一護と白哉
ルキアと一護の結婚式まで、あと1か月。
一護は、ルキアと一緒に尸魂界での虚退治にきていた。
「やっぱ、書類仕事よりこっちのほうが断然楽だわ」
「バカ者!そうやって、命を落としていった死神もおおいのだぞ!気を引き締めろ」
「へいへい」
出現したのは、大虚(メノグランデ)の中でもアジューカスクラスの虚だった。
そのアジューカスが、15体。
「怯むな!かかれ!」
平隊員たちには下がっていろと伝えてある。
今いるのは、13番隊でも上位席官クラスの者たちだ、
「てやあああ!」
4番隊に移籍して、いなくなった清音の分まで、がんばるように仙太郎が先陣を切る。
そのまま、乱闘になった。
「ぎゃあああああ」
「うわあああああ」
一人が倒され、また一人が倒されていく。
アジューカスはやがて合体して、ヴァストローデに近い霊圧をもって、襲い掛かってっきた。
「舞え、袖白雪。次の舞、白漣!」
虚のいる地面から空高くまで凍り付く。まだ虚は生きていた。
「しつけぇ野郎だ。月牙天衝!」
一護が、そのでたらめな霊圧で、卍解することもなく虚の霊圧を混じらせた一撃をくらわせると、凍り付いた虚は粉々になって霊子へと還っていった。
「3席以下6席までは、けが人の収容と治療に当たれ!他の者は、虚の残党がいないかの捜索にあたれ!」
「やっぱ、ルキアが隊長で正解だわ」
「何故だ?」
「俺はこんな風に、下の者に命令なんて出せない。自分一人の力で倒せると信じこんで、一人でつっこんでいっちまう。席官クラスの扱い方なんてわかんねーしな」
「私も、最初はそうだった。でも、貴様ももう13番隊の副隊長なのだ。席官クラスの者を動かせるように、慣れておけ」
「へいへい」
「朽木副隊長、8席の怪我が酷いです!どうしましょう!」
「急いで、4番隊の虎鉄隊長の元に運んでくれ!」
「分かりました!」
「おお、一護、その調子だ。やればできるではないか」
「おい、これくらい普通できるだろ。舐めてんのか」
「別に~。兄様に、お前をいじめるようになど、言われておらぬぞ」
「あの白哉義兄様がっ・・・・・」
舌内を打つ。
何かあると、姑のように口を出し、そして小ばかにしてくる、貴族の中の貴族、見てるだけなら誰も振り返るような気品と気高さをもつ白哉。
その白哉のほうから、一護を朽木家の婿養子という形で出迎えたくせに、義妹のルキアとは結婚するまで清いままでいろとうるさい。
結婚したらしたで、子供はまだか?と聞かれそうだ。
「そうだ、ルキア、帰ったら明日の分の白哉の弁当作ってくれねーか?」
「いいが、何故だ?」
「ぎゃふんといわせてやるんだよ、白哉を」
「兄様は、そんなこと決して言わぬと思うがな」
次の日になって、今日の昼食はルキアの手作り弁当だと白哉に吹き込むと、白哉は嬉しそうにしていた。重度のシスコンだから、ルキアの手作り弁当が嬉しいのだろう。
そして、ルキアが作った弁当をうけとり、それにハバネロをこれでもかというほどにかけてやった。
「くくく、これだけあれば・・・・・」
いくら白哉でも、辛いと飛び上がるだろう。
さささっと移動して、昼の時間帯に6番隊の執務室の前までやってきた。隠れて、様子を伺う。
ちょうど、白哉はルキアの弁当を口にしているところだった。
「ざまーみろ」
「む、これは・・・・・・」
「にしししし」
「辛くてうまいな」
「そうくるか!?」
「兄は、そこにいるのであろう。朽木一護」
びくりと、一護が飛び上がった。
「なんでわかった」
「その霊圧の垂れ流しをやめぬ限り、兄の存在はどこにいても丸わかりだ」
「くそ、霊圧の閉じ方ちゃんと学んだんだけどな・・・・」
それでも、霊圧が漏れる。それほどに一護の霊圧は高いのだ。
「おい一護、朽木隊長に嫌がらせするならやめておけ。命がいくつあっても足りねーぞ」
「うっせぇ、恋次!これは男と男の勝負なんだよ!」
「そういうわりには、兄は卑劣な手段をとるな。ルキアの作ってくれた弁当にハバネロか・・・普通の死神なら、食すこともできぬであろうが、私は辛いものが好きなのだ。残念であったな」
「俺は知らねーからな」
恋次が退避する。
「一度、きつく灸をすえる必要があるか」
「おう、やれるもんならやってみろ」
互い瞬歩で開けた場所にきた。
「卍解・・・・・千本桜景厳・・・・・」
「卍解!天鎖斬月」
二人で、切り結びあう。
億の桜の花びらの奔流をはじき返す。
「月牙天衝!」
「殲景・千本桜景厳・・・」
互いの技がぶつかりあう。そこに、巨大な霊圧をぶつけられて、二人ははっとなった。
「朽木隊長も、一護君もそこまで。いけないよ、隊長副隊長での卍解での切り結びあいは、禁じられている」
「京楽総隊長・・・・すまぬ。軽率であった」
卍解を解き、剣を鞘に納める白哉。
「ほら、一護君も」
「すまねぇ、京楽さん」
卍解を解いて、斬魄刀を背中にしまった。
「兄様も、一護も、喧嘩するなら口でしてください!こんな、卍解での切り結びあいなどしないでください」
ルキアが泣いていた。その泣き顔に、一護が困り果てる。
「いやな、違うんだ。俺と白哉は仲良しなんだ。だから、技を磨きあってたんだ」
「本当なのか、一護?」
ちらりと白哉を見ると、めっちゃ嫌そうな顔をしていた。
その白哉の隣に佇んで、白哉の肩を抱く。
「ほらほら、こんなに仲いいぞ」
「おお、兄様、一護とそんなに仲がよいなどとは、このルキア、思ってもみませんでした」
白哉は、思い切り足を踏んづけてきた。それを我慢しながら、笑顔で応える。
「そうだ、せっかくなので写メをとりましょう」
京楽は、用は終わったとばかりに去ってしまった後だった。
ぱしゃりと、引きつった笑顔の一護と、むすっとした表情の白哉の写真がとられた。
「まだ仕事が残っているので、一度戻ります、兄様。一護も、後からでいいからちゃんと戻るのだぞ!」
「破道の4、白雷」
「あががががが」
鬼道で黒焦げにされて、一護はまた白哉めと、思った。
「破道の4、白雷」
白哉に向けてうったはずの鬼道は、自分を焦がした。
「鬼道も使えないなど、笑止」
「うっせぇ、このばか!バーカバーカバーカ!」
「猿か・・・・」
「ムキーーー」
一護は、噴火した。
そして、鬼道ででかいのを放とうとして、自爆した。
「ウッキーーーーーー」
「猿め」
黒焦げになりながら、地団駄を踏む一護。それを嘲笑う白哉。
二人の仲は改善されるのは、まだまだ先になりそうだった。
一護は、ルキアと一緒に尸魂界での虚退治にきていた。
「やっぱ、書類仕事よりこっちのほうが断然楽だわ」
「バカ者!そうやって、命を落としていった死神もおおいのだぞ!気を引き締めろ」
「へいへい」
出現したのは、大虚(メノグランデ)の中でもアジューカスクラスの虚だった。
そのアジューカスが、15体。
「怯むな!かかれ!」
平隊員たちには下がっていろと伝えてある。
今いるのは、13番隊でも上位席官クラスの者たちだ、
「てやあああ!」
4番隊に移籍して、いなくなった清音の分まで、がんばるように仙太郎が先陣を切る。
そのまま、乱闘になった。
「ぎゃあああああ」
「うわあああああ」
一人が倒され、また一人が倒されていく。
アジューカスはやがて合体して、ヴァストローデに近い霊圧をもって、襲い掛かってっきた。
「舞え、袖白雪。次の舞、白漣!」
虚のいる地面から空高くまで凍り付く。まだ虚は生きていた。
「しつけぇ野郎だ。月牙天衝!」
一護が、そのでたらめな霊圧で、卍解することもなく虚の霊圧を混じらせた一撃をくらわせると、凍り付いた虚は粉々になって霊子へと還っていった。
「3席以下6席までは、けが人の収容と治療に当たれ!他の者は、虚の残党がいないかの捜索にあたれ!」
「やっぱ、ルキアが隊長で正解だわ」
「何故だ?」
「俺はこんな風に、下の者に命令なんて出せない。自分一人の力で倒せると信じこんで、一人でつっこんでいっちまう。席官クラスの扱い方なんてわかんねーしな」
「私も、最初はそうだった。でも、貴様ももう13番隊の副隊長なのだ。席官クラスの者を動かせるように、慣れておけ」
「へいへい」
「朽木副隊長、8席の怪我が酷いです!どうしましょう!」
「急いで、4番隊の虎鉄隊長の元に運んでくれ!」
「分かりました!」
「おお、一護、その調子だ。やればできるではないか」
「おい、これくらい普通できるだろ。舐めてんのか」
「別に~。兄様に、お前をいじめるようになど、言われておらぬぞ」
「あの白哉義兄様がっ・・・・・」
舌内を打つ。
何かあると、姑のように口を出し、そして小ばかにしてくる、貴族の中の貴族、見てるだけなら誰も振り返るような気品と気高さをもつ白哉。
その白哉のほうから、一護を朽木家の婿養子という形で出迎えたくせに、義妹のルキアとは結婚するまで清いままでいろとうるさい。
結婚したらしたで、子供はまだか?と聞かれそうだ。
「そうだ、ルキア、帰ったら明日の分の白哉の弁当作ってくれねーか?」
「いいが、何故だ?」
「ぎゃふんといわせてやるんだよ、白哉を」
「兄様は、そんなこと決して言わぬと思うがな」
次の日になって、今日の昼食はルキアの手作り弁当だと白哉に吹き込むと、白哉は嬉しそうにしていた。重度のシスコンだから、ルキアの手作り弁当が嬉しいのだろう。
そして、ルキアが作った弁当をうけとり、それにハバネロをこれでもかというほどにかけてやった。
「くくく、これだけあれば・・・・・」
いくら白哉でも、辛いと飛び上がるだろう。
さささっと移動して、昼の時間帯に6番隊の執務室の前までやってきた。隠れて、様子を伺う。
ちょうど、白哉はルキアの弁当を口にしているところだった。
「ざまーみろ」
「む、これは・・・・・・」
「にしししし」
「辛くてうまいな」
「そうくるか!?」
「兄は、そこにいるのであろう。朽木一護」
びくりと、一護が飛び上がった。
「なんでわかった」
「その霊圧の垂れ流しをやめぬ限り、兄の存在はどこにいても丸わかりだ」
「くそ、霊圧の閉じ方ちゃんと学んだんだけどな・・・・」
それでも、霊圧が漏れる。それほどに一護の霊圧は高いのだ。
「おい一護、朽木隊長に嫌がらせするならやめておけ。命がいくつあっても足りねーぞ」
「うっせぇ、恋次!これは男と男の勝負なんだよ!」
「そういうわりには、兄は卑劣な手段をとるな。ルキアの作ってくれた弁当にハバネロか・・・普通の死神なら、食すこともできぬであろうが、私は辛いものが好きなのだ。残念であったな」
「俺は知らねーからな」
恋次が退避する。
「一度、きつく灸をすえる必要があるか」
「おう、やれるもんならやってみろ」
互い瞬歩で開けた場所にきた。
「卍解・・・・・千本桜景厳・・・・・」
「卍解!天鎖斬月」
二人で、切り結びあう。
億の桜の花びらの奔流をはじき返す。
「月牙天衝!」
「殲景・千本桜景厳・・・」
互いの技がぶつかりあう。そこに、巨大な霊圧をぶつけられて、二人ははっとなった。
「朽木隊長も、一護君もそこまで。いけないよ、隊長副隊長での卍解での切り結びあいは、禁じられている」
「京楽総隊長・・・・すまぬ。軽率であった」
卍解を解き、剣を鞘に納める白哉。
「ほら、一護君も」
「すまねぇ、京楽さん」
卍解を解いて、斬魄刀を背中にしまった。
「兄様も、一護も、喧嘩するなら口でしてください!こんな、卍解での切り結びあいなどしないでください」
ルキアが泣いていた。その泣き顔に、一護が困り果てる。
「いやな、違うんだ。俺と白哉は仲良しなんだ。だから、技を磨きあってたんだ」
「本当なのか、一護?」
ちらりと白哉を見ると、めっちゃ嫌そうな顔をしていた。
その白哉の隣に佇んで、白哉の肩を抱く。
「ほらほら、こんなに仲いいぞ」
「おお、兄様、一護とそんなに仲がよいなどとは、このルキア、思ってもみませんでした」
白哉は、思い切り足を踏んづけてきた。それを我慢しながら、笑顔で応える。
「そうだ、せっかくなので写メをとりましょう」
京楽は、用は終わったとばかりに去ってしまった後だった。
ぱしゃりと、引きつった笑顔の一護と、むすっとした表情の白哉の写真がとられた。
「まだ仕事が残っているので、一度戻ります、兄様。一護も、後からでいいからちゃんと戻るのだぞ!」
「破道の4、白雷」
「あががががが」
鬼道で黒焦げにされて、一護はまた白哉めと、思った。
「破道の4、白雷」
白哉に向けてうったはずの鬼道は、自分を焦がした。
「鬼道も使えないなど、笑止」
「うっせぇ、このばか!バーカバーカバーカ!」
「猿か・・・・」
「ムキーーー」
一護は、噴火した。
そして、鬼道ででかいのを放とうとして、自爆した。
「ウッキーーーーーー」
「猿め」
黒焦げになりながら、地団駄を踏む一護。それを嘲笑う白哉。
二人の仲は改善されるのは、まだまだ先になりそうだった。
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浮竹が京楽で、京楽が浮竹にいれかわった?
「じゃあ、僕はいくから」
「あ、ちょっと待て京楽!」
「なんだい?」
ゴン!
振り返って数歩足を進めた京楽と、そのまま真っすぐ向かって進んだ浮竹は、頭をぶつけあった
「あいたたたた」
「いたい」
浮竹があいたたたといい、京楽がいたいと言った。
「「え!?」」
浮竹は自分の体を見る。体は巨躯で、鍛え上げられており、頭に笠を被っていた、女ものの派手な打掛を羽織り、煙管煙草をしていた。
「ええええ!」
「どうなってるんだいこれ」
京楽が自分の体を見る。華奢にみえる細い手足。肌の色はぬけるように白く、長い白髪がさらさと零れ落ちる。体はしなやかな筋肉がのっているが、基本的に細い。
「「中身が入れ替わった!?」」
「おい京楽、その体は俺のものだ。中身は京楽なのか!?」
「そういう浮竹も、その体は僕のものだ。中身は浮竹なのかい!?」
二人してパニックになる。
30分程して落ち着いて、向かい合って茶を飲んだ。
「もう一度、頭をぶつければ元にもどるんじゃないかい」
「俺もそう思った」
そしで、ごちっと頭をぶつけあう。
何も起こらなかった。
「いたたた」
「痛い」
二人は、仕方なく涅隊長の元へいった。
「はぁ?中身が入れ替わった?そんなこと、私の知ったことではないのだヨ。本当に中身がいれかわっているとしたら、よい実験材料に・・・・・・」
最後まで言わせず、二人は走って逃げた。
その次に二人が訪れたのは4番隊。卯ノ花に事情を説明すると、魂がどうのこうの言い出されて、ちんぷんかんぷんだった。
「ようは、衝撃で互いの魂魄が入れ替わったのでしょう。時が経てば元に戻るでしょう」
「ほんとかな?」
「どうだろう?」
「私の言葉を疑うのですか?」
にこにこしているが、背後にどす黒いオーラが見えた。二人して汗をだらだらかいて、にっこりと微笑む卯ノ花が怖かった。
「分かった。じゃあ、いつも通り過ごしていることにするよ」
「俺もだ」
二人は、脱兎のごとく逃げ出した。
雨乾堂に帰り、京楽に浮竹の体のまま8番隊に帰らないように言う。
「俺も雨乾堂にいることにする。数日は泊まっても、いつものことだから大丈夫だろう」
京楽の体の浮竹は、自分の体のでかさにちょっとびびっていた。
「それにしても、京楽の体はでかいな」
「浮竹の体は細いね。ちゃんと食べてる?」
お互いの体を触りあっていると、なぜかたった。
「どういうことだ、これは!」
「あれかな。精神は違うけど、体が反応しているってやつ」
「どうする」
「どうするって、抜くしかないでしょ」
「風呂場で?」
「今ここで」
「ええっ」
京楽は、浮竹の体のまま股間をまさぐりだして、浮竹が声をあげる。
「おい」
「お互いの体じゃあ混じり合うのは無理しょ。手伝うから、抜きあおう」
「仕方ない・・・・」
一度熱をもってしまったものは、なかなか収まってくれない。
浮竹も、京楽の体のままで一物をしごきだした。
「なんか、すごいエロい。浮竹の体」
「そういう京楽の体もエロい。なんなんだ、この大きさ」
二人で、花茎をすりあわせ、ぐちゃぐちゃと音をたてていじる。
浮竹が熱をだしたりして長いこと睦みあえずに、溜まりに溜まった時はそうして抜いていた。
「んっ・・・・いいね、浮竹の体感度がいい」
「京楽の体は、んあっ」
「浮竹、僕の体であえがないで。みっともないから」
「そう言われても・・・ひうっ」
お互い、ぐちゃぐちゃになるまですりあげて、二度ほどいった時、体の異常が消えた。
「あれ、俺の体に戻ってる・・・」
「僕もだ・・・・・・」
でも、まだ熱の余韻が残っていた。
「浮竹・・・・・」
「京楽・・・・」
そのまま、畳の上で倒れこんだ。
「やっぱり、これがしっくりくるね」
浮竹を押し倒して、京楽が口づける。
「自分の顔にキスなんてできないからな」
浮竹は、京楽の体をかき抱いた。
「あっ」
京楽が、懐から潤滑油を取り出す。
「お前、いつもそんなもの持ち歩いているのかっ」
飽きれ気味の浮竹に、京楽は笑みを浮かべる。
「だって、いつ浮竹を抱けるか分からないでしょ」
「んっ」
蕾を、潤滑油の力をかりて指が出入りし、解していく。
「も、いいから来い・・・・・・」
「大丈夫?いつもより性急だけど」
「今は、お前の体温を感じたい」
「じゃあ、いくよ」
ずっと中に入り込まれる。
穿つ熱の灼熱さに、体が震えた。
「あああ!」
「んっ・・・いつもより、狭いね」
それでも、じっくりと中を堪能した。
ずずずと、挿入して引き抜いて、また挿入する。
やがて結合部はぐちゃぐちゃと水音をたてだした。
「んあああ!だめ、いっちゃう・・・・あう!」
京楽に花茎をいじられて、前立腺をすりあげられて、浮竹は果てた。
「君の中すごいね・・・・うねって・ああ、僕ももうだめだ」
浮竹の腹の奥で、京楽も弾けた。
はぁはぁと、お互い荒い息をついた。
「ぐちゃぐちゃだ・・・・湯あみにいこう」
「うん。その前に、畳ふかなきゃ・・・・」
互いの体液が混ざった液体が、畳の上に滴っていた。
それを濡れたタオルでさっとふきさって、情事の痕を消すと、湯あみをした。
「はぁ。なんだかんだあったけど、けっこう楽しめたね」
「楽しんだというか・・・お前の体から元に戻った時、すごい快感で・・・お前がどうしても欲しくなった」
「僕もだよ。凄い快感で・・・君を抱きたくなった」
その後、また頭をぶつけて入れ替わったりするのだが、それはまた別のお話。
「あ、ちょっと待て京楽!」
「なんだい?」
ゴン!
