卯ノ花隊長の謎とギックリ腰
「あ。もう無理」
そう言って、浮竹は力尽きた。
「隊長おおおお!!」
海燕が、横になって動かなくなった浮竹にすがりつき、叫んでいた。
「・・・・・何してるの、君たち」
ちょうどその姿を、雨乾堂にやってきて目撃してしまった京楽が、首を傾げていた。
「京楽隊長が無理させるから!」
「え、何を!」
「夜の生活を!」
「え!?」
京楽は、ぎょっとした顔になる。確かに、昨日はしつこく抱いた。
「というのは冗談で・・・・見ての通り、浮竹隊長はああなんで、しばらく夜の生活はなしにしてください」
「ちょっと待って、話の展開がつかめないんだけど」
「あいたたた。重い物をもったら、ぎっくり腰になった」
畳の上に倒れていた浮竹が、ごろりと寝返りをうった。
「ぎっくり腰!?」
確かに、ぎっくり腰だと夜の生活は当分なしだ。
でも、日常生活にも支障をきたすとのことで、浮竹を連れて4番隊にまでいった。
「そうですか。ぎっくり腰に。年ですね」
「卯ノ花隊長は俺より年上・・・・いや、なんでもない」
卯ノ花に回道でぎっくり腰を治してもらいながら、浮竹は痛みが和らいだことで顔色をよくしていた。
「ぎっくり腰は、一度なると癖になりますから。くれぐれもしばらくの間はあまり重い物をもったりしないように」
俺より年上といったことで、にこにこした笑みがさらににこにこと深くなって、その微笑みに慈愛は感じられずに、逃げるように浮竹は京楽に連れられて4番隊を後にした。
「卯ノ花隊長の微笑みが怖い」
「僕も」
多分、卯ノ花を恐れない隊長は少ないと思う。
「それにしても、何をしてぎっくり腰になったんだい?」
「いや、海燕とタンスを移動させようよして」
「そんな重いものもつから・・・・」
「俺も年だなぁ。昔なら、もっと軽く感じたんだが」
「年っていってもまだまだ現役じゃない」
「そうだな」
まだまだ男盛りだ。確かに若くはないが、それでも年をとりすぎたというわけでもない。
雨乾堂に帰ってくると、海燕が転がっていた。
「おい、どうしたんだ!」
「隊長が年だと思って・・・一人でタンス動かそうとしたら、ぎっくり腰になりました」
「はははははは、海燕、ぎっくり腰になった俺を散々年だ年だというから、天罰がくだったんだ」
「隊長。普通、こういう場面は副官を心配するものですよ」
「海燕も仲よくぎっくり腰だ。仕方ないから、4番隊にまで送ってやる」
浮竹は、海燕を連れて4番隊にきた。
「またですか。ぎっくり腰になる方が多いですね」
「すみません」
卯ノ花自ら回道で治してくれた。
「あなたたち13番隊の方々は、ぎっくり腰になるような運命なのかもしれませんね」
にこにこにこ。
その笑顔が怖くて、浮竹も海燕も逃げ出すように、雨乾堂に帰った。
「どうだったの?」
一人留守番をさせられていた京楽が、そう聞くが、浮竹も海燕も卯ノ花の笑顔にやられていた。
「菩薩に見えて修羅だ」
「菩薩に見せかけているだけですよ、あれ」
「卯ノ花隊長のことかい?」
「卯ノ花隊長って、そういえば謎が多いよな。俺たちが隊長になる以前からすでに隊長だったし、その頃からほとんど見かけが変わっていない。妖怪かな?」
その場に卯ノ花がいたら、修羅の顔になっていただろう。
「実は山姥(やまんば)だったりして」
「ありえそうで怖い」
卯ノ花は謎が多い。
「まぁ、ギックリ腰も治ったけど、タンスを動かすのはやめておこう。またぎっくり腰になりそだ」
「そうですね」
3人で何やかんやと騒いでいたら、7時になっていた。
「夕餉もってきます」
海燕は隊舎に戻っていった。
海燕は、それから戻ってこなかった。
どうしたんだと思い、浮竹は京楽と共に隊舎にいくと、腰を押さえている海燕がいた。
「夕食の膳をもとうとしたら・・・・・なりました。ギックリ腰に。ああ、俺も年だ」
「大丈夫か!」
海燕の体を肩に背負い、浮竹も動きをとめてその場に膝をついた。
「どうしたの!」
「ギックリ腰が・・・・・・・」
結局、2人してまた4番隊にいき、ギックリ腰を治してもらった。
卯ノ花は、溜息を零す。
「しばらく、おとなしくしていてください。またギックリ腰になりますよ?」
そう言われて、浮竹も海燕も、しばらくの間大人しくしていた。
浮竹の世話を、3席である仙太郎がしてくれた。
京楽は、ぎっくり腰にならないように日々を過ごす浮竹と海燕にこう言った。
「卯ノ花隊長を山姥なんて言った呪いかもね」
ありそうで怖かった。
1週間ほどしてもうならなかったので、普通の日常が戻ってくる。
「俺、しばらく4番隊にいっても虎鉄副隊長に診てもらう」
「俺もです・・・・・」
卯ノ花烈。
菩薩のような笑みの下に、修羅を宿す4番隊隊長。
回道の腕は確かだし、後方支援に回してこれほど心強い存在はない。
だが、笑みが怖いのだ。
にこにこ微笑んでいるのに、まるで阿修羅がにこにこ笑っているようだと、総合救護詰所でも有名な、隊長であった。
そう言って、浮竹は力尽きた。
「隊長おおおお!!」
海燕が、横になって動かなくなった浮竹にすがりつき、叫んでいた。
「・・・・・何してるの、君たち」
ちょうどその姿を、雨乾堂にやってきて目撃してしまった京楽が、首を傾げていた。
「京楽隊長が無理させるから!」
「え、何を!」
「夜の生活を!」
「え!?」
京楽は、ぎょっとした顔になる。確かに、昨日はしつこく抱いた。
「というのは冗談で・・・・見ての通り、浮竹隊長はああなんで、しばらく夜の生活はなしにしてください」
「ちょっと待って、話の展開がつかめないんだけど」
「あいたたた。重い物をもったら、ぎっくり腰になった」
畳の上に倒れていた浮竹が、ごろりと寝返りをうった。
「ぎっくり腰!?」
確かに、ぎっくり腰だと夜の生活は当分なしだ。
でも、日常生活にも支障をきたすとのことで、浮竹を連れて4番隊にまでいった。
「そうですか。ぎっくり腰に。年ですね」
「卯ノ花隊長は俺より年上・・・・いや、なんでもない」
卯ノ花に回道でぎっくり腰を治してもらいながら、浮竹は痛みが和らいだことで顔色をよくしていた。
「ぎっくり腰は、一度なると癖になりますから。くれぐれもしばらくの間はあまり重い物をもったりしないように」
俺より年上といったことで、にこにこした笑みがさらににこにこと深くなって、その微笑みに慈愛は感じられずに、逃げるように浮竹は京楽に連れられて4番隊を後にした。
「卯ノ花隊長の微笑みが怖い」
「僕も」
多分、卯ノ花を恐れない隊長は少ないと思う。
「それにしても、何をしてぎっくり腰になったんだい?」
「いや、海燕とタンスを移動させようよして」
「そんな重いものもつから・・・・」
「俺も年だなぁ。昔なら、もっと軽く感じたんだが」
「年っていってもまだまだ現役じゃない」
「そうだな」
まだまだ男盛りだ。確かに若くはないが、それでも年をとりすぎたというわけでもない。
雨乾堂に帰ってくると、海燕が転がっていた。
「おい、どうしたんだ!」
「隊長が年だと思って・・・一人でタンス動かそうとしたら、ぎっくり腰になりました」
「はははははは、海燕、ぎっくり腰になった俺を散々年だ年だというから、天罰がくだったんだ」
「隊長。普通、こういう場面は副官を心配するものですよ」
「海燕も仲よくぎっくり腰だ。仕方ないから、4番隊にまで送ってやる」
浮竹は、海燕を連れて4番隊にきた。
「またですか。ぎっくり腰になる方が多いですね」
「すみません」
卯ノ花自ら回道で治してくれた。
「あなたたち13番隊の方々は、ぎっくり腰になるような運命なのかもしれませんね」
にこにこにこ。
その笑顔が怖くて、浮竹も海燕も逃げ出すように、雨乾堂に帰った。
「どうだったの?」
一人留守番をさせられていた京楽が、そう聞くが、浮竹も海燕も卯ノ花の笑顔にやられていた。
「菩薩に見えて修羅だ」
「菩薩に見せかけているだけですよ、あれ」
「卯ノ花隊長のことかい?」
「卯ノ花隊長って、そういえば謎が多いよな。俺たちが隊長になる以前からすでに隊長だったし、その頃からほとんど見かけが変わっていない。妖怪かな?」
その場に卯ノ花がいたら、修羅の顔になっていただろう。
「実は山姥(やまんば)だったりして」
「ありえそうで怖い」
卯ノ花は謎が多い。
「まぁ、ギックリ腰も治ったけど、タンスを動かすのはやめておこう。またぎっくり腰になりそだ」
「そうですね」
3人で何やかんやと騒いでいたら、7時になっていた。
「夕餉もってきます」
海燕は隊舎に戻っていった。
海燕は、それから戻ってこなかった。
どうしたんだと思い、浮竹は京楽と共に隊舎にいくと、腰を押さえている海燕がいた。
「夕食の膳をもとうとしたら・・・・・なりました。ギックリ腰に。ああ、俺も年だ」
「大丈夫か!」
海燕の体を肩に背負い、浮竹も動きをとめてその場に膝をついた。
「どうしたの!」
「ギックリ腰が・・・・・・・」
結局、2人してまた4番隊にいき、ギックリ腰を治してもらった。
卯ノ花は、溜息を零す。
「しばらく、おとなしくしていてください。またギックリ腰になりますよ?」
そう言われて、浮竹も海燕も、しばらくの間大人しくしていた。
浮竹の世話を、3席である仙太郎がしてくれた。
京楽は、ぎっくり腰にならないように日々を過ごす浮竹と海燕にこう言った。
「卯ノ花隊長を山姥なんて言った呪いかもね」
ありそうで怖かった。
1週間ほどしてもうならなかったので、普通の日常が戻ってくる。
「俺、しばらく4番隊にいっても虎鉄副隊長に診てもらう」
「俺もです・・・・・」
卯ノ花烈。
菩薩のような笑みの下に、修羅を宿す4番隊隊長。
回道の腕は確かだし、後方支援に回してこれほど心強い存在はない。
だが、笑みが怖いのだ。
にこにこ微笑んでいるのに、まるで阿修羅がにこにこ笑っているようだと、総合救護詰所でも有名な、隊長であった。
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イルミネーションと山じい
「こりゃ春水!十四郎まで!」
山じいが怒っていた。
隊首会をあろうことかさぼり、現世にいっていた二人を怒ってこってりしぼろうとしていたのだが、京楽は隙を見て逃げ出したのだ。
京楽の後に続くかのように、浮竹も逃げ出した。
「全く小童どもが。いつになっても、悪戯心をもちおってからに」
山じいは嘆息した。
「おい、いいのか京楽。先生の言葉を聞かず逃げだしたりして」
「山じいのお説教は長いからね。逃げるに限るよ」
元はといえば、自分たちが悪いのだ。
といっても、隊首会のことはすっかり忘れていて、わざとではないのだが、さぼったことには変わりない。
現世で、イルミネーションを見ていた。
今回の隊首会は夜に行われたのだ。いつも朝なので、すっかり忘れていた。
現世にいた時間はわずか3時間ほど。
瞬くイルミネーションを空の上から見下ろしていた。行きかう人々が、クリスマスの気分に浮かれているのを見ていた。
サンタの恰好をしたケーキ屋の売り子が、ケーキを売っていた。
ついそれを見ていたら、京楽は苦笑してケーキを買ってくれた。
死神の姿のまま現世にいくには、霊圧が高すぎるので、隊長でもあるし、霊圧を封印する義骸に入っていた。
「ありがとうございます」
ケーキを1つでは足りないだろうからと、3人分買った。
京楽の優しさに、浮竹は微笑みを返す。
「ありがとう、京楽」
「いいんだよ」
街を歩いていく。
「ここのイルミネーションは有名なんだよ」
まるで水槽を泳ぐネオンテトラ。瞬くイルミネーションたちを見ながら、二人でケーキを手に意味もなく街を歩いた。
イルミネーションは、その通りをずっとずっと奥まで飾られてある。
ちかちかと人工の光を灯すそれを見ながら、京楽が言った。
「ね、現世のイルミネーションは綺麗でしょ」
「ああ・・・凄く綺麗だ」
クリスマスの飾り付けがされたレストランに入って、クリスマスメニューを注文して二人で食べた。
クリスマスケーキは尸魂界に帰ってから食べるつもりであった。
「あ!」
浮竹が、急に声をあげるものだから、何かが起こったのかと京楽が周囲を見るが、何もない。
「しまった。今日の夜は、クリスマスの交流会も兼ねた、隊首会が夜にあったんだ・・・今から出てももう間に合わないな」
「ああ、そういえば・・・・」
山じいが、参加しろとうるさかったのを思い出す。
「すっかり忘れていたよ。尸魂界に戻ったら、一緒に怒られようか」
「先生は一度火がつくと大変だからな」
「じゃあ、山じいのお説教、逃げ出そうか」
「大丈夫なのか?」
「山じいも慣れてるでしょ、僕らの行動には。院生時代から好き勝手やって怒られてきたんだし」
山じいが本気で噴火すると、流刃若火で尻に火をつけられる。
さすがに、今回はそこまで怒りはしないだろう。
「戻ろうか。尸魂界に」
「ああ」
レストランを出て、最後の15分ほどイルミネーションを見回って、穿界門をあけて尸魂界に帰還する。
穿界門をくぐると、山じいが待っていた。
「今頃戻ってきおってからに。隊長格二人が現世に遊びにいったあげく、大切な隊首会を欠席とはどういうつもりじゃ」
「いや、ちょっと現世のイルミネーションを見にね」
「こりゃ、春水!現世のイルミネーションなど見ても何にもならぬだろう!」
「言うけどねぇ、すごいんだよ!現世のイルミネーションは尸魂界の星より綺麗なんだから!」
「イルミネーションなら、12番隊のつくった瀞霊廷にあるクリスマスツリーでも見れるじゃろうが!」
「あんなの、イルミネーションじゃないよ。ただ光が点滅してるだけじゃない!全然綺麗じゃない!浮竹に、綺麗なイルミネーションを見せてあげたかったんだよ!」
「こりゃ十四郎!お主まで春水と一緒になって遊びほうけるとは、どうしたことじゃ!」
「先生、遊びほうけてたわけじゃありません。ちゃんと楽しんできました。ってことは遊びほうけているのか・・・・・?うーん」
悩みだした浮竹に、山じいは矛先を京楽に向ける。
「こりゃ春水、十四郎を無理に連れ出したな!十四郎は、一人ではこのような行動はとらぬ!」
「浮竹にだけなんか甘くない!?僕は浮竹と一緒に現世にいったんだよ!」
「イルミネーションを見て、見ての通りクリスマスケーキを3人分かって・・・・先生、先生のために現世でクリスマスケーキを買いました」
浮竹が嘘をつく。
京楽は、うまいこと切り出したなと浮竹を見守る。
「何、わしのためじゃと?」
「はい、これです。俺と京楽と先生の分を買いました」
ほんとは、全部浮竹一人が食べるつもりだったのだが。
「ふむ・・・・現世のクリスマスケーキか。悪くないのお」
京楽が、心の中で浮竹って悪だなと思った。
「仕方ない、怒るのはまた明日じゃ。クリスマスケーキはもらっておくぞ。明日、また1番隊の執務室に来るように」
「はい」
「山じい、まだ怒ってるの?」
「当たり前じゃ」
そして次の日。
「こりゃ春水!十四郎まで!」
山じいのお説教を受けにやってきたのだが、すでにこそこそと逃げ出そうとしていた。
山じいはクリスマスケーキを食べて、機嫌はそこまで悪くなかった。
実の息子のように思っている浮竹と京楽が買ってきてくれたものだと、信じ込んでいた。
実は苦し紛れの言い訳だったのだが。
京楽は、お説教を受けるためにと顔だしておきながら、逃げ出した。
京楽の後に続くかのように、浮竹も逃げ出した。
「全く小童どもが。いつになっても、悪戯心をもちおってからに」
山じいは嘆息した。
「おい、いいのか京楽。先生の言葉を聞かず逃げだしたりして」
「山じいのお説教は長いからね。逃げるに限るよ」
山じいが一度お説教を始めると、2時間はかかる。
くどくどと過去のことも持ち出し、隊長とはどうあるべきであるかという理想論をつきつけられて、あげくに最悪の場合性根を鍛え直してやると手合わせだ。
そうなったとき、無事ではすまない。
山じいは、京楽より浮竹に甘い。浮竹が病弱で肺の病を患っていることもあって、京楽よりも浮竹に優しく接した。
浮竹も浮竹で、山じいのことを元柳斎先生と呼んで慕っている。
京楽も山じいと慕ってはいるが、山じいの京楽と浮竹の扱いの差に、少し不満をかんじるが、何度もかわいい息子のような浮竹が目の前で血を吐き、意識不明になる様を見ていたら、甘くなってしまうのも分かる気がした。
「山じいも、きっとそんなに怒ってないよ。それより、昨日のクリスマスケーキまだたべてないんでしょ?せっかくだから、一緒に食べよう」
「ああ、まだ残してあるぞ」
クリスマス期間中なのだ、今は。
昨日の交流会は、京楽と浮竹を欠いて行われたらしい。
藍染が倒されて、新しくというか、100年以上前にいた隊長が、復帰した形になるのだが、平子たちと交流させようという山じいの思惑を拾わう形で、京楽は山じいも呼んで、護廷13隊の隊長副隊長全員を招いて、クリスマスパーティーを開こうと企画していた。
協力は、浦原と夜一だ。
「うーん、さすが本場だけあって現世のケーキは美味しいね」
雨乾堂で、浮竹と一緒にクリスマスケーキを食べた。
ホールケーキで、でかかったが、浮竹はあっという間に食べてしまった。
「全く君は。いいよ、僕の分も半分あげる」
「いいのか?」
甘い物に目がない浮竹は嬉しそうだった。
山じいも、この味を堪能してくれたのだろう。
そう思えば、山じいから逃げ出した罪悪感も薄れる。
山じいには世話になっている。今度、たまには親孝行のようなことをしようと、京楽は浮竹と相談し、山じいを近場の温泉に連れ出すのであった。それはまた、別のお話。
山じいが怒っていた。
隊首会をあろうことかさぼり、現世にいっていた二人を怒ってこってりしぼろうとしていたのだが、京楽は隙を見て逃げ出したのだ。
京楽の後に続くかのように、浮竹も逃げ出した。
「全く小童どもが。いつになっても、悪戯心をもちおってからに」
山じいは嘆息した。
「おい、いいのか京楽。先生の言葉を聞かず逃げだしたりして」
「山じいのお説教は長いからね。逃げるに限るよ」
元はといえば、自分たちが悪いのだ。
といっても、隊首会のことはすっかり忘れていて、わざとではないのだが、さぼったことには変わりない。
現世で、イルミネーションを見ていた。
今回の隊首会は夜に行われたのだ。いつも朝なので、すっかり忘れていた。
現世にいた時間はわずか3時間ほど。
瞬くイルミネーションを空の上から見下ろしていた。行きかう人々が、クリスマスの気分に浮かれているのを見ていた。
サンタの恰好をしたケーキ屋の売り子が、ケーキを売っていた。
ついそれを見ていたら、京楽は苦笑してケーキを買ってくれた。
死神の姿のまま現世にいくには、霊圧が高すぎるので、隊長でもあるし、霊圧を封印する義骸に入っていた。
「ありがとうございます」
ケーキを1つでは足りないだろうからと、3人分買った。
京楽の優しさに、浮竹は微笑みを返す。
「ありがとう、京楽」
「いいんだよ」
街を歩いていく。
「ここのイルミネーションは有名なんだよ」
まるで水槽を泳ぐネオンテトラ。瞬くイルミネーションたちを見ながら、二人でケーキを手に意味もなく街を歩いた。
イルミネーションは、その通りをずっとずっと奥まで飾られてある。
ちかちかと人工の光を灯すそれを見ながら、京楽が言った。
「ね、現世のイルミネーションは綺麗でしょ」
「ああ・・・凄く綺麗だ」
クリスマスの飾り付けがされたレストランに入って、クリスマスメニューを注文して二人で食べた。
クリスマスケーキは尸魂界に帰ってから食べるつもりであった。
「あ!」
浮竹が、急に声をあげるものだから、何かが起こったのかと京楽が周囲を見るが、何もない。
「しまった。今日の夜は、クリスマスの交流会も兼ねた、隊首会が夜にあったんだ・・・今から出てももう間に合わないな」
「ああ、そういえば・・・・」
山じいが、参加しろとうるさかったのを思い出す。
「すっかり忘れていたよ。尸魂界に戻ったら、一緒に怒られようか」
「先生は一度火がつくと大変だからな」
「じゃあ、山じいのお説教、逃げ出そうか」
「大丈夫なのか?」
「山じいも慣れてるでしょ、僕らの行動には。院生時代から好き勝手やって怒られてきたんだし」
山じいが本気で噴火すると、流刃若火で尻に火をつけられる。
さすがに、今回はそこまで怒りはしないだろう。
「戻ろうか。尸魂界に」
「ああ」
レストランを出て、最後の15分ほどイルミネーションを見回って、穿界門をあけて尸魂界に帰還する。
穿界門をくぐると、山じいが待っていた。
「今頃戻ってきおってからに。隊長格二人が現世に遊びにいったあげく、大切な隊首会を欠席とはどういうつもりじゃ」
「いや、ちょっと現世のイルミネーションを見にね」
「こりゃ、春水!現世のイルミネーションなど見ても何にもならぬだろう!」
「言うけどねぇ、すごいんだよ!現世のイルミネーションは尸魂界の星より綺麗なんだから!」
