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院生時代の部屋15

浮竹が浮気した。

否、付き合っていないのだから、これは浮気にならないだろうか。

女生徒に告白されて、OKをしたらしい。

京楽はずっとイライラしていた。ただでさえもてる浮竹なのに、誰かと付き合いだしたら、歯止めが利かなくなるんじゃないかと思った。

京楽も京楽で、少し前までは女生徒をはべらせ、抱く相手がいなくなると廓で遊女や花魁を買った。色子に手をだしたことはまだないが、一度買ってどうやって同性同士でするのかを事細かに聞いたことはあった。

「浮竹」

寮の部屋に戻ると、浮竹は疲れた顔で、溜息を零していた。

「どうした、京楽」

「またなんで・・・・・あんな女の子と、付き合いだしたんだい?」

見た目もあまりよくないし、どっちかていうと影を引きずっていて、いじめの対象にされるような暗い女の子だった。

「君なら、もっと綺麗な子、いくらでもいるでしょうに」

「それはこっちの台詞だぞ京楽。俺を好きにならずとも、前までいっぱい女の子を侍らしていたじゃないか。廓に通って遊女や花魁を買って」

「僕は君がいいんだ。君がいれば、他に何もいらない」

「俺はお前のことは好きだが、恋愛感情は抱いていない」

「知ってる。でも、君が誰のものでもないからよかったんだよ。誰かと付き合いだすなんて・・・・」

今すぐにでも、無理やり抱いて、自分のものにしようかとも思った。

でも、浮竹のことだから、そうやって手に入れても、水のように手の隙間から零れ出て、形をかえていなくなってしまうかもしれない。
そう考えただけで怖くて、手を出せない。

「あの子・・・・・病気なんだ。もう長くない。あと2か月の命らしい。学院も来週いっぱいで辞めるそうだ。最後の思い出に付き合って欲しいと言われて、OKした。あの子の、残り僅かな命の花になれればと思って」

「・・・・そうか」

事情は把握した。

この場合、京楽でもあの女の子と付き合っただろう。

「いい思い出、作れるといいね」

「そうだ、京楽!」

「なんだい?」

「お前も、一緒に付き合ってくれ。俺じゃあ、女性と付き合ったことがないんで、いまいちよく分からないんだ。あの子は、お前のことも・・・・というか、俺とお前の関係を好いていたそうだから、一緒に付き合っても問題はないと思うんだ。それに京楽なら、女性の扱い方もうまいだろうし」

「その話のった」

三角関係になる。
でも、女の子と一緒に浮竹と付き合えるのだ。願ったり叶ったりだ。

次の日の休日、女の子と一緒に甘味屋にいった。

「ここの白玉あんみつはとても美味しいんだ」

「嬉しいですわ。こんな私なんかが、お二人と付き合えるなんて」

女の子は、名前を紫苑(しおん)といった。

「紫苑ちゃん、お金は僕がもつから、好きなだけ食べるといいよ。浮竹も」

浮竹は、本当に何処に入るのか、その細い体に入るのかもわからないような量を食べる。店のメニューを上からつぶしていく。もう少しで、店のメニュー全覇ということろで、浮竹は食べ終えた。

「すごいですわ、浮竹様。こんなに食べてしまうなんて」

紫苑は、笑うと可愛かった。

甘味屋での勘定を払って、店の外に出ると、京楽が提案した。

「紫苑ちゃん、服買いに行こう。それから髪もきってイメチェンして、化粧もしよう」

「どうしてですの?」

「君、宝石の原石だよ。磨けば光る」

京楽は、紫苑を連れて服屋にいくと、西洋風のワンピースを着せた。それに麦わら帽子。長く前髪を覆っていた髪はバッサリと切って、短めのショートカットにする。

化粧品店で、メイクしてもらい、唇に紅をひいただけで、印象ががらっと変わった。

美少女だった。

「これが私・・・」

鏡を見て、唖然としている。

「嬉しいですわ。京楽さま、ありがとうございます。浮竹さま、さぁ次はどこへいきましょうか」

「そうだな。動物と触れ合える牧場にでもいこうか。触れ合い動物園みたいなとこ」

少し遠出になるので、人力車をかりて移動した。

まだ瞬歩は使えないので。

「わぁ、たくさんいますのね。餌をやっても構わないのかしら」

兎がたくさんいた。

人参が売ってあった。カットした人参を玉の中にいれて、お金を入れたら玉がでてくるしかけになってあった。

200環ほどいれると、3つばかりの玉がでてきた。

えさだえさだと、兎たちが集まってくる。

「うふふ、くすぐったい」

「同じくくすぐったいな・・・・・・」

京楽は、浮竹だけを見ていた。紫苑のことなど、最初からどうでもよかったのだ。

二人で、兎を抱っこしている写真をとった。浮竹と紫苑をいれたツーショットで写真をとる。

ひとしきり兎と戯れた後は、犬猫のルームに移動した。

「ああごめん、僕猫アレルギーなんだ。ここで待ってるから、二人で楽しんできて」

「そうか。初耳だな。分かった」

「まぁ、浮竹さま、京楽さまの分まで楽しみましょう」

二人は、1時間ほどでてこなかった。よほど犬猫に夢中になったのだろう。出てきた二人が、犬と猫の毛だらけになっていた。

「京楽さま・・・・・・・・けほっ!げほごほげほっ!」

急に、紫苑が胸に手をあてて苦しみ出した。
咳とともに、ごぽりと血を吐いた。

「いけない!」

浮竹は、紫苑を抱き上げた。

「人にうつる病ではないから・・・・・病院に急ごう」

人力車で、病院にまで連れてってもらう。

「ああ・・・私、今日一日とても幸せでしたわ。もう、居なくなってもいいくらいに」

「何をいってるんだ。君はまだ生きれる。生きるべきだ」

「私・・・・浮竹さまと同じ肺の病ですの、京楽さま。浮竹さまをとってしまおうとして、ごめんなさい・・・・・・・」

「君は・・・・・・・」

紫苑は、京楽の浮竹への想いを気づいているのだ。まぁ学院内でも、付き合っていそうで付き合ていないで有名だったが。

「わたくし、こんなに穏やかで楽しい気持ちになれたのは初めてですわ。勇気をだして、浮竹さまに告白してよかった・・・・・・・」

そのまま、紫苑は緊急入院した。

次の日とその次の日と、面会する。

それが2週間くらい続いた時、彼女は静かに息を引き取った。

「京楽・・・・・・:」

「なんだい?」

「俺は、紫苑の光になれただろうか」

「十分になれたさ。僕もね」

浮竹は、自分の胸の部分の服を掴んだ。

「いつか俺も・・・・肺の病の発作で、あんな風に死にそうな気がして怖いんだ」

「大丈夫、君はここにいる。それに、肺の病が進行しないように、ミミハギ様を宿しているんだろう?君は死なないさ」

「京楽・・・・・・」

浮竹は、珍しく気弱になっていた。

京楽の手をとって、自分の胸に当てる。

「俺の鼓動は、分かるか?」

「分かるよ。ちゃんと脈打ってる」

「そうか・・・・・」

京楽に抱きしめられて、浮竹は一粒の涙を零した。紫苑のための、涙だ、

「彼女は、天国にいけたかな?」

「いけたよ、きっと」

死者を思うのは、悪いことではない。葬式は身内だけでするということらしく、最期をみとどけれなかったが、浮竹も京楽も特別ということで、葬式に出ることを許された。

花を添えた。京楽の金でかった、赤い大量の薔薇を。薔薇のベッドに眠るように、死んだ彼女の棺桶を赤い薔薇まみれにする。赤い薔薇は普通の値段だが、まず何より薔薇自体が高い。こんなに大量の薔薇を抱いてあの世にいけるのは、きっと幸せなのだろうと、紫苑の母親は泣いていた。

