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クリスマス

ルキアは、残りの高校生活を楽しんでいた。

一護と一緒に、また暮らしだした。

そうなる前から、大戦が終わった直後くらいにはお互いに好きだと告白しあって、付き合っていた。

現世は、クリスマス一色だった。

街の街路樹にはイルミネーションの飾りつけがされて、夜になると星より綺麗に瞬いた。

「一護、クリスマスだぞ!」

「わーってるよ。そんなにはしゃいでも、クリスマスは逃げていかねーよ」

ルキアは、長袖の分厚い生地のワンピーにダウンのコートを着ていた。

吐く息が白くなる。

夜のクリスマス一色に染め上げられた街を、一心の許可を得てぶらついていた。

まだ、高校生だ。

あまり深夜まで俳諧していると、きっと補導されてしまう。

「あったこの店・・・ルキア?おい、ルキア!!」

探すと、街路樹の傍に置いてあった、綺麗に飾りつけをされたもみの木を見上げていた。

「ルキア、はぐれたらどうするんだ」

「む?その時は、霊圧で貴様の場所を探知する」

「予約の時間に遅れるから、素直についてこい」

「うむ」

レストランを予約していた。高くもなく安くもない店だが、メニューが美味いと評判で、予約しなければ入れない盛況ぶりだった。

クリスマスということで、主にカップルが目立った。

予約していた席まで案内される。

すでに、時間であったのでメニューが置かれていた。

メインはタンドリーチキンを中心に、ピザ、グラタンといったものだった。

あつあつだったので、少し冷ましてから食べた。

「美味い・・・ほろほろと口の中で溶ける・・・けしからん美味さだ」

「けしからん美味さっってなんだよ」

一護が苦笑する。

「このような店、予約するの高かったのではないか?」

「そうでもねぇよ。でも、予約がいっぱいで、3か月前から予約してた」

食後に、クリスマスのアイスケーキが出てきた。

「かわいい・・・」

チョコのサンタが、トナカイに乗っていた。

ルキアはそれを食べることに戸惑ってたところを、一護がフォークをぶっさして食べてしまった。

「ああ、サンタさんが!」

「早く食わないと、溶ける」

「う、うむ・・・・・私のサンタさんが・・・・・」

「わーったよ。俺の分やるから」

一護は、まだ残してあったサンタのチョコを、フォークでぶっさした。

「ああ、またサンタさんを!」

「いいから、口開けろ」

素直に口を開けるルキアに、一護はサンタのチョコレートを口の中に入れた。

「ん、冷たくて甘い・・・・口の中でとろけていく」

アイスケーキを完食して、酒を飲むわけにもいかないので、ソフトドリンクを飲んでいた。

「これ、クリスマスプレゼント・・・・」

荷物の中から、一護はルキアのためのクリスマスプレゼントを出した。

「安物で悪ぃけど・・・」

それは、銀細工のブレスレットだった。アメジストがたくさん嵌め込まれていた。

「うわぁ、綺麗だな」

光に輝くアメジストのブレスレットに、ルキアは夢中になった。

「ありがとう、一護。私からのクリスマスプレゼントはこれだ!」

チャッピーのパジャマをもらった。

「おう、ありがとう」

着ぐるみじゃなくてよかったと思う一護だった。

「なぁ、高校卒業しても、またこうして会おうぜ」

「当たり前であろう!私と貴様は交際しているのだ!」

ルキアの言葉に、一護は微笑んだ。

ああ、その顔好きだな・・・・・。

そう思って、一護を見つめていた。

「む、兄様からだ」

白哉専門の伝令神機が鳴って、ルキアは出た。

「兄様どうしたのですか!」

「クリスマスプレゼントだ」

店員がやってきた。

というか、サンタのコスプレをした白哉であった。

「兄様・・・・素敵です、凄く似合っています」

「ルキアにはこれを・・・・黒崎一護、兄にはこれだ」

「つかなんで白哉が現世にいやがるんだ!」

「朽木家の財をもってすれば、不可能などない」

ふっと笑む白哉に、ルキアはメロメロ状態だった。

「ああ、素敵です兄様・・・・・」

白哉が渡してきたプレゼントの包みを少しあけて見てみる。

わかめ大使の着ぐるみだった。

「めっちゃいらねぇ・・・・」

小声だった。

「ルキアは何もらったんだ?」

「プラチナのブレスレットだ」

ああ。

贈り物が重なってしまった。

「一護からもらったのを右手に、兄様からもらったのを左手につければよい」

「そうか・・・・・」

重なっても、良かったのだ。

それに、ルキアの瞳と同じ色のブレスレットを、ルキアはとても気に入ってくれた。

「店、出ようか」

「ああ」


黒崎家の自宅に戻り、自室に戻った。

白哉とは、レストランの前で別れた。

「なぁ、ルキア」

「なんだ」

「俺のクリスマスプレゼント、白哉みたいに豪華なものじゃないが、そんなに気に入ったのか?」

「ああ・・・こうして光に透かすと、紫色の影が落ちるのだ」

天井の光に透かせてみせるルキア。

「ああもう、お前はかわいいな!」

抱き寄せて頭を撫でてやると、ルキアは甘えてきた。

「いちご、もっと・・・・」

さらさらの黒髪を手ですいて、舌が絡まるキスをした。

「ふあ・・・・もっと・・・」

「ああ、もうなんでこんなにかわいいんだ!」

ルキアの濡れた瞳が、煽情的だった。

もう一度キスをして、離れた。

「最後まで、しないのか?」

「高校を卒業してからだ。俺が一人暮らしするから、それまでは無理だ」

妹や父親のいる黒崎家では、睦みあえない。

「ラブホテルに、いくか?」

ぶーっと、一護は飲みかけのお茶を吹き出した。

「誰だ!誰がお前に、そんなことを吹き込んだ!」

俺の純白のルキアの思考を穢す奴は許さん。

「この前、テレビでやっていた。やる目的にのために、ラブホテルがあるのだと、言っていた。
その、いいのだぞ?お前が欲しいなら、行ってもいい。私の初めてを貴様に・・・」

「その話はそこまでで」

「いちご?」

「高校の間は、清いままで交際しようって約束したじゃねーか。それに、ラブホテルとかただ単にルキアの体目的のためみたいで、嫌だ」

「私はそれでも、良いのだぞ?一護が好きだ。一護のためなら・・・・・」

ルキアは、潤んだアメジストで見つめてきた。

「俺もルキアが好きだし、抱きたいと思ってる。でも、高校卒業まではだめだ。白哉とも、約束したしな・・・・」

「そうか、兄様が・・・・・ということは、私と付き合うために、わざわざ兄様に会いにいったのか!?」

「ああ、そうだ。すっげー顔して睨まれて、千本桜でその覚悟はあるのかって斬りかかってきた・・・・・・」

ルキアは、小さく笑った。

「兄様のしそうなことだ」

「最後は、妹さんを俺にくださいって言ったら、放心して、その後、卍解して互いに斬りあった」

「うわぁ・・・・・・」

「俺が諦めないてって何度も言うと、付き合うことを・・・・結婚前提に、許してもらった」

「え、結婚前提!?初耳なのだが!」

ルキアが、その大きな瞳をさらに大きく見開く。

「あ、言うの忘れてた」

「一護のたわけ!このばかばか!」

ぽかぽかと殴られたが、痛くはなかった。

「そういうことだから、俺も我慢するから、ルキアも我慢な?」

「分かった・・・・・・」

ルキアは、一護を押し倒して、唇を重ねてきた。

「ルキア?」

「私も、欲はあるのだ。結婚前提ということは、私が人間になるのであろうか?それとも、一護が死神化するのであろうか」

「多分後者だ。マユリに薬をどうとか言ってたから」

ルキアが目を輝かせる。

同じ時間を生きられるのだと。

「一護、しかしよいのか?家族を捨てることになるのだぞ」

「別にいいよ。完全に顔を出さなくなったりするわけじゃねーんだし」

「愛してる、一護」

「俺も愛してる、ルキア」

残りの高校生活を穏やかに暮らしていこう。

そう思う二人であった。






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お母さんな海燕

「おはよう、海燕」

「ええっ。隊長がこんな時間に一人で起きるなんて!明日は雨かな?」

今朝の7時だった。

いつもだらだらと寝ている浮竹が起きるのは10時くらいだ。

9時から仕事は始まっているのだが、この上司、ねぎたないので放っておけば昼過ぎまで寝る。

「朝餉を食べる」

「今日も食べないと思って用意してませんよ。仕方ない一般隊士の食事になりますが」

「ああ、それでかまわない」

朝餉を食べて、体操をした。

「何してるんですか」

「食後の運動だ」

「やっぱり明日は雨が降る!」

9時になり、仕事にとりかかる。

ささっと終わらせてしまい、昼までには今日の仕事は終わってしまった。

「明日の分もやるか」

「隊長、無理しないでくださいよ」

「ああ」

明日の分の仕事をして、昼餉をとっているところに、京楽がやってきた。

「やあ、春水、今日もいい天気だな」

京楽は、眉を顰めてひょいっと浮竹を抱き上げた。

「どうしたんですか、京楽隊長」

「この子、今日は真面目だったでしょ」

「ええ、そうですが・・・・・」

「やっぱり。熱あるよ、この子」

海燕が、驚愕の表情になる。

「ええ!嘘だ、こんなに元気そうじゃないですか」

「たまーにあるんだよねぇ。熱出しても自覚しないで真面目になるんだよ。仕事とかもできるから気づかないまま放置しておくと、倒れる。睦み事以外で僕を春水とは呼ばないからね」

