僕_
桜のあやかしと共に17
「桜の王よ・・・・どうか、慈悲を」
今にも枯れそうな金木犀に宿るあやかしが、桜の王である浮竹に会いにやってきた。
「治癒は、術者の俺が専門なんだが・・・まぁ、あやかしに力を与えるなら、俺か」
浮竹は、ふっと桜の花びらを、金木犀のあやかしに吹く。
すると、老婆のようであったあやかしはみるみる若くなり、その本体である金木犀も狂ったように咲いて、秋の深まりを知らせる。
本体である金木犀を、あやかしの鏡で映しながら、浮竹は金木犀のあやかしを褒めた。
「よく耐えたな。枯れかけていたのに」
「桜の王の慈悲のおかげです」
金木犀のあやかしは、金木犀のにおいがする香水をお礼にと置いていった。
「金木犀の甘い香り・・・・嫌いじゃない」
自分に少しだけふりかけてみる。
「あれ、十四郎さっき来ていたおばあさんは?なんか若い女性が玄関から帰ってったけど・・・・」
「ああ、同一人物だ。本体の金木犀が枯れかけていたせいで、老婆のようになっていただけだ。本来なら、帰った時の姿の若い姿が本物だ」
「枯れかけると、しわしわになっちゃう植物のあやかしもいるんだね。あ、なんかいい匂いする・・・・・」
「お礼にと置いていった金木犀の香水を少し使ったんだ。それより白哉、調子が悪そうだが大丈夫か?」
「問題ない・・・と言いたいところだが、仮初の本体である桜の木が人間に傷つけられた。枝を勝手に伐採された・・・・。浮竹、兄の桜の術でなんとかしてくれまいか」
「それは大変だ!公園に急ごう」
浮竹と白哉は、35階のベランダから飛び降りる。
残された京楽は、玄関から出てすぐ近くにある公園に急ぐのだった。
「大分、枝を切られているな」
「頭が痛い」
「今、再生させてやる」
浮竹は、自分の生命力を燃やして、ふっと桜の花びらで、白哉の桜を包み込んだ。
伐採された枝が再生し、元の姿に戻る。
「すまぬ、浮竹」
白哉はすぐに元気になった。
「おーい、十四郎に白哉君、問題はどうしたの」
「兄がちんたら歩いている間に、浮竹が命を分け与えて再生してくれた」
「命を分け与えるって・・・術を使う時、再生させるときはいつもそうなの?」
「いや、妖力を与えるだけだ。白哉は弱っていたので、生命力を分け与えた。白哉は繊細だからな。本体の桜に何かあると、体調が悪くなるんだ」
「すまぬ。改善したいのだが、生まれつきなのでどうしようもない」
「桜の王の俺がついているから、安心しろ」
「では、私はネモフィラ畑に行ってくる」
「うん、一護君とルキアちゃんによろしく言っておいてね」
「白哉、夕方までには帰ってくるんだぞ」
まるで、白哉は浮竹の弟のような存在であるが、この二人の夫婦のような関係から見ると、子供のようであった。
「あ、この公園にも金木犀あるね」
「さっきの金木犀のあやかしは、ここら一帯の金木犀のあやかしの長だからな」
「そんな偉い人だったんだ」
「金木犀の香水・・・術者の俺と、夜刀神にも分けてやるか」
術者の浮竹の家にいくと、夜刀神が出た。
『どうしたの』
「金木犀のあやかしを元気にしてやったら、金木犀の香水をくれた。人工のものではない、自然のものだから香りがすごくいい。分けてやろうと思って」
『桜の王は、甘いものも甘い匂いも好きだからねぇ』
「悪いか」
『いやー、女の子みたいだねぇって思うだけー』
浮竹のハリセンが、夜刀神の頭に炸裂する。
『あいたたた』
「誰が女の子だ」
「十四郎、でも確かに甘いの好きだよね」
「昔は甘いものなどほとんどなかったからな。「春」がいた時は、よく果物を買ってきてくれた」
「十四郎、帰りにパイナップルでも買って帰ろうか」
『んー、騒がしいなぁ。あ、桜の王の俺、来てたのか。おい京楽、なんで知らせてくれないんだ』
寝ぼけ眼で起きてきた術者の浮竹が、浮竹と京楽の姿を見て、京楽をせめる。
『だって君、依頼で徹夜あけで寝てたでしょ?そのまま寝かせておくのがいいかなと思って』
『二人が訪ねてきたなら、起こせ』
『はいはい。今度から、そうするよ』
午後だったので、香水を渡してそのままおしゃべりをした。
夕方になり、浮竹は術者の浮竹と一緒に夕ご飯を作り始めた。
それを、二人の京楽は幸せそうに見ている。
『そこ、ボケっとしてる暇があったら、皿を出してくれ』
「京楽も、お茶をいれてくれ。お前のいれる紅茶はとてもうまいからな」
ああだこうだとしているうちに、夕飯ができあがり、浮竹が主に作っただけあって、三ツ星レストランの味がした。
『やっぱり、桜の王の俺が作る料理は違うな。俺も同じものを作っても、ここまで美味しくならない』
「まぁ、俺は料理が趣味だからな。料理と買い物と片付け以外の家事は、全部京楽にやらせてる」
『こき使われるわりには、幸せそうな顔をするね?』
夜刀神が、京楽をからかうと、京楽はにんまりと笑んだ。
「家事の分担って、夫婦みたいでいいじゃない」
『確かに、それは言えてるね。ボクも、浮竹と家事を分担してるから』
「あ~、十四郎の手料理が毎日食べれるボクは幸せだなぁ」
『ボクの浮竹も、料理の腕は大分上達したんだから』
「全部、ボクの浮竹が教えてるからじゃない」
『自力でもがんばってるよ』
言い合いをする京楽達に、二人の浮竹は金木犀の香水をふきかける。
「うわ、あっま・・・・」
『うわー、金木犀のにおいだらけになっちゃった』
「ケンカはするな」
『京楽、便利屋の京楽と仲良くしろ』
それだけ言うと、二人はキッチンに戻って、デザートを作り始めた。
「苺パフェだ」
『温室栽培で、昔と違って苺は少し高いけど、いつでも買えるからな』
ちなみに、術者の浮竹は半妖で、生まれて50年は経っている。
浮竹は5千歳をこえているし、夜刀神の京楽も千歳をこしている。
一番若いのは、京楽だった。
生まれて、まだ30年ほどだった。
苺パフェを皆で食べて、浮竹と京楽は雑魚寝でいいから泊まっていくらしい。
とりあえず、空いていた部屋に布団の予備をしいて、4人は夜遅くまで騒ぎあう。
最初に睡魔に負けて寝たのは術者の浮竹で、次が京楽だった。
『なんか、君と二人で起きて一緒にいるってのも、数十年ぶりだね』
「「春」との夜をさんざん邪魔したくせに、京楽との夜には邪魔しにこないんだな」
『ボクにも浮竹がいて、人を愛するって意味が分かったからね』
「できれば今のままでずっといてくれよ。春水との夜を邪魔されるのはごめんだ」
『ボクも、浮竹のとの夜を邪魔されたくないからね』
「俺は、お前みたいな真似はしない」
『まぁ、そう答えるよ思ったよ』
浮竹は、眠ってしまった術者の浮竹と京楽に毛布をかけてやる。
『ねぇ。「春」とどっちが大事?』
「言えない。どっちも大切で、選べない」
浮竹の悲しそうな顔を見て、夜刀神は台所からくすねてきた白ワインを取り出した。
「酔っぱらって寝ちゃえば?悲しい時は」
そのまま白ワインを飲んで、浮竹はへべれけに酔って、術者の浮竹と同じ布団ですうすうと眠る。
『寝てれば、桜の王もかわいいんだけどねぇ』
500年に及ぶ腐れ縁でも、一緒に夜を過ごすことはほとんどなかった。
いつも「春」が近くにいた。
『もう一人のボク・・・・どうか「春」のように、桜の王を置き去りにしないでね』
京楽は、眠っていた。
「春」の夢を、また見ていた。
「春」は反魂で一時蘇り、また眠りについた。
浮竹の中には、また「春」への想いが一時蘇り、そして沈殿していった。
『「春」・・・君は浄化されても、また蘇るんでしょう?君の魂は、桜の王と共にある。どうか、もう一人のボクが傷つくような真似はしないでほしいね』
白ワインの入ったグラスを片手に、夜刀神は、今は静かに眠りについている「春」のことを思いだすのであった。
今にも枯れそうな金木犀に宿るあやかしが、桜の王である浮竹に会いにやってきた。
「治癒は、術者の俺が専門なんだが・・・まぁ、あやかしに力を与えるなら、俺か」
浮竹は、ふっと桜の花びらを、金木犀のあやかしに吹く。
すると、老婆のようであったあやかしはみるみる若くなり、その本体である金木犀も狂ったように咲いて、秋の深まりを知らせる。
本体である金木犀を、あやかしの鏡で映しながら、浮竹は金木犀のあやかしを褒めた。
「よく耐えたな。枯れかけていたのに」
「桜の王の慈悲のおかげです」
金木犀のあやかしは、金木犀のにおいがする香水をお礼にと置いていった。
「金木犀の甘い香り・・・・嫌いじゃない」
自分に少しだけふりかけてみる。
「あれ、十四郎さっき来ていたおばあさんは?なんか若い女性が玄関から帰ってったけど・・・・」
「ああ、同一人物だ。本体の金木犀が枯れかけていたせいで、老婆のようになっていただけだ。本来なら、帰った時の姿の若い姿が本物だ」
「枯れかけると、しわしわになっちゃう植物のあやかしもいるんだね。あ、なんかいい匂いする・・・・・」
「お礼にと置いていった金木犀の香水を少し使ったんだ。それより白哉、調子が悪そうだが大丈夫か?」
「問題ない・・・と言いたいところだが、仮初の本体である桜の木が人間に傷つけられた。枝を勝手に伐採された・・・・。浮竹、兄の桜の術でなんとかしてくれまいか」
「それは大変だ!公園に急ごう」
浮竹と白哉は、35階のベランダから飛び降りる。
残された京楽は、玄関から出てすぐ近くにある公園に急ぐのだった。
「大分、枝を切られているな」
「頭が痛い」
「今、再生させてやる」
浮竹は、自分の生命力を燃やして、ふっと桜の花びらで、白哉の桜を包み込んだ。
伐採された枝が再生し、元の姿に戻る。
「すまぬ、浮竹」
白哉はすぐに元気になった。
「おーい、十四郎に白哉君、問題はどうしたの」
「兄がちんたら歩いている間に、浮竹が命を分け与えて再生してくれた」
「命を分け与えるって・・・術を使う時、再生させるときはいつもそうなの?」
「いや、妖力を与えるだけだ。白哉は弱っていたので、生命力を分け与えた。白哉は繊細だからな。本体の桜に何かあると、体調が悪くなるんだ」
「すまぬ。改善したいのだが、生まれつきなのでどうしようもない」
「桜の王の俺がついているから、安心しろ」
「では、私はネモフィラ畑に行ってくる」
「うん、一護君とルキアちゃんによろしく言っておいてね」
「白哉、夕方までには帰ってくるんだぞ」
まるで、白哉は浮竹の弟のような存在であるが、この二人の夫婦のような関係から見ると、子供のようであった。
「あ、この公園にも金木犀あるね」
「さっきの金木犀のあやかしは、ここら一帯の金木犀のあやかしの長だからな」
「そんな偉い人だったんだ」
「金木犀の香水・・・術者の俺と、夜刀神にも分けてやるか」
術者の浮竹の家にいくと、夜刀神が出た。
『どうしたの』
「金木犀のあやかしを元気にしてやったら、金木犀の香水をくれた。人工のものではない、自然のものだから香りがすごくいい。分けてやろうと思って」
『桜の王は、甘いものも甘い匂いも好きだからねぇ』
「悪いか」
『いやー、女の子みたいだねぇって思うだけー』
浮竹のハリセンが、夜刀神の頭に炸裂する。
『あいたたた』
「誰が女の子だ」
「十四郎、でも確かに甘いの好きだよね」
「昔は甘いものなどほとんどなかったからな。「春」がいた時は、よく果物を買ってきてくれた」
「十四郎、帰りにパイナップルでも買って帰ろうか」
『んー、騒がしいなぁ。あ、桜の王の俺、来てたのか。おい京楽、なんで知らせてくれないんだ』
寝ぼけ眼で起きてきた術者の浮竹が、浮竹と京楽の姿を見て、京楽をせめる。
『だって君、依頼で徹夜あけで寝てたでしょ?そのまま寝かせておくのがいいかなと思って』
『二人が訪ねてきたなら、起こせ』
『はいはい。今度から、そうするよ』
午後だったので、香水を渡してそのままおしゃべりをした。
夕方になり、浮竹は術者の浮竹と一緒に夕ご飯を作り始めた。
それを、二人の京楽は幸せそうに見ている。
『そこ、ボケっとしてる暇があったら、皿を出してくれ』
「京楽も、お茶をいれてくれ。お前のいれる紅茶はとてもうまいからな」
ああだこうだとしているうちに、夕飯ができあがり、浮竹が主に作っただけあって、三ツ星レストランの味がした。
『やっぱり、桜の王の俺が作る料理は違うな。俺も同じものを作っても、ここまで美味しくならない』
「まぁ、俺は料理が趣味だからな。料理と買い物と片付け以外の家事は、全部京楽にやらせてる」
『こき使われるわりには、幸せそうな顔をするね?』
夜刀神が、京楽をからかうと、京楽はにんまりと笑んだ。
「家事の分担って、夫婦みたいでいいじゃない」
『確かに、それは言えてるね。ボクも、浮竹と家事を分担してるから』
「あ~、十四郎の手料理が毎日食べれるボクは幸せだなぁ」
『ボクの浮竹も、料理の腕は大分上達したんだから』
「全部、ボクの浮竹が教えてるからじゃない」
『自力でもがんばってるよ』
言い合いをする京楽達に、二人の浮竹は金木犀の香水をふきかける。
「うわ、あっま・・・・」
『うわー、金木犀のにおいだらけになっちゃった』
「ケンカはするな」
『京楽、便利屋の京楽と仲良くしろ』
それだけ言うと、二人はキッチンに戻って、デザートを作り始めた。
「苺パフェだ」
『温室栽培で、昔と違って苺は少し高いけど、いつでも買えるからな』
ちなみに、術者の浮竹は半妖で、生まれて50年は経っている。
浮竹は5千歳をこえているし、夜刀神の京楽も千歳をこしている。
一番若いのは、京楽だった。
生まれて、まだ30年ほどだった。
苺パフェを皆で食べて、浮竹と京楽は雑魚寝でいいから泊まっていくらしい。
とりあえず、空いていた部屋に布団の予備をしいて、4人は夜遅くまで騒ぎあう。
最初に睡魔に負けて寝たのは術者の浮竹で、次が京楽だった。
『なんか、君と二人で起きて一緒にいるってのも、数十年ぶりだね』
「「春」との夜をさんざん邪魔したくせに、京楽との夜には邪魔しにこないんだな」
『ボクにも浮竹がいて、人を愛するって意味が分かったからね』
「できれば今のままでずっといてくれよ。春水との夜を邪魔されるのはごめんだ」
『ボクも、浮竹のとの夜を邪魔されたくないからね』
「俺は、お前みたいな真似はしない」
『まぁ、そう答えるよ思ったよ』
浮竹は、眠ってしまった術者の浮竹と京楽に毛布をかけてやる。
『ねぇ。「春」とどっちが大事?』
「言えない。どっちも大切で、選べない」
浮竹の悲しそうな顔を見て、夜刀神は台所からくすねてきた白ワインを取り出した。
「酔っぱらって寝ちゃえば?悲しい時は」
そのまま白ワインを飲んで、浮竹はへべれけに酔って、術者の浮竹と同じ布団ですうすうと眠る。
『寝てれば、桜の王もかわいいんだけどねぇ』
500年に及ぶ腐れ縁でも、一緒に夜を過ごすことはほとんどなかった。
いつも「春」が近くにいた。
『もう一人のボク・・・・どうか「春」のように、桜の王を置き去りにしないでね』
京楽は、眠っていた。
「春」の夢を、また見ていた。
「春」は反魂で一時蘇り、また眠りについた。
浮竹の中には、また「春」への想いが一時蘇り、そして沈殿していった。
『「春」・・・君は浄化されても、また蘇るんでしょう?君の魂は、桜の王と共にある。どうか、もう一人のボクが傷つくような真似はしないでほしいね』
白ワインの入ったグラスを片手に、夜刀神は、今は静かに眠りについている「春」のことを思いだすのであった。
桜のあやかしと共に 外伝2
京楽の3億するタワーマンションに、浮竹、京楽、術者の浮竹、夜刀神の京楽は集まった。
ちなみに、白哉はお出かけ中である。
4人で、京楽が手に入れた、1本150万する赤ワインを開けることになった。
「十四郎は、ちょっとだけだよ。すぐつぶれちゃうんだから」
「大丈夫だ。グラス半分しか飲まない」
『こっちの俺って、酒に弱いのか?』
『弱いよー。はじめて一緒に飲んだ時、日本酒のおちょこいっぱいで酔いつぶれて、からまれたことあるからねぇ』
「夜刀神、うるさい!」
浮竹は、夜刀神にハリセンを炸裂させた。
『でた、かわせれない早さのハリセン奥義!』
「十四郎、ほどほどにね?」
京楽にたしなめられて、浮竹はしぶしぶハリセンをしまう。
「じゃあ、乾杯」
『『乾杯』』
「グラス半分・・・・」
術者の浮竹は、ほろ酔い気分で他のワインも飲んでいく。
一方、京楽二人は、酒豪すぎてはじめは飲み比べをしていたのだが、お互い全然酔わないので、普通にワインを飲んで、伴侶を気遣う。
浮竹は、グラス半分の高級ワインで酔いつぶれて、ソファーをばしばしたたきながら、クッションを京楽と間違えて、延々と愚痴っていた。
「京楽~。ばかやろー。俺の手料理の失敗作を食おうとするなんて、嫌味かあああ」
「あーあ。すっかり絡みモードに入ちゃったね」
『精霊の俺、膝枕してやろう』
『えー、浮竹、ボクには?』
『お前には、いつでも膝枕してやってるだろう』
術者の浮竹が、ソファーをばしばしたたいている浮竹の元にくると、浮竹はおとなしくなった。
「術者の俺~。そっちの京楽はエロいかー?」
『うーん?さぁ、どうだろうな』
術者の浮竹は、浮竹に膝枕をしてやった。
浮竹は、うとうとと眠りはじめる。
「きーー。嫉妬おおおお」
京楽は、嫉妬していた。
仲のいい二人を見るたびに、嫉妬する。
それが夜刀神には面白くて、げらげら笑われていた。
『あはははは、またやってる』
「君は嫉妬しないの?」
『ボクは心が広いからね。あの程度じゃ嫉妬しないね』
「キスしたくなった。んーーーー」
『ムーーー』
酔っぱらった浮竹が、術者の浮竹に口づけをしてしまったものだから、さしもの夜刀神も止めに入る。
『こら、君の相手はこっちでしょ』
京楽を押し出して、術者の浮竹を奪う。
『キスされちゃった』
「きーー、嫉妬マックスーーー!!十四郎、君がキスしていい相手は、ボクだけだよ!」
「んー?京楽が3人?」
浮竹の目には、術者の浮竹も京楽に見えていた。
『京楽、酔ってるだけだから、怒らないでやってくれ』
『わかってるよ。500年の付き合いだしね』
夜刀神と桜の王である浮竹は、長い腐れ縁だった。
『ボクたちは帰るね。高級ワイン飲ませてくれてありがとう』
『え、もう帰るのか?』
『ほら、むこうのボクが絶対おしおきとかいって、エロいことしだすからね』
『む、そうか・・・・』
術者の浮竹は赤くなって、35階のベランダからではなく、玄関から夜刀神と外に出て、帰宅する。
「十四郎、おしおきが必要だね?」
「むー。もっと酒もってこーい」
「十四郎・・・ボクを見て?」
「あ、春水?」
首筋にキスマークを残されて、浮竹の酔いが少しだけ冷める。
そのまま、姫抱きにされて寝室に入ると、ベッドに押し倒された。
「おしおきの、えっちなこと、しようね?」
「酒は?」
「終わった後でね」
「はぁ・・・記憶が飛んでる。なんで俺は、裸で京楽のベッドにいるんだ?」
「君、何も覚えてないの?あんなに乱れたことも?」
「覚えてない」
「うーん。悲しいけど、ボクはいい思いできたから、まぁいいか」
「よくない!」
浮竹のハリセンがうなる。
「おぶっ」
「少し頭痛い」
「二日酔いだね。薬もってくるから、それ飲んで寝てね」
「あー、腰は痛いけど思いだせない・・・うわぁ、キスマークがいっぱいだ・・・・」
浮竹は自分の胸元を見て、ため息を零す。
京楽がいい思いをしたということは、相当乱れたのだろう。
それを覚えていなくて、いいことなのか悪いことなのか、浮竹に判断がつかなかった。
「はい、薬にお水」
薬を受け取って、コップの水で飲み干す。
「あー、昨日の十四郎はかわいかったなぁ。もっともっとってねだってきて・・・あべし!」
真っ赤になった浮竹にハリセンで張り倒されて、京楽はベッドの海に沈むのであった。
「昨日のことは、忘れろ。じゃないと、飯つくってやんない。腰が痛い・・・・」
「でゅふふふふ。ボクだけの思い出の中にしまっておくね」
「気持ち悪い笑い方をするな!」
「あべし!」
ハリセンでさらに殴られても、京楽のニマニマした顔は変わらないのであった。
ちなみに、白哉はお出かけ中である。
4人で、京楽が手に入れた、1本150万する赤ワインを開けることになった。
「十四郎は、ちょっとだけだよ。すぐつぶれちゃうんだから」
「大丈夫だ。グラス半分しか飲まない」
『こっちの俺って、酒に弱いのか?』
『弱いよー。はじめて一緒に飲んだ時、日本酒のおちょこいっぱいで酔いつぶれて、からまれたことあるからねぇ』
「夜刀神、うるさい!」
浮竹は、夜刀神にハリセンを炸裂させた。
『でた、かわせれない早さのハリセン奥義!』
「十四郎、ほどほどにね?」
京楽にたしなめられて、浮竹はしぶしぶハリセンをしまう。
「じゃあ、乾杯」
『『乾杯』』
「グラス半分・・・・」
術者の浮竹は、ほろ酔い気分で他のワインも飲んでいく。
一方、京楽二人は、酒豪すぎてはじめは飲み比べをしていたのだが、お互い全然酔わないので、普通にワインを飲んで、伴侶を気遣う。
浮竹は、グラス半分の高級ワインで酔いつぶれて、ソファーをばしばしたたきながら、クッションを京楽と間違えて、延々と愚痴っていた。
「京楽~。ばかやろー。俺の手料理の失敗作を食おうとするなんて、嫌味かあああ」
「あーあ。すっかり絡みモードに入ちゃったね」
『精霊の俺、膝枕してやろう』
『えー、浮竹、ボクには?』
『お前には、いつでも膝枕してやってるだろう』
術者の浮竹が、ソファーをばしばしたたいている浮竹の元にくると、浮竹はおとなしくなった。
「術者の俺~。そっちの京楽はエロいかー?」
『うーん?さぁ、どうだろうな』
術者の浮竹は、浮竹に膝枕をしてやった。
浮竹は、うとうとと眠りはじめる。
「きーー。嫉妬おおおお」
京楽は、嫉妬していた。
仲のいい二人を見るたびに、嫉妬する。
それが夜刀神には面白くて、げらげら笑われていた。
『あはははは、またやってる』
「君は嫉妬しないの?」
『ボクは心が広いからね。あの程度じゃ嫉妬しないね』
「キスしたくなった。んーーーー」
『ムーーー』
酔っぱらった浮竹が、術者の浮竹に口づけをしてしまったものだから、さしもの夜刀神も止めに入る。
『こら、君の相手はこっちでしょ』
京楽を押し出して、術者の浮竹を奪う。
『キスされちゃった』
「きーー、嫉妬マックスーーー!!十四郎、君がキスしていい相手は、ボクだけだよ!」
「んー?京楽が3人?」
浮竹の目には、術者の浮竹も京楽に見えていた。
『京楽、酔ってるだけだから、怒らないでやってくれ』
『わかってるよ。500年の付き合いだしね』
夜刀神と桜の王である浮竹は、長い腐れ縁だった。
『ボクたちは帰るね。高級ワイン飲ませてくれてありがとう』
『え、もう帰るのか?』