「俺も同じ病なんです」

「そうですか・・・・あの子が苦しみを、あなたの分までもっていってくれればいいんですが」

紫苑の母親は、若すぎる娘の死に泣いていた。父親も兄弟も。親族全員が。

その中で、院生の服をきた京楽と浮竹だけが泣いていなかった。異物感に、少し早めに彼女の棺に薔薇の花を添えると、葬式の会場を後にした。

「元気だしなよ、浮竹」

「俺は元気だぞ?」

そういう浮竹は、青白い顔をしていた。寮への帰り道で、途中で止まった浮竹が、空を見上げた。

遠くで、遺体を焼く煙が見えた。

「いつか俺がああなっても、京楽、俺のことを忘れないでくれ」

「ならないよ。君は僕の傍にずっと居るんだ」

「ああ、そうなれればいいな・・・・・・・・」

手を繋ぎあい、触れるだけのキスを交わす。

「浮竹」

「なんだ」

「好きだ。愛してる」

「知っている」

「答えは?」

「保留だ」

「いつになったら、ちゃんとした返事をくれるんだい?」

「学院を卒業するまでには」

「あと3年もあるのか・・・・・短いようで、長いね」

一輪の薔薇の花を、京楽は浮竹の肩より少し伸びた髪にさした。

「君は綺麗だよ」

「京楽も、かっこいいぞ」

寮の部屋につくと、いつもの日常が幕をあける。




「こら京楽、また風呂壊したな!」

「いや、今回は僕じゃないよ!」

「じゃあ、今まではお前の仕業ってことか」

「えーとそれは・・・・・」

「そこに正座しろーーーー!」

がみがみと浮竹からきついお説教をくらい、キスするのもハグも1週間禁止と言い渡されて、涙する京楽の姿があったという。





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アンビリーバボー

その日、京楽は雨乾堂に泊まった。別に逢瀬というわけではなく、本当にただ泊まり、抱き合いながら一緒に眠っただけだった。

朝起きると、浮竹はびっくりした。

京楽が、若返っていたのだ。院生の時代の姿になっていた。ご丁寧なことに、衣服も院生のものになっていた。

「おい、京楽?」

「その声・・・・・浮竹?」

「え、俺が分からないのか」

「だって、俺の知ってる浮竹はもっと若くて・・・今の君を20歳ほど若返らせたらって・・・・ほんとに浮竹!?」

京楽は、自分の姿を確認していた。

いつも通りだが、目覚めると知らない場所で、知らない長い白髪の綺麗な麗人と眠っていたのだ。でも、甘い花の香はするし、浮竹の面影が色濃くあって、兄か何かかと思った。

浮竹本人なのだという。

「俺は13番隊隊長の浮竹十四郎、お前は8番隊隊長の京楽春水」

「え、僕は将来は8番隊の隊長のになるのかい?」

「そうだぞ。その調子だと、姿だけでなく記憶も学院時代のものしかないのか・・・」

「清音、仙太郎」

「はい」

「お呼びでしょうか、隊長」

「涅隊長のところにいって、なにかしたのかどうか確認してきてくれ」

本当なら、浮竹が動くべきなのだが、院生の時代の、まだ今の京楽に比べると3分の1以下の霊圧しか感じない、若い京楽をそのままにしておけなかった。

「朝餉を食べよう。おいで」

京楽は、浮竹の跡をついていった。

長い白髪の浮竹は、綺麗だった。サラサラの白髪を、つい手にとると、浮竹に苦笑された。

「この髪はな、京楽、お前が伸ばせと言うからここまで伸ばしたんだぞ」

ドキリとした。

いつもは雨乾堂で、3席の二人に朝餉を用意してもらうのだが、今は調査にいってもらっている。
普通の隊士たちが食べる食堂に混ざって、浮竹も京楽も朝餉を食べた。

「珍しいですね、隊長がここにくるなんて」

「おはようございます、浮竹隊長」

「浮竹隊長!」

たくさんの隊士から、声をかけられる。

京楽は思った。支持されるほどの手腕なのだと。

「その子は・・・・?どこか京楽隊長に似ているような?」

「あ、ああ、この子は京楽の甥なんだ。事情があって、しばらく預かることになったんだ」

それ以上つっこまれないために、京楽を連れて、雨乾堂に戻った。

「お前が若返ったことは、他の隊長には知らせないほうがいいな」

「ほんとに僕は隊長になるのか・・・・・」

「京楽、すまないが元の姿に戻るまで、この雨乾堂にいてもらう」

「たとえ年上の浮竹でも、浮竹と一緒に居れるのは嬉しいよ」

京楽は、浮竹に抱き着いた。

「んー。もうちょっと肉つくかなーって思ってたけど、未来の浮竹も細いなぁ」

「俺はこれが普通なんだ」

「もっと栄養とらないと。相変わらず病弱なの?」

「大体、お前が想像している通りだ」

「じゃあ、僕らは恋人同士!?」

「当たり前だろう」

「え、ほんとに?僕の想いって、浮竹に将来通じるんだ・・・・・」

どうやら、まだ恋人同士なる前の・・・・院生2回生くらいの年なのだろう、今の京楽は。
院生の2回生の秋頃に恋人同士になった。

京楽が、浮竹を押し倒した。

「何をする」

「想いあってるってことは、こういうことしてもいいってことだよね?」

硬いものが当たって、浮竹は真っ赤になった。

「こんな朝から!」

「ここ、いいね。他の死神がこない・・・・・」

「やめろ、よせ京楽」

「いただきまーーす」

「ぎゃああああああああ」

朝から、京楽においしくいただかれてしまった浮竹は、不機嫌だった。

若いだけあって、ねちっこくてしつこかった。

浮竹が精液を迸らせて、もう出ないとわかっているのに何度もさわったりしてくるし。

何度も中に出された。

仕方なく、朝から湯あみをすると、京楽が大の字で寝ていた。

「こいつ・・・・・・」

変態時代の京楽のようだった。

京楽にも、友人時代、親友時代、片思い時代、変態時代、想いが通じ合った時代と、区切りがある。運悪く、変態時代の京楽になってしまったのだ。

しばらくすると、清音と仙太郎が、涅マユリを連れてやってきた。

「言っとくが、私が悪いんじゃないヨ。希望したのは京楽隊長のほうだからネ。若返りの薬を作ってほしいと言われて、金をつまれて作ったのさ。まぁ、不完全だけどネ。解毒薬は渡しておいたはずだがネ・・・・・ないなら、これを使いたまえ」

解毒剤・若返りヴァージョンとかかれていたそれを、手に取って、浮竹は京楽を起こして無理やり飲ませた。

ぽふん。

音をたてて、京楽が元に戻る。

「じゃあ、私はこれで失礼するヨ」

こんな場所に用はないとばかりに、涅マユリは去って行った。

ボキボキ。

指の骨を鳴らす浮竹。

「京楽~~~~~?」

「ま、間違いだよ!ただ、僕は純粋に若がって、浮竹を満足させてあげようと・・・・」

「ああ、そうだな。5回もされたのは新記録だ」

にこにこ。

微笑んではいるが、血管マークがいっぱいついていた。

「京楽のアホ!」

浮竹は、京楽の股間を蹴り上げた。

それを見ていた仙太郎が、痛そうに股間を抑えた。

「1か月セックス禁止!」

京楽はもだえ苦しんで、答えようにも答えられない。

結局、浮竹に毎日謝りまくって、セックス半月禁止まで縮ませてもらったのであった。





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院生時代の部屋13

扉の隙間からそっと室内を見る。

前回みたいに、扉を開いたら京楽が自虐していましたなんておちが、欲しくなったので。

京楽は、少し見えにくいが何かの布に顔をあてたり、頭にかぶったり、股間にはいたりしていた。

「何してるんだ京楽?

ガチャリと扉を開けて入ってきた浮竹に、京楽は焦った。

「え?いやいやなんでもないよ!」

「何を隠している!」

寮の自室で怪しい動きをしていた京楽に、浮竹は詰め寄った。

今の身長差は15センチほど。京楽は190センチをこしていて、浮竹は普通の身長なのだが、低く見えてしまう。

なんとか京楽から、彼が握っているものを手につかんだ。

それは、男性用の下着だった。

心なしか、湿っている。

最近は褌以外の下着も流行っていて、浮竹は西洋風の、いわるつトランクスタイプの下着をはいていた。

京楽は布地のせまいビキニタイプのものを。

京楽が握っていた・・・・・いや、クンカクンカとかいだり、頭にかぶったり、服の上からではあるが、はいたりしていたのは浮竹の下着だった。

「お前は~~~~~!」

顔が真っ赤になって、次に真っ青になって、また真っ赤になった。

「この変態が!」

殴ろうとしたら、軽く避けられて、羽交い絞めににされた。

「放せ!」

「放したら、絶対股間蹴るつもりでしょ!」

「当たり前だ!」

それ以外にどうやって対応しろというのだ。

小言をくらわすだけでは物足りなさすぎる。

「破道の・・・・・・んーーーーー!」

口を手で塞がれて、鬼道も使えない。

しばらくじたばたもがいてみたが、京楽の力が強すぎて、どうにもできなかった。

とりあえず、脛を思いっきり蹴って、浮竹は京楽と距離をとった。

ジリジリ。

互いの間合いを図りあう。

先に動いたのは、京楽のほうだった。パンツを奪われてなるものかと、意気込んでいる。しかし、心なしか股間がもっこりしていた。京楽は、浮竹のパンツをおかずに、ナニをしようとしていたのだ。

