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一夜を

一護は、大学に入学後、2か月ほどして一人暮らしをはじめた。

まだ生活面のほとんどは仕送りに頼っているが、住んでいるアパート代くらいはバイトで出せるようになっていた。奨学金を受けているので、大学の学費は卒業して、社会人になったら徐々に返していくつもりだった。

井上とは同じ大学だ。

一度振ったのに、井上も頑固で何度でもアピールしてくる。他に男などいくらでもいるだろうに
一護がいいのだという。

今日も、アパートに井上が来ていた。追い払うわけにもいかず、家の中へ招き入れた。

アピールをしてこなければ、ただのいい異性の友人なのだが。



「久しぶりの現世だな・・・・・一護は引っ越したらしいし」

いつもの黒崎医院の一護の家には、もう一護の霊圧は感じられなかった。一護から地図をもらっていたが、そんなものなくても、一護の霊圧をたどればいい。

集中して、一護の霊圧を探す。ここからほどなく近いところで、一護の霊圧を見つけた。でもその傍に覚えのある霊圧を感じた。

少し不安になりながらも、一護が住むアパートの前にくると、部屋の合鍵はもらっていたので、それで扉をあけて中に入った。

「大好きだよ、黒崎君」

井上がいた。井上に押し倒されよう形で、一護がベッドの上にいた。

「一護・・・・・」

「朽木さん・・・・」

「ルキア!?」

「朽木さんに、黒崎君は渡さない!」

井上は、一護にキスをした。ルキアの目の前で。

「やめろ、井上!」

「ふふ・・・朽木さんと黒崎君は、子供をつくっちゃいけないんでしょ。私が、黒崎君の子供を産んであげる」

それ以上見ていられなくて、聞いていられなくて、ルキア部屋を去った。

アメジストの瞳から、大粒の涙を零して。

絶対に泣かせないと誓ってくれたのに。容易く破られた。それも、浮気という最低な形で。

でも、一護は押し倒されていた。それに、やめろといっていた。

ひとしきり泣いたら、一護が浮気をするような最低なやつではない、という気持ちが沸き上がた。

「事情をきちんと聞かねば・・・・」

こんなところで、喧嘩別れしてそのままなんて嫌だった。

このまま・・・せっかく婚約までして、白哉の許しまで得たのだ。こんなところで終わってなるものかと、ルキアは思った。

走ってきた道を引き返す。

すると、乱れた衣服の井上がいた。

「井上?」

井上は、かっと激高した顔で、ルキアの頬を叩いた。

「あなたがいるから!黒崎君が私をみてくれない!朽木さんなんて、永久に尸魂界にいればいいのに!現世になんかくるな!」

「井上・・・・・・」

かつて、よい友人であった井上の姿はそこになかった。

嫉妬に狂った、醜い人間になり果てていた。

「井上、お前に何を言われようと、私は一護に会いに現世にくる。何度でもだ。そして一護は渡さない。私のものだ」

井上は、そのかわいい顔に憎悪をたぎらせて、走り去ってしまった。

新しいものを築く時には、古いものを取り除かないいけない。

新しく一護と恋人になったからには、一護に言い寄る井上を、友人という枠から捨てる必要があった。少し逡巡したが、以外とんすんなり捨てようという気分になった。

酷い言葉を浴びせられたせいだろうか。

ただ、今は一刻も早く一護に会いたかった。

一護のアパートにくる。部屋に入るといろいろと凄いことになっていた。まるで、台風が過ぎて行ったかのようだ。

「一護」

「ルキア!よかった・・・・あのまま尸魂界に帰ったりしたらどうしようと思ってたんだ」

ふと、ルキアの頬が赤くなっているのを見て、一護が眉を潜めた。

「井上にやられたのか」

「ああ」

「この部屋も井上にやられた。無理やり押し倒して関係を迫ってくるから、拒否したら暴れ出した」

「井上は、一体どうしてしまったのであろうな?」

「俺とルキアが婚約したっての知らせたら、このざまだ」

「井上が、ずっとお前のことを思っていたのは、昔から知っていた。だが、こんなにも酷くなるとは・・・・・・・」

一護も、まさか井上がここまでするとは思っていなかったのだ。

「やっぱ、俺とルキアが婚約したせいか?」

「だろうな。ただの恋人同士ならなんとかできるだろうが、婚約までしてしまったのであれば、強引な手法でしかお前を手に入れられないと思ったのであろう」

「かわいそうな奴だな・・・・・」

一護は、心底同情していた。

ルキアは怒った。

「そもそも、もっときっぱりと貴様が拒絶しないからこうなったのであろう!」

「ちゃんと拒絶した!でも今日が最後だからって、家にあげたらこのざまだ・・」

「井上には悪いが、あれは昔の優しかった井上ではない。嫉妬に狂った、ただの醜い女だ・・・・・・」

「ルキア・・・・・」

「どうした?」

「お前の前で、キスするシーンとか見せちまった。悪かった」

「そんなことはどうでもよい。貴様の童貞が無事でよかった」

「ど、どうて・・・・・あのなぁ」

「貴様の童貞は、私がいただく」

一護は真っ赤になった。

二人で部屋の片づけをしてひと心地ついたら、ルキアは一護を煽ってきた。

「私がいなかった間、寂しかったであろう?もっと触ってもよいのだぞ?」

「あのな、ルキア。これでもめっちゃ我慢してるんだぞ。お前と子を成したら、大罪なんだろ?」

「子供を作ればの話だ。避妊していれば問題はなかろう」

「それもそうか・・・愛してる、ルキア」

「私も貴様を愛している」

ルキアを、ベッドに押し倒すと、少し不安げに、アメジストの瞳が揺れた。
「俺も初めてだから、きもちよくさせることができるかどうか、分からないけど・・・・・」
「その気持ちだけで、十分だ。来い」
一護は、着ていた服を脱ぎすてた。ルキアが着ていた、一護のパジャマを脱がせていく。
白い肌が露わになった。少ししか膨らみのない胸を隠すようにしているルキアを、キスでとろかせて、そっと手を外される。
「小さいと思ってるだろ?でも、俺はこれくらいがちょうどいいと思う」
「貴様は貧乳が好きなのか」
「あのな。お前だから好きなんだよ。お前が貧乳だろうが巨乳だろうが関係ない」
「ふわっ・・・・くすぐったい」
胸を撫でると、ルキアはくすぐったそうにしていた。
それから、少し力をいれて揉んでみた。
「ああっ」
胸の突起にふれると、ルキアの声が高くなった。
指で弾いたり、舌で舐めあげて転がしたりしているうちに、一護のものも反応しだした。
「硬いな・・・・・・私で、欲情しているのか?」
「当たり前だろ。好きな相手のあられもない姿を見てるんだ、欲情しないほうがおかしい」
下着をとりさり、完全に全裸にした。その体の細さに、驚いた。
「ちゃんと食ってるか?」
「食べておる」
秘所に、そっと指で触れる。そこは暑くてねっとりしていて、すでに愛液で濡れていた。
「指、いれるから」
「んあっ!」
指で、秘所のひだのところ・・・・前立腺があるところを重点的に攻めた。
陰核も指でいじると、ルキアがのけぞった。
「あああああああああ!!」
「いったのか?」
「ばか、いちいち聞くな!」
そのまま、コンドームをかぶせた己を、一護はゆっくりとルキアの秘所にいれた。
「ああ!」
ぶちぶちという感触があった。処女膜が、破れたのだ。
血を流す箇所を気遣いながらも、一護も限界が近かったので、前立腺をすりあげるように、突き上げた。
「やああああああ!」
逃げようとするルキアの動きを制して、何度か突き上げると、一護もコンドームの中に精液を放った。
「ああ・・・・・・」
ゆるく浅く挿入すると、ルキアがきもちよさそうな声を出した。だから二度目がそこばかり責めた。
「あん」
「ルキア・・・・・好きだ」
「私もだ、一護・・・・やっと、お互い一つになれたのだな。もう、貴様は私のものだ」
「そういうお前は、俺のものだ」
何度か突き上げて、同時に陰核をいじると、ルキアは2回目の絶頂に達した。
「いあああああああああああ!!!」
ぜぇぜぇと、荒い呼吸を繰り返すルキアを気遣いながら、突き上げて一護も二度目の精液を放った。
それからは、貪りあうように求めあった。


