ぎゃあああああああああ」

日番谷を押し倒す浮竹を見て、京楽がにっこり笑う。

「日番谷隊長には、この世から去ってもらおうかな」

「お前らが去れええええ!!卍解、大紅蓮氷輪丸!!」

ドカーンガシャーン。

凄い音を立てて、氷と氷がぶつかりあい、京楽も浮竹も松本も、はるか遠くへふっ飛ばされていった。

全壊した建物を見て、やってしまったと思ったが、どうせ、京楽がまた建て直してくれるだろうからいいかと思う、日番谷だった。


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日番谷とチョコレート

「日番谷隊長、チョコレート食べないか?」

10番隊の執務室にやってきた浮竹の手には、透明なビニール袋に入った大量のチョコレートが入っていた。

「どうしたんだよ、それ」

「いやぁ、ブリーチキャラのシールが入っていてな。おまけのチョコレートなんだが、肝心の欲しいシールがだぶってばっかりで・・・・・ちなみに白哉と朽木のシールなんだが・・・中々でないから、店にある商品大人買いした。肝心のシールは出たが、そしたらおまけのチョコレートが食べきれない量になってな」

「おっさん、年考えろ。子供じゃあるまいし・・・・・・」

「まぁまぁ。いつでも子供心を持つのは大切だぞ」

「そうかぁ?」

渡されたチョコレートを食べていくが、とても一人では食べきれない量だった。

「おい、松本おおおおおお!!!」

「なんですか、隊長、今原稿で忙しんだがら・・って、浮竹隊長!萌えをください!」

「萌え?」

「放っておけ。こいつは頭が腐ってやがるから」

「あーん、今日は京楽隊長と一緒じゃないんですかぁ?」

松本の言葉に、京楽が後から追いかけると言っていたのを思い出す。

「ああ、そのうちくる」

「やったー。それよりなんなんですが隊長」

「チョコレートだ。黙ってくえ」

「私ダイエット中だから・・・・」

そう言いながらもひょいひょいと、食べていく。

「大分減ったなぁ・・・・・」

ビニール袋の中のチョコレートを見る。

「日番谷隊長は、もういいのか?」

「あほか。チョコなんてカロリーが高すぎて、そんなにたくさん食えるもんじゃない」

「はっ!そうだった、ダイエット中だったんだ」

時すでに遅し。

松本は、かなり量のチョコレートを食べてしまっていた。

「ああん、リバウンドしちゃう!」

と、そこで京楽が現れた。

「う~き~た~け~」

現れた京楽は、シールをもっていた。

「なんで僕に僕のだぶったシールくれるかな?浮竹のシールちょうだいよ!」

「だめだ、俺のシールはレア度が高いんだ。星5つ中4だぞ。京楽は星1だから、一番でやすいんだ。どうだ、日番谷隊長も京楽のシールこんなにあるんだが」

どさぁと、シールの山を作られた。

「こんなものんいらねぇ!」

「じゃああたしがもらいまーす。1種類ずつだけど・・・ふむふむ、全部で5種類か」

まだ、シールはどっさり残っていた。

「一体どんだけ買ったんだよ、浮竹」

「いや、駄菓子屋3件のシール菓子を全部大人買いした」

「金は京楽もちだろう」

「当たり前だ」

「浮竹のシールくらいあげたらどうだ」

「うーん仕方ないなぁ」

浮竹は、懐から自分のシールを出す。キラキラで星が4つだった。

「やったぁ!日番谷隊長、これあげる」

日番谷のシールだった。星が1つだった。

「なんで俺が星1つなんだ!京楽なんかと同じなんてありえない!」

「日番谷隊のシールは全部で5枚。うち2枚が卍解状態で、星5つだ」

「ふむ」

日番谷は納得したようだった。

京楽の口に、浮竹は残りのチョコレートを突っ込んでいく。

しまいには鼻血をだして、その鼻血は日番谷の頭に降り注いだ。

「お前ら・・・・覚悟はできてるんだろうな?」

「やばいぞ、逃げろ」

「鼻血を止まらないんだけど!」

「蒼天に座せ、氷輪丸!」

ひゅるるるるー。京楽のは鼻血を一緒に、浮竹そのまま、おまけでまきこまれた松本も一緒に天高く昇っていった。

どさり。

降ってきたのは目を回した松本だけで、京楽と浮竹は瞬歩で逃げられたらしい。

「くそっ、隊長羽織まで血まみれだ。京楽のあほめ。浮竹も無理やり食べさせ過ぎだ」

悪態をつきながら、髪についた血をとるために風呂に入る日番谷の姿があった。







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軟禁されてもこりない

「海燕の鬼---!」

「何ともで行ってください」

浮竹の手は仕事をするためにそのままにしておいた。ただ、足枷が右足にされていて、その少し長い鎖の先は、海燕がもっていた。

「上司を軟禁するとはいい度胸だ」

「こうでもしないと、あんた逃げ出すでしょう。この仕事は、今日中に片付けてもらわないと困るんです!」

「ちょっと甘味屋にいこうとしただけじゃないか」

「それがだめなんです!あんた、甘味屋行ったらしばらく帰ってこないじゃないですか。おまけに帰ってきたと思ったら、眠りだすし!」

「けちーーー」

浮竹は、そう言いながらも、次々と書類の束を片付けていった。

「終わったーーー!」

「えらく早いですね」

「いいから、足枷外してくれ」

「まだだめです。ちゃんと終わったか、チェックしないと」

海燕が書類に目を通す。

完璧だった。

「やればできるじゃないですか。なのに、なんで後回しにしようと思うんですか」

「だって、甘味物を食べないと頭の回転が鈍くなる」

「これで鈍ってるんですか?」

「いつもの4分の1、時間がかかってる」

「じゃあ、あんたに仕事を本気でさせるには、甘味物を与えればいいのか」

「どうでもいいから、足枷を外してくれー」

「3時のおやつに昼休憩の時に甘味物を許可します」

「わーい」

海燕は、浮竹の足枷を外してやった。

「自由だ!よくもやってくれたな!」

瞬歩で移動し、海燕の足元を蹴り、海燕を転がした。

「あいたたたた」

その間に海燕の右足に足枷をして、少し遠い柱に鎖をを巻き付けてやった。

「あ、そうきますか!」

「鍵なんてこうしてやる」

雨乾堂の傍にある池に向けて、ぽちゃんと投げてしまった。

「甘い!スペアキーがあるんですから」

それを手に、自分の足枷を外す海燕。

「くそ、何かぎゃふんと言わす手は・・・・・」

「ぎゃふん」

棒読みで、海燕がそう言った。

「きーーーーーー」

浮竹は怒った。

怒って、出て行ってしまった。

「今頃、8番隊のところかな・・・・・・」

浮竹が最初に行く場所といったら、そこくらいしか思いつかない。

案の定、浮竹は京楽のところにいた。

「お前もか」

「何がだい」

「足枷」

京楽の右足にされてある足枷をみる。

その先は、柱に固定されていた。

「これ、山じいが素直に言うことを聞かない僕らのためにって、七緒ちゃんと海燕君に渡した、特別な足枷だよ。鬼道でも斬魄刀でも切れない」

「先生も、時折えげつないことするな」

「まあ、怒って流刃若火で尻に火をつけられるよりましだけどね」

「それは確かに・・・・それにしても溜めこんだな。何か月分だ?」

「1カ月半」

京楽は、仕事をしながら泣きそうになっていた。

「俺も寝込んでため込むことはあるが、京楽はなぜこうなるまでため込むんだ」