それを見て、浮竹は叫んだ。

「この変態エロ魔人が!破道の4白雷!」

「あぎゃああああああああああ」

雷に感電して焦げたけど、京楽は死ななかった。

加減はしている。

その気になれば、灰になるまで黒こげにできるのだ。

「これは返してもらっても、もうはきたくないから処分させてもらう!」

布地を黒焦げにして、京楽はそれをごみ箱に捨てると、黒焦げになった京楽を無視して、別の友人の部屋にいってしまった。

「ふ。ふふふふ、甘いよ浮竹」

京楽が、懐からずるりと出した布は、これまた浮竹のパンツだった。

「んーマイルドな匂い。浮竹と同じ甘い花の香がするー」

思いっきりクンカクンカして、頭にかぶった。

「忘れ物をした・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「破道の三十三、蒼火墜!」

「わあああああああああ」

逃げ回る京楽を、鬼道で貫こうとする。そんな浮竹を、外にいた友人が止めた。

「パンツの1枚や2枚で、あいつが大人しくするならいいじゃないか。無理強いしてくるよりましだろ」

「・:・・それもそうだな」

浮竹は納得した。

「京楽、その下着はもうやる。でも、他の下着にまで同じことをしたら・・・・・」

「したら?」

「股間を蹴ったあと、白雷だ」

想像しただけで、体を震わせる京楽。一度、まじに切れた浮竹に股間を思い切りけられた時があった。1週間は、普通に歩けなかった。
白雷をも、マジで落とされたら、数週間のやけどを負う。

京楽は、それに恐怖しつつも目の前の楽園——浮竹のパンツで、ナニをするのであった。




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食事時

朝になった。

食堂が、がやがやと騒がしくなる。学院の食堂は安くてボリュームがあり、栄養もちゃんとしている。寮生活以外の生徒も、朝食を食べに食堂にくることがあるくらいだ。

珍しく早起きした浮竹は、寝ぼけ眼の京楽を連れて、朝食をとるために食堂にきていた。

朝食のメニューは、目玉焼き、ご飯、味噌汁・・・・あとは自分で選べるバイキング形式になっていた。

京楽が、お冷を二人分もってくる。

「何食べるの?」

「果物」

目玉焼きとご飯とみそ汁を適当に平らげて、浮竹はデザートコーナーにいくと、これでもかというほどのフルーツを山盛りにして帰ってきた。

「君さ」

「なんだ」

「食細いのに、スィーツやら果物はよく食べるんだね」

京楽は少し呆れ気味だった。

「問題でもあるのか」

「まぁ果物は栄養がいいから、別にいいけどね」

毎日甘味ものだけだと、流石に問題はあるだろうが、基本の食事をし終えた後の果物をとることには、京楽も賛成だった。

京楽は、朝からアジフライと唐揚げをおかずに、目玉焼き、ご飯、味噌汁を平らげていく。

「朝からよくそんな脂っこいもの食えるな」

「別に、普通だよ。僕からしてみれば、朝っぱらからよくそんなに果物だけ食べれるねといいたいことろだよ」

浮竹は、バナナと牛乳と林檎を手に、それらをミキサーにかけて、バナナ・オレにしていまい、京楽の分までおいた。

「バナナ・オレは栄養満点だ。飲め」

「うん、美味しいね」

浮竹も、食後の飲み物としれそれを飲んだ。

二人して、食べすぎたと、もう食べれない状態で、それから食堂を去って授業に出た。

あれだけ食べたのに、3限目が終わる頃には京楽の腹の虫がないていた。浮竹はというと、久しぶりに朝食を食べて、その睡魔で3限目を寝てしまっていた。

そのまま4限目になる。

いつも無理していることの多い浮竹を起こす友人はいない。

京楽も、微笑ましく昼寝をしてしまった浮竹を見守っていた。

4限目が終わり、昼飯の時間になった。京楽は浮竹を起こした。

「何!3限目も4限目も寝ていただって!?どうして起こしてくれなかったんだ」」

襟首をつかまれて揺さぶられたが、京楽は笑う。

「だって、あんまりにも気持ちよさそうに眠っていたから。教師も気づいていたけど、君は優等生だから、きっと勉強のしすぎて疲れてるんだろうって言って、放置してたよ」

「貴重な3限目と4限目が!」

「そんな大げさな・・・・・君、熱出したりしたときはたくさん休むじゃない」

「だからだ!健康な時はちゃんと授業にでたい」

もう後の祭りであるが。

昼食を食べに、食堂にいく。

今日は「麺」の日で、ラーメン、ソバ、冷やし中華など。

「俺は冷やし中華で。京楽は?」

「僕は豚骨ラーメン定食かな」

「また脂っこいものを・・・・・」

「いや、普通でしょ。別にステーキとか昼から食べてるんじゃないから」

「それでも量がおおいだろ」

普通の豚骨ラーメンの1,5倍の食堂のラーメン。それに餃子と炒飯がついてくる。

見ているだけで胸やけがしてきそうだ。

浮竹が頼んだ冷やし中華も、けっこうな量があった。途中でギブアップして、食べるのをやめると、豚骨ラーメン定食を完食した京楽が残りを食べてくれた。

残してはいけないと、分かってはいるのだ。

だが、食の細い浮竹は、通常の人の60~70%しか食べない。

「ここは安いのはいいが、ボリュームが多すぎる」

「まぁ、そこが人気の秘訣なんだけどね」

学生以外の近隣の住民も、たまに姿を見ることができた。

味もいい上に安くてボリュームがる。下手に外食をするよりは経済的だ。

京楽は上流貴族のぼんぼんだから、食には困らないだろうが、経済的に豊かでない浮竹にとっては、仕送りのお金は薬代に消えてしまい、残りの僅かな金銭で暮らすには食堂を利用するしかなった。

学院に、学生から授業料をとるシステムはない。ただ、学院に通う上流貴族なんかは、多額の寄付をしてくれる。あとは、死神になった後で、授業料として給料から差し引かれているシステムだった。

出世払いというやつだ。そうでもなければ、流魂街からの生徒など受け入れられないだろう。

京楽と浮竹が在席する、特進クラスにも流魂街出身の者が何人かいた。だが、京楽より上級の貴族はいなかった。

「見ろ、京楽だぜ」

「上流貴族の京楽か・・・隣にいるのは、あれか?例の色子ってやつ」

「そうそう、京楽専用の愛玩動物」

上級生のそんな言葉を耳にして、京楽は立ち上がった。

その手を、浮竹が押しとどめる。

「好きに言わしておけ。僕らを理解してくれている友人はちゃんといる。上級生にまでそれを強いることはない」

「でもね」

「おい京楽、その愛玩動物かせよ。俺らで可愛がってやるから。元、色子なんだろ?」

京楽に肩に手をおいて、そんなことを言い出した上級生に、京楽はだまって鳩尾に蹴りをいれてアッパーをかました。

「何するんだ!お前ら、俺らが上級生と分かって・・・・・・」

「僕が「京楽」であることは分かってる?僕の親友を侮辱するとはいい根性してるね。「京楽」の名の下で、学院からいられなくしてやろうか?」

黒曜石の瞳が鋭く光った。

「あ、あっちいこうぜ」

「おう」

倒れた仲間をひきずって、上級生たちは消えていった。

「でもさ」

「なんだ?」

「君が僕の色子なら、本当によかったのに」

その言葉に、浮竹が京楽の足を蹴った。

「少しかっこよかったと思えば、台無しにする台詞をはくな、お前は」

「え、僕がかっこよかっただって?よし、僕と交際しよう浮竹」

「嫌だ」

「そういわずに」

ずいずい迫ってくる京楽の鳩尾を蹴りあげて、浮竹は同じクラスの女子たちと楽しく会話しながら去って行った。

「浮竹の意地悪~」

一人残された京楽は、それでも浮竹がすきなんだとにまにまして、教師から不気味がられていた。








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キスマーク(イチルキ)

