忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
02 2025/03 3 5 6 7 89 10 11 12 13 14 1516 17 18 19 20 21 2223 24 25 26 27 28 2930 31 04

誕生日プレゼントは「僕」

「じゃーーん。今年の誕生日プレゼントは「僕」だよー」

その日は、日番谷の誕生日が終わり、1日違いの浮竹が誕生日を祝われている日だった。

たくさんの隊士に囲まれ、たくさんの、持ちきれない誕生日プレゼントに喜ぶ浮竹は、京楽の存在をなかったものとして扱うことにした。

「浮竹隊長・・・・・手編みではありませんがこれを」

「朽木・・・マフラーか。最近寒いからな。大切に使わせせてもらう」

「私は、兄にこれを・・・」

「おお、白哉までくれるのか。これはあったかそうな手袋だ。朽木兄妹は、息もぴったりだな」

ルキアは頬を染めて、白哉は僅かながらに嬉しそうに微笑んだ。

「はいはーい。一般隊士の誕生日プレゼントの列はここですよー」

清音が、一般隊士の贈り物をうけとり、仙太郎がその仕分けをしていた。

とにかく、朗らかで優しい浮竹を慕う中には、他の隊の隊士もいて、日番谷の祝いの人数もすごかったが、その2倍は死神がいただろうか。

祝宴の酒などは、全部京楽がもってくれている。

3時間ほどで酒宴はうちきられ、ただ酒を飲みに来ていた輩も消えていく。

残ったのは、主人公の浮竹、日番谷、松本、白哉、ルキア、放置されている京楽くらいだろうか。
あとは仙太郎と清音が、いろいろ後片付けをしてくれていた。

他の隊長副隊長も祝いにきてくれたのだが、祝いの時間も終わり、帰ってしまった。

後に残ったのは、交流の深い人物たち。

「浮竹隊長~最近執筆が滞りがちなんですよ~~~京楽隊長との絡みをくださいよーー」

「松本ーー!ばかなこというな!」

「あーん隊長のいけずーー」

日番谷と松本は、一心地ついたのでやっと遅めの食事をとりだした。

ルキアと白哉は、仲よく何かの打ち合わせをしていた。

「京楽・・・・・少しはこりたか?」

2時間ほど放置されていた京楽は、涙ながらに頷いた。

「そういえば、院生時代も「僕」をプレゼンゼントしたら散々な目にあわされたね・・・・・・思い出した」

「お前をもらったところで、ろくな目にあいそうにない」

「そんなことないよ。尽くすタイプだよ、僕は。この酒宴だって僕がもったじゃないの」

バチコーンと、ウィンクを飛ばした。

「頼んでもいないのにな」

「いいじゃない。僕はこういう形でも、君のためになるなら金はおしまないよ」

「見返りが何もなければもっと嬉しいんだがな・・・・・」

「そんなぁ。来年は姫はじめする約束でしょ?」

浮竹は、その言葉に顔を朱くする。

「おい、あまり堂々と言うな。恥ずかしい」

「えー浮竹隊長と京楽隊長の姫はじめ・・・・・・・むふふふ、執筆のネタ発見!年明けまで原稿しあげるわよ!」

そう言って、松本は走り去ってしまった。

翡翠の瞳が揺れる。

寒いので、朽木兄妹がくれた手袋とマフラーをした。

日番谷は、まだ食べていた。松本は、食べる時間もおしいのか、持ち帰れるものだけ袋につめて走り去ってしまったままだ。

「日番谷隊長、酒は飲むかい?」

「甘いのなら・・・・」

「じゃあ、俺の果実酒をあけよう」

「おいこれ、去年に京楽からもらったやつじゃないのか?」

『もったいなくて飲まないでいたら、そろそろ賞味期限が切れそうだからな。一人で飲むより、多いほうがいい」

白哉とルキアにも酒を配った。

「乾杯」

皆で乾杯して、酒を飲んだ。

「乾杯」

少し遅れて、ラッピングリボンを外した京楽がやってくる・

「懲りたか?」

「懲りたよ」

京楽も酒を飲んでいた。去年自分がプレゼントしたものを、自分も飲む羽目になるとは思ってもいなかったが。

他の酒もあけて、わいわいと少人数で賑わった。

夜も更けて、日付が変わる。

「では、私も兄様も、ここまでで」

「ああ、ありがとう朽木、それに白哉」

「兄は、風邪をひかぬよう、気をつけろ」

「ああ」

朽木兄妹が去って残ったのは日番谷と京楽だった。

清音と仙太郎には、もう暇(いとま)を出しておいた。

「おいおっさん、浮竹を大事にしろよ」

「分かってるよ、日番谷隊長」

日番谷は少し酔ったのか、ふらついた後、瞬歩で消えてしまった。

「浮竹・・・・・もう日付はすぎてしまったけれど、誕生日おめでとう」

「ありがとう、京楽」

雨乾堂に戻ると、押し倒された。

「誕生日は僕っていったよね?君は僕に溺れるといいよ」

「あっ・・・・」

結局、誕生日は僕というわけのわからないプレゼントで、浮竹はおいしくいただかれてしまうのであった。














拍手[0回]

PR

院生時代の部屋26

「はぁ・・・・・・・・」

「どうしたの?生理?」

そう言った京楽の脛を蹴り上げて、浮竹はまた溜息を零した。

「はぁ・・・・・・・」

「ほんとにどうしたのさ」

「京楽」

「なんだい」

「この前、お前が見合いするって言った日に、俺が言ったことは全て忘れろ」

「えー無理。君と約束したもんね(*´з`)卒業してもずっと一緒にいるって」

「脳内から消えてしまええええ」

がくがくと京楽を長い間揺さぶっていると、首が締まったのか、京楽は蒼い顔で泡をふいていた。

そんな京楽をぺっと捨てて、また溜息をつく。

「あんなの、まるでプロポーズしてるみたいじゃないか・・・・・・」

今思いだしも恥ずかしい。

「はぁ・・・・よりによって京楽本人に言うなんて、本当にどうにかしている」

京楽は、周囲に想いが実ったと言いふらしているという。

まだ恋人になることを承知したわけではないけれど、共にいろと言った。半ば強制的な言葉であったが、京楽はそれを喜々として受けいれた。

気づけば季節も深まり、もう冬だった。

そして思いだす。

そういえば、今月は誕生日だったと。

いつも京楽からもらうのは、この前の年は翡翠の髪飾り、その前の年は翡翠の首飾り・・・・・あとは誕生日以外にも、とにかく翡翠ばっかりもたらっている気がする。

翡翠の石にもグレードがあり、京楽が贈ってくる翡翠は極上のもの。全部売りとばせば、屋敷が一件買えるだろう。

「おい、京楽」

「なんだい」

にょきっと復活した京楽は、想い人のためならきっとなんでもするだろう。

「今年誕生日祝いは、翡翠はなしで。金のかかったものもだめだ」

「えー」

「えーじゃない!毎年高価なものを贈られるこっちの身にもなってみろ。お返しが大変なんだからな!」

「お返しなんて、「浮竹」でいいよ」

京楽はベッドの上にたち、床に座っている京楽の脳天を蹴ってやった。

「きゅう」

目を回した京楽を無視する。


そして、今年も誕生日がやってきた。今年でいくつになるか忘れた。尸魂界の人間は、とにかく長い時間を生きる。
現世の人間の年齢でいうと、二十歳前後だろうか。

最も体が活性化する時期だ。今は3回生。6回生になり卒業したら、学院ともおさらばだ。

その日は、夜遅くまで浮竹のための祝宴が開かれた。友人の多い浮竹は、たくさんの贈り物をもらって嬉しそうだった。

京楽も皆にまじって飲んでいた。

酒宴場を貸し切ってくれたのも京楽だった。金持ちだからといっても、あまり任せきりにさせるのは申し訳なくて、浮竹は祝宴が終わると京楽を呼び出した。

「どうしたの?」

「今日は、その、ありがとう!」

背伸びして、口づける。その後、抱き締めた。

「うん。ありがとう」

そのまま自室に戻ると、京楽がこそこそとしだした。まだ0時は回っていなかった。

そういえば、今年はまだ京楽から誕生日プレゼントをもらっていない。今年の夏には、京楽に金もなかったので、一緒のベッドで眠り権利の券を1週間分あげたのを思い出す。

そんなものなら、いいと思ったのだが。

「ジャーン!ハッピーバースディ浮竹!今年の誕生日プレゼントは「僕」だよ!」

ご丁寧にラッピングリボンを巻いた半裸の京楽を、浮竹は蹴り上げた。すでにたっていた股間を。

「のああああああ!愛が痛いいいいいいいいい」

そのまま2発3発と蹴りをいれて、服をなんとかちゃんと着せて、ラッピングリボンでぐるぐる巻きにして、部屋の外に追い出した。

「私はすごい変態です」

とかかれた板を首からぶら下げた京楽は、次の日白目をむいた状態で発見された。

みんな、浮竹の親友の変態だと、京楽を見ては噂した。

京楽が意識を取り戻した時、たくさんの人に囲まれて笑われていた。

「浮竹、誕生日プレゼントの「僕」のどこが気に入らなかったんだい!」

ドアをあけて、浮竹が京楽に部屋に入る許可を与えた。、

「全部だ」

そう言って、浮竹は登校の準備をして一人で学院にいってしまった。

「一人じゃうごけないーー」

ラッピングリボンを通りかかった上級生に、お金を払ってとってもらい、午後から授業に参加する京楽の姿があったとかなかったとか。





拍手[0回]

院生時代の部屋25

「お見合いすることになった」

「そうか。お幸せに」

京楽の言葉に、興味なさげに返すと、その手をとられた。

「逃げないで。ちゃんと僕の目を見て」

「お見合いするんだろうが。俺じゃなくて、その上流貴族の姫君の写真でも見てろ」

「ちゃんと僕を見て」

京楽に顔を見られたくなくて、手をふり払った。

「浮竹!」

「お見合いするんだろう!俺とのことは遊びだったんだろう!もう、行け!」

そういって、荷物をまとめると浮竹は、相部屋の相手の部屋があいている友人の部屋に逃げた。

「浮竹、京楽と喧嘩したのか?」

「どうして?」

「だってお前・・・・・泣きはらした目をしている」

図星をさされて、浮竹はあいている方のベッドに倒れこんだ。

「あのバカ、散々俺を好きだの愛してるだの言っておきながら、見合いすると言い出した」

「想いを、きちんと告げたほうがいいんじゃないか?このままだと、京楽のやつ本当に結婚してしまうぞ?」

すでに、大半の友人たちが気づいていた。

浮竹は、京楽に毒さて、墜ちてきていると。相思相愛になるのも時間の問題だと。

「知るかあんなバカ。結婚するなり廓にいくなり、好きにすればいい」

「でも、友人として言わせてもらうが、京楽のお前への愛は本物だぞ?お前も、だから京楽の傍にいたんじゃないのか」

「もういいんだ・・・・・・・」

「よくない!」

友人は立ち上がった。

「京楽呼んでくる」

「おい、待て!」

友人を伴って、京楽がやってきた。

「ごめん、少し手荒になるよ」

そう言って、浮竹の体を肩に乗せる。

「京楽!」

「浮竹・・・・・たまには、素直になったほうがいいよ」

見透かされていた。かーっと、顔中が朱くなる。

「お前なんかさっさと結婚してしまえ」

「うん。浮竹と結婚する」

「あの上流貴族の姫は・・・・・」

「伝書鳩飛ばして、バーカバーカ誰がお前の夫になるかこのくそ女って文章を、ね」

そんな文章、上流で貴族なくとも見合いの相手がみたら破談になるだろう。

「ばか・・・・・このばか・・・・」

浮竹の、翡翠の瞳から涙が零れ落ちた。

自室に戻り、ホットココアを入れられた。

「少しは落ち着いた?」

泣きはらした目をしている浮竹は、痛々しかった。

「ごめんね、不安にさせて」

その目元に何度もキスされた。

浮竹は、京楽に自分からディープキスをした。

「はぁっ・・・・・・・」

「どうしたの。君からなんて、珍しいね」

「約束しろ。俺を置いてどこにもいかないと」

「!」

真剣な表情の翡翠の瞳と黒曜石の瞳が混じり合う。

浮竹の翡翠の瞳は、光彩にオパールの虹色の輝きを放っていて、とても綺麗だった。

甘い花の香がする。

「約束する・・・・・君を置いて、どこにもいかない」

「共に学院を卒業して、護廷13隊に入り、いつか隊長にまで上り詰めるんだ」

「約束するよ。その時も、変わらず君の傍にいることを」

また、ぽろりと翡翠の瞳から涙が零れ落ちた。

「どうしたの?」

「安心したら、涙腺が決壊した」

ぽろぽろ流れる涙を吸い上げて、京楽は浮竹を押し倒す。

「大好きだよ・・・・・十四郎」

「京楽・・・・」

そのまま、二人は丸くなって眠った。

浮竹は、結局想いを告げないままだった。

今はただまどろむ。このぬるま湯のような関係のままで。


いつか、互いがいなければいけない比翼の鳥になる。

そんな予感がした。

拍手[0回]

