浮竹死んだけど幽霊です憑いてます8 メリークリスマス!
12月。
クリスマスの季節になった。
「浮竹、実体化してこのサンタ服着て」
「えー」
「いいじゃない。さぁさぁ」
「仕方ないなぁ」
5分ほど実体化した。
隊長羽織と死覇装を脱いで、ふわふわのサンタ服を着る。帽子もかぶる。
そのままスーッと透けて、浮竹はサンタ幽霊になった。
「やっぱり思った通り、かわいいね」
ふわふわのサンタ服だった。
ふりふりでふわふわの上の服に、ズボンがついていた。
京楽のことだから、ズボンをはかずにふりふりふわふわの上の服だけ着ろとか、言われそうだと思っていたので、ズボンがついていたので着てみた。
鏡を見る。
真っ赤なふわふわのサンタ服に、長い白髪が映える。けっこう似合っていた。
「うん、かわいいかわいい。さぁ、隊長副隊長たちに挨拶とプレゼントを配るよ!」
「ええっ、この姿でか?」
「だから、この格好になってもらったんだよ。僕にはサンタ服は似合わないからね」
「ずるいぞ京楽、俺だけなんて」
「ふりふりふわふわの、サンタ服が僕に似合うと思う?」
「うっ」
想像してみると、ちょっと嫌かもしれない。
こうして、サンタ服を着せられた浮竹は、京楽と一緒に、クリスマスプレゼントであるクリスマスケーキとクッキーを配っていく。
「浮竹、その姿は?」
白哉が、ふわふわのサンタ服の浮竹を見て問う。
「京楽に似合うから着ろといわれた」
「そうか。似合っているぞ」
「ありがとう。白哉が甘いものが嫌いだろうから、クリスマスケーキを、辛い味付けにしたチキンにしておいた。クッキーのほうは、阿散井副隊長にでもあげてくれ」
恋次は、仕事で隊をあけていたので、クリスマスケーキとクッキーを置いておいた。
「わざわざ、辛いものにしてくれたのか・・・すまぬ、浮竹」
「白哉の好みは大体分かってるからな!」
京楽は、二人の醸し出す空気にじとーっとしていた。
「なんだ、京楽総隊長」
「いくらかわいくても、うちの子はあげませんからね!」
幽霊浮竹を隠して、京楽はがるるると、唸り声をあげた。
「誰も、兄から浮竹をとったりはせぬ。そもそも、兄にとり憑いているのであろう」
「それはそうだけど。見た通り、浮竹はいつでもかわいいからね」
「かっこいいんだ、俺は!」
そう言い出した浮竹の、今の姿とのギャップに、余計にかわいいと思う京楽と白哉だった。
「次は、日番谷副隊長のところにでも行くか」
10番隊の執務室にくると、日番谷はサンタ服の浮竹に驚いた。
「浮竹、これまた随分とかわいい恰好してるじゃねぇか」
「はぁ。日番谷隊長もきっと似合うぞ。お揃いの恰好なんてどうだ?」
「遠慮しておく」
「(*´Д`)ハァハァ。浮竹隊長、かわいい。クリスマスサンタ服・・・・」
「松本お!お前は仕事をしろ!」
「(*´Д`)ハァハァ。クリスマスサンタ浮竹、京楽総隊長に食べられる。きたー、執筆の神が降臨したーーー!」
「松本お!」
「プレゼントのクリスマスケーキとクッキーは、ここに置いておくな」
京楽が、浮竹の代わりにプレゼントを置いていった。
「相変わらず、乱菊ちゃんは腐っているようで」
「ああ、京楽。そうなんだ。お前に浮竹がとり憑いたって知った日から、京浮王道復活とかいって、執筆活動してやがる」
「まぁ、ほどほどに」
浮竹は、苦笑した。
ふわふわのサンタ服が揺れる。
幽霊だから、半分透けているが、浮竹のふりふりふわふわのサンタ服は、浮竹だから似合うのではないだろうかと、日番谷は思った。
11番隊にいくと、プレゼントはどうでもいいから、稽古つけて行きやがれと言われたので、プレゼントを置いて逃げ出した。
4番隊にいくと、虎鉄隊長が、さっそくクリスマスケーキを食べだした。
「ありがとうございます、京楽総隊長、浮竹隊長」
清音も、同じくもらってその場で美味しそうに食べだした。
そして、一番厄介な12番隊にいく。
「なんだねその頭の中身まで咲いたような恰好は。クリスマスプレゼント?そんなものより、さぁ、浮竹隊長、実験体に・・・・・」
クリスマスプレゼントを涅マユリに無理やりもたせて、11番隊よりも脱兎の如く逃げ出した。
「残るは、朽木の13番隊だけか・・・・・」
もう、今は雨乾堂はないので、13番隊の執務室にいってルキアにクリスマスプレゼントを渡すと、チャッピーのど飴を代わりにもらった。
「京楽総隊長、浮竹隊長、メリークリスマス。プレゼント、ありがとうございます」
「うう、浮竹隊長!幽霊でも、復活してくれて俺はもう涙がとまりません!」
大泣きする仙太郎を、手だけ実体化させてよしよしと撫でた。
全部の隊の隊長と副隊長にプレゼントを配り終えて、1番隊の寝室に戻ってくる。
「着替えていいか?」
「んー、せめて25日が過ぎるまで、その恰好でいてよ」
「仕方ないなぁ」
少しだけ実体化して、京楽を抱き締めると、とさりとベッドに押し倒された。
「1時間、実体化できる?」
「できるが・・・・・」
「じゃあ、1時間。その恰好のままで、いただきます」
「え?あ、あ、ああんっ、京楽っ」
サンタ服を、ズボンと下着だけを脱がされて、ふりふりふわふわの上半身の服はそのままで、貪られた。
「あ、あ、あっ・・・・」
服をまくりあげられて、胸を撫でられる。先端をかじられて、浮竹はびくんと反応した。
「あ、キスしてくれ、京楽・・・・・」
「いいよ」
舌が絡まるキスを何度も繰り返すが、1時間しか時間がないので、蕾に潤滑油で濡れた指で、前立腺をいじることなく解していく。
「ああああ!」
潤滑油で解し、欲望を潤滑油まみれにしたとはいえ、本来交じるための器官ではないそこを突き上げられ、広げられて、浮竹は白い髪を宙に乱した。
「あ、あ、あ!・・・・んっ」
浮竹の好きなキスをしながら、突き上げられた。
そして、ズチュズチュと、蕾を出入りする京楽の欲望に、浮竹は啼いた。
「んあっ、あああう」
前立腺を思い切りこすられると、びくびくと体を痙攣させて精液を出した。
「あ、サンタ服が・・・」
白濁した液がついてしまったが、どうせ行為が終われば着替えるのだ。いいかと、そのままにする。
「ああっ、京楽!」
「浮竹、かわいいね。サンタ服のままとか、もう御馳走だよ」
くちゅくちゅと、京楽の欲望で前立腺を刺激される。
「あっ、そこいい・・・・もっと突いて」
ずちゅりと、音を立てて京楽は浮竹の前立腺を突き上げた。
「あ、ああ・・・・・ああん・・・ああああ」
とろとろと、先走りの液をこぼす浮竹の体を抱き締めて、囁く。
「メリークリスマス、浮竹」
「あああ、メリークリスマス、京楽・・・・ああっ!」
ズチュンと、奥を突きあげられて、浮竹はまたいった。
「ひあっ・・・・・」
何度も前立腺ばかりを突き上げて、京楽も浮竹の中に体液を放った。さらに奥を突き上げて、立て続けに2度目の体液を浮竹の腹の奥に叩きつけた。
「んあう!」
1時間まであと5分。
ひきぬくと、とろとろと、太ももを京楽が出した体液が伝い落ちていく。
濡れたタオルでそれをぬぐいとって、1時間を少しオーバーさせて実体化を保ちながら、死覇装と隊長羽織を着た。
すーっと、浮竹の体が透けていく。
「やるなら、最初からいってくれ・・・・・」
「君のそのかわいい姿を見てたら、抱きたくなっちゃってね・・・」
「しばらく、短時間でしか実体化できないぞ」
「かわいい浮竹を可愛い恰好で可愛がれたから、いいよ」
「んあっ」
突然喘ぐ浮竹に、京楽がどうしたのかと聞く。
「どうしたの」
「お前が、奥にだしたものが溢れて・・・・」
「ああっ、かきだすの忘れてた」
「もういい。霊体のままなんとかするから」
浮竹は、顔を真っ赤にさせながら、霊体のまま京楽の出した精液をかき消すのであった。
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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます7 闇鍋
11月。
肌寒い季節になった。
「ふう、少し寒いね」
「ほんとだな」
こたつを用意してあったので、その中に入った。
「あったかい・・・・・・」
幽霊浮竹は、温度が分かるようで、暖かいこたつの中に、京楽と一緒に半身をもぐりこませた。
「そうだ。今日は鍋にしよう」
「お、いいな。カニ鍋にしよう!」
「いや、闇鍋だ」
「何故に!?」
浮竹が突っ込むが、京楽は悪戯心から、浮竹にいつの日か闇鍋をさせようと思っていのだが、生前にはできなかったことを思い出す。
今の幽霊浮竹は、食事もできるので、闇鍋をどうしてもしたくなった。
「じゃあ、料理人に、適当に材料入れてもらってくるから、浮竹はここにいてね」
ぽつんと、浮竹は残された。
最近は、少しの時間なら、少しくらい遠く離れても大丈夫なようになっていて、もはや京楽に憑いているのかも怪しい。
やがて、鍋がやってきた。
ことことと、音をたてて、いい匂いをさせている。
お腹がすいた浮竹は、闇鍋というものをあまり詳しく知らなかった。
京楽と並んで、食べることにする。
京楽が、鍋からとりだしたものを、さっと浮竹は食べた。浮竹は、食べようとしたものをさっと消し去る。それが浮竹の食事であった。
「これは・・・・バナナ?んー意外といける」
もっきゅもっきゅと、かんで味を確かる。
バナナも甘い。
鍋も甘かった。砂糖が入っているのか、鍋は甘ったるい匂いで満ちていた。
京楽が、次をとりだす。
りんごだった。それを、京楽は食べたけど微妙な顔をしていた。
「んー悪くはないけど、鍋にいれるもんじゃあないね」
「でも、闇鍋だろう」
「そう、闇鍋。僕も何が入っているのか知らないんだ」
京楽が次を鍋の中から取り出す。
また、りんごだった。それを浮竹はさっと食べた。
「ただのりんごだな・・・・ただ、シロップ漬けになってるみたいでけっこういい」
「ええ、僕は同じりんご食べた時、そんな風には思わなかったよ」
闇鍋には砂糖がたっぷり入っていた。
「んー。汁が甘いね。これじゃあ、闇鍋だけど、フルーツ鍋だね」
京楽が次を取り出す。幽霊浮竹は、実体化しない限りものに触れられないので、京楽がすくってくれたものを食べた。
「柿か・・・・僕はいらない。浮竹食べたら?」
さっと、柿が消える。
「んー。普通の柿より甘い」
もっきゅもっきゅと、柿を口にする。
次から次へと闇鍋に入っていたものをとりだす。
りんご、メロン、苺、りんご、ばななだった。
それで、闇鍋の中身は終わりだった。
京楽は食欲を失せさせて、全部浮竹が食べた。
「んーちょっと普通より変な味はするけど、これはこれでうまい」
「普通の鍋、もってきてもらうよ。今度こそ、ほんとのカニ鍋で」
「そうか。俺ももう少し食えるから、ご相伴に預かろうかな」
今度は、正真正銘のカニ鍋だった。
ぐつぐつと、良い匂いがして、入れたカニは鮮やかな朱色になって、食べごろだと伝えてくる。
京楽が、浮竹の分をすくうと、さっとカニの中身だけを食べたのか、殻が残された。
「器用だね、君の食べ方」
「そうか?」
「いちいち、身をほじくらなくていいとか、便利だね」
「カニもうまいな。俺的には、さっきの闇鍋もよかったが」
甘いものが大好きな浮竹の口にあったのだろう。
料理人に、闇鍋にしてくれとは頼んだが、フルーツものばかりにしてくれとは頼んでいなかったし、砂糖をあんなに入れるとは思っていなかったのだ。
「はぁ。普通のカニは美味しいね」
「うん。カニも美味い」
浮竹の分を皿にのせると、浮竹は殻だけ残して器用に中身だけを口にする。
「あ、餅が入ってる」
「食べるかい?」
「ああ」
もちをおいしそうにほうばる、浮竹はかわいかった。
鮭や海老も入っていた。カニと一緒に、京楽も浮竹も食べた。
「俺はもういい。お腹いっぱいだ」
浮竹にしては食べたほうだろう。フルーツの闇鍋が、甘味物になるのかわからないが、多分別腹状態で食べていたのだろう。
残りのカニと海鮮物を、京楽は一人で食べた。
「僕もおなかいっぱいだ。流石に雑炊まではむりだね」
カニ鍋のあとの、出汁のしみた雑炊はうまいが、今回はなしだ。
「それにしても、あの料理人、浮竹のことを思ってあんな闇鍋にしたのかな」
「さぁ?」
1番隊の料理人は、浮竹が甘党で、果物や甘味物に目がないことを知っていた。
まさか、浮竹に懸想しているのではあるまいな。
そういえば、あの料理人はいつも浮竹の方を見ていた。
「幽霊になっても・・・君は、罪づくりな男だね」
「は?」
あの料理人には、違う隊にいってもらおう。
そう決意する京楽であった。
肌寒い季節になった。
「ふう、少し寒いね」
「ほんとだな」
こたつを用意してあったので、その中に入った。
「あったかい・・・・・・」
幽霊浮竹は、温度が分かるようで、暖かいこたつの中に、京楽と一緒に半身をもぐりこませた。
「そうだ。今日は鍋にしよう」
「お、いいな。カニ鍋にしよう!」
「いや、闇鍋だ」
「何故に!?」
浮竹が突っ込むが、京楽は悪戯心から、浮竹にいつの日か闇鍋をさせようと思っていのだが、生前にはできなかったことを思い出す。
今の幽霊浮竹は、食事もできるので、闇鍋をどうしてもしたくなった。
「じゃあ、料理人に、適当に材料入れてもらってくるから、浮竹はここにいてね」
ぽつんと、浮竹は残された。
最近は、少しの時間なら、少しくらい遠く離れても大丈夫なようになっていて、もはや京楽に憑いているのかも怪しい。
やがて、鍋がやってきた。
ことことと、音をたてて、いい匂いをさせている。
お腹がすいた浮竹は、闇鍋というものをあまり詳しく知らなかった。
京楽と並んで、食べることにする。
京楽が、鍋からとりだしたものを、さっと浮竹は食べた。浮竹は、食べようとしたものをさっと消し去る。それが浮竹の食事であった。
「これは・・・・バナナ?んー意外といける」
もっきゅもっきゅと、かんで味を確かる。
バナナも甘い。
鍋も甘かった。砂糖が入っているのか、鍋は甘ったるい匂いで満ちていた。
京楽が、次をとりだす。
りんごだった。それを、京楽は食べたけど微妙な顔をしていた。
「んー悪くはないけど、鍋にいれるもんじゃあないね」
「でも、闇鍋だろう」
「そう、闇鍋。僕も何が入っているのか知らないんだ」
京楽が次を鍋の中から取り出す。
また、りんごだった。それを浮竹はさっと食べた。
「ただのりんごだな・・・・ただ、シロップ漬けになってるみたいでけっこういい」
「ええ、僕は同じりんご食べた時、そんな風には思わなかったよ」
闇鍋には砂糖がたっぷり入っていた。
「んー。汁が甘いね。これじゃあ、闇鍋だけど、フルーツ鍋だね」
京楽が次を取り出す。幽霊浮竹は、実体化しない限りものに触れられないので、京楽がすくってくれたものを食べた。
「柿か・・・・僕はいらない。浮竹食べたら?」
さっと、柿が消える。
「んー。普通の柿より甘い」
もっきゅもっきゅと、柿を口にする。
次から次へと闇鍋に入っていたものをとりだす。
りんご、メロン、苺、りんご、ばななだった。
それで、闇鍋の中身は終わりだった。
京楽は食欲を失せさせて、全部浮竹が食べた。
「んーちょっと普通より変な味はするけど、これはこれでうまい」
「普通の鍋、もってきてもらうよ。今度こそ、ほんとのカニ鍋で」
「そうか。俺ももう少し食えるから、ご相伴に預かろうかな」
今度は、正真正銘のカニ鍋だった。
ぐつぐつと、良い匂いがして、入れたカニは鮮やかな朱色になって、食べごろだと伝えてくる。
京楽が、浮竹の分をすくうと、さっとカニの中身だけを食べたのか、殻が残された。
「器用だね、君の食べ方」
「そうか?」
「いちいち、身をほじくらなくていいとか、便利だね」
「カニもうまいな。俺的には、さっきの闇鍋もよかったが」
甘いものが大好きな浮竹の口にあったのだろう。
料理人に、闇鍋にしてくれとは頼んだが、フルーツものばかりにしてくれとは頼んでいなかったし、砂糖をあんなに入れるとは思っていなかったのだ。
「はぁ。普通のカニは美味しいね」
「うん。カニも美味い」
浮竹の分を皿にのせると、浮竹は殻だけ残して器用に中身だけを口にする。
「あ、餅が入ってる」
「食べるかい?」
「ああ」
もちをおいしそうにほうばる、浮竹はかわいかった。
鮭や海老も入っていた。カニと一緒に、京楽も浮竹も食べた。
「俺はもういい。お腹いっぱいだ」
浮竹にしては食べたほうだろう。フルーツの闇鍋が、甘味物になるのかわからないが、多分別腹状態で食べていたのだろう。
残りのカニと海鮮物を、京楽は一人で食べた。
「僕もおなかいっぱいだ。流石に雑炊まではむりだね」
カニ鍋のあとの、出汁のしみた雑炊はうまいが、今回はなしだ。
「それにしても、あの料理人、浮竹のことを思ってあんな闇鍋にしたのかな」
「さぁ?」
1番隊の料理人は、浮竹が甘党で、果物や甘味物に目がないことを知っていた。
まさか、浮竹に懸想しているのではあるまいな。
そういえば、あの料理人はいつも浮竹の方を見ていた。
「幽霊になっても・・・君は、罪づくりな男だね」
「は?」
あの料理人には、違う隊にいってもらおう。
そう決意する京楽であった。
浮竹死んだけど幽霊です憑いてます6
「柘榴が食べたい」
急に、浮竹がそう言い出した。
「どうして?」
「いや、昔お前が柘榴の髪飾りをくれたのを思い出して」
「それ、院生時代のことじゃない?よくそんなの、覚えていたね。君が高価なものを嫌がるから、確か柘榴をかたどった色硝子でできた髪飾りをあげたんだっけ」
「けっこうお気に入りだったんだ。あれは、どこへいってしまったんだろう?」
「ああ・・・・まだ整理してなかったけど、君の遺品をまとめたものを、僕の屋敷の1つの部屋に置いてあるんだ・・・・見に行くかい?」
「ああ、見たい」
雨乾堂もなくなり、浮竹の数多い遺品は、京楽が引き取ったのだ。
京楽邸にいき、浮竹の遺品を入れた袋をひもとくと、院生時代から隊長時代までもらった髪飾りや簪、指輪に首飾り・・・・・たくさんの高価なものと安いものが混じったものがでてきた。
螺鈿細工の櫛とかもあった。
「懐かしいね、この螺鈿細工の櫛・・・・いつも、湯上りの君の髪をといてあげてた」
「あ、あった。柘榴の髪飾り」
色硝子でできた、少し地味な髪飾りだったが、よく浮竹が身に着けてくれていたのを思い出す。
「実体化するから、つけてくれないか」
「ああ、いいよ」
実体化したときに身に着けたものは、そのまま霊体の一部になる。
一房長い髪を手に取り、そこに柘榴の髪飾りをつけてあげた。
すーっと、霊体化して柘榴の髪飾りも浮竹の一部となった。
「どうせなら、翡翠のやつのほうがよかったんじゃない?君も、気に入ってたでしょう」
その言葉に、浮竹を首を横に振る。
「俺が身に着けると、なくなってしまうから、安いもののほうがいい」
「でも、君のものだ。こだわる必要なんてないのに。君の遺品は、処理するつもりもないし、気が向いたらいつでも言って」
「ああ・・・・・・遺品とか、すまないな。辛い思いをさせただろう」
「そうだね。君が死んだということを受け入れられずに、1週間くらい放心してたね。でも、僕も総隊長だから、いつまでもくよくよしているわけにはいかなかくてね。雨乾堂の取り壊しを決めたのも僕なんだ。君を思い出してしまうから。そこに、君の墓を建てた」
「この前、墓参りでいったな。立派な墓をありがとう」
「君がこうして、幽霊だけど居てくれて、僕はとても幸せなんだ」
「京楽・・・・・」
「浮竹、愛してるよ」
「ああ、俺もだ」
1分間だけ実体化し、舌が絡み合うキスをして、離れた。
「君に触れられるこの喜びを、どうすれば君に伝えれるだろう」
「もう、十分なくらい伝わっている」
「そうかい?」
「この前、散々俺を犯して想いをぶつけたくせに」
「あれは、まぁ、その、7年ぶりだったから」
「まぁいい。変な薬も使われたけど、俺も気持ちよかったし」
お互い、真っ赤になった。
何時間も睦みあった。濃い1日だった。
「螺鈿細工の櫛と、翡翠の首飾りだけ、お前の寝る一番隊の寝室に置いておいてもいいか」
「ああ、いいよ」
「髪をとくことはなくなったけど、思い出深いから、近くに置いておきたい」
京楽が寝る場所で、憑いている浮竹も眠る。
螺鈿細工の櫛と翡翠の首飾りを手に、1番隊の執務室までいったん戻り、それから寝室にきた。ベッドの上の横側においた。
「ここでいいかい?」
「ああ」
浮竹は、嬉しそうだった。
柘榴の髪飾りをした浮竹も、よかった。翡翠の髪飾りをと思ったのだけど、柘榴の色硝子はいろんな色があって、光をうけるとキラキラと輝いた。
浮竹の指には、ずっと前にあげたエンゲージリングも光っていた。
「そうだ、朽木の結婚式の動画を見たい。盛ったお前に連れられて、途中で抜け出したから」
「あ、うん。用意するよ」
動画を再生していくと、ぽたぽたと浮竹は涙を零した。
「朽木ーーー幸せになれよおおお」
「浮竹、言っとくけど、ルキアちゃんが結婚してもう1か月も経つんだよ」
「そうだな。そうだ、結婚したときのプレゼントを渡していなかった。とはいっても、俺は幽霊だし・・・・京楽は、何かあげたか?」
「僕は、アメジストの髪飾りをあげたよ。浮竹が寝ている間に買ったからね。浮竹も今からでもいいから、何か贈り物をするかい?」
「ああ。京楽が金を出すことになってすまないが・・・そうだな、宝石店に行こう」
二人で、高めの宝石店にやってきた。
「これはこれは京楽様と浮竹様。今日はどんなものが、お望みでしょうか」
この宝石店で、京楽は院生時代から浮竹に贈るものをずっと買ってきたのだ。老舗で、京楽はそこの常連であった。
浮竹が幽霊として半透明で京楽の隣にいた姿に、はじめはぎょっとしていた店員であるが、説明するとすぐに受け入れてくれた。
「アメジストの、何か装飾品はないだろうか」
浮竹が、いろんな宝石の入ったケースを見ていた。
「アメジストでしたら・・・・髪飾り、首代わり、指輪、ピアス、イヤリング、ブローチ、腕輪・・・一通りそろっておりますが。そうだ、こんなものもありますよ?」
店員が見せたのは、大きめのアメジストの結晶だった。
「こちらは置きものになりますので、身に着ける物にはなりませんが」
「これがいい」
一目見て、浮竹は気に入ってしまった。
見てみれば、値段も安めで、これがいいと思った。
「京楽、これを買ってくれ」
「わかったよ。これを買うよ。プレゼント用だから、できればかわいくラッピングしてほしいな」
「かしこまりました」
お金を払って、品物を受け取った。
アメジストなので、それを意識した紫色の箱にいれて、紫のリボンで包装された。