ルキアの肌は白い。

腕の中で眠るルキアを、背後から抱きしめる。

スースーと、静かな寝息をたてて、ルキアは眠っていた。

「喉乾いた・・・・」

一護は、起き上がって階下に降りると、冷蔵庫からペットボトルを取り出して、水を飲んだ。

ふと、最近ルキアに言い寄ってくる男子生徒が増えたことを思いだす。

「虫よけでもしとくか・・・・」

ベッドでは、相変わらずルキアが眠っていた。そのうなじに、キスマークをいくつか残して、満足して一護は、ルキアを抱き締めてまた眠りについた。

「起きろ、たわけ!」

朝になって、顔面に蹴りがきて、それで一護は目覚めた。

寝起きは最悪だった。いきなり蹴りとかないだろと思いつつも、うなじのキスマークか見え隠れして、一護はやりすぎたかなぁと思った。

もっと、見えない位置の方がよかっただろうか。

でも、それじゃあ虫よけの意味がない。

「さっさと制服に着替えろ!朝食を食べて学校に行くぞ!」

大戦が終わり、ルキアはとりあえず卒業まので間は空座町の高校に通うらしかった。それを知って大喜びしたのは一護だった。

好きな異性が、一緒の高校で、しかも一緒の屋根の下で寝泊まりをしている。

何も想いを抱くなというほうが、無理だ。

「ルキア、行くぞ」

「たわけ、まだコーヒーを飲んでおらぬ」

「遅刻するつもりか?」

「そんなわけなかろう!仕方ない、コーヒーは帰宅してから飲むか・・・・」

ルキアを連れて、高校への道を歩む。

こうしていられるのも、あと2か月くらいだろうか。

3月には、卒業式だ。

今は、年明けの1月だ。

高校に続く道が、ずっとあればいいのにと思う。

ルキアの制服から伸びる、細い手足は、死神姿の時には見れなくて、少しだけ胸の高鳴りを感じた。ルキアが、後ろ向きに歩きながら、こちらを見る。

「貴様、またよからぬことを考えているのではあるまいな」

「いや、もうよからなぬことはした後だから、いい」

「何をした!」

「さぁ?」

一護は誤魔化す。校門のところにきて、チャイムが鳴った。

「急げ、遅刻するぞ」

「たわけ、貴様が起きるのが遅いから!」

「そういうルキアが朝食食べるのが遅いせいだろうがっ」

二人で言い合いをしながら、校門をくぐる。ぎりぎりセーフだった。

もうすぐ、大学の受験だ。勉学も、最後の時期になろうとしていた。ルキアは大学には進まない。尸魂界に帰ることが決まっているからだ。



「あ、おはよう黒崎君、朽木さん!」

井上が教室に入ると声をかけてくれた。

ルキアは、鞄を机に置いた。ふと屈んだ。その時に、うなじにくっきりと鮮やかに残るキスマークを見つけてしまい、井上は朱くなった、

「朽木さん、まさか黒崎君と・・・・・」

「なんだ井上。何かあるのか?」

「ううん、なんでもないの!」

井上は、それから茶虎と石田を集めて、ごそごそと会議を始める。

「朽木さんのうなじにキスマークがあったの。でも、朽木さん気づいてないみたいで。これは本人に知らせるべきか、そうではないか。多数決で!」

賛成に、茶虎と石田が井上が手を挙げた。

「朽木さん!」

こちらへこいと、ルキアを呼ぶ井上。

「どうしたのだ?」

廻りに他の生徒がいないので、いつものように猫を被っていない。

「あのね、言いにくいことなんだけど・・・・・」

「どうした井上」

「うなじに、いくつかキスマーク残ってるよ、朽木さん」

「は?」

しばらく動かなくなった後、ルキアは真っ赤になって一護を見た。

一護は水色と話をしていた。

「ほほほほ、ちょっと黒崎君をお借りしますわ」

猫を被って、ルキアが怒りに任せて一護を屋上にまで連れて行く。

「貴様、私のうなじにキスマークを残したであろう!」

「ああ、俺が残した」

「ぬう。素直に認めるとは・・・貴様、なんの思惑があって・・・・」

抱き締められた。

「最近、お前よく告白とかされるだろ。それが嫌で、俺のものって証拠が欲しかったから」

「たわけ!誰が貴様のものだ!」

白哉専用携帯を取り出す。義兄に、お仕置きをしてもらおうと思ったのだ。

「白哉を呼んだところで、俺の気持ちは変わらない。知ってるだろう、俺の気持ち」

真っ赤になって、ルキアは白哉用携帯を取り落としていた。

「貴様が、私のことを、そそそそそ、その、好いておるのは知っておる」

「そうなんだ。他の生徒に告白されると、胸が苦しくなるんだ。どうにかしてくれ」

抱き締めてくる一護に、ルキアは何も言えないでいた。

ただ、静かに一護を抱き締め返した。

「卒業しても、お前に会いにくるから・・・・・」

「ああ・・・・・」

好きだとか、そんな言葉はいらなかった。

感情は、もう好きという言葉では言い表せないほどに膨らんでいて。

「たわけが・・・・・」

ルキアより30センチは高い身長が屈んでくる。ルキアも、精一杯背伸びをした。

初めてのキスは、ルキアが舐めていたレモンのキャンディーの味がした。

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キスマーク

浮竹が、怪我をした。

そう13番隊の3席から聞いて、京楽は急いで雨乾堂に向かった。

雨乾堂にたどりつくと、池の鯉に餌をやっている浮竹を発見して、京楽は彼を横抱きにして、雨乾堂内に入った。

「怪我してるのに無理しちゃだめじゃない!」

「は?」

浮竹は、何が何だか分からなかった。

「何処怪我してるの!僕の回道でも治せる!?」

「え、ちょっと待て」

「まさか、痕が残りそうとかじゃないよね!」

服を脱がしにかかる京楽に、蹴りを入れた。

「落ち着け」

「だって、3席の子が君が怪我したっていうから。痛い?」

「怪我・・・ああ、欄干のとこで躓いて、膝を擦りむいただけだ」

「本当にそれだけ?」

「ああ」

傷跡を見せる。消毒がされ、ガーゼが傷口を覆っていた。

「よかった・・・・・・」

京楽は、心底ほっとした。

「でも、本当に気をつけてよね。最近の君、些細なことで怪我するの多いんだから」

この前は、果物の皮を剥こうとして、指を切っていた。

その前は、日番谷と遊んでいて、足首をひねった。

どれも軽傷とはいえ、怪我に間違いはない。

「それにしても清音か仙太郎か・・・・・・どっちだ。俺が怪我したなんて言いふらしてたの」

「仙太郎君のほうだよ」

「こらーー仙太郎!ここにこい!」

大声で仙太郎を呼ぶと、仙太郎は雨乾堂の中に入ってきた。

「どうしました、隊長」

「お前、こんなどうってことない怪我のこと、言いふらすな」

「どうってことないって、そんなわけありません!浮竹隊長の玉の肌に傷が!」

ああもう。

清音もだが、心配する度をこしているのだ。

「仙太郎、今度から怪我をしたらお前に真っ先にいうから」

「あのクソ女より先にですか!」

「ああ、清音より先にだ」

クソ女を清音と理解する浮竹も浮竹だと、京楽は思った。

「あと、僕にも教えてほしいな」

「京楽隊長にも、無論教えます」

「どんな些細なことでも、教えてほしい」

「承知しました!では自分はこれで」

さっと、まるで影のように仙太郎は下がってしまった。

「はぁ・・・・・・うちの3席たちは、心配性だな」

「それは僕もだよ」

浮竹の背後から抱き着いて、抱きしめる。

「京楽・・・・・んっ」

背後から抱きしめられて、舌が入るキスをされた。

「あ・・・・・・」

うなじのところに、ちりっという感触が残った。

「バカ、見えるかもしれない場所に痕を残すな」

「長い髪で、ばれないよ」

いつもは浮竹は、長い白髪を背中に流している。でも邪魔になった時は結い上げたりする。

その日、京楽は雨乾堂に泊まった。京楽は、浮竹に何もしなかった。

次の日。

「やぁ、日番谷隊長」

日番谷は、浮竹を振り返る。

京楽は珍しくいないようだ。

「一人か。珍しいな」

「いや、いくら俺でも四六時中京楽といるわけじゃあない」

長い髪を、かきあげる。

ふと、うなじにいくつかのキスマークを見つけて、日番谷は朱くなった。

「どうしたんだ、日番谷隊長」

「京楽に言っとけ。そこまで念のためにしなくても、誰もお前をとったりしないと」

「意味が、分からない・・・・・・・」

「松本お!腐った目で見てないで、手鏡あっただろう!貸してやれ」

「あーん隊長の意地悪~」

松本は、キスマークをじっとりと眺めていたが、日番谷に言われて、荷物の中から手鏡を出すとそれを渡した。

「どうした?どこも変わらないぞ」

「髪、かきあげてみろ」

言われた通りにした。

いくつかのキスマークをうなじに発見して、浮竹は真っ赤になった。

「あの変態エロ魔人!」

松本に手鏡を返して、浮竹は不敵な笑みを浮かべた。

ボキボキと指の骨を鳴らす。

「ちょっと、まずいんじゃないですかー隊長」

「教えなきゃ、これからずっとうなじにキスマーク残されるぞ。俺や松本離れてるからいいが、お堅い朽木あたりだと、京楽を千本桜で追い回しかねない」

「朽木隊長って、クールなようで浮竹隊長のことになると、ちょっと性格かわりますね・・・・はっ、これは禁断の朽木×浮竹!?」

松本の頭をぽかりと殴って、日番谷は、京楽をしばきにいった浮竹を見送った。

京楽は、鳩尾に蹴りを入れられて、悶絶していいたという。

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ハローウィン日番谷

「やあ日番谷隊長。ハッピーハローウィン。トリックオアトリート」

浮竹は、10番隊の執務室に訪れていた。

「浮竹隊長」

「ええっ、日番谷隊長が俺のことを隊長と呼ぶなんて!熱でもあるのかい」

日番谷の額に手をあてる。平熱だった。

「少し目上のものを敬おうとしただけでこれか。ええいやめだやめだ。浮竹、おれはガキじゃねぇ、お菓子なんかいるか!」

「甘納豆もあるぞ」

「ぐ・・・・・」

大好物をちらつかされて、日番谷が負けた。

「トリックオアトリート。いたずらされたくなければ、菓子をくれ・・・」

「日番谷隊長のいたずら・・・味わってみたいかも」

興味深々といったかんじの浮竹。

「浮竹、お前もやばいやつだったのか。京楽みたいに」

「京楽と一緒にするな。あのエロ変態魔人がっ!」

浮竹はプンプン怒り出した。

これは、きっと何かで手を出されたんだろうなと、日番谷は思った。日番谷の想像通り、先日浮竹は京楽のトリックオアトリートに、お菓子を投げつけたのになかったことされ、おいしくいただかれしまったのだ。