院生時代の部屋24

学院の運動場で、蹴鞠をしていた。日頃の運動不足を解消するために、友達と幾人かで蹴鞠を浮竹はしていた。

ばっと現れた、浮竹の写真がプリントアウトされているシャツを着た、京楽のかさかさかさという動きに、その股間に向かって思いっきり蹴鞠を蹴り飛ばた。

「ぎょえええええええ」

「おい、これ京楽だよな?いいのか?京楽一族だぞ」

「ただの害虫だ」

見なかったことにして、浮竹は蹴鞠を続ける。

「なんか、シャツにアイラブ浮竹ってかいてあるぞ?」

「気のせいだ」

「でもこれ、お前に付きまとってるって有名な京楽春水だよな?いいのか?」

「大丈夫だ、放置しておけば復活する」

その通り、10分ほどして京楽は何もなかったかのように復活して、蹴鞠を続ける浮竹を見ていた。(*´Д`)ハァハァと息も荒く。いつもの学院の衣服ではない、半袖のシャツに袴という出で立ちの浮竹を見て、京楽は興奮していた。

その視線が嫌で、今度は顔面めがけて蹴鞠を思い切り蹴った。

「ぎょわあああああああ」

クリーンヒット。

京楽は、鼻血を出しながら後ろ向きに倒れた。

「変態も出てきたし、今日の蹴鞠はここらへんで終わりにしよう」

そういう浮竹に、友人たちが「大丈夫か」と声をかけてくるが、いつものことなので「大丈夫だ」と答えて解散になった。

さて、運動場で伸びている京楽を

1、自室に運ぶ
2、放置する
3、埋める
4、最初からなかったことにする

▷4、最初からなかったとにする。

を選んだ浮竹は、蹴鞠を片手に自室に返って行った。

いつ回り込んだのか、自室に戻ると京楽がいた。

鼻血がとまらないので、ティッシュを詰めていたが、秀麗な顔立ちをしているので、まぁ少々まぬけでも、かっこよくは見えた。

ああ、俺も目が腐ってきたな・・・・・。

そう思いつつ。蹴鞠でかいた汗を流すためにシャワー浴びた。

浴室から出ると、体をふくはずのバスタオルがなかった。ついでに服もなかった。

「京楽、1週間無視,プラス1か月間キスハグなしか、服とバスタオルを返すか。どっちがいい?」

「ごめんなさいm(__)m」

現れた京楽は、素直にバスタオルと衣服を返してくれた。

でも、一瞬とはいえ浮竹の裸体を見てしまい、鼻血を流して倒れこんだ。

ちゃんと衣服を、学院で支給されている上着と袴を着て、京楽を踏みつけてベッドに腰かける。

「はぁ・・・・・・」

最近の京楽の変態行動が、ちょっと過激になってきた気がする。

京楽に告白されてから、半年をこえた。

残り3年の間で答えを出さなければいけない。

「はぁ・・・・・・・」

自分が出そうとしている答えはもう、決まっていた。

京楽の変態行為がなければ、とっくの昔に想いは告げていたのに。

肩より長くなった髪をつまむ。

京楽が綺麗だから伸ばせといっていた髪。白い、色素のぬけた髪。

その髪のことが嫌いだった。京楽が何度も綺麗で伸ばせというから、鋏をいれることを止めた。


浮竹は、鋏を取り出すと適当な長さで髪を自分で切ってしまった。

それから、手先の器用な友人のところへいく。

ざんぱらな髪を見て友人は驚いて、京楽にされたのかと心配そうに聞いていた。

「ただの気分転換。男だし、肩より長い髪なんて鬱陶しいだけだから」

そういって、髪を入学当初くらいの長さに切り添えてもらった。

そして自室に戻ると、京楽が床にちらばったままの浮竹の髪を集めて、ごみ箱に捨てているところだった。

「髪、切っちゃんだ・・・・・もったいない。綺麗だったのに。日に透けると、銀色に見えた」:

「この髪が、また肩に届く前には、お前への想いの答えを出してやる」

「本当に?」

けっこう、浮竹は髪が伸びるのが早い。

キラキラした目で見られて、浮竹は苦笑した。

「それまでは、これで我慢しろ」

舌が絡まるディープキスを、2回した。

「浮竹・・・・(*´Д`)ハァハァ」

「お前、その変態癖なんとかならないか?」

「なんない(*´з`)」

大きくため息をつく。

今の京楽から変態を取り上げたら、多分骨が残る。

なので、浮竹も変態行動をやめてほしいがきつくやめろとは言えないでいた。中途半端にさせたままの自分も悪いのだ。

思いっきり突っぱねて、嫌いだといえば、少しは関係は変わるだろうか。

多分、それをすると京楽は浮竹の前から姿を消す。そんな気がしてならなかった。

その1週間後。

京楽春水は、上流貴族の姫君と、お見合いをすることになる。



拍手[0回]

白哉が現世にやってきたその1

その日は、運命の日。

高校受験の日だって、大学受験の日だって、こんなに緊張したことはない。否、緊張というより蛇に睨まれた蛙状態で、ほんとどうしようと考えていた。

「一護、来たぞ」

穿界門をあけて、愛しいルキアがやってきた。

アパートの一室にあがってくるのは、ルキア一人ではなかった。

ルキアの義兄、朽木白哉。

凛とした佇まい。気高く美しく、そこにいるだけで桜が咲き乱れているような。

百哉は、美し青年であった。女であれば、一度は振り返りたくなるような、そんな容姿をしていた。

いやそれはどうでもいい。

うん。

「・・・・・・・物置か。住まいはどこだ?」

白哉は、一護の部屋を見た後、本当に住んでいるところがどこだろうと探し出した。

「白哉のやつ、わざとやってるのか?」

「いや兄様は本気だ。本気でここを物置だと思っているようだ」

「ごほん。あのな、白哉、あんたが物置だと思っているこの部屋が、俺の住まいなんだよ!」

白哉は雷に打たれたような衝撃を受けた。

「このような家畜小屋にルキアを・・・・・・」

「あのなぁ、現世と尸魂界は違うんだよ!俺はあんたのような貴族でも金持ちでもねぇ。今の身分で働いて住めるのは、これくらいの部屋しかねーんだよ!」

「至急、尸魂界から金を運んで屋敷を・・・・・・・・・・」

「いらねぇから!俺の家はこの部屋で十分なんだよ。それに、ルキアもこの部屋を気に入ってjくれている」

白哉に見られて、ルキアは朱くなりながらも答える。

「大きな屋敷もよいですが、この部屋はこの狭さが落ち着くのです・・・・すぐ近くに一護を感じられる」

一護も、顔を朱くさせた。

「床をともにしていると聞いたが・・・・避妊はしているのだな?」

「当たり前だろ!大事なルキアを罪人になんてできるか!」

尸魂界の決まり事。死神と人間の間で子が生まれた場合、処刑。

それは、死神の血が現世の人間に混ざらぬようにと、とられた苦肉の法律。

「本来ならば、兄がルキアを抱くことなど許しがたい。だが、ルキアがそれを望んでいるのだ。この件に関しては、もう何も言うまい」

「兄様!」

嬉しそうなルキア。

「だが、しばらくの間、私も現世にいることになった。5つ星ホテルのスウィートルームを用意してある。ルキアはどうするのだ」

5つ星のホテルのスウィートルームと聞いて、ルキアは断言した。

「兄様についていきます」

「おい、ルキア・・・・・」

「ふ。貧乏人でも体験したいであろう。兄もくるがよい」

「貧乏人は余計なんだよ!」

白哉は、死覇装に隊長羽織のままでもいかず、高級な衣服店で正装をかってきた。

何を着ても似合っていて、少し羨ましかった。

そういう一護は、入学式の時にきたスーツ姿だった。荷物の中に、ラフな格好の衣服を入れてある。

「うわあ」

ルキアが目を輝かせた。

5つ星ホテルだけあって、あまりに豪華だった。

入口をあけてくれるドアボーイがいて、白哉はチップの代わりに小さめの金の塊をあげたりしていた。ドアボーイが驚いて、こんなに要りませんというのを無視して、中に入る。

シャンデリアが美しかった。

磨かれた大理石の床は、顔が映るくらいにぴかぴかだった。

ホテルのカウンターまでいく。

「朽木白哉様、朽木ルキア様、ただの家畜様ですね?」

「おい、ただの家畜様ってなんだ」

「修正を。低劣な義妹の婚約者で」

「はい、分かりました。低劣な義妹の婚約者様ですね?」

一護の額に血管マークが浮かぶが、こんなところで喧嘩をはじめたら、死神の姿になって刀をぬくことになるので、我慢した。

平常心平常心。

「エレベーターで最上階にだ。行くぞ、ルキア、低劣な義妹の婚約者」

「お前、絶対わざとだろ!!」

エレベーターの中で襟元を締め上げると、ふっと、白哉が溜息を零した。

「この程度で怒るなど、まだまだだな。兄には、いずれ朽木家に名をつらねてもらう」

「え”・・・・・・・」

「ルキアをくださいと言ったとき、三日三晩いろいろ勉強させたであろう」

そんなもの、とっくの昔に忘れてしまっていた。

「俺、やっぱりかえ・・・・・・」

「帰さぬ」

「ぎゃああああああああああああ」

白哉に縛道でぐるぐる巻きにされて、スィートルームに連れていかれる。

このホテルのスウィートルームの値段は一晩300万。そんなの、白哉にとってははした金でしかなかった。

現世と尸魂界は通貨が違うので、ある程度札束はもってきていたが、重いだろうに金塊とかまでもってきていた。

「そもそも、白哉ではなく義兄様と呼ぶがよい」

「呼べるかーーーーーーーー!」

我慢の限界にきた一護は、死神姿になると斬月を構えた。

「ふ・・・散れ、千本桜」

流石にスィートルームの中では卍解できなくて、雨のように降る千本桜に圧された。

「兄様、一護、やめてください!せっかくのスィートルームを破壊してしまいます!」

まず、一護が刀を収めた。

次に白哉が。

「兄は、少し怒りっぽいようだな。そのあたりも、4大貴族に名をつらねるためにも修行してもらおう」

「いやだあああああああああああ!!」

逃げ出そうとする一護を、また縛道でぐるぐる巻きにして、その日は一日中白夜に貴族としてのなんたるであるかを教えられて、一護はスィートルームに泊まっといるはずが、地獄いるような一夜を味わうのであった。


             その2に続く





拍手[0回]

院生時代のの部屋23

朝起きると、隣に京楽の顔があった。

頭痛がする、二日酔いだろうか。多分自分が悪いので、その日浮竹は京楽を蹴り落とさなかった。

いつもなら「起きろ!」と叫んで、ベッドから蹴り落とすのだが。

「いたたたた・・・・・」

ズキズキする頭痛に、自分で回道をかけて、痛み止めの薬を飲んだら随分とましになった。

浮竹の昨日の記憶は、京楽の杯に自分の好きな果実酒を注いだところで止まっていた。体は軽しいしどこにも異常はないので、酒に酔った勢いで体を重ねた、というわけでもなさそうだ。

それに安心する。

一度、過ちでもそんな関係に陥ってしまったら、もう元には戻れないだろう。

今の、親友であれる関係が一番いいのだ。多分。

京楽は、浮竹が頷くまで何度も告白してくる。アピールしてくる。それを無視して、親友でいようとするのだが、浮竹がしぶればしぶるほど燃えるのか、だんだん変態じみてきて、否、今はもうただの変態である。

「うふふ・・・・・・ああん、浮竹そこはだめ・・・・・」

浮竹の笑顔をプリントアウトした抱き枕を抱き締めて、京楽はむにゃむにゃと寝言を言う。

いかがわしい夢でも見てるのだろう。

蹴り起こしてやろうかと思ったが、この前熱を出したときずっと傍で看病してくれたことを思いだし、思いとどまる。

「今日だけだからな」

まだ朝も早い。

浮竹は、京楽のいる自分のベッドで眠るわけにもいかず、空いていた京楽のベッドに横になった。

「京楽の匂いがする・・・」

柑橘系の、香水の匂い。あと、お日様の匂い。安心する。

はっ。

何を考えていた俺!?