「種類仕事、嫌いなんだよ」

「手伝ってやるから、さっさと終わらせて甘味屋に行くぞ」

浮竹が、すごいスピードで書類を片付けていく。

幸いにも、4分の1くらいしか残っていなかったので、その日の夕暮れ前には書類の仕事は片付けおわった。

七緒に事情を説明して、京楽の足枷をとってもらった。

「甘味屋へ行くぞ!」

「もう夕飯の時刻だよ」

「お前と甘味屋にいくために仕事を手伝ったんだ。今日のうちに一度行く!」

そう言って、瞬歩で浮竹と京楽はいつもやってくる壬生の甘味屋のまえにいた。

「遅くなると怒られるから、持ち帰りにしようか」

「ああ、分かった」

おはぎを、団子、羊羹、桜餅をそれぞれ浮竹は3人分、京楽はおはぎだけを買った。

勘定は、やっぱり京楽もちだった。

「俺はいいとして、お前はあんまり仕事を溜めこむなよ。処理するのに時間かかるんだから」

「うん・・・・流石にこりた」

雨乾堂にくると、海燕が怒っていた。

「こんな遅くになにやってたんですか」

「ちょっと、甘味屋まで」

「夕飯いらないんですか」

「いや、食うよ」

「京楽隊長もですか?」

「ああ、うん」

「隊長、京楽隊長の仕事を手伝ったそうですね。あまり他の隊の仕事をしないでください」

「なんでだ?」

「京楽隊長が懲りないじゃないですか。京楽隊長も、うちの隊長が手伝うっていってきた時は、断ってください」

「ええ、ああ、うん、多分無理」

はぁぁぁあと、長いため息をついて、海燕は夕飯の用意をしてくれた。

元々、今日は泊まる予定だったのだ。

京楽がやってこないので、浮竹は様子見を兼ねて京楽のところに行ってきたのだが、その溜めこまれた書類の量と、七緒の般若の顔に、書類整理の仕事をつい手伝ってしまった。

「京楽も懲りたようだし、これからは極力仕事を片付けるだろ?」

「うん、多分」

二人は夕飯を食べながら、久し振りに一緒に雨乾堂で食事とっている海燕に言う。

「まぁ、二人三脚でやってきたんだ。今後も、お互いを助け合っていく」

「仕方ありまんね・・・京楽隊長、あまり仕事は溜めこまないように。どうせうちの隊長がすることなってしまいますから」

味噌汁を飲みながら、海燕は小言をいう。

それをうるさそうに聞いていたら一言。

「あまりにも酷いようだったら、山本総隊長に知らせますから」

流刃若火で尻に火がつけられたことを思い出し、浮竹と京楽は互いに尻に手をあてるのだった。






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甘味物中毒

「ぐ・・・・犯人は海燕だ」

ばたりと、浮竹は倒れた。

「しっかりして、浮竹!」

浮竹を抱き起こす。

8番隊の執務室にいきなり入ってきて、倒れたのだ。

最近、仕事に忙しくてここ2週間ばかり、雨乾堂を訪れていなかった。こんな場合は、よく浮竹が8番隊の執務室にくるのだが、それもなかった。

「海燕君のなにされたの!」

「2週間の甘味物断食・・・・・ガクッ」

「浮竹から甘味を奪うなんて!なんて酷い!」

「京楽隊長、本人を目の前に何言ってるんですか」

心配して、海燕がついてきていたのだ。

「海燕君、なんで浮竹に甘味の断食を?」

「ちゃんと朝に起きないからです。11時に最近おきてるんですよ?」

「それは浮竹が悪いね」

「京楽、俺の味方じゃなかったのか!」

浮竹が起き上がり、抗議する。

「でも、死神の業務開始時間は9時だよ。11時はいくらなんでも寝坊しすぎだよ」

「ちゃんと、その日の仕事はその日のうちにかたづけている!」

「それでも、浮竹、君は隊長だよ?人の上に立つ者として、しっかりしばきゃ」

「う・・・・・・」

後退るが、後ろには海燕が控えていた。

「せめて、8時半には起きなさい」

京楽が、じりじりと距離をつめてくる。

「そこだ!」

海燕が浮竹を捕まえようとすると、浮竹はひらりとそれを交わした。

代わりに、京楽に捕まった。

「離せー!11時まで寝るんだ、俺は!」

「8時半に起きるなら、3日に1回は甘味屋に連れてってあげる」

「よーし、俺は明日から8時半に起きるぞおおおお!」

切り替えの早さに、海燕ががくっときた。

「ほら、戻りますよ、隊長。今日はまだ仕事が残ってるんですから」

「鬼海燕!この姑め!」

「はいはい、好きなようにいってください」

「甘味物を補給しないと、動けないー」

駄々をこねだす浮竹に、京楽が明日にもで浮竹のところに持って行こうと思っていた、おはぎをだしてきた。

「おはぎ!甘味物!」

浮竹は、目の色をかえておはぎを食べだした。

「ああ、京楽隊長!勝手に餌付けしないでください!」

「でも、浮竹から甘味物をとりあげるのは、浮竹にとっていつも熱があるようなものなんだよ」

「そこまで甘味物に毒されてるんですか」

「うん」

浮竹を、海燕は哀れな目で見だした。

「なんだ、俺は普通だからな!ちょっと糖分が不足すると動きが鈍くなるだけだ!」

「遠征の時とかってどうしてたんでしょう」

「砂糖もっていって、それ舐めてたらしいよ」

「うわー、重症じゃないですか」

海燕の言葉に抗議する。

「重症じゃない!普通だ!甘い物が好きで飯とかで補給できないから、遠征には砂糖もっていっただけだ!」

「それがすでに重症なんです」

「普通だよな、京楽?」

「いやぁ、重症だと思うねぇ」

「でも、よく虫歯とかになりませんね」

海燕が不思議に思う。

「代々、浮竹家の血筋は虫歯になりにくいんだ。ちゃんと歯磨きもしてるしな」

「そういうものなんですか」

「虫歯だと、京楽とディープキスができないだろう」

「ああ、確かにそうですね」

「浮竹は、肺と病弱で熱を出したり倒れたりすることはあるけど、虫歯とかにはなったことがないよ」

京楽が、浮竹の頭を撫でた。

「早く、仕事片付けておいで。終わったら、甘味屋に連れてってあげるから」

「海燕、帰るぞ!ばりばり仕事するぞ!」

「本当に、えめちゃくちゃな人だな・・・・・・」

海燕は、呆れた声を出しながら、雨乾堂に戻っていく上官の後を追うのであった。

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ラッキーカラー

「あ、鯛焼きだ!1個もらいますね!」

恋次が、白哉が口にしていた鯛焼きに手を伸ばす。恋次の好物は鯛焼きだった。

「あ、それは・・・・・」

白哉が口にするのも遅かった。

中には、辛いキムチが入っていた。

「何入ってるですかこれ!辛い!辛過ぎる!ひー水、水!」

隊首室にいって、備え付けの小さな冷蔵庫から、冷やした天然水を取り出して飲んだ。

「あ、それは唐辛子を溶かした水・・・・・」

「ぎょわあああああ!なんつーもん、隊首室の冷蔵庫に入れてやがるんだ!」

恋次は、井戸までいくと、冷えた井戸水を口にした。

「あー。きっついなーーー」

今日は厄日だ。

そういえば、今日伝令神機の占いを見ていて、ラッキーカラーは黒、アンラッキーカラーは赤だといっいた。

赤は自分の髪の色でもあるが、そんな占い当たるはずがないと高を括っていた。

キムチも唐辛子も赤い。

ああ、占いの通りだ。

でも、ラッキーカラーの黒ってなんだろう?