「自分用のお菓子も何気にあるんだ。一緒に食べよう」

「ここは執務室・・・・・」

「日番谷隊長はいつも仕事ばっかりで、たまには休憩したらどうだ」

「仕事が終わったら、休憩している」

「それじゃあ、仕事がたまった時は?」

「仕事を限界までやってから寝る」

「不健康だ!」

日番谷の手をとって、無理やり長椅子に座らせた京楽は、チョコレートを日番谷の口に放りこんだ。

「甘い・・・・」

こころなしか、眉間の皺が深い日番谷の顔が綻んだ気がした。

「こっちが普通のチョコレート、こっちがアーモンドチョコ、こっちがイチゴチョコ、こっちがホワイトチョコ———」

いろいろ教えているうちに、食べたくなってきた。

「いいよ、好きに食えよ。俺も俺で好きに食うから」

「物ほしそうな目をしていたか?」

「かなりな」

「うーん。年長者失敗だなぁ。でも甘いものが好きだから」

浮竹は、何度か唸りながらも、チョコに手を出して食べていく。

「俺は別にいいから、食いたかったら全部食え」

日番谷は優しい。

スィーツに目のない浮竹に、日番谷のためと与えたものまで食べいいと言ってきた。

だが、これでも年長者。

「気持ちだけもらっておく」

日番谷にあげた分には手を出さずに、自分の分のチョコレートを全部食べてしまった。

「隠れろ!」

浮竹が、日番谷の手をとって、長椅子とテーブルの下に隠れた。

「なんだ?」

「エロ魔人がっ・・・・霊圧消してたのになぜここが分かる!」

言葉から察するに、京楽がきたのだろう。

「いや、浮竹お前の行動パターンばればれだぞ。雨乾堂にいない時は、8番隊のところかこの10番隊の執務室だろうが」

「それはそうだが・・・・」

「おーいいるんだろう浮竹?今なら許してあげるから、出てきなさい」

日番谷は隠れる必要はないと判断して、浮竹と一緒に長椅子とテーブルの下から這い出た。

「日番谷隊長。大人しく、浮竹を渡して」

椅子に座り、とりあえず茶のんだ日番谷。

「浮竹が怒っているぞ。浮竹に何をした」

「え、いや別に―——」

「こいつ、意識がない俺の口に勃起したものをつっこんできやがった」

ブーーーー!

日番谷は、お茶を吹き出した。

「京楽、いくらなんでもそれはないだろ。お前が悪い」

「そんなこというけど日番谷隊長、この子散々誘っておきながら、本番になっていざって時に居眠りを始めたんだよ!」

ブーーーー!

日番谷は、お茶を吹き出した。

「お前ら・・・・もっとまともなことで喧嘩できねーのか」

「え、喧嘩なんてしてないよ」

「ああ、喧嘩なんかしてない」

二人とも、喧嘩ではないというのだ。では、何に怒っているのだろうか。

「ともかく、京楽がそんなことするから噛み切ってやろうとしたんだ」

「そうなの。この子、僕の大事な分身に歯を立てて・・・・・」

ブーーーー!