そう突っ込みをいれて、冷静になり、そのまま眠気に任せて二度寝をした。

起きると、朝の9時半だった。

とっくの昔に授業が始まっている。

「京楽、何故起こさなかった!」

浮竹のベッドのほうをみると、京楽はまだ眠っていた。否、苦しそうにしていた。

「京楽?」

額に手をあててみる。すごい熱だった。

いつもは熱を出す自分だから分かる。きっと、悪寒と吐き気と眩暈、それに喉と関節が痛いだろう。多分、風邪だ。

京楽も熱を出すとき大抵風邪だった。

浮竹は、一度学院に登校し、今日は休むと告げて寮の部屋まで戻ってきた。

「浮竹・・・?」

京楽が、熱で潤んだ瞳で見上げてくる。

「今、氷水でタオルひたしてるから、少し待て」

ぎゅっとしぼり、それを京楽の額に当てると、京楽はとても気持ちよさそうだった。

「これが、いつも浮竹の味わっている世界か・・・・酷いもんだね」:

視界がくらくらして、まともに浮竹の姿をとらえれない。

本当なら、おはようのキスが欲しいが、風邪をうつすわけにもいかず、大人しくしていた。

「食欲はあるか?」

「ないけど」

「お粥をつくるから、食欲がなくても数口でいいから食え。薬が飲めない」

空腹に薬をいれても効果は半減する。

「浮竹が作ってくれるの?」

「これでも、弟や妹を世話して食事を作ったりしていた。腕は悪くないはずだ」

卵粥をつくり、京楽のもとにもっていくと、少し熱が下がったのか、半身を起こしていた。

「無理をするな」

「でも、半身起こさなきゃ、お粥食べれないでしょ。はい、口あけるから、あーんして食べさせてね」

「お前な・・・・・」:

「いいじゃない。熱を出したときくらい、甘えさせてよ」

「仕方のないやつだな・・・・・」

浮竹は、京楽に冷ました粥を一口ずつ食べさせていく。

「おいしいね」

「だから、腕は悪くないといっただろう」

「浮竹の知らなかった一面を知れて、嬉しいよ」

結局、食用がないといいながら、お粥を全部平らげた京楽に、浮竹は解熱剤と常備薬である風邪薬を飲ませた。

「浮竹に飲ませて欲しいけど、風邪うつしちゃだめだからね・・・・・」

「薬くらい自力で飲め、このバカ」

「夕飯は鮭いりの粥がいい」

「ああ、分かった。買いだしにいってくるから、ちゃんと寝てろよ」

浮竹は、食材を求めて街に出かけてしまった。

「さて暇だね・・・・そうか、このベッド浮竹のベッドか!道理で甘いにおいがするはずだ」

京楽は、浮竹のベッドの上でひたすらシーツや枕の匂いをかいでいた。

浮竹は、赤子の頃に花の神に捧げられて愛されたせいで、甘い花の香を体や髪から自然とにおいただよわせる体質だった。

香水など、いるはずもない。

シャンプーや石鹸にの匂いを漂わせる風呂上がりの浮竹は、生まれ持った匂いといあいまって、なんとも男心をくすぐる甘ったるい匂いを漂わせていることがある。
そのせいもあり、浮竹は公共浴場にいくのを嫌がる。

女生徒が圧倒的に少ないこの学院では、男でも性の対象として見られることが多い。麗人である浮竹は3回生だが、年下から年上まで、とにかく女生徒だけでなく男子生徒にももてた。

それに辟易をとしている浮竹に、京楽が告白した。

そのニュースは一夜で学院内をかけまわり、以後浮竹に告白してくる者は数がぐっと減った。京楽家ににらまれれば、学院を退学にさせられることもあるのだ。

ある先輩は、浮竹に断られたのに強引に関係を結ぼうとして、それを知った京楽の手によって、学院を退学の上に警邏隊に強姦未遂で捕まり、1年の投獄の刑にされた。、

それを知ってから、浮竹の周りで京楽以外の者が、愛を囁くことはなくなった。

「浮竹愛してるよ・・・・早く帰ってこないかなぁ」

そんなことを考えていると、解熱剤にふくまれていた眠剤成分と、風邪薬の中に含まれていた鎮静剤の効果で、眠ってしまった。

数時間後に起きると、熱は平熱まで下がっていた。

いい匂いがして、キッチンの方を見る。

浮竹が、鮭いりの粥をつくってくれていた。

「できたぞ」

「はい、あーん・・・・・・」

口を開くが、浮竹は食べさせてくれなかった。

「熱が下がっているだろう。自力で食え」

「ちぇっ・・・・」

浮竹のお粥は、これまだ美味だった。

「君、料理人でもやっていけそうだね」

「ばかいうな。俺は死神になるんだ」

「そして、僕のお嫁さんになるんだね」

頭をはたかれた。

「愛が痛い!病み上がりなのに!」

「もう具合は全然平気みたいだな。安心した」

「僕のこと、心配してくれてたの?」

「当たり前だ!大前は俺の大切な・・・・・親友だからな」

「親友かぁ。そこが恋人ならいいのになぁ」

「それより、ベッドを交換しろ。もう、動けるだろう?俺のベッドを占領するな」

「ちぇっ。せっかく浮竹の匂いをかいでいたのに」

「かぐな!この変態がっ!」

「そうだよ。僕は浮竹に関しては変態だからね」

ついに認めやがった・・・・・・・そう思いながら、浮竹は溜息を零した。

「ああ、昨日の浮竹は可愛かったなぁ・・・・酔っぱらって甘えてきて・・・キスしてくれっていったり、もっとハグしてって・・・・・」:

「記憶から抹消しろ」

浮竹が、笑顔で血管マークを浮かべながら、いつまでも自分のベッドを占領する親友を、蹴り落とした。

「ぎゃっ!」

尻もちをついら京楽を無視して、どこからとりだしたのか、ファブリーズのようばもので、シーツと布団を消毒する。

「酷いなぁ。僕は病原菌じゃないよ」

「同じようなものだ」

隅々まで消毒して、やっと納得がいったのか、浮竹は自分のベッドに腰かけた。

「ああっ、でも僕が浮竹のベッドを占領していたということは、浮竹は僕のベッド眠って・・・・・(*´Д`)ハァハァ」

はぁはぁ息の洗い変態を、張り倒す。

「ああっ、愛が痛い!」

京楽は、愛が痛いと次の日もうるさかったので、水をぶっかけると、愛が寒いとかいいだすのだった。



拍手[0回]

愛されないと消える世界番外編

完全パラレル注意報。

王(元領主)京楽×元愛玩奴隷、浮竹。

ファンタジー風味の世界。
愛されないと、浮竹はこの世界から消えてしまう。

愛されないと消える世界https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18445116を最初お読みください。

-------------------------------------------



異世界からの来訪者は、愛されないと消えてしまう。

死んでしまうのではく、元の世界に戻されるのだ。一度はこの世界に召喚され、そして消えて元の世界に戻った浮竹は、王となった京楽の手により、再び召喚された。

召喚に応じるのは浮竹一族。黒髪に蒼い瞳をした、聖人たち。この世界を蝕む瘴気を清めることのできる、特別存在。
京楽が王となった後も、浮竹一族は大切にされ、求めるものには伴侶が与えられて、愛された。

今日も、浮竹は王となった京楽に愛された。

体を透けさせることもなく、大切に大切にされて。

色素の抜けた白い髪、翡翠の瞳をもつ浮竹は、麗人の青年であった。今は年の頃なら二十歳前後。

王たる京楽は、28だ。

伴侶となった二人は、永遠を誓い合った。

過去の王を弑逆した形で王座をとった京楽であったが、贅沢を好み国民に重税を課していたので
前王は支持はされていなかった。王位継承権をもつ上級貴族であった京楽が王になったとき、国民はそれを祝い、前王の重圧から解放されたと、三日三晩に渡って国中で祭りが開かれた。

今日は、京楽の王即位1周年記念の日だった。

いたるところで祭りが開かれて、それに吸い寄せられるように、浮竹ふらふらするので、京楽は気が気ではなかった。

王としての執務をさっさと終わらせて、伴侶である浮竹を侍らせて、少し遅めの昼食をとった。

「何か欲しいものでも見つけたのかい?」

浮竹が祭りをただ楽しむならいいのだが、何かを探しているようで、それが気になって京楽はそう聞いたのだが、浮竹は首を横に振るだけだった。

「いい。自分で探す」

「浮竹?」

浮竹には、十分な額の小遣いをあげていたし、欲しがるものはなんでも手に入れてやった。

浮竹が今まで不可能な願いをしてきたこと、京楽の心臓が欲しいといったことだろうか。

「何か不満でもあるのかい?」

「不満はない。ただ・・・・・・」

「ただ?」

「こんな俺でいいのかと思って。お前の伴侶が。瘴気も浄化できないできそこないのなのに・・・」

京楽は、浮竹を抱き締めた。

「君はできそこなんかじゃない。それに今は来訪者である浮竹一族の他に瘴気を消す方法が見つかりそうなんだ」

「それは本当なのか?」

この世界から瘴気がなくなれば、もう浮竹一族を召喚する必要性もなくなる。

いくら手厚く保護されていると言っても、異世界にいきなり放り出されるのだから、その不安はどうしようもないものがある。

家族とも会えないのだ。

浮竹一族は、元の世界では数が多いので、こちらの世界にやってきた浮竹一族の中に家族を見出すことができないのが大半だった。

「瘴気がなくなれば、この世界はもっと繁栄するし、この国も豊かになる。それに、地方の治安もよくなるだろう」

京楽のいる王都がそれに近い大きな街は治安がよかったが、この国は大きい。地方にいくと、治安が悪くなり、人さらいや野盗の類が出るのだ。

この国でも、他の国と同様奴隷はいる。なんとか京楽は奴隷制度をやめさせたがっていたが、昔から根強く存在していた奴隷を解放すれば、反乱がおきる危険があるので、目をつぶっていたのだ。

その日、浮竹は身辺護衛を二人ほどつけたのが、それをまいて一人で祭りにいってしまった。
そしてそのまま帰ってこなかった。

京楽は、国をあげて捜索しようとする前に、脅迫状が届いた。

浮竹の身の安全の代わりに、王を退位しろとの内容だった。だが、京楽は王となった責任をもっていた。浮竹を救い出すために、ありとあらゆる方法をとった。

浮竹は、背中に奴隷の焼き印を押されて、地方の豪族の男に売られて行ったことがわかり、すぐにその豪族の元にいくと、性奴隷として酷く扱われ、体のほとんどを透けさせた浮竹がいた。

京楽は激怒し、豪族の男の首をその場ではねた。

「京楽・・・・?」

「浮竹、もう大丈夫だからね・・・」

京楽は泣いていた。

伴侶としたはずの相手が、こんな理不尽な目にあっていいのかと。あまりの怒りに、その豪族の一族から貴族の位を剥奪し、全員を奴隷に落とした。

京楽に愛されて、少しずつではあるが、輪郭を取り戻した体で、浮竹は訴える。

あの豪族の男以外に罪はないので、家族を奴隷に落とすのはやめてほしいと。

浮竹の願いは、叶えれるものなら叶える主義なので、京楽は奴隷として売られて行く予定だった豪族の男の一族に恩赦を与えて自由にした。ただ、貴族の位の剥奪はそのままだった。