「おい、俺は熱なんて・・・・・ないと思ったらあったーー!!」

自分の額に手をあてて、はっきりと熱いのを自覚した。

「道理で、体全体が重くて、だるいわけだ」

「症状あるなら最初から言ってください!」

「いやぁ、清々しい朝だったから。仕事もばりばりできたし」

「熱だしてるんだから、薬のんでちゃんと休もうね」

京楽が、浮竹の頭を撫でる。

「まあ、今日の分の仕事はできているから、それでもいいか」

海燕の手で、お日様に干していた布団がしかれて、その上に横になった。

「太陽の匂いがしてぽかぽかだ。おい京楽、人間ほっかいろになれ」

季節はまだ冬。

寒いのだ。

京楽は笠をとり、浮竹の隣に寝た。

「あんたら・・・昼間っから、盛らないでくださいね?」

「いやだなぁ、海燕君。熱のある浮竹に手を出すほど、飢えてないよ」

「あったかい・・・・」

毛布と布団を深く被って、浮竹はうとうとしだした」

「ああ、薬飲まさなきゃ」

「そうだ、解熱剤を」

海燕がもってきた解熱剤を、コップの水と一緒に放り込んで、口移しで飲ました。

「んんう・・・・あっ」

ごくりと嚥下した。

「ほら、もう邪魔しないから寝ていいよ」

「じゃあ寝る・・・・おやすみ」

「ああ。おやすみ」

浮竹が眠ると、京楽は布団から出て去ろうとする。

「どこいくんですか?」

「いやぁ、仕事貯めこみすぎちゃってねぇ。浮竹がこれだど暇だから、たまには仕事しようかなぁと思って」

「どんだけ貯めこんでるんですか」

「んー。半月分くらいかなぁ。1月分を過ぎると、七緒ちゃんに怒られるから、1か月分たまる前にぼちぼち処理いていくんだ」

その言葉に、七緒に心から同情した。

「あんたの副隊長もかわいそうですね」

「いやぁ、海燕君ほどじゃあないよ。七緒ちゃんは、いつも通り仕事して、仕事はたまりまくったら、切れて僕が連れていかれるだけだから」

「まぁ。浮竹隊長は私生活まで面倒みてますから・・・・・」

「それが大変そうなんだよ。浮竹、基本的に怠惰だからね」

「この前なんて昼過ぎまで寝てましたよ」

「学院時代から、朝には弱かったなぁ。まあ、週末の休みくらいしか寝過ごすとこはなかったけど」

「それって、隊長にとっては今が毎日が休みみたいなもんなんでしょうか」

「さぁ、それは浮竹に聞いてみないと分からないよ」

その浮竹は、幸せそうな顔で眠っていた。

熱も、起きる頃には下がっているだろう。

「まぁ、浮竹も忙しかった席官は副官時代を体験してるから、今は君がいてくれるせいで安心して寝てるんじゃないかな」

「それでも、寝すぎです」

「まぁ、臥せって寝てる時が多いから。癖になっちゃうんだろうね。吐血して2週間くらいの入院が終わって退院する頃には、寝すぎてちょっと昼夜逆転生活送ってたし」

「入院は暇ですからね・・・」

海燕が副官になっても、年に2回位は吐血を繰り返して入院していた。

お見舞いにいくと、いつもすまなさそうにしていた。

「まぁ、発作じゃなかっただけよしとするしかないよ。じゃあ、僕戻るから。夕刻過ぎにまた様子を見にくるから」

その時間帯は、海燕の1日が終了して、もう雨乾堂にはいない。

後のことは京楽に任せることになる。

浮竹は、7時頃に起き出してきた。

夕餉が置いてあった。

熱が下がったのを確認して、夕餉が二人分あるのに首を傾げる。

「京楽のか?まぁいいや、デザートもらっちゃおう」

よく甘味屋で注文する白玉餡蜜だった。

「浮竹、調子はどう?」

「あ、京楽。今日泊まるのか?」

「うん、その予定だよ」

「だから、夕餉がもう一人前あったのか。デザートもらってしまったけど、いいよな?」

「別に構わないよ」

京楽も、夕餉をとった。

少し冷めていたが美味しかった。

浮竹の額に手をあてる。

「うん、熱はもう大丈夫なようだね。今日は普通に寝ようか。また熱がぶり返したら困るから」

「ああ」

二人は一組の布団で寝ようとした。

「寝すぎて寝れない・・・・・」

「仕方ないねぇ。これ飲みなさい」

眠剤を渡された。

コップの水と一緒に飲み干す。

とろんとした眠気がすぐに襲ってきて、浮竹は眠ってしまった。

眠剤に耐性がないのだ。

たまに寝れない時用に処方してもらっているものだが、浮竹にはきついようだった。

次の日、薬のせいで眠ったままの浮竹に怒る海燕に、事情を話して、自然と起きるまま放置してもらった。

「ふあ~~~よく寝た。寝すぎで頭が痛い・・・・・」

「ったく、どんだけ寝るんですあんたは。11時ですよ」

「ちっ」

「今舌打ちしましたね!?もっと、寝ていたかったって思ったでしょう!」

「気のせいだ」

「ほら、さっさと起きて着替えて顔洗う!それから飯たべて、さっさと仕事にとりかかってください!」

その様子を見ていた京楽は、笑った。

「何がおかしいんでか、京楽隊長」

「まるで、お母さんみたいだなと思って」

「ええ!こんなでっかい子供いりません!こんな世話のかかる子、こっちから願い下げです!」

「海燕~旗減った飯~」

洗面所から間延びして聞こえてくる声に、京楽はまた笑う。

「頑張れ、海燕母さん」

「だああああああ!あんたらはもう!!!!」

頭をかきむしりながら、それでも海燕は二人分の昼餉を用意するのであった。


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寝たいだけ寝る

「いい加減に起きろおおおおおおお」

海燕は般若になっていた、

「いやだ、あと5分なんて言わずに、5時間寝る!」

「どれだけ寝るつもりなんだああああああああ」

「日が沈むまで!」

「仕事しろおおおおおおおおお」

「気が向いたら!」

「あーもう、好きにしてください。俺しーらないっと」

そう言って、海燕は布団のへばりついていた浮竹を放置して、雨乾堂から出た。

朝飯がいらないのはよくあることだが、昼飯も何も言ってこないので、雨乾堂に様子を見に行く。

浮竹は眠っていた。

「いい加減おきろおおおおおおおおお」

「まだ寝るうううううううううう」

また、浮竹は布団にへばりついた。

「ああもう、好きにしろおおおおおおお」

毛布を浮竹の体にかけた。

今日は午後から冷え込むからだ。

季節は冬になろうとしていた。

海燕は、隊舎で黙々と仕事をした。

ふと、浮竹のことが気になった。遅くても昼飯はいつも食べたいといってくる時間なのに、何もいってこない。

まさか、発作?

それとも高熱で動けないとか。

考えれば考えるほど思考は悪い方へ悪い方へと進んでいき、隊舎を飛び出していた。

「隊長!大丈夫ですか!?」

「ぐーーーーー」

ずさぁ。

海燕は、顔面から畳につっこんだ。

「まだ寝てやがんのかああああああああ!!!」

ついには、切れて布団を奪いとった。毛布もだ。

「寒い!眠い!腹減った!」

「いい加減に、頼むから起きてください・・・・・」

「ん・・まだ4時か」

「あのなぁ。もう4時ですよ!あんた、何時間寝たんだ」

「えーと。16時間くらい」

「寝すぎだあああああああ!!」

「何、最高26時間寝たことがある」

「病で?」

「全然元気な時に」

「だらだらしすぎだああああああああ!!!」

浮竹の頭を、殴った。

「暴力反対!もっかい寝るから、布団返してくれ」

「いーえ、いい加減起きてもらいます」

「そうだよ、いい加減起きなよ、浮竹」

京楽が、暖簾をかき分けて入ってきた。

「京楽か・・・・仕方ないなぁ、起きてやろうじゃないか。海燕、喜べ」

「起きて当たり前だああああああああ!!・・・・・・・疲れた。俺、帰ります。探さないでください」

「おい、海燕!?」

「もう好きなだけ寝てください。知りません」

「俺を置いていくのか!?」

「はい」

まるで、愛する者との別れのようで、京楽は良い顔をしなかった。

「まぁまぁ、どうせ家に帰宅するだけでしょ」

「副官辞めます」

「海燕!本気なのか!」

浮竹が、慌てだす。

「こんな手のかかる上官いりません」

「ちゃんと起きるから!そんなこと言わないでくれ!」

「ちゃんと、朝の8時には起きますか?」

「起きる!」

「仕事もちゃんとしますか?」

「京楽じゃあるまいし、さぼったりため込むことは元からほとんどない!」

京楽が、少し痛いところを突かれた顔になった。

「薬もちゃんと飲んで、熱が下がったからって勝手に甘味屋まで行ったりしませんか?」

「しない!全部、お前の言う通りにするから、副官を辞めるなんて言わないでくれ!」

涙を浮かべて抱き着いてくる浮竹に、海燕も長い溜息を零した。

「分かりました。副官はこのまま続けます・・・・・でも、俺のいいつけ、ちゃんと守ってくださいね」


次の日。

「起きろおおおおおおおおおお」」

「いやだああああああ!!!」

そんな二人のやり取りを見て。

「だめだこりゃ・・・・・・」

そういう、京楽の姿があった。


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健康とミニフィギュア

最近の体体重計ではいろいろ測れて、京楽は自分の体脂肪の高さに仰天した。

すぐに4番隊にいき、精密検査を受けると、確かに体脂肪は少し高いが、健康体であると言われた。ただ、酒の飲みすぎで体脂肪が増えているのだろうから、酒は控えめにするようにと言われた。