執務室に戻ると、白哉がすまさそうな顔で謝ってきた。

「すまない。お前が口にするとは考えてもいなかった。今日の詫びだ」

そう言って、抱き締められて舌が絡まるキスをされた。

辛い味はしなかかった。

白哉の黒髪を撫でた。

ああ、ラッキーカラーは確かに黒だ。

目の前にある、臥せられた瞳も黒。

「隊長、もっとしてください・・・・・」

「んう・・・・」

ぴちゃりと、舌が再び絡み合った。

熱で潤んだ瞳で見つめられて、恋次も止まらなくなった。

死覇装の上から体をなぞっていく。

「やめよ、恋次」

「あんたに欲情しちまった。責任とってください」

際どいラインをなぞられて、カチャリと千本桜が喉元にきた。

「やめよと、言っている」

「すんません・・・・・・」

しょんばりする恋次に、白哉がいう。

「今宵、あの館へ・・・・・」

それは抱いてもいいというOKサインだった。

「よっしゃああ!」

恋次は叫んだ。

今日のラッキーカラーは黒。

黒神黒目の、恋次の愛しい人と同じ色、だった。


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恋次、吹き出す

「何故・・・・私は、受なのだ?恋次お前は受にならぬのか?」

ある日そう言わて、恋次は口にしていたお茶を吹き出していた。

ブーーーーーーー。

全部、白哉にぶっかけてしまった。

銀白風花紗は何とか濡れずにすんで、首に巻いていたタオルで、白哉の顔をふいた。怒られはしなかったが、そんな言葉が口から出ると思わず、狼狽する。

「あんた、俺を抱きたいんすか?」

お茶を一口、口に含む。

「私も男だ。抱きたいとは思う」

ブーーーーーーー。

またお茶を吹き出していた。

今度は、白哉にふきかけなかった。

「はぁ!?あんた、そのビジュアルで俺を抱きたいとかいうんすか」

「見た目など、関係ないではないか」

「いや、おおありでしょ!俺は、あんたとその見た目にまず惚れて、中身に惚れた。あんたがごつい男だったら、きっとこんな関係にはならなかった」

「ふむ・・・・」

白哉は、お茶を飲んだ。

「つまりは、私の容姿のせいで、私は恋次に抱かれているのだな?」

「いや、なんつうか・・・・あんたが好きだから、俺はあんたを抱きたい」

「私がお前を抱きたいと言ったら、抱かせてくれるのか?」

恋次が悩む。

「いや、無理ですね。隊長は俺を抱けないでしょう」

「何故、断言できる?」

「裸の俺見て、たちますか?」

「たたんな」

「ほら、やっぱり無理だ」

「ふむ・・・・・」

また、白哉はお茶を飲んだ。

「またなんでそんなこと言い出すんですか」

「この雑誌に・・・・・」

女性向けの、BL特集と書いてある雑誌だった。

「隊長、なんてもの見てるんですか!」

恋次が雑誌をとりあげる。

「松本が、恋次のためになると、渡してきた。これで勉強しろと」

「あんにゃろ・・・・・」

松本は、瀞霊廷屈指の腐女子だった。

「こんなくだらない本、読んじゃだめです」

「受けが攻めになることを、リバーシブルというのだな」

すでに、いけない知識が白哉の中にあった。

「ああもう、そんな専門用語口にしないでください!これでも食べててください!」

現世にいったとき買い溜めておいた、カラムーチョを渡す。

ちょうど3時だった。

おやつとして、カラムーチョを食べだす白哉。

そうして見ているだけなら、女にも負けないくらいの美貌だし、中性的な容姿をしている。

恋次は自分の体を見る。

白哉のような細い体ではなく、きっちりと筋肉がついている。

「あんたが本気で俺を抱きたいなら、俺は構いませんけど」

「よく考えれば、無理だな。恋次の喘ぎ声など聞きたくもない」

「だったら、最初から口にしないでください!」

「男であるならば、抱かれる側に疑問をもつものだろう」

白哉がそう言ってくるので、恋次は少し不安になった。

「まぁそれはそうですが・・・・・今の関係が、嫌なんですか?」

「いや、そんなことはないが・・・・・・」

「じゃあ、もうこの話はおしまいにしましょう!」

「オメガバースとやらでは、男も孕むと書いてあった。どうなのだ恋次」

「ああもう、そういう俺にも分からない専門知識出すのやめてください!ほら、さっさと仕事に戻る!」

カラムーチョと食べ終えた白哉を、文机に追い立てる。

今度松本に会ったら、こっぴどくしかってやろうと思った。

そもそも、内密にしているのだが、松本には関係はばれているようで。どこかの8番隊と13番隊の隊長のように、隠すことなくなら分かるが、何故ばれたのだろうと思った。

それが、いつも白哉に見えるか見ないかの位置で、キスマークを残しいる自分のせいだとは、恋次は松本に聞くまで思いもつかないのであった。




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翡翠に溶ける 終章 翡翠に溶ける

「色のない世界」と世界設定が、一部リンクしております。

https://www.pixiv.net/novel/series/9409516

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尸魂界は、危機に瀕していた。

存続の危機だ。

ユーハバッハの侵略により、たくさんの死神が死んだ。

その中には、京楽が愛してやまない浮竹の姿もあった。

自分の肺に宿らせていたミミハギ様を解き放ったことで、崩壊しかけていた世界は止まったが、その代償はあまりにも大きすぎた。

「浮竹、しっかりして!」

腕の中で、浮竹は今にも力尽きようとしていた。

「あの・・・桜の下に・・・・・」

瞬歩で、季節外れの夜桜を咲かせる、学院の桜の木の下にきていた。

「お前と出会えたこと・・・嬉しかった・・・ずっと、こんなに人を好きになることはないんだと、思っていた・・・・・」

「浮竹!僕を置いていかないで!」

ボロボロと、片目になってしまった黒曜石の瞳から、涙が零れ落ちた。

「神様・・・・浮竹の命が助かるなら、なんでもします。だから、僕から浮竹を奪わないで・・・・・」

「その言葉、本当だな?」

ぶわりと、季節外れの桜の花びらが散っていく。

「私は、花の神。別名、椿の狂い咲きの王」

「俺が赤子の頃に捧げたれたという、神様?」

浮竹の言葉に、花の神は頷いた。

「そうだ、愛児。愛児を愛する者、京楽春水。私は、いろんな世界でお前たちの愛を見てきた。この世界で、浮竹を求めるなら、代償として器になってもらう」

「器?」

「そうだ。私を宿せ。意識はお前のままだ。ただ、時折器としての体をかりる。それでもいいなら、愛児を助けてやろう」

なんでもよかった。浮竹が助かるなら、悪魔に魂を売り渡してもいいと思った。

「器にだってなんだってなるよ!

「おい、京楽!」

「お願いだ、浮竹を助けてくれ!」

「その願い、しかと聞き届けた」

京楽の中に、花の神は舞い降りた。

京楽の隻眼は、薄い紅色になっていた。

「京楽・・・・?」

「今、助けるから・・・・・」

唇を重ねた。何か甘い液体を、浮竹はこくりと飲みほした。

するとどうだろうか。今にも死にそうになっていた体が、軽くなった。

「体が・・・・」

「もう大丈夫だよ、浮竹」

「京楽・・・・・?いや、花の神・・・・?」

「今の僕は京楽さ。花の神は眠っている」

狂い咲くような桜の木の下で、二人はお互いを抱き締めあっていた。

「俺は、まだお前と一緒にいれるのか?」

「ああ、そうだよ」

「京楽・・・花の神を宿して、平気なのか?」

「半神かな。半分は神様だけど、半分は死神のままだ」

京楽の瞳も髪の色も、薄紅色になっていた。

「愛してるよ、十四郎」

「俺も愛してる、春水」

いつか、誓い合った桜の木の下で、永遠の別れを言うはずだった。

気まぐれな神様のお陰で、浮竹は一命を取り留めた。

だが、まだ完全ではなく、浮竹は雨乾堂で療養していた。

やがて、一護の手でユーハバッハは倒され、尸魂界は救われた。

みんな、浮竹が死んだものと思っていたので、生きていて吃驚していた。

ただ、依然のような霊圧はなかった。僅か霊圧しかもっていない。それは、浮竹のもつ霊圧を生命力に変換したせいであった。

薄紅色になってしまった京楽について、京楽自身から説明がされた。

にわかには信じがたいので、花の神に器である京楽の中からでてきてもらった。

薄紅色の長い髪に、瞳、花を思わせる紅色のふわふわした衣服を着ていた。とても美しかった、
まさに、人外の美しさだった。

何もない空間に桜の花を散らせて、こう言う。

「私は、椿の狂い咲きの王という。京楽という器を借りている。神である私の名の元で、浮竹の命を救う代わりに、京楽に器になってもらった。何か文句を言いたい者でもいるか?」

「神様とか、ほんとにいるのか・・・・」

日番谷の言葉に、涅マユリが続ける。

「実に面白いネ。実験体なってもらいたいヨ」

「それはごめんこうむる」

それだけ言って、黒神黒目に戻っていた京楽に降臨し、眠りにつく。京楽の色彩は、花の神と同じ薄紅色になっていた。

そのまま隊首会が開かれて、浮竹は霊圧を失ったことで、13番隊の隊長を辞任することが決定した。

そのまま、ルキアが次の13番隊隊長として任命された。

「ええ、私ですか!?」

ルキアが、浮竹を見る。浮竹は頷いた。

「卍解も習得している。性格も力量も、問題ない」

こうして、朽木ルキアは13番隊隊長となった。

隊首会が終わり、解散になっても生きていた浮竹と、花の神を宿して半神になった京楽の周りには、人だかりができていた。

「ああ、もう解散だから。僕らはここで失礼するよ!」

浮竹を抱き上げて、京楽は1番隊の寝室にひっこんでしまった。


「なぁ、京楽」

「何、浮竹」

「もしもやるとしたら、花の神に筒抜けなのだろうか」

「あ、それは大丈夫。完全に眠りにつくから、感覚は共有しない」

「ならよかった・・・・」

浮竹は京楽と睦みあった。


そして、春が来た。

あの桜の木の下に、もう一度来ていた。

「俺は、死神を隠居して、もう戦力にならない。それでも、傍にいてくれるか?」

「何千回、何万回だって繰り返すよ。君の存在が、僕には必要なんだ」

「桜の花の下で、また誓う。残りの命が燃え尽きるまで、お前の傍にいることを」

浮竹は、もう肺の病を克服していた。熱を出す虚弱体質であることには変わりないが、肺の病は花の神が癒してくれたらしい。

ちらちら散っていく桜の下で、桜色のなってしまった髪と瞳で、京楽も誓う。

「僕が生きている限り、君の傍にいることを誓う。これを君に」

花びらの形にカットされたローズクォーツを繋げた、ブレスレットだった。

「僕と、お揃いだよ。指輪はもうしているから、ブレスットにしたんだ。君への、二度目のプロポーズだよ」

「京楽・・・・ずっと、一緒だ」

「うん、これからもずっと一緒だよ・・・・・」


その翡翠は極上。

その翡翠が溶けていく。

まさに、翡翠に溶ける。

翡翠の中に、桜が溶けていく。

それは、もう一度この世界で産声をあげた浮竹の瞳の色。



                 翡翠に溶ける

                                                     fin


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翡翠に溶ける ユーハバッハの侵攻

「色のない世界」と世界設定が、一部リンクしております。

https://www.pixiv.net/novel/series/9409516

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尸魂界は未曾有の大被害を被った。

山本元柳斎重國が、ユーハバッハの手により、死亡した。

「そんな・・・・先生!」

「山じいーーーー!!」

消えてしまった霊圧に、それぞれ敵と対峙しながら、叫んでいた。

蹂躙されつくされる。

そう思った時に、やっと一護がかけてつけてくれた。

しかし、結果は惨敗。

一護は斬魄刀を折られていた。

ユーハバッハは、時間切れだと他の滅却師たちと一緒に、一時退却していった。

一護は、卍解を吸収さえされなかったが、その大けがせいで、零番隊のところで、ルキア、恋次、白哉と一緒になって、湯治がされた。

「京楽・・・その右目は、もうだめなのか?」

「ああ・・・移植手術すればなんとかなるかもしれないけど、時間がないからね」

山本元柳斎重國の葬儀が行われた。

遺体はなかった。

ただ、空の棺の中に、折れた流刃若火が置かれて、棺の中は白い百合で満たされた。

「なぁ。俺がもしも、自分の死を・・・・卯ノ花隊長のように選択するとしたら、どうする?」

卯ノ花烈も、更木と斬りあい、死んだ。

棺の中は同じく百合の花で満たされていたが、戦いに満足したのか、安らかな顔だった。呼吸音を確かめたくなるような死に顔だった。

「君が、尸魂界のために散るなら、僕は止めないよ」

「薄情者だな」

「だって、そんなことおこりっこないもの」

「どうしてそう言い切れる?」

「今回の戦いでも生き残った。僕も君も。今は一護君や阿散井君が修行してるだろう。ルキアちゃんや朽木隊長もだ。大丈夫、次にユーハバッハがせめてきても、なんとかなるさ」