『ほら、むこうのボクが絶対おしおきとかいって、エロいことしだすからね』
『む、そうか・・・・』
術者の浮竹は赤くなって、35階のベランダからではなく、玄関から夜刀神と外に出て、帰宅する。
「十四郎、おしおきが必要だね?」
「むー。もっと酒もってこーい」
「十四郎・・・ボクを見て?」
「あ、春水?」
首筋にキスマークを残されて、浮竹の酔いが少しだけ冷める。
そのまま、姫抱きにされて寝室に入ると、ベッドに押し倒された。
「おしおきの、えっちなこと、しようね?」
「酒は?」
「終わった後でね」
「はぁ・・・記憶が飛んでる。なんで俺は、裸で京楽のベッドにいるんだ?」
「君、何も覚えてないの?あんなに乱れたことも?」
「覚えてない」
「うーん。悲しいけど、ボクはいい思いできたから、まぁいいか」
「よくない!」
浮竹のハリセンがうなる。
「おぶっ」
「少し頭痛い」
「二日酔いだね。薬もってくるから、それ飲んで寝てね」
「あー、腰は痛いけど思いだせない・・・うわぁ、キスマークがいっぱいだ・・・・」
浮竹は自分の胸元を見て、ため息を零す。
京楽がいい思いをしたということは、相当乱れたのだろう。
それを覚えていなくて、いいことなのか悪いことなのか、浮竹に判断がつかなかった。
「はい、薬にお水」
薬を受け取って、コップの水で飲み干す。
「あー、昨日の十四郎はかわいかったなぁ。もっともっとってねだってきて・・・あべし!」
真っ赤になった浮竹にハリセンで張り倒されて、京楽はベッドの海に沈むのであった。
「昨日のことは、忘れろ。じゃないと、飯つくってやんない。腰が痛い・・・・」
「でゅふふふふ。ボクだけの思い出の中にしまっておくね」
「気持ち悪い笑い方をするな!」
「あべし!」
ハリセンでさらに殴られても、京楽のニマニマした顔は変わらないのであった。
桜のあやかしと共に 外伝
「一度、太陽の王の様子を見に行くか」
「十四郎、確か近くのネモフィラ畑だったよね」
「そうだ。あっているな、白哉?」
「浮竹、兄の言う通りだ。私たちの仮初の桜の木がある公園から、さほど離れていない」
白哉は、いつもネモフィラ畑にいっているので、浮竹と京楽にはついていかないと言った。
「私は今回は行かぬ。いつもいっているからな」
「じゃあ、京楽、一緒に行くぞ」
「わかったよ、十四郎」
浮竹は、35階のベランダから飛び降りた。
「だから、ここ35階・・・・・・・」
京楽は、言うだけ無駄だと思っているが、一応言っておいた。
3億する高級タワーマンションの近くの公園で、浮竹と京楽は落ち合う。
「この道をずっとまっすぐいくと、ネモフィラ畑がある。そこに太陽の王と白哉の妹の、一護君とルキアちゃんがいる」
「太陽の王、見た目は少年だったし、うまれて間もないようだから、ちょっと心配なんだけど、ルキアちゃんがいるなら大丈夫かな、十四郎」
「ああ。ルキアちゃんがいれば、多分大丈夫だ」
二人は、ネモフィラ畑に入る。
ネモフィラの花鬼たちが、進化していた。
太陽の王である、黒崎一護が近くにいるからだ。
「さて、たんぽぽはどこだ・・・・・」
「こうネモフィラばかり咲いていると、分からないね」
「踏んづけたら大変だ・・・でもたんぽぽは雑草だし、強いから踏んでもいいか」
「十四郎。踏まないであげてね」
ネモフィラ畑の中央にくると、ネモフィラの花鬼に囲まれて、ルキアと一護がいた。
「一護、紅茶より緑茶を飲め」
「いや、すでに飲んでるし」
「アルコールはまだだめだぞ。あやかしは50年は経つまで未成年扱いだ。私は生まれてちょうど80年ほどだから、アルコールを飲めるのだ!」
どこかで買ってきたのか、チューハイをルキアは飲んでいた。
「あ、ルキアだけずりー」
「ふふふ。私と同じ見た目だが、生まれてまだ間もない貴様は赤ん坊のようなものだ」
「俺は赤ちゃんじゃないぞ」
「知っておる。あくまで、あやかしの年齢の話だ」
一護は、ペットボトルに入った緑茶を飲んでいた。
「緑茶ってうまいよな。紅茶より、俺は和風の緑茶派だな」
「うむ。よいぞよいぞ。兄様も緑茶が大好きなのだ。なので、このネモフィラ畑の側に自販機を作らせて、緑茶を売らせている。外だから、冷蔵庫が置けないからな」
「白哉って金もちらしいな。ということは、ルキアも金持ちってことか?」
一護が聞くと、ルキアはあやかし印のアイテムボックスを取り出した。
「ざっと、一億入っている」
ざばざばと、札束があふれてきた。
「わあああああ、そんな大金出すな!人間に見られたら、盗まれるだろう!」
「私たちの姿は、普通の人間には見えないから安心しろ。この札束も、普通の人間には見えない。使うときは、軽く妖力をこめると人間にも見える・・・む、人間のにおいがする!このネモフィラ畑に侵入し、私たちの様子を見ている貴様、誰だ!」
ルキアは、険しい顔で京楽のほうを向いた。
「む、桜の王のにおいもする。さては貴様、京楽春春だな」
「誰それ。ボクは京楽春水だよ」
「む、春水であったか。京楽春水殿で、あっているか?」
「うん、あってる」
「そちらにおられるのが桜の王の、兄様が世話になっている浮竹十四郎殿だな?」
浮竹は、遠くからルキアの姿を見たことはあったが、実際に会って話すのははじめてだった。
「はじめまして、朽木ルキアちゃん。俺が浮竹十四郎で合っている」
「兄様のいう通りだ・・・白い髪に翡翠の瞳の、美しい、綺麗なお方だと、兄様から聞いているます」
「俺は美しくなんかないぞ」
「いや、美しいです」
ルキアが強く主張すると、他のネモフィラの花鬼に混ざって、京楽も頷いていた。
「十四郎は美人だよ」
「のろけっすか」
一護が、様子を見ていたのだが、つい口を開いてしまった。
ルキアから、一護は桜の王のこと、その契約者である京楽春水のことは聞いていた。
「のろけでも、美人でしょ、十四郎は」
「まぁ、否定はしないっす。それであんたたちはなんの用でここに?太陽の王の力が必要になったとかっすか?」
「いや、ただルキアちゃんとうまくいってるか、見にきただけだよ」
「ルキアは俺のものだ。あと1年もしたら、結婚する」
「一護、この前5年後とか言っていたではないか!」
「ルキア綺麗だしかわいいから、気が変わった。俺はあやかしとして赤ん坊の年かもしれないが、太陽の王だ。俺と結婚することは、女王になるということだ。ルキアには、このネモフィラの世界の女王がふさわしい」
「ああ、ボクもそれは賛成だね」
「桜の王として、太陽の王とネモフィラの女王の存在を認めよう。俺が認めれば、拍がつくらしい」
「浮竹さんと京楽さんには、結婚式の時の仲人になってもらっていいっすか」
「ああ、いいよ」
「いいだろう」
京楽と浮竹は頷いた。
ネモフィラの花鬼たちに、ルキアとのはじめての出会いだと、チューハイをすすめられて、浮竹と京楽は飲んだ。
京楽は酒に強いが、浮竹は弱い。
チューハイの半分で酔ってしまい、ルキアに膝枕されて寝ていた。
「あ、俺のルキアを」
「ボクの十四郎を」
二人は、顔を見合わせあって、笑った。
「お互い、伴侶に恵まれたね。さぁ、浮竹帰るよ。おんぶしてあげるから」
「んーーー。もっと酒もってこーーーい」
浮竹はへべれけに酔って、そんなことを言う。
「だめだこりゃ」
「浮竹さんって、酒に弱いんすね」
「うん。十四郎の一番の弱点だね」
「京楽さん、あんたは酒に強そうっすね」
「自慢じゃないけど、酔ったことがないよ」
「すげーー。酒飲んだことないからどうなるのかわからないけど、大量に飲んでも酔わないってすげーことだと思う」
一護が、京楽を褒める。
「まぁ、たまに家で酒を飲むことはあるけど、浮竹が飲みたがってすぐつぶれるから、酒はあまり飲まないね。浮竹と出会う前はよく飲んでたけど」
「愛っすね。夫婦じゃないっすか」
「ふふふ。ボクたちは確かに夫婦だからね。伴侶になる契約もしているから」
「春水のアホーーーー。エロ魔人ーーー。おとついは嫌だっていうのに、またバスルームで・・・・むにゃむにゃ」
「わああああ。十四郎、帰るよ!?」
ルキアから浮竹の体を受け取って、おんぶする。
ルキアも一護も、少し赤くなっていた。
京楽は真っ赤になりながら、浮竹をおんぶして来た道を戻るのであった。
「太陽の王だって、見ただけじゃああまり分からないな。オレンジの髪は目立つけど、染めてるようにしか見えないし、あれなら長老神に見つからないだろう」
翌日、酒の酔いも冷めた浮竹は、京楽のいれてくれた紅茶を飲みながら、一護のことを思う。
「そうだね。太陽の王としての威厳が全くないことは、本当ならよくないんだけど、ないから気づかれにくい。太陽の王が一護君でよかったよ。もしも長老神が太陽の王だったら、想像しただけでもぞっとする」
「ああ・・・他の者を洗脳して、自分だけのあやかしの王国を作りそうだな」
「そうなんだよ、白哉君」
「長老神は、災厄をもたらす神もどきだからな。いっそ、誰か今の長老神を倒して、一護君が長老神になってくれればいいのに」
「十四郎、無理がありすぎるよ。でも、それが理想だね」
「兄らは、太陽の王を担ぎ出したいのか?」
「いや、そんなつもりじゃない」
「あくまで仮定の話だよ」
「ふむ・・・・太陽の王は、ルキアと半月後に結婚することになった」
白哉のセリフに、浮竹も京楽も驚く。
「昨日様子を見に行ったときは、1年後に結構するっていってたよ」
「出会って1か月で結婚か。少し早い気もするが・・・・・・」
「まぁ、ルキアと黒崎一護が決めたことだ。私は二人の意思を尊重する。ということで、仲人として頼んだぞ、浮竹、京楽」
浮竹も京楽も、仲人などしたことがないので、なってもいいと決めたのだが、正直どうすれないいのか途方にくれるのであった。
「十四郎、確か近くのネモフィラ畑だったよね」
「そうだ。あっているな、白哉?」
「浮竹、兄の言う通りだ。私たちの仮初の桜の木がある公園から、さほど離れていない」
白哉は、いつもネモフィラ畑にいっているので、浮竹と京楽にはついていかないと言った。
「私は今回は行かぬ。いつもいっているからな」
「じゃあ、京楽、一緒に行くぞ」
「わかったよ、十四郎」
浮竹は、35階のベランダから飛び降りた。
「だから、ここ35階・・・・・・・」
京楽は、言うだけ無駄だと思っているが、一応言っておいた。
3億する高級タワーマンションの近くの公園で、浮竹と京楽は落ち合う。
「この道をずっとまっすぐいくと、ネモフィラ畑がある。そこに太陽の王と白哉の妹の、一護君とルキアちゃんがいる」
「太陽の王、見た目は少年だったし、うまれて間もないようだから、ちょっと心配なんだけど、ルキアちゃんがいるなら大丈夫かな、十四郎」
「ああ。ルキアちゃんがいれば、多分大丈夫だ」
二人は、ネモフィラ畑に入る。
ネモフィラの花鬼たちが、進化していた。
太陽の王である、黒崎一護が近くにいるからだ。
「さて、たんぽぽはどこだ・・・・・」
「こうネモフィラばかり咲いていると、分からないね」
「踏んづけたら大変だ・・・でもたんぽぽは雑草だし、強いから踏んでもいいか」
「十四郎。踏まないであげてね」
ネモフィラ畑の中央にくると、ネモフィラの花鬼に囲まれて、ルキアと一護がいた。
「一護、紅茶より緑茶を飲め」
「いや、すでに飲んでるし」
「アルコールはまだだめだぞ。あやかしは50年は経つまで未成年扱いだ。私は生まれてちょうど80年ほどだから、アルコールを飲めるのだ!」
どこかで買ってきたのか、チューハイをルキアは飲んでいた。
「あ、ルキアだけずりー」
「ふふふ。私と同じ見た目だが、生まれてまだ間もない貴様は赤ん坊のようなものだ」
「俺は赤ちゃんじゃないぞ」
「知っておる。あくまで、あやかしの年齢の話だ」
一護は、ペットボトルに入った緑茶を飲んでいた。
「緑茶ってうまいよな。紅茶より、俺は和風の緑茶派だな」
「うむ。よいぞよいぞ。兄様も緑茶が大好きなのだ。なので、このネモフィラ畑の側に自販機を作らせて、緑茶を売らせている。外だから、冷蔵庫が置けないからな」
「白哉って金もちらしいな。ということは、ルキアも金持ちってことか?」
一護が聞くと、ルキアはあやかし印のアイテムボックスを取り出した。
「ざっと、一億入っている」
ざばざばと、札束があふれてきた。
「わあああああ、そんな大金出すな!人間に見られたら、盗まれるだろう!」
「私たちの姿は、普通の人間には見えないから安心しろ。この札束も、普通の人間には見えない。使うときは、軽く妖力をこめると人間にも見える・・・む、人間のにおいがする!このネモフィラ畑に侵入し、私たちの様子を見ている貴様、誰だ!」
ルキアは、険しい顔で京楽のほうを向いた。
「む、桜の王のにおいもする。さては貴様、京楽春春だな」
「誰それ。ボクは京楽春水だよ」
「む、春水であったか。京楽春水殿で、あっているか?」
「うん、あってる」
「そちらにおられるのが桜の王の、兄様が世話になっている浮竹十四郎殿だな?」
浮竹は、遠くからルキアの姿を見たことはあったが、実際に会って話すのははじめてだった。
「はじめまして、朽木ルキアちゃん。俺が浮竹十四郎で合っている」
「兄様のいう通りだ・・・白い髪に翡翠の瞳の、美しい、綺麗なお方だと、兄様から聞いているます」
「俺は美しくなんかないぞ」
「いや、美しいです」
ルキアが強く主張すると、他のネモフィラの花鬼に混ざって、京楽も頷いていた。
「十四郎は美人だよ」
「のろけっすか」
一護が、様子を見ていたのだが、つい口を開いてしまった。
ルキアから、一護は桜の王のこと、その契約者である京楽春水のことは聞いていた。
「のろけでも、美人でしょ、十四郎は」
「まぁ、否定はしないっす。それであんたたちはなんの用でここに?太陽の王の力が必要になったとかっすか?」
「いや、ただルキアちゃんとうまくいってるか、見にきただけだよ」
「ルキアは俺のものだ。あと1年もしたら、結婚する」
「一護、この前5年後とか言っていたではないか!」
「ルキア綺麗だしかわいいから、気が変わった。俺はあやかしとして赤ん坊の年かもしれないが、太陽の王だ。俺と結婚することは、女王になるということだ。ルキアには、このネモフィラの世界の女王がふさわしい」
「ああ、ボクもそれは賛成だね」
「桜の王として、太陽の王とネモフィラの女王の存在を認めよう。俺が認めれば、拍がつくらしい」
「浮竹さんと京楽さんには、結婚式の時の仲人になってもらっていいっすか」
「ああ、いいよ」
「いいだろう」
京楽と浮竹は頷いた。
ネモフィラの花鬼たちに、ルキアとのはじめての出会いだと、チューハイをすすめられて、浮竹と京楽は飲んだ。
京楽は酒に強いが、浮竹は弱い。
チューハイの半分で酔ってしまい、ルキアに膝枕されて寝ていた。
「あ、俺のルキアを」
「ボクの十四郎を」
二人は、顔を見合わせあって、笑った。
「お互い、伴侶に恵まれたね。さぁ、浮竹帰るよ。おんぶしてあげるから」
「んーーー。もっと酒もってこーーーい」
浮竹はへべれけに酔って、そんなことを言う。
「だめだこりゃ」
「浮竹さんって、酒に弱いんすね」
「うん。十四郎の一番の弱点だね」
「京楽さん、あんたは酒に強そうっすね」
「自慢じゃないけど、酔ったことがないよ」
「すげーー。酒飲んだことないからどうなるのかわからないけど、大量に飲んでも酔わないってすげーことだと思う」
一護が、京楽を褒める。
「まぁ、たまに家で酒を飲むことはあるけど、浮竹が飲みたがってすぐつぶれるから、酒はあまり飲まないね。浮竹と出会う前はよく飲んでたけど」
「愛っすね。夫婦じゃないっすか」
「ふふふ。ボクたちは確かに夫婦だからね。伴侶になる契約もしているから」
「春水のアホーーーー。エロ魔人ーーー。おとついは嫌だっていうのに、またバスルームで・・・・むにゃむにゃ」
「わああああ。十四郎、帰るよ!?」
ルキアから浮竹の体を受け取って、おんぶする。
ルキアも一護も、少し赤くなっていた。
京楽は真っ赤になりながら、浮竹をおんぶして来た道を戻るのであった。
「太陽の王だって、見ただけじゃああまり分からないな。オレンジの髪は目立つけど、染めてるようにしか見えないし、あれなら長老神に見つからないだろう」
翌日、酒の酔いも冷めた浮竹は、京楽のいれてくれた紅茶を飲みながら、一護のことを思う。
「そうだね。太陽の王としての威厳が全くないことは、本当ならよくないんだけど、ないから気づかれにくい。太陽の王が一護君でよかったよ。もしも長老神が太陽の王だったら、想像しただけでもぞっとする」
「ああ・・・他の者を洗脳して、自分だけのあやかしの王国を作りそうだな」
「そうなんだよ、白哉君」
「長老神は、災厄をもたらす神もどきだからな。いっそ、誰か今の長老神を倒して、一護君が長老神になってくれればいいのに」
「十四郎、無理がありすぎるよ。でも、それが理想だね」
「兄らは、太陽の王を担ぎ出したいのか?」
「いや、そんなつもりじゃない」
「あくまで仮定の話だよ」
「ふむ・・・・太陽の王は、ルキアと半月後に結婚することになった」
白哉のセリフに、浮竹も京楽も驚く。
「昨日様子を見に行ったときは、1年後に結構するっていってたよ」
「出会って1か月で結婚か。少し早い気もするが・・・・・・」
「まぁ、ルキアと黒崎一護が決めたことだ。私は二人の意思を尊重する。ということで、仲人として頼んだぞ、浮竹、京楽」
浮竹も京楽も、仲人などしたことがないので、なってもいいと決めたのだが、正直どうすれないいのか途方にくれるのであった。
桜のあやかしと共に16
「よお、桜の王。今度はダージリンの茶葉ができたんじゃ。もっていけ」
「ああ、茶のあやかしの茶翁(ちゃおきな)か。この前もらったアッサムの紅茶、すごくおいしかったぞ」
「そりゃ、わしが栽培したものは世界一だからのお」
「スケールがでかいな。でも、確かに茶翁の茶はうまい」
京楽の3億のマンションに、茶翁が訪ねてきていた。
「このおじいさん、茶翁っていうんだ」
「京楽、兄は知らんだろうが、茶翁は齢千年を超すけっこう大物のあやかしだ」
「うへぇ。千年・・・・・・」
「私で二百年だからな。茶翁はけっこうな先輩だ」
白哉は、茶翁に頭を下げた。
「おう、白哉坊か。変わらず、桜の王と同じで綺麗じゃのう」
「本当のことを言っても何もならないぞ」
「かっかっかっか。それでこそ、桜の王の弟のような存在というのものじゃ」
茶翁は、和服をきたただの人間に見えるが、その妖力が分かる者には、大物だと分かる存在であった。
桜の王である浮竹の妖力は、妖力の分かるものにもはかりきれず、白哉の妖力もとても大きかった。
「じゃあ、わしはまた新しい茶を栽培するかのう」
「今度は、緑茶で頼む」
白哉がそう言うと、茶翁は恰幅よく笑った。
「わかったわかった。今度は、緑茶を栽培することにするとしようかのう」
ダージリンの茶葉の入った、麻袋をおいて、茶翁は35階のベランダから飛び降りていった。
「だから、ここ35階・・・・・・・・」
京楽がそういうが、浮竹の元を訪れるあやかしの大半が、35階のベランダから飛び降りて、地面に激突することなく、異界のゲートを開いて帰っていく。
「京楽、早速茶をいれてくれ」
「分かったよ。茶菓子は、この前十四郎が作っていたワッフルでいいかい?」
「ああ、かまわない」
「京楽、私には緑茶を」
「白哉君は緑茶ばっかりだね。たまには、紅茶飲んでみたら?」
「紅茶は私の口にあわぬ。緑茶のしぶさがうまいのだ]
「はいはい。じゃあ、白哉君だけ緑茶ね」
京楽は、キッチンに茶をいれにいった。
「白哉、ルキアちゃんと一護君はどうしている?」
「ああ、あの二人か。正式に付き合いだして半月になるが、仲は良いようだ。太陽の王・・・ネモフィラ畑の全てのあやかしが、太陽の王である黒崎一護の恩恵を受けて、妖力が高まって進化しているらしい」
「一護君がいるだけで進化か・・・・さすが、太陽の王だけあるな」
「ルキアは、いずれ太陽の王の妻になるであろう。名誉なことだ」
「ちょっと気が早いんじゃないか?まだ付き合いだして半月だろう」
浮竹がそう言うと、白哉は首を横にふった。
「すでに、太陽の王と婚約を交わしている」
「正式な契約でか?」
「その通りだ」
「ふむ・・・・太陽の王に嫁ぐということは、ネモフィラの女王になるってことだな」
「もともと、ルキアはネモフィラの花鬼たちを統べる長だ。存在意味はあまり変わらないであろう」
そこへ、京楽がいい匂いのするトレイをもってくる。
「お茶、いれてきたよ」
「ああ、ありがとう。京楽は、そういえばなぜ、こんなに茶をいれるのがうまいんだ?」
「あー。実家に、紅茶を入れる専門の職人がいてね。けっこうな年で・・・・さっきの茶翁にちょっと似てるかな。彼から、暇な時に手ほどきを受けたんだよ。元々紅茶好きだったから。ボクがいれるお茶がおいしいって、兄が珍しく褒めてくれてね。嬉しくて、更に腕を磨いて、両親にもおいしいって言わせた」
「京楽の家族に、一度会ってみたいな」
「十四郎に会わせれるのは、兄くらいかな。両親は偏見が強いから」
「そうか・・・・・」
浮竹は、少し残念そうに笑った。
「そうそう、茶菓子に、ボクがこの前十四郎に教えてもらった形で、クッキー焼いてみたのを混ぜてあるんだ。味はまぁまぁだと思うから、食べてみて?」
「ん・・・これか。どれどれ」
「このクッキーを、兄が焼いただと・・・・浮竹が焼いてちょっと失敗したものかと思った。まぁまぁ、うまいではないか」
「お、白哉君がそう言ってくれると嬉しいねぇ」
「本当だ。けっこうおいしい」
浮竹も、びっくりしていた。
「京楽、料理を俺から習ってみないか?」
「気が向いたらね。浮竹のおいしいごはんが食べたいから」
「浮竹、兄の作る料理が生きてきた中で一案美味い」
「白哉君の言う通りだね」
「まぁ、昔になるが、料理の学校にも通っていたしな。料理は完全な趣味だな」
「あれ?茶翁のおいていった麻袋の中に、茶葉以外の何かが入ってるね」
京楽が、ごそごそと茶葉をどけてそれを掴む。
「・・・・・チュールだ」
茶翁とは古くからの知り合いなので、浮竹と白哉が猫の姿をとる時があるのを知っていた。
「チュール!京楽、黒猫になるから、兄が私に食べさせろ。兄からもらうチュールはうまいのだ」
「いや、チュールって誰があげても一緒じゃない?」
「そうでもないぞ。あやかしに関係のある人物だと、ものの味が変わる時がある」
浮竹の言葉に、京楽は興味深そうになった。
「チュール!にゃあああ」
白哉が、チュールをもらう合図のように、京楽の頭をかじる。
「白哉君、毎度頭をかじるのやめてよ」