「イルミネーションなら、12番隊のつくった瀞霊廷にあるクリスマスツリーでも見れるじゃろうが!」
「あんなの、イルミネーションじゃないよ。ただ光が点滅してるだけじゃない!全然綺麗じゃない!浮竹に、綺麗なイルミネーションを見せてあげたかったんだよ!」
「こりゃ十四郎!お主まで春水と一緒になって遊びほうけるとは、どうしたことじゃ!」
「先生、遊びほうけてたわけじゃありません。ちゃんと楽しんできました。ってことは遊びほうけているのか・・・・・?うーん」
悩みだした浮竹に、山じいは矛先を京楽に向ける。
「こりゃ春水、十四郎を無理に連れ出したな!十四郎は、一人ではこのような行動はとらぬ!」
「浮竹にだけなんか甘くない!?僕は浮竹と一緒に現世にいったんだよ!」
「イルミネーションを見て、見ての通りクリスマスケーキを3人分かって・・・・先生、先生のために現世でクリスマスケーキを買いました」
浮竹が嘘をつく。
京楽は、うまいこと切り出したなと浮竹を見守る。
「何、わしのためじゃと?」
「はい、これです。俺と京楽と先生の分を買いました」
ほんとは、全部浮竹一人が食べるつもりだったのだが。
「ふむ・・・・現世のクリスマスケーキか。悪くないのお」
京楽が、心の中で浮竹って悪だなと思った。
「仕方ない、怒るのはまた明日じゃ。クリスマスケーキはもらっておくぞ。明日、また1番隊の執務室に来るように」
「はい」
「山じい、まだ怒ってるの?」
「当たり前じゃ」
そして次の日。
「こりゃ春水!十四郎まで!」
山じいのお説教を受けにやってきたのだが、すでにこそこそと逃げ出そうとしていた。
山じいはクリスマスケーキを食べて、機嫌はそこまで悪くなかった。
実の息子のように思っている浮竹と京楽が買ってきてくれたものだと、信じ込んでいた。
実は苦し紛れの言い訳だったのだが。
京楽は、お説教を受けるためにと顔だしておきながら、逃げ出した。
京楽の後に続くかのように、浮竹も逃げ出した。
「全く小童どもが。いつになっても、悪戯心をもちおってからに」
山じいは嘆息した。
「おい、いいのか京楽。先生の言葉を聞かず逃げだしたりして」
「山じいのお説教は長いからね。逃げるに限るよ」
山じいが一度お説教を始めると、2時間はかかる。
くどくどと過去のことも持ち出し、隊長とはどうあるべきであるかという理想論をつきつけられて、あげくに最悪の場合性根を鍛え直してやると手合わせだ。
そうなったとき、無事ではすまない。
山じいは、京楽より浮竹に甘い。浮竹が病弱で肺の病を患っていることもあって、京楽よりも浮竹に優しく接した。
浮竹も浮竹で、山じいのことを元柳斎先生と呼んで慕っている。
京楽も山じいと慕ってはいるが、山じいの京楽と浮竹の扱いの差に、少し不満をかんじるが、何度もかわいい息子のような浮竹が目の前で血を吐き、意識不明になる様を見ていたら、甘くなってしまうのも分かる気がした。
「山じいも、きっとそんなに怒ってないよ。それより、昨日のクリスマスケーキまだたべてないんでしょ?せっかくだから、一緒に食べよう」
「ああ、まだ残してあるぞ」
クリスマス期間中なのだ、今は。
昨日の交流会は、京楽と浮竹を欠いて行われたらしい。
藍染が倒されて、新しくというか、100年以上前にいた隊長が、復帰した形になるのだが、平子たちと交流させようという山じいの思惑を拾わう形で、京楽は山じいも呼んで、護廷13隊の隊長副隊長全員を招いて、クリスマスパーティーを開こうと企画していた。
協力は、浦原と夜一だ。
「うーん、さすが本場だけあって現世のケーキは美味しいね」
雨乾堂で、浮竹と一緒にクリスマスケーキを食べた。
ホールケーキで、でかかったが、浮竹はあっという間に食べてしまった。
「全く君は。いいよ、僕の分も半分あげる」
「いいのか?」
甘い物に目がない浮竹は嬉しそうだった。
山じいも、この味を堪能してくれたのだろう。
そう思えば、山じいから逃げ出した罪悪感も薄れる。
山じいには世話になっている。今度、たまには親孝行のようなことをしようと、京楽は浮竹と相談し、山じいを近場の温泉に連れ出すのであった。それはまた、別のお話。
浮竹死んだけど幽霊です憑いてます10 甘味屋大食い選手権
「今度、壬生の甘味屋で、大食い選手権があるんだ」
そう、浮竹は切りだしてきた。
「それがどうしたの?」
「その選手権に出たいんだ!協力してくれ、京楽!」
「ええっ!」
かくして、甘味屋大食い選手権に、京楽に憑いた浮竹が出ることとなったのであった。
大食い選手権の当日。
ただで食べれて、その上優勝者には賞金がでるということで、たくさんの参加者がいた。
だが、まずはおはぎの食べ放題で、選手は振り分けられた。
次々とギブアップしていく選手の中に、浮竹はいない。体を透けさせたまま、幽霊の状態でさっささっとおはぎを食べていく。
「そこまでですーー!」
残ったのは10人の選手だった。その中には浮竹もいた。
「なんと、今回はあの大戦で亡くなられたのに、幽霊として復活した浮竹十四郎選手がいます!」
京楽に憑いているので、隣には当たり前のように京楽がいた。
その二人の純愛を思って、女性観客からは黄色い声が送られてくる。
そんな女性観客にひらひらを手を振って、浮竹はいざ大食い選手権本番に挑むこととなった。
次の甘味物は白玉餡蜜だった。
浮竹は、さっさっと消して食べていく。
本当なら、もうお腹いっぱいといいそうなのに、幽霊だからか、次々と食べていった。
「そこまででーす!」
4人にまで、選手は絞られた。
まだ浮竹はいた。
「浮竹選手、幽霊であるだけ底なしか!?」
キャーキャーという黄色い声に手をふりながら、いざ、最終決戦へ。
ぜんざいだった。
浮竹はさっさっと食べていく。
だが、他の選手も負けていない。
浮竹が、食べるのに時間がかかりだした。
ぜんざいが、少しだけ減る。
既に2名はギブアップしていて、一騎打ちだった。
「もうだめだ・・・・・ぷはぁ。もう無理。幽霊としてのエネルギーに返還して食べてたけど、俺はここまでのようだ」
「おーっと、ここで浮竹選手ギブアップ宣言!優勝は、原口選手になります!」
原口選手は、100万の金を手に入れた。
「いい戦いだった・・・・おっと、幽霊だから握手はできないか」
「そんなことないぞ」
手だけを実体化させて、驚く相手を気にしもせず、握手をした。
「すまない、京楽。せっかく選手権に出してもらったのに、負けてしまった」
「それにしても食べたねぇ。10人分は食べたんじゃないかい」
「幽霊として存在するエネルギーに変換しまくっていたが、リミットまで溜まってしまったようだ。この様子だと1日くたい実体化できそうだな」
その言葉に、京楽がごくりと唾を飲み込んだ。
「いっとくが、セックスはしないからな!」
「ちぇっ」
「あ、浮竹選手。2位の賞金があります」
「え、2位でも賞金でるのか?」
「はい。30万になります」
「ありがとう」
京楽が、代わりに受け取った。
「この30万、何に使おう?」
「甘味屋で使えばいいんじゃない?」
「それもそうだな」
こうして、浮竹の甘味屋大食い選手権は、幕を閉じたのだった。
次の日、浮竹は1日だけ実体化をした。
京楽と睦みあうことなく、ただだ抱擁してキスを交わし、一緒のベッドで抱き締めあいながrた眠った。
実体化した浮竹は、普通に食べる。そして、湯浴みをした。
「ああ、このさっぱり感、幽霊の時じゃあ感じられない。きもちいい」
「もっと気持ちよくならない?」
尻を触ってくる京楽の手をつねる。
「あいた」
「今回はお預けだ。今度1日実体化した時に、抱かせてやる」
「本当に?約束だよ」
ベッドの上に押し倒された。
口づけがふってくる。
「ううん・・・・・」
ぴちゃりと舌が絡まるキスを何度も繰り返し、抱き締めあった。
「やはり、生身はいいな。お前と触れることができる」
「いっそのこと、ずっと実体化すればいいのにね」
「それじゃあ、生き返ったみたいだろう。ああ、そろそろ時切れだ」
すーっと、浮竹の体が透けていく。
「次に1日実体化できるのは、来月くらいかな。食事をたくさんして、幽霊エネルギーをためないと」
幽霊エネルギーの溜まり具合と、直接浴びている京楽の霊圧のお陰で実体化できるのだ。
「抱くのは、今度な」
「約束だからね」
京楽は、浮竹が実体化できない時、浮竹を喘がせて、一人エッチをして抜いていた。
でも、浮竹が1時間とか1日とか実体化できるようになり、抱けるよになって、一人エッチの回数も減った。
「君が来月に抱けるまで、我慢できそうにないから、ちょっと抜くよ。喘ぎ声、お願い」
「京楽!言っとくが、一人で喘ぐのがとても恥ずかしいだぞ」
「でも、僕のためならしてくれるんでしょ?」
浮竹は言葉を失って、真っ赤になった。
「ああん、京楽、いい!」
「いいねぇ、その調子で」
「ああああ!京楽・・・・・・春水、愛してる、あああ、ひあああ!」
「もう少しで終わるから、頑張って」
「あ、春水がまた硬く・・・・ああん、いい、そこいい、もっとぐちゃぐちゃにして」
「ん・・・・・」
京楽は、ティッシュの中に欲望を2回ほどはきだいした。
「もういいか?」
「うん。満足した。それにしても、浮竹、その芝居で食べていけるんじゃない!」
「あほ!」
手だけ実体可して、ぽかりと京楽の頭を殴った。
「冗談だよ」
「ふん」
すねた恋人の機嫌を直すためあれやこれやするのだが、結局おはぎを食べさせたら、浮竹の機嫌はあっさりと直るのだった。
そう、浮竹は切りだしてきた。
「それがどうしたの?」
「その選手権に出たいんだ!協力してくれ、京楽!」
「ええっ!」
かくして、甘味屋大食い選手権に、京楽に憑いた浮竹が出ることとなったのであった。
大食い選手権の当日。
ただで食べれて、その上優勝者には賞金がでるということで、たくさんの参加者がいた。
だが、まずはおはぎの食べ放題で、選手は振り分けられた。
次々とギブアップしていく選手の中に、浮竹はいない。体を透けさせたまま、幽霊の状態でさっささっとおはぎを食べていく。
「そこまでですーー!」
残ったのは10人の選手だった。その中には浮竹もいた。
「なんと、今回はあの大戦で亡くなられたのに、幽霊として復活した浮竹十四郎選手がいます!」
京楽に憑いているので、隣には当たり前のように京楽がいた。
その二人の純愛を思って、女性観客からは黄色い声が送られてくる。
そんな女性観客にひらひらを手を振って、浮竹はいざ大食い選手権本番に挑むこととなった。
次の甘味物は白玉餡蜜だった。
浮竹は、さっさっと消して食べていく。
本当なら、もうお腹いっぱいといいそうなのに、幽霊だからか、次々と食べていった。
「そこまででーす!」
4人にまで、選手は絞られた。
まだ浮竹はいた。
「浮竹選手、幽霊であるだけ底なしか!?」
キャーキャーという黄色い声に手をふりながら、いざ、最終決戦へ。
ぜんざいだった。
浮竹はさっさっと食べていく。
だが、他の選手も負けていない。
浮竹が、食べるのに時間がかかりだした。
ぜんざいが、少しだけ減る。
既に2名はギブアップしていて、一騎打ちだった。
「もうだめだ・・・・・ぷはぁ。もう無理。幽霊としてのエネルギーに返還して食べてたけど、俺はここまでのようだ」
「おーっと、ここで浮竹選手ギブアップ宣言!優勝は、原口選手になります!」
原口選手は、100万の金を手に入れた。
「いい戦いだった・・・・おっと、幽霊だから握手はできないか」
「そんなことないぞ」
手だけを実体化させて、驚く相手を気にしもせず、握手をした。
「すまない、京楽。せっかく選手権に出してもらったのに、負けてしまった」
「それにしても食べたねぇ。10人分は食べたんじゃないかい」
「幽霊として存在するエネルギーに変換しまくっていたが、リミットまで溜まってしまったようだ。この様子だと1日くたい実体化できそうだな」
その言葉に、京楽がごくりと唾を飲み込んだ。
「いっとくが、セックスはしないからな!」
「ちぇっ」
「あ、浮竹選手。2位の賞金があります」
「え、2位でも賞金でるのか?」
「はい。30万になります」
「ありがとう」
京楽が、代わりに受け取った。
「この30万、何に使おう?」
「甘味屋で使えばいいんじゃない?」
「それもそうだな」
こうして、浮竹の甘味屋大食い選手権は、幕を閉じたのだった。
次の日、浮竹は1日だけ実体化をした。
京楽と睦みあうことなく、ただだ抱擁してキスを交わし、一緒のベッドで抱き締めあいながrた眠った。
実体化した浮竹は、普通に食べる。そして、湯浴みをした。
「ああ、このさっぱり感、幽霊の時じゃあ感じられない。きもちいい」
「もっと気持ちよくならない?」
尻を触ってくる京楽の手をつねる。
「あいた」
「今回はお預けだ。今度1日実体化した時に、抱かせてやる」
「本当に?約束だよ」
ベッドの上に押し倒された。
口づけがふってくる。
「ううん・・・・・」
ぴちゃりと舌が絡まるキスを何度も繰り返し、抱き締めあった。
「やはり、生身はいいな。お前と触れることができる」
「いっそのこと、ずっと実体化すればいいのにね」
「それじゃあ、生き返ったみたいだろう。ああ、そろそろ時切れだ」
すーっと、浮竹の体が透けていく。
「次に1日実体化できるのは、来月くらいかな。食事をたくさんして、幽霊エネルギーをためないと」
幽霊エネルギーの溜まり具合と、直接浴びている京楽の霊圧のお陰で実体化できるのだ。
「抱くのは、今度な」
「約束だからね」
京楽は、浮竹が実体化できない時、浮竹を喘がせて、一人エッチをして抜いていた。
でも、浮竹が1時間とか1日とか実体化できるようになり、抱けるよになって、一人エッチの回数も減った。
「君が来月に抱けるまで、我慢できそうにないから、ちょっと抜くよ。喘ぎ声、お願い」
「京楽!言っとくが、一人で喘ぐのがとても恥ずかしいだぞ」
「でも、僕のためならしてくれるんでしょ?」
浮竹は言葉を失って、真っ赤になった。
「ああん、京楽、いい!」
「いいねぇ、その調子で」
「ああああ!京楽・・・・・・春水、愛してる、あああ、ひあああ!」
「もう少しで終わるから、頑張って」
「あ、春水がまた硬く・・・・ああん、いい、そこいい、もっとぐちゃぐちゃにして」
「ん・・・・・」
京楽は、ティッシュの中に欲望を2回ほどはきだいした。
「もういいか?」
「うん。満足した。それにしても、浮竹、その芝居で食べていけるんじゃない!」
「あほ!」
手だけ実体可して、ぽかりと京楽の頭を殴った。
「冗談だよ」
「ふん」
すねた恋人の機嫌を直すためあれやこれやするのだが、結局おはぎを食べさせたら、浮竹の機嫌はあっさりと直るのだった。
白無垢の京楽と最後の砦のパンツ
白無垢。
それは、和風の結婚式に、早嫁が着るもの。
その日は、京楽が浮竹に告白してちょうど1年が経つ日だった。
院生の皆が集う体育館で、正装した浮竹が、花嫁を連れて歩きはじめる。
しずしずと、静かに歩む花嫁は白無垢姿で、白いウェディングヴェールを被っていた。
美しい・・・・・。
と、誰も思わなかった。
花婿の浮竹は、美しかった。正装が、ばっちり決まっていて肩までの髪をくくり、髪留めで留めてあった。
こっちのほうが、花嫁らしかった。
しずしずと歩む花嫁は、ごつかった。190センチはあろうかという、長身に、がっしりした体躯。もじゅもじゃの体毛に、手入れされたひげ。
「浮竹、僕たちこれで晴れて夫婦だね」
「ああ、京楽」
体育館にいた、院生全員が泣いていた。
「京楽、幸せになれよ!」
「京楽、綺麗よ!」
「京楽、幸せにな!」
酒が注がれ、お互いに飲みか交わしあう。
山じいが、コンと杖を鳴らす。
「これにて、浮竹十四郎は京楽春水を妻に娶り、ここに永遠の愛を誓うものとする!」
わあああああああああ!
体育館に、院生の祝いの声が響き渡った。
美女と野獣・・・の反対のような夫婦だった。
そして、初夜を迎える。
「十四郎・・・僕、はじめてなんだ。優しくしてね?」
「ああ、もちろんだ春水。ああ、お前の白無垢姿を見るのもこれが最後か。綺麗だぞ、春水」
ウェディングヴェールをとり、白い着物を脱がさせていく。
京楽の全身はもじゃもじゃだった。
「ああ、いいもじゃもじゃ具合だ。ますますお前に夢中になりそうだ」
「あああん、十四郎!」
京楽は、喘いだ。
・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
「うわあああああああああああ!!!!!」
がばりと、浮竹は起きた。
凄い寝汗をかいていた。
「うっ」
軽い吐き気を覚えて、洗面所に向かう。
「はぁはぁ・・・・・」
吐くことはなかったが、冷たい水で何度も顔を洗った。
「京楽の白無垢・・・・もじゃもじゅの花嫁に初夜・・・・おえっ」
見た夢の生生しさに、寒気を覚えた。
「どうしたの、浮竹」
「うわあああああああ!」
京楽は、マジで白無垢姿だった。
「ふふふふ、浮竹が白無垢着てくれないから、僕が着てみたんだ。似合う?」
「ひいいいい」
夢の続きか?
頬をつねるが、痛かった。
「ねぇ、浮竹。僕のお嫁になってくれないなら、僕がお嫁さんになってあげる」
抱き上げられて、ベッドに押し倒された。
「(*´Д`)ハァハァ・・・・僕たち、今日は記念日だよ。僕が君に告白した、1周年記念の日」
白無垢姿を脱いで、もじゃもじゅの京楽は、浮竹の服を脱がせていく。
「ああ、綺麗だ・・・・君の肌は、手に吸い付くようだよ」
「ぎゃああああああ」
「そんな嬉しそうな悲鳴をあげなくても・・・好きだよ、浮竹」
ちゅっと、キスされた。
胸から臍にかけて唇と舌が這い、全身にキスマークを残される。
胸の先端を口に含まれて、なんともいえない痺れを浮竹は覚えた。
「夢!?現実!?」
体を這う京楽の舌は、でもそれが本物であると答えてくれた。
浮竹の最後の砦、パンツに手がかかる。
「破道の4、白雷!」
黒焦げになっても、京楽はパンツを脱がせようとする。
「いい加減に、しろ!」
顔面を蹴った。
「破道の4、白雷!」
もう一度黒焦げにすると、京楽は白目をむいてどさりと倒れた。
「はぁはぁ・・・・・・・」
夢か現(うつつ)であるか分からなくなる。
自分の頬を思いっきりつねると、痛くてこれが現実であると知らせてくれた。
「京楽の白無垢・・・・・・うっ」
おまけに、操まで奪われかけた。
あのまま放置していたら、京楽に美味しく食べられていただろう。
浮竹の着ていた白無垢を手に取る。特注なのが、でかかった。
「京楽のやつ・・・白無垢なんて着て、どうしたんだろう」
「それはね」
白目をむいていた京楽が復活し、浮竹の隣に並んだ。
パンツはかろうじでお互いはいていた。
「僕と君の、告白1周年記念だから、何か驚かせてあげようと思って、白無垢を着てみたんだけど・・・・やっぱり、僕は何を着ても似合うね!」
ついに、女装癖まででたか?
そう思ったが、京楽は首を横に振った。
「と、思いたいところだけど、やっぱり白無垢は浮竹に着てほしいな」
「着ないからな!」
「今じゃなくてもいいからね。いつか、着てね」
ちゅっと、音のなるキスをされた。
それにしても、危なかった。
京楽の白無垢にばかり意識がいって、最後の砦のパンツを脱がされかかった。
京楽が、浮竹を好きと言いだすまでは、互いたまに共同風呂を使ったりして裸は見慣れたものだった。
だが、京楽に想いを告げられてからはパンツの下は見せていない。
パンツは最後の砦。
それを死守しなければ、俺の未来は・・・・・京楽の妻だ。
そう思いながら、げしげしと京楽を蹴ると、京楽は嬉しそうにしているのだった。
ああ、変態だからご褒美にしかならないのだと、遅まきに気づくのであった。
それは、和風の結婚式に、早嫁が着るもの。
その日は、京楽が浮竹に告白してちょうど1年が経つ日だった。
院生の皆が集う体育館で、正装した浮竹が、花嫁を連れて歩きはじめる。
しずしずと、静かに歩む花嫁は白無垢姿で、白いウェディングヴェールを被っていた。
美しい・・・・・。
と、誰も思わなかった。
花婿の浮竹は、美しかった。正装が、ばっちり決まっていて肩までの髪をくくり、髪留めで留めてあった。
こっちのほうが、花嫁らしかった。
しずしずと歩む花嫁は、ごつかった。190センチはあろうかという、長身に、がっしりした体躯。もじゅもじゃの体毛に、手入れされたひげ。
「浮竹、僕たちこれで晴れて夫婦だね」
「ああ、京楽」
体育館にいた、院生全員が泣いていた。
「京楽、幸せになれよ!」
「京楽、綺麗よ!」
「京楽、幸せにな!」
酒が注がれ、お互いに飲みか交わしあう。
山じいが、コンと杖を鳴らす。
「これにて、浮竹十四郎は京楽春水を妻に娶り、ここに永遠の愛を誓うものとする!」
わあああああああああ!