「はぁ・・・・・・・」

「どうしたんだ、京楽」

京楽は、浮竹と飲み交わしあっていたのだが、あまり飲んでいないようだった。

「お前が飲まないなんて、明日槍でも降るんだろうか」

「病院でさぁ。お酒の飲み過ぎっていわれた。酒を控え目にするようにって。体脂肪が、ちょっと高くなってた」

「控えろと言われたわりには、酒飲んでるな」

「うん。禁酒なんて僕には無理・・・・・」

ちびちびと飲んでいく。

「しばらく、いつもの半分以下でいこうと思う」

「いつまで続けられるか、だな。運動もしたほうがいいぞ。そうだ、毎朝俺とウォーキングをしよう」

「ねぎたない君が、朝早くに起きるとは思えない」

「う、それは・・・・・じゃあ、午後に」

「そうだね。いつも書類仕事ばかりだから最近運動してないし」

そういうことで、次の日の死神の業務が終わる6時から少し休憩をとって、6時半~7時の間を瀞霊廷を散策しながらウォーキングを繰り返した。

京楽はお陰で体脂肪がぐっと減った。

その体重計に浮竹も乗り、体脂肪と体重が減っているのにぎょっとする。

「筋肉をつけるための動いていたつもりなのに・・・卯ノ花隊長から、これ以上痩せるなって言われてるのに痩せてしまった」

「まぁ、食事の量をちょっと増やすとか工夫すればいいよ」

「お前の体重と体脂肪を分けてほしい」

「君と足して2で割ったら、ちょうどよさそうな健康体ができあがりそうだね」

そのまましばらくの間、ウォーキングを続けた。

京楽はもう気にすることなく酒を飲み、浮竹は夕飯を少し多めにとることで、体重維持を図るっていた。

「ああ、健康っていいなぁ」

京楽は幸せそうだったが、浮竹は違った。

「夜のウォーキングでこれまで3回風邪をひいた。俺には、ウォーキングが向いていないのだろうか」

「浮竹は病弱だから。健康体になろうと足掻いても、だめなのかもしれないね」

「やはりそうか・・・明日から、ウォーキングはなしにする」

「うん。僕も体重も体脂肪も減ったから、しばらくウォーキングは休むよ」

こうして、二人の健康な生活はまた元の不健康な生活に戻った。

しばらくして、また体重計の乗ってみた。

京楽の体脂肪は増えていた。

浮竹は、一時は体重が増えたのだが、また軽くなって細くなっていた。

「ウォーキング・・・・またはじめるかなぁ」

「一人じゃ辛いだろう。俺もまたすることにする」

「浮竹は無理しないでね!」

こうして、また毎日夕刻に二人はウォーキングをした。

お陰で京楽の体脂肪はまた減り、浮竹は待望の体重を増やすことに成功した。

「ウォーキングの他にも、ストレッチや筋肉トレーニングをしているんだ」

「道理で、ちょっと筋肉ついたわけだ」

お互い、体を重ねあっているので、ちょっとしか変化はすぐには分からないが、しなやかな筋肉をもつ浮竹の体が、無駄のない筋肉を少しつけたかんじだった。

「体重が増えて喜んでいるなんて、女性死神連中に知られたら、リンチに合いそうだ」

「それ、言えてる」

女性は、常に体重と戦っている。

「久しぶりに、飲み交わさない?今日は満月だし・・・・」

「いいな。飲もうか」

しばらくの間、酒を控えていた京楽だったが、その日は好きなだけ飲んだ。

浮竹も、京楽と付き合って、果実酒を浴びるように飲んで、酔いつぶれた。

「きょおらくーーーーー!俺の酒が飲めないのかー!」

「ちょっと、浮竹飲みすぎだよ」

「お前の酒をよこせーーー!」

酔っ払いにしては素早い速度で、京楽の酒の瓶を手に入れた浮竹は、中身をごくごくと飲んだ。

「あーあ・・・・・」

「ういっ。世界が廻る・・・・・・・・・ZZZZ]

京楽に抱き着いて、眠りこんでしまった愛しい浮竹の頭を撫でた。

白い髪が、サラサラと零れていく。

「本当に、君って子は・・・」

お互い、もう若くはない。

それでも、院生時代から変わらない愛を誓い合っている。

京楽は、布団を1組しいて、その上に浮竹を寝かせると、その隣にもぐりこみ、布団を被った。

すぐには眠れなかったが、1時間ほどして京楽も眠りについていた。

「ふあーよく寝たー」

次の日は休日だったので、昼過ぎまで怠惰に眠った。

「ああ、もう朝・・・っていうか、昼だね。酒飲み過ぎちゃったみたい」

海燕がいなくなり、二人を起こす者もいなくなったので、よく寝過ごした。

遅めの昼餉を食べて、甘味屋までいき、駄菓子屋で菓子をかって、浮竹は新しくでたブリーチのミニフィギュアのガチャガチャに夢中になった。

「出たーーーー!幻のウルキオラ!」

「ウルキ・・・?誰それ」

「一護君が倒した、十刀’(エスパーダ)の一人さ」

「破面か。どうりで知らないわけだ」

京楽は、興味を失ったように、ウルキオラのミニフィギュアを見た。

「この純白と黒のくっきり分かれた姿がかっこいい・・・」

「ちょっと、そのウルキなんとかに惚れてるとかいいださないでね!?」

「いや、普通にかっこいいぞ」

京楽は、浮竹の手からウルキオラのミニフィギュアを奪うと、口づけていた。

「んん・・・・・」

「惚れてないよね?」

「バカ・・・・俺が惚れているのも、好きなのも、愛してるのもお前一人だ」

その言葉に満足して、浮竹にミニフィギュアを返そうとして、そのあまりの出来のよさに関心をもった。

「このミニフィギュア、浮竹のもあるの?」

「ああ、あるぞ」

「よし、とってやる」

結局、京楽までガチャガチャにはまるのであった。



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10話補完小説

宙に舞い散る血。

「これにて、おしまい」

出される最後の言葉。

「おい、死ぬな。まだ足りねぇんだよ」

まだ戦い足りない。

まだ血を求てていたい。

「死ぬなあああ!」

更木が叫んだ。

ふふ・・・・・子供みたい。

役目を果たして死ねることの、なんたる幸福でることか。

「私は幸せでずよ、更木隊長。あなたの手にかかって死ねるなら、本望です」

「回道でなんとならねぇのか!」

「なるなら、とっくにかけています」

唇が、重なった。

「更木隊長?」

「好きなんだ。死ぬな」

「ふふ・・・・ありがとう。でも、先に逝きます」

「卯ノ花!」

「八千流と呼んでください」

「八千流・・・・・・」

「最強の剣八よ。私の名はあなたに受け継がれた。あなたは幼い頃にしてしまった戦闘への枷を外した。私の後を継ぐのは、あなたしかいない---------------」

「八千流、頼むから死なないでくれ」

「ふふ・・・・想い人にそう言われるのは心地よいですね」

少しずつ、動きが鈍くなっていく。

瞳に光がなくなっていく。

「つまらねーな。これで終わりなのかよ・・・・」

卯ノ花の体を抱き締めた。

命の匂いも味も、酷く甘美だった。

自分の斬魄刀が呼びかけてくる。その声を、初めて聞いた。

ああ----------------卯ノ花は、これのために俺に斬られて、命を落としたのか。

そう思うと、不思議な感覚だった。


「卯ノ花隊長が、逝ったか・・・・・・」

膨大な霊圧がかき消えた。

これで、護廷13隊の隊長のうち二人を失ったことになる。

「卯ノ花隊長は、更木隊長のために散ったのか」

まだ納得ができてない浮竹は、更木に対して怒っていた。

「何故、愛し合っているのに、剣を交じわせる必要があるんだ」

「それら彼らにしか分からないよ。斬りあうことが、愛情表現に近いんじゃないかな」

「どうか、している・・・」

浮竹は思った。

卯ノ花の回道はまだまだ必要なのだ。

「卯ノ花隊長、何故あなたは、自ら死を-----------------」

無暗から、更木一人が出てきた。、

「卯ノ花は中にいる。葬式でも、してやってくれ」

更木の霊圧は、今まで以上で、無暗に入る前とは別人のようだった。

「満足はしたかい?」

京楽が声をかける。

「ああ?満足するわけねーじゃねぇか!早く敵をぶった斬りたいぜ」

「頼もしいな・・・・・・」

浮竹の言葉に、むず痒そうな顔をしていた。

「俺は行く。じゃあな」

「卯ノ花隊長の遺言だ。これを」

血まみれの更木の体を癒すための、飲む薬を渡された。

それを口にすると、たくさんの傷跡が全て塞がっていた。

「卯ノ花・・・・愛していた・・・・」

もう、過去形だ。

卯ノ花烈は死んだs。

「ちょっくら行ってくるわ」

「何処へ?」

「敵のところへ。また侵攻してくるんだろう?」

「だが、いつになるかわからないぞ」

「この、目覚めたばかりの斬魄刀と会話もしなきゃいけねぇ。じゃあな」

消えていく更木の姿を、浮竹は見守っていた。

「卯ノ花隊長。あなたの魂は、きちんと更木隊長に受け継がれているよ」

京楽はそう言って、無暗の中に入り、卯ノ花の遺体を抱き上げた。

「葬儀になるね。山じいに続いて卯ノ花隊長か。次は誰が死ぬんだろう」

京楽も浮竹も、次が浮竹になるとは思ってもいなかった。

卯ノ花の死に顔はとても安らかで。

幸せに、満ちていた。

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翡翠に溶ける 海燕

隊長になって幾千の夜を重ねただろうか。

浮竹には、海燕という信頼できる副官ができた。

3席だった白銀音羽は、虚退治で命を散らせた。

海燕は、二人の関係を黙認しながら、浮竹の世話をよく焼いてくれた。

「ほらもう隊長、さっきからぽろぽろ零して!子供じゃあるまいし!」

昔に比べて、穏やかな日々が多くなった。

もう、若いとはいえない年になっていたが、週に1度は体を重ねていた。

「ああ、またそんなところにキスマーク残されて!京楽隊長、見えるところにキスマーク残すのちやめてもらえませんか!まともに見ていられない!」

「虫よけだよ」

「俺が虫っていいたんですか!」

「そうだよ」

「確かにうちの隊長は美人だけど、あんたと違ってそっちの趣味はないですから」

「でも、この前僕らの睦みあう浮竹の喘ぎ声聞いて、抜いてたでしょ」

「なんで知ってるんだ!ああそうですよ、抜きました!仕方ないでしょう、隊長の声腰にくるんだから!」

「海燕、ぬきたいならいくらでも喘ぎ声くらいあげてやるぞ?」

そう、冗談か本気なのかとれぬ浮竹の言葉に、必要ありませんときっぱり告げた。

浮竹は無防備だ。

京楽以外の男に迫られたことも何度かある。

その度に、なぜ自分がそんな目に合うのか理解していないのだ。

天然のたらしで・・・容姿はいいし、性格もいい。

海燕が女性だったら、きっと惚れて結婚を申し込んでいただろう。

でも、浮竹には京楽がいる。

それはもう少年時代からの付き合いで・・・なんとも用心深いことに、体を重ねるたびにキスマークをつけて、それが消えないうにち上書きするのだ。

「京楽は、海燕のこと嫌いか?」

「あんまり好きじゃないね」

「海燕を京楽をどう思う?」

「性欲の権化。隊長を抱くことか頭にない」

「お、喧嘩売る気かい?買うよ!」

「あんたに喧嘩なんか売っても、勝てるわけないじゃないですか!」

ぎゃあぎゃあいい合う二人の口に、浮竹はおはぎをつっこんだ。

「もぐもぐ・・・おいしいじゃないですか」

「もぐもぐ・・・僕は、浮竹にに少しでも気のある子が、近くにいるのはいやだ」

「大丈夫。海燕は安心できる。確かに俺の声で抜くとかちょっとずれてるけど」

「かなりずれてるよ。まぁ、君の声はほんとに腰にくるから、分からないでもないけど」

海燕いったん雨乾堂を下がり、茶をいれてやってきた。

「お茶です。3時ですから、おやつ許可します」

「やった!」

浮竹は、戸棚からおはぎを取り出すと、京楽と海燕に分けてやりながらゆっくりと食べた。

「長年隊長の傍にいるせいでしょうか・・・俺まで、おはぎが好物になってしまった」

もう、海燕が浮竹の副隊長になって10年以上経過していた。

「あ、これ報告しないと。今後、席官の都と籍をいれることになったんです」

「おい、それ重要案件じゃないか!結婚式は挙げないのか!?」

「お金、無駄にかかるだけですから、結婚式はしません」

海燕はきっぱりと言った。副官とはいえ、給料に限りがる。いつか子供ができたら、教育費がいる。

「そんな、勿体ない・・・・金なら京楽が・・」

「出しません」

「ええ、そんなこと言わずに」

「海燕君が泣いて土下座で謝るなら、出してあげないこともない」

「こっちからお断りです!」

京楽に、海燕が投げてよこした座布団がクリーンヒットした。

「あいた」

「こちとら、没落したとはいえ元5大貴族。金をかりるようなことは、俺のプライドが許せません」

「俺はよく京楽に金出してもらっているがなぁ」

「あんたは、京楽隊長の恋人だから」

「優しいぞ?」

首を傾げてくる仕草に、かわいいと思ってしまった。

「あんただけにです」

「だそうだ、京楽」

「まぁ、別に海燕君が嫌いというわけじゃあないんだけどね。あんまり好きじゃないけど。よく浮竹の面倒見てくれるから、浮竹が酷い発作を起こすことも少なくなったし、熱を出すことも昔に比べれば減った」