「京楽・・・・・これ、京楽に」

まだ透けた手のままで、浮竹は黒曜石のペンダントを京楽に渡した。

「お前の誕生日知らないから・・・・その、王即位一周年の記念の祝いに・・・・・」

「浮竹・・・・・」

唇と唇が重なった。何度もキスをしていると、愛されていると分かって、浮竹の透けていt手の輪郭が戻ってきた。

「もう、一人で外出しちゃいけないよ。必ず、護衛をつけること、いいね?」

「分かった」

さすがに、今回の一件でこりたのか。それから浮竹がお忍びで外出する時も必ず護衛をつけた。

浮竹の背に押された奴隷の焼き印は、治癒魔法を使っても、治らなかった。

そうなる呪いが組み込まれた焼き印だったのだ。

「あ・・・・・・」

ちゃぷんと、お湯があふれる。

浮竹が湯あみをしたいと言い出したので、ついでだから京楽も一緒に湯あみをしていた。・

「この背中の焼き印・・・消せない。ごめんね」

京楽は、浮竹の白い滑らかな背中に残された、引きつった焼き印のやけどのあとに口づける。

「ああっ」

湯の中で、欲望を受け入れさせられて、浮竹がちゃぷんとお湯をはねさせた。

「中にお湯がはいるからっ・・・・ああっ」

「潤滑油も、あんまり意味ないね・・・・でも、ちゃんと入る」

「やあん」

鳴く浮竹に構わずに、京楽は浮竹の蕾に欲望を突き入れて、突き上げた。

「ああっ」

お湯が中にはいってくる。同時に前立腺を刺激されて、浮竹はお湯の中で京楽にしがみついた。

京楽は浮竹のの足を大きく広げさせて、己を飲み込ませていく。

「あああっ」

何度か突き上げ、ちゃぷちゃぷとお湯の音を鳴らしながら、浮竹の花茎をいじっていると、浮竹が先に果てた。

それを確認してから、京楽も浮竹の腹の奥に欲望を放った。

それでもまだ足りなくて、浮竹を貪った。

「んあっ」

舌と舌を絡ませあいながら、また京楽が突き上げる。

「ううんっ」

浮竹は、その欲望を最奥まで飲み込んでいく。

お湯は薔薇湯で、花びらが肌にはりついた。

「あああ!」

何度も何度も前立腺ばかり突き上げられて、浮竹は二度目の精液を風呂の湯の中に放った。

「愛してるよ、十四郎」

「俺も愛してる、春水っ・・・・・・・」

最奥の一点を突き上げると、びくりと浮竹の体がはねた。

「ここも、いいんだね?」

「やあっ」

最奥ににネジ入れるように突き上げると、浮竹は京楽にしがみついた。内部を締め上げてくる動きに、京楽も我慢できずに浮竹の最奥に欲望を放つ。

二人して、のぼせた。

治癒魔法をかけられて、大分ましになった意識に、もう風呂では行為に及ばぜまいと、浮竹は思った、

冷たい氷をもらい、冷やされた甘露水を口にしていると、京楽も平気になったのか。一緒に甘露水を飲みほした。

もう、浮竹の体はどこも透けていなかった。

「愛してるよ・・・・」

「俺もだ・・・・・」

二人は、その夜も睦みあった。

若いので、まだ性欲は旺盛だった。

数日後、浮竹は京楽に呼ばれた。

「お互い、伴侶になることを誓いあったんだ。式を挙げようと思うんだ。国民に知らせるためにも」

「いいのか?こんな俺で」

「君だから、式を挙げたいんだよ」

数日後、式が厳かにあげられて、国民た美しい浮竹という名の青年を伴侶にする答えを出した京楽を、皆心から歓迎した。

「ほら、杞憂だったでしょ?」

馬車に乗りながら、パレードに参加していた浮竹は、恥ずかしそうに顔を朱くしていた。

「こんなに祝ってもらえるとは思わなかった。俺は、男だ。お前の子を、世継ぎを残せない。それでもいいいのか?」

「愚問だよ。世継ぎは、京楽一族の血筋から選ぶから、心配ない。なんなら、子として養子に迎えよう」

その後、京楽家の血筋の赤子を、養子として迎え入れた二人は、その子を慈しみながら育て、その命が果てるまで末永く幸せにくらした。


拍手[0回]

院生時代の部屋22

破壊したはずの、浮竹印の抱き枕が元に戻っていた。否、新品になっていた。そして数も3個と増えていた。

ふと、薬をのむためにマグカップに水を入れた。

それにも、浮竹の写真がプリントアウトされていた。

「・・・・・・・」

部屋を見回す。

浮竹の笑顔の眩しいカレンダー。照れた浮竹のポスター。

泣いている浮竹のストラップ。

浮竹のベッドには、京楽印の抱き枕。

枕も布団も、京楽の顔があった。反対に、京楽のベッドには浮竹の顔が。

一番浮竹を怒らせたのは、YESorNOのピンク色の枕が置かれていたことだろうか。

「世話になったな、京楽。俺は別の部屋にいく」

「ええっ、なんで!」

「この部屋を見回して、何も思わないのか?」

「え、素敵でしょ?僕と京楽の、スィートルーム」:

「そうか。世話になったな」

浮竹は、自分の荷物をまとめ出した。

「ちょ、ちょっと待ってよ!本気で出ていくつもりなの!?」

「そうだが?」

浮竹は、本気でこの部屋を去ろうとしていた。

京楽が慌てて、隠していた普通の寝具やらを出して、浮竹印と京楽印のものを封印した。

「最初から、そうしていればいいのに」

浮竹は、荷物をまとめるのを止めた。

「だって、最近、浮竹は僕をかまってくれないじゃないか」

「いつも通りだろう?」

「そんなことない。僕のこと、避けてない?」

確かに、浮竹は京楽を意図的に避けていた。

こんな変態京楽であるが、その変態を取り除いたときの京楽を、浮竹は好きになりかけていた。

京楽が、本気で浮竹を落としにかかったら、多分、YESと答えてしまうだろう。

浮竹の中で、京楽の存在は大きなものとなり、京楽になら抱かれていいかもしれないという気持ちがあった。

それを全て無駄にするのが、京楽クオリティ。

「はぁ・・・・・最近の俺は、どうかしている」

ベッドに横になると、妹が売られかけたこととか、京楽に多額の借金を背負ったこととかが次々に襲ってきて、その日の深夜には高熱を出した。

「大丈夫?」

額につめたい氷水で冷やしたタオルが置かれていた。

「俺は・・・?」

「熱をだしたんだよ。今日は休日だし、僕がついているからもう少し眠りなよ」

「すまない・・・・・」

額の冷たいタオルが気持ちよかった。

なんとか解熱剤だけを飲んで、横になると、鎮静剤の効果で眠ってしまった。

「浮竹が僕を好き、浮竹が僕を嫌い、浮竹が僕を好き、浮竹が僕を嫌い・・・・ああああ、また嫌いで終わってしまった」

起きると、日付がかわっていた。深夜だった。

浮竹が寝ている間に、京楽も仮眠をとったのだ。

浮竹が起き出したときに相手ができるように。その心使いはありがたいのだが、京楽はどこから買ってきたのか、花束を手に、その花びらをむしっていた。・

「浮竹が僕を好き、浮竹が僕を嫌い、浮竹が僕を好き、浮竹が僕を嫌い・・・・ああああ、また嫌いで終わってしまった」

すでに、京楽のベッドは花びらまみれだ。床にまで広がっていて、浮竹は額に手をあてた。

「京楽・・・・ばかなことしてないで、片付けて寝ろ」

「浮竹、起きたの?やっぱり、僕のことは好きだよね?」

浮竹は、少し黙った後言った。

「好きだ」

「やっぱり!さぁ、共に快楽の世界へ!」

押し倒してくる京楽を蹴って、浮竹は起き出した。

「課題を、する・・・・・・」

起き上がった時、眩暈を覚えてふらついた。

「しっかりして!」

京楽が支えてくれた。

「・・・・まだ熱があるのか」

病弱な、自分の体がうとましかった。

仕方なく、また横になる。でも、眠りすぎて眠気は一向に訪れなかった。

「京楽?」

「どうしたの?」

「なんでもない・・・その花束、どうしたんだ?」

「ああ、下級生の女の子からもらったんだ。告白された」

ちりっと、胸の奥が痛んだ。

「答えはだしたのか?」

「勿論。浮竹が好きだっていったら、男同士で(*´Д`)ハァハァするから、もっとくっついてくださいって言われた」

「それ、告白なのか・・・・・・・?」

「さぉ?でも、今の君と僕の関係、けっこう女子に人気あってさ・・・その、小説とかでいかがわしいこと書かれてるんだけど」

「妄想の世界までは、止められないな」

「その本を、こっそり読むのが最近の楽しみなんだよねぇ」

だめだこりゃ。

優しくていいやつだな、やっぱり好きだなと傾きかけていた浮竹の心が、平常に戻る。

「もう一度、寝る」

熱もまだあるので、解熱剤を飲んだ。

鎮静効果のせいで、また眠気が緩くではあるがやってきた。

「夕飯は?」

「食欲がないからいい」

「朝には、お粥用意しとくね」

浮竹は思う。

この心をどうしよかと。変態の京楽を見るたびにげんなりするが、真面目で優しい京楽と接していると、胸が苦しくなるのだ。

それが、恋心であるということに、浮竹はまだ気づいていなかった。



拍手[0回]

院生時代の部屋21

夏季休暇になった。

2か月ほどあるその休みに、現世に遊びに行く者もいるが、現世は今戦国時代でとても治安が悪い。野盗の類が発生するし、落ち武者狩りもある。

村に泊めてもらおうにも、金などの高価な品をちらつかせないと泊めてくれない。

だから、現世に旅行に行く者は少ないし、行くとしても人のいない地域にいく者がほとんどだった。

浮竹は、2週間ばかりを利用して、故郷に帰ってしまった。

京楽が、連れて行ってくれと涙を流し、本気で懇願してきたのだが、まさか家族に男に言い寄られてますなんて言えずに、京楽は寮の部屋に置いてきた。

その間、京楽がどれほど寂しい思いをしたのか、浮竹は知らなかった。

3年ぶりに故郷の地を踏んだ。両親の喜びようは半端ではなく、3回生の時点でもう、護廷13隊入りが確実と言われているので、それを頼みに借金までしている始末だ。
流石にこれ以上借金を重ねてほしくなかったが、まだ幼い妹や弟がいるし、肺の病の薬を買うための仕送りもしてくれているのだから、文句は言えなかった。

「十四郎、本当に大丈夫なのですね?京楽家の方と懇意になっているときいたのだけれど」

どこから漏れたのか、浮竹が京楽と仲がいいことを母は知っているようだった。

「今までもなんとかなってきたのだから、多分大丈夫とは思いますが、もしも何かあれば京楽家の方に頼るのですよ・・・金銭面では、もうこれ以上十四郎のために出せないのです」

「分かっています、母上」

事実、最近の薬は高騰していて、仕送りの金では買えなくて、京楽に援助してもらっていた。

これ以上仕送りを増やせとはとても言えなくて、浮竹は肩身の狭い思いをしながらも、弟や妹の世話をよくして、父と母の仕事の手伝いをした。

1週間が過ぎた頃、母が言いにくそうにこう言ってきた。

「京楽家の方に、お金をかりることはできますか?」

「どうしたんですか、母上」

「子供が・・・・一番上の娘を借金のかたに売れと、地主が・・・・」

そのまま、浮竹の母親は泣き崩れた。

妹は、花も咲かんばかりの美貌で、浮竹の美貌も、元をただせば母親譲りのものだ。妹は、今人間の年に換算すると、16くらいだ。とても美しく、利発で、将来は上級貴族の嫁になれると両親が期待していた。

「妹を売れだと!?」

さすがに承知できなくて、浮竹は激高した。

「本当は、十四郎、あなたを売れといってきたのです。肺の病の薬代をもってやるから、色子として売れと」

「!」

浮竹は身震いした。

「でも、学院にいっており、死神になることを知ってから、十四郎、あなたによく似たあの子が欲しいと言われて・・・ずっと拒んできたのですが、この前今までの借金を全部返さないと
あの子を妾としてもらっていくと・・・・・」