「そうだぞ、白哉。京楽のアホがうつるぞ」
そう言われながら、京楽は黒猫になった白哉にチュールを与えた。
紅茶を飲んで、茶菓子も食べて、浮竹もオッドアイの白猫の子猫姿になると、京楽にチュールをねだる。
「ああ、白哉君もだけど、十四郎も猫になるとかわいいねぇ。あやかし姿もかわいいけど」
「にゃあああ」
浮竹は、京楽の手からチュールをもらう。
浮竹はチュールを食べ終わると、白哉の黒い毛皮をなめた。
白哉も、浮竹の白い毛皮をなめる。
それを、京楽はかわいいなぁと見ていた。
「そうだ。猫の姿で、お風呂いれてあげたい。猫用シャンプー買ってあるんだよ」
「猫の姿で、風呂に入るのか?」
「私はかまわんが・・・・・」
「じゃあ、十四郎も白哉君も、そのままの姿でいてね。猫用シャンプーとってくるから」
そう言って、京楽は一度奥に消えると、バスタオルとドライヤーと猫用シャンプーを手に戻ってきた。
「さぁ、お風呂に入ろうか」
「京楽、兄が言うと卑猥に聞こえる」
「ちょ、白哉君!この前、十四郎とお風呂でエッチしたの、気づいてた?」
「匂いが残っていた」
白哉は、あやかしだけに鼻がいい。それは、浮竹とて同じであるが。
「京楽、風呂ではもうしないからな」
「まぁ、それはまた今度話そう。お風呂入るよー」
「にゃあああああ」
「にゃああ!」
二人というか二匹は、京楽にシャンプーをしてもらい、洗われてバスタオルで包まれて水分をふきとり、ドライヤーでかわかされると、気持ちのよさから二匹は猫の姿のまま丸まって、ソファーで眠ってしまった。
「かわいい・・・写真とろう。スマホスマホ・・・」
京楽が、二人の姿をスマホで写真をとる。
それを待ち受け画面にした。
茶翁が、その腕を見込まれて、長老神の藍染に茶を入れろと命令されて、反発して亡き者にされるのは、茶翁が浮竹たちの元を去ってから、一週間後の出来事であった。
「ああ、茶のあやかしの茶翁(ちゃおきな)か。この前もらったアッサムの紅茶、すごくおいしかったぞ」
「そりゃ、わしが栽培したものは世界一だからのお」
「スケールがでかいな。でも、確かに茶翁の茶はうまい」
京楽の3億のマンションに、茶翁が訪ねてきていた。
「このおじいさん、茶翁っていうんだ」
「京楽、兄は知らんだろうが、茶翁は齢千年を超すけっこう大物のあやかしだ」
「うへぇ。千年・・・・・・」
「私で二百年だからな。茶翁はけっこうな先輩だ」
白哉は、茶翁に頭を下げた。
「おう、白哉坊か。変わらず、桜の王と同じで綺麗じゃのう」
「本当のことを言っても何もならないぞ」
「かっかっかっか。それでこそ、桜の王の弟のような存在というのものじゃ」
茶翁は、和服をきたただの人間に見えるが、その妖力が分かる者には、大物だと分かる存在であった。
桜の王である浮竹の妖力は、妖力の分かるものにもはかりきれず、白哉の妖力もとても大きかった。
「じゃあ、わしはまた新しい茶を栽培するかのう」
「今度は、緑茶で頼む」
白哉がそう言うと、茶翁は恰幅よく笑った。
「わかったわかった。今度は、緑茶を栽培することにするとしようかのう」
ダージリンの茶葉の入った、麻袋をおいて、茶翁は35階のベランダから飛び降りていった。
「だから、ここ35階・・・・・・・・」
京楽がそういうが、浮竹の元を訪れるあやかしの大半が、35階のベランダから飛び降りて、地面に激突することなく、異界のゲートを開いて帰っていく。
「京楽、早速茶をいれてくれ」
「分かったよ。茶菓子は、この前十四郎が作っていたワッフルでいいかい?」
「ああ、かまわない」
「京楽、私には緑茶を」
「白哉君は緑茶ばっかりだね。たまには、紅茶飲んでみたら?」
「紅茶は私の口にあわぬ。緑茶のしぶさがうまいのだ]
「はいはい。じゃあ、白哉君だけ緑茶ね」
京楽は、キッチンに茶をいれにいった。
「白哉、ルキアちゃんと一護君はどうしている?」
「ああ、あの二人か。正式に付き合いだして半月になるが、仲は良いようだ。太陽の王・・・ネモフィラ畑の全てのあやかしが、太陽の王である黒崎一護の恩恵を受けて、妖力が高まって進化しているらしい」
「一護君がいるだけで進化か・・・・さすが、太陽の王だけあるな」
「ルキアは、いずれ太陽の王の妻になるであろう。名誉なことだ」
「ちょっと気が早いんじゃないか?まだ付き合いだして半月だろう」
浮竹がそう言うと、白哉は首を横にふった。
「すでに、太陽の王と婚約を交わしている」
「正式な契約でか?」
「その通りだ」
「ふむ・・・・太陽の王に嫁ぐということは、ネモフィラの女王になるってことだな」
「もともと、ルキアはネモフィラの花鬼たちを統べる長だ。存在意味はあまり変わらないであろう」
そこへ、京楽がいい匂いのするトレイをもってくる。
「お茶、いれてきたよ」
「ああ、ありがとう。京楽は、そういえばなぜ、こんなに茶をいれるのがうまいんだ?」
「あー。実家に、紅茶を入れる専門の職人がいてね。けっこうな年で・・・・さっきの茶翁にちょっと似てるかな。彼から、暇な時に手ほどきを受けたんだよ。元々紅茶好きだったから。ボクがいれるお茶がおいしいって、兄が珍しく褒めてくれてね。嬉しくて、更に腕を磨いて、両親にもおいしいって言わせた」
「京楽の家族に、一度会ってみたいな」
「十四郎に会わせれるのは、兄くらいかな。両親は偏見が強いから」
「そうか・・・・・」
浮竹は、少し残念そうに笑った。
「そうそう、茶菓子に、ボクがこの前十四郎に教えてもらった形で、クッキー焼いてみたのを混ぜてあるんだ。味はまぁまぁだと思うから、食べてみて?」
「ん・・・これか。どれどれ」
「このクッキーを、兄が焼いただと・・・・浮竹が焼いてちょっと失敗したものかと思った。まぁまぁ、うまいではないか」
「お、白哉君がそう言ってくれると嬉しいねぇ」
「本当だ。けっこうおいしい」
浮竹も、びっくりしていた。
「京楽、料理を俺から習ってみないか?」
「気が向いたらね。浮竹のおいしいごはんが食べたいから」
「浮竹、兄の作る料理が生きてきた中で一案美味い」
「白哉君の言う通りだね」
「まぁ、昔になるが、料理の学校にも通っていたしな。料理は完全な趣味だな」
「あれ?茶翁のおいていった麻袋の中に、茶葉以外の何かが入ってるね」
京楽が、ごそごそと茶葉をどけてそれを掴む。
「・・・・・チュールだ」
茶翁とは古くからの知り合いなので、浮竹と白哉が猫の姿をとる時があるのを知っていた。
「チュール!京楽、黒猫になるから、兄が私に食べさせろ。兄からもらうチュールはうまいのだ」
「いや、チュールって誰があげても一緒じゃない?」
「そうでもないぞ。あやかしに関係のある人物だと、ものの味が変わる時がある」
浮竹の言葉に、京楽は興味深そうになった。
「チュール!にゃあああ」
白哉が、チュールをもらう合図のように、京楽の頭をかじる。
「白哉君、毎度頭をかじるのやめてよ」
「そうだぞ、白哉。京楽のアホがうつるぞ」
そう言われながら、京楽は黒猫になった白哉にチュールを与えた。
紅茶を飲んで、茶菓子も食べて、浮竹もオッドアイの白猫の子猫姿になると、京楽にチュールをねだる。
「ああ、白哉君もだけど、十四郎も猫になるとかわいいねぇ。あやかし姿もかわいいけど」
「にゃあああ」
浮竹は、京楽の手からチュールをもらう。
浮竹はチュールを食べ終わると、白哉の黒い毛皮をなめた。
白哉も、浮竹の白い毛皮をなめる。
それを、京楽はかわいいなぁと見ていた。
「そうだ。猫の姿で、お風呂いれてあげたい。猫用シャンプー買ってあるんだよ」
「猫の姿で、風呂に入るのか?」
「私はかまわんが・・・・・」
「じゃあ、十四郎も白哉君も、そのままの姿でいてね。猫用シャンプーとってくるから」
そう言って、京楽は一度奥に消えると、バスタオルとドライヤーと猫用シャンプーを手に戻ってきた。
「さぁ、お風呂に入ろうか」
「京楽、兄が言うと卑猥に聞こえる」
「ちょ、白哉君!この前、十四郎とお風呂でエッチしたの、気づいてた?」
「匂いが残っていた」
白哉は、あやかしだけに鼻がいい。それは、浮竹とて同じであるが。
「京楽、風呂ではもうしないからな」
「まぁ、それはまた今度話そう。お風呂入るよー」
「にゃあああああ」
「にゃああ!」
二人というか二匹は、京楽にシャンプーをしてもらい、洗われてバスタオルで包まれて水分をふきとり、ドライヤーでかわかされると、気持ちのよさから二匹は猫の姿のまま丸まって、ソファーで眠ってしまった。
「かわいい・・・写真とろう。スマホスマホ・・・」
京楽が、二人の姿をスマホで写真をとる。
それを待ち受け画面にした。
茶翁が、その腕を見込まれて、長老神の藍染に茶を入れろと命令されて、反発して亡き者にされるのは、茶翁が浮竹たちの元を去ってから、一週間後の出来事であった。
「茶翁が死んだ・・・・・」
「え、どうして!?」
京楽が驚愕する。
「長老神の、藍染の怒りを買ったらしい」
「長老神とは、また厄介な存在に殺されたものだな」
「白哉の言う通りだな。「春」の時と同じように、反魂の法で茶翁は藍染の元に通っているらしい。俺たちの手で、永遠の眠りにつかせてやろう」
こうして、浮竹、京楽、白哉は茶翁を反魂の法から解放して、永遠の眠りにつかせてやった。
「茶翁・・・仇は、いつか必ずとる。「春」を反魂の法で蘇らせたのも、藍染の仕業だと分かった」
浮竹は、春の王として、いずれ長老神に挑む時がくるだろうと分かっているのだが、まだ力不足で茶翁の仇はしばしの間とれそうにないのであった。
「え、どうして!?」
京楽が驚愕する。
「長老神の、藍染の怒りを買ったらしい」
「長老神とは、また厄介な存在に殺されたものだな」
「白哉の言う通りだな。「春」の時と同じように、反魂の法で茶翁は藍染の元に通っているらしい。俺たちの手で、永遠の眠りにつかせてやろう」
こうして、浮竹、京楽、白哉は茶翁を反魂の法から解放して、永遠の眠りにつかせてやった。
「茶翁・・・仇は、いつか必ずとる。「春」を反魂の法で蘇らせたのも、藍染の仕業だと分かった」
浮竹は、春の王として、いずれ長老神に挑む時がくるだろうと分かっているのだが、まだ力不足で茶翁の仇はしばしの間とれそうにないのであった。
桜のあやかしと共に15
浮竹と京楽は、術者の浮竹と夜刀神の京楽の家にきていた。
「昔話に、花咲かじいさんという話があるだろう。あれ、俺だ」
4人でお茶をしていると、突然浮竹がそう言い出すものだから、京楽が自分でいれたアッサムの紅茶をふきだした。
「何してるんだ。汚いなぁ」
「何って、こっちのセリフだよ。花咲かじいさんが君?いつのことだい」
「だいたい、1100年くらい前のことかな。桜が枯れまくる時があって・・・長老神の仕業なんだが。それで、散ってしまった桜に、灰ではなく桜の花びらを吹き飛ばして咲かせていたら、白い髪のあやかしがいるって噂になって。じいさんのかっこして、年齢は今の姿のままで桜を咲かせ続けていたら、いつの間にか伝承になってた」
「一体君は、何をしているんだい」
「いや、だから枯れた桜を咲かせていただけだぞ?」
『それを見た人間は、驚いただろう?』
術者の浮竹の言葉に、浮竹が頷いた。
「当時はあやかしは今より恐れられていたからな。退治されそうになった。安倍晴明に」
『はぁ!?あの、安倍晴明かい!?』
「そうだぞ、夜刀神。お前は会ったことないだろう」
『当たり前でしょ。そもそも生まれてもいないよ』
「安倍晴明は強かったぞ。もっている式にされそうになった。あれほど強い術者は、陰陽師といえど、安倍晴明くらいだろうな」
『はうあー。生の安倍晴明か。会ってみたいな』
「人間の人生は短いからな。あれだけ強いと、他の術者が全部ゴミに見えた」
「術者がゴミ・・・・君がそう言うんだから、相当なものだろうね」
「長老神の藍染なんて、封印されかけてたぞ。都に穢れをふりまいていたからな」
「何やってるの長老神・・・・・」
京楽は、ため息を零す。
「長老神はある意味アホだからな。都に穢れをまいて、あやかしの世界にしようとして、安倍晴明に本当に封印というか、退治されかけていた。今思えば、あの時安倍晴明について、長老神を退治していれば、今みたいにややこしくなっていなかっただろうな」
『安倍晴明ってすごいな。その長老神を退治しそうになるなんて』
「だろう?それに、いい男だった。見た目がとてもよかった。そのせいで、女の花鬼はよく式にされていたな」
『安倍晴明と会って生きてるあやかしって、君と長老神くらいじゃない?』
夜刀神が、人の儚さを思う。
「まぁ、そうだろうな。桜の王じゃなかったら、あれの式になっていたかもしれん」
「式になったら、術者が死ぬまで使役されるんでしょう?」
「京楽と同じくらいにかっこよかったからな。式になることも少し考えた」
「桜の王が式なんて、冗談でもだめだよ」
術者の浮竹は、目を輝かせて質問してきた。
『安倍晴明ってどんなのだった!?』
「京楽みたいにかっこよかったぞ。ただの人間にしておくには惜しかったな。式にされかけなければ、契約をしていたかもしれない」
「春」や京楽と同じような、不老の契約であった。
「当時の都は魑魅魍魎が跋扈する闇を抱えていたからな。長老神は、その魑魅魍魎を自分のものにしようとして失敗して、安倍晴明に倒されかけていた。遠くから見ていたが、本当に強い陰陽師だった」
「長老神に助けろとか言われなかったの?」
「長老神とは面識がほぼないからな。俺が桜の王だとも分からなかったんじゃないか?」
『俺も安倍晴明に会ってみたい・・・・・』
『浮竹には、ボクがいるでしょ』
『でも、あの安倍晴明だぞ!』
『まぁ、気持ちは分からないでもないよ」
夜刀神は、術者の浮竹の頭を撫でた。
「安倍晴明に会ってたら、術者の俺は弟子になっていたんじゃないか。あれは、あやかしさえも超越していた。人間であるのが、おかしなくらいだった」
「相当強いんだね」
浮竹は、アッサムの紅茶のおかわりを、京楽に頼む。
「おかわり」
「はいはい」
茶葉は、浮竹がもってきたものだった。
いい茶葉が手に入ったと、茶のあやかしから無料でもらったのだ。
『それにしても、このアッサムのお茶、すごくおいしいね』
『ああ、俺もそう思った』
「茶のあやかしから手に入れたものだ。独自の方法で栽培しているらしい」
「浮竹は、白哉君みたいに緑茶は飲まずに紅茶が好きだからねぇ」
「京楽、お前のいれるお茶が一番うまい」
浮竹の褒められて、京楽は術者の浮竹と夜刀神の分のお茶のおかわりもいれた。
『ぼんぼんなのに、紅茶いれるのうまいって、不思議だな』
『人間のボクは金持ちだからねぇ』
実は、今住んでいる3億のマンションの他にも、3つの別荘と、2つの家をもっていた。
「今度、北海道の別荘に行こうと思ってるんだ。よければ、君たちもどうだい?」
『え、いいのか?』
『別荘・・・・やっぱりぼんぼんだね』
「まぁ、国内でも有数のグループの次男だからね。ほとんどほっぽりだされてるけど、金だけはある程度もらって、放置されてる」
「京楽、肉親がいなくて寂しいか?」
「いや?十四郎がいるから、寂しくないよ」
「春水・・・・」
「十四郎・・・・・」
二人の世界に入りそうになるのを、術者の浮竹の咳払いでなんとかなった。
『俺たちがいるのを、忘れないようにな』
『ボクたちがいない場所で、いちゃついてね?』
「ごほん。まぁ、安倍晴明の昔話をしてやる。興味をもって、当時いろいろ調べたんだ」
浮竹の話に、3人はのめりこむ。
「というのが、安倍晴明だ」
『スケールが違う』
『帝とか、時代も違うからねぇ』
「まぁ、俺の話はこれくらいだな。また何かネタを思い出したら、聞かせてやる」
『楽しみにしとくな!』
『さすがは5千年も生きているだけあるね』
「ボクにもちゃんと教えてね?」
京楽は、浮竹の過去を詮索しないが、興味はあった。
「春」の存在があったので、浮竹の過去は詮索しないことにしていた。
「じゃあ、俺たちはこれで帰る。また遊びにくる」
「またね~。あ、浮竹アッサムの茶葉渡さないと」
「ああ、忘れるところだった。あやかし印のアッサムの茶葉だ。市場に出回っている高級品よりうまい」
『ありがとう。ありがたく、もらっておく』
「術者の俺の作ったレアチーズケーキうまかったぞ。腕をあげたな」
『何度か作って練習したからな』
『ボクの浮竹はなんでもこなすからねぇ』
「では、帰る。行き来が面倒なので、桜の世界を通って帰る。京楽、異界に入るから、迷子にならないように手を繋ぐぞ」
「うん」
京楽は、うれしそうに返事をする。
二人は、手をつないで、浮竹が出した異界のゲートを通って帰ってしまった。
異界を通ると、長距離でも知って居る場所なら、すぐに到着する。
ただ、異界は不安定なので、安定している時しか利用できなかった。
京楽は、異界で桜を見ていた。
樹齢数千年はあるだろうという、桜だった。
「これが、俺の本体だ」
「へぇ。これが、浮竹そのもの・・・・・」
「人の世界では伐採されるから、異界で生きてる。で、あやかしの俺は人間界にいるわけだ。異界にある限り、人の手で伐採されることはないからな。それに、俺の許可がないと、この桜の世界には出入りできない。白哉には許可しているが」
「白哉君は、浮竹の本体から株分けされた桜なんだっけ」
「そうだぞ。弟のようなものだ」
「浮竹の桜、綺麗だね。浮竹そのものってかんじがするよ」
浮竹と京楽は、桜の世界で口づけて、手を繋いで3億のマンションに戻る。
「以外と早かったな」
異界から出ると、白哉がいた。
「ああ、桜の世界を通っていったからな」
「異界を通ったのか。浮竹、兄はいいが、京楽は慣れていないので迷い人になる可能性があるから、手をつなぐなりするべきだぞ」
「手を繋いで帰ってきたよ」
「それなら、問題はないな」
「少し早いが、夕食の準備をするか。京楽、白哉、何が食べたい?」
「カレー」
「オムライス」
「簡単だし、両方作るか」
そう言って、浮竹はキッチンに消えていくのであった。
「昔話に、花咲かじいさんという話があるだろう。あれ、俺だ」
4人でお茶をしていると、突然浮竹がそう言い出すものだから、京楽が自分でいれたアッサムの紅茶をふきだした。
「何してるんだ。汚いなぁ」
「何って、こっちのセリフだよ。花咲かじいさんが君?いつのことだい」
「だいたい、1100年くらい前のことかな。桜が枯れまくる時があって・・・長老神の仕業なんだが。それで、散ってしまった桜に、灰ではなく桜の花びらを吹き飛ばして咲かせていたら、白い髪のあやかしがいるって噂になって。じいさんのかっこして、年齢は今の姿のままで桜を咲かせ続けていたら、いつの間にか伝承になってた」
「一体君は、何をしているんだい」
「いや、だから枯れた桜を咲かせていただけだぞ?」
『それを見た人間は、驚いただろう?』
術者の浮竹の言葉に、浮竹が頷いた。
「当時はあやかしは今より恐れられていたからな。退治されそうになった。安倍晴明に」
『はぁ!?あの、安倍晴明かい!?』
「そうだぞ、夜刀神。お前は会ったことないだろう」
『当たり前でしょ。そもそも生まれてもいないよ』
「安倍晴明は強かったぞ。もっている式にされそうになった。あれほど強い術者は、陰陽師といえど、安倍晴明くらいだろうな」
『はうあー。生の安倍晴明か。会ってみたいな』
「人間の人生は短いからな。あれだけ強いと、他の術者が全部ゴミに見えた」
「術者がゴミ・・・・君がそう言うんだから、相当なものだろうね」
「長老神の藍染なんて、封印されかけてたぞ。都に穢れをふりまいていたからな」
「何やってるの長老神・・・・・」
京楽は、ため息を零す。
「長老神はある意味アホだからな。都に穢れをまいて、あやかしの世界にしようとして、安倍晴明に本当に封印というか、退治されかけていた。今思えば、あの時安倍晴明について、長老神を退治していれば、今みたいにややこしくなっていなかっただろうな」
『安倍晴明ってすごいな。その長老神を退治しそうになるなんて』
「だろう?それに、いい男だった。見た目がとてもよかった。そのせいで、女の花鬼はよく式にされていたな」
『安倍晴明と会って生きてるあやかしって、君と長老神くらいじゃない?』
夜刀神が、人の儚さを思う。
「まぁ、そうだろうな。桜の王じゃなかったら、あれの式になっていたかもしれん」
「式になったら、術者が死ぬまで使役されるんでしょう?」
「京楽と同じくらいにかっこよかったからな。式になることも少し考えた」
「桜の王が式なんて、冗談でもだめだよ」
術者の浮竹は、目を輝かせて質問してきた。
『安倍晴明ってどんなのだった!?』
「京楽みたいにかっこよかったぞ。ただの人間にしておくには惜しかったな。式にされかけなければ、契約をしていたかもしれない」
「春」や京楽と同じような、不老の契約であった。
「当時の都は魑魅魍魎が跋扈する闇を抱えていたからな。長老神は、その魑魅魍魎を自分のものにしようとして失敗して、安倍晴明に倒されかけていた。遠くから見ていたが、本当に強い陰陽師だった」
「長老神に助けろとか言われなかったの?」
「長老神とは面識がほぼないからな。俺が桜の王だとも分からなかったんじゃないか?」
『俺も安倍晴明に会ってみたい・・・・・』
『浮竹には、ボクがいるでしょ』
『でも、あの安倍晴明だぞ!』
『まぁ、気持ちは分からないでもないよ」
夜刀神は、術者の浮竹の頭を撫でた。
「安倍晴明に会ってたら、術者の俺は弟子になっていたんじゃないか。あれは、あやかしさえも超越していた。人間であるのが、おかしなくらいだった」
「相当強いんだね」
浮竹は、アッサムの紅茶のおかわりを、京楽に頼む。
「おかわり」
「はいはい」
茶葉は、浮竹がもってきたものだった。
いい茶葉が手に入ったと、茶のあやかしから無料でもらったのだ。
『それにしても、このアッサムのお茶、すごくおいしいね』
『ああ、俺もそう思った』
「茶のあやかしから手に入れたものだ。独自の方法で栽培しているらしい」
「浮竹は、白哉君みたいに緑茶は飲まずに紅茶が好きだからねぇ」
「京楽、お前のいれるお茶が一番うまい」
浮竹の褒められて、京楽は術者の浮竹と夜刀神の分のお茶のおかわりもいれた。
『ぼんぼんなのに、紅茶いれるのうまいって、不思議だな』
『人間のボクは金持ちだからねぇ』
実は、今住んでいる3億のマンションの他にも、3つの別荘と、2つの家をもっていた。
「今度、北海道の別荘に行こうと思ってるんだ。よければ、君たちもどうだい?」
『え、いいのか?』
『別荘・・・・やっぱりぼんぼんだね』