「え、あれで減ったんですか。昔の隊長ってどこまで病弱なんだ・・・・・・」

「昔は昔、今は今」

残していた、最後のおはぎを口になる。

空になった皿に、なんともいえない寂寥感を感じて、じっと京楽の顔を見た。

京楽は、海燕の方を向いてニヤリと笑った。

「じゃあ、浮竹が物足りないようだから、僕ら甘味屋に行ってくるよ」

「隊長、今は仕事の時間ですよ」

そう止める海燕の手を引っ張った。

「まぁ、お前もこい。共犯者になろう」

有無をいわせぬ力で引きずられて、仕方なく海燕も甘味屋に同行した。

京楽は面白くなさそうな顔をしていたが、浮竹が甘えてくるので仕方ないかと、納得した。

甘味屋で、おはぎと白玉餡蜜とぜんざいを3人分注文する浮竹に、正気かと聞くと、「これくらい軽い」と言って返されてしまった。

3人前が、ずらっとテーブルに並ぶ。それを、遅くも早くもない速度で、平げてしまう浮竹。

「どこにそんだけ入るんですか・・・その細い体で」

「甘味物は別次元の胃に繋がってるんだ」

「そうなんですか」

納得してしまう海燕がおかしくて、京楽は抹茶アイスを口にしながら、テーブルを叩いていた。

「ほら、海燕も何か頼め」

「じゃあ、おはぎを4つ」

「それだけでいいのか?おーいすみません、羊羹を3つ!」

海燕と京楽の分を頼んだのかと思ったが、一人で食べてしまった。

やがて満足した浮竹が、お冷を飲み干して、外に出ようとする。

「おいあんた、勘定は!」

「ああ、京楽が払ってくれる」

京楽は、浮竹と自分の分は払った。

「海燕君は、自腹ね」

「ああはいはい、最初からこうなるだろうと思って、ちゃんと財布もってきましたから」

京楽は舌打ちした。

「あんた、今舌打ちしましたね!?」

「気のせいだよ」

「本当に、性格がねじ曲がっているんだから・・・・」

「京楽の性格は、温厚で優しいぞ?」

「それは隊長にだけです・・・・・・」

財布を念のためもってきていて助かった。

なかったら、今頃食い逃げとして捕まっているか、京楽に土下座してお金を借りるしかなった。
金銭トラブルは避けたい。

元5大貴族であり、幼い頃は上流貴族として生きていた海燕であるが、家が没落していく様を、子供心に見ながら思った。

お金は大切にしないといけない。

貸し借りはしてはいけない。

浮竹が、純白の髪を、夕焼けの色に染めていく。

キラキラ光っていて、綺麗だった。

行き交う人が、男女の区別なしに振り返る。

「こうだから、僕は浮竹が心配なんだよ」

「なるほど・・・・・」

海燕も納得した。

翡翠の瞳の麗人は、男女の区別なく視線を集めてしまうのだ。


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翡翠に溶ける 愉悦

浮竹が、また大きな発作を起こした。

吐血しまくった雨乾堂は、真っ赤だった。

遊びにきていた京楽が倒れている浮竹を発見して、急いで4番隊にに駆け込んだ。

卯ノ花に回道をかけてもらっているが、発見が遅れたせいで状況は芳しくなく、集中治療室に連れていかれた。

点滴と輸血、酸素呼吸器に他にもいろいろと管に繋がれた浮竹が、痛々しかった。

浮竹の霊圧でいつもなら感知できるのに、その日は久しぶりの休暇だと浮かれていて、霊圧の感知をしていなかった。

そんな自分を、呪った。

「卯ノ花隊長、浮竹は・・・・・」

「処置は施しました。あとは浮竹隊長次第です」

「そうかい・・・仮眠室、借りるよ」

「あまり自分を責めないでください。もっと発見が遅れていたら、命はなかったでしょう」

そんな言葉、気休めにしかならなかった。

浮竹。

あのはにかんだ顔で笑う、翡翠の瞳が懐かしかった。

浮竹を思い、仮眠室で仮眠をとった。

「ご臨終です・・・・力及ばす、申し訳ありません」

卯ノ花が、申し訳なさそうに謝る。

「浮竹ーーーーー!」

白く美しい顔(かんばせ)のまま、浮竹はいってしまった。

はっと起きる。

「夢・・・夢だ。夢だよね?」

集中治療室の前にくると、大きな硝子越しに、青白い顔の浮竹がいた。

呼吸器を外していた。

1枚の窓ガラス越しに手を重ね、キスをした。

「卯ノ花隊長、浮竹が!!!」


浮竹は、一時はどうなることかと思ったが、意識を回復させてから2日後には、普通の病室に移ることができた。

「京楽・・・心配をかけた。すまない」

「いいんだよ。君が無事で良かった」

りんごをむいてやると、兎型にカットしたそれを、しゃりっと音を立てて齧った。

まだ安静にしていなければいけないので、食事は流動食で、果物だけは食べていいと言われたので、りんごと桃をもってきていた。

桃をむいて口元にもっていってやると、果汁にまみれた手ごと舐められて、果肉を口にする。

「桃は好きだ・・・・甘いから」

口元にもっていくと、おいしそうに食べてくれた。

桃は3個もってきたいたのだが、美味しそうに食べる浮竹についつい全部与えてしまった。2日に分けて食べさせてあげようと思っていがのだが。

「僕は、今日はここで帰るね。仕事しなきゃいけないから。明日、また桃をもってきてあげる」

「ああ・・・」

浮竹は、鎮静剤を投与されて、眠ってしまった。

天敵の管が、痛々しかった。

次の日になると、浮竹はベッドから降りてもいい許可をもらい、ふらつきながらも湯あみをしにいこうとしていた。

「浮竹、一人で湯浴みできる?」

「ちょっと、無理かもしれない・・・」

特別に許可をもらって、浮竹を抱き上げて湯殿までもっていき、湯に浸からせてから髪と体を洗ってあげた。

濡れたタオル体をふいているとはいえ、湯浴みが好きな浮竹にはできないのが苦痛で、洗ってもらって幸せそうな顔をしていた。

綺麗になったところで、水気を吸い取って患者服に着替えさせて、また抱き上げてベッドまで移動した。

浮竹はここ数日の発作で、大分疲れがたまっており、普通の食事を許可されたのに残してしまった。

「食欲がない・・・・・」

点滴がされてあるので、食事を残しても何も言われなかった。

桃をむいてあげて、皿にいれて、渡す。

「食べさせて?」

甘えてくる浮竹に、京楽はでろでろになって、桃を口にすると浮竹に食べさせた。

「んあう・・・・・」

その後は、人目が怖いので普通に食べさせた。

「なんか、桃と点滴で生きてるかんじがする」

「ちゃんと、ご飯も食べてね?」

「努力する」

それから1週間が経ち、ようやく退院が許可された。

京楽は、浮竹を抱きあげて、瞬歩で雨乾堂まできた。

そのまま、衣服を脱がせていく。

「早く・・・・・」

浮竹から求めてきた。

キスをする。

舌と舌とが絡まり合った。

「ううん・・・」

袴と下着を脱がすと、とろとろと蜜を零す花茎があった。

それに舌を這わす。

「ああああああ!!!」

数週間ぶりのセックスだった。

口腔にねっとりと絡みとられて、浮竹はあっけなく熱を放っていた。

「うあああああああ」

体内に潤滑油で濡らしているとはいえ、乱暴に入ってくる指に悲鳴があがる。

「止めた方がいい?」

「いいから、早く、お前をくれ!」

前立腺をいじりながら解して、浮竹が待ちに待った瞬間がやってくる。

引き裂かれながら、浮竹はびゅるるると、精液を吐きだしていた。

「ひあああああああ!!!!」

内部をすりあげる熱に、浮竹が涙を零す。

「つらい?」

「大丈夫・・・ああああ!」

何度もぐちゃぐちゃと中を犯す熱に、浮竹は愉悦を感じていた。

ああ、生きている。

「あああ!」

何度目かも分からない熱を中に放たれて、浮竹もまた熱を放ち、意識を失った。

京楽は、結局一度いっただけだったので、後は自分で処理した。

浮竹は病み上がりだ。

無理はさせられない。

「ん・・・・京楽?」

けっこうすぐに、浮竹は意識を取り戻した。

「したりないだろう、抱いてもいいぞ」

「いや、自分で処理したから」

「俺がまだ満足してない。いかせてくれ」

そう言われて、浮竹のものを口にした。

「あああ!手で、手でいいから!」

「こっちのほうが、きもちいいでしょ?」

「やあああ、変にになるうううう」

舌でちろちろと鈴口を刺激して、花茎全体を手でしごいてやると、透明な蜜の混じった液体が、京楽の口の中に放たれた。

さらにしごくと、またほとんど透明な蜜を吐きだした。

「ひああああああ!」

「もう、いくものないね。愛してるよ、十四郎」

「ああ!俺もあいしてる、春水!」

二人で、雨乾堂の風呂に入り、髪と体を洗い、浮竹の中に放ったものをかき出す。

一度しか放っていなかったので、少量だった。

湯からあがり、二人でシーツを変えた布団に横になっていると、セックスで体力を消耗したのか、何時の間にか意識は闇に落ちて行った。

浮竹は、愉悦に微笑む。

ああ、俺は今を生きている。京楽と、一緒に。


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翡翠に溶ける 錦鯉

目覚めると、一糸まとわむ姿だった。

隣は、白銀音羽と京楽が、同じく裸で眠っていた。

自分の体をチェックする。

痛いところも何もない。

とりあえず、散らばっていた自分の服を着た。

「おい、起きろ二人とも」

「あー頭痛い・・・・・」

「んーまだ眠い・・・」

「なんで裸なんだ!」

浮竹が叫ぶと、じゃんけんをして負けていった者が脱ぐという脱衣じゃんけんをした結果とのとこだった。

浮竹は、全然覚えていなかった。

「とにかく、二人とも服を着ろ」

「おっと失礼」

「裸のままじゃ、風邪ひくしな」

二人は服を着た。

ここは、雨乾堂だった。

2組の布団の上で、3人は仲良くまっぱのフルチンで寝ていたのだ。

「俺、行かないと・・・・アタマいてぇ。仕事に遅れる。じゃあ浮竹隊長、また後程」

「あ、ああ・・・・・・」

「京楽はいかないのか?」

「んー。今日は僕、休暇をもらっているんだよね。雨乾堂で、浮竹といちゃいちゃする」

「言っておくが、俺は仕事がある」

「うん。仕事しながら、いちゃつこう」

浮竹は、長い溜息を出した。

副官に、朝餉を二人分出してもらって、食べる。

「前から思ってたけど、13番隊のご飯って、質素過ぎない?」

卵焼きと、味噌汁と、たくあんと白飯だった。

「金がないからな・・・・前の隊長が派手好きで、隊の金を使ってしまったんだ」

「こんなんじゃ、美味しくないでしょう。僕がお金補助してあげる」

「いいのか?」

「うん。僕もよくここに泊まって、食事世話になるからね」

「なんだかすまないな・・・・」

「僕がしたいんだから、いいんだよ」

午前中は、浮竹は仕事に没頭した。

京楽が面白半分に、浮竹の長い白髪を三つ編みにしてきたが、無視して仕事をした。

昼飯を食べて、また仕事をして3時の昼休憩をいれた。

「ほら、おはぎだよ」

3時になる前に、京楽は外出して甘味屋でおはぎを10個ほど買ってきてくれていた。

「ありがとう」

京楽は3つほど食べた。残りの7個は、浮竹がペロリと平らげてしまった。

「せっかくお前が遊びにきているのだし、今日の仕事はこの辺にしとくか」

「何、構ってくれるの?」

「ああ」

「わーーい。浮竹、大好きだよ」

すり寄ってくるがたいのでかい男は、重かった。

「重い・・・・・・」

「あ、ごめん」

浮竹をひょいっと抱きあげて、京楽の足に上に座らせた。