体育館に、院生の祝いの声が響き渡った。
美女と野獣・・・の反対のような夫婦だった。
そして、初夜を迎える。
「十四郎・・・僕、はじめてなんだ。優しくしてね?」
「ああ、もちろんだ春水。ああ、お前の白無垢姿を見るのもこれが最後か。綺麗だぞ、春水」
ウェディングヴェールをとり、白い着物を脱がさせていく。
京楽の全身はもじゃもじゃだった。
「ああ、いいもじゃもじゃ具合だ。ますますお前に夢中になりそうだ」
「あああん、十四郎!」
京楽は、喘いだ。
・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
「うわあああああああああああ!!!!!」
がばりと、浮竹は起きた。
凄い寝汗をかいていた。
「うっ」
軽い吐き気を覚えて、洗面所に向かう。
「はぁはぁ・・・・・」
吐くことはなかったが、冷たい水で何度も顔を洗った。
「京楽の白無垢・・・・もじゃもじゅの花嫁に初夜・・・・おえっ」
見た夢の生生しさに、寒気を覚えた。
「どうしたの、浮竹」
「うわあああああああ!」
京楽は、マジで白無垢姿だった。
「ふふふふ、浮竹が白無垢着てくれないから、僕が着てみたんだ。似合う?」
「ひいいいい」
夢の続きか?
頬をつねるが、痛かった。
「ねぇ、浮竹。僕のお嫁になってくれないなら、僕がお嫁さんになってあげる」
抱き上げられて、ベッドに押し倒された。
「(*´Д`)ハァハァ・・・・僕たち、今日は記念日だよ。僕が君に告白した、1周年記念の日」
白無垢姿を脱いで、もじゃもじゅの京楽は、浮竹の服を脱がせていく。
「ああ、綺麗だ・・・・君の肌は、手に吸い付くようだよ」
「ぎゃああああああ」
「そんな嬉しそうな悲鳴をあげなくても・・・好きだよ、浮竹」
ちゅっと、キスされた。
胸から臍にかけて唇と舌が這い、全身にキスマークを残される。
胸の先端を口に含まれて、なんともいえない痺れを浮竹は覚えた。
「夢!?現実!?」
体を這う京楽の舌は、でもそれが本物であると答えてくれた。
浮竹の最後の砦、パンツに手がかかる。
「破道の4、白雷!」
黒焦げになっても、京楽はパンツを脱がせようとする。
「いい加減に、しろ!」
顔面を蹴った。
「破道の4、白雷!」
もう一度黒焦げにすると、京楽は白目をむいてどさりと倒れた。
「はぁはぁ・・・・・・・」
夢か現(うつつ)であるか分からなくなる。
自分の頬を思いっきりつねると、痛くてこれが現実であると知らせてくれた。
「京楽の白無垢・・・・・・うっ」
おまけに、操まで奪われかけた。
あのまま放置していたら、京楽に美味しく食べられていただろう。
浮竹の着ていた白無垢を手に取る。特注なのが、でかかった。
「京楽のやつ・・・白無垢なんて着て、どうしたんだろう」
「それはね」
白目をむいていた京楽が復活し、浮竹の隣に並んだ。
パンツはかろうじでお互いはいていた。
「僕と君の、告白1周年記念だから、何か驚かせてあげようと思って、白無垢を着てみたんだけど・・・・やっぱり、僕は何を着ても似合うね!」
ついに、女装癖まででたか?
そう思ったが、京楽は首を横に振った。
「と、思いたいところだけど、やっぱり白無垢は浮竹に着てほしいな」
「着ないからな!」
「今じゃなくてもいいからね。いつか、着てね」
ちゅっと、音のなるキスをされた。
それにしても、危なかった。
京楽の白無垢にばかり意識がいって、最後の砦のパンツを脱がされかかった。
京楽が、浮竹を好きと言いだすまでは、互いたまに共同風呂を使ったりして裸は見慣れたものだった。
だが、京楽に想いを告げられてからはパンツの下は見せていない。
パンツは最後の砦。
それを死守しなければ、俺の未来は・・・・・京楽の妻だ。
そう思いながら、げしげしと京楽を蹴ると、京楽は嬉しそうにしているのだった。
ああ、変態だからご褒美にしかならないのだと、遅まきに気づくのであった。
紫陽花
6月。
紫陽花が綺麗に咲いていた。
しとしとと雨の降る季節。梅雨の季節だった。
恋次は、傘もささずにただ空を見上げていた。
どうすれば、もっと強くなれる?
隊長をこすほどに。
「恋次」
傘をさした白哉が、外に出て少しも戻ろうとしない恋次を心配して、やってきた。
「何をしておる、こんな場所で」
「イメージトレーニングです」
心の中で、蛇尾丸に話しかける。
蛇尾丸は、黙していた。
「だめか・・・・・」
蛇尾丸と、もっと心を通わせ合うようになれれば、もっと強くなれるのだろうか。
隊長が、千本桜と心を通わせているように。
「イメージトレーンングなら、室内でもできる。風邪をひく。即刻やめよ」
「あんたは!」
恋次は、白哉を抱き寄せた。
「あんたは強い。俺も、もっともっと強くなります。いつか、あんたを追い越します」
「できるものなら」
薄く、白哉は微笑んでいた。
「くそっ」
隊長。
隊長、隊長、隊長。
強くなれば、あんたは心を完全に開いてくれるか?俺のものになってくれるか?
否、強くなればなるほど、あんたも強くなっている。
差は広まることも縮まることもなく。
雨の中、2人は傘もささずに佇んだ。
「恋次・・・・・・」
「隊長。どうしようもないくらいに、あんたが好きだ」
「恋次、私は・・・・・・・」
その唇を奪うように貪った。
「んあっ・・・・・」
白哉の漏らす声に、かっと体中が熱くなった。
この瞬間なのだ。高みが、おぼろげながら見える。
「あんたを抱きたい」
「許さぬ。このような日の高いうちからは、許さぬ」
「じゃあ、日が沈んだいいんすか」
「いつもの屋敷に来い」
それだけ言い残すと、白哉は執務室に消えてしまった。
かっとなったこの体の熱さをどうすればいいか分からず、恋次はただ雨の降る空を見上げていた。
夜になり、いつも睦みあう時に使う館に訪れる。
豪華な食事と酒が用意してあった。
先に食べていた白哉は、恋次が来ても何も言わず、食べて飲んでいた。
だが、あまりにも沈黙が重いので、口を開く。
「何をしている。腹をすかせているのであろう?」
確かに、昼飯を食っていなかったせいもあって、お腹はぐーっとないて、それに恥ずかしさを覚えた。
「遠慮することはない。貴様のために作らせた分だ。食せ」
「隊長・・・・・・」
食事を口にしていくと、その美味しさにはしが止まらなくなった。
高級酒を飲み交わしていると、先に飲みだしていた白哉の酒がきれた。
「もう、終わりか」
「まだありますよ」
杯に注ぐふりをして、口に含んで白哉に口移しで飲ませた。
「ふあっ・・・・・んっ・・・・・・」
こくりと、酒を飲みこむ喉の動きに、かっとまた体が熱くなった。
ああ。
俺は、隊長にはまだ勝てない。
「隊長、褥にいきましょう」
「酒がまだ残っている。飲まぬのか?」
「もう十分です」
褥に白哉を横たえると、鴉のように艶のある漆黒の瞳が、酒のせいか潤んでいた。
「隊長、好きです。あんたがどうしようもないくらい好きです。あんたの全部を手に入れたい」
「欲張りだな・・・・・・」
「そうです。俺は欲張りなんすよ」
白哉と舌が絡ますキスを何度も繰り返し、衣服を脱がせていく。
細い体にはしなやかな筋肉がついており、美しかった。
「あ、あ、あ・・・・・」
全身を愛撫して、刺激を与えていくと、白哉の桜色の唇から、甘い声が漏れる。
「恋次・・・・・好きだ」
「隊長っ!」
潤滑油を手にとり、早急に内部を解していく。
前立腺をコリコリと刺激するように触ると、白哉は射干玉のような瞳で、恋次を見ていた。
「早く、来い」
「でも、ちゃんと解しておかないと・・・・・・」
「よい。貴様が欲しいのだ」
また、体がかっと熱くなった。
普通、抱かれている相手が熱くなるはずなのに、抱いている恋次のほうが熱くなった。
ああ。
隊長に求められるなんて。
なんて、至福。
己を宛がい、一気に白哉を貫いた。
「あああああ!!!」
あまり解していなかったそこは、血を滲ませた。
「く、きつい・・・・・隊長、息すって吐いて・・・・力抜いて」
白哉は、言われた通りにした。
幾分中が緩んで、潤滑油の力を使い最後まで埋め込んだ。
「あ・・・・」
「隊長、わかりますか?今、俺たち一つになってる」
「恋次・・・・・・ああっ!」
前立腺をついてやると、白哉は体を痙攣させた。
ああ、いったのか。
そう思いながらも、白哉の中を楽しむように突き上げて犯した。
前立腺をねらって突き上げてやれば、白哉はまた甘い声をあげる。
「んああっ」
「隊長、好きだ、愛してます!」
「恋次・・・・私も、好きだ・・・・・」
けれど、愛しているとは言ってくれない。
分かっているからと、全てをぶつけるように白哉を犯した。
「ああああ!!!」
恋次が、限界にきて白哉の中に欲望を吐き出す。
白哉の花茎に手をかけて、爪で鈴口をいじっていると、先走りの蜜がぽたぽたと垂れてきた。
白哉から引き抜いて、白哉のものに口を這わせると、白哉は驚いて体をはねさせた。
「ああああ!!」
ちろりちろりと舐めてやれば、白濁した液体が出てくる。苦みのしない淡泊な味のそれを飲み込んだ。
「恋次・・・・・ふあっ」
もう一度、今度は全体をなめていると、むくりとまた白哉は反応した。
「隊長も若いっすね」
「あ、言うな・・・・・ああああ!」
じゅぴじゅぷと音を立てて口淫してやれば、白哉はまた欲望を恋次の口の中に放った。
「あんたの味、薄いな」
「貴様・・・・・・」
ぐったりと弛緩している体を開かせていく。
恋次は、まだ一度しかいってないのだ。若いだけあって体力もある。
ずっずっと音をたてて、白哉を犯した。
何度か中を穿ち、2回目、3回目と熱を中に放った。
最後の頃には、白哉の意識はすでになかった。
意識のない白夜を好き勝手に犯した。
「好きだ、隊長・・・・・・・朽木、白哉」
その名を呟かれたことを、白哉は知らぬまま数時間意識を飛ばしていた。
「ん・・・・・・」
5時間ほど眠って、白哉は意識を取り戻した。傍らにいるはずの恋次は、いなかった。
湯殿にいき、体を洗って清め、シーツをかえて褥に横になる。
「恋次・・・・・?」
恋次の姿を探して暗闇の中さまようと、外にいた。
昼の時のように、今度は月夜を見上げていた。
「あんたが好きだ、隊長。白哉」
「恋次・・・・」
「あんたの全部が欲しい。体は奪った。心もほとんど奪いかけてる。でも、100%奪えない」
「恋次、私は、いつか貴様に全てを与えるだろう」
思いがけない言葉を聞いて、恋次が目を見開く。
「本当に?愛していると、言ってくれるんですか」
「いつか・・・・まだ、今は分からぬ。貴様に抱いているこの感情がなんなのか、分からぬのだ」
射干玉の瞳が彷徨う。
恋次は、白哉をしっかりと抱き留めて、抱きしめた。
「愛しています、隊長」
「私は・・・・・・」
唇を奪う。
どうせ、その続きは沈黙だから。
夜は、更けていく。
二人は、眠くなるまで外で互いを抱き締めあい、呼吸するのだった。
白哉は思う。
この感情がなんなのか分かった時。
恋次に、心の全てを与えようと。
愛していると、告げようと。
紫陽花が、まるで二人を包み込むように、咲いていた。
紫陽花が綺麗に咲いていた。
しとしとと雨の降る季節。梅雨の季節だった。
恋次は、傘もささずにただ空を見上げていた。
どうすれば、もっと強くなれる?
隊長をこすほどに。
「恋次」
傘をさした白哉が、外に出て少しも戻ろうとしない恋次を心配して、やってきた。
「何をしておる、こんな場所で」
「イメージトレーニングです」
心の中で、蛇尾丸に話しかける。
蛇尾丸は、黙していた。
「だめか・・・・・」
蛇尾丸と、もっと心を通わせ合うようになれれば、もっと強くなれるのだろうか。
隊長が、千本桜と心を通わせているように。
「イメージトレーンングなら、室内でもできる。風邪をひく。即刻やめよ」
「あんたは!」
恋次は、白哉を抱き寄せた。
「あんたは強い。俺も、もっともっと強くなります。いつか、あんたを追い越します」
「できるものなら」
薄く、白哉は微笑んでいた。
「くそっ」
隊長。
隊長、隊長、隊長。
強くなれば、あんたは心を完全に開いてくれるか?俺のものになってくれるか?
否、強くなればなるほど、あんたも強くなっている。
差は広まることも縮まることもなく。
雨の中、2人は傘もささずに佇んだ。
「恋次・・・・・・」
「隊長。どうしようもないくらいに、あんたが好きだ」
「恋次、私は・・・・・・・」
その唇を奪うように貪った。
「んあっ・・・・・」
白哉の漏らす声に、かっと体中が熱くなった。
この瞬間なのだ。高みが、おぼろげながら見える。
「あんたを抱きたい」
「許さぬ。このような日の高いうちからは、許さぬ」
「じゃあ、日が沈んだいいんすか」
「いつもの屋敷に来い」
それだけ言い残すと、白哉は執務室に消えてしまった。
かっとなったこの体の熱さをどうすればいいか分からず、恋次はただ雨の降る空を見上げていた。
夜になり、いつも睦みあう時に使う館に訪れる。
豪華な食事と酒が用意してあった。
先に食べていた白哉は、恋次が来ても何も言わず、食べて飲んでいた。
だが、あまりにも沈黙が重いので、口を開く。
「何をしている。腹をすかせているのであろう?」
確かに、昼飯を食っていなかったせいもあって、お腹はぐーっとないて、それに恥ずかしさを覚えた。
「遠慮することはない。貴様のために作らせた分だ。食せ」
「隊長・・・・・・」
食事を口にしていくと、その美味しさにはしが止まらなくなった。
高級酒を飲み交わしていると、先に飲みだしていた白哉の酒がきれた。
「もう、終わりか」
「まだありますよ」
杯に注ぐふりをして、口に含んで白哉に口移しで飲ませた。
「ふあっ・・・・・んっ・・・・・・」
こくりと、酒を飲みこむ喉の動きに、かっとまた体が熱くなった。
ああ。
俺は、隊長にはまだ勝てない。
「隊長、褥にいきましょう」
「酒がまだ残っている。飲まぬのか?」
「もう十分です」
褥に白哉を横たえると、鴉のように艶のある漆黒の瞳が、酒のせいか潤んでいた。
「隊長、好きです。あんたがどうしようもないくらい好きです。あんたの全部を手に入れたい」
「欲張りだな・・・・・・」
「そうです。俺は欲張りなんすよ」
白哉と舌が絡ますキスを何度も繰り返し、衣服を脱がせていく。
細い体にはしなやかな筋肉がついており、美しかった。
「あ、あ、あ・・・・・」
全身を愛撫して、刺激を与えていくと、白哉の桜色の唇から、甘い声が漏れる。
「恋次・・・・・好きだ」
「隊長っ!」
潤滑油を手にとり、早急に内部を解していく。
前立腺をコリコリと刺激するように触ると、白哉は射干玉のような瞳で、恋次を見ていた。
「早く、来い」
「でも、ちゃんと解しておかないと・・・・・・」
「よい。貴様が欲しいのだ」
また、体がかっと熱くなった。
普通、抱かれている相手が熱くなるはずなのに、抱いている恋次のほうが熱くなった。
ああ。
隊長に求められるなんて。
なんて、至福。
己を宛がい、一気に白哉を貫いた。
「あああああ!!!」
あまり解していなかったそこは、血を滲ませた。
「く、きつい・・・・・隊長、息すって吐いて・・・・力抜いて」
白哉は、言われた通りにした。
幾分中が緩んで、潤滑油の力を使い最後まで埋め込んだ。
「あ・・・・」
「隊長、わかりますか?今、俺たち一つになってる」
「恋次・・・・・・ああっ!」
前立腺をついてやると、白哉は体を痙攣させた。
ああ、いったのか。
そう思いながらも、白哉の中を楽しむように突き上げて犯した。
前立腺をねらって突き上げてやれば、白哉はまた甘い声をあげる。
「んああっ」
「隊長、好きだ、愛してます!」
「恋次・・・・私も、好きだ・・・・・」
けれど、愛しているとは言ってくれない。
分かっているからと、全てをぶつけるように白哉を犯した。
「ああああ!!!」
恋次が、限界にきて白哉の中に欲望を吐き出す。
白哉の花茎に手をかけて、爪で鈴口をいじっていると、先走りの蜜がぽたぽたと垂れてきた。
白哉から引き抜いて、白哉のものに口を這わせると、白哉は驚いて体をはねさせた。
「ああああ!!」
ちろりちろりと舐めてやれば、白濁した液体が出てくる。苦みのしない淡泊な味のそれを飲み込んだ。
「恋次・・・・・ふあっ」
もう一度、今度は全体をなめていると、むくりとまた白哉は反応した。
「隊長も若いっすね」
「あ、言うな・・・・・ああああ!」
じゅぴじゅぷと音を立てて口淫してやれば、白哉はまた欲望を恋次の口の中に放った。
「あんたの味、薄いな」
「貴様・・・・・・」
ぐったりと弛緩している体を開かせていく。
恋次は、まだ一度しかいってないのだ。若いだけあって体力もある。
ずっずっと音をたてて、白哉を犯した。
何度か中を穿ち、2回目、3回目と熱を中に放った。
最後の頃には、白哉の意識はすでになかった。
意識のない白夜を好き勝手に犯した。
「好きだ、隊長・・・・・・・朽木、白哉」
その名を呟かれたことを、白哉は知らぬまま数時間意識を飛ばしていた。
「ん・・・・・・」
5時間ほど眠って、白哉は意識を取り戻した。傍らにいるはずの恋次は、いなかった。
湯殿にいき、体を洗って清め、シーツをかえて褥に横になる。
「恋次・・・・・?」
恋次の姿を探して暗闇の中さまようと、外にいた。
昼の時のように、今度は月夜を見上げていた。
「あんたが好きだ、隊長。白哉」
「恋次・・・・」
「あんたの全部が欲しい。体は奪った。心もほとんど奪いかけてる。でも、100%奪えない」
「恋次、私は、いつか貴様に全てを与えるだろう」
思いがけない言葉を聞いて、恋次が目を見開く。
「本当に?愛していると、言ってくれるんですか」
「いつか・・・・まだ、今は分からぬ。貴様に抱いているこの感情がなんなのか、分からぬのだ」
射干玉の瞳が彷徨う。
恋次は、白哉をしっかりと抱き留めて、抱きしめた。
「愛しています、隊長」
「私は・・・・・・」
唇を奪う。
どうせ、その続きは沈黙だから。
夜は、更けていく。
二人は、眠くなるまで外で互いを抱き締めあい、呼吸するのだった。
白哉は思う。
この感情がなんなのか分かった時。
恋次に、心の全てを与えようと。
愛していると、告げようと。
紫陽花が、まるで二人を包み込むように、咲いていた。
一護とルキア 番外編
「私、チカさんと結婚したい!」
愛娘の言葉に、一護は食卓を囲んでいて味噌汁を飲んでいたのだが、その味噌汁をぶーーーと吹き出していた。
「やだー父様きたないー」
「チカさんって・・・弓親さんのことだよな?」
「そうだよー。私の師匠の一角さんといつもつるんでる、とってもとっても美形で、優しいチカさんのお嫁さんに、来月いくの!」
ブーーーーー。
同じように、味噌汁を飲んでいたルキアが、味噌汁を吹き出した。
「やだー母様まで」
「苺花、貴様はまだ8歳なのだぞ?結婚などできるわけがなかろう!」
「そうだぞ、苺花!大きくなるまで待て。それに、弓親さん以外にもいい男はいっぱいいるんだぞ!」
「父様、じゃあ俺は母様の夫になるー」
ブーーーーー。
苺花の弟である一勇が、そう言いだして、今度は一護がお茶を吹きだした。
「近親相姦かよ!一勇、ルキアは俺の妻だ。お前は、他からお嫁をもらいなさい!」
「えー、だめなの?」
「だめに決まってる!なぁ、ルキア。俺たちの教育が間違っていたんだろうか」
「問うな、一護。普通に教育してきたつもりだ!」
二人はこそこそと相談しあった。
そして、一度二人を白哉に預けて、貴族としての教育を受けさせようということで一致した。
「苺花、お前は明日から、1週間白哉のとこで過ごせ」
「白夜叔父様の?」
苺花は、首を傾げた。
「一勇もだぞ!」
「えー。母様の傍を離れたない」
5歳の一勇は、ルキアにべったりだった。
「文句は言わないこと!」
「「えーー」」
愛しい愛娘と愛息子は、はたして白哉の厳しい教えに耐えれるだろうか。
そう思いながらも、苺花と一勇は朽木家にある者として、いずれ4大貴族の中で育っていく子供たちなのだ。
なるべく自由にのびのびと育ててきたつもりだが、自由すぎた。のびのびすぎた。
そもそも、8歳ですでに一角と打ち合いをできるまで成長している苺花は、きっと将来護廷13隊の席官になるだろう。
今は死神の初等部に通わせている。
ある程度年をとったら、真央霊術院に通わせる予定だが、15までは普通に死神の娘として育てるつもりだった。
一角に教えを受けるようにさせたのが間違いなのだろうか。一角は、自由本舗なところがあるから。
それに、弓親は基本自分のことが好きなので、妻帯するつもりもないようだし、苺花が何をいっても、年頃になっても結婚はしないだろうと思えた。