目覚めると、ルキアの顔があった。

乱れたルキアを思い出し、頭を振って思考を切り替える。自分のものにやっとなった。もう、手放さない。

ルキアを抱き締めて、一護は誓う。

「お前は、俺が守る・・・・・・」

ルキアは、ただ静かに眠っていた。






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妹さんを俺にください

いよいよ、日曜日がやってきた。

浦原に頼んでもらって、尸魂界への穿界門をあけてもらう。

「いっちょ、覚悟きめるか」

自分の頬を叩いて、一歩を踏み出した。

「一護、きたか」

ルキアはその日、死覇装ではなく、赤い着物を着ていた。さぞ値がはるであろう金細工のサファイヤやエメラルド、ルビーなど大粒の石があしらわれた髪飾りをしていた。

でも、その豪華さとは不釣り合いなアメジストのペンダントをしており、それは一護がクリスマスプレゼントにと、ルキアにあげたものだった。

指にも、アメジストをあしらわれた指輪をしていた。一護とお揃いで、プラチナでできていて一生懸命バイトしてかった指輪だった。

婚約指輪のつもりだった。

「じゃあ白哉のとこにいくぞ」

「おいどっちにいこうとしている!朽木家の屋敷は反対方向だぞ!」

「そ、そうかこっちだな」

「方角が違う・・・・一護、貴様兄様を会うのがそんなに嫌なのか?」

「・・・・・殺されそうな気がする」

ぽつりと呟いたら、ルキアは笑った。

「兄様は、ちゃんと話せば納得してくださる」

「そうなる前に、千本作で追いかけ回されそうだ」

「まぁ、それはあるかもしれんな」


なんだかんだあって、朽木家の屋敷にたどり着いた。

「相変わらずばかでかい家だな」

「一護、こっちだ。兄様が待っておられる」

部屋に通されて中にはいると、隊長羽織をきた白哉が静かに座っていた。

「よ、白哉、元気にしてるか?」

「兄は・・・」

ゆらりと、すさまじい霊圧を浴びせられた。いつもの一護なら、逃げ出すところだが、今日はそういうわけにもいかない。

「俺は本気だ。本気でルキアを愛している。たとえ尸魂界から連れ出す羽目になったとしても、伴侶として生きていきたい」

「人と死神は、生きる時間が違う」

「そんなの、承知の上だ。俺がよぼよぼのじいさんになるまで、ルキアの傍にいろとは言わない。だが、今は認めてほしい。俺たちの関係を」

「交わっては、おらぬのだな?」

「ななななな、何をいってやがる」

「死神が人と子を成すのは禁忌。極刑ものだと、心しておけ」

「そうなのか・・・・」

「子を成さないと約束するならば、ルキアを兄にたくそう」

「約束する。ルキアを大切にして、幸せにする」

「だがその前に・・・・・兄の覚悟、見せてもらうぞ。散れ、千本桜」

「だああああああ、やっぱりこうなるのかよおおおおお」

部屋を飛び出して、中庭にくる。殺気を漲られた白哉が、千本桜を手に佇んでいる。

「卍解!天鎖斬月!」

「卍解・・・・・千本桜景厳」

奥の桜の花びらの渦が、一護を襲う。一護も卍解しているので、その攻撃を苦も無く受け止めた。

「兄は、本当にルキアを、我が義妹を守れるか?」

「守ってみせる!月牙天衝!」

繰り出した技は、白哉の千本桜部言って阻まれて、白哉まで届かなかった。

ふと、一護は卍解を解いた。

億の群れの桜が、一護に襲い掛かる。

「一護!兄様!」

でも、一護は傷一つ負っていなかった。

「その覚悟、しかと見届けた」

白哉は試したのだ。自分の技を受け止め、そして食らう覚悟があるのかを。

一護は、天鎖斬月で白哉の攻撃を受け止め、卍解をといて攻撃をわざと食らおうとした、

白哉の中で、何かが変わっていく。

この男なら、大切な義妹を任せてもいいかもしれないと。

「白夜・・・・妹さんを、俺にください」

「一護・・・・」

真っ赤になったルキアが、一護の隣に佇んでいた。

「覚悟はしかと見届けた。ルキア、よいのだな?」

「はい、兄様」

「朽木白哉の名の元に、朽木ルキアとの交際及び婚約を認めるものとする」

「兄様!」

ルキアは、白哉に抱き着いた。

「ありがとうございます、兄様」

「兄には、これから朽木家に名を列ねるための勉強を受けてもらう」

それからが、地獄だった。たった3日しか滞在期間はないというのに、山のように朽木家のしきたりやら歴史やらを勉強させられて、眠る暇も与えてもらえなかった。

「ルキアごめん・・・お前にかまってやれそうにない・・・とりあえず、少し寝る」

朽木家で、ルキアの膝の上で一護は眠りに落ちてしまった。

「一護・・・・昔の貴様なら、こんな勉強くそくらえだといっていただろうにな」

朽木家に、正式に名を列ねるわけではない。ルキアの伴侶になるのだから、黒崎の性をなのることになるだろう。

だが、朽木家の姫をめとるのだ。朽木の一員になるわけではないが、一応朽木家と縁続きになる。

白哉から交際と婚約を認められた一護は、尸魂界にいる間の3日間、忙しそうではあったが嬉しそうでもあった。

「じゃあ、俺は現世に戻るな。何かあったら、携帯にメールくれ」

「ああ、たっしゃでな、一護。また会おう」

さよならは言わない。また会えると信じているからだ。

ルキアは、これから13番隊福隊長及び、隊長代理としての仕事が山積みになっている。本来ならば、とっくの昔に現世から帰還せねばならなかったのだ。

だが、ルキアたっての頼みもあり、高校卒義までは現世にいることを許された。

そして、最後の日に、一護から告白され、婚約まで了承した。

それを許してくれた白哉に感謝しつつ、一護の携帯にむけてメールを打つ。

(もう、障害はない。大好きだ、一護)

(百哉が、あんなにすんなり受け入れてくれなんて思ってもみなかった)

(兄様は、一見冷たく見える人だが、話せばちゃんと分かってくれる)

(今度の連休、休みだからそっちに行く)

(よいのか?大学生活とやらが忙しいのであろう?)

(まぁ、バイトにも追われてるからな。でも、お前との時間を大切にしたい。俺は死神代行とはいえ、人間だからな)

人間・・・・・そこの言葉に、ルキアの瞳に涙がにじんだ。

(たわけ。人間だからなどど、口にするな。貴様がまるで先に逝ってしまうようではないか)

(それは避けれない事実だ。だから、今を精一杯生きる。お前と一緒に)

「一護・・・・・・愛している」

一方、一護も。

「ルキア、愛してるぜ」

そう、呟いていた。

たとえどんなに遠く離れていても、想いがある限り、可能性は無限大に広がる。

時が二人を別つまで。

共に在れることを-------------------。




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熱帯魚

「ペットショップへ行きたい」

ある日、ルキアがそう言いだした。

「一人で行って来いよ」

「嫌だ。貴様と行きたいのだ」

「言っとくが、俺んちはペット禁止だぞ」

「それでも、見に行きたい」

仕方なく、学校の帰りにペットショップに寄った。ルキアは最初犬猫を見ていたが、次に小動物コーナーにうつり、兎をみていた。

「欲しいのか?」

「いや、うまそうだなと思って。よく遠征のときは野兎を狩って、シチューにしていたな」

「おい、ここは愛玩動物用だぞ。食べるとかそういうこと、想像するな!」

「すまん・・・・・・」

しゅんとなったのも束の間、今度はハムスター見ていた。

「かわいいな。欲しい・・・・」

今持っている金額でも十分に買えるのだが、一護が釘を刺した、

「ジャンガリアンハムスターだろ。昔飼ってた。2年で死んじまって、泣いたの覚えてる」

「2年しか生きれぬのか・・・・別れがつらいな」

次にルキアが興味をもったのは、熱帯魚だった。

「現世には、こんなにも美しい魚がいるのだな。光っている・・・こっちの熱帯魚の体の色は、まるでオーロラ色だ・・・・・」

一護が他のペットを見回っている間も、ルキアはグッピーやネオンテトラとかの水槽の前から動かなかった。

「そんなに欲しいのかよ」

「買ってもいいのか!?」

「確か、子供の頃にかってた金魚の水槽が残ってる。ちゃんとヒーターもつくから、熱帯魚も飼えるはずだ」

「この魚がいい!こっちも!こっちはしぶいけど好きだ。こっちは古代魚らしいな」

「これピラニアじゃねーか。素人が、こんな危険な魚かえるわけがないだろう。それにこっちの古代魚はでかすぎるし予算オーバーだ」

「そうか・・・・・」

「グッピーやネオンテトラなら、複数買っていいから」

「本当か!?」

「嘘なんかつかねーよ」

ルキアは、ペットショップの店員を呼ぶと、グッピーのオスメスペア計10匹とネオンテトラ20匹、あとが掃除係としてプレコやシュリンプを買った。
テトラ系も、色の違うのを複数選んだ。

「俺んちの水槽、でかかったかな?」

ちょっと心配になってくる一護。

やがて、空気をつめた袋に熱帯魚がいれられてやってきた。

レジにいく。

「8865円になります」

「う、高い・・・・・」

ミニウサギが1匹買える値段だった。

そりゃ小さいとはいえ、複数かえばそんな値段になるだろう。熱帯魚は、お手頃なようで複数飼おうすれば、けっこう金がかかるのだ。

「ルキア、明日からのお菓子ぬきな」

「横暴だ!」

「じゃあ、熱帯魚諦めるか?」

「お菓子を我慢する」

ルキアにとって、熱帯魚との出会いは衝撃的で、あまりにもその美しさにひかれた。こんな美し魚が存在するのかと、驚いたくらいだ。そしてその美しさに、心打たれた。

一護の家に帰宅すると、早速水曜を用意して、じゃり石をしいて水をいれてヒーターとランプをつける。濾過機を用意して、ついでにかった水草をうえて、熱帯魚たちをまずは馴染ませるために、袋に入ったまま浮かべて、温度に慣れた頃合いをみはからって、水槽に放した。

砂利石の中には、ビー玉も沈めてあった。

キラキラ泳ぐ魚が綺麗だった。

ルキアは、その日寝るまで一日中熱帯魚を見ていた。

えさをあげると、面白いようによってくるのが楽しいのか。はしゃいだ声をあげていた。

予想外の痛い出費になったが、ルキアが喜ぶのならそれでいいかと、一護は思うのだった。

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流産

ルキアと、体を何度も重ねた。

ある日、ルキアが泣いていた。どうしたのかと聞くと、太ももから血を流していた。

月経かと思ったが、違った。

最近のルキアは食べ物の好みが変わったし、よく吐き気を訴えて、食もあまり進んでなかった。

「私は・・・・・・貴様との愛の結晶を失ってしまった」

ルキアは泣いた。

俺の胸の中で、号泣した。

ルキアは、いつの間にか俺の子を宿していた。そして、流産したのだ。

しぶるルキアを連れて、産婦人科へいって、処置を施してもらった。

「母体が未成熟なせいでしょうなぁ。見たところ、まだ十代とお見受けしますが・・・・」

ルキアは、高校の頃のまま体の時を止めていた。それは死神だから仕方ないことだろう。

ルキアは鎮静剤を打ってもらったせいか、俺のアパートに帰ると、頽れるよに意識を失った。

ルキアの義骸は、子供は宿らぬようにできていると言っていたが、それが嘘なのだと分かった。

子供は、無事生まれてきてほしかった。

俺とルキアの子・・・・・愛の結晶。

きっと、性別は女の子だ。ルキアに似て、アメジストの瞳をしていて、髪の色は俺と同じオレンジ。

そう考えていいると、失われた子に対して、罪悪感を抱いた。

「ごめんな、ルキア。・・・・・・気づいてやれなくて。ごめんな俺の子供・・。名前もつけてあげれそうにない」

俺にとってもショックな出来事だった。

子を失ったルキアは、その日から不安定になっていった。憔悴しきっていて、とてもじゃないが現世で生活をさせるわけにもいかなくて、尸魂界に帰した。

尸魂界でも、ルキアは不安定で、朽木家で寝込む日々が続いているそうだ。

よほど、赤子を流産したのがショックだったらしい。俺と子を成していたことは、たとえ白哉にも話さなかった。

なんでも、現世の人間と死神が交わり、子を成すのが大罪なのだそうだ。

それを分かっていて、ルキアは避妊もせずに俺に抱かれた。ルキアは大切な俺の恋人だ。ルキアがそんなに思い詰めていることえを気づけなかった自分に腹を立てた。

「ルキア・・・・・・」

会いたかった。会って、あの細い体をもう一度抱き締めたかった。体の関係なんてどうでもよかった。

(ルキア、大丈夫か?)