吹き出すお茶もなくなってきた。

「だから、居眠りしてきた浮竹に構わず行為をしだしたら、切れて殴られたんだよね」

「総合的にみて、お前が悪い・・・・・京楽」

「ええっ、僕だけかい!?」

ざまーみろという顔をして、浮竹は日番谷の背後で舌を出していた。

「浮竹~~~!」

「ぎゃあああああああああああ」

切れた京楽が、浮竹に襲い掛かる。

「だから、ここは10番隊の執務室・・・・・って話をきけー!蒼天に座せ氷輪丸!」

ひゅるるるるる。

遥か彼方まで、二人は飛んで行った。

「やっぱり、一人が平和だな・・・・・」

もう出がらしになってしまったお茶を飲みながら、日番谷は半壊した執務室から、蒼い空を見上げた。













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ハッピーハローウィン(イチルキ

「一護、ハッピーハローウィン。トリックオアトリート、さぁお菓子をよこせ!」

窓から入ってきたルキアは、受験勉強中の一護にそう言った。

「あのなぁルキア、俺は子供じゃねーんだぞ。お前も子供じゃねーじゃねぇか」

「それがなんだ!せっかくのイベントなんだ、楽しもうではないか」

「はぁ・・・・・」

一護は、ルキアがこうくるだろうと思って、コンビニで買ってきていたお菓子をルキアに放り投げた。

美味い棒だった。

「む、これはうまい棒ではないか!最近値上がりしたとはいえこの安さに美味さ・・・・癖になりそうだ」

さっそく食べるルキア。

さくさくとした食感と、美味しい味のハーモニーがたまらない。めんたいこ味だったが、一番好きなのはコーンポタージュ味だった。

「もっとよこせ!」

「あーもう、勉強になりゃしない。ほらよ」

買ってきたお菓子をいれた袋ごと、ルキアに渡した。

「おお、美味い棒がこんなに・・・・チョコやキャンディ・・・きのこの山にたけのこの里・・・・・ふふふふ」

「なにがおかしいんだ」

「貴様は、私の好きなお菓子をよく理解しているな!褒めてつかわそう」

「お前な・・・・・・」

なんでそんなに尊大なんだ。

そうつっこみを入れたかったが、我慢した。

ルキアは、一護の部屋であらかたお菓子を食べつくしてしまうと、一護のベッドに腰かけた。

「なんだよ、帰らねぇのかよ」

「もっと、私にいてほしいのであろう?」

「バッ・・・・何言ってやがる!」

一護は真っ赤になった。

確かに、ここ最近受験勉強が忙しくて、ルキアに会えなかった。

「たまには息抜きをしてもいいではないか」

「俺の志望校、けっこう上なんだよ。もっと成績あげなきゃ、入れねぇ」

今の段階で、合格率60%。

まだ厳しいものがある。だから、受験勉強なんて、らしくもないことを始めたのだ。それは、大戦が終わった証でもあった。

「私は、ただ黙って貴様を見ているだけだ。貴様は好きにしろ」

「あのな」

ルキアを壁側に追いやって、壁をドンと叩いた。

「お前、俺の気持ち知ってるだろ?」

「知っている」

「だったら、煽るような真似するんじゃねぇよ」

「煽っている、と言ったら?」

「俺たちは付き合ってもいないんだぜ」

「そうだな。でもキスもハグもするであろう」

ルキアの桜色の唇に、自分の唇を重ねると、紫紺の瞳は閉じられた、

1分ほど、長い口づけをしていた。

紫紺の瞳が開く。

「少しは、気分転換になったか?」

「気分転換どころかもやもやして、勉強どころじゃねぇよ!」

ルキアに手を出したい。でも、拒否されるのが怖い。

一度ルキアを手に入れてしまったら、こうやって時折会いにくるくらいじゃ我慢できそうになくて。

一護は、このもやもやを追い出したい。

でも傍にルキアがいるので、余計にもやもやが溜まっていく。

「ああもう!今日は勉強は終わりだ」

「そうだ、今日はカレーだそうだぞ。さっき妹たちから聞いた。私は泊まるからな」

「おい、何勝手に決めてんだよ!」

ルキアと同じ部屋で寝る。それがどんなに我慢がいるのか、ルキアは分かっていない。

結局、夕飯のカレーを食べて、お風呂に入って一護のパジャマを着たルキアは、一護のベッドで眠ってしまった。

その額にキスをして、一護も同じベッドで横になった。

「ボディーソープとシャンプーの匂いがする」

ルキアの細い体を抱き締めて、一護も眠りに落ちるのだった。







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はろうぃん2022

「ハッピーハローウィン!トリックオアトリート!」

「お菓子あげるから、あっちにいけ京楽!」

浮竹は、京楽に日番谷とやちるに上げるはずだったお菓子を投げつけた。

「お菓子をくれないから、いたずらしちゃうよ」

「ぎゃああああああああ」

ちゃんとお菓子を渡したのに、浮竹は京楽にいたずらという名の、操を奪われてしまった。

「ん・・・・・」

情事の後の、気だるい体で起き上がる。

京楽は、煙管で紫煙をあげていた。

「寒い・・・・」

もう10月だ。裸では、流石に寒い。上に死覇装をかぶせられていたけれど、それだけでは足らずに毛布を被った。

「久しぶりだったからね。がっついちゃった、ごめんね」

「ごめんと思うなら、最初から抱くな」

もう慣れてしまったやりとり。

数百年もこんな関係を続けていて、よく飽きないなと自分でも思う。

「もう一回、抱いてもいいかい?」

「好きにしろ・・・・・」

ただ、天井を見上げていた。

貫き、揺さぶられて、声が漏れる。

「あああああ!」

既に何度か果てた後だ。もう、出すものもない。

それなのに、前立腺ばかりを突き上げられて、浮竹は体を痙攣させた。

「あああ!!」

オーガズムでいっているなと、自分でもわかった。

京楽という男に抱かれ過ぎて、後ろでいくことを覚えてしまった京楽は、女のようオーガズムだけでいくようになった。

「京楽っ」

手を伸ばして求めると、優しく京楽が抱き締めてくれる。

「キスして・・・・」

甘えると、その願いを叶えてくれる。

舌が絡み合うキスを何度か繰り返していると、また中で突き上げる角度が変わった。

「うあっ」

ずくんと、腹の奥までぶつかってくる衝撃に、またドライでいってしまった。

「やぁっ」

これ以上、快楽を感じたくなくて、京楽から逃れようとすると、大きな体に邪魔されて、できなかった。

膝を肩に抱えられて、突き上げられる。同時に、花茎をしごかれるが、もう精液を出し尽くしているせいで、少し反応するだけだった。

「エロいねぇ浮竹は」

「エロいのはお前のほうだ、京楽・・・・・あああああっ!」

体は、本当に正直だ。

あれほど貪られたというのに、まだ貪られることを望んでいる。

「あ、あ、あ、あ」

もう何も出ないと分かっているのに、ぬるぬると、花茎を上下に扱われて、精液を吐き出したいが、もう吐き出すものも残っていない。

何度も突き上げられているうちに、涙が零れた。

「どうしたの十四郎」

「なんでもないんだ、京楽・・・・・」

こうやって京楽の手で抱かれることが幸せだと、思われたくない。

浅ましいではないか。

女ではないのに。男なのに。

京楽に犯されて、体は喜んでいた。

「ああっ」

またドライでいってしまった。

京楽も限界なのか、最奥に最後の一滴までを出し尽くして、浮竹の中から出て行った。

ごぽりと、奥に吐き出されたものと潤滑油がまじった体液が、でてくる。

それを濡れたタオルで拭って、京楽は浮竹の全身を清めて、中にだしたものをかきだすと、死覇装を着直して、布団の上に横になった。

浮竹も、新しく出された死覇装を見にまとい、布団の上に寝転がった。

「もうだめだ。1週間以上は、エッチ禁止な」

「えー。僕は毎日だって抱きたいのに」

「バカ、年を考えろ」

「僕らはまだまだ現役だよ」

「確かに現役だが、年齢は確実に性欲を落としていってる。もう学院の頃じゃないんだ。毎日なんて交われるか」

学院にいた頃は、年若いせいもあり、毎日のように体を重ねた。

今では、週に二度だ。それでも多いと、浮竹は思う。

「週1にしたら、怒るか?」

「怒らないけど、週2にしたほうがよかったって目に合わせるよ」

京楽ならしかねないので、浮竹はため息をついた。

天井が、見慣れてしまってつまらない。


「ちーっす、浮竹さんはっぴーはろうぃ・・・・・・・」

「一護君!?」

情事の後に、一護がやってきたのだ。

一護は、二人の間に何があったのを察して、真っ赤になって固まっていた。

「一護君、お菓子をあげよう」

京楽に向けて投げていたお菓子を一護に与えても、一護は固まったままだった。

「一護君?」

情事の後の浮竹に顔をのぞきこまれて、一護は更に真っ赤になって、お菓子をかき集めて去ってしまった。

「どうしたんだろう?」

「君の色香にやられたのさ」

「色香?」

「そう。浮竹は、情事の後はほんとに色っぽいからね」

ぽかりと、その頭を殴る。

「そんな風にさせたのは、どこの誰だと思っている」

「僕だよ」

耳元に囁かれて、手を引っ張られた。

体が傾ぐ。

とさりと、浮竹の体を京楽は柔らかく抱き留めた。

「ハッピーハローウィン。今年も浮竹といれたことに感謝を」

「俺も、京楽といれたことに感謝を」

その頃の一護は、瞬歩でルキアのいる朽木の屋敷に戻り、水を浴びていた。

「あーびっくりした。浮竹さんあんな色っぽい顔するんだ・・・」

京楽が、浮竹を抱きがる気持ちが少しだけわかった気がした。


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身長

夏も終わり、秋も深まった。

風に揺れて木の葉が散っていく。

雨乾堂の外に出ていると、風が冷たく吹いてきた。

浮竹は、今日も今日とて、10番隊の執務室に来ていた。日番谷の顔を見るために。

「やあ、日番谷隊長。最近さむくなったねぇ」

「ああ、そうだな」

勝手にあがりこんで、お茶菓子をくってお茶を飲んで和む、このどこかかわいい生物に慣れてきている日番谷は、適当に相づちを打った。

「松本副隊長が、腐った本を出したそうだぞ」

「ああ、そうだな」

実際、同人誌という浮竹×日番谷の腐った小説を書いていた松本は、京楽×浮竹も入稿しないとと焦っていて、職場にまで腐った原稿をもってきていた。

「この前、白哉が日番谷隊長のことをただのチビだっていってたぞ」

「ああ、そうだな」

「京楽のけつ毛がぼーぼーなんだ」

「ああ、そうだな」

「日番谷隊隊長は受だよな?」

「ああ、そうだな」

「暇森副隊長が、シロちゃんなんて大嫌いっていってたぞ」

「ああ、そうだな」

「この前お金かしたよな。返してくれ」

「ああ、そうだな」

「京楽の胸毛がぼーぼーだけど、あれあんまりちくちくしないんだぞ」

「ああそうだな」

「日番谷隊長のアホ」

「ああ、そうだな」

「だめだこりゃ」

日番谷隊長は、心ここに在らずという感じだった。

浮竹は、そんな日番谷が面白くて、いろいろからかって遊んでいた。

「浮竹~誰のけつ毛がぼーぼーだって?」

「京楽!今日は平和にいこう。日番谷隊長がおかしいんだ」

「さっきから話は聞いていたけど、何があったんだろうねぇ」

心配する二人を他所に、日番谷は着々と仕事をこなしていく。

松本は腐った原稿にとりかかっていて、忙しい。茶くらいは出してくれるけど。

「京楽、そこに立ってくれ」

「うん?ここかい?」

「破道の4白雷!」

京楽は、その鬼道を斬魄刀で受け止めた。

ばちばちと、空間に雷が舞う。それがぴしりと音をたてて、日番谷の体に少し落ちて、鈍いしびれを感じさせた。

「お前ら・・・・・・・」

「お、正気に戻った」

「本当だ」


「さっきからけつ毛がぼーぼーだの、白哉がただのチビといってるだの、雛森が俺の事嫌いと言ってるだの・・・・・・よくもまぁくだらないことを・・・・・」

「え、全部覚えてたのか?」

浮竹が汗をかいた。

散々からかったのだ。

「準備はできてるだろうな?」

「日番谷隊長、話せばわかる・・・・・」

「蒼天に座せ、氷輪丸ーーーー!」

「なんで僕までーー!」

京楽は巻き込まれていた。

「きゅあああああああ、大切な原稿がーーー”!京楽×浮竹の原稿がーーーーー」

「乱菊ちゃん、一部予約しておいて!」

「らじゃーです京楽隊長!」

氷の龍に吹き飛ばされながら、京楽は浮竹との18禁本を松本に予約注文していた。

「蒼天に座せ、氷輪丸ーーーーー!」

その二人をさらにふっ飛ばして、日番谷はため息をついた。

「身長が伸びねぇ・・・・・・」

悩みってそれかよ!

吹き飛ばされながら、京楽も浮竹も松本も、心の中でつっこみをいれていた。








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院生時代の部屋12

街を歩いていた。京楽と一緒だった。

学校も終わり、甘味屋に行こうという話になった。浮竹は甘いものに目がなくて、本当にその細い体のどこに入るんだろうという量の甘味を食べる。

甘味屋なら、浮竹は喜んでついてきてくれる。

その甘味屋に入ったのは、夕方の5時。夕食に間に合うように、時間を調節した。もっとも、甘味を食べ終えた後に、浮竹が夕飯を食べるところは見たことがないので、浮竹にとってはこれが夕飯だった。