「まぁ、国内でも有数のグループの次男だからね。ほとんどほっぽりだされてるけど、金だけはある程度もらって、放置されてる」
「京楽、肉親がいなくて寂しいか?」
「いや?十四郎がいるから、寂しくないよ」
「春水・・・・」
「十四郎・・・・・」
二人の世界に入りそうになるのを、術者の浮竹の咳払いでなんとかなった。
『俺たちがいるのを、忘れないようにな』
『ボクたちがいない場所で、いちゃついてね?』
「ごほん。まぁ、安倍晴明の昔話をしてやる。興味をもって、当時いろいろ調べたんだ」
浮竹の話に、3人はのめりこむ。
「というのが、安倍晴明だ」
『スケールが違う』
『帝とか、時代も違うからねぇ』
「まぁ、俺の話はこれくらいだな。また何かネタを思い出したら、聞かせてやる」
『楽しみにしとくな!』
『さすがは5千年も生きているだけあるね』
「ボクにもちゃんと教えてね?」
京楽は、浮竹の過去を詮索しないが、興味はあった。
「春」の存在があったので、浮竹の過去は詮索しないことにしていた。
「じゃあ、俺たちはこれで帰る。また遊びにくる」
「またね~。あ、浮竹アッサムの茶葉渡さないと」
「ああ、忘れるところだった。あやかし印のアッサムの茶葉だ。市場に出回っている高級品よりうまい」
『ありがとう。ありがたく、もらっておく』
「術者の俺の作ったレアチーズケーキうまかったぞ。腕をあげたな」
『何度か作って練習したからな』
『ボクの浮竹はなんでもこなすからねぇ』
「では、帰る。行き来が面倒なので、桜の世界を通って帰る。京楽、異界に入るから、迷子にならないように手を繋ぐぞ」
「うん」
京楽は、うれしそうに返事をする。
二人は、手をつないで、浮竹が出した異界のゲートを通って帰ってしまった。
異界を通ると、長距離でも知って居る場所なら、すぐに到着する。
ただ、異界は不安定なので、安定している時しか利用できなかった。
京楽は、異界で桜を見ていた。
樹齢数千年はあるだろうという、桜だった。
「これが、俺の本体だ」
「へぇ。これが、浮竹そのもの・・・・・」
「人の世界では伐採されるから、異界で生きてる。で、あやかしの俺は人間界にいるわけだ。異界にある限り、人の手で伐採されることはないからな。それに、俺の許可がないと、この桜の世界には出入りできない。白哉には許可しているが」
「白哉君は、浮竹の本体から株分けされた桜なんだっけ」
「そうだぞ。弟のようなものだ」
「浮竹の桜、綺麗だね。浮竹そのものってかんじがするよ」
浮竹と京楽は、桜の世界で口づけて、手を繋いで3億のマンションに戻る。
「以外と早かったな」
異界から出ると、白哉がいた。
「ああ、桜の世界を通っていったからな」
「異界を通ったのか。浮竹、兄はいいが、京楽は慣れていないので迷い人になる可能性があるから、手をつなぐなりするべきだぞ」
「手を繋いで帰ってきたよ」
「それなら、問題はないな」
「少し早いが、夕食の準備をするか。京楽、白哉、何が食べたい?」
「カレー」
「オムライス」
「簡単だし、両方作るか」
そう言って、浮竹はキッチンに消えていくのであった。
桜のあやかしと共に14
「十四郎」
「ん・・・なんだ、こんな早朝に」
「桔梗の王がきてるよ」
「なんだって!」
浮竹は、起き上がって顔を洗い、身支度を整えて、桔梗の王である卯ノ花烈と会った。
「この前は、どうもありがとうございました。おかげで病は癒え、秋を花の世界に知らせられます」
「いや、穢れが原因だからな。長老神のせいだろうが、彼が何を考えているのかわからない」
「それは私にもわかりません。今回はその件ではなく、ある少年と会ってほしいのです」
卯ノ花は、真剣な表情で、浮竹を見る。
「少年?」
「名は黒崎一護。太陽の花、たんぽぽのあやかしです。ネモフィラ畑に場違いで咲いていて、こちらにおられる朽木白哉さんの妹さんの朽木ルキアさんが見つけられました。たんぽぽのあやかしは太陽の王。植物のあやかし全ての上を行く者・・・・・・」
「長老神より上の、太陽の王だって!?」
浮竹は驚いた。
たんぽぽはただの雑草で珍しくないが、それゆえにあやかしが生まれることがない。
ここ5千年、浮竹は太陽の王を見たことがなかった。
「それが本当なら、ぜひ会いたい」
「すでに、隣の部屋で待機してもらっています」
「会おう。京楽も、白哉もこい」
「うん」
「分かった」
隣の部屋に、浮竹、京楽、白哉、卯ノ花が集まった。
「あの、なんすか。いきなりついて来いって言われてついてきたら、こんな高そうなマンションに入って・・・俺、なんなんだ?植物のあやかしっていうのは理解してるけど、たんぽぽのあやかしだって言ったら、ルキアが仰天してた」
「あなたは、太陽の王です」
卯ノ花がが言った。
「太陽の王?なんだそれ」
「あやかしには、4大長老が存在する。俺の春の桜の王、市丸ギンの夏の朝顔の王、ここいる卯ノ花さんの秋の桔梗の王、そして日番谷冬獅郎という冬の椿の王」
浮竹が、一護に説明する。
「その上に、長老神がいる。だが、太陽の王はその長老神より上の存在だ。6千年前にいた太陽の王はオレンジの髪をしていたという。その髪が、太陽の王の証だろう」
「はぁ・・・・・・」
浮竹は、まだわかっていない一護に、さらに説明する。
「太陽の王は、植物のあやかしの頂点だ。つまり、君はとっても偉い存在ってことだ」
「はぁ。そういわれても、実感わきません。ネモフィラ畑に帰っていいっすか?ルキアに会いたい」
一護は、囲まれて居づらそうにしていた。
「兄は、ルキアと良い仲なのか?」
「ん?あー、なんか俺をみつけてくれていろいろ世話してくれるから、かわいいし、好きかな」
一護は、ルキアのことを思う。
「兄が太陽の王であるのならば、ルキアにとっても悪いことではない。妹を頼む」
「え、あんたルキアのお兄さん!?」
「ああ、そうだ」
「全然似てない・・・・・・」
「ルキアとは、契約で家族になったので、血は繋がっていない」
「そうなんすか」
一護は、納得したようだった。
一護がトイレに行きたいというので、とりあえず部屋から出す。
「太陽の王だ・・・・・これからどうする?」
浮竹が言うと、京楽が口を開いた。
「放置するわけにもいかず、かといって長老神がいるのに崇めるわけにもいかず・・・とりあえず、元のネモフィラ畑に隠しとけばいいんじゃない?」
「そうだな。長老神に見つかるのが一番厄介だ。元のネモフィラ畑で、雑草としていてもらおう」
浮竹の言葉に、皆頷いた。
ちょうど、一護が帰ってくる。
「黒崎一護さん。あなたの太陽の王のことは内密に。今まで通り、ただの雑草のあやかしとして生きてください」
卯ノ花の言葉に、一護が首を傾げる。
「いや、ルキアくらいしか知ってないし・・・・・」
「そのまま。他言無用でお願いします」
「あー、なんかいろいろごちゃごちゃして分かりにくいけど、俺ってアホみたいに偉くて、長老神とやらにばれたらまずいってことでいいんすね?」
「そうだな」
「そうだね」
「兄は、植物のあやかしのTOPだ」
「白哉さんのいう通りです」
4人に言われて、一護はオレンジの髪をつまんだ。
「この髪が、太陽の王の証なんだろ?染めたほうがいいかな?」
「いや、逆に染めていると思われるのでそのままでいい」
浮竹がそう言うと、一護は頷いた。
「俺、この髪の色すきだし・・・・ルキアが、太陽みたいだっていって、笑ってくれた」
一護とルキアは、実は付き合いはじめていた。
「白哉だっけ・・・ルキアのお兄さん。ルキアと、正式に付き合うの、認めてくれねーか」
「ルキアが望むのであれば、私が兄に言うことは、ルキアを頼む・・・・これくらいだ」
「おう、任せてくれ。絶対、幸せにしてみせるから」
こうして、太陽の王、黒崎一護はその存在を隠され、ルキアのいるネモフィラ畑に雑草として咲いていた。
「長老神に、ばれなければいいが・・・・」
「十四郎、ばれても長老神より太陽の王のほうが力はだんとつに上だから、安心しなよ」
「そうだな。悩んでも仕方ない」
こうして、太陽の王は実に6千年ぶりに世界に顕現するのであった。
「ん・・・なんだ、こんな早朝に」
「桔梗の王がきてるよ」
「なんだって!」
浮竹は、起き上がって顔を洗い、身支度を整えて、桔梗の王である卯ノ花烈と会った。
「この前は、どうもありがとうございました。おかげで病は癒え、秋を花の世界に知らせられます」
「いや、穢れが原因だからな。長老神のせいだろうが、彼が何を考えているのかわからない」
「それは私にもわかりません。今回はその件ではなく、ある少年と会ってほしいのです」
卯ノ花は、真剣な表情で、浮竹を見る。
「少年?」
「名は黒崎一護。太陽の花、たんぽぽのあやかしです。ネモフィラ畑に場違いで咲いていて、こちらにおられる朽木白哉さんの妹さんの朽木ルキアさんが見つけられました。たんぽぽのあやかしは太陽の王。植物のあやかし全ての上を行く者・・・・・・」
「長老神より上の、太陽の王だって!?」
浮竹は驚いた。
たんぽぽはただの雑草で珍しくないが、それゆえにあやかしが生まれることがない。
ここ5千年、浮竹は太陽の王を見たことがなかった。
「それが本当なら、ぜひ会いたい」
「すでに、隣の部屋で待機してもらっています」
「会おう。京楽も、白哉もこい」
「うん」
「分かった」
隣の部屋に、浮竹、京楽、白哉、卯ノ花が集まった。
「あの、なんすか。いきなりついて来いって言われてついてきたら、こんな高そうなマンションに入って・・・俺、なんなんだ?植物のあやかしっていうのは理解してるけど、たんぽぽのあやかしだって言ったら、ルキアが仰天してた」
「あなたは、太陽の王です」
卯ノ花がが言った。
「太陽の王?なんだそれ」
「あやかしには、4大長老が存在する。俺の春の桜の王、市丸ギンの夏の朝顔の王、ここいる卯ノ花さんの秋の桔梗の王、そして日番谷冬獅郎という冬の椿の王」
浮竹が、一護に説明する。
「その上に、長老神がいる。だが、太陽の王はその長老神より上の存在だ。6千年前にいた太陽の王はオレンジの髪をしていたという。その髪が、太陽の王の証だろう」
「はぁ・・・・・・」
浮竹は、まだわかっていない一護に、さらに説明する。
「太陽の王は、植物のあやかしの頂点だ。つまり、君はとっても偉い存在ってことだ」
「はぁ。そういわれても、実感わきません。ネモフィラ畑に帰っていいっすか?ルキアに会いたい」
一護は、囲まれて居づらそうにしていた。
「兄は、ルキアと良い仲なのか?」
「ん?あー、なんか俺をみつけてくれていろいろ世話してくれるから、かわいいし、好きかな」
一護は、ルキアのことを思う。
「兄が太陽の王であるのならば、ルキアにとっても悪いことではない。妹を頼む」
「え、あんたルキアのお兄さん!?」
「ああ、そうだ」
「全然似てない・・・・・・」
「ルキアとは、契約で家族になったので、血は繋がっていない」
「そうなんすか」
一護は、納得したようだった。
一護がトイレに行きたいというので、とりあえず部屋から出す。
「太陽の王だ・・・・・これからどうする?」
浮竹が言うと、京楽が口を開いた。
「放置するわけにもいかず、かといって長老神がいるのに崇めるわけにもいかず・・・とりあえず、元のネモフィラ畑に隠しとけばいいんじゃない?」
「そうだな。長老神に見つかるのが一番厄介だ。元のネモフィラ畑で、雑草としていてもらおう」
浮竹の言葉に、皆頷いた。
ちょうど、一護が帰ってくる。
「黒崎一護さん。あなたの太陽の王のことは内密に。今まで通り、ただの雑草のあやかしとして生きてください」
卯ノ花の言葉に、一護が首を傾げる。
「いや、ルキアくらいしか知ってないし・・・・・」
「そのまま。他言無用でお願いします」
「あー、なんかいろいろごちゃごちゃして分かりにくいけど、俺ってアホみたいに偉くて、長老神とやらにばれたらまずいってことでいいんすね?」
「そうだな」
「そうだね」
「兄は、植物のあやかしのTOPだ」
「白哉さんのいう通りです」
4人に言われて、一護はオレンジの髪をつまんだ。
「この髪が、太陽の王の証なんだろ?染めたほうがいいかな?」
「いや、逆に染めていると思われるのでそのままでいい」
浮竹がそう言うと、一護は頷いた。
「俺、この髪の色すきだし・・・・ルキアが、太陽みたいだっていって、笑ってくれた」
一護とルキアは、実は付き合いはじめていた。
「白哉だっけ・・・ルキアのお兄さん。ルキアと、正式に付き合うの、認めてくれねーか」
「ルキアが望むのであれば、私が兄に言うことは、ルキアを頼む・・・・これくらいだ」
「おう、任せてくれ。絶対、幸せにしてみせるから」
こうして、太陽の王、黒崎一護はその存在を隠され、ルキアのいるネモフィラ畑に雑草として咲いていた。
「長老神に、ばれなければいいが・・・・」
「十四郎、ばれても長老神より太陽の王のほうが力はだんとつに上だから、安心しなよ」
「そうだな。悩んでも仕方ない」
こうして、太陽の王は実に6千年ぶりに世界に顕現するのであった。
梅の花
「そろそろ、梅の花が咲く時期ですね」
「ああ、そうだな」
朽木邸の中庭に繋がる縁側で、恋次は茶菓子に出されたわかめ大使を食べながら、白哉を見た。
白哉は、咲き始めた梅の花を、懐かしそうに見ていた。
「緋真は、梅の花が好きで・・・・緋真のために、中庭に梅を木を植えたのだ」
「そうっすか」
今は亡き、妻を白哉は懐かしそうに空を見上げた。
「梅の花が咲くたびに、緋真を思い出す」
「今は、俺のことも考えてくださいよ?」
「わかっている」
白哉は、子供のようにすねる恋次の口に、わかめ大使をつめこむ。
「もがががが」
「私は、今は貴様を愛している」
「隊長・・・・・・」
恋次が抱きついてきた。
それを許してしまうあたり、恋次を愛してしまった故か。
「兄様、恋次が来ていると聞きましたが・・::」
ルキアの声が聞こえると、白哉は恋次を庭に転がした。
「恋次?貴様、そのような場所で、何をしておるのだ」
「いや、隊長、いくらなんでもひどいっす」
「うるさい」
白哉は、何もなかったかのように玉露のお茶を飲む。
「恋次は、この庭の土が好きだそうだ」
「そうなのか、恋次!この朽木家の庭師は手がよくてだな・・・・・」
ルキアの話をえんえんと恋次は聞かされる。
ルキアが満足して去っていった頃には、夕刻になっていた。
「ひどいっす、隊長」
「そうすねるな。何もしないのであれば、同じ褥で寝てやる」
「せめて、キスとハグくらいはさせてください」
「仕方ない・・・・・・・」
白哉は、恋次に大分甘くなっていた。
雪解け水のように、凍っていた白哉の心を、恋次が溶かしてしまった。
「緋真のことは永遠に忘れないし、今も愛している。でも、私は今は恋次、お前のほうをもっと愛してしまっているのだ」
「鼻血でてきた・・・・」
「貴様・・・」
「す、すんません。でも、鼻血でるくらいうれしいです」
「ふっ・・・今日は泊まっていくのであろう」
「そのつもりです」
付き合いはじめて、恋次が白哉のところに泊まっていく回数が増えた、
1週間に一度ほど、別の屋敷で会い、逢瀬をしているが。
白哉の近くに、恋次はいるようになっていた。
「私も、甘くなったものだな・・・・・・」
「なんか言いました?」
わかめ大使を食べながら、恋次が聞いてくる。
「いや、なんでもない」
緋真。
そなだだけを永遠に愛すると言って死別してしまったのに、裏切ってしまいすまない。
だが、私には今は恋次が必要なのだ。
どうか、許してほしい。、
緋真。
愚かな私を、許してくれ。
「ああ、そうだな」
朽木邸の中庭に繋がる縁側で、恋次は茶菓子に出されたわかめ大使を食べながら、白哉を見た。
白哉は、咲き始めた梅の花を、懐かしそうに見ていた。
「緋真は、梅の花が好きで・・・・緋真のために、中庭に梅を木を植えたのだ」
「そうっすか」
今は亡き、妻を白哉は懐かしそうに空を見上げた。
「梅の花が咲くたびに、緋真を思い出す」
「今は、俺のことも考えてくださいよ?」
「わかっている」
白哉は、子供のようにすねる恋次の口に、わかめ大使をつめこむ。
「もがががが」
「私は、今は貴様を愛している」
「隊長・・・・・・」
恋次が抱きついてきた。
それを許してしまうあたり、恋次を愛してしまった故か。
「兄様、恋次が来ていると聞きましたが・・::」
ルキアの声が聞こえると、白哉は恋次を庭に転がした。
「恋次?貴様、そのような場所で、何をしておるのだ」
「いや、隊長、いくらなんでもひどいっす」
「うるさい」
白哉は、何もなかったかのように玉露のお茶を飲む。
「恋次は、この庭の土が好きだそうだ」
「そうなのか、恋次!この朽木家の庭師は手がよくてだな・・・・・」
ルキアの話をえんえんと恋次は聞かされる。
ルキアが満足して去っていった頃には、夕刻になっていた。
「ひどいっす、隊長」
「そうすねるな。何もしないのであれば、同じ褥で寝てやる」
「せめて、キスとハグくらいはさせてください」
「仕方ない・・・・・・・」
白哉は、恋次に大分甘くなっていた。
雪解け水のように、凍っていた白哉の心を、恋次が溶かしてしまった。
「緋真のことは永遠に忘れないし、今も愛している。でも、私は今は恋次、お前のほうをもっと愛してしまっているのだ」
「鼻血でてきた・・・・」
「貴様・・・」
「す、すんません。でも、鼻血でるくらいうれしいです」
「ふっ・・・今日は泊まっていくのであろう」
「そのつもりです」
付き合いはじめて、恋次が白哉のところに泊まっていく回数が増えた、
1週間に一度ほど、別の屋敷で会い、逢瀬をしているが。
白哉の近くに、恋次はいるようになっていた。
「私も、甘くなったものだな・・・・・・」
「なんか言いました?」
わかめ大使を食べながら、恋次が聞いてくる。
「いや、なんでもない」
緋真。
そなだだけを永遠に愛すると言って死別してしまったのに、裏切ってしまいすまない。
だが、私には今は恋次が必要なのだ。
どうか、許してほしい。、
緋真。
愚かな私を、許してくれ。
オメガバース恋白8
「隊長、大丈夫っすか?ヒート期間の終わりとはいえ、そんなに薬服用して仕事したりして・・・・・・」
「大丈夫だ。ヒート期間の1週間は長すぎる。仕事がたまる一方だ」
「だからって、薬飲んでまでおさえなくても・・・・・」
「貴様も、ぼーっとしていないで仕事をしろ」
「はいはい」
白哉は、やや潤んだ目をしていた。
ヒート期間の終わりで、激しい性衝動を薬で無理やりおさえつけていた。
昔、ヒートがくるとずっとそうしていた。
「隊長、熱ありますよ」
恋次が、ふと白哉の額を触った。
「けっこうありますね・・・ふらつきませんか?めまいは?」
「・・・・恋次。だめだ。なぜだ、薬が前ほど効かぬ・・・・恋次、ヒートが終わっていない。私を抱いて鎮めてくれ」
「隊長・・・・・・・・」
潤んだ瞳で見上げられて、その言葉だけで恋次の我慢の糸は切れた。
「隊首室いきましょう・・・・・」
「ああ・・・・・」
白哉を姫抱きして、隊首室においてあるベッドに静かに寝かせた。
昨日も、さんざん交わった。
でも、恋次は若い。毎日だって平気だ。
白哉も若いし、ヒート期間中はとにかく熱くて抱かれないと苦しい。
「あ、ローション忘れた・・・・・」
「自然に濡れるから、必要ない」
「えろい・・・」
「恋次」
白哉から求めてきた。
白哉から口づけされて、恋次もそれにこたえる。
舌が絡み合うキスをしながら、お互いの死覇装を脱がしていく。白哉の場合は、隊長羽織もだ。
「んんっ」
恋次が、白哉の肌を愛撫する。
「んあっ」
胸の先端をつままれと、ぴりっとした刺激がおそいかかった。
「待てぬ。早く、私を抱け」
「隊長・・・・・・・」
恋次は、それでも白哉の快感を先に考えて、白哉のものに舌をはわせて、射精するまで手と口で刺激を与え続けた。
「ああああ!!」
びくん。
射精と同時に、体がはねる。
恋次は、ごくりと唾をのみこんで、すでにぬれている後ろに指を入れる。
「ほんとだ・・・すごい濡れてますね」
「んん・・・・・・」
指で前立腺を刺激してから、恋次は指を抜き去った。
「なぜ・・・もう少しで、いけたのに」
「隊長が言ったんでしょう。私を抱け、と。抱きますよ」
熱く昂ったものを宛がわれて、白哉は息を止める。
「いきますよ?」
「こい。ああああ!!!」
引き裂かれるが、痛みはなく、快感だけが白哉を支配する。
「あ、あ、熱くてどうにかなりそうだ・・・・早く、お前の子種を私の中で出せ」
番であるので、恋次の精液を受け取ることでヒートの熱はましになる。
「急かさないでください。隊長も、もっと俺を味わってください」
「やあああん」
「えろい声・・・・・」
恋次は、ゆっくり挿入を繰り返す。前立腺ばかりを刺激すると、白哉は吐精してしまった。
「ひあああ!!」
「隊長・・・・奥に入りますよ?」
「あ、もっと・・・・」
「はい」
最奥にある子宮にまで入りこんで、そこで精液をぶちまけた。
「ああああ!!」
びゅるびゅると、精液を受け止めて、白哉は熱が引いていくのが分かった。
でも、性欲はおさまらない。
「もっと犯せ」
「えろいこといいますね。隊長、熱あるんだから、抱き終わって清めたら解熱剤飲んで寝てくださいね」
「今はそんなことより、私を鎮めることに集中しろ」
「また、奥にだしますよ」
「んあああ!」
白哉は、二度目の精液を受け止めながら、大きく中いきしていた。
「ひあああ・・・はう」
「隊長、かわいい・・・・」
「ばかもの・・・・・」
白哉は、ヒートの熱は冷めてきたのだが、体温の熱は下がらないので意識が朦朧としだした。
「もう、意識をなくしそうだ。解熱剤とアフターピルを飲ませておいてくれ」
「分かりました」
3度目の熱を白哉の中で恋次が吐き出すと。恋次は背をしならせてまた大きく中いきしながら、意識を失った。
「隊長・・・・お疲れ様です」
白哉の中から抜き取ると、こぽりと精液が逆流してくる。
それを濡れたタオルでふきとって、白哉の下肢を綺麗に清めて、中にだしたものをかきだして、恋次は解熱剤とアフターピルを白哉に口移しで飲ませる。
無事に嚥下したのを確認してから、毛布と布団をかけた。
「次のヒートまで3か月か・・・それまでに、抱かせてくれるかな?」
白哉は性的なことには淡泊のほうだが、恋次がおしまくると、ヒート期間でなくとも、体を許してくれることがあった。
全ては、白哉がオメガで、恋次がアルファで、番であるせいだ。
恋次は、白哉が好きだった。
ずっとずっと。
その白哉がオメガで、自分がアルファであることに、神様とやらに感謝した。