「重いだろう」

「浮竹は軽いよ」

まるで猫のように甘えてくる京楽の頭を撫でてやった。

「そうだ。京楽、そろそろ俺の髪を切ってほしい。腰より長くなってしまった」

「いいよ」

浮竹の髪を切るのは、いつも京楽の役目だった。

浮竹を、椅子に座らせた。

螺鈿細工の櫛で髪をとかしていく。

浮竹の髪はさらさらだった。

「勿体ないけど、あんまり長すぎるのもあれだしね」

万能鋏で、ちょきんちょきんと切っていく。

ぱさぱさと、畳の上に浮竹の切られた髪が落ちた。

「こんなものかなぁ」

「もう少し、切ってくれ」

「え、腰より短くするの?」

「最近暑くて・・・・いっそ院生になる前の短い髪にしたいが、お前が嫌だろう?」

「うん。浮竹には長い髪でいてもらいたい」

頷く京楽に、ならばと。

「すぐ伸びるんだ。もう少し切ってくれ」

10センチほど、さっきより短くした。

「うん、大分すっきりした」

「勿体ない・・・・綺麗な白い髪なのに」

「そんなこと言うの、お前くらいだ」

浮竹は、溜息をついた。

散らかった髪をほうきでまとめて、ちりとりでとって、ごみ箱に捨てた。

「忘れてた。鯉に餌をやらないと」

前乾堂のすぐ近には大きな池がある。錦鯉が泳いでいた。

エサをもらえると、ぱくぱくと口をあけて水面に顔を出す。

たくさん餌をまいた。

「僕にもやらせて」

エサをもって移動すると、鯉もついてきた。

「なんだか面白いね」

「かわいいだろう」

「うーん。鯉の顔、あんまり好きじゃないからかわいいとは思えないけど、面白い。色は美しいけどね」

「みんな、処分前だったんだ。色が滲んでいたり、濁っていたりで」

「十分、綺麗だとは思うけど・・・・言われてみると、上流貴族の池にいる鯉のような綺麗さはないね」

「ああ。値打ちにならないからと、食べられる寸前だったんだ。隊長権限を使ってしまったが、食べるくらいしか価値がないから、いらないともらわれてきた子たちばかりだ」

だから、余計にかわいいのだ。

要らない子。

まるで、浮竹みたいだった。

両親は愛してくれてはいたが、かさむ借金にお前など要らぬ子だ、と言われたことを今で覚えている。

今は、両親と兄弟たちのために、給料のほとんどを仕送りしている。肺の薬代をだしてしまえば、手元に残る金は僅かだ。

飲食代も京楽に出してもらっている有様だった。

「俺は、高くて綺麗な錦鯉よりも、色が濁った出来損ないの錦鯉のほうが好きだ。まるで、俺みたいで」

「浮竹は出来損ないじゃないよ。ちゃんと立派に隊長をしているじゃないか」

「それでも、この身を蝕む病からは逃れられない」

「愛しているよ・・・君の病さえ、愛しい」

口づけられた。

「ううん・・・」

深く激しい、口づけだった。

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翡翠に溶ける そして隊長に

死神になって、何十年と経過した。

お互い、副隊長になっていた。

隊長を補佐しながら、仕事をする。

浮竹も京楽も、精一杯努力した。

浮竹と京楽ができていることは、瀞霊廷の死神に知らない者はいないという勢いだった。

それから更に時は100年ばかり経過する。

お互い、若くして夢であった隊長の座まで登りつめた。

始めは京楽が8番隊隊長として。その8年後には、浮竹が13番隊隊長として。

山本総隊長に呼び出された。

「あの小童どもが、よくぞここまで辿りついた。尸魂界を守る者として、命を賭けるがよい。まぁ、ここまできて死ぬようなことはないと思うが・・・」

二人の関係は、院生時代から変わっていなかった。

「十四郎には、執務室と隊首室と療養所を兼ねた、雨乾堂を建ててやろうと思っている」

「そんな、いいんですか、先生」

「隊長ではあるが、十四郎は相変わらず病弱だ。そんな体で隊長が務まるのかという意見もあったが、儂は務まると思ってお主を推薦した」

「先生・・・」

ジーンとしている浮竹とは反対に、京楽は言う。

「僕には?」

「お主には、その仕事のさぼり癖を直すようなきつい副官を用意してやった」

「えーそれはないよ山じい」

「では、仕事をさぼるな!」

「それはできない約束だねぇ。ああ、酒が切れてる。ちょっと買いにいってくる」

「待たぬか、春水!」

流刃若火から火が、京楽の尻についた。

「あちゃちゃちゃ!」

それでも、京楽は逃げていった。

「十四郎。今、幸せか?春水と結ばれたまま、隊長を続けられるか?」

「幸せです、先生。京楽とは、ほどほどに付き合っていきます」

「そうか・・・幸せなら、よいのじゃ」


時は弓矢の如く過ぎ去る。

浮竹には、雨乾堂という立派な建物が用意されて、その檜の香を胸いっぱいに浮竹は取り入れた。

「うわぁ、浮竹だけいいねぇ、こんな場所をもらえるなんて」

「お前と会うのにも、使えそうだ」

「いいのかい?僕との密会にこんな神聖な場所を使っても」

「もう、俺の住まいだ。隊首室も、館も荷物を移動させた。ここが今日から俺の家だ」

「僕も館を引き払って、隊首室に荷物を移動させたよ。どうせ湯浴みして寝るだけの館だったし・・・・」

雨乾堂には、少し広い湯殿がついていた。

「わぁ、風呂までついてるのはいいね。僕は今は隊舎の風呂を空き時間に使ってるけど、自分専用っていう風呂場があるのはいいね」

「今日は泊まっていくか?」

「え、いいの?」

「ああ。布団も2組用意してある。夕食を頼んで、二人分もってきてもらおう」

その日から、京楽はよく雨乾堂に泊まりにきた。

何度も、雨乾堂で体を重ねた。

「ああっ!」

何度目になるか分からない熱を、浮竹は放っていた。

「ああ、いいね、この雨乾堂。最高だよ」

「ん!」

ずちゅずちゅと中をかき回される。

「んあああああ!」

「君を堂々と抱ける・・・・・・」

「ばか、本当なら、今は仕事の時間・・・ああああ!」

前立腺を突き上げられて、浮竹はまた精液を放っていた。

「もうやあああ!やあ、犯さないで」

「嘘ばっかり。君のここは、こんなに喜んでる」

前をぐちゃぐちゃといじってやると、また白濁した液体を出していた。

「やあ、もうでない・・・・」

白濁した液体は、途中からとろとろ透明な蜜になっていた。

「ああああ!」

ぐちゅりと、奥を犯してやる。

「ひあ!」

びくんと、浮竹の体が痙攣して、オーガズムでいったのだと分かった。

くちゅくちゅと前立腺のあるところばかり犯してやると、浮竹はあまりの快感に涙を零した。

「やあああ・・・あああぁぁぁあ・・・・」

「ん・・・僕も、そろそろ限界みたいだ」

浮竹の腹の奥に、こちらも何度目になるかも分からない欲望を吐きだしていた。

お互いまだ若いため、週に2回は交わっていた。

その話を副官にすると、「多すぎです腹上死するつもりですか」と真剣に心配された。

もっとも、お互い仕事があるので睦みあえない時は、1か月以上は睦みあえない。

覚悟は決めていた。

隊長なのだ。今まのでように、休暇をもらって遊びにいくとかはできないが、仕事の合間合間に、体は重ねなくとも会うことはした。

「ああ・・・・今すぐ、君を抱きたい。もう1か月以上、君を抱いていない」

「来週には、お互いの仕事が一段落する。それまで、お預けだ」

舌と舌が絡まるキスをした。

「ん・・・・」

「君を攫っていきたいなぁ」

「お互い、隊長だ。頑張ろう」

「そうだね」

次の週は、久し振りに体を重ねあって、激しかった。

「もう無理・・・・・」

意識を飛ばした浮竹を起こして、何度も犯した。

浮竹の白い髪は、3席の頃から腰の位置にまで伸ばさていて、時折京楽が送った髪飾りや簪をしていた。


「やあ、今日も美人だね、浮竹」

京楽はいつの頃からか、髪を伸ばして簪をさしていた。

それなりの値のはる女のものの打掛を隊長羽織の上から羽織り、笠を被っていた。

浮竹は、死覇装以外真っ白だった。翡翠の瞳だけが違った。

その日は、京楽の隊長就任10周年の祝いの席だった。

白銀5席は、3席になっていた。

「あの浮竹が隊長か・・・・時が経つのは早いものだな」

「白銀。今後も、俺を支えてくれ」

「もちろんだ、隊長」

京楽がやってきて、二人に酒を勧めた。

浮竹は、甘い果実酒を好んでいて、京楽は浮竹のために数種類の果実酒を買っていた。

「ごちそうになる」

京楽から杯を受け取って、並々と注がれた果実酒をあおった、

甘い味がした。




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翡翠に溶ける 遠征の帰還

死神になって3年目。

京楽は、虚退治の遠征に出発した。

「早くても会えるのは2か月後だと思う」

「寂しくなるな・・・・」

「白銀君と、浮気しちゃだめだよ」

「白銀には誘われたことはあるが、お前がいるからときっぱり断った。白銀はいい友人だ。誰かと違って盛って襲ってこない」

「酷いね。誰のことかなぁ」

「さぁ、誰だろうなぁ」

クスクスと笑い合って、別れた。

その姿が見えなくなるまで、手を振っていた。



2カ月が経ち、京楽は帰ってきた。

でも、大きな怪我を負っていた。

右腕が千切れかけていた。

すぐに4番隊につれていかれて、3時間に及ぶ手術の末に、右腕は元に戻りそうとのことだった。

「お前がここまでやられるなんて・・・・何があったんだ」

他の一般隊士は、半数以上が死亡していた。

意識を取り戻した京楽に、病室で浮竹に事情を話しだす。

食った相手の姿形と能力をコピーするという、厄介な虚に襲われて7席が食われた。

7席のもつ斬魄刀までコピーした虚に、平隊士が次々にやられていき、京楽は4席を庇って深手を負いながら、倒したこと。

食われたはずの7席が生き返り、回道を施してくれたお陰で、右腕は千切れかけていたが、失血死は免れたこと。

京楽が一番上の席官であったため、倒れるわけにもいかずに、千切れかけた腕を包帯でぐるぐる巻きにして、接続手術でどうにかしようと思っていたこと。

京楽は、接続手術で元に戻った右手をみる。

握力がまだ完全に治っていなかった。

一度千切れかけたのだ。接続手術では、切断された手足をもとに戻したり、移植手術も行っていたが、神経が元通り繋がっただけですごいと浮竹は思った。

すぐに回道をかけられて、切断面を時間が止まった状態にしておいたのが功を奏した。

千切れかけた腕にも回道をかけて、新鮮なままにして腐らせないでおいた。

普通なら、腐り落ちていて、細胞から作りだした新しい腕を移植することになるのだが、元の腕が使い物になりそうだったので、培養した腕は作られなかった。

培養した腕でも、接続が成功すれば日常生活も、剣を振るうことにも支障はない。

でも、違和感は否めない。

「とにかく、腕が元通りになってよかった・・・・・」

「僕も、まだまだだって痛感したよ。もっと強くならなくちゃ」

「ああ、お互い、いつか隊長になるんだ」

京楽は、腕のリハビリも兼ねて、2週間ほど入院した。

仕事が終わると、浮竹は毎日のように見舞いにきてくれた。

「君がいてくれて助かるよ。入院生活は暇で暇で・・・なまじ、腕のリハビリだけだから、一人囲碁とかしてた。4番隊の女の子や入院患者に声かけて、話をするけど、死神じゃない子も多いから、話が通じなかったりして・・・・」