伝令神機で連絡をいれと、翌日に返信が返ってた。そのメールにショックを受けた、

(恋次に抱かれた)

そう、確かに書いてあった。

俺たちは、まだまだこれからも一緒にいるんじゃなかったのか。怒りで目の前が真っ白になって、酷い言葉を返した。

(恋次に慰めてもらって元気になるなら、ずっと恋次に抱かれていればいい。お前のことなんて、もう知らない)

その日から、ルキアから連絡は途絶えた。

1か月は経っただろうか。

浦原さんに頼んで、尸魂界の穿界門を開けてもらって、尸魂界に行った。

朽木家で、ルキアを見つけた。

「一護・・・・・・・」

「ルキア・・・お前、俺を裏切って、平気なのか?」

「違うんだ、聞いてくれ一護!」

「恋次のことが好きなら、俺は一体なんなんだ!お前の恋人じゃなかったのかよ!」

俺は、ルキアに酷い言葉を浴びせていた。

でも、ルキアは泣くだけで、俺はそれがもどかしかった。

「兄様が、私が流産したことに気付いたのだ。現世の者と子を成すのは大罪。貴族は初夜を他の貴族に見せなければならない決まりがある。兄様は、私と恋次ができていると思っているのだ。だから、恋次と体を重ねた」

「それでも、裏切りには変わらない!」

「聞いてくれ、一護!私は大罪であろうと、貴様の子を産みたかったのだ」

その言葉に、今までの怒りが収まっていく。

「恋次とは、一度きりなのか?」

「ああ、そうだ」

「お前は、まだ俺を想ってくれている。そう捉えていいんだな?」

俺は、ルキアのアメジストの瞳を見つめた。

「当たり前だ!一護、貴様以外に恋慕はない。確かに恋次のことも好きだが貴様のほうが好きだ!!!」

ルキアを抱き締めた。

1か月ぶりに抱きしめたルキアの体は、前より細かった。

「ルキア・・・・・・・」

「大罪でも構わない。抱いてくれ、一護」

「ルキア・・・・・」

求められるままに、朽木家で体を重ねた。誰かがやってきたらどうしとうという逡巡をもちながら、ルキアを大切に大切に抱いた。

やがて、1時間が経って、白哉がやってきた。

「やはり、兄だったのか・・・・・恋次と、思いたかった」

「俺はさばかれる覚悟ができている、だけどルキアは悪くねぇ。俺が無理に抱いたんだ」

「一護、何を言っておる!」

「兄とルキアは何もなかった。私は何も見なかったし、聞かなかった」

「白哉・・・・・」

「ルキアすまない。恋次に抱かせたのは、私の責任だ」

「もういいのです、兄様・・・・・・」

ルキアはもう泣かなかった、

「何も見なかったことにしたいが、今回の流産の件は、一護のせいではないかという噂がたっている」

「ルキア」

「はい兄様」

「尸魂界を追放されても、後悔はないか?」

「ありません」

「朽木白哉の名において、朽木ルキアを第2級の罪を犯したとして、霊圧を剥奪後、現世に永久追放とするものとする!」

本当なら、四六室で裁かれる案件なのだが、死刑の宣告をされる可能性があったから、白哉が単独で刑の執行をした。

後に、白屋は四六室に召喚され、罪を裁かれるだろう。

「ルキア、達者で暮らせ・・・・・」

「兄様!」

ルキアはアメジストの瞳に涙をたくさん浮かべさせて、義兄を抱き締めた。

「ありがとうございます、兄様。私は、現世で一護と共に生きます」

「帰ろう、ルキア。俺の家に」

「ああ・・・・・」

尸魂界に去る間際、恋次とあった.