浮竹は、すぐに学院に戻ると、京楽に頼み込んで大金を貸してもらい、それを父と母に渡した。

「十四郎、ふがいない父と母を許してください」

「いいのです、父上母上。それより妹は!?」

「借金を返済したので、もう大丈夫です」

相変わらず、違うところに借金は残っているが、妹が売られる最悪の展開だけは回避できた。

あたふたとした2週間が過ぎて、浮竹は寮に返ってきた。

「妹さん、どうだったの?」

「ああ、お陰で売られる最悪の展開だけは回避できた。京楽・・・・・」

「どうしたんだい?」

「金はしばらく返せそうにない。それが我慢できないなら、俺を抱け」

「浮竹・・・・」

抱き締めると、浮竹は震えていた。

「いい子だね。無理やり抱いたりしないから、安心して?」

「京楽・・・・・」

ほっとした顔で、浮竹が顔をあげる。

本当は、怖くて怖くてたまらなかったのだ。

「すまない・・・・あんな大金をかりておきながら、何もできなくて」

「じゃあ、我儘を言っていいかい?」

「なんだ・・・・?」

嫌な予感がした。

「僕のベッドで、一緒に眠って?1週間だけでいいから。それから、キスの回数も増やしてくれると嬉しいな」

「それくらいなら・・・・・」

親友以上恋人未満。ハグやキスはする。その延長線上と思えばいい。

その日から、1週間浮竹は京楽のベッドで眠ることになった。

朝起きると京楽の顔があって、驚いた浮竹は京楽を蹴り落とした。

それから気づく。

「あ・・・・・・すまない、京楽、大丈夫か?」

「大丈夫・・・・おはようのキスをちょうだい」

京楽にキスをすると、抱き締められて舌をいれられた。

「んう・・・・はぁっ・・・」

浅く呼吸を繰り返していると、京楽の手が尻に回った。

その時点で、浮竹は京楽の脛を蹴った。

「痛い!浮竹の愛が痛い!」

「1週間は一緒のベッドで寝ることは了承した。キスも好きなだけしていいとした。でも、肉体関係をもつつもりはない」

きっぱりと言われて、儚い京楽の野望も潰えた。

「ちぇっ。これを機に、浮竹とアツアツになる予定が・・・・・」

「誰がなるか」

やがて、一緒に眠る1週間もすぎて、いざ自分のベッドで眠ろうとすると、ベッドが濡れていた。

水をかけられたようで、シーツどころマットまでぐっしょりと濡れていて、とてもじゃないが眠れる状態じゃなかった。

「京楽~~~~~~」

浮竹は笑顔だった。ただ、血管マークが数え切れないほど浮かんでいた。

「ね、これで僕のベッドで眠るしかなくなったでしょ!さぁ、僕の腕においでマイスウィートハニー!」

「浮竹印の抱き枕でも抱いて寝てろ!少しはいいやつだと思った俺がバカだった!」

浮竹は、怒って違う友人の・・・・・この前、相部屋の相手が退学し、ベッドが空いている部屋に行ってしまった。

数時間して、浮竹が京楽の様子を見に来た。

言いすぎたかと思ったのだ。大金をかりておきながら、酷いことばかりしている気がして。

ガチャリと扉をあけて入ろうとして、鍵がかかっていたので、合鍵であけて中を見た。

「マイスィートハニー(*´Д`)ハァハァ」

抱き枕相手に、シコシコしている姿を見てしまった浮竹は止まった。

「あ”・・・・・・う、浮竹、これは違うんだ!」

「破道の33、蒼火墜」

ちゅどーん。

抱き枕と一緒になって吹き飛んだ京楽を確認してから、扉を閉める。

「はぁ・・・・・・やっぱ変態だ、あいつ」

浮竹の心が、京楽に傾きかけていたのを、台無しにする京楽であった。


拍手[0回]

彼岸花

残暑もまだ残る9月の終わり。

雨乾堂に植えた、彼岸花が一斉に咲いて、赤い絨毯のようになった。

「これは見事だねぇ」

京楽が舌を巻く。

「綺麗だろう」

植えたのは浮竹だ。自慢気に、真紅の絨毯を見せる。あまりにも美して、日番谷や松本といった、仲の良い死神も見に来たくらいだ。

中でも浮竹を驚かせたのが、白哉がきたことだろうか。白哉が意味もなく、出歩くことはない。ただ、人づてで浮竹のところの彼岸花がすごく美しいということを耳にして、興味をかられてやってきたらしい。

「日番谷隊長と松本副隊長が一昨日来たんだ。昨日は、なんと白哉がきたんだぞ」

「へえ、堅物の朽木隊長がかい」

「白哉は、一見感情がないように見えるが、身近に接していればけっこう喜怒哀楽が分かって楽しいぞ」

「浮気、しちゃだめだよ?」

「おいおい。俺はそんな目で百哉を見たことはないぞ。むしろ弟のように思っている。日番谷隊長は息子かな」

声をあげて、浮竹が笑う。

つられて、京楽も朗らかな笑い声をあげた。

「酒盛りしようっていってたでしょ。君の好きな甘いお酒、いろいろ仕入れてきたんだ。お酒を飲もう!」

「そうだな」

彼岸花のどこでも続く紅い絨毯を、縁側から見下ろして、二人は酒盛りを始めた。

お互いん杯に酒を注ぎあう。

京楽はカクテルを浮竹の杯に、浮竹はいつもより強めの果実酒を京楽に。

昼食の時間でもあったので、酒を飲みながら、昼食も食べた。

赤い絨毯のすみっこに、白い絨毯があった。

「あれは?」

「あれは白い彼岸花。赤い色のほうが好きだから、端のほうに植えたんだ」

「へえ、白い彼岸花は初めて見るけど、悪くないね」

「彼岸花は、花の形が特殊だからな」

今日は、前から言っていた通り、京楽は黄色い薔薇を持ってきた。

浮竹の白い髪には、黄色い薔薇が飾られてあった。

いつもなら、「僕の黄薔薇姫」と囁くところであろうが、今日は彼岸花の美しさに圧倒されて、酒盛りに夢中になっていた。

「零れる零れる」

「おっと、注ぎすぎたね」

浮竹の手を濡らした酒を、京楽は舌でなめとった。

ちょっとエロくて、浮竹は頬を朱くした。

「どうしたの?」

「なんでもない」

俺だけだろうか?こんなことを思うのは。

少し興味が沸いて、浮竹の杯に零れるほど酒を注いだ。

「おっと、零れた・・・」

ペロリと、手に零れた酒を舐めとると、黒曜石の瞳で見つめられた。

「どうした?」

「誘ってるの?」

ああ、俺だけじゃなかったんだ。

そうほっとして、首を振る。

「誘ってなんかない」

「ねぇ、彼岸花・・・別名曼珠沙華。庭の花、いくつかとっていいかい」

「ああ、いいぞ」

京楽は、20本ほど鋏で彼岸花をつむと、それを雨乾堂の畳の上に広げた。

「寝転がってごらん」

「ああ」

言われた通りに寝転がってみると、まるで彼岸花に包まれているような気分になった。

「どうだい?」

「悪くないな。さすがに、庭の彼岸花の上に寝転がるわけにはいかないからな」

京楽が、覆いかぶさってくる。

「彼岸花の中で抱かれたいって思わない?」

「思わん。重い、どけ」

京楽がどかないので、浮竹は好きにさせた。

何度か口づけを求められて、答えてやる。浮竹が、京楽を押し倒した。

「浮竹・・・・・・」

「どうだ。彼岸花に囲まれた気分になるだろう」

浮竹のほうから、口づけてきた。でもすぐに京楽の手にかかり、甘い声をあげることになる。

「ううん・・・・・・」

全身にキスの雨が降ってきた。死覇装を脱がされて、肩甲骨から背骨のラインを唇がはう。

「浮竹の背中は綺麗だね・・・・・・」

「お前も、背中はあまり毛がはえていないし、綺麗な背中をしているぞ」

「浮竹の妖艶な背中には負けるよ」

「どこが妖艶なんだ」

「どこもかしこも」

京楽は、浮竹の花茎に手をかけた。ぐちゃぐちゃと音がするくらい上下に扱うと、浮竹はあっという間に精を放ってしまった。

「あああああああ!!」

京楽は、浮竹を貪った。

「ああっ」

潤滑油を指にかけて、蕾を解していく。

「ううん・・・・」

体内でばらばらに動かされて、その一本が前立腺をついて、浮竹は声をあげる。

「やっ」

「いやじゃないでしょ?ここ、こんなにひくついて、僕を求めてる」

「ああっ、言うなっ・・・・・・ああああ」

前立腺ばかりを、指で刺激されて、二度目の精を放った。

「中に入れるよ」

「やあああああああ」

突き上げられて、ぱらりと、髪に飾られていた黄色の薔薇が落ちた。

「今日は、彼岸花姫だね・・・・・」

「ううん」

前立腺を突き上げてくる。入口まで抜いて、最奥にたたきつけるように挿入されて、浮竹はその激しさに宙に白い髪を乱れさせた。

「うああああ!」

今日は、いつもより荒々しい抱き方をされた。でも慣らされてしまっている体は、それにも反応する。

「あうっ」

突き上げられながら、前をいじられて、達したのと同時にオーガズムでもいってしまい、浮竹の意識が一度ぷつりと途切れた。

「浮竹・・・・」

また突き上げられて、すぐに意識を取り戻す。

「あ、俺・・・・・意識を?」

「もうすぐ終わるから、我慢して」

「ううん」

何度かまた前立腺をすりあげられて、京楽も浮竹の最奥に欲望を放って満足した。

情事の後の色っぽさに、京楽はまた熱をもったが、すでに浮竹は3回も出している。もうこれ以上は交われないだろう。

二人で、湯あみをした。湯あみの最中、浮竹の裸をおかずにぬくと、頭をはたかれた。でも、熱をもてあましてしまったのだから、仕方ない。

二人分の体重に押しつぶされた彼岸花は、もうどうすることもでないので、せめて土に還るようにと、庭のすみに埋めた。

「また、来年も綺麗に咲くといいね、彼岸花」

「ああ。今度はもう少し白い彼岸花も多めに植える。知っているか?白い彼岸花にはあなたを想うっていう花言葉があるんだぞ。俺から、お前に」

そっと、机の下に隠してしあった、白い彼岸花を京楽に贈った。

「浮竹・・・・・大好きだよ。愛してる十四郎」

「んっ。俺も大好きだ・・・・・愛してる、春水」

彼岸花が枯れるまでの間、思っていたよりも多くの客人が訪れて、浮竹が笑顔を零していた。



拍手[0回]

赤薔薇姫

「うん・・・・悪くない」

浮竹は、仕立てられたばかりの隊長羽織を見て、満足そうだった。

「それ、君の着るサイズじゃないね」

「ああ。朽木用のものだ」

「ルキアちゃんのか・・・・・って、君引退するつもりなの!?」

京楽に揺さぶられて、勘違いだと声をかける。

「あくまで、未来の話だ。俺がもうだめになって、隊長を続けられなくなったら、朽木に13番隊隊長になってほしいんだ」

「未来の話なら、君が引退するなら僕も引退するよ」

「おいおい、隊長が一気に二人も引退すると、護廷13隊に響くぞ」

そんなことはどうでもいいのだと、浮竹を抱き締める。

「僕より先に逝ったりしないでよ」

「そういうお前こそ、俺より先に逝くなよ」

元々、海燕のために仕立てた隊長羽織だった。だが海燕が亡くなり、長い間副官を置かなかった。ルキアが副隊長になり、ルキアのその姿を見ていて思ったのだ。

もしも、自分以外に13番隊を率いるのはルキアしかいない、と。

あくまで、仮定の話である。

浮竹はまだまだ隊長を引退するつもりはなかったし、ルキア用にあつらえた隊長羽織を彼女に渡すことは当分ないだろう。

でも、いつか、と思う。

この命が尽きた時には、ルキアに着てもらいたい。

それが数年後か数十年後か数百年後かは分からないが、ルキアになら13番隊を任せてもいいという気持ちが沸いてきたのだ。

13番隊副隊長として、頑張っているルキアを見ていると、そんな気分になってくる。

まだ副官になって間もないのに、もう13番隊の隊士たちの心を掴んでいた。人の上に立つべき人物だ。

「縁起でもない話はやめよう」

「そうだね」

「おはぎ食べる?昨日もってきたんだけど、食べずにお互い寝ちゃったから」

「食べる」

二人して、しばらくの間おはぎを食べていた。

昨日は、髪に白薔薇をさしていた。

ちなみに、今日は赤い薔薇だ。最近の京楽は、薔薇にはまっているのか、薔薇の花束をもってきたり、それを手折って浮竹の髪に飾ることが多かった。

今日は、赤い薔薇を髪に飾られた。

なんの意味があるのかは分からないが、別に動きに制限がかかるわけでも、雨乾堂の外にいくわけでもないので、京楽のしたいままにさせていた。

きっと、今度はピンクや黄色、紫の薔薇を持ってきそうだ。

京楽の手には、99本の真紅の薔薇の花束があった。

数が多すぎて、花瓶に飾れないというと、そのままでいいと京楽はいう。

「京楽、最近薔薇にこっているのか?」

「んーなんとなくね」

「花に興味をもつなんて珍しいな」

「知ってる?薔薇の花には、本数によって意味があるんだよ。ちなみに赤の薔薇は情熱や愛しているって意味をもつ。99本で、永遠の愛って意味があるらしい。僕から君へ贈るにはぴったりだと思ってね」