こうして、苺花と一勇は、白哉の下で貴族であるのが、4大貴族であるのがどういうことかというのを、マナーも交えて1週間みっちりと叩きこまれた。
「おはようございます、お母様」
「苺花?」
「おはようございます、お父様」
「一勇?」
一護と、ルキアは、顔を見合わせあった。
白哉に貴族であるのがなんなんかを叩きこませて、正解だったと思った。
しかし、それも束の間のことだった。
「白哉叔父様、堅苦しい。もっと自由に生きなきゃ、人生損だよね」
「白哉叔父様、お父様よりかっこいい」
そんな言葉をだす二人に、一護もルキアも、溜息を零すのだった。
結局、二人には貴族がなんであるかを叩きこんだが、性根がもう座っていて、性格の修正には無理だということだった。
「兄様・・・お疲れですね」
「ルキアか・・・・一勇はまだましだ。これからの教育次第では、次期朽木家当主として、育つだろう。だが、苺花は・・・・・あれは、私の手に負えぬ」
「兄様がそこまで苦労なさるとは・・・・苺花、教育の仕方間違えたのでしょうか」
「分からぬ。普通に教育してきたのであろう?」
「はい・・・・ただ、本人が望むので、班目副隊長に剣の指導を受けさせていたら、いつも近くにいる綾瀬川3席に懸想したらしく・・・・・」
「まだ、8歳であろう」
「はい」
「綾瀬川3席も分かっておるだろう。朽木家の者であるということを」
「それでも、苺花は結婚したいとか言い出す始末で・・・・・」
「頭が痛いな」
「はい」
また、何気ない毎日が始まる。
苺花は結局、弓親のお嫁さんになるという夢を抱いたままで。一勇は、いつもはおどおどしているが、白哉の鍛錬のせいか、最近顔つきが男らしくなってきた。
苺花と一勇を死神初等部に送り出して、ルキアと一護久しぶりに夫婦として二人きりの時間をすごしていた。
「ああ、こういうのもいいな。貴様の体温が暖かい」
「あの二人がいると、おちおちいちゃつくことこもできないからなぁ」
二人は互いを抱擁しあい、キスを繰り返した。
「なぁ、流石に3人目はいらないか」
「もう、2人で手一杯だ。3人目はさすがにいらぬ」
「そうだな」
「んっ・・・・・・・」
舌が絡みあうキスをして、久しぶりに体を重ねた。無論、避妊して。
「ああっ!」
乱れるルキアは、子供を二人も生んだとは思えぬ細さだった。
「ん・・・・ルキア、愛してる」
「私もだ、一護・・・・・」
体を重ねあいながら、今まで歩んできた道のりを思い出す。
死神と人間。
歴然とした差があった。結ばれるはずはないと思っていた。
だが、二人は結ばれ、二人も子をもうけた。
ルキアを、恋次は慕っていたが、一護との結婚を自分のことのように喜んでくれた。
家族の一員であるように、たまに恋次も加ええて食卓を囲む。
白哉もいる。
そんな食卓は賑やか過ぎて。
でも、悪くないのだ。
一護とルキアが結ばれて、もう実に15年以上が経過しようとしていた。
愛娘の言葉に、一護は食卓を囲んでいて味噌汁を飲んでいたのだが、その味噌汁をぶーーーと吹き出していた。
「やだー父様きたないー」
「チカさんって・・・弓親さんのことだよな?」
「そうだよー。私の師匠の一角さんといつもつるんでる、とってもとっても美形で、優しいチカさんのお嫁さんに、来月いくの!」
ブーーーーー。
同じように、味噌汁を飲んでいたルキアが、味噌汁を吹き出した。
「やだー母様まで」
「苺花、貴様はまだ8歳なのだぞ?結婚などできるわけがなかろう!」
「そうだぞ、苺花!大きくなるまで待て。それに、弓親さん以外にもいい男はいっぱいいるんだぞ!」
「父様、じゃあ俺は母様の夫になるー」
ブーーーーー。
苺花の弟である一勇が、そう言いだして、今度は一護がお茶を吹きだした。
「近親相姦かよ!一勇、ルキアは俺の妻だ。お前は、他からお嫁をもらいなさい!」
「えー、だめなの?」
「だめに決まってる!なぁ、ルキア。俺たちの教育が間違っていたんだろうか」
「問うな、一護。普通に教育してきたつもりだ!」
二人はこそこそと相談しあった。
そして、一度二人を白哉に預けて、貴族としての教育を受けさせようということで一致した。
「苺花、お前は明日から、1週間白哉のとこで過ごせ」
「白夜叔父様の?」
苺花は、首を傾げた。
「一勇もだぞ!」
「えー。母様の傍を離れたない」
5歳の一勇は、ルキアにべったりだった。
「文句は言わないこと!」
「「えーー」」
愛しい愛娘と愛息子は、はたして白哉の厳しい教えに耐えれるだろうか。
そう思いながらも、苺花と一勇は朽木家にある者として、いずれ4大貴族の中で育っていく子供たちなのだ。
なるべく自由にのびのびと育ててきたつもりだが、自由すぎた。のびのびすぎた。
そもそも、8歳ですでに一角と打ち合いをできるまで成長している苺花は、きっと将来護廷13隊の席官になるだろう。
今は死神の初等部に通わせている。
ある程度年をとったら、真央霊術院に通わせる予定だが、15までは普通に死神の娘として育てるつもりだった。
一角に教えを受けるようにさせたのが間違いなのだろうか。一角は、自由本舗なところがあるから。
それに、弓親は基本自分のことが好きなので、妻帯するつもりもないようだし、苺花が何をいっても、年頃になっても結婚はしないだろうと思えた。
こうして、苺花と一勇は、白哉の下で貴族であるのが、4大貴族であるのがどういうことかというのを、マナーも交えて1週間みっちりと叩きこまれた。
「おはようございます、お母様」
「苺花?」
「おはようございます、お父様」
「一勇?」
一護と、ルキアは、顔を見合わせあった。
白哉に貴族であるのがなんなんかを叩きこませて、正解だったと思った。
しかし、それも束の間のことだった。
「白哉叔父様、堅苦しい。もっと自由に生きなきゃ、人生損だよね」
「白哉叔父様、お父様よりかっこいい」
そんな言葉をだす二人に、一護もルキアも、溜息を零すのだった。
結局、二人には貴族がなんであるかを叩きこんだが、性根がもう座っていて、性格の修正には無理だということだった。
「兄様・・・お疲れですね」
「ルキアか・・・・一勇はまだましだ。これからの教育次第では、次期朽木家当主として、育つだろう。だが、苺花は・・・・・あれは、私の手に負えぬ」
「兄様がそこまで苦労なさるとは・・・・苺花、教育の仕方間違えたのでしょうか」
「分からぬ。普通に教育してきたのであろう?」
「はい・・・・ただ、本人が望むので、班目副隊長に剣の指導を受けさせていたら、いつも近くにいる綾瀬川3席に懸想したらしく・・・・・」
「まだ、8歳であろう」
「はい」
「綾瀬川3席も分かっておるだろう。朽木家の者であるということを」
「それでも、苺花は結婚したいとか言い出す始末で・・・・・」
「頭が痛いな」
「はい」
また、何気ない毎日が始まる。
苺花は結局、弓親のお嫁さんになるという夢を抱いたままで。一勇は、いつもはおどおどしているが、白哉の鍛錬のせいか、最近顔つきが男らしくなってきた。
苺花と一勇を死神初等部に送り出して、ルキアと一護久しぶりに夫婦として二人きりの時間をすごしていた。
「ああ、こういうのもいいな。貴様の体温が暖かい」
「あの二人がいると、おちおちいちゃつくことこもできないからなぁ」
二人は互いを抱擁しあい、キスを繰り返した。
「なぁ、流石に3人目はいらないか」
「もう、2人で手一杯だ。3人目はさすがにいらぬ」
「そうだな」
「んっ・・・・・・・」
舌が絡みあうキスをして、久しぶりに体を重ねた。無論、避妊して。
「ああっ!」
乱れるルキアは、子供を二人も生んだとは思えぬ細さだった。
「ん・・・・ルキア、愛してる」
「私もだ、一護・・・・・」
体を重ねあいながら、今まで歩んできた道のりを思い出す。
死神と人間。
歴然とした差があった。結ばれるはずはないと思っていた。
だが、二人は結ばれ、二人も子をもうけた。
ルキアを、恋次は慕っていたが、一護との結婚を自分のことのように喜んでくれた。
家族の一員であるように、たまに恋次も加ええて食卓を囲む。
白哉もいる。
そんな食卓は賑やか過ぎて。
でも、悪くないのだ。
一護とルキアが結ばれて、もう実に15年以上が経過しようとしていた。
海燕とメリークリスマス
「海燕、メリークリスマス」
「隊長も、メリークリスマス。ついでに仕方ないから京楽隊長も」
「僕だけ、扱い酷くない!?浮竹、僕にメリークリスマスは!?」
「えー。京楽に言ったら、去年ふりふりふわふわのサンタ服着てっていわれて、着てメリークリスマスって言ったら、そのまま押し倒されて3時間はセックスしてきたのでいやだ」
「細かい説明聞きたくもないのにありがとうございます」
海燕は、この上官たちはクリスマスの日も変わらずだなと思った。
「ねーそういわずに。今年は絶対手を出さないから。この、浮竹専用のふりふりふわふわのクリスマスサンタ服着てよ」
「絶対に、盛らないな?」
「絶対の絶対」
「分かった」
あーあ。また、おいしくいただかれちゃうんだろうな。
「着替えるから、浴室いってくる」
「ここで着換ててもいいのに」
「お前の視線があるから嫌だ!」
数分して、ふりふりふわふわのクリスマスサンタ服を着た浮竹が現れた。
「なあ、なんでズボンが半ズボンで、おへそがでるようにされてあるんだ?」
二ーソックスまで、はいていた。
その姿に、海燕は飲んでいた茶をブーーーと吹き出した。
普通のサンタ服ではなかった。
かなり丈の短い半ズボンに、少し長めの上の服。でも、上の服は胸のところまでしかボタンがなくって、へそが見えていた。
正直、年を考えろと言いたかったが、この上官、容姿端麗でとても似合っていた。
無駄な筋肉がついておらず、腹筋の割れていない臍だしはかわいいとしかいいようがなかった。
「隊長、かわいいですよ」
「う・・・・かわいいのか」
「はい」
「こんな格好、風邪をひく」
「いいね、似合ってるよ!」
パシャパシャと、写真をとる京楽。
「ふう、今年も浮竹のかわいい写真がとれた。僕は満足だよ」
「じゃあ、着替えていいか?」
「だめ。寒いでしょ、僕の傍においで」
あーあー。狼に羊が近寄っていく・・・・・。
ぽふりと、京楽の腕の中に抱きしめられる浮竹。
「かわいいねぇ。お肌もすべすべだし」
京楽は、エロ上司のようになっていた。
「あ、京楽・・・・」
見ているこっちなど、お構いなしだ。
「食べちゃいたいよ」
「食べないで・・・・・」
潤んだ翡翠の瞳で懇願される。
あーあー。狼あおちゃってまぁ。この羊、自己防衛能力0だな。
「ああっ」
服の隙間から、胸に手を入れて、全体を撫でまわす京楽に、海燕はここまでだと、声をかける。
「なんか見ていられないので、俺はここで退出します」
「あ、海燕助けてくれ・・・・・」
「無理です。自分で脱出してください」
「んあああ!きょう・・ら・・くぅ」
あーあ。今年も美味しくいただかれてしまってください、隊長。
心の中で念仏を唱えて、雨乾堂を後にした。
京楽は、服を脱がさず、浮竹のサンタ服を楽しんだ。
胸を触り、先端を何度もつまむ。
「あっ」
「ほら、サンタ服めくりあげて?」
言われた通りにすると、胸から腹にかけて京楽の舌がなぞってくる。
「ううん・・」
浮竹の半ズボンを下着ごとずらして、反応しかけている花茎に手をそえて、しごくと、浮竹はびくりと体をはねさせた。
「あ!」
「ああ、いちゃった?早いね」
「最近、してなかったから・・・」
「僕は、浮竹を思って一人でぬいてたけど・・・・やっぱ、本物がいいね」
数日肺の発作で寝込んでいたので、念のためにと体を重ねなかったのだ。
そのまま、潤滑油を垂らした指が蕾を触ろうとして、浮竹のお尻に全体に塗られた。
「京楽?」
「せっかくのサンタ服だし・・・・浮竹も病み上がりだから、素股しようか」
「素股?」
「そう」
京楽は、己の欲望を取り出すと、浮竹の太ももを閉じさせて、太ももと尻の間に一物を入れて、激しくすりあげはじめた。
「んあ・・・」
「交わるほどの快感を浮竹は得られないだろうから、こっちをね」
素股でぬちゃぬちゃと浮竹の閉じさせた太ももの間を出入りしながら、浮竹の花茎に手をかけてしごいていく。
「あ、ああああ!」
「きもちいい?」
「んあ!んんん・・・・・・・・あ、あ!」
ぬちゃぬちゃと、素股で京楽はいった。
浮竹の花茎の先端に爪をたてると、浮竹も京楽の手に欲望を放った。
「足りないから、もう1回ね」
「んあう!」
くちゅくちゅいといやらしい音を立てて、素股を堪能する京楽。
浮竹は、全身を愛撫する手や花茎をしごいてくる京楽の動きに、声をあげる。
「ああ、やだ、いっちゃう・・・・んあああああああ!」
素股をしながら、京楽は浮竹の花茎を戒めた。
「やあ、なんで!やあぁ、いかせてぇ」
「僕と一緒にいこう」
ぐちゃぐちゃと素股で出し入れを繰り返して、京楽は果てた。戒めていた手を離すと、浮竹も果てた。
「ああ・・・・・サンタ服が・・・・・」
精液で、どろどろになってしまった。
「洗濯して乾かせば大丈夫。替えのサンタ服もあるんだ。こっちは、普通のだけど。流石に今きてるサンタ服のようなやつは、風邪ひくからね」
濡れたタオルで体をふかれた。今日は交わっていないので、体内から精液をかきだす必要はなかった。
ふわふわの普通のサンタ服を着せらえた。
「やっぱ、サンタ服は僕より浮竹が似合うね」
浮竹はすねていた。
「手を出さないと言った。絶対の絶対だって言った」
「最後まではしてないでしょ?」
「京楽のばか!」
べしっと頭を叩きつつも、京楽の腕の中に収まる。
「おなか減った・・・・」
「そうだね、軽い運動にもなるから」
「海燕ーーーー」
「はいはい」
隊舎で仕事をしていた海燕がやってくる。
様子を見て、ああ、自分の上官は京楽に美味しくいただかれてしまったのだなと悟った。
「夕餉の支度を頼む」
「クリスマス時期だから、ケーキついてますよ」
「お、いいな。京楽、お前の分のケーキは俺がいただく」
「まぁ、素股させちゃったしね」
その言葉に、海燕がぎょっとなる。
「素股・・・・・またマニアックな・・・・・」
そう言いつつも、二人分の夕餉を用意する。少し大きめのクリスマスケーキがあった。
「ほら、浮竹」
京楽が、自分の分のクリスマスケーキも浮竹に渡す。
他の食事を食べて、浮竹は嬉しそうにクリスマスケーキをほうばった。
サンタ服姿のままだが。
しばらくの間、この格好でいてもらおうと思う京楽だった。
「隊長も、メリークリスマス。ついでに仕方ないから京楽隊長も」
「僕だけ、扱い酷くない!?浮竹、僕にメリークリスマスは!?」
「えー。京楽に言ったら、去年ふりふりふわふわのサンタ服着てっていわれて、着てメリークリスマスって言ったら、そのまま押し倒されて3時間はセックスしてきたのでいやだ」
「細かい説明聞きたくもないのにありがとうございます」
海燕は、この上官たちはクリスマスの日も変わらずだなと思った。
「ねーそういわずに。今年は絶対手を出さないから。この、浮竹専用のふりふりふわふわのクリスマスサンタ服着てよ」
「絶対に、盛らないな?」
「絶対の絶対」
「分かった」
あーあ。また、おいしくいただかれちゃうんだろうな。
「着替えるから、浴室いってくる」
「ここで着換ててもいいのに」
「お前の視線があるから嫌だ!」
数分して、ふりふりふわふわのクリスマスサンタ服を着た浮竹が現れた。
「なあ、なんでズボンが半ズボンで、おへそがでるようにされてあるんだ?」
二ーソックスまで、はいていた。
その姿に、海燕は飲んでいた茶をブーーーと吹き出した。
普通のサンタ服ではなかった。
かなり丈の短い半ズボンに、少し長めの上の服。でも、上の服は胸のところまでしかボタンがなくって、へそが見えていた。
正直、年を考えろと言いたかったが、この上官、容姿端麗でとても似合っていた。
無駄な筋肉がついておらず、腹筋の割れていない臍だしはかわいいとしかいいようがなかった。
「隊長、かわいいですよ」
「う・・・・かわいいのか」
「はい」
「こんな格好、風邪をひく」
「いいね、似合ってるよ!」
パシャパシャと、写真をとる京楽。
「ふう、今年も浮竹のかわいい写真がとれた。僕は満足だよ」
「じゃあ、着替えていいか?」
「だめ。寒いでしょ、僕の傍においで」
あーあー。狼に羊が近寄っていく・・・・・。
ぽふりと、京楽の腕の中に抱きしめられる浮竹。
「かわいいねぇ。お肌もすべすべだし」
京楽は、エロ上司のようになっていた。
「あ、京楽・・・・」
見ているこっちなど、お構いなしだ。
「食べちゃいたいよ」
「食べないで・・・・・」
潤んだ翡翠の瞳で懇願される。
あーあー。狼あおちゃってまぁ。この羊、自己防衛能力0だな。
「ああっ」
服の隙間から、胸に手を入れて、全体を撫でまわす京楽に、海燕はここまでだと、声をかける。
「なんか見ていられないので、俺はここで退出します」
「あ、海燕助けてくれ・・・・・」
「無理です。自分で脱出してください」
「んあああ!きょう・・ら・・くぅ」
あーあ。今年も美味しくいただかれてしまってください、隊長。
心の中で念仏を唱えて、雨乾堂を後にした。
京楽は、服を脱がさず、浮竹のサンタ服を楽しんだ。
胸を触り、先端を何度もつまむ。
「あっ」
「ほら、サンタ服めくりあげて?」
言われた通りにすると、胸から腹にかけて京楽の舌がなぞってくる。
「ううん・・」
浮竹の半ズボンを下着ごとずらして、反応しかけている花茎に手をそえて、しごくと、浮竹はびくりと体をはねさせた。
「あ!」
「ああ、いちゃった?早いね」
「最近、してなかったから・・・」
「僕は、浮竹を思って一人でぬいてたけど・・・・やっぱ、本物がいいね」
数日肺の発作で寝込んでいたので、念のためにと体を重ねなかったのだ。
そのまま、潤滑油を垂らした指が蕾を触ろうとして、浮竹のお尻に全体に塗られた。
「京楽?」
「せっかくのサンタ服だし・・・・浮竹も病み上がりだから、素股しようか」
「素股?」
「そう」
京楽は、己の欲望を取り出すと、浮竹の太ももを閉じさせて、太ももと尻の間に一物を入れて、激しくすりあげはじめた。
「んあ・・・」
「交わるほどの快感を浮竹は得られないだろうから、こっちをね」
素股でぬちゃぬちゃと浮竹の閉じさせた太ももの間を出入りしながら、浮竹の花茎に手をかけてしごいていく。
「あ、ああああ!」
「きもちいい?」
「んあ!んんん・・・・・・・・あ、あ!」
ぬちゃぬちゃと、素股で京楽はいった。
浮竹の花茎の先端に爪をたてると、浮竹も京楽の手に欲望を放った。
「足りないから、もう1回ね」
「んあう!」
くちゅくちゅいといやらしい音を立てて、素股を堪能する京楽。
浮竹は、全身を愛撫する手や花茎をしごいてくる京楽の動きに、声をあげる。
「ああ、やだ、いっちゃう・・・・んあああああああ!」
素股をしながら、京楽は浮竹の花茎を戒めた。
「やあ、なんで!やあぁ、いかせてぇ」
「僕と一緒にいこう」
ぐちゃぐちゃと素股で出し入れを繰り返して、京楽は果てた。戒めていた手を離すと、浮竹も果てた。
「ああ・・・・・サンタ服が・・・・・」
精液で、どろどろになってしまった。
「洗濯して乾かせば大丈夫。替えのサンタ服もあるんだ。こっちは、普通のだけど。流石に今きてるサンタ服のようなやつは、風邪ひくからね」
濡れたタオルで体をふかれた。今日は交わっていないので、体内から精液をかきだす必要はなかった。
ふわふわの普通のサンタ服を着せらえた。
「やっぱ、サンタ服は僕より浮竹が似合うね」
浮竹はすねていた。
「手を出さないと言った。絶対の絶対だって言った」
「最後まではしてないでしょ?」
「京楽のばか!」
べしっと頭を叩きつつも、京楽の腕の中に収まる。
「おなか減った・・・・」
「そうだね、軽い運動にもなるから」
「海燕ーーーー」
「はいはい」
隊舎で仕事をしていた海燕がやってくる。
様子を見て、ああ、自分の上官は京楽に美味しくいただかれてしまったのだなと悟った。
「夕餉の支度を頼む」
「クリスマス時期だから、ケーキついてますよ」
「お、いいな。京楽、お前の分のケーキは俺がいただく」
「まぁ、素股させちゃったしね」
その言葉に、海燕がぎょっとなる。
「素股・・・・・またマニアックな・・・・・」
そう言いつつも、二人分の夕餉を用意する。少し大きめのクリスマスケーキがあった。
「ほら、浮竹」
京楽が、自分の分のクリスマスケーキも浮竹に渡す。
他の食事を食べて、浮竹は嬉しそうにクリスマスケーキをほうばった。
サンタ服姿のままだが。
しばらくの間、この格好でいてもらおうと思う京楽だった。
浮竹死んだけど幽霊です憑いてます9メリークリスマス!