「そうだと、いいんだが・・・・もしも霊王が殺されたら・・・・」

「いやだな、浮竹。今は、山じいと卯ノ花隊長を見送ろう」

動ける者たちのうち、隊長副隊長クラスの者は、全員葬儀に参加していた。

棺に火がつけられる。

二人の棺が荼毘に付されるのを、みんなただ涙を流しながら見守っていた。

浮竹は、もうこの時心に決めていた。

尸魂界のために、霊王に何かあった時は潔く散ろうと。

それを知らない京楽は、新しい総隊長となった。

最後の夜になるだろうからと、浮竹から誘ってきた。

「今はそんな時じゃないだろうに・・・どうしたんだい?」

誘われて、満更でもないかんじの京楽は、浮竹の白い肌にキスマークを残していった。

「最後になるかもしれないから・・・・・・」

「そんな不吉なこと、言わないでよ」

「ああ、すまない」

でも、本当に最後だ。

ありがとう、京楽。

この500年、悪くなかった。

お前がいてくれたお陰で、今の俺がいる。

「あああ!」

京楽の熱に引き裂かれて、痛みでも快感でもない涙が流れた。

もう、別れのための手紙は書いておいた。

お前を残して逝くこと、どうか許してほしい。

「ひああああ!」

ぐちゃぐちゃと、中をえぐってくる京楽は、いつもより切羽詰まっていた。

こんな緊急時に、恋人と睦みあっていると知られたら、京楽の総隊長としての始まりに汚点を残すが、幸いこんな時に睦みあうなどど考える者はいなかった。

「んう」

舌が絡まるキスをされた。

「ああ!」

前立腺を刺激する京楽の熱の動きに、いつの間にか浮竹は精を放っていた。

相変わらず、涙は止まらない。

最後の夜だ。

「春水・・・もっとお前がほしい・・・」

そう言って口づけると、普段そんなことを言わないので、京楽の目が見開かれた。

「本当にどうしたの、浮竹・・・」

「あああああ!」

中のいいところを突かれて、浮竹はまたいっていた。

内部の締め付けがきつくなって、京楽も浮竹の中に熱を放っていた。

そのまま、出すものがなくなるまで攻めたてられた。

「あああ・・・・ああ、春水もっと・・・・・」

いつもより激しく乱れる浮竹に、京楽がごくりと唾を飲み込んだ。

「今日の君はすごいね。色っぽいし、反応も敏感だし、中もすごい」

「春水、愛してる。キスを・・・・・」

浮竹はキスが好きだ。

行為の最中、何度もキスを強請られた。

「十四郎愛してるよ・・・・」

ああ。

どうか、時が止まってしまえばいいのに。

永遠があるなら、この瞬間の永遠が欲しかった。


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別の世界で、色のない世界で眠っていた、花の神はゆらりと水底で揺らめいた。