「一護すねぇ。ルキアを抱いちまった」

「もうそれはいいんだ、恋次。ルキアを庇ったんだろう?」

「だが俺は!」

「じゃあ、歯、食いしばれ」

恋次を思いきり殴って、一護もスッキリしたようだった。

「恋次、さようなら・・・・・・」

「そんな顔するなよ。現世に行ったとき、会いにに行くから」

「ああ」

「ルキア、行くぞ!」

「またな、恋次。兄様を頼む」

「ああ、心配するな」


その後、現世に帰った二人は、1年後結婚式を挙げた、

挙式には恋次と白哉の姿もあった。

ルキアは、純白のウェディングドレスを着て、とても美しく幸せそうであった、一護と結婚指輪を交換し、誓いの言葉を口にして、キスをした。

「黒崎のやつ・・・・・・井上さんと結婚すると思ってたよ」

式に出ていた石田が、ふとそんなことを言った。

「黒崎君は、ずっと朽木さんのことが好きだったから・・・・私、失恋しちゃった。でも、二人の幸せそうな顔を見ていると、なんかふっきれた」

「一護も朽木も、幸せそうだな」

茶虎の言葉に、みんな頷いた。

いま、ルキアの体内には、新しい命が宿っている。順調にいけば、6月後には子供が生まれる、

それから、ルキアは浦原に頼んで、一護と同じ時を刻める特殊な義骸に入っている。

一護と、一生を共にするのだ。

いつかどちからが先に逝ったとしても、死神のように数百年を一人で過ごすことはない。

一護とルキアは、3人の子供に恵まれて、いつまでも幸せに過ごすのだった、









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桜の木の下で

いよいよ卒業式の日がやってきた。

珍しく、一護の父親も参加していた。

「生徒代表、石田雨竜」

式はすんなりと終わって、一護は女子生徒たちに囲まれた。第一ボタンをくれだのどうのこうの・・・・どうでもいいので、てきとうに追い払った。

ルキアは、たくさんの男子生徒に囲まれていた。

「ルキアちゃんは就職するの?」

「僕と付き合ってよ、ルキアちゃん」

「ずるいぞ、最初に朽木さんを好きになったのは俺だ!」

「ほほほほほ・・・・・・」

ルキアは、猫を被った笑顔を振りまいていた。

むっとなって、男どもをかき分けて、ルキアの細い体を肩上に抱き上げた。

「一護!?」

「ルキアは、俺と約束があるから」

「おい、貴様、ばかやめろ」

ルキアを抱き上げたまま移動して、大きな桜の木の下におろした。

「無防備に、笑顔ふりまいてるんじゃねぇよ。告白されてたじゃねーか」

「別に、冗談であろう?たかが卒業で・・・・・」

ポロリと、紫紺の瞳から涙が零れた。

「どうしたんだよ!何処か痛いのか!?」

「違う・・・・・貴様や井上や石田や茶虎との生活もこれで終わりかと思うと、胸の奥が苦しくなって・・・・・」

「そういう時は、好きなだけ泣け」

ルキアに胸をかしてやった。

ルキアは、大声を出して泣いた。もう現世ともうすぐお別れなのだ。次にいるこれるのかは分からない。

「うわあああああ」

ルキアは、子供のように泣いた。見れば、周囲でも女生徒たちが友人と、あるいは彼氏につきそわれて泣いていた。

「見ろよ、ルキア」

「ん・・・・・」

「桜、綺麗だろ?」

「ああ・・・・・・」

大分落ち着いたのか、ルキアは一護の傍に佇んでいた。

「卒業旅行は、空座町の隣町にした」

「何?そんな近場でかまわないのか?」

「場所なんて、どこでも構わないんだ。桜の綺麗な場所に温泉旅館があるんだ。二泊三日の予約、いれといた」

「そうか・・・・・」

石田も井上も茶虎も、大学に進学が決まっていた。ただ、井上とは同じ大学だった。井上の心は知っているが、一護の胸の中にはもうルキアが住んでいる。

卒業式の後、呼び出されて告白された。でも、ルキアが心の中にもういるのだと伝えたら、大粒の涙を零して去ってしまった。

そして、旅行当日。

隣町なので、徒歩で出かけた。

遠くの温泉宿や、北海道や沖縄・・・・・いろいろ悩んだけど、子供の頃によく泊まりにいった馴染みのその旅館にした。

荷物を広げて、寛いでいると、ルキアは緊張でカチンコチンになっていた。

「そんなに緊張すんなよ。別にとってくいやしねーから」

「本当であろうな?」

「多分な」

「うっ・・・・・」

1日目は、何事もなく過ぎた。

2日目も、何もなく過ぎて行った。

「杞憂だったか・・・・?」

3日目。

3日の夕方に、宿を出る予定だった。

桜の名所であるというところに連れていかれて、その桜の花のちらちら降る桜の雨に、ルキアは息をのんだ。

「綺麗だろ」

「ああ・・・・・兄様の千本桜に適う桜はないと思っていたが・・・・・これは、なんて美しい・・・・・・」

「ルキア。綺麗だぜ」

「一護・・・・・」

「ずっと言いたかっんだ。お前が好きだ。俺と付き合ってくれ。そして、人生の伴侶になってほしい」

「一護・・・・・・・」

ルキアは目を見開いた。

アメジストをあしらった指輪を、一護はルキアの指にはめた。一護の指にも、同じアメジストあしらった指輪がされてあった。

「絶対大切にする。泣かせるような真似はしない。何者からも守ってみせる。だからお願いだ、この手をとってくれ!」

ルキアは、アメジストの瞳から大粒の涙を零しながら、一護の手をとった。

「たわけが・・・・付き合うだけなら・・・・そう思ったのに、人生の伴侶か。婚約ではないか」

「そのつもりで、告白している。手をとってくれたのは、YESととっていいんだな?」

「たわけが・・・・・私は、貴様と出会ったのを運命と感じていた。尸魂界まで助けに来てくれた時には、もう私の心の中には貴様が住んでいた・・・・・」

「俺もだ。ルキアと出会ったのが運命だと思っている。尸魂界に捕らわれたお前を助けに行ったのは、ただ仲間だったからじゃない。好きだったからだ」

二人は、お互いを抱きしめあった。

そして、初めてではないが、キスをした。

「大切にするから・・・・」

「ああ・・・・」

口づけは、優しかった。

何度もキスを交わした。

桜の雨が降る。その下で、恋人同士になった。婚約は、まだ周囲には納得をさせてはいないが、二人の間では成立した。

「すっげー嬉しい」

「私もだ、一護・・・・・・」

その後、温泉に入った。大胆にも混浴風呂だった。

まだ体を許したわけではないので、お互いバスタオルを巻いていた。

「ルキアの肌は白くてすべすべだな」

「そういう貴様は、細いようでよく鍛え上げられた体をしているな」

互いの背中を流しあって、髪を洗った。

温泉に浸かっていると、これからの困難もなんとかなっていく。そんな気がした。

卒業旅行が終わり、ルキアが現世を立つ日がきた。

「伝令神機のメールアドレスを書いておいた」

チャッピーの絵とかがのった壊滅的なものだったが、メルアドなんとか読めた。

「じゃあ、またな、ルキア。現世にこれる日があったら、絶対にこいよ!」

「ああ、またな、一護!」

決してさよならは言わない。

これは、二人にとっての始まりなのだ。ルキアが消えて、一護は早速携帯でメールを送ってみた。

(今、何してる?)

(兄様に、今回のことを報告した)

(ま、まさか婚約のこともか?)

(そうだ。全部包み隠さず話した。近いうちに、尸魂界に来いとのことだ)

一護は、空を仰いだ。

「白哉か・・・・・一番の難関だな・・・・」

でも、未来は明るい。



(一護からもらった指輪も、クリスマスにもらったペンダントも、大切にして毎日に身につけている)

(ルキアは、やっぱり瞳と同じ色のアメジストが似合うからな。離れていても愛してるぜ、ルキア)

(今度の日曜日、空いているか?兄様が、貴様に会いたいそうだ)

(なんとかあけておく)

(尸魂界にしばらく滞在できそうか?)

(大学の1回生で、必須科目とかの授業がみっちり入ってるから、あまり長居はできそうにない)

(それは残念だ。大学が確か井上と同じだったな。浮気はするなよ)

(そういうお前こそ、恋次と浮気するなよ)

(たわけ。、私が愛しているのは一護、貴様だけだ)

(俺も、ルキアだけを愛してる)

尸魂界に行き、白哉と会うのは、また別のお話である。





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学校

ルキアは身軽に塀の上を歩いていた。

一護は、普通に道路を歩いていた。塀の上のルキアをみる。

「おい、道路歩けよ。あぶねぇだろうが」

「たわけ!道路には自動車がくるではないか!そちらのほうがよほど危ないわ!」

高校に、一緒に登校していた。

「そろそろ人が多くなってくるから、普通にしろよ」

「たわけが。言われなくても分かっておる」

とんと、塀から降りるルキア。スカートがまくれあがって、一護はばっちり下着を見てしまった。

「蒼のハートマークか・・・・・」

「・・・・・・たわけ!貴様、見たな!」

真っ赤になって、一護の首を締めあげるルキア。

「いや、見えたんだよ!わざとじゃねぇ!」

ぎりぎりと締め上げる力が強くて、一護の顔が青くなってくる。

「ぎぶぎぶ!」

「ふ。兄様に連絡を入れるのだけは、勘弁してやろう」

「朝から怖いこというな!」

一護は、白哉が苦手だった。

義妹LOVEの白哉は、ことあるごとに千本桜を手に、一護を追い回してくる。

「おっはよー、黒崎君、朽木さん」

「ああ、井上おはよう」

「おはよう」

学校につくと、一護はぼーっと授業中黒板を見ていた。斜め右の席に、ルキアがいた。制服から伸びる華奢な手足は、折れそうなほどに細い。

体育の時間になった。今日は男女合同で、まずは体操からはじまる。一護とルキアはペアになった。

「いたたたた、それ以上曲がらねぇから!」

「たわけ!もっと曲げれるであろう!」

無理なことをいって、無理やり腰を曲げようとするルキアの頭をはたく。

「痛いわぼけっ!」

「何をする!見ておれ、こうすれば曲がるのだ」

ぺたんと、地面にまでまがる上半身を見て、みんなおおっとどよめく。

「すごーい朽木さん体やわらかーい。あたし、これだけしか曲げれない」

井上が、同じポーズをとるが、とても地面にまではつかなかった。

ルキアの意外な一面が見れて、一護はなんとなく嬉しかった。

その後は男女合同でバスケットボールをした。

ピピー。

ゲームプレイ中、笛がなった。

「中村、プッシング!イェローカード1枚!」

倒れた相手は、ルキアだった。

「ごめん、ルキアちゃん。歩ける?」

最近、ルキアの周囲でうろうろしている男子生徒の一人だった。

「これくらい大丈夫ですわ・・・・いたたたた」

「ああ、捻挫しちゃったかな。僕、保健室に連れて行きますね」

ルキアの腰に手を回して、連れていこうとするのを、一護が制した。

「な、なんだよ黒崎・・・・・」

「ルキアは俺が連れて行く」

ルキアの腰に回っていた中村の手をはたいた。

「何するんだよ!」

「うるせぇ!」

ルキアを体を横抱きに抱き上げると、女子たちが黄色い声をあげた。

「きゃー黒崎君素敵ー」

「ルキアちゃんいいなー」

「黒崎のやついいなー」

男子生徒は、軽々とルキアを抱いている一護へ嫉妬を見せる。

そんなものしるかと、一護はルキアをお姫様だっこしたまま、保健室に送った。

軽い捻挫で、湿布をはった。

「歩けるか?中村の野郎、わざとだぜ」

「そう人を疑うものではない」

「ルキアは無防備なんだよ!」

一護は思う。窓の近くで着換えしたりして、一度盗撮されたこともあった。それを、ルキアは知らない。犯人は、中村の友人だった。ボコボコにしてやって、もう二度としないと誓わせた。

「私は・・・・・・んっ」

ルキアが文句を言おうとしたところで、一護の唇に塞がれた。

「き、貴様!ここは学校だぞ!」

「知ってるよ、んなもん」

「わわわわ、私は初めてなのだぞ!」

「それも知ってる」

かーと赤くなった。

「たわけが・・・・・・」

保健室を出た廊下での出来事。

「お前は、俺が守るから」

ドクンと、鼓動が高鳴る。

「何の脅威からでも、守るから―—」

もう、先の大戦が終わって1か月が過ぎている。卒業まで学校に通うと決めているルキアであるが、もう少しで卒業だ。

13番隊の副隊長としての責務が待っている。現世を去らないといけない。

一方の一護は、受験で大学に進むことが決まっていた。今は受験勉強真っ只中だ。

「たわけが・・・・・もうすぐ、貴様と別れねばならぬのだぞ。それなのに、こんなことをされたら・・・・・」

「現世を去りたくない、か?」

「たたたたたわけ!そんなわけなかろう!私は死神としての責務を全うし・・・・」

抱き締められた。

「もうすぐ、卒業だな。そうしたら、こうやって一緒にいられなくなる」

今は伝令神l機があるから、メールを送ったりはできるが、こうやって顔をあわせてのやり取りはできなくなるだろう。こうやって、隣にいてごく自然に接することもできなくなる。