一番隊の執務室で、クリスマスの飾りつけをしている京楽。
「少し休憩をいれないか」
幽霊の浮竹が、3時だからとおやつを所望する。
「そうだね。おはぎ買っておいてあるから、それ食べようか」
「おはぎ!」
浮竹は嬉しそうだった。
おはぎは浮竹の大好物である。戸棚からおはぎをだして、皿の上において、茶を入れた。
まず、玉露の茶がなくなった。
幽霊浮竹は飲み喰いができる。飲んだり食べたものは消えてしまうのだ。
お皿に3個おかれたおはぎが、さっと一瞬で3個もきえてしまった。
「ああ、そんなに急いで食べなくても、1個ずつ味わって食べればいいのに」
その京楽の言葉に、浮竹は悲しそうな顔をした。
「それもそうだった・・・・何も、一瞬で全部食べることなかったよな」
「仕方ないなぁ。僕の分もあげるよ」
「本当か!」
浮竹が顔を輝かせる。
1個は京楽が食べてしまった。
2個残っていたおはぎを、浮竹はゆっくり食べた。まず、1個目の3分の1がきえて、次に3分の2が消えて、最後にはおはぎが1個消えた。
「そんな食べ方もできるなら・・・今度から、食べ方変えてみたら?味が長くしたほうが、幽霊とはいえ楽しみにもなるでしょ」
「うん、そうする」
そうして休憩を終えて、またクリスマスの飾りつけをしだした。
クリスマスプレゼントは配り終えたが、1番隊の執務室でクリスマスパーティーをすることになったのだ。
参加者は護廷13隊の隊長副隊長全員。
強制参加だ。
たまにはこんなイベントでも開かない限り、互いの隊で仲良くすることがないのだ。
個人的に親しい間柄ならいいが、あまり交流のない隊とも親しくしてほしい。京楽の願いでもあり、幽霊浮竹があまり交わることのない他の隊の者と話す機会でもあった。
2時間ばかり、部屋の飾つけを行い、大きなクリスマスツリーに飾りとイルミネーションをつけて、電気を入れる。
ぱっぱっと、虹色に瞬くイルミネーション。
「綺麗だな」
「夜になると、もっと綺麗だよ」
「現世の夜は、きっと綺麗なイルミネーションだらけなんだろうな」
「行きたいの?」
「いいや。このイルミネーションだけで満足だ。浦原がきてからというもの、この尸魂界も大分近代化して変わっていっているな」
テレビが、一般家庭ではまだだが、貴族や席官クラス以上の死神に普及してきた。洗濯機、冷蔵庫、掃除機・・・・・いろいろと便利なものが、尸魂界にに入ってきていた。
もっとも、冷蔵庫は尸魂界でも独自の進化を遂げて存在していたが。そうでないと、食物がもたないのだ。
現世の冷蔵庫のほうが食物が長持ちするので、現世の冷蔵庫は普及しまくっている。
1番隊の執務室の隣にある、応接室にも小さいが現世の冷蔵庫があった。
さてさて、日付も24日になったの日の夕方から、盛大なクリスマスパーティーが行われた。
護廷13隊の隊長副隊長全員ということで、がやがやと賑わっていた。
普段ならこんな場所に姿を現さない白哉の姿を見て、浮竹が幽霊のまま京楽から離れて白哉のほうにいってしまう。
「白哉!メリークリスマス!」
「浮竹か・・・メリークリスマス。兄には、この前のクリスマスチキンの礼に、現世から赤ワインをとりよせたのだ。飲んでくれるか」
「当たり前だ、白哉!」
赤ワインのせん栓を抜き、シャンパングラスに注いで浮竹の方に向けると、中身が消えた。
「本当に面白いな、兄の飲み方は」
「うお、これ美味いな。高かっただろう」
「ほどほどにな」
残りを、京楽に渡して、白哉はイルミネーションを見上げた。
「美しいな・・・・人工的な光でも、このような美しいものが作れるのだな」
「12番隊の技術開発局が協力してくれたんだ。特別に、虹色に瞬くイルミネーションだ」
「12番隊といえば・・・・涅隊長も来ている」
「げっ」
「うわー」
浮竹と京楽は、それぞれそんな声を出した。
自分たちで呼んだとはいえ、あの涅マユリだ。一筋縄ではいかないだろう。
「く、涅隊長メリークリスマス」
「思うのだがネ、浮竹隊長。なんでも、実体化できるらしいじゃないか。ぜひとも、実体化して実験体に・・・・・・・・・」
「この子はあげません!」
京楽が、幽霊浮竹を背後に隠した。
「何、ほんの1分でいいんだヨ。この、霊が虚化する薬を飲んでくれるだけで・・・・・」
「うちの子を虚にはさせません!」
京楽は、涅マユリをしっしと追い払った。
「ふん、いつか絶対、幽霊の浮竹隊長を実験体にしてやるのだヨ」
「怖いなぁ」
浮竹は、京楽の背中でちぢこまっていた。
それから、ルキアの姿を見つけてそっちでふらりと寄っていく。京楽にとり憑いたばかりの頃は足はなかったが、実体化できるようになって足はあるが、歩いてではなく、すーっと浮いて移動した。
「朽木、メリークリスマス!」
「浮竹隊長、メリークリスマス。これ、この前のクリスマスプレゼントのお礼です」
チャッピー型のキャンディとチョコレートがたくさん詰まった箱を、京楽が代わりに受け取った。
「ありがとう、朽木!味わって食べる方法を覚えたので、大切に食べさせてもらう」
浮竹は、最後は日番谷のところに姿をみせた。
「メリークリスマス、日番谷隊長」
「ああ、メリークリスマス浮竹。これは、この前の礼だ」
これまたお菓子セット、京楽が代わりに受け取る。
そうやって、全部隊長副隊長と話しをしながら、クリスマスプレゼントの礼を、京楽は代わりに受け取った。
「思うんだけどさ・・・・・」
「どうしたんだ、京楽」
「僕も一緒にクリスマスプレゼントあげたのに、僕だけお返しがない!」
(ノД`)シクシクと、悲しみだす京楽に、全ての隊長と副隊長が並び出した。
「メリークリスマス、京楽総隊長、浮竹隊長!全員で作った、クリスマスケーキです!」
ルキアが、皆を代表してそう言った。
「みんな・・・・・・( ノД`)シクシク・・・嬉しすぎて」
焦げたりしていたが、そのクリスマスケーキはちょうど二人分だった。京楽だけでなく、浮竹の分も含まれていた。
口にすると、ちょっと砂糖のいれすぎだったが、まぁまぁおいしかった。
幽霊浮竹も、自分の分として切り分けられたものをさっと食べて消していく。
「食べた方も面白いのだヨ。やはり実験体に欲しいネ」
涅隊長のそんな言葉に震えあがりながらも、クリスマスパーティーは盛り上がった。
立食会形式であるが、京楽と白哉が金を出しあって、料理の用意をして酒を選んだ。ごちそうと美酒がただで食べて飲めると、普段浮竹に接しない隊長や副隊長も礼を言いながら、夜遅くまでクリスマスパーティーを楽しむのだった。
「少し休憩をいれないか」
幽霊の浮竹が、3時だからとおやつを所望する。
「そうだね。おはぎ買っておいてあるから、それ食べようか」
「おはぎ!」
浮竹は嬉しそうだった。
おはぎは浮竹の大好物である。戸棚からおはぎをだして、皿の上において、茶を入れた。
まず、玉露の茶がなくなった。
幽霊浮竹は飲み喰いができる。飲んだり食べたものは消えてしまうのだ。
お皿に3個おかれたおはぎが、さっと一瞬で3個もきえてしまった。
「ああ、そんなに急いで食べなくても、1個ずつ味わって食べればいいのに」
その京楽の言葉に、浮竹は悲しそうな顔をした。
「それもそうだった・・・・何も、一瞬で全部食べることなかったよな」
「仕方ないなぁ。僕の分もあげるよ」
「本当か!」
浮竹が顔を輝かせる。
1個は京楽が食べてしまった。
2個残っていたおはぎを、浮竹はゆっくり食べた。まず、1個目の3分の1がきえて、次に3分の2が消えて、最後にはおはぎが1個消えた。
「そんな食べ方もできるなら・・・今度から、食べ方変えてみたら?味が長くしたほうが、幽霊とはいえ楽しみにもなるでしょ」
「うん、そうする」
そうして休憩を終えて、またクリスマスの飾りつけをしだした。
クリスマスプレゼントは配り終えたが、1番隊の執務室でクリスマスパーティーをすることになったのだ。
参加者は護廷13隊の隊長副隊長全員。
強制参加だ。
たまにはこんなイベントでも開かない限り、互いの隊で仲良くすることがないのだ。
個人的に親しい間柄ならいいが、あまり交流のない隊とも親しくしてほしい。京楽の願いでもあり、幽霊浮竹があまり交わることのない他の隊の者と話す機会でもあった。
2時間ばかり、部屋の飾つけを行い、大きなクリスマスツリーに飾りとイルミネーションをつけて、電気を入れる。
ぱっぱっと、虹色に瞬くイルミネーション。
「綺麗だな」
「夜になると、もっと綺麗だよ」
「現世の夜は、きっと綺麗なイルミネーションだらけなんだろうな」
「行きたいの?」
「いいや。このイルミネーションだけで満足だ。浦原がきてからというもの、この尸魂界も大分近代化して変わっていっているな」
テレビが、一般家庭ではまだだが、貴族や席官クラス以上の死神に普及してきた。洗濯機、冷蔵庫、掃除機・・・・・いろいろと便利なものが、尸魂界にに入ってきていた。
もっとも、冷蔵庫は尸魂界でも独自の進化を遂げて存在していたが。そうでないと、食物がもたないのだ。
現世の冷蔵庫のほうが食物が長持ちするので、現世の冷蔵庫は普及しまくっている。
1番隊の執務室の隣にある、応接室にも小さいが現世の冷蔵庫があった。
さてさて、日付も24日になったの日の夕方から、盛大なクリスマスパーティーが行われた。
護廷13隊の隊長副隊長全員ということで、がやがやと賑わっていた。
普段ならこんな場所に姿を現さない白哉の姿を見て、浮竹が幽霊のまま京楽から離れて白哉のほうにいってしまう。
「白哉!メリークリスマス!」
「浮竹か・・・メリークリスマス。兄には、この前のクリスマスチキンの礼に、現世から赤ワインをとりよせたのだ。飲んでくれるか」
「当たり前だ、白哉!」
赤ワインのせん栓を抜き、シャンパングラスに注いで浮竹の方に向けると、中身が消えた。
「本当に面白いな、兄の飲み方は」
「うお、これ美味いな。高かっただろう」
「ほどほどにな」
残りを、京楽に渡して、白哉はイルミネーションを見上げた。
「美しいな・・・・人工的な光でも、このような美しいものが作れるのだな」
「12番隊の技術開発局が協力してくれたんだ。特別に、虹色に瞬くイルミネーションだ」
「12番隊といえば・・・・涅隊長も来ている」
「げっ」
「うわー」
浮竹と京楽は、それぞれそんな声を出した。
自分たちで呼んだとはいえ、あの涅マユリだ。一筋縄ではいかないだろう。
「く、涅隊長メリークリスマス」
「思うのだがネ、浮竹隊長。なんでも、実体化できるらしいじゃないか。ぜひとも、実体化して実験体に・・・・・・・・・」
「この子はあげません!」
京楽が、幽霊浮竹を背後に隠した。
「何、ほんの1分でいいんだヨ。この、霊が虚化する薬を飲んでくれるだけで・・・・・」
「うちの子を虚にはさせません!」
京楽は、涅マユリをしっしと追い払った。
「ふん、いつか絶対、幽霊の浮竹隊長を実験体にしてやるのだヨ」
「怖いなぁ」
浮竹は、京楽の背中でちぢこまっていた。
それから、ルキアの姿を見つけてそっちでふらりと寄っていく。京楽にとり憑いたばかりの頃は足はなかったが、実体化できるようになって足はあるが、歩いてではなく、すーっと浮いて移動した。
「朽木、メリークリスマス!」
「浮竹隊長、メリークリスマス。これ、この前のクリスマスプレゼントのお礼です」
チャッピー型のキャンディとチョコレートがたくさん詰まった箱を、京楽が代わりに受け取った。
「ありがとう、朽木!味わって食べる方法を覚えたので、大切に食べさせてもらう」
浮竹は、最後は日番谷のところに姿をみせた。
「メリークリスマス、日番谷隊長」
「ああ、メリークリスマス浮竹。これは、この前の礼だ」
これまたお菓子セット、京楽が代わりに受け取る。
そうやって、全部隊長副隊長と話しをしながら、クリスマスプレゼントの礼を、京楽は代わりに受け取った。
「思うんだけどさ・・・・・」
「どうしたんだ、京楽」
「僕も一緒にクリスマスプレゼントあげたのに、僕だけお返しがない!」
(ノД`)シクシクと、悲しみだす京楽に、全ての隊長と副隊長が並び出した。
「メリークリスマス、京楽総隊長、浮竹隊長!全員で作った、クリスマスケーキです!」
ルキアが、皆を代表してそう言った。
「みんな・・・・・・( ノД`)シクシク・・・嬉しすぎて」
焦げたりしていたが、そのクリスマスケーキはちょうど二人分だった。京楽だけでなく、浮竹の分も含まれていた。
口にすると、ちょっと砂糖のいれすぎだったが、まぁまぁおいしかった。
幽霊浮竹も、自分の分として切り分けられたものをさっと食べて消していく。
「食べた方も面白いのだヨ。やはり実験体に欲しいネ」
涅隊長のそんな言葉に震えあがりながらも、クリスマスパーティーは盛り上がった。
立食会形式であるが、京楽と白哉が金を出しあって、料理の用意をして酒を選んだ。ごちそうと美酒がただで食べて飲めると、普段浮竹に接しない隊長や副隊長も礼を言いながら、夜遅くまでクリスマスパーティーを楽しむのだった。
貞子がやってくる 怖がりの朽木兄妹
結婚して半年が経った。夏は終わり、冬になっていた。
「一護、起きろおおおおお」
「ぬあああああ!?」
布団からごろごろと這いずりだす。まだ、夜だ。
「なんだよ、ルキア!」
尸魂界は、浦原が戻ってきて急激に現世と同じ文化を歩むようになってきた。
「貞子が、貞子が!」
「はぁ?」
一護とルキアの寝室にもテレビが置いてあった。テレビの他にDVDプレイヤーも置いてあった。
そのDVDプレイヤーに「リング」というホラームービーのDVDが入れられていた。
一護も見たことある。「リング」という現世ではちょっとしたブームになったホラームービーだ。
「貞子がくる!テレビから、長い黒髪をうねらせて、やってくるのだ!」
ルキアはカタカタと震えて、涙を浮かべていた。
「なんだよ、お前幽霊が怖いのか?」
「たわけ、本物の幽霊なぞ怖くない!魂葬すればいいだけだからな。ただ、作り物と分かっているとはいえ、貞子は・・・・」
「こんな夜中に、一人でそんな怖い映画見るからだろ。ほら、布団の中に入れよ。一緒に寝ようぜ。それなら、怖くないだろ?」
「一護・・・・・・」
ルキアは、滲ませていた涙をぬぐいながら、一護の布団に入った。そして、眠った。そして、一護を蹴り飛ばして爆睡した。
「寝相悪いやつだな」
また蹴り飛ばされてはごめんだと、もう1組布団をしいて、一護はその上で眠った。
朝になった。
「一護、貞子が夢の中にでてきた。テレビから這いずり出てきて、私の首を絞めるのだ!苦しくて花瓶で殴ると、血が飛び散って私の頬にかかるが冷たくて・・・・・」
カタカタ震えているルキアを抱き締める。
「ただの夢だ、忘れろ」
「一護・・・・・」
しばらく抱き締めていたら、ルキアも平気になったのか、いつもの元気な顔色に戻っていた。
「一護の傍におれば、貞子もこぬな」
「あれは作りものだから、元から出てこねーよ」
「分からぬぞ!この世界には虚もいるのだ。貞子のような虚が・・・・想像しただけで・・・うきゃあああああああ」
だめだこりゃ。
重症のルキアを引っ張って、食堂にいくと白哉が蒼い顔をしていた。
「貞子が・・・・・」
お前もかよ。
この兄妹は、揃ってリングの映画を夜に見たらしい。
ルキアも白哉も、自分の寝室で、深夜に。
「貞子の呪いがかからぬよう、塩をまかねば」
ばさっと、一護に向かって塩が巻かれた。
「白哉、俺に塩かけてどーすんだよ」
「そうだぞ、一護、貴様がこれは面白いというから、深夜に見ればもっと面白くなるというから見たのだぞ!」
「あー?それ、1週間以上前の俺の言葉だろう。今更見て、怖がっても、俺のせいじゃねぇよ」
「いや、貴様のせいだ。貴様がDVDぷれいやーなるものを購入してきて、DVDなるものを購入してきたのだ。全部貴様のせいだ!」
ルキアも、白哉と一緒になって塩をつかみ、一護にむかって投げた。
「お清めだ!清めぬと、貞子がくる!」
「貞子・・・なんという怨念。兄が買った映画は趣味が悪い」
リングのDVDをぽいっと放りなげられた。
「おい、乱暴に扱うなよ。見れなくなるだろ」
「このようなもの、もう二度と見ぬ」
白哉は、貞子が嫌いなのか、リング2があると言ったら、眉をしかめた。
「リング2だと・・・・見ねばなるまい」
なんで!?
「白哉、お前怖いんじゃないのかよ!」
「怨念が、2まであるのあろう。全部見て、供養してやらねば、祟られる」
白哉もかわいいところがあるんだなと思ったら、思いっきり足を踏みつけられた。
「に、兄様、私も見ます。今日の夜、一護も一緒に3人で見ましょう。リング2を」
「おいルキア、あんなに怖がっていたのに平気かよ!」
「リング2を見ねば、貞子が祟ってくる!見終えて、供養して成仏させるのだ!」
「いや、ただの作り物で映画だから・・・・・」
結局、その日はそれぞれ6番隊と13番隊に仕事に出かけた。
お守りを、白哉もルキアも握りしめていた。
どんだけ怖かったのだろうかとも思うが、あれだけ怖がりながらリング2も見るという酔狂さに、少し呆れた。
死神の業務が終了し、朽木邸に戻り、湯浴みと夕餉をとった。
夜の10時になり、白哉の部屋のテレビでリング2を見だした。
「ひいいいいいい」
貞子の登場に、悲鳴をあげながらもルキアは食い入るように画面を見ていた。白哉のほうをみると、何か念仏のようなものを唱えながら見ていた。
リング2を見終えて、朽木家の兄妹は、互いを抱き締めあいながら、塩を一護にかけた。
「だからなんで俺なんだよ!」
「現世の怨霊はこわい・・・・・」
ルキアが、塩をまきながら、お守りを手に念仏を唱えだす。
「このDVDは、普通のリングのDVDと一緒に、高僧にお祓いをしてもらう」
いや、怖がり過ぎだろ。
白哉の言葉に、こう言う。
「ただの作りものだ。そんなに怖がる必要ねーよ」
「祟ってやる・・・・・」
「おい、今誰か何か言ったか?」
「何も言っていないぞ」
「私もだ」
急に、テレビの電源がついた。
ザーザーという画面に、長い黒髪の女が映る。
「冗談だろ」
「ひいいいい」
「南無阿弥陀仏」
べたべたと血の痕が、部屋の中に残った。
ぷつんと、テレビは消えた。
見ると、ルキアは気絶し、白哉も気絶しいた。
「おい、ちょっと、まじなのこれ!?俺置いて気絶しないでくれよ!この血の痕とかめっちゃこえーんだけど!」
一護も、念仏を唱えだした。
お守りを手に、DVDプレイヤーからリング2のDVDを出してパッケージに直そうとして、長い黒髪がパッケージに絡みついているのに気づいて、流石に一護も怖くなった。
3人そろって、次の日には高僧のいる寺までいって、リングとリング2のDVDにお祓いをしてもらい、寺に収めてもらった。
朽木邸に帰ると、日常が戻ってくる。
一護が湯あみをしようと湯殿にいくと、湯がなかった。
「白哉義兄様め・・・・・」
シャワーが出るようになったので、問題はなかったが、やはり湯船に浸からぬと12月なので凍えるように寒かった。
白哉が湯あみしている隙に、理髪店で集めた、長い黒髪を白哉の枕元に置いておいた。
十数分後、白哉の悲鳴が聞こえて、一護はうししししと一人ほくそ笑んだ。
結局、テレビに映った長い髪の女の正体も、部屋に残った血の手の痕も、パッケージについていた長い黒髪の原因も分からずじまいであったが、供養が効いたのか、それ以後奇怪な現象は起こることはなかった。
「一護、起きろおおおおお」
「ぬあああああ!?」
布団からごろごろと這いずりだす。まだ、夜だ。
「なんだよ、ルキア!」
尸魂界は、浦原が戻ってきて急激に現世と同じ文化を歩むようになってきた。
「貞子が、貞子が!」
「はぁ?」
一護とルキアの寝室にもテレビが置いてあった。テレビの他にDVDプレイヤーも置いてあった。
そのDVDプレイヤーに「リング」というホラームービーのDVDが入れられていた。
一護も見たことある。「リング」という現世ではちょっとしたブームになったホラームービーだ。
「貞子がくる!テレビから、長い黒髪をうねらせて、やってくるのだ!」
ルキアはカタカタと震えて、涙を浮かべていた。
「なんだよ、お前幽霊が怖いのか?」
「たわけ、本物の幽霊なぞ怖くない!魂葬すればいいだけだからな。ただ、作り物と分かっているとはいえ、貞子は・・・・」
「こんな夜中に、一人でそんな怖い映画見るからだろ。ほら、布団の中に入れよ。一緒に寝ようぜ。それなら、怖くないだろ?」
「一護・・・・・・」
ルキアは、滲ませていた涙をぬぐいながら、一護の布団に入った。そして、眠った。そして、一護を蹴り飛ばして爆睡した。
「寝相悪いやつだな」
また蹴り飛ばされてはごめんだと、もう1組布団をしいて、一護はその上で眠った。
朝になった。
「一護、貞子が夢の中にでてきた。テレビから這いずり出てきて、私の首を絞めるのだ!苦しくて花瓶で殴ると、血が飛び散って私の頬にかかるが冷たくて・・・・・」
カタカタ震えているルキアを抱き締める。
「ただの夢だ、忘れろ」
「一護・・・・・」
しばらく抱き締めていたら、ルキアも平気になったのか、いつもの元気な顔色に戻っていた。
「一護の傍におれば、貞子もこぬな」
「あれは作りものだから、元から出てこねーよ」
「分からぬぞ!この世界には虚もいるのだ。貞子のような虚が・・・・想像しただけで・・・うきゃあああああああ」
だめだこりゃ。
重症のルキアを引っ張って、食堂にいくと白哉が蒼い顔をしていた。
「貞子が・・・・・」
お前もかよ。
この兄妹は、揃ってリングの映画を夜に見たらしい。
ルキアも白哉も、自分の寝室で、深夜に。
「貞子の呪いがかからぬよう、塩をまかねば」
ばさっと、一護に向かって塩が巻かれた。
「白哉、俺に塩かけてどーすんだよ」
「そうだぞ、一護、貴様がこれは面白いというから、深夜に見ればもっと面白くなるというから見たのだぞ!」
「あー?それ、1週間以上前の俺の言葉だろう。今更見て、怖がっても、俺のせいじゃねぇよ」
「いや、貴様のせいだ。貴様がDVDぷれいやーなるものを購入してきて、DVDなるものを購入してきたのだ。全部貴様のせいだ!」
ルキアも、白哉と一緒になって塩をつかみ、一護にむかって投げた。
「お清めだ!清めぬと、貞子がくる!」
「貞子・・・なんという怨念。兄が買った映画は趣味が悪い」
リングのDVDをぽいっと放りなげられた。
「おい、乱暴に扱うなよ。見れなくなるだろ」
「このようなもの、もう二度と見ぬ」
白哉は、貞子が嫌いなのか、リング2があると言ったら、眉をしかめた。
「リング2だと・・・・見ねばなるまい」
なんで!?