「別の世界での、愛児の最後か・・・・」

ぶわりと、桜の花びらになって、世界を渡る。

愛児の最後を見届けるために。

椿の狂い咲きの王は、世界を渡る。

ある世界では、愛児となるための義魂丸を京楽に授け、それを京楽は浮竹のクローンに与えた。

まだ、その世界の愛児は散っていない。

助けてやろうと、花の神は気まぐれに時を渡る。

死を覚悟している愛児である、浮竹の元へと世界線をこえて、世界を渡っていった。

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翡翠に溶ける 蘇る死神代行

元死神代行、銀城が動きだした。

完現術者(フルブリンガー)としての、一護がが目覚めようとしていた。

だが、銀城は完現術者としての一護の力を奪った。

一護は、泣き叫んだ。

やっと、守る力を取り戻したと思ったのだ。


「銀城が関係しているせいか、一護君に霊圧探知能力が復活した。今しかない」

浮竹の言葉に、尸魂界は動いた。

一護に、霊圧を取り戻すために、ルキアや白哉を含めた数人の隊長副隊長が赴いた。

ルキアは、浮竹の副官になっていた。

何十年と副官を置かなかった浮竹であるが、ルキアになら任せてもいいと思っていた。正に、その通りとなった。

やがて、皆の霊圧がこめた刀を受けて、一護は霊圧を取り戻し、銀城を倒した。


霊圧を取り戻した一護が、尸魂界へ挨拶へやってきた。

「ありがとな、浮竹さん。浮竹さんの言葉で、みんなが動いてくれたって」

「いや、一護君が自分で霊圧探知能力を身に着けたせいだ。霊圧を注ぐものはあった。今まで条件を満たしていなかったので、器の意味を成していなかったんだ」

「そっか・・・・銀城には、いろいろあったけど、感謝しなくちゃな」

一護は、一度銀城の遺体を引き取りに、尸魂界にきている。

銀城は、尸魂界から許される形として、現世に遺体を返された。

「君は、銀城のようにならないでくれ」

「ならねーよ。俺は俺だ」

「ところで、朽木とはうまくいっているのか?告白しあったんだろう?」

「浮竹さん、あんた何処でそれを・・・・」

「いや、朽木は俺の副官だろう?何かあるごとに、一護君がどうたらと・・・まるで、新婚カップルのようだなぁと思って」

「ルキアのやつ!」

「ああ、責めないでやってほしい。朽木も君に霊圧が戻って、以前のようにちゃんと会いにいけることに浮かれているようだから」

「浮竹さん、今度からルキアが何か俺のこと言ってきたら、筒抜けだと言っておてくれ」

「ああ、分かった」

走って去ていく一護を、浮竹と京楽は見ていた。

「青春だねぇ」

「青春だな」

「僕らも、あんな時代があったね」

「そうだな」

もう何百年前になるだろうか。

桜の木の下で、想いを告げ合って・・・・死神の隊長になると誓い合った。

お互い、その頃誓い合った通りに死神になり、3席となり副隊長となり、隊長となった。

尸魂界は、また穏やかな時間を取り戻した。

京楽と浮竹は、いつものように居酒屋にいた。何故か、ルキアまでいた。

「朽木、まあ飲め飲め~~」

浮竹が、ルキアの杯に果樹酒をなみなみと注いだ。

「あ、こぼれちゃいます、隊長!」

「まぁ、一気にぐいといけ。これはアルコール度が高くないから、朽木でも飲めるだろ」

ルキアは、杯の中身を飲み干した。

「うわぁ、このお酒甘いですね。兄様だと飲めないだろうな・・・・・」

「白哉と飲む時は、強い辛口の日本酒を飲ませるんだ」

「なるほど。隊長は兄様と仲が良いですね」

「白哉のことは子供の時から見てきたからなぁ。あいつも、成長したな。あれでも、昔は熱しやすくてよく怒る子だった」

「兄様が!?その話、もっと聞かせてください!」

一人、蚊帳の外に置かれた状態の京楽はすねて、一人で高級酒を飲みながら、つまみを注文した。

ゲソの天ぷらだった。

「お、それうまそうだな。すみません、これを同じものを2人前」

「それで、兄様!?」

「夜一がよくからかってなぁ。怒った白哉と、瞬歩で・・・・・」

それから、しばらくの間ルキアと浮竹は、白哉の過去話で盛り上がった。

やがて、酔い潰れた二人ができあがった。

「ルキアちゃんまで酔い潰しちゃって・・・・・ああ、浮竹は幸せそうだな」

酒の飲み過ぎで、すやすやと眠る浮竹を放置して、まずはルキアを抱き上げて、瞬歩で朽木家にまで届けた。

「ルキアがよった?兄が飲ませたのか」

「いや、浮竹だよ。君の過去話で盛り上がって、ルキアちゃんも酒をぐいぐいと飲むから、僕求めなかったんだけど・・・・止めたほうがよかったかい?」

「これは、あまり酒に強くない。今後、あまり飲ませないように」

「分かったよ」

居酒屋に戻って、勘定を払って、浮竹を肩に担いで外に出た。

「この平和が、いつまでもつことやら・・・」

嫌な予感がした。

尸魂界中が震撼するような出来事が起きるような。

今日は満月だった。

瞬歩で浮竹を雨乾堂に送り届けると、3席の仙太郎が面倒を見てくれるらしかった。

一人、ぶらりと8番隊隊舎まで歩いて帰っていくと、途中で趣味の夜の散歩をしていた白哉と出会った。

「何しるんだい、朽木隊長。眉間に皺なんて寄せて・・・悩み事なら、聞こうか?」

「最近のあれは・・・・黒崎一護と仲が良すぎる」

「ああ、まぁ恋に死神も人間も関係ないからねぇ」

最近、ルキアは休日のたびに現世の一護の場所に赴いていた。

「黒崎一護は人間だ。いずれ別れがくる」

「でも、そうなったら魂魄がこっちに来て、またやり直せるんじゃないかい?」

「あれに、黒崎一護の老いと死を見せたくない」

「朽木隊長は、ちょっと過保護だね」

「む・・・・」

自分でも、分かっているのだろう。

過保護ということを。

「あれには・・・緋真の分まで、幸せになってほしい」

「大丈夫。すでにルキアちゃんは幸せだよ。酔いながら言ってたよ。一護君と出会えたことが、人生で一番の幸福だと」

「ルキアが?」

「そうだよ。朽木隊長も、もう少し寛容になってあげればいい」

「すでに、譲歩している。毎週わざわざ現世にいくのを、黙って見ている」

「まぁ、僕は帰るよ。流石に眠くなってきた」

「兄は・・・浮竹を、幸せにいしているか?」

ふとされた質問に、京楽は笑った。

「幸せじゃなきゃ、今でも二人一緒にいることなんてないよ。僕も浮竹も、傍にいれるだけで十分に幸せなのさ」

「そうか・・・」

白哉は、月明りの中、闇に紛れるように歩き出した。

京楽も眠かったので、8番隊の隊首室に戻り、眠った。


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翡翠に溶ける 失われる霊力

藍染には、ヴァイザードたちも歯が立たなかった。

山本総隊長は、片腕を失っていた。

「これはまずいね・・・・・」

ワンダーワイスにやられた、浮竹の怪我は酷い。

他にも松本や雛森といった副隊長の怪我も酷かったが、まだ立てるような状況じゃないのに、松本は市丸を追って、尸魂界に行ってしまった。

「・・・ぐ。すまん、油断した」

「大丈夫かい?もうすぐ、卯ノ花隊長が診てくれる」

「肺をやられたようだ・・・・」

出血の量が酷かった。

輸血しないとまずいなと思いながら、血を流す浮竹を抱き締めていた。

「僕は回道はかっらきしだしねぇ」

「それは俺もだ」

ごほごほと、浮竹は咳込んだ。血を吐いた。

肺を傷つけられて、呼吸が苦しいのだろう。何度も血を吐いた。

「どいてください、京楽隊長!」

「卯ノ花隊長!後は、頼んだよ・・・・・・」

浮竹はすぐに回道が施されたが、出血量が酷いので尸魂界の救護院に、緊急入院が決まった。

「こんなことをしてる間にも、藍染は・・・・・」

「今は、一護君に全てを託すしかないよ」

「自分の力のなさが、歯がゆい」

「それは僕も同じさ」

藍染は、東仙と市丸さえも手をかけた。

一護自体が月牙天衝になり、藍染は破れ、それでもというところで、浦原がしかけていた封印が効力を出して、藍染は捕縛され無闇という何もない空間に、5感の全てを封印されて、実に2万年にも及ぶ刑期を課せられることとなった。

「藍染が、無闇に収監されたそうだよ。2万年だそうだ。今の藍染は殺すことができないから、封じるのが精いっぱいみたい」

「それでも、良かった・・・・・これでもう、尸魂界もやっと静かになるだろう」

「それより聞いたかい?一護君が霊圧をなくすそうだよ」

「そんな!」

浮竹は、一護の元へと走っていく。まだかろうじで残っている霊圧を頼りに。京楽も、その後に続いた。

一護が霊圧をなくした場合、それを取り戻す方法が模索されていると、移動中に京楽から聞いた。

「一護君・・・・」

一護を見る。

「霊圧を失うんだ。失う前に、皆に挨拶しなくていいのかい?」

「ああ、もう別れはすませてあるから」

一護は、寂しそう笑った。

背が少し伸びて、髪も伸びていた。

「戻る前に、髪を切ってあげよう」

「ああ、すまない浮竹さん」

「ということで頼むぞ、京楽!」

「やっぱり僕かい!」

京楽は、仕方ないと浮竹と一護と一緒に、雨乾堂に訪れていた。

浮竹の髪を切る要領ではあるが、少しだけ切っていく。

「この櫛・・・綺麗だな」

「ああ、京楽からもらったものだ」

螺鈿細工の櫛を、一護は見ていた。

「なぁ、浮竹さん、京楽さん。霊圧を失った俺は、もう尸魂界にはこれないのかな?」

「ああ、無理だろうな」

「そうか・・・・」

やっぱり寂しそうに、一護は笑った。

「恋次やルキアと、また会いたいんだけどなぁ・・・・」

霊圧を失う一護に、霊圧を取り戻させようとする動きはすでにあった。

だが、時間がかかりそうだった。

可能性を今話しても、焦らせるだけだろうと、浮竹も京楽も告げなかった。

あくまで、可能性の話だ。

霊圧を取り戻す方法は、全隊長副隊長たちの、霊圧をこめた刃を受け止めること。

まだ試作段階にもきていない。

京楽の手によって、元の髪の長さに戻った一護と、握手を交わした。

「じゃあ、二人ともお元気で」

「ああ、一護君もな。朽木が、君が霊圧を失っている間も、義骸に入って遊びにいくとかいってたので、まぁ楽しみにまっててあげてくれ」

「ルキアのやつ・・・・・」

一護は嬉しそうだった。

二人は、互いを好きあっていた。

だが、告白はまだだ。

「あのな、一護君、朽木は君のことを・・・・・もがーー!」

「これは二人の問題だよ。僕らは余計な首をつっこんないこと!」

京楽に言い聞かせられて、浮竹も頷いた。

「じゃあ、俺もう行かなきゃ。浮竹さん、京楽さん、いろいろありがとう!」

「ああ、一護君も元気で!