「あれ・・・なんか苦い・・・・・?」

「ん・・・ほんとだ・・・・」

甘味屋には他に客がいなかった。

お汁粉を注文したのだが、その中に混じっている苦さに、顔をしかめていると、意識が闇へ墜ちていった。

「おい、どっちが京楽春水なんだ?」

「知るか。どっちかが京楽春水なのは確実だ」

「違ったやつはどうする?」

「身代金をとれそうになかったら、殺しちまえ」

なんて物騒な・・・・浮竹は、意識を取り戻した。手を、背中で戒められて、ロープでぐるぐる巻きにされていた。

「なんだこれはっ!」

「お。気づきやがった。おい、お前が京楽春水か?」

「違う!俺は浮竹十四郎だ」

「浮竹?聞いたことあるか?」

浮竹と京楽を拉致した者たち全員が首を振る。

「きっと平民じゃねぇか?」

「ちっ、価値なしか・・・・ああでもこの美貌は売れるかもな。陰間茶屋にでも売りとばそうぜ」

色子として売られる。

その言葉に怒りを感じていると、隣にいた京楽が目を覚ました。

「京楽、大丈夫か!」

「あーあ。見事に攫われちゃったねぇ。どうせ、僕の身代金目当てでしょうよ」

「京楽・・・・・・」

「んで、いくらほしいの」

「そうだな、5000万環は欲しいな」

「そんな大金!」

屋敷の一つは余裕で建つであろう値段に、浮竹が青くなる。

「それくらい、僕の口座にあるから、勝手にもっていきなよ」

「ほう。まぁいい、その方が楽だ。京楽家に身代金の手紙を渡して、受け取る手間もないしな」

京楽が、自分の銀行の口座番号と、パスワードを教えた。

「じゃあ、こいつはこのままいただいていくぞ」

「うわぁ!京楽!」

浮竹が、悲鳴をあげる。

「ちょっと・・・・浮竹をどうするつもり」

「何、ちょっと味見してから色子として売り飛ばすのさ。この容姿だ、大金になるぞ」

「やめろ、放せ!」

「大人しくしてろよ。ちゃんと味見してやるからよ」

げらげらと笑う誘拐犯の一人に、着ていた院生の服を破かれた。

「嫌だ!嫌だ京楽!」

ゆらりと、殺気を帯びた霊圧が高くなった。

「破道の七十三双連蒼火墜」

その霊圧は、京楽を巻き込んで、京楽は縛られていたローブを外すのと同時に、浮竹を味見しようとしていた誘拐犯たちの上半身が吹きとんた。

「ぎゃあああああ!」

「ひいいいいい!」

びちゃびちゃと、下半身だけになった体から血が吹きでて、それは犯されそうになっていた浮竹の頬と衣服を汚した。

「やばい、鬼道がつかえたのかこいつら!逃げろ!」

「逃がすと思ってるの?僕の浮竹にこんな真似をしておいて・・・・破道の4白雷!」

かっと、雷が空間を渡る。逃げようとした男たちは、みんな感電して身を焦がして落命した。

「浮竹・・・・・・・」

「京楽・・・・・」

浮竹にロープを解いてもらい、引きちぎられた衣服を隠すように、感電死した誘拐犯の衣服の上着をはいで、それを浮竹に着せた。

「すまない、俺のせいで・・・」

「浮竹は、怖くないの?」

「なにがだ?」

「人殺しの僕が」

「俺がお前の身なら、同じことをしていたと思う」

浮竹は、京楽を怖がらなかった。

その白い、肩より少し長い髪に口づける。

「君が無事でよかった・・・・・」

「ん・・・・・」

キスされて、それに浮竹は応えた。

「帰ろう、京楽」

「ああ」

騒動になると面倒なので、破道で建物に火をつけた。

「血、浴びちゃったね。気持ち悪いでしょ。ここから僕のもってる屋敷が近い。湯あみして着替えていこう」

「いいのか?」

「いいよ。君がその恰好のまま、寮に戻ると問題になる」

隠してはいるが、衣服はびりびりに破かれて、強姦されそうになったのだと一目で分かった。

京楽の館は広かった。これで、別宅というのだから、呆れかえる、

使用人に案内されて風呂に入り、出された衣服を着る。血をすっかり洗い落としてさっぱりした浮竹は、京楽に礼をいった。

「ありがとう、京楽。その、今日は助かった」

「謝るのは僕の方だよ。まさか身代金目的で、一緒に誘拐なんてされると思ってなかったからね。あの甘味屋もぐるだろうね。京楽家の名の元で、始末をつける」

京楽を怒らすととても怖い。そう思った浮竹だった。


翌日には、もうそのこともすっかり忘れた二人は、追いかけっこをしていた。

一方的に、浮竹を京楽が追いまわていた。

「浮竹、もう一度お尻触らせて!」

「しつこいわああ、この変態がああああ!」

ついに浮竹の我慢の限界がきた。

リミットブレイク!

京楽に足払いをしかける。京楽は見事にひっかかって、顔面から床にダイブした。

鼻血を流しながら、京楽は笑う。

「もう、この恥ずかしがりや屋さんVVV」

ぞっと悪寒が背中に走って、浮竹は京楽を蹴り飛ばすのだった。

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院生時代の部屋11

また、風呂が壊れた。
寮の備え付けの風呂が。壊したのは京楽だ。こいつ、わざとじゃないかってくらい風呂を壊していて、さすがの浮竹も疑いを持ち始めた。

何はともあれ、今日も公共浴場だ。

別に、公共浴場に入るのがいやなわけではない。公共浴場に、京楽と一緒に入るのが嫌なのだ。

京楽は、風呂の少し前の時間あたりからニマニマしていた。

こいつ、絶対風呂壊したのわざとだ・・・・・そう思いながら、浮竹は銭湯グッズを手に、京楽と公共浴場にきた。

もう決めた。

堂々としていよう。

腰のところにバスタオルを巻いて、湯殿に入る。

体と髪を洗って、普通に浴槽につかっていた。

「あれ・・・このお湯、温泉の元か何か入れてたっけ・・・・だんだん赤く・・・ぎゃああああああああ」

浮竹の悲鳴と、同じ風呂に浸かっていた者たちも悲鳴をあげた。

「ぎゃああああああ!」

「うわあああああ!」

「血だ!血の池地獄だ!!」

見ると、浴槽の端のほうで、鼻血を垂らして浮かんでいる京楽の姿があった。

白い艶めかしい浮竹の、ほぼ裸を見てしまったのだ。仕方ない。浮竹に罪はなかった。
いつもは胸のところまでバスタオルを巻いて、京楽が髪を洗っている間にバスタオルを外して体を洗っていたのだ。