「ルキア。卒業したら、2~3日現世にいられないか?」

「どうしてだ?」

「お前と、卒業旅行に行きたい」

「ななななな!」

「茶虎や石田や井上を誘って、みんなでいくのもいいけど、俺は一度でいいからお前と二人きりで過ごしたい」

「一護・・・・・・・」

「ルキアに、伝えたいことがあるんだ」

また、ドクンと鼓動が高鳴った。

「わわわ、私は貴様と一緒になんか・・・・」

「嫌か?」

「嫌じゃない・・・・・・・・」

一護は、ルキアを抱き上げた。

「うわあ!」

「じゃあ、決まりな。卒業した後、二人で卒業旅行に行こうぜ」

「誰かきたらどうするのだ!」

「別に、何もやましいことしてないから平気だろ」

もう一度、ルキアを抱き締めた

細いけど、柔らかくていい匂いがして、いつまでも腕の中に閉じ込めていたくなる。

ルキアも、おずおずと、一護の背中に手を回す。

学校の廊下というのが、なんとも背徳感を誘う。

「じゃあ授業に戻ろうぜ」

「あ、一護・・・・・・」

「どうした?」

「な、なんでもない・・・・・」

この胸の高鳴りをどうてくれる・・・・。

ルキアは言葉を飲み込んで、一護のあとを追うのだった。










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二人の初解

「日番谷隊長・・・・・」

「どうしたんだ浮竹。最近顔を出さないと思ったら」

浮竹は、余ったるい匂いを放っていた。いつもの甘い花の香よりもきつい、まるでフェロモンのような。

「なんだ・・・頭がくらくらする・・・」

「く、日番谷隊長でもだめか・・・・・」

京楽に、ココアをもらった。それを飲んだ後、体が熱くなって、きづくと甘ったるい、異性だけでなく同性も引き付ける匂いを体中から放っていた。

ここにくるまで、瞬歩できたが、雨乾堂では気絶した仙太郎と清音がいる。

「日番谷隊長」

「こっちにくるな!おかしくなる・・・・・なんだこの匂いは!」

「なんでも、異性も同性もひきつけるフェロモンの一種らしい。多分涅マユリの薬だ。京楽にもらった飲み物に混ざっていたから、犯人は京楽だ」

その京楽は、いきなり襲いかかってこようとしたので、蹴りで沈めた。股間を蹴ったので、今もまだ悶絶しているはずだ。

「どこか安全なとこはないだろうか・・・・・人がこないような」

「浮竹隊長ーーーーー!あいらぶゆーーーーーーーー!!!!」

隊首室から顔をのぞかせた松本は、浮竹のフェロモンに一発でやられてしまい、神々の谷間をすりつけてくる。

「松本副隊長、すまない!」

首の後ろを手刀で攻撃し、意識を失わせた。

「おい、俺ももうもたねぇぞ・・・・く・・・・・・」

「日番谷隊長・・・・・・」

「好きだ・・・京楽。俺のものになれ」

雄の顔をした日番谷は、京楽に愛を囁く。それも全て、薬のせい。

「く、雨乾堂が一番ましか。京楽がいるが・・・・」

瞬歩で、雨乾堂にもどった。

京楽の姿はなかったが、解毒剤とかかれたものが置いてあった。

少し逡巡するが、それを飲んだ。

瞬歩で、日番谷が雨乾堂までやってきた。

「俺のものになれ、浮竹・・・・・」

「しっかりしろ、日番谷隊長!」

しばらく揺さぶっていると、正気に戻った日番谷が、真っ赤な顔をしていた。

「俺は何を言っていたんだ・・・・・・」

「気にするな、薬のせいだ」

「もう、お前から甘い匂いがしない。いつもの花の匂いしか」

「そうかよかった・・・・・・」

雨乾堂には、気絶した仙太郎と清音の他に、京楽が見当たらなかった。

二人して、手分けで京楽の姿を探した。

勿論、怒るためにだ。

12番隊の隊舎に霊圧を感じて、浮竹は日番谷と一緒に、12番隊隊舎に向かった。

「京楽!」

「おいこら、叱られる覚悟はできてるんだろうな?」

「ち、違うんだ浮竹!涅隊長には、媚薬を作ってくれと頼んだだけなんだ。あんなフェロモンの塊になる薬じゃなくて・・・涅隊長の失敗作だったんだ」

「へぇ。俺に、媚薬を盛るつもりだったのか」

浮竹は笑顔だが、いっぱい血管マークが浮かんでいた。

「俺まで巻き添えになった・・・・・・覚悟はできてるんだろうな、この野郎」

「日番谷隊長、話せばわかる!」

「分かるかーーーーー!蒼天に座せ氷輪丸!」

「波悉く我が盾となれ雷悉く我が刃となれ!双魚理!」

浮竹も斬魄刀を始解して、氷の龍の攻撃を片方の刀で吸収して、片方の刀で凝縮して放った。

「ぎゃーーーーーーーーーーー」

どっかーーーん。

瀞霊廷の一部を吹き飛ばして、騒ぎは終焉を迎えた。

修理費は全て京楽もちにされて、始末書も京楽が描く羽目になったそうな。



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院生時代の部屋20

「これもこれも没収!」

浮竹が友人の部屋に寝泊まりしている間に、浮竹グッズを揃えていた京楽は、破壊されながら没収されていく浮竹グッズに涙していた。

「ああ、そのポスターだけは!」

びりびりと破いてやった。

「そのマグカップは」

ガッシャーン。割ってやった。

「ああ、その丸秘写真集は!」

「なんだこれ!半裸ばっかじゃないか!」

どこからとったのか、公共浴用で風呂に入っている写真やら、着換え中のやら、とにかく盗撮ばかりでまともな写真がなかった。

浮竹は、それを鬼道で燃やした。

「ああああああああ!!!僕のおかずが」

燃やしてよかった。

そう思った。

「これまたでかいな・・・・・」

浮竹の抱き枕。浮竹の普通の笑顔がプリントアウトされていて、一見するとまともなのだが、問題は京楽が使っているということだろうか。

「これも没収!」

「だめ!これだけはだめ!」

京楽は、抱き枕だけは没収されまいと必死だった。

「これは僕のオアシスなんだ・・・・浮竹と一緒に寝れない時はこれを浮竹と思って抱いて寝てるから」

ふーむと、浮竹は悩んだ。

つまり、これを没収すると、また京楽が勝手にベッドに忍び込んできて、一緒に寝る羽目になるのが防げるのだ。

「仕方ない。これだけは没収なしにする」

「ありがとう、浮竹」

抱き枕を抱き締めて、心底ほっとている京楽の姿に、まるで自分が悪いことをしているように思えてくる。

ぶんぶんと首を振って、再び没収作業を続けた。

3時間くらいかけて、一通りそろっていた浮竹グッズを、抱き枕以外破壊しながら没収した。

上流貴族の京楽は、金が有り余っている。浮竹グッズを作るのにも相当な金を費やしたと見える。だが、アイドルを思ってグッズを集めるなら分かるが、本人の目の前でグッズなど集められても、使うのは京楽ただ一人。
それを見て平静ならいいが、浮竹は不快にしかならない。

「ゴミを燃えるゴミと燃えないゴミに選別しないと・・・・」

月曜と木曜がゴミの日だ。今日は土曜日。あさってに回収にくるから、それまでに仕分けしておこう。あらかた仕分けして捨てたので、仕分けはしなくていいかもしれない。

月曜になって、ゴミを捨てた。

月曜は祝日だった。京楽は、浮竹抱き枕を抱きしめて、まだ夢の中だ。

「浮竹~そんな大胆な。うわああ、そんなことまで・・・・・・・」

いかがわしい夢を見ているらしい京楽に、エルボーでもくらわしてやろうかと思ったが、あまりに気持ちよさそうに寝ているものだから、仕方なく聞かなかったことにしてやった。

「はぁ・・・・・京楽のやつ、だんだん変態に拍車がかかってないか?」

ついこの間まで、ただの親友だったのに。

といっても、告白されて半年は経っているが。

諦めて今までのように女生徒の尻を追っかけれていればいいだろうに、今では浮竹の尻を追っかける始末だ。

同性なのに、それでも浮竹がいいという。

理解できない。

浮竹の恋愛感情は、女性に向けられている。確かにまだ好きな子はいないが、いつか結婚して自分の家庭を持つ夢だってちゃんとある。

このまま、京楽に押し切られると、その夢さえ叶えれそうにない。

まぁ、それはそれで仕方ないかとも思う。京楽の想いに、答えないでいるのは、少しでも親友でいたいから。

一度恋人になってしまえば、あとはどうなるか分からない。怖いのだ。

何か大切なものを失ってしまいそうで。

もっとも、浮竹と京楽の周囲の友人たちは、はやく二人ともくっついてしまえとうるさかったが。

「おはよう、浮竹・・・・・すごかった」

「夢の中の俺がだろう?」

「ぞうなんだ。浮竹のあそこはすごくて・・・」

顔面に蹴りを入れると、鼻血を吹き出して京楽は倒れた。

そのまま、いびきをかき出した。

「うふふふ、浮竹・・・・・・・・むにゃむにゃ」

「この変態が・・・・・・」

ひとかけらの優しさで、白目をむいたまま眠る京楽に、毛布をかけてやる。

「はぁ・・・・・」

祝日の朝からこれだ。

浮竹の苦労は尽きないのであった。







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蒼薔薇姫2

昔も今も変わらないものがある。

「ごほっごほっごほっ・・・・・・・・」

苦し気に咳込んでいると、雨乾堂にやってきた京楽が、背中をさすってくれた。

それは、出会った頃から変わらない、京楽の心遣い。

「すまない・・・・・すぐにおさまるから・・・・ごほっ」

「血は吐きそう?」

首を横に振る。

「薬もってくるね」

戸棚に用意してある、肺の病のための漢方薬と発作の時ようの緊急の薬をもってきて、コップに水をいれたものを手渡された。

苦い薬は、いつの間にか京楽の手がまわされて、甘いものに変わっていた。

味のないはずの錠剤ものには、ほんのりと果物の味がした。

「薬まで味を変えてもらって・・・・・俺は、お前に何を返してやれるのだろう」

「何も返さなくていいよ。僕が好きにやってることだから」

京楽の手の中にには、先日もってきた蒼薔薇の花があった。

「また蒼薔薇か?」

「今日は一輪だけね。君の髪飾りにしようと思って」

一輪の蒼薔薇を手折って、それを白い髪に飾られた。

「蒼薔薇姫って、いい響きだと思わない?」

「俺は姫じゃないぞ」

「そういう細かいことは気にしないの」

浮竹は、しいてあったままの布団の上に横になった。同じように、浮竹も畳の上で横になる。

「おはぎもってきたんだけど、後でなら食べれそう?」

「ああ。少し休憩したら・・・・・・・」

薬の鎮静剤が効いて、少しだけ眠ってしまった。

「ああ・・・・また寝ていたのか」

隣を見ると、京楽も寝ていた。笠を顔に被らせて。

「京楽」

笠をとると、京楽はそれでも起きなかった。

そういえば、この前七緒が仕事が溜まっていると怒っていた。もしかして、ここにくるために不眠不休で仕事を片付けたんじゃないかと、心配になってきた。

10月の半ば。

まだ雨乾堂が締め切っていないが、入ってくる風が冷たくなっているのも事実。

扉を全部閉めて窓もしめた。

それでも寒いと感じて、浮竹は一枚の毛布を京楽にかぶせて、もう半分を自分にかぶせて横になっていたら、いつの間にかまた眠ってしまっていた。

次に起きると、流石に京楽も起きていた。

「ごめん、うたた寝けっこうしちゃった。七緒ちゃんに急かされるままに、朝方まで仕事してたからね」

「そういう時は、自分の館か隊首室にいって休め」

「やだよ。せっかく時間ができたんだから、浮竹の傍にいたい」

甘えてくる恋人に、浮竹も甘くなる。

「仕方のないやつだな・・・・・・」

その少しくせのある黒髪を撫でると、京楽が浮竹の白い長い髪をいじってきた。蒼薔薇は変わらず、髪に飾られたままだった。

「僕だけの蒼薔薇姫・・・・・・・」

浮竹の膝の上に頭を乗せる京楽。

院生時代だと、すぐ手をだしてくるが、流石に今はそこまでがっつかない。

「蒼薔薇姫か・・・・・・」

この前もらった蒼薔薇の花束は、ドライフラワーにして掛軸の前に飾ってある。京楽が言っていた通り、枯れても鮮明な青い色が残っていて、一見ではドライフラワーなのかそうではないのかの区別がつきにくい。