振り返って数歩足を進めた京楽と、そのまま真っすぐ向かって進んだ浮竹は、頭をぶつけあった
「あいたたたた」
「いたい」
浮竹があいたたたといい、京楽がいたいと言った。
「「え!?」」
浮竹は自分の体を見る。体は巨躯で、鍛え上げられており、頭に笠を被っていた、女ものの派手な打掛を羽織り、煙管煙草をしていた。
「ええええ!」
「どうなってるんだいこれ」
京楽が自分の体を見る。華奢にみえる細い手足。肌の色はぬけるように白く、長い白髪がさらさと零れ落ちる。体はしなやかな筋肉がのっているが、基本的に細い。
「「中身が入れ替わった!?」」
「おい京楽、その体は俺のものだ。中身は京楽なのか!?」
「そういう浮竹も、その体は僕のものだ。中身は浮竹なのかい!?」
二人してパニックになる。
30分程して落ち着いて、向かい合って茶を飲んだ。
「もう一度、頭をぶつければ元にもどるんじゃないかい」
「俺もそう思った」
そしで、ごちっと頭をぶつけあう。
何も起こらなかった。
「いたたた」
「痛い」
二人は、仕方なく涅隊長の元へいった。
「はぁ?中身が入れ替わった?そんなこと、私の知ったことではないのだヨ。本当に中身がいれかわっているとしたら、よい実験材料に・・・・・・」
最後まで言わせず、二人は走って逃げた。
その次に二人が訪れたのは4番隊。卯ノ花に事情を説明すると、魂がどうのこうの言い出されて、ちんぷんかんぷんだった。
「ようは、衝撃で互いの魂魄が入れ替わったのでしょう。時が経てば元に戻るでしょう」
「ほんとかな?」
「どうだろう?」
「私の言葉を疑うのですか?」
にこにこしているが、背後にどす黒いオーラが見えた。二人して汗をだらだらかいて、にっこりと微笑む卯ノ花が怖かった。
「分かった。じゃあ、いつも通り過ごしていることにするよ」
「俺もだ」
二人は、脱兎のごとく逃げ出した。
雨乾堂に帰り、京楽に浮竹の体のまま8番隊に帰らないように言う。
「俺も雨乾堂にいることにする。数日は泊まっても、いつものことだから大丈夫だろう」
京楽の体の浮竹は、自分の体のでかさにちょっとびびっていた。
「それにしても、京楽の体はでかいな」
「浮竹の体は細いね。ちゃんと食べてる?」
お互いの体を触りあっていると、なぜかたった。
「どういうことだ、これは!」
「あれかな。精神は違うけど、体が反応しているってやつ」
「どうする」
「どうするって、抜くしかないでしょ」
「風呂場で?」
「今ここで」
「ええっ」
京楽は、浮竹の体のまま股間をまさぐりだして、浮竹が声をあげる。
「おい」
「お互いの体じゃあ混じり合うのは無理しょ。手伝うから、抜きあおう」
「仕方ない・・・・」
一度熱をもってしまったものは、なかなか収まってくれない。
浮竹も、京楽の体のままで一物をしごきだした。
「なんか、すごいエロい。浮竹の体」
「そういう京楽の体もエロい。なんなんだ、この大きさ」
二人で、花茎をすりあわせ、ぐちゃぐちゃと音をたてていじる。
浮竹が熱をだしたりして長いこと睦みあえずに、溜まりに溜まった時はそうして抜いていた。
「んっ・・・・いいね、浮竹の体感度がいい」
「京楽の体は、んあっ」
「浮竹、僕の体であえがないで。みっともないから」
「そう言われても・・・ひうっ」
お互い、ぐちゃぐちゃになるまですりあげて、二度ほどいった時、体の異常が消えた。
「あれ、俺の体に戻ってる・・・」
「僕もだ・・・・・・」
でも、まだ熱の余韻が残っていた。
「浮竹・・・・・」
「京楽・・・・」
そのまま、畳の上で倒れこんだ。
「やっぱり、これがしっくりくるね」
浮竹を押し倒して、京楽が口づける。
「自分の顔にキスなんてできないからな」
浮竹は、京楽の体をかき抱いた。
「あっ」
京楽が、懐から潤滑油を取り出す。
「お前、いつもそんなもの持ち歩いているのかっ」
飽きれ気味の浮竹に、京楽は笑みを浮かべる。
「だって、いつ浮竹を抱けるか分からないでしょ」
「んっ」
蕾を、潤滑油の力をかりて指が出入りし、解していく。
「も、いいから来い・・・・・・」
「大丈夫?いつもより性急だけど」
「今は、お前の体温を感じたい」
「じゃあ、いくよ」
ずっと中に入り込まれる。
穿つ熱の灼熱さに、体が震えた。
「あああ!」
「んっ・・・いつもより、狭いね」
それでも、じっくりと中を堪能した。
ずずずと、挿入して引き抜いて、また挿入する。
やがて結合部はぐちゃぐちゃと水音をたてだした。
「んあああ!だめ、いっちゃう・・・・あう!」
京楽に花茎をいじられて、前立腺をすりあげられて、浮竹は果てた。
「君の中すごいね・・・・うねって・ああ、僕ももうだめだ」
浮竹の腹の奥で、京楽も弾けた。
はぁはぁと、お互い荒い息をついた。
「ぐちゃぐちゃだ・・・・湯あみにいこう」
「うん。その前に、畳ふかなきゃ・・・・」
互いの体液が混ざった液体が、畳の上に滴っていた。
それを濡れたタオルでさっとふきさって、情事の痕を消すと、湯あみをした。
「はぁ。なんだかんだあったけど、けっこう楽しめたね」
「楽しんだというか・・・お前の体から元に戻った時、すごい快感で・・・お前がどうしても欲しくなった」
「僕もだよ。凄い快感で・・・君を抱きたくなった」
その後、また頭をぶつけて入れ替わったりするのだが、それはまた別のお話。
太陽の落ちる時 翡翠の双眸
京楽と浮竹の想いが通じ合って、3か月が経とうとしていた、
もう京楽は廓にいくことも、女生徒とも付き合うことはなくなっていた。
「京楽・・・・・」
浮竹が、少し朱くなりながら、京楽の名を呼んだ。
「ん?どうしたの」
「お前の、翡翠になってやる。俺がお前の全てを受け止める。俺を・・・抱いても、構わない」
「浮竹?無理してない?」
「していない」
潤んだ瞳で見上げられた。
「ほんとにいいの?抱くよ」
「構わない・・・・」
浮竹をベッドに押し倒す。
京楽の体の下の浮竹は、震えていた。
「痛かったら、いってね」
前々から準備していた潤滑油をとりだして、ベッドの上に置く。
「それは?」
「入れる時に使うの。女のあそこと違って、濡れないからね。無理にいれると切れて血がでてしまう」
「ん・・・・」
優しい口づけを受けた。段々激しくなり、深くなっていく。
「んあう」
舌と舌を絡めあうと、浮竹が喉をならした。二人分の唾液を嚥下していく。
「いいかい?」
「ああ・・・・」
浮竹の院生服を脱がしていく。浮竹も京楽の院生服を脱がしていく。
お互い、裸になった。
「ん・・・・」
共同風呂でなんかで見たことはあるが、京楽のそれは大きかった。
それが、熱をもってたちあがっていく。
こんなでかいものが、自分の体の中に入るのだろうかという恐怖心を抱いたが、京楽のキスでその気持ちも霧散していく。
「あっ」
体中にキスの雨を受けた。
「んう」
浮竹の花茎に手をかけて、しごいていく。
「ああああ!だめ、そこは、ひっ」
すられてくだけで、たちあがり先走りを迸らせて、ひくひくと震える。
「んあああああ!いっちゃう・・・・ああ!」
何度もしごきあげられ、浮竹は京楽の手の中に欲望を吐き出していた。
「あっ」
つぷりと、潤滑油で濡らされた指が入ってくる。
「ああ、だめだ・・・・」
前立腺を刺激するように動かされて、何も考えられなくなった。
「ん・・・変、そこ、ああっ」
何度も前立腺をこりこりと刺激される。そして蕾をとろとろになるまで解された。
「いくよ・・・・・・」
「んっ」
あてがわれた熱量に恐怖心を抱きながらも、覚悟する。
ずっと、先端が入ってきた。
「ひうっ」
「ん、力抜いて」
そう言われても、どうすればいいのか分からなかった。
「あ・・・・・」
深い口づけを受ける。
それと同時に、挿入された。
「はぁっ」
しばらくの間、大きさに馴染ませるために動かない京楽を、知らぬ間にしめつけているらしくて、京楽は一度浮竹の中に欲望を注いだ。
「あ・・・・・」
腹の中腹くらいでゆっくりと広がっていく熱をかんじた。
「君の中が良すぎて、もう出ちゃったよ」
「や、言うな・・・・あ!」
ずっと動かされて、浮竹の体が逃げようとする。両手首を頭の上で片手で戒められた。
「逃げないで・・・・・」
「ああん」
最奥まで入ってくる熱を感じた。
そのまま前立腺をすりあげて、何度も穿たれ、抉られ、突き上げられた。
「ああ、京楽、ああ、だめっ・・ひあうっ」
もう何度目かも分からぬ前立腺をすりあげられて、浮竹は二度目の精液を放った。
すでに、手首は解放されている。
京楽の背中に手を回していた。
「ああっ」
ずくりと中を抉られて、浮竹はドライのオーガズムでいってしまた。
「ひうっ」
びくびくとはねる体を抱き締めて、京楽が穿つ。
「愛してる・・・・十四郎」
「あっ、あっ、あっ」
与えられる刺激に、浮竹は京楽が何を言ったのかも理解できないでいた。
「あああ!」
のけ反る浮竹。その背筋のラインをたどって、舌を這わす。
「うん・・・・・」
背後から貫かれて、浮竹は京楽をきつく締めあげた。
「うっ・・・これはきもちいいね・・・」
「さっさと、いってしまえ・・・・・」
中を意図的に締め上げて、京楽は浮竹の腹の奥で欲望を迸らせた。
浮竹も、京楽の手ですりあげられて、もう3回目にもなる吐精をした。
がくりと、浮竹が意識を失う。
「浮竹?」
気を失ってしまった浮竹を抱き締めて、キスをした。
「もう、僕だけのものだ・・・・」
濡れたタオルで浮竹の体をふいてやり、中にだしたものをかきだすと、トロリと白い性液が蕾からあふれた。
「けっこう出したね、僕も・・・・」
2回精液を放ったが、まだ足りなかった。でも、これ以上浮竹に無理させるわけもいかなくて、風呂場で処理した。
先ほどまでの乱れた浮竹を思い起こすだけで、簡単に抜けた。
いつもは想像で脳内で犯していたのだが。
浮竹のいくときの顔を思い出すだけで、欲望に熱が集まった。
「僕も、まだまだ若いね」
2回ほど抜いて、やっと収まった。
「ん・・・・俺は?」
京楽の腕の中で眠っていた浮竹は、ずくりと重い腰に立ち上がれなくて、困惑する。
「浮竹?目覚めたの?」
「京楽・・・立ち上がれない」
「え、大丈夫?」
「多分、明日には立てる。それより、夕飯食べ損ねたな」
「ああ、弁当買ってきてあるから、大丈夫」
「本当に、用意のいい奴だな・・・・」
「十四郎、愛してるよ・・・・・」
「京楽・・・・」
「春水って呼んで」
「春水・・・俺も、愛してる」
めでたく結ばれた二人は、愛を囁きあって、その後学院を卒業するまで仲睦まじく過ごした。
学院を卒業すると、京楽は8番隊の3席に、浮竹は13番隊の3席に選ばれた。
忙しい日々ではあったが、合間を縫って逢瀬を重ね、デートした。
そして、若くして隊長にまで登りつめた。
「浮竹、入るよ」
「ああ、京楽か。仕事も終わって暇なんだ。花札の相手をしてくれ」
昼間っから、浮竹は、浮竹のためだけに建てられた療養所と執務室と寝室を兼ねた雨乾堂で、一人で花札をして遊んでいた。
「一人花札なんて、つまんないでしょ」
「することもなく寝てるよりはましだ」
浮竹の前に座り、花札を手にとる。
「さぁ、一勝負だ」
浮竹は、発作を繰り返したり、高熱をだして臥せる日が多く、隊長になるにあたって議論が別れた。だが、その優しい気性と隊をまとめあげる力、何より突出した霊圧と格闘センスがあり、隊長へとなった。
先に隊長になった京楽も、浮竹を推薦した。
「花札が終わったら、一杯やらないかい。君の大好きな果実酒を手に入れたんだ」
「お、いいな」
花札を最後までせず、昼から酒盛りを始めた。
院生時代の話に花を咲かせる。
「あれから56年か・・・・・早いものだな」
「僕らは、これから何百年も腕が衰えるまで隊長をしていくしかないからね」
「いつか、引退して京楽と二人で静かに暮らしたいな」
「浮竹・・・・」
何十年経とうと、想いは色あせない。
「愛してる、浮竹」
「俺もだ」
その後、数百年とこの関係を続けていくことを、二人はまだ知らない。
太陽が落ちる時
fin
もう京楽は廓にいくことも、女生徒とも付き合うことはなくなっていた。
「京楽・・・・・」
浮竹が、少し朱くなりながら、京楽の名を呼んだ。
「ん?どうしたの」
「お前の、翡翠になってやる。俺がお前の全てを受け止める。俺を・・・抱いても、構わない」
「浮竹?無理してない?」
「していない」
潤んだ瞳で見上げられた。
「ほんとにいいの?抱くよ」
「構わない・・・・」
浮竹をベッドに押し倒す。
京楽の体の下の浮竹は、震えていた。
「痛かったら、いってね」
前々から準備していた潤滑油をとりだして、ベッドの上に置く。
「それは?」
「入れる時に使うの。女のあそこと違って、濡れないからね。無理にいれると切れて血がでてしまう」
「ん・・・・」
優しい口づけを受けた。段々激しくなり、深くなっていく。
「んあう」
舌と舌を絡めあうと、浮竹が喉をならした。二人分の唾液を嚥下していく。
「いいかい?」
「ああ・・・・」
浮竹の院生服を脱がしていく。浮竹も京楽の院生服を脱がしていく。
お互い、裸になった。
「ん・・・・」
共同風呂でなんかで見たことはあるが、京楽のそれは大きかった。
それが、熱をもってたちあがっていく。
こんなでかいものが、自分の体の中に入るのだろうかという恐怖心を抱いたが、京楽のキスでその気持ちも霧散していく。
「あっ」
体中にキスの雨を受けた。
「んう」
浮竹の花茎に手をかけて、しごいていく。
「ああああ!だめ、そこは、ひっ」
すられてくだけで、たちあがり先走りを迸らせて、ひくひくと震える。
「んあああああ!いっちゃう・・・・ああ!」
何度もしごきあげられ、浮竹は京楽の手の中に欲望を吐き出していた。
「あっ」
つぷりと、潤滑油で濡らされた指が入ってくる。
「ああ、だめだ・・・・」
前立腺を刺激するように動かされて、何も考えられなくなった。
「ん・・・変、そこ、ああっ」
何度も前立腺をこりこりと刺激される。そして蕾をとろとろになるまで解された。
「いくよ・・・・・・」
「んっ」
あてがわれた熱量に恐怖心を抱きながらも、覚悟する。
ずっと、先端が入ってきた。
「ひうっ」
「ん、力抜いて」
そう言われても、どうすればいいのか分からなかった。
「あ・・・・・」
深い口づけを受ける。
それと同時に、挿入された。
「はぁっ」
しばらくの間、大きさに馴染ませるために動かない京楽を、知らぬ間にしめつけているらしくて、京楽は一度浮竹の中に欲望を注いだ。
「あ・・・・・」
腹の中腹くらいでゆっくりと広がっていく熱をかんじた。
「君の中が良すぎて、もう出ちゃったよ」
「や、言うな・・・・あ!」
ずっと動かされて、浮竹の体が逃げようとする。両手首を頭の上で片手で戒められた。
「逃げないで・・・・・」
「ああん」
最奥まで入ってくる熱を感じた。
そのまま前立腺をすりあげて、何度も穿たれ、抉られ、突き上げられた。
「ああ、京楽、ああ、だめっ・・ひあうっ」
もう何度目かも分からぬ前立腺をすりあげられて、浮竹は二度目の精液を放った。
すでに、手首は解放されている。
京楽の背中に手を回していた。
「ああっ」
ずくりと中を抉られて、浮竹はドライのオーガズムでいってしまた。
「ひうっ」
びくびくとはねる体を抱き締めて、京楽が穿つ。
「愛してる・・・・十四郎」
「あっ、あっ、あっ」
与えられる刺激に、浮竹は京楽が何を言ったのかも理解できないでいた。
「あああ!」
のけ反る浮竹。その背筋のラインをたどって、舌を這わす。
「うん・・・・・」
背後から貫かれて、浮竹は京楽をきつく締めあげた。
「うっ・・・これはきもちいいね・・・」
「さっさと、いってしまえ・・・・・」
中を意図的に締め上げて、京楽は浮竹の腹の奥で欲望を迸らせた。
浮竹も、京楽の手ですりあげられて、もう3回目にもなる吐精をした。
がくりと、浮竹が意識を失う。
「浮竹?」
気を失ってしまった浮竹を抱き締めて、キスをした。
「もう、僕だけのものだ・・・・」
濡れたタオルで浮竹の体をふいてやり、中にだしたものをかきだすと、トロリと白い性液が蕾からあふれた。
「けっこう出したね、僕も・・・・」
2回精液を放ったが、まだ足りなかった。でも、これ以上浮竹に無理させるわけもいかなくて、風呂場で処理した。
先ほどまでの乱れた浮竹を思い起こすだけで、簡単に抜けた。
いつもは想像で脳内で犯していたのだが。
浮竹のいくときの顔を思い出すだけで、欲望に熱が集まった。
「僕も、まだまだ若いね」
2回ほど抜いて、やっと収まった。
「ん・・・・俺は?」
京楽の腕の中で眠っていた浮竹は、ずくりと重い腰に立ち上がれなくて、困惑する。
「浮竹?目覚めたの?」
「京楽・・・立ち上がれない」
「え、大丈夫?」
「多分、明日には立てる。それより、夕飯食べ損ねたな」
「ああ、弁当買ってきてあるから、大丈夫」
「本当に、用意のいい奴だな・・・・」
「十四郎、愛してるよ・・・・・」
「京楽・・・・」
「春水って呼んで」
「春水・・・俺も、愛してる」
めでたく結ばれた二人は、愛を囁きあって、その後学院を卒業するまで仲睦まじく過ごした。
学院を卒業すると、京楽は8番隊の3席に、浮竹は13番隊の3席に選ばれた。
忙しい日々ではあったが、合間を縫って逢瀬を重ね、デートした。
そして、若くして隊長にまで登りつめた。
「浮竹、入るよ」
「ああ、京楽か。仕事も終わって暇なんだ。花札の相手をしてくれ」
昼間っから、浮竹は、浮竹のためだけに建てられた療養所と執務室と寝室を兼ねた雨乾堂で、一人で花札をして遊んでいた。
「一人花札なんて、つまんないでしょ」
「することもなく寝てるよりはましだ」
浮竹の前に座り、花札を手にとる。
「さぁ、一勝負だ」
浮竹は、発作を繰り返したり、高熱をだして臥せる日が多く、隊長になるにあたって議論が別れた。だが、その優しい気性と隊をまとめあげる力、何より突出した霊圧と格闘センスがあり、隊長へとなった。
先に隊長になった京楽も、浮竹を推薦した。
「花札が終わったら、一杯やらないかい。君の大好きな果実酒を手に入れたんだ」
「お、いいな」
花札を最後までせず、昼から酒盛りを始めた。
院生時代の話に花を咲かせる。
「あれから56年か・・・・・早いものだな」
「僕らは、これから何百年も腕が衰えるまで隊長をしていくしかないからね」
「いつか、引退して京楽と二人で静かに暮らしたいな」
「浮竹・・・・」
何十年経とうと、想いは色あせない。
「愛してる、浮竹」
「俺もだ」
その後、数百年とこの関係を続けていくことを、二人はまだ知らない。
太陽が落ちる時
fin
花街恋話8
浮竹が京楽に身請けされて、半年が過ぎた。
浮竹は14歳になろうとしていた。
栄養を十分にとって、規則正しい生活をしていたためも、13歳の初めの頃は11歳くらいにしか見えなかったが、今は年相応に見えた。
浮竹の願いで、売られていった妹と弟を全部買い戻し、京楽が与えてくれた館で過ごしていた。
妹の中には、幼いのに体を売らされていた子もいて、そんな妹には京楽は4番隊の隊員を呼んで、記憶を抹消してもらったりした。
「京楽・・・」
「どうしたんだい」
「妹と弟たちを買い戻してくれて、ありがとう」
浮竹は、今は京楽のいる屋敷で暮らしいた。すぐ近くにある館に、弟や妹たちは住んでいる。まだ幼いので、大人の庇護下に置く必要があった。
「春水。俺は、学院に入学してもいいか?」
霊力のある浮竹は、真央霊術院に前々から通いたがっていた。死神になって、京楽の傍にいるために。
「いいよ。でも、もう少し待ちなさい。まだ君は13だ。せめて15になるまで」
「嫌だ。6年間もあるんだろう。俺が卒業する頃には俺は成人してしまう。そしたら、きっとごつくなってかわいくなくなっている」
「そんなことはないと思うけどね」
「可愛く見えるのは、今のうちだけだ。色子も、20を過ぎれば大抵引退する」
「もう、君は色子じゃないよ」
「でも・・・・あっ」
「君を身請けしたのは僕。僕のものだ。僕の言うことが、できるだけ聞いて」
「分かった・・・・・」
「そういえば、今日は君の誕生日だね」
「そういえばそうだったか。すっかり忘れていた」
「14歳、おめでとう、十四郎」
14歳の誕生日プレゼントは、死神になるための心得という分厚い本と、オパールのピアスだった。
「君の翡翠の瞳は、時々光彩にオパール色の虹色がまざる。それがとても綺麗だから」
ピアスのための穴を、京楽が開けてくれた。
少し痛かったが、オパールは大粒で、少し長くなった白髪からちらちらと見えて、綺麗だと京楽は思った。
髪飾りや首飾りも考えたが、いつもつけているとなると、指輪かピアスくらいのものだろう。
指輪は、もう用意してある。
今日の夜にでも、与えるつもりだった。
「何をにまにましているんだ、京楽?」
「ん~?幸せだなぁと思って」
「今日は非番でも、明日から仕事があるんだろう?」
「いや、実は今日も仕事ある日なんだけどね。書類仕事は全部持ち帰って屋敷でしているから」
「大変じゃないか!仕事をさぼってはいけない」
浮竹が、京楽の長い黒髪をひっぱる。
「いやぁ、さぼるのとはちょっと違うよ。僕は隊長だからね。主に戦闘で出番がでるから・・・普段は雑務が多いから、その辺は副官に任せられるから、どうしても僕は処理しなければいけないところだけ、仕事をしにいくくらいかな」
「そういうものなのか。俺が死神になっても、ただの死神だと、お前に会えないのか」
「君が死神になったら、僕が8番隊に引き抜くから」
「約束だぞ」
「ああ、男同士の約束だ」
指きりげんまんをした。
その日の夕食のメニューは、浮竹の好物だらけだった。デザートには、最近はやりのアイスクリームがあった。
嬉しそうに平らげる浮竹を見て、京楽も幸せそうだった。
夜になって、褥に呼ばれた。
「今日は、君の14歳になった誕生日の、特別な日だ。僕が君を身請けしてからきた、はじめての君の誕生日」
翡翠をあしらった指輪を見せられた。
「これは?」
「僕との、結婚指輪」
「結婚?・・・・男同士で、結婚できるのか?」
「できないよ、今の尸魂界では。でも、二人だけで秘密の結婚式をあげようと思ってるんだ」
その言葉に、浮竹は涙を零した。
「京楽、お前の優しさは、時に酷い」
「ええ、優しさが酷い?」
涙をポロポロ零しながら、浮竹は言う。
「こんなに、誰かに愛されたのは初めてだ。実の両親より、俺は愛されている」
その日の夜は、睦みあって眠った。
朝がきて、特別な場所というところに案内された。
「ここは・・・?教会?」
尸魂界に教会があるなんて、珍しいときょろきょろとあたりを見回す。
「中に入っておいで」
呼ばれて、中に入るとステンドグラスに日の光が入ってきて、とても幻想的な色の影を落としていた。
「この教会で、今日、僕と君は結ばれる」
一人の老人がいた。
「あなたは?」
「昔、現世で教会の神父をしていた者です」
「さぁ、始めようか」
浮竹は、いつもより繊細な服を着て、髪飾りやら首飾りやらをされていた。その頭に、金糸銀糸の刺繍がされたウェディングヴェールが被せられる。
「汝、京楽春水、病める時も健やかなる時も、浮竹十四郎を愛すると誓いますか?」
「誓います」
「汝、浮竹十四郎、病める時も健やかなる時も、京楽春水を愛すると誓いますか?」
「誓います・・・・」
指輪の交換をした。