「京楽、今から朽木のいる13番隊に渡しにいっても大丈夫か?」
「ああ、いいよ」
京楽と浮竹は、アメジストの結晶をもって、13番隊の、新しく作られた執務室にやってきた。
「京楽総隊長に浮竹隊長、どうしたのですか?」
「浮竹がね、君に結婚記念の贈り物をあげたいって」
「そんな、お気持ちだけでけっこうです!」
「まぁ、そう言わずに受け取ってくれ。もう買ってしまったものだし」
浮竹の言葉に、京楽からラッピングされら紫の箱を受け取る。
「中身を拝見してもいいですか?」
「ああ」
「うわぁ・・・・・・」
大きなアメジストの、研磨していない結晶だった。
「綺麗」
「気に入ったか?」
「ありがとうございます、浮竹隊長!大切にします!」
光にすかすと、アメジストが紫色の光を反射させて綺麗だった。
「改めて、結婚おめでとう、朽木」
「ありがとうございます、浮竹隊長」
光に煌めいて、浮竹の柘榴の髪飾りも輝いていた。霊体の一部になっているが、輝くのだ。
「浮竹隊長も、その柘榴の髪飾りとても似合っています。清楚な感じがします」
「ありがとう、朽木」
浮竹の指と、京楽の指にエンゲージリングが光っているのに、前々から気づいていたが、それとは別に輝く浮竹の柘榴の髪飾りも、きっと二人の思い出がいっぱいつまったものなのだろうと思う。
「じゃあ、僕らはこれで戻るから。またね、ルキアちゃん」
「またな、朽木・・・いや、今は阿散井・・・ああめんどくさい、朽木のままでいいか」
ルキアは、苦笑して二人を見送った。
二人は、市場に来ていた。
「どうしたんだ、こんなところにきて」
「柘榴が食べたいって言ったでしょ。探してるの」
朝に言った言葉を覚えててくれたことに、浮竹は京楽の優しさにノックダウンされそうになった。本当に、京楽は優しい。甘えると、とことん甘やかしてくれる。
果物店で柘榴を二人分購入した。
「うん、甘くて美味しい。ほら、浮竹も食べなよ」
さっと、柘榴が消える。
「甘い・・・・」
ぺろりと、果汁が滴った唇を舐めようとして、実体化して、果汁にまみれたキスをしかけると、京楽が驚いた。
「浮竹、こんな人前で・・・」
「え」
見ると、市場にいる人たちの視線が釘付けになっていた。
幽霊なのだ。半透明の浮竹をなんなんだろうという視線と、総隊長である京楽を純粋に珍しがる視線などが集まっていた。
「か、帰ろう京楽!」
真っ赤になった浮竹を連れて、1番隊の寝室に戻るのであった。
今日1日は、浮竹のために使ったが、それもまたいいだろうと思う京楽がいた。
「柘榴、まだあるから食べなよ」
甘いものが大好きな浮竹は、夕餉の前に柘榴を食べつくしてしまうのだった。
急に、浮竹がそう言い出した。
「どうして?」
「いや、昔お前が柘榴の髪飾りをくれたのを思い出して」
「それ、院生時代のことじゃない?よくそんなの、覚えていたね。君が高価なものを嫌がるから、確か柘榴をかたどった色硝子でできた髪飾りをあげたんだっけ」
「けっこうお気に入りだったんだ。あれは、どこへいってしまったんだろう?」
「ああ・・・・まだ整理してなかったけど、君の遺品をまとめたものを、僕の屋敷の1つの部屋に置いてあるんだ・・・・見に行くかい?」
「ああ、見たい」
雨乾堂もなくなり、浮竹の数多い遺品は、京楽が引き取ったのだ。
京楽邸にいき、浮竹の遺品を入れた袋をひもとくと、院生時代から隊長時代までもらった髪飾りや簪、指輪に首飾り・・・・・たくさんの高価なものと安いものが混じったものがでてきた。
螺鈿細工の櫛とかもあった。
「懐かしいね、この螺鈿細工の櫛・・・・いつも、湯上りの君の髪をといてあげてた」
「あ、あった。柘榴の髪飾り」
色硝子でできた、少し地味な髪飾りだったが、よく浮竹が身に着けてくれていたのを思い出す。
「実体化するから、つけてくれないか」
「ああ、いいよ」
実体化したときに身に着けたものは、そのまま霊体の一部になる。
一房長い髪を手に取り、そこに柘榴の髪飾りをつけてあげた。
すーっと、霊体化して柘榴の髪飾りも浮竹の一部となった。
「どうせなら、翡翠のやつのほうがよかったんじゃない?君も、気に入ってたでしょう」
その言葉に、浮竹を首を横に振る。
「俺が身に着けると、なくなってしまうから、安いもののほうがいい」
「でも、君のものだ。こだわる必要なんてないのに。君の遺品は、処理するつもりもないし、気が向いたらいつでも言って」
「ああ・・・・・・遺品とか、すまないな。辛い思いをさせただろう」
「そうだね。君が死んだということを受け入れられずに、1週間くらい放心してたね。でも、僕も総隊長だから、いつまでもくよくよしているわけにはいかなかくてね。雨乾堂の取り壊しを決めたのも僕なんだ。君を思い出してしまうから。そこに、君の墓を建てた」
「この前、墓参りでいったな。立派な墓をありがとう」
「君がこうして、幽霊だけど居てくれて、僕はとても幸せなんだ」
「京楽・・・・・」
「浮竹、愛してるよ」
「ああ、俺もだ」
1分間だけ実体化し、舌が絡み合うキスをして、離れた。
「君に触れられるこの喜びを、どうすれば君に伝えれるだろう」
「もう、十分なくらい伝わっている」
「そうかい?」
「この前、散々俺を犯して想いをぶつけたくせに」
「あれは、まぁ、その、7年ぶりだったから」
「まぁいい。変な薬も使われたけど、俺も気持ちよかったし」
お互い、真っ赤になった。
何時間も睦みあった。濃い1日だった。
「螺鈿細工の櫛と、翡翠の首飾りだけ、お前の寝る一番隊の寝室に置いておいてもいいか」
「ああ、いいよ」
「髪をとくことはなくなったけど、思い出深いから、近くに置いておきたい」
京楽が寝る場所で、憑いている浮竹も眠る。
螺鈿細工の櫛と翡翠の首飾りを手に、1番隊の執務室までいったん戻り、それから寝室にきた。ベッドの上の横側においた。
「ここでいいかい?」
「ああ」
浮竹は、嬉しそうだった。
柘榴の髪飾りをした浮竹も、よかった。翡翠の髪飾りをと思ったのだけど、柘榴の色硝子はいろんな色があって、光をうけるとキラキラと輝いた。
浮竹の指には、ずっと前にあげたエンゲージリングも光っていた。
「そうだ、朽木の結婚式の動画を見たい。盛ったお前に連れられて、途中で抜け出したから」
「あ、うん。用意するよ」
動画を再生していくと、ぽたぽたと浮竹は涙を零した。
「朽木ーーー幸せになれよおおお」
「浮竹、言っとくけど、ルキアちゃんが結婚してもう1か月も経つんだよ」
「そうだな。そうだ、結婚したときのプレゼントを渡していなかった。とはいっても、俺は幽霊だし・・・・京楽は、何かあげたか?」
「僕は、アメジストの髪飾りをあげたよ。浮竹が寝ている間に買ったからね。浮竹も今からでもいいから、何か贈り物をするかい?」
「ああ。京楽が金を出すことになってすまないが・・・そうだな、宝石店に行こう」
二人で、高めの宝石店にやってきた。
「これはこれは京楽様と浮竹様。今日はどんなものが、お望みでしょうか」
この宝石店で、京楽は院生時代から浮竹に贈るものをずっと買ってきたのだ。老舗で、京楽はそこの常連であった。
浮竹が幽霊として半透明で京楽の隣にいた姿に、はじめはぎょっとしていた店員であるが、説明するとすぐに受け入れてくれた。
「アメジストの、何か装飾品はないだろうか」
浮竹が、いろんな宝石の入ったケースを見ていた。
「アメジストでしたら・・・・髪飾り、首代わり、指輪、ピアス、イヤリング、ブローチ、腕輪・・・一通りそろっておりますが。そうだ、こんなものもありますよ?」
店員が見せたのは、大きめのアメジストの結晶だった。
「こちらは置きものになりますので、身に着ける物にはなりませんが」
「これがいい」
一目見て、浮竹は気に入ってしまった。
見てみれば、値段も安めで、これがいいと思った。
「京楽、これを買ってくれ」
「わかったよ。これを買うよ。プレゼント用だから、できればかわいくラッピングしてほしいな」
「かしこまりました」
お金を払って、品物を受け取った。
アメジストなので、それを意識した紫色の箱にいれて、紫のリボンで包装された。
「京楽、今から朽木のいる13番隊に渡しにいっても大丈夫か?」
「ああ、いいよ」
京楽と浮竹は、アメジストの結晶をもって、13番隊の、新しく作られた執務室にやってきた。
「京楽総隊長に浮竹隊長、どうしたのですか?」
「浮竹がね、君に結婚記念の贈り物をあげたいって」
「そんな、お気持ちだけでけっこうです!」
「まぁ、そう言わずに受け取ってくれ。もう買ってしまったものだし」
浮竹の言葉に、京楽からラッピングされら紫の箱を受け取る。
「中身を拝見してもいいですか?」
「ああ」
「うわぁ・・・・・・」
大きなアメジストの、研磨していない結晶だった。
「綺麗」
「気に入ったか?」
「ありがとうございます、浮竹隊長!大切にします!」
光にすかすと、アメジストが紫色の光を反射させて綺麗だった。
「改めて、結婚おめでとう、朽木」
「ありがとうございます、浮竹隊長」
光に煌めいて、浮竹の柘榴の髪飾りも輝いていた。霊体の一部になっているが、輝くのだ。
「浮竹隊長も、その柘榴の髪飾りとても似合っています。清楚な感じがします」
「ありがとう、朽木」
浮竹の指と、京楽の指にエンゲージリングが光っているのに、前々から気づいていたが、それとは別に輝く浮竹の柘榴の髪飾りも、きっと二人の思い出がいっぱいつまったものなのだろうと思う。
「じゃあ、僕らはこれで戻るから。またね、ルキアちゃん」
「またな、朽木・・・いや、今は阿散井・・・ああめんどくさい、朽木のままでいいか」
ルキアは、苦笑して二人を見送った。
二人は、市場に来ていた。
「どうしたんだ、こんなところにきて」
「柘榴が食べたいって言ったでしょ。探してるの」
朝に言った言葉を覚えててくれたことに、浮竹は京楽の優しさにノックダウンされそうになった。本当に、京楽は優しい。甘えると、とことん甘やかしてくれる。
果物店で柘榴を二人分購入した。
「うん、甘くて美味しい。ほら、浮竹も食べなよ」
さっと、柘榴が消える。
「甘い・・・・」
ぺろりと、果汁が滴った唇を舐めようとして、実体化して、果汁にまみれたキスをしかけると、京楽が驚いた。
「浮竹、こんな人前で・・・」
「え」
見ると、市場にいる人たちの視線が釘付けになっていた。
幽霊なのだ。半透明の浮竹をなんなんだろうという視線と、総隊長である京楽を純粋に珍しがる視線などが集まっていた。
「か、帰ろう京楽!」
真っ赤になった浮竹を連れて、1番隊の寝室に戻るのであった。
今日1日は、浮竹のために使ったが、それもまたいいだろうと思う京楽がいた。
「柘榴、まだあるから食べなよ」
甘いものが大好きな浮竹は、夕餉の前に柘榴を食べつくしてしまうのだった。
とある夜
夜の朽木邸の別宅に呼ばれた恋次は、淡い期待を抱きながら、白哉と一緒に食事をした。
朽木家の食事は豪華であるが、食べ残しがない程度の量をそれぞれ出されるので、恋次の中にある貴族の腐った食生活とはまるっきり違った。
他の貴族はどうかは知らないが、朽木家では食べ残しは基本NGらしい。食べれる量だけを出される。
けっこう食べる恋次には、お替りが追加で出されていく。
「恋次、貴様はよく食べるな」
白哉も、見ていて爽快になるほど食べる。
「え、そうっすか。これくらい普通ですけど」
「酒は飲むか?」
「勿論」
それほどアルコール度の高くない、日本酒だった。
「まぁ、飲め」
杯に注がれて、中身をあおると高級酒なのだろう。美味だった。
「隊長も飲んでください」
ほどほどに、白哉は飲んだ。
酔っぱらっていないので、酔って恋次を誘ってくることはなさそうだと、少し残念に思った。酔った白哉は、言動こそつんけんしているがそれは愛らしいのだ。
「この後、いいっすか?」
「もとより、そのつもりで誘った」
白哉は、性欲を覚えると恋次と褥を共にした。
そうだと、最後の酒に、恋次は涅マユリからこっそりもらった媚薬を入れた。
そうとは知らず、白哉はその酒を飲んだ。
「ん・・・・・なんだ、体が熱い・・・・」
即効性と言っていた通り、もう効いてきた。
「隊長・・・・褥にいきましょう」
「あ、ああ・・・・・・・んっ」
着ている服が肌をこするのさえ、刺激になるようで、白哉は甘い声あげた。
「おかしい・・・・・恋次、貴様、まさか私に何か薬も盛ったのではあるまいな?」
「正解。媚薬盛りました」
「貴様!・・・ああっ」
怒る白哉の死覇装に手をさしいれて、胸の先端を触ると、白哉は甘い声をあげた。
「早く褥に行きましょう」
「く、覚えていろ・・・・んんっ」
褥に抱き上げた白哉をおろし、隊長羽織を脱がせて死覇装をはだけさせていく。
細く白い体は、恋次の体とは全然違った。きめ細かい肌は手に吸い付くようで、夢中になってそこかしをを撫でまくった。
「ああ・・・・・・・」
媚薬がきいているせいか、そんな刺激でも白哉には快感になるのだろう。
薄い胸をもみしだくように手を動かし、突起をつまむと、びくりと白哉の体が反応した。
「ひっ」
「感度、やっぱいいけど薬のせいか、いつもより感じてますね」
先端を口に含んで転がしてやると、背中に白哉の手が回された。
「ああ、もう・・・・・いきたい」
「ちょっとまってください」
反応している白哉のものに手をかけて、先端を口で銜えて、鈴口を舌で刺激してやると、あっという間に白哉は精液を放ってしまった。
「あああああ!」
ぜぇぜぇと、荒い息をつく白哉が落ち着くのを待ってから、潤滑油で濡らした指を、つぷりと白哉の体内に侵入させた。
「んああ、あああ・・・・」
指をいれただけでこれだ。ごくりと、恋次は唾を飲み込んだ。
こりこりと、前立腺を刺激してやると、白哉の体はねる。
「ううん!」
何度も何度もそうやっていると、白哉は花茎からだらだらと先走りの液を垂らしていた。
「ああっ、恋次!もう、いやだ・・・・ああ!」
「何言ってるんすか。これからですよ」
指をひきぬいて、猛り狂った己を宛がい、細い白哉の体を一気に貫いた。
「ひああああああああ!」
びくんびくんとはね、逃げる体を褥に縫い留めて、恋次は中を突き上げる。
「すっげ・・・隊長の中、すげぇいい」
「んあう」
挿入と同時に弾けてしまった白哉は、射精の余韻に浸る間もなく、刺激をあたえられる。
「あ、あ、あ・・・・・・」
恋次にしがみつきながら、その背中に整った爪をたてた。
「爪立てていいから、もっと乱れてください」
「ああん・・・・んあ、ひあっ」
ずちゅずちゅと、中を侵されて、声が漏れる。
「んあ・・・・・ひう」
前立腺をこすりあげあれると、白哉はそのたびにビクンと体を痙攣させた。
「ああ・・・・オーガズムでいっちゃいました?」
「オーガ・・・ズム?」
「射精しないでいくこと。さっきから、いきっぱなしですね」
「ひっ・・・いやぁっ」
「いやじゃないでしょ?ここをこんなにして・・・・」
また立ちあがた花茎を手でしごかれて、3度目になる射精を迎えた。
「いああああ!やっ、やぁっ・・・おかしくなる」
「そしたら責任とるから・・・・もっといっちゃってください」
びくんびくんと、ドライでまたいってしまった。
「ひうっ」
敏感になりすぎた体は、突き上げるたび反応した。
「あ、あ、あ・・・・」
もう、自分が何を言っているのが白哉は分かっていなかった。
何度も最奥を突き上げ、何度も白哉をいかせてから、やっと恋次は白濁した液体を白哉の中に注ぎ込んだ。
「まだ、終わりじゃないっすよ。俺、まだ1回目なんで」
「うあ・・・・・・」
白哉を攻めて、やめてくれと懇願されるまで抱いた。
3回目の欲望を注ぎ込んで、やっと恋次も満足した。
「ああ・・・・・うあああ・・・・・・・あああ・・・・・・」
半分狂ったオルゴールのような白哉も、恋次が満足したと同時に意識を失った。
「ん・・・・・」
3時間ほど意識を失っていた。
「あっ・・・・・」
まだ媚薬が効いているようで、白哉は朱くなりながら、身を隠した。
恋次も起きた。
「ああ・・・・まだ、媚薬残ってるんすか。もう挿入はできないけど、かわいがってあげます」
「んあああ」
花茎に手をかけらて、もう出すものなどないのに何度もしごかれた。
「もうよい・・・・・放っておいてくれ」
「でも、辛いでしょう?」
「ひあ・・・・あ、あ・・貴様が触るから・・・辛いのだ。薬も、大分ぬけてきた」
「そうっすか。じゃあ湯浴みにいきますか」
「ううん・・・・・あっあっ・・・・・あとで、後でよい」
全身を這う恋次の手に喘ぎ声をもらしつつ、白哉はまた意識を失った。
「うん・・・・・?」
次に起きると、媚薬は抜けていた。
「湯あみする」
寝ていた恋次も起き出す。
「一人じゃ、立つのつらいでしょう。一緒に入りましょう」
「もう、手を出してくるなよ」
「流石に、俺ももう出ません」
結局、白哉が意識を失う前に4回目の射精を白哉の中に放った恋次だ。
よろける体の白哉を支えて、湯殿に入ると身を清めた。
「寝る」
シーツを変えた褥で、白哉はそういうと恋次のことを無視して、大分疲れたのがすぐに深い眠りに入っていった。
恋次も、白哉を抱き締めながら眠った。
次の日、起きると白哉に往復ビンタをかまされた。
「すんません・・・・調子に乗りました」
「媚薬など・・・・今後、使うな」
「はい」
「昨日のお前はしつこかった。しつこいのは嫌いだ」
「すんません」
白哉は怒ってはいたが、そんなに激しく怒ってはいなかった。
「昨日、よかったっすか?」
その問いに、白哉は真っ赤になってそっぽをむいた。
ああ、なんだかんだでこの人も楽しんでいたんだ。そう分かって、恋次の罪悪感も軽くなる。
「昨日のことなど、忘れろ」
「はい」
言葉では、そうしておいた。
でも、乱れに乱れた白哉の妖艶な姿は、しばらくの間脳裏から離れそうになかった。
朽木家の食事は豪華であるが、食べ残しがない程度の量をそれぞれ出されるので、恋次の中にある貴族の腐った食生活とはまるっきり違った。
他の貴族はどうかは知らないが、朽木家では食べ残しは基本NGらしい。食べれる量だけを出される。
けっこう食べる恋次には、お替りが追加で出されていく。
「恋次、貴様はよく食べるな」
白哉も、見ていて爽快になるほど食べる。
「え、そうっすか。これくらい普通ですけど」
「酒は飲むか?」
「勿論」
それほどアルコール度の高くない、日本酒だった。
「まぁ、飲め」
杯に注がれて、中身をあおると高級酒なのだろう。美味だった。
「隊長も飲んでください」
ほどほどに、白哉は飲んだ。
酔っぱらっていないので、酔って恋次を誘ってくることはなさそうだと、少し残念に思った。酔った白哉は、言動こそつんけんしているがそれは愛らしいのだ。
「この後、いいっすか?」
「もとより、そのつもりで誘った」
白哉は、性欲を覚えると恋次と褥を共にした。
そうだと、最後の酒に、恋次は涅マユリからこっそりもらった媚薬を入れた。
そうとは知らず、白哉はその酒を飲んだ。
「ん・・・・・なんだ、体が熱い・・・・」
即効性と言っていた通り、もう効いてきた。
「隊長・・・・褥にいきましょう」
「あ、ああ・・・・・・・んっ」
着ている服が肌をこするのさえ、刺激になるようで、白哉は甘い声あげた。
「おかしい・・・・・恋次、貴様、まさか私に何か薬も盛ったのではあるまいな?」
「正解。媚薬盛りました」
「貴様!・・・ああっ」
怒る白哉の死覇装に手をさしいれて、胸の先端を触ると、白哉は甘い声をあげた。
「早く褥に行きましょう」
「く、覚えていろ・・・・んんっ」
褥に抱き上げた白哉をおろし、隊長羽織を脱がせて死覇装をはだけさせていく。
細く白い体は、恋次の体とは全然違った。きめ細かい肌は手に吸い付くようで、夢中になってそこかしをを撫でまくった。
「ああ・・・・・・・」
媚薬がきいているせいか、そんな刺激でも白哉には快感になるのだろう。
薄い胸をもみしだくように手を動かし、突起をつまむと、びくりと白哉の体が反応した。
「ひっ」
「感度、やっぱいいけど薬のせいか、いつもより感じてますね」
先端を口に含んで転がしてやると、背中に白哉の手が回された。
「ああ、もう・・・・・いきたい」
「ちょっとまってください」
反応している白哉のものに手をかけて、先端を口で銜えて、鈴口を舌で刺激してやると、あっという間に白哉は精液を放ってしまった。
「あああああ!」
ぜぇぜぇと、荒い息をつく白哉が落ち着くのを待ってから、潤滑油で濡らした指を、つぷりと白哉の体内に侵入させた。
「んああ、あああ・・・・」
指をいれただけでこれだ。ごくりと、恋次は唾を飲み込んだ。
こりこりと、前立腺を刺激してやると、白哉の体はねる。
「ううん!」
何度も何度もそうやっていると、白哉は花茎からだらだらと先走りの液を垂らしていた。
「ああっ、恋次!もう、いやだ・・・・ああ!」
「何言ってるんすか。これからですよ」
指をひきぬいて、猛り狂った己を宛がい、細い白哉の体を一気に貫いた。
「ひああああああああ!」
びくんびくんとはね、逃げる体を褥に縫い留めて、恋次は中を突き上げる。
「すっげ・・・隊長の中、すげぇいい」
「んあう」
挿入と同時に弾けてしまった白哉は、射精の余韻に浸る間もなく、刺激をあたえられる。
「あ、あ、あ・・・・・・」
恋次にしがみつきながら、その背中に整った爪をたてた。
「爪立てていいから、もっと乱れてください」
「ああん・・・・んあ、ひあっ」
ずちゅずちゅと、中を侵されて、声が漏れる。
「んあ・・・・・ひう」
前立腺をこすりあげあれると、白哉はそのたびにビクンと体を痙攣させた。
「ああ・・・・オーガズムでいっちゃいました?」
「オーガ・・・ズム?」
「射精しないでいくこと。さっきから、いきっぱなしですね」
「ひっ・・・いやぁっ」
「いやじゃないでしょ?ここをこんなにして・・・・」
また立ちあがた花茎を手でしごかれて、3度目になる射精を迎えた。
「いああああ!やっ、やぁっ・・・おかしくなる」
「そしたら責任とるから・・・・もっといっちゃってください」
びくんびくんと、ドライでまたいってしまった。
「ひうっ」
敏感になりすぎた体は、突き上げるたび反応した。
「あ、あ、あ・・・・」
もう、自分が何を言っているのが白哉は分かっていなかった。
何度も最奥を突き上げ、何度も白哉をいかせてから、やっと恋次は白濁した液体を白哉の中に注ぎ込んだ。
「まだ、終わりじゃないっすよ。俺、まだ1回目なんで」
「うあ・・・・・・」
白哉を攻めて、やめてくれと懇願されるまで抱いた。
3回目の欲望を注ぎ込んで、やっと恋次も満足した。