白哉は自分をアルファであると偽っていたが、もう周囲にもオメガであることを公開し、恋次と番になっていることも皆に教えて、朽木家の時期当主は、白哉が孕んだ卵子を、他の女性にうつし、代理出産してもらうことが決まっていた。
アフターピルを飲まねば、ヒート期間中はすぐ妊娠してしまうので、注意が必要だった。
だが、コンドームはしない。
恋次の精子で、ヒートの衝動が収まるからだ。
いつか、子を作る日がきてしまうかもしれないが、まだまだ先のことであった。
「大丈夫だ。ヒート期間の1週間は長すぎる。仕事がたまる一方だ」
「だからって、薬飲んでまでおさえなくても・・・・・」
「貴様も、ぼーっとしていないで仕事をしろ」
「はいはい」
白哉は、やや潤んだ目をしていた。
ヒート期間の終わりで、激しい性衝動を薬で無理やりおさえつけていた。
昔、ヒートがくるとずっとそうしていた。
「隊長、熱ありますよ」
恋次が、ふと白哉の額を触った。
「けっこうありますね・・・ふらつきませんか?めまいは?」
「・・・・恋次。だめだ。なぜだ、薬が前ほど効かぬ・・・・恋次、ヒートが終わっていない。私を抱いて鎮めてくれ」
「隊長・・・・・・・・」
潤んだ瞳で見上げられて、その言葉だけで恋次の我慢の糸は切れた。
「隊首室いきましょう・・・・・」
「ああ・・・・・」
白哉を姫抱きして、隊首室においてあるベッドに静かに寝かせた。
昨日も、さんざん交わった。
でも、恋次は若い。毎日だって平気だ。
白哉も若いし、ヒート期間中はとにかく熱くて抱かれないと苦しい。
「あ、ローション忘れた・・・・・」
「自然に濡れるから、必要ない」
「えろい・・・」
「恋次」
白哉から求めてきた。
白哉から口づけされて、恋次もそれにこたえる。
舌が絡み合うキスをしながら、お互いの死覇装を脱がしていく。白哉の場合は、隊長羽織もだ。
「んんっ」
恋次が、白哉の肌を愛撫する。
「んあっ」
胸の先端をつままれと、ぴりっとした刺激がおそいかかった。
「待てぬ。早く、私を抱け」
「隊長・・・・・・・」
恋次は、それでも白哉の快感を先に考えて、白哉のものに舌をはわせて、射精するまで手と口で刺激を与え続けた。
「ああああ!!」
びくん。
射精と同時に、体がはねる。
恋次は、ごくりと唾をのみこんで、すでにぬれている後ろに指を入れる。
「ほんとだ・・・すごい濡れてますね」
「んん・・・・・・」
指で前立腺を刺激してから、恋次は指を抜き去った。
「なぜ・・・もう少しで、いけたのに」
「隊長が言ったんでしょう。私を抱け、と。抱きますよ」
熱く昂ったものを宛がわれて、白哉は息を止める。
「いきますよ?」
「こい。ああああ!!!」
引き裂かれるが、痛みはなく、快感だけが白哉を支配する。
「あ、あ、熱くてどうにかなりそうだ・・・・早く、お前の子種を私の中で出せ」
番であるので、恋次の精液を受け取ることでヒートの熱はましになる。
「急かさないでください。隊長も、もっと俺を味わってください」
「やあああん」
「えろい声・・・・・」
恋次は、ゆっくり挿入を繰り返す。前立腺ばかりを刺激すると、白哉は吐精してしまった。
「ひあああ!!」
「隊長・・・・奥に入りますよ?」
「あ、もっと・・・・」
「はい」
最奥にある子宮にまで入りこんで、そこで精液をぶちまけた。
「ああああ!!」
びゅるびゅると、精液を受け止めて、白哉は熱が引いていくのが分かった。
でも、性欲はおさまらない。
「もっと犯せ」
「えろいこといいますね。隊長、熱あるんだから、抱き終わって清めたら解熱剤飲んで寝てくださいね」
「今はそんなことより、私を鎮めることに集中しろ」
「また、奥にだしますよ」
「んあああ!」
白哉は、二度目の精液を受け止めながら、大きく中いきしていた。
「ひあああ・・・はう」
「隊長、かわいい・・・・」
「ばかもの・・・・・」
白哉は、ヒートの熱は冷めてきたのだが、体温の熱は下がらないので意識が朦朧としだした。
「もう、意識をなくしそうだ。解熱剤とアフターピルを飲ませておいてくれ」
「分かりました」
3度目の熱を白哉の中で恋次が吐き出すと。恋次は背をしならせてまた大きく中いきしながら、意識を失った。
「隊長・・・・お疲れ様です」
白哉の中から抜き取ると、こぽりと精液が逆流してくる。
それを濡れたタオルでふきとって、白哉の下肢を綺麗に清めて、中にだしたものをかきだして、恋次は解熱剤とアフターピルを白哉に口移しで飲ませる。
無事に嚥下したのを確認してから、毛布と布団をかけた。
「次のヒートまで3か月か・・・それまでに、抱かせてくれるかな?」
白哉は性的なことには淡泊のほうだが、恋次がおしまくると、ヒート期間でなくとも、体を許してくれることがあった。
全ては、白哉がオメガで、恋次がアルファで、番であるせいだ。
恋次は、白哉が好きだった。
ずっとずっと。
その白哉がオメガで、自分がアルファであることに、神様とやらに感謝した。
白哉は自分をアルファであると偽っていたが、もう周囲にもオメガであることを公開し、恋次と番になっていることも皆に教えて、朽木家の時期当主は、白哉が孕んだ卵子を、他の女性にうつし、代理出産してもらうことが決まっていた。
アフターピルを飲まねば、ヒート期間中はすぐ妊娠してしまうので、注意が必要だった。
だが、コンドームはしない。
恋次の精子で、ヒートの衝動が収まるからだ。
いつか、子を作る日がきてしまうかもしれないが、まだまだ先のことであった。
桜のあやかあしと共に13
術者の浮竹が半妖であると知った浮竹と京楽は、優しく友として迎えいれてくれた。
術者の浮竹が泣き出すほどに。
「半妖だからってなんだい。君は君でしょ?」
「そうだぞ。京楽の言う通りだぞ」
『ぐすっ・・・・・ありがとう』
術者の浮竹の頭をなでる。
夜刀神は、仕方ないとばかりの顔をしていた。
「じゃあ、俺たちは戻るな。また遊びにくる」
「またくるね」
『ああ。俺と京楽も。そっちに遊びにいくから!』:
『仕方ないねぇ』
『そういいつつ、いやじゃないんだろう、京楽?』
『まぁね』
帰宅した浮竹と京楽。
京楽が、苦しげにうめいた。
「う・・・・」
「どうした?」
「それが、契約が・・・・」
「ああ・・・・そういえば、もう1か月以上も肌を重ねてなかったな。パートナー契約も兼ねているから、時折契らないと警告で少ししめつけられるかんじがする。俺は慣れているからどうってことなかったが、京楽は慣れていないからな」
「つまり、君を抱いていいの?」
「仕方ない。契約の内容に含まれているからな。で、でも加減しろよ!お前に本気で抱かれた日には、足腰が立たなくなる」
「加減するから、抱かせて」:
「白哉、ということで、結界をはっておいてくれ。できれば重ね掛けで」
「私がいないほうがいいであろう。ルキアのところにでも、行ってくる」
「すまん」
「いい。兄との長い付き合いだ。もう慣れた」
白哉は、35階のベランダの窓から飛び降りていった。
「だから、なぜに玄関を使わないの・・・・」
「白哉は、風を操れるから、高さとか関係ないんだ。あ!」
ベッドに行く前に、耳を甘噛みされて、声を漏らした。
「かわいい、十四郎」
「ばか・・ああああ」
京楽の手が、ベッドにつくとするすると浮竹の衣服を脱がして、肌をはう。
「あああ!」
胸の先端を何度も甘噛みされたり、舐め転がされたりされて、浮竹はもじもじしだした。
「どうしたの」
「やあ、そこばっかやぁ。下も触って・・・・・」
「素直な子には、ご褒美あげないとね」
京楽は、昂っていた浮竹のものをいじり、口にふくんだ。
「んあ!」
「きもちいい?」
舐めたりしながら、全体を手でしごく。
「あ、もう出るから・・・春水、だめぇ」
「飲ませて?」
浮竹は射精していた。それを、味わうように京楽のが飲む。
「契約のせいか、甘いね」
「やあああ」
ローションを取り出して、浮竹の蕾をほぐしていく。
「ああん」
指がいいとろを刺激して、浮竹は啼いた。
「ここ、きもちいい?」
「やああ、変になる。だめぇ」
前を口にふくみなめあげながら、京楽は指で浮竹のいい場所をごりっと押した。
「ひあああああああ!!!」
中いきをしてしまい、浮竹は涙をこぼす。
「やあ、だめって言ったのにぃ」
「泣かないで。きもちよかったでしょ?」
「もう、挿入れて・・・・」
「分かったよ」
京楽のそれは、熱く昂っており、普通の男のものより大きかった。
「いくよ?」
「んあ!」
スパンと、音をたてて浮竹の中に挿入れた。
ごりっと、先端が奥を抉りそうになる。
「あああ、奥はだめえええ」
「深いとこ。好きだよね?」
慣らすように緩く挿入を繰り返して、浮竹の快感を優先する。
「んああああ!」
優しいセックスに、浮竹がどろどろに溶けていく。
「あ、奥に、もっと奥にきて」
「どうなっても知らないよ?」
ごりっと音をたてて、最奥を抉る。
「ひゃああ、すごいのきたああ、あああ、いっちゃうううう!!!」
浮竹は、精液を出しながら、中いきをして潮をふいていた。
「やあああ、おもらししちゃった」
「潮ふいちゃうくらい、きもちよかった?」
「もっと・・・・・」
京楽は、浮竹の片足を肩に乗せて、激しく突き入れた。
「やあん、激しい。でも、これもすきい」
「ボクの浮竹は、淫乱な子だね?」
「やああ、春水のせいだからっ」
「そういうことにしといてあげる」
何度も突き上げ、抉り、こすり、ごりっと億まで侵入すると、やっと京楽は熱を浮竹の中に注ぎ込こんだ。
「まだ、1回目だからね?夜まで抱くからね?」
「やああん、壊れるう」
そう言いながら、浮竹は京楽の背に手を回す。
3時間後。
まだ、二人は交わっていた。
「んあ・・・・もう、いきたくない。きもちよすぎて、変になるうう」
「真っ白になるといいよ」
「あ、もう真っ白になってる・・・ああああ!」
最後の熱を浮竹は受け止めて、泥のように眠った。
京楽がひきぬくと、浮竹の中に放った精液がドロリと逆流してくる。
それをタオルでふきとって、ぬれたタオルで浮竹の全身を清めて、中に出したものをかきだす。
「我ながらいっぱいだしたなあ。十四郎、無理させてごめんね」
浮竹の意識はない。
セックスの最中に何十回も中いきをしてしまい、疲れてしまったようであった。
次の日、浮竹は怒ることなく普通の態度だった。
「なんか・・・セックスして無理させたのに、怒らないんだね」
「俺も、きもちよかったから・・・・・・」
浮竹は真っ赤になって、紅茶を飲み干す。
その場には、帰ってきた白哉もいた。
「そのたぐいの話は、私のいない場所でしてほしい」
「す、すまん、白哉」
「白哉君、浮竹ってすごいよ。ボクのを・・・・・・あべし!」
浮竹にハリセンで張り倒されて、京楽は床に沈んだ。
「白哉が聞いているだろうが!」
浮竹は、京楽を踏んづけた。
「十四郎のはずかしがりやさん」
「もう100回ハリセンで殴られたいか」
「ごめんなさい」
京楽は、素直に謝った。
「ゆ、許してやらんでもない。紅茶をいれろ。お前のいれる紅茶が一番おいしい」
「はいはい」
「京楽、私には緑茶で」
「わかってるよ、白哉君。昨日、帰ってこなかったけど、どうしたの」
「ルキアの作った花鬼たちの世界で、一晩過ごしただけだ」
「すごい、言い寄られたでしょ。ネモフィラの花鬼は女性が多いから」
「無視し続けた」
「よ、この色男」
「浮竹、この男を桜の技で倒してもいいか?」
「ほどほどにな」
「ちょ、十四郎、何許可だしてるの。それに、白哉君も本気にならないで・・・・もぎゃああああ」
京楽の絶叫が、こだまするのであった。
術者の浮竹が泣き出すほどに。
「半妖だからってなんだい。君は君でしょ?」
「そうだぞ。京楽の言う通りだぞ」
『ぐすっ・・・・・ありがとう』
術者の浮竹の頭をなでる。
夜刀神は、仕方ないとばかりの顔をしていた。
「じゃあ、俺たちは戻るな。また遊びにくる」
「またくるね」
『ああ。俺と京楽も。そっちに遊びにいくから!』:
『仕方ないねぇ』
『そういいつつ、いやじゃないんだろう、京楽?』
『まぁね』
帰宅した浮竹と京楽。
京楽が、苦しげにうめいた。
「う・・・・」
「どうした?」
「それが、契約が・・・・」
「ああ・・・・そういえば、もう1か月以上も肌を重ねてなかったな。パートナー契約も兼ねているから、時折契らないと警告で少ししめつけられるかんじがする。俺は慣れているからどうってことなかったが、京楽は慣れていないからな」
「つまり、君を抱いていいの?」
「仕方ない。契約の内容に含まれているからな。で、でも加減しろよ!お前に本気で抱かれた日には、足腰が立たなくなる」
「加減するから、抱かせて」:
「白哉、ということで、結界をはっておいてくれ。できれば重ね掛けで」
「私がいないほうがいいであろう。ルキアのところにでも、行ってくる」
「すまん」
「いい。兄との長い付き合いだ。もう慣れた」
白哉は、35階のベランダの窓から飛び降りていった。
「だから、なぜに玄関を使わないの・・・・」
「白哉は、風を操れるから、高さとか関係ないんだ。あ!」
ベッドに行く前に、耳を甘噛みされて、声を漏らした。
「かわいい、十四郎」
「ばか・・ああああ」
京楽の手が、ベッドにつくとするすると浮竹の衣服を脱がして、肌をはう。
「あああ!」
胸の先端を何度も甘噛みされたり、舐め転がされたりされて、浮竹はもじもじしだした。
「どうしたの」
「やあ、そこばっかやぁ。下も触って・・・・・」
「素直な子には、ご褒美あげないとね」
京楽は、昂っていた浮竹のものをいじり、口にふくんだ。
「んあ!」
「きもちいい?」
舐めたりしながら、全体を手でしごく。
「あ、もう出るから・・・春水、だめぇ」
「飲ませて?」
浮竹は射精していた。それを、味わうように京楽のが飲む。
「契約のせいか、甘いね」
「やあああ」
ローションを取り出して、浮竹の蕾をほぐしていく。
「ああん」
指がいいとろを刺激して、浮竹は啼いた。
「ここ、きもちいい?」
「やああ、変になる。だめぇ」
前を口にふくみなめあげながら、京楽は指で浮竹のいい場所をごりっと押した。
「ひあああああああ!!!」
中いきをしてしまい、浮竹は涙をこぼす。
「やあ、だめって言ったのにぃ」
「泣かないで。きもちよかったでしょ?」
「もう、挿入れて・・・・」
「分かったよ」
京楽のそれは、熱く昂っており、普通の男のものより大きかった。
「いくよ?」
「んあ!」
スパンと、音をたてて浮竹の中に挿入れた。
ごりっと、先端が奥を抉りそうになる。
「あああ、奥はだめえええ」
「深いとこ。好きだよね?」
慣らすように緩く挿入を繰り返して、浮竹の快感を優先する。
「んああああ!」
優しいセックスに、浮竹がどろどろに溶けていく。
「あ、奥に、もっと奥にきて」
「どうなっても知らないよ?」
ごりっと音をたてて、最奥を抉る。
「ひゃああ、すごいのきたああ、あああ、いっちゃうううう!!!」
浮竹は、精液を出しながら、中いきをして潮をふいていた。
「やあああ、おもらししちゃった」
「潮ふいちゃうくらい、きもちよかった?」
「もっと・・・・・」
京楽は、浮竹の片足を肩に乗せて、激しく突き入れた。
「やあん、激しい。でも、これもすきい」
「ボクの浮竹は、淫乱な子だね?」
「やああ、春水のせいだからっ」
「そういうことにしといてあげる」
何度も突き上げ、抉り、こすり、ごりっと億まで侵入すると、やっと京楽は熱を浮竹の中に注ぎ込こんだ。
「まだ、1回目だからね?夜まで抱くからね?」
「やああん、壊れるう」
そう言いながら、浮竹は京楽の背に手を回す。
3時間後。
まだ、二人は交わっていた。
「んあ・・・・もう、いきたくない。きもちよすぎて、変になるうう」
「真っ白になるといいよ」
「あ、もう真っ白になってる・・・ああああ!」
最後の熱を浮竹は受け止めて、泥のように眠った。
京楽がひきぬくと、浮竹の中に放った精液がドロリと逆流してくる。
それをタオルでふきとって、ぬれたタオルで浮竹の全身を清めて、中に出したものをかきだす。
「我ながらいっぱいだしたなあ。十四郎、無理させてごめんね」
浮竹の意識はない。
セックスの最中に何十回も中いきをしてしまい、疲れてしまったようであった。
次の日、浮竹は怒ることなく普通の態度だった。
「なんか・・・セックスして無理させたのに、怒らないんだね」
「俺も、きもちよかったから・・・・・・」
浮竹は真っ赤になって、紅茶を飲み干す。
その場には、帰ってきた白哉もいた。
「そのたぐいの話は、私のいない場所でしてほしい」
「す、すまん、白哉」
「白哉君、浮竹ってすごいよ。ボクのを・・・・・・あべし!」
浮竹にハリセンで張り倒されて、京楽は床に沈んだ。
「白哉が聞いているだろうが!」
浮竹は、京楽を踏んづけた。
「十四郎のはずかしがりやさん」
「もう100回ハリセンで殴られたいか」
「ごめんなさい」
京楽は、素直に謝った。
「ゆ、許してやらんでもない。紅茶をいれろ。お前のいれる紅茶が一番おいしい」
「はいはい」
「京楽、私には緑茶で」
「わかってるよ、白哉君。昨日、帰ってこなかったけど、どうしたの」
「ルキアの作った花鬼たちの世界で、一晩過ごしただけだ」
「すごい、言い寄られたでしょ。ネモフィラの花鬼は女性が多いから」
「無視し続けた」
「よ、この色男」
「浮竹、この男を桜の技で倒してもいいか?」
「ほどほどにな」
「ちょ、十四郎、何許可だしてるの。それに、白哉君も本気にならないで・・・・もぎゃああああ」
京楽の絶叫が、こだまするのであった。
桜のあやかしと共に12
「白哉、誕生日おめでとう」
「おめでとー」
「ふっ、兄らくらいだ。私の誕生日を祝うのは」
「今日は、白哉の好きな辛い料理ばかりにしてみたぞ」
「ふむ」
その日は、白哉の誕生日だった。
誕生日というか、あやかしとして意識をもった日を誕生日にしていた。
「浮竹、兄の誕生日祝いはいつも辛い料理ばかりだな」
「だって、俺には料理の腕くらいしかないだろう?」
「そうでもないよ、十四郎はいるだけで綺麗でかわいいから」
「だそうだぞ、浮竹?」
「ああもう、京楽いちゃついてくるな!今日は白哉が主人公なんだから」
「だそうだぞ、京楽?」
「ええーいいじゃない、減るもんじゃなし。白哉君の誕生日を祝って、ボクらはキスしよう!」
「なぜ、そうなる!」
浮竹は、どこからか取り出したはりせんで、京楽の頭をスパンと叩いた。
「あいたたたた」
でも、京楽はうれしそうにしていた。
「もしかして、京楽、兄はマゾか?」
「な、違うよ!」
「浮竹にビンタされたら、どう感じる?」
「それだけボクのこと思ってくれてて嬉しいなぁって」
「浮竹、手遅れだ」
白哉は、「ご臨終です」という医師のように言った。
「ああ、京楽の脳みそはきっと豆腐だからな」
「まぁ、今日は白哉君の誕生日!飲もう!」
一本百万するワインを、京楽はあけた。
「さぁさぁ、飲んで飲んで」
「白哉、あまり飲むよ。お前は酒に弱いんだから」
「そんなこと言わずに、誕生日の時くらい好きなだけ飲ませてあげなよ」
「・・・・・・・ZZZZZZZZZZ]
「ほら!白哉、起きろ!料理、まだ食べてないだろう!」
「んー・・・・わかめ大使が躍っている・・・・」
浮竹は、仕方ないとばかりに、桜の花びらをふっと吹いた。
白哉の酔いがなくなる。
「はっ!わかめ大使はどこへ!?」
「いや、知らないから」
「わかめ大使って何?」
「小豆とぎに私が個人で注文した、わかめをかたどったあんこ入りのまんじゅうのようなものだ」
「ああ、これのこと?」
わかめ大使とかかれた箱の中に、わかめ大使はいた。
動いた。
「わ、動いた!」
京楽が、驚く。
「そのわかめ大使は機械じかけだ」
「また、わけのわからないものに金を使って・・・・・」
白哉は、何気に金持ちだった。
兄にあたる浮竹も、桜の王として財はあるが,それ以上にもっていた。
それこそ、京楽の住む3億のマンションが買えるくらいには。
そのくせ、浮竹から離れようとはせずに、京楽に養われていた。
白哉は、好きなだけ辛い料理を堪能して、どうせ寝るのだからと、ワインを飲みほした。
「・・・・・・・」
「寝てる」
「寝顔だけなら、かわいいんだけどね。口を開けばいらないこというし、黒猫姿になったらボクの頭かじってチュールくれっていうし」
「「春」の件があってから、俺を守ろうと術の技を磨いている。白哉はなんでもできるが、隠れた努力家だ」
「へぇ、そうなんだ・・・・ねぇ、白哉君も寝ちゃったし、たまにはいいでしょ?」
京楽が、浮竹を抱きしめてキスをしてくる。
「ばか、白哉が目覚めたら・・・・・」
「大丈夫だって」
「いやだ。今日はそんな気分じゃない」
「そう言わずに・・・・かなりご無沙汰だよ」
「あ、春水・・・・あああっ」
乱れそうになる浮竹を、突然起き上がった白哉が、かばう。
「嫌がっている。やめろ」
「白哉君、どいて。いいとこなんだから」
白哉は、桜の花びらをふっと吹くと、京楽を燃やした。
「あちちちちち」
「京楽、無理強いは許さぬ」
「いや、浮竹もその気だったから」
浮竹は真っ赤になって、ハリセンで京楽の顔を殴った。
「おぶ」
「結界のないところでは、こういう真似はするな!禁欲1週間だ。キスもハグもなし!」
「ええええええええええ」
京楽が、悲しそうな声を出す。
「浮竹、たまには一緒に寝よう」
白哉がそう言い出すものだから、京楽がぎょっとする。
「ボク以外の男と、一緒に寝るのは許さないよ」
「何を考えている。私は、子猫姿でたまには一緒に寝ようといいたかっだけだ」
「げふん」
浮竹にハリセンで殴られて、京楽は床に転がった。
それだけ威力のあるハリセンだった。
「ああ、十四郎、こういうプレイも好きなの?」
「死ね!」
浮竹は真っ赤になって、京楽を蹴った。
一方、蹴られた京楽は平気そうな顔をして、浮竹を起き上がって抱きしめる。
「今日は、我慢してあげる。でも、明日抱くからね?」
「ちょ、春水!」
「じゃあ、お先におやすみ」
「さっさと寝ろ。浮竹、嫌ならはっきり言うのだぞ」
「いやじゃない・・・・・・・」
「はぁ・・・私は邪魔者のようだな。明日はルキアのところにでもいくか」
「ごめん、白哉」
「どうってことはない。結界をはって過ごすよりは、外に出たほうが二人きりになれて安心できるであろう」
「その、いつも結界をはらすような真似をして、すまない」
「愛を確かめあうことは、悪いことではない」
浮竹は、残っていたワインを全て飲んで、白い子猫姿になると、黒い子猫姿になった白哉と一緒に、ソファーの上で眠るのであった。