「ああ、分かる。俺も肺の発作で入院したとき、もう治っているのに念のためと入院させられて、暇で暇で寝てばかりだった」

「僕も、寝てばかりだよ。寝すぎて夜がなかな眠れない」

「ああ、それ分かる・・・・・」

二人は、入院の暇さを呪うように話していると、4番隊の隊長である卯ノ花が、にっこりとした顔で話に割って入ってきた。

「そんなに暇なのでしたら、リハビリを今の3倍にしましょうか。後、体の精密検査などを・・・・・・」

「僕が悪かった卯ノ花隊長!入院生活、仕事をしなくていいから楽です!」

「俺も、仕事をしなくていいから、入院は素晴らしい!」

「浮竹3席・・・・元気そうですね。元気なうちに、献血をしておきましょう」

「ぎゃああああああああ」

卯ノ花に引きずらていく浮竹に、京楽は合掌した。

20分後くらいになって、げっそりした顔で戻ってくるかと思ったが、浮竹は割とぴんぴんしていた。

「発作で吐血してはいけないと、少量だった。あと、献血に協力したからって、飴玉をたくさんもらった・・・・くうか?」

「うん」

舐めると、桃の味がした。

そのまま、浮竹とキスをした。桃の味がした。


やがてリハビリも終えて、普通に動くようなった右手から完全の包帯が取り去られる。

「世話になったね、卯ノ花隊長」

「いえ。また怪我をしたら、おいでなさい。ああ、献血にきてくださってもいいのですよ」

「いや、遠慮しとく・・・・過去に1回献血させられたけど、めっちゃいっぱい血をとられて、しおしおになったからね」

「あら、健康に害がある以上はとりませんよ」

「しおしおになった気分なの」

卯ノ花と別れて、京楽の館につくと、玄関で押し倒された。

「んっ、京楽!」

「2カ月だよ。2か月も君に触れていなかった・・・」

病院では、ナースの目があるので触れるだけのキスくらいしかできなかった。

「玄関でなんて・・・あああ!」

玄関で死覇装を脱がされた。

そのまま部屋に連れ込まれて、布団がしかれる。その上に押し倒された。

「潤滑油潤滑油・・・・どこにおいたっけ・・・・あった・・・・」

体中にキスマークを残された。

「あ!」

胸の先端をカリカリ引っかかれて、舌で転がされた。

潤滑油にぬれた指を受け入れるは本当に久しぶりで、体がずりあがる。

「んあああ!!」

「十四郎、愛してるよ。逃げないで」

「あ、春水・・・・・・」

ばらばらに体内で動かされて、前立腺をこりこりと刺激されて、ゆるりと浮竹の花茎がたち、先走りの蜜を零す。

「もう濡れてる・・・・・・・・」

「やっ」

指でぐちゃぐちゃと音がなるまで解されてから、京楽のものが入ってきた。

「いあああああぁぁぁぁ!」

前立腺をすりあげて挿入されて、浮竹は一度目の熱を放ってしまった。

「君の中、すごいね・・・・うねってる」

「やあ・・・や・・・あ・・・・・・」

くちゅくちゅと前立腺ばかりをこすりあげられて、すぐに二度目の熱を放っていた。

浮竹も適度に抜いていたのだが、京楽が帰還してからはいじってなかった。2週間以上は何もしていなかった。溜まっていた。

「京楽・・・・もういけ・・・」

ぐっと下肢に力をこめると、その締め付けに京楽も一度目の熱を浮竹の内部に放っていた。

「あああ!」

京楽は止まらない。2カ月ぶりなのだ。

浮竹の体を堪能するように、時間をかけて犯した。

「ひう!」

浮竹は、もう出すものもなくなって、たらたらと透明な蜜を零して、オーガズムで何度もいった。

「ひあああああ!!!」

京楽に突き上げられて、浮竹は啼いた。

「んああああ!!」

もう、何度目かも分からない京楽のものが、腹の奥で弾けた。

じんわりとした熱を感じながら、浮竹は意識を失っていた。

京楽がやっと満足して、浮竹の中から抜き放つ。

こぽりと、シーツの上に京楽がだしたものが逆流してきて溢れた。

「タオルタオル!」

あわててタオルを水で濡らして、拭い去る。」

中に出したものをかき出すと、かなりの量になり、2枚目のタオルも必要だった。

濡れたタオルで浮竹の体の下肢を念入りにふいて、死覇装を着せて、シーツをかえた布団で眠った。

「ん・・・俺は?」

「ああ、気づいた?」

「意識を飛ばしていたのか・・・今何時だ?」

「深夜の2時だよ」

「こんな時間だが、夕飯を食べ損ねたので腹が減った・・・」

「ああ、夜を作るのめんどくさいから弁当買ってあったんだ。僕はもう食べちゃったけど、食べるかい?」

「ああ」

夜食として弁当を食べた。

食べ終わると、また眠たくなってきた。

「ん・・・もう一度眠る。京楽は?」

「僕は、夕方から寝てたからね。眠くなったら、寝るよ」

結局、京楽が寝たのは朝方で、3時間ばかりしか眠れなかった。

夕方から深夜まで寝ていたので、辛くはなかった。

「いってくるよ、浮竹」

「ああ。俺もいってくる」

互いに別れを告げて、8番隊と13番隊・・・・反対方向になる隊舎に向かっていく。

京楽も浮竹も、久し振りに体を重ねてすっきりした気分であった。

浮竹が隊舎につくと、白銀5席が、見えそうで見えない位置の首筋に、いっぱいキスマークがあると告げてきた。

鏡で確認して、真っ赤になって死覇装の襟を直して、キスマークが見えないようにする浮竹であった。


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酔うとこうなる

「ああ、いい加減に起きてください」

「もう少し・・・」

「さっきそう言って、15分経ちましたよ。真冬じゃあるまいし、春くらいしゃんとできないんですか」

海燕に布団をとられ、ゴロゴロと畳の上を転がる浮竹。でも、寝ていた。

「ああ、全くこの上司は!」

ふと、浮竹が起き出す。

「そうだ、海燕、花見に行こう」

「唐突ですね」

「海燕とは何十年と一緒にいるけれど、一緒に花見したことないからな」

「どうせ、京楽隊長も誘うんでしょう」

「う、どうして分かった」

浮竹がうわずった声をあげた。

「あんたの思考回路は単純だから」

「でも、京楽がいないと美味い飯と酒にありつけない!」

「こればかりは、京楽隊長に同情します」

でも、13番隊の食事に金を出してくれているこには感謝していた。

お陰で浮竹に、美味しい物を食べさせることができる。

「いつ花見にいくんですか」

「思い立ったらすぐ行動だ。今日行くぞ」

「ええ、今日の仕事は!」

「そんなもの、明日に回せばいい」

「そんな無茶苦茶な」

浮竹は、伝令神機をとりだして、浮竹に花見に行くと告げ、弁当と酒の用意を頼んだ。

「よし、近場で白哉の家で花見にしよう」

「ええ!朽木隊長のお屋敷で、花見するんですか」

「遠出するのがめんどくさい」

「あんたは・・・本当に怠惰だな」

「褒めても何も出ないぞ」

「呆れてるんです!」

こうして、浮竹と京楽とう海燕は、朽木邸で白哉の許しを得て花見をしだした。

「白哉の屋敷の桜は凄いだろう!」

「何、隊長が自慢してるんですか!」

「俺と白哉の仲だからな」

酒を飲んでいた、京楽がぴくりと動く。

「浮気は、だめだよ?」

「白哉とはそんなんじゃないと何度言ったら分かるんだ」

「だって、仲が良すぎなんだもん」

「まあ、酒でも飲め」

京楽を黙らせるために、京楽の杯に酒を満たした。

「おっとっと・・・零れる」

「さぁ、ぐいっと」

京楽は、勧められるままに酒を飲んだ。

海燕と浮竹も、酒を飲んでいくが、お互い果実酒だった。

「海燕君、こっちも飲んでみなよ」

京楽の酒が杯に注がれる。

それを飲み干して、海燕は驚いた顔をした。

「なんだこの酒・・・・・強いけど、めちゃめちゃ美味い!」

「そりゃ、高級酒だからね。樽1つ分で100万」

「たけぇ・・・俺の給料がとんじまいそうだ」

「気にいったのなら、もっと飲むといいよ」

京楽に酒を注がれて、次々と飲んでいく。

酔うことはないのかと思っていたら、ぱたりと飲むのをやめた。

「浮竹隊長好きですーー!」

「ええええ!」

海燕が、浮竹に抱き着いていた。

そして、あろうことか、京楽の目の前でキスをしたのだ。

「おい、海燕酔っているのか」