「ああ・・・・・うあああ・・・・・・・あああ・・・・・・」
半分狂ったオルゴールのような白哉も、恋次が満足したと同時に意識を失った。
「ん・・・・・」
3時間ほど意識を失っていた。
「あっ・・・・・」
まだ媚薬が効いているようで、白哉は朱くなりながら、身を隠した。
恋次も起きた。
「ああ・・・・まだ、媚薬残ってるんすか。もう挿入はできないけど、かわいがってあげます」
「んあああ」
花茎に手をかけらて、もう出すものなどないのに何度もしごかれた。
「もうよい・・・・・放っておいてくれ」
「でも、辛いでしょう?」
「ひあ・・・・あ、あ・・貴様が触るから・・・辛いのだ。薬も、大分ぬけてきた」
「そうっすか。じゃあ湯浴みにいきますか」
「ううん・・・・・あっあっ・・・・・あとで、後でよい」
全身を這う恋次の手に喘ぎ声をもらしつつ、白哉はまた意識を失った。
「うん・・・・・?」
次に起きると、媚薬は抜けていた。
「湯あみする」
寝ていた恋次も起き出す。
「一人じゃ、立つのつらいでしょう。一緒に入りましょう」
「もう、手を出してくるなよ」
「流石に、俺ももう出ません」
結局、白哉が意識を失う前に4回目の射精を白哉の中に放った恋次だ。
よろける体の白哉を支えて、湯殿に入ると身を清めた。
「寝る」
シーツを変えた褥で、白哉はそういうと恋次のことを無視して、大分疲れたのがすぐに深い眠りに入っていった。
恋次も、白哉を抱き締めながら眠った。
次の日、起きると白哉に往復ビンタをかまされた。
「すんません・・・・調子に乗りました」
「媚薬など・・・・今後、使うな」
「はい」
「昨日のお前はしつこかった。しつこいのは嫌いだ」
「すんません」
白哉は怒ってはいたが、そんなに激しく怒ってはいなかった。
「昨日、よかったっすか?」
その問いに、白哉は真っ赤になってそっぽをむいた。
ああ、なんだかんだでこの人も楽しんでいたんだ。そう分かって、恋次の罪悪感も軽くなる。
「昨日のことなど、忘れろ」
「はい」
言葉では、そうしておいた。
でも、乱れに乱れた白哉の妖艶な姿は、しばらくの間脳裏から離れそうになかった。
浮竹死んだけど幽霊です憑いてます5
朽木ルキアが結婚した。
阿散井恋次と。
京楽は、幽霊浮竹と一緒に白無垢姿でウェディングヴェールをかぶる、美しいルキアの姿を見た。
「朽木ー幸せになれよーーー」
浮竹は、まるで自分がお父さんのような心境だった。
正装した白哉に連れられて、歩いていく姿を見る。
白哉も、幽霊浮竹を見て最初は驚いたが、今は受け入れてくれている。それは、祝いの席に顔をだしている日番谷も同じだった。
というか、隊首会をどうしても開くので、その時に幽霊浮竹がいるのだ。
みんな、最初は奇妙な視線を向けていたが、整然と変わらぬ浮竹の姿を見て、ほっこりしたりして、特に白哉と日番谷は、京楽によかったなと声をかけたほどだ。
「うえーーん」
「ちょっと、浮竹!」
感動のあまり、泣きだした浮竹を泣き止ませるために、京楽は式場を少し出た。
「うわーーーん朽木ーー」
「君が泣いてどうするの!」
「だって、あの朽木が・・・娘みたいに思ってた朽木が阿散井副隊と結婚なんだぞ。これが泣かずにいられるか」
「ああもう、落ち着いて」
「あ、すまない。俺が泣くと、憑いている京楽が泣いているように、遠くからだと見えるな」
ぽたぽたと、涙の雫が降ってきた。
「あれ?」
すーっと、浮竹の体が実体化していく。
「浮竹?なんで?」
「分からない・・・・でも、なぜか分かるんだ。今日一日は、ずっと生身のままでいれる」
京楽は、式場を抜け出して、七緒に何かを告げると、浮竹を横抱きにして瞬歩で1番隊の隊首室の奥にある、寝室にやってきた。
「京楽?式は・・・?」
「後で、いくらでも見せてあげるから。ちゃんと撮影させてあるし」
「ああ、うん。どうしたんだ・・・・・んんっ」
抱き締められて、そのまま舌が絡まる口づけを受けた。
「ああっ」
体を弄られて、浮竹は声を漏らしていた。
「京楽・・・・そのするのか?」
「この日がくるのを・・・・ずっとずっと、待っていたんだよ。君をこの手で抱ける日を」
浮竹の着ている衣服を全部ぬがせて、全身にキスの雨を降らせていく。
「んっ」
首筋にピリッと痛みを感じた。
歯型が残された。
「噛むな・・・・時間は、ある」
「そんなの、分からないじゃない」
平坦な胸を撫でて、先端を口に含み、もう一方を摘みあげた。
「ああん」
「君の、演技ではない喘ぎ声・・・腰にくるね」
かたくなった熱いものが、浮竹の腰に当てられた。
浮竹も、久しぶりすぎて最初は戸惑ったが、火をつけられて、京楽の衣服を脱がしていく。
「んっ」
潤滑油にまみれた指が、体内に入ってくる。実に、7年ぶりくらいだろうか。
「あああ!」
ばらばらに動かされて、その1つが前立腺を刺激した。
「京楽・・・・・、もういいから、来い。お前と一つになりたい。数年ぶりなんだ・・・」
浮竹の言葉に、京楽も我慢ができずに潤滑油で己をぬらすと、狭い浮竹の中に欲望をめりこませた。
「あああ、ああ、ああ!」
みしみしと、音がする。
「きついな・・・」
ちゃんと解しておかなかったので、半ば無理やり侵入する形になった。
「痛くない?」
「痛みさえ、今は愛おしい」
京楽が動き出す。潤滑油まみれにしているので、一度中に入ると、後はすむーずに挿入が繰り返された。
「ああっ!・・・・・いい、もっと・・・・・」
浮竹は乱れた。
7年ぶりとの恋人との逢瀬に、夢中になる。
「キスして・・・」
突き上げられながら、キスを強請った。
舌が絡まるキスをしながら、京楽は浮竹の中を侵し、前立腺をすりあげる。
「んああああ!」
びくりと、浮竹の体がはねた。
実に7年ぶりになる吐精は、刺激が強すぎて、あまりの気持ちよさに浮竹は意識を失いかけた。
「まだ、気絶するのは早いよ」
「ああん!」
何度も何度も前立腺をすりあげられる。
ドライのオーガムズでもいかされた。
京楽は、最初は性急であったが、ゆっくりと浮竹を犯した。
「ああ、君の中は気持ちいいね・・・・僕もそろそろ限界だ」
「ひあっ、やめ・・・・・」
「絶対にやめない」
逃げる浮竹の体を、その両手を頭の上で戒めて、最奥をつきあげて、ドクドクと大量の精液を、浮竹の腹の奥に出した。
じんわりと広がっていく熱に、浮竹は生理的な涙を零した。
「京楽のものだって、印をもらった」
その涙を吸い取って、またパンパンと音がなるくらい、激しく浮竹の腰に腰をぶつける。
「あああ!」
浮竹の啼き声が、京楽の耳を脳を刺激する。
その声を聞くだけでもいけるのだ。いつもは、浮竹の喘ぎ声だけで自分を慰めていた。
7年ぶりの逢瀬は、激しかった。
途中で、精強剤を京楽は口にして、浮竹には媚薬を与えた。
「ああ、んああああ!!!」
浮竹と京楽が繋がっているそこは、じゅぷじゅぷと体液が粟立っていた。
「んあっ、激し・・・・・」
「まだまだだよ。7年だよ?どれほどこの日を待ちわびたことか・・・・」
一度引き抜いて、後ろから浮竹を貫いた。
「あああ!」
そのまま、とさりと自分のほうへ浮竹をもってきて、角度をかえさせる。
ぐりっと前立腺を抉られて、浮竹は精液を吐き出した。
「ああ!」
騎乗位になった。
浮竹は、自分から京楽を受け入れる。
ずぷずぷと、蕾の中に飲み込んでいく。
「んあ・・・あああ、京楽が・・・中で、大きく・・・・」
精強剤の影響だろうか。
二度目の熱を放った。まだまだいけそうだった。
ずちゅ、ずちゅ。
もう、浮竹は体力が尽きて、か細い喘ぎ声を出すだけになっていた。
「んあ・・・・・・ああ・・・・・」
3時間ばかりは、浮竹を犯し続けただろうか。
もう5回は浮竹は性液を放った。その後は、放つものもなくなったが、ドライのオーガズムで何十回といった。
ただの精強剤ではない。涅マユリに過去に作らせて、結局浮竹が生きている間は使わなかった薬だった。
もう6回以上、浮竹の中に放っているのに、まだまだ欲望は硬い。
前立腺をすりあげてやると、ぴくんと浮竹の体は反応する。
「ううん・・・・・・あっ、あっ」
くちゅくちゅ。
浅い部分を犯してから、ぐちゅりと音を立てて、前立腺を突き上げた。
「ああん・・・・ああ・・・・・」
射精したいのにもうだすものがなくて、出したいのに出せなくて、浮竹は生理的な涙を流す。
ぐちゃぐちゃと、最奥まで突き上げると、がくりと、限界を迎えたのか、浮竹が意識を失った。
でも、まだ京楽は満足していない。
浮竹を頬をぺチぺチと叩いて意識を戻させると、また浮竹を犯した。
「ああん、もう頭が、おかしく、なるう。きょうら・・・・・やあ、もう、犯さないで・・・・やあああっ」
浮竹の願いも、今ばかりは聞き入れられない。
それから、何度も意識を失う浮竹を起こしては、ずちゅずちゅと中を突き上げて、ぐちゃぐちゃに犯した。
「ふう・・・・・・」
10回目の射精を終えて、やっと京楽は満足した。
「ああ・・・・うう・・・うあああ・・・・・」
浮竹は、半ば壊れ気味に喘ぎ声を漏らす。
「浮竹・・・・・・・愛してるよ。酷くしてごめんね」
「あ・・・・きょうら・・く・・・・・俺も、愛して・・・・・・・」
ガクリと。
最後まで言えず、浮竹は意識をやっと完全に手放すことを許された。
京楽は、浮竹を抱き上げて、湯浴みをする。ぼとぼとと、大量の白濁した液体が、浮竹の蕾からあふれてきた。
「僕、すごく出したんだね・・・ああ、本当にきもちよかった。極楽だったよ」
意識のない浮竹に口づけて、情事の痕を隠すように、髪も体もべとべとだったので洗ってあげた。
ベッドは二人の体液ですごいことになっていたので、シーツを変えた。
浮竹をそっと寝かす。体中にキスマークを残されて、まるで数人がかりで犯された後のようなかんじだった。
「ごめんね、浮竹」
3時間ほど、浮竹は眠っていたが、ふと気を取り戻した。
「やり過ぎた・・・・・もう、指を動かすのさえだるい・・・・・・・」
「ごめん。7年ぶりなものだから」
「分けてするとか、少しは受け身の配慮をしろ」
「ごめんね。愛してるよ」
抱き締めてくる京楽を抱き締め返す。
「俺も、愛している。こんな性欲バカでも、愛してる」
「制欲バカでこめんね」
「全くだ・・・・・・んっ」
口づけを何度もされた。
残った時間は、二人で一緒にべッドの上で体温を共有しあって過ごした。
いつの愛にか眠ってしまった。
食事をとることもなく、睦みあって寝るだけだった。
やがて24時間が経過したのか、浮竹の体が透けていく。
すーっと、透けてしまって、もう触れない浮竹を残念に思いつつも、7年間溜めていた想いをぶつけれたので、満足だった。
「むー。今度長く実体化したときは、もっと手加減してくれ」
「うん。でも、また長く実体化できそうなの?」
「年に一度くらいはできそうだ。お前の霊圧を浴び続けているせいだろうな」
「幽霊の浮竹も、さっきまで生身だった浮竹にも霊圧はなかったからね」
8番隊の食堂にいき、実に24時間以上ぶりになる食事だったので、二人はよく食べた。
「んー。この中華スープうまいなぁ。疲れた体に染み渡る」
その日のメニューは中華だった。中華スープ、麻婆豆腐、エビチリ、エビマヨ、キムチチャーハン、杏仁豆腐。
杏仁豆腐をは浮竹は3人前はぺろりと平らげてしまった。
「あー。すっきりしてよく寝た後の食事はおいしいね」
「お陰で、こっちは霊体になってもくたくただ。腰が今までの人生の中で一番痛くて重い」
「ごめん。でも、君も気持ちよかったでしょ?媚薬、けっこうきいたでしょ」
「もうしらん!」
ぷいっとあっちを向く、幽霊の恋人のご機嫌をとるために、もう1人前杏仁豆腐を注文する京楽であった。
阿散井恋次と。
京楽は、幽霊浮竹と一緒に白無垢姿でウェディングヴェールをかぶる、美しいルキアの姿を見た。
「朽木ー幸せになれよーーー」
浮竹は、まるで自分がお父さんのような心境だった。
正装した白哉に連れられて、歩いていく姿を見る。
白哉も、幽霊浮竹を見て最初は驚いたが、今は受け入れてくれている。それは、祝いの席に顔をだしている日番谷も同じだった。
というか、隊首会をどうしても開くので、その時に幽霊浮竹がいるのだ。
みんな、最初は奇妙な視線を向けていたが、整然と変わらぬ浮竹の姿を見て、ほっこりしたりして、特に白哉と日番谷は、京楽によかったなと声をかけたほどだ。
「うえーーん」
「ちょっと、浮竹!」
感動のあまり、泣きだした浮竹を泣き止ませるために、京楽は式場を少し出た。
「うわーーーん朽木ーー」
「君が泣いてどうするの!」
「だって、あの朽木が・・・娘みたいに思ってた朽木が阿散井副隊と結婚なんだぞ。これが泣かずにいられるか」
「ああもう、落ち着いて」
「あ、すまない。俺が泣くと、憑いている京楽が泣いているように、遠くからだと見えるな」
ぽたぽたと、涙の雫が降ってきた。
「あれ?」
すーっと、浮竹の体が実体化していく。
「浮竹?なんで?」
「分からない・・・・でも、なぜか分かるんだ。今日一日は、ずっと生身のままでいれる」
京楽は、式場を抜け出して、七緒に何かを告げると、浮竹を横抱きにして瞬歩で1番隊の隊首室の奥にある、寝室にやってきた。
「京楽?式は・・・?」
「後で、いくらでも見せてあげるから。ちゃんと撮影させてあるし」
「ああ、うん。どうしたんだ・・・・・んんっ」
抱き締められて、そのまま舌が絡まる口づけを受けた。
「ああっ」
体を弄られて、浮竹は声を漏らしていた。
「京楽・・・・そのするのか?」
「この日がくるのを・・・・ずっとずっと、待っていたんだよ。君をこの手で抱ける日を」
浮竹の着ている衣服を全部ぬがせて、全身にキスの雨を降らせていく。
「んっ」
首筋にピリッと痛みを感じた。
歯型が残された。
「噛むな・・・・時間は、ある」
「そんなの、分からないじゃない」
平坦な胸を撫でて、先端を口に含み、もう一方を摘みあげた。
「ああん」
「君の、演技ではない喘ぎ声・・・腰にくるね」
かたくなった熱いものが、浮竹の腰に当てられた。
浮竹も、久しぶりすぎて最初は戸惑ったが、火をつけられて、京楽の衣服を脱がしていく。
「んっ」
潤滑油にまみれた指が、体内に入ってくる。実に、7年ぶりくらいだろうか。
「あああ!」
ばらばらに動かされて、その1つが前立腺を刺激した。
「京楽・・・・・、もういいから、来い。お前と一つになりたい。数年ぶりなんだ・・・」
浮竹の言葉に、京楽も我慢ができずに潤滑油で己をぬらすと、狭い浮竹の中に欲望をめりこませた。
「あああ、ああ、ああ!」
みしみしと、音がする。
「きついな・・・」
ちゃんと解しておかなかったので、半ば無理やり侵入する形になった。
「痛くない?」
「痛みさえ、今は愛おしい」
京楽が動き出す。潤滑油まみれにしているので、一度中に入ると、後はすむーずに挿入が繰り返された。
「ああっ!・・・・・いい、もっと・・・・・」
浮竹は乱れた。
7年ぶりとの恋人との逢瀬に、夢中になる。
「キスして・・・」
突き上げられながら、キスを強請った。
舌が絡まるキスをしながら、京楽は浮竹の中を侵し、前立腺をすりあげる。
「んああああ!」
びくりと、浮竹の体がはねた。
実に7年ぶりになる吐精は、刺激が強すぎて、あまりの気持ちよさに浮竹は意識を失いかけた。
「まだ、気絶するのは早いよ」
「ああん!」
何度も何度も前立腺をすりあげられる。
ドライのオーガムズでもいかされた。
京楽は、最初は性急であったが、ゆっくりと浮竹を犯した。
「ああ、君の中は気持ちいいね・・・・僕もそろそろ限界だ」
「ひあっ、やめ・・・・・」
「絶対にやめない」
逃げる浮竹の体を、その両手を頭の上で戒めて、最奥をつきあげて、ドクドクと大量の精液を、浮竹の腹の奥に出した。
じんわりと広がっていく熱に、浮竹は生理的な涙を零した。
「京楽のものだって、印をもらった」
その涙を吸い取って、またパンパンと音がなるくらい、激しく浮竹の腰に腰をぶつける。
「あああ!」
浮竹の啼き声が、京楽の耳を脳を刺激する。
その声を聞くだけでもいけるのだ。いつもは、浮竹の喘ぎ声だけで自分を慰めていた。
7年ぶりの逢瀬は、激しかった。
途中で、精強剤を京楽は口にして、浮竹には媚薬を与えた。
「ああ、んああああ!!!」
浮竹と京楽が繋がっているそこは、じゅぷじゅぷと体液が粟立っていた。
「んあっ、激し・・・・・」
「まだまだだよ。7年だよ?どれほどこの日を待ちわびたことか・・・・」
一度引き抜いて、後ろから浮竹を貫いた。
「あああ!」
そのまま、とさりと自分のほうへ浮竹をもってきて、角度をかえさせる。
ぐりっと前立腺を抉られて、浮竹は精液を吐き出した。
「ああ!」
騎乗位になった。
浮竹は、自分から京楽を受け入れる。
ずぷずぷと、蕾の中に飲み込んでいく。
「んあ・・・あああ、京楽が・・・中で、大きく・・・・」
精強剤の影響だろうか。
二度目の熱を放った。まだまだいけそうだった。
ずちゅ、ずちゅ。
もう、浮竹は体力が尽きて、か細い喘ぎ声を出すだけになっていた。
「んあ・・・・・・ああ・・・・・」
3時間ばかりは、浮竹を犯し続けただろうか。
もう5回は浮竹は性液を放った。その後は、放つものもなくなったが、ドライのオーガズムで何十回といった。
ただの精強剤ではない。涅マユリに過去に作らせて、結局浮竹が生きている間は使わなかった薬だった。
もう6回以上、浮竹の中に放っているのに、まだまだ欲望は硬い。
前立腺をすりあげてやると、ぴくんと浮竹の体は反応する。
「ううん・・・・・・あっ、あっ」
くちゅくちゅ。
浅い部分を犯してから、ぐちゅりと音を立てて、前立腺を突き上げた。
「ああん・・・・ああ・・・・・」
射精したいのにもうだすものがなくて、出したいのに出せなくて、浮竹は生理的な涙を流す。
ぐちゃぐちゃと、最奥まで突き上げると、がくりと、限界を迎えたのか、浮竹が意識を失った。
でも、まだ京楽は満足していない。
浮竹を頬をぺチぺチと叩いて意識を戻させると、また浮竹を犯した。
「ああん、もう頭が、おかしく、なるう。きょうら・・・・・やあ、もう、犯さないで・・・・やあああっ」
浮竹の願いも、今ばかりは聞き入れられない。
それから、何度も意識を失う浮竹を起こしては、ずちゅずちゅと中を突き上げて、ぐちゃぐちゃに犯した。
「ふう・・・・・・」
10回目の射精を終えて、やっと京楽は満足した。
「ああ・・・・うう・・・うあああ・・・・・」
浮竹は、半ば壊れ気味に喘ぎ声を漏らす。
「浮竹・・・・・・・愛してるよ。酷くしてごめんね」
「あ・・・・きょうら・・く・・・・・俺も、愛して・・・・・・・」
ガクリと。
最後まで言えず、浮竹は意識をやっと完全に手放すことを許された。
京楽は、浮竹を抱き上げて、湯浴みをする。ぼとぼとと、大量の白濁した液体が、浮竹の蕾からあふれてきた。
「僕、すごく出したんだね・・・ああ、本当にきもちよかった。極楽だったよ」
意識のない浮竹に口づけて、情事の痕を隠すように、髪も体もべとべとだったので洗ってあげた。
ベッドは二人の体液ですごいことになっていたので、シーツを変えた。
浮竹をそっと寝かす。体中にキスマークを残されて、まるで数人がかりで犯された後のようなかんじだった。
「ごめんね、浮竹」
3時間ほど、浮竹は眠っていたが、ふと気を取り戻した。
「やり過ぎた・・・・・もう、指を動かすのさえだるい・・・・・・・」
「ごめん。7年ぶりなものだから」
「分けてするとか、少しは受け身の配慮をしろ」
「ごめんね。愛してるよ」
抱き締めてくる京楽を抱き締め返す。
「俺も、愛している。こんな性欲バカでも、愛してる」
「制欲バカでこめんね」
「全くだ・・・・・・んっ」
口づけを何度もされた。
残った時間は、二人で一緒にべッドの上で体温を共有しあって過ごした。
いつの愛にか眠ってしまった。
食事をとることもなく、睦みあって寝るだけだった。
やがて24時間が経過したのか、浮竹の体が透けていく。
すーっと、透けてしまって、もう触れない浮竹を残念に思いつつも、7年間溜めていた想いをぶつけれたので、満足だった。
「むー。今度長く実体化したときは、もっと手加減してくれ」
「うん。でも、また長く実体化できそうなの?」
「年に一度くらいはできそうだ。お前の霊圧を浴び続けているせいだろうな」
「幽霊の浮竹も、さっきまで生身だった浮竹にも霊圧はなかったからね」
8番隊の食堂にいき、実に24時間以上ぶりになる食事だったので、二人はよく食べた。
「んー。この中華スープうまいなぁ。疲れた体に染み渡る」
その日のメニューは中華だった。中華スープ、麻婆豆腐、エビチリ、エビマヨ、キムチチャーハン、杏仁豆腐。
杏仁豆腐をは浮竹は3人前はぺろりと平らげてしまった。
「あー。すっきりしてよく寝た後の食事はおいしいね」
「お陰で、こっちは霊体になってもくたくただ。腰が今までの人生の中で一番痛くて重い」
「ごめん。でも、君も気持ちよかったでしょ?媚薬、けっこうきいたでしょ」
「もうしらん!」
ぷいっとあっちを向く、幽霊の恋人のご機嫌をとるために、もう1人前杏仁豆腐を注文する京楽であった。
浮竹死んだけど幽霊です憑いてます4
「あーおいしかった」
浮竹は満足げだった。
今回は、高級料理店に、京楽と二人きりで訪れたのだ。とはいっても、浮竹は幽霊だったが。しかも幽霊なのにものを食べれるのだ。
おまけに、短い時間なら具現化できて触れるし、寝るし、お風呂に入ってそのぬくもりを堪能するし・・・ないことといえば、厠にいくことと、着換えることがないことだろうか。
「んー。お酒の味もよかったね」
「ああ。この幽霊の姿だと、酔うこともないようで、京楽の飲む酒の良さも分かった」
「一つ、新しい発見をしたね」
「ああ」
二人きりで、夜の瀞霊廷を歩く。
月明りが綺麗で、星も綺麗だった。
「総隊長は意外と大変だからねぇ。ああ、8番隊の隊長であった頃が懐かしいよ」
「俺も、生きてた頃が懐かしい」
できることなら、京楽と一緒に生きていたかった。その願いが強すぎたために、幽霊になって憑いてしまったのかと思ったほどだった。
「明日も早いのか?」
「ううん。明日は久しぶりの非番だよ」
「そうか!実は行きたいところがあるんだ」
「どこだい?」
「その・・・・京楽には悪いんだが、実家へ一度もどってみたいんだ」
「分かった。君をお嫁さんにもらっているって報告だね」
「京楽!」
浮竹は真っ赤になっていた。
「両親には、長いこと顔を出さなかった上に、葬儀の時にはもうしゃべることもできなかったから・・・・幽霊であれるうちに、言葉を交わしておきたくて」