浮竹の指輪に翡翠が、京楽の指輪には黒曜石がはめこまれていた。
「では、誓いの口づけを」
「ん・・・・」
何度も何度も、浅く深く口づけられて、口づけが終わる頃には立っていられなくなった。
「おめでとう。君たちは、二人で一つの伴侶です」
「ありがとう、神父さん」
「ありがとう、神父様・・・・」
そのまま、屋敷に戻った。
寝室にやってきて、どちらともなしに口づけしあい、衣服を脱がしていく。
「ああっ」
薄い胸の先端を撫でられ、つままれ、口に含まれて、甘い声が漏れる。
「早くきて、春水・・・・・・」
「ちょっと待ってね」
蕾を、潤滑油で濡らした指で解していく。指だけでいかすことはできるが、今回は本当に解すだけだった。
己の欲望に潤滑油を注ぎ、浮竹の中に入りこむ。
「ああっ!」
貫かれて、その衝撃に涙を零した。
「どうしたの?」
「幸せだから、いいんだ。んあっ」
ぐちぐちと、浅いところばかりを侵してくる。
「もっと奥に」
前立腺をすりあげて奥に侵入すると、びくんと浮竹の体ははねた。
「ああ、今のもっと」
また前立腺をすりあげて、奥まで突き上げられた。
「いい・・・もっと。あ、あんっ」
いつもは喘ぐだけなのに、今日は積極的に求めてくる浮竹が可愛くて、花茎に手をそてえ、戒める。
「ああっ。いきたい・・・・」
「僕と一緒にいこう」
前立腺を突き上げる。
先走りを迸らせる浮竹の花茎は限界に近付いていた。
最奥に突き上げて、浮竹の戒めを解放する、びゅるるると、勢いよく浮竹は射精した。京楽も、浮竹の腹の奥に欲望を迸らせた。
その後、何度も求めあった。
若いので、数回してやっとくたくたになった。
「今日から、君は僕の伴侶だ」
「本当に、俺でいいのか?」
「君じゃないとダメなんだ」
「春水・・・・愛してる」
「僕もだよ、十四郎」
その後、15で学院に入った浮竹は、飛び級をして僅か2年で真央霊術院を卒業した。
始めは、13番隊に・・・・・という話がきていたが、京楽がとても欲しがったので、8番隊に所属された。
卒業と同時に、8番隊の3席になった。
その後、京楽を支え続けて、50年後には副隊長になった。それから数百年、二人は伴侶として生きるのだった。
花街恋話
fin
浮竹は14歳になろうとしていた。
栄養を十分にとって、規則正しい生活をしていたためも、13歳の初めの頃は11歳くらいにしか見えなかったが、今は年相応に見えた。
浮竹の願いで、売られていった妹と弟を全部買い戻し、京楽が与えてくれた館で過ごしていた。
妹の中には、幼いのに体を売らされていた子もいて、そんな妹には京楽は4番隊の隊員を呼んで、記憶を抹消してもらったりした。
「京楽・・・」
「どうしたんだい」
「妹と弟たちを買い戻してくれて、ありがとう」
浮竹は、今は京楽のいる屋敷で暮らしいた。すぐ近くにある館に、弟や妹たちは住んでいる。まだ幼いので、大人の庇護下に置く必要があった。
「春水。俺は、学院に入学してもいいか?」
霊力のある浮竹は、真央霊術院に前々から通いたがっていた。死神になって、京楽の傍にいるために。
「いいよ。でも、もう少し待ちなさい。まだ君は13だ。せめて15になるまで」
「嫌だ。6年間もあるんだろう。俺が卒業する頃には俺は成人してしまう。そしたら、きっとごつくなってかわいくなくなっている」
「そんなことはないと思うけどね」
「可愛く見えるのは、今のうちだけだ。色子も、20を過ぎれば大抵引退する」
「もう、君は色子じゃないよ」
「でも・・・・あっ」
「君を身請けしたのは僕。僕のものだ。僕の言うことが、できるだけ聞いて」
「分かった・・・・・」
「そういえば、今日は君の誕生日だね」
「そういえばそうだったか。すっかり忘れていた」
「14歳、おめでとう、十四郎」
14歳の誕生日プレゼントは、死神になるための心得という分厚い本と、オパールのピアスだった。
「君の翡翠の瞳は、時々光彩にオパール色の虹色がまざる。それがとても綺麗だから」
ピアスのための穴を、京楽が開けてくれた。
少し痛かったが、オパールは大粒で、少し長くなった白髪からちらちらと見えて、綺麗だと京楽は思った。
髪飾りや首飾りも考えたが、いつもつけているとなると、指輪かピアスくらいのものだろう。
指輪は、もう用意してある。
今日の夜にでも、与えるつもりだった。
「何をにまにましているんだ、京楽?」
「ん~?幸せだなぁと思って」
「今日は非番でも、明日から仕事があるんだろう?」
「いや、実は今日も仕事ある日なんだけどね。書類仕事は全部持ち帰って屋敷でしているから」
「大変じゃないか!仕事をさぼってはいけない」
浮竹が、京楽の長い黒髪をひっぱる。
「いやぁ、さぼるのとはちょっと違うよ。僕は隊長だからね。主に戦闘で出番がでるから・・・普段は雑務が多いから、その辺は副官に任せられるから、どうしても僕は処理しなければいけないところだけ、仕事をしにいくくらいかな」
「そういうものなのか。俺が死神になっても、ただの死神だと、お前に会えないのか」
「君が死神になったら、僕が8番隊に引き抜くから」
「約束だぞ」
「ああ、男同士の約束だ」
指きりげんまんをした。
その日の夕食のメニューは、浮竹の好物だらけだった。デザートには、最近はやりのアイスクリームがあった。
嬉しそうに平らげる浮竹を見て、京楽も幸せそうだった。
夜になって、褥に呼ばれた。
「今日は、君の14歳になった誕生日の、特別な日だ。僕が君を身請けしてからきた、はじめての君の誕生日」
翡翠をあしらった指輪を見せられた。
「これは?」
「僕との、結婚指輪」
「結婚?・・・・男同士で、結婚できるのか?」
「できないよ、今の尸魂界では。でも、二人だけで秘密の結婚式をあげようと思ってるんだ」
その言葉に、浮竹は涙を零した。
「京楽、お前の優しさは、時に酷い」
「ええ、優しさが酷い?」
涙をポロポロ零しながら、浮竹は言う。
「こんなに、誰かに愛されたのは初めてだ。実の両親より、俺は愛されている」
その日の夜は、睦みあって眠った。
朝がきて、特別な場所というところに案内された。
「ここは・・・?教会?」
尸魂界に教会があるなんて、珍しいときょろきょろとあたりを見回す。
「中に入っておいで」
呼ばれて、中に入るとステンドグラスに日の光が入ってきて、とても幻想的な色の影を落としていた。
「この教会で、今日、僕と君は結ばれる」
一人の老人がいた。
「あなたは?」
「昔、現世で教会の神父をしていた者です」
「さぁ、始めようか」
浮竹は、いつもより繊細な服を着て、髪飾りやら首飾りやらをされていた。その頭に、金糸銀糸の刺繍がされたウェディングヴェールが被せられる。
「汝、京楽春水、病める時も健やかなる時も、浮竹十四郎を愛すると誓いますか?」
「誓います」
「汝、浮竹十四郎、病める時も健やかなる時も、京楽春水を愛すると誓いますか?」
「誓います・・・・」
指輪の交換をした。
浮竹の指輪に翡翠が、京楽の指輪には黒曜石がはめこまれていた。
「では、誓いの口づけを」
「ん・・・・」
何度も何度も、浅く深く口づけられて、口づけが終わる頃には立っていられなくなった。
「おめでとう。君たちは、二人で一つの伴侶です」
「ありがとう、神父さん」
「ありがとう、神父様・・・・」
そのまま、屋敷に戻った。
寝室にやってきて、どちらともなしに口づけしあい、衣服を脱がしていく。
「ああっ」
薄い胸の先端を撫でられ、つままれ、口に含まれて、甘い声が漏れる。
「早くきて、春水・・・・・・」
「ちょっと待ってね」
蕾を、潤滑油で濡らした指で解していく。指だけでいかすことはできるが、今回は本当に解すだけだった。
己の欲望に潤滑油を注ぎ、浮竹の中に入りこむ。
「ああっ!」
貫かれて、その衝撃に涙を零した。
「どうしたの?」
「幸せだから、いいんだ。んあっ」
ぐちぐちと、浅いところばかりを侵してくる。
「もっと奥に」
前立腺をすりあげて奥に侵入すると、びくんと浮竹の体ははねた。
「ああ、今のもっと」
また前立腺をすりあげて、奥まで突き上げられた。
「いい・・・もっと。あ、あんっ」
いつもは喘ぐだけなのに、今日は積極的に求めてくる浮竹が可愛くて、花茎に手をそてえ、戒める。
「ああっ。いきたい・・・・」
「僕と一緒にいこう」
前立腺を突き上げる。
先走りを迸らせる浮竹の花茎は限界に近付いていた。
最奥に突き上げて、浮竹の戒めを解放する、びゅるるると、勢いよく浮竹は射精した。京楽も、浮竹の腹の奥に欲望を迸らせた。
その後、何度も求めあった。
若いので、数回してやっとくたくたになった。
「今日から、君は僕の伴侶だ」
「本当に、俺でいいのか?」
「君じゃないとダメなんだ」
「春水・・・・愛してる」
「僕もだよ、十四郎」
その後、15で学院に入った浮竹は、飛び級をして僅か2年で真央霊術院を卒業した。
始めは、13番隊に・・・・・という話がきていたが、京楽がとても欲しがったので、8番隊に所属された。
卒業と同時に、8番隊の3席になった。
その後、京楽を支え続けて、50年後には副隊長になった。それから数百年、二人は伴侶として生きるのだった。
花街恋話
fin
朽木白夜と浮竹3
高熱で臥せっていた浮竹は、熱がなくなったので、さぁ仕事をしようとしたところを、京楽に言いくるめられて、また仙太郎と清音に泣きながら懇願されて、熱もないのに寝ていた。
昼間から深夜にかけて寝ていたため、夜になっても寝れないでいた。
こんな時間に誰かを起こすのもなんだしと思って、散歩にでかけた。
「また、兄か・・・・」
向こうからやってくるのは、夜の散歩が趣味だという白哉ではないか。
「やあ、白哉。夜の散歩か?今日は月が綺麗だな」
「浮竹、兄はそんな薄着でいるべきではない。上着を羽織ってこなかったのか」
「ああ、そういえば少し寒いかな?」
鈍感な部分のある浮竹は、隊首会も病欠してたくらいなのに、今はとても元気だった。
「これでも、羽織っていろ」
薄い色の着物の上着をかけられた。
「白哉が寒くなるんじゃないのか?」
「兄とは違う。ちゃんと鍛錬している。風邪などひかん」
その言葉に、少しむっとなった。
「俺だって、好きで風邪をひいているわけじゃないぞ」
「兄は、体質であろう。病弱なのは仕方ないことだ」
いつもより饒舌な白哉に、浮竹は首を傾げた。
「何処に行くつもりだったんだ?」
「双極の丘まで」
「あんな場所へか!」
義妹のルキアが、処刑されそうになり、藍染の企みが発覚したいわくつきの場所だ。
今はその藍染も封印されているが。
「どうした。何故ついてくる」
「いや、俺も行ってみようかなと思って」
「行っても何もないぞ」
「分かっている」
二人で、のんびりぶらぶらと散歩する。
昼間であれば、こうやって散歩をしていると、途中で誰かに捕まって、行き先を制限される。
月の綺麗な夜は、好きだった。
「満月もいいが、下弦の月もいいな」
「兄にしては、情緒的だな」
「む。俺にしてはは、言いすぎだぞ」
クスリと、分かるか分からないかの声で、白哉が笑う。
「すまぬ」
「白哉も大きくなったものだなぁ。昔はあんなにやんちゃ坊主だったのに」
「兄は、昔のことなど忘れろ」
「いや、無理だろ。夜一にむきになって挑んでいた頃のお前は可愛かった」
「もう、そんな年ではない」
「そうだな。貴族らしく気品があり誇り高く美しい。それが今の白哉だ」
「褒めすぎだ」
「そうか?」
首を傾げる浮竹。白い髪がさらさらと零れ落ちた。
星の光が瞬く。
下弦の月は雲に隠れて、見えなくなっていた。
「兄は、京楽隊長とは相変わらずか」
「ああ、相変わらずできてるぞ。最近抱かせてやってないから、きっと溜まってるだろうな」
「何故妻を娶らぬ?」
「なんでだろうなぁ。好きな女性がいないからじゃないか。俺も京楽も。お互い、二人でいれればいいって考え方だから」
「緋真は・・・・・」
「ああ」
「緋真も、下弦の月が好きだった」
「そうか。って、この着物!」
女ものであることは知っていたが、まさかと思った。
「そうだ。緋真が着ていたものだ。兄にやる」
「そんな大事なもの、受け取れない!」
「もう、誰も着ることのなくなったものだ。処分しようにも、緋真との思い出まで処分するようで、手放せなかっただけのこと」
「なんで俺に・・・・・」
「兄は、儚いからな。病弱なのに芯が強いところなど、緋真によく似ている」
「白哉・・・・」
雲が切れて、下弦の月がまた顔を出した。
月光に輝く浮竹の白い髪は、銀色に見えた。
やがて、双極の丘へたどり着いた。
そのまま、何をするでもないしに数分間佇んだ後、きた道を逆に辿っていく。
「眠くなってきたので、これで失礼する。兄は、くれぐれも風邪などひかぬように」
瞬歩で、白哉が去って行った。
「でな、聞いてるのか京楽」
「はいはい。深夜に朽木隊長と出会って、デートしたんでしょ」
すねた京楽は、がたいがいいが可愛かった。
「デートじゃない。あれはただ、一緒に散歩しただけだ」
「それで、緋真ちゃんの大切の上着をもらったんでしょ」
また京楽はすねた。
「俺がデートするのも、好きなのも、抱かれたいのも、全部お前だけだ」
耳元でそう囁くと、すねていた京楽は、浮竹を腕の中に抱きしめた。
「今日は、体調は平気?」
「ああ」
「今日は、してもいい?半月はお預けくらってる」
「いいぞ」
そう答えると、京楽は深い口づけをしてきた。
「ただし、夜だ」
「分かったよ」
また、夜になると白哉は散歩に出かけるのだろうな。
そう思いながら、浮竹をかき抱いた。
昼間から深夜にかけて寝ていたため、夜になっても寝れないでいた。
こんな時間に誰かを起こすのもなんだしと思って、散歩にでかけた。
「また、兄か・・・・」
向こうからやってくるのは、夜の散歩が趣味だという白哉ではないか。
「やあ、白哉。夜の散歩か?今日は月が綺麗だな」
「浮竹、兄はそんな薄着でいるべきではない。上着を羽織ってこなかったのか」
「ああ、そういえば少し寒いかな?」
鈍感な部分のある浮竹は、隊首会も病欠してたくらいなのに、今はとても元気だった。
「これでも、羽織っていろ」
薄い色の着物の上着をかけられた。
「白哉が寒くなるんじゃないのか?」
「兄とは違う。ちゃんと鍛錬している。風邪などひかん」
その言葉に、少しむっとなった。
「俺だって、好きで風邪をひいているわけじゃないぞ」
「兄は、体質であろう。病弱なのは仕方ないことだ」
いつもより饒舌な白哉に、浮竹は首を傾げた。
「何処に行くつもりだったんだ?」
「双極の丘まで」
「あんな場所へか!」
義妹のルキアが、処刑されそうになり、藍染の企みが発覚したいわくつきの場所だ。
今はその藍染も封印されているが。
「どうした。何故ついてくる」
「いや、俺も行ってみようかなと思って」
「行っても何もないぞ」
「分かっている」
二人で、のんびりぶらぶらと散歩する。
昼間であれば、こうやって散歩をしていると、途中で誰かに捕まって、行き先を制限される。
月の綺麗な夜は、好きだった。
「満月もいいが、下弦の月もいいな」
「兄にしては、情緒的だな」
「む。俺にしてはは、言いすぎだぞ」
クスリと、分かるか分からないかの声で、白哉が笑う。
「すまぬ」
「白哉も大きくなったものだなぁ。昔はあんなにやんちゃ坊主だったのに」
「兄は、昔のことなど忘れろ」
「いや、無理だろ。夜一にむきになって挑んでいた頃のお前は可愛かった」
「もう、そんな年ではない」
「そうだな。貴族らしく気品があり誇り高く美しい。それが今の白哉だ」
「褒めすぎだ」
「そうか?」
首を傾げる浮竹。白い髪がさらさらと零れ落ちた。
星の光が瞬く。
下弦の月は雲に隠れて、見えなくなっていた。
「兄は、京楽隊長とは相変わらずか」
「ああ、相変わらずできてるぞ。最近抱かせてやってないから、きっと溜まってるだろうな」
「何故妻を娶らぬ?」
「なんでだろうなぁ。好きな女性がいないからじゃないか。俺も京楽も。お互い、二人でいれればいいって考え方だから」
「緋真は・・・・・」
「ああ」
「緋真も、下弦の月が好きだった」
「そうか。って、この着物!」
女ものであることは知っていたが、まさかと思った。
「そうだ。緋真が着ていたものだ。兄にやる」
「そんな大事なもの、受け取れない!」
「もう、誰も着ることのなくなったものだ。処分しようにも、緋真との思い出まで処分するようで、手放せなかっただけのこと」
「なんで俺に・・・・・」
「兄は、儚いからな。病弱なのに芯が強いところなど、緋真によく似ている」
「白哉・・・・」
雲が切れて、下弦の月がまた顔を出した。
月光に輝く浮竹の白い髪は、銀色に見えた。
やがて、双極の丘へたどり着いた。
そのまま、何をするでもないしに数分間佇んだ後、きた道を逆に辿っていく。
「眠くなってきたので、これで失礼する。兄は、くれぐれも風邪などひかぬように」
瞬歩で、白哉が去って行った。
「でな、聞いてるのか京楽」
「はいはい。深夜に朽木隊長と出会って、デートしたんでしょ」
すねた京楽は、がたいがいいが可愛かった。
「デートじゃない。あれはただ、一緒に散歩しただけだ」
「それで、緋真ちゃんの大切の上着をもらったんでしょ」
また京楽はすねた。
「俺がデートするのも、好きなのも、抱かれたいのも、全部お前だけだ」
耳元でそう囁くと、すねていた京楽は、浮竹を腕の中に抱きしめた。
「今日は、体調は平気?」
「ああ」
「今日は、してもいい?半月はお預けくらってる」
「いいぞ」
そう答えると、京楽は深い口づけをしてきた。
「ただし、夜だ」
「分かったよ」
また、夜になると白哉は散歩に出かけるのだろうな。
そう思いながら、浮竹をかき抱いた。
マッサージ否、いかがわいいこと
「きもちいい・・・・」
ぴくり。
海燕の耳が動いた。
「あーいい。すごくいい」
ぴくぴく。
「ここかい?」
「あんっ」
がらっ。雨乾堂の戸をあけて、海燕はずかずかと入りこんでくると叫んだ。
「あんたら、朝っぱらから何卑猥なことして・・・・・」
「え、なんだ?」
浮竹が驚く。京楽も驚いた。
「朝っぱらから・・・・マッサージだけど?」
京楽の言葉に、早合点した自分を呪った。穴にあったら入りたい心境だった。
「なになに、僕たちがいかがわしいことしてると思ったの?」
「そうなのか、海燕?」
「ああもうそうですよ!よくいかがわしいことしてるでしょ、あんたら!」
「否定はしないけどね」
「同じく」
「いや、普通否定するでしょ!」
「いや、だって本当のことだしね?」
「ああ。一昨日も海燕のいういかがわしいことしてたしな」
浮竹は畳に座って、お茶を飲みだした。
「一昨日・・・・・道理で、入室禁止をいいわたされたわけだ」
京楽が、お茶を飲んでいる浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「だってこんなにかわいいんだよ」
「確かに隊長は愛らしいですが、だからって俺はその気にはなりません」
「まぁ、それが普通の反応だろうな。京楽は目と脳が腐ってるから」
「何それ!まるで乱菊ちゃんみたいじゃないの!」
「いや、だって男の俺をかわいいとかいうの、お前くらいだぞ」
「さっき海燕君も愛らしいとか言ってたよ」
浮竹は、ごろりと横になった。そして、畳の上を転がりだす。
ごろごろごろごろ。
二人とも、何このかわいい生物と思った。
「た、隊長は男らしいいですよ」
「うん、そうそう」
ごろごろごろごろ。
「絶対そう思ってない。嘘ついてるな、お前ら」
ごろごろごろごろ。
意味不明な行動をとる浮竹。京楽の傍までくると、その膝に頭を乗せた。
「鍛えても筋肉はつかないし、すぐ熱は出すし、肺の病で吐血するし・・・・全然男らしくない。だからもういい」
京楽の膝の上で、甘えだす。
「京楽、壬生の甘味屋のおはぎが食べたい・・・・」
「海燕君、今すぐ買いに行きなさい」
「なんで俺なんですか!頼まれているのは、京楽隊長でしょう!」
「だって、こんなかわいい浮竹を放置できないよ!!!!」
思いっきり、断言した。
じとー。
2つの視線が、京楽に注がれる。
海燕のうわーという視線と、浮竹のこいつなんなのって視線が。
「いや・・・そんなに見つめられると照れるんだけど」
「まぁいい、京楽、壬生の甘味屋まで行くぞ」
「お、珍しい。隊長が自分から行きたがるなんて」
「そうでもないよ。甘味屋だと、よく僕と一緒に食べにいくからね。支払いはもちろん僕もちで」
ああ、やっぱり。
あれだけ家族に仕送りして、肺の病の高い薬を買っているんだ。残った金で飲み食いできるのも難しい。
「海燕には、おはぎを3こだけお土産に持って帰ってあげよう」
「3こだけなんですね」
「後は俺が食べるために残しておくんだ」
そう言って、浮竹は京楽と出かけた。
「ああもう、布団ひきっぱなしで・・・・・」
布団を片付ける。
多分2~3時間は帰ってこないだろうと、雨乾堂の中の掃除を始めた。
きっかり3時間して、二人は帰ってきた。
「浮竹、やっぱり食いすぎだよ」
「まだまだだ・・・・」
「おかえりなさい」
「何してたんだ?」
「掃除です」
「そんなことしなくても、俺が定期的に掃除してるのに」
「隊長の掃除は雑なんです。みてください、こんなに埃がとれました。あと、長い白い髪とか」
「海燕、土産だ」
おはぎ3つ。そう言っていたおみやげだろう。
「ありがたくいたただきます」
手を洗って、箱の中をあけると、おがぎが2つしかなかった。
「3つって言ってませんでしたっけ?」
「ああ、浮竹が小腹がすいたとかいって、途中で1個たべちゃたんだよ。白玉餡蜜3人前食べて、ぜんざい4杯にお汁粉に・・・・・」
「食べすぎですね。そのうち、糖尿病になりますよ。あと、虫歯にも気をつけてくださいね」
「だってさ、浮竹」
ぷくーっと頬を膨らませる浮竹は、仕草が子供っぽかった。
そこが、京楽がいうかわいいといところの一部なのだろう。
「とりあえず、おはぎいただきますね」
2つを食べて、夕餉の時刻が近いことに気づいた。
「湯あみ、すませてきてください。夕餉の準備しときますんで。京楽隊長は今日は泊まりで?」
「うん、そうだよ。前から言ってたからね」
ふくれた浮竹を連れて、雨乾堂専用の湯殿に消えていく二人。
「夕餉の準備しなくちゃな」
今日の夕餉はちらし寿司。あなごがのっかっていた。
「あなごかぁ。食べるのは久しぶりだねぇ」
「俺のあなごが京楽のより小さい」
「はいはい、交換してあげるから」
食べだす二人にお茶を入れたりして、世話を焼く。
食事をし終えた膳を、海燕が下げていった。
ようやく、海燕も夕餉の時間だ。
ふと、忘れ物をして雨乾同に戻る。
「あっだめだ・・・海燕がきたらどうする」
「大丈夫だよ。もう来ないでしょ」
「ああんっ」
またマッサージかと、ガラリと戸をあける。
半裸の京楽と、それに押し倒されて、ほとんど裸に近い恰好の浮竹がいた。
「な、何も見てません!」
顔を真っ赤にして、海燕は回れ右をした。
「ああっ」
浮竹と京楽は、なかったことにして続けるらしい。
かなり図太い神経をしているものだと思いながら、忘れ物がそのままであったが、明日とりにこようと思う海燕だった。
ぴくり。
海燕の耳が動いた。
「あーいい。すごくいい」
ぴくぴく。
「ここかい?」
「あんっ」
がらっ。雨乾堂の戸をあけて、海燕はずかずかと入りこんでくると叫んだ。