「白哉、お前怖いんじゃないのかよ!」
「怨念が、2まであるのあろう。全部見て、供養してやらねば、祟られる」
白哉もかわいいところがあるんだなと思ったら、思いっきり足を踏みつけられた。
「に、兄様、私も見ます。今日の夜、一護も一緒に3人で見ましょう。リング2を」
「おいルキア、あんなに怖がっていたのに平気かよ!」
「リング2を見ねば、貞子が祟ってくる!見終えて、供養して成仏させるのだ!」
「いや、ただの作り物で映画だから・・・・・」
結局、その日はそれぞれ6番隊と13番隊に仕事に出かけた。
お守りを、白哉もルキアも握りしめていた。
どんだけ怖かったのだろうかとも思うが、あれだけ怖がりながらリング2も見るという酔狂さに、少し呆れた。
死神の業務が終了し、朽木邸に戻り、湯浴みと夕餉をとった。
夜の10時になり、白哉の部屋のテレビでリング2を見だした。
「ひいいいいいい」
貞子の登場に、悲鳴をあげながらもルキアは食い入るように画面を見ていた。白哉のほうをみると、何か念仏のようなものを唱えながら見ていた。
リング2を見終えて、朽木家の兄妹は、互いを抱き締めあいながら、塩を一護にかけた。
「だからなんで俺なんだよ!」
「現世の怨霊はこわい・・・・・」
ルキアが、塩をまきながら、お守りを手に念仏を唱えだす。
「このDVDは、普通のリングのDVDと一緒に、高僧にお祓いをしてもらう」
いや、怖がり過ぎだろ。
白哉の言葉に、こう言う。
「ただの作りものだ。そんなに怖がる必要ねーよ」
「祟ってやる・・・・・」
「おい、今誰か何か言ったか?」
「何も言っていないぞ」
「私もだ」
急に、テレビの電源がついた。
ザーザーという画面に、長い黒髪の女が映る。
「冗談だろ」
「ひいいいい」
「南無阿弥陀仏」
べたべたと血の痕が、部屋の中に残った。
ぷつんと、テレビは消えた。
見ると、ルキアは気絶し、白哉も気絶しいた。
「おい、ちょっと、まじなのこれ!?俺置いて気絶しないでくれよ!この血の痕とかめっちゃこえーんだけど!」
一護も、念仏を唱えだした。
お守りを手に、DVDプレイヤーからリング2のDVDを出してパッケージに直そうとして、長い黒髪がパッケージに絡みついているのに気づいて、流石に一護も怖くなった。
3人そろって、次の日には高僧のいる寺までいって、リングとリング2のDVDにお祓いをしてもらい、寺に収めてもらった。
朽木邸に帰ると、日常が戻ってくる。
一護が湯あみをしようと湯殿にいくと、湯がなかった。
「白哉義兄様め・・・・・」
シャワーが出るようになったので、問題はなかったが、やはり湯船に浸からぬと12月なので凍えるように寒かった。
白哉が湯あみしている隙に、理髪店で集めた、長い黒髪を白哉の枕元に置いておいた。
十数分後、白哉の悲鳴が聞こえて、一護はうししししと一人ほくそ笑んだ。
結局、テレビに映った長い髪の女の正体も、部屋に残った血の手の痕も、パッケージについていた長い黒髪の原因も分からずじまいであったが、供養が効いたのか、それ以後奇怪な現象は起こることはなかった。
おかしな京楽と席替え
「はい、今日は席替えを行います」
えーという反対の声と、おーという賛成の声が入り混じった。
浮竹は思う。
ああ、これで京楽から少しが距離をとれると。
酔狂なことに、浮竹を好きだと言ってきた京楽。その好きだと言われた言葉に、はっきりとNOだと告げた。それなのに、京楽は毎日のように自分をアピールしてくる。
いい加減、疲れてきた。
「じゃあ、順番に番号を引いていってください」
今の京楽の籍は隣。これ以上最悪なことにはならないだろうと、クジのような番号を引いていく。
京楽は、最後のほうで番号を引いた。
「えー、黒板の通りです。出た番号に、席を変えてください」
荷物をもって、18と書かれた席に移動する。
見ると、京楽が隣だった。
「またかああああああ」
一人、そう叫んでしまって、クラス中の視線を集めた。
「僕と隣なんて、浮竹ついてるね。この幸せ者め」
いや、幸せなのはお前の脳内だろう。
浮竹は思った。
チャイムがなり、授業がはじまる。
(好きだよ)
そう書かれた紙を投げてよこされた。
(俺は普通だ。廓にでもいってこい。女抱いて来い。俺に干渉するな。どっか行け)
(またまたぁ。照れっちゃって、かわいいね)
(死ね)
(死ぬほど、浮竹のことが好きだよ。僕が死んじゃったら、寂しさで浮竹も死んじゃう)
(授業に集中しろ)
(浮竹に集中しとく。今日も髪がサラサラで綺麗だね。この前あげた翡翠の髪飾りで留めると、きっともっと似合う)
(あの髪飾りはお前に返しただろう)
(だから、寮の浮竹の部屋の荷物入れにいれといた)
(この大馬鹿野郎!)
(僕は浮竹バカなの)
(ああもういい、お前とこうやってやりとりするだけ、時間の無駄だ)
(そんなことないよ。人生をもっと楽しみなよ。僕と付き合えば、もっともっと人生が薔薇色になるよ)
(薔薇色のなのはお前の脳内だ)
(ばれた?いつも、浮竹のあられもない姿を想像している)
「ふざけるなーーーーーー!」
叫んで、立ち上がった。
教師が、びっくりしていた。
「浮竹くん?」
「先生、すみません脳内に薔薇が咲いた男を処分してきます」
がたっと、京楽が立あがる。
「僕の脳みその中、薔薇色なんだー」
ああ、またか。
教室中の死神がそう思った。
京楽が、浮竹に迫って、浮竹がそれを拒絶していると、クラス中の誰もが知っていた。
浮竹は、京楽の服の襟をつかんでずるずると引きずっていく。
少し遠く離れた場所で、「破道の4 白雷」
という声と、ピシャンという雷の落ちる音がした。
saide S
浮竹は、今日も美人だった。僕が惚れただけあって、才色兼備だ。ああ、そういえば今日席替えの日か。今は浮竹の隣だ。また隣になれたらいいなぁ。
番号を引いて、荷物も持って移動すると、浮竹が隣だった。
「僕と隣なんて、浮竹ついてるね。この幸せ者め」
そう言うと、浮竹はめっちゃ嫌そうな顔をした。そんな顔でもかわいいんだから、僕は心配になってしまう。
浮竹は男にも女にも持てる。女はいい。無理やり関係なんて築けないから。でも男は厄介だ。今まで何度、浮竹に想いを寄せる男を闇に葬ってきたことか。
紙をなげて、やりとりをした。
僕を拒絶するくせに、律儀に答えてくれる。
だから僕は君がすきなんだ。
(ばれた?いつも、浮竹のあられもない姿を想像している)
そう書いてよこすと、浮竹が切れた。
「ふざけるなーーーーーー!」
ああ、怒っても浮竹はかわいい。
思わず見とれてしまいそうになった。クラス中の視線が集まっている。嫌だなぁ。浮竹を見るのは僕の特権なのに。
「浮竹くん?」
「先生、すみません脳内に薔薇が咲いた男を処分してきます」
僕はたちあがった。ああ、浮竹と二人きりになれる。運がいいな。
「僕の脳みその中、薔薇色なんだー」
ああやっぱりと、クラス中の者が僕をみる。でも、そんな視線にも慣れている。
浮竹は僕だけのもの。
浮竹が怒るのも、僕だけ。
怒った浮竹は、僕の襟をつかんで引っ張っていく。ああ、浮竹からはいつも甘い花の香がして、今日ものその匂いを肺いっぱいに取り入れた。
浮竹、大好きだよ。
「お前は、少し痛い目を見ないと分からなようだな」
ご立腹らしい浮竹も、かわいかった。
「君がくれるなら、たとえ痛みでも快感になる」
「破道の4 白雷」
ばちばちばちっ。
雷が降ってきて、僕の意識はぷつんとだえた。
起きる、浮竹が心配そうに僕を見ていた。
「すまない、やり過ぎた」
ああもう。本当にかわいいんだから。
「もうちょっと、近づいて」
「なんだ」
ちゅっ。
唇にキスをすると、浮竹は真っ赤になって僕の頭をぽかりと思い切り叩いた。
その痛みさえも甘い。
浮竹とのキスは甘酸っぱかった。
もっともっと欲しい。
「浮竹、愛してるよ」
「少しだけ、考慮しておく」
「やった!」
僕と浮竹の仲に、今後進展ができるかもしれない。
僕は胸がどきどきしだすのだった。
えーという反対の声と、おーという賛成の声が入り混じった。
浮竹は思う。
ああ、これで京楽から少しが距離をとれると。
酔狂なことに、浮竹を好きだと言ってきた京楽。その好きだと言われた言葉に、はっきりとNOだと告げた。それなのに、京楽は毎日のように自分をアピールしてくる。
いい加減、疲れてきた。
「じゃあ、順番に番号を引いていってください」
今の京楽の籍は隣。これ以上最悪なことにはならないだろうと、クジのような番号を引いていく。
京楽は、最後のほうで番号を引いた。
「えー、黒板の通りです。出た番号に、席を変えてください」
荷物をもって、18と書かれた席に移動する。
見ると、京楽が隣だった。
「またかああああああ」
一人、そう叫んでしまって、クラス中の視線を集めた。
「僕と隣なんて、浮竹ついてるね。この幸せ者め」
いや、幸せなのはお前の脳内だろう。
浮竹は思った。
チャイムがなり、授業がはじまる。
(好きだよ)
そう書かれた紙を投げてよこされた。
(俺は普通だ。廓にでもいってこい。女抱いて来い。俺に干渉するな。どっか行け)
(またまたぁ。照れっちゃって、かわいいね)
(死ね)
(死ぬほど、浮竹のことが好きだよ。僕が死んじゃったら、寂しさで浮竹も死んじゃう)
(授業に集中しろ)
(浮竹に集中しとく。今日も髪がサラサラで綺麗だね。この前あげた翡翠の髪飾りで留めると、きっともっと似合う)
(あの髪飾りはお前に返しただろう)
(だから、寮の浮竹の部屋の荷物入れにいれといた)
(この大馬鹿野郎!)
(僕は浮竹バカなの)
(ああもういい、お前とこうやってやりとりするだけ、時間の無駄だ)
(そんなことないよ。人生をもっと楽しみなよ。僕と付き合えば、もっともっと人生が薔薇色になるよ)
(薔薇色のなのはお前の脳内だ)
(ばれた?いつも、浮竹のあられもない姿を想像している)
「ふざけるなーーーーーー!」
叫んで、立ち上がった。
教師が、びっくりしていた。
「浮竹くん?」
「先生、すみません脳内に薔薇が咲いた男を処分してきます」
がたっと、京楽が立あがる。
「僕の脳みその中、薔薇色なんだー」
ああ、またか。
教室中の死神がそう思った。
京楽が、浮竹に迫って、浮竹がそれを拒絶していると、クラス中の誰もが知っていた。
浮竹は、京楽の服の襟をつかんでずるずると引きずっていく。
少し遠く離れた場所で、「破道の4 白雷」
という声と、ピシャンという雷の落ちる音がした。
saide S
浮竹は、今日も美人だった。僕が惚れただけあって、才色兼備だ。ああ、そういえば今日席替えの日か。今は浮竹の隣だ。また隣になれたらいいなぁ。
番号を引いて、荷物も持って移動すると、浮竹が隣だった。
「僕と隣なんて、浮竹ついてるね。この幸せ者め」
そう言うと、浮竹はめっちゃ嫌そうな顔をした。そんな顔でもかわいいんだから、僕は心配になってしまう。
浮竹は男にも女にも持てる。女はいい。無理やり関係なんて築けないから。でも男は厄介だ。今まで何度、浮竹に想いを寄せる男を闇に葬ってきたことか。
紙をなげて、やりとりをした。
僕を拒絶するくせに、律儀に答えてくれる。
だから僕は君がすきなんだ。
(ばれた?いつも、浮竹のあられもない姿を想像している)
そう書いてよこすと、浮竹が切れた。
「ふざけるなーーーーーー!」
ああ、怒っても浮竹はかわいい。
思わず見とれてしまいそうになった。クラス中の視線が集まっている。嫌だなぁ。浮竹を見るのは僕の特権なのに。
「浮竹くん?」
「先生、すみません脳内に薔薇が咲いた男を処分してきます」
僕はたちあがった。ああ、浮竹と二人きりになれる。運がいいな。
「僕の脳みその中、薔薇色なんだー」
ああやっぱりと、クラス中の者が僕をみる。でも、そんな視線にも慣れている。
浮竹は僕だけのもの。
浮竹が怒るのも、僕だけ。
怒った浮竹は、僕の襟をつかんで引っ張っていく。ああ、浮竹からはいつも甘い花の香がして、今日ものその匂いを肺いっぱいに取り入れた。
浮竹、大好きだよ。
「お前は、少し痛い目を見ないと分からなようだな」
ご立腹らしい浮竹も、かわいかった。
「君がくれるなら、たとえ痛みでも快感になる」
「破道の4 白雷」
ばちばちばちっ。
雷が降ってきて、僕の意識はぷつんとだえた。
起きる、浮竹が心配そうに僕を見ていた。
「すまない、やり過ぎた」
ああもう。本当にかわいいんだから。
「もうちょっと、近づいて」
「なんだ」
ちゅっ。
唇にキスをすると、浮竹は真っ赤になって僕の頭をぽかりと思い切り叩いた。
その痛みさえも甘い。
浮竹とのキスは甘酸っぱかった。
もっともっと欲しい。
「浮竹、愛してるよ」
「少しだけ、考慮しておく」
「やった!」
僕と浮竹の仲に、今後進展ができるかもしれない。
僕は胸がどきどきしだすのだった。
あんたは俺のもの
「白哉!」
一護がそう呼ぶと、白哉は微かな笑みを浮かべて、一護を迎え入れた。
「ルキアとは、どうだ」
「ああ、ルキアとはうまくいっている」
愛してやまない義妹と付き合っている一護のことを、白哉はそれなりに好いていた。
一護なら、ルキアを幸せにしてくれると。
「隊長、一護と何を話してるんすか?」
「恋次、貴様には関係のないことだ」
その言葉に、恋次はむっとなった。
「関係なくない。俺と隊長はできてる。そういう仲だから一護、この人と仲良くするのもほどほどにな」
「恋次!」
白哉の怒った顔など、初めて見たかもしれない。
「恋次、貴様という男は・・・・一護、兄はもういけ」
「ああ。ルキアのことは俺に任せてくれ。それと恋次、俺は浮竹さんと京楽さんができてることを知っている。そういうことで嫉妬するなら、白哉がかわいそうだ」
「兄は・・・・優しいな」
かちんときた。
恋次には、白哉だけなのに。
「なんすか、まるで俺が優しくないみたいなものいい」
「恋次、貴様は乱暴だ。言葉も行動も」
「とろとろに優しくしたら、あんたは俺だけを見てくれますか」
「無理だな」
「じゃあ、やや乱暴になっても仕方ありませんね」
一護が去ったのを確認してから、白哉を抱き締めてキスをする。
「その気にならぬ・・・・・」
「じゃあ、そういう気になるようにしてあげます」
白哉は、恋次と距離をとった。
「貴様のことは好いておるし、それなりに特別だと思っている。それだけでは、足りぬのか?」
白哉が、悲しそうに目を伏せた。
長い睫毛が、頬に影を作る。
夜烏のような瞳は潤み、訴えかけてくる。
だめだ、今抱いては。白哉を傷つけつことにしかならない。
「あんたがそんな顔するなんて・・・・俺のこと、本当に特別なんすね」
そう分かっただけでも、十分だった。
「言ったであろう。それなりに特別だと」
「それなりってなんすか?」
「他にも特別はいる。ルキアのように」
「ルキアはまぁ・・・・仕方ないっすね」
男にしては華奢な身体を抱き寄せる。
「ん・・・・・・・」
舌が絡むキスを繰り返すと、白哉の夜烏のような瞳に艶がでる。
「その気になりました?」
「ならぬと、言っておる。させたとしても、心は開かぬぞ」
「それじゃ意味がない。確かにあんたの体も欲しいけど、一番欲しいのはあんたの心だ。俺を愛していないのは分かっている。でも、好きでいてほしい」
白哉は頑なに、恋愛感情では亡き妻の緋真のみを愛している。
恋次と体を交わせるような関係になって、10年ほどになっただろうか。
未だに、心を完全に開いてくれない。
きっと、緋真の存在が、今はもうないとしても、心に在る限り、完全に恋次のものにすることはできないであろう。
そう分かっていても、白哉の全てが欲しかった。
体も、心も。
「いつになったら・・・・あんたは、俺だけのものになってくれるんすか」
「さぁな。永劫に、私は貴様一人だけのもにはならぬであろうな」
「いつか、その心も全部、俺で満たしてみせる」
「できるものなら、やってみろ」
恋次は、噛みつくようなキスを、白哉に与えた。
「まるで野良犬だな」
「どうとでも。あんたは、俺のものだ」
恋次の世界は、ルキアと共にあった。ルキアを養子に迎えた白哉の姿を一目見た時から、運命は変りだした。
研磨し自己鍛錬を繰り返し、6番隊の副官となり、白哉に近づいた。
そして、その心と体を手に入れる隙をずっと伺っていた。体の方はわりと簡単に手には入れたが、心がどうしても完全に手に入らない。
緋真の存在に、嫉妬をしまくった。
「私は、私だ」
「それでも。俺のものだ」
まるで、自分に言い聞かせるように。恋次は、そう囁くのであった。
一護がそう呼ぶと、白哉は微かな笑みを浮かべて、一護を迎え入れた。
「ルキアとは、どうだ」
「ああ、ルキアとはうまくいっている」
愛してやまない義妹と付き合っている一護のことを、白哉はそれなりに好いていた。
一護なら、ルキアを幸せにしてくれると。
「隊長、一護と何を話してるんすか?」
「恋次、貴様には関係のないことだ」
その言葉に、恋次はむっとなった。
「関係なくない。俺と隊長はできてる。そういう仲だから一護、この人と仲良くするのもほどほどにな」
「恋次!」
白哉の怒った顔など、初めて見たかもしれない。
「恋次、貴様という男は・・・・一護、兄はもういけ」
「ああ。ルキアのことは俺に任せてくれ。それと恋次、俺は浮竹さんと京楽さんができてることを知っている。そういうことで嫉妬するなら、白哉がかわいそうだ」
「兄は・・・・優しいな」
かちんときた。
恋次には、白哉だけなのに。
「なんすか、まるで俺が優しくないみたいなものいい」
「恋次、貴様は乱暴だ。言葉も行動も」
「とろとろに優しくしたら、あんたは俺だけを見てくれますか」
「無理だな」
「じゃあ、やや乱暴になっても仕方ありませんね」
一護が去ったのを確認してから、白哉を抱き締めてキスをする。
「その気にならぬ・・・・・」
「じゃあ、そういう気になるようにしてあげます」
白哉は、恋次と距離をとった。
「貴様のことは好いておるし、それなりに特別だと思っている。それだけでは、足りぬのか?」
白哉が、悲しそうに目を伏せた。
長い睫毛が、頬に影を作る。
夜烏のような瞳は潤み、訴えかけてくる。
だめだ、今抱いては。白哉を傷つけつことにしかならない。
「あんたがそんな顔するなんて・・・・俺のこと、本当に特別なんすね」
そう分かっただけでも、十分だった。
「言ったであろう。それなりに特別だと」
「それなりってなんすか?」
「他にも特別はいる。ルキアのように」
「ルキアはまぁ・・・・仕方ないっすね」
男にしては華奢な身体を抱き寄せる。
「ん・・・・・・・」
舌が絡むキスを繰り返すと、白哉の夜烏のような瞳に艶がでる。
「その気になりました?」
「ならぬと、言っておる。させたとしても、心は開かぬぞ」
「それじゃ意味がない。確かにあんたの体も欲しいけど、一番欲しいのはあんたの心だ。俺を愛していないのは分かっている。でも、好きでいてほしい」
白哉は頑なに、恋愛感情では亡き妻の緋真のみを愛している。
恋次と体を交わせるような関係になって、10年ほどになっただろうか。
未だに、心を完全に開いてくれない。
きっと、緋真の存在が、今はもうないとしても、心に在る限り、完全に恋次のものにすることはできないであろう。
そう分かっていても、白哉の全てが欲しかった。
体も、心も。
「いつになったら・・・・あんたは、俺だけのものになってくれるんすか」
「さぁな。永劫に、私は貴様一人だけのもにはならぬであろうな」
「いつか、その心も全部、俺で満たしてみせる」
「できるものなら、やってみろ」
恋次は、噛みつくようなキスを、白哉に与えた。
「まるで野良犬だな」
「どうとでも。あんたは、俺のものだ」
恋次の世界は、ルキアと共にあった。ルキアを養子に迎えた白哉の姿を一目見た時から、運命は変りだした。
研磨し自己鍛錬を繰り返し、6番隊の副官となり、白哉に近づいた。
そして、その心と体を手に入れる隙をずっと伺っていた。体の方はわりと簡単に手には入れたが、心がどうしても完全に手に入らない。
緋真の存在に、嫉妬をしまくった。
「私は、私だ」
「それでも。俺のものだ」
まるで、自分に言い聞かせるように。恋次は、そう囁くのであった。
終章
ルキアは、男児を出産した。
一勇と名付けられた。
「ああ、一勇よしよし」
泣きじゃくる赤子を、あやすルキア。子をまた成したのに、少し胸は大きくなったが、細い体がは相変わらずだった。