「分かったよ。明日は、君の故郷へ行こう」
「すまない、京楽」
浮竹は、10秒間くらい具現化すると、ちゅっと音をたてて京楽の頬にキスをした。
「どうせなら、唇にしてくれたらいいのに」
「そんな、人が見てるかもしれないだろう!」
「こんな夜中に出歩いてるのは、不寝番か飲みいったりしてる死神たちだけだよ」
「じゃあ・・・・」
今度は、1分間ほど具現化した。
唇を重ねあう。舌が絡まった。
「ああ・・・・んっ、京楽」
思い切り抱きしめられていたが、時間切れになって宙を抱いた。
「ああ、残念。一度でいいから、1日中君が触れる日がこないかな」
「誰かにとり憑けば可能だが、そんなの嫌だろう?」
「他人にとり憑くのがそもそもいやだね。浮竹が僕以外にとり憑くなんてだめだよ」
「京楽の霊圧を浴び続けているから、そのうち1時間くらいなら実体化できるかもしれない」
「ほんとに!?エッチしてもいい?」
浮竹は真っ赤になった。
「ま、まぁ仕方ないか。お前にはもう5年以上も我慢させてるんだものな」
京楽の一人エッチをなるべく見ないようにして、おかずにと一人で喘ぐという虚しい行為は、週に2回くらいあった。
キスなら今まで何度かしてきたが、流石に交わることまではできなかった。
「とにかく、今日はもう帰ろう。お酒のせいか、眠い」
「寝てていいよ」
「ああ、じゃあ先に寝る」
京楽に憑いているので、寝ていても京楽が移動すると移動した。
次の日になって、浮竹と京楽は、浮竹の故郷に来ていた。
「十四郎・・・本当に、十四郎なの!?」
「十四郎!」
「お兄様!」
「兄ちゃん!」
「兄貴!」
家族全員に、京楽がもみくちゃにされた。
「あ、すみません京楽様・・・・その十四郎はどうして。成仏できなかったのでしょうか?」
「うーん、よく分からないんだけど、突然ある日こうして幽霊になってとり憑かれてね。でも祟りとかないし、虚化するわけでもないし、害は全くないんだ」
「十四郎、幽霊らしいけど、元気にやっているの?」
「ああ、母上。幽霊だけど、食事もできるし味も分かるんだ。けっこう、幽霊ライフエンジョイしてる」
「まぁ。それなら、今日は手料理を作るから、久しぶりに食べてね」
幽霊になった浮竹をすぐ受け入れるあたり、浮竹の家系は適応力が高すぎると、京楽は思った。
浮竹も、幽霊になったことを最初は悩んでいたようだが、3日ほどすると飽きて、幽霊でいることを楽しみだした。
といっても、京楽に憑いているので、京楽がいる範囲から2~3メートルほどしか移動できないが。
「母上の料理はうまいんだぞ、京楽。お前も食え」
「ご相伴に預かります」
「まぁ、上流貴族である京楽家の方には、味気ないかもしれませんが・・・・」
浮竹は、気分が済むまで両親と妹弟たちと会話をした。
夜になって、湯殿をかりて湯浴みをした。
「あーきもちいい・・・今日は、楽しかったなぁ」
「まだ、ご飯があるでしょ」
「そうだった。母上が、丹精込めて作ってくれるらしいから」
浮竹が死に、仕送りのなくなった浮竹の家族は、一時期借金を背負った。死亡という形で、遺族年金として、仕送りをしていた額を毎月送られるようになって、浮竹の家族はなんとか生きていけるようになった。仕送りに頼り切りだった妹や弟たちも、職を得るいい機会にはなった。
だが、兄の死は大きかった。
浮竹の死を一番嘆いたのは京楽であるが、家族もそれに劣らないほど嘆いた。
その日の夕飯のために、浮竹の父親が、山に入って猪をとってきた。
その日の夕食は、牡丹鍋だった。
「猪食べるのはじめてだけど・・・・・意外と美味しいね」
「そうだろう」
浮竹の器にもられた肉は、さっと消える。
兄弟が多いだけあって、たくさんあった猪の肉も、すぐになくなってしまった。
次に出されたのは、鮎の塩焼きだった。これも量があったが、8人兄弟で両親しかも京楽つきということもあって11人が食事をするとえらいことになるのが分かった。
母親だけでなく、2人の妹に、5人の弟たちも料理を手伝うので、ただ食べているだけなのは、京楽と浮竹と、浮竹の父だった。
浮竹の父親は、猪としとめたり、鮎をとってきたりで疲れているからだ。
浮竹家では、鶏もたくさんかわれていて、他にもうずらもいた。畑も広いし、鮎を養殖している。
自給自足っぽい生活を送りつつ、足りない部分を、今まで浮竹の仕送りで補ってきたのだ。
確かに職をもっていない弟もいたが、ちゃんと畑仕事や狩りはしていたし、浮竹の家族が京楽が思っていたよりしっかりしていた。
浮竹の仕送りに頼り切りだと聞いた時は、なんて酷い家族だろうと思い、職を得させようと動いて、逆に浮竹に怒られたことがあった。
「まぁなんだかんだで。浮竹十四郎は、京楽春水が、責任をもって面倒を見ます。嫁にいったと思ってください。浮竹に会いにきたいなら、いつでも一番隊執務室を訪れてください」
瀞霊廷の端っこに住んでいる浮竹一族は、嫁にいってしまった浮竹を、京楽に「どうか幸せにしてください」と言って、次の日別れの時に涙を流しながら手を振っていた。
「なぁ、浮竹」
「言わなくていい。俺の一族は、ちょっと変なんだ」
「うん、そうだね」
普通、幽霊で嫁にもらったなんて言い出すと、怒る。それが、涙を流して幸せにしください・・・適応力がありすぎて、京楽もびっくりだった。
幽霊浮竹は、好きなだけ家族と話ができて、すっきりした顔をしていた。
結局、肺の病でなくなったので、両親も弟妹も、とても悲しんだのだ。
浮竹はもやはり、病気が急激に進行して亡くなったので、家族と言葉を交わしたかったのだ。
それが叶って、京楽も嬉しかった。
「時々でいいから、また故郷に足を向けてもらってもいいか?」
「浮竹をお嫁さんにもらったからね。勿論だよ」
「京楽十四郎か、俺は?」
くすくすと、二人で笑いあった。
幽霊浮竹と、生身の京楽の奇妙な同棲生活は、今後も続きそうであった。
浮竹は満足げだった。
今回は、高級料理店に、京楽と二人きりで訪れたのだ。とはいっても、浮竹は幽霊だったが。しかも幽霊なのにものを食べれるのだ。
おまけに、短い時間なら具現化できて触れるし、寝るし、お風呂に入ってそのぬくもりを堪能するし・・・ないことといえば、厠にいくことと、着換えることがないことだろうか。
「んー。お酒の味もよかったね」
「ああ。この幽霊の姿だと、酔うこともないようで、京楽の飲む酒の良さも分かった」
「一つ、新しい発見をしたね」
「ああ」
二人きりで、夜の瀞霊廷を歩く。
月明りが綺麗で、星も綺麗だった。
「総隊長は意外と大変だからねぇ。ああ、8番隊の隊長であった頃が懐かしいよ」
「俺も、生きてた頃が懐かしい」
できることなら、京楽と一緒に生きていたかった。その願いが強すぎたために、幽霊になって憑いてしまったのかと思ったほどだった。
「明日も早いのか?」
「ううん。明日は久しぶりの非番だよ」
「そうか!実は行きたいところがあるんだ」
「どこだい?」
「その・・・・京楽には悪いんだが、実家へ一度もどってみたいんだ」
「分かった。君をお嫁さんにもらっているって報告だね」
「京楽!」
浮竹は真っ赤になっていた。
「両親には、長いこと顔を出さなかった上に、葬儀の時にはもうしゃべることもできなかったから・・・・幽霊であれるうちに、言葉を交わしておきたくて」
「分かったよ。明日は、君の故郷へ行こう」
「すまない、京楽」
浮竹は、10秒間くらい具現化すると、ちゅっと音をたてて京楽の頬にキスをした。
「どうせなら、唇にしてくれたらいいのに」
「そんな、人が見てるかもしれないだろう!」
「こんな夜中に出歩いてるのは、不寝番か飲みいったりしてる死神たちだけだよ」
「じゃあ・・・・」
今度は、1分間ほど具現化した。
唇を重ねあう。舌が絡まった。
「ああ・・・・んっ、京楽」
思い切り抱きしめられていたが、時間切れになって宙を抱いた。
「ああ、残念。一度でいいから、1日中君が触れる日がこないかな」
「誰かにとり憑けば可能だが、そんなの嫌だろう?」
「他人にとり憑くのがそもそもいやだね。浮竹が僕以外にとり憑くなんてだめだよ」
「京楽の霊圧を浴び続けているから、そのうち1時間くらいなら実体化できるかもしれない」
「ほんとに!?エッチしてもいい?」
浮竹は真っ赤になった。
「ま、まぁ仕方ないか。お前にはもう5年以上も我慢させてるんだものな」
京楽の一人エッチをなるべく見ないようにして、おかずにと一人で喘ぐという虚しい行為は、週に2回くらいあった。
キスなら今まで何度かしてきたが、流石に交わることまではできなかった。
「とにかく、今日はもう帰ろう。お酒のせいか、眠い」
「寝てていいよ」
「ああ、じゃあ先に寝る」
京楽に憑いているので、寝ていても京楽が移動すると移動した。
次の日になって、浮竹と京楽は、浮竹の故郷に来ていた。
「十四郎・・・本当に、十四郎なの!?」
「十四郎!」
「お兄様!」
「兄ちゃん!」
「兄貴!」
家族全員に、京楽がもみくちゃにされた。
「あ、すみません京楽様・・・・その十四郎はどうして。成仏できなかったのでしょうか?」
「うーん、よく分からないんだけど、突然ある日こうして幽霊になってとり憑かれてね。でも祟りとかないし、虚化するわけでもないし、害は全くないんだ」
「十四郎、幽霊らしいけど、元気にやっているの?」
「ああ、母上。幽霊だけど、食事もできるし味も分かるんだ。けっこう、幽霊ライフエンジョイしてる」
「まぁ。それなら、今日は手料理を作るから、久しぶりに食べてね」
幽霊になった浮竹をすぐ受け入れるあたり、浮竹の家系は適応力が高すぎると、京楽は思った。
浮竹も、幽霊になったことを最初は悩んでいたようだが、3日ほどすると飽きて、幽霊でいることを楽しみだした。
といっても、京楽に憑いているので、京楽がいる範囲から2~3メートルほどしか移動できないが。
「母上の料理はうまいんだぞ、京楽。お前も食え」
「ご相伴に預かります」
「まぁ、上流貴族である京楽家の方には、味気ないかもしれませんが・・・・」
浮竹は、気分が済むまで両親と妹弟たちと会話をした。
夜になって、湯殿をかりて湯浴みをした。
「あーきもちいい・・・今日は、楽しかったなぁ」
「まだ、ご飯があるでしょ」
「そうだった。母上が、丹精込めて作ってくれるらしいから」
浮竹が死に、仕送りのなくなった浮竹の家族は、一時期借金を背負った。死亡という形で、遺族年金として、仕送りをしていた額を毎月送られるようになって、浮竹の家族はなんとか生きていけるようになった。仕送りに頼り切りだった妹や弟たちも、職を得るいい機会にはなった。
だが、兄の死は大きかった。
浮竹の死を一番嘆いたのは京楽であるが、家族もそれに劣らないほど嘆いた。
その日の夕飯のために、浮竹の父親が、山に入って猪をとってきた。
その日の夕食は、牡丹鍋だった。
「猪食べるのはじめてだけど・・・・・意外と美味しいね」
「そうだろう」
浮竹の器にもられた肉は、さっと消える。
兄弟が多いだけあって、たくさんあった猪の肉も、すぐになくなってしまった。
次に出されたのは、鮎の塩焼きだった。これも量があったが、8人兄弟で両親しかも京楽つきということもあって11人が食事をするとえらいことになるのが分かった。
母親だけでなく、2人の妹に、5人の弟たちも料理を手伝うので、ただ食べているだけなのは、京楽と浮竹と、浮竹の父だった。
浮竹の父親は、猪としとめたり、鮎をとってきたりで疲れているからだ。
浮竹家では、鶏もたくさんかわれていて、他にもうずらもいた。畑も広いし、鮎を養殖している。
自給自足っぽい生活を送りつつ、足りない部分を、今まで浮竹の仕送りで補ってきたのだ。
確かに職をもっていない弟もいたが、ちゃんと畑仕事や狩りはしていたし、浮竹の家族が京楽が思っていたよりしっかりしていた。
浮竹の仕送りに頼り切りだと聞いた時は、なんて酷い家族だろうと思い、職を得させようと動いて、逆に浮竹に怒られたことがあった。
「まぁなんだかんだで。浮竹十四郎は、京楽春水が、責任をもって面倒を見ます。嫁にいったと思ってください。浮竹に会いにきたいなら、いつでも一番隊執務室を訪れてください」
瀞霊廷の端っこに住んでいる浮竹一族は、嫁にいってしまった浮竹を、京楽に「どうか幸せにしてください」と言って、次の日別れの時に涙を流しながら手を振っていた。
「なぁ、浮竹」
「言わなくていい。俺の一族は、ちょっと変なんだ」
「うん、そうだね」
普通、幽霊で嫁にもらったなんて言い出すと、怒る。それが、涙を流して幸せにしください・・・適応力がありすぎて、京楽もびっくりだった。
幽霊浮竹は、好きなだけ家族と話ができて、すっきりした顔をしていた。
結局、肺の病でなくなったので、両親も弟妹も、とても悲しんだのだ。
浮竹はもやはり、病気が急激に進行して亡くなったので、家族と言葉を交わしたかったのだ。
それが叶って、京楽も嬉しかった。
「時々でいいから、また故郷に足を向けてもらってもいいか?」
「浮竹をお嫁さんにもらったからね。勿論だよ」
「京楽十四郎か、俺は?」
くすくすと、二人で笑いあった。
幽霊浮竹と、生身の京楽の奇妙な同棲生活は、今後も続きそうであった。
色のない世界番外編 花の神と夢魔
「京楽?」
浮竹は、闇の中にいた。
ああ、これは夢だ。
京楽が、血を流して倒れていた。心臓に、斬魄刀を突き刺して、自害していた。傍らには、吐血して絶命した自分の姿。
ああ、嫌な夢だ。
早く覚めてくれればいいのに。
(今、夢だと思ったな?違う、これはいつか来たるべきそう遠くない未来の世界。そのヒトコマ)
声がして、はっとなった。
「夢見せの虚か!」
最近話題というか、現実になる夢を見せるとして有名な「夢見せの虚」に夢を見せられたのだと分かって、意識を覚醒させる。
「こんなもの、ただの夢だ!」
通常、夢見せの虚に夢を見せられた者は、そのまま廃人となって虚に食われるか、逃れてもその夢の通りになって死ぬという。
「こんな夢!」
双魚の理を始解して、夢見せの虚を切り裂いた。
「ぎゃああああああああ!ゆ、夢の通りになる・・・・いつか、お前はあの夢の通りに死に、愛する男を・・・・あああああ・・・・・・」
霊子の塵となっていく虚を無視して、剣を収めた。
「大丈夫ですか、隊長!」
かけつけてきたルキアが、声をかけてくれた。
「隊長は、お前のほうだろう」
浮竹は、苦笑した。
13番隊の席官の一人が、夢見せの虚にやられ、夢を見せられてそのまま夢の通りに死んだ。
他の隊でも、夢見せの虚にやられる死神が後を絶たず、13番隊隊長のルキアと、元13番隊隊長であった浮竹が、共に討伐に乗り出したのだ。
花の神の力でもう一度、この世に生を受けた浮竹は、肺の病を完治させている。
それから考えても、あんな夢の通りにはならないはずだ。
でも、夢見せの虚は、現実になる夢を見せるという。
それは、強い暗示でもあった。
「ぐ・・・・ごほっごほっ」
肺がずきりと痛み、気づくと吐血していた。
「隊長!そんな、病は治ったはずじゃ!」
「こんな・・・・ばかな・・・・」
吐血しながら、浮竹は意識を失った。
次に気づいた時は、一番隊の寝室だった。
「大丈夫、浮竹?」
京楽が、心配そうにこちらを見ていた。
「ああ、大丈夫だ。肺も痛まないし、一時期的なものだろう」
「一応、虎鉄隊長に見てもらったけど、肺の病ではないって」
「そうか、よかった」
花の神に、病まで癒してもらたのだ。
肺の病が再発する可能性はゼロではないが、違うと分かって安堵した。
「あんな夢・・・・」
「夢見せの虚に、夢を見せられたんだろう?どんな夢なの」
見た夢をそのまま語ると、暗い表情で京楽が浮竹を抱き締めた。
「大丈夫。君の肺の病は癒えている。僕は、確かに君を失えば後を追うかもしれないけれど、大丈夫」
大丈夫と強く言い聞かせてくる京楽は、かたかたと震えていた。
「京楽、お前の方こそ大丈夫か?」
「僕は・・・君が吐血したと聞いて、真っ暗になった。また君を失うんじゃないかと・・・・」
京楽を抱き締めると、かたかたと震えていた京楽の震えも治まった。
「この命は、お互い花の神にもらったもの。そんな簡単に、死んだりしない・・・ぐっ、ごほっごほっ」
ぼたりぼたりと、血を吐いた。大量に吐血した。
「何故・・・・・」
そのまま、浮竹はガクリと、息絶えた。
「浮竹!うきたけーーーーーーーー!そんな!」
京楽はたくさんの涙を零して、浮竹を抱き締めていた。でも、その瞳は見開かれたままで、瞬きをすることは永遠になかった。
「君のいないこの世界なんて・・・・・・!」
京楽は、斬魄刀を引き抜くと、自分の心臓に突き刺していた。
たくさんの血が流れて、京楽も絶命する。
これで、二人の未来は終わり。花の神にもう一度もらった、その命も終わり。
「生きろ、俺!目覚めろ、俺!これは全てまやかし。夢だ!生きて、意識を取り戻して剣をとれ!」
真っ暗になった世界に響く声。
そして、彼は目覚めた。
ぶわり。
甘い花の香させて。
「よくも・・・・・俺だけでなく、京楽にまでこんな夢を・・・・・」
ぶわりと、花の香が広がる。
それは、虚に限りなく近い、精神存在。人にとりついて、命をすする、夢魔。
とりつかれている相手と一緒に殺すか、その精神存在を殺すしかない。
夢見せの虚と呼ばれる虚に寄生していた、精神存在を、浮竹は同じく精神存在となって、剣をとり引き裂いた。
(ばかな・・・・精神体である私を、死神ごときが切れるはずが・・・・・)
ふわりと。
空間に、もう一人、甘い花の香をさせる男がやってきた。
「よくもまぁ、あんな夢を・・・・確かに、浮竹が死んだら僕も死ぬけど、勝手に殺さないでほしいね」
「京楽、剣は握れるか」
「勿論」
二人は、始解すると、夢魔を粉々に切り裂いた。
「さて、どうすれば現実に戻れる?そもそも、現実はどうなっているのかな?」
「花の神が・・・・道標をくれるようだ」
神の領域に、精神体(アストラル)として入ってしまった二人は、地面に散らばる花びらの後を辿って辿って、現実世界に戻った。
目を開ける。
「あっ、目覚められました!」
1番隊の寝室だった。
浮竹は、自分の体に何処も異常がないのを確認して、半身を起こす。
「嫌な夢だったねぇ」
隣では、京楽がこれまた異常なく半身を起こした。
「俺たちは、どうなっていたんだ?」
その問いに、ルキアが答える。
「浮竹隊長が、夢見せの夢魔を葬った後、意識をなくして、そのまま同じ糸がついていた京楽総隊長も意識を失われて・・・・・夢魔に、とりつかれていました」
「ふうむ」
「うーん」
「夢魔に一度とりつかれると、精神世界で己を取り戻して夢魔を殺すか、一緒に殺すしかないので・・・・どうにか、方法がないかと、皆で探っていた途中でした」
ぶわりと、花の甘い香が広がった。
存在をなくしていたはずの、花の神が降臨する。
「愛児たちに手を出すからだ。粉々にできる力を愛児たちに与えた。粉々にしたのだろう?」
「勿論」
「当たり前だ」
時が、止まっていた。
ルキアたちには、花の神の存在は見えない。見えてはならない。
「愛児たちの紡ぐ未来に、水をさすからこうなる夢魔のナイトメア」
じわりと、空間に闇が広がった。
「花の神か・・・・・どうりで、甘い匂いがする獲物なわけだ。夢魔である私を粉々にするとは・・・まぁいい、次の獲物を探しにでもいく」
夢魔ことナイトメアは神に近い。
それだけを言い残すと、闇の残滓となって消えてしまった。
「私が命を与えたのだ。そうやすやすと、命を刈り取られるなよ、愛児たちよ」
「分かっている」
「ああ」
花の神は、紅色の髪と瞳の青年の姿をしていた。花を思わせる豪奢な作りの衣服を着ていた。
「私は、また世界を渡る。それでは、また会う時まで」
花の神は、桜の花びらをたくさん降らせて、いってしまった。
時が動きだす。
「ええっ、花びら?どうなってういるのですか、浮竹隊長、京楽総隊長!」
説明すると長くなるので、命の恩人が来たとだけ伝えた。
「それにしても、夢魔に見せられた夢はいやなものだったね」
「ああ。俺たちが、花の神に命をもらわないと、実際にああなっていたかもしれない未来を思いおこさせる」
浮竹と京楽は、他の者たちに下がってもらっていた。
二人きりでいたいと。
「やっぱり、花の神が降臨したせいかな・・・・・甘い花の香が部屋中に広がってる」
京楽は、浮竹を抱き締めた。
浮竹も、京楽を抱き締める。
「お互い、引退するまで、一緒にいようね」
「いつ引退するんだ」
「さぁ。500年くらい、先じゃないかな」
「随分と、遠い未来だな」
くすくすと、二人で笑みを零す。
花の甘い香を、しばらくの間二人は濃くしていたのだった。
花の神は、世界を渡り歩く。
やがて、1つの世界へとたどり着く。
「禁忌という名の」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18422255に続く。
浮竹は、闇の中にいた。
ああ、これは夢だ。
京楽が、血を流して倒れていた。心臓に、斬魄刀を突き刺して、自害していた。傍らには、吐血して絶命した自分の姿。
ああ、嫌な夢だ。
早く覚めてくれればいいのに。
(今、夢だと思ったな?違う、これはいつか来たるべきそう遠くない未来の世界。そのヒトコマ)
声がして、はっとなった。
「夢見せの虚か!」
最近話題というか、現実になる夢を見せるとして有名な「夢見せの虚」に夢を見せられたのだと分かって、意識を覚醒させる。
「こんなもの、ただの夢だ!」
通常、夢見せの虚に夢を見せられた者は、そのまま廃人となって虚に食われるか、逃れてもその夢の通りになって死ぬという。
「こんな夢!」
双魚の理を始解して、夢見せの虚を切り裂いた。
「ぎゃああああああああ!ゆ、夢の通りになる・・・・いつか、お前はあの夢の通りに死に、愛する男を・・・・あああああ・・・・・・」
霊子の塵となっていく虚を無視して、剣を収めた。
「大丈夫ですか、隊長!」
かけつけてきたルキアが、声をかけてくれた。
「隊長は、お前のほうだろう」
浮竹は、苦笑した。
13番隊の席官の一人が、夢見せの虚にやられ、夢を見せられてそのまま夢の通りに死んだ。
他の隊でも、夢見せの虚にやられる死神が後を絶たず、13番隊隊長のルキアと、元13番隊隊長であった浮竹が、共に討伐に乗り出したのだ。
花の神の力でもう一度、この世に生を受けた浮竹は、肺の病を完治させている。
それから考えても、あんな夢の通りにはならないはずだ。
でも、夢見せの虚は、現実になる夢を見せるという。
それは、強い暗示でもあった。