「あんたら、朝っぱらから何卑猥なことして・・・・・」
「え、なんだ?」
浮竹が驚く。京楽も驚いた。
「朝っぱらから・・・・マッサージだけど?」
京楽の言葉に、早合点した自分を呪った。穴にあったら入りたい心境だった。
「なになに、僕たちがいかがわしいことしてると思ったの?」
「そうなのか、海燕?」
「ああもうそうですよ!よくいかがわしいことしてるでしょ、あんたら!」
「否定はしないけどね」
「同じく」
「いや、普通否定するでしょ!」
「いや、だって本当のことだしね?」
「ああ。一昨日も海燕のいういかがわしいことしてたしな」
浮竹は畳に座って、お茶を飲みだした。
「一昨日・・・・・道理で、入室禁止をいいわたされたわけだ」
京楽が、お茶を飲んでいる浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「だってこんなにかわいいんだよ」
「確かに隊長は愛らしいですが、だからって俺はその気にはなりません」
「まぁ、それが普通の反応だろうな。京楽は目と脳が腐ってるから」
「何それ!まるで乱菊ちゃんみたいじゃないの!」
「いや、だって男の俺をかわいいとかいうの、お前くらいだぞ」
「さっき海燕君も愛らしいとか言ってたよ」
浮竹は、ごろりと横になった。そして、畳の上を転がりだす。
ごろごろごろごろ。
二人とも、何このかわいい生物と思った。
「た、隊長は男らしいいですよ」
「うん、そうそう」
ごろごろごろごろ。
「絶対そう思ってない。嘘ついてるな、お前ら」
ごろごろごろごろ。
意味不明な行動をとる浮竹。京楽の傍までくると、その膝に頭を乗せた。
「鍛えても筋肉はつかないし、すぐ熱は出すし、肺の病で吐血するし・・・・全然男らしくない。だからもういい」
京楽の膝の上で、甘えだす。
「京楽、壬生の甘味屋のおはぎが食べたい・・・・」
「海燕君、今すぐ買いに行きなさい」
「なんで俺なんですか!頼まれているのは、京楽隊長でしょう!」
「だって、こんなかわいい浮竹を放置できないよ!!!!」
思いっきり、断言した。
じとー。
2つの視線が、京楽に注がれる。
海燕のうわーという視線と、浮竹のこいつなんなのって視線が。
「いや・・・そんなに見つめられると照れるんだけど」
「まぁいい、京楽、壬生の甘味屋まで行くぞ」
「お、珍しい。隊長が自分から行きたがるなんて」
「そうでもないよ。甘味屋だと、よく僕と一緒に食べにいくからね。支払いはもちろん僕もちで」
ああ、やっぱり。
あれだけ家族に仕送りして、肺の病の高い薬を買っているんだ。残った金で飲み食いできるのも難しい。
「海燕には、おはぎを3こだけお土産に持って帰ってあげよう」
「3こだけなんですね」
「後は俺が食べるために残しておくんだ」
そう言って、浮竹は京楽と出かけた。
「ああもう、布団ひきっぱなしで・・・・・」
布団を片付ける。
多分2~3時間は帰ってこないだろうと、雨乾堂の中の掃除を始めた。
きっかり3時間して、二人は帰ってきた。
「浮竹、やっぱり食いすぎだよ」
「まだまだだ・・・・」
「おかえりなさい」
「何してたんだ?」
「掃除です」
「そんなことしなくても、俺が定期的に掃除してるのに」
「隊長の掃除は雑なんです。みてください、こんなに埃がとれました。あと、長い白い髪とか」
「海燕、土産だ」
おはぎ3つ。そう言っていたおみやげだろう。
「ありがたくいたただきます」
手を洗って、箱の中をあけると、おがぎが2つしかなかった。
「3つって言ってませんでしたっけ?」
「ああ、浮竹が小腹がすいたとかいって、途中で1個たべちゃたんだよ。白玉餡蜜3人前食べて、ぜんざい4杯にお汁粉に・・・・・」
「食べすぎですね。そのうち、糖尿病になりますよ。あと、虫歯にも気をつけてくださいね」
「だってさ、浮竹」
ぷくーっと頬を膨らませる浮竹は、仕草が子供っぽかった。
そこが、京楽がいうかわいいといところの一部なのだろう。
「とりあえず、おはぎいただきますね」
2つを食べて、夕餉の時刻が近いことに気づいた。
「湯あみ、すませてきてください。夕餉の準備しときますんで。京楽隊長は今日は泊まりで?」
「うん、そうだよ。前から言ってたからね」
ふくれた浮竹を連れて、雨乾堂専用の湯殿に消えていく二人。
「夕餉の準備しなくちゃな」
今日の夕餉はちらし寿司。あなごがのっかっていた。
「あなごかぁ。食べるのは久しぶりだねぇ」
「俺のあなごが京楽のより小さい」
「はいはい、交換してあげるから」
食べだす二人にお茶を入れたりして、世話を焼く。
食事をし終えた膳を、海燕が下げていった。
ようやく、海燕も夕餉の時間だ。
ふと、忘れ物をして雨乾同に戻る。
「あっだめだ・・・海燕がきたらどうする」
「大丈夫だよ。もう来ないでしょ」
「ああんっ」
またマッサージかと、ガラリと戸をあける。
半裸の京楽と、それに押し倒されて、ほとんど裸に近い恰好の浮竹がいた。
「な、何も見てません!」
顔を真っ赤にして、海燕は回れ右をした。
「ああっ」
浮竹と京楽は、なかったことにして続けるらしい。
かなり図太い神経をしているものだと思いながら、忘れ物がそのままであったが、明日とりにこようと思う海燕だった。
朽木白哉の1日
朽木白哉の朝は早い。5時半には起床して、1時間ほど体を動かした後、ルキアや一護を起こす。
7時には朝餉をとり、8時前には6番隊の執務室にいき、仕事の準備を始める。
隊長副隊長の勤務時間のはじまりは9時からだ。
副隊長である恋次など、9時前に欠伸を噛み殺しながらやってくる。
「隊長、今日はご機嫌ですね」
いつもと変わらない白哉。恋次の声を聞いた席官たちが、え、隊長ご機嫌なの?と話し合いながら、執務室に仕事を持ってくる。
「ルキアと一護の結婚式の日が決まった」
「ああ、なる・・・・って、あの二人、結婚式挙げるんすか!?」
「当たり前であろう」
「てっきり、籍入れただけかと思ってた・・・・で、日付は?」
「6月15日だ」
「何か贈り物用意しなきゃなー」
「貧乏で下賤な恋次の贈り物など、いらぬ」
「ちょっと、何気に酷くないですか!貧乏はわかるけど、下賤ってなんすか」
「気のせいだ」
「あ、笑いましたね、今」
全然笑っているようには見えなかったのだが、恋次には分かるのだ。
「ルキアには髪飾りとかでいいとして・・・一護には・・・・くくく、褌でも贈ってやろう」
一護に対しては、思いっきり嫌がらせでいってやろうと思った。
恋次がずっと好きだったルキアを、わずか3年たらずでもっていってしまったのだ。それくらい許されるだろう。
「15日ですね。休暇届けだしておかないと」
「案ずるな。朽木家の力で15日は祝日とする」
なんて無茶ぶりだろうが、白哉なら本当にしそうだった。
それから、12時までは仕事で、12時から1時までが昼休憩となる。4大貴族らしく、昼餉に専用の職人が調理したメニューがいくつか並ぶ。
1時を過ぎるとまた仕事で、6時まである。6時になると鐘が響き、死神の仕事の終了時間となる。6時半には帰宅して、家の家人と相談したりでいろいろと次の日のことを決める。
7時には夕餉。豪華なメニューが並ぶ。ルキアには甘めの味付けで、白哉には辛めの味付けで、一護には適当でいいといってあるので、適当な味付けで。7時半には湯あみ。
8時過ぎから貴族としての執務を行い、9時には終わらせる。
10時まで自由時間となる。10時から睡眠で1時にいったん起きて、2時まで趣味の夜の散歩に出かける。2時から5時半までは二度寝。
「・・・・ってまぁ、これが隊長の1日だな」
恋次からそれを聞いた一護は、1時に起きた時に、白哉がいない間に嫌がらせをしてやろうと思った。
「何を考えておるのだ、一護」
「い、いや別に何も」
「んー。何か怪しいな」
「んなことより、早く夕餉とっちまおうぜ。下げられちまう前に」
8時になると、残っていても食事は下げられる。
ルキアと一緒に湯あみした。
白哉はあまりいい顔をしなかったが、結婚しているので体を繋げない限り一緒に湯あみくらいは許された。
そして、深夜1時になって、一護は起きだすと、白哉の寝室にいく。
そこに主がいないのを確認して、布団の上に白い接着剤をこれでもかというほどかけてやった。
「ふふふふふ・・・・・」
深夜2時。白哉が帰宅して、床にはいろうとして、かすかに残っていた一護の霊圧を感じて、接着剤がぶちまけられているのに気づき、静かに怒る。
周りから見ても怒っているのかどうか分からない顔色で、ルキアと一護の寝室に向かい、ルキアをおこさないようにして、一護だけを連れ出す。
「もががが」
口を塞がれ、パジャマ姿のまま、一護は白哉によって白哉の寝室につれてこられた。
「兄が味わえ」
接着剤のついた布団に転がされて、そのまま簀巻きにされる。
「え、嘘なんでばれてんだ」
「霊圧くらい消せぬのか、兄は」
「ああっ、それ忘れてた。ごめんなさい申しませんから許してくれ~」
「この寝具、気に入っていたのだが・・・・」
一護を簀巻きにした上に、縄でぐるぐる巻きにした。
そのまま、外に放りだされて、屋根の上からつるされた。
「もぎゃああああ」
ブランブラン。
蓑虫状態にされて、手も足もでない。
結局そのままルキアに救出されるまで、一護は布団で簀巻きにされたまま寝ていた。
「何を考えておるのだ貴様は!」
「いや、ちょっと白哉に嫌がらせしようと思ったら、失敗して簀巻きにされた」
「この接着剤、とれぬぞ」
「あああ。このパジャマ気に入ってたんだけどな」
ルキアの力でべりべりとはがされる。
「痛い痛い、髪の毛めっちゃ痛い!」
べりっ。
「かなりの量の髪の毛が抜けたが、ハゲにはなっていないからよしとするべし」
「くそう白哉のやつー。どうやってこの無念はらすべきか・・・・・・・」
「兄様を貶めようとするのはやめぬか」
「だって白哉のやつ、まるで姑だぞ?っと、そろそろ朝餉の時刻か」
食堂になっている部屋に集まると、メニューが置かれていた。白哉はすでに食べだしている。
ルキアの食事を見る。いつみても、豪華なメニューだ。
一護は、自分のメニューを見た。白いごはんのうえに、味噌汁がぶっかけられていて、かつおぶしがかかっていた。
猫まんまだった。
ぴき。
「白哉、まだ根に持ってるのかよ」
「知らぬ」
「ああ、いいさいいさ。猫まんまでも食えるだけましだ」
流魂街の民には、その日食べる食事すらない、霊力をもった飢えた子供がたくさんいる。
猫まんまを食べると、強烈にからかった。
「からひ!」
「現世から取り寄せた、ハバネロなる辛い香辛料をふんだんに使ってやった。喜ぶがいい」
「ハバネロを猫まんまになんていれるな!」
なんとか食し終わったが、からすぎて口がひりひりする。
「冷たい水・・・・・」
冷蔵庫をあけてみるが、飲料は一切入っていなかった。
「水道水!」
現在工事中とかかれてあった。
「こうなったら井戸だ!」
井戸にいくと、くむべきものがなかった。
「ああああああああ」
ねちねちねちと。
まるで姑の嫁いびりだ。
「もう切れた。白哉、直接対決だ!」
斬月を手に、食堂でいくと、ルキアがご飯を食べながらこう言った。
「兄様はもう出ていかれたぞ。下賤なる者と戯れあっている時間はない・・・と、仰っていた」
「下賤・・・・」
ピキピキ。
「ちょっと、6番隊の執務室にいってくる」
「あ、おい、一護!」
6番隊の執務室につくと、白哉が文机に向かてっていた。
斬月を抜き放ち、叫ぶ。
「白哉、俺の気に入らないところがあるならはっきり言え!」
「顔が気に入らぬ。立ち姿も気に入らぬ。あとオレンジ色の髪。ブラウンの瞳。斬魄刀も気に入らぬ」
「ほとんど全部じゃねぇか!どうしろってんだ」
「兄も髪を伸ばせ。牽星箝(けんせいかん)をつければ、その卑しい顔も少しは見れるようになるであろう」
ピキピキピキ。
斬月で、その銀白風花紗でも切り裂いてやろうとしたら、すでに白哉は始解していた。
千本桜の桜の波に圧倒される。
「月牙天衝!」
技を繰り出すと、鬼道で封じられた。
「縛道の六十一、六杖光牢(りくじょうこうろう)」
「くっ動けねぇ・・・・・」
動けなくなった一護に、白哉がとった行動は。
油性マジックで、一護の顔に額に肉とかき、いろいろと落書きをした。
「ふむ。少しは男前になったのではないか?」
縛道をなんとか自分で解いて、鏡を渡される。
「ふんがーーーーーー!!」
爆発した一護は、執務室を全壊にして始末書を書かされる羽目になるのであった。
・
7時には朝餉をとり、8時前には6番隊の執務室にいき、仕事の準備を始める。
隊長副隊長の勤務時間のはじまりは9時からだ。
副隊長である恋次など、9時前に欠伸を噛み殺しながらやってくる。
「隊長、今日はご機嫌ですね」
いつもと変わらない白哉。恋次の声を聞いた席官たちが、え、隊長ご機嫌なの?と話し合いながら、執務室に仕事を持ってくる。
「ルキアと一護の結婚式の日が決まった」
「ああ、なる・・・・って、あの二人、結婚式挙げるんすか!?」
「当たり前であろう」
「てっきり、籍入れただけかと思ってた・・・・で、日付は?」
「6月15日だ」
「何か贈り物用意しなきゃなー」
「貧乏で下賤な恋次の贈り物など、いらぬ」
「ちょっと、何気に酷くないですか!貧乏はわかるけど、下賤ってなんすか」
「気のせいだ」
「あ、笑いましたね、今」
全然笑っているようには見えなかったのだが、恋次には分かるのだ。
「ルキアには髪飾りとかでいいとして・・・一護には・・・・くくく、褌でも贈ってやろう」
一護に対しては、思いっきり嫌がらせでいってやろうと思った。
恋次がずっと好きだったルキアを、わずか3年たらずでもっていってしまったのだ。それくらい許されるだろう。
「15日ですね。休暇届けだしておかないと」
「案ずるな。朽木家の力で15日は祝日とする」
なんて無茶ぶりだろうが、白哉なら本当にしそうだった。
それから、12時までは仕事で、12時から1時までが昼休憩となる。4大貴族らしく、昼餉に専用の職人が調理したメニューがいくつか並ぶ。
1時を過ぎるとまた仕事で、6時まである。6時になると鐘が響き、死神の仕事の終了時間となる。6時半には帰宅して、家の家人と相談したりでいろいろと次の日のことを決める。
7時には夕餉。豪華なメニューが並ぶ。ルキアには甘めの味付けで、白哉には辛めの味付けで、一護には適当でいいといってあるので、適当な味付けで。7時半には湯あみ。
8時過ぎから貴族としての執務を行い、9時には終わらせる。
10時まで自由時間となる。10時から睡眠で1時にいったん起きて、2時まで趣味の夜の散歩に出かける。2時から5時半までは二度寝。
「・・・・ってまぁ、これが隊長の1日だな」
恋次からそれを聞いた一護は、1時に起きた時に、白哉がいない間に嫌がらせをしてやろうと思った。
「何を考えておるのだ、一護」
「い、いや別に何も」
「んー。何か怪しいな」
「んなことより、早く夕餉とっちまおうぜ。下げられちまう前に」
8時になると、残っていても食事は下げられる。
ルキアと一緒に湯あみした。
白哉はあまりいい顔をしなかったが、結婚しているので体を繋げない限り一緒に湯あみくらいは許された。
そして、深夜1時になって、一護は起きだすと、白哉の寝室にいく。
そこに主がいないのを確認して、布団の上に白い接着剤をこれでもかというほどかけてやった。
「ふふふふふ・・・・・」
深夜2時。白哉が帰宅して、床にはいろうとして、かすかに残っていた一護の霊圧を感じて、接着剤がぶちまけられているのに気づき、静かに怒る。
周りから見ても怒っているのかどうか分からない顔色で、ルキアと一護の寝室に向かい、ルキアをおこさないようにして、一護だけを連れ出す。
「もががが」
口を塞がれ、パジャマ姿のまま、一護は白哉によって白哉の寝室につれてこられた。
「兄が味わえ」
接着剤のついた布団に転がされて、そのまま簀巻きにされる。
「え、嘘なんでばれてんだ」
「霊圧くらい消せぬのか、兄は」
「ああっ、それ忘れてた。ごめんなさい申しませんから許してくれ~」
「この寝具、気に入っていたのだが・・・・」
一護を簀巻きにした上に、縄でぐるぐる巻きにした。
そのまま、外に放りだされて、屋根の上からつるされた。
「もぎゃああああ」
ブランブラン。
蓑虫状態にされて、手も足もでない。
結局そのままルキアに救出されるまで、一護は布団で簀巻きにされたまま寝ていた。
「何を考えておるのだ貴様は!」
「いや、ちょっと白哉に嫌がらせしようと思ったら、失敗して簀巻きにされた」
「この接着剤、とれぬぞ」
「あああ。このパジャマ気に入ってたんだけどな」
ルキアの力でべりべりとはがされる。
「痛い痛い、髪の毛めっちゃ痛い!」
べりっ。
「かなりの量の髪の毛が抜けたが、ハゲにはなっていないからよしとするべし」
「くそう白哉のやつー。どうやってこの無念はらすべきか・・・・・・・」
「兄様を貶めようとするのはやめぬか」
「だって白哉のやつ、まるで姑だぞ?っと、そろそろ朝餉の時刻か」
食堂になっている部屋に集まると、メニューが置かれていた。白哉はすでに食べだしている。
ルキアの食事を見る。いつみても、豪華なメニューだ。
一護は、自分のメニューを見た。白いごはんのうえに、味噌汁がぶっかけられていて、かつおぶしがかかっていた。
猫まんまだった。
ぴき。
「白哉、まだ根に持ってるのかよ」
「知らぬ」
「ああ、いいさいいさ。猫まんまでも食えるだけましだ」
流魂街の民には、その日食べる食事すらない、霊力をもった飢えた子供がたくさんいる。
猫まんまを食べると、強烈にからかった。
「からひ!」
「現世から取り寄せた、ハバネロなる辛い香辛料をふんだんに使ってやった。喜ぶがいい」
「ハバネロを猫まんまになんていれるな!」
なんとか食し終わったが、からすぎて口がひりひりする。
「冷たい水・・・・・」
冷蔵庫をあけてみるが、飲料は一切入っていなかった。
「水道水!」
現在工事中とかかれてあった。
「こうなったら井戸だ!」
井戸にいくと、くむべきものがなかった。
「ああああああああ」
ねちねちねちと。
まるで姑の嫁いびりだ。
「もう切れた。白哉、直接対決だ!」
斬月を手に、食堂でいくと、ルキアがご飯を食べながらこう言った。
「兄様はもう出ていかれたぞ。下賤なる者と戯れあっている時間はない・・・と、仰っていた」
「下賤・・・・」
ピキピキ。
「ちょっと、6番隊の執務室にいってくる」
「あ、おい、一護!」
6番隊の執務室につくと、白哉が文机に向かてっていた。
斬月を抜き放ち、叫ぶ。
「白哉、俺の気に入らないところがあるならはっきり言え!」
「顔が気に入らぬ。立ち姿も気に入らぬ。あとオレンジ色の髪。ブラウンの瞳。斬魄刀も気に入らぬ」
「ほとんど全部じゃねぇか!どうしろってんだ」
「兄も髪を伸ばせ。牽星箝(けんせいかん)をつければ、その卑しい顔も少しは見れるようになるであろう」
ピキピキピキ。
斬月で、その銀白風花紗でも切り裂いてやろうとしたら、すでに白哉は始解していた。
千本桜の桜の波に圧倒される。
「月牙天衝!」
技を繰り出すと、鬼道で封じられた。
「縛道の六十一、六杖光牢(りくじょうこうろう)」
「くっ動けねぇ・・・・・」
動けなくなった一護に、白哉がとった行動は。
油性マジックで、一護の顔に額に肉とかき、いろいろと落書きをした。
「ふむ。少しは男前になったのではないか?」
縛道をなんとか自分で解いて、鏡を渡される。
「ふんがーーーーーー!!」
爆発した一護は、執務室を全壊にして始末書を書かされる羽目になるのであった。
・
13番隊の姑
浮竹は、3日ほど高熱を出して寝込んでいた。ようやく熱がさがり、湯あみをして昼餉を食べて、仕事をして数時間経過した。
「はははははは」
浮竹は、京楽が来る前から酔っぱらっていた。
もうすぐ京楽がくるからと、黒い瓶から酒を注ぎながら飲んでいたら、潰れた。
浮竹は、酔うと饒舌になったり、笑い上戸になったり。いろいろあった。
「京楽隊長、助け・・・・がくっ」
やってきた京楽に、助けを求めるも、浮竹の体術は凄い。
海燕にプロレス技をかけている浮竹を、京楽は抱き上げて、だめだとしかりつける。
浮竹は不思議そうな顔で、小首を傾げていた。
その様子がかわいくて、口づけると、もっとと強請られた。
流石に、副官の目の前ではどうかと思ったが、すでに関係は知られているので、浮竹を抱き締めて、口づけると、とろんとした目で浮竹が京楽を見てきた。
「ちょっと、俺がいるのにおっぱじめるのは勘弁してくださいよ」
「大丈夫。もう眠ったよ」
「ええ!?さっきまであんなに攻撃的だったのに!?」
「僕の柑橘系の香水の匂いと、腕の暖かさに安堵するんだろうね。僕の腕の中にくると、酔っぱらっている浮竹は大抵寝るよ」
「恐るべし・・・・・・」
流石は、長年連れ添った恋人というだけはあるか。
「それより海燕君、大丈夫かい?」
「ちょっとプロレス技決めかけられていたけど、大丈夫です」
「それはいいとして、なんで、浮竹が酔っぱらってたの?」
「ああ、京楽隊長も呼んで酒盛りするっていって、俺と一緒に酒のんでたら、飲みつぶれたみたいで・・・・」
眠っている浮竹を見る。とても幸せそうな顔をしていた。
「なんの酒飲ましたの?」
「あ、この黒い瓶のやつです」
「あちゃー、それ、僕用の強い酒だよ。浮竹がつぶれるわけだ」
「ええ、そうなんですか!浮竹隊長、果実酒だった言って飲んでましたけど」
そっと、京楽が浮竹の額に手を当てる。
案の定、熱があった。
「海燕君、布団しいて。浮竹のやつ、熱がある」
「ええっ!気づきませんでした。一度完全に下がったのに」
「君も、後100年浮竹の傍にいれば分かるようになるよ」
布団をしいて、その上に浮竹を寝かせて、毛布と布団をかけた。
「100年もこの隊長の副官とか無理です」
「まぁそうだろうねぇ」
京楽が苦笑する。
浮竹は、数時間眠ったまま起きなかった。
海燕は下がってしまったし、することもないので京楽も眠っていると、浮竹が怒っていた。
「京楽、俺がいない間にこんなに飲んで・・・・・」
「いや、それ君と海燕君が飲んだやつだから。熱は下がったの?」
「熱?俺、熱なんてあったのか?」
「そうだよ。熱のせいで、僕のお酒を果実酒だといってぱかぱか飲んでたって、海燕君が言ってたよ」
「俺としたことが・・・・不覚だ」
がくりと、畳の上に膝をつく。
「そんな大げさな」
「この酒買うのに、俺の給料全部使ってしまったんだ・・・・京楽に飲んでもらおうと思って」
「ええ、君の給料全部だって!?仕送りは?薬代は?」
「考えてなかった・・・・・・・・」
「ああもう、君って子は・・・この代金、高くつくからね?」
今月の給料は、京楽を頼るしかなざそうだった。
抱き締められて、口づけられる。
そのまま押し倒された。
「んっ」
体を弄られて、敏感に反応する浮竹には、もう熱はないみたいだった。
「あっ」
隊長羽織を脱がされて、死覇装も脱がされて行く。
「ああっ」
乱れるままに、浮竹を京楽は貪った。
そのまま、濡れたタオルで互いの体をふきあって、死覇装をきて隊長羽織を着る。
「夕餉の支度ができました。どうしますか」
「ああ、食べるから準備をしてくれ」
浮竹がそういう言うと、海燕は2回にわけて、二人分の配膳を用意した。