昨日なんか、仙太郎がドライフラワーになった蒼薔薇の水を変えようとしていたくらいだ。

「綺麗だね・・・・・・」

蒼薔薇を飾った浮竹は、いつもより儚く色っぽく見えた。

「キスだけ、してもいい?」

「好きにしろ」

2週間のお預け期間はすでにすぎていて、一昨日久しぶりに抱かれた。

1週間に2回と決めているので、無理に抱いてくる真似はしない。

柑橘系の香がした。京楽の香水の匂いだ。その香がいいと言ったら京楽は

「君の甘い花の香のほうがいい」

と一点張りだった。

ふわりと、触れるだけのキスをされる。キスなのかもわからないような口づけに、浮竹がしびれを切らした。

京楽にの舌を誘い出して、絡み合わせる。

「んう・・・・・」

何度も絡めあっていると、飲み込み切れなかった唾液が滴った。

「ふ・・・・・」

唇だけでなく、額や頬に口づけされる。

でも、それ以上はしてこなかった。

安堵を覚えるのと同時に、このまま滅茶苦茶にされたいという相反する感情がせめぎあう。

いかんいかん。

一昨日交わったばかりだ。

本当に、京楽とのセックスは麻薬のようだ。快感ばかりで、癖になる。禁断症状がでるように、自分から抱かれたいという気持ちになる。

「どうしたの?押し黙って・・・・・」

「いや、なんでもないんだ。ただ、蒼薔薇は高いだろうなと思って」

欲情していることを察知してほしくなくて、他愛もない会話をする。

「浮竹、もしかして、抱かれたいって思ってる?」

ひゅっと、喉が鳴った。

何故ばれるのかと。

「瞳が・・・すごい、潤んでる。体温も上がってるし、動悸も高くなってる。何より、唇を舐めた」

些細な癖で見抜かれて、浮竹は慌てた。

「違う、これは・・・・・・・」

「僕だけの蒼薔薇姫。優しくするから、してもいいかい?」

「・・・・・はぁ。隠すだけ無駄か。1回だけだぞ」

浮竹は、布団の上に京楽の手で押し倒されていた。

その拍子に、髪に飾ったった蒼薔薇が、畳の上に落ちた。

「蒼薔薇姫・・・・・・」

京楽は、浮竹の髪にもう一度青薔薇を飾った。、

その蒼薔薇は、役目を終えてなお、髪飾りに加工されて、浮竹の髪に飾られるのだった。



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院生時代の部屋19

ひゅーひゅー。

喉が鳴る。

「ごほっごほっごほっ」

「大丈夫、浮竹?」

「ごほっ・・・・・うっ」

ごぽりと、血を洗面器の中に吐き出した。

「医務室にいくかい?」

「いい・・・・これくらいなら、薬を飲んで安静にしていれば、なんとかなる」

幼い頃、そうやって過ごしたのだ。もっと酷い発作の時にも、医者にかかる金はなくて薬を飲んで寝ていたこともある。

「でも、こんなに血を吐いて・・・・」

服やベッドを汚したくなかったらから、洗面器をもってきてもらった。その中には血だまりができていた。

少し血を吐きすぎたかもしれない。

くらくらする。

「ごほっごほっ」

苦し気に咳をしていると、京楽が優しく背中を撫でてくれた。

幼い頃とは違うのだ。

心配してくれる親友が隣にいる。それはとても心強いことでもあった。こんな肺の病などに負けてたまるかという気持ちになる。

「薬、飲めるかい?」

錠剤タイプの薬を手渡されて、水の入ったコップを手渡された。

粉薬タイプの薬も何とか飲みほした。

急に効くわけでもないが、心持ちかましになった気がした。

「すまない、少し眠る・・・・・」

鎮静効果のある薬も飲んだので、睡魔が襲ってきた。

「うん。僕は君の傍にいるから、安心しておやすみ」

傍にいる。その言葉を、幼い頃守ってもらったことはなかった。まだ幼い手のかかる妹や弟の世話があったから。両親は共働きで、収入はそこそこあったが、浮竹の病気の薬で金はスグに飛んでいってしまい、生活は食うに困るほどではないが、貧しかった。

いつか、死神になって恩返しをするのだ。

ずっとそう思ってきた。幸いなことに霊圧があり、学院の試験にもうかり、特進クラスになれた。今ここで、終わるわけにはいかないのだ。

「ん・・・・・」

気づくと、4時間は経っていた。

「起きた?浮竹」

「ずっとついててくれたのか・・・・・」

傍に椅子を寄せて、浮竹の手を握ってくれていた。

「大丈夫だとは思ったけど、一人にしておけなかったからね」

「京楽」

「なんだい?」

「その・・・・・・ありがとう」

「どういたしまして」

食堂はすでに閉まっていた。

「夕飯、お弁当二人分買っておいたから。一緒に食べよう」

「ああ、すまない」

薬が効いたおかげで、発作は収まっていた。

とんかつ弁当だった。

もっとあっさりしたものがよかったが、文句は言えない。

「無理に食べなくていいよ」

京楽が、柿を数個ベッドの上に転がした。

「柿か・・・・懐かしいな」

「僕も、子供の頃屋敷に生えてる柿の枝に登ってよくとったよ」

「俺の場合は・・・妹や弟たちが・・・その、柿の生えてる家を見つけると勝手によじ登ってとってしまうから、それを止めさせるのが大変だった」

おなかがすいていたのだ。

幼い妹や弟たちは。

「8人兄弟だっけ」

「ああ。多いだろ」

「そうだね。最近は多くても3人って家が多いから」

「俺の病気のせいで、家族には貧しい思いをさせた。だから、死神になって護廷13隊に入って、仕送りをしたいんだ」

「叶うといいね」

「ああ」

とんかつを口にしてから、半分残して、ベッドの上に転がっている柿を、皮つきのままかじった。

「寂しい?」

「え?」

「いや、そんな大家族からいきなり一人になったでしょ。寂しくない?」

「いや・・・・京楽がいてくれるから、寂しくはない」

その言葉に、京楽が押し黙った。

「俺は、何か変なことを言ったか?」

「無自覚でこれなんだから・・・勘弁してよ」

抱き締められた。

かじっていた柿が、ポロリと落ちる。

「京楽?」

「少しの間でいいから、このままのさせて」

「甘えん坊だな・・・・」

苦笑して、浮竹は京楽を抱き締め返す。

ここに友人がいれば、「あーやっぱりできてる」って言っていたであろう。

今は二人きりだ。

自然と口づけを交わす。

でも、そこまで。

でも、甘い時間はもう少し続きそうであった。

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院生時代の部屋18

ある友人が、相部屋の相手が退学したということで、部屋が一人分あいた。

なんとなく、1週間だけ、その友人のところで泊まることにした。大反対したのは京楽だけだったので、京楽のことは無視して、荷物を詰め込んで、友人の部屋にいく。

1週間にしては、少し荷物が多すぎたかもしれない。

荷物をほどくのを、友人は手伝ってくれた。下心をもつような友人ではないので、安心できた。入学した頃にできた友人で、もう3年の付き合いになるだろうか。

今は院生の3回生だ。

京楽が浮竹のことを好きだと言い始めたのは、2回生の終わり頃。あの頃はまだ平和だった。まさか京楽が、想いを受け入れられなかったせいで変態化するとは思わなかったから。

「なんか下着が多くないか?」

「相部屋の変態が、俺の下着をかいだりすりすりしたりするからな」

「はは、京楽か・・・・・あいつも変わらないやつだなぁ。もう半年だろ、いい加減、諦めればいいのに」

「そうなったら、苦労はしない」

好きだと言われて、始めは拒絶した。

でもしつこく好きだと言われて、答えを保留にした。そしたら、キスやハグをしてくるようになった。はじめは拒否したけど、今ではもう慣れてしまった。

京楽に操だけは奪われまいと頑張っているが、卒業まで答えを出すと言っているので、多分操をは奪われる。

もう、答えは出かかっていた。

でも、今の関係が好きなので、答えてやらないのだ。

少し意地悪だろうか?