蒼い薔薇の花束は50本だった。

「この前の蒼薔薇は?」

「奇跡って意味をもってて、50本で永久にって意味をもつんだよ」

「へぇ・・・・・・」

薔薇には、色での意味だけでなく、本数で意味が変わるなんて、浮竹は初めて知った。

今まで、誰かに花を贈られたことがないわけではないけれど、花言葉の意味なんかを含めて贈られたことはなかった。

誕生日プレゼントに、女性死神から赤い薔薇を送られたことがあるなと、ふと思い出す。

彼女も、花言葉の意味をこめて贈ってくれたのだろうか・・・・。

「浮竹?」

「いや、なんでもないんだ」

「真紅の薔薇は嫌いかい?」

「嫌いってわけじゃあないが・・・・吐く血の色を連想するから・・・・っていってたら、血の花に見えてきた」

「重症だね」

「そうだな」

真紅の薔薇を雨乾堂のテーブルの上に置いて、京楽は浮竹を抱き締める。

「僕は、君の真っ赤な血は嫌いだけど、真紅の薔薇は好きだよ。真っ赤な色って綺麗じゃないか」

「そうだな。俺は赤い花なら彼岸花が好きだ」

「彼岸花は縁起が悪いって言われるけど綺麗だよね。花言葉は情熱、あきらめ、悲しき思いで」

「本当にどうしたんだ、京楽。やけに花に詳しいじゃないか」

「何、君に贈ろうと思ってた花の中に、彼岸花も候補にあっただけだよ」

「雨乾堂の庭には、去年彼岸花が植えてあるんだ。時期がきたら、真っ赤な絨毯ができる」

「そうか。今から楽しみだね」

「ああ・・・・・・」

「僕だけの赤薔薇姫」

髪にさした真紅の薔薇をもう一度、髪に飾り直す京楽。

浮竹は、文句も言わないし、拒否もしない。

「今度は、紫の薔薇でももってこようと思っているんじゃないか?」

「半分あたりで半分正解。今度もってくるのは黄色い薔薇だよ」

「色が違うだけじゃないか」

「色が違うだけでも、大きく意味が違うんだよ」

「京楽は、本当に薔薇が好きだな」

「そうだね。贈り物にもなるから。桜の可憐な花もすきだけど、すぐに散っちゃうからね。薔薇なら、長くもつから」

「蒼薔薇は、悪くなかった」

今も、掛軸の前に、ドライフラワーになった蒼薔薇が飾られている。

「真紅の薔薇もいいものだよ」

「この前の白い薔薇も悪くないが・・・やっぱり、蒼薔薇が一番うれしかったかな」

京楽が、手を叩いた。

「知り合いに頼んで、蒼薔薇をわけてもらおうか。お金は飛ぶけど、庭に埋めればいつでも見れるよ」

「いや、そこまでしてもらわなくていい。それに、彼岸花もそろそろ咲くし」

もうすぐ、彼岸花でできた真っ赤な絨毯が見れる。

それが今からでも楽しみなのだと、浮竹は言う。

「ああ、決してお前からもらったこの真紅の薔薇が嬉しくないわけじゃなうからな!」

「知ってるよ、それくらい」

また抱き締められて、深い口づけを交わした。

「ん・・・・」

「彼岸花が咲いたら、それを肴に酒盛りでしようか」

「お、いいな」

今から楽しみだと、浮竹は笑うのだった。




拍手[0回]

デート

その日は、土曜日だった。

2日ばかりの休暇をとり、現世にやってきたルキア。

その日は、2日目のルキアが現世にいれる最後の日。その日が終われば、またしばらく会えなくなる。

だから、ルキアの我儘をできるだけ聞いてやろうと思った。

まず、ルキアの希望は動物園に行きたい、だった。

朝から、お弁当を二人分つくった一護は、まだかまだかと待つルキアの頭を撫でて、準備完了だと告げた。

「おし、いくか」

「虎がみてみたい!かっこいいいんだろうな。ライオンもみたい。迫力があるだろうな。ゾウはきっと大きいんだろうな」

本でしか読んだことのない、知識。あとは現世の動物番組を見たくらいの知識で、ようは小学生並みの知識しかなかった。

否、小学生よりも劣るかもしれない。

ルキアと手を繋いで、デートだと一護が嬉しそうだった。

今日のために、入っていたバイトも休んだ。

電車に20分ほどゆられた後、バスで10分ほどゆられ、徒歩5分のところにその動物園はあった。

土曜は一般的に休日なので、子供連れの家族が目立った。

ルキアは、現世の金をもっていた。多分、白哉が渡したものだろう。切符を買うのに、一万円札を握りしめてうなっているルキアに、代わりに切符を買ったのは一護だった。

一護の部屋にきた時、荷物の中から、100万円の札束をどんと出された時、この子どうしようと一護は思った。

一般常識の金銭感覚を分からせるのに、一護は相当な時間を費やした。高校の頃の記憶であるが。

金をつめば、何とかなると思っている部分があって、その思考を修理するために多大な努力を払った。今でも、昨日のことのように思い出す。転校生というだけで、女の不良グループに呼び出され、カツアゲされて「お金が欲しいのか」といって、10万をさしだしていた姿など、思い出したくもないのだが記憶にあった。
記憶置換を使って、その不良グループの記憶を消しておいたのは正解だった。金づるにされなくてよかったと思う。
ルキアのことだから、脅されても全然屈しないが、父親が病気だから金が必要だとか言っていた詐欺に、危うく引っかかりそうになったこともあった。

「今日は嬉しいことだらけだな。一護とデートなど、久しぶりだ」

早速、虎の飼育されている檻を見つけて、近寄る。

「あまり、元気がないな。もっと獰猛かと思っていたのだが。だが、気高くて美しい生き物だな・・・・・・まるで、兄様のようだ!」

ルキアは、今でも白哉専用携帯を持っている。

いらないだろうと何度も捨てろと言ったのだが、兄様と繋がっているのはこれだけなのだど、頑なだった。
仕方ないので、そのまま持たせておくことにした。

白哉には、妹さんをくださいと頭を下げたことがある。正確には、婚約を認めてもらったのだ。

白哉に反対されても、ルキアとの婚約は破棄しようとは思わなかったが。交際を通りこして、婚約だなどと、笑われておかしくないことだったのだが、一護の熱意は本気だった。

「次は象・・・・あれか。いいなぁ、背中にのってみたい。本当に鼻が長いのだな。巨大なわりには草食性で大人しいのか・・・・」

展示されているのは、珍しいアジアゾウだった。アフリカゾウより数が希少で、絶滅危惧種だ。

「アフリカには、あれよりもう一回り大きな象がいるんだぜ」

「ほう。アフリカとやらに、一度行ってみたいな」

「だめだ。治安が悪い。ルキアみたいな箱庭育ちのお嬢様のいく場所じゃない」

「むっ。私は、これでも強いのだぞ。それは一緒に戦ってきた貴様がよく知っておろう」

「確かにルキアは強いが、それは虚に対してだろう。一般市民を刀の錆にできるのか?」

「それは無理だな」

「そうだろう。次のコーナーにいこうぜ。確か見たいのはライオンだったな」

ライオンの檻は広く、百獣の王といわれるだけあって、雄ライオンには威厳を感じれた。

「何々・・・・・プライドというハーレムをもち、雌が仕留めた獲物を真っ先に食べる。新しくプライド雄になったライオンは、前にいたライオンの子供殺す・・・・けしからん生き物だ!」

ルキアは、雄ライオンを見てぷりぷり怒っていた。その姿が可愛かったので、スマホで写真をとってみた。

「こら、何をかってに撮っておる!」

「いや、ルキアがあんまりにもかわいいものだから」

顔を朱くして、ルキアは一護の腕をとり、どんどんと進みだす。

次にみたのは、パンダ。

「癒される・・・・かわいいな」

「でも、野生のパンダは人を襲って怪我をさせることがあるそうだぜ」

「なに、あんなにかわいい生き物がか」

「野生は何でも怖いって思っとかなきゃな」

「ふーむ」

次に見たのは、日本猿だった。

「なんだ、ただの猿か。こんなもの、尸魂界にもはいて捨てるほどおるわ」

「え、尸魂界に日本猿っているんだ」

初耳だった。・

「いろいろおるぞ。熊もいるし猪もいるし、鹿もいる。野兎、リス、野鳥・・・・いろいろ、現世と変わりなく野生で暮らしておる」

「そうなのか。俺は尸魂界にいたの短かったしな。猪はみたな・・・・ガンジュのやつが、乗ってたな」

「懐かしいな」

「ああ。あいつ、今でも猪に乗ってるのかな」

「そうではないのか?」

懐かしそうに、ルキアの紫紺の瞳が瞬いた。

「他に見たい動物は?」

「特にない。後は流れに従って、適当に見て行こう」

ルキアが夢中になった動物は、レッサーパンダーにコアラ、カワウソといったところか。可愛いものが好きなルキアらしかった。

「お、触れ合い体験コーナーがある。行こうぜ」

「あ、待て一護」

一護自身、動物との触れ合いコーナーが好きだった。兎、モルモット、ロバ、馬、羊、ヤギ、アルパカ、カンガルー、鹿・・・・・・・。

触れる動物は、とにかくもふりまくった。

ルキアも、一護を真似てもふりまくった。

羊のえさやりをしてみると、羊は器用に舌を使って餌を食べていった。

「むう、奥にいる子が食えていないではないか。こっちにこい、そのちっこいの」

他の羊には、一護が餌をあげた。奥にいた子羊がこちらにやってくる。ルキアは、餌やりに成功して嬉しそうだった。

「羊は、牛のように臭くはないのだな。家畜だからもっと臭いものかと思っていた」

一度、ルキアは尸魂界の酪農家にいったことがあり、家畜の牛のあまりの臭さに、辟易としたことがあるらしい。

「昼飯にするか」

「おお、一護特製のお弁当か!」

ルキアがキラキラ目を輝かせた。

一人暮らしをするようになってから、今まで以上に料理の腕はあがっていた。

ベンチに腰掛けて、荷物からお弁当を取り出すと、割りばしとペットボトルのお茶と一緒にわたした。

「んー美味しい」

ルキアにそう褒められて、作ってよかったと思った。

ルキアは、キャラ弁だったので、ごはんの部分を食べるのがもったいないと言っていた。一護が食べて崩してしまうと、怒りながら美味しいといって食べていた。

「午後はどうする?」

「買い物にいきたい。現世のファッションをもっと漫喫したい」

そういうルキアについていって、カジュアルなファッションと安さで知られるしまむらやにいってみた。

着衣室で、ルキアはいろいろな服を着ては、一護に見せていた。

やはりワンピースが好きなのか、買ったのは紺色、黒、白、フリルのかわいピンクのワンピースだった。

個人的には、フリルのついたワンピースが好みだった。

しまむらやの安さには、ルキアもかなり驚いていた。

いつも買うワンピースは1着で1万円もするような店で買っていたのだ。1着が980円の安さに、ルキアも中毒になりそうだった。

「あとは~あとはいい。今度来た時の楽しみにとっておく」

荷物持ち係にされたが、ルキアが喜んでくれるならそれでも構わなかった。

一護のアパートに帰り、買った服はクローゼットに直した。今度現世にきた時に着るのだ。

「一護、ありがとう、大好きだ」

抱きついてこられて、一護もルキアを抱き締めた。

「俺も大好きだ、ルキア」

唇を重ねる。

そろそろ、日が暮れる。

ルキアは、夕飯の鉄板焼きを楽しんで食べながら、尸魂界でここ1か月におきた出来事を話してくれた。
特にかわった情報はなかったが、恋次が最近からんでくるというところがひっかかった。
恋次も、ルキアのことが好きなのは知っている。気づいていないのは、本人のルキアくらいだろうか。
白哉でさえ知っているのだ。何より、ルキアにとって恋次は家族のようなもので、親友以上恋人未満の関係に、聞いているこっちが不機嫌になりそうだ。

「ルキア」

「なんだ、一護」

「恋次と、あまり親しくするなとは言わないが、ハグするのはやめろ。恋次も勘違いする」

「何をだ?」

「あのなぁ。はぁ、俺がいうしかないのか。恋次は、お前のことが好きなんだよ。幼い頃から、ずっとルキアだけを見てきて、今俺と付き合っているルキアのことも好きなんだ。だから、キスしたりハグしたりするなよ!」

「ええっ、キスもハグもだめなのか?」

「当たり前だろう!」

「今まで、普通にしてたからな・・・・・・・・・」

「ああもう、これだからルキアは・・・・・」

二人して、溜息を零す。

「恋人じゃないのにキスやハグするのは、フリーだったから問題なかったんだ。俺と婚約した今のルキアとしたら、浮気になる」

「そうか・・・・明日から、恋次に対する態度を改める」

「そうしてくれ」

「ところで、今日は抱かないのか?」

「昨日したばっかだろ」

「でも、下手したら半年以上会えないかもしれないのだぞ。貴様はそれでも平気なのか」

「平気なわけねーだろ。でも仕方ねーじゃねぇか。俺は人間で、お前は死神。住む場所が違うんだから。だからといって、がっつくような真似はしねぇよ。お前を大事にしたいから」

「そうか・・・・・・・一護は、優しいのだな」

「お前にだけな。特別だ」

その日は、一緒に風呂に入って背中の流しあいをした。お互い裸だが、もう見慣れてきたので隠すとかはなかった。

風呂からあがると、ルキアは牛乳を腰に手をあてて一気飲みした。


「何してんんだ?」

「身長を伸ばしたいのだ」

「なんでだよ?」

「貴様とキスするとき、背伸びしても届かないから」

かわいい理由に、頭をぐしゃぐしゃにしてやった。

「何をする!」

「可愛いやつだなって思って」

その日の夜は、付き合っていなかった頃のように、同じベッドで二人で寝た。腕の中にルキアを抱いて。

そして朝がきた。

ルキアが現世を去る時がきた。

「また、できれば近いうちに、現世に戻ってくるから、それまで浮気するなよ!」

「そういうルキアこそ、恋次に気をつけて、浮気するなよ!」

「分かっておる!」

「じゃあ、またな!」

「ああ!」

穿界門が開く。去っていくルキアの姿が見えなくなるまで、一護はずっと動かなかった。

ほどなくして、スマホが鳴った。

(兄様に、虎の話をしたら見たいという話しになって、今度は兄様も現世にいくことになった)

「勘弁してくれよ・・・・・・・」

(このブラコンが!)