「隊長、京楽隊長と逢瀬しましたね?」
「えっ。そ、そんなことないぞ」
夕餉は、タイの蒸し焼きだった。
「隊長羽織が、別々です。13番隊の隊長羽織を京楽隊長がきて、8番隊の隊長羽織を、浮竹隊長が着てる・・・・・・」
「ええっ道理で、少しでかいはずだ」
「道理で、少し窮屈なはずだ」
浮竹と京楽は、互いの隊長羽織を交換しあった。
「京楽隊長・・・・・浮竹隊長に手を出すのはいいですけど、病み上がりなんだから、そういう時はできるだけ手を出さないでください」
「いや、ほんといろいろとごめん・・・・・・」
京楽も、病み上がりだった浮竹に少し無理をさせてしまったことには気づいていた。
「浮竹、大丈夫かい?」
「ああ、俺は平気だぞ」
夕餉をもっきゅもっきゅと食べる浮竹はかわいかった。
「ああもう、なんで君はそんなに愛らしいの」
「もぎゃあああああああ」
京楽に変な場所を触らて、悲鳴をあげる浮竹。
「くれぐれも、無理はさせないようにっていってるでしょ、あんたは!」
スパンと、紙をまるめたもので京楽の頭をはたく海燕。
「いたた。他の隊の隊長をそんなもので殴るなんて」
「関係ない!今日はもう、浮竹隊長と夕餉をとったら、帰ってくださいね!」
「えー。泊まりたい」
「だめです!」
「けちー」
「けちでけっこう!浮竹隊長も、安静にしてまた熱がでないようにしてくださいね!」
二人とも思った。
海燕って、姑みたいだと。
「はははははは」
浮竹は、京楽が来る前から酔っぱらっていた。
もうすぐ京楽がくるからと、黒い瓶から酒を注ぎながら飲んでいたら、潰れた。
浮竹は、酔うと饒舌になったり、笑い上戸になったり。いろいろあった。
「京楽隊長、助け・・・・がくっ」
やってきた京楽に、助けを求めるも、浮竹の体術は凄い。
海燕にプロレス技をかけている浮竹を、京楽は抱き上げて、だめだとしかりつける。
浮竹は不思議そうな顔で、小首を傾げていた。
その様子がかわいくて、口づけると、もっとと強請られた。
流石に、副官の目の前ではどうかと思ったが、すでに関係は知られているので、浮竹を抱き締めて、口づけると、とろんとした目で浮竹が京楽を見てきた。
「ちょっと、俺がいるのにおっぱじめるのは勘弁してくださいよ」
「大丈夫。もう眠ったよ」
「ええ!?さっきまであんなに攻撃的だったのに!?」
「僕の柑橘系の香水の匂いと、腕の暖かさに安堵するんだろうね。僕の腕の中にくると、酔っぱらっている浮竹は大抵寝るよ」
「恐るべし・・・・・・」
流石は、長年連れ添った恋人というだけはあるか。
「それより海燕君、大丈夫かい?」
「ちょっとプロレス技決めかけられていたけど、大丈夫です」
「それはいいとして、なんで、浮竹が酔っぱらってたの?」
「ああ、京楽隊長も呼んで酒盛りするっていって、俺と一緒に酒のんでたら、飲みつぶれたみたいで・・・・」
眠っている浮竹を見る。とても幸せそうな顔をしていた。
「なんの酒飲ましたの?」
「あ、この黒い瓶のやつです」
「あちゃー、それ、僕用の強い酒だよ。浮竹がつぶれるわけだ」
「ええ、そうなんですか!浮竹隊長、果実酒だった言って飲んでましたけど」
そっと、京楽が浮竹の額に手を当てる。
案の定、熱があった。
「海燕君、布団しいて。浮竹のやつ、熱がある」
「ええっ!気づきませんでした。一度完全に下がったのに」
「君も、後100年浮竹の傍にいれば分かるようになるよ」
布団をしいて、その上に浮竹を寝かせて、毛布と布団をかけた。
「100年もこの隊長の副官とか無理です」
「まぁそうだろうねぇ」
京楽が苦笑する。
浮竹は、数時間眠ったまま起きなかった。
海燕は下がってしまったし、することもないので京楽も眠っていると、浮竹が怒っていた。
「京楽、俺がいない間にこんなに飲んで・・・・・」
「いや、それ君と海燕君が飲んだやつだから。熱は下がったの?」
「熱?俺、熱なんてあったのか?」
「そうだよ。熱のせいで、僕のお酒を果実酒だといってぱかぱか飲んでたって、海燕君が言ってたよ」
「俺としたことが・・・・不覚だ」
がくりと、畳の上に膝をつく。
「そんな大げさな」
「この酒買うのに、俺の給料全部使ってしまったんだ・・・・京楽に飲んでもらおうと思って」
「ええ、君の給料全部だって!?仕送りは?薬代は?」
「考えてなかった・・・・・・・・」
「ああもう、君って子は・・・この代金、高くつくからね?」
今月の給料は、京楽を頼るしかなざそうだった。
抱き締められて、口づけられる。
そのまま押し倒された。
「んっ」
体を弄られて、敏感に反応する浮竹には、もう熱はないみたいだった。
「あっ」
隊長羽織を脱がされて、死覇装も脱がされて行く。
「ああっ」
乱れるままに、浮竹を京楽は貪った。
そのまま、濡れたタオルで互いの体をふきあって、死覇装をきて隊長羽織を着る。
「夕餉の支度ができました。どうしますか」
「ああ、食べるから準備をしてくれ」
浮竹がそういう言うと、海燕は2回にわけて、二人分の配膳を用意した。
「隊長、京楽隊長と逢瀬しましたね?」
「えっ。そ、そんなことないぞ」
夕餉は、タイの蒸し焼きだった。
「隊長羽織が、別々です。13番隊の隊長羽織を京楽隊長がきて、8番隊の隊長羽織を、浮竹隊長が着てる・・・・・・」
「ええっ道理で、少しでかいはずだ」
「道理で、少し窮屈なはずだ」
浮竹と京楽は、互いの隊長羽織を交換しあった。
「京楽隊長・・・・・浮竹隊長に手を出すのはいいですけど、病み上がりなんだから、そういう時はできるだけ手を出さないでください」
「いや、ほんといろいろとごめん・・・・・・」
京楽も、病み上がりだった浮竹に少し無理をさせてしまったことには気づいていた。
「浮竹、大丈夫かい?」
「ああ、俺は平気だぞ」
夕餉をもっきゅもっきゅと食べる浮竹はかわいかった。
「ああもう、なんで君はそんなに愛らしいの」
「もぎゃあああああああ」
京楽に変な場所を触らて、悲鳴をあげる浮竹。
「くれぐれも、無理はさせないようにっていってるでしょ、あんたは!」
スパンと、紙をまるめたもので京楽の頭をはたく海燕。
「いたた。他の隊の隊長をそんなもので殴るなんて」
「関係ない!今日はもう、浮竹隊長と夕餉をとったら、帰ってくださいね!」
「えー。泊まりたい」
「だめです!」
「けちー」
「けちでけっこう!浮竹隊長も、安静にしてまた熱がでないようにしてくださいね!」
二人とも思った。
海燕って、姑みたいだと。
掴みとった未来
1週間は休暇を与えられたが、次の日から忙しくなった。
子育ての隙間に、13番隊の席官として復活したルキアは、産休もとらずに一勇を背におぶって、仕事をしていた。
13番隊隊長であり、夫である一護が、産休をとれと言ってくるが、一勇の世話が終わるととたんに、遊女の頃の悲しい記憶が復活してくるので、とにかく体を動かしていたかった。
「ルキア、本当に大丈夫か?」
「ああ。一勇もいるしな」
私はもう大丈夫。そう言い聞かせた。
時折、白哉が様子を見にやってくくる。
「ルキア、無理はしておるまいな?」
「はい、兄様」
朽木家の養子になって1年ほどしか経っていないが、義兄は優しかった。
「黒崎一護・・・・くれぐれも、ルキアに無理はさせぬよう」
「分かってるよ、白哉」
「なぁ、ルキア」
「なんだ?」
「もう一人くらい、子供欲しくねーか?」
「えっ」
とたんに、頬を染めるルキア。
「まだ一勇を生んだばかりだし・・・・」
「そうだな。立て続けだとお前の体がもたないか。一勇がそれなりの年になったら、もう一人くらい子供作ろうぜ」
それが何を意味しているのかを知って、朱くなる。
「朱くなったり・・・・今更だろ」
ちゅっと、音のなるキスを頬にされて、びっくりしていると、背中にいる一勇が泣きだした。
「ほぎゃあほぎゃあ」
「ああ、ミルクかな・・・それともおしめ?」
初めての赤子だけに、世話も大変そうだ。その気なら、全て召使いに任せてもよかったのだが、ルキアは自分で面倒を見るといって、譲らなかった。
「これは・・・・おしめかな」
13番隊の執務室で、ルキアがおしめを変えだした。濡れたティッシュで汚れをふきとり、紙おむつをはかせる。
「なぁルキア」
「なんだ、一護」
「その、今度でいいんだが、一度母乳飲んでみてもいいか?」
「き、きさまは何をいっておるのだ!」
「だって一勇だけずるいじゃねーか」
「これは生きるためのもので!」
ルキアは、あまり一勇におっぱいをあげていなかった。粉末の粉ミルクを飲ませていた。母乳の出が悪いのだが、出ないわけではない。
「一度だけだぞ」
「おっし」
一護は、ガッツポーズをとった。
一勇が生まれからというもの、体を重ねるのも月に数回くらいにまで落ちていた。花魁だった頃は、1週間に3回は抱かれていた。
「貴様もやはり、男なのだな」
「なんだよ」
「いや、結婚してもなお私を欲してくれて嬉しいのだ」
「そうだ、忙しくてとれなかったけど、今度2週間ほど休みをとれそうなんだ。現世に、一勇もつれて新婚旅行にいかないか?」
「お、いいな。どこへいくのだ?」
「外国にしようと思ってる。ヨーロッパのスイスあたりなんてどうだ?」
「よーろっぱのすいす?」
「ああ、ルキアは高校には通ってたけど、地理の勉強は全然だったもんな。まぁ、外国でいろいろ文化が違う場所だ」
「そうか。楽しみだな!」
ルキアが目を輝かせている。
一勇を背中に背負いなおして、13番隊の執務室で仕事をした。
席官であれ、副隊長ではないのだがら、本来は隊舎で仕事をするのだが、新婚という理由と、罪人として冤罪を受けたこともあって、執務室での仕事を許可されていた。
戦闘は非許可だが。
びーびーと、伝令神機が鳴った。
「なんだ!?」
ルキアのも一護のもなった。
「虚の大群らしい・・・ルキアはここで待機だ」
「しかし!」
「一勇連れて戦うつもりか!?」
「そんなつもりは・・・・・」
「俺が出る。安心しろ、虚程度にやられたりしねーさ。藍染も倒してきたんだぜ?」
「そうであったな・・・・・」
ルキアが安堵する。
「では行ってこい、一護。くれぐれも気をつけて」
「わかってる」
さっと窓から身を翻して、一護は虚の大群が出た場所へと瞬歩で移動する。
すでに10番隊があらかた片付けていたは大虚(メノスグランデ)の姿もあった。それにむあって、抜き放った斬月で、真っ二つに切り裂くと、他の虚たちは散り散りに逃げ出した。
「冬獅郎、任せていいか!?」
「ああ、分かった。蒼天に座せ、氷輪丸!」
氷の龍が、にげていこうとする虚たちを氷漬けにして、霊子へと還していった。
「ふう。これで終わりか」
雑魚の虚を退治し終わった一護は、周囲を見渡す。もう、虚の気配はどこにもなかった。
「じゃ、俺は戻るから。報告書とか頼むぜ」
「おい、待て黒崎!黒崎・・・ちっ、面倒ごと押し付けて行きやがって」
日番谷が怒っている頃、泣き止まない一勇にルキアがおろおろしていた。
おむつでもないし、ミルクもさっきあげた。
なぜ泣いているのか分からなくて、首を傾げる。
「ただいま、ルキア。どうした、一勇泣いてるじゃねーか」
「それが、おむつでもミルクでもなくて・・・・」
「ああ、貸してみろ」
一勇を抱いて、あやして一護は優しく寝かしつけた。
「すごいな。どうやるのだ」
「簡単さ。抱いて、体を少し動かして、あやして寝かしつけるんだ」
「ううむ。まぁ、今後学んでいけばいいか」
「そうそう。何も、一気にできなくていいんだ。少しずつ、歩いて行こう。俺とお前と、一勇と・・・・流れてしまった苺花と」
「苺花?」
「ああ、流れた子がいただろ。多分女の子だと思うんだ。名前がなきゃかわいそうだからな・・・・・」
「すまぬ・・・・」
「お前のせいじゃないさ。まぁ、一勇に妹が生まれたら、その子も苺花って名前にしようと思ってるんだけどな」
「どれだけ気が早いのだ」
苦笑するルキア。
一勇の体をもらい、背中にしょったルキアは、今までない幸せをかみしめていた。
この幸せは、何処までも続いている。
一護がいる限り。
ルキアの涙、一護の決意
fin
子育ての隙間に、13番隊の席官として復活したルキアは、産休もとらずに一勇を背におぶって、仕事をしていた。
13番隊隊長であり、夫である一護が、産休をとれと言ってくるが、一勇の世話が終わるととたんに、遊女の頃の悲しい記憶が復活してくるので、とにかく体を動かしていたかった。
「ルキア、本当に大丈夫か?」
「ああ。一勇もいるしな」
私はもう大丈夫。そう言い聞かせた。
時折、白哉が様子を見にやってくくる。
「ルキア、無理はしておるまいな?」
「はい、兄様」
朽木家の養子になって1年ほどしか経っていないが、義兄は優しかった。
「黒崎一護・・・・くれぐれも、ルキアに無理はさせぬよう」
「分かってるよ、白哉」
「なぁ、ルキア」
「なんだ?」
「もう一人くらい、子供欲しくねーか?」
「えっ」
とたんに、頬を染めるルキア。
「まだ一勇を生んだばかりだし・・・・」
「そうだな。立て続けだとお前の体がもたないか。一勇がそれなりの年になったら、もう一人くらい子供作ろうぜ」
それが何を意味しているのかを知って、朱くなる。
「朱くなったり・・・・今更だろ」
ちゅっと、音のなるキスを頬にされて、びっくりしていると、背中にいる一勇が泣きだした。
「ほぎゃあほぎゃあ」
「ああ、ミルクかな・・・それともおしめ?」
初めての赤子だけに、世話も大変そうだ。その気なら、全て召使いに任せてもよかったのだが、ルキアは自分で面倒を見るといって、譲らなかった。
「これは・・・・おしめかな」
13番隊の執務室で、ルキアがおしめを変えだした。濡れたティッシュで汚れをふきとり、紙おむつをはかせる。
「なぁルキア」
「なんだ、一護」
「その、今度でいいんだが、一度母乳飲んでみてもいいか?」
「き、きさまは何をいっておるのだ!」
「だって一勇だけずるいじゃねーか」
「これは生きるためのもので!」
ルキアは、あまり一勇におっぱいをあげていなかった。粉末の粉ミルクを飲ませていた。母乳の出が悪いのだが、出ないわけではない。
「一度だけだぞ」
「おっし」
一護は、ガッツポーズをとった。
一勇が生まれからというもの、体を重ねるのも月に数回くらいにまで落ちていた。花魁だった頃は、1週間に3回は抱かれていた。
「貴様もやはり、男なのだな」
「なんだよ」
「いや、結婚してもなお私を欲してくれて嬉しいのだ」
「そうだ、忙しくてとれなかったけど、今度2週間ほど休みをとれそうなんだ。現世に、一勇もつれて新婚旅行にいかないか?」
「お、いいな。どこへいくのだ?」
「外国にしようと思ってる。ヨーロッパのスイスあたりなんてどうだ?」
「よーろっぱのすいす?」
「ああ、ルキアは高校には通ってたけど、地理の勉強は全然だったもんな。まぁ、外国でいろいろ文化が違う場所だ」
「そうか。楽しみだな!」
ルキアが目を輝かせている。
一勇を背中に背負いなおして、13番隊の執務室で仕事をした。
席官であれ、副隊長ではないのだがら、本来は隊舎で仕事をするのだが、新婚という理由と、罪人として冤罪を受けたこともあって、執務室での仕事を許可されていた。
戦闘は非許可だが。
びーびーと、伝令神機が鳴った。
「なんだ!?」
ルキアのも一護のもなった。
「虚の大群らしい・・・ルキアはここで待機だ」
「しかし!」
「一勇連れて戦うつもりか!?」
「そんなつもりは・・・・・」
「俺が出る。安心しろ、虚程度にやられたりしねーさ。藍染も倒してきたんだぜ?」
「そうであったな・・・・・」
ルキアが安堵する。
「では行ってこい、一護。くれぐれも気をつけて」
「わかってる」
さっと窓から身を翻して、一護は虚の大群が出た場所へと瞬歩で移動する。
すでに10番隊があらかた片付けていたは大虚(メノスグランデ)の姿もあった。それにむあって、抜き放った斬月で、真っ二つに切り裂くと、他の虚たちは散り散りに逃げ出した。
「冬獅郎、任せていいか!?」
「ああ、分かった。蒼天に座せ、氷輪丸!」
氷の龍が、にげていこうとする虚たちを氷漬けにして、霊子へと還していった。
「ふう。これで終わりか」
雑魚の虚を退治し終わった一護は、周囲を見渡す。もう、虚の気配はどこにもなかった。
「じゃ、俺は戻るから。報告書とか頼むぜ」
「おい、待て黒崎!黒崎・・・ちっ、面倒ごと押し付けて行きやがって」
日番谷が怒っている頃、泣き止まない一勇にルキアがおろおろしていた。
おむつでもないし、ミルクもさっきあげた。
なぜ泣いているのか分からなくて、首を傾げる。
「ただいま、ルキア。どうした、一勇泣いてるじゃねーか」
「それが、おむつでもミルクでもなくて・・・・」
「ああ、貸してみろ」
一勇を抱いて、あやして一護は優しく寝かしつけた。
「すごいな。どうやるのだ」
「簡単さ。抱いて、体を少し動かして、あやして寝かしつけるんだ」
「ううむ。まぁ、今後学んでいけばいいか」
「そうそう。何も、一気にできなくていいんだ。少しずつ、歩いて行こう。俺とお前と、一勇と・・・・流れてしまった苺花と」
「苺花?」
「ああ、流れた子がいただろ。多分女の子だと思うんだ。名前がなきゃかわいそうだからな・・・・・」
「すまぬ・・・・」
「お前のせいじゃないさ。まぁ、一勇に妹が生まれたら、その子も苺花って名前にしようと思ってるんだけどな」
「どれだけ気が早いのだ」
苦笑するルキア。
一勇の体をもらい、背中にしょったルキアは、今までない幸せをかみしめていた。
この幸せは、何処までも続いている。
一護がいる限り。
ルキアの涙、一護の決意
fin
結婚式
ルキアが身籠った。
そのニュースを聞いて、一護だけでなく恋次も喜んだ。
そして周囲の猛反対を無視して、ルキアを身請けした。
苦役5年の強制とはいえ、4大貴族の次期当主を身籠ったのだ。遊女にしておくことなど、できるはずもなかった。
ルキアの身請けの額は、罪人として苦役に課せられているだけあって、かなりの値段がしたが、4大貴族である一護からしてみれば、少し高い、程度だった。
そして、そのルキアの姿をみた朽木白哉が、一護にこう打診してきた。
ルキアを、養子として迎えたいと。死別した妻、緋真の妹であることが分かったのだ。
一護は、ルキアが嫁にくるのであれば、養子にすることを許可した。
朽木家でも、議論が割れた。流魂街の住民を・・・しかも罪人を養子にするなんて。
だが、その頃一護の働きにより、ルキアが罪人とされたのは姦計であることが明かされた。本当の罪人は、ルキアと同じ13番隊の隊員であった。
その者には、処刑が言い渡された。
そして、護廷13隊から謝罪として貴族にされた。
もう、罪人でもないただの貴族の少女である。朽木白哉が、ルキアを養子にするのになんの躊躇いもいらなかった。
朽木ルキアとなったルキアは、赤子を出産するまでは朽木家で面倒が見られることとなった。
無論、父親である一護もよく顔を見に来た。
ルキアは、初めて子を産むだけあって、難産だった。
男の赤子だったが、逆子でへその緒が、首にからみついていて、出産したときは死産かと思われた。
直に心肺蘇生が行われて、一護が見守る中で男の赤子はおぎゃあおぎゃあと、泣きだした。
「一護・・・・やったぞ。男の子だ。時期当主だ」
「よく産んでくれたルキア。愛してる」
「ルキア・・・・大儀であった」
「兄様・・・ありがとうごいざます」
朽木家と黒崎家は、縁続きになった。
赤子が生まれて1年して、朽木ルキアと黒崎一護の結婚式が行われた。
一護は、腕の中に生まれて一勇と名付けた赤子を抱いていた。
一護の頼みで、洋風の結婚式にしてくれと言われていたので、ルキアは純白のウェディングドレスを着た。金糸銀糸の刺繍の素晴らしいウェディングヴェールをつけて、朽木白哉に誘われて、新郎である一護の元に向かう。
ルキアは、自然とたくさんの涙を零していた。
式には、恋次も出てくれた。
「黒崎ルキア、汝は健やかなる時も病める時も、黒崎一護を伴侶として愛することを誓いますか?」
「誓います」
「黒崎一護、汝は健やかなる時も病める時も、黒崎ルキアを伴侶として愛することを誓いますか?」
「誓います」
指輪の交換をして、皆の前でキスをした。
腕の中の赤子を、義理の兄になる白哉に預けて、一護はルキアを抱き上げた。
4大貴族の結婚式というだけあって、とにかく豪華だった。他の貴族連中も顔を揃えていた。
その中には、破断になった四楓院夜一の姿もあった。
「夜一さん、来てくれてたのか」
「おう。破談となったとはいえ、夫になるかもしれなかった男の結婚式じゃしな。末永くお幸せにな」
「ありがとう」
抱き上げたままのルキアが、恥ずかしそうしていた。
「なんじゃ、せっかく罪人の汚名を挽回して、貴族になり、4大貴族の朽木家の養子になり、さらには黒崎家の嫁になろうとしている割には、少し緊張しておるのか?」
「き、緊張などしてヴぁ・・・・・」
かんだ。
「ルキア、いつも通りでいいだぜ」
「緊張などしておらぬ!ただ、幸せすぎて、まるで夢のようだと・・・・」
「夢か?これでも夢と思うか?」
「いひゃい。ほっぺたつままにゃいで」
「はははは、何を言っておるのか分からんわ」
ルキアは、一護にしがみついた。
「ん、どうしたルキア」
「これでいいのだろうか、私は。遊女などから、貴族へなど・・・・」
「いいんだよ。誰もが許さないとしても、俺だけは絶対に許す」
「一護・・・・・愛している」
「俺も愛してるぜ、ルキア」
二人の結婚式は、夜遅くまで行われた。
他の貴族連中の贈り物で、黒崎家の客間はいっぱいになってしまった。
「疲れてるだろう。一勇のことは召使いに任せて、休んでくれ」
「一護は?」
「まだ、貴族連中の相手をしなくちゃ。籍はなんとかいれたが、なかなか受理してもらえなかったしな・・・・まぁ、その時手助けしてくれた他の4大貴族の人とも、話たいし」
「そうか・・・・」
ルキアは、ウェディングドレスを脱いで普通の衣服に着替えると、豪華な夕食をとり、ふかふかの寝台で横になった。
ふと、恋次の顔がちらついた。
「すまぬ・・・恋次」
結婚式で、恋次は少し悲しそうな顔をしていた。でも、ルキアの幸せを誰よりも祝福してくれた。
「幸せになれよ!」
そう言って、ルキアの頭をぐしゃぐしゃと撫でてくれたあの手を、もう二度と取り戻せぬと知ってか、涙が零れた。
「ふ・・・・一護の妻になったというのに、未練たらしいな」
こんなことではいけないのと、ぱしんと自分の頬を自分の手の平で叩いた。
「ただのルキアから、朽木ルキアになり、黒崎ルキアになり・・・これからだ。まだまだこれからが、私の人生だ」
そのニュースを聞いて、一護だけでなく恋次も喜んだ。
そして周囲の猛反対を無視して、ルキアを身請けした。
苦役5年の強制とはいえ、4大貴族の次期当主を身籠ったのだ。遊女にしておくことなど、できるはずもなかった。
ルキアの身請けの額は、罪人として苦役に課せられているだけあって、かなりの値段がしたが、4大貴族である一護からしてみれば、少し高い、程度だった。
そして、そのルキアの姿をみた朽木白哉が、一護にこう打診してきた。
ルキアを、養子として迎えたいと。死別した妻、緋真の妹であることが分かったのだ。
一護は、ルキアが嫁にくるのであれば、養子にすることを許可した。
朽木家でも、議論が割れた。流魂街の住民を・・・しかも罪人を養子にするなんて。