まさか、浮竹が腰にバスタオルを巻くなんて思っていなかった京楽は、腰にバスタオルは巻いていれど、ほぼ裸に近い恰好を見たせいで、鼻血を出して浴槽に浮かんでいた。

「誰か、京楽を浴槽から出してやれ」

「うふふふふ」

京楽は、鼻血を出しながら笑っていた。

みんな気味悪がって、近づかない。

仕方ないので、浮竹ががたいのいい京楽をかついで、浴槽の外にだした。

「おい、京楽!京楽!」

ぺシぺシとその頬を叩いてみる。

「あれ浮竹・・・・・・ぶっ!」

目の前に浮竹の平坦な胸があった。

ピンク色の突起を見て、京楽はまたも鼻血を吹き出して意識を失った。

「もう、知らん・・・・・・」

鼻血をだらだら流す京楽を放置して、皆で浴槽の湯を入れ替えた。

「なぁ浮竹・・・・やっぱ、京楽と公共浴場なんて危険な場所にくるのよせば?」

「そうだよ浮竹。お前、操狙われてるんだし。こんなところで裸になってみろ、飢えた京楽のえじきに・・・・・あわわわ、想像しただけでやばい」

友人の一人が、鼻血を零した。

浮竹はため息をつく。

「俺は男だぞ?」

「この学院、圧倒的に男子が多いからな。浮竹は見た目が良すぎるんだよ。京楽以外にも、気をつけろよ?」

「ああ、それは分かってる」

友人にも、浮竹の裸は目の毒だった。

腰に巻いたバスタオルを外して、服を着ていく。

その、バスタオルを外した、完全なる浮竹の全裸を見て、京楽は鼻血を大量に出して、倒れた。

「うわ、また京楽が倒れた」

「ほっとけば、そのうち生き返る」

浮竹の返答は冷たい。

「でも、今回の出してる鼻血の量やばいぞ。輸血」必要かも」

「誰か、医務室に運んでやれ」

たまたま公共浴場に入っていた教師が、そう言った。

誰が運ぶ?という話になって、みんな嫌がってじゃんけんになった。

ぱーを出した、浮竹が運ぶ羽目になった。

「めんどうな・・・・」

京楽の重い体重を支えて移動する。

「浮竹。積極的になってくれてうれしいよ」

さわさわと、服の上から尻を撫でられて、浮竹は京楽を背負い投げした。

「ああ、でも幸せ~~」

そう言って、京楽は学院の廊下で伸びたまま、翌日になって発見された。

浮竹が、医務室まで運ぶのを止めたのだ。

翌日に発見された京楽は、血液不足で本当に輸血をしてもらったそうな。




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院生時代の部屋10

浮竹は怒っていた。

自分をおかずに自虐していた京楽に対して。

そりゃ男性なんだから、定期的に抜いておかないと、いろいろと支障をきたしかねない。

それは分かっていた。

浮竹とて、欲望は薄いが風呂場でぬくときがある。

それでも。

調子が悪くて咳をしだして、発作がやばいと思った浮竹は、薬を飲んでベッドに横になろうとした。

ガチャリ。

扉をあけると、そそり立つでかいものをしごいて、「浮竹好きだ」とかほざいている京楽を見てしまった。

真っ赤になった。

次の言葉は、言葉にならなかった。

ふらりと、眩暈がおこる。

発作が酷くなると分かっていて破道を放った。

それを京楽はやすやすと避けて・・・・・・。

一度切れると、もう自分でも手がつけれない。

京楽が奇声を放って押し倒してきて、したたかに背を床でうった。

かっと、喉から血が逆流してくる。それをなんとか飲み込んで、もう一度破道を放った。

それさえも避けられて、浮竹は今度こそげほげほを咳をしだして、吐血した。

いつもの優しい京楽なら、浮竹のことを思ってすぐに駆け寄ってきてくれるが、今は自虐をして服とかべとべとだ。

こっちへ来るなという言葉は、意識を失うことで奪われた。

「・・・・・・・・」

「浮竹?」

「・・・・・・死ね」

ベッドで目覚めると、京楽が心配そうにこちらを見てきた。

「そんなぁ」

捨てられた子犬みたいな顔をする京楽。

「ごめん、悪かったよ。まさか浮竹がこんなに早く帰ってくるとは思わなくって。浮竹をおかずにしていたことは謝らないけど、部屋でしていたことには謝る」

素直に、全部謝罪すればいいのにと、浮竹は思う。

「もう二度と、部屋の中ではするな」

「分かった。誓うよ。その代わり、浴室で抜くのは許してほしい。浮竹も、浴室で抜いてるでしょ?」

かっと、顔が赤くなった。

何故、それを知っているのはこの男は。

「何で知ってるかって?だって、抜いた後の君はすごくエロい顔してるから」

そんなつもりはなかったのだが。

京楽に知られていたのは、酷く恥ずかしかった。

「浴室なら、許す」

自分もしていることだし、他人のことはいえない。

「じゃあ、さっそく浮竹をおかずに抜いてくる」

がしっと、その腕を浮竹が掴んだ。

「破道の4.白雷」

プスプスと焦げて、それでも京楽はにこにこしていた。

「勝手にしろ」

つーんと横を向いて、浮竹は薬を飲んでまた眠ってしまった。

「浮竹・・・・抜く時、僕を思っててくれたらいいのになぁ」

京楽は思う。

だが、浮竹は女性を思い抜いているのを知っている。

想いが通じ合うのは、当分先になりそうだった。


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院生時代の部屋9

「浮竹・・・・・ああいいよ、浮竹・・愛してる浮竹・・・・」

がチャリ。

入ってきた浮竹を見て、京楽は固まった。

浮竹も固まっている。

「▽□×*\〇×÷!!!」

浮竹は、顔を真っ赤にして、理解不能な言葉を出して、その場に頽れた。

「ちょっと、浮竹!?」

京楽が、倒れかけている浮竹の頬に手をそえる。

べちゃ。

ついた。

浮竹のことを思いながら自虐していた京楽の体液が、浮竹の頬についた。

あ、やばい。

いろいろとやばい。

ぶちぃいいいいいい

凄い音をたてて、浮竹が切れた

「破道の4・・・・・白雷」

「ちょっと待ってよ!鬼道はないでしょ!」

さっきいた場所が、黒こげになっていた。

殺気を感じる。

これはやばい。

ちなみに、まだ京楽は自虐していたせいでナニを丸出しのままだった。

「その腐ったのごと、消えてしまえ」

破道をさらにだそうとする浮竹の前で、京楽はナニを直すと、体液を適当に衣服でふいて、浮竹にとびかかった。

「おりゃああああああ」

「ぎゃああああああああ」

二人して、もつれあいながら床に倒れこむ。

浮竹の頬についたままの白濁の液体を、服でぬぐう。

「ああもう、この服着れないな・・・」

「破道の4、白雷」

「のあああああ!」

浮竹は、押し倒してくる京楽に、また白雷を放った。

間一髪で避ける。雷は、床を焦がした。

「ぐ・・・・ごほっごほっ」

浮竹が咳こんで、血を吐いた。

「ちょ、こんな時に」

「この意識が途切れる前に・・・・お前を抹消してやる・・・・・・」

そういいながら、吐血する。

ヒューヒューと喉がなり、ついに浮竹は苦しさのあまり気絶した。

「助かった・・・・」

京楽は、洗面所で手を洗って、衣服を着替える。もうナニは反応しなかった。

浮竹の発作のお陰で助かるとはなんという皮肉。

これから自虐するときは、風呂場でしようと思う京楽だった。

浮竹をベッドに寝かせて、少し意識が戻った時に、肺の病用の薬を飲ませて、安静にさせた。

寝ているとかわいいんだけどな。

切れると怖い、と思う京楽だった。




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院生時代の部屋8

「構ってよ~ねー浮竹~」

その日も休日だった。

前は浮竹が暇すぎてごろごろしていたが、今度は反対に京楽が暇だとうるさい。

「うるさい。俺はすることがあるんだ」

課題のレポートをまとめていたところだった。

ちょうど終わり、どうしようかと考える。

「浮竹も、たまには息抜きしようよ。面白いところ、連れてってあげるから」

はて。

京楽の言う面白いところ?

一抹の不安と好奇心にかられて、京楽の外出に付き合った。

「・・・・・・・・」

「ねぇ、やっぱりお酌されるほうが美味しいでしょ?」

遊女たちに囲まれて、浮竹はやっぱりこうかと、期待した自分がばかだったと思った。

京楽の面白い場所。それは廓だった。

「京楽の旦那、この子ほんとにいいですかい?」

「なんだ?」

「ちょっとだけ、こっちにきてね」

「おい、どうするつもりだ」

一番身分が高そうな花魁に笏をされていた浮竹は、遊女たちに連れられて奥の座敷に消えた。

「だあああああああ!」

浮竹が、乱れた着物で現れた。女ものだった。

髪は梳られ、肩より少し長い位置の髪は綺麗に結われて、翡翠の髪飾りで留められていた。

「やぁ、やっぱり似合うね」

「京楽~~~~~」

首を締めあげるが、京楽は楽しそうにお酒を飲んでいた。

「さぁ、お酌してよ」

「このまま絞め殺してやろうか」

「怖い怖い」

浮竹は、やけになって酒を飲みだした。
京楽の杯にも酒を注いでやる。べろんべろんに酔っぱらわせてやると、酒をこれでもかと飲ませたが、酔うどころか顔色一つ変えない。

それがつまらなくて、自分も飲んでいると、酔ってしまったのか世界が廻りだした。

「くそ・・・こんな遊女の恰好させられただけで終わるとは—-----無念」

「遊女っていうより、色子かな?浮竹は男の子だしね」

「余計悪いわ!」

怒りに任せて。京楽に酒を浴びせた。

「あちゃー。このお酒、高いんだよ」

「いくらだ」

ごにょごにょ。

思っているより桁が2つほど違って、青くなる。

「お、お前が悪いだからな。こんな遊女だか色子だかしらんが、こんな格好させるから」

「とっても似合っているよ」

「嬉しくない」

「僕もお酒でびしょびしょだし、着替えようか」

「さっさと元に恰好に戻させろ」

「だめ。浮竹はその格好で寮まで戻ること」

「何!」

「もう、さっき来ていた衣服は処分させちゃったからね」

「京楽!」

怒るが、服がないのでは仕方ない。裸で帰れるはずがない。

「男ものの服はないのか」

「僕の分しかないよ」

「お前のびしょびしょになった服でいい。着替える」

「ちょっと!そんなの着たら絶対熱出すよ」

「止めるな!」

浮竹が、着替えようとするのを、京楽はその喉に強い酒を流しこんだ。

「ん・・・・・」

喉が焼けるようだった。何度か飲まされているうちに、意識が途切れる。

酔っぱらって眠ってしまった浮竹を抱き上げて、京楽は人力車を雇って寮まで帰った。

その日、京楽が浮竹によく似た遊女を連れ帰ってきたと噂になった。それが浮竹自身であるとは誰も思わなったが、浮竹にとってはもう穴があったら入りたい心境だった。

意識を取り戻すと、まず京楽を殴った。

それから着ていた女ものの着物を脱ぐと、普通の院生として支給されている服に着替えた。

髪も元にもどしたが、翡翠の髪飾りと返しても京楽が受け取ってくれなかった。

仕方なく、自分の棚の上に置いた。

京楽が考えていることがよくわからない。色子の恰好をさせて、お酌をしてほしかったのか?

それとももっと深い思惑があったのか?

腑に落ちない心のまま、その日は眠った。

朝起きると、京楽が浮竹のベッドの上にいた。

「お前は・・・・・・・・!」

こりない京楽。

「テープの内側に勝手に入るな!勝手に人のベッドに入ってくるな!」

頭をボカボカ殴られた京楽は、朝から涙目であった。

でも、昨日は可愛かったなぁと、一人でにんまり笑うのだ。

「そこ、きもいから思い出し笑いはやめろ!」

浮竹に怒鳴られても、にまにましていた。その日は、一日中にまにましていたという。



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