「ぐ・・・・ごほっごほっ」
肺がずきりと痛み、気づくと吐血していた。
「隊長!そんな、病は治ったはずじゃ!」
「こんな・・・・ばかな・・・・」
吐血しながら、浮竹は意識を失った。
次に気づいた時は、一番隊の寝室だった。
「大丈夫、浮竹?」
京楽が、心配そうにこちらを見ていた。
「ああ、大丈夫だ。肺も痛まないし、一時期的なものだろう」
「一応、虎鉄隊長に見てもらったけど、肺の病ではないって」
「そうか、よかった」
花の神に、病まで癒してもらたのだ。
肺の病が再発する可能性はゼロではないが、違うと分かって安堵した。
「あんな夢・・・・」
「夢見せの虚に、夢を見せられたんだろう?どんな夢なの」
見た夢をそのまま語ると、暗い表情で京楽が浮竹を抱き締めた。
「大丈夫。君の肺の病は癒えている。僕は、確かに君を失えば後を追うかもしれないけれど、大丈夫」
大丈夫と強く言い聞かせてくる京楽は、かたかたと震えていた。
「京楽、お前の方こそ大丈夫か?」
「僕は・・・君が吐血したと聞いて、真っ暗になった。また君を失うんじゃないかと・・・・」
京楽を抱き締めると、かたかたと震えていた京楽の震えも治まった。
「この命は、お互い花の神にもらったもの。そんな簡単に、死んだりしない・・・ぐっ、ごほっごほっ」
ぼたりぼたりと、血を吐いた。大量に吐血した。
「何故・・・・・」
そのまま、浮竹はガクリと、息絶えた。
「浮竹!うきたけーーーーーーーー!そんな!」
京楽はたくさんの涙を零して、浮竹を抱き締めていた。でも、その瞳は見開かれたままで、瞬きをすることは永遠になかった。
「君のいないこの世界なんて・・・・・・!」
京楽は、斬魄刀を引き抜くと、自分の心臓に突き刺していた。
たくさんの血が流れて、京楽も絶命する。
これで、二人の未来は終わり。花の神にもう一度もらった、その命も終わり。
「生きろ、俺!目覚めろ、俺!これは全てまやかし。夢だ!生きて、意識を取り戻して剣をとれ!」
真っ暗になった世界に響く声。
そして、彼は目覚めた。
ぶわり。
甘い花の香させて。
「よくも・・・・・俺だけでなく、京楽にまでこんな夢を・・・・・」
ぶわりと、花の香が広がる。
それは、虚に限りなく近い、精神存在。人にとりついて、命をすする、夢魔。
とりつかれている相手と一緒に殺すか、その精神存在を殺すしかない。
夢見せの虚と呼ばれる虚に寄生していた、精神存在を、浮竹は同じく精神存在となって、剣をとり引き裂いた。
(ばかな・・・・精神体である私を、死神ごときが切れるはずが・・・・・)
ふわりと。
空間に、もう一人、甘い花の香をさせる男がやってきた。
「よくもまぁ、あんな夢を・・・・確かに、浮竹が死んだら僕も死ぬけど、勝手に殺さないでほしいね」
「京楽、剣は握れるか」
「勿論」
二人は、始解すると、夢魔を粉々に切り裂いた。
「さて、どうすれば現実に戻れる?そもそも、現実はどうなっているのかな?」
「花の神が・・・・道標をくれるようだ」
神の領域に、精神体(アストラル)として入ってしまった二人は、地面に散らばる花びらの後を辿って辿って、現実世界に戻った。
目を開ける。
「あっ、目覚められました!」
1番隊の寝室だった。
浮竹は、自分の体に何処も異常がないのを確認して、半身を起こす。
「嫌な夢だったねぇ」
隣では、京楽がこれまた異常なく半身を起こした。
「俺たちは、どうなっていたんだ?」
その問いに、ルキアが答える。
「浮竹隊長が、夢見せの夢魔を葬った後、意識をなくして、そのまま同じ糸がついていた京楽総隊長も意識を失われて・・・・・夢魔に、とりつかれていました」
「ふうむ」
「うーん」
「夢魔に一度とりつかれると、精神世界で己を取り戻して夢魔を殺すか、一緒に殺すしかないので・・・・どうにか、方法がないかと、皆で探っていた途中でした」
ぶわりと、花の甘い香が広がった。
存在をなくしていたはずの、花の神が降臨する。
「愛児たちに手を出すからだ。粉々にできる力を愛児たちに与えた。粉々にしたのだろう?」
「勿論」
「当たり前だ」
時が、止まっていた。
ルキアたちには、花の神の存在は見えない。見えてはならない。
「愛児たちの紡ぐ未来に、水をさすからこうなる夢魔のナイトメア」
じわりと、空間に闇が広がった。
「花の神か・・・・・どうりで、甘い匂いがする獲物なわけだ。夢魔である私を粉々にするとは・・・まぁいい、次の獲物を探しにでもいく」
夢魔ことナイトメアは神に近い。
それだけを言い残すと、闇の残滓となって消えてしまった。
「私が命を与えたのだ。そうやすやすと、命を刈り取られるなよ、愛児たちよ」
「分かっている」
「ああ」
花の神は、紅色の髪と瞳の青年の姿をしていた。花を思わせる豪奢な作りの衣服を着ていた。
「私は、また世界を渡る。それでは、また会う時まで」
花の神は、桜の花びらをたくさん降らせて、いってしまった。
時が動きだす。
「ええっ、花びら?どうなってういるのですか、浮竹隊長、京楽総隊長!」
説明すると長くなるので、命の恩人が来たとだけ伝えた。
「それにしても、夢魔に見せられた夢はいやなものだったね」
「ああ。俺たちが、花の神に命をもらわないと、実際にああなっていたかもしれない未来を思いおこさせる」
浮竹と京楽は、他の者たちに下がってもらっていた。
二人きりでいたいと。
「やっぱり、花の神が降臨したせいかな・・・・・甘い花の香が部屋中に広がってる」
京楽は、浮竹を抱き締めた。
浮竹も、京楽を抱き締める。
「お互い、引退するまで、一緒にいようね」
「いつ引退するんだ」
「さぁ。500年くらい、先じゃないかな」
「随分と、遠い未来だな」
くすくすと、二人で笑みを零す。
花の甘い香を、しばらくの間二人は濃くしていたのだった。
花の神は、世界を渡り歩く。
やがて、1つの世界へとたどり着く。
「禁忌という名の」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18422255に続く。
パンツ仮面再び現る
「フーフー」
朝起きると、パンツ仮面がいた。
浮竹のパンツを首まで被り、目と口のところに穴をあけたパンツを被っている京楽のことだ。
浮竹のパンツの匂いをかぎたいのか、鼻のところに穴はあいていないので、ふーふーと息が荒く聞こえた。
「ふあ~~」
浮竹は、パンツ仮面を見ても動揺することなく、欠伸をしていた。
京楽の朝は早い。
浮竹が起きる1時間前には起きて、浮竹の干しているパンツを盗んだり、保管している実用のパンツを手で洗ったり。
浮竹が起きるまで、その寝顔を見守って一人でぐふぐふと笑うのだ。
「はぁ。今日は休みだな」
「そうだね。そうだ、下町に行って甘味屋にでもいかない?」
「それはいいな。でも、その前にそのパンツ仮面をなんとかしろ」
「素敵でしょ、このパンツ仮面」
「変態だ」
「うん、僕は変態だよ」
「パンツ仮面をやめない限り、俺はお前を冷たくあしらうし、キスもハグもさせてやらない」
「パンツ仮面、廃業します!」
そういってパンツをとるが、廃業は絶対嘘だ。実用用のたんすに、パンツ仮面用のパンツを大事そうにしまう京楽の行動からして、嘘と丸わかりだ。
まぁ、そんな京楽が今に始まったことではないので、浮竹も慣れてしまっているので、京楽と一緒に下町にまで出かけて、甘味屋に入った。
おはぎとぜんざいと白玉餡蜜を3人前食べた。あとは、みたらし団子に桜餅も食べた。
「食べすぎだよ」
今日は、お腹が減っていたのか、いつもより多めに食べていた。
浮竹の胃はどうなっているんだろうと思いながら、勘定を払う。
「あ”、お金忘れた」
「おい」
浮竹は、一銭ももっていない。
このままでは、食い逃げになってしまう・・・・・と思ったら、常連だったのでつけがきいた。
それでは迷惑だからと、砂金の入った袋を出す。
何故そんなものを持ち歩いているのかは知らなかったが、上流貴族のぼんぼんだから遠慮することはないと、店の主事は砂金の袋をもらい、にまにましていた。
きっと、浮竹が食べた分の10倍を食べても、おつりがでるだろう。
「まぁ、京楽だしな・・・・」
そのまま、金もないのに下町をぶらつき、暇をつぶした。
この時代、娯楽は少ない。
本屋にいって、立ち読みをする。別に欲しい本はなかったが、京楽が読んでいる本を見ると、「衆道とは」という本を見ていたので、引いた。
確かに、浮竹も京楽も男だ。男同士ですること衆道と呼び、今現在の現世は戦国時代。主従の中に衆道が混じっているのも確かだ。
現世では衆道は当たり前のことで、尸魂界でもその風潮があるのか、花街なんかでは陰間茶屋や普通の廓でも色子を扱っていたりした。
「ねえ、一度花街にいってみない?」
「別にいいが・・・金はないんだろう?」
「ああ、馴染の店があってね・・・そこでは、金は後払いでいいんだよ」
誘われるままに、花街に出かけた。
廓に上がらされて、酒と高そうな飯を御馳走になる。
「どういう思惑だ?」
「これ着て!一生のお願い!着てくれなきゃ、襲う」
それは、値のはりそうな女ものの打掛だった。
「嫌だと言ったら?」
「まじで襲う」
はぁはぁと、息も荒く、目も血走っていて、これはやばいと思った。
仕方なく、その打掛を手に奥の座敷にいくと、遊女たちに囲まれた。
「これが、京楽の旦那の想い人でありんすか」
「かわいいでありんす」
「さぁ、今着ている服はぬいで、これを・・・・」
下着は男もののままでよかったが、遊女のきる着物を着せられて、最後に打掛を羽織り、肩までの長さの髪を三つ編みにして、金細工の髪留めで留める。
「あら、かわいいでありんす。髪がもっと長ければ、もっとに似合うでありんすに」
まるっきり、色子か遊女のような恰好だった。
その姿で京楽の前にくると、京楽は鼻血を吹き出した。
「おい、京楽」
「けけけけけ、けしからん!」
ぱしゃりと、写真をとられた。
「ポーズつけてー」
もうやけくそで、適当にポーズをつけると、京楽はぱしゃぱしゃと写真をとっていった。
「満足か?」
甘味物をおごってもらった手前、返せるとしたらこれくらいだ。
「もうちょっと、胸元をはだけてご主人様って言ってくれると、昇天する」
このさいだから、胸元どころか、肩も露出させて、太もももちらつかせて「ご主人様」と、すごく甘えた声を出してやった。
京楽は、すごい量の鼻血を出して倒れた。
「ちょろいな」
ちょろい。
そう思った。
この程度で鼻血を出すなら、本当にそういう関係になっていざ本番となると、どうなるのかと思ってしまう。
まぁ、この変態とそういう関係に陥るとしても、数年先であろうが。
京楽の懐を探ると、やっぱり浮竹のパンツを持っていた。
それで、鼻血まみれの京楽をふいて、元の衣服に着替えて、一人で酒を飲んでいた。
「はっ・・・・ここは天国?」
「お前の頭の中はいつでも天国だろう」
「あっ、着替えちゃたのか。でも写真はばっちりとれたし、僕は満足だよ」
女のものの打掛を、ばさりと京楽に渡す。
「高いんだろう、これ?」
「うん。普通の家が一軒買える」
「京楽の鼻血で汚れなくてよかったな」
「はっ、これは大事な僕の浮竹のパンツ。そうか、鼻血をぬぐってくれたのかい。ありがとう」
打掛をだめにして、弁償しろと言われたら、京楽に身売りするしかない。
そんなことにならなくてよかったと、浮竹は思った。
「またこんな高い着物、どうしたんだ?」
「将来、嫁にくる相手のためにしつらえられたものだよ。僕には浮竹だけだから、浮竹に着て欲しかったんだ」
「そうか。言っとくが、俺はお前の嫁にには行かないからな」
「またまたぁ。浮竹のお父さんとお母さんからは、浮竹をもらっていい許可まであるんだよ」
いつの日だったか、帰郷に京楽がついてきて、両親に「息子さんをください」といって、許可をもらっていたのを思い出す。
父も母も、のほほんとした人だから、相手が上流貴族であると知って、その身を預けても大丈夫だろうと思ったのだろう。
「お前が嫁にくるなら、考えてやってもいい」
「え、僕が白無垢を着れば、浮竹は結婚してくれるのかい!?」
「いや、やっぱいやだからいいわ」
本当に、もじゃもじゃなのに白無垢を着そうで嫌だった。
少し酔っぱらたのかもしれない。
頬をほんのり朱色に染めた浮竹を連れて、寮まで戻る。京楽の手にしなだれかかっている状態で、その時の記憶があまりなかった。
次の日、ついに京楽と浮竹ができたという噂が広がって、浮竹は怒るのであった。
朝起きると、パンツ仮面がいた。
浮竹のパンツを首まで被り、目と口のところに穴をあけたパンツを被っている京楽のことだ。
浮竹のパンツの匂いをかぎたいのか、鼻のところに穴はあいていないので、ふーふーと息が荒く聞こえた。
「ふあ~~」
浮竹は、パンツ仮面を見ても動揺することなく、欠伸をしていた。
京楽の朝は早い。
浮竹が起きる1時間前には起きて、浮竹の干しているパンツを盗んだり、保管している実用のパンツを手で洗ったり。
浮竹が起きるまで、その寝顔を見守って一人でぐふぐふと笑うのだ。
「はぁ。今日は休みだな」
「そうだね。そうだ、下町に行って甘味屋にでもいかない?」
「それはいいな。でも、その前にそのパンツ仮面をなんとかしろ」
「素敵でしょ、このパンツ仮面」
「変態だ」
「うん、僕は変態だよ」
「パンツ仮面をやめない限り、俺はお前を冷たくあしらうし、キスもハグもさせてやらない」
「パンツ仮面、廃業します!」
そういってパンツをとるが、廃業は絶対嘘だ。実用用のたんすに、パンツ仮面用のパンツを大事そうにしまう京楽の行動からして、嘘と丸わかりだ。
まぁ、そんな京楽が今に始まったことではないので、浮竹も慣れてしまっているので、京楽と一緒に下町にまで出かけて、甘味屋に入った。
おはぎとぜんざいと白玉餡蜜を3人前食べた。あとは、みたらし団子に桜餅も食べた。
「食べすぎだよ」
今日は、お腹が減っていたのか、いつもより多めに食べていた。
浮竹の胃はどうなっているんだろうと思いながら、勘定を払う。
「あ”、お金忘れた」
「おい」
浮竹は、一銭ももっていない。
このままでは、食い逃げになってしまう・・・・・と思ったら、常連だったのでつけがきいた。
それでは迷惑だからと、砂金の入った袋を出す。
何故そんなものを持ち歩いているのかは知らなかったが、上流貴族のぼんぼんだから遠慮することはないと、店の主事は砂金の袋をもらい、にまにましていた。
きっと、浮竹が食べた分の10倍を食べても、おつりがでるだろう。
「まぁ、京楽だしな・・・・」
そのまま、金もないのに下町をぶらつき、暇をつぶした。
この時代、娯楽は少ない。
本屋にいって、立ち読みをする。別に欲しい本はなかったが、京楽が読んでいる本を見ると、「衆道とは」という本を見ていたので、引いた。
確かに、浮竹も京楽も男だ。男同士ですること衆道と呼び、今現在の現世は戦国時代。主従の中に衆道が混じっているのも確かだ。
現世では衆道は当たり前のことで、尸魂界でもその風潮があるのか、花街なんかでは陰間茶屋や普通の廓でも色子を扱っていたりした。
「ねえ、一度花街にいってみない?」
「別にいいが・・・金はないんだろう?」
「ああ、馴染の店があってね・・・そこでは、金は後払いでいいんだよ」
誘われるままに、花街に出かけた。
廓に上がらされて、酒と高そうな飯を御馳走になる。
「どういう思惑だ?」
「これ着て!一生のお願い!着てくれなきゃ、襲う」
それは、値のはりそうな女ものの打掛だった。
「嫌だと言ったら?」
「まじで襲う」
はぁはぁと、息も荒く、目も血走っていて、これはやばいと思った。
仕方なく、その打掛を手に奥の座敷にいくと、遊女たちに囲まれた。
「これが、京楽の旦那の想い人でありんすか」
「かわいいでありんす」
「さぁ、今着ている服はぬいで、これを・・・・」
下着は男もののままでよかったが、遊女のきる着物を着せられて、最後に打掛を羽織り、肩までの長さの髪を三つ編みにして、金細工の髪留めで留める。
「あら、かわいいでありんす。髪がもっと長ければ、もっとに似合うでありんすに」
まるっきり、色子か遊女のような恰好だった。
その姿で京楽の前にくると、京楽は鼻血を吹き出した。
「おい、京楽」
「けけけけけ、けしからん!」
ぱしゃりと、写真をとられた。
「ポーズつけてー」
もうやけくそで、適当にポーズをつけると、京楽はぱしゃぱしゃと写真をとっていった。
「満足か?」
甘味物をおごってもらった手前、返せるとしたらこれくらいだ。
「もうちょっと、胸元をはだけてご主人様って言ってくれると、昇天する」
このさいだから、胸元どころか、肩も露出させて、太もももちらつかせて「ご主人様」と、すごく甘えた声を出してやった。
京楽は、すごい量の鼻血を出して倒れた。
「ちょろいな」
ちょろい。
そう思った。
この程度で鼻血を出すなら、本当にそういう関係になっていざ本番となると、どうなるのかと思ってしまう。
まぁ、この変態とそういう関係に陥るとしても、数年先であろうが。
京楽の懐を探ると、やっぱり浮竹のパンツを持っていた。
それで、鼻血まみれの京楽をふいて、元の衣服に着替えて、一人で酒を飲んでいた。
「はっ・・・・ここは天国?」
「お前の頭の中はいつでも天国だろう」
「あっ、着替えちゃたのか。でも写真はばっちりとれたし、僕は満足だよ」
女のものの打掛を、ばさりと京楽に渡す。
「高いんだろう、これ?」
「うん。普通の家が一軒買える」
「京楽の鼻血で汚れなくてよかったな」
「はっ、これは大事な僕の浮竹のパンツ。そうか、鼻血をぬぐってくれたのかい。ありがとう」
打掛をだめにして、弁償しろと言われたら、京楽に身売りするしかない。
そんなことにならなくてよかったと、浮竹は思った。
「またこんな高い着物、どうしたんだ?」
「将来、嫁にくる相手のためにしつらえられたものだよ。僕には浮竹だけだから、浮竹に着て欲しかったんだ」
「そうか。言っとくが、俺はお前の嫁にには行かないからな」
「またまたぁ。浮竹のお父さんとお母さんからは、浮竹をもらっていい許可まであるんだよ」
いつの日だったか、帰郷に京楽がついてきて、両親に「息子さんをください」といって、許可をもらっていたのを思い出す。
父も母も、のほほんとした人だから、相手が上流貴族であると知って、その身を預けても大丈夫だろうと思ったのだろう。
「お前が嫁にくるなら、考えてやってもいい」
「え、僕が白無垢を着れば、浮竹は結婚してくれるのかい!?」
「いや、やっぱいやだからいいわ」
本当に、もじゃもじゃなのに白無垢を着そうで嫌だった。
少し酔っぱらたのかもしれない。
頬をほんのり朱色に染めた浮竹を連れて、寮まで戻る。京楽の手にしなだれかかっている状態で、その時の記憶があまりなかった。
次の日、ついに京楽と浮竹ができたという噂が広がって、浮竹は怒るのであった。
海燕の一日。
「いい加減に起きてください」
「寒い~~布団から出たくないー」
布団にしがみついたままの浮竹を、海燕が離させようとするが、浮竹はなかなか布団を離してくれなかった。
「火鉢用意しますから」
「じゃあ、用意するまでの間布団の中にいる」
「だめです!」
「けち!」
浮竹はしぶしぶ起き出した。時刻を見ると、朝の10時を回っていた。顔を洗い、服を着替えると浮竹は朝餉はまだかと海燕を急かした。
「今火鉢の用意してるから、少し待ってください」
寒いので、押し入れからだした毛布にくるまっていた。
火鉢が用意され、それにあたりながら、でも毛布も被っている。
「ああ、もう11時だ。朝餉はなしにして、少し早いけど昼餉にしましょう」
朝餉が食べれない程度で文句をいう浮竹ではないが、本当に副官泣かせだ。
冬になると、毎年こうだ。
寒いのが苦手らしく、気づけばいつも毛布を被っていた。
毛布を最初はとっていたのだが、直すたびに毛布を取り出してまた被るので、もうそのままにしておいた。
「腹減ったー。昼餉でいいから早くー」
ああ、本当にこの上官は手がかかる。
子供みたいだ。
海燕はそう思いながらも、世話を焼く。
こんな浮竹が、嫌いではないのだ。むしろ好ましく思ってしまう。
もっと他の隊長は自立して、きっと副官が起こしにくることなどないのだろう。執務室と隊首室と療養室をかねた雨乾堂だからできる我儘を、できるだけ叶えてあげていた。
昼餉を食べて、満足したらしい浮竹は、やっと仕事にとりかかった。
真剣な表情で、文机に向かっている。
さっきまでの我儘な浮竹の姿の片鱗すらにおわせなかった。毛布も、被っていない。
一度仕事に取り掛かると、休憩時間になるまで大抵動かない。
子供のような浮竹と、時折戦闘に参加する、凛とした佇まいや、仕事をしている真剣な時のどれが一体本当の浮竹であるのかが、時折分からなくなる。
3時になって、休憩の時間になった。
お茶を入れて、おはぎを菓子として出すと、浮竹は嬉し気にそれを食した。
そして、また毛布を被りだす。
「遊びにきたよー浮竹ー」
「まだ仕事が残っているから、まだ構ってやれないぞ。今は休憩時間だ」
「別にいいけど・・・・毛布、また被ってるの?今日は特別寒い日でもないよ」
「寒いものは寒いんだ」
火鉢に当たりながら、最後のおはぎを食べる終えると、毛布を放りだして、文机に向かう。
真剣な表情の浮竹に、京楽は海燕を見た。
「この子、大変でしょ。手がかかって。そのくせ、こうして真面目に仕事したり、戦闘の時は先陣を切ったり部下を庇ったり・・・・どれが本当の浮竹か、分からなくなるでしょ」
「そうなんですよ」
「僕にも、未だにどれが本当の浮竹なのか分からなくなるよ。ただ、本質は甘えっ子みたいなところがあるからね」
「京楽、暇なら手伝え。ハンコを押していくだけだ。お前にもできるだろう。いつも俺がお前の分の仕事を手伝うんだ。たまには反対があってもいいだろ」
「はいはい。謹んでお受けいたしますよ」
わざと丁寧語を使うと、浮竹はむすっとなった。
「嫌味か」
「別に~」
6時まで、そうして仕事をして、鐘が鳴り響き、死神の職務の終了時間を告げる。
「はー。今日もがんばった。海燕、肩をもんでくれ」
「はいはい。けっこう凝ってますね」
「そりゃ、休憩時間があったといっても、6時間以上は執務仕事をしていたんだ。肩もこる」
他の隊の副隊長は、上官の肩をもむなんて真似、しないだろう。
浮竹の身の周りの世話まで任されている海燕だが、この仕事を大変だと思ったことはなかった。
「僕も揉んであげる」
「京楽は、変なところ触ってくるからいやだ」
「ちぇっ」
京楽は、笠を被り直して、幸せそうな浮竹を眩しそうに見つめていた。