だが、その頃一護の働きにより、ルキアが罪人とされたのは姦計であることが明かされた。本当の罪人は、ルキアと同じ13番隊の隊員であった。
その者には、処刑が言い渡された。
そして、護廷13隊から謝罪として貴族にされた。
もう、罪人でもないただの貴族の少女である。朽木白哉が、ルキアを養子にするのになんの躊躇いもいらなかった。
朽木ルキアとなったルキアは、赤子を出産するまでは朽木家で面倒が見られることとなった。
無論、父親である一護もよく顔を見に来た。
ルキアは、初めて子を産むだけあって、難産だった。
男の赤子だったが、逆子でへその緒が、首にからみついていて、出産したときは死産かと思われた。
直に心肺蘇生が行われて、一護が見守る中で男の赤子はおぎゃあおぎゃあと、泣きだした。
「一護・・・・やったぞ。男の子だ。時期当主だ」
「よく産んでくれたルキア。愛してる」
「ルキア・・・・大儀であった」
「兄様・・・ありがとうごいざます」
朽木家と黒崎家は、縁続きになった。
赤子が生まれて1年して、朽木ルキアと黒崎一護の結婚式が行われた。
一護は、腕の中に生まれて一勇と名付けた赤子を抱いていた。
一護の頼みで、洋風の結婚式にしてくれと言われていたので、ルキアは純白のウェディングドレスを着た。金糸銀糸の刺繍の素晴らしいウェディングヴェールをつけて、朽木白哉に誘われて、新郎である一護の元に向かう。
ルキアは、自然とたくさんの涙を零していた。
式には、恋次も出てくれた。
「黒崎ルキア、汝は健やかなる時も病める時も、黒崎一護を伴侶として愛することを誓いますか?」
「誓います」
「黒崎一護、汝は健やかなる時も病める時も、黒崎ルキアを伴侶として愛することを誓いますか?」
「誓います」
指輪の交換をして、皆の前でキスをした。
腕の中の赤子を、義理の兄になる白哉に預けて、一護はルキアを抱き上げた。
4大貴族の結婚式というだけあって、とにかく豪華だった。他の貴族連中も顔を揃えていた。
その中には、破断になった四楓院夜一の姿もあった。
「夜一さん、来てくれてたのか」
「おう。破談となったとはいえ、夫になるかもしれなかった男の結婚式じゃしな。末永くお幸せにな」
「ありがとう」
抱き上げたままのルキアが、恥ずかしそうしていた。
「なんじゃ、せっかく罪人の汚名を挽回して、貴族になり、4大貴族の朽木家の養子になり、さらには黒崎家の嫁になろうとしている割には、少し緊張しておるのか?」
「き、緊張などしてヴぁ・・・・・」
かんだ。
「ルキア、いつも通りでいいだぜ」
「緊張などしておらぬ!ただ、幸せすぎて、まるで夢のようだと・・・・」
「夢か?これでも夢と思うか?」
「いひゃい。ほっぺたつままにゃいで」
「はははは、何を言っておるのか分からんわ」
ルキアは、一護にしがみついた。
「ん、どうしたルキア」
「これでいいのだろうか、私は。遊女などから、貴族へなど・・・・」
「いいんだよ。誰もが許さないとしても、俺だけは絶対に許す」
「一護・・・・・愛している」
「俺も愛してるぜ、ルキア」
二人の結婚式は、夜遅くまで行われた。
他の貴族連中の贈り物で、黒崎家の客間はいっぱいになってしまった。
「疲れてるだろう。一勇のことは召使いに任せて、休んでくれ」
「一護は?」
「まだ、貴族連中の相手をしなくちゃ。籍はなんとかいれたが、なかなか受理してもらえなかったしな・・・・まぁ、その時手助けしてくれた他の4大貴族の人とも、話たいし」
「そうか・・・・」
ルキアは、ウェディングドレスを脱いで普通の衣服に着替えると、豪華な夕食をとり、ふかふかの寝台で横になった。
ふと、恋次の顔がちらついた。
「すまぬ・・・恋次」
結婚式で、恋次は少し悲しそうな顔をしていた。でも、ルキアの幸せを誰よりも祝福してくれた。
「幸せになれよ!」
そう言って、ルキアの頭をぐしゃぐしゃと撫でてくれたあの手を、もう二度と取り戻せぬと知ってか、涙が零れた。
「ふ・・・・一護の妻になったというのに、未練たらしいな」
こんなことではいけないのと、ぱしんと自分の頬を自分の手の平で叩いた。
「ただのルキアから、朽木ルキアになり、黒崎ルキアになり・・・これからだ。まだまだこれからが、私の人生だ」
固まった想い
ルキアが手首を切って自害しようとした。
そのことが一護の耳に入るまで、そう時間はかからなかった。
恋次と足抜けしようとしたことも。
恋次は4番隊で治療を受けている。その元にやってきて、怒った。
「恋次!なんで足抜けなんて危険な真似させた!」
「あれ以上、ルキアをあの場所に置いておけなかったんだよ!」
「ルキアには、できる限り会いに行っている。なのになんで自害しようとなんか・・・」
「お前にはわからねぇよ。4大貴族である坊ちゃんにはな」
ルキアは、廓の主人が気づいたのが早くて、一命を取り留めたが、心が壊れかけていてなんともいえない状態だという。
一護は、その日13番隊の隊長としての責務も放棄して、ルキアの元に向かった。
「ルキア・・・・」
「一護か・・・・もうよいのだ。私のことは、放っておいてくれ」
「そんなこと、できるかよ!」
ルキアをかき抱いて、抱き締める。
「どうすればお前に届く?この狂おしいまでの想いが。どうすれば、お前は傷つかない?ルキア・・・・お前が死んだら、俺も一緒に死ぬ」
一護は本気だった。
ルキアの包帯の巻かれた手首に何度もキスをした。
「ばかなことを・・・一護は、4大貴族の現当主であろう。こんな罪人の花魁のためになんか、命をかけるな」
「そんな罪人の花魁に、俺は全てを持っていかれているんだ。お前を助けたい。もう一度、俺の手をとってくれ」
「私は・・・・・」
「お前は、俺のものだ。勝手に命を捨てるなんて、許さない」
「一護・・・・・」
ルキアのアメジストの瞳から、涙が溢れた。
「もう嫌なのだ。花魁である自分が。一護に無理をさせている自分が」
「俺は無理なんてしてない」
「だが、今日は仕事を放棄してきたのであろう?」
「なんでもお見通しか・・・・かなわないな、お前には」
「もう一度、俺の子を孕んでくれ。そしたらお前を妻として迎えれる。苦役の強制の5年なんて無視できる」
「一護。私は、貴様に思われるほどの人間なのだろうか?」
「そうだ。お前は、俺に思われるほどの人間だ」
ルキアを抱き上げて、褥に横たわらせた。
「何度でも、お前を抱く。俺の子を孕むまで」
「一護・・・・」
お互い、服をぬぎあって、貪りあう。
ルキアに触れるだけにキスを全身に降らせると、ルキアは縮こまった。
「ルキア・・・・・愛してる」
「一護、私もだ・・・・」
深い口づけをした。
「ん・・・・」
ルキアの舌と舌を絡めあう。
ルキアの、豊満ではないささやかな膨らみを手でもみしだく。先端を口に苦ふむと、ルキアは喘いだ。
「んあ・・・・・」
そのまま、秘所を手で弄(まさぐ)る。
すでに濡れていて、陰核をきつく摘みあげると、ルキアはビクリと体を強張らせた。
秘所の、入口あたりの天井の、前立腺がある部分を指ですりあげると、ルキアは体を痙攣させた。
「ああああ!!!」
「ルキア・・・もっと乱れろ」
何度も、秘所のいい部分を指で弄った。
「入れるぞ・・・・・」
「んっ」
それを了承ととって、一護はルキアを突き上げた。
「ああ!」
何度も突き上げていると、ルキアが涙を零した。
「どうした、どこか痛いのか?」
「違う。今、幸せなのだ」
「そうか」
また律動を開始する。
褥の上で、ルキアは乱れた。
一護も、乱れるルキアをもっと乱れさせようと、挿入を繰り返す。
ルキアの秘所を貫き、揺さぶり、抉って、ルキアの子宮の奥で、一護は射精した。
「子供・・・・できるといいな」
「そればかりは、運を天に任せるしか・・・きゃう」
いったばかりの一護は、まだ硬さを失っていなかった。
騎乗位にされて、ルキアが戸惑う。
「自分の好きなように動いてみろ」
「そんなの・・・・できぬ」
下から突き上げると、いい場所からそれてしまうので、自然といい場所に当たるように体が動いていた。
「あ、あ、あ、あ」
ルキアの声が、甘ったるかった。
「お前は俺のものだ・・・・髪の一本から、爪の先まで」
「一護・・・好きだ、愛している」
「俺も好きだ、愛してる。足抜けなんて危険な真似、もうしないでくれ。命を絶つようなこともだ。お前が死んだら、俺も本気であとを追うからな」
一護の言葉が本気であると受け取って、ルキアは頷いた。
「もう、足抜けも自害もせぬ」
「そうだ。それでいい。恋次にも抱かれぬなとは言わない。だが、恋次と足抜けはしないでくれ」
その日、ルキアはまた一護の子を宿した。
だが、それが分かるのはそれから1か月は過ぎた頃だった。
「ああ、恋次!」
恋次に抱かれ、一護に抱かれ。
まさに遊女のように。
「ルキア・・・・俺のものには、もうならないのか」
ルキアの心が、一護に向いているのは知っていた。
それでも、最後まで諦めきれない。
ルキアを抱き締めながら、恋次は思う。一護さえいなければと。けれど、それは決して抱いてはいけない思いだ。
「俺は、結局一護に勝てねぇのか」
「恋次・・・・すまぬ」
ルキアは、涙を流しながら、恋次に抱かれながらもう固まってしまった想いを、恋次に与えた。
それは恋次にとって、慈悲のない言葉だった。
「私は、一護が好きなのだ。一護のものになる」
「ルキア・・・それがルキアの選んだ答えなら、もう何もいわねぇ。お前を買うのもこれが最後だ・・・ただ分かってくれ。俺もルキアが好きで、ルキアを愛している。もしも、一護のことがいやになったら、俺の元にきてくれ。大切にするから」
「恋次・・・・・一護が好きで一護のものになる。でも、恋次、貴様のことをいつまでも忘れない」
その日を境に、恋次はもう廓にルキアを買いになくなった。
そして、四楓院夜一との縁談を破談にした一護が、また毎日のように廓に通った。
そのことが一護の耳に入るまで、そう時間はかからなかった。
恋次と足抜けしようとしたことも。
恋次は4番隊で治療を受けている。その元にやってきて、怒った。
「恋次!なんで足抜けなんて危険な真似させた!」
「あれ以上、ルキアをあの場所に置いておけなかったんだよ!」
「ルキアには、できる限り会いに行っている。なのになんで自害しようとなんか・・・」
「お前にはわからねぇよ。4大貴族である坊ちゃんにはな」
ルキアは、廓の主人が気づいたのが早くて、一命を取り留めたが、心が壊れかけていてなんともいえない状態だという。
一護は、その日13番隊の隊長としての責務も放棄して、ルキアの元に向かった。
「ルキア・・・・」
「一護か・・・・もうよいのだ。私のことは、放っておいてくれ」
「そんなこと、できるかよ!」
ルキアをかき抱いて、抱き締める。
「どうすればお前に届く?この狂おしいまでの想いが。どうすれば、お前は傷つかない?ルキア・・・・お前が死んだら、俺も一緒に死ぬ」
一護は本気だった。
ルキアの包帯の巻かれた手首に何度もキスをした。
「ばかなことを・・・一護は、4大貴族の現当主であろう。こんな罪人の花魁のためになんか、命をかけるな」
「そんな罪人の花魁に、俺は全てを持っていかれているんだ。お前を助けたい。もう一度、俺の手をとってくれ」
「私は・・・・・」
「お前は、俺のものだ。勝手に命を捨てるなんて、許さない」
「一護・・・・・」
ルキアのアメジストの瞳から、涙が溢れた。
「もう嫌なのだ。花魁である自分が。一護に無理をさせている自分が」
「俺は無理なんてしてない」
「だが、今日は仕事を放棄してきたのであろう?」
「なんでもお見通しか・・・・かなわないな、お前には」
「もう一度、俺の子を孕んでくれ。そしたらお前を妻として迎えれる。苦役の強制の5年なんて無視できる」
「一護。私は、貴様に思われるほどの人間なのだろうか?」
「そうだ。お前は、俺に思われるほどの人間だ」
ルキアを抱き上げて、褥に横たわらせた。
「何度でも、お前を抱く。俺の子を孕むまで」
「一護・・・・」
お互い、服をぬぎあって、貪りあう。
ルキアに触れるだけにキスを全身に降らせると、ルキアは縮こまった。
「ルキア・・・・・愛してる」
「一護、私もだ・・・・」
深い口づけをした。
「ん・・・・」
ルキアの舌と舌を絡めあう。
ルキアの、豊満ではないささやかな膨らみを手でもみしだく。先端を口に苦ふむと、ルキアは喘いだ。
「んあ・・・・・」
そのまま、秘所を手で弄(まさぐ)る。
すでに濡れていて、陰核をきつく摘みあげると、ルキアはビクリと体を強張らせた。
秘所の、入口あたりの天井の、前立腺がある部分を指ですりあげると、ルキアは体を痙攣させた。
「ああああ!!!」
「ルキア・・・もっと乱れろ」
何度も、秘所のいい部分を指で弄った。
「入れるぞ・・・・・」
「んっ」
それを了承ととって、一護はルキアを突き上げた。
「ああ!」
何度も突き上げていると、ルキアが涙を零した。
「どうした、どこか痛いのか?」
「違う。今、幸せなのだ」
「そうか」
また律動を開始する。
褥の上で、ルキアは乱れた。
一護も、乱れるルキアをもっと乱れさせようと、挿入を繰り返す。
ルキアの秘所を貫き、揺さぶり、抉って、ルキアの子宮の奥で、一護は射精した。
「子供・・・・できるといいな」
「そればかりは、運を天に任せるしか・・・きゃう」
いったばかりの一護は、まだ硬さを失っていなかった。
騎乗位にされて、ルキアが戸惑う。
「自分の好きなように動いてみろ」
「そんなの・・・・できぬ」
下から突き上げると、いい場所からそれてしまうので、自然といい場所に当たるように体が動いていた。
「あ、あ、あ、あ」
ルキアの声が、甘ったるかった。
「お前は俺のものだ・・・・髪の一本から、爪の先まで」
「一護・・・好きだ、愛している」
「俺も好きだ、愛してる。足抜けなんて危険な真似、もうしないでくれ。命を絶つようなこともだ。お前が死んだら、俺も本気であとを追うからな」
一護の言葉が本気であると受け取って、ルキアは頷いた。
「もう、足抜けも自害もせぬ」
「そうだ。それでいい。恋次にも抱かれぬなとは言わない。だが、恋次と足抜けはしないでくれ」
その日、ルキアはまた一護の子を宿した。
だが、それが分かるのはそれから1か月は過ぎた頃だった。
「ああ、恋次!」
恋次に抱かれ、一護に抱かれ。
まさに遊女のように。
「ルキア・・・・俺のものには、もうならないのか」
ルキアの心が、一護に向いているのは知っていた。
それでも、最後まで諦めきれない。
ルキアを抱き締めながら、恋次は思う。一護さえいなければと。けれど、それは決して抱いてはいけない思いだ。
「俺は、結局一護に勝てねぇのか」
「恋次・・・・すまぬ」
ルキアは、涙を流しながら、恋次に抱かれながらもう固まってしまった想いを、恋次に与えた。
それは恋次にとって、慈悲のない言葉だった。
「私は、一護が好きなのだ。一護のものになる」
「ルキア・・・それがルキアの選んだ答えなら、もう何もいわねぇ。お前を買うのもこれが最後だ・・・ただ分かってくれ。俺もルキアが好きで、ルキアを愛している。もしも、一護のことがいやになったら、俺の元にきてくれ。大切にするから」
「恋次・・・・・一護が好きで一護のものになる。でも、恋次、貴様のことをいつまでも忘れない」
その日を境に、恋次はもう廓にルキアを買いになくなった。
そして、四楓院夜一との縁談を破談にした一護が、また毎日のように廓に通った。
流産と足抜け
一護は、本当に毎日ルキアを買いにきた。抱く日もあれば、ただ一緒に眠る時もあった。
圧倒的に、ただ一緒に眠る日が多かった。
廓の主人に金塊を投げつけたおかげか、ルキアが他の客・・・・・恋次以外に抱かれることはなくなった。
「なぁルキア。恋次のことも好きなのか」
「すまない一護。お前にここまでしてもらっているのに、恋次に抱かれた。だが、恋次も好きなのだ・・・・一護のことが好きで愛しているように、恋次も好きで愛しているのだ」
褥の上で、ただ寄り添いあい、眠ろうとしている二人。
一護は、恋次のことで怒りはしなかった。恋次とルキアと一護の3人でやってきたのだ。恋次がルキアのことを好きで愛していると知っていたし、恋次がルキアを抱くであろうことは分かっていた。
「俺の子供はできないか?」
「そればかりは、運を天に任せるしかない」
もう、子供ができないように薬を飲むことはなくなった。
「恋次の子でもいい。俺の子ということにして、お前を身請けして育てる」
「一護・・・・好きだ、愛している」
「俺もだ、ルキア」
その日、一護が帰ると、同じ廓の違う花魁と遊女たちが、こちらを見ていた。
「やぁねぇ。犯罪者で苦役で花魁してるくせに、4大貴族様に目をかけられたからって、他に客をとらないなんて。花魁失格じゃない」
「どぶ臭いねずみの匂いがするわ。流魂街の貧しい地区の生まれのくせに」
「元死神だからって、調子にのってるんじゃないわよ」
そんなことをいう遊女たちを無視して、自分の部屋に戻ろうとすると、足払いをかけられて転んだ。
懐から、一護にもらったアメジストの髪飾りが転がり落ちた。
「やだ、これ石は安いやつだけど、純金じゃないの。お前なんかにはもったいないわ。あたしがもらってあげる」
「やめろ、返せ!」
一護から昔、誕生日プレゼントとしてもらったものだった。
他のもの全てを没収されても、その髪飾りだけは手放さなかった。
「返せ!」
「やぁねぇ、ねずみが何か言ってるわ」
「くさーい」
かっとなったルキアは、髪飾りをもっていこうとした、この廓一番の花魁にと飛びかかった。
「きゃあ!」
その美しい顔(かんばせ)を、これでもかというほどに殴りつけて、髪飾りを奪う。
「生意気な」
「やっちまいな」
1VS多数の乱闘になった。
霊圧を封印されて、一般市民と同じくらいにまでになっても、元死神。戦闘で得た経験から、遊女や花魁たちを返り討ちにしていった。
「見てなさいよ!お前なんか、この廓にいられなくしてやる!」
アメジストの髪飾りを最初に奪った花魁が、廓の主人を呼びにいった。
そして、遊女のほとんどが顔を殴られ、はれあがらせているのを見て、激怒した。
「4大貴族に気に入られているからって、調子に乗るな!」
そのまま、無理やり地下室に連れ込まれて、仕置きを受けた。気絶すると水をかけられて、顔は殴らないが胸や腹を何度も殴られた。
「あ・・・・・・」
何かが、秘所から流れ落ちてきた。
「わ、私・・・・・」
一護の、子供だった。
血と一緒に、流れ落ちていく胎児。
「なっ、まさか4大貴族様のお子か!?」
「貴様、許さん!」
ルキアは仕置きを受けているというのに、懲りた様子もなく、廓の主人を睨んだ。
「知らん、俺は知らんぞ”!お前が悪い!」
縄を解かれて、自由になっても、目から涙があふれ出して止まらなかった。
「一護との、愛の結晶・・・・・」
流れ落ちていった血の中にいた、小さな胎児を手に掬い取り、抱き締めた。
「うわああああああああああ!」
ルキアは泣いた。
花魁になって、こんな感情が揺さぶられて、泣いたのははじめてだった。
一護と会った時も泣いたが、こんなショックはなかった。
廓の主人は逃げるように仕置き部屋を後にした。
「一護・・・・・・」
私はもう、だめかもしれない。
こんなこと、あと3年も我慢できない。
その日から、一護がこなくなった。
まるで、ルキアの罪を知ってるように。
一護は、四楓院夜一との結婚話が出ていて、それを潰すのに躍起になっていて、ルキアの元に通うことも禁じられていた。
それでも、なんとか抜け出してルキアの元にきた。
「ルキア、すまない毎日お前を買いに来るって言ったのに・・・・ルキア?」
「流れてしまったのだ・・・貴様との、子が」
「なんだって!なんで流れた!」
「仕置きを受けたのだ」
「この廓の主人か!」
一護は怒りに任せて廓の主人のところに行った。
「ルキアを、仕置きしたって本当か。ルキアが俺の子供を身籠っているかもしれないと、少しも考えなかったのか」
「ひ、ひい・・・・・・・」
「貴様みたいなやつ!」
背中の斬月を抜き放つ。
「だめだ、一護!人を手にかけてはだめだ!」
ルキアが、寸でのところで止めに入った。
「だがルキア・・・・・・」
「きつく言い聞かせればよい。4大貴族のお前の言うことなら、無碍にできぬはずだ。一護が、私なんかのために殺人をおこすことはない」
「ルキア・・・・・・・!」
一番傷ついているのはルキアなのに。
「おい、廓の主人。二度とルキアに手を出すな。今度仕置きなんてしたら、その右手をもらう」
「一護・・・」
「行こう」
ルキアと、ルキアに与えられた部屋に戻る。
「子供なら、また作ればいい」
「ああっ、一護・・・・・」
一護に抱かれ、乱れていく。
ルキアの耳にも、四楓院夜一との結婚話が一護に出ているのは知っていた。
「一護・・・・四楓院家の姫と、結婚しないでくれ・・」
なんて自分勝手な我儘。そう思っても、言わずにはいられない。
「安心しろ。あと少しで破談になる」
一護はルキアに夢中になった。
そして、殴られたであろう胸や腹に、回道を与えた。
「少しは、痛みましになったか?」
「ああ、お陰で大分楽になった」
その日、ルキアは一護に笑顔を向けていた。本当は泣きたいのに。
もういやだった。花魁であるのも、一護に無理をさせるのも。
数日後、恋次がやってきた。
恋次に全てを話すと、足抜けしようと言われた。
躊躇もあったが、ルキアは恋次と足抜けを試みた。でも、花街の入口で、特殊な霊圧を遮断する結界があったせいで、恋次の瞬歩が使えなくなってしまった。
恋次が、花魁であるルキアを抱いていたので、足抜けはすぐにばれて、ルキアは仕置き部屋で気絶するまで折檻を受け、恋次は右手の骨を折られた。
「ああ・・・・私は・・・・・」
何処まで、誰かを犠牲にすれば気が済むのだろうか。
もう、生きていたくない。
そう思って、カミソリで手首を切った。
圧倒的に、ただ一緒に眠る日が多かった。
廓の主人に金塊を投げつけたおかげか、ルキアが他の客・・・・・恋次以外に抱かれることはなくなった。
「なぁルキア。恋次のことも好きなのか」
「すまない一護。お前にここまでしてもらっているのに、恋次に抱かれた。だが、恋次も好きなのだ・・・・一護のことが好きで愛しているように、恋次も好きで愛しているのだ」
褥の上で、ただ寄り添いあい、眠ろうとしている二人。
一護は、恋次のことで怒りはしなかった。恋次とルキアと一護の3人でやってきたのだ。恋次がルキアのことを好きで愛していると知っていたし、恋次がルキアを抱くであろうことは分かっていた。
「俺の子供はできないか?」
「そればかりは、運を天に任せるしかない」
もう、子供ができないように薬を飲むことはなくなった。
「恋次の子でもいい。俺の子ということにして、お前を身請けして育てる」
「一護・・・・好きだ、愛している」
「俺もだ、ルキア」
その日、一護が帰ると、同じ廓の違う花魁と遊女たちが、こちらを見ていた。
「やぁねぇ。犯罪者で苦役で花魁してるくせに、4大貴族様に目をかけられたからって、他に客をとらないなんて。花魁失格じゃない」
「どぶ臭いねずみの匂いがするわ。流魂街の貧しい地区の生まれのくせに」
「元死神だからって、調子にのってるんじゃないわよ」
そんなことをいう遊女たちを無視して、自分の部屋に戻ろうとすると、足払いをかけられて転んだ。