苺花が、一勇をのぞきこむ。
「この子、私の弟なの?」
「そうだぞ、苺花」
「あんまり私に似てなーい」
「父親が違うからな」
「四楓院の父様も優しかったけど、今の父様も好きー」
その言葉に、一護がでれる。
「苺花、いい子だな。飴ちゃんあげるぞ」
「わーい」
苺花は、5歳になっていた。実の父ではないが、一護によく懐いた。
「苺花を、死神にするための初等部に通わせようと思うのだが、どう思う?」
「いや、いいんじゃねーか?俺たちが仕事中、女中とかに面倒見てもらってるのが現状だし・・・初等部にいって、読み書きも計算もできるけど、同い年の友人を作るいいチャンスだろ」
「そうなのだ。このままでは、苺花に同い年くらいの友人ができるのは、真央霊術院になってからになってしまう。幼いうちから、友達がいないのは悲しいからな。まぁ、女中の子らと遊ばせてやっているが」
こうして、苺花は初等部に通うことになった。
一勇を、仕事中は、雇った乳母に世話をさせた。
ルキアは、13番隊の隊長になっていた。一護は、副隊長だ。力の順であれば、一護が隊長であろうが、隊長としての職務などがわかっていないため、副官の座についた。
真央霊術院を卒業せず護廷13隊入りした、珍しい例となった。更木剣八とは違うが、それと似たようなもので、力をもっていると周囲に認知された。
「ルキア、好きだぜ・・・」
「私も好きだ、一護・・・・」
その年の夏、一護とルキアは、遅いが式を挙げた。
一護たっての望みで、和風も洋風も、どちらも取り入れた式になった。
始めは白無垢で。次に化粧直しをしてウェディングドレスを。
ルキアの指には、エンゲージリングが光っていたが、ちゃんとしたダイヤモンドをあしらった、結婚指輪を一護は自分の給料で用意した。
ルキアと指輪を交換しあい、誓いの台詞を口にして、キスをした。
式には、恋次や一角、弓親といった親しい死神から、大戦を経て新しく隊長副隊長に就任した者たちも出席してくれた。
朽木家での披露宴だったので、豪華な食事と酒が振る舞われた。
「苺花ちゃんお母さん綺麗~」
苺花の友達も数人きてくれていた。
流石に子供なので、2次会まではいけなかったが。
ルキアと一護は、幸せだった。
子にも恵まれて、幸せを噛みしめていた。
一度、その関係は粉々に崩れた。だが、また築き上げられた。
「一護、ブーケを投げるぞ」
「うむ、苺花、受け取れるなら受け取れ」
投げたブーケは、七緒の手に落ちた。
「あれぇ、七緒ちゃん、七緒ちゃんもそろそろ実を固めないとってことかなぁ」
総隊長である京楽が、苦笑を零した。
「まず、総隊長であるあなたが身を固めてください。この前も、縁談ほうりだして!」
「いやぁ、浮竹に悪いからね。あの子と約束してたんだ。結婚するなら、一緒に式をそれぞれ挙げようって」
今は亡き、13番隊隊長浮竹十四郎の存在を、知らぬ者ももうでてきた。
苺花のような、大戦後に生まれた命には、歴史として教えられるだけだ。
「ルキア、今俺はすでに幸せだけど、もっと幸せになろうな」
「ああ。貴様と、いつまでも一緒だ。勿論、苺花と一勇も」
一護は、ルキアとの間にさらに二人の子をもうけることになる。
それは、遠い未来のお話。
隠していた想い
fin
一勇と名付けられた。
「ああ、一勇よしよし」
泣きじゃくる赤子を、あやすルキア。子をまた成したのに、少し胸は大きくなったが、細い体がは相変わらずだった。
苺花が、一勇をのぞきこむ。
「この子、私の弟なの?」
「そうだぞ、苺花」
「あんまり私に似てなーい」
「父親が違うからな」
「四楓院の父様も優しかったけど、今の父様も好きー」
その言葉に、一護がでれる。
「苺花、いい子だな。飴ちゃんあげるぞ」
「わーい」
苺花は、5歳になっていた。実の父ではないが、一護によく懐いた。
「苺花を、死神にするための初等部に通わせようと思うのだが、どう思う?」
「いや、いいんじゃねーか?俺たちが仕事中、女中とかに面倒見てもらってるのが現状だし・・・初等部にいって、読み書きも計算もできるけど、同い年の友人を作るいいチャンスだろ」
「そうなのだ。このままでは、苺花に同い年くらいの友人ができるのは、真央霊術院になってからになってしまう。幼いうちから、友達がいないのは悲しいからな。まぁ、女中の子らと遊ばせてやっているが」
こうして、苺花は初等部に通うことになった。
一勇を、仕事中は、雇った乳母に世話をさせた。
ルキアは、13番隊の隊長になっていた。一護は、副隊長だ。力の順であれば、一護が隊長であろうが、隊長としての職務などがわかっていないため、副官の座についた。
真央霊術院を卒業せず護廷13隊入りした、珍しい例となった。更木剣八とは違うが、それと似たようなもので、力をもっていると周囲に認知された。
「ルキア、好きだぜ・・・」
「私も好きだ、一護・・・・」
その年の夏、一護とルキアは、遅いが式を挙げた。
一護たっての望みで、和風も洋風も、どちらも取り入れた式になった。
始めは白無垢で。次に化粧直しをしてウェディングドレスを。
ルキアの指には、エンゲージリングが光っていたが、ちゃんとしたダイヤモンドをあしらった、結婚指輪を一護は自分の給料で用意した。
ルキアと指輪を交換しあい、誓いの台詞を口にして、キスをした。
式には、恋次や一角、弓親といった親しい死神から、大戦を経て新しく隊長副隊長に就任した者たちも出席してくれた。
朽木家での披露宴だったので、豪華な食事と酒が振る舞われた。
「苺花ちゃんお母さん綺麗~」
苺花の友達も数人きてくれていた。
流石に子供なので、2次会まではいけなかったが。
ルキアと一護は、幸せだった。
子にも恵まれて、幸せを噛みしめていた。
一度、その関係は粉々に崩れた。だが、また築き上げられた。
「一護、ブーケを投げるぞ」
「うむ、苺花、受け取れるなら受け取れ」
投げたブーケは、七緒の手に落ちた。
「あれぇ、七緒ちゃん、七緒ちゃんもそろそろ実を固めないとってことかなぁ」
総隊長である京楽が、苦笑を零した。
「まず、総隊長であるあなたが身を固めてください。この前も、縁談ほうりだして!」
「いやぁ、浮竹に悪いからね。あの子と約束してたんだ。結婚するなら、一緒に式をそれぞれ挙げようって」
今は亡き、13番隊隊長浮竹十四郎の存在を、知らぬ者ももうでてきた。
苺花のような、大戦後に生まれた命には、歴史として教えられるだけだ。
「ルキア、今俺はすでに幸せだけど、もっと幸せになろうな」
「ああ。貴様と、いつまでも一緒だ。勿論、苺花と一勇も」
一護は、ルキアとの間にさらに二人の子をもうけることになる。
それは、遠い未来のお話。
隠していた想い
fin
苺花とルキアと一護
一護が、ルキアと一緒に尸魂界にきて、1年が経とうとしていた。
式は挙げなかったが、籍を入れた。
朽木一護になるのか思ったが、黒崎ルキアになるらしい。
式は、そのうち挙げるらしい。
4大貴族から籍を抜くことになるのだが、一応4大貴族の死神の婚礼には変わりない、いろいろと、他の貴族がうるさかったそうだ。元、四楓院家の当主と婚姻しておきながら、いくら尸魂界の恩人ではあるが、名もない死神と籍をいれるとはと。
四楓院家を侮辱しているのかとも言われた。
ルキアは、散々な言われようだった。一人娘を、四楓院家の当主に預けて、間男と逃げただの、もともと四楓院家を侮辱するためだけに当主と結婚して子を成しただの。
全部、白哉が黙させた。
今日も、一護はルキアと一緒に、13番隊執務室で働いていた。
ルキアの娘、苺花を、ルキアは引き取ることを決意した。四楓院家の当主は苺花を愛したが、今度妻を迎えるにあたって、苺花の存在が邪魔で、結婚予定だった相手が毒殺してこようとしたらしい。その婚姻は破綻となったが、苺花が四楓院家にいる限り、命が狙われる可能性があると分かり、一護にも相談して、朽木家に迎えいれることがきまった。
黒崎苺花になるのだ。四楓院苺花から、黒崎苺花へ。
貴族の暮らしになるが、貴族から一般市民へとなる。
まだ、苺花は4歳だ。
苺花と4年ぶりに再会したルキアは、涙を零した。
「苺花、寂しいしい思いをさせてしまってすまなかった」
「母様?本当に、あなたが私の母様ですか?」
「ああ、そうだ」
ルキアは、苺花を抱き上げた。
「父様は?もう、父様とは会えないの?」
「四楓院家の父様とは、しばらく会えない。今日から、このオレンジ頭の男が、お前の父様だ」
「えー、私もっとかっこいい父様がいい。白哉様みたいな」
「これ、苺花!」
「やーだやーだ、こんな父様やーだー」
「俺、子供に嫌われやすいのかな・・・・・・」
自分の娘になるはずの苺花に嫌われたようで、ショックを隠せない一護である。
「そのうち、一緒に暮らしていると慣れる・・・・あ」
「どうした?」
「苺花は、しばらく兄様に預かっていただろう」
「なんでだ?」
「言っておいたであろう。子が、できやすいのだ、今の私は。悲哀色狂病に一度かかると、治ってから4年目に、1か月ほど子ができやすくなるらしい。苺花だけではかわいそうだし、私も貴様との子供が欲しい。褥を共にしたいのだ」
この1年、何度も体を重ねてきたが、子供はできなかった。
一護との子が欲しいと言われて、一護は赤くなりながらも頷いた。
「男の子が欲しいな・・・・・名前は一勇。親父が一心、俺が一護、で、息子予定は一勇だ」
「良い名だ。一護の名前も、一つを護る。良い名を、与えられたな」
「今頃、俺の一回忌かな。会いにいきたいけど、人間としては死んでるからな。まぁ仕方ねーか」
「それについてなのだがな、一護・・・・・・・・」
一護の死を、黒崎一心は分かっていたらしい。死神として生きるためで、人間としての死であると。一心も、死神なのだ。しかも、没落した5つ目の貴族である志波家の、死神。
つい最近、尸魂界にきたらしい。遠くから、一護がルキアと幸せそうにしているのを眺めて、満足して帰って行ったらしい。
「そうか、親父が・・・・ってことは、遊子と夏梨にも知れたのかな?」
「そうであろうな。それに、石田と茶虎も記憶置換がきかなかったらしい。井上には、涅隊長が特別に作った記憶置換で、一護は死んだものとして記憶してもらった。尸魂界にきてまで、騒がれては困るからな・・・そうそう、その井上だが、傷心なところに石田がフォローにきて、今石田と交際しているらしいぞ」
「そっか・・・井上も、ちゃんと未来を歩き出しているのか・・・よかった」
「一護、好きだ。今夜は、お前と寝るぞ」
「ああ、寝る・・・・って、そっちの意味の寝る!?」
苺花がいることを、ルキアは忘れているようだった。
「ねぇ、おねんねするの?」
「苺花!一護、すまない、兄様のところに預けてくる」
苺花を1か月の間、白哉が預かってくれることになった。
一護とルキアは、子供を作るために体を重ねた。
「あ・・・・・」
「隠すなよ。全部見せろよ。今更だろう?何十回抱いてきたと思ってるんだ」
「一護・・・・・ああっ」
胸の先端を口に含まれ、胸全体をやわやわと揉まれた。
秘所に手が伸びる。
「ああ、こんなに濡れて」
さわるだけで、くちゅりと音が鳴って、ルキアは目を閉じた。
舌が、秘所を這った。
「い、いちご、そ、そのような!」
「気持ちよくなってくれ」
ぴちゃりぴちゃりと、ルキアの愛液をすすりながら、秘所に舌をさしこみ、指で陰核をつまみあげて、秘所の中の前立腺を刺激する。
「んああああ!」
ルキアは、軽く一度いった。
愛液はどんどん溢れて、そこはもう潤って、一護がくるのを今か今かとまっていた。
「抱くぞ、ルキア」
「ああ、一護。愛している」
「俺も愛してる、ルキア」
「ああああ!」
貫かれて、ルキアはそれだけでまたいってしまった。
「おい、大丈夫かよ、ルキア」
「も、問題ない・・・続けてくれ、一護」
ルキアを何度も貫いて、ゆすった。
体位を変えると、ルキアが上になる騎乗位になった。
「あ、このような・・・・」
「いいだろ、たまには」
下から突き上げてくる一護に、ルキアは長くなった黒髪を宙に乱した。
「あ、ああん!」
何度も突き上げられた。奥の子宮にまで入られて、甘い声がさらに甘くなる。
「んあっ!」
唇を重ねる。舌と舌が絡みあうキスを何度も栗化した。
ルキアを褥に押し倒す。
中の抉る箇所が変わり、ルキアは啼いた。
「んあああ!」
前立腺ばかりを突き上げるとルキアはびくびくと体を痙攣させた。
「あ、またくる・・・いっちゃ、いちごお」
「何度でもいけよ。好きなだけ、高みにのぼれ」
「ああああああ!」
ルキアは、女であるという悦びを、何度も味わった。
その日から、ルキアと一護は、2日に1回は交わった。
そして、1か月後。
待望の妊娠が、明らかになった。
式は挙げなかったが、籍を入れた。
朽木一護になるのか思ったが、黒崎ルキアになるらしい。
式は、そのうち挙げるらしい。
4大貴族から籍を抜くことになるのだが、一応4大貴族の死神の婚礼には変わりない、いろいろと、他の貴族がうるさかったそうだ。元、四楓院家の当主と婚姻しておきながら、いくら尸魂界の恩人ではあるが、名もない死神と籍をいれるとはと。
四楓院家を侮辱しているのかとも言われた。
ルキアは、散々な言われようだった。一人娘を、四楓院家の当主に預けて、間男と逃げただの、もともと四楓院家を侮辱するためだけに当主と結婚して子を成しただの。
全部、白哉が黙させた。
今日も、一護はルキアと一緒に、13番隊執務室で働いていた。
ルキアの娘、苺花を、ルキアは引き取ることを決意した。四楓院家の当主は苺花を愛したが、今度妻を迎えるにあたって、苺花の存在が邪魔で、結婚予定だった相手が毒殺してこようとしたらしい。その婚姻は破綻となったが、苺花が四楓院家にいる限り、命が狙われる可能性があると分かり、一護にも相談して、朽木家に迎えいれることがきまった。
黒崎苺花になるのだ。四楓院苺花から、黒崎苺花へ。
貴族の暮らしになるが、貴族から一般市民へとなる。
まだ、苺花は4歳だ。
苺花と4年ぶりに再会したルキアは、涙を零した。
「苺花、寂しいしい思いをさせてしまってすまなかった」
「母様?本当に、あなたが私の母様ですか?」
「ああ、そうだ」
ルキアは、苺花を抱き上げた。
「父様は?もう、父様とは会えないの?」
「四楓院家の父様とは、しばらく会えない。今日から、このオレンジ頭の男が、お前の父様だ」
「えー、私もっとかっこいい父様がいい。白哉様みたいな」
「これ、苺花!」
「やーだやーだ、こんな父様やーだー」
「俺、子供に嫌われやすいのかな・・・・・・」
自分の娘になるはずの苺花に嫌われたようで、ショックを隠せない一護である。
「そのうち、一緒に暮らしていると慣れる・・・・あ」
「どうした?」
「苺花は、しばらく兄様に預かっていただろう」
「なんでだ?」
「言っておいたであろう。子が、できやすいのだ、今の私は。悲哀色狂病に一度かかると、治ってから4年目に、1か月ほど子ができやすくなるらしい。苺花だけではかわいそうだし、私も貴様との子供が欲しい。褥を共にしたいのだ」
この1年、何度も体を重ねてきたが、子供はできなかった。
一護との子が欲しいと言われて、一護は赤くなりながらも頷いた。
「男の子が欲しいな・・・・・名前は一勇。親父が一心、俺が一護、で、息子予定は一勇だ」
「良い名だ。一護の名前も、一つを護る。良い名を、与えられたな」
「今頃、俺の一回忌かな。会いにいきたいけど、人間としては死んでるからな。まぁ仕方ねーか」
「それについてなのだがな、一護・・・・・・・・」
一護の死を、黒崎一心は分かっていたらしい。死神として生きるためで、人間としての死であると。一心も、死神なのだ。しかも、没落した5つ目の貴族である志波家の、死神。
つい最近、尸魂界にきたらしい。遠くから、一護がルキアと幸せそうにしているのを眺めて、満足して帰って行ったらしい。
「そうか、親父が・・・・ってことは、遊子と夏梨にも知れたのかな?」
「そうであろうな。それに、石田と茶虎も記憶置換がきかなかったらしい。井上には、涅隊長が特別に作った記憶置換で、一護は死んだものとして記憶してもらった。尸魂界にきてまで、騒がれては困るからな・・・そうそう、その井上だが、傷心なところに石田がフォローにきて、今石田と交際しているらしいぞ」
「そっか・・・井上も、ちゃんと未来を歩き出しているのか・・・よかった」
「一護、好きだ。今夜は、お前と寝るぞ」
「ああ、寝る・・・・って、そっちの意味の寝る!?」
苺花がいることを、ルキアは忘れているようだった。
「ねぇ、おねんねするの?」
「苺花!一護、すまない、兄様のところに預けてくる」
苺花を1か月の間、白哉が預かってくれることになった。
一護とルキアは、子供を作るために体を重ねた。
「あ・・・・・」
「隠すなよ。全部見せろよ。今更だろう?何十回抱いてきたと思ってるんだ」
「一護・・・・・ああっ」
胸の先端を口に含まれ、胸全体をやわやわと揉まれた。
秘所に手が伸びる。
「ああ、こんなに濡れて」
さわるだけで、くちゅりと音が鳴って、ルキアは目を閉じた。
舌が、秘所を這った。
「い、いちご、そ、そのような!」
「気持ちよくなってくれ」
ぴちゃりぴちゃりと、ルキアの愛液をすすりながら、秘所に舌をさしこみ、指で陰核をつまみあげて、秘所の中の前立腺を刺激する。
「んああああ!」
ルキアは、軽く一度いった。
愛液はどんどん溢れて、そこはもう潤って、一護がくるのを今か今かとまっていた。
「抱くぞ、ルキア」
「ああ、一護。愛している」
「俺も愛してる、ルキア」
「ああああ!」
貫かれて、ルキアはそれだけでまたいってしまった。
「おい、大丈夫かよ、ルキア」
「も、問題ない・・・続けてくれ、一護」
ルキアを何度も貫いて、ゆすった。
体位を変えると、ルキアが上になる騎乗位になった。
「あ、このような・・・・」
「いいだろ、たまには」
下から突き上げてくる一護に、ルキアは長くなった黒髪を宙に乱した。
「あ、ああん!」
何度も突き上げられた。奥の子宮にまで入られて、甘い声がさらに甘くなる。
「んあっ!」
唇を重ねる。舌と舌が絡みあうキスを何度も栗化した。
ルキアを褥に押し倒す。
中の抉る箇所が変わり、ルキアは啼いた。
「んあああ!」
前立腺ばかりを突き上げるとルキアはびくびくと体を痙攣させた。
「あ、またくる・・・いっちゃ、いちごお」
「何度でもいけよ。好きなだけ、高みにのぼれ」
「ああああああ!」
ルキアは、女であるという悦びを、何度も味わった。
その日から、ルキアと一護は、2日に1回は交わった。
そして、1か月後。
待望の妊娠が、明らかになった。
死神の一護
一護は、荷物をまとめて尸魂界にやってきた。
「お、一護じゃねーか」
「おう、恋次久しぶりだな。4年ぶりくらいか?」
「おう、そんなもんだな。ルキア、一護を連れて帰ってきたってことは、ルキアが人間になるんじゃなくって、一護が死神化するのか?」
紅い髪の恋次は、風に髪を揺らせていた。
「ああ、俺が死神になるんだ」
一護がそう答える。
「なんでも、5年の猶予を与えたって隊長がいってたけど、早かったな。2週間ちょいか?考えると、早すぎねーか?」
「いいんだよ。俺ももう21だ。5年後には26になってる。年をとればとるほど、ルキアとの距離は広がっちまう。だからといって、ルキアが人間になって白哉や恋次と会えないのはかわいそうだしな」
その言葉に、恋次が笑った。
「ルキアは、本気で人間になるつもりだったんだぜ?俺に、伝令神機で「人間になる、許してくれ」ってメール送ってきてた」
「まじかよ、ルキア」
「そ、それはだな・・・・」
ルキアが視線を彷徨わせる。
「あ、兄様!」
「白哉」
「隊長」
三者三様に名を呼ばれて、白哉は頷いた。
「黒崎一護。死神になるのだな?」
「ああ」
「現世の全てを捨てることになる。いいのだな?」
「ああ」
「分かった。ついてこい」
皆で、ぞろそろと移動した。ついた場所は、12番隊の技術開発局だった。
「恋次はここで待て」
「分かりました、隊長」
中に入ると、涅マユリがいた。
「てめぇ!」
「おっと、怒らないでほしいネ。君の記憶を操作してくれと言ったのは、井上織姫という人間の女であって、私がしたかったわけではないのだからネ」
「涅マユリ。例の薬を」
「ほう。死神化するというのかネ。まぁ、死神代行が本物の死神になるだけで、それほど変わりはないと思うだがネ」