「達者にね」

いなくなった一護を見守って、二人は太陽が傾いていくのを見ていた。

「こんな美しい夕日は、尸魂界では珍しいな」

「太陽が悲しんでいるんだよ。尸魂界を救ってくれた太陽が力を失うから」

「一護君は、本当に太陽のような子だったな」

「ああ、そうだね」

「海燕とは全然違う」

「そうだね」

「朽木とうまくやっていけたらいいんだが」

「ま、なるようになるさ」

それから1年5か月。

尸魂界と一護は接触を絶っていた。

ルキアがたまに義骸に入り、一護の家に行く以外は、接触はない。

やがて、全隊長と副隊長の霊圧をこめれる刀ができあがった。

それに、浮竹も京楽も、ありったけ霊圧をこめた。

やがてそれは一護の霊圧復帰に向けて、動きだす。

ただ、最低でも霊力探知能力がないと、使っても無駄だ。

ただ、時を待つ。

一護の身に、変化が起きるのを-----------------。


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翡翠に溶ける エスパーダ

藍染の反乱がはじまった。

十刀(エスパーダ)の破面が現世に侵攻し、井上織姫を、脅して従属させる形で、ウルキオラが拉致していった。

「尸魂界は井上を見捨てるだって!?」

尸魂界の決定に、一護は噛みついた。

「なんとかしてやりたいが、元柳斎先生の決定は覆らない」

「浮竹さん・・・・・もういい、俺一人でも、井上を助けにいく!」

「待て、一護君!!」

一護は最後まで話を聞かず、現世の仲間である石田と茶虎と共に、浦原に虚圏に続く黒腔(ガルガンタ)をあけてもらって、虚圏に行ってしまった。

「全く・・・・頭に血がのぼると、周囲を見ないタイプか」

「まぁ、仕方ないんじゃないの。織姫ちゃん、かわいいしさ」

京楽の言葉に、つーんと浮竹の機嫌が冷たくなる。

「ああいうのがタイプなのか?」

「いやいや、これは言葉の綾でね・・・・」

少し冷たい態度の浮竹は、京楽を無視して、ルキアと恋次を見た。

「一護君の、手助けにいくんだな?」

「はい、隊長。止めても無駄ですから」

「そうだぜ、浮竹隊長!」

そう言う、ルキアと恋次を見る。色の薄いマントを羽織っていた。

「誰が止めると言った。そのマントは?」

「兄様が、虚圏は砂だらけだと・・・・」

「阿散井の分もか?」

「そうです」

「白哉もまぁ、変わっったなぁ・・・・朽木と一護君のせいかな?」

少し前の白哉は、少し冷たかった。

「兄様は元から優しい方です!」

「でも、尸魂界に帰還したお前たちがどこへ行こうと、知ったことではないと言ったのだろう?」

「そうです」

「つまりは虚圏に行くのを知っていて、尸魂界が虚圏に行ってはいけないという決まりを破るんだろう?」

「止めても無駄です!」

「そうだそうだ」

「さっきも言っただろう。誰も止めないと。行って来い。でも、必ず無事に帰ってこい!こちらも準備ができ次第、隊長クラスが動くだろう」

「え、そうなの?」

京楽が問うてくるが、浮竹が頷く。

「朽木や阿散井が動いたと知ると、先生の命令を無視して隊長クラスも虚圏に行くことになるだろう。とにかくお前たち二人は、早く虚圏にいって、一護君たちと合流するんだ」

「はい」

「勿論だぜ」

穿界門をあけさせて、黒腔の道が開ける浦原のところまで送った。

「それにして、僕らまで死神の虚圏行きに関わったって知ったら、山じいはどうなるんだろう」

「多分、尻に火がつくな」

「勘弁してよ~」

「まぁ、火をつけられ時は仲良く一緒だ」

数時間後、尸魂界に動きがあった。

恋次とルキアが虚圏に赴いたことがばれたのだ。

山本総隊長は怒っていたが、白哉と更木と4場隊が虚圏に派遣されることが決定した。

「本当に、仕方のない小童どもじゃ・・・・」

山本総隊長に呼び出されて、流刃若火で京楽も浮竹も、尻に火をつけられて、あちゃちゃと飛び上がっていた。

「これくらいで勘弁してやろう。朽木ルキアの処刑に盾突いたことといい、最近のお主らは全くもってわしの言葉を聞かんのじゃからな・・・・・・」

「ごめんよ、山じい」

「すみません、元柳斎先生」

2人は、済まなさそうにていたが、反抗したことを悔いてもいなかったし、反省してもいなかった。

ルキアの時は、あれが最善の策だと思っていたし、今回の件も尸魂界は一護が動くなら尸魂界も動くだろうと判断した結果であった。

「一護君勝てるかな・・・破面の十刀だって。強いだろうね」

「ああ。でも、彼ならなんとかする。そんな気がするんだ」

その通り、一護はグリムジョーを倒し、ウルキオラも倒した。

そして、井上を救い出した。


「さぁ、僕らも行かなくちゃ」

「ああ」

空座町を、一時的に尸魂界に移動させた。

結界をはったのだ。

浮竹も京楽も、白哉と更木と卯ノ花を除いた隊長総隊長が出陣した。

山本総隊長の姿もある。

藍染と東仙と市丸と、3以下の十刀が相手だった。

それぞれ敵対していた十刀に、特に砕蜂が酷い怪我を負った。左手を失っていた。

一角も、結界の守護石を守ろうとして負けて大けがを負った。

「僕の相手は君かい?」

「ああ、そうだ。エスタークという」

「そう。そっちの女の子は?」

「リリネット。俺たちは二人で一人だ」

「じゃあ、その子もこの戦いに?」

京楽はリリネットを見る。

「駄目だ駄目だ!子供でしかも女の子だ!戦闘には参加させられない」

浮竹が割って入ってきて、リリネットと戦うと嘘をいって連れ出していった。

「まぁ、浮竹はあんなんだから。さぁ、僕らもやろうじゃないか。君は何番の十刀だい?」

「1だ」

ひゅうと、口笛を吹いた。

「久しぶりに、僕も本気を出すかな・・・・・」

戦いの火蓋は、切って落とされた。


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翡翠に溶ける ルキアの処刑

朽木ルキアが、人間に死神の力を無断譲渡した罪で捕縛された。

「そんなばかな!処刑など、罪が重すぎる!」

「四十六室の決定じゃ。わしの力でもどうすることもできぬ」

そう言われて、浮竹がとろうとした行動は、双極の破壊。京楽と共にだった。

「もう、海燕のように、見殺しにはしない」

「この小童どもが!!!

怒った山本総隊長のすさまじい霊圧にあてられながら、それでも京楽と二人で歯向かおとした。

結局、全ては藍染のたくらみであり、四十六室のメンバーは全て皆殺しにされていた。

藍染の企みを阻止できなかった。

東仙と、市丸という隊長もついていってしまった。

黒崎一護の姿を初めて見た時、魂が揺さぶられた。

「海燕・・・・?」

髪の色は違うが、そっくりだった。

霊圧も垂れ流し状態で、全然違う。

でも、どこかよく似ていた。

「ちょっと、浮竹」

「え、ああ。すまない、一護君。これを渡しておこう」

死神代行証を手渡した。

「これは?」

「これを使うと、死神化できるんだ」

おおざっぱに説明した。

「ありがと、浮竹さん」

「あ、ああ・・・・・」

やはり、似ていた。

動揺を押し殺して、笑顔で一護に別れを告げた。

「兄には、世話になった・・・・・」

白哉が怪我から復帰して退院した。

見舞いに何度も行き、ルキアとの溝がなくなったことを知り、浮竹は自分のことのように喜んだ。

「そうか、白哉は朽木と打ち解けたのか」

「今まで、互いの距離を縮めていなかった。それが縮まっただけのこと」

「いやぁ、良かったねぇ、ルキアちゃん」

隠れていたルキアを発見して、京楽が声をかける。

「ひゃう!」

ルキアは、吃驚して変な悲鳴をあげていた。

「どうした、ルキア」

「いえ、兄様のお帰りが遅いと思って・・・・・」

「見ての通り、足止めを食らっていただけだ。兄ら、もう用がないなら、帰るぞ」

「ああ。またな、白哉」

「またねー、朽木隊長にルキアちゃん」

手を振ると、ルキアも嬉し気に手を振った。

「隊長、また遊びにいってもいいですか!」

「ああ、いつでもおいで」

特殊が義骸に入っていたせいで、霊圧をほとんどなくしている今のルキアには、死神業務は無理だ。

暇を持て余すルキアは、よく雨乾堂に遊びにきた。

「朽木なら・・・・いつか、副官を任せられるかもしれないな」

「お、ついに副官を置くことに決めたのかい?」

「まだ先の話だ。まだ今の朽木では、強さが足りない」

「言うねぇ」

久し振りに、酒を飲み交わしあった。

藍染の反乱が発覚して2週間が過ぎようとしていた。

みんな、3人の隊長の穴を埋めようと、躍起になっていたが、浮竹と京楽は相変わらずのほほんとしていた。

卯ノ花の次の古株だ。

今から100年ほど前に、隊長総隊長が虚化の実験の犠牲になり、浦原と夜一も消えてしまったことを考えると、3人が抜けたくらいでは2人は動じなかった。

「ん・・・するのか?」

キスをして、抱き締めてくる京楽に問う。

「ここ半月、ごたごたして体を重ねられなかったからね。君を抱いても構わないかい?」

「こい。久しぶりで、俺も疼いている」

それを合図に、お互いの隊長羽織と死覇装を脱がし出す。

「ああ!」

胸の先端をかじられて、びくんと浮竹の体がはねた。

「少し、痩せたかい?」

「ん・・・朽木のことが心配だったから・・・・」

処刑は後一歩のところで、一護によって阻止された。それはよかったのだが、藍染という大反逆者を生み出すことになった。

「藍染とか・・・いろいろと考えていると、どうにも食欲がな」

「ちゃんと食べなきゃだめだよ」

「ん!」

潤滑油に濡れた指が体内に入ってくる。

何千回と繰り返してきた行為なのに、未だに慣れない。

「ああ!」

ぐっと、前立腺のところで指を折り曲げられた。

「もういい、早くこい・・・・」

京楽は、浮竹の放つ艶っぽさにやられて、ごくりと唾を飲みこんだ。

「いくよ」

「ああああ!!!」

引き裂かれる痛みさえ、歓喜。

久し振りに京楽を受け入れたそこは、熱を孕んでいた。

「ん・・・だめだ、1回だすよ」

「んああああ!」

腹の奥で、京楽が弾けるのを感じた。

何度か、ぐちゃぐちゃと音を立てたれて突き上げられた。

やっとのことで、1回の目の精を浮竹も放っていた。

「ひああ・・・・・」

前立腺を突き上げられて、連続でいかされた。

「あああ・・・・思考が・・焼き切れれる・・・・・・」

「いっちゃいなよ。愛してるよ、十四郎」

「ああ、春水!!!」

くちゅりと中の浅い部分を犯された。

前立腺ばかり刺激されて、浮竹は啼く。

「ああああ!春水、愛してる・・・・・」

何度も熱に穿たれ、引き裂かれた。

「ひああああ!」

京楽が満足する頃には、もう吐き出すものはなく、透明な蜜をたらたら零して、ドライのオーガズムで何度もいかされた。

「愛してるよ」

「あ、俺も愛してる」

その想いは、院生時代から変わらない。

こうやって肌を重ね合わせるのも。

ああ、翡翠に溶けていく。

そう思った。

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翡翠に溶ける 海燕の死

海燕が死んだ。

数日の間、浮竹はあまり眠らず、食事をとらなかった。

倒れるまで。

点滴の管に繋がれた浮竹見て思う。

それほどまでに、海燕の存在は、浮竹の中で大きくなっていたのだ。

一緒にいたのは僅か数十年であるが、京楽もまた彼の死にショックを受けた。

京楽が見殺しにしたのだと、噂が立っていた。

それを、浮竹は否定するわけでもなく、受け入れていた。

「大丈夫?過労で倒れたんだよ」

目をあけた浮竹の顔色は酷いものだった。目の下の隈も、まだ完全にとれていない。

「いけたかな?」

「え?」

「海燕は、天国にいけたかな?」

涙が、ぽろりと零れた。

「大丈夫・・・・妻も都ちゃんだっけ。あの子と一緒に今頃天国で微笑んでるよ」

「朽木に・・・酷い仕打ちをしてしまった」

「ああ、朽木隊長の義妹のルキアちゃんね。大丈夫、始めは茫然自失になって、そのうち自分を責めだしたけど、君の姿を見て大人しくなったよ。「辛いのは私だけではない」と言っていたよ」