懐から、一護にもらったアメジストの髪飾りが転がり落ちた。
「やだ、これ石は安いやつだけど、純金じゃないの。お前なんかにはもったいないわ。あたしがもらってあげる」
「やめろ、返せ!」
一護から昔、誕生日プレゼントとしてもらったものだった。
他のもの全てを没収されても、その髪飾りだけは手放さなかった。
「返せ!」
「やぁねぇ、ねずみが何か言ってるわ」
「くさーい」
かっとなったルキアは、髪飾りをもっていこうとした、この廓一番の花魁にと飛びかかった。
「きゃあ!」
その美しい顔(かんばせ)を、これでもかというほどに殴りつけて、髪飾りを奪う。
「生意気な」
「やっちまいな」
1VS多数の乱闘になった。
霊圧を封印されて、一般市民と同じくらいにまでになっても、元死神。戦闘で得た経験から、遊女や花魁たちを返り討ちにしていった。
「見てなさいよ!お前なんか、この廓にいられなくしてやる!」
アメジストの髪飾りを最初に奪った花魁が、廓の主人を呼びにいった。
そして、遊女のほとんどが顔を殴られ、はれあがらせているのを見て、激怒した。
「4大貴族に気に入られているからって、調子に乗るな!」
そのまま、無理やり地下室に連れ込まれて、仕置きを受けた。気絶すると水をかけられて、顔は殴らないが胸や腹を何度も殴られた。
「あ・・・・・・」
何かが、秘所から流れ落ちてきた。
「わ、私・・・・・」
一護の、子供だった。
血と一緒に、流れ落ちていく胎児。
「なっ、まさか4大貴族様のお子か!?」
「貴様、許さん!」
ルキアは仕置きを受けているというのに、懲りた様子もなく、廓の主人を睨んだ。
「知らん、俺は知らんぞ”!お前が悪い!」
縄を解かれて、自由になっても、目から涙があふれ出して止まらなかった。
「一護との、愛の結晶・・・・・」
流れ落ちていった血の中にいた、小さな胎児を手に掬い取り、抱き締めた。
「うわああああああああああ!」
ルキアは泣いた。
花魁になって、こんな感情が揺さぶられて、泣いたのははじめてだった。
一護と会った時も泣いたが、こんなショックはなかった。
廓の主人は逃げるように仕置き部屋を後にした。
「一護・・・・・・」
私はもう、だめかもしれない。
こんなこと、あと3年も我慢できない。
その日から、一護がこなくなった。
まるで、ルキアの罪を知ってるように。
一護は、四楓院夜一との結婚話が出ていて、それを潰すのに躍起になっていて、ルキアの元に通うことも禁じられていた。
それでも、なんとか抜け出してルキアの元にきた。
「ルキア、すまない毎日お前を買いに来るって言ったのに・・・・ルキア?」
「流れてしまったのだ・・・貴様との、子が」
「なんだって!なんで流れた!」
「仕置きを受けたのだ」
「この廓の主人か!」
一護は怒りに任せて廓の主人のところに行った。
「ルキアを、仕置きしたって本当か。ルキアが俺の子供を身籠っているかもしれないと、少しも考えなかったのか」
「ひ、ひい・・・・・・・」
「貴様みたいなやつ!」
背中の斬月を抜き放つ。
「だめだ、一護!人を手にかけてはだめだ!」
ルキアが、寸でのところで止めに入った。
「だがルキア・・・・・・」
「きつく言い聞かせればよい。4大貴族のお前の言うことなら、無碍にできぬはずだ。一護が、私なんかのために殺人をおこすことはない」
「ルキア・・・・・・・!」
一番傷ついているのはルキアなのに。
「おい、廓の主人。二度とルキアに手を出すな。今度仕置きなんてしたら、その右手をもらう」
「一護・・・」
「行こう」
ルキアと、ルキアに与えられた部屋に戻る。
「子供なら、また作ればいい」
「ああっ、一護・・・・・」
一護に抱かれ、乱れていく。
ルキアの耳にも、四楓院夜一との結婚話が一護に出ているのは知っていた。
「一護・・・・四楓院家の姫と、結婚しないでくれ・・」
なんて自分勝手な我儘。そう思っても、言わずにはいられない。
「安心しろ。あと少しで破談になる」
一護はルキアに夢中になった。
そして、殴られたであろう胸や腹に、回道を与えた。
「少しは、痛みましになったか?」
「ああ、お陰で大分楽になった」
その日、ルキアは一護に笑顔を向けていた。本当は泣きたいのに。
もういやだった。花魁であるのも、一護に無理をさせるのも。
数日後、恋次がやってきた。
恋次に全てを話すと、足抜けしようと言われた。
躊躇もあったが、ルキアは恋次と足抜けを試みた。でも、花街の入口で、特殊な霊圧を遮断する結界があったせいで、恋次の瞬歩が使えなくなってしまった。
恋次が、花魁であるルキアを抱いていたので、足抜けはすぐにばれて、ルキアは仕置き部屋で気絶するまで折檻を受け、恋次は右手の骨を折られた。
「ああ・・・・私は・・・・・」
何処まで、誰かを犠牲にすれば気が済むのだろうか。
もう、生きていたくない。
そう思って、カミソリで手首を切った。
朽木家の日常
「一護、貴様、教師になるだと?」
「ああ、京楽さんから聞いたのか。その通り、真央霊術院の、臨時教師になる予定だ」
朽木家の朝に、朝餉の時間にルキアは一護を見た。
「貴様が教師・・・・・問題が起きねば、いいのだが」
「何かあれば他の教師と交代するから、大丈夫だろ」
朝餉を終えて、ルキアは13番隊の執務室に、一護は真央霊術院に出かけた。
一護は、最近まで現世で生きていたので、その知識を皆に教えるという形になった。
貨幣価値のなりたち、電化製品、コンビニ、虚の出現に至るまで、様々なことを生徒たちに教えた。生徒たちは真剣で、2回生の生徒を請け負った。
4回生になると、死神としてすでに護廷13隊の中で実務訓練を兼ねて、死神の生き様を学ぶ。
一護は真央霊術院に通っていた時、4回生からの編入生徒になったが、残っていたいわゆる死神になるにはまだ早い者たちで、その者たちと混ざって授業を受けていた。できる者はすでに死神としての任務についていたし、一護の霊圧には虚のそれが混じっているせいで、友人はできなかった。
一護にはルキアがいたし、恋次やその他の死神仲間と友人なので、どうってことはなかった。
「現世にいって、現地滞在の任務につく者は、とにかく寝るところと食べるところを抑える必要がある。可能性としてあるのは・・・・・」
霊力のある人間の家に、居候として滞在すること。なんとも言えない形だが、それが一番安全な方法だった。
ただでさえ霊圧のある死神は、虚の食糧として的になる。
「勝てないのに戦うのは、俺は反対だ」
「でも、朽木先生、他の先生の授業では、死しても虚を駆逐せよと学びました」
「それは他の先生のいうことだ。俺は尸魂界を2回に渡って救った英雄って言われているが、元をただせばただの人間だ」
もう、苗字を黒崎から朽木に変更になったので、朽木と呼ばれるのにも慣れた。
「その人間だった俺からすれば、死神だからって、勝てない虚に挑むことはない。それより強い死神がくるのを待て」
たんたんと授業は進んだ。
やがて鐘がなり、授業の終わりを告げる。
「今日はここまで。今度は、卍解についての授業になる」
「朽木先生の卍解!見てみたいです!」
「俺も!」
生徒たちに取り囲まれた。
「ああ、明日見せてやるから、通らせてくれ」
職員室に戻り、昼になったので弁当を取り出す。
今日は、ルキアの手作りらしい。
わくわくしながら弁当箱をあけると、ルキアの顔のキャラ弁だった。
「ったく・・・かわいいことしやがって・・・」
食べるのが勿体なく感じた。
仕方なしに、端から食べていく。
「意外とうまい・・・・」
ごはんは炊き込みご飯で、ルキアの髪は海苔でできていた。アメジストの瞳のところには、白ご飯の上なのに、葡萄が置いてあった。
「なすびとかあるのにな・・・・・」
他に紫のものといったら、なすびくらいしか思いつかない。
葡萄を最後に食べ終わって、ごちそうさまをした。
「ルキアのやつ・・・・・」
顔が、思わずにやけてしまう。
次の授業は、鬼道だった。
手本として、鬼道を見せたが、一護が黒焦げになった。
「朽木先生、先生が失敗しては示しがつかないと思います」
「俺もそう思う。鬼道は得意じゃねーんだよ」
そう言いながらも、鬼道を的にあてる。クレーターができた。
「すごい・・・霊圧もすごいし・・・・ほんとに、尸魂界を救った英雄なんだ」
生徒たちに取り囲まれて、サインしてくれとねだられた。
鬼道の授業をちゃんと受けるならと約束して、教えていく。
全員が使えるようになったのを確認して、主にノートに朽木一護と、サインしてやった。
「黒崎一護のほうがよかったか・・・しかし、今は朽木一護だしな・・・・・」
授業の全てを終えると、もう夕方だった。
「じゃあ、先に失礼します」
職員室を後にして、13番隊の執務室による。
「おお、一護、どうだった?」
「最後はサインくれだとよ」
「貴様のサインなぞ、欲しくないぞ」
「いや、お前の意見じゃねーから」
中に入って、書類整理を手伝った。
「弁当はどうだった・・・・・?」
もじもじと聞いてくるので、おいしかったとはっきり言うと、ルキアは喜んだ。
「兄様の分も、私が作ったのだ!兄様も喜んでくれるといいが・・・・」
でた、ブラコン。
「なぁルキア、俺と白哉、どっちが好きなんだ?」
「そ、そんな究極の選択、できるわけがなかろう!二人とも同じくらい好きだ」
「同じくらいねぇ・・・・・」
一護と言って欲しかったが、ルキアは極度のブラコンだから仕方ない。
「そうそう、この前のわかめ大使のフィギュアができたぞ。貴様もいるのだ」
精巧な作りのフィギュアを見せられた。
わかめ大使の着ぐるみを被った一護が端にいた。白哉が単独で大きく、ラメ入りで立っていた。
「こんなもん、買うやついるのかよ」
「それは私にもわからん。しかし兄様もいるのだ、私なら買うな」
また兄様か。
ちょっとむっとした一護は、ルキアを抱き寄せた。
「一護?」
「お前さ・・・俺といるのに、白哉白哉って、俺だけを見ろよ」
「ななな、何を言っておるのだ!」
「なぁ、ルキア・・・・・」
「近い!顔が近い!」
「ばーか」
キスをすると、紫紺の瞳が見開かれた。
「ばかとは何事だ!」
顔を真っ赤にしながらも、反論してくる。
「俺の一番はお前だ」
「一護・・・・・・」
抱き締めあいながら、キスをする。
そのまま、長椅子に押し倒す。
「あっ、一護・・・・・」
首筋にキスマークを残して、隊長羽織を脱がせ、死覇装に手をかけたところで、冷たい霊圧を感じて飛びのいた。
「婚礼までは、だめだといっておろう」
「白哉!なんでここにいやがる!」
「ルキアを迎えにきただけだ」
「このシスコンが!」
「ほう。兄は、よほど死にたいと見える。散れ、千本桜」
「のああああああああ」
桜の花びらに圧されていく。
斬月を抜いて、桜の奔流を断ち切ると、そこにはもうルキアも白哉もいなかった。
「くそ、逃げられた・・・・・」
朽木家に帰ると、鍵がかかっていた。
「なんだよ、姑のいじめみたいな展開・・・・・・・」
窓から、そっと侵入する。
「誰の許しをえて、入ってきた」
なんと、そこは白哉の私室だった。
「いや、これは玄関に鍵がかかっていたから・・・・・」
「散れ、千本桜」
「またかよおおおおおおおお」
一護は、桜の海に流されて、窓の外にポイッと捨てられた。
その日、ルキアの名を呼んでも、朽木家の屋敷に入れなかった。結局、野宿した。夕飯も食えず、寒い思いまでして、なんで俺こんな目にあってるんだろうと思った。
「今日はルキアは休みだ。兄は、くれぐれも体の関係は結ばぬように。婚礼までは」
朝の一番冷え込む時間に起きた一護に、白哉がそう言った。
「仕方ない、屋敷に入ることを許可しよう」
「うー、寒い」
火鉢にすり寄る。今日は一護も休みだった。
ルキアとラブラブイチャイチャできる機会だったが、そうは問屋が卸さない。
「今日は、私も非番だ」
仕方なく、与えられた部屋で昼まで眠った。起きると、ルキアの楽しそうな声が聞こえてきた。
「兄様、素晴らしいです」
わかめ大使の焼き物を作るらしい。
そのシュールなフォルムに、一護は何も言えないでいると、ルキアが一護の存在に気付いた。
「貴様、昼まで寝るとは怠惰だぞ!昼飯はぬきだ!」
「まじかよ・・・・・」
昨日の夕飯も食っていない。
「兄様を見ろ!あのようなすばらしい焼き物を、尸魂界に広めようとなさっている」
「はぁ。もういいわ。お前の兄様は素晴らしい・・・・」
「おお、一護も兄様の素晴らしさが分かったのか!」
「なあ、白哉義兄様」
わざと、白哉の嫌いな呼び方をすると、ものを放り投げられた。それは、わかめ大使の焼きものの失敗作だった。
ぽいぽいぽいと投げられるそれを、キャッチして投げ返す。
「心が狭いな、白哉義兄様!」
「兄に白哉義兄様と呼ばれる筋合いはない」
「でも義妹の妹と結婚してるんだ。実際白哉義兄様って呼ぶだろうが!」
白哉は、一度止まって思案する。
「ルキアと離婚を・・・・・・」
「白哉、俺が悪かった!ごめんなさい!」
そんな毎日だった。
「ああ、京楽さんから聞いたのか。その通り、真央霊術院の、臨時教師になる予定だ」
朽木家の朝に、朝餉の時間にルキアは一護を見た。
「貴様が教師・・・・・問題が起きねば、いいのだが」
「何かあれば他の教師と交代するから、大丈夫だろ」
朝餉を終えて、ルキアは13番隊の執務室に、一護は真央霊術院に出かけた。
一護は、最近まで現世で生きていたので、その知識を皆に教えるという形になった。
貨幣価値のなりたち、電化製品、コンビニ、虚の出現に至るまで、様々なことを生徒たちに教えた。生徒たちは真剣で、2回生の生徒を請け負った。
4回生になると、死神としてすでに護廷13隊の中で実務訓練を兼ねて、死神の生き様を学ぶ。
一護は真央霊術院に通っていた時、4回生からの編入生徒になったが、残っていたいわゆる死神になるにはまだ早い者たちで、その者たちと混ざって授業を受けていた。できる者はすでに死神としての任務についていたし、一護の霊圧には虚のそれが混じっているせいで、友人はできなかった。
一護にはルキアがいたし、恋次やその他の死神仲間と友人なので、どうってことはなかった。
「現世にいって、現地滞在の任務につく者は、とにかく寝るところと食べるところを抑える必要がある。可能性としてあるのは・・・・・」
霊力のある人間の家に、居候として滞在すること。なんとも言えない形だが、それが一番安全な方法だった。
ただでさえ霊圧のある死神は、虚の食糧として的になる。
「勝てないのに戦うのは、俺は反対だ」
「でも、朽木先生、他の先生の授業では、死しても虚を駆逐せよと学びました」
「それは他の先生のいうことだ。俺は尸魂界を2回に渡って救った英雄って言われているが、元をただせばただの人間だ」
もう、苗字を黒崎から朽木に変更になったので、朽木と呼ばれるのにも慣れた。
「その人間だった俺からすれば、死神だからって、勝てない虚に挑むことはない。それより強い死神がくるのを待て」
たんたんと授業は進んだ。
やがて鐘がなり、授業の終わりを告げる。
「今日はここまで。今度は、卍解についての授業になる」
「朽木先生の卍解!見てみたいです!」
「俺も!」
生徒たちに取り囲まれた。
「ああ、明日見せてやるから、通らせてくれ」
職員室に戻り、昼になったので弁当を取り出す。
今日は、ルキアの手作りらしい。
わくわくしながら弁当箱をあけると、ルキアの顔のキャラ弁だった。
「ったく・・・かわいいことしやがって・・・」
食べるのが勿体なく感じた。
仕方なしに、端から食べていく。
「意外とうまい・・・・」
ごはんは炊き込みご飯で、ルキアの髪は海苔でできていた。アメジストの瞳のところには、白ご飯の上なのに、葡萄が置いてあった。
「なすびとかあるのにな・・・・・」
他に紫のものといったら、なすびくらいしか思いつかない。
葡萄を最後に食べ終わって、ごちそうさまをした。
「ルキアのやつ・・・・・」
顔が、思わずにやけてしまう。
次の授業は、鬼道だった。
手本として、鬼道を見せたが、一護が黒焦げになった。
「朽木先生、先生が失敗しては示しがつかないと思います」
「俺もそう思う。鬼道は得意じゃねーんだよ」
そう言いながらも、鬼道を的にあてる。クレーターができた。
「すごい・・・霊圧もすごいし・・・・ほんとに、尸魂界を救った英雄なんだ」
生徒たちに取り囲まれて、サインしてくれとねだられた。
鬼道の授業をちゃんと受けるならと約束して、教えていく。
全員が使えるようになったのを確認して、主にノートに朽木一護と、サインしてやった。
「黒崎一護のほうがよかったか・・・しかし、今は朽木一護だしな・・・・・」
授業の全てを終えると、もう夕方だった。
「じゃあ、先に失礼します」
職員室を後にして、13番隊の執務室による。
「おお、一護、どうだった?」
「最後はサインくれだとよ」
「貴様のサインなぞ、欲しくないぞ」
「いや、お前の意見じゃねーから」
中に入って、書類整理を手伝った。
「弁当はどうだった・・・・・?」
もじもじと聞いてくるので、おいしかったとはっきり言うと、ルキアは喜んだ。
「兄様の分も、私が作ったのだ!兄様も喜んでくれるといいが・・・・」
でた、ブラコン。
「なぁルキア、俺と白哉、どっちが好きなんだ?」
「そ、そんな究極の選択、できるわけがなかろう!二人とも同じくらい好きだ」
「同じくらいねぇ・・・・・」
一護と言って欲しかったが、ルキアは極度のブラコンだから仕方ない。
「そうそう、この前のわかめ大使のフィギュアができたぞ。貴様もいるのだ」
精巧な作りのフィギュアを見せられた。
わかめ大使の着ぐるみを被った一護が端にいた。白哉が単独で大きく、ラメ入りで立っていた。
「こんなもん、買うやついるのかよ」
「それは私にもわからん。しかし兄様もいるのだ、私なら買うな」
また兄様か。
ちょっとむっとした一護は、ルキアを抱き寄せた。
「一護?」
「お前さ・・・俺といるのに、白哉白哉って、俺だけを見ろよ」
「ななな、何を言っておるのだ!」
「なぁ、ルキア・・・・・」
「近い!顔が近い!」
「ばーか」
キスをすると、紫紺の瞳が見開かれた。
「ばかとは何事だ!」
顔を真っ赤にしながらも、反論してくる。
「俺の一番はお前だ」
「一護・・・・・・」
抱き締めあいながら、キスをする。
そのまま、長椅子に押し倒す。
「あっ、一護・・・・・」
首筋にキスマークを残して、隊長羽織を脱がせ、死覇装に手をかけたところで、冷たい霊圧を感じて飛びのいた。
「婚礼までは、だめだといっておろう」
「白哉!なんでここにいやがる!」
「ルキアを迎えにきただけだ」
「このシスコンが!」
「ほう。兄は、よほど死にたいと見える。散れ、千本桜」
「のああああああああ」
桜の花びらに圧されていく。
斬月を抜いて、桜の奔流を断ち切ると、そこにはもうルキアも白哉もいなかった。
「くそ、逃げられた・・・・・」
朽木家に帰ると、鍵がかかっていた。
「なんだよ、姑のいじめみたいな展開・・・・・・・」
窓から、そっと侵入する。
「誰の許しをえて、入ってきた」
なんと、そこは白哉の私室だった。
「いや、これは玄関に鍵がかかっていたから・・・・・」
「散れ、千本桜」
「またかよおおおおおおおお」
一護は、桜の海に流されて、窓の外にポイッと捨てられた。
その日、ルキアの名を呼んでも、朽木家の屋敷に入れなかった。結局、野宿した。夕飯も食えず、寒い思いまでして、なんで俺こんな目にあってるんだろうと思った。
「今日はルキアは休みだ。兄は、くれぐれも体の関係は結ばぬように。婚礼までは」
朝の一番冷え込む時間に起きた一護に、白哉がそう言った。
「仕方ない、屋敷に入ることを許可しよう」
「うー、寒い」
火鉢にすり寄る。今日は一護も休みだった。
ルキアとラブラブイチャイチャできる機会だったが、そうは問屋が卸さない。
「今日は、私も非番だ」
仕方なく、与えられた部屋で昼まで眠った。起きると、ルキアの楽しそうな声が聞こえてきた。
「兄様、素晴らしいです」
わかめ大使の焼き物を作るらしい。
そのシュールなフォルムに、一護は何も言えないでいると、ルキアが一護の存在に気付いた。
「貴様、昼まで寝るとは怠惰だぞ!昼飯はぬきだ!」
「まじかよ・・・・・」
昨日の夕飯も食っていない。
「兄様を見ろ!あのようなすばらしい焼き物を、尸魂界に広めようとなさっている」
「はぁ。もういいわ。お前の兄様は素晴らしい・・・・」
「おお、一護も兄様の素晴らしさが分かったのか!」
「なあ、白哉義兄様」
わざと、白哉の嫌いな呼び方をすると、ものを放り投げられた。それは、わかめ大使の焼きものの失敗作だった。
ぽいぽいぽいと投げられるそれを、キャッチして投げ返す。
「心が狭いな、白哉義兄様!」
「兄に白哉義兄様と呼ばれる筋合いはない」
「でも義妹の妹と結婚してるんだ。実際白哉義兄様って呼ぶだろうが!」
白哉は、一度止まって思案する。
「ルキアと離婚を・・・・・・」
「白哉、俺が悪かった!ごめんなさい!」
そんな毎日だった。
浮竹死んだけど幽霊です憑いてます
神掛を行った結果、ミミハギ様を失った浮竹は、肺の病が進行して死んだ。
はずだった。
「あれ・・・・」
自分の体を見る。半分透けていて、足がなかった。
そして、眠っている京楽の背後にいた。
「もしかして、俺は成仏できずに京楽に憑いている・・・・・?」
京楽は総隊長になっていて、忙しい。
その毎日を見守れたらいいなと、死ぬ前に未練たらしく思った。
霊子で存在するはずの尸魂界で、幽霊状態でいる自分は、虚に近いのだろうか。そう思いながらも、愛しい京楽をまた見れてよかったと思った。
「ん・・・・・」
京楽が目覚める。
「おはよう」
「ああ、おはよう浮竹・・・・・って、ええ!?」
結局、隊首会を開いての協議となった。
幽霊浮竹を、どうやって成仏させるかという議題だった。
「俺は、別にこのままでも構わないのだけどな・・・・虚じゃないなら」
憑かれている京楽は言う。
「浮竹は虚ではない。でも、霊子の塊というわけでもなく、はっきりいってどうやって存在しているのか謎だ」
「いっそ、魂葬したらどうだ?」
日番谷の言葉に、京楽が苦笑する。
「尸魂界で魂葬しても尸魂界に戻るだけだよ」
「それもそうか・・・だが、やってみる価値はあるだろう」
斬魄刀の柄の先で、幽霊浮竹に触れようとするが、透明になっていて触れることは叶わなった。
「だめだ。触れない」
「京楽総隊長に憑いているのだろう。成仏するまで、面倒を見てやることだ」
白哉が、どうしようもないとばかりに声を出す。
そのまま、結局どうしうもないと隊首会は解散となった。
一応、高僧である者のお祓いやら、祈祷やらも受けたが、浮竹が成仏する様子はなかった。
「僕としては、嬉しいんだけどね。例え幽霊で触れることができなくても、また君とこうして会話できるなんて・・・・・・」
「俺もだ」
はにかみながら笑う幽霊浮竹。
「できれば、このままでいたいな・・・・」
「僕もそう思う」
触れることができなくても、死別したはずの恋人と話せるというだけで、随分と変わるものだ。
「おはぎが食べたい・・・・」
ふと、浮竹がそう言った。
「供物として、供えればいいのかな?」
おはぎを甘味屋まで買いにいって、テーブルの上に置く。それを、浮竹は食べた。
幽霊状態なのに、食せるらしい。
「どうなってるの、君の体」