「今日は、泊まるんだろう?」
「うん」
前々から、その予定で通していた。
急にきて、夕餉が突然二人分になって、厨房係を忙しくさせることもあるが、今日みたいに前々から二人分の食事が必要だと分かっていれば、厨房係も苦労しなくて済む。
「夕餉の支度しますから、湯浴みにいってください」
「わかった」
「はいはい」
京楽は、泊まりにくるとき8番隊で湯浴みをしてこない。雨乾堂の風呂で、浮竹と一緒に湯浴みをするのが常だった。
まぁ、恋人同士なので、海燕も何も言わない。
ただ、ごくたまに湯浴みの時に盛られて、浮竹がのぼせてしまうことがあったので、その時は怒ったが。
「はぁ、我ながらできる副官だ」
夕餉を二人分おいて、座布団も二人分用意して、お茶も用意する。
海燕が夕餉をとるのは、浮竹たちが食べ終えてからだ。
湯浴みをすませた浮竹と京楽が雨乾堂に戻ってきた。浮竹は、いつもより甘い花の香を濃くしていた。その手の趣味の男なら、整った容姿にこの匂いでいちころだろう。その手の趣味がない京楽でさえ、浮竹を選んでいるのだ。
「今日は蕎麦か」
蕎麦に、タイの蒸し焼き、白飯、胡瓜と蛸の酢のもの、味噌汁、デザート。
食べきれる量だけなので、浮竹のタイの蒸し焼きはきってあったし、白飯も少ない。
浮竹は、甘味物なら3人前はペロリと平らげるが、普通の飯は京楽が食う3分の2くらいしか食べないので、最初の頃その量を京楽にも出してしまい、京楽は腹をすかせて寝る前に空腹を抱えてよくお腹を鳴らしていた。
改善されるようになったのは、海燕の働きによるものだ。
本当に、よくできた副官だ、海燕は。
浮竹は幸せ者だと、京楽は思う。
「浮竹、海燕君に感謝しないといけないよ」
「そんなもの、毎日してる」
そう面と向かって言われて、海燕のほうが恥ずかしい思いをした。
「ああもう、そういうことはどうでもいいから、早く食べてください。片付けないと、俺も飯食えません」
「すまん、海燕。なんなら、ここに夕餉をもってきて、3人で食うか?」
「いえ、いいです。2人の邪魔はしたくないので」
仲睦まじく、デザートを浮竹にあげる京楽を見てから、雨乾堂を後にする。
30分程経ってから、夕餉の膳を下げに海燕がきた。
浮竹と京楽は、暇なのか花札をしていた。
「ふう・・・・」
これで、一日の業務は終了だ。布団は、浮竹が自分でしくので、流石に夜まで世話は焼けない。
少し遅めの夕餉を海燕はとって、自分の屋敷に帰るのだった。
志波海燕の一日は他の副隊長よりも少しだけ早く、そして遅いのだった。
「寒い~~布団から出たくないー」
布団にしがみついたままの浮竹を、海燕が離させようとするが、浮竹はなかなか布団を離してくれなかった。
「火鉢用意しますから」
「じゃあ、用意するまでの間布団の中にいる」
「だめです!」
「けち!」
浮竹はしぶしぶ起き出した。時刻を見ると、朝の10時を回っていた。顔を洗い、服を着替えると浮竹は朝餉はまだかと海燕を急かした。
「今火鉢の用意してるから、少し待ってください」
寒いので、押し入れからだした毛布にくるまっていた。
火鉢が用意され、それにあたりながら、でも毛布も被っている。
「ああ、もう11時だ。朝餉はなしにして、少し早いけど昼餉にしましょう」
朝餉が食べれない程度で文句をいう浮竹ではないが、本当に副官泣かせだ。
冬になると、毎年こうだ。
寒いのが苦手らしく、気づけばいつも毛布を被っていた。
毛布を最初はとっていたのだが、直すたびに毛布を取り出してまた被るので、もうそのままにしておいた。
「腹減ったー。昼餉でいいから早くー」
ああ、本当にこの上官は手がかかる。
子供みたいだ。
海燕はそう思いながらも、世話を焼く。
こんな浮竹が、嫌いではないのだ。むしろ好ましく思ってしまう。
もっと他の隊長は自立して、きっと副官が起こしにくることなどないのだろう。執務室と隊首室と療養室をかねた雨乾堂だからできる我儘を、できるだけ叶えてあげていた。
昼餉を食べて、満足したらしい浮竹は、やっと仕事にとりかかった。
真剣な表情で、文机に向かっている。
さっきまでの我儘な浮竹の姿の片鱗すらにおわせなかった。毛布も、被っていない。
一度仕事に取り掛かると、休憩時間になるまで大抵動かない。
子供のような浮竹と、時折戦闘に参加する、凛とした佇まいや、仕事をしている真剣な時のどれが一体本当の浮竹であるのかが、時折分からなくなる。
3時になって、休憩の時間になった。
お茶を入れて、おはぎを菓子として出すと、浮竹は嬉し気にそれを食した。
そして、また毛布を被りだす。
「遊びにきたよー浮竹ー」
「まだ仕事が残っているから、まだ構ってやれないぞ。今は休憩時間だ」
「別にいいけど・・・・毛布、また被ってるの?今日は特別寒い日でもないよ」
「寒いものは寒いんだ」
火鉢に当たりながら、最後のおはぎを食べる終えると、毛布を放りだして、文机に向かう。
真剣な表情の浮竹に、京楽は海燕を見た。
「この子、大変でしょ。手がかかって。そのくせ、こうして真面目に仕事したり、戦闘の時は先陣を切ったり部下を庇ったり・・・・どれが本当の浮竹か、分からなくなるでしょ」
「そうなんですよ」
「僕にも、未だにどれが本当の浮竹なのか分からなくなるよ。ただ、本質は甘えっ子みたいなところがあるからね」
「京楽、暇なら手伝え。ハンコを押していくだけだ。お前にもできるだろう。いつも俺がお前の分の仕事を手伝うんだ。たまには反対があってもいいだろ」
「はいはい。謹んでお受けいたしますよ」
わざと丁寧語を使うと、浮竹はむすっとなった。
「嫌味か」
「別に~」
6時まで、そうして仕事をして、鐘が鳴り響き、死神の職務の終了時間を告げる。
「はー。今日もがんばった。海燕、肩をもんでくれ」
「はいはい。けっこう凝ってますね」
「そりゃ、休憩時間があったといっても、6時間以上は執務仕事をしていたんだ。肩もこる」
他の隊の副隊長は、上官の肩をもむなんて真似、しないだろう。
浮竹の身の周りの世話まで任されている海燕だが、この仕事を大変だと思ったことはなかった。
「僕も揉んであげる」
「京楽は、変なところ触ってくるからいやだ」
「ちぇっ」
京楽は、笠を被り直して、幸せそうな浮竹を眩しそうに見つめていた。
「今日は、泊まるんだろう?」
「うん」
前々から、その予定で通していた。
急にきて、夕餉が突然二人分になって、厨房係を忙しくさせることもあるが、今日みたいに前々から二人分の食事が必要だと分かっていれば、厨房係も苦労しなくて済む。
「夕餉の支度しますから、湯浴みにいってください」
「わかった」
「はいはい」
京楽は、泊まりにくるとき8番隊で湯浴みをしてこない。雨乾堂の風呂で、浮竹と一緒に湯浴みをするのが常だった。
まぁ、恋人同士なので、海燕も何も言わない。
ただ、ごくたまに湯浴みの時に盛られて、浮竹がのぼせてしまうことがあったので、その時は怒ったが。
「はぁ、我ながらできる副官だ」
夕餉を二人分おいて、座布団も二人分用意して、お茶も用意する。
海燕が夕餉をとるのは、浮竹たちが食べ終えてからだ。
湯浴みをすませた浮竹と京楽が雨乾堂に戻ってきた。浮竹は、いつもより甘い花の香を濃くしていた。その手の趣味の男なら、整った容姿にこの匂いでいちころだろう。その手の趣味がない京楽でさえ、浮竹を選んでいるのだ。
「今日は蕎麦か」
蕎麦に、タイの蒸し焼き、白飯、胡瓜と蛸の酢のもの、味噌汁、デザート。
食べきれる量だけなので、浮竹のタイの蒸し焼きはきってあったし、白飯も少ない。
浮竹は、甘味物なら3人前はペロリと平らげるが、普通の飯は京楽が食う3分の2くらいしか食べないので、最初の頃その量を京楽にも出してしまい、京楽は腹をすかせて寝る前に空腹を抱えてよくお腹を鳴らしていた。
改善されるようになったのは、海燕の働きによるものだ。
本当に、よくできた副官だ、海燕は。
浮竹は幸せ者だと、京楽は思う。
「浮竹、海燕君に感謝しないといけないよ」
「そんなもの、毎日してる」
そう面と向かって言われて、海燕のほうが恥ずかしい思いをした。
「ああもう、そういうことはどうでもいいから、早く食べてください。片付けないと、俺も飯食えません」
「すまん、海燕。なんなら、ここに夕餉をもってきて、3人で食うか?」
「いえ、いいです。2人の邪魔はしたくないので」
仲睦まじく、デザートを浮竹にあげる京楽を見てから、雨乾堂を後にする。
30分程経ってから、夕餉の膳を下げに海燕がきた。
浮竹と京楽は、暇なのか花札をしていた。
「ふう・・・・」
これで、一日の業務は終了だ。布団は、浮竹が自分でしくので、流石に夜まで世話は焼けない。
少し遅めの夕餉を海燕はとって、自分の屋敷に帰るのだった。
志波海燕の一日は他の副隊長よりも少しだけ早く、そして遅いのだった。
春うらら
「隊長・・・・・いい匂いがする」
「白桃の湯に浸かったのだ。その匂いであろう」
「あー抱き締めたい。抱きしめていいっすか?」
念のため、承諾の許可をとる。
「好きにしろ」
そう言われたので、白哉を腕の中に抱きしめた。
「最近、ずっとこんな甘い香させてますね。食べたくなっちゃいそう」
「食べられては困る」
美しく整った顔に、少しだけ笑みが浮かんだ。
沈着冷静、鉄面皮。
表情を出さないことが多いだけで、何も感情をまるっきり外にださないわけではないのだ。
微笑む時もあるし、怒る時もある。
「そろそろ離れろ。ここは執務室だ」
「あー残念。別邸の館なら、あんたを押し倒していたのに」
その言葉に、白皙の美貌に朱がさした。
気品があり、気高く、けれど儚く、けれど強く。
白哉を表現するには、一言では無理だ。
恋次は、そんな白哉が好きだった。自分の体の下に組み敷かれて、その細く白い体で乱れる様を見るのが好きだった。
白哉を―——隊長を乱れさせるのは、自分だけと分かっているから、優越感にも浸れる。
「好きです、隊長」
「私は・・・・・」
いつも、言葉を途中で止めてしまう。
でも、抱いている時は素直に好きだといってくれる。
「隊長、今夜いいですか」
「だめだ」
「どうしてですか」
「恋次、お前は盛りすぎだ。3日前も抱いたばかりであろう」
「俺としては、毎日抱きたいんすけどね」
「私の体がもたぬ」
「優しくしますから・・・・だめ?」
「だめなものはだめだ」
その会話は終わりだとばかりに、恋次の前にどさりと書類が置かれた。
「恋次も、仕事をしろ」
「はぁ、やっぱだめか」
残念がりつつも、仕事をこなしていく。
ぽかぽかと、春の日差しが窓から入ってくる。
気づくと、うとうとしていた。よく怒られなかったものだと、白哉の方を見ると、なんと珍しいことに白哉が、眠っていた。
起こしたほうがいいのか逡巡する。
別に、最近睡眠不足というわけでもなさそうだ。ただ、春のうららかな日差しにやられてしまっているようだった。
恋次は、済に置かれていた仮眠時用の毛布を、そっと白哉の肩にかけた。
「ん・・・・・・」
起こしてしまったかと思ったが、白哉の眠りは深いようで、起きなかった。
1時間ほどして、白哉は起きた。
副官が、毛布をかけてくれていたことに驚くが、その副官が書類の上に頭を乗せて寝ているのを見て、白哉は恋次の頭をはたいた。
「起きろ。仕事をしろ」
「はっ・・・俺、寝てました?」
「よだれのあとがある」
「うわ、最悪だ。すんません、隊長。隊長も寝ていたから、お相子ですよ」
「私は、今日の分の仕事はもう全て片した後に眠ってしまったのだ。恋次の仕事はまだあるぞ」
「うわ、これ急がないと終了時刻まで間に合いそうもない」
「言っておくが、手伝わぬからな」
そんな優しい白哉ではない。
恋次は、何故寝てしまったのかと自分を呪いながら、結局残業する羽目になるのであった。
「白桃の湯に浸かったのだ。その匂いであろう」
「あー抱き締めたい。抱きしめていいっすか?」
念のため、承諾の許可をとる。
「好きにしろ」
そう言われたので、白哉を腕の中に抱きしめた。
「最近、ずっとこんな甘い香させてますね。食べたくなっちゃいそう」
「食べられては困る」
美しく整った顔に、少しだけ笑みが浮かんだ。
沈着冷静、鉄面皮。
表情を出さないことが多いだけで、何も感情をまるっきり外にださないわけではないのだ。
微笑む時もあるし、怒る時もある。
「そろそろ離れろ。ここは執務室だ」
「あー残念。別邸の館なら、あんたを押し倒していたのに」
その言葉に、白皙の美貌に朱がさした。
気品があり、気高く、けれど儚く、けれど強く。
白哉を表現するには、一言では無理だ。
恋次は、そんな白哉が好きだった。自分の体の下に組み敷かれて、その細く白い体で乱れる様を見るのが好きだった。
白哉を―——隊長を乱れさせるのは、自分だけと分かっているから、優越感にも浸れる。
「好きです、隊長」
「私は・・・・・」
いつも、言葉を途中で止めてしまう。
でも、抱いている時は素直に好きだといってくれる。
「隊長、今夜いいですか」
「だめだ」
「どうしてですか」
「恋次、お前は盛りすぎだ。3日前も抱いたばかりであろう」
「俺としては、毎日抱きたいんすけどね」
「私の体がもたぬ」
「優しくしますから・・・・だめ?」
「だめなものはだめだ」
その会話は終わりだとばかりに、恋次の前にどさりと書類が置かれた。
「恋次も、仕事をしろ」
「はぁ、やっぱだめか」
残念がりつつも、仕事をこなしていく。
ぽかぽかと、春の日差しが窓から入ってくる。
気づくと、うとうとしていた。よく怒られなかったものだと、白哉の方を見ると、なんと珍しいことに白哉が、眠っていた。
起こしたほうがいいのか逡巡する。
別に、最近睡眠不足というわけでもなさそうだ。ただ、春のうららかな日差しにやられてしまっているようだった。
恋次は、済に置かれていた仮眠時用の毛布を、そっと白哉の肩にかけた。
「ん・・・・・・」
起こしてしまったかと思ったが、白哉の眠りは深いようで、起きなかった。
1時間ほどして、白哉は起きた。
副官が、毛布をかけてくれていたことに驚くが、その副官が書類の上に頭を乗せて寝ているのを見て、白哉は恋次の頭をはたいた。
「起きろ。仕事をしろ」
「はっ・・・俺、寝てました?」
「よだれのあとがある」
「うわ、最悪だ。すんません、隊長。隊長も寝ていたから、お相子ですよ」
「私は、今日の分の仕事はもう全て片した後に眠ってしまったのだ。恋次の仕事はまだあるぞ」
「うわ、これ急がないと終了時刻まで間に合いそうもない」
「言っておくが、手伝わぬからな」
そんな優しい白哉ではない。
恋次は、何故寝てしまったのかと自分を呪いながら、結局残業する羽目になるのであった。
それは狂気に似た想い
起きると、布団が蒼薔薇でまみれていた。
どうしたのかと見ると、京楽がいた。
「どうしたんだ、これは」
「蒼薔薇、花束を君にあげたかったけど、10本しか購入できなかった。だから、やけになってみた」
「また、蒼薔薇なんて高いもの・・・違う色の薔薇にすればよかっただろうに」
「あ、それもそうか」
と、元のいつもの飄々とした京楽に戻って、浮竹はほっとした。
でも、すぐに京楽の機嫌は崩れた。
「知り合いのやつが・・・・もうお前には売れない、この10本が最後だからっていうから頭にきてね・・・・蒼薔薇はまだたくさんあるのに、売ってくれないから」
「そんなことで腹を立てても仕方ないだろう」
「僕は、自分でいうのもなんだけど、金の力でけっこう動かしてきたから・・・・思い通りにならないことは少ない人生を送ってきた。こんなにきっぱり拒絶されたのは、君に初めて告白をして振られた日以来かな・・・・・・」
「どんな人生だ」
思い出す。
院生時代、女遊びが激しくて、廓にまで入り浸っていた京楽に告白されて、遊ばれるのかと断ったのだ。
その後、何度もプロポーズを受けて、女遊びも廓にいくこともやめて、浮竹だけを見て、甲斐甲斐しく世話をやかれて、プロポーズを受け入れたのだ。
きっと、一時のものになると思いつつも。
それが、こんなに長い間続くとは思ってもいなかった。
京楽は浮竹に本気だったし、浮竹もそんな京楽に本気だった。
蒼薔薇をかき集めて、浮竹は微笑んだ。
「10本でも嬉しいぞ」
「浮竹・・・・・」
京楽が、抱き着いてきた。
「好きだよ、好きだよ、浮竹。ずっと傍にいてね」
「本当に、どうしたんだ京楽」
「女性だけど・・・・飲み友達だった友人が、自殺したんだ。肺の病を抱えていて、治らないからと自殺を・・・・・」
息をのんだ。
「京楽、俺は大丈夫だ。自殺したりしないし、病にも負けない」
「うん・・・・」
京楽は、その女性の自殺で酷く傷ついているようだった。
「京楽、俺の顔を見ろ」
「うん」
「この顔が、お前を置いて自殺したり、病で死んでしまいそうに見えるか?」
「ううん、見えない」
京楽を優しく抱きしめて、浮竹は言った。
「俺は、お前を置いて何処にもいかない。もしも、逝くことがあるとしたら、ちゃんとお別れをいう」
「そんなこと言わないで、浮竹」
「ああ、すまない。ちょっと、縁起が悪かったな」
京楽は、強く浮竹を抱き締めた。
浮竹も、強く京楽を抱き締めた。
そのまま、布団に横になる。お互いの体温を共有しあった。
触れるだけのキスを繰り返す。
今日の京楽は、浮竹を抱く気はないようで、浮竹も京楽の傷ついた心を癒してあげようと、京楽に優しく接した。
「なんだか、こんな風に抱き合ってごろごろしていると、院生時代を思い出すね」
「そうだな」
院生時代は、付き合うようになってから、体の関係にいくまでに3年はかかった。
仕事もせず、2時間ほど布団の上で体温を共有し合い、ごろごろしていたら、昼餉の時間になった。
「清音、いるか、清音ーー」
「はーい隊長!」
「すまないが、昼餉を二人分もってきてくれ」
「分かりました」
清音は、すぐに二人分の昼餉をもってきてくれた。
「天ぷら丼か・・・」
「おいしそうだね」
「ほら、京楽、海老をやる」
「いいの?」
いつもなら、京楽が浮竹にメニューの何かをやるのだが、今日は反対だった。
今日は、京楽の気が済むまで甘えさせてやろうと思った。
「大好きだよ、浮竹」
「俺も大好きだ、京楽」
唇が重なり合う。
やはり、今日は京楽は浮竹を抱くつもりはないようだった。
夕餉をとり、夜になった。
「何処にも行かないで・・・・」
「おいおい、明日の仕事のことを仙太郎に言いにいくだけだ」
「僕も一緒に行く」
「まぁいいが」
隊舎で、仙太郎に話をつけた。京楽は、浮竹の後ろから浮竹の腰に手を回して、抱き着いていた。
「京楽隊長、今日ちょっと変じゃありませんか?」
「ああ、ちょっと傷心気味なんだ。甘えたい気分なんだ、好きなだけ甘えさせてやってるんだ」
「そうですか」
雨乾堂まで戻ると、京楽は浮竹を強く腕にかき抱いた。
「君が、誰かをその瞳に映すのがいやだ」
「おい、京楽・・・・・はぁ、今日だけだぞ」
京楽を、甘えるだけ甘えさせた。
やはり、夜になっても京楽は浮竹に手を出してこなかった。
「君の瞳に映るのは、僕だけでいい」
「京楽、愛してる」
「僕も、浮竹、君を愛してる」
とさりと、布団の上で横になる。
体温を共有しあっていると、二人はいつの間にか、眠りに落ちてしまっていた。
次の日、朝を迎えると、京楽はつきものが落ちたような顔で、普通に接してきた。
「朝餉、食べない?」
「ああ、そうだな。おーい、仙太郎ーーー!」
朝餉は、焼いた鮭におにぎり、卵焼き、味噌汁に漬物だった。
朝のメニューは、けっこう普通で、他の隊と似たようなものだ。
夜のメニューが豪華なのだ。昼もそこそこ豪華だが。
朝餉を食べ終えると、京楽は、すっきりした顔で、8番隊執務室に帰って行った。
浮竹は、仕事を終えると、念のために8番隊の執務室を訪れた。
京楽は、七緒にお説教を受けながらも、溜まった仕事を片付けていた。
「浮竹?どうしたの、8番隊の執務室までくるなんて珍しいね」
「いや、昨日のお前の様子がおかしかったからな。今日は大丈夫だろうかと思って」
「浮竹は、いつも優しいね」
「京楽こそ、いつでも優しいぞ」
「僕はもう大丈夫だよ」
「そうか。うーん、せっかくだし、8番隊で夕餉をとって帰るか」
「ここの食事、13番隊よりは劣るよ」
「構わないさ。豪華なものを期待しているわけじゃない。お前と一緒に食べたいんだ」
その言葉に、京楽が笑顔になった。
ああ、この笑顔を見るのも、2日ぶりくらいだ。
いつも飄々としていて、そうとは分からないが、京楽はけっこう繊細なのだ。だから、女性の死のことが気になっていた。
もう、乗り越えたようで、浮竹も安堵するのであった。
どうしたのかと見ると、京楽がいた。
「どうしたんだ、これは」
「蒼薔薇、花束を君にあげたかったけど、10本しか購入できなかった。だから、やけになってみた」
「また、蒼薔薇なんて高いもの・・・違う色の薔薇にすればよかっただろうに」
「あ、それもそうか」
と、元のいつもの飄々とした京楽に戻って、浮竹はほっとした。
でも、すぐに京楽の機嫌は崩れた。
「知り合いのやつが・・・・もうお前には売れない、この10本が最後だからっていうから頭にきてね・・・・蒼薔薇はまだたくさんあるのに、売ってくれないから」
「そんなことで腹を立てても仕方ないだろう」
「僕は、自分でいうのもなんだけど、金の力でけっこう動かしてきたから・・・・思い通りにならないことは少ない人生を送ってきた。こんなにきっぱり拒絶されたのは、君に初めて告白をして振られた日以来かな・・・・・・」
「どんな人生だ」
思い出す。
院生時代、女遊びが激しくて、廓にまで入り浸っていた京楽に告白されて、遊ばれるのかと断ったのだ。
その後、何度もプロポーズを受けて、女遊びも廓にいくこともやめて、浮竹だけを見て、甲斐甲斐しく世話をやかれて、プロポーズを受け入れたのだ。
きっと、一時のものになると思いつつも。
それが、こんなに長い間続くとは思ってもいなかった。
京楽は浮竹に本気だったし、浮竹もそんな京楽に本気だった。
蒼薔薇をかき集めて、浮竹は微笑んだ。
「10本でも嬉しいぞ」
「浮竹・・・・・」
京楽が、抱き着いてきた。
「好きだよ、好きだよ、浮竹。ずっと傍にいてね」
「本当に、どうしたんだ京楽」
「女性だけど・・・・飲み友達だった友人が、自殺したんだ。肺の病を抱えていて、治らないからと自殺を・・・・・」
息をのんだ。
「京楽、俺は大丈夫だ。自殺したりしないし、病にも負けない」
「うん・・・・」
京楽は、その女性の自殺で酷く傷ついているようだった。
「京楽、俺の顔を見ろ」
「うん」
「この顔が、お前を置いて自殺したり、病で死んでしまいそうに見えるか?」