「おめでとー」
「ふっ、兄らくらいだ。私の誕生日を祝うのは」
「今日は、白哉の好きな辛い料理ばかりにしてみたぞ」
「ふむ」
その日は、白哉の誕生日だった。
誕生日というか、あやかしとして意識をもった日を誕生日にしていた。
「浮竹、兄の誕生日祝いはいつも辛い料理ばかりだな」
「だって、俺には料理の腕くらいしかないだろう?」
「そうでもないよ、十四郎はいるだけで綺麗でかわいいから」
「だそうだぞ、浮竹?」
「ああもう、京楽いちゃついてくるな!今日は白哉が主人公なんだから」
「だそうだぞ、京楽?」
「ええーいいじゃない、減るもんじゃなし。白哉君の誕生日を祝って、ボクらはキスしよう!」
「なぜ、そうなる!」
浮竹は、どこからか取り出したはりせんで、京楽の頭をスパンと叩いた。
「あいたたたた」
でも、京楽はうれしそうにしていた。
「もしかして、京楽、兄はマゾか?」
「な、違うよ!」
「浮竹にビンタされたら、どう感じる?」
「それだけボクのこと思ってくれてて嬉しいなぁって」
「浮竹、手遅れだ」
白哉は、「ご臨終です」という医師のように言った。
「ああ、京楽の脳みそはきっと豆腐だからな」
「まぁ、今日は白哉君の誕生日!飲もう!」
一本百万するワインを、京楽はあけた。
「さぁさぁ、飲んで飲んで」
「白哉、あまり飲むよ。お前は酒に弱いんだから」
「そんなこと言わずに、誕生日の時くらい好きなだけ飲ませてあげなよ」
「・・・・・・・ZZZZZZZZZZ]
「ほら!白哉、起きろ!料理、まだ食べてないだろう!」
「んー・・・・わかめ大使が躍っている・・・・」
浮竹は、仕方ないとばかりに、桜の花びらをふっと吹いた。
白哉の酔いがなくなる。
「はっ!わかめ大使はどこへ!?」
「いや、知らないから」
「わかめ大使って何?」
「小豆とぎに私が個人で注文した、わかめをかたどったあんこ入りのまんじゅうのようなものだ」
「ああ、これのこと?」
わかめ大使とかかれた箱の中に、わかめ大使はいた。
動いた。
「わ、動いた!」
京楽が、驚く。
「そのわかめ大使は機械じかけだ」
「また、わけのわからないものに金を使って・・・・・」
白哉は、何気に金持ちだった。
兄にあたる浮竹も、桜の王として財はあるが,それ以上にもっていた。
それこそ、京楽の住む3億のマンションが買えるくらいには。
そのくせ、浮竹から離れようとはせずに、京楽に養われていた。
白哉は、好きなだけ辛い料理を堪能して、どうせ寝るのだからと、ワインを飲みほした。
「・・・・・・・」
「寝てる」
「寝顔だけなら、かわいいんだけどね。口を開けばいらないこというし、黒猫姿になったらボクの頭かじってチュールくれっていうし」
「「春」の件があってから、俺を守ろうと術の技を磨いている。白哉はなんでもできるが、隠れた努力家だ」
「へぇ、そうなんだ・・・・ねぇ、白哉君も寝ちゃったし、たまにはいいでしょ?」
京楽が、浮竹を抱きしめてキスをしてくる。
「ばか、白哉が目覚めたら・・・・・」
「大丈夫だって」
「いやだ。今日はそんな気分じゃない」
「そう言わずに・・・・かなりご無沙汰だよ」
「あ、春水・・・・あああっ」
乱れそうになる浮竹を、突然起き上がった白哉が、かばう。
「嫌がっている。やめろ」
「白哉君、どいて。いいとこなんだから」
白哉は、桜の花びらをふっと吹くと、京楽を燃やした。
「あちちちちち」
「京楽、無理強いは許さぬ」
「いや、浮竹もその気だったから」
浮竹は真っ赤になって、ハリセンで京楽の顔を殴った。
「おぶ」
「結界のないところでは、こういう真似はするな!禁欲1週間だ。キスもハグもなし!」
「ええええええええええ」
京楽が、悲しそうな声を出す。
「浮竹、たまには一緒に寝よう」
白哉がそう言い出すものだから、京楽がぎょっとする。
「ボク以外の男と、一緒に寝るのは許さないよ」
「何を考えている。私は、子猫姿でたまには一緒に寝ようといいたかっだけだ」
「げふん」
浮竹にハリセンで殴られて、京楽は床に転がった。
それだけ威力のあるハリセンだった。
「ああ、十四郎、こういうプレイも好きなの?」
「死ね!」
浮竹は真っ赤になって、京楽を蹴った。
一方、蹴られた京楽は平気そうな顔をして、浮竹を起き上がって抱きしめる。
「今日は、我慢してあげる。でも、明日抱くからね?」
「ちょ、春水!」
「じゃあ、お先におやすみ」
「さっさと寝ろ。浮竹、嫌ならはっきり言うのだぞ」
「いやじゃない・・・・・・・」
「はぁ・・・私は邪魔者のようだな。明日はルキアのところにでもいくか」
「ごめん、白哉」
「どうってことはない。結界をはって過ごすよりは、外に出たほうが二人きりになれて安心できるであろう」
「その、いつも結界をはらすような真似をして、すまない」
「愛を確かめあうことは、悪いことではない」
浮竹は、残っていたワインを全て飲んで、白い子猫姿になると、黒い子猫姿になった白哉と一緒に、ソファーの上で眠るのであった。
桜のあやかしと共に11
秋を司る桔梗の王、卯ノ花列は、原因不明の病にかかり、臥せっていた。
もともと治癒能力が高い、癒しの王と呼ばれる女性だったが、自分には術の効果が出ない。
見舞いにやってきた桜の王こと、浮竹は卯ノ花の症状に、心当たりがあった。
夜刀神がおこした災厄に見まわれた後の、人間のようだったのだ。
「原因は穢れだな。卯ノ花、何か心当たりはあるか?」
「そう言われましても・・・そういえば、何かで憔悴しきった者たちがでた村で術を使いました。あの村で治癒行動をしてから、病にかかったような・・・・」
「その村は、穢れで汚染されていただんだろう。治癒術を使う者は、穢れに弱い。穢れを祓おう」
「どうやってですか?」
「俺の知り合いに、穢れを祓う浄化のプロフェッショナルがいる」
「術者の浮竹君のことかい?」
「ああ、そうだ」
京楽の問いに、浮竹が答える。
「でも、部外者を桔梗の王と会わせることになるけどいいの?」
「穢れを甘くみてはいけないぞ。このままでは、衰弱して死んでしまう」
「そうなんです。衰弱が激しいのです。自分に術をかけているのですが、私の術は自分にはききにくいもので・・・・・」
「桔梗の王、4大あやかしの長老だから、まだ生きていられるんだ。普通ならとっくの昔に死んでいる」
「あら・・・・」
とうの卯ノ花は、そこまで深刻に考えていなかったのだ。
はじめは風邪のような状態が続き、次に熱が出て、最後は血を吐いて死んでしまう。
今、風邪の症状が出て、熱がではじめたところであった。
「まだ間に合う。術者の浮竹に連絡して迎えにいこう」
「うん。ボクが迎えにいくよ。浮竹は、術者の浮竹からもらった浄化の札で、桔梗の王の穢れを少しでも祓って」
「やってみる」
京楽は、スマホで術者の浮竹と連絡をとると、桔梗の王が療養している場所を教えて、迎えに行くといった。
迎えにいくと、当たり前のように夜刀神も蝙蝠姿でまぎれていた。
「君もくるの?」
『浮竹が行くなら。ボクも行く』
「まぁ、悩んでも仕方ないね。夜刀神、くれぐれも災禍をふりまかないように」
『さぁ、どうだろうねぇ。ボクの意思と関係なしに、災禍はふりかかるから』
『桔梗の王か・・・・女性なんだよな?』
「うん、そうだよ。穢れのせいで少しやつれていたけど、すごい美人だったよ」
『治癒術の使い手か・・・・でも、自分には治癒の術がほとんど効かないなんて、やっぱり世の中うまくいかないことだらけだな』
術者の浮竹は、高級車に乗るのははじめてで、少しどきどきしていた。
『浮竹の行く場所には、ボクも行くって、分かってたでしょ?』
赤い蝙蝠姿の夜刀神が、浮竹の頭の上でしゃべる。
「うん。でも、浄化するために行くのに、穢れを与える君までくるのは、ちょっと問題があるんだけど、二人はいつも一緒でしょ」
『当たり前だよ』
『夜刀神の穢れは、俺が祓うから安心してくれ』
「任せたよ・・・・・」
京楽と、術者の浮竹と夜刀神を乗せた高級車は、山のほうにのぼっていく。
そして、ある一定の場所で空間が変わった。
桔梗の花が咲き乱れる丘が見えて、その向こう側に古い和風の家屋があった。
「ここはもう、桔梗の王のテリトリーだよ。桔梗を枯らしたりしないでね?」
京楽達は、車を降りて外に出た。
そこかしこで、桔梗の花が咲いていた。
「京楽!」
「十四郎!桔梗の王は?」
「大分札で穢れを取り除いて、今眠ってる」
『眠っている間に、穢れを取り除いでしまおう。夜刀神の存在を知ったら、何か言われそうだ』
術者の浮竹の言葉にみな頷いて、古い日本家屋に入る。
奥の真っ白な部屋で、人形のような女性が横たわっていた。
「これが桔梗の王、卯ノ花烈だ」
『綺麗な人だな。かわいそうに。今、穢れを祓ってあげる』
術者の浮竹は、卯ノ花の穢れを浄化した。
卯ノ花の白い顔の頬に、赤みがさして、健康体に戻っていた。
『じゃあ、俺たちはもう行くな?』
「ああ、ありがとう」
浮竹が礼を言うと、卯ノ花の声がした。
「お待ちなさい」
桔梗の王は目覚めていた。
「礼を、させてください」
『いや、俺たちはいいんで。帰ります』
『ボクも帰るよ』
「でも、命の恩人をただで帰すわけは・・・・そうだ、この秋の宝玉をあげましょう。私の術がつまっています。浄化できるなら、治癒術も使えるでしょう。普通では使えない、高位の治癒術の使い方が入っています」
『いいんですか』
術者の浮竹が、秋の宝玉を受け取る。
「かまいません。私の術は複雑なものが多いですから、使える人はあまりいませんが、あなたなら、使えるようになるでしょう」
『じゃあ、もらっておきますね』
「桔梗の王、体はもう大丈夫なのか?」
「ええ。おかげ様で、すっきりしました」
「よかった・・・」
京楽が、安堵する。
浮竹も、安堵した。
『じゃあ、ボクたちは帰るね・・って、車で送ってもらったんだった』
「ああ、今車を出すよ」
京楽は、術者の浮竹と夜刀神を家まで送っていった。
「卯ノ花、穢れの原因は長老神だと思う」
「ええ。そんな気がしました」
「長老神は災禍を呼ぶ。なぜ長老神でいられるのかもわからない」
「私にも、分かりません」
「とにかく、お互い長老神には気をつけよう」
「ええ」
桜の王と桔梗の王は、お互い体に気をつけてといいあいながら、別れるのであった。
「桜の王め。桔梗の王を助けたか」
その人物は、災禍をもたらした後の場所を見に行って、住民たちが何事もなかったかのように生きて、穢れも自然と祓われていることに激怒したのは、少し前のことだ。
「朝顔の王は私の手の中。あとは、椿の幼き王か・・・・・」
くくくと、その人物は笑う。
彼こそ、神のなりそこないの、長老神であった。
もともと治癒能力が高い、癒しの王と呼ばれる女性だったが、自分には術の効果が出ない。
見舞いにやってきた桜の王こと、浮竹は卯ノ花の症状に、心当たりがあった。
夜刀神がおこした災厄に見まわれた後の、人間のようだったのだ。
「原因は穢れだな。卯ノ花、何か心当たりはあるか?」
「そう言われましても・・・そういえば、何かで憔悴しきった者たちがでた村で術を使いました。あの村で治癒行動をしてから、病にかかったような・・・・」
「その村は、穢れで汚染されていただんだろう。治癒術を使う者は、穢れに弱い。穢れを祓おう」
「どうやってですか?」
「俺の知り合いに、穢れを祓う浄化のプロフェッショナルがいる」
「術者の浮竹君のことかい?」
「ああ、そうだ」
京楽の問いに、浮竹が答える。
「でも、部外者を桔梗の王と会わせることになるけどいいの?」
「穢れを甘くみてはいけないぞ。このままでは、衰弱して死んでしまう」
「そうなんです。衰弱が激しいのです。自分に術をかけているのですが、私の術は自分にはききにくいもので・・・・・」
「桔梗の王、4大あやかしの長老だから、まだ生きていられるんだ。普通ならとっくの昔に死んでいる」
「あら・・・・」
とうの卯ノ花は、そこまで深刻に考えていなかったのだ。
はじめは風邪のような状態が続き、次に熱が出て、最後は血を吐いて死んでしまう。
今、風邪の症状が出て、熱がではじめたところであった。
「まだ間に合う。術者の浮竹に連絡して迎えにいこう」
「うん。ボクが迎えにいくよ。浮竹は、術者の浮竹からもらった浄化の札で、桔梗の王の穢れを少しでも祓って」
「やってみる」
京楽は、スマホで術者の浮竹と連絡をとると、桔梗の王が療養している場所を教えて、迎えに行くといった。
迎えにいくと、当たり前のように夜刀神も蝙蝠姿でまぎれていた。
「君もくるの?」
『浮竹が行くなら。ボクも行く』
「まぁ、悩んでも仕方ないね。夜刀神、くれぐれも災禍をふりまかないように」
『さぁ、どうだろうねぇ。ボクの意思と関係なしに、災禍はふりかかるから』
『桔梗の王か・・・・女性なんだよな?』
「うん、そうだよ。穢れのせいで少しやつれていたけど、すごい美人だったよ」
『治癒術の使い手か・・・・でも、自分には治癒の術がほとんど効かないなんて、やっぱり世の中うまくいかないことだらけだな』
術者の浮竹は、高級車に乗るのははじめてで、少しどきどきしていた。
『浮竹の行く場所には、ボクも行くって、分かってたでしょ?』
赤い蝙蝠姿の夜刀神が、浮竹の頭の上でしゃべる。
「うん。でも、浄化するために行くのに、穢れを与える君までくるのは、ちょっと問題があるんだけど、二人はいつも一緒でしょ」
『当たり前だよ』
『夜刀神の穢れは、俺が祓うから安心してくれ』
「任せたよ・・・・・」
京楽と、術者の浮竹と夜刀神を乗せた高級車は、山のほうにのぼっていく。
そして、ある一定の場所で空間が変わった。
桔梗の花が咲き乱れる丘が見えて、その向こう側に古い和風の家屋があった。
「ここはもう、桔梗の王のテリトリーだよ。桔梗を枯らしたりしないでね?」
京楽達は、車を降りて外に出た。
そこかしこで、桔梗の花が咲いていた。
「京楽!」
「十四郎!桔梗の王は?」
「大分札で穢れを取り除いて、今眠ってる」
『眠っている間に、穢れを取り除いでしまおう。夜刀神の存在を知ったら、何か言われそうだ』
術者の浮竹の言葉にみな頷いて、古い日本家屋に入る。
奥の真っ白な部屋で、人形のような女性が横たわっていた。
「これが桔梗の王、卯ノ花烈だ」
『綺麗な人だな。かわいそうに。今、穢れを祓ってあげる』
術者の浮竹は、卯ノ花の穢れを浄化した。
卯ノ花の白い顔の頬に、赤みがさして、健康体に戻っていた。
『じゃあ、俺たちはもう行くな?』
「ああ、ありがとう」
浮竹が礼を言うと、卯ノ花の声がした。
「お待ちなさい」
桔梗の王は目覚めていた。
「礼を、させてください」
『いや、俺たちはいいんで。帰ります』
『ボクも帰るよ』
「でも、命の恩人をただで帰すわけは・・・・そうだ、この秋の宝玉をあげましょう。私の術がつまっています。浄化できるなら、治癒術も使えるでしょう。普通では使えない、高位の治癒術の使い方が入っています」
『いいんですか』
術者の浮竹が、秋の宝玉を受け取る。
「かまいません。私の術は複雑なものが多いですから、使える人はあまりいませんが、あなたなら、使えるようになるでしょう」
『じゃあ、もらっておきますね』
「桔梗の王、体はもう大丈夫なのか?」
「ええ。おかげ様で、すっきりしました」
「よかった・・・」
京楽が、安堵する。
浮竹も、安堵した。
『じゃあ、ボクたちは帰るね・・って、車で送ってもらったんだった』
「ああ、今車を出すよ」
京楽は、術者の浮竹と夜刀神を家まで送っていった。
「卯ノ花、穢れの原因は長老神だと思う」
「ええ。そんな気がしました」
「長老神は災禍を呼ぶ。なぜ長老神でいられるのかもわからない」
「私にも、分かりません」
「とにかく、お互い長老神には気をつけよう」
「ええ」
桜の王と桔梗の王は、お互い体に気をつけてといいあいながら、別れるのであった。
「桜の王め。桔梗の王を助けたか」
その人物は、災禍をもたらした後の場所を見に行って、住民たちが何事もなかったかのように生きて、穢れも自然と祓われていることに激怒したのは、少し前のことだ。
「朝顔の王は私の手の中。あとは、椿の幼き王か・・・・・」
くくくと、その人物は笑う。
彼こそ、神のなりそこないの、長老神であった。
桜のあやかしと共に10
季節は移ろい、夏も終わり秋になった。
だが、残暑の厳しさに浮竹だけでなく、白哉もだれていた。
ここは、京楽の住む3億もするマンションの一角。
冷房のエアコンが壊れてしまったのだ。
室温はぐんぐんあがり、35度をこしていた。
「暑い。水シャワー浴びてくる」
「浮竹、兄がいくなら私もいく」
「ちょっと、二人とも!もうすぐ修理の人が来てくれるから、それまで我慢してよ!」
「兄は平気そうで羨ましい」
白哉は、浮竹と違うバスルームに向かった。
やがて、エアコンは修理しきれない状態で、買い替えることになった。
「暑い・・・猫の姿でいよう」
「にゃああああ」
すでに、白哉は黒猫の子猫姿で冷たいフローリングで寝そべっている。
「浮竹、買いにいくの一緒についてきてよ」
「猫の姿でいいか?」
「いや、ペット同伴はだめだから」
「じゃあ、京楽一人で行ってこい」
「ぐすん」
結局、京楽は一人で家電屋にいき、百万をこえるクーラーを買ってきて、さっそく店の人にとりつけてもらった。
「極楽極楽・・・・・・」
「あれ、猫がしゃべったような?」
店の人が、うっかり子猫姿で人の言葉を話した浮竹を見てから、笑った。
「猫が、人の言葉話すわけありませんよねぇ」
「そうだね」
「でも、ここって便利屋っていう退治屋してる人の家って聞いたので、よければ話だけでも聞いてくれませんか」
「どうしたんだい?」
浮竹と白哉は、自分の部屋で人化して、京楽のところにやってくる。
「それが、季節外れの藤の花が咲いていて、枯れかけていたんで、水をやって肥料を植えたんです。その次の日から、藤の精霊だというあやかしがやってきて、お礼をさせてくれってうるさいんです。適当に今の上司が気に入らないって言ったら、その上司骨折しちゃって・・・・。他にも愚痴を言ってしまった相手に、次々と不幸が。どうにかなりませんか」
「こりゃ、ボクらの出番だね」
「そうだな」
「うむ」
店の人は、田原といった。
20代前半の若者で、見た目はよかったし、身なりもきちんとしていた。
「ここが、例の藤です」
「10月だぞ・・・5月の藤がこんなに咲いている。狂い咲きだな」
「狂い咲き?」
「季節を間違えて、咲き乱れることだ。確かに、藤のあやかしがいるようだ。人のにおいがするな・・・・あなたの上司やらに災禍をもたらしたのは、この藤の精霊・・・・・藤の花鬼だな]
「祓うかい?」
「狂い咲きの花は理性があまりない。話すだけ無駄だろうし、祓おう」
浮竹は、ふっと桜の花びらを吹くと、藤が枯れていく。
「ぎゃああああああ」
藤の花鬼が現れる。
「おのれ、人間め!」
「残念。こっちの子は桜の王だよ。それで、こっちは桜の王の弟」
「さ、桜の王・・・あやかし殺しの、桜の王・・ひいいいい」
「あやかし殺しとは失礼な。120年前にそれはやめてるぞ」
浮竹がそう言うと、藤の花鬼は震えた。
「他の花鬼が言っていた。人間と、あやかしを退治すると」
藤の花鬼は、綺麗な女性だったが、田原の好みではないらしい。
「もう、他の人に災いがおこるなんてまっぴらごめんだ」
「どうして。あなたのために、してあげたのに。愛しているわ」
「俺は、人間だ。あやかしなんて、好きになれるわけがない。この化け物が!」
「ひどい・・・・・・」
「まぁ、田原君そこまでにしておいて。ボクの十四郎が切れるから」
「あやかしは化け物かもしれないが・・・・・」
浮竹は静かに怒っていた。
「眠れ」
怒っている浮竹の代わりに、白哉が浮竹と同じように、桜の花びらをふっと吹いた。
甘い香りがして、藤の花鬼は、眠りにつく。
「さぁ、兄の出番だ」
「滅!」
眠ったまま、藤の花鬼は消滅した。
「ありがとうごいざいます。給料が出たら、料金をお支払いいたしますので・・・・」
「京楽、藤の花の種が落ちているだろう」
「あ、ほんとだね」
「花鬼の元だ。違う場所に埋めてやろう。新しい藤の花鬼として、成長するだろう」
田原は、浮竹の言葉に嫌そうな顔をする。
「やっつけたんでしょう。また、俺のところにきたらどう責任とってくれるんですか」
「兄の記憶を消す。厄介だ」
ふっと、白哉は桜の花びらをふいて、田原のあやかしに関係した記憶だけを切り取った。
「白哉、俺の技うまくなってきたな」
「浮竹、兄に毎日訓練を受けているからな」
藤の種を、億ションの庭に埋めて、3人は部屋に帰還する。
「藤の花は、自分を救ってくれた男を好いて、男の障害をとりのぞこうとしたが、人に手を出すのはあやかしの世界ではタブーだ」
「うん、そうだね。ボクや、術者の浮竹の元なんかに依頼がくるから」
「今年は、秋になったのに桔梗の王の卯の花烈の姿を見ない。何かあったのだろうか」
「噂では、病にかかったと聞いたぞ」
白哉は、独自のあやかしネットワークをもっていた。情報を集めるのが早い。
「今度、桔梗の王のところに、お見舞いにいくか。何か菓子を作って」
「もちろん、ボクもいくよ」
「浮竹と京楽、兄らが行くのであれば、私も行こう」
こうして、桔梗の王に会うことが決まったのであった。
だが、残暑の厳しさに浮竹だけでなく、白哉もだれていた。
ここは、京楽の住む3億もするマンションの一角。
冷房のエアコンが壊れてしまったのだ。
室温はぐんぐんあがり、35度をこしていた。
「暑い。水シャワー浴びてくる」
「浮竹、兄がいくなら私もいく」
「ちょっと、二人とも!もうすぐ修理の人が来てくれるから、それまで我慢してよ!」
「兄は平気そうで羨ましい」
白哉は、浮竹と違うバスルームに向かった。
やがて、エアコンは修理しきれない状態で、買い替えることになった。
「暑い・・・猫の姿でいよう」
「にゃああああ」
すでに、白哉は黒猫の子猫姿で冷たいフローリングで寝そべっている。
「浮竹、買いにいくの一緒についてきてよ」
「猫の姿でいいか?」
「いや、ペット同伴はだめだから」
「じゃあ、京楽一人で行ってこい」
「ぐすん」
結局、京楽は一人で家電屋にいき、百万をこえるクーラーを買ってきて、さっそく店の人にとりつけてもらった。
「極楽極楽・・・・・・」
「あれ、猫がしゃべったような?」
店の人が、うっかり子猫姿で人の言葉を話した浮竹を見てから、笑った。
「猫が、人の言葉話すわけありませんよねぇ」
「そうだね」