(ブラコンで悪いか!私は、一護と同じくらい、恋次も兄様も好きなのだ)

「ああ本当に・・・・・・ルキアは。恋次のやつ、手ださないよな・・・・・信じてるぞ、恋次」

(白哉を連れてくる時は事前に言えよ。ちゃんといろいろ用意するものがあるから)

(貴様の小汚いアパートにはいきたくないそうだ。5つ星のホテルのスウィートをとるらしい)

(あの金持ちめ・・・・・・・)

(一護も、一度は5つ星のホテルに泊まってみたいであろう?私も泊まるのを楽しみにしておるのだ)

(分かったよ。そん時は世話になるから、よろしく言っておいてくれ)

(ああ、兄様に呼ばれた。また連絡する)

「ああああああああああ。白哉が現世にくる・・・・・・ああああああああ」

一護は、その日一日中悩んでいた。

ルキアのことだ、抱いたことも包み隠さず白哉に話していることだろう。無理はことはしてないよなと、己の行動を振り返りながら、一護はいつまでも悩むのであった。


i







拍手[0回]

言葉のでない病

肺の病で、長い間臥せっていた。はじめは毎日京楽が来てくれたのだが、仕事が山積みだと七緒に引っ張っいかれてしまった。

寝ているところを、起こしてはいけないと、仙太郎も清音もいなかった。

4日ぶりに目を覚ました浮竹は、腹がすいていて死にそうだった。

点滴はもう終わり、栄養補給は十分だったのだが、とにかく腹が減った。

(清音、仙太郎!)

声をだしたはずなのに、掠れてまともな声が出なかった。

はっきりいって、飢え死にしそうなくらい腹が減っていた。

立ち上がろうにも、病み上がりで半身を起こすのがやっとだった。さてどうしよう?逡巡していると、京楽が現れた。

「ああ、起きたみたいだね。声でないでしょ。肺の病の他に、声が出にくくなる病を発症したらしいよ。心配しなくても、すぐに治るし、後遺症はないそうだよ」

(そうなのか)

京楽は、器用にも唇の動きだけで言葉が分かる、いわゆる読唇術を身につけているらしかった。

「そうだよ。心配しなくても、あと2~3日で治るらしいから」

(腹が減った)

「ああ、そうかい。今厨房にいって、何かもらってくるから、待ってなさいな」

そう言って、京楽は13番隊の隊舎へ消えて行った。

戻ってきた京楽の手には、鮭などの具がいれられたおにぎりがあった。

「ほら、少しずつ食べて。4日ぶりだから、あまり勢いをつけて食べたら、胃が受け付けないからね」

(ありがとう)

「どしいたしまして」

浮竹は、なるべくゆっくりおにぎりを食べた。食べ終わって、一心地ついたところで、お茶を飲む。

そして、声が出ない病のための薬というものを見て、辟易とした顔になった。

コオロギだった。コオロギの乾燥したものが、薬だというのだ。確かに、蜂の子やイナゴの佃煮だの、この国に虫を食べる分化はある。コオロギは最近タンパク質がいいということで、粉末状にしたものが売られているし、最近の食糧不足の現世において、注目されつつある食材だった。

しかし、コオロギを乾燥さえたものは、そのままコオロギの形をしていた。

(これ、食べないと治らないのか?せめて粉末状にしたものはないのか?)

「ないらしいよ。諦めて、飲み込んで」

いやいやと、浮竹は乾燥したコオロギを口にした。なんと、甘かった。

京楽が、浮竹のために砂糖を入れて煮込んだのだ。

煮込んでも、薬の効能に変化はないらしく、浮竹が飲みやすいようにした。

(こんなところにまで気を配てもらって、すまない)

「いいんだよ。愛しい君のためなら、なんだってするよ」

(じゃあ裸踊りをしてくれ)

冗談で言ったつもりだったのだが、京楽が脱ぎだしたので慌てて止めた。

(冗談だ。すまない)

「物好きだなぁと思っただけだから、平気だよ」

(まだ腹が減っている。甘味ものはないか?)

「ちょっと、また厨房いってくるね」

数分して、京楽が戻ってきた。

その手には、お汁粉の入った器を乗せたおぼんがあった。

(ありがとう、京楽)

浮竹は、お汁粉を食べた。数日ぶりの甘味ものが、こんなに美味しいものだとは思わなかった。いつでも美味しいのだが、腹が減っている今はいつもの2倍は美味しくかんじられた。

(ごちそうさま)

「お粗末様でした」

京楽が、浮竹の白い髪を撫でた。

「早く、君の錫が転がるような声が聞きたいね。会話はできるけど、やっぱり声があるほうがいい」

(それは当たり前だ)

「早く治るためにも、もっと食べて栄養つけて、薬のんで寝ないと」

(また、コオロギなのか?)

「そうだよ。新種の病らしくて、今のところ、コオロギで治るということしか分かってない。症状は、声がでなくなることと、悪寒、熱、咳・・・・・ほとんど、風邪みたいな症状だね」

(だからか・・・・・・風邪をひいていないのに、悪寒と咳がでる)

「うん。君が発作で倒れた時、卯ノ花隊長が診てくれたんだ。それで、この通称「口なし病」を発症しているってこともわかってね」

(そうか・・・この病は「口なし病」というのか)

「そうだよ。今、流魂街を中心に流行ってるらしい」

(自然には治らないのか?)

流魂街の民は貧しい。医者にかかる金もないだろう。

「放置していても治るらしいけど、治るまでに10日以上かかるらしいよ」

(結構長いな)

「そうだね。早く特効薬が完成して、流魂街の民にも普及するといいんだけど」

(いろいろとありがとう、京楽。仕事は片付いたのか?)

「うん。君のことを思って、自分でもすごい早さで片付けたよ」

(仕事をためこむのは、ほどごどにな)

「そういう君は、臥せっていた分の仕事をしようとしないこと。まだ病み上がりなんだから、無理しちゃだめだよ」

(分かった)

浮竹は、横になった。京楽がついてくれているというだけで、元気が出てくる気がする。

(少し、眠る・・・・)

「おやすみ」

次におきると、なんと3日経っていた。

「どうなってるんだ。あ、声が・・・・・」

京楽がやってきた。

「京楽、この「口なし病」ってどうなってるんだ?寝てたら、3日も経っていたぞ」

「ああ、説明不足だったね。コオロギの薬を飲むと、治るまで自然と眠り続けるんだって」

「そうか・・・・・」

1週間も、眠り続けていtことになるのだろうか。

「とにかく、今は食事よりも湯あみだ!まともに体もふけなかったから、湯あみだ!」

綺麗好きな浮竹には、1週間も入浴できないことは拷問に近かった。

いつもの2倍の時間をかけて体を清めて、雨乾堂に戻ってくる。

「髪、乾かしてあげる」

ドライヤーをもちだした京楽に、後は任せた。

「髪、伸びたな・・・・・そろそろ切ろうか」

「もう少し伸ばしてよ」

「どうしてだ?」

「ラプンツェルごっこができる」

童話のランプツェルほど、髪は長くないのだが。

「お前がそういうのなら、もう少し伸ばすか・・・・・・」

浮竹は、京楽にとことん甘い。でも、そんな京楽も、浮竹にはとことん甘いのであった。





拍手[0回]

白薔薇姫

「少し、寒くなってきたね」

「ああ、そうだな」

10月の半ばに季節は移ろっていた。

今日は、浮竹の髪には白い薔薇が飾られていた。髪の色も白なので、あまりアクセントにはならなかったが、京楽はそれがお気に入りらしかった。

少し遅めの、月見をしていた。互いの杯に、互いの酒をいれ、飲み交わす。

浮竹の酒は、甘い果実酒だ。京楽の酒は、喉が焼けるような日本酒。しかもかなり高級な。今回は、浮竹を酔わせてはいけないと、京楽も浮竹が好むような甘いお酒を飲んでいた。

現世では、カクテルと呼ばれるものの一種だった。

わざわざ部下を現世にいかせて、買ってきてもらった一品である。

「この酒、甘いし美味いな・・・・・」

「そうでしょ。浮竹も気に入るような酒をもってきたから、じゃんじゃん飲んで。多分、酔っぱらって二日酔いになるとかはないと思うから」

浮竹は酒に弱いわけではない。ただ、京楽が酒に強すぎるのだ。喉が焼けるような日本酒を樽一つ分のもうが、酔わない。

「僕も、一度でいいから酔ってみたいけど・・・・・まぁ、前後の記憶がなくすくような酔い方はしたくないけどね」

浮竹は酔っぱらう時があるが、すぐに寝てしまうので、あまり酔っているという時間を過ごすことがない。

同じように、酔えない京楽。

二人は対極の位置にいながら、何処か似ていた。

「この酒・・・・もう終わりか」

浮竹の杯を満たす酒がなくなり、浮竹が残念そうな声をだす。

「違う味のもあるから、そっちを飲もう」

「ああ、そうだな」

違う味のカクテルは、蒼い色をしていた。

「この前の薔薇のような色だな。こんな色の酒、飲んでも大丈夫なのか?」

「大丈夫なようにできてるから、あるんだよ」

「そうか」

その銘柄はブルーハワイ。

よくかき氷などにある、あのブルーハワイだ。

「甘いな・・・・」

「このお酒も甘いけどね」

京楽の杯にいれた、浮竹の果実酒も大分甘い。

「今日は甘い酒ばかりだな。たまには、こういうのも悪くない」

空を見上げれば、新円より少し欠けた月が見えた。

「月見の季節も終わりだな」

「そうだね」

「こうやって、外で飲み交わすこともなくなるな」

「そうだね。まぁ、それ以外で、気分転換に外で酒を飲むこともあるけどね。春には花見をしながら、秋には紅葉をみながら」

「そういえば、そろそろ紅葉の季節だな・・・・・・」

遠くの山を見れば、黄色や赤にほんのり色づいている。

「今度は、それを肴に飲むかい?」

「それもいいな・・・・・・」

酒を飲むのに、別に時も場所もないが、つまみ以外の景色を肴にして飲むのも好きだった。

「君にもらった落ち葉で作った栞、まだ持ってるよ」

「まだ持っているのか。もう20年前にあげたやつだぞ」

「そ。大切にしてるんだ。君の手作りの贈り物だからね。正直、珍しい酒を飲むより嬉しかったよ。まぁ、一番うれしかったのは、誕生日に君自身をもらったことだけどね」

七緒にラッピングのリボンを巻かれて、そのまま京楽の部屋に閉じ込められてしまい、美味しくいただかれた過去を思い出す。

かーっと、酒のせいではないのに、頬が朱く染まった。

「あの件は忘れろ!記憶から抹消しろ!」

「いやだよ。僕が生きてきた中で、一番うれしい誕生日プレゼントだった。なんなら、今年の浮竹の誕生日プレゼントは、「僕」にしようか?」

「激しくいらない・・・・・・・」

ラッピングリボンが巻かれた京楽を想像して、寒気がして酒を一気に飲み干した。

「まぁ冗談はさておき、高価なものはいらないと言われてしまいそうだけど、いくつか用意しとくから」

「まぁ、屋敷とかじゃなかったら受け取る。ただ、髪飾りとかでもいいが、あまり値のはらないものにしてほしい・・・・」

「君が髪に飾るのなら、一級品がほしいから、高価になっちゃうかな」

「俺はあまり髪を結わないんだぞ。髪飾りや簪やその他高級品で、プレンゼントを置いている部屋がうもれそうだ」

絹でできた服だの、王冠だの、ペンダントだの、ブレスレットだの、指輪だの・・・・・。

大前田のように、じゃらじゅらと身に着ける癖はない。

「今年は・・・そうだね、お揃いの翡翠の指輪にしよう」

「お揃いか?俺がつければ、京楽も身に着けてくれるのか?」

乗り気な浮竹の反応に、指輪も悪くないと頭の中でリストに入れた。

「君のイニシャルをいれて、それを僕が。僕のイニシャルをいれて、それを君が・・・・・なんんか、現世の結婚式の指輪交換に近いかな」

「それ、欲しいかも・・・・・・・」

「じゃあ、今年の誕生日プレゼントは、翡翠の指輪できまりだね」

「翡翠は、こぶりなものでいいからな。グレードは普通で」

「はいはい」

きっと京楽のことだから、大きくはないが、一級品の翡翠をはめた指輪にするのだろうなと、想像できた。

いつの間にか、酒がお互い空っぽになっていた。

「寒くなってきたし、今日はここまでにしますか」

「そうだな」

雨乾堂に入って、寒かったので毛布をかぶった。京楽も一緒にだ。

「このまま寝るかい?」

時計を見ると、夜の10時だった。

「少し早いが、寝るか」

布団を二人分しいて、横になる。

「寒いでしょ。こっちにおいで」

京楽の布団に移動すると、京楽に抱きしめられた。

トクントクンと、心臓の鼓動が聞こえる。

ふっと、睡魔が訪れた。ほどなしくて、浮竹は眠ってしまった。

「おやすみ、いい夢を。僕の白薔薇姫」

浮竹の髪に飾らた白い薔薇は、一枚はらりと落ちた。


拍手[0回]