「ううん、見えない」
京楽を優しく抱きしめて、浮竹は言った。
「俺は、お前を置いて何処にもいかない。もしも、逝くことがあるとしたら、ちゃんとお別れをいう」
「そんなこと言わないで、浮竹」
「ああ、すまない。ちょっと、縁起が悪かったな」
京楽は、強く浮竹を抱き締めた。
浮竹も、強く京楽を抱き締めた。
そのまま、布団に横になる。お互いの体温を共有しあった。
触れるだけのキスを繰り返す。
今日の京楽は、浮竹を抱く気はないようで、浮竹も京楽の傷ついた心を癒してあげようと、京楽に優しく接した。
「なんだか、こんな風に抱き合ってごろごろしていると、院生時代を思い出すね」
「そうだな」
院生時代は、付き合うようになってから、体の関係にいくまでに3年はかかった。
仕事もせず、2時間ほど布団の上で体温を共有し合い、ごろごろしていたら、昼餉の時間になった。
「清音、いるか、清音ーー」
「はーい隊長!」
「すまないが、昼餉を二人分もってきてくれ」
「分かりました」
清音は、すぐに二人分の昼餉をもってきてくれた。
「天ぷら丼か・・・」
「おいしそうだね」
「ほら、京楽、海老をやる」
「いいの?」
いつもなら、京楽が浮竹にメニューの何かをやるのだが、今日は反対だった。
今日は、京楽の気が済むまで甘えさせてやろうと思った。
「大好きだよ、浮竹」
「俺も大好きだ、京楽」
唇が重なり合う。
やはり、今日は京楽は浮竹を抱くつもりはないようだった。
夕餉をとり、夜になった。
「何処にも行かないで・・・・」
「おいおい、明日の仕事のことを仙太郎に言いにいくだけだ」
「僕も一緒に行く」
「まぁいいが」
隊舎で、仙太郎に話をつけた。京楽は、浮竹の後ろから浮竹の腰に手を回して、抱き着いていた。
「京楽隊長、今日ちょっと変じゃありませんか?」
「ああ、ちょっと傷心気味なんだ。甘えたい気分なんだ、好きなだけ甘えさせてやってるんだ」
「そうですか」
雨乾堂まで戻ると、京楽は浮竹を強く腕にかき抱いた。
「君が、誰かをその瞳に映すのがいやだ」
「おい、京楽・・・・・はぁ、今日だけだぞ」
京楽を、甘えるだけ甘えさせた。
やはり、夜になっても京楽は浮竹に手を出してこなかった。
「君の瞳に映るのは、僕だけでいい」
「京楽、愛してる」
「僕も、浮竹、君を愛してる」
とさりと、布団の上で横になる。
体温を共有しあっていると、二人はいつの間にか、眠りに落ちてしまっていた。
次の日、朝を迎えると、京楽はつきものが落ちたような顔で、普通に接してきた。
「朝餉、食べない?」
「ああ、そうだな。おーい、仙太郎ーーー!」
朝餉は、焼いた鮭におにぎり、卵焼き、味噌汁に漬物だった。
朝のメニューは、けっこう普通で、他の隊と似たようなものだ。
夜のメニューが豪華なのだ。昼もそこそこ豪華だが。
朝餉を食べ終えると、京楽は、すっきりした顔で、8番隊執務室に帰って行った。
浮竹は、仕事を終えると、念のために8番隊の執務室を訪れた。
京楽は、七緒にお説教を受けながらも、溜まった仕事を片付けていた。
「浮竹?どうしたの、8番隊の執務室までくるなんて珍しいね」
「いや、昨日のお前の様子がおかしかったからな。今日は大丈夫だろうかと思って」
「浮竹は、いつも優しいね」
「京楽こそ、いつでも優しいぞ」
「僕はもう大丈夫だよ」
「そうか。うーん、せっかくだし、8番隊で夕餉をとって帰るか」
「ここの食事、13番隊よりは劣るよ」
「構わないさ。豪華なものを期待しているわけじゃない。お前と一緒に食べたいんだ」
その言葉に、京楽が笑顔になった。
ああ、この笑顔を見るのも、2日ぶりくらいだ。
いつも飄々としていて、そうとは分からないが、京楽はけっこう繊細なのだ。だから、女性の死のことが気になっていた。
もう、乗り越えたようで、浮竹も安堵するのであった。
白桃の湯2
浮竹は、京楽と一緒によく湯あみをする。
雨乾堂に備え付けてある湯殿は、一人用には少し広くて、二人用には少し狭い。
よく京楽が泊まりにくるものだから、雨乾堂には、京楽の衣服に下着が置かれてあった。
「今日も、白桃の湯にしたよ」
「またか。金が流れていくんだな・・・・・」
白桃の湯の元はけっこうお高い。
互いの髪を、それぞれ違うシャンプーで洗っていく。浮竹のものは女もので、匂いもよくて長い白髪に艶を出すために高めのシャンプーを、京楽が買い与えていた。
一方の京楽のものは、どこにでもあるような一般のシャンプーだった。
京楽の髪も長いが、くせ毛で波打っていた。
女ものシャンプーの匂いが自分からするのはあまり好まないので、京楽は浮竹にあげたシャンプーで髪を洗われることを嫌がった。
二人で、白桃の湯に浸かる。
「あーいいお湯だ。この甘い匂いがすごく好きなんだ」
「この湯の湯上がりの浮竹って、すごくいい匂いでおいしそうなんだよね」
「食うつもりか」
「食べていいなら」
「じゃあ、ここで食べていくか?」
「え、いいの」
冗談かと思った。
でも、浮竹にしては珍しく、風呂の中でエッチをしていいらしかった。
「声、やっぱり響くかな?」
「いや、今誰もいないでしょ。ルキアちゃんは隊舎だし」
この度、はれて朽木ルキアは、13番隊副隊長に就任した。
「ん・・・京楽・・・・」
キスをしだす。
「浮竹、愛してるよ」
舌と舌が絡みあう。
「んうっ」
湯の中で、お互いの体を弄りあう。
「あっ」
胸の先端をつままれ、指ではじかれた。
そのまま、首筋に吸い付いてくる京楽の頭を抱え込んだ。
「京楽・・・」
浮竹が、とろんとした瞳で京楽を見つめる。
「なんて顔するの・・・・」
その顔をみているだけで、腰に響く。
ちゃぷんと、お湯が鳴った。
「あああ!」
湯の中で、指が蕾に埋め込まれる。
潤滑油がないので、するりとはいかないが、ゆっくりと入ってきて、コリコリと前立腺を刺激されて、浮竹は啼いた。
「ああああ!・・・・きょうら・・・ああ!」
指で何度も前立腺を刺激していると、浮竹が限界を迎えたのか、湯の中で体がはねた。
「ああっ!」
「いったのかい?」
「俺だけなんて・・・・・」
「いいから、もっと気持ちよくなって」
ずるりと指がひきぬかれると、熱いものが宛がわれた。
「んあああああ!」
ゆっくりと侵入していく。
「あっ、お湯が・・・・・」
入ってくるのと一緒に、湯まで体内に入ってきた。
「後でかき出すから」
ちゃぷんちゃぷんと、湯が揺れる。
「あ、あ、あ」
ずっずっと、浮竹の中を侵していく。
白桃の湯の甘い匂いに、頭までおかしくなりそうだった。
「ああっ」
一番最奥を突かれて、浮竹の体がはねた。
「ここも、感じるの?」
「あ、言うな・・・・・」
前立腺をすりあげると、浮竹は京楽の体にしがみついた。
「ああっ・・・・・きょら・・・俺の中で、いけ・・・・」
「んっ・・・・一度、中で出すよ」
浮竹の前立腺をすりあげてから、最奥に欲望を叩きこんだ。
「あんまり、長湯してるとのぼせるからね。一度、あがろうか」
「んあっ」
ずるりと引き抜かれて、湯船から出て、立ったまま交じりあった。
「あ、あ、あ・・・・こんな体勢、深いっ・・・・ああっ!」
ずくずくと、欲望を飲み込んでいく蕾が広がっていく。
「こんなにくわえこんで・・・・いけない子だ」
ぱんぱんと、音がなるくらい京楽は浮竹の腰に腰を打ちつけた。
「ああっ、激しっ・・・・」
前立腺を突かれて、浮竹が体を痙攣させる。
「んああああ!」
二度目になる精を放つと、京楽も少しして、二回目を浮竹の中に注ぎ込んだ。
少し湯冷めしたので、また白桃の湯に浸かった。
浸かる前に、浮竹の中に残した白濁した液と、お湯をかきだした。
「ああ、きもちいい・・・・でも、これに精液混じってるって考えると、ちょっとあれだな」:
「そういう細かいことは気にしないほうがいいよ」
白桃の湯は、甘ったるい匂いを放っている。
浮竹の放つ生来からある、花の甘い香もそれにまけないようにと、甘くなる。
浮竹は、体も甘い。
甘いものだらけで、京楽は嬉しい悲鳴をあげそうだった。
湯の中で交わるのも、一風変わって、いいかもしれないとい思うのだった。
雨乾堂に備え付けてある湯殿は、一人用には少し広くて、二人用には少し狭い。
よく京楽が泊まりにくるものだから、雨乾堂には、京楽の衣服に下着が置かれてあった。
「今日も、白桃の湯にしたよ」
「またか。金が流れていくんだな・・・・・」
白桃の湯の元はけっこうお高い。
互いの髪を、それぞれ違うシャンプーで洗っていく。浮竹のものは女もので、匂いもよくて長い白髪に艶を出すために高めのシャンプーを、京楽が買い与えていた。
一方の京楽のものは、どこにでもあるような一般のシャンプーだった。
京楽の髪も長いが、くせ毛で波打っていた。
女ものシャンプーの匂いが自分からするのはあまり好まないので、京楽は浮竹にあげたシャンプーで髪を洗われることを嫌がった。
二人で、白桃の湯に浸かる。
「あーいいお湯だ。この甘い匂いがすごく好きなんだ」
「この湯の湯上がりの浮竹って、すごくいい匂いでおいしそうなんだよね」
「食うつもりか」
「食べていいなら」
「じゃあ、ここで食べていくか?」
「え、いいの」
冗談かと思った。
でも、浮竹にしては珍しく、風呂の中でエッチをしていいらしかった。
「声、やっぱり響くかな?」
「いや、今誰もいないでしょ。ルキアちゃんは隊舎だし」
この度、はれて朽木ルキアは、13番隊副隊長に就任した。
「ん・・・京楽・・・・」
キスをしだす。
「浮竹、愛してるよ」
舌と舌が絡みあう。
「んうっ」
湯の中で、お互いの体を弄りあう。
「あっ」
胸の先端をつままれ、指ではじかれた。
そのまま、首筋に吸い付いてくる京楽の頭を抱え込んだ。
「京楽・・・」
浮竹が、とろんとした瞳で京楽を見つめる。
「なんて顔するの・・・・」
その顔をみているだけで、腰に響く。
ちゃぷんと、お湯が鳴った。
「あああ!」
湯の中で、指が蕾に埋め込まれる。
潤滑油がないので、するりとはいかないが、ゆっくりと入ってきて、コリコリと前立腺を刺激されて、浮竹は啼いた。
「ああああ!・・・・きょうら・・・ああ!」
指で何度も前立腺を刺激していると、浮竹が限界を迎えたのか、湯の中で体がはねた。
「ああっ!」
「いったのかい?」
「俺だけなんて・・・・・」
「いいから、もっと気持ちよくなって」
ずるりと指がひきぬかれると、熱いものが宛がわれた。
「んあああああ!」
ゆっくりと侵入していく。
「あっ、お湯が・・・・・」
入ってくるのと一緒に、湯まで体内に入ってきた。
「後でかき出すから」
ちゃぷんちゃぷんと、湯が揺れる。
「あ、あ、あ」
ずっずっと、浮竹の中を侵していく。
白桃の湯の甘い匂いに、頭までおかしくなりそうだった。
「ああっ」
一番最奥を突かれて、浮竹の体がはねた。
「ここも、感じるの?」
「あ、言うな・・・・・」
前立腺をすりあげると、浮竹は京楽の体にしがみついた。
「ああっ・・・・・きょら・・・俺の中で、いけ・・・・」
「んっ・・・・一度、中で出すよ」
浮竹の前立腺をすりあげてから、最奥に欲望を叩きこんだ。
「あんまり、長湯してるとのぼせるからね。一度、あがろうか」
「んあっ」
ずるりと引き抜かれて、湯船から出て、立ったまま交じりあった。
「あ、あ、あ・・・・こんな体勢、深いっ・・・・ああっ!」
ずくずくと、欲望を飲み込んでいく蕾が広がっていく。
「こんなにくわえこんで・・・・いけない子だ」
ぱんぱんと、音がなるくらい京楽は浮竹の腰に腰を打ちつけた。
「ああっ、激しっ・・・・」
前立腺を突かれて、浮竹が体を痙攣させる。
「んああああ!」
二度目になる精を放つと、京楽も少しして、二回目を浮竹の中に注ぎ込んだ。
少し湯冷めしたので、また白桃の湯に浸かった。
浸かる前に、浮竹の中に残した白濁した液と、お湯をかきだした。
「ああ、きもちいい・・・・でも、これに精液混じってるって考えると、ちょっとあれだな」:
「そういう細かいことは気にしないほうがいいよ」
白桃の湯は、甘ったるい匂いを放っている。
浮竹の放つ生来からある、花の甘い香もそれにまけないようにと、甘くなる。
浮竹は、体も甘い。
甘いものだらけで、京楽は嬉しい悲鳴をあげそうだった。
湯の中で交わるのも、一風変わって、いいかもしれないとい思うのだった。
酔っぱらったルキア
結婚から、4か月が経とうとしていた。
白哉との仲は相変わらずだ。
嫌がらせをされたり、したり。
仕事も終わり、一護はルキアと一緒に、居酒屋を訪れた。
「たまには、外食もいいよな。酒も飲めるし」
朽木邸で酒が飲めないわけではないのだが、健康のためと飲み過きになる前に下げられてしまう。
「一体どうしたのだ、一護」
「いや、二人きりの時間が欲しいからさ」
「朽木邸や執務室で、いつでも二人だけの時間を作れるではないか」
「それとは別に、お前と飲んだりして他愛もないことを話せる時間が欲しいんだよ!」
「一護・・・・流石にこんな店では、白玉餡蜜は売っていないか」
「居酒屋だぜ。売ってないだろ」
鳥の串焼きを二人前注文して、冷えたビールを注文する。
「貴様、本来ならば現世では未成年で飲めないのではないか?」
「え、ああそうだけど。ここは尸魂界だし、子供の冬獅郎だって飲んでるし、別にいいだろ」
「まぁ、問題はないが・・・・」
鳥の串焼きがやってきた。熱いうちにぼうばると、じゅわりと肉汁が口いっぱいに広がった。
「うまいな、これ」
「ああ、うまいな」
「ルキア・・・・好きだぜ」
「ぐっ・・・急に何を言い出すのだ。思わず中身を吹き飛ばしそうになったではないか!」
「お前は、俺のこと好きか?」
「そうに決まっておろう。そうでなければ、結婚式など挙げたりせぬ」
「そっか。嬉しいな」
ルキアの隣に座り直して、一護はルキアの頭を撫でた。
「なんだ、子供ではないのだぞ」
「ルキアって、小さいもんな。144センチだっけ」
「そうだが、何か問題でもあるのか」
「いや、俺180センチあるから、約40センチも身長が違うんだなって思って」
冷えたビールが持ってこられた。それを、一護もルキアもごくごくごくと飲んでいく。
「くー冷えた生ビールはうまいな!」
「そうだろ!この味が分かるようになった分、お前も大人になったな!」
「たわけ!私はすでに成人しておる。見た目は若いが・・・・・」
身長も低く、細いせいもあり10代半ばといわれても、否定できそうにないが。
鳥の串焼きの次は、焼肉を頼んだ。あとはホルモン焼きとか。肉類が豊富で、馬刺しまであった。
二人で、時間を忘れて食べて飲みあった。
「うーい。いちごお。世界が廻っておるぞ」
「やっべ。飲ませすぎた・・・・」
一護は限界を知っているので、酔うまでは飲まなかったが、ルキアはまだ自分がどれほど飲めば酔うのか分かっておらず、酒をぱかぱかと飲んでいた。
楽しそうだったが、こうなる前に止めておければよかったと思うが、後の祭りだ。
「いちご。好きだ・・・・・・」
店の前で、ベロチューされた。
「おい、ルキア、酔ってるんだろう。少し休んでいくか?」
「酔ってなぞおらぬ。うーーーい。いちごめぇ、貧乳派だな、貴様は」
「いきなり何言い出してたんだよ!」
「私のことを、ういっく、好きなのであろう?大好きで大好きで、死にそうなほど好きなのであろう?」
「ああ、そうだぜ。お前のことが好きすぎて、死にそうだ」
そう真顔で返すと、酔っているだけではない、頬に赤みがさした。
「恥ずかしいやつめ」
「言い出したのはお前だろ!」
ルキアの手を握りしめて、徒歩で朽木邸に向かう。
「いちご、ぺろちゅーもう一回だ!」
「へいへい」
舌が絡むキスをしていたら、ルキアがすり寄ってきた。
「んあっ・・・・・・いちご、きもちいい・・・」
「おい、頼むから道端で寝るなよ!?」
「うーい。大丈夫だ、私は素面だ。はははははははは」
今度は笑いだした。
千鳥足のルキアに肩をかしながら、歩いていく。
「こんな風になっても、ルキアのことが大好きだ。付き合う時間がなかったから、口説けなかったけど。ほんとは、もっと甘い時間を過ごして、ゴールインしたかったんだよな」
一護は、ルキアにそう言い聞かせた。
「何おう、籍をいきなり入れられたのは不満だというのか!」
「いや、そんなことはねぇけど」
「ならよいではないか。うーい。お日様が照ってる・・・・・・」
どこに?と言おうとして、つるりんとした頭の一角が見えた。
「あ、一角さん弓親さん。飲んでたのか?」
「あれ、一護じゃねぇか。手前も飲んでたのか?」
「うーい。まぶしいぞ、太陽め!つるつるだな!」
「おい、この酔っ払いなんだ」
「ああ、ちょっと飲ませすぎたみたいだ」
弓親が、ルキアの酔っぱらう姿に眉を潜めた。
「朽木隊長、酔ってるのかい?酔い方が美しくないね」
「酔うのに美しいも醜いもねーだろ」
「ふ、僕なら美しく酔うよ」
「誰も聞いてねぇ・・・・」
一角も弓親も隊舎に帰る途中だったようなので、少し会話して離れた。
「うーい。いちご。おぶれ」
「あーはいはい」
ルキアをおんぶして、暗い道を歩いていく。
尸魂界には街灯がないので、瀞霊廷の中からでも星がよく見えた。
「私は、いつか世界征服をしてチャッピーを世界中に広めるのだ」
「大それた野望だな」
「そして、兄様のわかめ大使も世界中に広めるのだ」
「まずが尸魂界に広めろよ」
「うーい。星が、綺麗だな・・・・・・」
「ああ。月も綺麗だ」
そのまま、朽木邸につくと、眉間に皺を寄せた白哉が待っていた。
「こんな時間まで、飲み歩いていたのか。ルキアは、酔っているな」
「うーい。兄様、わかめ大使を、尸魂界中に広めるましょう」
「ルキア」
「うーい?ふふふ、兄様かわいい」
白哉に抱き着いて、そのままルキアは眠ってしまった。
「一護、兄は、ルキアを酔わせすぎだ」
「すまねぇ。それには反省している。こんな変な酔っぱらい方するとは思わなかった」
「だから、私は常日頃、ルキアにあまり酒は飲まさぬのだ」
「そうなのか」
一護は、驚いた。
ルキアにあまり酒を飲ませたがらないのは、こんな悪酔いをするからなのかと、初めて知った。
「ルキアを連れて、寝所へ行け。湯あみは、明日の朝にするように。湯をその時にわかせておく」
「分かった。なぁ、白哉」
「なんだ」
「白哉も今度、飲みに行こうぜ。ルキアも一緒に。といっても、ルキアに酒はほどほどにしておくが」
そんな誘いを受けるとは思っていなかったのか、白哉は吃驚していた。
「考えておく」
それだけ言うと、白哉は自分の寝室に戻ってしまった。
眠ってしまったルキアを抱き上げて、その軽さに驚きつつも、一護も寝室に戻り、そのまま服を着替えて寝た。
翌日。
「うう・・・・地面が廻っている。気持ち悪い」
「そりゃあんだけ飲んだんだ。普通は二日酔いになる」
「く、適当なところで止めておけばよかった。昨日はふわふわしていて気持ちよかったが、その次の日がこれだと、もうふわふわするのはいらぬ」
今日は、ルキアは二日酔いで仕事は欠席であった。
休暇が大分溜まっていたため、一護も同じく休暇をとった。
白哉は、一度ルキアの様子を見て、薬を飲ませた後、8時には朽木邸を出てしまった。
「俺、これから湯あみだけど、ルキアはどうする」
「こんな気分で、であるけぬ。夜に入ることにする」
「そうか」
今日は、白哉が帰ってくるまでの間、二日酔いのルキアを相手ではあるが、ラブラブイチャイチャできると思っていた。
ルキアは、一護が湯あみを終えると、眠ってしまっていた。
「白哉か・・・・・」
二日酔いの状態を味合わせえるより、眠剤を与えて自然に治るまで寝かせるべきだと判断したのであろう。
「ま、いいか。ルキアの寝顔でも見とこ」
午後の3時頃になって、ルキアが起き出した。
「おう、二日酔いはどうだ?」
「嘘のように治まっている」
「そうか、よかったな。とりあえず、湯あみして昼餉でも食えよ」
「うむ。腹が減った」
ルキアは湯あみをして、寝室に戻ると、少し長くなったその髪を、一護がかわかしてくれた。最近はやりのドライヤーであった。
「何か、食べるもんもってきてもらうわ」
厨房にいき、ルキアの食事を頼むと、豪華なメニューが寝室まで持ってこられえた。
「こんなに、食べきれぬ」
「残ったら、俺が食うから」
「ふむ。それなら安心だ」
ルキアは、普段残すことをあまりしない。白哉もだ。メニューは豊富であるが、その量は少ないのだ。飯時に、食事を残すような不作法はしないのだ、二人とも。
貴族だから、てっきりいろんなメニューを好きなだけ食べて、残ったものは捨てるのだと思っていた、一護であった。
6時半になり、白哉が帰ってきた。
一護の顔を見て、猫缶を投げてよこした。
「琥珀の分か?」
ルキアが飼っている、オッドアイの白猫の名前だ。
「琥珀には、先ほど餌を与えた。兄の分だ。兄はそれでも食していろ」
ピキピキピキ。
一護は、血管マークを浮かべながらも、猫缶を受け取った。
夕餉の時間になって、ささみと猫缶の中身が、一護の席に置かれてあった。
その程度のことで動じる一護ではない。
ぺろりと、ささみと猫缶を平らげて、おかわりがほしいといって、普通の食事にもありついていた。
白哉は、それを残念そうな目で見ていた。
もっと怒ると思っていたのだろう。
ちなみに、白哉の真実に忍び込み、褥に琥珀のトイレの砂をまいておいたので、今日の嫌がらせは一護の勝ちのようだった。
「にゃあ」
「琥珀、おいで」
ルキアが、琥珀を抱いて、寝室にまで戻る。一護は、白哉にあかんべーをしてから寝室に戻った。
一方の、白哉は。
「く・・・・・・やられた・・・・・」
琥珀のしたうんこまで、砂とまみれてざらりと褥に広げられていて、どうやって一護に次の嫌がらせをしてやろうかと悩むのであった。
白哉との仲は相変わらずだ。
嫌がらせをされたり、したり。
仕事も終わり、一護はルキアと一緒に、居酒屋を訪れた。
「たまには、外食もいいよな。酒も飲めるし」
朽木邸で酒が飲めないわけではないのだが、健康のためと飲み過きになる前に下げられてしまう。
「一体どうしたのだ、一護」
「いや、二人きりの時間が欲しいからさ」
「朽木邸や執務室で、いつでも二人だけの時間を作れるではないか」
「それとは別に、お前と飲んだりして他愛もないことを話せる時間が欲しいんだよ!」
「一護・・・・流石にこんな店では、白玉餡蜜は売っていないか」
「居酒屋だぜ。売ってないだろ」
鳥の串焼きを二人前注文して、冷えたビールを注文する。
「貴様、本来ならば現世では未成年で飲めないのではないか?」
「え、ああそうだけど。ここは尸魂界だし、子供の冬獅郎だって飲んでるし、別にいいだろ」