そう思っていると、友人に夕食にいかないかと言われて、食堂までいこうとすると、部屋の前で京楽が待っていた。

「僕も混ぜて(*´з`)」

仕方ないので、3人で食堂にいく。いつものように、食べ残した分は京楽が食べてくれた。

「なぁ、お前らほんとに付き合ってないのか?」

友人が怪訝な表情をする。

「これの何処が付き合っているように見える」

「全部」

「ぐ・・・・・・・」

いつものように当たり前に、隣の席に座る京楽。時間があいていると、肩より長くなった白髪を指で遊んでくる。それに文句も何も言わない浮竹。

あげくに、残したものを京楽が食べる。

「お前ら、本当はもうできてるんじゃないのか?その、体の関係はなしにして」

「できてない!」

「でもキスしたりハグしたりするんだろ?そういうの、普通は付き合っていないとしないぞ。はっきり言う。お前たちはすでにできている!」

電流が走ったような衝撃を受けた。

そして、地面に膝をついた。

「そんなバカな・・・・これでできているなんて・・・」

「いや、僕たちはまだできていない。浮竹は僕の想いにまだ答えてくれていないもの」

「そうだよな。俺たちはできていないよな」

「うん」

ほっとした。

でも、友人は終始怪訝な表情をしていた。

「周りの友人も、俺と京楽ができていると思っているのか?」

「さぁどうだろう。個人差はあれど、まぁほとんどの友人がお前らはもうできてるって思ってるぜ」

また、膝をついた。

「キスとハグをなくすべきか・・・・・」

その言葉に、京楽が慌てた。

「親友でも、キスやハグはするんだよ!」

世間知らずの浮竹に、そう囁く。

「そうなのか・・・・?」

「いや、浮竹、お前絶対騙されてるから・・・・・・」

友人の声は、浮竹には届いていなかった。

何せ、目の前でキスをされているのだ。

「んっ・・・・・・」

「あー。まぁ、浮竹がそれでいいなら、俺ら友人は何もいわねーけどな」

結局有耶無耶になって終わった。

そして1週間はあっという間に過ぎてしまった。

京楽との相部屋に戻ると、京楽がちょっと焦っていた。

「なんだ。また何かしたのか」

「いや、そういうわけじゃあないんだけど・・・」

「ならどけ。部屋に戻る」

「ちょっと待って!」

「友人の部屋でずっと寝泊まりするのでいいのなら、待ってやる」

「あああ・・・・・・・(゚Д゚;)」

ガチャリ。

扉をあけて、唖然とした。

壁に、盗み撮りしたとと思われる浮竹のポスターがはってあった。

浮竹のプリントいりの抱き枕、枕に毛布、写真の数々・・・・・・。

「・・・・・・・・」

「いや、寂しくてさ・・・・・」

「一週間で戻るっていっておいたよな?」

「うん」

にこり。

浮竹は微笑んだ。

「とりあえず、一回死んどけ」

京楽の鳩尾に蹴りを入れる浮竹であった。




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変わる想い

「ルキア!」

「どうしたのだ、一護」

「いや・・・寒くないか?」

もう、10月の半ばである。相変わらずの半袖のワンピース姿に、秋用のコートを着ていた一護が、それを脱いでルキアの肩にかけた。

「別にいうほど寒くはないが・・・・・」

コートを脱ごうとするルキアに、一護が言う。

「風邪ひかれちゃ困るし、着てろ」

「だが、貴様が寒いのではないか?」

「いいんだよ、俺は。秋用の服着てるしな」

「ふむ・・・・」

少し思案するルキア。

「よし、腕を組もう。密着していれば、寒さも少しは和らぐであろう」

ルキアは、一護の腕に体を寄せた。

ふわりとシャンプーの匂いがして、動悸が高鳴る。

柔らかい体が、隣にある。むにゅっとした感触がして、何かと思えば、ルキアの胸が腕にあたっていた。

「おいルキア、胸あたってるぞ!」

「ななななな、たわけ、貴様!」

ぽかぽかと殴ってくるルキアの攻撃を受けながら、思ったより柔らかかったと感触を思い出す。

「このムッツリスケベが!」

「のあっ」

ルキアが、蹴りを一護の背中に決めた。

「お前な~~~」

「なんだ、やるのか!」

「ほらいくぞ。スーパーしまっちまう」

もう夜も大分ふけてきた。

夕飯の材料が足りなくて、急きょ二人はスーパーにいくことになった。夕飯の足りない材料の他にお菓子やらジュースを買い込んで、帰宅した。

「お兄ちゃーん!」

遊子が、材料をうけとって忙しく料理をする。ただそれを、キッチンで待っていた。

「1個だけだぞ。夕飯の前だからな」

アイスのクーリッシュを、冷蔵庫から取り出すとルキアに与えた。

ルキアはアイスが好きだ。

夏にはたくさん食べていた。冬でもけっこう食べるらしい。

「おお、パイン味か・・・・・」

それを食べていると、途中で夕飯ができあがり、食べかけのまま冷凍庫に直した。

夕飯はカレーだった。カレーのルーの在庫がなくて、夕飯ができずじまいだったのだ。

遊子は、小学生だけれど料理の腕はそこらの主婦よりある。

「うむ、美味だ」

「ほんと、ルキアちゃん」

「あ、おいしいですわ~。さすが遊子ちゃん」

ルキアは地を出しそうになって、すかさず猫を被った。

おかわりまでして、その後にジュースとお菓子を食べた。

一護とルキアは、一護の部屋に戻った。

「ああこれ・・・・・・まぁいいか」

ルキアの食べかけのパインのアイスを口にする。それを見たルキアが真っ赤になった。

「き、貴様それは私のアイス」

「別にいいだろ。残りあんまなかったし」

「かかかかか、関節キッスなのだぞ!」

「なんだよ、それくらい。今更だろ?」

付き合っていないが、ハグやキスはする仲だ。

「それより、そんなに食ってよく太らねーな」

「カロリーをとった分は動いているからな」

一護が、ルキアの腰を掴んだ。

「ななななな!」

「俺としては、もう少し肉があるほうが好みかな」

「このたわけが!」

一護の顔面に蹴りを入れた。

「いてぇ!」

「貴様がセクハラをするからだ!」

「これくらいで、セクハラになるのか?」

ルキアを、壁においつめる。壁に手をあてると、ベッドの上でルキアは縮こまった。

その細い手をとって抱き寄せる。

「一護・・・・・・・」

「・・・・・好きだ」

「え」

紫紺の瞳が見開かれる。

「ずっと前から、好きだった・・・・・」

「クーリッシュがか?」

「そうだ・・・・・って違う!お前だよ!俺が好きなのはルキア、お前だ」

「わ、私は・・・・・」

ルキアはドクドクと高鳴る鼓動と、あがっていく体温を感じていた。

「別に、返事はいつでもいいから」

「一護、貴様ずるいぞ!これでは、貴様のことを異性として見てしまうではないか!」

「そう見てほしいから、告白したんだよ」

「私は・・・・・・・」

ルキアは死神で、一護は人間。

いつかこの現世を去らねばならない。

それでも、求めていいたのだろうか?この狂おしいまでの感情の正体に、ルキアも気づいていた。気づいて、知らぬふりをしていた。

そのまま夜になった。

いつものように、ルキアは一護のベッドで一緒に眠った。

寝れない。

一護は、ルキアを抱くような恰好で眠っていた。

一護はずるい。先に想いを告げてしまうなんて。

「はぁ・・・・」

大きなため息をついて、紫紺の瞳を瞬かせる。

「私も、貴様のことを好いておるよ・・・・・一護」

眠っている一護に告白する。

ずるいから、答えは出してやらないと思っていた。

曖昧な関係のままでいいと思うのは、罪なのだろうか?

告白して相思相愛になったら、別れの時が辛すぎる。

だから、身のうちに潜む思いを押し殺してきた。でも、あふれ出しそうだ。

「好きだ、一護」

「ん・・・ルキア?」

「貴様が好きだ一護」

ポロポロと、アメジストの瞳から涙を流した。

「なんで泣いてんだよ」

「いつか、貴様を置いていく」

「俺はそれでも、ルキアお前が好きだ」

「一護・・・・」

キスをした。はじめてのディープキスだ。

「は・・んう」

「会いにこいよ。現世を去っても。いつでも、いつまでも待ってるから」

例え別れが長いことになろうとも。

「今は伝令神機もあるし、何も一切連絡がとれないわけじゃない」

「そうだな・・・・・・」

またキスをした。

そして、そのまま二人は眠った。

多分、関係は今まで通り。でも、お互いが好きだと分かったので、もっと深い仲になるかもしれない。

想いをつげあっただけで、付き合うなどの約束もしなかった。

次の日からの日常も、変わらない。

ただ、お互いが好きだという意思をもっている。

でも、それでいいのだ。

急激に変わらなくても。

ゆっくりと、変わっていけばいい。

二人はまだ若い。

時間はまだたくさんあるのだ。










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青薔薇姫

京楽が、尸魂界でも珍しい、蒼い薔薇の花束を手に、浮竹を待っていた。

「どうしうたんだ、こんな季節に。何か祝い事でもあるのか?」

「浮竹は忘れちゃったの。院生時代の、今日のこと」

その言葉に、思い当たる節があって、浮竹は真っ赤になった。

「今日は俺たちの・・・・・・」

「そう、想いが通じあって、初めて結ばれた日だよ」

浮竹は余計に真っ赤になった。

「君に、いつか蒼い薔薇の花束をプレゼントしたかったんだ」

院生時の頃は、尸魂界に蒼い薔薇は存在しなかった。今も、現世には存在しない。尸魂界の特別な専門家の元で育てられていて、一輪の花だけで数十万は飛ぶ。
それを花束で・・・・・・どれだけ、お金がかかっているのか、計算しようとしてしまう自分に、少し気恥ずかしさを感じた。