ルキアの姿を思い出す。アメジストの瞳に、涙をためていた。

「朽木を、呼んでくれないか?」

「いいけど、もう大丈夫なの?」

「ああ・・・・久しぶりに睡眠をまとめてとったから、気分がいい」

「ならいいけど・・・・」

地獄蝶を使い、ルキアを呼び出した。

「浮竹隊長!倒れたそうですが、大丈夫ですか!」

ルキアも、顔色がよくなかった。あまり眠れていないのだろう。目の下に濃い隈があった。

「すまなかった・・・・・巻き込んでしまって・・」

「いえ・・・・いいえ、あれは海燕殿の意思だったんです。私の手にかかって死ぬことを望んでおられた」

「それでも、すまない。あの虚を、海燕と出会わせる前に俺が倒しておけば・・・・」

「それは可能性の逃げ話になってしまいます。海燕殿は、心はここに置いていけると仰っていました。心は、私と浮竹隊長の中で、受け継がれていくんだと思います」

「そうか・・・・・・・」

浮竹は納得したように、頷いた。

「海燕は、俺たちの心の中にいる。いつまでも、一緒だ」

できれば海燕の葬儀に出たかったが、志波家から拒絶されていた。部下を見殺しにする隊長やその仲間になどきてほしくはないと。

霊圧をけして、遠くから海燕と妻である都が、荼毘に付されるのを遠くから見ていた。天に昇っていく煙を確認して、数日後に浮竹は過労で倒れ、今に至る。

浮竹は、また眠ってしまった。

深い眠りに入っているようだった。

「ルキアちゃん、この薬あげる」

「これは?」

「僕が不眠時に使っている眠剤だよ。あまり眠れてないんでしょ?それ飲んで、よく眠って疲れをとりなさい」

「はい・・・・・」

ルキアは、朽木家に戻っていった。

3日が経ち、すっかり持ち直した浮竹が姉乾堂に帰ってきた。

まだ完全に海燕の死を受け入れたわけではないが、彼が死んだとちゃんと認識していた。

入院する前は、海燕の名を時折呼んでいた。

「今度、海燕の墓参りにいこうと思うんだ」

「それはいいね。葬儀には出られなかったんでしょう?」

「ああ。海燕の姉が、死神は大嫌いだと誰も参加させす、身内だけで葬儀を行ったらしい。俺は遠くから、荼毘に付される様子を見ていたが、花をささげることもできなかったしな」

「そうだね。手配するから、立派な菊の花に酒に、海燕君が好きだったおはぎをそえて・・・今週の週末は空いてるかい?」

「ああ。今週末にでも、墓参りにいこう」

やがて週末になり、海燕の墓にいった。

立派な廟堂の中にあった。

流石、元5大貴族だけであって、墓だけが立派なだった。

菊の花を活けて、酒を墓石に注ぎ、おはぎを供えた。

線香に火をつけると、ゆらりと煙が揺れた。

「あっちでも、達者でいろよ。そのうち、俺たちもお前たちの方へいくから」

「こら浮竹、縁起でもないこと言わないでよ」

「ああすまん。訂正だ。しばらくそっちにはいけそうもないが、どうか天国から見守っていてくれ」

没落してしまっていたので、墓以外は質素で、海燕は家をもっていたが、席官クラスが館を構える場所に、海燕とその妻都の家はあった。

姉がすでに遺品を引き取りにきた後だったので、あまりめぼしいものはなかったが、ふと瑪瑙の簪を見つけた。

それは浮竹が、妻の都に贈るようにとあげた、結婚式祝いのものだった。

「海燕、都・・・この簪をもらっていく」

その館には、もう次に入る者が決まっていた。

海燕の姉が、わざと残していったのだろう。

そんな気がした。

それからしばらくて、山総隊長より数人の次の副官候補から、副官にしたい者を選べと言われた。

「元柳斎先生。すみませんが、当分の間は、副官を置きません」

「なんじゃと」

「海燕の死は俺の責任でもあります。もう、あんな目に誰も合わせたくないのです」

「お主のせいではない。悪いのは虚じゃ。副官は本当にいらぬのか?」

「はい」

「では、3席を2名おけ。副官の代わりになるような者を」

そう言われて、浮竹が選んだのは当時3席のままの清音と、4席だった仙太郎だった。

「この2名を、副官の代わりに置きます」

「ふうむ。まぁよいじゃろう。時間が経てば、いつか副官を選んでもらうぞ」

「はい」

仙太郎は感激していたが、清音が同じ3席になるということで、ライバル心を燃やしていた。

「この不細工!はげ!」

清音の言葉に、仙太郎が売られた喧嘩は買うように、叫んだ。

「はん、ブーーーーーーース!」

「なんですってぇ!私のほうが、長く3席をしているのよ!副官補佐は渡さないんだから!」

「ブスブスブーース!!!」

「きいいいいいいいい」

二人は、仲が良くなかった。

人選間違えたかなと思いながらも、3席の2人に今までの海燕ほどではないが、世話をみてもった。

やがて時は経ち、ルキアが空座町の担当死神になった。

「本当にいいのか?白哉に知らせなくて」

「はい。兄様は、この程度のことと言われるでしょう」

朽木家の養子にいったルキアが、義兄の白哉とうまくいっていないとは聞いていた。だが、ルキアが13番隊に入るにあたって、白哉から直々に副官にしないよにと、強く言われていた。