「京楽隊長も好きです!」

固まっていた京楽に抱き着いて、キスをする。

「えええ!海燕、しっかりしろ」

海燕は、酔うと誰にでもキスをするのだと、初めて知った。

京楽は、酒を飲んで、海燕とのキスをなかったことにした。

「君のところの副官、今後酒を飲まさないほうがいいね」

「いや、一緒に飲んだことは何度かあるが・・・・・酔っぱらった姿を見るのは初めでだ。そうか。キス魔になって、誰にでも愛を告げるのか・・・」

海燕はしまいには寝てしまった。

「どうしよう、これ」

「まぁ、まだ僕たち花見をし始めたところなんだから、しばらく放置しておこう」

京楽の言葉で、海燕は放置された。

「やっぱり、高級酒といっても、京楽の酒を飲むものじゃないな。強すぎてすぐに酔ってしまう」

浮竹は、果実酒だけを飲んでいた。

ちらりちらりと桜の雨がふり、杯の中に落ちた。

「風流だねぇ。綺麗だ」

「ああ、綺麗だな」

「僕は、景色もだけど、桜の雨の下にいる君も綺麗だと思う」

「また恥ずかしいことを・・・」

その後料理を口にした。

京楽家お抱えの料理人の作った重箱入りの弁当で、美味かった。

「海燕にも食べさせてやりたかったな」

「また、花見に誘えばいいさ」

「そうだな」

浮竹と京楽は撤収した。

朽木家の庭には、酔っぱらった海燕が放置されていた。

「はっくしょん・・・あれ?隊長?」

一人放置されたのだと気づいて、なんて上官だと思いながら、雨乾堂に帰ると、酔ってキス魔になり、浮竹と京楽に好きだと抱き着いてキスをしたことを教えられて、顔を蒼くするのであった。


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卯ノ花の想い

「斬りあいを続けましょう、更木隊長」

「へっ、そうこなくっちゃな!」

「卍解・・・・・皆尽」

卯ノ花の霊圧が一気にあがった。

それをさも楽しそうに、更木が受け止める。

「これは私の罪--------------」

「何言ってやがんだ!もっと斬りこんでこい!」

皆尽によって、卯ノ花は全身に負ってい傷を回復させた。

「へっ、上等じゃなねぇかよ」

一方の更木は、血にまみれで傷だらけた。

卯ノ花は、皆尽の能力で、更木の怪我を癒した。

「てめぇ、なんのつもりだ」

「あなたと、少しでも長く戦っていたい。血が騒ぐのです。初代剣八としての血が」

「ぬかしてろ!」

「あなたとの戦いは、甘い痺れのようだ」

「随分と、官能的な言葉を吐きやがるな」

キンキンカキン。

斬魄刀と斬魄刀をぶつけ合った。

「きっと、私は心の何処かで、あなたを愛してたんでしょうね」

更木が、悲しそうな顔をした。

「そんな府抜けた感情で、俺に勝つつもりか!」

「いいえ----------------勝つのは、あなただ」

何度も斬り結び合った。

卯ノ花が癒してくれた傷以上の傷を負っていた。出血のしすぎで、体がふらつく。

ザシュリと、卯ノ花の胸を貫いた更木の斬魄刀。

「おい・・・・・・・・」

「もう、私もおしまいのようですね。もっとあなたと戦っていたかった。でも、あなたは私を倒した。私の屍をこえていきなさい」

「卯ノ花!」

「愛しています、更木剣八。あの世で、待ってますよ。いつか、迎えにいきますから」

「卯ノ花ーーーーー!!!」

鮮血を散らして、卯ノ花はこと切れた。

「馬鹿野郎・・・・・・俺も、てめぇを好きだったんだよ」

物言わぬ屍となった、卯ノ花に口づける。

血の味はとても甘美だった。


「この霊圧は・・・・・・!」

浮竹が、無暗から出てきた血だらけで満身創痍の更木を見た。腕の中には、血まみれの卯ノ花がういた。

「どけよ」

「卯ノ花隊長をどうするつもりだ!」

「どうもしねぇよ。4番隊に届けるだけだ」

「更木隊長、それはあまりにも--------------」

「うるせぇ。どうしようと俺の勝手だ。俺は、卯ノ花が好きだったんだ。殺して、気づいた」

「更木隊長・・・・・・・・」

「いかせてやりなよ、浮竹」

「でも、今卯ノ花隊長の死を知られると、指揮が・・・・」

「もう、そんなこと言ってられないくらいにがたがたなんだ。これ以上、最悪の事態にはならないさ」

更木は、卯ノ花の遺体と共に消えた。

「俺に耐えれない。好きな相手を殺すなんて」

「そりゃ、浮竹は優しいからね」

「優しいとか優しくないとかの問題じゃない!更木隊長は正気なのか?愛する女性を手にかけて----------」

「そうするしか、更木隊長は答えられなかったんだよ。卯ノ花隊長も、斬りあいでしか感情をぶつけれなかった。凄く不器用なんだよ」

「なんて悲しい愛し合い方なんだ・・・・・」

「誰もが、僕や浮竹のようになるとは限らないからね」

「でも、悲しすぎる!」

ぽたりと、卯ノ花を思って、涙が零れた。

「君が泣くことはないよ。これは卯ノ花隊長が選んだ道。泣くことは、卯ノ花隊長を侮辱する事になる」

「でも・・・」

震えている浮竹を抱き締めて、とんとんと背中を叩いてやった。

まるで、赤子をあやすかのように。

「俺は卯ノ花隊長が好きだった。恋愛感情ではないけれど、とても好きだった」

「うん。辛いね」

「卯ノ花隊長は、安からかにいけただろうか」

「さっき顔を見たでしょ。凄く満足そうな顔をしていた」

「京楽、もし俺が-------------」

言葉は、そこで止まった。

もし俺が、あんな風に死んだら、泣いてくれるか?

そう言おうとして、縁起でもないと、考え直す。

護廷13隊の死神は、 尸魂界のために死なば本望。

卯ノ花は、更木を目覚めさせることが、尸魂界の今後の戦いに必要となると知って、命を散らせた。

「卯ノ花隊長、どうか安らかに。先生のもとで、待っていてください」

いずれ、俺も尸魂界のために命を散らすだろう。

その時は、京楽と笑って別れよう。

そう思う浮竹であった。

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やり過ぎの受難

「日谷隊長、いるかい?」

「浮竹か。どうしたんだ、その恰好は!」

10番隊の執務室にやってきた浮竹は、大きくはだけられた死覇装をまとっていた。

首筋から胸元にかけて、いっぱいキスマークが残っていた。

「京楽が盛った。その気がないので逃げてきた」

「目の毒だ。ちゃんと服を着ろ」

「あ、ああ・・・すまない」

「浮竹~~~~~」

京楽の声をが聞こえてきた、

「ぎゃあああああああ、きたあああああああああ」

「浮竹、今なら4回で済ませてあげるから、出ておいで」

「4回って・・・・・・何回する気なんだ、あのおっさん」

「浮竹、日番谷隊長のところにいるのは分かってるんだよ。5回にされたくなかったら、大人しく出ておいで」

「浮竹はいない」

日番谷が浮竹を庇ってそういうと、京楽はにたりと笑んだ。

「おかしいなぁ。浮竹の霊圧を感じるんだけど」

「浮竹、俺には無理だ。大人しく、餌になれ」

「日番谷隊長のばかーーー!」

浮竹は逃げ出ようとした。

でも、呆気なく、京楽に捕まってしまう。

「浮竹、5回ね」

「無理だ!俺の体がもたない!」

「この前4回したじゃない」

「この年で4回だとか5回だとか、精強剤飲んでるだろ!」

浮竹の言葉に、京楽が舌を出した。

「あら、ばれた?」

「いつも通りの3回なら許す」

「そんなこと言わずに・・・・あ、日番谷隊長も使ってみる?精強剤・・・・・・ぷぷぷ、相手がいないか」

「京楽、お前・・・・・・蒼天に座せ、氷輪丸!」

「うわああああああああああ「

京楽は、天高く消えていった。

「助かった、日番谷隊長」

「う~き~た~け~~」

「ぎゃあああああ、また来たあああああああ!」

「蒼天に座せ、氷輪丸!」

斬魄刀を始解して、京楽を吹っ飛ばす。

「う~き~た~け~~」
「ぎゃあああああ、また来たあああああああ!」
「蒼天に座せ、氷輪丸!」
「うーきたけーーー」

「浮竹、諦めて京楽に食われろ」

「日番谷隊長のばか!」

京楽に抱き上げられながら、浮竹は京楽を呪った。

「3回以上したら、半月は抱かせてやらない」:

「そんなぁ・・・・・」

精強剤の意味もなくなる。

「それに、3日前にしたばかりだろう!」

「浮竹、詳しいことはいいから」

日番谷が、聞きたくないとばかりの顔をする。

「中だし3回の、外だし2回・・・・次の日は、腰が痛くて立てなかった」

「おい、浮竹、聞いているのか」

「中だしするなら、コンドームつけろ!」

「ああもう、お前らは!蒼天に座せ、氷輪丸!」

ひゅるるるるどっかーーーん。

でも、空中で京楽は浮竹を抱き上げると、瞬歩で雨乾堂まできて、きっちりと3回分を堪能するのであった。

浮竹は、結局美味しくいただかれてしまうのであった。



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一護がルキアを好きな理由13

「来たか・・・・・・」

朽木邸では、白哉や恋次の他に、主だった隊長副隊長が集まっていた、

「どうしたんだ。みんな集まって」

「君が死神になるのを、見届けにきたんだよ」

総隊長である京楽が、一歩前に出る。

「さぁ、この薬を」

丸い玉だった。

義魂丸に、少し似ていた。

がりがりと、かみ砕くと、とろりとした甘い蜜が出た。

それを飲み込むと、一護はばたりと倒れた。

「一護!」

「案ずるな。人間としての生が終わっただけだ」

ゆっくりと、一護が立ち上がる。

「あれ?俺、これで本当に、死神化したのか?」

「そうだ。内なる魂に聞いてみよ」

「本当・・・みてぇだな。そうか。けっこう呆気ないものなんだな」

「その薬は、死神代行を死神化するために作られものだ。ただの人間が飲んでも、何も起こらぬ」

「俺、泊まるとことかないから・・・しばらく世話になるぜ、白哉。あ、これ温泉いってきた土産」

草津の湯の元を、白哉と恋次に渡した。

「おう、ありがとな」

恋次は、笑っていた。

「ルキア、幸せになれよ」

「ああ。恋次も、最近6番隊の5席と付き合っているのであろう?」

「う、情報拾うの早いな」

「兄様から教わった」

「隊長、何ルキアにちくってるんですか!」

「知らぬ」

白哉そっぽを向いた。そこで、一先ず解散となった。

残された一護は、白哉にルキアと籍を入れる許可と、結婚式の日取りを教えた。

「え、もう結婚!?」

「兄が心変わりしないうちに、朽木家に沈めておく」

「いや、俺ルキア以外を愛する自信ないんだけど・・・・・・」

籍を入れるは明日で、式は来月だった。

「なぁ、白哉のやつ、ちょっと気が早すぎないか?俺たち、付き合ってまだ半年も経ってないぞ?」

「心配なのであろう。兄様は、緋真姉様を亡くされてから、私の幸せばかりを願っておらられる」

「でも、一度ルキアのことを見殺しにしようとした」

「兄様はあの時のことをとても後悔なさっている。何度も謝られた」

「へぇ、あの白哉が」

「これを見てくれ」

「綺麗な櫛だな」

「緋真姉様のものだ。私が好きな相手といられるようにと、兄様に託しておられたのだ」

「かしてみろよ」

「うむ」

その櫛で、ルキアの髪をすいた。

「きもちいいな・・・・・」

ルキアに櫛を返した。

「俺たち、絶対に幸せになろう」

「そうだな!」


次の日には、籍をいれに貴族街までやってきた。

いろいろな障害があったが、全部白哉は取り除いてくれて、籍はあっけなく入れられた。

「これから、貴様は朽木一護だ」

「ええ、俺婿入りなのか?」

「説明しておらなんだか?」

「聞いてねぇよ」

ぶつぶつ文句を言っても、ルキアと結婚できて一護は嬉しそうだった。


それから1か月後、盛大な式を挙げた。

尸魂界の恩人の式だけあって、貴族の他にも護廷13隊の隊長や副隊長の姿が目立った。

「ルキア・・・・・うおおおおおおおおお」

恋次は、酒を飲みながら、白無垢姿のルキアに涙を零していた。

現世からは、元死神である一心が呼ばれていた。結婚式を様子を娘たちに見せるために、動画を撮っていた。

白哉に連れてこられた白無垢姿のルキアの手をとり、指輪の交換をして、誓いの言葉を口にして、口づけた。

そして、酒を飲み交わしあう。

「ここに、朽木一護と朽木ルキアを夫婦として認めるものとする!」

白哉の宣言と一緒に、歓声に包まれた。

後は無礼講で、それが嫌な貴族連中はさっさと去ってしまった。

「一護が、ルキアと結婚とはのう・・・・・」

「夜一さんも来てくれてたのか!」

「4大貴族代表でな」

美味い酒と美味い御馳走を食べにきたのだとは言えくて、そう言っていた。

「今日はとことん飲むぞ!」

「俺もだ。ルキアも飲めよ」

勧められるままに飲んで、ルキアも一護も酔っぱらった。

「白哉坊の結婚式を思いだすのう」

「夜一・・・・わざと、二人に飲ませな」

「たまにはええじゃろ。二人そろって、酔っぱらって・・・・・」

白哉は眉を顰めつつも、ルキアと一護を介抱した。

二人は、悪酔いすることなく、大人しく眠ってしまっていた。

人を呼んで、正装から楽な着物に着替えさせて、与える予定だった朽木家の寝室に寝かせた。

「幸せになれ、ルキア。私は緋真を失った。でも、そなたには一護がいる・・・・」

ルキアも一護も、幸せそうな顔で眠っていた。

二人とも、見た目はまさ少年少女だ。

これからの、未来を担う人材だ。


翌日。

一護とルキアは、1週間現世の北海道に新婚旅行に行った。

尸魂界戻り、白哉に新巻鮭とカニを渡した。

「楽しんできたか?」

「ああ。お陰様で羽を伸ばせた」

「兄様、北海道という場所は広くて・・・・」

ルキアの話を、白哉は幸せそうに聞いた。

「今度、現世に旅行に行くときは、白哉、あんたも一緒だ」

「私は・・・・・」

「家族、だろ?」

にやりと笑う一護に、薄い笑みを返した。

一護は、1か月をかけて貴族としての所作やらに至るまでを叩きこまれたそうだが、あまり見た目も行動も変わっていなかった。

ただ、貴族間での出来事に顔を出す時は、きちんとしていた。


やがてルキアは13番隊隊長となり、一護は13番副隊長となった。

二人は3人の子に恵まれて、末永く幸せに暮らした。

その隣には、同じく幸せそうな白哉と、新婚の恋次の姿もあった。


穏やかで、静かで、幸せな時間を生きた。

ルキアと一護は、いつまでも仲睦まじかった。


一護がルキアを好きな理由。

ルキア、だから。
              



              一護がルキアを好きな理由
                   fin

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一護がルキアを好きな理由12

朝目覚めると、もう昼だった。

「寝過ごした!遅刻だ!!」

そう言うルキアに、一護が苦笑する。

「もう学校はねーよ。おとつい、卒業しただろう?」

「そうであった・・・・・」

ルキアは恥ずかしそうにしていた。

「この宿、朝飯と昼飯ないから、外に食べに行こう」

「ああ、もう11時か・・・お腹が減ったな」

一護もルキアも、浴衣姿のまま外出した。

手打ちそばの店に入って、少し早めの昼食をとった。

それから、白哉や恋次用のお土産を探して散策した。

「やっぱ、草津の温泉の元が妥当か」

「ああ、兄様も恋次もきっと喜ぶ」

二人分を、2週間分購入した。

けっこうな出費になったが、こつこつと貯めてきたのでなんとかなった。

「宿に戻るか」

「ああ。また温泉にでも入るか」

二人は、混浴風呂を利用してみた。平日なので、貸し切り状態だった。

ルキアは胸までバスタオルを巻いて、一護は腰にバスタオルを巻いて、一緒の湯に浸かった。

「なんだか、ドキドキするな」

「今日の予行練習だと思えばいい」

はらりと、ルキアがバスタオルを脱いだ。

「ほら、貴様も・・・・・」

一護も、一糸まとわぬ姿になる。

お互い、真っ赤だった。

でも、互いの髪を洗いあって、背中を流した。

風呂からあがり、することもないのでテレビを見ていた。

「あ、茶虎だ」

「本当だ」

茶虎は、ボクシングを始めていた。期待の新人として、スポーツ番組で紹介されていた。

やがて夕方になり、夕飯がやってくる。

今日は、てっちり鍋だった。

「これは食べたことがないが・・・うむ、美味い」

「フグには、猛毒があるからな。料理免許のある料理人でしか、扱えねぇ」

「毒があるのか。兄様には、食べさせられないな」

「まぁ、いつか白哉を連れて、温泉宿で泊まろうぜ」

「そうだな」

やがて、夜になった。

一護とルキアは、正座しあい、向き合っていた。

「俺は始めてだ。優しくするつもりだけど、乱暴になったらすまない」

「私も初めてだ。全てを、貴様に委ねる」

「いただきます」

「どうぞ、召し上がれ」

ルキアを抱き寄せて、浴衣を脱がしていく。かわいい下着をつけていた。

「ルキア、かわいい」

「あ、いちご・・・・・」

ブラを外し、僅かな膨らみを手でもんで、先端をつねると、ビクンとルキアの体が反応した。

キスマークを、体中につけた。

パンツをぬがせる。

もう、濡れていた。

手でくちゅくちゅと刺激してやると、ルキアはあっという間に達してしまった。

「ああああああ!」

「大丈夫か?」

「ああ、続けてくれ」

ルキアの秘所に、舌を這わす。

「あ、そのような・・ああああぁぁぁあ!」

愛液が溢れてきて、それを飲んだ。

秘所の天井付近を指でこすってやる。ルキアはまたいった。

「あああ!」

何度かそんなことを繰り返し、灼熱がルキアの秘所に宛がわれた。

「いくぞ」

「んっ!」

ずっと、音を立てて入り込んでくる。

動きは緩慢で、ルキアのいいとこばかりを突いてきた。

「あああ!」

「ルキア・・・かわいい。綺麗だ」

「あ、いちご、もっと・・・・」

くちゅくちゅと、秘所の天井をすりあげてやれば、ルキアは高い喘ぎ声をもらす。

「ううん・・・・・」

口づけをした。舌が絡まる。

「あ・・・・」

ずっと、奥に穿ってきた。

「あ、そこやだ・・・・・」

「いいってことだな?」

「や!」

何度か突き上げて、一護はルキアの中に欲望を吐きだしていた。

「もう1回したいけど、いけるか?」

「ん・・・大丈夫・・・・・・・」

「ごめん、少し乱暴になるかも」

「構わぬ」

一護は、最初はルキアの快感だけを追って抱いていたが、今度は欲望のままにルキアの体を開かせていった。

「ひあああああ!」

ぐちゅぐちゅと、熱が出入りする。

「ルキア、愛してる」

「あ、一護、私も愛している」

出入りする熱に合わせて、ルキアは嬌声をあげた。

「ぁぁぁぁあああ!」

ずちゅんと奥を貫かれて、ルキアの体が痙攣する。

一護も、ルキアの子宮の中で欲望を放った。


はぁはぁと、お互い荒い息をついていた。

そして、大の字で寝転がった。

「風呂、入れそう?」

「無理だ・・・・」

「じゃあ、濡らしたタオルでいいか」

用意してあったタオルで、互いの体をぬぐい、情事の後を消し去る。

「あ、血が・・・・」

ルキアの秘所から、処女膜が破れたことによる、僅かばかりの血が流れた。

「ルキア、初めてをありがとう」

「どういたしまして」

初めての夜は、思っていたほど乱暴なものではなく、優しい痺れを残す甘いものだった。

「これなら、何度抱かれてもよい」

「そんああおるよなうなこと言うなよ」

「ふふふ・・・・これでもう、貴様は完全に私のものだ」

「お前も俺のものだ」

甘い夜は、そうして過ぎていった。

次の日の朝も少しだけ睦みあった。

温泉に入り、身を清めて宿を出た。

「一生の思い出だ」

「俺もだ」

黒崎家に戻り、荷造りをした。

書き置きを残す。

穿界門が開かれた。

ルキアに誘われるままに、中へと入っていく。

黒崎一護、18歳。人間としての死が、待っていた。

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