「わからない・・・でも、食べることはできるようだ」
「そうかい。じゃあちょっと・・・・・」
京楽は席を外す。でも、憑いているので浮竹も一緒に移動した。
「厠なんだけど・・・・・」
「ああっ、しかし憑いてるから一緒に動いてしまう。目をつぶって耳を塞いでおく」
「なんか浮竹にみられながらするって、すごい罪悪感」
厠を終えて、京楽は仕事を始めた。
「ここ、間違ってるぞ」
「あ、本当だ。ちょっと浮竹、その調子で書類整理手伝って」
「ああ、いいぞ」
夕方になった。夕餉を、念のために二人分用意してもらった。
幽霊の浮竹は、夕餉を食した。
食べようと思ったものは、さっと消えていく。どうやって食べているのかも分からない。
「味は美味いな」
「味覚あるんだ。幽霊なのに」
「そう、幽霊なのに」
「そろそろ湯あみにいくんだけど、一緒にくるよね?」
「お前にとり憑いているからな」
二人して、仲よく風呂入った。幽霊だけど、温度が分かるらしくて、湯船に浸かっていた。
「流石に体を洗ったり髪を洗ったりはできないが・・・・・湯の温度は感じられる。きもちいいな」
夜になり、京楽は眠った。浮竹も寝た。幽霊なのに寝れるのかと、朝起きて京楽に驚かれた。
「なんだか・・・・死んだって実感がしない」
「僕もだよ。君を失って嘆いて・・・でも、戻ってきてくれたかんじがする」
仲睦まじい夫婦のような関係は、今も健在だ。
「ただ、君に触れられないのが、残念だ」
「それは俺もだ」
それから1か月は共同生活をした。
やがてある日。
「京楽、もしかしたら浮竹を成仏させることができるかもしれないぞ」
日番谷が、そう持ち掛けてきた。
「現世で魂葬するんだ」
「ああ、いいよ。今のままで」
「何言ってるんだ、京楽!」
「俺も今のままがいいな」
二人して、もう浮竹は幽霊でいるのが当たり前になっていて、魂葬で成仏させるなんて勿体なくてできないと考えていた。
「まぁ、虚になるわけじゃねぇから、いいが・・・・本当に、このままでいいんだな?」
「ああ」
「うん」
「いつか、別れがくるかもしれないぞ。それも覚悟の上だな?」
「ああ」
「うん」
「そうか。じゃあ、俺はもう何もいわねぇよ」
そのまま、また数週間が過ぎた。
食事をとることで、どうやら幽霊としてのエネルギーを使っているらしくて、京楽は毎日浮竹と朝餉、昼餉、夕餉を共にした。
時には甘味屋にいって、二人分の代金を払い、注目される中堂々と二人で食べていた。
問題があるとしたら、厠までついていくことくらいか。
ふと、浮竹にしか見えない光が見えた。
ああ、あの先に本来あるべきすべての終わりがあるのだと、本能的に悟った。
光のことを京楽に話すと、絶対にそっちへ行ってはいけないと言われた。
光も、遠くにあるだけで、浮竹を吸い込む様子もない。
そのまま、二人は幽霊と死神という、奇妙な関係のまま数百年を生きた。
「ああ・・・・あれが、君が言っていた光か」
京楽の体内から、魂魄がにじみ出る。
「一緒に行こうか」
「ああ、そうだな」
もう、十分に生きた。浮竹も、京楽の最期まで一緒に在れて、満足していた。
光の先は虚無。
色のない世界。
二人は、もつれあいながら落ちていく。
京楽春水の死という形で、幽霊浮竹も二度目の死を迎えるのだった。
はずだった。
「あれ・・・・」
自分の体を見る。半分透けていて、足がなかった。
そして、眠っている京楽の背後にいた。
「もしかして、俺は成仏できずに京楽に憑いている・・・・・?」
京楽は総隊長になっていて、忙しい。
その毎日を見守れたらいいなと、死ぬ前に未練たらしく思った。
霊子で存在するはずの尸魂界で、幽霊状態でいる自分は、虚に近いのだろうか。そう思いながらも、愛しい京楽をまた見れてよかったと思った。
「ん・・・・・」
京楽が目覚める。
「おはよう」
「ああ、おはよう浮竹・・・・・って、ええ!?」
結局、隊首会を開いての協議となった。
幽霊浮竹を、どうやって成仏させるかという議題だった。
「俺は、別にこのままでも構わないのだけどな・・・・虚じゃないなら」
憑かれている京楽は言う。
「浮竹は虚ではない。でも、霊子の塊というわけでもなく、はっきりいってどうやって存在しているのか謎だ」
「いっそ、魂葬したらどうだ?」
日番谷の言葉に、京楽が苦笑する。
「尸魂界で魂葬しても尸魂界に戻るだけだよ」
「それもそうか・・・だが、やってみる価値はあるだろう」
斬魄刀の柄の先で、幽霊浮竹に触れようとするが、透明になっていて触れることは叶わなった。
「だめだ。触れない」
「京楽総隊長に憑いているのだろう。成仏するまで、面倒を見てやることだ」
白哉が、どうしようもないとばかりに声を出す。
そのまま、結局どうしうもないと隊首会は解散となった。
一応、高僧である者のお祓いやら、祈祷やらも受けたが、浮竹が成仏する様子はなかった。
「僕としては、嬉しいんだけどね。例え幽霊で触れることができなくても、また君とこうして会話できるなんて・・・・・・」
「俺もだ」
はにかみながら笑う幽霊浮竹。
「できれば、このままでいたいな・・・・」
「僕もそう思う」
触れることができなくても、死別したはずの恋人と話せるというだけで、随分と変わるものだ。
「おはぎが食べたい・・・・」
ふと、浮竹がそう言った。
「供物として、供えればいいのかな?」
おはぎを甘味屋まで買いにいって、テーブルの上に置く。それを、浮竹は食べた。
幽霊状態なのに、食せるらしい。
「どうなってるの、君の体」
「わからない・・・でも、食べることはできるようだ」
「そうかい。じゃあちょっと・・・・・」
京楽は席を外す。でも、憑いているので浮竹も一緒に移動した。
「厠なんだけど・・・・・」
「ああっ、しかし憑いてるから一緒に動いてしまう。目をつぶって耳を塞いでおく」
「なんか浮竹にみられながらするって、すごい罪悪感」
厠を終えて、京楽は仕事を始めた。
「ここ、間違ってるぞ」
「あ、本当だ。ちょっと浮竹、その調子で書類整理手伝って」
「ああ、いいぞ」
夕方になった。夕餉を、念のために二人分用意してもらった。
幽霊の浮竹は、夕餉を食した。
食べようと思ったものは、さっと消えていく。どうやって食べているのかも分からない。
「味は美味いな」
「味覚あるんだ。幽霊なのに」
「そう、幽霊なのに」
「そろそろ湯あみにいくんだけど、一緒にくるよね?」
「お前にとり憑いているからな」
二人して、仲よく風呂入った。幽霊だけど、温度が分かるらしくて、湯船に浸かっていた。
「流石に体を洗ったり髪を洗ったりはできないが・・・・・湯の温度は感じられる。きもちいいな」
夜になり、京楽は眠った。浮竹も寝た。幽霊なのに寝れるのかと、朝起きて京楽に驚かれた。
「なんだか・・・・死んだって実感がしない」
「僕もだよ。君を失って嘆いて・・・でも、戻ってきてくれたかんじがする」
仲睦まじい夫婦のような関係は、今も健在だ。
「ただ、君に触れられないのが、残念だ」
「それは俺もだ」
それから1か月は共同生活をした。
やがてある日。
「京楽、もしかしたら浮竹を成仏させることができるかもしれないぞ」
日番谷が、そう持ち掛けてきた。
「現世で魂葬するんだ」
「ああ、いいよ。今のままで」
「何言ってるんだ、京楽!」
「俺も今のままがいいな」
二人して、もう浮竹は幽霊でいるのが当たり前になっていて、魂葬で成仏させるなんて勿体なくてできないと考えていた。
「まぁ、虚になるわけじゃねぇから、いいが・・・・本当に、このままでいいんだな?」
「ああ」
「うん」
「いつか、別れがくるかもしれないぞ。それも覚悟の上だな?」
「ああ」
「うん」
「そうか。じゃあ、俺はもう何もいわねぇよ」
そのまま、また数週間が過ぎた。
食事をとることで、どうやら幽霊としてのエネルギーを使っているらしくて、京楽は毎日浮竹と朝餉、昼餉、夕餉を共にした。
時には甘味屋にいって、二人分の代金を払い、注目される中堂々と二人で食べていた。
問題があるとしたら、厠までついていくことくらいか。
ふと、浮竹にしか見えない光が見えた。
ああ、あの先に本来あるべきすべての終わりがあるのだと、本能的に悟った。
光のことを京楽に話すと、絶対にそっちへ行ってはいけないと言われた。
光も、遠くにあるだけで、浮竹を吸い込む様子もない。
そのまま、二人は幽霊と死神という、奇妙な関係のまま数百年を生きた。
「ああ・・・・あれが、君が言っていた光か」
京楽の体内から、魂魄がにじみ出る。
「一緒に行こうか」
「ああ、そうだな」
もう、十分に生きた。浮竹も、京楽の最期まで一緒に在れて、満足していた。
光の先は虚無。
色のない世界。
二人は、もつれあいながら落ちていく。
京楽春水の死という形で、幽霊浮竹も二度目の死を迎えるのだった。
京楽と海燕
「入りますよ」
海燕が雨乾堂の中にはいると、京楽の膝枕でうとうとしている浮竹がいた。
この二人、関係を隠す気がないのか、いちゃついているところを、良く見せられた。
「京楽隊長、浮竹隊長を布団でねかせてあげてください」
「いやいや、浮竹はこのままがいいんだよ」
「そうだぞー。あったかい」
「一つの布団で寝たほうがあったかいですよ」
冗談のつもりだった。
「その手があったか」
浮竹は、起き上がり、布団をしきだした。
そして、ぽんぽんと枕元をたたく。
「はいはい」
京楽は、笠をぬいで、布団に横になった。その隣に浮竹が体を横たえる。そのまま、抱き合って
二人は横になった。
おいおいおい。
副官の前で、ここまでするか。
二人とも、幸せそうな顔をしている。
「あっ」
浮竹の少し甲高い声が漏れた。
「京楽、海燕が見てるから・・・・」
「僕らの関係多分知ってるから大丈夫」
いやいやいや。
うすうす感づいてはいたが、いきなり目の前でおっぱじめるか普通?
腕の中の浮竹に口づける京楽。
浮竹は、されるがままに任せている。
「俺がいる前で・・・・・」
「そうだぞ、京楽・・・・・」
「じゃあ、海燕君がどこかに行けばいいんだね。っていうことで、下がってくれるかな」
京楽にそう言われて、少し腹が立った。
「海燕、下がっていてくれ」
「はいはい」
浮竹にまで言われては、下がるしかない。
13番隊の隊舎まで戻って、二人のことを考える。
院生時代のからの付き合いらしい。もう500年以上は関係を保ったまま、隊長をしているという。
そこまで相手を理解し、理解しあえる相手がいるのは正直羨ましかった。
「俺も、恋人作ろうかな・・・・・・」
「どうしたの、海燕」
「都か・・・・いやな、浮竹隊長が・・・・いや、なんでもない」
「浮竹隊長と京楽隊長でしょう?二人ができてるの、有名よ」
「そうなのか・・・・・・」
都と数分話して、事務作業に戻った。
4時間ほどして、夕餉の時刻になる。まだ居座っているだろうと思って、雨乾堂を訪れると、情事の痕が残る浮竹と、京楽がいた。
「ちょっと、あれから4時間はたってるんすよ!二人とも、だらだらしすぎです!」
「ん・・・ああ、ちょっと京楽がしつこかったから」
「浮竹が誘うからだよ・・・・」
二人は、海燕に追い立てられて、湯あみをしにいった。
情事のあとが残る布団をかたづけて、シーツを洗濯物の籠にいれる。それから、夕餉の用意をっ二人分した。
「ああ、いい湯だった」
湯あみからあがってきた浮竹は、色っぽいと思った。
その気のない海燕から見ても、容姿の整った上官は、京楽の目にうつればそれはそれは、美しい麗人に見えることだろう。
「浮竹、髪ちゃんとかわかさないと風邪ひくよ」
京楽が少し遅れてやってきて、京楽のために何故か雨乾堂においてある着換えの服を着て、浮竹の長い髪の水分を、バスタオルでふいていた。
「今日の夕餉は、ウナギのかば焼きか」
「お、おいしそうだね」
うなぎは美味い。庶民には少し贅沢品だ。
その他お吸いもの、つけもの、果物と、いろいろあった。
浮竹の膳の果物は、京楽の2倍になってある。果物などの甘いものの好きな浮竹のために、料理人が気を配っているのだ。
「じゃあ、俺はこれで」
去ろうとしたところを、呼び止められる。
「海燕、お前もここで食べろ」
「は?」
「いいから、夕餉をもってきてここで食べろ」
浮竹の言葉に、仕方なく同じうなぎのかば焼きの夕餉をもってきて、雨乾堂で食した。
「ほら、酒を飲め」
どうやら、酒盛りをさせるために、夕餉をここでとらせたらしい。
浮竹の飲む甘い果実酒を口にしながら、海燕は二人の様子を見る。
本当に、仲睦まじい、まるで夫婦のようだ。
「僕の酒も飲みなよ」
京楽から酒を注がれて、かっと喉を焼く高級酒に、どれだけ金がかかっているのだろうと思いつつも、飲み干す。
しばらくの間、酒を飲みあった。
浮竹と京楽は、院生時代の他愛もない昔話に花を咲かせていた。
その輪に交じる海燕は、二人の馴れ初めをなどを聞いて、少し苦手な京楽のことを見直した。
「で、酒に酔った勢いでお互いの想いを告げながら、そのまま体の関係までいってしまって、ゴールインしたんだ」
浮竹の話す、赤裸々な過去話。
「そこで、互いに隊長になって、それでもいつまでの一緒にいようと誓ったんだ。ほら、今数百年もそれから経っているのに、お互い傍にいるだろう?」
「ずっと、仲が良かったんですね」
「そうでもないぞ。こいつ、見合いをしそうになったり、女の尻を追いかけたり・・・たまに、振ってやろうかと思う」
「全部誤解だったでしょ!浮竹、僕を振るなんて、浮竹が後悔するよ」
「それもそうだな。俺を抱きとめれるのは、京楽くらいだ」
けらけら笑う浮竹は、酔っているらしかった。
頬に、ほんのり朱が混じっている。
酔うと、少し饒舌になるらしい。
「ふあー、世界が廻ってる・・・・」
「浮竹、もうお酒はそこまでにしなさい」
「嫌だ、もっと飲む」
「いい子だから・・・・」
「ふあっ」
目の前で、キスをされた。
そして、くたりと浮竹は意識を失った。
「どうしたんですか」
「眠っただけだよ」
「酒に弱かったっけ・・・・隊長」
「僕の酒を飲んでたからね」
「ああ、京楽隊長の酒は強いから」
浮竹を布団の上に寝かせて、京楽と海燕という珍しい組み合わせで飲みあった。
「君には、いろいろ苦労をかけるね」
「もう、慣れました」
「それでも、深く感謝してるんだよ。君が浮竹の副官でよかった」
「よしてください。気持ち悪い」
「褒めてるのに、気持ち悪いはないでしょ」
「京楽隊長は、いつもひらひひらしと、飄々としている様が似合ってますから」
「でも、浮竹の前ではそうでもないって言いたいんでしょ」
「そうですね。もっと軽い男だと思ってました。少し見直しました」
「酷い言われようだ」
酒をあおりながら、くつくつと笑う。
海燕も、酒を飲みながら笑った。
「浮竹のこと、頼むね」
「はい」
大切な上官だ。
頼まれなくても、精一杯守り、世話をして、助ける。
京楽と飲んだ次の日は、海燕も二日酔いになった。
浮竹は二日酔いになる前に寝てしまったので、いつも通り海燕を呼ぶ。
「海燕、おはぎ買ってきてくれないか」
「今日はちょっと・・・自分で買ってきてください」
「お、いいのか!じゃあいってくる♪」
浮竹を外に出すと、違う場所までいって夜まで帰ってこない。でも、止める元気もなかった。
夜になって、京楽に抱えられた浮竹の姿があった。
「参ったよ。甘味屋巡りの上に、酒屋で酔いつぶれて・・・・・」
「苦労する分、愛しているんでしょう?」
「う、うん。まぁそうなんだけど・・・・・」
「じゃあいいじゃないですか。京楽隊長が浮竹隊長持って帰ってくるの、もういつものことだし」
慣れたと、海燕は布団をしいた。
その上に浮竹を寝かせる。
「今日は夕餉はいりませんね」
「うん。ごめんねぇ、用意してもらっていたみたいで」
「いいえ。別の席官が食べるので、問題はありません」
「そうかい」
二人で、眠っている浮竹を見る。
「海燕、飛んで行ったぞー。京楽がとんでいった・・・・・・むにゃむにゃ」
わけのわからない寝言に、海燕と京楽は、二人して笑みを零す。
浮竹と一緒にいてくれる京楽のことが、少しだけ好きになりそうだった。
海燕が雨乾堂の中にはいると、京楽の膝枕でうとうとしている浮竹がいた。
この二人、関係を隠す気がないのか、いちゃついているところを、良く見せられた。
「京楽隊長、浮竹隊長を布団でねかせてあげてください」
「いやいや、浮竹はこのままがいいんだよ」
「そうだぞー。あったかい」
「一つの布団で寝たほうがあったかいですよ」
冗談のつもりだった。
「その手があったか」
浮竹は、起き上がり、布団をしきだした。
そして、ぽんぽんと枕元をたたく。
「はいはい」
京楽は、笠をぬいで、布団に横になった。その隣に浮竹が体を横たえる。そのまま、抱き合って
二人は横になった。
おいおいおい。
副官の前で、ここまでするか。
二人とも、幸せそうな顔をしている。
「あっ」
浮竹の少し甲高い声が漏れた。
「京楽、海燕が見てるから・・・・」
「僕らの関係多分知ってるから大丈夫」
いやいやいや。
うすうす感づいてはいたが、いきなり目の前でおっぱじめるか普通?
腕の中の浮竹に口づける京楽。
浮竹は、されるがままに任せている。
「俺がいる前で・・・・・」
「そうだぞ、京楽・・・・・」
「じゃあ、海燕君がどこかに行けばいいんだね。っていうことで、下がってくれるかな」
京楽にそう言われて、少し腹が立った。
「海燕、下がっていてくれ」
「はいはい」
浮竹にまで言われては、下がるしかない。
13番隊の隊舎まで戻って、二人のことを考える。
院生時代のからの付き合いらしい。もう500年以上は関係を保ったまま、隊長をしているという。
そこまで相手を理解し、理解しあえる相手がいるのは正直羨ましかった。
「俺も、恋人作ろうかな・・・・・・」
「どうしたの、海燕」
「都か・・・・いやな、浮竹隊長が・・・・いや、なんでもない」
「浮竹隊長と京楽隊長でしょう?二人ができてるの、有名よ」
「そうなのか・・・・・・」
都と数分話して、事務作業に戻った。
4時間ほどして、夕餉の時刻になる。まだ居座っているだろうと思って、雨乾堂を訪れると、情事の痕が残る浮竹と、京楽がいた。
「ちょっと、あれから4時間はたってるんすよ!二人とも、だらだらしすぎです!」
「ん・・・ああ、ちょっと京楽がしつこかったから」
「浮竹が誘うからだよ・・・・」
二人は、海燕に追い立てられて、湯あみをしにいった。
情事のあとが残る布団をかたづけて、シーツを洗濯物の籠にいれる。それから、夕餉の用意をっ二人分した。
「ああ、いい湯だった」
湯あみからあがってきた浮竹は、色っぽいと思った。
その気のない海燕から見ても、容姿の整った上官は、京楽の目にうつればそれはそれは、美しい麗人に見えることだろう。
「浮竹、髪ちゃんとかわかさないと風邪ひくよ」
京楽が少し遅れてやってきて、京楽のために何故か雨乾堂においてある着換えの服を着て、浮竹の長い髪の水分を、バスタオルでふいていた。
「今日の夕餉は、ウナギのかば焼きか」
「お、おいしそうだね」
うなぎは美味い。庶民には少し贅沢品だ。
その他お吸いもの、つけもの、果物と、いろいろあった。
浮竹の膳の果物は、京楽の2倍になってある。果物などの甘いものの好きな浮竹のために、料理人が気を配っているのだ。
「じゃあ、俺はこれで」
去ろうとしたところを、呼び止められる。
「海燕、お前もここで食べろ」
「は?」
「いいから、夕餉をもってきてここで食べろ」
浮竹の言葉に、仕方なく同じうなぎのかば焼きの夕餉をもってきて、雨乾堂で食した。
「ほら、酒を飲め」
どうやら、酒盛りをさせるために、夕餉をここでとらせたらしい。
浮竹の飲む甘い果実酒を口にしながら、海燕は二人の様子を見る。
本当に、仲睦まじい、まるで夫婦のようだ。
「僕の酒も飲みなよ」
京楽から酒を注がれて、かっと喉を焼く高級酒に、どれだけ金がかかっているのだろうと思いつつも、飲み干す。
しばらくの間、酒を飲みあった。
浮竹と京楽は、院生時代の他愛もない昔話に花を咲かせていた。
その輪に交じる海燕は、二人の馴れ初めをなどを聞いて、少し苦手な京楽のことを見直した。
「で、酒に酔った勢いでお互いの想いを告げながら、そのまま体の関係までいってしまって、ゴールインしたんだ」
浮竹の話す、赤裸々な過去話。
「そこで、互いに隊長になって、それでもいつまでの一緒にいようと誓ったんだ。ほら、今数百年もそれから経っているのに、お互い傍にいるだろう?」
「ずっと、仲が良かったんですね」
「そうでもないぞ。こいつ、見合いをしそうになったり、女の尻を追いかけたり・・・たまに、振ってやろうかと思う」
「全部誤解だったでしょ!浮竹、僕を振るなんて、浮竹が後悔するよ」
「それもそうだな。俺を抱きとめれるのは、京楽くらいだ」
けらけら笑う浮竹は、酔っているらしかった。
頬に、ほんのり朱が混じっている。
酔うと、少し饒舌になるらしい。
「ふあー、世界が廻ってる・・・・」
「浮竹、もうお酒はそこまでにしなさい」
「嫌だ、もっと飲む」
「いい子だから・・・・」
「ふあっ」
目の前で、キスをされた。
そして、くたりと浮竹は意識を失った。
「どうしたんですか」
「眠っただけだよ」
「酒に弱かったっけ・・・・隊長」
「僕の酒を飲んでたからね」
「ああ、京楽隊長の酒は強いから」
浮竹を布団の上に寝かせて、京楽と海燕という珍しい組み合わせで飲みあった。
「君には、いろいろ苦労をかけるね」
「もう、慣れました」
「それでも、深く感謝してるんだよ。君が浮竹の副官でよかった」
「よしてください。気持ち悪い」
「褒めてるのに、気持ち悪いはないでしょ」
「京楽隊長は、いつもひらひひらしと、飄々としている様が似合ってますから」
「でも、浮竹の前ではそうでもないって言いたいんでしょ」
「そうですね。もっと軽い男だと思ってました。少し見直しました」
「酷い言われようだ」
酒をあおりながら、くつくつと笑う。
海燕も、酒を飲みながら笑った。
「浮竹のこと、頼むね」
「はい」
大切な上官だ。
頼まれなくても、精一杯守り、世話をして、助ける。
京楽と飲んだ次の日は、海燕も二日酔いになった。
浮竹は二日酔いになる前に寝てしまったので、いつも通り海燕を呼ぶ。
「海燕、おはぎ買ってきてくれないか」
「今日はちょっと・・・自分で買ってきてください」
「お、いいのか!じゃあいってくる♪」
浮竹を外に出すと、違う場所までいって夜まで帰ってこない。でも、止める元気もなかった。
夜になって、京楽に抱えられた浮竹の姿があった。
「参ったよ。甘味屋巡りの上に、酒屋で酔いつぶれて・・・・・」
「苦労する分、愛しているんでしょう?」
「う、うん。まぁそうなんだけど・・・・・」
「じゃあいいじゃないですか。京楽隊長が浮竹隊長持って帰ってくるの、もういつものことだし」
慣れたと、海燕は布団をしいた。
その上に浮竹を寝かせる。
「今日は夕餉はいりませんね」
「うん。ごめんねぇ、用意してもらっていたみたいで」
「いいえ。別の席官が食べるので、問題はありません」
「そうかい」
二人で、眠っている浮竹を見る。
「海燕、飛んで行ったぞー。京楽がとんでいった・・・・・・むにゃむにゃ」
わけのわからない寝言に、海燕と京楽は、二人して笑みを零す。
浮竹と一緒にいてくれる京楽のことが、少しだけ好きになりそうだった。