「ありがとう、京楽」

花束をもらい、浮竹は喜んだ。

「早速、雨乾堂で飾ろう」

京楽も、浮竹の跡をついて雨乾堂にはいる。

これも、浮竹からもらった花瓶に水を入れて、青い薔薇をかざった。

「枯れそうになったら、ドライフラワーにするといいよ。この青の鮮明な色は落ちないからね」

現世にも一応ブルーローズなる蒼い薔薇はあるが、特殊な染料で染められた真っ赤な偽物である。

「高かっただろう」

「何、ちょっと知り合いのつてを頼ったからね。市場ではまだ出回ってない代物だから」

市場に出せば一輪で100万は余裕で超えると、京楽は笑う。

蒼い薔薇を花瓶から一輪手折って、京楽は浮竹の髪に飾った。

「薔薇姫」

京楽が、うっとりと浮竹を見つめた。

「京楽・・・・・」

手を引かれて、いつの間にか浮竹は京楽の腕の中にいた。

キスをした。

京楽は手慣れていて。舌が入ってきた。その動きに翻弄されるうちに、頭がぼーっとなってきた。

「あっ」

うなじにキスマークを残された。

そのまま、全身にキスの雨を降らさせた。畳の上に押し倒された。

「ああっ」

胸の突起をつままれる。右側は舌が這いまわる。舌先で転がされて、また声が漏れた。

「ああ・・・・」

京楽の首に縋りつき、キスをねだると、何度でもとろけるようなキスをされた。

蕾を潤滑油で性急に解された後、乱れた衣服のまま立ち上がらさせた。

「京楽・・・・?」

浮竹の不安そうな声に、ぺろりと唇をなめた京楽は言う。

「壁に、しっかり捕まっていて」

「あああ!」

立ったまま、挿入された。

がりりと、壁をひっかく。

右の方の腿を大きく広げられた。

「うあっ!」

ずくんと、奥まで入ってきた。前立腺をすりあげて、こね回すように円を描かれ、ずっと前立腺を刺激されると、立ち上がった浮竹の花茎はあっという間に精を放った。

「やああああ」

立ったままで犯されるのなんて、何年ぶりだろうか。

はらりと、浮竹の髪に飾られた蒼い薔薇が、花びらを一枚落とした。

「やあ、あ、あ、あああああ!!!」

激しく出入りすぐ京楽に、浮竹は貪られるままに甘い声をあげる。

「うあ、や、だめ、くる・・・・・・・・ああ!」

また達した。

中が、吸い付くように動いて、京楽も我慢できずに浮竹の腹の奥に精液を放った。

「まだ、終わらないよ」

「ああっ!」

硬さを保ったままの京楽にまた貫かれて、浮竹は生理的な涙を零した。

「んあっ」

一度ぬかれ、キスをする。それからまた貫かれた。

「ああああああああ!!!」

何度も前立腺をすりあげられて達して、息があがる。もう、精液を出し尽くして何もでない。

それなのに、京楽はまだ平気なのか、犯してくる。

何度も貪られた。反応しなくなった花茎を何度もしごかれて、いきたいのにいけない感覚に、戸惑いを覚えた。

「精強剤のんだんだけど・・・・どうしよう。まだ体があついよ。まだまだできそう」

「ああ、バカ、しるか・・・・・・・あああ」

何度も中で放たれて、京楽が満足する頃には、浮竹はすでに意識を失っていた。

最後は畳の上で交わった。

浮竹から己をずるりと引き抜くとと、こぽりと逆流してきた京楽の精液が畳に水溜りを作った。それだけ、浮竹の中に放ったのだ。

「やり過ぎちゃったね・・・・・」

バイアグラなる、現世ではやっている薬を飲んだのだが、悪くなかった。

かなり長く己を保つことができる。

まぁ、そんなもの飲まなくても、浮竹を満足させれるのだが、部下の隊士に渡されたそれを気まぐれに使ってみると、もう抑えが効かなくなった。

青い薔薇も初めての結ばれた日も、こうなってしまえばただの口実かもしれない。

「薔薇姫・・・・・・」

京楽の薔薇姫は、身を清められて畳のふき掃除も終わらせ、衣服もちゃんと新しいのに着せ直したのに気分を害したのか、なかなか口をきいてくなかった。

「浮竹、だからごめんってば」

もう何十回目かになる謝罪の言葉に、浮竹はそっぽをむいてこういう。

「2週間、お預け」

「ええ、そりゃないよ」

「今日のは、2週間分はやった!俺の体がもたん!」

ぷんぷん怒る浮竹を宥めるために、また一輪蒼い薔薇を手折って、髪に飾る。

「ねぇ、僕だけの蒼薔薇姫」

「しらん」

その日、一日中浮竹は不機嫌だったという。





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院生時代の部屋17

「京楽の旦那、花街に戻ってきておくれよ」

学院の外で、京楽と街を歩いていると、遊女らしき人物がやってきて、いきなり京楽に抱き着いた。

それに、浮竹はむっとなった。

「ごめん、僕愛する人ができちゃったから。もう廓での女遊びは終わりなの」

「そんなこと言わずに!身請けの話はどうなったのさ!」

「は?身請け代金は君に払っただろう」

「あんな金、京楽の旦那がもっと出してくれると思って使っちまったよ」

「は?僕はこれ以上君のために出すお金なんてびた一文もないよ。せいぜい、頑張って年季があけるまで体を売ることだね」

「京楽のだんな・・・・・」

「危ない!」

キラリと光るものが見えて、気づくと浮竹は京楽を突き飛ばしていた。

「きゃああああ」

遊女が、悲鳴をあげる。

女が出した短剣は、浮竹の胸に突き刺さっていた。

「浮竹!!」

京楽が、傾ぐ体を抱き留める。

「君・・・・・」

ゆらりと、殺気の混ざった霊圧をぶつけられて、遊女は気を失った。

すぐに警邏隊がきて、女を引き渡す。

浮竹は、京楽があげた翡翠の首飾りをしていて、そこで短剣の刃はとまっていて、体に傷一つ負っていなかった。

もしも、あの遊女が浮竹を傷つけていたなら、あのそれなりに美しい顔に、一生残る傷跡を背負わせてやろうと思っていた。

「京楽?俺は・・・・・無事なのか?」

遊女は短剣を思い切り刺そうとしていた。急所はずれていたが、刺されていれば間違いなく病院いきだった。

下手すると、出血多量で命の危機もあったかもしれない。

一応学院で回道の授業を受け、使えるようになっていたが、その力はせいぜい治癒能力を高めるか、血を止めるくらいだった。

「浮竹、もうあんな無理はしないでくれよ!命が100年縮まった気がしたよ!」

ぎゅっと抱きしめられて、浮竹は京楽の頭を撫でた。

「気づけば、お前を突き飛ばしていた」

「浮竹・・・・・」

「俺は、思っていた以上にお前に依存してしまっているのかもしれないな」

「もっと依存して?」

「ばか言うな・・・」

街を散策するのは中止になった。

念のためと、病院で検査してもらったが、肺の病以外は健康そのものだった

身代わりになったペンダントは、翡翠の部分に罅が入っていた。

「この翡翠が、俺を守ってくれたんだな」

「この翡翠はもうだめだね。新しいの買ってあげる」

「これは、大事にしまっておく」

「うん・・・・・・」

寮につくと、京楽は浮竹を押し倒した。

「何・・・?」

訝しがる浮竹に、唇を重ねる。

「んうっ・・・・」

何度も口づけられているうちに、思考がぼーっとしだしていた。

首筋を吸い上げられて、そのちりっとした痛みに、浮竹のぽかりと殴った。

「キスとハグ以外は禁止だって言っただろう」

「キスマークを残すのも、キスの延長線上だよ」

「そうかもしれないが・・・見える場所に痕を残すのはよせっ」

そうい言われて、京楽は浮竹のうなじに数か所キスマークを残した。

「あっ・・・・」

声がもれて、やばいと思った。

京楽が、濡れた視線でこちらを見てくる。浮竹と、キスを繰り返す。

服の裾から、手が侵入してくる。

膝を膝で割られる。

「そこまでだっ」

もう無理だと、浮竹が京楽にストップをかけた。だが、京楽は火がついていて、止まらない。

「ああっ」

与えられる快感に、支配されそうになる。

「く・・・・・」

ゴン!

想いきり頭突きを食らわせると、京楽が白目をむいて倒れた。

頭が痛すぎる。ちょっとやりすぎたかもしれないが、約束を破ろうとしたのは京楽のほうだ。

「今回は、なかったことにしてやる」

本当なら、親友をやめるのだが。

約束以上の行為をしたら、親友をやめると公言していた。

次の日になっても、京楽は白目をむいたまま気絶していた。ちょっとやばいかと思って、回道の得意な友人に来てもらうと、友人は笑った。

「これ、気絶してるんじゃない。寝てるんだ」

「え、こんな姿でか?」

「ああ。よほど嬉しいことでもあったんだな。意識を眠りの下に潜らせてる」

「起こすには?」

「普通にすれば起きるぞ」

「京楽、おきろ京楽」

反応がない。

「京楽おきたらキスしてやるぞ」

「おはよう、浮竹」

きりっとした顔で、起き出す京楽。

「キスは!?」

「心配させたからなしだ」

「えええーーーー」

「俺、お邪魔みたいだから帰るな」

友人が去って行ってしまった。

二人きりになる。

気まずい空気が流れる。

「ああもう!1回だけだぞ、キスは!」

「\(^o^)/」

数日間、うなじのキスマークが消えなくて、しばらくの間ついに浮竹と京楽が結ばれたという噂が流れるまで、そう時間はかからなかった。


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院生時代の部屋16

「好きだよ」

「俺も好きだ、愛してる京楽」

「僕も愛してるよ、浮竹」

「嬉しい」

「僕の熱いヴェーゼを受け取ってくれるかい」

「勿論だ。それ以上でもいいぞ」

「ふふふ、今夜は寝かさないよ」

「いっぱいしてくれ、京楽」


京楽は、一人二役を演じていた。浮竹の部分も、京楽が声を出して、演じていたのだ。

それを少しあいた扉から、浮竹がみていた。

浮竹の視線に気づいて、恐る恐る京楽が振り返る。

「楽しいか?」

氷点下の眼差しで見られて、京楽は慌てた。

「こ、これはただの発声練習だよ」

「そうか。エアー浮竹でもいたんだな」

「そうそう、エアー浮竹が・・・・・・・・・・」

つっと、汗が流れ落ちる。

やっばい。

浮竹に見られた。

今すぐこの部屋から消えてなくなりたい。

そう思いながら沈黙していると、浮竹がこっちにやってきた。

「最近、お前と普通に接していたが、それだけは足りなかったか?もっとこう、スキンシップが必要だったのか?」

「そうそう、そうだよ」

京楽は顔を輝かせた。

別に、不満があったわけではない。

でも、浮竹が少し遠くに感じて、寂しかった。

「寂しかったんだよ・・・・・・・・」

「京楽」

これ以上中へは入っていけないのルールの、テープを乗り越えて、浮竹が京楽のいるベッドの傍にくる。

「浮竹!!」

京楽が、浮竹を抱き締めようとする。それをひょいと交わして、浮竹は京楽をベッドから突き落とすと、シーツや枕の下を確認した。

「あった・・・・」

最近、やけに下着が少なくなっていると思ったら、やっぱり京楽の仕業だった。下着を回収すると、京楽が泣き真似をした。

「酷い!僕の楽園が・・・・・」

「自分の下着でやってろ」

浮竹は氷点下オーラを出して、今度はタンスに鍵をつけだした。

「そんなことしたら、浮竹のパンツとお別れしなくちゃいけないじゃないか!」

「同室のお前のせいで、俺は多大なる不幸を背負っている」

ベランダに下着を干すのだが、それもなくなるのだ。

流石にベランダにまでは手が回らない。

一枚、黒いトランクスを京楽に投げる。

「けっこう愛用していたやつだ。やる」

京楽は、ご神体を崇めるように恭しく黒いトランクスを受け取った。

「家宝にする」

「変態が・・・・・・」

浮竹のつぶやきは小さかった。

「京楽、パンツを盗むことをやめたら、キスを週に3回増やしてもいい」

そう浮竹が提案すると、週に5回のキスになった。京楽が粘ったのだ。本当なら、1日5回にしたいところだったけれど。

こうして、京楽が浮竹のパンツを盗むという変態行為は収まった。

でも、変態なので、また次の行動を起こしそうだった・・・・・・・。










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