席官になればなるほど、命の危険も大きくなる。

「白哉も素直じゃないな・・・・・」

「え、浮竹隊長?」

「いや、分かった。それじゃあ、現世にいってこい。達者でな」

「はい!」

ルキアは、空座町に向かう。

そして、黒崎一護と運命の出会いを果たすのだ。

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翡翠に溶ける 海燕2

「ほらほら、さっさと起きてください」

「まだ眠い~」

「そんなこと言ってないで起きる!」

海燕は、浮竹の世話を率先して行ってくれた。

顔を洗い、着替えて朝餉を食べる。

海燕がいない時は、いつも朝食は抜きで、10時頃に起き出して動き出す浮竹を、8時にはたたき起こしていた。

「海燕君はすごいねぇ。僕でさえ、起こせなかった浮竹を、こんなに簡単に起こせるなんて」

「簡単じゃありません。とにかく布団を奪うんです。それで大抵起きます」

「布団を奪う・・・・僕は、浮竹に幸せに起きてほしいから、無理だねぇ」

京楽はよく雨乾堂を訪れるし、逢瀬の時も雨乾堂を使っていた。

この二人、見られていても平気で睦みだす。

海燕がそんな雰囲気になると、姿を消すようになったのは、睦みあいの最中に雨乾堂に入ってしまった時がきっかけだった。

浮竹も京楽も若くないが、まだまだ男盛りだ。

とくに京楽の性欲は旺盛で、1回の睦み事に3~4回は出す。

ある日、京楽がしつこいのだと相談を受けて、「ならば禁欲生活を送らせたらいい」というと、「俺も溜まるから無理」と言われてしまった。

京楽も浮竹も、心は院生時代のままなのだ。

付き合い始めた頃から、変わったのは外見と地位、あとは睦みあう回数くらいか。

学院時代には週に二度は睦みあっていたが、最近は週に一回程度だった。

お互いを想い合う心は、院生時代から不変である。

「はい、仕事をはじめる!ああもう、寝ようとしない!」

海燕は、浮竹を文机に誘導して、今日の仕事をどさどさと置き出す。

朝餉を食べても寝ぼけていたが、文机の前にくると少しずつ覚醒する。

ばりばりと働き出す。よくまぁそんあ速度で仕事ができるものだなと、浮竹の後ろ姿を京楽は見つめていた。

京楽も、今日は仕事をしようと。8番隊から仕事をもってきていた。

京楽のためにと、浮竹の隣に誂えられた黒檀の文机で、京楽も仕事をしだした。

「はい、12時!昼飯です」

海燕は、時間にきっちりだ。

昼餉をとり30分ほどうたた寝をして、1時から6時まで仕事。

6時に、やっと死神業務の終了時刻だが、海燕には浮竹の世話がある

湯を沸かして風呂においたてて、夕餉の準備をして、食べ終わった夕餉を下げてやっと、海燕の一日も終わる。

「あがります。お疲れさまでした」

「ああ、お疲れ」

「お疲れ~」」

去っていく海燕を見送って、今日は泊まることにした京楽は、浮竹の長い髪を結い上げていた。

「うーん、やっぱり髪の毛結った方が似合うと思うんだけどなぁ。翡翠の簪をさしたり・・・・そういえば、あげた簪や髪飾りとかはどうしてるの?」

「たんすの奥にしまってある。大切にしているぞ?」

たんすの中を開けて、見せてくれた。

「うん。売っても構わないけど、なるべく持っててほしいな」

「お前からもったもだ。売るはずがない」

「でもずっと前にあげたエロ本、売ったよね?」

京楽が浮竹に、抜くときのためにと、エロ本をあげたのだが、浮竹はもう女性の裸を見た程度では、たたなくなっていた。

「あんなくだらないもの、もってても無駄だ」

「けっこう高価なものだっただよ」

「ああ、いい値段で売れた」

「そしてそのお金はどこへ?」

「おはぎに消えた」

「そうかい。エロ本はおはぎになったのか・・・・・」

なんだか感慨深い。

京楽も、昔は女性の裸でたっていが、今はえろい動画を見ても何も感じなかった。

その代わり、頭の中で浮竹に変換して妄想するだけで、たった。

もぅ・・・300年以上は生きているだろうか。

長生きをしすぎで、途中から年を数えるのを止めてしまったため、自分たちが正確に何歳であるかは分からなかった。


「ああもう、こんなに散らかして!」

畳の上に、後て捨てようとまとめていた開けた菓子袋を見て、海燕が掃除を始めた。

「おい、そんなに頻繁に掃除しないでも」

「甘い!ほこりがたまってからじゃあ遅いんです!清潔であることが、隊長の肺にもいいんですから!」

「そういうものなのか?」

京楽の顔を見る。

「さぁ?」

京楽にも分からないようだった。

「どいたどいた!」

ちりとりと箒で、畳の上を掃除していく。

「ほら見てくださいこの髪!人は毎日髪がぬけるんですから!」

長い白髪に交じって、時折京楽のものらしい、黒髪があった。

「海燕は、お母さんみたいだな」

「ああ、よく言われます」

「否定しないのか」

「都もうるさいです。掃除のしすぎだとか、洗濯物を洗う頻度が高いとか。俺、汚れているのって見ていていらいらするんです」

浮竹は、妻の都に同情した。

「都も大変だな・・・・・そうだ子供ができたら、俺が名づけ親になってやろう」

「ちょ、気が早すぎです。まだ結婚して1年ですよ!?」

「お前の子供に、老後の面倒を見てもらうのもいいなぁ」

「なに勝手に人の家庭環境に自分を入れてるんですか!」

海燕の批難を無視して、続ける。

「いつか、引退して京楽と同じ屋敷で、ぼーっと毎日寝ていたい」

「あんたの脳には寝るしかないのか!」

「いや、性欲と食欲もあるぞ。それより睡眠欲がでかいだけで」

「あんたの睡眠欲はでかすぎだ。この前の日曜、昼の1時まで寝てたそうですね」

がみがみとお説教を食らう浮竹。

京楽は、我関せずという形で茶を飲んでいた。

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雲の上の浮竹

「あー・・・・・頭痛い」

「そりゃあんだけ寝てたらねぇ」

京楽がいた。

昨日、睦みあったのだ。

「今何時だ?」

「昼過ぎの3時」

「15時間は寝たか・・・・まぁまぁ寝たなぁ」

「海燕君がいなくてよかったね」

今、海燕は妻の都の家のほうに、里帰りしていた。

「海燕がいたら、こんな時間まで寝れないからなぁ・・・・・」

「起こすのもなんだから放置してたけど、ほんとに寝すぎだよ。体、大丈夫?」

「眠り過ぎの方が、体は楽なんだ」

「それならいいけど・・・・」

浮竹は京楽の方を見る。

「俺が寝てる間、何してたんだ?」

「暇すぎて、8番隊から仕事もってきて片付けてた」

「たまには、仕事もするんだな」

「これでも、溜めこむ前になるべく片付けてるんだよ!」

京楽は、いつも仕事をせずにふらついているか、寝ているか、酒を飲んでいるかのイメージしかなかった。

「お前がわざわざ仕事もってくるなんて・・・・明日は雨かな」

「僕を一人にする君が悪い」

抱き寄せられて、キスをされた。

ぐーー。

お腹が盛大になった。

「流石に朝、昼と抜くと腹が減るな」

「食堂に行こう。少し遅いけど、昼飯にしよう。君が起きるだろうと思って、僕も食べてなかったんだ・・・・お腹が、すいた」

いつもなら、海燕が食事の用意をしてくれるのだが、今はいないので、13場隊の隊舎の食堂までわざわざやってくると、平隊士たちに感激された。

「隊長だ・・・・本物だ・・・・」

「きゃあ、京楽隊長と一緒よ!」

女性は、黄色い声をあげていた。

「これだから、食事は雨乾堂でとりたいんだ・・・」

平隊士が並んで、握手を求めてきた。

時折食事の箸を止めて、それに応えてやる。

「君は人気者だね・・・僕は食堂にいっても、誰も何も言ってこないよ。七緒ちゃんが、さっさと飯食って、仕事の続きをしろってうるさく言われるくらいかな」

「まぁ、慕ってくれる隊士は多いな」

京楽と浮竹の性格の差だろうか。もしくは姿を見る頻度の差か。

京楽はよく隊舎を歩いている。

一方の浮竹は、雨乾堂に閉じこもって出てこない。たまに出てきて隊舎にきたと思ったら、すぐに雨乾堂に引っ込んでしまう。

「君、もっと日頃から隊舎にいないと、しまいには崇められるんじゃない?」

伝令神機で写真をとる隊士たちを見ながら、浮竹は首を傾げた。

「うーん。俺って、そんなに珍しいか?そこの君」

「え、俺ですか?」

「そうそう、君。俺って、そんなに珍しいか?」

「珍しいも何も、雲の上の存在みたいなかんじですよ!ほんとに隊長っていたんだなって思いました」

「君の隊・・・重症だね」

京楽の隊でもたまに珍しがられることもあるが、ここほど酷くない。

「もうちょっと、隊士たちと触れ合う時間を作ったほがいいんじゃない?」

「考慮しておく」


海燕が帰ってきた。

海燕に事情を話すと、水曜と土曜の日の昼飯と夕食は、しばらくの間雨乾堂ではなく、食堂でとって交流をはかるべきだと言われた。

あと、道場で剣の稽古を見てやればいいと言われた。

それから、3か月ほどが経った。

「隊長、お疲れさまです」

「ああ、お疲れさま」

浮竹の存在は、隊にすっかり馴染んでいた。

「俺の言った通りにして、正解でしょう」

「ああ、そうだな。しばらくまた、雨乾堂で食事をとることにする。剣の稽古については、引き続き指導を行っていく」

海燕は、間違ったことを言わない。

だから、安心して副官を任せれるのだ。

「それにしても、海燕は何も言われないんだな」

「言われますよ。前までは、隊長って本当に存在するのかとかも、言われてましたけどね」

「うわぁ、なんかすまない。もっと早くに、交流をはかるべきだった」

「いえ、言わなかった俺も悪いですから」

それから、今後はどうしよう、ああしようと言葉を交えた、

「う~き~た~け~」

幽霊のように、ずるずると這いずってやってくる京楽に、浮竹が驚く。

「なんだ、庭の落とし穴にでもはまったのか?」

「そうだよ!誰だい、あんな場所に落とし穴設置したのは!」

京楽は憤慨していた。

「俺です。最近、隊舎から雨乾堂に盗撮にくる輩がでてきたから・・・・・」

「え、そんな奴いるのか?」

「はい。隊長の・・・特に京楽隊長とのツーショットとかは高く売れるとかで・・・」

「けしからーーーーん!」

京楽が、叫ぶ。

「いや、けしからのはあんたの存在のせいでもありますから。あんたと隊長ができているせいで、女性の間で写真が高値で売買されてるんですよ」

「女性か・・・・・男のように力で捻じ曲げるわけにもいかないな」

「あ、中には購入していく男性もけっこういますよ」

「余計にけしからーーん!」

巨楽が叫ぶ。

「京楽は泥まみれだな。風呂に入ってこい。着換えを用意しておくから」

「え、ああうん。しかし、一度取り締まるしかないね。女性相手でも、強気にでるべきだ」

そう言って、京楽は浴室に消えていった。

海燕は、お触れを出した。

盗撮に関与した場合、拘束の上に減給3か月。

海燕のお陰で、盗撮していた女性死神が捕縛され、芋づる式に摘発されて、浮竹と京楽の写真を盗撮する者はいなくなった。

「これで、いちゃつける」

「いや、あんたの場合、人が見ていてもいちゃつくでしょうが!」

海燕の指摘に、京楽は舌を出した。

「俺を挑発してるんですか」

「君の大事な上官は、僕のものだよ」

「いつからあんたのものになった!隊長は、みんなのものか!」

「あのなー」

浮竹が飽きれた声を出す。

「俺は俺だ。誰のものでもない」

二人とも、顔を見合わせて、それもそうかと思うのだった。

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