3か月目のある日

付き合いはじめて、3か月が経った。

何度か逢瀬を繰り返し、現在に至る。井上はというと、最近石田と付き合いだしたという噂が流れていた。それに、一護はほっとする。
井上も、自分の幸せを見つけてくれたようで、よかったと。
無理やり関係を迫ってきたりした井上だが、何故だと問い詰めるようなことも断罪もせずに、そっとしておくと時間の経過と共に、昔の高校時代のような関係を築けるようになった。

まだ井上は一護のことを好きなようだが、ルキアのことに関しては、最近ルキアに謝罪し、一護のことは諦めるといったらしい。

(ルキア、何してる?)

その時の講義時間は空きだった。教授が欠席したので授業がなくなってしまったのだ。

することもないので、携帯でゲームをしていると、ふとルキアから着信があった。他愛もない、
「昼寝していた」そんな内意のメールだった。

(俺は大学の授業だけど、教授が欠席しちまって、暇になった)

(お前の隣にいる)

「うおっ!?」

一護がびっくりするのも無理はない。夏の初めらしい、ピンクのワンピースに麦わら帽子姿のルキアが、一護の隣に座っていたのだ。

(なんでここにいやがる)

(失礼な奴だな。たまった仕事を片付けて、2日ばかりの休暇をもらったのだ。現世にいく恰好のチャンスだと思ってな)

(こっちくるならくるって、最初に教えろ。びっくりして心臓が口から飛び出すかと思った。そのワンピースかわいいな。ルキアによく似合っている。麦わら帽子も、蒼いリボンが鮮やかでいい)

「ふふっ・・・・・・」

隣で、笑い声が漏れた。

(いい加減、普通に話さないか?せっかく現世にいるんだし)

(もう少しこのままでもよかろう。貴様の隣に静かにいれるのが、とても幸せなのだ)

(俺も幸せだよばかやろう)

(今日は貴様のアパートに泊まる)

(また急だな。食材、二人分買って帰るか。親子丼の予定だけど、嫌いじゃねーよ?)

(貴様の手料理は美味いからな。今から夕飯が楽しみだ)

「ルキア」

「なんだ、一護」

「お前、任務とかいいのかよ。虚退治とか」

「全部、空座町を担当している死神に任せてきた。新しく赴任した者で、席官だ。腕は間違いない」

「そうか・・・・・・」

ということは、ルキアは2日ばかり完全にフリーになるのだ。今日はバイトの予定を入れていたが、急遽休みをとった。

明日は、ラッキーなことに土曜日で大学は休みだ。この日もバイトを入れていたが、休むとメールすると、店長の怒りのメールがやってきた。
高校時代から続けているバイトではなく、ラーメン屋でのバイトだった。首になったらなったで、また違うバイトを探せばいい。

一護は料理の腕がいいので、それ関係の仕事には重宝されている。

今のラーメン店でも、接客の他に調理を任されていて、店長の作ったラーメンより美味しいと、評判だった。

「昼、ラーメン食いにいくか?」

「おお、ラーメンか。長い間食したことがないな」

「俺がラーメン屋でバイトしてるの知ってるだろ」

「ああ」

「そこの店のラーメン、けっこう美味いんだぜ。まぁ俺が作るからなんだけどな。今回は店長のラーメンになるが、それもまた美味いんだ」

「そうか、楽しみだな」

1限目が終わり、2限目になった。

広い大学内を、二人で歩く。

「お、一護その子どうしたんだ。めっちゃくちゃ可愛いじゃねーか」」

「俺のフィアンセだ」

「一護!」

一護の友人が話しかけてきたのだが、それに一護は照れもせずにはっきりとそう答えた。まだ恋人だといわれるのだけでも恥ずかしいのに、フィアンセとは。

「まじかよ。こんなかわいい婚約者いたんだ。親が決めたとか?」

「いいや、苦労の末に自力で手に入れた関係だ・・・・・・ふ、いろいろとあったんだ」

「あー、お前、だから井上さん振ったのか。こんなかわいい子がフィアンセなら、井上さんを振ってしまうのも分からなくないな」

一護が井上を振ったという噂は、大学中に広がっていた。

「井上はどうしている?一度謝罪を受けたが、酷い顔をしていた」

「ああ、井上のことなら気にすんな。今は石田と付き合っているらしい」:

「そうか。石田とか・・・・・茶虎はどうしとているんだろうな?」

「なんでも、格闘技始めたらしいぜ。この前、スポーツ新聞に、小さいけど記事が載ってた」

それに、ルキアが反応した。

「今のうちにサインをもらっておくか?きっと、世界でも有名な選手になるぞ」

「気が早すぎだろう」

この数年後、茶虎は本当に世界中に名が知られるようになるのだが、それは別のお話だ。

談笑しながら大学内を移動して、2限目の授業を受けた。世界史で、幸いなことにも少人数制ではなかったので、生徒でないルキアが混じっても、誰も不審に思わなかった。

「ふわ~」

麦わら帽子の蒼リボンを窓から入ってくる風になびかせて、ルキアは眠たそうにしていた。

「少し寝るか?尸魂界で仕事に追われていたんだろ?」

「ああ、そうしてくれ。この2限目の授業中だけ、少し寝かせてもらう。少し睡眠不足でな・・・・おやすみ」

机につっぷして、ルキアは眠っしまった。

チャイムがなって、授業の終わりが告げられると、ルキアが起きた。

「ふーよく寝た。お陰で、頭がすっきりした」

「じゃあ、昼飯にラーメン屋に行こうぜ。この近くなんだ」

「うむ」

他の友人たちに、食堂にいかないかと誘われたが、フィアンセと一緒なんだというと、みんなびっくりして、そしてニヤついて、ヤジを飛ばしてきたりした。

「ヒューヒュー、熱いねお二人とも」

「いいなぁ、フィアンセかぁ。俺もせめて恋人がほしい・・・」

適当にからかわれたが、それにルキアは何も言わなかった。

ラーメン店にいくと、店は繁盛しているのでけっこう客が入っていた。

「お、黒崎じゃねーか。お前、今日は休むって連絡いれときながら、ラーメン食いにくるなんていい度胸だな」

「勘弁してくれよ店長。一応、今の俺は客だぞ」

「はいはい、いらっしゃいませ」

お冷とおしぼりを出されて、店長直伝の味の豚骨ラーメンが運ばれれてきた。

麦わら帽子を脱いだルキアは、おそるおそる口にしたが、食が止まらぬようで、すぐに完食してしまった。

「うむ。美味だな」

「もう食べたのかよ。早いな」

「貴様はもっとゆっくりしていいぞ」

ルキアは、一護の向かいの席で、一護がラーメンを食べる姿をただ見つめていた。

「何みてんだよ」

「お間の傍にいれることが幸せだと思って」

一護は朱くなった。

「好きなだけ見てろ」

やがて食べ終わり、勘定をすませてから大学に戻り、夕方まで講義を受けた。
4限目はドイツ語で、人数制限制だったので、ルキアには悪いが食堂で大人しく待ってもらうことにした、

「かわいいねー。ここの大学の子じゃないでしょ」」

「たまたま、遊びにきているだけですわ」

「どう、この後合コンあるんだけど、こない?」

下心見え見えの男子生徒数人に、ルキアは囲まれていた。

「ルキア、行くぞ」

「お、思ったより早かったな」

「先輩方、この子俺のフィアンセなんで」

「え」

みんな、口をあんぐりと開けていた。

ルキアを伴って、今日の授業は終わりなので、帰路につく。
夕日が綺麗だった。

電車で15分ほどゆられて、空座町につくとスーパーで親子丼を作るための材料を二人分かった。後、お菓子とジュースも。

アパートにつくと、ルキアはベッドに体をなげだした。

「学生というのも、けっこう疲れるものなのだな。私が所属していた学院は、もっと授業がすくなかった」

「まぁ、その代わり生き死にがどうのこうのなる可能性は0だけどな」

「ふむ・・・・」

一護がキッチンに立った。15分ほどして、親子丼ができあがり、二人で食べた。

「美味い・・・・一護の手料理を味わうのも、現世の楽しみの一つだからな」

その後、TVを見て、最近のことについて語り合い、互いに風呂に入った。ルキアはパジャマをもってきていなかったので、一護の服を着た。

すごくぶかぶか、それが可愛くて、一護は邪な思いを振り払うのに必死だった。

「何も遠慮するこはない。抱け」

「ルキア・・・・・」:

ちゃんと避妊して、ルキアを押し倒す。、

「あ・・・・・」

小さな柔らかい胸をもみしだき、胸の突起にかみつくと、ルキアは吐息を零した。

「んんっ」

下着をとりさって、秘所に指をいれると、ルキアの体が強張った。

「優しくするから・・・・」

「分かっておる・・・・」

ぐちゃぐちゃと、水音がした。

「すげー濡れてる」

「言うな、たわけ・・・・・」

一護に貫かれて、ルキアは背をしならせた。

「ああああああ!」

同時に手で陰核をいじられる、

「やあああ」

何度も中を抉られ、貫かれて、アメジストの瞳から涙が零れた。

「一護愛してる」

「俺も愛してる。ルキア・・・・・」

最初が性急だったが、一度精液をコンドームの中に放つと、余裕ができた。

「ああ・・・・・あん」

ルキアをあえがせるために、とろとろになるように優しく抱いた。

2回目の精液を放つころには、ルキアは息も絶え絶えになっていた。

「大丈夫か?」

「何、少し久しぶりすぎて、ついていけなかっただけだ」

「優しくするって言ったのに、ごめんな」

「貴様は十分優しいよ」

キスをしあって、ぬれたタオルで体をぬぐいあい、その日は一つのベッドで二人で抱き合って眠った。

「朝だぞ起きろ一護」

「ん・・・・」

一護が起きると、朝の6時だった。

「あのなぁ、ルキア。俺は毎日8時起きなんだ。あと2時間寝かせろ」

「一護ー腹がすいたー」

「ああもう、寝れたもんじゃねぇ。昨日、あれだけ食った上にお菓子も食ったのに、もう腹が減るのかよ」

「しろたまあんみつが食べたい」

「はいはい。作ってやるから、少し待ってろ」

ルキアの好物のしろたまあんみつが作れるよう、材料は常にストックしてあった。

朝食代わりに甘味ものを味わい、満足そうなルキアに、今日のスケジュールを話す。

「今日は、動物園に行く。それでいいな?」

「ああ。前から楽しみにしていたのだ」

ルキアは、昨日とは違う水色のワンピースを着ていた。今日は麦わら帽子はなしで、赤いリボンで髪を結っていた。

ルキアなりのお洒落なのだろう。

それがよく似合っていてかわいくて、朝からハグをしてキスを何度もした。

「夕食は、スパゲッティがいい・・・・」

「へいへい」

ルキアの、少しの我儘でも叶えてあげたくなる。

一護は、ルキアに口づけながら、今日は動物園でどう時間を過ごそうかと、思案するのであった。











拍手[0回]

新着記事
(03/04)
(03/04)
(03/02)
(03/01)
(03/01)
"ココはカウンター設置場所"