「まぁ、問題はないが・・・・」
鳥の串焼きがやってきた。熱いうちにぼうばると、じゅわりと肉汁が口いっぱいに広がった。
「うまいな、これ」
「ああ、うまいな」
「ルキア・・・・好きだぜ」
「ぐっ・・・急に何を言い出すのだ。思わず中身を吹き飛ばしそうになったではないか!」
「お前は、俺のこと好きか?」
「そうに決まっておろう。そうでなければ、結婚式など挙げたりせぬ」
「そっか。嬉しいな」
ルキアの隣に座り直して、一護はルキアの頭を撫でた。
「なんだ、子供ではないのだぞ」
「ルキアって、小さいもんな。144センチだっけ」
「そうだが、何か問題でもあるのか」
「いや、俺180センチあるから、約40センチも身長が違うんだなって思って」
冷えたビールが持ってこられた。それを、一護もルキアもごくごくごくと飲んでいく。
「くー冷えた生ビールはうまいな!」
「そうだろ!この味が分かるようになった分、お前も大人になったな!」
「たわけ!私はすでに成人しておる。見た目は若いが・・・・・」
身長も低く、細いせいもあり10代半ばといわれても、否定できそうにないが。
鳥の串焼きの次は、焼肉を頼んだ。あとはホルモン焼きとか。肉類が豊富で、馬刺しまであった。
二人で、時間を忘れて食べて飲みあった。
「うーい。いちごお。世界が廻っておるぞ」
「やっべ。飲ませすぎた・・・・」
一護は限界を知っているので、酔うまでは飲まなかったが、ルキアはまだ自分がどれほど飲めば酔うのか分かっておらず、酒をぱかぱかと飲んでいた。
楽しそうだったが、こうなる前に止めておければよかったと思うが、後の祭りだ。
「いちご。好きだ・・・・・・」
店の前で、ベロチューされた。
「おい、ルキア、酔ってるんだろう。少し休んでいくか?」
「酔ってなぞおらぬ。うーーーい。いちごめぇ、貧乳派だな、貴様は」
「いきなり何言い出してたんだよ!」
「私のことを、ういっく、好きなのであろう?大好きで大好きで、死にそうなほど好きなのであろう?」
「ああ、そうだぜ。お前のことが好きすぎて、死にそうだ」
そう真顔で返すと、酔っているだけではない、頬に赤みがさした。
「恥ずかしいやつめ」
「言い出したのはお前だろ!」
ルキアの手を握りしめて、徒歩で朽木邸に向かう。
「いちご、ぺろちゅーもう一回だ!」
「へいへい」
舌が絡むキスをしていたら、ルキアがすり寄ってきた。
「んあっ・・・・・・いちご、きもちいい・・・」
「おい、頼むから道端で寝るなよ!?」
「うーい。大丈夫だ、私は素面だ。はははははははは」
今度は笑いだした。
千鳥足のルキアに肩をかしながら、歩いていく。
「こんな風になっても、ルキアのことが大好きだ。付き合う時間がなかったから、口説けなかったけど。ほんとは、もっと甘い時間を過ごして、ゴールインしたかったんだよな」
一護は、ルキアにそう言い聞かせた。
「何おう、籍をいきなり入れられたのは不満だというのか!」
「いや、そんなことはねぇけど」
「ならよいではないか。うーい。お日様が照ってる・・・・・・」
どこに?と言おうとして、つるりんとした頭の一角が見えた。
「あ、一角さん弓親さん。飲んでたのか?」
「あれ、一護じゃねぇか。手前も飲んでたのか?」
「うーい。まぶしいぞ、太陽め!つるつるだな!」
「おい、この酔っ払いなんだ」
「ああ、ちょっと飲ませすぎたみたいだ」
弓親が、ルキアの酔っぱらう姿に眉を潜めた。
「朽木隊長、酔ってるのかい?酔い方が美しくないね」
「酔うのに美しいも醜いもねーだろ」
「ふ、僕なら美しく酔うよ」
「誰も聞いてねぇ・・・・」
一角も弓親も隊舎に帰る途中だったようなので、少し会話して離れた。
「うーい。いちご。おぶれ」
「あーはいはい」
ルキアをおんぶして、暗い道を歩いていく。
尸魂界には街灯がないので、瀞霊廷の中からでも星がよく見えた。
「私は、いつか世界征服をしてチャッピーを世界中に広めるのだ」
「大それた野望だな」
「そして、兄様のわかめ大使も世界中に広めるのだ」
「まずが尸魂界に広めろよ」
「うーい。星が、綺麗だな・・・・・・」
「ああ。月も綺麗だ」
そのまま、朽木邸につくと、眉間に皺を寄せた白哉が待っていた。
「こんな時間まで、飲み歩いていたのか。ルキアは、酔っているな」
「うーい。兄様、わかめ大使を、尸魂界中に広めるましょう」
「ルキア」
「うーい?ふふふ、兄様かわいい」
白哉に抱き着いて、そのままルキアは眠ってしまった。
「一護、兄は、ルキアを酔わせすぎだ」
「すまねぇ。それには反省している。こんな変な酔っぱらい方するとは思わなかった」
「だから、私は常日頃、ルキアにあまり酒は飲まさぬのだ」
「そうなのか」
一護は、驚いた。
ルキアにあまり酒を飲ませたがらないのは、こんな悪酔いをするからなのかと、初めて知った。
「ルキアを連れて、寝所へ行け。湯あみは、明日の朝にするように。湯をその時にわかせておく」
「分かった。なぁ、白哉」
「なんだ」
「白哉も今度、飲みに行こうぜ。ルキアも一緒に。といっても、ルキアに酒はほどほどにしておくが」
そんな誘いを受けるとは思っていなかったのか、白哉は吃驚していた。
「考えておく」
それだけ言うと、白哉は自分の寝室に戻ってしまった。
眠ってしまったルキアを抱き上げて、その軽さに驚きつつも、一護も寝室に戻り、そのまま服を着替えて寝た。
翌日。
「うう・・・・地面が廻っている。気持ち悪い」
「そりゃあんだけ飲んだんだ。普通は二日酔いになる」
「く、適当なところで止めておけばよかった。昨日はふわふわしていて気持ちよかったが、その次の日がこれだと、もうふわふわするのはいらぬ」
今日は、ルキアは二日酔いで仕事は欠席であった。
休暇が大分溜まっていたため、一護も同じく休暇をとった。
白哉は、一度ルキアの様子を見て、薬を飲ませた後、8時には朽木邸を出てしまった。
「俺、これから湯あみだけど、ルキアはどうする」
「こんな気分で、であるけぬ。夜に入ることにする」
「そうか」
今日は、白哉が帰ってくるまでの間、二日酔いのルキアを相手ではあるが、ラブラブイチャイチャできると思っていた。
ルキアは、一護が湯あみを終えると、眠ってしまっていた。
「白哉か・・・・・」
二日酔いの状態を味合わせえるより、眠剤を与えて自然に治るまで寝かせるべきだと判断したのであろう。
「ま、いいか。ルキアの寝顔でも見とこ」
午後の3時頃になって、ルキアが起き出した。
「おう、二日酔いはどうだ?」
「嘘のように治まっている」
「そうか、よかったな。とりあえず、湯あみして昼餉でも食えよ」
「うむ。腹が減った」
ルキアは湯あみをして、寝室に戻ると、少し長くなったその髪を、一護がかわかしてくれた。最近はやりのドライヤーであった。
「何か、食べるもんもってきてもらうわ」
厨房にいき、ルキアの食事を頼むと、豪華なメニューが寝室まで持ってこられえた。
「こんなに、食べきれぬ」
「残ったら、俺が食うから」
「ふむ。それなら安心だ」
ルキアは、普段残すことをあまりしない。白哉もだ。メニューは豊富であるが、その量は少ないのだ。飯時に、食事を残すような不作法はしないのだ、二人とも。
貴族だから、てっきりいろんなメニューを好きなだけ食べて、残ったものは捨てるのだと思っていた、一護であった。
6時半になり、白哉が帰ってきた。
一護の顔を見て、猫缶を投げてよこした。
「琥珀の分か?」
ルキアが飼っている、オッドアイの白猫の名前だ。
「琥珀には、先ほど餌を与えた。兄の分だ。兄はそれでも食していろ」
ピキピキピキ。
一護は、血管マークを浮かべながらも、猫缶を受け取った。
夕餉の時間になって、ささみと猫缶の中身が、一護の席に置かれてあった。
その程度のことで動じる一護ではない。
ぺろりと、ささみと猫缶を平らげて、おかわりがほしいといって、普通の食事にもありついていた。
白哉は、それを残念そうな目で見ていた。
もっと怒ると思っていたのだろう。
ちなみに、白哉の真実に忍び込み、褥に琥珀のトイレの砂をまいておいたので、今日の嫌がらせは一護の勝ちのようだった。
「にゃあ」
「琥珀、おいで」
ルキアが、琥珀を抱いて、寝室にまで戻る。一護は、白哉にあかんべーをしてから寝室に戻った。
一方の、白哉は。
「く・・・・・・やられた・・・・・」
琥珀のしたうんこまで、砂とまみれてざらりと褥に広げられていて、どうやって一護に次の嫌がらせをしてやろうかと悩むのであった。
まるで犬みたい
恋次が、普通の着物から死覇装へと着換えていた。
ふと、恋次の背中が見えた。
刺青が綺麗に入っているその肌に、いくつもの爪痕によるひっかき傷を見て、白哉はやや頬を朱に染めた。
「恋次・・・・背中の傷は、平気なのか」
「あ、これっすか。隊長が残してくれたもんだから、別に痛くないしもうなれてます」
「やはり、犯人は私なのだな」
少し罪悪感を覚えて、白哉は死覇装を着こんだ恋次に少しだけ近寄った。
「隊長?」
「詫びだ」
恋次の頬に手で触れた後で、その唇に唇を重ねた。
触れるだけのキスであったが、恋次は吃驚していた。
何せ、ここは朽木邸ではないのだ。
誰かが入ってくるかもわからぬ、執務室だった。
「これ以上はここではできぬ。夜を待て」
「え、夜まで待てばまさか隊長と―——」
えろい妄想をして、恋次は鼻血をだしていた。
白哉は、それを見て引いた。
「やはり、今日の夜はなしにしよう」
「ええっ、そんな!」
まるでお預けを食らった犬のような顔をする恋次。
「恋次、お前は犬のようだな」
「またそれっすか。俺の何処か犬なんすか」
いや、みたまんまだと、白哉は思った。
嬉しいことがあると、尻尾をばっさばっさを振っているように喜ぶ。
悲しいことがあると、主人に叱られた犬のようにへこむ。
斬魄刀の始解も「吠えろ 蛇尾丸」だし。
なんだか、存在から犬っぽいかんじがする。
「俺は犬っぽくありません!」
「ふ・・・・・」
少しだけ微笑んで、白哉は文机に向かい、仕事を始めた。
「あ、隊長、今日の夜は?」
「なしだ。この間、私を抱いたばかりであろう」
「俺は、隊長、あんたをずっと抱いていたい」
「私の体がもたぬ」
「今日の夜は―—―」
「しつこい」
ぴしゃりと言い切って、白哉は昼餉の時間になるまで、恋次を無視するのであった。
待てを言われた犬のような恋次は、昼になって白哉がまた声をかけると、喜んで尻尾を振るのであった。
ふと、恋次の背中が見えた。
刺青が綺麗に入っているその肌に、いくつもの爪痕によるひっかき傷を見て、白哉はやや頬を朱に染めた。
「恋次・・・・背中の傷は、平気なのか」
「あ、これっすか。隊長が残してくれたもんだから、別に痛くないしもうなれてます」
「やはり、犯人は私なのだな」
少し罪悪感を覚えて、白哉は死覇装を着こんだ恋次に少しだけ近寄った。
「隊長?」
「詫びだ」
恋次の頬に手で触れた後で、その唇に唇を重ねた。
触れるだけのキスであったが、恋次は吃驚していた。
何せ、ここは朽木邸ではないのだ。
誰かが入ってくるかもわからぬ、執務室だった。
「これ以上はここではできぬ。夜を待て」
「え、夜まで待てばまさか隊長と―——」
えろい妄想をして、恋次は鼻血をだしていた。
白哉は、それを見て引いた。
「やはり、今日の夜はなしにしよう」
「ええっ、そんな!」
まるでお預けを食らった犬のような顔をする恋次。
「恋次、お前は犬のようだな」
「またそれっすか。俺の何処か犬なんすか」
いや、みたまんまだと、白哉は思った。
嬉しいことがあると、尻尾をばっさばっさを振っているように喜ぶ。
悲しいことがあると、主人に叱られた犬のようにへこむ。
斬魄刀の始解も「吠えろ 蛇尾丸」だし。
なんだか、存在から犬っぽいかんじがする。
「俺は犬っぽくありません!」
「ふ・・・・・」
少しだけ微笑んで、白哉は文机に向かい、仕事を始めた。
「あ、隊長、今日の夜は?」
「なしだ。この間、私を抱いたばかりであろう」
「俺は、隊長、あんたをずっと抱いていたい」
「私の体がもたぬ」
「今日の夜は―—―」
「しつこい」
ぴしゃりと言い切って、白哉は昼餉の時間になるまで、恋次を無視するのであった。
待てを言われた犬のような恋次は、昼になって白哉がまた声をかけると、喜んで尻尾を振るのであった。
夜の修行?いえいえ普通の修行です
仕事も終わったとある1日。
研磨しあっている、一般隊士を見て、自分もと思った。
だが、席官クラス相手でも、浮竹の修行相手になりそうにない。
ふと、いつも一緒にいる京楽ならどうだろうと思った。
ちょうど遊びにきた京楽に、声をかける。
「修行しよう、京楽」
「え、夜の修行だって?」
「このバカ!」
浮竹は、真っ赤になって京楽を殴った。
「ただの、修行だ!強くなりたいんだ」
「浮竹は十分強いと思うけどね」
京楽が、笠をかぶり直す。
「それでも、高みにのぼりたいと思うだろう」
「そうだね」
浮竹は病弱であるため、剣の腕が鈍っていないか心配しているのだ。
「僕でいいなら、修行の相手になるよ。夜の修行も歓迎だけど」
「茶化すな!」
浮竹は、京楽の頭をまたぽかりと殴ってから、場所を指定してお互いに斬魄刀を始解しする。
「高鬼」
「くっ」
「色鬼、白」
「くそっ」
攻撃を避ける。
浮竹の斬魄刀は、主に相手の攻撃を吸収して跳ね返すものだ。京楽のような斬魄刀とは、馬が合わない。
「破道の4、白雷!」
「甘いね!」
ざっと、さっきまでいた空間を、京楽の花天狂骨が切り裂いた。
お互い、手加減はしているが、斬魄刀を始解したのだ。
一撃か決まれば、ただでは済まない。
「色鬼、黒」
「くそっ」
浮竹は、また咄嗟に避けた。
花天狂骨に、直接斬撃を浴びせる。そして霊圧を吸収し、左の刃から斬撃を放った。
「ひゅう、霊圧を吸収して攻撃とか、やるね」
「うーん。お前が相手だと、どうにもやりにくいな。白打や鬼道に頼りがちになってしまう」
「そりゃあ、僕の斬魄刀の能力は、子供の遊びだからね。浮竹のように、相手の放った攻撃を吸収して跳ね返す攻撃の修行相手には、あんまり向いてないかもね」
「今まで何百年もお互いで競い合ってきたからなぁ。京楽の太刀筋は分かるし、癖とか知ってるし・・・・・日番谷隊長か白哉に頼むか」
そう言って、剣をしまった。
京楽も、剣を収める。
「日番谷隊長のほうがいいんじゃない?あの子、強くなりたがっているから。朽木隊長は、鍛錬のために付き合ってくれるか分からないなぁ」
「白哉とは、何度か剣を交えたことがあるぞ。千本桜を吸収して跳ね返したら、嫌な顔をされたのを覚えている」
「じゃあ、日番谷隊長のところにいってみますか」
「そうだな」
こうして、二人は10番隊の執務室にやってきた。
「日番谷隊長、修行の相手になってくれないか」
「は?」
首を傾げる日番谷に、京楽が言う。
「夜の修行じゃないよ」
「まだ言うか、お前は」
ぽかりと京楽の頭を殴って、日番谷に頼み込んだ。
「京楽だといつもと同じで、修行にあまりならないんだ。日番谷隊長、甘納豆好きなだけ買ってあげるから、修行につきあってくれ」
「甘納豆はいらんが、いいぞ」
「ほんとか!」
浮竹が顔を輝かせた。
京楽と浮竹と日番谷との3人で、先ほど京楽と剣を交えていた場所にまでやってきた。
「蒼天に座せ、氷輪丸!いけぇ!」
氷の龍を、浮竹は右の剣で吸い取った。そして、微妙に威力を調節して左の剣から繰り出す。
「うおおおおおおお」
日番谷は、それを物ともせずに切りかかってきた。
浮竹も、本気で切り結ぶ。
氷の龍が暴れまくった。
日番谷の息が切れだす。それは浮竹も同じことだった。
「やるね、日番谷隊長」
「浮竹、お前もな」
白打、鬼道も駆使して、攻撃をしあった。
やがて、浮竹が剣をしまった。
「もう十分だ。ありがとう、日番谷隊長」
「おう」
日番谷も、氷輪丸を収めた。
帰り道で、甘納豆を買った。それをいらないという日番谷に渡すと、日番谷は嬉しかったのか、歩みが軽やかになっていた。
「浮竹の斬魄刀は、使い辛そうだな」
「うーん。俺にはこれがしっくりくるんだが、双魚の理は、相手が攻撃してこないと、跳ね返せないからな。まぁ、普通にこっちから斬撃を浴びせることもできるけど、相手の放った技を吸収して、調節して跳ね返すからな」
甘納豆を口にしながら、日番谷は言う。
「そういえば、いろんな死神の卍解は見てきたが、今まで一度たりとお前が卍解している姿を見たことがないな」
「あー。俺の卍解は、京楽と一緒でちょっと特殊だから」
「そういえば、京楽の卍解も見たことがない」
「見せるような、簡単なものじゃないよ。範囲系だからね。その範囲にいた全ての命を摘み取るよ、僕の卍解は」
「そうか。それを考えれば、俺の卍解は使いやすい部類なんだろうな」
耐久時間が限られているとはいえ、氷を身にまとう日番谷の卍解は、戦闘特化といえるだろう。
「何はともあれ、今日は助かった。また、機会があれば修行に付き合ってくれ」
「ああ、分かった」
また、甘納豆を日番谷は口にした。
なでなで。
思わず、日番谷の頭を撫でると、日番谷が怒る。
「子供扱いすんな!」
「じゃあ、またな、日番谷隊長」
「ああ」
10番隊の隊舎まで送って、ふと京楽をみると、笠をとってじっとしていた。
「なんだ?」
「僕の頭も撫でて」
「変なやつ」
なでなでと撫でると、京楽は満足したのか、笠を被った。
「浮竹、僕との夜の修行は・・・あべし」
しつこく夜の修行という京楽の鳩尾に、軽く拳をいれる浮竹だった。
研磨しあっている、一般隊士を見て、自分もと思った。
だが、席官クラス相手でも、浮竹の修行相手になりそうにない。
ふと、いつも一緒にいる京楽ならどうだろうと思った。
ちょうど遊びにきた京楽に、声をかける。
「修行しよう、京楽」
「え、夜の修行だって?」
「このバカ!」
浮竹は、真っ赤になって京楽を殴った。
「ただの、修行だ!強くなりたいんだ」
「浮竹は十分強いと思うけどね」
京楽が、笠をかぶり直す。
「それでも、高みにのぼりたいと思うだろう」
「そうだね」
浮竹は病弱であるため、剣の腕が鈍っていないか心配しているのだ。
「僕でいいなら、修行の相手になるよ。夜の修行も歓迎だけど」
「茶化すな!」
浮竹は、京楽の頭をまたぽかりと殴ってから、場所を指定してお互いに斬魄刀を始解しする。
「高鬼」
「くっ」
「色鬼、白」
「くそっ」
攻撃を避ける。
浮竹の斬魄刀は、主に相手の攻撃を吸収して跳ね返すものだ。京楽のような斬魄刀とは、馬が合わない。
「破道の4、白雷!」
「甘いね!」
ざっと、さっきまでいた空間を、京楽の花天狂骨が切り裂いた。
お互い、手加減はしているが、斬魄刀を始解したのだ。
一撃か決まれば、ただでは済まない。
「色鬼、黒」
「くそっ」
浮竹は、また咄嗟に避けた。
花天狂骨に、直接斬撃を浴びせる。そして霊圧を吸収し、左の刃から斬撃を放った。
「ひゅう、霊圧を吸収して攻撃とか、やるね」
「うーん。お前が相手だと、どうにもやりにくいな。白打や鬼道に頼りがちになってしまう」
「そりゃあ、僕の斬魄刀の能力は、子供の遊びだからね。浮竹のように、相手の放った攻撃を吸収して跳ね返す攻撃の修行相手には、あんまり向いてないかもね」
「今まで何百年もお互いで競い合ってきたからなぁ。京楽の太刀筋は分かるし、癖とか知ってるし・・・・・日番谷隊長か白哉に頼むか」
そう言って、剣をしまった。
京楽も、剣を収める。
「日番谷隊長のほうがいいんじゃない?あの子、強くなりたがっているから。朽木隊長は、鍛錬のために付き合ってくれるか分からないなぁ」
「白哉とは、何度か剣を交えたことがあるぞ。千本桜を吸収して跳ね返したら、嫌な顔をされたのを覚えている」
「じゃあ、日番谷隊長のところにいってみますか」
「そうだな」
こうして、二人は10番隊の執務室にやってきた。
「日番谷隊長、修行の相手になってくれないか」
「は?」
首を傾げる日番谷に、京楽が言う。
「夜の修行じゃないよ」
「まだ言うか、お前は」
ぽかりと京楽の頭を殴って、日番谷に頼み込んだ。
「京楽だといつもと同じで、修行にあまりならないんだ。日番谷隊長、甘納豆好きなだけ買ってあげるから、修行につきあってくれ」
「甘納豆はいらんが、いいぞ」
「ほんとか!」
浮竹が顔を輝かせた。
京楽と浮竹と日番谷との3人で、先ほど京楽と剣を交えていた場所にまでやってきた。
「蒼天に座せ、氷輪丸!いけぇ!」
氷の龍を、浮竹は右の剣で吸い取った。そして、微妙に威力を調節して左の剣から繰り出す。
「うおおおおおおお」
日番谷は、それを物ともせずに切りかかってきた。
浮竹も、本気で切り結ぶ。
氷の龍が暴れまくった。
日番谷の息が切れだす。それは浮竹も同じことだった。
「やるね、日番谷隊長」
「浮竹、お前もな」
白打、鬼道も駆使して、攻撃をしあった。
やがて、浮竹が剣をしまった。
「もう十分だ。ありがとう、日番谷隊長」
「おう」
日番谷も、氷輪丸を収めた。
帰り道で、甘納豆を買った。それをいらないという日番谷に渡すと、日番谷は嬉しかったのか、歩みが軽やかになっていた。
「浮竹の斬魄刀は、使い辛そうだな」
「うーん。俺にはこれがしっくりくるんだが、双魚の理は、相手が攻撃してこないと、跳ね返せないからな。まぁ、普通にこっちから斬撃を浴びせることもできるけど、相手の放った技を吸収して、調節して跳ね返すからな」
甘納豆を口にしながら、日番谷は言う。
「そういえば、いろんな死神の卍解は見てきたが、今まで一度たりとお前が卍解している姿を見たことがないな」
「あー。俺の卍解は、京楽と一緒でちょっと特殊だから」
「そういえば、京楽の卍解も見たことがない」
「見せるような、簡単なものじゃないよ。範囲系だからね。その範囲にいた全ての命を摘み取るよ、僕の卍解は」
「そうか。それを考えれば、俺の卍解は使いやすい部類なんだろうな」
耐久時間が限られているとはいえ、氷を身にまとう日番谷の卍解は、戦闘特化といえるだろう。
「何はともあれ、今日は助かった。また、機会があれば修行に付き合ってくれ」
「ああ、分かった」
また、甘納豆を日番谷は口にした。
なでなで。
思わず、日番谷の頭を撫でると、日番谷が怒る。
「子供扱いすんな!」
「じゃあ、またな、日番谷隊長」
「ああ」
10番隊の隊舎まで送って、ふと京楽をみると、笠をとってじっとしていた。
「なんだ?」
「僕の頭も撫でて」
「変なやつ」
なでなでと撫でると、京楽は満足したのか、笠を被った。
「浮竹、僕との夜の修行は・・・あべし」
しつこく夜の修行という京楽の鳩尾に、軽く拳をいれる浮竹だった。