「大ありだよ、バカ野郎」
どろどろとした、きつい匂いの紫の液体を渡された。
「死神化した今の状態で飲め」
白哉に言われて、そのまま一気飲みした。
「アレ・・・・意外とうまい。オレンジの味が・・・・ううう」
ばたりと、一護は倒れた。
「おい、一護!兄様、一護が呼吸していません!」
ルキアがおろおろしだすが、白哉は冷静だった。
「今、黒崎一護の人間が死んだのだ。直だ」
ゆらりと。
肉体から、魂魄が滲み出てきた。
それは、また肉体に戻った。
「ん・・・あれ、もう終わりか?」
「そうだ。たった今、人間としての黒崎一護は死んだ。もう、尸魂界の住人だ」
「そうか・・・・俺、一応死神として食って行こうと思ってるんだけど、泊まるとことかないんだけど、どうすればいいんだ?」」
「しばしの間、朽木家で過ごすがよい。我が義妹の想い人だ。特別に許可をやろう」
「お、白哉、すまねーな」
「いいのですか、兄様!」
「構わぬ」
12番隊の外で恋次と落ち合って、白哉は恋次を連れて去ってしまった。
「今日は、もうすることがねーな。そういえば、ルキアは13番隊副隊長やめたんだっけ?」
「そうだな・・・私も、することがない。力も戻ってきているようだし、副隊長に復帰するか」
二人で、京楽春水のところへ行った。
「何、一護君が死神化しただってーーーーーー!?」
結局、隊首会が開かれることになった。
尸魂界を二度にもわたって救った英雄が死神になった。それを置いておくにはあまりにも勿体なさすぎると。
ルキアの復帰願いもあり、ルキアは13番隊の副隊長として復帰し、しばらくの間は13番隊の席官と形で一護は落ちついた。
朽木家にずっと泊まっているのもなんなので、隊舎で部屋を借りることになった。
だが、ルキアまで朽木家を飛び出して、隊首室で寝て一護を毎朝迎えにいくことに、義妹を溺愛している白哉が折れて、一護を正式に朽木家に迎えることになった。
いわゆる、婿入りだろうか
「まじかよ・・・・」
朽木家の広い寝室の一つをルキアと一緒に与えられて、一護は自分の頬をつねっていた。
「痛い」
「何をしているのだ、一護」
「いや、なんかルキアと一緒に朽木家でずっと住めるなんて、夢かと思って」
「夢などではない、たわけが!」
ルキアの蹴りが、一護に炸裂した。
「うお、この感触・・・・・・実に3年ぶりくらい」
一護は、ルキアに蹴られて喜んでいた。
「ええい、喜ぶな・・・・一護の死を、現世に知らせねばならぬな」
「それならば、もう済ませた」
白哉が、いつの間にか部屋の中に来ていた。
「うお、何処からわいてきやがった」
瞬歩でやってきたらしい白哉であったが、物音一つ立てなかった。
「本日の夜8時に、黒崎一護はトラックと事故を起こして死亡した。そう、あの井上という哀れな女も含めて、貴様の家族にも記憶を書き換えた」
「わー。白哉毒舌」
井上については、もうどうしよもないので、庇うような言い分もしなかった。
「私の義妹をあれほど悲しませたのだ。許せぬ」
「ルキア、白哉に愛されてるなー」
ルキアは真っ赤になって、わたわたしだした。
「兄様は、いつも通りだ!」
「うわーブラコンもここまでくるとすげーな。まぁ白哉のシスコンに比べたらましか?」
「何か言ったか?」
「いえいえ、なんでもございません」
ぎろりと白哉に睨まれて、一護は首を横に振った。
「何はともあれ、これからも世話になるぜ、白哉」
「仕方あるまい。ルキアが家を出ていくよりましだ」
白哉は、本当にルキアを愛していた。
義妹であるが、実の妹のように見ている。
ルキアは幸せだな。そう思った。
やっぱり、俺が死神になって正解だ。そうも思った。
「お、一護じゃねーか」
「おう、恋次久しぶりだな。4年ぶりくらいか?」
「おう、そんなもんだな。ルキア、一護を連れて帰ってきたってことは、ルキアが人間になるんじゃなくって、一護が死神化するのか?」
紅い髪の恋次は、風に髪を揺らせていた。
「ああ、俺が死神になるんだ」
一護がそう答える。
「なんでも、5年の猶予を与えたって隊長がいってたけど、早かったな。2週間ちょいか?考えると、早すぎねーか?」
「いいんだよ。俺ももう21だ。5年後には26になってる。年をとればとるほど、ルキアとの距離は広がっちまう。だからといって、ルキアが人間になって白哉や恋次と会えないのはかわいそうだしな」
その言葉に、恋次が笑った。
「ルキアは、本気で人間になるつもりだったんだぜ?俺に、伝令神機で「人間になる、許してくれ」ってメール送ってきてた」
「まじかよ、ルキア」
「そ、それはだな・・・・」
ルキアが視線を彷徨わせる。
「あ、兄様!」
「白哉」
「隊長」
三者三様に名を呼ばれて、白哉は頷いた。
「黒崎一護。死神になるのだな?」
「ああ」
「現世の全てを捨てることになる。いいのだな?」
「ああ」
「分かった。ついてこい」
皆で、ぞろそろと移動した。ついた場所は、12番隊の技術開発局だった。
「恋次はここで待て」
「分かりました、隊長」
中に入ると、涅マユリがいた。
「てめぇ!」
「おっと、怒らないでほしいネ。君の記憶を操作してくれと言ったのは、井上織姫という人間の女であって、私がしたかったわけではないのだからネ」
「涅マユリ。例の薬を」
「ほう。死神化するというのかネ。まぁ、死神代行が本物の死神になるだけで、それほど変わりはないと思うだがネ」
「大ありだよ、バカ野郎」
どろどろとした、きつい匂いの紫の液体を渡された。
「死神化した今の状態で飲め」
白哉に言われて、そのまま一気飲みした。
「アレ・・・・意外とうまい。オレンジの味が・・・・ううう」
ばたりと、一護は倒れた。
「おい、一護!兄様、一護が呼吸していません!」
ルキアがおろおろしだすが、白哉は冷静だった。
「今、黒崎一護の人間が死んだのだ。直だ」
ゆらりと。
肉体から、魂魄が滲み出てきた。
それは、また肉体に戻った。
「ん・・・あれ、もう終わりか?」
「そうだ。たった今、人間としての黒崎一護は死んだ。もう、尸魂界の住人だ」
「そうか・・・・俺、一応死神として食って行こうと思ってるんだけど、泊まるとことかないんだけど、どうすればいいんだ?」」
「しばしの間、朽木家で過ごすがよい。我が義妹の想い人だ。特別に許可をやろう」
「お、白哉、すまねーな」
「いいのですか、兄様!」
「構わぬ」
12番隊の外で恋次と落ち合って、白哉は恋次を連れて去ってしまった。
「今日は、もうすることがねーな。そういえば、ルキアは13番隊副隊長やめたんだっけ?」
「そうだな・・・私も、することがない。力も戻ってきているようだし、副隊長に復帰するか」
二人で、京楽春水のところへ行った。
「何、一護君が死神化しただってーーーーーー!?」
結局、隊首会が開かれることになった。
尸魂界を二度にもわたって救った英雄が死神になった。それを置いておくにはあまりにも勿体なさすぎると。
ルキアの復帰願いもあり、ルキアは13番隊の副隊長として復帰し、しばらくの間は13番隊の席官と形で一護は落ちついた。
朽木家にずっと泊まっているのもなんなので、隊舎で部屋を借りることになった。
だが、ルキアまで朽木家を飛び出して、隊首室で寝て一護を毎朝迎えにいくことに、義妹を溺愛している白哉が折れて、一護を正式に朽木家に迎えることになった。
いわゆる、婿入りだろうか
「まじかよ・・・・」
朽木家の広い寝室の一つをルキアと一緒に与えられて、一護は自分の頬をつねっていた。
「痛い」
「何をしているのだ、一護」
「いや、なんかルキアと一緒に朽木家でずっと住めるなんて、夢かと思って」
「夢などではない、たわけが!」
ルキアの蹴りが、一護に炸裂した。
「うお、この感触・・・・・・実に3年ぶりくらい」
一護は、ルキアに蹴られて喜んでいた。
「ええい、喜ぶな・・・・一護の死を、現世に知らせねばならぬな」
「それならば、もう済ませた」
白哉が、いつの間にか部屋の中に来ていた。
「うお、何処からわいてきやがった」
瞬歩でやってきたらしい白哉であったが、物音一つ立てなかった。
「本日の夜8時に、黒崎一護はトラックと事故を起こして死亡した。そう、あの井上という哀れな女も含めて、貴様の家族にも記憶を書き換えた」
「わー。白哉毒舌」
井上については、もうどうしよもないので、庇うような言い分もしなかった。
「私の義妹をあれほど悲しませたのだ。許せぬ」
「ルキア、白哉に愛されてるなー」
ルキアは真っ赤になって、わたわたしだした。
「兄様は、いつも通りだ!」
「うわーブラコンもここまでくるとすげーな。まぁ白哉のシスコンに比べたらましか?」
「何か言ったか?」
「いえいえ、なんでもございません」
ぎろりと白哉に睨まれて、一護は首を横に振った。
「何はともあれ、これからも世話になるぜ、白哉」
「仕方あるまい。ルキアが家を出ていくよりましだ」
白哉は、本当にルキアを愛していた。
義妹であるが、実の妹のように見ている。
ルキアは幸せだな。そう思った。
やっぱり、俺が死神になって正解だ。そうも思った。
本当の一護
「なんだよ。また来たのかよ」
一度、一護は自分の部屋に荷物を取りに帰った。その時は、ルキアは浦原商店にいっていいて、いなかったのだ。
井上の家にいくと、冷たい声の一護がいた。
「一護。井上に何をされた。涅マユリに、何をされた!」
その言葉に、それ見たことかと高をくくっていた井上が、真っ青になる。
「何言ってるの、朽木さん」
「この部屋には、昨日確かに涅マユリの霊圧の名残があった。残念だったな、井上。完璧にことを起こすには、涅マユリに霊圧を消して来いというべきだったな」
「黒崎君は渡さない!」
ルキアは、記憶置換を一護に使った。
「ルキア?俺はなんで・・・・・・・」
「一護、どうだ?」
「どうだってなんだよ。さっさと消えろよ」
「やはり、無理か・・・・・兄様・・・・・」
ふわりと。
朽木白哉が、室内に現れた。
「朽木白哉・・・・・・」
ひっと、井上は息を飲んだ。
「兄は・・・一護に。一護、しっかりせぬか。涅マユリがすぐに白状した。お前に、強力な記憶置換を使ったと」
「嫌よ、黒崎君は私のものなんだから!」
「哀れな、女だ・・・・・・」
白哉は、黒い記憶置換を、一護に向けた。
「だめえええええええ!」
井上が、白哉にを押しのけようとする。それをさっと避けて、白哉はその記憶置換を使った。
「あれ。俺、どうしたんだ?」
「一護、私が分かるか?」
「何言ってるんだよ、ルキア」
「一護!」
ルキアは顔を輝かせて、一護を抱きしめた。
けれど、一護の表情が変わる。
「なんだよ、白哉まで呼んで。そんなに、俺が恋しいのか、ルキア?」
「いち・・・・ご・・・・・もう、元には戻らぬのか?」
「元々こうなんだよ。さっさと帰れ、このアバズレ!」
「兄は・・・・・」
義妹を侮辱されて、白哉は怒った。
「止めてください、兄様!」
「兄は、その程度の男なのか!涅マユリ程度に記憶を操作されて、愛しい者のことも忘れる程度の・・・・・・」
白哉が抜き放った千本桜の刃を、一護は自分の太ももに突き刺していた。
「兄は・・・・・?」
「いってぇええええ。でも、これでまともに思考できる。白哉、もう1回あの記憶置換を使ってくれ。それで、元に戻るはずだ。ルキア、愛してるからな。たとえ、記憶を歪まされても、俺が心の底から想っているはお前だけだ」
白哉は、一護に言われた通り、記憶置換を使おうとした。
「三天結盾、私は拒絶する!」
「井上、そこまで・・・・・」
「黒崎君は渡さない!」
「この程度の結界。笑止」
ずっと、結界の中に白哉は踏み込む。千本桜を始解させて、結界を粉々にして、一護にもう一度記憶置換を使った。
「井上。もうやめろ」
「黒崎君・・・・・うわああああああああああああん」
泣きだした井上を抱き締めて、太ももから血を流しながら、一護はその頭を撫でた。
「ごめん。お前を選んでやれなくて、ごめんな」
「うわああああん」
井上は大泣きした。
「一護、太ももの怪我を見せろ!」
「ああ、これくらい大丈夫だ。ごめんな、ルキア。ルキアにも辛い想いをさせて」
「兄は・・・・もう、元に戻ったようだな。私の出番はここまでだ」
ふっと、瞬歩で白哉は去ってしまった。
「ルキア、帰ろう。俺たちの家に」
「うああああん、黒崎君、黒崎君、黒崎君、いかないでえええええ」
「井上。今回ばかりは、お前に幻滅したよ。さようなら」
「いやあああああああああ」
泣き叫び、暴れ出す井上を放置して、ルキアを連れて一護は自分の家に戻った。一度まとめてもっていった荷物は、ルキアが持った。
「はぁ。疲れた」
一護の家についた。
「まずは、傷の手当てせねば」
井上には、治す余裕もないだろう。
ルキアの回道で血止めをしてから、傷口を消毒して、ぐるぐると包帯を巻いた。
「俺、決めた」
「何をだ?」
「俺が、死神になる」
「それは!」
まだ、答えを出すには早すぎると思ったが、ルキアはその言葉を受け入れた。
「そうだ、ちょっと待っててくれ」
「?」
一護は、たんすをごそごそと探りだした。
それから、小さな箱を取り出した。
「手、出してくれ」
「うむ」
素直に手をだすと、ルキアの細い指に、指輪がはめられた。
「貴様、これは?」
「3年前・・・・お前が、出ていく前に買っておいた、エンゲージリングだ」
ルキアは目を見開いた。
それから、アメジストの瞳から涙を零した。
「一護、貴様は、3年間ずっとこれを・・・・」
「ああ。高かったから、処分に困ってて、売ろかとも思ったんだけど、それだけは残しておいたんだ。受け取ってくれ、俺の想いを。結婚してくれ、ルキア」
「いちご・・・・・・・」
ルキアの指にはまったエンゲージリングは、中央に花形にカットされたアメジストがあしらわれていた。
「一護、大好きだ。愛している」
「俺も好きだ。愛してる。俺が、死神になる。ルキアに、寂しい思いはさせない」
「まだ、5年も猶予があるのだぞ?」
「社会人になって、あれこれ柵(しがらみ)ができちまったら、いろいろと大変だろ。もういいんだ。家族には後で別れを言うし。尸魂界に行こう」
「今日は、このまま、この部屋で眠ろう。明日、尸魂界に共に戻ろう」
その日の夜は、お互いを抱きしめあう形で眠った。
夜、途中でルキアが起きて、泣いていた。
「ルキア?」
「いちご・・・私は、井上に、なんといえばよいのであろうか」
「井上のことは、もう忘れろ」
「いちご・・・・・私は、こんなに幸せで、よいのだろうか?」
「ああ、いいんだ。お前は散々悲しい目にあってきた。例え俺以外の男に抱かれて子供がいようと、俺が許す。俺を信じろ。俺は、お前だけを愛しぬく」
「一護・・・・・・・」
唇が重なった。
そのまま、体を重ねた。
一度、一護は自分の部屋に荷物を取りに帰った。その時は、ルキアは浦原商店にいっていいて、いなかったのだ。
井上の家にいくと、冷たい声の一護がいた。
「一護。井上に何をされた。涅マユリに、何をされた!」
その言葉に、それ見たことかと高をくくっていた井上が、真っ青になる。
「何言ってるの、朽木さん」
「この部屋には、昨日確かに涅マユリの霊圧の名残があった。残念だったな、井上。完璧にことを起こすには、涅マユリに霊圧を消して来いというべきだったな」
「黒崎君は渡さない!」
ルキアは、記憶置換を一護に使った。
「ルキア?俺はなんで・・・・・・・」
「一護、どうだ?」
「どうだってなんだよ。さっさと消えろよ」
「やはり、無理か・・・・・兄様・・・・・」
ふわりと。
朽木白哉が、室内に現れた。
「朽木白哉・・・・・・」
ひっと、井上は息を飲んだ。
「兄は・・・一護に。一護、しっかりせぬか。涅マユリがすぐに白状した。お前に、強力な記憶置換を使ったと」
「嫌よ、黒崎君は私のものなんだから!」
「哀れな、女だ・・・・・・」
白哉は、黒い記憶置換を、一護に向けた。
「だめえええええええ!」
井上が、白哉にを押しのけようとする。それをさっと避けて、白哉はその記憶置換を使った。
「あれ。俺、どうしたんだ?」
「一護、私が分かるか?」
「何言ってるんだよ、ルキア」
「一護!」
ルキアは顔を輝かせて、一護を抱きしめた。
けれど、一護の表情が変わる。
「なんだよ、白哉まで呼んで。そんなに、俺が恋しいのか、ルキア?」
「いち・・・・ご・・・・・もう、元には戻らぬのか?」
「元々こうなんだよ。さっさと帰れ、このアバズレ!」
「兄は・・・・・」
義妹を侮辱されて、白哉は怒った。
「止めてください、兄様!」
「兄は、その程度の男なのか!涅マユリ程度に記憶を操作されて、愛しい者のことも忘れる程度の・・・・・・」
白哉が抜き放った千本桜の刃を、一護は自分の太ももに突き刺していた。
「兄は・・・・・?」
「いってぇええええ。でも、これでまともに思考できる。白哉、もう1回あの記憶置換を使ってくれ。それで、元に戻るはずだ。ルキア、愛してるからな。たとえ、記憶を歪まされても、俺が心の底から想っているはお前だけだ」
白哉は、一護に言われた通り、記憶置換を使おうとした。
「三天結盾、私は拒絶する!」
「井上、そこまで・・・・・」
「黒崎君は渡さない!」
「この程度の結界。笑止」
ずっと、結界の中に白哉は踏み込む。千本桜を始解させて、結界を粉々にして、一護にもう一度記憶置換を使った。
「井上。もうやめろ」
「黒崎君・・・・・うわああああああああああああん」
泣きだした井上を抱き締めて、太ももから血を流しながら、一護はその頭を撫でた。
「ごめん。お前を選んでやれなくて、ごめんな」
「うわああああん」
井上は大泣きした。
「一護、太ももの怪我を見せろ!」
「ああ、これくらい大丈夫だ。ごめんな、ルキア。ルキアにも辛い想いをさせて」
「兄は・・・・もう、元に戻ったようだな。私の出番はここまでだ」
ふっと、瞬歩で白哉は去ってしまった。
「ルキア、帰ろう。俺たちの家に」
「うああああん、黒崎君、黒崎君、黒崎君、いかないでえええええ」
「井上。今回ばかりは、お前に幻滅したよ。さようなら」
「いやあああああああああ」
泣き叫び、暴れ出す井上を放置して、ルキアを連れて一護は自分の家に戻った。一度まとめてもっていった荷物は、ルキアが持った。
「はぁ。疲れた」
一護の家についた。
「まずは、傷の手当てせねば」
井上には、治す余裕もないだろう。
ルキアの回道で血止めをしてから、傷口を消毒して、ぐるぐると包帯を巻いた。
「俺、決めた」
「何をだ?」
「俺が、死神になる」
「それは!」
まだ、答えを出すには早すぎると思ったが、ルキアはその言葉を受け入れた。
「そうだ、ちょっと待っててくれ」
「?」
一護は、たんすをごそごそと探りだした。
それから、小さな箱を取り出した。
「手、出してくれ」
「うむ」
素直に手をだすと、ルキアの細い指に、指輪がはめられた。
「貴様、これは?」
「3年前・・・・お前が、出ていく前に買っておいた、エンゲージリングだ」
ルキアは目を見開いた。
それから、アメジストの瞳から涙を零した。
「一護、貴様は、3年間ずっとこれを・・・・」
「ああ。高かったから、処分に困ってて、売ろかとも思ったんだけど、それだけは残しておいたんだ。受け取ってくれ、俺の想いを。結婚してくれ、ルキア」
「いちご・・・・・・・」
ルキアの指にはまったエンゲージリングは、中央に花形にカットされたアメジストがあしらわれていた。
「一護、大好きだ。愛している」
「俺も好きだ。愛してる。俺が、死神になる。ルキアに、寂しい思いはさせない」
「まだ、5年も猶予があるのだぞ?」
「社会人になって、あれこれ柵(しがらみ)ができちまったら、いろいろと大変だろ。もういいんだ。家族には後で別れを言うし。尸魂界に行こう」
「今日は、このまま、この部屋で眠ろう。明日、尸魂界に共に戻ろう」
その日の夜は、お互いを抱きしめあう形で眠った。
夜、途中でルキアが起きて、泣いていた。
「ルキア?」
「いちご・・・私は、井上に、なんといえばよいのであろうか」
「井上のことは、もう忘れろ」
「いちご・・・・・私は、こんなに幸せで、よいのだろうか?」
「ああ、いいんだ。お前は散々悲しい目にあってきた。例え俺以外の男に抱かれて子供がいようと、俺が許す。俺を信じろ。俺は、お前だけを愛しぬく」
「一護・・・・・・・」
唇が重なった。
そのまま、体を重ねた。