「でも、ここって便利屋っていう退治屋してる人の家って聞いたので、よければ話だけでも聞いてくれませんか」
「どうしたんだい?」
浮竹と白哉は、自分の部屋で人化して、京楽のところにやってくる。
「それが、季節外れの藤の花が咲いていて、枯れかけていたんで、水をやって肥料を植えたんです。その次の日から、藤の精霊だというあやかしがやってきて、お礼をさせてくれってうるさいんです。適当に今の上司が気に入らないって言ったら、その上司骨折しちゃって・・・・。他にも愚痴を言ってしまった相手に、次々と不幸が。どうにかなりませんか」
「こりゃ、ボクらの出番だね」
「そうだな」
「うむ」
店の人は、田原といった。
20代前半の若者で、見た目はよかったし、身なりもきちんとしていた。
「ここが、例の藤です」
「10月だぞ・・・5月の藤がこんなに咲いている。狂い咲きだな」
「狂い咲き?」
「季節を間違えて、咲き乱れることだ。確かに、藤のあやかしがいるようだ。人のにおいがするな・・・・あなたの上司やらに災禍をもたらしたのは、この藤の精霊・・・・・藤の花鬼だな]
「祓うかい?」
「狂い咲きの花は理性があまりない。話すだけ無駄だろうし、祓おう」
浮竹は、ふっと桜の花びらを吹くと、藤が枯れていく。
「ぎゃああああああ」
藤の花鬼が現れる。
「おのれ、人間め!」
「残念。こっちの子は桜の王だよ。それで、こっちは桜の王の弟」
「さ、桜の王・・・あやかし殺しの、桜の王・・ひいいいい」
「あやかし殺しとは失礼な。120年前にそれはやめてるぞ」
浮竹がそう言うと、藤の花鬼は震えた。
「他の花鬼が言っていた。人間と、あやかしを退治すると」
藤の花鬼は、綺麗な女性だったが、田原の好みではないらしい。
「もう、他の人に災いがおこるなんてまっぴらごめんだ」
「どうして。あなたのために、してあげたのに。愛しているわ」
「俺は、人間だ。あやかしなんて、好きになれるわけがない。この化け物が!」
「ひどい・・・・・・」
「まぁ、田原君そこまでにしておいて。ボクの十四郎が切れるから」
「あやかしは化け物かもしれないが・・・・・」
浮竹は静かに怒っていた。
「眠れ」
怒っている浮竹の代わりに、白哉が浮竹と同じように、桜の花びらをふっと吹いた。
甘い香りがして、藤の花鬼は、眠りにつく。
「さぁ、兄の出番だ」
「滅!」
眠ったまま、藤の花鬼は消滅した。
「ありがとうごいざいます。給料が出たら、料金をお支払いいたしますので・・・・」
「京楽、藤の花の種が落ちているだろう」
「あ、ほんとだね」
「花鬼の元だ。違う場所に埋めてやろう。新しい藤の花鬼として、成長するだろう」
田原は、浮竹の言葉に嫌そうな顔をする。
「やっつけたんでしょう。また、俺のところにきたらどう責任とってくれるんですか」
「兄の記憶を消す。厄介だ」
ふっと、白哉は桜の花びらをふいて、田原のあやかしに関係した記憶だけを切り取った。
「白哉、俺の技うまくなってきたな」
「浮竹、兄に毎日訓練を受けているからな」
藤の種を、億ションの庭に埋めて、3人は部屋に帰還する。
「藤の花は、自分を救ってくれた男を好いて、男の障害をとりのぞこうとしたが、人に手を出すのはあやかしの世界ではタブーだ」
「うん、そうだね。ボクや、術者の浮竹の元なんかに依頼がくるから」
「今年は、秋になったのに桔梗の王の卯の花烈の姿を見ない。何かあったのだろうか」
「噂では、病にかかったと聞いたぞ」
白哉は、独自のあやかしネットワークをもっていた。情報を集めるのが早い。
「今度、桔梗の王のところに、お見舞いにいくか。何か菓子を作って」
「もちろん、ボクもいくよ」
「浮竹と京楽、兄らが行くのであれば、私も行こう」
こうして、桔梗の王に会うことが決まったのであった。
桜のあやかしと共に9
「春」の一件があって、半月が過ぎた。
「春」はあれから、一度だけ浮竹の前に現れて、京楽の腕からかすめとり、浮竹に口づけて消えてしまった。
「「春」、まだ存在してるんだね」
「魂を浄化させないとだめだ。術者の俺に頼んで、浄化の札を作ってもらった。術自体は壊してくれたそうだから、今度会った時ちゃんと成仏させる」
浮竹は、「春」の死をきちんと受けいれていた。
「春水、好きだ。ぎゅーーーっってして?」
「ボクも好きだよ、十四郎」:
抱きしめあう二人を、白哉は何も言わずに茶をすすっていた。
「あやかしまんじゅうのストックがつきた。浮竹、兄の名で注文していいか?」
「ああ、いいぞ白哉」
白哉は、浮竹と京楽がいちゃこらするのにも慣れているようで、自分のリズムで日常を過ごす。
「買い物にいってくる」
「十四郎、一人じゃ危ないから、ボクの車で行こう」
「すぐ、そこだぞ?」
「それでもだめ。今の十四郎を一人で行動させれない」
浮竹は、歩いて15分の距離にあるスーパーに、京楽のもつ高級車で出かけた。
「大根が安いな・・・・・。ああ、サンマがあれば。でも季節じゃないしな」
「浮竹、スーパーじゃなくて、今度から通販で買わない?」
「だめだ。材料は新鮮なものでないと。あと、安いほうがいい」
「ボク、君と白哉君を養うくらい平気だよ?」
「まぁ、すでに養ってもらっているから、家事をしている」
「うん。すごく助かるよ」
本当は1つしかなかったベッドを、浮竹と白哉の分も買って、空いていた部屋を浮竹と白哉のj部屋として与えた。
「キャベツが少し高いな・・・・。ガソリンがねあがってるせいで、ほとんどのものが高くなってる」
「桜の精霊なのに、十四郎は現代の買い物事情にくわしいね」
くすっと、京楽は笑った。
買い物を終えて、車に乗ろうとすると、車の中に「春」が座っていた。
「「春」!性懲りもなく、また現れたね!」
「春」が車の外に出て、浮竹に近づく。
「シロ、ボクと一緒にいこう?」
「「春」、俺は春水を愛している。お前を愛していた浮竹十四郎は120年前、お前が死んだ時に一緒に死んだんだ」
「何を言ってるの、シロ。シロはここにいるじゃない」
「「春」・・・・愛している」
「ちょっと、十四郎!?」
浮竹は、「春」を受け入れたように見えた。
「春」を抱きしめて、キスをする。昔のように微笑みかけると、「春」は涙を流した。
「しょせん、かりそめ命か・・・。器があっても、術を壊された。さぁ、シロ、ボクがあやかしになる前に、その浄化の札で成仏させておくれ」
「「春」・・・・愛している。今は春水を愛しているが、「春」も愛していた」
浮竹は、泣きながら笑って、浄化の札を数枚手に取り、「春」を抱きしめながら、その背中にはっていく。
「お別れだ、シロ。120年前、君を残して死んでごめん。それから京楽春水!」
「な、なにさ」
「シロを泣かせたら、許さないからね」
「泣かせないよ!十四郎を残して死なない」
「じゃあ、ボクは一人で黄泉に帰るよ。ボクの転生先はすでにあるからね。消えるだけさ」
すううと、浄化の白い焔がたちのぼり、「春」を包んでいく。
「「春」!!」
「シロ、泣かないで」
「「春」ーーーーー!!!」
車の外で、完全に消えてしまった。
「帰ろう、十四郎」
「ああ・・・・・」
浮竹は、また泣いていた。
「ぐすっ・・・・春水、今日一緒に寝てくれ。寂しい」
「いいよ。君の傍にずっといてあげる」
全てが終わった旨を夜刀神と術者の浮竹に連絡した。
『思うにね、春の季節のあやかしの管理をやめた桜の王に、あやかしの管理をしてほしくて、花鬼が仕組んだみたいだよ」
「俺はもう、過去の俺じゃない。管理といっても、間引きだ。あんな行為、もうしたくない。あやかしがあやかしを殺す。そんなの、おかしい」
『まぁ、確かにねえ』
夜刀神は、浮竹に同情する。
『え、あやかしの管理って、あやかしを殺すことなのか?』
「そうだ。悪さをしたなら分かるが、数の調整だ。そんなの、おかしいだろう?」
『確かにおかしいね。他の長老たちはどうしてるんだい』
「俺と同じで、秋の桔梗と冬の椿は管理をやめた。夏の朝顔は、自分の花鬼を作って間引きさせてる」
『ああ、だからあの時朝顔の花鬼が暴れていたのかい』
「ああ。夏の朝顔の王から、消される通告があったんだろう。俺は、朝顔の王は嫌いだ。名を、市丸ギンという」
『ああ、そんなのいたねぇ』
夜刀神は、懐かしそうに昔を思い出す。
「桔梗の王卯の花烈、椿の王日番谷冬獅郎・・・・ああ、懐かしいな。皆、市丸以外は元気にしているだろうか」
『元気そうだよ?椿の王なんて、小さいくせにかわいい恋人がいたね』
椿は冬の花だ。
見た目は幼い少年だが、齢3千年をこしている。
『とにかく「春」があやかしになったり、悪霊になったりしなくてよかったよ』:
「ぐすっ・・・・・・」
浮竹が、涙を滲ませる。
『あ、ああ、もうこの話は禁句にしようか』
『でも、誰が「春」君に蘇りの術を・・・ただの花鬼にはできないだろう』
「長老神か、先代の長老か・・・そんなところだろうな」
『長老神?』
術者の浮竹が、首を傾げる。
「俺たち4大精霊長老の上に君臨する、植物のあやかしの神だ」
『名前は?』
「藍染。下の名は知らない。俺が桜の王として、5千年前に長老についた時にはすでにいた」
「ボクにはまだあやかしの知識は少ないから、全然分からないよ」
京楽の言葉に、夜刀神が笑う。
『少しずつ覚えていけばいいのさ。桜の王と同じ時間を生き続けるなら』
『そうだぞ。焦っても、なんにもならないしな』
術者の浮竹と夜刀神の京楽は、京楽の億ションにきて、モンブランを食べていた。
この前、夜刀神が作ってほしいと言っていたからだ。
『ああ、やっぱり桜の王が作るお菓子はおいしいねぇ。ボクの浮竹の作るお菓子もおいしくなってきたけど、プロの味ってかんじがする』
「ああ、話してなかったか。40年前、暇だったので人間に化けて、料理の学校に通っていた」
『『はぁ!?』』
「え、まじなの」
「人生が暇だったからな・・・・・白哉は知っているよな?」
「浮竹が、人のまねをするのが好きなことは知っている。高校なる場所へ通っていたり、姿を変化させて小学生になったりもしていた」
『うわー。桜の王の、精霊の長老の小学生なんてひくわー』
「うるさい!俺が何になろうが、勝手だろうが。それに、料理の学校には2年通ったが、他の場所には一時だけだ」
『ま、まぁ、桜の王が誰かに迷惑をかけたわけじゃないからいいんじゃないのか?』
「そうだぞ。料理の腕はもとからあったが、料理の学校に通うようになって、料理がますます好きになったしな」
「いやぁ、毎日浮竹の料理食べてるから、外で食べるとまずいって感じちゃってねえ。困ったよ」
京楽ののろけ話に、浮竹が赤くなる。
「べ、別にお前のためだけに作ってるんじゃないからな!白哉の分もちゃんとあるからな!”」
「浮竹、兄の料理はまさに神」
『夕飯食べていきたいなぁ』
『俺も、夕飯食べていきたい』
「私は元から食べるつもりでいる」
3人から熱烈なコールをされて、浮竹は幸せそうなため息をつきながら、キッチンに消えていく。
「浮竹の手前、言えなかったが、長老神には気をつけろ。あれは、神の領域にいるが、そちらの夜刀神と同じようなまがつかみの一種だ」
『へぇ、ボクと同じ災いの神か・・・・面白い』
「これは、警告だ。長老神は、浮竹をよく思っていない。仲のいい兄らも同様の視線で見られるであろう」
『じゃあ、白哉君も?』
術者の浮竹が聞くと、白哉が答える。
「私もよい目では見られていないな」
「今日はロールキャベツが中心だが、いいだろう?」
キッチンから、浮竹の声がする。
皆、それでいいと答えて、長老神のことはとりあえず保留にした。
できあがった夕飯を食べて、術者の浮竹は涙をにじませる。
『う、うまい・・・』
「そっちの俺に、レシピを書いたメモをやろう」
『ありがとう!!』
術者の浮竹は、浮竹に抱き着いた。
「百合ですな」
『百合だねぇ』
「人は、おかしな名をつけるな」
白哉は、さっさと食べ終わると、黒猫の子猫姿になってチュールが欲しいとにゃあにゃあ京楽をひっかく。
「白哉君、食べすぎじゃないの?浮竹の手料理の後にチュールなんて」
「兄の知ったことではないであろう。さっさとチュールよこせ」
白哉の傍若無人ぶりには、その場にいた誰もかなうことができなかったのであった。
「春」はあれから、一度だけ浮竹の前に現れて、京楽の腕からかすめとり、浮竹に口づけて消えてしまった。
「「春」、まだ存在してるんだね」
「魂を浄化させないとだめだ。術者の俺に頼んで、浄化の札を作ってもらった。術自体は壊してくれたそうだから、今度会った時ちゃんと成仏させる」
浮竹は、「春」の死をきちんと受けいれていた。
「春水、好きだ。ぎゅーーーっってして?」
「ボクも好きだよ、十四郎」:
抱きしめあう二人を、白哉は何も言わずに茶をすすっていた。
「あやかしまんじゅうのストックがつきた。浮竹、兄の名で注文していいか?」
「ああ、いいぞ白哉」
白哉は、浮竹と京楽がいちゃこらするのにも慣れているようで、自分のリズムで日常を過ごす。
「買い物にいってくる」
「十四郎、一人じゃ危ないから、ボクの車で行こう」
「すぐ、そこだぞ?」
「それでもだめ。今の十四郎を一人で行動させれない」
浮竹は、歩いて15分の距離にあるスーパーに、京楽のもつ高級車で出かけた。
「大根が安いな・・・・・。ああ、サンマがあれば。でも季節じゃないしな」
「浮竹、スーパーじゃなくて、今度から通販で買わない?」
「だめだ。材料は新鮮なものでないと。あと、安いほうがいい」
「ボク、君と白哉君を養うくらい平気だよ?」
「まぁ、すでに養ってもらっているから、家事をしている」
「うん。すごく助かるよ」
本当は1つしかなかったベッドを、浮竹と白哉の分も買って、空いていた部屋を浮竹と白哉のj部屋として与えた。
「キャベツが少し高いな・・・・。ガソリンがねあがってるせいで、ほとんどのものが高くなってる」
「桜の精霊なのに、十四郎は現代の買い物事情にくわしいね」
くすっと、京楽は笑った。
買い物を終えて、車に乗ろうとすると、車の中に「春」が座っていた。
「「春」!性懲りもなく、また現れたね!」
「春」が車の外に出て、浮竹に近づく。
「シロ、ボクと一緒にいこう?」
「「春」、俺は春水を愛している。お前を愛していた浮竹十四郎は120年前、お前が死んだ時に一緒に死んだんだ」
「何を言ってるの、シロ。シロはここにいるじゃない」
「「春」・・・・愛している」
「ちょっと、十四郎!?」
浮竹は、「春」を受け入れたように見えた。
「春」を抱きしめて、キスをする。昔のように微笑みかけると、「春」は涙を流した。
「しょせん、かりそめ命か・・・。器があっても、術を壊された。さぁ、シロ、ボクがあやかしになる前に、その浄化の札で成仏させておくれ」
「「春」・・・・愛している。今は春水を愛しているが、「春」も愛していた」
浮竹は、泣きながら笑って、浄化の札を数枚手に取り、「春」を抱きしめながら、その背中にはっていく。
「お別れだ、シロ。120年前、君を残して死んでごめん。それから京楽春水!」
「な、なにさ」
「シロを泣かせたら、許さないからね」
「泣かせないよ!十四郎を残して死なない」
「じゃあ、ボクは一人で黄泉に帰るよ。ボクの転生先はすでにあるからね。消えるだけさ」
すううと、浄化の白い焔がたちのぼり、「春」を包んでいく。
「「春」!!」
「シロ、泣かないで」
「「春」ーーーーー!!!」
車の外で、完全に消えてしまった。
「帰ろう、十四郎」
「ああ・・・・・」
浮竹は、また泣いていた。
「ぐすっ・・・・春水、今日一緒に寝てくれ。寂しい」
「いいよ。君の傍にずっといてあげる」
全てが終わった旨を夜刀神と術者の浮竹に連絡した。
『思うにね、春の季節のあやかしの管理をやめた桜の王に、あやかしの管理をしてほしくて、花鬼が仕組んだみたいだよ」
「俺はもう、過去の俺じゃない。管理といっても、間引きだ。あんな行為、もうしたくない。あやかしがあやかしを殺す。そんなの、おかしい」
『まぁ、確かにねえ』
夜刀神は、浮竹に同情する。
『え、あやかしの管理って、あやかしを殺すことなのか?』
「そうだ。悪さをしたなら分かるが、数の調整だ。そんなの、おかしいだろう?」
『確かにおかしいね。他の長老たちはどうしてるんだい』
「俺と同じで、秋の桔梗と冬の椿は管理をやめた。夏の朝顔は、自分の花鬼を作って間引きさせてる」
『ああ、だからあの時朝顔の花鬼が暴れていたのかい』
「ああ。夏の朝顔の王から、消される通告があったんだろう。俺は、朝顔の王は嫌いだ。名を、市丸ギンという」
『ああ、そんなのいたねぇ』
夜刀神は、懐かしそうに昔を思い出す。
「桔梗の王卯の花烈、椿の王日番谷冬獅郎・・・・ああ、懐かしいな。皆、市丸以外は元気にしているだろうか」
『元気そうだよ?椿の王なんて、小さいくせにかわいい恋人がいたね』
椿は冬の花だ。
見た目は幼い少年だが、齢3千年をこしている。
『とにかく「春」があやかしになったり、悪霊になったりしなくてよかったよ』:
「ぐすっ・・・・・・」
浮竹が、涙を滲ませる。
『あ、ああ、もうこの話は禁句にしようか』
『でも、誰が「春」君に蘇りの術を・・・ただの花鬼にはできないだろう』
「長老神か、先代の長老か・・・そんなところだろうな」
『長老神?』
術者の浮竹が、首を傾げる。
「俺たち4大精霊長老の上に君臨する、植物のあやかしの神だ」
『名前は?』
「藍染。下の名は知らない。俺が桜の王として、5千年前に長老についた時にはすでにいた」
「ボクにはまだあやかしの知識は少ないから、全然分からないよ」
京楽の言葉に、夜刀神が笑う。
『少しずつ覚えていけばいいのさ。桜の王と同じ時間を生き続けるなら』
『そうだぞ。焦っても、なんにもならないしな』
術者の浮竹と夜刀神の京楽は、京楽の億ションにきて、モンブランを食べていた。
この前、夜刀神が作ってほしいと言っていたからだ。
『ああ、やっぱり桜の王が作るお菓子はおいしいねぇ。ボクの浮竹の作るお菓子もおいしくなってきたけど、プロの味ってかんじがする』
「ああ、話してなかったか。40年前、暇だったので人間に化けて、料理の学校に通っていた」
『『はぁ!?』』
「え、まじなの」
「人生が暇だったからな・・・・・白哉は知っているよな?」
「浮竹が、人のまねをするのが好きなことは知っている。高校なる場所へ通っていたり、姿を変化させて小学生になったりもしていた」
『うわー。桜の王の、精霊の長老の小学生なんてひくわー』
「うるさい!俺が何になろうが、勝手だろうが。それに、料理の学校には2年通ったが、他の場所には一時だけだ」
『ま、まぁ、桜の王が誰かに迷惑をかけたわけじゃないからいいんじゃないのか?』
「そうだぞ。料理の腕はもとからあったが、料理の学校に通うようになって、料理がますます好きになったしな」
「いやぁ、毎日浮竹の料理食べてるから、外で食べるとまずいって感じちゃってねえ。困ったよ」
京楽ののろけ話に、浮竹が赤くなる。
「べ、別にお前のためだけに作ってるんじゃないからな!白哉の分もちゃんとあるからな!”」
「浮竹、兄の料理はまさに神」
『夕飯食べていきたいなぁ』
『俺も、夕飯食べていきたい』
「私は元から食べるつもりでいる」
3人から熱烈なコールをされて、浮竹は幸せそうなため息をつきながら、キッチンに消えていく。
「浮竹の手前、言えなかったが、長老神には気をつけろ。あれは、神の領域にいるが、そちらの夜刀神と同じようなまがつかみの一種だ」
『へぇ、ボクと同じ災いの神か・・・・面白い』
「これは、警告だ。長老神は、浮竹をよく思っていない。仲のいい兄らも同様の視線で見られるであろう」
『じゃあ、白哉君も?』
術者の浮竹が聞くと、白哉が答える。
「私もよい目では見られていないな」
「今日はロールキャベツが中心だが、いいだろう?」
キッチンから、浮竹の声がする。
皆、それでいいと答えて、長老神のことはとりあえず保留にした。
できあがった夕飯を食べて、術者の浮竹は涙をにじませる。
『う、うまい・・・』
「そっちの俺に、レシピを書いたメモをやろう」
『ありがとう!!』
術者の浮竹は、浮竹に抱き着いた。
「百合ですな」
『百合だねぇ』
「人は、おかしな名をつけるな」
白哉は、さっさと食べ終わると、黒猫の子猫姿になってチュールが欲しいとにゃあにゃあ京楽をひっかく。
「白哉君、食べすぎじゃないの?浮竹の手料理の後にチュールなんて」
「兄の知ったことではないであろう。さっさとチュールよこせ」
白哉の傍若無人ぶりには、その場にいた誰もかなうことができなかったのであった。
桜のあやかしと共に8
浮竹は、キッチンで昼食を作っていた。
今、白哉はいない。妹のルキアのネモフィラの花畑に出かけてしまっていた。
ふと、気配を感じて振り返る。
「京楽?」
「ひどいなぁ、シロ。ボクを忘れちゃったの」
「「春」?そ、そんなばかな・・・「春」は死んだはずだ!」
浮竹は、顔面蒼白になった。
「こうやって、この世界に戻ってきたんだよ。シロ、君に会うために。京楽春水だっけ。ボクの生まれ変わり・・・・どこにいるの?その京楽春水の魂を吸えば、ボクは完全に生き返る」
「「春」そんなことしちゃだめだ!俺の「春」は死んだんだ」
「じゃあ、ここにいるボクは?」
「春」は、浮竹を抱きしめた。
「十四郎ただいまー。昼食できたかな?」
「お、さっそく帰ってきたようだね」
「春水、逃げろーーー!!」
京楽は、自分そっくりな「春」を見て、一瞬動きを止める。
「君は・・・「春」?なぜ、いるんだい」
夢の中で、いつも鏡で見る顔だった。
「シロ、さぁのこの京楽春水を贄に・・・・」
「「春」愛してる。でも、それはもう過去のことなんだ」
浮竹は、桜の花びらをふっと吹いて、「春」を燃やす。
泣きながら。
「シロ・・・・どうして?」
「俺は今この春水を愛している。たとえ「春」であっても、奪うことは許さない」
「シロ・・・・一緒にいこう?」
燃えながら、「春」は浮竹を抱きしめる。
浮竹は、やけど一つ負わずに、「春」を抱きしめ返した。
「ごめんなさい「春」。俺には春水が必要なんだ」
「シロ。一緒に眠ろう」
「「春」・・・・・・・・」
シロは、そのまま灰となった。
その場に残された浮竹は、意識を失っていた。
「十四郎!」
京楽がかけよって揺り動かすが、ぴくともしない。
『ああ・・・・間に合わなかったか』
「夜刀神!?」
『「春」は桜の王の魂に入り込んだ。もう、起きない。誰かが、その意識の中にもぐりこんで起こすまでは』
『ちょ、夜刀神、人の意識にもぐりこむのは帰ってこれない可能性が高いんだぞ!』
『でも、するよね?君は』
「うん」
京楽は力強く頷いた。
「ボクたちの危機に、かけつけてくれたんだね。ありがとう。浮竹の意識の中にもぐるよ。手伝ってくれないかな」
京楽は、浮竹をベッドに寝かすと、意識を集中させる。
『ボクが外からサポートするよ。どうか、無事に桜の王と一緒に戻ってきてね』
京楽は、浮竹の意識の中にもぐりこんでいく。
その世界は、いつも夢に見る120年以上前の「春」が生きていた時代だった。
浮竹は、着物姿で、「春」と楽しそうにお茶をしていた。
「おや、こっちにまできたのかい。しつこいね。シロは誰にも渡さない」
「それはボクのセリフだ。十四郎は、渡さない」
京楽は、呪符を「春」に向かって飛ばす。
「春」は、それをシールドで防ぐ。
「ボクも、力はあったんだよ。主に浄化力だけど・・・・シロ、少しまっててね。今、邪魔者を排除するから」
「「春」?そこに、誰かいるのか?」
浮竹には、京楽の姿は見えていないようであった。
「十四郎!」
京楽が叫ぶと、浮竹がピクリと反応する。
「誰だ?俺の名を呼ぶのは・・・どこか懐かしくて、愛しいかんじがする」
「シロ、ボクだけを見て」
「春」を、京楽は浮竹の力を勝手に使って、桜の花びらをふっと吹きかけて、氷漬けにした。
「「春」!?」
場面が変わる。
「春」が血まみれで横たわっていた。近くには「春」をはねた馬車があった。
「いやだああああああああ!「春」「春」!!!!!」
「浮竹、目を覚まして!これは「春」が君を自分のものにするために見せている夢だ!」
そこで、京楽の姿が浮竹にも見えた。
「春水!?俺は・・・「春」は・・・・・」
「「春」は今、君の精神の中にもぐりこんで、魂の状態だけでいる。追い出せるかい?」
「「春」・・・お前は、死んだんだ。そう、これは過去の夢」
「シロ・・・行かないで」
また場面が変わって、ネモフィラの花畑になった。
「一緒に眠ろう?」
「「春」・・・・・」
浮竹は、「春」を抱きしめて、それから桜の花びらをふっと吹いた。
「春」は、桜に包まれる。
「せめて、桜に包まれて、眠れ」
「シロ・・・・残念だよ。でも、またくるから」
「春」は、浮竹の中から消える。
でも、消滅したわけではなく、魂魄が逃げていったのだ。
「春水・・・俺を抱いていてくれ」
「うん」
「春水・・・つらい目に合わせてごめん」
「それは十四郎のほうでしょ?あんなに愛していた「春」が蘇った」
「俺は大丈夫だ」
浮竹は泣いていた。
『かたがついたようだね。便利屋のボクと桜の王の魂を、引き上げるよ』
「夜刀神か」
「ボク一人の力じゃ、浮竹の意識の中にもぐりこめなかったから」
「そうか。礼を、しないとな・・・・・」
まず、京楽が目覚めた。
浮竹は、まだ意識を取り戻さない。
「大丈夫かな、十四郎」
『うまくいったんでしょ?「春」の魂は逃げていったみたいだけど』
『桜の王、起きてくれ』
ゆっくりと、浮竹の瞳が開かれる。
「すまない・・・・・」
それだけ言って、浮竹は人の姿を保っていられずに、白猫のオッドアイの子猫になってしまった。
「にゃああんん」
ぺろぺろと、京楽をなめる。
「十四郎、つらいんでしょ。無理しないで寝て?」
「にゃあ」
浮竹は、ひと声鳴くと、京楽の腕の中ですうすうと眠りにつく。
『もう起きないとか、ないよな?』
『大丈夫。桜の王は「春」の死を受け入れているし、便利屋のボクを選んだ』
術者の浮竹は、眠る子猫の浮竹を心配そうに見つめた。
「ごめん、ボクも疲れたよ。浮竹と一緒に寝るから、ボクらの分の昼食が用意してあると思うんだけど、それでも食べて、起きるのまってて」
『ゆっくりおやすみ』
『護衛は任せろ』
「じゃあ・・・・・」
京楽も、ブレーカーが落ちたように眠ってしまった。
人の意識の中に潜り込むには、生命力と体力を使う。消耗が激しいようだった。
『「春」は結局、体を失っただけだ。また、来るだろうね』
『桜の王の幸せを、壊せたりさせないぞ』
二人は意気込んで、護衛の任についたが、結局「春」は現れなかった。
「京楽春水・・・ボクの、生まれ変わり」
泉の奥で、「春」は新しい器をもらい、それに宿った。
「シロ・・・・待ってて。必ず、迎えに行くから」
「春」は、自分が拒絶されたと分かっていなかった。
否、そういう風に蘇った。
「春」は、桜の花びらを泉に浮かべながら、愛しいシロのことを思うのであった。
今、白哉はいない。妹のルキアのネモフィラの花畑に出かけてしまっていた。
ふと、気配を感じて振り返る。
「京楽?」
「ひどいなぁ、シロ。ボクを忘れちゃったの」
「「春」?そ、そんなばかな・・・「春」は死んだはずだ!」
浮竹は、顔面蒼白になった。
「こうやって、この世界に戻ってきたんだよ。シロ、君に会うために。京楽春水だっけ。ボクの生まれ変わり・・・・どこにいるの?その京楽春水の魂を吸えば、ボクは完全に生き返る」
「「春」そんなことしちゃだめだ!俺の「春」は死んだんだ」
「じゃあ、ここにいるボクは?」
「春」は、浮竹を抱きしめた。
「十四郎ただいまー。昼食できたかな?」
「お、さっそく帰ってきたようだね」
「春水、逃げろーーー!!」
京楽は、自分そっくりな「春」を見て、一瞬動きを止める。
「君は・・・「春」?なぜ、いるんだい」
夢の中で、いつも鏡で見る顔だった。
「シロ、さぁのこの京楽春水を贄に・・・・」
「「春」愛してる。でも、それはもう過去のことなんだ」
浮竹は、桜の花びらをふっと吹いて、「春」を燃やす。
泣きながら。
「シロ・・・・どうして?」
「俺は今この春水を愛している。たとえ「春」であっても、奪うことは許さない」
「シロ・・・・一緒にいこう?」
燃えながら、「春」は浮竹を抱きしめる。
浮竹は、やけど一つ負わずに、「春」を抱きしめ返した。
「ごめんなさい「春」。俺には春水が必要なんだ」
「シロ。一緒に眠ろう」
「「春」・・・・・・・・」
シロは、そのまま灰となった。
その場に残された浮竹は、意識を失っていた。
「十四郎!」
京楽がかけよって揺り動かすが、ぴくともしない。
『ああ・・・・間に合わなかったか』
「夜刀神!?」
『「春」は桜の王の魂に入り込んだ。もう、起きない。誰かが、その意識の中にもぐりこんで起こすまでは』
『ちょ、夜刀神、人の意識にもぐりこむのは帰ってこれない可能性が高いんだぞ!』
『でも、するよね?君は』
「うん」
京楽は力強く頷いた。
「ボクたちの危機に、かけつけてくれたんだね。ありがとう。浮竹の意識の中にもぐるよ。手伝ってくれないかな」
京楽は、浮竹をベッドに寝かすと、意識を集中させる。
『ボクが外からサポートするよ。どうか、無事に桜の王と一緒に戻ってきてね』
京楽は、浮竹の意識の中にもぐりこんでいく。
その世界は、いつも夢に見る120年以上前の「春」が生きていた時代だった。
浮竹は、着物姿で、「春」と楽しそうにお茶をしていた。
「おや、こっちにまできたのかい。しつこいね。シロは誰にも渡さない」
「それはボクのセリフだ。十四郎は、渡さない」
京楽は、呪符を「春」に向かって飛ばす。
「春」は、それをシールドで防ぐ。
「ボクも、力はあったんだよ。主に浄化力だけど・・・・シロ、少しまっててね。今、邪魔者を排除するから」
「「春」?そこに、誰かいるのか?」
浮竹には、京楽の姿は見えていないようであった。
「十四郎!」
京楽が叫ぶと、浮竹がピクリと反応する。
「誰だ?俺の名を呼ぶのは・・・どこか懐かしくて、愛しいかんじがする」
「シロ、ボクだけを見て」
「春」を、京楽は浮竹の力を勝手に使って、桜の花びらをふっと吹きかけて、氷漬けにした。
「「春」!?」
場面が変わる。
「春」が血まみれで横たわっていた。近くには「春」をはねた馬車があった。
「いやだああああああああ!「春」「春」!!!!!」
「浮竹、目を覚まして!これは「春」が君を自分のものにするために見せている夢だ!」
そこで、京楽の姿が浮竹にも見えた。
「春水!?俺は・・・「春」は・・・・・」
「「春」は今、君の精神の中にもぐりこんで、魂の状態だけでいる。追い出せるかい?」
「「春」・・・お前は、死んだんだ。そう、これは過去の夢」
「シロ・・・行かないで」
また場面が変わって、ネモフィラの花畑になった。
「一緒に眠ろう?」
「「春」・・・・・」
浮竹は、「春」を抱きしめて、それから桜の花びらをふっと吹いた。
「春」は、桜に包まれる。
「せめて、桜に包まれて、眠れ」
「シロ・・・・残念だよ。でも、またくるから」
「春」は、浮竹の中から消える。
でも、消滅したわけではなく、魂魄が逃げていったのだ。
「春水・・・俺を抱いていてくれ」
「うん」
「春水・・・つらい目に合わせてごめん」
「それは十四郎のほうでしょ?あんなに愛していた「春」が蘇った」
「俺は大丈夫だ」
浮竹は泣いていた。
『かたがついたようだね。便利屋のボクと桜の王の魂を、引き上げるよ』
「夜刀神か」
「ボク一人の力じゃ、浮竹の意識の中にもぐりこめなかったから」
「そうか。礼を、しないとな・・・・・」
まず、京楽が目覚めた。
浮竹は、まだ意識を取り戻さない。
「大丈夫かな、十四郎」
『うまくいったんでしょ?「春」の魂は逃げていったみたいだけど』
『桜の王、起きてくれ』
ゆっくりと、浮竹の瞳が開かれる。
「すまない・・・・・」
それだけ言って、浮竹は人の姿を保っていられずに、白猫のオッドアイの子猫になってしまった。
「にゃああんん」
ぺろぺろと、京楽をなめる。
「十四郎、つらいんでしょ。無理しないで寝て?」
「にゃあ」
浮竹は、ひと声鳴くと、京楽の腕の中ですうすうと眠りにつく。
『もう起きないとか、ないよな?』
『大丈夫。桜の王は「春」の死を受け入れているし、便利屋のボクを選んだ』
術者の浮竹は、眠る子猫の浮竹を心配そうに見つめた。
「ごめん、ボクも疲れたよ。浮竹と一緒に寝るから、ボクらの分の昼食が用意してあると思うんだけど、それでも食べて、起きるのまってて」
『ゆっくりおやすみ』
『護衛は任せろ』
「じゃあ・・・・・」
京楽も、ブレーカーが落ちたように眠ってしまった。
人の意識の中に潜り込むには、生命力と体力を使う。消耗が激しいようだった。
『「春」は結局、体を失っただけだ。また、来るだろうね』
『桜の王の幸せを、壊せたりさせないぞ』
二人は意気込んで、護衛の任についたが、結局「春」は現れなかった。
「京楽春水・・・ボクの、生まれ変わり」
泉の奥で、「春」は新しい器をもらい、それに宿った。
「シロ・・・・待ってて。必ず、迎えに行くから」
「春」は、自分が拒絶されたと分かっていなかった。
否、そういう風に蘇った。
「春」は、桜の花びらを泉に浮かべながら、愛しいシロのことを思うのであった。
桜のあやかしと共に7
「「春」どこにも行かないでくれ」
「うん、ボクはずっとシロの傍にいるよ」
「抱きしめてくれ」
「お安い御用さ」
「「春」・・・大好きだ。夜刀神は俺とお前が契約したこと、何か思っているようだが関係ない。俺は、お前と契約して同じ時間を生きれる今が、一番幸せだ」
「春」は、京楽に姿形だけでなく、性格までよく似ていた。
「「春」、愛してる・・・・・」
そこで、浮竹は目覚めた。
泣いていた。
「あ・・・・・「春」の夢は見ないようにしていたのに・・・春水の影響か」
浮竹は、起きると朝食を作りにキッチンに行った。
京楽はまだ眠っていた。
昨日はあやかし退治が夜遅くまで長引いたので、そのまま寝かせておいた。
「京楽、そろそろ起きろ。昼だぞ」
「んー。十四郎も一緒にもっと寝ようよ」
「もう10時間以上は寝ているだろう。寝すぎだ」
「おはようのキスして」
「はいはい」
浮竹は、京楽の唇に唇を重ねる。
「そういえば、遊園地のペアチケットもらって遊びにいった礼を、術者の俺と夜刀神にしていなかったな。今日にでも、あの店に行こうか」
「お、夜刀神と仲直りする気にでもなったのかい?」
「そんなわけあるか。あいつは腐れ縁だが、まぁ・・・・仲がいいといえなくもないが」
「喧嘩はしてないの?」
「喧嘩というか、夜刀神がからかってくるんだ」
「観察とか言ってからね」
京楽は、浮竹の作ってくれた朝ごはんを食べる。
そして.閑古鳥のなく術者の浮竹の店にやってきた。
『いらっしゃいませ・・・って、お前たちか』
「遊園地ペアチケットもらった礼にきた。これ、俺の作ったレアチーズケーキとシフォンケーキだ」
浮竹が、自分と同じ顔の術者の浮竹に、お礼の品を渡す。
「夜刀神はいないのか?」
『いるよ。蝙蝠になって、お前たちを観察しているらしい』
「夜刀神!こっそりのぞくをやめろ!」
浮竹は、桜の花びらをふっと吹いて、蝙蝠になっていた夜刀神に水をぶつけた。
『うわー。よけそこねちゃった。まぁ、水も滴るいい男ってやつだよね。ね、浮竹』
術者の浮竹を見つめる。術者の浮竹は、タオルをとってくると夜刀神の濡れた髪をふいていやった。
「見ているこっちが恥ずかしくなるね」
京楽が、ラブラブパワー全開な二人に、ため息をこぼす。
『それより、桜の王の手作りなの、そのケーキ』
「そうだ」
『やったぁ!桜の王の作るお菓子はおいしいんだよねぇ。ほんと、めちゃくちゃおいしい。ちょうど3時だし、君たちも一緒に食べて帰ろうよ』
「いや、礼にあげた品を食べてどうする」
『固いこと言わないでよ。ボクと君の仲じゃない』
「気持ち悪いことをいうな!」
浮竹は、どこからかとりだしたハリセンで夜刀神の京楽の頭をはたいた。
『一緒に食べたい。だめか?』
術者の浮竹が、上目遣いでそう見てきて、浮竹も折れた。
「京楽、少し帰るのがおそくなるがいいか」
「ボクは構わないよ。ケーキ、実は食べたかったし」
『じゃあ、3時のお茶にしようよ』
夜刀神の一言でダイニングルームに入れてもらい、紅茶をいれられた。
『んーおいしい!やっぱり桜の王の料理の腕、プロだね』
「5千年修行してきたからな」
「ほんと、おいしいね」
京楽も、おいしそうに食べていた。
『ほっぺが落ちそうだ。そっちの便利屋の京楽は、毎日桜の王の手料理を食べているのか?』
「うん、そうだけど」
『うらやましすぎる・・・・』
「夜方神の料理の腕もそこそこだろう。何せ俺が鍛えてやったんだから」
『うん。夜刀神の料理もおいしいけど、桜の王ほどじゃないな』
『もう、舌がこえちゃって・・・・・・』
夜刀神は、今夜は浮竹のケーキに負けないようなごちそうを作ろうと思った。
『最近、花鬼が暴れたり、人に害をなしたりする件が多いんだ。何か知らない?』
夜刀神の言葉に、浮竹は首を傾げる。
「あやかしの管理は[春」を失ってやめたからな。眷属とはいえ、なぜなのかまでは分からない。ただ、活発化しているのは、俺と京楽が契約を交わしたことにあるかもしれない」
『やっぱり、契約しちゃったんだ。どうりで、桜の王からそっちのボクの匂いがするわけだ』
「同意の上だぞ」
『契約するのはいいけど、「春」の時のように取り残されないようにね』
「「春」の話は、京楽の前ではやめてくれ」
「うーん、十四郎の元彼の話聞いてるみたいで、気分がいいものじゃないね」
『ごめんごめん。元彼かぁ。あながち、間違っていないかも?』
浮竹は、ふっと桜の花びらを吹くと、夜刀神を燃やした。
でも、夜刀神は平然とした顔をして、服さえも焦げていなかった。
「いつか、ぎゃふんと言わせてやる」
『ぎゃふん』
夜刀神がそう言ってからかうものだから、浮竹はハリセンで夜刀神の頭をスパンと殴った。
『不思議だね。昔から、君のハリセン攻撃が読めない』
「いいことだ」
『喧嘩はほどほどにな?』
「そうだよ。ほどほどにね」
術者の浮竹と、京楽はそう言って、ケーキをおいしそうに食べていた。
「礼はちゃんとしたからな。後、お茶はごちそうさま」
「十四郎、家に帰ったらレアチーズケーキもう一回作って。気にいちゃった」
「春水がそういうなら、好きなだけ作ってやる」
「ありがと」
術者の浮竹と夜刀神の京楽が見ている前で、京楽は浮竹にキスをする。
『お熱いことで』
「そっちもあんまり変わらないでしょ?」
『それもそうだね』
夜刀神は、術者の浮竹にキスをした。
二人の浮竹は、真っ赤になるのであった。
「帰るぞ、春水」
「あ、うん。またねぇ」
『ま、またな・・・・』
『またねー。今度来る時はモンブラン作ってもってきてー』
『おい、夜刀神、二人が見ている前でキスとかやめろ』
『えーどうして?むこうだってしてたじゃない』
『それはそうだが・・・』
京楽は、夜刀神に見せつけるつもりで浮竹にキスをしたのだ。
これはもうボクのものだという見えないメッセージ。
浮竹と京楽が去って言った後で、夜刀神は京楽が「春」の生まれ変割りなだけあるなと、思うのであった。
「うん、ボクはずっとシロの傍にいるよ」
「抱きしめてくれ」
「お安い御用さ」
「「春」・・・大好きだ。夜刀神は俺とお前が契約したこと、何か思っているようだが関係ない。俺は、お前と契約して同じ時間を生きれる今が、一番幸せだ」
「春」は、京楽に姿形だけでなく、性格までよく似ていた。
「「春」、愛してる・・・・・」
そこで、浮竹は目覚めた。
泣いていた。
「あ・・・・・「春」の夢は見ないようにしていたのに・・・春水の影響か」
浮竹は、起きると朝食を作りにキッチンに行った。
京楽はまだ眠っていた。
昨日はあやかし退治が夜遅くまで長引いたので、そのまま寝かせておいた。
「京楽、そろそろ起きろ。昼だぞ」
「んー。十四郎も一緒にもっと寝ようよ」
「もう10時間以上は寝ているだろう。寝すぎだ」
「おはようのキスして」
「はいはい」
浮竹は、京楽の唇に唇を重ねる。
「そういえば、遊園地のペアチケットもらって遊びにいった礼を、術者の俺と夜刀神にしていなかったな。今日にでも、あの店に行こうか」
「お、夜刀神と仲直りする気にでもなったのかい?」
「そんなわけあるか。あいつは腐れ縁だが、まぁ・・・・仲がいいといえなくもないが」
「喧嘩はしてないの?」
「喧嘩というか、夜刀神がからかってくるんだ」
「観察とか言ってからね」
京楽は、浮竹の作ってくれた朝ごはんを食べる。
そして.閑古鳥のなく術者の浮竹の店にやってきた。
『いらっしゃいませ・・・って、お前たちか』
「遊園地ペアチケットもらった礼にきた。これ、俺の作ったレアチーズケーキとシフォンケーキだ」
浮竹が、自分と同じ顔の術者の浮竹に、お礼の品を渡す。
「夜刀神はいないのか?」
『いるよ。蝙蝠になって、お前たちを観察しているらしい』
「夜刀神!こっそりのぞくをやめろ!」
浮竹は、桜の花びらをふっと吹いて、蝙蝠になっていた夜刀神に水をぶつけた。
『うわー。よけそこねちゃった。まぁ、水も滴るいい男ってやつだよね。ね、浮竹』
術者の浮竹を見つめる。術者の浮竹は、タオルをとってくると夜刀神の濡れた髪をふいていやった。
「見ているこっちが恥ずかしくなるね」
京楽が、ラブラブパワー全開な二人に、ため息をこぼす。
『それより、桜の王の手作りなの、そのケーキ』
「そうだ」
『やったぁ!桜の王の作るお菓子はおいしいんだよねぇ。ほんと、めちゃくちゃおいしい。ちょうど3時だし、君たちも一緒に食べて帰ろうよ』
「いや、礼にあげた品を食べてどうする」
『固いこと言わないでよ。ボクと君の仲じゃない』
「気持ち悪いことをいうな!」
浮竹は、どこからかとりだしたハリセンで夜刀神の京楽の頭をはたいた。
『一緒に食べたい。だめか?』
術者の浮竹が、上目遣いでそう見てきて、浮竹も折れた。
「京楽、少し帰るのがおそくなるがいいか」
「ボクは構わないよ。ケーキ、実は食べたかったし」
『じゃあ、3時のお茶にしようよ』
夜刀神の一言でダイニングルームに入れてもらい、紅茶をいれられた。
『んーおいしい!やっぱり桜の王の料理の腕、プロだね』
「5千年修行してきたからな」
「ほんと、おいしいね」
京楽も、おいしそうに食べていた。
『ほっぺが落ちそうだ。そっちの便利屋の京楽は、毎日桜の王の手料理を食べているのか?』
「うん、そうだけど」
『うらやましすぎる・・・・』
「夜方神の料理の腕もそこそこだろう。何せ俺が鍛えてやったんだから」
『うん。夜刀神の料理もおいしいけど、桜の王ほどじゃないな』
『もう、舌がこえちゃって・・・・・・』
夜刀神は、今夜は浮竹のケーキに負けないようなごちそうを作ろうと思った。
『最近、花鬼が暴れたり、人に害をなしたりする件が多いんだ。何か知らない?』
夜刀神の言葉に、浮竹は首を傾げる。
「あやかしの管理は[春」を失ってやめたからな。眷属とはいえ、なぜなのかまでは分からない。ただ、活発化しているのは、俺と京楽が契約を交わしたことにあるかもしれない」
『やっぱり、契約しちゃったんだ。どうりで、桜の王からそっちのボクの匂いがするわけだ』
「同意の上だぞ」
『契約するのはいいけど、「春」の時のように取り残されないようにね』
「「春」の話は、京楽の前ではやめてくれ」
「うーん、十四郎の元彼の話聞いてるみたいで、気分がいいものじゃないね」
『ごめんごめん。元彼かぁ。あながち、間違っていないかも?』
浮竹は、ふっと桜の花びらを吹くと、夜刀神を燃やした。
でも、夜刀神は平然とした顔をして、服さえも焦げていなかった。
「いつか、ぎゃふんと言わせてやる」
『ぎゃふん』
夜刀神がそう言ってからかうものだから、浮竹はハリセンで夜刀神の頭をスパンと殴った。
『不思議だね。昔から、君のハリセン攻撃が読めない』
「いいことだ」
『喧嘩はほどほどにな?』
「そうだよ。ほどほどにね」
術者の浮竹と、京楽はそう言って、ケーキをおいしそうに食べていた。
「礼はちゃんとしたからな。後、お茶はごちそうさま」
「十四郎、家に帰ったらレアチーズケーキもう一回作って。気にいちゃった」
「春水がそういうなら、好きなだけ作ってやる」
「ありがと」
術者の浮竹と夜刀神の京楽が見ている前で、京楽は浮竹にキスをする。
『お熱いことで』
「そっちもあんまり変わらないでしょ?」
『それもそうだね』
夜刀神は、術者の浮竹にキスをした。
二人の浮竹は、真っ赤になるのであった。
「帰るぞ、春水」
「あ、うん。またねぇ」
『ま、またな・・・・』
『またねー。今度来る時はモンブラン作ってもってきてー』
『おい、夜刀神、二人が見ている前でキスとかやめろ』
『えーどうして?むこうだってしてたじゃない』
『それはそうだが・・・』
京楽は、夜刀神に見せつけるつもりで浮竹にキスをしたのだ。
これはもうボクのものだという見えないメッセージ。
浮竹と京楽が去って言った後で、夜刀神は京楽が「春」の生まれ変割りなだけあるなと、思うのであった。